「no」と一致するもの

新日本石油とジャパンエナジーは、20日、広範囲な分野において業務提携を行うことに関し合意したと発表した。

提携分野は次ぎの5分野。
(1)上流分野:探鉱・開発ないし資産買収案件

(2)精製分野
(3)物流分野
(4)燃料電池分野
(5)技術開発分野:燃料油品質関連の特許についてクロスライセンス

両社の製油所の原油処理能力は以下の通り(千B/D)

新日本石油
 室蘭    180  
 仙台    145 (旧 三菱石油)
 根岸    340  
 大阪    115  
 水島    250 (旧 三菱石油)
 麻里布    127  
 富山     60 (日本海石油)
 合計   1,217  
Jエナジー
 水島     205  
 鹿島    200 (鹿島石油)
 合計    405  

新日本石油:
 1999年4月に日本石油と三菱石油が合併して日石三菱となり、
 2002年6月に新日本石油に商号変更した。

ジャパンエナジー:
 日本鉱業が1965年に共同石油設立に参画、日本鉱業、アジア石油、東亜石油の販売部門を集約。
 その後、アジア石油が大協石油(のちコスモ)グループに、東亜石油が昭和シェルグループに。
 1992年に日本鉱業、共同石油が合併して日鉱共石となり、翌年ジャパンエナジーと改称。
 
 鹿島石油設立に参加、2004年にコスモ石油持株を譲受
   現持株比率:ジャパンエナジー 70.575
% 、三菱化学19.875%、東京電力7.95%、日本郵船1.5%
 1986年に富士石油に資本参加するが、富士石油とアラビア石油合併を機に2005年に株式売却
 

提携5分野のうち、特に(2)精製分野が注目される。発表では以下の通り述べている。

「これまで、RING(石油コンビナート高度統合運営技術研究組合)を契機として、水島地区で石油コンビナート高度統合を図ってまいりましたが、一段と高度な統合効果を実現するため、今般、隣接する両社製油所の一体的操業に関する具体的検討を行うこととしました。 Mizushimamap_1
なお、水島地区に限らず、両社精製分野における効率化・合理化のため、原油タンクの相互利用・原油船配船の共同化、製造・出荷(輸出を含む)設備等の集約・相互利用、新規製造設備の共同建設、生産技術情報の交換なども具体的に検討し、適宜実施していきます。」
 

 

新日本石油の製油所は元は三菱石油の製油所。原油処理能力は250,000バレル/日。
ジャパンエナジーの製油所は原油処理能力200,200バレル/日。
一体操業が実現すると日量45万バレル規模のアジア最大の製油所が誕生することになる。

会見した新日石の西尾進路社長は、水島製油所の一体操業について「シナジーの実現には時間を要するが、両社トータルで300億円規模のメリットが期待できるスタディも出てきている」と述べた。

新日石の製油所が石油化学製品の製造装置を多く持つのに対し、Jエナジー側は原油の重質分を分解し化学製品の原料を多く生産できるため、「両社の製油所の特徴を補完し合うことで、相乗効果が期待できる」Jエナジーの高萩光紀社長)

両社は共同で今後10年間のうちに、水島製油所の生産設備に700億-800億円を投資する計画も示した。

なお、資本面での提携については「今のところ考えていない」Jエナジー高萩社長と否定している。

実際の運営はどうするのであろうか。高萩社長は、
「統合ではない。あくまで操業の一体化で経営の主権の話とは別だ。製油所を統合するとなると、互いの資産評価や労働条件の擦り合わせなど余分な作業が必要になる。」
「当社と新日石の両水島製油所は巨大な海底パイプラインでつながっている。二つをあたかも一つであるかのように操業すれば大幅な効率化が図れる。今後両社は協力して割安な重質油の使用を増やし付加価値の高い石油化学製品をより多く作る。需要拡大期のような薄利多売の発想を捨て、量から質に切り替える」としている。(6/25日経)

最適の生産計画に基づき、それぞれが工場を操業し、出来た製品を交換することを考えているのではないかと思われるが、投資等を考えると、それぞれが水島製油所を切り離して統合し、製造JVにするしかないのではなかろうか。

問題がおこるとすれば、新日本石油にとっては水島は7つある製油所の1つに過ぎないが、ジャパンエナジーにとっては他には製油所は鹿島石油しかなく(2001年に知多製油所100千B/Dを停止)、水島での最適が同社にとっては最適でないことが起こった場合であろう。

  

水島には三菱化学と旭化成(山陽石油化学)の2つの石化コンビナートが隣接している。山陽石油化学は当初、旭化成 60%/ジャパンエナジー40%で設立されたが、2001年4月に効率化のため旭化成 100% となった。新日本石油の水島製油所は元は三菱石油で、三菱化学のパートナーである。

旭化成の蛭田社長はこの発表を受け、「日本の化学業界にとって非常に意味がある」と評価、「今後は石油精製との協力を積極的に進める必要がある」としている。(6/23日経)

なお、RING 3では新日本石油精製、ジャパンエナジー、三菱化学、旭化成ケミカルズ、山陽石油化学の5社が参加し、「コンビナート原料多様化最適供給技術開発」を実施する。原料多様化のためコンデンセートを精製処理し、エチレンやガソリン、芳香族生産のための原料として安定的に製造・供給する技術を開発するもの。

RING 1(2000-2002年)では「先端的総合管理システムの技術開発」(自律分散型システム工場間生産計画・スケジュール最適化)を行ったが、
RING 2(2003-2005年)では新日本石油精製、ヴイテック、三菱化学が「副生炭酸ガス冷熱分離回収統合利用技術開発」、
ジャパンエナジー、旭化成、山陽石油化学が「熱分解軽質留分統合精製処理技術開発」と、三菱化学/新日本石油、旭化成/Jエナジーが分かれて実施していた。

 

ところで本件を公取委はどう扱うであろうか。

5分野での提携全体から、競争を制限するとみた場合には、これは問題とされよう。
仮に販売会社別の常圧蒸留能力で比較すると、下記の通りHHIは基準の1800を超え、増加HHIも大きい。
(HHIについては6/19 「公取委、合併審査見直し」 参照)

  千B/D HHI 統合% 統合HHI
新日石  1,217 25.38  644  33.82  1,144
Jエナジー   405  8.44   71
エクソンモービル   936 19.52  381  19.52   381
出光   640 13.34  178  13.34   178
コスモ   595 12.41  154  12.41   154
昭和シェル   515 10.74  115  10.74   115
AOC   192  4.00   16   4.00    16
九州石油   155  3.23   10   3.23    10
太陽石油   102  2.13    5   2.13     5
東邦石油    35  0.73    1   0.73     1
帝石    4  0.08    0   0.08     0
合計  4,796  100 1,575   100  2,003
                     増加HHI     429

しかしながら、もし一体運営が製造だけで、営業は従来通り別々に行われる場合には、三井化学と住友化学によるLLDPE製造JV(日本エボリュー)の例が参考になる。公取委は以下の通り述べている。

本件はLDPEメーカーである両当事会社が新工場を建設するに当たり提携するものであって、両社の既存のLDPEの製造販売事業は従来どおり行われるという部分的な結合である。したがって、競争単位の数は減少しない。
新会社で製造されるLLDPEの販売については、当事会社それぞれ独自に行うこととしており、既存のLDPEの販売を含めて、販売面で両社の協調関係が醸成されるおそれは小さいとみられる。
LDPEおよびLLDPEのそれぞれの分野には生産能力シェアで20%を超える競争事業者が存在するほか、10%を超える競争事業者も複数存在している。
上記の点を総合的に勘案すると、(本件は)直ちに一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるとはいえないと判断した。

なお、新日石は出光およびコスモ石油と、ジャパンエナジーは昭和シェル石油と、それぞれ提携関係にあるが、これは今後も継続する。

新日石/出光:
 出光が2003年に兵庫製油所、2004年に沖縄石油精製の製油所を停止するのに伴い、新日石がそれまでの物流部門提携に加え、精製委託方式で4万B/D相当の製品供給を行う。

新日石/コスモ:
 販売を除く提携(仕入れ、精製、物流、潤滑油の4部門)
  仕入れでは原油調達や製品輸入の共同化、タンカーの共同配船、備蓄基地の相互利用
  石油精製では受委託精製や製油所の統廃合の検討など
  物流面では油槽所の共同利用や統廃合などを検討

ジャパンエナジー/昭和シェル石油:
 最適化操業のための相互融通取引の拡大、両社グループ製油所設備の精製能力の適正化等

 両社は2001年3月、50/50の合弁会社JS・イニシャティブを設立している。
 事業内容は、相互融通取引に対するガイドラインの作成・提案と、
 両社資材・役務の共同購買、及び、両社提携の促進を目的とした将来的検討の実施。

                     

 

ルイジアナ州知事は15日、Synfuel 社による石炭ガス化事業を発表した。

50億ドル以上をかけてバトンルージュの南のGeismarに工場を建設、完成すれば同州の褐炭を年間20百万トン使用し、ガソリン、LPG、合成ガス、メタノール、エタノール、硫酸及び建設資材になるアグロメレートを生産する。併せてコジェネで蒸気と電気をつくる。

今後環境面での認可等を経て、完成までに4年程度かかる見込み。

Synfuel 社は中国系のアメリカ人でプラズマ物理学 "Paul" Hsin Liu が設立した会社で、UBSCitigroupJPMorganその他が出資している。

石炭ガス化は GE Energy 技術、メタノールと硫酸はHaldor Topsoe 技術、メタノール→ガソリンは ExxonMobil 技術を使用、North American Coal Company が褐炭の調査、採掘計画を担当する。

製品及び電力の供給については既に近辺に工場をもつBASFChemturaRubicon等と交渉を始めている。

ルイジアナ州では地元の石炭を利用できること、原油価格の高騰で苦しむ石化事業の原料価格の安定化に資すこと、直接雇用1200人、間接雇用を含むと3300人の雇用につながることから、税制面その他で応援するとしている。

中国の石炭化学 - 化学業界の話題

中国石炭工業協会の範維唐会長は200511中国は2010年には、石炭のオイルへの転化、石炭ガス化を含めた石炭転化製品の生産高500万トンの実現を目指していることを明らかにした。

中国は「第11次五カ年計画」期に炭鉱の機械化生産を全面的に推し進めることになっている。
2010年には、大・中型炭鉱の機械化レベルを85%以上に引き上げ、技術改造を通じて、300以上の高生産量、高効率の炭鉱を作り上げる。豊富な石炭を原料に石炭化学を推進する。

現在実施又は計画段階の石炭化学プロジェクトの例は以下の通り。

神華集団(Shenhua Group
  神華集団は1995年に設立された国有企業で、世界8大炭田の一つとされている神府東勝鉱区(内蒙古自治区と陝西省にまたがる)の開発・運営を担当しており、関連事業として鉄道、発電、貯炭設備、輸送設備を運営している。
神華集団は既報
の通り、内蒙古自治区鄂爾多斯(オルドス)市で世界で初めて石炭を直接液化プラントの建設を始めている。
   
2004年12月、ダウとcoal-to-olefins project のFS実施で合意した。
陜西
楡林市が立地候補。 
   
2005年8月、政府から内蒙古自治区の包頭でのCoal-to-Olefins (CTO)計画の一次認可を受けた。
石炭からメタノールを生産し、メタノールからオレフィンを生産するもの。
 火力発電  100MW
 石炭→メタノール 180万トン
 メタノール→オレフィン 60万トン
 オレフィン→PE 30万トン、PP 31万トンほか
   
山東エン礦集団(Yankuang Group
2004年、中国・エン礦集団、ブラジル・リオドセ、伊藤忠は、山東省済寧市に製鉄用コークス及びメタノールのJV 山東エン礦国際焦化有限責任公司を設立した。伊藤忠商事5%、エン礦集団70%、リオドセ社25%の出資。

ドイツKaiserstuhlコークスプラントの設備を中国山東省に移設、年間200万トンの製鉄用コークスを生産し、コークス炉ガスを回収し年間20万トンのメタノールを生産するプラントを併設する。リオドセはブラジル市場の独占販売権、伊藤忠は、コークスの対日独占販売権及びブラジル以外の国外マーケットの優先販売権を持つ。

   
2005年11月、エン礦集団が出資する山西Tianhao 化学が山西省孝義市で30万トンメタノールプラントの建設起工式を行った。コークス炉ガスを原料に300千トンのメタノールを生産する。
   
2005年11月、エン礦集団と米国の中国系投資会社・Cathay Capital Group (国泰財富集団) との合弁会社、Yankuang Cathay Coal Chemicals (エン礦國泰石炭化学)は石炭を原料とするメタノール・酢酸工場をスタートさせた。
2004年にエン礦 70%、Cathay 30%で設立されたJVで、山東省藤州市で60万トンの高硫黄炭をガス化し、これを原料に24万トンのメタノールと20万トンの酢酸を生産するとともに、 8万KWの発電を行う。
   
山東省 久泰化工(Jiutai Chemical
2005年4月、内蒙古オルドス(Erdos:鄂尓多斯)で石炭ガス法(シェブロン・テキサコ法)によりメタノール(150万トン)、DME(100万トン)を生産するJV計画がスタート。
 JV名:久泰能源(内蒙古)社(Jiutai Energy)
 出資比率:久泰化工69%/米国
Rockefeller & Co.31%
   
JFEケミカル
コークス生産時の副産物となるタールを蒸留分解し、染料やタイヤの原料、電極材料を中国企業と合弁で生産する。
山東省灘坊市でJFEケミカルが、コークス生産を手掛ける山東海化集団と合弁会社を設立、タールの処理能力は年30万トンで、染料や防虫剤となるナフタリンのほか、タイヤの原料となるカーボンブラック、電炉などの電極の材料にする。
投資額は50億円程度とみられ、2006年後半に生産を始める計画。
   
Huating Coal and Power Co.
  甘粛省政府の承認を受けてGansu Huating Coal Mine and Huating Coal Group を含む10社により設立
   
20058甘粛省華亭県での石炭原料のメタノール計画の承認を受けた。
第1期:メタノール 600千トン
第2期:メタノール 1,200千トン+PP 300千トン
第3期:石炭間接液化法による2百万トンの合成石油と発電
   
インドGAIL
2005年9月、陝西省陝西華山化工(Shaanxi Huashan Chemical Industry)と 石炭→メタノール→石油化学計画の覚書を締結。
Shellの石炭ガス化技術を使用する計画。

GAILはインドでShellの石炭ガス化技術Shell Coal Gasification Process (SCGP)で‘syngasを生産する計画を持つ。

   
雲南省Yunan Jiehua Group Chem Co., Ltd
雲南省で110万トンの褐炭を原料に150千トンのDMEを生産する計画で、2007年末完成予定。
   
寧夏回族自治区 Ningxia Coal Industry Group Co., Ltd.
  寧夏回族自治区銀川市で2つの石炭化学計画
   
石炭原料のDME計画
  186万トンの石炭から830千トンのDME生産
 
ドイツの Future Energy CompanyGSP dry coal powder and gasification technologyを使用 
   
石炭原料のオレフィン計画
  石炭ガス化、メタノール、メタノール→プロピレン、PPのコンプレックスで、PP 540千トンを製造。2009年完成予定で建設費は15億米ドル。2006年1月に米国のAMECと建設契約締結。
   
東洋エンジニアリング(技術)
2006年1月、石炭原料で世界最大の年産21万トンの燃料用DME 製造設備のライセンス供与と基本設計並びに触媒提供の業務を受注。
客先は寧夏煤業集団有限公司
で、寧夏回族自治区銀川市で石炭をガス化して製造するメタノールを原料にDMEを製造する。2007年末完成の予定。
   
  なおTECは四川省の瀘天化集団公司グループに対し、2003年8月に天然ガス原料で年産1万トンDMEプラントを完成し、2004年には年産11万トンDME製造設備を受注している。
   
内蒙古・新奥集団XinAo Group
2006年、Ordos(鄂尓多斯)でメタノール計画

 第1期 2007年末までにメタノール(600千トン)とDMT(400千トン)
 第2期 2010年までにメタノール 1,800千トン

   
山西省蘭花煤炭實業集團有限公司
2006年に石炭原料のメタノール、DME計画発表
  最終 メタノール150万トン、DME 100万トン
 第1期 メタノール 200千トン、DME 100千トンで2007年末完成予定
   
陝西渭河石炭化学集団Shaanxi Weihe Coal Chemical Group Co.
メタノール 200千トン (2005年スタート)
 原料はテキサコ技術の石炭ガス化設備から供給

Sasol は1950年に南アフリカ政府により South African Coal Oil and Gas Corporationとして設立された。南アには石油がなく、アパルトハイト政策により欧米各国から石油の禁輸制裁を受けていたため、豊富にある低品質石炭から石油をつくるのが目的であった。

同社の技術は間接法石炭液化技術で、石炭(又は天然ガス)をSyngasに転換した上で、Fischer-Tropsch反応で燃料や化学原料に変換するものである。

同社の技術は添付の通り。触媒により製品がかわる。(同社の発表より)
Sasolft

同社は本国で石炭及び天然ガスを原料に商業生産(石炭では世界唯一)をしているほか、世界各地で天然ガス又は石炭を原料に建設又は検討を行っている。Sasol11

カタールでは本年6月にカタール国営石油とサソールの51/49JVのオリックス・GTLが液体燃料GTLの生産を開始した。カタール北部の天然ガス施設集積地区ラスラファンにプラントを建設、生産能力は日量34千バレルで、数年以内に同10万バレルを追加する。これにはサソールとシェブロンのJVのサソール・シェブロンが参加する。
(カタールではほかに、シェル、エクソンモービルがGTLを計画している)

現在の同社の事業は多岐にわたっている。

Oil & gas
Sasol Mining    南アの炭鉱での採掘
Sasol Synfuels   南アSecunda工場で石炭及び天然ガス原料のSyngasを石油製品、化学品原料に転換
Sasols liquid fuels business   燃料、潤滑油の製造販売
       
Chemical
Sasol Olefins & Surfactants   界面活性剤、中間体、原料の事業
2001年にドイツの
RWE-DEAからCONDEA Vistaを買収した。
◎ Sasolは昨年、本事業の売却を検討していると発表した。
Sasol Nitro   アンモニア、硫酸をはじめ、火薬、肥料等
Sasol Wax   Wax
Sasol Polymers   Sasolburg 及び Secunda工場で、
エチレン、プロピレン、
LDPELLDPEPPPVC、クロルアルカリ等を生産
Sasol Solvents   Blends & Hydrocarbons, C3/C4 Alcohols, Esters & Acids, Ethanol, Fine Chemicals,
Glycol Ethers, Ketones,
 Methanol, Mining Chemicals,
Acrylic Acid & Acrylates (
三菱化学とのJV)
Maleic Anhydride (Huntsman
とのJV)
Merisol   MerichemとのJV
 Cresols, Xylenols, Alkylphenols, other phenolics.
1997年に住友化学は同社と50/50JV 住化メリゾールを設立(大分工場でメタパラクレゾール製造)。
また2001年に南アでオルソクレゾールノボラックを製造する住化80%出資の合弁会社、住化メリゾール RSA(Pty)Ltd を設立した。(後者はその後、台湾企業に持分売却)

Acrylic Acid & Acrylates (三菱化学とのJV) については 2006/4/24 「アクリル酸業界参照

2001年10月の発表で三菱化学は次のように述べている。
「このたびアクリル酸及びアクリル酸エステル事業において、Sasol社の供給する最先端の独自の石炭液化技術により得られる石炭ベースのプロピレン及びエタノール並びに当社技術により生産されるノルマルブタノールの競争力ある安価な原料と、当社の世界的競争力をもつアクリル酸及びアクリル酸エステルの製造技術を組み合わせ、世界的な提携関係を構築することで合意いたしました。」

 

石炭液化事業 - 化学業界の話題

6月10日の日本経済新聞は以下の通り伝えている。

「経済産業省はアジアで、石炭からガソリンや軽油を精製する石炭液化事業の普及に乗り出す。NEDOが持つ独自技術を活用。今夏から中国企業と実証実験を始め、2010年にも商用化する。インドネシアでもプラント建設で交渉を始めた。アジアで豊富に産出する石炭を有効活用し、世界的な原油需給の緩和につなげる。」

「普及支援の第一弾として、NEDOが7月をめどに、中国のエネルギー会社、大唐国際発電(北京市)と新波鉱業集団公司(山東省)と共同で、どれだけ効率的に液化できるかの実証実験を始める。」

「日本は1980年代から石炭液化技術の研究を進めてきた。コストは1バレルあたり25-30ドルで、これまでは割高だった。だが、原油価格が同70ドル台にまで高騰。石炭の輸入コストが高い日本での実用化はなお困難だが、アジアでの商用化には道が開けた。」

石炭液化の研究は日本では大正末期から行われた。

南満州鉄道では、Bergius法により中国撫順炭鉱に液化油年産2万トンのプラントが建設され、昭和18年まで運転が行われた。
また、朝鮮人造石油が石炭処理量100t/d規模の直接石炭液化プラントの連続運転に成功している。
昭和10年ドイツでFischer法が発表されると同時に、日本に導入され、三池で合成油年産3万トンの石油合成工場が完成した。

第1次石油危機の後、1974年にサンシャイン計画が発足し、石油代替エネルギー開発の一環として、日本独自の石炭液化技術開発に取り組むこととなった。

サンシャイン計画において、瀝青炭(高品位炭)の液化技術開発としてソルボリシス法、溶剤抽出法、直接水添法の三法の技術開発が行われた。
また1980年度以降、褐炭(低品位炭)の液化法についても研究開発が行われた。

瀝青炭
瀝青炭の液化技術についてはNEDOは1983年に
上記 3法の特徴を生かしてNEDOLプロセスとして統合した。Nedol
詳細は 
http://www.nedo.go.jp/sekitan/cct/jp_pdf/2_3a2.pdf 参照。

褐炭
石炭の経済的可採埋蔵量の約半量は亜瀝青炭・褐炭等の低品位炭が占めるが、水分を多く含み、乾燥すると自然発火性を示すという問題を含む。NEDOは褐炭液化技術開発(BCL法)を開発、1999年からインドネシア国内において3ヶ所の液化プラント立地候補地を選定し、FSを実施、経済的にも十分に成立するとの結果を得た。
詳細は 
http://www.nedo.go.jp/sekitan/cct/jp_pdf/2_3a3.pdf 参照。

 

中国は石炭液化技術の開発、導入に積極的である。

NEDOは1981年に中国煤炭工業局との間で「石炭液化技術共同開発に関する協議書」を締結し、共同研究をスタートした。
1983年、北京煤化学研究所に石炭処理量 0.1t/d のベンチスケールプラントを設置し、多くの液化試験を実施し、多大な成果を上げた。
1997年からは中国からの要請に応えて、黒竜江省・依蘭炭を用いての石炭液化プラント立地可能性調査の実施に協力した。
1999年5月の日中高級事務レベル会議を経て神府東勝炭田を開発している神華集団基本協定書を締結し、NEDOLプロセスに基づく神華炭液化プラント5,000t/dの立地可能性調査を実施している。

このほか、ドイツのRUG RAGが雲南省で褐炭、米国のHTIが陜西省の亜瀝青炭を使った実証プラントをつくっている。

石炭液化技術には上記のように石炭を粉砕し,溶剤と混合して高温・高圧下で水素と直接反応させる直接液化法と,石炭を一度ガス化(石炭ガス化)し,生成ガスを分離・精製した原料を合成反応させ液化する間接液化法に大別される。間接液化法は直接液化と比較してコストが高いとされているが、南アフリカサソールが商業生産を行っている。南アはアパルトハイト時代に欧米から石油の禁輸制裁を受けたため、石炭の利用が進んだ。

2005年9月にCoal Research Institute(北京支部)と国営寧夏石炭集団が共同で寧夏石炭集団・石炭化学リサーチセンターを設立し、サソールの石炭間接液化技術で石炭液化を行うFSを開始した。320万トンの石油製品を生産する計画。

サソール自身は2005年に寧夏回族自治区で神華石炭液化会社と、寧夏回族自治区で寧夏Luneng Energy and High Chemistry Investment Group と、それぞれ8万バレル/日の石炭液化設備のFSを開始した。

6/16の新華社電によると中国最大の石炭会社の国営神華集団は2020年までに北部4省(陝西省、内蒙古自治区、新疆ウイグル自治区、寧夏回族自治区)で石炭から年間30百万トンの石油を転換する8つの計画を立てている。同社はシェルや南アのサソール等と提携している。同社では石油価格が40ドル/バレル以上であれば、8年で投資を回収できるとしている。

同社は2004年8月、内蒙古自治区鄂爾多斯(オルドス)市で世界最大規模の神華石炭液化プロジェクトに着工した。プロジェクトは2期に分けて進められ、第1期工事の総投資額は245億元で、1年間で970万トンの石炭から製品油320万トンを生産する。製品の内訳はガソリンが50万トン、ディーゼル油が215万トン、液化ガスが31万トン、ベンゼンや混合キシレンなどが24万トンの予定で2007年7月完成予定。2010年ごろに第2ラインが完成する見通し。 米国のHeadwaters Incorporated の子会社 Hydrocarbon Technologies, Inc.(HTI) の技術を使用する。

中国石炭工業協会の範維唐会長は2005年11月に、中国は2010年には、石炭のオイルへの転化、石炭ガス化を含めた石炭転化製品の生産高500万トンの実現を目指していることを明らかにした。 

中国ではコークス炉ガスを原料とするメタノール、DME等の計画が多数あるほか、石炭からのオレフィン製造計画もつくられている。
次回はその例を取り上げる。

経産省は13日、日・マレーシア経済連携協定の効力の発生に関する外交上の公文の交換が同日クアラルンプールで行われ、同協定は同日から効力を生じたと発表した。Ftamalaysiaシンガポール、メキシコに続く3カ国目の経済連携協定となる。

両国政府は、昨年12月13日の日・マレーシア首脳会談において、「経済上の連携に関する日本国政府とマレーシア政府との間の協定」(日マレーシア経済連携協定)を署名している。

日マレーシア経済連携協定の概要については下記参照。 http://www.meti.go.jp/press/20051213003/4-fta-set.pdf

鉱工業品の物品市場アクセスに関しては上記概要では以下の通りとなっている。

・両国とも、ほぼ全品目の関税を協定発効から10年以内に撤廃
・マレーシア側 化学品はほぼ全ての品目について10年以内に関税撤廃
・日本側 日本が輸入する鉱工業品の関税は、実質上全て即時撤廃される。

日本が輸入する化学品の個別の取扱いについては「附属書1(第二章関係) 第19条に関する表」では以下の通りとなっている。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/treaty164_2a.pdf#170

無機・有機化学品 ほぼ全品目即時撤廃
  ソルビトール、クエン酸(対象外)
グルタミン酸ソーダ 関税率 5.2%、6回の毎年均等引き下げでゼロへ
   
プラスチック
  PE  関税率 1.3%(上限@4.48円/kg) 11回の毎年均等引き下げ
  PP 関税率 1.3%(上限@5.12円/kg) 11回の毎年均等引き下げ
  PS 関税率 1.3% 11回の毎年均等引き下げ
  ABS 関税率 0.62% 11回の毎年均等引き下げ
  PVC 関税率 0.78% 10回の毎年均等引き下げ
  PVDC 関税率 0.56% 7回の毎年均等引き下げ
  PMMA 関税率 0.58% 7回の毎年均等引き下げ

参考  日本・シンガポール新時代経済連携協定における日本の化学品の輸入の扱いについては下記を参照。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/big/jpn-singapore-fta.htm
 

Ineosの最近の発表に、BPから買収した元 Innovene のドイツ・ケルン工場のエチレンを10万トン増設するが、一部はARGパイプラインで他のプラントに送るとある。

2006/5/24 RING 第三次事業計画 発表記事に「コンビナート高度統合研究会」報告があるが、コンビナート統合の実現に向けた「提言」7項目の中の(3)「広域的パイプラインの敷設・整備」はこれを参考にしたものである。

コンビナート高度統合研究会の議事録に以下の発言がある。
「欧州に関して、日本の石油精製・石油化学が有し得ない競争力の一つはパイプライン網である。日本では、高コスト等によりパイプライン
を欧州のように設置することができない。」(2005/11/25)
「我が国においても、ドイツのようにパイプラインは社会に必要であるとしたら必ず通すというようにしなければいけないと思う。パイプライン敷設を最初からあきらめていると、進まないのではないか。」(2005/12/16)
「石油・石化の連携・統合のための広域パイプラインの敷設は簡単ではないが、わが国の石油・石化産業が生き残るために必要だと考える。広域のパイプラインについても、非常にチャレンジングな課題ではあるが、このことを認識して、具体化を進めていきたい。」(2006/3/1)

欧州エチレンパイプライン会社ARGは正式には Aethylen Rohrleitungs Gesellschaft mbH & Co. KG で、1969年に BPHuls(後 Degussaが吸収)、Erdolchemie (BP/BayerエチレンJV)、 BayerDSM 後 SABICが買収)及びScholven-Chemie(その後VEBA Chemie と改称、後 Degussaが買収) により設立された。
全長
495kmで欧州のエチレン能力の半分、ドイツ・オランダ・ベルギーの能力の90%を結んでいる。(図参照)Europeethylenepipeline

現在の株主はBPWestgas、Bayer、SABIC Hydrocarbons(元 DSM Hydrocarbons)、Sasol GermanyBASF の6社。2001年にDegussaの当時の株主のE.ONがBPにVeba Oel の製油・石油化学部門を売却した結果、BPがARGのHulsScholven-Chemie持分を取得し 3/6の株主となるため、独禁法当局の認可条件として、 両社持分をSasol GermanyBASF に譲渡した。南アのSasol は欧州に誘導品 6工場をもち、うち2工場はパイプラインに接続している。

州にはARGのほかに、以下のようなエチレンパイプラインがある。
 Shell pipeline :Rotterdam-Antwerp
 FAO pipeline(
Fina Antwerp Olefins ):Antwerp
 NSM pipeline
Antwerp-Feluy
 Solvay pipeline
to Jemeppe
 InfraServ and BASF pipelines
in Germany

あるエチレン需要家は、ARGは高すぎるので、他のパイプラインと統合して値下げするべきだと主張している。
ARGの基本料率は、1トンのエチレンを50km運ぶのに30ユーロとなっている。(4.3円/kg)
大口割引は例えば、年間20万トンで6年契約などとハードルが高い。

 

ところで、日本にこのようなパイプラインが本当に必要だろうか。
千葉地区では既に北の丸善石油化学から南の住友化学までパイプラインが通じており、「コンビネーテッド・コンビナート」を形成している。欧州と異なり日本のコンビナートは全て海岸にあり、異なるコンビナートの間では船での輸送が行われている。

高い費用をかけて新しくパイプラインを設置する必要性があるのだろうか。

 

事業買収により設立され、その後どんどん事業買収を行って急成長した化学会社がある。Ineos である。

BPから買収したEO事業をもとに1998年に設立して以来、ICIの抜本的構造改革に乗ってその諸事業を買収、その他 BPDegussaBASF、UCB等の事業を次々に買収し、昨年末にはBPの石油化学子会社Innoveneを買収した。この結果、創立8年後の現在では世界の14ヶ国に68の工場を持ち、従業員は15,600人、30百万トン以上の石化製品を販売し、売上高は年ベースで330ドルユーロに達する。

同社の創業者で会長を務めるのが億万長者のJim Ratcliffe(現在53歳)である。最初はエッソのケミカルエンジニアであったが、1995年に事業家と組んでBPからEO事業を買収し Inspecを設立、大きな利益を上げ、1998年に単独でこれを買取り、Ineosを設立した。
買収は借入金で行った。通常、買収には自己資本が20%程度は必要だが、彼はIneosを担保にした。事業買収でIneosを拡大し、更に金を借りるという形で、他の事業を買収していった。

1999年にCharterhouse Development Capital と組んでICIのアクリル事業を買収しINEOS Acrylics とした。(Ineos は22%出資で、後にLuciteと改称)
2001年にICIからシリカ、塩素、代替フロン等の事業を買収、ICIとEniChemの塩ビJVのEVCの過半も買収した。(2005年にEVCを100%買収)
そのほか、多くの事業を買収、2005年末にBPから同社の石油化学子会社Innoveneを買収した。Innovene買収に際しては社内にも秘密にして会長が単独で極秘裏に交渉したといわれる。

同社の各部門の内容は以下の通り。

INEOS Oxide (EO,EG)
  (1966年にUCCがアントワープに工場建設)
(1978年BPが買収)
1995年Inspecが買収

1998年Ineos設立、Inspecを買収
2001年BPから欧州のアセテート事業、ENB事業を買収
   
INEOS Phenol (フェノール)
  2001年 Degussaから子会社 Phenolchemieを買収
2005年 Chevron Phillipsからテキサスのキュメン工場を買収
   
INEOS Styrenics (PS)
  2005年 BASFの米国・カナダのPS事業を買収
   
INEOS ChlorVinyls
  (1986 ICIとEniChemが50/50の塩ビJV EVCを設立)
2001 IneosがEVCの過半を買収、INEOS Vinylsの傘下に置く。
同年 ICIから塩素化学事業を買収、INEOS Chlorとする。
   
  2005年 EVCを100%子会社とし、組織を再編

 塩素とPVC事業をINEOS ChlorVinyls
 塩ビフィルム、コンパウンドを下記に。

INEOS Films and Compounds.
   
INEOS Silicas (シリカ、ケイ酸塩、ゼオライト)
  (1997年 ICIがUnileverから4部門を買収)
2001年 ICIから上記のうちのシリカ等のCrossfield部門を買収
   
INEOS Fluor (代替フロン)
  2001年 ICIからKlea部門を買収
   
Lucite International 〈関係会社〉
  1999年 Ineos (22%)/Charterhouse Development Capital 78%)でICIのアクリル事業を買収、
     
INEOS Acrylicsを設立
2002年 Lucite International と改称
   
INEOS Melamines
  2005年 CytecがUCBを買収するに際し、UCBのメラミンを原料とするアミノレジン、添加剤事業を買収
      (元はヘキストの事業)
   
INEOS Paraform
  2003年 DecussaのMethanova部門を買収
   
INEOS Healthcare
   
INEOS Enterprises
  2004年にINEOS Chlor Enterprisesがつくられ、2005年に改称
  6つの事業
  ・Brine & Water business
  ・sulphur chemical
  2004年  Albionから事業買収
  Electrochemical Technology business
  ・Esters business
  ・(ドイツWilhelmshaven)
  塩素(PVC用)、ソーダ外販
  ・(タイ)The East Asiatic (Thailand) CompanyとのJV・IACCで可塑剤製造
   
(以下、Innovene買収で新設)
   
INEOS Refining
  Grangemouth Lavera の製油所
   
INEOS Olefins
  InnoveneGrangemouth, LaveraKoln C2, C3, C4 及び芳香族 
  次ぎの計画を含む
  ・IneosのドイツのWilhelmshavenでのエチレン80万トン計画
  ・InnoveneのサウジでのDelta Oil とのエチレン及び誘導品計画 
 (
http://www.bp.com/genericarticle.do?categoryId=2012968&contentId=7006623
  * BPの上海SECCO計画はBPに残したため、Ineosとは無関係
   
INEOS Polyolefins
  欧州、アジアのInnoveneのポリオレフィン事業
   
INEOS Olefins & Polymers, USA
  InnovenChocolate Bayou Battlegroundで製造するオレフィン、PE、PP
(スチレン事業は
INEOS Styrenicsへ)
   
INEOS Nitriles
  Innoveneの全世界のニトリル事業
   
INEOS Technologies
  Innoveneの技術ライセンス、触媒 及びIneosの塩ビ事業のライセンス、触媒ほか
   
INEOS Oligomers
  LAO(linear alpha olefin)PAOpolyalphaolefin)、PIB (ポリイソブチレン)

2006/5/16 「世界一の塩ビ会社 信越化学」記載の同社能力について 5/31に一度修正したが、再度修正する。

Plattsの情報によると、オランダの信越PVCはPernisでPVCの増設(295千トン→450千トン)を行っているが、7月に完成する見通し。(上記記事では既に完成済みとして表示)

5/16の記事ではフィンランドでNesteに委託として90千トンと記載した。信越のオランダ増設発表(2005/1/19)でもこの旨記載されている。
Neste Chemicals は分離統合の結果、実際の委託先は
Dynea Chemicals Oyであるが、Dyneaは2005年7月に塩ビ事業をスイスの商社・International Petrochemical Group S.A.に売却、7年間続いた信越PVCとの製造受委託契約も終了した。

この結果、PVC増設完了後の信越PVCの能力は、VCMが620千トン、PVCが450千トンとなる。

(上記記事の能力表を修正した)

因みにNeste Cshemicalsは当初はフィンランド国営のNeste Oil の子会社であったが、1999年にIndustri Kapital に売却された。
その後、ポリオレフィン事業はStatoilの事業と統合されBorealisとなり、現在はアブダビ国営石油の子会社となっている。

http://knak.cocolog-nifty.com/blog/2006/06/3uae_d07b.html 参照)
ポリエステル事業はAshlandに売却された。
その他レジンはDynoと統合してDyneaとなり、オキソ事業を統合したPerstorpのレジン事業を吸収している。
2005年にDyno Nobelを売却、塩ビ事業も売却したもの。

変遷図 添付 Hensen10

ダウは5月31日、江蘇省張家港自由貿易地域と覚書を締結し、同地での投資を拡大する意向を明らかにした。

同社はこれまでに同地でエポキシレジン、SBラテックス(スチレンブタジェンラテックス)、及びPSの事業を行っているが、更にグリコールエーテル、「スタイロフォーム」(押出法ポリスチレンフォーム)を新たに製造、SBラテックスを増設する。

これまでの投資額は3億ドルで、更に2億ドルを投下する予定。

PSはダウと旭化成の50/50JVの斯泰隆(スタイロン)石化(張家港)有限公司で生産しているもので、能力は120千トン。
新設するグリコールエーテルの能力は120千トンで2008年稼動の予定。

ダウにとって中国は米独に次ぐ3番目の重要市場で、2005年の中国での売上高は23億ドルに達している。なお、同社は以前に天津で中国側との50/50JVでのエチレンコンプレックスを計画したが、撤退している。

 

張家港市は、上海市内から北へ約130km離れ、揚子江下流の南側に位置している。Zhangjiagang

張家港市には3つの開発区がある。

張家港保税区は1992年10月に国務院の批准によって設立された全国で唯一の内陸河川港型の保税区。
揚子江国際化学工業園は2001年に設立された省レベルの開発区。
保税区物流園区は2004年設立された国家レベルの開発区。

張家港市は揚子江デルタ地域の中心で、上海、南京、蘇州、常熟、無錫、常州、南通までは車で2時間以内の範囲にあり、内河の中にもっとも最大規模で冬にも凍結しない港を持つという優れた地理条件に恵まれており、インフラ施設が完備しているため、多くの海外企業を誘致している。

化学関連では以下のように多くの企業が進出しており、特に日本企業の進出が目立つ。

・ダウ(エポキシレジン、SBラテックス+グリコールエーテル、「スタイロフォーム」

・ダウ/旭化成(PS)
 社名 :斯泰隆(スタイロン)石化(張家港)有限公司
 出資 :旭化成ケミカルズ50%/Dow 50%
 能力 :PS 120千トン 

・シェブロン(PS)
 能力 :PS 100千トン 

・デュポン/旭化成(ポリアセタールコポリマー) 
 社名 :杜邦-旭化成ポリアセタール(張家港)有限公司
 出資 :DuPont 50%旭化成ケミカルズ50%/
 能力 :第1期 20千トン、将来 60千トンまで拡大
 設立 :2002/8/8
 備考 :国内はJVが販売、海外は両親会社が販売

・三井化学(高純度テレフタル酸)
 社名 :三井化学(張家港)有限公司
 出資 :三井化学100%
 能力 :60万トン/年(三井化学技術)
 
備考 :2004/3 投資認可申請、認可待ち 

・日本触媒(高吸水性樹脂)
 社名 :日触化工(張家港)有限公司
 出資 :日本触媒 100%
 能力 :
30千トン/年
 設立 :2003/4

・クラレ(MMAキャストシート)
 社名 :可楽麗亜克力(張家港)有限公司
 出資 :クラレ 80%、クラレトレーディング 20%
 能力 :3,000t/年
 設立 :2004/4

・大日本インキ化学(高機能樹脂コンパウンド、樹脂改質剤など)
 社名 :張家港迪愛生化工公司
 出資 :DIC 100%

・東亞合成/大日本インキ化学(紫外線硬化型の化合物)
 社名 :張家港東亜迪愛生化学有限公司.
 出資 :東亞合成 60%、DIC 40%
 能力 :1万トン/年
 設立 :2004/1
 備考 :張家港迪愛生化工公司の敷地内

・森田化学工業(六フッ化リン酸リチウム)
 社名 :森田化工(張家港)有限公司
 
出資 :森田化学工業 70%/住友商事 30%
 設立  :2004/1 

・北興化学(精密化学品トリフェニルホスフィン)
 社名 :張家港北興化工有限公司
 出資 :北興化学 100%
 設立 :2002/8/1

なお、既報の通り、中国政府は揚子江流域でのアクリロニトリルの輸送を全面的に禁止している。このため張家港市の上流の鎮江市にABS工場をもつ台湾の奇美実業等は原料の陸路輸送を強いられている。

 

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358  

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