「no」と一致するもの

Solvayは6月27日、ロシアのGazprom の子会社で総合化学会社のSibur LLC との間で、ロシアで最初のワールドクラスの塩ビのJVをニジニ・ノヴゴロド州のKstovoに建設する合弁契約に調印したと発表した。

SolVin (SolvayとBASFの75/25の
塩ビJV)とSibur が50/50で出資し、RusVinyl を設立する。
SolVinは欧州復興開発銀行(EBRD)に本計画への参画を働きかけている。

総予算650百万ユーロを投じ、330千トンのPVC(300千トンのS-PVCと30千トンのE-PVC)と225千トンの苛性ソーダを生産する計画で、2010年スタートを目指す。州政府の支援を受けている。

旧ソ連の拡大しつつある需要に対応するもので、最終的には2014年までに合計能力をPVC 510千トン(S-PVC 450千トン、E-PVC 60千トン)、苛性ソーダ335千トンに増設可能な設計を考える。

原料のエチレンはSibur がKstovo にあるエチレン工場を増設して供給する。

Solvayが環境にも配慮した最新のベストの技術をJVにライセンスする。

ーーー

SIBUR Group GAZPROMが100%出資するロシア最大の垂直統合石油化学会社。

付記

Gazpromは11日、Sibur株の25%(+1株)を関係会社のGasfondにモスクワの電力会社Mosenergo の株式と交換した。
電力事業強化のためで、同社のマジョリティを持つこととなる。

Siburの残りはGazprombank (Gazpromが42%、同グループ会社が残りを所有)が引き続き所有する。

同社は3つの事業部門と2つの子会社(以前は事業部門であった)を持つ。

(事業部門)
1)
Hydrocarbon Feedstock Business Unit (ガス処理部門)
  ・
Gas processing plants (GPPs):
    Nizhnevartovsky GPP, Belozerny GPP, Yuzhno-Balyksky GPP,
    Gubkinsky GPP, Noyabrsky GPPNyagangazpererabotka
  ・Tobolsk-Neftekhim (NGL処理)
    LPG、ブタジェン、イソブチレン、MTBEの生産  

2)Plastics and Organic Synthesis Business Unit 6社)

  Sibur-PETF JSCSibur-Neftekhim JSCSibur-Geotekstil LLC
  
Sibur - Khimprom CJSCTomskneftekhim LLCPlastik JSC

  KstovoDzerzhisnk に工場を持つSibur-Neftekhim JSC は最近工場の近代化を行い、エチレン及びEOの能力を増やしている。
  2006
年の年間ベースのエチレン能力は230千トンを超えており、今回の塩ビ事業のため Kstovo の能力を増強する。 

3)Synthetic Rubbers Business Unit (8社)  

  Voronezhsintezkauchuk JSCTolyattikauchuk LLCKrasnoyarsk Synthetic Rubbers Plant JSC
  
Uralorgsintez JSCTobolsk-Neftekhim JSCNovokuybyshev Petrochemicals Company CJSC
  
Kauchuk JSCVolzhsky Enterprise TIBA JSC

(子会社)

1)Sibur - Russian Tyres
   Yaroslavl Tyre Plant, Omsk Tyre Plant, Uralshina LLC (Yekaterinburg),
   Voltyre-Prom JSC (Volzhsky)Saransk industrial rubber plant

2)Sibur - Mineral Fertilizers

先月26日にHuntsman Chemical Basell Polyolefinsによる56億ドルでの買収に合意したことを発表した。

  2007/6/27 速報 Basell がHuntsman Chemicalを買収

そのHuntsman Chemical4日、同社がHexion Specialty Chemicals から新たな買収提案を受けたことを発表した。

Hexion Specialty Chemicals は投資会社のApollo Management 100%子会社で、Borden ChemicalResolution Performance ProductsResolution Specialty Materials 3社が合併して設立された。Huntsmanの買収は実質的にApollo Management による買収である。

Apollo Management は昨年GE Silicones を買収した。昨年初めには、多角化企業のTyco International からプラスチック・接着剤部門を975百万ドルで買収している。GE Plastics 売却の際にも買い手候補としては筆頭にあがっていた。

買収価格はBasell 1 $25.25 だったのに対して $27.25 で、総額60億ドルとなる。

なお、Basell との契約では、Huntsman がより有利な提案を受けた場合には契約を破棄できることとなっており、その場合はBasell 2億ドルのペナルティを払うこととなっている。Hexion は同社との合併が実現すれば、このうち1億ドルを負担するとしている。

Huntsman ではHexionの提案はBasell との契約での「より有利な提案」に該当すると判断、これを詳細に検討して意思決定を行うとしている。

Hexion の提案は、Basell との契約の破棄、Hexion との統合契約の実施を条件としている。
法規制での承認が得られないとか、資金が得られなくて取引が行われない場合には、
Hexion 325百万ドルのペナルティを支払うとし、逆にHuntsman側が取締役会の決定等で契約を破棄した場合には225百万ドルのペナルティを支払うこととの条件がついている。

ーーー

これに対してBasell 及びその親会社のAccess Industries のオーナーLen Blavatnik の反応はまだ明らかでない。
Huntsman に対してより有利な条件で再提案をするのか、2億ドルのペナルティをもらって Len Blavatnik が「戦略的目的で」株を購入したLyondell Chemical の買収に動くのか、目が離せない。

ーーー

Borden Chemical は接着剤やフォルムアルデヒドなど、Specialty chemical の会社で、1995年に投資会社のKohlberg, Kravis, Roberts (KKR)に買収された。
Borden は、ベークラント博士がベークライト製造のため1910年に Rutgers AG と合弁で設立した Bakelite GmbH を2004年にRutgers AG から買収している。
2004年に投資会社のApollo Management がBorden KKRから12億ドルで買収した。

なお、塩ビメーカーの Borden Chemicals and Plastics は、当初はBorden Chemical の子会社であったが独立した。
同社は破産し、3工場をそれぞれ
ShintechFormosa、Geismar Vinyls (Westlake) に売却している。

Resolution Performance ProductsはApolloShell Chemical から買収した会社で、エポキシレジンとバーサチック酸及びその誘導品のメーカー。

Resolution Specialty MaterialsはApolloEastman Chemical から買収した会社で、熱硬化性樹脂と成形コンパウンドを販売している。

20054月、いずれもApollo Managementの100%子会社の上記3、合併して社名を Hexion Specialty Chemicals とし、世界最大の熱硬化性樹脂メーカーになると発表した。

Ineosは6月29日、Lanxess との間でABS事業の合弁会社設立で合意したと発表した。

合弁会社の社名は INEOS ABS で、Lanxess のABS事業のLustran Polymers を引き継ぐ。
Ineos が合弁会社に51%を出資し、その分の対価として35百万ユーロをLanxessに支払う。

ドイツ、スペイン、タイ、インド、米国の工場と1600人の従業員が新会社に移される。

本年9月末に手続きが完了すると予想されるが、それから2年後に、Ineos が合弁会社の残りの49%をその時点での事業価値をもとにした代価で購入し、Lanxessは事業から完全に撤退する。

Lustran Polymers の2006年の業績は、売上高が9億ユーロ、特別損益を除く EBITDA (税引前利益+支払利息・減価償却費)は16百万ユーロであった。

ーーー

Lanxessは2004年7月にBayer Chemicalsの大半とBayer Polymersの一部が分離独立した会社で、2005年に上場した。

同社は昨年10月1日にエンプラ事業部のスチレン系樹脂部門を
Lustran Polymers 部門と改称し、ABSの特殊グレードと着色グレードを事業の中核として、地域ごとに製品開発から生産、マーケティングまで自主性を持たせる運営に変更していた。

同社ではこの時点でABS事業の処分を考えていた。
同社のエンプラ事業部にはポリアミドやPBTなどのエンプラ部門だけが残る。(当初はABSのほかにスパンデックスがあったが、旭化成に売却した。)

  2006/9/6 Bayer と Lanxess 

Lanxess はABS事業を処分する一方、合成ゴム事業に注力することとしている。
同社は6月27日、同社としては過去最高の約 4億ユーロを投じて、アジアにブチルゴムの工場を建設することを明らかにした。

シンガポール、マレーシア(Kuantan)、タイ(Map Ta Phut) を候補に交渉中で、立地が決まれば2010年スタートを予定している。

ーー

Ineos については以下を参照。

  2006/6/14 事業買収で急成長した化学会社 

最近では、3月にNova Chemicals の北米のSM、PS事業を欧州のIneos/Nova の50/50JVのNOVA Innovene に移管することで合意。
  
2007/3/26 NOVA Chemicals、北米のSM、PS事業をINEOSとのJVに移管

5月にはNorsk Hydro からポリマー事業のKerling 社(旧称 Hydro Polymer)を670百万ユーロで買収する契約を締結している。
  
2007/5/25 INEOS、Norsk Hydro からポリマー事業を買収

Jim Ratcliffeが1998年に設立したIneos は売上高180億英ポンド、利益は630百万英ポンドとなり、売上高で英国15位、個人企業としては英国最大企業となった。世界18カ国、73箇所に拠点を持ち、従業員は16,500人となった。但し、Lyndhurst の本社には150人しかいない。

Jim Ratcliffeの個人資産は昨年の11億英ポンドから33億英ポンドに膨らんだと見られている。



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中国で一部業種の基幹企業が外資により買収され、国家経済の安全が脅かされるとの懸念が高まっていることを受け、審議中の独占禁止法草案に新規定が盛り込まれることとなった。

24日に全国人民代表大会常務委員会で
中国で初めての独占禁止法の第二回審議が行われたが、その中で提案された。
草案は「外国企業による国内企業の買収やその他の形による国内企業の事業への投資については、N
ational security に関係する場合には関連法と規定に基づき審査を行う」となっている。

政府統計によれば、海外からの中国への直接投資のうち、外資による買収は2004以前は5%であったが、2004年には11%、2005年には20%と増加している。
更に、近年になって外国企業が国営の大企業や有名ブランド企業を買収するのが増え始めており、中国の経済的な
Security に懸念を生じている。

ーーー

中国では外国企業による買収について基本的なセキュリティチェックをする体制にはなっている。
昨年商務部と他の政府の5機関により出された規則では、外国企業による国内企業の買収が国の
Economic security に影響を与える場合、重要分野で行われる場合、又は有名な国内のブランドの移管を伴う場合には、商務部の承認を申請することが必要となっている。
それ以前には、商務部の審査、承認は
1億米ドル以上の買収・合併に限られていた。

ーーー

中国は外国企業による基幹部門の大企業の買収の審査や管理を更に強化することとなる。

NDRCでは外国企業による買収は政府のセキュリティチェックと独禁法上のチェックを受けることが必要だとしている。同時に、どんな買収がナショナルセキュリティに関係するのかなど、詳細な検討が必要だとしている。

ーーー

中国では早くも1994年に独禁法の設定を計画したが、それ以降10年以上が経過し、中国の社会主義的市場経済も成熟してきたため、独禁法がいよいよ必要になったと認識され、本年6月に第一回審議が行われた。



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中国の財政部、国家税務総局は18日、国務院の承認を経て、「財政部と国家税務総局の一部商品の輸出増値税還付率の引き下げに関する通知」を公布した。これに基づき、7月1日から一部商品の輸出増値税還付政策を調整する。

輸出増価税還付とは輸出製品の購入の際の増価税、輸出製品の製造のための原料やサービスの購入時の増価税を払い戻すもの。

中国では財、サービスの販売時、輸入時には原則 17%の増価税(付加価値税)がかかる。(販売業者は、その購入又は製造にかかわる原料サービスの購入の代価に含まれる増価税の控除を受ける。)
製品の輸出に関しては増価税は免除され、その製品の購入又は製造にかかわる原料サービスの購入の代価に含まれる増価税に関しては、政策的にその全部又は一部がリベートとして払い戻される。

  中国の増価税及び輸出増価税還付に関しては下記を参照
    
2006/9/26  中国、輸出増価税リベート変更 

これまでも還付率が変更されており、昨年9月にも上記記事に記載の通り、一部変更された。
還付率が減ると、輸出の手取りが減り、輸出抑制の効果がある。

今回の調整の狙いとして、以下が挙げられている。
 ▽輸出の急激な増加を一層抑制する
 ▽中国の貿易黒字の膨張がもたらす問題点を緩和する
 ▽輸出商品構造を改善する
 ▽エネルギー消費量、汚染度が高い商品、資源性商品(材料となるもの)の輸出を抑制する
 ▽対外貿易成長モデルの転換と輸出入のバランスを促進する
 ▽貿易摩擦を軽減する
 ▽経済成長モデルの転換と経済・社会の持続可能な発展を促進する――など。

今回の調整の対象商品は2831品目に及び、税関が取り扱う商品目全体の37%に相当する。
2年続けての大幅な調整は、中国政府が貿易摩擦から人民元引き上げの声が高まるのを懸念していることを表している。

今回の調整内容は主に次の3点。
(1)エネルギー消費量、汚染度が高い商品、資源性商品(材料となるもの)553品目の輸出増値税還付を取り消す。

Salt, solvent oil, cement, liquefied propane, liquefied butane, LPG and other minerals;
 * BTX、Phenols、PO
、その他を含む
  (オレフィンは昨年
9月に既に還付を取り消されている)
Fertilizers
Chlorine and dyes, and other chemical products
Leather
その他、絶滅危惧動植物やその製品、金属炭化物や活性炭、木製板や木材一次加工品、非鉄金属加工品、船舶など

(2)貿易摩擦を引き起こしやすい商品2,268品目の輸出増値税還付率を引き下げる。

Some of the chemicals 5%(一部8%)
  EOAcetone無水フタル酸、酢酸ほか
Plastics, rubber products 5%
Paper products 5%
その他衣類、靴・帽子、バッグ、おもちゃ、植物油、石材や陶磁器、鉄鋼製品、コークス炉、オートバイ、ビスコース繊維など。

* プラスチックの多くは昨年13%から11%に下がっていた。

(3)10品目の輸出増値税還付を改め、輸出免税政策を適用する。(ピーナツ、油彩画、彫刻板、切手、収入印紙など)



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BPは6月22日、ロシアの合弁会社TNK-BP が保有する東シベリアのKovykta ガス田などの権益をロシア政府系エネルギー会社、Gazpromに売却する、と発表した。ロシア政府から圧力を受けたため。

TNK-BP は東シベリアのKovykta ガス田の権益を持つRusia Petroleum 社の持分62.89%と、ガスの輸送・販売会社 East Siberian Gas の持分50%Gazpromに譲渡する。Gazprom は代価として$700-$900 百万ドルを支払う。
Rusia Petroleum の他の株主はロシアの投資会社Interros Irkutsk の地方政府)

同時に、BP TNK-BP Gazpromとの間で世界中で共同でエネルギー事業に長期的に投資する戦略的協調のMOUを締結した。
将来、今回の
MOUで合意された大規模な共同投資や資産スワップなどが実施された暁には、TNK-BP Kovykta ガス田の25%+1株をその時の正当な価格で取得するオプションを持つ。

Kovykta ガス田は確認埋蔵量約1兆9000億立方メートル。TNK-BP はパイプラインを建設し中国、韓国などにガスを供給する計画だった。

エネルギー資源の国家管理、外資排除を強めるプーチン政権にBPが屈した形。ロシア当局はKovyktaガス田の生産量が計画を下回っているとして、BP側に開発免許の取り消しなどの揺さ振りをかけていた。

ロシア政府は昨年、Shell、三井物産、三菱商事が出資する「サハリン2」にも環境問題を口実に圧力を掛け、Gazprom 50%プラス1株を取得させた。Gazprom は本年3月にはエクソンモービルや丸紅などが主導する「サハリン1」との間で提携交渉に入った。サハリン1で産出する天然ガスを購入し、サハリン2のLNG施設を利用して輸出するほか、国内でも販売する考え。

ーーー

TNK-BP はロシアで3番目に大きい石油会社である。2006年に石油換算で日産 190万バレルの生産を上げた。
BPAlfa Access Renova group 50%ずつ所有している。

2003年、BP Alfa Access Renova はロシアとウクライナにそれぞれが所有する石油資産を共同で所有する戦略的パートナーシップの設立を発表、50/50所有の TNK-BP が設立された。上流部門から下流部門まで一貫操業を行ない、生産子会社15社、精製子会社5社(うちロシア国内は4社)、販売子会社11社を保有する。
Alfa Access Renova
はTNK株97%とSidanko株56%を新会社に移管、BPはSidanko株25%、サハリン5の事業権益、モスクワのガソリンスタンドを新会社に移管した。

Alfa Access Renova 3社の連合。
Alfa Group は、ロシアの新興財閥で、ロシア最大の金融産業コングロマリットのひとつ。中心のアルファ銀行のほか、石油及びガス、消費財取引、保険業、小売業と電気通信分野などグループ企業は広範である。
Access Industries ロシア生まれの Len Blavatnik が設立し所有する米国の投資会社で、Basellを買収した。
Len Blavatnik Lyondell Chemical の株式を購入し、話題となっている。
 
参考 2006/6/15 Basellの買収  
     2007/5/16 Access Industries の会長、Lyondell Chemical の株式を購入 
Renova Holding はロシアの長者番付では第5位のViktor Feliksovich Vekselberg の所有するベンチャーキャピタル。

Tyumen Oil Co.TNK)は1995年に西シベリアのハンティ・マンシ自治管区の要請で100%ロシア国営企業として発足した。
1997年、1999年に政府株は公開され、
Alfa Group Access-RENOVAが50/50で買収した。

TNKは当初は中堅石油企業であったが、垂直統合、資本投資、生産会社の吸収合併、破産法を利用した企業買収を行い、大企業となった。石油会社のOnako、Kondopetroleum、Sidanko などを買収し、2002年末にはSibneftと折半出資でSlavneftの74.95%を落札した。

ーーー

TNK-BPはKovykta ガス田のガスを中国、韓国などに供給すべく、パイプライン敷設のFSを実施していた。
蒙古を経由するライン、経由しないライン(北朝鮮を経由するラインと経由しないライン)などが考えられていた。

 

中国の国家発展改革委員会NDRCは、610に北京で行われたセミナーで、バイオエタノールと石炭液化計画を見直すことを言明した。
セミナーは中国工程院 (
Chinese Academy of Engineering) が主催し、デンマークの酵素メーカー Novozymes ノボザイムズ)が後援した。

1)バイオエタノール

NDRCは、中国は今後、穀物からのエタノール燃料生産計画を承認しないと言明した。
エタノールの原料となるトウモロコシが値上がりし、豚肉価格にも波及し始めたのが理由。トウモロコシを原料とするエタノールについては中国だけでなく世界中で大きな反対が出ている。

石油代替のエタノール燃料生産にはキャッサバサツマイモソルゴ (サトウモロコシ)、セルロースのような非穀物に切り替える。
トウモロコシベースのエタノールを生産している既存の4社については順次、非穀物作物に切り替えるよう要請する。

4社はJin YU Inc.(黒龍江省 10万トン)、Jilin Fuel Ethanol (吉林省 40万トン)、Tian Guan Group(河南省 20万トン)、BBCA Biochemical (安徽省 32万トン)で、合計生産能力は102万トン。中国は米国、ブラジル、EUに次ぐエタノール燃料の生産・消費国となっている。
更に、吉林省で60万トン、安徽省でFengyuan Group が32万トン、河南省でTianguang Groupが30万トンの工場を建設中。

 中国のバイオエタノールの状況はhttp://www.worldbiofuelssymposium.com/2005FEW-01-Liu.pdf 参照

黒龍江省の企業を所有し、安徽省の企業 BBCA Biochemical に20%を出資する中国最大の石油・食料の輸出入会社 China Oil and Food Corporation COFCO 中国糧油食品集団)では、今後サトウモロコシ を中心にしたいと表明した。近い将来、これを原料に年間500万トンのエタノール燃料を生産したいとしている。

  2007/1/27 中国のバイオ企業、BBCAグループ 

現在のところ、トウモロコシの茎などから作るエタノールはコストが非常に高い。Novozymes 社は米国と中国でセルロースからのエタノール生産の商業化を図っており、中国ではトウモロコシの茎を集めるコストが安いので、米国に先駆けて成功するだろうと楽観視している。

中国ではエタノールをガソリンに10%混ぜた燃料が、東北地域などで売られており、エタノール混合ガソリンは、国内のガソリン消費の2割に達している。

 

2)石炭液化

NDRCは、中国の限られた資源と環境問題を評価した結果、石炭液化計画を見直すと表明した。
「石炭液化は石油依存からの離脱に役には立つが、エネルギーを多用しすぎる」としている。
大規模な生産能力を持つ政府のモデル事業は続けるが、小規模な設備は認可しない方針。

11次5ヵ年計画(2006-2010)では石油代替にバイオマス燃料や石炭液化のような代替エネルギー開発に投資をするとしていた。
中国は2006年に163百万トンの原油を輸入し、輸入依存度は47%から51.1%に上昇している。

NDRCによると、石炭液化は投資額が大きく、水を大量に使い、結果的に活用できるエネルギーの量は減っており、「多くのエネルギ一で少ないエネルギーを生産する技術」である。
内蒙古の計画では108万トンの設計能力で、投資額は65.8億ドル以上かかっている。
中国は大規模化のトライアルなしで液化計画を始めてしまい、技術も優れたものではないとしている。

中国政府は最近、再生可能資源の開発を重要な政府の戦略とし、水力、太陽光、風力、バイオマス、メタンなどの開発を進めるとした。
6月5日には、9年間の研究の結果として、南シナ海の海底の下から天然ガスハイドレート(燃える氷)の回収に成功している。

参考  2006/6/21 石炭液化事業 

     2006/6/22 南ア・サソールの石炭液化技術 

     2006/6/23 中国の石炭化学 

     2006/7/21 中国政府、石炭化学を規制 



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2007/5/28 「次の買収は?」 で 「SABICによるGE Plastics 買収が決まり、次の買収の噂がいろいろ出ている。」とし、その一つにICIを挙げ、次の通り述べた。

DowがICIを買収するという噂が流れた。(2007/4/7 DowICIを買収?) 

更に、Akzo Nobel のトップが Coatings 事業で大規模な買収を検討していると述べた。
買収候補がICIでないのかという質問にはノーコメントであった。

これに対してICIの会長はDow やAkzo Nobel による買収説を打ち消した。

Akzo Nobel は18日、ICIに内々に買収の提案をして拒否されたことを明らかにした。
報道によると、Akzo は4日に72億英ポンド(約1兆7500億円)での買収提案をしたが、ICIは安すぎるとして断ったとされる。

Akzo Nobel では「ICIも含め、戦略的機会を今後引き続き検討する」としている。
消息通は今回の拒否を受け、Akzoは間もなく正式な買収提案をするだろうと述べている。
AkzoMorgan Stanley を起用したことを認めている。

ーーー

Akzo Nobel は医薬品、塗料、化学品の三つの分野で活動しているが、医薬品では医療用医薬品事業(Organon Biosciences
、動物用医薬品事業(Intervet:世界のトップ3の一つ)とバイオ事業(Nobilon International )を持っている。

本年3月に医療用医薬品事業のOrganon Biosciences を144億ドルで Schering-Plough に売却することで合意した。
同社ではその際に、投資や買収によって塗料及び化学品の最も魅力的な分野で成長を図るとしていた。

今回の買収はこれによる豊富な資金をもとに、ICIの塗料事業を狙ったものだが、同社自身が買収の対象となるのを避ける目的もあるとされている。

アナリストは、ICIが株主にAkzoTOBに応じるよう薦めるためには78億ポンド程度は必要だろうとし、Akzoにとってのメリットは、コストダウン、欧州でのICIとの価格戦争の終結及び、急速に拡大するアジアでのICIの事業の取得であるとしている。

ーーー

ICIは 2006/3/7 「ICIの抜本的構造改革」 記載の通り、既存事業のほとんどを売却し、スペシャリティ化学品を中心とした「新生ICI」に生まれ変わった。

その時点での同社の事業は、既存の塗料のほか、1997年にUnileverから購入した3事業=National Starch、香料(flavours & fragrance) のQuest、油脂化学界面活性剤のUniqema の合計4事業部門から成っていた。

同社は昨年6月には、Uniqema部門 Croda International に約915円で売却、昨年11月末には香料を扱う Quest 部門をスイスに本拠を置く Givaudan に約2,680億円で売却すると発表した。

売却額は退職年金不足額に充当するほか、負債の返済に充てられた。

この結果、同社は塗料事業とNational Starchに事業を集中、負債も縮減した。本年2月にはアナリストが買収の好対象であると述べている。
 
2006/11/30 ICI、Quest部門をGivaudanに売却  
  

ICIの塗料事業の売上高は第1四半期に前年同期の4%アップとなったが、アジア、欧州、ラテンアメリカでの伸びが住宅不振の北米の減を補う形となっている。

同社の欧州でのシェアは44%だが、北米では13%のシェアとなっている(No. 1 Sherwin-Williams )。中国ではDulux ブランドで日本ペイントに次いでNo. 2である。

ーーー

本件が明らかになったため、BASFやDow、インドのReliance Industries、ファンドなど他社もICI買収に乗り出すのではないかと噂されている。

仏の食品メーカーのダノン Danone が出資する中国の合弁企業「杭州娃哈哈集団」Hangzhou Wahaha Group の炭酸飲料水「娃哈哈」(Wahaha)のブランド使用をめぐって、ダノンと中国側相手の対立が深刻化している。

ダノンはヨーグルト等の新鮮乳製品で世界一、Evian、Volvic、Aqua 等のブランドの炭酸飲料水で世界一、ビスケットやCereal 製品で世界第二のメーカー。
1996年にダノンと
全国人民代表大会の浙江省代表を務める有力者の一人で Forbes 誌で中国で23位の金持ちとされる宗慶後氏が、ダノン51%のJV 「杭州娃哈哈集団」を設立し、「娃哈哈」ブランドの炭酸飲料水を売り出した。現在では年間売上高14億ドルの中国最大の飲料会社となっている。宗慶後がJVの董事長(会長)となっている。

契約では中国側が競合製品を製造するのを禁止している。

ところが昨年、Hangzhou Wahaha Food & Beverage Sales が設立され、「娃哈哈」ブランドの炭酸飲料水を売り出した。
同社の親会社は
Hangzhou Hongsheng Beverage Co で、その持株会社がEver Mapleとなっている。

Ever Maple 宗慶後の娘で米国籍を持ちカリフォルニアに住Kelly Fuli Zong の会社で、Hangzhou Hongsheng Beverage Ever Maple 90%Kelly の母親が10%を出資している。

ダノンではこの違法な販売により、毎月少なくとも25百万ドルの損失を蒙っているとし、49日に中国側に販売をやめるよう、30日の期限付きで申し入れた。

期限切れを受け、ダノンはKelly と母親の住むカリフォルニアの裁判所にEver Maple Hangzhou Hongsheng Beverage の両社および代表者のKelly と母親を訴えた。損害賠償1億ドルと、訴えの日から賠償金支払いまでの間について毎月25百万ドルの支払を求めている。


これに対し、宗董事長はダノン側もこの会社のことを了承していたとし、「ダノンは中国市場の特性を理解せず商機を逸している」と反発した。そして、ダノン側が尾行したり写真を隠し撮りしたとし、JVの設立から今に至る詳細を述べ、「これ以上はダノンのアジア本部幹部らの侮辱に耐えられない」とする書簡をダノン本社に送り、すべてのJVの董事長を辞任した。

宗董事長の辞任を受けて、ダノンはアジア地区のエマニュエル総裁を急きょ董事長代行に任命したが、杭州娃哈哈の社員らがダノンからの役員受け入れに猛反発、ダノンが宗董事長を陥れたとし、「我々は宗董事長の軍隊であり、中国国民はこんなことには脅されない」とするレターを送りつけた。現在、エマニュエル氏らの人事は宙に浮いている。

中国では最近、外資排斥の動きが出始めているといわれる。
裁判所の判決が出ても、簡単には解決とはならないと思われる。このJVが今後どうなるか、予断を許さない。

ーーー

中国の知的財産権侵害は大きな問題となっているが、国際的な批判に対応して中国政府もようやくこの問題に取り組み始めている。

ヤマハ発動機は12日、「雅馬哈=YAMAHA」など自社の商標権を侵害されたとして中国浙江省台州市の二輸車メーカー、「浙江華田工業有限公司」など4社を訴えた訴訟で、最高裁判所にあたる中国最高人民法院が被告4社に対し、約830万元(約1億2500万円)の支払いと、ヤマハ発動機の商標を違法使用している製品の生産・販売の禁止、謝罪広告の掲載をを命じる判決を言い渡したと発表した。

中国企業を相手取った二輸車の商標を巡る訴訟では過去最高の賠償額で、判決は中国が知的財産権の保護に積極的に取り組む姿勢をアピールする狙いもあるとみられる。

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ところで、ダノンは世界で初めてヨーグルトの工業化に成功した会社である。

ヨーグルトのバクテリア機能はパスツール研究所のメチニコフ所長が解明した。
メチニコフ(1845-1916)はロシア人で、
ヒトデの研究から、細胞性免疫の基礎となる「捕喰細胞」の研究で1908年にノーベル賞を受賞したが、「メチニコフの仮説」を考えた。

動脈が硬化するのは腸内の細菌が自家中毒の原因となる毒を作るためであるというもの。
ブルガリアではブルガリア菌と呼ぶ細菌で作ったヨーグルトを毎日飲んでおり、長生きが多いことを知り、このヨーグルトが大腸内の細菌の繁殖を防ぎ、自家中毒を防ぐと信じた。毎日大量に飲用するとともに、自らヨーグルト製造会社を作って、製造と販売を行った。

1919年、スペインのIsaac Carassoが、パスツール研究所から乳酸菌の株を取り寄せ研究し、世界で初めてヨーグルトの工業化に成功した。
息子のDaniel の名前をもじり(DAN-ONE)、「DANONE」を商標にし、医師を通じて薬局で販売した。

このDaniel が1929年にフランスでダノン社を創設した。



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PetroChinaの子会社大慶石油化学(Daqing Petrochemical )はこのたび、国家発展改革委員会(NDRC)から黒龍江省大慶でのエチレン倍増計画の最終承認を取得した。

同社は当初、既存の60万トンナフサクラッカーのデボトルネッキングで80万トンに増強する計画であったが、これを変更し、60万トンクラッカーを増設して、120万トンに倍増する。誘導品の詳細は明らかにされていない。

原料ナフサは自給する。PetroChinaは大慶に、大慶石化の650万トン製油所と、大慶煉油化工(Daqing Refining and Chemical Company)の550万トンの合計1,200万トンの精製能力を持っている。

本計画のスケジュールは明らかにされていない。大慶市当局は以前に2010年までの完成を表明していたが、昨年初めに発表されたエチレン5カ年計画には含まれていない。

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本計画は中国北東部の産業の活性化と、大慶の原油生産減少の地方経済への影響緩和を狙ったもの。

大慶油田は1960年に開発され、2002年には中国の原油生産の約1/3 を占めたが、その後下降をたどっている。2005年の産出量は4,495万トン、2006年は4,340万トンとなっている。

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また、PetroChina ではエチレン生産ではSINOPECに遅れを取っており、現在6つのコンプレックスで合計能力263万トンしかないが、中国北東部の大慶石化、吉林化学と撫順石化、北西部の蘭州化学、新疆独山子(以上増設)、南西部の成都石油化学(新設)での新増設で2010年までに700万トンに増強するとしている。

現在判明している各社の状況は以下の通り。(単位:千トン、社名の左の番号は下記地図の番号)

  立地  現状 新増設 新増設後
①大慶石化 龍江省   600   600   1,200
②吉林化学 吉林省   850    ?    850
④遼陽石化化繊 遼寧省   120    80    200
⑤撫順石化 遼寧省   150   800    950
⑮蘭州化学 甘粛省   690       690
⑯新疆独山子 新彊省   220  1,000   1,220
  成都石油化学 四川省   -   800    800
合計
   2,630
 3,280
 +α
  5,910
→ 7,000

新増設後の能力は591万トンしかないが、PetroChina では吉林化学と蘭州化学の増設に言及しており、これらで100万トン程度の増設を検討していると思われる。

 



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