2016年2月アーカイブ

Dow Chemical は2月26日、2005年に米国の需要家が集団訴訟を行ったポリウレタン独禁法事件について、835百万ドルの支払で和解したと発表した。

1999年~2003年にDow Chemical、Bayer、BASF、Huntsman、Lyondell の各社がポリエーテルポリオール、MDI、TDI、MDI-TDI ブレンドなどの Polyether Polyol 製品で価格カルテルを結んだとして 、米国の需要家が集団訴訟を行ったもの。

この事件では、Dow 以外の各社はいずれも違法行為はなかったとしながらも、和解した。

2013年2月20日に陪審員はDowを有罪とし、4億ドルを支払えとする決定を行った。

Dowは裁判長に対し、有罪の証拠がないとして判決を取り消すように求めるとともに、集団訴訟の原告同士の被害が異なるとし、集団訴訟の要件である"共通性" がないため、集団訴訟扱いを取り消すことを求めた。

2013/2/27 Dow Chemical、ポリウレタン独禁法違反裁判で有罪

しかし、Kansas City地裁の判事は2013年5月15日、陪審員決定を退けるよう求めたDowの要請を却下し、3倍賠償の12億ドルを支払うよう命じた。
その後、別の事情で12億ドルから10.6億ドルに減額された。


Dowは控訴したが、コロラド州Denverの控訴裁は9月29日、一審判決を支持した。

裁判では、Dowがカルテルに参加したかどうかという点のほかに、 「集団訴訟」を認めるかどうかが問題になった。
米最高裁は2011年のWal-Mart Stores 事件と2013年のComcast Corp 事件の判決で、集団訴訟に厳しい制限を加えている。

2014/10/4 Dow Chemical、ポリウレタン独禁法違反の集団訴訟で控訴審でも敗訴 

コロラド州Denverの控訴裁は、上記の最高裁判決を勘案しても、集団訴訟として認められると判断したが、Dowはこれを不満とし、最高裁に上告していた。


2月13日、米連邦最高裁のAntonin Scalia判事が急逝した。

Scalia判事は共和党のレーガン大統領に任命され、保守的な価値観を持つ。
上記のWal-Mart Stores 事件とComcast Corp 事件の判決は
Scalia判事が書いたもの。

米国の現在の9名の判事のうち共和党大統領が任命した判事は5名、民主党大統領が任命した判事は4名であったが、Scalia判事の死亡で 4対4 となった。
オバマ大統領は大統領の考え方に近い判事を任命する可能性が強いが、共和党主導の議会の反対で承認されない恐れもあり、暫くはこの状態が続く。

Dowは、敗訴のリスクが増えたとして、一転して和解に応じた。

一審判決の10.6億ドル(プラス金利、弁護士費用)に対し、835百万ドルの支払で和解した。

Dowは、和解には応じたが、カルテルには参加していない、 Scalia判事の書いた最高裁の2つの判決から考え、本件は集団訴訟の対象ではない、との主張は保持している。

米国のLNGの初輸出 

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Cheniere Energy Partners は2月24日、ルイジアナ州Cameron ParishのSabine Pass液化設備第1系列で生産されたLNGを載せた第一船が同日にも出航すると発表した。

Cheniere がチャーターした LNG船 Asia Visionで、ブラジルに向け輸送される。

購入先はPetribrasとされる。
これはスポット販売で、出荷ターミナルに問題がないかどうかのテストのためのもの。

問題がなければ、Federal Energy Regulatory Commissionに商業用輸出ターミナルとしての認可申請を行う。


Cheniere Energyは2010年9月に
米国がFTAを締結している国(将来締結した国も含む)に限定して輸出許可が出された。

これに対し、同社は、多国間での自由貿易協定を目指すWTO加盟国へのガス輸出を禁止することが正当かどうかの判断を政府に求め、エネルギー省は2011年5月、同社に条件付きですべての貿易相手国への輸出を認めた。

2012/2/24 米国からのLNG輸入問題 

同社はSabine Pass に年産450万トンの液化設備 7系列(合計年産 3,150万トン)を建設中である。

このうち、1~5系列分(能力合計2,250万トン)について、既に6社との間で年 1,975万トンの20年間の長期販売契約を締結している。残りはスポット販売される。

契約概要は下記の通り。

相手先 年間数量
 万トン
固定費
$/MM Btu
製造系列 完成時期
BG Group(英) 350 2.25 第1系列 2016/4-5
200 3.00 第2, 3, 4 系列
GasNatural(スペイン) 350 2.49 第2系列 2016/8
Kogas(韓国) 350 3.00 第3系列 2017/4
Gail (インド) 350 3.00 第4系列 2017/8
Total (仏) 200 3.00 第5系列 2019/8
Centrica (British Gas) 175 3.00 第5系列
合計 1,975


FOB価格は、原料ガスコスト(
Henry Hub 渡し市況 x 115%)+固定費(ガス化費用など)。
15%は天然ガスのトレーダーとしてのマージン。

最近のHenry Hub 天然ガス価格は2$/MM Btuのため、韓国着の価格は
2 x 1.15 + 3 + (運賃)2.96 = 8.26 $/MM Btu となる。

日本の12月のLNG通関価格は53.71円/kgで、換算すれば8.22$/MM Btu となり、ほぼ同じとなる。



2月23日付けの日本経済新聞の下記報道を受け、同社株に買いが入り、各紙が報道した。

田辺三菱製薬はタバコの葉を使ってつくるインフルエンザワクチンを2018~19年度にも実用化する。
鶏卵でウイルスを培養する従来方法で半年かかる製造期間を1カ月に短縮する。年ごとに流行する型が変わる季節性インフルに素早く対応できる。
ウイルスを使わないため、投与時の感染リスクも抑えられるとみている。ワクチンの効率的な製造技術として広がる可能性もありそうだ。

本件は、同社が60%所有するカナダのMedicagoの状況の報道である。

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田辺三菱製薬は2013年7月12日、Philip Morrisと共同で、カナダの医薬品会社 Medicago Inc.の全株式を取得することで同社取締役会と合意したと発表した。

両社は買収後のMedicagoを、田辺三菱60%、Philip Morris 40%のJVとして運営する。

Medicagoは植物由来のウイルス様粒子(VLP:Virus Like Particle)技術を用いた新規ワクチンの研究開発に特化したバイオ医薬品会社で、遺伝子操作によって植物の細胞内にVLPを生成させ、効率的に抽出・精製する独自技術を有している。

VLPは、ウイルスと同様の外部構造を持つ一方、遺伝子情報を持たないため、ワクチンとしての高い免疫獲得効果が期待されることに加え、体内でウイルスの増殖がなく安全性に優れる有望なワクチン技術として注目されている。

田辺三菱製薬は2011年9月にMedicago株式6%を取得、2012年2月にVLP製造技術を用いた新規ワクチンの共同研究契約を締結した。
まず、同年春から「ロタウイルスVLPワクチン」の研究を開始した。

田辺三菱はMedicagoのVLP技術を評価した結果、同技術は幅広い種類のワクチンを効率的に製造することが可能な有用性の高いものであり、同社買収により更なるパイプラインの強化を実現できるものと判断した。

Phillips Morrisは2012年9月、Medicagoとライセンス契約を締結し、Medicagoのインフルエンザワクチンを中国で独占的に開発、製造、販売する権利を獲得した。

同社は世界のたばこ喫煙の40%前後を占める中国での活動を広げているが、たばこ葉から派生するインフルエンザワクチンの開発や、健康に対する悪影響のより少ないたばこの開発など、単なる煙草の販売以外の活動も行っており、その一環である。

2013/7/19 田辺三菱製薬、カナダ医薬品会社Medicagoを子会社化

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Medicagoは下記の技術を持つ。

 Proficia™  植物の葉でのワクチン製造
 VLP     遺伝子情報を持たないウイルス様粒子(
体内でウイルスの増殖がなく安全性に優れる)
 
VLPExpress™  新ワクチンを早く見つける手法

インフルワクチンの製造は鶏卵を使ってウイルスを培養するのが一般的で、ウイルスが人の体内で働かないよう不活化処理を行うが、6ヶ月ほどかかる。

これに対し、Medicagoの開発したProficia™ はタバコの1種 ベンサミアナタバコ(学名 Nicotiana benthamiana)を使うもので、1ヶ月で製造できる。

Medicagoはいろいろのウイルスのワクチンを開発しているが、新型インフルエンザ H5 について、米国、カナダで安全性や有効性を確かめる第2段階の治験がほぼ終了、年内にも第3相と呼ぶ最終治験に進む。同社はカナダに工場を持っている。

インフルエンザ以外でも、重篤な下痢などを引き起こすロタウイルス(田辺三菱と共同)、狂犬病 (Rabies) ウイルスなどのワクチンも開発している。

同社はタバコのほかに遺伝子組み換えアルファルファも扱っている。
これは大量に生産するのに適しているが、生産に6ヶ月程度かかる。

ワクチンの製造には向かないが、バイオシミラー(バイオ後続品)の生産に向いている。

 

田辺三菱製薬は未来を切り拓く挑戦として「米国事業展開」を掲げており、2020年度までに米国売上高 800億円をめざす中期経営計画を策定したが、インフルワクチンは米国市場開拓の柱となる製品の一つで、年間数百億円の売り上げを見込んでいる。

なお、同社は阪大微生物病研究会と組み国内でインフルワクチンを販売しているが、日本では製造方法や成分など製剤基準が厳格に決められており、Medicagoの手法は遺伝子組み換え技術を使うことなどから、国内では基準改定が必要になり実用化に時間がかかる。

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田辺三菱製薬は2月8日、米国において医薬品販売会社 MT Pharma America, Inc. を設立した。

同社は日本で2015年6月に筋萎縮性側索硬化症(ALS)の効能追加が承認された「MCI-186」(日本国内での販売名:ラジカット®)について、米国での2016年度の承認・上市をめざして、最優先課題として取り組んでいるが、この販売会社設立により、MCI-186の販売準備を進めていくために必要な機能や要員を計画的に拡充していく。

同社は米国での事業基盤拡充のためにM&Aを含めて、2,000億円以上の投資を計画している。



アメリカ大統領選挙に向けて民主党から立候補しているHillary Clinton 前国務長官はTPP協定について反対だと明言するとともに、中国その他に加え、日本も輸出を有利にするため円安を誘導していると批判し、対抗措置を取る考えを示した。

Hillary Clinton は2月23日付けのメイン州の新聞 Portland Press Herald に、「大統領になれば国際貿易の競争の場を公平にする」と題する寄稿を行った。
サブタイトルは、「中国や他の諸国は不平等なやり方で米国の労働者に対し利益を得ている」というもの。

内容は下記の通りで、大統領になった場合の公約とも読める。

ーーー

オバマ大統領の下で、自動車産業を救済し、製造業で90万の職を追加し、輸出は40%アップしたが、これらは危機に面している。
ドル高や中国経済の鈍化、国際経済の混乱が鉄鋼から自動車までの産業の労働者に逆風となっている。

中国や他の諸国は不正、不公平な貿易慣行を使い、米国の労働者、企業を攻撃している。彼らが製品を米国にダンピングし、国営企業を不当に支援し、通貨を操作し、米国企業を差別すれば、米国のミドルクラスが被害を被る。
これは止めるべきだ。

米国製品の需要家の95%は海外居住のため、貿易を止めることは解決にならない。しかし、同じ土俵で勝負する必要がある。
上院議員として、私はブッシュ政権に中国に強硬姿勢をとるよう求めた。国務長官として、国際市場で米国の労働者を守るよう努めた。
大統領になれば、将来の製造業のためグローバルな競争に勝つことが私の目標だ。

まず、米国の労働者が欺かれないよう、貿易ルールを強く守ることが必要だ。
政府はしばしば、問題を労働者や組合任せにし、被害が発生し、労働者がレイオフされるまで行動を取らない。

政府は最初から法律を適用すべきで、そのために、大統領に直接報告する貿易検察官を置いて権限を与え、担当者を3倍に増やし、違反行為が害を及ぼす前に介入する早期警戒システムをつくるべきだ。

また、国際的に決められた労働慣行を守るようーー児童労働や奴隷労働をやめさせ、世界中で労働組合をつくる基本権利を守るようーー他国に責任を負わすべきだ。

第二に、中国の不正行為に立ち上がるべきだ。
中国は現在、「市場経済国」扱いを求めているが、そうなれば、我々の反ダンピング法を無力化し、安い製品を我々の市場に溢れさすこととなる。
そのため、唯一の返事は "No" である。

無数の国営企業、国内企業への膨大な補助金、国が関与するシステマチックな事業秘密の盗用、ルールに従えという声への拒否・・・中国は市場経済からは程遠い。中国が市場経済国扱いを求めるなら、市場経済国の行動を取るべきだ。

参考 2016/2/12 中国の「市場経済国」認定問題 

第三に、米国の労働者に破壊的な働きをする通貨操作をやめさせる必要がある。
中国、日本や他のアジア経済は通貨を切り下げることで、何年にもわたり、彼らの製品を人為的に安くしている。

私は以前にこの不公平慣行に対し戦ったが、再度戦う。
監視などのほか、効果的な対抗策を含めた手段を拡大する必要がある。

第四に、米国企業が雇用を海外に移すのを止めさせる必要がある。抜け道を塞ぎ、税務の恩典を止め、米国での雇用("in-sourcing")を奨励するのだ。

最近、インディアナ州の2つの空調の工場が海外移転を決め、2100の職を失った。しかも税務控除を受けている。
単に何年も工場を支えてきた労働者やコミュニティに背を向けるだけでなく、米国に背を向けた。
大統領になれば、多国籍企業が名前だけ海外に移すことで米国の課税を回避する"inversion" も禁止する。

第五に、新しい貿易協定に高いバーを設定し、職をつくり、賃金を上げ、国のセキュリティを高めるものだけを支持するべきだ。
この基準に合わないため、TPPに反対した。今後の協定も基準に合わないなら反対する。

米国は何世代にもわたり、グルーバル経済のための強く、公平なルールをつくるため、パートナー国と努力してきた。これらのルールは適用してこそ意味がある。製造ルネサンスを支えるためのこれらルールの適用や他の政策が、貿易で米国労働者を助ける唯一の道である。
大統領になれば、それが私がすることだ。

ーーー

Clinton前国務長官は2015年10月7日にも、PBS News Hour のインタビューで、TPPについて支持しない立場を表明している。

私は最初から、米国民の雇用創出、賃金上昇、国家安全保障の強化につながる貿易協定を結ぶ必要があると語ってきた。他にも多くの疑問が解消されていないと思うが、私にとってはこの3点に尽きる。

TPPは私が設定した高い基準を満たすとは思わない。

ーーー

TPPをめぐっては、民主党のライバル候補 "Bernie" Sanders上院議員が労働者保護の観点から反対姿勢を鮮明にしている。

NAFTA(北米自由貿易協定)やCAFTA(中米自由貿易協定)などが発効してから、米国は数百万人の労働者が失業し、2001年から6万以上の工場が潰れた。最底辺への競争によって、賃金は下がり続けている。
TPPは、製薬業界やウォール街のアメリカの大企業連中によって書かれたものだ。
私は、アメリカの労働者に、時給57セントのベトナムの労働者と競争して欲しいとは思わない。

共和党の不動産王Donald Trump候補も、日本の円安誘導を批判し、TPPに反対している。

現政権の能力のなさは理解を超えている。TPPはひどい協定だ。
アメリカを犠牲にして日本が大きな利益を得る協定で、その隙に中国が裏口から侵入してくる。





日本の12の神薬

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2015年3月に中国の李克強首相が会合で、中国人による日本の温水洗浄便座の購入を取り上げ、話題になった。

2015/11/14 中国人の日本での温水洗浄便座購入 


本年の春節連休期間には中国人観光客600万人が海外に出かけ、900億元(約1兆5577億円)を消費して、過去最高を更新した。
日本の場合、同期間の中国人観光客は前年比52%増加し、大阪高島屋は免税販売の金額が同2.6倍増加するという記録をうち立てた。


最近は中国人観光客による爆買いが、目薬や鎮痛剤といった一般医薬品に広がっている。

2014年に中国のメディアで日本で絶対に買うべき薬として「日本12神药(12の神薬)」が紹介され、ブームになった。
中国では「神」とは「すばらしい」といった意味で使われている。

紹介されたのは次の12で、うち小林製薬の製品が5つ含まれている。

目薬
 サンテ ボーティエ

 参天製薬

消炎鎮痛剤
 アンメルツ ヨコヨコ

 小林製薬

液体絆創膏
 サカムケア

 小林製薬

冷却剤
 熱さまシート

 小林製薬

頭痛薬
 イブ クイック

 エスエス製薬

消炎鎮痛剤
 サロンパス

 久光製薬

外皮用薬
 ニノキュア

 小林製薬

ビタミン剤
 ハイチオールC

 エスエス製薬

便秘薬
 ビューラックA

 皇漢堂製薬

口内炎治療薬
 口内炎パッチ 大正A

 大正製薬

女性保健薬
 命の母A

 小林製薬

のど薬
 龍角散

 龍角散

小林製薬の外国人向け売上高は、2016年3月期決算で41億円に上る見通しという。

同社では、「熱さまシート」について中国人好みの金色パッケージを用意した。液体ばんそうこう「サカムケア」は売り上げの7割が外国人で、2015年1月に宮城県の工場に専用の生産ラインもつくった。

ーーー

中国国際貿易促進委員会の研究員は、「豊かになった中国人消費者は購入する商品の品質やブランドにより高い要求を出すようになった。一連の国内の小型商品メーカーは品質の飛躍と世界におけるブランド知名度の向上を追い求めるが、まだニーズを満たせてはいない」と指摘する。
消費の流出は中国人消費者の巨大な購買力を明らかにするとともに、国内の商品の供給と消費者の需要との間にはズレがあることも示している。

本年1月末に中国メディアが、湖北省の政協委員(人福医薬集団の董事長)が「中国人が日本へ行って風邪薬を買うことは、中国の製薬会社の恥だ」と述べたことを伝えた。

小さな風邪薬を買うのに多くの人が外国製を選ぶことは、結局のところ中国製薬会社には普遍的にイノベーションが欠けているからで、薬品の品質が、向上し続ける消費者のニーズを満たしていないためであると指摘した。

これに対し、中国のネットユーザーからさまざまなコメントが寄せられた。

「恥ずかしいことは粉ミルク、紙おむつ、炊飯器、便座など他にもたくさんある。反省すべきは1つの業界だけではない」

「偽薬が多すぎるし、本来は安い薬が高く売られているからだ」

「中国は技術が欠乏しているわけではない。良心が欠乏しているだけだ」

「イノベーションに欠けているのではなく、革新的すぎるのが問題だ。ミルクにメラミンを加えるという革新的な事を他の誰ができる?」

中国では2008年に石家荘三鹿集団のメラミン混入粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎臓結石となるケースが相次ぎ、5人が死亡、多数が入院した。
調査の結果、他の22社の69品目からメラミンが検出された。

2008/9/29 中国粉ミルク汚染事件のその後

「貧乏人には関係のない話だ。貧乏人はそれでも中国の薬を飲むしかない」

Record China から)

米IBMの子会社IBM Watson Health は2月18日、クラウドベースの医療データサービスのリーダーTruven Health Analytics を26億ドルで買収すると発表した。
人工知能を取り入れた新型コンピュータのWatsonを医療分野で活用するサービスの普及に向け、約2億人分の治療データを新たに獲得する。

Watsonはデータを蓄積・学習する機能を持つ。データ量が多ければ多いほど、利用者の問いかけに適切に回答する可能性が高まる。

ある患者に特定の症状が合った場合、Watson Healthは他の患者のデータを分析し、似たような症状を選び出し、症状のパターンを教える。
ただしデータの背後にある個人については身元特定可能な情報を持たない仕組みになっている。

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IBMは2015年4月13日、医療データ解析部門「IBM Watson Health」を立ち上げると発表した。

ヘルスケア関連のデータをクラウドに集め、Watsonの自然言語認知機能によるビッグデータ解析サービスを開発、提供する。

この事業に関連して、Appleとの提携拡大や、Johnson & Johnson 及びMedtronicsとの提携も発表した。

AppleとIBMは2014年7月、企業向けモバイルサービスで提携したと発表した。
IBMのビッグデータと分析機能を iPhoneおよびiPad で利用できるようにする。

今回のAppleとの提携拡大では、Appleのアプリが収集するユーザーの健康関連データをセキュアに保存・解析・モデリングするための場として「Health Cloud」を提供する。

J&J社とは、人工関節置換術や脊髄手術などの手術前後における患者のケアに関して、モバイル端末とWatson Health Cloudを活用した患者への指導ソリューションなどを開発する。

インシュリンポンプなどを手掛けるMedtronic社とは、糖尿病患者向けの個別化健康マネジメントに関して、患者の情報や、インシュリンポンプやグルコースモニターなどのMedtronic製機器で測定したデータをWatson Health Cloudで解析し、患者のケアなどに生かす。

更に、IBMはヘルスケアクラウド基盤を手掛ける Explorys、ヘルスケアマネジメント用ソフトウエアを手掛けるPhytel の買収を発表した。

Explorysは、オハイオ州クリーブランドを拠点とする企業で、同社のクラウド・コンピューティング・プラットフォームは、病気、処方、結果のパターンを認識するために、26の主流な統合ヘルスケアシステムで使われている。

Phytelは、テキサス州ダラスを拠点とする企業で、ヘルスケア提供事業者とケアチーム作業者が共に効果的なケアができるようなクラウドサービスを色々と開発、提供をしている。

2015年8月には、Watson Healthは医療用画像解析を行うMerge Healthcareを10億ドルで買収した。
これによりWatson Healthは膨大な医療画像データを所有することとなった。

Mergeの技術は、アメリカ中の7500の医療機関で使用されており、これまで合計300億ものレントゲン写真、MRI、CTスキャン画像を解析してきた。
IBMの研究者は、現在の医療データの90%は画像形式であると推測している。

ーーー

今回買収するTruven Health Analytics は米連邦政府やや州の機関、またその従業員組合、健康保険会社、生命保険会社など8500以上の顧客を抱え、医療機関などに対し、効率的な医療機関の運営や治療の質の改善などを指導するサービスを提供している。

Truven Health Analytics の買収で一気に2億人分の患者データを追加し、累計で3億人分を確保、世界最大級の医療データベースを構築する。


欧州連合は2月19日夜、ブリュッセルで開いた首脳会議で、英国のEU離脱を回避するためにCameron英首相が求めているEU改革案を巡って全会一致で合意した。

合意を受け
Cameron首相は、6月23日に国民投票を実施することを決め、自らはEU残留を訴えていく考えを明らかにした。

首相は、「イギリスは、改革後のEUの中でより安全で強く、豊かになるだろう」と述べ、離脱派の主張について、「離脱した場合、統一市場との自由な貿易を続けられるか、雇用は確保されるか、明らかにできていない」と述べ、牽制した。

今月行われた6つの世論調査によると、EU残留支持は平均51%、EU離脱支持は平均49%と世論が拮抗しており、改革の内容を強調して残留に導けるかどうかが大きな課題となる。

付記  
与党・保守党の有力な政治家で下院議員も務めるBoris Johnson ロンドン市長は2月21日、EU離脱支持を明らかにした。
「離脱こそが資金を節減し、実権を取り戻す道にほかならない」と語った。


EU首脳会議の合意の主な点は下記の通り。

  議事録は http://www.consilium.europa.eu/press-releases-pdf/2016/2/40802208947_en_635915443200000000.pdf

キャメロン首相 今回の合意
Emergency brake  EU域内からの移民に対し税控除 、児童手当など福祉サービスを4年間制限


(背景)

東欧からの移民の大量流入で、職を奪われたり、負担が増大するとの不満

EUは「人、物、サービス、資本の自由移動」を保障
但し、英国はシェンゲン協定の国境検査撤廃の適用対象から除外されている。

EUからの移民により福祉制度に過度な圧力がかかるような「例外的な状況」が発生した場合、各国が福祉サービスの受給を最長4年制限することを認める。

但し、新たな移民のみが対象
東欧諸国 は既にサービスを受けている移民の受給権を阻害しないよう要求)

継続期間 最大13年 最終、7年で合意
(東欧4カ国:Poland, Hungary, Slovakia, Czech は5年限定を主張)
うち
Child benefits
両親が英国で働くが英国以外で住む子供への児童手当の廃止

(その後譲歩)
子供が住む国の生計費指数で調整

子供 が住む国の物価に合わせて児童手当の支給額を減額

当面、新規移民に適用
2020年からは全移民に適用

Economic Governance 非ユーロの英国が差別されないこと ユーロ圏と非ユーロ圏での差別を禁止
ユーロ圏救済の費用負担免除 ユーロ圏内で危機が起こっても、非ユーロ圏加盟国は救済措置には参加しない
Ever-closer union
(
統合深化)
英国への適用除外 統合深化を英国に適用しない
各国議会に事実上の拒否権付与 12週間以内に加盟国議会の計55%が反対すればEUの新法制を廃棄
Competitiveness
(EU競争力強化)
競争政策推進 域内市場の強化
規制緩和・改善
管理費用の低減等

アップルを相手取り、下請けの島野製作所が約100億円の賠償を求めていた訴訟で東京地裁は2月15日、「係争をアメリカの裁判所で解決することを定めていた両社の合意は、合意が成立する法的条件を満たしておらず無効」と判断 、国内で審理することを決めた。

ーーー

島野製作所は、電源アダプターに使われる「pogo pin」というるコネクタ部分の接触端子の専業メーカー で、2005年からアップルのノートパソコン(Magsafe、Magsafe 2)に接続する電源アダプタ側の端子向けに、単独サプライヤーとして供給してきた。

島野は2012年にアップルから増産要求を受け設備投資を実施したが、直後に取引を急減させられた。
(アップルは島野とは別設計のポゴピンを開発し、別のサプライヤーからMagsafe 2に必要なポゴピンの供給を受けるようになった。)

島野は取引回復を求めたが、納入価格を半額以下にするよう要求され、さらに納入済みの在庫部品についての値下げ分として約159万ドルのリベート支払を求められた。

島野はいずれの要求にも従ったが、2014年8月にアップルを相手に独占禁止法違反と特許権侵害で訴えた。

① 独禁法違反等  リベート支払等に関する損害賠償請求

② 特許権侵害   一部のアップル製品についての販売差止及び損害賠償請求

アップルから依頼を受けて新製品用のピンを開発し、アップルの要求で量産体制を構築した。
ところが、アップルは島野との合意を無視するかたちで、別のサプライヤーに代替ピンを製造させていた。
しかも、これが島野の特許権を侵害していた。

取引再開を求めたが、アップルは値下げとリベートを要求した。
リベートは、決済が終わった売却済み製品の値下げの強要で、不当なリベート要求である。

これらに伴う開発費や設備投資、アップル向け製造ラインの休止、不当なリベートなどの損害賠償 (約100億円)を求める。
また、特許権侵害の対象であるアップル製品の電源アダプタと、それが同梱されているノートパソコンの日本での販売差し止めも請求する。

これに対しアップルは以下の通り主張した。

島野製作所が侵害を主張する特許権は、アップルの技術者と島野製作所の技術者が共同して発明したものを島野製作所が2011年11月に単独で特許出願したもので、権利が無効である。

新しいポゴピンは別設計であり、島野製作所の特許権を侵害していない。

ーーー

裁判では損害賠償請求の審理に先立ち、国際裁判管轄が争われた。

両社が契約時に、「紛争はアップル本社があるカリフォルニア州の裁判所で解決する」と合意していた。

このため、 アップルは「日本での提訴は合意に反し無効」と主張、島野は「合意は独占禁止法が禁じる優越的地位の濫用の下で結ばれたため不当で、国内で審理されるべきだ」などと反論していた。

裁判所の管轄をめぐる判断を示した2月15日の中間判決で、東京地裁の千葉和則裁判長は次のように指摘した 。

裁判管轄の合意は、国際事件であれ国内事件であれ、 片方の当事者が不測の損害を受けることを防ぐため、「一定の法律関係に基づいた訴え」に関して結ばれたものでない限り無効である。

両社の合意は、「契約内容との関係の有無などにかかわらずあらゆる紛争はカリフォルニア州の裁判所が管轄する 」としか定められていないため、無効。

中間判決への異議申し立てはできず、審理は東京地裁で行われることになる。

ーーー

国際裁判管轄を成文法化する民事訴訟法改正案が2012年4月1日から施行された。

第3条の7
  1. 当事者は、合意により、いずれの国の裁判所に訴えを提起することができるかについて定めることができる。
  2. 前項の合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。

第2項については、次のような解説がされている。

甲乙間に生じる一切の紛争はXX裁判所を専属的管轄裁判所とする」などの包括的な合意は、被告の利益を損なうので許容されない。

 但し、訴えの内容を厳密に特定する必要はなく、「本契約に関連して甲乙間に生じる一切の紛争」といった程度の特定がなされていれば十分である。

アップルと島野の合意は包括的にカリフォルニア州と決めており、民事訴訟法の専門家は「無効との裁判所の判断は納得できる」と話している。

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本の投資家 9人が米国の資産運用会社「MRI International」に出資金の返還を求めた訴訟で、東京高裁が2014年11月、別の理由で、投資家とMRIが結んだ「すべての紛争は米ネバダ州の裁判所で扱う」とする合意を無効と判断している。

MRI International は米国の「診療報酬請求債権」を巡る事業への投資を呼びかけ、日本人投資家8700人の資産1300億円余りを集めたとされるが、大半を流用した。

一部の投資家が出資金の返還などを求める訴訟を起こしたが、1審の東京地裁は2014年1月、契約書には、「すべての紛争は米ネバダ州の裁判所で扱う」との合意事項があり、日本の裁判所では審理しないとして訴えを退けた。

東京高裁は判決で、(1) MRI は資産運用が行き詰まっていたのに勧誘を続けた、(2) 関東財務局の業務命令後も投資家に必要な説明を怠っている、(3) 米国での審理は原告らに大きな負担になる――ことなどを理由に、「日本での審理を絶つのは不合理で公序良俗に反して許されない」とし、1審判決を取り消し、審理を東京地裁に差し戻した。

MRIは高裁判決を不服として最高裁に上告したが、最高裁は2015年9月1日、棄却・不受理の決定をした。
最高裁の決定により、契約の記載にかかわらず、弁護団が我が国の裁判所においてMRIの責任を追及できることが確定した.

別途、米司法省は2015年7月8日、MRIの社長ら3人が詐欺罪などでネバダ州の連邦地裁大陪審に起訴されたと発表した。

この問題に関しては、現在のところ明確な基準となる国際的なルール、システムはいまだ存在しておらず、訴訟が提起された裁判所が自国の法や判例に従って、個別に判断しているのが実情という。
(企業法務ナビ http://www.corporate-legal.jp/

住友金属鉱山は2月15日、米国最大手の産銅会社 Freeport-McMoRan が経営するアリゾナ州のMorenci 銅鉱山の権益を追加取得すると発表した。

同社は1986年から30年間にわたり、住友商事とのJVのSumitomo Metal Mining Arizona (住友金属鉱山 80%、住友商事 20%)を通じて同鉱山に15%の出資をしており、 2013年1月には、同鉱山の年間生産量を28万トンから40万トンへ増産する拡張プロジェクトに参画することを決定している。

既存鉱山の拡張であり収益性が高いこと、確立された技術による開発であり新規プロジェクトと比較して参入リスクが低いことなどから参画を決めた。

採掘量 日量 635千トン→ 815千トン
選鉱処理量 日量 50千トン→ 115千トン
銅生産量 年間 280千トン→ 400千トン
日本側引取量 年間 42千トン→ 60千トン



今回、住友金属鉱山 は従来の実質出資比率12%を25%に引き上げる。

住友商事は追加出資をしないため、JVを解消し、個別出資に切り替えると思われる。
出資比率は下記の通りとなる。

従来の比率 新比率
Freeport-McMoRan 85% 72%
住友金属鉱山

JV
15%

12% 25%
住友商事 3% 3%

権益追加取得に係る対価は総額10億米ドルで、追加取得の資金はすべて新規の借り入れで賄う。

これにより、住友金属鉱山の持分の銅生産量は年間48千トンから100千トンに62千トン増加する。
(なお、今後5年間平均の銅生産量は48万トンとしており、同社持分は120千トンとなる。)

同社は
長期ビジョンの中で、権益シェア分の銅生産量30万トン/年を目標に掲げて いるが、この追加取得により、この目標の達成が視野に入ることとなる。

銅国際価格は現在1トン4500ドル前後と、約7年ぶりの安値水準で、採算割れした鉱山の閉鎖が進んでいる。
チリのカセロネス銅鉱山に関連し、JX金属は2016年3月期に約800億円の減損損失を計上、三井金属もは193億円の減損を計上する。

しかし住友金属鉱山では、新興国の経済成長に伴い需要は増加し、鉱山閉鎖などで需給は引き締まると判断、各社が投資を手控える中で銅鉱石の調達体制を強化する。

Morenci 鉱山は生産量では世界で3本の指に入り、銅鉱石の埋蔵量は少なくとも20年分以上で、製鉄時に添加剤として使うモリブデン鉱石も副産物として採掘できるため、コスト競争力が高い。

他方、住友商事は資源関連で多額の減損損失を計上しており、出資増を避けたと見られる。

2014/10/1 住友商事、米国のタイトオイル開発などで大幅な損失計上

2016/1/19 住友商事、マダガスカルのAmbatovy ニッケルプロジェクトで約770億円の減損損失を計上

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住友金属鉱山は2016年2月15日、中期経営計画を発表した。

そのなかで、「世界の非鉄リーダーを目指す」とし、以下のターゲットを立てた。

同社の拠点は下記の通り。

銅鉱山は下記の通り。

鉱山 権益 能力
住友金属
鉱山
住友商事 その他
Morenci 米国 25% 3% Freeport-McMoRan 72% 48万トン
Cerro Verde ペルー 16.80% 4.20% Freeport-McMoRan 53.56%
others   25.44%
30万トン→50万トン
 (2016/1Q 完工)
Sierra Gorda チリ 31.5% 13.5% KGHM International 55% 22万トン
Ojos del Salado チリ 16% 4% Lundin Mining 80%
Candelaria
Batu Hijau インドネシア 3.5% 18.2% Newmont Mining 31.5%
others 46.8%
Northparkes 豪州 13.3% 6.7% China Molybdenum 80%


ニッケルについては下記参照

2009/8/22 住友金属鉱山、比最大手ニッケル鉱山会社の株式を取得


Pogo金鉱山は住友金属鉱山の海外での初の主導的な開発プロジェクトで、1991年に探鉱を開始、1997年にTech Resources と提携し、探鉱及び企業化調査を進めた。
Techは本年4月にこの権益をJVパートナーの
住友金属鉱山へ2億4500万米ドルで売却した。

1)位置:米国アラスカ州フェアバンクスの南東約145キロ
2)権益比率:住友金属鉱山アメリカ社(住友金属鉱山100%子会社) 51%→85%
        Teck Resources 40%→ 0
        SC Minerals America(住友商事100%子会社) 9%→15%
3)埋蔵金量:109t(2008年末鉱量計算結果)
4)年間生産金量:11~12t/年
5)開発投資額:約378百万ドル(出資比率で負担)

2009/7/14 中国政府系ファンドCIC、カナダの資源大手に出資

韓国POSCOの子会社の大宇インターナショナルは2月12日、ミャンマーの西方海上のAD-7 鉱区のThalin-1A 井戸で商業性が高い大規模なガス層を発見したと発表した。

AD-7鉱区の出資比率は、大宇インターナショナルが60%、豪州の Woodside Petroleum が40%で、大宇がオペレーターとなっている。

大宇は近くのA-1鉱区、A-3鉱区でShwe、Shwe Phyu、Mya の3ガス田で商業生産を行っているが、今回見つけたガス田のガス層の厚さは既存ガス田の約2倍としている。大宇では「厳密な評価を経て経済性を確認する」と話している。
商業生産開始には6~7年かかるとみられている。

大宇は既存ガス田に51%の権益を有しているが、これらから毎年3000億ウオン(約280億円)以上の営業利益を得ている。

鉱区 ガス田 ガス発見 埋蔵量 権益
A-1 Shwe 2004/1 3.3~5.6 TCF 大宇 51% ONGC Videsh 17%
Myanmar Oil & Gas 15%
GAIL (India) 8.5%
Kogas 8.5%
Shwe Phyu 2005/3
A-3 Mya 2006/1 1.3~2.2 TCF
AD-7 2016/2 大宇 60% Woodside Petroleum 40%

現在生産されているガスは全量が中国石油天然気集団(CNPC)に販売され、陸上パイプラインを通じて中国 の昆明に送られる。


2013/5/24 パイプライン万里長城が完成

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韓国の10大財閥の一つであった大宇グループは、アジア通貨危機で苦境に陥り、1999年に破綻した。

債権団のワークアウト(財務構造改善作業)で大宇の貿易部門が分離され、大宇インターナショナルとなった。
債権団は2010年に大宇インターナショナルをPOSCOに売却した。

大宇インターナショナルの事業の一つが資源開発で、世界中で開発を行っている。

開城工業団地の閉鎖

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韓国政府は2月10日、北朝鮮の事実上の長距離弾道ミサイルの発射を踏まえ、北朝鮮南西部にある開城工業団地の操業を全面中断すると発表した。

開城工業団地について「北朝鮮の核兵器と長距離弾道ミサイルの高度化に悪用される結果になった」と指摘し、開城工業団地の資金がこれ以上、核・ミサイル開発に利用されるのを防ぐため、全面中断を決め、北朝鮮当局に通告した。

これまで開城工業団地を通じて北朝鮮に総額 6160億ウォン(約590億円)の現金が入り、昨年だけでもその額は1320億ウォン(約130億円)に上る。

2003年の開城工業団地の着工以来、政府がこれまで敷地造成や道路、電力施設の建設などに投資した金額は4,577億ウォン。
入居企業が建物や生産設備に支払った5,613億ウォンを加えると、開城工業団地に投資した総額は1兆0190億ウォンに達する。
さらに現代峨山は、開城工業団地事業権の対価として北側に5億ドル、約6,000億ウォンを提供した。

韓国の統一相は2月14日、開城工業団地で働く北朝鮮労働者の賃金の7割が朝鮮労働党に上納されていると明らかにした。上納金は核やミサイル開発のほか、金正恩第1書記の私的資金を管理する党39号室に流れ、ぜいたく品の購入などに充てられていると指摘した。
朝鮮日報は労働者には本来の賃金の30~40%に相当する物品交換券などが渡されていたと伝えている。

韓国政府は、再開するには北朝鮮が核・ミサイル開発に関する韓国や国際社会の懸念を解消する必要があるとしており、中断が長期化する可能性がある。

現在入居している韓国企業は 124社で、北朝鮮労働者は2015年8月時点で 5万4702人。
操業中断は、北朝鮮の貴重な外貨収入源の一つを断ち切る効果がある半面、韓国企業にも大きな影響を与える。

米国のケリー国務長官は2月12日、韓国の外相と会見、「非常に勇気があり、重要な措置だ。北朝鮮に、核・ミサイルの放棄を決断することだけが生きる道だという強力なメッセージを与えた」と支持を表明した。


北朝鮮の対韓国窓口機関の「祖国平和統一委員会」は2月11日、声明を発表した。

「開城工業地区事業を全面中断した傀儡どもの挑発的妄動は絶対に容認できない」

南側企業・関係機関の設備・物資・製品をはじめ全ての資産を全面凍結する。
40分の時限を切って「全員追放」、私物のほか一切物を持っていくことはできず、凍結された設備・物資・製品は開城市人民委員会が管理する。

開城団地と隣接した軍事境界線を全面封鎖し、南北管理区域の陸路を遮断する。
開城団地は閉鎖し、軍事統制区域にする。

工業団地に残っていた入居企業関係者など280人は、最終的に午後10時ごろ全員が軍事境界線を通って帰還した。

韓国政府は、帰還者の入国完了を受け、開城工業団地への給電を止める措置を取った。

開城工業団地を北朝鮮が独自に稼働させるのは困難とされる。

開城で使用される電力は100% 韓国の発電所から送られている。
電力不足の北朝鮮には開城に送る電力の余力はなく、送電設備もない。
電力供給がストップすれば、工業用水を確保するための浄配水場も稼働がストップする。

機械など工場の設備を修理する能力も低く、修理に必要な部品の確保にも限界がある。

ーーー

韓国政府は2月12日、開城工業団地から撤収を余儀なくされた企業に対し、第1次の緊急支援策を発表した。

南北経済協力保険に加入している110社に対しては、投資損失額の90%、1社あたり70億ウォン(約6億6000万円)を上限とする補償金を支払う。
総支払額は2850億ウォンに上る見通し。

金融機関への返済期限を延長し、新たに特別金利を適用する。
法人税、付加価値税など国税の申告と納付の期限を最大で9カ月延長し、徴収や滞納に伴う処分を猶予する。
電気料金など光熱費についても納付の猶予期間を設ける。

雇用労働部は企業に雇用維持支援金を支払い、社会保険料の納付期限を延長すると同時に、労働者の生活を安定させるための融資も行う。
代替地の確保、必要な人員の補充、海外進出など追加の支援策についてもとりまとめ作業を進めている。

ただ企業側が最も関心を持つ凍結あるいは没収された資産については、「当分は北朝鮮との協議は難しいだろう」との見方を示した。
「不可抗力とも言える安全保障上の問題でもたらされた企業の損失について、その全額を国民の税金で補償することはできない」としている。

ーーー

現代財閥の創始者・鄭周永は1989年に韓国の財界人として初めて北朝鮮を訪問し、金日成と会談するなど、対北朝鮮事業に関心を持っていた。

1998年に「太陽政策」を提唱する金大中が大統領になると、鄭周永は金正日と直接面談して金剛山観光開始の約束を取り付けた。

2000年6月に平壌で南北首脳会談が行われ、開城工業地区の計画が合意された。

現代財閥は南北首脳会談の直前に北朝鮮に対して総額5億ドルの秘密支援を行った。これは公式的には現代財閥が対北朝鮮事業の独占権確保のために支払った対価とされるが、実は南北首脳会談の対価ではないかと噂された。

2000年8月、金正日総書記と鄭周永の間で金剛山観光開発の推進と開城工業地区の開発開始で合意した。
開城については、北側が土地と労働力を、南側が技術と資本を提供して、開城に一大工業団地を作ることが決まった。

2003/6 開城工業団地の着工
2003/8 投資保障、二重課税防止、清算決済、商社紛争合意書の4項目に関する経済協力合意書
2004/12 生産開始
2006/11 北朝鮮労働者1万人突破
2007/1 累計生産額1億ドル達成
2007/8 開城工業団地に中国企業進出 日系企業2社も
2009/9 5%の賃金引き上げで合意
2012/1 北朝鮮労働者5万人突破
2013/1 累計生産額20億ドル突破
2013/4 北朝鮮、米韓合同軍事演習に猛反発し稼働中断を一方的に発表
2013/9 操業再開
2015/8 北朝鮮の要求を受け、北朝鮮労働者の最低賃金を5%引き上げることで合意



アサヒビールは2月10日、Anheuser-Busch InBev (AB InBev) に対し、AB InBevによるSABMillerの買収実行を条件として、SABMillerのイタリア、オランダ、英国事業その他関連資産を取得するための法的拘束力のある最終提案を行 ったと発表した。

株式売買契約は、対象事業の買収に関連する従業員との協議手続が完了して初めて締結される。

今後両社は、対象事業の買収に関連する従業員との協議手続を開始するが、この協議手続期間中、 アサヒは独占交渉権を得ている。

ーーー

ビール世界最大手のAnheuser-Busch InBev (AB InBev)は2015年11月11日、英のSAB Miller を697億8000万英ポンド(約13兆円)で買収することに正式合意したと発表した。

両社の合併については、各国の独禁法当局が問題視するのは必至だが、AB InBev は対策に "best efforts" を約束、承認を得られない場合には30億米ドルのReverse Break-Up Fee(買主からの解約金)を支払うことも約束した。

調査会社Euromonitor によると、世界シェア(2014)はAB InBevが20.8%、SAB Millerが9.7%で合計すると30.5%となる。
以下、3位はHeineken(9.1%)、4位 Carlsberg(6.1%)、5位 華潤雪花(6.0%)、6位 青島ビール(4.7%) と続く。日本のキリンは2.3%、アサヒは1.2%に過ぎない。



米当局から合併の承認を得るため、SAB Millerは保有するMillerCoorsの持株 58%を合弁相手の米 Molson Coors Brewing に120億ドルで売却する。

2015/10/14 ビール世界最大手のAnheuser-Busch InBev、2位のSAB Millerを買収へ


AB InBev は欧州でも、Corona やStella Artois (
ピルスナータイプのビール) を持つため、独禁法で問題になるのを恐れた。

このため、AB InBev は2015年12月17日、SABMillerの欧州のブランド、Grolsch ビールとPeroni ビールを売りに出すことを明らかにし、3ヶ月以内の成約を求めた。

これに対し、多くの企業が意欲を示した。

米国の買収ファンドのKKR、Bain Capital、TPG、欧州のPAI Partners、BC Partners、Cinven、Permira などの名前が挙がった。
ビール会社では、 Heineken は独禁法で問題となる恐れがあり、Carlsberg は資金面で無理だろうとされた。
アサヒビールは独禁法で問題とならない数少ないビール会社とされた。
フィリピンの大手複合企業 San Miguel も買収入札に参加する方針を明らかにした。

今回、アサヒビールが買収を決めた。
株式売買契約は、対象事業の買収に関連する従業員との協議手続が完了して初めて締結される。

概要は下記の通り。

1)買収対象:

SABMillerのイタリア、オランダ、英国の事業を構成する会社の全株式と、3ブランドの知的財産権その他関連資産
ただし、「Peroni」と「Grolsch」は米国・プエルトリコにおけるブランドに係る知的財産権を除く。

買収対象会社 ブランド
Birra Peroni S.r.l.(伊) 「Peroni」 150年以上の歴史
Royal Grolsch NV(蘭) 「Grolsch」 400年の歴史
Meantime Brewing (英) 「Meantime」 英国のクラフトビールのパイオニア的ブランド
Miller Brands (UK) (英)

2)対価:2,550百万ユーロ(キャッシュフリー・デットフリー企業価値ベース)

3)前提:AB InBevによるSABMiller買収が実行され 、アサヒが対象事業の買主として欧州委員会から承認されること


アサヒビールは、事業の将来像として、「酒類を中核とする総合飲料食品グループとして、国内では、高付加価値化を基軸とするリーディングカンパニーを目指すとともに、日本発の『強み』を活かすグローバルプレイヤーとして独自のポジションを確立する」ことを掲げてい る。

『中期経営方針』の重点課題の一つに、「国内収益基盤の盤石化と国際事業の成長エンジン化による『稼ぐ力』の強化」を掲げ、海外を中心とした新たな成長基盤の獲得を目指してい る。

アサヒは 日本国内ではシェア首位だが、国内偏重が課題である。
2014年12月期の国際事業の売上高はグループ全体の13%で、キリン(37%)やサントリー(36%)と比べると、大きな差がついている。

本件は、こうした戦略の一環であり、 こうしたブランド及び事業の買収により、欧州における成長基盤を拡大するとともに、強力な販売ネットワークの活用により、「強み」である『スーパードライ』のプレゼンス向上などでシナジーを発揮し、「独自のポジションを持つグローバルプレイヤー」として持続的な成長を目指してい くとしている。



ご挨拶

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2006年2月15日に始めた本ブログは本日、11年目に突入しました。
先週までの記事は
3531本に達しました。

最近は平日で毎日、2千名程度の方がブログを読んでくださっています。

ご愛読を感謝します。

これからも引き続き書いていきますので、よろしくお願いします。


バックデータは下記にあります。

  http://www.knak.jp/blog/index.htm

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米後発薬大手 Mylanは2016年2月10日、スウェーデンの同業Medaの買収を発表した。 負債を含めた買収額は99億ドル。
ネットでの買収額は72億ドル(1株当たりSKr 165)で、10日の終値(SKr 86.05)のほぼ2倍という高値となる。

一部アナリストからは割高との声が上がり、Mylanの株価は9.4%下落した。
実現すればMedaが手掛ける特殊医薬品と欧州事業が手に入るが、支払われるプレミアムは、医薬品業界で買収規模が50億ドルを超える案件では過去最大級となる。

Mylanによると、合わせて約30%の株式を保有する2大株主は買収案を受け入れた。

Mylanは過去2度Medaに買収を仕掛けており、3度目の提案で実現にこぎつけたことになる。

2014年4月、67億ドルのオファーが拒絶された。
Mylanは直後に90億ドル以上に引き上げたが、これも拒絶された。

インドのSun PharmaもMeda買収に乗り出したが失敗した。

逆に、Medaは2014年にイタリアのRottapharm を31億ドルで買収し、事業を拡大している。MedaのCEOは「食うか、食われるかだ」と述べていた。

MylanのHeather Bresch CEOは、決算発表後のアナリストとの電話会議で、今後も積極的に買収を模索する方針を明らかにした。

ーーー

Mylan は2014年7月、米医薬品大手 Abbott が保有する米国以外の先進国市場におけるBranded Generics事業を約53億ドル相当のMylan 株式で買収すると発表した。

Branded GenericsGenericsメーカーが、 長期収載品を新薬メーカーから ブランドをそのまま引き継いで生産・販売する医薬品。

Abbott はオランダで設立する新会社に欧州や日本、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの事業(フランスと日本の製造設備を含む)を移し、Mylanがこれと統合する。
Mylanはこれにより、本社を税金の安いオランダに置き、税負担を軽くする。

2014/7/21 MylanがAbbottのジェネリック事業 の一部を買収、本社移転も目的の一つ

Mylanは2015年11月、7カ月間交渉を続けたアイルランドの製薬大手Perrigo )の買収に失敗している。

2015/11/19 ジェネリック医薬品大手のMylan、アイルランド製薬大手Perrigo のTOBに失敗

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Meda は自社での医薬品開発は行わず、新製品は買収により確保している。

2014年にイタリアのRottapharmを買収したが、買収後の事業は下記の通りとなっている。




日本銀行は1月29日、政策委員会・金融政策決定会合で、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するため、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入することを決定した。今後は、「量」・「質」・「金利」の3つの次元で緩和手段を駆使して、金融緩和を進めることとした。

ーーー

日本銀行は2013年4月4日の政策委員会・金融政策決定会合で、「量的・質的金融緩和」の導入を決めた。

量的な金融緩和を推進する観点から、金融市場調節の操作目標を、それまでの金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)からマネタリーベース に変更し、マネタリーベースが年間約60~70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う こととした。

* マネタリーベース=「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」+「日銀当座預金」

長期国債の保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行うこととし、長期国債の買入れ対象を40年債を含む全ゾーンの国債としたうえで、買入れの平均残存期間を、 それまでの3年弱から国債発行残高の平均並みの7年程度に延長した。

2014年10月31日の政策委員会・金融政策決定会合では、マネタリーベース増加額を拡大し、マネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う こととし、資産買入れ額の拡大および長期国債買入れの平均残存年限の長期化を決めた。(賛成 5、反対 4)

今回、引き続きマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う とともに、マイナス金利の導入を初めて決めた。
(マイナス金利導入は、賛成 5、反対 4)

これまでの経緯は下記の通り。

白川・日銀

黒田・日銀

2013/4/4 2014/10/31 2016/1/29
金融市場
調節手段
無担保コール翌日物金利 マネタリーベース
マイナス金利の導入
マネタリー
ベース
年間 60~70兆円増 年間約80兆円増
2012年末 138兆円 2013年末 200兆円
2014年末 270兆円
長期国債
買い入れ

残高 年間50兆円増
40年債を含む全ゾーン
残高 年間80兆円増
平均残存 3年弱 7年程度 7年~10年程度

マイナス金利の概要は以下の通り。   

金融機関が保有する日本銀行当座預金に▲0.1%のマイナス金利を適用する。 (2月16日から)
今後、必要な場合、さらに金利を引き下げる。

具体的には、日本銀行当座預金を3段階の階層構造に分割し、それぞれの階層に応じてプラス金利、ゼロ金利、マイナス金利を適用する。
発表後、銀行株が急落したため、日銀は2月3日、
銀行収益への影響を見通しやすくするため、当面の処理を発表した。

2月3日発表 

金利率
2月残高 年80兆円増
2015年平均残高 210兆円 210兆円 0.1%
これを超えた残高 うち一定割合(下記①+② 40兆円 残り  0%
これを超える分  10兆円 10~30兆円 -0.1%

所要準備額に相当する残高
金融機関が貸出支援基金および被災地金融機関支援オペにより資金供給を受けている場合には、その残高に対応する金額

これまでの「量的・質的金融緩和」では、思ったほど銀行貸し出しは増えていない。
このため、日銀はマイナス金利により、金融機関が日銀から預金を引き出し、貸し出しに回すことを期待した。

マイナス金利の導入で円安・株高への期待が高まったが、 その後の国際的な株価下落で状況が一転した。

金融機関が日銀預け分を国債購入にまわすとの思惑と、国際的な株価下落で、比較的安全な日本国債に集中、国債価格が上昇 、2月9日には長期金利の指標となる10年物国債の市場利回りが一時、マイナス 0.005%となった。長期金利のマイナスはスイスに続き2例目。
満期9年以下の国債は既に金利がマイナスとなっている。

長期金利のマイナスは、多額の資金を国債で運用している金融機関の損益に影響を与える こととなる。

今のところ、個人の預金がマイナス金利になることは想定されていない。

欧州では環境対策プロジェクトなどへの融資を専門とするスイスの小銀行 Alternative Bank Schweiz が1月から個人の顧客にマイナス金利を適用した。
当座預金は -0.125%とし、10万スイスフラン(約10万ドル)以上の顧客には -0.75%とする。

株価の下落、円高が続いている。

日銀の黒田総裁は2月12日の衆院財務金融委員会で、急激な円高、株安、金利低下が進む国際金融市場について「日銀のマイナス金利が影響しているとは考えない」と明言し、「投資家のリスク回避姿勢が過度に広まっている」と指摘した。

マイナス金利政策は国債の利回り曲線(イールドカーブ)を押し下げる効果を発揮しており、「今後は効果が実体経済に着実に波及する」とし、「当然2%の物価目標の早期実現に資する」と強調した。「直接国民生活にマイナスになるとは考えられない」との見解を示し、「マイナス金利の趣旨や影響、効果について十分説明していきたい」と述べた。

ーーー

欧州では欧州中央銀行(ECB)やスウェーデン、デンマーク、スイスの中央銀行が既にマイナス金利を導入している。

導入 現在
ユーロ圏(ECB)  2014/6   -0.1% -0.3%
デンマーク 2012/7 -0.2% -0.65%
スイス 2014/12 -0.25% -0.75%
スウェーデン 2015/2 -0.1% -0.5%



EUは2月2日、中国をWTO協定上の「市場経済国(Market Economy」と認めるかどうかの協議を始めた。

ーーー

中国は2001年12月にWTOに加盟した。

中国は、WTO加盟に伴い、 アンチダンピング(AD)措置及び相殺措置に係る規則・手続をAD協定及び補助金・相殺措置協定に整合化させることを約束している。

他方、中国以外のWTO加盟国が、中国産品についてAD 措置又は相殺措置に係る調査を行う際の価格比較及び補助金額の算定に関し、中国を「非市場経済国(Non Market Economy)」として扱う特例が、加盟後15年間認められた。

WTO協定では「貿易の完全な又は実質的に完全な独占を設定している国で、すべての国内価格が国家により定められているものからの輸入の場合には、規定の適用上比較可能な価格の決定が困難であり、また、このような場合には、輸入締約国にとって、このような国における国内価格との厳密な比較が必ずしも適当でないことを考慮する必要があることを認める」と規定している。

この結果、「市場経済国」との認定を受けていない国の場合、ダンピング調査の際に、輸出価格は、国内価格との比較ではなく、経済発展レベルが近い代替国の価格と比較して判定される。EUは中国に市場経済国待遇を適用せず、しかも中国よりコスト水準の高い国を代替国に採用するケースが多く、この結果、ダンピングと判定される確率も高くなっているといわれている。

EUは2006年10月に中国・ベトナム産革靴に対する反ダンピング税徴収法案を僅差で可決し、中国製品には16.5%、ベトナム製品には10%の反ダンピング税が課されたが、中国商務部はこれについて、特にEUが中国を非市場経済国待遇をしていることに猛烈に反発した。

中国政府側は、大々的に中国が不公平は待遇を受けていると宣伝を繰り広げた。

2007年には中国は連続12年、反ダンピング調査を一番多く受けた国家であるとし、2014年には中国は18年間、世界で最も反ダンピング調査を受けた国だとしている。

これまでにロシア、ブラジル、ニュージーランド、スイス、オーストラリアなど81国が中国の市場経済国家の地位を認めた。しかし、米、EU、日本、カナダなどの多くの国々や地域は未だに承認していない。

ーーー

WTOは中国を「非市場経済国」と認定しているが、その根拠となっている条項は15年が経過する2016年12月に失効する。
中国は自動的に「市場経済国」へ移行すると主張しているが、日米欧などは12月までに個別に判断する方針である。

EUは2月2日、加盟28カ国の通商担当相らが参加する非公式理事会を開催し、この問題を初めて取り上げた。

「市場経済国」となった場合、EUは中国からの輸入に対し反ダンピング措置を取りにくくなる。欧州委員会は、何の対応策もとらずに認めれば、安い中国製品が欧州市場に大量流入し、域内で最大21万人強の雇用を失うとの試算を示した。

米シンクタンク EPI は2015年9月に公表した報告書で、中国に「市場経済国」の地位を認めれば、EUは最大350万人の雇用が失われる恐れがあると指摘した。

英国やオランダや北欧諸国などが「市場経済国」認定に理解を示す一方、製造業に占める鉄鋼業の比重が大きいイタリアなどは反対姿勢を示している。
過剰生産の結果、中国からEUへの鉄鋼輸出は過去1年半で2倍に急拡大している。
中国のダンピングに対して反ダンピング税を課すことができにくくなるために、鉄鋼、窯業、紡績などの産業は壊滅的な打撃を受けるだろうとしている。

欧州委は当初、2月にも中国を「市場経済国」として認定するよう加盟国に提案する方針だったが、産業界の猛反発を受けて撤回した。
欧州域内の産業や雇用への本格的な影響を調査し、7月にも欧州委としての方針を再検討する。

マルムストローム欧州委員は、「問題は中国が実際に市場経済国なのかではなく、中国との貿易問題への対応をどう見直すかだ」と強調、市場経済国の認定に理解をみせた一方、ダンピングや政府補助金の乱用などへの対抗措置の強化が欠かせないとの考えをにじませた。

2015年末までのWTOのメンバーは161か国で、もしEU(28カ国)が認めた場合、WTO内部で中国の市場経済国家の地位を認める国が109か国、全体の2/3になる。
このため、
中国はEUの承認を特に重視している。

中国を市場経済国に認定するかどうかの判断は欧州だけでなく、日米も同様に迫られる。

EUは日本に対し、中国の市場経済国の認定問題や過剰生産への対応策を伊勢志摩サミットで主要議題に取り上げるよう求める方針とされる。




丸川環境大臣は2月8日、林経済産業大臣と会談し、石炭火力発電所の新設を容認する方針を伝えた。

その理由として、電力業界が新たに協議会を設置して電力事業者の削減計画の進捗をチェックすることを決めたこと(下記)や、経済産業省が発電効率の悪い発電所を建設する事業者に是正勧告や命令を行うことを検討していることなどを挙げた。

環境省と経産省の合意内容は下記の通り。

・火力発電の効率に数値目標を設定、効率の悪い設備は休廃止
・再生可能エネルギーと原発を合わせた非化石電源の利用を合計で原則44%以上にするよう電力会社に求める
・発電所のCO2排出量などの情報の開示
・電力業界は削減計画を誠実に実行

・環境省は電力業界の取り組みを毎年点検し、不十分なら見直しを求める

丸川環境相は2月9日の閣議後の記者会見で、全国で相次ぐ大型石炭火力発電所の新設計画を容認する意向を正式に表明した。

個別案件のアセス審査については国の温暖化ガス削減目標との整合性で判断する。
効率の悪い発電所の新設を認めず、経済産業省や電力業界が進める温暖化ガス削減計画の進捗を環境省が毎年点検することなどを条件にした。
達成が危ぶまれる場合は再び新設に異議を唱え、新たな規制の導入を検討する。

取り組みが不十分な場合について、丸川環境相は合意の見直しに言及。「最終的には炭素税などの導入も排除しないで考えたい」と語った。

ーーー

日本では大型石炭火力発電所の建設計画が続出している。

政府は2015年7月17日、地球温暖化対策推進本部を開き、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量を「2030年までに2013年比26%削減」とする目標を正式決定した。

2015/7/18 温室効果ガス 2030年に2013年比 26%減 

環境相は2015年6月12日、山口宇部パワー宇部興産の構内で石炭を燃料とする総出力120万kWの火力発電所を新設する「西沖の山発電所(仮称)」について、「現段階において是認しがたい」との意見書を経産相に提出した。

環境影響評価法及び電気事業法では、出力11.25万kw以上の火力発電所の設置又は変更の工事について、環境相は、提出された計画段階環境配慮書について、経産相からの照会に対して意見を言うことができるとされている。

2013 年4月に関係閣僚会合で承認された「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」では、電力業界全体で二酸化炭素排出削減に取り組む枠組の存在が不可欠であるが、枠組は構築されておらず、エネルギーミックスに基づく約束草案政府原案の達成に支障を及ぼす懸念があるとした。

電力業界各社は、2015年7月17日、低炭素社会の実現に向けた新たな自主的枠組みを構築するとともに、「電気事業における低炭素社会実行計画」を策定した。

内容は下記のとおりで、2030年度の販売電力量1kWh当たりのCO2排出量を2013年度比約35%減らすというもの。

2030年度に排出係数 0.37kg-CO2 / kWh 程度(使用端)を目指す。

 2030年度CO2排出量(3.6億トン-CO2) / 電力需要想定(9.808億kWh) = 0.37kg-CO2/kWh

2013年度比 ▲35%程度相当と試算

火力発電所の新設等にあたり、BAT(Best Available Technology) を活用すること等により、最大削減ポテンシャルとして約1,100万トン-CO2の排出削減を見込む。


参加各社はそれぞれの事業形態に応じた取り組みを結集するというだけで、具体的な「実行計画」はない。

環境相は2015年8月14日、中部電力が愛知県武豊町で2022年の運転開始を目指す大型石炭火力発電所(出力107万kw)について、また、8月28日、九州電力・東京ガス・出光興産の3社が設立した「千葉袖ケ浦エナジー」が千葉県袖ケ浦市で計画している大型石炭火力発電所の建設について、「環境影響評価(アセスメント)法に基づき「現段階では是認できない」とする意見書を経済産業相に提出した。

電力業界各社の「電気事業における低炭素社会実行計画」で公表した二酸化炭素削減目標は実効性が不十分なため、CO2排出量を2030年までに2013年比26%減らす政府目標達成に「支障を及ぼしかねない」と判断した。

2015/8/20 環境相、中部電力の石炭火力計画 是認せず 

環境省は2015年11月13日、関西電力などが千葉県市原市と秋田市で計画している2件の石炭火力発電所の建設について「現段階では是認できない」とする環境影響評価(アセスメント)の意見を経済産業省に提出したと発表した。

ーーー

電気事業連合会加盟会社と、電源開発、日本原子力発電、および新電力有志は2016年2月8日、「電気事業における低炭素社会実行計画」で掲げた目標の達成に向けた取り組みを着実に推進するため、「電気事業低炭素社会協議会」を設立した。

今回設立した「協議会」は、目標達成に向けた取り組みが実効性あるものとなるよう、会員事業者がそれぞれの事業形態に応じて策定・実施する取り組みを促進・支援する。

加えて、会員事業者の取り組み状況を適切に確認・評価し、本協議会全体でPDCAサイクルを推進することにより、目標の達成に向けた取り組みの実効性を高める。

協議会はCO2排出削減が進んでいない企業に対し、計画見直しを求める権限をもつ。
目標の厳守に向け、罰則を設けた。
削減努力が十分でない企業について、社名や違反内容の公表や、除名もあり得る。

電気事業連合会の八木会長(関電社長)は、この仕組みにより、2030年度に2013年比35%削減という「目標の達成を確実なものにしていきたい」としている。

今回環境省は、電力業界が協議会を設置して電力事業者の削減計画の進捗をチェックすることを決めたことを石炭火力新設承認の理由の一つとした。

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OECD作業部会は2015年11月17日、下記を除き、公的金融機関からの融資を制限することで合意した。
   ①「超々臨界圧」技術、
②低所得国と島嶼国向けに限り、出力50万kw以下の「超臨界圧」や30万kw未満の「亜臨界圧」

米政権の高官が匿名を条件に語ったところでは、石炭プロジェクト全体の85%に当たる案件で今後、金融支援が打ち切られる。
合意によると、融資制限は4年後に再び厳格化される見通し。

中国国務院の事故調査チームは2月5日、天津市で2015年8月に起きた瑞海公司(RuiHai International Logistics) の化学物質倉庫の爆発に関する調査報告書を発表した。

8月12日の爆発での死者は165名、不明8名、負傷者798名(うち重症 58名)で、死者の内訳は、公安の消防隊員24名、天津港の消防隊員75名、公安警察11名、事故企業および周辺企業と周辺住民55名。不明者は、天津港の消防隊員が5名、その他が3名。

被害を受けた建物は304棟、破損した自動車(販売用)は12,428台、破損コンテナー 7,533個で、直接の経済損失を68億6600万元(約1230億円) としている。
事故で漏れた化学物質が健康に及ぼすリスクは「極めて低い」と結論づけた。
天津港の水質や大気に大きな影響が残っていないとしている。

爆発の原因については、不適切に保管された可燃性の強いニトロセルロースが
保湿剤がなくなったため乾燥し、気温の上昇で自然発火し、近くのコンテナーの硝酸アンモニウムなど 他の物質の爆発を引き起こしたとしている。

爆発当時には消防隊が放水したことが化学物質の大爆発を招いたとの声が相次いだが、放水と爆発の因果関係には直接触れていない。

瑞海公司は、違法に貨物置場をつくったり、違法に危険物を保管したり、不適切な安全管理を行うなど、多くの安全管理違反を行っていた。
「危険物の保管方法など安全管理が極めてずさんだった」と指摘している。

コンテナーヤードには7類の危険品(第一類の火薬と第七類の放射性物質を除く)合計111種 11,384トン、うち硝酸アンモニウム 800トン、シアン化ナトリウム 681トン、ニトロセルロース類229トンを保管していた。
うち運抵庫(受入倉庫)には72種類、合計4,840トンを保管、うち硝酸アンモニウム800トン、シアン化ナトリウム 360トン、ニトロセルロース類48トンを保管していた。

シアン化ナトリウム681トンは、施設の設計上の保管量を40倍以上も上回る。

下図は当初の報道による。

同社幹部が当時の市幹部に現金や商品券を贈ったり、ゴルフや飲食の接待をしたりして営業に関する許可を得ていた 。

報告書は、施設への監督を怠ったなどとして、副市長2人を含む123人を免職や降格などの処分にするよう求めた 。
このうち74人は共産党の規律などに基づき処分するよう勧告した。


事故について:

2015/8/14 天津で大規模爆発 
2015/8/17 天津大爆発のその後
2015/8/21 天津爆発事故のその後(2)
2015/8/27 天津爆発事故のその後(3)
2015/9/7 天津の爆発事故現場、早くも公園化計画 批判相次ぐ 
2015/9/21 天津爆発現場の現状



三菱ケミカルホールディングスは2月4日、第3四半期の決算を発表した。

営業利益は2283億円で前年同期比 +83.7% となったが、親会社株主帰属純利益は314億円で -58.4%となった。

これは前年同期の特別損益が+328億円であったのに対し、当期は-651億円となったことによる。

同社は以下の発表を行った。

当社のテレフタル酸事業を運営する連結子会社であるMCC PTA India 及び 寧波三菱化学において、近年の業況の著しい悪化及び将来においても事業環境の回復が見込めないことから、両社が保有する固定資産の回収可能性を検討したところ、両社にて、628億円(MCC PTA Indiaが424億円、寧波三菱化学が204億円)の固定資産減損損失を特別損失に計上しました。

同社は2015年12月9日の事業説明会で、素材分野のアクションプランで「テレフタル酸事業の抜本的対策の実施」 を挙げている。

三菱化学石塚社長の年頭挨拶でも、「テレフタル酸は中国の過剰設備により厳しい状況が続いているが、2016年度中に抜本的な対策を行う」としていた。

ーーー

三菱化学は、国内では黒崎と松山にテレフタル酸の工場を持ち、海外では韓国の三南石油化学とインドネシアのPT. Mitsubishi Chemical Indonesia (旧 バクリー化成)参加していた。

1997年8月にインド計画を発表した。

「3大合成繊維の原料を擁する世界で唯一のメーカーとして、またポリエステル主原料であるPTA・EG (エチレングリコール) 両方を持つメーカーとして、それぞれの戦略と整合性を持ちながら、かつ川下分野においても、その展開を強力に推進することで、世界有数のポリエステルメーカーとしての地位を確固たるものとすべく取り組んでいく。」

「生産設備の需要地立地こそがPTA事業の競争力の基盤であるという考えに立ち、各拠点を核とする需要地域での事業展開を推進していく。
これにより技術のみならず規模のうえでも世界有数のPTA事業会社としての地位を確立することになるものと考えている。」

1999年9月に、黒崎事業所のテレフタル酸製造設備を休止し、テレフタル酸の国内生産を松山工場に集約した。

2004年3月には中国計画を発表した。

「成長市場で立地、製造・販売を行い、収益を確保しながら事業拡大・競争力確保を行うという方針に基づき、日本・韓国・インドネシア・インドの4つの拠点でPTA事業を推進してきた。中国においても、経済急成長の中、ポリエステル繊維等の需要が急速に拡大してきている。その原料として使用されるPTAの需要は、2003年中国全体で約830万トン規模に達しているが、総需要の54%を輸入に依存している現状に加え、今後年10%以上の高い需要の伸びが予想されていることから、三菱化学は、これら旺盛な需要に応えるべく、中国国内での製造設備設置について事業化検討を実施してきた。
その結果、世界でトップクラスの三菱化学独自の製造技術を用いることにより、中国国内においても品質・価格面で競争力のある製品をお客様に提供することが十分可能であると判断し、今回の事業化を決定した。」

QTAは一段酸化PTAで、同社ではPTAは主に非繊維用途、QTAは主に繊維用途としている。

この時点までは、三菱化学はテレフタル酸事業を成長事業とみなし、投資を続けていた。

の後、世界中でPTAの大増設が行われた。

本ブログは2006年に次のとおり書いている。

世界中でPTAの大増設が続いている。筆者のデータベース更新情報では4/13に欧州、ブラジル、中国、タイのPTAの記事が同時に載った。

PTAはポリエステル繊維やペットボトルの原料で、需要は伸びている。中国では年率10%の成長が見込まれている。しかし、こんなに増設して大丈夫であろうか。これもバブルではないのだろうか。

2006/3のMETI「世界の石油化学製品需給動向」では2007年の全世界の需要を3,700万トン、能力を4,400万トンとしており、能力が上回っている。
しかし、この能力は過小とみられており、例えば、中国の能力を1,230万トン(生産836万トン)としているが、中国の情報では1,840万トン(生産1,400万トン)となっており、600万トンの差がある。

2006/4/17 高純度テレフタル酸(PTA)の大増設

三菱化学は2008年12月に2008-10年度の中期経営計画の見直し」を発表したが、そのなかで、テレフタル酸については以下の通りとした。

テレフタル酸は徹底したコスト削減とアライアンスを検討する。
 1) インド、インドネシア、中国では海外企業との提携による販売・生産体制再構築      
 2) コスト競争力(合理化によるコスト削減、不採算工場の撤退検討)
 3) 海外Global Head Quarters による購買/販売/技術面での機動力あるマネジメント

2009年2月にテレフタル酸事業の事業構造改革を発表した。国内生産から撤退、本社機能を海外に移す。

1.松山工場テレフタル酸と水島事業所の原料パラキシレンの停止

松山工場 テレフタル酸(QTA) 能力250千トン 2010年12月停止予定
水島工場 パラキシレン 能力100千トン 2010年5月停止予定

2.テレフタル酸事業の本社機能移転

本社機能 シンガポール 2009年6月
技術に関する本社機能 インド(西ベンガル州ハルディア) 2009年末

2009年5月にシンガポールにMCC PTA Asia Pacific を設立した。

2009/2/24  三菱化学、テレフタル酸事業の事業構造改革

三井化学では、中国での新増設で、2013年以降大幅余剰が継続する(供給過剰 1500万トン)と見た。(2014/2)

三菱化学は今回、近年の業況の著しい悪化及び将来においても事業環境の回復が見込めないことから、インドと中国について減損損失を計上した。

同社の拠点は下記のとおり。

社名 株主 立地 能力 千トン
韓国 三南石油化学
(Sam Nam
Petrochemical
)
三菱化学 40%
三養社 40%
LGカルテックス 20%
麗川 PTA  300
QTA  1,400
計  1,700
2015/3現在の韓国石化協資料では
能力は1,800千トンとなっている。
インドネシア PT. Mitsubishi
Chemical Indonesia

旧称
バクリー化成
三菱化学 83.3%
日本アジア投資 16.7%
メラク PTA  640
PET 
52
当初
三菱化学 57.4%
日本アジア投資 17.1%
Bakrie & Brothers 2
5.5%
インド MCC PTA India 三菱化学  66%
州産業開発公社 5%
三菱商事 
9%
日商岩井 8%
トーメン
5%
丸紅 5%
住金物産 2%
西ベンガル州ハルディア ①  470
②  800
投資額
①400億円
②426億円


三菱化学減損損失
 424億円

中国 寧波三菱化学 寧波PTA投資* 90%
中国中信集団(CITIC)10%      
浙江省
寧波市
600 *三菱化学 61%
 伊藤忠商事 35%
 三菱商事 4%


投資額 333億円

三菱化学減損損失
 204億円

三井化学も2014年2月に高純度テレフタル酸(PTA)の再構築を発表している。

2014/2/10 三井化学の事業構造改善計画 



アジアインフラ投資銀行(AIIB)は2月5日、5人の副総裁を指名した。

AIIBの設立協定では、総裁(元中国財政次官の金立群)が副総裁を選ぶとなっているが、(域内)インド、韓国、インドネシア、(域外)ドイツ、英国から選出された。

そのうち一人はドイツのJoachim von Amsbergで、世界銀行に約25年間勤務し、現在は開発金融担当の副総裁を務めており、世銀から横滑りで就任する。

出資比率3位のロシアからは選ばれなかった。

韓国産業銀行の洪会長は副総裁でChief Risk Officerに選ばれた。投資と財務危険に対する評価・分析の総括役として副総裁5人の中では序列3位に該当する。

韓国人が国際金融機関の副総裁を務めるのは、申明浩氏がアジア開発銀行(ADB)副総裁を務めて以来13年ぶりとなる。

洪会長は投資委員会にも参加する。 投資委員会は総裁とCIO、CRO、中長期政策・戦略担当副総裁の4人で構成する投資決定機構。

副総裁に選ばれたのは次の5人。 

担当 出身国 氏名 経歴
Corporate Secretary 理事会、取締役会、経営陣の調整 英国 Sir Danny Alexander 元 英国予算担当大臣
Chief Risk Officer 投資危険管理 韓国 洪起沢 現 韓国産業銀行会長、CEO
Chief Investment Officer 投資運営管理 インド D.J. Pandian 元 Indian Administrative Services
Policy and Strategy 中長期政策・戦略 ドイツ Joachim von Amsberg 現 世銀開発金融担当の副総裁
Chief Administration Officer 一般行政 インドネシア Luky Eko Wuryanto 元 政府高官



   

出資(億ドル)

出資比率
(%)
議決権
(%)
域内 域外
1 中国 297.804   30.34 26.06 総裁
2 インド 83.673   8.52 7.50 副総裁
3 ロシア 65.362   6.66 5.93
4 ドイツ   44.842 4.57 4.15 副総裁
5 韓国 37.388   3.81 3.50 副総裁
6 オーストラリア 36.912   3.76 3.46
7 フランス   33.756 3.44 3.19
8 インドネシア 33.607   3.42 3.17 副総裁
9 ブラジル   31.810 3.24 3.02
10 英国   30.547 3.11 2.91 副総裁


AIIBは理事会(Board of governors)と取締役会(Board of directors)と経営陣の三重の構造を持つ。

構成国から1名ずつ派遣される理事で構成される理事会がAIIBを司り、理事会は必要に応じて取締役会に権限を移譲することができる。

取締役は地域内構成国から9名、地域外構成国から3名が選出される。

中国の財務相Lou Jiwei(楼继伟)が理事会(Board of Governors)の理事長に選任された。

2015年の中国の石化製品の輸出入統計が発表された。

主な製品の輸入実績は下記の通り。
樹脂については、PVCを除き、日本の存在感はない。

エチレン  関税番号 290121
...
プロピレン  関税番号 290122
...
LDPE (LDPE+LLDPE)
LDPE 輸入内訳  LDPE:関税番号 39011000、LLDPE:39019020
...
HDPE  関税番号 390120
...
PP 関税番号 390210
...
SM 関税番号 290250
...
PS  関税番号 39031990   変性PS(39031910)を除く
...
ABS 関税番号 390330
...
VCM  関税番号 290321
...
PVC 関税番号 390410 (ペースト塩ビを含む)
...

PVCの輸出は下記の通りで、2015年は輸出と輸入がほぼ同量である。(2014年は輸出が輸入を大きく越えた)




中国の化学メーカー、中国化工集団(ChemChina)は、スイスの農薬・種子メーカー、Syngentaを430億ドル余りで買収することで合意した。中国企業による過去最大規模の買収となる。

Syngentaは2月3日、ChemChina が同社を買収する提案をしたと発表した。
1株当たり465米ドル+ 5
スイスフラン の特別配当での買収で、480スイスフランに相当する。2月2日の終値は392.30スイス・フラン=385ドル。買収総額は430億ドル余りとなる。


Syngentaの取締役会は満場一致で受け入れを支持した。TOBは数週間のうちに開始され、年末に買収が完了する見込み。

ーーー

Syngentaは2015年5月8日、MonsantoからSyngentaの株式を1株449スイスフラン、総額450億米ドル(うち45%を現金)で買収する提案を受けたが、取締役会はいろいろな観点から十分に検討したうえで 、以下の理由で、満場一致で拒否することを決めたと発表した。

現在のSyngentaの株価は短期的な通貨変動とコモディティの価格変動の影響を受けて下げっているが、売上の50%以上を占める発展途上国市場で事業が好調である。
同社の戦略はこれらの市場で成功し、2014年には5年連続で2桁の伸びを示した。新製品もグローバルに売上が伸びており、開発中の製品も多い。

Monsantoの提案額はSyngenta の価値を過小評価している。また、多くの国で行われる独禁法等によるチェックのリスクを過小評価している。

Monsantoは8月18日にSyngentaに新しい提案をしたが、Syntentaは拒否した。この結果、Monsantoは8月26日、買収を諦めると発表した。

2015/5/12 Syngenta、Monsantoによる買収提案を拒否


今回のドル建て売却総額が前回(スイスフラン建て買収単価が今回より低い)よりも安いのは、レートの差。

参考 Syngenta 株価推移 レート 米ドル/スイスフラン


ーーー

発表によれば、ChemChina案ではSyngentaの経営陣は続投し、ChemChinaの任建新会長が率いるメンバー10人の取締役会には現在のSyngenta取締役会から4人が参加する。
グローバル本社は引き続きスイスに置く。

数年内の新規株式公開(IPO)の可能性も検討するという。

Syngentaでは、途上国市場、特に中国でのSyngentaの存在感をさらに高めると期待している。

同社は中国の重要性を下図により示している。

ーーー

Syngentaは2000年にAstraZeneca (ICIから独立したZeneca とスウェーデンのAstra が1999年に合併)の農薬部門と、Novartis(Ciba Geigy とSandozが1997年に合併)の種子部門が2000年に統合してできた会社で、農薬(殺虫剤、除草剤、殺菌剤)と穀物・野菜・花の種子、ローン&ガーデン製品を扱う。

2015年の売上高は下記の通り(百万ドル)。

選択性除草剤 2,894
非選択性除草剤 913
殺菌剤 3,357
殺虫剤 1,705
種子処理 994
その他 142
(農薬合計) (10,005)
種子 2,838
Lawn and Garden 648
内部取引 -80
合計 13,411

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中国化工集団公司(ChemChina)は2004年5月に国営のChina National Blue Star (Group) (藍星グループ)と China Haohua Chemical Industrial (Group) (昊華化工)を統合して設立された。

同社はこれまでに多数の買収を行ってきた。

ChemChina は、2005年10月に豪州の石化会社Qenosを買収した。

2006年1月にはCVC Capital Partners から子会社で動物用栄養製品メーカーの Adisseoを買収している。

ChemChina の中国藍星は2006年10月26日にフランスのローディアとの間でローディアのシリコーン事業を買収する契約を締結した。

2006/10/30 中国化工集団公司(ChemChina)の海外進出

ChemChinaは2015年3月23日、イタリアのタイヤ大手Pirelli を買収すると発表した。

2015/3/27 ChemChina、伊タイヤ大手ピレリを買収

ChemChina は2016年1月11日、ドイツの射出成型機械メーカーのKraussMaffei をカナダのOnex Corp.から925百万ユーロで買収すると発表した。

2016/1/15 中国化工集団、射出成型機械製造の独KraussMaffei を買収 

Wall Street Journal によれば、今回の買収は中国企業としては最大の買収となる。

買収者 買収相手 金額
2016 ChemChina Syngenta 430億ドル
2012 CNOOC Nexen 182億ドル
2008 Chinalco + Alcoa Rio Tinto (12%) 143億ドル
2009 Sinopecl Addax Petroleum 90億ドル
2015 ChemChina Pirelli 90億ドル
2015 China Cinda Nanyang Bank 88億ドル
2010 Sinopec Repsol のブラジル資産の40% 71億ドル
2013 中国食肉大手
 双匯国際
Smithfield Foods 71億ドル
2014 五砿集団ほか ペルーのLas Bambas 銅鉱山 70億ドル
2013 国家電網 SP AusNet and SPIAA 67億ドル

Westlake Chemical は1月29日、Axiall Corporationの全株式を14億ドルで買収する提案をしたと発表した。

1株当たり20ドルの買収で、現金11ドルとWestlakeの株式 0.1967株で支払うもので、1月22日の終値に対し108%のプレミアムとなる。
総額で約29億ドルとなるが、約15億ドルの負債込みとなるため、ネットでは14億ドルでの買収となる。

しかし、Axiallの取締役会はこれを拒否した。
発表でいかの理由を挙げた。

Westlakeの提案は株価の変動を利用するもので、Axiall の資産価値と将来性を著しく低く評価している
Axiall の2015年12月1日の株価は20.18ドルであり、提案価格は高いものではない。
2016年末までにコストダウンと生産性向上での1億ドル達成の目標に進んでおり、Lotteとのエタンクラッカー計画(下記)も順調である。
建材事業の売却も含め、株主価値を高めるための検討を行っている。

WestlakeはAxiall に対し再考を求めている。

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Axiall Corp.は2013年1月にGeorgia Gulf がPPG Industriesのcommodity chemical divisionと合併したもので、Chlorovinyls 部門(電解~PVC~PVC製品)とAromatics部門(フェノール、アセトン、キュメン等)を持っていたが、Aromatics部門はIneosに売却した(下記)。

Axiall と韓国の Lotte Chemicalは2015年6月、年産100万トンのエタンクラッカー をルイジアナ州に建設するJVの設立を発表した。
シェールガスに付随するエタンを分解し、エチレンを生産するもので、 Lotte Chemical が90%、Axiall Corp.が10%出資するが、エチレン引き取りは売買契約を通して50:50とすることとなっており、Axiallは自社のPVC用のエチレンの50%を確保するのが目的としてい る。

Lotteは残りのエチレンを使い、エチレン隣接地でエチレングリコール 70万トンを生産する。

2015/6/22 韓国 Lotte Chemical、米国で石油化学

Axiall は2015年9月30日、Aromatics部門とPasadena 工場をINEOS Americas に売却した。

Aromatics 部門の能力は下記の通り。
  Cumene  90万トン(1/2は販売)
  Phenol   30万トン
  Acetone   18.5 万トン

現在の同社の製品は下記の通り。

Chlor-Alkali & Derivatives Products
塩素、ソーダ、EDC、VCM、PVC、溶剤、塩酸、
Specialty Products
塩ビコンパウンド、可塑剤、添加剤、水処理製品
Royal Building Products
サイディング、窓枠・ドア材、装飾材(Trim and Moulding)、管・継ぎ手



北米の能力

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Westlake Chemicalは台湾でCGPCを設立した故 T.T. Chao が1986年に米国に進出、設立した。

現在の製品は以下の通りで、オレフィン事業(エチレン/PE/SM)とビニル事業(エチレン/塩素/VCM/PVC/塩ビパイプ)からなっている。

トクヤマは1月29日、トクヤママレーシアの多結晶シリコンプラントに関して、事業計画の見直しに伴う減損損失1,234億86百万円を計上した と発表した。

本プラント(第二期プラント)は、2014年10月に営業運転を開始し、太陽電池向けグレードの生産を行ってき たが、世界的な供給過剰を背景とした販売価格の著しい下落が続き、今後の価格見通しが事業計画における想定を大きく下回ることとなったもの。
このため、
将来の投資回収可能性を検討した結果、減損損失を計上した。

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トクヤマは徳山製造所に半導体用途を中心に年産 8,200トンの多結晶シリコン設備を持っていた 。
(当初
年産5,200 トンであったが、半導体用2,500トン、太陽電池用500トンの計3,000トンを増設し、8,200トンになった。)

2009年8月に太陽電池用途の増産対応とリスク分担の面から、マレーシアのサラワク州のサマラジュ工業団地に総工費約800億円をかけて太陽電池向け多結晶シリコンの年産 6,000トン大型プラント建設を決めた。

2011年初めに着工し、2013年9月の営業運転開始を目指した。

トクヤマは2012年11月に、これを主として半導体向けグレードを生産・販売する計画に変更、2013年2月に一部設備を除き建設が完了、その後試運転を開始した。

更に、2011年には第二期として太陽電池向けに年産13,800トンの建設を決めた。(投資額 1,000億円、累計 1,800億円)

合わせて徳山製造所の能力を11,000トンとした。

2008/12/5 トクヤマ、マレーシアに多結晶シリコン第二製造拠点

全て完成後は、日本11,000トン、マレーシア20,000トンで合計31,000トンとなるが、同社はこれにより、半導体用途は世界シェア20%を維持し、太陽電池用途では5%程度のシェアを10%程度に引き上げるとしていた。


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トクヤマは2014年10月31日、マレーシアの子会社 Tokuyama Malaysia Sdn. Bhd. の多結晶シリコン工場・第一期プラント(年産:6,200トン)の製造設備に関して、860億27百万円の特別損失を計上したと発表した。

マレーシアの多結晶シリコン工場・第一期プラントについては、2013年2月に一部設備を除き建設が完了し、その後、主として半導体向けグレードを生産・販売することを目指し、試運転を行ってきた。

半導体向けグレードは、非常に高い純度をはじめとする高品質が求められるが、当初想定していた品質・生産安定性が達成出来ず、技術的な課題解決を図ってきた。

しかしながら、析出装置に関する問題が存在し、様々な技術的な課題解決を図ったとしても、当面顧客認定用サンプルの出荷が事実上不可能であると判断した。

このため、減損損失 748億20百万円と事業計画の見直しに伴う関連費用 112億7百万円の合計 860億27百万円を計上した。(特別損失計上後の当プラントの簿価は33億円)

同社は2013年3月期にも、市況が急激に悪化し、将来のキャッシュフローが見込めないとして、徳山製造所の多結晶シリコンと併産品の乾式シリカ設備を全額減損処理(275億円)し、合わせて、多結晶シリコン用原材料について20億円の評価損を計上している。

2014/11/3 トクヤマ、マレーシアの多結晶シリコン計画で特別損失計上 

なお、第二期の太陽電池向けグレード生産設備(生産能力:13,800トン、総投資額:1,300億円)については、中国をはじめとする複数の大手ウエハーメーカーと既に契約を締結済みで、2017年3月期における販売計画を約13,000トンとしていた。

しかし、2014年10月の第二期の営業運転開始時の多結晶シリコンの市況は 20$/kg以上であったが、その後暴落を続けた。

同社では中期計画で市況を16~20 $/kg としていたが、今回、13.5~15 $/kg に見直した。
販売数量についても、中期計画の12,000トン/年を11,000トン/年に下方修正した。

減損損失1,234億86百万円計上後のプラントの簿価は94億円となった。

同社では2016年度にはコストダウンを実施、2017年度以降は販売数量11,000トンでの通期黒字を見込んでいる。



同社の多結晶シリコン事業の状況は下記の通り。

用途 能力 減損
徳山工場 半導体用、太陽電池用  11,000トン 2013年度  設備全額減損処理  275億円
原材料評価損    20億円
マレーシア1期 半導体用 
出荷不能
有効活用策検討中
 6,200トン 2014年度  減損損失 748億20百万円
関連費用 112億 7百万円
合計   860億27百万円
マレーシア2期 太陽電池用  13,800トン 2015年度  減損損失  1,234億86百万円

建設資材に含まれるアスベスト(石綿)により中皮腫や肺がんになった京都府内の元建設作業員と遺族の27人が建材メーカー32社と国に約10億円の賠償を請求した裁判で、京都地裁は1月29日、国に加えて、建材メーカーに初めて賠償を命じる判決を言い渡した。被害者26名のうち、すでに16名が死亡(提訴後、11名が死亡)している。

裁判官は、国及び建材企業の責任を認め、国に対しては原告15人に総額1億418万円、建材企業9社に対しては原告23人に総額1億1245万円の支払いを命じる原告全面勝訴判決を言い渡した。

同様の集団訴訟は全国6地裁で起こされ、判決は5件目で、国の違法性を認めたのは2012年の東京、2014年の福岡、本年1月22日の大阪地裁判決に続いて4件目。
メーカーの賠償責任はこれまでは認めておらず、今回が初となる。

2016/1/27 建設アスベスト訴訟で国が3度目の敗訴

国については、
・吹付作業者に対する規制については1972年10月1日以降、
・建設屋内での石綿切断等作業については1974年1月1日以降、
・屋外での石綿切断等作業については2002年1月1日以降、
国が、アスベスト建材について防じんマスクの着用や集じん機つき電動工具の使用、さらには警告表示を義務づけることの規制を怠ったことの違法性を認めた。

本判決は、専ら屋外作業に従事していた屋根工に対する関係でも国の責任を認めた。

いわゆる「一人親方」について、労働安全衛生法の保護対象に含まれないとして救済を否定したものの、「(一人親方を)保護する法律を定めなかった立法府の責任を問うことで解決されるべき問題」と付言した。


メーカーについては、
主要なアスベスト建材企業であるエーアンドエーマテリアルやニチアス、ノザワなど9社について、被害者23名との関係で共同不法行為責任を肯定し、同種訴訟で初めて企業の賠償責任を認めた。国の賠償の対象とされてこなかった「一人親方」ら個人事業主も含まれる。

建材の種別により1972年と74年、2002年に石綿の危険性をそれぞれ表示する義務が生じたのに販売を続けたと認定した。
そのうえで、「おおむね10%以上のシェアを有するメーカーの建材であれば、労働者が年1回程度はその建材を使用する現場で従事した確率が高く、被害を与えた蓋然性が高い」と判断し、その基準を満たす9社に責任があると結論付けた。

当時のシェアが約10%以上の9社については、販売の時期や地域が各原告らの働いた時期や場所と合うといった条件を満たせば被害との因果関係を推定できるとし、各社はともに原告の被害をつぐなう責任があると判断、各社の「どの建材が被害原因か明らかでない」との主張を退けた。

原告27人のうち20人への賠償を命じられたニチアスは「主張が認められず遺憾」とのコメントを出し、地裁によると、ニチアスを含むメーカー4社が即日控訴した


EUは1月27日、三菱電機と日立に自動車部品のオルタネーター・スターターのカルテルに参加したとして
137,789千ユーロの制裁金を課すと発表した。
デンソーもカルテルに参加したが、カルテルの存在を欧州委員会に通知したため、免責となった。
いずれの会社もカルテルに参加したことを認め、和解に応じた。

発表では「日立」となっているが、日立製作所は、日立製作所と日立オートモティブシステムズが対象である
ことを明らかにした。

各社は2004年9月から2010年2月までの間、定期的に会合や電話連絡を行い、競争を制限した。

各社別の制裁金は下記の通り。

Leniencyによる減額 同意決定手続きによる減額 制裁金 
  千ユーロ
デンソー 100% 10% 0
日立 30% 10% 26,860
三菱電機 28% 10% 110,929
合計 137,789

「同意決定手続き」は
2008630日に制定され、同年71日から運用された。

欧州委と企業がカルテルの内容と証拠を協議し、企業がカルテルの存在を認めると制裁金が10%減額される仕組み。
これにより裁判所への控訴による長期の争いを避けることができ、欧州委では要員を他の事件の摘発に向けることが可能となる。

自動車部品メーカーは各国でカルテルが摘発されているが、上記3社も米国と日本で摘発されている。

米国  最新リスト

日本 2012/11/24 公取委、自動車メーカー発注の自動車用部品コンペ参加業者に 排除措置命令と課徴金納付命令 

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