2007年10月アーカイブ

王子製紙は2008年年初に懸案の中国江蘇省の南通工場建設に着工する。
10月10日にようやく合弁会社設立の認可を同国政府から取得し、10月26日に合弁会社江蘇王子制紙有限公司(王子製紙 90%、南通市経済技術開発区総公司 10%)を設立した。

まず高級紙生産設備 40 万トン系列を2010後半に稼動させ、2012年に倍増する。総投資額は約 2千億円

2003年6月に発表された当初計画は、王子製紙の単独出資で、年産120万トンの上質紙、塗工紙を建設するもので、第1期として2006年末の塗工紙 60万トンの生産を目指した。

しかし、その後の中国の投資ガイドラインの変更で合弁方式を義務付けられ、合弁相手との交渉に手間取り、完成時期は大幅にずれ込んだ。また、当初の120万トンの計画に対して、80万トンの認可しか下りていない。今後、引き続き承認を求める。

ーーー

王子製紙は2001年度策定の中長期経営計画で、「本籍日本のアジア国籍企業」を目指し、5年後を目処に100万t/年の生産拠点をアジア地域に設置する構想を発表し、検討を行なってきた。

2003年6、王子製紙は中国における事業を本格的に展開するため、中国江蘇省南通市の南通経済技術開発区管理委員会と用地取得に関する基本合意に達したと発表した。

2004年度中に着工し、2006年末を目処に塗工紙 年産60万トンの生産設備を建設(投資額は約600億円)し、将来は 120万トン規模の上質紙、塗工紙を生産する紙パルプ一貫工場を建設する計画(総投資額は概算2,000億円)である。

事業遂行のため、
2003年9月に単独で持株会社(投資性公司)王子制紙(南通)有限公司を設立した。
この会社は中国へ既に進出している事業も含めて統括する「王子製紙中国本社」との位置付けであった。

ーーー

2004年11月、中国の国家発展改革委員会 (NDRC) と商務部は連名で対中投資のガイドライン「外商投資産業指導目録 Catalogue for the Guidance of Foreign Investment Industries)」を発表した。2005年1月1日施行で、それまでのガイドラインは無効となった。

そこでは外資奨励事業、外資制限事業、外資禁止事業が明示され、製紙業については
①年産30万トン以上の化学パルプ、年産10万トン以上の化学機械パルプの生産計画
②上級紙、段ボールの生産計画
が奨励事業となったが、いずれも合弁か合作に限るとされた。

このほかでは、例えばエチレンは年産60万トン以上が奨励事業とされ、中国側パートナーがマジョリティを持つこととされている。
  詳細 
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/china/catalogue.htm

このため、王子製紙では2005年に止む無く、合弁方式に切り替えた。
南通経済技術開発区が所有する投資会社、南通経済技術開発区総公司が10%、王子製紙が90%出資とした。
国家発展改革委員会に対して合弁方式での認可申請作業を行い、2008年度中の生産開始を目指した

ーーー

2005年4月:国家環境保護総局から「南通プロジェクト」の環境アセスメントの認可を取得
2005年6月:国家発展改革委員会に対し「南通プロジェクト」の認可を申請
2006年5月:国家発展改革委員会の審査が終了し、国務院へ上程

20067末に国務院より「南通プロジェクト」の認可を取得した。

内容は以下の通り。
1)計画
 ・高級紙生産設備 2系列 年産能力:80 万トン(40 万トン×2 系列)
 ・クラフトパルプ(KP)自製設備 1系列 年産能力:70 万トン
 ・付帯設備 1式

2)事業主体  中国企業との合弁(王子が90%、南通市経済技術開発区総公司が10%)

3)今後の予定
 ・ 2006 年末 : 江蘇王子制紙有限公司の設立
 ・ 2007 年初 : 土地造成工事の開始
 ・ 2009 年末 : 1 号抄紙機、1 号コーター稼動開始 [年産40 万トン]

王子製紙としてはプロジェクト全体として年産120 万トンを計画しており、残りの年産40 万トンについては、引き続き、認可を取得できるよう中央政府に対して申請を実施していく予定とした。

ーーー

その後、現地資本との合弁による事業会社設立の手続きが難航した。

2007年7月、ようやく合弁契約で合意に達し、商務部に対し合弁会社の設立申請を行った。

合弁会社:江蘇王子制紙有限公司  Jiangsu Oji Paper Co., Ltd.
設立時設立時資本金:9億1,151万米ドル
出資:王子製紙  90%
    南通市経済技術開発区総公司 10%

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* バックナンバー、総合目次は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
  
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2007年9月の輸入ナフサ平均価格は 55,002円/kl となり、3Q平均価格は 57,668円/kl となった。
これにより、3Qの国産ナフサ価格(平均価格+2,000円/kl)は
59,700円/kl となった。

      国産ナフサ
価格
  輸入ナフサ 平均価格 (円/kl )
2006 1Q   46,100 平均  44,100   06/6  48,106   06/8  52,397   06/10  49,143
  2Q   48,800   07/1  46,622   平均  46,800   06/9  52,950   06/11  45,071
  3Q   54,100   07/2  46,080   07/4  52,132   平均  52,100   06/12  44,129
  4Q   48,100   07/3  47,724   07/5  55,793   07/7  60.205   平均  46,117
2007 1Q   48,800 平均  46,809   07/6  58,892   07/8  58,004      
  2Q   57,800 ---- ------- - 平均  55,776   07/9  55,002      
  3Q   59,700 ---- ------- - ---- ------- - 平均  57,668      
        * 輸入価格平均+2,000円/kl

 

 

 

これまでの国産ナフサ価格の最高値は第二次石油危機時代の1980年2Qの60,000円/kl で、次が1982年4Qの59,700円/kl であった。
1982年6月までは価格は交渉で決まったため、輸入価格スライド方式では、今回の3Qの国産ナフサ価格は1982/4Qと同じ過去最高値である。
(1982年の平均ドルレートは250円であった)

3Qの輸入価格は平均 698ドルだが、東京市場オープンスペックの8月(2ヵ月後入着)の平均は666ドル、9月は704ドル、10月の平均は752ドル(3ヶ月平均707ドル)であり、このままの状況が続けば、4Qの国産ナフサ価格は3Qを上回る。 

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信越化学 中間決算

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信越化学は24日、9月中間決算を発表した。
連結、単独ともに増収、増益で、配当も年間80円とした。

                                        単位:百万円(配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当
連結 単独 連結  単独  連結 単独  連結  単独  中間 期末
06/9中間  639,049  334,650  120,024  40,243  120,043  39,711   74,932  25,311  25.0  
07/9中間  687,736  359,416  140,042  41,301  146,023  46,605   95,194  32,471  40.0  
                     
07/3 1,304,695  697,248  241,028  81,200  247,018  80,075  154,010  51,085  25.0  45.0
08/3 1,380,000  730,000  287,000  83,000  300,000  88,000  187,000  57,000  40.0  40.0

                                            

セグメント別営業損益は次の通り。(単位:億円)

  2006/9 2007/9 差異
有機・無機化学品   551   482   -69
  塩ビ系   245   163   -82
  シリコーン系   200   211    11
  その他   106   108    2
電子材料   505   790   285
  半導体シリコン   421   695   274
  その他    84    95    11
機能材料   143   130   -13
調整     1    -2    -3
合計  1,200  1,400   200

PVCは北米における住宅建設の低迷の影響を受けて Shintech が減益となり、前期比減益となったが、半導体シリコンが好調で、全体として大幅増益となった。

Shintechの2007年1ー6月業績は、北米における住宅建設の低迷を受け、売上高は1,143億円(前年は1,303億円)、経常利益は161億円(251億円)、当期純利益は138億円(168億円)と減収減益となった。 

 

しかし、金川社長は「他のメーカーが大幅に収益を減らす中で、シンテックは需要家を米国内だけでなく中南米や中近東、アフリカなど全世界に広げ、設備もフル稼動を続けてきた。このため営業利益は割程度の減少に止まっている。よく健闘していると思う」と評価した。  

米国の住宅事情の先行きについては全く予想できないとしつつ、Shintechについては「各国メーカーに比べて競争力はあると思う。原油が暴騰してナフサ価格が上昇する中で、天然ガスはそれほど上っていない。原料の塩も米国は安い」と、シンテックの将来には自信をみせている。

ルイジアナ工場の増設工事は予定通り進んでおり、来年2月に第1期増設として30万トン設備を完成させるとのこと。 住宅低迷が続く中で、稼動させるのかどうか。  

立地 PVC VCM 塩素  
Texas州 Freeport 1,450千トン  -  - VCMは 隣接のDowから購入
Louisiana 州 Addis  590千トン  -  - VCMは 隣接のDowから購入
Louisiana 州 Plaquemine   600千トン  750千トン  450千トン 一貫生産 建設中 

ーーー

半導体シリコンは、メモリーデバイスをはじめ、携帯電話、パソコン、デジタル家電、自動車向けなど世界的に幅広い分野でデバイスが好調に推移し、300mmウエハーの需要が伸張した。

信越半導体グループ(信越半導体、SEHアメリカ、SEHマレーシア、SEHヨーロッパ、SEH台湾)の連結経常損益は以下の通り。

なお、2006年度より、国内の半導体シリコン製造設備の減価償却(定率法)の耐用年数を、従来の5年から3年に短縮しており、2007/3月期の年間の損益への影響額は 224億円ある。

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お知らせ

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2006年2月15日にスタートした本ブログも500回を超えました。

このため、発表順の目次に加え、項目別の索引を作成しました。

以下のページにありますので、ご利用ください。

 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm

原油価格急騰

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原油価格が急騰している。

NY市場WTI原油価格は10月26日、早朝の時間外で一時 92.22$/bblをつけ、過去最高を更新、終値も 91.86$/bbl で過去最高を更新した。
24日発表の週間石油在庫統計で、原油在庫が市場予想に反して減少したこと、25日に米国がイランに対する経済制裁を発表しイランが非難声明を出したこと、トルコのクルド人勢力への攻撃警告等を材料に上昇した。

これに先立ち、東京市場でもオープンスペックナフサが終値 797$/t で、ドバイ原油も終値 83.00$/bbl で、いずれも過去最高を記録した。

ナフサ価格は昨年7月14日に691ドルの最高値をつけた後、下落に転じ、本年1月17日には503ドルまで下がった。
ドバイ原油も昨年8月8日の72.30ドルから本年1月19日には48.85ドルまで下がった。

投資マネーが天然ガス価格の急落でヘッジファンドが破綻したことや米国景気の減速を材料に、リスクの高い原油先物から安全な米国債に逃避する動きが加速し始めたのが原因である。

   2006/9/25 ナフサ価格 急落 

これに対して現状価格はナフサが294ドル(58%)高、原油が34.15ドル(70%)高と異常なアップである。

OPECは11月1日からの実質増産を発表しており、生産量は本年初めのそれを上回ることとなる。

需給状況に関係なく大幅にアップしている現状は、投機資金によるものである。
債券投資や企業買収用融資に向かっていた資金が、サブプライムローンの破綻により、石油に流入していると言われている。(昨年秋とは逆の動きである。)
原油100$説、105$説などが強気を支えている。

しかし、これは完全なバブルであり、なにかがきっかけで暴落する可能性が強い。
バブルと言われながら上がり続けた米国の住宅のことが思い浮かぶ。

 

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インド第二のPET(Polyethylene Terephthalate)メーカーのSouth Asian Petrochem Limited (SAPL) はエジプト政府の機関であるEgyptian Petrochemical Holding Company (Echem) とのJVで、エジプトの地中海沿岸のDamietta 315千トン/年のPETレジン工場建設を計画している。本年初めから交渉を行なっており、2009年末までに工場を建設する予定。

SAPL 西ベンガル州Haldia の三菱化学のPTA工場の近くで、180千トン/年のボトルグレードのPETレジンを生産している。

JVは Egyptian Indian Polyester Co. (EIPET) で、SAPL 70% Echem23%、残り7%Engineering for the Petroleum & Process Industries (Enppi) が出資する予定。運転資金を含め、総予算を135百万ドルとしている。

製品は欧州、米国に輸出するほか、エジプト、中東、北アフリカで販売する。

ーーー

開発途上国の民間部門への投資を促進する世界銀行グループの国際機関である国際金融公社(IFC)は、本事業を支援対象としている。
IFCは、開発途上国で民間セクターへの投融資を持続可能な形で促進し、貧困削減と人々の生活水準の向上に役立つことを使命としている。)

現在、SAPL IFCは本計画の資金調達の交渉を行なっている。
IFCでは20百万ドルの融資と、JVへの出資資金用としてSAPL
自体への6百万ドルの出資を考えているとしている。

IFCでは本計画は北アフリカで最初のPETプラントであり、エジプトは以下の点で立地面で優れていると評価している。
 -
EUや北米市場への輸送費が安いこと
 -
成長が大きく、供給が少ないアフリカや中東市場へのアクセス
 -
港湾やインフラが完備
 -
EUとの間で有利な貿易協定
 -
原料 MEG のソースに近い

ーーー

Egyptian Petrochemical Holding Company (Echem) 2002年2月にエジプトの石油省が設立した。

Alexandria Linear Alkyl Benzene の生産を行なっている。
また、
15億ドルの予算でエチレン 1,000千トン、ポリエチレン 1,000千トンのコンプレックスを建設する計画を有している。

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欧州最大の買収ファンド、英ペルミラ(Permira)は10月22日、農薬大手のアリスタライフサイエンス(Arysta LifeScience)を買収すると発表した。
買収総額は約2,500億円。
米系投資ファンドのオリンパス・キャピタル(
Olympus Capital) が保有する全株式を2008年1-3月中に譲り受けることで合意した。
ペルミラにとっては日本での第1号の買収案件となり、今後、日本への投資を加速させる方針。
    

アリスタライフサイエンスはトーメンとニチメンの農業化学品事業、および医薬・動物薬関連事業を統合したもので、2001年1月に統合で合意し、2001年10月に設立された。
ライフサイエンス分野、特に農薬事業において、川上分野で突出した生産・研究・開発機能を発揮するトーメンと、海外川下分野で商社業界トップの展開を図るニチメンとが、事業統合により、農薬の生産、開発・登録、普及販売および商社としての総合機能を兼ね備えた商社業界トップのグローバルな農薬事業会社を誕生させるとした。統合会社はバイオ事業をも視野に入れたライフサイエンス事業会社を目指した。

当初の出資比率は以下の通り。
  トーメン 
40%
  ニチメン
40%
  ティーエムインベストメント 17%
  豊田通商 
2%
  UFJ銀行 1%

  * ティーエムインベストメントはトーメングループおよび戦略的投資家が出資
     その後、
トーメン100%、2004/3/31に豊田通商が吸収合併
  * 豊田通商は2000年にトーメンと
資本・業務提携
     
2006/4/1 トーメンを吸収合併
  * ニチメン 2003年4月、日商岩井と統合、現在 双日

その後、2002年9月に、アジアで活動する米系ファンドのオリンパス・キャピタル(Olympus Capital) が出資、その後段階的に出資比率を上げ、2006年12月に豊田通商の持株を、2007年6月にニチメンの持株を買収し、100%株主となったが、今夏から入札で買い手を募っていた。

豊田通商、ニチメンとも、株式売却理由を事業ポートフォリオの見直しと経営資源の再配分としている。

入札には Bain Capital Advantage Partners、インドの化学メーカー United Phosphorus Ltd、オーストラリアの農薬会社 Nufarm Ltd.などが参加したが、Permiraが獲得した。
買収価額もだが、
サブプライムローン問題がM&A市場にも波及して、欧米ではファンドによる10億ユーロを超える買収案件がほぼ停止しているなかで、資金調達ができることがPermiraが獲得した最大の理由である。

Permiraは買収額のうち1,000億円強をファンド資金から拠出し、残り1,500億円弱はJPモルガンなど米系金融機関に欧州や国内の銀行も加わり、数十行が協調融資する見込み。

ーーー

アリスタライフサイエンスは農薬部門とライフサイエンス部門からなっており、2006年の売上高は1,241億円で、85%を海外で稼いでいる。
農薬については、日本メーカーとの提携と製造戦略をベースに、北米、欧州・アフリカ、南米の主要子会社3社を通して販売、マーケティング、流通活動を行っている。
ライフサイエンス部門では、ヘルスケア(医薬品、医薬品添加物、化粧品原料、健康食品など)、有機化学中間体(芳香、複素環式、変換複合物の生産と販売など)、動物薬製品(動物薬、飼料添加物) を扱っている。
   
Arysta LifeScience http://www.arystalifescience.com/

社長・最高経営責任者のクリストファー・リチャーズは20年間シンジェンタ及びその前身企業で、国際部門のマネージメントやリーダーとしての様々な役職を経験した。
買収後も社長をはじめ現経営陣はそのまま残り、経営陣が一部出資するMBO(経営陣が参加する買収)の形をとる。

ーーー

Permiraは1985に設立した買収ファンドで、運用資産は約220億ユーロ。欧州ではドイツやハンガリーなどの化学メーカーを買収した実績があり、それらの投資経験を生かしてアリスタの成長を後押しする。
   Permira http://www.permira.jp/jp/about/aboutus.html

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協和発酵工業とキリンファーマ、キリンホールディングスは10月22日、両グループの戦略的提携で合意し、協和発酵とキリンファーマを統合することを決めた。

医薬品業界は、国民医療費の抑制や、新薬の開発をめぐる競争の激化、研究開発費の負担増など、国内外ともに経営環境が激変しているが、協和発酵とキリンファーマは、ともに抗体医薬技術などを中心としたバイオテクノロジーを強みとしていることから、両社の強みを融合することにより、一層の事業強化を図り、医薬を核にした日本発の世界トップクラスの研究開発型ライフサイエンス企業を目指す。

キリングループは、長期経営構想「キリン・グループ・ビジョン2015」で、酒類・飲料・医薬を事業の3本柱として飛躍的な成長を目指している。

 

手続きは以下の通り。

①キリンホールディングスは、2007年10月31日から協和発酵株式の公開買付けを行なう。
 買付予定株式数は111,578千株(発行済株式総数の27.95%)

②協和醗酵は第三者割当増資(177,240千株)を行い、キリンホールディングスが保有するキリンファーマ株式と交換する。
 協和発酵はキリンホールディングス 50.1%保有の連結子会社となり、キリンファーマは協和発酵の完全子会社となる。

③2008年10月1日に協和発酵とキリンファーマは合併(存続会社は協和発酵)し、協和発酵キリン株式会社に商号変更する。
 キリンホールディングスは10年間は協和発酵キリンの持株を50.1%にとどめ、協和発酵キリンは上場を維持する。

 

その後のキリングループの体制は当面は以下の通りとなる。
医薬以外についても今後、キリンの事業との統合を検討する。

医薬 

協和発酵の医薬部門は以下の製品を扱っているほか、ゲノム情報を利用した医薬品の開発や抗体医薬、バイオ医薬、再生医療、遺伝子治療など21世紀の医療をにらんだ研究を行なっている。

血圧を調整する循環器薬、花粉症に効果がある抗アレルギー薬、抗がん剤、化学療法により低下した白血球数を回復させる G-CSF 製剤、消化器の働きを活発にする薬、中枢神経系に作用してパーキンソン病やてんかんに効果がある薬など50種類を超える薬。

キリンファーマの事業構造は以下の通り。
抗体医薬品、細胞医薬品を今後の事業の柱と位置づけ、研究開発を進めている。

なお、キリンは本年7月にテルモと業務・資本提携の基本契約を締結している。

(1)業務提携の概要
 ・プレフィルドシリンジ製剤の研究開発・製造における連携の強化
 ・テルモ社の保有するリポソーム技術とキリンファーマの創薬技術を融合した製品の研究開発の検討
 ・慢性腎臓病治療に対する共同事業などの検討
(2)資本提携の概要

  2007年12月末までにキリンファーマがテルモの株式を、テルモがキリンの株式を、それぞれ100億円相当取得

バイオケミカル事業

協和発酵のバイオケミカル事業は、発酵技術と合成技術を生かし、医薬用および工業用アミノ酸や核酸および、それらの誘導体に代表される各種ファインケミカル製品を扱っている。
このほか、ペットや農畜水産用の製品、健康食品、清酒原料用アルコールと工業用アルコールを扱う。
    ↓
バイオケミカル事業は新会社の子会社として2010年4月までの分社化を目指す。
このうち、アルコール事業と健康食品通信販売事業はキリングループの同一事業との統合に向けた検討を開始する。

協和発酵フーズ

天然調味料・醸造調味料・うま味調味料、イースト、フリーズドライによる「たまごスープ」など。
    ↓
今後、キリンフードテックとの事業統合を検討する。

協和発酵ケミカル

「オキソ技術」を使って生産される溶剤・可塑剤原料等の基礎化学品をはじめ、各種石油化学製品
    ↓
今後、他社とのアライアンスを含めて収益の安定化と競争力強化に注力。

ーーー

国内製薬会社の売上高順位 (単位億円 2006年度)
1 武田薬品工業   13,051 医薬主体の『研究開発型国際企業』へ抜本的改革
2 第一三共   9,295 2005年 三共と第一製薬が持ち株会社の第一三共設立
3 アステラス製薬   9,206 2005年 山之内製薬と藤沢薬品工業が合併
4 エ一ザイ   6,741  
5 大塚製薬   5,761  
6 田辺三菱製薬   4,050 2007年 三菱ウェルファーマと田辺製薬が合併
7 中外製薬   3,261 2002年 スイスのロシュが子会社化
8 大日本住友製薬   2,612 2005年 大日本製薬と住友製薬が合併
9 大正製薬   2,420  
10 塩野義製薬   1,997  
  協和発酵キリン   1,987  
11 小野薬品工業   1,417  
12 協和発酵   1,315  
- キリンファーマ    672  
(注)大塚製薬と協和醗酵は医薬品部門
  田辺三菱製薬は三菱ウェルファ一マと田辺製薬の単純合算

各社の動きについては 2006/5/22 医薬各社決算対比と医薬業界の構造改善  

 

Basell は108日、カタール石油がMesaieed 工業都市に建設する新しい年産70万トンのPPプラントに同社のSpheripol 法が採用されたと発表した。

建設するのは、カタール石油の子会社のQatar Intermediate Industries Holdings が70%、韓国の韓南石油化学(ロッテグループ)が30%出資するJVで、PP のほか、エチレン、プロピレン、ベンゼン、SM(600千トン)、PS(220千トン)を生産する。
エチレンからプロピレンへの変換設備も設置する。
本年7月に合弁契約を締結した。予算は26億ドルで、2011年に生産開始の予定。
基本設計と建設管理業務はFoster Wheeler が受託している。

ーーー

Basell はまた、本件の成約により、同社のSpheripol 法を使用するPP の累計能力が20百万トンの大台を突破したと発表した。

Basell BASFTargorShellMontell、両社の合弁Elenacを統合して設立されたが、PP技術に関しては、TargorNovolen 技術MontellSpheriol 技術があった。
EUの独禁当局は許可条件として、ポリプロピレン生産能力の一部放棄やPP技術の1つを放棄するなどを求めた。
そのため、MontellSpheriol技術を残し、TargorNovolen技術をABB Lummus と Equistar の80/20 JV のNovolen Technology Holdings に売却した。

Basell ではSpheripol 法はMontecatini - Montedison - Himont - Montell - Basell と続いてきた同社の50年の絶えざるPP の技術改良の歴史の結果で、バルク法とガスフェース法の改良により、原料消費と廃棄物を少なくする利点があり、35カ国で採用されているとしている。

1960s: 第一世代触媒(低生産性、高価、取扱い困難)
1970s:
第二世代触媒(高生産性、触媒残渣の処理不要、但しアタクチックはまだ多い).
1980s:
第三世代触媒(高生産性・高選択性、触媒残渣・アタクチックの処理不要、プロセス簡素化、高品質)

1982: Spheripol technology
 

METI の「世界の石油化学製品需給動向」によると2007年の全世界のPPの能力は47.8 百万トンとなっており、同法は約40%を占めることとなる。

なお、Basell は以下の技術を提供している。

・Spheripol -- PP technology for the production of homopolymer, random
and heterophasic copolymers.
・Spherizone   latest generation PP technology based on new multi-zone
circulating reactor technology
・Metocene PP   technology for the production of specialty PP products
using single-site catalyst systems
・Spherilene   advanced swing gas phase process for the production of
LLDPE, MDPE and HDPE
・Hostalen   leading low-pressure slurry process for the production
of multi-modal HDPE
・Lupotech G   fluidised bed gas phase process for the production of
HDPE and MDPE
・Lupotech T   leading high pressure tubular reactor process for the production of
LDPE and EVA copolymers

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米国West Virginia 州のHarrison CountySpelter の町で、112エーカーの土地を砒素、鉛、カドミウムの産業廃棄物で汚染し、地域住民の健康に被害を与えたとして、DuPont とニューヨークのT.L. Diamond & Co. に対して住民10人による集団訴訟が行なわれ、10月1日から裁判が行なわれた。

DuPont 1899年に火薬工場用に土地を買収し、1910年に亜鉛精錬所をつくった。
同社は1950年にこれを売却し、持ち主はその後何度か代わった
T.L. Diamond 1975年から亜鉛の精錬を行ない、亜鉛粉末と酸化亜鉛を生産した。
しかし、
2001に環境当局が、この土地が住民の健康に緊急の、重大な危険を含んでいると指摘したため、廃業した。

DuPont T.L. Diamond の廃業後、クリーンアップの責任を引き受け、土地を再購入し、2006年にクリーンアップを完了した。
(裁判では両社の売買契約に基づき、
T.L. Diamond の義務はDuPont に引き継がれていると認定された)

 

4つの観点ごとに陪審員の決定が行なわれた。

1)廃棄物処理に関するDuPont の責任

DuPont は州の検査、安全基準に適合しているとしたが、11人の陪審員はDuPont が公的私的な迷惑を起こしたこと、公害物質を私有土地に流したことを認め、DuPont に責任と過失があったとして住民の勝訴となった。

2)住民側の健康診断要求

原告は近辺住民に対して今後40年間にわたり、肺、皮膚、胃、膀胱、腎臓の癌と、腎臓機能、認識能力及び鉛中毒の検査を要求した。
鉛は流産、低出生体重、記憶認識能力障害、骨脆弱性、心臓血管などを引き起こす可能性がある。

陪審員は砒素、カドミウム、鉛汚染に曝された7,000人の住民に対し、今後40年間、DuPont が検査費用を負担することを決定した。

DuPont West Virginia 州とOhio州との州境にあるWashington, WV.工場 (上の地図参照)での水道水汚染で住民の検査費用を負担している。
テフロン製造のための化学品 パーフルオロオクタン酸アンモニウム塩 が住民の健康を害したかどうかを確かめるため、
West Virginia州とOhio州の住民7万人の検査を行なっている。

3)公害物質除去費用の負担

陪審は住居や事業所から危険物質の除去のため、DuPont 55.5 百万ドルの負担を命じた。

住民側は、今後危険に曝されることのないよう、徹底的に復旧することを求めた。
特に土の汚染とほこりによる汚染を問題視している。
このため、家を空けて、クリーニングを行い(特に屋根裏)、エアコンのダクトを取り替える、廃棄物置き場の近くの土を入れ替えることを求めている。
2,159 の住居、457 のトレーラーハウス、205 の事業所の処理に62.9 百万ドルが必要とみられており、DuPont 負担の55.5 百万ドルは1戸当たり19,700 ドルとなる。

DuPont 側は、廃棄場所の浄化し、シートと種子付きの表土で覆っていると主張した。

4)懲罰的賠償

10月19日、陪審は2日間の審議の後、DuPont に対して、有毒な砒素、カドミウム、鉛を亜鉛精錬所用地に故意に捨て、周辺の数千人の住民の健康への危険を起こしたとして、196.2百万ドルの懲罰的賠償を命じた。

原告側は、DuPont が環境当局を巧みに操り、危険性について住民に嘘をついてきたと主張していた。
テストやクリーンアップの費用を避けるため、多くの「小さな嘘」をついて繰り返し住民をミスリードしてきたと批判した。

これに対しDuPont は、州や連邦政府の規則に従ってきたし、自発的に112エーカーの土地の廃棄物を取り除き、シートときれいな土で覆ったとした。
連邦政府の
Superfund 計画は廃棄物の焼却などを含んでおり、効果が少なく、遅く、生活の質を損なう可能性があるが、同社ではそれではなく、自発的な改善計画を取っていることはむしろ賞賛されるべきだとした。  

 

一連の陪審の判断はこれで終わった。

これに対し、DuPont 側は、「この施設で、このコミュニティのために、正しいことをやってきたのに、不当に罰せられることになる」とし、この懲罰的賠償の判決について州最高裁に控訴すると述べた。
DuPont 1950年に施設を手放し、46年後に戻ってきた。以前のこの施設の多くの所有者のなかでDuPont のみが、環境保護庁と協議しながら施設を浄化し、コミュニティを援助してきた」としている。

 

参考 2007/6/18 DuPont のダイオキシン裁判 

なお、2005年の本件の最初の裁判、漁師が空気と週に4回は食べていた牡蠣からダイオキシンを取り込み多発性骨髄腫となったという件で、牡蠣漁師に 14百万ドルの賠償、妻に150万ドルの慰謝料、合計15.5百万ドルの損害賠償が認められ、DuPont が州最高裁に控訴していたが、州最高裁は2007年10月、事実に誤りがあるとして、裁判のやり直しを命じた。

医者の多発性骨髄腫の原因に関する証言の取扱いなどに問題があるというもので、反対意見を出した判事は証言には問題はなく、多数意見の判事はDuPontが大量の有害物質を流したこと、DuPontのダイオキシン排出を政府が認めていること、DuPontがダイオキシンの人体への悪影響を認識していることを無視していると批判した。

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本年春に、Dow の買収話--- Kohlberg Kravis Roberts が半分、中東のSaudi ArabiaKuwaitBahrainQatarUAEOman の投資家が残り半分を出資して過去最高の500億ドルでDowを買収---の報道がなされた。

直後の4月9日、Dowの取締役会は声明を発表し、「会社はLBOについて議論したことがない」とした。

そしてDowは4月12日、Executive Vice President Romeo Kreinberg ともう一人が、Dow の行動基準に極めて不適切に、また明らかに違反し、会社の被買収に関して第三者に話をしたとして解雇したと発表した。

   2007/4/13 速報 Dowが買収情報漏えいで役員を解雇  

その後の報道によると、買収の幹事とされる JPMorgan Chase の役員がDow のCEO Andrew Liveris に対し、2人が買収話に参加したことを明らかにしたとされる。

Liveris CEO が現在の事業での改革を考えているのに対して、Specialty Plastics and Chemicals を担当するKreinberg は汎用品事業の切捨てを主張し、意見が対立していたとも報じられた。

その後、両者は互いに告訴をしている。

ーーー

今回、Kreinberg JPMorgan Chase をミシガン連邦地裁に訴えた。

JPMorgan Dowが繰り返される買収の噂のソースを探しているときに、Dowに黙って買収の協議をしていたことを明らかにせず、永年の顧客のDow を騙したとの主張である。

JPMorgan 「ユダ」 と呼び、2006年の末からオマーンとクウェートの投資家とDow の買収の話を始めたが、2007年に噂が市場に出回り、CEOが怒っているのを知り、その失敗を補うため、CEOとの仲が悪いとされるKreinberg の責任にしたとしている。

CEOがJP Morgan との会議の席で、「首を取りたい」と言って、Kreinberg を買収話に巻き込むのを手伝うよう求めたとしている。

DowはKreinberg が買収の協議に参加しただけではなく、聞かれたときにDow に伝えなかったとしているが、Kreinberg 自身は協議に参加していないとする。
事実は、オマーンの
DowのJVでの会議中に、JP Morgan がやってきて、Dow の買収提案をした際に支援が得られるかどうかを知るため、CEO以外のDowのトップとの会合を求めたという。Kreinberg は秘密情報はなんら明らかにせず、もし買収提案がなされても、Dowは防御するか、門前払いをするだけだと答えたとしている。

JP Morgan では、この主張は法的にも事実上も根拠のないもので、却下されると確信しているとしている。

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山東省の維坊亞星化学(Weifang YAXING Chemical)はこのたび、韓国企業2社と出資に関する覚書を締結したと発表した。
亞星化学に対して、
ロッテグループの韓南石油化学が10%、他の1社が1% 出資する。
亞星化学と韓南石油化学は山東省維坊に塩素化ポリエチレンのJVを持っている。

亞星化学は80年の歴史をもち、塩素化ポリエチレン、塩ビ、イオン交換膜法苛性ソーダなどを扱っている。
苛性ソーダは能力
120 千トンで、Uhde の技術と設備を使用している。

亞星化学は1990年にHoechst から年産 6,000トンの塩素化ポリエチレン設備を輸入して事業を始めた。
現在では生産能力は 110,000トンに達しており、23カ国に輸出し、世界市場の40%を占めている。

韓南石油化学との塩素化ポリエチレンの 50/50 JVは 維坊亞星ロッテ化学(Weifang Yaxing Lotte Chemical)で、2005年に40千トンでスタートし、最近45千トンに拡張した。

 

亞星化学はヒドラジン水和物の生産で Lanxess とのJVをもっている。
LANXESS Yaxing Chemical (Weifang) Company で、Lanxess55% 出資している。

能力は世界最大級の12千トンで、LanxessのテキサスBaytown 工場からプラントを移管した。

2004年にJVを設立し、2005年末から中国及び世界市場に供給しているが、Lanxessでは、大きな生産能力、高品質、先進的なプロセス工学の3つの点で中国のヒドラジン水和物のトップメーカーであるとしている。

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18日のニューヨークのWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物相場は、通常取引終了後の時間外取引で一時1バレル=90.02ドルまで上伸し、史上初の90ドル台を記録した。

通常取引の終値は 89.47$/bbl 過去最高となっている。

18日の東京市場の原油、ナフサも過去最高を記録している。

当面、以下のサイトで毎日グラフ更新
 
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ペルー南東部のアマゾンのジャングルにCamiseaガス田がある。同ガス田の天然ガス埋蔵量は13Tcf(兆立方フィート)、コンデンセートの埋蔵量は6億バレルとされる。

同ガス田は、1980年代半ばにShell 等により発見されたが、約20年間にわたってさまざまな困難に遭遇し、思うように開発が進められない状況が続いていた。

しかし、SanMartinガス田とCashiriariガス田の開発が行われ、2004年8月にようやく首都リマ等への供給が開始された。

生産された天然ガスとコンデンセートは現地のプラントで天然ガスとNGLに分離され、天然ガスは、リマまで全長714kmのパイプラインで輸送され、NGLはPisco近郊のParacasの分留プラントでLPG、ナフサ、軽油などに加工される。

なお、Pampa Melchorita 地区でこの天然ガスを液化、輸出するLNGプロジェクトに丸紅が参加した。(後述)

Camiseaプロジェクトの開発・生産を行う上流部門、パイプライン敷設を含む輸送・配給の下流部門及びLNGプロジェクトの参加者は以下の通りとなっている。(青字はオペレーター)

  開発・生産 輸送・配給 LNGプロジェクト
Pluspetrol (アルゼンチン)  36  22.2  
Hunt Oil (米国)  36  22.2   50
SK(韓国)  18  11.1   20
Tecpetrol(アルゼンチン)  10    
Technit(アルゼンチン)    23.4  
Sonatrach(アルジェリア)    11.1  
Tractebel(ベルギー)     8.0  
Granay Montero(ペルー)     2.0  
Repsol (スペイン)       20
丸紅       10

Camiseaガス田では更に開発が計画されている。

地図は JOGMECから
http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/1/1580/0703_04_funaki_peru.pdf

 

このペルーで、ブラジルのPetroBras、インドのReliance、韓国のSKの3社が石油・石油化学事業構想を打ち出している。

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ブラジルのPetroBras

20069月、Petrobras とペルー国有の PetroperuPerupetro はペルー国内の炭化水素資源の開発や工業化など7分野での協力・提携に関する覚書に調印、本年10月に1年間の延長が決まった。

協力の内容は以下の通り。

・老朽化が目立つTalara Refinery の近代化
・燃料や潤滑油の流通・販売への投資(サービスステーションのチェーンなど)
Bayóvar Terminal の近代化
・天然ガスの利用:
LNG, GTL, Petrochemicals
biodiesel and ethanol projects
・未開発の深海、陸上での石油資源探査、開発の評価

ーーー

インド Reliance

Petroperu Reliance Industries はこのたび、ペルーでの石油資源探査、開発、掘削、精製、及び石油化学での協力を探る覚書を締結した。

Petroperu の社長によると、来年入札が予定される新しいブロックでの開発を共同で行なうことで合意した。ペルー北東部のジャングルでの重質油の開発に参加する可能性がある。

精製に関してはReliance Petroperu Talara refinery を近代化し、現在の62,500 b/d 100,000 b/d に拡張する計画にも関心を有している。
更に両社は長期的な問題として、エタンベースの石油化学計画にも関心を有している。

ーーー

韓国 SK Energy (旧称 SK Corporation

SK Energy はこのたび、ペルーでのエネルギー関連投資の拡大を考えており、また20億ドルの石油化学計画の交渉をしていることを明らかにした。

SKは現在、Camisea などで原油換算 80,000b/d の生産を行なっている。同社は現在開発中の新立地での生産を期待しており、またLNG project にも参加している。また最新の入札で海底油田の権利を取得している。

同社は1996年に最初にペルーに投資をして以来、9億ドルの投資を行なっている。
SKの社長は109日にペルー大統領と会見し、20億ドルの石油化学計画について話をした。(詳細は発表していない)

ーーー

ペルー政府は石油化学産業に対する税務上の恩典の法律制定を検討している。

ーーー

丸紅は2007年8月29日、ペルーのLNGプロジェクトに参加するため、SKエナジーが保有する持分30%のうち10%分を購入する契約書に調印した。

首都リマから南へ約170kmの太平洋沿岸Pampa Melchorita で Camiseaガス田から送られる天然ガスを液化、輸出するもので、ガス処理施設、LNG液化プラント(年間生産量445万トン)、LNG貯蔵タンク2基、積み出し施設、発電施設などを建設する。プロジェクトの総事業費は約38億ドル。

LNGはRepsol 18年間にわたり販売権を持つが、丸紅は同社と売買契約を締結しており、北中米西海岸に最も近く、極東地域にもアクセスが可能という地理的特性を持つことから、市場拡大が期待される環太平洋地域に競争力のあるLNGを供給する。

丸紅は現在、中東・カタールのLNGプロジェクトに7.5%、西アフリカ・赤道ギニアのLNGプロジェクトに6.5%の権益を保有しているが、今回はそれらに次ぐ3つ目の案件で、北中南米地域におけるLNGプロジェクトに日本企業として初めて参画する。

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9月の米国住宅着工件数は年率換算1,191千戸となり、1993年3月の1,083千戸以来、14年半ぶりの低水準となった。
これは過去最高の2006年1月の半分に近い。

1-9月の単純平均では1,407千戸となっている。

先行指数の許可件数も4ヶ月連続減少の1,226千戸で、1993年7月以来の低水準となった。
エコノミストは住宅市場の落ち込みは来年7-9月期まで続くと予想している。

参考 2007/8/19 サブプライムローン問題の波紋

    2007/10/1 日米住宅着工件数減少

付記

野村ホールディングスは10月15日、サブプライムローン問題で1―9月に総額1,456億円の損失を計上すると発表した。
同社は米国での住宅ローンの証券化事業から完全に撤退する。

また、経営再建中の三洋電機は10月16日、半導体事業の売却を断念した。
8月末に実施した入札で 1,100億円と最も高い買収額を提示した国内独立系買収ファンドのアドバンテッジパートナースと15日を期限に最終調整を進めていたが、サブプライムローン問題などの影響でアドバンテッジの資金調達に目途が立たなくなったのが理由。

サブプライム問題が国内企業のM&A案件にも影響を与え始めた。

BASFは操業を中止していた上海のCaojing のTHF(tetrahydrofuran )プラントの操業を2009年の終りか2010年初めに再開する。

THFはPolyTHF(R)の原料で、PolyTHF は弾性スパンデックス繊維の原料となり、繊維用途以外にも熱可塑性ポリウレタン及びポリエーテルエステルエラストマーの原料として使用されている。

BASFは米国ルイジアナ州Geismar と ドイツのLudwigshafen 及び韓国の蔚山にTHFPolyTHF の工場を持っているが、これらの工場では他社と同様に1,4-ブタンジオールを原料としてTHFを製造している。
(四日市事業所でも主に中国繊維市場向けに
THF/PolyTHF を生産していたが、2006年上半期中に生産を終了した。)

2002年5月、BASFは上海のCaojing にある上海化学工業団地に、年産6万トンのPolyTHFおよび年産8万トンのTHFの統合生産設備を新設すると発表した。
ここでは BASFが新たに開発したブタンから直接THFを生産し、その後PolyTHFを生産するという独自の技術を初めて採用することとした。従来必要とされていた1.4-ブタンジオールの中間工程を省略することができる。

同設備は、世界最大のPolyTHF生産設備となり、急速な拡大を遂げている中国のスパンデックス市場に製品の供給を行っていくことを狙った。

2003年7月に起工し、2005年3月に先ずPolyTHF プラントが生産を開始した。隣接の THF プラントはその後立ち上げた。

しかし、THF プラントは2006年の第1四半期に技術的理由で停止し、その後スタートしていない。
2006年11月、同社はこのプラントの塩漬け(mothball )を発表した。
上海の
PolyTHF プラントには同社の海外のプラントからTHF を供給することとした。

ーーー

BASF は2007年9月、高弾性スパンデックス繊維や熱可塑性ポリウレタン及びポリエーテルエステルエラストマーなど、PolyTHF の使用が増加している分野を中心に、アジア太平洋地域におけるテクニカルサービス体制のさらなる強化を図るため、2007 年末までに、BASF ポリウレタンスペシャルティ社(中国)の上海浦東拠点に PolyTHF のアプリケーションラボを新設することを発表した。

最新のポリマー分析論を応用したさまざまな試験設備を用意し、個々の顧客ニーズに対応できるようにする。少量サンプル用のラボスケール合成設備も設置する。

ーーー

今回の生産再開に当たり、新しい設備を追加し、THFの原料としてブタンのほか1.4-ブタンジオール の使用も出来るようにした。
更に、THFとともに、無水マレイン酸の製造も可能となる。2010年初めからの実施を考えている。

同社ではこれにより、最も有利な原料の選択の柔軟性、PolyTHF の原料供給元の柔軟性、無水マレイン酸生産による新市場開発の3つの柔軟性を確保することになるとしている。

 

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10月16日はいずれも大幅に上昇し、過去最高を更新した。

  東京市場ドバイ原油終値 78.10$/bbl
  
東京市場オープンスペックナフサ 終値 762$/
  
NY原油(WTI) 一時 88.2$/bbl、終値は 87.61$/bbl

OPECは16日、原油相場の急騰はファンダメンタルズに基づいていない、原油は十分に供給されているとの声明を発表した。
OECD加盟国の在庫は過去5年の平均水準を上回っており、主因は投機筋の動きと指摘した。

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Ineos は1011日、Ineos Silicas 事業を Carlyle Group PQ Corporation と統合すると発表した。
Carlyle Group 新会社 PQ Corporation 60% を、Ineos が残り 40% を所有することとなる。
統合の条件は明らかにされていない。

統合新会社は売上高は10億ドルのスペシャリティ無機化学品、触媒(Zeolite)及び工業用ガラスビーズのグローバルなメーカーとなる。
* Zeolite は、結晶中に微細孔を持つアルミノ珪酸塩の総称

INEOS Silicas は2001年にICIから買収したCrossfield部門で、シリカ、ケイ酸塩、ゼオライト
などを扱う
ICIは1997年にUnileverから4部門を買収したが、そのうちの一つ。

2006/6/14  事業買収で急成長した化学会社 

PQ Corporation は1831創立で、旧称は Philadelphia Quartz Company
2007
6月にCarlyle Group が買収した。

同社の事業は silica 事業、②触媒(Zeolite)事業、③マグネシウム誘導品事業から成っている。
更に100%子会社のPotters Industries 道路用等の工業用ガラスビーズのトップメーカーである。

ガラスビーズは道路の白線や黄線へ混入し、小さなレンズと塗料の組み合わせで「再帰反射特性」(ヘッドライトから出た光がビーズで屈折、塗料で反射されて効率よく運転者の方へ帰る)を発揮する。

Potters Industries
日本では東芝 51% のJV 東芝Ballotini を運営していたが、2001年3月に合弁を解消し、Potters 100% のPotters-Ballotini としている。

15日のニューヨークのWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物相場は一時1バレル 86.22ドルまで上昇して9月20日に付けた過去最高値(84.10ドル)を大幅に更新、終値も過去最高の86.13ドルとなった。

米国内の原油在庫が減少していること、トルコ軍がイラク北部のクルド人居住地域を攻撃するとの見方が強まったことが理由とされている。

最近のWTI価格と東京市場の原油、ナフサ価格の推移は以下の通り。数字を四角で囲んだのは過去最高値。

    当面、以下のサイトで毎日更新
     
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10月16日の日本経済新聞は 『「季節外れ」の原油高騰 異変示す5つの不思議』 という記事を掲載している。

最近の原油価格の騰勢は、米国のガソリンシーズン真っ盛りの夏に高値をつけ冬に向けて下落という近年のバターンとは明らかに異なっているとし、錯綜した原油市場の5つの不思議をまとめている。

▼需給は本当に逼迫しているのか?
 米国の原油在庫は決して少ないわけではなく、製油所の老朽化と能力不足による製品供給が問題。

▼ガソリン価格は大幅に下がってきた。製品主導なら原油は下がるはずだが?
 実は原油価格はユーロ換算では、昨年の高値61ユーロ、9月の高値は59ユーロで驚くほどの上昇ではない。

▼需給よりもマネーが高値の主因としたら一体誰が買っているのか?
 正体不明ながら、店頭市場での買いが当業者を通じて市場に入ってきている。

▼WTI(ウエスト・テキサス・インターミディェート)高は米国のローカルな需給の反映?
 NYMEXの受け渡し場所での現物在庫が過剰から過少へと転じてきたことの反映に過ぎない。

▼石油輸出国機構(OPEC)が増産を決めたのになぜ上がる?
 市場はOPECのメッセージを無視しているようにみえる。

シンガポール系の化学会社で、中国で第4位のイオン交換膜法クロルアルカリメーカー、第5のアニリンメーカーのSP Chemicalsは918、スチレンモノマー進出を発表、 9月27日に江蘇省泰州市政府と契約書を締結した。
揚子江沿いの泰州市の泰興経済開発区(
Taixing Economic Development Zone)に 146百万ドルを投じて年産32万トンのSMプラントを建設する。
資金の1/3は内部留保、残りは銀行借入を考えている。
2008年第3四半期に着工し、2009年末完成を目指す。

原料エチレン、ベンゼンのソースについては明らかにしていない。技術については、まだ決まっていない。

江蘇省と隣の浙江省は中国で最も重要なSM市場であり、成長が著しい。同社によれば2006年の両省のSMの需要は約350万トンとなっており、同社では需要の中心の泰興経済開発区にプラントを建設することにより、この成長する需要に応えたいとしている。

中国の2006年のSMの生産量は1,924千トン、輸入量は2,343千トンで、消費量は4,261千トン、自給率は45%となっている。
2006年の両省のSMの需要約350万トンは全国の需要の80%となる。

また、SP Chemicals は既に泰興経済開発区にVCMプラントを建設中で、そのエチレンタンクやair separator などをそのまま利用できるメリットもあるとしている。

ーーー

SP Chemicals はシンガポールの投資会社Panasia Investment Pte Ltd.1995年に Asiawide Chemicals Pte Ltd と改称)が1995年に中国に100%子会社の Singpu Chemicals Industries (Taixing) Co., Ltd として設立したもの。
その後、2005年に
親会社は SP Chemicals Ltd.、子会社は SP Chemicals (Taixing) Ltd. に改称した。

SP Chemicals (Taixing) はイオン交換膜法クロルアルカリとアニリンのプラントを有していた。
  塩素:
132千トン、ソーダ:150千トン
  アニリン:45千トン

その後、同社はMedium-Term Strategic Business Plan に基づき拡大を続けてきた。

1) Co-generation
 当初は60MWを計画していたが、電力需要の増大を見込み、2基合計 120MW を建設した。

2) 第4期増設計画
  それぞれの能力を倍増した。
  
 塩素:264千トン、ソーダ:300千トン
   アニリン:90千トン

3) EDCベース VCM プラント建設
  能力 200千トン

  同社はVCM と PVC の事業化を検討したが、建設費のアップを受け、VCM を先行することとした。

4) 第5期増設計画
  電解、アニリンの増設中で、増設後の能力は、
   塩素:396千トン、ソーダ:450千トン
   アニリン:
135千トン

今回、新しくスチレンモノマーが追加される。

同社では将来は原料安定確保のために上流のエチレン、PVCなど誘導品への進出も考えている。

ーーー

シンガポールのSP Chemicals は本年4月にベトナムのPhu Yun 省との間で、同省のHao Tam-Vung Ro に石化コンプレックスを建設する覚書を締結した。

12億ドルを投じて、クロルアルカリ、アニリン等の工場を建設する計画で、詳細はFSの結果次第としている。

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Dow Chemical 11月6-7日に予定していた機関投資家向けの説明会を延期したことが、買収するのか、JV設立か、買収されるのかとの憶測を呼んでいる。

同社では投資家向けの案内のメールで、「変身戦略を進めるなかで多方面で確固とした進展があったが、長期的な株主価値を高めるため、今後も多くの機会を探って行きたい」と述べているが、説明会は2、3か月延期するとしている。

アナリストは説明会の延期は極めて異常で、何かが起こっているに違いないとしている。
事業の一部または全体の買収のオファーを受けているのではないかと噂されている。

ノーベル賞委員会は10月12日、記録映画「An Inconvenient Truth」などを通じて地球温暖化防止を訴えているAl Gore 前米副大統領(59)と、温暖化防止研究を政策決定に生かすための国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)に2007年ノーベル平和賞を授与すると発表した。

ノーベル賞委員会は「人為的な気候変動に関する知識を広め、対策の基盤構築に努めた」と授賛理由を説明した。
Gore氏を「温暖化対策の理解を深めるため最も尽力した個人」とたたえ、IPCCの活動については「人間活動と温暖化の関連で共通認識を作った」と評価している。

Al Gore に対しては大統領選への出馬の要請が出ている。

2006/2/17 ドキュメンタリー映画「An Inconvenient Truth」 

なお、“An Inconvenient Truthはアカデミア賞(長編ドキュメンタリー賞)を獲得している。

気候変動に関する政府間パネル(lPCC) 科学、影響、対策の3つの作業部会に分かれ、最新の分析をまとめる国連機関。130カ国以上から約4000人の専門家が参画し、発表済みの成果を評価して確度の高い情報を提供する。温暖化をめぐる各国の政策に影響を及ぼしている。最初の報告書は90年で、今回が4回目。

第1作業部会(科学)は本年2月に、今世紀末の平均気温が1.1~6.4度上昇すると予測。
  
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/2007-02-1.htm#ipcc 

第2作業部会(影響)は本年4月に、気温上昇が2~3度を超えれば、世界で経済的損失が生じると指摘した。
  
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/2007-04-1.htm#ipcc-2

第3作業部会は本年5月に対策編を発表。
  (
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/2007-05-1.htm#ipcc-3

ーーー

他方、英国ではこの記録映画が裁判沙汰になっている。

本年2月に英国政府は温暖化に関する授業の一環として 3,385 の中学校にDVDを配る計画を明らかにした。

これに対してある父兄が、この映画はプロパガンダであるとして、回収することを求める訴訟を起こした。
そして、その立場を述べるサイト
Straight Teaching を開設している。
    http://www.straightteaching.com/

裁判で High Court (民事第一審)の判事は生徒にこの記録映画を見せるのは政治的行為であるとし、映画の禁止はしないが、教育の中立を守るため、指導書付きで映画を見せることを求めた。

判事は、この映画は多くの部分が科学的調査や意見に基づいてはいるものの、単なる科学映画ではなく、政治的映画であると結論付けた。

裁判のなかで、11カ所の問題が議論となった。いずれも映画のなかの注目点である。

Mount Kilimanjaro の雪解けが温暖化のせいであるとされている。
  政府の専門家はこれが正しくないと認めざるを得なかった。

ice cores の証拠が、65万年に亘ってCO2の増加が気温上昇を引き起こしていることを示しているとしている。
  裁判では、CO2と気温の上昇の間に800年から2,000年のラグがあることが明らかになった。

・Hurricane Katrina が温暖化によって引き起こされたとしている。
  政府の専門家は単発の事象を温暖化のせいにするのは
"not possible" と認めざるを得なかった。

・ Lake Chad が干上がったのが温暖化のせいとしている。
  政府の専門家はそうではないと認めざるを得なかった。

北極の氷がなくなり、北極熊が溺れ死んだという研究が示されている。
  事実は、4頭の北極熊が特に激しい嵐のために溺れ死んだだけであった。

温暖化でメキシコ湾流がとまり、欧州が氷河時代に入ると警告している。
  これは科学的にはあり得ないとの証拠がある。

温暖化でサンゴ礁の白化を含め、種の減少に繋がるを批判している。
  政府はこの主張を支持する証拠を何も見つけられなかった。

Greenland の氷が溶け、海面が危険なほど上昇するとしている。
  
Greenland の氷が数千年間溶けないとの証拠がある。

・南極の氷が解けているとしている。
  実際には南極の氷は増えている。

海面が 7m も上昇し、何百万もの人が移住を余儀なくされるとしている。
  実際には次の
100年での海面の上昇は40cm とみられており、大量移住のおそれはない。

・海面上昇で太平洋のいくつかの島の島民がNew Zealand に移住を余儀なくされたとしている。
  政府はこれを証明できず、裁判所はウソであるとみなした。

ーーー

なお、デンマークの政治学者で「環境危機をあおってはいけない―地球環境のホントの実態」(The Skeptical Environmentalist)を書いた Bjorn Lomborg は、Al Gore のノーベル賞受賞について、"An inconvenient peace prize" と題して、次のように批判している。

IPCC は世界が気候変動の結果どうなるかを苦労してまとめたが、Al Gore は怖い怖いと言っているだけだ。

Gore の受賞は、世界が他にするべきことを放置して、ますます、気候変動のみに力を注ぐことになってしまう。

我々は気候変動の遠い先の影響を心配しながら、現在直面している問題については放置している。
毎年、栄養不良で400万人が死亡し、エイズで300万人が死亡し、室内・室外の大気汚染で250万人が死亡し、微量栄養素やクリーンな飲み水の不足で200万人が死亡する。

金も注意能力も十分ではない場合には、先ず最善の解決策で問題に取り組むべきだ。
 

http://commentisfree.guardian.co.uk/bjrn_lomborg/2007/10/an_inconvenient_peace_prize.html

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ドイツの独禁当局は11日、バイエルが違法にOTC医薬品の売価を吊り上げた疑惑で、バイエルの医薬品販売会社Bayer Vital の本社ほかを立ち入り捜査した。

ドイツ誌 Stern の報道に基づくもので、同社はアスピリンその他のOTC 医薬品について高価格で販売した 11,000店の薬局に最高 3%の割引を行なったという。
割引が与えられるのは、大幅かつ長期の割引をしない場合、具体的には特売をする場合の価格が希望小売価格の
80%以上で、期間が4週間以内であった場合に限られる。
記事には
Bayer-Vital の課長からセールスマンに送られたE-Mail が載っており、「3%のリベートは、ゲームのルールが守られた場合にのみ、与えられる」と記されている。「Bayer premium drug maker でありたい」とも述べられている。

当局は、雑誌発売後にBayer からコンタクトがあり、協力の約束があったとしている。
Bayerでは薬局との間ではなんら拘束するような価格協定はないとしている。

欧州及びドイツの法律ではそのような行為は禁止されており、最高 29億ユーロの罰金が科せられる。

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世界最大のアルミ会社のUC RUSAL 109日、 Saratov 州政府との間で、原子力発電所とアルミ工場を建設する投資計画に調印したと発表した。

Saratov 州はロシア南部のVolga 川沿岸の経済的、産業的に最も発展した地域の一つ。

UC RUSAL Balakov の原子力発電所に合計 2,000MWの第5、第6発電所と、世界最大の年産105万トンのアルミ精錬工場を建設する。建設資金はUC RUSALが負担し、自ら建設に当たる。建設予算は2008年末に完了するFSの結果で決まる。

この契約はBalakov原子力発電所の増設がロシア原子力委員会 (ROSATOM) の承認を得て発効する。

この計画の意味は、同社が世界一のアルミメーカーの地位を確保するため、及びそのための電力を自給することにある。

UC RUSALUnited Company RUSALロシースキー・アルミニウム)はロシア最大のアルミメーカー Rusal と同2位の Sual、スイス商社Glencore International のアルミ部門が合併して誕生した。
  2006/9/5 
ロシアのアルミ最大手RUSAL、同国2位のSUALを買収

英豪資源大手リオ・ティントは本年7月、カナダのアルミ大手、Alcanを買収することで合意したと発表した。
このTOBが成立すると、同社は
UC RUSAL を抜いて世界一となる。
  2007/7/17 
Rio Tinto、Alcanを買収 アルミ生産で世界最大に 

今回の計画により、
UC RUSAL は再度トップの地位を確立することとなる。

現状 Alcan TOB 計画実現後
1 UC RUSAL  381万トン 1 Rio Tinto + Alcan 428万トン 1 UC RUSAL  486万トン
2 Alcoa 356万トン 2 UC RUSAL 381万トン 2 Rio Tinto + Alcan 428万トン
3 Alcan 344万トン 3 Alcoa 356万トン 3 Alcoa 356万トン
7 Rio Tinto  84万トン            

  Alcoa については 2007/10/9 Alcoa、事業見直し 参照

ーーー

なお、UC RUSAL は本年49日、ロシア原子力委員会との間でロシア極東にアルミ工場と原子力発電所を同時に新設することで合意したと発表している。計画の詳細は明らかにされていない。

2006年8月に始まった両者の協力協定に基づくもので、2007年末までにFSを行い、その結果を受けて、詳細スケデュールを決める。

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高杉良 「挑戦 巨大外資」(小学館)を読んだ。

小学館ホームページには以下のPRがある。

経済小説の巨星が放つ、本格的国際経済小説

1970年、32歳で世界的コングロマリット、ワーナー・パーク・グループの日本法人CFO(最高財務責任者)としてヘッドハンティングされた池田岑行。相次ぐCEOの解任、一瞬の隙も許さぬ人事抗争――非情の「外資」をその卓越した財務戦略で生き抜く池田は、日本人として初の取締役の座に就き、社内改革を次々と押し進める。 ワーナー・パークの伸張に危機感を抱いた製薬最大手・ライザーが、新CEOの失策を機に、10兆円規模の
巨大TOBを仕掛けてきたのは99年のことだった。池田は否応なく、巨大M&Aの激流に放り込まれることになる―ようやく日本に訪れた「三角合併」時代の原点を、「奇蹟のCFO」と呼ばれた男の視点から描く、本格的国際経済小説。

勿論、小説であり、全てが事実ではないが、巨大TOBは事実である。

1999年11月にWarner Lambert (小説でのワーナー・パーク)はAmerican Home Products (同アメリカン・ホーム・コーポレーション)との友好的合併(対等)を発表した。
その数時間後、
Pfizer(同ライザー)がWarner Lambertの敵対的買収を発表した。

最終的に2000年2月7日にPfizerによるWarner Lambert の買収で合意した。

ーーー

Warner-Lambert の事業は医薬品と消費財であった。

医薬品は1970
年に買収したParke-Davis の事業で、高脂血症治療薬 Lipitor
が有名である。
2006年の大型医薬品世界売上ランキングの1位はこのLipitor 13,682百万ドル、2位のGraxoSmithKline の抗喘息薬 Seretide /Advair 6,490百万ドルの2倍以上の売上である。

1897年、高峰譲吉博士がParke-Davisの技術顧問になっている。
Parke-Davis は高峰博士から日本以外の地域におけるタカアスターゼの製造および販売権を取得した。

日本でタカヂアスターゼを技術導入して1899年に設立されたのが三共商店で、1913年に三共(現 第一三共)となったが、初代社長に高峰博士が就任している。

1996年 米国三共(Sankyo Pharma Inc.)がWarner Lambert との折半出資による三共Parke-Davis を設立した。
2000年9月米国三共Pfizerから三共Parke-Davis の持分を買取った。)

Pfizer Warner-Lambert1996年からこのLipitor 開発の partnership を組み、Pfizer は販売権を有していた。
American Home Products PfizerのWarner-Lambert の取り合いはLipitor を目指したものである。

消費財部門には、Listerine mouthwashCerts mintsTrident gumSchick razors などの有名ブランドがある。

 

1999年11月4日、Warner LambertAmerican Home Products (AHP) は友好的合併(対等)を発表した。Warner Lambert の株式は720億ドルの評価を受けた。
その数時間後、
PfizerはLipitor の販売権を失うことを恐れ、Warner Lambertの敵対的買収を発表した。買収額は824億ドルであった。

小説では前のCEOが独立路線を取ってきたのに対し、新CEOが、対等合併と自分が世界最大の医薬会社のCEOになれることから、AHPの提案を呑んだこととなっている。

その後、両社の訴訟合戦などがあったが、2000年に入り、 大株主のカリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)等の機関投資家が「Pfizer提案も検討すべし」とのWarner Lambert批判を行った。

Warner Lambert とAHP はPfizerへの対抗策として Procter & Gamble を含めた3社合併を模索したが、Procter & Gambleの離脱で潰れた。
更に2月になり、
Pfizerは買収条件をアップした。

この結果、2月7日にPfizerによるWarner Lambertの買収で合意した。買収額は 892億ドルであった。
American Home Products には契約に基づきWarner Lambert から18億ドルのbreak-up fee が支払われた。

この買収は6月にFTCの承認を得、Warner Lambert Pfizerの完全子会社になった。

小説の主人公が懸念したとおり、PfizerによるWarner Lambert の買収は医薬品のためであり、消費財部門はその後、売却された。

2002年12月、PfizerWarner Lambert Trident gum、Dentyne gumCerts mints などのAdams Division Cadbury Schweppes 42億ドルで売却した。  
2003年1月、PfizerSchick-Wilkinson Sword shaving products business Energizer Holdings, Inc.930 百万ドルで売却した。 
2006年、Pfizer Consumer healthcare 部門をJohnson and Johnson に166億ドルで売却した。
 
LISTERINE oral care products, 禁煙薬 NICORETTEなどである。

ーーー

Pfizer はWarner-Lambert を吸収後、2003年4月にはPharmacia を吸収合併し、世界の医薬メーカーのトップとなった。

Pharmacia はMonsanto とPharmacia & Upjohn が合併したもの。

・MonsantoはG.D.Searleを吸収、化学品部門をSolutiaとして分離
・Monsantoは1998年に一旦、
American Home Products との合併で合意したが、直ぐに破談となった。

・PharmaciaとUpjohn が合併してPharmacia & Upjohn となる。

・Monsanto とPharmacia & Upjohn が合併してPharmaci
a となり、農薬部門を分離(再びMonsanto

ーーー

American Home Products 1994年にAmerican Cyanamid と合併した。
(その後
2000年にAmerican Cyanamid を分離し、BASFに売却している。)

同社は1998年にSmithKline Beecham と合併で合意したが、すぐ破談した。

SmithKline Beecham は代わりにGlaxo Wellcome との合併で合意したが、これも破談した。
 その後、両社は2000年になって、合併し、GlaxoSmithKline となった。

更に上述の通り、American Home Products 1998年にMonsanto との合併で合意し、破談している。

2002年、American Home Products Wyeth と改称した。

ーーー

なお、本のPRに、「ようやく日本に訪れた三角合併時代の原点」とあるが、あまり関係がない。

三角合併とは、企業合併の方法の一つで、会社の吸収合併を行う際に、存続会社の親会社の株式を交付することによって行う合併をいうが、米国では原則として株式対価の買収は三角合併である。

2005年に成立した日本の新会社法では、会社を合併する際、消滅会社の株式の対価について、存続会社の株式ではなく、現金その他の財産、例えば親会社株式を用いてもよいことが明確化された。
外国の親会社の株式でもよいため、外国会社による日本の会社の買収、子会社化が加速する、という予測もおこなわれている。
なお、新会社法は2006年5月1日に施行されたが、対価の柔軟化に関する部分については、その1年後の施行となった。

本の中で「三角合併」の言葉はなく、それを表す記述も全くない。小説でも一般記事でも、単に Warner-Lambert 株1株に対してPfizer 2.75株が割り当てられたとなっている。

実際の手続きでは、Warner-Lambert の株主にPfizer の株式が与えられ、Warner-LambertPfizer 新設の100%子会社のSeminole Acquisition Sub Corp.合併した。その結果、存続会社となった Warner-Lambert Pfizer 100%子会社となった。
(被買収会社が存続会社となる逆三角合併である。なお、日本では、正三角合併のみが可
能で、逆三角合併は認められていない。)

 

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Thai Plastic and Chemicals TPC) Rayong Map Ta Phut 380千トン(60+100+100+120千トン)、Bangkok 近郊のSamutprakarn に公称100千トン(実能力 60千トン+30千トン)の合計480千トンのPVC能力を有している。

他に
Map Ta Phut
に ソーダ(50%) 52千トン、EDC 115千トン、VCM 440千トン(140+300千トン)
Samutprakarn に コンパウンド 55千トン
Map Ta Phut の100%子会社TPC Paste Resin (元Oxy とのJVに ペーストPVC 35千トン
を有している。

同社は8月に、Map Ta Phut で新しく 120千トン設備の商業生産を開始し、現在フル稼働をしている。
これに伴い、当初の計画通り、
Samutprakarn の2系列を近く停止する。
(これにより、
TPCのタイのサスペンジョンPVCの能力は500千トンとなる)

このうち、30千トン設備は廃棄するが、60千トン設備は解体し、ベトナムの子会社TPC VINA Plastics and Chemical Co. Ltd. に移設し、デボトルネッキングを行なって、90千トン設備として稼動させる。

TPC VINA は旧称 Mitsui Vina Plastics & Chemical 株主は三井化学 36%、三井物産 10%TPC 24%Vinaplast 15%Fercemco 15% であったが、三井の撤退で、TPC 70%、Vinaplast 15%Fercemco 15% となっている。
PVC能力は80千トン。移設設備が稼動すると、2系列合計 170千トンとなる。

 

ベトナムにはもう一つのPVCメーカー Phu My Plastics and Chemicals がある。
当初は
Oxy と丸紅が主導していたが、両社が撤退し、PetroVietnam とマレーシアのPetronas 及びTramatsuco が株主となっていた。
能力は
100千トン。

TPCはPetroVietnam との間で、PetroVietnam Phu My 株の買収を交渉し、2006年9月にはTPCの取締役会が買収を承認したが、PetroVietnam が白紙還元を要請し、この話は潰れた。
(その後、
PetroVietnam は持株をPetronas に売却し、Petronas が93%の株主となった。)

TPCはこの代替としてタイからの旧設備移設により、90千トン設備をつくることとした。

ベトナムの両社については
2007/6/27 ペトロナス、ベトナムのPVCメーカーを子会社化 

ーーー

なお、TPCはインドネシアに PT. TPC Indo Plastic & Chemicals PVC能力 120千トン)を持っている。

同社は旧称 Siam Maspion で、当初、インドネシアのMaspion が50%、Siam Cement とTPCの60/40 の海外投資法人 Siam TPC が50%のJVとして設立されたが、2005年にMaspion が撤退し、現在は Siam TPC 100%となっている。
新第一塩ビが内部ジャケット法の製法をライセンスした。

ーーー

TPC は当初、地元のCEグループと旭硝子出資のTHASCO Chemical(現在は旭硝子99.85%三井物産/三井東圧の3社JVとして設立された。
その後上場、THASCO、三井グループが持株を売却、
20073月現在では Siam Cement 44.24%、CPB Equity 22.60%を所有している。

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Alcoa、事業見直し

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Alcoa 4日、低採算事業を見直し、包装材や自動車向け鋳物事業等を売却、鉱山開発や地金生産に経営資源を集中すると発表した。

大株主のヘッジファンドなどの求めに応じ、売り上げ規模が大きくても利幅が薄い事業を切り離す。
資本構造を高め、株主価値を高める。

今後、次の事業を処分する。

1)Packaging and Consumer business の売却
 
  売却先候補から強い意向を示されており、本年末か来年初めに契約締結の予定。

Alcoa Consumer Products はフォイル、フィルム、紙容器などを小売店や食品サービス業に提供している。
Reynolds Consumer ProductsReynolds Wrap® ブランドのアルミフォイル、フィルム、ワックスペーパーなど
Presto Products CompanyNorth America's largest private label plastics company
Baco Consumer Products:英国の家庭用ラップ、バッグメーカー

2)Automotive Castings business の売却
   
契約間近で年末までに締結予定

アルコア独自のVRC/PRC*(真空・加圧ライザーレス鋳造)法のアルミアロイの金型鋳造
  *
Vacuum Riser-less and Pressure Riser-less

3)Electrical and Electronic Solutions (旧Alcoa Fujikura のワイアーハーネス事業)の大幅再編

Alcoa とフジクラは米国で自動車および情報通信事業における合弁事業会社 Alcoa Fujikura Ltd.(フジクラ49%、Alcoa 51%)を運営していたが、2005年3月末に合弁を解消した。

事業のうち、欧米顧客向けの自動車事業は Alcoa が、情報通信事業と日系顧客向けの自動車事業はフジクラが引き受けた。


4)中国アルミメーカーChalco の株式売却
   
Alcoa は本年9月、所有する中国のアルミメーカー Chalco の株式(約7%) 全てを約20億ドルで売却、約18億ドルの売却益を得た。

Alcoa 2001年のChalco IPOに際し、約7%の株式を購入した。
Alcoa Chalco は戦略的提携契約を行い、株式取得とともに、広西壮族(チワン族)自治区にあるChalcoのPingguo アルミ工場を50/50 JVとし、拡大を図ることとした。同工場はアルミナ精錬能力 850千トン、アルミ精錬能力 135千トンを有している。

Chalcoについては  2006/8/25 中国アルミ業界の拡大競争 参照

Pingguo JV設立については 20044月にNational Development and Reform Commission (NDRC) の承認を得た。
しかし、その後、
JV計画は全く進展しなかった。

両社の思惑が食い違ってきていた。

Chalco側は当初は資金と技術面で Alcoa の助力が必要であったが、最早それは必要ではなくなった。
Pingguo は高品質のボーキサイト鉱を有しているが、中国側はこれを外国に渡すことを嫌った。

Alcoa側は中国市場への進出が本来の目的だが、Chalcoとの提携はむしろ、その障害となった。

この結果、今回の株式売却となった。

ーーー

Alcoa本年5月7日にAlcanに対して買収総額269億ドル(債務引受を除く)の敵対的TOBをかけた。
これに対してRio Tinto White Night として乗り出し、Alcan を買収、Alcoa TOBを撤回した。

2007/7/17 Rio Tinto、Alcanを買収 アルミ生産で世界最大に

事業売却で得た資金を元手にAlcoaが再び企業買収に乗り出す可能性が高いが、逆に、資産内容が改善したAlcoa が格好の買収の標的にもなりうる。

アルミ市場ではロシアの二大アルミ会社とスイスの商社のアルミ部門が統合し、Alcoaを上回る世界最大のアルミ生産会社United Company RUSAL(ロシースキー・アルミニウム)が誕生している。

  2006/9/5 ロシアのアルミ最大手RUSAL、同国2位のSUALを買収 

なお、Alcoa のアルミ製錬工場と能力は上記記事に記載している。

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イグ・ノーベル賞(The Ig Nobel )の第17回授賞式が10月4日夜、米ハーバード大学サンダース・シアターで催された。

イグ・ノーベル賞は1991年、ハーバード大系の科学雑誌「ありそうもない研究」(Improbable Research ・・・Research that makes people LAUGH and then THINK)の編集者Marc Abraham が創設した。
Ignoble(=nobleでない)とNobel をかけたもので、「人を笑わせ考えさせてくれる研究」に対して贈られ、裏ノーベル賞といわれている。

本年は外資系医療機器会社勤務の山本麻由さん(26)が「牛糞からバニラの芳香成分 vanillin の抽出」で化学賞を受賞した。

山本さんは宮崎大学農学部を卒業後、牛のふんを簡単に廃棄する方法について研究を進め、国立国際医療センター研究所の研究員だった2004年に今回の抽出方法を開発した。
「酪農家の大変さを軽くしたい、不要と思われているものを役に立たせたいという気持ち」で、本業の高分子研究と並行して何百もの試料で実験を繰り返した。
牛糞1グラムに水4ミリリットルを加え200℃で60分間加熱すると、1グラムあたり約50マイクログラムのvanillinが抽出できた。

バニリンは樹木などの木質成分リグニンから生成するため、馬や山羊などの草食動物の排泄物も利用可能だという。抽出コストはバニラ豆を原材料にする方法に比べおよそ半分でシャンプーやロウソクの芳香添加物などの応用が考えられる。

トロフィー贈呈役を務めたDr. W.N. Lipscomb, Jr. (1976年ノーベル化学賞を受賞)は「一級の研究」と絶賛した。

壇上では、牛の糞から抽出した香料を使った「バニラ」アイスクリームが歴代のノーベル賞受賞者に配られ、教授らは食べるのをためらったが、会場からの  Eat ! Eat ! の野次で、意を決して口にした。
(実際には普通のアイスクリームであったとのこと)

2006年のイグ・ノーベル賞とこれまでの日本人の受賞者11件)については
2006/10/13 
ノーベル賞とイグ・ノーベル賞 

今年の他の受賞は以下の通り。

○医学賞:英国Gloucestershire Royal NHS Foundation Trustの放射線医師Brain Witcombeと、米国人協力者のDan Meyer
   「剣飲みとその副作用について:
The health consequences of swallowing a sword」   
   3カ月間で約2000本の剣を飲んで、その際の生体反応について調査した。

○物理学賞:米ハーバード大学のラクシミナラヤナン・マハデバンと南米チリのエンリケ・セルダ
   「シーツの皺のつき方について:
The problem of how sheets become wrinkled」   

○生物学賞:オランダのDr Johanna van Bronswijk
   「寝床で一緒に眠り、ムズムズ感を引き起こすダニ、昆虫、クモ、シダ類、菌類の全統計調査
     
Creepy crawly census of all of the mites, insects, spiders, ferns and fungi
     that share our beds」   

○言語学賞:A University of Barcelona team
   「ラットは日本語の逆さ言葉とオランダ語の逆さ言葉を聞き分けられない
     
Rats are unable to tell the difference between a person speaking Japanese backwards and
     somebody speaking Dutch backwards」

○文学賞:オーストラリアBlue Mountains Glenda Browne
   「アルファベット順に並び替える際に、英語の定冠詞『the』によって引き起こされる混乱
     
Her study of the word "the", and how it can flummox those
          trying to put things into alphabetical order」

○平和賞:The US Air Force Wright Laboratory
   「同性愛爆弾 "gay bomb"
     
Chemical weapon that would provoke widespread homosexual behaviour
     among enemy troops 」

○栄養学賞:Brian Wansink of Cornell University
   「底がないスープ皿で自動的に給仕される場合における、人間の食欲の限界について
     
The limits of human appetite by feeding volunteers a self-refilling,
     "bottomless" bowl of soup」.

○経済学賞:台湾のKuo Cheng Hsieh
   「銀行強盗を捕らえるネットの開発で特許を取得
     Patenting a device that can catch bank robbers by dropping a net over them

   Hsieh氏の行方は数年前から分かっておらず、司会者は同氏についての情報提供を呼び掛けた。

○航空学賞:パトリシア・アゴスティーノとサンティアゴ・プラノNational University of Quilmes, Argentina
   「バイアグラに時差ぼけ解消の効果があることを発見
     
Discovering that impotency drugs can help hamsters to recover from jet lag.」

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帝人とCargill 10月1日、世界初で最大規模の100%植物由来のバイオポリマーのメーカーで Cargill 100%子会社の NatureWorks LLCに帝人が折半出資することで合意した。

両社は、この提携により今後、NatureWorks 社のグローバルな売上拡大が加速し、製品がプラスチックおよび繊維の幅広い市場に向けて拡大していくことを期待するとしており、NatureWorks 社の米国のPLAポリマープラントの生産能力拡大を計画している。

帝人は、先般「環境経営宣言」を行い、「環境経営」戦略をグローバルに展開していくためにふさわしい投資先を求めていたが、NatureWorks 社は最適の投資先であり、帝人の繊維、フィルム、プラスチックコンパウンドにおける用途開発技術が、それぞれの分野での新市場開拓に貢献することができるとしており、Cargill もそれを期待している。

ーーー

1997年に Cargill Dow 50/50JVとしてCargill Dow LLC 設立された。

Cargill の
独自技術を植物中の糖質の加工プロセスに用いて、とうもろこしのような再生可能資源を原料にポリ乳酸(PLA:polylactide ポリマーを生産する。
Cargill のMinnetonka, Minn.にある年産能力3,000トンのパイロット・プラントを6,000トンに拡張した。、

ポリ乳酸は、トウモロコシなどの植物から取り出したでんぷんを発酵することによって得られる L-乳酸をモノマーとして重合させて合成するポリマーである。
発酵直後の乳酸には,L-体とD-体の二つの光学異性体があるが、L-体の乳酸から得られるポリマーが優れた特性を示すため、L-乳酸が合成原料になる。

2002年4月、Cargill Dow LLC Blair, Nebraska に界最初のグローバルスケールの工場の開設した。
能力は14万トンで、ブランド名を「NatureWorks®」とした。
Blair はコーンベルトのど真ん中に位置し、
Cargill が巨大なトウモロコシ加工処理工場を持つ。
その後、同社はこれを原料とするPLA繊維・
IngeoTM を発売している。.

2005年1月、 CargillCargill Dow LLC Dow の持分を取得することで合意した。
Cargill 100%子会社となった同社をNatureWorks, LLC に改称した。

現在は「NatureWorks®」および「Ingeo®」ブランドで、硬軟両タイプの生鮮食品用パッケージ、耐久消費財、飲料用パッケージ、衣料、ホームテキスタイル、パーソナルケア、衛生用品などの製品分野においてプロダクトイノベーションを実現している。

日本ではNatureWorks® 2004年6月にポリ衛協の「ポリオレフィン等合成樹脂製食品容器包装等に関する自主基準」のポジティブリストに追加され、食品包装用に使用可能となっている。

 

Dowの撤退後、生産設備を最大限生かす運転技術などポリマー知見に弱く、能力は14万トンながら実生産は7万トンで、世界的なグリーン対策への取り組みの活発化により、供給不足が深刻になっていた。

今回の提携を機に帝人も技術協力を行い、能力を14万トンに高める。

PLAポリマー事業にはすでに、ユニチカや東レといった国内の大手繊維・化学メーカーが進出しているが、帝人は、「すでに参入している企業に対しては競争相手というより、PLAポリマーの顧客として対応する」としている。

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Dow、JV白書を発表

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Dowは9月28日、同社のJVの活動に関する白書を発表した。

  内容:http://www.dow.com/about/pdf/djv_0907.pdf

ーーー

2006年の非連結子会社の売上高(Dow持分)は59億ドルで、2社の分離があったにかかわらず前年比 7%増となり、持分損益は前年とほぼ同じの 959百万ドルとなった。

2005年71付けで、DuPont Dow の50/50JVの DuPont Dow Elastomers DuPont 100%子会社の DuPont Performance Elastomers となった。(エチレン・塩素エラストマー関連事業はDowが引取り)
   
2005年10月、Union Carbide Dow)Honeywell の50/50JVのUOP LLC Honeywell 100% とすることで合意。

2007年の9ヶ月では以下の進展があった。

4月、リビヤのNational Oil Companyとの間で Ras Lanuf petrochemical complex 運営、拡張に関する覚書を締結。
   2007/4/25 
Dow、リビアに石化JV設立  
   
同じく4月に、Chevron Phillips Chemicals との間でPSSM JV設立の覚書を締結。
   2007/4/11
Dow、Chevron PhillipsSM/PSのJV設立 
   
5月、中国の神華集団との間で、陜西省にワールドスケールのCoal-to-Chemicals complex 建設の詳細FS実施の契約を締結。
   2007/5/21 
ダウの海外進出 
   
同じく5月に、Saudi Aramco との間で、サウジに世界最大級の石化コンプレックス建設の覚書締結。
   2007/5/15  
アラムコとダウ、世界最大級の石油化学コンプレックス建設 
   
7月、ブラジルのCrystalsev との間で、サトウキビからLDPE製造のJV設立の覚書締結。
   2007/7/27 
Dow、ブラジルでサトウキビからLDPE製造 
   

ダウは2006年3月に、基礎部門の強化をJV化を通して行う方針を明らかにした。他社と新しいJVをつくるだけでなく、場合によっては既存の設備を出してJVにすることも行うとした。
ダウはこの戦略をasset lightstrategy (又は equity light)と呼んでいる

   2007/2/3 ダウ、PSとPP事業のJV化を検討 参照 

Dowの主要な非連結子会社の概要は以下の通り。

  Compania MEGA S.A. Dow Corning Univation Technologies LLC
Formed: 1997 (in operation since 2001) 1943 1997 (reorganized 2001)
Ownership: Dow 28%
Repsol YPF 38%
Petrobras 34%
Dow 50%
Corning 50%
Union Carbide 50%
ExxonMobil Chemical 50%
Headquarters: Buenos Aires, Argentina Midland, Michigan, U.S.A Houston, Texas, U.S.A
Production
facilities:
Loma de la Lata and
Bahia Blanca, Argentina
worldwide  
Capacities:
  (tons/year)
Ethane: 570,000
Propane: 390,000
Butane: 264,000
Natural gasoline: 229,000
(Silicones and
silicon-based products)

capacities: Not applicable
(to license UNIPOL PE process
technology worldwide)
2006 revenues: $690 million $4.4 billion Not disclosed
 
Kuwait
  EQUATE Petrochemical Equipolymers MEGlobal
Formed: 1995 2004 2004
Ownership: Union Carbide 42.5%
Petrochemical Industries Co. K.S.C. of Kuwait 42.5%
Boubyan Petrochemical Co. K.S.C. 9%
Al-Qurain Petrochemical Industry Co. K.S.C. 6%
Dow 50%
Petrochemical Industries
 Company of Kuwait 50%
Dow 50%
Petrochemical Industries
 Co. K.S.C. of Kuwait 50%
Headquarters: Jleeb Al-Shyoukh, Kuwait Horgen, Switzerland Dubai, United Arab Emirates
Production
facilities:
Shuaiba, Kuwait Ottana, Italy and
Schkopau, Germany
Fort Saskatchewan and Red Deer, Alberta, Canada
Capacities:
  (tons/year)
Polyethylene: 600,000
Ethylene glycol: 500,000
PET: 485,000 EG: 1,000,000
2006 revenues: $990 million $470 million $2.4 billion
   2006/5/31 湾岸諸国の石油化学ー1 クウェート&バーレーン 
 
マレーシア(PETRONAS とのJV
  OPTIMAL Olefins      
 
(Malaysia) Sdn Bhd
OPTIMAL Glycols
 (Malaysia) Sdn Bhd
OPTIMAL Chemicals
 (Malaysia) Sdn Bhd
Formed: 1998
Ownership: Union Carbide 23.75%
PETRONAS 64.25%
Sasol Polymers International
  Investments 12%
Union Carbide 50%
PETRONAS 50%
Union Carbide 50%
PETRONAS 50%
Headquarters: Kuala Lumpur, Malaysia
Production
facilities:
Kertih, Terengganu, Malaysia
Capacities:
  (tons/year)
Ethylene: 600.000 Ethylene glycol: 385,000 Butanol: 140,000
2006 revenues: $810 million
 
タイ(Siam Cement とのJV
  Pacific Plastics
  (Thailand)
Siam Styrene
  Monomer
Siam Synthetic
 Latex
Siam Polystyrene Siam Polyethylene
Formed: 1975 1988 1990 1993 1995
Ownership: Dow 49%;
Siam Cement 48%;
Others 3%
Dow 49%;
Siam Cement 49%;
Others 2%
Headquarters: Bangkok, Thailand
Production
facilities:
Map Ta Phut Industrial Estate, Rayong Province, Thailand
Capacities:
  (tons/year)
Polyol Styrene monomer:
  300,000
Latex Polystyrene:
  120,000
Polyethylene:
  300,000
2006 revenues: $890 million
 

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旭硝子は9月28日、AGC Chemicals Americas, Inc.のBayonne Plant (New Jersey州)でのフッ素化学品PTFE (四フッ化エチレン)の生産を2007年末で停止し、同工場を閉鎖することを決定したと発表した。

AGC Chemicals Americas は3拠点を有している。
 Bayonne Plant (New Jersey州):フッ素樹脂PTFE及びフッ素系溶剤 AK-225の製造・販売拠点
 Thorndale Plant(Pennsylvania州):フッ素樹脂コンパウンド
 テクニカルセンター(Exton, Pennsylvania):フッ素化学品の営業・サービス拠点

米国でのPTFE事業の収益悪化を受け、米国におけるフッ素化学事業の戦略を大幅に見直し、Bayonne Plantを閉鎖するもの。
Thorndale Plant のフッ素樹脂コンパウンドの生産は継続、Exton のサービス機能を向上させ、日本、英国の生産拠点で製造したフッ素樹脂「フルオン(R)ETFE」
(エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体)やフッ素ゴム「アフラス(R)」(4フッ化エチレンとプロピレンの共重合体)などの輸入販売を強化する。

PTFEは耐薬品性・耐熱性に優れたフッ素樹脂で、シート、チューブ、テープ等に加工され、半導体関連製品・自動車部品などに使用される。

旭硝子は米国のほかに、日本及び英国にPTFEの製造拠点を有している。いずれも ICI から買収したものである。(日本はJV持分)

ーーー

旭硝子は1981年に、ICI社との間でPTFE(四フッ化エチレン)樹脂の50/50 JV、旭アイシーアイフロロポリマーズ(AIF)を設立し、旭硝子千葉工場内に工場を建設した。

1998年に旭硝子はフッ素化学事業拡大施策の一環として、AIFのICI持分を買収することで合意、1999年1月に買収を完了し、旭硝子フロロポリマーズと改称、従来から独自で製造・販売しているフッ素樹脂・フッ素ゴム事業をはじめとしたフッ素化学品事業と完全に一体化した事業運営を行なうこととなった。
(旭硝子は2004年1月1日付けで旭硝子フロロポリマーズを本体に吸収した。)

ーーー

旭硝子は1999年9月、ICIからFluoropolymers 事業を136百万ドル買収する基本契約を締結し、12月1日に買収を完了した。

ICIにとっては抜本的構造改革の一環である。
   
2006/3/7 ICIの抜本的構造改革 

ICI Fluoropolymers 事業は1998年の売上高は110 百万ドルで、米国のBayonne (New Jersey) と英国の LancashireThornton-Cleveleys PTFEの工場を、また米国 Thorndale (Pennsylvania)にコンパウンド工場を持っている。

旭硝子はこの買収に際し、米英に2社を設立し、この事業を行うこととした。

 米国: Asahi Glass Fluoropolymers USA,Inc.
=旭硝子アメリカの100%出資


 (その後
AGC Chemicals Americas, Inc.と改称)
 
 英国: Asahi Glass Fluoropolymers U.K. Ltd.
Asahi Glass Fluoropolymers USAの100%出資

 (その後、
AGC Chemicals Europe と改称)


この買収により、旭硝子は生産拠点として英国、米国及び日本(市原)にPTFEの製造拠点を保有し、販売・製造・開発が一体化したグローバルな体制を持つことになった。
今回の米国拠点閉鎖で、英国と日本の2拠点となり、米国にはこれらから供給することとなる。

ーーー

なお、旭硝子はAsahi Glass Fluoropolymers U.K. に電線被覆材やフィルム原料として使われるフッ素樹脂フルオン(R)ETFE の生産設備を建設した。

フルオン(R)ETFE(エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体)は同社が1975年に世界で初めて商業生産を開始した高機能フッ素樹脂で、千葉工場と鹿島工場で生産している。

近年は自動車向け、建材向けなどの新用途を中心に需要が急増しており、ミュンヘンのサッカースタジアム「Allianz-Arena」や、北京五輪のメインスタジアム「国家体育場」の屋根部分と水泳会場の「国家遊泳中心」にETFEフィルムが採用されている。

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DSMの経営方針

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DSMはこのたび、新しい戦略 Vision 2010 Building on Strengths strategy を発表した。
Life Sciences Materials Sciences へのシフトを進める。

DSMは1902年にオランダ政府が設立した国営炭坑会社 Dutch State Mines(DSM)がはじまりで、1929年にコークス炉ガスを利用した化学肥料製造を開始して化学事業に参入、1960年代に石油化学事業への構造転換を行なった。
1989年に民営化を決定し、1996年に一般公開を完了した。

石油化学事業については2002年にSABICに譲渡した。

  2006/8/22 SABIC Europe とその前身

主な内容は以下の通り。

Life Sciences (Nutrition and Pharma)Materials Sciences (Performance Materials) 会社へのシフトを進める。
 このため、非コア事業の処分計画を進める。
 コア事業では買収を検討する。

・成長目標
  有機の販売伸び率の目標を
5%以上に上げる。
  
2010年の中国向け販売目標を10億ドルから15億ドルにアップ。

 

同社は現在の4部門をレビューした結果、5部門に分類し直し、Life Sciences の2部門(Nutrition and Pharma)Materials Sciences 中のPerformance Materials を中心としていくことを決めた。
これらが同社が市場で大きな地位を占め、同社の経験と技術を活用できる分野である。
具体的には
White BiotechPersonalized NutritionBiomedicalSpecialty Packaging を上げている。

なお、Fibre Intermediates Industrial Chemicals に属していたが、Engineering PlasticsPerformance Materials)の原料であるため、新しい Polymer Intermediates に帰属させる。.

処分対象としては以下の製品群をVision 2010 期間中に処分し、新しいオーナーの下で成長することを期待している。

                               2007Sales
Melamine / Urea / Fertilizers / Energy ~EUR 700 million
Elastomers ~EUR 500 million
Special Products ~EUR 100 million
Maleic anhydride including derivatives ~EUR 75 million

新しい目標は以下の通り。

Vision 2010 Original Target New Target
Organic sales growth 3-5% >5%
Cluster EBITDA margins
- Nutrition
- Pharma
- Performance Materials
- Polymer Intermediates

>18%

>18%
>16%
 -

>18%
>19%
>17%
>13% (average)
Growth from innovation EUR 1 billion by 2010 EUR 1 billion by 2010
Growth in China USD 1 billion by 2010 USD 1.5 billion by 2010
Specialty profile 50-60% Towards 60%

 

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Boyuan United Chemical (博源聯合化工)は910日、内蒙古自治区のオルドス市で天然ガスを原料とする100万トンのメタノール計画の竣工式を行なった。

2004年9月に建設を開始したもので、投資額は2億ドル。
40万トンと60万トンの2系列で、原料天然ガスはオルドス盆地の
CNPC Sulige ガス田から120kmのパイプラインで供給される。

国家発展改革委員会(NDRC)は8月30日から新しい天然ガス活用政策を適用し、限られた天然ガスの消費を最適化し、省エネを推進することを狙い、天然ガスベースのメタノールを禁止した。

しかし、これは稼動中のものや建設完了のもの、ガスの供給契約を締結済みの建設中のものについては除外される。同社は既に天然ガスの長期供給契約を締結しているため、この新政策は適用されない。

2007/9/7 四川-上海の天然ガスパイプライン「川気東送プロジェクト」工事開始  文末参照

Boyuan United は内蒙古のYuanxing Energy(遠興エナジー)が 51.2%、米国のSigma Investment が33.8%、内蒙古のBoyuan Investment Group (博源投資)が15%出資する合弁会社。

Yuanxing Energy の別の子会社 Sulige Natural Gas Chemical は現在、オルドスに18万トンのメタノール工場を持ち、さらに同地に15万トンプラントを建設中である。

ーーー

石炭と天然ガスが豊富なオルドス市ではこれを含めて6計画合計960万トンのメタノール計画が進行中で、中国最大のメタノール生産基地となる。
オルドス近辺の石炭埋蔵量は1,496億トンで、内蒙古自治区のそれの半分、中国全体の1/6を占めている。

最大のメタノール計画は20068に設立された合弁会社で、メタノール能力は420万トン、2010年のスタートを目指している。

出資は次の5社
国営の中国中煤能源集団公司(ChinaCoal  32.5%
SINOPEC  32.5%
Shenergy Group 申能集団有限公司:上海市の電力・ガス供給会社)  12.5%
Yintai Investment (銀泰)  12.5%
内蒙古 Manshi Coal Group滿世  10%

計画では内蒙古のオルドスで年間20百万トンの石炭採掘を行い、420万トンのメタノール、300万トンのDMEを生産、135MWx2基の発電所を建設する。投資額は26億米ドル。

内蒙古のオルドスから河北省の港湾都市の唐山市(天津市の東)までの長距離パイプラインを設置し、
DMEをエネルギーが不足する中国東部及び南部へ輸送する。

このほか、Ordosで進行中の計画には次のものがある。

河北省 新奥集団XinAo Group

第1期 2007年末までにメタノール(600千トン)とDMT(400千トン)
第2期 2010年までにメタノール 1,800千トン

2006/8/12 世界銀行、中国のクリーンエネルギー事業に融資 

山東省 久泰化工(Jiutai Chemical

JV名:久泰能源(内蒙古)社(Jiutai Energy)
出資比率:久泰化工69%
/米国Rockefeller & Co.31%
能力:メタノール(150万トン)、DME(100万トン)
技術:石炭ガス法(シェブロン・テキサコ法)

参考 2006/6/23 中国の石炭化学 

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なお、新奥集団(XinAo Group)は江蘇省張家港市で20万トンのDMEを建設中(第二期として100万トンに拡張)だが、これに世界最大のメタノール会社のカナダのMethanex 540万ドルを投じ20%の持分を取得した。

原料メタノールはMethanex が輸入する。第1期用に年間30万トンのメタノールを供給する。張家港は揚子江に近く、物流面で有利である。

Methanex ではこのDMEへの最初の投資を通じてDME業界の知識を深め、中国や世界各国で今後の拡大を検討するのに役立てたいとしている。

Methanex については2006/12/27 三菱ガス化学、ベネズエラのメタノール合弁増設 文末参照 

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7月の日本の住宅着工件数が大きく減少した。
8月は更に減少した。63,076戸で、前年同月比 43.3%減である。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは改正建築基準法の施行によるものである。

2005年に発覚した構造計算書偽装問題(姉歯事件、耐震偽装)を受けて、2006年に成立した改正建築基準法が本年6月20日に施行された。
この日以降建築確認申請は滞ったままの異常な状態が続いている。

構造計算書偽装問題が起きた主な原因は、
・一部の建築設計士とマンション販売会社の職業倫理の欠如、
・国交省が改竄可能な構造計算プログラムを認定したこと、
・確認申請のチェック体制の制度上の不備、などであるといわれている。

改正の主なポイントは以下の通り。

1) 「構造計算適合性判定制度」の導入

一定の高さ以上等の建築物(高さ20mを超える鉄筋コンクリート造の建築物など)については、第三者機関による構造審査(ピアチェック)が義務付けられることになった。

2)確認申請に関する補正慣行の廃止

従来は、設計図書に関係法令に適合しない箇所や、不適合な箇所がある場合には、建築主事等が申請者にその旨を連絡し、補正させた上で確認するという慣行があった。

しかし、法改正に伴って、誤記や記載漏れなどを除き、図書に差し替えや訂正がある場合には補正が認められず、再申請が必要となった。再度申請を出し直す時間と申請料が別途発生する。

3)着工後の計画変更

建設が始まってからの変更は、軽微な変更を除き、原則として計画変更申請が必要となる。

従来補正で対応していた部分も、このような変更が生じた場合は、一旦工事をとめて申請を行う必要があり、構造的な変更があれば、再度ピアチェックが必要になる。

 

建築確認を受けないと着工できないため、着工件数の急減につながっている。これまで1カ月で建築確認がおりていたが、法改正後は3カ月程度必要との見方もある。

たださえ住宅着工件数の減少でPVC需要が減少しているが、これにより更なる需要減少のおそれがある。
PVCの需要は着工後、数ヵ月後に発生するが、需要家側で前以って発注を減らす可能性がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、米国の8月の住宅着工件数は年換算 1,331千戸と下落を続けている。1-8月平均は1,434千戸となった。

米国のサブプライム問題の影響は更に広まっている。

Ninja ローンとも呼ばれ、No Income, No Job, (No) Asset の人にさえも貸すローンで、最初の数年は低金利だが、その後は利率が急騰する。ローン返済が出来なくても、(バブルで住宅価格は上昇を続けるため)取り上げた担保を売却すればよいという前提のローンである。

バブル崩壊で住宅の価値が下がり、目論見が外れた。
ローンは証券化され、ばら撒かれているため、影響が世界中にひろまった。

FRBのバーナンキ議長は7月中旬の議会証言で、これによる金融機関の損失が500億-1,000億ドルに達するとの試算があると指摘した。

2007/8/19 サブプライムローン問題の波紋 

国際通貨基金(IMF)は9月24日、国際金融の安定性に関する報告書を発表したが、サブブライム問題の余波が少なくとも来年まで続くと指摘し、損失の計算は前提次第で大きく異なるとしながらも、1,700億ドルと 2,000億ドルという2種類の試算を提示した。
(バーナンキ議長も 9月20日に、「世界の金融機関の損失は最も悲観的な予測をはるかに上回った」と述べた。)

サブプライムローンの残高は1兆3千億ドルとされており、それで済まない恐れもある。

8月の中古住宅販売件数は前年同月比12.8%減で、5年ぶり低水準となった。
米国の住宅の不振はまだ続きそうだ。

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