「no」と一致するもの

チリのボリッチ大統領は4月20日、国内のリチウム産業を国有化すると表明した。チリのリチウム生産量はアルゼンチンに次ぐ世界2位で、シェアは30%にのぼる。 埋蔵量は世界一である。

大統領が主導するチリ左派政権は、クリーンエネルギー移行で重要なリチウムの生産で政府の役割拡大を目指しており、新たな枠組みは民間資本をさらに呼び込む狙いもある。

リチウムはEV向け電池の製造に不可欠で、メキシコも2022年に国有化した。

メキシコで2022年4月19日、国内にあるリチウム資源を国有化するための鉱業法の改正が成立した。今後は原則、民間企業の採掘を認めず、国営企業が独占する見通し。リチウムの需要が高まるなか、重要資源として権益を囲い込む。

資源保有国の保護主義がEV供給網のリスクになってきた。

テスラ幹部は本年2月20日にチリを訪問し、同国のリチウム産業発展への貢献に関心を示し、チリのリチウム政策や、国内でリチウムを生産している米国アルベマールとテスラとの協力機会の可能性、再生可能エネルギーとゼロエミッション輸送への移行を加速するための展望などについて話し合った。

チリ政府はリチウム生産を担う国有企業を設立する。2023年後半に国有企業を設立するための法案を議会に提出する。今後は国有企業がリチウム生産を主導するが、大統領は民間企業の投資も部分的に認める方針を示した。その場合も政府が支配権を握り、過半数の権益を取得する。

現在のメーカーは、チリの特殊植物栄養素・化学製品メーカーのSQM(Sociedad Química y Minera de Chile)と、米国のAlbemarleの2社のみである。SQMとAlbemarleが操業するアタカマ塩湖が現在、チリで採掘されている唯一の塩湖である。

SQMには中国の天斉リチウム(Tianqi Lithium Corporationが出資している。

2018年12月に中国の天斉リチウム(Tianqi Lithium Corporationがカナダの カリウム大手Potash Corporationが所有するSQMの発行済み株式の23.77%を40億6,600万ドルで取得完了した。現在は25.86%を所有し、第二位の株主である。

カリウム大手Potash Corporation社とAgrium社が2017年末に合併してNutrien Ltd.となったが、この合併の承認の条件としてインド競争当局と中国商務部がPotashCorp所有のSQM株式の売却を求めたもの。その結果、中国企業が取得できた。

Albemarle Corporation は、ノースカロライナ州に本拠を置くアメリカの特殊化学品製造会社で、リチウム、臭素、触媒の 3 つの部門で運営されている。
Albemarleは
オーストラリアにある世界最大級のグリーンブッシュ鉱山で天斉リチウムと提携している。

1980年に産業開発公社(CORFO)が45%、米国のFoote Minerals Co.が55%出資で Chilean lithium society Ltdaが設立された。1989年にCORFOが持株をFoote Minerals Co.に売却し、完全民営化した。このFoote Minerals の持株が現在、Albemarle Corporation に移っている。

ロイター通信によると、SQMは2030年まで、Albemarleは2043年までチリでのリチウム生産が認められている。

大統領は「チリ政府は既存の契約を尊重する」と説明して おり、 両社は契約が切れるまでは従来通りリチウム生産を続けられる見通しだが、契約切れを待たずに企業側が権益譲渡を選択する可能性も想定する。 

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チリ は法律でリチウムを戦略的資源と指定し、その生産には国家による非常に厳格な統制が敷かれている。基本法制はピノチェット軍政時代(1973~90年)に出来上がったものである。

・1979年大統領令2886号はリチウムを「戦略的資源」と位置づけ、コンセッションの設定を不可(non-concessible)とした。

在チリでリチウムの生産を行っているSQMと米Albemarleの2社は1979年の法令施行前に産業開発公社(CORFO)と特別操業契約を締結しており、既得権を認められている。

・1980年憲法は、すべての鉱物に関して、地表の土地所有権とは独立に、国家の絶対的・排他的所有権を定める 。探鉱・採掘に関して(操業年数、総生産量の上限設定など厳しい条件付で)、民間に行わせる余地も残した。

・1982年の鉱業権に関する憲法基本法(法18.097)は、炭化水素(ガス・石油など)とリチウムを鉱業権(コンセッション)の対象から外し、その開発は①国家ないし国営企業(CODELCOなど)によって直接、または②行政上のコンセッションもしくは政府との特別操業契約によってのみ行えることとした。リチウムについては将来あり得べき軍事および核融合炉への利用を念頭に置いたものといわれる。

この結果、既得権を認められたSQMと、Albemarleの2社のみが操業している。

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米国地質研究所(USGS)が2023年1月に発表した資料「Mineral Commodity Summaries 2023」によると、チリの現在のリチウム可採埋蔵量は世界シェア35.8%の930万トンで、世界1位を誇る。
2022年の生産量は米国を除く世界シェア30%の3万9,000トンで、オーストラリアの6万1,000トン(同46.9%)に次ぐ第2位となっている。


 米国の生産量のWは、
非公開(Withheld)

https://pubs.usgs.gov/periodicals/mcs2023/mcs2023.pdf


南米ではチリ北部、ボリビア南西部、アルゼンチン
北西部で形成するアンデス山脈沿いの高地(標高4000m級)に「リチウム三角地帯(LithiumTriangle」と呼ばれる塩湖地帯が広がっている。ボリビアは世界最大のウユニ塩湖、チリは世界第2位のアタカマ塩湖 を擁し、アルゼンチンはオンブレ・ムエルト塩湖をはじめとしていくつもの塩湖が点在する。

埋蔵量はチリが930万トンと圧倒的に多い。

米半導体受託製造大手のGlobalFoundries は4月19日、知的財産と企業秘密を不正に利用したとしてIBMを提訴したと発表した。

GlobalFoundriesは米国の半導体製造企業で、ファウンドリとしてはTSMC、Samsungに次いで世界第3位グループ。

半導体受託製造シェア(2022/10~12、台湾トレンドフォース情報)

TSMC 台湾 58.5%
サムスン電子 韓国 15.8%
UMC (聯華電子) 台湾 6.3%
GlobalFoundries 米国 6.2%
その他 13.2%

2008年にAdvanced Micro Devices(AMD)が半導体製造部門を分社化し、The Foundry Companyが発足した。

2009年3月にアブダビ政府傘下の投資会社 Advanced Technology Investment Co. (ATIC)が65.8%、AMDが34.2%出資して、これをGlobalFoundries とした。

直後に半導体製造を手がけるシンガポールのChartered Semiconductorを39億米ドルで買収した。

訴状によると、今回の訴訟内容は下記の通り。

GlobalFoundries(及びその前身)とIBMはニューヨーク州で数十年にわたり共同で技術を開発してきたが、2015年にその技術のライセンスと開示の独占権がGlobalFoundriesに売却された。

しかしIBMは今回、トヨタ自動車やソニーグループなど日本企業8社が出資して設立した半導体メーカー のRapidusと知的所有権および営業秘密を不法に共有した。 IBMとRapidusは2022年12月に提携を発表し、2ナノメートルの半導体製造で協力している。

2022/11/14 次世代半導体の設計・製造基盤確立に向けた取組、先端半導体の国産化へ新会社

また、IBMが2021年にIntelと次世代半導体技術で協業すると発表し、Intelに知的所有権を不法に開示し悪用した。「IBMは、潜在的に数億ドルのライセンス収入やその他の利益を不当に受け取っている」とした。

GlobalFoundriesはIBMに対し、補償的損害賠償および懲罰的損害賠償のほか、営業秘密の使用を禁止する差し止め命令を求めている。またIBMがGlobalFoundriesのエンジニアを採用する動きがRapidusとの提携発表から加速しているとし、こうしたリクルート活動の停止を命じるよう裁判所に求めた。

IBMは「申し立てには全く根拠がない」と反論している。

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過去の報道などから、事態は下記のとおりではないかと推測される。

GlobalFoundriesとIBMは数十年にわたり共同で技術を開発してきた。

2014年10月にIBMはGlobalFoundriesに半導体製造工場(NY州East Fishkill工場とバーモント州Burlington工場)を譲渡すると発表した。しかも売り手のIBMが買い手に15億ドルを支払うというものである。

  • IBMは今後、3年間にわたりGlobalFoundriesに15億米ドルの現金を支払う 。
  • IBMは、半導体製造工場の譲渡費用として、上記現金の支払いを含め、税引き前費用として2014年第3四半期に47億米ドルを計上する。
  • 譲渡される2工場は、過去1年間で7億米ドルの損失を出している 。
  • GlobalFoundriesは、5000人以上に上るIBMの工場の従業員およびASIC設計者に、雇用のオファーを出す予定
  • GlobalFoundriesは、IBMの半導体関連の特許も数千件取得する 。
  • 両社とも、従業員の解雇は行わない方針である。
  • GlobalFoundriesは今後10年間、IBMに対し、22nm/14nm/10nmプロセスのサーバ用プロセッサを独占的に提供する 。

すなわち、IBMはGlobalFoundriesと共同で半導体の開発を進めてきたが、うまくいかず、大赤字 となった。世代遅れの老朽化した製造施設の買い手を探していたが、条件の合う相手が見つからなかった。このため、特許と2工場を、人員整理しないという条件で、GlobalFoundriesに15億ドルをつけて引き渡した。

East Fishkill工場は、45nm/32nmプロセスのSOI(Silicon on Insulator)を中心に、1万5000ウエハー/月を生産していた。
Burlington工場は、4万5000枚(200mmウエハー換算)/月を生産していた。同工場では、携帯電話機向けRFフロントエンドやスイッチ用の130nm/180nm SOIプロセスや、電源IC向けの90nmシリコンゲルマニウムプロセスなど、さまざまなプロセスを導入している。

条件としてGlobalFoundriesはIBMに22nm/14nm/10nm半導体を10年間、独占的に供給するとした。

IBMは、「半導体製造の肝となるプロセス技術は保有しておきたい」としたのに対し、GlobalFoundriesが14nmプロセスノードの製品を製造提供し、その後の10nmも視野に入れたプロセス技術開発を進めると約束した。

GlobalFoundriesは2014年4月に、14nm FinFETプロセスの開発でSamsung Electronicsと提携すると発表した。

IBMは、半導体の微細化加工技術などの研究開発は継続する。

しかし、2018年ころにはプロセス技術開発ではTSMCやSamsungが大きく躍進し、時代は7nmプロセスノードに驀進していた。AMDがZenコアの次世代CPUのファウンドリをGlobalFoundriesからTSMCに切り替えた 。

GlobalFoundriesは2019年8月、7nm FinFETプロセスの開発を無期限に停止すると発表した。量産の微細化レースに残るのは、台湾TSMC、韓国Samsung Electronics、米Intelの3社になった。

GlobalFoundriesは、IBMがそれまで開発に取り組んでいた14nmの製造プロセスを完了させることで合意したが、14nmでは、IBM由来のプロセスではなく、Samsungのプロセスを使って生産し、IBMに供給した。

「次のノード」には10nmが想定されていたが、半導体製造事業での競争状況を踏まえ、GlobalFoundriesは10nmを飛び越えてすぐに7nmに進んだ。GlobalFoundriesは、IBMがこの決定にも賛同したと主張している。 しかし、GlobalFoundriesは2019年8月にこれをギブアップした。

10nm以前のプロセス世代によるロジックデバイスの製造にフォーカスを当てて、周辺チップの供給にリソースを集中させるGlobalFoundriesの決断は正しかった 。GlobalFoundriesは念願の黒字化を果たした。

GlobalFoundriesに15億米ドルの現金付きで技術と工場を渡し、最先端のプロセス技術開発を期待したIBMにとっては「契約不履行」という判断になった。結局IBMは7nmプロセス製品をSamsungに生産委託することになった。

IBMはGlobalFoundriesに対し、契約不履行で訴え、25億米ドルの損害賠償を求めた。

NY州最高裁判事は2021年9月、GlobalFoundriesの詐欺行為については却下したが、契約違反については認め、GlobalFoundriesからの反訴については却下した。IBMにとっては有利な判決である。

2022年7月、この裁判の控訴審でGlobalFoundriesの詐欺行為が認められた。 最終決着はまだと思われる。

もしかすると、今回の提訴はIBMからの訴訟の解決のための交渉材料であるかも分からない。

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IBMがRapidusやIntel と共同開発しているのはこの技術である。10nmまでの半導体製造の技術とは全く異なる。

IBMは当時、10nmまでの半導体の供給を求め、GlobalFoundriesに工場と特許、ノーハウなどを渡した。その時点でも半導体の微細化加工技術などの研究開発は継続するとしていた。

22nm/14nm/10nm半導体の供給を受けるために技術を出したもので、今後の研究開発に支障が出るようなものではなく、恐らく、技術範囲を絞った供与であったと思われる。

今回のGlobalFoundriesの訴訟は、知的財産に関しては無理筋ではないかと思われる。

しかし、IBMがGlobalFoundriesのエンジニアを採用する動きがRapidusとの提携発表から加速しているとし、こうしたリクルート活動の停止を命じるよう裁判所に求め ている点については、問題になるかも分からない。

Rapidusの研究者と技術者は、世界最先端の半導体研究拠点の1つであるニューヨーク州のAlbany NanoTech Complexで、IBMおよび日本IBMの研究者と協働する。Rapidusは、IBM、Applied Materials、サムスン電子、東京エレクトロン、SCREEN、JSR、ニューヨーク州立大学(SUNY)を含むAlbany NanoTech Complexのエコシステムに参画する最新企業とな る。

IBM側もRapidusとの共同開発に備えて人材確保に奔走しており、技術者採用にブレーキがかかれば、共同開発に遅れが生じる可能性がある。

フィンランド南西部のオルキルオト(Olkiluoto)原子力発電所で4月16日、欧州最大級となる3号機(出力160万キロワット)が本格稼働した。

Olkiluoto 

No.1 1979/10  890 MW 沸騰水型(BWR)
No.2 1982/7 890 MW 沸騰水型(BWR)
No.3 2023/4 1,600 MW 欧州加圧水型炉(EPR)
Loviisa   No.1 1977 488 MW ソ連型加圧水型原子炉VVER-440/213e
No.2 1981 488 MW


フィンランドで新たに原発が本格稼働するのは40年以上ぶり。約18年前に着工。当初予定から14年遅れての通常運転開始となった。

フィンランド産業電力はユニット3の許可申請を2000年12月にフィンランド政府に行い、建設は2005年に始まったが、技術に関する問題が遅延を引き起こした。原子炉の基礎コンクリートの凹凸の発生、下請け工場が規格の水準に達していなかった重い鍛造品を提供などがあり、EPRの特徴である二重封じ込め構造の構築にも時間を要した。

独立した4つの緊急冷却装置や溶け落ちた核燃料を冷却する「コアキャッチャー」と呼ばれる設備など、最新の安全対策を備えている。

ウクライナ侵攻後、ロシアは昨年5月にフィンランドへの電力供給を停止した。フィンランドはスウェーデンやノルウェーから電力を輸入している。3号機はフィンランドの電力需要の約14%を担う見通し。


オルキルオト島では世界で唯一の高レベル放射性廃棄物の最終処分場「オンカロ」が建設中である。

地下およそ520メートルの深さまでトンネルを掘り、そこから横穴を広げ放射性廃棄物を処分する。 2024年下半期には運用を開始、その後2120年頃までの100年間にわたり埋設処分に利用、100年後に施設が満杯になった後は、道を埋めて完全に封鎖する。

プルトニウムの半減期は2万4000年で、生物にとって安全なレベルまで放射能が下がるにはおよそ10万年の月日を要するため、10万年にわたって封鎖され続ける。

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数時間前には、ドイツ最後の原発3基が稼働を停止したばかりだった。

4月15日にドイツで稼働中の最後の原子力発電所3基が停止した。

  2022/8/3 ドイツ政府、年末までに停止予定の最後の3基の原発の稼働延長を検討 付記

米政府は4月17日、Inflation Reduction Actにより、消費者が電気自動車(EV)を購入する際に税優遇の対象となる車種の新たなリストを明らかにした。

米政府は自国市場のEVについて、消費者が最大7500ドルの税額控除を得られる販売支援策を採っている。4月18日からInflation Reduction Actに含まれた電池材料についての新たな要件を適用するのにあわせ、対象車種を更新した。

低・中所得者がエコカーなどの新車を購入する際に、下記の条件を満たした場合、1台当たり3,750ドルか、7,500ドルの いずれかの税控除を受けられる。

主な要件(控除額は個人の場合)
税額控除額
価格が5.5万ドル(バンやSUV、ピックアップトラックは8万ドル)未満であること 必須 -
車両の最終組み立てが北米(米国、カナダ、メキシコ)で行われていること 必須 -
電池材料の重要鉱物のうち、調達価格の40%(2027年から80%)が自由貿易協定を結ぶ国で採掘あるいは精製されるか、北米でリサイクルされていること どちらか
必須
3,750ドル
電池用部品の50%(2029年から100%) が北米で製造されていること 3,750ドル


2023年3月28日に「重要鉱物のサプライチェーンの強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」(日米重要鉱物サプライチェーン強化協定:日米CMA)が署名され、即日発効となった。米国は、同協定をインフレ抑制法(IRA)上のFTAとみなす。


発表された対象車種は下記の通り。全て米国メーカーのものである。(Stellantisは多国籍企業だが、対象は元々米国車である。)

最大の控除額7500ドルが適用されるEVとPlug-in Hybridは合計でわずか10車種にとどまる。バッテリーの構成部品や重要鉱物の調達先に関する要件が厳格化され、Plug-in Hybridの車種は大半が対象外となった。

Stellantis、Ford、Teslaが生産する別の計7車種には、最大額の半分となる3750ドルの控除が適用される。

Maker Model

Tax Credit

Stellantis North America
(PSA/ Fiat Chrysler
Chrysler Pacifica $7,500 Plug-in Hybrid
Jeep Wrangler PHEV 4xe $3,750 Plug-in Hybrid
Jeep Grand Cherokee PHEV 4xe $3,750 Plug-in Hybrid
Ford Ford F-150 Lightning $7,500 EV
Ford e-Transit $3,750 EV
Ford Mustang Mach-E $3,750 EV
Ford Escape Plug-in Hybrid $3,750 Plug-in Hybrid
Lincoln Corsair Grand Touring $3,750 Plug-in Hybrid
Lincoln Aviator Grand Touring $7,500 Plug-in Hybrid
GM Chevrolet Bolt $7,500 EV
Cadillac LYRIQ $7,500 EV
Chevrolet Silverado $7,500 EV
Chevrolet Blazer $7,500 EV
Chevrolet Equinox $7,500 EV
Tesla Tesla Model 3 Performance $7,500 EV
Standard Range $3,750
Tesla Model Y $7,500 EV


日欧韓メーカーの車はすべて対象外となった。

各社はそれぞれ、今年初めの時点では少なくとも税額控除の一部が適用される車種を有していたが、18日からは適用外となる。

現代自動車がアラバマ工場でことし3月から生産している「GV70」モデルは、北アメリカでの生産という条件は満たすが、バッテリーが中国製だという理由で除外された。

日産リーフも米国で生産されているが、車載電池に関する二つの要件をどちらも満たせなかった。日産は声明で「サプライヤーと緊密に連携し、将来的には、少なくとも一部の優遇策が適用されると期待している」と強調した。

BMW BMW 330e
BMW X5 xDrive45e
現代自動車 Genesis Electrified GV70
日産自動車 Nissan Leaf
Rivian (USA) Rivian R1S
Rivian R1T
Volkswagen ID.4
Audi Q5 TFSI e Quattro(plug-in hybrid)
Volvo S60(plug-in hybrid)

  * Volvoは資本金の82%を中国の浙江吉利が出資

米国では4万〜5万ドルがEVの売れ筋になって おり、最大7500ドルの税控除は価格競争力を維持するうえで無視できない。各社は税優遇を受けるため、北米生産を加速したり、調達網を見直したり体制整備を急ぐことにな る。

米製薬大手Merckは4月16日、潰瘍性大腸炎やクローン病(炎症性腸疾患)向けの治療薬を開発している米バイオ企業Prometheus Biosciencesを買収すると発表した。買収総額は108億ドル(約1兆4400億円)。1株当たりの買収提示額は200ドルで、14日終値に75%のプレミアムを乗せた水準 である。

ドイツのMerckとは元は同じだが、現在は別で、これと区別するため、米加以外での社名はMSD(Merck Sharp and Dohme)である。

Prometheus Biosciencesは旧社名Precision IBD, Inc.で、2019年10月に社名変更した。

Prometheusの主力製品であるヒト化IgG1モノクローナル抗体(mAb)PRA023は潰瘍性大腸炎、クローン病、全身性硬化症に伴う間質性肺疾患の治療薬として第IIa相臨床試験段階にあり 、最近、期待の持てる結果が公表された。

Prometheusはまた、炎症性腸疾患の抗腫瘍壊死因子mAbであるPR600、Gタンパク質共役受容体モジュレーター低分子であるPR300、 炎症性腸疾患およびその他の免疫介在性疾患の抗サイトカイン受容体mAbであるPR1100、炎症性腸疾患の抗ケモカインmAbであるPR1800、炎症性腸疾患の抗炎症サイトカインmAbであるPR2100の開発も行ってい る。

MerckのCEOは「これによってわれわれは免疫治療事業に力強く足を踏み入れることができ、特許期間の長さを踏まえれば、2030年代のかなりの期間まで持続的な成長が可能になると思う」と語った。

Merckにとって大きな課題の1つが、2030年の前にも特許切れによって減収が予想される主力製品、がん免疫治療薬「キイトルーダ」の穴埋めを見つけること である。CEOは、Prometheus買収に伴う増収効果が、キイトルーダの特許切れのタイミングにちょうど表れる可能性があるとの見方を示した。


世界の医薬品メーカーは、新規製品の自社開発が困難なため、有望な候補を持つ企業の買収を図っており、買収価格は高騰している。資金のある大企業しか対応できない。

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キイトルーダ®(一般名:ペムブロリズマブ、MK-3475)は「抗PD-1抗体」とよばれる免疫チェックポイント阻害薬で、T細胞のPD-1に結合することにより、がん細胞からT細胞に送られているブレーキをかける信号を遮断する。その結果、T細胞が活性化され、抗がん作用が発揮されると考えられている。

癌細胞には、免疫細胞攻撃を防止する「免疫チェックポイント」という仕組みがある。

癌細胞は、免疫細胞からの攻撃を逃れるために、PD-L1 というタンパク質を出し、これが免疫細胞のPD-1 に結合すると、免疫細胞の働きが抑制される。

抗PD-1抗体免疫細胞のPD-1に結合し、PD-1と癌細胞のPD-L1の結合を防止 、免疫細胞ががん細胞を攻撃する。

                             

本庶佑博士はPD-1(プログラム細胞死1)を発見し、PD-1阻害が癌治療に寄与することを実証した。これを受けて小野薬品工業とBristol Myers Squibbが販売しているのがオプジーボで、キイトルーダはこれと同じである。

小野薬品とBristol Myers Squibbは、小野薬品と本庶博士の共有に係る抗PD-1抗体の用途特許および小野薬品工業とBristol Myers Squibbの共有の抗PD-1抗体の物質特許を保有しており、Merckの「キイトルーダ®」の販売等の特許侵害に対し、日本、米国、欧州等において特許侵害訴訟を提起するなど係争していたが、2017年1月にMerckと和解した。Merckは技術料を支払った。

2016/11/30 オプジーボと競合する米メルクの癌免疫薬承認へ                            

韓国最高裁は4月13日、米国半導体大手のQualcommが韓国公取委を相手取って起こした是正命令などの取消請求訴訟で上告を棄却し、公取委の処分が正当だという判決を確定した。
独占禁止法違反での課徴金1兆311億ウォン(約1050億円)が最終確定した。

韓国での同法違反の課徴金としては過去最大額となる。

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問題となったのは、第3世代(3G)の携帯電話ネットワークが使うCDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多元接続)技術に関するものである。

QualcommのCDMAライセンスは高額で一方的な条件だと評判が悪い。

QualcommはCDMA技術で半導体と携帯電話の両方にロイヤリティを要求している。QualcommはCDMAに関する広範な特許を抑えており、半導体の回路設計の特許も取得している。

その結果、携帯電話メーカーはCDMA技術に対するロイヤリティを部品と完成品で2度支払う羽目になる。

QualcommのCDMAライセンス契約ではライセンシーが圧倒的に不利なクロスライセンス契約を強要されている。

  • ライセンシーが保有する特許をQualcommに無償で供与する
  • 無償供与した特許をQualcommが他の顧客にライセンスできる
  • Qualcommの顧客にロイヤリティを請求しないこと


    https://obakasanyo.net/qualcomm-license-agreement/



ChatGPTに「QualcommのCDMAライセンスの問題点」を質問すると、下記の回答があった。

QualcommのCDMAライセンスに関する問題点の1つは、競争の欠如です。Qualcommは、CDMA技術に関する特許を保有しており、ライセンス料を取ることができます。この状況により、競合他社が市場に参入することが困難になり、消費者にとっても選択肢が制限されることになります。


さらに、Qualcommは、CDMA技術を使用する携帯電話やスマートフォンの製造業者に対して、高額なライセンス料を要求することがあります。これにより、製造業者のコストが上がり、製品価格が高くなる可能性があります。この問題は、競争がないためにQualcommがライセンス料を自由に設定できることに起因しています。

また、Qualcommは、自社製品に対する競合他社の技術のアクセスを制限することで、市場の競争を阻害しているとの批判があります。このような行動は、消費者にとっても不利益をもたらす可能性があります。

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2009年12月30日、韓国公取委は、Qualcommによる韓国内での違反行為の調査 (第1調査)の結果として、Qualcommに対し課徴金 2,732億ウォンを課し、是正命令を発した。

是正命令は、①差別的なロイヤルティ条件、②モデムチップに対する条件付きリベート(販売奨励金)の提供、③Radio Frequencyチップに対する条件付きリベート(販売奨励金)の提供、④特許権消滅後のロイヤルティの支払の禁止である。

20102月、Qualcommは、課徴金に対する取消しと是正命令に対する停止を求めて、ソウル 高裁提訴した。

20136月、 高裁は、公取委の判断の大部分を維持する判決を下した。

20137月、Qualcommは、判決を不服として 最高裁へ上訴した

最高裁は2019年1月、高裁の下した公取委の第1調査結果による判断の大部分を維持する判決について、課徴金を2,600億ウォン(約230億円)と判断し、是正命令を発した。

韓国では、公正取引関連の訴訟は公取委の処分が適法かどうかを迅速に判断するため、ソウル高裁が1審、最高裁が2審をする二審制で行われる。


韓国公取委は
20152月、Qualcommによる国際的な違反行為があったかについての調査(第2調査)を開始した。

①チップセットメーカーへのライセンス拒絶・制限、②Qualcomm のライセンシーのみにチップセットを供給、③無償のクロスライセンス、などの拘束条件付きライセンス契約に焦点を当てて違法性を調査した。

20161221日、公取委は2調査によって 、モデムチップセット(携帯電話のグラフィックカードなどを制御する装置)のオリジナル技術を保有しているQualcommが、該当技術を必要とするチップセットメーカーに対し特許提供を断ったり制限したりして市場支配的地位を乱用したと判断した。また、チップセットを買おうとする携帯電話メーカーに対し、不要な特許使用権を載せて販売し、損害を与えたと判断した。

公取委は、Qualcommによる国際的な違反行為があったと判断し、Qualcommに対し課徴金1300億ウォンを課し、是正命令を発した。

是正命令1  下記の禁止

①競合チップセットメーカーに対して標準必須特許(SEP)に関するライセンス契約の締結を拒絶すること、
②携帯電話メーカーに対してモデムチップ供給をうけるには事前にライセンス契約の締結を要求 すること(ノーライセンス・ノ
ーチップポリシー)
③携帯電話メーカーとのライセンス契約の締結の際に不当な条件の提示(無償
のグラントバック) をすること

是正命令2.  チップセットメーカーのライセンス要望から60日以内に、チップセットメーカーに特許ライセンス契約案を送付すること。
同契約案には、ライセンス対象特許のリスト、請求項、主要請求項の分析資料及び標準規格との関連性、実施料の算定方法などが具体的に記載されなければならない。


是正命令3.  特許ライセンス契約条件について合意に至ることができなかった場合にはチップセットメーカーが同意する国際商業会議所(ICC)、世界知的所有権機関(WIPO)、裁判所などの独立した第三者機関に判断を求めること

Qualcomm20172月、公取委の2調査結果によって課された課徴金に対する取消し・是正命令に対する停止を求めて、高裁へ提訴した

ソウル高裁は2019年12月、公取委の是正命令10件のうち8件は適法で課徴金も正当だという判断を出した。

高裁は、Qualcommが「市場支配的地位を濫用した」とし、また、チップセット市場内で競争を制限する不当な取引をしたと認定した。

高裁は、公取委による是正命令は10件のうち8件は適法あり、公取委が算定した課徴金は適法であると判断し、Qualcomm からの請求を棄却した。

携帯電話メーカーに対する包括的ライセンス契約と携帯電話の価格を基準として算定した実施料及びクロスグラント(特許保有企業が無償で特許を共有する慣行)に関しては「不利益な取引や不当な取引行為とはみられない」として、それらに関する公取委の是正命令は違法と判断した。


Qualcommは判決に不服して上告したが、最高裁も今回、原審の判断に誤りがないとした。

携帯電話メーカーに不当な契約を強要したとして公取委が科した課徴金は妥当だとする判決を言い渡し、これにより、2016年に公取委が科した過去最大規模となる約1兆311億ウォンの課徴金が確定した。

最高裁の関係者は今回の判決について、公正取引法において妥当性のない条件提示や不利益の強制行為などが市場支配的な地位の乱用行為に当たるかに関する判断基準を再確認し、具体化したものだと説明した。

公取委は、同日の判決に対して、「市場支配的事業者が、独占的地位を維持、拡張するために反競争的事業構造を構築し、競争を制限するのは違法だという点を明確にしたという点で重要な意味がある」という立場を明らかにした。

ーーー

Qualcomm の一連の行為について、各国の法的判断は必ずしも一様ではない。

日本の公取委審決(2019/3/15)  排除措置命令を取り消す。公正競争阻害性を有すると認めるに足りる証拠なし。

   https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/mar/190315.html

競争政策研究センター 異業種間の標準必須特許ライセンスに関する独占禁止法上の考察  P.25~ Qualcomm 事件の検討

上記ペーパーでは欧州委は997439000 ユーロ(約 1308 億円)の制裁金を課したとあるが、その後、EU司法裁判所は2022年8月に支払い命令を無効とした。

Saudi Aramco の韓国の子会社で石油精製、石油化学事業を行うS-Oil は 3月9日、蔚山市の蔚山工場で大型石油化学事業「Shaheen Project」の着工式を行った。

尹大統領をはじめ、産業通商資源相、蔚山市長、S-OilのCEO、親会社AramcoのCEOなど300人余りが参加した。

Shaheen Project (アラビア語で鷹計画)は、70億ドルを投じて蔚山温山国家産業団地内にスチームクラッカーをはじめとする大規模石油化学生産設備を建設する もので、最大規模の外国人投資であるだけでなく、韓国石油化学分野でも最大規模の投資プロジェクトである。

S-Oil はSaudi Aramcoと双竜グループとの共同経営であったが、Aramcoが双竜の持株を買収 した。現在は韓国取引所に上場され、Aramcoが63.46%を出資し、最大株主である。(第二位株主は韓国年金基金の6.91%)

S-Oilの精油所は蔚山広域市に立地し、日量669,000バレルの精製能力を誇る。

化学製品の現状能力は次の通り。 単位:千ton/year

BTX Facility Benzene 150
Toluene 350
Xylene 450
Xylene Center Para-Xylene 800
Benzene 150
No.2 Aromatics Para-Xylene 1,050
Benzene 300
RFCC Propylene   200
RUC/ODC Complex Ethylene 187
Propylene 710
Propylene Oxide 300
Polypropylene 405
MTBE 370
Benzene 72


サウジアラビアのサルマン皇太子は2022年11月17日に韓国を訪問、韓国企業とサウジの政府や機関、企業がさまざまな超大型協力プロジェクトを始動させた。

韓国産業通商資源部とサウジ投資省は同日、ソウルで「韓国・サウジアラビア投資フォーラム」を開催した。両国政府や企業の関係者300人あまりが出席し、26件の契約や覚書が締結された。

サウジの国営石油会社Aramco の韓国子会社「SーOil」は、韓国で大型石油化学事業「Shaheen Project」を実施することを決めており、フォーラムでは、S-Oilと韓国の建設会社3社との間で、設計・調達・施工契約が結ばれた。

2022/11/21 サウジのムハンマド皇太子、韓国訪問、来日は中止

S-Oilは2022年11月17日にShaheen Project計画を発表した。 

9兆2580億ウォン(70億ドル)を投資して「原油→TC2C(Thermal Crude to Chemical)→スチームクラッカー→石油化学製品」につながる精油 ・石油化学統合設備を建設する。

TC2C (Thermal Crude to Chemical) はLummusの技術で ある。

Lummus Technologyは2022年12月21日、TC2CTM crude-to-chemicals technology の第1号がShaheen Projectに採用されたと発表した。

概要は下図の通り。原油を効率よく分離する熱処理技術や副生物の有効活用などを組み合わせ、原油の約7割を石化製品の主原料に転換できる。常圧蒸留装置なども不要である。

従来に比べ原油からの石油化学製品の生産量が増加するほか、生産コストを低減する効果があるとされる。


最終 製品の生産能力は 次の通り。

エチレン 58万トン、プロピレン 77万トン、ブタジエン 20万トン、ベンゼン 28万トン

LLDPE 88万トン、HDPE 44万トン

 
2026年6月にメカニカルコンプリーション、2026年末から本格的な稼動を開始する予定。

ジャパンディスプレイ(JDI)は4月10日、世界第3位の生産出荷規模を誇る広東省深圳市のディスプレイメーカー のHKC:惠科股份有限公司との間で、グローバル戦略パートナーとして次世代OLED ディスプレイ技術の推進と工場建設 などに関する戦略提携覚書を4月7日付で締結したと発表した。

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JDIは2022年5月に、世界で初めてマスクレス蒸着とフォトリソを組み合わせた方式で画素を形成し、輝度・寿命を大幅に高める次世代OLED「eLEAP」の量産技術を確立した。

また2022年3月には、世界で初めて第6世代量産ラインにおいて、従来の酸化物半導体薄膜トランジスタと比較して電界効果移動度が 2~4 倍以上となるバックプレーン技術「HMO」の開発に成功しており、早期の量産化を目指している。

そのほかを加え、6つの「世界初、世界一」独自技術を持つ。

eLEAP
(次世代OLED)
environment positive(環境ポジティブ)
Lithography with maskless deposition
マスクレス蒸着+フォトリソ方式
Extreme long life, low power, and high luminance
(超長寿命・省電力・高輝度)
Any shape Patterning
(フリーシェイプ・パターニング)

広発光領域でピーク輝度2倍または寿命3倍、フリーシェイプで明るく鮮明な画像を実現
OLED蒸着用マスクを使用せず、洗浄不要

HMO
(High Mobility Oxide)
電界効果移動度従来 OS-TFT 技術と比較し 2倍以上となる高移動度酸化物半導HMOHigh Mobility Oxide技術
及び 4倍以上となる超高移動度酸化物半導体UHMOUltra High Mobility Oxide技術
メタバース
(超高精細ディスプレイ)
圧倒的なリアリティと没入感
高い歩留りと安定した品質
AutoTech EVに対応した統合コックピットの実現
HUDの進化による安全性の向上
Rælclear
(透明ディスプレイ)
高い技術開発力により実現したバックライト無しで表示が可能な液晶ディスプレイで、電源や駆動回路、HDMIと組み合わせて作られた透過率84%を誇るモニターセット。
映し出された映像は、表と裏の両面からクリアに見ることが可能。
新技術・新商品・新事業 独自技術の用途拡大
課題解決型の新規事業

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ジャパンディスプレイは、日立・ソニー・東芝の液晶事業を統合して2012年に発足し、スマホの上位モデルをターゲットに液晶を供給してきた。

しかし、最大顧客の米アップルが iPhone の新モデルで初めて有機ELを採用、有機ELに強い韓国メーカーを前に競争力を失った。

2019年4-6月期の決算で、顧客の在庫調整や米中貿易摩擦の影響を受けた需要減により売上高が減少したほか、白山工場の減損を含む517億円の事業構造改善費用を特別損失として計上し、債務超過となった。

2019/8/14 JDIが債務超過に

経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)は2020年1月31日、独立系投資顧問のいちごアセットマネジメントから最大1008億円の出資を受け入れる方向で最終契約を結んだと発表した。

2020/7/24 JDI、いちごアセットと追加出資受け入れの最終契約締結

現在、親会社「いちご」のScott Callon氏がCEOである。

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今回、中国のパネル大手、恵科電子(HKC)と有機ELパネルの量産化での提携を決めた。

有機ELは韓中勢が席巻する。JDIは上記の多くの技術を持つが、赤字経営が続き、資金力で劣る。

他方、HKC は、近年、大型ディスプレイ分野において急速な成長を遂げているエレクトロニクスメーカーで、2017年以降、中国の重慶、滁州、綿陽、長沙にて次々と第8.6世代ディスプレイ工場での量産を開始して売上を急拡大しており、強力なコスト競争力、販売力、機動力、更には資金力も有している。

JDIとHKC は、JDIの「世界初、世界一」独自技術及び生産技術力、HKC のコスト競争力及び販売力、並びに両社の人材力の融合が、両社の企業価値の飛躍的向上に資するとの考えで一致した。

下記で合意した。

1)グローバル戦略パートナーとして、次世代 OLEDeLEAP」、共同開発センター、ハイエンド車載ディスプレイ事業などについて、長期的・全面的・深い協力

2)
世界最先端の eLEAP 工場を共同で計画・建設し、2025 年内の量産開始を目指す。


JDIが虎の子の技術を供与してHKCが2025年の量産を目指す。

新工場の投資額は数千億円規模になる。

JDIの有機EL技術を使い、HKCが中国国内で工場を建設する。JDI側は工場建設への直接的な投資は行わなず、技術者を送るなどして対価を得る。

新工場にはテレビ向けパネルの生産にも対応できる8.6世代と呼ばれる大型設備を導入する。

日本国内には共同の開発センターを新設する。

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有機ELの権威 城戸淳二博士のブログ  大学教授のぶっちゃけ話(2023/4/12)

そんなに画期的な技術を開発したのであれば、

自社で設備投資してサムスンやLGよりも高性能で低価格な有機ELパネルを量産すれば、

売れまくって、一気に黒字化すると思うのですが、

その辺りが私のような一般ピープルには理解し難いところです。    

国策会社よ、

がんばってくれよ!

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ジャパンディスプレイは産業革新機構の下で液晶メーカーとして再出発した。しかし、最大顧客のアップルの有機EL採用があり、アップルの要請で同社向けに建設した白山工場が契約ミス(Take or Pay条項なし)で売却を余儀なくされた。

同社は2016年末に産業革新機構から750億円を調達、調達資金を有機ELに振り向けることで、競争力を強化した。

同社は一時、ソニーとパナソニックの有機EL事業を統合したJOLEDに51%出資する計画であったが、とりやめた。

そのJOLEDは2023年3月27日、東京地方裁判所に民事再生手続き開始の申し立てを行ったと発表した。JOLEDが培った有機発光ダイオード(OLED)ディスプレーの技術や知的財産権を継承することなどで、ジャパンディスプレイと基本合意した。

2023/3/29 有機EL事業のJOLED、民事再生手続き

ジャパンディスプレイ のeLEAPは、JOLEDが開発していた技術ではなく、液晶に頼ってきたJDIが事業建て直しの核として開発してきたもの。

今後、JOLEDの資産と技術者はJDIに移り、両社の技術が統合される。

但し、折角の優れた技術が、資金難のため自ら事業化できず、技術料で稼ぐだけというのは残念である。

いちごアセットは1108億円を投じてJDIを救済したが、採算が取れるのだろうか。


日本経済新聞によると、米国の天然ガス会社Tellurian Inc.は同社のDriftwood LNG計画について日本やインドの企業と出資交渉をしている。資金調達にメドをつけて2027年の生産開始を目指す。

Tellurian Inc.は 第一期として年産約1100万トンのLNGプラントを南部ルイジアナ州で計画している。

Driftwood LNG計画は年間約2,760万トンのLNG輸出施設で、フェーズ1ではLNGプラント2基(年間最大1,100万トン)を建設する。建設および操業に必要な全ての主要認可を取得し、詳細設計を約30%まで進めており、約1,200エーカーの不動産の購入およびリースを完了している。

同社は2022年4月、Driftwood LNG ターミナルの第1期工事を開始するため、米国建設会社Bechtel Energyと締結したEPC(設計・調達・建設)契約に基づき、プロジェクトを進めていくと発表した。

Bechtelは、解体工事、土木工事、重要な基礎工事を請け負う。設計はすでに約8割を終えた。米国石油サービス大手 Baker Hughesが、2つの天然ガスタービンの製造を請け負う。

2023年2月末までに計10億ドル(約1300億円)を投じている。

Tellurian Inc.は、同社が過半を維持する格好で2〜3社の出資企業を募っており、「日本企業やインド企業も関心を持っている」という。石油メジャーや米国の上流企業とも接触している。

ーーー

米国では多くのLNG計画が進展している。

Venture Global LNG は3月13日、Louisiana 州のPlaquemines LNG export plantの第二期計画を決定したと発表した。2025年ごろまでに計約2000万トンを生産する。

Venture Global LNGはルイジアナ州の2カ所にLNG施設を持ち、それぞれで増設を検討していた。

  立地 能力  
Venture Global Plaquemines LNG Plaquemines, Louisiana 年間2000万トン  
Venture Global Calcasieu Pass LNG Cameron, Louisiana 年間1000万トン  
Venture Global CP2 LNG Cameron, Louisiana 年間2000万トン
最高2400万トン
計画段階
Venture Global Delta LNG Plaquemines, Louisiana. 年間2000万トン


2021/11/11 Sinopec、米企業と20年間のLNG売買契約に調印 

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米国のエネルギー企業Sempraの子会社Sempra Infrastructure Partners, LPは3月20日、同社が開発を手掛けるポートアーサーLNG(液化天然ガス)のフェーズ1プロジェクトの開発、建設、運営に関する130億ドル規模の最終投資決定を行ったと発表した。

Port Arthur LNGの第1期は全ての手続きを完了しており、液化設備2系列、LNGタンク3基その他からなり、年間11百万トンのLNG輸出を目指していた。その後、能力を1350万トンに変更した。将来的には4つの液化トレインで最大年間2,700万トンのLNG生産を計画している。

Saudi Aramco と米国のSempra Energyは2020年1月6日、Aramco Services Company が Sempra LNG がテキサス州で開発中のPort Arthur LNG export projectに参加する Interim Project Participation Agreement に調印したと発表した。

AramcoがPort Arthur LNG の第1期分 年間1100万トン(その後、1350万トン)のうち500万トンのLNGを20年間引き取るとともに、第1期計画に25%出資する。今後、最終確定し、正式契約を結ぶ。

しかし、Sempraは2021年6月、この契約がキャンセルされたと発表した。Aramcoの方針見直しによるとされている。

2020/1/14 Saudi Aramco、米国でPort Arthur LNG計画に参加

米連邦取引委員会(FTC)は4月3日、遺伝子診断機器大手の米Illuminaに対し、同社のグループでがん診断を手がけるGRAILを切り離すよう命じた。両社の統合はがん診断技術の革新の遅れや患者の負担増を招きかねないと判断した。

ーーー

米国の遺伝子解析ツール開発会社Illumina, Inc.は2020年9月21日、がん検査技術の開発を手掛ける米新興企業GRAILを80億ドルで買収することで合意した。
Grailの株主は35億ドルの現金とIlluminaの普通株45億ドル相当を受け取る。両社の取締役会はすでに買収を承認している。

GRAILは元々、Illuminaが設立した。世界最大のDNAシーケンサー(塩基配列読み取り装置)メーカーであるIlluminaは2016年1月10日、簡単な血液検査からがんスクリーニングを可能にするため、新会社GRAILの設立を発表した。
Illumina のsequencing technologyを使用し、血中の循環核酸を直接測定する全がんのスクリーニング検査を開発する。

GRAILはIlluminaが過半数を所有する別会社として設立、シカゴ大学での革新的な技術事業化イニシアティブをスピンオフして1986年に設立されたベンチャーキャピタルのARCH Venture Partners、アマゾン創業者のBezos Expeditions、Microsoft創業者のBill Gates、ベンチャーキャピタルのSutter Hill Venturesの参加型投資を得ている。

今回の合併について、IlluminaとGRAILが協力すれば、GRAILの革新的な複数がん早期発見用の血液検査をより幅広くより早く普及させることができるとした。

米FTCは2021年3月30日、IlluminaによるGRAILの買収を差し止めを求める訴訟を首都ワシントンの連邦地裁に起こした。

2021/4/8 米FTC、Illumina によるGRAIL買収に異議  

Illuminaは2021年8月18日、GRAILの買収を完了したと発表した。ただし、米連邦取引委員会(FTC)や欧州委員会(EC)の独禁法審査が終わっておらず、それまでは、独立した別会社のままにするとした。

米国ではF.T.C. administrative judge(行政法判事)が審理中だが、FTC勝利はほぼ確実であるとみられた。

2022/7/26 米Illuminaの元子会社Grail 買収に関する欧米での独禁法問題 

EUは2022年9月6日、IlluminaによるGrail 買収はEU競争法違反の疑いがあると警告する「異議告知書」を両社に送付した。欧州委員会による独占禁止法の調査終了前に買収を完了し、市場競争がゆがめられたとの見解を示した。今後、異議告知書に対する反論の機会が与えられ、その上で欧州委が最終的に違反を認定すれば、両社に年間売上高の最大10%を罰金として科すことになる。

Illuminaは「われわれは欧州委にグレイルの取引を調査する権限があるとの見解にも、制裁金を科す根拠にも同意しない」としている。


他方、米国では行政法判事は2022年9月1日に買収は競争を阻害しないとし判断した。FTCのルールでは、この決定は FTCでレビュー可能で、スタッフは手続きを行った。

米連邦取引委員会(FTC)は4月3日、Illuminaに対しGRAILを切り離すよう命じた。両社の合併により競争が損なわれるとして、合併を支持した行政法判事の判断を覆した。

IlluminaはFTCの今回の判断を不服として米連邦裁判所に申し立てる構えを示しており、その間、FTCの命令は差し止められる。


なお、著名投資家のCarl Icahn が同社の取締役会に3人を推薦する予定だとWall Street Journalが報じた。規制当局の反対にもかかわらずGrailの買収に踏み切ったことで、株主に約500億ドルの損害を与えたと主張している。

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