「no」と一致するもの


ローム㈱と東芝デバイス&ストレージが、共同で申請していたパワー半導体に関する製造連携及び量産投資計画が12月8日、経済産業省の「半導体の安定供給確保のための取組に関する計画(供給確保計画)」として認定された。政府から最大1,294億円の支援を受ける見通し。


ロームがSiC(炭化ケイ素)パワー半導体、
東芝デバイス&ストレージがSi(シリコン)パワー半導体
への投資を重点的に行うことで効率的に供給力を拡大しそれを相互に活用する製造に関する連携を行うもの。

SiCパワー半導体が2026年4月から年産72万枚(8インチ換算)、SiCウエハーが2025年1月から年産70.8万枚(8インチ換算)、シリコンパワー半導体が2025年3月から年産42万枚(12インチ換算)を予定している。

電力を供給、制御する役目を果たすパワー半導体は、脱炭素社会やカーボンニュートラルの実現に向けて必要不可欠であり、今後も継続的な需要拡大が見込まれている。
自動車向けにおいては、電動化が急速に進む中、より高効率で小型・軽量化された電動パワートレインシステムの開発が進んでいる。
また、産業機器向けにおいても、自動化・効率化の要請は強く、パワー半導体の安定供給に加えて、性能向上にも大きな期待が寄せられている。

ロームは、世界で初めてSiC MOSFETの量産を開始して以来、常に業界をリードする技術開発を進めており、最新の第4世代SiC MOSFETは、数多くの電気自動車や産業機器等への採用が予定されている。また、急拡大するSiC需要に応えるため、生産能力増強に積極的かつ継続的な投資を計画する等、重点事業の一つとして取り組んでいる。

東芝デバイス&ストレージは、車載、産業向けを中心にSiパワー半導体を長年供給し、あらゆる電気機器の省エネ化・小型化に貢献してきた。昨年より300mmウエハを用いた生産を開始するとともに、引き続き旺盛な需要に応えるべくさらなる生産能力増強に取り組んでいる。
SiCパワー半導体についても研究開発を加速しており、鉄道向けで培ったノウハウを活用することによって、車載や送配電分野などに向けた製品ラインアップ拡充に努めている。

ロームは東芝の非公開化に際して3000億円を出資をしたことを公表しているが、これと関係なく、かねてよりパワー半導体事業における連携を検討しており、このたびの共同申請となったもの。ロームがSiCパワー半導体、東芝デバイス&ストレージがSiパワー半導体への投資を重点的に行い、相互に補完しあえる製造連携を加速することで、両社の国際的な競争力向上を目指すとともに、国内サプライチェーンの強靭化にも貢献する。

<認定された供給確保計画の概要>

SiCパワー半導体、Siパワー半導体及びSiCウエハの国内における生産能力の強化

ローム 東芝 合計
事業者名 ローム、
ラピスセミコンダクタ
東芝デバイス&ストレージ、
加賀東芝エレクトロニクス
事業総額 2,892億円 991億円 3,883億円
最大助成金額 1,294億円
(事業総額の1/3)
生産場所 宮崎県国富町
ラピスセミコンダクタ宮崎第二工場
石川県能美市
加賀東芝エレクトロニクス
主要製品 SiCウエハ 2025/1 70.8 万枚/年(8 インチ換算)
SiC パワー半導体 2026/4 72.0 万枚/年(8 インチ換算)
Siパワー半導体 2025/3 42.0 万枚/年(12 インチ換算)


ロームは
1958年設立の京都の半導体メーカー。

現在ではLSIをはじめ、ディスクリート半導体、光半導体、モジュール、バイオチップにいたるまでで、半導体製品を中心とした、さまざまな分野で開発、製造、販売をワールドワイドに展開している。

ラピスセミコンダクタについて

ラピステクノロジーはもともとOKIの半導体部門を源流としており、2008年にOKIセミコンダクタとしてロームグループの傘下に入った。
2011年にOKIセミコンダクタからラピスセミコンダクタへと社名変更をし、2020年に同社のLSI事業部門を切り出す形でラピステクノロジーが生まれた。

当時は商品企画、開発を担うラピステクノロジーと生産活動を担うラピスセミコンダクタそれぞれで専門性を生かすという目標を掲げていた。

ロームは2023年9月25日、100%子会社のラピステクノロジーを2024年4月1日に吸収合併することを発表した。

ロームは7月12日、出光興産子会社のソーラーフロンティアから、同社の国富工場の資産取得について基本合意し、11月に取得完了した。

今後、ローム製造子会社のラピスセミコンダクタの宮崎第二工場として整備、炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の主力生産拠点として2024年度中の稼働を目指す。

8インチウエハーラインでSiC半導体を量産するほか、同サイズのウエハー基板も生産する。

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経済産業省の「半導体の安定供給確保のための取組に関する計画(供給確保計画)」の概要と、承認済みの計画(今回を含め18件)については下記を参照。

https://www.meti.go.jp/policy/economy/economic_security/semicon/index.html

これとは別に、特定半導体生産施設整備等計画認定制度があり、これまでTSMC、キオクシア、マイクロンメモリ(2件)が多額の助成金を認められている。

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/laws/semiconductor/semiconductor_plan.html

なお、次世代半導体の国産化をめざす共同出資会社「Rapidus」が北海道に建設する新工場に対しては、政府はポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の採択先として、2回計3300億円を補助している。

2023/4/26 政府、ラピダスに2600億円の追加補助

TOPPANは11月28日、有機ELディスプレイ開発・製造のJOLEDから能美事業所の土地・建屋を購入する契約を締結した。


今後、購入した能美事業所で、主にデータセンターのサーバー向けや生成AI向けの需要増などでさらに伸長が期待できる高密度半導体パッケージであるFC-BGA(Flip Chip-Ball Grid Array)のさらなる高速伝送やチップレットに対応する次世代技術開発および量産ラインの構築を行い、2027年以降の稼働を予定している。TOPPANの手掛ける既存のエレクトロニクス製品の生産も検討している。

FC-BGA(Flip Chip-Ball Grid Array) サブストレートは、LSIチップの高速化、多機能化を可能にする高密度半導体パッケージ基板で、TOPPANは、微細加工技術とビルドアップ配線板技術を独自に発展させた超高密度配線構造のサブストレートを開発、半導体プロセスの微細化に対応した製品を提供している。

PCやゲーム機向けのマイクロプロセッサやグラフィックプロセッサをはじめ、サーバー、AI、ネットワーク機器向けのハイエンドプロセッサ、高品質の車載用SoCなど、幅広い用途向けLSIの多彩な要求に対し、サブストレートの設計から製造まで顧客のニーズをトータルにサポートしている。

チップレットは、大規模な回路を複数の小さなチップに個片化して1つのパッケージに収める技術。

TOPPANは現在、新潟工場でFC-BGAの生産能力拡大を進めているが、旺盛な需要に対して将来的には新潟工場のみでは拡張余地がなく、新たな生産拠点の確保を検討していた。JOLED能美事業所は、次世代半導体パッケージの製造工程に求められる条件を満たしており、売買契約の締結となった。

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JOLEDは有機 EL ディスプレイの量産開発加速及び早期事業化を目的として、ソニー及びパナソニックの有機EL ディスプレイの開発部門を統合して、2015 年1 月に事業を開始した。


ジャパンディスプレイはJOLEDの設立時に株式15%を取得したが、2020年3月に全株式を譲渡し、現在は資本関係がない。

JOLEDは2019 年11月には、能美事業所において、世界初の印刷方式有機 EL ディスプレイ量産ラインの稼働を開始し、高性能・高品質な有機 ELディスプレイを、ハイエンドモニター、医療用モニター、車載向け等に生産するとともに、フレキシブルディスプレイやフォルダブルディスプレイの実用化に向けた研究開発も進めてきた。

しかしながら、安定した生産に想定以上のコスト・時間を要したほか、世界的な半導体不足による影響に加え、高性能・高品質ディスプレイ需要の伸び悩みや価格競争の激化により同社を取り巻く状況は厳しさを増した。

2020年6月、中国ハイテク企業TCL Tech傘下のディスプレイパネルメーカー、TCL華星光電技術(TCL CSOT)と資本業務提携契約を締結したが、収益が伸び悩むとともに、資金流出が続いた。

JOLEDの業績推移
売上高営業利益純利益利益剰余金
2018/3 5600万円 -149.19億円 -147.84億円
2019/3 14.42億円 -247.53億円 -259.04億円
2020/3 18.57億円 -284.07億円 -372.53億円
2021/3 59.08億円 -310.65億円 -877.85億円
2022/3 56.55億円 -211.18億円 -239.26億円 -1197.87億円

このまま自力で事業継続した場合、能美事業所や千葉事業所の撤退費用を捻出することも困難となるため、裁判所の関与の下で事業の再生を図ることがもっとも適切であると判断し、2023年3月27日、東京地方裁判所に民事再生手続き開始の申し立てを行ったと発表した。負債総額は約337億円。

JOLEDが培った有機発光ダイオード(OLED)ディスプレーの技術や知的財産権はジャパンディスプレイが継承することなどで合意 、7月18日、10億円で取得した。

技術開発ビジネス事業については、ジャパンディスプレイの支援の下、再建を図る。

他方、製品ビジネス事業(製造・販売部門)についてはこれ以上継続することは困難であることから、能美事業所(石川県能美市)、千葉事業所(千葉県茂原市)は閉鎖し、同事業から撤退することとした。

2023/3/29 有機EL事業のJOLED、民事再生手続き

能美事業所は元々、ジャパンディスプレイ(JDI)の工場であったが、2017年2月に停止、2018年6月に産業革新機構が200億円で買収し、7月1日付でJOLEDに売却されたもの。

2018/4/3  ジャパンディスプレイ、550億円を調達 

今回、TOPPANがこれを購入した。買収額やその後の設備投資額は明らかにされていない。

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なお、JOLEDから有機EL事業を引き継いだジャパンディスプレイ(JDI)は、元々液晶パネルメーカーで、AppleのiPhone向けが中心だが、液晶パネルの販売不振で稼働が低迷し、債務超過となったが、独立系投資顧問のいちごアセットマネジメントの救済で累損を一掃した。

2022/1/14 JDI、減資で累損一掃

2023/4/13 ジャパンディスプレイ、世界第3位のディスプレイメーカー惠科股份(HKC)との戦略提携覚書締結 

バイデン米大統領は2022年8月16日にインフレ対策法案:Inflation Reduction Act of 2022 に署名し、法案は成立した。大統領は「気候変動に関するこれまでで最大の前進だ」と強調した。

エネルギーコスト引き下げ、クリーンな生産、2030年までにカーボン排出の40%削減を狙い、3,690億ドルを投じる。

新法では、

低・中所得者がエコカーなどの新車を購入する際に1台当たり最大7500ドルの税控除を受けられる。

既存のEV減税は適用対象を自動車メーカーごとに20万台と定めていたが、台数の上限を撤廃する。  

ただ、EV減税の対象となる新車について、北米地域での最終組み立てを義務付けた。さらにEV用電池の原材料である重要鉱物の調達先を、米国か、米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいる国に事実上制限する。世界シェアの高い中国製品をサプライチェーン(供給網)から排除する狙い。

2022/8/24 米「インフレ抑制法案」成立 電気自動車補助金で波紋 


IRAが成立して以来、米国のクリーン車両およびバッテリー供給チェーンにおいて約1,000億ドル近くの民間投資が発表されている。

ルールでは、2024年から対象のクリーン車両は「懸念される海外企業」(FEOC)が製造または組み立てたバッテリー部品を含んではならず、 2025年からは、「懸念される海外企業」が抽出、加工、またはリサイクルした重要鉱物を含んではならない。

しかし、この定義が明らかにされていなかった。

主な要件(控除額は個人の場合)
税額控除額
価格が5.5万ドル(バンやSUV、ピックアップトラックは8万ドル)未満であること 必須 -
車両の最終組み立てが北米(米国、カナダ、メキシコ)で行われていること 必須 -

電池材料の重要鉱物のうち、調達価格の40%が自由貿易協定を結ぶ国で採掘あるいは精製されるか、北米でリサイクルされていること(日本については下の注を参照)

2023
2024
2025
2026
2027ー
40%
50%
60%
70%
80%

2025年からは、「懸念される海外企業」が抽出、加工、またはリサイクルした重要鉱物を含んではならない。

どちらか
必須
3,750ドル

電池用部品の50%が北米で製造されていること

2024-25
2026
2027
2028
2029-
60%
70%
80%
90%
100%

2024年から、「懸念される海外企業」が製造または組み立てたバッテリー部品を含んではならない。

3,750ドル

注)2023年3月28日に「重要鉱物のサプライチェーンの強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」(日米重要鉱物サプライチェーン強化協定:日米CMA)が署名され、即日発効となった。米国は、同協定をインフレ抑制法(IRA)上のFTAとみなす。


「懸念される海外企業」の定義が明らかでなかったが、財務省は12月1日、
「懸念される海外企業」と見なされるエンティティを定義する提案ガイダンスを公表した。
     https://public-inspection.federalregister.gov/2023-26513.pdf

それによると、「懸念される海外企業」は、懸念国(中国、ロシア、イラン、北朝鮮)の企業 及びその企業が25%以上所有、またはコントロールする企業とされる。

In general, an entity incorporated in, headquartered in, or performing the relevant activities in a covered nation would be classified as a FEOC.
For purposes of these rules, an entity would be "owned by, controlled by, or subject to the direction" of another entity if 25 percent or more of the entity's board seats, voting rights, or equity interest are cumulatively held by such other entity.

ライセンスその他の契約も"control" しているとみなされる可能性がある。
  In addition, licensing agreements or other contractual agreements may also create control.

バッテリー部品が条件を満たすかどうかは、該当する重要鉱物の抽出、加工、およびリサイクルのすべての段階のレビューによって決定される。

例えば、懸念外国法人でない企業によって抽出された鉱物が、懸念外国法人によって加工された場合、準拠していないと見なされる。


自動車メーカー各社は新ルールでどうなるか検討しているが、Fordは同社のMustang Mach-E EV が適用外になりそうだとしている。


Ford は2月13日、ミシガン州Marshall近郊に35億ドルを投じて電気自動車(EV)用のリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池製造工場 BlueOval Battery Park Michigan を建設する計画を発表した。
Fordの単独事業で、中国の大手電池メーカー、寧徳時代新能源科技(CATL)から技術のライセンス供与や技術支援を受ける。CATLは出資はしない。

2023/11/23 フォード、バッテリー工場計画を縮小

工場自体はフォードが全額出資で運営するため、フォードはこの工場でつくった電池を積むEVも税優遇の対象になりうるとしてきた。だが、今回の規制では、ライセンスその他の契約も"control" しているとみなされる可能性があり、そうなれば控除対象外となる。
コントロールの有無をどう政府当局が判断するかは不透明。

米政府は規制を巡り、1カ月程度、企業から要望を聞き取り、最終案を決める予定だが、野党・共和党は、今回のルール案にも「抜け穴が多い」として批判を強めており、最終案はさらに厳格になる可能性もある。

Bayerに2つの打撃が相次いで襲った。

1)MonsantoのRoundup訴訟

Bayerは5年前に米 Monsantoを630億ドルで買収したが、同社の主力の除草剤Roundupを巡る訴訟で敗訴が相次いでいる。最高裁への上訴も棄却された。

2018/8/28 Bayer のMonsanto買収 完了と、Monsantoの除草剤への賠償命令判決 

2020/6/21 米最高裁、Bayerの除草剤問題での上訴を審議せず  Bayerの上訴を棄却


今回、11月17日に Missouri 州Cole Countyで陪審員はMonsanto敗訴の判断を下した。

原告のValorie Gunther (New York)、Jimmy Draeger (Missouri)、Daniel Anderson (California)の3人に損害賠償として合計61.1百万ドル、懲罰賠償としてそれぞれに5億ドル、合計15.6億ドルの支払いを命じた。3人は非ホジキンリンパ腫に罹ったが、それぞれ、Roundupの使用の結果であると主張している。(懲罰賠償額は最高裁の基準を上回っており、控訴で引き下げられる可能性がある。)

陪審はこれについて、過失、設計上の欠陥、Roundupの使用の潜在的な危険性を原告に警告していないことでMlonsantoに責任があると判断した。

11月時点で、Monsantoはほぼ10万件の訴訟で和解し、約110億ドルを支払ったが、まだ4万件が残っている。

Bayerは訴訟関連費用して160億ドルを引き当てているが(当初116億ドル、2021/8に追加45億ドル)、今回の陪審の判断は、引当を全額またはそれ以上の支払いを必要としかねない衝撃的な内容である。

2)抗凝固薬アスンデキサン

Bayerは11月20日、血栓症や脳卒中を予防する新規の経口抗凝固薬 asundexian の大規模後期臨床試験について、有効性が見られないため中止すると発表した。1万8000人の患者を対象に2022年8月に開始した試験の途中のモニタリングで、米Bristol-Myers Squibb/米PfizerのApixaban(製品名・Eliquis)に有効性で劣ることが示され、独立データモニタリング委員会が中止を勧告した。


asundexian はBayerのパイプラインで最も有望視されていたプロジェクトの1つで、年間50億ユーロ(55億ドル)以上の売り上げを生み出すと予想し、2026年に欧州で主要な特許による保護を失う抗凝固薬「Xarelto」(一般名・Rivaroxaban、日本製品名・イグザレルト)に代わる収益源としての自信を示していた。

Xareltoでは米 Johnson & Johnsonと開発コストを共有し、米国市場の大部分を同社に任せたが、 asundexianでは単独開発を選択し、米国でのマーケティングや流通に多額の費用を投じる用意をしていた。

Xareltoの売上高は2022年で4,516百万ユーロ(7300億円)で、特許切れまでに後継候補でXarelto 以上の売上高を見込んでいたasundexian の代わりが見つからない場合、悲惨なこととなる。

2023/11/8 米国医薬業界、特許切れの恐怖:住友ファーマのケース


Bayerの株価は11月20日に急落し、12年ぶりの安値となった。

今年6月に就任したBill Anderson CEO(直近はRocheの医療用医薬品部門CEO)は、11月8日発表した2023年7〜9月期決算(最終損益は45億6900万ユーロの赤字)について「今期の業績はまったく容認できない」と語った。

管理職の削減とともに、主要部門である農薬・種子(Crop Science)かコンシューマー・ヘルスの分社化を検討していると明らかにした。

本年7~9月期でCropScienceで3,964百万ユーロ(約6300億円)の特別損失があり、全社の金利・税前損益が3,594百万ユーロの赤字、純損益が4,569百万ユーロの赤字となった。Pharmaceutical、Consumer Health はほぼ前年並み。

AGC (旧称 旭硝子)の合成医農薬CDMO製造子会社であるAGC若狭化学は11月17日、福井県三方上中郡の上中工場において大型製造ラインの竣工式を行った。同社の製造能力を 1.5 倍に拡張する増設で、2024年第1四半期の稼働開始を予定している。

AGC若狭化学はフッ素・ヨウ素を含むハロゲン化学、新規製法の開発力、廃棄物およびレアメタルのリサイクルによる資源の有効活用とそれらによるコスト低減技術等を強みとし、新規開発品を含めた原料から原体までのワンストップの受託製造を行っている。また、cGMP対応の医薬品製造ラインも持つ。

CDMO (Contract Development and Manufacturing Organization) は、医薬品製造および製造プロセス技術の開発を受託・代行する事業。

AGCグループは、化学品事業ったフッ化合物合成など多様学合成技術みに1985合成医農薬CDMO事業開始し、以来、高付加価値かつ高品質製品発・製造目指し、積極的買収・設備投資い、事業拡大してきた。

同社の説明:

AGCは「素材をつくる技術開発力」がベースとなっている会社で、その技術力で世界や社会にどのように貢献できるかと考えたときに、ライフサイエンス事業に注力することになった。


化学合成による低分子医薬品から微生物・動物細胞を用いた遺伝子組み換え技術によるタンパク質医薬品など、薬物の構造が多様化・複雑化している今日において、これらすべての工程を製薬会社一社が担うのは、現実的ではなく、「創薬」とその後の「開発・製造」の水平分業化が進んでいる。医薬品も製造プロセスを分離してアウトソースすることで、新たな医薬品を市場に送り出すまでのスピードを加速させることができる。

分離したプロセスに求められる精密な技術力をAGCが担っている。


AGCグループの ライフサイエンス事業は下記の通り。

シアトル 2017年、CDMO大手のCMC Biologicsを買収 (約600億円)
 動物細胞と微生物を用いた CDMO
2020年設備増強、新設
バークレー (カリフォルニア) 2018年増強
その後、上記と統合?
コペンハーゲン(デンマーク) 2018、2020、2024年増強
ハイデルベルグ(独) 2016年、Biomeva Gmbhを買収
 バイオ医薬品の開発・製造受託サービス
2023年増強
ボルダー(コロラド) 2020年、AstraZenecaのバイオ医薬品原薬製造工場を買収
ロングモント(コロラド) 2021年、Novartis Gene Therapiesから遺伝子治療薬工場を買収 2022年増強
マルグラート・デ・マール(スペイン) 2019年、合成医薬品原薬製造会社Malgrat Pharma Chemicals, S.L.U.買収 2022,2024年増強
ミラノ(イタリア) 2020年、遺伝子・細胞治療CDMOのMolecular Medicine S.p.A 買収
AGC若狭化学 1998年、旭硝子100%で若狭エイ・ジー・シー・ファインケミカルとして設立
医薬品中間体等,ファインケミカル製品の受託製造及び開発
2024年増強
千葉工場 2019年
買収したCMC Biologics社の技術を導入し、動物細胞を用いたcGMP対応バイオ医薬品(抗体医薬品等)開発・製造受託設備を新設
2020年増強・新設
横浜テクニカルセンター デュアルユース設備新拠点 2025年予定
平時:動物細胞利用バイオ医薬品、mRNA医薬品、遺伝子・細胞治療薬
パンデミック時:ワクチン製造



同社は2023暦年から報告セグメントを変更した。従来、化学品に包括されていたライフサイエンスを独立させた。

従来 今後
ガラス 建築ガラス
オートモティブ
電子 電子
化学品 化学品
ライフサイエンス(合成医農薬中間体・原体、バイオ医薬品等)


業績  ライフサイエンス部門の2023年1~6月の半期決算は下記の通り。

2023/1-6 2022/1-6 増減
売上高 667億円 692億円 -25億円
営業損益 6億円 102億円 -97億円

 
売上高は、コロナ特需の消滅、米国バイオCDMO新規ライン立ち上げ遅延等で減収

バイオCDMO能力増強に伴う先行費用発生もあり、減益

日産自動車は11月24日、英国での電気自動車(EV)化に、20億ポンド(約3700億円)を追加で投資すると発表した。北部Sunderland工場で3車種の新型EVを生産するほか、同国で3拠点目となる巨大電池工場「ギガファクトリー」を建設する。

2021年に表明した10億ポンド(約1900億円:文末の「EV36Zero)の投資とあわせ、累計で30億ポンド(約5600億円)をSunderland工場の体制強化 (電池工場を含む)にあてることになる。

同工場ではEV「LEAF」のほか、多目的スポーツ車(SUV)の「JUKE」と「Qashqai」を生産している が、それぞれの車種で今後、新型EVを生産する。

3つの新型EVは、現在、日産のSunderland工場で生産されている以下3車種の将来を象徴するもの 。

  • 2022年に英国で最も売れた車であり、英国で生産される全車の5台に1台を占めるオリジナル クロスオーバーである「Qashqai
  • 販売台数100万台を突破したコンパクト クロスオーバーの常識を覆すモデルである「JUKE
  • Sunderland工場で25万台以上が生産された世界初の量産EV である「LEAF

3つの次期型モデルは、以下のエキサイティングな次世代EVコンセプトモデルからインスピレーションを得てい る。

  • 流麗でモダンな美しさが特徴のクロスオーバーEVである「ニッサン ハイパーアーバン」
  • 多面的かつ多角的なエクステリアが美しいコンパクト クロスオーバーEVである「ニッサン ハイパーパンク」
  • 2021年に発表され、Sunderland工場で生産される将来のEVのインスピレーション源である「NISSAN CHILL-OUT」

今回の追加投資で生産するEVは英国のほか、欧州市場で販売する。欧州日産自動車は9月25日に、2030年までに欧州に投入する新型車はすべてEVとする目標を発表している。

EVの基幹部材の車載電池の工場も新設する。現在英国では中国企業傘下のAESCグループと連携し、2拠点のギガファクトリーを持つ。今後のEV需要拡大に合わせ、3拠点目の工場を新設する。

日産自動車は2018年8月3日、日産が保有するバッテリー事業およびバッテリー生産工場を、再生可能エネルギー事業者である中国のEnvision Group(遠景能源集団) に譲渡する契約を締結したと発表した。

エンビジョンAESCエナジーデバイス(Envision AESC Energy Devices Ltd.)は2019年4月1日、同日付で事業を開始したと発表した。その後、AESCグループに改称した。
中国の再生可能エネルギー関連企業のEnvision Group(遠景能源集団)が80%、日産自動車が20%を出資する。

2018/8/7 日産自動車とNEC、バッテリー事業を譲渡

日産自動車は2021年7月1日、英国Sunderland工場の隣接地のInternational Advanced Manufacturing Parkに、エンビジョンAESCが大規模バッテリー工場「ギガファクトリー」を建設することに協力すると発表した。
下記 EV36Zero でNo.2、今回 No.3 建設。

車両とバッテリーの生産は、「EV36Zero」のマイクログリッドによって電力が賄われ る。本グリッドは、日産の風力発電と太陽光発電の設備を融合し、日産と近隣のサプライヤーに100%再生可能な電力を供給する能力を有する予定。

2021年7月1日、日産自動車はカーボンニュートラルを加速させるEV推進ビジョン「EV36Zero」を発表した。英国のSunderland工場を中心に、CO2を出さないゼロエミッションに向けて、新たに360度のソリューションを確立していく。

この革新的なプロジェクトには、日産とエンビジョンAESC、そしてSunderland市議会によって10億ポンドが投資される。EVや再生可能エネルギー、バッテリー生産という相互に関連した3つの取り組みによって自動車業界の未来の青写真を描いた。

  • 新世代のクロスオーバーEVをSunderland工場で生産
  • エンビジョンAESC社はSunderland工場の隣接地に新たな9GWhのギガファクトリーを建設 (No.2)
  • サンダーランド市議会が主導する再生可能エネルギーを利用した「マイクログリッド」から100%クリーンな電力をSunderland工場に供給
    既存の日産の風力発電設備と太陽光発電設備に加えて、20MWの新規の太陽光発電設備が含まれる。
  • EV用バッテリーをエネルギーストレージとして二次利用することで、究極のサステナビリティを実現
  • この包括的なプロジェクトにより、サプライヤーを含め、英国に6,200名の雇用を創出

韓国のソウル高裁は11月23日、元慰安婦の女性らが日本政府に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、原告の請求を却下した1審判決を取り消し、日本政府に1人当たり2億ウォン(約2300万円)の慰謝料の支払いを命じた。

ーーー

韓国の元従軍慰安婦らが日本政府を相手取り損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は2021年4月21日、国家は外国の裁判権に服さないとする国際法上の「主権免除の原則」を認め、訴えを却下した。

「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」が支援する元慰安婦の李容洙氏や遺族ら20人が2015年の韓日慰安婦合意から1年後の2016年に提起した。「精神的、肉体的な苦痛を受けた」として計約30億ウォン(約2億8千万円)の損害賠償を日本政府に請求した。

日本政府が、国際法上の「主権免除」の原則を理由に訴訟に応じてこなかったため裁判が進展していなかったが、裁判所が公示送達の手続きを取ったことで、2020年から動き始めた。

当初1月13日に元慰安婦や遺族の20人による訴訟の判決が言い渡される予定であったが、判決は延期され、裁判所は追加の審理の必要性があるとみて弁論を再開した。

1審のソウル中央地方裁判所は判決で、「国際慣習法や韓国の最高裁判所の判例にのっとり、外国の主権行為について損害賠償の訴えは認められない」として、「主権免除」の原則が適用されるとの判断を示し、原告側の訴えを退けた。

「主権免除を認めなければ、外交的衝突は不可避だ」とし、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した2015年の日韓合意の有効性も認め、原告側が控訴していた。

2015年12月28日、岸田文雄外務大臣は日韓外相会談直後の共同記者発表において,慰安婦問題について以下のとおり発表した。
ア 慰安婦問題は,当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり,かかる観点から,日本政府は責任を痛感している。
 安倍内閣総理大臣は,日本国の内閣総理大臣として改めて,慰安婦として数多の苦痛を経験され,心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し,心からおわびと反省の気持ちを表明する。

イ 日本政府は,これまでも本問題に真摯に取り組んできたところ,その経験に立って,今般,日本政府の予算により,全ての元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じる。具体的には,韓国政府が,元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し,これに日本政府の予算で資金を一括で拠出し,日韓両政府が協力し,全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復,心の傷の癒やしのための事業を行うこととする。

ウ 日本政府は上記を表明するとともに,上記(イ)の措置を着実に実施するとの前提で,今回の発表により,この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。
 あわせて,日本政府は,韓国政府と共に,今後,国連等国際社会において,本問題について互いに非難・批判することは控える。

2021/4/21 韓国地裁、慰安婦訴訟2件で原告側の訴えを却下

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日本政府は、国家は他国の裁判権に服さないとする国際法上の「主権免除」の原則から、訴えは却下されるべきだという立場である。

しかし、2審のソウル高裁は11月23日の判決で、「現在までに形づくられた国際慣習法を考慮すると、日本に対する韓国の裁判権が認められる」と判断し、1審判決を取り消し、原告に1人あたり日本円でおよそ2300万円の慰謝料を支払うよう、日本政府に命じた。

「訴訟は被告(日本政府)が当時占領していた朝鮮半島で、国民である原告に働いた不法行為への損害賠償を請求した事案だ」と指摘。国際慣習法は、主権免除を認める範囲を狭める方向に変化しているとして、「領土内での国民に対する不法行為では、(主権)免除は否定される」と断じた。

一方、慰安婦問題の解決をうたう2015年の日韓合意について、ソウル高裁は「日本政府が裁判で意見を主張しなかったので争点にならなかった」と説明した。

今回、外務省は下記の発表を行った。

  1. 11月23日、岡野正敬外務事務次官は尹徳敏駐日韓国大使を召致し、元慰安婦等が日本国政府に対して提起した訴訟の韓国ソウル高等裁判所における控訴審において、2021年1月8日の判決に続き、国際法上の主権免除の原則の適用が否定され、原告の訴えを認める判決が出されたことは、極めて遺憾であり、日本政府として本判決は断じて受け入れられない旨強く抗議を行いました。
  2. 慰安婦問題を含め、日韓間の財産・請求権の問題は、1965年の日韓請求権・経済協力協定で「完全かつ最終的に解決」済みです。また、慰安婦問題については、2015年の日韓合意において「最終的かつ不可逆的な解決」が日韓両政府の間で確認されています。
  3. 韓国政府に対して国際法違反を是正するために適切な措置を講じることを改めて強く求めます。

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元慰安婦をめぐる裁判では、2年前にもソウル中央地裁が「主権免除」の原則を認めず日本政府に賠償を命じていて、この時は日本政府が裁判への関与を拒んで控訴せず、判決が確定した。

韓国で旧日本軍の元従軍慰安婦の女性らが日本政府に損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は1月8日、請求を認め日本政府に賠償支払いを命じる判決を出した。

調停申請時、原告は12人だったが、多くが他界し、生存者は5人となっている。

ソウル中央地裁は、原告1人あたり1億ウォン(約948万円)の支払いを命じる原告勝訴の判決を出した。

日本政府は国家は外国の裁判権に服さないとする国際法上の「主権免除」の原則から、 調停にも審理にも、一度も出席していない。

日本政府は賠償の支払いに応じていない。

2021/1/8 元慰安婦訴訟で日本政府に賠償命令 

米Ford は11月21日、2カ月前に休止していたミシガン州マーシャル工場の建設を再開するが、EV向けにバッテリーの能力を年間40万台分から23万台分に縮小すると発表した。同社はEVの需要が弱まると想定している。

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Ford は2023年2月13日、ミシガン州Marshall近郊に35億ドルを投じて電気自動車(EV)用のリン酸鉄リチウムイオン (LFP)電池製造工場 BlueOval Battery Park Michigan を建設する計画を発表した。
同社は韓国のSK InnovationとのJVのBlueOvalSK でテネシー州とケンタッキー州に3つの電池工場を建設している。

今回はFordの単独事業で、中国の大手電池メーカーの寧徳時代新能源科技(CATL)から技術のライセンス供与や技術支援を受ける。CATLは出資はしない。

新工場は、当初の生産能力がEV年間40万台分に相当する35ギガワット時で、2026年に稼働する予定。Fordはこの工場を含め、これまで北米と欧州に4カ所の電池製造工場建設を表明している。

リン酸鉄リチウムイオン電池はエネルギー密度の低さなど制約もあるが、Ford が工場建設を推進している背景には、CATLの技術によるコスト低下や再充電速度の向上などを通じて大口購入の法人など多くの顧客を取り込めるとの判断がある。

2023/2/16 フォード、ミシガンにEV用電池工場建設 中国CATLが技術支援

Fordは9月25日、ミシガン州の35億ドル規模の電池工場建設を一時中断したと発表した。「競争力を持って工場を運営できると確信できるまで」作業を中断し、建設支出を制限すると表明。中断のきっかけとなった具体的な理由については明かさなかった。

Fordは全米自動車労組(UAW)との賃上げ交渉で何度も提示額を引き上げているが合意に至っておらず、そうした中での発表となった。

UAW執行部は10月29日、Fordとの労働協約を承認した。フルタイム従業員の30%以上の賃上げなど、会社側から大きな譲歩を勝ち取った。

議会共和党は、本計画に関し、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)の技術使用について調査している。

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今回、当初の40万台分を生産する計画を23万台分に縮小した。工場建設計画を発表した時点では、2500人を雇用するとしていたが、1700人となる見通し。投資額も生産規模の40%削減に比例して当初の35億ドルから20億ドル程度に減らす見通し。

同社はEVモデルへの120億ドル(約1兆7700億円)支出を延期するなど、EV戦略を縮小している。2026年末までに年間200万台のEVを生産するとの計画を断念した後、その節目に到達するとみられる時期についてまだ明らかにしていない。人気車種のピックアップトラック「F150」のEVモデル、「F150ライトニング」の販売台数は7-9月に46%減少した。

同社のCEOは記者会見で、EVの普及は「われわれや業界が期待していたようなペースでは伸びていない」と指摘。「資本の配分方法に関して厳格でありたい。生産および将来の生産能力が需要に基づいたものになることについて考えたい」と述べた。


同社は同工場で生産するリチウムイオン電池が米政府のインフレ抑制法(IRA)のEV向け補助金の対象となるよう財務省に働きかけている。

しかし議員らはIRAの下でEV向け補助金が中国の寧徳時代新能源科技(CATL)に流れることを問題視している。下院中国特別委員会のMike Gallagher委員長(共和党)は同日、フォードの決定に失望したとし、この道義に反する取引を永久に中止するべきだと強調した。

2024年度の公的年金支給額も、2023年度と同じく、変動率が直近1年の物価変動率を下回り、実質減額となる。

付記

米国で約7千万人に支給される年金給付(Social Security Benefit)が2023年は8.7%の大幅増額となった。

物価上昇に伴う生計費調整(COLA:Cost-of-Living-Adjustment)の規定によるもので、前年第3四半期の勤労者消費者物価指数(Consumer Price Index for Urban Wage Earners and Clerical Workers =CPI-W) の平均を採用、これを 1年間適用する。

2022/10/18 米国の2023年の年金給付、生計費調整で8.7%の大幅アップ 

2024年については、3.2%の増額となる。 


公的年金支給額の改定は次のように決められる。

A:直近1年の物価変動率を基本とし、過去3年の名目手取り賃金変動率が物価変動率より低い場合は賃金変動率を採る。

B:公的年金被保険者の変動と平均余命の伸びに基づき、マクロ經濟スライド調整を行う。
  但し、Aがマイナスの場合はスライド調整を行わず、翌年度に繰り越す。

「マクロ経済スライド」とは、公的年金被保険者の変動と平均余命の伸びに基づいて、スライド調整率を設定し、その分を改定率から控除するもの

公的年金加入者数の変動(過去2~4年度前の3年平均)マイナス 平均余命伸び率(現在は0.3%で固定)

2022/1/22 2022年度の公的年金支給額、前年度から0.4%引き下げ


2024年度について、ニッセイ基礎研究所 中嶋 邦夫上席研究員の試算が発表された。
   https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=76730?site=nli

直近1年の物価変動率予想       +3.1%
過去3年の名目手取り賃金変動率予想  +3.0% これを採用

マクロ經濟スライド  -0.4% : (年金加入者数の3年平均変動率 -0.1%) - (平均余命の伸び率 0.3%)

差引合計 +2.6%

65歳に到達し、新たに年金を裁定(決定)するときには、直近の賃金の動向を反映させるため、賃金の変動による改定(+マクロ経済スライド)を行う。2024年度は既裁定者と同じ+2.6%となる。


これにより、直近1年の物価変動率 +3.1% に対し、2024年度も実質減額となる。


計算は下記の通り。

既裁定者(68歳到達年度以後の受給権者)

  実績 予想 原則
2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
直近1年の物価変動率(基本) +0.5% +0.0% -0.2% +2.5% +3.1%

基本は物価変動率
賃金変動率が物価変動率より低い場合は賃金変動率を採用

過去3年の名目手取り賃金変動率 +0.3% -0.1% -0.4% +2.8% +3.0%
(採用) +0.3% -0.1% -0.4% +2.5% +3.0%  
マクロ経済スライド
公的年金被保険者の変動と平均余命の伸びに基づいて、スライド調整率を設定し、その分を改定率から控除
-0.1% -0.1%
(調整せず)


当期 -0.2% 
繰越 -0.1%
計  -0.3%

(調整せず)

当期  -0.3%
繰越  -0.3%
計   -0.6%
当期  -0.4%
繰越   0
計   -0.4% 

上記の(採用)がマイナスの場合は、調整せず、その分を翌年に繰り越す。

最終改定率 +0.2% -0.1% -0.4% +1.9% +2.6%  
マクロ経済スライド繰り越し   -0.1% -0.3%  


65歳に到達し、新たに年金を裁定(決定)するときには、直近の賃金の動向を反映させるため、賃金の変動による改定(+マクロ経済スライド)を行う。

  実績 予想 原則
2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
過去3年の名目手取り賃金変動率 +0.3% -0.1% -0.4% +2.8% +3.0%  
マクロ経済スライド
公的年金被保険者の変動と平均余命の伸びに基づいて、スライド調整率を設定し、その分を改定率から控除
-0.1% -0.1%
(調整せず)

当期  -0.2% 
繰越  -0.1%
計   -0.3%
(調整せず)
当期 -0.3%
繰越 -0.3%
計  -0.6%
当期  -0.4%
繰越   0
計   -0.4% 

上記の(採用)がマイナスの場合は、調整せず、その分を翌年に繰り越す。

最終改定率 +0.2% -0.1% -0.4% +2.2% +2.6%  
マクロ経済スライド繰り越し   -0.1% -0.3%

ExxonMobilは11月13日、アーカンソー州で2026年までにリチウム生産を開始する計画を発表した。

同社は本年5月にGalvanic Energyが所有するアーカンソー州の「スマックオーバー層」(深さ約9,000フィートで発見されたジュラ紀上部の岩石層)の12万エーカー以上の土地を買収した。

スマックオーバー層は石油とガスの鉱脈で、油田の塩水に臭素とリチウムが含まれている。現在、アーカンソー州は世界第2位の臭素供給地 である。エクソンにとり、石油およびガス産業で使用されているのと同じ技術の多くを使用して臭素とリチウムを確保できる。

Galvanic社はこの土地には炭酸リチウム相当量(LCE)が400万トンあると推定しており、これは5000万台のEVの製造に十分な量であるとしてい る。最近掘削された試験井で平均LCE量が1リットルあたり325ミリグラムであることが示されたと報告しており、これは北米のリチウム塩水貯留層の中で最高濃度であるとしてい る。

ExxonMobilはこの計画を"Project Evergreen" と名付け、「スマックオーバー層」の掘削を進めるとともに、商業生産の鍵を握る「直接リチウム抽出法(DLE)」 (かん水をフィルターや吸着膜などを通すことによりリチウムを抽出)と呼ばれる新たなリチウム生産方法の試験を行ってきた。

6月下旬に同社は隣接地を所有するTETRA Technologiesとの提携し、リチウムと臭素を含んだ塩水鉱床を開発する契約を結んだ。




TETRA Technologiesとの提携で、2026年までに少なくとも年間1万トンの生産を開始する計画で、これはEV約10万台のバッテリー生産に必要な量に相当する。成長を続ける国内のEV製造拠点への主要サプライヤーとなる立場に なる。

ーーー

米国のリチウム産地はもう一つある。

ゼネラルモーターズ(GM)は2023年1月31日、カナダの資源会社Lithium Americasが進める米国ネバダ州Thacker Pass鉱山でのリチウム開発プロジェクトに対し、6億5,000万ドルの株式投資を行うと発表した。


タッカーパス鉱山は2026年後半に生産を開始する予定で、GMは今回の投資を通じ、生産開始後の第1フェーズで独占的にリチウムの供給を受ける権利を得る。

Lithium Americasは2007年に設立された企業で、現在は米国のほか、アルゼンチンでのリチウム開発プロジェクトも手掛ける。

GMが今回投資するタッカーパスのリチウム鉱床はネバダ州北部にあり、約1,630万年前に形成され現在は活動を停止している1,200平方キロの大規模火山McDermitt Calderaに位置する。火山噴火時に形成されたリチウムを豊富に含む湖が再度の火山活動により干上がり、地表近くに鉱床が形成されたという。

リチウムの埋蔵量は米国最大で、炭酸リチウムに換算して年間8万トン、最大で100万台分のEVバッテリー用のリチウム生産が可能になると見込まれている。

この土地は、Paiute、Shoshone、Washoe の先住民3族からなるReno-Sparks Indian Colonyの聖地であり、勝手に開発を始めたとして裁判になったが却下された。


参考



    https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adh8183


南米ではチリ北部、ボリビア南西部、アルゼンチン
北西部で形成するアンデス山脈沿いの高地(標高4000m級)に「リチウム三角地帯(LithiumTriangle」と呼ばれる塩湖地帯が広がっている。ボリビアは世界最大のウユニ塩湖、チリは世界第2位のアタカマ塩湖 を擁し、アルゼンチンはオンブレ・ムエルト塩湖をはじめとしていくつもの塩湖が点在する。埋蔵量はチリが930万トンと圧倒的に多い。

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