「no」と一致するもの

台湾積体電路製造(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company: TSMCは2023年8月8日、ドイツ東部Dresdenに欧州初の半導体工場を建設すると発表した。

同社はドイツ東部ザクセン州のドレスデンに製造工場を建設する可能性について2021年から同州と協議していた。

ドイツの大手自動車部品メーカー Robert Bosch、ドイツの半導体メーカー Infineon Technologies、フィリップスの半導体部門から独立したオランダの半導体メーカー NXP Semiconductorsと合弁でEuropean Semiconductor Manufacturing Companyを設立する。

合弁会社の出資比率はTSMCが70%、Bosch、Infineon、NXPの3社がそれぞれ10%で、規制当局の承認やその他の条件が満たされることを条件とする。TSMCはこの日開催した取締役会で、ESMCへの最大34億9993万ユーロの投資を承認した。これを超えない範囲で出資する。

工場はTSMCが運営する。

予定されているファブ(半導体製造工場)は、TSMCの28/22ナノメートルプラナーCMOSおよび16/12ナノメートルFinFETプロセス技術を使用し、1ヶ月当たり約40,000枚の300mm(12インチ)ウェハを生産する見込み。TSMCは、「高度なFinFETトランジスタ技術で欧州の半導体製造エコシステムをさらに強化する」としている。なお、同工場によって、約2000人のハイテク専門職の直接雇用が創出される見込み。

2024年下半期にファブの建設を開始し、生産を2027年末までに開始する予定。

投資総額は100億ユーロを超える見込みで、EUやドイツ政府からの支援も見込む。

米国が自国の半導体産業振興策を打ち出す中、EUも2030年までに半導体生産能力を2倍にすることを目指しEU半導体法を承認。米インテルなども助成を受けて欧州に生産拠点を設けようとしている。

EU理事会は、2023年7月25日、「EU半導体法」として知られている欧州の半導体エコシステムを強化する規則案を承認した。EU半導体法」は、半導体分野における欧州の産業基盤の発展のための条件を整備し、投資を呼び込み、研究・イノベーションを促進し、将来の半導体の供給危機に備えることを目的としている。同計画では、2030年までに世界の半導体市場におけるEUのシェアを現在の10%から20%以上に倍増させることを目標に、公的・民間部門で430億ユーロの投資(EU予算から33億ユーロ)を動員する。

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米半導体大手Intel は2023年6月19日、同社がドイツ東部Magdeburgに新設する半導体工場に300億ユーロ(約4兆6500億円)超を投資することでドイツ政府と合意したと発表した。2基の先端半導体設備(Fab)を建設する.

2022年3月に工場の建設計画を発表した際の投資額は170億ユーロだった。政府の補助金の増額と引き換えにインテルが投資規模を拡大した。関係者によると、ドイツ政府から100億ユーロ(約1兆5500億円)相当の補助を受けることで双方が合意した。

2023/6/22 Intel、ドイツ・ポーランド・イスラエルに新工場建設

ドイツのハーベック経済・気候保護相は「ドイツとヨーロッパへの重要な貢献になる」と歓迎する声明を発表し、建設を支援する考えを表明した。ドイツの商業経済紙Handelsblattは投資額のおよそ半分にあたる50億ユーロをドイツ政府が支援する見込みだと伝えている。


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TSMCは半導体の受託生産で世界シェア6割を占める。

TSMCは米アリゾナ州に先端半導体の工場を建設中で、熊本には旧世代半導体工場を建設中。

台湾 中国 USA
12-inch GIGA FABs
  (300mm)
本部/R&D:Fab 12A/B(新竹Science Park) TSMC Nanjing Company, Fab 16
(南京)
建設中
アリゾナ州 Phoenix
Fab 14(台南Science Park)
Fab 15(中部Science Park:台中市)
Fab 18(台南Science Park)
8-inch Fabs
  (200mm)
Fab 3(新竹Science Park)  TSMC China Company, Fab 10
(上海)
WaferTech L.L.C., Fab 11 
(ワシントン州 Camas) 
Fab 5(新竹Science Park) 
Fab 6(台南Science Park) 
Fab 8(新竹Science Park) 
6-inch Fabs
  (150mm)
Fab 2(新竹Science Park)
Backend Fabs Advanced Backend Fab 1(新竹Science Park)
Advanced Backend Fab 2(台南Science Park)
Advanced Backend Fab 3(桃園市)
Advanced Backend Fab 5(中部Science Park:台中市)
 Backend Fab:半導体製造における2番目の工程で、それぞれのデバイス(トランジスタ、キャパシタ、抵抗など)がメタル層によって配線される。

TSMCは2021年10月14日、日本に新工場を建設すると発表した。日本で生産するのは、演算用のロジック半導体で22~28nmの前世代型技術を想定している。

2021/10/18 半導体大手、台湾のTSMCが日本で工場建設

格付け会社フィッチは8月1日、米国の外貨建て長期債格付けを「AAA」から「AAプラス」に引き下げた。見通しは安定的。

フィッチは格下げの理由について、「今後3年で予想される財政状況の悪化、高水準で拡大しつつある一般政府債務負担、過去20年間の他のAAおよびAAA格付け諸国・地域と比較したガバナンスの低下を反映している。この間、債務上限の対立と土壇場での解決が繰り返されてきた」と発表資料で説明した。

フィッチによれば、米国の一般政府債務のGDP比率は2025年までに118.4%に達すると予想されており、これはAAA格付けの中央値(39.3%)の3倍近い。

フィッチは少なくとも1994年から米国のAAA格付けを続けてきた。米政府の借り入れを巡る大掛かりな政治闘争と、連邦債務上限を引き上げるかどうかで対立を繰り返す状況を受け、格下げが発表された。

債務上限問題を巡りバイデン政権と議会共和党の対立が続く一方、財務省が特例措置を使い切り、支払い義務を履行できなくなる「Xデー」を迎える危険が取り沙汰された今年5月の段階で、フィッチは格付け引き下げを検討していると警告していた。

2023/5/24 米債務上限協議、合意に至らず → 2023/6/2 米の債務上限法案 下院で可決、上院へ送付

イエレン米財務長官は格下げが「恣意的」であり「最新でない」として、「フィッチの決定に強く異議を唱える」と声明で反論。「世界中の人々と投資家、米国民が既に知っている通り、財務省証券は引き続き世界的に見て卓越して安全な流動性資産であり、米経済は基本的に健全だ。フィッチの決定はそれを変えるものではない」と主張した。

S&Pは2011年に、債務上限危機を受け、AA+に引き下げた。Moody'sは最上級の「Aaa」を維持している。



2023年8月時点

S&P Moody's- Fitch
AAA
ドイツ
ルクセンブルク
オランダ
豪州
スイス
デンマーク
スウェーデン
ノルウェー
シンガポール
カナダ
 
 
Aaa
ドイツ
ルクセンブルク
オランダ
豪州
スイス
デンマーク
スウェーデン
ノルウェー
シンガポール
カナダ
米国
NZ
AAA
ドイツ
ルクセンブルク
オランダ
豪州
スイス
デンマーク
スウェーデン
ノルウェー
シンガポール
 
 
AA+
米国
NZ
オーストリア
フィンランド
香港
台湾
Aa1
 
 
オーストリア
フィンランド
AA+
米国 (2023/8/1) ↓
カナダ
オーストリア
フィンランド
NZ (2022/9) ↑
AA
フランス
韓国
ベルギー
英国
Aa2
フランス
韓国
 
 
AA
台湾
 
 
AA-
チェコ
エストニア
スロベニア
 
 
Aa3
台湾             
香港
ベルギー
英国
チェコ
 
AA-
フランス 2023/4 ↓
韓国
香港
ベルギー
英国
チェコ
A+
ラトビア
中国
日本
リトアニア
スロバキア
A1
エストニア
中国
日本
サウジ
 
A+
アイルランド
中国
エストニア
サウジ
A
スペイン
サウジ ↑
 
 
A2
スロバキア
ポーランド
リトアニア
 
A
日本
スロベニア
リトアニア
スロバキア
A-
ポーランド
A3
スロベニア
ラトビア
 
A-
ラトビア 
ポーランド
スペイン

米国の電力会社 Southern電力の子会社 Georgia Power は7月31日、Georgia州WaynesboroのVogtle原子力発電所の3号機(出力1,117MW)が商業運転を開始し、ジョージア州内で電力を供給することを発表した。


Vogtle原子力発電所では、1号機が1987年から、2号機が1989年から商業運転を行っている。米国では30年以上、原子力発電所が新設されてこなかったが、ここに3号機が加わることとなる。

Georgia Power は2023年7月28日、4号機について、原子力委員会(NRC)から103(g)認定を受けたと発表している。

103(g)認定は、新しい発電設備が複合ライセンスおよびNRCの規制に準拠して建設され、運転されることを示すもので、認定後は燃料装填や試験運転が可能となる。

4号機の運転開始時期は2023年第4四半期後半から2024年第1四半期を予定しており、今後、燃料装荷の最終準備を行い、その後、数カ月間にわたる起動試験と試験運転が行われる。

Georgia Powerは声明で「Vogtle 3号機は今後60~80年間、顧客にクリーンで信頼性の高いエネルギーを届ける」と強調した。

ーーー

1979年のスリーマイル島での原発事故、1986年のチェルノブイリでの原発事故を受けて、アメリカの原子力産業は停止状態になってい た。

スリーマイル島での原発事故以降で運転開始したものは次の通り。

1)スリーマイル事故以前に建設が開始されたもの

 1996年にテネシー川流域開発公社(TVA)のWatts Bar 原発1号機(1,121MW)が運転開始した。

 その後、
2007年10月にWatts Bar 原発2号機の建設が再開され、同機(1,218MW)は2016年10月に商業運転を開始した。

 いずれもウェスティングハウス製の加圧水型原子炉(PWR)で、1970年代に建設が開始していたため、第2世代の原子炉である。

Watts Bar 2号機は1973年に建設認可を得たが、79年のスリーマイル島原発事故の影響で85年に建設を中断、2007年に建設再開に乗り出し、完成にこぎ着けた。

2015/10/31 米国、19年ぶり原発稼働認可 

2)1979年のスリーマイル島原発事故後、米国で新規着工したもの

 今回のVogtle原発3号機の稼働が初めて のもの。4号機の運転開始時期は2023年第4四半期後半から2024年第1四半期を予定している。

 安全性を高めたWestinghouse製の「革新軽水炉」(AP1000)としても米国初の稼働となる。
 事故や災害で原子炉が停止した場合でも、運転員の操作や電源なしに重力による水の落下で自動的に冷却できる仕組みを持つ。



東芝傘下の
Westinghouseは4基の原発を受注していた。

 Vogtle 3、4号機(ジョージア州) Southern電力

 V.C. Summer 2、3号機(サウスカロライナ州)South Carolina Electric & Gas 及びSantee Cooper

しかし、米国ではスリーマイル島事故後、原発の建設工事が途絶えたことから熟練の作業員が不足。工期が大幅に延びた結果、建設費も増えた。

Westinghouseが米連邦破産法11条を申請したのに伴い、2017年に東芝が親会社保証として 両電力に対し計6561億円(当時のレート)を補償することが決まった。

Vogtle 3、4号機 3,680百万ドル 4,129億円
V.C. Summer 2、3号機 2,168百万ドル 2,432億円
合計 5,848百万ドル 6,561億円

South Carolina Electric & Gasは2017年7月31日、V.C. Summer 2、3号機の建設を断念すると発表した。完成を目指せば追加コストが膨らみすぎること、税額控除制度の延長が不明なこと等を勘案して決定した。

South Carolina Electric & Gas(60%出資)は事業継続も考えたが、共同事業者のSantee Cooper (40%出資)が撤退を決めたため、断念した。

既に90億ドルを投じているが、工事は40%以下しか進んでいない。3年以上遅れる見通しとなり、建設費も250億ドル以上と、当初の115億ドルの予想から2倍以上となる。

South Carolina Electric & Gasは、解体などにかかる費用約49億ドル (同社持ち分)を考慮しても現時点で建設中止したほうが、株主や顧客などにとってダメージは少ないと判断したという。

2017/7/31 東芝、米原発の保証債務 6561億円で確定 

東芝は2018年1月18日、元子会社のWestinghouse(WH)関連の株式と債権の売却が決まったと発表した。

2018/1/19 東芝、Westinghouse関連の株式と債権を売却

積水化成品工業は7月31日、神戸大学大学院工学研究科の南秀人教授らの研究チームと共同で、ポリイミドをシェルにした中空微粒子の量産が可能な製法を世界で初めて見いだし、「テクポリマー ポリイミド中空微粒子」の商業化技術を開発したと発表した。

今後、5G(第5世代移動通信システム)において、高速伝送回路の伝送損失抑制が見込める高耐熱な低誘電素材として期待される。

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積水化成品の「テクポリマー」は、独自の重合技術を用いたポリマー微粒子で、液晶ディスプレイの光拡散材や化粧品の添加剤、塗料の艶消し材など、さまざまな用途で使用されている。

同社はアクリル系中空微粒子として「テクポリマー NH」を市場投入している。

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ポリイミドは、高耐熱性に加えて機械強度・化学安定性・絶縁性に優れ、電気・電子材料や宇宙航空など幅広い分野で応用されている。

粒子内部に空気層を持つポリイミド中空微粒子は、絶縁性に優れ、軽量なため「高速大容量」「低遅延」「多数接続」などを特徴とする5G分野でも高い需要の伸びが期待されている。

しかし、ポリイミドは高耐熱であるがゆえに加工性に乏しく、特に中空粒子の作成報告例はこれまでほとんどなかった。

今回、研究チームはポリイミドをシェルにした中空微粒子の量産化技術を世界で初めて見いだし、絶縁性・耐熱性に優れた球状のポリイミド中空微粒子を開発した。

ポリイミド中空微粒子は絶縁性や軽量性、低密度、低屈折率などの特徴を有し、第5世代移動通信システムにおいて、低誘電素材として有望視されている。また化学的、機械的に安定であり、高耐熱性である特徴から、これまで中空粒子が使用不可能であった分野においても応用可能であると期待され、今後、実用化に向けてさらに開発を急ぐ。

この研究成果は、第72回高分子学会年次大会、IPCG2023(International Polymer Colloids Group Conference、June18-23、2023)にて発表された。

   "化学イミド化法によるポリイミド中空粒子の作製"


日清紡ホールディングスは 2023年5月31日開催の取締役会において、100%子会社である Nisshinbo Singapore Pte. Ltd.(日清紡シンガポール)と共同でのHVJ ホールディングスの株式の取得を決議し、株式譲渡契約を締結した。

本件株式取得に伴い、HVJ ホールディングスの子会社である日立国際電気の80%を取得(うち日清紡が 95%、日清紡シンガポールが 5%)、連結子会社にする。日立製作所が引き続き 20%を保有する。

日清紡グループは、戦略的事業領域を「モビリティ」「インフラストラクチャー&セーフティー」「ライフ&ヘルスケア」の 3 つに定め、無線・通信事業、マイクロデバイス事業ならびにブレーキ摩擦材・化学品・成形品・繊維などで構成されるケミカル事業を柱として企業活動を展開しており、無線・通信事業においては、日本無線が中核となって、防災システムや監視制御システムなどの社会インフラから船舶や自動車などの移動体通信機器に至るまで、幅広い無線・通信技術で世界に貢献している。

日立国際電気は高度な無線・通信技術によって官公庁向けをメインとしたソリューション事業などを展開しており、両社は技術面、販売面において補完関係にあり、中でも高速大容量通信技術や映像技術は親和性が高く、産業向けソリューション分野を中心に市場領域と技術領域の拡大が期待できる。

株式を取得するHVJ ホールディングスは、日立国際電気の買収のために設立した会社で、出資者は下記の通り。

日本産業第四号投資事業有限責任組合(日本産業パートナーズ所属) 28.52%
Manaslu Fund Ⅱ, L.P.  23.83%
Shepherds Hill Fund Ⅱ, L.P.  23.90%
Sonora Fund Ⅱ, L.P.  23.75%

なお、当初は7月31日までに株式を取得するとしていたが、公取委による企業結合審査に時間がかかっており、条件が整い次第、速やかに実施する。

ーーー

日立製作所は、中核事業に経営資源を集中する一方、非中核事業は売却し、収益率を高める選択と集中を徹底するため、黒字の連結子会社 日立国際電気の売却を決めた。

日立製作所は2017年4月26日、KKR (Kohlberg Kravis Roberts) の所有するHKEホールディングス合同会社及び日本産業パートナーズが出資するHVJホールディングスとの間で、下記の契約を締結した。

第一段階   KKRの子会社HKEが日立国際電気を買収

第二段階  日立国際電気の成膜プロセス部門をHKEが取り込む。 

      HKEはKokusai Electric に改称 、映像・通信部門のみが残った日立国際電気株式の20%ずつを日立とHVJに売却

   

2017/5/3 日立、子会社の日立国際電気を売却


その後、2020年にKokusai Electric が日立国際電気持ち株をHVJに売却した。持ち株比率はHVJが80%、日立製作所が20%となった。


今後は次のとおりとなる。

日産自動車とルノーグループは7月26日、2023年2月6日に締結・公表された拘束力のある枠組み合意を踏まえた最終契約の締結を完了した。

日産とルノーは2月に、ルノーが保有する日産の株式を43.4%から日産側と同じ15%に引き下げ、対等に見直すことで合意している。最終契約締結を受け、ルノーは年内をめどに、保有する日産の株式のうち28.4%分をフランスの信託会社に移し、両社の資本関係は対等となる。

両社の抜本的な資本関係の見直しは、経営危機に陥った日産にルノーが約6000億円を出資した1999年以来となる。

1.両社の出資関係

2023年2月6日に発表された通り、ルノーグループと日産は15%の株式を相互に保有することになる。

ルノーグループは現在所有する日産の株式のうち、今後も所有する15%以外の28.4%をフランスの信託会社に信託する。
ルノーグループは当該株式が売却されるまでの間、信託した日産の株式の全てに付随する経済面での権利(配当金と株式売却収入)を有する。

日産の株式28.4%が信託会社に信託されることに伴い、日産が保有するルノーグループの株式に付随する議決権が行使可能となる。ルノーグループおよび日産双方の議決権行使の上限は、行使可能な議決権の15%と定め、両社はこの範囲内で自由に議決権の行使が可能となる。

ルノーは現在、日産株の約43.4%を保有して議決権を持っているため、日産が保有する15%のルノー株には議決権がない。(フランス会社法では、40%以上の出資を受ける企業は出資元の議決権を持てない)

2018/11/22 日産自動車とルノーの資本関係 

ルノーグループは、同社にとって商慣習上合理的な場合、信託会社に信託した日産株式の売却を指示するが、特定の期間内に売却する義務は負わない。ルノーグループは日産と協調的で秩序あるプロセスにおいて自由に信託内の日産株式を売却できるが、日産は筆頭の売却候補として優先的な地位を有する。

2. 三菱自動車を含めた3社の協力

1) インド、ラテンアメリカ及び欧州において、事業面で高い価値を創造するプロジェクト

各社は新たにラテンアメリカ、インドおよび欧州においてウィン・ウィンで大規模かつ実行可能な主要なプロジェクトについて検討していく。その一つとして、ルノーグループと日産はインド事業への新規投資や新型車の投入を含む新たなコミットメントを発表した。

2) 各社の新しい取り組みにパートナーが参加可能となる、戦略的な機敏性の向上

電動化や低排出技術に関する既存の戦略に沿って、事業に付加価値が期待できるパートナー各社のプロジェクトに投資・協業することで合意した。

その一環として、日産はルノーグループが欧州に設立するEV&ソフトウエア新会社アンペアの戦略的投資家になることを決定した。

具体的には、アンペアの戦略的な投資家として同社へ取締役を派遣する為、最大6億ユーロの出資を決定した。

この投資は日産の電動化戦略に沿ったものであり、日産が欧州市場、そして潜在的には他市場において定めている目標や取り組みを補完すべく、様々なベネフィットやシナジーが生まれると期待される。


ルノーは2022年11月、進行中の5カ年計画「Renaulution」のフェーズ1「復興(Resurrection)」、フェーズ2「刷新(Renovation)」を終了し、フェーズ3「革命(Revolution)」の段階に入ると発表した。

ルノーは以下の5つの事業分野に焦点を合わせた次世代の自動車会社を目指す。このうちスポーツカーのアルピーヌ(Alpine)はルノーグループの子会社であり、他の4分野は新会社を設立する。

アンペア(Ampere) 世界初のEV & ソフトウェア会社、2030年までに6車種のEVを投入
クアルコム、グーグルと提携しSDV(Software-defined vehicle)を開発
日産は最大6億ドルの出資を決定、取締役を派遣
Horse Project パワートレイン新会社 低排出ガス内燃機関(ICE)とハイブリッド技術を開発
アルピーヌ(Alpine) 本格的な高級スポーツカーブランドを目指す
モビライズ(Mobilize) ファイナンスを中心に、新たなモビリティ、エネルギー分野に参入
The Future Is NEUTRAL 自動車産業における循環型経済実現を目指す


米GoogleとRenault Groupは2022年11月8日、「Software Defined Vehicle」(SDV、ソフトウェア定義型自動車)のデジタルアーキテクチャの設計と提供を目的としたパートナーシップの拡大を発表した。

ルノーグループと米クアルコムは2022年11月、両社の戦略的提携を拡大することで合意した。 クアルコムグループは、ルノーが新たに設立する「Ampere(アンペア)」へ出資するほか、ソフトウェア定義型電気自動車向けのアーキテクチャの共同開発を目指す。

ルノーと中国自動車大手の浙江吉利控股集団は本年7月11日、ハイブリッド(HV)パワートレインエンジンを製造・供給する50/50 合弁会社 Horse Project を立ち上げる契約に調印した。投資額は最大70億ユーロ(約77億1000万ドル)。

Saudi Aramcoは2023年3月2日、ルノーグループと中国の浙江吉利控股集団(吉利グループ)が設立する新会社の少数株主になる基本合意書に署名したと発表した。アラムコは合弁会社に戦略的投資を行うかどうか検討中だという。

FDAは、アメリカ国内のがん治療薬の深刻な不足を緩和するため、未承認の中国製の抗がん剤を一時的に輸入することを許可した。

FDAのカリフ長官は6月2日に 「外国製の抗がん剤『シスプラチン』の一時的な輸入許可の措置を講じる」とツイッターで発表した。未承認薬の緊急仕入れ先は中国企業の斉魯製薬(Qilu Pharmaceutical)である。


シスプラチン(Cisplatin ; 化学名 (SP-4-2)-Diamminedichloroplatinum ; 分子式 Cl2H6N2Pt)はDNAなどの生体成分と結合して抗がん効果を発揮する抗がん剤で 、白金原子を持っていることから、抗がん剤の中では「白金製剤」に分類されている。

1845年に合成されたが、電場の細菌に対する影響を調べている時に、プラチナ電極の分解産物が大腸菌の増殖を抑制したことから、がん細胞に対する研究が行われ、製剤化され 、1978年に世界で承認された。日本では1983年に承認され、今では多くのがんに対して使われている。

副作用としては、吐き気、腎臓への障害、骨髄の機能の障害、神経への障害などがあるが、現在ではそれらの対策もしっかり行いながら治療ができるようにな っている。

以下の治療に単剤または他剤との併用で承認されている。

膀胱がん。手術あるいは放射線療法などの他の治療法でで治療できない進行がんを有する患者に単剤で使用され る。

・転移した卵巣がん。手術または放射線療法による治療歴がある患者には、他剤との併用で用いられ る。標準化学療法で改善がみられず以前にシスプラチンの投与を受けたことがない患者に単剤で使用される。

・転移した精巣がん。手術または放射線療法を受けたことがある患者に他の薬剤との併用で使用され る。

ーーー

インドの工場でのトラブルが米国の抗がん剤不足につながった。グジャラート州Ahmedabad近くにあるIntas Pharmaceuticalsは、Gujarat 州のMatoda村の工場を含む複数の工場を運営している。

この工場は、一般的に使用される抗がん治療薬シスプラチンのアメリカの供給の約50%を占めていたが、その事実はほとんど知られていなかった。

FDAの検査官は品質保証の「連鎖的な失敗」を含む広範な問題を発見した。Intas Pharmaceuticalsは問題を解決するために生産を一時中止したが、これによりシスプラチンの不足が発生し、これにより数十万人の患者に影響が及ぶ可能性がある。同社は現在、FDAと協力してアメリカ向けの製造を再開する予定だが、具体的な日程はまだ決まっていない。

過去1年間、子供用のアセトアミノフェンから抗生物質、注意欠陥多動性障害の治療薬まで、米国人は様々な薬剤の入手に苦労してきた。

ジェネリック薬品は、医療費を抑制し、アメリカでは処方箋の90%以上を占めるが、処方薬の支出の20%未満である。業界の競争が激化する中で、メーカーの利益が減少し、古くなった工場のアップグレードへの動機が少なくなっており、定常運転が近い状態の工場が故障に対して脆弱になっているとされる。この場合、単一の工場での混乱が、他のメーカーが差を埋めることができない広範な不足を引き起こす可能性がある。

米国の不足医薬品:不足が解決しても、新しい問題で不足が発生する。

Intas Pharmaceuticalsに加えて、シスプラチンを製造する他の4社がFDAに不足を報告し、「需要の増加」を挙げている。その不足は、さらにシスプラチンと同じIntasの工場で製造されていたカルボプラチンの不足にも寄与している。

カルボプラチンは、同じくプラチナを含む金属化合物で、がん細胞内の遺伝子本体であるDNAと結合することにより、がん細胞の分裂を止め、やがて死滅させる。

癌研究センターの連合体であるNational Comprehensive Cancer Networkは、5月に27のメンバーを対象に調査を実施し、70%から93%のメンバーがシスプラチンまたはカルボプラチンの不足に直面していると報告している。

ーーー

日本でも医薬品が不足となっている。

日本製薬団体連合会の調査では、5月末時点で薬価収載されている医薬品1万7062品目のうち、3847品目(22.5%)が薬局などで入手困難な「限定出荷」や「供給停止」の状態となっている。そのうち後発薬が約8割を占めている。

沢井製薬は2023年7月24日時点で限定出荷中の製品を262品目と発表した。

発端は「小林化工」の医薬品医療機器等法(薬機法)違反による2021年2月の行政処分(業務停止、業務改善)で、2021年3月には、後発薬大手「日医工」も業務停止命令を受けた。

2022年末までに、データ改ざんなどの悪質性の高い法令違反をした13企業が行政処分を受けた。行政処分にはならないものの、手順書通りに製造していない製品や、製造に問題があり規格不適合となった製品は出荷停止となった。

2021/2/12 小林化工に116日間の業務停止命令 

ジェネリック品以外でも、薬局に入荷せず、入手のため数軒の薬局を回るケースも多い。

20225月武田薬品発表

現在、製造および販売を武田薬品が行い、情報提供活動を大塚製薬と共同で実施しております「キャブピリン®配合錠(アスピリン/ボノプラザンフマル酸塩配合錠)」について、他社製品の出荷調整の影響もあり、想定を上回るご注文をいただいております。
そのため、当該製品を継続的、 安定的にご使用患者様へお届けするためにも医療用医薬品卸様に対して割当出荷を実施させていただくことになりました。

ーーー

血液を固まりにくくする薬で、現在も 割当出荷が続いており、今回、5 軒目の薬局で購入できた。




日本経済新聞は7月24日の夕刊でシェブロンの天然ガス営業部門のトップとのインタビュー内容を報じている。


それによると、シェブロンは東地中海で洋上LNGプラントの設置を検討する。イスラエル沖の天然ガスをLNGにして欧州やアジアに輸出する。

年産能力は数百万トンで、事業費は少なくとも数千億円に上るとみられる。

2020年にNoble Energy の買収でシェブロンが取得したLeviathan大型ガス田などで生産したガスはパイプラインでイスラエルに出荷しており、同国はガス火力を増やして2025年までに石炭火力を廃止する計画であるが、Leviathan ガス田の回収可能な埋蔵量は6050億立方メートル(LNG換算で4億4000万トン:日本の需要の約6年分に相当)で、イスラエルだけでは消費しきれないため、余剰分のガスの行方に注目が集まっていた。

2022年9月の S&P とのインタビューで、シェブロンの担当副社長は米国と地中海のLNG事業を拡大する方針を明らかにしていた。

Chevron eyes US, East Mediterranean as key to LNG business growth

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米石油大手 Chevronは2020年に独立系石油ガス開発企業のNoble Energy, Inc.を買収した。

買収は、Chevronが Nobleの全株式取引額の50億ドル相当を買い取る株式交換方式で行う。Nobleの企業価値は130億ドルとされているが、同社の負債額は87.4億ドルに及ぶため、Chevronは50億ドルで買収し、債務を引き次ぐ。

Chevronはこの買収で、コロラド州のデンバー/ジュレスバーグ盆地、テキサス州とニューメキシコ州にまたがるパーミアン盆地の油田・ガス田を獲得した。シェブロンはこれらのシェールガス由来のLNGの取り扱いも強化する。

2020/10/2 米シェール各社、業績悪化に悩む Oasis PetroleumがChapter 11 申請 

Nobleはこのほか、イスラエル沖のLeviathan ガス田(2019/12 生産開始)、Tamarガス田(2013/3 生産開始)を持つほか、キプロス沖のBlock 12 ガス田を持っており、Chevronが引き継いだ。

イスラエル沖のTamarガス田からの天然ガスパイプラインがYam Tatisガス田で既存のパイプラインに接続され、2013年3月30日にAshdod天然ガス基地への天然ガス輸送が始まった。

これらの外側にはキプロスの鉱区がある。

同地区でのガス田探査は当初 British Gasが行ったが、ギブアップした。

2007年に米国のNoble Energyが36%出資し、イスラエルの Delek Drilling (31%)、Isramco (29%)、Dor Alon (4%)の3社が加わるコンソーシアムが引き継ぎ、2年間の努力の末に2009年にTamarガス田を発見した。 

Tamarガス田のほか、Nobleは下記に参加している。

Leviathanガス田:
   Noble Energy 39.66%、Avner Oil & Gas 22.67%、Delek Drilling 22.67%、Ratio Oil Exploration 15%

キプロス Block 12:
   Noble Energy 100%(DelekとAvner が15%ずつ取得するオプション)

Leviathanガス田についてはキプロス(Cyprus) のBlock 12の分と合わせて海底パイプラインでキプロスに送り、キプロスで液化してLNGにして海外に輸出する構想があった。

なお、キプロスについては問題を含んでいる。

キプロス島は1974年以来、南北に分断されており、島の北部約37%をトルコ系住民による北キプロス・トルコ共和国(トルコのみが承認)が占めている。
南側のギリシャ系住民が住むのがキプロス共和国で、EUに加盟している。

トルコ政府はこれに参加する企業はトルコのエネルギー事業から締め出すと警告している。

2013/4/4 イスラエルで新ガス田からの天然ガス輸送開始  (出資比率等はこの時点のもの)

経済産業省は7月23日、先端半導体分野の23品目を輸出規制の対象に加えた外為法の改正省令を施行する。5月23日に改正を公布、2カ月の周知期間を経て施行するもの。

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バイデン米政権は2022年10月7日、中国への半導体先端技術(14〜16ナノメートル以下のロジック半導体の製造などに必要な装置や技術)の新しい輸出規制を実施すると発表した。軍事開発に欠かせないAIやスーパーコンピューターに使われる先端半導体の輸出を制限、さらに特定の先端半導体を扱う中国企業の工場に対し、米国製の製造装置を販売することも原則禁止する。

2022/10/10 米国、半導体の対中輸出制限を拡大

米国は日本とオランダにも協力を求めていたが、オランダ政府は6月30日、追加の輸出管理規制を9月1日から施行すると発表した。国の外交方針および安全保障政策次第で輸出許可ライセンスを停止することが可能という文言が含まれている。

オランダの大手半導体製造装置メーカーのASMLは、既に輸出制限の対象となっている極端紫外線(EUV)露光装置に加え、深紫外線(DUV)露光装置の出荷に関してもオランダ政府の輸出管理規制の対象となったと述べた。

2018年10月に中国の新興半導体メモリーメーカー、合肥長鑫(イノトロン)がASMLから最先端のEUV露光装置導入に乗り出した。安徽省の合肥市政府が出資する企業で中国政府の意向を反映した動きとみられた。軍事用途の半導体製造に使用される恐れがあるとする米国の圧力を受け、2019年に中国の顧客に対する最新鋭のEUV装置の販売を制限された。
旧式の深紫外線(DUV)露光装置の対中輸出は続けていた。(DUVは波長200nm程度、EUVは13.5nm)

日本は「国際的な安全保障環境が厳しさを増すなか、軍事転用防止目的としてWassenaar Arrangementを補完すもに半導体製造装置関する関係国の最新の輸出管理動向なども総合的に勘案し、特定の貨物及び技術輸出管理の対象に追加する 」こととした。

「高性能な先端半導体、これは軍事的な用途に使用された場合、国際的な平和および安全の維持を妨げる恐れがある」 西村大臣はこのように話し、高性能な半導体の製造装置について輸出管理を強化すると発表した。

2023/4/4 最先端の半導体製造設備の輸出規制強化

米国が成膜設備、日本がコータデベロッパ、オランダが露光装置を規制すれば、ほぼ生産不可能となる。

    

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半導体のサプライチェーンからの中国の締め出しを進める米国に足並みをそろえるもので、23品目を、米国や韓国など友好42カ国・地域向けを除く中国などに輸出するには、輸出時に経産省の審査を受け、経産相の許可が毎回必要となる。これまでは原則として許可は不要だった。先端半導体関連品の中国への輸出は難しくなる。軍事転用の防止が目的だとしている。

審査が簡略化されるのは、Wassenaar Arrangement加盟の米国や韓国、台湾など42カ国・地域(国際輸出管理レジーム参加国一覧表 参照)に限られ、中国は含まれていない。(ロシアは含まれている)

改正概要

国際的な平和及び安全の維持の観点から、高性能な半導体製造装置に関して、輸出管理の対象とするため、当該貨物の仕様等を追加。また、追加する貨物を使用するために設計したプログラムを輸出管理の対象とするため追加する。

【新たに輸出管理の対象となる品目(23品目)】

品目 具体例 メーカー
洗浄(3品目) 真空状態で不純物を除去する洗浄装置 SCREENホールディングス、東京エレクトロンなど
デポジション(成膜)
(11品目)
極端紫外線(EUV)フォトマスク向けの成膜装置 東京エレクトロン、KOKUSAI ELECTRIC、アルバックなど
EUVフォトマスク向けの防護カバー ニコン、三井化学など
アニーリング(熱処理)
(1品目)
リソグラフィ(露光)
(4品目)
フッ化アルゴン(ArF)を使う液浸露光装置   ニコンなど
エッチング(化学的除去)
(3品目)
記憶素子を立体的に積み上げるエッチング装置 東京エレクトロン、日立ハイテクなど
検査(1品目)

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中国はこれらの動きに猛反発しており、対抗措置が心配される。

中国のインターネット規制当局は5月21日、米半導体大手マイクロン・テクノロジーの製品について、ネットワークセキュリティー審査で不合格になったとし、重要インフラ事業者による同社からの調達を禁止すると発表した。

「マイクロンの製品にネットワークセキュリティー上の深刻なリスクがあることが審査で判明した。これは中国の重要情報インフラの供給網に大きな安全上のリスクをもたらし、国家安全保障に影響を及ぼす」としている。

2023/7/6 中国が半導体材料ガリウムなど輸出規制

MP Materialsはネバダ州ラスベガスを拠点とし、レアアース(希土類)採掘と処理施設の所有・運営を手がける。

北米最大のレアアース鉱山のカリフォルニア州Mountain Pass鉱山を所有・運営するほか、その周辺地域の鉱業権、希土類鉱物処理・開発に伴う知的財産権を保有。セリウムやランタン、ネオジム、プラセオジム、サマリウムなどを提供する。

最終的にはレアアースメタル、アロイ、磁石を製造するプラントを建設中で、Mountain Passで採掘した原料をここで加工し、完全に国産の垂直統合の磁石のサプライチェーンを2024年に完成させる。

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Mountain Pass鉱山は1949年に発見され、Molybdenum Corporation of Americaが1952年に小規模の生産を開始した。

1962年にカラーTVに使うユウロピウムの需要拡大に対応し、生産を拡大した。
1965年から1995年まで、大規模生産を続け、世界のレアアースの需要の大部分を賄った。

1977年にUnocal が同社を買収、2005年にChevron子会社となったが、1998年に排水問題で分離工程を停止、2002年に環境規制と中国品の低価格攻勢により採鉱を停止した。

2008年にこの鉱山の再開のためMolycorp Minerals LLCが設立され、Chevronから鉱山を買収した。2011年から生産を再開した。

住友商事は2010年末、Mountain Pass鉱山の再開を準備中のMolycorp, Inc に投融資することを決めた。しかし、Molycorpは2011年9月16日、住友商事との間で上記の交渉を打ち切ることで合意したと発表した。

Mountain Pass鉱山の拡張・近代化のための781百万ドルの資金が増資や売上収入で完全に確保でき、住友商事の出資融資が必要ではなくなったとし、当初交渉した時と状況が著しく変わり、両社の株主にとり価値のある取引ではなくなったため、交渉打ち切りを決めたとしている。

2011/9/22  住友商事の米国レアアース企業への出資取り止め

2014年にWTOが中国のレアアース輸出規制を規定違反と認定し、中国は2015年からレアアース輸出枠を撤廃、2015年4月には輸出関税を撤廃した。これを受け、ネオジムやジスプロシウムの5月下旬の価格は4月比で20~30%下がり、2010年以前の水準に戻った。Molycorpは苦境に陥った。

Molycorpは2015年6月25日、連邦破産法11条の適用を申請した。破産法の適用下で、米・カナダ事業の債務17億ドルを再編する。

2015/6/5 米レアアース最大手 Molycorp、社債利払い見送り →Chapter 11 申請

2017年にMP Materials がMountain Pass鉱山と他のMolycorp の資産を買収した。

MP Materials は2020年7月31日、国防総省との間で米国でのHeavy Rare Earths 生産再開で契約を結んだと発表した。

国防総省は2020年12月にMountain Pass鉱山で軽希土類元素の処理を復活させるため960万ドルを出している。

2020/7/31 米国防総省、レアアース事業へ資金支援 

バイデン米大統領は2022年2月22日、レアアースなど重要鉱物の国内生産を後押しするための投資計画を発表した。

北米唯一のレアアース鉱山を米西部カリフォルニア州で運営するMP Materialsに対し、国防総省の支援プログラムから3500万ドルを投資し、Mountain Pass鉱山で重希土類元素(HREE) 採掘から分離・精製まで自前でできるようにする。

軽希土類に加え、重希土類の処理が出来ることで、MP Materials は高機能永久磁石を製造するのに必要な全てのレアアースを抽出・精製できるようになる。

Mountain Pass全景

Mountain Passでの採掘、処理に加え、MP Materialsは7億ドルを投じ、テキサス州Fort Worthでレアアースメタル、アロイ、磁石を製造するプラントを建設中である。Mountain Passで生産した原料をここで加工し、完全に国産の垂直統合の磁石のサプライチェーンを2024年に完成させる。

ネオジム磁石合金はおおよその重量比で、ネオジム(Nd) 23~30%、ディスプロシウム(Dy) 2~10%、鉄(Fe) 60~65%、ホウ素(B) 1%、コバルト(Co) 3%、および微量の銅(Cu)、アルミニウム(Al)などの成分から構成されている。

Nd、Dyなどの希土類元素は酸化物やフッ化物の形で希土鉱石の中に複数種含有されている。Montain Passの鉱石はNd2O2を多く含む。

https://www.neomag.jp/mailmagazines/topics/letter200906.html


2022/2/25 米、レアアース国内生産 


米General Mortorsは2021年12月9日、米国内でレアアース材料の供給網を形成するため、MP Materialsと戦略的な提携を行うと発表した。これにより、ネオジム磁石の原材料を国内の鉱山から安定的に調達し、電気自動車(EV)の駆動モーターに使う高性能磁石に加工する体制を確立する。

またGMは同日、ドイツVacuumschmelzeとも協力し、「アルティウムモジュラーEVプラットフォーム」を使用する12以上のモデルで使用される電気モーター用永久磁石を製造する工場をアメリカに建設する計画を発表した。

ネオジム焼結磁石(NdFeB)は、モーターの重要部品だが、現在米国内にネオジム磁石を製造する能力は事実上ないという。

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住友商事とMP Materialsは2023年2月、MP Materialsが製造するレアアースの日本向けの独占販売代理店契約を締結した。

ネオジム・プラセオジム (NdPr) などのレアアース材料は、世界で最も強力なネオジム鉄ボロン磁石と呼ばれる永久磁石の原料で、この永久磁石は、脱炭素化に向けて需要拡大が見込まれる電気自動車や風力発電用モーター、各種電子機器などの先端産業に欠かせない部品である。

日本は中国からの輸入を主な供給源としているが、MP Materials製米国産レアアースの供給を通じて日本における調達の多様化、安定化に貢献する。

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