中国の国家発展改革委員会(NDRC)は3月16日、シノペックとクウェート石油(KPC)のJVによる広東省湛江市東海島での石油精製・石油化学計画を承認したと発表した。
投資額は600億人民元で、年産1500万トンの原油精製能力と100万トンのエチレンクラッカー及びPE、PP、BTX、MEG等の誘導品からなる。
KPCがJVに原油を供給する。2013年スタートの予定。
出資はシノペックとKPCが50%ずつだが、KPCは持分の半分をパートナーに売却する予定で、候補としてダウやBPが挙がっている。
当初はシェルも交渉したが、その後シェルは上流に集中するという戦略に基づき、不参加を決めた。
能力は以下の通り。 | |||
原油精製 | 15,000 | 千トン | |
エチレン | 1,000 | ||
PE | 460 | ||
PP | 750 | ||
BTX | 710 | ||
MEG | 400 | ||
EO | 38 | ||
EVA | 200 | ||
ブタジエン | 150 |
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計画は5年越しのものである。
2006年にSINOPECとクウェート国営石油会社の石油精製プロジェクトが国家発展改革委員会の承認を受けた。
広州市南沙経済開発区で年間1,200万トンの石油精製を行うものである。
事前報道では15百万トンの石油精製と100万トンのエチレンコンプレックスと伝えられたが、石油精製能力は12百万トンで承認を受け、エチレンコンプレックスについては未定であった。
実は2005年12月に中国とクウェートが広東省での石油精製計画について覚書を締結、クウェートの石油大臣がペトロチャイナと会談して協議を行った。
しかし、この地域が本拠地であるSINOPECが巻き返し、政府を動かした。
2006/8/1 クウェートの中国進出
その後、2007年12月に年産15百万トンの石油精製と100万トンのエチレン計画のFS実施が承認された。
しかしながら、南沙計画に対しては環境面から反対が相次いだ。
南沙区は人口密集の珠江デルタの中心にあり、香港から37km、港珠澳大橋(香港~珠海~マカオ)から40kmしか離れていない。
香港やマカオから強い反対が起こった。
漁業やエビ養殖の盛んな南沙区の住民は、周辺の製油所による大気汚染と臭気に悩まされており、反対した。
広東省の議員も環境問題を理由に本計画の棚上げのロビー活動を行っていた。
この結果、移転が決まった。
2009年8月、Sinopecは移転先を湛江(Zhanjiang)市東海島(Donghai Island)に決めたと発表した。
(Sinopec側は、1250万トンの製油所と100万トンのエチレンを持つ茂名市への移転を希望したが、省政府が湛江市を求めた模様。)
2009/8/4 広州のシノペックとクウェートの石油精製・石油化学計画 移転
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