2016年10月アーカイブ

日揮は10月26日、Woodfibre LNG から、カナダ British Columbiaで計画しているLNGプラント建設プロジェクトに係わる基本設計役務(FEED) を受注したと発表した。

詳細は下記の通り。

1. 契約先 Woodfibre LNG (Royal Golden Eagleグループの関連会社)
2. 建設場所

カナダ British ColumbiaSquamish 近郊

3. 契約 LNGプラント(処理能力:210万トン/年)に係わる基本設計役務
4. 受注金額 非公表
5. プロジェクト Woodfibre LNGが、既存のパイプラインから供給される天然ガスを原料とし、LNGの生産を行うもの。
LNGはグローバルマーケットに輸出される。


天然ガスのパイプラインは北部のガス田地帯からVancouverまでつながっている。

Woodfibre LNGはインドネシアの巨大財閥のRoyal Golden Eagle の一員である Pacific Oil & Gas Limited の子会社。

Royal Golden Eagle グループはインドネシアのSukanto Tanotoが設立した農業、林業、製紙パルプ、レーヨン、石油、ガスなどの事業を手掛ける巨大財閥で、シンガポールに本拠を置く。

Sukanto Tanotoは中国福建省からの移民の父から自動車部品を輸入するビジネスを引き継ぎ、国営石油会社プルタミナへ機材・部品を供給し、そこから森林産業に移っていった。
シンガポール拠点のAsia Pacific Resources International と中国拠点のAsia Symbol (Shangdong) Pulp And Paper は、製紙パルプ事業において世界のリーディングカンパニーである。

LNGの立地はパルプ工場の跡地で、2006年にWestern Forest Products が工場を停止して以降、利用されていない。

2013年に Woodfibre LNG がWestern Forest Products が更地にするという条件で買収契約を締結、関係省庁の認可を得て、2015年2月に正式の所有者となった。

Woodfibre LNG は年間210万トンのLNGを25年間輸出するライセンスを得ている。

10月17日、ドイツのBASFの Ludwigshafen工場北端のLandeshafen Nord 港で爆発事故があり、消防士2名と近くの船の船員1名の計3名が死亡し、多数が負傷した。
(その後、消防士が1名死亡し、計4名となった。)

Landeshafen Nord 港はナフサ、メタノール、高圧ガスなど可燃性液体のターミナルで、年間260万トン以上の荷物を扱い、1日平均7隻の船が出入りする。

午前11時30分頃、パイプで荷物を輸送している最中に爆発した。


BASFでは安全のためLudwigshafen工場のクラッカーや他の製造装置の操業を停止し、Ludwigshafen と川向こうのMannheimの住民に室内に留まり、窓やドアを締め切るよう、アドバイスした。

工場は翌日、順次操業を開始した。

BASFや当局は爆発原因を調べていたが、BASFは10月28日、原因は業者が誤って異なるパイプを切断したためと見られると述べた。

爆発の直前に船からの荷揚げ場所とタンクをつなぐ空のパイプラインの修理を行っていた。

調査員がその近くの可燃物を輸送していたパイプラインが切られているのを見つけた。漏れたガスがスパークで引火し、爆発を起こしたとみられる。


EUとカナダの包括的経済・貿易協定(CETA)は2014年に交渉が終わり、10月27日に正式調印を目指していた。

CETAが実現すれば、関税が98%撤廃されるだけでなく、手厚く保護されているEUの農業市場をカナダの農家に開放するほか、EU企業がカナダの公共部門の調達市場にアクセスできるようになる。同時に、労働および環境の基準、公共サービスなどについての国家の選択に新たなセーフガードも設けられる。

EU加盟の28カ国の全ての承認が必要で、27カ国が承認したが、ベルギーが承認できない状態となっている。

ベルギーのワロン (Wallonia)地域議会が投資家を保護する紛争解決手続きに問題があるとして反対を決定した。

反対の核心は、投資家と政府の間の紛争を解決するための独立した法廷を設置すること 。

欧州委員会は、CETAでは新たに設置する法廷が政府にサービスの民営化を迫ったり国営化を阻んだりするために利用されないよう確約するなど、強力なセーフガードを設けてあると主張している。

しかし、各国政府の政治的選択に反対する多国籍企業に強すぎる権力を与えることを懸念している。

ベルギーの条約締結には地方議会の承認が必要なため、ベルギーは国として承認できず、FTAの締結が危ぶまれている。

ワロン地域議会の議長は10月24日、条文には雑多な内容が含まれているため精査する時間が必要と説明し、脅しや最後通牒は民主主義に反するとして、同日中に承認するよう求めるEUの圧力には屈しないと述べた。年末まで期限を延長することが妥当としている。

人口わずか350万人ほどの一地区の反対でEUが貿易協定を締結できない状況となった。

欧州理事会のDonald Tusk 常任議長(EU大統領)は20日、カナダとの協定締結に失敗した場合、他の協定を締結することもできなくなる恐れがあると警鐘を鳴らした。

CETAの調印ができなければEU加盟国の国民のEUへの信頼性にも傷がつくと懸念された。

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ベルギーのミシェル首相は10月27日、協定に反対していた南部ワロン地域政府から同意を取り付けたと述べた。

ミシェル首相は、地域の行政府首脳らが農民や政府の権利などに対する自らの懸念を軽減する補足条項を策定したと明らかにした。

ただCETAの調印には、カナダと他のEU諸国がこの補足条項を承認する必要がある。

カナダは「前向きな進展」とし、慎重ながらも歓迎する意向を表明。EU大統領は「EUのCETA承認手続きがすべて完了してからトルドー首相に連絡する」とし、双方とも問題が決着したとの見解はまだ示していない。


付記

EUとカナダは10月30日、ブリュッセルで首脳会談を開き、自由貿易協定(FTA)に署名した。反対していたベルギーのワロン地域の説得に成功し、実現にこぎ着けた。

欧州議会の承認を経て、2017年初めに暫定発効する見通し。暫定発効すれば貿易品目の99%の関税が撤廃される。

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ベルギーは1993年の憲法改正により連邦制に移行した。

連邦は、ブリュッセル首都圏地域、フランデレン地域、ワロン地域の3つの地域と、フラマン語共同体、フランス語共同体、ドイツ語共同体の3つの言語共同体の2層、計6つの組織で構成される。

ただし、フラマン語共同体とフランデレン地域については、ブリュッセル首都圏を除き領域が完全に重なるので、現行憲法が施行されてまもなく、フラマン語共同体政府がフランデレン地域政府を吸収する形で統合され、計5つの組織で構成されることとなった。

この結果、ベルギーには連邦政府を加えて6つの政府、連邦上院・下院を含めて7つの議会があることとなる。

ベルギー政府がCETAを承認するには、7つの地域議会が、協定に署名する権限を連邦政府に与えなければならないことになって いる。




三菱ガス化学は10月20日、インドネシアで三菱商事が投資目的会社を通じて出資する現地資本とのアンモニア製造の合弁会社 PT Panca Amara Utama のプロジェクトに参画することで合意したと発表した。

同社は新潟工場で、自社保有の天然ガスを原料として年間132千トンのアンモニアの生産をしていたが、国内需要の減少により非効率な生産体制を余儀なくされていることに加え、設備老朽化により多額の修繕費が必要になったため、2015年7月末に生産を停止した。

生産停止後は外部調達により、アンモニアの外販、および誘導品の製造を継続しているが、インドネシア計画への参画で、アンモニアの安定的な調達を図る。

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参画する計画の概要は次の通り。

合弁会社名 PT Panca Amara Utama
工場所在地 インドネシア Sulawesi 島バンガイ県
生産品目 アンモニア
生産量 約70 万T/Y (日産2,000トン)
技術 米国KBR
総事業費 8.3 億US$
運転開始予定 2017 年末
建設 PT Rekayasa Industri  (東洋エンジニアリングが一旦受注したが変更)

合弁会社には、インドネシア大手のガス製造会社 PT Surya Esa Perkasa Tbk が59.98%を出資する。
三菱商事がマイナリティ株主として参加している。

三菱ガス化学は恐らく、三菱商事の株(の一部?)を引き受けると思われるが、詳細は不明。

原料は現地の天然ガスで、三菱商事は天然ガスの採掘事業と、天然ガスの液化を行うLNG事業に参画している。

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三菱商事は2011年1月24日、インドネシアのSulawesi島の同社が主体のLNG製造・販売事業の最終投資決定をしたと発表した。総投資額は約28億ドルとなる。

更に、直後に、インドネシア民間最大手エネルギー会社であるMedco Energy Internationalより、同国中部Sulawesi州に位置するSenoro-Toili天然ガス鉱区権益を20%保有するTomori E&Pの全株式を260百万米ドルで取得したと発表した。

これにより、同社は
Donggi-Senoro LNGプロジェクトの上流から下流にわたるLNGバリューチェーンへの関与を通じてプロジェクトの一体運営を行う。

PT. Donggi-Senoro LNGの概要は以下の通り。

事業内容 LNG製造・販売
設立 2007年12月28日
株主構成 Sulawesi LNG Development59.9%←当初三菱商事 51%
 (三菱商事 75%、韓国ガス公社 25%)
PT Pertamina Hulu Energi 29%
PT Medco LNG Indonesia  11.1%←当初 20%
LNGプラント建設地 Uso area, Sulawesi Island
能力 LNG 年200万トン
コンデンセート 原油換算日量47千バレル
天然ガス
 (
Sulawesi島東部)
Matindok ガス田 Pertamina 100%           
Senoro-Toiliガス田 Pertamina 50%
Medco
  50%→Tomori E&P(三菱商事/韓国ガス)20%
         
Medco E&PMedco 30%

 注)Matindok ガス田はSenoro-Toiliガス田の北方の陸上ガス田。

2011/1/27 三菱商事、インドネシアでLNG計画決定 


PT. Donggi-Senoro LNGは2015年6月から生産を開始した。
年間約100万トンを中部電力、約30万トンを九州電力、約70万トンを韓国ガス公社とそれぞれ締結している長期販売契約に基づいて出荷している。


Sulawesi 島の天然ガス関連事業の構図は下記の通りとなる。



韓国電力は10月20日、アラブ首長国連邦原子力公社と原発運営事業に対する投資契約を締結し、運営権を確保したと発表した。

韓電はこの事業のために作った法人に9900億ウォン(9億ドル)を投資し、18%の株を保有する共同運営事業者となる。

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韓電は2009年12月、UAEの原子力公社 (Emirates Nuclear Energy Corporation:ENEC ) と 1,400MW級の韓国標準型加圧水型原子炉 (Advanced Power Reactor) 4基をアブダビのBarakah 地域に建設する契約を締結した。21兆ウォン(190億ドル)で受注した。


韓国初の海外原発事業で、斗山重工業・現代建設・サムスン物産などの韓国企業が参画し、韓国電力は主契約者として原発の設計・製作・施工・試運転および運営支援までを担当する。

1号基は2010年1月に着工、2014年5月に原子炉が設置された。10月には燃料を注入する予定で、来年5月に竣工し、中東地域で初めて稼動する原発となる。
2020年までに2~4号基を毎年段階的に竣工させる。

すべてが完工すれば発電量が 5,600MWとなり、UAE全体の発電容量の2割以上の電力を賄う。

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EAEは当初、原発建設のみを韓電に発注したが、原発を運営する専門人材やノウハウが不足しているため、運営も韓電に委託する。

韓電は9億ドルを投資して原発運営会社をENECと合弁で設立し、実質的に原発の運営管理を受託し、電力を60年間にわたりENECに販売する。

韓電は原発整備人材約 1千人を10年間派遣する契約を追加締結する。

韓電関係者は「60年間原発を運営すれば、電力販売で494億ドルの売り上げが見込まれ、建設受注額よりもはるかに規模が大きい。自動車228万台、携帯電話端末約5200万台の輸出に匹敵する経済効果が期待される」と述べた。

韓電社長は「UAEの原発運営権を獲得し、原発の建設から運営に至る一貫した原発事業モデルを構築した。原発輸出を活性化する契機となる」と指摘した。



ロッテの経営刷新策

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ロッテグループの辛東彬(重光昭夫)会長は10月25日、ソウルのロッテホテルで記者会見を開き、グループの経営不正疑惑をめぐる検察の捜査で指摘された問題に関し国民に謝罪した後、経営刷新策を説明した。

ソウル中央地検は10月19日、創業者の重光武雄(辛格浩)、長男の重光宏之(辛東主)、次男の昭夫(辛東彬)の各氏を脱税や背任などの罪で一括して在宅起訴 した。
重光昭夫会長の出国禁止は解除された。

2016/9/23 ロッテグループの危機


概要は次のとおり。

 順法経営委員会の設置 

不正を防止するための組織として、外部の専門家を交えた「順法経営委員会」を会長直属で新設する。

 企業支配構造の改善

ホテルロッテの上場

韓国ロッテグループの事実上の持株会社のホテルロッテは7月中の株式上場を計画していたが、捜査を受け、無期延期している。
捜査終了を受け、新規株式公開計画を再始動させ、持株会社への転換で所有構造の簡素化と透明性向上を目指す

循環出資を完全に解消し、できるだけ速やかに持株会社体制に移行する。

グループの政策本部の縮小と系列会社の責任・権限強化

 成果中心ではない、質的な成長に向けた目標の設定

「2020年までに売上高200兆ウォン(約18兆円)を達成し、アジアトップ10に入る」という目標を見直す。
外形的な成長にだけ集中した結果、企業の社会的な責任を果たすという点が不足していた。

 積極的な投資・雇用計画

来年から5年間で40兆ウォン(約3兆7000億円)の投資と7万人の新規雇用を行う。
3年間で1万人の非正規雇用の正社員転換を進める。


日本経済新聞のインタビューでは、「日本での役職(ロッテホールディングスの副会長や球団のオーナー代行)を続けるつもりだ」と述べた。

日本で製菓事業を手掛けるロッテについては、「引き続き上場させる方向で考えている」とした。

赤字が続いているロッテ球団の売却の可能性については「100%ない」と強調した。



付記

日本のロッテホールディングスは10月26日に取締役会を開き、同社副会長である重光昭夫氏の代表職の遂行に問題がないかどうかを議論、その上で、同氏の続投を決議した。

重光昭夫氏はこの席で、在宅起訴に至った経緯や起訴内容などを詳しく説明し、身柄を拘束されていないため経営に支障がないこと、無罪推定の原則に基づき三審まで裁判を受けてようやく有罪か無罪かを問えるということを説いたとされる。取締役会は3時間近く行われた。

ロッテの関係者は「予想に反して取締役会が長引いたが、代表職の遂行に問題がないという方向に結論が出た」と伝えた。


台湾が原発全廃へ 

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台湾の蔡英文政権は2025年に「原発ゼロ」にすることを決めた。

行政院(内閣)は10月20日、再生エネルギー事業への民間参画を促す電気事業法の改正案を閣議決定した。
太陽光と風力発電を中心に再生エネの割合を20%まで高めることを目標とするもので、近く立法院で審議に入り、年内の可決を目指す。

蔡総統は「改正は原発ゼロを進め、電源構成を転換する決意を示すもの」と述べた。

台湾には4原発・8基があり、うち第四原発は完成後も住民の反対で稼動していない。
第一、第二原発は人口密集地の台湾北部にあり、台北中心部から23~28kmの距離にある。

第四原発は今後も稼動せず、残り6基についても40年稼動期間の延長をせず、期間満了で停止する。このため、2015年5月に原発ゼロとなる。

出力(net) 発電開始 40年 現状
第一原発
(金山発電所)
1号 BWR 604MW 1978/12 2018/12 停止中 2014/12の定期検査で不具合発覚
2号 BWR 604MW 1979/7 2019/7 稼動中
第二原発
(国聖発電所)
1号 BWR 948 MW 1981/12 2021/12 稼動中
2号 BWR 948 MW 1983/3 2023/3 停止中
第三原発
(馬鞍山発電所)
1号 PWR 919 MW 1984/7 2024/7 停止中 定期検査
2号 PWR 922 MW 1985/5 2025/5 稼動中
第四原発
(龍門発電所)
1号 ABWR 1300 MW

住民反対で未稼働

2号 ABWR 1300 MW
.
.


台湾も日本と同様に地震が多い。

2000年3月、反原発を主張する民進党の陳水扁が総統選挙に勝利を納め、政権交代が行われた。

台湾の原子力情勢は一変し、既設原子力発電所の廃炉、工事中の第四原子力発電所の中止、「非核家園(原発のない故郷)」の立法等、一連の脱原子力方針が打ち出された。

2008年の総統戦では民進党の謝長廷が敗北し、国民党の馬英九が総統になった。

しかし2011年3月11日の福島第一原発事故で安全性への不安が高まり、反対運動が激化した。
第四原発の稼働を目指していた馬英九政権は2014年に凍結決定に追い込まれた。
(2014年4月27日、5万人のデモ隊が台北駅前の8車線道路を15時間占拠し、稼働を阻止した。)

馬政権は第四原発を廃炉にはせず、将来的に稼働させる選択肢を残していた。

2016年1月の総統選で、民心党の蔡英文主席が大差で当選した。
蔡女史は2012年の総統選に立候補後、「2025年までに原発全廃」を目指す目標を表明、民進党結党以来の党是の一つである「脱原発」を鮮明に打ち出してい た。


付記

安井至氏は 「市民のための環境学ガイド」 2016/10/29 「台湾、2025年原発離脱」で次のように述べている。

このような政策は、2025年に不可能とは言えませんが、問題はそれ以後でして、それが解決可能かどうか、と言われれば、相当な覚悟と予算と電力料金の値上げが必要なのではないか、という結論になりそうです。

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2010年の台湾の電源構成は下記の通りとなっている。(GWh)

水力 7,255 2.94%
石炭 123,289 49.91%
石油 9,462 3.83%
天然ガス 60,787 24.61%
原子力 41,629 16.85%
風力 1,028 0.42% 2014年は1,490GWh
太陽光 21 0.0084% 2014年は 510GWh
バイオマス 540 0.22%
廃棄物 3,036 1.23%
合計 247,045 100%

RIST 「台湾の電力事情、発電計画、原子力発電」から

全原発が稼働を終えて原発ゼロとなるまでの時間は9年しかなく、電力の安定供給や計画の現実性への課題は多く、計画実現をめぐり内外から厳しい目が向けられている。

台湾で電力問題を所管する李世光・経済部長は次のように述べている。

2025年までに既存の原発をすべて停止させる一方で再生エネルギーを推進し、原発ゼロとすることを明確な目標に掲げた。

再生エネは太陽光と洋上風力発電を柱とする。
太陽光発電は技術的にも成熟してきた。パネルは生産過剰で価格が下がっており、台湾には逆にチャンスだ。
台湾海峡は強い季節風が吹き、風力も有望だ。
ただ、前政権が力を入れていなかったので台湾には自己技術がない。日本との協力にも期待している。

再生エネは安定したベースロード電源とは言えないが、違う種類の再生エネを組み合わせることでベースロード電源に近いものにし、蓄電や節電にも力を入れていく 。

海風を利用し、台湾で最も早く風力発電を始めた台湾海峡の離島、澎湖諸島の陳光復知事は、「澎湖はグリーンエネルギーを本島に供給する重要な電源になる」 と述べた。

澎湖は現在、人口約10万人分の約15%を供給、2025年までに、太陽光も加えた発電能力を増強して再生エネ供給率を100%とし、余剰分は海底ケーブルで約60キロ離れた台湾本島に送電する計画 。

澎湖には現在風力発電所が数箇所あるが、そのうち、中屯風車には600キロワットの風力発電機が8基あり、観光地にもなっている。

テルモは10月18日、米国のSt. Jude Medical, Inc. と Abbott Laboratories の両社の血管内カテーテル術関連事業の買収に関する基本的な条件に合意したと発表した。
買収額は約 1,120百万ドルで現金払い。

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Abbott は4月28日にSt. Jude Medical を買収する契約を締結したと発表した。買収価額は250億ドル。

St. Jude は
売上高が約59億ドルで、ペースメーカーや血管を広げて血流を助けるカテーテル器具など、心血管治療関連の医療器具で業界大手。

同社は「カーディアック・リズム・マネジメント(不整脈疾患の診断及び治療に用いる医療機器)」、「心房細動」、「心臓血管」、および「ニューロ・モジュレーション(慢性疼痛・神経障害)」の4つの分野に注力している。

同社は2015年10月8日に、重症心不全(HF)治療における補助人工心臓技術の世界的リーダーであるThoratec の買収を完了しており、Abbottはこれも含めて入手することとなる。

St. Jude Medical は2015年10月8日、重症心不全(HF)治療における補助人工心臓技術の世界的リーダーであるThoratecの買収を完了した。
正味買収金額は約33億米ドル。

この買収により、最も広く使用され大規模試験も行われている左心補助人工心臓のHeartMate II®、次世代機器のHeartMate 3™、HeartMate PHP™、およびその他の補助製品が、St. Jude の心不全製品ラインナップに追加される。

Abbott の医療器具事業は年間売上高が50億ドルで、そのうち30億ドル程度を心血管治療関連が占める。
同社は米国など主要市場で肥満や高齢化により同分野の医療用品の需要が伸びると見ており、St. Jude の買収で品ぞろえを強化する。

Abbott とSt. Judeの統合で止血機器での世界シェアが7割近くに達し、各国の独占禁止法に引っかかる可能性があるため、反トラスト法で問題となる製品の一部を売却するもの。
テルモは両社の合併成立を前提に本買収を行う。

テルモが買収する事業は次の通りで、テルモはSt. Jude Medical の止血機器事業を買収することで、同分野では世界シェアがトップ級になる。

相手先 製品
St. Jude Medical 大腿動脈穿刺部止血デバイス Angio-Seal
(世界シェアNo.1)


縫合糸でつながったアンカーとコラーゲンスポンジにより、穿刺部血管壁の内側からアンカーで、組織側からコラーゲンスポンジを挟み込むことにより止血する。
さらに、コラーゲンが凝固反応を促進し、迅速な止血を行う。
体内に留置するアンカー、コラーゲンスポンジ、縫合糸は60日~90日で生体に吸収される。

大腿動脈穿刺部止血デバイス FemoSeal
Abbott 心臓用カテーテルイントロデューサーキット
Vado Steerable Sheath


経血管内にカテーテルを挿入する際に、挿入部位を確保するために使用するシースセット

カテーテルロック機能がカテーテルをしっかりと固定、カテーテルの長時間留置を可能にする。

Abbott は自社の大腿動脈穿刺部止血デバイス (Perclose ProGlide® Suture-Mediated Closure System、StarClose SE® Vascular Closure System、Prostar® XL Percutaneous Vascular Surgical System など)を引き続き保持し、統合会社で取り扱う。

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テルモは6月12日に、脳動脈瘤治療に用いる新形状塞栓デバイスを開発し、世界で初めて製品化した米国のSequent Medical の全株式を取得するための契約を締結している。

2016/6/16 テルモ、米脳血管医療機器メーカー買収 


Abbott Laboratoriesは2014年7月、米国以外の先進国市場におけるBranded Generics事業を米ジェネリック医薬品メーカーのMylan に売却した。
約53億ドル相当のMylan株を受け取るが、早期に売却し、医療機器事業買収や自社株買いなどの資金に充当していく方針。

2014/7/21  MylanがAbbottのジェネリック事業の一部を買収 

Abbott Laboratoriesは9月16日、子会社で眼科分野で3つのセグメント(白内障・緑内障手術、レーザー屈折矯正手術、眼科関係消費者用製品)を持つAbbott Medical Optics を医薬・生活用品大手の Johnson & Johnson(J&J)に43億2500万ドルで売却した。

Abbott Laboratoriesは「選択と集中」を加速させ、循環器系の医療器具や診断分野に経営資源を集中させる。

2016/9/20 Johnson & Johnson、Abbott Medical Optics を買収


パナソニックは10月17日、太陽電池分野でTesla Motorsとの協業に向けた検討を開始した。

北米市場向けに、Teslaのバッファロー工場(ニューヨーク州)での太陽電池セル、モジュールの生産協業に関する検討を行うことで、同社との間で法的拘束力のない Letter of Intent を締結した。

パナソニックが太陽電池分野で持つ技術・製造力の強みと、Tesla の強い販売力との相乗効果など、両社が持つ強みを生かした協業を検討していく。

最終的に合意に達した場合、2017年にもバッファローの工場で Tesla 向け PVシステムの生産を開始する。

パナソニックは、結晶シリコン基板とアモルファスシリコン膜を組み合わせた独自のヘテロ接合型太陽電池「HIT® 」の生産・販売を行っている。
HIT®は世界トップレベルの発電効率と、優れた温度特性により、限られた面積でも大きな発電量を実現している。

また、製造面では、インゴットから、セル、モジュール、さらにパワーコンディショナなどのシステム機器まで自社製造する世界でも希少なメーカーであり、一貫生産による高品質な製品を提供している。

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パナソニックとTesla は、電気自動車(EV)用の次世代電池を開発、EV市場の拡大を加速するなど、これまで数年に亘る協力関係を築いてきた。


Teslaは、Tesla 製の先進的な電池パックにパナソニックのリチウムイオン電池を搭載しており、またEV用の次世代リチウムイオン電池を共同で開発するなどパナソニックとは親密な関係があり 、パナソニックを優先サプライヤーとして位置づけている。

パナソニックは2010年11月にTeslaに3000万ドルを出資した。

パナソニックとTesla は2013年10月30日、パナソニックがTeslaにEV用リチウムイオン電池の供給を拡大する契約を締結した。

パナソニックは2014年~2017年に約20億セルのリチウムイオン電池を供給する。
Teslaがパナソニックから購入する電池は、モデルSと同様に2014年末までに量産予定の多目的車のモデルXにも搭載される。

パナソニックとTesla は2014年7月31日、米国においてギガファクトリーと呼ばれる大規模な電池工場の建設に関して、両社が協力することに合意した。

Teslaは土地、建物、そして工場設備を準備し、提供・管理する。
パナソニックは、双方同意のもと、円筒形リチウムイオン電池セルを生産・供給し、リチウムイオン電池セルの生産に必要な設備、機械、およびその他の治工具などに投資 する。

ギガファクトリーで必要な材料の前駆体は、パートナーサプライヤーで構成されるネットワーク内での生産を計画して おり、Teslaは、セルや他の部品を用いて電池モジュールおよびパックを製造する。

ギガファクトリーでは 2020年までに年間 35GWh 相当のセルと 50GWh 相当のパックを製造することを計画している。

パナソニックは2014年10月1日、リチウムイオン電池セルを生産する新会社 Panasonic Energy Corporation of North America をネバダ州スパークスに設立した。

新会社は大規模電池工場ギガファクトリー内で、リチウムイオン電池の生産を行う。

この新工場の立ち上げにより、長い航続距離を実現するリチウムイオン電池パックの製造コストを削減し続けるとともに、Tesla が計画している大衆向け電気自動車用に必要となる生産量を確保し、電気自動車の普及に貢献する。

パナソニックの津賀一宏社長は2016年1月、ネバダ州に建設しているバッテリー工場への投資額が最大16億ドルになるとの見通しを示した。

Tesla とネバダ州政府の投資を合わせた総投資額は40億~50億ドルの見込み。

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Teslaは電気自動車のほかに、太陽光発電分野にも注力している。

Teslaは電気自動車を「移動型蓄電池」と考え、2015年5月に「定置型蓄電池」市場への参入を発表、2015年5月から住宅用蓄電池「PowerWall」および産業用蓄電池「PowerPack」の製造販売を行っている。

Teslaは8月1日、ソーラーパネルの設置などを手掛けるSolarCity を買収することで合意したと発表した。26億ドル相当の全額株式交換方式での取引となる。

両社はいずれも Elon Musk (Tesla のCEO)が創設に関わった 会社で、SolarCityは、Elon MuskのいとこのLyndon RiveとPeter Riveが2006年に設立した。

SolarCityは、家庭用および業務用の太陽光発電システムを提供しており、Teslaの住宅用蓄電池「PowerWall」も採用している。
統合により、「見た目に美しく、シンプルで一元的な太陽光発電および貯蔵システム」が可能になるとしている。

屋根型太陽光発電と蓄電池を円滑に組み合わせた製品を開発し分散型電源として機能させ、1つのスマートフォンアプリでアフターサービスを実施するためには、2つの会社ではなく1つの会社に統合した方がメリットを発揮できるというのが買収・統合の考え方である。

パナソニックとの協業が成功すれば、更に上流の太陽電池セル、モジュールからの一貫体制が完成する。
EVも含め、「グリーン・エネルギー・コングロマリット」が完成する。

今回の契約は、TeslaによるSolarCity買収をTeslaの株主総会が承認することが条件となっている。

しかし、この買収提案には一部の株主が反対の訴訟を起すなどの問題が起きている。

SolarCity は米国最大の家庭向け太陽光パネル設置会社となっているが、経営は苦しい。

従来型の太陽光パネル販売とは異なり、SolarCity は、顧客の屋根に自らパネルを設置し、太陽光パネルで発電した電気を顧客に販売するやり方をとっている。
このため、元本回収には長い年月がかかる。

昨年の売り上げ4億ドルに対し支出総額6億ドルで、1年で2億ドルもの赤字を垂れ流している。

共同声明では、買収後1年間の事業だけをとっても、コスト面で 1億5000万ドル相当の「シナジー」効果が見込まれることを示唆している。

TeslaとSolarCity の株主は11月17日にTeslaのSolarCity買収に対する賛否の投票を行う。


付記

Teslaは10月28日、買収手続き中のSolarCityと共同で、屋根タイルと一体化した太陽光パネルを開発したと発表した。発電効率をほとんど落とさずに、見た目は太陽光パネルだと分からないデザインに仕上げた。

太陽光パネルと一体的に使う家庭用蓄電池の新モデルも発表した。

買収を決議する11月17日の両社の株主総会に備え、相乗効果をアピールした。

中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB) は10月19日、国際諮問委員会の初会合を北京で開催した。

会合にはAIIBの金立群総裁のほか、鳩山元首相やパキスタンのアジズ元首相、アメリカからアジア開発銀行元理事のスペルツ氏など11人が諮問委員として出席し、今後の経営戦略や組織の運営の在り方など銀行の業務全般について幅広い視野から意見を交わした。

鳩山元首相は終了後、記者団に対し、次のように述べた。

会合では、投資や融資の案件はインフラ建設に限定し、環境に配慮した案件に特化するなど、ほかの国際金融機関との差別化を図ることが重要だという点を確認した。

私自身は「AIIBの最大の目的は世界の平和に貢献することだ。インフラ整備によりテロや貧困を減らしていく必要がある」と話した。

AIIBには57か国が加盟しているが、鳩山氏によると、会合で金立群総裁は「26か国が新たに加わる」と述べた。


国際諮問委員会の
メンバーは次のとおり。
は非加盟国出身
Mr. Shaukat Aziz パキスタン 元首相
Dr. Zeti Akhtar Aziz マレーシア 元中央銀行総裁
Mr. Anders Borg スウェーデン 元財務大臣
Mr. 鳩山由紀夫 日本 元首相
Mr. Steve Howard オーストラリア? Global Foundation事務総長
Dr. (Hyun Oh-Seok) 韓国 元副首相 兼 企画財政大臣
Dr. (Ms.) Ngozi Okonjo-Iweala ナイジェリア 元財務大臣、元世銀専務理事
Ms. Emilia Pires 東チモール 元財務大臣
Mr. Paul Speltz 米国 元アジア開発銀行理事 Global Strategic Associates会長兼CEO
Lord Nicholas Stern 英国 London School of Economics教授、元世銀主任エコノミスト
Mr. 董建華(Tung Chee-Hwa) 香港 香港特別行政区長官

太陽石油は10月18日、南西石油の全株式を、Petrobras の子会社から取得する株式譲渡契約を締結したと発表した。

買収金額は1億2930万ドル。

Petrobrasは2011年にブラジル国内の油田開発に経営資源を集中する方針に転換、「海外事業を縮小しており、南西石油もその一つ。全株売却の可能性もある」とした。

2015年4月末に製油所の運転を停止、2015年10月には取引先への文書で「2016年3月31日以降、石油製品販売契約を一切更新しない」と明記していた。

南西石油は買収後、精油所の再稼動はせず、石油タンクの運営や石油製品の販売供給を行う。
「沖縄県内に於ける石油製品の安定供給の一翼を担うべく、ターミナル事業に取り組むとともに、将来的には当社石油事業とのシナジー効果の創出を目的とする」としている。

ーーー

南西石油は1968年5月に「エッソスタンダード沖縄」として設立され、沖縄県西原町に製油所を建設した。
 (常圧蒸留 100,000 BPCD
、接触改質 13,500BPCD、ナフサ脱硫 25,000BPCD、灯軽油脱硫 19,000BPCD)

1977年5月に南西石油に改称し、当時 ExxonMobilの子会社であった東燃ゼネラル石油が87.5%、住友商事が12.5%出資した。

2007年11月に東燃ゼネラルはPetrobrasに南西石油持株を55億円で売却することで合意した、2008年4月1日に譲渡が完了した。

住友商事はPetrobras との間で新株主間協定書を調印し、新出資比率はPetrobras 87.5%、住友商事 12.5%のJVとなった。

住友商事は2010年4月に、国内石油製品事業の戦略の見直しの一環として、南西石油持株をPetrobrasに売却、これにより南西石油はPetrobrasの完全子会社となった。

Petrobrasによる南西石油買収の背景は次のとおり。

南西石油は能力が10万バレルと小さく、設備も老朽化しているため、ExxonMobil は閉鎖を検討していた。

一方、ブラジルでは2006年4月には完全自給体制を確立しており、Petrobrasは輸出を増やそうとしていたが、ブラジル産の石油は重質油であることと精製能力不足から、欧米やアジアで現地企業の買収や提携などを通じ精製能力を拡大することを計画していた。

Petrobrasは住友商事との新株主間協定書では、3年後を目処に1千億円を投じて大型設備を建設して2010年前後に稼働させ、安価なブラジル産の重質原油を処理し、中国や東南アジアなどにガソリンなど石油製品の輸出するとしていた。住友商事はアジア地域を中心とした原油、石油製品のトレードのノウハウと沖縄県内向けを中心とする国内石油販売の機能を提供する。

2007/11/7 ペトロブラス、南西石油を買収、最新設備新設

Petrobrasはその後、増産に向けた設備投資計画確定のため市場調査などを進めた。


しかし、米国のサブプライムローン問題を発端とする世界的な金融危機の影響で、コスト面と石油価格面の双方で予想が難しいとして調査をいったん中止した。

住友商事との間では、とりあえず2010年3月まで調査を延期することとしたが、その後、投資を断念、2011年には撤退の方針を決めた。


ロシア国営石油大手のRosneft などは、インド大手財閥 Essar Group から石油子会社 Essar Oil Ltd. を買収することで最終合意した。

Essar Oil は、石油換算で埋蔵量17億バレルの石油・ガス田を持ち、インド西部グジャラート州に年2千万トン(日量 405千バレル)の処理能力を持つ石油精製所を保有するほか、2700カ所の給油所も展開する。

Rosneft は買収により、インドの川上(製油所)から川下(給油所)までを握り、ロシアの原油の供給先として巨大なインド市場を確保する。

Rosneft とEssar Group は2015年7月に、Rosneft が Essar Oilの株式の49%を取得することで基本合意し、詳細を詰めてきた。
(このとき、Rosneft は Essar Oil に日量20万バレルの原油を10年間供給する契約に調印している。)

10月15~16日にインド南部で開かれたBRICS首脳会議出席のためロシアのプーチン大統領が訪印したのを機に、最終合意を発表した。

合意事項は次の通り。

Essar Group はEssar Oil Ltd.の株式の98%を米ドル換算 109億ドルで売却する。(株式時価評価は 58億ドル)
インド第二の精油所であるVadinar精油所はこれに含まれる。

うち 49%はRosneft に売却する。
同じく 49%は欧州の資源会社のTrafiguraとロシアの投資グループのUnited Capital Partnersのコンソーシアムに売却する。
(コンソーシアムの49%はTrafigura、同じく49 %はUnited Capital Partners、残り2%はEssar Group が出資する)

このほか、Vadinar精油所のための港湾ターミナルと発電所、及び約2700箇所の給油所の対価として20億ドルを支払う。

支払合計額は129億ドルとなる。

インドの資産家 Ruia 兄弟が支配するEssar Group は鉄鋼や電力、小売り、不動産事業などを手がける大手財閥だが、過去の積極的な拡大戦略が裏目に出て、グループ全体で 1兆ルピー(約1兆5500億円)規模の負債を抱えて苦しんでいる。今回の売却により、収益の大半は債務の返済に充てられ、債務を50%余り削減する。

ーーー

Essar Oil の株式の49%は欧州の資源会社のTrafiguraとロシアの投資グループのUnited Capital Partnersのコンソーシアムが買収する。

 Trafigura

1993年設立の資源会社で、主な事業は原油、石油製品、非鉄鉱物、バルク鉱物の供給・貯蔵・供給を行う。

石油製品の貯蔵・流通を担うPuma Energy の48.8%や、ターミナル・倉庫・輸送の Impala Terminals、自身のMining Group、物流会社DT Group の50%、Galena Asset Management などを持ち、これらが事業を支えている。

Vitol Group とGlencore に次ぎ 世界第三位の石油商社であるTrafigura にとって、今回の買収はエネルギー分野で最大の取引で、Rosneft の関係を深めるものである。

同社は非上場で経営陣が株主であるが、持株や自社株を担保に銀行借り入れで買収費用を賄う。

同社は実質的に精油所の24%をコントロールすることとなり、インドの石油精製市場に初めて参入する。(5年前に試み、失敗した)

 United Capital Partners

2006年設立のロシアの投資グループで、ロシア国内及び国際市場で成長が見込める私企業や流動化証券に投資している。
主な投資先は、日用品、小売、金融サービス、インターネット技術、ハイテクマテリアル、重機械、石油・ガス、石油化学など。

現在、約35億ドルを運用している。

Samsung と Apple のデザイン特許訴訟で、10月11日に連邦最高裁でヒアリングが行われた。

最高裁が意匠に関する訴訟を取り扱ったのは、1800年代にスプーンの取っ手、カーペット、鞍、ラグなどに関するものが最後で、その後は扱っていない。

ヒアリングは Samsung に有利な方向で進んだ。

判決は来年初頭に出ると見られている。1887年に制定された規定を変更して新しいルールを決め、下級審で再度審議させるとみられる。

ーーー

2011年4月にAppleが米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に、Samsung がスマートフォン「Galaxy S」やタブレット端末「Galaxy Tab」などでAppleの知的財産権を侵害したとして提訴した。

裁判は延々と続いた。1次評決で陪審員団が1,050百万ドルの賠償金を算定したが、その後、裁判長による減額があり、2015年5月18日に特許訴訟を専門に扱う米連邦巡回区控訴裁判所 (CAFC) は、SamsungがAppleの複数の特許を侵害したと認定したが、賠償の一部は無効と判断した。これを除くと548百万ドルとなる。

これを受け、2015年12月3日に、Samusung が Appleに548百万ドルの損害賠償金を払うことで両社が合意し、12月14日に支払が行われた。

しかし、Samsung は2015年12月14日、米最高裁判所に上告し、上記の548百万ドルのうちのデザイン特許に対応する399百万ドルについて、意匠に関する権利がどの範囲まで適用されるのか、またどのような賠償を請求できるのかについて指針を示すことを求めた。


対象となるのは次のデザイン特許3件。

iPhone Front (D'677) iPhone Back (D'087) iPhone Home Screen (D'305)

2015/12/30 iPhone と iPad の特許をめぐるApple、Samsungとの特許係争、続く 


最高裁が上訴を受理した場合、最高裁の最終判断がハイテク業界や消費者の購入できるすべてのガジェット類に波及的な影響を及ぼす可能性があり、注目されたが、最高裁は2016年3月21日、これを受理した。

ーーー

問題になっているのは、損害賠償額の399百万ドルが、Apple のデザイン特許を侵害しているとみなされたSamsung のスマートフォン11機種の利益全体であることである。

米国の裁判所で認定される特許権侵害訴訟の損害賠償額が日本と比べてはるかに高額である理由は、懲罰的賠償制度のほか、損害賠償額の算定方法が、製品の全体の価値(Entire Market Value:EMV)に基づくものであったが、最近では、全体の価値に対する発明の寄与分(Apportionment) を考慮することにより、損害賠償額が従前よりも低く算定されるようになっている。

しかし、デザイン特許に関しては、1887年に制定された特許法289条の規定を根拠に、依然としてEVMルールに基づく算定が現在も行われている。

第289条 意匠特許の侵害に対する追加的救済

(2)特許意匠若しくは実質的に周じ意匠が利用されている製造物品を販売した者、若しくは販売のために展示した者は、$250を下回らない総利益を特許権者に支払う責任を負い、当該回収は当事者に対する管轄権を有する合衆国地方裁判所において行われる。

Samsung はこの all-profits rule をスマートフォンのような複雑で多くの部品からなる製品に適用するのはフェアでないと主張した。

ヒアリングでのやり取りは下記の通り。

Appleは、「デザイン特許の保護は創造性とイノベーションを高めると信じる。このため我々のアイディアを盗む者から我々を守るのだ」と述べた。iPhone 開発に多額の投資をしており、その成功は独特の外観に直接結びついているとした。

Samsung は次のように主張した。 

スマートフォンは20万以上の特許技術を含んでいるためスマートなのだ。
しかし、289条は外観のほんの一部のデザイン特許の保有者にスマートフォンの利益全体を与えている。こんなのはおかしい。

下級審では、発明の寄与分(Apportionment) の計算は289条に反するとしたが、289条の規定はこのような製品に適用するには時代遅れである。

政府参考人がフォルクスワーゲンの自動車 Beetle の例を出したため、Samuel Alito判事が意見を述べた。

外観だけで車を買うとは思えない。価格が10倍だったら? 2マイル/ガロンしか走れなかったら? 50マイルごとに故障したら? 買うはずがない。

これに対し、Apple側は、独特のVW Beetleの形状をみて買う人がおれば、その外観をコピーしようとする理由になる、と陪審団が結論付けるだろうと述べた。

John Roberts長官もAppleの主張を理解できないようで、次のように述べた。

デザイン特許はスマホの外観だけのもので、内部のチップやワイヤー等々とは関係ないのだな。それなら、スマホの利益全部というのはおかしいのでは。

Samsung やGoogle やFacebookが加盟するComputer & Communications Industry Association (Apple は非加盟)の代表も下級審の決定を覆すことを希望した。


ーーー

米連邦控訴裁判所は10月7日、別のApple と Samsung との特許侵害訴訟で、連邦巡回控訴裁判所の2月26日の判決を覆し、Samsung に1億1960万ドルの賠償金支払を命じる判決を下した。

2月時点では、「Samsung は主張される特許を侵害してはいない」との判決を下したが、今回、8対3で、「特許侵害の十分な根拠がある」とした。

なお、2月時点では、Appleにも 158.4千ドルの賠償金支払命令が下されたが、今回もこれを認めた。

詳細は下記の通り。

発端 時期 2014年3月
原告 Apple & Samsung
内容 Appleは別の5つの特許侵害で、
Samsungは自社の2つの特許侵害で、相互を訴え
判決 2014年5月2日 連邦地裁の陪審
 Samsungに119.6百万ドルの賠償金支払命令
 (Appleの22億ドルの請求に対し)
 Appleに158.4千ドルの賠償金支払命令
 (Samsungによる620万ドルの請求に対し)
2016/1/23 ブログ Samsung 製品に特許侵害で販売差し止め命令 
2016/2 判決 Samsungに119.6百万ドルの賠償金支払命令 取り消し
Appleに158.4千ドルの賠償金支払命令 支持
今回の判決 Samsungに119.6百万ドルの賠償金支払命令 (前回の取り消し命令を取り消し)
Appleに158.4千ドルの賠償金支払命令 (前回の支払命令を支持)

停止中の北陸電力志賀原発2号機の原子炉建屋に 6.6トンの雨水が流れ込み、非常用照明の電源が漏電する事故が9月28日に発生した。

原子力規制委員会は10月19日、北陸電力に原因究明と再発防止を求めた。田中俊一委員長は「これほどの雨が流入するのは想定外だった。安全上重要な機能を失う恐れもあった」として、新規制基準に基づく再稼働の審査を見直す可能性を示唆した。

背景は下記の通り。

・ 2号機原子炉建屋北東エリアにおける地下式軽油タンク設置工事に伴い、当該エリア付近で道路の側溝(排水路)の付け替え工事を実施していた。

・ 雨水は、工事中の排水路に集まった後、仮設排水ポンプで排水することとしていたが、仮設排水ポンプの排水能力は大雨には対応できないものであった。

・ 道路脇のピットの上蓋から仮設ケーブルを引き込んでいた。


9月28日の状況

当日の雨量は1時間あたり最大 26ミリだった。

排水路が道路工事で一部ふさがれていたため、道路が雨水により冠水し、仮設ケーブルを通すため蓋が一部開いていたケーブル配管に雨水が流れ込んだ。

水は更にハンドホールを通じて、開閉所共通トレンチに流入し、トレンチ内から原子炉建屋のケーブル貫通部を経由して建屋地上1階に流入した。

地上1階にある非常用照明の電源設備などが被水し、漏電した。

さらに雨水は、床のひび割れなどを通って地下2階まで達した。
地下1階には、地震などで外部電源が失われた際に使われる最重要の蓄電池があるが、その真上の場所にも水が来ていた。

福島第一原発は、津波で非常用電源が失われて事故につながった。

このため、新基準は防潮堤で津波を防ぎ、建屋に水密扉をつけて浸水を防ぐなどの対策の強化を求めているが、配管から雨水が流れ込むことは重視されてこなかった。
志賀原発は近くに川などがないため洪水対策は不要とされ、配管は密封されていなかった。

北陸電力は審査の申請で、志賀原発2号機は洪水が起きる地形ではないため洪水対策について必要ないとしていた。

規制委は今後、志賀2号機の再稼働に向けた審査で対策を求めていく方針。
また、今回の問題が志賀原発固有の問題か、他原発の審査にも広げる必要があるかどうか、北陸電の報告を待って検討するという。



 
運転開始 型式 能力
万KW

申請

状況 
北陸電力
 志賀
① 1993/7/30 BWR
(Mark-I改)
54.0 2016/4/27
原子炉建屋直下の断層について、「活断層と解釈するのが合理的」とした有識者会合の報告を受理。
② 2006/3/15 ABWR 135.8 2014/8/12 2016/4/27
重要設備直下に活断層の可能性
2016/6/10
北陸電力 活断層でないと主張


金沢地裁が2006年、北陸電力志賀原発2号機の運転停止を命じた判決を下した。
2009年に名古屋高裁で原告逆転敗訴、2010年 最高裁で上告棄却


新エネルギーベンチャーの「ジャパン・ニュー・エナジー」は10月12日、京都大学との共同研究で、世界初の方式による地熱発電システムの開発に成功したと発表した。

地熱開発ベンチャーのジャパン・ニュー・エナジーが2014年から京都大学大学院工学研究科の横峯健彦准教授と共同で開発してきたもので、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成などを受け、大分県九重町野上に実証プラント「水分発電所」(出力24キロワット)を建設した。総事業費は12億円。


通常の地熱発電(復水式地熱発電)のように温泉水や蒸気をくみ上げる方式ではなく、地中熱だけで発電する。

新方式は二重になった外管(直径約 30cm)と内管(同約 10cm)を地下 1,450メートルに埋設し、地上から圧力ポンプを使って外管に純水を注入。地熱で熱せられて内管から上がってくる熱水から蒸気を発生させて発電する。タービンを通過した蒸気を冷却水で冷やして外管に戻し、純水を循環させる。水は近くの川から取って循環させる。

復水式では、地下にある熱水・蒸気を汲み上げるため、温泉資源に影響を与えかねないとして反対がある。

新方式は
温泉を掘削する必要がないため、観光業者らとの調整が不要で、地熱があればどこでも発電システム建設が可能となる。

地下の熱水・蒸気を使う発電では、管などにスケール(温泉成分)が付着して発電効率が落ちたり、除去費用がかかるが、この方式では 温泉水を使わないため心配がない。

ーーー

大分県九重町には九州電力の下記の地熱発電所がある。八丁原発電所は日本最大。

発電所名

最大出力    〔kW〕

運転開始年月
八丁原1号機 55,000 1977年6月
   2号機 55,000 1990年6月
八丁原バイナリー 2,000 2006年4月
大岳 12,500 1967年8月
滝上 27,500 1996年11月
菅原バイナリー 5,000 2015年6月


バイナリー発電は、沸点の低い媒体(代替フロンなど)を加熱・蒸発させてその蒸気でタービンを回す方式で、従来方式では利用できない低温の蒸気・熱水を利用することができる。


また、九重観光ホテルは敷地内の牧の戸温泉の蒸気を利用した自家用地熱発電所を持っている。


米財務省は10月14日、主要貿易相手国の通貨政策を分析した外国為替報告書を発表した。

発表文

報告書 Foreign Exchange Policies of Major Trading Partners of the United States

日本のほか中国、韓国、台湾、ドイツが前回に続き2回連続で為替操作「監視リスト」に指定され、今回は新たにスイスも加わった。
(3つの基準のうち、2つ以上で超えた国が指定される。中国は、今回は1つしか基準を超えていないが、
1度指定されれば、次回の報告書でも自動的に指定される。

ーーー

オバマ大統領は2月24日、2015年貿易円滑化・貿易履行強制法案に署名し、法を成立させた。

これはアンチダンピング法、相殺関税法および貿易救済法などを強化したものだが、上院の審議で為替操作国に対する措置が盛り込まれた。

第701条「米国の主要貿易相手国との為替レートおよび経済政策の取り極めの促進」に次の規定がある。

重大な対米貿易黒字実質的な経常黒字を有し、外為市場に対する長期かつ一方的な介入を行った米国の主要貿易相手国については、マクロ経済および為替政策に関する高度な分析を行い、財務長官はこの法律制定から90日以内に、この分析で使用した諸要因を公表する。

大統領は財務長官を通して、(3つの条件を満たす)対象国と高度な二国間取り極めを開始する。

「高度な二国間取り極め」は、
 (i)当該国通貨の過小評価、大幅な対米貿易および実質的な経常黒字の要因に対処するための政策の実行を当該国に促し、
 (ii)通貨の過小評価と大幅黒字に対する米国の懸念を表明し、
 (iii)当該国が適切な政策を採用しなかった場合は、大統領が取り得る行動を当該国に忠告し、
 (iv)通貨の過小評価と大幅黒字に対処する具体的な行動を伴う計画を作成する、ために行われる。

 (iii)の「大統領が取り得る行動」は次のひとつ以上の行動と規定されている。

(i)海外民間投資公社(OPIC)による当該国に対する新規融資等の禁止、
(ii)連邦政府による当該国からの財・サービスの調達・契約締結の禁止、
(iii)IMF米国代表理事による当該国のマクロ経済および為替政策の厳格な監視および公式協議の要求、
(iv)当該国との二国間または地域間貿易協定の締結または交渉参加の是非の検討。

米財務省は上記②の重大な対米貿易黒字と実質的な経常黒字を有し、外為市場に対する長期かつ一方的な介入を行った貿易相手国の分析に関し、次の基準で選ぶこととした。

重大な対米貿易黒字 対米貿易黒字が200億ドル(米国GDPの約0.1%) 以上
実質的な経常黒字 経常黒字がその国のGDPの3.0%以上
外為市場に対する介入 GDPの2%以上(ネットで)の額の外貨を繰り返し購入

米財務省は4月29日、主な貿易相手国・地域の為替政策に関する半年に一度の報告書を発表した。3つの条件を満たす国はなかった。

そのなかで、通貨を意図的に安く誘導する為替操作への監視を強化するため、2つの条件を満たす日本、中国、韓国、台湾、ドイツの5つの国・地域を新たに設ける「監視リスト」の対象にし、動向を詳しく分析し監視していくとした。

2016/5/2 米、日本や中国などを為替操作「監視リスト」に


今回はこれに続くもので、今回も3つの条件をみたす国はなかった。

前回と今回の各国のまとめは下記の通り。(今回」は2016年上期又は過去1年、「前回」は前回報告分)

は基準超過、
は基準内で、問題なし
対米貿易黒字 経常黒字
GDP比
net 外貨購入 GDP比
億ドル
中国 今回 200億ドル超 3,560  3%未満 2.0% ー (netで外貨売却)
前回 200億ドル超 3,657  3%超 3.1% ー (netで外貨売却)
日本 今回 200億ドル超 676

 3%超

3.8%
前回 200億ドル超 686

 3%超

3.3%
韓国 今回 200億ドル超 210  3%超 8.3% ー (netで外貨売却)
前回 200億ドル超 283  3%超 7.7% 0.2% (非継続)
台湾 今回 200億ドル未満 136  3%超 14.6% 購入継続
前回 200億ドル未満 149  3%超 14.6% 2.4% (継続)
ドイツ 今回 200億ドル超  3%超 9.4% ユーロのため無関係
前回 200億ドル超 742  3%超 8.5%
スイス 今回 200億ドル未満  3%超 11.4% 1年で600億ドル購入
前回

調査対象外


中国は今回は1つしか基準を超えていないため、本来は問題なしだが、前回
指定されたため、自動的に指定された。
スイスは前回は検討対象に入っていなかったが、米国との取引が増えたため、検討対象となった。

各国のポイントは次のとおり。

中国

対米黒字が大きい。
経常黒字は、サービスでの大幅赤字と、商品での黒字の減で、GDP比3%未満となった。

外為市場介入は、中国及び世界経済に悪影響を与える人民元の急速な値下がりを防止するためのもの。
交換比率の管理と目標の透明性と、切り下げをしないというG20のコミットを守ることが、中国の外為体制の信頼性を高める。

日本

対米黒字は大きく、経常黒字GDP比も2011年来の最高レベル。
昨年円高になったが、4年間介入をしていない。

韓国

対米黒字は大きく、経常黒字GDP比も高い。
従来とは異なり、この1年でウォン安に対抗するため外為市場に介入した。

介入を異常な取引状態の場合のみに限定すること、外為操作の透明性を高めることと、国内消費を支える手段をとることを求める。

台湾

経常黒字GDP比は高く、継続して外貨購入を行っている。

ドイツ

対米黒字は大きく、経常黒字GDP比も高い。経常黒字の額は世界最大。
需要と投資を増やす財政政策をとるべきだ。

スイス

対米貿易黒字が増えたため、報告に加えた。

経常黒字は大きく、この1年、多額の外貨購入を行った。対米黒字は大きくない。

 

東京電力は10月13日、原子力規制委員会の柏崎刈羽原発6、7号機の審査会合で、重大事故時の対応拠点「緊急時対策所」について、3号機内に設置する当初の方針を取りやめ、6、7号機に隣接する5号機に設置することを明らかにした。

大規模地震が起きると、3号機のある荒浜側の防潮堤の地盤が液状化し、壊れる可能性があると判断した。
液状化対策に1年以上かかり、審査が長期化するおそれがあることなどから、移転を決めた。

柏崎刈羽の6、7号機の審査は終盤を迎えていたが、緊急時対策所の被ばく対策や事故時の作業員の対応など一部の審査をやり直すことになり、審査が長期化する可能性が出てきた。
規制委の更田・委員長代理は「審査はある種のやり直し」と述べた。

原発 運転開始 型式

能力(万KW)

再稼動申請
1号機 1985/9/18 BWR(Mark-) 110.0 未 
2号機 1990/9/28 BWR(Mark-改)
〈沸騰水型〉
110.0
3号機 1993/8/11 110.0
4号機 1994/8/11 110.0
5号機 1990/4/10 110.0
6号機 1996/11/7 ABWR
〈改良型沸騰水型〉
135.6

2013/9/27

7号機 1997/7/2 135.6

福島第1原発と同じ沸騰水型で、審査が順調に進めば沸騰水型としては初めて審査に合格するとみられていた。


緊急時対策所は、一次冷却系統に係わる施設の損壊その他の異常が発生した場合や重大事故等が発生した場合に、中央制御室以外の場所から指示・連絡を行うために設置する。

重大事故等に対処する要員がとどまることができるよう、遮断・換気について考慮した設計にするとともに、代替交流電源設備からの給電が可能なものとする。
免震重要棟内の緊急時対策所が使用できない場合でも、重大事故等に対処できる設計とする。

東電はこれまで、3号機内に設置することで進めてきた。


規制委は、2007年の新潟県中越沖地震で敷地が液状化したため、液状化の影響を詳しく調べるよう東電に指示していた。

東電が 3号機がある荒浜側防潮堤の地盤を精査したところ、液状化で防潮堤の安全性を保てず、津波が流入してくる可能性があること が分かった。

柏崎刈羽原発は敷地が低い 1〜4号機(海抜 5メートル)と、比較的高い 5〜7号機(同 12メートル)に分かれ るが、同原発に到来する津波の高さを最大 7.6メートルと想定しており、防潮堤が壊れれば1〜4号機側は浸水が避けられない。

このため、東電は 5号機建屋の3階に変更することとした。

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毎日新聞 (10/14)


6、7号機に近くなることで、事故対応の作業員がすぐに現場に駆け付けられる利点がある一方、待機中の作業員の被ばく対策が求められる。
6号機原子炉から約130メートルで、6号機の事故にここで対応した場合、作業員の被ばく線量が 1週間で 70ミリシーベルトと非常に高くなる。

また、1〜4号機側にはほかにも、事故対応拠点の免震重要棟外部電源を取るための開閉所など多くの設備があり、これらが水没して使えなくなる可能性がある。

東電は 1〜4号機についても将来的に再稼働を目指す考えだが、液状化対策には大規模工事が必要で、審査申請は当面困難になるとみられる。

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原子力規制委員会は、液状化の影響を調べるよう東電に指示し、面目を保った。

そのまま3号機に緊急時対策所をつくり、地震が起これば大変なことになっていた恐れがある。

しかし、2007年の新潟県中越沖地震で敷地が液状化したのに、東電が審査の前に、その影響を調べ、対策を講じていなかったのは、どうしてなのか?

福島原発では、もっと大きな津波の可能性があることを認識しながら放置していたが、それと同じなのだろうか。


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新潟県知事選は10月16日に投開票され、再稼働に慎重姿勢で、無所属新人の医師の米山隆一氏が初当選した。

「これまで皆さんと約束してきた通り、命と暮らしが守れない現状での再稼働は認められないと主張していく」と述べた。

原発事故の検証や、重大事故時の避難計画の整備が不十分だとして、現状では再稼働は認められないとしている。

ソフトバンクグループは10月14日、グローバルにテクノロジー分野へ出資することを目的とした私募ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(仮称)の設立を決定したと発表した。

ソフトバンクグループは、今後5年間で少なくとも 250億米ドルを本ファンドに出資する。

また、サウジアラビアの公的投資基金(Public Investment Fund :PIF) との間で、主要な資金パートナーとして本ファンドへの出資を検討することについて、覚書を交わした。
さらに、本ファンドへの出資を目的に、複数のグローバルな大手投資家たちと協議中で、1,000億米ドルとなる可能性がある。

ソフトバンクグループ 5年間で少なくとも 250億米ドル
PIF 5年間で    最大 450億米ドル
複数の大手投資家   協議中
総額   1,000億米ドルとなる可能性

資金規模が10兆円になれば、主に非上場株式に投資するファンドとしては、世界最大級になる。

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サウジアラビアの公的投資基金 (PIF) は1971年の設立以来、サウジ財務省が管轄し 、石油精製、肥料、石油化学、電力などの大事なプロジェクトのファイナンスを担ってきた。

2015年3月からは、サウジ副皇太子Mohammad bin Salman Al Saud が率いるCouncil of Economic and Development Affairs (CEDA) へ移管された。現在、副皇太子が PIFのチェアマンを務める。

PIFは2015年7月に韓国のPosco Engineering & Construction の株式の38%を取得、2016年6月には米配車サービス大手Uber Technologies Inc.に35億ドルの出資を行い、発行済み株式の約5%を取得している。

2016年3月に、Saudi Aramcoの所有権が政府から PIFに移管された。

CEDA は、2030年までの経済改革計画「ビジョン2030」を作成、サウジ政府は2016年4月25日、国王主宰の閣議でこれを承認した。

石油依存型経済から脱却し、投資収益に基づく国家を建設していく。

公的投資基金(PIF)の資産を6,000億リヤールから7兆リヤール(約 2兆ドル)に増やす。

目標を達成するための手段として、
・ 国営石油会社Saudi Aramcoの5%未満の新規株式公開(IPO)、
・ 民営化による透明性の向上と汚職抑制、
・ 軍事産業の育成による国内調達の軍装備品支出の割合を50%まで拡大、
・ 外国人による長期的な労働・滞在を可能するグリーンカード制度の5年以内の導入
などがあわせて発表された。

Saudi Aramco の5%分の株式公開は2017年までに行われるが、これにより PIF は資産規模が2兆ドルの世界最大のファンドとなる。

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米国で9月28日
、米同時テロに関与した外国政府への損害賠償請求を可能にする法案「テロ支援者制裁法(Justice Against Sponsors of Terrorism Act (JASTA)がオバマ大統領の拒否権を覆して成立した。

サウジアラビアは、全面的に同時多発テロへの関与を否定しており、この法案に激しく反発してきた。サウジのジュベイル外相は、裁判で多額の賠償を命じられて在米資産が接収されるのを防ぐためには米国債その他のドル建て資産を売却せざるを得なくなる、と米議会に警告、法案が成立すれば、サウジは最大で7500億ドルのドル建て資産を手放すことを余儀なくされるとしていた。

2016/10/1  米同時テロ遺族のサウジ提訴法案、大統領拒否権を覆し成立

この結果、現状のままでは PIFとして米国に投資するのは難しくなる。

PIFとしては、ソフトバンク主導のファンドに参加し、これを通して米国企業に投資するのは一つの手である。

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「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」は、ソフトバンクのテクノロジー業界における投資運用能力、高度な業務運営知識及び幅広い経験を活用して、投資を実行する。
運用会社は同社の英国子会社となる予定。

「IoT」や人工知能 (AI) などの分野で高い技術力を持つ新興企業などへの投資を想定している。

ソフトバンクは9月に、英半導体開発大手の ARM Holdings plc を、日本企業の海外買収案件としては過去最大の240億英ポンド(約3兆3千億円)で子会社化したばかり。

孫正義社長は、「今後10年でテクノロジー分野において最大級のプレーヤーになる。出資先のテクノロジー企業の発展に寄与することで、情報革命をさらに加速させていく」と述べた。



ソフトバンクグループは10月11日、ソフトバンクがリード投資家となり、他のベンチャーファンドとともに 、研究開発支援の米バイオベンチャー、Zymergen に合計130百万ドルを投資したと発表した。

Zymergen は、"Technology. Biology. Automation. Computation." をうたい文句とするバイオ企業で、樹脂やたんぱく質など様々な高機能素材を効率的に作り出すよう微生物や菌類などの遺伝子を操作する合成生物学技術の自動化を進めており、更にデータの機械学習を使った分析などを組み合わせた独自性の高いサービスを持つ。

同社は、Design-Build-Test-Analyze-Learn (DBTAL) cycle を使う。

先ず、特定の微生物をデザインし、それをつくり、テストし、独自のソフトウェアでデータを分析し、その結果で更にデザインするという繰り返し。

同社が今後目指すのは、より質の高い酵母株の開発 で、これによって新種の食品やフレグランスを創りだすことが可能になるだけでなく、分子特性が限定された新しい原料を顧客企業に供給することで、製品をより安価でかつ素早く製造することが可能になる。

同社は2015年6月に1回目の増資 44百万ドルを行った。この資金で、微生物の大量生産を実現するためロボットの導入を大規模に進めてい る。

今回調達した資金では大規模な人員増強とビッグネーム企業との提携などを進め、さらなる規模の拡大を狙うとしている。
同社のCEOは、「今回のラウンドによって人材の強化が可能になるだけでなく、さらなる顧客の獲得や長期的な視点に基づいた投資もできるようになる」としている。

出資者は下記の通り。

前回 44百万ドル Data Collective (Leader)、True Ventures、AME Cloud Ventures、DFJ、Innovation Endeavors、ObviousVenutures、
Two Sigma
Ventures
今回 130百万ドル Softbank (Leader)
Data Collective、True Ventures、AME Cloud Ventures、DFJ、Innovation Endeavors、ObviousVenutures、
Two Sigma
Ventures
Iconiq Capital、Prelude Ventures、Tao Capital Partners

外務省は10月12日、「中国による東シナ海での一方的資源開発の現状」を明らかにした。

近年、中国は、東シナ海において資源開発を活発化させており、政府として、日中の地理的中間線の中国側で、これまでに計16基の構造物を確認している。

東シナ海の排他的経済水域及び大陸棚は境界が未画定であり、日本は日中中間線を基にした境界画定を行うべきであるとの立場である。

このように、未だ境界が画定していない状況において、日中中間線の中国側においてとは言え、中国側が一方的な開発行為を進めていることは極めて遺憾である。

中国側に対して、一方的な開発行為を中止するとともに、東シナ海の資源開発に関する日中間の協力について一致した「2008年6月合意」の実施に関する交渉再開に早期に応じるよう、改めて強く求めているところである。

外務省は在日中国大使館に対し、「日中間の海洋の境界が未画定の状況で一方的に開発を進めることは極めて遺憾だ」と抗議した。

これに対し、中国外務省の副報道局長は10月13日、「争いのない中国の管轄海域内で行っており、完全に中国の主権的権利と管轄権の範囲内の出来事だ」と定例会見で反論した。

国連海洋法条約は、排他的経済水域を200カイリと定めているが、東シナ海は海域が狭く日中両国のEEZが重なるため、日本は国際司法裁判所の判例などに照らして「重なる場合は中間線が境界」と主張、一方、中国は、同条約の「大陸棚自然延長論」を主張する。

中国の開発井戸は中間線の中国側にはあるが、白樺、楠では埋蔵地域が日本側海域に掛かっているため、日本側のガスも汲み上げるので問題である。

2008年6月の日中首脳会談で東シナ海のガス田共同開発で一致した。

  白樺ガス田(中国名・春暁)の共同開発は両国の共同投資とし、収益分は先行投資した中国側に重点配分。
  翌檜ガス田(同・龍井)周辺の日中中間線にまたがる海域を共同開発区域とする。(日韓共同開発区域に隣接)
  合意対象外の日中中間線付近のガス田や、周辺海域の取り扱いについては継続協議。

2008/6/20 日中、ガス田開発合意

しかし、その後、中国は一方的に開発を進めている。

日本の場合、中間線の日本側でガスを掘削しても、それを輸送する手段がない。

平湖ガス田は、上海南東沖合に位置しており、約389㎞の海底パイプラインを通じ、上海の浦東に天然ガスを供給している。



2016年10月時点で確認された14箇所、16基の構造物は次のとおり。(1箇所に別時期に2基がつくられたものが2箇所ある)

今回、新たに「第11基」と「第12基」で天然ガスが燃焼したとみられる炎が出ているのを確認した。
炎を確認した構造物は2015年7月時点の5基から12基に増えた。

武田薬品は10月11日、がん領域における強力で非常に特徴的な抗体薬物複合体のHumabody® 製剤での創出・開発を行うバイオ医薬品会社の英国のCrescendo Biologics Limited との間で、この技術を使ったがん治療薬の創製、開発および販売に関して、グローバルでの戦略的提携およびライセンス契約を締結した。

Crescendoは今後、独自の遺伝子改変プラットフォームと工学的専門性を活かし、武田薬品が選定した複数の標的に対するHumabody抗体薬物複合体およびがん免疫調節薬を創製するとともに、その設計最適化を行う。


武田薬品は契約一時金、出資金、研究費、前臨床開発費として、最大で合計36百万ドルを支払い、本提携に伴うHumabody製剤の開発権と販売権を取得する。
Crescendoは今後、臨床開発、承認申請、販売の各段階において、最大で合計754百万ドルを受け取る権利とともに、武田薬品から売上に応じたロイヤリティを受け取る権利を有する。

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抗体医薬品はがん細胞の抗原にだけ結合し、がん細胞を死滅させる。(正常な細胞にはほとんど影響を与えない。)

一般的な抗体は、2本の軽鎖と2本の重鎖により構成され、軽鎖はVL、CL の2つ、重鎖はVH、CH1、CH2、CH3 の4つのドメインからできている。(下の左図)(上のマンガでもそうなっている)

重鎖はもう一つの重鎖と一緒になってY字型をした抗体の基幹部分を形成する。これに2つの小さな軽鎖が結合し、各腕の先に抗原結合部位を形成する。
なお、ラクダの抗体の中には、完全に軽鎖を伴わずに抗原結合部位を形成している重鎖抗体がある。(右図の本体)

これに対し、Humabody®(右図の右上)は、分子サイズが極めて小さく活性の高い新規タンパク製剤で、完全ヒト型のVH ドメインをベースにしている。



Humabody®は特許取得済の独自の遺伝子改変マウス(TKOマウス)の生体内でヒト型VHドメインをもつ重鎖抗体をつくり、それから作成する。

Humabodyは、モノクローナル抗体と異なり、費用対効果の高い小分子製剤であることのほか、新規の二重/多重特異性製剤を迅速に作製できる利点がある。
他の薬剤や
放射性同位元素との組み合わせもできる。

Humabody抗体薬物複合体は、均一で部位特異的なリンカーと毒性ペイロードを用いて作製されているため、特異性が高く、標準的な抗体薬物複合体と比べて毒性プロファイルが優れている。

分子サイズが非常に小さく、二重/多重特異性を持たせることや半減期を調節することが可能であることから、高用量で短期集中的に治療する"high dose, hit hard and leave"手法により、標準的な抗体薬物複合体よりも優れた治療指数をもたらす。



Crescendoは、独自開発あるいは戦略的パートナーシップにより、Humabody抗体薬物複合体および多重特異性がん免疫調節薬などの新規性の高い特徴的な新薬のパイプラインを構築している。

設計をカスタマイズすることにより、チェックポイント阻害などの複数の機序を標的にし、免疫賦活化経路を活性化するとともに、抗原提示を促進し、免疫抑制的な腫瘍微小環境を解除するような新たな多重特異性がん免疫調節薬の研究開発も行っている。


Crescendoは英国ケンブリッジを拠点とし、Sofinnova Partners、Imperial Innovations、Astellas Venture Management、EMBL Ventures社などの優良投資家からの出資を受けている。

Astellas Venture Managementはアステラス製薬が2006年に、創薬技術、製品種子、技術種子を保有するバイオベンチャーへの投資活動を一元管理する会社として、米国に設立した。

2014年12月にCrescendoに出資した。


Activist(物言う株主)として知られるPaul Singer のヘッジファンド Elliot Management の関連会社のBlake Capital LLC とPotter Capital LLC は10月5日、Samsung Electronics の取締役会に宛てた10ページの公開書簡で、合理化と会社分割を要請するとともに、30兆ウォン(約2兆8000億円)の特別配当支払いやNASDAQ市場への事業会社の二重上場、取締役会に3人の外部メンバーを加えることによるガバナンス改善などを求めた。

公開書簡  http://sevalueproposals.com/assets/downloads/SEC-Press-Release-and-Letter.pdf

Presentation http://sevalueproposals.com/assets/downloads/SEC-Presentation.pdf

サムスン電子が複数の事業を抱えており、不必要に複雑だと指摘した。

また「サムスン電子は先導的な技術企業だが、市場に正しく評価されておらず、類似の他の企業と比較すると、普通株の株価が30-70%低く評価されている」と主張した。

両関連会社はサムスン電子の普通株の約0.62%を保有する。

Samsung が新型スマホ「ギャラクシーノート7」の品質問題に揺れる中、李健熙会長から長男の李在鎔副会長への世代交代が鮮明になるタイミングで新たな要求を突きつけた。

要求内容は下記の通り。

Samsung Electronics を持株会社(Samsung Holdco) と事業会社(Samsung Opco) に分割、Samsung Holdco とグループの実質持株会社で総合商社のSamsung C&Tを合併する。
これにより、
組織および税金の両面でプラスの効果が得られるとともに、現在の李一族の複雑な株式保有構造などを簡素化できる。(下記)

NASDAQ市場に事業会社に加え、持株会社を二重上場。
売買高が膨らみ、主力のエレクトロニクス事業に対する海外投資家のエクスポージャーが拡大してサムスン株の上昇につながる。

30兆ウォン(約2兆8000億円)の特別配当支払い

Samsung Electronicsは資産の30%もの現金(80兆ウォン)を持っており、30兆ウォンの配当をしても残り現金50兆ウォンは他社並みの比率で、将来の大きな投資や支出にも十分である。

今後、Free Cash Flow の75%を株主に還元すること

現在は約20%で、Samsungはこれを30~50%にするとしているが、同業と比べると低過ぎる。

サムスン電子の持ち株会社と事業会社の取締役会に社外取締役3人を追加して企業経営構造を変えること

ーーー

2014年12月にSamsung Group の持株会社の第一毛織(Cheil Industries Inc.) が上場した。

旧称 三星エバーランド で、三星グループの創業事業である第一毛織が、ファッション部門を三星エバーランドに譲渡した後、2014年7月にSamsung SDIと合併し、消滅したため、三星エバーランドがグループ創業事業の「第一毛織」の名称を引き継いだ。

これにより、三星グループの構造は下記の通りとなった。

2014/12/2 Samsung Group の持株会社 第一毛織の上場 


2015年9月1日、第一毛織とサムスン物産(Samsung C&T) が合併し、新しいサムスン物産(Samsung C&T) となった。

ヘッジファンドのElliot Managementなどが反対したが、7月18日の臨時株主総会で承認した。

新しいSamsung C&T はSamsungグループ支配構造の事実上の持ち株会社となる。


しかし、実際には事業会社間の株式持合いは複雑で、また各社は自社株を多数持っている。

Blake Capital LLC とPotter Capital LLC は今回のPresentationで最新のグループ構造を明らかにしている。

事業会社のなかで、Electronicsが親会社のものと、C&Tが親会社のものがある。

これに対し、今回の提案は、Samsung Electronics を事業会社としてのSamsung Opco と持株会社としての Samsung Holdco に分割し、Samsung Holdco と現在のグループ持株会社のSamsung C&T とを合併させるというもの。

基本構造は次のとおりとなる。 Samsung Opco(=Samsung Electronics)は他の事業会社と並列の事業会社となる。

ーーー

韓国内では、この案は李副会長にとって、経営構造を変える上で手助けになるという見方がある。

円滑に世代交代を進めるためには持ち株会社への移行は好ましい。株主からの異論に対し、今回の提案はある意味で「外圧」となり、資本構造を見直しやすくなる。

30兆ウォン規模の特別配当も、グループ企業やオーナー家が約30%を受け取るため、持ち株会社化の費用に充当できる。

2016/10/11  3人の遺伝子を持つ子供が誕生

New Scientist 誌は10月10日、同じ手術がウクライナのキエフのClinic of Reproductive Medicineで実施されたことを報じた。

米国の場合は、女性のミトコンドリアに遺伝的異常があるためであったが、ウクライナの場合は不妊治療のためである。
世界で唯一、手術を認めている英国の場合は、遺伝的な病気を避けるためのみ、認められている。

体外受精の場合、胚が2細胞期に発達が止まることがある。

Clinic では、卵子の細胞質のなかに異常があると考え、核を他の女性の核と入れ替えることで、問題解決を図った。

2例が成功しており、現在、胎児が26週間目(女の子)と20週目(男の子)に入っている。

今週、 New YorkのAmerican Reproductive Technology Congress で発表する。

 

韓国で9月28日、「不正請託や金品などの授受の禁止に関する法律」(不正請託禁止法)が施行された。韓国社会にはびこる賄賂や接待文化を禁止する法律である。

韓国初の女性裁判官で、首相直属機関の国民権益委員会の当時の委員長の金英蘭女史が発案したため、その名前を取って「キムヨンラン法」と呼ばれる。

原案では、規制対象者は中央・地方すべての公職者と公企業、国公立の教職員とされていたが、社会に与える影響力が大きいという点から記者などマスコミに携わる従事者と私立学校教員、その配偶者が追加された。 但し、国会議員が対象から除外されていることで批判がある。(国会議員が除外されたから法律が成立したとの説もある)

公職者やメディア関係者、私立学校職員などで、配偶者も含め、1回100万ウォン、年間計300万ウォンを超える金品を受け取った場合、どんな理由であれ刑事処罰の対象になる。
会食は3万ウォン、贈り物は5万ウォンなどの上限も設けられた。

違反した場合は、3年以下の懲役か3000万ウォン以下の罰金が科せられる。

概要は下記の通り。(1万ウォンは約900円)

1.「公職者等」

国家公務員、地方公務員、公共機関関係者、法律により公務員と認められる者、学校関係者及び報道機関関係者をいう。
国会議員はこれに含まれない。

2.不正請託の禁止

許認可、人事、入札、補助金、徴兵、事件捜査等に関して、公職者等に対し、不正請託(計15 類型)を行ってはならない。
公職者等は、当該不正請託に応じてはならない。

罰則は下記の通り。

 依頼側:1~3 千万ウォン以下の過料(公職者等が行ったのか否か、第三者のためか第三者を通じてかにより3 段階に区分)
 受ける側:2 年以下の懲役又は2 千万ウォン以下の罰金

3.金品等授受の禁止

公職者等及びその配偶者は、職務との関連とは無関係に、同一人から1 回に100 万ウォン又は1年に300 万ウォンを超える金品等を授受、要求又は授受する約束をしてはならない。
公職者等の配偶者が受け取った金品も、公職本人への金品とみなされる。配偶者が職務に関連して金品などを受け取った事実を知った場合、申告しなければならない。

罰則は下記の通り。

 金品等授受(依頼側、受ける側とも)

  100万ウォン超の場合、3 年以下の懲役又は3 千万ウォン以下の罰金
  100万ウォン以下でも職務関連性がある場合、受領額の2~5 倍の過料

 配偶者の金品等授受  

  100 万ウォン超で、報告・返還なし:
3 年以下の懲役又は3 千万ウォン以下の罰金
  100 万ウォン以下で職務関連性があり、報告・返還なし:受領額の2~5 倍の過料

4.飲食、贈答、慶弔費

公職者等は、原則として職務関連者から金品などを受けることができないが、円滑な職務遂行や社交、儀礼、扶助の目的である場合に限り、受け取ることが出来る 。

但し、飲食費は3万ウォン、贈答品は5万ウォン、慶弔費は10万ウォンを超えてはならない。

「職務関連性」の概念が曖昧なため、個別事案が法の適用対象なのか、判断に迷う事例が少なくないが、国民権益委員会はガイドラインを示し、「迷ったら割り勘」などと呼びかけている。「公職者など多くの人が食事をするとき、頭数で割り勘するのが原則だ」としている。

直接の職務関連性があり、公正な職務遂行を阻害する可能性がある場合、価格基準内であっても、飲食・贈答品・慶弔費を受けることができない。

学校の教師は、日常的に提供を受ける食事や贈答品が学生の評価に影響を与える可能性があるため、飲食物・贈答品の提供が基本的に禁止される。

違反の通報第1号は、大学生からの電話で、「同じ講義を聞く他の学生が教授に缶コーヒーをあげるのを見た」というもので、警察は書面で通報するよう案内したという。

5.ゴルフ接待はダメ

職務関係者とのゴルフを一種の接待とみなし、原則的に禁止。

公職者などがゴルフ会員権の所有者とゴルフをしたとき、グリーンフィー優遇などの割引は、金品授受に該当するとして禁止。

6.不正な請託は、最初は拒絶して、2回目は申告する

公職者等が最初に不正な請託を受けた場合、不正な請託だという事実を知らせ、これを拒絶する意思を明確にしなければならない。
それでもまた同じ不正な請託を受けた場合、所属機関長に申告しなければならない。

7. 提供者も法人も処罰される

誰でも公職者等に金品などを提供したり、金品の提供などを約束した場合、罰金または刑事処罰を受ける。

また、法人所属の役職員が、業務に関して不正な請託をした場合、法人も罰金を科されることがある。

8. 外部で講演するときは、あらかじめ申告して、基準額だけ受け取る

公職者などが外部で講演をするときは、講演の要請があったことや明細などを所属機関長にあらかじめ書面で申告しなければならない。

外部講演の報酬上限額は、閣僚以上は1時間あたり50万ウォン、次官級は40万ウォン、上級公務員30万ウォン、それ以外の公務員は20万ウォン。
ただし報酬の総額は講演時間に関係なく、1時間の上限額の150%を超えてはならない。

私立学校の教職員、学校法人の従業員、報道機関の役職員が外部 講演などをした場合の報酬上限額は、1時間当たり100万ウォン 。

公職者等が過剰な報酬を受け取った場合、これを所属機関長に書面で申告して返納する必要がある。
公職者等が申告や返納を履行しなかった場合、500万ウォン以下の罰金。

9.不正な請託・金品授受の通報制度

違反行為の通報者には、最大 2億ウォンの褒賞金が与えられる。

超小型カメラや盗聴器を使って違反者を通報し、一攫千金を狙う者を指す "ランパラッチ"( キムヨンラン+パパラッチ) という言葉ができたという。
また、個人の素行調査を目的とした「公益申告専門要員養成」を標榜する私設塾が新しくできたと報じられた。


ーーー

2012年8月に国民権益委員会の当時の金英蘭委員長(韓国初の女性裁判官)が韓国社会に根強く残る不正腐敗の根絶のために推進した。

発端は2011年に釜山で起きた「ベンツ女性検事事件」で、ダブル不倫の関係にあった男性弁護士に刑事事件の情報を流し、同僚の検事などに特別の計らいを依頼し便宜を図った女性検事が、見返りとしてベンツやシャネルのバッグを受けとっていたもの。

検察内で特別チームが組まれ捜査されたが、金品の授受は確認されても職務との関連性を立証できないとされ、この女性検事は 最終的に最高裁で「ベンツなどは事件の請託対価ではなく、愛の証である」として無罪放免となったという。


これに世論が激怒し、公職者が職務に関連性がなくとも金品を授受した場合は処罰しようという気運が高まり、金英蘭法が本格的に立法に向けて動き出した。

2015年3月に国会を通過した。

しかし、規制対象者がマスコミ関係者、私立学校教員にまで拡大されるなど国会審議の過程で内容が大幅に変更されたため、弁護士協会、韓国記者協会などが憲法裁判所に違憲の審議を求めた。

本年7月28日、憲法裁判所は、金英蘭法は合憲である旨の判断を下した。
政府や企業とマスコミとの間に、過剰な接待や金品授受が蔓延していると指摘し、「自浄努力には任せられないとする立法者の判断は間違っていない」と断じた。

ーーー

韓国経済研究院は2016年6月に、"金英蘭法"によってもたらされる経済的損失について、飲食業、ゴルフ業、消費財、流通業などに直接的な打撃を与え、合わせて 年間 11兆6000億ウォンほどの年間損失になると推定した。

飲食業界は8兆5000億ウォンほどの経済損失が予想されている。

政治家たちも、さっそく会食などを減らしているという。 初日は料理店はどこも開店休業状態であったという。

農林畜産食品部では、贈り物で人気の高級牛や水産物への打撃で年間8000億ウォン〜9000億ウォンの損失が出ると推定している。

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最近の韓国ギャラップの世論調査によると、賛成が71%で、反対の15%を大きく上回った。

米ニューヨークの不妊治療病院の医師らが遺伝的な難病の治療を目的に、3人の遺伝子を持つ子供を誕生させていたことが明らかになった。

Fertility & Sterility誌(2016年10月号)が研究サマリーを発表した。

First Live Birth Using Human Oocytes Reconstituted by Spindle Nuclear Transfer for Mitochondrial DNA Mutation causing Leigh Syndrome

10月に米ユタ州で開く同学会の会合で治療の詳細を発表する。

New Scientist 誌が9月27日号で最初にこれを報じ、9月28日号で本件についての質疑応答を掲載している。

Exclusive: World's first baby born with new "3 parent" technique

Everything you wanted to know about '3-parent' babies

担当したのはNew York のNew Hope Fertility Center のJ. Zhang らで、米国では認められていない治療のため、規制が未整備なメキシコで実施した。

法的には英国のみで認められているが、実際に子供が生まれたのは初めてで、米生殖医学会の会長は「生殖医学にとって重要な進展だ」とする声明を発表した。

しかし、今後、生命倫理などを巡って議論を呼ぶとみられる。

両親はヨルダン人で、母親には「Leigh 症候群」という遺伝する神経系障害があり、これまで流産をくり返していたほか、出産した2人の子供を亡くしていた。

原因遺伝子は細胞の中のミトコンドリアのDNAに存在するため、母親の卵子の核だけを別の女性の核を除いた卵子に移植し、父親の精子と受精させ、母親の体内に戻した。

4月に生まれた男児は、核は両親のDNA、ミトコンドリアは提供者の女性のDNAを受け継いだ。
通常は母親のミトコンドリアのDNAを受け継ぐが、母親の 卵子の核だけを移植して受精したため、提供者のDNAを受け継ぐ。

生まれた子供の健康状態は良好という。


付記

New Scientist 誌は10月10日、同じ手術がウクライナのキエフのClinic of Reproductive Medicineで実施されたことを報じた。

米国の場合は、女性のミトコンドリアに遺伝的異常があるためであったが、ウクライナの場合は不妊治療のためである。
世界で唯一、手術を認めている英国の場合は、遺伝的な病気を避けるためのみ、認められている。

体外受精の場合、胚が2細胞期に発達が止まることがある。

Clinic では、卵子の細胞質のなかに異常があると考え、核を他の女性の核と入れ替えることで、問題解決を図った。

2例が成功しており、現在、胎児が26週間目(女の子)と20週目(男の子)に入っている。

今週、 New YorkのAmerican Reproductive Technology Congress で発表する。

ーーー

ミトコンドリア(mitochondrion、複数形がmitochondria)は真核生物の細胞小器官だが、エネルギーの生産を担当している。

生命体のエネルギーの元は太陽光の光エネルギーである。

植物の葉緑体が光合成により、水+CO2+光エネルギーを、ぶどう糖(化学エネルギー)+O2に変換する。

生物は外部から取り込んだ栄養素のブドウ糖を酸素で二酸化炭素と水に分解し、発生した化学エネルギーをATP(アデノシン3リン酸)に変換、ATPが分解されてADP(アデノシン2リン酸)になるときに生じるエネルギーが生命活動に使われる。
これを行うのがミトコンドリアである。


ミトコンドリアの遺伝子は、核に含まれる遺伝子と全く別ものである。

核のDNAは両親から引き継ぐが、ミトコンドリアのmtDNAは常に母性遺伝する。

このため、上図の通り、核のDNAは母親と父親から引継ぎ、ミトコンドリアのmtDNAは別の女性から引き継ぐため、3人のDNAを持つこととなる。

ーーー

ミトコンドリアの遺伝子が核に含まれる遺伝子とは別であるのは、真核生物の発生期に、ミトコンドリアの祖先となる原核生物が共生したためである。

1967年に ボストン大学の Lynn Margulis が『有糸分裂する真核細胞の起源』(The Origin of Mitosing Eukaryotic Cells)を発表した。

地球に酸素のない時代に DNAを持つ原核生物が誕生した。

原核生物には核がなく、DNAは細胞質のなかにあった。

その後、3つのタイプの原核生物が生まれた。

原始真核生物(下図のA)、葉緑体の祖先となる原核生物(B)、ミトコンドリアの祖先となる原核生物(C)である。

原始真核生物(A)は、細胞を覆う細胞膜を変化させるなどで、核膜をつくり、DNAをそのなかに確保し、真核生物に進化した。

葉緑体の祖先となる原核生物(B)は光合成能力を持ち、二酸化炭素と水と太陽光でブドウ糖と酸素をつくった。

ミトコンドリアの祖先となる原核生物(C)は、発生した酸素を利用し、ブドウ糖を二酸化炭素と水に分解、化学エネルギーをATPの化学エネルギーに変換した。

原核生物は核がなく、DNAを細胞質に持つため、酸素によって DNAが酸化し、ボロボロになる。
このため、元の原核生物は死に絶えるか、酸素の少ない地下へ潜ったとみられる。

ミトコンドリアの祖先となる原核生物(C)にとっても、 酸素を利用はするが、活性酸素により細胞質にあるDNA が破壊される危険が生じた。

このためミトコンドリアは、核を持つ原始真核生物(A)に寄生し、遺伝情報の大部分を活性酸素の害が及ばない真核生物の核のなかに避難させた。
(大部分が真核生物のDNAに組み込まれ、一部がmtDNA として残った。両方のDNAが連携して働いている。)

一方、原始真核生物(A)にとっては、ミトコンドリアを取り込むことで、有害な酸素を処理できると同時に、生命エネルギーの生産を行うことで生存が可能となり、 真核生物として進化した。

植物の祖先は、ミトコンドリアとの共生後、光合成をする原核生物 (B)を取り込んで葉緑体とした。 葉緑体 Chloroplast)も独自のDNA(cpDNA)を持つ。

    林 純一 「ミトコンドリア・ミステリー」より一部補正


以上により、核に含まれるDNAのほかに、これとは別のミトコンドリアの mtDNA が存在することとなった。

AstraZeneca は10月3日、傘下のバイオ医薬品事業部門のMedImmune がAllergan plc に対し新薬のMEDI2070 のグローバルライセンス権を与える契約を締結したと発表した。

MEDI2070 は抗IL-23モノクローナル抗体で、現在、中等度から重度のクローン病患者を対象とした第2b相試験の段階にある。また、潰瘍性結腸炎を対象とした第2相試験も近々開始される予定となっている。

MEDI2070が治療対象とする病気は、AstraZeneca が中核分野とする3つの分野(呼吸器系、心血管・代謝性疾患、腫瘍分野)から外れているというのが売却の理由。進行中の試験は双方が合意した時期までMedImmuneが実施する。

MedImmune では、Allerganは胃腸病や炎症性疾患の経験が深く、MEDI2070 の開発・販売を進めるには良いパートナーであるとしている。

Allergan は世界全体での開発・販売の独占ライセンスに対し、一時金として250百万ドルを支払う。更に、開発の進展、販売マイルストーンに応じて、15年間で最高1,270百万ドル(開発で最高 435百万ドル、販売で最高 725百万ドルなど)を支払うとともに、販売に対しては売上高に応じたロイヤリティを支払う。

AstraZeneca は2012年にMEDI2070の開発で Amgen Inc. と提携している。このため、AstraZeneca はAmgen に対しAllerganから受け取る技術料、ロイヤリティの1/3 を支払う。
加えて、Amgen は1桁パーセントの発明者としてのロイヤリティを受け取る。

AstraZeneca とAmgen は2012年4月2日、Amgen社が臨床開発中の抗炎症薬ポートフォリオに含まれるモノクローナル抗体5件の開発と製品化に関して、提携することで合意した。提携に伴い、Amgen はAstraZeneca から前払い金5000万ドルを受け取った。

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Allergan は9月20日、バイオ医薬品大手の米Tobira Therapeutics Inc. を最大16億9500万ドルで買収することで合意したと発表している。

TobiraはNASH治療薬として、Cenicriviroc (CVC) とEvogliptin の2剤 を開発しており、これがAllergan の消化器病系のパイプラインに加わる。

2016/9/23 Allergan、バイオ薬大手のTobira Therapeuticsを買収 

ハンガリーで10月2日、EUの加盟国が難民を分担して受け入れることの是非を問う国民投票が行われたが、投票率が43%しかなく、国民投票の成立に必要な50%に届か なかったため、無効となった。

国民投票のために多額の税金を投入した政府のキャンペーンが反発を呼び、無党派層は野党による投票ボイコットの呼びかけに応じた。

しかし開票結果は、割り当て反対が98%を超えて賛成を大きく上回った。

国民投票の実施を呼び掛けたオルバン首相は会見で、「勝利宣言」した。
オルバン首相はEUに難民政策の変更を求める方針だが、EU側が譲歩する可能性は低い。

EUは、基本条約「リスボン条約」で首脳会議などでの決定を定めており、個別の課題で加盟国が国民投票をしても覆すことはできない。
ただ、こうした事例が続けば、難民問題に限らず「加盟国の民意無視」というEU批判の火に油を注ぐこととなる。

EUの難民割り当て政策は2015年9月の内相会議で多数決で決まったが、ハンガリーやスロバキアなど4カ国が反対票を投じたことで禍根を残した。

ただ合意に基づく受け入れを進めていないのは他の加盟国も同様で、2年間で16万人の移動を終える計画だったが、合意に基づき移動したのはごく少数に過ぎない。
欧州委員会は、受け入れを拒否した加盟国への罰金を提案しているが、議論は進まない。

ーーー

EUの「ダブリン制度」では、難民の最初の通過国が庇護申請の責任を負うという取り決めになっている。

しかし欧州には昨年、難民100万人以上が流入したため、EUは「玄関口」であるギリシャ、イタリアなどに集まった難民16万人の各国への割り当てを決めた。

欧州委員会は2015年5月、加盟国ごとに経済規模などに応じた義務的な受け入れ枠を配分する割当制度を提案した。しかし、難民の受け入れ実績の少ない東欧やバルト諸国を中心に加盟国の反発が強く、自主的な受け入れに転換 した。

2015年6月のEU首脳会議で、今後2年間でイタリアやギリシャに到着する4万人の難民の受け入れを目指すことで一致した。

しかし、2015年夏以降、さらに難民流入が急増し、問題が深刻化していることから、欧州委は義務的な割当制度を再提案する方向で検討 し、新たにハンガリーに到着する難民の受け入れ分担も加え、受け入れ目標を従来の4倍の16万人に増やすよう追加提案した。

割り当ては、国別の人口比が40%、GDP比が40%、過去の難民申請数比が10%、失業率比が10% で計算された。

具体的には、下記の通り割り当てを決めた。

しかし、チェコやハンガリーなど中東欧諸国の猛反発で最終決定を持ち越した。

中東欧諸国の反対姿勢は覆らず、議長は加盟国の規模などを加味した「特定多数決」(qualified majority voting)で分担案を可決することを決断した。

2015年9月22日、 チェコ、ハンガリー、ルーマニア、スロバキアの4カ国が反対、フィンランドが棄権に回る中、賛成多数で分担案の導入を決めた。

2014年11月1日より、特定多数決は、各国に1票の持票が与えられ、55%の加盟国(かつ、少なくとも15の加盟国)が賛成し、かつ、これらの国の国民が、全EU市民の65%に相当するときに成立する。
各国の持票数が人口に照らして決められていた従来の制度は廃止された。

ハンガリ―は欧州委の難民分担案を受け入れれば、自国領域に流入した54千人の難民らを他国に移せる「受益者」となる予定だったが、反対に回ったことでイタリアやギリシャの負担を分担する側に回ることになった。

表面上は、12万人の受け入れが決まり、事前に合意済みの4万人と合わせ欧州委員会が公約に掲げた「16万人の難民受け入れ分担」は達成されたに見えるが、当初目指した「義務化」は見送り、しかも受け入れ協力を求める具体的人数は下記の通り 106千人(40千人+今回の66千人)にとどまる。

実際に今までに移動した難民は9月28日現在で5,821人に過ぎない。

なお、英国は割り当てに入っていない。
この問題が英国のEU離脱の理由の一つとされているのは誤りである。

ーーー

ギリシャ、イタリア、フランス、ポルトガル、キプロス、マルタ、スペインのEUの南欧7カ国の首脳は9月9日、アテネで初の南欧諸国会議(Euro-Med summit)を開き、「アテネ宣言」(Athens Declaration)を採択した。

難民問題では、ギリシャやイタリアに負担が集中している現状を打開するため、EU各国による「責任の共有」を要望し、責任と連帯の原則に立ち、EU の現行の難民政策(Dublin system)を見直すことを求めている。

2016/9/15 EUの南欧7カ国がEU構造改革を求めアテネ宣言採択

三井物産は2014年12月9日、Vale S.A.がモザンビーク共和国で開発中の Moatize炭鉱、及びナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業(Logistics Nacala Corridor)に出資参画することで同社と合意し、関連契約を締結した。

炭鉱では主に鉄鋼の原料となる良質な石炭を産出する。鉄道で約900キロメートル離れたNacala港に運び日本などに輸出する。鉄道輸送能力の一部を本炭鉱以外で生産される鉱物資源や農産物などの一般貨物輸送や旅客輸送に活用する。

本炭鉱の95%権益を保有するVale社子会社の15%持分、本インフラ事業を推進するVale社子会社の50%持分を取得するもので、投融資額は炭鉱が 450百万米ドル、インフラ事業が 313百万米ドル、合計 763百万ドルとしていた。 他に、炭鉱について今後出資持分に応じて三井物産が今後負担する拡張費用は190百万ドルと見込んでいる。

Moatize炭鉱 年間生産量 22百万トン
Nacala回廊鉄道・港湾インフラ事業
  鉄道 総距離: 912km、輸送能力: 22百万トン/年
  石炭ターミナル 積出能力: 18百万トン/年
  一般貨物ターミナル 取扱能力: 4百万トン/年


出資関係
従来 今回
Moatize炭鉱 Vale子会社 95% Vale(Vale子会社の85%) 80.75%
三井物産(Vale子会社の15%) 14.25%
モザンビーク鉱物資源公社 5% モザンビーク鉱物資源公社 5.00%
Logistics Nacala Corridor Vale子会社 70% Vale(Vale子会社の50%) 35%
三井物産(Vale子会社の50%) 35%
モザンビーク企業、鉄道港湾公社

30%

モザンビーク企業、鉄道港湾公社 30%

ーーー

経緯は不明だが、Valeは9月29日、新しい契約内容を明らかにした。三井物産の投融資額は下記の通り変更された。

炭鉱については、2014年末から2015年末にかけて原料炭の価格が3割下がっており、この市況低迷を織り込んだ模様。
一方、インフラ事業への投資は、着工遅れによるコスト増で膨らんだとされる。

単位:百万ドル
当初 今回
支払額 追加* 支払額 追加*
炭鉱 450 +α 255 最大 195
インフラ 313 348
投資額 763 603
インフラ長期融資額 165
合計支払額 763 768
出資持分での今後の負担(炭鉱) 190

* 炭鉱については、当初より、今後の操業実績に応じて調整されるため、最終的な投融資金額は契約条件に基づき増減する可能性があるとしていた。

なお、9月30日付 日経は、「取得を決めた約2年前は940百万ドル」としているが、当時の発表は上記の通り763百万ドルである。

ーーー

Valeは従来、南部のBeiraまで鉄道輸送していたが、運搬能力は少なく、Beira港は整備されていないため、天然の良港のNacala港のターミナルと鉄道を建設した。

Nacala港は2015年末に商業運用を開始した。

新日住金は、Valeからコークス用高品位強粘結炭を購入しているが、同港を利用する船型としては最大となるケープサイズでの初出荷を行い、2016年6月に君津製鉄所で入港セレモニーを行った。

新日鐵住金は、今回三井物産が参加するMoatize炭鉱に隣接するRevuboe 炭鉱開発プロジェクトに参加している。

豪州 Talbot Group   58.9%
日鉄商事 10.0%
 当初、南ア法人に出資、2004/7 に独占探査権を取得
新日鐵住金 23.3%
 2010/12 日鉄商事から取得し、参加
韓国POSCO 7.8%  2010/5 参加


2013/4/9  新日鐵住金のモザンビーク原料炭開発プロジェクトが採掘権を取得 

OPEC、減産で合意

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OPECは9月28日、アルジェリアの首都アルジェで臨時総会を開き、加盟14カ国の原油生産量を日量3250万~3300万バレルに制限することで合意した。
(当初は非公式会合であったが、加盟国が協調に前向きに傾いたとみて会合を臨時総会に格上げした。)

8月時点の産油量は3,324万バレルであり、減産となる。イランのザンギャネ石油相は、「日量70万バレル程度の減産」が決定されたとしている。

会合前にはイランとサウジの隔たりが大きく、合意は難しいと見られていた。

しかし、会合に参加を予定していた非加盟国のロシアがOPEC内部の足並みの乱れを理由に出席を見送ったことも、加盟国間の結束を後押しした。

OPECは今後、ロシアなど非加盟国と協議し、原油市場の需給の安定に向け協力を求める。

この後、加盟国ごとの生産量の上限を調整し、ことし11月に開く総会で正式に決定する方針だが、各国が実際に折り合えるかどうかが焦点となる。

加盟国の中では、イランが2016年1月の米欧の経済制裁の解除(2015年7月に合意)以降、制裁前の水準に回復するまで増産を続ける方針である。

2015/7/25 イラン、制裁解除で原油の輸出、生産を拡大へ

政情不安によって生産量が一時的に落ち込んだリビアやナイジェリアも生産量の回復を目指している。

今回の合意を巡り、サウジはイランに対し譲歩したとされる。リビアとナイジェリアについても「柔軟に対応する」としており、例外措置を認める模様で、減産のかなりの部分をサウジが担う必要が出てくる。


付記

プーチン大統領は10月10日、イスタンブールでの「世界エネルギー会議」で講演し、「OPECの減産に加わる用意がある」と表明し、ロシアが増産の凍結または減産する可能性があることを示唆した。OPECが11月30日に開く総会で減産について正式に合意することを「期待している」と述べ、「OPECの決定を支援する」と説明した。

ーーー

OPECが減産で合意するのは、2008年12月以来、およそ7年9か月ぶりである。

OPECは2008年12月17日、 「11カ国の9月の生産量 2,904.5万バレルから420万バレル をカットする」と発表した。生産目標は2,484.5万バレルとなる。
(国別の生産枠は明らかでない)

2008/12/18 OPEC 大幅減産決定

その後は、2009年3月15日に、追加減産を見送り、「世界景気低迷に配慮し、生産枠順守を優先」とした。

2011年12月の総会で、2012年1月以降の生産枠を、イラクを含む加盟12カ国の生産枠を日量30,000千バレルとすることで合意した。
ほぼ現状の生産量に即した水準で、サウジアラビアの意向に沿った形となった。

2012/7/2 OPEC、生産枠据え置き

OPEC生産枠の推移は下記の通り。(千バレル/日)

2007/2 2007/11 2008/1 2008/9 2008/11 2009/1 2012/1
Algeria 794 1,357 1,357 1,357    1,286






Iraq
 含まず

Iraq含む
Iran 3,788 3,817 3,817 3,817    3,618
Kuwait 2,065 2,531 2,531 2,531    2,399
Libya 1,371 1,712 1,712 1,712    1,623
Nigeria 2,123 2,163 2,163 2,163    2,050
Qatar 663 828 828 828     785
Saudi 8,399 8,943 8,943 8,943    8,477
UAE 2,257 2,567 2,567 2,567    2,433
Venezuela 2,970 2,470 2,470 2,470    2,341
Angola     ー     ー 1,900 1,900    1,801
Equador     ー     ー 520 520     493
Iraq (ー) (ー) (ー) (ー) (ー) (ー)
Indonesia 1,370 865 865

離  脱

Total 25,800 27,253 29,673 28,808   27,300 24,845 30,000
(増減) (-500) (1,450) 2,420 〔-865〕   (-1,500)

OPECは2014年11月の総会で、北米のシェールオイルに対抗するため、シェア確保を優先する戦略に転換した。

サウジの石油鉱物資源相前回のOPEC総会で、「生産制限はOPECの利益にならない。価格が20ドルになろうが、40ドルで、50ドル、60ドルでも、無関係だ」と述べ、生産量維持を他のメンバーに納得させたという。

インタビューでは、「低コストのメーカーが減産し、高コストのメーカーが増産するというのはリーズナブルでなく、間違った考えだ。サウジが減産すれば、サウジのシェアはどうなる? ロシアやブラジルや米国のシェールオイルがシェアを奪うこととなる」と述べ、OPECのシェアを奪う非OPECの高コスト石油に長期的ダメージを与えるとの考えを示した。

2014/12/27  サウジ Ali al-Naimi 石油鉱物資源相の発言

原油安が響き、サウジの2016年予算では、財政赤字が3262億リアル(日本円で10兆4000億円)を上回った。

しかし、サウジアラビアなどペルシャ湾岸国は、全加盟国に加えOPEC非加盟の産油国の一部も協調しない限り減産を拒む姿勢を示した。

赤字の補填について、サウジアラビア政府は、2016年の歳出の削減と一部国有組織の段階的民営化のほか、下記の諸案を検討している。

1) 国債の発行や対外資産の取り崩し
2) 付加価値税の導入
3) タバコやソフトドリンクへの増税
4) 今後5年間で光熱費や水道料金などに投入されている巨額な補助金の見直し

5) 石油化学原料も12月29日から大幅に値上げされた。

2016/1/4  サウジアラビア 10兆円超の赤字予算、石化原料も値上げ

今回の発表を受け、原油価格は上がったが、OPECのシェアが今や下がっていること、米国でシェールが直ちに増産に入ることなどから、大幅な値上げにはならないと見られている。

ーーー

なお、2016年7月1日付けで、OPECを離脱していたガボンが再加盟し、OPECメンバーは14カ国となっている。

  加   盟

離脱 再加盟
'60 '61 '62 '67 '69 '71 '73 '75 '07
イラク
イラン
クウェート
サウジアラビア
ベネズエラ
カタール
インドネシア '09 '15
リビア
アラブ首長国連邦
アルジェリア
ナイジェリア
エクアドル '93 '07
ガボン '94 '16
アンゴラ
加盟国 14 -3 +3

福島原発の費用負担

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既報のとおり、経産省は9月20日、原発費用の負担に関連する二つの委員会の設置を決めた。

 「東京電力改革・1F 問題委員会」 東電の経営問題福島第一原発(1F)の廃炉費用の負担を議論

 「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」 卸電力市場活性化や全国の原発の廃炉費用負担を検討

エネ庁は福島第一の賠償額、廃炉費用、および他の原発の廃炉費用の引当不足分を8.3兆円と見込み、電力自由化で大手電力から新電力に契約を切り替える消費者が増えた場合、原発を持つ電力会社だけでは巨額の費用を賄えなくなる可能性があるとし、この8.3兆円を、全国の送電線の使用料金に上乗せする形で、太陽光発電などすべての電力会社の電力料に上乗せして回収しようという案を考えた。

二つの委員会はこれを検討するものである。化学業界からは前者には小林喜光・三菱ケミカルホールディングス会長、後者には石村和彦・旭硝子会長がメンバーに入っている。

2016/9/21 原発コストを新電力も負担、政府案 


毎日新聞(10月5日付け)によると、電力業界団体の電気事業連合会(電事連)が、東京電力福島第1原発事故の損害賠償・除染費用について、大手電力各社の負担額が当初計画を約8兆円上回ると試算し、国費での負担を政府に非公式に要望していることが分かった。

電事連は、賠償費用のほか、上記のエネ庁案には入っていない除染費用を対象とした。

賠償費用は、東電を含む原子力事業者が負担するが、2013年に想定した5.4兆円に対し、2.6兆円増えて8兆円になると予想する。(エネ庁試算では3兆円増)

除染費用は機構が保有する東電株式の売却益で賄う予定であった。

除染費用は2013年の予想の2.5兆円に対し、4.5兆円増えて7兆円になる見込みで、更に、東電株の下落を受けて、除染費用に充てる将来の売却益も1兆円減ると想定した。

この結果、差引合計で8.1兆円が不足することとなり、これを国庫で負担するよう求めている。

福島第一の廃炉費用については東電負担となっているが、2兆円の想定から大幅に膨らむ見通しで、東電は政府支援を要請している。

ーーー

エネ庁と電事連の計算には互いに含まれていないものがある。

エネ庁計算には、除染費用超過分と東電株の値下がりが入っていない。どうする積もりなのか?

電事連の計算には、東電独自のマターである福島第一の廃炉費用と、(公式には自らは言えない)他原発の廃炉費用引当不足分が入っていない。

これを総合すると、エネ庁と電事連と東電が政府支援(=国民負担)を考えているのは、 下記のように 14兆円程度にもなる。

電事連及び東電要請

エネ庁案

金額 不足額 処理 不足額
除染費用 当初 2.5兆円 機構の東電株式売却益
予想 7.0兆円 4.5兆円 (含まず)
東電株売却益 当初 2.5兆円
予想 1.5兆円 1.0兆円 株価値下がり) (含まず)
賠償費用 当初 5.4兆円 電力会社負担金
予想 8.0兆円 2.6兆円 3兆円
不足額合計(国庫負担要請) 8.1兆円 費用増 7.1兆円
収入減 1兆円
福島第一
 廃炉費用
当初 2兆円 東電負担
予想 大幅増 全額? 東電、政府に支援要請 4兆円
他原発
 廃炉費用
1.3兆円
総額 8.3兆円 関東需要家 5.4兆円 180円/月
他需要家   2.9兆円   60円/月
エネ庁案に電事連の除染費用増、東電株売却益減を加算(5.5兆円) 13.8兆円


原発は「安全」で、「コストは一番安い」として推進してきた筈である。


付記

河野太郎衆院議員の「ごまめの歯ぎしり」(2016/10/6) によると、9月末の時点で、東電に対して求償された金額は1兆80億円となっているが、そのうち東電が支払ったのは4874億円、48%にすぎないという。この他に各省が求償する国有財産の除染費用が別途ある。

10月1日から始まる2017会計年度の予算について、12月9日までの暫定予算が決まり、オバマ米大統領は9月29日に署名し、成立した。

予算案を巡る与野党の対立は数週間続いていた。通年予算の成立は無理で、暫定予算となるが、共和党の一部は来年3月までの長期の暫定予算を要求した。

オバマ大統領は11月8日の大統領選後に、予算協議と合わせてTPPの承認を求める意向だが、来年3月までの暫定の場合、大統領の任期中に審議ができない可能性があった。今回の暫定予算決定で、大統領は任期中のTPP承認を目指す。

なお、TPPには反対が強い。上院でTPPを所管する財政委員会の委員長は、バイオ新薬のデータ保護期間を、大筋合意した8年から12年に延ばすよう強硬に主張している。TPPの修正には再交渉が必要だが、他の参加国全体が絶対反対の立場である。

最終的に12月9日までの暫定予算で妥協に達し、米上院は9月28日に可決、下院も同日可決した。

これにより大統領選挙の前の政府機関の一部閉鎖などは回避される。

米議会は休会に入り、大統領戦後の11月半ばに再開する。

ーーー

米国の予算の問題には、「予算案」そのものと「債務上限問題」がある。

オバマ政権では、予算については、与党民主党が少数のため、野党共和党の反対によりこれまで全ての年度で年度前に予算が成立せず、暫定予算でスタートした。

2014年度の2013年10月1日には暫定予算も成立せず、政府機関が一部閉鎖された。

2013/10/1 米国、予算成立せず、政府機関を一部閉鎖

2012年12月には、「財政管理法による政府支出の強制削減」と「大型減税期限切れ」による 「財政の崖」問題が発生したが、同年12月31日に当面の回避案で合意している。

  2013/1/4 米国、「財政の崖」問題を当面回避

直近の2会計年度の動きは次の通り。

2015
年度
2014/10 2014/12/11までの暫定予算
2014/12 総額1兆1000億ドルの包括的歳出法案を可決、但し、国土安全保障省は2015年2月までの暫定予算
 
2014/12/18 米国、包括的歳出法案が可決するも、問題を残す
2015/3/4  2015/3/6 米、国土安保省の予算可決
2016
年度
2015/9/30  
 
12月11日までの暫定予算
 
2015/10/15 米国、2016会計年度予算も暫定予算でスタート
2015/10/26 2年間の予算案の概要で合意(但し、細目決まらず)
 2015/11/4 米議会、債務上限引き上げと予算案を承認
2015/12/11 期限切れで短期暫定予算
2015/12/18 予算案可決
 2015/12/21 米議会、予算案を可決、原油輸出解禁、IMF出資比率見直しも 


債務上限問題(2012/10/8 米国経済の問題点 参照)では、「上限の引き上げ」や、「債務上限の適用の凍結」で対応しているが、与野党の協議が不調に終わり、上限に達したため、長期間、つなぎの資金繰りで対応したこともある。

現在は、2015年10月に債務上限凍結を2017年3月15日まで再び延長して、乗り切っている。

過去の経緯:

債務上限
2012/11/5 14.29兆ドル 上限到達。
2012/11/7 16.4兆ドル 上限引き上げ
  
2011/8/3 米国、債務上限引き上げ、デフォルト回避
2013/2 16.7兆ドル 上限引き上げ
2013/5 16.7兆ドル 上限到達、以降、つなぎの資金繰りで対応
  
2013/8/29 米国債、再びデフォルト懸念
2013/10/16 2014/2/7まで上限以上の国債発行を認める。
  
2013/10/17 米国、政府デフォルトを直前に回避
2014/2/7 17.2兆ドル 上限以上の国債発行の期限到来
2014/2/12 債務上限の適用を2015年3月まで凍結
  2014/2/14
米債務上限上げ法案可決 デフォルト回避確定
2015/3/16 18.1兆ドル 凍結期間終了、以降、つなぎの資金繰りで対応
2015/10/26 債務上限凍結を2017年3月15日まで再び延長
 
2015/11/4 米議会、債務上限引き上げと予算案を承認、大統領署名 

Pfizerは9月26日、2012年から検討してきた会社分割を見送ると発表した。

検討の結果、現状の姿が将来の株主価値創造に最も適しており、特許で保護された製品を扱うPfizer Innovative Health と、低成長のジェネリック製品を扱うPfizer Essential Health を分割して別々の企業として上場する案を撤回する。

同社の現在の体制は下記の通り。

Pfizer Essential Health Global Established Products (GEP)
Pfizer Innovative Health Global Innovation Products (GIP)
Vaccines Oncology and Consumer healthcare (VOC)

同社は5~6年前から、この2つの事業を1つの会社で運営するよりも、別々の会社で運営するほうがよいのではないかという "Trapped value" 問題を検討してきた。

しかし、検討の結果、現時点で2社に分割しても、収入や競争力を高めず、逆に分離のコストが増え、税務上のメリットも期待できないことから、分割は価値損失の方向であるとの結論に達した。

2つの事業は従来どおり、Pfizerのなかの別の事業として運営される。

この結果、会社分割の場合と同様に
事業の力、効率、資金面でのフレキシビリティを維持し、分離の場合のメリット、即ち、焦点を絞り、責任感を増し、緊急性を意識するということを確保できるとしている。

今後、両事業を業界のリーダーにするとしている。

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Pfizer は2012年にリストラ計画を開始し、基本事業以外を順次売却してきた。

2012年11月にNutrition事業をNestle に11,850百万ドルで売却し、48億ドルの売却益を計上した。

2013年6月にAnimal healthのZoetis 部門をIPOで分離し、103億ドルの税引き後利益を計上した。

それ以前の2011年8月にCapsugel 事業(Hard capsule とDrug-delivery system)をKKRに2,375百万ドルで売却し、約13億ドルの売却益を上げている。

その一方で、基本事業の成長を図るため、事業買収を計画した。(最初の2つのビッグな買収は失敗)

2014年にAstraZenecaの買収を提案した。しかし、AstraZenecaはこれに反対し、下記の問題も発生したため、Phizer は断念した。

Pfizerの経営幹部が、買収目的の一つを「効果的な租税負担を構築する」こととした。買収後は英国に多くの利益を留保・移転し、米国の高い税を回避するというもので、これに対し米国議会が反発、課税逃れ阻止の法案提出の動きも出てきた。

2014/5/12 Pfizer が AstraZenecaに買収提案

2015年11月にアイルランドに拠点を置く同業のAllergan の合併を決めた。
本社移転による米国の課税回避という目的もあるが、ジェネリックを扱う
Pfizer Essential Healthの事業の強化の目的もあった。

2015/11/26 Pfizer、アイルランドのAllerganを買収

しかし、米財務省が2016年4月に、税率の低い国へ本社を移転する税逃れ行為「インバージョン」をめぐり追加措置を発表したため、本社移転による恩恵がなくなり、買収を撤回した。

2016/4/7 Pfizer とAllergan、合併計画断念

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2015年2月にジェネリック注射剤やバイオ後続品を扱うHospira, Inc.を170億ドルで買収した。

2015/2/11 Pfizer、米製薬会社 Hospira, Inc. を買収 

2016年5月には、アトピー性皮膚炎に有効な新たな非ステロイド系薬のcrisaborole を持つAnacor Pharmaceuticals, Inc.を52億ドルで買収した。

2016年8月にバイオファーマのMedivation, Inc. を140億ドルで買収する契約を締結した。

2016/8/24 Pfizer、Medivation を買収

同じく8月にAstraZeneca から複数の抗感染症薬の権利を最大15億7500万ドルで取得すると発表した。

2016/8/31 Pfizer、AstraZeneca から抗感染症薬買収

今後も、買収により、Innovative Health とEssential Health の両事業の強化を図ると思われる。



同社の歴史については下記参照

2016/6/8 欧米の医薬業界の変遷 -1 


韓国ロッテグループの辛東彬(重光昭夫)会長(創業者の次男)は9月20日午前、背任や横領の疑惑に絡む事情聴取を受けるため、ソウル中央地検に出頭、約18時間にわたる事情聴取を受けた。

朝鮮日報は、辛東彬(重光昭夫)会長が逮捕、起訴された場合、同氏が経営の一線を追われる可能性があると指摘し、その場合、「韓国 5位の財閥が日本の経営陣数人に左右されるという、あきれた状況が現実になるかもしれない」と伝えた。 

2016/9/23 ロッテグループの危機

ソウル中央地検は9月26日、背任・横領の容疑で、辛東彬(重光昭夫)韓国ロッテグループ会長の逮捕状を請求した。

しかし、ソウル中央地裁は9月29日、逮捕状請求を棄却した。

逮捕状交付の必要性を判断する令状実質審査を行う令状実質審査で、検察側は、辛東彬会長がロッテグループのオーナー一族を系列企業の形式的な役員に就かせ、給与として総額500億ウォンを支払ったのは明らかに横領だと主張、また会長一族が個人的に保有する会社に集中して発注を行ったり、系列会社間の株式取引を指示したりして、総額1250億ウォンの損失を出した疑いもあると指摘した。

これに対し、会長側は「給与500億ウォンは辛東彬会長が受け取ったものではなく、集中発注は辛格浩総括会長が指示したものであり、辛東彬会長とは無関係だ」と反論。系列会社間の株式取引も経営上の判断によるもので、損失が出たか否かを現時点では判断できないと主張した。

中央地裁は、「捜査の進行内容と経過、主要犯罪容疑に対する争いの余地などを考慮すると、拘束の必要性、相当性を認め難い」と判断した。

検察側は在宅起訴の方針とされる。

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しかし、この決定には裏があるのでは、との報道がなされている。

北朝鮮が核実験や弾頭ミサイル発射実験を相次いで実施したことを受け、米国と韓国は、北朝鮮のミサイルに対応するため、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配置を決めた。

中国はこれに猛反対している。

杭州のG20首脳会議に合わせて、習近平主席と朴槿恵大統領が9月5日に会談したが、厳しいやりとりが交わされた。

習主席は「この問題の処理を間違えば、地域の戦略的安定に助けにならず、紛争を激化させる可能性がある」と憂慮を表明した。

これに対し朴大統領は「北朝鮮のミサイルへの対応手段としてのみ配置するものであり、第三国の安全保障を侵害する理由も、必要もない」と述べ、理解を求めたが、議論は平行線をたどった。

韓国は7月に南東部の慶尚北道星州郡の空軍ホークミサイル基地に配備することで米国と合意した。

しかし、メロン農業が盛んな同地域の住民らは、レーダーの強い電磁波が健康に与える影響への懸念や、戦争になれば報復すると警告する北朝鮮の標的になる可能性などから強く反対、当局は変更を余儀なくされた。

韓国国防省当局者は9月30日、THAADを星州郡のゴルフ場に配備する計画だと明らかにした。

同当局者は、新たな配備先は、ロッテグループが所有するロッテスカイヒル星州カントリークラブであることを明らかにした。
高い標高(当初案の基地は標高383m、ゴルフ場は標高 680m)と軍用車のアクセスが良いことから、選ばれたという。


韓国内には、逮捕状請求却下とこれを結びつける意見もある。

ロッテスカイヒル星州カントリークラブ は以前から候補地となっていたが、ロッテグループには、敷地に決定された場合、中国の経済報復を受け、中国人観光客の購買額が売り上げの78%を占めるロッテ免税店や中国現地での事業などに少なくない被害が発生することに対する懸念もあった。

そのなかで裁判所が令状を発給し、総帥空白などグループの存立に深刻な状況が現実化した場合、ロッテがこれを受け入れるかどうか、疑問視された。

ソウル中央地裁 が逮捕状請求を棄却した9月29日の翌日、本ゴルフ場への配備計画が発表された。

ロッテ・カントリークラブの場合、単独地主なので政府が国有地と対等交換すれば6か月以内に簡単な手続きで終えることができる。
現在、京畿道一帯の国防部所有の敷地との交換が有力であると伝えられる。



トクヤマは多結晶シリコンを生産する Tokuyama Malaysia を韓国のOCI Company に売却すると発表した。

Tokuyama Malaysia はサラワク州のサマラジュ工業団地に第一期(半導体用)、第二期(太陽電池用)の多結晶シリコンプラントを持つが、下記の通り、前者は品質問題で出荷不能、後者は大幅値下がりで、ほぼ簿価全額の2千億円の減損損失を計上している。

その後、事業継続に向け、設備の改良や生産性向上の努力を重ねるとともに、他社との提携も視野に入れ、あらゆる検討を行ってきたが、多結晶シリコン製造を含めた太陽電池事業をグローバルに展開している韓国の OCI に譲渡することが最善の選択であるとの結論に至った。

売却は下記の手続きで行う。トクヤマの売却額は98百万ドルで、OCI は 、増資引き受けを含め、建設費約 2千億円のプラントを約 1割の価格で取得することとなる。

時期 出資比率 金額
2016年10月7日 増資引受  17% 24百万ドル
2017年3月31日 増資引受 51% 78百万ドル
2017年3月31日 売買 100% 98百万ドル
合計 100% 200百万ドル


韓国のOCI Companyは1959年に東洋化学工業 (Oriental Chemical Industry) として設立された。(2009年に改称)
ソーダ灰からスタート、2000年には石炭化学に進出、2008年にポリシリコンの生産を開始した。

群山工場で年間5万2000トンのポリシリコンを生産しており、ポリシリコン生産量では韓国で最大で世界3位。

世界3位を維持するためにグローバル生産基地を追加で確保する必要があった。

OCI は「工場近隣の大型水力発電所から安く電気が供給されるうえ、工場が貿易紛争の第3地隊であるアジアにあり、中国や米国などに輸出する場合に規制が少ないという長所を考慮し、株式取得を決めた」と説明した。

ーーー

トクヤマは徳山製造所に半導体用途を中心に年産 8,200トンの多結晶シリコン設備を持っていたが、2009年8月に太陽電池用途の増産対応とリスク分担の面から、マレーシアのサラワク州のサマラジュ工業団地に総工費約800億円をかけて太陽電池向け多結晶シリコンの年産 6,000トンの大型プラント建設を決めた。

2008/12/5 トクヤマ、マレーシアに多結晶シリコン第二製造拠点

しかし、同社は2012年11月に、これを主として半導体向けグレードを生産・販売する計画に変更、2013年2月に一部設備を除き建設が完了、その後試運転を開始した。

更に、2011年には第二期として太陽電池向けに年産13,800トンの建設を決めた。合わせて徳山製造所の能力を11,000トンとした。

全て完成後は、日本11,000トン、マレーシア20,000トンで合計31,000トンとなるが、同社はこれにより、半導体用途は世界シェア20%を維持し、太陽電池用途では5%程度のシェアを10%程度に引き上げるとしていた。

ーーー

半導体向けグレードは、非常に高い純度をはじめとする高品質が求められる。

第一期プラント(太陽電池向けから途中で半導体用に変更)については試運転を行ってきたが、品質・生産安定性が達成出来ず、更に、析出装置に関する問題が存在し、当面顧客認定用サンプルの出荷が事実上不可能であると判断した。

トクヤマは2014年10月31日、第一期プラントの製造設備に関して、減損損失 748億20百万円と事業計画の見直しに伴う関連費用 112億7百万円の合計 860億27百万円の減損損失を計上した。

2014/11/3 トクヤマ、マレーシアの多結晶シリコン計画で特別損失計上 
 

第二期プラントは、2014年10月に営業運転を開始し、太陽電池向けグレードの生産を行ってきたが、世界的な供給過剰を背景とした販売価格の著しい下落が続き、今後の価格見通しが事業計画における想定を大きく下回ることとなった。

このためトクヤマは、将来の投資回収可能性を検討した結果、1,234億86百万円の減損損失を計上すると発表した。

2016/2/3 トクヤマ、マレーシアの多結晶シリコン事業で再度、減損損失を計上 

まとめると下記のとおりとなる。徳山工場についても2013年度に減損処理をしている。

用途 能力 状況 減損
マレーシア1期 当初、太陽電池用
その後、
半導体用に変更
6,200トン 品質問題で出荷不能 2014年度 減損損失 748億20百万円
関連費用 112億 7百万円
合計 860億27百万円
マレーシア2期 太陽電池用 13,800トン 価格の大幅下落 2015年度  減損損失  1,234億86百万円
参考
徳山工場 半導体用、太陽電池用 11,000トン 2013年度 設備全額減損処理  275億円
原材料評価損    20億円


米同時テロに関与した外国政府への損害賠償請求を可能にする法案にオバマ大統領が拒否権を発動したことを受け、米上下院は9月28日、上院は 97対1、下院は 348 対77 の賛成多数で再可決し、拒否権を覆して法案は成立した。


拒否権が覆されるのはオバマ政権下で初めてとなる。

法案提案議員の一人は、「こうした状況下で分かったのは、ホワイトハウスと行政は外交の方がずっと気になっているということだ。われわれは家族や正義の方に関心がある。政権はこの問題について完全に間違っていると思う」と述べた。

ーーー

911同時テロではテロ実行犯19人のうち15人がサウジ国籍だった。
同時テロの遺族はサウジ政府を連邦裁判所に提訴したが、外国政府の免責特権を理由に審理されなかった。

このため、同時テロに関与した外国政府への損害賠償請求を可能にする法案「テロ支援者制裁法(Justice Against Sponsors of Terrorism Act (JASTA)」(通称 Sept. 11 lawsuit bill)が提出され、上院は5月17日に全会一致で、下院は9/11 直前の9月9日に賛成多数で可決した。

テロリストグループに関与した疑いのあるサウジアラビアおよびその他の国が、アメリカの裁判所で法的免除を行使することを禁じる内容で、テロリズム支援国以外には法的免除を与えた1976年の外国主権免責法(Foreign Sovereign Immunities ActFSIA)を超越する法案である。Hillary Clinton とDonald Trump の両大統領候補もこれを支持した。

サウジアラビアは、全面的に同時多発テロへの関与を否定しており、法案に激しく反発している。

New York Timesによると、サウジのジュベイル外相は、
裁判で多額の賠償を命じられて在米資産が接収されるのを防ぐためには米国債その他のドル建て資産を売却せざるを得なくなる、と米議会に警告した。法案が成立すれば、サウジは最大で7500億ドルのドル建て資産を手放すことを余儀なくされるという。

米財務省は5月16日、サウジアラビアによる米国債保有額を初めて公表した。それによると、サウジの2016年3月時点の米国債保有は1,168億ドルであった。
(これに対し中国は1兆2000億ドル、日本は1兆1000億ドル台である。)

オバマ大統領は9月23日、サウジアラビアとの関係を損なうおそれがあるなどとして、拒否権を行使した。

しかし、上下両院は28日、それぞれ拒否権を覆すのに必要な「両院で3分の2以上の賛成」をクリアし、圧倒的賛成多数で法案を再可決した。

イラン核合意で悪化した米サウジの関係が、今回の法案成立でさらに深刻化するのは避けられない。

オバマ大統領は、これを「過ち」とし、海外にいる外交官や米兵などは今は国家主権による免責特権で守られているが、今回の法成立を受けて、彼らの行動について外国の市民が米国に法的責任を問うようになるかもしれないと指摘した。

CIA長官は、これにより最も失うのは米国であり、CIA が最大のリスクを負うと述べた。また、サウジはテロ攻撃を防ぐための情報を最も提供している国であり、この法律がテロ対策での米国との関係に悪影響を与えるのは"absolute shame"であると述べた。

国防長官も、外国が仕返しとして米国の免責特権を制限した場合の影響を警告し、アメリカ人が訴訟される可能性や、米軍基地を含めた在外の米国政府の資産へのリスクがあると述べた。

これを受け、 下院議長は「米兵が海外で法的問題を抱えないように修正を検討したい」と述べた。大統領報道官は、「知らなかったというのは言い訳にならない」と皮肉った。

サウジは「強い懸念」を表明、国際規範に反するとして「米議会が是正のための必要な措置を取ることを望む」と強調した。

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