2007年12月アーカイブ

2006年2月15日にスタートして、現在600回を超えた。

当初は訪問者も少なかったが、最近は平日は1,000人近くの人が訪問している。
休日は当初は100人程度であったが、最近は300人程度に増えている。

ブログ作成者用のアクセス分析資料から、まとめてみた。

当初はアクセス数のみで、2006年9月から訪問者数のデータが出るようになった。
(平均でアクセス数は1人当たり、1.6回)

過去4ヶ月でみると、約40%がトップページにアクセスしている。これは、いつも見てくれる人と思われる。
残りの多くは検索でこのブログにアクセスした人のようだ。

グラフ記載の通り、信越化学爆発事故、GE Plastics 売却、三菱化学火災事故などの記事へのアクセスが突出している。
なにかが発生した場合に、Google などで検索して調べる人が多いことが分かる。

掲示板サイトの「2ちゃんねる」の威力にも驚いた。
本年12月23日の日曜日に 
2007/5/30の記事「キャノン SEDテレビ発売再延期」に 102人ものアクセスがあった。

調べてみると、12月22日に「2ちゃんねる」に
  【経済】BDレコーダー売り切れ状態。年末商戦に「大異変」[12/22]
   
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1198343015/
というテーマで議論がなされ、この記事のアドレスが記載されていた。
これをみてアクセスした人がこんなにいたということである。

どのプロバイダを通じて見ているかのデータもある。
会社のパソコンで見る場合は会社名が出る。
しかし、全く出てこない会社が多い。
多くの会社でインターネットへのアクセスを禁止しているためだ。
これらの会社の人は自宅で見てくれていると思われる。

 

2007年11月、BHP Billiton Rio Tinto に対して買収の提案を行った。
Rio
Tinto の株式1株に対してBHP株3株を与えるという案で、1,400億ドル以上に相当する。

これに対し、Rio Tinto は買収価額が著しく安すぎるとし、拒否した。

   2007/11/15 BHP Billiton Rio Tinto に買収提案 

BHP Billiton はその後も新しい提案の検討を進め、中国を含む他の同業者の動きも含め、いろいろな噂が飛び交っていた。

 

英国公開買付パネル(The Panel on Takeovers and Mergers)はRio Tinto の要請に基づき本件を検討していたが、12月21日に決定を下した。
BHP Billiton 2008年2月6日までに、Rio Tinto に対してオファーをするか、しないかを伝えろというもの。もしBHP Billiton がオファーをしない場合は、その後6ヶ月間はオファーは出来ない。

公開買付パネルについては 2007/7/23 Akzo-ICI 問題のその後 

BHP Billiton はこれを受け、現在いろいろなオプションを検討中で、結論はまだ出ていないとしている。

これに対してRio Tinto は買収提案を拒否し、相次いで拡大策を打ち出している。

12月に入り、豪州Queensland Kestrel 炭鉱の拡張計画(793百万米ドル)と米国のEagle ニッケル計画(300 百万米ドル)を承認した。ニッケルには新しく進出する。更にインドネシアでのニッケル計画を交渉している。
また、来年、
15百万トンの鉄鉱石を高騰しているスポット価格で販売する。
今後
10年で鉄鉱石能力を拡大し、長期契約以外でスポット価格での販売を目指すとしている。

もし両社が合併すれば、鉄鉱石、銅、ボーキサイトなどで世界最大となる。

鉱山別能力(赤色部分が合併した場合の合併会社の持分)

   資料 BHP Billiton 2007/11/12 発表 "Unlocking Value"  
http://www.bhpbilliton.com/bbContentRepository/20071124543637/071112presentationbhpbillitonriotintounlockingvalue.pdf

この買収が実現すると、日本で大きな影響を受けるのは鉄鋼業界である。両社は日本の鉄鉱石輸入量の約60%、原料炭輸入量の約35%を占めている。

このため、公正取引委員会は、鉄鉱石の世界市場が買収によって寡占状態となり、競争が制限される可能性があるとして、欧州連合やオーストラリアなどの当局と協調審査に向けた協議に入った。
また、両社から鉄鉱石を輸入している台湾や韓国などの機関とも情報交換し、両社の買収計画の審査を行う方針と言われている。

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* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

ダウの会長兼CEOのAndrew N. Liveris は12月20日上海で会見し、同社が今後10年間に中国に50億ドルを投資すると語った。
現在、同社は
中国の国有石炭最大手・神華集団との間で、陜西省楡林市で石炭からオレフィンを生産する大計画のFSを共同で実施しているが、この分は上記の50億ドルには含まれない。

ダウと神華集団は2004年10月にワールドスケールのCoal-to-Chemicals コンプレックス建設のFS実施の契約を締結したが、2007年5月に詳細FS 実施の Cooperation agreement を締結した。検討に2年かかるとみている。

石炭からメタノールを生産、更にそれからエチレンとプロピレンを生産する。電解設備も建設し、苛性ソーダ、VCMや有機塩素類を生産する。計画にはグリコール、アミン、溶剤、界面活性剤、アクリル酸と同誘導品、プロピレン誘導品などが含まれている。

これも50億ドル程度といわれており、これが実施されると、ダウは中国に今後、100億ドル程度を投資することとなる。

ダウはこれまでに中国に5億ドルを投資済みで、これに加え、上海のダウセンター、江蘇省張家港市の世界最大級の10万トンの液体エポキシ樹脂工場、これの原料用の上海のグリセリンからのエピクロルヒドリン工場などに更に4億ドルの投資を行なっている。.

2006/8/23 中国でのダウの活動  

Liveris 会長は、中国はダウのグローバル戦略の中心であり、この役割は今後も増大すると述べ、成長する中国の石油化学分野でのダウの存在感を更に強めるとした。

 

中国政府はシノペックとクウェート石油との50億ドルの石油精製・石油精製計画の詳細FS実施を承認したばかり。

広東省南沙に建設するもので、製油所能力は年12百万トン、エチレンは100万トンとされている。
当初、シェルやダウが参加すると見られたが、クウェート石油がシェルの参加を拒否した。

シノペックは広州の広州石油化学で計画していたエチレンの増設(+60万トン)計画を中止し、南沙計画完成後には広州の既存の20万トンエチレンを停止する。

Liveris 会長は中国の大きな石油精製・石油化学計画に参加することに関心があると述べた。
ダウが先日発表したグローバル石油化学JVの相手のPICは、クウェート石油の100%子会社。

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ダウは以前に中国側(シノペック、天津石化、天津市)との50/50JVで、天津での石油化学事業を計画した。

計画では渤海湾に面した化学工業区塘沽に2008年稼動予定でエチレン 80~90万トンのほか、PE、PVC、PO/SM、その他を生産する予定であったが、ダウがその後消極的となり、経済性が悪いので 2010年以降の稼動になるとしたが、最終的に撤退している。

2006年6月、シノペック天津分公司(支社)の年産100万トン規模のエチレンコンプレックスが天津浜海新区の大港石油化学基地で着工した。
  2006/7/3 
SINOPEC天津分公司の100万トンエチレン計画着工 

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* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
  

国土交通省は12月27日、11月の住宅着工件数を発表した。

新設住宅着工戸数は 84,252戸で、前年同月比では 27.0%減、5か月連続の減少となった。
改正建築基準法の施行(6月20日)の影響がいまだに響いている。
(但し、総数は前月比で2ヶ月連続の増加となっている。)

このままでは、2006年の129万戸に対して、105万戸程度となる。
(1996年は163万戸)

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米国の住宅着工件数も11月は年換算で1,187千戸となり、年平均で1,372千戸となった。
過去最高の2005年とくらべ、66%しかない。

スタンダード & プアーズが12月26日に発表した10月の一戸建て住宅価格は前年同月比 6.7% の下落となった。
住宅の販売不振は一段と深刻になっている。

サブプライムローンによる金融機関の評価損も増える一方である。

付記

米商務省が12月28日に発表した11月の新築一戸建て住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は前月比 9%減の647千戸で、前年同月比では 34.4%減と大幅な減少となった。

1995年4月以来、約12年半ぶりの低水準。
米住宅市場がさらに悪化していることが浮き彫りとなった。

石化事業損益

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経産省化学課は12月17日、エチレンセンター11社の今年度上期の決算は、前年同期比大幅な増収益になったと集計結果を発表した。
 

エチレンセンター11社:
   出光興産(石油化学部門)、大阪石油化学、山陽石油化学、昭和電工、住友化学、
   東ソー、東燃化学、新日本石油(石油化学部門)、丸善石油化学、三井化学、三菱化学

主要会社の中間決算での営業損益対比は
   2007/11/19  主要会社 中間決算-3 

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日本の石化は1980年代初めに行き詰まり、産構法での設備カルテル、共販で生き残りを図ったが、1985年に原油価格が暴落し、石化製品の需要が急増、石化の利益は急増した。

そのため、休止設備の復旧が行なわれ、更に設備の新設競争が起こった。(ポスト産構法前期)
しかしバブル崩壊で需要が減少に転じ、石化の業績は再び悪化した。(ポスト産構法後期)

対策として、三菱油化と三菱化成、三井石油化学と三井東圧が統合、ポリオレフィンや塩ビで事業統合が相次いだ。(事業統合時代)

しかし、単なる統合だけのため、販売会社は減ったが、工場はそのままで、需給状況は改善せず、損益は低迷した。

「2004年問題」を控え、どうしようもなくなって、「選択と集中」時代に入った。

しかし、直後に中国バブルが始まり、採算は急激に向上し、今に至っている。

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なお、PVCについても経産省化学課で集計しているが、2001年度からは結果を公開していない。

PVCについては特に価格競争が激しく、ポスト産構法前期こそ、黒字となったが、その後は再び赤字となり、2000年になり多くの企業が撤退した。その後は中国バブルで業績が好転、決算を発表している大洋塩ビ、新第一塩ビ、ヴイテックも最近は黒字となっている。

今後、中国バブルが崩壊した後に、日本の石化の損益がどうなるのかは
昨日の 2007/12/25 2007年回顧と展望 「ガラパゴス鎖国」論 を参照

 

産構法以降の石化の歴史については 2006/3/8 日本の石油化学産業の構造改善-1 を参照 

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* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
  

2007年は石油化学業界にとって激動の年であった。

石油価格は2006年秋から急降下し、ドバイ原油は2006/8/8の72.30ドルの最高値から本年1月19日には48.85ドルまで下がったが、その後再度上昇に転じ、11月21日には90.30ドルと、1年弱で85%も上昇した。
ニューヨークのWTI原油は11月20日に
一時 99.29ドルと、100円間際まで上昇した。

米国のサブプライム問題で、資金が石油になだれ込んだのが主な理由である。

中国は相変わらず猛烈な勢いで石化を拡大している。
大規模コンプレックスが多数計画されており、既に過剰生産が懸念されるPVCや、三菱化学が操業開始して間もない中国のプラントを一時停止したPTAでも新設計画が相次いでいる。

中東でも、安いエタンを原料に、大規模計画が相次いでいる。
アラムコは本年5月、ダウとの合弁で世界最大級の化学品・合成樹脂のコンプレックス(ラスタヌラ総合計画)の建設・運営についての詳細覚書を締結した。アラムコと住友化学のJVのペトロラービグも第二期計画を検討している。

中東の主要石化会社の8社が参加して昨年設立されたGulf Petrochemicals and Chemicals Association は最近、中東のエチレン生産能力が現在の13百万トンから2012年に29百万トン以上になるとの予想を発表した。

SABICは昨年10月にHuntsmanから英国の石化子会社を買収し欧州事業を拡大したが、本年5月にはGE Plastics を買収し、高機能製品分野にも進出した。

クウェートのPICはダウとのJVで一躍世界の石化のトップメーカーとなる。親会社のクウェート石油は中国でSinopecとの合弁での石油精製・石油化学計画を進めている。

原料価格の高騰による採算悪化を背景に欧米各社は「選択と集中」を一層進めた。

ダウはデュポンに買収を持ちかける一方、石化事業では Asset light 戦略でJV方式による拡大を世界中で行なっている。
(サウジでアラムコと、タイでサイアムと、最近はリビア、ロシアとのJVを検討している)

同社は既存事業のJV化も進めており、既にクウェートのPICとEGの、Chevron Phillips Chemical SM/PSのJVを決めているが、12月にはPICとのPE、PP、PC、エチルアミン、エタノールアミンのJVを発表した。

多くの買収の噂が飛び交い、まさかと思われた話が次々と実現していった。

GEはGEプラスチックをSABICに売却した。
   
Huntsman は一旦、Basellへの身売りを決めたが、その後、Hexion に売却した。
   
Huntsman に断られたBasell はLyondell を買収した。
   
Akzo Nobel はICIを買収、ICIの塗料事業を残し、残りの接着剤とエレクトロニック材料事業Henkel に売却、かつてポリエチレン等で世界を風靡したICIはこれでバラバラになり、消滅した。
   

デュポンに買収を持ちかけ断られたダウ自身を、Kohlberg Kravis Roberts と中東諸国の投資家が出資して500億ドルで買収するという報道がなされ、関係したとされるダウの役員が2名解雇されるという問題まで発生した。

BASFも新しい買収を検討している。
同社のCFOは、「世界の最大の化学企業10社を合計してもマーケットシェアはたった
20%で、最も集約化の遅れた分野のひとつである。更なる集約が必要だ」としており、サブプライム問題による信用収縮で M&A が停滞している中、買収のため 100億ユーロの借入が可能であるとしている。
その後、同社のCEOも更なる集約の必要性を説き、BASF自体も買収されないほど大きいわけではないと述べた。また12月12日には「同社は資金面では強力で、どんな買収でも可能である」ともしている。

ブラジルでもペトロブラス、ブラスケムが連携する大規模な石化事業の再構築が行なわれている。

(詳細は 項目別索 から各社記事参照) 

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そのなかで日本のみが、この激動の蚊帳の外である。

2000年頃には小規模多数プラントの中での過当競争で採算が悪化し、「2004年問題」(ポリオレフィン関税引き下げ)の懸念もあって、各社とも「選択と集中」に踏み切った。

三菱化学の四日市エチレン閉鎖、塩ビ各社の撤退、ポリプロ業界の再編、三井・住友の統合などの動きが出た。昭和電工も石化事業方針を転換し、石油化学を「再構築事業」とし、提携・売却も視野に入れるとした。

しかし、その後の中国需要の急増が神風となり、日本の石化は儲かる事業となった。
中国向け輸出が増え、採算が向上した。その後の原油価格上昇に際しても需給逼迫により、国内価格の値上げが可能となった。
(それまでは過剰能力による過当競争で原料価格上昇分の転嫁は全く出来なかった。)

それまでの石化の採算悪化で各社ともハイテク材料分野に進出していたが、折からの薄型テレビなどのブームで、これらも利益を生むようになった。

銀行救済のために行なわれた金利引下げと、その結果起こった円安も採算に好影響を与えている。
(韓国の企業はウオン高に悲鳴を上げている。金利も日本と比べると非常に高い。 2006/12/9 
ウォン高 更に進む 
  

各社の業績は向上し、過去最高の利益となる会社が続出している。

この結果、「選択と集中」の動きは完全にとまった。
三井・住友の合併は取り止めとなり、塩ビ業界の更なる統合の動きもなくなった。昭和電工は「再構築事業」であった石油化学を「基盤事業(Cash Cow)」としている。

三菱ケミカルホールディングスの小林社長は最近のインタビューで、「中東にまで原料を求めるつもりはない。 --- 石油化学は中東、インド、中国などの台頭があるが、当社もアライアンスやリファイナリーを含めて対応していけば、まだやっていける」と述べている。

 

日本のエチレンセンターは京葉エチレンを入れて14あり、三菱化学四日市の停止以降は変わっていない。1センター当たりの平均能力は定修なしベースで573千トン。最高が三菱化学鹿島の2系列合計926千トンで、400~600千トン台が中心である。
ポリオレフィンも統合で会社数は減ったが、プラントは減っていない。
相変わらず、小規模多数工場体制が続いている。

世界中が激動しているなかで、日本の石化のみが、現在の高収益に満足して、昔の体制のままで止まっている。
雇用問題などから抜本的な改革をやりにくいという面もある。

(始まって2年弱の本ブログでも、日本の石化の「選択と集中」に関する新しい記事は全くない。)

ーーー

「ガラパゴス鎖国」という言葉がある。「パラダイス鎖国」という流行語を更に進めたものである。

シリコン・バレー在住のIT関係コンサルタントで子育て中の主婦でもある海部美知さんが、「Tech Mom from Silicon Valley」 というブログを書いている。http://d.hatena.ne.jp/michikaifu/ 

彼女が2005年7月28日から5回連続で書いた記事「パラダイス的新鎖国時代到来」が評判になり、いろいろな所で使われるようになった。
本年11月6日に日本経済新聞主催で行なわれたシンポジウム「
日本経済 過去・いま・未来」でも、今井賢一・スタンフォード大名誉教授と伊丹敬之・一橋大学教授がこの言葉を使っている。

携帯電話業界でTDMA、GSM、CDMAという3つの方式が乱立し泥仕合が数年続いたアメリカに対し、日本はドコモが独自方式のPDCを全国展開して、一気にデジタル化で先行した。
日本の端末メーカー各社は、アメリカ市場に見切りをつけ、日本市場に安住した。

今や、日本の大手メーカーはアメリカでの地位を失い、欧州でも苦戦、日本が自国の殻に閉じこもる一方、韓国のメーカーがめざましい躍進を遂げている。

儲かる日本に安住して閉じこもる状況を彼女は「パラダイス的新鎖国」と呼んだ。

最近はこの状況を、儲かる日本に安住して鎖国をした結果、進化が止まってしまったとして、進化のとまった生物が住むガラパゴス島から取ってガラパゴス鎖国」との言葉が広まった。

ーーー

日本の石化は海外に大量に輸出しており、その点では携帯電話業界とは異なる。

しかし、現在の「天国」状況に満足して、選択と集中、大規模化という世界の石化の流れから完全に切り離されたという意味では「パラダイス鎖国」状況であり、海外の大規模化、統合の動きに対して以前の小規模多数プラント体制を維持したままであることは、まさに進化の止まった「ガラパゴス鎖国」状況である。

ガラパゴス諸島は1978年にユネスコの世界遺産第1号に登録されたが、その後、1980年に4,000人であった観光客が2006年には14万8,000人に激増、大陸からの移民などで定住人口も 5倍以上になり、ゴミ処理や地下水汚染の問題が深刻化している。
ゴミ処分場から一日中立ち上がる煙が周囲の原生林まで広がり、固有種の鳥のダーウィンフィンチが残飯をあせり、外来植物の流入で固有種が危機に瀕している。
ガラパゴスは最早、「天国」ではなくなり、本年6月に「危機遺産」リストに掲載された。

 

「鎖国」を続けるうちに、日本を取り巻く状況も変わりつつある。

中国は来年、北京オリンピックを迎える。

これが終わると、中国バブルが破裂するとの見方は以前から主流であった。

筆者はその以前にバブルが破裂する可能性を述べてきた。
中国の人口は13億人だが、頼りとなる需要人口は沿岸部の3~4億人であることから、既に供給過剰状態になりつつあるとの見方からである。
実際にPVCでは輸出が増加しつつあり(政府の政策で一時減少している)、PTAでは日本企業もその影響を受けている。
SMは供給過剰でタンクが満杯になっており、韓国メーカーは操業を停止した。

それでも、中国は大国であり、地方政府や企業の思惑で、中央政府の方針に関係なく、どんどん新増設が行なわれている。

他方、サブプライム問題で米国の景気が低迷する見通しで、中国からの輸出の減少も予想される。
中国の補助金に対して、米国政府はWTOに提訴するとともに、相殺関税をかけるなど、圧力をかけている。

また、輸出による外貨増大にもかかわらず、人民元引き上げを防ぐため政府がドルを買い上げているため、インフレとなり、株式市場には余剰の資金が流入して株価が暴騰している。
(中国では少し前からバブル崩壊を予想し、日本のバブル崩壊時の対策の研究が行なわれている。)
中国政府は来年、金融引き締めを強化することを決めたが、人民元切り上げの可能性も出てきた。

公害がひどくなり、飲み水に影響が出て、政府が工場閉鎖も含めた対策を打ち出し始めた。

いろいろな問題を抱えながら、オリンピックを目指して突っ走っているという感じである。

国の威信をかけて行なうオリンピックが終わると、今度こそ、バブルがはじける可能性が強い。

 

中国のバブルがはじけると、その影響は大きい。
石化製品は世界的に大幅な供給過剰となる。中国向けに設備をつくっている韓国や台湾の影響は甚大である。
場合によっては中国の需要増を主因に上昇した原油価格も暴落する可能性もある。

日本にとっては、これに加えて、ドル安が更に進む結果、円高となる可能性もある。
(輸出採算が悪化し、輸入価格が低下する)

以前は「2004年問題」を懸念したが、ASEANとの経済連携協定で将来はこれらの国からの輸入品への関税そのものがなくなる。

日本の需要家の品質や輸送等のサービス面での要求が強いことから、石化製品が輸入品に代替される可能性は低いが、日本の石化にとっての「天国」の理由の中国需要、円安などの要因がなくなると、輸出減による需給アンバランスと国際市況の下落で値下げ競争が始まり、再び赤字に陥ることになりかねない。

石化のほかの収益源となってきたハイテク材料分野でも、最終製品の競争激化により、部分的には採算悪化も見られている。

日本の石化事業もガラパゴスのように「危機遺産」とならなけばよいが。

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本号でこのブログも丁度 600回となります。ご愛読ありがとうございます。
出来れば1000回を目指したいのですが、それまでに日本の石油化学の再生がなるでしょうか。

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* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
  

Basell Trinidad and Tobago National Gas CompanyNational Energy Corporation 及びLurgi AG 1214日、Trinidad and Tobago で統合PP コンプレックスを建設するMoU を締結した。

計画ではメタノールと、それを原料とする「メタノール to プロピレン」プラント及びワールドスケールの45万トンのPPプラントを建設する。
前二者はこの分野でのリーダーの
Lurgi が担当、PPBasell Spherizone 法を採用する。

2012年のスタートを考えている。

本事業は川下分野の多角化を進め、付加価値の高いプラスチック産業の基礎をつくるという同国の戦略の基盤になるもの。

National Gas CompanyNGC 1975年に設立され、同国の天然ガスベースのエネルギー分野で主要な役割を果たしている。
National Energy Corporation NGCグループの一部で、川下分野の推進とエネルギー分野の港湾施設の開発運営を担当している。

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2006年4月に同国政府は台湾資本の米国の石化会社 Westlake Chemical との間で、同国でエタンベースで57万トンのエチレンとポリエチレンほかの誘導品事業を行う覚書を締結している。

  2006/5/26 アジア企業の海外展開  

 

 

 

 

 

 

 

 

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* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

12月21日(金)午前11時32分頃に、茨城県神栖市の三菱化学鹿島事業所第2エチレンプラントにおいて、火災事故が発生し、協力会社従業員4名が亡くなった。

1 発生日時  2007年12月21日(金) 午前11時32分頃
          (午後11 時13 分に鎮火)
2 発生場所  三菱化学社 鹿島事業所第2エチレンプラント内
          分解炉(2F-208)クエンチフィッティング元弁フランジ部

付記  同社中間報告資料(12月27日)から

Kashima_3 

事故の詳細は以下の通り。(同社発表)

第2エチレン製造設備では、原料ナフサを分解炉(管式)で熱分解し、水素、メタン、エチレン、プロピレン、ブタジェン、ベンゼン、重質燃料油等の分解ガスを生成する。
分解炉からの高温(840℃)の分解ガスは急冷熱交換器で一次冷却され、更に急冷油により約200℃まで直接冷却される。
漏洩は、このクエンチフィッティング(直接冷却)装置へ急冷油を送る配管のフランジ部で発生した。

当該分解炉(2F-208)は12/17から12/20まで灯油分解を行い、12/20 16:45 から12/21 03:10 までデコーキング(系内の炭素分の除去)を行なった。
その後、11:20から通常運転に復帰させるため、縁切弁(AOV)の仕切り板の抜き出し作業を行なっていた。
その作業の最中に何らかの原因で縁切弁が開いて、急冷油が漏洩し、何らかの原因で着火、火災に至った。

 

第2エチレンには分解炉が8つあり、事故のあった分解炉 2F-208 は2006年稼動の第8炉。能力は最大150千トンで、ナフサのほか、灯油や軽油、コンデンセート(天然ガス随伴原油)などが使用でき、価格が高騰しているナフサ以外の原料が20%まで対応可能とされる。事故前日まで灯油を使用していた。

三菱化学のエチレン能力は以下の通り。(2006/12/末時点 単位:千トン/年)

  定修あり 定修なし 全国比
(定修なし)
鹿島第1   375   410   5.1% 
鹿島第2   476   516   6.4%
(小計)  (851)  (926) ( 11.5%)
水島   450   496   6.2%
三菱合計 (1,301) (1,422)   17.7% 
全国 〔7,289〕 〔8,023〕  

*同社の四日市事業所のエチレンプラント(270千トン)は2001年1月12日に停止している。

三菱化学鹿島コンビナートは以下の構成で、多くの企業が多岐に亘る製品を製造している。
(能力の一部は若干古い数字   単位:千トン/年)

*1  日本ポリエチレン   日本ポリケム 50%/日本ポリオレフィン 42%/三菱商事プラスチック 8%
(日本ポリケム
2003/6三菱化学100% ← 三菱化学 50%/東燃化学 50%)
(日本ポリオレフィン:昭和電工 65%/新日本石油化学 35%)
*1-2 日本ポリプロ   日本ポリケム 65%/チッソ 35%
*2  鹿島塩ビモノマー   信越化学 50%/三菱化学 25%/旭硝子 10%/鐘淵化学 10%/旭電化 5%
  製品引取は信越化学・鐘淵化学(三菱化学*、旭硝子は権利放棄)
  *当初は三菱油化(製品引取なし)、三菱化成合併後に引き取り
*3 鹿島電解   旭硝子 25%/旭電化 23%/信越化学 13%/三菱化学 21%/鐘淵化学 8%
*4 鹿島ケミカル   旭硝子 39.375%/旭電化 39.375%/三菱化学 11.25%/三菱商事 10%
(← 当初 旭電化 50%/旭硝子 50%、後、ライオン、三菱化学、三菱商事参加、
その後、ライオン離脱)
*5 ユポ・コーポレーション   王子製紙 50%/三菱化学 50%(←王子油化合成紙=王子製紙/三菱油化)
*6 油化スケネクタディ   三菱化学 50%/米Schenectady 50%
*7 JSRクレイトンエラストマー   JSR 50%/Shell Japan 50%(←JSRシェルエラストマー)
*8 三井化学ポリウレタン   三井化学 100%
(←三井武田ケミカル:三井化学 51%/武田薬品 49%)

 

事故を受け、第2エチレンは操業を停止、第1エチレンのみ操業している。
上記の各社の製品の原料であるエチレン、プロピレン、B-B留分(C4)、ベンゼン、トルエンなどの56%がカットされることとなる。

三菱化学では当面は他社への供給を優先し、自社グループに基礎原料を送るのを止めた。
このため、日本ポリエチレン、日本ポリプロなどは生産を停止した。

三菱化学では同業他社に応援を要請している。また、鹿島の稼働率低下で不要になったナフサを他のコンビナートが引取る。

しかし、各社とも高水準の生産を行なっているため、余力に限界がある。

化学業界の生産・製品供給への影響は避けられない。

付記

三菱化学は12月25日、同日現在のプラント稼働状況を発表した。

【現時点で停止中のプラント】
(1)第2エチレンプラント
(2)第2ベンゼンプラント

3)ポリエチレン  A,B,C 全系停止 →12/26 一部運転を再開
(4)ポリプロピレン   B,C 全系停止 →12/26 一部運転を再開

【稼動調整中のプラント】
(1)酸化エチレン・エチレングリコール 60%稼動
(2)エチルベンゼン   60%稼動
(3)キュメン      60%稼動
(4)フェノール     60%稼動

 

付記ー2

同社は
12月27日、経済産業省 原子力安全・保安院および茨城県に対し、中間報告資料を提出した。

http://www.m-kagaku.co.jp/newsreleases/2007/20071228-2.html#tmp1 

参考

     同社中間報告資料(12月27日)から

付記  2008/1/9 三菱化学鹿島事業所 火災事故 その後

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* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
  

Basell 1220日、Lyondell Chemical との合併が完了し、世界第三位の化学会社 LyondellBasell Industries が誕生したと発表した。

ポリマー、化学品、燃料、技術の4部門を持ち、売上高 430億ドル、5大陸19カ国に60の工場を有し、全世界の従業員は15千人。

株主はロシア生まれのLen Blavatnik 1986年に設立し所有する投資会社Access Industries で、現在では化学、テレコミュニケーション、不動産の3分野に投資している。

新生 LyondellBasell Industries の世界の化学業界における位置は以下の通り。(同社発表による)

  ポリオレフィンとPPコンパウンド合計  第1位
  酸化プロピレン  第1位 
  ポリオレフィンのライセンス  第1位
  PP触媒  第1位
  PP  第1位
  PE  第3位
  オキシジェネート燃料  第2位
  プロピレングリコール、同エーテル  第2位
  エチレン・プロピレン  第5位

このほか、米国にリファイナリー(268千バレル/日)をもつ。

   参考 過去のブログ記事  

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ダノンとワハハは12月21日、共同声明を出した。

中国政府とフランス政府の期待に沿い、両社は対立を終え、和平交渉に戻ることで合意した。一時的に全ての訴訟と仲裁を中断し、攻撃的な声明を止め、和平交渉のための友好的雰囲気を作る。
両社は対等と互恵の原則に基づき交渉を行い、小異を捨てて共通の場を求め、相互理解を行い、解決成功に向け努力する。ワハハブランドの全ての事業を更に発展させ、中仏友好を進め、両国の企業間の相互協力を推進する。

1126日、北京を訪問中のSarkozy大統領は胡錦濤国家主席との会談で、Wahaha Schneider問題を取りあげた。
大統領はこれらの問題が両国の支援の下で友好的に解決されることを希望すると述べ、胡錦濤主席も異論を唱えなかったという。

  2007/11/30 ダノンとワハハのその後 

12月10日、杭州調停委員会は決定を下した。
Wahaha ブランドをJVに移管する契約は終了しているというもので、また、Wahaha Group に商標移管契約を守れというDanone の要求は時効であるともした。

これを受けてか、ダノン側は12月14日、「もしワハハ側が再統一のための具体的な行動を示すなら、ダノン側は法的行為を中断する考えがある」との声明を出している。

また、ワハハ側はダノンが中国の他の食品関連企業と提携し、合弁事業の利益を損なっていると批判してきたが、ダノンは10月に中国乳業大手、光明乳業との資本・技術提携の解消を発表したのに続き、12月に入り、同じく乳業大手の中国蒙牛乳業との中国での乳製品分野での合弁事業を解消すると発表した。

 

参考

12月9日のNHKスペシャルでこの問題が取り上げられたが、この再放送が下記の通り行なわれる。

 2007年12月27日(木) 深夜【金曜午前】1時00分~1時49分 総合
   激流中国「訴えられたカリスマ経営者~追跡・ブランド騒動~」

 

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インドのReliance GAIL124日、石油化学におけるJoint Co-operation についての MoU を締結した。

両社は原料リッチな国などで石油化学コンプレックスを建設することを検討する。

世界中で石油化学製品に対する膨大な需要があると考えており、特にガスが豊富な国で、ガスベースの大規模石油化学コンプレックスを建設するチャンスであるとみており、200万トン程度の規模を念頭に置いている。

両社でワーキンググループをつくって検討するが、候補国として、QatarAbu DhabiBahrainVietnamAustraliaSouth AfricaAngola MexicoRussia 及び旧ソ連(FSU)諸国が挙がっている。
その後、50/50の会社(Special Purpose Vehicle)を設立する予定。検討に3年間をみている。

また、両社は国内市場で製品のスワップを含め石化製品の販売での相互協力の可能性も検討する。

今回のMoU は石油化学における両社の協力の最初のものだが、3月には天然ガス分野で、天然ガスパイプライン、都市ガス、炭層メタンガス(Coal Bed Methane)、採掘・製造・メンテナンスサービスなどを含む協力についてのMoU を締結している。

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Solvay 12月14日、子会社のSolvay Indupa がブラジルのSanto Andre工場の拡張を行なうと発表した。
135百万ドルを投じるもので、ビニルチェーンの拡大とともに、サトウキビ原料のエタノールからのエチレン製造プラントを含んでいる。

バイオエチレンの能力は6万トン。
ブラジルではダウがサトウキビ原料のエチレンでLDPE、
BraskemHDPEの製造を検討しているが、バイオエチレンによるPVCの製造は世界で初めて。
    
2007/7/27  Dow、ブラジルでサトウキビからLDPE製造 
    
2007/11/5  Braskem、サトウキビからHDPEを製造  

Santo Andre工場の既存能力は苛性ソーダ10万トン、VCMとPVCが各24万トンだが、増設後は苛性ソーダ23.5万トン、エチレンが6万トン、VCMとPVCが各36万トンとなる。

Solvay Indupaではまた、アルゼンチンのBahia Blanca 工場で165メガワットのコンバインドサイクル発電所(高温の燃焼ガスでガスタービンを回すとともに、その排ガスの熱で発生させた高温・高圧の蒸気により蒸気タービンも回して発電)の建設も検討している。アルゼンチンのエネルギー会社Albanesi S.A. とともに検討しているもので、建設費は135百万ドル、工場の全エネルギーを賄う。

Solvay Indupa Solvay 70.1%を出資し、本社をBuenos Aires に置く。
ブラジルの
Santo Andre工場とアルゼンチンのBahia Blanca 工場を有しており、後者の能力は苛性ソーダ18万トン、VCMとPVCが各21万トンとなっている。

Solvay Indupa ではこれらの投資を賄うため、130百万ドルの増資を考えている。

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Brazil Braskem 2007年4月16日、Venezuela 国営石化会社 Pequiven との間で、Venezuela Jose Petrochemical Complex2つのJVを設立することで合意したと発表した。Venezuela の豊富な天然ガスを利用するもの。

   2007/4/24 Braskem Venezuela 国営Pequiven、石化JV計画で合意 
    

ーーー

12月13日、カラカスでの両国大統領の会談の席で、Braskem Pequiven の2つの50/50合弁会社設立が発表された。

いずれも Jose Petrochemical Complex に建設するもので、第一は Prolipropileno del Sur, S.A. Propilsur
プロパン脱水素で、PP 45
トンを建設する。
投資額は9
億ドルの見込みで、2010年下半期のスタートを目指す。

第二はPolietilenos de America, S.A. Polimericaで、天然ガスを原料にエタンクラッカーを建設、エチレン130万トンと、HDPE、LDPE、LLDPEの3系列合計110万トンを生産する。
投資額は26億ドルで、2012年下半期スタートの予定。

所要資金の70%をプロジェクトファイナンスで、残り30%を両社が出資する。
財務アドバイザーが既に資金手当の準備を始めている。

 

 

 

 

 

 

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ダウは12月13日、クウェート国営石油の子会社 Petrochemical Industries Company (PIC) との間でグローバルな石化JV50/50)を設立すると発表した。
    2007/12/14 
速報 ダウとクウェートのPIC、グローバル石化JVを設立 

同社は116-7日に予定していた機関投資家向けの説明会を延期したため、買収するのか、JV設立か、買収されるのかとの憶測を呼んでいたが、本件が詰めの段階にきていたものと思われる。

同社は12月13日に機関投資家向けの説明会を開催した。
概要及び解説は以下の通り。

 

1)ダウの基本戦略

ダウの基本戦略は下図の通り、基礎化学品と機能性化学品のバランスが取れ、多角化し、上流から下流までの統合会社で、グローバルに活動し、生産性と信頼性が高い、技術優位の企業となることである。

Business BalanceBasic + Performance
Diverse Portfolio
Major Basics chains + Performance markets
Fully Integrated
Upstream + downstream
Global Reach & Geographic Balance
Customers in 175+ countries, operations in 37
Operational Excellence
Productivity and reliability
Technology Leadership
Process technology and product innovation

2)基礎部門の戦略

20063月、同社は原料価格変動の影響を受けやすい基礎部門をAsset light strategy(JV化)により進めることを明らかにした。

Liveris
会長は本戦略のメリットとして以下の点を挙げている。
 ・
低コスト原料へのアクセス
 ・
パートナーのローカルな力の利用
 ・
設備投資減
 ・
リスク低減

同社は従来から各地で多くのJVを設立しているが、本年になってから、更に勢いを強めている。
   
2007/10/5 Dow、JV白書を発表 

Asset light strategyは新しい事業をJVでやるだけでなく、従来のダウの事業を出してJVにすることも含んでいる。
これの最初が、今回のJV相手のPICとの
MEGlobalEG)、Equipolymers(PET)である。(後記)

本年1月に同社はPSとPPについて分社化を考えていることを明らかにした。

このうち、PSについては4月10日に、Chevron Phillips Chemical との間で北南米のSM/PSの50/50JV設立のMOUを締結したと発表した。
JV名は Americas Styrenics となった。ダウが出す予定であったブラジルのSMプラントは休止が決まったが、別途、事業撤退を決めたABSプラントをPS用にJVに出すこととなった。
   
2007/4/11  Dow、Chevron PhillipsSM/PSのJV設立 

今回のJVは当初考えていたPPだけではなくなった。

3)今回のJV

今回のWorld-Class Petrochemicals Company の範囲は以下の通りである。
  
PEPPPC、エチレンアミン、エタノールアミン、
  関連技術
  下記のオレフィンソース
    
Fort Saskatchewan, Canada (cracker)
    Bahia Blanca, Argentina (cracker)
    Tarragona, Spain (cracker and octene manufacturing facility)
  なお、ダウの他のクラッカーとはエチレン供給契約を結ぶ。

新会社の売上高は108億ドルで、Fortune 250 に入る。

また、既存のPICとのJVEQUATE / MEGlobal / Equipolymers と合わせると、
 ・売上高 140億ドル、
 ・14箇所の立地、従業員6,300名、
 ・PEPPPCPETの幅広いプラスチックを供給する世界最大のポリオレフィンメーカーで、
 ・世界最大のEO/EG/EG誘導品会社の
World-Class Competitive Petrochemical Giant となる。

なお、既存のダウのJVが新しいJVに含まれるかどうか、明らかでないが、アジアのJVについては含まないことが12月17日に明らかになった。

4)PICとの関係

歴史
 ・1995
 Union Carbide PIC Equate を設立
 ・
2001 ダウがUnion Carbide を買収、 Equateのパートナーになる
 ・その後、
Equate-2 建設開始
 ・
2004 EquipolymersMEGlobal 設立(ダウの事業を拠出)

既存JV概要

  EQUATE Petrochemical EQUATE 2 Equipolymers MEGlobal
Formed: 1995 (建設中) 2004 2004
Ownership: Union CarbideDow
   
45%→42.5%
PIC
45%→42.5%
Boubyan Petrochemical
10%→ 9%  
Al-Qurain Petrochemical
 0 6%
同左 Dow  50%
P
IC  50%
Dow 50%
PIC
  50%
Headquarters: Jleeb Al-Shyoukh, Kuwait         同左 Horgen, Switzerland Dubai, United Arab Emirates
Production
facilities:
Shuaiba, Kuwait 同左 Ottana, Italy and
Schkopau, Germany
Fort Saskatchewan and
Red Deer, Alberta, Canada
Capacities:
  (tons/year)
エチレン 650千トン→800千トン
LL/HDPE 450千トン→600千トン
EG     300千トン→400千トン

PP   100千トン→120千トン
PIC資産、Equateが製造受託) 

エチレン850千トン
PE 
300千トン
EG 
600千トン  
PET 485千トン EG 1,000千トン

5)ダウのPerformance分野

4つのメガトレンド(健康、エネルギー、インフラ・輸送、エレクトロニクス・通信)に対して、ダウの得意とする技術を利用して対応する。

Trend Human health Energy Infrastructure
& Transportation
Electronics &
Communication
Dow の狙う分野 Food Nutrition
Wellness
Alternative Energy
   solution
Energy efficiency
  solution
Construction
Water treatment
Transportation
Advanced materials
対応部門 Dow AgroScience
Dow Wolff Cellulosics
Specialty Plastics &

 Specialty Chemicals
Dow Building Solutions
Dow Hydrocarbons
Dow Epoxy
Dow Automotive
Dow Coating Solusions
Dow Water Solusions
Wire & Cables
Polyurethanes & PU Systems
Advanced Electronics Business
得意技術 Biotechnology
Water Soluble Materials
Advanced Packaging

  Materials
Crop Protection
Insulation
Applied Energy Efficiency
CO2 Management
Building Integrated

  Photovoltaics
Building Materials
Advanced Materials

  Science
Filter/Membrance

  Elements
High Throughput

  Formulation
    Capability
Optical Materials
PCB Materials
Advanced Materials Science
Interlayer Dielectircs

 

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米司法省は5月2日、原油の海上輸送に使うマリンホースの販売で国際的な価格カルテルに関与した疑いがあるとして日欧企業の幹部8人を逮捕したと発表した。
逮捕されたのは日本のブリヂストンの1名と英国のコンサルタント、英社の2名、仏社の2名、伊2社の各1名の合計8名。

公取委も5月7日、ブリヂストンと横浜ゴムに立ち入り検査に入った。

横浜ゴムはカルテルに入っていたが、自主申告したため、逮捕者は出ていない。
報道によれば米司法省は、横浜ゴム担当者になりすまし、そのメールアドレスを使ってコンサルタントらとやりとりを開始し、
その結果開かれた会合で逮捕が行なわれた。 

   2007/7/9 マリーンホース国際カルテル事件 

ーーー

米司法省は12月12日、英国のコンサルタント1名(カルテルのまとめ役)とDunlop Oil & Marine2名が、司法取引で、米国で販売されたマリーンホースについての談合、価格維持、市場割当に参加したことを認め、禁固刑に同意したと発表した。

それぞれ、30ヶ月、24ヶ月、20ヶ月の禁固刑で、外国人の独占禁止法での禁固刑では最長のもの。加えて、2人に各100千ドル、1人に75千ドルの罰金も科せられた。3人は有罪を認めた後、英国に護送され、英国の2002Enterprise Act (カルテル罪新設)での有罪を認めることとなっている。

11月にはフランスのTrelleborg Industrie 2人が司法取引で有罪を認め、各14ヶ月の禁固刑となった。

イタリアのManuli Rubber Industries の役員は9月に起訴され、来年5月に裁判の予定。

他に、イタリアのParker ITR の部長とブリヂストンの部長が逮捕されている。

刑期が長くなったのは、米国以外の企業が米国海軍をだまし、米国の税金を騙し取ったことへの対応とみられる。

本件の被害者には米国海軍が含まれているため、捜査は司法省独禁部門のほか、国防総省の防衛犯罪捜査部、海軍犯罪捜査部、FBIが、各国の捜査部門と協力して行なった。

司法省は英国のEnterprise Act を賞賛し、カルテルに参加した個人を犯罪者として罰する規定は国際カルテルに対する戦いの重要な武器になるとし、他の国もカルテルを犯罪とし、禁固刑を抑止手段としようとしているのは、カルテル防止の機運が高まっていることを示していると述べている。

ーーー

日本人ではこれまで米国で独禁法で禁固刑を受けたのは一人だけ。
起訴されても日本に在住している限りは時効中断となる。
(但し米国及び犯罪人引渡し協定のある国に行けば逮捕される。)

今回の場合、もしブリヂストンの部長が裁判で有罪を認めれば、おそらく二人目の禁固刑となると思われる。

  2006/2/16 独禁法改正 

ーーー

報道によると、公正取引委員会は12月7日、ブリヂストンと英仏伊のメーカー計5社に独占禁止法違反(不当な取引制限)で排除措置命令を出す方針を固めた。国際カルテルで日本企業が欧米独禁当局から巨額の制裁金を科されるケースが相次ぐ中、公取委が外国企業を行政処分するのは初めて。

違反を自主申告したとみられる横浜ゴムの処分は見送られ、ブリヂストンのみ課徴金が科される見通し。

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山東省の久泰能源(Jiutai Energy )は11月24日、河北省唐山市の曹妃甸(Caofeidian産業パークでの大規模石炭化学計画に関して地方政府との間で協定を締結した。

67億ドルの巨費を投資して、年産1,000万トンのメタノールと、それを原料に300万トンのDME、100万トンのオレフィンを製造する。
3段階に分け、2008年8月に建設を開始し、2015年完成を目指す。

300万トンのDME 生産にはメタノール 420万トンが、100万トンのオレフィン生産にはメタノール300万トンが必要。(合計720万トン)
残りのメタノールをどうするかは明らかにされていない。
また、オレフィン計画の詳細も不明。

巨額の資金をどうするのかも不明だが、本計画は山東省政府と河北省政府から強い支持を受けている。

ーーー

久泰は2002年に山東省臨沂市に設立された企業で、石炭ガス化によりメタノールDMEを生産する。(石炭ガス化→メタノール→DME)
100%子会社のChina Energy をシンガポールで上場している。

臨沂市の臨沂ハイテク産業開発地区でメタノール 8万トン、DME 3.5万トンでスタートし、現在の能力はメタノール25万トン、DME 15万トンとなっている。

広東省広州市の広州南沙経済技術開発区では20万トンのDMEをスタートしており、第二期として同地に60万トンのDMEを建設中。
内蒙古自治区オルドス市では
Rockefeller & Co.とのJVで150万トンのメタノールと100万トンのDMEを建設中。ここでは石炭ガス化にシェブロン・テキサコ法を採用した。
更に、江蘇省張家港市ではシンガポール籍の
100%子会社のChina EnergyとのJVで、100万トン計画の第一期として30万トンのDMEプラントを建設中で、2008年1月に生産を開始する。
(外国資本とのJVは税務上の恩典が受けられるので
China EnergyとのJVとした。今後は税率が統一され、恩典はなくなる。)

  メタノール DME  
山東省臨沂市    25万トン   15万トン 本拠地
広東省広州市     20万トン
  (
60万トン)
第一期
第二期 (建設中)
内蒙古自治区オルドス市  150万トン)  (100万トン) (建設中)
久泰能源(内蒙古)
 久泰化工 69%/米国
Rockefeller & Co. 31%
江蘇省張家港市     30万トン) (建設中)100万トン計画の第一期
久泰能源
張家港)
 
100%子会社のChina Energy45%出資
河北省唐山市 (1,000万トン)  300万トン) (今回計画)他に、オレフィン100万トン

内蒙古自治区のオルドス市ではBoyuan United Chemical (博源聯合化工)が天然ガスを原料とする100万トンのメタノール計画に着手している。
石炭と天然ガスが豊富なオルドス市では、これや久泰の計画を含めて多くのメタノール計画が進行中。
(今後は
天然ガスベースのメタノールは禁止される)

  2007/10/2  内蒙古で100万トンのメタノール工場竣工 

国家発展改革委員会(NDRC)は多数のプロジェクトの乱立で過剰能力となることなどを懸念し、20067通達を出し、年間300万トン未満の石炭液化計画、年間100万トン未満の石炭からのメタノール又はDMT生産計画、年間60万トン未満の石炭からのオレフィン生産計画を承認しないとしている。
  2006/7/21 「中国政府、石炭化学を規制
」  

ーーー

中国ではDMEはLPGやディーゼルの代替としてブームになっている。
北部の都市の一部ではLPGにDMEを20%混ぜて都市ガスとして使用している。中国政府は都市ガス用のDMEの基準を決め、2008年1月から施行される。
また、上海では上海交通大学、上海汽車(
Shanghai Automobile )、上海華誼集団の研究チームがDMEの都市バス燃料の研究を行なっている。

 

ーーーー

* 総合目次、項目別目次は
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豪州の農薬会社Nufarm 115日、中国化工集団公司 (ChemChina)Blackstone Group 及び Fox Paine Management III, LLC からの26億米ドルでの買収提案を受けた。

   2007/11/8 ChemChina Blackstone Group など、豪州の農薬会社買収

コンソーシアムはその後、Nufarm との話し合いに基づき、due diligence を行なってきた。

しかしながら、コンソーシアムは交渉期限の1210日までに正式提案をすることが出来ないと通知し、その結果、交渉は打ち切られた。
グローバルな信用収縮により、有利な借入ができなくなったのが理由とみられている。

これを受けてインド紙が、インドの最大の農薬会社United Phosphorus が買収を検討していると伝えたが、Nufarm はどこからもコンタクトはないとしている。

Nufarm に関心を持つ企業は多く、最終的にはNufarm の買い手が現れるとみられている。

ーーー

金融関係の調査会社Dealogic によると、本年下期(12/5まで)の世界のM&A は1兆8500億ドル(計画ベース)で、過去最高だった上期の2兆7100億ドルの7割弱に止まっている。
サブプライム問題で損失を抱えた金融機関が融資に慎重となり、ファンド向け融資の金利も上がっている。

ーーーー

* 総合目次、項目別の索引は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

ダウは12月13日、クウェート国営石化会社 Petrochemical Industries Company (PIC) との間でグローバルな石化JV50/50)を設立すると発表した。

JVは米国に本拠を置き、PEPPPC、エチレンアミン、エタノールアミンを製造販売する。売上高は110億ドル以上で、従業員は世界で5,000人。

ダウは20063月に、基礎部門の強化をJV化を通して行う方針を明らかにした。他社と新しいJVをつくるだけでなく、場合によっては既存の設備を出してJVにすることも行うとした。ダウはこの戦略をasset lightstrategy asset light とは「資産を持たない、減らす」という意味 )と呼んでいる
世界各地でJVを新設するとともに、エチレングリコール事業をPICとの
50/50JVのMEGlobal にしている。また、本年にPS事業を出し、Chevron Phillips Chemical との間で北南米のSM/PSの50/50JV Americas Styrenics を設立することとした。

今回の計画はその一環で、ダウはこれら製品の事業設備の権利の50%をPICに売却した上で、両社でJVを設立する。資産価値は190億ドルで、ダウはPICから税引前で95億ドルを受け取る。

JVはPICの原料ソースとダウの技術・マーケティング能力をベースとし、ダウでは「営業開始の初日からグローバルリーダーとなる石化会社をつくる」としている。ダウとしては基礎事業をJVで運営することで、資金を他の機能性事業、マーケット志向事業に投資するとしている。

今後、詳細を詰め、所要の認可を受けて、2008年後半に設立する予定。

ーーーー

* 総合目次、項目別目次は
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欧州第一審裁判所はこのたび、家畜用のビタミンB4 カルテルで、BASFに対する制裁金を引き上げる判決を下した。裁判所が欧州委員会の科した制裁金を引き上げたのは今回が最初。

本年5月に第一審裁判所の元の裁判長が、裁判所はもっと積極的になるべきで、制裁金を変更する権限を行使すべきだと述べており、企業は今後、控訴戦略をよく考えるべきだとの意見が出ている。
従来はほとんどのケースで制裁金が引き下げられており、企業が控訴をして損をすることはないと見られていた。

欧州委員会は200412月に、BASFUCBAkzo Nobel の欧州3社と米国のBioproducts DuCoa、カナダのChinook の6社が、992年から1998年にわたって、家畜用のビタミンB4 (塩化コリン)で国際カルテル(価格、市場割当)を結んだとして欧州3社に制裁金を科した。

北米3社は1994年に欧州側が北米から撤退することを条件に欧州から撤退した。
欧州委員会の調査開始時点では時効となっているため、北米
3社は制裁金を科せられていない。

欧州3社の制裁金は以下の通り。

BASF  34,970千ユーロ
UCB  10,380
Akzo Nobel  20,990

これに対し、欧州3社は第一審裁判所に控訴した。

BASFとUCBの主張は1992年から94年は国際カルテル、それ以降は欧州カルテルで別カルテルであり、前者は時効だとするもの。

第一審裁判所はこれを認め、制裁金の計算をやり直した。

BASFは欧州委員会の決定では国際カルテルへの協力で減額を得ていたが、国際カルテルは対象外のため、これが取り消された。他方、欧州カルテルに関するBASFの情報はほとんど価値がないものであるため、基礎額は減ったが減額がなくなり、結果的に制裁金が増加した。
BASFにとっては、自社の主張のために損をしたこととなる。

UCBについては欧州カルテルの調査協力が認められ、大幅減額となった。

  欧州委員会 第一審裁判所
BASF  34,970千ユーロ  35,020千ユーロ
UCB  10,380    1,870
Akzo Nobel  20,990  20,990

BASF では判決を検討し、欧州司法裁判所(最高裁判所)に控訴するかどうかを考えるとしている。
Akzo は子会社が行なったカルテルで親会社に制裁金を科すのを認めた判決に不満の意を表し、控訴するかどうかを検討するとしている。

欧州司法裁判所では、第一審裁判所が与えた制裁金の減額が多すぎるとして制裁金を増額した例が昨年に2件ある。

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韓国公取委は12月5日、談合、事業者団体の不公正行為、新聞景品・無料新聞の提供を通報した90人に対し、計2億9965万ウォン(約3597万円)の報奨金を支払うことを決めた、と発表した。

このうち、砂糖会社の談合に関する証拠を提供した一人に、報奨金制度(2002年導入)で史上最高の2億1000万ウォン(約2500万円)が支払われた。

公正取引委員会は本年7月、CJ(旧第一精糖)、三養社、大韓製糖の3社が1991年から15年間にわたって出庫量や価格を談合して不当利益を得ていたとし、511億3,300万ウォンの課徴金を科した。
このうち、CJは公取委の調査に協力したため、自主申告減免制度により課徴金が半分に減額され、検察への告発対象から除外された。

2005年8月に3社のうち1社の社員から会社の倉庫に談合の資料があるという情報を得て、これが摘発につながった。この社員に報奨金が支払われた。

ーーー

韓国では政府の各部処や地方自治体が先を争って通報褒賞金制を新設したり、支給額の上限を上方修正し、褒賞金を「だし」にした政策がありとあらゆる分野に広がっている。

現在、中央政府、地方政府が導入した通報報奨金制度はおよそ60種類に達する。公取委の報奨金もその一例。
褒賞金を狙うセミプロが出現し、パパラッチと呼ばれる。それぞれの違反行為ごとに呼び名がついている。

報奨金制度の例

・国税滞納者が隠匿した財産を通報する者に最高1億ウォンの褒賞金(税パラッチ)

・公務員に適用した予算の無駄遣い通報褒賞金制度を、全国民を対象に拡大。

・首都圏などの土地取引許可区域から許可を受けているのとは違う用途で土地を使用(土パラッチ)

・違法な選挙運動行為(選パラチ)

・交通違反の状況写真の通報で警察が罰金の約半分を支払う(カパラッチ:Car)

・非衛生的な危害食品(食パラッチ)

・ゴミの違法投棄(捨パラッチ)

・カラオケボックスの違法営業(ノバラッチ)

・不正な証券取引(株パラチ)

インターネットでは様々な褒賞金の内容や通報の方法を専門的に教える有料のサイトもあるという。

 

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BASF の組織改正

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BASF 200811日に組織改正を行なう。

従来の組織は以下の5セグメント。
 
Chemicals
 
Plastics
 
Performance Products
 
Agricultural Products & Nutrition
 
Oil & Gas

2008/1/1から 以下の6セグメントに変更

変更点は以下の通り。

1) Functional Solutions segment 新設

  触媒、建設用化学品、コーティングの3部門からなる。
  自動車及び建設分野の顧客固有のシステムを供給する。

2) Performance Products segment

  Care Chemicals 新設
  
Acrylics & Dispersions (以前のFunctional Polymers
  Performance Chemicals

  Care Chemicals は以前の Fine Chemicals (医薬、食品、アロマ化学品)と
   
Performance Chemicals の中の洗剤、クリーナー。
  消費者向け製品、医薬品の需要家向け

  Performance Chemicals は石油産業、コーティング、皮革・繊維産業向け製品

3) Plastic segment

  Specialty Plastics Foams Styrenics 部門からPerformance Polymers 部門へ移動

     以前から検討されているStyrenics の売却に備えてのもの。
     また、これら事業と
Performance Polymers 部門の事業との相乗効果を狙う。

     Styrenics 売却は以前から言われているが、進展しており、年内にもまとまる見込み。
     売却先としては
Basell (以前のBASF/Shell JV)が有力といわれている。
     但し、BASFは最近、他の1社にも情報を開示したと発表している。
       
2007/8/6 BASF、スチレン事業一部の売却交渉進展 

ーーー

BASFは新しい買収を検討している。

  2007/9/20 BASF、新しい買収?  

同社のCFOによると、「世界の最大の化学企業10社を合計してもマーケットシェアはたった20%で、最も集約化の遅れた分野のひとつである。更なる集約が必要だ。」

BASFは買収のために100億ユーロ(16千億円)を新規に借り入れる用意があるとしている。

また、更なる集約が必要という同じ主旨で、同社のCEO は11の会見で、「BASFは買収されないほどは大きくはない」と述べている。

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欧州委員会は12月5日、クロロプレンゴムの市場棲み分けと価格操作を理由に5社に総額 243.2百万ユーロ(約390億円)の制裁金支払いを命じたと発表した。
制裁金支払いを命じられたのは、バイエル、電気化学、旧
DuPont Dow ElastomersENI
、東ソーの5社。

1993年から2002年の間、各社はクロロプレンゴムの市場棲み分けと価格操作を行なったというもの。
Bayerからの情報提供で、2003年3月と7月に各社に立ち入り調査を行なった。

EU Competition Commissioner Neelie Kroes は、「合成ゴム業界が過去の教訓に学んでいないことに失望する。株主や役員会メンバーがこのような違反行動を容認しているのは理解できない」とのコメントを出した。

各社の制裁金は以下の通り。(単位:千ユーロ)

  本来の制裁金 減額 実際の制裁金
Bayer     201,000  100%        0
東ソー        9,600   50%     4,800
DuPont/Dow
(うちDow) 
    79,000
    (64,900)
  25%     59,250
    (48,675)
ENI      132,160      132,160
電気化学      47,000       47,000
合計        243,210

Bayer は過去にカルテルで摘発されているため制裁金は50%増しとなった。
ENI も同様に60%増しとなった。

但し、Bayerは、最初にカルテルの情報を提供したため、制裁金が100%減額となった。
東ソーと
DuPont/Dow も調査への協力で、それぞれ、50%、25% の減額を受けた。

EUはDuPont/Dowのうち、Dow分を48,675千ユーロとしている。
(59,250千ユーロのうち、48,675千ユーロはDuPont Dow Elastomersの分で、10,575千ユーロは1996年のJV設立以前のDuPontの分だといわれる)

しかし、Dow は DuPont Dow Elastomers 解散の際の取り決めで、DuPont負担になるとしている。
両社の50/50JVのDuPont Dow Elastomers は2005年7月1日付けで DuPont 100%子会社の DuPont Performance Elastomers となったが、カルテル問題が起こった場合には、DuPont は150百万ドルまでと、それを超える分の75%を負担することになっているという。

DuPontは、同社が全面的に調査に協力してきたし、倫理と法を遵守してきたとして、今回の決定を批判し、控訴を検討しているとしている。

東ソーは6日、今後の対応については、本決定通知の内容を精査し、弁護士とも協議の上、適切な対応をとる所存と発表した。
電気化学は、今後その内容を精査した上で公正かつ適切に対処するが、欧州第一審裁判所へ提訴することも含め、慎重に対応する所存としている。

Bayerは過去の違反に遺憾の意を表し、1999年に法順守の方針を出したが、2004年にそれを強化したとし、このような法令順守違反は容認できないとしている。

ーーー

欧州連合が価格カルテルで制裁を強めるにつれ、企業が判定を不服として欧州司法裁判所に提訴するケースが相次いでいる。

YKK は12月7日、欧州第一審裁判所に提訴した。

欧州委が主にカルテルに関与していたとするのはYKKの独子会社のYKK Stocko Fasteners GmbH だが、1994年にYKKが資本参加し、1997年に全額出資の子会社とした。
カルテルはYKKが資本参加する以前に始まっており、情報開示の不足があったとして、旧オーナーに損害賠償請求をしている。
同子会社は欧州だけで事業を展開しているが、欧州委はYKKの全世界売上をもとに制裁金を科したことを不服としているもよう。

2007年の日本企業が受けた制裁は下記の通りだが、このうち、三菱電機は受け入れたが、送電設備カルテルでは全社が提訴しており、ビデオテープ、板ガラス、今回の合成ゴムについても、各社とも提訴も含め検討している。

EUによる2007年のカルテル制裁
対象分野 主な対象企業 制裁金
(百万ユーロ)
送電設備 三菱電機、東芝、日立製作所、独・シーメンス   751
エレベーター 三菱電機、米・オーチス   992
ファスナー YKKグループ、独・プリム   329
業務用ビデオテープ ソニー、富士フィルム、日立マクセル    75
建築用板ガラス 旭硝子、日本板硝子、仏・サンゴバン   487
クロロプレンゴム ENI、旧DuPont Dow Elastomers、電気化学、東ソー    243

   参考  2007/12/1 欧州委員会、板ガラスカルテルに制裁金

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フランスのTotal とアルジェリアの国営石油会社 Sonatrach 12月4日、アルジェリアのOran市近郊のArzew での石油化学コンプレックス建設の基本契約を締結した。

両社は20077月に本計画についてのMOUを締結しており、FS(特に立地と設備能力)を行なっていた。
前回発表では、Total51%、国営石油会社 Sonatrach 49%を出資する。

  

 

 

 

 

 

  

    2007/7/25 アルジェリアの石油化学計画 

具体的には、南アルジェリアのガス田のガスを原料に、Oran市近郊のArzew に 140万トンのエタンクラッカーを建設、年産110万トンのエチレン、2系列合計80万トンのポリエチレン、55万トンのMEGを生産する。製品は一部国内市場で販売、大部分は輸出する。

投資額は約30億ドルで、間もなく技術のテンダーを行い、5年以内に生産開始の予定。

両社は石油の採掘と生産でのパートナー。

ーーー

今回の締結はSarkozy 大統領のアルジェリア公式訪問中に行なわれた。

同じく124日に、両国は核での協力協定に調印した。フランスにとってアラブ・ムスリムとの最初のものとなる。
フランスが核技術を供与し、最終的には民需用の核リアクターを建設するもの。
但し、
核協定はEURATOM(ヨーロッパ原子力共同体) の承認を得る必要がある。

大統領の訪問中の成約は合計73億ドル以上になる。

Sarkozy 大統領は11月に中国を訪問。1126日に仏製の第3世代原子炉2基と、欧州エアバス製のA320型とA330型の計160機の調達などに合意する文書に調印している。

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ダウはグローバルに効率改善とコストダウンを進めているが、124日、工場閉鎖と人員削減策を発表した。およそ1,000人の人員削減を行なう。

2007年第4四半期に退職費用と資産消却で 56億ドルの特別損失を計上する。実施後には年間180百万ドルの合理化を期待している。

Andrew N. Liveris 会長兼CEOは、今回の処置は、応分の価値を生まない事業を取り止め、より効率的に仕事に取り組むという同社のコミットメントを実現するもので、資金と資源を価値を生む分野に再配分するものだとしている。

具体的な計画は以下の通り。

1)Dow AgroSciences のフランスLauterbourg の農薬工場の閉鎖(殺菌剤 Dithane 等を製造)
  (業界の供給過剰、コスト高、特許切れ品の圧力)

2)北米、アジア太平洋、ラテンアメリカでの自動車用シーラー事業からの撤退(9~18ヶ月以内)
  欧州の同事業の戦略的オプションの検討
  (自動車分野で、もっと高価値の差別的技術に注力)

3)カナダの石化JV、 Pétromont and Company, Limited Partnershipの消却
  ダウと
 Éthylec Inc (Société générale de financement du Québec 
の子会社)との50/50JV。
  1980年設立、オレフィンとHDPEを製造。
  (長期的にみて採算悪化の見通し)

4)ブラジルCamaçari のSMプラントの休止(2008/1/1)
  (競争激化、採算見通し悪化)

5)ブラジル Aratu のヒドロキシエチルセルロース工場の閉鎖(2008年第1四半期)
  
(小規模、高コスト:設備・原料、古い技術)

6)100%子会社Union CarbideSt. Charles, Louisiana PP工場の閉鎖
  (長期的な操業維持に多額の投資が必要)

7)Union CarbideSouth Charleston, West Virginia R&Dを含むサポート機能を大幅に縮減

ーーー

これとは別に、ダウのEngineering Plastics 部門は同日、米大陸の自動車向け以外のABSSAN 事業から撤退すると発表した。

Allyn
's Point (Gales Ferry, Conn.)Hanging Rock (Ironton, Ohio) のプラントはPS用に転換し、Dow Chevron Phillips Chemical JV(社名:Americas Styrenicsに移管する。
なお、上記の4)記載のブラジルCamaçari SMは当初はJVに移管予定であった。
   2007/4/11 Dow、Chevron PhillipsSM/PSのJV設立  

Midland (Mich) のプラントは自動車向け専用とし、今後は Dow Automotive 部門が販売を担当する。
欧州のABS SAN 事業は変更なし。

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Top 40 Power Players

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化学・エネルギー分野の情報サービス機関のICIS は12月3日、Top 40 Power Players を発表した。

世界の化学業界での最も影響力のある人のランキング。それぞれが、この1年に業界で重要な役割を果たした。
各人に寸評を付している。
  
http://www.icis.com/Articles/2007/12/03/9083148/top-40-power-players.html#top

ランキングは以下の通り。

1. MOHAMED AL-MADY Vice chairman and CEO, SABIC  
2. LEN BLAVATNIK Owner and chairman, Access Industries Basell + Lyondell
3. ANTONY LEUNG Chairman, Blackstone Greater China,
and board member of China National Bluestar
中国政府のBlackstoneへの投資、
Blackstone Bluestar への投資のアレンジ
4. JURGEN HAMBRECHT CEO, BASF  
5. MICHAEL DOLAN President, ExxonMobil Chemical  
6. CHARLES HOLLIDAY Chairman and CEO, DuPont  
7. JIM RATCLIFFE Chairman, INEOS  
8. HANS WIJERS CEO, Akzo Nobel ICI買収
9. JOSE CARLOS GRUBISICH CEO, Braskem  
10. MUKESH AMBANI Chairman and managing director, Reliance Industries インド
11. HAMAD AL-TERKAIT President and CEO, Equate Petrochemical Company Dow/Kuwait JV
12. CRAIG MORRISON Chairman and CEO, Hexion Specialty Chemicals Huntsman 買収
13. ABDALLAH JUM'AH President and CEO, Saudi Aramco  
14. JACK GERARD President and CEO, American Chemistry Council  
15. PATRICIA WOERTZ President and CEO, Archer Daniels Midland (ADM) corn-based ethanol and biodiesel
16. PAN YUE Deputy minister, State Environment and
Protection Administration (SEPA)
中国
17. THORLEIF ENGER President and CEO, Yara International ノルウエー肥料会社
(フィンランドの
Kemira GrowHow 買収)
18. WU YI Vice premier, China China's iron lady
(China's top troubleshooter)
19. WERNER WENNING Chairman, Bayer  
20. BRIAN FERGUSON Chairman and CEO, Eastman Chemical  
21. HIROMASA YONEKURA President, Sumitomo Chemical  
22. REN JIANXIN Chairman, China National Chemical (ChemChina) BlueStar Haohua Chemical を合併
23. WILFRED WANG Chairman, Formosa Petrochemical Corp.  
24. GHOLAMHOSSEIN NEJABAT Managing director, National Petrochemical Company イラン
25. ABDALLA EL-BADRI Secretary general, OPEC  
26. RAFAEL ESPANOL Chairman, La Seda de Barcelona (LSB) PET で欧州トップ、PTAで第三位に
27. JOSE SERGIO GABRIELLI DE AZEVEDO President, Petrobras  
28. CHONG BUM SHICK CEO, Honam Petrochemical 韓国(カタールでJV
29. NEELIE KROES Competition commissioner, European Commission カルテル摘発
30. PRASERT BUNSUMPUN Chairman, PTT Group タイ
31. DAN SMITH Chairman, president and CEO, Lyondell  
32. AXEL CLAUS HEITMANN CEO, Lanxess  
33. JOHN McADAM CEO, ICI  
34. CHIHIRO KANAGAWA President, Shin-Etsu Chemical  
35. FRANCOIS VLEUGELS CEO, Unipetrol チェコ
36. TALAL AL-SHAIR Chairman, National Titanium Dioxide (Cristal) サウジ(LyondellからTiO2事業買収)
37. HO CHING Executive director and CEO, Temasek Holdings シンガポール 海外投資
38. JAI SHROFF CEO, United Phosphorus インド(ジェネリック農薬)
39. PAT DAVIES CEO, Sasol 南ア(中東などに進出)
40. JOSE RICARDO RORIZ COELHO Copresident, Suzano Petroquimica ブラジル(Petrobras に買収される)

日本からは住友化学の米倉社長と、信越化学の金川社長が入っている。

米倉社長:
住友化学の発展に大胆でイノベーティヴな戦略をとった。
一つは中東への進出(
PetroRabigh)で、同社の長期的な収益向上が期待できる。
もう一つはスペシャリティケミカルの重視で、生命科学とIT材料に投資の70%を割り当てる。

金川社長:
信越化学のグローバルな拡大戦略を引っ張り、PVCで世界トップに引き上げた。
米国のPVC市場の下降にもかかわらず、連結中間決算で前年比16.7%の増益となった。

 

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ブラジルで石化事業の再編が進んでいる。

2007年3月にブラジル国営石油会社PetrobrasUltra GroupBraskem の3社が共同で、同国の石油精製・販売、石油化学の老舗のIpirangaを買収することが決まった。

   2006/3/23 ブラジルで石油・石油化学業界の再編  

2007年8月 Petrobras Suzano Petroquimica を11ドルで買収することで合意したと発表した。

   2007/8/22 ブラジルの石油化学業界再編ー2  

2007年11月30日、Petrobras は石化事業の再構築を発表した。

1)Braskem への出資を増やす代わりに、Petrobras が出資する石化会社の株式をBraskem に譲渡

2)Unipar JVを新設し、両社の出資する石化会社の株式をJVに譲渡 

1)Braskem への出資を増やす代わりに、Petrobras が出資する石化会社の株式をBraskem に譲渡

 Braskem への出資を現在の6.8%から25%に増やす。

Petrobrasparticipation in Braskems total capital to 25%, up from 6.8%
Shareholder ON
common shares
PN
preferred shares
Total (*)
Petrobras System 30.0% 22.1% 25.0%
Odebrecht Group 60.3% 23.8% 37.2%
Others 9.7% 54.1% 37.8%
(*) Considering a 100% allocation of Petroquimica Triunfo to Braskem

 Petrobras が出資する石化会社の株式のBraskem への譲渡

Participation in Braskems capital
  Location            現状  今後 
    Petrobras System Braskem Braskem
Petrobras Petroquisa TOTAL
Copesul Triunfo - RS  22.34%  15.63%  37.30%  62.70% 100%
Ipiranga Quimica Sao Paulo- SP  40%    40%  60% 100%
Ipiranga Petroquimica Triunfo - RS  40%    40%  60% 100%
Triunfo Triunfo - RS   Up to 100% Up to 100%   100%(option)
Petroquimica Paulinia Paulinia - SP      40%  60% 100%

2)Unipar JVを新設し、両社の出資する石化会社の株式をJVに譲渡

 新設のJV  Unipar   60%
         Petrobras 40%

 JV に移管する石化会社株式

  Value for 100%
of the shares
(In R$ million)
Petrobras Petroquisa Unipar
% Part In R$ million % Part In R$ million % Part In R$ million
Rio Polimeros S.A.
(RIOPOL)
  1,164   0%     0%    66.0%   768
Suzano Petroquimica S.A.   1,790 76.6%   1,371   0%     0%  
Petroquimica Uniao S.A.   1,520   0%   17.4%   265  51.4%   781
Polietilenos Uniao S.A.    663   0%     0%   100.0%   663
Unipar Divisao Quimica    243   0%     0%   100.0%   243
Total   5,380 25.5%   1,371  4.9%   265  45.6%  2,455

* Unipar は自社保有のRIOPOL 株を移管するとともに、Petroquisa Suzano 所有のRIOPOL株式購入資金を負担 

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シャープは12月1日、大阪府堺市の「21世紀型コンビナート」の起工式を行なった。

 

シャープは7月31日、新たに大阪府堺市に最先端の液晶パネル工場と、薄膜太陽電池を量産する太陽電池工場を併設することを決定したと発表した。

同社は「環境先進企業」を目標に、省エネの“液晶” 創エネの“太陽電池”を事業の柱として取り組んでいるが、同じ敷地内に関連するインフラ施設や部材・装置メーカーの工場を誘致し、「21世紀型コンビナート」として展開する。

TFT液晶と薄膜太陽電池は同じ薄膜技術をベースにしており、材料やユーティリティなどの共用化が可能で、薄膜太陽電池は液晶技術の応用により、一層の生産性向上が期待できる。

薄膜太陽電池では、液晶パネルと同様、ガラスの上に薄膜シリコンを形成する。
シランガスの供給プラントからガラス基板など、さまざまなハンドリングを共有化。

立地は新日本製鉄の堺製鉄所に隣接する遊休地で、面積は127万m2
(堺製鉄所が1961年に操業を開始、高炉増設や工場拡張をにらんで、大阪湾を埋め立てたが、埋め立て地の完成した1990年春、鉄鋼不況のあおりを受けて、堺製鉄所は高炉を休止。バブル崩壊も重なって土地の買い手が見つからないまま、遊休地となっていた。)

液晶パネル工場に隣接してインフラ関連施設や装置メーカーの工場に加え、マザーガラスやカラーフィルターなど複数の有力部材メーカーの工場を誘致する。

亀山工場で構築した、液晶パネルから液晶テレビまでの「垂直統合型」の事業展開をさらに川上まで推し進め、「企業の垣根を超えた垂直統合型」を目指す。
物流コストの削減、生産計画などのオペレーションの一元化などを行なうとともに、部材・装置メーカーと緊密に連携を図ることで、知識やノウハウを融合し新たな技術革新を図る。

 
                        同社発表から


液晶パネル工場
 ・投資額:約3,800億円(新工場の全土地代含む)
 ・着工:2007年11月
 ・稼動開始:2010年3月までに
 ・主な生産品目:40型・50型・60型クラスの大型テレビ用液晶パネル
 ・マザーガラスサイズ:2,850mm
x 3,050mm(第10世代)
   (60型クラスのパネルが6枚、50型クラスは8枚、40型クラスは15枚取れる)
 ・投入能力 :月72,000枚(稼動当初は月36,000枚)

太陽電池工場について
 ・投資額など:詳細検討中
 ・稼動開始:2010年3月
 ・生産品目:薄膜太陽電池
 ・生産量:年間1,000MW(100万kW)規模(世界最大)

液晶パネル工場の投資額は3,800億円で、部材やガス・電気などインフラ関連の企業の投資額が4,000~5,000億円,さらに太陽電池工場への投資額を加えると投資額は約1兆円といわれている。

大阪府の太田房江知事は、企業立地促進条例を適用して、上限額の150億円を補助する考えを明らかにした。
「10年間で600億円の税収が見込める」との見通しを示している。
大阪府では経済効果として3.9兆円と見込んでおり、総合的かつスピーディーな立地支援を行うため、知事を本部長とする全庁横断的な組織として「シャープ堺浜立地支援本部」を立ち上げている。
また、堺市も操業開始から10年間、固定資産税や都市計画税を軽減するなど優遇策を提示している。

ーーー

同コンビナートへの進出企業は次の通り。

ガラス基板 
 ・米 Corning 
   原料のケイ石を溶かす炉まで工場内に建設し,原料からガラス基板までの一貫ガラス工場
   投資額:875億円
   (同社は2006年にシャープとの長期供給契約を締結、三重の第8世代工場の主供給メーカーとなっている。
    2007年2月、静岡工場での1億6千万ドルの増設計画を発表した。)

 ・加えて、近くに工場がある旭硝子からも供給を受ける。

カラーフィルター
 ・大日本印刷
   2007年10月、進出発表
    投資額:435億円
    生産量:第10世代マザーガラス 月間36千枚(インクジェット方式)
    稼動:2010年3月
    (2006年9月からシャープ亀山の第2工場内でインクジェット式第8世代カラーフィルター生産)

 ・凸版印刷
   2007年11月、進出発表
    投資額:420億円
    生産量:第10世代マザーガラス 最大 月間36千枚 (フォトリソ方式)
    稼動:2009年度中
    (2006年からは第8世代を導入し、シャープ亀山工場向けなどに納入)

  * 両社でシャープの能力 月72千枚(稼動当初は月36千枚)に対応

産業ガス
 ・
大陽日酸とエア・ウォーターが合弁会社を設立して進出する。
   社名:堺ガスセンター(大陽日酸 51%/エア・ウォーター 49%)
   投資額:600億円程度(初期投資 約300億円)
   大陽日酸は窒素(酸化防止など)、ヘリウム(冷却)を供給
   エア・ウォーターは酸素(ガラス溶解用)、アルゴン(酸化、窒化防止)などを供給
   
 

超純水
 ・栗田工業
   投資額 100億円超

 他に、関西電力、大阪ガス(いずれもエネルギー供給)

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Gazprom、その100%子会社の Sibur、及びDow Chemical は11月27日、ハイドロカーボンの高付加価値化分野でのMemorandum of Intentionsを締結した。

今後、以下の検討を行なう。

1)ドイツのダウの新石化コンプレックスでのJV設立
2)北西シベリアの
Yamal-Nenets 自治区での天然ガスの処理
3)その他の分野での協調の検討

今後、ワーキンググループでJVのFSを行う。来年にもまとめる。

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SIBUR Group GAZPROMが100%出資するロシア最大の垂直統合石油化学会社。

   詳細 2007/7/6 Solvay、ロシアでワールドクラスの塩ビJV 

SIBUR は石油化学分野での技術を求めており、また、プラスチック事業拡大のために新しいマーケットへの進出を望んでいる。

第一の計画は、ダウが拠点を有するドイツに合弁で石油化学工場を建設するもので、
Gazprom が原料の天然ガスを供給し、ダウが技術とマーケットでの経験・知見を供給するもの。
ドイツは欧州で最大のロシアの天然ガス輸入国となっている。

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第二の計画はYamal-Nenets 自治区のValanginian 天然ガス田の天然ガスを共同で処理するもの。

Yamal-Nenets 自治区シベリアの北西端に位置し、北部は北極圏に属する。ベールイ島、オレニー島、ショカリスキー島などを有する。

2002年10月にSIBUR は自治区政府との間で、液体ハイドロカーボンの処理計画、天然ガス液化設備建設、輸送システムの拡張、省エネ計画その他を共同で実施する契約に締結している。

SIBUR は計画の詳細を明らかにしていないが、新プラントを共同で建設する模様。

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GAZPROM もダウも計画がまだ初期の段階であり、これからFSを実施すると強調しているが、Gazprom が欧州のエネルギー需要の1/4を供給し、ロシアが天然ガスを外交の手段としようとしていることに懸念しているEUを更にいらだたせることになるとの見方が強い。

EUは本年9月に、Gazprom の進出を抑えるため、欧州市場でのエネルギーの生産と流通を分離する案を出している。
Gazprom が欧州で設備を持つことを妨げようというものだが、イタリアのEni Enel (政府31%所有)、フランスのGaz de France (政府 40%所有)、ドイツのE.ON group なども猛反対している。

Gazprom も、この案が施行されれば、新しい取引は中止され、その結果、欧州への供給が減り、価格の上昇が起こるだろうと警告している。

 

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中国政府は11月26日、「国家環境保護 第11次5ヵ年計画(2006-10)」を発表した。
先進国の100年にわたる工業化プロセスで段階的に発生した環境問題が、中国では集中的に顕著に現れ、汚染事故多発期に突入、問題が顕著化する時期に入ったと指摘している。

内容は以下の通り。

第10次5カ年計画(2001-05年)」の環境保護計画指標は全てが実現されておらず、二酸化硫黄(SO2)排出量は2000年比 27.8%増加、化学的酸素要求量(COD)は2.1%減少で10%の削減目標に至らなかった。

2005年のエネルギー消費は2000年比で55.2%増加しており、新設の火力発電所はSO2低減の設備を備えておらず、旧式設備を環境に優しい技術で改良する計画もうまくいっていない。
製紙業も重大な環境問題を起こしている。

水の汚染は悪化しており、河川・湖沼の水の26%は全く利用不能な状態で、62%は魚が棲むのに適さず、市街地の川の90%は汚染されている。

   
第10次5カ年計画期間に解決が図られた深いレベルでの環境問題の一部は、いまだブレイクスルーを得られていない。
不合理な産業構造や粗放な経済成長方式は全く転換されていない。
環境保護が経済発展に遅れを取っている状況も変わらない。
体制の不備、構造の行き詰まり、資金投入不足、能力の低さなどの際立った問題が残されたままとなっている。
法律があってもそれに依拠せず、違法行為は追及が困難で、監督管理は脆弱、法執行は怠慢で、管理監督力が不足している、などが普遍的な状況となっている。

地方政府の中には環境保護より経済成長を重視しており、環境保護当局もそれを管理する強力な力を欠いている。

   
重点業務と主要任務は、第10次5カ年計画で決定された主要汚染物排出抑制目標を達成することだ。
汚染予防対策業務を重点項目中の最優先事項とし、都市・農村住民の飲料水安全確保を第一の任務とする。
   
歴史的転換をさらに促進し、長い間環境保護発展の足を引っ張ってきた制度面での障害の解決に尽力しなければならない。
中央政府と地方政府の職権、政府と企業の職責にそれぞれきちんと境界線を引き、バランスある統一的で効率の高い環境監督管理体制を健全化する。

地方政府をモニターするための評価メカニズムを設定する。
半年ごとに全ての地区の主な汚染物質排出の報告を発表し、2008年と2010年には地方政府の計画達成度合いの診断を行なう。

   
第11次5ヵ年計画の環境保護目標を実現するため、全国の環境保護投資が毎年、GDPの1.35%相当となる。

2005年に政府は環境保護にGDPの1.31%に相当する318億ドルを投入した。

計画作成に参加した中国環境計画学院の副所長は、水の汚染の処理に853億ドル、空気汚染処理に800億ドル、固形廃棄物処理に280億ドルの投入を予想している。

   
計画では2010年にCODを2005年比で10%カット、SO2排出を10%カットする。

これにより2010年までに、中国の大都市の75%が、毎年292日以上の良好な大気環境(Level Ⅱ以上)となる。
(2005年は平均 69.4日)

   
飲み水問題を最優先課題とし、水の汚染に対する罰金を大幅に引き上げる。

飲み水の安全性、主な河川・湖沼の浄化、汚染・排出規制、都市の廃棄物処理を取り上げている。

   
汚染物排出者が浄化のコストを負担する原則を採用、排出や汚染を減らすための税制改革も行なう。
廃棄物処理コストを反映した価格メカニズムも導入する。

102億ドル以上を排出者から徴収し、処理のために使用する。
汚染物質を飲み水のソースに流したものや、汚染物質を河川や湖沼の沿岸に貯蔵したものに、現行の20倍の罰金を科す。
水汚染事故の場合、コスト全額負担のうえ、罰金も引き上げる。重大な事故の場合は工場閉鎖とする。

参考  2007/11/22  中国、公害対策進める 

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欧州委員会は11月28日、日本板硝子、旭硝子、米・Guardian、仏・Saint-Gobain 4社に対し、EEA欧州経済領域内での建築用板ガラスのカルテル行為に対して、総額486.9百万ユーロ(約790億円)の制裁金を科したと発表した。

* EEA協定にはEU 25ヵ国とEFTA(欧州自由貿易連合)のうちアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーが加入。

本年3月にメーカーにStatement of Objection(異議告知書)を送付した。
  2007/3/20 
欧州委員会板ガラスカルテルを調査   

4社はEEAの建築用板ガラス市場の80%を占めている。5~6回の値上げ、最低価格決定、その他の値上げ・価格維持のための行為を行い、値上げ協定の実施の監視をしていた。

欧州委員会では、このような需要家を騙し、単一市場のメリットを奪うような行為は容認できないとし、今回は複数のメンバー国の独禁当局の情報から調査を始めたとして、欧州の独禁当局のネットワークの協力関係を自賛している。

なお、欧州委は2005年2月に板ガラスと合わせて自動車用ガラスのメーカーにも予告なしの立ち入り検査を行っており、自動車用ガラスについては需要家配分と供給制限・価格の合意があったと信じる理由があるとしている。現在、調査を進めている。

各社の制裁金は以下の通り。

  千ユーロ
Asahi (Japan)   65 000
Guardian (USA)  148 000
Pilkington (UK)  140 000
Saint-Gobain (France)  133 900
TOTAL  486 900

旭硝子は子会社のGlaverbel (現社名はAGC Flat Glass Europe)、日本板硝子は子会社のPilkington

Glaverbel SA
 本社:ベルギー ブラッセル市
 工場:ベルギー、オランダ、チェコ、フランス、イタリア、スペイン、ロシア
 品目:フロート板ガラス、複層ガラス、自動車用ガラス、鏡等
 設立:1961年(1981年旭硝子資本参加、2002年12月100%子会社)

Pilkington PLC
 本社:英国 St Helens
 工場:世界24カ国
 品目:建材用板ガラス、自動車用強化ガラス、放射線遮へい用板ガラスほか
     (世界で最初にガラスの大量生産を始めた会社)
 設立:1826
年(2006年6月 日本板硝子子会社化)

なお、旭硝子は自首減免制度(2002 Leniency Notice ) に基づき、EUの調査に協力し、追加証拠を提出して、制裁金の減免を受けている。

日本板硝子は2007年3月期連結決算で、「EU独禁法関連引当金」として 78,118百万円の引当金を計上している。
今回の同社の制裁金は約226億円だが、更に自動車用での制裁金の可能性がある。

旭硝子は引当金を計上していない。

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EUによる2007年のカルテル制裁
対象分野 主な対象企業 制裁金
(百万ユーロ)
送電設備 三菱電機、東芝、日立製作所、独・シーメンス   751
エレベーター 三菱電機、米・オーチス   992
ビール 蘭・ハイネケン   274
ファスナー YKKグループ、独・プリム   329
アスファルト 西・レプソル   184
業務用ビデオテープ ソニー、富士フィルム、日立マクセル    75
建築用板ガラス 旭硝子、日本板硝子、仏・サンゴバン   487

    2007/1/26 EU、電力用ガス絶縁開閉装置のカルテルで1200億円の制裁金

       2007/2/28 EU、エレベーターのカルテルで過去最高の罰金  

       ファスナー 4つのカルテル

   
Prym group(ドイツ)   40,538千ユーロ
YKK group    150,250
Coats group(英)      122,405
他 4社         15,451
合計          328,644

      
       ビデオテープ 

Sony  47,190千ユーロ  
Fujifilm  13,200 協力で40%減
Hitachi Maxell  14,400 協力で20%減
合計  74,790  

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