「no」と一致するもの

米商務省は12月18日、半導体メーカーの中芯国際集成電路製造(SMIC : Semiconductor Manufacturing International Corporation)を含む中国企業77社をEntity Listに加えたことを明らかにした。「国家の安全を守るため」だと理由を挙げた。


Entity Listは輸出管理法
(規則 744.11(b) )に基づき安保上懸念がある企業を指定するもので、海外企業を含む企業が米国のハイテク製品や技術を同社に輸出する場合は商務省の許可が必要になり、原則却下される。

SMICについては発表時点以前に商務長官がインタビューで言及しているが、同社以外の対象企業名は12月22日に発表される。

SMICについては、「中国が軍民融合の国家戦略を進め、中国の軍産複合体でSMICと懸念される団体との活動が確認された」とし、他については、①中国での人権侵害、②南シナ海での軍事化、不当な領有権主張、③人民軍の計画支援のため米国原産品の取得、④米国の営業秘密盗用にかかわる企業となっている。

SMICは2000年に設立した半導体受託生産の中国最大手で、2019年の売上高は31億ドル、純利益は2億ドルに達する。中国国有通信機器大手や国策ファンドなどが大株主に名を連ねる。

同社は半導体生産に米Applied Materialsをはじめとした米企業の製造技術を活用している。輸出許可がでなければ、工場新設や増設が難しくなる可能性、半導体の生産などに悪影響が出る恐れがある。
SMICはHuawei傘下の半導体設計会社の海思半導体(HiSilicon Technology)から生産を受託し、Huaweiのスマートフォンや通信機器に半導体を供給している。


同社は、既に
10月4日に、同社の一部の米国サプライヤーが、同社が米追加輸出制限の対象であるとの通知を受けたと明らかにしている。

投資家向け開示資料で「輸出制限の生産や運営への影響の評価を始めた。一部の米国から輸出された設備や付属品、原材料の供給が遅れたり、不確実が生じたりして、将来の生産や運営に重要かつ不利な影響が出る可能性がある」と表明した。事業を展開する全ての国・地域で関連法規制を順守していると強調している。

SMICはまた、米商務省産業安全保障局と「予備的なやりとり」を行ったと明らかにした。

国防総省は9月上旬、安保上問題がある企業を並べたEntity ListにSMICを加えるか政権内で議論中だと明らかにしていた。SMICが中国人民解放軍の軍事プロジェクトに深くかかわり、防衛インフラの整備に加わっているのではないかという懸念があるためとしている 。

2020/10/8 中国SMIC、米輸出規制対象に  


なお、77社のなかにドローン(小型無人機)世界最大手の中国DJI が含まれていることが分かった。「ハイテク監視技術を通じて中国内での大規模な人権侵害を可能にした」としている。

ーーー

Entity Listはこれまで、大量破壊兵器(WMD)プログラム、テロリズム又はその他の行為のリスクをもたらす恐れのある企業が対象であった。

「知財戦争」に適用するものでは、2018年10月29日に中国の福建省晋華集成電路(Jinhua Integrated Circuit Company:JHICC)が初めてである。

米商務省は2019年5月15日、その2番目として華為技術(Huawei)を加えた。8月19日にはHuaweiへの米国製品の禁輸措置を強化、関連会社46社を追加した。

2019/5/16 米国、Huawei を対象に2施策
2019/8/21 米、Huawei 禁輸強化  

2019年6月21日には、スーパーコンピューター大手5社とそれぞれのグループ会社を追加した。スパコンが「核爆発のシミュレーション」などの軍事目的に利用されていると指摘した。

2019/6/24 米、中国スパコン大手を禁輸対象に指定

2019年10月には、監視カメラ世界首位の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)などハイテク8社と、新疆ウイグル自治区各地区の公安部門など20機関をEntity Listに加えた。新疆ウイグル自治区の住民たちに対し先進技術を用いた監視によって抑圧、大量の恣意的な拘留などを強いるのに協力していたと判断されるとした。

2019/10/9 米、中国の少数民族弾圧でハイテク企業と公安部門をEntity Listに追加 

米大統領選の全538人の選挙人からなる選挙人団は12月14日、各州で投票を行い、民主党候補のBiden前副大統領が25州とコロンビア特別区で勝者と認証された。

来年1月6日に行われる連邦議会での集計を経て正式に決定、1月20日に第46代のアメリカ大統領に就任する。

投票結果は選挙結果と同じで、Biden 306 対 Trump 232 である。

Trump Biden
選挙人 得票 選挙人 得票

232

73,686千票

306

79,662千票


選挙人は上院(100)と下院(435)の議員数にコロンビア特別区の3人を合わせ総数は538人、当選に必要な人数は270人。

下記2州を除き、最も多く得票した候補がその州の選挙人全員を獲得する。
  メインは4人のうち、上院分 2人は全体勝者とし、下院分 2人は2選挙区の勝者
  ネブラスカは5人のうち、2人は全体勝者、3人は3選挙区の勝者

2020/11/25 2020年 米国大統領選挙 結果

Trump大統領は各州に反乱を呼び掛けたが、ゼロであった。

不思議な話だが、大統領選挙の結果により選挙人が投票するというのは法律にはなく、慣行である。
大統領選挙では実際には、大統領候補を支持する選挙人を選ぶ。
選ばれた選挙人は当初支持するとしていた候補とは別の人に投票することも法的には可能で、過去に自分の名前を書いた例もあったという。

Trump大統領は、Bidenに決まった州の選挙人にTrumpに投票するよう、指示していたが、誰も応じなかった。

この結果を受け、大統領はバー司法長官の辞任を発表した。

大統領腹心のバー司法長官は12月1日、大統領選で大掛かりな不正があったとするTrump大統領の主張について、裏付ける証拠を司法省は発見できていないと述べた。

取材に対し、投票機が細工されてBiden候補の得票が増えたという大統領の主張に言及し、「大掛かりな不正があった、選挙結果をねじ曲げるように機器が仕組まれていた、といった主張が出ている」が、司法省と国土安全保障省が調べたが、「これまでのところ、そうした主張を証明するものは何も見つかっていない」、「選挙結果を変えるほどの規模の不正は、現在まで確認できていない」と話した。

Trump大統領は依然、敗北を認めていないが、上院共和党トップのMcConnell院内総務は12月15日にBiden氏の勝利を認めた。

ーーー

Trump大統領はまだ敗戦を認めていない。

もしもの場合、米大統領選挙、期限の1月6日までに確定しない可能性も

これまで、選挙に不正があるとして各地で訴訟を行なったが、ほとんど敗訴した。(一部、再集計など)

大統領は選挙前から、主に民主党に有利となる郵送投票が問題であるとし、最終的に最高裁で決まると主張した。

9月18日に逝去したRuth Ginsburg 判事(リベラル派)の後任に保守派のAmy Coney Barrett判事を選び、大統領選直前の10月26日に正式に選任、保守派 6 対リベラル派 3 とした。

しかし、この戦略は失敗に終わった。

米連邦最高裁判所は12月8日、大統領選をめぐり、ペンシルベニア州共和党が郵便投票の利用拡大を認めた制度が州法に違反すると主張し、最大約250万票を無効にすべきだと訴えた件を退ける判断を下した。

最高裁は理由、署名無しのたった1行の判決を下した。
The application for injunctive relief presented to Justice
Alito and by him referred to the Court is denied.

2020/12/10 米最高裁、ペンシルベニア州の大統領選挙郵便投票無効を認めず

別途、テキサス州は12月1日、最高裁に対し東部4州の選挙結果を否定するよう求めた。Long-shot lawsuit(うまくいけば素晴らしいが成功の可能性の低い訴え)と呼ばれる。

対象はGeorgia、Michigan、Pennsylvania、Wisconsin の4州で、4年前にTrumpが勝利し、今回敗北した。テキサス州は、各州が郵便投票を拡大したのは違法であるとしている。
州最高裁を通さず、直接 最高裁に訴えた。

米連邦最高裁は12月11日、これを却下した。

判決は無署名で、賛否の数は明らかにされていないが、命令自体に対する反対はない。

判決では、テキサス州は、他の州の選挙のやり方について司法的に認識できる関心(judicially cognizable interest) を明らかにしておらず、訴えの法的権利がないとした。

"The State of Texas's motion for leave to file a bill of complaint is denied for lack of standing under Article III of the Constitution. Texas has not demonstrated a judicially cognizable interest in the manner in which another State conducts its elections. All other pending motions are dismissed as moot."

通常はこの種の訴訟に同情的とされる Samuel Alito判事とClarence Thomas判事も、テキサス州が訴訟を行う権利があることは認めたが、それ以上は原告側に有利な立場は取らなかった。

最高裁で争うというTrump大統領の戦略は失敗に終わった。

1週間、ブログを休んでいる間にいろいろの動きがあった。

(ワクチン関連)

Pfizer /BioNTech

Pfizer /BioNTech は11月20日、新型コロナウイルスのmRNA ワクチン BNT162b2 について、米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請した。

英医薬品・医療製品規制庁は12月2日、Pfizer / BioNTechのワクチンを承認した。英政府は同ワクチンを4000万回分調達する契約を結んでおり、7日から介護施設の入居者や職員、医療従事者、高齢者などに優先的に接種する。

ワクチンの接種が始まったイギリスで8日、接種した人のうち2人が、激しいアレルギー反応のような症状を示していたことが分かった。高齢者などとともに接種したNHSのスタッフ2人が接種の直後、激しいアレルギー反応である「アナフィラキシー」のような症状を示した。

2人は重篤なアレルギーを抱え、アレルギー症状を緩和するアドレナリン自己注射製剤(EpiPen)を携帯していた。その後、手当てを受けて回復した。

今回の報告を受けて、イギリスの規制当局は医療関係者に対し、これまでワクチンや薬、それに食物で「アナフィラキシー」のような症状が出たことがある人には、このワクチンを接種しないよう予防的な措置としての勧告を出した。

メーカーのPfizer は「規制当局の原因究明に協力していく。4万4千人を対象とした第3段階の臨床試験のデータを検証した外部の委員会からは、これまでのところ深刻な健康への懸念は報告されていない」とコメントしている。

米国FDA12月11日、16歳以上を対象としたCOVID-19に対するmRNAワクチンBNT162b2の緊急使用を許可した。

緊急使用許可(EUA)の状況にあり、両社は追加のデータを収集し、2021年の承認に向けて生物学的製剤承認申請(BLA)をFDAにする準備を進めている。

全米各地で12月14日にワクチンの接種が始まった。感染リスクの高い医療関係者や介護施設の入所者などを優先対象とし、年内に2000万人の接種を目指す。

ファイザーは12月18日、新型コロナウイルス感染症のワクチンを厚生労働省に承認申請した。

欧州医薬品庁(EMA) は12月21日の審査会で承認する予定。 →同日、承認した。

Moderna

Modernaは11月30日、開発中の新型コロナウイルスのワクチンの有効性が94.1%で、健康への重大な影響は認められていないという結果を明らかにするとともに、FDAにワクチンを緊急で使用するための許可(EUA) を申請したと発表した。

3万人でテスト、プラセボでの発症が185人、ワクチン接種では11人・・・(1 - 11/185)x100=94.1%、重症化は30人対0人で100%
感染しても発症していない人はこの統計に入らないため、死角あり。

2020/12/1 Moderna、ワクチンの緊急使用許可申請 

米国FDAの諮問委員会は12月17日、Modernaの新型コロナウイルスワクチンの緊急使用を支持した。感染状況が深刻な米国で2つ目のワクチンが承認される道が開かれた。

FDAの諮問委は17日の会合で、モデルナのワクチンの接種によってもたらされる恩恵がリスクを上回ると判断。採決結果は賛成20、反対ゼロ、棄権1だった。

諮問委の勧告を受け、FDAは18日にも緊急使用許可(EUA)を与える可能性がある。接種は当初、ヘルスケア従事者や長期ケア施設の高齢者が中心となる。 →18日承認。

Pfizerのワクチン-70℃で保存する必要があるが、Modernaのは-20℃であれば、最大6カ月間保管することができるという。

AstraZeneca

AstraZenecaのロシア法人は12月11日、自社ワクチンとロシア製ワクチンを組み合わせた臨床試験を行うと発表した。

相手はモスクワの国立Gamaleya疫学・微生物学研究所が国防省と開発し、8月11日に承認された「Sputnik V」で、同系統である。

2020/8/4 ロシアが新型コロナワクチンの接種を10月に開始 

2種類のワクチンを組み合わせれば、免疫反応が高まる可能性があり、予防効果が向上するか調べる。

developer/manufacturer platform Type
University of Oxford/AstraZeneca Non-Replicating Viral Vector ChAdOx1-S
Gamaleya Research Institute Non-replicating Viral Vector Adeno-based

 付記 

英政府は12月30日、AstraZeneca のワクチンを承認したと発表した。同ワクチンの承認は世界初で、2021年1月4日に接種を始める。
通常の冷蔵庫で保管できるため、途上国も含めた普及が期待される。インドも近く承認する見通し。

付記 中国

中国の国家薬品監督管理局は12月31日、製薬大手、中国医薬集団(シノファーム)傘下の北京生物製品研究所が開発した新型コロナウイルス感染症のワクチンを条件付きで承認したと発表した。
中国国産ワクチンの承認は初めてだが、緊急投与を夏から認めており、既に国内で大規模にこのワクチンを接種している。

シノファームは国外での臨床試験(治験)の最終段階の詳細な最終データはまだ公開しておらず、安全性を懸念する声もあるが、管理局は、安全性に問題はなく、深刻な副反応もないと強調した。

付記 WHO

WHOは12月31日、Pfizer /BioNTech のワクチンの緊急使用を承認した。WHOとして新型コロナのワクチンを承認したのは初めて。



ワクチンには問題も発生した。

Sanofi/GSK

製薬大手の仏Sanofiと英GlaxoSmithKline(GSK)は12月11日、開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、治験の結果、より高齢の被験者の免疫反応が不十分だったことを明らかにした。
実用化は来年後半にずれ込む見通し。

第1/2相試験で「18─49歳の成人については、新型コロナから回復した患者と同様の免疫反応が示されたが、より高齢の人では免疫反応が弱かった」という。今月開始する予定だった第3相試験を当面見合わせ、その代わりに第2b相試験を来年2月に行う。

豪 Queensland Univ / CSL

オーストラリアのモリソン首相は12月11日、同国のバイオテクノロジー企業CSLとクイーンズランド大による新型コロナウイルスのワクチン開発を中止したと発表した。

ワクチン接種後、被験者の一部がエイズウイルス(HIV)検査で、感染していないのに陽性となる「偽陽性」となった。実際の健康被害はない。
「ワクチンは安全で効果も出ていたが、エイズウイルスの反応が出た」ため、このワクチンを接種する場合はエイズウイルスの検査が必要になり、実用化に向かないとしている。

中国医薬集団(Sinopharm)

南米ペルーは12月11日、Sinopharmが開発した新型コロナウイルスワクチンの被験者1人に神経症状がみられたとして、臨床試験(治験)を一時中断したと発表した。

ペルーの国立衛生研究所は被験者1人に腕の動作が困難となる症状が出たことから、治験の中断を決定したと述べた。

「この症状はギラン・バレー症候群と呼ばれる疾患に該当する可能性が考えられる」と明かした。手足の動作に影響を与え、まひなどを引き起こすまれな非伝染性の疾患。
(ペルーでは2019年6月にギラン・バレー症候群が多数報告され、公衆衛生上の緊急事態宣言を5地域に一時的に出していた。)

ペルーでの約1万2000人を対象としたシノファームのワクチン治験は、今週中に完了する予定だった。

Sinopharmのワクチンを接種した人の数は、アルゼンチンやロシア、サウジアラビアでの被験者も含めて世界で6万人に上る。

ギラン・バレー症候群は、1976年に米国で豚インフルエンザのワクチン接種で蔓延し、(関連は確定していないが)ワクチン接種は中止された。米国でワクチン接種反対が多い理由とされる。


1976年2月に豚に由来する豚インフルエンザ患者(軍人)が出現し、24時間以内に死亡した。その頃には、数人の兵士が発症し、入院していた。同じ基地で、無症状ながら感染している兵士が500人以上いると分かり、医師たちは危機感を募らせた。

米国の保健当局は新たな流行を恐れ、予防接種プログラムの承認を求め、フォード大統領は巨額を投じ、実行に移すことを決めた。

1976年10月、集団予防接種が開始された。ところが数週間もたたないうちに、注射の直後にギラン・バレー症候群を発症した人の報告が入り始めた。2カ月足らずで500人が発症し、30人以上が死亡した。危険を冒してまで予防接種を受けたくないという人が増え、12月16日、当局は突然プログラムを中止した。

その後の調査で、豚インフルエンザは1918年のインフルエンザ・ウイルスよりはるかに致死性の低いウイルスだということが分かった。

豚インフルエンザそのものによる死者は一人だけだったが、そのワクチンで(関連は確認されていないが)30人以上が死亡した。


同じSinopharmのワクチンについて、アラブ首長国連邦(UAE)は12月9日、第3相治験で86%の有効性が確認されたと発表した。

接種した人の99%に抗体ができた。また、接種者で新型ウイルス感染症COVID-19の深刻な症状や中程度の症状が出た人はゼロだったという。同国の保健省は、「検証の結果、深刻な安全上の懸念は見当たらない」とした。

UAEの国営メディアは、ワクチンがUAEで「正式に登録された」と報じ た。(「承認」なのかどうか不明)

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英国で変異種ウイルス

英保健相は12月14日、英国で新型コロナウイルスの「変異種」が検出され、この変異種が最近の感染者数急増に関係していると述べた。

英保健相は、ロンドンと、イングランド南部の多くの地域で新型コロナウイルスの感染者数が「急増」しているのを受け、新たに規制を強化すると述べた。

「現在、この変異種による感染が1000件以上、確認されている。おもにイングランド南部で、60近い地方自治体におよんでいる」と述べた。

この変異種が、感染者急増にどの程度関与しているのかはまだわかっておらず、重症化しやすいという証拠も、ワクチンに耐性を持つことを示す証拠も何もない。

新型コロナ被害の男女差

南アフリカのケープタウン大などの国際研究チームは、新型コロナウイルスに感染すると、男性は女性より重症化しやすく、死亡する確率が 1.4倍高いとする分析結果を英科学誌 Nature Communications に発表した。

米英など47か国・地域で今年1〜6月に感染した約310万人分のデータを分析した。
感染者数は男女でほぼ同数になった一方で、集中治療室に運ばれるのは男性が女性より3倍高く、死亡率も39%高かった。こうした傾向は、各国でほぼ共通していた。

チームは「高血圧や肥満などの持病の有無だけでは男女差を十分に説明できない」と指摘。女性の免疫の働きが重症化を防いでいる可能性があるという。

異なる主張もある。

イタリア・パドバ大などの研究チームは5月7日、国際的ながん専門誌Annals of Internal Medicineに、男性ホルモンの影響を発表した。

新型コロナウイルスの感染や症状悪化には男性ホルモン(アンドロゲン)が関与しており、前立腺がん患者に行う「アンドロゲン遮断療法(ADT)」が感染予防や治療に役立つ可能性があるとしている。

前立腺がんは男性ホルモンで増殖するため、作用を薬で抑えるADTが行われる。
イタリア北部ベネト州の前立腺がん患者を調べたところ、ADTを行う患者は行っていない患者に比べ、新型コロナの感染率や重症化率が大幅に低かった。

ベネト州の前立腺がん患者について、ADTを行う5273人と行わない3万7161人を比較した調査では、新型コロナ感染者はそれぞれ4人と114人だった。このうち重症は1人と31人で、死者はなしと18人だった。

これは、男性ホルモンがウイルスの感染に重要な役割を果たす酵素にも働いているためと考えられる。この酵素「TMPRSS2」は、ウイルスが人の呼吸器系などの細胞表面に結合した後、細胞膜に侵入するのに利用されている。

研究チームは、新型コロナに感染した際、男性が女性より重症化しやすいのは男性ホルモンの作用が要因の可能性があると指摘。短期間のADTが予防や治療の手段になるとして、前立腺がんではない男性感染者を対象に臨床試験を行うよう提言した。

参院は12月4日の本会議で日英経済連携協定(EPA)の承認案を可決した。衆院は11月24日の本会議で可決している。

日英両政府は9月11日、EPAの締結で大筋合意した。

日英両政府は10月23日、都内の飯倉公館で日英経済連携協定(EPA)の署名式を開いた。

英国議会でも 近く承認する見通しで12月7日承認した。2021年1月1日に発効する。(英国がEUから離脱するのが前提で、残留の場合は棚上げとなる。)
英国の欧州連合(EU)離脱に伴い、日英の貿易は日欧EPAに基づく優遇関税が年末で切れるため、断絶を避ける。

日英間貿易で工業品や農林水産品の関税は欧州連合(EU)とのEPAをほぼ踏襲する。

日本製自動車にかかる税率を段階的に引き下げて2026年にゼロにする。英国への輸出は鉄道車両や部品、電気自動車に使う電子制御盤などの関税を即時撤廃する。


農産物の関税削減・撤廃はEUとのEPAと同内容だが、英国には新たな輸入枠を設けない。ブルーチーズを含むソフト系チーズなど10品目は、日欧EPAの輸入枠が余った分に限り、英国産にも低関税を適用する。

牛肉など、日欧EPAでセーフガード(緊急輸入制限措置)を設定した品目については、英国とEUから輸入量の合計が日欧EPAの発動基準数量を超えた場合、英国に発動する。

日欧EPAと同様に、コメは関税削減・撤廃の対象から除外した。


原産地規則で、EU域内での生産行為も日本国の生産行為とみなして日英EPA原産地規則を適用することができる。(拡張累積)

  

ーーー

英国は正式に離脱して初めて、他国とFTAを結ぶことができる。

離脱まで1カ月を切り、英国とEUは将来的な貿易関係について、まだ交渉を続けているが、妥結の見込みはない。

「公平な競争環境」と「漁業権」という最も大きな2つの争点については本格的な隔たりが残っている。これらはそもそも英国が離脱する理由であり、EUが要求を緩和させない限り、無理とおもわれる。

2020/9/11 英国 「合意なき離脱」辞せず

これらが決まってから、第3の争点、「確実に合意を履行させる仕組み」を決めることになる。

2020/9/11 Brexit:英国のInternal Market Bill 



韓国国会は2019年10月28日の本会議で、英国とのFTAの批准同意案を可決した。英国がEUを離脱した場合、自動的に発効される。

アジア諸国のうち、英国とのFTA批准を完了したのは韓国が初めて。

2019/9/5 韓国、韓英FTAをBrexit前に批准へ

英国はチリ、アイスランド、ノルウェー、スイス、カリブ海諸国、東南部アフリカ市場共同体、イスラエルなど38カ国と13件のFTAを締結している。

中国商務部は12月2日、国家安全に関わる物品や技術の輸出を制限する輸出管理法を巡り、規制対象となる品目の一部を発表した。

中国の全国人民代表大会常務委員会は10月17日、ハイテク製品の輸出管理を強化する輸出管理法案を可決、同法が成立した。
国家の安全を損ねると判断した海外企業をリスト化し、輸出を禁止できるようにする。

12月1日に施行されたが、規制対象品目など詳細が発表されていなかった。

2020/10/21 中国、輸出管理法成立、ハイテク禁輸 

今回、輸入規制対象品目、輸出規制対象品目の第一弾が発表された。輸出入規制品目として「暗号技術」が発表された。

システムや機器・部品で、ICチップ、暗号化機器、暗号化VPN機器、管理製品、特殊暗号化機器、量子暗号化機器、暗号分析機器などが含まれる。
また、
パスワードの開発および生産機器、パスワードのテストおよび検証機器も含まれる。

http://www.mofcom.gov.cn/article/zwgk/zcfb/202012/20201203019733.shtml

2021年1月1日から施行される。

中国政府は今後も随時、対象品目を公表していくとみられているが、レアアースが対象となるのかどうか、注目されている。

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Commercial Cipher Export Control List  

1. Systems, equipment and components

 1.1 Security chip
 1.2 Password machine Devices (including cryptographic cards)
 1.3 Encrypted VPN device
 1.4 Key management products (Server equipment used for management functions )
 1.5 Dedicated cryptographic equipment
 1.6 Quantum cryptographic equipment
 1.7 Cryptanalysis equipment

2. Testing, inspection and production equipment

 2.1 Password development and production equipment
 2.2 Password test verification equipment

3. software

Specially designed or improved software used in the development, production or use of items 1.1 to 2.2.

4. technology

Specifically designed or improved for the development, production or use of 1.1 to 3 technologies.

なお、輸入規制品目は次の通り。

1. Encrypted telephone
2. Encrypted fax machine
3. Password machine (password card)
4. Encrypted VPN device

横浜市立大学の研究チームは12月2日、新型コロナウイルスの感染者のほとんどが、再感染を防ぐ抗体(中和抗体)を半年後にも持つことを確認したと発表した。症状の重かった人ほど多く残る傾向だった。

感染して回復した376人の血液を調べた。ワクチンが普及すれば中和抗体を持つ人が増え、感染の拡大防止につながる可能性が示された。

今後、感染から1年後に中和抗体が残っているかどうかについても調べる。

感染から6か月たっても中和抗体を保有している割合は下記の通り。

無症状  15人 97%
軽症 265人 97%
中等症(酸素投与) 71人 100%
重症(人工呼吸器等) 25人 100%
全体 (20~70歳代) 376人 98%

但し、中和抗体の量が重症化や再感染を防ぐのに十分なのかは分かっていない。

横浜市大の山中教授は記者会見で、「一般に中和抗体を保有している人が再感染するリスクは低いと考えられている」とし、さまざまなワクチンの感染予防効果がどれぐらい続くかについては「自然感染による免疫とワクチンによる免疫は必ずしも同一ではないが、自然感染による免疫が少なくとも半年続くと分かり、ワクチンに一定の期待を持たせる」と述べた。

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横浜市立大学では、東京都医師会・神奈川県医師会より後援、地域医療機関の協力を得て、新型コロナウイルス感染症より回復した人を対象に、「コロナ回復者専用 抗体検査Project」を実施した。

発症日から半年後と1年後の2回、微量の血液を採取。抗体の有無と、抗体が「中和抗体」かどうかを調べる 。
(感染抗原のあらゆる箇所に反応する抗体が産出されるが、そのうち、抗原を失活させ、病原性を抑える作用のある抗体を「中和抗体」と言う)

感染後に回復したフリーアナウンサーの赤江珠緒さん などが協力した。「医療体制や研究が充実したものになるよう協力したい」とし、多くの参加を呼びかけた。

回復者の体内に中和抗体が確認されれば、再感染する可能性が低くなる。また1年後までの中長期を経た後の各種抗体の減少率などについて調査をすることで、新たな生活様式・社会活動のあり方に関する提言やより正確な既感染率の推定などに繋がり、今後実施される多様な抗体保有率調査などにも活用されることが期待される。

8月よりコールセンターにて予約受付を開始し、9月より各協力医療機関での血液検査を行ってきた。

グループが独自に開発した精度の高い検出法を用いた。

横浜市立大学大学院医学研究科 微生物学の共同研究グループは7月28日、新型コロナウイルスに対する中和抗体を簡便かつ迅速に測定できる新しい手法(新規中和アッセイhiVNTシステム)の開発に成功したと発表した。

実際の感染性ウイルスや遺伝子組換えウイルスを使用せず、ウイルスの殻だけからなる、ウイルス様粒子 (VLP) を使用することで、特殊な実験室や設備を必要としない。

発光によって標的タンパク質を定量するHiBit(11アミノ酸のペプチドタグ)を活用。表面に新型コロナのSタンパク質があり、HiBitで目印を付けたウイルス様粒子(VLP)を試験用細胞に投入した後、細胞内にあるLgBiTタンパク質とHiBitの相互作用で光る酵素の活性度合いで、中和活性のレベルを測る。酵素の発光量が少ないと、VLPが細胞に侵入している量が少なく、中和活性が高いと判断する。

https://www.yokohama-cu.ac.jp/amedrc/news/202007ryo_covid_hibit.html


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海外でも複数の抗体調査が行われているが、英国のKing's College London は7月13日、横浜市大とは逆の報告をしている。

King's College London のSchool of Immunology & Microbial SciencesのNature Microbiologyでの発表によると、3~6月に陽性と診断された患者と医療従事者、計96人(無症状者を含む)に抗体検査を複数回実施した。

中和抗体の量は発症後約3週間でピークに達し、その後は減った。抗体の量は重症者が多かった。

発症後65日たつと、中和抗体が強く働いていた人は2割もなく、一部の軽症者はほとんど検出されなかった。

様々な研究報告から、新型コロナ感染症から回復後、抗体が急速に減る可能性が示されている。

横浜市大では、海外の研究は減少しやすい抗体を見ているのではないかと見ている。


機関投資家大手18機関は10月21日、三菱商事と韓国電力公社(KEPCO)主導のベトナムのVung Ang 2 石炭火力発電事業に投融資等で関与している日本と韓国の企業・金融機関に対し、気候変動を悪化させるとして同事業から撤退するよう求める共同書簡を送付した。

「石炭火力発電Vung Ang 2 の建設計画に関わるのは、気候変動に伴う企業の財務、評判への影響にとって、リスクだ。計画撤退を要請する」としている。

https://www.nordea.lu/documents/static-links/Nordea_CEO_letter_on_climate_coal_phase_out_Vung_Ang_2.pdf/

共同書簡の宛先は公開されていないが、事業主体の三菱商事、中国電力、KEPCO、付保を検討中の日本貿易保険、融資を検討中の国際協力銀行、三菱UFJフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友信託銀行、韓国輸出入銀行、EPCで関与する斗山重工業、Samsung C&Tとされる。

共同書簡を送付したのは、北欧最大の機関投資家 フィンランドのNordea Asset Managementを中心に、スウェーデンの公的年金AP7、英地方政府年金基金 Brunel Pension Partnership、英財団資産運用 CCLA、スウェーデンのFolksam等18機関。そのうち5社は、企業名の公表を控えた。

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問題となっているのはベトナムのVung Ang 2 石炭火力発電事業で、概要は以下の通り。

計画:1,200MW(600MW×2基)の石炭火力発電(超々臨界圧)

立地:ハティン省ブンアン経済区内(既設のブンアン1石炭火力発電所の隣接地)

事業者:Vung Ang 2 Thermal Power Company

出資者:OneEnergy Ltd.(三菱商事 40% / 中国電力 20% / KEPCO 40%)が100%

総事業費:約22億米ドル

融資者:国際協力銀行と民間金融機関

設計・調達・建設(EPC)契約者:(当初)Energy China GPEC(中国)、GE(米)

             両社が撤退し、韓国勢が引き受けるとする報道がある。

予定:2020年建設開始、2024年稼働開始


石炭火力が問題となるにつれ、事業参加者が次々撤退した。現状では出資、融資とも日本と韓国企業のみ。
なお、建設に日本企業は参加していない。

韓国電力公社(KEPCO)は2020年10月5日、香港のCLPが抜けた後の出資を最終決定した。政府系シンクタンク韓国開発研究院による予備妥当性評価で赤字プロジェクトになることが報告され、韓国環境相からも出資すべきではないとの意見が出ていたが、韓国政府とKEPCOは最終的に出資を決めた。

 出資:

  当初 2011/9 2012 2018/4

OneEnergy 出資者

当初 2019/12 2020/10
OneEnergy 30% 30% 48.45% 100%

三菱商事 40%
中国電力 20%
香港CLP 40%



CLP撤退

三菱商事 40%
中国電力 20%
KEPCO  40%

現地 LILAMA 25% 撤退
Ree 冷蔵電気工業 23% 48% 51.55%
その他 22% 22%

 融資:

2019/11 OCBC銀行が脱石炭方針により撤退
2019/12 スタンダードチャータード銀行は、パリ協定の目標達成に整合させるためとして、融資を撤回
2020/1  DBS銀行が撤退。

三菱商事は2018年10月に「ESGデータブック」の改訂版を発表し、新規の石炭火力発電の開発を行わない方針を発表しているが、すでに開発に着手した案件(本件を含む)は例外としている。 

付記

国際協力銀行(JBIC)は、12月28日、三菱商事株式会社等が出資するVung Ang II Thermal Power Limited Liability Companyとの間で、ブンアン2石炭火力発電事業を対象として、融資金額約636百万米ドル(JBIC分)を限度とするプロジェクトファイナンスによる貸付契約を締結した。

本融資は、「成長投資ファシリティ」を活用し、民間金融機関及び韓国輸出入銀行との協調融資により実施するもので、協調融資総額は約1,767百万米ドル。


小泉進次郎環境相は2020年1月21日、三菱商事が主導するベトナムでの石炭火力発電所の建設計画について再検討を訴えた。

計画について「理解が得られるものではなく、つくるのはおかしい」と異例の反対意見を表明した。日本以外の国の企業が建設を担当し、政府の輸出要件に反することを理由に挙げた。

「日本がお金を出しているのに、結果的にプラントを作るのは中国やアメリカの企業だ。こういう実態はおかしい」と述べた。

2020/2/6 小泉環境相、ベトナムへの石炭火力建設計画に反対 

米製薬会社 MerckドイツのMerckと区分するため、米加以外での社名は MSD は11月23日、株式非公開のバイオ医薬品会社OncoImmuneを425百万ドルの現金前払いで買収すると発表した。2020年末までに買収を完了する。
OncoImmuneの株主は売上高および一定の規制関連のマイルストン達成に基づいた支払いを受け取る権利を得る。


OncoImmuneは 新型コロナ治療薬「CD24Fc」のほか、がんや自己免疫疾患の治療薬を開発する。
「CD24Fc」を除く事業は、買収完了前にスピンアウトさせ、既存株主が株主となる。Merckも50百万ドルを投じ、この会社の少数株主になる。

「CD24Fc」は重度の新型コロナ患者向けの治療薬で、臨床試験(治験)の中間分析によると、人工呼吸器を必要とする入院患者に対して呼吸不全と死亡のリスクを50%減少させる効果が確認されている。

MerckはOncoImmuneで課題となっていた製造・供給能力を強化する。自社の生産設備の一部を使って、2021年半ばまでに新型コロナ治療向けの増産体制を構築する。

Merckは5月26日にオーストリアのワクチンメーカーのThemis Bioscienceを買収すると発表した。新型コロナウイルスのワクチン開発を加速させるのが狙いで、臨床試験を年内に開始する。

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OncoImmuneの主力製品の新型コロナ治療薬「CD24Fc」は、自然免疫系を標的とするfirst-in-classの組換え融合タンパク質で 、過剰な免疫反応を抑えることで炎症を防ぎ、治療の効果を飛躍的に高めるもの。

Paulson & Kawasaki  Nat Biotechnol 2011 may 29

組織障害が起こると放出されるDAMPs(危険関連分子パターン)は、免疫細胞膜上のTLRに結合して活性化させ、NFkBを介して各種サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IL-6) 産生を起こす。

CD24抗原はDAMPsを取り込んで、TLRとの結合を減らすとともに、細胞表面蛋白質のSiglecと結合、DAMPからの活性化シグナルを抑制し、過剰な免疫反応を抑える

CD24Fc はCD24を抗体のIgG1のFc部分とfusionさせたCD24の二量体。 CD24部分が遊離DAMPsおよびSinglec10に競合的に結合することで、初期炎症反応抑制およびT細胞活性化抑制の二つの作用機序を持つ。 


同社ではCOVID-19以外にも多くの症状の治療に効果があると見ている。

治験の状況は下記の通り。

COVID-19の入院患者で人工呼吸器を必要とした重症患者の50%超に対し、呼吸器の疾患や死亡のリスクを減らしたことが実証されている。

健康なボランティアを対象とした第I相臨床試験では、CD24Fcの安全性が実証されただけでなく、複数の炎症性サイトカインの発現を抑制する生物学的活性も実証された。

造血幹細胞移植(HCT)を受けている白血病患者を対象とした第II相臨床試験では、CD24Fcの3回投与により、免疫系の過剰反応によって引き起こされる重度(グレード3〜4)の急性移植片対宿主病(GVHD)が効果的に排除された。

GVHDは、ドナー(臓器提供者)の臓器が、免疫応答によってレシピエントの臓器を攻撃することによって起こる症状の総称
ドナーの移植片が攻撃されることによる「拒絶反応」の逆)

HIV / SIV感染の前臨床モデルでは、CD24Fcが複数の炎症性サイトカインの産生を改善し、Tリンパ球の喪失と機能的なT細胞の枯渇を逆転させ、複数の臓器の白血球浸潤を減少させることを示した。

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FDA、Eli Lillyの抗体治療薬の緊急使用許可 モノクローナル抗体治療薬「Bamlanivimab」

FDA、Regeneron Pharmaceuticalsの抗体カクテル療法にEUA 「Casirivimab and Imdevimab Antibody Cocktail」

武田薬品工業は世界の9社と共同でCoVIg-19 Plasma Allianceをつくり、COVID-19の治療を目的とした高度免疫グロブリン製剤(CoVIg-19)を開発している。現在、臨床第3相試験に入っており、早ければ年内にも治験結果がまとまる。成功すれば各社がノーブランドで販売する。

免疫グロブリンは「天然の予防抗体」といわれ、新型コロナから回復した患者の血液中の抗体の集まり で、人工的に設計された ものに対し、効果が高いとされ、量産もしやすい。

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武田薬品の参加するCoVIg-19 Plasma Allianceは10月9日、共同で開発が進められるCOVID-19の治療を目的とした高度免疫グロブリン製剤(CoVIg-19) について、米国国立衛生研究所(NIH)の米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が実施する臨床第3相試験「Inpatient Treatment with Anti-Coronavirus Immunoglobulin(ITAC)」の患者が登録されたことを確認した と発表した。

武田薬品は、世界をリードする他の血漿分画製剤企業9社と共同でCoVig-19 Plasma Alliance を共同設立し、新型コロナウイルスとの世界的な闘いに向けた高度免疫グロブリン製剤の開発および製造を進めている。

2020年4月6日に CSL Behringと武田薬品がCOVID-19の治療薬となり得る血漿分画製剤の開発に関する提携契約を締結し、本提携にBiotest、BPL、LFB、Octapharmaの各社が参画した。
5月8日に4社が追加参加した。

血漿分画製剤領域で世界をリードする企業が協力し、COVID-19に対する世界的な戦いにおいて高度免疫グロブリン製剤の開発および製品化を行なう もので、
ノーブランドの抗SARS-CoV-2ポリクローナル高度免疫グロブリン製剤の臨床開発に直ちに着手した。  

このアライアンスは、米Mayo Clinicが提唱した感染回復患者から血漿を採取し治療薬を開発するイニシアチブ「The Fight Is In Us」にも参加している。

CoVIg-19 Plasma Allianceメンバー

当初
メンバー
2020/4/6
武田薬品 免疫グロブリン製剤を含む血漿分画製剤は、買収したシャイアーが強みとして抱えていた分野。
Biotest 血漿タンパクと生物学的製剤を提供する企業であり、ドイツのDreieichに本社を置く。前臨床および臨床開発から世界中での販売にまでおよぶバリューチェーンを有し、主に臨床免疫領域、血液領域および集中治療領域に特化してい る。
ヒト血漿由来の免疫グロブリン、凝固因子、アルブミンを開発、販売している。
BPL(Bio Products Laboratory) 60年以上の歴史を有するBPLは世界中の医師、患者、顧客のニーズを満たす高品質の血漿分画製剤を提供してい る。 英国に本社を置き、全米に血液収集センターを有し、免疫不全、出血性疾患、感染症の治療や救急医療用の医薬品の製造に取り組んでいる。
CSL Behring 豪の CSLの米国子会社
生物学的製剤のグローバル企業で、血液凝固疾患、原発性免疫不全症候群、遺伝性血管性浮腫、遺伝性呼吸器疾患、神経系疾患などの治療に用いられる製剤を開発、提供している。
また、心臓手術、臓器移植、やけど、新生児の溶血性疾患の予防などに使用される製剤も扱っている。
世界でも最大規模の血漿採取ネットワーク(CSL Plasma)を運営している。
LFB 重篤な希少疾患の患者の治療に用いる血漿分画製剤および遺伝子組換えタンパクを開発、製造、販売するバイオ医薬品グループ。
欧州におけるバイオ医薬品企業のリーディングカンパニーの1つで、主に病院の医療関係者に、免疫、止血、集中治療の3つの主要分野における血液由来の治療薬を届ける。
1994年にフランスで設立され、現在30カ国以上で15の製品を販売している。
Octapharma スイスに本社を置き、ヒト血漿およびヒト細胞株からヒトタンパクを開発および製造する世界最大のヒトタンパクメーカーの1つ。
血液がん領域、免疫治療領域、救命救急領域の3つの領域にわたり、118か国で販売している。
追加
メンバー
2020/5/8
ADMA Biologics 感染リスクのある免疫不全患者および特定の感染症のリスクがある患者の治療に用いる専門的な血漿由来生物学的製剤の製造、販売および開発に特化した米国のバイオ医薬品企業。
免疫不全の治療および特定の感染症予防に用いる血漿由来生物学的製剤3種類を製造・販売している。
フロリダ州の血漿分画精製施設で免疫グロブリン製品を製造している。
BioPharma Plasma 血漿分画製剤の開発・生産に注力するウクライナのバイオ医薬品企業。
ウクライナおよびその近隣諸国において、製造の最新技術を持つ唯一の工場を有している。
アルブミン、免疫グロブリン、凝固因子をウクライナおよび世界30カ国以上に供給している。ウクライナ
GC Pharma 旧社名Green Cross Corporation。タンパク質治療薬やワクチンを製造販売する韓国のバイオ医薬品企業。
世界有数の血漿タンパク製剤メーカーの一つであり、半世紀以上にわたり高品質な医療ソリューションの提供に専念。
Sanquin オランダで血液採取と血漿採取の両方を担い、Sanquin Blood Bankとその製薬法人であるSanquin Plasma Productsで構成され る。研究目的と抗COVID-19免疫グロブリン製造の両方に活用すべく、回復された患者からの血漿を収集してきた。
支援 Bill&Melinda Gates Foundation 助言支援
Microsoft テクノロジー面でのサポート(ウェブサイト、Plasmabot:ドナー募集のためのツール)


臨床第3相 ITAC試験では、COVID-19により重篤化リスクのある患者を治療できる可能性のある抗コロナウイルス高度免疫グロブリン静注製剤(H-Ig) の安全性、忍容性、有効性を評価 する。

これは国際多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験で、米国やメキシコ、その他16カ国の5大陸にわたる最大58施設において実施され る。

治験に使われる高度免疫グロブリン静注製剤は、CoVIg-19アライアンス のCSL Behring と武田薬品が提供するほか、他の2社からも提供される予定。

発症後12日以内で、生命を脅かすような臓器障害や終末臓器不全のない成人のCOVID-19入院患者500人が登録される。
標準治療としてレムデシビルが投与され、さらに高度免疫グロブリン静注製剤が投与された時の安全性と有効性が評価され る。

CoVIg-19アライアンスでは、COVID-19から回復した患者に血漿提供を呼びかけている。(日本ではやっていない)

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武田薬品はビジネス面、研究面の双方で「血漿分割製剤」をフォーカス対象にし、重視している。

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