「no」と一致するもの

塩野義製薬は518日、米国の関連会社 Sciele Pharma, Inc.(サイエル・ファーマ)を通じて、米国で疼痛とその関連疾患に対する治療薬の導入、開発および販売に特化した医薬メーカーVictory Pharma, Inc.を買収するで合意したと発表した。

塩野義製薬は2008年10月、米ナスダック上場の中堅製薬会社Sciele Pharmaを総額で14億2400万ドルを投じ、完全子会社にした。
全米に約800人の従業員を持つサイエルを傘下に収め、世界最大の医薬品市場である米国での販売体制を強化する。

塩野義は米国子会社を通じ抗肥満薬やアトピー性皮膚炎治療薬などの新薬候補物質を開発、2012年前後に発売を期待できる薬が3種類ある。米国での売 り上げを最大化する販売網の構築を行うもの。

サイエル社では「この買収は製品ポートフォリオの拡大戦略を実行する重要な過程であり、また、買収により、米国における疼痛治療薬市場への速やかな展開が可能になると共に、今後も疼痛治療薬の導入を積極的に進めていくことにより、塩野義製薬の重点領域である疼痛領域へのサイエル社の貢献を確実なものにしていきたい」とした。

塩野義製薬は、疼痛領域を重点領域の一つと位置づけ、研究開発に積極的に取り組んでおり、今後、開発中のオピオイド副作用緩和薬および今後臨床開発を予定している化合物のグローバルな開発をより一層加速させていくとしている。

Victoryの主力製品であるNAPRELANは、NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)である塩酸ナプロキセンで唯一の一日一回投与を可能とする徐放製剤であり、他の製剤に比べ消化器等への安全性に優れた製剤。

しかし同社は7月10日に、この買収契約を解消することで双方共に合意したと発表した。

契約解消についての詳細は開示せず、「本買収契約が締結された時点では予期し得ない事態が買収契約締結後に生じたことによるもの」としている。

買収のための費用は一切支払っておらず、今回の契約解消に伴う、サイエル社および塩野義製薬の今年度の業績への影響は軽微としている。

ーーー

Victory Pharma 疼痛治療薬市場に特化したスペシャルティ・ファーマ。

 創業 2004年
 代表者 President and CEO Matt Heck
 本社所在地
米国カリフォルニア州サンディエゴ
 従業員数
182名(MR120名、2009年5月1日現在)
 売上高
年間57百万ドル(2008年)

 製品 販売中の製品は、NAPRELAN(R) を中心とする疼痛治療薬
     
NAPRELAN(R) (naproxen sodium) 除放性疼痛治療薬 
      
Fexmid(R) (cyclobenzaprine hydrochloride) 筋肉けいれん治療薬
          XODOL(R) Hydrocodone bitartrate/ Acetaminophen) 疼痛治療薬
          Dolgic(R) Plus (Butalbital/ Acetaminophen/Caffeine)緊張性頭痛治療薬

     開発中の製品としてはオピオイド副作用緩和薬(MGX001)と、めまい・吐き気治療薬(MGX006)があり、
     後者はFDAの認可を受けて2010年上半期にも発売を期待するとしている。

ーーー

「予期し得ない事態」が何であるかは全く不明だが、米紙は次の点を可能性として挙げている。

同社の販売中の製品4品目のうち、2品目(XODOLDolgic Plus)にアセトアミノフェンが含まれている。

アセトアミノフェンはMcNeil 社が鎮痛と解熱効果を見出し、1955年に解熱鎮痛薬「小児用Tylenol」 を発売した。
1959年に Johnson and Johnson がMcNeil を買収した。

このアセトアミノフェンに関しては、過量服用に伴う重篤な肝障害が問題となっており、米FDAは6月29日・30日の2日にわたって、35人の専門家を集めて、アセトアミノフェンの安全対策に関する諮問委員会を開催した。

同委員会では、1日及び1回の量の制限、他の成分を配合したOTC及び処方箋製品の取り止め、他の成分を配合した処方箋製品販売の場合の条件などの勧告をまとめた。

三級指定麻薬であるHydrocodone との合剤(同社のXODOL )などは事実上の販売禁止を求めた。

10代の若者の間でHydrocodone 中毒者が増えており、これらの処方薬を悪用して、多量の合剤を服用し、結果としてアセトアミノフェンによる肝不全を招いていると言われている。

この勧告について、業界団体のConsumer Healthcare Products Association は「アセトアミノフェン過量服用と関連がある有害事象は処方薬によるものが大部分であり、成人が通常に使用する場合には安全である。私たちは、過量服用防止のために、ラベルの変更とともに教育による介入が適切だと考えている。」 としたステートメントを発表すると共に、適正使用のための包括的な教育プログラムの開発を行っていることを明らかにしている。

合併取り止め発表はこの委員会の直後であり、同社の4品目のうちの2品目が勧告対象となったのが響いた可能性があるとしている。


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LG Chem 721日、中国での新しいABS計画を発表した。

中国海洋石油(CNOOC)との50/50 JV CNOOC & LG Petrochemicals Co を設立し、370百万ドルを投じて広東省恵州市にABS工場を建設する。
2011年に先ず15万トンをスタート、2013年に倍増して計30万トンを生産する。

広東省恵州市にはCNOOCの12百万トンの製油所と、Shell/CNOOCの50/50JVの中海シェル石油化学がある。
ABSプラントの原料はCNOOCがここから供給する。

製品は全国 340万トンの半分を消費する南中国で販売する。
販売目標を
2012年に3億米ドル、2014年に6億ドルとしている。

ーーー

LG Chemは中国では既に、浙江省寧波市に寧波LG甬興化工(LG Chem 75%/甬興化工 25%)を有している。

1996年に設立し、当初60千トンでスタート、2001年に150千トンに、2002年に300千トンに増設(その後手直しで330千トン)、2006年9月には480千トンとした。

その後の手直しで現在能力は580千トンとなっているが、2012年にはこれを700千トンにする予定。

このため、恵州プラントが完成すれば、中国の能力は100万トンとなり、韓国の麗川工場の60万トンと合わせ、LG Chemの全体能力は160万トンとなる。

能力で世界トップの台湾のChi Mei は、台湾に100万トン、江蘇省鎮江に70万トン、合計170万トンの能力で、LG Chemはこれにほぼ肩を並べることとなる。

 

ーーー

吉林省吉林のPetroChina Jilin Petrichemical は7月17日、製油所とSM、ABSプラントの増設工事の起工式を行った。

現在の製油能力700万トンを1000万トンに、SM 14万トンを48万トンに、ABSを現行の19万トンに対し、20万トン2基を増設して59万トンにする。(公称は58万トンとしている)
製油所増設は2010年10月にスタート、SMとABSは2011年10月スタートの予定。

同社の現在のエチレン能力は85万トンになっている。

増設が完成すれば、同社のABS能力はLG、奇美に次ぎ第三位となる。

ーーー

なお、中国のABSメーカーは下記の通りで、台湾と韓国勢が中心となっている。

   詳細は 2009/2/26  中国のABSメーカー 

単位:千トン
メーカー 能力 計画 立地  
Zhenjiang Chi Mei  700   江蘇省鎮江 台湾 奇美実業
LG Yongxing LG甬興化工)  580  120 浙江省寧波 韓国 LG Chem
CNOOC & LG Petrochemicals  -  300 広東省恵州
Ningbo Formosa  250   浙江省寧波 台湾 Formosa Plastics
Sinopec Gaoqiao  200   上海  
PetroChina Jilin  190  400 吉林省吉林  
PetroChina Daqing  105   黒龍江省大慶  
Shinho Changzhou 新湖(常州)石化   70   江蘇省常州 韓国 SH Energy & Chemical
Huajin Group (華錦化工集団)  50   遼寧省盤錦  
PetroChina Lanzhou  50   甘粛省蘭州  
Total  2,195  820    

現在の中国の需要は340万トン


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非上場会社の2009年3月決算の発表(決算公告)が出揃った。
各社とも、大きな減益となっている。

参考  2009/5/6  非上場会社 2008年12月決算

各社とも本年1-3月の損益の落ち込みが大きいため、3ヶ月のずれで12月決算企業よりも悪化している。

ーーー

出光興産の石化製品セグメント 

               単位:百万円
売上高       営業損益
合計 上期 下期
08/3   709,132   18,665
09/3   571,623  -21,325  - 2,962  -18,363
増減 - 137,509  -39,990

  

ーーー

丸善石油化学

                      単位:百万円 配当:円
売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
08/3 496,707   16,623  16,106   9,595  100
09/3 404,911   -8,881 -  7,567  -8,652   50
増減 -91,796  -25,504 - 23,673  -18,247  -50

ーーー

プライムポリマー (PE/PP)

  
三井化学 65%/出光興産 35%

                      単位:百万円
売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/3  375,399    3,704   3,055   1,960
09/3  338,228  -16,278 -16,045 -20,136
増減  -37,171  -19,982 -19,100 -22,096

ーーー

大洋塩ビ(PVC)

  
東ソ- 68%/三井化学 16%/電気化学 16%

                      単位:百万円
売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/3  62,966    524    518   221
09/3  57,543   -488   -502  -377
増減  -5,423  -1,012  -1,020  -598

ーーー

新第一塩ビ (PVC)

  
トクヤマ 71%/日本ゼオン 14.5%/住友化学 14.5%

                      単位:百万円
売上高 営業損益 経常損益 当期損益
07/12  29,043   1,044    650    342
08/12  23,297   - 554  - 755  -1,166
増減  -5,746  -1,598  -1,405  -1,508

ーーー

PSジャパン (PS)

  
 旭化成 45%/出光興産 27.5%/三菱化学 27.5%
    (三菱化学が離脱の交渉中) 

                      単位:百万円
売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/3   77,167   1,851   1,846   933
09/3   64,260   1,073   1,251   724
増減  -12,907   -778    -595  -209

ーーー

日本ポリスチレン (PS)

住友化学 50%/三井化学 50%

                      単位:百万円
売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/3   24,248   919   902    675
09/3   20,714   483   472  -2,681
増減   -3,534  -436  -430  -3,356

同社は2009年9月末で操業を停止し、その後解散すると発表している。

このため本3月期で特別損失(減損損失と思われる) 2,941百万円を計上した。

この結果、3月末の累積損失は 2,372百万円となっている。(資本金:2,000百万円)

 

ーーー

以下を追加

東洋スチレン (PS)

    電気化学 50%/新日鉄化学 35%/ダイセル化学工業 15%

                    単位:百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/3   56,423   829   813   471
09/3   46,005   514   506    253
増減  -10,418  -315  -307   -218

 

ーーー

テクノポリマー(ABS)

     当初 JSR 60%/三菱化学 40%
           
     2009/3/31に三菱化学撤退、JSR 100%

                     単位:百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/3   53,676   1,872   1,712   711
09/3   48,266    655   1,467   790
増減   -5,410  -1,217   -245    79


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Rio Tinto の上海事務所の社員4名が7月5日に上海の国家安全局に拘束された。
4名のうち、3名は中国人で、残り1名は中国系で豪州国籍を有している。いずれも鉄鉱石部門で中国を担当している。

2009/7/10 Rio Tinto 社員、中国で拘束

国営企業の首都鋼鉄の役員も拘束された。

その後の報道では、China Iron and Steel Association (CISA)とRio Tinto との鉄鉱石価格交渉に参加している中国鉄鋼メーカー16社全てがRio Tintoから賄賂を受け取っており、このうち5社の役員が調査を受けている。

中国政府は正式にはどういう理由での拘束かを明らかにしていない。

報道では、Rio Tinto社員はスパイ行為を行って、国家機密を盗み、中国の経済的利益を害したとされる。
具体的には、価格交渉を進めるため、国営鉄鋼会社の生産量や在庫量を表した秘密の政府資料を入手しようとしたとされ、これらの資料により、Rio Tinto は価格交渉上で有利な立場になるとしている。
Rio Tinto の上海事務所から押収されたコンピューターに政府の秘密データがあったとされる。

中国は近年、産業スパイの摘発に向けた動きを強化している。中国側には、経済開放が進むにつれて外国企業に「食い物にされている」といった感情が強まっていることなども背景にある。

7月13日のSydney Morning Heraldは北京情報として、胡錦濤主席自身ががこの捜査を承認したと伝えた。

しかし、こんな情報が国家機密だろうか?

中国の国家機密に関する法律は曖昧で、専門家によると、国営企業の商業上の情報でも適用される可能性がある。
賄賂が事実なら問題だが、相手企業の状況を調べること自体がスパイ行為として摘発されるなら、中国での事業活動は難しいこととなる。

Rio Tinto717日声明を発表、「Rio Tinoは従業員が中国の鉄鋼会社の役員に賄賂を渡したという報道は全く事実でないと信じる。常にRio Tinto の厳格な、公表された倫理コードに従って行動していると信じる」としている。

同社は何も述べていないが、Rio Tintoは外国籍のスタッフに中国から出国し、中国に戻らないよう指示したと報道された。

ーーー

豪州では反中感情が高まり、中国との関係を重視してきたラッド政権をも揺さぶり始めている。

政府は本事件は両国の貿易には影響しないとしているが、野党は外国の国営企業による豪州資源企業への投資を制限する法律を作るべきだと主張している。

ーーー

中国の鉄鋼産業と国際的な鉄鉱石メーカーとの間の2009年度の価格交渉はまだ続いている。

CISAはRio Tinto が日本や韓国のメーカーと妥結した前年比33%ダウンの価格を拒否し、40%ダウンを主張している。

景気悪化を背景としたものだが、中国の鉄鋼産業は非常に好調で、鉄鉱石輸入は増えている。

鉄鋼メーカーは鉄鋼製品の値上げを行った。CISAでも中国の鉄鋼事業は過去7ヶ月は赤字であったが、5月から黒字に転じたとしている。

鉄鋼メーカーの中には33%ダウンを受け入れたいとするメーカーも出ている。

ーーー

この事件が契機となり、中国の鉄鋼業界の問題点が明らかになってきた。

国営の大鉄鋼メーカーが鉄鉱石輸入ライセンスを悪用して必要量以上の鉄鉱石を購入し、輸入ライセンスを持たない中小のメーカーに違法に販売して儲けていた。

中国では112社の大メーカーと40社の商社がライセンスを持っているが、中国全体では1200の中小メーカーがある。

ライセンスのある大メーカーは大量購入の長期契約で安価に購入できるが、ライセンスのない中小メーカーは大メーカーからの購入は出来ず、変動する市場価格で購入することとなっている。

中小メーカーはこの制度は国営の大企業を利するものとの不満があり、大メーカーに賄賂を払って余剰品を購入するケースが増えてきた。大メーカーにはこれを専門とする子会社を設立しているところもある。

特に、20072008年に価格が急上昇したが、大メーカーは長期契約で100ドル/トンで購入したものを、市場価格より若干低い200ドル程度で横流しした。中小メーカーはこれを購入するために賄賂を払った。

大メーカーはライセンスを紙幣印刷機とみなしているという。転売で稼げるため、輸入価格上昇を気にしていない会社もある。

Rio Tinto事件を契機に、政府の調査はこの問題にまで拡大している。
輸入ライセンスの廃止にについての議論も起こっている。


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CNPC716日、ロシアからの原油処理のため、遼陽市の製油所の拡大(11%) を開始したと発表した。

100万トンの水素化分解設備、200万トンの水素化精製設備、硫黄除去・回収設備やタンクなどを増設する。
ディーゼルのほか、ナフサその他の石油化学原料も生産する。
2010年末の完成後は年間10百万トンの原油の処理が可能となる。

ーーー

中国は本年2月、ロシアとの間で政府間協定を結んだ。

中国開発銀行がロシア国営石油会社 Rosneft に150億ドル、東シベリア太平洋パイプラインを運営するTransneftに100億ドルを低利で融資する見返りに、Rosneft は2011から20年間、毎年15百万トンの原油の供給を行い、Transneftはパイプラインを中国に延長する。

太平洋パイプラインのうち、Taishet から極東アムール州のSkovorodino まではほぼ完成している。
Skovorodinoから中国の大慶を結ぶパイプラインは4月27日に起工式が行われた。2010年末に完成する。

日本などへの輸出用に、Skovorodino からVladivostok、Nakhodka までの太平洋岸まで延長するパイプライン本線の完成は早くても2012年ごろになる見通し。

ーーー

中国は2008年度に179百万トンの原油を輸入した。輸入は需要の51%にのぼる。

ロシアからの輸入は11.6百万トンで、前年比20%減となっている。大半は鉄道で輸入された。

 


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BASFは7月8日、中国(Greater China area、香港・台湾を含む)での活動についての最初の年次報告を発表した。

中国での活動の透明性を高めるため、毎年、次の7つの項目について最新情報を発表することにしたもの。

売上高、従業員数、職場の安全、水、廃棄物、大気汚染、エネルギー消費

「持続性(Sustainability)がすべてのことのコアであり、社会と環境に責任をもって初めて、継続して利益ある成長を続けることが出来る。この年次報告により、BASFがグローバルスタンダードを一貫して中国での活動に適用していることを示したい」としている。

BASFは1990年代以降で中国に20億ユーロ以上を投資してきた。2005年からの南京と上海のプロジェクトがメインである。

2006/7/10 BASFの中国戦略

2009/7/9   中国政府、BASF-YPCの増設計画承認

2008/10/13 BASFの重慶MDI計画,進展か
  2009年1月に環境保護省の承認を得た。NDRCの認可待ち

過去10年で売上高は毎年20%程度伸びている。

2008年の実績は以下の通り。

中国での活動拠点 100%子会社 19、JV 10
売上高 約42億ユーロ
従業員 約6,300人
職場の安全 負傷による休業  0.4時間/100万時間(前年比50%減)
水の消費 12.9百万m3(2007年の13.5百万m3に比して4.4%減) 主に冷却用
廃棄物 排水(BASFの世界規準、地方の規準を満たす) 7.3百万m3(前年比37%減)
有機物(水への) 456トン(前年比42%減)
窒素(水への) 80トン(前年比11%減)
重金属 1トン(前年比83%減)
固形廃棄物
 66%はリサイクル又は熱回収
 31%は焼却
 1%は埋め立て
42,200トン(前年比25%減)
大気汚染 Greenhouse gas 180万トン(前年比 5.2%減)
大気汚染物質 
COSOxNOxammonia and other inorganic compounds
dust
heavy metalsvolatile organic compounds
950トン(前年比10%)
エネルギー消費 製品トン当たりの燃料・電力・蒸気使用量は2002年から2008年の間に50%向上

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シーメンスやドイツ銀行など欧州の大手企業12社は7月13日、アフリカ北部のサハラ砂漠などに大型の太陽熱発電施設を設置し欧州に送電するDESERTEC Industrial Initiative の実施で合意した。総事業費は4千億ユーロ。将来は欧州の電力需要の15%をまかなう計画。
10月までにドイツ法人を設立する。

参加企業は次の各社

ABBABENGOA SolarCevitalDeutsche BankE.ONHSH NordbankMAN Solar MillenniumMunich ReM+W ZanderRWESCHOTT SolarSIEMENS

Siemens は太陽熱発電、太陽光発電、風力発電タービン、高圧電力輸送技術など幅広い環境技術を提供する。

2003年、ローマクラブは再生可能エネルギーの利用を目指すコンソーシアムTREC:The Trans-Mediterranean Renewable Energy Cooperationを設立した。
中東や北アフリカなど地中海周辺の国々の政府系機関や産業界が参加し、これらの地域で再生可能エネルギーによる発電をして、送電ロスが無い直流送電網で
EUに供給するという計画。太陽熱発電がその主軸を担う。

DESERTEC Industrial Initiative はローマクラブのドイツ支部が中心にまとめた。(砂漠のDesert とtechnology の合成語)

今回の合意で、今後具体的な事業計画や資金計画を立て、MENA(中東・北アフリカ)に張り巡らす太陽熱発電所、風力発電所のネットワーク建設の準備を行う。
目的は2050年までに欧州の電力需要の15%と、発電する現地の電力需要の大半を賄うというもの。
(欧州の残りの電力は下図の通り現地での太陽光発電、風力発電、水力発電、バイオマス発電などで賄う)

このほか、次の目的を持つ。
・欧州、MENA諸国のエネルギー安全保障の拡大
・MENA諸国の成長、発展
・MENA諸国の将来の水供給の確保(余剰電力による海水の淡水化)
・CO2の削減

構想は以下の通り。

太陽熱発電所と風力発電所を北アフリカ、中東各地に建設する。
砂漠地帯で発電した電力は高圧直流(
HVDC)送電技術で欧州の需要家まで約2000kmにわたって送電する。

発電所建設に3500億ユーロ、送電網整備に500億ユーロを見込んでいる。

地図のはそれぞれの所要電力確保のために必要太陽熱発電の面積を示す。
EUの場合は130km四方の面積が必要)

太陽熱発電は鏡やレンズを使って太陽光を1点に集中させて熱を発生させ、集めた熱で蒸気を発生させてタービンを回し電力を生み出す。

太陽熱発電の利点は24時間送電が可能なこと。
日中に熱貯蔵タンク(溶融塩タンクかコンクリートブロック)に熱を貯め、夜間にその熱で発電することが出来る。曇りや悪天候の時には石油、天然ガス、バイオ燃料などでタービンを動かすことも出来る。

太陽光発電の場合は、太陽熱発電よりも建設に金がかかり、電力貯蔵には揚水システムなどの高価な設備が必要となる。
欧州で揚水システムを利用する場合、1日数時間のためだけに余分の送電線が必要となる。

HVDC送電技術は既にSiemensが中国で実施しており、三峡ダムの5000MWの電力を1400km離れた上海まで送電しているが、電力ロス5%に過ぎない。(交流の場合ならは400MWがロスとなる)

MENAから欧州までのHDVC送電のロスは15%程度となるが、MENAでの太陽熱レベルは南欧のレベルよりも2倍程度あり、またMENAでは季節による変動も少ないため、十分ペイするとしている。

本計画の詳細は以下を参照
   
http://www.desertec.org/fileadmin/downloads/DESERTEC-WhiteBook_en_small.pdf

ーーー

以前から西澤潤一・東北大学名誉教授が地球温暖化・エネルギー対策の切り札として「世界の電力需要は水力発電と直流送電で賄える」と主張している。

交流送電では200
kmが限界だが、直流なら、電線を少し太くすれば、2万kmまでも可能であり、地球上のどこへでも電力を送電できる。
そこで、豊富な水力資源のある場所(国、地域)で発電した電力を、世界中の消費地に運んで使うことが可能になる。
消費地では、同氏が開発した静電誘導サイリスタ(Thyristor)を使えば、直流を効率よく交流に変換できる。

同氏によると、直流送電は交流送電に比べてはるかに長距離伝送が可能であるが、直流は変圧器が使えないというのが欠点であった。
発電所を作り、電線でいつでも電気を使えるようにしたのはエジソンだが、直流で送ったため、エジソンの会社は直ぐにつぶれ、交流送電を推進したウイリアム・スタンレー、ニコラ・テスラらのウェスティングハウスに敗退した。

同氏が開発したサイリスタ半導体が直流を交流に変換できることが分かると、GEから飛んできて、直流送電をやりたいと述べたという。

日本ではこの案は無視されているが、DESERTECの発想は同氏の考えを元にしていると思われ、メンバーのABBは地球の周りに直流送電線を巻くという構想を立てているといわれる。


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EUは7月8日、ドイツの Ruhrgas AG とフランスのGDF Suez SA にそれぞれ、553百万ユーロ、合計1,106百万ユーロの制裁金を課した。
(1社での過去最大は
自動車用板ガラスカルテルでのフランスのSaint-Gobain 896百万ユーロで、今回の両社はこれに次ぐもの)

Ruhrgas AG Gaz de France1975年にロシアのガスをドイツとフランスに送る MEGAL pipelineを共同で建設することとし、パイプラインで送ったガスを相手の国の市場では売らないことで合意した。両社はそれぞれ、ドイツとフランスにおける天然ガスの最大手。

Ruhgasは、2003年にRAGE.On所有のDegussa株を購入、見返りにRuhgas株をE.onに譲渡し、E.On group に入った。
Gaz de Franceは
2008年にSuezと合併し、GDF Suez となった。

MEGAL pipeline (Mittel-Europaische-Gasleitungsgesellschaft)はロシアの天然ガスをドイツ・チェコ、ドイツ・オーストリア国境からドイツ・フランス国境まで送る2本のパイプライン。
現在、
E.On51%、GDF Suez44%、OMVが5%出資する。
チェコ国境の
Waidhausから独仏国境のMedelsheimまでのMEGAL Nord(北MEGAL)と、ドイツ・チェコ・オーストリア国境のOberkappel とドイツのSchwandorfまでのMEGAL Sud (南MEGAL)から成り、両パイプラインは Rothenstadt Schwandorf で接続されている。

両社は1975年にMEGAL建設を決めた際に、MEGALで運んだガスをGDFはドイツで売らないこと、Ruhrgasはフランスで売らないことで合意し、レターで交わした。

当時はGDFはフランスの輸入天然ガスを法的に独占していた。
Ruhrgas
の天然ガスも他のメーカーとの間のDemarcation Agreement 独占的な供給区域を設定する境界設定契約)で実質的に独占であった。(他に、排他的なパイプライン敷設権を認めるConcession Agreement もあった。)

GDF独占は2000年に廃止され、ドイツのDemarcation Agreement も19984月に違法とされた。

しかし両社は2000年8月にEC指令により欧州ガス市場が競争市場になった以降も、1975年のレターが違法であることを認識しながらも、市場分割を続けた。
定期的にいろんなレベルで会合を持ち、協定を確認し、相手の行動を監視した。

2004年には以前から協定は無効であると考えていたと説明したが、2005年9月に廃棄するまで協定を実行してきた。

EUは市場分割協定は独禁法の重大な違反であり、協定により、両社は自由化された両国のガス市場で強い地位を築いたとしている。


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SABIC711日、中国国家発展改革委員会(NDRC)が、現在建設中のシノペックの天津石化計画へのSABICの参加を承認したと発表した。

昨年の6月にシノペックとSABICは戦略的協力契約を調印し、シノペックが建設中の天津の新しい石化コンプレックスを50/50JVとし、新たにSABIC技術によるポリカーボネートの生産を追加することを検討することとした。

ーーー

シノペックは既に天津の大港石化基地にエチレン20万トンのコンプレックス(PE12万トン、PP30万トンほか)を持っている。

シノペックと天津市は大規模石化計画をたて、1997年頃にダウケミカルと中国側(SINOPEC/天津市)の50/50 JV検討された。
しかし、
ダウが経済性を理由に撤退した。

その後、天津市は外資企業の参加を求め、
サウジアラムコとの合弁の報道もあった。またSABICも2004年4月にシノペックに対して本計画に関心ありとの意向を示したが、そのときは進展はなかった。

シノペックは2005末に単独での拡張計画の承認を受け、20066月に着工した。本年9月に建設が完成する予定。

既存の500万トンの製油所を1250万トンに拡張し、エチレン100万トンを新設するもので、誘導品は以下の通り。
 LDPE 30
トン
 HDPE 30
トン(INEOS Innovene S Process
 PP   45
万トン(LyondellBasell Spherizone PP) 
 EOG  42
万トン(Dow 技術)
 フェノール 35万トン
 SM   50万トン
 ブタジエン、ブテン
-1
 PC   (FS中)

2006年1月のサウジのアブドゥッラー国王の最初の公式訪中を機に、SABICがシノペックとの交渉を再開した。

2006/7/3 SINOPEC天津分公司の100万トンエチレン計画着工

 


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中国企業が世界の鉄鉱石会社に相次ぎ出資している。

豪州の資源会社 Emergent Resources7月3日、西豪州のBeyondie Iron project の開発のため、中国冶金科工(China Metallurgical Investment)とJVを設立すると発表した。

同鉱山は当面、年間300万トンの磁鉄精鉱生産を目標としているが、JVで2億豪ドル(159百万米ドル)を集める。

Emergent はまた、中国冶金科工に対し新株860万株(@45セント、387万豪ドル)を発行、490万株(@27セント、116万豪ドル)のオプションを与える。増資資金はBeyondie Iron project の運転資金になる。

Emergent は西豪州に下記の権益を有している。

Beyondie Iron Project 磁鉄鉱
Glengarry Mt Bartle Project base metals
North Pool Project base metals, gold
Diamond Well Project base metals
Rainbow Bore, Clarrie Well and Fenceline base metals, uranium
Mt Narryer Project gold, uranium
Marble Bar Project gold, copper
Paterson / Rudall River Project gold, copper, uranium

 

   ---

中国冶金科工は2008年8月にCape Lambert Iron Ore Ltd. から4億豪ドルで同社のCape Lambert Iron Ore Project を買収している。

Cape Lambert Iron Ore Project は西豪州の Pilbara 地区のプロジェクト。

看板鉄鉱石プロジェクトを売却し4億豪ドルを取得した Cape Lambert は、新たな買収の機会を探っている。

ーーー

Cape Lambert の南西のCape Preston では香港のCITIC Pacific の子会社のCITIC Pacific Mining Management が35億米ドルの鉄鉱山開発を行っている。これには中国冶金科工が20%を出資している。

20億トンの磁鉄鉱を開発し、高グレードの磁鉄精鉱とペレットを25年間、毎年27.6百万トンを輸出する計画。

これに加え、40億トンの鉱山の権利を得るオプションを持っており、その場合、年間生産量は70百万トンに達する。

ーーー

鞍山鋼鉄集団(AnSteel )は6月25日、豪州の鉄鉱石生産会社Gindalbie Metalsヘの出資比率を12.6%から36.28%に高め最大株主になることについて中国政府の承認を得た。昨年8月にGindalbie Metalsから提案のあったもので、Gindalbieの株主総会は本年2月にこれを承認している。

Gindalbie は新株発行で162百万豪ドルを集める。

この後、両社は144百万豪ドルずつを西豪州のKarara iron ore project 開発のための50/50 JV(Karara Mining Limited)出資する。
両社による出資総額
はこれで534百万豪ドルとなる。

残りの開発資金(12億米ドルまで)は中国開発銀行によるプロジェクトローンで賄われる。

Karara は2010から年間10百万トンの鉄鉱石を生産する。磁鉄鉱工が800万トン、赤鉄鉱が200万トンとなっている。

ーーー

中国鉄鋼大手の武漢鋼鉄集団(Wuhan Iron & Steel )は本年6月、ブラジルの鉄鉱石生産会社 MMX(Mineração e Metálicos S.A)グループに9.09%(120百万米ドル)を、MMX の子会社 MMX Sudeste に23%(280百万米ドル)を出資することを提案、MMX側も「武漢の提案を受諾する方向で進める」と表明した。

武漢はMMXへの9.09%の投資を通じ、実質的にMMX Sudeste 30%を出資することとなる。
これは、MMX
の借入金返済、Sudesteの開発、拡張の資金となる。

MMXは現在、2つの子会社MMX Corumba and MMX Sudesteで操業している。
MMX Sudeste Minas Gerais州で2つの孫会社 AVG Minerminas で操業している。

   ---

カナダのConsolidated Thompson Iron Mines (CLM) 69日、武漢鋼鉄集団が同社に240百万米ドルを投資する契約に調印したと発表した。

武漢は105百万カナダドルでCLMの19.99%を取得する。
更に武漢は残額で 武漢25%/CLM75% 出資の
limited partnership を設立し、CLMBloomLake鉄鉱山(QC州)をこれに移管する。
この運営は
CLMが引き受ける。

武漢はBloomLake鉄鉱山の存続期間にわたり、毎年の生産物の出資比率分を市場価格で購入する義務を負う。
武漢はまた、
CLMの他の鉱山の生産物の長期引取権を一定条件で持つ。

なおCLMはより有利な提案があれば、200万ドルの解約料の支払いで解約する権利を持つ。

 


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