中国商務部は11月23日、日本と米国原産の輸入レゾルシンの反ダンピング調査でクロの仮決定を下したと発表した。
商務部は2月3日に中国のレゾルシンメーカーを代表して浙江鴻盛化工から日・米原産の輸入レゾルシンの反ダンピング調査の要請を受け、調査を行ってきたが、3月23日、反ダンピング調査の開始を決定した。
保証金は以下の通りで、非常に高率である。
日本
住友化学 40.5%
三井化学 40.5%
その他 40.5%
米国
INDSPEC Chemical 30.1%
その他 30.1%
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これまでの情報では、レゾルシンの世界需要は約6万トンで、メーカーは以下の通りとされていた。
能力
原料 住友化学 30,000トン 千葉2万トン
大分1万トン(2010/4 新設)1,3-diisopropylbenzene
(プロピレンとベンゼンが原料)三井化学 7,600トン 岩国大竹 INDSPEC Chemical 20,000トン 下記参照 1,3-benzenedisulfonic acid Hoechst ー
1992年停止 インドのAtul 1,500トン 5,000トンへの増設を計画 ロシアの Orgsintez ー
2007年に停止 その他 若干
インド、中国など 合計 約6万トン
INDSPEC :
KoppersがPennsylvania州のPetrolia工場で世界で最初にレゾルシンを企業化した。
1988年初めに英国のBeazer East がKoppersを買収した際、Petrolia工場と近くの研究センターがMBOで独立、INDOSPECとなるが、1999年にOccidentalが買収し、子会社にした。
(残る旧Koppers設備は1988年末にMBOで再度 Koppersになった)
この場合、中国メーカーの供給能力はほんの一部のため、ダンピング課税が行われても中国の大半の需要家は課税後の高い価格で輸入を続けざるを得ず、中国需要家が被害を受けることになる。
商務部は太陽発電用の米・EU原産のポリシリコンに反ダンピング、反補助金調査を開始したが、これは米・EUの中国産の太陽電池パネルの反ダンピング、反補助金調査に対抗した政治的なものであり、通常は大部分を輸入に頼る製品にダンピング課税を行うことはない。
このため調べてみると、反ダンピング調査を要請した浙江鴻盛化工(Zhejiang Hongsheng Chemical )が2万トンの設備を完成させていることが分かった。既に稼働している模様。
同社は染料等のメーカーの浙江龙盛集团(Zhejiang Longsheng Group)が75%、香港の万津集団が25%を出資する合弁会社で、浙江省上虞市(Shangyu)に自社技術で建設した。
同社の技術は、ベンゼン、硫酸、硝酸からm-フェニレンジアミンをつくり、これを加水分解してレゾルシンとm-アミノフェノールを製造するもの。レゾルシンは2期に分けて建設し、合計能力は2万トンとされている 。
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なお、三井化学の岩国・大竹工場は4月22日に爆発事故を起こし、停止しているが、同社では再建を断念したとされている。報道では、生産停止が半年以上に及び、需要家が他社からの調達に切り替える動きを加速し取引の回復が難しくなったため。市況も低迷しており、再建にかかる数十億円の投資負担は重いと判断したとされている。
事故当初は供給不足が懸念され、住友化学が、千葉と大分の両工場ともフル操業状態のため「増産による対応は難しいものの、当面、在庫を切り崩して応援出荷することにした」とされた。
三井化学の能力が欠けても問題が起こっていないことをみると、浙江鴻盛化工の供給開始が影響しているのかも分からない。
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