2015年9月アーカイブ

Lanxess は9月22日、Saudi Aramco との間で合成ゴムのJVを設立する契約に調印した。
今後、独禁法等の審査を経て、2016年前半に手続きが完了する予定。

LANXESS とSaudi Aramco 子会社のAramco Overseas Companyが50%ずつ出資する。

Lanxessが合成ゴム事業を現物出資する。対象は、同社のPerformance Polymers 部門のうちの、Tyre & Specialty Rubbers と High Performance Elastomers で、9カ国に20工場を持ち、従業員は3700名程度。2014年ベース売上高は約30億ユーロとなっている。


JVの価値を27.5億ユーロと評価し、債務等を控除後、Saudi Aramcoが約12億ユーロを現金で出資する。

世界最大の合成ゴムメーカーと世界最大の石油・エネルギー産出メーカーが戦略的提携を行うもので、Saudi Aramco はJVに主原料を競争力ある価格で安定的に供給する。

両社はオランダに持株会社を設立し、CEOはLANXESSから、CFOは Aramco Overseas Companyから出す。

LANXESSはSaudi Aramcoから受け取る約12億ユーロのうち、4億ユーロを景気変動の少ないAdvanced Intermediates部門とPerformance Chemicals部門の成長のために投資し、4億ユーロを債務の返済に充て、約2億ユーロを自社株買戻しに使う。

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2015年2月に、Lanxessが合成ゴム事業をJV化することを検討しており、持分の40%程度を売却する交渉を行っており、Saudi Aramcoが交渉相手に含まれていると報じられた。

同社は2014年8月に3段階にわたる全社構造改革の実施を発表しているが、そのPhase 3 に当たるもの。

構造改革のPhase 1 の人員削減は予定通り実施されている。

Phase 2 の事業の競争力強化策の一つとして2015年3月に合成ゴム事業の合理化を発表した。
合成ゴムの過剰能力に対応するため、EPDM とネオジウム触媒ポリブタジエンラバー(Nd-PBRの能力を最適化する。

合成ゴム市場の過剰能力とそれによる値下げ圧力に対応するため、安い石油・ガス関連原料を持つパートナーを探している。
インドのReliance やロシアのSibur などのような新興市場での低コストの競争相手に打ち勝ち、グローバルに事業を拡大することを狙っている。

候補の各社に対し、具体的なオファーを出すよう求めているとされた。

2015/3/25 Lanxess、合成ゴム事業の構造改革 

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Saudi Aramco はサウジに2つの石化JVをもっている。

住友化学とのJVのPetroRabighでは第二期ではEPR、TPOを計画している。

2012/5/28 住友化学、サウジ・アラムコとの「ラービグ第2期計画」実施へ

Dow Chemical とのJVで建設中のSadara Chemical もエラストマーを含む。

2011/7/26  DowとSaudi Aramco、石油化学JV設立を最終決定

計画詳細





ロッテグループ創業者の重光武雄(辛格浩)氏の次男、重光昭夫(辛東彬)韓国ロッテグループ会長は9月17日、国会政務委員会による公正取引委員会の国政監査に証人として出席した。

韓国社会で再燃した財閥を嫌悪する感情を背景に、議員は相次いで批判し、同氏は釈明に追われた。

「王子の乱(兄弟間での一連の経営権争い)は終わったのか」との国会議員の質問に対し、「終わった。紛争が再発する可能性はない」と断言した。

韓国の国籍を維持する考えを示すと同時に、「ロッテは、韓国の商法に従い税金も納めており、従業員も韓国人のため、韓国企業だ」と強調した。

日本のロッテグループを対立した長男に任せる可能性については「分離経営は適切ではない」と述べ、否定した。

ロッテグループの持ち合いを解消するための核心課題であるホテルロッテの上場については、2016年6月までには終えるとし、辛格浩総括会長に上場の必要性を説明し、100%承認を受けたと明らかにした。

旧株売却の場合は日本のロッテが 約1兆-1兆5000億円の莫大な利益を得るとの議員の指摘に対し、新株発行で公募すると述べた。「まず公募で30%-40%にした後、いくつかの方法を通じて50%以上にする」と約束した。
ホテルロッテ上場時、日本の株主に上場差益が発生する可能性があるが、総括会長ら特殊関係にある株式を合わせて24%以上なら、韓日租税条約に基づき差益の部分に対する税金は韓国政府に納付すると規定されているとし、差益については韓国で税金を納付すると説明した。

国民に謝罪する機会を与えられると、証人席から立ち上がり、「家族間の出来事で国民、議員の皆さんにご心配をおかけし、心からおわびします」と謝罪した。

付記

重光宏之氏は10月8日、ソウルで記者会見し、創業者で父の重光武雄名誉会長が7月に会長職を不当に解任されたとして、日本で解任の無効訴訟を起こしたと明らかにした。
また宏之氏は韓国のホテルロッテ、ロッテホテル釜山の理事(取締役)解任に伴う損害賠償請求訴訟を韓国で起こした。

付記

創業家の資産管理会社で、ロッテホールディングスの株式の28.1%を持つ筆頭株主である光潤社は10月14日、臨時株主総会を開き、次男の昭夫氏を、光潤社の取締役から解任する議案を承認した。
さらに株主総会のあとの取締役会で、光潤社の代表権を創業者の武雄氏から長男の宏之氏に移したほか、宏之氏が武雄氏の持つ株式(50%)を譲り受け、光潤社の議決権の過半数(50%プラス1株)を保有することを承認した。(昭夫氏は38%)

ロッテホールディングスは「経営への影響はない」としている。

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韓国公正取引委員会の委員長は、同じ国政監査で、グループの実質的な支配者は誰かと野党議員に問われ、「グループ創業者の辛格浩(重光武雄)氏ではなく、次男の辛東彬(昭夫)韓国ロッテグループ会長だ」との認識を示した。

韓国の公正取引法 では「企業集団」を、「『同一人』が事実上、事業内容を支配している企業の集まり」と定義しており、総帥(=財閥のトップ)がいる財閥は総帥が「同一人」となる。
ロッテの「同一人」を現在の辛格浩氏から辛東彬氏に変更する可能性については「検討している」とし、来年4月1日に指定する際に変更もあり得ると説明した。

経営権をめぐる先の創業家一族のお家騒動を踏まえ、与党議員が「ロッテグループは商法手続きを無視して経営権を継承し、前近代的な家族経営をしている」と指摘すると、委員長は「われわれもそのようにみている」と同意し、ロッテは非常に特殊なケースだと述べた。

2015/7/28 ロッテ、初の日韓連結財務諸表作成
2015/8/1 ロッテの内紛
2015/8/19 ロッテ、次男中心の体制に

韓国の金融委員会は9月22日、「イラン系家電メーカーが、大宇エレクトロニクス買収契約が不当に解除され損害を受けたとして、韓国政府を相手取り投資家対国家間訴訟(ISD)を提起した」と明らかにした。

韓国にとって米国系ファンド Lone Star、UAEのIPICのオランダ子会社 Hanocal に続く3番目のISD提起となる。

  ISDについては、国際投資紛争解決センター(ICSID)に関する基本情報

イランのEntekhab Industrial Group は売りに出ていた大宇エレクトロニクスの買収に手を挙げた。
2010年4月に、企業再生支援業務などを行う政府系金融機関の韓国資産管理公社は
Entekhabを買収の優先入札者と認めた。

Entekhabは2010年11月に買収契約を締結、10%相当の49百万ドルを支払った。

しかし、韓国資産管理公社は2011年5月に契約を打ち切った。

同社はこの49百万ドルと金利の支払を要求している。

業界内の当時の情報では、Entekhabが値引きを要求し、全額の支払期限が過ぎたのが契約打ち切りの理由とされた。

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米ワシントンの国際投資紛争解決センター(ICSID)で2015年5月15日、米国系ファンドのLone Star と韓国政府間の国際仲裁が始まった。

Lone Starは2012年5月にICSIDに提起する意思を明らかにした。
2013年5月、ICSIDは裁判長を選任、仲裁判定部が構成された。

Lone Star は当初43億ドルだった請求金額を「為替相場変動による損害」などを理由に46億7900ドルに増額した。

争点は①売却遅延損害と②課税問題による損害の2種類で、Lone Star は2012年に訴訟を起こした。

①売却遅延損害

Lone Starは2003年10月、経営危機に陥った韓国外換銀行に1兆3,830億ウォンを投資し、持ち株の51%を取得し、その後、同銀行の経営を立て直し、収益性を大幅に向上させた

Lone Starは2007年9月に香港上海銀行との間で、5兆9,376億ウォンで韓国外換銀行を売却する内容の売買契約を締結した。

しかし、韓国の金融監督院は、売却の承認を1年近く先送りした。Lone Star は2008年4月まで香港上海銀行との契約を延長して承認を期待したが、最終的に金融監督院の承認は得られず、香港上海銀行は世界金融危機の余波もあり、2009年9月に契約を諦めた。

その後2012年に、Lone Star は韓国外換銀行株をハナ銀行に3兆9,157億ウォンで売却した。

Lone Star は韓国政府の承認の先送りによって、売却額の差額の約2兆ウォンの損失が発生しただけでなく、その間の諸費用を考慮すると、その損害賠償額は3兆3,800億ウォンに上ると主張している。

仲裁意向書では、韓国当局の「嫌がらせ」と「敵対的世論」を数回にわたり取り上げており、不必要な適格性審査で売却の適正なタイミングを逃したとする。

これに対し、韓国政府は、Lone Starが韓国外換銀行の買収費用を抑えるために虚偽の減資説を流布したことと、また株価操作の疑いもあって、Lone Star が捜査を受けていたため売却の承認ができなかっただけで、故意に承認を延ばしたわけではないと主張している。

韓国の株価操作の裁判では、一審でLone Starが敗訴、二審で逆転勝訴した。

②課税問題

2003年10月に外換銀行を買収したのは、Lone Star のベルギー法人であるLSF-KEB Holdings である。

Lone Star は、LSF-KEB Holdings は韓国とベルギーの投資保障協定の適用対象であるとして、韓国外換銀行株をハナ銀行に売却した際に国税庁が徴収した10%のSales Tax 分 3915億ウォンなど、各種税金合計8500億ウォンと、利子、為替差損などの返還を求めている。

韓国政府は、LSF-KEB Holdings はペーパーカンパニーだとしている。

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UAEのInternational Petroleum Investment Co (IPIC) のオランダ法人 Hanocal BV は2015年4月30日、韓・オランダ投資保護協定を違反したという理由で韓国政府を国際投資紛争解決センター(ICSID)に提訴した 。

これに先立ちHanocal は2014年10月、朴大統領を受信者とする仲裁意向書を韓国政府に送っている。

Hanocal は1999年、アジア金融危機で打撃を負った Hyundai Oilbank 株50%を取得、2003年に追加で20%を取得した。

2010年8月に現代重工業が1兆8381億ウォンで買い戻した。
現代重工業はこの際、代金の10%の1838億ウォンのSales tax を源泉徴収し、国税庁に納付した。

Hanocal は、オランダと韓国の協定により納税は不要として、この還付を要求し、韓国側は、Hanocal は オランダ法人だが実態のないペーパーカンパニーであり、徴収は妥当であるとしている。

IPICの持株の現代重工業への売却を巡っては、国際仲裁裁判所の裁決に頼っている。

現代重工業はHyundai Oilbankを買収する意向を示しているGS Caltex などGSグループの3社を相手取って株式買収禁止仮処分を法廷に申請、IPICが保有している全株式に対し株式購入のための権利を行使することにし、これをIPIC側に伝えた。
更に、IPICがこれを不服とする場合に備え、国際仲裁センターに法的紛争の仲裁も要請した。

2009年11月、国際仲裁裁判所はIPICに対し、全持ち株を現代グループに買い戻させるよう命じる判決を下した。

2009/11/21 現代グループ、Hyundai Oilbank の経営権を奪還

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TPPの交渉を巡っても、ISD条項が議論されている。

これに対し河野太郎公式ブログ 「ごまめの歯ぎしり」(2011/11/25) が取り上げている。(以下 各部分)

TPPに関しては、いろんな議論があると思うが、なかには誤解に基づいた議論もある。

そのうちの一つが「ISD条項」に関するものだ。

「アメリカの陰謀で、ISD条項という危険な条項がTPPに入れられようとしている。これが入ったら、米国企業が日本政府を訴えられるようになり、経済主権が侵される。」とか、「このISD条項のために、カナダ政府がNAFTAでひどい目にあった。」等という話がネット上に流布されている。
この条項は、海外に投資している日本企業の利益を守るのに役立つので、1978年の日本エジプト投資協定以降に結ばれた25本の投資協定では、日本フィリピンEPAを除き、全てにおいて投資家対国家の紛争手続(ISDS)規定が含まれている。

ちなみに最近の日本では、貿易黒字よりも投資収益の黒字のほうが大きいので、日本企業の外国への投資の保護は重要である。

ネット上での議論は、政府による国有化のような直接収用だけでなく、政府による規制の導入や変更等による間接収用も訴訟の対象となるという主張だが、国有化に匹敵するような「略奪行為」がなければ間接収用にも該当しない。

また、TPPそのもので「政府が行うことができる規制」を規制しない限り、国内外の企業に等しく適用される規制はその国の政府が自国の法律に基づき、自由に行うことができる。


というわけで、ISDS条項は、日本がTPP交渉に参加することを妨げるものではまったくない。

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EUの欧州委員会は9月16日、米国とのFTA交渉で、企業と国家の間の投資紛争を処理する裁判制度の創設を提案すると発表した。

EUが環境などの法規制を改正した場合に米国企業がISD条項を使って損害賠償目当ての訴訟を頻発させる恐れがあり、国家の主権が損なわれるとの見方が根強いため、ISD条項の代替措置として「投資法廷制度」を提案した。

新制度は「投資裁判所」と「控訴裁判所」の二審制となっており、EUと米国の政府が両国と第三国から同数の人数の裁判官を公選する。

企業が提訴できる紛争も絞り込み、性差や人種、宗教、国籍に基づく差別や、補償のない一方的な資産収用などに限定し、制度の乱用につながらないようにする。

欧州委は新提案について欧州議会などとの調整を経て最終案を確定し、米国側に提案する。

2015年1月の選挙で反緊縮を訴え、緊縮推進 ・EUとの合意支持の政権連立与党を破った急進左派連合(チプラス党首)は同じ反緊縮の独立ギリシャ人党と連立政府を樹立した。

しかし、 チプラス首相はEUの金融支援と引き換えに、公約に反して緊縮策を受け入れた。

このため、与党内で造反の動きが続出し、8月14日の財政改革法案(EU側からの金融支援の条件)では与党から多数の反対が出た。
野党は、「ギリシャ共産党」と「黄金の夜明け 」(合計 32人)を除くと、緊縮派のため全員が賛成し、法案は成立した。

議席 賛成 反対 棄権 欠席
急進左派連合(SYRIZA) 149 105 32 11 1
独立ギリシャ人 13 13 0 0 0
(連立与党合計) (162) (118) (32) (11) (1)
野党 138 104 32 0 2
合計 300 222 64 11 3


急進左派連合の
造反派のうち 25名が離党し、新党「民主統一」をつくった。

ユーロ圏財務相会合は同日、ギリシャに対し3年間で最大860億ユーロの新たな金融支援を行うことで正式に合意した。

チプラス首相は8月20日夜にテレビを通じて演説し、辞任して、総選挙を行うと表明した。改めて信任を問うもの。

9月20日に投票、開票が行われ、結果は下記の通りとなり、チプラス首相は信任された。
急進左派連合の造反派のうち 25名が離党し結成した新党「民主統一」は全員が落選した。
ギリシャ国民はEUの求める緊縮策を受入れ、EU残留を望んだこととなる。

2012/5
選挙前
2012/5
選挙
2012/6
再選挙 
2015/1
選挙
2015/8
造反
2015/9
選挙
民主的左翼(DIMAR) 連合 0 19 17 0 0 17 緊縮推進
EUとの合意支持

 

全ギリシャ社会主義運動(PASOK) 160
(110+50)
41 33 13 13
新民主主義党(ND) 82 108
(58+50)
129
(79+50)
76 76 75
(連立与党) (242) (149)
組閣失敗
(連立与党) (179)
民衆統一(新党) 25 0 SYRIZA離党 反緊縮
急進左派連合(SYRIZA) 13 52 71 149
(99+50)
124 145
(95+50)
反緊縮財政


独立ギリシャ人 (ANEL) 0 33 20 13 13 10 反緊縮財政
2012年 NDから分離
(連立与党) (162) (137) (155)
ギリシャ共産党 (KKE) 21 26 12 15 15 15 EU、NATOからの脱退主張
黄金の夜明け(ΧΑ) 0 21 18 17 17 18 極右政党
正教民衆集会 15 0 0 0 0 0
河 (Potami) 0 0 0 17 17 11 (新党) 親欧州派、
反汚職
中道連合 (Enosi Kentroon) 0 0 0 0 0 9
合計 291 300 300 300 300 300  

ギリシャでは議席300人のうち選挙で250人が選ばれ、最多議席をとった政党に50議席が追加で与えられる。

 

米司法省は9月16日、カヤバ工業(dba KYB)が、米国での富士重工、ホンダ、川崎重工、日産、スズキ、トヨタ向け自動車・二輪車用のショックアブゾーバのカルテルを認め、62百万ドルの罰金支払に同意したと発表した。
(dba=doing business as
: 通称社名)

他の2社と共謀し、供給量を割り当て、価格を維持していた。

これを含め、米国での自動車部品カルテルで37社(うち日本企業32社)、55名(うち日本人54名)が起訴されたこととなる。
企業の罰金額は26億ドル強となり、55名のうち、30名(うち日本人29名)が禁固刑・罰金刑を受けている。

これまでの一覧表 別紙

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東洋ゴムは9月17日の取締役会で、需要家への和解金4,209百万円の支払合意に伴う特別損失計上の決議を行った。

米司法省は2013年11月26日、東洋ゴムが自動車用防振ゴムとドライブシャフト部品及び等速ジョイントブーツの価格カルテルで有罪を認め、罰金120百万ドルの支払いに同意したと発表した。本件では幹部の1名が1年と1日の禁固と2万ドルの罰金となり、他の2名が起訴されている。

これに関して 同社は、自動車用防振ゴムを購入したメーカーから、価格調整により損害を被ったとして損害賠償を求められ、交渉を行ってきたが、交渉の長期化が経営に与える影響や費用等を総合的に勘案し、和解金として4,209百万円を支払うことで合意した。

秘密保持契約により相手先は開示していないが、司法省発表では同社の供給先は、トヨタ、日産、富士重工となっている。
和解金が円建となっていることからも、このうちの1社(恐らくトヨタ)と思われる。
(起訴された3名の事案では、問題の供給相手は全てトヨタとなっている。)

同社は2015年1~6月期に、免震ゴムの性能偽装問題に関連して304億円の特損を計上している。

今年のIg Nobel Prize 贈呈式が9月17日、米ハーバード大であった。
25
周年となる今年のテーマは "Life"で、関連する10分野から受賞者が選ばれた。

このうち、医学賞を大阪府寝屋川市の開業医、木俣肇院長(62)とスロバキアの研究者らが共同受賞した。

木俣院長の受賞理由は、「情熱的なキスの生物医学的な利益あるいは影響を研究するための実験」。

アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎の患者と健常者それぞれ30人ずつ計90人に対し、それぞれの恋人やパートナーと静かな音楽の流れる個室で30分間、自由にキスをしてもらった。
キスの前後で
スギ花粉やダニに対するアレルギー反応の強度を調べる皮膚テストや血中成分を測定したところ、腫れが小さくなり、アレルギー反応が抑制される傾向がみられた。
2週間後、今度は同じカップルにキスをせずに部屋で30分抱き合ってもらったが、効果は確認されなかった。

さらに性交でもキスと同様の効果があることを確かめ、論文を専門誌に発表した。

Kissing Reduces Allergic Skin Wheal Responses and Plasma Neurotrophin Levels Physiology and Behavior, vol. 80, nos. 2-3, November 2003

Reduction of Allergic Skin Weal Responses by Sexual Intercourse in Allergic Patients Sexual and Relationship Therapy, vol 19, no. 2, May 2004

Kissing Selectively Decreases Allergen-Specific IgE Production in Atopic Patients Journal of Psychosomatic Research, vol. 60, 2006

共同受賞のスロバキアの研究者の研究は、キスのあとで、混じった相手の唾液のDNA判定を行うという実験。性犯罪の捜査に利用しようというもの。

12組のペアに激しいキスをしてもらい、女性の唾液から男性のDNAを調べた。
その結果、相手のDNAが一定期間、被害者の口のなかに残り、早い時点では唾液から分離できるため、犯罪の証拠として利用できることが分かった。

その他の受賞:

化学賞 固まったゆで卵を生卵に戻す化学的方法の発見
Shear-Stress-Mediated Refolding of Proteins from Aggregates and Inclusion Bodies
物理学賞 ほとんど全ての哺乳類の排尿時間は体の大きさにかかわらず平均21秒 (±13秒)であることが判明
Duration of Urination Does Not Change With Body Size
文学賞 「はぁ?(huh?)」に相当する感嘆詞がすべての言語にあることを発見
Is 'Huh?' a universal word? Conversational infrastructure and the convergent evolution of linguistic items
経営学賞 経営者の子供の時の災難の経験が事業のRisk-takingに関係 (被害がなかった場合は大胆、被害があった場合は慎重)
What Doesn't Kill You Will Only Make You More Risk-Loving: Early-Life Disasters and CEO Behavior
経済学賞 賄賂を受け取らない警官に特別手当を支払うBangkok Metropolitan Police
生物学賞 鶏の尾に重い棒をつけると、鶏が恐竜が歩いたと思われる歩き方をすることを発見
Walking Like Dinosaurs: Chickens with Artificial Tails Provide Clues about Non-Avian Theropod Locomotion
数学賞 モロッコの君主Moulay Ismael が1697年から1727年の間にどうやって888人の子どもを産ませたかを数理解析で検証
The Case of Moulay Ismael-Fact or Fancy?
診断医学賞 患者が急性盲腸炎かどうかは、車が段差(スピードバンプ)を通ったときに患者が感じる痛みの量で正確に診断
Pain Over Speed Bumps in Diagnosis of Acute Appendicitis: Diagnostic Accuracy Study
生理学・
昆虫学賞
いろいろな昆虫に刺された時に人が感じる痛みの指標を作成
Hemolytic Activities of Stinging Insect Venoms

 ミツバチに自分の体の25箇所を繰り返し刺させ、最も痛みが少ない場所(頭蓋、足の中指の先、上腕)と最も痛みの大きい場所(鼻孔、上唇、陰茎体)を見付ける。
 Honey Bee Sting Pain Index by Body Location


授賞式では、2005年に栄養学賞を受賞した発明家のドクター中松も参加、自身が患うがんに負けないとのメッセージを込めた歌を披露し、拍手喝采を浴びた。

過去のイグ・ノーベル賞については、下記を参照。

2006/10/13 ノーベル賞とイグ・ノーベル賞
2007/10/8 2007年イグ・ノーベル賞
2008/10/4 2008年イグ・ノーベル賞
2009/10/3 2009年イグ・ノーベル賞
2010/10/7 2010年ノーベル化学賞とイグ・ノーベル賞
2011/10/1  2011年度イグノーベル賞
2012/9/25 2012年 Ig Nobel 賞に日本人の「スピーチジャマー」
2013/9/16 2013年 Ig Nobel 賞、日本の2チームが受賞
2014/9/20 2014年イグ・ノーベル賞
日本人の受賞は次のとおり。(敬称略)
名前 受賞
1992 神田不二宏, E. Yagi,
M. Fukuda
K. Nakajima,
T. Ohta and O. Nakata
(資生堂研究センター)
薬学賞
足の匂いの原因となる混合物の解明
1994 気象庁 物理学賞
地震が尾を振るナマズによって引き起こされるかどうかを7年間研究した功績
1995 渡辺茂(慶應義塾大学)
坂本淳子
脇田真清(京都大学)
心理学賞
ハトの絵画弁別(ハトを訓練してピカソとモネの絵を区別できるようにした)功績
1996 岡村長之助
(岡村化石研究所)
生物学的多様性賞
岩手県の岩石から古生代石炭紀(約3億年前)の石灰岩中に超ミニ恐竜化石を発見した功績
(小さな石を顕微鏡で見て超ミニ恐竜化石だと主張して発表)
1997 舞田あき(バンダイ)
横井昭宏(ウィズ)
経済学賞
バーチャルペット(
たまごっち)の開発によりバーチャルペットへの労働時間を費やさせた功績
1997 柳生隆視 他
(関西医科大学)
生物学賞
様々な味のガムをかんでいる人の脳波を研究
1999 牧野武
(セーフティ探偵社)
化学賞
妻や夫の下着に適用して精液の跡を発見できる浮気検出スプレーの開発
.
2002 佐藤慶太(タカラ社社長)
鈴木松美(日本音響研究所)
小暮規夫(獣医学博士)
平和賞
コンピュータ・ベースでの犬と人間の言葉を自動翻訳するデバイス「
バウリンガル」開発
2003 広瀬幸雄 教授
(金沢大学)
化学賞
銅像に鳥が寄りつかないことをヒントに、カラスを撃退できる合金開発
2004 井上大佑 平和賞
カラオケ
を発明し、人々に互いに寛容になる新しい手段を提供
2005 中松義郎
(ドクター中松) 
栄養学賞
36年間にわたり自分が食べたすべての食事を撮影し、食べ物が頭の働きや体調に与える影響を分析
2007 山本麻由 化学賞
牛糞からバニラの芳香成分 vanillin の抽出
2008 中垣俊之ほか 認知科学賞
真正粘菌変形体という巨大なアメーバ様生物が迷路の最短経路を探し当てる
2009 田口文章ほか 生物学賞
パンダのフンから抽出したバクテリアを使って台所の生ゴミを分解し、9割減量
2010 中垣俊之ほか 交通計画賞
粘菌が交通網を整備
2011 今井眞ほか 化学賞
わさびの臭いが火災報知器の役割を成す理想的な空気中のわさび濃度
2012 栗原一貴、塚田浩二 音響賞
迷惑を顧みず話し続ける人の話を妨害する装置「スピーチジャマー」を開
2013 新見正則ほか 医学賞
心臓移植したマウスにオペラを聴かせると生存期間が延びた
今井真介ほか 化学賞
タマネギの催涙成分をつくる酵素
2014 馬渕清資ほか 物理学賞
「バナナの皮を踏むとなぜ滑りやすいのか」を実験で解明
2015 木俣肇 医学賞
情熱的なキスの生物医学的な利益あるいは影響を研究するための実験

2005年までに11件、2007年からは9年連続で10件(2013年は2件)で、合計21件の受賞となった。

このうち、中垣俊之教授らのチームは、2008年に真正粘菌変形体という巨大なアメーバ様生物が迷路の最短経路を探し当てることができることを発見し認知科学賞を受けたが、2010年にはその延長で、粘菌が交通網を整備することを発見し、交通計画賞を受賞した。

既報のとおり、天津市は浜海新区の瑞海公司の8月12日夜の爆発現場を「海港生態公園海港エコ公園)」として整備する計画を明らかにし ている。

全体は43ヘクタールで、公園部分(左図の赤線内)は約24ヘクタール。公園の池は丁度、爆発の穴の場所。
南側には小学校、幼稚園などが、西側にはグリーンベルトがつくられる。

2015/9/7 天津の爆発事故現場、早くも公園化計画 批判相次ぐ 


香港の 法制晚報は事故直後と最近の現場の写真を並べて報じている。
    http://hkgalden.com/view/293377

破壊されたビルは全て解体され、山積みとなったコンテーなども撤去されて、爆発穴だけが残っている。
  下の写真の手前は天津港公安局躍進路基地のビル

① 南から北を見る
  2015/8/16撮影
          
2015/9/11撮影

② 北から南を見る
    2015/8/13撮影
    2015/9/11撮影

③ 西から東を見る
    2015/8/13撮影
    2015/9/11撮影

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爆発事故の影響で営業を休止していた「イオンモール天津TEDA」が9月20日、約5週間ぶりに一部売り場の営業を再開した。
「11月初旬をメドに全面再開し、地域の復興に貢献したい」としている。

インド後発薬最大手のSun Pharmaceutical Industries は9月15日、米国子会社が眼科薬メーカーのInSite Vision Inc. を買収する契約を締結したと発表した。
100%子会社が1株 0.35ドル(30%のプレミアム)でTOBを開始する。債務込みで約48百万ドルでの買収となる。

InSite Visionの2015年上半期の業績は、売上高が380万ドルで純損失は750万ドル。

InSite Vision は新規の眼科薬の開発に特化しており、現在3つの新薬開発の最終段階にある。

これとは別に、Sun Pharma は本年6月に米子会社に防腐剤不要の点眼液 Xelpros™ (Latanoprost BAK-free)をライセンスしており、今回のInSite Vision 買収で米国での眼科薬事業を確立する。

* BAKは塩化ベンザルコニウムで、点眼液に用いられる代表的な防腐剤

InSite Vision はDuraSite® とDuraSite2® というdrug delivery システムを開発した。

眼表面上での点眼薬の滞留性をよくするドラッグデリバリーで、点眼回数を減らし、また、薬剤の効果を高めるもの。一日一回点眼まで減らせるとされる。

米国ではこの技術を使って、眼局所の細菌性感染症に対する治療薬として、同社のパートナーのAkorn, Inc.が AzaSite® 1% を、Bausch & Lomb がBesivance® 0.6%を販売している。

日本では千寿製薬が2014年6月にDuraSite®技術を応用し開発したアジスロマイシン点眼薬(米国でのAzaSite® 1%)の日本における独占的な開発・販売に関し、ライセンス契約を締結した。

この技術を使って申請中の製品は下記の通り。

  BromSite™ (0.075% bromfenac)   白内障手術での炎症治療、痛み防止
  DexaSite™ (0.1% dexamethasone)  非細菌性の眼瞼炎の治療
  AzaSite Plus™             細菌性眼瞼炎、炎症眼瞼炎の治療薬

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Sun Pharma は眼科薬事業のほかに、皮膚病分野も米国での事業の候補としている。

同社は2012年11月8日、米国のDUSA Pharmaceuticals, Incの買収契約を締結した。買収額は約230百万ドル。

DUSA日光角化症を治療する光線力学的療法(photodynamic therapy)で使うアミノレブリン酸(Levulan®)を開発、販売している。

日光角化症は慢性の紫外線曝露により誘発される皮膚病変で、日光曝露を受けやすい顔面,耳介,前腕,手背部の皮膚に好発する。
皮膚癌の前駆病変だが、実際に上皮内癌や浸潤癌に発展する例は数パーセントに止まる。

光線力学的療法は生体内の病巣組織に親和性のある光増感性物質を投与した後、可視光線を照射し、組織内で生成した活性酸素種を用いて、病巣組織のみを選択的に破壊する治療法で、アミノレブリン酸は光増感性物質として使われる。

ーーー

Sun Pharma は2015年4月に第一三共からRanbaxy Laboratories の持株全てを買収している。

第一三共は2014年4月、子会社 Ranbaxy Laboratories をインドのSun Pharmaceutical が株式交換により吸収合併することでSun Pharmaと合意したと発表した。

第一三共はRanbaxy株式の約63.4 %を保有しているが、合併により Sun Pharma株式の約9%を取得した。

  2014/4/10 第一三共、ランバクシーを実質売却 

Lanbaxyの2013年の売上高は18億ドル、Sun Pharmaの売上高は25億ドルで、統合後のSun Pharmaは売上高43億ドルで世界5位の後発薬メーカー、インド最大の医薬品メーカーとなったが、新薬にも注力する。

Sun Pharma は本年3月にGSKから豪州での鎮静剤事業を買収し、9月1日に豪州 Port Fairy とLatrobe の工場を統合している。

米格付け会社のStandard & Poor's (S&P) は9月16日、日本の国債格付けについて、「AAマイナス」から「Aプラス」へと1段階引き下げたと発表した。

「デフレ脱却や経済成長をめざした政府の経済政策が、国債の信用力の低下傾向を今後2~3年で好転させる可能性は低い」として、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の効果が見込めないことを理由に挙げた。

"We believe the likelihood of an economic recovery in Japan strong enough to restore economic support for sovereign creditworthiness commensurate with our previous assessment has diminished."
"Despite showing initial promise, we believe that the government's economic revival strategy - dubbed 'Abenomics'- will not be able to reverse this deterioration in the next two to three years."

経済成長率の鈍化で2011年度から2014年度の間に、日本の国民1人当たりの平均所得が減少したと指摘、日本経済がデフレから脱却できずにいることや、巨額の財政赤字を抱えていることも考慮したと説明した。

先進国で最悪の水準にある財政状況を「信用指標における重大な弱み」と強調。2014年4月に消費税率を8%に引き上げたが、高齢化で年金や医療などの社会保障費が膨らむため、さらに財政が悪化すると懸念を示した。

中期的な見通しは「安定的」とした。緩やかな経済成長と安定した物価水準で今後2年間の借金残高は「増加ペースが減速し、いずれは安定する」との見方を示したが、想定を上回って借金が膨らめば「格下げとなる可能性がある」とも指摘した。

Moody's は2014年12月1日にAAマイナスレベルから1段階下げ、Aプラスレベルにしており、今回、S&Pの引き下げでこれに並んだ。

なお、もう1社の格付会社 FitchRatings の格付けでは、韓国がAAマイナス(2012年9月にアップ)、日本と中国がAプラスであったが、2015年4月27日に日本の格付けをAプラスから更に1段階引き下げ、Aにしている。

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S&P は9月15日、韓国の国債を「Aプラス」から「AAマイナス」に1段階格上げした。Moody's 及び Fitch と同レベルとなった。

「韓国は今後 3-5年間、他の先進国より高い成長率を維持する見込み」とし、良好な財政と対外健全性も格上げの理由とした。

韓国は対外流動性資産が増え続け、対外債務との差がさらに広がると予想される。
貿易黒字が続き、外貨準備高が増え(3600億ドルを超える潤沢な状態)、危機に際し韓国から引き揚げられるドル建て短期債務資金の割合は非常に少ないとみている。

韓国の財政は先進国の中でも良好
OECD加盟国の政府債務の対GDP比は平均114%で、韓国は40.1%(日本は200%超)

先進経済圏で3%前後の成長を維持しているのは、最近景気が回復局面にある米国を除けば韓国が唯一。

この結果、S&P とMoody's では韓国・中国が並び、日本が一段階下となり、Fitchでは韓国(AAマイナス)、中国(Aプラス)、日本(A) の順で 1段階ずつ差がついた。

韓国企画財政部は「3大信用評価機関からAAマイナス以上の等級を付与されている国はG20のうちでも韓国を含む8カ国のみ(韓・米・独・加・豪・英・仏・サウジアラビア)」とし「韓中日の3カ国中でわが国の信用等級の平均が最高となった」と伝えた。

S&P Moody's- Fitch
AAA
ドイツ
ルクセンブルグ
豪州
スイス
デンマーク
スウェーデン
ノルウェー
カナダ
シンガポール

香港
英国
Aaa
ドイツ
ルクセンブルグ
豪州
スイス
デンマーク
スウェーデン
ノルウェー
カナダ
シンガポール

オランダ
米国

フィンランド
オーストリア
NZ
AAA
ドイツ
ルクセンブルグ
豪州
スイス
デンマーク
スウェーデン
ノルウェー
カナダ
シンガポール

オランダ
米国

フィンランド
AA+
オランダ
米国

オーストリア
フィンランド
Aa1
香港
英国

(フランス↓2015/9/18)
AA+
香港
英国

オーストリア
AA
フランス
NZ
ベルギー
Aa2 フランス AA
フランス
NZ 
ベルギー
サウジ
AA-
(日本 2015/9/16)
韓国
中国
サウジ
エストニア
チェコ
Aa3
(日本 2014/12/1)
韓国
中国
サウジ
ベルギー
AA-
韓国
A+
日本
(韓国2015/9/15)
スロバキア
アイルランド
A1
日本
エストニア
チェコ
A+
(日本2015/4/27)
中国
エストニア
チェコ
スロバキア
A A2 スロバキア A 日本

(中略)

CCC+ ギリシャ Caa1 アルゼンチン CCC ギリシャ
CCC Caa2 CC
CCC- Caa3 ギリシャ C
CC
SD アルゼンチン Ca RD アルゼンチン
D C D
SD:選択的デフォルト       
D : デフォルト
Ca:一部デフォルト
C:デフォルト
RD:一部デフォルト
D:デフォルト

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S&Pは韓国の国債格付けを引き上げたが、同時に「韓国企業の格付けはジャンク(紙クズ)寸前」と警告した。

韓国メディアによると、ソウルで開かれたセミナーで、S&Pアジア太平洋地域の幹部が「韓国企業の信用格付けは2段階下落した」と明かした。「中国リスクが現実化するなかで、韓国企業は四面楚歌 に陥っている」と分析したという。

S&Pによると、韓国主要企業38社の格付けの平均値は2009年時点で最上位から8番目の「BBBプラス」だったが、今年6月には最上位から10番目で、投資適格級として最も低いBBBマイナスまで下落 しており、あと1段階下がれば、「ジャンク」と呼ばれる投資不適格級入りするが、S&Pは「今後の改善の見通しも不透明」と先行きについても厳しい見方をした。

また、日本企業が円安に支えられて収益を回復させ、中国企業も継続的に成長する一方、韓国企業の売上高と利益、投資額は減少しているとした。

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2月12日に行われた経済財政諮問会議で、安倍首相と日銀の黒田総裁の間でやりとりがあったとされる。

黒田総裁は、2014年12月にMoody'sが日本国債の格付けを引き下げ、中国や韓国よりも低くしたことから日本国債暴落のリスクが高まるとして、財政再建に本腰で取り組むべきだと訴えた。

これまで銀行が保有する国債はリスクゼロ資産とされていたが、バーゼル銀行監督委員会では、国債をリスク資産と見なし、格付けに応じて査定するように銀行の審査基準を変更する議論が始まった。

黒田総裁は「基準が見直されれば大量の国債を保有する日本の金融機関の経営が悪化し、国債が売れなくなって金利急騰につながりかねない」と指摘した。

これに対し、安倍首相は、「格付け会社にしっかりと働きかけることが重要ではないか。グロス(政府の1000兆円以上の債務総額)で見ると確かに大きいのだが、ネット(政府の債務から資産を差し引いた純債務)で見ると他国とあまり変わらないという説明などをしなければならない」と応じたという。

バーゼル銀行監督委員会は2015年6月8日、銀行が持つ国債や住宅ローン債権などの金利リスクに対する新たな国際規制案を発表した。
金利の上昇リスクを銀行経営の健全性評価に盛り込む案と、各国の金融当局の権限を強めて対応する案の2案がある。

2016年にも最終案をまとめ、適用は2019年以降になるもよう。日本では3メガバンクなど、国際的に事業展開する大手銀行が対象になる。

黒田総裁が懸念する方向に動いているようだ。

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麻生財務相は9月18日の閣議後会見で、S&Pが日本の国債格付けを1段階引き下げたことについて、「格下げで長期金利がどれだけ上がったか。市場は反応していない。格付け会社の影響力がなくなった」と述べた。

実際には、日本銀行が大規模な金融緩和の一環で大量の国債を買い入れ、長期金利を低く抑え込んでいるためである。

アメリカ国立衛生研究所(NIH)は9月11日、心臓病のリスクを減らし、50歳以上の人の高血圧での死亡率を減らすには最高血圧(収縮期血圧)を一般に推奨されているよりも低い120以下とすることを目指すべきだとの研究報告を発表した。

日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインでは、通常140/90mmHg未満を降圧目標とし、糖尿病や蛋白尿を伴う慢性腎臓病ではさらに厳格な130/80mmHg未満を目標として推奨している。
75歳以上では150/90mmHg未満を目標とし、忍容性があれば140/90mmHg未満を目指すことを推奨している。

NIHがスポンサーのSystolic Blood Pressure Intervention Trial (SPRINT) という研究の予備解析結果で、50歳以上で1つ以上の心血管病リスクを持つか、75歳以上である高血圧患者を対象に、降圧目標に関して120mmHg未満(平均3剤使用)と140mmHg未満(平均2剤使用)の群間で予後への影響を見た。

SPRINTはNIHの心肺血液研究所(National Heart, Lung, and Blood Institute)が主スポンサーとなり、他に、NIHの糖尿病・消化器・腎疾病研究所(National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases)、神経疾患・脳卒中研究所(National Institute of Neurological Disorders and Stroke)、老化研究所(National Institute on Aging)がコスポンサーとなっている。

対象者は9250人で、そのうち慢性腎臓病合併2648人、心血管病既往 1877人、75歳以上2636人であった。

120mmHg未満群で140mmHg 未満群と比較して心臓発作や心不全、脳卒中などの心血管イベントがほぼ3分の1に、死亡がほぼ4分の1と少なかった。



日本高血圧学会では、NIHも解析結果はまだ予備段階のものであることを強調しているとし、 「通常の降圧目標を140mmHg未満よりさらに厳格な120mmHg未満とすべきかどうかについては慎重な判断が求められます」としている。



広東省の発展改革委員会は9月10日、日産自動車の中国合弁大手の東風日産汽車に対し、独占禁止法違反を理由に、 前年度の関連市場での売上高の3%にあたる1億2300万元(約23億円)の罰金を科す処分を決定したと発表した。

広東省広州市内で日産車を販売する17社の販売店に対しても前年度の売上高の2~4%に当たる1912万元(約3億6219万円)の罰金を科した。

2012年から2014年7月にかけて、東風日産はビジネス規定の通達、価格管理規定、検査制度などの方法を通じ、同省内のディーラーの完成車販売における提示価格および最終取引価格を厳格に制限したほか、2013年に価格管理コントロール措置に違反したディーラーに処分を与えた。

広州エリアのディーラーもたびたび会議を開催し、関連車種の価格の固定に関する独占合意を締結・実施した。

東風日産は調査がスタートすると関連の違法行為を停止し、法律の規定に基づいて流通合意、ビジネス規定などの企業管理方針を修正した。
ディーラーも価格協議を停止し、地域価格合意を撤廃した。

東風日産は「今回の処分を真摯に受け止め、再発防止に全力を尽くす」との声明を発表した。

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中国では自動車業界が独禁法違反で相次いで摘発されている。一連の処分は「外資たたき」との見方も出ている。

国家発展改革委員会は2014年8月20日、価格カルテルを結んだとして日本の自動車部品メーカー10社に中国の独禁法違反事件で過去最高額の総額12億3540万元(約200億円)の罰金処分を科した。

2014/8/20 中国が日本の自動車部品メーカー12社にカルテルで制裁金

中国の独占禁止法当局は2014年9月11日、VolkswagenとChryslerの販売会社が独禁法に違反したと認定し、罰金を科すと発表した。

Folkwagenと第一汽車(FAW)のJVのFAW-Volkswagen Sales Co は湖北省価格管理局により、2013年売上高の6%相当の 248.58 百万元(約42億3千万円) の罰金を課せられた。
高級車Audi を販売するディーラー7社も、売上高の1~2%に相当する合計 29.96百万元の罰金を課せられた。

一方、Chrysler Group China Sales Ltd は上海市発展改革委員会により、売上高の3%相当の31.68百万元(約5億4千万円)の罰金を課せられた。
同社のディーラー3社、
上海越也、上海名創、上海信佳汽車販売は合計で2.14百万元の罰金となった。

2014/9/15 中国、Volkswagen と Chrysler に独禁法違反で罰金 


江蘇省物価局は2015年4月23日、独ダイムラーの中国合弁企業に3億5千万元(約56百万ドル)の罰金を科すと発表した。
高級車「メルセデス・ベンツ」についての独占禁止法違反で、ベンツの南京、無錫、蘇州販売店にも786.9万元の罰金を科す。

発表によると、合弁企業は2013年1月から14年7月まで江蘇省内の販売店に対して、一部車種の消費者向け販売価格の下限を設定、守らない販売店に圧力をかけるなどして消費者の利益を損なっていたという。また補修用の自動車部品についても最低価格を定めていた。

ーーー

2015年6月に、中国政府が自動車業界に対する独占禁止法の運用強化に乗り出 し、自動車業界に特化した「独禁法」ガイドラインの策定にすでに着手したと報じられた。
その重要内容の一つに、並行輸入車市場の保護がある。


中国の関係者の間では、「外資が中国並行輸入車マーケットの発展を阻害している」との批判が出ている。一部の自動車大手は、補正用部品市場を開放している が、実際は、価格を高く設定するなどして部品の自由な流通を妨害し、結果的に、中国並行輸入車市場のアフターサービスの質に直接影響をもたらしているとの見方がある。

ガイドラインでは、こうした行為に対する独禁法違反の境界線を明確に示す内容が盛り込まれるとされる。

 

ソウル中央地検は9月13日、韓国市場で価格カルテルを結んでいたとして、日本のベアリング大手ミネベアと同社の韓国販売法人 NMB Koreaをそれぞれ起訴したと発表した。海外企業がでカルテルを結んだ事件を韓国検察が起訴するのは初めて。

ミネベアは2003年6月から2011年7月まで、ベアリング大手の日本精工とカルテルを結び、サムスン電子やLG電子など韓国取引先に納品する小型ベアリング価格を操作した罪に問われている。

ミネベアは韓国公取委の調査では容疑を否認したが、検察の捜査では容疑を認め、再発防止を約束した。
日本精工はリニエンシーで刑事処罰を免れた。

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韓国公取委は2014年11月16日、1998年から2012年にかけてベアリング製品の販売をめぐり価格カルテルを結んでいたとして、日本やドイツ系メーカーに計778億ウォン(約82億円)の課徴金を科し、検察に告発する方針を固めたと発表した。

課徴金は下記の通り。(単位:億ウォン)

この時点で各社は以下の通り発表した。これから見ると、上記の課徴金は最終のものではなく、減免措置の前のものとみられる。

ジェイテクト:課徴金109.1億ウォンを賦課されたが、調査への協力等により、減額され、刑事告発は一部免除される見込み。

日本精工:調査への全面的な協力を行った結果、是正命令、課徴金及び刑事告発を免除された。

日本精工
(日韓)
ジェイテクト
(日韓)
不二越
(日)
ミネベア
(日韓)
Shaeffler
(韓)
Hanwha
(韓)
合計9社
市販用 260.43 78.72 36.51 164.75 83.61 624.02
鉄鋼設備用 37.55 30.38 67.93
小型直接納入用 36.68 49.12 85.80
合計 334.66 109.1 36.51 49.12 164.75 83.61 777.75
最終(各社による) 免除 減額

  
    2014/11/19 韓国公取委、ベアリング談合で
日本企業などに課徴金

今回の起訴はこのうちの小型直接納入用の分で、今後、他の分についても(日本精工、ジェイテクト以外の企業が)起訴される可能性がある。

ーーー
これとは別に、車両用でも摘発があった。

韓国公取委は2015年4月13日、ドイツの大手自動車部品メーカー Shaefflerの韓国法人と自動車部品メーカーのジェイテクトの車両用ベアリングの価格談合が明らかになったことを受け、両社に是正命令を下し、課徴金計約 75億ウォン(約8億2300万円)を科したと発表した。


両社は2001年5月から2008年6月までの約7年間、現代・起亜自動車などに納入する自動変速機に使われる部品の価格を談合していた。

課徴金は下記の通り(単位:億ウォン) だが、ジェイテクトは「調査へ全面的に協力を行った結果、本件決定に対する是正措置及び課徴金は免除される見込み」と発表した。


ジェイテクト Shaeffler
(韓)
合計

車両用ベアリング
    最終

20.2
免除
54.8 75.0

ーーー

ベアリングについては、米国で自動車部品カルテルの一部としてジェイテクトと日本精工が罰金を払い、両社の役員が起訴されているほか、日本とEUでも摘発されている。

日本とEUではジェイテクトが課徴金の100%減免を受けている。

米国一覧表 https://blog.knak.jp/2015/09/post-1597.html

2012/4/23 東京地検、ベアリング大手4社をカルテル容疑で家宅捜索

2014/3/22 EU、ベアリングカルテルで制裁金

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韓国では2013年12月に自動車部品カルテルで3社に総額1146億6800万ウォン(約112億円)の罰金が課されている。

デンソー  630億6000万ウォン(約62億円)
Continental Automotive Electronics 459億9200万ウォン(約45億円)
Bosch 56億2800万ウォン(約 6億円)

 

 

サンフランシスコの第9巡回区控訴裁判所は9月10日、Dow AgroSciences のネオニコチノイド系殺虫剤 sulfoxaflor(原体商品名isoclast、商品名Transform とCloser)の承認過程で瑕疵があったとし、承認を取り消した。

1990年代初めから、世界各地でミツバチの大量死・大量失踪が報告されている。
働き蜂のほとんどが女王蜂や幼虫などを残したまま突然いなくなりミツバチの群れが維持できなくなってしまう現象は「蜂群崩壊症候群」(CCD:Colony Collapse Disorder)と呼ばれる。

ネオニコチノイドはこの主な原因と疑われており、 EU は 2013 年5 月、蜜蜂への危害を防止するため、ネオニコチノイド系農薬の使用の一部を暫定的に制限することを決定した。

2013年1月に、3種類のネオニコチノイド系農薬(イミダクロプリド、クロチアニジン及びチアメトキサム)について、蜜蜂に被害が出る可能性があるとし、
2014年5月に、以下を決めた。
・穀物や蜜蜂が好んで訪花する作物については、種子処理、土壌処理又は茎葉への直接噴霧による使用禁止。
・施設栽培における使用や、花が終わった後の野菜・果樹に対する使用は、農家や防除業者であれば使用可能。(家庭園芸用等では禁止)

日本では、これらの農薬は水稲のカメムシ防除に重要だが、使用時に蜜蜂の被害が報告されており、農林水産省では、農薬の使用方法の変更が必要かどうかを検討し、必要であれば変更するとしている。
     農薬による蜜蜂の危害を防止するための我が国の取組(Q&A)

しかし、農薬工業会はネオニコチノイド系殺虫剤 の影響を否定している。
日本では蜂群崩壊症候群(CCD)は確認されていない。
・日本でのミツバチ被害事故の原因は農薬の「直接暴露」であり、農家と養蜂家間の連携不十分がその原因の一つ。
・1993年以降ネオニコチノイド系殺虫剤が使用されているが、その出荷量とミツバチ群数に相関は認められない。
     ミツバチ被害事故に関する農薬工業会の見解について

ーーー

Dow は2010年にsulfoxaflor を柑橘類、綿花、キャノーラ(菜種)、いちご、大豆、小麦など多くの作物用に申請を行った。

EPAはこの農薬のミツバチを含むいろいろの昆虫への影響について、Dowが提出した研究やデータを分析し、当初はデータが不十分として、承認に多くの条件を付けた。

しかしながらEPAは2013年5月、Dowが求められた追加研究を完成していないにもかかわらず、無条件承認を決めた。

この数日前に発表された米農務省の報告書では、CCDの存在を認めながらも、農薬の影響を軽視しており、批判された。
原因として、パラサイト、病気、遺伝要素、栄養不足、農薬暴露、前年の旱魃などの複合とした。

Dow AgroSciencesは2013年5月7日、EPAが新殺虫剤の有効成分sulfoxaflorを承認したと発表し 、米国で「Transform」と「Closer」というブランド名で発売した。

蜂蜜業界や養蜂業界は 2013年12月13日、sulfoxaflorを含有する農薬の承認について、ミツバチに対し毒性が極めて高いことを研究が示しているとしてEPAを第9巡回区控訴裁判所に訴えた。

原告は、Pollinator Stewardship Council、American Honey Producers Association、National Honey Bee Advisory Board、American Beekeeping Federation、及び養蜂家3人。
環境問題の法律家グループのEarthjusticeが弁護人となった。

原告は、EPAがEndangered Species Act(絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律)に違反して、ミツバチや他の絶滅危機に瀕した野生生物への農薬の影響を十分考慮しなかったとしている。

訴状 http://www.centerforfoodsafety.org/files/2013-13-13-dkt-25-2--cfs--brief-amici-curiae_18257.pdf


今回の判決で裁判所は、EPAが欠陥があり限定されたデータに基づきsulfoxaflorを無条件で承認したとし、承認は十分な証拠に基づくものではないとした。

承認取り消しについて裁判所は、ミツバチ減少の大きな危険を考えると、承認取消のリスクよりもsulfoxaflorを野放しにする環境面への悪影響の方がはるかに大きいとした。

今後の承認のためには、sulfoxaflor がミツバチに与える影響についてEPAの規則が求める更なるデータを得ることが必要であるとしている。

Dow AgroSciencesは裁判所の決定には同意しないと述べ、EPAと共同で追加の承認手続きを進めると同時に、上告することも検討している。

ーーー

オバマ大統領は2014年6月20日、昆虫による受粉は「米国の食糧安全保障に不可欠だ」とし、「ミツバチ、その他花粉媒介生物の健康を促進する連邦レベルの戦略の策定」という覚書を発表した。

覚書ではまず、花粉媒介生物に関する特別委員会(Pollinator Health Task Force)を立ち上げるよう指示している。農務長官と環境保護庁長官が共同議長を務め、その他国務省や国家安全保障会議、科学技術局など15の機関から、閣僚または指名された担当者が参加する。

EPAは、ネオニコチノイドなどの農薬がハチなど花粉媒介生物に与える影響を調査し、それらを守るための行動をとることとしている。

米政府は2015年5月19日、当初期限の5ヶ月遅れで、花粉媒介生物保護に関するタスクフォースの計画を発表した。
ネオニコチノイド系農薬などの新たな規制措置は含まれず、冬のミツバチコロニーの損失を10年かけて15%まで下げることなどを目標としている。

EPAは2015年4月に ネオニコチノイド系農薬の新たな登録を停止したが、追加の規制措置は盛り込まれず、影響調査を主導するという限定的なものにとどまった。

環境保護団体などからは「失望」の声も出ている。


群馬県は、大同特殊鋼などを廃棄物処理法違反容疑で9月7日に刑事告発、群馬県警は9月11日、同社の名古屋、東京両本社など関係先を家宅捜索した。

大同特殊鋼の渋川工場(群馬県渋川市)から出た鉄鋼スラグに環境基準を超える有害物質が含まれていたが、この有害な廃棄物を「建設資材」として販売した件。

刑事告発と家宅捜査は同社の他に、廃棄物処理の許可なしでこれを処理した大同エコメット(大同の子会社)と佐藤建設工業にも行われた。

スラグは県内で国などが発注した工事225箇所で使われ、93箇所で環境基準を超えるフッ素などが検出された。

交通量が多い国道バイパスなどで使われており、交通への影響で撤去をどうするかが決まっていない。
また、渋川市では49箇所で76万トンが使われており、全部を撤去すると228億円もかかるとされる。

ーーー

群馬県は2014年1月、渋川工場から出た「鉄鋼スラグ」を業者に販売する際、運搬費などの名目で販売価格を上回る代金を支払っていたことが廃棄物処理法違反に当たるとみて、渋川工場を立ち入り検査した。

この時点では、同社は、「スラグは商品価値が低く、運搬費などをこちらで負担しないと売れない」とし、「産業廃棄物ではなく、リサイクル商品に当たり法律には違反しない」と主張した。

2012年6月以前、子会社を通じて渋川市内の砕石業者にスラグを1トン100円で販売するとしながら、実際には1トン250円以上を支払う契約も同時に結んでいた。(引き取り手に支払う代金が、本来の金額を上回る取引のことを「逆有償取引」という)

鉄鋼スラグは、鉄鋼を製造する過程で出る副産物で、フッ素や六価クロムなどの有害物質が含まれている。

主に路盤材やセメント材などに再利用されるが、渋川市によると、同社のスラグを再利用した11カ所の施工現場で、環境基準を超えるフッ素などを検出した。

これに対し大同は、「工事した当時は基準内だったはずだ」とした。


大同特殊鋼は特殊鋼専業メーカーで、スラグは以下の工程でできる。

     鐵鋼スラグ協会

その後、関係官庁が調査したところ、下記の結果が出た。

調査対象 フッ素溶出量 フッ素含有量 六価クロム溶出量 六価クロム含有量

基準 0.8mg/l

基準 4,000mg/kg

基準 0.05mg/l

基準 250mg/kg

超過
件数
最大値 超過
件数
最大値 超過
件数
最大値 超過
件数
最大値
渋川市 スラグ 32/38 13 mg/l 35/38 24,000mg/kg 3/38 0.23mg/l - -
土壌 28/38 8.7mg/l 2/38 4,600mg/kg 4/38 0.13mg/l - --
水資源
機構
スラグ 8/8 2.5mg/l 8/8 19,000mg/kg 3/8 0.085mg/l -
土壌 0/6 - - - - - - -
国交省 スラグ 1/6 4.4mg/l - - - - - -
土壌 1/1 2.0mg/l - - - - - -


2014年8月には、国が群馬県長野原町で建設を進める八ッ場ダムで、水没予定地からの立ち退きを求められた住民の移転代替地の整備に、有害物質を含む建設資材が使われていることが分かった。

大同と「逆有償取引」をしていた建設会社が八ッ場ダム関連工事十数件に参加し、大同から引き取ったスラグを天然砕石に混ぜて使っていたという。

調査対象 フッ素溶出量 フッ素含有量
基準値 0.8mg/l 4,000mg/kg
場所1 4.3mg/l 19,000mg/kg
場所2 13 mg/l 20,000mg/kg
場所3 19 mg/l 21,000mg/kg

群馬県は今回、大同はスラグには環境基準を超える有害物質「フッ素」が含まれていると知りながら出荷しており、こうした取引は建設資材を装った廃棄物処理に当たるとして、廃棄物処理に必要な許可を受けていない大同と建設会社に廃棄物処理法違反の疑いがあるとして刑事告発した。

群馬県の環境森林部長は「スラグの使用箇所の解明を進め、環境への影響も監視していく」と話した。

ーーー

これに似たケースとしては石原産業のフェロシルト不法投棄事件がある。

同社は酸化チタンを製造しているが、輸入した砂鉄状の鉱物を粉砕して、硫酸法と塩素法でチタンを抽出している。

同社は1969年に、硫酸抽出法で抽出した後の廃硫酸を長年にわたって中和処理せずに伊勢湾に捨てたとして、四日市海上保安部から摘発され、垂れ流した廃硫酸が約1億トンに上がることが認定されて、1980年に津地裁で有罪判決を受けている。

その後は廃硫酸と汚泥は炭酸カルシウムや消石灰で中和し、脱水して、産廃処分場に廃棄していた。
2003年の廃棄量は250~380千トンと膨大な量で、処分費用は1トン9,400円との推定がある。

同社では国際競争力強化策の一環として、1997年に、廃棄物の減量化と酸化チタンの製造コストの低減をはかるため、製造工程から副生する使用済み硫酸を再生利用して副生品を生産・販売する研究開発に着手した。

2001年から土壌埋戻材を「フェロシルト」と命名して販売を開始し、2003年には三重県リサイクル製品利用推進条例に基づく「リサイクル製品」に認定された。

2005年4月までの間に約77万トンのフェロシルトを生産、そのうち約72万トンが販売され、委託業者を通じて東海3県や京都府加茂町など35カ所に埋設された。業者がケナフを植えるための肥料と偽って埋め捨てたケースもある。

2004年11月、大雨によってフェロシルトが流出し、川の水を赤く染めるという事件が発生した。
サンプル検査の過程でフェロシルト中から基準値を超える6価クロムやフッ素化合物も含まれていることが分かった。

土壌埋戻材として販売しながら、実際には購入業者には「改質加工費」などの名目で販売価格の約20倍の金額が払われていた。

その後について:

2006/11/13 石原産業フェロシルト不法投棄事件

2012/7/4  フェロシルト不法投棄事件で石原産業元役員らに賠償命令

2014/5/23  石原産業のフェロシルト不法投棄事件の株主訴訟が和解



ロシア天然ガス2位のNovatekは9月3日、プーチン大統領と習近平主席の見守るなか、中国のシルクロード基金(絲路基金にYamal LNG 計画の持分 9.9% を譲渡する基本契約書を締結した。

これにより、Yamal LNG計画の出資比率は下記のようになる。

従来 今後
Novatek 60% 50.1%
Total 20% 20.0% 2011/3/2 調印 ロシアの天然ガス開発ーBP撤退、Total進出
CNPC 20% 20.0% 2013/9 参加合意、2014/1/14 株式買収完了
絲路基金 - 9.9%


Total
Novatek2009年からTermokarstovoyeガス田(下の地図)を共同で開発しているが、2015年5月に生産を開始した。

Yamal LNG はYamal半島のSouth (Yuzhno) Tambey ガス田を開発し、液化してLNGにする。

http://www.novatek.ru/en/business/assets/

ガス田の推定埋蔵量は2014年末時点で9,260億m3とされる。
液化設備は550万トンx 3系列の合計年間1650万トン。
第1期を2016年末に操業、第2期、第3期をそれぞれ2017年末、2018年末に稼働させる。

LNG基地を含む投資額は270億ドルとされる。

LNGの売却先は、Total、CNPCとスペインのGas Natural Fenosa。

日揮がフランスのTechnipと共同で、このLNGプラント新設プロジェクトの有償見積りおよび詳細設計役務等を受注している。

2013/4/8  日揮、ロシアのヤマルLNGプラントの詳細設計役務等を受注

同地に多機能海港のSabetta港の建設が進められており、LNG、石油、天然ガス・コンデンセートを輸出する拠点港になる。

韓国の大宇造船は2014年7月8日、 大宇造船海洋カナダ、中国、日本の海運会社と、Yamal ProjectのLNGを輸送するための17万立方メートル級ARC7 砕氷LNG船9隻に対する受注契約を締結したと発表した。

最大氷厚2.1mの氷海において単独砕氷航行可能な仕様となっており、ヤマル半島サベッタ港のYamal LNG基地から、通年にわたり世界各地への輸送に従事するが、夏季には北極海航路を経由して東アジア向けに運航される。

2014/7/15 大宇造船、砕氷LNG運搬船9隻を28億ドルで受注

習主席は、APEC閣僚会議が開かれた2014年11月8日にバングラデシュ、タジキスタン、ラオス、モンゴル、ミャンマー、カンボジア、パキスタンの首脳と「相互接続パートナーシップ強化対話会議」を開催した。

習主席は「『シルクロード経済圏』と『21世紀の海のシルクロード』を建設しよう」と呼びかけ、中国が400億ドルの「シルクロード基金」を創設すると表明した。

2014/11/13 中国のシルクロード経済圏構想     

シルクロード基金を運用する絲路(シルクロード)基金有限責任公司は外貨準備、中国投資有限責任公司、中国進出口銀行、国家開発銀行の共同出資で、2014年12月29日に北京市内で登記され、第1弾として100億米ドルの資金募集を終えている。

シルクロード基金は市場化、国際化、専業化の3原則を順守、アジアインフラ投資銀行(AIIB)と連携し、アジア地域のインフラ整備や経済交流を進める「一帯一路」構想を実現する。

第1号として、パキスタンの水力発電所のプロジェクトが選ばれた。

2015/5/2 中国のシルクロード基金が初投資、パキスタンで水力発電所整備へ

ーーーー

北極海には他に2件のLNG計画がある。

1)ムルマンスク近郊 Teriberka

バレンツ海Shtokman海底ガス田(Gazprom 75%、Total 25%)のガスをNord Stream Gas Pipeline へつなぎ込むとともに、 TeriberkaにLNGプラント建設

2) ノルウェー Melkøya島

Snøhvit海底ガス田(Snøhvit North, Albatross, Askeladd の3鉱区)のガスをMelkøya島で液化

次の6社のコンソーシアムで、Statoilが率いる。
 Statoil (33.53%), Petoro (30%), TotalFinalElf (18.4%), Gaz de France (12%), Amerada Hess (3.26%), RWE-DEA (2.81%)





日本ガイシは9月3日、米国司法省との間で自動車用触媒担体の取引の一部に関して米国反トラスト法違反で有罪を認め、罰金6530万米ドルを支払うことを主な内容とする司法取引に合意したが、証拠隠滅などにより当局の捜査を妨害した疑いもあり、 司法妨害でも会社と役員が起訴される可能性がある。

日本ガイシの前社長(現在 相談役)は2002年から2007年まで、排ガス浄化装置を扱うセラミックス事業本部長を務めており、調査に非協力的だったこともあり、他の2名とともに免責されなかった模様。

仮に起訴された場合、日本に留まれば「海外逃亡」で時効が中断するが、犯罪人引渡し条約により、日本から送還されたり、他国に入国した時点で逮捕・米国送還される 可能性がある。

2015/9/7 日本ガイシ、自動車用触媒担体のカルテルで米司法省と司法取引  

独禁法で米国に送還された最初の外国人は、マリーンホース国際カルテルのイタリアのParker ITRのRomano Pisciotti である。

当時米国におらず逮捕を免れていたRomano Pisciottiは、2013年6月にナイジェリアからイタリアに戻る途中、ドイツの空港で逮捕された。

Pisciottiはイタリアの裁判所とEUの人権裁判所に訴え、EUの法律が適用されるべきとするとともに、ドイツによる国籍差別の犠牲者であると主張したが、2014年4月3日に米国に送還された。

Romano Pisciottiは4月24日、有罪を認め、禁固2年、罰金5万ドルを受け入れた。
ドイツでの拘束期間の(9ヶ月+ 16日)がこれから差し引かれる。

2014/5/8  マリーンホース国際カルテルでのイタリア人被告の米国への引渡し 

しかし、その前の2010年3月に英国の工業用炭素・セラミック製品メーカーのMorgan Crucible の元CEOが英国から米国に身柄を引渡されている。

英国のWindsorに本拠を置くMorgan Crucibleの米国子会社 Morganite, Inc. は1990年1月頃から2000年5月頃まで、集電装置、炭素ブラシなどで競争相手と価格談合を行った。

1999年4月頃、大陪審は独禁法違反の疑いで Morganiteに文書提出令状を出した。

Morgan Crucibleの当時のCEO のIan Norrisはタスクフォースを編成し、カルテルの証拠を集め、隠滅した。
従業員が聴取されると知り、供述の際に使う競合相手との会合についてのシナリオを作成、競合相手にもそのシナリオに従うよう求め、リハーサルでうまくやれなかった従業員を無理やり退職させた。

しかし、最終的に隠滅作戦は失敗した。

2002年に米子会社Morganite Inc.は独禁法違反で当時の罰金の最高限度の1000万ドル、Morgan Crucible は司法妨害で100万ドルの罰金の支払を命じられた。

更に3人の従業員が2003年に有罪を認め、禁固刑と罰金刑を受けた。

Morgan Crucibleの事業部長が証拠隠滅で禁固4ヶ月、罰金2万ドル
英国子会社 Morganite Electrical Carbon のPricing Coordinator が従業員に証拠隠滅をさせたとして、禁固5ヶ月、罰金2万ドル
米国子会社 Morgan Advanced Materials and Technology の社長が証拠隠滅を助けたとして、禁固6ヶ月、罰金2万ドル

Morgan Crucible とCEOのIan Norrisは2001年にEUでの10年前のカルテルについて報告し、EUでの免責を得た。Ian Norrisは1年後に病気を理由に退任した。

しかし、米国の大陪審は2004年、Ian Norris を独禁法違反と証拠隠滅の2つの容疑で起訴した。
米司法省は犯罪人引渡し条約に基づき英国にIan Norrisの送還を要請した。

これに対しIan Norrisは、英国で価格カルテルが罪になったのは2002年であり、米国でのカルテルはそれ以前のため、カルテルの罪は当て嵌まらないと主張し、抵抗した。

裁判となり、最終的に2007年に英国の最高裁である貴族院で Ian Norrisの勝訴となった。

米司法省はこれで諦めず、独禁法違反を外し、司法妨害の罪で送還を求めた。

今回も貴族院まで行ったが、今回は司法省の勝訴となった。

最後に欧州人権裁判所に訴えたが却下され、Ian Norris は2010年3月に米国に送還された。

独禁法事件で米国に送還される最初の外国人となったが、独禁法の罪は外され、司法妨害の罪での送還となった。


2010年12月10日、連邦地裁はIan Norris に禁固18ヶ月、罰金25千ドルの判決を下した。

ーーー

日米の場合は1980年の条約で、両国でいずれも処罰の対象となり両国の法律で死刑、無期懲役、1年以上の拘禁刑に当たる罪の場合は引渡しが可能となっているが、独禁法違反の場合には日本政府は該当せずとし、引渡しは行われなかった。

2009年改正により、独禁法の最高が懲役5年となったため、執行猶予の対象外となり、条約上の引渡し対象となる。
(それまでは最高が懲役3年のため、執行猶予が付いた。)

条約第5条では、「被請求国は、自国民を引渡す義務を負わない。ただし、被請求国は、その裁量により自国民を引き渡すことができる」となっており、日本政府の判断で引渡しを行うかどうかを決めることとなる。

逆に今後、日本側が引渡しを求める事態も発生する可能性があるため、要請があった場合には、余程の理由がない限り、引渡しを行うと思われる。


三菱ガス化学、三菱商事、三菱重工業は9月3日、トリニダード・トバゴ共和国で同国の国営ガス会社 National Gas Company of Trinidad and Tobago (NGC)および同国のMassy Holdingsと進めているメタノール/ジメチルエーテル製造販売事業について、最終決定したと発表した。
国際協力銀行及び三菱東京UFJ 銀行と融資契約を締結する。


三菱ガス化学と三菱商事は2013年4月に、トリニダード・トバゴ政府及びの
Neal & Massy Holdings とともに、メタノール年産能力100 万トン、ジメチルエーテル(DME)年産能力10 万トンの製造事業を検討することに合意したと発表した。

経緯や同国のメタノール事業の状況、三菱ガス化学のメタノール事業の状況について、下記参照。

2013/4/12 三菱ガス化学と三菱商事、トリニダード・トバゴでメタノール/DMEの製造事業F/S に合意 

2015/4/17 三菱ガス化学・三菱商事・三菱重工の3社、トリニダード・トバゴでのメタノール事業で契約 

その後、検討・交渉を行い、下記により実施することを決めた。
ジメチルエーテルについては、当初の10万トンを2万トンに変更した。

会社名 Carribbean Gas Chemical
立地 La Brea, Union Estate Industrial Estate

能力 メタノール 100万トン
ジメチルエーテル(DME) 2万トン
総投資額 990百万米ドル
出資と役割
三菱ガス化学 26.25% メタノールを世界中で販売 &
同国並びにカリブ諸国でにおいて、DMEのディーゼル燃料代替促進に向けたプロモーション
三菱商事 26.25%
Massy 10.00%
三菱重工 17.50% プラントの設計から建設までを担当
NGC 20.00% 原料天然ガスの供給
運転開始 2019/3


Massy(旧称
Neal & Massy )は卸売、不動産、自動車販売・メンテナンス代理店、産業用ガス製造供給、ホテル経営等、幅広い事業をカリブ全域で展開している。


BASFは9月4日、ロシアのGazpromとの間で2013年に締結したものの、2014年12月に「現在の厳しい政治情勢を踏まえ」断念した資産交換合意を復活させると発表した。

資産交換は2013年12月に合意し、2014年末に実施する予定で、欧州委員会からは2013年12月に承認を得ていたが、ロシアと西側諸国の間で緊張が高まったことから断念していた。

2014/12/25 BASF、Gazpromとの資産交換計画を断念

BASFは「当時の厳しい政治環境のため、BASFとGazpromは2014年末に予定していた資産交換を完了させない決定を下していた」が、「後日完了させる可能性は排除しておらず、今、この取引完了の共同決定に至った」と説明した。
BASFは
7月31日 に、下記のNord Stream 2 計画への参加を発表している。

2013年4月1日に遡って実施される。

BASFはGazpromに天然ガスのトレーディング事業を譲渡し、交換で鉱区権益を取得する。

譲渡するのは、

1)BASF子会社Wintershall とGazpromの50/50JVの天然ガスのトレーディングと貯蔵会社、WINGASとWIEH のWintershall 持分

  両社はGazprom 100%となり、WIEWIEHの100%子会社のWIEE もその結果、Gazprom に移る。

WINGASとベルリンに本社を持つWIEH(Wintershall Erdgas Handelshaus) はドイツのみならず、ベルギー、フランス、英国、オーストリア、オランダ、チェコなどに天然ガスを供給している。

WIEWIEHの100%子会社のWIEE (Wintershall Erdgas Handelshaus Zug) はスイスに本拠を置き、ルーマニアとブルガリアを中心に天然ガスを供給している。

2)  北海で石油の開発を行っているWintershallの100%子会社WINZ(Wintershall Noordzee)の50%持分

 

代わりにWintershallが譲り受けるのは、北極圏北海のUrengoyskoye 石油・ガス田のAchimov depositsの4A and 5Aブロックの開発権の25.01%。

Urengoyskoye 石油・ガス田は1966年発見で、北極圏のガス田で最大のもの。

今回取得する2鉱区は24億バレルの埋蔵量が見込まれ、2016年に生産が始まる予定であった。

Wintershall は長年、Gazpromと共同でシベリアのガス田を開発している。

 

ーーー

同じ9月4日、Gazprom とBASFその他の各社はNord Stream 2 pipeline 計画の実施に関する株主契約書に調印した。

Gazpromは2015年6月、シベリアの天然ガスをサンクトペテルブルク北方のビポルクからバルト海海底約1200キロを通ってドイツ北東部グライフスバルトまで供給するNord Stream Pipelineの倍増計画に着手した。

Gazpromは6月18日、同計画での協力についての覚書を、Royal Dutch Shell、ドイツのE.ON、オーストリアのOMV との間で締結した。
7月31日、BASF子会社Wintershall の参加を発表した。

2015/7/1  Nord Stream 倍増計画 

倍増計画のため、新会社 New European Pipeline AG が設立される。

参加する企業と出資比率は次のとおりとなった。

  Nprd-2 参考 Nord-1
Gazprom   51%   51.0%
BASF/Wintershall   10%   15.5%
E.ON   10%   15.5%
OMV   10%  
Shell   10%  
ENGIE     9%  
Nederlandse Gasunie      9.0%
GDF SUEZ      9.0%
     
 * ENGIEはフランスの電気・ガス事業者
   

 

米国やEU諸国はウクライナ問題でロシア制裁を続けているが、欧州のエネルギー企業にとってはロシアの資源を無視することは出来ず、制裁はほころび始めている。

 

 


Sinopec は、 プーチン大統領が抗日戦争勝利70周年式典参加で北京 を訪問したのを機に、ロシアのRosneft 及びSibur と提携を深める覚書を締結した。

1) 対 Rosneft

SinopecとロシアのRosneftは9月3日、ロシアの2箇所で共同で石油・ガス開発を行う覚書を締結した。

プーチン大統領の北京訪問を機に、
習近平主席も列席のもと、両社会長により調印された。

SinopecはYurubcheno-Tokhomskoye ガス田を運営するEastern Siberian Oil and Gas Companyと、Russkoye油田の権利を持つTyumenneftegazの株のそれぞれ49%を取得する権利を取得する。

Eastern Siberian Oil and Gas はRosneftの子会社。
Tyumenneftegazは当初は TNK-BP の子会社であったが、現在はRosneftの子会社となっている。

SinopecとRosneftは今後、合同の技術グループをつくり、投資計画を作成する。



Sinopec とRosneft は既に下記の2件で協力し合っている。

(1) Udmurtneft

Udmurtneftはロシアのウドムルト共和国の石油会社で、TNK-BP の子会社であったが、同社が売りに出し、2006年にSinopec とRosneft が共同で買収し、共同運営している。

(2) サハリン3プロジェクト

サハリン3は3つの鉱区に分かれているが、 ウェーニン地区では両社が協力している。

キリンスキー鉱区 Gasprom
アヤシ・東オドプト鉱区 Gazprom
ウェーニン(Venin) 鉱区 Rosneft 74.0%、Sinopec 25.1%

ーーー

2)  対 Sibur

2014年5月のプーチン大統領の訪中時に、下記の契約が締結された。

SinopecとSiburは戦略的協力契約を締結した。今後、取引の拡大やガス処理・石化計画での協力などを検討する。

その一環として、Shanghai Chemical Industry Parkにブタジエンにトリルゴム (NBR) のJVの設立を決めた。

能力:50千トン/
出資:Sinopec 74.9%、Sibur 25.1%
技術:Siburがライセンス

両社は2013年にロシアKrasnoyarsk にNBRのJVを設立している。

能力:56千トン/
出資:Sinopec 25%+1株、Sibur 75%-1株
技術:Siburがライセンス

2014/5/27   ロシアと中国のエネルギー関係契約(2)


Siburは9月3日、SinopecがSiburに出資する計画であると明らかにした。
プーチン大統領の訪中を機に、framework investment agreementが締結された。

SinopecはSiburの10%以上を取得するとされる。

Sibur Holding はロシアの30社以上の石油化学・化学企業を統括し、ガス精製からタイヤ生産まで幅広く手がけている。

1995年設立で、政府が38%出資し、残り62%を上場した。
2001年にGazpromが51%を所有。
2003年にGazprom  25%、Gazprombank 75% となった。

Gazprom はその後、石油化学をnon-core とみなし、2008年にSibur 株をGazfundのエネルギー資産と交換した。
Gazprombankは2010年にSibur 株を個人株主  Leonid Mikhelsonに売却した。

その後も変遷があり、現在の株主は下記の通り。
 Leonid Mikhelson 50.2%   会長(Novatekの創業者・CEO) 
 Kirill Shamalov 21.3%   取締役
 Gennady Timchenko 15.3%   (Novatek 取締役)
 役員等(新旧) 13.2%  

同社は3つの事業部門を持つ。



 

Dow Chemical は9月2日、塩素バリュー・チェーンをOlin Corporation に売却するのに際し、Reverse Morris Trust の手法のもとで、自社の株主に Dowの株式と分離した子会社の株式を交換させる手続きを開始した。

 

Dow Chemical は3月27日、同社のクロルアルカリ事業の大半を分離してOlin Corp と合併させ、売上高70億ドルのグローバルリーダーをつくると発表した。

Reverse Morris Trust という手法により、同社のクロルアルカリ事業を分離して無税でOlinに売却し、Olinはこれを統合する。
新しいOlinにはDowが50.5%を出資する。

米国には、Morris Trust が開発し、その後、税法上承認されたMorris Trust 取引と、これの変形のReverse Morris Trust 取引がある。

通常、事業を売却すれば売却益に対して課税されるが、売却側の企業の株主が、買収した事業を統合した後の買収企業の株の50%かそれ以上を所有する場合には無税となる。

下図で、A社が本体をB社に売却する形でB社と統合する場合がMorris Trust 取引、不要事業を売却する形でB社と統合する場合がReverse(逆)Morris Trust 取引である。
いずれの場合も新しいB社の株の50%以上をA社株主が持つ場合に売却が非課税となる。

Dow のLiveris CEO が下記の通り発言している。

「Dowは (Dowのクロルアルカリ事業との統合後の)Olin 株の50.5%を所有する。しかし、追ってDowはDow株主にOlin株を直接所有するよう、オファーする。
 最終的には、3人の取締役を出すだけで、それ以外にはOlin の経営には全く関与しない。」

2015/3/30  Dow Chmeical、クロルアルカリ事業をOlin Corp.と統合


両社は6月16日、独禁法の
Hart-Scott-Rodino (HSR) Antitrust Improvements Act of 1976 に基づく待機期間が満了し、独禁法上の問題がなくなったと発表した。
7月6日には関係各国全ての承認を得た。

また、7月17日、IRSから
Reverse Morris Trustによる取引を認めるレターを受け取ったと発表した。
これにより、この取引の
非課税対価は50億ドル(課税ベースで80億ドル相当)となる。

今回の取引は下記の通りとなる。
最終的にDowの塩素関連事業を買収するOlinについて、Dow株主が過半を占めるため、事業売却は非課税となる。

Dowは9月2日、Dowの株主に対し、Dow株式と100%子会社のSpinco株式の交換のエクスチェンジ・オファーを開始した。

Dowの普通株主は、Dow普通株式1.00米ドル当たり約1.11米ドルのSpinco普通株式を受領する。

その後、Spinco普通株式1株は Olin普通株式 0.87482759株に転換される。
(株主には実際にはSpinco株式ではなく直接Olin株式が渡される。)

Dowの普通株主が、1株当たり何株のSpinco普通株式を受領するかを決定する最終の交換比率は、遅くとも、エクスチェンジ・オファー期間終了日(10月1日)の直前の最終取引日に発表される。

応募が超過した場合は割り当て、過少の場合は残存するDow株主に比例配分される。

 

なお、Olinに売却する事業のなかに、Dowと三井物産のJVの Dow Mitsui Chlor-Alkali LLCがある。

三井物産とDowは2010年7月、両社が折半出資でテキサス州フリーポートで電解事業を行う合弁事業の設立に関する合弁契約書を締結、12月にJVを設立した。三井物産は約1.4億ドルを出資。

社名:Dow-Mitsui Chlor-Alkali LLC
能力:苛性ソーダ約88万トン、塩素約80万トン
操業:Dow
操業開始:2014年初め
製品:折半引取り
    三井物産は塩素はDowに委託してEDCにし、アジアで販売、
    苛性ソーダはDowを通じて米国で販売

  2010/7/2 三井物産とダウ、合弁でテキサスで電解事業 

これについての発表はないが、報道ではDowがOlinに売却するのに合わせ、同社も当事業から撤退する模様。

Dow-Mitsui Chlor-Alkali への投資会社である Mitsui & Co. Texas Chlor-Alkali は2015年3月期で76億円の赤字、2015年4-6月期で32億円の赤字となっている。





天津市は浜海新区の爆発現場を「海港生態公園海港エコ公園)」として整備する計画を明らかにした。

公園は24ヘクタールで「エコ、活気、暮らし、記念」を理念とし、事故前に着工していた小学校や幼稚園も敷地内に建てる。11月に着工し、来年7月の完成を目指すという。

大惨事の原因究明も済んでいない中での発表に、事故車両を埋めようとした温州の高速鉄道と同じだと、批判が相次いでいる。

全体は43ヘクタールで、公園部分(左図の赤線内)は約24ヘクタール。公園の池は丁度、爆発の穴の場所。

南側には小学校、幼稚園などが、西側にはグリーンベルトがつくられる。









日本ガイシは9月3日、米国司法省との間で自動車用触媒担体の取引の一部に関して米国反トラスト法違反で有罪を認め、罰金6530万米ドルを支払うことを主な内容とする司法取引に合意した。

証拠隠滅などにより当局の捜査を妨害した疑いもあり、司法省は同社がこの件でも有罪を認めるだろうとしている。
司法妨害でも別途罰金を課せられる可能性がある。

自動車用触媒担体は、米国その他の GM、トヨタ、日産などに供給されている。少なくとも2000年7月から2010年2月まで、共謀する他社(1社)との間で価格等の話し合いを行った。

同社はこれに加え、調査開始に気づき、2010年2月から2012年7月までの間、調査を妨害するため、司法妨害したとして訴えられている。
幹部と社員が電子ファイルを抹消し、書類を破棄や隠匿し、幹部のパソコンを取り替えたり、米国事務所に蓄積されている電子ファイルを除去したり隠したりした。

日本経済新聞によると、日本ガイシの前社長(現在 相談役)は2002年から2007年まで、排ガス浄化装置を扱うセラミックス事業本部長を務めており、調査に非協力的だったこともあり、他の2名とともに免責されなかった模様。

起訴された場合、1部上場企業のトップとしては初めてとなる。  (東証2部上場のダイヤモンド電機では元社長と元副社長が禁固刑を受けている)

起訴された場合、禁固刑&罰金刑の可能性がある。
出頭しない場合は「海外逃亡」で時効が中断する。犯罪人引渡し条約により他国に入国した時点で逮捕・米国送還される(下記の1例あり)。

2014/5/8  マリーンホース国際カルテルでのイタリア人被告の米国への引渡し

日本への引渡し要請の可能性もある。
炭素ブラシのカルテルと司法妨害で訴えられた英国のMorgan Crucibleの元CEOが英国から米国に引き渡され、18ヶ月の禁固刑を受けた例もある。

 (カルテル時点ではカルテルは英国での犯罪ではなかったとの主張で、カルテルは外され、司法妨害の罪で引き渡された)

日本の場合は1980年の条約で、両国でいずれも処罰の対象となり両国の法律で死刑、無期懲役、1年以上の拘禁刑に当たる罪の場合は引渡しが可能となっているが、独禁法違反の場合には日本政府は該当せずとし、引渡しは行われなかった。

2009年改正により、独禁法の最高が懲役5年となったため、執行猶予の対象外となり、条約上の引渡し対象となる。
 (それまでは最高が懲役3年のため、執行猶予が付いた。)

条約第5条では、「被請求国は、自国民を引渡す義務を負わない。ただし、被請求国は、その裁量により自国民を引き渡すことができる」となっており、日本政府の判断で引渡しを行うかどうかを決めることとなる。

ーーー

2011年9月に古河電工が自動車用ワイヤーハーネスに係るカルテルに関して司法省との司法取引に合意して以降、多くの企業(ほとんどは日本企業)が自動車部品カルテルで起訴され、司法取引を行っている。

今回の日本ガイシを含め、合計36社(うち日本企業は31社)が総額25億67百万ドルの罰金を支払っている。
このなかには、1936年に日本ガイシ
(NGK Insulators) から独立した日本特殊陶業(NGK Spark Plug)も含まれている。

自動車部品カルテルでは企業に加え、担当の責任者も多数起訴されている。
(企業が司法取引をする場合、責任者や担当者も免責されるが、違法行為がひどい場合は免責されず、起訴される。)

現時点で55名が起訴され、うち30名が禁固刑と罰金刑(2万ドル)を受けている。
このうち、タカタの米国人1名が禁固刑を受けた以外、すべて日本人である。

自動車部品カルテルの以前には、日本人で禁固刑を受けたのは2名のみであった。
うち1名は、
若い担当者のため、将来海外に行けないのは困るとして、自ら渡米して刑を受けた。もう1名は米国で謀議中に逮捕された。
他にも多数が起訴されているが、日本から出ず、「海外逃亡」で時効中断となっている。

2015年に入り、海上貨物輸送カルテル で3社の3名が禁固刑を受けた。

この結果、日本人で禁固刑を受けたのは34名となっている。

詳細は下記の通り。

自動車部品カルテル

企業

 

個人

    百万$  決定日   個人 禁固刑 決定日 禁固 起訴
1 古河電工 200 2011/9   I.F. 1年+1日 2011/10/24 1  
H.N. 15か月 2011/10/13 2  
T.U. 18か月 2011/11/10 3  
2 矢崎総業 470 2012/1   T. H. 2年 2012/1/30 4  
R. K. 2年 2012/3/26 5  
S. O. 15か月 6
H. T. 15か月 7
T. S. 14か月 2012/8/16 8  
K. K. 14か月 2012/9/26 9  
3 デンソー 78 2012/1   N. I. 1年+1日 2012/3/26 10  
M. H. 14か月 2012/4/26 11  
Y. S. 16か月 2013/5/21 12  
H. W. 15か月 13
S. H. 1年+1日 2014/6/30 14  
K.F. 1年+1日 2014/2/20 15  
4 ジーエスエレテック 2.75 2012/4   S.O. 13ヶ月 2014/7/31 16  
5 フジクラ 20 2012/4   R.F.

起訴

2013/9/19   1
T.N. 2
6 Autoliv Inc
(Stockholm)
14.5 2012/6   T.M.
日本人
1年+1日 2013/7/16 17  
7 TRW Deutschland
(米社独子会社)
5.1 2012/7            
8 日本精機 1 2012/8            
9 東海理化 17.7 2012/10   H.H.

起訴

2014/5/22   3
10 ダイヤモンド電機 19 2013/7   S.I. 16ヶ月 2014/1/31 18  
T.I. 13ヶ月 19
11 パナソニック 45.8 2013/7   S.K.

起訴

2013/9/24   4
12 日立オートモティブシステムズ 195 2013/9/26   T.T. 15ヶ月 2015/4/23 20  
K.F. 起訴 2014/9/18   5
K.T 6
T.I. 7
13 ジェイテクト 103.27 M.I. 起訴 2014/11/13   8
14 ミツバ 135 K.U. 13ヶ月 2014/12/1 21  
H.K. 起訴 2015/2/5   9
H.N. 10
15 三菱電機 190 A.U. 起訴 2014/9/18   11
M.K.  12
H.S. 13
16 三菱重工 14.5          
17 日本精工(NSK) 68.2 H.H.

起訴

2014/11/13   14
18 ティラド(T.RAD) 13.75 K.T. 1年+1日 2014/12/1 22  
M.S..

起訴

2015/5/14   15
19 ヴァレオジャパン
(仏Valeoの子会社)
13.6          
20 山下ゴム 11 H. Y. 1年+1日 2012/11/16  23  
21 タカタ 71.3 2013/10/9   G.W.
米国人
14か月 2013/9/26 24  
Y.U. 19 ヶ月 2013/11/21 25  
S.I. 16ヶ月 26
Y.F.   14ヶ月 27
G.N. 起訴 2014/6/5   16
H.U. 起訴 2015/1/22   17
22 東洋ゴム 120.0 2013/11/26   T.K. 1年+1日 2013/9/26 28  
M. H. 起訴 2013/1121   18
K. N. 19
23 スタンレー電気 1.44 2013/11/27            
24 小糸製作所 56.6 2014/1/16            
25 愛三工業 6.86 2014/2/2            
26 ブリヂストン 425.0 2014/2/13   Y.T. 起訴 2014/4/15   20
Y.R. 21
I.Y. 22
Y.S. 18ヶ月 2014/4/16 29  
27 ショーワ 19.9 2014/4/23   A.W. 起訴 2014/10/15   23
28 日本特殊陶業
 (NGK Spark Plug)
52.1 2014/8/19   N. T. 起訴 2015/5/21   24
H. N. 25
29 豊田合成 26 2014/9/29   M.H 1年+1日 2015/1/6 30  
30 日立金属 1.25 2014/10/31            
31 アイシン精機 35.8 2014/11/13            
32 Continental Automotive Electronics (Korea) 4.0 2014/11/24            
33 サンデン 3.2 2015/1/27             
34 Robert Bosch (独) 57.8 2015/3/31            
35 山田製作所 2.5 2015/4/28            
36 日本ガイシ
(NGK Insulators)
65.3 2015/9/3            
  累計(36社)  2,567.22     55
  30 25
うち外国企業  5社
     
うち外国人
 1
0
  日本企業 31社         日本人 29 25

 罰金は殆どが各2万ドルで、ダイヤモンド電機の場合は2人が各5千ドル。
 


これ以外の日本人の禁固刑

  氏名    禁固 罰金
ダイセル
ソルビン酸価格カルテル
H. H. 2004/8/5 3ヶ月 2万ドル
ブリヂストン
マリンホース国際カルテル
M. H. 2008/12/10 2年 8万ドル
 
海上貨物輸送カルテル
川崎汽船 H. T. 2015/1/30 18 months 2万ドル
川崎汽船 T. Y. 2015/2/6 14 months 2万ドル
日本郵船 S. T. 2015/3/10 15 months 2万ドル

通常、起訴されるのは役員クラスだが、ダイセルの場合、減免制度でチッソが提出した詳細情報に若い担当者の関与が記載されており、起訴された。
海外に行けないのでは仕事にならないため、服役を選んだ。
米国司法省は、「日本人で最初に服役」と誇らしげにこれを発表するとともに、本人には3ヶ月の禁固という軽い刑にし、その他でも特別待遇をしたという。

出所後は欧州勤務をするなど、活躍している。


付記 ソルビン酸カルテル事件

  企業 罰金   個人
ダイセル 53百万ドル 2000/7/25   K. K. 2000/7/25 起訴
(時効中断)
H. I.
T. M.
H. H. 禁固3ヶ月
罰金 2万ドル
2004/8/5
上野製薬 11百万ドル 2001/1/23   Y. K. 2001/1/23起訴
(時効中断)
Y. K.
W. S.
日本合成
(事業撤退)
21百万ドル 1999/7/14   H. I. 罰金 35万ドル 1999/7/14
Eastman 11百万ドル 1998/9/30    
Hoechst 36百万ドル 1999/5/5   Manager 罰金 25万ドル 1999/5/5
チッソ
(事業撤退)
情報提供で免除    

 

EU  2003/10/1

  課徴金
ダイセル 16.6百万ユーロ
上野製薬 12.3百万ユーロ
日本合成 10.5百万ユーロ
Hoechst 99.0百万ユーロ
チッソ 情報提供で免除

ーーー

米当局は現在、キャパシタ(電解コンデンサー)業界のカルテルの調査を行っている。

司法省は9月2日、NECトーキンが罪を認め、1380万ドルの罰金を支払うと発表した。




 



国立科学博物館は、2008年から毎年、暮らしを大きく変えたり、産業の発展に貢献したりした技術を「重要科学技術史資料(愛称 未来技術遺産)」として登録しているが、9月1日、AIBO 、8ビットパソコン、 レーザディスクプレーヤ、タカヂアスターゼ など 25件を新しく選んだ。

http://www.kahaku.go.jp/procedure/press/pdf/77825.pdf

このうち、化学関連は下記の通り。

00188号 海軍航空機用塗料 色別標準(色見本帳) 日本特殊塗料 1942年
00193号 カラーネガフィルム「フジカラー F-Ⅱ400」
 世界初の高感度(ASA400)カラーネガフィルム
フジフィルム 1976年
00207号 日本初のイオン交換樹脂の工業生産に係わる諸資料 山田化学工業 1939~
00208号 タカヂアスターゼ 第一三共 1909
 00209号 スタチンおよびその発見に関する月報と実験ノート 東京農工大学
科学博物館
1971~

タカヂアスターゼ

タカヂアスターゼは高峰譲吉博士が1894年に発見した消化酵素を胃腸消化薬に製品化したもの。粉末状で取り出すことに成功した。

当時、高峰博士の一連の特許を元に米国のパーク・デービス社で製造され世界各国で発売されたが、博士の意向で日本では1899年に三共商店から発売された。

三共商店は高峰博士のタカヂアスターゼを技術導入して1899年に設立されたもので、1913年に三共株式会社となったが、この初代社長に高峰博士が就任している。

なお、最初の合成樹脂ベークライトは日本では早くも1911年に試作されているが、発明者のベークランド博士の親友であった高峰譲吉博士が特許権実施の承諾を受け、三共商店の品川工場で製造された。
1932年にベークライト部門が三共株式会社から独立し、日本ベークライト株式会社が設立された。その後1955年に住友化工材工業(1938年㈱合成樹脂工業所として設立)と合併、住友ベークライト株式会社になった。



スタチンおよびその発見に関する月報と実験ノート

三共の研究者であった遠藤章博士がスタチン類の最初の化合物(メバスタチン:ML-236B)をアオカビの培養液から発見した。

本資料は、大阪大学で日本で最初に患者の治療に使ったものと同じロットの錠剤と、この新薬を発見したときの過程を記録した遠藤博士の月報と助手の実験ノート

スタチンの発明については

2008/9/16 米ラスカー賞に遠藤章・東京農工大名誉教授

2012/5/5 発明家殿堂

ーーー

過去の未来技術遺産のうち、化学関連は下記の通り。

  登録番号 名称                                   所在地 製作年
2008 00009号 国産初期の硬質塩化ビニル管サンプル アロン化成
名古屋工場
1951
2009 00026号 池田菊苗博士抽出の第一号具留多味酸
― 日本最古のグルタミン酸 ―
東大大学院 1908
00029号 【 アンモニア合成装置 】 輸入機器
(1) アンモニア合成塔
(2) 混合ガス圧縮機
(3) 清浄塔
― わが国初の本格的なアンモニア合成プラント ―
旭化成
(延岡市)
1923
00039号 界面活性剤製造設備(TO リアクター)
― 世界で初めてα オレフィン・スルフォン酸塩の工業化に成功 ―
ライオン
大阪工場
1976
2010 00051号 合成ガス循環機
― 日本初の国産アンモニア合成装置 ―
昭和電工
川崎事業所
1930
00056号 ビニロン(ポリビニルアルコール繊維)
― 国産初の合成繊維 ―
クラレ
岡山事業所
1950
00057号 塩化ビニル被覆電線・ケーブル見本
― 現存最古級の塩化ビニル被覆電線 ―
古河電工
(市原市)
1950~
1955頃
00072号 上中啓三 アドレナリン実験ノート
― 高峰譲吉によるアドレナリン発見を決定づけた実験ノート ―
教行寺
(西宮市)
1900
2011 00080号 硬質塩化ビニル板製造用プレス機
― 日本最古の硬質塩ビ板成形プレス ―
三菱樹脂
長浜工場
1954
00082号 "テトロン"糸生産第一号機
― 日本初のポリエステル繊維製造装置 ―
東レ
(三島市)
1958
2012 00095号 クロード法によるアンモニア国産化史料
  アンモニア合成管用台盤、運転日誌、分離器
下関三井化学 1923~
 1930
00097号 国産初のPVC製LPレコード 日本コロンビア 1951
00106号 世界初の木材用非ホルマリン系接着剤
 イソシアネート系PVA系接着剤量産工場
光洋産業
 富士工場
1972年
2013 00117号  量産初期のPVC樹脂製造装置 カネカ大阪工場 1950年
00133号  セメダインC セメダイン 1938年
00135号 世界初の除虫菊を含む蚊取り線香 大日本除虫菊  
2014 00154号 航空機製造用プリプレグ  

ボーイングの要求を満たして国産材料として初めて認定
繊維基材に熱硬化性樹脂を含浸させたシートを重ね合わせて所定の形状にし、熱硬化させて繊維強化プラスチックに
横浜ゴム 1978年


2011/10/8   「未来技術遺産」

2013/9/12 未来技術遺産ー2013年 

 


なお、日本化学会も別途、「化学遺産」を指定している。

2015/3/19   第6回化学遺産 発表 

 




GraxoSmithKline (GSK)の日本法人は8月31日、医療関係者に下記の「重要なお知らせ」を出した。

2015年8月12日に起きた中国天津浜海新区倉庫爆発事故により、GSK天津工場が被害を受けた。

本工場では日本向けのB型慢性肝疾患治療薬「テノゼット®錠300mg」 (一般名:テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩)を製造しているが、爆発事故による被災により本剤の製造・出荷が停止しており、8月31日現在、本工場の操業再開の目途が立っていない状況 。

2015年8月末時点での国内における本剤の在庫数は、月間出荷量の約2カ月分。

この状況をうけ、本剤の出荷調整を実施する。

同社は日本の工場での早期製造開始(許可が必要)や、他社から薬剤の供給を受けることも検討する。
医療現場には新規患者への処方を控えると同時に、一度の処方量を減らすよう求めていく。

約7000人の患者が服用している。

ーーー

B型肝炎ウイルス(HBV)の主たる感染経路は母子間感染だが、その約9割は自然経過によりHBVが減少し、健康人となる。
しかし、残りの1割ほどは炎症が持続してB型慢性肝炎を発症する。慢性肝炎からは年率約2%で肝硬変へと進展し、肝硬変からは年率約3%で肝癌が発生する。

B型慢性肝炎の治療では、従来からインターフェロン療法、ステロイド離脱療法などが行われているが、近年では抗ウイルス療法が積極的に行われている。

抗ウイルス療法で使用される薬剤は逆転写酵素阻害剤(核酸アナログ製剤)で、HBV(B型肝炎ウイルス)やHIV (ヒト免疫不全ウイルス:AIDSの原因) の逆転写(RNAからDNAへと遺伝情報を複写する過程)を行う酵素を阻害することで、ウイルスの複製を阻害する。

ラミブジン(商品名ゼフィックス®)、HIV治療薬としては商品名エピビル®:GSK  

アデホビルピボキシル(商品名ヘプセラ®):GSK

エンテカビル(商品名バラクルード®):ブリストル・マイヤーズ

これら薬剤の使用で有効性は飛躍的に向上したが、薬剤耐性のHBVの出現が大きな問題となっている。ラミブジン及びアデホビルは耐性ウイルスが比較的出現しやすい。

エンテカビルもDNA変異ウイルスの出現により耐性を獲得されることがある。

テノゼット®も同じ逆転写酵素阻害剤だが、多剤耐性獲得ウイルスに対しても効果を示す。

このため、海外の主要学会におけるB型慢性肝疾患治療ガイドラインで第一選択薬として推奨されるとともに、他の核酸アナログ製剤に耐性を示す患者に対しても、単独または他の核酸アナログ製剤との併用療法が推奨されている。

 

「テノゼット®錠」は、米国Gilead Sciences社により開発された。B型慢性肝疾患の適応では、2008年4月に欧州で承認されて以来、米国を含む113の国又は地域で承認されている。

GSKグループはGilead Sciences社との間で開発・販売契約を締結し、日本と中国における本剤のB型慢性肝炎治療薬としての独占的開発権および販売権の供与を受けている。
現在は日本のみで販売している。

HIV治療薬としては商品名ビリアード®で、日本たばこ産業製造、鳥居薬品販売が扱っている。

GSKは2014年3月24日、日本での製造販売の承認を受けた。

製品は天津のGlaxoSmithKline(Tianjin) でテノゼットの原薬から製剤を行い、栃木県日光市の工場で包装している。

GlaxoSmithKline(Tianjin) 、GSKとTianjin Pharmaceutical GroupのJVで、爆発現場の2km西にある。

 


 



8月31日夜、中国山東省東営市利津縣の濱海經濟技術開發新區で化学工場の爆発があり、5名が死亡した。(当初1名死亡と報じられた)

付記 

東営市は9月5日、死者13人、負傷者25人と発表した。
9月3日の抗日戦争勝利70年パレードが終わるまで情報を隠したのではとの批判が出ている。

爆発が起こったのは、山東濱源集團の100%子会社 山東濱源化學有限公司(Shandong Binyuan Chemical)

同社は2014年3月の設立で、接着剤や新素材を生産している。能力は年産2万トンとされる。

同社のホームページでは、 「日本の三井、住友などから先進的な生産技術を導入し、主に新素材の生産・販売を行っている。最先端の水素化、加水分解技術を使用。生産過程は全てコンピュータによって制御、監視・警報システムも導入して安全性に配慮している」としている。

三井系、住友系の会社で同社に技術供与している会社は見当たらない。

当局によると、この施設では以前、安全検査を受け、試運転を行わないよう指導を受けていたが、同社は無断で調製作業を行っていた。
警察はすでに同社関係者ら6人の身柄を拘束した。

今のところ、爆発の原因は不明。

 

中国では8月12日に天津東疆保税港区の瑞海公司の危険物倉庫で爆発が起こり、8月30日現在で、死者 150名、行方不明 23名となった。

2015/8/27   天津爆発事故のその後(3)   

8月22日には、山東省淄博市桓台県果里鎮東付村の化学会社・山東潤興化工科技の工場で大規模な爆発があり、1名が死亡した。
アジポニトリルが爆発の原因とみられる。

2015/8/23 中国山東省で工場爆発

 

ーーー

これとは別に甘粛省隴南市にある花火工場で9月1日午後、2度の爆発があり、1人が死亡、6人が負傷した。

式典などに使う礼砲の製造所で、本年5月の査察で安全上の問題ありとされ、操業を停止していた。


 

 



Bayer のMaterial Science 部門は9月1日、Covestro として分離独立した。

法的及び経済的に独立するが、当面はBayer の100%子会社として位置づけられる。

Bayerは遅くとも2016年半ばまでにCovestroを上場させ、自らはライフサイエンス事業に注力する。

 付記 2015年第4四半期に上場し、25億ユーロを得るとの報道がある。


Bayerの監査役会は2014年9月18日、今後は完全に
Life Science 事業(HealthCare と CropScience )に注力することとし、 MaterialScience事業を別会社として上場させる 、という経営委員会の提案を全会一致で承認した。

Bayerは2015年6月1日、別会社として上場させる予定の MaterialScience事業の社名を「Covestro」とすると発表した。

社名の「Covestro」は造語で、
Co
llaboration(協力し)、
Invest(最新鋭の設備に十分な投資をし)、
Stro
ng(高いイノベーション能力を持ち、市場において存在感があり、優秀な社員で構成される力強い)
企業であることを示す。


2014年のMaterial Science の売上高は110億ユーロを超え、欧州で第4番目の企業となる。

2015/6/3    Bayerが分離するMaterialScience事業会社の社名「Covestro」に決定    


事業は次の3部門に分かれる。

  2014年の売上高
Polyurethanes 60億ユーロ
Polycarbonate 30億ユーロ
Coatings, adhesives, specialties 20億ユーロ


主な製造拠点

ドイツ:Brunsbüttel、Dormagen、Krefeld-Uerdingen、Leverkusen
Belgium:Antwerp 
China:上海
Thailand:Map Ta Phut
USA:Baytown

ポリカーボネートの製造拠点

立地

PC能力

Uerdingen, Germany

  330千トン

Antwerp, Belgium

 240千トン

Map Ta Phut, Thailand

 270千トン

Shanghai, China

 200千トン

Baytown, USA

 350千トン

合計

 1,390千トン

 




油田開発・サービス世界最大手のSchlumberger Ltd.は8月26日、掘削機材メーカーのCameron International を約127億4000万ドルで買収すると発表した。

合併により、油田調査から井戸掘削までの幅広い事業にCameronの油圧制御機器や爆発防止装置といった商品を加えられるようになる。

Cameron株主は1株につき現金14.44ドルとSchlumbergerの0.716株を受け取る。Cameron株主は統合後の会社の約10%を握る計算。
1株当たりでは66.36ドルで、
Cameron株の25日終値(原油価格下落で1年で42%下落している)を56.3%上回る水準となる。

取引は2016年1-3月期中の完了予定。Schlumbergerによれば、シナジー効果(税引き前)は完了後1年目で約3億ドル、2年目で6億ドルに達する見込み。

CameronとSchlumbergerは2013年6月、海底石油・ガス市場向けに製品、システム、サービスの製造と開発を行う合弁事業のOneSubseaを60/40の出資で設立している。

今回の買収についても数ヶ月間、協議していたとされる。Schlumbergerはその間の株価下落で安価に買収できたこととなる。

原油価格の低下を受け、エネルギー各社は投資を削減している。
日本経済新聞はメジャー6社は2015年の投資を前年実績の16%に相当する約300億ドル減らすと報じている。エネルギー業界全体で投資見直し規模は2000億ドル規模に上るとの予測もある。

今回の買収はこれに対応するものであり、2014年11月に発表された業界2位のHalliburton Co. と3位のBaker Hughes Inc.の346億ドルの合併に次ぐものである。

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米資源装置・サービス大手のHalliburton Co は2014年11月17日、同業のBaker Hughes Inc を現金と株式で買収すると発表した。買収総額は346億ドルに上る。

原油安を受けて世界的に石油開発のピッチが鈍化する可能性が出てきており、互いの重複部門を整理するなどしてコスト競争力を高める。年間20億ドルのコストダウンを目指す。

売り上げ規模は単純合計でSchlumbergerを上回り業界トップの専業企業となる見通しだが、独禁法上で問題となる可能性がある。
Halliburton はこれを避けるため、75億ドル相当の事業の売却を行うとしている。

本年4月終わりに、HalliburtonはSperry Drilling 事業を売りに出した。30億ドルでの売却を狙っている。

更に掘削ビット(鑿)事業も売りに出した。15~20億ドルを見込んでいる。

独禁法をクリアできない場合、Halliburton はBaker Hughes に35億ドルを支払う。

 

しかし、米国でもEUでも公取当局の審査は難航している。

両社は米国のシェールオイルからブラジル沖の深海まで、多くの同じ地域で掘削を行っている。両社の事業所は北米、欧州、中国、中東からラテンアメリカまで重複している。

対策としてHalliburtonが行う事業売却が、合併で失われる競争を補うことになるのかどうかも疑問視される。

各当局は油田開発・サービスの2位と3位の合併による独禁法上の影響について懸念し、次々と資料を要求しており、見通しは立っていない。

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HalliburtonとCameronはともに、2010年4月20日に発生した海洋掘削プラットフォームDeepwater Horizon rig の爆発事故に関与している。

Deepwater Horizon rig 関連
  ・設計:R&B Falcon
  ・建設:韓国の現代重工業
  ・所有:Transocean(R&B Falconを買収)
  ・リース:BP Exploration and Production

  ・コントラクター 
    Transocean:掘削作業
    Halliburton:セメント作業(井戸内、または井戸と鉄管との間のセメント作業)
       M-I SWACO(SchlumbergerとSmith InternationalのJV):Drilling Fluid (mud)サービス

  ・Blow Out Preventor(BOP)の製造:Cameron International

  2010/6/17 メキシコ湾石油流出事故の損害負担 

 

Halliburton:

Halliburtonは2014年9月、同社に対する一般及び漁業者からの損害賠償の訴訟で、11億ドルの支払で合意した。

BPはHalliburtonに対し、不適切かつ不注意に作業を行い、これが爆発の原因になったとして、民事訴訟を行った。
これに対し、Halliburtonは、爆発は他の関係者により起こったもので、同社の行動によるものではないとして、BP、Transoceanと他のコントラクターを訴えた。

2015年5月21日、BPとHalliburtonは和解し、それぞれに対する訴訟を取り下げた。

米政府による水質浄化法(Clean Water Act)に基く民事訴訟の裁判で、New Orleansの District Court のCarl Barbier 裁判官は2014年9月4日、BPに「重大な過失」(gross negligence )と「故意の不法行為」(willful misconduct)があり、これが大量流出の原因となったとし、BPは水質浄化法によるバレル当たり4,300ドルの罰金に値するとの判決を言い渡した。
リグのオーナーで掘削作業を行った
Transoceanとセメント作業を行ったHalliburtonに対しても「過失」(「重大な過失」ではない)があったとみなした。

責任割合について、判事は、BPが67%、Transoceanが30%、Halliburton が3%と認定した。

最終的にClean Water Actによる罰金は、BPは55億ドル、Transoceanは10億ドルとなったが、Halliburtonについては、政府から訴えられていないと報道 されている。

Cameron:

パイプの元には自動的に原油流出を止める噴出防止バルブ(blow-out preventer)が備えられていたが、装置が稼動しなかった。

2011年12月16日、BPとCameronは、CameronがBPに250百万ドルを支払うことで和解した。

刑事面では機器の欠陥を理由にいくつかの罪を問われたが、2013年4月にU.S. District JudgeはCameron側に重大な過失(gross negligence )無しとして全てのクレイムで免責とした。

同社は事故に伴い油井に関する新しい規則が出たため、石油会社が機器を更新したため、恩典を受けている。




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