「no」と一致するもの

厚生労働省は12月16日、Modernaワクチンについて18歳以上を対象に3回目の接種に使用することを特例承認した。


Modernaワクチンは日本では武田薬品工業が扱っている。11月10日に武田が申請していた。


3回目では、2回目までの半分の量を接種し、時期は2回目から6か月以降となる。

2022年3月から始める職域接種のほか、これまでPfizerのワクチンを使っていた自治体の個別接種や大規模接種でも使用し、2回目までと異なるメーカーのワクチンを使う「交互接種」を進める。


Pfizerワクチンについては11月11日に特例承認している。


日本でのワクチン承認状況は下記の通り。

接種対象 1回の接種量 接種
Pfizer 1~2回目 2021/2/14 16歳以上 30マイクログラム 3週間間隔、2回 
2021/5/31  12歳以上
2021/11/10 申請
2022/1/20了承 
 
5~11歳 1/3(10マイクログラム)
3回目 2021/11/11 18歳以上 30マイクログラム 2回目から6カ月以上経過



接種対象 1回の接種量 接種
Moderna 1~2回目 2021/5/21 18歳以上 100マイクログラム 4週間間隔、2回
未承認* 12歳以上
3回目 2021/12/16 18歳以上 半量(50マイクログラム) 2回目から6か月以上経過

  * FDAは、まれな炎症性心疾患のリスクを高める可能性を評価するために若年層での承認判断を先送りしている。



接種対象 1回の接種量 接種
AstraZeneca 1~2回目 2021/5/21  18歳以上 4~8週間の間隔、2回

米国の債務上限問題がようやく解決した。

議会は米政府の債務上限を2兆5千億ドル引き上げ、31.4 兆ドルにする法案を可決した。来年の中間選挙の先まで、恐らく2023年までは債務不履行にはならないと見られる。

まず上院が12月14日午後、この法案を可決し、下院に送った。

下記の手続きにより、今回限り過半数での可決となったが、共和党議員1名が棄権したため、50対49での可決となった。
(50対50の場合は、上院議長である副大統領が投票するため、いずれにしても可決となる。)

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 48 2 50
反対 49 49
棄権 1 1
合計 50 48 2 100


下院は同日の夜9時に本件を優先議題にすることを決め、議論に入り、15日0時23分に可決した。

  共和党 民主党 合計
賛成 1 220 221
反対 209 209
棄権 3 1 4
合計 213 221 434

共和党は、実際にはこれを否決してデフォルトが起こることは避けたいが、民主党単独で決めたとの実績をつくるべく、例外的に上院での多数決での議決を認める法案を通してまで、引き上げに反対の姿勢を続けた。

共和党のLindsey Graham 上院議員は、「民主党は債務上限を2兆5千億ドル引き上げた。政府を膨張させ続けようとする民主党の望みは社会主義アメリカへの道だ」と述べた。

ーーー

米上下両院は12月2日、翌日で期限切れとなるつなぎ予算を来年2月18日まで延長する法案を賛成多数で可決した。バイデン大統領は12月3日、これに署名、同予算が成立した

2021/12/4 米議会、つなぎ予算案を可決 

しかし、債務上限については未解決で、イエレン財務長官は、12月15日までの財政資金を確保しているが、その先は資金繰りが行き詰まる恐れがあると警告している。

債務残高に上限を定める法律の適用停止措置が7月31日に期限を迎えた。 28兆4010億ドルが上限となった。

2021/7/26 米国、債務上限復活 

そのため、議会は当面、債務上限を4,800億ドル引き上げる法案 を通し、大統領は10月14日に署名、成立した。

2021/10/12 米上院、債務上限の一時引き上げ可決 

しかし、これでは上限が28兆8800億ドルになるだけで、間もなく資金繰りに行き詰まる。


実際には共和党も民主党も、政府の資金繰りが行き詰まってデフォルトに陥ることは望んでいない。

しかし共和党は、債務が増えるのはバイデン大統領の1.75兆ドルの税制・支出法案などのためであるとし、共和党としては債務引き上げ法案に賛成しないとする。他方民主党は、これまでの共和党政権の支出増も債務増の原因であり、共同で債務引き上げを行なうべきだと主張し、単独での引き上げには反対してきた。

時間稼ぎのため、とりあえず4800億ドル引き上げて時間稼ぎをしたが、それも期限がきた。

このため、民主党単独で引き上げることとしたが、上院では議決に60票が必要であり、民主党単独では可決できない。

このため、両党の協議で、本件に限り上院で過半数で議決することが出来る法案を通すというやり方を考案した。共和党幹部はこれまで、バイデン政権が掲げる大型歳出法案への反発から協力を拒んできたが、民主党単独での上限引き上げ法案可決は容認した。

共和党の思惑通り、共和党が反対したのに民主党が債務を増やしたという実績が残ることとなる。全くの茶番である。

ーーー

米下院は12月7日夜、連邦政府債務の法定上限引き上げ案の単純過半数票での上院通過を可能にする迅速承認(fast-track)プロセスを設ける法案を賛成222、反対212の賛成多数で可決した。

  共和党 民主党 合計
賛成 1 221 222
反対 212 212
合計 213 221 434

上院は12月8日、この法案を通した。手続き上、この法案を票決するかどうかを60票以上の賛成で通し、そのうえで多数決で通した。

民主党のSchumer上院院内総務と共和党のMcConnell上院院内総務は債務上限引き上げを後押しする打開策で合意したとしている。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 14 48 2 64≧60
反対 36 36
合計 50 48 2 100
  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 10 48 1 59>50
反対 35 35
棄権 5 1 6
合計 50 48 2 100

法案には共和党から10名が賛成した。上院共和党トップのMcConnell 院内総務も賛成した。

バイデン大統領が署名し、上院民主党会派は単純過半数で債務上限を引き上げる1回限りの権限を得た。

連邦政府の借入限度額である現在の28兆9000億ドルを実際に引き上げるための別の法案が間もなく可決される見通しとなった。

引き上げ幅はまだ決まっていないが、2022年末までの支払いをカバーできる額(2~3兆ドル程度とされる)になる公算が大きい。

ペロシ下院議長は迅速承認プロセス法案が成立した後に上院が債務上限引き上げ案を通過させれば、下院はこれを採決のため審議すると述べた。

中国国家薬品監督管理局は12月8日、騰盛博薬生物科技(Brii Biosicences)傘下の騰盛華創医薬技術の新型コロナウイルス感染症に対する中和抗体薬治療(抗体カクテル療法)を承認したと発表した。

成人および12~17歳の未成年者で入院や死亡に至るリスクの高い軽度および「通常型」の患者を対象に承認された。

中国当局が新型コロナ治療薬を承認するのは初めて。

騰盛博薬は英製薬大手GlaxoSmithKlineの元幹部、洪志・最高経営責任者(CEO)らが2017年に設立したバイオ企業で、中国と米国に本拠を置く。B型肝炎、COVID-19などの重大な感染症の治療法の進歩に取り組んでいる。2021年7月に香港取引所に上場した。

2020年3月31日にCOVID-19の治療薬開発のため、清華大学及び深圳市第三人民病院が開発したモノクローナル抗体の共同開発契約を締結した。

この薬は共同開発したamubarvimabモノクローナル抗体注射液「BRII-196」及びromlusevimabモノクローナル抗体注射液「BRII-198」によるカクテル療法で、騰盛博薬によると、 新型コロナウイルスのオミクロン株、デルタ株、デルタプラス株に対する中和活性を維持することが検証されたという。

発表文 https://www.briibio.com/news-detial.php?id=512#news

米国や南アフリカ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、フィリピンの6か国で行った最終段階の臨床試験で、重症化する危険性の高い患者が入院したり死亡したりするリスクが80%減少したと説明した。臨床試験では、重症化リスクのある患者847人を薬を投与するグループと、プラセボ(偽薬)を投与するグループに分けて経過を比較。投薬後28日以内に死亡した人はゼロだった。

臨床試験を行った国を重点に世界中で申請を進めるとしている。 米国でこの療法の緊急使用許可を申請しているという。

騰盛博薬の関係責任者は、「中国国内の価格はまだ未定だが、生産能力には弾力性があり、ニーズを踏まえて調整されるだろう」と述べた。


騰盛博薬生物科技(Brii Biosicences)のパイプラインは 下図の通りで、米FDAに申請しようとしているものが多い。


https://www.briibio.com/upload/BriiBio-Corporate-Presentation.pdf

米食品医薬品局(FDA)は12月8日、AstraZenecaの新型コロナウイルス感染症に対する抗体カクテル療法「Evusheld」について、免疫力が弱っている人や、ワクチンに対し重い副反応を示す人に対する緊急使用許可(EUA)を与えた。

ただFDAは、同抗体カクテル療法はワクチン接種の代替にはならないとし、「ワクチン接種が新型コロナ感染症に対する最も効果的な対策になっている」とした。

抗体カクテル療法「Evusheld」はAZD7442と呼ばれていた。

日本では、厚生労働省の新型コロナ治療薬の開発支援事業に採択されており、承認時の供給について政府と交渉している。

ーーー

AstraZenecaは2020年8月25日、COVID-19の抗体医薬品AZD7442のPhase Ⅰ 治験を開始すると発表した。

AZD7442 はCOVID-19の回復期の患者から採取したモノクロナール抗体 2種類(AZD8895 + AZD1061)を組み合わせたもの。筋肉注射で投与し、体内でウイルスが増えるのを阻止する仕組み。

特定の抗原に反応するこれらの抗体は米国のVanderbilt University Medical Centerで発見されたもので、AstraZeneca は6月9日に6種類のモノクロナール抗体についてライセンスを受けた。

AstraZenecaで半減期延長やFc受容体(FcRn)への結合の引き下げなどの最適化を行なっている。

2020/8/27 AstraZeneca、COVID-19の抗体医薬品の治験開始

AstraZenecaは本年10月11日、「抗体カクテル療法」の後期臨床試験(治験)で、患者の重症化や死亡のリスクを50%減らすことが確認されたと発表した。同社は「早い段階で治療することで重症化が大幅に抑えられ、効果は6カ月以上続く」としている。

米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請していた。

Volkswagen は12月8日、バッテリー技術で3社と戦略的提携契約を締結したと発表した。

自動車メーカーの電池、更にその原料への進出が急である。

ーーー

VWは3月15日に"Power Day" を開催、2030年までのEVなどの電動車向けバッテリーとその充電に関する技術ロードマップを発表した。

最重要部品となるバッテリーについて、電池メーカーとの合弁などを通じて40 GWh の工場を2030年までに欧州で6カ所設ける。規格を統一した電池("Unified Cell")を大量生産しコストを半減、ガソリン車より安いEVを目指す。

VWはスウェーデンのバッテリーメーカー Northvoltとの間で、今後10年にわたるバッテリー製造で140億ドルの契約を結んだ。

VWはNorthvoltの株式を追加取得し、Northvoltが欧州のVWグループ向けの主要な電池サプライヤーとなる。

提携の一環として、Northvoltのスウェーデンのプラントは拡張し、40 GWh とする。NorthvoltはドイツのSalzgitterのJV持ち株をVWに売却することにも同意した。ここも40 GWh に増強する。

今後、2026年には西欧(スペインかフランスかポルトガル)に1工場、2027年には東欧(ポーランドかスロバキアかチェコ)に1工場、2030年までにあと2工場を建設し、合計6工場 240GWh の能力とする。

標準的な電池容量のEV換算で、合計500万台分相当の電池を生産できる。

2021/3/23 VWグループ、EV向け次世代電池を大量生産

ーーー

今回の戦略的提携契約は次の通り。

1)  ベルギーの素材大手Umicore と電気自動車(EV)向け電池の正極材を合弁で生産する。

2025年から欧州で生産を始め、2030年までに約220万台分の生産体制を整える。内製化を進めて安定調達を確実にする。

合弁会社はまずVWがドイツ北部Salzgitterで立ち上げ中の電池セル工場にEV約30万台に相当する20GWh 分を供給する。2030年に生産能力を160GWh 分(Battery Electric Vehicle 220万台分)まで高める。

3月に公表した欧州の6つの巨大な電池セル工場で必要となる正極材の半分以上を確保する。合弁会社は今後、正極材の原料となるコバルトやリチウムなどのリサイクルも事業範囲に含めることを検討する。

Umicore は、機能材料メーカーで、その事業はエネルギー関連材料、触媒、 貴金属リサイクル、パフォーマンス材料の4つのビジネスグループに分かれており、自動車触媒、リチウムイオン電池材料、太陽電池、燃料電池、貴金属リサイクルのクリーンテクノロジー分野に注力している。

Horizon 2020戦略として、特に資源不足、排出抑制、輸送の電化という3つのメガトレンドに牽引されているビジネスにおいて、成長とパフォーマンスの加速を目標としている。

日本では、日本触媒との自動車用排気ガス浄化触媒のJVのユミコア日本触媒(Umicore 60%、日本触媒40%)を持つ。

2)  VWは電池開発スタートアップの米24M Technologies, Inc.への出資も決めた。製造プロセスの独自技術を持ち、電池生産のコストを大幅に削減できる可能性があるとしている。

24M Technologies (CEO Naoki Ota) はMIT(Massachusetts Institute of Technology )からのスピンオフで、独自の半固体プロセスを確立し、多数の技術特許を取得している。最大の特徴は、現行リチウムイオン電池の性能を維持・向上できることに加え、使用部材の削減、製造プロセスの簡略化により、価格競争力・リサイクル特性・安全性の高い製品を提供できる点にある。

半固体電極はMITのDr. Yet-Ming Chiangにより発明された。バインダーを使用せず、電解質と活物質を混合して粘土(クレイ)のようなスラリーを形成する。独自のスラリーにより、より簡単な製造プロセスを可能にしながら、より少ない体積、質量、およびコストで厚い電極を作成することができる。

greencarcongress.com


当該特許技術を複数の製造パートナーにライセンス供与することで、半固体リチウムイオン電池の普及を進めている。2020年には京セラが商業生産を開始している。

京セラは2019年10月、世界初となるクレイ型リチウムイオン電池の開発に成功するとともに、採用製品の第1弾となる住宅用蓄電システム「Enerezza」を2020年1月に少量限定発売すると発表した。クレイ型リチウムイオン電池は、粘土(クレイ)状の材料を用いて正極と負極を形成することから名付けられた。


伊藤忠商事は5月18日、リード投資家として出資ラウンドを取りまとめ、第三者割当増資を引き受け、24M Technologiesを伊藤忠商事の持分法適用会社とした。

3) VWは、Upper Rhine Valley でリチウムを生産するスタートアップの豪Vulcan Energy Resources Ltd とリチウムの購入で合意した。

水酸化リチウムを2026年から5年間調達する。二酸化炭素排出が少ないリチウム(ZERO CARBON LITHIUM™) 生産が売りのVulcanはUmicoreやStellantisとも供給契約を結んでいる。

Vulcan Energy Resourcesは9月29日、Zero Carbon Lithium™プロジェクトで計画中のCentral Lithium Plantの用地について独Frankfurt郊外のIndustriepark Höchstに確保したと発表した。

地熱とリチウム吸着装置を組み合わせた複数のプラントで塩化リチウムを処理して水酸化リチウムに変換する。

ドイツでの生産で欧州の顧客に対し、現在のリチウムサプライチェーンの輸送フットプリントを大幅に削減する形で、水酸化リチウムを提供できる。

日立とGEのJV、GE Hitachi Nuclear Energy は12月2日、カナダのOntario Power Generationより、Darlington新原子力発電所プロジェクトのテクノロジーパートナーに選ばれたと発表した。

小型モジュール炉である「BWRX-300」をDarlingtonに建設する。受注額は非公表。2022年内に建設許可を申請し、最大4基を建設する。早ければ2028年に第1号機が完成する。

日本勢の小型の商用炉の受注は初めて。既存の原発よりも工期が短く、炉が小さく理論上は安全性が高いとされる。

BWRX-300への関心は世界中で高まっており、カナダに加えて、米国、ポーランド、エストニア、チェコの電力会社や企業と、この技術の導入を検討する契約を結んでいる。

ーーー

日立GEニュークリア・エナジーは、日立製作所;80.01%、GE;19.99%で、日立市に本社をを置く。

事業内容は、発電用軽水型原子炉施設、高速炉施設、原子燃料サイクル関連施設およびその他関連製品の設計、製造、販売、据付及び保守に関する業務としている。

日立GEニュークリア・エナジーでは,ABWR(Advanced Boiling Water Reactor:沸騰水型軽水炉)建設経験と燃料サイクル技術を基に,小型化・簡素化により安全性と経済性の両立をめざした
1) 次世代小型軽水炉BWRX-300,
2) 実績豊富な軽水冷却技術を用いた高速炉RBWR(Resource-renewable BWR:資源再利用型BWR),
3) 固有安全性を有する金属燃料を採用した小型液体金属冷却高速炉PRISM(Power Reactor Innovative Small Module:革新的小型モジュール原子炉)
の三つの炉型について,オープンイノベーションを活用した国際共同開発を進めている。


1) BWRX-300の特徴は次の通り。(今回採用)

電気出力300MW小型モジュール炉(Gen III+
革新的安全技術と成熟した沸騰水型原子炉技術の融合
シンプルな構成による大幅なコスト低減(建設,運転&保守,発電)
地下設置によるセキュリティ強化

現在商用化している出力100万キロワット級の原子炉に比べて出力が小さい。
工場で部品を組み立てて現場で設置する方式で品質管理や工期の短縮ができるため、建設費が通常の原発より安くすむとされる。



2) RBWR (Resource Renewable BWR
:資源再利用型BWR) はABWRBWRX-300を含むすべてのBWR応用可能な軽水冷却高速炉である。

再処理、MOX燃料技術の進展に合わせて導入
プルトニウム利用促進からTRU(
超ウラン元素燃焼、転換比1.0までニーズに合わせて対応

米国3大学(MITUCバークレー,ミシガン大学)との共同研究を推進
英国国立研究所,英国大学など
と連携



3) PRISM
(Power Reactor Innovative Small Module)については下記の通り。

電気出力165/311MWナトリウム冷却高速炉Gen IV

小型モジュール・タンク型構造
静的安全性(空冷・自然循環)
固有安全性を有する実績ある金属燃料
予備設計完了(事前安全評価NRC/NUREG-1368, 1994

ーーー

日本企業が参画している他の小型原子炉にNuScale SMRがある。

2021/5/31 日揮とIHI、小型モジュール原子炉事業に参画 

トヨタの米国子会社 Toyota Motor North America, Inc.は12月6日、約12億9,000万ドル(約1,430億円)を投資する車載用電池工場の建設地について、ノースカロライナ州のGreensboro-Randolph Megasiteに決定したと発表した。

車載用電池工場の概要は下記の通り。
名称 Toyota Battery Manufacturing, North Carolina
設立 2021年11月
出資 TMNA 90%  豊田通商 10%
従業員数  1,750名(予定)
資本金 $468M
事業概要 車載用電池の製造(当初はハイブリッド用に生産)

車載用電池工場は、2025年の稼働開始時には4本の生産ラインでそれぞれ20万台分のリチウムイオン電池を生産する予定。また、将来、少なくとも生産ラインを6本に拡張し、合計で年間120万台分の電池を供給することを目指す。


報道(2021年11月)によると、
最終的な決定を下していないが、同工場の建設でパナソニックと協力する見通し。

ーーー

トヨタ自動車97「カーボンニュートラル実現に向けて~トヨタの電池の開発・供給」を発表した。

トヨタと寧徳時代新能源科技(CATL)は2019年7月、新エネルギー車(NEV)用電池の安定供給と発展進化に向けての包括的パートナーシップを締結した。

トヨタと比亜迪(BYD)は2020年に電気自動車(EV)の研究開発で合弁会社を設立した。


トヨタ自動車は10月18日、米国において2030年までにBEV用 (Battery Electric Vehicle)を含む車載用電池の現地生産に約3,800億円を投資することを発表した。 上記の1.5兆円の一部。

車載用電池の現地生産の第一歩として、Toyota Motor North Americaが、豊田通商とともに米国で新会社を設立し、2025年からの稼働を目指す。2031年までに約12億9,000万ドルの投資と、現地での新規雇用1,750人を見込 む。(今回の発表)


トヨタの電動化に関する概要:

  • これまでグローバルで累計1,870万台、米国で450万台の電動車を販売
  • 現在米国販売の約25%が電動車であり、2030年には約70%が電動車となる見通し
  • 需要の高まりを受け、現在グローバルで55車種のHEV(Hybrid)、PHEV(Plug-in Hybrid )、FCEV(Fuel Cell )、BEV(Battery)といった電動車のラインナップを2025年までに約70車種へと拡大
  • 上記グローバルで約70車種の電動車のうち15車種がBEV、うち7車種がbZ(beyond Zero:単なる「Zero Emission」を超えた価値を顧客に提供)シリーズとなる予定
  • Zero Emission Vehicle(Battery Electric Vehicle、Fuel Cell Electric Vehicle)について、2030年までには、グローバルで年間200万台、米国においては、年間150~180万台のZEVを含む電動車を販売する見通し

東洋エンジニアリングは12月3日、インドネシア最大の石油化学会社であるChandra Asri Petrochemical の子会社であるChandra Asri Perkasより、インドネシア・ジャワ島西部チレゴンに新設される大型石油化学の第二期プロジェクトsecond world-scale petrochemical complex in Indonesia:CAP2) のFEED業務を受注したと発表した。 他に、Samsung Engineering、Wood、PT Haskoning Indonesiaの3社も受注している。


TOYOは本プロジェクトのPackage-A(オレフィン・芳香族回収系・ブタジエンの生産設備、ユーティリティ設備)のFEED業務を請け負う。

TOYOは1990年代に受注したエチレン製造設備を初めとし、Chandra Asriから複数の建設プロジェクトの受注実績がある。

2011/6/8  Chandra Asri の増設計画

2013/9/20 インドネシアのChandra Asri、エチレン増設


Chandra Asri の石化の現状は下記の通り。


2013/6/26 Michelin とChandra Asri 、インドネシアに合成ゴム製造JV設立


Chandra Asri の
CAP2は下図の通り。


採用技術は下記の通り。

CB&I Lummus Technology : ナフサクラッカー、ブタジエン
GTC Technology : BTX recovery
Texplore : HDPE
Lyondellbasell : LDPE、PP

国営タイ石油公社(PTT)系の石油精製大手Thaioil は2021年7月29日、Chandra Asri Petrochemical に15%出資すると発表した。9月末までに同社が発行する新株を最大914百万ドルで取得する。

タイのSiam Cement Group は2011年9月、Chandra Asriの株式30%を取得(シンガポールのTemasekから23%、Baritoから残り7%)を買収、経営に参画した。
同社も今回、Chandra Asriの新株を最大434百万ドルで取得し、出資比率を維持する。

多額の資金調達がネックとなっていたChandra Asriにとっては、タイ化学業界の二大陣営から合わせて13億ドルの投資を引き出したことで、計画実現に光明が差した。

Chandra Asriは新株発行で調達した資金をCAP2建設にあてる。プラントが5年以内に完成した 場合、Thaioil は最大270百万ドルを追加出資する。

Thaioil はナフサを供給する契約も結ぶ。


Chandra Asri
はスハルト元大統領の次男のバンバンのビマンタラ・グループ、合板王と呼ばれる彭雲鵬が率いるPT Barito Pacific林紹良が率いるサリム・グループからスピンオフしたナバン・グループが75%出資し、日本インドネシア石油化学投資(丸紅85%、昭和電工10%、TEC5%)が25%出資して設立された。 

    2006/4/26  インドネシアのエチレン計画への日本企業の参加-1

現在の株主構成は下記の通り。

Barito Pacific    34.54%    当初の株主
Temasek Holdings      シンガポールの政府系投資機関 
Siam Cement Group   30.57%    
Thaioil 15.00%
他 4社 19.89%
三菱ケミカルホールディングスのJean-Marc Gilson社長は12月1日の経営方針説明会で新経営方針「Forging the future 未来を拓く」を発表した。

2021/12/2 三菱ケミカルホールディングス、石油化学事業及び炭素事業を分離・再編へ 

席上、グループ会社の生命科学インスティテュートが開発を手掛けている再生医療Muse 細胞について、脳梗塞の適応で2021年度に承認申請、2022年度に承認取得を予定していたが、「非常に慎重に検討してきた結果、日本での限定的な臨床試験に基づく条件・期限付き承認の申請を取りやめることにした」と明かした。

日本における限定的な臨床試験のみでは、米国やEU市場でのポテンシャルが大きく制限されることを理由に挙げ、「当面はMuse細胞の作用機序に関する科学的理解を深め、準備が整った段階で完全な第3相試験に向けて取り組んでいく」と述べた。

Muse細胞の開発では、脳梗塞の他、心筋梗塞、表皮水疱症、脊髄損傷、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、新型コロナウイルス感染症に伴う急性呼吸窮迫症候群を対象とした臨床試験を行っている。(詳細下記)

しかし、 Gilson社長は「10年以内にMuse細胞が当社の収益に貢献することは期待できないだろう」と述べた。

ミューズ細胞への期待が高かっただけに、この発言が投資家の失望につながり、株価が下がった。


なお、カナダの子会社
Medicago Inc. による新型コロナワクチン(MT-2766)について「第3相試験結果の分析を終えようとしているところであり、大変有望な結果となりそうだ」と述べた。

カナダでは12月中の承認申請を予定しているが、米国、日本での申請時期はまだ確定していない。

2021/10/3 田辺三菱製薬、カナダ子会社のCOVID-19ワクチン候補の日本における臨床試験開始

北米では他に、経口ラジカヴァ製剤(MT-1186)を2022年度、赤芽球性プロトポルフィリン症およびX連鎖性プロトポルフィリン症治療薬(MT-7117)を2023年度、パーキンソン病治療薬(ND0612)を2024年度に上市を目指しており、これら4品目で2025年度に1300億円以上の売上への貢献を見込んでいる。 (但し、すべてが承認を得て上市でき、そのうえで競合品に勝てるかどうか、不明である)


新経営方針「Forging the future 未来を拓く」では、ヘルスケア(ワクチン、中枢神経、免疫炎症)を最重要戦略市場の一つに位置付けているが、
Gilson社長は「医薬品事業を現在の規模よりも大きく成長させる方法を積極的に検討しており、中長期的には日本での売上が大半を占める製薬会社のままでいるということは現実的なオプションではないと考えている。違う可能性を検討していく」と述べた。

医薬品は開発から承認取得まで時間がかかり、効能、副作用、他社との競合などで撤退せざるを得ない可能性も非常に高い。「大きく成長させる」には買収しかないが、各社とも目ぼしい買収先を探しており、買収金額は高騰している。

武田のShire 買収は6.2兆円であった。AstraZenecaは7月に希少疾患用医薬品の開発を手掛ける米バイオ製薬会社 Alexion Pharmaceuticalsを買収したが、買収額は390億ドルであった。

2019/1/5 武田薬品、1月8日にShire plcの買収完了へ
2015/5/9 米希少病治療薬メーカーのAlexion、同業のSynageva BioPharmを買収 付記

これらの場合は既に市販している製品が多いため高額になったが、新規企業で有望な開発品をもつ場合、逆に開発品が上市できないリスクを持つ。

今後に注目である。

ーーー

三菱ケミカルホールディングスは2015年5月、生命科学インスティテュートが次世代医療事業の中核と位置付ける再生医療分野への参入を図るべく、Muse細胞 (Multilineage-differentiating stress enduring cells)を利用した再生医療開発を進める㈱ Clioの全株式を取得し、連結子会社とする と発表した。

Muse細胞は、2010年に東北大学の出澤 真理教授のグループによって発見された、生体に存在する新しいタイプの多能性幹細胞で、血液や骨髄、各臓器の結合組織に存在し、内胚葉(肺や肝臓、膵臓など)、中胚葉(心臓や腎臓、骨、血管など)、および外胚葉(神経組織や表皮など)の様々な細胞に分化する能力を持っている。

もともと生体内に存在するので、安全性への懸念が低く、また、腫瘍化のリスクも低いという特徴がある。

これらの性質から、様々な疾患を対象にした再生医療にMuse細胞を応用することが注目されている。

Muse細胞による再生医療は、ドナーから採取したMuse細胞をそのまま静脈内に点滴で投与する。遺伝子の導入や事前の分化誘導が必要なく、外科手術も必要ない。

間葉系幹細胞の特徴として免疫応答が寛容なため、自分の幹細胞でなくともドナー由来の他家幹細胞を利用することが可能で、Muse細胞製剤は凍結保存しておけば、必要な時に医薬品のように使用できる。

投与されたMuse細胞は、傷ついた臓器が発するSOSシグナルに導かれて遊走し、傷害部位に集まり、傷害臓器に応じた細胞・組織に自発的に分化し、そこに生着して傷害された組織や臓器を修復していく。その結果、傷害を受けていた臓器の機能が回復する。

Muse細胞による再生医療には、次の特徴があり、患者にとって身近な治療方法となる可能性がある。

  • 遺伝子導入が不要であり、腫瘍化を含めた安全性への懸念が非常に低い
  • ドナーの細胞(他家細胞)をそのまま投与しても拒絶反応が起こりにくいため、ドナーマッチングが不要
  • 事前の分化誘導が不要なため、必要な時にすぐに投与ができる
  • 静脈内に点滴で投与するので、侵襲が少ない


素人目には素晴らしいものである。

「日本における限定的な臨床試験のみでは、米国やEU市場でのポテンシャルが大きく制限される」のであれば、欧米企業との提携で大々的に開発を進める手はないのだろうか。

米上下両院は12月2日、翌日で期限切れとなるつなぎ予算を来年2月18日まで延長する法案を賛成多数で可決した。

まず、下院が賛成221票、反対212票で同つなぎ予算を可決した。共和党から支持に回った議員は1人だけだった。

  共和党 民主党 合計
賛成 1 220 221
反対 212 212
合計 213 220 433


上院は、賛成69票、反対28票で可決した。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 19 48 2 69
反対 28 28
棄権 3 3
合計 50 48 2 100


バイデン大統領は12月3日、これに署名、同予算が成立した。

政府閉鎖はぎりぎりで回避されたが、連邦政府の借入限度額を定める債務上限問題も期限が迫っている。



バイデン大統領は10月14日に債務上限を4,800億ドル引き上げる法案に署名、成立した。

イエレン財務長官は、12月15日までの財政資金を確保しているが、その先は資金繰りが行き詰まる恐れがあると警告している。

2021/10/12 米上院、債務上限の一時引き上げ可決 

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361  

最近のコメント

月別 アーカイブ