「no」と一致するもの

三井物産と英Shell、仏のTotalEnergy が、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油(ADNOC)が新たに進めるLNG輸出事業について、権益取得に向け協議していると 本年4月に報じられた。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

関係者によれば、3社は増設設備の権益に加え、LNGをそこから購入する契約の獲得を目指している。 ただし、ADNOCはプロジェクトを進めるに当たり、これら企業からの投資を必要としておらず、権益を売却しない決定もあり得るという。


これについて三井物産は、これは同社が発表したものではなく、また、現時点で同社として具体的に決定した事実はないとしている。

既存の液化プラントを運営するADNOC LNGは1973年に設立された。ADNOCが70%、三井物産が15%、BPが10%、Totalが5%出資している。

液化プラントはAl Ruways沖合のDas Island にある。既存能力は年産600万トンで、1977年に出荷を開始した。



Das Island 現状

LNGの増設計画では、当初 Fujairahが候補地となったが、その後、キャンセルされた。

2023年5月に新立地としてAl Ruways Industrial Cityが選ばれた。

480万トンが2系列で合計960万トンとなり、第一期と合わせると年産 1560万トンとなる。

2027年スタートの予定。

2024年3月にプラント建設の準備作業となる限定的着工指示(LNTP)を発行し、進展が見られた本年中に同事業に関する最終投資決定(FID)が行われる予定である。



ADNOCは最近、新しいLNG供給契約を次々に締結している。日本の石油資源開発とも(三井物産ではなく)ADNOCが直接契約している。

2024年3月に中国のENN Natural Gasの子会社であるENN LNG (シンガポール) とLNG供給契約を締結した。15年間の合意覚書に基づき、年間最低100万トンのLNGを供給する。

2023年8月17日、石油資源開発(Japex)にLNGを供給する5年間の契約を締結したと述べた。取引額は4億5,000万ドルから5億5,000万ドルと述べたが、LNGの量や出荷開始時期については明らかにしなかった。

2024年3月18日にドイツ国営会社「Securing Energy for Europe(SEFE)」の子会社と、15年間の液化天然ガス(LNG)長期契約を締結した。年間100万トンのLNGが2028年よりドイツに供給される。

2024年5月8日には、ドイツのエネルギー大手EnBWと、年間60万トン、15年間の液化天然ガス(LNG)供給契約を結んだと発表した。


各紙の今回の報道は、第一期の出資比率を前提に、第二期も3社が出資すると想定したものと思われるが、資金面や営業面からみても、今回、3社の出資を必要とする理由はADNOC側にはないと見られる。

EU加盟国は5月8日、凍結したロシア資産の利子をウクライナ支援に使うことで大筋合意した。武器の調達などを支援するため7月にも支払いを始める。

西側諸国は2022年2月のウクライナ侵略の開始直後にロシア中央銀行の資産を凍結していた。総額3000億ドル(約46兆円)の3分の2はEU域内にある。資産を保管するベルギーの 国際決済機関Euroclear が得る年30億ユーロ(約5000億円)の利子収入を活用する。

米欧カナダの6カ国とEUは2022年2月26日、ロシアに追加制裁する方針を表明した。ロシアの中央銀行に初めて制裁を科し、ロシアの外貨準備を使えなくして通貨ルーブルの防衛を困難にする狙い。岸田文雄首相は2月27日、米欧の制裁への参加を表明した。

米英独仏イタリア、カナダの6カ国と欧州委員会は同日、ロシアの大手銀行などを国際的な資金決済網 SWIFTから排除する追加の金融制裁を科すことで合意した。数日中に実行する。

ロシアはドルやユーロなどの外貨準備をおよそ6300億ドル、日本円でおよそ73兆円保有していて、ウクライナへの軍事侵攻や欧米の経済制裁を受けて急落する通貨ルーブルを外貨を使って買い支える姿勢を示してきた。

今回の追加制裁はこれを阻止する狙いで、日本やヨーロッパ各国などとも連携してロシア経済に打撃を与える。

ただ今回、エネルギー関連の取り引きは例外的に許可する制度を設けるとしていて、ロシアに対して実効性を伴う形で強い
圧力をかけられるかが焦点になる。

2022/2/28 ロシア追加制裁、国際決済網から排除 

ユーロクリアから半年ごとにEUの基金に入れ、9割をウクライナのための武器購入、1割を復興に回す想定。

ロシア中銀資産の活用は22年から主要7カ国(G7)やEUで議論してきた。EUの合意は具体的な活用の第一歩といえるが、活用するのは利子部分にとどめ、資産全体の没収などには踏み込まなかった。

ロシア国内には欧州企業の資産が多く残る。国際法への抵触に加え、ロシアによる報復を懸念したためとみられる。

国際法上、国家資産は原則没収できない。

今回、ロシア資産を例外とする論拠にしたのは国連の国際法委員会が2001年にまとめた文書で、国際法の権威が集まる同委は2001年に草案を採択し、違法行為によって特別に影響を受ける国は加害国の責任を追及できると記した。
米国はこれに基づき、予算の面などで影響を受けるG7も対抗措置が可能だと主張した。

英国は国際法に抵触する懸念から資産没収に慎重な立場だったが、2023年11月にキャメロン外相が就任してから推進派に転じた。

ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアの凍結資産そのものの活用を求めている。資産没収には各国の国内手続きも必要になる。

独仏は没収できるとの米国の解釈に真っ向から反論、交戦状態にない第三国の資産を没収すれば国際法違反の悪しき前例になると訴える。

国営ロシア通信は2024年1月21日、西側諸国がロシアの資産を没収してウクライナ復興に充当し、ロシアが報復に動いた場合、西側が失う資産と投資の規模は少なくとも2880億ドルに上るとの試算結果を伝えた。EU加盟国の資産はこの8割の2233億ドルを占める。ロシアは、西側が強硬措置を進めれば、ロシア側にも没収できる米国と欧州諸国の資産のリストがあると警告している。


国営ロシア通信によると、西側諸国がロシア国内に保有する資産は次の通り。

EU  2233億ドル(キプロス 983、オランダ 501、ドイツ 173、フランス 166、イタリア 129、その他EU 281)
英国  189億ドル
米国  96億ドル
日本......46億ドル
その他 322億ドル

EUに没収を提起してきた米国では、サミットまでに合意できる折衷案として資産の将来の利子を担保にした債券発行や融資の構想が浮上している。

2013年に豪州のOricaなどが設立したMCi ( Mineral Carbonation International )は4月10日、OricaのKooragang島(ニューサウスウェールズ州)のアンモニア製造工場の隣にCCU施設Myrtle(炭酸塩プラント)の建設を開始したと発表した。

CCU技術(Carbon dioxide Capture and Utilization)は二酸化炭素(CO2)を回収して製品開発などに生かす技術で、具体的には、製鉄工程で生じる副産物(スラグ)や火力発電所で生じる石炭灰、その他カルシウムやマグネシウムを含む様々な物質(廃コンクリートなど)にCO2を反応させることで、建設部門向けのさまざまな炭酸塩製品を製造する。



Myrtleは、Oricaのアンモニア工場から回収される年間1,000トン以上のCO2を利用し、約10,000トンの建材を生産 する。2025年初めまでに完成、就役、操業開始される予定としている。

MCiはMyrtle建設のためにオーストラリア政府のCCUS Development Fund から1,460万オーストラリアドル(約12億円)を確保している。

オーストラリア政府は2021年3月にCCUS開発ファンド(Carbon Capture, Use and Storage Development Fund)を設立し、最大5,000万豪ドル(約41億5,000万円、1豪ドル=83円換算)の公募型資金を公表した。

対象とするプロジェクトは、オーストラリア国内で実施されるパイロット規模以上のもので、将来的に地域のCCSハブに接続可能であるものとしており、2025年6月末までに完了することも要件となっている。

日本から伊藤忠商事とみずほ銀行に加え、三井住友信託銀行が同社に投資している。

伊藤忠商事は、2021年8月にMCiへの出資を実施した。

MCiの技術は半永久的にCO2を固定化し、且つ有用な成果物を創出できることから、世界的な脱炭素の流れを加速させる技術として産業界を中心に幅広く注目されている。また、MCi社は豪州政府から14.6百万豪ドル(約12億円)の本技術の更なる研究・開発に向けた基金交付を受けており、豪州国内で本技術への関心・期待が高まっていることが窺える。
伊藤忠商事はMCi社技術の日本国内での展開を図るべく、2021年3月に同社とMOUを締結した。その後早期に実用化できる可能性があること、対面業界である鉄鋼業界・電力業界などの顧客からの本技術への関心が非常に高いことなどを総合的に鑑み、同社への出資に至った。

本出資に伴い、本技術の日本向け展開・プロモーションについては伊藤忠商事が独占的に行うこととなる。

みずほ銀行は2023年3月31日にMCi Carbon との間で、みずほ銀行によるMCiへのUSD5Mの出資を目的に、株式引受契約を締結し、出資を行った。みずほ銀行は、環境・社会の持続性向上に資する領域(トランジション領域)における顧客の挑戦をサポートすべく、シード(技術の種)やアーリーステージ(初期段階)の段階から、トランジション領域にて顧客が関与するプロジェクト等に戦略的に出資することで、顧客と機会とリスクを共有し、広く環境・社会の持続性向上に資する社会的価値を共創していくことを目指している。

三井住友信託銀行は2024年3月12日、「社会課題解決に向けた挑戦や取り組みを資金面からサポートすることを目的とする」インパクトエクイティ投資として出資した。増資による資金は、当該量産化プラントの建設資金として活用される。

小野薬品工業は4月30日、米国のバイオ医薬品企業 Deciphera Pharmaceuticals, Inc.との間で、本買収のために設立する完全子会社を通じて、一株当たり25.60米ドル、総額約24億米ドルの現金を対価として同社を買収することで合意し、4月29日(日本時間)に契約を締結したと発表した。Deciphera社を同社の100%子会社とすることを目指す。
名称 Deciphera Pharmaceuticals, Inc.
所在地 200 Smith Street Waltham, MA 02541, USA
事業内容 医薬品の研究開発、商業化
資本金 805千米ドル(2023年12月31日時点)
設立年月日 2017年(Deciphera Pharmaceuticals, LLCは2003年設立)

同社の2024年2月のPresentationで、同社のミッションを One Mission, Inspired by Patients: Defeat Cancer としている。

Deciphera社の最近の業績は下記の通り。(千米ドル)

2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期
連結売上高 96,148 134,036 163,356
連結営業損益 -300,077 -182,722 -210,958
親会社株主帰属当期純損益 -299,964 -178,931 -194,942

2023年12月期の営業損益は-210,958千ドルだが、R&D費用が234,123千ドルを占め、売上高を大幅に上まわる。それに対し、Costs of sales は僅か3,732千ドルである。
開発段階で売上高が一部計上されただけであり、正常時の損益ではない。

合意した取得価格は2024年4月26日の終値(@14.65米ドル)に対して74.7%、同日から過去30日間の売買高加重平均価格に対しては68.8%のプレミアムを加えた価格となる。

両社の取締役会は、全会一致で本買収へ賛同している。


小野薬品はグローバルスペシャリティファーマとして、独創的かつ革新的な新薬を世界に届けることを目指している。中長期成長戦略である「パイプライン強化とグローバル開発の加速」および「欧米自販の実現」を見据え、医療ニーズの高いがんや免疫疾患、中枢神経疾患、スペシャリティ領域を重点研究領域に定め、医療現場に革新をもたらす新薬の創出に取り組んでいる。

同社の業績拡大をけん引してきたがん免疫薬「オプジーボ」は2028年以降に段階的に特許切れを迎える。

オプジーボは、免疫細胞上のタンパク質(PD-1)を発見した京都大学の本庶佑名誉教授の研究を基に「ゴールの見えないまま始めた研究から成果が出るまで20年以上かかった」(小野薬品)。

2016/11/17 オプジーボ 50%値下げ


Deciphera社は、がんを対象とした革新的な医薬品の研究・開発・販売に注力しており、自社で創製した経口キナーゼ阻害剤からなる豊富なパイプライン(下記)を有している。

癌は無秩序な増殖を繰り返し、正常な細胞を障害し転移を行うことで本来、癌のかたまりがない組織でも増殖する。細胞増殖のシグナル(信号)を伝達する上で重要となるチロシンキナーゼという酵素がある。皮膚の表面の細胞では上皮成長因子受容体というチロシンキナーゼ活性を持つ受容体に上皮成長因子が結合し活性化され伝達により細胞増殖がおこる。

この増殖因子受容体に異常がおこることで、癌細胞の増殖がおこるとされる。

キナーゼ阻害薬はチロシンキナーゼ活性を選択的に阻害し、腫瘍細胞の増殖を抑えることで抗腫瘍作用をあらわす。癌細胞の増殖などに関わる特定の分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる。

作用機序 適応症 開発段階
QINLOCK (Ripretinib) KIT阻害剤
(キナーゼ阻害剤)
4L GIST / 一部の2L GIST
消化管間質腫瘍(GIST)の4次治療の薬剤
上市済 / 効能追加P3
欧州及び中国を含む40ヶ国
以上で販売
Vimseltinib CSF-1R阻害剤 TGCT / cGVHD
腱滑膜巨細胞種(TGCT)を対象
欧米で2024年に申請準備中 /
P1/2準備中
DCC-3116 ULK阻害剤 KRAS変異がん、GIST P1b
DCC-3084 Pan-RAF阻害剤 がん P1準備中
DCC-3009 Pan-KIT阻害剤 GIST IND準備中


本買収により小野薬品は固形がん領域のパイプラインを拡充し、特にQINLOCK®とVimseltinibの獲得によって短中期的なグループの収益増加が期待できる。

QINLOCK®は、米国、欧州及び中国を含む各国で「イマチニブを含む3種類以上のキナーゼ阻害剤による治療を受けた消化管間質腫瘍 (GIST) 患者」への治療薬として承認されている経口投与可能なKIT阻害剤。

National Comprehensive Cancer Networkの腫瘍学臨床ガイドラインにて、GIST患者の4次治療としてカテゴリー1の推奨も受けている。

2023年のグローバル売上は163百万米ドルに達しており、GIST患者に広く使用されている。現在、KIT Exon 11 + 17/18に変異を有するGIST患者の2次治療への適応拡大を目指し、第Ⅲ相臨床試験が進行中。また、2019年にGIST患者の4次治療、2023年には上記一部変異を有するGIST患者の2次治療を対象として、米国食品医薬品局(FDA)よりブレイクスルーセラピー指定を受けている。

なお、2019年にDeciphera社は、主に中国本土と香港において、がん、自己免疫疾患、感染症、神経科学の治療薬の開発および商業化を行っているZai Lab Ltdとライセンス契約を締結しており、中国と台湾についてはZai Lab社が開発販売を実施している。

Vimseltinibについて:

腱滑膜巨細胞腫(TGCT)は、関節の内側又は近傍に生じる局所進行性の腫瘍で、主に第一選択として、手術による腫瘍の切除が行われているが、切除不能患者に対する治療選択肢が限定的であり、優れた有効性と安全性を有する新薬が求められている。TGCTの病態として、コロニー刺激因子1(CSF-1)遺伝子の転座とCSF-1の過剰発現が見出されている。

VimseltinibはFDAよりファストトラック指定を受けた経口投与可能なCSF-1受容体阻害剤であり、TGCTを対象とした第Ⅲ相臨床試験(MOTION study)にて主要評価項目及びその他副次的評価項目を統計学的有意に達成している。なお、慢性移植片対宿主病(cGVHD)を対象とした第Ⅱ相臨床試験を現在準備中。

Deciphera社は、米国および主要な欧州諸国において自社での販売網を構築しており、この販売網は申請準備中のVimseltinibにおいても活用される。小野薬品はDeciphera社の欧米での開発・販売能力を獲得し、欧米自販体制を強化できる。 さらに、Deciphera社の創薬能力を活用することで、小野薬品グループのオンコロジー領域において研究開発のさらなる加速が期待できる。

住友化学は4月30日、経営戦略説明会を開催し、2024年3月期の連結最終損益(国際会計基準)が3120億円の赤字になったと発表した。従来は2450億円の最終赤字を見込んでいたが、赤字幅が670億円広がった。連結子会社である住友ファーマの医薬品の特許権などで減損損失を計上するためで、過去最大の赤字幅となる。

単位:億円 売上高

営業損益

株主帰属
損益
コア 非コア 合計
2023/3実績 28,953 928 - 1,237 - 310 70
2024/3予算 29,000 400 -200 200 100
同 2024/2/2予想 24,800 -1,450 -1,400 -2,850 -2,450
同 今回予想 24,470 -1,490 -3,400 -4,890 -3,120


コア営業損益

医薬品における北米でのラツーダ(非定型抗精神病薬)の特許切れによる売上高の激減に加え、後継候補であるオルゴビクス(進行性前立腺がん治療剤)、マイフェンブリー(子宮筋腫治療剤)、ジェムテサ(過活動膀胱治療剤)等の売上が計画を下回る見込みであることに加え、
エッセンシャルケミカルズにおいては世界的な景気減退による需要減少や交易条件の悪化等により持分法適用会社であるPetroRabigh の業績悪化が見込まれること等から、コア営業損益は-1490億円と予想した。

2023/11/8 米国医薬業界、特許切れの恐怖:住友ファーマのケース

(億円)
23/3実績 24/3予算 2024/2予想 今回予想
エッセンシャルケミカルズ
(うちPetroRabigh)
-342

-70

-870
(-630)
-910
(-650)
エネルギー・機能材料 152 130 50 80
情報電子化学 476 380 380 440
健康・農業関連 573 620 400 310
医薬品 162 -610 -1,310 -1,330
その他 104 150 -100 -80
全社 -197 -200
コア営業損益 928 400 -1,450 -1,490


非コア損失(赤字

合計 うち減損 その他
住友ファーマ関連 2219億円 1809億円

(基幹3製品 特許権 1,335億円)
(      のレン  359億円)
(開発品目開発中止  106億円)

北米子会社再編 301億円

固定資産除却等 109億円

その他 1181億円 885億円(国内石化、シンガポールMMAほか) 固定資産除却等 296億円
総計 3400億円 2694億円 706億円

医薬品における特許権及びのれん等

基幹3製品(進行性前立腺がん治療剤「オルゴビクス」、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤「マイフェンブリー」、過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」)の売上収益の伸びが想定を下回っており、北米事業の事業予想を見直した結果、「マイフェンブリー」にかかる特許権の一部133,457百万円及びのれんの一部35,858百万円を減損することとなった。
また、rodatristat ethyl及びEPI-589(いずれもフェーズ2試験段階)等の開発品目の開発を中止したことにより、当該開発品に係る仕掛研究開発10,577百万円を減損するなど、総額180,857百万円の減損損失を計上した。

医薬品以外の主なもの

千葉工場エッセンシャルケミカルズ製造設備及び工場共用資産  減損損失25,381百万円
シンガポールにおけるメタアクリル製造設備  減損損失14,891百万円
愛媛工場における正極材焼成実証設備  減損損失11,566百万円

全体の非コア損失のうち、評価損が合計2694億円に達する。
 

4月30日の経営戦略説明会では2024年3月期の実績を上記のように説明したうえで、短期集中業績改善策と、抜本的構造改革を説明している。

最大の経営課題は、「2024年度業績V字回復の達成」(コア営業利益 1,000億円、純損益 200億円としたうえで、

短期集中業績改善策による2024年度キャッシュ創出目標を、従来の5,000億円から6,000億円に上積みするとした。

抜本的構造改革として下記を挙げた。

1) 再興戦略
  住友ファーマは、グループの総力を挙げて徹底した合理化を進め、一日でも早く完全に止血する。
  その間、基幹3製品の拡販とともに、再成長に向けたあらゆる選択肢を検討していく。

  PetroRabighは、当社とAramco両社で「共同タスクフォースチーム」を結成することで合意。
  収益力強化を含む緊急度の高い重要課題解決に向け、短期集中で取組む。 

2) 成長戦略
  「Innovative Solution Provider」を長期に目指す企業像とし、新しい成長戦略を策定。
  
  農業関連、ICT関連が成長ドライバー。経営資源を集中投入し、2030年に各々1,000億円のコア営業利益を目標とする。

  次世代成長領域として先端医療を拡充。

  石化関連は長期的視点で環境負荷低減技術による価値創造に舵を切る。

ーーー

日本経済新聞はこれを取り上げ、石化再建「肩すかし」で株安 という副題で下記のとおり報じた。

大規模な止血策と2025年3月期の黒字化を発表したにもかかわらず、市場は厳しい反応を示した。30日の終値は前日比17円安(4.8%安)の337円と、470円上げた日経平均株価とは対照的な動きとなった。「ラービグを巡る構造改革案が具体策に欠け、構造改革に期待を寄せていた投資家が肩すかしをくらったとの受け止めからか」(立花証券の福永幸彦アナリスト)との声が聞かれた。

ラービグとはサウジアラビアの国有石油会社サウジアラムコとの合弁で、住友化学にとって持ち分法適用会社の「ペトロ・ラービグ」のこと。石油精製での競争力が低く、24年3月期は650億円の赤字に落ち込んだ。今回の経営戦略発表会で収益改善に向けた具体的な施策が示される期待もあったが、新たにアラムコとタスクフォースを設置し「1年以内に将来像の方向性を示したい」(岩田社長)との内容にとどまった。

収益改善には石油精製の部分を高度化する装置への投資などが必要だが、住友化学はそこへの追加投資はしない姿勢を貫いており、アラムコとの交渉が難航している。ラービグはアジア向けの汎用品が多く、「日本の内需は悲観していないが、アジア市況は24年も23年に比べてそんなに改善は期待できない」(岩田社長)。ラービグを含む石化関連事業全体の25年3月期のコア営業損益は350億円の赤字を見込む。福永氏は「タスクフォース結成はプラス材料だが先送り感が残る」とみる。

経営戦略説明会でも、「当社としては、同社に対するエクスポージャーを増加させる資金支出は実施しない意向」としている。

水俣病の被害を訴える新潟市などの男女が、国と原因企業の昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)に1人当たり880万円の損害賠償などを求めた新潟水俣病第5次訴訟の判決が4月18日 に新潟地裁であった。

新潟水俣病は、1965年5月に新潟県の阿賀野川流域で公式確認されたメチル水銀による中毒症 で、阿賀野川上流で操業していた旧昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)鹿瀬工場の排水にメチル水銀が含まれ、汚染された川魚を食べた人が発症した。 熊本県の水俣病公式確認から9年後、1965年に公式確認され、行政の認定や水俣病被害者救済特別措置法などで救済された患者は計3696人(2024年3月末時点)に上る。

新潟県 新潟水俣病のあらまし


「ノーモア・ミナマタ」第2次訴訟と呼ばれる同種の訴訟は、新潟と大阪、熊本、東京の4地裁で起こされ、判決は3件目。昨年9月の大阪判決は原告128人全員を水俣病と認定したうえで国などに賠償を命じ、今年3月の熊本判決は請求を棄却した。

2023/9/28 大阪地裁、水俣病救済巡る訴訟で国側に賠償命じる 及び付記(熊本判決)

今回の訴訟は新潟県の住民らが2013年に集団提訴し、その後も原告が追加されていた。


原告149人のうち先行して審理を終えた50〜90代の原告47人について判決があり、

うち26人を水俣病と認め、1人当たり400万円、総額1億400万円を支払うよう昭電側に命じた。
19人については罹患している「高度の蓋然性があるとは認められない」とし、請求を棄却した。
国の責任は認めなかった。

問題点は下記の通り。

① 原告を水俣病と認めるかどうか。

原告側は、原告がメチル水銀に汚染された阿賀野川の魚を食べるなどして手足の感覚障害などを発症しており、長年診療に当たってきた民間医師が策定した「共通診断書」の所見に基づいて水俣病だと主張した。

判決では、共通診断書のみで罹患を判断するのは困難であり、主に公的検診の結果に依拠すべきだと指摘した。

水銀暴露から長期間が過ぎた後に発症する遅発性水俣病についても暴露後 6、7年以内に発症することがあり得るとした。

その上で、メチル水銀への暴露状況や症状などを個別に判断した。
公害健康被害補償法(公健法)上の患者認定を既に受けている2人を除く45人のうち26人を水俣病と認め、19人については罹患している「高度の蓋然性があるとは認められない」とし、請求を棄却した。

② 除斥期間

被告側は、20年の除斥期間が過ぎたと主張。

判決は除斥期間を経過していても原告が罹患を認識していなかったり、差別や偏見を懸念して請求をためらったりするケースもあったとし、除斥期間の適用は「著しく正義・公平の理念に反する」と断じた。

2023/9 大阪地裁判決

慢性水俣病の場合、損害の性質上、加害行為が終了してから相当の期間が経過した後に損害が発生する。当該損害の全部または一部が発生した時が除斥期間の起算点となる。
医師らの検査で水俣病と確認できた時期が除斥期間のスタート地点。

2024年3月 熊本地裁判決

不法行為から20年で損害賠償請求権が失われる「除斥期間」を適用して退けた。

③ 国の責任

原告側は、熊本県で水俣病の発生源となったチッソ水俣工場と同様に水銀を使う全国6工場で国が実施した排水調査に着目。水銀が検出された1961年までに国は新潟水俣病の発生を予見でき、排水規制をしていれば発生や被害拡大を防げたと主張した。

国は「公式発見以前に発生を具体的に認識していなかった」と反論した。

判決は、被害発生・拡大を防げなかった国の責任があるとする原告側の主張は「具体的に認識・予見できたといえず、国家賠償法上の違法があるとはいえない」と退けた。

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新潟日報 [新潟水俣病・公害と裁判の歴史] 上

[新潟水俣病・公害と裁判の歴史] 下

経済産業省は4月19日、AIの開発に必要な計算資源の整備に向け、国内IT 5社に最大725億円を助成を行うと発表した。クラウド事業の基盤を持つさくらインターネット、GMOインターネットグループ、KDDIなどを支援する。

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社会のデジタル化の進展に伴い、クラウドサービスは、幅広い国民生活・産業活動の情報処理を担う機能として不可欠なものとなっている。

こうした中、基盤的なクラウドサービス(基盤クラウド)の国内市場においては、国内に事業基盤を有する事業者のシェアは約3割であり、海外から提供されるサービスへの依存が高まっている状況にある。

基盤クラウドは、情報処理の根幹を担うものであり、その開発体制を国内で確保できなければ、我が国が自律的に管理すべき重要情報を扱うシステムも含め、完全に他国に依存することになるおそれがある。

また、「クラウドプログラム」の中でも、生成AIは、従来のAIでは不可能だった、様々な創造的な作業を人間に代わって行える可能性があることから、産業活動・国民生活に大きなインパクトを与えると考えられており、そのサービス供給に制約が生じた場合には、我が国に甚大な影響が生じると考えられ、その計算資源を国内に確保することで、我が国における開発基盤の構築・サービス提供体制の強靱化を図ることが重要である。

こうした状況を踏まえ、経済安全保障推進法に基づき、「クラウドプログラム」を特定重要物資に指定し、その安定供給確保に向けて、特に生成AIについて幅広い開発者が利用できる計算資源の国内への整備に関する計画を認定し、国として支援することとした。

経済安全保障推進法(経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律)は2022年5月11日に成立した。

国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等に伴い、安全保障を確保するためには、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止する重要性が増大していることに鑑み、安全保障の確保に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進するため、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する基本方針を策定するとともに、安全保障の確保に関する経済施策として、所要の制度を創設するもの。

具体的には、法制上の手当てが必要な喫緊の課題に対応するため、(1)重要物資の安定的な供給の確保、(2)基幹インフラ役務の安定的な提供の確保、(3)先端的な重要技術の開発支援、(4)特許出願の非公開に関する4つの制度を創設するもの。

2022年12月、特定重要物資として、抗菌性物質製剤、肥料、永久磁石、工作機械・産業用ロボット、航空機の部品、半導体、蓄電池、クラウドプログラム、天然ガス、重要鉱物及び船舶の部品の11物資を政令で指定した。また、2024年2月に新たに特定重要物資として先端電子部品(コンデンサー及びろ波器)を政令で指定し、既に指定されている重要鉱物の鉱種にウランを追加した。


経済産業省は2023年4月以降、5件を支援しており、今回の分を合わせ、合計10件となる。 (うち、さくらインターネットは3件)

さくらインターネットは2023年以降、NVIDIAなどから2000個の画像処理半導体(GPU)の調達を進めているが、今回、8000個を追加、2027年末までに合計1万個を購入する。

また、KDDIがAIスパコン事業に進出する。

詳細は下記の通り。No.6以降が今回のもの。

No. 設定日 事業者

助成額

供給確保計画 詳細
2023/4/1 東京大学 42億円 量子コンピューターを活用したクラウドサービスの提供 2021年7月、川崎市の研究開発拠点に米IBMの量子コンピューターを導入した。今回83億円をかけて、処理能力が5倍高い最先端品を導入する。創薬や新素材開発などに利用できるクラウドサービスとして、トヨタ自動車や東芝などの企業や学生が共同で利用する。
2 2023/6/16 さくらインターネット 68億円 AIに関わる計算資源としてのGPUクラウドサービスの提供 GPUクラウドサービスの提供に向けて、3年間で130億円規模の投資をし、「NVIDIA H100 Tensor コア GPU」を搭載した、合計2EFLOPSの大規模クラウドインフラを整備
3 2023/7/7 ソフトバンク 53億円 NVIDIA DGX SuperPOD™などを活用して高いデータ処理能力を有する計算環境を構築し、自社で取り組む生成AIの開発およびその他のAI関連事業に活用する他、生成AIを中心とした社外からのさまざまな利用ニーズに応えるため、大学や研究機関、企業などへ幅広く提供していく。この計算環境の構築に関わる設備投資額は約200億円を見込んでおり、そのうち53億円の助成を受ける。
4 2023/11/2 ゼウレカ(三井物産) 11億円 (創薬・ヘルスケア業界で最先端AIサービスを提供)
5 2024/2/20 さくらインターネット 6億円 計算資源の自動拡張/縮小制御技術、ソフトウェアによる共通化・効率化技術等の技術開発 「基盤クラウドプログラムの技術開発支援」の取組種類として、国内で重要情報を扱う事業者等が海外サービスに依存せずクラウドを安定的に利用できる状況を確保。対象となるIaaS型クラウドサービス「さくらのクラウド」の技術開発計画に係る人件費などについて助成を受ける。
6 2024/4/15 GMOインターネットグループ 19.3億円 AIに関わる計算資源としてのGPUクラウドサービスの提供 NVIDIA との協業を加速させ 100 億円規模の GPU サーバーを取得
7 2024/4/15 さくらインターネット 501.0億円 生成AI向けクラウドサービス「高火力」に最新の「NVIDIA HGX B200 システム」をはじめとするGPUが約10,000基が搭載され、合計約18.9EFLOPSの計算能力が整備される。
8 2024/4/19 RUTILEA &
AI福島
25.6億円 第一弾としてNVIDIA H100 GPUを搭載した第4世代DGXシステムである「NVIDIA DGX H100」をInfinibandを用いて複数ノード(最大8ノード)接続した『RUTILEA DGXクラウド(仮称)』サービスの展開を予定
9 2024/4/19 KDDI 102.4億円 生成AI開発のための大規模計算基盤の整備を開始。今後4年間で1,000億円規模の投資を行い、2024年中に本計算基盤の先行稼働開始を目指す。国内最高性能の大規模言語モデル(LLM)や領域特化型LLMの開発を加速する。
2023年11月から開始した「MUGENLABO 生成AI活用支援プログラム」をはじめとするスタートアップ支援プログラムを通じて、世界最高レベルのLLM開発にチャレンジする研究機関やスタートアップなどに対しても本計算基盤を提供。
10 2024/4/19 ハイレゾ&
ハイレゾ香川
77.0億円 香川県綾川町と高松市にある既存施設を利活用したGPUデータセンターを整備し、GPUSOROBANのサービス提供を2024年秋から開始。
業界最安値級のNVIDIA H100の先行予約を受け付け開始。

4月18日の朝日新聞は、「宇宙から見える」砂漠に再エネ発電所 のタイトルで、インド西部グジャラート州の最西部にあるカッチ地方の砂漠で建設されているGujarat Hybrid Renewable Energy Park (Khavda Solar Park) の訪問記を掲載している。

用地面積はシンガポールの国土とほぼ同じ広さの約724平方キロメートルの人を寄せ付けない塩性湿地で、総事業費は22億6千万ドル(約3400億円) 、ディベロッパーはその巨大さをit will be visible from space と表現した。

インドの西北端で、パキスタンとの国境近くのKhavda村の近くにある。

官民計6社が設備を設置・運営し、計画段階の出力は計2770万キロワット。単純比較で大型火力発電所や原発約20基分に相当する。太陽光と風力発電に加え、蓄電設備も設ける。発電量が天候に左右される再エネの弱みを補い、24時間電気を供給できる計画である。

Sr.No Name of Park Developers Solar-Wind Hybrid capacity (MW) Allocated Land in (Ha.)
1 Gujarat Industrial Power Company Limited 2,375 4,750
2 Gujarat State Electricity Corporation Limited 3,325 6,650
3 National Thermal Power Corporation Limited 4,750 9,500
4 Adani Green Energy Limited 9,500 19,000
5 Sarjan Realities Limited 4,750 9,500
6 Solar Energy Corporation of India Limited

(only wind)  3,000

23,000
Total 27,700 MW 72,400 Ha

Developers は、2021/12/31から3年以内に能力の50%、5年以内に100%達成を義務付けられている。

ーーー

人口増加や経済発展によるエネルギー需要の急激な伸びが予測されるインドでは、効率的かつ環境に優しいエネルギーインフラの拡充が急務となっている。モディ首相は、2021年に開催されたCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)において、2070年までにネット・ゼロ・エミッションを達成する、具体的な目標年を発表、再生可能エネルギー発電容量を500GWまで増やし、2030年までにインドのエネルギー需要の50%を再生可能エネルギーで賄うことを宣言した。

国際エネルギー機関(IEA)によると、2022年時点でインドは再生可能エネルギー容量と風力発電容量で世界第4位、太陽光発電容量で第5位である。また、インドはCOP21での公約を9年近く前倒しで達成し、すでに発電能力の40%を非化石燃料で賄っており、インドのエネルギーミックスに占める太陽光と風力の割合は驚異的に伸びている。

インドの再生可能エネルギー発電容量は過去数年間で急速に増加しており、FY16~FY23(2023年2月まで)の年平均成長率は14%を超える。

その内訳は、太陽光と風力がほとんどを占めている状況。2019年時点では風力が主流だったが、現在は太陽光が53%を占め、次いで風力35%、両者を合わせ、88%に上る。


以上、infoBRIDGE 情報

新タイプの肥満症治療薬の利用者が、米国を中心に世界で急増している。

先駆けとなったのが、デンマーク製薬大手Novo Nordisk Wegovy(ウゴービ )で、2021年に米国で承認された。もともと糖尿病(内臓脂肪の蓄積が主な原因)のために開発した薬(GLP-1受容体作動薬)を肥満症治療に応用したもので、食欲を抑制することでやせる効果があるとされる。日本では「セマグルチド(遺伝子組換え)」として2023年3月に承認された。

食事をとると小腸から分泌され、インスリンの分泌を促進する働きをもつホルモンをインクレチンといい、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド )とGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)がある。
2型糖尿病に対する治療薬として注目されるのがGLP-1である。

GLP-1は、食事をとって血糖値が上がると、小腸にあるL細胞から分泌され、すい臓のβ 細胞表面にあるGLP-1の鍵穴 (受容体) にくっつき、β 細胞内からインスリンを分泌させる。GLP-1は、血糖値が高い場合にのみインスリンを分泌させる特徴がある。摂取した食物の胃からの排出を遅らせる作用や食欲を抑える作用などもある。

GIPも食欲を抑制するだけでなく、体内での糖分や脂肪の分解を改善する可能性がある。

Eli Lillyは昨年12月、同様の働きを持つ肥満症治療薬Zepboundを米市場に投入した。

Amgen や Pfizerなど多くのメーカーが開発を急ぐ。

CNBCによると、各社の開発状況は下記の通り。

製品名

メーカー

用法

米承認

Wegovy

Novo Nordisk

週1回の注射

2021 承認

GLP-1を活性化 

Zepbound

Eli Lilly

週1回の注射

2023 承認

GLP-1とGIPを活性化   

Saxenda

Novo Nordisk

週1回の注射

2020 承認

GLP-1を活性化

MariTide

Amgen

月1回の注射

Experimental

GLP-1を活性化し、GIPをブロック

Danuglipron

Pfizer

1日1回の錠剤

Experimental

GLP-1を活性化

VK2735

Viking Therapeutics

週1回の注射

Experimental

GLP-1とGIPを活性化

Pemvidutide

Altimmune

週1回の注射

Experimental

GLP-1を活性化

GSBR-1290

Structure Therapeutics

週1回の錠剤

Experimental

GLP-1を活性化

Survodutide

Zealand Pharma,
Boehringer Ingelheim

週1回の注射

Experimental

GLP-1とグルカゴンを活性化


Amgen のMariTide は、他の薬剤が週1回の注射が必要なのに対し、月1回の注射でよいことで注目されている。

Eli Lilly のZepbound はGLP-1とともにGIPを活性化する。GIPは食欲を抑制するだけでなく、体内での糖分や脂肪の分解を改善する可能性がある。

しかし、AmgenのMariTideはGIPをブロックする。同社では、これを遺伝学的研究に基づいているとしている。

ーーー

これとは別に、日本では2023年2月17日に大正製薬が、肥満の人向けの肥満症予防薬オルリスタットをOTC医薬品として厚生労働省より製造販売承認を取得した。欧米ではRocheがXenical、GraxoSmithKlineがAlliの商品名で販売している。

薬局・薬店で薬剤師から指導を受けて購入する「要指導医薬品」に指定されている。「腹部が太めな方の内臓脂肪および腹囲の減少(生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る)」の効能・効果をうたう。

カプセルタイプで1日3回、食事中もしくは食後に服用する。

オルリスタットには、脂質の吸収を抑える効果がある。通常、小腸では、リパーゼという脂肪分解酵素が脂質を分解して、脂質が吸収される。オルリスタットを服用すると、オルリスタットはリパーゼと結合し、リパーゼの働きが抑えられる。その結果、脂質は分解されず、そのまま便として排出され、肥満症を予防する。


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