「no」と一致するもの

主力のメタノールが、値下がりと、サウジのメタノールJVの出資比率減、一過性費用の発生などで赤字となり、大幅減益となった。

単位:億円 (配当:円)

  売上高 営業損益 持分法 経常損益 特別
損益
当期
損益
  配当
中間 期末
2018/3 6,359 627 183 807 -73 605 24.0
(12.0)
35.0
(17.5)
2019/3 6,490 414 284 692 -1 550 35.0
(17.5)
35.0
(17.5)
2020/3 6,133 343 -13 311 32 212 35.0
(17.5)
35.0
(17.5)
増減 -356 -71 -297 -381 34 -338 0 0
2021/3予 5,800 270 15 260 170 35.0
(17.5)
35.0
(17.5)


同社の海外メタノール事業はJV運営で持分法損益となるため、これを含めた経常損益ベースで判断する。

18/3 19/3 20/3 増減 うち持分法 21/3予想
天然ガス系 149 227 -57 -284 -244 -18
芳香族 251 140 105 -35 56
機能化学品 386 282 223 -59 -45 194
特殊機能材 63 45 58 14 -4 49
その他 3 5 0 -5 -4 0
全社 -46 -6 -18 -12 -20
合計 807 692 311 -381 -297 261


主力のメタノールの価格は下図の通り、低迷が続く。

持分法子会社以外の営業損益でも71億円の減益だが、メタノール等の価格差が-108億円ある。
光学樹脂ポリマー、電子材料等では数量増の益が56億円ある。

三菱ガス化学が主体(47%出資)の日本・サウジアラビアメタノール(JSMC)とサウジのSABICとの50/50JVのSaudi Methanol Company (AR-RAZI) は2018年11月29日に合弁契約の期限切れを迎えた。

その後の交渉で下記の通りとなった。

JSMC SABIC  
従来 50% 50%  
2018/11/29 25% 75% SABICは 150百万ドルをJSMCに支払い
2019/3/末契約延長  25%  75% JSMCは 1,350百万ドルをSABICに支払い

JSMCは 1,350百万ドルを20年分割で経費算入する。

これにより、2020年3月期は持分利益が半減した。 

2018/11/5 三菱瓦斯化学のSaudi Methanol、合弁契約の期限切れ 

なお、三菱ガス化学は当期にAR-RAZI株式売却に伴う損失や追加の税金費用など一過性費用の発生78億円を計上した。


持分法損益については2021年3月期も、一過性費用がなくなるだけで、当期と同じ状況が続く。



トランプ大統領は5月18日夜、世界保健機関(WHO)のTedros Adhanom Ghebreyesus事務局長に書簡を送り30日以内に対応しなければ、資金を恒久的に引き上げると通告した。 脱退の可能性も示唆した。

トランプ大統領は4月14日の記者会見で、WHOへの資金拠出を当面の間停止すると表明した。「コロナウイルスの拡散への対応の誤りと隠蔽について、WHOがどんな役割を担ったかを調査する」と述べ、その間は資金拠出を停止するよう指示したと明らかにした。

2020/4/11 トランプ大統領、WHOへの拠出金削減を検討 


資金引き上げ、脱退での脅しは不適切だが、WHOへの批判は間違っていないように見える。

WHO年次総会は5月19日、新型コロナウイルス感染拡大への世界的対応に関して独立した検証を求める"COVID-19 Response" 決議を採択した。

書簡の内容は下記の通り。

4月14日に述べた調査の結果、WHOが中国から独立していないとの懸念が確認された。次の点が分かった。

WHOは「昨年12月以前から武漢でウイルスが広がっている」との信頼すべき報告を無視してきた。WHOは中国の主張と合わない信頼すべき情報を独自に調査しなかった。

12月30日以前にWHO北京事務所は武漢で重大な健康面での懸念があることを知っていた。12月26日から30日の間に中国メディアは 、中国の多数のゲノム企業に送られた患者のデータから、「新しいウイルスが武漢で発生している」ことを報道した。この間、武漢の病院のDr. Zhang Jixianが中国当局に「新しいコロナウイルスが新しい病気を引き起こし、約180人の患者が出ている」ことを報告している。

翌日までに台湾当局が「このウイルスが人から人に感染する」ことをWHOに連絡している。しかしWHOは恐らく政治的理由から、これら重要な情報を世界に知らせなかった。

WHOは台湾からは「人に感染する」との情報は来ていないと言い訳した。
これに対し、台湾は「患者が隔離されている」と報告しており、隔離するということは感染するからであるとした。

国際的な規則では、各国は健康面での緊急事態を24時間以内に報告することになっている。しかし中国はWHOに原因不明の肺炎のケースを12月31日まで報告しなかった。
事態を何日も何週間も前に知っていた筈なのに。

Shanghai Public Health Clinic Centerの Dr. Zhang Yongzhen によると、1月25日にウイルスの遺伝子の配列を当局に伝えた。
これは広報されず、彼自身が1月11日にオンラインに載せた。翌日、当局は彼のラボを閉鎖した。WHOも認めているように、彼の行動は極めて「透明性」行動である。しかしWHOは、ラボの閉鎖と博士が事実を6日前に当局に伝えたとの主張について沈黙した。

WHOは繰り返し、コロナウイルスについて主張するが、不正確はミスリーディングなものである。

1月14日にWHOは、「コロナウイルスはヒトからヒトに感染しない 」という今や誤りとわかっている中国の主張を確認し、「中国当局の調査でヒトからヒトへの感染の明確な証拠はない」と述べた。これは武漢からの検閲された報告とも明らかに矛盾する。

1月21日に、習近平は貴職にコロナウイルスの蔓延を緊急事態としないよう圧力をかけた。貴職はこの圧力に負け、 「コロナウイルスは国際的な懸念の公衆衛生上の緊急事態ではない」と世界に伝えた。1週間後の1月31日に、圧倒的な証拠 が出たため、これを変更した。

1月28日に、習近平と北京で面会後、貴職は中国政府のコロナウイルスに関する透明性を褒めたたえた。 「中国は蔓延対策で新しい基準を打ち立て、世界に時間を稼いでくれた」と述べた。中国がウイルスに関してしゃべった医師を黙らせたり罰したりしたこと、中国の機関が情報を発表することを制限したことについては述べなかった。

1月30日に貴職が遅まきながら緊急事態を宣言した後も、WHOの専門家チームをすぐ受け入れるよう、中国に求めなかった。その結果、チームの到着は2週間後の2月16日になった。
その時さえ、チームは最終日まで武漢に行けなかった。WHOは、中国がチームの2人の米国人の武漢訪問を最後まで拒否したことを黙認した。

貴職は中国の国内旅行規制を強く褒めたが、どういう訳か、中国から来訪する人の米国入国禁止に反対した。私は貴職の反対を押して実行した。
貴職の本件での姿勢は極めて問題だ。他国は貴職のコメントに従い、命に係る中国からの、及び中国への旅行制限を遅らせた。
信じられないことに、2月3日に貴職は、中国は世界をウイルスから救う偉大な仕事をしているため、旅行制限はむしろ害があると述べた。その時には、中国が、武漢封鎖の前に500万以上の人が武漢を離れ、世界中に向かうことを認めていたことを世界中が知っていた。

2月3日に中国は各国に旅行制限をやめるよう強く圧力をかけた。これは貴職の「ウイルスの中国以外への拡散は限られた、遅いもので、中国以外に拡散する恐れは非常に低い」との不正確なコメントに支えられた。

3月3日に、WHOは、深刻な拡散リスクを弱めるための中国のデータを使い、「COVID-19はインフルエンザのようには強力に感染しない」、「インフルエンザと異なり、この病気は感染しているが発症していない人からは感染しない」と世界に伝えた。中国が主張し、WHOが繰り返し世界に伝えたことは誤りであったことは明らかだ。

3月11日に貴職がようやくパンデミックだと認めた時には、既に少なくとも114か国で4000人以上が死に、10万人以上が感染した。

4月11日にアフリカの数カ国の大使が中国外務省に中国でのアフリカ人に対する差別を訴えた。貴職は中国当局がアフリカ人への強制隔離、立ち退き、サービス拒否などをしているのを知っていたのに、貴職は中国の人種差別について述べなかった。
しかし貴職は台湾が貴職のパンデミックの扱いでのミスをについての証拠のある不平(年末までに台湾当局が「このウイルスが人から人に感染する 」ことをWHOに伝えたのに無視したと批判)をしたことを人種差別とした。
(注 事務局長はエチオピア人、中国による同じアフリカ人への差別は黙認しながら、台湾による事務局長批判を人種差別とした。) 

この危機を通じ、WHOは不思議なことに中国の「透明性」を褒め続けた。実際は全く透明でないのに、貴職はこれに加わった。
例えば、中国は1月初めにウイルスサンプルの破棄を命じ、重要な情報を破壊した。
現在でも、正確でタイムリーな情報、サンプルを供与することを拒否し、ウイルスとその根源についての重要な情報を出していない。今も中国の研究員と研究所へのアクセスを拒否し、研究員を監視している。

WHOはウイルスの根源の独立した調査を中国に表立って求めていない。各国はWHO総会で"COVID-19 Response" 決議を求める。

 注 WHO年次総会は5月19日、新型コロナウイルス感染拡大への世界的対応に関して独立した検証を求める"COVID-19 Response" 決議を採択し、2日間の日程を終えた。

我々は、WHOがもっともっとうまくやれた筈だということを知っている。

数年前、他の事務局長の下で、WHOはうまくやった。2003年の中国でのSARS蔓延で、Harlem Brundtland事務局長は55年間で初めて緊急旅行勧告を出し、中国南部の発生源との行き来について勧告した。中国が通告者を逮捕したり、メディアを監視することで事態を隠し、世界を危機に落とし込むのを批判した。
この例に従っておれば、今回、多数の命が救われた筈だ。

貴職とWHOの失策の繰り返しは高価なものとなった。唯一の方法は中国からの独立を実際に示すことだ。

米政府は既にWHOをどう変えるか、貴職と議論を始めている。しかし、すぐに行動することが必要だ。無駄にする時間はない。

そのため大統領として、貴職に伝える。もしWHOが30日以内に大きな改善をしないなら、米国はWHOへの資金供給の一時的凍結を永久的なものとし、脱退も検討する。米国の納税者が米国の利益に明らかに貢献しない組織に資金を供給し続けることを認めるわけにはいかない。

ーーー

「一つの中国」を認めない蔡英文政権が発足した翌年の2017年から、中国の反対で台湾はオブザーバー参加ができていない。

ポンペイオ国務長官は、WHOの年次総会で、台湾のオブザーバー参加が認められなかったことについて非難する声明を発表した。「テドロス事務局長は台湾を総会に参加させるあらゆる法的な権限があり、前例もあるのに、そうせず、中国政府の圧力を受けて台湾を招かないことを選択した。事務局長が独立性を欠いたため、台湾の科学的ノウハウを総会から奪い、WHOの信頼性と有効性を損なった」とした。

台湾は、「WHOの事務局は中国政府の圧力に屈し、2300万人の台湾の人々の健康に関する権利を無視し続けた。中国がWHOをコントロールし、干渉する力は非常に強い」と述べている。

茂木外相は13日の衆院外務委員会で、台湾がオブザーバー参加できない理由について「中国の問題がある」と中国を名指しした。


米バイオ医薬ベンチャーのModerna, Inc.は5月18日、開発中の新型コロナウイルスワクチン(mRNA-1273) の初期の治験の結果が有望だったと発表した。

ワクチンは米国立保健研究所(NIH)の国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)の研究者らがMoerna と共同で開発したもので、たんぱく質の遺伝情報を運ぶ「メッセンジャーRNA(mRNA)」を投与して体内に抗原を作り出し、免疫反応を起こさせる。

今回は主にワクチンの安全性を見るために実施されたもので、目立った危険な兆候は見られなかった。

米国立衛生研究所(NIH)が実施した治験には18歳から55歳までの45人が参加した。試験結果の詳細を今後発表する予定 。

25 µg と 100 µg を2回接種したグループと250 µg を1回接種したグループがある。

今回、詳細結果が判明した 25 µg と 100 µg を2回接種したグループ各4人、合計8人全員 からウイルスの感染を予防する働きをする「中和抗体」が確認できた。
中和抗体はウイルスに結合して、ウイルスが人の細胞を攻撃できないようにする。同社は、「こうした抗体や免疫反応が、実際にウイルスを遮断できることを我々は実証した」としている。

Modernaは間もなく600人規模が参加する次の治験を始め、7月には数千人規模が参加する最終段階の治験を予定している。
米食品医薬品局(FDA)は5月12日にFast Track(優先承認審査)対象に指定した。

同社は第2段階について、接種量を当初予定の250 µg から50 µg に変更すると明らかにした。将来的な生産本数を増やす狙いがある。


同社は4月16日、開発加速のため米厚生省の生物医学先端研究開発局から最大4億8300万ドルの拠出を受けると発表した。

この資金によって、2020年に月間で数百万本の生産が可能になり、ワクチンの有効性が証明されれば、追加投資によって2021年は月間で数千万本が生産できるようになるとしている。


同社は5月1日、スイスの製薬会社Lonzaとの間で「mRNA-1273」の10年間の製造契約を締結した。Lonzaは
7月にも
Lonza U.S. で製造した最初のバッチを供給する。

この協業で2021年末までに1回の接種量50 µg 換算で年間最大10億本の生産体制が整う見通しだとしている。

大幅減益となった。

産業ガスを除いてすべて減益だが、特にMMAとヘルスケアの減益が大きい。
なお、田辺三菱製薬は2月に100%子会社となり、上場廃止となった。

                                     単位:億円(配当:円)
  売上高 営業損益 うち
コア
うち
持分法
税引前
損益
法人
所得税
継続
事業
損益
非継続
事業
損益
税引後
損益

うち

配当

少数株主 株主帰属 中間 期末
18/3 37,244 3,557 3,805 266 3,441 -677 2,764 2,764 646 2,118 15.0 17.0
19/3 38,405 2,948 3,141 268 2,848 -706 2,143 25 2,167 472 1,695 20.0 20.0
20/3 35,805 1,443 1,948 134 1,220 -523 697 169 866 325 541 20.0 12.0
増減 -2,600 -1,505 -1,193 -134 -1,628 183 -1,446 144 -1,302 -147 -1,155 - -8.0
21/3 33,340 1,370 1,400 1,140 490 12.0 12.0


連結子会社であったLSIメディエンスの全株式の株式交換に伴い同社及びその子会社等の事業を非継続事業に分類

 

営業損益

  17/3 18/3 19/3 20/3 増減 内訳 21/3
売買差 数量差 コスト削減 その他
機能部材 623 580 382 369 -13 -26 -125 63 1 370
機能化学 319 360 331 257 -74 140
MMA 379 1,096 944 243 -701 -808 -47 26 -148 260
石化 209 259 87 -21 -108 -130
炭素 38 124 249 81 -168 30
産業ガス 521 575 633 880 247 0 198 12 37 800
ヘルスケア 984 812 538 146 -392 -43 -448 78 21 -10
その他 2 -1 -23 -7 16 6 22 0 -12 -60
合計 3,075 3,805 3,141 1,948 -1,193 -871 -400 179 -101 1,400

その他差には受払差、持分損益差等

MMAの年初の国際価格(アジア地域)は1トンあたり1550ドル弱で、前年同期の2,650ドルから大幅に下落した。
2018/3月期の営業利益1096億円から853億円も減益となった。

産業ガスについては、子会社の大陽日酸が2019年3月に米国Praxairの欧州事業を買収したため、増収増益となった。

2018/7/13 大陽日酸、米国Praxairの欧州事業を買収

ヘルスケアは、下記の田辺三菱製薬 参照

ーーー
三菱ケミカルホールディングス
は2019年1118田辺三菱製薬普通株式の全てを取得し、完全子会社とすることを目的とし、公開買付けを実施すると発表した。

田辺三菱製薬は、2020/1/17~2/26の間は整理銘柄に指定され、2/27に上場廃止となった。

従来は田辺三菱製薬の税引き後損益の56.39%が三菱ケミカルホールディングスの連結損益となったが、今後は100%となる。

2019/11/22 三菱ケミカルホールディングス、田辺三菱製薬に公開買付け

営業損益のほとんどを占めていたロイヤリティ収入が激減し、大幅減収減益となった。
同社はロイヤリティ収入を除くと、コア営業損益はほとんどゼロである。

  売上高 営業損益 うちコア ロイヤリティ 税引前 株主帰属 配当
中間 期末
18/3 4,339 773 785 791 788 580 38.0 28.0
19/3 4,248 503 558 631 504 374 28.0 28.0
20/3 3,798 -60 190 174 -64 1
増減 -450 -563 -368 -457 -568 -373
21/3 3,835  170 100 非公表 175 85    


営業損益のうち、コア損益以外はメディカゴの米国開発計画変更に伴う製品に係る無形資産の減損損失 240億円ほか

問題は多発性硬化症治療剤「ジレニア」のロイヤリティ収入である。

田辺三菱製薬の前身の吉富製薬が創製し、海外ではノバルティス(スイス)に導出したこの薬剤のロイヤリティ収入は、収益の柱となっている。

2019年2月、ノバルティスから本件契約の規定の一部の有効性について疑義が提起され、2019年2月15日、国際商業会議所より、ノバルティスを申立人とする仲裁の申立てがあった旨の通知を受領した。

ノバルティスは、米国、EU等における製品の売上ベースのロイヤリティ支払い義務を定める本件契約の規定の一部は無効であり、ノバルティスにはロイヤリティの一部の支払義務がないことの確認を求めている。

本仲裁は、ICCの仲裁規則に従い、英国ロンドンを仲裁地として行われる。

IFRSルールでは、収益認識基準の要件の一つ に「契約の当事者が契約を承認しており、それぞれの義務の履行を確約している」 があり、ノバルティスが契約の有効性について疑義を提起している部分がこれを満たさなくなったため 、売上収益から除外する。

田辺三菱は、本件契約の有効性を検討した結果、何ら問題はないという結論に至っているとしている。今後、仲裁で勝利した場合、売上収益から除外している部分については一括収益計上する。

もう一つのロイヤリティの「インヴォカナ」は、ヤンセンファーマシューティカルズに導出した2型糖尿病治療剤。

 


米TeslaのElon Musk CEOは5月11日、カリフォルニア州Alameda CountyFremont 市のEV工場が同日から生産を再開すると明らかにした。


カリフォルニア州の Newsom 知事は3月19日、新型コロナウイルスの感染対策として、約4000万人の全住民に対し、食料の買い出しや通院など必要な場合を除き自宅にとどまるよう命じた。感染が住民の半数以上に広がる恐れがあるとして、医療体制の崩壊を防ぐため、期限を定めずに大規模な外出禁止に踏み切った。

アラメダ郡を含む周辺自治体は3月中旬から外出制限を始めた。Teslaは外出制限後もEV工場の操業を続けていたが、同郡が「Teslaは命令で定めた必要不可欠な業種ではない」との判断を示したことで3月下旬から操業停止を余儀なくされていた。CEOは外出禁止令について「ファシストだ」と強い不満を示していた。

カリフォルニア州は8日、新型コロナウイルス対策で3月19日に発令した外出禁止令を50日ぶりに緩和し、一部の店舗について営業再開を許可した
カリフォルニア州は8日、新型コロナウイルス対策で3月19日に発令した外出禁止令を50日ぶりに緩和し、一部の店舗について営業再開を許可した


カリフォルニア州は5月8日、新型コロナウイルス対策で3月19日に発令した外出禁止令を50日ぶりに緩和し、書店や衣料品店、生花店など一部の店舗について営業再開を許可した。

自動車産業が集積する米ミシガン州はすでに自動車関連工場の再開を認めており、GMなどの自動車大手は5月18日から段階的に生産を再開する計画を表明している。

カリフォルニア州のNewsom知事も5月8日、一部工場の操業再開を認めると表明した。

Tesla は5月9日、操業再開プロセスに着手したと明らかにした。

しかし、これに対しアラメダ郡は6月1日までテスラの工場再開を認めないことを伝えた。

州政府は市や郡などの自治体がより厳しい独自ルールを設けることを認めている。シリコンバレー周辺の自治体は、医療機関向けの防護服が不足しているなどとして5月8日以降も行動制限を続けると表明した。

TeslaのMusk CEOは5月9日 、アラメダ郡が工場再開を認めないことへの対応として、ツイッターで「Teslaは郡に対し直ちに訴訟を起こす。選出されたわけでもない無知な暫定保健担当官は州知事や米大統領、憲法の自由、そして常識に反する行動をとっている」と述べた。

Teslaは同日、工場の再開を認めなかったことを巡り、 郡の外出禁止令は行き過ぎで憲法で保障された法の下の平等にも反するなどとし、命令の停止などを求め、サンフランシスコ連邦地裁に訴訟を提起した。

またCEOは「我慢の限界だ」と述べ、カリフォルニア州パロアルト市にあるTesla本社について「テキサス州かネバダ州に即座に移転する」ともツイートした。(パロアルト市長はTeslaへの支援を表明した。)
フリーモント工場を残すかどうかも、「将来的にTeslaがどういう扱いを受けるかによる」と移転をちらつかせた。

メディアによると、フリーモント市のTeslaのEV工場では5月11日朝から従業員らが出勤を始めていた。CEOは「誰かが逮捕されるとしたら、私だけであることを願う」とも書き込んだ。

Tesla is restarting production today against Alameda County rules.
I will be on the line with everyone else.
If anyone is arrested, I ask that it only be me.

トランプ大統領は5月12日、ツイッターに「テスラの工場を再開させるべきだ。安全にすばやく再開させることができる」と投稿し、地元自治体に対して早期に再開を認めるよう促した。

California should let Tesla & Elon Musk open the plant, NOW.
It can be done Fast & Safely!


付記 

アラメダ郡の公衆衛生当局は5月12日、フリーモント工場の再開に関して、Tesla と合意に達した、と発表した。Tesla が提出した感染拡大防止策を精査し、安全面でいくつかの追加の対策を施すことなどを条件に、工場再開で合意した。フリーモント工場の生産再開は、5月18日からとなる予定。


フリーモント工場は、もともとトヨタ自動車とGMの合弁会社「NUMMI」の工場であった。GMの経営破綻を機に合弁は解消され、2010年4月に操業を停止。その後、Teslaの工場になった。

同社にとって米国で唯一の完成車の組み立て拠点で、年産能力は約49万台。従業員は1万人を超える。


住友化学は5月8日、高精度の臭気検知IoTプラットフォームを開発するイスラエル のNanoScent社へ、同社が進める臭気検知デバイスを用いた新型コロナウイルス感染症の迅速診断センサー開発のため、必要資金の約7割を提供すると発表した。

NanoScentは、2017年設立のテクニオン・イスラエル工科大学発のスタートアップ企業で、Scent Recognition as a Serviceというコンセプトのもと、臭気検知のハードウェアのみならずソフトウェア開発も行っている。

NanoScent はケミレジスタ(chemiresistor)を搭載した臭気検知デバイスとデジタル技術を融合したさまざまな新型センサーを開発してい る。

ケミレジスタとは絶縁性または半導体性の媒体中に導電性材料を混合した材料で,物質の吸着など周辺の化学的環境により導電パスの状態が変化し電気伝導性が変化するため、さまざまな物質を検知するセンサーとして活用できる。一般にナノテクノロジーを活用した材料が用いられる

複数の臭気をリアルタイムで検知できるポータブルデバイスと、検知したデータをクラウド上に蓄積・解析し、スマートフォンなどの端末にその結果を表示させる情報基盤の試作品を完成させてい同社のNanoScent SR (Scent Recorder) は直径1mm の8つのセンサーを持つ。

NanoScent は、新型コロナウイルス感染症の拡大抑止に向けて、この技術を活用し、鼻の呼気からウイルス感染を検知できる迅速診断センサーの開発に着手した。

国境や空港、病院などでの感染スクリーニングシステム構築のため、イスラエルおよび欧州の病院や高精度な検査技術を開発する企業と連携し、実証実験を始めている。

臭気検知デバイスを用いた非侵襲(生体を傷つけない)かつ即時に判定ができる極めて簡便な診断方法と、PCR法などのより高精度な検査方法を組み合わせて、「短時間」「低コスト」「高精度」で実施可能な感染スクリーニングシステムの実現を目指す。

住友化学は、迅速診断センサー技術の開発は、新型コロナウイルス感染症はもとより、将来に発生が懸念されるパンデミック対策にも応用が可能であると考えている。

ーーー

住友化学は2019年12月にNanoScent に200万ドルを出資し、戦略的な技術的連携を深めるとともに、新規ヘルスケア事業の創出に取り組むこととした。

住友化学は連携により、次世代ヘルスケアプラットフォームの鍵となる「体調可視化」の実現を目指している。

排泄物の臭気データから体調変化や病気の兆候を読み取り、その日の体調に適したソリューション(食事や薬、生活習慣など)の提案により、健康管理に役立てる仕組みを構築すべく、実証実験を計画している。

また、さまざまな揮発性化学物質の集合体である臭気を高精度で検知できるNanoScent の技術は、ヘルスケアに留まらず、工場や街中での有害物質の検知・モニタリング、自動車内の臭気判定・管理など、応用範囲は多岐にわたるため、次世代事業の創出につながると判断した。

ーーー

臭いによる新型コロナウイルスの感知は全く新しい方法である。

現在、新型コロナウイルスの検査には、PCR検査、抗原検査、抗体検査がある。

PCR検査と抗原検査は、人体に侵入したウイルスを検査し、抗体検査は、人間が持つウイルスへの抗体を検査する。


PCR検査はウイルスのRNAの存在を検査する。ウイルスは、デオキシリボ核酸(DNA)を持つDNAウイルスと、リボ核酸 (RNA)をゲノムとするRNAウイルスに分けられる。

コロナウイルスはRNAウイルスなので、PCR法の前にRNAをDNAに変える「逆転写」という作業を行う。
次に、一本のDNAをもとに、次々にDNAを複製する。

PCR法では、検体に含まれるウイルスの遺伝子量では検出できないが、増幅することにより検出できるようになる。

2020/2/29 COVID-19 ウイルス、迅速検出

抗原検査は、ウイルスの外側に付いている突起部分(スパイク)のたんぱく質を検出する。抗原は、免疫細胞上の抗原レセプターに結合し、免疫反応を引き起こさせる物質の総称。

米食品医薬品局(FDA)は5月9日、新型コロナウイルスに感染しているか簡易診断できる「抗原検査」に初めて緊急使用認可を与えたと発表した。

Quidel Corporationが手掛ける抗原検査Sofia® 2 SARS Antigen FIAで、同社のSofia 2 Fluorescent Immunoassay Analyzer で検査する。

抗原検査は鼻の奥から綿棒で粘液を採取し、ウイルス特有のたんぱく質を検出する。

「PCR検査」より精度は劣るものの、検査現場で15分で判定できるほか、コストが安いのも利点である。

厚労省は富士レビオの抗原検査キットを5月13日に薬事承認し、保険適用する。15~30分で検出する。精度はやや劣るため、陰性が出た場合は、念のためPCRによる検査を実施する見通し。


ヒトがウイルスに感染すると、まずlgM抗体ができ、短期間で消失する。lgM抗体に遅れてlgG抗体ができ、漸減しながら長期間持続する。

抗体検査は、この抗体を検査する。

2020/5/7 米FDA、ロシュの新型コロナ抗体検査薬の緊急使用許可


Washington Post は5月7日、数多くの米国人が、自身は以前に新型コロナウイルス感染症にかかっていたと確信する現象が起こっていると報じた。

So many people are convinced that they had covid-19 already

カリフォルニア州の女性は昨年の感謝祭の1週間前に新型コロナと同じ症状に襲われた。2週間自宅で休養すると、症状は急に収まった。
その2カ月後にカリフォルニア州で最初のCOVID-19の患者が出た。

インフルエンザや風邪とCOVID-19の症状に似たところがあるが、 彼女は、みんなが知るまえにCOVID-19が発生しており、自分もそれに罹ったのではと思っている。

同じように考えている人が多数存在するという。

同紙は、COVID-19が問題になる前にこの病気に罹っていたと考える現象を「thinkihadititis」と呼んでいる。

「Think I had it」病(itis )=「私はそれに罹った」病である。多くの人が 'I think I had it, I think I had it' と叫んでいるという。

有名人に多いという。

最近の抗体検査で、COVID-19に罹った人よりもはるかに多い人で抗体が見つかっている。

COVID-19には罹りたくないが、すでに新型コロナを体験しているため体内に抗体が生成されている筈だとの希望がこの現象を生んでいるという。

(但し、WHOは抗体ができても再度罹らないとの保証はないと警告している。)

ーーー

別記事で、4月30日に新型コロナウイルスの抗体検査で陽性だったことを明かした米歌手のマドンナが、5月2日に自宅待機命令を無視して友人の誕生日パーティーに出席していたことが発覚し、批判を呼んでいる。

2月22日に仏パリで公演を行った後、けがによる不調を理由にその後のツアーを中止。そして感染予防として3月10日と11日に同地で行われる予定だった最終公演も中止したが、実際には自身も含めてツアースタッフの多くが体調不良だったこ

2月22日に仏パリで公演を行った後、その後のツアーを中止したが、実際には自身も含めてツアースタッフの多くが体調不良だったという。

2月22日に仏パリで公演を行った後、けがによる不調を理由にその後のツアーを中止。そして感染予防として3月10日と11日に同地で行われる予定だった最終公演も中止したが、実際には自身も含めてツアースタッフの多くが体調不良だったこ

2月22日に仏パリで公演を行った後、けがによる不調を理由にその後のツアーを中止。そして感染予防として3月10日と11日に同地で行われる予定だった最終公演も中止したが、実際には自身も含めてツアースタッフの多くが体調不良だったこ

マドンナは3月末に「新型コロナは富裕層も賢い人も感染する。平等をもたらすのは素晴らしい」などと投稿し、物議を醸していた。




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2020年3月期は増収増益で、営業損益、経常損益、当期損益とも10年連続増益で、いずれも3期連続の最高益になった。
Shintechが減益となったが、半導体シリコンの増益で補った。

2021年3月期については、
コロナ禍がいつどのように終息するか、世界経済への毀損がどのぐらいになるのか、現時点では見通せないため、未定とした。

単位:億円 (配当:円)

  売上高 営業損益 経常損益 株主帰属
当期損益

配当

中間 期末
2017/3 12,374 2,386 2,421 1,759 60 60
2018/3 14,414 3,368 3,403 2,662 65 75
2019/3 15,940 4,037 4,153 3,091 100 100
2020/3 15,435 4,060 4,182 3,140 110 110
前年比 -505 23 29 49 10 10
2021/3

未定

2008年3月期以降の減益については 2019/5/1 要企業の2019年3月決算ー信越化学 の後半参照

年間配当は5期連続での増配で、2015年3月期までの100円から220円とした。

営業損益は下記の通り。


営業損益推移 (
単位:億円)

セグメント  17/3 18/3 19/3 20/3 増減  
塩ビ・化成品 532 932 1,065 922 -143 シンテックは高水準の出荷を継続したが、市況の影響を受け減収減益(下記)。
シリコーン 425 520 585 615 29 汎用製品の価格下落
機能性化学品 222 257 266 277 11
半導体シリコン 560 930 1,320 1,433 113 販売価格と出荷水準の維持
電子・機能材料 552 616 670 685 15
その他 96 115 133 148 15  
全社 -1 -2 -3 -20 -18  
合計 2,386 3,368 4,037 4,060 23  


シンテックのエチレンプラントは商業生産を開始、順調に稼働している。塩ビ樹脂の増設計画は第三期まであり、第一期分の工事が進行中。


Shintechの損益は下記の通りで、減収減益となった。
(前回、発表なしとしたが、掲載場所が変わっただけで、発表されていた。)

今後は、エチレン新設(2020年上半期稼働)と電解からPVCまでの一貫生産(第一期が2020年末完成)により更なる増益が期待される。

Shintech の能力は次の通りとなる。単位:万トン

立地 PVC VCM カ性ソーダ エチレン
Texas州 Freeport  145   -   -  
Louisiana州 Addis   58   -   -  
Plaquemine   60   160  106  
  2013/6 増設 32 30 20  
手直し     4  
2020初め 完成       50
(認可取得)   (86) (66)  
2020年末 完成 29 ? 27  
今回増設後合計 324  ?   157 50

 

米製薬大手Pfizer Inc.は5月5日、ドイツのバイオ医薬スタートアップ企業のBioNTech SE と共同開発する新型コロナウイルスの予防ワクチンの臨床試験(Phase1/2) を米国でも始めたと発表した。

4種類のRNA(リボ核酸)ワクチン候補 BNT162 をヒトに接種し、安全性を確認する。ドイツで4月に先行して同段階の治験を開始した。早ければ年内に数百万本を生産する。

ワクチンの臨床試験では通常、安全性の検証(Phase 1)から開始するが、今回はワクチン開発を加速化させるため安全性と免疫システムの反応(Phase 2) を同時に検証する。

先ず、NYU Grossman School of Medicine と University of Maryland School of Medicineで始め、その後、University of Rochester Medical Center/Rochester Regional Health とCincinnati Children's Hospital Medical Center で実施する。

健康な360人を18-55歳と65-85歳の2グループに分けて実施する。先ず、若いグループで安全性と免疫システムの反応が確認された時点で、高齢者層のグループの臨床試験を開始する。

世界各地でワクチンの開発が進められており、いくつかの種類があるが、同社のは「mRNAをベースにしたワクチン」で、抗原となるたんぱく質をmRNAで発現させ、それに対応した抗体が体内で産出されるよう促すもの。

それぞれ異なるmRNA構造と標的抗原を有する4種のワクチンをテストする。
4つのワクチン候補のうち2つは修飾ヌクレオシドmRNA (modRNA)を含み、1つはウリジン含有mRNA(uRNA)を含んでおり、4つめは自己増幅 mRNA(saRNA)を利用している。

まず、18~55歳の健常成人を約200名組み入れ、1~100 µgの用量を投与して今後の臨床試験の至適用量を検討するとともに、ワクチン候補の安全性と免疫原性を評価する。
加えて4つのワクチン候補のうち、uRNAまたはmodRNAを含む3つを反復投与した際の効果も評価する。

COVID-19感染症が重症化するリスクの高い被験者(65-85歳)は、本試験の2つ目のパートに組み入れる。

臨床試験に当たり、BioNTechがワクチンを提供する。

ーーー

BioNTech はオーストリアのPolymun Scientificと組んで、ドイツのMainz及びIdar-Oberstein工場でmRNA を生産している。


Pfizer とBioNTech は
2018年にインフルエンザ予防を目的としたmRNAワクチンの開発のために共同開発契約を結んだ。

この契約に基づき、両社は3月19日にコロナウイルスに対するmRNAワクチンの共同開発および流通(中国を除く)に関する覚書について合意した。

BioNTechのmRNAワクチンBNT162の開発を加速することを目的とする。米国とドイツを含む両社の複数の研究開発施設を活用する。

これを基に、今回の契約となった。

BioNTech は3月16日、Shanghai Fosun Pharmaceutical (上海復星醫藥)との間で、BioNTechのCOVID-19のmRNAワクチン候補であるBNT162の中国での開発のための戦略的開発及び商業化協力契約を締結した。

BioNTechの供給するBNT162を使い、復星醫藥の中国における広範な開発、規制対応、商業化の能力を活用し、中国で共同で臨床試験を実施する。

中国で承認を得られた場合、復星醫藥が中国で販売する。中国以外の全世界での開発・販売権はBioNTech が持つ。

なお、復星醫藥BioNTech に50百万ドルを出資した。

ーーー

臨床試験の成功を予想し、両社は供給体制を増強している。

Pfizerは承認を前提に世界中に供給すべく拡張に着手している。同社の米国3工場 (Massachusetts, Michigan and Missouri) とベルギーのPuurs工場を製造工場に決め、更に追加工場を決める。2020年に数百万本を供給、2021年に数億本に増やす。

BioNTechも既存のドイツのMainz及び Idar-Oberstein工場で能力増強を図る。

承認取得後、BioNTech と Pfizer は中国を除く世界全体で共同で販売する。

ーーー

世界で開発中の新型コロナウイルスワクチンは70種類に上るとされる。

米国のModerna, Inc. がmRNAワクチン「mRNA-1273」の臨床試験(Phase 1) を行っている。

同社は4月16日、開発加速のため米厚生省の生物医学先端研究開発局から最大4億8300万ドルの拠出を受けると発表した。

付記

スイスの製薬会社Lonzaは5月1日、Modernaのワクチン「mRNA-1273」の製造契約を締結したと発表した。

7月にもLonza U.S. で製造した最初のバッチを供給する。

また、INOVIO Pharmaceuticals がDNAワクチン「INO-4800」の臨床試験(Phase 1)を行っている。

中国では、Cansino Biologics(康希諾生物)と中国人民解放軍軍事科学院軍事医学研究院生物工程研究所が共同開発したウイルスベクターワクチンが第2相試験の段階にある。




さきに2019/4/7「BCGはCOVID-19に効くか?」、2020/4/13 BCGとCOVID-19(補足)、2020/4/27 BCGとCOVID-19(その3)を書いた。BCGとCOVID-19の関連についての仮説を確かめた。

そのまとめ:

1) BCG全員注射をやったことのない4か国の死者は極めて多い。

2) 現在もBCG注射をしている国は、現在はしていない国境を接する隣国に比し、著しくひくい。

3) BCG全員注射をやったことのない4か国(160人以上)と、現在もやっている残りの国(5人未満)との差は驚くほど大きい。

4)ワクチンのうち、ソ連株、日本株を使う国は死亡率が低い。死亡率が高い国はDenmark株が多い。

日本株とソ連株は、デンマーク株と細胞膜構成成分が異なる。

日本株とソ連株は他の亜株に比し、結核に対して免疫を起こす力は同程度だが、生菌数が非常に多い。

ーーー

ここで問題に気が付いた。「現在もやっている国」と「現在はしていない国」の対比は正しくない。

いつ始めたか、いつ止めたかにより、国民のどれだけが接種をしているかに差がある。

東京工大のチームがmedRxivに発表した論文 Relationship between COVID-19 death toll doubling time and national BCG vaccination policyを見つけた。

BCG接種国と非接種国で死亡率が大きく異なるが、接種国の中では東京株と他の株でも大きな差があるとする。
死亡数が倍になる日数が東京株の8カ国平均で7.2日であるのに対し、他の株の34か国平均は5.5日である。

この論文には、国別に集団接種を実施した期間、集団接種を受けた人の現在の年齢(何歳から何歳まで)とその国のBCG株の種類が記載されている。

これにより、全人口のうちのどれ位が接種をうけているかが分かる。

前の記事で、隣接する英国(現在はしていない)とアイルランド(最近まで実施)との差が急速に近づいているとした。
実際には英国では延べ53年間接種を実施(最初の年に12、3歳児までを実施)、アイルランドとの差は少ない。
(今回の表ではアイルランドは1950s-2003?となっているが、前回資料では1937-2015となっている)

スウェーデン(延べ36年)と隣接するノルウェー(延べ63年)では死亡率に差がある。

札幌医科大学医学部の人口あたりの新型コロナウイルス死者数の推移から最新(4月30日)の人口100万人当たり死者数を使用し、世界58カ国を死者の多い順に並べた。(ベトナムを追加)

1) 集団接種をしたことのない5カ国(ベルギー、イタリー、オランダ、米国、カナダ)の死亡率は極めて高い。
カナダは比較的少ないが、任意の接種で2012年から日本株を使っている。

2) 東京株接種の国の死亡率は極めて低い。

イラクは隣接するイランに比し、極めて低い。

3) ロシア(ソ連)株は日本株に近く、死亡率は低いが、東京株よりは高い。

4) 欧州はデンマーク株(Danish 1331)が多いが、接種の延べ年数が高くても(人口の多くが接種を受けている)死亡率が極めて高い。

それでも、過去にやっていないスペインと比べ、隣接するポルトガルの死亡率は低い。


人口100万人当たり死者数 順位 (2020/4/30時点)

人口千人 集団接種
実施期間
接種者
現年齢
接種
延年数
BCG株 100万人
当たり死者
ベルギー 11,590 Pasteur 1173 647
スペイン 46,775 1965-1981 39-55 17 Danish 1331 519
イタリー 60,462 Danish 1331 458
英国 67,886 1953-2005 28-80 53 Glaxo 384
フランス 65,274 1950-2007 13-70 58 Danish 1331 369
オランダ 17135 Bulgaria 275
スウエーデン 10,099 1940-1975 45-80 36 Danish 1331 244
アイルランド 4,938 1950s-2003? 17-60+ 44 Danish 1331 241
米国 331,003 184
スイス 8,655 1960s-1987 33-50+ 18 Merieux (Danish) 163
ポルトガル 10,197 1965-2015 5-55 51 Danish 1331 95
カナダ 37,742 Connaught(-2012),
Tokyo 172-1(2012--)
79
デンマーク 5,792 1946-1986 34-74 41 Danish 1331 76
ドイツ 83,784 1961-1998 22-59 38 Danish 1331 旧東独はRussia 75
イラン 83,993 <1990-2018+ 0-30+ 31 Pasteur 1173 P2 71
オーストリア 9,006 1952-1990 30-68 39 64
エクアドル 17,643 <1995-2018+ 0-25+ 26 Russia-Bulgaria 50
トルコ 84,339 1952-2018+ 0-68 69 Serum Inst. India (Russia) 45
スロベニア 2,079 1947-2005 15-73 59 Danish 1331 43
パナマ 4,315 <1980-2018+ 0-40+ 41 Russia-Bulgaria 41
ノルウェー 5,421 1947-2009 11-73 63 Danish 1331 37
フィンランド 5,541 1941-2006 14-79 66 Glaxo, Danish 1331 37
ルーマニア 19,238 1928-2018+ 0-92 93 Romania BCG substrain 35
マケドニア 2,083 <1993-2018+ 0-27+ 28 Toronto Canada (Connaught) 35
ハンガリー 9,660 1953-2018+ 0-67 68 Danish 1331 32
プエルトリコ 2,861 30
ペルー 32,972 <1990-2018+ 0-30+ 31 Danish 1331 29
モルドバ 4,034 <1992-2018+ 0-28+ 29 28
ドミニカ 10,848 <1995-2018+ 0-30+ 31 Russia-Bulgaria 27
ブラジル 212,559 <1990-2018+ 0-30+ 31 Moreau 26
イスラエル 8,655 1955-1982 38-65 28 25
チェコ 10,709 1953-2010 10-67 58 Moreau 21
セルビア 8,737 <1992-2018+ 0-28+ 29 Pasteur 1173 P2 19
ポーランド 37,847 1955-2018+ 0-65 66 Danish 1331 16
メキシコ 128,933 1951-2018+ 0-69 70 Danish 1331 13
ギリシャ 10,423 <1980-2014+ 12-46+ 35 Danish 1331 13
チリ 19,116 <1980-2018+ 0-40+ 41 Danish 1331 11
アルジェリア 43,851 <1985-2018+ 0-35+ 36 10.
ロシア 145,934 <1992-2018+ 0-28+ 29 Russia 7
ウクライナ 43,734 <1992-2018+ 0-28+ 29 Bulgaria NCIPD 6
コロンビア 50,883 <1980-2018+ 0-40+ 41 Pasteur 1173 5
フィリッピン 109,851 1979-2018+ 0-41 42 Tokyo 172-1 and others 5
韓国 51,269 1970s-1985? 0-40+ 41 Tokyo 172-1 5
アルゼンチン 45,196 <1985-2018+ 0-35+ 36 Anlis Malbran (Pasteur) 5
モロッコ 36,911 1949-2018+ 0-71 72 5
サウジ 34,814 <1985-2018+ 0-35+ 36 Pasteur, Danish 1331,
Tokyo 172-1
5
エジプト 102,334 <1990-2018+ 0-30+ 31 4
豪州 25,500 1950s-1985? 40-70 31 Connaught (until 2010s) 4
日本 126,476 <1951-2020 0-69+ 70 Tokyo 172-1 3
中国 1,439,324 1949-2018+ 0-71 72 Shanghai D2PB302 3
マレーシア 32,366 <1980-2018+ 0-40+ 41 Tokyo 172-1 3
インドネシア 273,524 <1990-2018+ 0-30+ 31 Pasteur 1173 3
イラク 40,223 <1980-2018+ 0-40+ 41 Tokyo 172-1 2
南アフリカ 59,309 <1995-2011+ 0-25+ 26 Danish 1331 2
パキスタン 220,892 1978-2018+ 0-40 41 Danish 1331(-2007)
Tokyo172-1(2008-)
2
バングラデシュ 164,689 <1990-2018+ 0-30+ 31 Serum Inst. India (Russia)
Tokyo 172-1
1
インド 1,380,004 1951-2018+ 0-69 70 Danish 1331 1
ベトナム 94,670 30年以上前から 0

   

ベトナム(いまだに死者ゼロ)の場合は、完全な封じ込めが成功した例である。

2020/4/28 COVID-19対策、ベトナムの場合


上記のデータから見ると、COVID-19による死者数とBCG接種の関係は偶然の一致とはとても思えない。

現在、世界各地でこの研究が行われている。


なお、上表では日本の集団接種は<1951年となっているが、実際は全員接種である。

1949年にBCGワクチンによる結核予防接種が法制化されたが、30歳未満の人に毎年ツベルクリン反応検査を行い、免疫が確認されなかった場合は繰り返し接種を行っている。

2013年に接種対象者が生後1歳に達するまでに変更された。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358  

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