「no」と一致するもの

11月18日、中国で国家反独占局(国家反垄断局)が発足した。

これまで独禁法は国家市場監督管理総局が管理していたが、国家市場監督管理総局から分離独立する形で誕生した。同じビルに入居する。

11月15日に国務院は国家市場監督管理総局の甘霖・副局長を独占禁止法担当部門の局長に任命した。この時点で独禁法担当部門の名称が「反壟断局」から「国家反壟断局」に変更されており、部門の地位が格上げされる可能性があると見られていた。

国家市場監督管理総局は今年、オンラインプラットフォーム運営企業を中心に、反競争的行為の取り締まりを強化しており、甘霖氏は大きな役割を果たしてきた。

2021/7/29 中国独禁法当局、規制強化  

ーーー

中国の反壟断法(独占禁止法)は2008年81日施行された。

2008/8/4 中国、独占禁止法施行

当初は独禁法は下記の体制で実施されてきた。
反壟断委員会(国務院直属) 独占禁止政策の調査、市場動向のモニター、執行機関間の政策の調整
実務
機関
発展改革委員会価格調査局 価格独占行為の調査・処分
商務部反独占局 事業者結合行為
国家工商行政管理総局
(工商総局)
独占協定、市場支配的地位の濫用、行政権力を濫用した競争の排除・制限(価格独占を除く)


2018年3月、中国の「構造改革」の一環として、
国家工商行政管理総局、国家品質検験検疫総局、国家食品薬品監督管理総局を統合し、国務院直属機構の国家市場監督管理総局が新設された。

これに合わせ、 これまで分割して管理されていた各省庁の独禁法関連の業務は全て、国家市場監督管理総局の反独占局に移管された。


2018/6/9 中国の独禁法執行体制変更

 

今回、国家市場監督管理総局から分離独立し、独禁法専任の国家反独占局(国家反垄断局)が生まれた。独禁法関連業務をすべて管轄する。

人民網日本語版は次のように報じている。

市場経済が発展するにつれ、公平な競争がますます重要になっている。現在、中国のマーケットエンティティの総数はすでに1億5千万を突破し、反独占の取り組みの強化と資本の無秩序な拡大の防止は、高水準の市場システム構築、質の高い発展推進、共同富裕の促進、高水準の対外開放実現への重要な意義がより一層顕在化している。

国家反独占局が発足したのは、反独占の体制・メカニズムのさらなる改善を体現している。このことは、反独占の監督管理の力を充実させ、市場における競争行為を着実に規範化し、強大な国内市場の建設を促進し、各種のマーケットエンティティの投資と事業展開、規範的で健全な発展のために、公平で透明かつ予測可能な良好な競争環境を創出するだろう。

ーーーーーーーーーーーーーー

前日以前のブログを続けてみる場合は、ページトップのタイトル(下の部分)をクリックしてください。


過去のデータは下記から利用できます。

ブログ バックナンバー目次

データベース

ブログ & データベース専用検索

Google
www.knak.jp を検索

COVID-19関連はここをクリック

Royal Dutch Shellは、元は、オランダの Royal Dutch Petroleum(正式名 N.V. Koninklijke Nederlandsche Petroleum Maatschappij)と英国のThe Shell Transport & Trading Company plcという別々の会社であった。
前者は1890年に
オランダ王室からの特許状を得て、設立されたオランダ領東インド石油開発会社が元である。

Rockefeller 系のStandard Oil との競争が熾烈になったため、両社は1903年にAsiatic Petroleum CompanyというJV設立をきっかけに提携、1907年にRoyal Dutch Petroleumが60%、Shell が40%の比率で出資する持株会社を通じてグループ企業を統治するRoyal Dutch Shell Groupを形成した。この二元上場会社が100年近く続いた。

2005年5月、Royal Dutch Shell Groupは統合した。

新会社 Royal Dutch Shell plc を設立し、2つの親会社(Royal Dutch PetroleumとThe Shell Transport & Trading Company)を実質的に吸収する。

新会社は英国に設立され、本部はオランダのハーグに置き、税務上の本社はオランダに置く。

これまでの出資比率を守るため、Royal Dutch Petroleum株主には新会社の株式の60%、The Shell Transport & Trading Company株主には40%が支給される。

株主の受取配当金の税務上の扱い(源泉徴収の有無)を維持するため、新会社はA株とB株を発行する。
A株は
Royal Dutch Petroleum株主に支給され、B株は Shell Transport & Trading株主に支給される。

配当はユーロ建てで決まるが、B株の株主は英ポンドで受け取る。ADRの保有者は米ドルで受け取る。
(会社はオランダ法人で、ポンドでの配当支払いは出来ないため、形式的に、英国法人である子会社のShell Transport and Trading / BG Group から配当を受ける形をとる。)

A株はオランダ株のため、オランダの源泉徴収税 15%がとられる。B株は英国株で、源泉徴収課税はない。

ーーー

今後は税制上の拠点を英国に移し、株式の二重構造も廃止して英国に一元化する。

株主の立場はこれまでと変わりない。

新会社の株式はAmsterdamと London、ADRについてはNew York で上場される。

配当の受取方式は次のようになる。





東京電力と中部電力のJVのJERAは11月15日、米国のFreeport LNGプロジェクトを運営するFreeport LNG Development, L.P.に出資すると発表した。
インフラファンドであるGlobal Infrastructure Partnersの子会社が保有するFreeport LNG Developmentの全権益 約25.7%を約25億米ドルで取得することを定めた権益売買契約を締結した 。

これまでの情報ではGlobal Infrastructure持分は25%で、今回の25.7%との差については不明。)


Freeport LNG Developmentのパートナーは下記の通りとなる。

Michael S. Smith 会長 57.5%
大阪ガス 10% Contango Oil & Gas
JERA 25% Global Infrastructure Partners Zachry American Infrastructure ←Cheniere Energy
Dow 7.5%


大阪ガスは2008年に出資。

Dowは2013年5月にFreeport LNGのLNG輸出プロジェクトには参加しないと発表している。

このため、Michael S. Smith 会長 以外は、日本の大阪ガスとJERAが実質的な株主である。


大阪ガスとJERAは既に、第1系列の液化会社に出資している。



Freeport LNGは2005年にテキサス州FreeportのQuintana IslandにLNGを海外から輸入してガスに戻す設備を完成させたが(Dowはこの事業に参加)、米国内でガスの採掘が進んだため、天然ガスの液化設備を建設してLNGの輸出基地に替えることを決め、2010年にエネルギー省に輸出認可を申請した。


Freeport LNGの能力は公称
440万トン/年×3系列で、現状は3系列合計で約1,545トン。

商業生産開始:第1系列 2019/12/8、第2系列 2020/1/17第3系列 2020/5/5  

第4系列(500万トン)を計画中。

2012年4月にFreeport LNGは大阪ガス、中部電力(現在はJERA)との間で年220万トンずつ、合計440万トンの輸出契約を締結、同時に第一系列の液化会社に大阪ガスと中部電力が25%ずつ出資する契約を締結した。

LNG輸出のFTA非締結国向けについては
2013年5月に承認を受けた。(FTA締結国向けは 2011/2)

2013/5/20 米エネルギー省、日本へのLNG輸出を許可

今回のFreeport LNG Developmentの出資により、JERAは、 第1系列液化会社への参加に加え、既存のフリーポートLNGプロジェクト(全3系列、年間生産能力約1,545万トン)全体に関与するのみならず、同社とともに、生産能力拡張プロジェクトや第4系列の開発などの新規LNG事業を進めることとなる。 (大阪ガスは既にこの立場にある。)

第3系列からの購入を契約した東芝は2018年11月、米国産LNGに係る事業から撤退すると発表した。

中国の民間ガス大手奥生控股股份(ENN Ecological Holdings )への売却を決めたが、解除され、最終的にTotalに売却した。

2019/4/13 東芝、米国のLNG購入契約 譲渡できず 末尾に記載

Freeport LNG は2018年9月、住友商事の米国子会社との間で年間220万トン、20年間のLNG供給契約を締結したと発表した。

契約は、テキサス州Freeport の近くのQuintana Islandで建設中の第4系列LNGプラント(年産500万トン)が商業生産を開始する2023年にスタートする予定。

2018/9/12 住友商事、Freeport LNG とLNG長期購入契約締結 

しかし、この契約は最終契約が締結されないまま、2020年に終了した。第4系列はまだ着工していない。

グローバルな需給ひっ迫のなか、多くの交渉が続いているとされ、CEOは、うまくいけば2022年夏にも着工の最終決定をするだろうとしている。

米日用品・製薬大手Johnson & Johnson(J&J)は11月12日、日用品や市販薬を含む「消費者向け部門」と、処方薬や医療機器などの「医療向け部門」の2事業に分割すると発表した。

現在は「消費者向け」と、処方薬やワクチンを含む「医薬品」、手術用医療器具などを扱う「医療機器・診断器具」の3部門を経営の柱としている。

消費者向け事業をスピンオフして、上場企業とし、本体は医療向け事業に注力する。スピンオフは18─24カ月での完了を目指すとしている。

同社のCEOは、「今後数十年にわたり価値を提供するため、事業を継続的に進化させる必要がある。消費者向けの分離は、患者や消費者、医療従事者へのサービス提供を加速させ、高い収益性と成長を促進する最善の方法だ」と述べた。

ーーー

「消費者向け」Consumer Health Company は、下記のような有名製品を持ち、世界で毎日、多くの消費者が使用する。

バンドエイド、リステリン、ボディケア用品(ニュートロジーナ、アビーノ)、赤ちゃんのスキンケア、使い捨てコンタクト(アキュビュー)、OTC医薬品(頭痛薬「タイレノール」、禁煙補助剤「ニコレット」、皮膚用薬、鼻炎用薬、鎮咳去痰薬、目薬など)

売上高10億ドル以上が4ブランド、150百万ドル以上が20ブランドに及ぶ。

2021年度の売上高見通しは150億ドル。

新しいJohnson & Johnsonはがん治療薬やワクチン、手術用機器などの「医療向け」専業となる。2021年度の売上高見通しは800億ドルで、消費者向けを大きく上回る。

医療用医薬品はJanssen Pharmaceutical が担当、「がん」、「免疫疾患」 、「精神・神経疾患(中枢神経・疼痛)」、「ワクチン」 、「代謝・循環器疾患」の5つの疾患領域を扱っている。

同社の新型コロナワクチンはFDAのEUA、WHOの承認を受けており、2021年5月に厚労省に申請した。1回接種で済む。

医療機器は、抗菌縫合糸等の創閉鎖・創傷管理関連製品、不整脈診断治療支援システム、整形外科用医療機器(骨接合材料)、脳血管内治療用医療機器、使い捨てコンタクトレンズ「アキュビュー®」など。

ロシアの国営エネルギー大手Gazpromは9月10日、ロシア産天然ガスをドイツに運ぶパイプライン「Nord Stream 2」の完成を発表した。

Nord Stream -2 は全長約1200キロメートルで、サンクトペテルブルク北方のビポルクからバルト海海底約1200キロを通ってドイツ北東部グライフスバルトまでを結ぶ。輸送能力は年550億立方メートルで、ロシアの欧州へのガス輸出量の約4分の1に当たる。

2019/11/9 Nord Stream -2、年内完工へ

付記

ドイツ連邦ネットワーク庁は11月16日、「Nordstream 2 」の認証手続きを凍結すると発表した。

運営する事業会社の「Nordstream 2 AG」はGazpromの子会社で、スイスに本拠を置くが、連邦ネットワーク庁は書類審査の結果、ドイツの法律に基づいて組織された事業会社だけが認可手続きの対象になるとの結論を出した。Nordstream 2 AGはドイツの法律に基づく子会社を設立する方針で、子会社が改めて認可を申請する。

ドイツ経済省は11月26日、「Nordstream 2 」を承認してもEUへのガス供給を脅かすことはないと発表した。EU諸国との協議の上、分析結果を当局に提出したとした。「分析の結果、承認はドイツおよびEUへのガス供給の安全性を脅かすものではないと結論付けた」と指摘している。

経済省のガス供給に関する分析は当局が承認手続きを続けるための需要な要件となっている。


付記

ドイツのショルツ首相は2022年2月22日、ノルドストリーム2の認可手続きを停止する考えを表明した。ロシアがウクライナ東部の武装勢力が支配する地域を独立国家として承認し、派兵を決めたことを受け、事実上の制裁に踏み切る。

独経済省に対してガス供給に関する報告書を撤回するように要請したことを明らかにし「技術的に聞こえるが、これによってパイプラインは認可できなくなる」と説明した。

ーーー

パイプラインは欧州のロシア産ガスへの依存を高め、ウクライナを迂回するものと批判されている。ロシアによる2014年のクリミア半島併合以降、対立関係にあるウクライナは、ロシアがパイプラインを「危険な地政学的武器」として利用する可能性があると欧州に警告してきた。

トランプ前大統領はこの計画でドイツのMerkel 首相を批判していた。バイデン大統領もNord Stream 2は欧州にとって悪い取引だと信じていると語っていた。

しかし、バイデン大統領は5月25日、Nord Stream 2 計画の完了を容認する立場を表明した。

バイデン大統領は、「私は初めからNord Stream 2に反対してきた」と述べつつ、一方で、同プロジェクトは自身が大統領に就任した際にはほぼ完成していたと指摘した。その上で、「そのため、現在さらに制裁を科し続けることは、米国の欧州との関係の観点から非生産的となり得ると考えている」と発言した。

米国とドイツは7月21日、Nord Stream 2 の建設計画をめぐる合意を発表した。米独両政府の共同声明では、ロシアが天然ガスなどのエネルギーを、敵対関係にあるウクライナなど他国を揺さぶる「武器」として使用した場合、ドイツが独自の制裁措置をとるほか、EUにも制裁を働きかけることを明記した。

2021/5/28 米、ガスパイプライン計画「Nord Stream 2」を容認 

欧州で天然ガス価格の高騰が止まらない。世界経済の回復によるエネルギー需要の高まりや風力発電の不振などが要因とみられる。

国際エネルギー機関(IEA)は9月21日、声明を出し、ガス価格上昇について解説した。  
それによると、需要の回復、技術的問題などによる供給体制の混乱、異常気象などの要因が重なっている。昨年の欧州の冬が異常に寒く、しかも長期間続き、暖房需要が増えた。加えて、ここ数週間、風が弱く、風力エネルギーをいつものように利用できないでいるという問題もあるという。


Nord Stream -2 は完成したが、稼働にはドイツの独禁当局の承認を得る必要がある。障害は2019年のEUガス指令の改正である。

次の3つが条件となるが、2019年4月に欧州議会は、このルールをNordstream-2のような、第3国からEU圏へと入ってくるガスパイプラインへも適用する内容の指令を採択した。

(1)ガスの供給とガスの輸送を分離すること
(2)ガス輸送のために第三者にその利用を解放すること
(3)料金体系のドイツ規制当局による承認

(1) はEU域内の部分のみで、ドイツの領域の海底から上陸地点を経て既存のパイプライン網に至る接続部分に限り適用されるが、Gazpromが双方を担う現在の形態は認められない。

020年5月に欧州司法裁判所が、Nord Stream とNord Stream 2の2社による提訴を棄却しているが、デュッセルドルフ上級地方裁判所は本年8月25日、Nord Stream 2 AGによる訴訟を退けた。


付記

EU司法裁判所の法務官は10月6日、事業会社はガス指令について争う立場にないとの一般裁判所の判断を覆し、ガス指令の改正はそれ以前に建設が始まっていたノルド・ストリーム2だけが対象であることが実態であることなどを指摘し、事業会社にとってガス指令は直接的な関心事項であるとして、EU司法裁判所で争う立場にあることを認めるとともに、ガス指令の条件の適用の有無という問題の実質については一般裁判所に差し戻すべきとした。


これに対し、ロシア政府は早期稼働を求め、EUに対し圧力をかけている。

一部にはロシアが価格上昇を演出しているのではとの疑惑が出ている。

Gazpromは、供給契約で定められた約束は守っていると主張、欧州の大手ガス7社はGazpromが長期契約義務を果たしていると認めた。

プーチン大統領は10月21日、「ドイツの規制当局があす供給を許可すれば、その翌日には175億立方メートルのガスの供給が始まる」と述べた。また、ガス不足と価格高騰はEUのエネルギー政策の責任だと指摘した。

Nord Stream 2の運営会社は10月18日、2本あるパイプラインの1本目について操業開始に向けテクニカルガスを充填したと発表した。2本目のラインについても稼働準備が順調に進んでいる。


韓国でディーゼル車の運行や工場の操業に必要な尿素水が不足し、大問題となっている。

尿素水は排気ガスの浄化に使われている。韓国では、2015年以降に製造されたディーゼル車は、ディーゼルエンジンの排気中の窒素酸化物(NOx)を尿素水で浄化する尿素SCRシステムを搭載する必要がある。

韓国は他国に比べてディーゼル車の占める割合が高い。国内で運行中の車両約2600万台のうち、ディーゼル車は919万台を占め、尿素水を満たしておく必要のある排気ガス低減装置を装着した車は21%の216万台に達する。

尿素水がないと、乗用車は発進できず、トラックも最大時速20キロでしか走行できない。
排気ガス低減装置(SCR)には、尿素水を定期的に入れる必要があり、尿素水が不足すると警告灯がつき、エンジンがかからないようになるソフトウェアが使われている。

トラックの運行が止まれば、ガソリンスタンドにガソリンを供給できなくなる事態も想定される。ほぼすべての産業で物流コストが上がり、日用品の値上げにつながりかねない。

工業部門も環境汚染対策の一環で尿素の利用を義務付けられており、尿素が不足すれば、生産が止まる恐れがある。

2020年に輸入された尿素 835千トンのうち、工業用は34.7%、車両用は9.8%、残りは肥料用だった。

産業用尿素水は純度が低く不純物が多い。自動車に注入すれば、排気ガスの汚染物質が十分に取り除けない恐れがある。

なお、韓国外交部は11月10日、「中国製尿素の輸入手続きを速やかに進めるため、さまざまなルートで中国側と意思疎通した結果、わが企業の契約済みの物量1万8700トンに対する輸出手続きが進められることを確認した」と明らかにした。

尿素水の尿素濃度は約30%のため、尿素水5万6100トンを生産できる量となる。
韓国で1カ月に自動車運行に使われる尿素水は2万5000トン程度。

付記

ロッテ精密化学は11月11日、グループの辛東彬(重光昭夫)会長が自身の人脈を動員し、ベトナム(8000トン)、サウジ(2000トン)、日本(1000トン)、ロシア、インドネシアから尿素計1万1700トンを単独で確保したと明らかにした。

付記

中国が10月から輸出規制を始めたことで、日本(輸入の3割を中国に依存)でも品薄感が広がった。

経産省は12月に原料の尿素の増産を国内メーカー(三井化学と日産化学)に要請した。メーカーは増産に応じており、品薄感が改善に向かう見込み。

三井化学は定修開けの12月から従来より15%増のフル生産体制に入った。日産化学は8月からフル生産体制に入っている。

ーーー

アンモニアは窒素酸化物の酸素と結合する性質があり、窒素酸化物にアンモニアを吹きかけることで化学変化を起こして窒素(N2)と水(H2O)に還元される。
「SCR」は「Selective Catalytic Reduction」(選択的触媒による還元)の略で、外部から排気ガス中にアンモニアを加えることで、窒素酸化物を浄化する。

アンモニアを車両に積むのは危険な為、尿素水をタンクに入れて搭載し、これを排気中に噴射することにより高温化で加水分解させアンモニアガスを得る。

https://opty.co.jp/?page_id=211

ーーー

韓国では、韓国肥料(現ロッテ精密化学)など、国内で尿素を生産するメーカーがあったが、2010年代初頭に尿素水の生産から撤退し、100%を輸入している。

輸入品の97%が中国産であるが、中国は先月、国内市場を優先するため、輸出を制限した。

中国は毎年500万トンの尿素を世界市場に供給しているが、10月11日、自国内の肥料供給への支障を理由として、尿素に対する輸出前検査を義務付けた。
尿素は農業用化学肥料の最重要原料だが、9月初めまでは1トン当たり2500元を下回っていた尿素価格が急騰し、10月末にはほぼ3500元になった。

冬の小麦栽培を控えて中国海関は、特に検疫や検査なしに輸出されていた尿素などの29種の肥料品目に対して、検疫を義務付けた。

韓国政府は公的部門の尿素備蓄を放出しているほか、軍の備蓄も放出する。ベトナムや豪州などから尿素水を緊急輸入すると決め、まずベトナムから200トンの尿素を確保。最大1万トンの確保に向けて他の諸国とも交渉を進めている。

中国石油化工集団(China Petroleum & Chemical Corp.:Sinopec)と米国のVenture Global LNGは11月4日、ルイジアナ州のPlaquemines LNG export facilityから年間計400万トンのLNGを供給する20年売買契約2件の調印を発表した。

また、Sinopec子会社の中国国際石油化工聯合(UNIPEC)は、Venture GlobalのCalcasieu Pass LNG export facilityから短期的に350万トンのLNGを購入することに合意した。

これは米国企業が締結したこれまで最大の単一のLNG供給取引で、中国の米国産LNG輸入は倍増する。

Venture Global LNGはエネルギー省から非FTA諸国向け輸出許可を取得 している。


Venture Global LNGはルイジアナ州の2カ所にLNG施設を持ち、それぞれで増設を検討している。

立地 能力
Venture Global Plaquemines LNG Plaquemines, Louisiana 年間2000万トン
Venture Global Calcasieu Pass LNG Cameron, Louisiana 年間1000万トン
Venture Global CP2 LNG Cameron, Louisiana 年間2000万トン
最高2400万トン
計画段階
Venture Global Delta LNG Plaquemines, Louisiana. 年間2000万トン 計画段階


ーーー

Venture Global LNGは9月2日、同社がポーランドのPGNiG(Polish Oil and Gas Company)に20年間、液化天然ガス(LNG)を年200万トン追加販売する契約に最終合意した。LNGはVenture GlobalのCalcasieu Pass LNGとPlaquemines LNGの両輸出施設から供給される。

2018年に両社が結んだ既存の売買契約を修正し、Calcasieu Pass LNGから購入するLNG量を年150万トン、Plaquemines LNGからの購入量を400万トン、合計550万トンとする。

BHPは化石燃料事業からの撤退の一環として、三井物産との原料炭JVのBMC(BHP Billiton Mitsui Coal)の権益80%を 豪Stanmore Resourcesに12億ドル (今後の石炭価格動向により最大1.5億ドルの追加の可能性)で売却することで合意した。
豪州の外国投資審査委員会からの承認が必要で、2022年半ばごろに売却が完了する見込み。

三井物産はBMCの20%の権益を維持する。

BMCはクイーンズランド州に操業中の2鉱山(Poitrel and South Walker Creek)を所有し、年間約1000万トンの石炭を生産している。主力炭鉱の1つであるPoitrel 炭鉱では、石炭処理・鉄道施設に関して豪の石炭生産企業 Peabody Pacificと提携している。

BMCのPoitrel 炭鉱はPeabody PacificのMillennium炭鉱と隣接している。Peabody Pacificは鉱山から採掘される石炭の処理施設や鉄道などの設備を所有しているが、BMCは2018年2月にこの権益の50%を購入、50/50JVのRed Mountain Joint Ventureとした。

BMCの権益を買収するStanmore ResourcesはシンガポールのGolden Energy and Resources が過半数権益を保有する。

Golden Energy and Resources は鉱山会社で、主にオーストラリアで原料炭・金、インドネシアでエネルギー石炭の探鉱、採鉱、販売に従事する。アジアで再生可能エネルギープロジェクトを対象にさまざまな投資も手掛ける。

Stanmore Resourcesはクイーンズランド州でIsaac Plains石炭コンプレックスを運営している。

Isaac Plains炭鉱は住友商事とVale のJVであったが、石炭価格の下落で大幅な損失を計上、2015年1月末をもって操業停止し、休山することを決定した。
両社は2015年7月、Isaac Plains炭鉱をStanmore Coal に 1 豪ドルで売却した

2014/10/1 住友商事、米国のタイトオイル開発などで大幅な損失計上

BHPは発表資料で、「今回の取引は当社の戦略に沿うものだ。世界が脱炭素化を進める中、BHPは効率性の向上と排出量の削減に向け世界の鉄鋼メーカーが求める高品質の原料炭の生産に一段と注力していく」と説明した。


BHPは三菱商事との50/50JVのBMA(
BHP Billiton Mitsubishi Alliance) を持つが、世界の鉄鋼メーカーが求め高品位炭のため今後も保有する。

2001年に三菱商事がBHP Billitonから権益を取得することによりBMAが発足した。

BMAはイーンズランド州東部に位置するオーストラリア最大の石炭埋蔵地域であるBowen Basinに7つの炭鉱(Goonyella Riverside、Broadmeadow、Daunia、Peak Downs、Saraji、Blackwater、Caval Ridge)を持つ。また、石炭を出荷するための港湾施設Hay Point の操業も行っている。

当初、9つの探鉱を運営していたが、Norwich Park炭鉱は石炭価格下落、洪水による生産減、高コストを理由に2012年5月に休止、Gregory Crinumも2012年10月に休止した。

このうち、Gregory Crinumについては、2018年5月に双日が約82億円で買収した。

2018/6/13 双日、三菱商事 / BHPBillitonから豪州の休止中の炭鉱を買収

BHPは他に、発電用石炭のMount Arthur complex についても売却方針を示し、多くの企業が関心を示している。米国のPeabody Energyが有力と見られている。


BHPグループは8月17日、石油・ガス事業を豪 Woodside Petroleumに売却すると発表した。

世界的な「脱炭素化」の流れをにらみ、本業である鉱業に経営資源を集中させる。 化石燃料から脱却し、「未来に目を向けた」商品へのシフトを目指す。

石油・ガス事業から撤退する一方、ニッケル事業を強化している。


2021/8/19 BHPが石油・ガス事業から脱却




米下院は5日夜、バイデン政権の2つの看板政策のうち、5500億ドル規模の超党派インフラ投資法案を可決した。

これは1兆ドル予算とも呼ばれる。既に予算配分済みの支出を除いた新規支出は約5,500億ドルである。

上院はすでに可決しており、バイデン大統領が署名すれば成立する。

2021/8/11 米上院、5500億ドル規模のインフラ包括法案を可決、下院採決時期は不透明

子育て支援などに10年で1.75兆ドルを投じる歳出・歳入法案は党内調整になお時間がかかるため採決を先送りした。

付記 バイデン大統領は11月15日、インフラ投資法案に署名、成立した。

ーーー

バイデン大統領は3月31日、国内のインフラの整備等に8年間で2兆2500億ドルを投入する新たな計画 American Jobs Plan を発表したが、これは、1兆ドルのインフラ包括法案と3兆5000億ドルの予算とに分かれた。

前者は上院で可決済みで、下院の決議待ちであった。
後者は、上院でのフィルバスターを避けるため、予算決議案→財政調整措置の形をとるが、予算決議案は上下両院で可決済みで、これをもとにした具体的予算案を討議中である。

肝心の民主党内で、党内の急進左派が子育て支援などの「3.5兆ドル法案」を可決するまでインフラ法案に賛成しないと主張し、逆に、財政膨張を懸念する中道派議員は3.5兆ドル法案の規模圧縮を要求し、与党内の調整がつかない状況である。

バイデン大統領は10月28日、1.75兆ドルのBuild Back Better Act を発表した。与党民主党内で意見が対立し、進展していない 「10年で3.5兆ドルの予算案」を修正し、早期の法案成立を目指すもの。

2021/11/1 バイデン大統領、10年間3.5兆ドルの予算案を修正  

ペロシ議長は2つの看板政策を同時に実現させる方針を示してきたが、難航した。

従来は共和党と民主党の争いで難航してきた。しかし、今回は共和党は静観しており、民主党内部の争いである。

民主党は11月2日投開票のバージニア州知事選で敗北、大統領の支持率が40%台前半まで落ち込み、威信が低下している。

大統領反転攻勢の切り札にしたい思惑から、11月5日の演説で、インフラ投資法案と総額1兆7500億ドルの大型歳出法案を5日中に成立させるよう呼びかけた。主要な下院議員には電話で直接協力を求めた。

しかし、6人の中道派議員が、1.75兆ドルの予算法案について「議会予算局による財源の精査が終わっていない」として早期の法案採決に反対した。下院で民主党から4人が反対すれば可決できないため、ペロシ議長は「説得は困難だ」と判断した。

次善の策として、議長はインフラ投資法案を先に成立させる方針に転じたが、今度は左派が、インフラ法案を通してしまうと、大型歳出法案がそのままでは通らない可能性があるとして議決に反対した。


最終的に中道派議員が「議会予算局の精査の結果が政府の推計と矛盾しなければ、大型歳出法案に賛成する」と文書で約束したことで、左派が態度を軟化させた。

それでも下院の議決でインフラ法案に民主党から 急進左派6名が反対した。

しかし、共和党から13名が賛成に回 り、ようやく可決された。大統領は与党民主党の反対で否決されるところを、野党共和党に救われた形となった。

  共和党 民主党 合計 欠員
賛成 13 215 228
反対 198 6 204
棄権 2 2
合計 213 221 434 1

欠員3議席のうちオハイオ州の11月2日の選挙で、2議席を民主、共和が分け合った。
欠員の残り、フロリダ州の議席は2022/1/11に決まる。

1.75兆ドル規模の大型歳出法案は議会通過のめどが立たない状況で、11月5日の下院採決が見送られた。

民主党下院指導部は11月半ばごろの可決を目指す。

Pfizerは11月5日、開発中の新型コロナウイルス向け飲み薬 PAXLOVID™の投与により入院や死亡するリスクを89%割減らせたとの臨床試験(治験)データを公表した。

緊急使用許可を得るため米食品医薬品局(FDA)に詳細なデータを提出する。

付記 Pfizerは11月16日、FDAに緊急使用許可(EUA)の承認を申請した。

付記

Pfizerは12月14日、PAXLOVIDによって、重症化しやすい患者の入院や死亡のリスクが89%減ったとする臨床試験の最終結果を公表した。
新たな変異株「オミクロン株」にも有効な可能性があるという。

岸田首相は12月17日、Pfizer のCEOとの電話会談で、同社の経口薬 200万回分の確保で基本合意したことを明らかにした


付記

EUの薬事当局「欧州医薬品庁(EMA)」は12月16日、PAXLOVIDについて緊急使用を認めるとの見解を発表した。重症化の危険性が高い成人を対象に使用できる。

発症してから5日以内の患者に投与したことで入院や死亡の可能性を軽減する結果が確認できた。
妊娠中や妊娠の可能性がある人、腎臓、肝臓の機能が著しく低下している人には使用できない。


PAXLOVID
™は、開発中の新薬候補 PF-07321332と低用量のリトナビル(ritonavir)の合剤である。

発症後3日以内の患者に投与したところ、投与していないグループに比べて入院・死亡リスクが89%減った。デルタ型など各種の変異ウイルスに対しても効果がある可能性があるという。

報道によると、1回の治療につき30錠の錠剤を5日間かけて投与する。

米政府はPfizerとの間でPAXLOVID 170万回分の新薬調達を交渉しており、さらに330万回分の追加調達枠も確保する見通し。米政府側は1回の治療分につき約700ドルの支払いを見込む。

Pfizerは途上国に対しては、国連が支援する非営利団体を通じて割引価格で供給する模様。

ーーー

Pfizer は2021年3月、PF-07321332を健康な成人を対象とした第1相試験で、治験薬の安全性、忍容性、および薬物動態を評価した。

7月には、フェーズ2/3試験に進み、リトナビルと組み合わせて、診断が確定した参加者の有効性と安全性を評価した。

Pfizerは9月27日、COVID-19治療薬を予防薬としても使うPhase2/3の開始を発表した。感染した人と同居する人を対象とする。


PF-07321332はプロテアーゼ阻害薬
で、特に経口投与するように設計されているため、患者を入院させることなく、感染の最初の兆候または曝露の最初の認識時に処方できる可能性がある。

用量のリトナビル(これも経口投与)との同時投与は、PF-07321332の代謝または分解を遅らせ、ウイルスとの闘いを助けるために高濃度で長期間、体内で活性を維持するのに役立つと期待している。

Ritonavir もプロテアーゼ阻害薬で、同じくプロテアーゼ阻害薬のLopinavirとの合剤(AbbVie Inc.が販売する商品名Kaletra)がHIV感染症のHAART療法に用いられている。

 

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361  

最近のコメント

月別 アーカイブ