「no」と一致するもの

BPは4月27日、上海赛科石油化工(上海SECCO石油化工)の持分(50%) を、上海SECCOのパートナーのSinopecの子会社上海高橋石化 に16.8億ドルで売却することで合意したと発表した。

BPではこの決定を、同社の技術を生かし、競争的有利にある分野でグローバルに活動するという方針に沿うものであるとした。また、中国は同社の化学事業の主たる活動地域であり、新しい活動の場を求め続けるとしている。

上海SECCOはBP 50%/SINOPEC 30%/SINOPEC上海石化 20%のJVで上海漕泾化工(Caojing)地区のShanghai Chemical Industrial Parkに立地する。

2005年3月にスタートした。原料はナフサで製品は以下の通りであった。

現在の能力:
 エチレン 109万トン、BTX 65万トン、SM 65万トン、PS 30万トン、PE 60万トン、PP 25万トン、ANM 52万トン。

2006/4/6 中国のエチレン合弁会社

ーーー

BPは当初、エチレン、アクリロニトリル、HDPE、PP、PTA、パラキシレン、酢酸の7つの事業を化学事業の中でのコア事業としていた。

2006/8/29 BPの石油化学のオリジン

このうち、エチレン、アクリロニトリル、HDPE、PPの事業をスコットランドとフランスの石油精製とともにInnoveneとして分離、その後、2005年末にIneos に売却した。

2006/6/14 事業買収で急成長した化学会社

SECCOの事業はいずれもInnoveneの担当事業であるが、Sinopecとの関係で、本JVはBPに残した経緯がある。
恐らく、Sinopec側もパートナーがBPからIneosに代わることを望まなかったと思われる。

現在ではBPが関与する意味はなくなったため、JV相手のSinopecに引き渡し、Sinopecの100%子会社とするもの。


中国でのBPの他の事業は次の通り。

    酢酸JV Yangtze River Acetyls Company:YARACO

1995年にBP 51%、Sinopec 44%、地元 5%のJVのYARACOを設立、重慶で酢酸 40万トン、エステル8万トンの生産を開始した。

2015年に1系列として世界最大の60万トンプラントをスタートし、合計能力は100万トン。

酢酸JV BP YPC Acetyls Company (Nanjing) :BYACO

BPとSinopecは江蘇省南京市に50/50JVのBP YPC Acetyls Company (Nanjing) Ltd. (BYACO) を設立し、2010年8月に50万トンの酢酸の商業生産を開始した。

PTA JV BP Zhuhai Chemical

珠海に富華集団(その後 Zhuhai Port Coと改称)とのJVのBP 珠海ケミカル(BP 85%)を持つ。

2015年に第3期 125万トンの生産を開始、第1期 60万トン(当初 35万トン)、第2期110万トン(当初 90万トン)と合わせ、合計能力は295万トンとなった。

2011/2/22  BP、中国のPTA事業を拡大


ホワイトハウスは4月21日、政府機関閉鎖の可能性で省庁に準備を命じた。但し、大統領や側近は政府閉鎖はないと自信を示しており、命令は通常の危機対応策であり、前政権も暫定予算の期限切れが近づいた際に同じ手続きを実行したと強調した。

現在の暫定予算は4月28日までのもので、2016年度の残り期間(9月30日まで)の予算が4月28日までに通らなければ、政府機関の閉鎖に追い込まれる。

米上院は2016年12月9日午後11時16分に、2017年4月28日を期限とする連邦政府の暫定予算案を賛成 64票 反対36票で可決した。

昨年とほぼ同レベルの支出を政府に認めるもので、Hurricane Matthew の災害対策など若干の追加を含んでいる。

4月29日以降についての本格予算はトランプ次期政権が発足してから審議する。

2016/12/10 米国議会、来年4月28日までの暫定予算を可決

付記 米上下両院は4月28日、5月5日を期限とする1週間のつなぎ予算を可決した。短期のつなぎ予算でひとまず政府閉鎖を回避する。

しかし、議会では大統領の看板公約であるメキシコ国境の壁の費用計上を巡って、野党民主党が強く反対しており、成立のメドが立っていない。
上院で民主党のフィリバスターを阻止するには全100議席のうち60票が必要になるが、共和党は52議席しかない。

Paul Ryan下院議長は3月30日、メキシコ国境の壁建設について、来年度に予算計上を先送りする方針を示していた。

しかし、大統領は費用計上にこだわった。

最近の twitter

The Wall is a very important tool in stopping drugs from pouring into our country and poisoning our youth (and many others)!
If
the wall is not built, which it will be, the drug situation will NEVER be fixed the way it should be! #BuildTheWall

壁は麻薬流入阻止に重要。壁がないと麻薬問題は解決しない。

The Democrats don't want money from budget going to border wall despite the fact that it will stop drugs and very bad MS 13 gang members.
Eventually, but at a later date so we can get started early, Mexico will be paying, in some form, for the badly needed border wall.

壁は麻薬やMS13(マラ・サルバトルチャ13)ギャングの流入を阻止するのに、民主党は予算を認めようとしない。
メキシコは、どうしても必要な壁の費用を何らかの形で支払う。

一部米メディアは大統領が24日に記者団に対し、壁を建設する予算の計上を10月1日に始まる2018年度に先送りしてもよいとの考えを明らかにしたと報じたが、大統領はこれを否定した。

Don't let the fake media tell you that I have changed my position on the WALL. It will get built and help stop drugs, human trafficking etc.

私が壁問題で意見を変えたという報道は嘘だ。壁をつくり、麻薬や密入国を止める。


審議時間が確保できないため、1週間程度の短期のつなぎ予算を可決する案も浮上している。

Trump大統領は4月21日、税制改革と金融制度改革(Dodd-Frank Actの見直し)のための3つの大統領令を出した。

1)税制   Presidential Executive Order on Identifying and Reducing Tax Regulatory Burdens

2) 金融制度

 ・金融安定監視協議会(FSOC)Presidential Memorandum for the Secretary of the Treasury on Financial Stability Oversight Council

 ・破綻処理スキーム  Presidential Memorandum for the Secretary of the Treasury on Orderly Liquidation Authority

ーーー

1) 税制改革

大統領令のタイトルにあるように、 税規則を取り上げた。
減税や輸入税、多国籍企業の税回避などの大きな問題は取り上げていない。 大型減税を柱とする大統領案は4月26日に発表する。

大統領 twitter

Big TAX REFORM AND TAX REDUCTION will be announced next Wednesday.

なお、現在の暫定予算は4月28日までのもので、2016年度の残り期間(9月30日まで)の予算を通す必要がある。4月28日までに通らなければ、政府機関の閉鎖に追い込まれる。
メキシコとの間の壁の建設(今回は諦めた筈が再燃している)やオバマケア関連費用など、難問が多い。

問題意識として次のように述べている。

連邦税制は簡単で、フェアで、効率的で、成長に役立つものでないといけない。税規則は複雑な税法を明確にし、納税者の役に立つガイドラインを供するべきである。
しかし、過去数年に出された規則は、税負担を増し、経済成長を妨げ、企業に罰金を課し、複雑な書類を求め、フラストレーションを与えている。

重荷を取り除き、税負担を軽減し、役に立つ簡単な税のガイダンスを供するため、早急な行動が必要である。

財務長官に対し、2016年1月1日以降の全ての重要な税規則をレビューし、納税者に不当な金銭的重荷を課しているもの、税法を不当に複雑にしているもの、IRS(国税庁)の権限を越えるものについて60日以内に報告を求める。

財務長官は150日以内に改善案を大統領に報告し、問題分について施行を遅らせたり、改正したり、取り消すなどを行う。

レビューする税規則を2016年1月1日以降のものに限った理由が不明 だが、米メディアは、2016年4月4日の企業の海外移転に伴う課税逃れ対策が主な見直し対象としている。

財務省は税率の低い国へ本社を移転する税逃れ行為「インバージョン」をめぐり追加措置を発表した。これを受け、Pfizer は4月6日、Allerganとの合併を中止すると発表した。

2016/4/7 Pfizer とAllergan、合併計画断念




2) 金融改革

Trump大統領は2月3日、金融規制改革法(Dodd-Frank Act)の見直しに関する大統領令に署名した。

 Executive Order Presidential Executive Order on Core Principles for Regulating the United States Financial System


大統領令では、 まず政権が米国の金融システムはこうあるべきだと考える基本原則(Core Principles)を列挙した。

(a) 国民が財産管理で独自の決定、情報に基づく選択ができること
(b) 税金での救済策の禁止
(c) システミックリスクや市場の失敗に対処する、より厳格な規制影響分析を通じて、経済成長と活力のある金融市場を育成
(d)米企業が国内、海外で海外企業と競争しうること
(e) 国際的な金融規制交渉で米国の利益を促進
(g) 金融監督機関の公的説明責任を回復し、金融規制フレームワークを合理化

そして財務長官に対し、 どの法律・規則が基本原則に沿っており、基本原則を推進するためどんな行動が取られているか、またどんな法律・規則が基本原則に沿っていないかについて120日以内に報告するよう求めた。

Trump氏は選挙期間中、ドッド・フランク法 (Dodd-Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act) の廃止を掲げており、公約の実現に向け一歩踏み出した。

2017/2/7 Trump大統領、金融規制改革法の見直しに関する大統領令に署名 

今回は、Dodd-Frank Actのなかの2項目(金融安定監視協議会と破綻処理スキーム)を取り上げた。

2010年7月に成立した Dodd-Frank Act は、1920年代の世界金融不安および大恐慌の発生を根絶するため成立したGlass-Steagall Act の現代版である。

「金融機関の説明責任と透明性を向上させることで米国の金融安定性を促進し、"too big to fail" を終わらせ、特定の企業への財政出動を終わらせ、新たな金融危機を防止するための堅固な経済基盤を創出する」ことを目的とする。

具体的な内容としては消費者金融保護局をFRBの中に置くこと、Volckerルール(銀行が自己勘定でリスクを取って、金融商品を購入・売却また取得・処分をする事を禁止)、システム上重要な金融機関(SIFIs)の監視の強化、連銀法の修正などである。


金融安定監視協議会(Financial Stability Oversight Council :FSOC ) は、システミック・リスクを特定し、それらを監視する機能を担うため創設された。

問題意識

FSOCは、ノンバンクの経営危機が米国の金融制度の安定を損なうかどうかを判定する。
  (損なう場合、FRBの管理下に置き、行動が制限される。)
また、特定の金融機関をシステム上重要な金融機関と認定する権限を有する。
  (その場合、特定のリスク管理基準に従う必要がある。)

これらに指定された場合、その金融機関、業界、経済全体が影響を受ける。

このため、指定に当たっては正当、フェア、透明性のあるプロセスが必要である。

財務長官に対し、FSOCのプロセスについて、透明性、正当な手続きかどうか、等々について、またFSOCの行動が上記のCore Principlesに沿っているかどうかの報告、改善提案を求める。


システム上重要な金融機関(SIFIs)の破綻処理スキーム「秩序立った清算権限」(Orderly Liquidation Authority;OLA)

問題意識

財務長官は、大統領と協議し、金融機関が破綻し、または破綻の危機にあり、他の法律の下で対応できない場合には米国の金融安定に重大な悪影響を与えると判断した場合、「秩序立った清算権限」を使って、その金融機関を管財人の管理下に置くか、清算を開始する。

「秩序立った清算権限」は、財務長官が大統領と協議し、いろいろの点を考慮し、これを使うことで米国の金融安定への悪影響を除去又は軽減できると確信した場合のみ可能である。

しかし、「秩序立った清算権限」の存在自体が、債権者や取引相手や株主の過度のリスクテイクを後押しする恐れ (モラルハザードを生む恐れ)がある。清算にはOrderly Liquidation Fund を使われるからである。大部分は他の金融機関が出すことになるが、税金が使われる可能性もある。

債権者や取引相手や株主の損失が他に転嫁される場合、規律が弱まり、過度のリスクテイクを生む可能性がある。

また、破産法11条など他の解決法の方が効果的かどうかを評価することも重要である。

財務長官に対し、「秩序立った清算権限」をレビューし、潜在的な悪影響、これの使用が上記のCore Principlesに沿っているかどうか、一般財政に影響を与えないか、等々について報告、改善提案を求める。

NOVA Chemicalsは4月17日、Williams Partners L.P. からルイジアナ州 GeismarのWilliams Olefins LLCの同社持分(88.46%)を現金21億ドルで買収することで合意したと発表した。

契約完了後には、Williams Partnersの子会社がGulf CoastのEthane pipeline systemを通じて原料を供給する長期供給・輸送契約をNOVAとの間で締結する。

Williams Olefins LLCは、NGLを原料に日量37,000 バレルのエタン、3,000バレルのプロパンを製造、これから、エチレン 年産88万トン(公称 19.5億ポンド)、ポリマーグレードプロピレン 50千トン、ブタジエン 13百万ガロンなどを生産する。

このプラントは当初、1967年にLummus Company が設計、建設し、Allied Chemical が運営した。(当初、エチレン 27万トン)
その後1985年に Union Texas PetroleumがAllied Chemical から買収した。

1999年にAllied Chemical がUnion Texas Petroleumと合併した際に、Williams が買収、その後サウジのSABICが11.54%を取得した。

2013年6月13日に大爆発事故を起こしている。

2015年に増設を行い、エチレン能力を年産61万トン(13.5億ポンド)から88万トン(19.5億ポンド)に増やした。

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Williams Partners は天然ガスのインフラを扱うパートナーシップで、天然ガスとNGLの回収、処理、輸送から、エチレン、プロピレン、その他オレフィンの製造まで行っている。
33,000マイル以上のパイプラインを所有し、発電、暖房、産業用に供給している。米国の天然ガスの約30%に関与している。

同社はWilliams Olefinsについて、最も高い買い手に売却し、代金を借入金返却と他の事業に投資する案と、増設して受託生産を行う案を考えていた。

同社は2016年8月に、カナダの資産(Fort McMurray の2つのNGLプラント、Redwater のガス処理設備、それらを結ぶ420kmのパイプライン、および計画中の18.5億ドルのプロパン設備)をカナダの Inter Pipeline Ltd.に割安の 13.5億カナダドルで売却した。

同社は今回の売却で得た資金で、8.5億ドルの長期借入金を返済、残りを成長のための投資に使う。

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Novaは、主要な成長戦略として米国のGulf Coastに展開し、次世代技術を使用して米大陸の顧客に貢献することを挙げている。米国のシェールガスと確立された石化事業、サプライチェーンのインフラを利用したいとしている。

本年3月27日には、Borealis AG とTotal Petrochemicals and Refining USAとの間でJVを設立し、テキサス州に新しいクラッカーとBorealisのBorstar® ポリエチレン(米大陸で最初)のプラントを建設する構想の予備契約を締結した。

構想は以下の通り。

  • Port Arthurに年産100万トンのエチレンクラッカー建設 2020年末稼働
  • Bayportに年産625千トンのBorstar PE プラント建設   2020年末稼働
  • 既存のTotal のBayport のPE 設備(400千トン)を包含

今回のWilliams Olefins LLCの持分買収はその第二弾。

これとは別に、同社はカナダでの増設も検討している。

同社はオンタリオ州Sarniaに3つのプラントを持つ。

Corunnaプラントには年産140万トンのエチレンプラントがある。当初は原油を処理したが、Marcellus Shaleの天然ガスを使うよう改造した。
St. River プラントとMooreプラントはこれを使ってPEを生産する。

現在、Corunnaプラントに10億~20億ドルを投資して新しいエチレンプラントを建設することを検討している。Utica Shaleの天然ガスも使用する。


NOVAは
アブダビ国営の投資会社 IPIC(International Petroleum Investment Company )の100%子会社である。

IPICは2009年2月23日、NOVA Chemicals の株式を借入金込みで23億米ドルで買収する契約を締結した。7月3日、Investment Canada Act に基づく承認を取得し、全ての手続きが完了した。

2009/2/24 アブダビのIPIC、カナダのNOVA Chemicals を買収

Abbott Laboratories は4月14日、診断薬・診断機器メーカーのAlere Inc.の買収で再合意したと発表した。


Abbottは2016年2月1日、Alereを総額58億ドルで買収することで合意した。

その後、Alere側の問題を理由にAbbottが解約を申し入れたが、Alereがこれを拒否、法廷闘争に発展していた。

今回、買収条件を見直し、買収金額を53億ドルとすることで合意した。株主総会の承認や関係官庁の承認を受け、第3四半期末での取引完了を見込む。

両社は互いを相手とする訴訟を取り下げることで合意した。

買収により、Abbottは550億ドルの市場であるポイントオブケア検査(「患者の近いところ」で行われる検査で、簡単に、早く、正確に患者への対応ができる)部門でのリーダーの地位を確保する。

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2016年2月1日、Alereを総額58億ドルで買収することで合意した。

買収により、Abbottはポイントオブケア検査部門でのリーダーの地位を確保し、診断部門の売上高は70億ドルを超えると見込まれた。

しかし、2016年4月に入り、AbbottはAlereに対し、買収の解約を申し入れた。30~50百万ドル(Alere側の費用による)の違約金を払うとした。

理由として、買収契約により供与された経理情報の正確性に重大な懸念を持つとした。AlereがAnnual Report を期限内に提出しなかったことを重視した。Alereが Foreign Corrupt Practices Act 違反の疑いで司法省から喚問されたことも挙げている。

これに対し、Alereは4月29日に、これらが契約上の解約の理由にならないとして、解約の要請を拒否したことを明らかにし、取引完了に向け、両社が努力すると述べた。

しかし、Abbottは前日の4月28日に医療機器メーカーのSt. Jude Medical Inc. を250億ドルで買収すると発表している。
Abbottは、Alereの買収の代わりか?との質問に直接は答えず、AlereとSt. Jude Medicalの両方の買収資金はあると述べた。

AbbottとSt. Jude Medical はともに、カテーテル治療機器など心血管治療向けの医療機器に強い。St. Jude Medical は心房細動、心不全、器質的心疾患、慢性痛分野といった高成長市場に強みを持ち、Abbottの冠動脈インターベンションや僧帽弁膜症の領域でのリーディングポジションを補完する。
買収により、心血管治療のほぼ全領域をカバーでき、それらいずれの領域の治療機器でも業界首位または2位の座が得られる。

この買収は、2017年1月4日に手続きが完了した。

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Alereに関しては、いろいろな問題が発生した。

1) 2015年度決算のAnnual Report を期限内に提出できず、NY証券取引所から警告を受けた。

同社は、2013年~2015年のアフリカと中国における売上高計上時期の問題で調査を行っており、その完了まで報告ができない旨を明らかにしていた。

なお、同社は2016年度決算についても、報告が遅れており、2017年3月に再度警告を受けている。今回は、韓国と日本での売上計上時期の問題としており、特に韓国の子会社 Standard Diagnostics の不適切な処理を理由に挙げている。

2) 2016年3月に、Alereはアフリカ、アジア、ラテンアメリカでの販売慣行に関し、Foreign Corrupt Practices Act 違反の疑いで司法省から喚問されたことを明らかにした。

3) Alereは2016年7月、全血中のプロトロンビン時間の測定キットであるINRatioの自主回収を発表した。特定状況下で測定結果が他の方法での結果より低値傾向を示すことが判明したため。

 同社は2016年9月に製造中止、市場からの撤退を決めた。

4) Alereは2016年7月、患者のサンプルのテストの費用のMedicare やMedicaid 等への請求に関して、司法省から記録の提出を要求された。

5) Alereは2011年に糖尿病のテスト資材の供給者であるArriva Medical を買収し子会社としているが、Centers for Medicare & Medicaid ServicesがArriva Medical を資格停止した。
 Medicare やMedicaidでの治療に使用できないこととなる。 
  
 Arriva Medical は不当であるとして取り消しを求めている。査定に対して非常に多くの再審を要求したのが理由で、それに対する嫌がらせとしている。

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Alereは2016年8月、契約に基づき合併に関する独禁法の認可を取る義務を果たすことをAbbottに求める訴えを、裁判所に出した。

これに対しAbbottは、Alereが財務資料を提出するのを遅らせているのが原因だと反論した。

2016年10月20日、中国商務部が合併を承認した。

2016年10月21日、Alereの株主総会でAbbottとの合併が承認された。

2016年12月7日、Abbottは上記のAlereのいろいろの問題点を理由に、Alereの価値が大幅に減少したとして、買収を取り消すことを求め、訴えた。

これに対し、Alereは同日、反論を発表した。

Abbott自身が分かっているように、挙げている問題点は買収を取りやめる根拠にはならない。

Alereは契約に基づく義務をすべて果たしており、株主を守るため必要な手続きを取る。

Abbottは、契約では有害事象がAlereの長期の見通しを著しく変える場合は解約できるとなっており、これらの事態はそういう有害事象であると再反論している。

2017年1月25日、欧州委員会が合併を承認した。


その後の経緯についての発表はないが、両社の間で協議を行い、買収価額を引き下げることで合意し、両社とも訴えを取り下げることとした。

中国とEUは既に合併を承認しており、米国その他の承認を得て、買収が完了する。

Abbottは、Alereを53億ドルで、St. Jude Medical Inc. を250億ドルで買収することとなる。

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Abbott Laboratories は2016年9月16日、子会社の Abbott Medical Optics (AMO) をJohnson & Johnson (J&J)に 43億2500万ドルで売却すると発表した。

AMOは売上高11億ドルで、眼科分野で3つのセグメントを持つ。

 ・白内障・緑内障手術
 ・レーザー屈折矯正手術(近視、遠視、乱視の矯正)
 ・眼科関係消費者用製品:ドライアイ用目薬、ソフトコンタクトレンズ用ケア用品

Abbott は「選択と集中」を加速させ、循環器系の医療器具や診断分野に経営資源を集中させるとしていた。

2016/9/20 Johnson & Johnson、Abbott Medical Optics を買収 

Trump 大統領は、大統領選挙前の2016年10月下旬に、大統領に選ばれた場合の公約 "Donald Trump's Contract With The American Voter" を発表した。「アメリカを再び偉大にする」ための100日間のアクションプランである。

そのなかで、北米自由貿易協定(NAFTA) の再交渉又は撤退の意思の発表、TPPからの撤退の宣言などとともに、中国を為替操作国に指定することを挙げている。

2016/11/11 トランプの公約

NAFTAについては1月20日の就任直後の1月22日に再交渉を始めると表明、TPPについても翌 23日に「永久に離脱する」と発表した。

中国についても、大統領は何度も「中国の為替操作」を非難しており、1月31日の製薬業界との会談では、中国と日本をやり玉に挙げた。「他国は通貨切り下げに依存している。中国がなにをやっているか、日本が何年も何をやってきたか。彼らは為替市場に介入し、通貨の切り下げをしているが、我々はボーっとしているだけだ」

2017/2/2 「トランプの公約」の現状-1 

これに対し、Jacob Lew前財務長官は本年1月の退任に当たり、「過去18カ月、中国は人民元為替レートの安定に力を入れているが、人民元安に導いて不公平な貿易政策によって優位性を得ようとはしていない。トランプ政権が中国の政策を、人民元安に導いて不公平な貿易政策によって優位性を得ようとしていると見なすなら、非常に危険」と警告していた。

今回、大統領は前言を撤回した。

トランプ大統領は4月12日のWall Street Journalとの会見で、「考えを変えた。中国は現在は為替操作をしていない」と述べた。

大統領は「北朝鮮の核の脅威を抑え込むのに中国の支援を求める」と加えており、先週の習近平・中国国家主席との首脳会談で「取引」した可能性があると報じられている。

大統領は4月16日のtwitterで、「中国が北朝鮮問題で我々に協力してくれているのに、為替操作国だと呼べるか」とつぶやいた。
Why would I call China a currency manipulator when they are working with us on the North Korean problem? We will see what happens!

大統領はまた、4月14日に財務省が公表する主要貿易相手国の為替報告書で中国を為替操作国には認定しないと明らかにした。従来通り中国を為替操作国にしないという財務省の報告を大統領が承認した。

しかし、米ドルについては、ドルが強くなり過ぎているとし、ドル高はいずれ米経済に打撃を与えるとの考えを示した。

「ドルが強くなり過ぎている。これは人々が私を信頼しているためで、私のせいでもある。だが、結果的には打撃となる。他国が通貨を切り下げる中でドルが強ければ、競争するの は非常に、非常に難しい」と述べた。

FRBのYellen議長についての話のなかで、「正直に言って低金利政策が好きだ」とも述べた。

大統領がドルの価値について直接コメントするのは異例で、中国を為替操作国とみなし輸入関税を引き上げることは止めるが、貿易赤字対策をとる必要性を考えていることは変わっていない。

ーーー

米財務省は4月14日、為替報告書( REPORT TO CONGRESS:Foreign Exchange Policies of Major Trading Partners of the United States)を発表した。

これは2016年2月に成立した2015年貿易円滑化・貿易履行強制法案に基づくものである。

この第701条は、「米国の主要貿易相手国との為替レートおよび経済政策の取り極めの促進」と題し、次のように規定している。

財務長官はこの法律制定から180日以内に、米国の主要貿易相手各国について、米国との貿易収支、直前の3年間における経常収支のGDP比、外貨準備額の短期債務額比とGDP比を含む報告書を上院財政委員会および下院歳入委員会に提出し、以後半年毎に提出する。

重大な対米貿易黒字実質的な経常黒字を有し、外為市場に対する長期かつ一方的な介入を行った米国の主要貿易相手国については、マクロ経済および為替政策に関する高度な分析を行い、財務長官はこの法律制定から90日以内に、この分析で使用した諸要因を公表する。

財務省は上記②の重大な対米貿易黒字実質的な経常黒字を有し、外為市場に対する長期かつ一方的な介入を行った貿易相手国の分析に関し、次の基準で選ぶこととした。

重大な対米貿易黒字 対米貿易黒字が200億ドル(米国GDPの約0.1%) 以上
実質的な経常黒字 経常黒字がその国のGDPの3.0%以上
外為市場に対する介入 GDPの2%以上(ネットで)の額の外貨を繰り返し購入

3つの基準全てに該当する国が701条の対象だが、財務省は、このうち2つに該当する国を「監視リスト」に入れ、監視していくこととした。1度指定されれば、次回の報告書でも自動的に指定される。

2016/5/2 米、日本や中国などを為替操作「監視リスト」に

過去2回の報告で3つの基準全てに該当する国はなく、中国、日本、韓国、台湾、ドイツ、スイスが監視リストに入った。

2016/10/19 米財務省、外国為替報告書で前回4月に続き日本を「監視対象」に指定

今回の結果は下記の通り(赤字は基準に該当)で、3つの基準全てに該当する国はなく、2つの基準に該当するのは、日本、ドイツ、韓国、スイスの4国である。以前に該当した中国と台湾もリストに残る。台湾は介入をしているが、介入額が久しぶりにGDPの2%未満にとどまった。


中国についての報告は下記の通り。

2016年のモノの対米貿易黒字は、前年の3670億ドルから3470億ドルに減少した。中国への輸出も中国からの輸入も減少したが、輸入の減少の方が多かった。サービスについては米国の黒字が増加し、モノとサービスの合計の米国の赤字は3100億ドルとなった。

中国全体の経常黒字のGDP比は、2015年の2.8%から2016年は1.8%に減少した。(1回目の報告では3.1%で基準に該当したが、前回と今回は3%未満で、該当しない)

外為市場には一方的な、大規模な介入を続けている。これは人民元の切り下げのためではなく、米国、中国およびグローバル経済にマイナスとなる人民元の急落を防ぐための介入である。
財務省では、2015年8月から2017年2月までの間に、中国が8000億ドルもの外貨資産を売却したと推定している。
財務省は今後も、監視を続ける。


日本については、過去5年間、為替介入はしていないとしたが、下のグラフの通り、実質実効為替レートは過去20年の平均より20%弱く、過大評価である証拠はほとんどないと指摘し、一段の円安・ドル高をけん制している。

    指数(2005/10=100)
   


 参考  実数


東芝は3月30日、臨時株主総会で、半導体事業を分社化して売却する計画を3分の2以上の賛成で承認を受け、4月1日に半導体事業の新会社「東芝メモリ」を発足させた。

東芝メモリの売却先を決める入札手続きは3月29日に締め切られ、海外のファンドや競合企業など約10社が応札した。

このうち、有力とされるのは、米半導体大手のBroadcom Ltd.、東芝の四日市工場で半導体事業に共同投資する米Western Digital Corp、シャープを傘下に持つ台湾の鴻海精密工業(Foxconn)、半導体大手の韓国SK Hynix の4陣営とされる。Broadcomは米ファンドのSilver Lake Partners と連合を組んでいる可能性がある。

Wall Street Journal によると鴻海は3兆円のオファーをしたとされる。

しかし、半導体事業に共同投資する米Western Digital が東芝メモリの入札にクレームをつけた。

Western Digital (が買収したSanDisk)は、東芝の主力製品であるNAND型フラッシュメモリ事業に関する提携 を行っており、実質折半出資のJVが東芝の工場の建屋内に設備を所有し、生産を行い、製品を折半で引き取っている。(後記の通り、一部生産ラインの約3割は東芝がJVから取得し、単独で運営している)    これまで日本に90億ドルもの投資をしたという。

Western Digital は、これがあるために190億ドルという多額の金額でSanDiskを買収したと言える。

東芝の取締役会宛ての4月9日付の同社CEOのレターで、東芝メモリの分割がJV契約の重大な違反であるとしている。入札手続きは東芝の株主の利益にならないとし、独占交渉を求めている。

付記

東芝はWestern Digital の持ち株を東芝メモリに譲渡したが、JV契約では、事業譲渡には双方の同意が必要となっており、現状は違反。破産の場合を除き、契約は法的拘束力を持つ。
準拠法はカリフォルニア州法。

噂に挙がっている候補は適当でないとし、特にBroadcomについて最近の取引を基に重大な懸念を示している。さらに噂される2~3兆円の金額はチップ事業の公正な価値を上回るものだとしている。

Western Digital Corp が東芝とのJVの相手となったのは2016年5月で、それまではSanDisk Corporationが相手であった。

Western Digitalは大手ハードディスクメーカーであったが、2015年11月21日、フラッシュメモリ製品メーカーのSanDisk を190億ドルで買収することで合意したと発表した。
2016年5月12日に買収が完了し、SanDiskはWestern Digitalの完全子会社となった。

SanDisk と東芝は1999年10月7日、次世代の大容量NAND型フラッシュメモリの共同開発と、製造合弁会社を設立することで基本合意に達した。(その後の経緯は後記の通り)

それ以来、両社の技術者が詳細な情報を共有して最先端の製造プロセスを開発してきた。 (2014年時点でSanDisk技術者 約600名が四日市工場に駐在)
東芝の事情だけで簡単に合弁契約を解除することはできない。東芝メモリを同社の意向に反する企業に売却することも難しい。

東芝は債務超過の解消のため、できるだけ高い金額での売却を望んでいるが、3兆円のオファーをしたとされる鴻海については中国との関係で日本政府が認めない可能性がある。

さらに今回のWestern Digital の主張は、東芝にとって深刻である。Western Digital との独占交渉では、売却価額はかなり低いものとなると思われる。逆に他社を選んだ場合、JV契約違反で裁判になると、短期の解決は考え難い。売却相手によっては独禁法の問題も生じる。

東芝がこれまでJV相手のWestern Digital と話をしていなかったのは不思議である。

東芝の再建に新たな問題となる。

ーーー

東芝とSanDiskのJVの経緯は次の通り。

1999/10/7 NAND型フラッシュメモリ事業に関する提携で基本合意
 ・次世代の大容量フラッシュメモリ(512メガビット、1ギガビット)及びSDメモリーカード用コントローラの共同開発
 ・折半出資による製造合弁会社の設立と、東芝の国内外のメモリ生産拠点を活用した両親会社への製品の供給
2000/5/10 NAND型フラッシュメモリの製造合弁会社の設立
 社名:FlashVision LLC
 立地:バージニア州(東芝子会社
Dominion Semiconductor内に700億円の設備投資)
 出資比率、製品引取比率:50/50
2000/9 業界最大容量512メガビットNAND型フラッシュメモリの商品化決定
 2001/7から
Dominion Semiconductor内で生産
2001/12/18 東芝の半導体メモリ事業の構造改革
 
Dominion Semiconductorの設備を2002/1にMicron Technology Inc.に売却
 半導体メモリ事業に関する技術、生産管理などの本社機能を、2002/6月末までに四日市地区に集結
 
四日市工場をメモリ事業の世界拠点に
2002/4/12 「フラッシュビジョン」(50/50JV 旧:Flash Vision LLC)を東芝四日市工場内に移転
 NAND型大容量フラッシュメモリ(512メガビット、1ギガビット、2ギガビット)の製造
2003/12/3 NAND型フラッシュメモリの生産能力増強
 300mmウェハー対応の製造ラインを共同で導入
 製造は、両社の合弁会社フラッシュビジョン  投資総額は約2000億円
2004/4/13 四日市工場における最先端のNAND型フラッシュメモリ製造棟(第3クリーンルーム棟)の建設
Flash Partners 東芝:50.1%、SanDisk:49.9%
2005/2/21 東芝四日市工場における300ミリウェハー対応新製造棟の竣工
2007年前半には月産40,000枚
2006/4/5 NAND型フラッシュメモリの生産能力増強
四日市工場内に300ミリウェハー対応の新製造棟(第4製造棟)を建設
製造設備はFlash Alliance(東芝:50.1%、SanDisk:49.9%)が導入、2008年後半には月産8万枚
2008/6/16 四日市工場200mmウェハ製造ラインの再構築
 200mmウェハラインの生産活動を終了し、保有設備を移設、売却
2008/10/20 改組
 これまで:第3、第4製造棟で、両社の合弁会社を通じて、共同生産(折半出資、均分引取)
 今後:第3、第4製造棟の生産ラインの約30%を東芝単独で運営
    残りの約70%については、引き続き、合弁会社形式で共同生産し、生産能力を両社で均分。
2011/7/12 四日市工場でNAND型フラッシュメモリ新製造棟(第5製造棟)を竣工
設備投資は、2010年9月設立のフラッシュフォワード社(東芝 50.1%、SanDisk 49.9%)
2014/5/14 四日市工場第2棟を建て替え
2015年夏に竣工、NAND型フラッシュメモリ(3Dメモリ)の専用設備を設置する拡張スペースを確保
2015/10 両社共同で設備投資を実施する正式契約を締結。3次元フラッシュメモリの生産体制を構築。
2016/7 竣工
2014/9/9 四日市工場の第5製造棟(第2期分)の竣工
 15nmプロセスを採用した製品の量産
2016/5/12 Western Digital によるSanDisk 買収完了
 東芝のJV相手はWestern Digital に。

2014年9月の竣工式でのSanDiskのCEOのスピーチ:

東芝とSanDiskは、日本と米国をつなぐお手本ともいえる取り組みであり、半導体業界のなかで最も成功を収めた協業である。15年間の協業によって、フラッシュメモリを11世代も進化させてきた。四日市工場は、300mmウエハの製造工場を3棟持つ、世界最大レベルの工場であり、SanDiskは、90億ドルの投資を行っており、日本に対して、最大の投資を行っている米国の企業だともいえる。

現在、日本にはSanDiskの社員として600人以上のエンジニアを有しており、今回の第5製造棟第2期分の稼働により、15nmプロセスの新たな技術へと進むことができる。さらに今後は、既存の製造拠点にも磨きをかけて最先端技術を展開していく。


経済産業省は4月6日、エネルギー供給構造高度化法の「判断基準」に基づく、石油精製業者による原油等の有効利用の取組(残油処理能力の向上) の結果を発表した。

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経済産業省は2010年7月5日、通称「エネルギー供給構造高度化法」に基づき、告示を出した。

日本の重質油分解装置の装備率を2013年度までに10%から13%程度まで引き上げることを目標に基準を定め、引き上げを義務化した。処理期限は2014年3月末である。

2014/3/14 エネルギー供給構造高度化法 処理期限

この処理期限の2か月後の2014年6月に、経産省は、産業競争力強化法第50条に基づき、石油精製業に関する市場構造調査を実施し、
石油精製業は、①需要に見合った生産体制にする「設備最適化」や②総合エネルギー企業化も視野に入れた資本や地理の壁を越えた「事業再編」の早急な実施が必要であると結論付けた。

この結果を踏まえ、7月末にエネルギー供給構造高度化法の新たな判断基準を告示し、
対象となる石油会社に対して、「設備最適化の措置」と「事業再編の方針」を含む目標達成計画の提出を求め るとともに、
残油処理装置の装備率(残油処理装置の処理能力÷常圧蒸留装置の処理能力)の2016年度までの改善を求めた。

2014年3月31日時点の平均45%程度の残油処理装置の装備率を 50%程度まで向上させることとし、各企業の目標改善率を下記の通りとした。

5%未満の場合         13%以上改善
45~55%の場合 11%以上改善
55%以上の場合 9% 以上改善
平均 45%程度 50%程度まで向上

2014/7/4 経済産業省、2年続きで石油精製能力削減を強制 

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2017年3月31日時点の各社の残油処理装置装備率は次の通り で、全社平均の残油処理装置の装備率は50.5%となり、「判断基準」で定める目標(50%程度)を達成した。

2014/3/31
の装備率

目標改善率

2017/3/31
の装備率

改善
JXエネルギー 46.20% 11%以上 51.20% 達成
東燃ゼネラル石油 35.90% 13%以上 40.60%
出光興産 51.50% 11%以上 57.20%
昭和シェル石油 59.40% 9%以上 64.80%
コスモ石油 43.40% 13%以上 49.00%
富士石油 48.30% 11%以上 52.40% 未達
特例適用
太陽石油 24.60% 13%以上 23.20%


特例 単一製油所で、対応により安定供給に支障が出る場合、残油処理装置の装備率の向上に準ずる措置による取組を認める。


事業再編については、JXホールディングスと東燃ゼネラル石油が2017年4月1日に合併し、JXTGグループとなった。

2016/9/2  JXホールディングスと東燃ゼネラル石油、経営統合の最終合意

2016/12/20 公取委、出光興産による昭和シェル石油の株式取得と JXホールディングスによる東燃ゼネラル石油の株式取得を承認 

経済産業省は3月24日、産業競争力強化法第24条第1項の規定に基づく「事業再編計画」を認定した。

出光興産は2015年7月30日、昭和シェル石油の株式 33.24% を取得する株式譲渡契約を締結 、両社は2015年11月13日、経営統合に関する基本合意書を締結した。公取委の承認も受けたが、出光興産の創業家は合併に反対を続けており、見通しがつかないままである。

2015/8/3 出光興産と昭和シェル石油、経営統合で基本合意 

2016/12/20 出光興産、シェルから昭和シェル株式取得

2016/12/20 公取委、出光興産による昭和シェル石油の株式取得と JXホールディングスによる東燃ゼネラル石油の株式取得を承認 

統合に取り残されたコスモは2017年2月21日、販売会社のキグナス石油と資本・業務提携契約を締結、単独での生き残りを図る。

キグナス石油とコスモ、資本業務提携契約締結

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残油処理装置の装備率(残油処理装置の処理能力÷常圧蒸留装置の処理能力)の改善には、残油処理装置の処理能力の増加 and/or 常圧蒸留装置能力の減少が必要である。
後者については前回は廃棄が条件であったが、その直後のことでもあり、公称能力の削減(減産)も認めた。

実際に全社が公称能力の削減(減産)である。下記(単位:千バレル/日)は各社の発表又はホームページ記載の能力である。

1) JX    
  
コンデンセートスプリッター含む能力(下記の*)が公称能力
   
大阪国際石油精製 はPetroChinaとのJVで、輸出型製油所 (装備率計算にはこれも含める)

社名 製油所

第一次

今回

処理前 処理 2014/3 処理前 処理 処理後
一般 *
鹿島石油 鹿島 210 -21 189 252.5 274 -76 197
日本海石油 富山 60 -60 0
ジャパンエナジー 水島 205.2 205.2 240.2 380 -60 320
新日本石油精製 水島 250 -110 140 140
室蘭 180 -180 0
仙台 145 145 145 145 145
根岸 340 -70 270 270 270 270
大阪 115 -115 0
麻里布 127 127 127 127 -7 120
大分 160 -24 136 136 136 136
合計 1,792.2 -580 1,212.2 1,310.7 1,332 -143 1,188
大阪国際石油精製 大阪 115 115 115 115 115

                                  

2) 東燃ゼネラル 

社名 製油所

第一次

今回

処理前 処理 2014/3 処理前 処理 処理後
東燃ゼネラル石油 川崎 335 -67 268 258 -23 235
156 156 156 -21 135
和歌山 170 -38 132 132 -4.5 127.5
極東石油 千葉 175 -23 152 152 -23 129
合計 836 -128 708 698 -71.5 626.5

   *  極東石油 は2015年東燃ゼネラル石油に吸収合併                   
      川崎は2015/3に -10

3)昭和シェル石油 

社名 製油所 第一次 今回
処理前 処理 2014/3 処理前 処理 処理後
昭和四日市石油 四日市 205 +50 255 255 255
西部石油 山口 120 120 120 120
東亜石油 京浜 70 70 70

-5

65
昭和シェル 扇町 120 -120 0 0
合計 515 -70 445 445

-5

440

4) 出光興産

社名 製油所

第一次

今回

処理前 処理 2014/3 処理前 処理 処理後
出光興産 北海道 160 160 160 -10 150
千葉 220 220 220 -30 190
愛知 175 175 175 -15 160
徳山 85 -85 0
合計 640 -85 555 555 -55 500

5) コスモ石油

社名 製油所

第一次

今回

処理前 処理 2014/3 処理前 処理 処理後
コスモ石油 千葉 240 240 220 +20 240
四日市 155 -43 112 132 -47 85
100 100 100 100
坂出 140 -140 0
合計 635 -183 452 452 -27 425

6) 富士石油

社名 製油所

第一次

今回

処理前 処理 2014/3 処理前 処理 処理後
富士石油 袖ヶ浦 195 -52 143

143

143

7)太陽石油:

太陽石油の残油流動接触分解設備 (日量 25千バレル)は2010年の告示発表時点では既に建設中で、装備率20.8%は改善後の各社よりも高い。

社名 製油所

第一次

今回

処理前 処理 2014/3 処理前 処理 処理後
太陽石油 四国 118 118 118 118



日立製作所は4月5日、子会社の英国の原発事業開発会社の Horizon Nuclear Power が、英国Anglesey島のWylfa Newydd の原子力サイトライセンスを英国原子力規制庁(Office for Nuclear Regulation) に申請し、受理されたと発表した。

同社は2基のUK ABWR (英国向け改良型沸騰水型原子炉) の 2019年後半の建設開始、2020年代前半の初号機運転開始をめざして 開発を進めている。

サイトライセンスは、原子炉の建設および運営に関する英国原子力施設法に基づき、原子力規制庁から許可されるもので、今後、19 ヵ月間にわたる厳格な審査を通して、申請者のHorizon が規制義務を履行可能な適格な法人であること、建設予定地において安全に関る全ての作業を管理・統制し、これを実証できるかなどについて評価される予定 。

東芝が英中部Sellafield で合計出力360万キロワットの原発建設を予定しているNewGeneration (NuGen)の完全売却も視野に入れて、「引き続き出資者の募集や持ち分売却を検討する」としている のに対し、日立は着実に海外事業の拡大を進める。

2017年4月5日 英国の原発事業会社 NewGeneration

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日立製作所は2012年10月30日、英国で原子力発電所の建設を計画している原発事業会社Horizon Nuclear Power の全株式を、同社株主のドイツのエネルギー会社 No.1のE.ON 及びNo.2のRWE から買収する契約を締結した。買収額は6億7000万ポンド(約850億円)。

合わせて、建設プロジェクトの計画・推進に向け、英国で原子力業界有数のBabcock InternationalRolls Royce、カナダの建設エンジニアリング会社SNC-Lavalin と協力覚書を締結した。

Horizon は、北ウエールズのAnglesey島のWylfa Newydd とSouth Gloucestershire のOldbury-on-Severn の2カ所で、5,400MW級以上の原発(1,300MW級をそれぞれ 2~3基)を建設する。
今回、Wylfa Newydd での2基について申請したもの。


第三世代原子炉である改良型沸騰水型原子炉(
ABWR)技術を用いる。

日立とGEのJVのGE Hitachi Nuclear Energyが高経済性・単純化沸騰水型原子炉(ESBWR:Economic Simplified Boiling Water Reactor)の設計認証を申請中だが、実績を優先した。

2012/11/1 日立製作所、英の原発会社買収


日本原子力発電(日本原電)は2016年7月7日、日立製作所及びHorizon Nuclear Power との間で、Wylfa Newydd で開発を進めているABWR の建設プロジェクトに関し、許認可段階における協力協定を締結した。

2016/7/9 日本原子力発電、日立の英国の原電事業に協力 

日英両政府は2016年12月22日、原子力分野で包括的に協力する覚書を結んだ。

日本政府は原発の輸出を促進するため、今後英国側と資金支援の詳細な検討を進める方針で、覚書では、日立傘下のHorizon Nuclear Power が英中部Wylfa Newydd で、東芝傘下のNuGenが英中部 Moorside(Sellafield)でそれぞれ計画する原発について言及した。

2016/12/27 日英、原発建設協力で覚書、日立・東芝の案件対象

米上院本会議は4月7日、トランプ大統領が保守派のNeil Gorsuch 連邦控訴裁判事を最高裁判事に指名した人事を 54 対 45 の賛成多数で承認した。

承認は、「核オプション」(nuclear option)と呼ばれる禁じ手を使って行われた。

最高裁で保守色が強まるのは必至で、銃規制や人工妊娠中絶など、米世論を二分する問題を巡る司法判断に影響する可能性がある。

移民の入国を一時禁止する大統領令も裁判所が差し止めているが、今後は最高裁に上告すると思われる。

大統領は早速 Twitter を出した。

Congratulations to an exceptionally qualified and respected judge on his confirmation to the Supreme Court!

ーーー

最高裁判事の定員は9人。昨年の保守派のScalia 判事死去により、現在は保守派4人(中道1人含む)、リベラル派4人と勢力が拮抗している。
トランプ大統領は公約通り
、1月31日に保守的な信条で知られる Neil Gorsuch 判事を指名すると発表した。就任すれば、保守派 5 対 リベラル派 4 に戻ることになる。

米上院司法委員会は4月3日、Gorsuch判事を11対9の賛成多数で承認した。

しかし、上院本会議では野党・民主党の抵抗は強く、承認に必要な60議席には達しない見通しである。上院(定数100)で与党・共和党は52議席を占めるが、民主党の議事妨害(フィリバスター)を打ち切って採決に持ち込むには60議席の賛成が必要になる。

フィリバスター制度は上院にだけある。 与党の権力乱用を防ぐ措置として、1789年の上院設立以来認められてきた。
フィリバスターは本来は演説を長時間続ける手法であるが、現在では上院規則22条によりフィリバスターを宣言するだけでフィリバスターが有効とな り、演説を続けることは不要である。
会期末までフィリバスターの宣言を通すことができるため、意見調整が出来ない限り、多数派が法案成立を放棄せざるをえないことになる。

審議打ち切りは当初、3分の2(67票)が必要であった。1975年の規則変更で5分の3(60票)となった。

今回、民主党がフィリバスターで抵抗し、審議打ち切りに本来必要な60議席の賛成は得られないのは確実なため、共和党は、51議席の賛成があれば承認できるようにする規則変更に踏み切った。
これは、多数派による強行採決が容易になることから、「核オプション」と呼ばれ、禁じ手とされている。

米上院は4月6日、トランプ大統領が連邦最高裁判事に指名したNeil Gorsuch 連邦控訴裁判事の人事を巡り、審議打ち切りの動議 (Motion to Invoke Cloture on the Nomination of Neil M. Gorsuch of Colorado, to be an Associate Justice of the Supreme Court of the United States)を賛成多数で可決した。 本件に関してのみ単純過半数の賛成で打ち切りを可能にする規則変更で、民主党員も3名が賛成した。

共和党 民主党 無所属 合計
賛成 52 3   55
反対   43 2 45
棄権    
合計 52 46 2 100

これにより、4月7日、Neil Gorsuch 連邦控訴裁判事の最高裁判事就任を 54 対 45 の賛成多数で承認した。

共和党 民主党 無所属 合計
賛成 51 3   54
反対   43 2 45
棄権 1     1
合計 52 46 2 100

核オプションの行使により、議会で共和党と民主党の関係が一段と悪化することになる。
民主党のブルーメンソール上院議員は「核オプションと呼ばれるのは理由がある」と述べ「おそらく今後数年間、上院に非常に危険な死の灰が残ることになる」と警告した。

ーーー

民主党は2013年に下級審の判事や政府高官の人事について共和党の議事妨害を破るため規則を変更した。
但し、最高裁判事は終身制で影響力が大きいことなどから、最高裁判事の承認は規則変更の対象外とし、60議席の条件を維持した。

今回初めて、最高裁判事の承認を単純多数決で行うこととなる。

2013年にオバマ大統領が指名した公職者承認案のほとんどを共和党がフィリバスターで妨害した。

このため、民主党は2013年11月21日、手続き票決の可決定足数を60票から51票に引き下げる法案 (「核オプション」)を賛成52票、反対48票の僅差で成立させた。
当時、民主党は上院で55席(53席+民主系無所属2席)を占めているため、フィリバスターを防ぎ承認案を票決に付すことができるようになった。

但し、規則の条文はそのままとしたため、現時点ではフィリバスターを防ぐには60票が必要である。

当時、共和党側は、変更は合衆国憲法で上院に与えられた指名人事への「助言、承認」機能を損なうものだとしていた。

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