2007年6月アーカイブ

ケニアとウガンダはこのたび、環境への悪影響を抑えるため、ルアンダ、タンザニアに続き、薄いプラスチック袋の使用を禁止する。

ウガンダの財務大臣は新予算で、厚さ 30ミクロン以下のプラスチック袋の輸入と製造を禁止するとともに、他のプラスチック袋については120%の課税をすることを決めた。
71から施行される。

ケニアの財務大臣も同様の制限を科した。7月1日施行の予定であったが10月1日まで延期された。

タンザニアでは2006年に東アフリカ共同体East African Community)の先頭を切って、副大統領がプラスチック袋の全面禁止と、リサイクル可能な袋か生分解性の代替品への切り替えを命じている。

ルアンダは本年に東アフリカ共同体に参加したが、2005年に既に、厚さ100ミクロン以下のプラスチック袋の輸入と使用を禁止している。

注 東アフリカ共同体は2004年3月にケニア、ウガンダ、タンザニア3国で結成した関税同盟。

東アフリカではプラスチック袋が住宅地の道路わきでいたるところで廃棄されており、町のほとんどの下水はプラスチックで詰まっている。

ケニアの財務大臣は、今回の処理で環境に優しくリサイクル可能な袋の開発が促進されることを期待するとしており、ウガンダの大臣は今回の禁止は環境面での深刻な懸念とプラスチック袋や容器の処分が困難なことから導入されたとしている。

 参考 2007/3/3 ニュースのその後 - レジ袋税 



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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm

中国で一部業種の基幹企業が外資により買収され、国家経済の安全が脅かされるとの懸念が高まっていることを受け、審議中の独占禁止法草案に新規定が盛り込まれることとなった。

24日に全国人民代表大会常務委員会で
中国で初めての独占禁止法の第二回審議が行われたが、その中で提案された。
草案は「外国企業による国内企業の買収やその他の形による国内企業の事業への投資については、N
ational security に関係する場合には関連法と規定に基づき審査を行う」となっている。

政府統計によれば、海外からの中国への直接投資のうち、外資による買収は2004以前は5%であったが、2004年には11%、2005年には20%と増加している。
更に、近年になって外国企業が国営の大企業や有名ブランド企業を買収するのが増え始めており、中国の経済的な
Security に懸念を生じている。

ーーー

中国では外国企業による買収について基本的なセキュリティチェックをする体制にはなっている。
昨年商務部と他の政府の5機関により出された規則では、外国企業による国内企業の買収が国の
Economic security に影響を与える場合、重要分野で行われる場合、又は有名な国内のブランドの移管を伴う場合には、商務部の承認を申請することが必要となっている。
それ以前には、商務部の審査、承認は
1億米ドル以上の買収・合併に限られていた。

ーーー

中国は外国企業による基幹部門の大企業の買収の審査や管理を更に強化することとなる。

NDRCでは外国企業による買収は政府のセキュリティチェックと独禁法上のチェックを受けることが必要だとしている。同時に、どんな買収がナショナルセキュリティに関係するのかなど、詳細な検討が必要だとしている。

ーーー

中国では早くも1994年に独禁法の設定を計画したが、それ以降10年以上が経過し、中国の社会主義的市場経済も成熟してきたため、独禁法がいよいよ必要になったと認識され、本年6月に第一回審議が行われた。



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中国の財政部、国家税務総局は18日、国務院の承認を経て、「財政部と国家税務総局の一部商品の輸出増値税還付率の引き下げに関する通知」を公布した。これに基づき、7月1日から一部商品の輸出増値税還付政策を調整する。

輸出増価税還付とは輸出製品の購入の際の増価税、輸出製品の製造のための原料やサービスの購入時の増価税を払い戻すもの。

中国では財、サービスの販売時、輸入時には原則 17%の増価税(付加価値税)がかかる。(販売業者は、その購入又は製造にかかわる原料サービスの購入の代価に含まれる増価税の控除を受ける。)
製品の輸出に関しては増価税は免除され、その製品の購入又は製造にかかわる原料サービスの購入の代価に含まれる増価税に関しては、政策的にその全部又は一部がリベートとして払い戻される。

  中国の増価税及び輸出増価税還付に関しては下記を参照
    
2006/9/26  中国、輸出増価税リベート変更 

これまでも還付率が変更されており、昨年9月にも上記記事に記載の通り、一部変更された。
還付率が減ると、輸出の手取りが減り、輸出抑制の効果がある。

今回の調整の狙いとして、以下が挙げられている。
 ▽輸出の急激な増加を一層抑制する
 ▽中国の貿易黒字の膨張がもたらす問題点を緩和する
 ▽輸出商品構造を改善する
 ▽エネルギー消費量、汚染度が高い商品、資源性商品(材料となるもの)の輸出を抑制する
 ▽対外貿易成長モデルの転換と輸出入のバランスを促進する
 ▽貿易摩擦を軽減する
 ▽経済成長モデルの転換と経済・社会の持続可能な発展を促進する――など。

今回の調整の対象商品は2831品目に及び、税関が取り扱う商品目全体の37%に相当する。
2年続けての大幅な調整は、中国政府が貿易摩擦から人民元引き上げの声が高まるのを懸念していることを表している。

今回の調整内容は主に次の3点。
(1)エネルギー消費量、汚染度が高い商品、資源性商品(材料となるもの)553品目の輸出増値税還付を取り消す。

Salt, solvent oil, cement, liquefied propane, liquefied butane, LPG and other minerals;
 * BTX、Phenols、PO
、その他を含む
  (オレフィンは昨年
9月に既に還付を取り消されている)
Fertilizers
Chlorine and dyes, and other chemical products
Leather
その他、絶滅危惧動植物やその製品、金属炭化物や活性炭、木製板や木材一次加工品、非鉄金属加工品、船舶など

(2)貿易摩擦を引き起こしやすい商品2,268品目の輸出増値税還付率を引き下げる。

Some of the chemicals 5%(一部8%)
  EOAcetone無水フタル酸、酢酸ほか
Plastics, rubber products 5%
Paper products 5%
その他衣類、靴・帽子、バッグ、おもちゃ、植物油、石材や陶磁器、鉄鋼製品、コークス炉、オートバイ、ビスコース繊維など。

* プラスチックの多くは昨年13%から11%に下がっていた。

(3)10品目の輸出増値税還付を改め、輸出免税政策を適用する。(ピーナツ、油彩画、彫刻板、切手、収入印紙など)



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Huntsman Chemical は Basell Polyolefins による56億ドルでの買収に合意した。26日、両社が発表した。
現在の株価に34%のプレミアムをつけるもので、負債引継ぎを含めると96億ドルになる。
同社の57%を所有するHuntsman一族が買収に賛成した。
年末までに手続きが終了する予想。
 

Basell はGEプラスチックの買収にも乗り出したが、SABICに敗退している。 
Huntsmanは最近、スイスのClariantやCiba Specialty Chemicalの買収に関心を示していた。

Huntsman については下記参照
  
2006/10/3 SABIC、Huntsmanから英国の石化子会社を買収 
    

なお、Basell Polyolefinsを所有するAccess Industries のオーナーのLen Blavatnik は最近、Lyondell Chemical の株を「戦略的目的で」購入しており、LyondellとBasellの合併の可能性も噂されている。

 2007/5/16 Access Industries の会長、Lyondell Chemical の株式を購入 

付記

2007/7/5 Huntsman に新たな買い手 

  

マレーシアのPetronasPetroVietnam とのPVC合弁会社の Phu My Plastics and ChemicalsPetroVietnam 持分43%を買収することで合意した。現在、政府認可申請を手続き中。

Petronas は自社所有の50%を含め、100%子会社の海外投資会社 Petronas International に移す。

この結果、
Phu Myの出資は以下の通りとなる。
  
Petronas International 93%
  
Vung Tau Shipyard  7%  (正式名は The Ship Building & Oil-Gas Services Company

Phu My はホーチミン市南東85kmのPhu My 工業区に10万トンのPVC工場を持ち、2003年から生産を行っている。

ーーー

ベトナムにはPVCメーカーが2社ある。いずれも日本の会社が参画して出来た会社である。

まず、三井化学が1995年にベトナムの要請に応えて、タイのTPCおよびベトナム国営企業との合弁でPVCの事業化を決め、ドンナイ省の工業団地に年産8万トンの設備を建設、98年から本格的な生産に入った。

会社名:Mitsui Vina Plastics & Chemical
株主  :三井化学 36%、三井物産 10%Thai Plastics & Chemicals TPC24%Vinaplast 15%Fercemco 15%

ーーー

Phu My Plastics and Chemicals は当初、ベトナム第二のPVCメーカーとして、Occidental 40%丸紅30%、現地の PetroVietnamTramatsuco 各15%のJVとして計画されたが、1996年にOccidental が撤退、代わりにマレーシアのPetronas が参加してPetronas 40%、丸紅30%、現地30%事業化調査会社が設立された。

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三井グループ及び丸紅は事業化の後にはベトナムが輸入関税を引き上げることを要請した。
具体的には、三井ビナはPVC8万トンを12万トンに引き上げる計画を持つが(将来的には原料クロルアルカリまで遡る計画も)、条件として輸入関税3%を25%に上げるよう要求した。

しかし、政府は国内の塩ビ加工業を守るという判断から輸入品への関税率(輸入課徴金を含む)を8%にとどめた。
アジア経済危機の影響が長引くベトナムでは、PVCの国内需要は年間10万トン前後で頭打ち状態で、三井ビナは安値の輸入品との競合を強いられ苦戦を続けた。

    ---

輸入関税の引き上げが行われないことから、三井グループと丸紅はそれぞれ撤退を決めた。

三井化学と三井物産の両社は、Mitsui Vina の日本側持分を2000年8月末までにTPCに譲渡を完了、事業撤退した。
三井化学は国内では塩ビ関連事業については1996年4月に東ソー、電気化学と大洋塩ビを設立、PVC事業を移管し、VCM設備も休止している。
Mitsui Vina はTPC70% 出資で社名をTPC Vina Plastic & Chemical と改称、能力は手直しで12万トンとした。
(現在、10万トン増設中との報道がある)

  Mitsui Vina TPC Vina
三井化学   36%    -
三井物産   10%    -
TPC   24%   70%
Vinaplast   15%   15%
Fercemco   15%   15%

丸紅は2000年5月に事業化調査会社の持株を売却、新会社Phu My Plastics and Chemicals出資比率は以下の通りとなった。
    
Petronas 50%
    PetroVietnam 43%
    Tramatsuco 7% Baria-Vung Tau 州共産党委員会の商事部門)

Phu My は2002年末に10万トンのプラントの商業運転を開始した。

なお、2006年9月に、タイのTPCの取締役会が
Phu My PetroVietnam 持株の買収を承認したという報道があったが、実現していない。
今回、
Petronas International が93%の株主となった。Tramatsucoの7% Vung Tau Shipyard の所有となっている。

  当初 調査
 会
Phu My
Occidental  40%   -   -   -
丸紅  30%  30%   -   -
PetroVietnam  15%  15%  43%   -
Tramatsuco  15%  15%   7%   -
Vung Tau Shipyard   -   -   -   7%
Petronas
Petronas International
  -
 40%
 50%
 
 93%

ーーー

マレーシアのPetronas はベトナム政府から同国の石油化学事業の計画作成の委託を受けている。

同社はマレーシアのKeltih の石化コンプレックスに同国唯一のVCM会社Vinylchloride (Malaysia) を持っており、ベトナムの2社にVCM を供給している。

Vinylchloride (Malaysia) にも日本企業が参加していた。

同社は当初、マレーシア側(
Petronas Land & General)が50%三井グループ(三井東圧、三井物産)が50% を出資し、VCM 40万トン、PVC 10万トンの生産を計画した。

しかし、最終的に下記の出資比率で、VCM 40万トンのみでスタートすることとなり、
Petronas は代わりにベトナムのPhu MyPVC計画に参加することとした。
  出資比率 
Petronas 60%、Land & General 20%、Mitsui VCM 20%
    (
Mitsui VCM は三井東圧 50%、三井物産 50%)

その後、1999年9月に改組し、Petronas 60%、Mitsui VCM 30%、三井物産 10%となった。
また、同時に
Industrial Resins (Malaysia) Keltih PVC事業(15万トン)を譲り受けた。

Industrial Resins (Malaysia) Land & General 65%/三井物産 25%/東ソー 10%のJVとして設立され、Johor Bahru にPVC 20千トン、コンパウンド 30千トンでスタートした。

その後、
Keltih PVC 150千トンを建設したが、19999月に三井物産と東ソーが離脱してLand & General 100% となり、Keltih PVC Vinylchloride (Malaysia) に移された。

Johor Bahru PVCIndustrial Resins (Malaysia) のままで、能力5万トン。

なお、マレーシアには上記のVinylchloride (Malaysia) Industrial Resins (Malaysia) のほかに、日本ゼオンが以前出資していたMalaysia Electro Chemical Industry のペナンの5万トン、カネカ100%出資のKaneka Paste Polymer Gebeng のペースト3万トンがある。

三井化学のPVC事業からの離脱に伴い、Mitsui VCM は三井物産 95.778% 出資となったが、三井物産も本事業からの撤退を決め、20047月にVinylchloride (Malaysia) Petronas 100% となり、Mitsui VCM は同年8月に解散した。

  当初案 設立 改組 現状
Petronas  25%  60%  60%  100%
Land & General  25%  20%  -   -
Mitsui VCM  50%  20%  30%   -
三井物産  ー  ー  10%   -


タイのTPCも当初、地元のCEグループと、旭硝子出資のTHASCO Chemical(現在は旭硝子99.85%三井物産三井東圧の3社JVとして設立された。

同社については下記の最後の部分を参照
  2006/6/8 
タイの石油化学の現状  



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BPは6月22日、ロシアの合弁会社TNK-BP が保有する東シベリアのKovykta ガス田などの権益をロシア政府系エネルギー会社、Gazpromに売却する、と発表した。ロシア政府から圧力を受けたため。

TNK-BP は東シベリアのKovykta ガス田の権益を持つRusia Petroleum 社の持分62.89%と、ガスの輸送・販売会社 East Siberian Gas の持分50%Gazpromに譲渡する。Gazprom は代価として$700-$900 百万ドルを支払う。
Rusia Petroleum の他の株主はロシアの投資会社Interros Irkutsk の地方政府)

同時に、BP TNK-BP Gazpromとの間で世界中で共同でエネルギー事業に長期的に投資する戦略的協調のMOUを締結した。
将来、今回の
MOUで合意された大規模な共同投資や資産スワップなどが実施された暁には、TNK-BP Kovykta ガス田の25%+1株をその時の正当な価格で取得するオプションを持つ。

Kovykta ガス田は確認埋蔵量約1兆9000億立方メートル。TNK-BP はパイプラインを建設し中国、韓国などにガスを供給する計画だった。

エネルギー資源の国家管理、外資排除を強めるプーチン政権にBPが屈した形。ロシア当局はKovyktaガス田の生産量が計画を下回っているとして、BP側に開発免許の取り消しなどの揺さ振りをかけていた。

ロシア政府は昨年、Shell、三井物産、三菱商事が出資する「サハリン2」にも環境問題を口実に圧力を掛け、Gazprom 50%プラス1株を取得させた。Gazprom は本年3月にはエクソンモービルや丸紅などが主導する「サハリン1」との間で提携交渉に入った。サハリン1で産出する天然ガスを購入し、サハリン2のLNG施設を利用して輸出するほか、国内でも販売する考え。

ーーー

TNK-BP はロシアで3番目に大きい石油会社である。2006年に石油換算で日産 190万バレルの生産を上げた。
BPAlfa Access Renova group 50%ずつ所有している。

2003年、BP Alfa Access Renova はロシアとウクライナにそれぞれが所有する石油資産を共同で所有する戦略的パートナーシップの設立を発表、50/50所有の TNK-BP が設立された。上流部門から下流部門まで一貫操業を行ない、生産子会社15社、精製子会社5社(うちロシア国内は4社)、販売子会社11社を保有する。
Alfa Access Renova
はTNK株97%とSidanko株56%を新会社に移管、BPはSidanko株25%、サハリン5の事業権益、モスクワのガソリンスタンドを新会社に移管した。

Alfa Access Renova 3社の連合。
Alfa Group は、ロシアの新興財閥で、ロシア最大の金融産業コングロマリットのひとつ。中心のアルファ銀行のほか、石油及びガス、消費財取引、保険業、小売業と電気通信分野などグループ企業は広範である。
Access Industries ロシア生まれの Len Blavatnik が設立し所有する米国の投資会社で、Basellを買収した。
Len Blavatnik Lyondell Chemical の株式を購入し、話題となっている。
 
参考 2006/6/15 Basellの買収  
     2007/5/16 Access Industries の会長、Lyondell Chemical の株式を購入 
Renova Holding はロシアの長者番付では第5位のViktor Feliksovich Vekselberg の所有するベンチャーキャピタル。

Tyumen Oil Co.TNK)は1995年に西シベリアのハンティ・マンシ自治管区の要請で100%ロシア国営企業として発足した。
1997年、1999年に政府株は公開され、
Alfa Group Access-RENOVAが50/50で買収した。

TNKは当初は中堅石油企業であったが、垂直統合、資本投資、生産会社の吸収合併、破産法を利用した企業買収を行い、大企業となった。石油会社のOnako、Kondopetroleum、Sidanko などを買収し、2002年末にはSibneftと折半出資でSlavneftの74.95%を落札した。

ーーー

TNK-BPはKovykta ガス田のガスを中国、韓国などに供給すべく、パイプライン敷設のFSを実施していた。
蒙古を経由するライン、経由しないライン(北朝鮮を経由するラインと経由しないライン)などが考えられていた。

 

米国の投資会社Ewing Management Group は本年上半期に中国の2社を合計1億ドルで買収したと発表した。

一つは浙江省
杭州市に本拠を置く中国有数の園芸会社(名称不明)で、幅広い種類の植木や花卉の開発の先端技術を所有している。同社は植木や花卉の中国最大の生産者で、中国でいくつかの研究センターや生産センターを運営している。この数年の売上高の伸び率は驚異的であるとされている。

もうひとつが江蘇省常州市のSMメーカーのDonghao Chemical (東昊化学)で、現在のSM能力は20万トン。江蘇省には多数の発泡PS(EPS)メーカーがあり、中国のSMの全使用量の6割を消費している。

ーーー

Donghao Chemical は自らもEPSを生産しているが、常州市の周辺のEPSメーカーに供給することも狙い、SM進出を図った。
当初は香港の
 China Railway United Materials との50/50JVで、2003年末に15万トンのプラントをスタートし、1年後に倍増する計画を立てた。
しかし、この計画は実現せず、2年遅れで2005年末に自社で15万トン設備をスタートさせた。
その後、手直しで順次能力を増強し、本年3-4月に18万トンから20万トンに増強している。

同社は資金力が無く、昨今の原料価格高騰で原料調達に支障をきたしていた。

ーーー

買収したEwing Management Group はテキサス州ダラスに本拠を置く投資会社で、 製造業や資産集約型産業の企業を買収し運営することを目的としている。

同社は以前はCarlyle Group に属し、Carlyle Management Group と称した。
2004年にCarlyle Group から円満に分離し、10億ドルの資金で再スタートした。

同社はDonghao Chemical について、建設費が世界のどこよりも安いこと、輸入品に対して物流費が安いことなどで競争力があるとしており、いろいろな増強計画が既に出来ており、短期間で実施できるとしている。

同社のCEOは、今回取得した2社は競争力と成長の可能性を持っており、同社としてファイナンス面と拡大戦略の実施面で支援できるとしている。経営そのものは従来の経営者に任せる模様。

ーーー

投資会社による中国企業の買収は珍しい。

園芸会社の買収は面白そうだ。今後も需要は伸びると思われる。
しかし、原料を持たない
Donghao Chemical の買収が成功するかどうか、見ものである。
特に業績が悪化した場合の対応が問題であろう。

ーーー

最近、欧米での化学会社の買収が盛んである。それが遂に中国まできた。

しかし、日本の化学会社の買収の話が全くないのは、どうしてであろうか。
全く魅力がないからとしたら、悲しむべきことであろう。

枯葉剤Agent Orange のベトナム人被害者による裁判の事前ヒアリングが618日、米国第二巡回控訴裁判所で行われた。

Dow ChemicalMonsantoのほか、35社の農薬メーカーを相手取って、300万人以上のベトナム人被害者を代表して「ベトナム・Agent Orange/Dioxin 被害者協会」が行った集団訴訟で、これを却下した下級審の決定を不服として控訴したもの。

これら化学会社はベトナム戦争中にagent orange を米軍に供給し、広範なダイオキシン被害をもたらした直接の責任があるとし、補償と浄化、医療検診、支援を求めている。

米軍は1961年から1971年までに南ベトナムの550万エーカーの土地に繰り返し枯葉剤Agent Orangeを散布した。この結果、米軍とベトナム人双方に多くの被害が出ている。

1984年の和解の結果、Dow ChemicalMonsanto など7社は被害を受けた米軍人に対して180百万ドルの補償を行った。米政府も毎年15億ドルの予算で対象者に補償を行っている。
しかし、ベトナム人については全く補償のないままである。

控訴裁のヒアリングでは裁判官は、戦争で使われた毒物が直接人を殺すためではなく、数年後に被害が出たという場合、国際法に違反していないのではないかと発言した。
ナチスが死のキャンプで使ったガス
Zyklon B の場合はメーカーが有罪となっているが、それとは異なるケースではないかとした。

会社側の弁護士も戦争での毒物の使用で罰せられた前例はなく、判事が本件を取り上げた場合、戦場での意思決定に影響を与えると警告した。イラクでの劣化ウラン弾の使用に触れ、現実の外交に影響を与えるとした。

戦争中に毒物の使用を承認した大統領の責任も問題になるが、原告側は国家主席の免責特権により訴訟の対象としていない。

 

判事は本件を取り上げるかどうかを数ヶ月かけて決める。取り上げられた場合も判決が出るまでに数年はかかると見られている。


付記

アメリカ側もようやく、この問題で動き出した。

6月22日、1960年代以降初めてベトナム元首として訪米中のNguyen Minh Triet大統領はBush大統領と会見した。
席上、ダイオキシン問題が取り上げられた。Bush大統領は議会が最近、ダイオキシン問題援助の予算を承認したことを伝えた。

また、Ford Foundationがベトナム大統領の訪米に合わせ、「U.S.-Vietnam Dialogue Group on Agent Orange/Dioxin」を立ち上げた。
両国の政治家、科学者、事業家を集め、Agent Orange の人間及び環境に与え続けている影響への具体的対応を行う。
旧米軍基地のダイオキシン除去と周辺住民の健康対策、ダイオキシン関連患者の治療・教育センター、ダイオキシン試験ラボなど、5つの優先度の高い分野を2年間で対応する。

2007/6/12 「海洋温度差発電の実証プラントで海水淡水化」で海洋温度差発電について述べた。最近、潮力発電所の建設が各地で行われている。
 
  

世界で最初の潮力発電所は1966年11月に完成したフランスのランス潮汐発電所(Rance Tidal Power Plant)で、フランス・ブルターニュ地方のRance川河口にあり、フランス電力公社が運用している。

この付近は潮位差が大きく最大潮位差が13.5m、平均潮位差8.5mにもおよぶ。
Rance川河口を幅700mにわたって2基のダムで堰止め、建設された。24基のタービンによる最大定格出力は240MWで、年間の発電量は約6億kWh、平均出力は約68MWである。

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(米国)

ニューヨーク市の潮汐発電は RITE Project (Roosevelt Island Tidal Energy Project) と呼ばれ、マンハッタン島の東岸を流れるイーストリバーの川底にVerdant Power 社が開発した潮力稼動水力発電タービンを順次6基設置した。
2,400時間の連続稼動に成功し、11日に式典が行われた。

電力はRoosevelt Island のスーパーと駐車場に供給され、併せてタービンの魚への影響の調査が行われている。

今後、同島周辺及び国連本部近くに300のタービンを置く計画で、完成すれば8,000戸の家庭が消費する電力に相当する10MWを発電する。

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エネルギー技術企業の米 Independent Natural Resources は、本年央に同社の波力タービン Seadog を北カリフォルニアのHumboldt Countyの沖合に設置することを検討している。

これが成功すれば、ポンプ16基を設置し、約600世帯分の電力を生成するプロジェクトが実施される。

 

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(英国)

英国のエネルギー開発会社Marine Current Turbines Ltdは 6日北アイルランドに商業用の潮力発電施設 (SeaGen Tidal Energy System) を建設することを明らかにした。

発電施設は、北アイルランド東部ストラングフォード湖 (
Strangford Lough) に建設される。一部がアイリッシュ海と通じており、双方を行き来する潮力で湖底に取り付けた2枚のプロペラを回転させ発電する仕組みで、設備容量は1.2MW、約1,000世帯分の電力需要を賄うことが可能という。

同社は3年以内に英国沿岸で10MWまでの SeaGen を設置し、資金面と規制面で許されれば、2015年までに500MWまで増やしたいとしている。

今回のプロジェクト実施に当たり、コンサルタントが大学とタイアップして包括的な環境調査を実施した。

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(韓国)

韓国の西海岸は干潮と満潮の差が大きく、仁川(インチョン)付近では最大で9メートル(平均で6.5メートル)にもなる。

これを利用した2つの潮力発電計画がある。
安山市の始華湖計画と、仁川市の江華島計画である。

始華湖は干拓事業によって内海の浅い海を12.6kmの堤防によって閉めきってできた6,100haの人工湖で、湖周辺を農業や工業用地として大規模に開発、始華湖は淡水化しその水を農業用水や工業用水として利用する計画であった。

堤防の工事は1987年に着工し、1994年に完成した。

しかし、工業排水や生活排水が湖に流入し、湖の水質が極端に悪化、また重金属汚染も起こったため、淡水化は'98年に断念され、堤防の水門を開放して海水を湖に入れることで、水質改善を図ることになった。

この水質管理の一貫として、より多くの海水交換をおこなうための新しく作られる水門を利用して潮力発電所も作られることになった。

海洋水産部は、2001年7月に24万kWの潮力発電所建設計画案を初めて公開した。
10基の水車が作られ総発電力は254MW、年間の総発電量は55,200万kwhになる予定で、2010年に発電が始まる。

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仁川市は3日、韓国中部発電や大宇建設コンソーシアムと、江華潮力発電所の共同開発事業のためのMOUを締結した。

2014年にかけ約 2,300億円を投入し、江華島、喬桐島、西剣島、席毛島の4島を全長7795mの潮力ダム防潮堤で結んだ後、水力発電機32機を設置し、2015年から発電を開始する予定。

今回建設される予定の江華潮力発電所の発電容量は812MWで、フランスのランス潮力発電所(240MW)や建設中の始華湖潮力発電所(254MW)をはるかに上回る世界最大規模となる。

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(オーストラリア)

オーストラリアのEnergetech 社は昨年12月、シドニーの約240km南に、「波力エネルギーを商業利用する世界初のプラント」、Wave Energy Generator を設置した。

放物線状の開口部を備える幅40メートルの486トンのタービンが、その形状のおかげで幅広い波面をとらえて波を空気室に送り込む。狭い空気室内では波の上下動により、勢いよく水が噴出する。そして、これによって発生する高速の空気流が、空気流の出入に関係なく同方向に回転するよう制御されたタービンを回転させるという仕組みである。


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潮力発電ではないが、電源開発(Jパワー)はインドネシア・ジャワ島における海水揚水発電を検討している。

5月にインドネシア国有電力会社PT PLN (Persero
と協力協定を締結したが、初期検討対象のひとつが海水揚水発電である。

同社は1999年3月に沖縄やんばる海水揚水発電所の実証試験運転を開始した。
沖縄本島北部に位置し、上部調整池に海水を汲み上げ、最大使用水量26m
3/s、海面との有効落差136mを利用し、最大出力3万kWを得る世界初の海水揚水発電所で、5年間の実証試験運転を経て、2004年から発電運転を行っている。

揚水発電に用いる下部調整池の築造が不要となるほか、上部調整池以外のほとんどの発電所設備が地下設備となることから、地表の改変面積を小さくするメリットがある。



* バックナンバー、総合目次は 
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm

フランスのNGOのCRIIGENはこのたび、Monsantoが開発したGMOトウモロコシのNK603(商品名Round-up Ready)のラットのテストで、これを食べさせたラットと食べさせないラットとの間で、腎臓、脳、心臓、肝臓の機能などを示す数値に明らかな差が生じており、これに毒性があることを意味する可能性があるという研究を発表した。

Greenpeaceは「この研究はGMOトウモロコシに健康面でのリスクがあることを示しており、現在の安全性評価が信用できないことを示している」とし、他のGMOを含めて、直ちに市場から回収し、承認を取り消すよう要求した。

CRIIGENは本年3月に、Monsanto の他のGMO トウモロコシ MON863 の承認申請に使われたラット90日試験の生データを入手し、独自に解析して、体重や血液と尿の生化学検査の結果に問題があると発表している。
食品安全情報blog には「生き物なのでこれくらいの変動はある。差があると言っているものも増えたり減ったりで一定の傾向はない」とのコメントがある。 http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20070316 

CRIIGENはフランスのNGOで、遺伝子工学技術が生物、環境、農業、医学並びに公衆衛生、食品に直接または間接的に、または短期的、中期的、長期的に与える影響について研究するとしている。

NK603は、既に日本やEU、米国などで食品用や飼料用として承認されており、日本では飼料として流通しているという。

ーーー

昨年、遺伝子組み換え大豆が危険だと主張するロシア人研究者が、市民団体の招きで来日し、全国を講演して回った。

ロシア科学アカデミー高次機能・神経行動学研究所のイリーナ・エルマコヴァ博士で、親ラットに遺伝子組み換え大豆を混ぜた餌を食べさせ、生まれた子ラットにも与える実験をしたところ、生後3週間までに約6割の子ラットが死んだと報告した。

(1)通常の飼料とモンサント社が遺伝子組み換え技術により開発した除草剤耐性大豆、(2)通常の飼料と非組み換え大豆、(3)通常の飼料のみを与え、子どもを生ませ、子ラットも同様に飼育したが、子ラットの死亡率が、(1)だと55.6%、(2)だと9%、(3)だと6.8%だった。

しかし、遺伝子組み換え大豆は「生で」、非組み換え大豆は「加熱して」与えており、「生」の豆にはレクチンやトリプシンインヒビターなどの毒物が存在しているため、意味のない実験であった。

実際には、同様の実験がすでに南ダコタ大学で行われており、マウスに四代に渡って遺伝子組み換え大豆を食べさせたが、非組み換え大豆を食べさせた場合と何の違いもなかったという。

松永和紀さんの「メディア・バイアス」に詳細が載っている。

  2007/5/3 松永和紀著「メディア・バイアス」 

 

今回のCRIIGENの発表については、U欧州委員会は欧州食品安全機関に研究内容の詳しい分析を要請、日本の食品安全委員会も情報収集を始めた。

結果の早い公表が待たれる。

ーーー

付記

国立医薬品食品衛生研究所安全情報部の主任研究官、畝山智香子さんは「食品安全情報blog」(2007-06-29)で以下の通り書いておられる。

グリーンピースの発表とは異なり、論文形式ではなく単なるコメント。モンサントの提出したNK603の試験データについて些細なことにただ文句をつけているというもの。

結論として実験をしたのがモンサント社だからダメ、スライドやネズミが全部公開されていないからダメ、農薬と同じさらに長期で複数の齧歯類を使った安全性試験が義務ではないからダメ、というような関係ない主張。

しかし上述のように(*)セラリーニ教授の統計手法に問題有りと明言されてしまっている以上、説得力はない。

* NK603の論文の筆者は上記のMON863 の報告と同じSeralini教授。
MON863についてのEFSAの6/28の発表は、畝山さんによると、「大量の文書だが、要するにSeralini らの使った統計手法とその結論は間違っているということ」。


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中国の国家発展改革委員会NDRCは、610に北京で行われたセミナーで、バイオエタノールと石炭液化計画を見直すことを言明した。
セミナーは中国工程院 (
Chinese Academy of Engineering) が主催し、デンマークの酵素メーカー Novozymes ノボザイムズ)が後援した。

1)バイオエタノール

NDRCは、中国は今後、穀物からのエタノール燃料生産計画を承認しないと言明した。
エタノールの原料となるトウモロコシが値上がりし、豚肉価格にも波及し始めたのが理由。トウモロコシを原料とするエタノールについては中国だけでなく世界中で大きな反対が出ている。

石油代替のエタノール燃料生産にはキャッサバサツマイモソルゴ (サトウモロコシ)、セルロースのような非穀物に切り替える。
トウモロコシベースのエタノールを生産している既存の4社については順次、非穀物作物に切り替えるよう要請する。

4社はJin YU Inc.(黒龍江省 10万トン)、Jilin Fuel Ethanol (吉林省 40万トン)、Tian Guan Group(河南省 20万トン)、BBCA Biochemical (安徽省 32万トン)で、合計生産能力は102万トン。中国は米国、ブラジル、EUに次ぐエタノール燃料の生産・消費国となっている。
更に、吉林省で60万トン、安徽省でFengyuan Group が32万トン、河南省でTianguang Groupが30万トンの工場を建設中。

 中国のバイオエタノールの状況はhttp://www.worldbiofuelssymposium.com/2005FEW-01-Liu.pdf 参照

黒龍江省の企業を所有し、安徽省の企業 BBCA Biochemical に20%を出資する中国最大の石油・食料の輸出入会社 China Oil and Food Corporation COFCO 中国糧油食品集団)では、今後サトウモロコシ を中心にしたいと表明した。近い将来、これを原料に年間500万トンのエタノール燃料を生産したいとしている。

  2007/1/27 中国のバイオ企業、BBCAグループ 

現在のところ、トウモロコシの茎などから作るエタノールはコストが非常に高い。Novozymes 社は米国と中国でセルロースからのエタノール生産の商業化を図っており、中国ではトウモロコシの茎を集めるコストが安いので、米国に先駆けて成功するだろうと楽観視している。

中国ではエタノールをガソリンに10%混ぜた燃料が、東北地域などで売られており、エタノール混合ガソリンは、国内のガソリン消費の2割に達している。

 

2)石炭液化

NDRCは、中国の限られた資源と環境問題を評価した結果、石炭液化計画を見直すと表明した。
「石炭液化は石油依存からの離脱に役には立つが、エネルギーを多用しすぎる」としている。
大規模な生産能力を持つ政府のモデル事業は続けるが、小規模な設備は認可しない方針。

11次5ヵ年計画(2006-2010)では石油代替にバイオマス燃料や石炭液化のような代替エネルギー開発に投資をするとしていた。
中国は2006年に163百万トンの原油を輸入し、輸入依存度は47%から51.1%に上昇している。

NDRCによると、石炭液化は投資額が大きく、水を大量に使い、結果的に活用できるエネルギーの量は減っており、「多くのエネルギ一で少ないエネルギーを生産する技術」である。
内蒙古の計画では108万トンの設計能力で、投資額は65.8億ドル以上かかっている。
中国は大規模化のトライアルなしで液化計画を始めてしまい、技術も優れたものではないとしている。

中国政府は最近、再生可能資源の開発を重要な政府の戦略とし、水力、太陽光、風力、バイオマス、メタンなどの開発を進めるとした。
6月5日には、9年間の研究の結果として、南シナ海の海底の下から天然ガスハイドレート(燃える氷)の回収に成功している。

参考  2006/6/21 石炭液化事業 

     2006/6/22 南ア・サソールの石炭液化技術 

     2006/6/23 中国の石炭化学 

     2006/7/21 中国政府、石炭化学を規制 



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2007/5/28 「次の買収は?」 で 「SABICによるGE Plastics 買収が決まり、次の買収の噂がいろいろ出ている。」とし、その一つにICIを挙げ、次の通り述べた。

DowがICIを買収するという噂が流れた。(2007/4/7 DowICIを買収?) 

更に、Akzo Nobel のトップが Coatings 事業で大規模な買収を検討していると述べた。
買収候補がICIでないのかという質問にはノーコメントであった。

これに対してICIの会長はDow やAkzo Nobel による買収説を打ち消した。

Akzo Nobel は18日、ICIに内々に買収の提案をして拒否されたことを明らかにした。
報道によると、Akzo は4日に72億英ポンド(約1兆7500億円)での買収提案をしたが、ICIは安すぎるとして断ったとされる。

Akzo Nobel では「ICIも含め、戦略的機会を今後引き続き検討する」としている。
消息通は今回の拒否を受け、Akzoは間もなく正式な買収提案をするだろうと述べている。
AkzoMorgan Stanley を起用したことを認めている。

ーーー

Akzo Nobel は医薬品、塗料、化学品の三つの分野で活動しているが、医薬品では医療用医薬品事業(Organon Biosciences
、動物用医薬品事業(Intervet:世界のトップ3の一つ)とバイオ事業(Nobilon International )を持っている。

本年3月に医療用医薬品事業のOrganon Biosciences を144億ドルで Schering-Plough に売却することで合意した。
同社ではその際に、投資や買収によって塗料及び化学品の最も魅力的な分野で成長を図るとしていた。

今回の買収はこれによる豊富な資金をもとに、ICIの塗料事業を狙ったものだが、同社自身が買収の対象となるのを避ける目的もあるとされている。

アナリストは、ICIが株主にAkzoTOBに応じるよう薦めるためには78億ポンド程度は必要だろうとし、Akzoにとってのメリットは、コストダウン、欧州でのICIとの価格戦争の終結及び、急速に拡大するアジアでのICIの事業の取得であるとしている。

ーーー

ICIは 2006/3/7 「ICIの抜本的構造改革」 記載の通り、既存事業のほとんどを売却し、スペシャリティ化学品を中心とした「新生ICI」に生まれ変わった。

その時点での同社の事業は、既存の塗料のほか、1997年にUnileverから購入した3事業=National Starch、香料(flavours & fragrance) のQuest、油脂化学界面活性剤のUniqema の合計4事業部門から成っていた。

同社は昨年6月には、Uniqema部門 Croda International に約915円で売却、昨年11月末には香料を扱う Quest 部門をスイスに本拠を置く Givaudan に約2,680億円で売却すると発表した。

売却額は退職年金不足額に充当するほか、負債の返済に充てられた。

この結果、同社は塗料事業とNational Starchに事業を集中、負債も縮減した。本年2月にはアナリストが買収の好対象であると述べている。
 
2006/11/30 ICI、Quest部門をGivaudanに売却  
  

ICIの塗料事業の売上高は第1四半期に前年同期の4%アップとなったが、アジア、欧州、ラテンアメリカでの伸びが住宅不振の北米の減を補う形となっている。

同社の欧州でのシェアは44%だが、北米では13%のシェアとなっている(No. 1 Sherwin-Williams )。中国ではDulux ブランドで日本ペイントに次いでNo. 2である。

ーーー

本件が明らかになったため、BASFやDow、インドのReliance Industries、ファンドなど他社もICI買収に乗り出すのではないかと噂されている。

DuPont Mississippi 州のDeLisle 工場で20年近く大量のダイオキシンと重金属を排出していたとして2000人近い住民や元従業員から訴えられている。

環境保護団体のSierra Club が大企業との7つの闘い(ダビデとゴリアの物語)をSierra Club Chronicles というタイトルでビデオ化しているが、そのエピソード3で「 Dioxin, Duplicity & Dupont」というタイトルで本件を公開している。
住民や元従業員の証言を中心に経緯や背景、最初の裁判の内容を明らかにした
30分のビデオが見られる。
 
http://www.sierraclub.org/tv/episode-dupont.asp

20年ほど前に、周囲に工場の全くない大自然の中にDuPont の二酸化チタンの工場が建てられた。
住民は
DuPont の従業員になれて大変喜んだ。
しかし、そのうちに周囲に癌などの病人が増え、工場が大量のダイオキシンと重金属を排出していたことが分かった。

2000人近い住民や元従業員がDuPont を訴えた。

2005年に最初の裁判が行われ、陪審員は牡蠣の漁師が血液癌にかかったのはダイオキシンのためであると結論付け、14百万ドル(+その妻に150万ドル)の損害賠償を認めた。同社は州最高裁に控訴している。

先日、第二の裁判が行われた。工場の近くに住む夫婦が20007月に8歳の娘が肝臓癌と心臓病で死んだのはダイオキシンのためだとして懲罰的賠償で30百万ドルの支払を求めて訴えた裁判である。
陪審員は今回は、
DuPont が工場からダイオキシンと砒素を出し続けたのは事実だが、娘の死はこれとは結びつかないと結論付けた。

最初の裁判では裁判所の判断(州最高裁も支持)により会社側証人の証言が認められなかった。今回は数人の証人が原告側の主張に反論している。

上記のビデオの中では、「原告は何度もバーベキューをしているが、バーベキューでもダイオキシンは出る」とか、「煙草を吸っているではないか」などの発言も裁判の中で行われている。

 

同社はこのたび、郡の判事に対し、残りの2000件弱の訴えを却下するよう求めた。
その中で同社は、原告がなんらか特定の被害を受けたのではなく、永年放出された化学品で将来起こりうる被害を恐れて訴えているだけであるとし、害を与えるかも分からない物質に触れたというだけでは被害を受けたことにはならず、そういう訴えは却下されるべきであると主張している。

判事はまだ結論を出していない。

ーーー

同社のホームページの工場案内のうちの DeLisle 工場のページには以下の記載がある。
  We Meet Environmental Requirements.
  Sustainable Growth is Our Cornerstone
  We are committed to Core Values

  Employees are the Key to Success

http://www.titanium.dupont.com/NASApp/TTPORTAL/Mediator?action=231&reference=102510147180

ーーー

DuPont は世界最大の酸化チタンメーカーで、世界の生産の1/4を占めている。(DeLisle 工場は米国第2位の工場)

同社は全て塩素法でルチル型酸化チタンを製造している。(天然の酸化チタンにはルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型の3種類あり、同じ化学式 TiO2 で示されるが、結晶構造が異なっている。)

同社は今月、テネシー州のNew Johnsonville 工場で酸化チタンの原料の四塩化チタンのプラント建設を開始している。

 

DuPont 19977月にICI から同社の全世界のポリエステル事業と、北米を除く酸化チタン事業の買収で合意した。
しかし、最終的に酸化チタンの買収は中止となり、紆余曲折の後、ICI のポリウレタン、芳香族、オレフィン事業とともに、Huntsman Chemicalに売却された。

Huntsman Chemical は昨年、英国のオレフィン、芳香族などの石化事業をSABICに売却したが、酸化チタン(顔料事業)はポリウレタン部門に属するアニリン、ニトロベンゼンとともに売却の対象外としている。
汎用石化事業の売却後のHuntsman における顔料事業の売上高比率は12%となる。

  2006/10/3 SABIC、Huntsmanから英国の石化子会社を買収
   

Huntsman は2006年8月、英国のGreatham の酸化チタン工場を5万トン増設し15万トンにすると発表している。

太湖の水質汚染問題

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2007/6/11 「中国のインターネット反対運動が石化計画を止める」の中で以下の通り述べた。

中国では2005年11月に発生した吉林石油化学の爆発事故やその他の多くの事故・環境問題で住民の不安が高まっている。
最近も
太湖のアオコ(藍藻)の発生で無錫市の飲み水供給が問題となっている。

無錫市の太湖水域は5月29日、深刻な汚染により、水道水から異臭を放ち、飲用できなくなった。単なるカルキ臭ではなく屋内の井戸の底に堆積した泥のような悪臭を放っているとのことで、翌30日にはさらに酷くなり、手を洗えば手が臭くなり、口を漱ぐことさえできない、料理したものも口に入れることが出来ないほどの臭いという。

このため住民はスーパーのミネラル・ウォーターを争って買いあさり、8人民元の水が 50~60元にまで価格が高騰したという。

無錫市水道局は臭水汚染を認め、「今回の汚染は深刻で、浄水器や活性炭、強酸化剤を使用しても効果がなく、なすすべがない。市民に対しては、しばらくの間、精製水の使用を勧めること位しか出来ない」と伝えている。

国家環境保護総局によると、太湖では窒素とリンの量が2006年までの10年でそれぞれ2倍、1.5倍に増加。 企業による汚染物質の排出が主因とみられる。

太湖は面積約2200km2、中国第3の湖で長江デルタの要。

太湖は広くて浅いタイプの湖底で、湖底には柔らかくて、有機質や栄養塩類を大量に含んだ灰黒色のヘドロが沖積し、これが太湖の深刻な二次汚染の原因となっている。その中に含まれる栄養物質が、湖水の水質の富栄養化と藻類の爆発的増殖による栄養塩類を作り出す元の一つとなっている。

早くも1990年に太湖の北側一部の水域にアオコが急激に発生し、湖水は異臭を放ち、無錫市への1日の給水量は25%減となり、116軒の工場が生産停止か半停止状態に追い込まれている。

無錫、蘇州の両市は、生活用水の80%を太湖から取水している。
(無錫から上海へは、東に128km南京へは、西に183km。)

江蘇省無錫市で6月11日、太湖の水質汚染問題に関する国務院の座談会が開かれた。

温家宝総理は「太湖の水質汚染対策事業は長年行われてきたが、なお根本的な解決を見ていない。太湖の水質汚染事件はわれわれに警鐘を鳴らした。これを高度に重視しなければならない。汚染原因を徹底的に調査・分析し、これまでの事業を基礎として、総合的な管理を強化し、具体的な改善策と措置を研究し、立案しなければならない」との重要な指示を出した。

曽培炎副総理は席上で、「太湖周辺は人口密度が高く、経済が発展している。より高いレベル、より厳格な環境保護基準を適用し、より大きな決意で、より断固たる措置を採用し、環境管理を強化し、たゆまぬ努力を貫くことで、汚染問題の基本的な解決を図らなければならない」と強調した。

無錫市管轄の宜興市政府職員5人は、地元企業による汚染物質の違法排出への行政指導不足、監督不行届により、それぞれ行政過失記録、行政重大過失記録、懲戒免職の処分を受けた。

同市環境保護局も、5月30日から市内の企業439社の汚染物質排出状況を調査し、基準超過の9社に改善命令、3社に排出削減命令を出し、12社を行政処分とし、市政府に1社の操業停止あるいは移転を提言したことを明らかにした。

付記

温家宝首相は6月末に無錫で行われた対策会議で、飲み水問題を国家プロジェクトとして優先的に対処すると述べた。
問題となっているのは江蘇省の太湖(Taihu Lake )のほか、安徽省の中国最大の淡水湖の巣湖Chaohu Lake)及び 雲南省のDianchi Lake(さんずい偏に真)の3つの湖。

ーーー

先日NHKスペシャル「激流中国 北京の水を確保せよ ~しのびよる水危機~」で北京の水不足が報道された。
都市の発展が急速に進み、必要な水の量は圧倒的に増えたが、主要なダムの貯水量はここ5年で、3分の1に減っており、「オリンピックを成功させるため」として農民を犠牲にしてでも北京の水を確保しようとしている。

対策として「南水北送」(揚子江の水を北京などの北方地域に送る計画で水路の総延長は3700キロ、総工費は約15000億円)が進んでおり、水路が作られているが、肝心の揚子江の水が汚染されて飲み水に適さないという。

これまでの中国の経済成長優先のツケがいろいろなところで出てきている。

仏の食品メーカーのダノン Danone が出資する中国の合弁企業「杭州娃哈哈集団」Hangzhou Wahaha Group の炭酸飲料水「娃哈哈」(Wahaha)のブランド使用をめぐって、ダノンと中国側相手の対立が深刻化している。

ダノンはヨーグルト等の新鮮乳製品で世界一、Evian、Volvic、Aqua 等のブランドの炭酸飲料水で世界一、ビスケットやCereal 製品で世界第二のメーカー。
1996年にダノンと
全国人民代表大会の浙江省代表を務める有力者の一人で Forbes 誌で中国で23位の金持ちとされる宗慶後氏が、ダノン51%のJV 「杭州娃哈哈集団」を設立し、「娃哈哈」ブランドの炭酸飲料水を売り出した。現在では年間売上高14億ドルの中国最大の飲料会社となっている。宗慶後がJVの董事長(会長)となっている。

契約では中国側が競合製品を製造するのを禁止している。

ところが昨年、Hangzhou Wahaha Food & Beverage Sales が設立され、「娃哈哈」ブランドの炭酸飲料水を売り出した。
同社の親会社は
Hangzhou Hongsheng Beverage Co で、その持株会社がEver Mapleとなっている。

Ever Maple 宗慶後の娘で米国籍を持ちカリフォルニアに住Kelly Fuli Zong の会社で、Hangzhou Hongsheng Beverage Ever Maple 90%Kelly の母親が10%を出資している。

ダノンではこの違法な販売により、毎月少なくとも25百万ドルの損失を蒙っているとし、49日に中国側に販売をやめるよう、30日の期限付きで申し入れた。

期限切れを受け、ダノンはKelly と母親の住むカリフォルニアの裁判所にEver Maple Hangzhou Hongsheng Beverage の両社および代表者のKelly と母親を訴えた。損害賠償1億ドルと、訴えの日から賠償金支払いまでの間について毎月25百万ドルの支払を求めている。


これに対し、宗董事長はダノン側もこの会社のことを了承していたとし、「ダノンは中国市場の特性を理解せず商機を逸している」と反発した。そして、ダノン側が尾行したり写真を隠し撮りしたとし、JVの設立から今に至る詳細を述べ、「これ以上はダノンのアジア本部幹部らの侮辱に耐えられない」とする書簡をダノン本社に送り、すべてのJVの董事長を辞任した。

宗董事長の辞任を受けて、ダノンはアジア地区のエマニュエル総裁を急きょ董事長代行に任命したが、杭州娃哈哈の社員らがダノンからの役員受け入れに猛反発、ダノンが宗董事長を陥れたとし、「我々は宗董事長の軍隊であり、中国国民はこんなことには脅されない」とするレターを送りつけた。現在、エマニュエル氏らの人事は宙に浮いている。

中国では最近、外資排斥の動きが出始めているといわれる。
裁判所の判決が出ても、簡単には解決とはならないと思われる。このJVが今後どうなるか、予断を許さない。

ーーー

中国の知的財産権侵害は大きな問題となっているが、国際的な批判に対応して中国政府もようやくこの問題に取り組み始めている。

ヤマハ発動機は12日、「雅馬哈=YAMAHA」など自社の商標権を侵害されたとして中国浙江省台州市の二輸車メーカー、「浙江華田工業有限公司」など4社を訴えた訴訟で、最高裁判所にあたる中国最高人民法院が被告4社に対し、約830万元(約1億2500万円)の支払いと、ヤマハ発動機の商標を違法使用している製品の生産・販売の禁止、謝罪広告の掲載をを命じる判決を言い渡したと発表した。

中国企業を相手取った二輸車の商標を巡る訴訟では過去最高の賠償額で、判決は中国が知的財産権の保護に積極的に取り組む姿勢をアピールする狙いもあるとみられる。

ーーー

ところで、ダノンは世界で初めてヨーグルトの工業化に成功した会社である。

ヨーグルトのバクテリア機能はパスツール研究所のメチニコフ所長が解明した。
メチニコフ(1845-1916)はロシア人で、
ヒトデの研究から、細胞性免疫の基礎となる「捕喰細胞」の研究で1908年にノーベル賞を受賞したが、「メチニコフの仮説」を考えた。

動脈が硬化するのは腸内の細菌が自家中毒の原因となる毒を作るためであるというもの。
ブルガリアではブルガリア菌と呼ぶ細菌で作ったヨーグルトを毎日飲んでおり、長生きが多いことを知り、このヨーグルトが大腸内の細菌の繁殖を防ぎ、自家中毒を防ぐと信じた。毎日大量に飲用するとともに、自らヨーグルト製造会社を作って、製造と販売を行った。

1919年、スペインのIsaac Carassoが、パスツール研究所から乳酸菌の株を取り寄せ研究し、世界で初めてヨーグルトの工業化に成功した。
息子のDaniel の名前をもじり(DAN-ONE)、「DANONE」を商標にし、医師を通じて薬局で販売した。

このDaniel が1929年にフランスでダノン社を創設した。



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PetroChinaの子会社大慶石油化学(Daqing Petrochemical )はこのたび、国家発展改革委員会(NDRC)から黒龍江省大慶でのエチレン倍増計画の最終承認を取得した。

同社は当初、既存の60万トンナフサクラッカーのデボトルネッキングで80万トンに増強する計画であったが、これを変更し、60万トンクラッカーを増設して、120万トンに倍増する。誘導品の詳細は明らかにされていない。

原料ナフサは自給する。PetroChinaは大慶に、大慶石化の650万トン製油所と、大慶煉油化工(Daqing Refining and Chemical Company)の550万トンの合計1,200万トンの精製能力を持っている。

本計画のスケジュールは明らかにされていない。大慶市当局は以前に2010年までの完成を表明していたが、昨年初めに発表されたエチレン5カ年計画には含まれていない。

ーーー

本計画は中国北東部の産業の活性化と、大慶の原油生産減少の地方経済への影響緩和を狙ったもの。

大慶油田は1960年に開発され、2002年には中国の原油生産の約1/3 を占めたが、その後下降をたどっている。2005年の産出量は4,495万トン、2006年は4,340万トンとなっている。

ーーー

また、PetroChina ではエチレン生産ではSINOPECに遅れを取っており、現在6つのコンプレックスで合計能力263万トンしかないが、中国北東部の大慶石化、吉林化学と撫順石化、北西部の蘭州化学、新疆独山子(以上増設)、南西部の成都石油化学(新設)での新増設で2010年までに700万トンに増強するとしている。

現在判明している各社の状況は以下の通り。(単位:千トン、社名の左の番号は下記地図の番号)

  立地  現状 新増設 新増設後
①大慶石化 龍江省   600   600   1,200
②吉林化学 吉林省   850    ?    850
④遼陽石化化繊 遼寧省   120    80    200
⑤撫順石化 遼寧省   150   800    950
⑮蘭州化学 甘粛省   690       690
⑯新疆独山子 新彊省   220  1,000   1,220
  成都石油化学 四川省   -   800    800
合計
   2,630
 3,280
 +α
  5,910
→ 7,000

新増設後の能力は591万トンしかないが、PetroChina では吉林化学と蘭州化学の増設に言及しており、これらで100万トン程度の増設を検討していると思われる。

 



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DuPontと英国のTate & Lyle の折半出資による合弁会社、DuPont Tate & Lyle Bio Products, LLC, 68日、テネシー州のLoudon 工場にBodman エネルギー庁長官を迎え、Bio-PDOの商業生産を祝う式典を行った。

同工場は世界で初めて再生可能原料(トウモロコシの糖分:corn sugar) から1,3-propanediol (商品名Bio-PDOをつくる工場で、年産能力45千トン、建設費は1億ドル。昨年11月に生産を開始している。

American Chemical Society は当日、Bio-PDOの開発チームに 2007年のHeroes of Chemistry 賞を授与した。

合弁会社は、DuPont と Tate & Lyle が共同開発した独自の発酵プロセスを導入している。propanediol の生産に必要なエネルギーは石油由来のものに比べ40%低減し、温室効果ガスの排出を20%減らす。

Bio-PDOの用途は多岐にわたり、化粧品、液体洗剤、不凍液やその他グリコールが使用されている分野のほか、不飽和ポリエステルや3GT繊維のDuPont Sorona、最新のDuPont Cerenol (高機能ポリオール)の原料となる。更に新しい熱可塑性エラストマー Hrtrel や自動車仕上げ材も間もなく上市される。昨年11月に販売開始されて以来、新用途が次々と出ている。

Soronaは、様々な用途において他にない数多くの特性を発揮する高機能ポリマーで、カーペット繊維(柔らかい感触と耐久性、優れた防汚性能)、アパレル素材(抜群の柔らかさ、快適な伸縮性、回復力、手入れが簡単、紫外線や塩素にも耐性)、自動車や室内装備、パッケージおよびエンジニアリングプラスチック材など、様々な用途での利用が可能。
これまでは石油ベースの原料で作られていたが、2007年初旬からBio-PDOでの製造が開始された。

DuPontは昨年10月に、Soronaを生産し、アジア全域で販売するため、中国の「張家港 Glory Chemical Industry」 と提携すると発表した。DuPont技術の年産30千トン連続重合設備を2007年第2四半期に商業生産を開始する予定で、原料のBio-PDOは米国から供給する。

現在、Bio-PDOは次の2つのブランドで販売されている。
  
ZemeaTM propanediol   パーソナルケアおよび液体洗剤等の市場向け(高純度、低刺激性) 
  Susterra
TM propanediol  解凍液、不凍液、熱媒体油などの工業用(低毒性、生分解性)

* DuPont Tate & Lyle Bio Products のサイト http://www.duponttateandlyle.com/about_us.html

 

Tate & Lyle 類を使った甘味料、デンプン、精糖、高付加価値食品および工業用原料、およびクエン酸などを扱っており、工業用デンプンでは世界第一位、SPLENDA®スクラロース(高甘味度甘味料)を製造する唯一のメーカー。
過去10年間で同社のテクノロジーの中核をなす発酵技術を確立し、現在では世界有数の発酵メーカーとして4大陸に17の発酵設備を所有している。

DuPont は再生可能なバイオベース素材、先進的なバイオ燃料、省エネ技術、高機能の安全防護製品、代替エネルギー関連製品および技術をはじめとする、製品の開発と商業化を推進している。昨年10月に持続可能性についての新しい公約を明らかにした。

   2006/10/17 デュポン、持続可能性について新たな公約を発表 

ーーー

参考 2007/5/8 植物ベースのバイオ製品の開発   

 

インド国立海洋技術研究所は佐賀大学の技術協力でインドの沿岸に建設していた海洋温度差発電(OTEC)の実証プラントを利用し、1日千トンの淡水を製造する海水淡水化装置の稼働実験に成功した。

温かい表層水を低圧下で蒸発させ、深さ約500mの海から汲み上げた温度の低い深層水で冷却し淡水化する仕組み。
表層水と深層水の約15度の温度差を利用する。
インド南東部チェンナイ沿岸の海上プラントで、4月13ー16日にOTECの熱交換器を利用して連続運転試験を行い、計4,000トンの淡水化に成功した。

同研究所と佐賀大学海洋エネルギー研究センターは、佐賀大学の開発した技術で千キロワットの海洋温度差発電(OTEC)の実証設備を建設したが、実験は取水管トラブルなどがあって難航していた。
淡水化だけならば水温差やポンプの動力が小さくても可能で、深層水をくみ上げる取水管も短くて済むため、発電実験の前に施設を改造し、淡水化実験に成功したもの。

同研究所は「同タイプで10倍の処理能力を持つ新しいプラントを1年以内に建設したい」としている。

OTECが完成すれば、OTECで使用する表層水、深層水を再利用できる。

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佐賀大学の海洋温度差発電( Ocean Thermal Energy Conversion, 通称 OTEC)はウエハラサイクルと呼ばれ、1994年に元佐賀大学学長の上原春男教授が発明した。

蒸発器、凝縮器、タービン、発電機、ポンプがパイプで連結され、作動流体としてアンモニア/水の混合物質が封入されている。
これが液体の状態でポンプによって蒸発器に送られ、そこで、表層の温海水によって加熱されて、蒸発し、蒸気となる。
蒸気は、タービンを通過することによって、タービンと発電機を回転させて発電する。
タービンを出た蒸気は、凝縮器で約600~1000mの深層より汲み上げられた冷海水によって冷却され、再び液体になる。
これを繰り返す。

1970年代のOTECプラントではランキンサイクルと呼ばれる、媒体に純アンモニアを用いた発電方式で行なわれていたが、熱交換器の性能が悪く、経済性を満足するまでには至らなかった。
ランキンサイクルは
1850年代に英国の William John Macquorn Rankine が開発したもの。

ウエハラサイクルはランキンサイクルと比べ、サイクル熱効率は1.5~2倍で、必要海水流量は50%程度、設備費は60~70%で済み、正味出力(所要動力を除いた利用可能な電力)はランキンの約55%に対して約80~85%となっている。

佐賀大学によると、日本の経済水域での海洋温度差エネルギーの総量は、試算によると1年間に1014kWhになる。これは石油に換算すると約86億トンに相当し、2000年に日本が必要とするエネルギーの約15倍に相当する。
仮に、日本経済水域内の温度差エネルギーの1%を利用するとすると、年間8600万トンの石油を節約できることになる。

10万キロ・ワット級の発電装置を作れば、火力発電より安くなるとの試算もあるとのこと。

ーーー

佐賀大学が保有する海洋温度差発電技術の国有特許の専用実施権は㈱ゼネシスが取得している。

同社は旧称里見産業で、伝統技術と最新のFA化技術を融合させた新酒造システムを開発、製造販売をしていたが、創業者が上原春男教授の考え方に感銘を受け、研究開発に参画した。

主要事業は、海洋温度差発電、海水淡水化装置、排水熱温度差発電、温泉水温度差発電(STEC)・その他となっている。


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2006年11月、台湾資本のDragon Group(騰龍グループ)は福建省廈門の海滄投資区で芳香族とPTAプラントの建設に着工した。
PXはDragon Aromatics (Xiamen) Co.(騰龍アロマティックス)、PTAはXiang Lu Petrochemical (翔鷺石油化学) が担当する。

 
2006/7/31  台湾資本のDragon Group福建省廈門でPXからPETまで一貫生産へ
 

しかし、このたび、騰龍アロマティックスは住民の反対運動でPXプラントの建設中断を強いられた。
5月末に廈門市当局は住民やメディアの声を受け、Dragon AromaticsのPX計画について廈門地区環境評価が完了するまでの建設中断を決定した。住民の反対は収まらず、場合によっては計画の中止、立地の変更も考えられる。

廈門は旅行やレジャーに適した美しい島だが、PXプラントは廈門湾をへだて7km離れた海滄投資区にある。
(中国の規則ではそのような工場は住宅地から最低10km離れていることとなっている。)
両社は環境アセスメントを行い、国家発展改革委員会(NDRC)の認可を得ているが、環境アセスメントは一般に公開されていない。

香港の Asia Sentinel は経緯を以下の通り述べている。

当初、コラムニストがPXプラントの危険性を問題とする記事を新聞に書いたが、市当局は関連記事の記載を禁止した。
ところが、「事故が起こると何千トンもの毒物が放出される」といった内容の記事がインターネットに次々掲載された。

その内に “I Love Xiamen, No PX “. といったビラが廈門市中にばらまかれた。

これに対して、廈門市長は何も問題はないと言明した。

3月16日に北京で開催された中国人民政治協商会議(CPPCC)で、中国科学院メンバーで廈門大学の化学の教授のZhao女史が工場により引き起こされる健康問題について懸念を表明した。規則では危険な工場は住宅地から少なくとも10km離れる必要があることが喚起され、105名のCPPCCメンバーが工場移転を要請する手紙にサインした。
(Zhao女史にも騰龍アロマティックスの環境アセスメントは開示されていない)

その後、インターネットや携帯電話のSMS(Short Message Service)で情報が伝わり、爆発的に広がった。

3月25日のメッセージは次の通り。
「騰龍グループはベンゼン計画を開始した。非常に毒性の強い化学品が製造されると、廈門全体が原爆にやられるようなもので、みんなが白血病にかかり、奇形児が生まれる。我々は健康な生活をしたい。国際機関はこのような計画は住宅地から100km離すことを義務付けている。廈門は16kmしか離れていない。子孫のために、この情報を皆に知らせよう」

3月28日には地元のTVがこれを報じた。

5月30日に廈門市当局はDragon AromaticsのPX計画について、廈門地区環境評価が完了するまでの建設中断を決定した。
しかし、市民は中断は中止とは違うとし、これは単なる時間稼ぎだと批判した。

5月31日、人びとが集まり、「パラキシレン反対、廈門を守れ」のプラカードを先頭にデモが始まった。警官は何もせずに引き下がった。5,000人程度がデモに参加した。

 

騰龍アロマティックスの芳香族計画は13.5億ドルを投じて、パラキシレン800千トン、オルソキシレン160千トン、ベンゼン228千トンのほか、発電所や桟橋、タンクを建設するもので、2009年初めのスタートを目指していた。

なお、翔鷺石油化学のPTA第二期計画(150万トン)については問題となっておらず、既存プラントの増設であることから、同社ではこれに関係なく計画を続行する見込み。

ーーー

中国ではこれまで地方政府の業績はGDPGross Domestic Product)への貢献で評価されたため、住民の安全、環境保護に反することがしばしば起こった。住民無視の企業誘致が今回の事態を引き起こしたといえる。
環境アセスメントの段階で住民の意見も聞いておれば、こんな事態にはならなかったであろう。

「原爆」、「白血病」、「奇形児」などは、(どこまで知った上でのことか分からないが)、反対のために何も知らない住民をけし掛けているような感じも見られる。
これも住民への事前のPRが全くなされていなかったためであろう。問題が起こってからの対応も不十分なようだ。

相手が中国企業でなく、台湾企業であるからかどうかは分からない。

中国では2005年11月に発生した吉林石油化学の爆発事故やその他の多くの事故・環境問題で住民の不安が高まっている。
最近も
太湖のアオコ(藍藻)の発生で無錫市の飲み水供給が問題となっている。(6/16 に詳細)

中国ではようやく「省エネ・排出抑制総合工作方案」が出され、環境対策が重視されるようになったが、今後は、住民対策も必要になる。
中国に進出する日本の企業に、また新しい問題が生まれた。


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INEOSは5日、ノルウエーのBorealisの石化事業を290百万ユーロで買収することで合意したと発表した。

買収するのはBorealisPP175千トン)とLDPE140千トン)設備及び Norsk Hydro Borealis 50/50JVであったエチレン会社Noretyl 50%持分。

Borealis については下記参照。
  2006/11/10 OMVとBorealis、オーストリアとドイツで石化増強 

Noretyl の能力はエチレンが557千トン、プロピレンが80千トン。
(上記の
2006/11/10記事ではエチレン450千トンとなっているが、今回の発表では557千トン)

なお、同様に
Borealis PE能力は270千トンとなっていた。
内訳は
LDPE 140千トンとHDPE 130千トン(本年2月現在は110千トン)であるが、HDPEについては20072月に廃棄を検討すると発表しており、今回の売却からは除外されている。

既報の通り、INEOS Norsk Hydro からNoretyl 50%持分を含むポリマー事業を買収するため、今回の買収で INEOSNoretyl 100%所有することとなり、ノルウエーのオレフィン、電解~PVC、ポリオレフィンの一貫の事業を全て取得する。

  

 

  
2007/5/25 INEOS、Norsk Hydro からポリマー事業を買収

INEOS Norsk Hydro PVC事業買収で 既存のEVCの事業を強化するが、今回のBorealisのポリオレフィン事業買収で既存の元 Innovene のポリオレフィン事業の強化を図る。

更に、エチレンの取得で、既存のスコットランドGrangemouth)、ベネルックス AntwerpLilloGeel)、ドイツKölnWilhelmshaven)、フランス (Lavéraと合わせ、欧州市場を網羅した原料基地を持つこととなる。

INEOS については下記参照
  
2006/6/14 事業買収で急成長した化学会社  

 


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Monsantoは昨年8月に米国第1位の棉種子会社Delta and Pine Land Company Deltaを現金15億ドルで買収することで合意し、その後、独禁法問題で司法省と交渉を続けていたが、5月31日、米国の棉種子事業の一部を切り離すことで合意に達したと発表した。

MonsantoDelta は、アメリカの棉の種子市場で合わせて50%以上のシェアを持つ。Delta は中国、インド、ブラジル、メキシコ、トルコ、パキスタンなどの主要な市場を含む13カ国に関連会社を持つ。

買収の条件としてMonsanto は以下の事業を処分する。
Stoneville ブランドの棉種子と関連資産をBayer CropScience に310百万ドルで売却
NexGen ブランドの棉種子と関連資産をAmericot に売却
・その他

ーーー

実は、Monsanto 1999年にDelta 18億ドルで買収することで合意した。しかし、この買収は2つの大問題を抱えていた。
第一は独禁法問題で、第二が
Delta の持つTerminator 技術の問題であった。

この技術はDelta 米国農務省が共同で開発し、1998年3月Delta 「植物遺伝子の発現制御」という名で米国特許を取得した。
種子を死滅させる毒性タンパクを作る遺伝子を組み込むことにより、1回目
の発芽の時はその毒素遺伝子にカギがかけられ種子は収穫できるが、2回目の発芽の際には種子が死滅する。
一世代限りの種子で、農家は農作物を自家採種できなくなる。
環境保護団体がその危険性からTerminator 技術と名付けた。

農民や市民団体、多数の国の政府の反対にもかかわらず、Delta はこの技術の世界中での商業化を主張していた。
MonsantoによるDelta 買収で批判がMonsanto に集中した。

この結果、当時のMonsanto CEORobert Shapiro はこの技術の商業化は行わないと約束した。
1999年10月4日付けで、Rockefeller Foundation会長(Monsanto役員)及びその他宛てとしてOpen Letter を出した。

I am writing to let you know that we are making a public commitment not to commercialize sterile seed technologies, such as the one dubbed "Terminator." We are doing this based on input from you and a wide range of other experts and stakeholders, including our very important grower constituency.

今回買収する予定のDeltaの技術は開発段階であり、商業化するとしても最低5年はかかり、商業化できるかどうかも分からない。
Monsanto は不妊種子技術以外の遺伝子操作技術を持っているが、遺伝子保護や農業上の利便のために将来これらを利用することはあり得る。
各方面の意見は十分聞きたい。問題点が完全に明らかにされ、提起された懸念に公に対応するまでは
gene protection technology を商業化しないことを約束する。

しかし、第一の問題の司法省による独禁法の審査が大幅に遅れ、結局、Monsanto 199912月に買収を断念している。

ーーー

今回の買収で Monsanto はこの技術を棉に関しては商業化する模様である。

同社は毎年「公約」を発表しているが、2005年のMonsanto Pledge Report では以下の通り1999年の公約の内容を修正している。

1999年に農務省と種子会社が開発している不妊種子技術に関して懸念の声が上がった。
これに対して
Monsantoでは 「食料作物に対しては」 不妊種子技術を商業化しないと公約した。
この公約は今も有効だが、
Monsantoでは技術の発展に応じて絶えずこのスタンスを評価し直している。
Monsanto は将来この技術を使用する可能性を否定しない。常にケースバイケースでリスクとベネフィットの検討を続ける。

http://www.monsanto.com/monsanto/content/media/pubs/2005/focus_impacts.pdf

1999/10の公約では 「食料作物に対しては」 という限定はついていない)

 


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国務院は3日、国家発展改革委員会と関連部門が制定した「省エネ・排出抑制総合工作方案」(General Work Plan for Energy Conservation and Pollutant Discharge Reduction)を発表した。
それによると、中国は省エネ・排出抑制を奨励するための税収政策を制定・完備する方針。
時機を見計らい、燃料税を発表し、環境税の制定を検討するという。

政府は昨年、2010年に終わる11次5ヵ年計画で、単位当たりGDPに対するエネルギー消費を20%、汚染物質排出を10%削減する目標を立てた。

しかしこの1年では目標に達せず、しかも誰も責任を負っていない。
(昨年のエネルギー消費削減目標4%に対し、実績は
1.23%)
しかもエネルギー消費が大きく、汚染物質排出が多い電力、鉄鋼、非鉄金属、建設資材、石油精製、化学の6分野が第1四半期に急拡大し、ますます事態は深刻になっている。
(全産業のうち、エネルギー消費と
SOx排出量の70%を占めるこれら業界は、第1四半期に20.6%伸びた)

現状のままでは最終目標達成は不可能なため、今回の「方案」が作成された。

国務院は政府や企業に対し、今後は省エネと排出抑制が業績評価の基準になると警告した。これらの目標が達成できない場合、他の実績があってもマイナス点を与えるとしている。

同「方案」の具体的な政策内容は次の通り。

省エネ・環境保護型自動車および船舶、省エネルギー・土地節約・環境保護型建築物および現有建築物の省エネ改造を奨励する税収面での優遇政策を実施する。
時機を見計らい、燃料税の徴収を施行する。
環境税の徴収を検討する。
新エネルギーの発展を促進する税収政策を検討する。
先進的な省エネ・環境保護技術や設備の輸入を奨励する税収面での優遇政策を実施する。
交通運輸における省エネルギー・排出抑制管理を強化するため、都市の公共交通の発展を優先させ、都市高速公共交通・レール交通の建設を加速する。
燃費や汚染度が高い自動車の発展を抑制し、乗用車・軽商用車の燃料消費量の限定基準を厳格化し、燃費申告・公示制度を作り上げる。
新エネルギー自動車生産への参入許可管理規則を公布・実施し、代替エネルギー自動車の産業化を促進する。

具体策

再生可能エネルギー利用促進
(風力、水力、メタン・地熱、将来的に燃料エタノール、バイオエタノール)
(政府機関)省電力電灯の使用  
(政府機関)省エネ、節水、環境に優しい製品の購入の義務付け
省エネ、環境対策計画への融資促進、優遇税制
石油、天然ガス、電力等の価格メカニズムの改正と、高エネルギー消費・汚染物質排出製品の輸出規制
鉄鋼、非鉄金属、石化、セメントなど高エネルギー消費産業のエネルギー使用の最適化

政府は本年に31.5百万トン、2010年までに118百万トンの石炭を節減し、SOx排出を本年に400千トン、2010年までに240万トン減らすとしている。

また、旧式の製造設備の廃棄を促進し、CODを本年に62万トン、2010年までに138万トン減らすとしている。

旧式設備廃棄の廃棄対象の例は以下の通り。

  本年 2010年
石炭発電 合計能力10百万kw以下 50百万kw以下
鉄鋼 20万トン以下で合計能力35百万トン以下 55百万トン以下
アルミ製錬 100千トン以下 650千トン以下
カルシウムカーバイド 6300kv-アンペア以下の電炉で合計能力500千トン以下 200万トン以下
セメント 50百万トン以下 250百万トン以下
製紙 230万トン以下 650万トン以下
アルコール 400千トン以下 160万トン以下

SOx削減のためには 全ての新石炭火力発電所(188百万kw)と167百万kwの既存発電所に脱硫設備をつけ、年間590万トンのSOxを減らす。(これまでの設置は35百万kwの石炭火力発電所のみ)

2010年の主な目標数値は以下の通り。

エネルギー消費  2005年のGDP1万人民元当たり石炭1.22トンから20%減の1トンに
水の使用 産業の付加価値当たりで30%減
主廃棄物 10%減
SOx排出 2005年の25.49百万トンから22.95百万トンに
化学的酸素要求量(COD) 2005年の14.14百万トンから12.73百万トンに
都市の下水処理 最低70%に
産業固形廃棄物の利用 60%以上に
 
  本年の目標 2010年の目標
都市の下水処理能力 12百万トン増 45百万トン増
水の再利用能力(トン/日) 100万トン増 680万トン増
COD削減能力 60万トン増 300万トン増
海水の淡水化の稼動能力 合計35百万kw 合計355百万kw

今回の「方策」には農業や家庭部門を含む国全体としてのCO2削減目標は示されていない。

ーーー

国家発展改革委員会の馬凱主任は4日の記者会見で、次のように述べ、京都議定書後の国際的枠組み整備に積極的に参加する意向を示した。

地球温暖化は争いのない事実である。
地球温暖化は自然環境と人類のサーバイバルに深刻な影響を与える。
自然の影響もあるが、温暖化は人間の活動、特に化石燃料の使用によるところが大きい。
温暖化による気候の変動はボーダーレスで国際社会の協同が必要。
中国政府はこれを重大視し、国際社会との協同を希望してきた。

しかしながら、主任は胡錦涛主席の昨年のG8+5での「気候変動は環境問題であるとともに、同時に開発の問題である」という発言を引用し、「中国のような途上国には、先進国と同様の量的削減義務を課すのは不適当だ」と述べ、先進国と同様のCO2削減義務を負うことを拒否する姿勢を鮮明にした。

主任は、先進国は産業革命時点から1955年までの化石燃料使用で全世界の一酸化炭素の95%を放出し、1950-2000年の期間では77%を放出していると指摘し、先進国が気候変動に責任があり、大きな義務を負うべきだとした。そして、先進国は開発途上国の開発の権利を十分考えるべきであると述べた。 

付記

中国建設部(建設省)は6日、「省エネ」を建築物竣工検収時の必須検査項目とする「建築省エネ工程施工品質検収規範」を公布した。
「省エネ工程を建築時の一工程として初めて明確に規定し、省エネ設計の実施具合、実際の資材と設備の品質、施工過程の品質管理、システム調整と作動検査の4項目を施工・検収時の重点としている」と説明している。
同規範は建設部が制定・審査・認可し、国家技術質量監督検験検疫総局と共同で公布、今年10月1日から施行される。

続 次の買収は?

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2007/5/28 「次の買収は?」 でいろいろの噂を報じた。

大規模買収が続く中で、投資家の間では更にいろいろの噂が飛び交っている。
なんらかの材料でもてはやし、株価を上げて儲けようとしているようだ。

1.Dow/BASF

5月31日に株式トレーダーの間でDow がドイツのライバルBASFを買うのではとの噂でBASFの株価が上昇した。

1日のロイターによれば、DowのLiveris CEO は、この噂に対してはノーコメントとしながらも、そんな大会社間のTOBは単なる資金問題だけでなく、難しい問題があるとして否定的なニュアンスを示した。
更に同社として関心のあるのは、今後伸ばしたい水処理事業とコーティング事業であり、そんな企業を狙いたいと述べた。

Dowは限外ろ過(微孔を有する高分子膜を用い、コロイド状粒子や有機性物質を加圧ろ過する方法)、膜分離活性汚泥処理、電気再生式脱イオン装置などの技術をもち、売上高は年間4億ドル程度。Liveris CEOは2~3年内にこの事業を20億~30億ドルにしたいとしている。
同社は昨年6月、浙江省湖州市の欧美環境工程有限公司(OEE)の株を買収している。

コーティング事業についても2~3年以内に同規模にしたいと述べた。

更に、Natreon oil のような健康・栄養事業の売上を伸ばしたいとしている。
Dow AgroSciencesは2004年に、品種改良された「Canola 種菜種」を使い、トランス脂肪酸、飽和脂肪酸を含まないNatreon oil を発売している。

ーーー

6月5日の日本経済新聞はLiveris CEOとのインタビュー記事が載っている。

大型M&Aについて
 「独BASF、米デュポンとの合計でも市場シェアは7、8%しかない。それでは規模の利益を得にくい」

デュポンの買収提案
 「それらは観測だ。・・・我々はどんな買収も急がない」
 「現在は川下分野で投資機会を探っている。先端分野で技術力を持つ会社などに関心がある」

解雇役員との訴訟合戦
 「彼らは会社を非上場化し、バラ売りしようとしていた。・・・会社を売るより、現在の経営戦略を続けた方が長期的な株主価値を生み出せると思う」

 

.2.Bayer

証券アナリストの間でBayerがプラスチック(MaterialScience)事業を売却するのではとの説がある。
同社のCEOが、プラスチック事業は同社の重要な部門であるとしているが、いつまでそれが続くだろうかとしている。

同社のMaterialScience 部門は以前のBayer Polymers と Bayer Chemicals から Lanxess が分離独立した残りの部門で、PC、ポリウレタンなどが中心となっている。 

Bayer は昨年Schering AG 230億ドルで買収しライフサイエンス会社に変身した。
(買収資金の一部を賄うため、MaterialScience の子会社、希少金属粉末の H.C.Starck、セルロースの Wolff Walstrode は売却された。)

その結果、MateriaScience 部門は異質な存在になりつつある。

更に、同部門の全社における比重も減っている。

昨年の同部門の全社における売上高比率は前々年の38%から35%に減少している。

営業損益もグラフの通り、同部門が減益となる一方、CropScience を含むライフサイエンスは、(Schering AG の分が半年分しか入っていないが)増益となり、全社での比重が高まっている。

      注 Schering AG の分は2006/6/23から算入

あるアナリストはGE Plastics の売値からみて、かなりの高値で売れるだろうとし、その収入を医薬事業に投入すれば世界のトップ10の医薬会社になれるとしている。

但し、現在のBayerSchering 買収で3月末で130億ユーロの借入金を持っており、返済のためにプラスチック事業のキャッシュフローが必要とする声もある。

ーーー

Bayer の医薬部門では、医療用医薬品に注力する一方、OTC 医薬品の買収を検討している。
同社は昨年
Schering AG を買収したが、医薬品のうち医療用医薬品の比率を 6070%にとどめたいとしており、OTC医薬品の拡大が必要としている。

Bayer 2004年にRoche Consumer Health 部門を23.8億ユーロで買収している。

買収の候補にスイスのPharmaton SA が入っているかとの質問にはノーコメントであった。
(昨年
8月、Boehringe Ingelheim は子会社rPharmaton を米国のIdeaSphere に売却する契約を締結したが、本年2月に売却はキャンセルされた。)

中国のPVC輸出急拡大

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中国のPVCの輸出が急拡大している。

4月の輸出量は88,096トンとなり、同国のPVC輸出量88,804トンとほぼ並んだ。

同国のPVC輸入量は漸減しており、近いうちに輸出量が追い抜き、中国がネット輸出国になるのは間違いない。

 

これまでの中国のPVC輸入の最大は2001年の 1,916千トン(月平均で 160千トン)、月別では2002年3月(旧正月明け)の 208千トンであった。

  

中国のPVC輸出は 2005年9月まではごく少量であったが、同年10月から増え始めた。

2005年の輸出は119千トン、2006年は460千トンで、輸出先は下記の通り。(千トン)

  2005 2006
インド 25 89
トルコ 16 118
香港 13 11
韓国 12 32
米国 10 6
エジプト 9 32
ロシア 0 36
その他 34 136
合計 119 460

昨年の第4四半期に急減しているが、これは、6月にインドの地元企業が中国、韓国、日本等からのPVC輸入品に対してアンチダンピング提訴を行ったことが関係しインド向け輸出が激減したこと、及びトルコがPVCの輸入関税を引き上げたことが響いている。

その後、インドへの輸出は復活した。(トルコは減ったまま)

2007年の輸出先別数量は下記の通り。(千トン)

  1月 2月 3月 4月
インド   13   25   40   48
エジプト    3    5    8   18
UAE    2    3    4    4
ブラジル    5    5    1    2
ロシア    2    4    3    3
トルコ    3    4    3    2
その他   13   19   26   11
合計   41   64   85   88

 


* バックナンバー、総合目次は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm

REACH 発効

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EUの化学物質新規REACHRegistration, Evaluation, Authorisation and restrictions of Chemicals)が6月1日に発効した。

これに伴い、この法律の運営に当たる新しい欧州化学庁(European Chemicals Agency=ECHA)がHelsinki 設置され、活動を開始した。
 ウェブサイト http://ec.europa.eu/echa/home_en.html 

EUは6月1日に以下の通り発表した。

REACHの発効に伴い、新欧州化学機関が活動を開始

化学物質に関する欧州連合(EU)の新規制
REACHRegistration, Evaluation, Authorisation and restrictions of Chemicals)が本日発効する。これに伴い、フィンランドのヘルシンキに新設された欧州化学機関(European Chemicals Agency = ECHA)も活動を開始する。

REACH規則は、技術革新を促進し、EU の化学産業の競争力を維持しながらも、人間の健康および環境の保護を大幅に改善する。化学物質に関する新要件の実施を担当するECHAは、そのウェブサイトを通じて重要情報の提供を行う。

同機関は、企業による予備登録書(pre-registrations)および登録文書一式(registration dossiers)のオンライン登録が始まる2008年6月1日までに全面的に活動を開始できるよう全力で取り組む。

「REACHの発効に伴い、EUは世界で最も先進的な化学物質規制を有するようになる。REACHを実際に機能させる上で、次の大きなステップとなるのが欧州化学機関の体制を適切な形で整えることである。人々の健康と環境を化学物質によって引き起こされうる危険から守るためには、なすべきことはまだ多く残っている」。

化学物質に関する新要件:
REACH規則の日常的な管理は、新しい欧州化学機関(ECHA)の管轄となる。

REACHの下では、11年間で、現在使用されている約3万もの化学物質の登録が義務づけられる。ECHAがこの登録の調整を行う。必要なデータを集め、リスク管理に必要な手法を明確にする責務は企業側にある。

また、ECHAは、健康や環境に対するリスクがあると疑われる物質については評価を行うとともに、「深刻な懸念がある」物質についてはその使用に関して認可制度を導入する。

この認可制度は、安全な代替物への切り替えを企業に強く促すことになる。すべての認可申請には代替物の分析や、適当な代替物が存在する場合はそちらへの切り替え計画を含めることが義務づけられる。容認できないリスクが確認できた場合、REACHによってより迅速に完全な、もしくは部分的な禁止措置を講じることが可能になる。

そのほか、動物実験を最小限にとどめるための手法や、代替的な実験手段の使用を促す方策も予定されている。

 

環境省はREACHに関するサイトを作り、REACH 関連情報やシンポジウムの記録を掲載している。
   http://www.env.go.jp/chemi/reach/index.html

 

参考 2006/12/18 EU、化学物質新規制「REACH」施行へ  

米投資会社のBlackstone Capital Partners はこのたび、Celanese社株式の売却を完了した。

Blackstone 2004年に Celanese TOBにより38億ドルで買収し、ドイツ株式市場から上場廃止とした。

同社は取得の7ヵ月後には米国証券取引委員会に7.5億ドル(その後10億ドルに修正)の株式発行(IPO)の予備登録を行い、2005年初めに株式発行して New York 市場に上場した。

同社はその後、順次持株を売却し、本年5月に残り株式を売却して、完全にCelanese から離脱した。

2005年初めのCelanese 株式の発行価格は16ドルであったが、その後の化学品の価格上昇と同社の営業面、及び事業戦略面での改善で株価は上昇し、35ドル前後となっている。

この結果、Blackstone Celanese の買収→売却で、短期間の間に50億ドル以上の利益を得たこととなる。

 

Celanese の基はドイツのHenri Dreyfus 1913年に設立したCellonit Gesellschaft Dreyfus (セルロイド製造)で、その後、航空機用ペイント、その原料の酢酸の製造を行った。英国、米国にも進出、第一次大戦後の需要減でアセテートの製造を始めた。

1961年に米Celanese はヘキストとの合弁で Ticona を設立、1964年には Celanese は日本でダイセルとの合弁でポリプラスチックを設立している。

1987年にヘキストがCelanese を買収したが、1997年にヘキストは事業再編でTiconaを分離、1998年に化学部門を新セラニーズとして分離した(Ticonaはセラニーズ子会社となる)。

元の親会社のヘキストとローヌプーランはライフサイエンス部門を統合してAventisとなり、その後、
Sanofi Aventis となっている。

Celanese については下記を参照
  2007/2/22 セラニーズの中国での活動  

 


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信越化学は5月30日、100%子会社のShintechが、電解工場とVCM工場をテキサス州に建設するために同州の環境庁に許可申請を行なったと発表した。

工場能力は電解が苛性ソーダ550千トン、塩素500千トン、VCMが825千トン。

Shintech の能力は以下の通りとなる。(単位:千トン)

立地   PVC VCM 塩素  
Texas州 Freeport    1,450   -   - VCMは 隣接のDowから購入
今回発表の計画       825   500 Dow品VCM代替
Louisiana州 Convent (計画→中止)  (500)  (500)  (250) 反対運動で中止
Addis 上記代替   590   -   - VCMは 隣接のDowから購入
Plaquemine  建設中   600   750   450 一貫生産
Addis (買収→廃棄)  (270)   -   - Bordenから購入、廃棄
合計    2,640  1,575   950  

Shintechは1973年に信越化学とRobintech との合弁会社として設立され、Dowのコンビナートに隣接して工場を建設した。

信越化学のニカラグアJVのポリカサ(その後撤退)ヘの原料VCM交渉を通じてDow との交流が深まり、同社関係者から信越自身の米国でのPVC企業化を勧められていたことが背景にある。

その後、Robintechが撤退し、Shintechは信越化学の100%子会社となった。

Shintechの特徴はダウとの提携であった。
ダウはエチレンと電解~VCM事業、シンテックはPVC事業に専従して共存共栄体制をとり、VCM価格の決定にはPVC価格を反映させている。
PVC価格が暴落した場合は値下がり損の半分をVCM価格引下げでダウが負担、逆にPVC価格が上がれば値上がり分の半分がVCM価格に反映されるというものである。

しかし、信越化学は1996年に Louisiana州 ConventにShintechの第二工場建設を決めたが、電解~VCM~PVCの一貫体制を考えた。
この時点で第二工場に関しては(原料のエチレンは別として)Dow からの離別を考えたと言える。

しかし、この計画は環境保護団体グリーンピースが「ダイオキシンが発生する塩ビ工場を黒人住民の多い地域に建設するのは人種差別」と攻撃して難航し、結局、1998年になり信越は立地をAddisに変更し、一貫生産を棚上げしてPVC 59万トンのみの生産とした。
ここには
Dowの工場があり、第一工場と同じく、Dowから原料供給を受けるかたちとなった。

2004年12月、信越化学は新計画を発表した。
Louisiana 州
Plaquemine に総額10億ドルをかけて塩素 45万トン、VCM 75万トン、PVC 60万トンの一貫生産を行うというものである。
前回と異なり、地域を挙げての大歓迎であった。

ーーー

今回の発表は第一工場であるTexas州Freeportに電解とVCM工場を建設するものである。
同工場のPVC能力 1,450千トンに対してVCMは825千トンで、従来 Dow から供給を受けていたVCMのうち、57%分を自製に代えることとなるが、塩素能力から見ると、将来的に70%程度を自製のVCMで賄うこととなると見られる。

Plaquemine 工場の場合は、増分のPVC用原料を自社供給するものであるが、今回はこれまでDowに依存していた分を置き換えることとなる。

Dow との共存共栄関係は崩れたのだろうか。
信越化学とDowの関係が変わりつつのは確かであろう。

 

DowはShintechの第3工場(Plaquemine の原料一貫工場)発表の直前の2004年11月に、テキサス工場のEDCプラント1系列を2005年末までに停止し、VCMの生産も縮小すると発表した。
今後の設備の維持更新費が多額となるのに加え、エネルギー・原料価格の高騰に伴い、採算が合わなくなったためと説明している。

同社は昨年8月には、カナダの電解、EDCプラント停止を発表している。27年間経過したプラントを今後長期間維持するためには多額の投資が必要で、現在の想定収益性ではこれを認められないのが理由。
  2006/9/7 
ダウ、3工場の7プラント閉鎖 

同社は基礎部門の採算改善のため、”Asset light" 戦略を進めているが、VCM事業は注力すべき事業ではなくなっているようだ。

 

信越化学は今回の発表で以下の通り述べている。

シンテック社は(中略)トップメーカーとして北米を中心に全世界の塩ビ市場で確固たる地位を築いてきた。その間、塩ビの原料であるモノマーは、主にダウケミカル社から購入してきた。ダウケミカル社は、長年にわたり信頼できる優れたサプライヤーであり、現在でもシンテック社にとって最も重要なサプライヤーである。

シンテック社は、世界で成長を続けている規模の大きな塩ビ市場の伸びを確実にとらえていく戦略を継続的に進めている。そのため、シンテック社は、かねてから原料であるモノマーの調達への関与を深め、モノマーを必要とする時にいつでも増産できる、原料からの一貫生産を検討していた。実際、ルイジアナ州で塩ビの一貫生産工場の建設を2年半前に決定、目下、その工場の建設が進行中。更なる一貫生産を進めることは、シンテック社がモノマーを長期的に調達する計画の核になる。

 

参考 2006/5/16 世界一の塩ビ会社 信越化学 

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