2024年1月アーカイブ

NTTと米インテル、韓国のSK Hynixなどは光技術を活用した次世代半導体を共同で開発する。NTTの次世代通信基盤の「IOWN」の中核技術で、日本政府が計約450億円を支援する。 日本経済新聞が伝えた。

NTTのIOWN (Innovative Optical and Wireless Network) 構想とは、革新的な技術によりこれまでのインフラの限界を超え、あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、多様性を受容できる豊かな社会を創るため、光を中心とした革新的技術を活用した高速大容量通信、膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想で、NTTが2030年の実現をめざして研究開発を始めている。

IOWN構想では、これまでの情報通信システムを変革し、現状のICT技術の限界を超えた新たな情報通信基盤の実現をめざしている。ネットワークから端末まで、すべてにフォトニクス(光)ベースの技術を導入した「オールフォトニクス・ネットワーク」、実世界とデジタル世界の掛け合わせによる未来予測等を実現する「デジタルツインコンピューティング」、あらゆるものをつなぎ、その制御を実現する「コグニティブ・ファウンデーション」からなりた つ。

  • オールフォトニクス・ネットワーク (APN: All-Photonics Network) <情報処理基盤のポテンシャルの大幅な向上>
  • デジタルツインコンピューティング (DTC: Digital Twin Computing) <サービス、アプリケーションの新しい世界>
  • コグニティブ・ファウンデーション (CF: Cognitive Foundation®) <すべてのICTリソースの最適な調和>

「IOWN」は電気と光を融合する「光電融合」と呼ばれる次世代の情報通信基盤で、NTTが2019年に世界に先駆けて構想を発表した。

電気は発熱しやすい性質をもつため、処理が高速になるほど消費電力が増え、遅延を生みやすい。そこで「IOWN」は、すべてのネットワークや情報処理を電気信号から光信号に変えることで、従来に比べて消費電力を100分の1に抑えられ、遅延はほとんどなくなり、容量を125倍に増やすことができる。

  • 「電力効率を100倍に」
    ネットワークから端末まで、できるだけ光のままで伝送する技術や、光電融合素子という新しいデバイスの導入を検討
  • 「伝送容量を125倍に」
    マルチコアファイバなどの新しい光ファイバを用いた大容量光伝送システム・デバイス技術の導入を検討
  • 「エンド・ツー・エンド遅延を200分の1に」
    情報を圧縮することなく伝送するなど、さまざまな新技術の導入を検討

これには情報処理、コミュニケーション、ネットワーク基盤の大きな転換が必要となり、多くの革新的な技術を創造し、組み合わせることが必要となるため、NTTグループのみで実現できることではない。

そこで、2020年1月に、インテル、ソニー、NTTの3社で、コミュニケーションの未来をめざした国際的な非営利団体「IOWN Global Forum」を設立した。2021年1月時点で39社、2022年1月時点で88社と、メンバー数を急速に拡大しながら活動を続け、その後さらに多くのメンバーが加入し、2023年9月時点でメンバー数は130を超える組織となっている。

日経によると、NTTは今回、光電融合の機器開発に取り組む国際協調の枠組みを整えた。

演算用の半導体を手掛けるインテル、記憶用の半導体を手掛けるSK Hynix と提携するほか、半導体基板の新光電機工業、半導体メモリーのキオクシアなども参画する。

光電融合技術のロードマップ


経済産業省は1月30日、NEDOの次世代通信規格「6G」向け通信基盤研究開発事業として 、「光電融合」技術に最大で452億円を補助すると発表した。

2029年までの5年間の研究開発を補助する。NTTや半導体基板の新光電気工業、半導体メモリーのキオクシアなどが対象。

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政府の半導体関連事業への支援としては3つある。

1) 次世代通信規格「6G (post5G) 」向け通信基盤研究開発事業 「Rapidus」向け 2回計3300億円

2)「半導体の安定供給確保のための取組に関する計画(供給確保計画)」 18件

3) 特定半導体生産施設整備等計画認定制度  TSMC、キオクシア、マイクロンメモリ(2件)

西アフリカ・ニジェールの軍事政権は1月28日、国営テレビで共同声明を読み上げ、隣国のマリ、ブルキナファソとともに 西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)を即時離脱すると発表した。

ニジェールでは昨年7月、軍によるクーデターが発生して欧米寄りの大統領が排除されたほか、2020年にはマリで、2022年にはブルキナファソでもクーデターが起きて軍が政権を掌握してい る。

これらの国々ではイスラム過激派のテロが頻発するなど治安が不安定で、声明ではECOWASが「テロや情勢不安との戦いにおいて、3か国を支援することに失敗した」と非難してい る。

軍事政権発足以降はいずれもロシアへの接近が指摘されており、マリではロシアの民間軍事会社「ワグネル」が派遣されているとみられてい る。

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西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS:Economic Community of West African States)は、1975に西アフリカの域内経済統合を推進する準地域機関として設立された。その後、経済統合の基盤となる政治的安定の確保を目指し、防衛・紛争解決機能等を備え、さらに安全保障機能の強化に取り組んでいる。

加盟国:

西アフリカ15か国: ベナン、カーボベルデ、コートジボワール、ガンビア、ガーナ、ギニアビサウ、リベリア、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、トーゴ 、ギニア、ニジェール、マリ、ブルキナファソ
 
ギニアと、今回離脱を表明したニジェール、マリ、ブルキナファソの合計4カ国は,、クーデターを起こしたため、参加資格停止中。
当初、
モーリタニアが加盟していたが、通貨統合等に反対して脱退(2000年12月)


活動及び事業内容:

(1)マクロ経済政策の調和

  • ア 西アフリカ経済通貨同盟:ECOWAS内で経済統合の深化を進めるサブ・リージョナルグループで、8か国(ベナン、ブルキナファソ、ギニアビサウ、コートジボワール、マリ、ニジェール、セネガル、トーゴ)から成る。
  • イ 域内統一通貨統合(ECO)の実現:ECOWAS共通通貨「ECO」の導入を目指す。2027年を目標に、ECOWAS加盟国の中で経済収斂基準を満たした国から順次、ECOの段階的な導入を計画。

(2)貿易と市場の統合

  • ア 自由貿易プログラムの推進:貿易障壁の撤廃、自由貿易地域・関税同盟・共通市場の設置。
  • イ 共通貿易政策と貿易開発戦略の制定:2015年に対外共通関税(CET)導入。また、域内共通税関申告書の導入も進んでいる。
  • ウ EUとの経済連携協定(EPA)の締結:2004年より、ECOWASの15加盟国にモーリタニアを加えた16か国を対象に交渉開始。

(3)域内の自由な人の移動

  • ア 域内の自由な人の移動のためのロードマップ策定
  • イ 共通パスポート導入

(4)平和、安全保障、安定とガバナンス

  • ア 選挙支援メカニズム
  • イ 停戦監視グループ(ECOMOG:ECOWAS Monitoring Group):
    • 紛争を抱える域内諸国にて平和維持活動を実施。
  • ウ 紛争予防・管理・解決・平和維持・安全保障メカニズム
  • エ ECOWAS待機軍
  • オ ECOWAS小型武器条約

韓国の徴用工問題

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韓国最高裁は1月11日、日本統治期に強制労働させられたとして、韓国人元徴用工の遺族が日本製鉄(旧新日鉄住金)に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、同社の上告を棄却した。日本製鉄に約1億ウォン(約1100万円)の賠償を命じた一、二審判決が確定した。

戦時中に「女子勤労 挺身隊」の一員として軍需工場で強制労働をさせられたとして、韓国人女性らが機械メーカー「不二越」を相手取り損害賠償を求めた訴訟3件の上告審判決が1月25日午前、韓国大法院(最高裁)であり、同社の上告をいずれも棄却した。賠償を命じた2審の高裁判決が確定し、同社の敗訴が決まった。

判決は元挺身隊員らに対し、1人あたり8000万ウォン~1億ウォン(約880万~約1100万円)の支払いを不二越に命じた。

1月25日の不二越に対する判決により、大法院が日本企業側に賠償を命じる判決を確定させた元徴用工関連の訴訟は計12件となった。関連の訴訟はほかに少なくとも60件が各地裁などで進んでいる。

2018/10 日本製鉄 1件 4人 1人当たり約1000万円 11人は財団が支払い、4人は受領拒否

2023/5/26 徴用工問題、生存者に賠償額初支給
2018/11/29 三菱重工業名古屋 2件 女性4人と親族1人 各約1500万円
同    広島 6人 各約800万円
2023/12/21 日本製鉄 1件 7人 1人当たり
約1100万~約1650万円
2023/12/22 元徴用工訴訟、日本企業の賠償命令確定
三菱重工業 1件 女性3人と遺族1人
2023/12/28 三菱重工業 2件 16人 1人当たり
約36万~約1300万円
上記
付記
日立造船 1件 1人 2019年  供託、2024/1/23 差押取立命令
    上記 付記
2024/1/11 日本製鉄 1件 約1100万円
2024/1/25 不二越  3件 女性3人 1人当たり880~1100万円
合計 12件


日本政府は、1965年の日韓請求権協定で問題は解決済みとの立場である。

日韓請求権協定

第一条 日本が韓国に対して無償3億ドル(生産物、役務を10年にわたり供給)、有償2億ドル(長期低利の貸付)を供与する

第二条
 1 両締約国は,両締約国及びその国民(法人を含む) の財産,権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が,1951年9月8日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて,完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。 (中略)

 3 2の規定に従うことを条件として,一方の締約国及びその国民の財産,権利及び利益であつてこの協定の署名の日に他方の締約国の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前に生じた事由に基づくものに関しては,いかなる主張もすることができないものとする。

韓国の朴振外相は2023年3月6日、元徴用工問題の解決策を正式に発表した。韓国最高裁が日本企業に命じた賠償金の支払いを韓国の財団が肩代わりする。

2023/3/9 韓国、元徴用工解決策を発表 

しかし、原告勝訴が続けば財団からの支給が膨らみ、財源が不足する恐れも指摘される。受け取りを拒む原告もおり、解決は難航している。

日立造船が2019年に賠償金を供託し、本年1月23日に差押取立命令が出たのも問題である。実際にこれが原告に引き渡された場合、日立造船が賠償金を支払った形となり、請求権協定に反する形となる。

SABICは1月21日、福建省での石油化学計画の最終決定を したと発表した。

2018年9月11日、サウジのSABICは福建省との間で石油化学コンプレックスの建設について覚書を締結した。

詳細は一切触れず、事業の多様化と世界の石化市場でのトップの地位を強化するという戦略に沿ったものとしていた。

2018/9/19 SABIC、BASFも中国で新規エチレンセンター構想

2022年3月、中国政府はSABICと福建省政府が出資するFujian Petrochemical Industrial GroupのJV計画を承認した。

63.3億ドルを投じて福建省古雷镇(Gulei) 石油化学基地に年産180万トン(当初計画は150万トン)のエチレンコンプレックスを建設する。エチレングリコール、PE(2系列)、PP(2系列)、ポリカーボネートなども生産する。PE能力は年産100万トン、PPは年産95万トン。

今回の発表では、SABICが51%、Fujian Fuhua Gulei Petrochemical が49%を出資する。Fujian Fuhua Gulei Petrochemical は Fujian Petrochemical Group と福建省漳州市のJiulongjiang GroupのJVである。

建設は2024年上半期に開始、2027年の第一四半期にスタートする予定。

SABICとしては、幅広い製品の主要マーケットであるアジアでの製造での存在感を高める。

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福建省古雷镇(Gulei)石油化学基地には、Sinopecと福建省政府の50/50JVのFujian Petrochemical Companyが台湾の投資会社Dynamic Ever Investments Ltd (旭騰投資有限公司)との50/50出資で古雷石化(Gulei Petrochemical )を設立し、エチレンコンプレックスを運営している。

エチレンは年産100万トン(当初計画は80万トン)で、EO、EG、SM、PPなどを生産している。

日本とバングラデシュ両政府は月内にも経済連携協定(EPA)の交渉開始で合意する。2025年中の交渉妥結をめざす。

日本政府は2022年12月12日に、バングラデシュ政府との間で「あり得べき日・バングラデシュ経済連携協定(EPA)に関する共同研究」を立ち上げることで一致、その結果を2023年12月27日に発表した。

  1. 日本とバングラデシュとの間の貿易は、相互補完的な関係にあり、あり得べきEPAは、両国間の貿易及び投資の増大及び「戦略的パートナーシップ」の強化に寄与する。
  2. 共同研究グループは、広範かつ詳細な議論を通じて、両国の特定の品目のセンシティビティに留意する必要はあるものの、日本とバングラデシュとの間で包括的かつ高いレベルの、世界貿易機関(WTO)に整合的なEPAを締結することが、両国に多大な利益をもたらし、両国間の経済関係を更に強化するであろうことを認識した。また、そのようなEPAは、両国企業によるビジネスの活性化、更には両国の政治・外交関係の強化にもつながると認識した。
  3. 共同研究グループは、日本国政府とバングラデシュ政府が両国間のEPA締結のための交渉を開始することを提言する。

バングラから日本への輸入総額は2022年におよそ17.2億ドル(当時のレートでおよそ2200億円)だった。衣服や靴といった衣料品が9割以上を占める。日本からの輸出総額は25.7億ドル程度(同3300億円)で、3割程度が鉄鋼 である。

バングラデシュは2026年に先進国への輸出品の関税が免除される「後発発展途上国(LDC)」から外れる予定である。

バングラデシュの主要輸出品は 現在は特別特恵制度で関税が無税だが、LDCから外れると一般特恵関税が適用される。

一般特恵関税制度(Generalized System of Preferences: GSP)とは、わが国が「特恵受益国」と認めた開発途上国を原産地とする品目(一部の例外品目は除く)を日本に輸入する場合に、通常の関税率より低いか、あるいは無税(Free)の特恵税率が適用される。

特恵受益国のうち、「特別特恵受益国」として認められた後発開発途上国(Least developed country: LDC(2022/8で46ヶ国・地域)の原産品を輸入する場合は、特別特恵関税が適用され原則無税になる。

バングラは経済成長が著しくインフラ需要が高まっている。現在は日本からの鉄鋼輸出に10%程度、自動車に最大25%ほどの関税がかかっているが、「後発発展途上国(LDC)」から外れるのを機に、輸出拡大に向けて撤廃・引き下げを求める。 コメや和牛などの関税も協議し、農産品の輸出増を狙う。

他方、繊維などでユニクロなどのアパレル企業が進出し、製品を日本に輸入している。これまで輸入関税は無税であったが、今後は関税がかかる。EPAにより、関税引き上げの影響を抑える。

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国連は2021年11月24日、第76回国連総会でバングラデシュ、ラオス、ネパール3カ国の後発開発途上国(LDC)卒業の決議案を採択したことを発表した。

バングラデシュは1975年のLDC認定以降、諸外国への輸出に際して、LDC向けの関税優遇措置を受けているが、2018年にLDC卒業資格の要件を満たし、2021年2月には2度目の審査(トリエンナーレ・レビュー)を経て、国連の開発政策委員会が2026年のLDC卒業を推薦していた。今般の採択により、同委員会によるモニタリングなど所定のプロセスを経て、2026年11月24日にLDC卒業見込みとなることが決定した。

     https://www.bd.emb-japan.go.jp/files/000355547.pdf

米議会上院と下院は1月18日、3回目のつなぎ予算案を可決した。19日に迫る連邦政府機関の一部閉鎖を回避するための同予算案はバイデン大統領に送付され、 大統領は19日、これに署名し、同法が成立した。

19日に暴風雪が予想され、議員らが週末に地元に戻るのが難しくなる可能性があったことから上下院とも採決を早めた。

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米上院は2023年10月1日午前0時の期限を数時間後に控え、下院が通した11月17日までのつなぎ予算案を可決した。政府機関閉鎖を土壇場で回避した。

共和党保守派が大規模な歳出削減や人工中絶などに係る法案の修正を求め、本予算が通らない状況が続いている。

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そのつなぎ予算が1週間後に期限切れとなり、政府機関 が閉鎖されるのを前に、下院のジョンソン議長は11月11日、共和党の暫定予算案を発表した。

内容は:

新規のつなぎ予算案は退役軍人省やエネルギー省、農務省、運輸省、住宅都市開発省向けが2024年1月19日まで、それ以外 (金融・サービス、商務・司法・科学、労働・保健・教育、国防、国土安全、内務・環境、立法、外交の8分野)は2月2日までの歳出をまかなう。

共和党保守派の一部が求めている支出の即時30%削減や移民政策変更を盛り込まなかった。

イスラエルやウクライナへの新たな支援も除外された。

米上院は11月15日深夜の本会議で、下院で議決した新たなつなぎ予算案を賛成87、反対11の圧倒的賛成多数で可決した。

新規のつなぎ予算案は退役軍人省やエネルギー省、農務省、運輸省、住宅都市開発省向けが来年1月19日まで、それ以外は2月2日までの歳出をまかなう。

2023/11/15 米下院、政府機関閉鎖回避へつなぎ予算案可決 上院に送付

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今回のつなぎ予算案は 退役軍人省やエネルギー省、農務省、運輸省、住宅都市開発省向けを3月1日まで、他の機関 (金融・サービス、商務・司法・科学、労働・保健・教育、国防、国土安全、内務・環境、立法、外交の8分野)の資金を3月8日まで手当てするもの。


歳出カットは実施せず、ウクライナとイスラエルへの軍事支援は含まない。

軍事支援に関しては、民主党主流派と共和党主流派はウクライナとイスラエルへの支援を主張、一方で、民主党左派はガザ攻撃の非人道性を重く見てイスラエル支援には慎重で、反対に、トランプ派はウクライナへの支援には強く反対していた。こうした複雑な思惑の中で、ウクライナもイスラエルも切り捨てた。

上院

共和党 民主党 民主系
無所属
無所属 合計
賛成 26 48 2 1 77
反対 18 18
棄権 5 5
合計 49 48 2 1 100


民主系無所属 はSanders, King 議員、無所属 は元民主党のSinema議員

下院

共和党 民主党 合計 欠員
賛成 107 207 314  
反対 106 2 108  
棄権 7 4 11  
今後 220 213 433 2


下院は2023年12月1日、経歴詐称や選挙資金の不正利用などが指摘され、複数の刑事事件でも訴追されている共和党のGeorge Santos下院議員の除名処分を超党派の賛成で可決した。
10月に史上初めて下院議長職を解任されたマッカーシー下院議員(共和党)は12月6日、年末に議員を辞職すると表明した。
この結果、2名が欠員とな っている。

共和党の保守強硬派Freedom Caucusの会長を務めるBob Good下院議員は投票後、「民主党と手を組んで連合を形成し、Schumer民主党上院院内総務や上院が望むことをやるのは国民にとって損失だ」と 記者団に述べ、ジョンソン議長への怒りをあらわにした。

本予算に関しては、既に上院のSchumer民主党院内総務と下院のJohnson議長(共和党)との間で、歳出規模をおおむね債務上限合意に沿った1兆5,900億ドルとすることで合意されているが、下院ではなお共和党保守派が大規模な歳出削減や人工中絶などに係る法案の修正を求めている状況で、本予算が今回のつなぎ予算の期間内に成立するかはなお不透明な状況である。

米議会上下両院の指導部は1月7日、2024会計年度(2023年10月─2024年9月)の歳出規模を1兆5900億ドルとすることで合意した。バイデン大統領は、今回の合意について「不必要な政府閉鎖を回避し、国家の重要な優先事項を守る」ことへ一歩前進したと評価した。
ただ民主党と共和党の間では合意内容について既に見解のずれが見られた。共和党のジョンソン下院議長は声明で、歳出額には国防費8860億ドルと非国防費7040億ドルが含まれると述べた。一方、上院民主党トップのシューマー院内総務は別の声明で、非国防費は7727億ドルになるとした。

厚生労働省は1月19日、2024年度の公的年金の支給額を23年度に比べて2.7%引き上げると発表した。

年金額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」が2年連続で発動されるため、増加率は0.4ポイント目減りした。

本ブログで2023年11月にニッセイ基礎研究所 中嶋 邦夫上席研究員の試算を報じた。 

2023/11/21 2024年度の公的年金支給額も実質減額

当時の時点での予想に基づいたものだが、実績で若干変わった。
  
 直近1年の物価変動率 +3.1%→+3.2%
  過去3年の名目手取り賃金変動率 +3.0% → 3.1%
  採用  +3.0% → +3.1%

これにマクロ経済スライド -0.4% を加え、最終改定率は +2.7%となる。

65歳に到達し、新たに年金を裁定(決定)するものも同じ。

既裁定者(68歳到達年度以後の受給権者)

  実績 予想 実績 原則
2020年度 2021年度 2022年度 2023年度   2024年度
直近1年の物価変動率(基本) +0.5% +0.0% -0.2% +2.5% +3.1% +3.2%

基本は物価変動率
賃金変動率が物価変動率より低い場合は賃金変動率を採用

過去3年の名目手取り賃金変動率 +0.3% -0.1% -0.4% +2.8% +3.0% +3.1%
(採用) +0.3% -0.1% -0.4% +2.5% +3.0% +3.1%  
マクロ経済スライド
公的年金被保険者の変動と平均余命の伸びに基づいて、スライド調整率を設定し、その分を改定率から控除
-0.1% -0.1%
(調整せず)

当期 -0.2% 
繰越 -0.1%
計  -0.3%

(調整せず)

当期 -0.3%
繰越 -0.3%
計 -0.6%
当期 -0.4%
繰越  0
計 -0.4% 

-0.4%

上記の(採用)がマイナスの場合は、調整せず、その分を翌年に繰り越す。

最終改定率 +0.2% -0.1% -0.4% +1.9% +2.6% +2.7%  
マクロ経済スライド繰り越し   -0.1% -0.3%  


65歳に到達し、新たに年金を裁定(決定)するときには、直近の賃金の動向を反映させるため、賃金の変動による改定(+マクロ経済スライド)を行う。

  実績 予想 実績 原則
2020年度 2021年度 2022年度 2023年度   2024年度
過去3年の名目手取り賃金変動率 +0.3% -0.1% -0.4% +2.8% +3.0% +3.1%  
マクロ経済スライド
公的年金被保険者の変動と平均余命の伸びに基づいて、スライド調整率を設定し、その分を改定率から控除
-0.1% -0.1%
(調整せず)
当期 -0.2% 
繰越 -0.1%
計  -0.3%
(調整せず)
当期 -0.3%
繰越 -0.3%
計 -0.6%
当期 -0.4%
繰越  0
計 -0.4% 

-0.4%

上記の(採用)がマイナスの場合は、調整せず、その分を翌年に繰り越す。

最終改定率 +0.2% -0.1% -0.4% +2.2% +2.6% +2.7%  
マクロ経済スライド繰り越し   -0.1% -0.3%

LyondellBasell は1月16日、サウジの西岸Yanbu Industrial City でPPを製造販売するNational Petrochemical Industrial Company (NATPET) の株式35%をサウジの投資会社Alujain Corporationから取得したと発表した。契約締結は同日、リヤドのエネルギー省でおなわれた。

National Petrochemical Industrial Company (NATPET) は2009年以降、Yanbu Industrial Cityで年産40万トンのPPを生産販売している。

PP 製品は、Teldene® というブランド名で、世界 60 か国以上、ほぼすべての地域で販売されている。

PP プラントはLyondellBasell がライセンスしたSpheripol technologyを使用、原料プロピレンは UOPの Oleflex 技術を使用したPropane Dehydrogenationにより自社生産している。

National Petrochemical Industrial Company (NATPET) の当初の出資者は、サウジのAlujain Corp と Xenel Group(サウジのAlireza一族の投資会社)とポリマーのグローバルサプライヤーのNoble Resources である。

Alujain Corpは1991年設立で、サウジで石油化学、採掘、金属、エネルギー分野などのさまざまな産業プロジェクトに出資している。

当初の出資比率は不明だが、Alujain Corpは2023年10月に出資比率を88.59%から97.55%にしていた。

この中から35%をLyondellBasellに売却し、今後は実質的にAlujain Corp とLyondellBasell のJVとする。(62.55% / 35%)

LyondellBasell とAlujan は株式売買と同時に、新しくPDH法によるプロピレン工場と、現工場と同じLyondellBasellのSpheripol technologyを使うPP 第2工場を建設する検討を開始した。

LyondellBasell とAlujan の株式売買契約は、エネルギー省がこのプロピレン用の原料の割当を承認するのを待って行われた。

Alujain Chairman のMohammed Bin Saleh AlKhalil は、「われわれは、最初はライセンシーとして、そして現在は合弁パートナーとして、LyondellBasell との関係を深める機会を歓迎します」と述べた。

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Yanbu Industrial City のNational Petrochemical Industrial Company (NATPET) の工場の隣には、Sabicの関係会社のArabian Industrial Fibers IBN RUSHD)の工場がある。

IBN RUSHD1993年にSABIC 70%、その他1530%JVとして設立され、Yanbu に芳香族→PTA→ポリエステルのコンプレックスを1995年から稼動させている。

LyondellBasell は2009年8月6日、Arabian Industrial Fibers (IBN RUSHD)が同社のSpheripol PP 技術を採用したと発表した。

今回、初めてPPに進出し、Yanbu に525千トンのプラントを建設するもので、2012年のスタートを目指す。

2008年10月、Lummus Technology はIBN RUSHDからプロパン脱水素設備の技術供与、基礎設計の契約を受けた。

2008/8/12 SABICのArabian Industrial Fibers、PP進出




英国で多数の郵便局長らが不当に有罪判決を受けた「英国史上最大の冤罪事件」と呼ばれる郵便局スキャンダルで、欠陥のある会計システムを郵便局に納入した富士通に対し、補償金を支払うよう求める声が高まっている。

1999年から2015年までの間に郵便局の窓口の現金と富士通が納入した会計システム上の残高が合わなかったなどとして郵便局長ら700人余りが横領などの罪で訴追された。

2024/1/16 「英史上最大の冤罪事件」で富士通の責任を問う声

英国の郵便局スキャンダルの渦中にある富士通の欧州のトップ、Fujitsu Services のPaul Patterson CEO は1月16日、英下院Business and Trade Committee で証言し、「われわれが目にしてきた証拠に個人的に愕然としている。会社には貢献する道義的義務があると思う」と述べた。

Paul Patterson は10年以上同社で働いており、2019年に現職に就任した。富士通本体の執行役員も務める。

証言では、富士通社内の人間が1990年代から会計システムHorizonソフトウエアの問題を知っていたと語った。「富士通は最初から関与していた。システムにはバグとエラーがあったが、700人以上の郵便支局長の裁判で郵便事業会社側を支援した。本当に申し訳ない。」

裁判では富士通は郵便事業会社に対して、郵便局長以外は誰もHorizonの記録にアクセスしたり、変更したりできないと伝えた。これにより責任は郵便局長だけにあるとされた。しかし、これが事実でないことが分かった。

Paul Patterson はこれが無実の郵便局長を有罪にするのに使われたことを認めた。

何故、富士通がそれを知りながら何もしなかったのかと問われ、「知らない。本当に知らない」と答えた。

「契約により郵便事業会社に渡した情報ではっきりしており、郵便事業会社もバグとエラーがあったことを知っている」と述べた。

被害者への賠償についても「道義的責任がある」としたが、「責任が明確になった場合に判断する。具体的な金額は裁判官による調査の終了後にのみ決定される」と述べた。

郵便事業会社のCEOのNick Read も証言したが、まともに質問に答えず、非難された。

郵便局長以外は誰もHorizonの記録にアクセスしたり、変更したりできないというのが事実でないことを郵便事業会社がいつ知ったのかなどの質問に答えなかった。

委員会にはHollinrake 担当相も出席し、富士通の発言を肯定的に評価した。政府から被害者への補償額は「最終的には10億ポンド(1855億円)以上になるかもしれない」と語った。富士通がこの一部を負担することになれば、補償額は数百億円に上る可能性もある。

被害者団体 Justice for Subpostmasters Alliance を結成、郵便事業会社に対して集団訴訟を起こし、テレビドラマ「Mr Bates vs the Post Office」の主人公であるAlan Batesが証言し、まだ補償を受けていないとし、"it's madness" と述べた。


富士通は契約で24億英ポンドを得ており、契約が終了するまでに四半世紀以上かかる。

スナク首相は先週、冤罪被害者を無罪とし、約980人の郵便局員への補償を早める新たな法律を導入する考えを表明していた。補償は、スキャンダルに巻き込まれながら私財を投じて弁済し、起訴されなかった多くの人にも提供される。
  

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富士通の時田隆仁社長は1月16日にダボスで英BBC放送の取材に答え、「郵便局長らとその家族の人生に壊滅的な影響を与えたことをおわびする」と謝罪した。時田社長が公の場で事件についてコメントするのは初めて。

ダボス会議に参加した同氏は「これは大きな問題であり、富士通として非常に深刻に受け止めている」と語った。欠陥のある会計システムで得た収益を返還するかとの問いには答えなかった。


付記

イギリスのテレビ局 Sky News は1月17日、イギリスの Kemi Badenoch貿易相(Secretary of State for Business and Trade)が富士通の時田社長宛てに被害者らへの補償について協議するため早期の面会を求める書簡を送ったと伝えた。

スカイニュースはレターの一部を見たとし、下記の通り内容を報じている。

she would "value the opportunity to discuss Fujitsu's involvement in the Post Office Horizon scandal".

"As you may know, my department is at the forefront of our government's efforts to right the wrongs of the past.

"I am committed to ensuring that postmasters affected get the justice they deserve.

"This is why the UK government announced new legislation last week, to overturn wrongful convictions and a plan to ensure swifter access to compensation."


付記

1月19日の独立した調査機関の公聴会で、Paul Pattersonは 「早い段階でシステムにバグや欠陥などがあったことを関係者全員が知っていた」と証言した。システムが導入されたあとの1999年11月には欠陥が把握されていたものの、2018年まで20年近く問題が続いていたという認識を示した。そして、「こうした事実を郵便局の運営会社に知らせていた」と述べた。

調査団によれば、富士通がソフトの開発段階で「マイナス」と設定するはずの記号を誤って「プラス」と設定したせいで、数字のデータを削除すると逆に倍増する現象が起きていたことが判明した。

郵便局長らの裁判では富士通が提供したデータが証拠として提出されたが、ソフトの欠陥を示す数字の誤りなどは事前に削除されていたことも、この日の公聴会で明らかになった。


イギリス政府は1月18日、富士通側から「問題の公的な調査が終了するまで、政府案件の新たな入札への参加を一時停止する」とする書簡を受け取ったと明らかにした。

4年に一度の台湾の総統選挙は1月13日に投票が行われ、即日開票の結果、民進党の頼清徳副総統が当選した。

民進党・頼清徳 558万6019票 当選
国民党・侯友宜 467万1021票
民衆党・柯文哲 369万466票

頼氏は「台湾は中国の一部」とする中国の主張を認めず、アメリカなどとの関係強化によって中国を抑止しようという現職の蔡英文総統の路線を引き継ぐ。

侯氏は「民進党政権が中国との武力衝突の危機をもたらしている」と述べ、防衛力を強化しながら中国との交流を密にして衝突のリスクを下げると主張する。2023年7月、中国が台湾との公的な対話の再開の前提条件としている「92年コンセンサス」について受け入れを明言した。

「92年コンセンサス」は、1992年に中国の共産党政権と台湾の国民党政権が「中国大陸と台湾が1つの中国に属することを確認した」とするもの。

柯氏は「民進党は中国から相手にされず、国民党は中国に従順すぎる」と2大政党を批判し、文化や経済の分野を先行して中国との交流を進めるとしている。しかし、「92年コンセンサス」について受け入れを明言していない。

総統選挙と同時に行われた議会・立法院の選挙では、113議席のうち、民進党が51議席、国民党が52議席、民衆党が8議席をそれぞれ獲得、民進党は過半数を取れず、国民党にトップを譲った。


直後の1月15日午後、南太平洋の島国ナウルは声明を発表し、台湾と断交し中国と国交を結ぶことを明らかにした。

中国とナウルは、2002年に国交を樹立した後、2005年にナウルが台湾との国交を回復したことを受けて断交していた。

ナウル政府は、同国と国民の「最善の利益」を鑑み、中国との外交関係を樹立すると宣言。「もはや台湾を個別の国とは認識せず、中国領の不可分な一部と見なす。本日をもって台湾との外交関係を解消し、台湾とは今後、公的な関係や交流を持たない」とする声明を発表した。

中国外務省は「決定を称賛し、歓迎する」として国交を回復させる方針を示した。「世界に中国は1つしかなく、台湾は中国の領土の不可分の一部だ。中国は『1つの中国』の原則のもとナウルと共に両国関係の新たな1章を切り開きたい」と述べた。

また、台湾総統選挙の直後の発表となった背景については「ナウルが主権国家として自主的に選択したものだ」と述べ、あくまでもナウルの判断だったと強調した。

ナウルはインフラ整備や地域の競技大会開催などに充てるため、台湾に多額の財政援助を求めていたが、中台の資金援助の内容を比較し、中国を選んだとされる。


南太平洋では2019年9月に
ソロモン とキリバスが台湾と断交し、中国との国交を結んでいる。

2023/9/27 米国、太平洋諸島フォーラム首脳との2回目の会合を開催


最近、台湾と断交し、中国と国交を結んだ国は下記の通り。

2016/12 サントメ・プリンシペ(アフリカ)
2017/6 パナマ(中米)
2018/5 ドミニカ(中米)、ブルキナファソ(アフリカ)
2018/8 エルサルバドル(中米)
2019/9 ソロモン諸島、キリバス(ともに南太平洋)
2021/12 ニカラグア(中米)
2023/3 ホンジュラス(中米)

中華民国(台湾)と外交関係を持つ国は12カ国となった。

中南米 7カ国 ハイチ、グアテマラ、パラグアイ、セントルシア、セントビンセント・グレナディーン、
セントクリストファー・ネビス、ベリーズ
南太平洋 3カ国 パラオ、マーシャル諸島、ツバル
アフリカ 1カ国 エスワティニ(旧スワジランド)
欧州 1カ国 バチカン

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ページのトップの化学業界の話題 をクリックすると、本日以前の記事が続いて出ます。



イギリスで多数の郵便局長らが不当に有罪判決を受けた「イギリス史上最大の冤罪事件」と呼ばれる郵便局スキャンダル(詳細後記)で、欠陥のある会計システムを郵便局に納入した富士通に対し、補償金を支払うよう求める声が高まっている。

この会計システム(Horizon system) を開発し、納入したのはICL(International Computers Limited) である。1998年に富士通は同社を100%子会社化し、2003年にFujitsu Services Holdings PLCに改称した。

ストライド英雇用・年金相は1月9日、「このツケを払うのは納税者だというような状況に陥ることにはならないのは確かだと思う」と語った。これより先に、調査によって「富士通が多くの意図的ミスを犯し、そればなければ起きなかったであろうさまざまな問題を誘発したと判断されれば、それはかなり深刻な事態ということであり、非常に深刻な結果を招くことになるだろう」と語っていた。

ポストオフィスを管轄する英閣僚ケビン・ホリンレイク氏は、調査によって富士通に責任の一端があると結論づけられた場合、英国は富士通に賠償金の一部負担を求めることを検討すると述べた。

スナク英首相は1月10日、冤罪被害者らの容疑を晴らして1人あたり7万5000ポンドの補償金を支払う救済法案を提出すると発表した。財源についてホリンレーク郵政担当相は「富士通の責任が明確になれば富士通に負担させる」との見通しを明らかにした。
下院のビジネス貿易特別委員会は9日、富士通幹部に対して16日に証言するよう要請した。

富士通は、郵便支局支局長らの苦痛に一役買ったことを謝罪し、英政府の実態調査に加わっていると説明。「何が起こったか理解し、そこから学ぶために全面的に調査を支援している。郵便支局支局長と家族の生活に及んだ計り知れない影響が、調査結果からあらためてうかがえる」とコメントした。16日の下院証言に応じることを明言した。 

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1970年頃、日本と英国は米IBMに対抗しようと努力していた。

日本では通産省による行政指導の下、1972年3月に国内6 社が3つの企業連合(富士通・日立、日本電気・東芝、三菱電機・沖電気)を構成し、技術研究組合を創立した。国際競争力を付けるための補助金制度が整えられ、企業連合は1976年までに約570億円の補助金を受けた。政府のバックアップを受け、日本企業は海外で買収を繰り返した。

英政府は世界の主要メーカーに対抗できる英国のコンピューター産業を創出するため、1968年にICLを設立した。

ICLはメインフレーム(大型コンピューターシステム)やソフトウェアなどを手掛けたが、競争力に欠けるICLの経営状況が悪化していった。1981年に赤字を出した際には、当時のマーガレット・サッチャー首相は支援を拒んだと言われている。

富士通とICLとの関係は1980年代から深まった。

1981年 技術援助契約締結
1990年 ICLに80%資本参加
1996年 90.1%資本参加
1998年 100%子会社化
2003年 Fujitsu Services Holdings PLCへ社名変更


問題となっている Horizonシステムは、
ICL(International Computers Limited) により開発され、英国の郵便事業会社Post Office Ltd.で2000年に運用を開始した勘定系システムである。

英国の郵便制度は民営化されており、郵便事業を手がけるRoyal Mailと、郵便局の窓口業務を手がけるPost Officeなどが存在する。ポストオフィスは英国内に約1万1500の郵便局を展開し、郵便サービスに加えて年金受取口座や保険販売といった金融サービスや、提携する銀行の窓口サービスなどを提供している。

英国の郵便局における業務は1990年代まですべて紙ベースであり、これが初めての本格的なシステム導入だった。

各郵便局内で稼働するブランチ(支店)サーバーと、窓口端末で稼働するクライアントソフトウエアによって構成するクライアント/サーバー型だった。基本的には各郵便局内だけでトランザクション処理が完結する非同期型のシステムである。ブランチサーバーのデータベース(DB)管理システムは「Oracle Database」だった。

2013年には少なくとも11,500の支局で運用され、毎日約600万件の取引を処理していた 。


Horizonは2000年に稼働したが、それ以降、原因不明の不一致や損失が郵便支局支局長から報告されるようになった。

Horizonは元々は1994年に発表された給付金支払いの自動システムに使われるはずだったが、その基準をクリアできていなかった。

これに対し、郵便事業会社はHorizonは堅牢であり、支局長による支局口座の不足や不一致はHorizonに起因する問題ではないと主張していた。不足分を埋めようとしない、あるいは埋められない支局長は、窃盗、不正会計、詐欺の罪で社内監査局より起訴されることもあった 。

これは、あくまでシステムの処理結果が正しいことを前提の上で行われた。

一部の支局長は郵便事業会社が窃盗罪を取り下げると言われ、自分の弁護士から偽装会計の罪を認めるように説得された。郵便事業会社は有罪判決を受けると、有罪判決を受けた支局長に対して犯罪収益法による命令を出し、資産を差し押さえて破産させようとした。

郵便事業会社によるこうした行為により数百人が失職したほか、破産、離婚、不当な懲役刑、そして1人の自殺者を生み出した。

元支局長Alan Bates は被害者団体 Justice for Subpostmasters Alliance を結成、郵便事業会社に対して集団訴訟を起こした。

英国高等法院は2019年12月16日、原告勝訴の判決を言い渡した。
裁判所はシステムにバグ、エラー、欠陥が存在し、これらが原因で支局の口座や取引に明らかな不一致や不足が生じ、取引を正確に処理・記録するはずのHorizonの信頼性が損なわれた可能性があるとし、このようなことが何度も起こっていたと判断した。

2020年9月、郵便事業会社は44人の有罪判決を受けた支局長の控訴院上訴に反対しないことを宣言した。2020年12月には6人の有罪判決が取り消され、2021年4月には英国控訴院がさらに39人の有罪判決を取り消した。BBCは一連の有罪判決を「英国で最も広範な司法の誤審」と呼んだ 。

2021年4月、郵便事業会社はHorizonシステムを新しいクラウドベースのITシステムに置き換えることを発表した。

2024年1月、本騒動を題材としたテレビドラマ「Mr Bates vs the Post Office」が民放テレビ局ITVで制作・放映された。



郵便局スキャンダル後も、富士通UKは英政府から受注を続けている。富士通UKは同国3位のITサプライヤーとされる。

英政府が2013年以降、富士通UKに発注した金額は合計37億ポンド(6160億円)を超える。大規模な契約としては、歳入税関庁(10億ポンド)、国防省(5億7200万ポンド)、内務省(4億8700万ドル)がある。

富士通側が開発したシステムには以前から問題が生じていたが、富士通のメインフレームは歳入税関庁と労働・年金省が何十年と使っており、依存しており、富士通なしには英国政府のITはまわらないため、切れないとされる。




Chesapeake Energy CorporationとSouthwestern Energy Companyは1月11日、時価総額74億ドルでの全株式取引による合併契約を締結したと発表した。Southwesternの株主はSouthwestern 1株につきChesapeakeの普通株式0.0867株を受け取る。

Southwestern Energyは独立系のエネルギー会社で、Appalachia とHaynesville Basinsに 938,000 net acres 以上を有している。

合併企業はクロージング時には新しい名前を採用する予定。

合併により、Appalachia と Haynesvilleの高品質で大規模なエーカレージを組み合わせることで、約7.9 Bcfe/d のネット生産となる。年間のシナジーは約4億ドルとしている。


シェールガスの生産量は業界トップのEQT Corporationを抜き、最大手になる見込み。

EQT Corporation (当初の社名はEquitable Gas)は、アパラチア盆地のマーセラスシェールおよびユーティカシェールを中心に事業を展開する天然ガス生産会社で、マーセラス地域の約180万エーカーを含む約200万エーカーにおいて、約25兆立方フィート相当(Tcfe)の天然ガス、天然ガス液(NGL)、原油の確認埋蔵量を有する。

主にMarkWest Energy Partners L.P.と契約し、天然ガスを処理し、生産された天然ガスからエタン、プロパン、イソブタン、ノーマルブタンおよび天然ガソリンからなる重質炭化水素ストリームを抽出する。

Chesapeake Energyはシェール革命の初期から業界をリードしてきたが、新型コロナウイルスの影響による原油相場の下落で経営が悪化、2020年6月28日、連邦破産法11条(Chapter 11) に基づく会社更生手続きをテキサス州南部地区の連邦破産裁判所に申請したと発表した。原油相場下落による破綻としては米国最大の業者である。

同社は積極的な事業拡大で抱え込んだ重い債務負担に苦しんでいた。

3月末時点の負債総額は95億ドルで、6月の金利支払いが出来ず、本年に返済期限がくる長期債が1ドル当たりたった5セントで取引されており、Chapter 11 申請はむしろ遅すぎると見られている。

同社は5月にSECに提出した資料で、新型コロナの影響で資本市場へのアクセスが制限され、「年内に期限を迎える社債の償還資金が手当てできない可能性がある」と説明、Chapter 11の適用申請を検討しているとしていた。

同社では既に債権者の大半との間で負債を約70億ドル削減することで合意しており、さらに事業の続行のために925百万ドルのつなぎ融資(debtor-in-possession financing )を確保している。

2020/6/30 米シェール大手のChesapeake Energy、Chapter 11 申請 

その後、同社は経営を再建し、2022年1月には同業の Chief E&D Holdings, LP と、関連する未稼働資産(Tug Hill, Inc の関連会社所有)を現金20億ドルと普通株式約944万株で購入する契約を結んだ。

Chief E&D Holdingsの所有ガス田はペンシルベニア州のMarcellus ShaleのChesapeake Energyのガス田に隣接している。(下図のCHKはNasdaq市場でのChesapeake Energy の略号)

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参考

2023/5/25 Chevron、米シェール会社 PDC Energy を買収

2023/10/17 Exxon Mobil、米シェール大手Pioneer Natural Resources を595億ドルで買収合意


三菱商事と中部電力の欧州JVのEnecoはオランダに年産8万トンのグリーン水素プラントを新設し、2029年の稼働を目指す。日本経済新聞が伝えた。

化石燃料由来の水素を「グレー水素」、再生可能エネルギー由来の水素を「グリーン水素 」と呼び、化石燃料由来の水素だがCO2を回収するものを「ブルー水素」と呼ぶ。 
グリーン水素はCO2を排出しないため、次世代の脱炭素エネルギーの本命とされている。


Enecoはオランダに大規模洋上風力発電を持ち、これによる電気で水素を生産、自社の電力小売の販売網を使い、欧州域内の需要家にパイプラインを通じて供給する。

1箇所での生産規模は、現在稼働中の世界最大プラントの30倍近くで、大量生産によりコストを低減する。

<Eneco保有の洋上風力発電所>

Enecoは2023年1月、Shell plc社と共にオランダ北西部沖合にあるHollandse Kust West Site Ⅵ洋上風力発電所(HKW)の事業権を獲得した。2026年に商業運転を開始する予定。

発電容量は76万kW。オランダ国内の電力需要の約3%を賄う規模で、オランダ政府が推進する脱炭素化施策に大きく貢献する。


Enecoは欧州を代表するグリーンエネルギー企業で、オランダ、ベルギー、ドイツを中心に発電、電力取引、小売、地域熱供給の主に4事業のバリューチェーンを構築してい る。

B to C向けには100%グリーン電力(
風力、太陽光、バイオマス(生物資源)などの自然エネルギー)を供給し、B to B向けには、再エネ電源を由来とする電力売買契約を締結する等、グリーン電力供給を積極的に推進している。

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三菱商事と中部電力は、欧州で総合エネルギー事業を展開するEnecoの売却入札に共同で参加し、2019年11月に優先交渉権を獲得、 2020年3月24日、三菱商事と中部電力が共同で設立したDiamond Chubu Europe B.V.(三菱商事 80%/中部電力20%)を通じて、100%の株式を約41億ユーロ(約5千億円)で買収した。

三菱商事とEnecoは、2012年より現在に至るまで3件の欧州洋上風力発電事業(123万kW)及び欧州で最大規模の蓄電事業(5万kW)で協業、欧州での再エネ導入拡大に貢献して きた。

今回両社の関係を深化させることで、Enecoの技術力・ノウハウを活用し、欧州及び欧州外での三菱商事の再エネ開発を更に加速させ、経済価値、社会価値、環境価値の三価値同時実現による持続可能な社会構築への貢献を目指 す。また、同社の顧客基盤と三菱商事の持つ様々な商材・サービスを組み合わせることで、同社顧客向けのエネルギーマネジメント関連の新サービスを充実させ、「中期経営戦略2021」で掲げた、事業経営モデルによる成長の実現を目指 す。

中部電力は、Enecoへ参画し、培ってきた知見をEnecoと融合させ、相互にビジネスモデルを進化させることで、国内外のエネルギー事業におけるシナジー創出を図る。




エーザイは1月10日、アルツハイマー治療薬「レカネマブ」が中国国家薬品監督管理局(NMPA)より「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の治療」の適応で、承認を取得したと発表した。中国製品名は「乐意保®」で、直訳すると「保護する意欲がある」

米国、日本に続く世界で 3カ国目の承認である。2024年度第2四半期中の発売に向けて準備を進める。

米食品医薬品局(FDA)2021年6月7日、エーザイと米バイオジェンが共同で開発するアルツハイマー型認知症治療薬候補ADUHELM(一般名:アデュカヌマブ)について、脳内アミロイドβプラークを減少させることにより、アルツハイマー病の病理に作用する初めてかつ唯一治療薬として迅速承認(accelerated approval)したと発表した。従来の認知症薬とは異なり、認知機能の低下を長期的に抑制する機能を持つとして世界で初めて承認された。

2021/6/8 エーザイとバイオジェンのアルツハイマー新薬、米で承認 →2023年7月にフル承認

武見厚生労働相は2023年9月25日、アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を正式に承認した。

2023/8/23 厚労省の専門部会、エーザイのアルツハイマー治療薬「レカネマブ」の国内での製造販売承認を了承、近く承認へ → 承認

中国の承認は、大規模グローバル臨床第Ⅲ相試験である Clarity AD 試験に基づくもので、主要評価項目ならびに全ての重要な副次評価項目を統計学的に有意な結果をもって達成した。

エーザイは、2024 年の中国におけるアルツハイマー病(AD) による軽度認知障害および軽度の認知症の当事者数を1,700 万人と推定しており、今後高齢化の進展と共に増加していくと考えている。

中国においては、エーザイが販売並びに専門 MR による情報提供活動を行う。今後、オムニチャネルによる AD の疾患啓発や血液バイオマーカーを含む診断環境の整備に向けた専門医との連携を進める。
保険会社との連携による AD の保険プログラムの開発など、アクセス環境の整備も行っていく。

レカネマブについて、欧州(EU)、カナダ、英国など、11 の国と地域で承認申請を行っていく。

ホンダがカナダでEVの新工場建設を検討していると報じられている。車載用電池の単独生産も検討している。2030年頃までの稼働を目指しており、北米で生産体制を強化する。

ホンダは米オハイオ州で、2026年からEVを生産する計画を公表しており(下記)、カナダの新工場は北米で2か所目の拠点となる。 オンタリオ州にある完成車工場の近くに整備する方向で検討している。

米政府は北米で車両や電池が生産されたEVに対し、最大7500ドルの税制優遇を行っており、カナダで生産を増強し、北米全体のEV販売に弾みがつくことを期待する。

ホンダは、北米でEVと燃料電池車(FCV)の比率を2030年に40%、2040年に100%まで引き上げる目標を掲げている。車載用電池は米国では韓国大手のLGエナジーソリューションと共同で生産するが、カナダでは自前で生産することも視野に入れる。

カナダ政府当局者が今週、ホンダ関係者と面会する予定だと政府筋が明らかにした。 関係筋によると、カナダ政府との協議には複数の省庁が関与する見通し。 シャンパーニュ産業相の報道官は「連邦政府の代表は、全ての主要な投資家候補と同様にホンダと継続的にやり取りしている」とした上で、カナダは同社と「強力な関係」にあると述べた。


カナダ政府は2023年12月19日、国内で販売するスポーツ多目的車(SUV)、クロスオーバー車、小型トラックをはじめ全ての乗用車を2035年までにCO2 など温室効果ガスを排出しない「ゼロエミッション車(ZEV)」にすることを自動車メーカーに義務付ける規則を発表した。

2026年までに少なくとも20%、2030年までに少なくとも60%をZEVにする。業界関係者によると2023年第3・四半期の新車販売台数に占めるEVの割合は12.1%だった。

カナダの温室効果ガス排出量の約22%は自動車による排気ガスなど交通・運輸関連分野が占めている。

米カリフォルニア州でも2035年から新車販売の全てをプラグインハイブリッド車(PHEV)、EV、もしくは水素燃料電池車にするという規制を既に採用しており、米国内では合計17州がこの規制を導入する計画だ。


なお、
ホンダは2022年3月16日、オンタリオ州アリストン工場を2023年に販売予定の新型クロスオーバーCR-Vハイブリッド電気自動車生産の基幹工場として再編させるため、6年間かけて13億8,000万カナダ・ドルを投ずると発表した。

カナダのトルドー首相とオンタリオ州のフォード首相は同日、同工場を訪れ、連邦政府と州政府が同工場のハイブリッド車製造への再編に向けて、それぞれ1億3,160万Cドルを拠出すると発表した。拠出金はHCMの投資計画の一部として充当される。

ホンダ・カナダのルクレール会長兼社長は「ホンダは、2040年までに北米の自動車販売台数の100%をバッテリー式電気自動車(BEV)にするという野心的なビジョンを掲げており、同工場への投資はホンダにとって重要なマイルストーンとなる」とコメントした。

ホンダは2040年に世界の新車をすべてEVとFCV(燃料電池車)にし、「エンジンは捨てる。変えないものはホンダ哲学のみ」としている。

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(米国)

米国オハイオ州で完成車を製造するメアリズビル工場で電気自動車(EV)を生産するため、2つあるラインのうち1つを2024年1月に改修すると発表した。残りの1ラインではガソリン車とハイブリッド車(HV)の生産を続ける。

メアリズビル工場のライン改修でEVやエンジン車の混流生産ができるようにする。同工場で生産しているセダン「アコード」は、2025年にインディアナ州の完成車工場に移管する。

オハイオ州の別の完成車拠点であるイーストリバティ工場もEV生産ができるように改修を進める。さらにアンナ・エンジン工場は部品の一部生産工程をアラバマ州のエンジン工場に2023年3月から順次移管、空いたスペースでEV電池のケースなどを生産する。

ホンダは2022年10月、オハイオ州のこれらの3工場に計7億ドル(1000億円程度)を投じてEVの生産体制を構築すると発表していた。

Hondaの米国現地法人は、2022年10月11日に以下を発表した。

Hondaは、今後のEVの本格的な生産に向けて、米国オハイオ州内の3つの既存工場(四輪車を生産するメアリズビル工場とイーストリバティ工場、四輪車用パワートレインを生産するアンナ・エンジン工場)に、合計7億USドルを投資して生産設備を更新する。Hondaは今後、これらの工場を、北米におけるEV生産のハブ拠点として進化させていく。


これにより、2026年に北米で発売を予定しているEV向けプラットフォーム「Honda e:アーキテクチャー」を採用したEVをオハイオ州で生産する。アンナ・エンジン工場で製造するバッテリーケースと、LGエナジーソリューションとのEV用バッテリー生産合弁会社の工場で生産されるバッテリーモジュールを、メアリズビル工場で組み合わせてバッテリーユニットを製造し、これをメアリズビル工場とイーストリバティ工場で生産するEVに搭載する。


ホンダはオハイオ州で韓国の電池大手LGエネルギー・ソリューションと車載電池を生産する工場の建設に着工した。EVについてホンダの主力拠点であるオハイオ州で主要部品から完成車まで一貫して生産できる体制を構築する。

新工場は年間生産能力40GWhで、2024年末までの建設完了を目指す。その後、2025年中に北米で生産・販売されるEV用にポーチ型バッテリーセルとモジュールの量産を開始し、全量を北米にあるHondaの四輪車生産工場へ供給する。約2,200人の雇用を創出する 。


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ホンダと米GMは2022年4月5日、量販価格帯の電気自動車(EV)を共同開発し、2027年以降に世界で発売すると発表した。両社で車台や生産設備の共通化も進めていく。新たに開発するEVの価格は300万円台からとなる見通し。ホンダはこれまで北米限定だったGMとの提携関係を世界に広げ、電動車シフトを加速する。

GMが開発したリチウムイオン電池「アルティウム」を使い、車両を共同開発する。ホンダはまず北米にある自社工場で生産したEVを同地域で発売する。その後、日本や中国、欧州などに販売エリアを拡大していく方針である。

関係者によると、ホンダがボディや内装を担当、GMはE&E(電気/電子)アーキテクチャや電装品を担当し、専用プラットフォームの立ち上げを計画していた。

しかし、2023年10月25日、ホンダとGMは量販価格バッテリー電気自動車(BEV)の共同開発を中止したことが明らかになった。

ホンダによると、「ガソリン車と同等レベルの競争力を持つ」3万ドル程度のEVを目指していたが、「商品性と価格のバランスを取ることが難しくなったため」という。

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2006/2/15 に開始した本ブログは、今回が6500回になります。7000回を目指し、頑張りますので、よろしくお願いします。



米下院民主党は1月4日、トランプ前大統領の任期中、中国やサウジアラビアなど20か国の政府・国有企業から同氏所有のホテルに対し、少なくとも計約780万ドルが支払われていたと指摘する報告書を発表した。 このうち、中国政府機関は557万ドルを占める。

https://oversightdemocrats.house.gov/sites/democrats.oversight.house.gov/files/2024-01-04.COA%20DEMS%20-%20Mazars%20Report.pdf

合衆国憲法では、大統領を含む政府職員が議会の同意なく外国政府から金銭や贈り物を受け取ることを禁じている。民主党は、トランプ氏が議会に同意を求めたことはなく、憲法違反に当たると批判した。

合衆国憲法第9条第8項

合衆国は、貴族の称号を授与してはならない。
合衆国から報酬または信任を受けて官職にある者は、連邦議会の同意なしに、国王、公侯または他の国から、いかなる種類の贈与、俸給、官職または称号をも受けてはならない。


米国では公務員は、利益の相反につながる副業などが禁止されているが、この決まりは大統領には該当しない。そのためこれまでの大統領は従来、利益誘導など汚職の疑いがかからないように、個人としての資産は「ブラインド・トラスト」(白紙委任信託、第三者が完全な裁量権を持ち運用する)に預けていた。

専門家たちは、利益相反が疑われる事態が一切ないよう、トランプ氏は所有する事業の権利をすべて清算すべきだと促していたが、トランプ氏は企業資産や不動産を切り離すことを拒んだ。

今回、問題になったのはTrump Tower (NY)、Trump World Tower (NY)、Trump International Hotel (Washington DC)、Trump International Hotel (Las Vegas) の部屋の賃貸料。Trump World Towerはニューヨークの国連本部の向かいにある高層ビルで、各国の外交団が賃借や所有する。

トランプ・オーガニゼーションは、トランプ氏の在任期間中に外国政府の利用で得た利益に相当するとみられる45万ドルあまりを米財務省に寄付したとしている。また、事業のポートフォリオ全体で外国政府とのビジネスをすべて追跡するよう取り組み、在任中は新たな外国事業投資も行わなかったという。

しかし、報告書では、中国やサウジアラビアなど20余りの国・地域から合計約780万ドル支払いがあったことが示され、それらは実際の総額の一端に過ぎない公算が大きいと指摘している。

民主党はこうした会計記録から、在任時にトランプ氏の企業を通じて同氏に影響力を行使しようとする動きがなかったか、新たな懸念が持ち上がると指摘する。

その一例として、トランプ氏が中国工商銀行に制裁を科さなかった点を挙げる。

司法省は2016年、同行が米国の制裁を回避する目的で北朝鮮と共謀していると非難した。トランプ氏は大統領就任の際、共和党議員から「北朝鮮と取引をするさらに多くの中国の銀行を対象とした最大限の金融、外交上の圧力をかけるよう求められたが、同行に制裁を科さなかった。

同行は中国の国営銀行で、2017年2月から2019年10月までニューヨークのトランプタワーの一部を賃借し、推定536万ドルを支払った。(トランプ大統領の任期は2017年1月20日~2021年1月20日)

中国政府関連合計は557万ドル以上としている。

これに対し、トランプ氏の次男エリック・トランプ氏は、ビジネス上の利益に関係なく、トランプ氏ほど中国に強硬だった大統領はいないとの声明を発表。「中国の製品やサービスに数十億ドル規模の関税を導入した」ことを例に挙げた。


各国政府機関の支払額は下記の通り。(万ドル)

中国 557 うち中国工商銀行 536
サウジ 62
カタール 47
クウェート 30

サウジは2017年5月、トランプ政権と1000億ドル以上の武器取引を締結した。当時サウジに対しては、隣国イエメンへの軍事介入で市民の犠牲者が発生した件で超党派で懸念が持ち上がり、物議をかもす中での取引合意だった。


民主党は本件を、今年の大統領選の共和党指名候補争いでトップを独走するトランプ氏への攻撃材料にするとみられる。

バイデン米政権が設定した電気自動車(EV)税控除制度で、2024年1月1日をもって新ルールが発効したことに伴い、最大7500ドルの控除対象となる車種が大幅に減少した。

税控除適格基準の引き上げで対象車は従来の20数種から13種に減少した。新しい規則では、中国メーカー製のバッテリー部品を使用した車両は税額控除から除外される。

財務省報道官は、政府は新たな制限について企業と緊密に調整しているが、まだデータを提出していない企業もあり、リストに追加される可能性があると述べた。

2023年4月に新しい対象が発表された。

2022年8月17日に発効した「北米での最終組み立て要件」と2023年1月1日に発効した「車両の希望小売価格の上限」「購入者の所得上限」の要件を満たした上で、2023年4月18日から適用する「バッテリー関連の調達価格要件」の全部またはいずれかを満たした車両となる。

2023年4月17日までの対象車両は41モデルだったが、日産「リーフ」、フォルクスワーゲン「ID.4」、リビアン「R1T」「R1S」のほか、BMW、ボルボ、現代などの外国メーカーを中心に、23モデルが対象車両から外れ、新たにゼネラルモーターズ(GM)とフォードの計4モデルが追加された。

2023/4/19 米国の電気自動車税額控除の新しい対象発表 


ルールでは、2024年から対象のクリーン車両は「懸念される海外企業」(FEOC)が製造または組み立てたバッテリー部品を含んではならず、2025年からは、「懸念される海外企業」が抽出、加工、またはリサイクルした重要鉱物を含んではならない。

しかし、この定義が明らかにされていなかった。

主な要件(控除額は個人の場合) 
税額控除額
価格が5.5万ドル(バンやSUV、ピックアップトラックは8万ドル)未満であること 必須 -
車両の最終組み立てが北米(米国、カナダ、メキシコ)で行われていること 必須 -
電池材料の重要鉱物のうち、調達価格の40%が自由貿易協定を結ぶ国で採掘あるいは精製されるか、北米でリサイクルされていること(日本はOK)

2025年からは、「懸念される海外企業」が抽出、加工、またはリサイクルした重要鉱物を含んではならない。

どちらか
必須
3,750ドル
電池用部品の50%が北米で製造されていること

2024年から、「懸念される海外企業」が製造または組み立てたバッテリー部品を含んではならない。

3,750ドル


財務省は2023年12月1日、「懸念される海外企業」と見なされるエンティティを定義する提案ガイダンスを公表した。

それによると、「懸念される海外企業」は、懸念国(中国、ロシア、イラン、北朝鮮)の企業 及びその企業が25%以上所有、またはコントロールする企業とされる。

バッテリー部品が条件を満たすかどうかは、該当する重要鉱物の抽出、加工、およびリサイクルのすべての段階のレビューによって決定される。

2023/12/4 米政府、EV税額控除で中国の影響排除


今回発表されたものはこのルールによるもので、下表のとおり。 黄色地は抹消、青色地は追加(Eivinは復活)

Maker Model

2023年4月 Tax Credit

2024年 Tax Credit  
Stellantis
North America
(PSA/ Fiat Chrysler
Chrysler Pacifica 2022-23 $7,500 $7,500 Plug-in Hybrid
2024
Jeep Wrangler PHEV 4xe 2022-23 $3,750 $3,750 Plug-in Hybrid
2024
Jeep Grand Cherokee PHEV 4xe 2022-23  $3,750 $3,750 Plug-in Hybrid
2024
Ford Ford F-150 Lightning (Standard & Extended range) 2022-23 $7,500 $7,500 EV
2024
Ford e-Transit 2022-23 $3,750 EV
Ford Mustang Mach-E 2022-23 $3,750 EV
Ford Escape Plug-in Hybrid 2022-23 $3,750 $3,750 Plug-in Hybrid
2024
Lincoln Corsair Grand Touring 2022-23 $3,750 $3,750 Plug-in Hybrid
2024
Lincoln Aviator Grand Touring 2022-23 $7,500 Plug-in Hybrid
GM Chevrolet Bolt EUV & EV 2022-23 $7,500 $7,500 EV
Cadillac LYRIQ 2022-23 $7,500 EV
Chevrolet Silverado 2022-23 $7,500 EV
Chevrolet Blazer 2022-23 $7,500 EV
Chevrolet Equinox 2022-23 $7,500 EV
Tesla Tesla Model 3 Performance 2022-23 $7,500

EV
2023-24 $7,500
Standard Range 2022-23 $3,750
Tesla Model Y All-Wheel Drive 2022-23 $7,500

EV
2023-24 $7,500
Rear-Wheel Drive 2024 $7,500
Tesla Model X Long Range 2023-24 $7,500
Rivian Rivian R1S Dual Large & Quad Large 2023-24 $3,750
Rivian R1T Dual Large, Dual Max & Quad Large 2023-24 $3,750


Rivian Automotive, Inc.は、2009年に設立された米国の電気自動車メーカー。2009年にMainstream MotorsとしてRobert "RJ" Scaringeによって設立され、のちにAvera Automotiveに改称、2011年にRivian Automotiveに再度変更した。

電動式のスポーツ用多目的車(SUV)とピックアップトラックを「スケートボード」(Skateboard)と呼ばれる汎用性のある次世代式プラットフォーム上に組み立てて製造する。
また、Amazonと提携し、Amazon配達用の電動式バンの製造を引き受けている。

米連邦最高裁は1月5日、コロラド州の予備選へのトランプ前大統領の参加の是非について審理すると発表した。2月8日に口頭弁論を開く。

最高裁の判断は他州の予備選にも波及する可能性があり、大統領選の行方を左右しかねない。

米ミシガン州の最高裁判所は2023年12月27日、トランプ前大統領が2024年大統領選の同州での予備選に立候補できるとの判断を下した。資格剥奪を求めていた有権者団体の上訴を却下した。

有権者団体は、2021年の米議会襲撃にトランプ氏が関わったことが、反乱に関与した人物の公職就任を禁じた合衆国憲法の修正条項に触れるとして、同氏の立候補資格の剥奪を求めていた。

ミシガン州の下級裁判所は、手続き上の理由でこの訴訟を却下し、2021年1月6日の連邦議会襲撃が法律上の暴動に該当するかどうか、またトランプ氏がそれに関与したかどうかについては検討しなかった。

州最高裁のエリザベス・ウェルチ判事はこの下級裁の判断を支持した。、同州の法律はコロラド州のそれとは異なると し、上訴人が、「合衆国大統領になろうとする者に、その職に就く法的資格の証明を求めるとする類似の規定を、ミシガン州の選挙法から示さなかった」と述べた。

ミシガン州の州務長官(民主党)は、憲法修正第14条が提起している法的問題は明確ではないと述べた。州務長官は、選挙などを監督している。この問題は最終的には連邦最高裁が解決すべきだとの考えを示した。

ーーー

米メーン州のベローズ州務長官(民主党)は2023年12月28日、大統領選の同州予備選でトランプ前大統領の出馬資格を認めない判断を示した。 元州議会議員のグループが、合衆国憲法の規定に基づき、トランプ氏の出馬資格剥奪を求めたことを受け、今回の決定となった。

連邦議会襲撃事件を巡り同氏の出馬を認めないと判断したのはコロラド州最高裁に続き2例目。

ベローズ氏はトランプ氏が2020年大統領選での不正を巡る虚偽の主張を拡散し、議員による選挙結果認定を阻止するため連邦議会に行進するよう自身の支持者に呼びかけて反乱を扇動したと結論づけた。

今回の決定は州上級裁判所に異議を申し立てることができ、ベローズ氏は裁判所が判断を示すまで自身の決定の効力を保留した。

トランプ前大統領は2024年1月2日、ベローズ州務長官を提訴した。メーン州最高裁に提出した訴状でベローズ氏の決定に関し「偏見や適切な手続きの欠如によるものであり、恣意的だ」などと断じた。「多くの証拠は(決定を)支持しない」とも訴えた。

予備選参加の是非は最終的に連邦最高裁で決着する公算が大きい。連邦最高裁は判事9人のうち共和党の考えに近い保守派が6人を占めており、どのような見解を示すかが焦点 。


トランプ氏は1月2日、メーン州の州務長官を提訴した。州務長官はトランプ氏側が裁判所に不服を申し立てることができる期間を設けていた。

トランプ氏は州務長官の「偏見」を主張し、州務長官にはこの件を扱う法的な権限がないとの立場を示しており、トランプ氏側の反論に十分な時間と機会を与えず、恣意的に行動したとも述べた。さらに、トランプ氏が反乱行為に及んだ事実はないと改めて反論している。

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米連邦最高裁は2023年12月22日、「大統領在任中の行動は刑事責任を免れる」というトランプ前大統領の主張を、現段階では審理しないと決めた。 説明なしに簡潔な1ページの命令で出された。


ジャック・スミス特別検察官は2022年11月、トランプ前大統領への捜査責任者になるよう任命された。

スミス特別検察官は、トランプ前大統領を2回起訴した。2020年大統領選の結果を覆そうとしたとされる事件と、機密資料を不正に取り扱ったとされる事件での違法行為40件についてである。

トランプ氏は刑事裁判の被告になり得ないと申し立てていたが、ワシントンの連邦地裁が2023年12月1日、大統領の免責特権が適用されるとしたトランプ氏側の主張を退けた。

大統領在任中に行った行為について、退任後に刑事責任を問えないと結論付ける法的根拠はないと判断した。

連邦地裁は起訴が合衆国憲法修正第1条で保障された言論の自由を侵害するとしたトランプ氏の主張も退けた。

トランプ氏が控訴、裁判は2024年3月に始まる予定だが、トランプ氏が判決を不服として控訴すれば、高裁、さらには最高裁で免責特権について審理が行われる間、スミス特別検察官の裁判は延期されることになる。

このため、検察側ジャック・スミス特別検察官は、免責特権についての審理を早急に進めようと、通常の控訴裁の判断を待たずに、最高裁に審理を求めていた。

最高裁が現段階で審理しないと決めたため、免責特権をめぐる判断は通常どおり控訴裁で審理されることにな り、その結果、「スーパーチューズデー」の前日の2024年3月4日に予定されていた乱入事件についての初公判は遅れる可能性が高まった。

(ウクライナのEU加盟問題)

EUは12月14日の首脳会議でウクライナとモルドバの加盟交渉を正式に開始すると決定した。併せて、ジョージアを正式な加盟候補国とした。

2022年の申請から異例のスピードで合意にこぎ着けた。

EUは2022年6月23日開いた首脳会議で、ウクライナとモルドバに加盟候補国の地位を付与することを承認した。全27加盟国が同意し、認定に必要な全会一致で決まった。ジョージアについては、欧州委が提示した条件を満たせば候補国にする方針を示した。

EU加盟に向けて司法・行政・経済など分野ごとの加盟交渉に向けて動き出すが、国内法の改正などが必要で、実際に加盟するまでには通常10年程度かかる。

ウクライナの場合、腐敗が問題で、オリガルヒ(政商)が政財界の癒着を広げ、賄賂の横行や政治家による司法への圧力が問題。
国営企業の民営化、独占企業の解体などの市場改革も必要。
ウクライナの一人当たりGDPはEU平均の1/10以下で、今回の戦争の影響も大きい。加入の場合、EU予算の圧迫も懸念される。

2022/6/27 EU、ウクライナとモルドバを加盟候補国に認定 

ウクライナの加盟交渉開始をめぐっては、ハンガリーが長らく反対していた。

ハンガリーは、エネルギーの輸入などを通じてロシアとの経済的な結び付きが強く、オルバン首相はロシア寄りの姿勢を示し、これまでもEUのロシアへの対応をめぐる方針に反対する姿勢を示してきた。

オルバン首相はウクライナの汚職対策や、ウクライナに住むハンガリー系住民の権利保護が不十分だと主張し、加盟交渉開始や予算案に反対してきた。最近も「(交渉開始などは)加盟国の利益にならない。EUは 過ちを犯そうとしている」と改めて強調した。「ウクライナはEUからはるかに遠い位置にあり、欧州委が加盟交渉開始を約束したとの誤解を正すのもわれわれの責務だ」と指摘した。

EUは加盟交渉などの重要政策を全会一致で決めなければならない。このため、主要国の首脳らはオルバン 首相への説得を重ねたが、オルバン首相は、「他の26カ国が異なる見解を示したとしても(決定を)阻止しなければならない」と強硬姿勢を崩さず、首脳会議で拒否権を行使する考えを示していた。

土壇場で効果を発揮したのが「建設的棄権」を規定するEU条約31条である。

年内最後の首脳会議でウクライナの交渉入りを決め、欧州の結束を示したい主要国の首脳らはオルバン 首相への説得を重ねた。

たどりついたのがEU条約31条で定める「建設的棄権」 で、一部の代表者が退室して採決を棄権した場合、残ったメンバーのみの賛成で全会一致が成り立つという取り決めがある。
  
Under unanimous voting, abstention does not prevent a decision from being taken.

その結果、ドイツのショルツ首相がオルバン首相に「コーヒーでも飲んできたらどうか」と伝え、オルバン首相が席を立って退室、オルバン首相不在のもと、ウクライナの交渉入りに必要な「全会一致」での合意は 成立した。

フランスのマクロン大統領は「我々は解決策を提案できた」と語り、事前にオルバン 首相と擦り合わせていたことを示唆した。

オルバン首相は会議後 、ハンガリーは「悪い決定に参加したくないので、今日の決定から離れた」とし、「他の26カ国がしたいなら勝手にすればいい」と語った。

オルバン首相が棄権という形で事実上の容認に転じたのは、凍結していたEU補助金の支給再開という見返りがあったから である。

ハンガリーへの補助金は、オルバン首相が裁判所の独立性を制限したとして、法の支配への懸念から凍結されている。

ハンガリーが2004年にEUへの加盟を果たした時期から民主体制は後退していった。オルバン氏が首相に返り咲いた2010年以降、その傾向は顕著となる。

司法機関の独立性を弱める。言論と報道の自由を侵食する。汚職対策を取らないどころか,政府上層部も不正行為に手を染める。自由でない不公正な選挙を黙認(または率先)する。少数民族を抑圧する。学問の自由を制限する。ジェンダーの平等を軽視する。性的少数者を抑圧する。このようなオルバン政権の施政は、同国を独裁国家と呼ばれてもおかしくない体制に仕立て上げることになる。

EUは2022年12月にEUの基本原則である「法の支配」順守と汚職を巡り懸念があるとしてハンガリー向けの資金を凍結した。

EU名義の共同債券を財源とする復興基金の設置を採択する際に、加盟国による復興基金を含めたEU予算の不適切な使用を防止し、EUの財務上の利益を守る目的で採択された条件設定規則メカニズムにより、EU理事会の特定多数決により決定した。

(特定多数決は、①加盟国の 55%以上、および 15 ヵ国以上が賛成する、②賛成国の人口が EU 人口の 65% 以上を占める、の 2 点を要件とするもの)

欧州委員会は今回、オルバン政権の強権的な政策を理由にしてきたハンガリーへの補助金凍結を一部解除し、最大102億ユーロ(約1兆6千億円)の支給を認めると発表した。


ウクライナのEU加盟交渉開始は決まったが、合わせて審議した4年間で総額500億ユーロのウクライナ支援パッケージはハンガリーの拒否権で否決された。将来のウクライナの加盟についても拒否する姿勢を崩していない。

米政府は12月は27日、最大で2億5000万ドルに上るウクライナへの追加の軍事支援を発表した。
防空ミサイルシステム「ナサムス」のための追加のミサイルや高機動ロケット砲システム=「ハイマース」に使われるロケット弾、地対空ミサイル「スティンガー」などが含まれている。

バイデン政権は10月19日に、イスラエルとウクライナへの軍事支援と米・メキシコ国境警備強化の資金等々のため、1060億ドル近い緊急予算案を公表した。(うちウクライナ向けは614億ドル、イスラエル向けは143億ドル)
しかし、米議会では与野党の協議がまとまらないことから、軍事支援の継続に必要な緊急予算が承認されておらず、これを最後に予算は枯渇する。

ーーー

(スウェーデンのNATO加盟問題)

フィンランドとスウェーデンは2022年5月18日、NATO加盟を正式に申請した。

NATOの加盟には、EU加盟の30カ国全部の批准が必要であるが、トルコとハンガリーのみが批准をしていない。

トルコのエルドアン大統領は、トルコ政府と対立する国内のクルド分離主義組織「クルド労働者党(PKK)」を両国が支援しているとして難色を示していた。

2022/12/9 フィンランドとスウェーデンのNATO加盟 難航 

トルコのエルドアン大統領は2023年3月17日、フィンランドのニーニスト大統領と会談し、フィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟を認める意向を示した。

トルコ議会が2023年3月30日にフィンランドの加盟を承認し、全30の加盟国の批准手続きが完了し、フィンランドは4月4日に正式加盟した。スウェーデンだけが残った。

NATOのストルテンベルグ事務総長は2023年7月10日、トルコがスウェーデンのNATO加盟を支持することに同意したと明らかにした。トルコのエルドアン大統領が「できるだけ早く加盟議定書をトルコ議会に送り、批准を確実にするため議会と緊密に協力することに同意した」と述べた。7月11~12日に開かれるNATO首脳会議を前に、大きな進展となった。

2023/7/12 スウェーデンのNATO加盟に大きな進展

トルコ議会の外交委員会は2023年12月26日、スウェーデンのNATO加盟批准に必要な法案を承認した。本会議で数週間以内に採決され、可決される見通し。その後、エルドアン大統領が署名する。

ただし、外交委の委員長は本会議での迅速な採決を期待すべきではないと指摘、採決のタイミングは議長が決定するとしている。


ハンガリーのオルバン首相は12月21日、スウェーデンのNATO加盟を巡りハンガリーとトルコの間で合意はないとし、加盟承認の採決を行う時期を決めるのはハンガリーの議会だとし、与党議員の間にはスウェーデンの加盟を積極的に承認しようという動きはないと述べた。

ハンガリーは承認手続きが遅れている理由として、ハンガリー政府が民主的権利を損ねているとの見方がスウェーデンにあることを挙げている。

ーーー

(シェンゲン協定:国境検査なしで国境を越えることを許可する協定)

ルーマニアとブルガリアはこのたび、2024年3月から空と海の国境を開いたシェンゲン圏に加盟することでオーストリアと合意に達した。陸上国境に関する交渉は来年も継続される。12月27日に各国が明らかにした。

2007年にEUに加盟した両国は2010年までにシェンゲン協定の加盟条件を満たしたが、オーストリアが中東からの移民対策の不備などを理由に反対を続けてきた。

オーストリア政府は、両国の協定参加の協議を契機に、オーストリアへの難民申請数が多い原因となっている現在のEUの移民制度を抜本的に変更したいためとされる。

最近の交渉で両国が国境警備の強化を表明、オーストリアが段階的参加案を提示、今回の合意に達した。陸上国境に関する交渉はこれからである。

シェンゲン協定はEU各国と、EUとの関係が非常に深い欧州自由貿易連合(EFTA)加盟4カ国(アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス)が加盟している。

このうち、英国(EU元メンバー)とアイルランドは適用除外が認められ、協定国との間で国境審査が継続している。英国は「国境管理は国家主権の中核」と主張し、参加を拒否した。

EU加盟国で不参加はキプロスのみで、同国は2024年までの加盟を目指している。

NATO EU シェンゲン協定
非欧州 米国 原加盟国 対象外 対象外
カナダ
イタリア 1952
オランダ 当初署名国
フランス
ベルギー
ルクセンブルグ
英国 1973加盟→2020離脱 「国境管理は国家主権の中核」
デンマーク 1973
ポルトガル 1986
アイスランド 非加盟 EFTA
ノルウェー
ギリシャ 1952/2 1981
トルコ 非加盟
西ドイツ→ドイツ 1955/5 1952 当初署名国
1991/12/26 ソ連崩壊  赤字国名は旧ソ連
スペイン 1982/5 1986
チェコ 1999/3 2004/5
ポーランド
ハンガリー
エストニア 2004/3
ラトビア
リトアニア
スロバキア
スロベニア
ブルガリア 2007/1 2023/12参加(空と海)
(オーストリアが容認)
ルーマニア
アルバニア 2009/4 非加盟
クロアチア 2013/7
モンテネグロ 2017/6 非加盟
北マケドニア 2020/3
アイルランド 非加盟 1973 EUで適用除外
オーストリア 1995
フィンランド 2023/4(トルコが容認)
スウェーデン 2022加盟申請
キプロス 非加盟 2004/5 2024年までの加盟を目指す。
マルタ
スイス 非加盟 EFTA
ボスニア・ヘルツェゴビナ
セルビア
コソボ
ベラルーシ
モルドバ
ウクライナ
リヒテンシュタイン EFTA
合計 30カ国→31カ国
(フィンランド加盟)
28→27カ国
(英離脱)
27→29
(ブルガリア、ルーマニア加盟)

 



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