2012年3月アーカイブ

東洋エンジニアリングは3月28日、エジプト石油省傘下のエンジニアリング会社ENPPI (Engineering for the Petroleum and Process Industries) と共同で、同省傘下のエチレン関連製品メーカーのETHYDCO (Egyptian Ethylene and Derivatives Company) が、アレキサンドリアに建設するエチレン製造設備(年産46万トン)及びブタジエン抽出設備(2万トン)を受注したと発表した。受注金額は約6億ドルで、プラントの完成は2015年を予定。

国内で生産される天然ガスを原料に、エチレン、ブタジエンとユーティリティ・オフサイト設備を建設するもので、米国ルーマス社の最新技術をベースに、設計から工事・試運転までのEPC業務を一括請負で実施する。

これは同社が国営石油会社 SIDPEC (Sidi Kerir Petrochemicals Co.) 向けに2001年完工したエチレンプラント(年産30万トン)に次ぐ、エジプト2基目で最大のエチレンプラントとなる。

 

エジプトの石化事業の開発のために設立されたEgyptian Petrochemicals Holding Company (ECHEM)は2011年3月に新しいエチレンコンプレックス計画を明らかにした。

新会社の社名はETHYDCO (Egyptian Ethylene and Derivatives Company) で、株主は以下の通り。

 The Egyptian Petrochemical Holding Company (ECHEM)   40%
 Sidi Kerir Petrochemicals (SIDPEC) 下記   30%
 Egyptian Natural Gas Company (GASCO) 原料供給   30%

アレキサンドリアにエチレンと誘導品のコンプレックスを建設するもので、アレキサンドリアのWestern Sahara complex で得られるエタンとプロパンを原料にエチレン、ポリエチレン、ブタジエン誘導品などを生産する。

このうち、東洋エンジニアリングは今回、エチレン製造設備(年産46万トン)及びブタジエン抽出設備(2万トン)を受注した。
Linde-KCA-Dresden は2011年9月、Univation 技術でのPE (年産40万トン)プラントの設計を受注している。
東洋エンジニアリングはこのプラント建設の受注を目指している。

この他に下記を計画している。

 SM   30万トン
 PS  20万トン
 SBR/PBR  能力未定

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エジプトのエチレン第1号プラントを持つSIDPEC (Sidi Kerir Petrochemicals Co.) は1997年にEgyptian Investment Laws の下に設立された。

現在はEgyptian Petrochemicals Holding Company (ECHEM) が20%を出資している。
他に、Misr Bank が21%、National Investment BankとNational Bank of Egypt及びPVCメーカーのEgyptian Petrochemicals が各7%を出資している。

アレキサンドリアに下記のプラントを有している。
フィードストックはEgyptian Natural Gas Company (GASCO)から受け入れるエタンとプロパンのミックス。  

   Ethylene  300 千トン
 Polyethylene ( HDPE & LLPE )  225千トン
 LPG  50 千トン
 Butane -1  10 千トン

 

 

 

シャープは3月27日、電子機器の受託製造サービスの世界最大手の鴻海(Hon Hai) グループと戦略的グローバル・パートナーシップを構築すると発表した。
主要事業分野において業務提携するとともに、鴻海グループを割当先とした第三者割当による新株式の発行を行うことで合意した。

戦略的業務提携の概要は以下の通り。

1)鴻海グループへの第三者割当増資  669億円
   グループ合計で9.88%となり、最大株主になる。

鴻海精密工業   4.06%
鴻準精密工業   0.65%
Foxconn (Far East)   2.53%
Q-Run Holdings   2.64%
グループ合計   9.88%

2)鴻海精密工業の購買力を活用した堺工場の操業安定化とコスト競争力強化

両社は堺工場=シャープディスプレイプロダクトを「ワンカンパニー」として共同で事業運営を行うことにより、堺工場の操業安定化を実現する。

鴻海の郭台銘董事長が46.48%を出資 660億円

  これにより出資比率は、
  シャープ 46.48%、
董事長 46.48%、シャープ 7.04%となる。

   
鴻海は堺で生産する液晶パネル、モジュールを最終的に50%まで引き取る。(10月以降)

堺工場が得意とする60型以上のパネルを鴻海が引き取ることで、結果的に大型テレビで新たなライバルを生 むとの懸念もある。

   
両社はシャープの開発力と、鴻海の高い実装生産力・コスト競争力など、両社の強みを活かしたグローバルレベルの新たなビジネスモデルを構築し、市場ニーズにマッチしたコスト競争力のあるデバイス・商品のタイムリーな市場投入を実現する。

液晶パネルだけでなく、太陽電池など幅広い分野での提携を検討する。両社は毎月、経営幹部を交えた協議会を開き、提携による相乗効果を高めていく。

シャープは、調達する資金1300億円を新規技術導入に関わる投資等に充当し、中長期的な収益力向上及びグローバル競争力の強化を図 る。

ーーー

シャープは2007年7月、新たに大阪府堺市に最先端の液晶パネル工場と、薄膜太陽電池を量産する太陽電池工場を併設することを決定したと発表した。

液晶パネル工場
 ・投資額:約3,800億円(新工場の全土地代含む)
 ・着工:2007年11月
 ・稼動開始:2010年3月までに
 ・主な生産品目:40型・50型・60型クラスの大型テレビ用液晶パネル
 ・マザーガラスサイズ:2,850mm x 3,050mm(第10世代)
   (60型クラスのパネルが6枚、50型クラスは8枚、40型クラスは15枚取れる)
 ・投入能力 :月72,000枚(稼動当初は月36,000枚)

2007/12/5  シャープの「21世紀型コンビナート」

2008年2月にシャープとソニーは、シャープの液晶パネル工場を分社化することにより、大型液晶パネル・モジュールの生産および販売を行う合弁会社を設立することについて、「意向確認覚書」を交わした。

会社名称 シャープディスプレイプロダクト
設立日 2009年4月1日
稼動開始 2009年10月
出資比率 シャープ66%、ソニー34%
事業内容 大型テレビ用液晶パネル・モジュールの生産および
シャープ、ソニーへの販売
生産能力 72,000枚/月(稼動当初は36,000枚/月)(マザーガラス投入ベース)

2009年12月29日、ソニーはシャープディスプレイプロダクトの増資を引き受け、7.04%を100億円で取得した。
ソニーは堺工場で生産されるパネルの7%にあたる55万台分(40型換算)を受け取る。
2011年4月末までに最大34%まで引き上げられ、その時点で265万台分がソニーに供給されることとなっていた。

しかし液晶パネルの調達環境をめぐる変化を背景に、両社は2011年4月、ソニーの追加出資を先送りにした。

両社は本年3月28日、ソニーの追加出資を行なわないことで合意し、既存の出資分の取扱いや大型液晶パネル、液晶モジュールの合弁事業のあり方や取引関係について、2012年9月末を期限に検討を行なうと発表した。

付記

シャープとソニーは5月24日、シャープディスプレイプロダクトについて、6月末までにソニーが保有する株式(出資比率:7.04%)すべてを譲渡し、両社の合弁を解消すると発表した。対価として、ソニーの出資時と同額の100億円が全額現金で支払われる。

また、シャープと凸版印刷、大日本印刷は2012年5月24日、凸版、大日本及び大日本の100%子会社 DNPカラーテクノ堺の堺工場における液晶カラーフィルター事業をシャープディスプレイプロダクトに吸収分割の方式により承継させることを決めた。

これらの結果、シャープディスプレイプロダクトの出資比率は以下の通りとなる。(吸収分割で株式発行)
   
シャープ   37.61%
 
      郭台銘     37.61
   凸版      9.54
   大日本     9.54
      自己株式   5.70 (ソニーから買収分 旧 7.04%相当)

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ソニーとサムスンは2004年、韓国にアモルファスTFT液晶パネルの製造合弁会社S-LCDを設立した。

サムスンが発行済み株式の5割と1株を持ち、ソニーが残りを出資した。

ソニーは2011年12月、この合弁を解消し、全株式をサムスンに譲渡すると発表した。

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堺工場は「昨年末まで80~90%の稼働率を維持してきた」が、世界的なテレビ販売の不振と価格下落で足元の稼働率は50%に下落している。

シャープは今期、主力の液晶事業の不振などで過去最大となる2900億円の最終赤字に転落する見通し。

奥田隆司・次期社長は今回の提携の狙いを以下の通り説明した。

研究開発から生産、販売まですべて自前で手掛ける単独の垂直統合モデルには限界があった。
鴻海グループが持つ高い生産・加工技術力とコスト競争力を融合し、両社の強みを生かしたグローバルでの垂直統合モデルを一緒に作り上げる。
魅力的な商品やデバイスを機動的に提供でき、シャープの弱点を補える。

競争環境が厳しくなる中、液晶パネルの生産からテレビ販売まで自社で手掛ける垂直統合では限界があった。

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なお、鴻海グループは液晶パネルの奇美電子(Chimei Innokux)を持っている。
シャープでは将来は総合的な業務拡大も考えられるとしている。

鴻海グループは2003年に群創光電(Innolux Display)を設立した。

2009年に、奇美グループの奇美電子(Chi Mei Optoelectronics)及び統寶光電(TPO) の2社と統合し、奇美電子(Chimei Innokux)とした。

TPOはオランダのPhillipsのMobile Display Systemsと台湾のToppoly Optoelectronicsが合併したもの。

 

付記
奇美電子には奇美実業グループが約17%、鴻海グループが約11%を出資するが、2012年6月、奇美実業グループが役員を引き揚げ、8人の全役員が鴻海系となった。奇美実業は株式売却は現時点では考えていないとしている。

 

 

住友金属鉱山は3月27日、アラスカ州のPogo金鉱山で新たな鉱床を確認したと発表した。

Pogo金鉱山は住友金属鉱山が85%、住友商事が15%出資している鉱山で、追加鉱量を求めて探鉱を進めた結果、2006年から生産しているLiese金鉱床の北側約300メートルのEast Deep地区で新たな鉱床を確認した。

新鉱床では40 トンの埋蔵金量が見込まれ、この結果、Pogo金鉱山の埋蔵鉱量は12,332千トン、平均金品位12.5g/t、埋蔵金量は155トンとなる。

今後の探鉱によりさらなる鉱量獲得が期待できることから、2012年も探鉱を集中的に進める。
生産金量については、当面年産10~11トンを維持していく。

 

この金鉱山は石油天然ガス・金属鉱物資源機構が、海外地質構造調査の一環で発見した。

海外地質構造調査は日本企業等が海外で探鉱を行う際に探鉱初期段階のリスクを軽減し、海外探鉱開発を促進するための制度で1968年に創設された。

調査は東西140キロ、南北100キロの広大な範囲で1994年から2001年にかけて行われた。
Pogo地区では地質調査、地化学探査、物理探査の結果、抽出された有望地区にボーリング調査を行い、高品位金鉱脈を発見した。

その後、住友金属鉱山などによる企業探鉱に引き継がれ、坑道探鉱などで金量152トンが確認された。
1997年にアラスカで鉱山経営の経験豊富な地元企業Teck Resources Ltd を操業パートナーとし、2000年に環境許認可申請を提出し、2004年に認可を受け、鉱山開発が始まった。(出資比率は住友金属鉱山51%、住友商事9%、Tech 40%であった。)

地表の景観をできるだけ変えないで開発するため、露天掘り採掘ではなく坑内掘り(地下採掘)を採用し、鉱石を処理した後の廃石やスライムを採掘跡に埋め戻す工法や、坑内から出た水を循環して使う工法が採用された。
採掘後、選鉱→青化浸出→電解採取を経てドーレ(金品位約94%、銀品位約6%)として回収している。

その後、2009年7月にTeck Resourcesの持株を245百万米ドルで買収し、住友金属鉱山 85%、住友商事 15%の出資比率となった。

住友金属鉱山はTeckに代わり、オペレーターとなった。

同社は"非鉄メジャークラス入り"を戦略的な目標としており、この権益取得はその一環で、Pogo金鉱山は、自らが運営・操業する初の海外鉱山となった。

参考 2009/8/22 住友金属鉱山、比最大手ニッケル鉱山会社の株式を取得

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Teck Resources はカナダの資源大手で、石炭・銅・鉛・亜鉛・モリブデン・金を扱っており、亜鉛では世界最大級、原料炭の海上輸送シェアは世界2位。

同社は1913年に金鉱山生産のため設立されたTeck-Hughes Gold Mines と、銀・亜鉛・鉛鉱山開発を主体とした1906年設立のComincoが2001年に合併してできた。(当初名はTeck Cominco)

2008年には石炭事業のJVパートナーである
Fording Canadian Coal Trustを98億ドルで買収して石炭資産を拡大した。

Teck のFording Canadian Coal 買収後、コモディティの価格は暴落し、カナダ経済も不況に陥った。

Teck は2009年初めには借入金の一部の支払猶予を受けたが、借入金返済のため、資産売却、コストカットを行った。

この一環として金資産のJV権益の売却を進め、カナダの金鉱山の権益を2008年にJV相手のBarrick Goldに売却、2009年にPogo鉱山の権益を売却した。

直接的には第三者からPogo鉱山の権益を取得したいとのオファがあったとしている。

中国投資有限責任公司(CIC) は2009年7月、100%子会社の Fullbloom Investment Corporation を通じて、資金難のTeck Resources の株17.2%を現金15億米ドルで購入することで合意したと発表した。
CIC
への株式売却収入15億米ドルは主に借入金返済に回された。

2009/7/14 中国政府系ファンドCIC、カナダの資源大手に出資

タイ/インドネシアのIndoramaはこのたび、ナイジェリアの子会社 Eleme Petrochemicals で21億ドルを投資し、PET、肥料、メタノールを製造することを決定した。

ナイジェリア政府は2005年に国営の Port Harcourt 製油所と 石油化学会社 Eleme Petrochemicals Company の民営化を決定、Indoramaが競売で韓国のLGやナイジェリア企業に勝ち、Eleme石化の75%を225百万ドルで取得した。

2006/5/26 アジア企業の海外展開

Eleme Petrochemicalsの現在の株主は以下の通り。
  ナイジェリア政府15%、
Rivers州政府10%
        Indorama 65%、地元コミュニティ 10%、従業員 7.5%

Eleme PetrochemicalsはRivers州のPort Harcourt市近郊のEleme町にあり、以下の製品を生産している。  

オレフィン        550千トン 天然ガスリキッドのクラッカー(M.W.Kellog)
LL/HDPE     240 NovaのSclairtech process
PP       95  BasellのSpheripol process
ブテン-1       22 LLDPE用に使用


このコンプレックスは1995年に千代田、日揮、神戸製鋼所、
Technimont、Spie Batignolles(フランス)のコンソーシアムにより建設された。
クラッカーは最近、KellogのSCORE 技術を導入して改良された。(当初能力は300千トン)

今回、これらに加えて、PET、肥料、メタノールを生産するもので、このうち、PETは能力が年産86千トンとしている。
(下図では既に建設中で能力を75千トンとしている)
Indorama ではこのコンプレックス(Indoramaの唯一のオレフィンコンプレックス)をアフリカの石油化学のハブにすることを計画しており、更なる拡張も検討している。

ナイジェリアの通商投資大臣は、Indoramaが買収後にコンプレックスの改良に575百万ドルを投じたおかげで、Eleme Petrochemicalsは多額の税金を納め、国と州政府に配当を払うようになったと述べ、世界7位の産油国であるナイジェリアはこれまで石油化学をなおざりにしていたが、今回の投資決定でアフリカで二番目に大きい石油化学設備を有することになると喜びを示した。

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Indorama Group 1974年にMohan Lal Lohia ML Lohia)により設立された。
ML Lohia は事業を3人の息子に分割した。長男OP Lohiaはインド、次男 SP Lohia は インドネシア、三男 Aloke Lohia (APL) は タイを受け継いだ。
その後、インドネシアの事業とタイの事業が統合された。

インドの事業は
Indo Rama Synthetics (India) として別に運営されている。

Indoramaは世界最大のポリエステルメーカーで、世界12番目のPTAメーカー。

現在の同社の状況は以下の通り。(インドネシアのポリエステル繊維関連は別紙参照

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2007/4/14    タイのIndorama Polymers、北米でPET工場新設へ
2010/4/1      Dow/PIC
のPET合弁会社、イタリア工場をIndoramaに売却
2010/11/18
 
タイのIndorama、米国と中国でポリエステル等の工場を買収 
2010/11/20
  インドネシアとインドのIndoramaの現状

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なお、ナイジェリア政府が2005年にEleme Petrochemicals と同様に民営化を発表したPort Harcourt 製油所は依然Nigerian National Oil Corporationが運営している。

Nigerian National Oil はEleme Petrochemicalsに隣接したPort Harcourt 製油所(2基)のほか、Kaduna とWarriに製油所をもっている。

Port Harcourt
   No.1 
60,000 bpsd      1965年にShell/Bpが建設、後に国有化
  No.2   150,000 bpsd   1989年建設
Kaduna  110,000 bpsd   原油はWarriからパイプラインで受け入れ
Warri     125,000 bpsd

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

環境省は3月21日、国立・国定公園内での地熱発電の設置基準を緩和することを決めた。
これまで開発規制区域の外から斜めに掘る「傾斜掘削」のみを容認する方針を示していたが、自然環境への影響を最小限にとどめるなどの条件付きで、区域内で掘る「垂直掘削」も認めるとした。

国立・国定公園は自然景観や生物多様性の度合いで、特別保護地区、第1~3種特別地域などに分けて管理されているが、このうち規制が比較的緩い第2、3種特別地域で垂直掘削が容認される。

条件は以下の通り。
 ▽関係者間の合意形成
 ▽環境影響を最小限にとどめる技術の導入
 ▽周辺の荒廃地の緑化や温泉事業者への熱水供給など地域貢献
 ▽長期モニタリングと情報の開示

公園内での地熱発電をめぐって環境省は本年2月に環境保全に支障がない場合などに特別地域外から「斜め掘り」する工法を認めたが、斜め掘りはコストがかさむうえ、適当な場所が少なく、垂直掘りを求める声が出ていた。

規制緩和の理由について、環境省は「エネルギー供給状況の変化から、地熱資源利用に道を開くことを決断せざるを得なかった」と説明した。
政府のエネルギー・環境会議のコスト等検証委員会の報告書によると、地熱発電のコストは1キロワット時あたり 9~11円程度で、石炭火力とほぼ同水準となっている。

経済産業省は候補地として、阿寒国立公園阿寒地域(北海道)、大雪山国立公園白水沢地域(同)、十和田八幡平国立公園菰ノ森地域(秋田県)、栗駒国定公園木地山・下の岱地域(同)、同公園小安地域(同)、磐梯朝日国立公園磐梯地域(福島県)の6地域を挙げている。

日本自然保護協会は3月21日、「影響が未知数の発電施設を作ることは将来に大きな禍根を残す。環境行政の後退と言わざるを得ない」とするコメントを出した。

 

日本には世界有数の潜在的地熱発電能力があるが、開発候補地の約8割は公園内にあって開発が遅れている。

  地熱資源量
(万kw)
地熱発電
容量(万kw)
米国 3,000 253
インドネシア 2,779 80
日本 2,347 54
フィリピン 600 193
メキシコ 600 95
アイスランド 580 17

 

日本経済新聞によれば、出光興産、国際石油開発帝石、三菱マテリアル、石油資源開発、三井石油開発などは福島県内で国内最大の地熱発電所を建設する方針を固めた。

発電容量は27万キロワットになる見通しで、総事業費は1千億円規模になるとみられ、2020年ごろの稼働を目指す。
候補地は磐梯朝日国立公園の敷地内で、福島市、二本松市、猪苗代町など。



なお、地熱発電プラントでは東芝、三菱重工業、富士電機の3社で世界市場の7割を握っている。

ーーー

日本の地熱発電所は以下の通り。
 (環境省  http://www.env.go.jp/nature/onsen/council/chinetu/03/mat_07.pdf )

    蒸気供給 発電       認可出力
 (千kW)
森発電所 北海道森町 北海道電力 50
澄川地熱発電所 秋田県鹿角市 三菱マテリアル 東北電力 50
上の岱地熱発電所 秋田県湯沢市

秋田地熱
 エネルギー

東北電力

28.8
松川地熱発電所 岩手県八幡平市

東北水力地熱

23.5
葛根田地熱発電所 岩手県雫石町 東北水力地熱 東北電力 1号機 50
2号機 30
鬼首地熱発電所 宮城県大崎市 電源開発 15
柳津西山地熱発電所 福島県柳津町 奥会津地熱 東北電力 65
八丈島地熱発電所 東京都八丈町 東京電力 3.3
滝上発電所 大分県九重町 出光大分地熱 九州電力 27.5
大岳発電所 大分県九重町 九州電力 12.5
八丁原発電所 大分県九重町 九州電力 1号機 55
2号機 55
* 2
大霧発電所 鹿児島県霧島市 日鉄鹿児島
地熱
九州電力 30
山川発電所 鹿児島県指宿市 九州電力 30
(以下、自家用)
大沼地熱発電所 秋田県鹿角市 三菱マテリアル 9.5
杉乃井地熱発電所 大分県別府市 杉乃井ホテル 1.9
九重地熱発電所 大分県九重町 九重観光ホテル 0.99
岳の湯  (休止中) 熊本県小国町 廣瀬商事 0.05
霧島国際ホテル地熱発電所 鹿児島県霧島市 霧島国際ホテル 0.1
合計 540.14

* バイナリー発電
   温泉水などで、沸点の低いペンタン、アンモニア水などを加熱・蒸発させ、その蒸気でタービンを回す方式

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下記の小説が地熱発電を取り上げている。問題点がよく分かる。

 
真山仁 「マグマ」(単行本は2006年2月出版)

外資系ファンドの野上妙子は、地熱発電を運営する会社の再建を任される。地熱発電に命をかける老研究者、それを政争に利用する政治家、欧米からの執拗な圧力など、さまざまな思惑が交錯する中で、地熱ビジネスは成功するのか──地球温暖化、石油価格の高騰、原発の安全性が叫ばれる今、地下エネルギーの可能性と未来を予感させる、ドラマ『ハゲタカ』の著者が描く大型経済情報小説。

 


日本地熱学会が2006年11月にこの小説をめぐる真山仁との対話を行っている。
  http://wwwsoc.nii.ac.jp/grsj/guest/event/mayama06/mayama-taidan.html

その中の産業技術総合研究所の人の発言:
御存じだと思いますけれども,私ども地熱関係者はほとんど『マグマ』は読んでいると思います。というのは,ちょうど我々どん底におりまして, そのときに小説『マグマ』が現れて,我々の精神的な支えになったと思うんです。

 

 

内閣府原子力安全委員会は3月23日、定期検査で停止している関西電力大飯原発3、4号機の再稼働の前提となるストレステストの1次評価について、問題ないとの確認結果を決定した。安全委が安全評価を了承したのは初。

関西電力大飯原発の1次評価については、3号機については昨年10月28日に、4号機については11月17日に保安院に提出され、ともに本年2月13日に保安院の評価が終了して安全委に報告されていた。

関電の報告では、両基は想定より1.8倍大きい地震の揺れや、4倍の高さの津波でも炉心損傷しないとしている。

現在までに他に14基について1次評価が提出されているが、これらは全て、まだ保安院で評価中。

付記
保安院は3月26日、四国電力伊方原発3号機の1次評価を妥当とする審査書をまとめ、原子力安全委員会に報告した。

終了後、記者会見した安全委の班目委員長は「1次だけでは不十分で、2次まできちんとやってほしい。安全性の確認は保安院が責任をもってやるべきで、安全委はその確認をするだけ。再稼働の判断をするのは政府だ」と語った。

斑目委員長は会見で、「要するに、すべて『Yes but』なんです」と述べた。

全交流電源喪失など危機的な状況も想定した評価手法が取り入れられたことや、非常用電源車の高台への配備など福島第一事故を受け導入された緊急安全対策に一定の効果があると確認されたことなどを挙げたが、今後の安全対策への注文は27項目にも及び、報告書の半分以上を割いた。
最大の注文は「一次評価は簡略な方法にすぎない。被害拡大を防ぐ対策までを検証する二次評価を速やかに実施すべきだ」と求めたこと。

「われわれは保安院がやったことに対して、この部分はそう、ただしこういうこともしてくれと書いた。総合的安全評価はあくまで1次評価と2次評価をあわせてやるもので、ぜひ2次評価までやってほしい」

「1次評価を運転再開と結び付けるのは政府の判断で、安全委として申し上げることではない。(見解文は)若干わかりにくいとの指摘があったが、科学者として述べないといけないことはすべてここで述べた」

「世界的に見てストレステストと再稼働を結び付けている国はない。それはそれで1つの政治判断としてなされることで、安全委として何かを申し上げることはない」

「わが国はある意味、シビアアクシデントは起こり得ないと考えてきた。それが結局、今回の事故を防げなかった最大の理由だと思う。緊急安全対策を取り、さらに非常に簡略的だがこういう総合的安全評価を始めたのは非常に大きな一歩だ」

「総合的安全評価は1次と2次の両方がないとできないので、まずはとにかく2次評価をしてもらいたい」 

* 保安院が昨年末までをめどに提出を求めた2次評価の結果はどこからも出ていない。


なお、関電が提出した評価は2011年10月1日時点のもので、当時は5キロ以上離れた活断層の連動は考慮しないでよいこととなっていた。
 大飯原発周辺には、陸側の「熊川断層」と、海側の若狭湾内に延びる2つの活断層があり、3断層の全長は約63キロに及ぶ。ストレステスト評価時点では、海側2断層(全長約35キロ)の連動は考慮に入れたが、3断層連動は想定しなかった。
 
保安院は今年1月、東日本大震災を受けて、従来のルールを見直すよう、電力各社に指示した。
 これに対し、関電は3断層の連動について「可能性は極めて低い」とし、仮に3断層が連動したとしても、基準地震動の1.8倍は超えないと保安院に報告した。
保安院は「計算の根拠が不明確だ」などとして、詳細な評価をするよう再度求めている。 

付記
保安院は3月28日、3つの断層が連動して動いても安全性は保たれるとした関電の判断を妥当と評価した。
今後さらに詳細な影響を調べ、耐震安全性評価(バックチェック)の最終報告書の提出を支持した。バックチェックは原発の運転中でも実施できる。

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原発の再稼働については、安全委の了承後に、首相、官房長官、経済産業相、原発相が安全性を確認して再稼働の是非を判断することとなっている。これまでは地元の理解を得て、判断するとしていた。

これについて、官房長官は3月8日、地元合意に先立って再稼働の是非を判断する方針を明らかにした。
国の責任を明確にすることで地元を説得するねらいで、その後、地元の理解を得て再稼働の是非を最終決定する。

なお、民主党の原発事故収束対策プロジェクトチームは、再稼働を「時期尚早」と結論づけている。
「福島第一原発の事故原因の解明を待たずに再稼働すれば、同様の事故を繰り返すおそれがある」としている。

政府は原発を運転開始から原則40年で廃炉にすることを明記した原子炉等規制法改正案を閣議決定したが、原子力規制庁設置を含め法案成立の見通しはついていない。 

付記

野田首相は4月3日、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を巡り、関係3閣僚と初の協議を行い、経産省に対し、再稼働の是非を判断するための「暫定安全基準」の整備を指示した。
 

ーーー

中部電力が浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)に増設を計画している6号機をいったん白紙に戻すことが分かった。

昨年3月の電力供給計画では運転開始時期を「2020年前後」と明記していたが、今月末に国に提出する新年度からの供給計画では削除する。

ーーー

原発の状況は以下の通り。東電柏崎刈羽6号機は3月26日に停止、残りは北海道電力泊3号機のみとなる。
北海道電力は泊3号機を定期検査のため5月5日に運転停止させる。

付記
東京電力は福島第一原発の1~4号機(計281万2千キロワット)を、4月19日付で「廃止」すると発表した。


発電所名
運転開始 型式 40年
まで
年数
能力
(万KW)
稼働中
(定検
  時期)
停止       1次評価 
保安院へ提出 安全委へ報告 安全委
確認
北海道電力
 泊
① 1989/6/22   PWR   57.9   12/7    
② 1991/4/12   PWR   57.9   12/27    
③ 2009/12/22  PWR   91.2   5/5        
東北電力
 東通
① 2005/12/8  BWR(Mark-I 改)   110.0   12/27    
東北電力
 女川
① 1984/6/1   BWR(Mark-I)   52.4        
② 1995/7/28 BWR(Mark-I 改)   82.5        
③ 2002/1/30 BWR(Mark-I 改)   82.5        
東京電力
 福島第一
① 1971/3/26  BWR(Mark-I) 0 46.0   ◎ x      
② 1974/7/18  BWR(Mark-I) 2 78.4   ◎ x      
③ 1976/3/27  BWR(Mark-I) 4 78.4   ◎ x      
④ 1978/10/12 BWR(Mark-I) 6 78.4   ○ x      
⑤ 1978/4/18 BWR(Mark-I) 6 78.4        
⑥ 1979/10/24 BWR(Mark-Ⅱ) 7 110.0        
東京電力
 福島第二
① 1982/4/20 BWR(Mark-Ⅱ)   110.0        
② 1984/2/3 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0        
③ 1985/6/21 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0        
④ 1987/8/25 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0        
日本原子力
 東海
② 1978/11/28 BWR 6 110.0        
東京電力
 柏崎刈羽
① 1985/9/18 BWR(Mark-Ⅱ)   110.0   1/16    
② 1990/9/28 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0        
③ 1993/8/11 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0        
④ 1994/8/11 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0        
⑤ 1990/4/10 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0        
⑥ 1996/11/7 ABWR   135.6  
     
⑦ 1997/7/2 ABWR   135.6   1/16    
中部電力
 浜岡
③ 1987/8/28 BWR(Mark-I 改)   110.0        
④ 1993/9/3 BWR(Mark-I 改)   113.7        
⑤ 2005/1/18 ABWR   138.0        
北陸電力
 志賀
① 1993/7/30 BWR(Mark-I改)   54.0        
② 2006/3/15 ABWR   135.8   2/1    
日本原子力
 敦賀
① 1970/3/14 BWR(Mark-I) 0 35.7        
② 1987/7/25  PWR   116.0   12/27    
関西電力
 美浜
① 1970/11/28  PWR 0 34.0        
② 1972/7/25  PWR 1> 50.0        
③ 1976/3/15  PWR 4 82.6   12/21    
関西電力
 大飯
① 1979/3/27  PWR 7 117.5   1/27    
② 1979/12/5  PWR 7 117.5        
③ 1991/12/18  PWR   118.0   10/28 2/13 3/23
④ 1993/2/2  PWR   118.0   11/17 2/13 3/23
関西電力
 高浜
① 1974/11/14  PWR 2 82.6   1/13    
② 1975/11/14  PWR 3 82.6        
③ 1985/1/17  PWR   87.0        
④ 1985/6/5  PWR   87.0        
中国電力
 島根
① 1974/3/29 BWR(Mark-I) 2 46.0        
② 1989/2/10 BWR(Mark-I改)   82.0        
四国電力
 伊方
① 1977/9/30  PWR 5 56.6        
② 1982/3/19  PWR   56.6        
③ 1994/12/15  PWR   89.0   11/14 3/26
 
九州電力
 玄海
① 1975/10/15  PWR 3 55.9        
② 1981/3/30  PWR 9 55.9   12/14    
③ 1994/3/18  PWR   118.0        
④ 1997/7/25  PWR   118.0        
九州電力
 川内
① 1984/7/4  PWR   89.0   12/14    
② 1985/11/28  PWR   89.0   12/14    
合計       54基 1 53基 16基 3基 2基

     PWR:加圧水型、BWR:沸騰水型、ABWR(Advanced BWR):改良型沸騰水型
     BWRのうち、格納容器が
Mark-1型は問題 とされている。

          停止中 ○ 定検・トラブルで停止 36基(37-1)
          ◎ 震災で停止 11基(14-3)
          ● 政府要請で停止 2基 
          X  廃炉決定 4基

 

 

日本化学会は、約30年後に実現を目指す研究目標を掲げた「化学の夢ロードマップ」を策定した。
  詳細は http://kanto.chemistry.or.jp/menu/roadmap/111018/Roadmap.html#03

「夢」の数は分野別に104に上り、実現すれば「10~15のノーベル化学賞受賞も可能」と意気込んでいる。


 

日本化学会第92春季年会会場にてシンポジウムを開催する。
WEBでは公開されていない10分野、104件の個別テーマを掲載したロードマップ(冊子)を希望者に有料(2,000円)頒布する。

主催: 日本化学会 学術研究活性化委員会
日時: 3月27日(火) 13:30-16:30
会場: 第92春季年会SA会場
(慶應大学日吉キャンパス 第4校舎独立館 D205教室)

 

 

米商務省は3月20日、中国のソラーパネルメーカーが中国政府から不当な補助金を受けているとして、相殺関税を課す仮決定を下した。

相殺関税の対象となるのは中国製の結晶シリコン型ソラーパネルで、税率は2.90~4.73%。
中国製の太陽電池セル(発電素子)を使ったパネルやモジュールであれば、第三国から輸入する製品にも適用される。

仮決定の税率は以下の通り。
 SunTech Power Holdings (尚徳電力)    2.90%
 Trina Solar(天合光能)     4.73%
 他の全ての中国メーカー及び輸出者   3.59%

最終決定は今年6月の予定。

商務省はダンピング課税の調査も進めており、5月17日に発表する。

付記

米商務省は5月17日、中国製太陽電池を対象に、31.14-249.96%の反ダンピング関税を課す仮決定を下した。

仮決定の税率は以下の通り。
 Wuxi Suntech    31.22%
 Trina Solar   31.14%
   他の59社     31.18%
 他の全ての中国メーカー及び輸出者   249.96

米国商務省は今回の仮決定に続き、今年10月上旬に最終決定を下す見通し。

付記

米商務省は5月30日、中国から輸入された風力発電タワー(Wind-Turbine Tower)が中国政府から補助金を受け不当に安い価格で販売されているとして、相殺関税を課す仮決定を下した。

CS Wind   13.74%
Titan Group    26%
その他     19.87%

付記

中国商務省は7月20日、米国と韓国製の太陽光発電パネル向け多結晶シリコンについて反ダンピング調査を、米国製については更に反補助金調査も開始したと発表した。

ーーー

米商務省は2011年10月、ドイツのソラーパネル大手SolarWorld の米国子会社など7社から、「中国メーカーは政府支援を受けて生産・販売コストより安くパネルを販売している」として、関連調査と100%超の関税適用をするよう請願を受けた。

これを受け、米商務省は11月9日、反ダンピング課税と相殺関税について調査すると発表した。

中国からのソラーパネルの輸入は2009年の640百万ドルから2010年に1,500百万ドルに急増した。

ダンピング課税に賛成するグループは、免税、安い原料、安い土地代や電気水道代、有利な借入金、輸出保険、輸出支援など、中国政府による実質的な補助金に対し、相殺関税を課するよう求めている。

他方、中国からの安い輸入パネルで太陽発電を推進している米国のメーカー25社(The Coalition for Affordable Solar Energy)はこれに反対し、太陽電池の価格上昇で米国の需要は減少し、10万人の職が失われるとしている。

商務省の調査開始発表に反発した中国商務部は11月25日、米政府による自国の再生可能エネルギー業界への政策支援や補助金拠出が貿易障壁に当たるかどうか、調査を始めたと発表した。

2012年5月25日までに調査結果を公表し、貿易障壁が存在すると判断した場合は、WTOへの提訴など相応の措置を講じるとしている。

ITC(米国際貿易委員会)は12月2日、中国から輸入されたソラーパネルが米市場で不当に安く販売されており国内業界に損害を与えているとの仮決定を示した。

米国のアンチダンピング調査は、ITCが外国企業によるダンピングで国内企業が被害にあったかどうかを認定、
商務省
がダンピング・マージンを認定する。

2011/12/1  太陽電池で米国と中国が互いに貿易障壁調査開始

ーーー

米国企業が100%超の関税を求めたのに対し、今回の商務省の仮決定の税率は2.90~4.73%と非常に低い。
一般的には中国政府のソラーパネル業界への支援は30%に及ぶとされていた。

米メーカー7社で組織する団体はそれにもかかわらず、この決定を称賛し、この決定が市場でのフェアな競争を回復させるとしている。

中国メーカーは今回の低率の相殺関税の仮決定は、中国のソラー業界が補助金で安値販売をしているという批判が誤りであったことを示していると述べた。

また、中国からの安い輸入パネルで太陽発電を推進している米国のメーカーには安堵感がある。
ダンピング課税についても、同様の結果を期待するとしている。

しかし、中国側には決定はアンフェアで、国際的なルールに反しているとの意見が出ており、低率とはいえ相殺関税を課したことで、対抗策を打ち出している中国政府の反応が懸念される。

ーーー

これとは別に、米国商務省は3月19日、中国製スチールホイールに対し、反ダンピング関税と相殺関税を課すと発表した。
中国の業者は価格を不当に低い水準に設定しているうえに、中国政府から補助金の支給を受けているとした。

反ダンピング関税の税率は44.96-193.54%、相殺関税は25.66-38.32%。

ーーー

2011年の米国の貿易赤字(サービスを除く)のうち、対中国赤字が2955億ドルで全体の40%を占めている。(対日赤字は8.5%)

対中赤字は2000年代前半から一貫して増加、2009年には金融危機の影響で貿易量が減少して一時減ったが、2011年は10年比で増加している。

このため、米国内で人民元問題などで対中強硬論が拡大する可能性がある。
共和党の大統領候補のロムニー前マサチューセッツ州知事は「為替操作国認定」の方針を明言している。

オバマ大統領は1月24日の一般教書演説で、「競争相手がルールを無視した場合に傍観はしない」と述べ、中国の通商政策や知的財産侵害を批判した。
中国などの「不公正な貿易慣行」を調査する新部局の新設を明言し、米中摩擦の解消に善処するようくぎを刺した。

2012/2/13  米国の貿易収支赤字

 

 

 

国際石油開発帝石(Inpex)はShell が西豪州沖合WA-44-L鉱区にて開発中のPrelude FLNGプロジェクトの17.5%の権益を取得することで合意したと発表した。

プロジェクト概要  
ガス田 製品 生産・液化・出荷方式
Preludeガス田 &
Concertoガス田
LNG 年間360万トン Floating LNG(FLNG)方式
(浮体構造に天然ガス液化設備を搭載)
LPG 年間約40万トン
 (ピーク時)
コンデンセート 日量約3.6万バレル
 (ピーク時)
   
西豪州Broome市の北北東約475kmの沖合 FLNGの構想図 


Shellは、オペレーターとして2011年5月に世界初のFLNG方式によるプレリュードガス田およびコンチェルトガス田の開発についての最終投資決定をし、現在開発作業中。

なお、両ガス田に隣接するIchthys ガス・コンデンセート田については、2012年1月に国際石油開発帝石(INPEX)が最終投資決定を行った。生産開始は2016年12月末の予定。

権益比率は以下の通りで、INPEXがオペレーターとなる。

INPEX  72.805 %
Total  24.000  
東京ガス 1.575  
大阪ガス 1.200  
東邦ガス 0.420  

天然ガスはDarwinに建設する陸上プラントで液化してLNGとLPGとして生産・出荷、また洋上貯油・出荷施設(FPSO)でコンデンセートを生産・出荷する。

2012/1/16 国際石油開発帝石、豪州イクシスLNGプロジェクト 最終投資決定

ーーー

Inpexはインドネシア共和国アラフラ海Masela鉱区Abadiガス田の開発において、FLNG方式による開発準備作業をオペレーターとして実施している。

Inpex 90%、EMP Energi Indonesia 10%でInpexがオペレーターで開発を進めていたが、技術的に難しいFLNG方式を採用しているため 、当初の年450万トンの計画を年250万トンでスタートすることでインドネシア政府の承認を得た。

Inpexは2011年7月、Shellを戦略的パートナーとし、権益30%を譲渡した。

Inpexでは今回のPrelude FLNGプロジェクトへの参画により得られるShellの経験・知見を活用することにより、Abadi LNGプロジェクトを一層着実に遂行できることを期待している。

ーーー

同社のインドネシア及び豪州近辺の開発プロジェクトは以下の通り。

インドネシア

①マハカム沖鉱区およびアタカユニット(*はオペレーター)

②南ナトゥナ海B鉱区

③マセラ鉱区(アバディ)

④ベラウ鉱区ータングーLNGプロジェクト

  詳細は http://www.inpex.co.jp/business/indonesia.html

 

オーストラリア・チモール海

① WA-35-L 鉱区(ヴァンゴッホ油田)、WA-43-L鉱区(ラベンスワース油田)ほか

② WA-37-R鉱区(イクシス)ならびに周辺鉱区

③ バユ・ウンダンプロジェクト

④ キタン油田

  詳細は http://www.inpex.co.jp/business/australia.html#austrl02

 

韓国公正取引委員会は3月18日、サムスン電子が調査官の立ち入りを妨害したとして、法律で定める最高額となる過料4億ウォン(約2,970万円)の処分を下したと発表した。
「サムスン電子はこれまでも常習的に調査妨害をしてきたが、今回は役員の指揮により、組織的に妨害が行われた点を考慮した」としている。

調査妨害の過料としてはこれまで食品大手のCJ第一製糖の3億4000万ウォンが最高であった。

詳細は以下の通り。

韓国公取委は3月15日、携帯電話端末メーカー3社と通信3社がグルになって携帯電話価格を膨らませ大幅な割引特典を付与するかのように消費者をだましてきた事実を明らかにし、是正命令と共に課徴金を賦課した。
アップルのiPhoneだけが唯一このような問題がないことが明らかになった。

摘発されたのは以下の6社。
 端末メーカー:サムスン電子、LG電子、パンテック
 通信会社:SKテレコム、KT、LGU+

端末メーカーと通信会社は2008年からの3年間にわたり携帯電話を代理店に渡す際に、価格を実際より高く策定し、差額分を「値引き」し、消費者に大きな恩恵を与えているように振る舞った。
価格を高くして'高価携帯電話イメージ'を作った。

公取委は2011年3月にこの情報を入手し、サムスン電子水原事業所に調査に入った。

しかし、調査官が正門に到着すると、警備員は「時間を稼げ」という内部指示に従い、「技術保安のために、事前の約束がなければ内部には入れない」とする社内規定を理由に阻止した。
サムスンの社員と調査官は約50分にわたり、言い分を主張し合った。調査官は112申告(日本の110番)までした。

その間、サムスン社内では調査対象の資料が廃棄され(机の引き出しを丸ごと交換)、担当職員のパソコン3台は新品に交換された。

サムスンはそうした工作を全て終えた後で、調査官の立ち入りを許したが、既に多くの資料が消えた後だった。

サムスンには、これに備えた'事前シナリオ'が出来ていた。

担当常務は水原事業場の某所に隠れ、公取委職員が撤収した後、隠しておいたコンピュータを取り出し、ファイル削除プログラムで該当資料を消した。

サムスン電子の情報保護グループ長は2日後の会議で警備会社を褒めた。

この他にも虚偽の資料を提出するなど幹部の指示で調査妨害が常習的に行われていたという。
2003年以降、サムスングループの公取委調査妨害は5回目(三星電子は3回目)で、サムスンが公権力を無力化する事例が相次いでいる。

公取委は1年余りの調査を経て、このようなサムスン電子の調査妨害行為を内部報告文書、防犯カメラ、役員間電子メール等を通して明らかにし、史上最高額である4億ウォンの過料を課した。

サムスン電子は今回、独禁法違反で総額142億8000万ウォン(約10億6100万円)の課徴金を課された。
このうち23億8000万ウォン(約1億7700万円)は調査妨害による加重分だった。
過料の4億ウォンと合わせると合計146億8000万ウォンで、うち調査妨害で27億8000万ウォン(約2億700万円)の支払いとなる。

6社の課徴金の総額は453億ウォンで、最高はSKテレコムの202億ウォン、次がサムスンで、3位がKTの51億ウォン。

さらに公取委は、各社が複雑な料金体系から利益を得ているとして、料金に関する情報を開示するよう各社に命じたほか、新たな割引を禁じている。

ーーー

公正取引法は6月16日に改正施行され、調査妨害行為には、過料だけでなく、刑事処罰も行える。
2月27日に国会を通過した公正取引法改正案では暴言、暴行、現場立ち入りの妨害などの調査妨害に3年以下の懲役または2億ウォン以下の罰金を課す条項が追加された。

 

 

付記

韓国政府の正当な調査を妨害するサムスンの行動が問題視されている。韓国中央日報が報じた。

サムスン電子の社内通信網には「子どもに恥ずかしい」「熱心に働いて積み上げたイメージが水の泡になった」という書き込みが相次いで上げられた。

これを受けサムスン電子の李健熙会長は3月21日、関係者を厳しく叱責した。
「昨年から順法教育を強化しているが実質的な行動変化につながってはいない。誤った認識と慣行が依然として残っているようだ」と話した。サムスンは公取委の調査を妨害したサムスン電子役員を重懲戒することにした。

李健熙会長は経営復帰2周年を迎える。サムスン電子はこの2年間好成績だが、会長の経営復帰後、サムスンテックウィン(光学機器や軍事機器などを生産)の不正、談合、公取委調査妨害まで、サムスンのイメージにダメージを与える事件が続けて起きている。

サムスンテックウィンの不正内容については公開していないが、K9自走砲などの部品を調達する際に納品メーカーから金品や過度な接待を受けたり、法人カードを個人的な用途に流用したなどの可能性がささやかれている。
この時も会長は、「サムスングループ全体に不正腐敗が横行している」と激怒した。

今年1月にはサムスン電子が洗濯機とテレビ価格をLG電子と談合して課徴金を賦課された。先月にはサムスンタレスが潜水艦装備開発事業で談合し課徴金59億9000万ウォンを課されている。

実績を重視するサムスン特有の文化が変わらなければ大きな成果を上げにくいという指摘が出ている。
財界関係者は、「サムスンは派閥や学閥と関連した弊害が少ない代わりに、経営陣が実績だけで評価される文化。会社全体では成果を出すのに有利な面があるが、経営陣は実績をまとめたり公取委の調査妨害を通じて不利な事実を隠そうとする誘惑に苦しめられるほかない」と話した。

公取委関係者は、「昨年のサムスン電子の調査妨害は偶発的な行動とみるのは難しいほどだった。公正社会という目標を達成するためには法秩序をしっかり守るという大企業オーナーの意志が最も重要だと考える」と話した。

 

 

米国務省は3月20日、核開発疑惑を強めるイランへの追加金融制裁の適用対象から日本と欧州10か国の合計11か国を除外する方針を決め、米議会に伝達した。除外期間は180日間。

追加制裁は昨年12月31日に成立した2012年度国防権限法(National Defense Authorization Act) 1245条に基づくもの。
イランの収入源となる原油輸出を封じるため、イラン中銀と決済関係を持つ大手外銀の米銀への口座開設やドル取引を制限することを明記しているが、他方、原油輸入を大幅に削減していれば例外とすることも盛り込んでいた。
イラン中央銀行との取引に関与する海外金融機関に制裁を科すかどうかの判断期限は3月1日。

これが適用されると、銀行はイラン中銀との決済が出来ないため、実質的に輸入が出来ないこととなる。

今回イランからの原油輸入を著しく減らしたとして適用除外したのは、日本、ベルギー、チェコ、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリー、オランダ、ポーランド、スペイン、英国。

クリントン国務長官は、これらの国の行動は決して容易なものではなかったとし、他国にもこれに従うよう求めた。

EUによる1月23日以降の新規購入禁止と7月1日以降の既存契約での購入禁止を高く評価し、日本については、日本が昨年直面したエネルギー危機を勘案すれば、日本のイラン原油輸入の著しい削減は特に注目すべきことだとした。 

米国務省当局者は電話会見で、「日本は福島原発事故による困難にもかかわらず、2011年下半期にイランから輸入する原油量を15~22%減らした。これは画期的な規模で、他の国にも手本になるだろう」と話した。

米オバマ政権は6月11日、韓国やインド、台湾、南ア、マレーシア、スリランカ、トルコの7か国・地域について、イラン産原油の輸入を大幅に削減したとして、核開発を進めるイランへの圧力強化を目的としたイラン制裁法の適用対象から除外すると発表した。

日本政府はこれまで、日本がイラン原油輸入量の削減ペースをさらに引き上げることを条件に、邦銀を制裁対象から除外する方向で米国政府と協議を進めてきた。

クリントン米国務長官は2月28日の上院歳出委員会の公聴会で、「特筆すべき状況がある。日本をご覧なさい。福島原発事故で電力不足に陥りながら、イラン産原油の輸入を15~20%削減しようとしている」と述べ、日本の協力姿勢を高く評価した。

 

付記

中国外交部報道官は3月21日の定例記者会見で、以下の通り述べた。

「中国は自国の経済発展の必要に基づき、通常のルートでイラン産原油を輸入している。これは筋が通っており、合法的だ。国連安保理決議に違反しておらず、第三国や国際社会の利益も損なっていない。」

「中国は国内法を根拠に他国に一方的な制裁を課すことに一貫して反対しており、ましてや一方的制裁を第三国に強要するやり方は受け入れられない。」

ーーー

イラン原油輸入に関しては、もう一つの障害がある。

EUは今年1月に、イラン産原油の禁輸に加え、イランとの原油取引を対象にした保険や再保険をEU域内の保険会社が提供することを禁止した。7月から実施される。

日本の損害保険会社がイラン産の原油取引に関連して契約する再保険のうち、7~8割はEU域内の保険会社に再保険しており、これが適用されると、損害保険会社が原油輸入などに必要な保険を提供できず、結果的にイランからの原油輸入が滞る可能性がある。
日本の損害保険会社が提供できる保険金額は現在の10分の1程度に縮小するとの見方もある。

このため、政府は事態を重く見て、EUに制裁の適用除外を求めてきた。

EUは3月20日、イラン産原油の輸送に対する保険サービス提供の禁止について適用除外措置を設けるかどうかをめぐり協議を行ったが、合意には至らず、決定は先送りされた。
3月23日にEU外相会合が予定されており、制裁の詳細を決める。
 

付記

EU各国は3月22日の大使級協議で、保険・再保険の提供禁止を含む制裁により原油相場が高騰する事態への懸念で一致し、制裁を一部免除することで原則合意した。

 

23日の外相理事会での決定は以下の通り。
・賠償保険については6月末まで再保険を認める。

・貨物保険と船舶保険は1月23日以前に結んだ契約に限り6月末まで再保険を認める。
 1月23日以降の契約はすべて再保険を認めない。
 (1年契約が主流で、4月に契約を更新するものも多い)

・7月1日以降の対応については、5月半ばまでに決定する。 

付記

この決定を受け、大手損保はイラン産原油の輸送の保険内容を変更する方針を固めた。

貨物保険については、補償額を5割超 減額する。
船舶保険については、免責条項を導入、戦争保険についてイラン関連は免責する条項を追加する。

 

付記

EUは6月25日の外相理事会で、7月1日から域内保険会社がイラン産原油輸送タンカーに損害保険を販売することを禁止することを決めた。

日本では、「特定タンカーに係る特定賠償義務履行担保契約等に関する特別措置法」が6月20日の参議院本会議で全会一致で可決・成立した。
イラン産原油を運ぶ日本のタンカーに重大な事故が起きた場合、最大で76億ドルを国が補償する。

 


 

韓国のSKグループの SK Networks は3月12日、オーストラリアの炭鉱開発会社Cockatoo Coal Ltd の持株を現在の5.57%から40%にすると発表した。買収金額は47%のプレミアムで313百万豪ドル(332百万米ドル)になる。今年上半期中に取得する。
今後4年間は持株を40%以上にはしないという条項がある。

Cockatoo Coal には韓国の製鉄会社POSCOが13.27%出資し、最大株主であった。第2ー4位は金融機関で、第5位がSKの5.57%であった。
他に韓国勢で、8位韓国資源公社Kores(4.07%)、9位Korea East-West Power(2.94%)、11位に韓国電力公社 KEPCO(1.97%)が入っている。

SK Networks はまた、Cockatoo Coal が交渉している150百万豪ドルの借入金の保証を行う。
SKは5.57%の出資の際にCockatoo Coal との折半出資で石炭販売会社を設立しており、今回の出資増でこの販売会社の経営権も手中に収める。

SK NetworksはSKグループの商社で、1954年にSK Globalとして設立され、2003年に改称した。
そのGlobal Businessには、Resources & Energy部門があり、資源取引と開発に取り組んでいる。
(他に、Chemicals、Steel、Mobile Phone部門がある)

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Cockatoo Coal は、オーストラリアのクイーンズランド、ニューサウスウェールズ両州で13カ所の石炭鉱区を保有している。これら鉱区の石炭埋蔵量は15億トンで、現在石炭を全て輸入に依存している韓国の有煙炭年間輸入量(1億トン)の15倍に相当する。

鉱区は次の通り。

操業中:Baralaba Coal Mine

開発中:
 ①Bowen Basin Projects
   Baralaba、Baralaba North、Baralaba South、Wonbindi
 ②Surat Basin Projects
   Bottle Tree、Collingwood、Davies Road、Krugers、Taroom、Tin Hut Creek、Woori
    ③NSW Projects 
   Bylong Cockatoo Coal に出資する韓国電力公社KEPCO 100%。Cockatooが30%のオプション。
   Hume   Cockatooが30%、Cockatooに出資するPOSCOが70%

Cockatoo Coal が本格的な操業に入る2015年には年300万トン、19年には1200万トンの石炭生産が見込まれる。

SKグループは「石油、ガス、鉄鉱石に続き、石炭分野でも海外での資源開発に参入することになる」と説明している。

 

 

JX日鉱日石エネルギーは3月14日、豪州子会社(JX Nippon Oil & Energy)とXstrata Coalが、カナダ西部British Columbia州のPeace River 炭田において原料炭合弁事業を開始したと発表した。

JXはXstrata CoalからXstrata Coal British Columbia Group の持分の25%を435百万米ドルで取得した。
Xstrataは持分の75%を保有し、本JV鉱区の開発、操業および運営を行う。

Xstrata Coal British Columbia Group は下記の互いに隣接する原料炭権益を100%保有している。
 ・First Coal Corporation
   2011年8月にXstrataが147百万カナダドルで元のオーナーから買収した。

 ・Lossan石炭権益
   Xstrataが2011年10月にCline Mining から40百万カナダドルで買収した。

 ・Sukunka hard coking coal deposit
   Xstrata が2012年3月8日にTalisman Energyから500百万米ドルで買収したばかり。

 (これらの買収額からだけ計算すると、JXの25%の持分の買収額435百万米ドルは非常に高い)

 JXエネルギーはFirst Coal所有鉱区およびSukunka鉱区から産出される原料炭の日本向け総販売代理店を務める。

調査が先行しているスクンカ鉱区(確定および推定資源量が2.36 億トン)およびススカ鉱区(旧ロッサン石炭権益と近接するファースト・コール所有鉱区の一部を統合した、より大規模な露天掘りプロジェクト、資源量はロッサンだけで2.4億トン程度)は、あわせて年に950 万トンの生産が可能との技術調査結果が出ている。
産出される石炭の大部分は強粘結炭(
コークスの主原料)が占め、一部はPCI 炭(高炉製鋼において微粉炭吹込に用いられる石炭)となる見込み。

ススカ鉱区に統合した鉱区を除くファースト・コール所有鉱区は本格的な探査開始に向けた準備中。

JXでは、従来の電力会社向けを中心とした一般炭事業に加えて、鉄鋼生産に不可欠とされる製鉄会社向け原料炭事業へも本格的にその領域を拡大するものとしている。

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Xstrataは主要鉱物資源の大手生産者で、スイスに本拠を置き、世界20 カ国に亘り、100 以上の事業及びプロジェクトを展開している。

銅、一般炭・原料炭、フェロクロム、亜鉛およびニッケルの生産に関しては世界で五指に入る。
銀、鉛、プラチナ、金、コバルトおよびバナジウムも生産している。

本年2月7日に、同じくスイスの商品取引最大手Glencore Internationalは、Xstrataを391億ポンド(約4兆7400億円)で買収し、対等合併すると発表した。

但し、Xstrataの一部株主が、Xstrataの価値を過小評価しているとして反対している。

    2012/2/9  スイスの資源会社Glencore InternationalとXstrataが合併  

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JX日鉱日石エネルギーはこれまでに、豪州とインドネシアで石炭事業に参加している。

1)豪州

Xstrata Coal とのJVで15.2%を出資するOakbridge Pty Ltd を通じて、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州のBulga炭鉱に13.3%の権益を保有しており、ここで生産される一般炭を日本の電力会社などに販売している。(2010年度の国内需要家向け納入実績は750 万トン)

バルガ炭鉱は、露天掘と坑内掘の2つの炭鉱および選炭工場を持つ年産約1,100万トンの大規模な炭鉱で、可採埋蔵量3億トン以上、可採年数20 年以上となっている。

JXは1990年に同炭鉱の権益を持つOakbridgeに資本参加した。
他に、豊田通商、JFE商事、新日本製鉄が参加している。

2)インドネシア

2011年6月にインドネシア・西パプア州に炭鉱を保有するPT.Horna Inti Mandiriの株式の5%を取得し、生産される石炭の日本向け販売権も獲得した。

ホルナ社の保有する炭鉱は、インドネシアのパプア地域で最初に開発される炭鉱で、高カロリーかつ低灰分の極めて高品位な石炭の産出が見込まれている。

炭鉱面積は約6300haで資源量は1億トン程度と見込まれている。出荷開始は2012年で、当初は年100万トン程度を予定している。



 

 

 

旭化成は3月12日、米国の救命救急医療機器大手であるZOLL Medical Corporationを買収することで合意したと発表した。
買収金額は総額約22.1億米ドル。

ZOLLは生命蘇生技術をコアテクノロジーとした会社で、米国の体外除細動器市場では強固な事業基盤を保有している。
着用式除細動器「LifeVest」や体温マネージメント機器「Thermogard」等の革新的医療機器で事業拡大を図るとともに、欧州、アジアへの拡大を進めている。

ZOLLは1980年にDr. Paul M. Zoll など3人が設立した。
Dr.Zollは1952年に Beth Israel Hospitalの心臓病クリニック長の時に、心拍停止時に外部からの電気刺激が効果を生むことを見付けた。

2011年度の売上高は5億2370万ドル、営業利益は4820万ドル。

旭化成は既に2011年8月から、日本での事業強化を模索していたZOLLとの協業の第一弾として AED(自動体外式除細動器)「ZOLL AED Plus」の販売を開始するとともに、ZOLLの日本における薬事コンサルタントおよびマーケティングを引き受けている。

今般、今後の両社のさらなる協力関係の強化について協議した結果、本買収の合意に至った。

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旭化成は2011年4月にグループ総合力の結集と融合を目指す「これからプロジェクト」(環境・エネルギー、住・くらし、医療の3領域)を立ち上げた。
医療関連分野については、次世代の中核事業領域と位置付け、グローバルな成長戦略を推進している。

同社のヘルスケア事業は2つの領域により構成されている。
泌尿器・骨領域・血液疾患等の医薬事業

 骨粗しょう症治療剤「エルシトニン」、「テリボン」
 排尿障害改善剤「フリバス」錠
 抗うつ剤「トレドミン」(日本で初めて開発されたセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤)
 血液凝固阻止剤「リコモジュリン」(世界初の遺伝子組み換え型卜ロンボモジュリン製剤)
 診断薬

透析等の血液浄化関連、バイオプロセス関連の医療機器事業

 透析 ポリスルホン膜人工腎臓「APS」 (膜分離技術)
 アフェレシス(血液浄化療法) 
 「プラノバ」 世界初のウイルス除去フィルター

  2009/5/30 旭化成クラレメディカル、米社と透析事業で包括的な事業提携
   (旭化成クラレメディカルはその後、旭化成100%となり、旭化成メディカルとなった。)

これらの事業に加え、新たに成長を牽引する事業基盤として、クリティカルケア(救命救急医療)分野に絞り、参入の機会を模索していた。

今後、ZOLLの成長戦略の実現および加速のために必要な資源投入を図る。また、M&Aを含め積極的な戦略的投資を行う。

なお、買収に伴うノレン代は1500億円程度となり、同社では20年で償却する方針としている。

 

 

日本化学会は3月13日、化学にまつわる貴重な歴史資料「化学遺産」に、7件を認定したと発表した。
 http://www.chemistry.or.jp/archives/isan-nintei3.html

これで化学遺産は17件となった。

日本化学会は、歴史資料の中でも特に貴重なものを文化遺産、産業遺産として次世代に伝え、化学に関する学術と教育の向上及び化学工業の発展に資することを目的とし、2010年3月に、第1回として6件の、2011年3月に第2回として4件の「化学遺産認定」を行っている。

2010/3/18  化学遺産認定 
2011/3/17  化学遺産、第二回認定

なお、国立科学博物館も同じような趣旨で「未来技術遺産」の登録を行っている。

2011/10/8   「未来技術遺産」

第3回認定は以下の通り。

▽ 『眞島利行ウルシオール研究関連資料』

眞島利行(1874-1962年)は、漆の主成分であるウルシオールの構造決定を皮切りに、日本特産の天然有機化合物の構造研究を中心とした研究を推進 し、日本の有機化学を世界的なレベルに高めた。

▽『田丸節郎資料(写真および書簡類)』

田丸節郎(1879-1944年)は、1908年にドイツのFritz Haber研究室に留学し、アンモニア合成の研究に参画した。
ドイツでの経験を活かして理化学研究所第1号館(化学)の設計や学術振興会の創設などに貢献した。

▽『鈴木梅太郎ビタミンB1発見関係資料』

国立科学博物館所蔵の最初に作られたビタミンB1の結晶や、もとになる米ぬか成分の標本など。

鈴木梅太郎(1874-1943年)は当時不治の病と恐れられた脚気の原因を研究し、1910年に微量でも生命活動の維持に必要な物質を発見し「オリザニン」と命名した(現在のビタミンB1)。
これは、実質的に世界で初めてビタミンの概念を提唱し、ビタミンを発見したことになる。

▽『日本の合成染料工業発祥に関するベンゼン精製装置』

本州化学工業(当時の由良精工)和歌山工場の国産ベンゼン精製装置

第一次世界大戦の勃発によりドイツから合成染料の輸入が途絶えたため、1914年に三井鉱山でのアリザリンレッドの工業化を皮切りに日本の合成染料工業が始まった。

▽『日本初期の塩化ビニル樹脂成形加工品』

東亜合成子会社のアロン化成保管の当時の製品見本と、古河電気工業の塩化ビニル被覆電線の営業用の見本。

東亞合成化学は1951年、イギリスのウインザー社の押出機を改良して塩化ビニル管の試作に成功し、水道管などに広く使われた。

軟質塩化ビニルの電線被覆は1949年に古河電気工業がアメリカの押出機を用いて国産化を実現した。

これらは国立科学博物館の「未来技術遺産」に登録されている。

2008 00009号 国産初期の硬質塩化ビニル管サンプル アロン化成
名古屋工場
1951
2010 00057号 塩化ビニル被覆電線・ケーブル見本
― 現存最古級の塩化ビニル被覆電線―
古河電工
(市原市)
 1950~
1955頃

▽『日本のビニロン工業の発祥を示す資料』

京都大に保存されている装置や、クラレが所蔵する初期の繊維

1939年10月、ビニロンの基礎研究が京都大学桜田一郎教授らによって発表され、国産初の合成繊維として期待された。
倉敷絹織(現在のクラレ)、鐘淵紡績(現在のKBセーレン)など民間企業で研究されたが第二次世界大戦の進行で阻まれた。
1950年、倉敷レイヨンにより初めて工業化された。

これも国立科学博物館の「未来技術遺産」に登録されている。

2010 00056号 ビニロン(ポリビニルアルコール繊維)
― 国産初の合成繊維 ―
クラレ
岡山事業所
1950


▽『日本のセメント産業の発祥を示す資料』

日本初の民間セメント製造企業小野田セメントがセメント焼成用に作った徳利(とっくり)窯。

1875年に隅田川東岸で、日本で初めてセメントを製造した官営工場が払い下げられ、後の日本セメント誕生となった。
一方、最初の民営セメント製造会社(後の小野田セメント)が1881年山口県小野田に誕生した。

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なお、日本化学会は第3回認定に関する公開講座を開催する。

第6回「化学遺産市民公開講座」

平成24年3月25日(日)13時~17時
慶応義塾大学日吉キャンパス第4校舎独立館3階D-310教室

http://www.chemistry.or.jp/archives/kouza2012.html

 

 

ExxonMobilのTillerson会長兼CEOは3月8日に行った講演で、将来の需要の伸びに対応するための新たなエネルギー源の開発に今後5年間で約1,850億ドルを投資すると述べた。これは過去5年間の投資を29%上回る。

ExxonMobilでは今後著しい効率改善があったとしても、世界のエネルギー需要は2040年までに2010年比で30パーセント増加すると見ている。電力需要に伴って天然ガスが主要なエネルギー源として最も急成長し、石油と天然ガスが今後30年間のエネルギー需要の60パーセントを満たすと予想している。

これに対応するため、ExxonMobilは2016年までの5年間に年間370億ドルを投資する。

2012年から2014年の間に合計21件の石油・ガス計画が生産開始する。
このうち 2012年と2013年には、西アフリカの4カ所、カザフスタンのKashagan Phase 1 、カナダの Kearl Oil Sands project を含む9件の主要な川上プロジェクトを開始、2016年までに原油換算で日産100万バレル以上の純産出量を期待している。

Kashagan ガス田はカスピ海北部にある海上ガス田で、Eni が主体で開発しており、日本の国際石油開発(Inpex) も参加している。
出資比率は、
Eni (18.52%)Shell (18.52%)Total (18.52%)ExxonMobil (18.52%)ConocoPhillips (9.26%)KazMunayGas (8.33%)Inpex (8.33%)

Kearl Oil Sands ProjectはAlberta州のKearl Lake areaで開発中で、出資比率は、
Imperial Oil Resources 70%、ExxonMobil  30%。

同社では過去2、3年、天然ガス開発に注力している。同社では天然ガスは2025年までに石炭を追い抜き2番目に重要な燃料になると見ている。

ExxonMobil は2009年12月にXTO Energyを410億ドルで買収すると発表した。

XTOは米国のみで操業する非在来型天然ガス生産大手で、シェールガス、タイトガス、コールベッド・メタン、シェールオイルなど、合計換算 45兆立方フィートのガス資源を有しており、Barnett, Fayetteville, Haynesville, Marcellusなど主要シェールガスの全てで開発を行っている。

しかし天然ガスは今のところ、儲かっていない。シェールガスの供給増大で価格が急落している。

Chesapeake EnergyやConocoPhillipsは供給過剰対策で本年に生産を停止している。

Exxonは天然ガスの生産減は行わないが、将来計画では石油を重視するとしている。

ーーー

Tillerson会長はシェール開発についても述べた。

シェールの採掘には水圧破砕法(Hydraulic fracturing 又は fracking)が使われているが、一部でこの技術ではガスを採取できないケースがあることが分かった

坑井内に高い圧力を加えて採収層に割れ目(フラクチャー)を作り、その中に砂などの支持材を充填することによりその閉塞を防ぎ、採収層内に非常に浸透性の高い油・ガスの通り道を形成するもの。
大量の水と600種類にも及ぶ薬剤を投入する。一つの井戸で18回も投入する。

ExxonMobil はXTO Energyを買収したが、ポーランドで行った最初のシェールガス開発(2か所)で失敗した。
昨年第4四半期に完成した井戸はガスが出ず、高圧ジェットでの試みも失敗した。

米国のシェール層でも水圧破砕法が有効でないものが確認されている。

Exxonでは現在、他の流動体、プロパント(砂やセラミックの顆粒)、ポンプ技術の使用でうまくいかないか、検討している。


こういう問題はあるが、同社では Bakken シェールで40万エーカー、Permian Basinで80万エーカー、Woodford Shaleで17万エーカーの権利を持ち、シェールは同社にとってのドル箱(Cash Cow )になるとみている。

同社は2011年7月、Sinopecとの間で四川省でのシェールガス開発の可能性を共同で評価することに合意した。
同社はまた、アルゼンチンのVaca Muertaシェールの開発も行っている。

ーーー

なお、シェールガスについては環境汚染の懸念から規制強化の動きがある。

フランスでは2011年7月に水圧破砕法を使用するシェールオイル、シェールガスの開発を禁止した。(Law No.2011-835)
これに基づき、2011年10月に米国の
Schuepbach社のNant とVilleneuve-de-Berg での計画とフランスのTotal のMontélimarでの計画の認可が取り消された。

ブルガリア議会は本年1月18日、水圧破砕法による石油・ガス開発禁止法案を可決した。
水圧破砕法の利用禁止に加え、ブルガリアの領土・領海内のシェールだけに限らず、石炭やオイルサンド(油砂)、オイルシェール(油母頁岩)からの天然ガスと石油の抽出も禁止する。

ブルガリア政府は2011年6月にChevronに対し、北東部ドブルジャ地方での試掘を認めたが、認可は取り消された。

米国の各州でも規制の動きがある。

参考 2011/8/8  「ガスランド ~アメリカ 水汚染の実態~」 

 

付記 コメントで下記記事の紹介がありました。

水圧破砕法は水質汚染の犯人にあらず=専門家ら

水質汚染のあった採掘坑では、水道水を汲み上げる帯水層に接する部分がセメントで適切に隔離されておらず、汚染物質が帯水層に流れ込んだという。

 

韓国と米国との自由貿易協定(FTA)が3月15日に発効した。最初の交渉妥結から5年かかった。

工業製品などの9割弱について両国で関税が即時撤廃され、5年以内に工業製品などの約95%で関税が撤廃される。
米国市場で韓国製品と競合する日本製品の競争力は一段と低下することになる。

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韓米FTA交渉は2007年4月2日に妥結した。最後まで争点となった牛肉を含む農業と自動車分野でも合意した。
なお、コメについては対象外となっている。

2007/4/4 米韓FTA妥結 

しかし、自動車関連などで米国内の反対が強く、批准されないままとなっていた。

2010年7月の韓国・EUのFTA妥結を受け、争点を話し合うための通産相会議が11月に行われたが、自動車と牛肉問題で合意に達せず、決裂した。

2010/11/12 米韓FTA協議、決裂 

最終的に、米国は牛肉問題はFTAと別の問題とする韓国の主張を受け入れ、その代わり、韓国は自動車で大きな妥協を行い、2010年12月3日に交渉が妥結した。

2010/12/4 韓米自由貿易協定(FTA)追加交渉が妥結

米上下両院は2011年10月12日、韓国とのFTAの実施法案を賛成多数で可決した。

韓国与党ハンナラ党は11月22日、国会で韓米FTA批准案を強行可決した。本会議場では、これを阻止しようとする野党の議員が催涙弾を投げるなど一時大混乱に陥った。

2011/11/25 韓国、韓米FTA批准案を強行可決 

韓国国会は2011年12月30日、米国とFTAの再交渉をするよう政府に求める決議を賛成多数で可決した。
決議は特に「ISD条項」(
投資家対国家紛争仲裁制度)について「主権を脅かしかねない」と指摘、破棄も含めて米国と再交渉するよう求めている。

2012/1/7 韓国国会、「米とのFTA再交渉」決議 

ーーー

韓国外交通商部は本年2月21日、韓米FTAが3月15日午前0時に発効すると発表した。

最大の争点のISD条項に関しては、「削除は検討していない」と述べ、「FTA発効後90日以内にサービス投資委員会を開き、ISDをめぐる問題を論議するための特別班を構成する予定」とした。

なお、本条項は2007年の最初の妥結時から入っていた。
韓国が既に80カ国以上と結んだ投資協定にもISDは入っている。

総選挙を4月に控えた韓国の野党内に反発が残っているが、一時は「破棄」を求める姿勢を示していた最大野党・民主統合党の韓明淑代表は、「(問題のある条項の)再交渉に力点を置いている」と語るなど軌道修正を図っている。

付記

米通商代表部は2011年11月に韓国でのFTAの国会批准を控え、「韓米FTAが発効されれば、韓国が提起するいかなる問題にも、韓国と交渉する準備ができている」と明らかにした。

しかし、2012年5月、「米政府は、韓国が心配する様々な問題に耳を傾ける準備ができている」としつつも、FTAの再交渉については否定的な考えを示した。

ーーー

韓国は米国、EU、EFTA(欧州自由貿易連合)、シンガポール、ASEAN、インド、チリ、ペルーとFTAを結んでいる。
3月11日には
トルコとのFTAの商品分野の交渉が妥結した。遅くとも来年初めにはFTA発効を目指している。

付記 3月26日、トルコとのFTA交渉が合意に達した。

米国・EU・ASEANの世界3大経済圏とFTAを結んだ唯一の国となり、欧州―東アジア―米国をつなぐ「東アジアのFTAハブ」(韓国政府)となる。

世界経済の低迷や欧州財政危機の中でも昨年、欧州企業の韓国への直接投資は急増し、日本や中国企業もその後を追っている。中国など、海外に流れた国内企業各社が次々とUターンの準備をしているという。

 

 

 

サンフランシスコの連邦陪審院は2月8日、中国国営の大手鉄鋼メーカーの攀鋼集団(Pangang Group)とその子会社3社及び企業1社を、商業機密窃取の疑いがあるとして起訴した。
また中国系アメリカ人夫婦2人、デュポン前職員2人が起訴された。

今回起訴されたのは以下の通り。
  攀鋼集団、子会社の攀鋼バナジウム、攀鋼集団バナジウム業、攀鋼集団国際経済貿易有限公司
  USA Performance Technology Inc. (Walter Liewの経営していたコンサルタント会社)

    Robert J. Maegerle(元DuPont社員) 
  
 Tze Chao(同上)
  
 Walter & Christina Liew(夫婦、USA Performance Technology)

中国系アメリカ人夫婦が2人のDuPont元社員からDuPontの二酸化チタンに関する商業機密を手に入れ、攀鋼に売却した疑いがもたれている。
Liewの貸金庫にあった書類には、Liewは1991年に中国政府の役人から中国で二酸化チタン工場を建設するための技術の取得を依頼されたと書かれている。
検察側は
Liewと会った中国人の一人は中国共産党の高官で、その後政治局入りをしていることを明らかにした。 

DuPontはこの事業で70年の経歴があり、世界シェアの20%を占める。
同社の塩素法は
他社の硫酸法に比べると廃棄物もエネルギー消費も少ないのが特徴。


 


検事は論告で、中国は二酸化チタンの能力が不足しており、この技術の確保が経済的にも科学的にも必要であるが、DuPontが中国にライセンスする気がないため、中国政府はこれを盗もうとしたとしている。

1998年に Maegerle は二酸化チタン製造プラントの設計に必要なプロセスや機器などのDuPontの秘密情報を Liew に渡した。
2005年にMaegerleはDuPontの塩素法プロセスに関する秘密情報を送った。
2008年にMaegerle、Liew、Tze Chaoは攀鋼集団に、中国で年産10万トンの二酸化チタンのプラントを建設するための資料を送った。

起訴された4人のうち、Tze Chaoは秘密情報を攀鋼集団に渡したことを認め、司法への協力に応じた。

しかし、Liew夫妻とMaegerleは容疑を否認している

攀鋼集団側の弁護士も出廷したが、米国の司法が中国企業を裁くことは出来ないと主張、司法権についての争いのためだけの出廷だとしている。

ーーー

DuPont に関しては、同社の有機ELに関する企業秘密を盗んで母校の北京大学に持ち帰ろうとしたとして中国生まれの研究員Hong Mengが2010年10月に禁固14か月となっている。

2009/9/12 DuPont、産業スパイを摘発

 

 

 

韓国の原子力安全委員会は3月13日、釜山市にある古里(コリ)原発1号機ですべての外部電源が12分間、喪失する事故が起きたことを明らかにした。
1号機の電源関連機器のテストを行っていたところ、外部電源の供給が止まり、非常用のディーゼル発電機も作動しなかった。
定期点検に合わせ運転停止中だったが、炉心の温度は高く、使用済み核燃料の貯蔵プールとともに冷却が必要な状態だった。

しかも事故は2月9日に発生したが、事業者の韓国水力原子力はこれを1カ月以上報告していなかった。
韓国メディアは「(事故の)隠蔽を図ろうとした」と報じた。
韓国の原子力安全法は、原発施設の故障などの事実は遅滞なく同委に報告するよう定めており、同法違反の可能性もある。

安全委員会は事態を重視して3月4日から定期検査が終わり再稼働していた同機の停止を緊急指示するとともに、原因究明のため、調査団を急きょ派遣した。

付記

韓国の原子力安全委員会は7月4日、停止中の古里1号機の再稼働を承認した。

周辺自治体から廃炉要求が相次いだため、運営会社の韓国水力原子力が、IAEAに同機の安全点検を依頼、IAEAは「設備の状態は良好」との結果を明らかにしていた。

古里原発1号機は韓国最初の商業用原発として1978年に運転を開始した。加圧水型軽水炉(PWR)で、出力は587千kw。
古里原発では1号機から4号機までが稼働中で、このほかに隣接する新古里原発で1基が稼働、3基が建設中。いずれもPWR。

1号機は2007年に30年の設計寿命を終え、翌年から10年の運転延長に入っていた。

周辺住民などから安全性を懸念する声が強まっている。
釜山では、福島第一原発事故の発生から1年に合わせ、古里1号機の危険性を訴え、廃炉を求める集会やデモも開かれた。

ーーー

2011年6月21日、古里2号機(出力605千kw、1983年発電開始)の稼働が中断した

古里原発と新蔚山発電所の間の送電線3線のうち1線に農作業用ビニルがくっついて0.05秒ほど電気の供給が中断し、2号機の保護継電器が作動して2号機の稼働が中断した。

継電器は5-10秒程度の電気供給中断や20%以上の過負荷がかかれば作動するよう設計されているが、今回の場合、許容範囲内であるにもかかわらず作動した。
この原因は継電器の設計ミスのためであることが分かった。

ーーー

2011年12月14日には古里原発3号機(出力895千kw、1985年発電開始)が突然停止した。タービン発電機に過電圧がかかり、発電機を保護するための保護リレーが作動した。

この前日には、蔚珍1号機(出力950千kw)も稼動を停止した。蒸気を冷却して水に変換させる復水器の異常によるもの。

ーーー

韓国水力原子力関係者は2011年11月、古里第2発電所にタービンバルブ作動機を納品する業者と原子力発電所職員が互いに組んで中古部品を納品し、この内の一部が使われたことを明らかにした。

   付記

古里原発の幹部職員が、原発の中古部品を無断で持ち出して業者に組み立て直させ、新品機器として同原発に納入させたとして、3月20日、詐欺罪で懲役3年の実刑判決を受けた。

同原発を運営する公営企業「韓国水力原子力」でタービン部品の購入を担当する課長が2008~10年、受注業者と共謀し、保管中の中古部品を無断で持ち出した。そのうえで、さびを塗装するなどして組み立て直させ、新品として同原発に納入させて、総額約32億ウォンをだまし取ったとされる。裁判長は「国民の安全に直結する原発の安全性に深刻な疑いを持たせる重大犯罪だ」と指摘し、実刑が相当とした。

 

付記

古里原発1号機で全電源喪失事故が起き、1カ月以上も国や本社に報告されなかった問題で、所長ら現場幹部が発生直後に組織的隠蔽を決めていたと複数の韓国メディアが報じた。

「福島事故から1年が近づく時期で、老朽化した1号機の事故事実が伝われば、波紋が大きく、負担になると考えた」という。

たまたま噂を聞いた市会議員が会社に問い合わせ、発覚した。

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停電事故当時、作動しなかった非常ディーゼル発電機が現在も作動不能状態であることが3月16日に確認された。
性能試験を行った結果、非常ディーゼル発電機を動かすために空気を供給するバルブのソレノイドバルブの故障で作動しなかった。

調査チームは古里原発の稼動を中断させたあと、報告隠ぺいの経緯と非常ディーゼル発電機を含む電力供給系統の問題点などを調査しており、今後、残り一台の非常ディーゼル発電機に対する性能確認などを行う。
 

参考 2012/5現在

    運転開始 原子炉形式 容量(kW)  
蔚珍 蔚珍1号機 1988年9月10日 加圧軽水炉 (PWR) 95万  
   2号機 1989年9月30日 加圧軽水炉 (PWR)  95万  
   3号機 1998年8月11日 加圧軽水炉 (PWR)  100万  
   4号機 1999年12月31日 加圧軽水炉 (PWR)  100万  
   5号機 2004年7月29日 加圧軽水炉 (PWR) 100万  
   6号機 2005年4月22日 加圧軽水炉 (PWR) 100万  
新蔚珍1号機   KSNP (APR-1400) 140万 2012/5 着工
      2号機   KSNP (APR-1400) 140万 2012/5 着工
  (3号機)   KSNP (APR-1400) 140万 計画
  (4号機)   KSNP (APR-1400) 140万 計画
霊光 霊光1号機 1986年8月25日 加圧軽水炉(PWR) 95万  
  2号機 1987年6月10日 加圧軽水炉(PWR) 95万  
  3号機 1995年3月31日 加圧軽水炉(SYSTEM80)  100万  
  4号機 1996年1月1日 加圧軽水炉(SYSTEM80)  100万  
  5号機 2002年5月21日 KSNP(OPR-1000)  100万  
  6号機 2002年12月24日 KSNP(OPR-1000) 100万  
月城 月城1号機 1983年 4月 22日 CANDU  67.8万  
  2号機 1997年 7月 1日 CANDU 70万  
  3号機 1998年 7月 1日 CANDU 70万  
  4号機 1999年10月 1日 CANDU 70万  
新月城1号機   KSNP(OPR-1000) 100万 試運転中
      2号機   KSNP(OPR-1000) 100万 建設中
古里 古里1号機 1978年4月 加圧水型(PWR) 55.6万  
  2号機 1983年7月 加圧水型(PWR) 60.5万  
  3号機 1985年9月 加圧水型(PWR) 89.5万  
  4号機 1986年4月 加圧水型(PWR) 89.5万  
新古里1号機 2011年2月 加圧水型(PWR) 96万  
     (2号機)   加圧水型(PWR) 96万 計画
           (3号機)   加圧水型(PWR) 134万 計画
           (4号機)   加圧水型(PWR) 134万 計画

KSNP:韓国標準型原子炉(韓国電力公社設計、加圧水型原子炉)。
 

 

 

 

 

 

カリフォルニア州のマウンテン・パス鉱山でレアアースの採掘・生産を行っているMolycorp, Inc. は3月8日、カナダのレアアース加工大手のNeo Material Technologies Inc.を買収すると発表した。買収金額は13億カナダドル。

Neo Material はレアアース鉱石を高純度に加工する技術を持つ。
買収によりMolycorpは世界最高のレアアース資源と世界最高のレアアース加工技術を統合、川上から川下までを垂直統合したレアアース会社となる。

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Mountain Pass鉱山は1949年に発見され、Molybdenum Corporation of Americaが1952年に小規模の生産を開始した。
1962年にカラーTVに使うユウロピウムの需要拡大に対応し、生産を拡大した。
1965年から1995年まで、大規模生産を続け、世界のレアアースの需要の大部分を賄った。

1977年にUnocal が同社を買収、2005年にChevron子会社となった。

1998年に排水問題で分離工程を停止、2002年に環境規制と中国品の低価格攻勢により採鉱を停止した。
2008年にこの鉱山の再開のためMolycorp Minerals LLCが設立され、Chevronから鉱山を買収した。2011年から生産を再開した。

2010/10/5 レアアース、米・豪・カザフなど生産拡大

Molycorpは同鉱山の拡張・近代化計画(Project Phoenix)をたてた。

2012年末の第一期完成時にはMountain Pass設備は世界初の統合レアアースサプライチェーンとなる。
新精製設備で年20,000トンのレアアース酸化物を生産、これに加え、レアアースメタルや
サマリウム・コバルト合金ネオジム・鉄・ホウ素(NdFeB) 合金と永久磁石などを供給、'Mine-to-Magnets' 計画を達成するというもの。

このための資金781百万ドルの一部として、住友商事が出資する予定であったが、これは製品の引取価格で折り合わず、中止となった。
同社は増資と転換社債の発行で資金を賄った。

同社は又、日立金属との間でネオジム・鉄・ホウ素(NdFeB)合金や永久磁石を製造するJVの設立交渉をしていたが、これも取り止めとなった。

Molycorpは別途、2011年4月にエストニアのレアアース加工会社 Silmet の経営権を約89百万ドルで取得するとともに、日本の希土類合金大手、三徳の米国アリゾナ州の子会社Santoku America, Incを現金1750万ドルで買収した。

Silmet はレアアースを年最大で3000トン、レアメタルを同700トン加工している。
Santoku Americaは、高純度レアアース金属・合金を生産しており、買収によりMol.ycorpは原料鉱石から希土類合金まで一貫生産できる体制を整えた。

2011/9/22  住友商事の米国レアアース企業への出資取り止め、日立金属のJVも中止

ーーー

今回買収するNeo Material Technologies は、Performance Material部門ではレアアース類、ジルコニウム、レアメタル(ガリウム、インジウム、レニウム)を、子会社のMagnequench ではネオジム・鉄・ボロン希土類ボンド磁石用Nd粉末を生産している。

各製品の製造立地は以下の通りで、レアアースについては最大の生産国の中国2か所に子会社を持つ。
また、R&Dセンターを天津、江陰、淄博(Zibo)、シンガポール、英国
Abingdon、カナダPeterboroughの6か所に持っている。

レアアース &
ジルコニウム
江蘇省江陰市:Jiangyin Jiahua Advanced Material Resources
        江陰市加華新材料資源
山東省淄博市:Zibo Jiahua Advanced Material Resources
        博加華新材料資源
レアメタル ドイツ Stade 
ドイツ Sagard 
カナダ Napanee 
カナダ Peterborough
米国 Quapaw 
米国 Blanding 
Nd粉末 天津市:Magnequench (Tianjin)
タイ Korat:Magnequench (Korat)


レアアースとジルコニウムは、触媒コンバータ、コンピューター、テレビのディスプレイ・パネル、光学レンズ、携帯電話、電子部品などに使われている。
レアメタル製品は、主にワイヤレス、発光ダイオード (LED)、フラット・パネル、タービン、太陽熱、触媒分野で利用されている。
MagnequenchのNd粉末から製造されたボンド磁石は、マイクロ・モーター、精密モーター、センサー、その他、高いレベルの磁力、汎用性、小型化、軽量化が求められる磁気応用製品に幅広く用いられてい る。

江陰市加華新材料資源では,重希土類から磁石,蛍光体,光学ガラス,電子部品といったハイテク製品の原料を製造。
博加華新材料資源では軽希土類の精鉱から自動車排ガス触媒や磁石を製造,北米で販売。 
 (加華の加はカナダ、華は中国)

同社の2010年の売上高は338百万米ドルで、うち51%が中国、17%が日本となっている。

また、中国子会社2社からのレアアースの輸出量は、全体の輸出枠の1割前後を占めている。

単位:トン
  輸出枠 子会社
2011 30,184 2,596
2010 30,259 2,733
2009 50,145 6,290
2008 47,448 5,181
2007 59,643 6,479

なお、Neo Materialは中国以外にレアアースを確保する努力をしている。

2009年7月、三菱商事との間で、中国以外でのレアアース事業での戦略的パートナーシップをつくる覚書を締結した。
まず、三菱商事が最大250万ドルの調査費を負担し、ブラジルでMineracao Taboca社のPitingaスズ鉱山の残渣
に含まれるゼノタイムからディスプロシウムなどの重希土類を回収するプロジェクトを開始した。

 

MolycorpはNeo Material 買収の意義を以下の通り述べている。

MolycorpのProject Phoenixによる世界クラスのレアアース資源と低価格での生産体制に加え、世界市場をリードしている最高品質のレアアース製品を製造する能力を得る。
   
世界最大(世界の70%前後のレアアースを消費)かつ急成長を続けるレアアース消費国、中国への参入を果たす。
   
Neo Material の既存インフラ活用で、Project Phoenixの第二期工事(生産能力 10,000トン増)をより早く着手することが可能に。
   
Magnequenchの特許の磁性粉商品群を手に入れることによりネオジム・鉄・ボロン希土類ボンド磁石を製造することが可能に。
   
ガリウム、レニウム、インジウムなどの新規のレアメタルの製造販売が可能に

 

MolycorpはNeo Material買収により、米国と中国に拠点を持ち、加工技術を確保、磁石製造により'Mine-to-Magnets' を実現し、レアメタル事業にも参入することになり、Project Phoenix 第一期、第二期と合わせ、巨大レアアース企業となる。

 

 

Dowは3月7日、同社がテキサスに建設するワールドスケールのプロピレンプラントについて、取締役会が詳細設計と工期のかかる機器発注のための資金支出を承認したと発表した。

これは、米国のシェールガスからの低コストの原料を利用してエチレンとプロピレンの能力を増強するという同社の戦略の一環である。

Dowは2011年4月に、エチレンとプロピレンの能力増強を発表した。

米国北東部のMarcellusや南テキサスのEagle Ford などのシェールガスから価格面で競争力のあるエタンとプロパンを確保する目処がついたとしており、これらのシェールガスから長期契約でエタンとプロパンの供給を受けることにより、同社のPerformance Plastics、Performance Products、Advanced Materials などの事業の競争力を強化する。

エチレン能力の増加を230万トン、プロピレン能力の増加を90万トンとした。

エチレン
 ・停止していたルイジアナ州St. Charles のエチレンクラッカーを2012年末までに再開
 ・ルイジアナ州Plaquemineのエチレンクラッカーのエタン原料のフレキシビリティの改善(2014年)
 ・テキサス州のエチレンクラッカーのエタン原料のフレキシビリティの改善(2016年)
 ・メキシコ湾岸に新しいワールドスケールのエチレン設備の建設(2017年)

プロピレン
 ・テキサス州に新しいワールドスケールのプロピレン製造設備の建設(2015年スタート)
 ・自社の新技術を使って、プロパンからプロピレンを製造する計画の検討(2018年製造開始)

 2011/4/26 ダウ、エチレンとプロピレンの拡張計画を発表 

今回の決定はテキサス州Freeportにプロパン脱水素により新しいプロピレンプラントを建設するもので、2015年の生産開始の予定。

付記
Dowは4月19日、エチレンプラントを
Dow Texas Operations in Freeport, TXに建設すると発表した。
2017年のスタートを予定。

2011年12月に UOP LLCとの間で技術供与契約を締結した。
UOP C3 Oleflexプロセスを導入して、プロパンからプロピレンを生産するもので、UOPとは触媒購入契約と性能保証契約も締結した。

なお、2017年稼働を目指す新しいワールドスケールのエチレンプラントについては、2011年10月にFSを開始しており、4月に立地を発表する。Liveris CEOが3月8日に明らかにした。

ーーー

DowのAndrew Liveris CEOは3月8日、エネルギー関連の調査機関が主催する年次会合CERAweek でスピーチし、シェールガスからのLNGの輸出を制限するよう求めた。

概要は以下の通り。

Dowはこれまで安いエネルギーを求めてサウジなど海外で石化事業を拡大してきた。
しかし、米国
の豊富で安いシェールガスの出現で、Dowは再び米国での投資を始めた。
10年ぶりに新しいエタンクラッカーを建設するとともに、米国の施設をリフレッシュする。

安い原料による圧倒的な競争力の維持は、米国経済にとって絶好の機会となる。
しかし、アメリカのこの安く豊富なガスの産業での有利性は、首尾一貫した国のエネルギー政策をつくらなければ消えてしまう。これを失ってはならない。

天然ガスを輸出する代わりに、液体形態ではなく、これを加工した固体形態で輸出するべきだ。
天然ガスからプラスチック、肥料、その他化学製品に加工して輸出すれば、LNGで輸出するよりも8倍もの価値を生む。

 

参考 2012/2/24 米国からのLNG輸入問題 

 

 

ギリシャ政府は3月8日夜、同国政府が提案した債務削減に対する民間投資家からの回答を締め切った。

ギリシャ政府は9日、債務交換に総額1,720億ユーロの応募があったと発表した。
国内法に準拠した国債(1,770億ユーロ)のうち、85.9%の1,520億ユーロが応募した。
これに加え、外国法の下のギリシャ債(290億ユーロ)のうち、200億ユーロを保有する投資家も交換に応じた。

これは全体の債務の85.8%となる。目標の90%には届かなかった。

ギリシャ政府は国際機関に対し、ギリシャ法準拠国債について、集団行動条項(CAC:collective-action clauses)を発動する意向を伝えたことを明らかにした。

集団行動条項を適用すれば、国内法準拠の全て1,770億ユーロと外国法下のギリシャ債の応募分200億ユーロを加え、全体の参加率は95.7%に達する。

この結果、EUとIMFがまとめたギリシャ向け第2次支援策(1300億ユーロ)の実行に道が開かれ、市場が恐れていた「無秩序なデフォルト」に陥る事態はひとまず回避された。 

IMFのラガルド専務理事は9日、EUとIMFによる1,300億ユーロの追加支援のうちIMFの負担分の280億ユーロのギリシャへの融資を来週の理事会に融資を提案すると発表した。

付記
ユーロ圏
財務相会合は3月12日、ギリシャに対する第2次支援策を最終的に承認した。

外国法準拠国債については、債務交換の受付期限を3月23日まで延長した。

ギリシャが集団行動条項を発動できるのは国内法に準拠する国債(合計1,770億ユーロのうち不賛同の250億ユーロ)のみで、英国など外国の法律に準拠する国債(合計290億ユーロのうち不賛同の90億ユーロ)に対しては適用できない。

ギリシャ政府は外国法に基づくギリシャ債で参加を拒む投資家には、一切カネを払わない戦略を取り、参加しなければ、債券の元利払いを止めると脅している。
外国法に基づくギリシャ債の多くはヘッジファンドが保有しており、一部のファンドは法的措置を検討している。

金融派生商品(デリバティブ)の取引慣行などを決める国際スワップデリバティブズ協会(ISDA)は3月9日、ギリシャ政府の集団行動条項適用が「クレジット・イベント(清算事由)」に該当すると発表した。

この結果、実質デフォルトとみなされ、デフォルトのリスクに備えた保険商品である「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」の支払いが発動される。

リシャ国債については、米格付け会社S&Pが2月27日に一部の債務が履行されない「SD(選択的債務不履行)」と認定、Moodysも3月2日にデフォルトに相当する「シングルC」に格下げしていた。
しかし、ISDAではこれまで、ギリシャの債務再編が投資家自身の判断を前提とした「自発的」なものとして、デフォルト認定を見合わせていた。
集団行動条項適用により、デフォルトと認定した。

CDSの残高は2月末現在で3,250百万ドルで、CDSの売り手の金融機関は引当金を積んでいるため、直接の影響は少ない。
 焦げ付く債務が元本で5割程度なので、保険金の支払いも一部にとどまる見通し。
 
 しかし、今回のCDS発動で 「他国がいずれ強制発動に踏み切る」との思惑からポルトガルなど周辺国に危機が飛び火するとの懸念がある。

ーーー

経緯は以下の通り。

EUのユーロ圏17カ国は2月21日の財務相会合で、ギリシャへの総額1,300億ユーロの第2次支援を決めた。

2012/2/23 ギリシャ第二次支援決定

重要なポイントは民間債権者が保有するギリシャ国債の元本を53.5%削減することである。既発行のギリシャ国債2,060億ユーロのうち1,102億ユーロをカットし、残り958億ユーロを最長30年の新発国債などと交換するが、金利減を含めると実質74%もの債務削減となる。

銀行等保有の国債
 2060億ユーロ
1102億ユーロ(53.5%) 削減
 958億ユーロ(46.5%) 31.5%  最長30年の複数の新規国債 利率2.0~4.3%
15.0% 短期の欧州金融安定化基金債

民間側の代表である国際金融協会(IIF)とは合意したが、債権者とは個別に文書にサインする必要があった。

EUとIMFは、民間債権者との債務交換成立を1,300億ユーロの第2次支援最終承認の条件としており、賛成が少なければ債務削減を実施できず、支援策そのものが白紙に戻る。
3月20日に145億ユーロの返済期限を
迎えるため、それまでに新たな支援策がまとまらなければ、無秩序なデフォルトに陥る。

このため、ギリシャ政府は、対象投資家の3分の2以上の賛同で全ての国債交換を進められるようにする集団行動条項(CAC:collective-action clauses)を盛り込んだ法案を成立させた。逆に3分の2以上の賛成がなければ、集団行動条項も発動できないこととなる。

 

なお、ギリシャが日本で発行した円建て外国債券(サムライ債)は、元本削減の対象外となった。国内のサムライ債保有者は、これまで通り、元本と利息の支払いを受けられる。

ーーー

過去のデフォルトで大きいのは1998年のロシアが727億ドル、2001年のアルゼンチンが823億ドルで、今回のギリシャの1,102億ユーロはこれらを超え、過去最大となる。

ロシアの場合は石油と天然ガスの価格アップで、アルゼンチンの場合は穀物の価格アップで回復したが、ギリシャの場合は今後も困難が続くと思われる。

 

 

韓国知識経済部は3月5日、UAEのアブダビで韓国コンソーシアム(韓国石油公社/GS Energy)とアブダビ石油公社(ADNOC)が、3カ所の未開発鉱区油田開発に関する本契約を締結したと発表した。
韓国の中東での初の油田開発となる。

2011年3月に韓国石油公社とアブダビ石油公社間の石油ガス分野開発協力のMOUと、油田3鉱区の主要条件契約書を締結している。署名式にはUAEを公式訪問した李明博大統領がアブダビ皇太子とともに参加した。
今回、本契約を締結した。

ムハンマド皇太子は、この契約はUAEと韓国の戦略的パートナーシップに基づくもので、今後さらに協力関係を進めたいと述べた。

アブダビ首長国のアブダビ国営原子力エネルギー会社は2009年12月に、アラブ諸国初となる原子力発電所の建設を韓国電力公社を中心とする韓国企業連合に発注することを決め、合意文書に調印した。

2010/1/5 アラブ諸国で初のアブダビ原発、韓国電力連合が受注 

アブダビ首長国のムハンマド皇太子は本年1月、中東歴訪中の金滉植首相がイランの核問題などで不透明になっている原油市場について言及し、UAEに協力を要請したのに対し、「必要があれば韓国に原油を優先的に供給する」と述べた。

韓国コンソーシアムは全体の40%を出資し、陸上鉱区2カ所と海上鉱区1カ所を30年間にわたり開発・運営する。
契約対象鉱区は開発開始直前の油田で、賦存量は5億7000万バレルと評価されている。


 


知識経済部は「3月から事業に着手し、早ければ2014年から一部で生産を開始できると見込んでいる」とし「生産期間中は3カ所の油田で一日最大4万3000バレルの生産が可能」と予想している。 

非常時には、生産した原油の100%を韓国に輸入できるとする条項も契約に盛り込まれた。 

投資額は50億ドルで、韓国コンソーシアムは20億ドルを負担する。

なお、韓国コンソーシアムの権益40%のうち、GS Energyは6%を持つ。

ーーー

李明博大統領は本年2月にアブダビを訪問し、原発建設および油田開発事業の進捗状況を点検している。

また、これに先立ちカタールでシェイク・ハマド国王と首脳会談を行い、韓国・カタール高官級戦略会議の設置に合意した。

これは、原油購買、都市インフラの建設などや、長期的な未来ビジョンを話し合うもので、「両首脳が3ヵ月、6ヵ月ごとに進め具合の報告を受け、直接点検する」。
李大統領は「必要なら、夜遅くでも国王に電話をかける」という意志を示し、ハマド国王も「そうしてもらいたい。砂漠の国を未来の産業先進国に作っていく過程を韓国と共にする」と答えた。

ーーー

アブダビではExxonMobil、BP、Total と、日本の各社が開発を行っている。

2008/1/8 アブダビの石油権益は延長か

このうち、アブダビ石油(コスモ石油63%、JX日鉱日石開発31.5%)は2012年に45年間の期限を迎えるが、2011年2月に30年更新の新利権協定を締結した。

既存のムバラスなど3油田の24千バレルに加え、同程度の生産量が見込めるヘイル油田の権益も取得する。
ヘイル油田は2017~18年の生産開始を目指す。

2009/1/23 アブダビ石油の油田権益 20年延長へ


 

 

伊藤忠商事は3月5日、米国の第2世代バイオエタノール事業のベンチャー企業 ZeaChem Inc. の株式を取得したと発表した。
出資比率は数%とみられる。

伊藤忠商事とZeaChemは第2世代のバイオエタノール事業分野(将来的にはバイオマスから生産するグリーンケミカル事業分野)に、地域ごとのパートナーを得ながら世界各地への展開を検討する。

ZeaChemは米国で独自に事業展開するが、伊藤忠は中国や東南アジア、南米やオーストラリアなどで需要を開拓する。まずアジアに生産拠点を設ける計画で、現地の化学メーカーなどとの合弁を想定し、年産40万キロリットル程度の製造工場を2014年をメドに稼働させる方針。
10年後に約1千億円の売上高を目指す。

既存のエタノールの製造はトウモロコシやサトウキビなどを主な原料としているが、これらは食料と競合する。

このため、大量調達が可能で非食用のバイオマスを原料としたバイオエタノール生産に世界中が着目しており、第2世代バイオエタノール(or セルロース系エタノール)と呼ばれている。

これらは従来のエタノール生産と比べると、エタノール変換効率が極めて低く、安価に生産できないことが課題であった。
ZeaChemは、炭酸ガスの発生をなくしたことや、バイオマスの残渣もうまく活用したことで、エタノールへの変換効率を大幅に上げることに成功した。

ZeaChemのプロセスは使用するバイオマスの種類を選ばないため、収穫の季節に大量に出る農業残渣も利用でき世界中への展開が可能。

更に、ZeaChemのプロセスを利用するとプロピレンなどの化学品も作ることが可能となる。

ーーー

ZeaChemのシステムはシロアリの腸内細菌(Termite-Gut Bugs)から取れる酵素を利用する。

プロセスは以下の通りで、CO2の副生がないこと、残渣から水素を取ってエタノール生産に使うとともに、シンガスを蒸気と電力用に使用するという非常に効率的なものとなっている。

同社はオレゴン州Boardmanに年産25万ガロンのバイオリファイナリーを持っている。
 (建設費のうち25百万ドルは、2009年の
アメリカ復興・再投資法によるエネルギー省からの補助金

同社のプロセスでは下記の通り、C2~C6までの製品の生産が可能となる。

C2系 C3系 C4系 C6系
酢酸
 ↓
氷酢酸
 ↓
酢酸エチル
 ↓
エタノール
 ↓
エチレン
 ↓
エチレングリコール
 
乳酸
 ↓
プロピレングリコール
アクリル酸、エステル
ブタノール ヘキサノール
ヘキセン
プロピオン酸
 ↓
プロパン
 ↓
プロピレン
 ↓
メタクリル酸、エステル

他の技術は単一製品しか生産できないが、同社の製法は製品を切り替えることが出来、状況の変化に応じて最も採算の良い製品を生産することが出来る。

同社はまず、C2系の生産に成功、次いで同じ設備、同じプロセスでC3系の生産に成功した。

 

 

EU首脳会議は2012年3月2日、財政規律の強化に向けた新条約に各国が署名し、閉幕した。

欧州債務危機対策の一環としての金融安全網の再強化については、ドイツの慎重論に配慮し、3月末までに結論を出すことで合意した。

会議ではセルビアをEU加盟候補国にすることを承認した。

セルビアはコソボとの関係正常化交渉を再三中断してきたことなどから、ドイツが反対していた。
コソボとの間で国境管理措置などで合意したのを受け、承認した。

他のEU加盟候補は、トルコ、マケドニア、アイスランド、モンテネグロの4カ国。
正式加盟には、それぞれ問題を抱える。

なお、クロアチアが2013年7月にEUに加盟し、加盟国は28か国となる。

ーーー

(財政規律の強化に向けた新条約)

新条約は、各国に対し、景気の変動などの要因を除く財政赤字の大きさについて、GDP比で0.5%以下に抑えることを憲法や基本法などで定めるよう求める内容で、EU27か国のうち、英国とチェコを除く25か国が署名した。

英国は2011年12月のEU首脳会議で署名に拒否権を行使し、同条約に署名しない方針を示した。

チェコのネチャス首相は2012年1月のEU首脳会議で、財政統合を目指す新条約の調印に参加しない意向を明らかにした。(チェコの連立政権内にはこれに反対する意見があり、連立維持が危うくなっている。)

各国は今後、批准手続きに入り、2013年1月の新条約発効を目指す。ユーロ圏17か国のうち12か国の批准が発効の条件となる。

加盟国が新条約を批准しない場合、7月に欧州金融安定基金(EFSF)から引き継いで新設する欧州安定メカニズム(ESM)から支援を受けられない。

アイルランドでは、憲法を改正する必要があるため、国民投票を実施する。

付記

アイルランドの国民投票が6月1日開票され、賛成60.29%で批准が決まった。投票率は50.6%だった。

アイルランドは「財政再建の優等生」とされてきたものの、国民には増税や福祉手当のカットへの不満が強く、「反緊縮」ムードも漂っていた。

付記

独議会は6月29日、欧州の新たな財政ルールを定めた財政協定と共にESMを圧倒的多数で承認した。
ただ、その直後に反対する学者や議員、一般国民が憲法裁判所に不服を申し立てた。

ドイツの憲法裁判所は7月10日、この問題で、審理に応じることを決めた。しかし、判断を下す日程については明らかにしていない。
ガウク大統領は、憲法裁判所が承認するまで署名しない方針を示しており、批准が遅れている。

スペイン首相はこの日、EUの財政規律に反発する形で2012年の財政赤字目標を緩和し、先にEUと合意したGDP比4.4%ではなく、5.8%に設定したことを明らかにした。

ファンロンパイEU大統領は「信頼性の観点から財政目標は堅持されねばならない。そうでないなら、金融市場による懲罰が待っている」と指摘した。

ーーー

(金融安全網の再強化)

2011年7月の恒久的支援組織の欧州金融安定化メカニズム (ESM)発足を前に、金融安全網の再強化を行うもの。

基本構想は以下の通りで、IMF資金枠を合わせ、1兆9000億ドルを準備する。
本来、この会議で決定する予定であったが、ドイツの慎重論に配慮し、決定を3月末まで延ばした。 

  2012年7月ESM発足以降
当初案 目標
欧州基金 ESM   5000億ユーロ 統合、上限撤廃
    7500億ユーロ
     (約1兆ドル)
EFSF残 打ち切り 
    (2500億ユーロ)
IMF資金枠 現行   約 4000億ドル     +5000億ドル
 (うちEU 2600億ドル)
合計       1兆9000億ドル

 

これまでの経緯は以下の通り。

1)欧州基金

ユーロ圏16カ国は2010年5月、緊急支援の基金で3年間の時限措置の欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の設立と、これを引き継ぐ恒久的支援組織の欧州金融安定化メカニズム (ESM)の2013年7月設立を決めた。

EFSFは各国政府による保証を基に市場から資金を調達し、支援を必要とする国に融資を行う。

2011年6月にEFSFの拡充を決定(2011年10月に最後のスロバキアが一旦反対した後、賛成し、成立)

ユーロ圏各国の政府保証を受けて債券発行を行うが、最上級の格付けを維持するためには、そのうち格付けが最上級(AAA)の6か国の2550億ユーロしか貸し出すことができないため、拡充した。

各国が負担する保証負担額は以下のとおり。(百万ユーロ)

  保証負担額 拡大後
オーストリア 12,241    21,639
フィンランド 7,905 13,974
フランス 89,657 158,488
ドイツ 119,390 211,046
ルクセンブルグ 1,101 1,947
オランダ 25,144 44,446
AAA格付 6か国
  合計
255,439 451,540
その他 184,561 328,243
合計 440,000 779,783


その後1月13日に、S&Pはフランスとオーストリアの国債を格下げした。Moody'sは据え置いたが、両国について、見通しを格下げの可能性を示唆する「ネガティブ」とした。

2011年12月のEU首脳会議はESMを1年前倒しで2012年7月に設立することを決めた。

資金力の上限を5,000億ユーロに制限する。

EFSFが各国の政府保証を受けて債券発行を行うのに対し、ESMは800億ユーロの払込資本と6200億ユーロの請求払資本を保有し、銀行により近い形態を持つ 。
但し、銀行免許は付与しない。

2012年2月2日に欧州安定メカニズム(ESM)を創設する条約が署名された。2012年7月発効を目指す。

上記の財政協約を批准することを条件に金融支援を行う。

当初の最大融資能力は、7,000億ユーロの応募資本(800億ユーロの資本金と6,200億ユーロの請求払資本)によって得られる5,000億ユーロとする。

  出資比率
     %
Germany 27.1464
France 20.3859
Italy 17.9137
Spain 11.9037
Netherlands 5.7170
Belgium 3.4771
Greece 2.8167
Austria 2.7834
Portugal 2.5092
Finland 1.7974
Ireland 1.5922
Slovakia 0.8240
Slovenia 0.4276
Luxembourg 0.2504
Cyprus 0.1962
Estonia 0.1860
Malta 0.0731

 

当初の草案は「当初の融資能力規模は、最大5000億ユーロに設定される。これには現在のEFSFによる安定化支援も含まれる」としてい た。この場合、EFSFの残高は引き継がないこととなり、EFSFの拡充も意味がなくなる。

条約締結時には「欧州金融安定基金(EFSF)とESMの融資能力が十分か否か、2012年3月1日に再度検証する」とし ていた。

合わせて行うIMF資金枠増加に関し、 他の諸国から「まずEUが自らの安全網を強化すべきだ」と欧州の自助努力が強く求められた。

このため、ESMの融資能力5000億ユーロにEFSFの残り2500億ユーロを加え、7500億ユーロとする予定であった。
しかし、ドイツの反対意向を受け、今回の決定を延ばした。

ドイツではギリシャなどの放漫財政のつけを、ドイツ国民が事実上肩代わりすることに拒否反応が強く、メルケル首相らが「ギリシャの債務削減計画の状況を見極めるべきだ」などと主張した。

なお、800億ユーロの資本金は5回に分けて払い込まれる。当初は5年に分けて払い込む計画だったが、EU首脳はこれの加速方針でも合意した。
2回分は年内に行うことが決まっているが、残り3回をいつ行うかはEFSFの残高を繰り入れるかどうかと合わせ、3月中に決定する予定。

EUのユーロ圏17カ国は2月21日の財務相会合で、ギリシャへの総額1300億ユーロの第2次支援を決めた。

2012/2/23 ギリシャ第二次支援決定 

2)IMF

2011年11月のG20首脳会合で、IMFが十分な資金を持つ必要で一致した。
IMFは欧州への支援を念頭に最大5000億ドルの財源調達を目指している。
   このうちEUが2600億ドル規模を拠出する方針。

G20では、国際的な支援増強の前に「欧州の自助努力が必要」との条件が出されており、EUの対応待ちとなる。

 

 

 

復旧作業が難航している東京電力の福島第一原発をめぐり、東京都内の元技術者が独自に「暴発阻止行動隊」として高齢者に作業への参加を呼びかけている。

 2011/5/24 「福島原発暴発阻止行動 プロジェクト」 

隊員は約700人、資格は60歳以上で現場作業に耐える体力と経験があること。

 

これに志願している高齢の元エンジニアらが自らの思いや提言を本にした。

山田恭暉 編著 「福島原発行動隊 今、この国に必要なこと」(批評社)

 

 

GSK Biologicals(ベルギー)、GSK Japan、第一三共は3月2日、ワクチン事業における戦略的提携として、折半出資による合弁会社ジャパンワクチンの設立の契約を締結したと発表した。

近年、科学の進歩による予防医療の進展により、ワクチンに対する関心が非常に高まっているなか、日本においては、先進国で感染症予防に効果を上げているワクチンの多くが未導入・未普及となっていた。
このため、ワクチン産業ビジョン(厚生労働省:2007年3月)でワクチン・ラグを解消すべく産業強化のための方策が示され、新規ワクチンの承認・発売など、ワクチンを取り巻く環境に大きな変化と前進が見え始めている。

このような状況下、日本の医療ニーズに合致したワクチンの迅速な供給を実現するべく、GSKと第一三共が、ワクチンの後期臨床開発、マーケティング、営業機能を担う新会社を設立することとした。

付記

ジャパンワクチンは7月2日に事業活動を開始した。

GSK BiologicalsはGSKグループのワクチン事業を推進する世界有数のワクチン会社で、予防ワクチンと治療ワクチンの分野で30以上のワクチンを開発した実績と、20品目以上からなる開発パイプラインを有している。
2010年には先進国から途上国に至る179カ国において14億接種以上のワクチンを供給した。
2011年のワクチン売上高は4,196億円。

GSK Japanは2009年12月に子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス」で日本でのワクチン事業を開始、2011年11月からは、乳幼児のロタウイルス胃腸炎予防ワクチン「ロタリックス」も発売している。

新会社ジャパンワクチンは、GSK Japanと第一三共が折半出資で設立、両社が保有する予防ワクチン製品に関する開発権ならびに販売権を継承し、日本国内で臨床開発、マーケティング、ならびに営業活動を行う。

事業開始当初は、子宮頸がん、インフルエンザ、風疹、ロタウイルス胃腸炎ワクチンなど両社が既に販売しているワクチン計12種類を販売する。
新薬開発はGSKが海外で開発販売する50種類以上の中から開発品を検討していく。

ワクチン  製品名 対象
Human Papillomavirus (HPV) vaccine Cervarix 子宮頸がん
Rotavirus vaccine Rotarix ロタ胃腸炎
Seasonal flu vaccine   インフルエンザ
Mumps vaccine   おたふくかぜ
Diphtheria Pertussis (DTP) vaccine   ジフテリア・百日咳・破傷風/三種混合
Measles Rubella (MR) vaccine   麻疹・風疹

第一三共の2010年度のワクチン売上高は178億円、12品目を販売している。

北里研究所と第一三共との合弁、北里第一三共ワクチンは存続する。

第一三共は、1961年に北里研究所と提携し、ワクチン販売を開始した。
両社は2011年4月に、第一三共51%、北里研究所49%出資でワクチン専門の開発・製造発売会社
北里第一三共ワクチンを設立した。

参考 2011/8/26  新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備臨時特例交付金

また、Sanofiと提携して「ヒブワクチン」を扱っているが、この提携は「今後も継続する」。

ヒブ(インフルエンザ菌b型)は咳、くしゃみなどにより、鼻、のどを通して体内に入り込み、髄膜炎、敗血症, 喉頭蓋炎や他の重篤な感染症を引き起こすことがある。

第一三共は、これを予防する小児用ワクチンであるアクトヒ(製造元:
Sanofi Pasteur)を2008年12月に発売した。

 

 

BPは3月3日、New Orleansでの個人や企業を原告とする訴訟の併合審理手続き(Multi-District Litigation)で、原告側の運営委員会との間で和解に達したと発表した。
ニューオーリンズ連邦地裁の判事は、今月5日に予定されていた審理の延期を命じた。提案された和解条件は承認のため裁判所に提出される。

付記

BPは4月18日、和解が最終決定したと発表した。

基金からの賠償額に不満を持つ個人や企業が訴訟を起こしたもので、漁業関係者、清掃業者、ホテル、不動産会社など10万以上に及ぶ。弁護士は340人。

和解は2つの部分に分かれる。
一つは経済的損失で、これには
メキシコ湾の海産物業界への経済的損害(補償額 23億ドル)やメキシコ湾岸の観光促進のための宣伝費支援などが含まれる。

もう一つは医療費で、現実の健康被害の補償や、21年間の健康相談、今後の健康被害への対応など。
更に地域の(原告以外の人も含めた)ヘルスケアの幅、質の向上のための資金(105百万ドル)が含まれる。

BPの推定では和解で払われる総額は約78億ドルで、全額が被害補償のための200億ドルの基金(Gulf Coast Claims Facility)から払われる。

今回の和解以前に、BPでは事故関係で220億ドル以上を支出している。
81億ドル以上が個人、企業、政府機関への支払いで、これに加え、BPは作業関係で約140億ドルを支出した。

今回の和解による78億ドルの支払いは、既に損失として処理している200億ドルの基金から払われるため、同社の損益には関係しない。

損益計算上の特別損失は2年合計で371億ドル(2010年409億ドル、2011年 38億ドルの戻入)

他社からの和解金合計は54億ドル(戻入)のため、直接支出225億ドル、基金への支出200億ドルとなる。
   22,448 + 20,000-5,390=37,058百万ドル

200億ドルの基金からは既に、個人と企業からの22万件以上のクレームの解決に61億ドルが払われている。
今回の和解分を入れると、139億ドルで、残りは61億ドルとなる。

今回の和解には、米国政府などからの請求(Clean Water Act による罰金やOil Pollution Actによる自然資源損害によるもの)や州や地方自治体からの請求、別の併合審理手続きによるもの、その他が含まれていない。

Clean Water Act による罰金はバレル当たり1,100ドル だが、重大な過失の場合は4,300ドルとなる。
政府は410万バレルが流出したと見ており、重大な過失であれば、罰金は176億ドルにもなる。
BPでは流出量を320万バレルとし、バレル1100ドルを適用し、35億ドルを引き当てており、現在政府と交渉中。

不足すれば、残りはBPが直接支払うこととなる。

 

 

大日本住友製薬は2月29日、米国のBoston Biomedical Inc.を買収することで合意したと発表した。

大日本住友製薬は4月25日、Boston Biomedical Incの買収を完了し、完全子会社としたと発表した。

同社の会長のDr. Chiang Li等がつくっている 1Globe Health LLCが過半数を所有しており、株主数は合計6 名。
三井物産のベンチャー投資子会社の三井物産グローバルインベストメント(旧称 エム・ヴィー・シー)も株主の1社で、設立直後から出資し、取締役を派遣している。同社も大日本住友製薬への売却に同意した。

買収の対価は以下の通り。 

 買収完了時   200 百万米ドル  
   開発マイルストン
     開発中の化合物 BBI608、BBI503
  最大 540 百万米ドル  
  販売マイルストン   最大 1,890 百万米ドル 年間売上高が4,000 百万米ドルの場合)

 
BBI608 及びBBI503 について、2015 年以降の発売を目指している。

Boston Biomedical は癌領域を専門とするバイオベンチャー企業で、癌幹細胞への抗腫瘍効果を目指して創製された低分子経口剤であるBBI608 及びBBI503 の2 つの有力な開発パイプラインを有している。
(BBI608 及びBBI503 の日本、北米における独占的な権利を保有している。)

がん幹細胞に特異的な標的分子の同定が困難で、現在までのところ、がん幹細胞に対する抗がん剤が成功した事例はなく、BBI608 及びBBI503 は世界初のがん幹細胞に対する抗がん剤となる可能性を有している。

BBI608は現在、北米において大腸がんに対する第3 相臨床試験実施の準備段階にあり、また各種固形がんに対する第Ib/II 相臨床試験の段階にある。
BBI503は、北米において進行性の各種固形がんに対する第1 相臨床試験の段階にある。

大日本住友製薬はBBI608 について2011 年3 月に、全ての癌種を対象に日本をテリトリーとした開発・販売権に関する独占的なオプション契約をBBI 社と締結した。契約一時金および開発費用の一部として15 百万ドルを支払った。

北米での臨床試験の結果に基づき、オプション権を行使したときには、日本における独占的開発・販売権を取得する。
米国およびカナダについては独占交渉権を保有。

オプション契約締結後、開発パイプラインの革新性及び高い創薬・開発能力を評価し、本買収を決断した。

今後、大日本住友製薬の100%子会社として、ボストン地区で事業を継続する。

ーーー

大日本住友製薬は第二期中期経営計画で新薬継続創出に向けたパイプラインの拡充を掲げており、癌や免疫疾患などのスペシャリティ領域をチャレンジ領域とし、ファースト・イン・クラスの革新的な医薬品の創製を目指している。

ファースト・イン・クラス(画期的医薬品)は特に新規性・有用性が高く、化学構造も従来の医薬品と基本骨格から異なり、従来の治療体系を大幅に変えるような独創的医薬品をいう。

癌領域はアンメット・メディカル・ニーズが極めて高い領域であり、同社では、癌治療薬への挑戦を研究開発型製薬企業の重要な使命であると考えており、大きな事業チャンスとも見ている。

今回の買収で、癌領域における革新的な開発パイプラインを獲得するのみならず、卓越した創薬・開発能力の取得により、今後の継続的な開発化合物候補の創出が期待できる優れた創薬プラットフォーム及び開発能力を獲得することとなる。これにより、米国での研究開発体制を構築し、グローバルにおける癌事業での当社のプレゼンスを高め、癌領域を精神神経領域に次ぐ当社の将来の重点事業領域の一つとすることを目指す」としている。

ーーー

Boston Biomedical Inc.の会長のDr. Chiang J. Li は米国のバイオテクノロジー会社 ArQule Inc のChief Strategic Officeer & Executive VP であった。同社のR&D部門を立上げ、同社を化学品サービス会社からR&Dに焦点を当てた企業に変身させた。

2002年にArQule のR&D部門のメンバーがCyclis Pharmaceuticalsを設立し、癌治療薬の開発を行ったが、2003年7月にArQuleがこれを買収した。

2007年に開発がうまくいかず、ArQule はこれを分離してBoston Biomedical とし、500万ドルの研究補助金付きでDr. Chiang J. Li に与えた。現在もArQule 出身者が26名働いている。癌幹細胞領域の研究開発に特化。

ArQuleは開発業務をBoston Biomedical に移したことで、臨床試験中の製品に重点を移した。
ArQule はBoston Biomedical には出資していない。

Dr. Chiang J. Liは現在も ArQuleのScientific Advisory Boardの会長をしている。

第一三共は2008年11月に、ArQuleとの間で癌治療領域での研究・開発・販売の提携で合意した。

 

 

 

三井化学は2月28日、SABICとの間で、ポリウレタン原料のTDIとMDIの製造技術ライセンス供与契約を締結するとともに、将来の事業提携の検討を行うことに合意したと発表した。
これらを含めたウレタン事業の再構築を行う。

1. ライセンス契約

 ライセンス対象技術:TDI及びMDI製造技術
 契約締結日:2012年2月26日
 プラント運転開始時期:2016年(予定)
 立地:Al-Jubail地区
 範囲:TDI トルエンからの中間体(DNT,TDA,ホスゲン)を含む全ての製造技術
    MDI  ベンゼンからの中間体(ニトロベンゼン,アニリン、MDA、ホスゲン)を含む全ての製造技術

 SABICはTDIとMDIの能力や建設費、ポリウレタン計画の概要について、明らかにしていない。

2. SABIC社との事業提携検討

 三井化学とSABICはウレタン事業における提携を検討することに合意した。

    SABICは、今後三井技術により世界で最も競争力のあるTDI及びMDIプラントの建設に向けた基本設計を開始する。
 三井化学はSABICとの事業提携の検討を行い、2013年度を目途に合弁事業への参画を含めた提携を決定する。

 日本経済新聞(2月28日付)は、以下の通り述べている。

新設プラントの年産能力は30万~50万トンで世界最大規模になるとみられる。総事業費は1000億円を大きく超える見通し。

3.三井化学のウレタン事業再構築

 三井化学は自社の事業と武田薬品の事業を統合し、三井武田ケミカルとした後、三井化学ポリウレタンと改称、
 2009年4月1日に吸収合併した。

 PPG(ポリプロピレングリコール)は中長期的には国内需要が漸減するものと見込まれる。
   このため、千葉ポリオールでのPPG生産を2012年6月をもって停止する。

   TDI及びMDIは、既存の拠点とサウジの新プラントで最適生産体制を取り、
   将来的には海外拠点からの供給をメインにする。

三井化学グループのポリウレタン材料生産能力(2012年2月現在 単位:t /年)

    TDI MDI PPG
大牟田工場 旧 三井 120,000 60,000 -
鹿島工場 旧 武田 117,000 - -
錦湖三井化学
(韓国)
錦湖石油化学50% -        155,000 -
名古屋工場 旧 三井 - - 57,000
徳山分工場 旧 武田 - - 50,000
千葉ポリオール 日本曹達10% - -       28,000

(注)錦湖三井化学は2013年1月に200,000t/年

ーーー

SABICは2010年11月に機能性化学品への進出の一部としてポリウレタン事業への進出計画を明らかにした。
既にFSを実施しており、技術導入に関して数社と協議を行っているとしていた。

サウジアラビアは最終的にはサウジでの自動車生産を考えており、SABICはその際には原料を供給できる体制を作っておくというもの。

ポリウレタン事業への進出はこの一環。

PCについてはSABICが出資する
Saudi Kayan Petrochemical がAl-Jubailで生産を開始している。
     2006/7/5 新しいサウジ石化計画スタートへ

SABICは2011年5月には、天津のSinopecとの50/50JVSinopec SABIC Tianjin Petrochemical PCを生産すると発表した。
  2011/5/26 
SABICSinopec、天津でポリカーボネート生産

SABICはまた、ポリアミドへの進出にも関心があるとしていた。但し、既にサウジで下記のポリアミド計画が進行中で、2つは要らないとしている。

Saudi Industrial Investment Group (SIIG) とArabian Chevron Phillips Petrochemical Company Limited (ACP)は2010年6月、Polyamide 6,6プラント建設と、多くのポリマー加工計画を発表した。

ポリマー加工計画には、高機能ポリエチレンパイプ、灌漑用製品、使い捨て医療用品、ポリアミドコンパウンド、電気器具、自動車部品などが含まれる。

Jacobs Engineering Groupは、2010年12月に本計画の設計・購買・建設管理契約を締結した。

SIIGとChevron Phillips はサウジにSaudi Chevron Phillips Petrochemical、Jubail Chevron Phillips、Saudi Polymers 3つのJVを持っている。
  
2008/1/25 Chevron Phillips のサウジ石化事業

 

 

 

三星電子は2月20日、取締役会を開き、ディスプレー事業の競争力を高めるため、液晶表示装置(LCD)事業部を分社する案件を承認したことを明らかにした。

新法人の名前は「三星ディスプレー(仮称)」で、3月の定期株主総会で分社の承認を得て、4月1日にスタートする予定。

LCD事業部の分離により、三星電子の事業は携帯電話、テレビ、半導体の3部門となる。

三星電子のLCD事業部は、2011年の売上高が22兆7000億ウォン(約1兆6100億円)で、世界の液晶パネル市場ではシェア首位だが、1兆6000億ウォン(約1140億円)の営業損失を出すなど、業績は不振にあえいでいる。

そのなかで、2011年12月にソニーとの液晶パネルJVを解消し、三星電子の100%にすることを明らかにした。
ソニーに支払う株式の
代金は1.08兆ウォン(約730億円)で、三星は合弁の解消で急拡大した設備を、タブレット端末やスマートフォンに振り向ける。

2004年に、ソニーとの間で韓国にアモルファスTFT液晶パネルの製造合弁会社S-LCDを設立した。
三星が発行済み株式の5割と1株を持ち、ソニーが残りを出資した。
2005年4月に第7世代工場が稼動、2007年秋に第8世代工場が稼動、ソニーはほぼ半分を引き取ってきた。

三星電子のLCD事業部は現在、社内の他部門と外部の顧客企業との両方に製品を供給している。
分社により、このような曖昧な状況を終えるとともに、「経営のスピード化が図られ、取引メーカー各社からの様々なニーズに速やかに対応できるようになる」としている。

実際には液晶パネルは中国メーカーの参入で価格の回復は難しいと判断し、有機EL事業への移行を促す狙いがある。
今後、液晶ディスプレイ(LCD)から有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイに移していく。

三星電子は今回のスピンオフに関する声明の中で、「現在、ディスプレイ市場は急激な変化を遂げており、OLEDパネルが急速に LCDパネルに代わる主流となりつつある。ディスプレイ業界でこのような構造的変化が起こる中、当社のディスプレイ事業の競争力を高めるためには、事業の再構築など変化と革新に向けた方策を採ることが不可欠だ」と述べている。

三星ディスプレーは発足後、中小型有機発光ダイオード(OLED)パネルを重点的に生産する三星モバイルディスプレー(SMD)との合併を行うと見られている。

付記

三星ディスプレイは4月27日、三星ディスプレイが7月1日付で三星モバイルディスプレイ(SMD) 及びソニーとの合弁を解消した上記のS-LCDを統合すると発表した。

この合併が実現すると、世界のOLED市場の96%を占めるSMDとの合併で、年間売り上げ30兆ウォン(2.1兆円)規模の巨大なディスプレーメーカーが生まれる。

三星モバイルディスプレーは、2008年9月に三星SDIの中小型ディスプレイ(能動型有機発光ダイオード:AMOLED)部門が独立して設立され、2009年1月には三星電子の中小型TFT-LCD部門と合併した。
現在、三星電子の持株比率は64.4%まで拡大している。

三星SDIは旧称三星電管でブラウン管から出発したが、現在の主要事業は太陽電池、燃料電池、電気自動車等輸送用バッテリー、電力貯蔵用大容量ストレージなどとなっている。
(社名のSDIの由来は、S= Samsung、D= Display and Digital、I= Interface and Internet component)

 

 

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