「no」と一致するもの

GlaxoSmithKline (GSK) のCEOのSir Andrew Witty はこのたび、貧困国で医薬品を手に入れやすくするため、特許を申請しない方針を明らかにした。

これにより、他の企業が特許を心配せずにこれらの地域でGSK の医薬品を製造販売し、民衆が手に入れやすくなるのを望むとしている。
アフリカがもっとも恩恵を受けることを望んでいる。

具体的には、下記の方針を決めた。

国連と世界銀行の分類による「後発開発途上国」(LDCs:Least Developed Countries) と「低所得国」(LICs:Low Income Countries) では医薬品の特許を申請しない。
対象となるのは、50カ国で、合計の人口は10億人。

「低中所得国」(LMICs:Lower Middle Income Countries)では特許は引き続き申請するが、ジェネリックメーカーに対し少額のロイヤリティで10年間のライセンスする。
期間中に経済成長で「低中所得国」から独立した国に対しても適用する。

「高中所得国」(UMICs:Upper Middle Income Countries) とその他諸国では、従来どおりフルに特許保護を求める。

特許申請せず LDC 国連開発政策委員会が設定した基準に基づき、国連総会の決議で認定(当該国の同意を条件)
・1999~2000年の1人当たりGNI平均 750ドル以下
・Human Asset Index  55未満 
(カロリー、乳幼児死亡率、教育水準を指標化したもの)
・Economic Vulnerability Index   37超
(輸出集中度、輸出による所得不安定度、農業生産不安定度、GDPに対する製造業・サービス業比率、人口規模を指標化)
LIC 2013年の1人当たり GNI が1,045ドル以下
少額ロイヤリティ LMIC 同 1,046~4,125ドル
UMIC 同 4,126~12,745ドル


具体的には、OECDによる最新のLDC、LIC、LMICのリスト 参照。
リストは3年ごとに更新され、3年連続で一人あたりGNIが上限の基準を超えると除外される。

同社はまた、開発途上国での増大する癌の負担に対応するため、将来の抗がん剤全てを「医薬品特許プール」(Medicines Patent Pool)に入れたいとしている。
「医薬品特許プール」に入れることで、GSK の医薬品のジェネリックの貧困国での生産・流通が可能となる。

医薬品特許プールは世界保健機関(WHO)が採択した「公衆衛生と技術革新、知的財産権に関するグローバル戦略」の一貫として2010年に発足した。
医薬品の特許を所有している企業や大学、研究機関などが、自ら所有する特許権を提供し、第三者による製造や製品改良のための仕組みで、HIVや結核、C型肝炎などの治療
へのアクセスを高めてきた。

特許権の保有者がプールにその権利を提供することで、ジェネリック薬(後発医薬品)のメーカーは特許期間が満期になる以前に対象となる医薬品の開発に着手できる。
また、プールのライセンスが指定した国に対しては、開発した医薬品を輸出することもできる。
特許保有者は利用者から特許権料を受けるが、プールの運営には特許プール管理機構があたり、提供者と利用者の間の使用交渉や特許料の支払い、受け取りの管理を行う。

GSKはPfizer と塩野義製薬とのJVのViiV HealthcareでHIV治療薬を開発しているが、2014年4月2日、医薬品特許プールとの間で HIV治療薬に関する新たなコラボレーションを発表し、成人および小児医療向けの新しい有望な抗レトロウイルス薬(ARV)、ドルテグラビル(DTG)へのアクセス強化に対する2つの契約を結んだ。
この契約によってジェネリック医薬品メーカーは、最も大きなHIV負担国で、HIVにかかった成人の93%、子供の99%が住んでいる発展途上国に向けて、低コストのDTG治療薬を製造することができる。

今後、癌治療薬を加えることでGSKの貢献は高まる。

住友金属鉱山は3月29日、ニューカレドニアのGoro Nickel Cobalt Project を進めているVale Nouvelle Calédonie S.A.Sの全株式をVale Canada Limitedに譲渡する売買契約を締結した。譲渡金額は約80億円。
共同で出資する三井物産も同様に売却した。

住友金属鉱山と三井物産は、SUMIC Nickel Netherlands(住友 52.38%、三井 47.62%)を設立して2005年よりGoro Nickel Cobalt Projectに参加しているが、2015年12月末までに商業生産目標を達成できない場合には、株式をVale Canadaに売却することとしており、商業生産条件を達成することができなかったため、撤退する。

住友金属鉱山は長期ビジョンの中で、ニッケル生産量15万トン/年をターゲットに掲げている。既存プロジェクトの拡張や新規プロジェクトの戦力化等により、ターゲットの達成に向けて引き続き取り組むとしている。

ーーー

Goro Nickel Cobalt Project はカナダのInco Ltd が主体となって開発計画を推進してきたニッケル開発事業で、フランス領ニューカレドニア島の南端に位置するGoro地区、Prony地区にある大規模ニッケル酸化鉱床を対象に、高圧酸浸出法(High Pressure Acid Leach=HPAL法)によるニッケル製錬法で、酸化ニッケルおよび炭酸コバルトの生産を計画している。

ニッケル資源量については世界最大規模のものが期待されており、プラント建設工事が完了する2007年秋以降、年間約4百万トンの鉱石採掘・処理を行い、酸化ニッケル約60千トン/年(ニッケル地金換算)および炭酸コバルト約4~5千トン/年(コバルト地金換算)を生産する計画であった。

住友金属鉱山と三井物産は2005年4月8日、Goro Nickel Cobalt Project (当時の総事業費約18.78億ドル)への参画について本契約を締結した。

このプロジェクトへの出資を目的として、オランダに新会社「Sumic Nickel Netherlands b.v.」(住友52.38%、三井47.62%)を設立し、これを通じて運営主体であるGoro Nickel SA に21%出資した。

このプロジェクトへの参加により、住友および三井は、出資比率相当分のニッケルおよびコバルト製品を引き取る権利を保有し、今後発生するプロジェクト開発費もこの比率で負担する。

その後、試運転段階での設備トラブルもあり、本格的な生産開始が遅れ、補修・改良工事の費用が多額に及んだことから、2012年10月に、総事業費46億ドルを超える費用負担のための追加出資に応じないこととし、これにより出資比率は14.5%に低下した。
(プロジェクトへの参加比率は、住友が7.6%、三井が6.9%となる。)

全体の出資の推移は下記の通り。

当初 2005/4 2012/10
Goro Nickel SA 90% 74% 80.5%
Suminic Nickel 21% 14.5%
SPMSC 10% 5% 5.0%
合計 100% 100% 100%

SPMSC (Société de Participation Minière du Sud Calédonien)はニューカレドニア政府の権益で、ニューカレドニア南部州が 50%、北部州が 25%、島嶼州が 25%出資する。

計画主体のカナダのInco Ltd の前身はカナダのSudbury地域でニッケル生産を行う米国企業 International Nickel Companyで、他企業の買収などを通してニッケル・銅・PGM(白金族金属)の生産シェアを拡大し、1961年には米国・マニトバ州のThompson鉱山のフル生産を開始し、ロシアのNorilsk Nickel に次いで世界第2位のニッケル生産企業となった。

1960年代後半にはインドネシアでのニッケル事業に参入し、PT International Nickel Indonesia(PT Inco)を設立。1970年代後半にはニッケル生産を開始し、カナダ以外での主力となった。

1988年にPT Incoの権益20.09%を住友金属鉱山に売却した。(Inco 59.28%、その他 20.63%)

1992年にはニューカレドニアのGoro鉱床の鉱業権を取得した。

2005年にニッケル生産シェアのさらなる拡大を目指し、カナダのニッケル生産大手Falconbridgeに買収を仕掛けたが、交渉が難航している間に複数の他企業から買収提案を受け、2006年にブラジルのValeに買収された。

2007年にはValeの100%子会社となり、社名をVale Incoに改称した。Valeが従来より所有していたブラジルのニッケルプロジェクトも管理下に置く。
ニューカレドニアの運営主体であるGoro Nickel SA もVale Nouvelle Calédonie S.A.Sに改称した。
インドネシアのPT IncoはPT Vale Indonesia となっている。

ーーー

住友金属鉱山のニッケル事業については下記参照

2009/8/22 住友金属鉱山、比最大手ニッケル鉱山会社の株式を取得

公取委 は3月29日、家電や自動車に使われる2種類のコンデンサーの価格でカルテルを結んだとして、独禁法違反で、ニチコン、日本ケミコン、ルビコン、松尾電機、NECトーキンのメーカー5社に計約67億円の課徴金納付命令を出した。

日立AICとビシェイポリテックは違反を自主申告したため課徴金を免除された。ビシェイは排除命令は受けている。
なお、NECトーキンは50%の減額措置を受けた。

日本ケミコン、ニチコン、ルビコン、日立AICは、円高で輸出による利益確保が難しくなったため、2010年2月〜2011年11月にアルミ電解コンデンサーの販売価格を値上げすることで合意した。ニチコンとNECトーキン、ビシェイポリテック、松尾電機は、原材料費の高騰を理由に、2010年6月〜2011年10月にタンタル電解コンデンサーで価格カルテルを結んだ。

公取委は2014年6月24日、疑いが強まったなどとして、メーカー10社程度に立ち入り調査を行った。
その結果、2015年12月に、コンデンサー7社の独禁法違反を認定し、うち5社に計約67億円の課徴金の納付を命じる方針を固めていた。

日本 
(2016/3/29)
台湾
(2015/12/19)

千円

減免 排除命令

百万円

アルミ電解
 コンデンサー
日本ケミコン 1,435,240 8,307
ルビコン 1,067,740 4,618
エルナー 283
三洋電機 3,115
ニチコン 3,362,230 412
日立AIC 0

免除

小計 5,865,210 3社 16,735
タンタル電解
 コンデンサー
NECトーキン 127,150 50% 4,507
ニチコン 277,950
ビシェイポリテック 0 免除 115
松尾電機 427,650 90
小計 832,750

3社

4,712
合計 6,697,960

6社

21,447

コンデンサー業界は日本のほか、中国、台湾、米国、韓国でカルテルの調査を受けている。

中国の国家発展改革委員会(NDRC) は2014年、他国の競争当局に先がけてコンデンサーの価格カルテルの調査を開始した。

ーーー

台湾の公平交易委員会(公取委に相当)は2015年12月9日、スマートフォンなどに使う電子部品のコンデンサーについて、日本ケミコンなど日 本企業とその海外子会社10社が価格カルテルを結んでいたとして、総額約215億円の課徴金を科すと発表した。台湾でのカルテルに対する課徴金としては過去最高額。

2015/12/15 台湾、日系などのコンデンサーメーカーの価格カルテルに多額の課徴金

ーーー

米当局も現在、キャパシタ(電解コンデンサー)業界のカルテルの調査を行っている。

司法省は2015年9月2日、NEC TOKIN が罪を認め、1380万ドルの罰金を支払うと発表した。
合わせて、同社は今後の調査への協力を約束しており、今後、広がる可能性がある。

ーーー

韓国の公正取引委員会は、2015年秋に、日本のコンデンサーメーカー8社が最大4兆ウォン(約4100億円)台の価格カルテルを結んでいた疑いで調査に入った。

調査対象はパナソニック、ニチコン、日本ケミコン、日立化成、NECトーキンなどの8社。

2015/10/3 韓国公取委、日本のコンデンサーメーカーの価格カルテル調査 

ーーー

各社の概要は以下の通り。

日本ケミコン:1931年 佐藤電気工業所として設立(日本発の電解蓄電器の製品化)

ルビコン:1952年 日本電解製作所として設立、アルミ電解コンデンサ製造開始

エルナー:1929年 本田製作所として創業、1934年 アルミ電解コンデンサの採算・販売

三洋電機:2009年に事業(サン電子で製造)をサン電子に売却

ニチコン:1950年 関西二井製作所設立、1956年 アルミ電解コンデンサ製造開始

NECトーキン:1938年 東北金属工業設立、1988年トーキンに改称、2002年NEC・電子部品事業と統合、改称

日立AIC:1965年に日立化成が神奈川工場を分離、日立コンデンサを設立、のち改称

Vishay Polytec:米のVishay Intertechnologyは2014年に日立コンデンサの三春工場のタンタル・ニオブコンデンサ事業を取得
 (
2010年に台湾の禾伸堂企業が日本に設立したホリストン ポリテック㈱に事業譲渡、ホリストンがVishayに譲渡)

松尾電機:1949年設立

Hanwha Chemical は3月22日、塩素化塩ビの開発に成功、蔚山石油化学産業団地に年産3万トン規模の生産ラインの建設に入ったと発表した。
年末に完成の予定としている。

塩素化塩ビはPVCを塩素化することにより、PVCの優れた性能を損なうことなく耐熱性を向上させたもので、耐熱性が必要とされる給湯用・工業用・スプリンクラー用の配管材などの原料として用いられている。

塩素化塩ビの世界の需要は昨年25万トンに達し、年10%で伸びている。生産しているのは、米国のLubizol や日本のカネカ、積水化学などに限られており、韓国は昨年9千トンを輸入した。

Hanwhaは2012年に始めた研究開発がようやく実を結んだとしている。PVCに比べて価格が高いうえに需要先が一定しており、安定した収益を期待できるとみている。

PVCについては、Hanwhaは蔚山に292千トン、麗川に310千トンのプラントを有している。

ーーー

Hanwha Chemical announced on March 22 that it succeeded in developing high value-added chlorinated polyvinyl chloride (CPVC), which has the improved heat and corrosion resistance, with its domestic technology. Since CPVC has a high technology entry barrier, it has been entirely imported until now. Accordingly, Hanwha Chemical has become the first company in the nation that succeeds in domestically producing CPVC. The company recently completed the detailed design and started construction of the production lines with annual capacity of 30,000 tons at the second plant located in Ulsan Petrochemical Industrial Complex, and it will complete the construction by the end of this year.

CPVC has 10 percent more chlorine than existing polyvinyl chloride (PVC) and is very resistant to heat, pressure and corrosion. It is used in producing pipes for fire sprinkler systems, hot water and special pipes for industrial use.

The CPVC market reached 250,000 tons as of last year and is growing 10 percent every year. Only a few companies, such as Lubrizol in the U.S. and Sekisui and Kaneka in Japan, currently produce CPVC and about 9,000 tons of CPVC was imported to Korea last year. The profitability of PVC, which is for general purpose, is worsening as China, the largest market in the world, has raised the self-sufficiency rates, the global economy is showing a downturn and low-priced products have appeared in the market. In a bid to secure the competitiveness in the global market, a strategy to increase the added value of universal products is needed.

Starting with CPVC, Hanwha Chemical is now developing technologies to improve functions and added value of various universal products, including polyethylene (PE) and plasticizer. In addition, the company is planning to lower the dependence on ethylene and diversify its business portfolio by developing products made of variou

- See more at: http://businesskorea.co.kr/english/news/industry/14175-import-replacement-hanwha-chemical-succeeds-localizing-cpvc#sthash.A3IjZHry.dpuf

塩素化塩ビのメーカーの状況は次のとおり。

1) Lubizol

Lubizolは米国の独立系の添加剤専業メーカーで、1959年に塩素化塩ビを最初に事業化した。

ケンタッキー州LouisvilleとベルギーのOevel にプラントを持つが、能力は明らかにしていない。
2011年にLouisville を拡張している。

2013年3月にPhase-1で 85千トン、Phase-2で85千トンの増設 計画を発表した。

同社の現状は下記の通り。

既存 PhaseⅠ Phase II (検討中)
Louisville, Ky 能力非公開
2011年増設
Oevel, Belgy 能力非公開
Deer Park, TX Resin 55 千トン
Compound 65千トン
 2014年末 稼動
Resin 55 千トン
Compound 65千トン
Dahej, India Compound 55千トン
 2016/1稼動
Compound 35千トン
Rayong, Thailand
(下記)
Resin 30千トン
 2015/6稼動
Resin 30千トン

タイの工場は、積水化学とのJV
 社名:
Map Ta Phut Specialty Chemicals
 出資:積水化学 51%、Lubrizol 49%

 両社がJVからレジンを同量引き取り、各自で新設するアジアの製造拠点でコンパウンドの生産と販売を行う。

2) カネカ

カネカは、日本に26千トン、米国子会社Kaneka North Americaで30千トンの能力を持っていたが、2013年7月に米国で20千トンの増強を行い、合計の能力を76千トンとした。

2011年12月にインドにTrience Speciality Chemicals (カネカ 41%、三井物産 20%、Meghmani Organic 39%)を設立し、グジャラート州での年産20千トンの生産計画を進めたが、最終的に合意に達せず、中止となった。


3) 積水化学

積水化学は2003年3月31日、日本カーバイドから塩素化塩ビの商権の譲渡を受け、子会社の徳山積水に33千トンのプラントを建設した。
2013年に40千トンに増設した。

上記の通り、タイにLubrizol とのJVを持ち、年15千トンの引取権を持つ。



ロックフェラー家関連のRockefeller Family Fundは3月23日、化石燃料関連投資を出来るだけ早く解消すると発表した。

世界が化石燃料の使用を止めようとしているときに、 企業がハイドロカーボンの新しいソースを開発し続けるのには健全な論理的根拠はないとし、それらの企業の株を持ち続けることは、経済的にも倫理的にも意味がないとし た。

ExxonMobilについて、1980年代以降、気候変動について隠して大衆を惑わせる一方、多額の投資をして自社のインフラを強化し、新しい開発を行ってきたと述べ、違反行為がなかったか調査すべき とした。そして、ガバナンスの観点から、公共の利益を明らかに無視するような企業とは関係を持つことは出来ないとし、ExxonMobil 及び全ての石炭企業タールサンド企業の株を直ちに処分するよう指示したとしている。

Rockefeller Family Fund の化石燃料への投資は、遺産のほんの一部の130百万ドルに過ぎない。

「Rockfeller 一族はExxonMobil を含む石油産業に長い間投資し、利益を得ていたため、この決定は軽いものではない。しかし、歴史は動く、動かねばならない」と述べている。

ロックフェラー家関係者は2008年、ExxonMobilに企業統治の在り方を変え、代替燃料への支出を増やすよう、すでに呼び掛けていた。
2014
年には、ロックフェラー家関連の別ファンド、Rockfeller Brothers Fundなど複数の慈善団体、非政府組織が、化石燃料関連の投資をやめる方針を示している。

ExxonMobilの広報担当者は、「同ファンドは当社への陰謀に既に資金提供しているため、当社から投資を引き揚げつつあることに驚きはない」とコメントした。

ーーー

Rockefeller Family Fundは1967年にJohn D. Rochfeller Jr の2番目の妻のMartha とJr.の息子のJohn、Laurance、Nelson、David によって設立された。

設立以来、環境保護、女性の経済的権利の推進、市民活動の支援などを行ってきた。

ーーー

アメリカの石油王 John Rockefellerは、ニューヨーク州の生まれで農民出身だが、クリーブランドで石油精製事業に成功する。
1870年1月10日にStandard Oil of Ohioを創設、アメリカ全製油量の10%を握った。その後、次々と合併を行って1879年にはアメリカの全石油精製の90%を独占した。その過程で弱小企業を倒産に追いこむなど世論批判を受けた。

1890年にアメリカ合衆国下院議会がシャーマン反トラスト法を可決、これがアメリカの全ての独占禁止法の源である。

1911年、Standard Oil は分割された。

Standard Oil の後継会社と、その後の姿は下記の通りである。

分割会社 その後 現在
Standard Oil of Ohio (Sohio)  BPが買収  BP Amoco BP
Standard Oil of Indiana(Stanolind) Amoco
Atlantic & Richfield Atlantic Richfield(ARCO)
Standard Oil of New York(Socony Vacuum Oil と合併→Mobil ExxonMobil
Standard Oil of New Jersey (Esso) Exxon
Standard Oil of Kentucky (Kyso) Socal が買収 Chevron
Standard Oil of California(Socal) Gulf Oil と合併→Chevron →
Texacoを買収→ChevronTexaco
Continental Oil (Conoco) Phillips と統合 ConocoPhillips

国際石油開発帝石(INPEX) がインドネシアで進めてきた大型海底ガス田Abadi LNG の開発計画が大幅な変更を迫られることになった。

INPEX はシェルと共同で、洋上にLNGプラントを浮かべるフローティングLNG(FLNG)方式で政府に認可を申請していたが、ジョコ大統領は3月23日、陸上に建設すべきだとする政府方針を決定した。INPEXは正式な通知を受けた上で今後の対応を検討すると発表した。

付記 INPEXは4月1日にインドネシア政府より陸上LNGによる開発計画の検討を求める内容の通知を受領した。

   今後、通知内容を精査し、早期開発を目指して当局と協議するとしている。

陸上案は、大半の設備を国外で組み立てることが想定される洋上案より、地元経済の刺激効果があるためと見られる。

ーーー

国際石油開発帝石(INPEX) は1998年11月にインドネシア政府の公開入札により Masela鉱区の100%権益を取得した。


その後、オペレーターとして探鉱作業を推進し、2000年に掘削した試掘第1号井によりAbadi ガス田を発見した。その後、6坑の評価井掘削を含むガス田評価作業を実施し、同ガス田にはLNG開発に十分な天然ガス埋蔵量を確認した。

参加権益比率はINPEXが90%(オペレーター)で、 インドネシアの有力エネルギー企業PT Energi Mega Persada社の子会社PT EMP Energi Indonesia(EMPI)が10%となった。

2010年12月に第一次として LNG年産250万トンをFLNG方式で開発する開発計画がインドネシア政府より承認され、その後、海底生産施設およびFLNGの基本設計作業を実施した。

2013年6月にEMPIの権益を買収し、INPEXが65%(オペレーター)、Shell 35% の体制となった。

2013年から2014年にかけて追加評価井3坑を掘削した結果、天然ガス埋蔵量の増大が確認され、インドネシア当局から認証を取得した。これを踏まえ、2014年にLNG能力を3倍の750万トンに拡大した「改定開発計画」の承認を申請した。

申請を受けたインドネシア政府の内部で意見が分かれた。

2015年9月に海洋担当調整省(Co-ordinating Ministry of Maritime Affairs)は陸上に建設すれば160億ドルで、洋上の場合の220億ドルにくらべ、60億ドルの節約になると主張した。

He added that the onshore LNG plant on Aru island - which will be linked by a 373-mile pipeline from the Abadi gas field - would result in savings on development spending compared to the FLNG scheme and produce economic spinoffs for the development of the surrounding region. - See more at: http://www.rigzone.com/news/oil_gas/a/143197/Indonesia_Not_Decided_on_Abadi_Dev_Scheme_Despite_Ministers_Claim#sthash.zjNi8Ljp.dpuf
He added that the onshore LNG plant on Aru island - which will be linked by a 373-mile pipeline from the Abadi gas field - would result in savings on development spending compared to the FLNG scheme and produce economic spinoffs for the development of the surrounding region. - See more at: http://www.rigzone.com/news/oil_gas/a/143197/Indonesia_Not_Decided_on_Abadi_Dev_Scheme_Despite_Ministers_Claim#sthash.zjNi8Ljp.dpuf

Abadiガス田から373マイルのパイプラインでAru 島に運び、陸上でLNGにすれば、コストダウンになるだけでなく、近辺の地域の経済発展にも役立つと主張した。

これに対し、エネルギー鉱物資源省と石油·ガス上流レギュレータ(SKK Migas)は、洋上なら148億ドルで、陸上より45億ドル安いと主張し、INPEXとShellも、計画が遅れることとコスト高を理由に、陸上案に反対している。

"We need to make a prudent decision for such a big project ... However, it will be decided soon," Johan said Tuesday. - See more at: http://www.rigzone.com/news/oil_gas/a/143197/Indonesia_Not_Decided_on_Abadi_Dev_Scheme_Despite_Ministers_Claim#sthash.zjNi8Ljp.dpuf

本年2月に、陸上案に賛成する海洋担当調整大臣(Co-ordinating Miniser of Maritime Affairs)が大統領が陸上案に決めたと発言したが、大統領報道官は、大統領はなお検討中であると述べた。地方経済への影響などを含め、両案を検討中であるとし、「このような大規模の事業は慎重に検討する必要がある。しかし、間もなく決定されるだろう」と述べた。

INPEXとShell は決定が遅れているため、現地の従業員を減らすと通告した。SKK Migasは、計画は少なくとも2年は遅れるだろうと述べた。

三井物産は3月23日、三菱商事は3月24日、それぞれ2016年3月期の連結最終損益予想を大幅に引き下げた。
両社とも、初の連結赤字決算となる。

損益予想の引き下げ理由は下記の通りだが、減損損失のうちの大口のもの(チリ銅事業と豪州LNG事業)は両社の共同事業である。

三井物産
事業分野 内容 主な理由 当期損益
税引き後 
  億円
金属 チリ銅事業 Anglo American Sur 銅価格見直し等 -900
カセロネス銅事業 -250
ブラジル資源事業 Vale 減損 -350
豪州石炭事業 長期石炭価格 -250
エネルギー 豪州Browse LNG事業の減損 開発計画遅延 -400
その他原油・ガス資産の減損 長期原油・ガス価格 -150
機械・インフラ 海外発電事業の減損 長期電力価格 -300
合計 -2,600

三菱商事
事業分野 内容 主な理由 当期損益
税引き後 
  億円
金属 チリ銅事業 Anglo American Sur 銅価格見直し等  -2,800
豪州鉄鉱石 鉄鉱石価格下落 -300
南ア フェロクロム フェロクロム価格下落 -200
エネルギー 豪州Browse LNG事業の減損 開発計画遅延 -400
上流部門 アジア 原油・ガス価格 -120
  同   北米   -60
  同   北海 廃坑費見直し -70
シェールガス 遊休資産再評価 -30
その他 -120
その他 海外発電事業 、船舶関連ほか -200
減損損失 合計 -4,300
市況下落による持分損益の悪化等 -200
損益見直し 合計 -4,500

註) いずれも税引き後の損益であり、実際の減損損失計上額とは異なる可能性がある。
    (三菱商事のLNGの減損損失計上額は600億円となっている)

(1) チリ銅事業における減損損失

Anglo American Surは、チリ国内にLos Bronces銅鉱山、El Soldado銅鉱山、Chagres銅製錬所、並びに大型の未開発鉱区などの優良資産を保有する。

同社については、2011年11月に三菱商事が24.5%の出資を発表したが、それまでに、世界最大の銅製錬企業であるCorporación Nacional del Cobre de Chile(コデルコ)と三井物産のJVのAcrux(Inversiones Mineras Acrux SpA)が最大49%の出資を約束していたことで、取り合いとなった。

本件は2012年8月に和解で解決し、次のとおりとなった。(三井物産は2012年11月にAcruxの出資を増加)

2012/8/27 チリ銅鉱山・製錬所運営会社の紛争で和解

両社は今回、昨今の市況及び今後の需給の動向を踏まえ、長期銅価格の見直しを行った結果、減損損失を計上する。

三菱商事は、銅市況の低迷に加え、新規鉱山プロジェクトの開発期間の長期化等を踏まえて総合的に見直したとしている。

同社では、取得時に1ポンド4ドル(8,800$/ton)程度だった銅価格が2ドル(4,400$/ton)程度に下落、 急回復は見込めないとして、中長期の価格見通しを3ドル(6,600$/ton)に引き下げた。

銅市況の推移は下記の通り。

両社の参加時の価格は8000$/tonを超えていたが、最近は4500$程度まで下がっている。

しかし、2005年までを見ると、4000$以下である。2010年頃から2014年頃までが中国の需要増により異常に上昇していたといえる。

三井物産はこれに加え、Minera Lumina Copper Chileのカセロネス銅事業について、足元の操業状況を勘案し、約250億円の減損損失を計上する。

三井物産が25%、Pan Pacific copper (JX日鉱日石金属 66%、三井金属鉱業 34%)が75%出資する。

なお、Pan Pacific copperは、これに隣接するFrontera 地域における銅・金資源の探鉱権益の40%を石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)から譲り受けている。

Pan Pacific copper株主のJXホールディングスは800億円、三井金属鉱業は193億円の減損損失を計上している。

2012/9/13 JX日鉱日石金属と三井金属鉱業、チリ・アルゼンチンの銅・金の探鉱権益を取得 



(2) 豪州LNG事業

豪Browse LNGの当初計画は、西豪州沖合で採掘したガスをパイプラインで圧送し、James Price Pointに建設する施設で精製、液化、出荷するものであった。

両社は折半出資する豪Japan Australia LNG (MIMI) Pty Ltdを通じて、2012年4月に参加した。

しかし、計画を主導するWoodside は
2013年4月にJames Price PointでのLNG建設は投資基準に合致しないと判断したと発表した。
Shell社のFloating LNG技術及びWoodsideが有する上流開発における知見を活用した開発を検討中で、
最終投資決断は2016年後半を予定

両社は、開発実行が当面見送ることとなるため、減損損失を計上した。

なお、当初は東西地区で別のJVをつくっていたが、統合することで合意した。

従来出資比率 新出資比率
East JV West JV
Woodside 34% 17% 30.60%
三井物産・三菱商事 16% 8% 14.40%
Shell 25% 35% 27.00%
PetroChina 8.33% 20% 10.67%
BP 16.67% 20% 17.33%
合計 100% 100% 100%


2013/4/16 三菱商事・三井物産出資の豪Browse LNG計画、採算合わず計画見直し

(3) 三井物産のブラジル資源事業会社Valeの損失取込 (約350億円)

三井物産は2003年に、ブラジル資源事業会社Valeの持株会社であるValepar の株式15%を取得し、役員差入れなどを通じてVale社の経営に参画している。

Valeが2015年12月期の第4四半期決算に減損損失を計上したことにより、取込損失約350億円を計上する。

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その他の商社の決算予想は下記の通り。

住友商事

2014/10/1 住友商事、米国のタイトオイル開発などで大幅な損失計上 

本年1月にマダガスカルのニッケル事業で770億円の減損損失を計上すると発表した。

2016/1/19 住友商事、マダガスカルのAmbatovy ニッケルプロジェクトで約770億円の減損損失を計上

新たにチリの銅開発で140億円、南アの鉄鉱石関連投資で183億円の損失が発生した。1~3月期にも、豪州の鉄鉱石などで追加損失が出る見込みと説明している。

丸紅

丸紅は前期比70.4%増の1800億円とする予想を据え置く。

北海やメキシコ湾での原油開発にからみ減損損失を計上するが、電力や環境インフラなどの増益でカバーする。

伊藤忠

伊藤忠は前期比9.8%増の3300億円という期初予想を据え置いており、このままいけば過去最高益を更新し、業界トップとなる。

生活資材や繊維などが好調で、資本提携した中国最大の国有複合企業CITICグループの利益が寄与する。





米国連邦最高裁は3月21日、Samsung が同社とAppleとの間で争われている知的財産侵害訴訟の判決を見直すよう求めて上訴した件について、Samsungの上訴を認める決定を下した。
連邦最高裁は10月から9カ月にわたり、口頭弁論を開くとみられる。

連邦最高裁が上訴を認める確率は1%にも満たない。連邦最高裁がデザイン特許事件を審理するのは約120年ぶりとなる。

本件経緯は下記の通り。

2011/4  Apple が提訴
    Samsung がスマートフォン「Galaxy S」やタブレット端末「Galaxy Tab」などでAppleの知的財産権を侵害

2012/8/24 陪審団は、SamsungがAppleの一部特許を侵害したとして、1,050百万ドルのAppleの損害を認定

技術特許 
Bounce back ('381):ページの端をスクロールしたとき跳ね返る機能
Single Scroll, Pinch to Zoom ('915):1本指でスロール、2本指でピンチ、ズーム
Tap to Zoom ('163) :画面タップにより文書を拡大
デザイン特許
iPhone Front (D'677) 、② iPhone Back (D'087)、③iPhone Home Screen (D'305)

2013/3/1

Lucy Koh判事は、陪審員による賠償金額の算定方法に2つの法的な誤りが見つかったとし、1次評決で陪審員団が算定した1,050百万ドルの賠償金のうち43%に当たる450.5 百万ドルを削減する」と判決し、
この部分について、
新たな陪審員団に知的財産侵害の損害を再算出するよう命じた。

その後、削減したうち、Galaxy SII AT&T に関する賠償金 40百万ドルを承認した。

2013/11/21  

削減した分についての算出を担当する新しい陪審員は、Samsungに290 百万ドルの支払いを命じた。
この結果、当初の1,050百万ドルの賠償金は、929百万ドルとなった。 (1,050ー451+40+290)

2015/5/18 米連邦巡回区控訴裁判所、 賠償の一部は無効と判断した。

一般に認識されているiPhoneの特徴的な外観やデザインをSamsung がまねたとする「Trade dress」については、米商標法の保護対象にならないiPhoneの機能的要素に基づくものだと判断、損害賠償額を見直すように、下級審に差し戻した。

Trade dress 分は382百万ドルで、これを除くと548百万ドルとなる。

2015/12/14 Samusung が Appleに548百万ドルの損害賠償金支払

2015/12/14 Samsung、米最高裁判所に上告

2015/12/30 iPhone と iPad の特許をめぐるApple、Samsungとの特許係争、続く 


高裁はSamsung が Apple のデザイン特許を侵害しており、特許デザインを使用したSamsungのスマートフォンによる利益の一部を受け取る法的権利がAppleにあると判断したが、Samsung はこれに異議を唱えた。

連邦最高裁が意匠に関する訴訟を取り扱ったのは1800年代までで、その後は扱っていない。

最初の訴訟は1871年のGorham v. Whiteで、Gorham and Co.がスプーンやフォークの取っ手のデザイン("cottage pattern")で特許を取り、評判が良かったが、Whiteが類似品を出した件。


最高裁は、一般人はデザインの違いを認識できないとして、特許侵害と認めた。

1885年のDobson v. Hartford Carpet Co. ではカーペットのデザインが問題となった。


Samsungは申し立てで「スプーンやじゅうたんでは、特許を取得したデザインが本質的な特徴であるかもしれない。しかし、デザインとは全く無関係である顕著な機能性など他に多くの特徴を含むスマートフォンに同じことは当てはまらない」と主張し 、最高裁に対し、「意匠に関する権利がどの範囲まで適用されるのか」、また「どのような賠償を請求できるのか」について指針を示すことを求めた。

これに対し、Appleは、この訴訟を「法的に例外的な事例ではない」と述べた上で、Samsung との法的闘争を「長引かせる」ことがないよう最高裁に求めていた。
Appleはまた、この件は米国の最高裁による解決を必要とするほどの重要な案件ではないとも主張した。

Samsung は、「この判例が効力を持った場合に影響を受けかねない大小すべての米国企業のために、米最高裁判所に上訴することが重要であると考えている」と述べている が、多くの企業、団体がSamsung を支持する法廷助言書(amicus curiae)を提出した

Google、Facebook、eBay、Hewlett-Packard、Dell、Vizioなどの各社に加え、スタンフォード大学やジョージタウン大学などの法律専門家、Public Knowledgeや電子フロンティア財団といったNPO、Computer & Communications Industry AssociationやHispanic Leadership Fundなどの権利擁護団体がそれぞれ提出した。

いずれもSamsung の要求を支持するもので、 「最近の判決は一部装飾的な特許を違反したとの理由で (スマートフォンのような)複雑な革新製品の全体を侵害したと見なしており、憲法的価値と合わない」と述べ、最高裁に対して、デザイン特許に関する定義を明確にすることや、この特許の侵害に関する賠償金の額を制限することなどを求めている 。

これはSamsungに好意をもってのことでなく、情報技術業界の利益がかかる問題であるためだと見られている。

最高裁の決定を受け、Samsung は3月21日の声明で、「われわれの上訴を受理した最高裁の決定を歓迎する。最高裁によるこの判決の見直しは、創造的な活動を支え、革新的な成果に報いるという特許法の公正な解釈を導き出す可能性があるものだ」と述べ た。

ShellとSaudi Aramco は3月16日、両社のJVのMotiva Enterprises LLCの資産を分離する覚書を締結したと発表した。

Motiva は1998年に設立された石油精製・販売会社で、2002年以降、両社の50/50JVとして運営されてきた。

Shell は分離取得する事業と、自社の他の事業(精製、下流)と一体化して運営する。Saudi Aramco も、Shell とのJVを通じて米国の事業を拡大してきたが、それぞれが独自の下流事業の目的に向け動くときだとしている。
AramcoはMotivaの分離後、米国で更に事業を買収する考えを明らかにしている。

Motivaは合計日量100万バレル以上の精製能力の3つの精油所を持つが、次のとおり分割される。

Aramco Shell
社名(Motiva)
製油所 Port Arthur, TX
(元 Texaco )
米国最大の精油所(60万バレル)
単一工場で米国最大の潤滑油プラントを持つ。
Norco, LA
(元 Shell)
能力 23.5万バレル
隣接してShellの石化コンプレックス
 エチレン 2系列 計 150万トン
 ブタジエン 26万トン

 Shell は1995年にPPプラントをUnion Carbide (Dow) に売却
 2000年にResinプラントを現在のMomentiveに売却
Convent, LA
(元 Texaco )
1967年にTexacoが建設
1979年に増設し、能力23万バレル
ガソリンターミナル 26 9


Aramcoは製品のガソリンとディーゼルについて、テキサス、ミシシッピー川流域、大西洋岸中部及び南東部で「Shell ブランド」の独占使用権を受け取る。
これに対し、Shellは、フロリダ、ルイジアナ、北東部で「Shell ブランド」で販売する。

Motivaの歴史は次のとおり。

1988年にTexaco とAramco子会社のSaudi Refining が50/50JVのStar Enterprise を設立し、米国の東部及びメキシコ湾岸のTexacoの石油精製・販売事業を引き継いだ。

1998年にShell とTexacoは2つのJVを設立し、両社の石油精製・販売事業を統合した。
米国西部と中西部の事業のJVを Equilon とした。(Shell 56% / Texaco 44%)

米国東部と東南部の事業(TexacoはSaudi とのJVのStar)のJVをMotivaとした。(Shell 35% / Texaco 32.5% / Saudi 32.5%)

2001年にTexacoとChevronの統合後、Shell とSaudi はChevron持分を買収した。
EquilonはShell 100% となり、Motivaは50/50JVとした。

 

BASFは3月16日、韓国でのポリアセタール(POM)の製造に向け、Kolon Plastics との折半出資の合弁会社「Kolon BASF innoPOM, Inc.」を設立する契約を締結したと発表した。

BASFはLudwigshafen に50,000トンのPOMプラントを持ち、Ultraform®の製品名で販売している。
一方、Kolon は金泉に65,000トンのPOMプラントを持っており(後記)、Kocetal® の製品名で販売している。

JVは金泉に70,000トンの設備を新設する。新設備が2018年下半期に稼動すると、金泉の合計能力135,000トンとなり、世界最大のPOM製造コンプレックスとなる。

新設備稼働後は、BASFはLudwigshafenでのPOMの製造を中止する予定。

BASFとKolonは、JVの製品を両社それぞれの製品名とフォーミュレーションで世界中で販売する。

Kolon側は、世界をリードするKolon Plasticsの技術と効率性の高い既存のインフラ基盤が大きな相乗効果を生み出すとしている。

BASF側は、「POM市場は世界中で拡大しており、合弁事業により、高性能で革新的なスペシャリティ製品で需要家をサポートする能力が、特にアジアで強化されることになる」としている。

ーーー

Kolonの金泉のPOMプラントは元は東レ技術である。

Kolon Industries と東レは1996年、金泉市にポリアセタールの製造販売のJVの KTP Industries (Kolon Toray Plastics) を設立した。
当初は東レが30%、
Kolon が70% 出資した。

東レ独自開発の簡略化された重合プロセスを採用し、ポリマーベースで20,000トンのプラントを建設した。

その後、1998年東レが増資を全額引受け東レ68.9%、Kolon 31.1%とした。

しかし、2008年6月、東レはKTPへの出資を解消したと発表した。経営資源の集中による樹脂事業のコアABS樹脂、ナイロン樹脂、PBT樹脂、PPS樹脂等)での競争力強化および事業拡大戦略に鑑み、出資を解消することとした

東レ撤退を受け、KTP IndustriesKolon Plastics と改称した。

Kolonは2012年1月に生産能力を20,000トンから65,000トンに引き上げた。

ーーー

Kolon グループは韓国の財閥の一つで、1954年に李源万、李源千兄弟により設立された繊維貿易商・開明商事が基である。

1957年にKorea Nylon を設立し、日本から輸入したナイロン糸の布地加工からスタートし、ナイロン原糸の製造を始めた。1969年にKorean Polyester を設立した。

その後、両社をKolon (Nylon) Industries、Kolon (Polyester) Industries と改称し、1981年に両社を合併して Kolon Industries とした。

別途、Kolon グループは1976年にKolon Chemical を設立し、石油樹脂からスタートし、SAP、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂に拡大したが、2007年6月にKolon Industries と合併した。

現在、Kolon Industries 、Chemical Material 部門で繊維、産業資材、フィルム、エレクトロニック資材、エンプラを、Performance Material 部門で石油樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂を扱っている。

なお、SAPについては、1985年に韓国科学技術院と共同で製造技術を開発し、1987年に仁川で商業生産を行なったが、2008年6月にLuckyにSAP事業を87百万ドルで売却した。

2008/6/30 韓国LG Chem、高吸水性樹脂に進出



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