「no」と一致するもの

1.2007年の中国経済成長率、9.5%と予測

国家情報センターと社会科学院世界経済・政治研究所は12月28日、共同で「経済情報緑書」を発表した。
2007年の中国の経済成長率を2006年より減速した9.5%前後になる見込みと予測している。

投資と輸出の減速が見込まれる中で民間消費の急拡大も期待できないとして、2007年の成長率が8%台に低下すると見る向きもある。2006年は、経済成長率が10.4%と4年連続で二桁台に乗ると見られている。

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2.中国政府、シノペックに50億元支給

中国政府は国有石油大手、シノペックに対し、石油精製事業の赤字を補填するために50億元(約750億円)を支給した。

中国では政府が国内の石油製品価格を統制しており、精製部門は原油高を製品価格に一部しか転嫁できず赤字となっており、それを補填するもの。2006年の決算に折り込まれる。

シノペックは2005年は政府から94人民元もの補助金を受けたが、それでも35人民元の赤字となった。

なお、逆に石油採掘部門は原油値上がりで大きな利益を上げているため、中国政府は2006年3月26日から、石油採掘企業に対して特別収益金(Windfall-tax)を徴収することを決めた。一般には暴利税と呼ばれている。

2006/7/14 SINOPECの損益構造の変化」 参照

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3.北京五輪対策

北京市は1226日、2008年夏の北京五輪、同パラリンピック期間中の空気浄化計画を発表した。

五輪開会式(88日)の3週間前から、大気汚染防止策として、郊外の製鉄所や会場周辺の建築材料製造工場の操業を全面停止し、市の中心部などではすべての建設現場の工事を休止させる。
81日から20日までは市内の火力発電所、冶金や石油化学の工場からの汚染物質の排出を制限し、必要に応じ操業停止を命じる。

生産活動を強制的にストップしてでも、国家の威信をかけた五輪を成功に導く決意である。

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4.中国、工業用地値上げ 

中国政府は、投資過熱の原因の一つである地方の乱開発と耕地の減少に歯止めをかけるため、2007年1月から、地方当局が開発業者やメーカーに工業用地を払い下げる際の価格を引き上げる。売却時の最低価格を設定するとともに、地方が土地売却益の一部を国などに納める額も2倍に増やし、価格上昇を促す。今回の措置により、売却価格は40-60%高まるとみられている。

工場の乱立を防ぐとともに、農家への補償を増やし、社会不安を防ぐことも狙う。

また、2007/1/1から、これまで外資系企業には免除されていた土地利用税が外資系にも適用されるとともに、1988年に設定された税率が一挙に3倍になる。
新しい税率は、大都市では1m2当たり年間 1.5~30人民元(場所により異なる)、中都市で 1.2~24人民元、小都市で 0.9~18人民元となる。

 

5.最低賃金引き上げ

2006年だけで30近い省や直轄市が労働者に支払う最低賃金を引き上げた。
東北部の黒竜江省のように64%上げた地域もある。

第10期全国人民代表大会は12月24日、「修習勤労者」の最低賃金と修習期間の制限を骨子とする労働契約法案を審議した。
修習勤労者の賃金は当該企業勤労者のうち最低賃金または修習以後に受けると契約した賃金の80%以上でなければならず、修習期間も勤労契約期間に合わせて1~6カ月を過ぎないように規定した。
また修習中、雇用契約を解約する場合にはその理由を盛り込んだ証明書を提出するよう義務化した。

 

6.外資系企業の法人所得税の引き上げと移転価格税制運用の厳格化

 
2006/12/28 「中国、法人所得税率を統一、一律25%へ」 参照

 

韓国中央日報は、これらを受けて、「今後、外国企業が中国で事業することはますます難しくなりそうだ」としている。 

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7.自動車産業の構造調整

中国の自動車工業では生産能力過剰の兆候が出ており、更に進む可能性があることから、国家発展改革委員会は自動車工業の構造調整を加速するための実施意見書を発表した。

  同意見では、自動車工業の構造調整を加速するための6措置が提出された。
  (1)完成車生産の新規プロジェクトを抑制、投資参入条件を適宜厳しくする
    ①本拠地(本社)以外で工場を新設するには前年の販売実績が生産能力の8割以上
    ②第二工場を建設するには前年の販売実績が10万台以上ーーなどの条件。
  (2)省エネルギー型・環境保護型自動車と自主ブランド製品の発展を奨励する
  (3)自動車メーカーの合併・再編を推進する
  (4)部品工業の発展加速を支援する
  (5)生産能力に関する情報の監督・測定制度を構築する
  (6)国有自動車企業グループの業績に対する審査内容を完備する

 

2006年の中国の自動車輸出台数は34万台に達したとみられ、前年比で約100%増になる。このうち、乗用車の輸出台数は同200%増となる9万台余りと予想される。

中国政府は自動車産業を国の基幹産業として定めており、部品を含む自動車製品の輸出を重点発展分野として奨励している。商務部はこのほど、「中国の自動車と部品の輸出額を、現在の110億ドルから1200億ドルに引き上げなければならない」とのコメントを発表した。

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8.中国人民銀行、預金準備率を0.5%引き上げ、9.5%に

1月15日から実施する。
昨年3月に都市部の過剰投資が問題になってから4回目の引き上げで、0.5%引き上げで約2兆2700億円を吸収することとなる。

 

2007/1/1にブルガリアとルーマニアがEUに加盟し、加盟国は27カ国になった。
ルーマニア(2200万人)、ブルガリア(800万人)の加盟により、EUの人口は約4億9000万人に増大。東端は黒海に到達する。

1952年にEUの基礎の欧州石炭鉄鋼共同体が、フランス、西ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグの6カ国でスタートしたが、1995年に15カ国となった。
その後、2004年5月に東欧諸国を加えた10カ国が加盟し、今回の2カ国加盟で合計27カ国となった。

欧州各国のうち、参加国と非参加国は下の地図の通り。
西欧での非参加国はスイス、ノルウエー、アイスランド。
スイスは1992年5月に加盟を申請したが、その年の12月に行われた欧州経済領域(EEA)協定に関する国民投票でEEA協定締結が否決されたため、EUとの加盟交渉は凍結された。
ノルウエーは1994年の国民投票で48%:52%で非加盟を決定。加盟で国としての独自性維持が難しいこと、貿易・産業分野で国の利益を十分に守れないことなどが理由。
アイスランドにとっては漁業水域の保全が最も重要であり、共通漁業政策の受け入れを拒否。(EUが漁業政策を変更すれば加盟申請を検討する用意があるとの立場)。

また、2007/1/1にスロベニアが中・東欧諸国では初めて欧州単一通貨ユーロを導入、ユーロ圏も13カ国に拡大する。
(1995年までの15カ国のうち、英、スエーデン、デンマークがユーロを導入していない。)

ーーー

EUは1990年代から急速に加盟国拡大に動いてきたが、域内の基本法となるEU憲法の批准作業が2005年来停滞しており、今後は拡大ペースを落とし、域内の意思統一を図る「深化」に注力する方針だ。

今後の原則
1)市民との対話
2)EU内の体制強化
3)加盟候補国の厳格な審査 

EUの議長国フィンランドのバンハネン首相は12月18日に欧州議会で演説し、加盟拡大路線を転換する考えを表明した。
「EUの効率性と持続性の向上が課題になっている」と述べ、欧州憲法の必要性を強調、新規加盟については、「EU加盟のドアを閉ざすつもりはないが、改革や安定のために新規加盟の条件を厳格に求めていかなければならない」とした。民主化や経済改革が軌道に乗っているかどうかが重要としている。

現在、クロアチア、トルコ、マケドニアの3カ国が加盟候補国となっている。
このうち、トルコについては、EU加盟に向け大胆な改革を進めているが、キプロス問題が加盟のガンとなった。
キプロスはギリシャ系住民とトルコ系住民が混住しており、1974年以来、南北に分断されている。
EUに加盟する南部ギリシャ系のキプロス共和国に対し、トルコだけが承認する北部トルコ系の北キプロス・トルコ共和国(北キプロス)が対立、トルコはキプロス共和国の船舶や航空機の自国乗り入れを拒否しており、EUは開放を加盟交渉の条件にしていた。

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ドイツが2007年1月1日から、付加価値税(VAT)をこれまでの16%から一挙に19%に引き上げた。

財政再建が目的で、ドイツの財政赤字は、2002年から2005年まで、EUが上限と定めるGDP比3%を超えており、独政府は「財政再建は急務」と強調している。
また、3%の増税分のうち
1%を失業保険料の引き下げの形で還元する。 更に、生鮮食品や新聞・書籍などは現行の軽減税率(7%)を据え置く配慮もしている。

19%の高率に驚いて調べてみると、EUでは特に高い訳ではなかった。
EU加盟国のVAT税率一覧表(2006/9/1現在、25カ国)は以下の通り。 
低い国はキプロス、ルクセンブルグの15%、次いでスペインの16%。
最も高いのはスウェーデンの25%。20%以上は11カ国もある。

特別軽減
税率
軽減税率 標準税率 移行税率
Belgium      6   21   12
Czech Republic      5   19  
Denmark       25  
Germany      7   16
19
 
Estonia      5   18  
Greece   4.5    9    19  
Spain   4    7   16  
France   2.1    5.5   19.6  
Ireland   4.4   13.5    21   13.5
Italy   4   10   20  
Cyprus       5 / 8   15  
Latvia      5   18  
Lithuania      5 / 9   18  
Luxembourg   3    6   15   12
Hungary      5   20  
Malta      5   18  
Netherlands      6   19  
Austria     10   20   12
Poland   3    7   22  
Portugal     5 / 12   21  
Slovenia      8.5   20  
Slovakia       19  
Finland     8 / 17   22  
Sweden     6 / 12   25  
United Kingdom      5   17.5  

このほか、国により税率ゼロ製品もある。
詳細は 
http://ec.europa.eu/taxation_customs/resources/documents/taxation/vat/how_vat_works/rates/vat_rates_2006_en.pdf

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EU 加盟国 (クリックすると拡大します)
  
(リトアニアとポーランドの間はロシアの飛び地のカリーニングラード州)

Eu

Gulf Daily Newsによると、SABICのCEOのMohammed Al Mady が昨年12月、ドバイでインタビューに応じ、インドでエチレンその他のプラント建設の協議をしていることを明らかにした。インドは世界第二の人口の大市場であり、今後需要の増大が期待されるインド市場への供給を狙うとしている。

インド計画の詳細は明らかでないが、2009年から2015年の間に同社の石化能力を約 50%増強する計画の一環である。
SABICではこのため、中国、インド、サウジでの工場建設と、欧州、米国での企業買収を検討している

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SABICは2002年にDSMから石油化学事業を買収し、SABIC Europe として欧州に進出した。

同社は2006年9月に、Huntsman から英国の石化子会社 Huntsman Petrochemicals (UK) Ltd の株式100%を7億ドルで買収すると発表した。(2006/12/29 Huntsman は売却手続き完了を発表)
買収するHuntsman Petrochemicals (UK) は、英国のWiltonに865千トンのエチレンと400千トンのプロピレンのクラッカー、130万トンの芳香族のプラントを有している。Huntsmanは400千トンのLDPEプラントを建設中だが、SABICは150百万ドルを投じてこれを完成させる。

昨年末にはトルコの財閥、Baser Group からPS事業を買収した。同グループはトルコ南部の本拠地、Adana に子会社Baser Petrokimya を設立し、1998年に4万トンのPS工場を建設したが、SABIC はこれに70%出資し、販売を引き受ける。
SABICはサウジのSADAF でSM、PetrokemyaでPSを生産し、主にSABIC Europeで販売している。
今回の買収は規模が小さく、意図も明らかにしていないが、トルコ市場への進出を図るものではないかと思われる。

ーーー

昨年11月にはExxonMobil と共同で、サウジでカーボンブラックとEPDM、TPO、ブチルゴム、SBR/PBR等の生産を行うFSを開始したと発表した。

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Madi氏は又、SABICが中国でDalian Shide(大連実德) 及びSinopec との間で石化計画の協議を進めていると述べた。

SABICは2004年6月に大連実徳グループと50/50のJVで、大連市の旅順港に50億ドルをかけて、年産1千万トンの製油所と年産130万トンのエチレンコンプレックスをつくる計画をたてた。(その後、エチレン能力を100万トンに落とした。)
大連実徳は2005年にFSと環境アセスメントを政府に提出している。


Sinopec の天津石油化学 旧称天津聯合化学 は2005年末に天津市の大港地区で既存の750万トンの製油所を1250万トンに拡張し、エチレン100万トンを新設する計画の承認を受けた。
本計画は最初はダウと中国側の50/50 JVとして計画されたもので、当初はエチレン80~90万トン、LーLDPE、VCM、PVC、SM、PO、PG、エポキシ等を生産する計画であったが、ダウが経済性を理由に撤退した。
その後、天津市は石油化学センターの大型化を検討、外資企業の参加を求めた。
サウジアラムコとの合弁説も出た。
SABICも2004年4月にSinopecに対して本計画に関心ありとの意向を示したが、そのときは進展はなかった。

本計画は2005年末にSinopec単独の計画として政府の承認を受けたが、2006年1月のサウジのアブドゥッラー国王の最初の公式訪中を機に、SABICがSinopecとの交渉を再開した。

なお、サウジ勢ではSaudi Aramco が、ExxonMobil、福建煉油との合弁の福建石化計画(Fujian integrated petroleum/petrochemical project)で中国に進出している。

中国海洋石油総公司(CNOOC)はこのほどイランと、総額160億ドルに上る液化天然ガス事業の協力了解覚書に調印した。
CNOOCは
North Pars ガス田を開発し、LNGの輸送施設を建設、生産量の半分を中国に輸入する。

North Parsガス田はSouth Parsガス田に次ぐイラン第2のガス田プロジェクト
同プロジェクトは期間
8年で、全体を4つの時期に分けて進められる。
海洋石油はLNGの生産工場建設、輸送、販売を担当し、イラン側は今後
25年にわたり海洋石油にLNGを提供する。Southpars_1


一方、
中国石油天然ガス(CNPC:PetroChina) も11月28日、イランの国営ガス輸出会社(NIGEC) との間で、South Pars ガス田のLNGを2011年から年間300万トン、25年間にわたり輸入する契約を締結した。価格は原油価格にスライドして決められる。

South Pars海上ガス田はカタールのNorth Field と接しており、現在は1.3 億立方メートルの天然ガスが生産されている。更に、NIOC 50%、フランスのTotal 30%、マレーシアのPetronas 20%のPars LNG 計画」、NIOC 100% のNIOC LNG計画」、NIOC/Shell/Repsol-YPC のPersian LNG計画」、NIOC/BP/インドRelianceの「Iran LNG計画」などが計画されている。Pars LNG 計画」は年産800万トンで、Total は2011年スタートを発表している。

イラン政府と中国政府は2004年10月に、石油・天然ガス分野での協力に関する覚書(MOU)を締結している。
LNGパッケージ取引」の形態をとっており、内容は以下の通り。
Sinopecは、イラン産LNG25年間にわたり年間1,000万トン購入する。
② イランはこれの見返りとして、
Sinopecに対し、Yadavaran油田開発プロジェクトへの事業参加権を付与する。
  同油田の開発完了後
25年間にわたり、同油田産出原油のうち15b/dを優先的に販売する。
③ イランと中国は、
Bandar Abbas地域にコンデンセート製油所(精製能力3035b/d)を建設することに合意する。
  投資規模は
15億ドル、建設期間は約3年間。

 

なお、イラン政府はインドともLNG供給の合意をしている。
2005年1月に両国政府が契約を締結したもので、イランは年間750万トンのLNGを25年間供給する。イラン政府はまた、インドに
Yadavaran 油田開発の20%の権利を与えた。

三菱ガス化学は22日、三菱商事とベネズエラの国営石油化学公社Pequivenとのメタノール合弁会社 Metanol de Oriente, METOR S.A.」(「メトール社」)で年産85万トンの第2期プラントを建設すると発表した。

約4億ドルの投資を行い、生産能力を現行の75万トンから160万トンに増強する。2010年第1四半期から商業運転を開始する予定。

現在の世界需要は年間約35百万トンだが、アジア地域、特に中国での需要拡大が見込まれており、今後も世界平均にして年率3%で伸びていくと見込んでいる。

(合弁会社の概要)
 会社名  Metanol de Oriente, METOR S.A.
 所在地  Jose, Etado Anzoategui, Venezuela
 出資比率  
 Pequiven  37.50%
 三菱ガス化学  23.75%
 三菱商事  23.75%
 Inversiones Polar S.A  10.00%
 International Finance Corporation   5.00%
 生産能力  第1期:日産 2,200トン(年産 750,000トン)
 第2期:日産 2,500トン(年産 850,000トン)
 
 生産技術  三菱(MGC/MHI)メタノールプロセス
  * MGCと三菱重工業が共同保有するプロセス技術

日本のメタノール業界は1970年代には共同生産会社の東日本メタノール(住友化学中心)と西日本メタノール(三井東圧中心)のほか、三菱ガス化学、三井東圧、協和ガス化学の5社体制であったが、石油ショックで競争力を失い、1983年には両センターが操業を停止、他社も相次ぎ停止した。
1995
7月に三菱ガス化学が最後のプラント・新潟工場を操業停止し、設備は中国の内蒙古・伊克昭盟化工集団総公司に売却した。

その後、三菱ガス化学は海外進出を狙い、ベネズエラでは競争力ある天然ガスをベースとして1994年からメタノール生産を行なった。
また、サウジでは1979年11月にSABICと合弁契約を締結し、80年2月に
AR-RAZI Saudi Methanol)を設立した。
2006/3/31 「サウジ・メタノール計画」 

その後、同社は中国重慶とブルネイへの進出を決めている。

同社の現状及び計画は以下の通り。(単位:千トン)

場所 現能力 計画能力  出資比率
中国重慶     850  MGC 51%/重慶化医49%
ベネズエラ   750   850  上記
ブルネイ     850  MGC 50%/伊藤忠 25%/Petroleum BURUNEI 25%
サウジ  3,300  1,700  日本・サウジアラビアメタノール㈱ 50% 
  (
MGC 47%/海外経済協力基金 30.0%ほか)
 
SABIC 50%
合計  4,050  4,250  総計 8,300千トン 

 

これに対し、最大手のカナダ Methanex の能力は875万トンとなっており、三菱ガス化学の計画の完成時(2008年から2010年)にはこれにほぼ並ぶこととなる。
(2006/12/22日経記事ではメタネックス能力 700万トンとなっているが、これはJVを除いた数字)

Methanexの能力は以下の通り。(単位:千トン)

工場 能力  備考
Canada Kitimat     0  2005/11停止
Trinidad Point Lisas   850  
Atlas Methanol  1,700  BP 36.9%/Methanex 63.1%
Chile Cabo Negro  3,800  4 plants
New Zealand Motunui and Waitara Valley  2,400  2 plants
合計    8,750  

Basell 22日、Ruhr Oel からドイツのMunchsmunster 342千トンのクラッカーを買収した。

Ruhr Oel BPとベネズエラ国営石油会社PdVSA JV
1983年に当時のVeba Oel AG PdVSA JVとして設立された。
その後、
Degussa Veba を買収したが、2002年にDegussa 親会社のE.0n Veba BP に売却した。
Ruhr Oel は Gelsenkirchenに製油所と、Münchsmünster に石化プラントをもち(他に多くのJVも)、BPドイツ子会社のBP Refining & Petrochemicalsが運営を受託している。.

今回の取引の背景は以下の通り。

Basell 2005年に火災で爆発したHDPEプラントの代わりに、新しく2009年スタートでMunchsmunster Hostalen Advanced Cascade Process 15万トン含みの12万トンのHDPEプラントを建設中で、原料エチレンの自社供給を希望し、更に、自社原料によるPPその他の製品の強化も狙っている。(現在は同地ではPEのみ製造)

他方、Ruhr Oel の株主のBPはオレフィン、ポリオレフィン事業の大部分を移管したInnoveneをIneos に売却しており、PdVSA 欧州ではこの分野では活動していない。このため、この事業に強い関心を持つ会社に売却するのがベターと判断した。
(BPは上海の
Shanghai Secco Petrochemical innoveneに移さず、持ち続けているが、これは石油会社のBPとの提携を強く希望する中国側の意向に沿ったもの。このほか、BPドイツはRuhr Oel のほかに、ドイツ国内にエチレンプラントを持っている。)

なおMunchsmunster は、南部エチレンパイプラインの建設により、欧州エチレンパイプライン の終点のLudwigshafen と結ばれる。

ーーー

Basell は2005年にAccess Industires がBASF/Shellから買収した。

オレフィン源であったBASFShell から独立したBasell は、川上志向を取っており、欧州のPE事業の場合には85%以上のエチレンを自社で確保する希望を持っている。

同社はフランスのBerre に470千トン、 ドイツのWesseling に 1,043千トンのエチレンプラントを持っている。
Berreは 元親会社のShell の子会社 Shell Petrochimie Mediterranee との50/50 JVSociete du Craqueur de lAubette であったが、Basell Shell 持分買収の交渉を行い、200512月、Basell 100% とした。同時にBasell は同地のShell のブタジェン事業も買収している。
BasellWesseling 工場の増強(280千トン)も計画している。

今回の取引で、Basell の欧州のエチレン能力(千トン)は以下の通りとなった。

フランス Berre   470 SHELLとの50/50JV → Basell 100%
ドイツ  Wesseling  1,043  
ドイツ  Munchsmunster   342 Ruhr Oel から買収 Basell 100%

 

なお、バゼルの売却と原料オレフィン問題について、「化学経済」 2006年12月号に、永尾経夫氏の「Basellの蹉跌と欧米化学企業のゆくえ」という論文が載っている。

 

(2006/12/15 「中国でMTO計画相次ぐ」で中国のMTO計画について説明した。)

国家発展改革委員会(NDRC)はこのほど、中国国有石炭最大手の神華集団によるでの MTO(Methanol to Olefin)計画を承認した。 

社名 包頭神華石炭化学(Baotou Shenhua Coal Chemical Company)
 神華集団 76%/上海華誼集団公司 24%
立地 内蒙古自治区包頭市
原料 石炭
製品 メタノール 180万トン(既着工)
MTO     60万トン
PE      30万トン
PP      30万トン
スタート 2010年
投資額 15.5億ドル
技術 DMTO(Dimethyl Ether /Methanol to Olefin)技術
 共同開発:Shaanxi Xinxing Coal Chemical
        SINOPEC Luoyang Engineering
        中国科学院大連化学物理研究所 

2005年8月に、神華集団が包頭市でのCoal-to-Olefins (CTO)計画の一次認可を受けた。
計画は石炭からメタノールを生産し、メタノールからオレフィンを生産するもので、能力は以下の通り。
   火力発電  100MW
   石炭ベースのメタノール 180万トン
   メタノールからのオレフィン 60万トン
   PE 30万トン
   PP 3
0万トン
   ブタン 94千トン ほか

同社は2005年10月に先ず、180万トンのCoal to Methanol 計画の承認を受け、建設を開始した。MTO計画については未承認のままで、とりあえず、UOP技術を導入する覚書を締結した。

当初のJV構想は、神華が51%、
香港のKerry Group が25%、Baotou Tomorrow Technology Co 包頭明天科技が24%であった。
Kerry Group は昨日の記事のマレーシアのパーム油企業のオーナーでマレーシア最大の華僑
Robert Kuok (郭鶴年)の会社である。
その後、
Baotou Tomorrow Technology 撤退し、代わりに上海華誼集団公司が参加した。

2006年7月、政府は石炭化学産業を規制する通達を発表した。年間300万トン未満の石炭液化計画、年間100万トン未満の石炭からのメタノール又はDMT生産計画、年間60万トン未満の石炭からのオレフィン生産計画を承認しないとした。
2006/7/21 「中国政府、石炭化学を規制」参照 

これと同時に、政府は国産技術の採用の行政指導をするとともに、これら事業への外国企業の投資を「望まない」意向を示した。

これに基づき、神華集団ではUOP 技術ではなく、今回の国産のDMTO技術を採用することとし、このたびの認可に至った。
また、政府の意向を受け、
Kerry Group も離脱し、現在の出資比率となった。

ーーー

神華集団とダウは2004年10月に、共同で中国でのCoal-to-Olefin 事業実施のFSを行うと発表している。

両社は現在もFSを継続中で、情報筋の話ではダウは上記のDMTO技術を評価中という。
(ダウやShell、Sasol のような海外の大企業については政府も出資を認めるものと思われる)

Gulf Petrochemicals and Chemicals Association (GPCA) の第一回年次総会が1216日、ドバイで430人が参加して開催された。

本年3月に設立されたもので、創立メンバーは次の8社。会長は SABIC CEO Mohamed Al-Mady.

社名 出資者 製品
Saudi Basic Industries Corporation (SABIC) サウジ    
Petrochemical Industries Co. (PIC) Kuwait  国営 肥料、石化出資
EQUATE Petrochemical Co. (EQUATE)  Kuwait
Dow Chemical (旧UCC)  42.5%
Petrochemical Industries Co.(PIC)  42.5%
Boubyan Petrochemicals   9%
Qurain Petrochemical   6%
エチレン、LL/HDPEEGPP   
Gulf Petrochemical Industries Co. (GPIC) Bahrain
バーレーン政府  1/3
SABIC(サウジ)  1/3
PIC (クエート)  1/3
アンモニア、メタノール、尿素
Qatar Petrochemical Co. Ltd. (QAPCO) Qatar
Qatar Petroleum  80%
Elf Atochem  20%
エチレン、LDPE、硫黄
Qatar Vinyl Co. Ltd. (QVC) Qatar
Qatar Petroleum   25.5% 
QAPCO  31.9%
Norsk Hydro  29.7%
Elf Atochem  12.9%
カセイソーダ、EDC、VCM
National Industrialization Company (TASNEE) サウジ
National Industrialisation Company (NIC)  51%
Gulf Investment Corporation    
Saudi Pharmaceutical & Medical Appliances Co.  
National Industries Group (NIG), Kuwait,  
Al-Olayan Financing Co., Riyadh, Saudi Arabia
PPBasellとのJV)ほか
Abu Dhabi Polymers Co. Ltd (Borouge) UAE
Abu Dhabi National Oil Company(ADNOC)  60%
Borealis(Denmark)   40%
エチレン、OCTPEPP   

GPCAはドバイに本部を置く。まず、次の3つの委員会が設定された。追って他の委員会もつくられる。
 
Communication and promotion
 Human resources development
 Technical issues

各社の概要については http://kaznak.web.infoseek.co.jp/ichiran/mid-east/index.html

新聞報道によると、公正取引委員会は企業の合併審査基準の改正案をまとめた。

現在の「シェア基準」(合併後の市場占有率が35%以下なら「独占禁止法上、問題は少ない」として統合を承認)を撤廃し、業界の競争状況を示す市場寡占度で判断する米国のHHI(Herfindahl-Hirschman Index)方式を導入する。輸入品などとの競合を判断材料に加味することも明記する。

公取委のこれまでの主張に沿ったもの。
2006/6/19 「公取委、合併審査見直し」参照 

HHI は業界内の全企業のそれぞれのシェアを二乗して足し合わせるもの。
報道では公取委案は以下の通り、米国の基準よりは緩やかにはなっている。


米国 (1992年4月発表のHorizontal Merger Guidelines 公取委案
統合後の
HHI
市場認識 HHIの増加 結論 合併後
HHI
HHIの増加
1000未満 unconcentrated   問題なし、検討不要 1500以下  
1000-1800 moderately concentrated 100未満 問題なし、検討不要 1500-2500 250以下
100以上 競争上の懸念、検討要  
1800以上 highly concentrated   50未満 問題なし、検討不要

2500

 

150以下
  50以上 競争上の懸念、検討要  
100以上 市場支配力の行使が容易と推定  

米国では
 「統合後のHHI が1000未満」、or 「1000-1800 で、HHI の増加が100未満」、or 「1800以上で、HHI の増加が50未満」が、問題なしなのに対し、
日本では
 「統合後のHHI が1500以下」、or 「1500-2500 で、HHI の増加が250以下」、or 「2500以上で、HHI の増加が150以下」なら、問題なしとなる。
* 2007/1/24 報道では、「シェア35%以下でHHI 2500以下の場合」は「問題となる恐れは小さい」として簡単な審査とする。
  (現行は「シェア35%以下でHHI 1800未満」)

但し、実際の石化業界に当てはめると、非常に厳しいものとなる。

合成樹脂業界では、事業統合時代にメーカー数は減った。
PS業界では4社、PVC業界では6社(東ソーのペーストを大洋塩ビと一体とみる)となった。

仮にある業界でシェア30%の会社が2社あると、それだけで、HHIは1800(900+900)となり、1500を超える。
(トータルは、はるかに超える)
シェア30%会社とシェア5%の会社が統合すると、増加HHIは300となり〔(35x35)-(900+25)〕、基準を超える。

例えば、仮に、PVC業界でヴイテックと新第一塩ビが統合するとすれば、HHI は2,316、増加HHI は357となり、「問題なし」とはならない。
現在の基準であれば、統合後のシェアは27%で、「問題なし」となるため、現在の基準より厳しくなることとなる。

Hhi_1

勿論、基準を超えれば駄目ということでなく、審査をするということであり、審査の結果、承認される可能性はある。

過去の例では、
2004/12/7の三井化学及び出光興産のポリオレフィン事業の統合では、
  PPでは、市場シェアは約40%(HHI 約2900・増加分約700)で問題ありとしたが、会社側の対策案を受け入れ承認した。
②また、2002/7/21の大日本インキ化学工業と旭化成ライフ&リビングによる二軸延伸ポリスチレンシート事業の統合では、
  統合後の
HHI 約3400,HHIの増加分約1200だが、
当事会社が申し出た問題解消措置により、承認された。
2004年度の 山之内製薬と藤沢薬品工業の合併でも
  強心配糖体及びその配合剤では
HHI約4300 HHI増約250
  インフルエンザワクチンでは
HHI約3,400 HHI増約700 であったが、
 隣接市場又は川下市場からの競争圧力が認められ、承認された。

しかし、承認されるかどうかが申請しないと分からない上、膨大な資料の作成を必要とし、障害となることは間違いない。

業界が求める承認条件の緩和(METI案ではシェア基準50%未満)は、この点ではむしろ後退することとなる。

一方、「市場の画定」の作業で「国内を原則とする」という現行指針の文言を削除し、その上で「外国企業からの輸入圧力があるかどうかを判断するための具体的な項目」を明記した。

具体的には、関税水準や、輸入が急増した場合の制限措置があるかなど制度上の障壁の有無、輸送費負担の大きさ、製品の品質などが同じかどうかの「代替性」、外国企業の生産能力なども勘案するという。

関税に関しては、「2004年問題でPE、PPの税率も引き下げられた。
マレーシア シンガポールについては経済連携協定で関税率が順次引き下げられる。
開発途上国については全体枠及び国別枠(全体の1/4)の限度内で関税が一般税率の20%になる特恵関税がある。
輸入が急増した場合の制限措置はない。
輸入品の輸送費負担は大きくなく、品質も一部を除き、使用に耐えないものは少ない。
アジアの生産能力は著しく増大した。

化学業界の場合は、一部の例外を除き、外国企業からの輸入圧力は間違いなく存在する。

日本の国内では寡占だが、アジア全体で見ると、各社の能力は著しく小さい。

ABSを例にとると、
国内ではテクノポリマーが290千トンでトップ、アジア計では東レが402千トンだが、アジアでは弱小である。
台湾の
奇美実業(Chimei)が台湾で100万トン、中国の江蘇省鎮江市で35万トン、合計135万トンの能力を持っている。韓国のLG Chem も麗川工場の56万トンに加え、この度浙江省寧波市でABSを15万トン増強して48万トンとし、韓国と中国を合わせた能力は104万トンである。

PSも国内全社(4社)の合計能力は1,016千トンだが、台湾の奇美実業の能力は台湾で400千トン、江蘇省鎮江市で500千トンの合計900千トンである。

中国でも100万トンエチレンが続々建設されている。今後これらが完成すると、(国内需要は農村需要が増えるまでの間は頭打ちとなるため)輸出に向けられる。既にPVCの輸出は増大しつつある。

公取委が合併審査に当たり、海外の能力をどういう風に勘案するかが問題であろう。

経産省は、HHIは分かりにくく、企業が合併を判断する際の目安として使いにくいと反論、再検討を求めているといわれている。

OPEC、2月から日量50万バレル追加減産

石油輸出国機構(OPEC)は14日、2007年2月から原油を日量50万バレル追加減産することを決めた。OPEC全体の生産量は日量2580万バレルとなる。米国など消費国の在庫が積み上がっており、需要期が終わる春以降に原油価格が急落する懸念があるため。
前回の減産は実際には申し合わせの5-6割しか実現できていないとの見方もある。

2006/10/21 OPEC、減産合意

OPECは19日、カタールのドーハで緊急会合を開き、イラクを除く加盟10カ国の生産量を公式生産枠2,800万バレルから170万バレル、実質生産量2,750万バレルから120万バレル減らして2,630万バレルにすることを決めた。11月1日から実施する。

OPECは又、07年1月にアフリカのアンゴラが加盟することも承認した。
アフリカのスーダンと南米のエクアドルも申請準備を進めている。(エクアドルは一度加盟したが、脱退している。)

OPEC加盟国は現在11カ国、3国が加盟すれば14カ国となる。

原加盟国:5ヶ国
イラン
・イラク
・クウェート
・サウジアラビア
・ベネズエラ
追加加盟国:6カ国+アンゴラ 
・カタール 1961年
・インドネシア 1962年
・リビア 1962年
・アラブ首長国連邦(UAE) 1967年(但し当時はアブダビ)
・アルジェリア 1969年
・ナイジェリア 1971年
アンゴラ 2006年
   
・エクアドル 1973年(但し93年1月に脱退)
・ガボン 1975年(73年より準加盟国、但し95年1月に脱退)

3カ国の原油の状況は以下の通り。

     埋蔵量(2004年末)    生産量(2004年)
アンゴラ    8,800百万バレル    991千バレル/日
スーダン    6,300    301
エクアドル    5,100  

 535 

Opecwaku0612    

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358  

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