「no」と一致するもの

素材分野(ケミカルズ、ポリマーズ)と機能商品分野における需要の回復による増収増益で、営業損益は2,265億円に達した。
また、本年度から連結子会社となった三菱レイヨン(MMAなど)の貢献が大きい。

特別損失に災害損失 225億円を計上している。

なお、当期損益が2008/3月期比でマイナスとなっているが、これは2008/3月期に三菱ウェルファーマと田辺製薬の合併に伴う持分変動益1,181億円が入っているためで、実質ベースでは2008/3月期比でも大増益である。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3 29,298 1,250 1,289 1,641 8.0 8.0
2009/3 29,090 82 -19 -672 8.0 4.0
2010/3 25,151 663 590 128 4.0 4.0
2011/3 31,668 2,265 2,239 836 5.0 5.0
前年比 6,517 1,602 1,649 707 1.0 1.0
2008/3比) (2,370) (1,014) (950) (-805) (-3.0) (-3.0)
2012/3 35,800 2,060 2,050 800 5.0 5.0

 

営業損益対比(億円)           一部セグメント変更
  2008/3 2009/3 2010/3 2010/3 2011/3  増減
ケミカルズ 109 -555 73   69 530  461
ポリマーズ 112 -130 -217   -225 550 775
エレクトロニクス
アプリケーションズ
316 48 71   -14 10 24
デザインド
マテリアルズ
97 -21 82   133 365 231
ヘルスケア 572 793 716   710 851 141
その他 141 88 62   62 45 -17
全社 -97 -141 -123   -73 -86 -13
合計 1,250 82 663   663 2,265 1,602

1) 上記営業損益のうち、ケミカルズとポリマーズの内訳は以下の通り。

  2010/3 2011/3   増減
ケミカルズ
 (基礎化学品)
 (炭素)
69
(-20)
(89)
530
(313)
(217)
 461
(333)
(128)
ポリマーズ
 (ポリオレフィンほか)
 (MMA、アクリル樹脂)
-225
(-225)

(-)
550
(182)
(368)
775
(407)
(368)

2) 従来、無機化学品はエレクトロニクス・マテリアルズに含まれたが、今回デザイント・゙マテリアルズに移した。

3) 三菱レイヨンが連結子会社となった。
    デザインド・マテリアルズ(化学繊維)、ポリマーズ(MMA、アクリル樹脂)、ケミカルズ、その他

4) 国内のケミカルズ、ポリマーズに属する連結会社(三菱レイヨンを除く)の有形固定資産の償却方法を従来の定率法から定額法に変更した。
  これにより、179億円の利益となっている。

5) ヘルスケアのうち、田辺三菱製薬の業績は以下の通り。

田辺三菱製薬
単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2010/3 4,047 615 616 303 14 14
2011/3 4,095 766 767 377 14 14
前年比 48 151 150 75 0 0
2012/3 4,030 630 630 355 14 14

三菱ケミカルは今回、営業損益と経常損益で信越化学に大きく差をつけた。
しかし、当期損益では信越化学の方が多い。

これは信越の連結子会社がほとんど100%子会社で、連結損益がそのまま信越の損益になるのに対し、三菱ケミカルの場合は、田辺三菱製薬など高収益の連結子会社が100%子会社でなく、少数株主の持分が多いため。
また、本年度は信越には過年度の税金の還付 107億円があった。

単位:億円
  三菱ケミカル 信越化学   差
営業損益 2,265 1,492  773
経常損益 2,239 1,603 636
特別損益 -543 -210 -333
(うち震災) (-225) (-210) (-14)
税引前損益 1,696 1,393 302
       
税金 470 486 -17
過年度税金還付 0 -107 107
税金合計 470 380 90
       
税引後損益 1,226 1,013 213
少数株主持分 390 12 378
当期損益 836 1,001 -165

 


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出光興産は510日、東証二部上場の農薬会社SDSバイオテックに対するTOBと資本業務提携を発表した。

SDSバイオテックを連結子会社とすることを目的とするもので、筆頭株主のMH キャピタルパートナーズⅡLPからは、所有全株(持株率 53.39%)についてTOBに応じるとの合意を得ている。
TOB価格は、普通株式1株につき960 円、新株予約権1個につき1円となっており、53.39%分は40億円となる。

TOBには上限を設定していないが、出光興産では上場廃止を企図したものではないことから、安定株主の取引先等12 社(持株率 27.22%)に対し、TOBに応募せず、継続して保有するよう要請した。

他の株主:  
 昭和電工  14.51
 大塚アグリテクノ 2.56
 みずほ銀行 2.11
 日本農薬 2.11
 フマキラー 2.11
 丸善薬品産業 2.11
 

TOBが成立した場合、出光とSDSは、相互の利益拡大及び企業価値向上を目的として、以下の業務提携を行う。
 (ⅰ)天然系農薬等大型新規剤の共同開発
 (ⅱ)出光アグリ向けの商品開発及び販売
 (ⅲ)アジアを中心とした世界市場への共同展開
 (ⅳ)
SDSの大型剤買収案件の出光による支援
 (ⅴ)出光の欧米を中心とした世界市場における生物農薬事業拡大に向けた
SDSによる支援

出光アグリは出光興産と東海物産が、両社の保有する農業・緑化資材、栽培資材・栽培施設などを共同で販売するため、出光60%、東海40%で201141日に設立した。

ーーー

SDSバイオテックは、1968年に昭和電工とDiamond ShamrockJVとして設立された昭和ダイヤモンド化学を前身とする。

1983年、昭和電工とDiamond Shamrock は農薬・動物薬事業における全世界での提携を発表した。
米国に50
/50JVのSDS Biotechを設立し、Diamond Shamrockの農薬・動物薬事業を引き継いだ。
昭和ダイヤモンド化学はSDSバイオテックと改称し、昭電から農薬事業を譲受けた

SDSShowa Denkoと、Diamond Shamrockから取った。)

その後、Diamond Shamrock は化学品部門の売却を余儀なくされたため、昭電は1985年にSDS Biotech 持株を売却し、SDSバイオテックを100%子会社にした。

SDS Biotechはその後、一時、石原産業が買収してISK Biosciences と改称したが、現在はSyngenta の1部門となっている。

日本のSDSバイオテックは、一時、昭電とSandoz(その後SandozとCiba Geigyの合併によりNovartis)の50/50JV となったが、1998年にNovartis が資本を引き上げ、昭電100%に戻った。

2005年に昭和電工はSDS バイオテックをMBOの手法で分離・独立させ、「みずほキャピタルパートナーズ」が運営するMH キャピタルパートナーズⅡLPが83.1%、昭和電工が14.9%とした。

2008年にジャスダック証券取引所、200912月に東京証券取引所第二部に上場した。

2006/12/12 SDS バイオテックとSDS Biotech

同社は、研究開発型の農薬原体メーカーとして、防除効果に優れ、安全性が高く環境に配慮した製品の開発を続け、現在では特に水稲除草剤、野菜・果樹向け汎用殺菌剤の分野に強みを有し、売上高の約3割は東南アジアを中心とした海外となっている。

ーーー

出光興産は2010年4月に、“長期ビジョン2015”と“第3次連結中期経営計画”を発表し、
①「基盤事業」における競争力強化・海外成長市場への事業拡大、
②「資源事業」における生産規模拡大・探鉱開発強化、
③「高機能材事業」における環境配慮型商品の開発強化・グローバル展開による事業拡大
の3つを基本戦略とした。

同社の「高機能材事業」の一つであるアグリバイオ事業の農業分野においては、微生物応用技術をコア技術として、各種生物農薬の開発、販売に注力している。

しかし、アグリバイオ事業の推進のためには、生物農薬のコア技術に加え、これを補完する化学農薬(特に除草剤)の品揃えも充実させていくことが必要であると考え、今回、SDSを子会社とすることとした。

同社では今後、生物農薬分野における世界のトップメーカーを目指して、アライアンスやM&Aにも取り組みながら、さらなるグローバル展開を図るとしている。

農業分野:微生物防除剤(殺虫剤、殺菌剤)/土壌改良材
       使用している微生物:VA菌、アゾ菌・根粒菌、納豆菌(バチルス菌)

緑化分野:環境・緑化関連資材(芝生用除草剤、液体微量要素複合肥料、フェロモン誘引剤など)


畜産分野:畜産関連資材

ヘルスケア分野:γ-リノレン酸(化粧品用)
           世界で唯一、微生物を用いた発酵法で生産

 


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後発医薬品(ジェネリック)メーカー最大手、イスラエルのTeva Pharmaceutical は5月2日、米Cephalon68億ドルで買収することで合意したと発表した。
2011年第3四半期にも取引が完了する見込み。

Cephalonは1987年にバイオテクノロジー会社としてスタート、世界のトップ10のバイオ医薬品会社に成長した。

Cephalonに対しては329日にValeant Pharmaceuticals が約57億ドルでの非友好的買収を発表した。
Cephalon2010年の売上高は2,811百万ドル、Valeant1,181百万米ドルで、成功すれば小が大を呑むかたち。

Valeant Pharmaceuticals20109月にカナダのBiovail Corporation が米国に本拠を置くValeant Pharmaceuticals33億ドルで買収、統合し、社名をValeant Pharmaceuticalsと改称したもの。

これに対しCephalon45日、株主の利益に合わないとして、これを拒否し、株主には応じないよう推奨した。
提案価格は同社の価値を十分反映したものではないとした。

直後に、Teva Valeant の提案を上回る価格を提示し、Cephalonの取締役はこれを承認した。

Valeant 側はこれに対抗せず、買収提案を撤回した。

Tevaについては、2010年に米国のFDAが同社の売上高全体の21%を占める主力の多発性硬化症治療薬Copaxone について競合治療薬を承認したため、販売減少の懸念が広がっていた。

今回の買収により、売り上げの落ち込みを補完する。

Tevaは今回の買収のメリットとして、以下を挙げている。
・ 中枢神経系、癌、呼吸器系などの主分野を拡大し、疼痛管理などの新分野に進出
・ 販売面、
R&D面の強化
・ 利益増
Mephaを加えることにより、成長著しい新興諸国での活動を強化
 (
20102月にCephalonはスイスのジェネリック医薬会社Mepha AG を約590百万ドルで買収した。)

ーーー

Teva Pharmaceutical は後発薬国内3位の大洋薬品工業の買収に向けて交渉していると報道された。

関係者によると、Tevaは大洋の創業家などから同社株の過半数を取得して経営権を握る意向を示しており、買収金額は、数百億円規模で交渉している模様(日経は400億円前後としている)。

大洋薬品工業は1930年に高山市に中野天栄堂として創業、1949年に中野薬品工業と改組、1972年に大洋グループの一員となり、大洋薬品工業と改称した。

豊富な品ぞろえに加え、新薬の受託生産も行うことで急成長してきた。
2010年3月期の売上高は469億円、営業利益59億円、当期利益26億円。

昨年、調合ミスにより承認規格外の製品を製造、出荷したことで、岐阜県から薬事法に基づき9日間の業務停止命令を受け、混乱の責任をとって社長が交代した。
信用力の回復と規模拡大に向け、資本提携先を探している。
 

付記

Teva516日、大洋薬品の創業家などから株式の57%460百万ドルで取得する契約を締結したと発表した。更に残る株式全部について買収するオファを行う。

Tevaは2005年に日本法人を設立し、2008年には中堅製薬会社の興和と後発薬の合弁会社の興和テバを設立している。
     2008/9/26 
ジェネリック医薬品の世界最大手、日本進出

Tevaは生産では大洋、販売は興和テバを中心にする戦略とみられる。
大洋、興和テバを含めると、Tevaグループの後発薬の売上高は日医工を上回り国内首位となる見通し。

ジェネリック医薬品メーカーの売上高
  日医工 643億円 (2010/11)
  沢井製薬 500億円 (2010/3)
  大洋薬品 469億円 (2010/3)
  東和薬品 390億円 (2010/3)

国内の後発薬市場は約8000億円。医薬品全体に占める後発薬の比率は数量ベースで2割程度で、5割以上の欧米に比べ普及が遅れている。

ジェネリック医薬品のシェア(2011/4/25 日本ジェネリック製薬協会発表)      

2009年度 2010年度3Q
出荷数量 20.3% 23.1%
薬価ベース金額 8.5% 9.4%

厚生労働省は患者負担の軽減や医療費抑制を目的として普及を推進しており、今後、需要が増えることが予想される。

このため、有力企業が相次ぎ参入し、競争が激化している。また、海外のジェネリック医薬品メーカーも多数進出している。
      2010/3/5  
日本のジェネリック市場の動き 

Sanofi Aventis 20105月、日本でジェネリック医薬品事業を展開するため、後発薬最大手の日医工に4.66%出資するとともに、Sanofi 51%、日医工49%出資で日医工サノフィ・アベンティスを設立することを発表した。

世界のgeneric医薬品メーカー大手は以下の通り。医薬品大手が含まれている。
シェアは日経推計 (2011/5/3)

企業 備考 シェア
 
(%)
日本の活動
Teva Pharmaceutical イスラエル 米国 Barr Pharmaceuticals を買収
ドイツRatiopharm買収
12.0 興和テバ
Sandoz ドイツ Novartis generic 部門 6.3 サンド
Mylan アメリカ ドイツMerck generic部門買収
インド
Matrix Laboratories を買収
4.0 マイラン製薬
Watson Pharmaceuticals アメリカ Andrx を買収 1.7
Greenstone アメリカ Pfizergeneric 部門 ファイザー
Apotex カナダ
Stada Arzneimittel ドイツ
Winthrop 英国 Sanofi-Aventis generic 部門
Bayer ドイツ
Actavis Group アイスランド Amide Pharmaceutical を買収
Alpharmaを買収
(AlpharmaCoxを含む
Hoechstgeneric部門を買収)
あすかActavis製薬
Dr. Reddy's Laboratories インド
Ranbaxy Laboratories インド 第一三共が買収
Sanofi Aventis フランス 日医工サノフィ・アベンティス


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中国の国家発展改革委員会(NDRC)は4月25日、新しい「産業構造改革ガイドライン2011」(産業結構調整指導目録2011)を発表した。本年6月から適用される。

(中国語) http://big5.gov.cn/gate/big5/www.gov.cn/gzdt/att/att/site1/20110426/001e3741a2cc0f20bacd01.pdf

ガイドラインには、「推進」、「制限」、「廃止」の3つのカテゴリーがあり、2005年のガイドラインを見直した。
産業構造を改革し、省エネと排出物削減の達成を狙う。
小規模プラントを段階的に廃止し、エネルギーと資源の効率的な使用を図る。

「制限」の場合、新設の承認を得るのは難しいと思われる。
「廃止」は既存設備の順次停止、廃止。

石油化学分野の内容は以下の通り。

  ガイドライン2011
品目 対象能力
推進   Syngas to MEG 年産20万トン以上 技術開発要
直接酸化法PO    15万トン以上 技術開発要
併産法PO    20万トン以上 技術開発要
イオン交換法ビスフェノールA    10万トン以上 技術開発要
ホスゲン不使用のPC     6万トン以上  
制限 製油所 年産1000万トン未満 2005年は800万トン未満
接触分解装置    150万トン未満 2005年は50万トン未満
エチレン(ナフサクラッカー)    80万トン未満  
アクリロニトリル    13万トン未満 2005年ンは10万トン未満
PTA    100万トン未満 2005年は22.5万トン未満
MEG    20万トン未満  
SM    20万トン未満 オフガス原料のエチルベンゼンは除く
酢酸    30万トン未満  
メタノール    100万トン未満 自家使用目的は除く
PE    10万トン未満  
PP    7万トン未満  
アセチレン法PVC   全ての新規計画
エチレン法PVC    30万トン未満  
PS    10万トン未満  
ABS    20万トン未満 連続塊状重合プロセスを除く
廃止 製油所 年産200万トン未満 2005年は100万トン


ーーー


新しい「産業構造改革ガイドライン
2011」(産業結構調整指導目録2011)の「制限」される品目にアセチレン法PVC(全ての新規計画)が入っているのが注目される。「制限」品目は、今後の新設の承認を得るのが極めて難しいと思われる。

アセチレン法では、生石灰とコークスからカーバイドを製造し、カーバイドからアセチレンを製造し、アセチレンと塩酸を反応させ、VCMを製造する。
アセチレンと塩酸の反応過程で塩化水銀を触媒として使用する。

中国政府は水銀法電解は禁止したが、同じく水銀を使用するアセチレン法塩ビはこれまで禁止していない。
これは、中国が大量に輸入をせざるを得ない石油を原料とする(エチレン法)のではなく、中国に大量にある石灰石と石炭(コークス)を原料としたいためである。

中国工業情報化部
(MIIT)によると、2009年末時点で中国に104PVCメーカーがあり、能力合計は1481万トン、うち、カーバイド法メーカーは94で、能力全体の76.5%を占める。カーバイド法の生産量は580万トンで、生産量合計の63.4%を占める。

国連環境計画(
UNEP)によると、2005年ベースの中国のカーバイド法VCMでの水銀使用量は700800トンにものぼる。
(中国全体の水銀使用量は
14251845トン、中国を除く東アジア、東南アジア全体の水銀使用量は452608トン)

中国では水銀による事故が多発しており、工業情報化部は、
UNEPの動きも踏まえ、2010531日付で通達261号「カーバイド法塩ビ業界水銀汚染総合防止管理通達」を出した。
水銀による事故防止対策が目的だが、今後、水銀条約の発効により水銀の輸入が出来なくなることへの対策も含んでいる。

カーバイド法PVC業界の水銀の管理を強化し、水銀汚染を防止するもので、
2012年までに低水銀触媒の使用を50%にし、塩化水銀の使用量を25%減らし、使用済み水銀触媒の回収をリーズナブルなレベルで行う塩酸深度脱吸技術普及率を50%以上とする
2015年までに低水銀触媒の使用を100%にして、使用量を50%減らし、使用済み水銀触媒を100%回収する
というもので、対策等を詳細に述べている。

2011/1/18 水銀条約とPVC

今回は初めて、アセチレン法PVCの新設の禁止を打ち出した。

しかし、既存のアセチレン法
PVCについては禁止の対象となっていない。
小規模で環境汚染の問題を抱える設備については今後、規制が行われると思われるが、大規模設備については今後も操業を認めると思われる。

また、ダウと神華集団が計画している大規模石炭化学計画では、石炭→メタノール→オレフィンを原料とする
PVC50万トンの新設を含んでいる。
アセチレン法が石炭ベースのエチレン法
PVCに代わる可能性もある。 

 


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味の素は4月26日、飼料用アミノ酸事業会社を発足させると発表した。

グローバルでダイナミックな環境の変化に対するセンスを高め、機動的な意思決定と効率的な事業運営体制を実現させ、競争体制の強化に注力する。

同社の飼料用アミノ酸事業は40年以上の歴史を持ち、主要製品のリジン、スレオニン、トリプトファンの製品分野では常にリーダーとして現在に至っている。
今後、長期的には飼料用アミノ酸に加えてより広く動物栄養の分野にも事業成長の機会を求める。

9月1日に新設する子会社は味の素アニマル・ニュ-トリション・グループ(Ajinomoto Animal Nutrition Group)。
11月1日をめどに、飼料用アミノ酸事業の一部と、味の素ハートランド社(米国)、味の素ユーロリジン社(フランス)の株式所有を通じた統括・管理に関する事業を譲り受ける。

生産拠点は以下の通り。  

      能力 (千トン)
リジン スレオニン トリプトファン
フランス 味の素ユーロリジン
AJINOMOTO EUROLYSINE S.A.S.
1974年設立 

 

125 35 2.8
イタリア 味の素ビオイタリア
AJINOMOTO BIOITALIA S.p.A.
1990年設立 30    
米国 味の素ハートランドLLC
Ajinomoto Heartland LLC
1984/10設立

 

50 20  
タイ タイ味の素
Ajinomoto Co., (Thailand) Ltd.
1960年設立
味の素 74.3%
50    
中国 川化味の素
Chuanhua Ajinomoto Co., Ltd.
川化集団とのJV
(味の素 70%)
32    
委託 内蒙古阜豊生物科技
    Inner Mongolia Fufeng Bio-technological
阜豊の飼料用アミノ酸・
 スレオニンの全量
     
ブラジル 味の素ビオラティーナ
Ajinomoto Biolatina Industria e Comercio Ltda.
1975年設立 125    

同社は最近の能力を発表しておらず、上記能力は若干古いもの。
2005年6月の発表では、2010年度までに、リジン50万トン(シェア35%強)、スレオニン14万トン(シェア70%強)、トリプトファン5千トン(シェア80%強)へ拡大する予定としている。

同社の本事業の取り組みは以下の通り。

飼料添加物リジンについては、1980年代後半には味の素、協和発酵、韓国のSewon3社が世界の生産の95%を占めていた。
Archer Daniels Midlandは原料のdextroseの大メーカーで、1991年にリジン生産に進出し、急激にシェアを伸ばした。
同年、韓国の
Cheil Jedang(第一精糖)も生産を開始した。
Sewon はその後、Miwon Foodsと合併し、Desang Corporationとなった)

各社によるカルテルについては 2010/1/12 映画 The Informant 参照

協和発酵(現協和発酵キリン)はその後、飼料用アミノ酸の製造設備を大幅に削減し、機能性食品や医薬品中間体など付加価値の高いアミノ酸事業を強化する方針に変更、グループ最大の製造拠点であるメキシコ子会社を2004に解散した。

協和発酵は2008年10月1日にキリンファーマは合併し、協和発酵キリンとなった。

協和発酵の協和発酵フーズはキリンホールディングス子会社のキリン協和フーズに、バイオケミカル事業は協和発酵キリン子会社の協和発酵バイオに、その他事業(アルコール群並びに含酸素系溶剤群、合成脂肪酸、高級アルコール、特殊ジオール、高機能性高分子材料など)は同じく協和発酵キリン子会社の協和発酵ケミカルとなった。

アミノ酸事業は協和発酵バイオに属する。

協和発酵ケミカルは2011年3月31日に日本産業パートナーズに売却され、協和発酵キリングループから独立した。
  2010/10/27 
協和発酵キリン、子会社の協和発酵ケミカル売却で合意


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仏石油大手のTotal428日、米太陽電池大手のSunPowerと広範な戦略的関係を結ぶことで合意したと発表した。
Totalは友好的TOBSunPowerの発行済み株式の最大60%を取得する。
60%の場合の投資額は138000万ドルとなる。

更に、TotalSunPowerに対し5年間にわたり10億ドルの債務保証を行う。

SunPowerは今後も、現在の経営陣が経営を行い、上場を続けるが、取締役の過半はTotalが指名する。

SunPowerTotal は開発協力契約を締結し、太陽電池の開発を行う。

ーーー

Totalは、将来のエネルギーバランスでの再生可能エネルギーの重要性を考え、太陽エネルギー分野でのメジャープレイヤーになるという戦略をたて、1983年以来、子会社のTenesol Photovoltechを通して太陽エネルギー分野での活動を広げている。

Tenesol はフランスの太陽パネルメーカーでフランスと南アに拠点を持つ。
Totalとフランス電力公社子会社(EDF ENR)の50/50JVであるが、本年4月にTotalEDFの持分を買収することで合意している。(フランス国外の事業は従来通り50/50JV

Photovoltechは多結晶シリコン太陽電池メーカーで、2001年にベルギーに本部を置く国際研究機関のIMECInteruniversity Microelectronics Centre)からスピンオフして設立された。
Total50%、フランスの電力・ガス会社GDF SUEZ50%出資する。

このほか、Total米国の有機薄膜太陽電池モジュールメーカーのKonarka Technologiesやポリシリコンメーカー AE Polysiliconに出資している。

Total2年間にわたり、いろいろな案を評価した結果、人、技術、コストのロードマップ、垂直統合戦略、下流での足がかりなどの点からSunPowerをパートナーとして選んだとしている。

ーーー

SunPowerはStanford UniversityのDr. Richard Swansonが1970年代のオイル危機に際し、代替エネルギーの必要性について考えたのに始まる。
1985年に太陽電池開発のためエネルギー省などの補助金を得、ベンチャーキャピタルからの資金とともに、SunPowerを設立した。

1993年にホンダが豪州縦断のソーラーカーレースでSunPowerの太陽電池を採用して圧勝した。
NASAがこれに注目、世界最初の太陽電池飛行機プロジェクトに採用した。

同社は北米最初の商業用太陽光発電施設(200kw)をハワイに、その後、2004年にはドイツに10.1MWのBavaria Solarpark発電所を完成させている。

米エネルギー省は4月12日、SunPowerに12億ドルの融資保証を行うと発表した。
同社が計画しているカリフォルニア州南部San Luis Obispoでの太陽光発電プロジェクトCalifornia Valley Solar Ranch向けで、年内に建設を始め、2013年のフル稼働を目指している。

ーーー

日本でも昭和シェル石油やJX日鉱日石エネルギー(新日本石油)も太陽電池事業に注力している。

2009/5/29 昭和シェル石油、太陽電池事業 1600億円投資


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JSR

前期比では営業損益は倍増だが、2008/3までと比べると、利益はまだ回復していない。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3 4,070 600 561 370 16 16
2009/3 3,525 303 311 140 16 16
2010/3 3,102 202 224 136 13 13
2011/3 3,407 391 426 276 16 16
前年比 305 189 202 139 3 3
(2008/3比) (-663) (-209) (-135) (-94) ( 0) ( 0)
2012/3 3,700 410 430 280 16 16

 

従来、区分表示していたエマルジョンは、エラストマーに含め、ブタジエンモノマー等の化成品は、多角化事業からエラストマー事業に変更。

  08/3(A) 09/3 10/3(B) 11/3(C) (A)(C)
増減
(B)(C)
  増減
エラストマー 112 80 4 147 20 144
エマルジョン 15 5
合成樹脂 30 13 0 26 -4 26
多角化事業 443 205 199 218 -225 19
合計 600 303 202 391 -209 189

エラストマー(+エマルジョン)、合成樹脂の損益は元に戻ったが、多角化事業の損益は以前の半分程度にとどまっている。

多角化事業の内容は以下の通り。(比率は売上高比)  

半導体製造用材料  38% フォトレジスト、CMP材料、実装材料、多層材料等
フラットパネル・ディスプレイ用材料  50% カラー液晶ディスプレイ用材料、反射防止膜材料等
戦略事業ほか  12% 光学材料、機能化学材料、回路検査治具等機器、その他

ーーー

カネカ

同様に、前年比では増収増益だが、2008/3までと比べると、利益はまだ回復していない。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3 5,030 357 339 188 8 8
2009/3 4,496 76 58 -19 8 8
2010/3 4,125 175 163 84 8 8
2011/3 4,538 212 210 116 8 8
前年比 413 37 46 32 0 0
(2008/3比) (-491) (-145) (-129) (-72) ( 0) ( 0)
2012/3 5,000 250 235 130 8 8

 

ライフサイエンス(医療機器、医薬バルク・中間体、機能性食品素材)は好調。
エレクトロニクス(液晶関連製品、超耐熱性ポリイミドフィルム、太陽電池など)は赤字で、2008/3月期からの減益幅が大きい。

  08/3(A) 09/3 10/3(B) 11/3(C) (A)(C)
  増減
(B)(C)  増減
化成品 52 -5 19 28  -24   8
機能性樹脂 120 30 90 83 -37 -7
発泡樹脂製品 -1 13 51 62 63 11
食品 28 38 89 80 51 -9
ライフサイエンス 53 59 45 93 40 47
エレクトロニクス 91 -9 -67 -58 -149 9
合成繊維他 66 12 14 8 -58 -7
全社 -52 -62 -68 -83 -31 -15
合計 357 76 175 212 -145 37

 

ーーー

クラレ

過去最高益を更新、中期アクションプラン最終年度2011年度の営業利益目標(500億円)を前倒し達成した。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3 4,176 481 428 256 11 11
2009/3 3,768 293 268 130 12 10
2010/3 3,329 305 289 163 8 8
2011/3 3,632 531 511 287 13 14
前年比 303 226 221 124 5 6
2008/3比) (-544) (50) (82) (32) (2) (3)
2012/3 4,000 600 585 340 16 17

報告セグメントが変わったため、以前との厳密な比較は難しい。

  08/3 09/3 10/3     10/3 11/3 増減
化成品・樹脂 502 371 430   樹脂 392 508     117
機能材料・メディカル他 62 44 42   化学品 20 87 66
繊維 69 9 -17   繊維 -28 -2 26
          トレーディング 20 33 13
          その他 43 49 6
全社 -151 -130 -150   全社 -142 -144 -2
合計 481 293 305   合計 305 531 226

「樹脂」は、ポバール、PVB、EVOH樹脂(エバール)等の機能樹脂、フィルム
「化学品」はメタクリル樹脂、イソプレン関連製品、耐熱性ポリアミド樹脂、メディカル関連製品
「繊維」は、合成繊維、人工皮革、不織布等

ポバール樹脂は、アジア市場および欧州市場が好調に推移
エバールは、新興国での需要が拡大し、特にアジア市場は自動車用途、食品包装用途を中心に伸びを示した。

 


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中部電力は4月28日、定期点検中の浜岡原発3号機を7月に再稼働することを前提とする2012年3月期の業績見通しを発表した。「地元の理解を得て」を前提とはしている。

水野社長は「安全性については十分確認している。さらに安全性を確かめるために緊急の津波対策もする」と説明。夏場は電力需要が増えることから「浜岡原発がない場合、電力の安定供給がかなり難しくなる」とも指摘し再稼働への理解を求めた。

ーーー

5月2日付の毎日新聞のコラム「風知草」(山田孝男氏)のタイトルは "再び「浜岡原発」を問う" である。

4月28日朝、首相と関係閣僚が顔をそろえる「経済情勢に関する検討会合」で、出席者の一人が「浜岡原発(中部電力)は止めるべきだ」と発言し た。電気事業を所管する経済産業相は反論を避けた。その他の出席者も、不意の問題提起に応答をためらい、沈黙をまもった。議論は回避されたが、政府要人による浜岡原発停止要求は、この問題に敏感な霞が関と電力業界に強い衝撃を与えた。(付記 原発プラント輸出の旗振り役であった仙石官房副長官の発言と判明)

いま、政府は、福島以外の原発の制御は考えていないように見えるが、実情は違う。楽屋裏では、散発的に次のような会話が交わされている。

「浜岡はあぶない」「そうは言っても、他の原発と区別して止める(法令上の)根拠がないでしょう」「予見しうる危険を防ぐのが政治では」「不用意に踏み込めば自治体を刺激し、全原発に波及して収拾がつかなくなりますぞ」--。

(中略)

筆者は先週、霞が関の技術系官僚2人(いずれも専門は原子力以外)に取材したが、うち1人は、こちらが驚くほど強い調子で原子力官僚の経済優先・安全軽視を批判した。

「彼らは外部電源としか言わないですね。福島も『電源さえつながれば』と言って50日たつけど、何も変わらない。結局プラント(機械設備)の中しか見ていない。自然によってガードを崩されるという想像力、安全思想が欠けている」 

2人とも要職を占めるベテラン。政権の司令塔不在を嘆いたあたりは予想通りだが、「浜岡は止めるべきです」と異口同音に語った点が意外だった。

(中略)

折も折、中部電力は、点検休止中の浜岡原発3号機を7月に再開したいと言い出した。真夏の電力不足による混乱回避へ布石を打ったのだろうが、民間企業に大局判断は無理というなら、政府が出るしかない。安全を守る国家意思を明確にして政治をリセットするためにも、日本の技術に対する国際的不信をぬぐうためにも、まず浜岡原発を止めてもらいたい。

ーーー

大災害やテロに備えて副首都の建設を目指す「危機管理都市推進議員連盟」(会長=石井一参院議員)が4月13日、東京の参院議員会館で勉強会を開き、石橋克彦・神戸大名誉教授(地震学)が講演した。

勉強会では、「3月11日の超巨大地震に誘発され、日本列島全域で大地震が起こりやすくなっている」と指摘し、東海・東南海・南海地震や首都直下地震の発生が早まる可能性にも言及。地震による大事故発生が考えられる静岡県の浜岡原発など、危険性の高い原発を段階的に閉鎖していく案を示した。

 参考

   

ーーー

菅総理は5月2日の参議院予算委員会で、「従来から地震の影響を受けやすい場所に立地しているという指摘もある。その一方で、現在の電力供給の状況なども全く無視するわけにもいかない。運転再開する場合は、政府として、本当に国民に安心してもらえるかどうか、しっかり見極めて判断しなければならない」と述べ、安全性が確保できているかどうかを慎重に見極めて運転再開を判断すべきだという考えを示した。

また、原子力防災にかかる国の指針で示される地震や津波の想定について、「従来の想定よりも大きいものが現実にあったので、それを前提に見直しが行われなければならない」と述べた。

ーーー

2007年10月静岡地裁は、「中電の想定する東海地震は科学的根拠に基づいており、運転によって原告らの生命、身体が侵害される具体的危険性は認められない」と原告の請求を棄却した。
「抽象的に想定可能な、あらゆる事態に対し安全であることまで要求するものではない」とした。

控訴審は、2009年8月の駿河湾地震での大きな揺れに対して中電側が地下構造の追加調査をしているため、最終弁論の予定だった2010年7月を最後に弁論が滞り、終結の見通しは立っていない。
なお、2010年4月の控訴審の弁論で岡久裁判長は「裁判所は安全か否かの科学的判断はできないだろう」と発言している。

原告側は6月にも即時停止を求める仮処分を静岡地裁に申し立てる。
主な争点は、耐震設計の想定震度を超える地震が起きる可能性と、運転開始から30年以上過ぎた老朽化の影響。

ーーー

今回、福島原発では東京電力の「安全」主張は覆った。

逆に福島では、石橋克彦神戸大名誉教授が浜岡原発について懸念し、中部電力があり得ないとしたこと(敷地地盤高を越える大津波、全電源停止、水蒸気爆発、4基すべてが同時に事故、使用済み燃料貯蔵プールへの波及)が起こった。

石橋氏は更に、西日本でも今世紀半ばまでに大津波を伴う巨大地震がほぼ確実に起こるとし、浜岡原発で事故が起こった場合の首都喪失のおそれについても述べている。

石橋氏によると、論文発表時に、現原子力安全委員長の斑目氏はあらゆる懸念を打ち消した上で石橋氏を素人扱いし、今回内閣参与を辞任した小佐古教授も「多量な放射能外部放出は全く起こり得ない」として、石橋論文は専門外の事項について論拠なく言及していると批判したという。

裁判の結果を待つのでなく、政治判断が望まれる。    

既報   2011/3/29  福島原発事故
    2011/4/2  電力の状況
    2011/4/9  女川原発のケース
    2011/4/19  「浜岡原発を止めよ」
    2011/4/22  浜岡原発について

 

 


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国家発展改革委員会(NDRC)412日、石炭化学産業を更に規制する通達(2011635)を発表した。

石炭化学にはいくつかの問題があり、規制が必要として、
4つの点を挙げている。

1. 新規参入の規制 
  特にコークスとカーバイドへの新規参入が制限され、旧式設備の廃棄が求められる。
  アンモニアとメタノールについては、特定地域では、新規の大規模設備の計画には、小規模プラントの停止が必要。

2. 石炭原料の一定規模以下のプロジェクトの禁止 
  Coal to Olefins  オレフィン年産50万トン以下のもの
  Coal to Methanol  メタノール年産100万トン以下のもの
  Coal to DME  DME年産100万トン以下のもの
  Coal to Liquids  液化燃料年産100万トン以下のもの
  Coal to SNG  SNG(代替天然ガス)年産20m3以下のもの
  Coal to MEG  MEG年産20万トン以下のもの

 上記能力以上の計画も(地方政府でなく)NDRCによる承認を得る必要がある。

3.資源割り当ての強化、省エネと環境アセスメントの強化

4.行政責任の明確化

ーーー

中国では石油価格の高騰を受け、石炭液化計画や、石炭からのメタノール、オレフィン生産などの計画が相次いでいるが、NDRCは早くも20067月に石炭化学産業を規制する通達を発表している。

年間300万トン未満の石炭液化計画、年間100万トン未満の石炭からのメタノール又はDMT生産計画、年間60万トン未満の石炭からのオレフィン生産計画を承認しないとした。

更に20098月には新産業分野を含め過剰能力について懸念を表し、過剰能力や不必要なプロジェクトなどの問題について行政指導を進めることを決めた。

政府の4兆元の景気刺激策で新エネルギーや環境産業が重点投資分野に指定され、全国各地で投資が増えたためで、特に、石炭化学と、鉄鋼、セメント、板ガラス、ポリシリコン、風力発電分野で指導を強化するとした。

NDRCによると、2009年の規制で石炭化学の過度な拡大を抑えているが、地方政府によってはこれを無視し、勝手に事業を進めており、過度な無節操な拡大は石炭の需給を混乱させ、エネルギー消費抑制を困難にするとしている。

業界筋によると、石炭化学の技術の多くは未完成で、中国のほとんどの大規模計画は商業生産に入れていない。
公害問題と技術ハードルが問題で、いくつかのプラントは完成後もスタートアップが出来ないでいるという。

現在のところ、Coal-to-Methanolだけが相対的に成熟した技術で、オレフィンやMEGは操業が安定せず、品質問題も起こっている。
神華包頭石炭化学の年産60万トンのMethanol-to-Olefinsプラントは未だに商業生産に入れていないという。
  2010/7/23 
神華包頭石炭化学、秋に中国最初の石炭からのポリオレフィン生産をスタート

加えて、現在の中国の石炭化学は環境面のリスクを抱えており、中国の温室効果ガス削減目標を達成困難にしかねない。

NDRCの今回の通達は、これらを勘案したもので、最低能力を決めるとともに、地方政府の認可権を剥奪し、NDRCの認可を必要とするよう変更した。従来は一定規模以下のものは地方政府に認可権があった。

今回の通達は、石炭資源の効率的な使用と、メタノール過剰能力の抑制を狙っている。
中国のメタノールは、工場が能力の半分程度で稼働しているにもかかわらず、供給過剰となっている。今や石炭からのメタノール生産は赤字となっている。


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住友化学は426日、米国の農薬子会社Valent U.S.A. 100%子会社のValent BioSciences が微生物農薬原体の製造工場をアイオワ州Osage市に建設することを決定したと発表した。
投資額は約
150百万ドルで、2014年中の商業運転開始を予定している。

Valent BioSciences は、住友化学が米国大手医薬品会社のAbbott Laboratoriesの微生物農薬関連事業を買収し、2000年に設立した。

事業の歴史は
50年に及んでいる。1962年に植物成長調整剤ProGibbを上市、1972年には農業用微生物殺虫剤DiPel を上市した。
現在、微生物殺虫剤、微生物線虫剤、植物成長調整剤を含む微生物農薬・防疫薬の分野における世界のリーディングカンパニーとして、現在、世界90ヶ国以上で事業を展開している。

住友化学は2001年にフランスのAventis Crop Scienceの生活環境事業部門Aventis Envronmental Scienceから家庭用殺虫剤関連事業を買収したが、米国とカナダの事業はValent BioSciences が継承した。

Valent BioSciences20033月には、Certis USAからPublic health分野用のBt剤(天敵微生物を利用した生物農薬)Teknar(R)事業を買収し、同時に、BtThuricide(R)の森林分野における独占販売権のライセンスを受けている。

Certis USAは旧称 Thermo Trilogyで、Bt剤分野で世界第二位のメーカー。
Bt剤の他、ニーム油、土壌線虫、フェロモンやウィルスを使用した天然農薬の製造・販売を行っている。
2001年に三井物産が大手計測機器メーカーのThermo Electronから買収した。
 参考 
2010/8/28 三井物産、アイルランドの農薬製造・販売会社を買収 

Valent BioSciences はこれまで、Abbott Laboratoriesから独占的に原体の供給を受けてきたが、契約期間終了を見据え(Abbottは工場閉鎖を決めた)、原体製造工場を建設することとした。

新工場は、既存の微生物農薬事業の拡大のみならず、現在開発中の砂漠化や温暖化等に対応するための環境ストレス耐性付与剤など、新規分野の製品の生産にも寄与することを期待している。

ーーー

住友化学は、世界で唯一、化学農薬と生物農薬の両方の本格的事業ユニットを持つ農薬メーカー。

米国拠点のValent U.S.A. 1988年に、住友化学とChevron Chemical50/50JVとして設立された。
Chevronは当時、農薬に力を入れており、強力な販売網を有し、開発普及力には定評があった。住友化学は同社に殺虫剤、殺菌剤、植物成長調整剤の3剤の開発権を供与していた。

その後、Chevron Chemicalリストラクチャリングの一環として農薬事業からの撤退を表明、住友化学に対して買い取りの打診を行った。交渉の結果、1991年にValent U.S.A. は住友化学の100%子会社となった

住友化学はその以前の1975年に、殺虫剤スミチオンの製造のため、Stauffer Chemical との間でJVMount Pleasant Chemicalを設立しているが、1983年に解散した。

これは、日本では毒性の高いパラチオンが早くに禁止されスミチオンに置き換わったのに対し、米国では1990年代初めまで使用が認められたため、コストの高いスミチオンが売れなかったのが主な理由である。

住友化学は、スミチオンの場合、米国での開発(販売分野の選択~登録取得)と販売はStaufferに委ねた。
同社が世界に先駆けて発明した農業用ピレスロイドのスミサイジンも米国での開発・販売は
Shellに委ねていた。
同社は、本格的に米国で販売するには自ら開発・販売を行う必要があると考え、実績のある
Chevron とのJVValentを設立した。

なお、Staufferは1985年にVaselineなどの消費財のメーカーのChesebrough-Pondに買収されたが、Chesebrough-Pond1986年にUnileverに買収された。
UnileverStaufferには関心なく、1987年にICI
に売却した。

ICIの農薬事業はその後分離してZenecaとなり、スウェーデンのAstraと合併してAstraZenecaに、更にNovartisの農薬部門と統合してSyngenta
となっている。
ICIStauffer買収後、StaufferSpecialty Chemicals部門をAkzoに売却したが、ICI本体は石油化学等の事業を次々に売却した後、2007年に
Akzoに買収され、消滅した。


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