「no」と一致するもの


油田開発・サービス世界最大手のSchlumberger Ltd.は8月26日、掘削機材メーカーのCameron International を約127億4000万ドルで買収すると発表した。

合併により、油田調査から井戸掘削までの幅広い事業にCameronの油圧制御機器や爆発防止装置といった商品を加えられるようになる。

Cameron株主は1株につき現金14.44ドルとSchlumbergerの0.716株を受け取る。Cameron株主は統合後の会社の約10%を握る計算。
1株当たりでは66.36ドルで、
Cameron株の25日終値(原油価格下落で1年で42%下落している)を56.3%上回る水準となる。

取引は2016年1-3月期中の完了予定。Schlumbergerによれば、シナジー効果(税引き前)は完了後1年目で約3億ドル、2年目で6億ドルに達する見込み。

CameronとSchlumbergerは2013年6月、海底石油・ガス市場向けに製品、システム、サービスの製造と開発を行う合弁事業のOneSubseaを60/40の出資で設立している。

今回の買収についても数ヶ月間、協議していたとされる。Schlumbergerはその間の株価下落で安価に買収できたこととなる。

原油価格の低下を受け、エネルギー各社は投資を削減している。
日本経済新聞はメジャー6社は2015年の投資を前年実績の16%に相当する約300億ドル減らすと報じている。エネルギー業界全体で投資見直し規模は2000億ドル規模に上るとの予測もある。

今回の買収はこれに対応するものであり、2014年11月に発表された業界2位のHalliburton Co. と3位のBaker Hughes Inc.の346億ドルの合併に次ぐものである。

ーーー

米資源装置・サービス大手のHalliburton Co は2014年11月17日、同業のBaker Hughes Inc を現金と株式で買収すると発表した。買収総額は346億ドルに上る。

原油安を受けて世界的に石油開発のピッチが鈍化する可能性が出てきており、互いの重複部門を整理するなどしてコスト競争力を高める。年間20億ドルのコストダウンを目指す。

売り上げ規模は単純合計でSchlumbergerを上回り業界トップの専業企業となる見通しだが、独禁法上で問題となる可能性がある。
Halliburton はこれを避けるため、75億ドル相当の事業の売却を行うとしている。

本年4月終わりに、HalliburtonはSperry Drilling 事業を売りに出した。30億ドルでの売却を狙っている。

更に掘削ビット(鑿)事業も売りに出した。15~20億ドルを見込んでいる。

独禁法をクリアできない場合、Halliburton はBaker Hughes に35億ドルを支払う。

 

しかし、米国でもEUでも公取当局の審査は難航している。

両社は米国のシェールオイルからブラジル沖の深海まで、多くの同じ地域で掘削を行っている。両社の事業所は北米、欧州、中国、中東からラテンアメリカまで重複している。

対策としてHalliburtonが行う事業売却が、合併で失われる競争を補うことになるのかどうかも疑問視される。

各当局は油田開発・サービスの2位と3位の合併による独禁法上の影響について懸念し、次々と資料を要求しており、見通しは立っていない。

ーーー

HalliburtonとCameronはともに、2010年4月20日に発生した海洋掘削プラットフォームDeepwater Horizon rig の爆発事故に関与している。

Deepwater Horizon rig 関連
  ・設計:R&B Falcon
  ・建設:韓国の現代重工業
  ・所有:Transocean(R&B Falconを買収)
  ・リース:BP Exploration and Production

  ・コントラクター 
    Transocean:掘削作業
    Halliburton:セメント作業(井戸内、または井戸と鉄管との間のセメント作業)
       M-I SWACO(SchlumbergerとSmith InternationalのJV):Drilling Fluid (mud)サービス

  ・Blow Out Preventor(BOP)の製造:Cameron International

  2010/6/17 メキシコ湾石油流出事故の損害負担 

 

Halliburton:

Halliburtonは2014年9月、同社に対する一般及び漁業者からの損害賠償の訴訟で、11億ドルの支払で合意した。

BPはHalliburtonに対し、不適切かつ不注意に作業を行い、これが爆発の原因になったとして、民事訴訟を行った。
これに対し、Halliburtonは、爆発は他の関係者により起こったもので、同社の行動によるものではないとして、BP、Transoceanと他のコントラクターを訴えた。

2015年5月21日、BPとHalliburtonは和解し、それぞれに対する訴訟を取り下げた。

米政府による水質浄化法(Clean Water Act)に基く民事訴訟の裁判で、New Orleansの District Court のCarl Barbier 裁判官は2014年9月4日、BPに「重大な過失」(gross negligence )と「故意の不法行為」(willful misconduct)があり、これが大量流出の原因となったとし、BPは水質浄化法によるバレル当たり4,300ドルの罰金に値するとの判決を言い渡した。
リグのオーナーで掘削作業を行った
Transoceanとセメント作業を行ったHalliburtonに対しても「過失」(「重大な過失」ではない)があったとみなした。

責任割合について、判事は、BPが67%、Transoceanが30%、Halliburton が3%と認定した。

最終的にClean Water Actによる罰金は、BPは55億ドル、Transoceanは10億ドルとなったが、Halliburtonについては、政府から訴えられていないと報道 されている。

Cameron:

パイプの元には自動的に原油流出を止める噴出防止バルブ(blow-out preventer)が備えられていたが、装置が稼動しなかった。

2011年12月16日、BPとCameronは、CameronがBPに250百万ドルを支払うことで和解した。

刑事面では機器の欠陥を理由にいくつかの罪を問われたが、2013年4月にU.S. District JudgeはCameron側に重大な過失(gross negligence )無しとして全てのクレイムで免責とした。

同社は事故に伴い油井に関する新しい規則が出たため、石油会社が機器を更新したため、恩典を受けている。





米医薬品メーカー Sucampo Pharmaceuticalsは8月26日、アールテック・ウエノを330億円で買収すると発表した。
アールテック・ウエノ の持つ現金約54百万円とSucampo 株式 (250万株、持株比率5.5%)を含む。

1株1900円で公開買付けを行い、全株式の56%を取得する。
残る44%については、アールテック
の創業者と関係団体から1株1400円で買い取る。

Sucampo も アールテックも、上野隆司博士と久能祐子博士夫妻が設立した会社で、夫妻は両社の大株主である。
今回、両社を一体化する。

Sucampo:夫妻及び夫妻の資産管理会社(S&R Technology Holdings)が46.17%を所有
     (2015年3月に株式公開のため一部放出した後の持株比率)

アールテックS&R Technology Holdingsが32.99%、上野博士が16.57%、久能博士が10.35%
      (他にオリックスが9.19%)

ーーー

夫妻は新技術開発事業団(現 科学技術振興機構)で研究に携わっていたが、上野博士はプロスタグランジンの代謝物でケトン基を有するものが活性を有することを発見し、プロストン(Prostone) と名付けた。

夫妻は上野博士の父親が社長の上野製薬で緑内障・高眼圧症治療薬「レスキュラ点眼液」の開発を進めた。

夫妻は1989年にアールテック・ウエノを設立、久能博士は経営に専念した。

1994年に「レスキュラ点眼液」の製造承認を取得し、藤沢薬品工業(現 アステラス製薬)と独占的販売契約を交わした。(2004年10月に眼科領域に強い参天製薬へ変更)

2001年に上野製薬からレスキュラの製造販売業務の承継を含む事業承継を受け、製造発売元になった。

夫妻は1996年に米国にSucampo Pharmaceuticalsを設立し、Prostoneをベースにした医薬品の開発を開始 した。
最初の製品がAmitizaで、成人向け慢性特発性便秘症治療薬として
2006年1月に米食品医薬品局(FDA)より販売認可を受けた。

2002年に英国にSucampo Pharma Europe、日本にスキャンポファーマを設立し、日米欧三極で医薬品を開発する体制を構築した。

アールテック・ウエノは、グループの中で、プロストン製剤の全世界への製造供給を担う。

ーーー

Sucampo Pharmaceuticalsは米国とカナダでのAmitizaの独占販売権を武田薬品に譲渡、武田薬品は米国で 2006年4月に販売を開始した。

久能博士は「ワシントンDCライフスタイル」のインタビューで次のように述べている。

1996年には最初に開発した薬のロイヤリティーも入り始めていたので、それを元手にしてアメリカで上野と共に創薬ベンチャーの「スキャンポファーマシューティカルズ」を1997年に立ち上げ、私はCEOに就任しました。

2002年にお金がなくなった時に投資家を募ったほか、最終的にまたお金がなくなった時にはまた新薬の販売権を武田薬品に合計200億円で売る(マイルストンを含む)ことにし、2006年に2番目の新「アミテーザ」の販売にこぎ着けました。

Sucampo Pharmaceuticalsは2010年3月15日、武田薬品が便秘薬のCollaboration and License Agreementに違反したとして、この契約の終了と損害賠償を求めて国際仲裁裁判所に調停を申し立てたと発表した。

Sucampoが開発した便秘型過敏性腸症候群治療薬アミティーザの売上高が当初予想を下回ったことなどを理由に「武田側が販促活動を怠った」として契約終了を要求していたが、武田側が要求を受け入れなかったとしている。

2010/3/22 米製薬ベンチャーSucampo Pharmaceuticals、武田薬品との調停申し立て

2012年7月、国際仲裁裁判所はSucampoの主張 を認めず、損害賠償についても認めなかった。
この結果、2004年に締結した独占的供給契約は継続することとなった。

その後2014年10月に、Sucampo Pharmaceuticalsと武田薬品 は、AMITIZA®について、グローバルでの開発、販売、供給に関する契約を締結した。
武田薬品は、これまでの米国・カナダに加え、日本および中国以外のすべての国におけるAMITIZAの独占的販売権を獲得した。

日本については2009年2月にアボットジャパンが独占販売権を取得している。
また、Sucampoは2015年5月11日、
Harbin Gloria Pharmaceuticals Co., Ltd. (哈爾濱譽衡藥業有限公司)との間でAMITIZA®に関する中国での独占的ライセンス契約を締結した。

 

 


Butamax Advanced Biofuels, LLC とGevoは8月24日、バイオベースのイソブタノールに関して世界中での特許のクロスライセンス契約を締結し、長期間争ってきた特許紛争を解決したと発表した。

ーーー

ButamaxはDuPontとBPのJVで、DuPontのバイオ技術・バイオ関連の製造技術とBPの燃料の技術経験と販売ノウハウを結びつけるもの。

両社は2003年にバイオ燃料の共同開発で合意し、2004年に対象をバイオブタノールに決め、2005年にコアとなる特許を申請した。

両社は2006年6月19日に、既存のバイオ燃料の限界を超える次世代バイオ燃料の開発・製造・販売でのパートナーシップの設立を発表した。

2008年に事業採算を確認、2009年にButamax社が設立された。

Butamax は2013年に第一世代のエタノールメーカーのHighwater Ethanol LLC と組み、同社のプラントをButamaxの最新の技術で改造した。
2014年に商業生産を開始した。


Gevoは2005 年にコロラド州Englewood を本拠地として設立された。
同社はカリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)の遺伝子組み替え技術を導入してバイオマスからイソブタノールを選択的に生産する技術を開発した。

現在、ミネソタ州Luverneの発酵プラントでイソブタノール、エタノール、高価値の動物飼料を生産している。
また、バイオアルコールから石化製品をつくる技術を開発しており、テキサス州 Silsbeeにバイオリファイナリーを持ち、South Hampton Resources Inc.の協力のもと、バイオジェット燃料、オクタン、ポリエステル原料などを生産している。

2009年にフランスのTotal が出資し、役員1 名を送り込んでいる。このほか、 Coca-Cola Companyや東レなど多数の有力企業と提携している。

ーーー

Butamaxは2011年1月、特許侵害でGevoを訴え、それ以降、抗争が続いている。

Delaware 地裁は2013年4月11日、GevoがButamax 特許を侵害していないとの判決を出した。

これに対し、Butamaxは控訴し、控訴裁は2014年2月18日、問題となった特許請求の新しい解釈に基づき、地裁判決を覆した。

これに対し、Gevoは最高裁に上告した。

米最高裁は2015年1月27日、Butamax勝訴とした控訴裁の特許請求の新しい解釈を否定した。
そして、前週の Teva Pharaceuticals とSandoz の特許紛争での判決で決まった控訴裁でのレビューの基準に基づき、再検討するよう控訴裁に差し戻した。


この審理が始まる予定であったこの日(8月24日)に和解が発表された。

Teva とSandozの特許紛争は下記の通り。

Tevaは多発性硬化症治療薬Copaxoneの特許権を有しており、Sandozがこの治療薬のジェネリック品を上市しようとしたため、TevaはSandozを特許権侵害で訴えた。これに対し、Sandozは 、クレームの記載用語が不明瞭であるとして、本特許の無効を主張した。

地裁は、当業者であれば十分理解することができると判断し、専門家からの証言を録ったのち、特許は有効であるとの判決を下した。

連邦巡回区控訴裁は、 審理を最初からやり直し、用語が不明瞭であるとして、地裁の判決を覆した。

2015年1月20日、米国最高裁はこの事 案で、地裁のクレーム解釈判決を控訴で再審理する際に使用すべき新基準を打ち立てる判決を下した。

これまでは、「de novo基準」(地裁判決を考慮せず、最初からやり直す)を使用していたが、今回、7対2の多数決で、再審においては地裁で判決の下された事実問題は「clear error基準」(明らかな誤りがない限り、地裁の判断を尊重する)を使用するべきであり、de novo 基準は、事実問題以外の法律問題などで使用すべきであるとした。

事件を総轄し、証言を実際に傾聴した地裁の判事は、証言はなく、弁論趣意書に基づいた代理人の議論だけが行われる控訴裁の判事に比べ、事実をより詳細に理解しているはずであるとしている。

ーーー

和解に当たって金銭の授受があるのかどうかについては明らかにされなかった。

クロスライセンスにより、両社はイソブタノールの全分野で全ての特許を使用できる。サブライセンスも可能

各分野で年間30百万ガロンまではロイヤリティなしで販売できるが、これを超えた場合、下記の通りロイヤリティを支払う。

分野 幹事会社

ロイヤリティ

支払 受取
On-roadのガソリンブレンド Butamax Gevo  Butamax
ジェット(Alcohol-to-jet) 燃料 Gevo Butamax  Gevo
船舶用ガソリンブレンド、卸パッケージ燃料、
パラキシレン
Butamax  Gevo
ケミカル イソブチレン Gevo Butamax
Off-road ガソリンブレンド、イソオクタン、
ディーゼル、溶剤
双方無し

幹事会社は必要な許可(EPA、ULその他)を取ったり、相手側の製品のこの分野での販売を手助けする。

イソブタノール製造・販売で全ての特許をクロスライセンスするが、両社とも独自のバイオ触媒やプロセス技術を持ち、これらは自由に第三者にライセンスできる。

両社とも発表分以外は情報を秘密とすることで合意した。


 

 

 

 


瑞海公司の爆発した当時の化学品の保管状況が明らかになった。

爆発後の写真(右)で見られるとおり、炭化カルシウムなどの置かれていた重箱区に爆発の大きな穴があいている。

付記 
「ダイヤモンド」誌は運抵庫に置かれたシアン化ナトリウム(河北誠信製の700トン)が原因ではないかとしている。
シアン化ナトリウムは化学反応を避けるため、単独で閉めきった危険物倉庫に置くべきなのに、野積みにし、露天に晒していた。

 


爆発前の工場の写真
 

 

天津市政府は8月25日、犠牲者の数を発表した。

死者:135人(うち、公安消防 21、天津港消防 60、警察 7)
行方不明:38人(うち、公安消防 3、天津港消防 20、警察 4)

入院:582人(うち、危篤 11、重症 25)、退院済み 216

 付記 8月30日現在

死者:150人(うち、公安消防 23、天津港消防 69、警察 10)
行方不明:23人(うち、公安消防 1、天津港消防 11、警察 1)

入院:367人(うち、危篤 5、重症 15)、退院済み 431

公安消防は正式には中国人民武装警察消防部隊で、隊員の身分は軍人で、兵役(2年間)として消防任務に就いている。
「消防新兵」と呼ばれる兵士で、十分な専門知識と経験に基づいた訓練を受けていないとされる。


中国の国有不動産 5社( 天津不動産集団有限公司、天津泰達投資持株有限公司、天津住宅建設発展集団有限公司、天津海泰持株集団有限公司、天津天宝持株有限公司)は 天津不動産企業社会責任連盟を結成し、爆発で損壊したアパートを買い取る。
地元当局が被害状況などを査定した上で「住民らの利益を損なわない形で」買い取り価格を決定するという。

 

付記

中国検察当局は8月27日までに、危険物取り扱いの許認可や安全検査を担う担当部局に職務の怠慢や職権乱用などがあったとして、同市交通運輸委員会トップら各部局の幹部計11人を拘束した。

 職務怠慢(監督を怠る)

天津市交通運輸委員 主任 武岱
(元)天津市交通運輸港口管理局 副局長 李志剛(退職)
天津市交通運輸委員會港口管理処 処 馮剛
天津市安全生産監督管理局 副局長 高懷友
濱海新安全生産監督管理局 局長 曹春波
濱海新企画&國土資源管理局 副局長 朱立明
天津税関 税関 新港税関 税関長 王家鵬
天津港(集團)有限公司 總裁 鄭慶躍
天津港(集團)有限公司 總裁助理  李洪峰
天津港(集團)有限公司 安監部副部長 鄭樹國

 職権乱用(条件を備えていないにもかかわらず危険物の取り扱い許可を与えた疑い)

交通運輸部水運局 副巡視員 王金文


付記  瑞海公司関係では下記の10名(舒錚を除く)が拘束されている。

瑞海公

出資

影のオーナー
名目 実際
会長 李亮 55% 55% 於學偉 元 Sinopec 天津分公司の副總經理瑞海公司創業者
副会長 曹海軍        
副会長 董社軒   45%    
CFO 宋齊        
社長 只峰        
安全担当副社長 尚慶森        
副社長 劉振國        
工場長 貝勝強        
李某某        
取締役 舒錚 45%      

 
    45%出資する副会長の董社軒
天津港公安局 元局長董培軍の子


ーーー

2015/8/14   天津で大規模爆発

2015/8/17   天津大爆発のその後

2015/8/21   天津爆発事故のその後 (2)




カナダの製薬大手 Valeant Pharmaceuticals International, Inc. は8月20日、「女性用バイアグラ」とも呼ばれる女性の性的欲求低下障害の治療薬 Addyi (一般名flibanserin) を手掛ける米製薬会社Sprout Pharmaceuticals, Inc. を買収することで合意したと発表した。

買収額は約10億ドル(借入金なしベース)で、契約締結時に5億ドル、2016年第1四半期に残り5億ドルを支払う。これに加え、今後の業績の一定割合を支払う。

Addyi (一般名flibanserin) は、閉経前女性の性欲低下障害(HSDD:Hypoactive Sexual Desire Disorder)に対する初の治療薬で、処方薬としての認可をFDAから8月18日に受けたばかり。10月中旬から先ず米国で販売する。今後、世界中での販売を目指す。

HSDDは、性欲の低下を特徴としており、いままで性欲が正常だった女性に発症し、性行動のタイプやパートナーに関係なく発症する。

FlibanserinはBoehringer Ingelheinが開発した。しかし、FDAから承認を得られず、2010年にSprout Pharmaceuticalsに権利を売却した。

FDAの諮問委員会は本年6月4日、女性の性欲向上に役立ち得るとして 賛成18、反対6で市販承認を促す判断を下し、FDAは8月18日に承認した。

買収完了後、Sprout はValeant の事業部となり、Sproutの現CEOはValeantに移り、この事業を担当する。

 

Sprout Pharmaceuticals は女性の HSDD 治療薬のみに注力している。

同社のCEOのCindy Whitehead は、FDA から最初に承認を受けた男性用の医療用テストステロン埋め込みペレット Testopel を販売するSlate Pharmaceuticals の共同創業者であったが、2011年にSlate Pharmaceuticalsからスピンアウトし("sprouted")、Sprout Pharmaceuticals を設立した。

その後、Slate Pharmaceuticals をActient Pharmaceuticals, LLCに売却した。

ーーー

Valeant Pharmaceuticals International は2014年、物言う株主William Ackmanが組んで米製薬会社Allergan の買収を目指したが。拒否された。

2014/10/22 米製薬会社 Allergan を巡る買収合戦

Valeant は本年2月22日、米同業Salix Pharmaceuticalsを借入金込みで145億ドルで買収することで合意したと発表した。
1株当たり158ドル、総額101億ドルの現金で全株を買い取る。

2015/2/28 Valeant Pharmaceuticals、米同業Salix Pharmaceuticalsを買収    

.



  

Lukoilは8月20日、カザフスタンのJVの Caspian Investments Resources Ltd.の50%持分をSinopecに売却する契約に調印した。売却額は10億8700万ドルで、カザフスタン政府からの認可は7月末に受けている。

Sinopec は残りの50%を2010年にインドの富豪Lakhshmi Mittal から購入しており、これで100%オーナーとなる。

実は両社は2014年4月に12億ドルでの売却で合意していた。

しかし直後から石油価格が下落し、約半値となった。このため、Sinopecは最終の契約を締結せず、Lukoil側は契約違反として調停にかけていた。

今回、値下げで最終合意に達したと見られる。

ーーー

Caspian Investments Resourcesはカザフスタンで5つの油田を開発している。

北西部のAktyubinsk RegionのAlibekmola と Kozhasai
カスピ海東岸のMangistau RegionのKarakuduk、North Buzachi、Arman

このうち、Alibekmola と Kozhasai はカザフスタン国営のKazMunayGas が50%、Caspian Investment Resources が50%出資するJVのТОО Kazakhoil Aktobeが運営している。1999年8月に25年の 採掘契約を締結した。

Caspian Investments の売却後も、LukoilはカザフスタンにTengiz、Karachaganak、Kumkol の3つの原油・ガス田を持ち、Caspian Pipeline Consortium の権益も有しており、ロシアの最大のカザフスタン進出企業である。

TengizのパートナーはChevron 50%、ExxonMobil 25%、KazMunayGas 20%、Lukoil 5%である。

2014年のカザフスタンでの生産は、石油が430万トン、ガスが15億m3となっている。

Kashagan 油田については 2013/9/14   カザフスタンのカシャガン油田、生産開始 

Caspian Pipeline Consortiumはカザフスタン最大の生産油田であるTengiz (及び途中のKashagan)と ロシアの黒海沿岸の積み出し港ノボロシスクとを結ぶ総延長1,580km、輸送能力2,800万トン/年の原油パイプライン(CPCパイプライン)を保有・運営するコンソーシアム。

 出資は下記の通り。

Transneft - 31%
Kazakhstan - 19%
Chevron Caspian Pipeline Consortium Co. - 15%
LukArco B.V. (Lukoil) - 12.5%
Mobil Caspian Pipeline Co. - 7.5%
Rosneft - Shell Caspian Ventures Ltd. - 7.5%
Agip International (N.A.) N.V. - 2%
Oryx Caspian Pipeline LLC - 1.75%
BG Overseas Holdings Ltd. - 2%
Kazakhstan Pipeline Ventures LLC (KazMunayGas / BP)- 1.75%

2001年3月に完工し、 2001年11月に正式に稼動を開始した。




 



日揮がサウジアラビアの国営石油会社 Saudi Aramco から同国北部 Turaif のシェールガス精製設備の第一期分を受注したことが8月20日に明らかになった。

Aramcoは2018年までに、日量2億立方フィートのシェールガスを生産する。
ガスはTuraifのWa'ad Al Shammal 計画(Ma'aden が開発している燐コンプレックス)の1000MWガス発電所の燃料として送られる。

2014年に日揮のほか、韓国のGSエンジニアリング建設、伊のMarie Tecnimont 及びカナダのSNC-Lavarin の4社が応札した。
当初は2014年11月末に決定予定(2016年12月完成)であったが、数回延期された。

第一期計画(通称 System A)は、シェールガスの坑口、パイプライン、精製設備建設を含み、能力は日量 66百万立方フィート(当初の50百万立方フィートから拡大された)。
契約金額は明らかでないが、2億ドル程度でないかとされる。

第二期分の System B 計画はこれの4倍で、同じ4社が応札している。

ーーー

Ma'aden は1997年にサウジの鉱物資源の開発のために政府100%出資で設立され、その後2008年に50%分が売却され、上場した。

当初は金鉱山の開発を行ったが、その後、燐、アルミ、工業用金属(マグネサイト、カオリン、低品質ボーキサイトなど)に事業を拡大した。

このうち、燐関係については2つの子会社を持つ。

1) Ma'aden Phosphate Company
         出資:Ma'aden 70%、SABIC 30%
         Al Jalamid 鉱山:粗鉱 年 1160万トン、コンセントレート 年500万トン(dry basis)
        
Ras Al Khair 工場:Al Jalamid から鉄道輸送したコンセントレートを加工
     生産:燐酸、硫酸、アンモニア、燐酸二安肥料(DAP:年産300万トン)、
      コジェネ、海水脱塩   

2) Wa'ad Al Shamal Project (建設中)
    設立:2012年承認  
        出資:Ma'aden  60%、
米国肥料最大手 Mosaic 25%、SABIC 15%
   Umm Wual 鉱山:Turaifの40km北東
   Wa'ad Al Shamal(Turaif)工場
    生産:コンセントレート、硫酸、燐酸、飼料用燐酸1カルシウム・
燐酸2カルシウム
      食品用精製燐酸、トリポリ燐酸ソーダ、

  他に、東部の Ras Al Khairにアンモニア・燐酸ベースの肥料工場を計画

Wa'ad Al Shamal Projectは2018年から、採掘及び発電用に日量 2億立方フィートのガスを引き取る計画。

 


Wa'ad Al Shamal Project はTuraif に人口10万人の都市と燐鉱山・化学を中心とする産業コンプレックスをつくる計画で、Bechtel がMa'adenに協力している。

 


2014年2月に下記の建設契約が締結された。

相手先 建設計画
SNC Lavalin (カナダ)/ Sinopec 硫酸工場
中国寰球工程  鉱石選鉱設備
Hanwha Engineering & Construction 燐酸工場(年産150万トン)
韓国企業 アンモニア工場
スペイン企業 燐酸肥料工場


ーーー

サウジは世界で5番目の天然ガスの貯蔵量を持つが、主に発電用の需要量は2030年には2011年から倍増する。このため、シェールガスの調査を行ってきた。

Aramcoは、北西部のAl Jalamid地区、東部のSouth Ghawar地区、南部の Rub'a al-Khali (Empty Quarter) の3地区でシェールガスの探査を行ってきた。

政府は、2016年のシェールガス生産量を日量 20~50百万立方フィートとし、2018年には5億立方フィート、最終的には40億立方フィートと推定している。

石油相は、サウジは有望なシェールガスを発見しており、採掘のための技術も妥当な価格で取得済みであるとしている。

石油相は2015年5月に、Aramcoが、建設中のWa'ad Al Shammal 計画の発電所用にシェールガスの供給を行うことを明らかにした。





天津の爆発事故を受け、市トップの黄興国・共産党委員会書記代理兼市長が8月19日、事故後初めて市内で記者会見し 「天津市の党委と政府の主要な責任者として私には今回の事故に対して逃れられない責任がある」と述べ、責任を取る意向を表明した。
黄市長は、習近平国家主席に近い指導者として知られる。

中国共産党中央規律検査委員会は8月18日、天津市の爆発事故現場で事故対応を指揮していた楊棟梁・国家安全生産監督管理総局長(閣僚級)を「重大な規律・法律違反の疑い」で調べていると発表した。
楊氏は天津市で国営化学メーカーや市経済分野の幹部を歴任し、2001~2012年の間、天津市副市長を務めた。

中国メディアは瑞海国際物流の董事長ら10人が拘束されたと報じた。ずさんな管理体制や贈収賄などについて調べている模様。

爆発現場の南約800メートルにマンションが立ち並び、数千人が暮らしていたが、壊滅的な被害を受けた。

中国の法律は、周囲1キロの範囲に住宅などがある場所に危険化学物質の貯蔵施設を造ることを禁じているが、人民日報によると、近くのマンション群が完成した後の2013年に爆発が起きた貯蔵施設の建設許可が出ていた。

地元では貯蔵施設の管理会社の幹部が天津市の幹部の親類だったといったうわさも繰り返し流れてい たが、同社の株の45%の所有者・董社軒が天津港公安局の元局長の息子であることが分かった。会長が55%を保有する。

この董社軒が新華社のインタビューで、「警察や消防当局とコネがある。私が彼らに資料を渡せば、すぐに認可をくれた」と話したという。 贈賄の事実には触れなかったという。 

付記  
会長は李亮で55%株主とされるが、実際の55%株主は創業者の於學偉于学伟)で、元 Sinopec 天津分公司副總經理

また、爆発した倉庫には許可量を大幅に上回る猛毒の化学物質があったことが分かっている。

天津市当局は、損壊した周辺の住居を買い取ったり、修繕したりする方針を明らかにした。破損程度を当局が査定する。

ーーー

天津市は8月19日、現場に残る化学物質について、硝酸アンモニウムや硝酸カリウムなどの酸化物が約1300トン、ナトリウムやマグネシウムなどの可燃性の高い物質が約500トン、シアン化ナトリウムなどの毒物が約700トンあると明らかにした。

国営中央テレビは17日、爆発現場の空気中から高濃度の有毒な神経ガスが検出されたと伝えた。李興華副参謀長は「シアン化ナトリウムと神経ガスという二つの有毒物質の値が最高値に達した」と述べたという。

しかし、天津市環境保護局長は、「そのような物質は検出されていない」と否定した。

ーーー

新交通システム津浜軽軌の東海路駅(終点)の駅舎とコントロールセンターは爆発で大きく損傷した 。イオンの近くの会展中心駅や隣の市民広場駅の駅舎も大きな損傷を受けた。
このため、8月13日から全線は運営停止になった。

周辺3キロが立ち入り禁止となっている。

中国天津市トップの黄興国・同市共産党委員会書記代理は19日の記者会見で、天津の大規模爆発で生産停止に追い込まれるなどして影響を受けた企業は176社に上ると明らかにした。
損害額はまだ分からないという。

トヨタ自動車は8月19日、現地合弁会社の天津一気豊田自動車の泰達工場と西青工場の生産停止を8月23日まで続けることを明らかにした。
24日以降に稼働を再開するかどうかも未定という。

同社は夏期休業(8月9日~16日)明けの生産を8月17日から始める予定になっていたが、避難勧告が出されたため、19日までの3日間を操業停止と していた。

天津一汽トヨタは中国における主力生産拠点の1つで、小型車「カローラ」などを生産しており、2014年の生産実績は44万台。

泰達工場は爆発現場から約2キロほどしか離れておらず、爆発により窓ガラスが割れるなどの被害があった。3キロ以内は現在、立ち入り禁止となっている。
西青工場は約70キロと離れているが、泰達工場からの部品供給が滞るため、同様に稼働を停止していた。

部品供給が滞っているため、長春西工場(吉林省長春市)も20~21日に休止する。

トヨタは完成車や部品受け入れのための代替の港を探す準備を進めている。 トヨタは2工場の操業停止を再延長し、週明けの24~26日の3日間も続けると発表した。また、爆風の被害に遭った出荷待ちの新車が約4700台に及んだことも明らかにした。

付記

トヨタは2工場の操業停止を再延長し、週明けの24~26日の3日間も続けると発表した。また、爆風の被害に遭った出荷待ちの新車が約4700台に及んだことも明らかにした。

天津港は中国の主要な自動車の荷揚げ港の一つで、2014年の日本などからの輸入台数は約50万台と、中国全体の約4割を取り扱っているとされる。

ルノーの中国の合弁会社は港の倉庫に保管していた輸入車 1500台近くが焼けたり壊れたりする被害に遭ったとしてい る。
フォルクスワーゲンと現代自動車も、倉庫などに保管していた輸入車が被害を受けたことを認めている。
地元の自動車輸入販売会社「国機自動車」は当時、現場近くの倉庫に日本円で580億円余りに相当する6500台余りの輸入車を保管していたことを発表した。
被害は不明。

富士重工業は中国に生産工場を持っておらず、現地で販売する車両はすべて日本から輸出している。
天津港は2014年度に中国向けに輸出した約51千台のうち4割超を取り扱った最大の拠点となっているが、事故現場から約2キロ離れた物流拠点に保管していた新車百数十台が被害を受けた。

同社は8月19日、華北部向け輸出車の荷揚げを天津港から上海港へ一時的に変更する方針を明らかにした。8月20日に日本を出港する予定の輸送分から上海港に荷揚げ先を切り替える方向で最終調整している。

三菱自動車もスポーツタイプ多目的車(SUV)約600台の被害があった模様だが、「現場に立ち入れないので確認ができない」という。
同社は中国への輸出車の陸揚げを上海や大連などほかの港に切り替えることを決めた。

 

天津でカーナビなどを生産している富士通テンは製品を陸路で別の港まで搬送し出荷できないか検討している。  

大塚製薬は現場からおよそ4キロ離れたスポーツドリンクの工場で、窓ガラスが割れるなどの被害が出たため、14日から操業を停止していて、再開のめどは立っていないとしている。

イオンは爆発現場からおよそ2キロの場所にモールがあるが、周辺の立ち入りが規制されて被害の状況などが確認できず、営業再開のめどは立っていない 。

三越伊勢丹は
客入りが鈍いため閉店時間を3時間繰り上げている。

Hewlett-Packardは被害が比較的大きく、正常化の目途は立っていない。
 

三井化学(7月から三井化学SKCポリウレタンが85.1%出資する天津天寰ポリウレタンは 北東の漢沽区で通常通り操業している 。
しかし、トヨタ向けの自動車座席の素材を製造していることから、「トヨタの生産停止が長引けば影響が出る可能性がある」という。

2009年9月に天津市の市轄区のうちの渤海海岸に面した塘沽 区(TangGu)、漢沽区(Hangu)、大港区(Dagang)が合併し、浜海新区が設置された。

爆発が起こったのは塘沽区。
天津天寰ポリウレタン漢沽区にあり、Sinopec天津とSinopec SABIC天津石油化学は南の
大港区にある。

 

環境相は8月14日、中部電力が愛知県武豊町で2022年の運転開始を目指す大型石炭火力発電所(出力107万kw)について、環境影響評価(アセスメント)法に基づき「現段階では是認できない」とする意見書を経済産業相に提出した。

環境影響評価法及び電気事業法は、出力11.25万kw以上の火力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境相は、提出された計画段階環境配慮書について、経産相からの照会に対して意見を言うことができるとされており、この手続きに沿うもの。

電気事業連合会など電力業界が2015年7月に「電気事業における低炭素社会実行計画」で公表した二酸化炭素(CO2)削減目標は実効性が不十分なため、CO2排出量を2030年までに2013年比26%減らす政府目標達成に「支障を及ぼしかねない」と判断した。

環境相は6月12日、山口宇部パワー㈱が宇部興産の構内で石炭を燃料とする総出力120万kWの火力発電所を新設する「西沖の山発電所(仮称)」について、「現段階において是認しがたい」との意見書を経産相に提出した。

2013年4月に関係閣僚会合で承認された「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」では、電力業界全体で二酸化炭素排出削減に取り組む枠組の存在が不可欠であるが、この時点において、枠組は構築されておらず、エネルギーミックスに基づく約束草案政府原案の達成に支障を及ぼす懸念があるとした。

2015年7月に「枠組」は発表されたが、環境省は今回、これの実効性が不十分とした。

今後、経産相から事業者である中部電力に対して、環境相意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

電力業界の目標を環境省が容認しない状況が続けば、今後の手続きでも反対意見が出て経産省が建設を許可しない可能性もある。

ーーー

東京電力による2012年度電力卸供給入札で、石炭火力の落札の可能性が出た。

石炭火力は安定供給・経済性に資するが、環境面に課題があることから、2013年4月25日、経済産業省と環境省は国の目標・計画と整合を取るため、「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」を行い、関係閣僚会合で承認された。

・今後作成する国の温室効果ガス排出削減目標と整合的な形で電力業界全体の実効性ある取組の確保が必要。

・ 国は、下記の観点により必要かつ合理的な範囲で審査していく。
  (1) BAT(Best Available Technology)

  (2) 国の目標・計画との整合性

http://www.meti.go.jp/press/2013/04/20130426003/20130426003-3.pdf

ーーー

計画中の主な石炭火力発電所は下記のとおり。

立地 事業者 石炭火力計画 備考
愛知県武豊町 中部電力 5号機 107万kW
着工予定:2018年度
営業運転開始予定:2021年度
原油・重油燃焼の1号機は老朽化し、停止済み
同2号機~4号機(各37.5万kw)を2015年に停止、全機を撤去し、5号機を新設
山口県宇部市
西沖の山
(宇部興産所有地)
山口宇部パワー 120万kw(60万kw x 2基)
運転開始 2020年代前半
電源開発 45%、大阪ガス 45%、宇部興産 10%
 
秋田市 関西電力/丸紅 130万kW (65万x 2) 2020年代半ば
袖ケ浦市
出光の貯炭場に隣接
九州電力/出光興産/
東京ガス
均等出資
max 200万kW 2020年代半ば
千葉
(JFE製鉄所内)
中国電力/JFE/東京ガス 100万kW  


ーーー

政府は7月17日、地球温暖化対策推進本部を開き、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量を「2030年までに2013年比26%削減」とする目標を正式決定した。

2015/7/18 温室効果ガス 2030年に2013年比 26%減 

政府は目標の検討にあたり、2030年時点の再生可能エネルギー比率を22〜24%、原発を20〜22%と決め、2013年比で排出量を21.9%削減できるとした。

  2010年度 2030年度
再生エネルギー(含水力) 9.6% 22~24%
原子力 28.6% 20~22%
LNG 29.3% 27%
石炭 25.0% 26%
石油 7.5% 3%
 
 
 
 
 
再生エネルギー内訳
安定 水力 8.8~9.2%
バイオマス 3.7~4.0%
地熱 1.0~1.1%
不安定 太陽光 7.0%
風力 1.7%


さらに代替フロン類削減などで1.5%減、森林整備などによるCO2吸収分2.6%を上乗せし、計26%削減を目指す。

    2015/6/4   エネルギーミックス最終案   


電気事業連合会加盟10 社、電源開発、日本原子力発電および新電力有志 23社は、2015年7月17日、低炭素社会の実現に向けた新たな自主的枠組みを構築するとともに、「電気事業における低炭素社会実行計画」を策定したと発表した。

   http://www.fepc.or.jp/news/__icsFiles/afieldfile/2015/07/17/20150717_CO2.pdf

内容は下記のとおりで、2030年度の販売電力量1kWh当たりのCO2排出量を2013年度比約35%減らすというもの。

2030年度に排出係数 0.37kg-CO2 / kWh 程度(使用端)を目指す。

 2030年度CO2排出量(3.6億トン-CO2) / 同年度の電力需要想定(9.808億kWh) = 0.37kg-CO2/kWh
 
  2013年度比 ▲35%程度相当と試算
 

火力発電所の新設等にあたり、BAT(Best Available Technology) を活用すること等により、最大削減ポテンシャルとして約1,100万トン-CO2の排出削減を見込む。

 設定根拠

参加各社はそれぞれの事業形態に応じた取り組みを結集する。

・安全確保を大前提とした原子力発電の活用

・再生エネルギーの活用

・火力発電の高効率化に努める。

・電力小売分野での省エネ・省CO2サービスの提供


参加各社はそれぞれの事業形態に応じた取り組みを結集するというだけで、具体的な「実行計画」はない。

今回、環境省は、このCO2削減目標は(1)石炭火力のCO2排出量をどう減らすか(2)CO2排出が目標通りに収まらない場合どう対応するか−−が明確でないと判断、実効性が不十分なため、CO2排出量を2030年までに2013年比26%減らす政府目標達成に「支障を及ぼしかねない」と判断した。

ーーー

オバマ米大統領は8月3日、石炭火力発電所からの二酸化炭素(CO2)排出に対する規制強化を正式に発表した。
新規制では、火力発電からのCO2排出量を2030年までに2005年比32%削減することを目指す。

米国政府はすでに、温暖化ガス排出量を2025年までに2005年比で26~28%削減する計画を提出しており、今回発表した火力発電への規制強化により目標達成を後押しする。

EPAは2013年9月20日、新設の石炭火力発電を対象にした排気ガス規制案を発表した。

それによると、新設の石炭火力発電所は1メガワット時あたりの二酸化炭素(CO2)排出量を1100ポンド(500キロ)までに制限される。
これは、近代的な石炭火力発電所の大半での排出量より700ポンドも少ない。

この基準を達成するためには、CO2が大気に放出される前に回収する二酸化炭素回収貯留(CCS) という最新技術を使うしか方法がない。

2015/8/7 オバマ政権、火力発電のCO2排出規制を強化
 

石炭火力は、最新型であってもCO2排出量が天然ガス火力の2倍以上とされ、欧米各国は事実上、新設を不可能にする規制を導入しつつある。

日本が大量の石炭火力発電の増強を進めれば、温暖化対策に逆行するとして、国際的な批判にされるのは必至である。



 

イラク北部のクルド自治政府が中央政府との合意に反して、独自に石油輸出を始めた。

中央政府とクルド自治政府は2014年12月2日、対立の原因だった石油輸出問題で合意、キルクーク油田などで産出された石油に関して自治政府が中央政府を通して輸出し、中央政府が必要な予算を配分することになっていた。

ーーー

イラクでは中央政府とクルド自治政府が石油開発を巡って争ってきた。

中央政府は、自治政府と外国企業の油田開発契約を違法とし、参加した外国企業を中央政府との開発交渉から除外した。

イラク政府は第1回油田開発入札資格審査で韓国石油公社やSKエナジーを排除、オーストリアのOMVに対しても石油輸出の停止処分を行なった。
ExxonMobil に対しても警告した。

2009/4/7 イラクの油田開放、クルド人自治政府と契約の韓国企業を除外

しかし、その後もクルド地区での石油開発は続いている。

2012/8/14  イラク・クルド自治区の石油開発の状況

クルド地区の利点は、石油をトルコを通る既存パイプラインを使って、トルコの地中海岸の積み出し港ジェイハンにまで運び、そこから輸出できることである。

イラク政府は、自治政府が独自に石油を開発することを認めず、また、石油を直接輸出することを認めていない。

中央政府が認めた場合は輸出は認められており、2009年6月にはノルウェーのDNO International が開発するTawke油田、カナダのAddax Petroleumなどの企業連合が開発するTaq Taq 油田から、中央政府が管理する既存パイプラインを使ってトルコの地中海岸の積み出し港ジェイハンに運び、そこから輸出された。

原油の販売はイラク石油省傘下の国営石油会社(SOMO)が担当し、中央政府が収入の71%、クルド政府が17%を受け取り、残りを外国石油会社が受け取るもの。

2009/6/9 イラクのクルド自治区の原油輸出開始 

2014年6月、イラク政府は、クルド人自治区がイスラエルに原油を「違法」に売却したと非難した。 自治区産の原油を積んだタンカー SCF Altai 号は6月20日、イスラエルのアシュケロンに入港した。

イラク石油省は自治政府がイラク憲法に反して割引価格で原油を輸出していると主張しており、今後も輸出を監視し、自治政府から原油を購入した者を訴えると表明した。

自治政府は、パイプラインを通じてトルコに2度目の輸出を行ったと認めた。買い手は明らかにしておらず、原油の販売は憲法違反ではないと主張している。

これを受け、中央政府は自治政府に対する予算の支払を凍結した。
この結果、自治政府の職員やクルド人民兵は何ヶ月も支払を受けられなかった。

この問題は、ISISとの戦いにも支障をきたした。

2014年11月に双方の間で、日量15万バレルの石油の代わりに中央政府が自治政府に5億ドルを支払うという暫定合意に達した。
この支払いの約束を契機に妥協が生み出された。

2014年12月の合意では、クルド自治政府は中央政府に日量55万バレル(現在のイラクの輸出量の1/5に相当)を引き渡す。
このうち、30万バレルはISISが進出しイラク軍が撤退した後、クルド軍が掌握したキルクーク周辺(自治区外)の油田からのもの(中央政府は自分のものと主張している)で、残り25万バレルはクルド地区の他の油田からのもの。

これらの石油はイラク石油輸出公社(SOMO)を通じて輸出される。これにより、中央政府はクルド自治区の石油とその収入への管理を強化できることとなる。

その代わりに、自治政府はこれまで凍結されていた中央政府の財政支出の17%を確保することになった。
この比率は、イラクの全人口に占めるクルド人の割合を基礎としたもので、2005年憲法に盛り込まれた財政取り決めを反映したもの。

シーア派政治家は「われわれ全ての上にISISの脅威がのしかかっていることから、どのような形にせよ、双方が合意することは必要だった」と話した。

ーーー

クルド側は7月に中央政府への石油の引渡しを停止した。

自治政府によると、当初は技術的問題で約束しただけの量を中央政府に渡せなかったが、これに対し、中央政府は約束した額の30~40%をカットした。

その後、クルド側は技術的問題を解決し、4月に入って平均日量50万バレル以上を送ったが、中央政府は支払を増やさなかったという。

信頼関係が弱まり、自治政府は6月の輸送量を15万バレル以下とし、7月にはゼロとした。

自治政府はトルコ経由のパイプラインで日量60万バレル以上を輸出し、支出をカバーするに必要な月額10億ドル近くを確保している。

自治政府側は、自治政府の職員や戦闘員に給与を支払うため、中央政府に頼るのではなく、経済的自立に向け動かざるを得なかったとしている。

中央政府が昨年、予算の支払を凍結したため、多額の借入金があること、ISISとの戦闘の費用、他の地域から流入した170万人の外国人及びイラク人の避難民の費用などから、輸出を増やさざるを得ないとしている。

しかし、自治政府が輸出している石油には、中央政府が自分のものとしているキルクークの石油が含まれていることが、問題を複雑にしている。

昨年の合意が何故壊れたのかについては、いろいろな説があるが、中央政府内にクルド自治政府に譲りすぎだとの批判があったとされる。





  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358  

最近のコメント

月別 アーカイブ