「no」と一致するもの

Rio Tinto は借入金返済のため、資産の売却を続けている。

Rio Tinto 本年2月12日、中国国有アルミ大手、中国アルミ業公司(Chinalco)から現金で195億ドルの出資を受けると発表したが、承認を決める豪州のForeign Investment Review Board レビューを6月まで延長している。    

2009/4/1 中国アルミのRio Tinto への出資のその後    

本年に入り、Alcan(2007年に買収)が持っていた中国のアルミ関連の2つのJVの持分を相次いで売却した。

Rio Tinto Alcan は本年1月、寧夏のアルミ精錬JVのAlcan Ninxgia(能力 16万トン)の50%持分をJV相手の青銅峡アルミ(Qingtongxia Aluminium)に125百万ドルで譲渡した。
同時に増設(能力 25万トン)精錬所の権利を80%まで取得するオプションを放棄する代償として13百万ドルを受け取った。

1964年設立で寧夏回族自治区に本拠を置く青銅峡アルミ外資との提携で能力拡大を図り、2004年3月にカナダのAlcan との間で合弁契約を締結した。
Alcanは150百万ドルを投資し、既存の150千トンの製錬所と所要の電力の50%の権利を得るとともに、建設中の250千トン精錬所の権利を80%まで取得するオプションを得た。

ーーー

Rio Tintoはこのたび、アルミの押出・建材製造販売のJVの深センの華加日*業有限公司:Nonfemet International(China-Canada-Japan)Aluminum Company Ltd. (*は金偏に呂)の持株27%のうち、17%をJV相手の中金嶺南有色金属公司に売却した。

Rio Tintoは持分の27%全体の売却を提案していたが、何故か、17%となった。
中金嶺南有色金属の持分は72%にアップした。

なお、中金嶺南有色金属は豪州New South Walesの亜鉛や鉛の採掘業者のPerilya 50.1%の出資を行っている。

2009/2/21 中国五鉱集団、豪州OZ Minerals を買収 に記載

ーーー

華加日は名前の通り、中国の中金嶺南有色金属が55%、カナダのAlcanが27%、日本の日本軽金属が18%出資している。

華加日は1986年に中国が55%、日軽金とAlcanが22.5%ずつで設立、1992年に日軽金がAlcanの持分を譲り受けた。

日本軽金属とAlcanは1996年にアジアのアルミ加工事業を統合、持株会社 Alcan Nikkei Asia Holdings を設立した。

タイのAlcan Nikkei Siam Reynolds Aluminumが設立、その後日軽金が70%を取得したが、Alcanとの持株会社設立で持株会社に移管した。(その後、30%を買い増し、100%とした)
華加日も持株会社に移した。

日軽金は2003年9月末にAlcanとの関係を整理した。

今後の東南アジアにおけるアルミニウムの需要拡大に対応し、より効果的かつ積極的に事業展開を推し進めるためには、タイの会社を100%出資会社として直接事業運営することが望ましいものと判断した。

この時点で中国のJV 華加日についても18%を取得した。

日軽金は中国の自動車市場への対応をはかるべく2004年4月に、華加日との合弁で、自動車部品用アルミ押出材加工販売会社「華日軽金(深セン)有限公司」を設立している。(日軽金55%出資)


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LyondellBasell 16日、米国事業とドイツの持株会社Basell Germany Holdings GmbH について米国の民事再生法 (破産法 Chapter 11)の申請を行った。

それ以外の国での活動は従来通りとしていた。

2009/1/7 LyondellBasellChapter 11 申請

しかし、同社は4月24日、欧州にある全体の持株会社 LyondellBasell Industries AF S.C.A. (以下、親会社)も米国の民事再生法の対象に加えたと発表した。

親会社は製造も販売も行っておらず、従業員もいない。   

今回の措置により、米国子会社の債権者が、親会社が米国子会社に対して行っている債務保証の実行を求めたり、親会社の長期借入金<p><p><p>HTML clipboard</p></p></p>(Senior Notes due in 2015 ) の繰上返済を求めるのを防ぐ。(金利の支払いが止まっており、2月に米国の裁判所が60日間の猶予を認めていた。)

同社では今回の措置は欧州の法律での破産には当たらず、米国以外の事業活動は全く影響を受けないとしている。

ーーー

同社の資本構造は以下の通り。

<p><p><p>HTML clipboard</p></p></p>

<p>HTML clipboard</p>

(4) The Senior Secured Credit Facilities comprise a $2,000 million term loan A facility, a $7,550 million and Euro 1,300 million term loan B facility and a $1,000 million revolving credit facility.

(5) The Asset-Based Facilities include an inventory facility of up to $1,000 million and a receivables facility of up to $1,150 million.

ーーー

これまでの経緯は以下の通り。

200916日 
  米国事業(合計81社)とドイツ持株会社Basell Germany Holdings が民事再生法を申請(図 参照)
  民事再生計画認可までの間の倒産を防ぐため、80億ドルのDIPファイナンスをアレンジ。

DIP(Debtor In Possession:占有継続債務者)ファイナンスは一時的な運転資金の手当てのこと
うち、
32.5億ドルは新規借り入れ、32.5億ドルは既存の担保付借入金の再借り入れ、
残り
15.15億ドルは既存運転資金の再借り入れ。

   
2月26日
  破産裁判所が下記に関して、60日間の禁止命令を出す。
  米国子会社の債権者が、親会社が米国子会社に対して行っている債務保証の実行を求めること。     
  親会社の長期借入金の繰上返済を求めること。 
  
利率 8.375%の2015満期の借入金(615百万ドル)の金利が未払いとなっている。 
 
2月27日
  破産裁判所がDIPファイナンスを承認
   32.5億ドルは新規借り入れ、32.5億ドルは既存の担保付借入金の再借り入れ、
<p><p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p></p>  15.4億ドル(1/6案では15.15億ドル)は既存運転資金の再借り入れ(→3月に15.7億ドルに増額)
 期間は1年
4月8日
再生計画で当初の固定費削減を上乗せ
  損益改善を13億ドルに、うち固定費削減を当初の2億ドルから7億ドルに。(2010年末 目標)
    従業員 3,000人(17%)、下請け 2,000人(30%)カット、10以上のプラント閉鎖

同社は324、昨年12中頃から休止しているChocolate Bayou のオレフィンコンプレックスを閉鎖すると発表した。
同コンプレックスは 土地をSolutia からリースしており、市況悪化に加え、リース料も負担となっていた。
Chapter 11でのオプションを行使し、リースを打ち切った。
他の6
つのコンプレックスで、需要家のニーズは十分賄えるとしている。

Equistar Chemicals のオレフィンコンプレックスは以下の通り。(能力は若干古い資料) 

立地 エチレン能力
Chocolate Bayou, Texas   545千トン
Channelview, Texas  1,750千トン
LaPorte (Deer Park), Texas   790千トン
Corpus Christi, Texas   770千トン
Lake Charles, Louisiana   385千トン
Clinton, Iowa   435千トン
Morris, Illinois   545千トン

 


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豪州3位の鉱業会社で世界2位の亜鉛メーカーのOZ Minerals と、中国の国有企業五鉱集団(Minmetals)の子会社の五鉱有色金属Minmetals Non-ferrous Metals)は2月16日、Minmetals OZ Minerals を約17億米ドルで全株式を取得する実現案契約を締結したと発表した。

2009/2/21 中国五鉱集団、豪州OZ Minerals を買収  

しかし、豪州財務相は3月27日声明を発表、OZ Minerals Prominent Hill 鉱山は南豪州のWoomera Prohibited Area (豪軍の武器テスト場)にあり、これが含まれる限り、本案は承認できないとした。

実際には、鉱山は武器テスト場から150km離れており、安全保障上の懸念はないという。

Sydney Morning Herald は、政府は恣意的な投資障壁をつくり、「中国に立ち向かっている」ように見せかけているが、これは中国マネーは危険だとのメッセージを国民に与えるもので、「赤禍ヒステリア」を起こしかねないとしている。

両社は協議の結果、Prominent Hill 鉱山を買収対象から除外し、買収額を12.1億米ドルに修正した。

ーーー

豪州財務相は423日、条件付でこの買収を承認した。

条件は以下の通り。

五鉱集団は取得した鉱山を別会社で運営する。
鉱山運営会社は豪州に本社を置き、豪州人の経営陣で運営する。CEOとCFOは豪州在住とする。
五鉱集団との取引価格は国際市況に沿った市価基準とする。
Century, Rosebery, Golden Grove 各鉱山の生産と雇用を維持又は増やし、Avebury鉱山を復活、Dugald Riverを開発する。(経済状況にもよるが)

五鉱集団はこの決定を歓迎、中国/豪州の相互投資にとって重要な一里塚であると評価した。

今後、中国政府の承認を受け、6月のOZ Minerals の株主総会にかける。

OZ Minerals は今後も上場を続け、Prominent Hill 鉱山の開発、運営に携わる。


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シノペックの2008年アニュアルレポートが発表された。

2008年上半期は原油価格が高騰したが、中国では石油製品価格は政府が統制している。

このため、精製部門は営業損益が大幅な赤字となった。
化学部門も赤字となっている。

参考  2008/8/29 シノペックの上期損益、過去最悪に

                                                単位:百万元
03 04 05 06 07 08
Sales 429,949 597,197 799,115 1,034,888 1,173,869 1,420,321
Operating profit   38,883   63,069   66,814     80,632     81,010 - 22,292
Net Profit   24,396   41,791   44,776     55,038     58,721    26,115

これに対して政府は補助金を出して、この赤字を補填している。

補助金は2005年から始まった。
 
 2005年:9,415百万人民元
  2006年:5,000百万人民元
  2007年:
4,900百万人民元

2008年の補助金は50,300百万人民元の多額となった。
 (うち、精製部門で40,500百万人民元、販売部門で 9,800百万人民元) 

営業損益内訳 百万人民元
03 04 05 06 07 08
Exploration and production 19,160 25,614 46,871 63,182 49,111 66,839
Refining   6,073   5,943 - 3,505 -25,710 -13,666 -102,084
Marketing and distribution 11,943 14,716 10,350 30,234 33,597 28,308
Chemicals    3,543 18,721 14,296 14,458 13,416 -13,352
Others  - 1,836 - 1,925 - 1,198 - 1,532 - 1,448 -2,003
合計 38,883 63,069 66,814 80,632 81,010 -22,292
補助金    9,415   5,000   4,900 50,300
再計 38,883 63,069 76,229 85,632 85,910 28,008
(うちRefining) ( 6,073) ( 5,943) ( 5,910) (-20,710) (-8,766) (-61,584)

精製部門は補助金を入れても、まだ多額の赤字となっている。 

ーーー

これに対して、PetroChina の場合は石油開発の比重が大きく、原油価格高騰によるメリットをフルに受けている。
精製では赤字が大きいが、補助金は出ていない。

04 05 06 07 08
Sales 397,354  552,229  688,978  810,432 1,039,674
Profit from operation 152,434  193,765  199,897  200,771  159,300 
Net profit 107,646  139,642  149,397  154,311  125,946 

Chemicals は若干の赤字となった。

ーーー

両社の損益を対比すると以下の通りで、石油開発の差が全社損益に反映している。


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日本GTL技術研究組合に加わる6社は4月16日、新潟市の日産500バーレルのGTLGas To Liquids)の実証プラントの建設を完了し、竣工式を行ったと発表した。

今後は2年間の実証運転を行い、商業規模で適用可能な日本独自の技術を確立する。

GTLは、世界に広く存在する天然ガスから、化学反応によってナフサ、灯油、軽油等の石油製品を製造する技術で、石油代替の燃料ソースの確保と多様化を可能にする極めて有効な手段であり、また、GTLによって製造される燃料は、硫黄分や芳香族分などを含まないため、環境に優しいクリーン燃料としても期待されている。

海外企業(SasolShellExxonMobil など)はGTL技術の商業化を先行しているが、他社へ技術供与は行わない方針のため、独自技術の開発が必要となる。

Sasol:カタールのOryx (34B/D)Oryx (74B/D) が稼動中
   2006/6/22 
南ア・サソールの石炭液化技術 に記載

Shell:マレーシア Bintulu (15B/D)が稼動中、カタール Pearl (140B/D)は設計段階

ExxonMobil:カタール計画取り止め
   2006/2/27 
ExxonMobil、カタールのGTL計画取り止め

ConocoPhillipsBP:いずれも実証段階

国際石油開発帝石、新日本石油、石油資源開発、コスモ石油、新日鉄エンジニアリング、千代田化工建設の6社は2006年10月25日に日本GTL技術研究組合を設立し、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同で実証研究を行なってきた。
(これに先立ち、北海道・勇払でパイロットスケール 7B/D のテストを行った)

実証研究の概要
(1) 目的:
商業規模の前段となる500B/D規模の実証プラントでGTL技術の実証、ならびに商業化へ向けたスケールアップの検討等を行い、商業規模(2万B/D)で技術的・経済的に競争力をもつGTL技術を開発する。
   
(2) 研究体制:JOGMECと日本GTL技術研究組合の共同研究
   
(3) 研究予算:総事業費 約360億円(補助金約240億円、日本GTL組合の負担額 約120億円*)
   
      * 国際石油開発、新日本石油、石油資源開発 各約30億円、残り3社 各約10億円
   
(4) 期間:2006~2010年度 (5年間)
実証プラントの概要
(1)所在地:新潟市北区太郎代2881-45
(2)プラント能力:日量500バーレル(日量80キロリットル)
(3)主要プロセス設備
合成ガス製造設備:天然ガスを合成ガス(H2とCO)に転換。
FT(
Fischer-Tropsch)合成設備:H2とCOから炭化水素を合成する反応で液体燃料粗油を合成。
アップグレーディング設備(水素化処理設備):液体燃料粗油からナフサ、灯油、軽油等を製造。

今回のプロセスは、炭酸ガスを含む天然ガスをそのまま利用することが可能な、世界初の画期的な技術である。

天然ガスにはCO2を20%含有するため、従来プロセスではCO2を除去し、その上で、合成ガス製造のため、別途酸素を製造して供給する必要があった。このプロセスはCO2除去不要で、酸素製造プラント不要のため、CO2を含むために開発されずに放置されたガス田の有効活用が可能となる。

 


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Invista は4月13日、DuPont 時代の環境面の法令違反に関してEPA、司法省、その他関係当局との間で、連邦裁判所で和解したと発表した。

ーーー

Invista はDuPont の繊維部門であったが、2004年に Koch Industries が42億ドルで買収した。

Invistaは2008年3月、DuPont が工場を所有していた際に安全面、環境面で広範かつ重大な違反があったとして8億ドルの補償と懲罰的賠償を求め、マンハッタンの連邦地裁に訴訟をおこした。

これに対してDuPont側は、対象工場で誰一人として負傷しておらず、不当なリスクにさらされたこともないとし、買収後4年も経っての主張は契約上の文言を利用して増強資金を得ようとしているのではないかと非難、根拠のない批判に徹底的に争うとしていた。

2008/4/2 DuPontに8億ドル以上の損害賠償請求

ーーー

Invista は買収後に以前のDuPont の7州の12工場で680件以上の違反を見つけた。
同社は既に大部分を是正しており、残りの約50件については今回、対応策が決められた。

残っているものにはClean Air Act programs に関するものがあり、複雑な処理を要し多額の設備投資が必要となる。期限と基準が決められ、州と連邦の当局がチェックする。

過去及び今後の同社の投資は合計で5億ドルに達する。

同社では、今回の和解は同社がこれまでやってきた環境基準に従うための是正策を確認するものであり、新しいオーナーとして以前の持ち主の違反の是正を完了させるものであるとしている。

EPAの報道官は、680以上の違反の圧倒的な部分はDuPont 時代のものだとしている。違反は、大気、水、危険廃棄物、農薬、緊急時の計画と準備などの規則に関連している。

EPAの評価では、Invista による過去及び将来の対策により、有害な大気汚染が年間1万トンはカットされる。その結果、30人の死亡、2000日の病欠、9000件の呼吸器障害が防止されるとみている。

EPAは新しいオーナーに買収した設備の監査を奨励している。
EPAでは今回の和解はこの監査ポリシーでの過去最大のものとしている。

EPAはまた、同社に対して170万ドルの罰金(Economic benefit penalty)を課した。これは買収時点から是正策が取られるまでの間に、違反により得られた利益を取り上げるという趣旨のもの。

ーーー

同社は昨年3月にニューヨークの連邦裁判所に DuPont を訴えたが、DuPont がこの訴えを却下するよう求めたのに対し、裁判所は330日、DuPont のこの動議を却下した。裁判は懲罰的賠償要求を含め、今後も続く。

ーーー

DuPont はこれまで、違反は一切ないとしていたが、EPAや司法省がInvista の主張を認めたこととなり、裁判で苦しい立場になった。

今回の和解に関しては、DuPont は同社と関係のないこととしている。
DuPont はInvista EPA、司法省が法定で和解したこと、各州の環境当局がInvista を訴えていることは知っている。DuPont はこの和解の当事者でないし、これまでの訴訟で被告として名前が挙がったこともない」としている。

付記

米国EPAは4月20日、DuPont Lucite International Clean Air Act 違反で国に100万ドル、 West Virginia 州に100万ドルの罰金を払うとともに、問題となった硫酸工場を自発的に停止することになったと発表した。

West Virginia 州にある硫酸工場はLucite が所有、DuPont が操業している。
Lucite ICIからMMA事業を買収したが、ICIDuPont MMA事業を取得している)

両社は1996年にClean Air Actで求められている許可を得ずに、また必要な公害防止設備を備えずに、改造を行ったもの。


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サウジアラムコはサウジの東海岸のアルジュベイル南東のラスタヌラの製油所(55万バレル/日)を95万バレル/日に増設する計画であったが、この計画の延期を決めた。ロイターが伝えた。
サウジアラムコが入札企業に対して計画延期の正式レターを出したという。

サウジアラムコは業者に対して、延期の理由も、延期の期間も明らかにしていない。

この増設は80億ドルを投じるもので、需要増に対応するとともに、隣接して建設される予定のサウジアラムコとダウとの投資額200億ドル以上の単一では世界最大の石油化学計画に原料を供給するもの。

2007/5/15  アラムコとダウ、世界最大級の石油化学コンプレックス建設 

情報筋によると、この石化計画も延期される。
基礎設計は当初2009年末に完成の予定であった。

ーーー

サウジアラムコは2008年11月6日に、ConocoPhillips とのJVでYanbu Industrial City に日量40万バレルの重質油完全改質製油所を新設する計画の延期を発表した。

同じく11月末には、フランスのTotal とのJVJubail に日量40バレルの製油所を建設する計画の入札を金融市場の不安定を理由に延期した。

2008/12/10 サウジアラムコ、石油開発計画を延期

ーーー

サウジアラムコのCEOのKhalid A. Al-Falih 3月23日にサウジの商工会議所でスピーチし、現下のグローバルな経済危機とエネルギー部門が直面する問題に拘わらず、同国は石油・ガス部門を拡大するという長期投資計画を維持すると述べていた。

そして、近いうちにPetro Rabigh の2次計画について住友化学と覚書を締結すると明言し、合わせてダウとのJVでのRas Tanura の石油化学計画についても述べていた。

ーーー

JVの相手のダウ側にとっては、Rohm & Haas 買収のための借入金返済と本計画への投資資金獲得の目途が立つまでは、この計画を前進させることは難しいのは確かである。


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Abu Dhabi Polymers Company Limited Borouge)はこのたび、第三期計画(BorougeⅢ)のFSを完了し、基礎設計エンジニアリング(Front-end engineering and designFEED) に入ることを決めた。

Borouge Abu Dhabi National Oil CompanyADNOC)が 60%Borealis 40% 出資するが、Borealis は実質的にADNOCの子会社。(Borealis ADNOC50%Abu Dhabi Investment Authority/National Bank of Abu DhabiのJVが50%出資するIPIC65%、オーストリアのOMV35%出資)

Borouge Abu Dhabi 市の 250 km西にあるRuwais BorougeⅠを運営、BorougeⅡを建設中で、後者は2010年に完成の予定。

Borouge
 エチレン          600千トン
 Borstar PE 600千トン HDPE/LLDPE (当初 450千t)
 ブテン-1 27千トン
Borouge
 エチレン 1,400千トン
 olefin conversion  752千トン
 Borstar PE   540千トン   HDPE/LLDPE
 Borstar PP     800千トン  400千トンx2
    * Borstar Borealis技術によるポリオレフィンのブランド

2006/6/2 湾岸諸国の石油化学ー3 アラブ首長国連邦(UAE)

BorougeⅢはADNOC の製油所・ガス処理工場の拡張で利用可能となる原料を使い、2013年第4四半期に生産を開始する。

エタンクラッカーと第二世代の
Borstar PP Borstar PEHDPE/LLDPE)、LDPEとブテン、及び用役・出荷設備からなる。
今回、
LDPEを加えることにより、wire and cable 市場の需要増に対応する。

個別の能力は明らかにされていないが、250万トンのポリオレフィンを生産、既存設備と合わせるとポリオレフィン能力は2013年末には450万トンとなり、中東とアジアの需要増に応える。

生産能力の拡大に合わせ、販売面での増強も図っている。

同社は現在、上海と広州に大規模物流センター(上海は年60万トン、広州は年30万トン)を建設中で、上海では物流センターに隣接しコンパウンド工場(当初能力5万トンで、8万トンまで拡張可能)を建設している。

本年1月末には、東南アジア物流センター設立のため、Singapore CWT Logistics とサービス契約を締結した。2010年から10年間、アジアの需要家にローカルサービスを提供する。


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韓国の産業政策の中枢である知識経済部(知経部)は本年1月、「主要業種別構造調整の方向」(10大業種別構造調整案)という対外秘の報告書を作成、その一部がすでに具体的な政策として実施されていることが分かった。4月14日付けの韓国東亜日報が伝えた。

自動車、石油化学、造船、鉄鋼、セメント、一般機械、繊維、半導体、ディスプレイ、携帯電話の10大品目に対する構造調整の原則や展望が盛り込まれている。

政府は、産業的側面や財務的側面を総合し、特定産業の構造調整を実施する。知経部は全産業の構造調整の方向付けを決める役割を担う。また、金融委員会や金融機関は、個別企業の財務的側面を分析する役割を担う。

構造調整の大原則として、「市場での自律を尊重」や「早期の構造調整」を取り上げている。
市場での自律を尊重することにより、経営不振企業が淘汰されていく環境を作り出し、再生見込みのない経営不振、限界に達した企業は、速やかに淘汰を促していく方針。

早期の構造調整の詳細原則として、
 ・グローバル的な核心の力量の強化
 ・業界の自主努力
 ・適切な競争維持
という、3つの項目を決めた。

報告書によると、自動車については、中長期的にメーカーを5社から3社又は4社にし、育成していく方針。
「選択と集中」という支援策により、自動車生産台数基準で世界5位の韓国自動車産業のプレゼンスを4位へと跳躍させる。

現代自動車と傘下の起亜自動車を除き、GM大宇、ルノーサムスン、双竜自動車のうち1~2社を育成対象から外し、自然な構造調整を促す考えと解釈されている。

石油化学については、蔚山、麗水、大山の3つの産業団地に分かれているが、「企業同士の独立志向」という形で誘導し、事業転換により団地別に特化させる。
ポリスチレンやテレフタル酸など収益性が悪化した品目を中心に事業交換、品目別統合をサポートし、規模の経済を確保するとともに品目別の専門化を促す。

例えば、ポリスチレンのメーカーは、蔚山に3社、麗水に2社あるが、これを各団地別に1社へ統合するという。

PSメーカー
立地 会社名 能力
千トン
蔚山 錦湖石油化学 227
東部韓農 100
BASF 240
麗水 LG化学 232
第一毛織 162
合計   961

また、PTAも構造調整の対象となっている。

PTAメーカー
立地 会社名 能力
千トン
蔚山 KP Chemical 1,080
泰光産業 1,000
SK Chemicals 520
暁星 410
Samsung Atofina 1,100
大山 Samsung Atofina 700
麗水 三南石油化学 1,700
合計   6,510

政府の10大業種別構造調整案に対しては、業界の専門家や各企業では概ね、構造調整の必要性や方向性には共感を示している。
しかし、政府主導の人為的な構造調整は副作用を招きかねないとし、長期的な政策課題で、ショックを最小限に食い止めながら推進したほうが望ましいという意見もある。

石油化学業界でも構造調整は不可欠だと指摘する専門家が多いが、構造調整の対象になりうる企業は、反発を強めている。

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韓国政府は通貨危機のさなかの1998年に「Big deal」と呼ばれる構造改革を行っている。

1998年2月に財閥の構造改革に関する5大課題が発表され、5大財閥(現代、三星、大宇、LG、SKのこと。このうち大宇は1999年8月に倒産・解体した)およびその取引先銀行はこの方針に沿って構造改革を進める方向で合意した。

基幹産業における過剰設備・重複投資を解消し、効率化を図る観点から、5大財閥における事業の再編成を行うもので、通称ビッグディールと呼ばれた。

半導体、石油化学、自動車、航空、鉄道車両、発電設備・船舶用エンジン、精油が対象となった。

石油化学については、大山にある三星総合化学と現代石油化学を統合し、外資を誘致する予定であった。
外資企業としては三井物産の可能性がたびたび報じられた。
しかし、出資額で調整がつかず、実現しなかった。

最終的に三星総合化学はTotal が参加し、Samsung Total となった。

現代石油化学はLG化学/湖南石化連合が買収、2005年1月に2系列を分け合い、LG Daesan PetrochemicalLotte Daesan Petrochemical とし、前者は20061月にLG化学が、後者は20091月に湖南石油化学が吸収合併した。

LG化学/湖南石化連合の買収に先立ち、現代石化のVCM、PVC事業はLG化学が買収している。

精油については、現代精油がハンファエナジーを買収、ハンファエナジーは仁川精油と改称した。

その後、仁川精油は現代グループから離脱、2004年に中国のSinochem が買収を決めたが、白紙に戻り、最終的にSKエナジーが買収した。

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日本では政府による産業構造調整への関与は1988年に終了した産構法が最後とされており、各社の自主的な決断によるしかない。


* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


三菱化学とシノペックは4月14日、相互の技術、原料、市場における優位性を活かし両社の提携をより一層強化して事業を拡大加速することを目的とする戦略提携パートナー関係を確立するための基本合意に至ったと発表した。

今回の基本合意による提携は共同研究、プロジェクト提携、原料及び製品の供給、工事・物流サービス、技術交流、人材交流等の多分野で行うもので、また、CO2 削減やその有効利用、再生可能エネルギーとしての有機太陽電池などの地球環境関係のテーマにも、両社共同で積極的に取り組むとしている。

両社はこのような将来を見据えた幅広い分野での戦略提携パートナー関係を確立する新しいビジネスモデルを活用して、事業化の加速、高付加価値分野への事業拡大、およびアジアにおける化学産業の今後の発展に貢献することを期待するとしている。

三菱化学とシノペックは、自動車用PPコンパウンド事業では10年以上の合弁事業での協力関係の歴史があり、両社は新たな合弁事業としてビスフェノールA、ポリカーボネート事業の新社設立を現在取り進めている。 

自動車用PPコンパウンド事業

 会社名:北京聚菱燕塑料有限公司
 場所  :
北京市佛山市三水工業区
 設立  :1998/10
 出資者:三菱化学55%、シノペック燕山石油化工40%、豊田通商5%
 能力  :
北京市 12,000t/年(当初 3000t/年)+6,000t/年
      
広東省佛山市 10,000t/年

PC樹脂・BPA事業

 会社名:未定 
 場所  :北京市・房山地区 (
シノペック燕山石化敷地内)
 出資者:
PCR Investments Japan Corporation 50%
        (
三菱化学:80%、三菱エンジニアリングプラスチックス:20%
      
シノペック 50%
 能力  :PC樹脂  6 万トン
      
BPA   15 万トン
 設立  :手続き中
 完成時期:2010年春

  2008/4/12 三菱化学、中国でビスフェノールAとPCの合弁会社設立申請

  なお、三井化学が既に上海でSinopecとのJVでBPAの工場を建設中。

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問題は上記2件以外で、どんな事業でどういう形で提携するかである。

小林社長は「バイオプラスチックや有機太陽電池の共同開発といった環境・エネルギー分野のほか、合成ゴム原料などだ。
今回の提携は石化事業から始め、ライフサイエンスなどはその後に検討する」としている。
「原料ナフサが安く手に入る中国にプラントを持つシノペックは三菱化学の技術をもとに、より製品に近い事業を強化できる。ウィンウィンの関係を築きたい」とする。

シノペックの王天普総裁は「当社は石化製品で汎用品の比率が大きかったが、付加価値の高い機能製品の比率を高めていきたい」とし、「中長期的には創薬やバイオ分野にも興味があり、検討を進めていきたい。三菱化学が持つ省エネ、環境技術にも関心がある」としている。なお、資本提携については「現時点では検討していない」とした。(日本経済新聞)

小林社長発言の「合成ゴム原料」は同社が開発したブテン類からブタジエンを製造する新技術のことと思われる。

同社はブタジエンを原料とする1,4-ブタンジオール製法技術を持っており、1,4-ブタンジオールとその誘導品(C4 ケミカル製品)事業を成長戦略のための集中事業の一つに位置付けている。
浙江省寧波市の大しゃ開発区で同社100%出資のMCC 高新聚合産品寧波有限公司が
PTMG 2.5 万トン/年プラントを建設中で、2009年3Qに完成する。

2008/12/16 三菱化学、ブタジエンの新規製造技術を開発    

付記

三井化学も4月15日にシノペックとの間で協力関係拡大の覚書を締結した。

両社は2006年4月に折半出資により、ビスフェノールA合弁会社「上海中石化三井化工有限公司」を設立し、本年1月に年産12万トンのプラントを稼動し、順調に推移している。

今回、両社が合意した主な内容は、以下の通り。
①フェノール・アセトン、ビスフェノールA及びその誘導品(例えばMIBK)等の協力関係について検討すること
②以下の事項に関し協力の可能性を検討すること
 a) 技術交流並びに共同研究開発
 b) その他のプロジェクト合弁
 c) エンジニアリングサービス


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