「no」と一致するもの

Lyondellは20日、シノペック鎮海煉油化工(ZRCC)が浙江省寧波市の鎮海地区でのワールドスケールのPO/SM計画の最終承認を得たと発表した。

2006/12/6 中国でエチレン増設相次ぎ完成、新規着工も」 で記載の通り、ZRCCは昨年12月に浙江省寧波市の鎮海地区で100万トンのエチレンクラッカーの起工式を行った。

エチレン 1,000千トン
HDPE/LLDPE  450 千トン
PP  300 千トン
MEG  650 千トン
BTX  500 千トン
Butadiene  150 千トン
SM (jv)  600 千トン
PO (jv)  280 千トン
PG (jv)  100 千トン

このうち、SM/PO及びPGについては、既にLyondell と50/50JVを設立しており、政府の認可待ちとなっていた。

今回発表では能力はPOが年産274 トン、SMが同 602 千トンとなっている。
Lyondell の技術を使用、POは両社が共同で販売するとしている。2009年に完工の予定。

ーーー

Lyondell について:

1966年に Halcon International and ARCO Chemical のJVとして Oxirane Chemical Company が設立され、Halcon法によりPO/SM(後にPO/TBAも)の生産を始めたが、これがLyondellの元である。住友化学とLyondellの合弁会社の日本オキシランも最初はOxirane (及びARCO)とのJVであったので、この名前を持つ。 

1985年にARCOの子会社としてLyondell 設立され、1989年に独立した。
ARCOは2000年にBPに買収されたが、これに先立ち、1998年に
Lyondell ARCO Chemical Company を買収している。

1997年にはMillennium Chemicals とのJVでオレフィンおよぴポリオレフィンメーカーEquistar Chemicalsを設立した。
当初はLyondell
が41%出資で、MillenniumとOccidental が各29.5%出資であったが、2001年にOccidentalは持株をLyondellに売却し、その代金でLyondell株を購入している。

2004年12月、Lyondell とMilleniumが合併した。合併後の姿はMilleniumとEquistarがLyondell の子会社の形をとっている。

合併時の各社の能力は以下の通り。(千トン/年)

Lyondell Equistar Millenium
PO  2.050 Ethylene  5,270 TiO2
 Chloride
 Sulfate

  515
  155
SM  2,270 Propylene  2,270 VAM   385
MTBE   * Butadiene   545 Acetic Acid   545
PG & PGE   570 EG   455    
TDI   260 EO   500    
Butanediol   180 HDPE  1,450    
    LDPE   640    
    LLDPE   500    

 * MTBE58,500bbl/

Hensen7

Lyondellは世界のPO技術リーダーで、拠点は次の通り。

地区 場所 能力
(千トン)
併産 備考
米国 Bayport, Tex   545 TBA  
Channelview, Tex   530 SM  
欧州 Fos-Sur-Mer, France   220 MTBE  
Botlek, the Netherlands   250 TBA  
Maasvlakte, the Netherlands   285 SM Lyondell/Bayer 50/50 *
アジア 日本オキシラン(千葉)   181 SM 住化 60%/Lyondell 40%
住友化学(千葉)   200 単産法 日本オキシランに移管予定

* 199911月、Lyondell Chemical はBayerに世界のポリオール事業と米国のLyondell PO事業の36%持分を譲渡した。
 この取引の一環としてオランダでの共同事業(
PO-11と呼ばれる)で合意した。

他の併産法メーカーは次の通り。

    場所 能力
(千トン)
併産  
Huntsman Port Neches, Tex   240 MTBE 1997年Texacoから買収
Koch への売却対象
欧州 ELLBA CV Moerdijkthe Netherlands   250 SM Shell/BASF 50/50
アジア SKC Chemical 蔚山   160 SM 当初 ARCO/油公JV、
1992年ARCO撤退
Seraya Chemicals Singapore   220 SM Shell 100%*
ELLBA Eastern  Singapore   250 SM Shell/BASF 50/50

他にDowが米国Gulf Coast でPO/SMを計画したが、取り止めとなった。
同社は塩素法プラントを持っている。

* Seraya Chemicals Singaporeには当初三菱化学が30%出資
  シェルに持分とPOの引取権を売却するとともに、
   2期分を合わせたSM 38万トン分の建設費相当額を預託し、引取権を確保したが、その後、引取権を放棄。

ーーー

POの製法については下記参照。

 2006/3/24 「ダウとBASF、POを新製法で生産」 
 
2006/11/28 「韓国の錦湖石油化学、南京でPO生産」 

今回の発表のなかで、Lyondell は世界のPOの需要を約650万トンとみている。

 



 

麗川NCC(Yeochun NCC:YNCC)の新エチレンプラント(347千トン)がこのたび本格操業を開始した。
同プラントは昨年10月に完工したが、トラブルが相次ぎ、今年に入り全面運休して抜本的な対策を講じていたもの。

同社の昨年の能力は第1系列 510千トン、第2系列 555千トン、第3系列 400千トンの合計 1,465千トンであったが、第1系列に追加建設して857千トンとし、合計能力を1,812千トンとした。
* 日本の最大は三菱化学鹿島の2系列計 1,397千トン
 台湾は
Formosa Petrochemical 麦寮の2系列 1,735千トン、同社は1,200千トンの第3系列を建設中で、
 5月頃に完成すると合計能力は
2,935千トンとなる。

これに伴い、プロピレン(761→911千トン)、C4留分(511→600)、ベンゼン(359→396)、トルエン(195→233)、キシレン(119→163)もそれぞれ、能力増となった。

ハンファ総合化学と大林産業の両社は、麗川石化工業団地内でほぼ隣接してナフサクラッカーを構えていた。ハンファは480千トン(現在の第2系列)、大林は2系列合計730千トン(現在の第1、3系列)であった。
両社は1999年12月に50/50出資のYNCCを設立し、ナフサクラッカーを統合した。(能力1,210千トン)
誘導品についてはHDPEは大林、LDPEはハンファとし、大林のLDPEをハンファに移管している。

その後の手直しで、それぞれが上記の能力となっていた。

Ynccmap_1

現在のYNCCのコンプレックスは以下の通り。
ハンファはこのほかに、蔚山のSKのコンプレックスにもLDPE(76千トン)とEDC(150)、VCM(247)、PVC(301)のプラントをもっている。

Ncc_3 

参考 2006/4/10 「韓国の石油化学」 参照  

セラニーズのエンプラ子会社Ticonaは15日、超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE:商品名GUR)の新しいプラントをセラニーズの南京コンプレックスに建設すると発表した。

新工場は2008年下期にスタート予定で、能力は2万トン。完成すれば同社の世界の能力は9万トンとなる。
同社はドイツの
Oberhausen3万トン設備に加え、2002年に Bishop, TX3万トンの工場を完成させ、合計6万トンとした。現在の能力は7万トンとなっている。

超高分子量ポリエチレンは耐摩耗性・耐衝撃性に優れ、用途が拡大している。Ticonaはこのトップメーカーで、南京立地は拡大するアジアの需要に対応するもの。

ーーー

セラニーズは現在、南京産業パークに大規模酢酸コンプレックスを建設中である。完成後の姿は以下の通り。

Celanesechina

酢酸の能力は60万トンで自社開発のAO Plus法を採用する。
同法は通常はメタンから原料のCOとメタノールを製造するが、中国では隣接する香港資本の
惠生(南京)化学:Wilson (Nanjing) Chemical が石炭からTexaco の石炭ガス化技術でCOとメタノールをつくり、供給する。

南京ではBPもシノペックとの合弁で酢酸50万トンプラントを建設している。BPはほかに、重慶でも35万トンの酢酸合弁を持っている。
 2006/5/20 酢酸業界」参照。 

エマルジョン工場はVinyl Acetate Ethyleneと通常のEmulsion Polymerを製造する。同社は2002年にClariantから、また、2005年にICIから、エマルジョン事業を買収した。

南京コンプレックス以外では、中国でChina National Tobacco Corporation とのJVでアセテート・タウを製造している。
   Kunming Cellulose Fibers Co. Ltd  持株比率30.0%
   Nantong Cellulose Fibers Co. Ltd   同 31.0%
   Zhuhai Cellulose Fibers Co. Ltd    同 30.0%

また、200112月に、Ticona、ポリプラスチックス三菱ガス化学、韓国Engineering Plastics(Ticona/三菱ガス化学/三菱商事JV)の合弁で、ポリアセタールのJV、宝泰菱工程塑料(南通)有限公司を設立した。
江蘇省南通市に6万トンのプラントを持つ。

セラニーズは2005年1月に、中国の事業を統括するため、上海に持株会社 Celanese (China) Holding Co. を設立している。

ーーー

セラニーズの基はドイツのHenri Dreyfus1913年に設立したCellonit Gesellschaft Dreyfus (セルロイド製造)で、その後、航空機用ペイント、その原料の酢酸の製造を行った。英国、米国にも進出、第一次大戦後の需要減でアセテートの製造を始めた。

1961年に米Celanese はヘキストとの合弁で Ticona を設立、
1964
年には Celanese は日本でダイセルとの合弁でポリプラスチックを設立している。

1987年にヘキストがCelanese を買収したが、1997年にヘキストは事業再編でTiconaを分離、1998年に化学部門を新セラニーズとして分離した(Ticonaはセラニーズ子会社となる)。

ヘキストとローヌプーランはライフサイエンス部門を統合してAventisとなり、その後、
Sanofi Aventis となった。

2004
年にBlackstone Capital PartnersTOBでセラニーを買収した。

ーーー

セラニーズは現在、酢酸と酢酸ビニル(VAM)で世界のトップメーカーである。(2006/12 Celanese)
Celaneseshare
 

酢酸ー Sopo:中国・江蘇索普
VAM ー Dairen:台湾・
大連化学工業(麦寮)

セラニーズの地域別能力は以下の通り。単位:千トン (  )は建設中。
同社は
2004年に欧州第二の酢酸メーカーのAcetex Corporation (本社:カナダ)を買収している。

    酢酸 VAM 無水酢酸
米国 Bay City, TX     300  
Clear Lake, TX   1,200   310  
Pampa, TX   (290)     (145)
メキシコ Cangrejera     115     90
フランス      440   150     30
スペイン Tarragona     200  
ドイツ Frankfurt     285  
シンガポール      600   210  
中国 南京    600   300    100
合計     3,130  1,870     365
   
  
Acetexプラント

Acetexは買収される前、2004年4月にサウジの National Petrochemical Industrialization Company (TASNEE Petrochemicals) との間で、年産500千トンの酢酸、275千トンの酢ビモノマー、180万トンのメタノールプラントをジュベイルに建設する契約を締結したが、中断している。

  2006/12/1 Celanese、サウジの酢酸メーカーを訴訟」参照

国立環境研究所は215、同所と各大学等の約60名の研究者が参加して実施した地球環境研究総合推進費戦略的研究プロジェクト「脱温暖化2050プロジェクト」)が今年度で前期研究期間を終了することから、これまでの研究成果を発表した。

報告は「我が国が、2050年までに主要な温室効果ガスであるCO2を70%削減し、豊かで質の高い低炭素社会を構築することは可能である」と結論づけている。

 発表 http://www.nies.go.jp/whatsnew/2007/20070215/20070215.html
 詳細資料 
http://www.nies.go.jp/whatsnew/2007/20070215/shiryo2.pdf

  脱温暖化2050プロジェクトは、地球環境研究総合推進費により、国立環境研究所が中心となって2004年度から実施した。
日本における中長期脱温暖化対策シナリオを構築するために、技術・社会イノベーション統合研究を行い、2050年までを見越した日本の温室効果ガス削減のシナリオとそれに至る環境政策の方向性を提示するもの。

 

中間報告の要点は以下の通り。

背景:
世界の温室効果ガス排出を2050年までに現在の50%以下にする必要がある。
日本は、2050年までに1990年に比べて60~80%の削減が必要とみられる。
日本での主要な温室効果ガスであるCO2を2050年の時点で、1990年比で70%削減する可能性とそのコストについて検討。
   
前提:将来の日本について、2つのシナリオ
 
A   都市居住選好志向や利便性・効率性の追求から都心部への人口・資本の集中が進展
      一人当たりGDP成長率 年率2%
   :  
B   ゆとりある生活を求めて、都心から地方・農山村への人口流出が進み、人口や資本の分散化が進展
      一人当たりGDP成長率 年率1%
   
結論:
<削減可能性とそのコスト>
CO2排出量70%削減は、エネルギー需要の40~45%削減とエネルギー供給の低炭素化によって可能
需要側:人口減や合理的なエネルギー利用によるエネルギー需要減、需要側でのエネルギー効率改善で可能
供給側:低炭素エネルギー源の適切な選択(炭素隔離貯留も一部考慮)とエネルギー効率の改善の組み合わせで、CO2排出量70%削減が図られる。
CO2排出量70%削減に関わる技術の直接費用は、年間約6兆7千億円~9兆8千億円
 (想定される
2050年のGDPの約1%程度)
 
  2050pr1
   
   
<分野別対策> 各部門でのエネルギー需要量削減率(2000年比)  
産業部門:構造転換と省エネルギー技術導入等で20~40%
運輸旅客部門:適切な国土利用、エネルギー効率、炭素強度改善等で80%
運輸貨物部門:物流の高度管理、自動車エネルギー効率改善などで60~70%
家庭部門:建て替えにあわせた高断熱住宅の普及と省エネ機器利用などで50%
業務部門:高断熱住宅への作り替え・建て直しと省エネ機器導入などで40%
   
<長期政策の必要性>
今のままの高炭素排出インフラへの投資を継続しないために、早期に低炭素社会のイメージを共有し、転換に時間のかかる国土設計、都市構造、建築物、産業構造、技術開発等に関する長期戦略を立て、計画的に技術・社会イノベーションを実現させる必要がある。
 

2050pr2

2050pr3

コンパクトシティ等による旅客輸送量の変化:目的地が近在化することによる必要移動距離の減少

2050pr4

SCM 等による貨物輸送量の変化:合理的な物流システムの導入により変化する分

2050pr5

2050pr6

この研究は、2050年の望ましい将来を想定し、それを実現するための道筋を考える、「バックキャスティング」に基づいたシナリオアプローチを採用している。

「バックキャスティング」については、安井先生の市民のための環境学ガイドに説明がある。
 
http://www.yasuienv.net/BackCast.htm

 

ハンツマンは15日、Koch Industries の子会社のFlint Hills に米国のオレフィン/汎用ポリマー事業を売却する契約を締結したと発表した。
Koch Industries は2003年にデュポンから子会社で総合繊維及び中間体メーカーのインビスタを買収した会社)

今回売却するのは米国のPort Arthur, Odessa、Longview(テキサス州)、 Peru(イリノイ州)、Marysville(ミシガン州)の5工場のオレフィンとポリマー工場で、Port Neches(テキサス州)にあるエチレン工場は、機能製品事業部の自家消費のため売却対象外となる。

売却額は在庫分286百万ドルを含め総額761百万ドル。

ハンツマンは、「今回の売却により、汎用石油化学品の処分を完了し、差別化製品の製造販売会社に衣替えした。エネルギーコストに余り左右されない、高価値の高成長製品が中心となる」としている。

ハンツマンは昨年9月に、欧州の石化・ポリマー事業をSABICに売却している。
 2006/10/3
SABIC、Huntsmanから英国の石化子会社を買収」 参照
この売却資産の中心は、同社がICIから買収したもので、買収後に建設を開始したLDPEを含んでいる。
 
2006/3/7 「ICIの抜本的構造改革」参照 

また、昨年6月には米国のブタジェン/MTBE事業を売却する一方、チバ・スペシャルティ・ケミカルズからテキスタイル機能材ビジネスを買収している。現在の主製品はポリウレタンとなっている。

ーーー

Huntsmanは従業員 15,000人、24カ国、78箇所で事業を行っている。 2006年の売上高は106億ドルである。

同社もINEOSのように買収を通じて大きくなった会社である。

創業者でCEOの Jon M. Huntsman 1937年に生まれた。
1970年に
Huntsman Container Corporationを設立し(1976年に売却)、1982年にHuntsman Chemical をユタ州 Salt Lakeに設立した。
1994年にHuntsman Corporation とした。

同社の推移は以下の通り。

1983   Shell Oil からPSプラント(Belpre, Ohio)を買収.
1986   Hoechst CelaneseからPS工場(Chesapeake, Virginia Peru, Illinois)を買収
1987   ShellからPP工場(Woodbury, New Jersey)を買収
1989   Hoechst Celanese からSM工場(Bayport, Texas)を買収
1992   Goodyear からフィルム、フレコン事業を買収、Huntsman Packagingを設立
 
(2000年、同社をChase Capital Partnersに売却)
1993   Monsanto からLABと無水マレイン酸事業(Texas Floridaに工場)を買収
1995   Novacor Chemicals からPP事業(Marysville, Michigan)を買収
1997   Texaco POMTBE事業(Port Neches, Texas)を買収
 (
2006年、Texas Petrochemicalsに米国のブタジェンとMTBE事業を売却)
Rexene Corporationを買収(オレフィン、SM、機能性ポリマーなど)
 (
1998年、北米と欧州のSM事業をNova Chemical に売却)
1998   LLDPEプラント稼動(Odessa, Texas
豪州の
Orica Australia を買収
1999   ICIから ポリウレタン、酸化チタン、芳香族、石油化学事業(Global)を買収
 
(2006年、欧州汎用品事業をSABICに売却)
2000   Rohm & Haas から熱可塑性ポリウレタン事業を買収
2004   英国Wilton工場(ICIから買収)に40万トンのLDPEプラント建設を決定
2006   Ciba Specialty Chemicals からテキスタイル機能材事業を買収

同社の現在の事業は以下の通り。(Base Chemicals と Polymers を欧州ではSABIC、北米ではKochに売却)

Advanced Materials Design &Composites
Engineering
Power & Electronics
Coatings, Construction & Adhesives
Polyurethanes Rigids
Flexibles
Elastomers
TPU
Performance Products Performance Specialties
Performance Intermediates
Maleic Anhydride & Licensing
Pigments Titanium Dioxide
Polymers Polyethylene
Polypropylene
APAO
EPS
Base Chemicals Ethylene
Propylene
Butadiene
Cyclohexane
Paraxylene
MTBE

同社は上海ケミカルパークで、BASFと共同でイソシアネートコンプレックスを運営している。
 
2006/9/11 「バイエル、上海のPC工場等が完成」参照 

また、サウジではエチレンアミン・コンプレックスを建設する。
 2006/12/8 
サウジでエチレンアミン計画がスタート」参照

 

米国商務省は16日、1月の住宅着工件数を発表した。

市場予想(約160万戸)を大幅に下回る 1,408千戸(年率)で、前月比14.3%減、前年同月比で37.8%減で、1997年8月以来の低水準となった。

昨年10月の1,478千戸(年率)から11月 1,565千戸、12月 1,643千戸と上向きとなり、回復したかと思われ、グリーンスパンFRB前議長も14日、「住宅着工件数と住宅価格は引き続き落ち込む余地があるものの最悪期は脱した」としたが、予想に比して大幅減となった。

昨年下期からの住宅不振は既にPVC板ガラスで影響が出ているが、今後、雇用減→消費減が懸念される。

 参考 2007/1/23 「ニュースのその後、米国住宅着工件数
     2007/2/16「旭硝子決算」 

Ushousing07012

Ushousing0701

旭硝子決算 - 化学業界の話題

旭硝子は2月5日、決算を発表した。

売上高、営業損益、経常損益は連結、単独ともに前年を上回ったが、特別損益として1000億円の赤字を計上し、連結当期損益は25%の減益、単独では赤字となった。

配当は前年の年15円から16円に増配した。

対比表      単位:百万円(配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末

04/12

1,475,726

579,875

139,403

37,152

135,688

41,257

78,287

33,268

6.00

6.00

05/12

1,526,660

576,229

118,194

46,554

118,884

62,504

60,014

43,008

7.50

7.50

06/12

1,620,540

637,050

136,611

61,247

134,498

73,607

44,997

-31,807

8.00

8.00

07/12

1,670,000

630,000

180,000

68,000

170,000

74,000

90,000

48,000

8.00

8.00

Asahiglasstoki   
    * 2003年12月は9ヶ月決算

営業損益については、ガラス、電子・ディスプレイは前年を上回ったが、化学は大幅減益となった。

営業損益推移 億円
  04/12 05/12 06/12
ガラス    480    380    465
電子・ディスプレイ    709    609    792
化学    176    163     78
    30     32     33
調整       -1     -2
  1,394   1,182   1,366

Asahiglasssegeigyo

化学:
 クロールアルカリ・ウレタン:
  業績は低調に推移
  特に塩ビ関連製品において、エチレン価格高騰の一方で、
  製品市況の回復が弱く、コストアップを十分に価格転嫁出来ず
 フッ素化学・スペシャリティ:
  フッ素樹脂、フッ素樹脂フィルム、液晶材料等の出荷は堅調に推移したが、
  クロールアルカリ・ウレタンの落ち込みを補うには至らず

 

全体として好業績のガラス、電子・ディスプレイも、大きな問題を抱えている。

ガラス:
北米における板ガラス市場は、住宅用ガラスが大きな割合を占めているため
住宅市場の減速の影響を強く受け、供給過多の状況が続いている。また、天然ガスなどの原燃材料費高騰によるコスト上昇のため、採算は悪化している。
(2007/1/23 「
ニュースのその後、米国住宅着工件数」参照) 

電子・ディスプレイ:
CRTが想定以上に需要落ち込みのペースが速く、想定以上のスピードでFPD(フラットパネル・ディスプレイ)にシフトしている。

これらの問題に対処するため、同社では構造改善策として1000億円の特別損失を計上した。

CRT構造改善:
2006年下期以降、改善テンポを速めて生産集約化し、2007年3月末にはピーク時の40%まで能力を削減した。
その上で売却可能資産を除いて固定資産残高はほぼゼロにし、
460億円の特別損失を計上した。
残る拠点についても、コストミニマム化・最適受注を図るとともに、継続的に事業縮小を検討する。

ガラス構造改善:
北米事業全体の再構築を推進した。
板ガラス部門では不採算のシナミンソン工場を閉鎖、自動車ガラス部門ではS&Bでメキシコ工場を閉鎖した。
その上で米国子会社のAFGインダストリーズの
暖簾代400億円を減損処理した。

特別損益       億円
  2005 2006
構造改善費用  -157  -575 CRT構造改善 -460
北米板ガラス構造改善
-45
自動車用ガラス構造改善
-50
固定資産減損  -316  -456 AFG社のれん代減損 -400
固定資産除却損   -38   -49  
資産売却益   200   196  
その他  - 52   -79  
特別損益 計  -363  -962  

ーーー

2007年度は営業利益率10%以上達成を目標に下記の施策を行う。

 ・ディスプレイ事業
   TFT用ガラスに1000億円以上投資
   CRT事業の収益改善
 ・ガラス事業
   新興市場で3基の新フロート窯の稼働を計画
 ・北米地域
   北米事業の収益改善
 ・E&E事業
   エレクトロニクス&エネルギー(E&E)事業の本格的立ち上げ

2006/4/17 「高純度テレフタル酸(PTA)の大増設」で、「中国では年率10%の成長が見込まれている。しかし、こんなに増設して大丈夫であろうか。これもバブルではないのだろうか。」とした。

これは中国からの下記の情報(2005/6時点 単位:千トン)に基づくもので、各社別増産計画の表も添付している。

  生産 輸入 能力 需要
2004   4,600   5,700   6,000   10,300
2005   5,600   6,700   7,200   12,100
         
2007   14,000   1,300   18,400   15,300

 

しかしながら現在の状況は下記の通りとなっている。

  生産 輸入 能力 需要
2005   5,560   6,490   6,600   12,050
2006   6,400   7,000   8,800   13,400
2007   9,000   6,000   12,700   15,000

現在の2007年予想では、需要はほぼ当たっているが、能力と生産が大きく下回っており、その結果、輸入量は減少していない。これは、環境問題や資金不足で、かなりの計画が延期されたり、建設が遅れているためである。
また、原料のパラキシレン不足もPTA計画の遅れの理由となっている。

PXについては下記の通り、600万トンの新増設が承認されており、これらが完成するとネックではなくなる。
遅れていた新増設計画も順次完成し、今後数年で供給過剰となることが予想される。

1月28日、浙江華聯サンシャイン石化(Hualian Sunshine PetroChemical Co. )の3基目の60万トンPTAプラントが浙江省紹興市で試運転を開始した。間もなく商業運転開始の予定。
2005年4月に最初の60万トンプラント、昨年10月に第2基60万トンがスタートしており、合計能力はこれで180万トンとなり、中国最大のPTAメーカーとなった。第1基はEastman技術を採用したが、第2基、第3基はInvista法を採用している。

中国のPTAの上位10社(2月1日現在)とその増設計画は以下の通り。(単位:千トン)

  立地 能力 増設計画 備考
Hualian Sunshine 浙江省紹興   1,800   Union Holdings group
Xianglu Petrochem 福建省廈門   1,500   1,500 台湾 Dragon group
PXはDragon Aromaticsが建設中
Sinopec Yangzi Petrochem 江蘇省南京   1,050    
Sinopec Yizheng Chemical Fiber 江蘇省儀征    950    900  
Yisheng Petrochem 浙江省寧波    660    650 既存分はデボトルで600→660
Yisheng Dahua 遼寧省大連      500 Yishengと大化集団とのJV
PXは
大連福佳大化石油化工
Oriental Petrochemical 上海    600   台湾 Far Eastern Group
寧波三菱化学 浙江省寧波    600    
BP Zhuhai Chemical 広東省珠海    500    900 既存は公称350、実質500
Sinopec Shanghai Petrochem 上海    500    
Sinopec Luoyang Petrochem 河南省洛陽    350    

このほかにも多数の新設計画がある。

ーーー

中国のPXの需給は以下の通り。(千トン)

  生産 輸入 輸出 能力 需要
2005   2,240   1,610     60   2,880   3,790
2006   2,620   1,840    100   3,830   4,360
2007   3,500   2,700     50   4,430   6,150

2006年の輸入量1,840千トンのうち、日本からの輸入は856千トンで47%、韓国からは770千トンで42%を占めている。

中国のPX メーカーと能力は以下の通り。(2007/1/1現在、単位千トン)

メーカー 立地 能力
Sinopec 揚子石油化学 江蘇省南京    800
青島麗東石油化学 山東省青島    700
PetroChina 遼陽石化化繊 遼寧省遼陽    700
Sinopec鎮海煉油化工 浙江省寧波    650
Sinopec 天津石油化学 天津    390
Sinopec 上海石油化学 上海    250
Sinopec 洛陽石油化学 河南省洛陽    215
Sinopec 斉魯石油化工 山東省Zibo    65
PetroChina ウルムチ石油化学 新疆ウイグル自治区ウルムチ    60
Total    3,830

 青島麗東石油化学は韓国のGS Aromatics 60%、オマーン石油 30%Red Star Chemical Group 10%のJV。
   
2006/11/3 韓国GSグループの山東省パラキシレン工場、近く商業生産開始
    

PTA/PET業界の急成長に伴う原料PX不足に対応するため、中国政府は6つの大規模PXプラントの新設と、4つの増設計画を承認している。ウルムチ石油化学は増設で一気に100万トン体制となる。

新設の一つは最近、中国政府が承認したSinopec/ExxonMobil/SaudiAramco 合弁の福建石油化学のPX計画で、福建省泉州市の80万トンエチレンに隣接し、投資額485百万ドルで、能力は70万トン。昨年末に建設を開始したエチレンと同じく 2009年初めに完成する予定。

PX新増設計画(単位:千トン)

  社名 立地 能力
新設 Fujian Petrochemical 福建省泉州    700
Jinling Petrochemical 江蘇省南京   600
Maoming Petrochemical 広東省茂名   600
Dalian Fujia Dahua Petrochemical
 大連福佳
大化石油化工
遼寧省大連   450
中国海洋石油(CNOOC) 広東省恵州   800
Dragon Aromatics 福建省厦門   800
合計    3,950
増設 ウルムチ石油化学     930
天津石油化学、揚子石油化学、上海石油化学     900
合計    1,830
総合計    5,780

Dragon Aromaticsは台湾系で、PXは子会社Xianglu Petrochemical のPTA150万トン増設に合わせ建設する。
 
2006/7/31 「台湾資本のDragon Group福建省廈門でPXからPETまで一貫生産へ 

上記増設のうち、2007年に稼動するのはMaoming Petrochemical の600千トンだけのため、2007年はまだ2,700千トンの輸入が必要だが、これらが順次完成すれば、今後PTAが増設されてもPXの輸入は不要となるだろう。


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記事のあとの
  2007年2月xx日 
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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm

 

 

 

GE Plasticsは中国のPetroChina とワールドスケールのポリカーボネートの製造JVの設立交渉を行っていたが、この計画を延期することを決めた。
中国の需要は依然として強いが、他社の増設で利益率が下がり、現時点では投資を正当化できないとしている。
但し、設計は行っており、今後再開する可能性はあるし、コンパウンドその他では中国市場に引き続き投資をする。

GE PlasticsPetroChinaは昨年6月、中国でのJV設立を発表した。
P
hosgene-free Melt technology でワールドスケールの工場を建設し、中国市場で販売する。原料はPetroChina が供給するといいうもの。

GE Plastics PCでは日本(45千トン)、米国(2工場計 510千トン)、オランダ(170千トン)、スペイン(260千トン)と合計100万トンの能力を持ち、Bayer(上海の100千トン完成で120万トン)と世界トップを争っている。

しかし、GE Plastics は中国ではコンパウンドは上海など 4箇所に拠点を持つが、レジンでは乗り遅れている。

ーーー

Bayer上海のケミカルパークに20069月に第一期 100千トンが完成、2008年末までに倍増する。

帝人化成浙江省嘉興市に100%子会社・帝人化成(中国)を設立し、50千トンのプラントをもち、2006年末に第2系列 50千トンの商業生産を開始した。2006年12月、第3系列 60千トンの増設発表(完成後合計16万トン)

三菱化学は黒崎の増設とともに、中国でのPC計画についてSINOPECと共同FSを行うことを発表した。
日本側投資会社とSINOPECがJVを設立し、北京の燕山石化敷地内にPC 60千トン、ビスフェノールA 100千トンを建設する。

  2006/4/14 「ポリカーボネートと原料ビスフェノールA」(一部補足) 

ーーー

GE Plastics 2003年にBayerの上海計画への参加を交渉中であると伝えられた。Bayerのパートナーの上海クロルアルカリが明かしたもので、PCの世界のライバルが中国での競合を回避し、GEはコンパウンド用のレジンを確保するというものであった。
しかし、最終的にこの話はまとまっていない。

昨年6月、ようやく進出を発表したが、今回これが中断されることとなった。

帝人化成は今回の増設発表に当たり、以下の通り述べている。
・ PC樹脂の世界需要は年率7%程度の成長が継続する見通しで、特に成長の中心であるアジアでは10%、中国については14%に及ぶ高成長が見込まれてる。
・中国における需要拡大を牽引するのは、電気・電子やOA機器向けのコンパウンド品であり、今後は自動車向けの大きな需要も期待される。

今回のGE Plastics の中断決定は、「中国バブル」の破裂を見越した英断であろうか。
それとも、
GEによるGE Plastics の売却 の話が影響しているのであろうか。

 

 

三菱ケミカルホールディングスは2月8日、機能材料事業の再編に関して発表した。

三菱化学が52.61%を保有する三菱樹脂をTOBを行って100%取得した上で、三菱ケミカルホールディングスに移管し、2008年4月1日付けで、同社、三菱化学ポリエステルフィルム、三菱化学産資、三菱化学エムケーブイ及び三菱化学の機能材料分野の事業も含めて、三菱ケミカルホールディングスの全額出資子会社として再編・統合する。

また、三菱化学は同日、アプコ(三菱化学エムケーブイ76%/三菱化学24%出資)を100%子会社にすると発表した。

この結果、三菱ケミカルホールディングスの体制は以下の通りとなる。

Mitsubishikinouzai

機能材料事業を行っているこれらの各社は、情報・エレクトロニクス、自動車、住宅・建築、土木、各種パッケージング、生活資材等幅広い分野の需要家のニーズに応えるべく、各種材料の加工技術や事業ノウハウをベースに開発・製品化した各種部材や商品あるいはサービスを提供している。

機能材料分野においては、樹脂をはじめとする各種材料の加工技術をベースに、異種素材複合化をはじめ、表面制御機能化、環境適合化等の技術開発力を高めるなど、
需要家の課題を解決するために必要な「価値を複合化し形にして提供する」ための事業展開力を強化しているが、今後ますます多様化、高度化、複合化していくことが予想される需要家のニーズにより的確に応え続けていくためには、迅速な意思決定と柔軟かつ効率的な経営施策の実施を通じてグループシナジーの最大化を図ることにより、事業展開力・課題解決力をより一層強化していく必要と考えた。

冨澤龍一社長は次の通り語っている。

「需要業界のニーズは今後ますます多様化、高度化、複合化する見通しにあり、競争も激しくなる。引き続き安定成長を遂げていくには、子会社4社と三菱化学の機能材料部門の統合は不可欠と判断した。今後は幅広い範囲のユーザーのニーズに、より的確に対応していけることになる。今回の統合は、合理化を目的としたものではなく、あくまで将来大きく発展していくための布石だ。今後シナジーの最大化が図れるよう努力していきたい」

新社名は「三菱樹脂株式会社」とする予定で、従業員は約6,800人。売上高約3,880億円、営業利益約260億円規模となるが、冨澤社長は会見で「5年後には売上高5,000億円、営業利益500億円を達成したい」と語った。

ーーー

三菱樹脂は1943年に三菱化成が長浜工場(滋賀県長浜市)で合成ゴムの加工を開始したのが始まりで、1958年にゴム部門を閉鎖して合成樹脂商品の製造専業の長浜樹脂となり、1961年に上場、翌年三菱樹脂と改称した。

取扱商品は以下の通り。
 包装物流資材(食品包装 一般包装 医療・衛生材料 物流資材)
 ハイテクノロジー(工業材料 電子材料 産業資材 建築素材)
 土木資材・ライフライン(土木資材 建築資材 建築設備 農業資材塩ビ管ほか)
 建設設備(建築素材 建築資材 建築設備 住宅素材 住宅資材)
 環境資材

なお、三菱樹脂と積水化学は塩ビ管事業における業務提携に合意し、2002年4月に塩ビ管・継手の生産統括会社エムアンドエスパイプシステムズを設立した。出資比率は積水化学 51%/三菱樹脂 49%。

三菱化学ポリエステルフィルムの歴史は以下の通り。

1960 三菱化成の事業として滋賀県長浜市にてポリエステルフィルムダイアホイル(R)を生産開始
1962 三菱樹脂が本事業を継承
1975 三菱化成と三菱樹脂の合弁企業として、「ダイアホイル」が発足
1992 ヘキスト社と提携し、世界3極体制を構築
 日本:ダイアホイルヘキスト 長浜 35千トン 
  三菱化学 66.7%、ヘキスト 33.3%
 米国:Hoechst Diafoil Co サウスキャロライナ州、グリア市
45千トン(200370千トンに)
  ダイアホイルフィルム(米国三菱化学)33.3%、HNA Holding 66.6%
  (現 Mitsubishi Polyester Film, LLC

 ドイツ:Hoechst Diafoil GmbH ドイツ、ウィスバーデン市 35千トン(97年+20千トン)
  三菱化学 33.3%、ヘキスト 66.7%
  (現 Mitsubishi Polyester Film GmbH )
1995 インドネシアにPT Bakrie Diafoil を設立
 ウェストジャワ州、メラク 5千トン(98年+20千トン)
 ダイアホイルヘキスト 95.4%、バクリー化成 4.6%
 (現 PT. MC Pet Film Indonesia)
1998 日・欧・米のヘキスト社全持ち株を三菱化学が買収し「三菱化学ポリエステルフィルム」として世界事業を展開

三菱化学産資1976年9月設立で、フレキシブルコンテナ、塗膜防水床材、盛土補強材、床暖房、融雪システム及び給水給湯システムを扱っていた。(当時は各社とも新規事業を始めていた)

三菱化学は、2000年4月に、中期計画における機能材料分野の展開方針に基づき、同社の機能資材カンパニー所管事業の内、下記事業を三菱化学産資に移管統合した。
 アルミ・樹脂複合板、石炭ピッチ系炭素繊維、耐震補強炭素繊維シート、アルミナ繊維、透湿性フィルム、耐熱ラップフィルム

三菱化学エムケーブイ(MKV)の歴史は以下の通り。

1951年 三菱化成・四日市工場でPVC樹脂、名古屋加工部でPVCフィルムの製造をそれぞれ開始
1952年 三菱化成と米国モンサントカンパニーとの共同出資によりモンサント化成工業設立
 三菱化成のPVC事業を承継、PVCコンパウンドの製造を開始
1953年 可塑剤の製造を開始
1958年 社名を三菱モンサント化成に変更
1983年 PVC関連事業を分離独立、三菱モンサント化成ビニルとして発足
 残るPS事業は1990年に三菱化成に統合
1985年 三菱モンサント化成ビニル、三菱化成ビニルに変更
 1986年菱日(水島のVCM会社・水島有機とPVC会社・ニッカケミカルが1972年合併)を統合
1994年 三菱化成ビニル、樹脂加工専業となり、三菱化学MKVに変更

1994年10月の三菱化成と三菱油化の合併による三菱化学誕生に伴い、PVCと可塑剤の事業を三菱化学に移管し、三菱化学MKVは農業用フィルム、フィルムシートなど塩ビの加工製品やコンパウンドの製造販売に特化することとなった。

アプコ
三菱化学MKVと住友ベークライトは、両社のPVCコンパウンド事業を再編・統合し、1999年10月にアプコ㈱を設立した。
三菱化学MKV 76%/住友ベークライト 24% の出資比率で、能力は前者が62千トン、後者が25千トンであった。

PVCコンパウンド事業を取り巻く環境は、国内需要の低迷等の影響により、年々その厳しさを増しており、将来にわたり事業の維持及び発展を図るためには、集約によって、より一層強固な事業基盤を構築し、競争力を強化することが必要不可欠であるとの認識で一致した。
2001年4月には、両社の塩ビ以外の機能性樹脂コンパウンドと東南アジアコンパウンド事業もアプコに統合した。

2006年10月、三菱化学は住友ベークライトからアプコの持株を買取り、三菱化学MKV 76%/三菱化学 24%として、実質三菱化学の100%子会社とした。

今回、名目的にも三菱化学の100%子会社とするもの。

同社は特に自動車向けを中心とした熱可塑性エラストマー事業については、米国製造拠点の能力倍増等、積極的に事業拡大を図っており、今回の施策を契機として、自動車分野をはじめ各種産業分野での塩ビ・機能性樹脂コンパウンド材料の強みを生かし、一層事業を拡大していくとともに、開発・製造・マーケティング等において、塩ビ・機能性樹脂コンパウンドの更に戦略的な事業運営を加速化させる。

なお、三菱化学MKVと三井化学プラテックは、2004年4月、農業資材事業を統合し、MKVプラテックを設立している。
 出資比率:三菱化学MKV 75%/三井化学プラテック 25%
 事業内容:農ビ、農PO、硬質フィルム、灌水資材など農業資材の製造・販売

ーーー

三菱化学の事業の中で、問題事業の一つがヴイテックのPVC事業である。

三菱化学 60%/東亞合成 40%の出資比率で2000年4月に設立したが、2004年3月に三菱化学 85.1%/東亞合成 14.9%に変更し、実質的に三菱化学の事業となっている。

同社は2005年12月末で142億円の累積損失を抱えており、2004年度に単年度黒字に転換したものの、PVC事業は中国の大増設で今後、業績悪化が懸念される。
このなかで、PVCの大需要家で、現在は他社からもPVCを購入している三菱樹脂を、三菱化学MKVとともに(持株会社の)100%子会社化することとなり、PVCの自給自足体制を取れることとなる。
三菱化学が今後PVC事業をどうするかが注目される。

 

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