「no」と一致するもの

9月中間決算の発表が続いている。

大半の企業が前年同期を下回っている。

三菱ケミカルホールディングス、旭化成、住友化学三井化学ソー で、石油化学基礎化学の損益が激減している。している。


している。
三菱ケミカル、住友化学三井化学減益幅きい。

 参考  2012/8/8  2012年第1四半期決算 

ーーー

三菱ケミカルホールディングス

田辺三菱製薬の営業損益は堅調だったが、三菱化学と三菱レイヨンは減益幅が大きく、営業損益は546億円の大幅減益となった。

少数株主損益調整前純損益は145億円だが、田辺三菱製薬(三菱ケミカル持分 56.34%)を中心とする少数株主利益が112億円あり、純損益は33億円に止まった。

単位:百万円 (配当:円)
  売上高 営業損益  経常損益 当期損益    配当
中間 期末
11/9中間 1,570,197 95,686 92,885 37,504 5.0  
12/9中間 1,529,788 41,105 33,883 3,323 6.0  
増減 -40,409 -54,581 -59,002 -34,181 1.0  
             
12/3 3,208,168 130,579 133,614 35,486 5.0 5.0
13/3 3,200,000 120,000 105,000 21,000 6.0 6.0
                                                         

営業損益推移(億円)

機能商品分野と素材分野では、中国等の海外需要の低迷、円高の継続などで厳しい状況。
ネットでみると、減益理由はほとんど売買価格差である。

逆に、ヘルスケア分野は堅調な需要に支えられ、概ね良好な状況。

  10/3 11/3 12/3 13/3予  

 

 

 

 

 

 

 

 
11/9 12/9

増減内訳

売買差 数量差 コスト その他
ケミカルズ 69 530 148 20 -128 194 -54 -248 -227 29 17 -67
ポリマーズ -225 550 238 150 -88 222 29 -193 -212 17 45 -43
エレクトロ -14 10 -53 -10 43 -12 -13 -2 -23 -11 33 0
デザインド 133 365 231 280 49 184 105 -79 -28 -84 33 0
ヘルスケア 710 851 764 790 26 397 360 -37 -96 74 3 -18
その 62 45 61 60 -1 16 25 9 - 4 5 0
-73 -86 -83 -90 -7 -44 -41 3 - - 1 2
663 2,265 1305 1,200 -105 957 411 -546 -586 29 137 -126


グループ企業別の営業損益は以下の通り。(億円)

田辺三菱製薬の貢献が大きい。
三菱化学と三菱レイヨンは減益幅が大きい。

  11/3 12/3 増減   11/9 12/9 増減
三菱化学グループ 881 231 -650 295 -16 -311
田辺三菱製薬グループ 766 690 -76 361 322 -39
三菱樹脂グループ 166 106 -60 88 60 -28
三菱レイヨングループ 410 303 -107 229 54 -175
調整 42 -24 -66 -16 -9 7
合計 2,265 1,306 -959 957 411 -546
 

田辺三菱製薬の業績          単位:百万円 (配当:円)

  売上高 営業損益  経常損益 当期損益    配当
中間 期末
11/9中間 200,358 36,051 36,373 19,963 15.0  
12/9中間 203,829 32,246 33,119 19,492 20.0  
増減 3,471 -3,805 -3,254 -471 5.0  
             
12/3 407,156 69,043 68,759 39,014 15.0 20.0
13/3 425,000 70,000 71,000 40,500 20.0 20.0

 

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住友化学

営業損益は医薬品以外、全て前期大幅減益となり、合計で296億円の減益となった。

税引前損益136億円に対して、法人税等で188億円の引き当てを行っており(説明なし)、少数株主損益調整前純損益は-52億円となった。

利益源の大日本住友製薬については、住友化学の出資比率は50.12%に過ぎない。
このため、他子会社も含めた少数株主利益 79億円を控除すると、純損益は-131億円となる。

単位:百万円 (配当:円)
  売上高 営業損益  経常損益 当期損益    配当
中間 期末
11/9中間 998,281 54,035 48,993 -2,713 6.0  
12/9中間 961,383 24,481 18,948 -13,114 6.0  
増減 -36,898 -29,554 -30,045 -10,401 0.0  
             
12/3 1,947,884 60,688 50,714 5,587 6.0 3.0
13/3 2,020,000 65,000 62,000 10,000 6.0 未定

なお、11/9中間期の特別損失には、豪州の株式市況低落による豪州農薬会社Nufarmの株式評価損 -289億円を含む。

営業損益推移(億円)

基礎化学・石油化学と情報電子化の価格差の影響が非常に大きい。

  10/3 11/3 12/3 13/4予 増減  

 

 

 

 

 

 

 

 
11/9 12/9 増減 内訳
価格差 数量差 コスト
基礎化学    206 93 -20 -113 125 -26 -151 -115 -31 -5
石油化学   111 62 10 -52 78 -2 -80 -100 20 0
情報電子化   261 110 150 40 101 24 -77 -155 3 75
健康農業関連   233 265 320 55 148 77 -71 -20 -51 0
医薬品   287 209 330 121 155 231 77 -50 62 65
その   41 77  -140 -8 35 42 7 0 6 0
全社   -260 -209 -101 -102 -1
 515 879 607 650 43 540 245 -296 -440 9 135

 

大日本住友製薬の業績          単位:百万円 (配当:円)

  売上高 営業損益  経常損益 当期損益    配当
中間 期末
11/9中間 178,026 14,726 14,480 9,569 9.0  
12/9中間 178,748 19,978 19,925 10,951 9.0  
増減 722 5,252 5,445 1,382 0.0  
             
12/3 350,395 20,402 18,872 8,629 9.0 9.0
13/3 348,000 28,000 27,000 13,500 9.0 9.0

 

 

 

 

 


カザフスタン北部アクモラ州 Stepnogorskで11月2日、住友商事が出資した合弁企業 Summit Atom Rare Earth Companyによるレアアースの分離精製プラントの開所式が行われた。

JVにはカザフスタン国営原子力公社Kazatompromが51%、住友商事49%出資する。

30百万ドルを投じたプラントで、年産1,500トンのレアアース酸化物を生産する。
ウラン残土からレアアースを回収するもので、ジスプロシウムなど、特に希少性が高い重レアアースを中心に生産する。

試験稼働を経て来年1月にも対日輸出が始まる。

Kazatompromによると、JVは住友商事、信越化学、フランスのRhodiaの3社と販売契約を締結した。

Kazatompromは、2015年までに能力を倍増して 3,000とすると発表している。
2017年までに能力を5,000 ~ 6,000 トンにしたいとしている。

開所式には近藤洋介・経済産業副大臣やカザフ政府高官ら約200人が出席。近藤副大臣は「このプロジェクトは日本とカザフの協力の象徴的なものだ」と語った。


 

ーーー

2006年初にカザフスタン国営原子力公社Kazatompromが65%、住友商事が25%、関西電力が10%出資し、合弁企業APPAK LLPが設立された。

2008年6月3日、南カザフスタン州スザク地区にあるウェストムィンクドゥック鉱床の原位置抽出法によるウラン鉱山が開所した。

APPAK LLPはウラン精鉱の引渡しを2008年に開始し、2010年までに毎年1,000メトリックトンウランのフル生産を開始することを計画、見込まれている鉱山寿命は22年、総生産量は 18,000メトリックトンの計画。

2009年8月、住友商事は、Kazatompromとウラン鉱石残渣からレアアースを回収する事業に合意した。
両社が協力してカザフスタン国内に存在する残渣からの回収事業を独占的に行い、新たなレアアース資源ソースの確立に乗り出す。

2010年3月、両社は公社51%、住友商事49%出資で合弁会社 Summit Atom Rare Earth Company を設立した。
具体的には、Kazatomprom傘下のウルバ冶金工場の既存設備を活用して、ウラン鉱石残渣からのレアアース混合物の回収事業を立ち上げる。

この事業は、既存の残渣からレアアースを回収するため、新規に鉱山開発を行う場合と比較して、
(1)短期間での生産開始が可能、
(2)環境負荷が低い、
(3)開発コストが低減できるなど、
数多くのメリットがある。

経済産業省、資源エネルギー庁、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の支援も受けることが決定した。

また、京都大学との産学連携で、採取したレアアースの応用研究を進めることも決定しており、将来的には生産したレアアースを使った高付加価値品の製造までを、カザフスタン国内で行う一貫体制の構築も目指している。

ーーー

東芝も、2007年8月、原子力事業強化の一環として、カザフスタンのKazatomprom社が南カザフスタンで推進しているウラン鉱山開発プロジェクト(ハラサン鉱山プロジェクト)に参画することを決定した。

丸紅、東京電力、中部電力、東北電力が権益の一部を有する持株会社を保有し、同鉱区で生産されるウラン精鉱のうち、合計で2,000トン(MTU)/年の ウラン引き取り権を取得しているが、東芝は同持株会社の株式の22.5%を取得するとともに、最大600トン(MTU)/年の引き取り権を取得した。

東芝は2011年9月29日、Kazatompromとの間でアスタナ市にレアメタル分野に関する合弁会社であるKT Rare Metalsを設立したと発表した。

出資比率は、Kazatompromが51%、東芝が49%で、事業内容は以下の通り。

 ・ニオブ、ベリリウム応用製品、タンタル材の販売
 ・ニオブ、タンタル、ベリリウムを応用した新製品に関する製品開発
 ・ウラン鉱山から副産物であるレニウム、レアアース等の回収・販売に関する事業検討
 ・カザフスタン国内における新規供給源探査の検討

また同社は2010年11月、ウランを抽出した後の溶液からレアアース・レアメタルを回収する技術を開発し、カザフスタン共和国で実証試験を実施すると発表した。

ウラン抽出尾液からレニウム、ジスプロシウム、ネオジムを電解法によってそれぞれを分離して回収する技術を開発し、カザフスタンに試験装置を設置して実証実験を行う。

まずウラン抽出尾液からレニウムを回収し、その残渣液からジスプロシウム、ネオジムを溶融塩電解法により回収する。



塩野義製薬は10月29日、HIV治療薬JVの枠組み変更を発表した。

同社はViiV Healthcare との50/50JVのShionogi-ViiV HealthcareでHIVインテグレース阻害薬ドルテグラビル(Dolutegravir)の開発を行っている。

HIV治療薬には、
・核酸系逆転写酵素阻害剤、非核酸型逆転写酵素阻害剤(いずれもウイルスのRNAをDNAに変える逆転写酵素を阻害)、
・プロテアーゼ阻害剤(ウイルスのタンパク質を作る過程を阻害)、
・インテグラーゼ阻害剤
(インテグラーゼの動きを止め、ウイルスDNAがヒトDNAに侵入することを防止)、
・CCR5阻害剤(HIVとCCR5受容体との結合を邪魔する)
などがあり、それぞれ作用が異なる。

既存のインテグレース阻害薬は、ウイルスの耐性化や1日2回投与またはブースター(薬剤を代謝する酵素を阻害する薬剤)が必要という服用の煩雑さ等があるが、ドルテグラビルは、1日1回投与でブースターが不要、優れた耐性プロファイルを示すなど、次世代のインテグレース阻害薬とされる。

非核酸系逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、およびインテグラーゼ阻害剤を含む3剤以上を用いる多剤併用療法は、強いウイルス増殖抑制効果を示す。

今回、同社のJVの50%持分をViiV Healthcareに譲渡し見返りにViiV Healthcareの10%の権利を取得する。
塩野義は、
知的財産の権利(50%持分)は継続して保持し、ViiV に供与、ドルテグラビル及び関連製品の販売高に応じ、平均10%台後半、一部地域では20%台前半のロイヤリティーを得る。

ーーー

塩野義は2001年9月に、GlaxoSmithKline plc.(GSK)との間で、両社の所有する複数の疾患領域における開発化合物を開発・販売することを目的とした合弁会社Shionogi-GSK Healthcare を設立した。

2002年8月に、両社はこのJVでHIV インテグレース阻害薬に関する共同研究を開始した。

塩野義は海外拠点獲得を視野に入れており、JVのGSK持分全部を買い取るオプションを持った。

契約では、米国とEU5か国ではJVが、日本と台湾では塩野義が、その他地域ではGSK製品を販売することとなっていた。

2009年10月に、GSKとPfizerは両社のHIV 治療薬を供出し、英国にViiV Healthcareを設立した。(GSK:85%、Pfizer:15%)
GSKはShionogi-GSKHealthcareの持分をViiVに譲渡し、名称をShionogi-ViiV Healthcareと改称した。

今回の枠組み変更の理由は以下の通り。

① 今後のHIV 治療では複数のメカニズムを持つ配合剤が主となることが予想される。
 インテグレース阻害薬のみをアセットとするJV では、配合相手の選択等において複雑な取扱いが必要となる。

② 塩野義はその後Scieleを買収したため、このJVを米国販売拠点とする必要がなくなった。

塩野義製薬は2008年10月、米ナスダック上場の中堅製薬会社Sciele Pharmaを総額で14億2400万ドルを投じ、完全子会社にした。
2010年1月11日付けで、Shionogi Pharma, Inc. に改称、その後米国の他の子会社と統合し
Shionogi Inc.となった。

③ 米国子会社のShionogi Inc.の販売はプライマリケア領域がメインであり、高度な専門性が要求されるHIV 治療薬とは販売形態が違う。


2012年中にドルテグラビルの新薬承認申請を行う予定であるため、今回の決定となった。

塩野義製薬の狙いは以下の通り。

ViiVの経営に参画し、ドルテグラビル及び関連製品の価値最大化に引き続き貢献し、ロイヤリティー収入の最大化を図る

ViiVの所有する他のHIV薬のアセットからも10%株主として、配当を得る

開発にかけていたR&Dリソースを他の自社開発品に振り分けることが可能
 将来の成長ドライバーとなる自社製品の研究開発を加速

ViiVの業績は次の通り。

  2010年12月期 2011年12月期
売上高 1,566 百万ポンド 1,569 百万ポンド
営業利益 851 百万ポンド 824 百万ポンド

ーーー

塩野義によると、世界のHIV市場の状況は以下の通り。

グローバルでの販売高は、今後も年1-2%成長し、2017年には約200億ドルに達すると期待されている。
  Gilead Sciences(76億ドル)、ViiV Healthcare(24億ドル)、Bristol-Myers Squibb(18億ドル)の3社で約70%のシェアを占める。

・ ViiVは、HIV薬として、Epzicom(10億ドル)、Combivir(5億ドル)をグローバルに販売。

その他のHIVにおける主要製品としては、Atripla、Truvada(Gilead)、Reyataz(BMS)、Isentress(Merck)などがある。
 今後、ドルテグラビル(ViiV)、Stribild(Gilead)の販売開始、現行品の特許切れで、主要製品の変化が予想される。

・ 今後のHIV市場においては、配合剤が市場全体の半分以上を占めると予想される。




日立製作所は10月30日、英国で原子力発電所の建設を計画している原発事業会社Horizon Nuclear Power の全株式を、同社株主のドイツのエネルギー会社 No.1のE.ON及びNo.2のRWEから買収する契約を締結した。
買収額は
6億7000万ポンド(約850億円)。

合わせて、建設プロジェクトの計画・推進に向け、英国で原子力業界有数のBabcock InternationalRolls Royce、カナダの建設エンジニアリング会社SNC-Lavalin と協力覚書を締結した。

Horizonが保有する北ウエールズのAnglesey島のWylfaとSouth GloucestershireのOldburyの2カ所で、1,300メガワット級の原子力発電設備をそれぞれ2~3基建設する予定で、最初の発電所は2020年代前半の運転開始を目指す。
同社が世界で唯一運転実績(浜岡原発5号機など)を持つ第三世代原子炉である改良型沸騰水型原子炉(
ABWR)技術を用いる。

日立とGEのJVのGE Hitachi Nuclear Energyが高経済性・単純化沸騰水型原子炉(ESBWR:Economic Simplified Boiling Water Reactor)の設計認証を申請中だが、実績を優先した。

日立はグループの日立GE ニュークリア・エナジー、GE Hitachi Nuclear Energy、およびGE日立 ・東芝3社による合弁会社Global Nuclear Fuelはもとより、世界中の原子力関連企業と協力体制を築き、新規建設プロジェクトを推進する。

日立は2012年6月にリトアニアから原発の受注に成功したが、国民投票や議会選挙の結果、最終決定が見送られる恐れがある。(下記)
日本での新設も難しくなった。
同社では、「原発を建設する場所がどうしても欲しかった」としている。

今後、原発運営のノウハウを持つ電力会社などの出資を募り、日立の出資比率を引き下げる。

ーーー

Horizonは2009年1月にドイツのエネルギー会社 No.1のE.ONとNo.2のRWEとが50/50で設立、2015年までに英国で150億英ポンドを投じて原発4〜6基(最大660万KW)を建設する計画であった。
既に北ウエールズのAnglesey島のWylfaとSouth GloucestershireのOldburyに建設用地を取得しているが、 株主の両社が今年3月、売却を表明した。

両社は経済危機による両社の資金繰り悪化とともに、福島事故に伴うドイツ政府の脱原発の影響を理由に挙げた。

英国のエネルギー相は、両社の撤退は残念だが、両社とも撤退は両社の事情によるもので、英国の原発の将来については疑いも持っておらず、他社が関心を寄せており、事業は継続するとした。

Horizonには次の各社が名乗りをあげた。

 フランスのAreva / 中国広東核電集団公司 (China Guangdong Nuclear Power Group:CGNPC)

  ・Westinghouse(東芝)/ 中国核工業集団公司 (China National Nuclear Power Corporation)

1999年にWestinghouseの電力システム部門はSiemensに売却され、原子力部門は英国核燃料会社(BNFL)に売却されたが、後者の原子力部門がWestinghouse Electric の社名を継承した。

2006年に東芝は Shaw Groupと組んで、Westinghouseを54億ドルで買収した。
 東芝 77%、Shaw 20%、IHI 3%。

東芝はその後、カザフスタンのKazatompromに持分10%を売却した。

2011年9月、東芝はThe Shaw Group 保有の株式(20%)を取得し、持株比率を87%にすると発表した。
 東芝 87%、Kazatomprom 10%、IHI 3%

  ・日立製作所 / SNC-Lavalin (カナダ)

日立製作所は原発事業でGEと提携している。


しかし、Areva / CGNPCは10月3日、本計画からの撤退を発表した。
また、Westinghouse(東芝)と組む中国核工業集団公司 も撤退の意向を示している。

中国陣の撤退は経済的な理由が中心とはされるが、英国の政界にはこの分野への中国の進出を懸念する意見も強い。

この結果、日立とWestinghouse(東芝)が残ったが、Westinghouse(東芝)は日立を上回る額の応札を見送った模様。

ーーー

英国では19基の原発が稼働している。

2009年11月、英国政府は原発拡大策を発表した。

「これはエネルギー安全保障のためにも必要だ。北海の原油埋蔵量は減少しており、多様化した、低カーボンの、燃料供給量の変動に左右されないエネルギーミックスが求められる 」としている。

10か所に原発を新設し、2025年までに全電力の25%を原発で賄う計画(当時は全電力の13%)。
新設立地は下表の
印のもの。

Horizonはこのうち、OldburyとWylfaを選び、土地を買収した。

  稼働中 廃止 政府案
Berkeley    2基   
Bradwell    2基 
Calder Hall    4基   
Chapelcross    4基   
Dounreay DFR   2基   
Dungeness  2基   2基   
Hartlepool  2基   
Heysham  4基   
Hinkley Point  2基   2基 
Hunterston  2基   2基   
Oldbury  2基   
Sizewell  1基   2基 
Torness  2基     
Trawsfynydo    2基   
Windscale    1基   
Winfrith SGHWR    1基   
Wylfa  2基   
Braystones    
Sellafield    
Kirksanton    
合計  19基   26基   
 

なお、新規計画参加者のうち、Scottish Powerを所有するスペインのIberdrolaが、Sellafieldでの原発新設を計画するコンソーシアムから離脱を考えているとの報道がある。

さらにフランスのEDF が Arevaと共同でHinkley Pointに原発を新設する計画を持つが、事前設計認可取得に必要な包括的設計評価書作成に難航しているとの報道もある。

ーーー

日立製作所は2012年6月、リトアニアから原発の受注に成功した。

日立は同国北東部に建設予定のVisaginas原発計画について、130万キロワット級の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を提案し、入札を経て2011年12月に仮合意を結んだ。
2012年6月21日にリトアニアの議会が建設事業権について、日立製作所と契約することを賛成多数で承認した。

リトアニアはソ連時代にIgnalina原発が稼働し、独立後も国内電力の7割以上をまかなっていたが、Chernobyl 原発と同型のため、EU加盟の条件として2009年末に完全閉鎖した。

代替措置として、ラトビア、エストニアと共同で隣接地に新たにVisaginas原発を建設するもの。

日立として初の海外受注案件で、同原発に出資するラトビア、エストニアからの合意を得た後、正式に契約する予定であった。

しかし、10月14日に原発建設の是非を問う国民投票が行われ、 反対票が約63%に達した。投票率は52%で、選管は投票を有効と判断した。投票結果に拘束力はない。

投票結果を受け、グリバウスカイテ大統領は「新政権は国民の考えを注意深く踏まえなければならない」との声明を出した。

更にリトアニアでは10月28日に
議会選の決選投票が行われ、原発建設に慎重な野党3党が過半数を確保した。
Visaginas原発の建設計画の最終決定は、先送りされる公算が大きい。





浙江省の寧波市政府は10月28日、Sinopecが計画していたパラキシレン工場の拡張を中止することを決めた。
パラキシレンによる健康被害を懸念する地元住民による抗議デモが、10月28日まで7日連続で発生したことを受けた措置。

Sinopecの石油精製・石油化学コンプレックスの拡張計画は中断し、再検討する。
計画のうち、パラキシレン増設については計画を取り止める。

なお、既存のパラキシレンについては触れられていない。

共産党大会が11月8日に開幕するが、国の公安当局は地方政府に対し、指導者交代を前に騒乱を避けるためあらゆる手段を講じるよう要請しており、市政府は社会の安定を優先した。

しかし、デモ隊は市長の辞職も要求するなど当局への不信感を募らせており、緊迫した状態が続いている。


ーーー

Sinopec子会社の鎮海煉油化工は2009年12月に浙江省寧波市の鎮海地区にエチレンコンプレックスを完成させた。

 

 

 

 

 

 

 

 





  既存
   千トン
第一期
   千トン
技術
Refinery  

23,000

 
エチレン    1,000  
LLDPE     450 Unipol
PP   200   300 Sinopec
EO/MEG     650 Dow
BTX  1,000   600  
PX   500   Axens (IFP group)
エチルベンゼン     650  
MTBE      110  
Butene-1      40  
Butadiene     160  
SM(JV)     620 Lyondell  
 SM/PO併産
PO (JV)     285
PG (JV)     100 Lyondell
尿素   600    


ZRCC
Lyondell 20074月に50/50製造JVNingbo ZRCC Lyondell Chemical Company を設立した。

2010/3/4 シノペック鎮海煉油化工、新エチレンセンターのポリプロ工場を先行稼動

今回、Sinopecは増設計画を実施しようとした。

投資額は557億人民元(89億米ドル)で、Refinery 1500万トン、エチレン 120万トンのほか、能力は明らかにされていないが、PE、PPのほか、パラキシレンを含んでいる。

10月初旬から、健康被害が出るとして住民が計画撤回を求め始めた。

市政府は、工場に近い住民の移転を約束したり、環境保護対策を発表したが、住民は受け入れを拒否していた。

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中国ではこれまでもパラキシレンに対する反対運動が相次いでいる。
最初は下記の厦門でのデモで、この事件からパラキシレンは恐ろしい化学物質との情報が浸透したと思われる。

2006年に台湾資本のDragon Group(騰龍グループ)が福建省厦門の海滄投資区で芳香族とPTAプラントの建設に着工した。

しかし、2007年にインターネットで「(パラキシレン工場で)事故が起こると何千トンもの毒物が放出される」との情報がインターネットで流れ、大規模のデモが発生した。"I Love Xiamen, No PX ". といったビラが厦門市中にばらまかれた。

この結果、計画は中断され、2007年12月にこれを福建省Zhangzhou市の古雷半島に移転させることが決定、2009年5月になって、古雷半島で2年遅れで建設が始まった。

2007/6/11 中国のインターネット反対運動が石化計画を止め


2011年8月に遼寧省大連市で8月14日、化学工場の撤去を求める市民およそ1万2,000人が市政府庁舎前に集まり、抗議を始めた。

撤去を求めているのは、大連の市街地から北東約20kmの大孤山石化産業園区の沿岸部にある大連福佳・大化石油化工有限公司の工場で、パラキシレンを生産している。

台風が接近した際、工場から約50mの距離にある防波堤が決壊したが、防波堤のすぐ近くに保管されていたパラキシレンが漏れ出す恐れが強まり、付近住民らが避難する騒ぎとなった。

市政府は当初、工場の移転を一つのオプションとして検討するとし、同時に有毒物質を出来るだけ早く取り除くとしていたが、夕方になり工場の即時操業停止と早期移転を決定し、抗議活動は収束した。

2011/8/15 中国・大連で化学工場の撤去求め デモ 

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中国では住民の権利意識が高まり、環境面から工場建設に反対する動きが高まっている。

本年7月2日、四川省什邡市で化学工場建設に反対する住民2万人による抗議デモが発生した。

亜鉛精錬大手の四川宏達グループが6月29日、金属モリブデンなどの精錬工場の建設を始めたのが発端。7月1日の夜、建設に反対する住民約1万人が抗議デモを起こし、翌日には2万人に膨れ上がった。

工場が完成すれば、年間 モリブデン4万トン、銅40万トン、硫酸180万トンを精錬する見通しだった。
モリブデンや銅などの精錬は汚染リスクが高く、住民らは「死神が近づいている」と不安を募らせた。

当局が工場建設の中止を発表したため、騒ぎは沈静化した。


7月末には江蘇省南通市にある王子製紙の工場から出る排水が、環境汚染を引き起こす恐れがあるとして、住民1万人以上が抗議デモを始めた。

問題の工場は江蘇王子製紙(王子製紙 90%、南通市経済技術開発区総公司 10%)の南通工場で、南通市の経済技術開発区にあるが、南通市政府は廃水を南通市が建設する約100kmのパイプラインで黄海に排出することとしていた

住民の反対を受け、市政府は「パイプラインの建設計画を永遠に取り消す」と発表した。

2012/8/1 王子製紙の排水に抗議、中国江蘇省でデモ 


 


 

中国の環境保護部は10月19日、ダウと神華集団(Shenhua) の陜西省楡林市の石炭化学コンプレックスの環境評価書(17日受領)を公表した。

全文(中国語)は http://hps.mep.gov.cn/jsxm/xmsl/201210/W020121019511825884207.pdf でかなり詳細なもの。

ダウは2007年5月21日、中国の国有石炭最大手・神華集団との間で、陜西省楡林市にワールドスケールのCoal-to-Chemicals コンプレックスを建設するための詳細FS実施の契約を締結した。

2004年12月に神華集団との間でFS共同実施の契約を結んだ。
神華集団は1995年に設立された国有企業で、世界8大炭田の一つとされている神府東勝鉱
区の開発・運営を担当しており、関連事業として鉄道、発電、貯炭設備、輸送設備を運営している。

計画では "clean coal" technologies を使用し、石炭からメタノール、メタノールからエチレンとプロピレンを生産する。電解設備も建設し、苛性ソーダ、VCM、有機塩素等を生産する。
このほか、誘導品としてグリコール類、アミン、溶剤、界面活性剤、アクリル酸と誘導品、プロピレン誘導品などが計画されている。

ダウと神華集団は2009年11月3日、陜西省楡林市で大規模石炭化学JVの起工式を行った。
FSがほぼ終了し、中央政府の承認を求め申請する段階である。

JVにはダウ中国と神華集団子会社のChina Shenhua Coal to Liquids and Chemicals Co. 及び地方政府が出資する。

2009/11/10 ダウと神華集団、陜西省で大規模石炭化学JVの起工式 

本計画は2010年3月に国家エネルギー局から仮承認を受け、2012年9月に水資源部の黄河保護委員会から水資源承認を受けている。

中国政府の投資規則によると、正式な建設開始には環境保護局の環境承認を得たうえで、国家発展改革委員会(NDRC)の承認を得る必要がある。


コンプレックスの建設期間は2013年から2018年。

投資金額は、石炭部分が40億元(うち環境投資 4千万元)、化学品部分が1000億元(うち環境投資 50億元)となっている。

今回の環境評価書では、製品が若干変更となっている。

当初計画に入っていたクロルアルカリ(50万トン)とEDC、PVC(50万トン)が削除された。

    今回 当初計画
石炭 1,300万トン  
化学品

(3ゾーン、
 23製品)
ハイドロカーボン(8製品)

(石炭ガス化~メタノール合成~
オレフィンとアンモニアの生産)
メタノール(Coal to Methanol) 400万トン 332万トン
オレフィン(Methanol to Olefins) 150万トン 122万トン
基礎プラスチック(5製品) オキソアルコール 127万トン

(内訳非公表)
 
EO/EG 40万トン
LDPE  
PP  
n-プロパノール  
クロルアルカリ 0 50万トン
EDC 0 51万トン
PVC 0 50万トン
機能性プラスチック(10製品) エタノールアミン/エチルアミン 172万トン

(内訳非公表)

21万トン
粗アクリル酸  
精アクリル酸 15万トン
ブチルアクリレート 20万トン
オクチルアクリレート
ポリエーテルポリオール 34万トン
プロピレンオキサイド(PO)  
プロピレングリコール(PG)  
過酸化水素(PO原料)  
グリコールエーテル  


 



米国の発電会社のDominion は10月22日、ウイスコンシン州 Carltonにある556千kwのKewaunee 原発を2013年第2四半期に停止し、閉鎖すると発表した。

米原子力規制委員会が2011年2月に、2033年までの20年間の操業延長を承認したばかりであったが、電力販売価格の低下で採算に合わないと判断した。
停止後は電力供給先の2つの電力会社には、2013年12月の契約期限までは買電により供給を続ける。

米国には、Kewauneeを含め合計104基の原発があるが、閉鎖は1973年12月のコネティカット州のMillstone 1 原発以来となる。
エネルギー需要の伸び悩みと天然ガス価格低下により、中西部で古い石炭火力の廃止が続いているが、これが原発にまで及んできたとみられている。

Kewaunee原発は1974年の運転開始で、2005年7月に同社が購入した。Dominion は2011年4月に採算面から売却を決定、買い手を探していたが、買い手を探すことが出来なかった。

同社は「運転状況が良かっただけに苦渋の決断だった。純粋に経済性に基づく判断だ」とのコメントを発表した。

Kewaunee 発電所(下の地図参照)は556千kwという最大クラスの原発の半分の能力で、かつ同地には1基しかなく、通常2基でセットになっている他の原発と比較し、間接費が高いという問題がある。

同社では中西部でいくつかの原発を購入し、間接費を薄めようとしたが、うまくいかなかった。

また、同原発購入時に、売り手との間で電力の売買契約を結んだが、この契約が切れた。
中西部では電力供給は入札制となっており、シェールガスの普及で天然ガス発電のコストが下がっているため、 現在の市場価格である従来よりかなり安い価格で売るしかない状況となっている。

原発は運転開始後の経費は安いと言われてきた。だが、米国では、原発がコスト面での優位性を失いつつある。また、東京電力福島第一原発事故を受けてNRCが3月 に追加の安全対策を指示し、コスト増の要因になるとの見方もある。

New York Timesによれば、地域によっては売電平均価格は50$/Mwh以下となっているが、ある調査では原発全体の1/4の高コストグループのコストは2008-2010年で平均 51.42$となっており、現在は更に上がっているという。

業界団体のNuclear Energy Instituteでは、これはDominion特有の理由によるものであり、原発は依然として頼りとなる、コスト面で有利な電力であると述べ、閉鎖のショックを和らげようとしているが、New York Timesは、それでは何故、もっと有利な立場にある会社がこれを買いに来なかったのかと疑問を呈している。

General ElectricのCEOのJeff Immelt は、シェールガス革命で天然ガスが豊富に供給され、再生可能エネルギーの選択肢も増えたことから、原子力発電を正当化することは難しくなったとしている。

2012/7/31 原子力発電の正当化困難にーGE会長

米電力大手Exelonは8月28日、テキサス州Victoria County Stationの原発申請を取り下げた。
同社は、シェールガスの増産で天然ガスが値下がりし、予想しうる将来にわたって競争力がなくなったと判断した。

2012/9/6 米電力大手Exelon、原子力発電所の申請を取り下げ 


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Dominionはエネルギー会社で、主な事業は3つに分かれる。

1) Dominion Virginia Power:Virginia 州での電力供給

2) Dominion Energy:天然ガス輸送・販売

3) Dominion Generation:発電

 ・Utility Generation 上記 1) 用の発電 19,000MW
 ・Merchant Generation  売電用の発電  8,500MW

Utility Generationの発電所

原子力発電所
  North Anna   2基  1,647MW
  Surry    2基  1,678MW


三菱重工業は2010年5月7日、DominionがNorth Anna発電所3号機向けに、三菱重工業の170万kW級加圧水型原子力発電プラントUS-APWRの採用を内定したと発表した。


Merchant Generation の発電所

原子力発電所
  Kewaunee    

556MW

  Millstone 2     878MW
  Millstone    1,138MW

 

 















露石油最大手 Rosneftは10月22日、BPとロシアの投資家グループAlfa-Access-Renova(AAR) の合弁 の ロシアの石油会社TNK-BPを、双方から合計550億ドルで買収することを明らかにした。6か月以内の取引完了を目指す。

BPはJVの50%を譲渡し、現金171億ドルとRosneftの株式 12.84% を取得する。
BPは同時に、ロシア政府からRosneft株式 5.66%を48億ドルで買収する。(BPはネットで123億ドルを受け取ることとなる。)
BPは既にRosneft株式 1.25%を保有しており、この取引で合計19.75%を保有することとなり、Rosneftの取締役会に2人の取締役を出す。

Rosneftにはロシア政府が75%出資し、残りは上場している。

他方、Alfa-Access-RenovaはJVの50%を280億ドルでRosneftに譲渡する。
覚書を締結した段階で、詳細は今後詰める。

付記

BPとAARは11月23日、両社の間の全ての争いを解決することで合意したと発表した。
両社ともTNK-BPのRosneft への売却を進める。

TNK-BPは Rosneft とLukoilに次ぐロシア第三位の石油会社で、これの買収により、Rosneftは生産能力日量450万バレルとなって、ExxonMobil(420万バレル)を抜き世界最大の石油会社となる。

TNK-BPは西シベリア(Tyumen、Khanty-Mansiysk、Yamal-Nenetsk、Novosibirsk 地域)、ヴォルガ・ウラル(Orenburg、Saratov地域)、東シベリア(Irkutsk 地域)で活動しており、2011年の生産は石油換算で日量199万バレルであった。

Rosneftの2011年の生産量は245万バレルで、開発済み確認埋蔵量は原油換算99.6億バレル、未開発確認埋蔵慮は83.9億バレルとなっている。

BPは、これはロシアの石油事業からの撤退ではなく、むしろそれを進めるものだとしている。
Rosneft株式は長期的に保有し、大株主として同社の今後の成長を支えるとしている。

後記の通り、BPは2011年1月に、Rosneftとの間でグローバルな戦略的提携で合意した。但し、これはAARの反対で白紙となった。

Rosneft のCEO は22日に本件をPutin大統領に報告、大統領は、これはロシアの石油産業にとってだけでなく、ロシア経済全体にとって重要な good big deal だと述べた。

 

付記 TNK-BPは以下の構成となっている。

RosneftはBP及びAARとTNK-BP International の株式購入の交渉をしている。
一般株主については、Rosneft は交渉する気はないとしており、見放された形になっている。


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TNK-BP の株主のAlfa Access Renova は下記の3社の連合。

Alfa Group ロシアの新興財閥で、ロシア最大の金融産業コングロマリットのひとつ。
Mikhail Fridman と German Khan が50%ずつ保有。
Access Industries ロシア生まれの Len Blavatnik が設立し所有する米国の投資会社で、Basellを買収した。
Renova Holding ロシアの長者番付では第5位のViktor Feliksovich Vekselberg (SUALの大株主)のベンチャーキャピタル。


2003年、BPと Alfa Access Renova はロシアとウクライナにそれぞれが所有する石油資産を共同で所有する戦略的パートナーシップの設立を発表、50/50所有の TNK-BP が設立された。

Alfa Access Renova はTyumen Oil Co.(TNK)株の97%とSidanko株の56%を新会社に移管、
BPはSidanko株の25%、サハリン5の事業権益、モスクワのガソリンスタンドを新会社に移管した。

2004年1月、Alfa Access Renova の持Slavneft の持分をJVに移管することが合意された。

これにより、TNK-BP はロシアとウクライナで上流部門から下流部門まで一貫操業を行ない、生産子会社15社、精製子会社5社(うちロシア国内は4社)、販売子会社11社を保有する。

埋蔵量及び生産量でRosneft とLukoil に次ぎ、ロシアで第三位となった。


しかし、CEOの任命権をBPが持ち、多くの経営幹部や技術者がBP出身であるなど、BP主導で運営してきた。

このため、ロシア側株主は、TNK-BPという会社がBPの利益ための会社であって、ロシアの為の会社でないという不満を持っていた。
そもそもロシア側には、双方の貢献面から、50/50が不公平との感があった。

BPは 2008年9月、TNK-BPの経営問題でロシア側株主に譲歩し、和解した。

2008/9/9 BPロシアの石油JV 経営問題でロシア側に譲歩


BPと
ロシアのRosneftは2011年1月、グローバルな戦略的提携で合意した。

Rosneft はBPの株式5%を購入、見返りにBPはRosneftの株式 9.5%を購入する。
(BPがRosneftに発行する株式の価値は現在の株価で約78億ドルになる。)

両社はロシアの北極海大陸棚にある3つの鉱区を共同で開発する。

2011/1/17 BP、ロシアのRosneft と戦略的提携

しかし、TNK-BPの株主のAlfa Access Renovaを構成する4人の新興財閥が、BPとRosneftとの取引がTNK-BPを除外しているのは、BPとTNK-BPの株主契約に違反するとして反対し、ロンドンの高等法院に訴えた。

裁判所は調停での問題解決を命じた。

2011/8/31 BPとTNK-BPの争い、仲裁へ

調停委員会は2011年5月1日、下記の決定を下した。
  ・
TNK-BPは Rosneft の同意を前提に、北極海開発に参加する。
  ・これを条件に、BPとRosneftの株交換を認める。

これに対しRosneft はTNK-BPの北極大陸棚での事業参加には難色を示した。
このため、AARの持ち株をBPと Rosneftが買い取る交渉が進められたが、AARは拒否し、この結果、BPとRosneftの契約は5月16日に時間切れで白紙となった。

2011/5/18 BPとRosneft との提携、白紙に 

この後、Rosneftは2011年8月30日にExxonMobilとの間で北極海と黒海の開発、技術協力、米国その他での共同事業の実施で合意した。

2011/9/1  Rosneft、石油開発でExxonMobil と提携

この直後には、TNK-BPのロシアの少数株主のAndrei Prokhorovが TNK-BPの役員でもあるBPの役員を、Rosneftの交渉を知っていたに違いないとし、この情報をTNK-BPに伝えなかったために、TNK-BPが北極海開発の機会を失い、約870億ルーブル(約2,970百万ドル)の損害を被ったとし、訴えるということもあった。

BPはこれらに嫌気を示し、JVからの離脱を検討した。

BPは2012年7月に、Rosneft との間でTNK-BP持分の売却の交渉を行うとし、TNK-BPの契約に基づき、7月19日にAlfa Access-Renovaとも売却交渉を開始したことを明らかにした。

AARはBPに対し、BP持株の半分(25%)を100億ドルで購入するという提案を行ったとされる。
しかし、BPにとっては25%を残しても意味がなく、また25%分で100億ドルは少くな過ぎ、成立しなかった。

AARは実際には、BPにTNK-BP の持株を買ってもらい、代わりにBPの株式を10%程度取得するのが狙いであったとされる。
しかし、BPはAARがトップ株主になるのを好まなかった。

また、Rosneft側が金融機関に圧力をかけ、AARは買収資金を得られずギブアップしたともされる。

問題は、TNK-BPの株を買いたいという会社が少ないことで、西側の石油メジャーは関与するのを嫌った。中国の石油会社は政治的に問題であり、結局、買収資金を持つRosneftが残ることとなった。





森口尚史氏が iPS
細胞から作った心筋細胞の移植手術を行ったと虚偽発表した件で、Harvard 大学のMassachusetts General Hospital は10月19日、森口氏と同病院のRaymond T. Chung医師を共同発明者とするiPS細胞作製技術の特許を米当局に出願していたが、17日にこれを取り下げ たことを明らかにした。

病院の広報担当者は「正式な出願は2011年7月7日で、森口氏が医師や知的財産部門に強く働き掛けたと聞いている。結果的に虚偽の研究に基づくものと判明したため取り下げた」と説明している。

共同発明者にChung准教授が名を連ねているため、内容などに問題はないと判断し、「2人の共著論文もあったため、研究内容を信用した」としている。

同病院の知的財産管理部門が米国で暫定特許を出願、今年1月に一般公示された。


  ・特許内容 RNA-145 inhibitor とTGF-β activator の2種類の化合物によるiPS細胞の作製技術など

 ・発明者は森口氏とRaymond T.  Chung氏。

Chung氏はMassachusetts General Hospitalの胃腸科のVice Chief で、肝移植計画のMedical Director。

2002年以降、森口氏との共著で9つの論文を発表しているという。

2011年には、森口氏と東大病院形成外科・美容外科の三原誠助教、東京医科歯科大学の佐藤千史教授との共著で、RNA-145 inhibitor とTGF-β activator の2種類の化合物によるiPS細胞の作製について記載した "Embryonic Stem Cells -- Recent Advances in Pluripotent Stem Cell-Based Regenerative Medicine"を出版している。

 ・Assignee(譲受人=特許取得後の特許権者)はMassachusetts General Hospital  

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Harvard 大学とMassachusetts General Hospital は10月11日、以下の発表を行った。

「1999〜2000年にかけてマサチューセッツ総合病院の客員研究員だったが、それ以来、同病院やハーバード大とは関係がない。森口氏の職務に関わる臨床試験は、同大学あるいは総合病院の審査委員会により承認されたものではない」

しかし、Massachusetts General Hospital のRaymond T.  Chung氏が最近、森口氏などとの共著を出し、両氏を発明者とする特許を同病院が申請、その特許のassigneeが同病院となっていることから、「(2000年)以来、同病院やハーバード大とは関係がない」とは言えないのではないか。

同病院の知的財産管理部門が、 共同発明者にChung准教授が名を連ねているため、内容などに問題はないと判断し、「2人の共著論文もあったため、研究内容を信用し」 、特許を出願したというのも驚きである。

今回の問題を受けて、Chung氏は森口氏との共著論文から名前を削除することを同病院を通じて表明 したという。

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東京医科歯科大の佐藤千史教授 について、同大の調査委員会は事情聴取し、佐藤氏が「論理的に間違っていないかアドバイスをしただけ」と証言したため、「研究の中身について検証せず、共著となることはありえない」と判断し、処分の対象とする見通し。

産経新聞が読売新聞の記事を受けて佐藤氏に電話取材した際に、「(読売新聞報道の)事実関係はあっている」との説明を受けたという。(産経新聞)

東京大学医学部付属病院は、「最先端・次世代研究開発支援プログラム」の一つとして、臓器凍結保存やiPS細胞保存などの技術研究で内閣府から助成金を受けているが、プロジェクトの代表の東大病院形成外科・美容外科の三原誠助教は実施状況の報告書で、「iPS細胞保存研究に関しては、特任研究員 森口尚史を中心として進めている」と記載している。

三原医師は10月15日、読売新聞の取材に対し、「森口氏から『ハーバード大の特許の問題があるので、先生にも話せないことがある』と言われた」とし、森口氏が担当する研究論文の内容をチェックしていなかったことを認めた。(読売新聞)

 

内容をチェックもせずに共著者になるというのは考え難いが、日米の学者3人が名前を連ねていたということになると、学会の状況が心配になってくる。

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東京大学は10月19日、同大病院の森口尚史・特任研究員について、懲戒解雇処分にしたと発表した。




2011年9月に倒産した米国の太陽電池メーカーのSolyndra は10月12日、中国太陽電池企業の尚徳電力(Suntech Power)、天合光能(Trina Solar)、英利緑色能源(Yingli Green Energy)の3社を相手取り、独禁法違反を理由に15億ドルの賠償を求め、 San Franciscoの連邦裁判所に訴えた。

被告らは定期的に会合を開いて共謀し、太陽電池パネルをコストを下回る価格で米国市場にあふれさせ、同社を破産に追いやったとしている。
3社の米国価格は4年で75%も低下したとしている。

Suntechでは、Solyndraが競争力ある価格で製品化できなかった失敗の スケープゴートを求めるもので、根拠はなく、徹底的に争うとしている。

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Solyndraはかつて米国のエネルギー革新のモデル企業とされ、2009年に環境・エネルギー分野で雇用創出を目指すオバマ大統領の「Green New Deal」政策の一環として535百万ドルの融資保証を受け、2011年5月にはObama大統領も訪問した。

Solyndraの製品は、ビルや商業施設に設置する円筒状の太陽光パネルで、直射日光だけではなく散乱光・反射光もすべて捉え、風や光を通すことが最大の特徴だった。

光吸収層の材料として、シリコンの代わりに、銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)などを用いたCIGS型太陽電池である。


しかし、
同社は2011年9月6日に破産法(Chapter 11)を申請した。
同社の役員は、「低価格の中国製太陽電池が大量に米国に流れ込み、当社は2008年に発表した取引総額が12億ドルに達する契約を履行できなかった」と 述べた。

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米国商務省は10月10日、中国製の太陽電池およびモジュールにダンピングおよび補助金の行為が存在するとする最終判決を下した。

2012/10/13 米国商務省、中国製太陽電池のダンピングを最終認定 

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10月15日付のForbesには、この訴訟は"Entire Nonsense"であるという投稿が載っている。

共謀はあったかも知れないし、中国政府の支援を受けているかも知れない。Solyndraが米政府の支援を受けていたように。

Solyndraの例の通り、米国の企業も融資保証などを受けている。

本年6月28日には米太陽光発電パネルメーカーのAbound Solarが米連邦破産法の適用を申請する方針を発表したが、同社も「Green New Deal」政策の一環として、米エネルギー省から受けた4億ドルの融資保証枠のうち7000万ドルを利用していた。

しかし、Solyndraの倒産はそのためではなく、技術面でSolyndraのとった選択によるものだ。
選択が誤りであったというのではなく、「結果論」(シリコン価格が下がったことによる)。

Wall Street Journalも同じことを述べている。

2008年頃に太陽発電用シリコンは供給不足で、価格が高く、この結果中国製パネルの価格も高かった。
Solyndraはシリコンを使わないCIGS型に賭け、高価な工場を建設した。

しかしその後の4年で、新しいポリシリコン製造工場への投資が増え、価格はkg当たり400ドルから20ドルにまで下がった。

この結果、シリコンを使った中国製のパネルの価格が下落した。

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Solyndraの破産法申請直後に、FBIは会計上の不正行為の疑いなどで同社を捜査した。

これについては米議会でも問題となり、最初から収益を上げる見込みのない同社に多額の融資をした政府の責任を追求するべく、裁判所からホワイトハウスに関係書類提出令状を発令させた。
しかしオバマ政権は、これは政治目的によるもので、実際の捜査とは関係ないので協力するつもりはないと全面的に拒絶した。

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Solyndraはこのたび、裁判所に対し、破産から離脱するための再建策を申請した。

再建策では、Solyndra自体は清算し、親会社の360 Degree Solar Holdingsが存続することとなっている。

政府は貸付金142.8百万ドルの19%程度を回収できるが、残りの債務保証からの債権の385百万ドルについてはほとんど回収できない。
政府はこれに反対している。

投票権のある債権者のうち、再建策に反対しているのは政府だけとされる。

一方、税務当局(Internal Revenue Service)は再建策の目的は租税回避にあるとして、これを認めないよう主張している。

親会社には975百万ドルの税務上の損失が引き継がれ、この結果、親会社のオーナーであるArgonaut Ventures I LLC とMadrone Partners LP は300百万ドル以上の税金を免れることとなる。

Delaware破産裁判所は10月17日に再建策について5時間にわたり、双方の証言を聞いた。
10月22日に最終弁論を行う。

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これとは別に、米リチウムイオン電池メーカーのA123 Systems, Inc は10月16日、破産法11条の適用を申請した。

同時に、自動車関連の技術、製品、ミシガン州にある2工場、中国のcathode powder製造工場、上海汽車とのJVのShanghai Advanced Traction Battery Systemsの持分などを、自動車部品メーカーのJohnson Controls, Inc.に1億2500万ドルで売却することで合意したことを明らかにした。

Johnson ControlsはA123の破産法申請後の運営資金(debtor in possession financing)として7250万ドルの資金を援助する。

破産法11条の申請は、この売却をスムースに進めるためとしている。
(破産法363条では、通常の商行為をこえる財産の処分は、裁判所の許可なければできない
許可があれば出来る。)

A123 Systems は8月16日、中国の万向集団(Wanxiang Group Corporation)が、A123 Systemsの株式の過半数を、465百万ドルで取得する契約を結んだと発表した。最終的に万向集団は、A123 Systemsの株式を80%まで買い進める計画であった。

しかし、A123はこの取引が中止になったと発表した。
取引の条件の
米国の外国投資委員会(CFIUS)の承認が得られなかった。 軍事用の先進的なバッテリー開発計画がある。
また、議会からも、税金で開発した重要な知的財産を外国に売り渡すのかとの批判が相次いだ。

同社は、オバマ政権が打ち出したGreen New Deal 政策を通じ、2億4900万ドルの助成金を受けていた。

同支援プログラムを受けていた企業で破綻した企業に提供された支援額は少なくとも8億1300万ドルに上り、大統領選で問題となっている。



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