「no」と一致するもの

デラウエア州 Wilmington 連邦地裁で陪審員は2月5日、武田薬品の子会社Baxalta に対し、同社の血友病治療薬がBayer 特許を侵害していると判断し、155.19百万ドルを支払うよう命じた。

武田薬品は2019年1月8日付でアイルランドの製薬大手Shire plc の買収を完了した。

Shire plc は2016年にBaxaltaを買収した。(Baxaltaは2015年7月にBaxter Laboratoriesからスピンオフした会社である。)
Shireはこれにより、3つの治療領域(血液、免疫、腫瘍)に進出 し、希少疾患の患者のため尽力するバイオテクノロジー分野のグローバル・リーディング・カンパニ
ーに なるとした。

2015/8/8  アイルランドのShire Pharmaceuticals、Baxalta に買収提案

賠償額は、対象期間を2016/6/14~2018/11/30とし、872.84百万ドルの売上高に対し、17.78%のロイヤリティとした。

問題の血友病治療薬はAdynovate で、Baxalta によると次の通り。

  • Adynovate [ペグ化遺伝子組換え血液凝固第Ⅷ因子製剤]は、世界で最も使用されている血友病A治療薬である Advate[遺伝子組換え血液凝固第Ⅷ因子製剤]をもとに創製されている。
  • 作用時間を延長できる独自開発のペグ化技術(Nektar Therapeuticsから独占使用権を得た技術)により、従来の週3~4回の投与に対し、週2回のシンプルな投与スケジュールを提供する。
  • ピボタル試験において、Adynovateによる定期補充療法では、出血時補充療法(On-Demand)との比較で出血を95%低減し、Adynovateによる定期補充療法を受けた患者の約40%では出血がなかった。

Bayerの血液凝固第Ⅷ因子製剤(遺伝子組み換え型)Kogenate 及びその後継品 Kovaltryは次の通り。

新規のペグ化遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤で、ポリエチレングリコール(ペグ)分子が部位特異的に第VIII因子と結合(ペグ化)することにより、生体内半減期を延長し、長時間体内での血液凝固活性を維持できるように設計されている。

Bayerの訴状によると、事態は次の通りで、San Franciscoに拠点を置くNektar TherapeuticsがBayerとの契約で実験を行い、Bayerの特許の存在を知りながら、その技術をBaxterに独占的に供与したことから発生した。

Bayer とNektar は2003年12月に "Research Agreement" を締結し、Nektar は Bayer の指示のもとに、Bayerの遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子をペグ化した。

Nektarは1年後に報告書を出したが、実用化には問題があることが分かり、Nektar との契約を終了した。
Bayerは独自で研究を続け、2016年に米国で特許(No. 9,364,520)を出した。

その後、いろいろあり、Nektar はBayer の '520' 特許の中身について熟知しているのは明らかである。

Nektar は2005年9月にBaxterとの間でペグ化候補についての独占研究開発・ライセンス・製造・販売契約を締結した。
2007年12月に契約改定を行い、Nekatarのペグ化技術についてBaxterに独占供与を行った。

2005年の契約に基づき、両グループはAdvate[遺伝子組換え血液凝固第Ⅷ因子製剤]に基づく開発を行い、ペグ技術を使用して、Adynovate の開発に至った。

Baxter からスピンオフしたBaxaltaが現在、Adynovate の権利を持っている。

Baxaltaは直接、'520 patentに違反している。

GAFA 対 BATIS - 化学業界の話題

2月4日付の日本経済新聞に「中国『BATIS』の野望」という記事がある。

「BATIS」。習近平指導部が国家プロジェクト「AI発展計画」で17~18年に指名した5大プラットフォーマーだ。百度(バイドゥ、自動運転)、アリババ(スマートシティー)、テンセント(ヘルスケア)、アイフライテック(音声認識)、センスタイム(顔認識)の5社は補助金や許認可で手厚い支援を受ける。

グーグルなど米IT大手「GAFA」が激しい市場競争を勝ち抜いてきたのに対し、党が選んだ中国のBATISは14億人の人口から得られる膨大なデータを吸い上げて突き進む。イノベーション(革新)は自由競争から生まれるという従来の常識への挑戦状だ。

グーグル(Google)、アップル(Apple)、フェースブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)の4社がGAFAと呼ばれるのに対し、中国の国家プロジェクト「AI発展計画」で政府が指名した5大プラットフォーマーがBATISと呼ばれる。

Baidu=バイドゥ(百度)、Alibabaアリババ(阿里巴巴)、Tencent=テンセント(腾讯)、Iflytek (アイフライテック=科大訊飛)、SenseTimeセンスタイム=商湯科技)の5社である。

Baiduは自動運転、Alibabaはスマートシティ、Tencentはヘルスケア、Iflytek は音声認識、SenseTimeは顔認識の分野をリードする。


中国政府は2017年7月に「次世代AI発展計画」を発表した。

AIを「国際競争の新たな焦点になり、将来をリードする戦略技術」と位置付け、AI産業発展の3段階戦略を描いた。

ジェトロ作成


第1段階は、2020年までにAIの全体的な技術とその応用を「世界先進水準に引き上げる」。関連産業も含めた規模を1兆元(約17兆円)と見込む。

第2段階は2025年までで、基礎理論を進展させ、一部技術と応用を「世界トップ水準に向上させる」ことを目標としている。関連産業も含めた規模は5兆元(85兆円)。

第3段階として、2030年までに「理論、技術、応用の全ての分野で世界トップ水準」に引き上げ、中国を世界の主要な「AIイノベーションセンター」にする目標を設定した。関連産業を含めた規模は10兆元(170兆円)。

計画の旗振り役である工業情報化部は2017年末、目標達成へのアプローチの第1段階として、「次世代人工知能発展三カ年行動計画」(2018~2020年)」を打ち出した。2020年までにAI製品やコア技術、製造業のスマート化、支援システムなどにおける行動目標をそれぞれ定めた。

また科学技術部は2017年11月、次世代AIの発展計画および重大プロジェクトの推進と実施を担う「AI発展計画推進弁公室」を発足させた。

科学技術部をはじめ、工業情報化部、国家発展改革委員会などの政府部門、協会、研究機関の計15機構により構成され、イノベーションを中心にAI産業に関する計画を推進する。

第1期として、政府主導で4つのAI分野を定め、分野ごとにリード企業を選定する戦略を発表した。

4分野とリード企業は、

  • 医療分野はテンセント
  • スマートシティではアリババ
  • 自動車の自動運転は百度
  • 音声認識はアイフライテック

そして2018年9月に、SenseTimeがIntelligent Vision(画像認識)の分野でリードする企業として選定された。これで「BATIS」となった。

画像認識では次の4社が新四天王と呼ばれる。

  • SenseTimeセンスタイム=商湯科技)
  • Megvii(北京曠視科技)Alibabaが出資
  • Cloud Walk (雲従科技)
  • YITU Technology (依図科技)

米司法省は1月28日、Huawei と孟晩舟 Huawei副会長を起訴した。

米国は孟副会長の引き渡しを正式に要請し、カナダ司法省は受理した。

孟副会長は保釈条件の協議のため、1月29日に裁判所に出廷した。裁判所は、米国からの正式引き渡し要請を受け、次回出廷日を2月6日から3 月6日に変更した。

中国政府はカナダ人2人を逮捕するとともに、カナダ政府に圧力をかけているが、司法の場などで争う構えを示しており、手続きの長期化は必至。

カナダ政府は司法の問題としているが、カナダの前駐中国大使はイラン制裁違反に関して「カナダはイラン制裁措置に署名していない」としており、犯罪人引渡条約の対象にならない可能性がある。カナダの裁判所の判断が注目される。
(一般に、引渡し請求の対象となる行為は双方の国において重大犯罪とされていなければならないという「双方可罰性の原則」がある。また、基本的に他国からの引き渡し請求に応じる義務はない。


司法省の起訴はは2つの案件で行われた。告発の内容は以下の通り。

1) イランとの取引関係

被告 銀行詐欺 通信詐欺 IEEPA違反 資金洗浄 司法妨害
Huawei Technology
Huawei Devices USA
Skycom Tech
孟晩舟 Huawei副会長

米国の法律および規制では制裁対象国であるイランに関連した米国を通じた米ドル建て決済を含む銀行サービスを禁じており、一般的に金融機関は米国の法律や規制を遵守するために、イラン事業に関係がないことを確認する。
IEEPA(International Emergency Economic Power Act :
国際緊急経済権限法)により、イランは金融制裁の対象となっている。

Huawei Technologiesはイランとの取引を香港のSkycom Tech(星通技術)を通して行っていたが、米ドルの決済は米国の銀行を通して行っている。

実際にはSkycomはHuaweiの子会社で、イランに事務所を有している。このため、取引はHuaweiによるイランとの取引であり、本来なら米国の銀行は取引ができない。

Huawei および孟晩舟がイラン事業に関して米国の金融機関および米国政府を長期的に欺いたことを訴えの対象とした。

2007年以降、Huaweiの従業員はSkycomはHuaweiの関係会社でないと偽った。更に、Huaweiのイラン取引に関し、米国その他の法律・規則に違反していないと偽った。

2012年終りから2013年に新聞が、HuaweiがSkycomを非公式の関係会社としてイランで使っていること、孟晩舟がSkycomの取締役であることを報じると、Huawei従業員と孟晩舟は取引銀行に対しSkycomとの関係について嘘をついた。Huaweiは2007年にSkycom株を無関係の第三者に売却しており、Skycomは単なる取引相手であり、取引は第三社間の取引であるとした。

実際にはSkycomの売却先のHUA YING MANAGEMENT (華盈管理)はHuaweiが実質的に支配している会社である。

Huaweiによる繰り返しの弁明を信じ、銀行は取引を続けた。ある銀行は2010年から2014年にかけて、Skycom関連で1億ドル以上の取引を決済した。

米国政府からの問い合わせに対しても、繰り返し嘘をついた。例えば、米国議会に対し、同社のイランとの取引が米国法に違反しないと嘘の報告をした。2007年のSkycom株の見せかけの売却の数カ月前にHuawei創業者はFBIに対し、Huaweiはイランの企業と直接取引は行っておらず、米国の輸出に関する法律に違反していないと述べた。

2017年に取引銀行の1行がHuaweiのリスク懸念から取引を止めようとした際に、その情報が他の銀行に伝わるのを防ぐため、他の銀行に偽りの説明をし、Huawei 側がその銀行との取引をやめると伝え、他の銀行との取引継続に成功した。

2017年に米国政府の調査に気づき、Huaweiと米子会社は、関係者を中国に帰国させ、米国にあったイラン関係の書類を処分した。

2) 米企業 T-Mobile からの技術窃取

被告 企業秘密窃盗 通信詐欺 司法妨害
Huawei Device
Huawei Devices USA

Huawei は2012年に、米国のT-Mobile がスマートフォンの品質検査に用いる「Tappy」と呼ばれるロボットの技術情報を盗むための行動を開始した。

秘密保持契約に違反して、密かにTappyの写真を撮り、部品の寸法を測定し、ロボット1基を盗み、自ら作ろうとした。

T-Mobile がこれを知り、犯罪行為を防ぎ、訴えるぞと脅した。

それに対し、Huaweiは嘘の報告書をつくり、盗みは社内の不良分子が行ったもので、Huaweiの米国および中国の組織がおこなったものでないとした。

捜査中に見つかったメールに、これが同社の会社ぐるみの犯罪であることが示されている。

2013年7月に、Huaweiが世界中の他の企業から盗んだ情報の価値に基づいて従業員にボーナスを払うことを示すメールをFBIが入手している。

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カナダ司法省は12月1日、中国の通信機器最大手、華為技術(Huawei Technologies )の創業者 任正非(Ren Zhengfei)の娘である孟晩舟(Meng Wanzhou)副会長 兼 最高財務責任者(CFO)をバンクーバーで逮捕した。

米司法省は、イランへの輸出に対する米国の制裁にもかかわらず、華為技術が同国に製品を販売したかどうかについて捜査を始めていた。 2018年8月22日に孟氏の逮捕状を取り、11月29日に孟氏がバンクーバーに立ち寄ることを把握し、犯罪人引渡協定に基づき、カナダに逮捕と身柄引き渡しを求めていた。

2018/12/10 華為技術(Huawei Technologies )の副会長の逮捕

カナダの裁判所は12月11日、同氏の保釈を認める決定を下した。

条件として1000万カナダドル(約8億5千万円)の保釈金を支払ったり追跡装置を身につけたりする。夜間の外出は禁じられ、パスポートは押収される。

カナダの裁判所は来年2月に、米国の正式な要請に基づいて身柄を引き渡すかどうかを別途判断する。

米側は逮捕から60日以内に具体的な証拠を裁判所に示す必要がある。

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付記

カナダ政府は3月1日、米国への身柄引き渡しに関する審理を認めると明らかにした。 カナダと米国の犯罪人引き渡し条約に基づき検討した結果、「手続きを進めるための要件は満たされており、十分な証拠があると確信した」としている。

孟CFOは、3月6日にバンクーバーの裁判所で始まる審理に出廷する。

トランプ大統領は12月11日、ロイターとのインタビューで、米国の安全保障と対中貿易協議の進展に資するなら、この問題に介入するとの考えを示した。しかし、米国政府はこれを否定した。

国際シンクタンク The International Crisis Group(ICG)は12月11日、同団体の上級顧問を務めるカナダの元外交官、Michael Kovrigが中国で拘束されたとの情報が入ったことを明らかにした。カナダ外務省は12月13日、カナダ人実業家 Michael Spavor氏が中国の国家安全保障に脅威を与えた疑いで中国当局に拘束されたことを認めた。


カナダのトルドー首相は2019年1月26日、同国のジョン・マッカラム駐中国大使が同日付で辞任したと発表した。首相が辞任を要請した。

マッカラム氏は1月22日に中国語メディアとの会合で孟氏の逮捕にはトランプ米大統領の政治的な意向が反映されていると指摘。逮捕容疑であるイラン制裁違反に関して「カナダは(米国が求める)イラン制裁措置に署名していない」とし、引き渡しが行われない可能性を示唆していた。
 

富士フイルムは1月24日、細胞培養に必要な培地のビジネス拡大に向けて事業体制をより強化するため、2019年4月1日付で富士フイルム和光純薬にアイエスジャパンを統合すると発表した。

研究開発・製造・販売機能の一体化による機能強化などを図り、培地の事業成長を加速させる。

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富士フィルム和光純薬は、試薬、化成品ならびに臨床検査薬の製造・販売を行っている。

富士フィルムは2016年12月15日、武田薬品から和光純薬工業を買収する契約を締結した。富士フィルムが2017年2月にTOBを実施 し、武田薬品が応じた。

2016/12/22 富士フィルム、和光純薬を買収

和光純薬は2018年4月1日付で、富士フィルムファインケミカルズと統合し、富士フィルム和光純薬に改称した。

富士フィルムファインケミカルズは旧称三協化学で、写真用原料メーカーで1990年代に医薬品製品に進出した。
富士フィルムは 1971年に40%出資し、2006年にこれを100%子会社とし、富士フイルムファインケミカルズに改称した。

アイエスジャパンは、細胞培養に必要な培地のリーディングカンパニーで、米国のIrvine Scientific Sales CompanyとともにJXTGの100%子会社であったが、富士フイルムは2018年3月29日、両社の全株式を約800百万米ドルで取得する契約を締結した。

培地は、細胞の生育・増殖のための栄養分を含んだ液状や粉末の物質で、バイオ医薬品や再生医療製品などの研究開発や製造における細胞培養に必要不可欠なもの。また、培地の品質によって細胞培養の品質や効率が左右されるといわれており、近年、培地に対する注目がますます高まっている。

Irvine Scientific Sales Companyと、アイエスジャパンは、バイオ医薬品製造向けの培地や体外受精・細胞治療用途の培地などを幅広く取り扱う、培地のリーディングカンパニーで 、前者が欧米、後者が日本・アジアを中心に販売展開し、全世界の製薬企業やバイオベンチャー、アカデミアなどに培地を提供している。

1987年にJXエネルギーが将来的なバイオ医薬品市場の成長に伴う培地市場の拡大を期待し、Irvine Scientific Sales Companyの株式を取得するとともに、1989年に日本での同社製品の販売会社アイエスジャパンを設立した。

(Irvine Scientific Sales Companyは FUJIFILM Irvine Scientific に改称した。アイエスは現在、開発・生産の機能も兼ね備えている。)

富士フイルムは、両社の買収により、バイオ医薬品から体外受精・細胞治療の領域にわたり幅広い製品ラインアップをそろえることができるとともに、海外展開も強化することができ る。
また、写真フィルムで培った高度な化学合成力・設計力、グループのジャパン・ティッシュ・エンジニリアングやCellular Dynamics International、FUJIFILM Diosynth Biotechnologiesが持つ、細胞の作製・培養技術などを活かして、競争力の高い培地の開発を加速させ、培地事業のさらなる成長を図ってい くとしている。

  

今回、富士フイルム和光純薬にアイエスジャパンを統合し、研究開発・製造・販売機能を一体化させることで、各機能の強化と効率的なオペレーションを実現 する。

研究開発・製造面では、両社が持つ培地の開発ノウハウ・製造技術などを融合し、研究開発のスピードアップや生産効率のさらなる向上を図る。

販売面では、富士フイルム和光純薬が持つ、強固な国内販売網や幅広い細胞培養関連試薬ラインアップなどを活かして、より一層の増販を進める。


Saudi Aramco は1月28日、現代重工からHyundai Oilbank の株式 19.9% を16億ドルで買収することで合意した。両社が来月の取締役会でこれを承認する予定。

付記

Saudi Aramco


Saudi Aramcoはアジアの市場を確実にするため、各国の石油会社に出資している。既に韓国のS-Oil に63.41%を出資している。

韓国 Hyundai Oilbank 17% 4月発表
S-Oil 63.41% 1991年 35% / 2015年 28.41%
日本 昭和シェル 14.96% Shellから 2004年 9.96%、2005年 4.99%
マレーシア RAPID計画 50% マレーシアのRAPID計画、間もなくスタート
インド Ratnagiri計画 25% アブダビ国営石油と共同参加
インドネシア Cilacap 計画 2015/2 基本覚書
パキスタン Gwadar 計画 2019/1 基本覚書
中国 浙江石油化工 9% 浙江石油化工に出資
盤錦  Norinco計画 製油所/エチレン100万トン
雲南   PetroChina計画
Fujian Refining & Petrochemical 25% 福建石化計画


Hyundai Oilbank は元々、現代重工の子会社であったが、1999年のアジア危機に際し、UAEの
International Petroleum Investmentのオランダ法人Hanocal BV が50%を取得、2003年に20%を追加購入し、70%とした。

2010年8月に現代重工がこれを買い戻した。

2009/11/21 現代グループ、Hyundai Oilbank の経営権を奪還

現在、現代重工はHyundai Oilbank の91.13%を所有している。

Hyundai Oilbank は大山に日量65万バレルの製油所を持ち、石油製品を世界に輸出している。韓国には2400カ所の給油所を運営している。
また、下記のJVで、年産120万トンの混合キシレン工場、年産118万トンのパラキシレン工場、25万トンのベンゼン工場を持つ。

Hyundai Oilbank とLotte Chemical は大山にJVの現代ケミカルを持ち、混合キシレンを生産するが、昨年に重質油石油化学の投資で合意した。

Hyundai Oilbank とLotte Chemicalは2014年1月、両社が進出している大山工業団地に合弁でコンデンセート精製プラントと混合キシレン(MX)プラントを建設する契約を結んだ。

両社はHyundai Oilbank が60%、Lotte Chemical が40%で新会社「現代ケミカル」を設立した。

混合キシレンを年120万トン生産し、Lotte Chemical とHyundai Cosmo(下記)に供給する。2016年11月に完成した。

Hyundai Oilbank とLotte Chemicalは2018年5月、重質油石油化学設備(Heavy Feed Petrochemical Complex)の投資で合意した。

現代ケミカルで、原油の常圧蒸留によって残った重質油(残渣油)を主原料とし、年間75万トンのエチレンを生産、これをもとにポリエチレン75万トン、ポリプロピレン40万トンを生産する。これらはほとんど海外に販売される予定。2021年末の商業運転開始をめざす。

別途、Hyundai Oilbankとコスモ石油は2009年に50/50JVのHyundai Cosmo Petrochemical を設立した。

Hyundai Oilbankよりナフサを原料とする既存パラキシレン製造設備を譲り受け

パラキシレン 380,000トン/年、ベンゼン 13万トン/年

ミックスキシレンを原料とする新規パラキシレン製造設備を新設、2013年1月から生産

パラキシレン生産量800,000トン/年(合計118万トン/年に)、ベンゼン 12万トン/年(合計 25万トン/年に)

2009/5/8 コスモ石油、韓国でパラキシレン製造へ

SABICは1月17日、2014年12月設立のカーボンナノチューブのJV Black Diamond Structures (BDS)の株式の過半数を取得したと発表した。 今後は、SABICのスペシャリティ事業の傘下に加わることになる。

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SABICは2015年1月5日、米国のMolecular Rebar Design との間で、特定の市場向けのカーボンナノチューブ(CNT)を開発・販売するため、合弁契約を締結したと発表した。

JVの名称はBlack Diamond Structures LLC で、Molecular Rebar Design 社のユニークなCNT技術 "Molecular Rebar" を使う。

2015/1/16 SABIC、カーボンナノチューブでJV  

BDSは、米テキサス州オースティンに本社、量産工場およびワールドクラスのバッテリ試験能力を有しており、世界の160社以上におよぶバッテリメーカーと協力してい る。

Black Diamond Structuresは独自の改質技術を用いたカーボンナノチューブMOLECULAR REBAR®を製造・販売している。これは、鉛電池およびリチウムイオン電池を使用したエナジーストレージ用途の性能向上に大きな可能性を提供するものである。
同社はエネルギー貯蔵市場におけるMOLECULAR REBAR®の独占使用権を保有している。

カーボンナノチューブは、一般的な製法(アーク放電法レーザーアブレーション法、流動床リアクターなど)では、沢山のナノチューブが絡まった束の"fuzzy balls"の状態で生成する。長さ、直径、らせん度が揃っていないだけでなく、ナノチューブの配向や配列もまったくのランダムということが多い。また、不純物が残留する傾向にあり、実際の用途において、電気的および機械的な材料特性に制約が生じることになる。

絡まった束をほぐし、理想的なチューブにしないと利用できないが、通常のやり方では難しく、これが商業利用を妨げている。

Molecular Rebar Design の"Molecular Rebar"は、一般に入手できる"fuzzy balls"の状態のCNTからスタートし、いくつかの工程を経て、理想的なアスペクト比(60~100)の綺麗なチューブになる。

BDSでは、「この独自のナノ材料は、新たな投資を必要とせず既存のバッテリー製造プロセスに直接組み込むことができるため、電池メーカーは次世代バッテリーの迅速な開発が可能となる。試験の結果では、MOLECULAR REBAR®タイプのカーボンナノチューブは鉛電池のサイクル寿命を大幅に改善し、またリチウムイオン電池の性能向上によって電力容量の増加に対する業界ニーズに応えうることが示されてい る」とコメントしている。

SABICでは、「BDSのカーボンナノチューブ技術を活かし、エナジーストレージ市場で要求される厳しい課題の数々に取り組んでいく。特にBDSは、充電率、バッテリーサイクル寿命、エネルギー密度を大幅に改善可能なソリューションを求める電池メーカーに画期的なメリットを提供 する」と話している。

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マサチューセッツ工科大学の研究者が、電池の電極の一方にカーボンナノチューブを使用することで、従来のリチウムイオン電池よりも電力量が大幅に増大し、電極材の単位質量あたりの電力量を最大10倍にまで、大幅に増大できることを発見した。


ドイツ政府の諮問委員会は1月26日、2038年までに石炭火力発電所を全廃し「脱石炭」を行うよう求める答申をまとめた。産業界や環境団体、学識者などが参加する政府委員会は25日から夜通しで協議し、26日朝に合意した。ドイツ政府は今後、法整備の本格検討に入る。

二酸化炭素(CO2)の排出量を削減し、ドイツ政府が決めた気候変動目標を達成する手段となる。

ドイツの発電量の4割弱は石炭や石炭の一種で特にCO2排出量が多い褐炭に由来し、環境保護派と褐炭産地の間で廃止時期を巡る議論が続いていた。ドイツは世界最大の褐炭産出国。

石炭火力からの撤退で影響を受ける州に対して20年間にわたり総額400億ユーロ(約5兆円)を支援することでも合意した。 これからの問題は、連邦政府と16の州がこの費用をどのように分担するかである。

ドイツでは2022年までの脱原発を決めており、これに加え、脱石炭を行うこととなる。

2002年に当時のSchröder政権(ドイツ社会民主党と緑の党の連立政権)が原子力法を改正し、原発の運転年数を32年と定めて順次停止し、2022年までに原発を廃止すること、原発の新規建設は認めないことを決定した。

しかし、2009年にMerkel 政権(キリスト教民主・社会同盟と自由民主党の連立政権)が成立し、方向転換した。

1980年以前に稼働を開始した原発7基の稼働期間を8年、1981年以降に稼働を開始した原発10基の稼働期間を14年延長する「エネルギー計画2050」を決定し、2010年12月に原子力法を改正した。

ところが、2011年3月11日の福島第一原発事故で、この決定が覆ることになった。メルケル政権は、すべての原発を2022年までに廃止するという以前の決定を受け入れることになった。

2011年の福島第1原発での事故を受け、ドイツ政府が自国の原発の停止を命じたことについて、ドイツの連邦憲法裁判所は2016年12月6日、原発を操業していたエネルギー企業各社が補償を求める権利を認める判断を下した。

2016/12/9 ドイツの憲法裁判所、原発廃止で原発事業者の補償請求権を認める

ドイツの再生可能エネルギーは昨年に合計で40%以上となり、初めて石炭を上回ったが、更にこれへの移行を進める。

提案では先ず、石炭火力業者(RWE、Uniper、EnBW、Vattenfall など)に2022年までに12.7gigawatts の能力(大規模火力の約24基に相当)を停止することを求めた。

2030年までにドイツの石炭火力能力を半分以下の17gigawattsに落とす。

提案には、RWEの褐炭の主要なソースであるHambach の森の保存が望ましいと述べており、RWEにとり打撃となった。

ハンバッハ鉱山は、Nordrhein-Westfalen Elsdorf にある大型露天採掘鉱山で、RWEによって運営され、年間約4000万トンの亜炭(褐炭)を産出している。

ハンバッハでの採掘が始まったのは1980年の初めで、森を潰して広がっていったハンバッハの採掘現場は85㎢にもなり、露天掘りのまま、最高450mの深さまで褐炭含みの土が削られた。

REWは、石炭火力発電所に燃料を供給するために2040年までの間に24億トンの褐炭を採掘する計画をつくり、所有するハンバッハの森200haの半分の伐採を2018年10月15日に始めると発表した。

市民がこれに反対、停止を求めて提訴し、同州ミュンスターの裁判所が2018年10月5日、森林伐採計画をめぐる環境訴訟の審理にはさらなる時間を要すると判断し て計画を差し止めた。電力を確実に供給するためには新たな森林伐採が早急に必要だというRWEの主張は十分に証明されなかったと判断した。

今回、政府の委員会が森の保存が望ましいとしたもので、石炭火力廃止により、この森が守られることとなる。

米法律事務所のBaker & McKenzieは1月14日、2018年の中国の対外投資の概要についてのレポートを出した。詳細は追って発表される。

タイトルは、「中国の北米・欧州向け2018年投資は73%減少し、300億ドルで6年ぶり低水準」

Chinese FDI into North America and Europe in 2018 Falls 73% to Six-Year Low of $30 Billion


中国の北米。欧州向け投資は2016年は940億ドル、2017年は1110億ドル(うちSyngenta買収が430億ドル)に対し、2018年は300億ドルだった。

国別

対米直接投資は2016年に過去最高の456.3億ドルに達した後、2017年は290億ドルに減り、2018年はさらに大幅に減少して48億ドルになった。カナダ向けは増加した。

減少の原因として、米国が外国からの投資への審査を強化したこと、中米貿易摩擦が二国間関係の緊張をもたらしたことを挙げている。

対欧州直接投資も減少したが、全体として対米投資よりは好調で、英国、オランダ以外は増加している。中欧、東欧への投資も全面的に増加した。

投資審査ルールによるが2018年に少なくとも21件あった。うち欧州が7件で、北米が14件である。

米国、英国、フランス、ドイツ、ハンガリー、イタリア、ラトビア、リトアニアが投資審査を強化した。ベルギー、オランダ、チェコ、ギリシャ、スロバキア、スウェーデンも強化を検討している。EUも投資審査規則を作成中である。

2018年には欧州と北米での中国企業による資産売却も増加した。欧州で50億ドル、北米で130億ドルを売却し、更に2019年に120億ドルの売却が決まっている。

大日本住友製薬が米国で年約1800億円を販売する主力薬「ラツーダ」の 物質特許は本年1月2日に失効した。

しかし、用途特許や製剤特許はなお有効であり、昨年12月に後発薬各社との間で和解が成立し、後発薬の登場を2023年2月以降に4年遅らせることに成功した。

業界紙の取材に応じた野村博社長はこれにより「4年で4000億円以上のキャッシュフローが生み出され、成長投資に振り向けたい」と話した。
重点とする「精神神経」「再生・細胞医薬」の分野で「15年後に世界のリーダーになることをめざす」と語り、再生医療では米国に進出する方針を打ち出した。


 非定型抗精神病薬「LATUDA」(一般名:ルラシドン塩酸塩)


米国

物質特許(5,532,372)特許期間満了日は5年間の延長で2018年7月2日
          小児適応追加による独占期間の延長を含めて2019年1月2日

用途特許(9,815,827)2017年11月に成立、特許満了は2024年2月
製剤特許(9,907,794)2018年3月成立、特許満了は2026年5月

FDA承認 2010年10月28日

米国での販売 2011年2月に統合失調症治療薬として発売され、2013年6月には双極 I 型障害うつの効能追加

日本での統合失調症、双極I型障害うつおよび双極性障害メンテナンスを対象とした2019年度中の承認申請を目指す。


大日本住友製薬はこれまで、後発薬企業がFDAに簡易新薬申請(ANDA:Abbreviated New Drug Application)を提出したのに対し、特許侵害訴訟をおこない、勝訴している。

1)物質特許

2015年1月14日、後発品申請(ANDA)を行ったEmcure Pharmaceuticals、Emcure Pharmaceuticals USA、InvaGen Pharmaceuticalsに対し、物質特許の侵害を理由として、特許侵害訴訟

その後、Teva Pharmaceuticals USAおよびTeva Pharmaceutical Industriesを追加

第一審で地裁は特許侵害を認め、物質特許のクレームは有効かつ法的強制力を有するという判決および恒久的差し止め命令を下した。

2018年4月16日、連邦巡回区控訴裁判所が第一審によるクレーム解釈を支持した。

但し、物質特許は2019年1月2日に失効した。

2)用途特許&製剤特許

2018年2月13日、後発品申請(ANDA)を行ったEmcure PharmaceuticalsおよびAmneal Pharmaceuticals に対し、用途特許の侵害を理由として、特許侵害訴訟

2018年2月23日、下記15社を追加

Accord Healthcare、Amneal Pharmaceuticals、Aurobindo Pharma、Dr. Reddy's Laboratories、First Time U.S.Generics、InvaGen Pharmaceuticals、Jubilant Generics、Lupin、MSN Laboratories Private、Par Pharmaceutical、SUN PHARMA GLOBAL FZE、Teva Pharmaceuticals USA、Torrent Pharmaceuticals、Watson Laboratories,Zydus Pharmaceuticals (USA)

2018年5月 製剤特許に基づく請求を追加

2018年12月 和解成立

本訴訟の提起後、本訴訟の追行と並行して、裁判所からの指示等を受けて被告各社との間で個別の協議を実施した 。
その結果、訴訟の取下げや和解契約による訴訟の終結などを通じて本訴訟の被告数は減少していたが、2018年11月、全ての被告との間で和解が成立した。
裁判所への必要書類の提出と確認の手続きが全て完了し、2018年12月3日付けをもって正式に本訴訟が終結した。

和解契約に基づき、本訴訟の被告であった複数の後発品メーカーは、2023年2月20日以降本製品の後発品を販売することができ る。他の和解条件は非開示。

なお、Emcure PharmaceuticalsAmneal Pharmaceuticalsと他1社は用途特許を無効とする「パラグラフIV」を提出したため、特許侵害訴訟を提起した。現在、なお継続中。

パラグラフIVは新薬の特許が、無効、法的強制力がない、または後発薬の製造、使用、もしくは販売によって侵害されることはないと主張するもの。

経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)が 昨年末の報道各社とのインタビューで、今後の原発政策について 次のように述べたとされる。(2019/1/5 東京新聞)

東日本大震災から8年がたとうとしているが、東日本の原発は再稼働していない。

国民が反対するものはつくれない。全員が反対するものをエネルギー業者や日立といったベンダーが無理につくることは民主国家ではない。

真剣に一般公開の討論をするべきだと思う。

東京新聞はこの発言について、以下のように分析している。

中西氏が会長を務める日立の前会長の川村隆氏は現在、東京電力ホールディングスの会長を務める。本来なら中西氏は原発の推進に回ってもおかしくない立場だ。

それにもかかわらず、中西氏が国民的議論の必要性を指摘するのは、日立の英国への原発輸出計画を通じて、コスト面からの原発への逆風を身をもって感じているからにほかならない。
日立と英政府は英中西部のアングルシー島で原発建設を計画しているが、安全対策の強化で必要な投資額は当初の2兆円から1.5倍の3兆円まで膨張。採算が合わないため、暗礁に乗り上げようとしている。

一方で、再生可能エネルギーのコストは急低下しており、日本の原発輸出計画はトルコやベトナムなどでも相次いで行き詰まっている。


日立には、このままでは経産省の政策に沿って海外の原発会社を買収した結果、大損失を被った東芝の「二の舞い」になりかねないとの危機感もあるとみられる。

原発への逆風は国内でも同様。国民の反発が強いのに無理に進めれば、安全対策は膨張し、採算をとるのは困難だ。

ーーー

日立は2019年1月17日、英国のHorizon Projectを凍結すると発表した。民間企業としての経済合理性の観点から、判断したとしている。
減損損失等 約3000億円を計上する予定。

これまでの交渉では、日立、日本政府・企業、英国政府・企業が3千億円ずつ出資、残り約2兆円を融資で賄まかなう案が検討されてきた。
ところが、日立が当てにしていた東電が難色を示したのをはじめ必要な資金が集まらず、このままでは傷が広がるばかりだとして、すでに昨年12月の段階で計画断念の意向を英政府に伝達していた。

同社では、「コストを民間企業の日立が全て負担することには限界がある」としている。
英国側の支援を求めたが、メイ首相は1月10日の安倍首相との会談後に、「最終的には会社の経営判断次第だ」と述べた。

2018/8/22 日立の英原発計画がピンチ

2017年11月には、東芝が、英国における原子力発電所新規建設事業からの撤退を決定し、連結子会社のNewGeneration (NuGen)を解散すると発表している。

 2018/11/9 東芝、英原発事業を清算

また、政府や三菱重工業などの官民連合がトルコの原子力発電所の建設計画を断念する方向で最終調整に入った。

2018/12/13 三菱重工、トルコ原発計画断念へ

なお、日立の発表を受け、世耕経済産業大臣はエネルギー政策に大きな変更はないと述べた。

「(日本政府としては)将来にわたって責任あるエネルギー政策を進めていく上において、原子力を含め、あらゆる選択肢・可能性を追求していく。」

ーーー

不思議なことに、中西会長のこの発言は、一部メディアは取り上げたが、大手新聞、テレビは東京新聞以外は全く取り上げていない。

1月1日付の日本経済新聞はインタビュー記事を載せているが、該当部分は次の通り。

「日本のエネルギー問題は危機的だ。コストが高く、世界から批判され、再生エネルギーを増やせず、投資は停滞している。11年の東日本大震災から3年くらいは世界中が『仕方ない』と言っていたが、最近では同情はない。どうするか真剣に討論すべきだ」


ところが、中西会長の、原発再稼働「どんどんやるべき」との、全く逆の発言が各紙に大きく取り上げられた。

2019/1/15 日本経済新聞

経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は15日の記者会見で、停止中の原子力発電所に関し「再稼働はどんどんやるべきだ」と述べた。「再生可能エネルギーだけでまかなえるとは思っていない」とも語った。

経団連発表の「定例記者会見における中西会長発言要旨」の「エネルギー問題」の箇所は以下の通り。

【エネルギー問題】

エネルギー問題については、2030年のエネルギー基本計画の実現、パリ協定に基づく削減目標の達成など課題が山積している。先のCOP24では、先進国と途上国の溝を埋めるという難しい課題はあったものの、会期延長の末、「パリ協定作業計画」が取りまとめられ、パリ協定を具体化するステップへと進むことができた。経団連も、現地に代表団を送り、グローバル・バリューチェーンを通じて温室効果ガス削減に取り組むことを、COP24の場で積極的に訴えた。

エネルギー問題については、資源エネルギー庁、経済産業省だけでなく、外務省、環境省、財務省なども関係する横断的な課題だという問題意識を持っている。政、官、産、学で真剣に議論していく必要がある。

近年の猛暑や自然災害の激甚化は地球温暖化が一因ともいわれている。温室効果ガスの削減は地球規模の課題である。翻って日本の現状を見ると、エネルギーの9割近くが化石燃料由来である。東日本大震災直後ならいざしらず、8年経過した段階で、国際社会はこの現実をよしとしてくれない。

原発の再稼働が進まないことも直近の課題であり、積極的に推進するべきである。安全性の議論が尽くされていても、地元の理解が得られない状況に立ち至っている。その説得は電力会社だけでできるものではなく、広く議論することが必要になっている。それにもかかわらず、原子力について真正面からの議論が足りていない。

仮に原子力をベースロード電源として使わない場合、長期的に見て、何が人類のエネルギー源になるのか、冷静に考えてみるべきだ。再生可能エネルギーだけで賄うことは到底不可能である。原子力技術を人類のために有効に使うべきである。


中西会長の「国民が反対するものはつくれない」発言から2週間後の「どんどんやるべき」発言について、憶測が飛び交っている。

日刊ゲンダイは、安倍官邸から怒られたのではないか、という見方が流れていると報じている。

原発推進は安倍政権の基本政策なのに、『国民が反対するものはつくれない』と異を唱えた。安倍官邸から激怒されておかしくありません。世論調査では反対が多数ですからね。それで慌てて官邸に聞こえるように"原発推進"を叫んだのではないか、とみられています」(財界関係者)

しかし、この経団連会長の重大発言を、マスコミがろくに報道すらしないのはどうしてなのか? 

ジャーナリストの高野孟氏はこう述べている。

消えた経団連会長の重大発言......。権力による言論封殺なのか、それとも経団連官僚からマスコミのほとんどまでが結託した"忖度"なのか。この国ではどうも、ボーッと生きていると、国の運命に関わるような重大ニュースもいつのまにか消されて「なかったこと」にされてしまうようである。

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