2010年12月アーカイブ

2010年 回顧と展望

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化学会社の上期決算は、各社とも前年上期を大きく上回った。

2010/11/17 2010年9月中間決算対比

各社とも、自動車関連をはじめとする需要の回復に伴う販売数量の増加及び石化・基礎化学品分野における交易条件の改善などにより、増益となった。

まず、国内ではエコカー補助金制度や家電エコポイント(特に来年の切り替えに備えてのデジタルTV)に基づく将来の需要の先取り効果が大きい。

エコカー補助金制度は9月8日予算枠(約5,837億円)を使い切り、申請受け付けを終了した。
トラックやバスなど事業用自動車向けのエコカー補助金は8月3日で交付申請受け付けを終了した。

家電エコポイントは本年末までを3か月延長したが、12月からはエコポイント数を変更、来年は範囲を縮小する。

なお、住宅エコポイントは本年末までとなっていたが、1延長された。

補助金打ち切り後、自動車の販売は減少している。耐久財の消費は「3年は停滞する可能性がある」との説もある。
今後、化学品の出荷の減少が懸念される。

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石化・基礎化学品分野では、上記のほか、中国の需要が堅調なことの影響が大きい。

前回述べた通り、中国のバブル崩壊はなかったが、これは中国の一党独裁による Beijing Consensus でのパッチ当てによるものであり、問題は抱えたままである。

下図はMETIの石化の需給予測だが、エチレン換算でみると、中国や中東の能力が今後も増加するのに対し、METIの楽観的な予測(中国のみで2008年から2014年までの間に11.7百万㌧の需要増)でも2008年の世界の供給量は2014年の需要を既に上回っている。中国の農村部の所得水準、今後の輸出の動向など考えると、中国の需要が今後も引き続き伸びるとは思えない。

サウジなどでは既に高機能グレードも生産し始めており、今のような外需依存を続けられなくなる。

中国向け輸出に依存する台湾は、中国との間で中台経済協力枠組み協定を締結、来年以降、関税を段階的に引下げ、2013年1月までにゼロ関税を実現する。台湾製品は石油化学製品を含め、中国の内国扱いとなる。

 2010/8/20 台湾、中台経済協力枠組み協定(ECFA)を承認、9月発効へ

韓国はEUや米国と自由貿易協定(FTA)を締結した。今後、自動車や家電などの輸出で、FTAで出遅れている日本企業より有利な立場に立つ。

2010/10/12  韓国とEU、自由貿易協定締結
2010/12/4 韓米自由貿易協定(FTA)追加交渉が妥結

日本はTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の協議を開始する決めたが、農業問題が障害となり、これに参加できるかどうか、疑問である。

台湾や韓国にFTAで差をつけられ、コスト競争力のない石化製品の輸出だけでなく、自動車や家電の輸出用の原料出荷でも減少の恐れがある。

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これまでの「回顧と展望」では、海外企業がリストラを行っているのに対し、日本の石化の体制が旧態のままであるとした。

2007/12/26  2007年 回顧と展望 「ガラパゴス鎖国」論
2008/12/25  2008年の回顧と展望 「終りの始まり」

中国のバブル崩壊は予想が外れたが、それ以外についてはこれまでの主張が今も当てはまる。

日本のエチレンの能力は昨年末で800万トン(定修スキップベース)だが、需要が落ち込む前の国内出荷は約500万トンで、輸出がないとすれば、300万トン、能力の37.5%が過剰となる計算である。さらに需要が減り、輸入が増大する可能性がある。

日本のエチレンセンターは京葉エチレンを入れて14あり、三菱化学四日市の停止以降は変わっていない。1センター当たりの平均能力は定修なしベースで573千トンで、大半が400~600千トン台が中心である。

今後輸出が激減するとすれば、能力が300万トン余剰となり、5つほどのセンターが不要となる計算である。
(本来は小規模プラントをスクラップし、100万トンクラス5基程度にするのがベストだが、投資は正当化されない)

この10年で世界の石油化学の状況は様変わりとなった。

中国のエチレンは21のコンビナート、合計能力1364万トン(2009年末)となり、うち100万トン以上が4つ、60~100万トンが10となった。
中東では多くの設備が完成、今も増強を続けている。
SABICは欧州進出とGEプラスチック買収による高機能プラスチックへの進出を果たし、クウェートやアブダビも海外に進出している。
欧米の大企業は原料価格の変動に左右されやすい石化からの離脱を図っている。ダウはAsset Light戦略で石化を維持しつつもJV化で負担を減らした。ダウとBASFはかつては主力事業であったスチレン系事業を放出した。
これらから汎用石化を買収した新興勢力のLyondellBasellやIneosは、買収を借入金で行ったため、グローバルな金融危機では挫折したが、その後、持ち直した。LyondellBasellは再上場を果たした。

このなかで、日本のエチレンの状況は25年も前の産構法時代とほとんど変わらない。
(センターの数では、三菱化学四日市が閉鎖されたが、京葉エチレンが加わり、変わっていない)

将にガラパゴス状況であり、ガラパゴスが観光客の流入や外来植物の流入で「危機遺産」リストに掲載されたのと同様、今後は輸入品のために危機に瀕することとなる。

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出光興産と三井化学は4月1日、「千葉地区における生産最適化」の第1ステップとして両社のエチレンの運営統合を発表した。
4月1日付けで両社折半出資で「千葉ケミカル製造有限責任事業組合」(LLP)を設立した。

2010/4/3  出光興産と三井化学、千葉のエチレン統合

三菱ケミカルホールディングスと旭化成は5月31日、三菱化学と旭化成ケミカルズの水島地区エチレンセンターの統合について発表した。折半出資の会社を設立、エチレンプラントを移すもので、営業開始は2011年4月1日となる。

2010/6/2  三菱化学と旭化成、水島地区エチレンセンター統合の共同出資会社の設立

2センターを統合し、エチレンプラントを1つ潰すなら効果は大きいが、いずれのケースも単に統合するだけで、若干のコスト低減はあっても、効果は少ない。

報道では、後者の場合、当初は今年4月に事業統合し、3年後をメドに2基のうち1基を停止・廃棄する考えだったが、どちらの設備を止めるかで交渉が難航し、一時は破談の危機を迎えた。今回、設備能力削減については将来の需要をみて統合会社で柔軟に判断するとの方針に転換、1年遅れで合意にこぎ着けた、という。

以前にも書いたが、日本の場合、従業員の解雇ができないというのが、大きなネックとなっている。

海外の企業の場合、ある工場が採算が取れなくなると、従業員を解雇して工場を閉鎖するのが簡単に出来る。
日本の場合、会社として雇用しており、解雇が簡単にはできない。

日本をダメにした10の裁判」では第一に解雇権濫用法理を挙げている。
東洋酸素事件の東京高裁判決(1979)では整理解雇の要件は以下の通り。
  ・事業部門を閉鎖することが企業の合理的運営上やむを得ない場合であること
  ・従業員を他の事業部門の同一又は類似職種に充当する余地がないこと
  ・具体的な解雇対象者の選定が客観的、合理的な基準に基づくものであること
その後の判例では「労働組合との協議」が条件に加えられた。

具体的には、このままでは倒産もありうるというような状況でないと、解雇が認められない。

このため、新規部門など、他の部門に転用するしかないが、石化の場合、誘導品や用役、工務、物流、営業、管理等を含めると、1つのセンターに関連する従業員は1000名近くになる。
このような多数の転用は難しく、やむを得ず工場を動かしているというのが実情である。

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三菱ケミカルHDは12月8日、新中期経営計画を発表した。

2025年のありたい姿を「KAITEKIを実現するカンパニーでありたい」とし、事業ポートフォリオを事業の収益性、市場における優位性、市場の魅力度により選定した。

「創造事業」は、有機太陽電池/部材、有機光半導体、高機能新素材、次世代アグリビジネス、ヘルスケアソリューション、サステイナブルリソースの6事業、
「成長事業」を機能商品分野、ヘルスケア分野、素材分野の11事業、
「基幹・中堅事業」を記録メディア、高機能フィルム、食品機能材、コークスなどと、石化製品ではPTA、PC、PPなどの18事業とした。

エチレンクラッカーなど15事業は「再編・再構築事業」としている。

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各社とも、景気変動を受け難い分野、今後の成長分野には注力はしている。

しかし、各社とも石化への経営資源投入を続けたままで、かつ、多くの成長分野に分散投資をしており、欧米企業のように石化売却資金による新分野の企業買収で一挙に一定のシェアを確保するような戦略は取っていない。

他の業界からも含め、同一分野に多くの企業が参入を図っている。


このため、これらの新分野でも、石化の場合と同様、小規模・多数企業の乱立ということに成りかねない。

これに対し、韓国のLG Chemは電気自動車用バッテリーに集中投資を行い、GM、フォード、現代・起亜車、電気自動車メーカーのCT&T、 米国の自動車用部品メーカーのEaton Corporation、中国の長安汽車、スウェーデンのボルボなどと一気に納入契約を締結した。

以前にも書いたが、エレクトロニクスなどの新分野は以下の問題を内包しており、リスクは大きい。

・化学以外の他の業界からも殺到するため、過当競争となる。
・需要家自体が材料分野に進出する可能性も強い。 

・需要分野の進展が急で、新製品・新製法の開発により折角投資した材料の需要が急になくなる可能性がある。

・供給先が競争に敗れ撤退する可能性(他社に供給できればよいが・・・)
   シャープは三重県が補助金90億円を出した第一工場の液晶パネル生産を停止、設備を中国に売却した。
   半導体で世界第3位の東芝は
システムLSIから撤退、サムスンに生産委託する。

・新製法等での安価な競合材料の出現

・需要自体がバブルである可能性
  (以前の光ファイバーの例)

伊丹敬之・東京理科大学教授は、日本の産業が化学化しつつあるとする。

産業の中心科学が物理学から化学へとシフトしており、多くの化学素材が様々な消費財や産業財の中で、必須の部分として使われている。各産業の化学への依存性の高まりを考えれば、日本のイノベーションと国際競争力を担うのは化学産業となる。

しかし、化学産業自体は引き続き産業レベル、企業レベルでの問題を抱えており、イノベーションを担うのが化学企業となるかどうかは別の問題であると指摘している。

    2010/5/6 「化学ビジョン研究会」報告書

エチレンセンターの問題に手を付けなければ共倒れとなり、新成長分野も他の業種に委ねることにも成りかねない。

 

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本年はこれで終わりです。
ご愛読ありがとうございました。1714回になりました。

来年は1月3日からです。(大きなテーマがあれば随時掲載します。)


目次、項目別目次
    
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中国商務部は1228、2011上期のレアアースの輸出許可枠を発表した。

それによると、上期の輸出許可枠は14,446トンで31社に割り当てられた。
内訳は、中国系が22社で10,762トン、外資が9社で3,684トン。

商務部はこの日発表の別の文書で、引き続き2011年通年の輸出許可枠を検討しており、上期の輸出許可枠から通年の輸出枠を類推すべきではないと指摘した。

レアアースの輸出許可枠の推移は下記の通り。

  2009 2010 前年比 2011 前年比
上期  25千トン  22,282トン -11%  14,446トン -35%
下期 25千トン 7,976トン -68%    
年間  50,145トン 30,258トン -40%    

アメリカ通商代表部は12月28日、「非常に懸念している。中国に対しては、すでにわれわれの懸念を伝えているが、今後も働きかけを続けていく」とするコメントを発表した。

付記

中国政府がレアアース産業の業界団体と政府組織の設置を検討していることが分かった。1228日に中国産業情報部の元高官がフォーラムで明らかにした。

20115月に業界団体が設立され、輸出や国際協力の面で業者を支援する。中国鋼鉄工業協会が鉄鉱石価格の交渉をしているのと同じように、海外バイヤーとの価格交渉の先頭に立つ。
同時に、レアアース業界の管理のための政府組織を設置する。

政府はこれまでに、違法採掘の禁止、企業統合の推進、資源・環境保護のための輸出削減など、業界改革のガイドラインを出している。
レアアース分野での国営企業の統合を推進しており、レアアース企業を
2015年までに現在の90社から20社に減らす計画。

レアアースの輸出削減に対する米国からのクレイムに対しては、中国はWTOのルールに違反していないと反論している。   


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化学業界の回顧と展望の前に、大きな影響を与えている中国経済について分析する。

このブログは2006年に始まったが、同年2月に「中国バブル説」を取り上げ、2006年末の「回顧と展望」では、「中国経済は北京オリンピック後が危ないと言われているが、それまで持たないかも分からない」と述べた。

これは一般的に言われていたことだが、現実には、北京オリンピック、上海万博が終わったが、中国経済は、大きな問題を抱えながらも、高成長を続けている。
予想は全く外れた。

本来なら確実に破綻する状況にあったが、破綻しなかったのは中国の特殊性である。

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中国政府はグローバルな金融危機に対応して、2008年11月に、国内需要拡大のため2010年末までに総額4兆元(約57兆円)規模の投資を実施する緊急経済対策を発表した。

2008/11/12 中国、緊急経済対策に57兆円

中国政府は2007年末に「家電下郷」を策定したが、2009年2月1日以降は不況対策として、対象製品を拡大、対象地域を全国の農村(対象 9億人)に拡大した。

2009/4/17  「家電下郷」で中国で家電の販売急増

この結果、中国の自動車、家電の生産はいまだに伸びが続いている。
(同時に過剰能力は拡大している。)

中国は金融危機で人民元の切り上げを止め、レートを固定化した。
そのため、一説には米ドルに対して40%もの元安となり、米国からの圧力が高まった。

人民元の切り上げは必至であり、これにより中国からの輸出は激減すると思われた。

中国は6月19日には「弾力性を高める」との声明を出し、一日の変動幅を±0.5%としたが、実際には介入を続け、一時再高値(11月11日 6.6173元/$)でも6月18日比で3.06%しか上がっていない。ユーロなどと比べると、むしろ切り下げとなっている。

人民元安の結果、中国の輸出は伸び続けており、貿易収支の黒字幅はむしろ広がっている。

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「米国も欧州も日本も不景気が続くのに、どうして中国だけが成功したのか」との質問に対するKissinger博士の答えは、リーダーシップであった。
米国の場合、短期的視点で延々と議論するのに対し、中国では公的資金を長期的視点で迅速に有効に配分したのがうまくいったとする。(2010/1/10 「日高義樹のワシントン・リポート」)

Thomas L. Friedman は著書「Hot, Flat, and Crowded」で"China for Day (but Not for Two)"という1章を書いている。
「2日はいやだが、1日だけなら中国になりたい」というもので、米国では何年もかかる案件、レジ袋の有料化、ガソリン無鉛化、自動車燃費規制、等々をトップダウンの命令で直ちに実施したことを取り上げ、中国のやり方を(その部分だけは)羨ましく思っている。

ーーー

中国の決断の速さを生んだ一党支配のモデルをBeijing Consensusと呼ぶ。

これは
Washington Consensus に対応するもの。

中南米の債務危機に対処するため、IMF、世銀、米国財務省が中心になって打ち出した経済運営に関する勧告のパッケージで、貿易自由化、規制緩和、国営企業の民営化、財政支出の抑制などの政策を柱にする。

ブリュッセル現代中国研究所のJonathan Holslagによれば、Beijing Consensusとは、経済発展を国家の至上課題とし、国家の安定を保ちながら政府が積極的に成長促進策を取ることを指す。

経済運営の手綱は政府が握り、特に金融セクターは厳しい監督下に置く。エネルギーセクターの研究開発も政府の指導のもとに実施される。また、貿易による国際市場からの恩恵は受けつつも、場合によっては輸入制限も辞さず、政府の調達対象も限定する。

これらは、自由市場ならびに金融の自由化を旨としたWashington Consensusとは対極の考え方である。

Holslagは、今やオバマ政権の景気刺激策もBeijing Consensusの方針を事実上採用しているとしている。

しかし、中国と日本や米国との違いは、中国が一党支配、一党独裁であることである。

KissingerやThomas L. Friedmanの言うように、民主国家ではなにごとにも時間がかかる。
政策決定に当たり、賛成派、反対派が長時間議論する。
多くの場合、反対派の意向を反映して妥協を行う。場合によっては、長期間にわたり決定が行われない。

中国の場合、このようなプロセスはない。
反対派の意見は全く無視し、即時に決定が行われ、実施に移される。

中国政府は基本的な問題をまず解決するのではなく、経済発展を最優先してきた。
その結果、いろいろな問題が発生するが、それについてはパッチ当てで解決、それにより派生する問題もまたパッチ当てで解決するという方式を繰り返している。

ーーー

中国の最大の問題は都市部と農村部の収入格差である。出稼ぎのために都市に出る農民は差別されている。

鄧小平は、「南巡講話」において、「先富」から「共同富裕」への道筋について、次のように述べた。

「社会主義の道を歩むのは、ともに豊かになることを逐次実現するためである。

条件を備えている一部の地区が先に発展し、他の一部の地区の発展がやや遅く、先に発展した地区が後から発展する地区の発展を助けて、最後にはともに豊かになるということである。
もし富めるものがますます富み、貧しいものがますます貧しくなれば、両極分化が生じるだろう。社会主義制度は両極分化を避けるべきで あり、またそれが可能である。

その時になれば、発展地区は引き続き発展し、利潤と税金を多く納め、技術を移転するなどの方式で未発達地区を大いに支持すべきである。未発達地区はたいてい資源に恵まれており、発展の潜在力は極めて大きい。」

しかし、実態は、農村では食えない出稼ぎの低賃金(農村戸籍者は都市でも差別される)を利用して、輸出拡大を図ってきた。
政府は西部大開発や今回の
「家電下郷」で、農村部への対策を行っているが、貧富の差はますます拡大している。

鄧小平が懸念した「富めるものがますます富み、貧しいものがますます貧しくなれば、両極分化が生じる」事態となっている。

ーーー

対外的に最大の問題は人民元である。

米国は米国の貿易赤字の原因は人民元の低評価であるとして、これまで人民元の切り上げを要求、応じない場合は制裁措置を取るとし、実際に反ダンピング関税を課している。

これに対し、中国側は「中国は自主性、制御可能性、持続性という原則に基づき、人民元為替相場メカニズム改革を穏健に推進する」と表明し、元切り上げ要求を拒否した。

米国の反ダンピング関税に対抗し、米国製の電磁鋼板やブロイラーに反ダンピング関税と相殺関税を課し、自動車についても調査を開始した。

7月のBig Mac指数では米ドルに対し48%もの元安となるが、本年6月の「弾力化」以降も市場に介入し、ほとんど改善されていない。
(仮に日本円が今、恣意的に1ドル110円程度で維持できれば、日本の経済の状況は著しく変わったものとなる。)

中国政府はプラザ合意での円切り上げと日本経済への影響を詳細に研究し、反面教師にしたと言われている。

貿易収支拡大のなかでの人為的な人民元据え置きは、貨幣流通量を増やし、インフレ圧力が強まり、住宅価格が高騰、食品価格も急上昇している。

住宅に関しては政府はバブル破裂を避けるため、頭金の増加や、複数の住宅を購入するためのローンの制限を求めるなど、やっきになっているが、効果はあまり出ていない。

食品については、中国国務院は11月19日、高騰する物価の抑制に向け、農産物の増産や流通コストの低減など16項目からなる緊急対策を発表した。価格統制は製造コストが膨らむ食品メーカーを採算悪化、生産縮小に追い込んでいる。

2010/11/19 中国の消費者物価指数アップ

中国では今秋から省エネルギー目標を達成するために電力を大量消費する企業向けの電力供給を制限しているが、肥料会社などへの電力供給制限の解除に踏み切った。
また、肥料の輸出に110%の輸出税を課し、実質輸出を禁止した。

中国人民銀行(中央銀行)は12月10日、預金準備率を20日から0.5%引き上げると発表した。本年6度目。大手行の預金準備率は過去最高の18.5%となる。
12月25日には0.25%の追加利上げを行った。2年10か月ぶりとなった10月20日以来、2か月ぶりの利上げとなる。

金融引き締めや利上げ、価格統制は企業活動に悪影響を及ぼし、景気失速の恐れもある。失業率上昇は党に対する不満を爆発させかねない。
また、利上げは更に元高の要因となる。これを介入で抑えると、市中に金があふれ、物価上昇を招く。
人民元高を容認しない限り、この悪循環が続くこととなる。

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グローバルな金融危機に対しては、中国政府は国内需要拡大のため2010年末までに総額4兆元(約57兆円)規模の投資を実施する緊急経済対策を発表した。「家電下郷」も拡大したが、これは農村部のみを対象としたものである。

このような大規模な、一部の国民にのみ恩恵を与えるものを含む、経済対策を即時に決め、実行できるのは、一党独裁の強みである。

国内での議論なしの中国政府の決定には次のようなものがある。

2010/8/20 台湾、中台経済協力枠組み協定(ECFA)を承認、9月発効へ 

台湾との経済協力枠組み協定は来年1月に発効するが、台湾にとって非常に有利なもので、中国は、台湾の要求をことごとく受け入れて大幅に譲歩した。ASEANと中国が相互免税措置を実施した場合、台湾の輸出産業が大きな衝撃を受けるのを防ぐのが目的で、政治的観点から国内の反対を無視した。

2006/7/21  中国政府、石炭化学を規制
2009/8/29  中国、新産業でも過剰能力を抑制
2010/8/14  中国、老朽過剰設備の停止命令
2007/7/19  中国国家環境保護局、公害防止のため小規模化学工場を閉鎖
2008/6/4  中国でレジ袋有料化 実施
2007/6/28  中国、輸出抑制のため輸出増値税還付率を引き下げ(毎年、対象と率を変更)
2010/8/16  中国、レアアース市場での支配力拡大へ 

また、中国では土地はすべて国有で、北京五輪や上海万博、鉄道、道路、ダムなど、国の必要に応じて安い補償で立ち退きを強要している。
(最近、中国人による日本の高級マンションなどの購入が増えているが、一つの理由は土地の所有権付きであることで、いつ立ち退きを要求される中国と異なり、子孫に残せることであるという)

ーーー

このようなパッチ当て方式と一党独裁による即決、即実行で問題をとりあえず解決してきたのが、バブル崩壊を防止できた理由である。
反対意見を考慮することなく、考えた案が実施できるという意味では、政策決定者にとっては、羨ましい話であろう。

しかし、反対意見無視は、国民の権利の無視、権利の侵害である。
これは一党独裁への反対を引き起こし、放置すれば大変な事態になるため、これに対しても対応する必要がある。

中国政府は2011年から始まる次の5カ年計画に「所得倍増計画」を盛り込む検討に入ったが、土壇場で採用されなかった。
実現できなかった場合に国民の不満が共産党に向かいかねないことが理由の一つであった。
(賃上げをあおれば物価上昇が加速する恐れがあるのがもう一つの理由)

  2010/6/10  中国が「所得倍増」計画

中国は根本的な問題は抱えたままであり、対策を取れば、それが新たな問題を引き起こすという循環で、今後も次々と問題が出てくる。

ーーー

中国に進出する日本企業も、いつ梯子を外されるか、分からない。
既に労働契約法で労働者の権利が強化され、外資の税優遇も廃止された。立地、原料、販売、輸出、環境規制、電力割当等々、事業運営上に制限が加えられる可能性もある。
大きなカントリーリスクである。

 


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  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


溶液重合法スチレンブタジエンゴム(S-SBR)の増設が相次いでいる。

本年夏以降、日本の4社が相次いで増設を発表した。うち、3社はシンガポール立地である。
12月20日はダウから分離した
StyronがドイツSchkopauでの増設を発表した。

  JSR 旭化成 住友化学 日本ゼオン Styron
Dowから分離)
発表 2010/7/30 2010/10/18 2010/11/25 2010/12/22 2010/12/20
製品 S-SBR
ダイナロン(水添ポリマー)
S-SBR SSBR S-SBR
S-BR 併産)
S-SBR
立地 四日市 シンガポール
ジュロン島
テンブス地区
シンガポール
ジュロン島
メルバウ地区
シンガポール
ジュロン島
Schkopau, Germany
能力 25千トン 50千トン
(第
2期として50千トン)
40千トン 1期 3040千トン
(第
2期 3040千トン)
50千トン
稼動予定 2011/11 2013/6
(第2期は2015年前半)
2013/4Q 12013/7 2012/4Q
S-SBR
既存能力
四日市 35千トン

Schkopau, Germany
引取権 30千トン
(以前は生産委託)

BRと併産)
川崎工場
105千トン
大分工場(
*35千トン
合計
140千トン    
*)日本エラストマー
(旭化成
75%、昭電25%
千葉 8千トン 徳山 55千トン 既存能力 不明

2009/3 60千トン
JSR30千トンの引取権)

SBRは、ブタジエンとスチレンを主原料とする合成ゴムで、製造法により乳化重合法によるE-SBRと、溶液重合法によるS-SBR2タイプがある。E-SBRは汎用タイヤ向けが主体。

S-SBRの主な用途は自動車のタイヤトレッドで、タイヤの安全性能(グリップ力)を確保しつつ省燃費性能(転がり抵抗)を同時に向上させるというニ律背反の関係を解決する材料として、省燃費型高性能タイヤ用の需要が急速に拡大している。

Styron2009年に60千トンの増設を行ったばかりだが、更に50千トンの増設を発表した。
同社では省エネタイヤ用の
S-SBRの需要が増えているが、今後、欧州の環境規制強化により更に増加すると見ている。

EU2012年にタイヤの「ラベリング(表示)制度」を導入する。
タイヤの転がり抵抗(燃費)、ウエットグリップ(雨天時のスリップ防止)、騒音量の
3つの性能をラベルで表示する。
消費者はラベルを確認し、環境性能に優れたタイヤを容易に選べるようになる。

また、燃費規制でCO2排出量120g/kmが導入される。(2004 年実績比で約26%の減少)
(車両・エンジンの技術改良により
130g/km以下にし、タイヤの性能などの技術改良やバイオ燃料の利用促進などで、10g/km削減し、120g/kmとする。)
但し、
2012年には新車販売台数の65%、13年には同75%、1480%とし、15年にすべての新車に対して適用する。

日本の各社も、環境規制の強化や環境意識の高まりを背景に世界的に省燃費型高性能タイヤの需要が拡大しており、特にアジアではモータリゼーションの急速な進展とタイヤ生産のアジアへのシフトにより、タイヤ用ゴム市場の成長が続いていることから、増強を行う。

なお、3社がシンガポール立地を決めたが、日本ゼオンは理由として、1)生産環境の安定、安全性、2)主原料であるブタジエン調達、3)市場へのアクセスから選択したとしている。
住友化学も、当初は千葉での増設を計画したが、
1) 成長するアジア市場への供給上の地理的優位性、2) 今後ひっ迫が懸念される原料ブタジエンの安定的な確保、3) 同社グループの既存事業との連携といった観点から、シンガポールでの建設を決定した。

今後、日本でエチレンの減産が予想され、原料ブタジエンが不足するのを懸念したのが大きな理由。

ーーー

Dowの合成ゴム事業は、旧東ドイツの合成ゴムメーカーの統合でできたBuna Sow Leuna Olefinverbund (BSL) の事業で、Dow19979月にBSL80%を買収、20006月に残り20%をドイツ政府から買収した。

Dow20095月に合成ゴム事業の売却を検討していることを発表した。
最終的に、スチレン系事業に含め、
Bain Capital Partners売却、Styronとして独立した。

2009/5/21 ダウ、合成ゴム事業の売却を検討

なお、JSR200311日付でDowとの間でS-SBRの生産委託契約を締結、DowSchkopau工場で製造したS-SBRを引取り、欧州で販売した。

その後、JSR2007年に、Dowから建設中の60千トンのS-SBRプラントの能力の50%、年30千トンの引取権を取得した。
20093月の稼働に伴い、製品の引取を開始した。

JSREU2012年の二酸化炭素排出規制強化で省燃費タイヤ用途でS-SBRへのニーズが一層高まると見込み、供給の安定化を図ったもの。

ーーー

なお、他の合成ゴムでも増設がある。

宇部興産は7月、アジア地区でのポリブタジエンゴム(BR)の需要拡大に対応するため、千葉のBR製造設備を15千トン増強することを決定した。
同社の能力は以下の通り。
   千葉  95千トン→110千トン
(2012/8)
   タイ   72千トン
   中国  50千トン→72千トン(2011/末)→87千トン(2013/8 検討)

エクソンモービルは10月、同社とJSR50/50出資の日本ブチル川崎工場のブチルゴム(IIR)の増強が完了したと発表。
   能力 80千トン→98千トン

インドのReliance Industries とロシアのSIBUR1221日、ブチルゴム(IIR)のJV設立を発表した。
   JV :Relianceがマジョリティ
   立地:RelianceのインドJamnagar
Integrated refining-cum-petrochemical site
   能力:100千トン
   技術:SIBUR

丸紅は4月に、インドでIndian Oil Corporation(IOCL)と、台湾TSRC と共同で、SBRの製造販売を行う合弁会社を設立することで合意した。
   会社名  :Indian Synthetic Rubber Limited
(予定)
   所在地  :インド ハリヤナ州パニパット
   株主構成 :IOCL 50%TSRC 30%、丸紅
20%
   能力   :120千トン
   稼働予定 :2012
     

-------2010/4/12 丸紅、インドでSBR生産

 


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インドネシア政府は、同国西北部沖にあるアジア最大級の天然ガス鉱区East Natunaを、国営Pertamina と米Exxon Mobil、仏Total 、マレーシアのPetronasの4社が共同で開発すると発表した。総事業費は520億ドルに達する見込み。

4社が開発するのは、ボルネオ島とマレー半島の間の海域のNatuna諸島沖の海底鉱区。埋蔵量は46兆立方フィートに及び、Pertaminaによるとアジア最大の規模という。

Pertaminaでは来年上期にproduction-sharing contract を締結し、2021年に生産を開始したいとしている。
Pertaminaではマジョリティを得て、オペレータになることを希望している。
Petronas30%程度の出資を希望している。

Natuna D- Alphaと呼ばれた同鉱区は1973年に発見され、7年後にExxonが開発権を取得した。
埋蔵量が膨大な一方で、二酸化炭素の含有量が多いのが難点。
ExxonPertaminaは1990年代に開発することを決めたが、需要の低迷で中断した。
両社はその後も開発をめざしたが莫大な事業費が障害になっていた。このため
TotalPetronasが参加する新らな枠組みを作った。

Natunaの西側のWest Natuna では国際石油開発帝石(Inpex)がConocoPhillipsChevronとともにガス田を開発している。

Inpexでは「南ナトゥナ海B鉱区」と呼んでいる。
同社は
19777月に既発見のUdang油田を含む南ナトゥナ海B鉱区の権益を17.5% 取得、さらに、19941月に同鉱区の17.5%の権益を追加取得し、参加権益比率を35%
とした。
その後、
Belanak油・ガス田、 Hiuガス田、North Belutガス田、Belida油・ガス田、Sembilang油田、Kerisi油ガス田などの油・ガス田を続けて発見している。

ConocoPhillips40%Chevron25%を保有、前者がオペレーターとなっている。

1979年以降原油の生産を続けており、ガスに関しては、19991月にインドネシア初の海外向けパイプラインによるシンガポール向けガス販売契約を締結し、2001年より供給している。
さらに
2002年には、新たにマレーシア(本土)向けのガス販売を開始した。

ーーー

Inpexはインドネシアではこのほかに3つのプロジェクトを行っている。(* オペレーター)

マハカム沖鉱区およびアタカユニット(原油、天然ガス:生産中)  

マハカム沖:Inpex 50%、*TOTAL 50%
アタカユニット:Inpex 50%、*Chevron 50%

マセラ鉱区(アバディ) (ガス・コンデンセート:準備中)

マセラ:*Inpex 90%、EMP Energi Indonesia 10%

Inpexは12月21日、生産規模を4割縮小する計画がインドネシア政府の承認を得たと発表した。
技術的に難しい洋上LNG基地方式を採用しているため。
当初の年450万トンの計画を、年250万トンでスタート、段階的に引き上げる。

ベラウ鉱区ータング LNGプロジェクト:2009年7月よりLNG供給を開始) 

ベラウ:MI Berau 22.856%*BP 48.0%日石ベラウ 17.144%KGベラウ 12.0%
タングーユニット:MI Berau 16.3%、*BP 37.16%
CNOOC 13.9%日石ベラウ 12.23%
           KGベラウ・KGウィリアガール 10.0%、LNG Japan 7.35%
Talisman 3.06%

 MI BerauはInpex 44%、三菱商事 56%JV


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ロシアの肥料会社OAO Uralkali は同じくロシアのライバルのOAO Silvinit を買収することで合意した。カナダのPotash Corporation of Saskatchewan(PotashCorp) に次ぐ肥料会社となる。

Otkritie Financial CorpからSilvinit 20%14億ドルで買収、その後、残りの株を64億ドル(現在の株価)相当のUralkaliの新株と交換で取得する。合計で78億ドルでの買収となる。20115月の合併を目指す。

ロシアの億万長者のSuleiman Kerimov とパートナーが、本年7-8月に両社の合併を目指して両社の株のマジョリティを取得した。

両社が合併すれば、世界のカリの生産の17%を占め、Potashに次ぐ世界第二位のメーカーとなる。

両社はウラル山脈の近くのPermVernekamskoye deposit(世界第二の埋蔵量)に鉱山を持っている。
両社は肥料需要の回復を受け、本年上期に生産量を倍増
Uralkali 242万トン、Silvinit 257万トンを生産した。
2010年の能力の合計は1060万トンで、Potash CorpとミネソタのMosaic Co に次ぐ。2012年には能力を240万トン拡大する。

BHP Billiton8月PotashCorpに対し、全株のTOBを行うと発表したが、カナダ政府が反対し、BHPは11月15日に敵対的TOB提案の取り下げを発表した。
2010/8/23 BHP Billiton、カナダのPotashCorpに敵対的TOB

Mosaic2004年にCargillの肥料部門と IMC Global とが合併して設立された。
カリとリン酸が主製品。
カリの能力は
1040万トン。カナダと米国で操業、45%を北米で販売、残りを輸出している。
リン酸では最終製品の世界最大のメーカーで、能力は
1030万トン、他の三大メーカーの合計よりも多い。

カリウムは200708年の世界食料危機の際に投資家から注目され、価格が急上昇した。
世界金融危機を受けて農民が肥料の使用を減らしたため、
2008年からは下落していたが、再び上昇に転じている。

世界の8社のカリ・メーカーが市場を支配し、価格引き上げを図っている。

Financial Timesによると、各社は数十年にわたり2つの販売会社を通じて輸出してきた。
合法的ながら事実上のカルテル組織で、毎年、輸入国(中国が
1位でインド、ブラジルがそれに続く)と秘密裏に交渉してきた。

一つはCanpotexで、株主はカリ・メーカーのPotashCorpMosaicAgrium Inc.で、各社の製品を輸出している。
もう一つは
Belarusian Potash Co.で、Uralkali やベラルーシのBelaruskaliの製品を扱っている。

Silvinitは現在、International Potash Co. を通して輸出しているが、一定期間を置いてBelarusian Potash に切り替える。

中国、インド、ブラジルといった購買国に対するロシア・ベラルーシ連合の力は一段と高まるとみられる。

中国はカリの今後の輸入を懸念している。
BHP BillitonによるPotashCorpの敵対的TOBに対し、Sinochem子会社で、PotashCorp 22%を出資する中国の肥料輸入販売会社SinofertがBHPの買収を図ったが、諦めた。

 

2009年の生産量、埋蔵量は以下の通り。(U.S. Geological Survey) 

リン鉱石   カリ
  生産量(千t) 埋蔵量(百万t)
中国 55,000  35% 3,700  23%
USA 27,200 17% 1,100 7%
モロッコ・西サハラ 24,000 15% 5,700 53%
ロシア 9,000   200  
チュニジア 7,000   100  
ブラジル 6,000   260  
ヨルダン 6,000   1,500  
その他 23,800   3,440  
合計 158,000   16,000  
  
  生産量(千t) 埋蔵量(百万t)
カナダ 6,500  26% 4,400 52%
ベラルーシ 3,850 15% 750 9%
ロシア 3,600 14% 1,800 21%
中国 2,750   200  
ドイツ 2,300   710  
イスラエル 2,000   40  
その他 4,000   600  
合計  25,000    8,500    

参考 2010/12/4 中国財政部、肥料に輸出税 


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ブラジルやインド、韓国など11カ国は12月15日、ブラジル南部のフォスドイグアスで閣僚級会合を開き、関税を相互に20%引き下げることで合意した。
引き下げ対象を全貿易品目の
70%にとどめた緩やかな形だが、 途上国・新興国同士で貿易圏を形成し、域内の通商を活発にする狙い。

今回の枠組みは、国連貿易開発会議(UNCTAD)の支援で途上国・新興国間の貿易促進に取り組んでいた「世界的貿易特恵関税制度 (GSTP)」加盟43カ国によるもの。

* Global System of Trade Preferences Among Developing Countries

2004年にサンパウロで開いたUNCTADの総会後、GSTP加盟国が「サンパウロ・ラウンド」として関税引き 下げ交渉を続けていた。
今回、加盟国のうち
11カ国が、ブラジル南部のフォスドイグアスで閣僚級会合を開き、関税引き下げで合意した。
4カ国が国内の批准手続きを済ませた段階で発効させ、その後は、批准を終えた国が順次参加していく。

参加したのは次の11か国。
  アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ
 (以上Mercosur:Common Market of the South のメンバー国)
  インドネシア、マレーシア(以上、ASEANメンバー)
  
インド、キューバ、エジプト、モロッコ、韓国

11カ国以外の国が後から合意に加わることを認めており、イランなど数カ国が準備を進めている。

関税引き下げの対象は全貿易品目の70%(品目数で約47,000)で、各国は貿易品目の最大30%を保護対象として指定することが可能。国ごとに農産品や電子機器などを登録した。今後、2年ごとに税率などを見直すことでも合意した。

ーーー

なお、韓国の東亜日報によると、米国が最近、韓国政府に「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」の参加を正式に要請した。

韓国政府の高官は12月17日、「米国がTPPに対する積極的な参加を要請してきた。韓国は、これに対してひとまず『検討する』という前向きなシグナルを送った」と明らかにした。韓米FTAの早期批准への対米圧迫カードとして活用する。

韓国は米国、EUとFTAを締結、更に、チリ、シンガポール、欧州自由貿易連合、ASEAN10ヵ国、インドの国と地域との間でFTAを締結している。


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BASF SINOPEC1217日、BASF-YPCの設立10周年記念式典の前夜に、第二次増強の共同検討の覚書を締結した。

C3C4value chain を増強するもので、16万トンのアクリル酸新プラント、新しいブチルアクリレートプラントや、2-propyl-heptanol、スチレンモノマー、非イオン性界面活性剤の増強などを含む。
現在建設中の高吸水性樹脂(
SAP)には今回増設のアクリル酸が供給される。
また、ワールドクラスの過酸化水素法
POも計画に含まれる。

HPPOはダウとBASFが共同開発したもので、アントワープの両社のJVが第1号。
ダウは
Siam Cement Group とのJVタイにプラントを建設している。

投資額としてはおよそ10億米ドルとみているが、最終的な投資範囲は詳細FSの後に決定する。

同社の計画は以下の通り。(単位:千トン)

   当初   第一次増強 第二次増強
エチレン 600   →740  
C4 Comlex Butadiene ー   ○(100120  
2-propylheptanol  ○  増設
Isobutene  ○ 80  
Polyisobutene  ○ 50  
EO EO 250   +80 & EO purification   
EG 300     
EO 
Derivatives
Butyl glycol ether ー   ○  
Non-ionic surfactants  ○ 60  増設
Amines
complex
Ethanolamines
Ethyleneamines
Dimethylethanolamine
ー   ○  
DMA3 (dimethylaminoethylacrylate) ー   ○  
LDPE 400     
Acrylics
value chain
アクリル酸  160     +160
アクリル酸エステル 215     
Super-absorbent polymer (SAP) ー   ○ 60  
butyl acrylate ー   ー  ○
C4オキソアルコール  250   増設  
蟻酸 50     
プロピオン酸 30   増設  
メチルアミン 30     
ジメチルホルムアミド(DMF 40     
PO(HPPO) ー   ー  ○
Yangzi-BASF
Styrenics
Ethylbenzene 130   BASF-YPC統合  増設
Styrene monomer  120   増設
Polystyrene  200   
EPS  52   

 

BASF-YPCBASF 50%Sinopec 50%JVで、2000128日に設立された。

両社は1996年3月にIPS(Integrated Petrochemical Site) 計画の覚書を締結、1997年12月に計画がまとまり、2000年6月に共同FS報告が承認された。

工場は江蘇省南京市SINOPEC揚子石化(エチレン 650千トン)に隣接している。

2001年9月に起工式が行われ、2005年6月に商業生産を開始した。

なお、同社のエチレン設備は、インドネシアのツバン計画で用意したものを使用した。

2006/4/27 インドネシアのエチレン計画への日本企業の参加-2

同社は2008年3月に第一次増強計画を申請、2009年7月に政府の承認を得て、10月に建設を開始した。
現在建設中で、2011年にスタートの予定。

これに合わせ、BASFSINOPEC揚子石化のJVYnagzi-BASF Styrenics(1997年設立)を吸収した。


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中国国有化学大手の中国中化集団(Sinochem Group)は1217日、Royal DSM の抗感染症薬事業(DSM Anti-Infectives)50%を買収すると発表した。
買収額は負債引き継ぎなしベースで現金で
21000万ユーロ。

欧米の先進技術を導入して売上高を増やしたい
Sinochemと、中国大手との連携で高成長が見込める中国事業を伸ばしたいDSMの思惑が一致した。

DSM Anti-Infectivesは中国以外ではごく少数のペニシリンのメーカー。

DSMの事業は中国企業などとの競争で採算が悪化している。
このため、
2004年に華北制薬集団有限責任公司(North China Pharmaceutical GroupNCPG)と戦略的パートナーシップを組む意向を明らかにし、その後、交渉を続けた。

2009年初めにはビタミンとペニシリンの分野でJVを設立する契約を締結した。内容は以下の通り。

DSMNCPG10%程度の戦略的投資を行う。
・ビタミン
Cの製造JVと、ペニシリンの原体と中間体製造のJVを設立する。
 
DSMは前者に30%、後者(2つのJV)に51%を出資する。
DSMの総投資額は約110百万米ドル。
 
NCPGはビタミンCとペニシリンの既存工場と、ペニシリンの中国の国内のマーケティングと販売組織を出す。

両社は認可取得など準備を進め、
2009年下期に設立を予定。
両社は他の分野での協力も協議する。

しかし、200910月にこの計画は延期(事実上の中止)となった。
NCPGの株主の変動により、契約実行が遅れること、恐らくは目標期間中には実行できないだろうとの通知を得たもの。

このため、DSMはパートナーを変更した。

両社は近く香港に折半出資会社を設立し、DSMの世界の抗感染症薬事業を引き継ぐ。同事業の社員2000人も合弁会社に移籍する。
手続きは
2011年前半までに完了する見通しで、取引は201111日に遡及する。

DSMは第4四半期に55百万ユーロの一時利益を計上する。

DSMの医薬部門はDSM Pharmaceutical Products DSM Anti-Infectives から成る。

売上高は、    
   2009  2008
 DSM Pharmaceutical Products  395百万ユーロ  419百万ユーロ
 DSM Anti-Infectives  326  444
   合計   721  863
となっている。

ーーー

Sinochemは国務院国有資産監督管理委員会の管理下の主要な国営企業の一つ。2009年の“Fortune Global 500”では170位にランクされている。

1950年設立で、農業資材、エネルギー、化学品、ファイナンス、不動産の5つのセグメントから成っている。

同社は20099月、28億豪ドルで豪州の農薬会社Nufarmを買収する非拘束契約を締結した。
しかし、
Sinochemが値引きを要求したため、Nufarmは再提案を拒否した。
その後、住友化学が
Nufarmと包括的業務資本提携を行い、20%を出資した。

2009/10/6  Sinochem、豪州農薬会社Nufarmを買収へ 及び付記

Sinochemは本年5月、ノルウェーの国営石油会社Statoil ASAとの間で、ブラジル沖のPeregrino油田の権益の40%を対価 3,070百万ドルで買収することで合意したと発表した。

2010/5/28 中国中化集団、ブラジル油田に30億ドル出資


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BASF1217日、ベルギーと米国の高吸水性樹脂の能力を増強すると発表した。
ベルギーの
Antwerpと米国のFreeportのプラントをデボトルネッキングなどで2012年までにそれぞれ35千トン増強し、同社の合計能力を年産47万トンとする。

付記 
BASFは2011年8月19日、ブラジルの
Camaçariに5億ユーロ以上を投じて、アクリル酸、ブチルアクリレート、SAPプラントを建設すると発表した。能力は明らかにしていない。アクリル酸とSAPは南米で初めての工場となる。
原料プロピレンはBraskemから供給を受ける。

このほか、既存のGuaratinguetá, São Pauloのコンプレックスで 2-ethyl-hexyl acrylateを製造する。

BASFの高吸水性樹脂の主工場はAntwerpFreeportで、ほかにドイツのMannheim とタイのRayongにもプラントを持つ。
世界中の需要家に供給、技術サービスセンターを米、独、タイと中国の上海に置いている。

同社の能力は以下の通り。(単位:千トン)
なお、
BASFは他に、SinopecとのJVBASF-YPC(南京市)で60千トンのプラントを建設中。

    過去 現状 増強後  
欧州 Antwerp   115   175 210  
Mannheim 25 25 25  
米国 Portsnmouth,VA 115 - - Clariant
Aberdeen, MS 65 - - Chemdal
Freeport,TX - 180 215  
タイ Rayong 20 20 20 Chemdal
合計   340 400 470  
中国JV 南京(BASF-YPC) - - 60  
再計   340 400 530  

付記

BASFは2011年10月11日、ブラジルのCamaçariに60千トンプラントを建設すると発表。生産開始は2014年末。

BASF-YPCのプラントは2014年初めスタート。
更にマレーシアのKuantanでの生産をFS中。

BASF1998年にClariantの吸水性樹脂事業を買収、Portsnmouth,VA115千トンのプラントを引き継いだ。
Clariant1997年にHoechstのスペシャルティ事業を統合した際に吸水性樹脂を持ったが、原料のアクリル酸がHoechstに残った為、原料遡及が出来ず、効率もよくなかったので売却した。

BASF2000年に米国 AMCOLの子会社 Chemdal の吸水性樹脂事業を買収した。
ChemdalAberdeen, MS65千トンのプラントを持ち、タイにプラントを建設していたが、BASFがこれを引き継いだ。

2002年にアントワープ工場を建設した。

200710月にFreeport18万トンプラントが操業を開始し、これに伴い、米国の2工場が閉鎖された。

ーーー

日本触媒は世界の主要SAPメーカーの生産能力を以下の通りとしている。(11/5決算説明会資料)
(筆者の数値と若干異なる。日本触媒以外の社名は筆者の推定)

日本触媒の能力は以下の通りで、現在世界のトップ。

姫路  320千トン    
米国   60千トン   NA Industries
ベルギー   60千トン   Nippon Shokubai Europe
中国   30千トン   日触化工(張家港)有限公司
合計  470千トン    

日本触媒は当初、欧州ではBASFと提携し、年産24千トンの高吸水性樹脂を生産委託していたが、その後、提携を解消した。
これに伴いBASFとの折半出資の販売子会社
であったULTRASORB Chemikalien を1999年に100%子会社化し、2001年にアントワープに自社工場を稼動させた。

BASFは現在400千トンだが、中国を含めた増設後は530千トンとなり、日本触媒を上回ることとなる。

Evonik(元Degussa)の現在の能力は406千トンとされている。

同社(当時はHuls)は1991年にStockhausen を買収した。米国(75千トン)、ドイツ(85千トン)、合計160千トンの能力を有している。

2006年2月にDegussa はDowの高吸水性樹脂事業を買収した。
Dowのドイツのプラント(80千トン)を取得、米国のプラント(75千トン)ではダウに製造委託を行う。

これら取得時の能力は315千トンだが、その後増強している。

住友精化

姫路  110千トン  
シンガポール   60千トン  Sumitomo Seika Singapore
フランス    20千トン  Arkema から高吸水性樹脂事業を買収、Arkemaに製造委託
合計  190千トン  

サンダイヤポリマー

名古屋  105千トン  
大垣         20千トン  
中国   20千トン  三大雅精細化学品(南通)有限公司
合計  145千トン  


国内メーカーの状況については、2009/9/26 
高吸水性樹脂業界の動き


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カタールでLNGの増産工事が完了、国家目標としてきた年産7700万トン体制が完成した。本年2月のRasGas の第7系列780万トン完成に続き、Qatargasの第6、第7系列、各780万トンが完成した。

同国のLNG生産能力 は
2008年末と比べ2.5倍となり、世界のLNG生産能力の約3割を一国で握る。

1213日に生産設備がある工業都市ラスラファンで祝賀式典を行い、ExxonMobilShellConocoPhillipsなど大手エネルギー企業のCE0や、QatarLNGを輸入する中部電力など日本企業の首脳級も多数出席した。

カタールは1996年にLNG生産を開始した。単一鉱区としては世界最大級のNorth Fieldガス田から産出する天然ガスを液化、2006年にインドネシアを抜いて世界最大の生産国となった。
2008年末の生産能力は年3,000万トンだったが、09年から10年に大型プラントが相次ぎ稼働、残っていた2系列の設備が完成した。

日本は世界最大のLNG輸入国で、カタールからも電力・ガス会社が全輸入量の12%に相当する800万トン(2008年、スポット取引含む)を輸入している。プラント建設や海運、商社、銀行など広範な分野でも日本企業がカタールのLNG事業に関与している。

1992年に中部電力がQatargasとの間でLNG 400万トンの売買契約を締結、1994年に他の電力・ガス会社7社が200万トンの売買契約を締結した。
8社は「カタールLNGプロジェクト」で輸送船10隻を就航させ、19971月に第一船、20008月に第10船が入港した。

千代田建設が1998年完成のQatargas 1(第1~3系列)、2001年受注の同プラント増強工事、RasGas3・第4系列に続き、その後、Qatargas 2(第45系列)、Qatargas 3(第6系列)、Qatargas 4(第7系列)などほとんどのプロジェクトの基本設計業務を実施している。

同社は1976年にアブダビに年産100万トンクラスのLNGプラントを建設して以来、35年以上にわたり数多くのLNGプラントを設計・建設している。

 

ガス田 North Field

LNG基地 Ras Laffan

North Fieldで採掘されたガスは現地で分離、前処理される。
ガスとコンデンセートは海底パイプで
Ras Laffanに送られ、LPGが生産され、コンデンセートはナフサ等に精製される。

石油化学基地 MesaieedRas Laffan

副生エタンガスはMesaieedRas Laffanの石化プラントの原料となる。

LNGはいずれもQatar Petroleumのプロジェクトで、内訳は以下の通り。

計画名 系列 能力 出資者
Qatar
 Petroleum
その他
Qatargas 1 1 320万トン* 65%  ExxonMobil  10%
Total         
 10%
三井物産   7.5%
丸紅      7.5%
2 320万トン*
3 320万トン*
Qatargas 2 4 780万トン 70%  ExxonMobil 30%
5 780万トン 65%  ExxonMobil  18.3%
Total          16.7%
Qatargas 3 6 780万トン 68.5% ConocoPhillips 30%
三井物産    1.5%
Qatargas 4 7 780万トン 70%  Shell            30%
  合計   4,080万トン    
RasGas
Ras Laffan
 Liquefied Natural Gas
1 330万トン 70%  ExxonMobil 30 %
2 330万トン
3 470万トン
4 470万トン
5 470万トン
6 780万トン
7 780万トン
  合計   3,630万トン    
  総合計   7,710万トン    
         
なお、LNGに副生するコンデンセートを原料とするRefineryがある。
Laffan Refinery   Naphtha 
  
61,000 bpsd
Kerojet
 
  
52,000 bpsd
Gasoil
  
  
24,000 bpsd
LPG
   
   
9,000 bpsd
51%  ExxonMobil    10%
Total 
-------10%
出光興産    10%
コスモ石油   10%
三井物産---- 4.5%
丸紅       4.5%

 * Qatargas1 3系列の当初能力は各 200万トン。2005年にdebottlenecking
  
bpsdbarrel per stream day(フル能力1日当たり)

 


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Lanxess とRoyal DSM はDSM Elastomers のLANXESSへの売却で合意した。1214日に発表した。
売却額は
310百万ユーロ。DSM Elastomers はKeltanブランドのEPDMを生産している。

DSMはLife SciencesとMaterials Sciences 及び中国を中心とするEmerging Business Areaを今後のCore businessにしている。

DSM Elastomers部門は、世界シェアの約16%を占めるEPDM(商標名 Keltan)とEPDMベースの熱可塑性エラストマー(商標Sarlink)から構成されていたが、いずれもこれから外れていた。

DSMは9月15日、DSM Elastomers部門の熱可塑性エラストマー事業(商標Sarlink)を米国のコンパウンド会社のTeknor Apex に売却すると発表した。EPDMについても売却の意向を示していた。

2010/9/17  DSM、熱可塑性エラストマー部門を売却、EPDMの売却交渉も

DSMはEPDMをSittard-Geleen(オランダ)とTriunfo(ブラジル)で生産している。
能力は前者が
16万トン、後者が4万トンで、合計20万トン。
2010年の売上高は380百万ユーロの見込み。従業員は420人。

DSMは1989年に出光とのJVの出光DSMを設立し、千葉でEPDM 年産4万トンの生産をしていたが、2003年にオランダに8万トンのプラントを建設、2004年9月末に千葉での生産を停止し、JVを解散した。
(1999年からはDSMが販売を担当し、合弁会社はDSMの製造委託会社となっていた。)

DSMはまた2004年に、老朽化した米国ルイジアナ州Addisの工場を停止している。

Bayerから分離独立したLanxessもTechnical Rubber Products部門でBayerから引き継いだBuna EPブランドのEPDMを販売している。
プラントはドイツのMarlと米国のOrangeで、
合計能力は12万トン。
今回の買収で全世界能力は
32万トンになる。

2009/7/6 合成ゴム100年

DSM Elastomersの買収で、LanxessACE技術を入手し、技術ベースを強化する。

DSM Elastomersは2008年に、NOVA Chemicalsから全世界独占実施権を得たシングルサイト触媒を使用したEPDMの生産を開始した。同社はこれをACE(Advanced Catalysis Elastomers)と呼んでいる。
エネルギー消費を節約、コストダウンとなるほか、適用分野の拡大が可能となる。

LanxessのTechnical Rubber Products部門は2009年の売上高が24億ユーロで、EPDMのほか、Polychloroprene rubber (CR)、 Hydrogenated nitrile rubber (HNBR)、Ethylene vinyl acetate rubbers (EVM)、Nitrile Rubber (NBR)などを持つ。
工場は
EPDM製造のMarl、Orangeのほか、ドイツのLeverkusenとDormagen、フランスのLa Wantzenauにある。

このほか、2007年にブラジルのBraskem とUnipar などからブラジルの合成ゴムメーカー Petroflex の株式の70%を購入、2008年に残りの株式についてTOBを行い、100%を買収した。

Lanxessは2008年2月、シンガポールに年産10万トンのブチルゴム生産拠点を新設すると発表した。2010年稼動の予定であった。
しかしその後、需要の減少を受け、2014年稼動に再延期すると発表している。
この期間を利用し、製造技術の更なる改良を行う。

同社の合成ゴムの総生産能力は1,404千トンとなっている。(日本ゼオン ファクトブック2010



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税制改正大綱

| コメント(1)

政府は12月16日の閣議で、2011年度税制改正大綱を決定した。来年の通常国会に関連法案を提出する。
   
http://www.cao.go.jp/zei-cho/etc/pdf/221216taikou.pdf

問題の法人税の実効税率は5%引き下げたが、租税特別措置法の改正で増税となる部分もあり、法人税は実質的に5800億円程度の減税になるという。

地球温暖化対策のため、「地球温暖化対策のための課税の特例」が設けられ、石炭石油税にCO2排出量に応じた税率が上乗せされる。

ある報告では、企業の負担は以下の通りとなる。(単位:億円)
 法人実効税率5%引下げ           -13,500
 中小企業軽減税率3%引下げ          -700
 雇用促進税制の創設等              -700
 減価償却制度見直しなど課税ベース拡大  +6,500
 地球温暖化対策税の導入           +2,400
 中小企業向け租税特別措置の見直し      +200
 合 計                      -5,800

1) 法人税率
   
  法人税率を4.5%引き下げ、地方税と合わせた法人実効税率を5%引き下げる。
 
  現行 改正案
一般   30% 25.5%
中小法人で年800万以下 22% 19%

実効税率:
法人の所得には法人税、住民税、事業税が課せられるが、
事業税は支払った期の損金に算入できるため、節税効果が生じる。
実効税率はこれを勘案したもので、
 実効税率=(法人税率+住民税率+事業税率)/(1+事業税率)で計算される。  

法人税率=30%、住民税率=法人税率x20.7%、事業税率=7.56%の場合(*)、実効税率は40.69%となる。
法人税率が25.5%となると、実効税率は35.65%となり、5%分の引き下げとなる。
  * 東京都の外形標準課税法人で、3以上の都道府県に事業所を持つ資本金 1千万円以上の法人  

   
2) 減価償却制度
  2011/4以降取得の資産の定率償却率を
   現行 定額法償却率(1/耐用年数)x 2.5
   改正   同上x 2.0
   
3) 欠損金の繰越控除
   現行 繰越控除前の所得全額  繰越期間は7年
   改正 繰越控除前の所得全額の80%  繰越期間は9年に延長
   
     * 2008年の控除額 7.4兆円(うち 金融保険が2兆円)
   
4) 貸倒引当金
   改正 金融機関と中小法人に限定
       これ以外の法人には次の経過措置として
         2011年度 現行繰入限度の3/4の引当を認める
         12年度は2/4、13年度は1/4の引当を認める
   
5) 寄付金  損金算入限度額引き下げ
   
6) その他の租税特別措置等
   
試験研究費:適用期限の到来をもって廃止
     * 武田薬品 230億円、アステラス 120億円、エーザイ 70億円の恩恵(前期)
   
エネルギー需給構造改革推進投資促進税制:廃止
中小企業等基盤強化税制:適用期限の到来をもって廃止
公害防止用設備の特別償却制度:特別償却率を8%(現行14%)に引き下げ
   
7) 環境関連投資促進税制(新設)
  CO2排出削減・再生可能エネルギー導入拡大に効果のある設備について
   取得価額の30%の特別償却を認める(法人税額の20%が限度で、1年の繰越可能
   
8) 地球温暖化対策税
  石油石炭税にCO2排出量に応じた税率を上乗せ
 
  現行 2011/10 2013/4 2015/4 最終上乗せ額
原油・石油製品  2,040/kl  2,290/kl  2,540/kl  2,800/kl 760/kl
ガス状炭化水素 1,080/t 1,340/t 1,600/t 1,860/t 780/t
石炭 700/t 920/t 1,140/t 1,370/t 670/t
   
  現在石油石炭税が非課税の下記は、これについても非課税
 
輸入・国産石油化学製品製造用揮発油等、輸入特定石炭、沖縄発電用特定石炭、
 輸入・国産農林漁業用A重油、国産石油アスファルト等
   
  下記については、2013/3/31まで、上乗せのみ免除
  苛性ソーダ製造業において
苛性ソーダ製造用電力の自家発電に利用される輸入石炭
  船、鉄道、航空機用

 

このほか、個人課税の控除見直しで、所得税が2,100億円、住民税が900億円の増税となる。
  給与所得控除の縮小などで、高所得層で増税となる。

相続税の見直しでは2,900億円の増税となる。



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中国財政部は12月14日、2011年関税実施計画に関する国務院関税委員会通知を発表した。

レアアースの輸出税に関しては、ネオジムは現在の15%が25%にアップ、現在非課税のランタンとセリウムにも25%が課せられた。
ジスプロシウムとテルビウムは25%が据え置きとなった。

  現状    2011年
ネオジム  15% 25%
ジスプロシウム  25% 25%
テルビウム 25% 25%
ランタン 0% 25%
セリウム 0% 25%
他のレアアース・スカンジウム・イットリウム
との混合物
25% 25%

中国政府は2010年の輸出許可枠を前年の4割削減としたが、2011年にも更に削減するとしている。

輸出許可枠
  2009 2010 削減率
上期  25千トン  22千トン  
下期 25千トン 8千トン 7割 
年間 50千トン 30千トン 4割 

中国の輸出制限を受け、レアアースの価格は急上昇した。
今回の中国の輸出税の引き上げにより、更に価格は上昇するとみられる。

 

今後、米国のMountain Passや豪州のMount Weldが稼働するが、Lynasでは、供給は増えるが需要も増え、環境コスト等も上昇するため、価格は40~60$の高値で推移するとみており、2000-2006年の時代の安値は二度とないとしている。

2010/11/25 双日、レアアースの供給・拡張プロジェクトで豪州Lynasと戦略的提携の基本合意

なお、中国商務省は12月15日、2011年のレアアースの輸出許可を与えた31社を発表したが、下記の日系を含む外資系も9社が輸出許可を与えられた。
   包頭三德電池材料  レアアース加工大手の三徳が出資
   包頭天驕清美稀土抛光粉 AGCセイミケミカル(旭硝子子会社)、三菱商事が出資

中国メディアは「日米欧が中国のレアアース輸出動向を注視するなかで、輸出許可が延長された」と報じている。

ーーー

米通商代表部(USTR)のカーク代表は12月15日、中国との閣僚級の対話で、ハイテク製品などに不可欠なレアアースの供給について協議したことを明らかにした。
米政府は同日、世界的な需要の拡大の一方で、調達先が中国などに限られており、「供給が混乱に陥る危険がある」と警告する報告書を発表、中国に連携を求める姿勢を強めている。

米エネルギー省は12月15日、レアアースを中心に、重要物質についての米国の戦略を提言する報告書を公表。
今後は、世界での調達先の多様化や代替物の開発、レアアースの再利用や効率的な活用を進めるべきだと提言した。日本や EUとの連携を強める必要性も訴えた。

 


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メキシコ湾の原油流出事故を巡り、米司法省は12月15日、BPと三井石油開発子会社MOEXなど計9社を相手取って、損害賠償請求訴訟をルイジアナ州ニューオーリンズの連邦地裁に起こした。

ホルダー司法長官は声明で、今回の訴訟は最終ではなく、米国の納税者の費用負担がないよう、刑事、民事の調査を引き続き行うとの考えを示した。

訴えられたのは以下の各社。
 権益保有者
  BP Exploration and Production Inc.
  Anadarko Exploration & Production LPAnadarko Petroleum Corporation
  MOEX Offshore 2007 LLC (三井石油開発子会社) .
 Deepwater Horizon rig
所有&掘削作業
  Triton Asset Leasing GMBH(Transocean 子会社)、Transocean Holdings LLC
  Transocean Offshore Deepwater Drilling Inc.Transocean Deepwater Inc.
 保険会社
  QBE Underwriting LtdLloyds Syndicate

理由としては、油田の安全確保に必要な準備を怠ったこと、油田の状況をチェックする技術を使用しなかったこと、油田を常時チェックしなかっとこと、安全確保のための設備や材料を保持、使用しなかったことを挙げている。

Oil Pollution Actに基づき、被告は政府の回収費用、経済的ロス、環境被害に責任があるとしている。

現在の油濁法の規定では、油濁事故を起こした石油会社の倒産を防ぐため、損害賠償の限度額が定められており、限度額は現在、7500万ドルとなっている。
しかし、BPはこの権利を放棄した。
  
2010/10/20 BP、メキシコ湾原油流出事故で油濁法の損害賠償限度額の権利放棄を言明

加えて、Clean Water Actに基づいて、ペナルティを求めるとしている。

同法では原油の流出量1バレルに対して、1,100ドルの罰金が決められている。
但し、重大な過失による場合は、罰金は4,300ドルとなる。

エネルギー省などの科学者チームは8月2日、今年4月20日以来の原油流出量を490万バレルと発表した。このうち、約80万バレルを回収したとしており、ネット流出量は410万バレルとなる。

付記

三井物産は12月20日、三井石油開発とその子会社を被告とする訴状が2010年12月15日付けでルイジアナ州東部地区連邦地方裁判所に提出されたと発表した。

米国連邦政府が提出した訴状における被告9社のうちの1社とされており、この訴状は、米国油濁法(Oil Pollution Act)に基づく除去費用、経済的な損害及び環境被害の補償、並びに水質浄化法(Clean Water Act)に基づく民事上の制裁金を求めている。
請求額は特定されていない。

このほか、本事故によって生じたと主張される損害の賠償を求める多くの民事訴訟が提起されている。
さまざまな事業、資産所有者及び個人に生じた損害、事故後の清掃作業において化学物質に曝されたこと及び同清掃作業に関連して資産について生じた損害の賠償を求める訴訟で、請求額は特定されていない。


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Occidental Petroleum 1210日、アルゼンチンの石油・ガス事業をSinopecに税引後で24.5億米ドルで売却する契約を締結したと発表した。

同社は同時に下記の資産の買収も発表した。

資産 売り手 買収額 内容
South Texas Shell 18億ドル 日量2億cubic feet
North Dakota private seller 14億ドル 石油換算日量5,500バレル
Plains All-American
(oil pipelines operator)
    13%追加買収で合計35%に
Elk Hills Power Plant Sempra Generation   50%買収で100%に

同社ではこれまでの北米での買収と合わせると、生産量はアルゼンチン資産売却分で失う分を上回るとしている。

Occidental200510月にラテンアメリカとカリフォルニアでの事業拡大のため、Vintage Petroleum35.2億ドルで買収した。
今回売却するアルゼンチンの権益はこれに含まれていたもの。

アルゼンチンのSanta CruzMendozaChubut 州に23箇所の権益を有している。
現在の生産量は原油換算で日量44千バレル。
(Sinopec発表では、2009年の生産量は原油換算 51千バレル以上、確認及び推定埋蔵量は同じく393百万バレルとなっている。)

アルゼンチン政府は石油・ガスの価格コントロールをしており、利益を得るのが難しくなっている。

アルゼンチンの経済政策の中心課題は、経済成長優先の低金利政策を取る中でのインフレ対策である。

消費者物価を抑えるために、エ ネルギー価格を低位安定させなければならない。
アルゼンチンは原油及び石油製品を自給できる状況にあるため、政府による価格統制で、エネルギーの国際価格の高騰にも関わらず、ガソ リン、電気料金を低位で安定させた。
当局者は「アルゼンチンの原油 生産コストは非常に低価であり、現在のような低価でも十分に利益を上げることができるはず」としている。

さらに、十分に国内需給が満たされているということが確認できないと原油輸出をすることができないとか、輸出に対して非常に重い税金が課せられるといった規制が講じられたままの状態にある。

海外メーカーにとっては、魅力のない市場ということになる。

カナダ紙の試算では、Sinopecの買値は原油換算バレル当たり19ドルとなる。

BP11月にアルゼンチンのPan American Energyの株式をCNOOC50%を保有するBridas Corporationに売却する契約を締結したが、これは8ドルとなっており、Occidentalは有利な条件で売却したとみている。

Sinopec によれば、本年上期時点で、同社の海外資産は全体の23%となっている。

Sinopecは10月にRepsol Brazilの71億ドルの増資の全額を引き受けている。

2010/10/9  SinopecRepsol Brazil71億ドル出資

 

 


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Bayerは12月9日、2016年までに中国でのハイグレード材料の生産能力を大増設すると発表した。

上海地区で10億ユーロの投資を行い、現在21億ユーロの中国地区(台湾・香港を含む)での売上高を2015年に50億ユーロとする。
このうち、
MaterialScience部門は現在の12億ユーロを最低25億ユーロとする。

ーーー

Bayerは2001年10月、朱鎔基首相、シュレーダー首相も参加して、上海ケミカルパークの新生産基地に関する基本契約に調印した。
同11月に浦東のバイエルの新しい高分子研究センターの開所式と合わせて着工した。

基本契約の中心は、3つのコア・プロジェクト(塗料、熱可塑性樹脂、ポリウレタン原料の生産)の認可で、
第1は自動車、建設、家具業界で使用される塗料・着色材の製造で、バイエル塗料システムズ(上海)が担当する。

2003年からポリイソシアネートのDesmodur® N 11,500トン、2004年末にDesmodur® L 11,000トンの生産を始めている。

第2はポリカーボネート「マクロロン」の製造で、Bayer (Shanghai) Polymer (バイエル90%/上海クロルアルカリ 10%)が担当する。

上海クロルアルカリは2009123日、JVから離脱すると発表した。
Bayer (Shanghai) Polymer は バイエル100%となる。

2006年9月、上海ケミカルパークでポリカーボネート工場の第一期 10万トン/年の開所式を行った。

2008年10月にPCの増設が完成、能力が20万トンになった。

第3はポリウレタン原料の大規模生産で、新設の100%子会社「バイエル・ポリウレタン(上海)社」が担当する。

2006年9月、上海ケミカルパークで粗MDIのスプリッター(モノマー/ポリマー分離)8万トン/年、及びHDI 3万トン/年のプラントの開所式を行った。

第3のコア・プロジェクトのポリウレタン原料の最初のプラントのMDIのスプリッターに次いで、200810月に世界最大の35万トン/年のMDI設備がスタートした。
2009年には
25万トン(当初計画は16万トンGas Phase Phosgenation法TDIも建設を開始、間もなく完成する。

2006/9/11 バイエル、上海のPC工場等が完成

ーーー

今回、次の5つの投資を行う。

1) ポリカーボネート
既存の10万トン(増設して現在20万トン)のプラントを30万トンに拡張、新たに20万トンのプラントを新設し、合計能力を50万トンにする。

中国の需要の拡大により、アジア太平洋地区のPCの需要は全世界の60%となっている。

   
2) MDI
既存の35万トンを50万トンに拡張、新たに50万トンプラントを新設、合計能力を100万トンとする。

断熱材用などでの硬質ポリウレタンフォームの需要増に対応する。

   
3) HDI
需要増に対応して先ず既存設備(3万トン)を増強、更に5万トンのプラントの建設を行う。
   
4) 上海と他の3都市に合計5箇所の需要家サポートセンターを建設する。これに110百万ユーロを投資する。
   
5) R&Dの拡張

中国が世界の主導的な役割を果たす、風力発電タービンや太陽エネルギー発電などの分野に注力する。

 

別途、MaterialScience部門ではポリカーボネートの本部機能を来年、上海に移す。
世界の
PCの市場におけるこの地域の重要性を勘案したもので、これにより、意思決定を早める。

 


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Siam Cement は12月8日、同社の持つPTT Chemicalの株式 20.02%のうち、15.6%を約11億米ドルで売却することを明らかにした。
売却資金を国内外の自社のコア事業の拡張と買収に充てる。
なお、残りの
4.42%は持ち続ける。

過去の経緯から出資をしているが、PTT Chemicalは実質、国有石油ガス会社のPTTの会社であり、Siam Cement はマイナリティ株主で経営に参加していないため、売却を決めた。

PTT Chemicalは2005年12月に、タイのオレフィンメーカー、National Petrochemical Corp. (NPC) Thai Olefins (TOC)が合併して誕生した。

NPCとTOCには国有石油ガス会社のPTTSiam Cement が、それぞれ出資していた。

当初、Siam Cement グループは石化誘導品だけでオレフィンは持っておらず、オレフィンメーカーの両社に出資した。
その後、最後発として
Rayong Olefins を設立し、オレフィンにも進出した。
このため、
Siam CementグループはPTT Chemicalの株主ではあるが、オレフィンから誘導品まで、PTT Chemicalと競合関係にある。

タイにはこのほか、IRPC Public Company (当初名 Thai Petrochemical Industry:TPI)がオレフィンを製造している

合併はPTTの方針によるもので、PTTが株式の50.03%を保有し、同社の連結子会社となった。
現在の
PTT出資比率は49.16%だが、第三位株主は2.81%のHMC Polymersであり、実質的にPTTの子会社である。

両社の出資関係は以下の通り。 

  NPC TOC 合併
 →
PTT Chemical
当初 現在
PTT  38%  49%    50.03%  49.16%
Siam Cement 35% 7%    21.79%  20.02%→売却15.6%
      保有
4.42%

PTT Chemical国有石油ガス会社PTTの石油化学部門として、自らエチレンやPEの設備を持つとともに、PTTの元子会社を傘下に持っている。

100%子会社
社名 製品 能力
 千トン
 
Bangkok Polyethylene HDPE    250  
PTT Polyethylene エチレン    1,000  
LDPE 300
LLDPE 400
Thai Styrenics PS       90 三菱化学のHMT Polystyrene
のプラント買収
TOC Glycol EO          85  
MEG 423
Thai Ethanolamines Ethanolamine  50  
Thai Oleochemicals Methyl ester      200  
Fatty alcohol 100
Glycerin 31
Thai Fatty Alcohol Fatty alcohol 100  
 
関連会社
  出資比率 JV相手 製品  能力
 千トン
 
Thai Ethoxylate 50% Cognis Fatty alcohol ethoxylate  50  
PTT Phenol 30% PTT 40%
Aromatics (Thailand) 30%
Phenol 200  
Aceton 124  
BPA 150 三菱化学技術
Vinythai 20% Solvay 49.99%
PTT Chemical 24.98%
Charoen Pokphand 11.87%
ソーダ 266  
VCM 400
PVC 280
Epichlorohydrin 100 菜種油→バイオディーゼルの
副生グリセリンを原料
HMC Polymers 0 PTT 40%
LyondellBasell
Bangkok Bank
PP 455 2006年にPTT本体が出資

Siam Cement も石油化学で傘下に下記の子会社やJVを持ち、多くの分野で競合している。  

  製品 能力
 千トン
 
子会社
   Rayong Olefins エチレン 800  
プロピレン 400
Thai Polyethylene LDPE  100  
LLDPE 120
HDPE 580
Thai Polypropylene PP 320  
ダウとのJV
  Siam Polyethylene LLDPE 300  
Siam Polystyrene PS 150  
Siam Styrene Monomer SM 320  
Siam Synthetic Latex      
Pacific Plastics (Thailand) Polyether Polyol 25 2007/11 ダウ100%
Synthetic Latex 20
三井化学とのJV
  Siam Mitsui PTA PTA 1,400 三井 49%、Siam 49%
Grand Siam Composites PPコンパウンド 84 三井 48.2%、Siam 46.2%
Thai PET Resin PET Resin 100 三井 40%、東レ 40%、Siam 20%
その他JV
  Thai MMA MMAモノマー 90
(+90)
三菱レイヨン50.01%
Siam 46%
ブチルメタクリレート 10
Thai MFC     日本カーバイド
海外JV(Indonesia)
  PT. TPC Indo Plastic & Chemicals
(
旧称 Siam Maspion Polymers)
    Siam TPC 100%
Thai Plastic & Chemicals 40% / Siam Cement 60%
  新第一塩ビが技術輸出
関係会社
  Thai Plastic & Chemicals VCM 545 Siam 44.24 %
PVC 540
Paste PVC 35

ダウ2008年6月、サイアムセメントとの合弁会社のSCG-Dow がタイで過酸化水素法PO工場の建設に着手したと発表した。生産能力は年産39万トンと世界規模。同時にプロピレングリコールも生産する。稼動開始は2011年の予定。
過酸化水素(HP)は、ダウとソルベイが設立する合弁会社が、隣接地に新工場を建設する。

  2008/6/16 Dow、タイで過酸化水素法PO工場建設

なお、ダウは2006年10月、タイでサイアムセメントとのナフサクラッカーJV計画を進めると発表した。
11億ドルを投じてRayongに新しいナフサクラッカーを建設するもので、能力はエチレン90万トン、プロピレン80万トン。
サイアムが
67%、ダウは33%出資する。2010年稼動を目指すとしていた。

しかし、その後、本件についての発表はない。

   2006/10/24 ダウ、アジア進出を促進

PTT Chemical Group と株主のSiam Cement のグループとの競合状況は以下の通り。

  エチレン

  エチレン プロピレン
TOC 915 360
NPC 461 127
PTT Chemical 1,376 487
512
PTT Polyethylene 1,000  
PTT Chemical Group 2,376 512
     
Rayong Olefins 800 400
Siam Cement Group 800 400

  合成樹脂  

  LDPE LLDPE HDPE/
LLDPE
HDPE PP PS
PTT Chemical (NPC       250
(+50)
   
BPE (Bangkok Polyethylene)        250
(+250)
   
PTT Polyethylene 300 400        
HMC Polymers         455  
Thai Styrenics           90
PTT Chemical Group  300  400   500
(+300)
455 90
             
Thai Polyethylene 100   120 580    
Siam Polyethylene   300        
Thai Polypropylene         320  
Siam Polystyrene            150
Siam Cement Group 100 300 120 580  320 150

参考  

   2006/6/8  タイの石油化学の現状
   2006/10/6  タイで年産100万トンエチレン建設


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豊田通商は12月8日、インド子会社のToyotsu Rare Earths Orissa (TREO)が、インド国営のIndian Rare Earths(IRE) と信越化学の協力のもとに、インド・オリッサ州でレアアース酸化物の製造工場を建設する計画を推進していることを明らかにした。

豊田通商は数年前より、産業技術総合研究所や石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と幅広く連携し、世界中のレアアース資源ポテンシャルについて調査を実施してきたが、そうした過程の中で、インド・オリッサ州に着目し、関係者各位と協議を進めてきた。

-

IREは、インド原子力庁傘下企業で、原子力発電推進のため、海岸の漂砂鉱床より採掘・選鉱されたモナザイト鉱石から燃料(ウラン・トリウム)を抽出している。
その抽出後に副産物として混合塩化希土も産出しており、今回のレアアース製造工場は、その混合塩化希土を原材料としてレアアースの酸化物を製造するもの。

IREは、ウラン、トリウムの抽出のほか、イルメナイト(チタン鉄鉱)、ルチル、ジルコン、シリマナイト(珪線石)、ガーネット及びレアアースのセリウム、ランタン、ネオジムを主成分とする燐酸塩鉱物のモナザイトの6つの天然石と、モナザイトから抽出したレアアースを販売している。

早ければ2011年初め頃より工場の着工を開始し、同年末に生産開始する。 
2012年より年間約3,000~4,000トンを確保できる見込み。

-

信越化学は、工場への技術支援および製品の引き取りを決定している。
また、信越化学、IRE、JOGMECは、TREOへの投資を検討している。 

本年10月25日には、日・印首脳会談が開催され、レアアースとレアメタルの開発や再利用に向け、日・印両国が協力することで一致し、共同声明が出されている。

「両首脳は、将来の産業にとってのレアアース及びレアメタルの重要性を認識し、レアアース及びレアメタルの開発、リサイクル及び再利用や代替品の研究及び開発における両国間の協力を追求することを決定した。」

なお、ウラン採掘後の残存物からのレアアース回収事業については、住友商事が中央アジアのカザフスタンで国営原子力会社と合弁企業を設立しており、東芝も同様の事業をカザフで計画している。

2010/10/5 レアアース、米・豪・カザフなど生産拡大 の最後

ーーー
.

豊田通商は2008年12月、レアアースの専門商社である和光物産の全株式を取得し、豊通レアアースに改称した。
また、金属資源部を新たに設置し、レアアースを含む希少金属の安定供給に本格的に取り組んでいる。

和光物産は1954年に、日本のレア・アース製品の市場を開拓し発展させるため、設立された。

同社は1956年にIndian Rare Earths(IRE) とレアアースの長期協定を締結、更に1961年にはIREのレア・アース製品の極東総代理店になっている。
-

豊田通商は、この和光物産を買収することで、インド産レアアースの商権・販売チャンネルを譲り受けた。
-

Toyotsu Rare Earths Orissaレアアース酸化物の製造販売のため2009年10月に設立された。

豊田通商は、ベトナムにおいても、採掘権を持つベトナム国営鉱物公社と、ハノイ市の西北に位置するドンパオ・レアアース鉱山開発に関するJV(日本側49%)を設立した。2011年より年間5千トンを生産する。

この鉱山は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が探査したもの。 

ーーー

住友商事は米国のMountain Pass鉱山の再開を準備中のMolycorp Minerals に投融資する。

来年2月に、Molycorpの普通株を100百万ドル購入、別途、30百万ドルを融資し、2017年まで希土類の供給を受ける長期契約を結ぶ。

Molycorp7月に114ドルで公募増資を行ったが、中国のレアアース輸出停止で株価は2倍以上となった。
今回のニュースで
3%アップし、31.7ドルになった。

Molycorp Mountain Pass鉱山の生産を年内にも一部再開し、2012年末までには新精製設備を完成させ、約2万トンを生産する。
住商からの資金はこのための投資に使用する。

Molycorp 住友商事に既存の設備から年に2,500トンのセリウムとランタン、250トンの酸化ジジミウム(ネオジムとプラセオジムの混合物)を供給し、新しい最新鋭の精製設備完成後は年3,000トンのセリウムとランタン、250トンの酸化ジジミウムを供給する。

同鉱山は1998年に排水問題で分離工程を停止、2002年に環境規制と中国品の低価格攻勢により採鉱を停止した。
その後は過去に採掘した鉱石の精製を行っている。

2008年にこの鉱山の再開のためMolycorp が設立され、Chevronから鉱山を買収、2009年から、過去に採掘した鉱石の精製を開始した。
"Mine-to-Magnets" 戦略を立て、永久磁石の製造にも乗り出している。   

2010/10/5 レアアース、米・豪・カザフなど生産拡大

住友商事は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)に資金援助を求める。

付記

Molycorpは12月13日、新設備建設のための最後の認可を取得したと発表した。カリフォルニア州魚類鳥獣部から河床変更協定の認可を得た。
投資額531百万ドルのレアアースの
mine-to-magnets
サプライチェーン建設の起工式は来年1月2日に行われ、2012年末にフル稼働の予定。

付記

日立金属は12月21日、Molycorpとの間で、ネオジム磁石用合金とネオジム磁石を生産する2つの合弁会社の設立に向けて検討を開始することに合意したと発表した。
この合弁会社の設立により、日立金属とMolycorpは、米国内における鉱山からマグネットまでのサプライチェーン(
"Mine-to-Magnets"
を構築し、HEV・EV、風力発電、産業用モーター向け磁石の拡大する需要に着実に対応することを目指す。
2010年12月に合弁会社設立に向けたフィージビリティスタディーを開始、2011年第1四半期に合弁会社の設立を合意する予定。


参考 2010/11/25 
双日、レアアースの供給・拡張プロジェクトで豪州Lynasと戦略的提携の基本合意


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法人税率の5%引き下げの2兆円の財源として石化原料用ナフサの免税措置の縮小・見直し案が取り上げられた。

2010/11/3 法人税率引き下げとナフサ課税

この案は消えた模様だが、財源が不足し、法人税率の5%引き下げが危うくなっている。
12月12日の閣僚協議でも、野田財務相は「財源がなければ下げ幅は5%未満にすべき」という考えを変えず、5%の引き下げを主張するほかの閣僚との間で意見が対立した。
   

付記   

菅直人首相は13日夜、焦点となっている法人税率の引き下げについて、国と地方をあわせた実効税率(40.69%)を5%幅引き下げるよう、野田務相や玄葉国家戦略相に指示した。企業の税負担を減らすことで首相が掲げる「経済成長と雇用拡大」につなげる。   

実効税率を5%幅引き下げると、税収は国と地方合わせて1兆5千億円程度減る。政府税調は、減収分を企業向けの減税措置の縮小などによる増税でできるだけ穴埋めしたい考えだが、「繰り越し欠損金」や減価償却制度の見直しなど、企業増税で捻出できる財源は6500億円にとどまり、企業にとっては、差し引きで「実質減税」となる。    

ーーー

経済評論家の池田信夫氏が12月10日のブログ「日本の法人税率は高いか」で、6月24日付の赤旗の記事を引用しているが、そのなかにナフサ免税に関し、以下のような、誤解を生じかねさせない記載がある。

法人税率の引き下げをめぐる論争が大詰めを迎えた。財務省は租税特別措置の削減を交換条件にしようとしているが、日本経団連は強く抵抗している。他方、赤旗は「日本の法人税率は高くない」と、次のような調査結果を示している。どれが正しいのだろうか?

正しいのは赤旗である。経常利益の上位100社というバイアスはあるが、日本の法人税がいかに歪んでいるかをよく示している。ニューズウィークでも書いたように、日本の大企業に対する実効税率は、租税特別措置(租特)を入れると必ずしも高くない。法人税収(国・地方)の9.7兆円に対して租特は5.9兆円もあり、国の歳入に占める法人税収の比率は5.5%で先進国では低いほうだ。

ソニーやパナソニックの税率が低いのは海外法人に利益を分散しているためだが、
住友化学が16.6%しか税金を払っていないのは、ナフサの租特が原因だ。これは3.7兆円も免税されており、税調でも1兆円ぐらい減らしてはという話が出たが、日本経団連が「石油製品が値上がりしてもいいのか」と反対して見送りになった。しかし環境税が議論になっているときに、こういう「負の炭素税」を残すのはおかしいのではないか。

同氏は追記やコメントで記事の補正をしている。

赤旗の集計は単純に法人税額を本社(単体)の税引き前利益で割ったも のと思われます。これでは海外法人の利益のように二重課税として控除すべき項目と、租特のような特例措置が混同されるので正確ではないが、日本の法人税に 抜け穴が多いという共産党の主張は正しい。

ナフサの租特は法人税ではないので、赤旗の記事は不正確だ。ただ共産党は、ソニーの海外法人の利益も住友化学のナフサの利益も「課税されるべき利益」として計算していると思われる。
日本の法人税率は、本則では高いので、引き下げが必要です。税率を下げて租特には手をつけるなという財界の主張は老人エゴで、租特を削減して税率を下げるのが本筋。
ナフサについては、共産党の集計は租特を「本来の負担」として計算しているので、こういう税率になっているのだと思います。これについては「原料費には課税すべきでない」とか「課税している国はない」というのが財界の主張ですが、これは揮発油税の暫定税率と同じで、むしろ炭素税として恒久的に課税すべきです。

今回の税制改正を単なる法人税率論争に終わらせず、抜け穴だらけでスパゲティ化している税制を簡素化する突破口にしてはどうでしょうか。

最後の結論は賛成だが、この補正でも問題点が残っている。

1)ナフサの利益

ナフサの減免分は石化会社の利益にはならず、需要家に還元され、最終的に国民全部が恩恵を受けている。

世界中で原料ナフサは課税されていないため、石化製品の国際価格は非課税ベースで形成されている。
このため、日本の石化製品の価格も、ナフサの課税がない水準で決まっており、ナフサ特措は会社の利益になっていない。

従って、本来、法人税の対象になるものではない。

記事ではナフサの特措は3.7兆円とあるが、日本のエチレンセンター全体の連結営業損益が最も儲かった2006年でも4,000億円を下回っている。

逆に、もし3.7兆円を課税されれば、日本のメーカーだけがそれを転嫁することはできず(もしやれば輸入品に置き換わる)、各社はほぼ確実に破たんする。

その意味では、法人税収(国・地方)の9.7兆円に対する租特も、5.9兆円ではなく、2.2兆円である。
(これには赤字の繰り越しや研究費の税額控除などが含まれ、今後の議論の対象となる)

2)配当の非課税

同氏は海外法人の配当を上げているが、国内子会社からの配当も同様である。

海外法人からの受取配当は2009年4月から非課税となった。
それまでは、海外の税率が低い場合、国内税率との差が課税された。

国内については、25%以上の子会社等の場合、配当が全額非課税となる。

いずれも子会社で税金を払っているため、二重課税を避けるもの。

赤旗は「海外進出を進めている多国籍企業には外国税額控除などの優遇措置があり、40%の税率は骨抜きにされています」とし、二重課税防止を「優遇措置」としている。

住友化学の税率が低いのは、このためである。

赤旗と同様、2003~09年度の同社の決算を分析すると以下のようになる。(単位:百万円)

税引前損益累計 (a)  250,105
受取配当累計 (b) 209,820
受取配当除外 損益累計 (c=a-b) 40,285
   
支払法人税等累計 (d) 41,417
表面税率 (d/a) 16.6%
実質税率 (d/c) 102.8%

表面税率は赤旗の言う通り16.6%であるが、受取配当を除くと100%を超える。

実際には海外子会社の配当は以前は一部課税されており、厳密な計算ではない。
また、税金計算では、租特の研究費の税額控除や赤字の繰り越しのほか、交際費・寄付金の課税など、いろいろの調整がある。

住友化学は自社の利益が非常に少なく(ナフサの利益がないことを示す)、子会社等からの配当が大きい。

同社自身の税金は41,417百万円となっているが、子会社の大日本住友製薬(2005年9月までは住友製薬)は同期間で88,254百万円の税金を払っている。(住友化学の持株比率は50.22%)

連結決算をみると、支払法人税等の累計は239,243百万円、表面税率は36.6%で、税引間損益から受取配当と持分法損益(税引き後の損益の持分が加算されている)を除いたものでみると44.2%となる。

このため、住友化学全体でみると、税金の支払額は多く、税率はむしろ高い。
表面税率が低いのは、決してナフサの利益のせいではない。


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スウェーデンに本拠を置くゴムコンパウンドメーカーのHEXPOL11月30日に同業のExcel Polymersの買収を完了したと発表した。
Lion Chemical Capitalから買収したもので、買収価格は現金で212.5百万ドル。

HEXPOLでは、この買収でゴムコンパウンドの世界リーダーとなるとともに、特にコスト面でシナジー効果が期待できるとしている。

ーーー

HEXPOLの事業は2つに分かれる。2009年の売上高では前者が77%、後者が23%となっている。
(1) HEXPOL Compounding
(2) HEXPOL Engineered Products
    プレート式熱交換器用ガスケット、フォークリフト用ポリウレタン車輪、ゴム押出製品

従業員は2200人で、中国、スリランカ、米国、スウェーデンに拠点を持つ。

ーーー

Excel PolymersLion Chemical Capital ACI Capital 2004年にPolyOneから北米のゴムコンパウンド事業を買収して改称した。

PolyOne2000年に塩ビ樹脂及び塩ビコンパウンドメーカーのGeon 1993年にGoodrichからスピンオフ)とコンパウンドメーカーのM.A. Hanna が合併して出来た会社。

同社は200310月に、将来のコア事業はグローバルな樹脂コンパウンドとマスターバッチ事業であるとし、これに入らないゴムコンパウンド等の事業を売却する方針を出した。

ーーー

Lion Chemical Capital2005年9月にDSM Copolymer Inc.SBR事業を買収し、Lion Copolymer, LLCと改称した。

Lion Chemical Capital は2006年にChemturaのEPDMとゴム薬事業とオゾン劣化防止剤事業を買収し、Lion Copolymerに統合した。

Lion Copolymer201010月、Acrylonitrile-styrene-butadiene terpolymer (NSBR)の導入を発表した。

これにより、Lion Chemical Capital は、SBREPDM、ゴム薬、ゴムコンパウンドを揃えることとなった。

 2006/11/14 合成ゴム会社 Lion Copolymer, LLC

但し、Lion Chemical Capital はゴム薬についてはLion Copolymerに統合せず、Excel Polymersのままとしていた。
今回の売却に当たり、同社では
Excel Polymersはコア事業ではないとしている。

ーーー

Excel Polymers 2006年に中国に三井物産とのゴムコンパウンド製造のJVを設立した。

社名は
EXLP Global (Foshan) Co., Ltd. で、Excel 61%、三井物産が 39% 出資する。広東省の順徳科学技術産業団地に年産 23千トンの天然ゴム、合成ゴムのコンパウンド工場を建設する。

2006/12/9 ニュースのその後

同社は2007年7月に英国のコンパウンド会社British Vitaから特殊ゴム加工のVita-Calenderを買収、同年秋にはChase Elastomer UKの特殊ゴム加工事業を買収している。

ーーー

HEXPOLExcel Polymers買収により、同社のゴムコンパウンド事業は以下の通り拡大する。

HEXPOL
Belgium 16千トン  
Sweden 16千トン  
Germany 35千トン  
China。   Qingdao 12千トン ガスケット、車輪も生産
Czech 32千トン  
Mexico 18千トン  
USA   North Carolina 16千トン  
Ohio  40千トン GoldKey Processing
(2007
年買収)
Canada ー  2009年夏閉鎖
合計 185千トン  
 
Excel Polymers
USA Burton, OH  
Dyersburg, TN  
Jonesborough, TN  
Kennedale, TX Chase Elastomer
Santa Fe Springs, CA  
Mexico Queretaro, Mexico EXLP Global (Mexico), S.A. de C.V
England  Cheshire, England EXLP Global (UK), Ltd
(含むVita-CalenderChase Elastomer UK事業)
China Foshan, Guangdong EXLP Global (Foshan) Co. Ltd
(三井物産が 39%

 


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オリンパスは12月7日、米国に新会社Olympus Biotechを設立し、Stryker Biotechが保有する骨形成タンパク質「Osteogenic Protein-1OP-1」に関わる開発・製造・販売のうち骨領域に関わる資産を購入すると発表した。

オリンパスは従来より、下記の通り、様々な再生医療の研究開発やビジネスに取り組んでいるが、今回の新会社の設立および「OP-1」の資産購入は、これを、より本格的に、グローバルに展開するもの。

Stryker Biotechは、骨形成タンパク質(BMP)の一つの骨形成因子「OP-1」を開発し、グローバルに事業を展開している。
FDAよりHumanitarian Device Exemptions (HDE) を取得し、長間骨骨折用ならびに腰椎固定用に「OP-1」が使用されている。また、欧州、豪州やカナダでも、販売承認を得て販売を行っている。

OP-1」は、「骨伝導能」(骨内に埋入し骨が結合して一体となる機能:人工骨にもある)と、人工骨には備わっておらず自家骨と同様の「骨誘導能」(骨がない筋肉内などに埋入したとき、骨が形成される機能)とを備えており、整形外科分野における骨補填材市場を大きく成長させていくと期待されている。

今回、設立するOlympus Biotechでは、Stryker Biotechの骨領域の「OP-1」関連の資産を取得し、オリンパスグループが既に所有する生体材料や再生医療関連技術との組み合わせによる最適化を行い、「OP-1」関連製品の販売拡大と適用拡大を目指す。

さらに、科研製薬との提携による欧米におけるbFGF(塩基性線維芽細胞成長因子)の創傷治癒ビジネスや、既に生体材料ビジネスを展開するオリンパステルモバイオマテリアル社とのシナジーを追求しながら、更なる整形外科および再生医療の発展に貢献していくとしている。

ーーー

Stryker Biotech1936年にミシガン州の整形外科医Dr. Homer Strykerが、医療器具が患者のニーズに合っていないと考え、体の向きが変えられるようにベッドを回転させ"Turning Frame"を考案、1941年に会社を設立した。

2009年の売上高は67.23億ドルで、世界の12大医療技術会社の1つになった。
成形外科分野(
人工膝関節、人工股関節、人工肩関節など)が56億ドルで83%を占める。

日本には日本ストライカーがある。

ーーー

オリンパスの事業は多岐にわたる。

オリンパスは1999年から生体に吸収されながら自らの骨に置換する独自の特性を持つβTCPを材料とした「骨補填材オスフェリオン」を販売したが、2002年11月に培養骨・多検体自動細胞培養装置の販売を行い、骨の再生医療事業に参入した。

2004年にこれら生体材料事業、再生医療事業および関連製品の研究開発、製造、販売に特化した100%子会社「オリンパスバイオマテリアルを設立した。

同社は2005年に住友大阪セメントが製造し、住友製薬が販売する骨補填材の事業部門を譲り受けた。

オリンパスとテルモは2007年に、生体材料と再生医療を事業とするオリンパスバイオマテリアルにテルモのコラーゲン事業を統合し、生体材料事業を展開することで合意し、オリンパスバイオマテリアルにテルモが33.4%出資し、オリンパステルモ バイオマテリアルに改称した。
現在、
骨補填材「オスフェリオン」や「ボーンセラム」、人工皮膚「テルダーミス真皮欠損用グラフト」などを整形外科市場に提供している。

オリンパスと科研製薬は2009年11月、線維芽細胞成長因子「bFGF」(細胞の増殖や分化の調節を行っている蛋白質の一種)について、創傷治癒分野の欧米での開発・製造・販売権に関するライセンス契約を締結した。

科研製薬は遺伝子組み換え技術で製造したbFGFを用いて、再生医療医薬品の研究開発を進めており、2001年に世界初のヒトbFGF製剤「フィブラストスプレー」を発売、歯科領域ではサンスターにこの権利を導出している。
オリンパスは、科研製薬のデータや技術を活用し創傷治癒分野で製品化を目指す。

オリンパスは2005年12月に米国でCytori Therapeuticsとの50/50JVのOlympus-Cytori, Inc.を設立、再生医療向けの新装置である脂肪由来細胞群分離装置の開発に着手した。

オリンパスが培ってきた医療機器開発・製造技術と、Cytoriが持つ“脂肪組織から細胞を抽出する技術”を融合させ、次世代の脂肪由来細胞群分離装置の早期開発・製造、及び適用領域におけるアプリケーションの確立を含めた“脂肪由来細胞群を用いた再生医療のビジネス化”を加速することを目的としている。

オリンパスは2006年8月、Cytori から約1,100万ドル相当の株式を追加取得した。
Cytori 本体への投資を拡大することにより、JVの役割である次世代の脂肪由来細胞群分離装置の早期開発・製造にとどまらず、オリンパスが上記装置を販売することも視野に入れた“脂肪由来細胞群を用いた再生医療のビジネス化”を加速する。

なお、アステラス製薬は12月8日、Cytori Therapeuticsとの間で体性幹細胞の難病治療への応用可能性を評価するために、戦略的株式投資契約を締結したと発表した。
アステラス製薬は、新たに発行されるCytori の普通株式約143万株を現金10百万ドルで取得、同社技術を肝臓疾患の治療目的に使用するための全世界を対象とした研究・開発・商業化に関する提携に対する第一契約権(期間:2年)などを取得する。
両社は最先端の再生医薬領域で提携する可能性を今後探っていく。

       
参考    2010/2/22  富士フイルム 医薬品開発・販売に本格参入
     2010/9/3  富士フイルム、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングと資本提携
     

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Rio Tinto12月3日、中国アルミ業公司(Chinalco)との間で中国で鉱物探査を行うための合弁会社を設立する覚書を締結した。

来年上期に事業を開始する。先ず、3~5箇所の大規模地域で探査を行い、その後、探査地域を増やす。
Chinalco51%Rio Tinto49%を出資する。

ーーー

Chinalco と米国のAlcoa は20082月、英国Rio Tintoの株式の12%を141億ドルで取得した。
Rio Tinto 全体への出資比率は9%となる。

2008/2/8 中国アルミとアルコア、Rio Tinto に出資

2008年8月豪州の財務相は中国アルミがRio Tinto の英国本社の株を14.99%(全体の11%)まで買収することを承認している。

Rio Tinto 2009年2月、Chinalcoから現金で195億ドルの出資を受けると発表した。
Rio 2007年のアルキャン買収に伴い抱えた389億ドルの負債を軽減することを狙った。

2009/2/13 中国アルミがRio Tintoに出資、鉱山利権を取得

しかし、Rio Tinto は6月5日、中国アルミの出資取り止めを発表した。

中国勢の豪州進出が相次ぎ、これに不安を感じる反対派と中国との関係強化を図る賛成派が互いを攻撃し、政治問題化した。

資金市場の変動や、Rio Tinto の株主や利害関係者の意見などを背景に、Rio Tinto Chinalco は契約の変更の交渉を行った。

かなりの進展を見たが、最終的に契約変更に至らず、この結果、Rio Tinto 取締役会は株主に対する本契約の推奨を取り消し、契約を解消することとした。

これに対し、中国側は猛反発した。

2009/6/6  中国アルミのRio Tinto への出資 取り止め

7月5日にRio Tinto の上海事務所の社員4名が上海の国家安全局に拘束され、本年3月に重刑に処された。

2010/3/31 中国、Rio Tinto 社員に重刑 

出資問題で両社の関係は悪化したかとみられたが、その後も協力関係は続いている。

Rio Tinto は200910月、モンゴル政府との間でモンゴル南部のOyu Tolgoi 銅・金鉱山開発のための投資契約を締結したが、Rioはこの計画をすすめるため、Chinalco と交渉を行っていると伝えられた。〔未定〕

2009/11/28 Rio Tinto、モンゴルの鉱山開発で中国アルミと提携か?

Rio TintoChinalcoは本年7月、ギニアの Simandou鉄鉱石開発でJVを設立する契約を締結した。

2010/3/26 Rio Tinto Chinalco、ギニアの鉄鉱石開発でJV 

ーーー

Rio Tinto は同じ123日、中国中鋼集団(Sinosteel) との間の西豪州Pilbara地区のChannar鉱山JVを延長し、生産する鉄鉱石を50百万トン追加すると発表した。

Channar鉱山JVRio Tintoの完全子会社Hamersley Ironが60%、Sinosteelが40%出資するJV

Channar鉱山は西オーストラリア州のPilbara地域の都市Tom Priceの南、Paraburdoo鉄鉱山の近隣にある。
鉄鉱石は近隣の
Paraburdoo鉱山の処理施設へ運ばれる。

当初のJV契約は1987年に締結された。中国による豪州の鉱業への最初の大投資で、両国政府の強い支持を受けた。

JVの期間中に200百万トンのハイグレードの鉄鉱石を産出するもの。
199011日に生産を開始、初年度に350万トンを産出、1998年に目標の10百万トンに達した。2005年までに131百万トンを産出している。

Rioが運営を担当し、産出した全量はSinosteel を通して中国市場で販売される。

現在の年10百万トンのペースでは2012年の第1四半期に当初の契約の200百万トンに到達する。

今回、JVの延長により、Sinosteel は更に50百万トンを引き取ることとなる。

今回の契約に合わせ、両社は戦略的協力枠組み契約を締結した。
Channar鉱山及びその周辺で、新たな鉄鉱山での協力又は共同開発を目指す。

ーーー

別途、Rio Tintoは、中国のダイヤモンドの卸売業者の周大福(Chow Tai Fook)との間で戦略的パートナー契約を締結した。
中国で既存のブライダル市場とは別に、ファッション宝石市場を開発する。

Rioはダイヤモンドの大メーカーで、周大福は中国のダイヤモンドのデザイン、製造、販売で力を持っている。

Rioでは、中国のミドルクラスの急拡大とファッションで他人と差を付けようとする行動が需要拡大を進めると見ている。


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インドの司法長官はBhopal事故(1984123日発生)の記念日に当たる123日、Dow Chemicalに犠牲者に対する10億ドル以上の支払いをさせるよう求めて、インド最高裁に対して申立を行った。

被害者とその支援者は長年にわたり追加補償と責任者の厳罰を求めて運動を続けてきた。

インド政府は6月のUCCの元役員(インド人)に対する甘い判決への国民の(ひき逃げと同じかとの)怒りに対応して、閣僚委員会を設置した。

インド政府は624日遅くに、1984年のBhopal事件に関して、Manmohan Singh首相が指名した閣僚委員会が出した方針案を承認した。
犠牲者への賠償を追加し、
Dow Chemical の責任を追及し、Union Carbideの当時の会長のWarren Andersonの引渡を米国に求めるもの。

2010/6/30 インド政府、ボパール事件で新方針

申立では死亡者と負傷者の人数を修正し、当時の補償の元になった計算が完全に間違っていることが分かったとし、追加の12.7億ドルの支払いを求めた。

当時、政府は事故の3日以内の死亡者を3,500人としたが、今回、5,295人に修正した。
(国営の Indian Council of Medical Research
は3日以内の死亡者を8,000~10,000とし、1994年までに25,000人が事故の影響で死んだとみている。)

しかし、運動家は申立はシンボリックなもので、実際にダウに請求する手段はないとしている。

今も障害をもって生まれる子供がおり、被害者の治療のために直ちに、もっと多くの金が必要だとし、今回の措置はうわべだけのもので、政府として、誠実なやり方ではないと批判している

UCCを買収したDow Chemicalは責任を否定、UCC1989年にインド政府との間で470百万ドルの支払いで決着した10年も後に買収したとしている。

事故を起こしたUnion Carbide India Limited (UCIL)Union Carbide50.9%、インドの24,000人の株主が残り49.1%を保有していた。

UCCは保険金額の350百万ドルの支払いを提案、インド政府は33億ドルを要求したが、1989年に保険金額+金利の470百万ドルの支払いで決着した。

インド最高裁は1994年にUCC50.9%の持株売却を承認、製茶業の Williamson Magor GroupMcLeod Russel (India) Ltdが買収し、社名をEveready Industries India に改称した。

事故当時、UCILは従業員10,000人で、5部門に分かれ、殺虫剤のほか、バッテリー、カーボン製品、溶接設備、プラスチック、工業薬品などを製造していた。

Eveready Industries Indiaとなった時の主たる製品は乾電池であったが、その後、袋入りの紅茶(3つのブランド)を売り出した。

LAVAブランドで、乾電池と懐中電灯を中近東、北アフリカ、西アジア、メキシコ、米国などで販売している。

ーーー

2001年にDowUCCを買収した。

今回の要求の内訳は以下の通り。

1989年の損害賠償の見直し Rs. 5,786 crore 当時の金でRs. 675.96 croreを追加
主に当時の計算での死亡者、負傷者の人数を見直し
それを、その後のルピー切り下げ、金利、物価等を勘案
Relief and Rehabilitation Rs. 1743 crore インド政府支払い分
'the polluter pays' principleによる。
環境悪化対策 Rs. 316 crore インド政府推定
合計 Rs. 7,845 crore croreは千万。1Rs0.02218$
ドル換算 1,740百万ドル  
既支払額 470百万ドル  
差引き 1,270百万ドル

なお、異なるインフレ指数などにより、請求額は666百万ドルから13億ドルまで、いくつかがある。

この申立は最高裁の3人の上級裁判官が審議し、レビューするかどうかを決定する。 

参考  2008/6/25 Bhopal 事件のその後
2009/6/23 米議員、ダウにBhopal 事件被害者の救済を要請
2010/6/9 Bhopal 事件でインド人元役員等8人に有罪判決
2010/6/30 インド政府、ボパール事件で新方針

付記

Dowは12月8日、次のような抗議の声明を発表した。

DowはUCCとUnion Carbide Indiaの行為に対し責任がなく、今回のインド政府のやり方は間違っている。
これは、法に遵い、ビジネスにオープンというインドのイメージを損なうものだ。

もし、インドがビジネスにオープンであると見られたいなら、国の法的な約束を無効には出来ない。
インド政府は、自らがUCCと交渉し、結んだ契約、何度も検討し、最高裁の承認を得た最終解決策の契約を無効にしようとしている。


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中国政府は12月1日、これまで中国企業だけに課してきた「都市維持建設税」と「教育費付加制度」を外国企業からも徴収する措置を施行した。
外資に対する優遇策を縮小する政策の一環で、今回の措置で国内企業と外国企業に対する税制上の取り扱いは対等となる。

国務院は10月21日、「国内外資企業および個人の都市維持建設税および教育費付加制度統一に関する通知」(国発〔2010〕35号) でこれを通知した。

都市維持建設税は、都市のインフラ整備に充てる資金を確保するためのもので、教育費付加制度は、教育振興の資金を集めるためのもの。これまで外国企業は免除されていた。

企業の支払う(増値税+消費税+営業税)の合計額に下記の税率をかけた金額を納めることになる。

都市維持建設税  教育費付加
市区  7% 3%
県城・鎮 5%
その他 1%

北京にある大手日系企業は「1割強の課税強化となり、年間約100万元(約1250万円)の増税になる」と説明。日本円換算で年1億円を超える新たな税負担を求められる企業もあるとの見方もでている。

---

中国政府はこれまで、外資系企業から資金と技術を得るために税制面も優遇してきたが、2008年に外資系企業の法人税率を国内企業並みに引き上げるなど徐々に外資優遇税制を撤廃してきた。

2008年1月外資系と中国企業の法人税率を段階的に同じにする「企業所得税法」施行
   2008/1/4 
中国、新企業所得税法施行
労働者の権利を強化する「労働契約法」施行
   
2007/7/3 中国、労働契約法を可決
 8月外資系企業による中国企業買収の規制を強化する「独占禁止法」施行
   
2008/8/4 中国、独占禁止法施行
2009年11月政府調達で自国製品を優遇する「国家自主開発製品認定制度」の導入を通知
   2009/6/29 
中国の現状 最後の部分
2010年12月外資系企業には免除していた都市維持建設税と教育費付加制度を内外無差別化

今回の措置で国内外企業の税制上の扱いは同等となる。
新華社は「外資が“超国民待遇”を受ける時代は終わった」と強調した。

消費市場の巨大化や生産拠点の集積を背景に「優遇策を取り除いても外資は逃げないという自信の表れ」(国際金融筋)でもある。

ーーー

「都市維持建設税」と「教育費付加制度」はいずれも、企業の支払う(増値税+消費税+営業税)に対して課せられる。

 増値税(原則17%)

増値税の納付額は、日本の消費税と同様、売上税額から仕入税額(専用インボイス記載額)を控除した差額。
但し、日本と異なり、固定資産の仕入税額控除は認められない。

輸出品については課税されない。
これの仕入れ税額は全額ではなく、輸出価格に還付税率を乗じたものが還付される。
輸出還付税率は、中国政府の産業政策や貿易摩擦対策、国内の需給動向等を勘案して、輸出管理政策のツールとして、毎年変更されている。
仕入れ税額との差額は輸出業者の負担となる。

  2006/9/26  中国、輸出増値税リベート変更
  
2007/6/28 中国、輸出抑制のため輸出増値税還付率を引き下げ その他  

 消費税

嗜好品と呼ばれる特定の物品の生産に課される。

 ・過度な消費をすると健康・社会、環境に悪い影響を与えると考えられている商品
   (煙草、酒、爆竹、花火等)
 ・贅沢品、非生活必需用品(化粧品、アクセサリー等)
 ・大量エネルギーを消耗する商品、高級商品(乗用車、バイク等)
 ・再生できない石油類商品(ガソリン、軽油等)
 ・財政的に意義のある物(タイヤ、リンス等)

 営業税 

中国国内においてなされる労務役務の提供、無形資産取引、不動産取引、建設等を対象とした流通税のひとつ。
増値税の対象となる加工、修理補修、組立労務の提供は除く。

増値税の課税対象は主として(有形)商品で、営業税の課税対象は主として労務・サービス。
増値税は「売上」と「仕入」の「差額」に対して課税となるが、営業税は「売上」に対して課税される。

税率
 運送業、建築業 3%
 金融保険業、サービス業、不動産販売等 5%
 娯楽業(クラブ、バー、ゴルフ等) 20%

 


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原油価格上昇

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原油価格が上昇している。

12月2日のNY原油先物は前日比1.25ドル高の88.00ドル/バレルとなり、2008年10月上旬以来の高値となった。
3日は更に上昇、終値は89.19ドルとなった。年初来の平均は78.8ドル。

米欧の株価が急反発したことに追随した。(グラフのように、最近は原油価格と株価が連動している。)
また、為替市場でドル安が進んだため、ドル建て資産である原油に投機資金が流入した。

これに合わせて、日本の原油価格、ナフサ価格も上昇した。
12月3日にはドバイ原油は87.50ドル/バレル、ナフサは850ドル/トンと、いずれも2008年の価格急落以来の最高値を記録した。

最近の輸入ナフサ価格は以下の通りとなっている。

7月  42,352 円/kl  
8月 39,972    
9月 39,715    
平均 40,705    第3四半期 国産ナフサ基準価格 @42,700
10 40,685    

11月、12月の輸入価格は更に上昇する。

 


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韓米自由貿易協定(FTA)追加交渉が123日妥結した。

両国政府は今後、合意事項を条文化し、各国で批准手続きを踏むことになる。 

 付記
米上下両院は2011年10月12日、韓国及び、コロンビア、パナマとのFTAの実施法案を賛成多数で可決した。
オバマ大統領の署名で法案が成立し、米側の批准手続きが完了する。

韓国側の批准を待ち、来年1月に発効する見通し。

韓国とEUの自由貿易協定(FTA)は2011年7月1日に発効している。

ーーー

米国と韓国の自由貿易協定(FTA)締結交渉は2007年4月2日妥結した。

2007/4/4 米韓FTA妥結 

しかし、米国内で反対が強く、この協定は批准されていない。

ところが、本年7月の韓国・EUのFTA妥結(10月6日調印)を受け、米国でもムードが変わってきた。
オバマ米大統領は、「11月のソウルG20首脳会議までに韓国と実務協議を行い、履行法律案を議会に提出したい」と述べた。

このため、争点を話し合うための通産相会議が11月8日からソウルの外交通商部で行われたが、自動車と牛肉問題で合意に達せず、決裂した。

2010/11/12 米韓FTA協議、決裂

李大統領は「時間が必要だ」と述べ、交渉は決裂していないと強調。オバマ大統領も「担当者に数週間以内の妥結を指示した」と早期の最終決着を目指す意向を表明していた。

今回の合意を受け、両国政府は来年初めにも議会での批准手続きを開始する見通し。
米国側は争点となっていた自動車分野の規定の見直しで、反対していた米フォード・モーターや米民主・共和両党議員らの支持を取り付けたため
今回は承認されるものと見られている。

但し、米国産牛肉の輸入範囲を「生後30ヶ月以上」にも拡大する件は今回の合意から外されたため、ボーカス米上院財政委員長(民主、モンタナ州)は、「韓国が米国産牛肉の輸入に大きな障害を築いている問題に対処していないことに深く失望した」との声明を発表し、不満を示した。

 

韓国とEUは106、自由貿易協定(FTA)の締結で正式署名しており、2011年7月1日に発効する見通し。

韓国は更に、チリ、シンガポール、欧州自由貿易連合(EFTA=スイス、ノルウェー、リヒテンシュタイン、アイスランド)、ASEAN10ヵ国、インドの国と地域との間でFTAを締結しており、欧州―東アジア―米国をつなぐ「東アジアのFTAハブ」として、浮上する基盤を整えた。

李明博大統領は12月4日朝、国民向けの声明文で、「韓国は米国、EU、ASEAN・インドという世界の3大貿易圏とFTAを締結した世界唯一の国になる」と述べた。

今後、日本企業は欧米への輸出で韓国企業と比べ大きなハンディを負うこととなる。

ーーー

両国は
・米国の韓国産自動車関税撤廃期間の延長
・自動車セーフガード
・自動車部品関税払い戻し上限制の導入
・韓国の米国産自動車安全基準自己認証の拡大--などをめぐり、かけ引きが行ってきた。

今回、米国は牛肉問題はFTAと別の問題とする韓国の主張を受け入れた。

その代わり、韓国は自動車で大きな妥協を行った。
米国での韓国製自動車の関税撤廃ペースを遅らせ、非関税障壁とされた安全基準、燃費基準でも妥協した。

付記
韓国内の反発に対応して、韓国政府は12月5日に交渉結果を発表し、韓国側が得た成果を強調した。
米産豚肉(「冷凍その他」)に対する関税撤廃開始時期を2014年から2016年に2年間先延ばし。
・医薬品の許可・特許連係義務の履行を3年間猶予
・米国内支社に派遣された韓国企業社員に対するビザ(L-1)の有効期限を延長

主な争点と結果は以下の通り。

・自動車関税:

米国の関税(韓国製自動車)
  当初 改正
乗用車
 現行関税率 2.5%
3000cc以下(全体の90%) 直ちに撤廃 5年目まで2.5%の現行関税を維持
その後、 関税を撤廃
3000cc超 3年で関税撤廃
ピックアップトラック
 現行関税率 25%
直ちに引き下げ開始、
10年で関税撤廃
8年目まで維持し、
10年目までに段階的に廃止。
電気自動車、ハイブリッド
 現行関税率 8%
10年目に撤廃 直ちに4%に引き下げ
5年目までに段階的に廃止。
 
韓国の関税(米国製自動車)
  当初 改正
乗用車
 現行関税率 8%
即時撤廃 直ちに4%とし、5年目に全廃
ピックアップトラック
 現行関税率 10%
即時撤廃 即時撤廃
電気自動車、ハイブリッド 10年目に撤廃 5年目までに段階的に廃止

電気自動車、ハイブリッドカーの関税撤廃期間短縮は、オバマ大統領の米国のグリーン技術推進のゴール達成のため。

韓国の米国製自動車の非関税障壁

  当初 改正
米国メーカーが自主的に自動車の安全性を
認証する制度の適用範囲
年間6500台未満 25千台と当初の4倍近く
(米の当初要求は1万台未満)
2015年までに自動車の平均燃費目標
(1リットル当たり17km)の例外
年間販売台数1000台未満 2007年合意の基準より119%改善された場合、基準達成とみなす。
自動車関連の新しい規定導入   適応することができるように12ヶ月の猶予期間を置く

ーーー

施行されれば、5年以内に工業製品や消費財の95%以上の関税を撤廃することとなる。

オバマ大統領は、米国の輸出額は110億ドル増え、米国内で7万人以上の雇用増につながるとの見通しを示した。
「画期的な合意。5年間で米国の輸出を倍増させる政府目標への大きな一歩だ。米国と韓国の同盟を深化させ、米国のアジア・太平洋地域でのリーダーシップを強化する」と指摘した。

李明博大統領は12月4日、米韓FTAの閣僚級の再交渉による合意内容を承認し、「輸出が大きく伸び、経済は再び飛躍する機会を迎える。米韓FTAは両国に非常に大きな経済的利益をもたらす」と述べた。


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中国財務部は11月30日、来年春のシーズンの国内の肥料供給を確保するため、12月から肥料の輸出に110%の輸出税を課することを発表した。

新しい輸出税は一時的な増税の35%と特別関税75%からなる。

これまでは 7%(但し価格が 1トン2,300元を超える部分については100%)の輸出関税が課せられることになっていた。
これを110%とする。

今回の新しい関税の対象は、尿素、リン酸水素2アンモニウムとリン酸アンモニウム及びその混合物。

財政部は、今回の関税引き上げは、肥料輸出を抑制し、国内の肥料供給を確実にし、国内の農産品の急激な価格上昇を調整するためとしている。

ーーー

中国では消費者物価指数が上昇しているが、特に食品、農産品の値上がりが大きい。

このため、中国国務院は11月19日、高騰する物価の抑制に向け、農産物の増産や流通コストの低減など16項目からなる緊急対策を発表した。

2010/11/19 中国の消費者物価指数アップ

今回の肥料の輸出税は、農産物の増産のため、国内向け肥料を確保するもの。

中国では今秋から省エネルギー目標を達成するために電力を大量消費する企業向けの電力供給を制限している。
これまでは生産量減少による価格上昇を容認していたが、農作物の値上げを無視できないため、肥料会社などへの電力供給制限の解除に踏み切った。また、製糖会社への電力制限も解除する。

化学肥料の尿素の10~11月の国内生産量は前年同期比で約2割減り、価格が約3割上昇した。
農作物の総費用に占める肥料の比率は2割を占めるため、肥料会社への供給制限を中止する。

ーーー

肥料の3要素のうち、窒素を除くリン酸とカリウムは産地が偏在しており、上位3国のシェアが6割近い。

2009年の生産量、埋蔵量は以下の通り。(U.S. Geological Survey) 

リン鉱石   カリ
  生産量(千t) 埋蔵量(百万t)
中国 55,000  35% 3,700  23%
USA 27,200 17% 1,100 7%
モロッコ・西サハラ 24,000 15% 5,700 53%
ロシア 9,000   200  
チュニジア 7,000   100  
ブラジル 6,000   260  
ヨルダン 6,000   1,500  
その他 23,800   3,440  
合計 158,000   16,000  
  
  生産量(千t) 埋蔵量(百万t)
カナダ 6,500  26% 4,400 52%
ベラルーシ 3,850 15% 750 9%
ロシア 3,600 14% 1,800 21%
中国 2,750   200  
ドイツ 2,300   710  
イスラエル 2,000   40  
その他 4,000   600  
合計  25,000    8,500  

リン鉱石の経済埋蔵量の過半がモロッコに集中。
塩化カリの経済埋蔵量の過半がカナダに集中。

米国はすでに1990年代後半からリン鉱石の輸出を徐々に止め始めたとされ、資源の囲い込みを図る動きが見える。

ーーー

BHP Billiton8月18日にカナダのPotash Corporation of Saskatchewan Inc. に対し、1株130ドルでの全株のTOBを行うと発表した。

China Daily は、カリは中国にとって重要であるため、Sinochem子会社で、PotashCorp 22%を出資する中国の肥料輸入販売会社SinofertBHPに対抗してPotashCorpの買収を図る可能性があると報じた。

最終的にはSinochemは対抗TOBを諦め、カナダ政府がBHPによる買収を拒否したため、BHP1115日、敵対的TOB提案の取り下げを発表した。

2010/8/23 BHP Billiton、カナダのPotashCorpに敵対的TOB

ーーー

我が国は、肥料原料のほとんどを海外に依存しているが、輸入国は限られている。

我が国の肥料原料及び肥料の輸入先を国別に見ると、
 尿素は中国(51%)、マレーシア(39%)及びカタール(10%)、
 りん鉱石は中国(38%)、ヨルダン(21%)、モロッコ(18%)及び南アフリカ(17%)、
 塩化加里はカナダ(71%)及びロシア(16%)で大宗を占める。〔2008/7 農林水産省生産局〕

肥料原料の価格は最近上昇している。〔同上〕
中国の輸出税が110%になると、中国からの輸出は止まり、他のソースに集中するため、価格は更に上がる。

各国が戦略物品として囲い込みを始めた場合、価格の問題にとどまらず、レアアースの場合のようになる可能性も出てきた。


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アラブ首長国連邦のアブダビから原油を直接インド洋に輸送すAbu Dhabi Crude Oil Pipelineが完成した。

12月に試運転を開始、世界の原油輸出の1/5が毎日通過するHormuz Straitをバイパスして原油を輸送する。

アブダビ政府系ファンドのInternational Petroleum Investment Company IPIC)が2008年から建設を進めてきたもので、アブダビ南西のHabshanAbu Dhabiの陸上原油の半分以上を集める拠点)からUAE東部のFujairah港まで370kmを結び、UAEの原油生産量の約7割に相当する日量150万バレルのMurban 原油を輸送する。
48
インチのパイプライン、Fujairahのメインターミナル、海上の積込設備、その他からなる。
IPIC
ではFujairahでの製油所も検討している。

パイプラインはオアシス都市
Al Ainの西を通る370kmで、 カタールからUAEに天然ガス輸送するDolphin海底パイプラインの長さを超える。
投資額は
120億ディルハム(32.7億ドル)。

パイプラインの建設では、ILF Consulting Engineers がプロジェクトマネジャーとなり、コントラクターに中国石油工程建設公司(China Petroleum Engineering and Construction Corp.)が選ばれた。

パイプ(合計225千トン)は住友商事、ドイツのSalzgitter Mannesmann International 、インドのJindal Group 3社に分割発注された。

ーーー

サウジ原油の一部はペルシャ湾以外から出荷されるが、UAEやオマーン以外の湾岸諸国の原油は全て、ホルムズ湾を通って輸出されている。
ホルムズ海峡は最も狭い場所で幅33キロで、日本向けだけで年間1千隻以上のタンカーが通過する。

イランは、核疑惑で米国から攻撃された場合、ホルムズ湾を封鎖すると何度も言明している。

UAEや他の湾岸諸国は、原油輸出の通過を確保するため、ホルムズ湾をバイパスすることを検討してきた。.

 


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BASFIneos1130日、両社のスチレン、PSABSSBC、その他スチレン系コポリマーとそのブレンドの事業を新しい50/50 JVStyrolutionに統合すると発表した。
独禁法の審査を受けて
JV
を設立する。

付記

両社は2011年5月27日にJV契約を締結した。

2011年10月1日に営業開始した。

BASF107日、スチレン系ポリマー事業を戦略的に発展させるため、Styrolution社を設立すると発表した。
分社は、
201111日に完了する予定で、将来の同事業の売却に備えるものであった。
今回、両社の事業統合に先駆け、予定通り分社化を行う。

BASFは2007年7月に、利益率が低く、原料の動向に左右されるコモディティからの離脱を狙って、スチレン事業の「戦略的な選択肢」を検討していることを発表、その後、事業の売却先を探していた。

2010/10/11 BASF、スチレン系ポリマー事業を別会社Styrolutionに移管 

Ineosはスチレン系事業をNova Chemicalsとの50/50JVのIneos Novaで行っているが、Novaは1112日にIneosとの間で、Ineos NovaNova持分をIneosに売却する交渉に入ったことを明らかにしている。

2009年
7月にアブダビ国営の投資会社 IPICInternational Petroleum Investment Company )がNovaを買収したが、これは新しい株主のIPICの方針によるものと見られる。

今回のJVはIneos NovaNova持分の買収を前提としている。

2010/11/22 Nova ChemicalsIneos Novaから撤退

新しいJVの設立後、BASFIneosIneos Novaの事業を含めたスチレン系事業をStyrolutionに移管する。

なお、発泡ポリスチレンは取引から除き、両社ともこの事業を自社に残す。
発泡ポリスチレン用の
Ludwigshafen SM/PS事業と、南京のBASF-YPCSM/PS事業はBASFに残る。

2010年ベースで、新しいStyrolution の売上高は50億ユーロを超える。
BASFは事業価値の差額を受け取ることとなるが、詳細は明らかにされない。

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BASFの拠出する事業

 対象製品

Commodities SM
PS
ABS
SBS
(スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体)
コポリマー Luran® (SAN) :スチレン/アクリロニトリル コポリマー
Luran® HH (AMSAN):α-Methylstyrene-acrylonitrile copolymers
Luran
® S (ASA)styrene acrylonitrile copolymers that have been impact-modified with acrylic ester rubber
Terblend
® N (ABS/PA)ABS/Polyamide 6
Terluran
® HH (ABS-High Heat)modified ABS that meets the requirements for thermally stressed components
Terlux® (MABS)Methyl methacrylate-acrylonitrile- butadiene-styrene-polymer
Styroflex
® (SBS)Styrene/butadiene block copolymer

 対象外製品

発泡ポリスチレン  
発泡ポリスチレン用のLudwigshafen SM/PS事業  
南京のBASF-YPCSM/PS事業
(旧
Yangzi-BASF Styrenics
SM 120千トン
PS 200
EPS
 52

 対象工場

ドイツ Ludwigshafen, Schwarzheide PS能力 540千トン
 (
200980千トン減)
ベルギー Antwerp
韓国 Ulsan PS 250千トン、EPS 80千トン、ABS 250千トン
SM 320千トンは2009年にSK Energy に売却)
インド Dahej  
メキシコ Altamira  

 従業員  1,460
 
2010年売上高  30億ユーロ以上

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Ineosの拠出する事業 

Ineos ABS
ドイツ  Cologne  
スペイン  Tarragona
  (付記 独禁法当局指示で除外、売却)
 
インド  Vadodara  
タイ  Map Ta Phut  
  Lanxessから買収 能力:730千トン
Ineos Nova SM/PS
  SM
 千トン
PS
 千トン
EPS
(対象外)
Sarnia, Ontario 430    
Indian Orchard, MA   165  
Channahon, Illinois   410  
Decatur, AL   193  
Bayport, TX 770    
Texas City, TX 455    
(北米合計)  (1,655)  (768)  
Trelleborg, Sweden   85  
Breda, The Netherlands   90 90
Marl, Germany   180 85
Wingles, France   200 100
Ribecourt, France     90
(欧州合計)   (555)  (365)
       
総合計 1,655 1,323 365
Ineos SM ドイツ Marl
 エチルベンゼン 550千トン、SM 380千トン

 従業員 合計2200
 
2010年売上高 20億ユーロ

Ineosは当初、2005年にBASFの米国・カナダのPS事業を買収。
その後、
BPからInnoveneを買収したのに伴い、NovaとInnovene の欧州の 50/50JVのNOVA InnoveneをIneos Novaとし、両社の北米事業をJVに統合した。

今回の統合でBASFの昔の米・加のPS事業が戻ることとなる。 

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なお、BASFと並ぶスチレン系の大手であったダウも6月に、スチレン系事業のスタイロンを投資会社Bain Capital Partnersに売却している。
(ダウはスタイロン7.5%を出資)

2010/6/18 ダウ、スチレン系事業売却完了

 


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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


BP1128日、アルゼンチン最大の原油輸出企業のPan American Energyの持株(60%)を、残り40%を保有するBridas Corporationに売却する契約を締結したと発表した。

Bridasは対価として70.6億ドルを現金で支払う。うち35.3億ドルを前払いとして12月に2回に分けて支払い、残りを2011年前半に予定される取引完了時に支払う。

売却は2011年末までに300億ドル分の資産を売却するとした本年6月のBPの計画の一部である。本件売却までに既に合計140億ドルの売却の契約を締結している。今回の取引を含めると、210億ドルとなる。

2010/7/22 BP、北米とエジプトの石油資産をアパッチに売却 70億ドル
2010/8/5 BP、コロンビアの石油関連資産を売却 19億ドル
2010/9/2  BP、マレーシアのエチレン、ポリエチレンJV持分をペトロナスに売却 363百万ドル
2010/10/22 BP、ベネズエラとベトナムの川上事業を売却 18億ドル
2010/10/25 BP、メキシコ湾の4油田の権益を丸紅に売却 650百万ドル

BPではパキスタンのガス田の売却先を探しており、他に、アラスカ油田とアルジェリアの権益の売却を検討している。

BPApache BP米アラスカ州Prudhoe Bayの油田権益の半分を含む資産を120億ドルで売却する交渉を行っていると伝えられていた。
関係者によると、プルドー湾の油田権益については、資産価値の評価や現在および将来に法的責任を問われた場合の対応などをめぐり、7月18日に交渉が暗礁に乗り上げたという。
この結果、上記の通り、Apache に対し、総額70億ドルで、テキサス州とニューメキシコ州南東部にまたがるパーミアン盆地の油田、西カナダの天然ガス、及びエジプトの西砂漠油田とEast Badr El-din 油田を売却した。

付記

BP1214日、ほとんど全てのパキスタンの権益を中国のUnited Energy Group Limited (連合能源集団)に775百万ドルで売却する契約を締結した。

売却するのは同国南部のSindh province9つのブロックと、アラビア海の4つの海上ブロックのすべての資産。
現在の生産量は原油換算日量
35千バレルで、原油が日量10千バレル、ガスが2standard cubic feet

連合能源集団は香港上場の投資持株会社で、原油・ガスの生産を行っている。

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Pan American Energyは南米最南端(Southern Cone)地域で原油・ガスの開発、生産を行っている。事業の中心はアルゼンチンで、同地で第二位のメーカー。他に、ボリビアとチリで活動している。
ボリビアの子会社
PAE E&P Boliviaは今回の取引には含まれていない。

2009年末時点での同社の確認埋蔵量のうちのBP持分(60%)917百万バレル(原油換算)で、生産量のうちのBP持分は日量143千バレル(同)となっている。

Pan American EnergyBP60%Bridas Corporation40%を所有する。

Bridas CorporationはアルゼンチンのCarlos Bulgheroni氏傘下のBridas Energy Holdings の子会社であったが、20103月に中国のCNOOCBridasの株式50%31億ドルで購入、現在は、Bridas Energy Holdings50%CNOOC50%となっている。

中国勢の海外進出は急で、CNOOCは本年3月のBridasへの出資でPan American Energy20%を得たが、1年も経たずに50%まで所有を引上げることとなる。

Bridas Energy HoldingsCNOOCは必要資金の70%24.7億ドルずつ、計49.4億ドル)を負担する。残り21.2億ドルは借り入れるか、又は両社からの追加支出で賄う。

ーーー

BPは原油流出事故の費用の確保のため、優先度の低い事業の売却を進める一方、新しい権益の確保も行っている。

同社は11月26日、インドネシアのパプア州の北アラフラ石油・ガスの権益を取得したことを発表した。


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