2009年3月アーカイブ

2月度住宅着工件数

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国土交通省は3月31日、2月度の住宅着工件数を発表した。

2月度の着工件数は62,303戸で、前年2月(82,962戸)と比べ 24.9%の減となった。

改正建築基準法の施行(20076月20日)により2007年7月以降の住宅着工は激減した。
その後も前年比のダウンは続き、2008年7月になって、ようやく、前年を上回った。
しかし、2008年12月には再び前年比ダウンとなり、本年に入っても下降が続いている。


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公正取引委員会は3月30日、架橋高発泡ポリエチレンシートの製造販売業者に対し、排除措置命令と課徴金納付命令を出した。

http://www.jftc.go.jp/pressrelease/09.march/090330.pdf

違反事業者 排除措
置命令
課徴金納付命令
古河電気工業  ○   7億9,313万円
日立化成工業  ○   1億6,537万円
東レペフ加工品  ○   1億 585万円
東レ  ○     -
積水化学工業  -    -
合 計  4社  10億6,435万円

架橋高発泡ポリエチレンシートは、ポリエチレン樹脂,エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂等のポリエチレン系樹脂を原材料とする発泡シートのうち、架橋処理を施し、高倍率で発泡させたもので、断熱性、防水性等に優れているため、長尺屋根等の建築資材・土木資材、パイプカバー、冷蔵庫断熱材等の保温材・断熱材、水泳用ビート板、風呂マット等のスポーツ用品・雑貨などに、幅広く用いられている。

古河電工、日立化成、東レペフ加工品、積水化学の4社及び東レペフ加工品の親会社の東レは、共同して価格の引き上げを決定し、競争を実質的に制限していた。

公取委は2008年7月に各社に立ち入り検査を行った。

日立化成と東レペフ加工品は立ち入り検査後の申告で課徴金の30%減免を受けた。

積水化学に対し排除命令、課徴金納付命令が出ていないのは、同社が自主申告したためと思われる。

同社は2007年6月にガス用ポリエチレン管・継手の価格カルテルで排除措置及び課徴金納付命令(1億2464万円)を、2009年2月に塩化ビニル管及び同継手カルテルで排除措置命令及び課徴金納付命令(79億6532万円)を受けている。

ーーー

古河電工は、電線の被覆材の技術を応用し、数々の発泡製品(化学架橋発泡ポリエチレン、電子線架橋発泡ポリエチレン、無機質高充填フォーム)を製造している。

東レペフ加工品は東レの100%子会社で、1980年に“トーレペフ”(電子線架橋による半硬質・独立気泡の長尺シート状発泡体)の製造のため設立された。

2002年に東レから工業材料用ペフ営業部を移管した。(東レには自動車材料事業部にペフ販売課が残っている)
(東レは当該品の販売は行っていないが、値上げ協議には参加したとして、排除命令を受けた。)

東レペフ加工品の現在の事業内容は断熱・保温製品事業と介護、福祉、健康関連製品事業(人口畳、健康サポーターの生産販売)となっている。

ーーー

古河電工は以下の発表を行った。

当社および社会に及ぼす影響の大きさを考慮し、経営として深い反省を込め、次のとおり役員報酬の一部返上を行うことといたしました。
 代表取締役会長: 石原 廣司 10% (2 ヶ月)
 代表取締役社長: 吉田 政雄 10% (2 ヶ月)

尚、関係者については、社内規則に基づく厳正な処分を行う予定です。

日立化成は以下の通り発表

本件を厳粛に受け止め、コンプライアンス体制の整備と社員への遵法教育をさらに徹底し、事件の再発防止と会社の信頼回復に努めてまいります。

今後の対応
  排除措置命令等の内容を慎重に検討し、適切に対応を決定する予定です。

 


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財務省が3月30日に集計した2月の主要品目の輸入通関によると、ナフサの加重平均価格は23,717円/kl となり、1月比で2,255円/kl の値上りとなった。

    1 2 3
数量   1,380,574 1,239,550   2,620,124
金額   29,629,959 29,397,833   59,027,792
  21,462 23,717   22,529

1-2月の平均輸入価格 22,529円/kl を基にした国産ナフサ基準価格は24,500円/kl となる。

  輸入平均 基準価格     修正後
輸入平均 基準価格
08/7  81,933      
08/8  86,801      
08/9  82,708      
3Q平均  83,820  85,800    
08/10  67,110    66,923  
08/11  48,593    48,456  
08/12  29,780    29,780  
4Q平均  50,162  52,200  50,047  52,000
09/1  21,462      
09/2  23,717      
09/3        
1Q平均  22,529  24,500    

基準価格は平均輸入価格に諸掛 2,000円/kl を加算(10円の桁を四捨五入)

なお、2009年3月に、2008年10月と11月の輸入統計が修正された。


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中国海洋石油(CNOOC)が広東省恵州市大亜湾で建設していた製油所が試運転を開始した。

CNOOCとしては最初の製油所で、総投資額170億人民元、能力は年12百万トン(日量25万バレル)で、原油はCNOOCの渤海湾の蓬莱油田(Penglai offshore field )から持ち込む。

2004年に政府から認可を取り、2005年12月に建設を開始した。当初は2008年上半期に操業開始の予定であったが、経済情勢から延期されていた。

CNOOCによると、正常操業に入るのに1ヵ月半程度かかる。また、市場の情勢がよくないため、正常操業後も当面は70~80%の操業を予定している。

製品は年産150万トンのナフサ、80万トンのPX、730万トンの高品質ガソリン、ディーゼル、灯油で、ナフサは隣接する中海シェル石油化学に送られ、他は広東省で販売される。

中海シェル石油化学のエチレン能力は年80万トンで、CNOOCの製油所からのナフサが供給されるまでの間はイランやカタールから輸入のコンデンセートを原料としていた。
(なお、中海シェル石油化学のエチレンは110万トンへの増設の認可を得ており、2010年に完成の予定)

CNOOCでは2011年までに製油所の能力を12百万トンから20百万トンに増強する考えで、現在FSを行っている。また、新しく年産100万トンのエチレン建設も考えているとされるが、中海シェル石油化学との関係など、今のところはっきりしていない。

ーーー

CNOOCはペトロチャイナ、シノペックに次ぐ第三の国営石油・天然ガス企業グループで、石油および天然ガスの探査、採掘、開発が事業の中心である。

中国は第2次オイルショック後の原油価格高騰のため、自国領海付近の大陸棚での海上油田開発に期待をかけていたが、外資に対し海上油田開発を開放した。
この際、 海外企業のパートナーとして共同で開発を行い、海上石油採掘事業に関する中国側の責任を負うためにCNOOCが設立された。
こうした経緯から、CNOOCは中国沖合での石油資源開発に関して独占的な地位を得ていたが、最近ペトロチャイナとシノペックが参入する許可を政府から得ている。

組織としては、国営石油会社である中国海洋石油総公司(CNOOC)と、その子会社でニューヨークと香港に上場する中国海洋石油有限公司(CNOOC Ltd.)がある。
前者は後者に対し、70.6%を保有している。

中国国内の主な生産地は渤海沿岸、Eastern South China Sea(珠江河口沖合)、Western South China Sea(海南島周辺)となっている。

2005年6月、CNOOCはアメリカの石油会社Unocal 買収を図ったが、米国議会が米国の安全を損なうとして反対したため、諦めた。

同社はEast China Sea の日中中間線付近にある春暁ガス田(日本名:白樺ガス田)の開発を行っている。

2008/6/20 日中、ガス田開発合意 

同社の開発実績は次の通り。

2008年3Q時点の生産量
  Crude
Oil (b/d)
Natural 
Gas
(mmcf/d)
Bohai Bay 224,280    75
Western South China Sea 67,315   305
Eastern South China Sea 115,158    25
East China Sea    960    18
Overseas インドネシアほか 23,016   255
Total 430,729   679
Total boe/d (原油換算)    549,589

CNOOCは石油精製、石油化学進出を目指し、シェルと大亜湾での石油精製・石油化学JVを計画したが、当初NDRCは石油化学計画だけを認可した。このためShell が50%、CNOOCほかが50%の中海シェル石油化学を設立し、エチレンコンプレックスの建設を行った。

2006/4/7 中国のエチレン合弁会社ー2

その後、NDRCは製油所についても認可したが、諸般の事情でシェルはこれに参加せず、CNOOCの単独事業となった。 


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米国際貿易委員会International Trade CommissionITC)は312、アンチダンピング課税が5年経過し、昨年6月からレビューしていた中国、日本、韓国原産のポリビニルアルコール(PVA)について課税の延長を決めた。
  * 5年後とのレビューを sunset review と称する。

6人の委員のうち、5人が延長に賛成、1人は韓国については反対で中国、日本については賛成した。

200365日、ITCは日本原産のPVAに関して、fair value 以下で販売されており、米国産業が著しく被害を受けていると認め、ダンピング課税を決めた。同時に審議したドイツ製品についてはfair value 以下で販売されているが、米国産業は著しい被害を受けておらず、その恐れもないと認めた。

商務省は20034月に、電気化学、日本酢ビ・ポバール、クラレ、日本合成化学にいずれも144.16%(その他が76.78%)のダンピングマージンを決めている。

ーーー

ITCは昨年1月、日本及び韓国原産のグリシンに関しては、fair value 以下で販売されているが、米国産業は著しい被害を受けておらず、その恐れもないとし、ダンピング課税を行わないことを決めている。

 <p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p>調査は2007年4月に開始され、商務省は日本と韓国に対して「ダンピングあり」とのクロ判定の最終決定を公告し、日本に対するダンピングマージンは8社(昭和電工、有機合成、林純薬工業、CBC、セイノーロジックス、エスティローダー、キレスト、Nu-Scaan Nutraceuticals) とも280.57%(その他は165.34%)と決めていた。

米国の調査手続きは、ITCが損害について、商務省が調査開始手続・ダンピング・補助金について担当しており、ITCによる被害なしの決定で、商務省の決定は取り消される。

中国からのグリシンに対しては、1995年からアンチダンピング措置を発動しており、2005年11月にはサンセットレビューの結果、5年間の措置継続を決定している。

ーーー

化学製品に関する米国の対日アンチダンピング措置は以下の通り。    

  課税開始  延長1回目 延長2回目
ポリクロロプレン・ラバー 1973/12 1999/8 2005/8
フッ素樹脂 1988/8 2000/1 2005/12 
PVA 2003/7 2009/3  

ーーー

米国はダンピング・マージンの計算に際し、輸出価格が正常価格よりも高い場合(=ダンピング・マージンがマイナス)の価格差を「マイナス」ではなく「ゼロ」とみなすことで税率を不当に高くするゼロイング手法を用い、問題となっている。

<p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p>

例 正常価格 100、輸出価格がAが80(ダンピングマージン 20)、Bが125(同 -25)、Cが150(同 -50)の場合(いずれも同数量とする)

通常の計算 〔(20)+(-25)+(-50)〕/(80+125+150) = (-15.5%) → ダンピングなし
  ↓
ゼロイング  〔20+
0+0〕/(80+125+150) = 5.6% → ダンピングあり

<p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p>

日本はWTO上級委員会に上訴、2007年1月の上級委員会報告書でゼロイングがWTO協定違反であると認定された。
しかし、その後の米側の対応が不十分だとして2008年4月に再提訴、「履行パネル」が設置された。

複数の通商外交筋が2月9日明らかにしたところでは、WTO紛争処理小委員会(パネル)は、日本側の主張を大筋で認める中間報告をまとめ両国に通知した。

EUもこれを訴えていたが、本年24WTO上級委員会はEU側の訴えをほぼ全面的に認める最終報告を発表した。 


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韓国とEUは3月24日、自動車・ワイン・豚肉の関税など自由貿易協定(FTA)交渉の中核争点について合意し、1年10カ月間かけて行われた交渉が事実上妥結した。

双方は、G20首脳会議(金融サミット)が開かれる4月2日にロンドンで通商相会談を開き、関税引き下げ・原産地決定基準・農産物関税撤廃といった残りの争点を最終的に妥結する見通しだ。

但し、難しい問題が残っており、妥結を100%保障するのは難しいとの見方もある。

予定通り来年発効すれば、北米自由貿易協定(GDP合計 16兆3000億ドル)をしのぐ世界最大の韓国・EU経済圏(GDP 17兆8700億ドル)が形成されることになる。

双方は、相手地域で生産した自動車・冷蔵庫・カラーTVなど工業品に対しFTA発効5年以内に全関税を撤廃すると基本合意した。
EUの関税は、自動車で10%、テレビで14%と高率で、関税撤廃による韓国企業の輸出拡大が予想される。
見返りとして、農業品などの関税撤廃についても大部分は合意した。

工業製品関税については、原則 5年間で関税を完全撤廃。
  自動車部品は協定発効と同時に関税を撤廃、
  中大型乗用車は3年、小型自動車は5年内に撤廃
韓国は例外として40余りのセンシティブ品目について7年内の関税撤廃。
 (関税率が16%のその他機械類、純毛織物など)

EU産ワインは、直ちに撤廃
EU産豚肉に対する関税は、冷蔵肉全体とバラ肉冷凍肉は10年以内に、その他の部位の冷凍肉は5年以内に撤廃。
但し、韓国のコメ市場は開放しない。トウガラシ、ニンニク、タマネギも「主要調味料」として関税を据え置く。

残った争点は、「関税の払い戻し」と「原産地表示」。

韓国は中国などから部品を輸入し完成品を輸出する場合、部品輸入については関税を払い戻している。
EU側は韓国・EU間FTAの利益が第三国に向かいかねないとして、これに反対している。
韓国政府はFTA交渉初期から、関税還付問題は決して譲れないとの姿勢。

相手地域で生産された付加価値の水準に従って産地を決定する「原産地表示」の問題もまだ合意に至ってない。

現在、EU産農産物のうち輸入トップは「冷凍豚肉」だが、FTA妥結以降、韓国市場シェアをさらに拡大する可能性が高い。
ワインもEUの対韓主要輸出品目で、EU産チーズも消費が増えるとみられる。

ーーー

韓国とEUのFTAが妥結すれば、行き詰まっている韓米FTAの批准にも新たな突破口を作ることができると見られる。
韓米FTAは2007年4月2日に妥結したが、まだ批准されていない。

2007/4/4 米韓FTA妥結

韓国は以下のFTAを締結している。
   韓国・チリFTA(2004年4月1日発効)
   韓国・シンガポールFTA(2006年3月2日発効)
   韓国・EFTA FTA (2006年9月1日発効)   (アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン)
   韓国・ASEAN FTA(商品貿易 2007年6月1日発効)(サービス貿易 2007年11月21日署名)
   韓国・米国FTA交渉妥結(2007年4月2日) 
未発効

交渉中は以下の通り。
   日本・韓国FTA
   韓国・ASEAN FTA(投資分野)
   韓国・カナダFTA
   韓国・インドCEPA
   韓国・メキシコFTA

本年3月、サウジアラビアなど6産油国の湾岸協力会議(GCC)との交渉を本格化した。また、オーストラリア、ニュージーランドともFTA交渉開始で合意している。
   

ーーー

なお、日本の場合は、発効しているFTAは以下の通り。
   
シンガポール
   メキシコ
   マレーシア
   チリ
   タイ
   インドネシア
   ブルネイ
   ASEAN

http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/index.htm#epa

2002年10月の「日本のFTA戦略」では戦略的優先順位を以下の通りとしている。

日本は東アジア、北米、欧州の3地域を主要パートナーとしており、この3地域が日本貿易の8割を占めているが、先進国同士の関係にある北米、欧州に比べ、東アジアとのFTAが更なる自由化を通じ最も大きな追加的利益を生み出す。

日本産品は最も貿易額の多い東アジア地域において最も高い関税を課されている。
NAFTA及びEUとのFTA締結により、日本企業が相対的に高い関税を支払わされている
メキシコについても早急な対応が求められる。

北米・EUについて、これらとのFTAは、農林水産物の扱い等、相当困難な課題。

韓国と米国・EUとのFTAが発効すれば、日本企業への影響は大きい。


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田辺三菱製薬は3月24日、連結子会社のバイファと共同開発し、バイファが製造、田辺三菱製薬が販売している遺伝子組換え人血清アルブミン製剤で試験データの差し替えが行われていた事実が判明したため、製造販売承認を取下げ、自主回収を行うと発表した。

バイファは1996年に遺伝子組換えアルブミンの開発・製造のため、ミドリ十字の100%子会社として設立され、2001年にニッショー(現ニプロ)が 49%出資した。

問題となったのは、献血による人の血液からつくられるアルブミン製剤の代替として開発された遺伝子組換え人血清アルブミン製剤「メドウェイ注5%」で、2007年10月に製造販売承認を取得、2008年5月より販売している。違反が確認されていない「メドウェイ注25%」についても、同一製造所で同一時期に実生産バリデーションが実施された製剤でもあり、自主回収の措置をとる。

昨年末にバイファ社より、承認事項一部変更承認申請について、試験データの差し替え行為に関する報告があり、調べたところ、薬の安定性を保つ成分の含有量試験の数値が測定の不手際で正しく出なかったにもかかわらず、問題がないように装っていたことが分かった。

これを契機にその他の試験項目も含めて詳細な調査を行った結果、製造販売承認取得に係る医薬品GMP調査のため、実際に製造して検証する際に、試験データの差し替えが行われていた事実が判明したもの。

2005~07年に実施したラットの実験で、5回にわたりアレルギー抗体反応で一部陽性が出たデータを、すべて陰性のデータに差し替えていた。

捏造はそれぞれ別の職員が行い、職員は「上司の品質管理責任者の指示だった」と話しているという。

昨年5月に発売以降、約800人に使用された。厚生労働省で会見した小峰副社長は「出荷時には改めてアレルギー検査をしており、品質に問題なく健康被害もない。生産体制の監視を徹底し、製造再開を目指したい」と話した。

厚生労働省は今後、立ち入り検査するなどし、厳正に対応するとしている。

ーーー

アルブミンは、成人の場合アミノ酸を原料として肝臓で一日に6g~12g作られ、血液中に入る。
血漿タンパクの中で、血管内に水を保持する働きがあり、血管中の血液量や体内での水分の量を調整(血液の浸透圧の維持)している。血液中のアルブミンが低下すると、血管内の血液の量が少なくなったり、血管外(お腹や肺など)に水が溜まったりする。

また、アルブミンは脂肪酸やホルモン、薬物など様々な物質と結合して、必要な部位にこれらを運搬する働きもしている。

アルブミン製剤は、
(1)出血性ショックなどに対して血漿膠質浸透圧を維持して循環血漿量を確保すること、
(2)体腔内液や組織間液を血管内に移行させることで治療抵抗性の重度の浮腫を治療すること
を目的に使用される。

従来のアルブミン製剤は、ヒトの血漿を原料としており、日本ではその半数を海外からの輸入に頼っていた。
国内では、日本赤十字社が献血で集めた血液を原料に生産しているが、献血量が減少しているため、将来的な安定供給が危ぶまれている。また、現在の処理技術では、未知のウイルス等の感染の可能性を完全に否定できないなど、安全性確保の面でも問題が残されている。

「メドウェイ」は、人血漿を用いず、遺伝子組換え技術を使ってピキア酵母(Pichia pastoris)で産生、精製した製剤。
製造工程でウイルスやプリオン等の感染性物質混入の恐れある動物由来原料を使っていないため、感染リスクが少ないというメリットがある。

特長として、以下の通り説明している。
1) 遺伝子組換え技術を用い大量製造を可能とした人血清アルブミン製剤です。
2) 構造・組成、物理的化学的性質等に関して血漿由来人血清アルブミン製剤との間に差が認められず、同等です。
3) 製造過程においてウイルス、プリオン等の感染性物質混入のおそれがある動物由来材料を使用していません。
4) 肝硬変による腹水患者を対象とした血漿由来人血清アルブミン製剤との比較試験の結果、血清アルブミン濃度の上昇値について同等性が検証されました。

厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は2007年7月、この製剤の承認を了承した。

遺伝子組換えのアルブミン製剤は海外では医薬品添加物用途で販売している国があるが、医薬品として承認するのは世界で初めて。


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PetroChina とベネズエラの国営石油公社PDVSA は3月12日、広東省掲陽(Jieyang)市惠来(Huilai)で大規模製油所を建設する戦略的協力契約を締結した。

投資額81億ドル、能力は年20百万トンで、原料の重質原油はPDVSAがベネズエラから供給する。
両社のJVで、PetroChina が少なくとも51%を出資する。

現在FSを実施中で、2010年前半にNDRCの認可を受け、2013年に完成させる予定。

業界筋によると、PetroChina は製油所能力を将来20百万トンから50百万トンに増強するとともに、年産100万トンのエチレンを建設し、惠来を
、シノペックの浙江省寧波市鎮海(20百万トンの製油所、100万トンのエチレン)のような、PetroChina の重要な石油化学基地にすることを考えている。

惠来は恵州市大亜湾の東にある。


大亜湾にはシェルと中国海洋石油(CNOOC)のJVの中海シェル石油化学(
エチレン80万トン、110万トンへの増強計画あり)があり、CNOOCの12百万トン(20百万トンへの増強計画あり)の製油所がまもなくスタートする。

ーーー

ベネズエラは石油と交換に開発資金を得ようとし、また米国依存からの脱却を目指し、中国やロシアとの関係を強化している。

ベネズエラは315日(OPEC総会時)に、ロシアとの間でオリノコ川流域のフニン6区画の石油の共同探査・採掘に関して合意した。
ガスプロム、
TNK-BP、ルクオイル、スルグトネフチェガスのコンソーシアムが、PDVSA と合弁企業を設立する。
事業規模は
60億ドルで、採掘量は日量20万バレルとなる見込み。

チャベス大統領は2月17日、同国を訪問した中国の習近平国家副主席や企業家らとの会合で、「ベネズエラの石油は中国のお役に立つ。今後200年にわたって中国が必要とするすべての石油がここ、ベネズエラにある」と述べた。

ベネズエラは現在、日量30万バレルの石油を中国に輸出しているが、2012年までに日量100万バレルに増やすという。


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中国商務部は3月18日、公告22号を出し、米コカ・コーラによる中国最大の果汁メーカー、中国匯源果汁集団(China Huiyuan Juice Group Limited)の買収を認めないと発表した。

昨年8月に施行された中国の独占禁止法で初めての不認可となった。

中国は海外の合併ケースについて、ベルギーのビール会社
InBev による Anheuser Busch 買収を、中国のビール会社への出資を制限する条件付きで承認している。   2008/12/1 中国の独禁法、初の海外での合併ケース

コカ・コーラは1979年に中国市場に復帰して以降、Coca-ColaSpriteFanta などの炭酸飲料を販売、最近はMinute Maid PulpyOriginal Leaf Tea などの無炭酸飲料の販売も始めている。

中国匯源果汁集団は1996設立の中国最大のジュースメーカー。

コカ・コーラは匯源のジュースが成功しており、同社と補完関係にあるとし、買収を決め、匯源も賛成した。買収額は24億ドル。

コカ・コーラは中国のソーダ市場において2008年に52.5%のシェア(数量ベース)を占めており、ペプシが33%となっている。
果物や野菜ジュースではコカ・コーラは
12%のシェア、匯源は8.5%のシェアで、買収が成功すれば、この分野でもシェアは大きくなる。

コカ・コーラとペプシは途上国で競争でジュースや乳製品のブランドを買いあさっている。
ペプシは昨年、ロシア最大のジュース
メーカーのOAO Lebedyansky の株式の75.5%14億ドルで買収、残りも買おうとしている。

 

今回、商務部は買収の不承認について、以下の通り述べている。

関係法令に基づき調査した結果、本取引は市場での競争を阻害することが判明した。

<p><p><p>HTML clipboard</p></p></p>

買収後に、コカ・コーラは炭酸飲料市場での支配的な地位を利用して、 ジュース飲料の抱き合わせ販売やセット販売を行ったり、排他的な取引条件を設定したりして、ジュース飲料市場の競争を大幅に制限し、消費者に少ない種類の中 から高い商品を選ぶことを余儀なくさせる。

この分野ではブランドが重要であるが、コカ・コーラは匯源社の「美汁源果粒橙」と「匯源果汁」という有名ブランドを押さえ、炭酸飲料での支配力と合わせ、潜在的競争者の参入を妨げる。

買収は国内の中小ジュースメーカーの生存を脅かし、中国ジュース飲料市場の競争局面にマイナス影響を与える。

この買収が競争に与えるマイナス影響を軽減するため、商務部の要請によりコカ・コーラは修正プランを提出したが、修正プランではマイナス影響を効果的に軽減することはできないと判断した。

 

コカ・コーラは318日、この決定を受け、買収をとりやめた。「失望したが、商務部の決定を尊重する」としている。

同社では長期的に中国市場を重視しており、これまでに16億ドルを中国に投じているが、新工場建設や流通網整備、研究開発等に今後3年間で20億ドルを投じるとしている。
36日に上海で90百万ドルをかけ、Global Technology and Innovation Centre を開設した。

この決定に対しては、買収後のジュースのシェアは25%以下のため、おかしいとの意見も出ている。

ブログには、中国で買収をしようとすると、①政府が関心を持たない中小企業、②大企業の場合は赤字で苦しみ、外国資本がそれを再生させる場合、又は③マジョリティでない場合で、かつ、技術移転や海外市場進出などのメリットがある場合、に限られてしまうとのコメントも出ている。

商務部の報道官は新華社通信に対し、決して保護主義によるものではないと反論している。外資導入方針には変わりはなく、今回の決定はあくまで事実に基づき、十分に調査した結果で、目的は市場での競争を維持し、消費者を保護し、公共の利益を守ることにあるとしている。

ーーー

中国の反壟断法(独占禁止法)は昨年81日に施行された。

2008/8/4 中国、独占禁止法施行

独占禁止委員会が国務院に設置されたが、この職責は競争関連政策の研究・制定、独占禁止ガイドラインなどの制定、競争状況の調査などで、執行はしない。

独禁法の執行は3機関が分担して行うこととなっている。
 発展改革委員会:価格独占行為の調査・処分を担当
 商務部:事業者結合行為に対する独占禁止審査
 工商総局:独占協定、市場支配的地位の濫用、行政権力を濫用した競争の排除・制限に対する執行(価格独占を除く)

今回のような事業買収は商務部の担当となっている。


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クウェート国営石油(KNPC)は3月20日、150億ドル規模のアルズール製油所建設プロジェクトを中止したと正式に発表した。
閣議の決定によるもので、既に関係企業に通知した。
<p><p>HTML clipboard</p></p>
日揮は21日、同国から発注取り消しの通知を受けたことを明らかにした。韓国各企業もこれを認めている。

計画は国内の電力需要増加に対応すべく、クウェート市の南85kmの Al-Zour 地区に日産615千バレルの製油所を建設するもので、当初予算は63億ドルであったが、現在の予算は150億ドルに膨れ上がっている。20125稼動を予定していた。 

クウェートの原油生産量は現在、日産 255バレルで、3つの製油所に合計 930千バレルの精製能力を持っており、本計画の完成後は、200千バレルのShuaiba 製油所を停止する予定だった。

KNPCは工事を5つに分け、そのうち4つを日韓の企業に、用役・付随設備をFluorに発注していた。

パッケージ 発注先 予算
原油蒸留設備(日産 205千トンx 3基)、
常圧残渣油脱硫装置
(日産 330バレル)など
日揮及び韓国 GS エンジニアリング 40億ドル
水素設備 韓国 SKエンジニアリング 20億ドル
用役、付随設備 Fluor 21億ドル
タンク 韓国 大林産業 11.84億ドル
海上設備 韓国 現代エンジニアリング 11.2億ドル

日揮は昨年5月13日、韓国のGS Engineering & Construction社と共同でKNPCから、常圧蒸留装置、常圧残渣油脱硫装置など製油所の中核設備を含むパッケージ1の発注内示書を受領したと発表した。
約40億米ドルのうち日揮受注分は2,000億円以上で、同社は常圧残渣油脱硫装置、残渣油冷却設備、オフガス回収設備などを担当する。

2008/5/22 中東で2つの大型製油所計画

ーーー

この問題の根は深い。

クウェートは1961年の独立後、1962年に近代憲法が制定され、翌1963年に初の国民議会議員選挙により国民議会が開催された。
議会と政府の対立が深刻化、1976年から5年間と1986年から6年間の2回停止されている。

1992年の議会再開後も、首長一族がおさえる政府と反対派が牛耳る議会の対立は続き、2008年3月に首長が議会を解散し、5月に議会選挙を実施した。

議会はイスラム派が中心で、議員の一部は資源の国有化を主張、ダウなどとの外資との共同事業を進める親西欧派の政府を批判している。

昨年12月1日、ダウとクウェートの Petrochemicals Industries Co. PIC)は、50/50の合弁会社 K-Dow Petrochemicals の設立契約と付随契約に調印したと発表した。

これに対して、クウェートの国会の会派 Popular Action Bloc の議員が問題視し、反対運動を展開した。

設立契約ではPICは持分取得で75億ドルを支払うこととなっているが、反対派は、グローバルな経営危機により、ダウの市場価値は昨年の510億ドルから170億ドルに下落しており、対象となる K-Dow Petrochemicals の事業の価値も低下しているとし、この取引は国の資金の浪費であると主張する。

アルズール製油所建設計画についても取り消しを要求、K-Dow Petrochemicals や新製油所計画のような大規模プロジェクトについては、十分なFSを実施しprofessionalism)、すべての情報を公開(transparency)すべきだと主張した。

「首相を問い詰め、責任を取らす」としており、正式発足の1月1日までに契約を取り消すことを要求した。

昨年12月28日、クウェートの最高石油評議会は、1月1日発足予定の K-Dow Petrochemicals 設立承認を取り消し、ダウに連絡した。

この結果、ダウはPICからの入金で賄うはずであったRohm & Haas 買収で苦悩することとなった。

その後もクウェートの議員はダウが賄賂を払ったのでないかと騒ぎ、クウェート国会は1月27日、ダウJVや製油所建設にからみ、石油会社の役員による不当利得行為やあらゆる形でのコミッションの受取りの疑いについて調査パネルを設置することを決めている。

議会の野党勢力が求めたナセル首相喚問をめぐる対立で、ナセル首相は3月16日、内閣総辞職の意向をサバハ首長に伝え、首長は18日、国民議会(定数50、任期4年)を解散、2カ月以内に総選挙を実施することになった。

ナセル首相が2006年2月に就任して以来、総辞職は4回目で、昨年11月に総辞職し、首長による首相再指名を受け新内閣を発足させたばかりだった。
ナセル首相(
Sheikh Nasser al-Mohammad al-Sabah)はサバハ首長(Emir Sheikh Sabah al-Ahmad al-Sabah)の甥。次期首相は首長の弟のCrown Prince Sheikh Nawaf al-Ahmad al-Sabah が噂されている。

政府と議会の対立が続くのは、経済不況の回復を妨げるのではないかと懸念されている。

 


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2020年までの温室効果ガスの削減目標を話し合う政府の中期目標検討委員会は3月27日、地球温暖化問題に関する懇談会へ削減案を報告する。これを受け、政府は6月までに目標を決定し、その後、国連気候変動枠組み条約締結国会議に方針を示すこととなっている。

検討委員会では、努力継続ケースから各国一律25%削減ケースまで、いろいろの案を検討している。

経済界には進め方を不満とする意見が多い。

2月26日に東大サステイナビリティ学連携研究機構主催でエネルギー持続性フォーラムが開催された。
席上、産業界からは、温暖化対策について、十分な情報公開を行い、企業や家計の負担についても説明し、合意を得るよう努力すべきだとの主張が行われた。

太陽光発電の買取制度についても、経産省には「高額な太陽光発電システムを買えるのは金持ちだけ。なぜ、われわれが負担しなければいけないのか」などの苦情が多数寄せられているという。

   2009/3/3  太陽光発電に関する新たな買取制度の創設へ

各業界、経済団体の連名の意見広告が、3月17日の各紙朝刊に掲載された。

内容は下記の通りで、
・日本は既に世界トップレベルの低炭素社会となっており、裏付けのない過大なCO2削減には国民全体に大変な痛みが伴う。
 (3%削減でも一世帯あたり約105万円の負担)
・日本は世界トップレベルの低炭素社会であることの例示
・主要CO2排出国全ての参加が必須
としている。

これに対し、斉藤鉄夫環境相は3月19日の閣議後の記者会見で、「一方的な意見だ。産業界の低炭素化に向けての本気度が疑われる」と述べ、批判した。
意見広告の一世帯105万円の負担との試算については、環境相は家庭に及ぶ負担は省エネによるコスト削減や温暖化が進んだときの被害を考慮すべきだとし、温暖化対策で新たな市場や雇用が創出されるとの考えも強調した。

意見広告

考えてみませんか? 私たちみんなの負担額。

日本は世界トップレベルの低炭素社会です。
私たちは、世界最高のエネルギー効率をさらに向上させ、
地球規模での排出削減に積極的に取り組む決意です。
一方、社会全体のコスト負担の問題も大切です。

 先頃、日本政府は、京都議定書に続く2013年以降の地球温暖化対策の新たな取り組みに向けたCO2削減の中期的な目標を6月までに決定する事を表明しました。
 私たちは、石油危機以降、家庭も産業も最大限の省エネルギー努力を推進してきました。その結果、日本は既に世界トップレベルの低炭素社会となっています。従って
裏付けのない過大なCO2削減には国民全体に大変な痛みが伴います。
 また、日本がいくらCO2削減努力をしても、主要CO2排出国の参加がなければ地球温暖化問題は解決しません。次期国際枠組みには主要CO2排出国全体での参加が必須です。

3%削減でも一世帯あたり約105万円の負担。

長期エネルギー需給見通し(経済産業省総合資源エネルギー調査会)によれぱ、2020年のエネルギー起源CO2排出量を1990年比で3%削減(2005年比13%削続)*するためには、約52兆円の社会的負担が必要とされています。これは、仮に一世帯あたりにすると約105万円**の負担にあたります。
  * 京都議定書で定められた「1990年比 ▲6%」という目標は、森林吸収源対策や京都メカニズム等が加味された数値であり、
    エネルギー起源CO2に限った値は、約2%(+1.3~+2.3)の増加が目安とされています。
  ** 52兆円を49,063千世帯(平成17年度国勢調査の一般世帯数)で除した値。

日本は世界トップレベルの低炭素社会です。

私たちは、世界最高のエネルギー効率をさらに向上させ、地球規模での排出削減に積極的に取り組む決意です。

主要CO2排出国全ての参加が必須です。

 京都議定書においては、削減義務の無い新興国や離脱した米国からの排出量が著しく増加した結果、削減義務を負う国の排出量は世界の3割に留まっています。この比率は、新興国の経済成長に伴い、今後さらに2割程度にまで低下するとの試算もあり、一層の実効性の低下が懸念されています。
 米国、中国、インド等の主要排出国が参加しないまま、次期枠組みをつくることは、それらの国が無制限な排出を続けることを国際的、制度的に認め、保証することです。これは地球規模の排出削減の観点からすれば全く無意味です。
 また、京都議定書では1990年からの削減率で国際約束がなされましたが、過去の削減努力等は各国で異なり、公平性の観点から基準年の考え方については見直しが必要です。


この広告に対し、世界自然保護基金(WWF)ジャパンは、同広告の説明は国民に誤った印象を与えかねないと危惧し、下記のコメントを出した。 http://www.wwf.or.jp/activity/climate/news/2009/20090317opt.htm  

こうした数字(世帯への負担は105万円)の示し方には3つの大きな問題がある  
  1: 52兆円は2020年まで(約15年間)のコスト
      15年で割れば、1世帯当たりの負担額は年間にして7万円強
  2: 負担は国民の世帯だけにかかるものではない
  3: 52兆円はあくまで一つの試算に過ぎない

日本は「世界トップレベルの低炭素社会」か?
  現状で満足してはいけないことは明らか


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Chemtura 318日、米国の事業に関して Chapter 11 の申請を行ったと発表した。
米国以外の事業は通常の営業を行う。
また、民事再生計画認可までの間の倒産を防ぐため、4億ドルのDIPファイナンスのアレンジをしたことを明らかにした。

DIPDebtor In Possession:占有継続債務者)ファイナンスは一時的な運転資金の手当てのこと。

注文が激減し、資金繰りがつかなくなったもの。

同社はNew York Stock Exchange に上場しているが、株価終値が30日連続して1ドルを切ったため、217日にNYSEから上場基準に触れるとの警告を受けている。6ヶ月で改善されない場合、上場中止となる。

Chemtura は2005年にCrompton とGreat Lakes Chemical が合併して設立された会社で、樹脂添加剤では世界最大のメーカー。ほかに農薬、石油添加剤、ウレタンポリマー等を生産している。農薬は旧Uniroyal の事業。

Crompton 1999年に Crompton & Knowles と塩ビ添加剤メーカーのWitco が合併して出来た会社。
Crompton & KnowlesUniroyalの事業を買収している。

Great Lakes Chemical は水処理剤、家庭用クリーナー、難燃剤、安定剤等のメーカー。

2006/11/14 合成ゴム会社 Lion Copolymer, LLC

 

同社の業績は以下の通り(単位:百万ドル)

  2008 2007 増減
Net sales  3,546  3,747  -201
Operating (loss) profit * -929  59  -988
Net loss  -1,020  -3  -1,017

 2008年のlossには、老朽資産の減損 -986 を含む。

売上高内訳 

  2008 2007 増減
Polymer Additives  1,580  1,806  -226
Performance Specialties  999  911  88
Consumer Products  516  567   -51
Crop Protection  394  352  42
Other  57  111   -54
Total Net Sales  3,546  3,747  -201

 

同社は2007年末に、事業の売却も含めた戦略を検討すると発表した。
2008年5月には
Blackstone Group LP Apollo Management LP が同社の買収について同社と協議していることが明らかにされた。

しかし、同社は20086月末に、事業売却、合併、事業統合等を検討した結果、現状のままで運営し、成長と効率を考えるのが株主の利益になるとの結論に達したと発表している。


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積水化学は3月18日、米国コネチカット州の検査薬事業会社 American Diagnostica Inc.の株式を100%取得すると発表した。
買収額は明らかにされていない。(報道では数十億円)

子会社の積水メディカルの主力の検査薬事業における海外基盤を強化するもので、ADI が保有する製品群と販売網をベースに、北米を中心に検査薬事業の拡大を積極的に展開する。

ADIは社長のRichard Hart が1982年に設立した血液凝固領域を専門とする企業で、癌検査薬の開発を進めており、今後癌領域でも拡大が期待される。2008年6月期の売上高は10.3百万ドル。

買収により、ADIの販売網を活用して積水メディカルの血液凝固領域を中心とした検査薬を北米で販売、逆に積水メディカルの販売網を活用してADIの検査薬を日本、アジアで販売する。
血液凝固領域、癌領域でADIが保有する検査薬と、積水メディカルが保有する検査薬の製品補完により、両領域での競争力を強化する。

買収後もAmerican Diagnostica Inc.の社名を維持する。

ーーー

積水化学のメディカル事業は高機能プラスチックスカンパニーで、IT、自動車関連と並び戦略分野の一つとして、素材技術と海外事業ノウハウを強みに、検査(検査薬、検査用具)、治療(医薬品、治療部材)の領域で事業展開していた。 

2006年10月、積水化学は第一三共の完全子会社の第一製薬の100%子会社、第一化学薬品発行済み全株式を取得し、子会社化した。

第一化学薬品は検査薬、研究用試薬、化学薬品の製造・販売、薬物動態研究を業とし、脂質領域の検査試薬であるHDL及びLDLコレステロール検査薬は世界でもトップシェアを獲得していた。

第一三共は医薬品事業への集中を進め、非医薬品事業のグループ外自立化を目指していたが、第一化学薬品の優れた開発力、生産技術力、営業・マーケティング力と積水の素材技術、海外事業ノウハウを 融合することで大きなシナジーが期待できると考えた積水化学が買収した。

2008年4月に積水化学は高機能プラスチックスカンパニーのメディカル事業部で展開する事業と、買収した第一化学薬品を統合し、第一化学薬品を積水メディカルに改称した。

これに先立ち、2008年1月に積水化学は新生積水メディカルの中期事業ビジョンを発表した。

積水化学グループの「メディカル事業主体会社」として、競争力の高い検査薬事業を中心にグローバルに事業を拡大させ、医療業界におけるプレゼンス向上を図る。

事業方針を、「選択と集中で、際立つグローバル・メディカル・カンパニーを創る」とし、検査・医療の2部門<p>HTML clipboard</p>の4分野に経営資源を集中的に投入するとともに、国内シェアNo.1製品を積極的に海外展開して事業拡大を図る。

部門 分野  
検査 検査薬 生化学、血液凝固、糖尿病、感染症の検査をメイン領域として
臨床検査薬・分析装置の開発、製造、販売を行い、主に病院の検査室や検査センターに提供

(戦略)
・5つの重点領域(生化学、血液凝固、糖尿病、感染症、先端技術)
・ラテックス検査薬の競争力強化(積水の微粒子技術と第一の検査薬開発技術(LTIA法技術)を融合
・海外拠点強化
・生産能力の増強と開発~生産の一体化

検査用具 世界で初めて実用化したプラスチック製真空採血管など、臨床検査用具の開発、製造、販売を行ない、
主に病院の検査室や検査センターに提供

(戦略)
・専用分析装置ラインナップを4機種から8機種に拡充し、小型~大型の分析装置と検査薬を一緒に提供

医療 医薬 医薬品の活性成分である医薬原体(API)、医薬用アミノ酸、医薬中間体の受託製造と、
独自の粘着テープ技術を応用した貼付剤の設計・開発を行ない、主に製薬企業に提供

(戦略)
・キラル合成技術の強化による医薬原体事業の拡大
・海外事業基盤の構築

薬物動態 医薬品開発の研究開発支援として、探索から申請、市販後調査までの各段階において、
薬物動態に関連する各種評価試験を研究機関から受託

(戦略)
・ヒト肝キメラマウスを用いた新規試験受託の本格稼動

選択と集中で、積水化学の医療用部材事業と第一化学薬品の研究用試薬事業を第三者へ承継する。
子会社「セキスイメディカル電子」:
 2009年3月末に解散、歯科技工用機器などの事業は、従業員が中心となって設立する新会社に譲渡
第一化学薬品の研究用試薬事業:
 コスモ石油からMBOで独立したコスモ・バイオその他に譲渡、一部は撤退。
 

2011年度に売上高500億円(積水メディカル単体)、営業利益率18%を目指す。

    2007年度
(見通し)
2011年度
(計画)
売上高 検査部門  205億円  350億円
医療部門  100  150
その他   25  
合計  330  500
営業利益率    11%  18%
新製品比率    12%  20%
海外比率    17%  30%

ーーー

積水化学は2008年7月、カンザス州の薬物動態試験受託企業 XenoTech, LLC. の株式100%を取得すると発表した。

積水メディカルは、薬物動態分野において国内最大手の地位を築いてきたが、さらなる事業成長を目指すには、医療大国である米国への事業展開が必須と考えた。

ゼノテック社は現在の経営者であるパーキンソン博士によって設立されたベンチャー企業で、薬物動態分野における試験受託サービスならびに酵素試薬、肝細胞の試薬販売を行っている。

従業員数 約100名、売上高 14.7百万US$)(2007 年度実績)  

 


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広東省珠江河口にある珠海市担杆島で、太陽エネルギー、風力エネルギー、波浪エネルギーを利用する総合発電所・「三力」発電所が完成し、運転を始めた。3つのエネルギーを総合した発電所は世界初。

担杆(Dangan)島は、面積13.2km2で、珠江の河口に位置している。この島に暮らす約300人の住民は、低効率で高コストなディーゼル発電機による電力を使っていた。

2007年10月12日、中国科学院(CAS)広州能源研究所(Guangzhou Institute of Energy ConversionGIEC)と中国広東省・珠海市の万山海洋開発区(Wanshan Exemplary Marine Development Zone)は、世界初となる風力・波力・太陽光を統合した再生可能エネルギー発電所の建設プロジェクトについて調印を交した。



プロジェクトでは、海洋エネルギーとして潮汐・波浪・海流・海洋温度差・塩分濃度差を利用するとともに、風力及び太陽光のエネルギーも利用。このうち、潮汐・風力及び太陽光エネルギーは実用段階にあるが、他のエネルギーについてはまだ研究・実験段階にある。
プロジェクトでは、3つの不安定なエネルギー源(風力・波力・太陽光)からの電力を島内に安定供給するため、大容量バッテリーを使う。
総投資額は約9億ドル。

潮力発電について  2007/6/22  ニューヨークで潮力発電開始

発電容量は100kWで、うち太陽光利用が5kW、風力が85kW、波浪が10kWである。予備に100kWのディーゼル発電機も備えている。
毎年1万kW時を発電し、 そのうち80%を再生可能エネルギーでまかなう。
電力使用量も不安定であるため、余剰電力を用いて、毎年1万トンの海水淡水化を行い、住民に供給する。

ーーー

中国科学院(CAS)広州能源研究所(Guangzhou Institute of Energy ConversionGIEC)はクリーンエネルギー分野のengineering science を専門とする国の研究施設で、以下のResearch group からなっている。

Laboratory of Solar Energy
Laboratory of Biomass Synthesis Fuel
Laboratory of Energy Environment
Hydrate & Nature Gas Center
Laboratory of Solid Waste Energy
Laboratory of Ocean Energy
Laboratory of Micro Energy System
Laboratory of Biomass Thermal-Chemical Conversion
Laboratory of Geothermal Energy


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米商務省は3月17日、2月の住宅着工件数を発表した。

季節調整済みの年率換算で583千戸となり、8ヶ月ぶりに前月比増(+22.2%)となった。
しかし、前年同月比では47.3%減と非常に低い水準である。

 

米国 住宅着工件数推移(季節調整済み年換算:千戸)

  2008 2009 前月比 前年同月比
1  1,064   477  -14.5%  -55.2%
2  1,107   583  +22.2%  -47.3%
3   988      
4  1,004      
5   982      
6  1,089      
7   949      
8   854      
9   824      
10   767      
11   655      
12   558      
年合計   905.5      

注) 数値は過去2ヶ月分を常時見直している。
   このため、昨年12、本年1月及び昨年合計は前回発表から変わっている。


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アラブ首長国連邦のアブダビ首長国が、太陽光、風力など再生可能エネルギーを中心に据えたMasdar Initiativeに注力している。

2008年1月アブダビで開らかれたWorld Future Energy Summit で、Mohammed bin Zayed Al Nahyan 皇太子は初期投資150億ドルの最も野心的な持続可能プログラムを発表した。

Masdar Initiativeと呼ばれるもので、Abu Dhabi Future Energy Company (Masdar) により実施され、太陽光・風力・水力発電、カーボン削減・管理、持続可能な開発、教育、製造、研究開発を行うもの。(Masdar はアラビア語で "the source" の意味)

Masdar 社は政府の出資する150億ドルを基に、JVや海外からの投資により、その何倍もの規模の投資をアブダビ、MENA(中東+北アフリカ)及びグローバルに展開する。

Carbon Management Unit は温室効果ガス削減計画を実施する。
中東及び北アフリカ
で京都議定書によるClean Development Mechanism(CDM)計画を多数実施するとともに、炭酸ガス捕捉・貯蔵計画を行う。

CDM計画には以下のようなものがある。

2008年6月、MasdarはAbu Dhabi Ports Company (ADPC) との間で、Khalifa Port and Industrial Zone でのCO2捕捉、温暖化ガス削減計画実施の契約に調印した。

2008年7月、MasdarはGulf Petrochemical Industries Company (GPIC) との間で、排煙中のCO2を捕捉、尿素とメタノールの生産で原料として利用する計画に調印した。

2009年1月、Masdarとアブダビ国営石油(ADNOC) は石油・ガス部門でのCO2削減計画で合意。

2009年1月、Masdarはセイシェル政府との間で、風力発電、太陽光発電、廃棄物燃焼発電等での再生可能エネルギー開発での協力で合意した。

2009年1月、Masdar はナイジェリア国営石油との間でナイジェリアでの石油・ガス部門でのCO2削減計画で合意。

20082月にCarbon Capture and Storage (CCS)を始めた。第一段階としてアブダビの発電所や産業施設など4箇所から2013年までに650万トンのCO2の捕捉を行い、CO2を油田に送って産出量を増やす。

2008年11月、Masdar はCCS計画のFEED (front-end engineering design) 契約を米国のJohn Wood Groupの子会社Mustang Engineering と結んだ。

Industries Unit ではグローバルに再生可能エネルギーをつくる。

アブダビのSolar Manufacturing High-Tech Cluster には3種類の太陽光発電(PV)技術、結晶ベースPV、薄膜PV、集光型PVの生産設備を揃える。

2008年3月、Masdar はスペインのSener Grupo de Ingenieria S.A. と集光型太陽光発電のJV Torresol Energy 設立で合意した。
まず8億ユーロでスペインに3つの太陽光発電プラントを建設する。

2008年11月、コスモ石油はMasdar と共同で、三井造船に対し、集光量100キロワットのビームダウン式集光太陽熱実証実験プラント建設を発注したと発表した。

コスモ、Masdar、東京工業大学間の共同研究開発契約に基づく研究開発推進のため、Masdar Cityのテストサイトに建設されるもので、一度タワー先端に集光された太陽光を、東工大独自技術を結集した中央反射鏡により地上近くに設置した太陽炉に再反射させるもの。

20084月に設立されたMasdar PV は世界のトップ3の薄膜太陽光発電(PV)会社を目指す。
1期投資(6億ドル)ではドイツのErfurt とアブダビに合計年間210メガワットのアモルフォス薄膜PVモデュール工場を建設する。機器供給はApplied Materials が行う。その後の増強で年間1ギガワットを目指す。

ドイツの工場は2009年第3四半期にスタート、年間70メガワットの生産能力を持つ。これを基にして2010年第3四半期にアブダビで140メガワットの能力の工場をスタートさせる。
これらからの生産設備は欧州やアブダビの太陽光発電に使用される。

Masdar は2008年9月、フィンランドの風力タービンのメーカー WinWinD Oy に資本参加した。

Masdar Institute of Science and Technology は先進的エネルギー及び持続可能技術に焦点をあて、マスター及びドクターレベルの教育を行うが、2009年1月Massachusetts 工科大学のMIT Energy Initiative (MITEI) への参加を発表した。

MITEI 20069月に作られたもので、MIT全体でグローバルなエネルギーシステムを将来のニーズに対応させようとするもの。

2008年2月、Masdar City (the world's first carbon-neutral, zero-waste city)の起工式が行われた。

Masdar City の建設予算は220億ドルで、Masdar 社は40億ドルを出し、残り180億ドルは参加各社の出資や、いろいろの形のファイナンスで集められる。Masdar City のカーボン削減が京都議定書のCDMもこの重要な部分となる。

Masdar City は総面積は6平方キロ、世界から1500社を招致し、4万人が居住し、5万人が通勤する。2016年の完成予定。
100%外資が可能で、無税、無関税、資本移動に制限がなく、知的資産保護では地域で最強である。

都市設計は英国のFoster + Partners が担当。低層建築物で統一され、すべての建物の屋上にソーラーパネルが設置される。

新都市の電力は、約350百万ドルかけて建設される100メガワット級の太陽光発電所が供給。将来的には、発電能力を500メガワットまで拡充し、ピーク時の電力供給圧力を緩和する。
このほか、海水の淡水化、地域冷房、下水処理など。

市の境界に駐車場をつくり、市内の移動には自動車を一切使用せず、 Light rail transit (LRT) と Personal rapid transit (PRT4人乗り無人電気自動車、口頭で行き先を伝えるだけでその場所に運ぶ)を利用する。  参考 ロンドンのヒースロー空港のPRT 

2009年1月20日、Masdar とGEはMasdar City Ecomagination Centre の設立を発表した。

GEのEcomagination は、2004年にJeffrey Immelt が発案したもので、世界が直面する深刻な環境課題の真の解決を実現するためには、Ecology(環境)とEconomy(経済)の2つの Eco の両立が必要で、「環境関連の事業戦略を推進することで、社会と自社の両方に利益をもたらす」と考え、革新的な環境関連製品やサービスで「環境課題への貢献」と「企業としての成長」を同時に実現するというもの。

Masdar City Ecomagination Centre は、この地域でエネルギー効率のよい製品の開発をサポートし、省エネを促進する。
同時に、風力発電、太陽光発電、その他の再生可能エネルギー、水の浄化技術、省エネ家電などの
GE技術のshowcase にもなる。


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ニュースのその後

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茨城県警鹿嶋署捜査本部は3月16日、三菱化学の当時の鷲見富士雄・執行役員兼鹿島事業所長や同事業所幹部ら計8人を業務上過失致死の疑いで水戸地検に書類送検した。

2008/3/17 三菱化学鹿島事業所火災事故 事故報告書 

 

OPECは3月15日、追加減産見送りを決めた。
世界景気低迷に配慮し、生産枠順守を優先した。現在80%の減産順守率を93~95%に引き上げる。

2008/12/18 OPEC 大幅減産決定 

 

アステラス製薬は3月16日、CV Therapeutics, Inc 買収提案の終結を発表した。
CV Therapeutics社より公表されたGilead Sciences, Inc.による買収価格の水準は当社の株主価値の向上に見合わないものと判断し、このたびCV Therapeutics社買収提案の終結を決定したものです」としている。

     2009/3/14 CV Therapeutics 社に対する買収競争へ

 

 

EUは3月12日、米国産の輸入Biodieselに対するanti-dumping 課税とanti-subsidy 課税を発表した。

      2009/3/7 EU、米国産バイオディーゼルに反ダンピング措置 に付記しました。




住友商事は3月10日、米 Washington Mills、サウジアラビアのAhmad H. Algosaibi & Brothers と共に、サウジのジュベール工業団地で炭化珪素の製造を行なう合意書に締結したと発表した。

20096月までに3社で合弁会社 Silicon Carbide Saudi Arabia を設立、年産24千トンの工場の建設を開始する予定で、資本金は約20億円、出資比率は住友商事が20%、他2社が各40%。
20111月より製造販売を開始する予定。

炭化珪素(silicon carbide) はケイ素の炭化物の黒色のセラミックスで、他のファインセラミックスと比べ、高温域(1000℃以上)での機械強度の低下が小さく、耐磨耗性の高い材料。

各種ファインセラミックスの中では最も硬く、耐食性に優れ、液中での摺動特性が良好なため、メカニカルシールやケミカルポンプの軸受けなどに利用されており、また、半導体製造装置のウェハーフォークや耐プラズマ性が要求される部材などにも利用されている。

日本には年間約13万トンの市場があるが、ほとんど中国からの供給に依存している。中国政府の輸出規制もあり、近年価格が著しく高騰、供給も不安定化している。

大きな炉にケイ石とコークスを詰め、中心部の黒鉛電極に大電流を流して発熱させ、2000℃以上の高温で反応させ、SiO2を還元してSiCをつくるが、サウジでは最も重要なコスト要因である電力および石油コークスを安価で確保できる利点がある。

住友商事は生産開始後は日本、アジア市場で耐火材、研磨・研削材用途として拡販する。

ーーー

Washington Mills は炭化珪素やアルミナなどの研削材や溶融鉱物製品の世界最大のメーカーで、1868にWashington Mills Emery Manufacturing Company として設立された。

炭化珪素は19世紀末に工業化した会社の商品名からcarborundumとも呼ばれる。

1890年にペンシルバニア州の発明家のEdward Goodrich Acheson がダイヤモンドを作ろうとしてカーボンを高温で熱した。
うまくいかず、今度はカーボンと粘土を混ぜて電気的に溶融したところ硬い物質が出来た。これが炭化珪素である。

翌年、彼は
Carborundum という名前の会社を設立し、商品名もcarborundum とした。
1895年にニューヨーク州のNiagara Falls
に移転した。

Washington Mills 1986年にCarborundum 社からカナダのNiagara Falls、NY州のNiagara Falls 及び英国のTrafford Park 3工場を買収した。

Carborundum はその後、BPの子会社となり、1996年に Saint-Gobain の子会社となった。(現在も研磨剤に Carborundum の商標を使っている。)

Carborundum 社は1972年に耐熱・耐薬品性に特徴がある芳香族系液晶性樹脂 Econol を開発した。

住友化学はこれに着目し、同社との折半出資により「日本エコノール」を設立し、1975年初めから同製品の出荷を始めた。
しかし、Carborundum 社が事業を他社に譲渡したのを機に、1977年に同社を解散し、事業を一時中断した。

その後、住友化学は自社技術による国産品で市場開発を再開し、1983年から本格的な供給を開始した。
1993年には従来のエコノールを改良して「スミカスーパーLCP」と改称し、
新用途への拡販を図った。

2007年に同社は液晶ポリマー「スミカスーパーLCP」 のニートレジンの生産能力を7,000トンから9,200トンへ増強するとともに、中国においてコンパウンド設備を新設することを発表している。

Washington Mills 2001年にThe Exolon Company を買収し、イリノイ州Hennepin の粗鉱からの一貫工場を取得するとともに、ノルウェーの炭化珪素の専業メーカーの Orkla Exolonの50%持分を取得した。

2004年にはOrkla Exolonの残り50%も買収し、100%子会社とした。(Washington Mills ASと改称)

炭化珪素については現在、米国イリノイ州Hennepin とノルウエーのOrkanger で粗鉱から最終製品までの一貫生産を行なっている。

ーーー

Ahmad H. Algosaibi & Brothers はサウジや湾岸諸国で、製造、販売、不動産、投資などを幅広く行っている。


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Roche 312日、Genentech を完全子会社とすることで友好的に合意したと発表した。

Roche Genentech 55.8%を保有しているが、残り全株を1株当たり US$95.00、合計468億ドルで買収し、完全子会社化する。

Genentech バイオテクノロジー業界の老舗で、遺伝子組み換えの基礎的技術を確立したHerbert Boyerらが1976年に設立した。
ヒトインスリンとヒト成長ホルモンの大量生産に成功し、1980年に株式公開。Amgenに次ぐ世界第2位のバイオ企業に成長した。

武田薬品はAmgen との提携を発表している。 2008/2/11  武田発表、アムジェンと提携

Roche は1990年にGenentech 株の過半数を取得、現在 55.8% を保有している。

Roche は昨年7月、1株当たりUS$89.00、総額437億ドルでの買収を提案した。

しかし、Genentech の取締役会の特別委員会はこの価格は会社の価値を著しく低く評価しているとして、これを拒否した。
但し、会社の価値を正当に評価する提案が出れば賛成するとしていた。

今回、買収価格を引き上げたため、合意に達した。

完全子会社後も研究と初期開発部門は独立したセンターとして機能、Genentech のユニークなカルチャーは維持される。
Rocheの米国の販売拠点は南サンフランシスコのGenentech の拠点に移転する。
統合会社の米国の販売活動は
Genentech の名前で行われる。
米国での医薬会社としては第7位となる。(全世界では
Roche2007年売上高で第4位)

Roche では、研究の多様化、知的財産権や技術その他の共有により、イノベーションが高められるとしている。

なお、Rocheは中外製薬の持株比率を59.9%に引き上げているが、昨年7月時点では、中外については完全子会社化は計画していないとしている。


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アステラス製薬は本年1月、CV Therapeutics, Inc (CVTX) に対し、1株当たり16ドル、総額11億ドルでの敵対的買収を提案したが、ギリアド(Gilead Sciences, Inc. が3月12日、1株当たり20ドル、総額14億ドルで同社を買収する契約を締結したと発表した。

アステラス側は対応を検討中としているが、諦めるのではないかとの観測がある。<p><p><p>HTML clipboard</p></p></p>

付記    

アステラス製薬は3月16日、CVTX買収提案の終結を発表した。
Gilead Sciences による買収価格の水準は高過ぎると判断した。

CVTXの概要は以下の通り。

 会社名:CV Therapeutics, Inc.
 代表者:Louis G. Lange, MD, PhD
 所在地:米国カリフォルニア州パロアルト
 設 立 :1990年
 主な事業内容:心疾患系医薬品の研究開発、販売
 2008年度の業績:売上高154百万ドル(前年83百万ドル)
             純損益:-99百万ドル(前年 -181百万ドル)

アステラス製薬は狭心症治療薬 Ranexa をはじめとする CVTXの製品ポートフォリオが、同社の米国での病院市場向け及び循環器領域のビジネスを補完することを期待し、2008年11月に買収提案を行った。

Ranexa 2008年の売上高は109百万ドルだが、最高 500百万ドルになると期待されている。
また、アステラス製薬はCVTXから心機能検査補助薬Lexiscan の北米における共同開発及び独占的販売のライセンス契約を締結し、2008年6月に米国で発売した。北米以外はCVTXが権利を有する。

他方、アステラス製薬の移植用免疫抑制剤 Prograf 2008年4月に米国で特許が切れ、頻尿改善剤のHarnal も本年10月に特許が切れる。更に日本で販売するファイザーのコレステロール薬のLipitor 2011年6月に特許が切れるため、CVTXの買収に動いた。

しかし、CVTXの取締役会は提案を拒否する旨の通知を行い、その後は実質的な協議を拒んでいる。

このため、アステラスは本年1月に敵対的買収を決め、CVTXの取締役会に対して、発行済みの全ての普通株式を1株あたり16ドルの現金を対価として取得する提案を行った。
この価格は
前日の終値に対して41%、直近60日間の終値の平均値に対して69%のプレミアムとなる。

CVTXの取締役会は、2月20日付けで、アステラスの提案は同社の価値を著しく低く評価しているとして、本提案を拒否する旨の公表を行ったため、アステラス製薬は2月27日に公開買付けを決定した。

更に3月9日には、アステラス製薬は、CVTXの2009年定時株主総会において、任期が満了する2取締役(会長兼CEOと他1)の代わりの2名の取締役候補を推薦するとともに、任期途中の残る4名の取締役の解任について株主提案を提案する意向を固めたと発表した。
CVTX取締役会が同社と真摯に協議することなく、同社の買収提案を拒否し続けていることから、株式公開買付けを開始するとともに、これに賛成する取締役会の選任を同社株主に提案するもの。

これに対し、今回、Gilead Sciences White Knight として登場した。

CVTXの取締役会は満場一致で Gilead Sciences による1$20.00 での買収に賛成し、株主に対してTOBに応じるよう推奨した。
買収完了後は
CVTXGilead Sciences 100%子会社となる。
これを受け、CVTXの株価は高騰し、一時は
Gilead の買値を上回る21.15ドルまで上がった。

ーーー

Gilead Sciencesは1987年にカリフォルニアに設立された製薬会社で医療用医薬品の創薬から開発、市販までを行なっている。
同社の主な活動分野は
HIV/AIDS、肝臓病、心臓血管や呼吸異常などで、米国最大のAIDS治療薬メーカー。

2008年の売上高は53億ドルを超える。


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各社が投資を削減しているなか、Exxon Mobil は35、世界のエネルギー需要が長期的に増加するのに対応するため、次の5年間に、年間250~300ドルの巨大投資を行うと発表した。

投資額実績及び計画 (単位:10億ドル)

Rex Tillerson 会長兼CEOはアナリスト向けの説明会で、「現在は世界経済は低迷しているが、ExxonMobil では長期を見据えている」と述べ、「事業の強さと慎重なリスク・投資管理により資金ポジションは強く、石油・ガスの開発、高付加価値製品の製造、化学事業の拡大が可能」とした。

2008年の実績と今後の計画は以下の通り。

・2008年に8つのプロジェクトをスタート、完成すれば日産260千バレルの生産増となる。
 更に9計画が2009年にスタートするが、485千バレルが追加される。

・2008年に確認埋蔵量は生産量の100%以上増加した。開発面積は2003年以来、40%の純増となっている。

・下流では米国と欧州の3つの製油所での低硫黄ディーゼル計画に10億ドル以上を投資する計画を進めている。
 2010年の完成時には低硫黄ディーゼルの生産は日量140千バレル増加する。

・化学事業では中国とシンガポールでの世界規模の石油化学プロジェクトの建設を開始した。

福建石化計画   2006/4/7  中国のエチレン合弁会社ー2
シンガポール計画 2007/9/10 ExxonMobil、シンガポールでの2計画発表

 更に、特殊化学品への投資も継続している。
 例えば韓国では自動車用電池の需要拡大に対応するため、リチウムイオン電池のセパレーターフィルムの工場を建設する。

 

同社の2008年実績は以下の通り。(単位:百万ドル)

2008 2007 増減
Total revenues
and other income
 477,359  404,552  72,807
Net income (U.S. GAAP)  45,220  40,610  4,610
内訳
Upstream United States  6,243  4,870  1,373
Non-U.S.  29,159  21,627  7,532
小計  35,402  26,497  8,905
Downstream United States  1,649  4,120  -2,471
Non-U.S.  6,502  5,453  1,049
小計  8,151  9,573  -1,422
Chemical United States  724  1,181  -457
Non-U.S.  2,233  3,382  -1,149
小計  2,957  4,563  -1,606
Corporate and financing   -1,290  -23  -1,267
Corporate total  45,220  40,610  4,610
Cash flow (単位:10億ドル)
2008 2007 増減
営業活動  59.6  52.0  7.6
資産売却等  6.0  4.2  1.8
合計  65.6  56.2  9.4

同社は2008年に320億ドル、過去5年合計で1090億ドルの自社株購入を行っている。
また2008年の配当支払いは80億ドルに達している。

 

参考 アナリスト説明会資料: 
 http://media.corporate-ir.net/media_files/irol/11/115024/presentations/ExxonMobil.2009.Analyst.Meeting.pdf

 


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ダウとBASFは3月5日、両社が共同で開発した過酸化水素法(HPPO:hydrogen peroxide to propylene oxide )技術の第1号で世界最大のPOプラントがスタートアップ段階を終え、順調に操業していると発表した。

ベルギーのアントワープのBASFの工場に建設したもので、能力は30万トン。
両社は2003年に共同開発を開始、2006年9月に鍬入れを行った。

両社は共同開発した技術に50/50の権利を有し、それぞれが生産量の半分を引き取る。

2006/3/24 ダウとBASF、POを新製法で生産

両社はHPPO 法のメリットを他の製法との比較で以下の通り説明している。

1)経済的メリット
  ・建設費が著しく少なくて済む。
  ・生成されるのはPOと水だけのため、副生品のための設備が不要で、副生品販売の手間が省ける。
  ・原料が過酸化水素とプロピレンだけでよい。

2)環境面でのメリット
  ・既存の製法と比較し、排水の量が
7080%少ない。
  ・同じくエネルギーの使用が
35%少ない。
  ・原料が少なく、副生品もないため、インフラや敷地が少なくて済む。

但し、多量の過酸化水素プロピレン1トンに対し0.6トンを 使用するため、POプラントの横に過酸化水素のプラントを建設することが必要である。

本プラントのために、Solvay技術により、単一ラインとしては世界最大の23万トンの過酸化水素プラントを建設している。
Solvay BASF JVを設立して建設、このJVDowがファイナンスのためのパートナーシップを設立した。

またエポキシ化触媒をリサイクルするためにメタノールを使用しているが、水とメタノールの分離に多量のスチームも使用すると言われている。

ーーー

ダウとBASFは本計画に続いて、タイのMap Ta Phut 39万トンの過酸化水素POプラントの建設を計画した。

先ず、ダウとSolvayは2007年8月にタイに過酸化水素製造のJVを設立すると発表した。

能力は330千トン(100%ベース)と世界最大で、2010年稼動の予定。 Solvay の技術を使用するもので、Dow BASF Thailand が料として供給する。製品の一部はSolvayのタイの子会社、Peroxythai Ltd にも供給される。

Peroxythai Ltd は1989年設立で、主にパルプ、製紙向けに過酸化水素を年2万トン程度生産し、60%をタイ国内で販売、残りを輸出している。

本体のPOについては、ダウは2008年8月に Siam Cement Group (SCG)とのJV SCG-Dow Group がタイでPO工場の建設に着手したと発表した。

Dow BASF が共同開発した過酸化水素法(HPPO)で、能力は39万トン、PGプラントも同時に建設し、2011年に生産開始の予定。

2008/6/16 Dow、タイで過酸化水素法PO工場建設

過酸化水素JV設立発表時にはダウとBASFがタイで計画しているPO用と明記していたが、何故BASFが離脱したのかの説明はない。

原料プロピレンは、 Dow Siam Cement Group が建設を発表したRayong の新しいナフサクラッカーから供給する。
11億ドルを投じてを建設するもので、能力はエチレン90万トン、プロピレン80万トン。OCT(Olefins Conversion Technology) で大量のプロピレンを製造する。Siam 67%Dow 33%出資し、2010年稼動を目指している。

2006/10/24 ダウ、アジア進出を促進 

今回のRohm & Haas 買収決定で、ダウは資金対策の一環として、東南アジアのオレフィン及び誘導品JVのダウ持分の売却を考え、既に相手側との予備交渉は既に開始したとしている。

恐らくこれはタイのサイアムとのJV(上記ナフサクラッカー及びその他の誘導品JV)ではないかと思われるが、その場合、POがどうなるかは不明。


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Merck & Co., Inc. 39日、Schering-Plough Corporation と合併することで合意したと発表した。
存続会
社名はMerckで、Schering-Ploughの株主には1株についてMerck0.5767 株と現金 $10.50 が支払われる。

36日の株価ではSchering-Plough 買収額は411億ドルとなる。同日のSchering-Plough 株の株価に対し34%の上乗せである。<p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p>
Merck はこのうち、85億ドルを金融機関からの借り入れ、98億ドルを手元資金で賄い、残りは株式交換する。<p><p><p><p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p></p></p></p>

現在の金融危機のなかで、多額の借り入れが行えるのは手元資金の多い医薬業界だけである。

<p><p><p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p></p></p>

株式交換の結果、Merck の株主は統合新会社の約68%を、Schering-Plough の株主は32%を所有することとなる。

統合後の新会社は臨床試験段階の候補製品が倍増し、18品目になるとしており、新薬開発を急ぎ、特許切れに対応する。
米国外での販売に強みを持つ
Schering-Plough 買収で、成長率の高い新興国を含め、グローバル展開を図る。

<p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p>TML clipboard</p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p>

Schering-Plough の売上高の約70%は米国外で、そのうち新興国からの売り上げは20ドル以上となっている。

<p><p><p><p><p>HTML clip</p></p></p></p></p>合併によるコスト削減効果は2011年以降で年間約35億ドルの見通し。


本年1月に世界第一位の医薬会社 PfizerWyeth 680億ドルで買収すると発表している。

 2009/1/27 PfizerWyeth を買収

Merck Schering-Plough が合併すると、Pfizer/Wyeth に次ぐ世界第二位となる。<p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p>(発表では2008年ベースの売上高は470億ドル)

医薬品売上高ランキング 07年実績、単位百万ドル、<p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p>ユート・ブレーン調べ 

社名 売上高 
  米ファイザー+ワイス (1月買収発表) 63,046
1 米ファイザー 44,424
  メルク+シェリング(共同出資会社を含む)  42,634
2 仏サノフィ・アベンティス  41,318
3 英グラクソ・スミスクライン  38,414
4 スイス・ロシュ 34,505
5   スイス・ノバルティス 32,646
6 英アストラゼネカ 28,713
7 米ジョンソン&ジョンソン 24,866
8 米メルク 24,198
9 米ワイス 18,622
16 シェリングプラウ(+オルガノン)*1 13,250
28 メルク/シェリングプラフ製薬*2 5,186
 

*1 2007年3月12日、Schering-Plough社は、オランダの化学メーカー Akzo Nobel の医薬品部門 Organon BioSciences N.V. を110億ユーロ(145億ドル)で買収すると発表した。

*2  Merck Schering-Ploughは生活習慣病の治療薬の共同出資会社 Merck/Schering-Plough Pharmaceuticals を持っている。

<p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p>

ーーー

この買収は逆三角合併(reverse merger)の形式を取り、統合会社はMerck の名前だが、Schering-Plough が存続会社となる。<p><p>HTML clipboard</p></p>

米国では原則として株式対価の買収は三角合併である。手続き的に被買収会社が存続会社となる逆三角合併が多い。

一つの問題は、Schering-Plough が販売しているJohnson & Johnson の抗TNFa治療薬 Remicade (日本では田辺三菱製薬が販売)の扱いである。契約ではSchering-Plough が買収されるなど、支配権を失った場合には権利を失うこととなっている。
Merck Schering-Plough Schering-Plough が存続会社のため影響なしとしているが、今後問題となろう。<p><p><p>HTML clipboard</p></p></p>

Johnson & Johnson が逆に、より魅力的な条件を提示することでSchering-Plough の買収を図るのではとの観測もある。

ーーー

Merck Schering-Plough はともにドイツ企業の米国子会社であったが、第一次世界大戦で敵国企業として接収され、米国企業となった。
現在は完全に別会社となっている。

Merck KGaA (ドイツ)とMerck & Co., Inc. (米国)
Schering AG(ドイツ)とSchering-Plough(米国)

2006/3/23   2つのMerck社

今回ダウに買収されるRohm and Haas も同様である。

面白いことに2006年にドイツのMerck KGaA がドイツのSchering AG に対して買収の提案をしている。

Schering AG は価格が安すぎるとして、これを拒否、直後にBayer が買収提案して、Schering AG 役員会もこれを歓迎した。
Bayer はTOBをかけたが、Merck KGaAが株を買い集めていることが判明、すったもんだの末にMerck KGaAが持株をBayer に売却し、BayerによるSchering AG 買収が確定した。

2006/6/12 2つの買収劇


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ダウはRohm & Haas との裁判が始まる当日の3月9日、R&H 及びその大株主との間で、これまでと異なる条件で41日までに買収を行うことで合意したと発表した。
これにより本件での訴訟は終わる。

ダウとR&Hは36日、R&H買収問題とこれに絡む裁判問題で話し合いをしていることを認めた。

合意の一環として、R&H2大株主(ヘッジファンドのPaulson & Co. Inc.Haas Family Trusts ダウの出す永久優先株25億ドルを購入、更に、そのうちのHaas Family Trusts はダウのオプションでダウの株式に5ドル投資する。
当初発表の1株 $78 でのR&H株式買収(153億ドル)のうち、$63 124億ドル)は現金で支払い、残りの$1529億ドル) は優先株で渡す。

Haas Family R&H創立者の一人の一族。

1907年に2人のドイツ人、ケミストのRohmと実業家のHaasがドイツでRohm & Haasを設立して成功、1909年にHaasが米国に移住してフィラデルフィアに支店を設立した。第一次大戦で接収されるのを避けてHaasが本社と縁を切って米国企業のRohm & Haasとした。(Haasは戦後 Rohmにその持分の対価を払っている)

ドイツのRohmは現在はEvonik(旧称 Degussa)の子会社。

ーーー

ダウR&H 買収資金188億ドルを、つなぎ融資 130億ドル、著名な株式投資家Warren Buffett Berkshire Hathaway Inc. からの投資 30億ドル、Kuwait Investment authorirty からの投資10億ドル(いずれも転換可能優先株)で賄い、K-Dow 設立でのPICからの入金でつなぎ融資の一部を返済する予定であった。

つなぎ融資は1年間の契約のため、 K-Dow 破談により、このまま買収を行えば資金繰りが危うくなるとして、格付会社が投資基準以下への格下げを行うことを明言しており、格付を投資適格にとどめることが必須であるとするダウとしては資金繰りの目処をつけるまでは買収を行えない状況に陥っていた。

ダウは36日、銀行がつなぎ融資を20114月まで1年間延長することに同意したと発表した。
新しい契約は当初より
5億ドル少ない125億ドルで、このうち45億ドルは1年間、80億ドルは2年間借りることが出来る。
このほか、
Berkshire Hathaway Inc. から30億ドル、Kuwait Investment authorirty から10億ドルは従来どおりとなっている。

Warren Buffett によると、今回のダウへの30億ドルの投資は、状況の変化により、あまりスマートな投資ではなくなったが、約束は守るとしている。
なお、
Berkshire Hathaway は昨秋、Goldman Sachs General Electric 80億ドルの投資をしたが、これらの優先株は今や考え難い10%という有利な金利であり、やってよかったとしている。

また、既報の通り、ダウは史上初の減配を行い、年間10億ドルの資金を節約した。

今回の合意で、R&H の株主から2530億ドルの資金流入を確保し、現金での買収額を減らしたため、ダウは買収に伴う借入金を大幅に減らすことが出来る。

更に、ダウは今回、40億ドルに達するダウとR&Hの事業の売却交渉が進んでいることを明らかにした。以下のものを含む。

1)Total Group との合弁のオランダの石油精製 Total Raffinaderij Nederland NV のダウ持分(45%)の売却

2)東南アジアのオレフィン及び誘導品JVのダウ持分の売却(相手側との予備交渉は既に開始)

    タイか? 2006/10/24 
ダウ、アジア進出を促進

このほかの東南アジアの拠点 

マレーシア Optimal Olefins Dow Chemical  23.75%
PETRONAS   64.25%
Sasol Polymers 12%
Ethylene  600千トン
Propylene   86千トン
Optimal Gylcols Dow Chemical  50%
PETRONAS   
50%
EO  380 千トン
EG  385千トン
Optimal Chemical Dow Chemical  50%
PETRONAS   
50%
Ethoxylates   85千トン
Ethanolamines
85千トン
Glycol Ethers
 60千トン
Butanol
   140千トン
Butyl Acetate 50
千トン
インドネシア PT Dow Chemical Indonesia Dow Chemical PS
styrene butadiene latex

3)R&HのMorton Salt (既に数社がビッドを出しており、評価中)
   R&HがMorton International
を買収したもので、2007年売上高は1,060百万ドル

3)で15億ドル以上、1)と2)で15億ドル、その他で10億ドルを期待している。

つなぎ融資のうちの80億ドルを2年間としたため、この間に更に追加資産を有利に売却する時間が与えられたことになる。

ダウのLiveris CEOは買収のためには Dow AgroSciences か他の事業を売却することもありうるとしていた。
Syngenta AG は今月、Dow AgroSciences を買収することを検討すると述べた。
Dow AgroSciences
は昨年の売上高が45億ドルで、5080億ドルの価値があるとされている。

Liveris CEO によれば、買い手候補は Dow AgroSciences の価値をあまり評価しておらず、ダウとしてはすぐに売ることを検討していない。


ーーー

過去の経緯

 2008/7/11 速報 Dow ChemicalRohm and Haas を買収

 2009/1/26 FTC、Dow と Rohm and Haas の統合を条件付で承認

 2009/1/27 Dow、Rohm & Haas 買収を延期


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Fortune316日号は2009年のWorld's Most Admired Companies を発表した。
    
http://money.cnn.com/magazines/fortune/mostadmired/2009/index.html

各業種ごとに、売上高の大きさで15社を選び、その業界の経営者等が次の9つの基準で点数を付け、それにより順位付けを行うもの。

Innovation、②People management、③Use of assets、④Social responsibility、⑤Management quality
Financial soundness、⑦Long-term investment、⑧Product quality、⑨Global competitiveness

化学業界ではBASFが8項目で1位で総合第1位となった。3位のPraxairは工業用ガスのメーカー。

  Company Overall
score
   順   位
1 BASF  7.06 1 1 1 2 1 1 1 1 1
2 DuPont  6.43 2 2 3 1 3 2 4 2 2
3 Praxair  6.06 4 4 2 4 2 3 2 3 3
4 Air Products & Chemicals  5.66 7 5 4 5 7 4 3 5 7
5 Dow Chemical  5.64 5 3 6 3 5 6 7 6 4
6 Bayer  5.53 3 6 7 6 6 7 5 4 5
7 PPG Industries  5.46 6 7 5 7 4 8 6 7 6
8 L'Air Liquide  4.97 8 8 8 8 9 9 8 8 8
9 Mitsubishi Chemical  4.79 9 10 9 10 8 10 10 11 11
10 Linde  4.75 10 11 11 9 10 11 9 9 9
11 Akzo Nobel  4.57 11 12 13 12 13 13 12 10 10
12 SABIC  4.55 14 14 10 14 12 5 11 13 12
13 Sumitomo Chemical  4.53 13 9 12 11 11 12 14 12 13
14 Evonik Industries  4.32 12 13 15 13 15 14 13 15 14
15 LyondellBasell Industries  4.10 15 15 14 15 14 15 15 14 15

  医薬業界の順位は以下の通り。

  Company Overall
score
1 Johnson & Johnson  7.31
2 Novartis  7.05
3 Abbott Laboratories  6.78
4 Merck  6.67
5 GlaxoSmithKline  6.48
6 Amgen  6.47
7 AstraZeneca  6.18
8 Eli Lilly  6.03
9 Wyeth  5.89
10 Boehringer Ingelheim  5.68
11 Sanofi-Aventis  5.56
12 Schering-Plough  5.37
13 Pfizer  5.25

世界の700程度の会社ごとに、9項目のそれぞれについてのその業種での順位と総合Score が記載されている。
また、国別に総合Scoreでの順位も記載されている。

ーーー

これとは別に、全ての経営者に全業種で最も尊敬できる企業を投票してもらい、TOP 50を選んだ。

結果は以下の通りだが、業種に関係なく投票するため、必ずしもその業種での順序(その業種の経営者が投票)とは異なる。
Overall score も業種での評価のもので、この順位には影響しない。

医薬業界トップのJohnson & Johnson 5位に入ったが、化学業界からはどの社もTOP 50に入らなかった。
日本からはトヨタ自動車、ホンダ、ソニー、豊田自動織機の4社、韓国からはSamsung Electronics
50位に入った。

RankCompanyOverall
score
業種 業種での順位 ( )はTOP 50の順位
1 Apple  7.07 Computers Xerox(選外)、②Apple、③Hewlett-Packard30位)
2 Berkshire Hathaway  7.78 Insurance: Property and Casualty Berkshire Hathaway、②Travelers Cos(選外)
3 Toyota Motor  6.25 Motor Vehicles BMW28位)、②Toyota Motor、③Honda Motor32位)
4 Google  7.73 Internet Services and Retailing Google、②Amazon.com(選外)
5 Johnson & Johnson  7.31 Pharmaceuticals Johnson & Johnson、②Novartis(選外)
6 Procter & Gamble  7.69 Soaps and Cosmetics Procter & Gamble、②Henkel(選外)
32 Honda Motor  5.99 Motor Vehicles 上記 ③Honda Motor
39 Sony  6.30 Electronics GE9位)、②Emerson Electric(選外)、③Panasonic(選外)
Siemens(選外)、⑤Sony
46 Toyota Industries  6.84 Motor Vehicle Parts Toyota Industries、②Goodyear Tire & Rubber(選外)
50 Samsung Electronics  5.88 Electronics 上記 ⑨Samsung

2位のBerkshire HathawayBillionaire Warren Buffett の会社で、 Rohm & Haas を買収しようとしているダウに30億ドルの投資を約束している。

 

 


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欧州委員会は米国産の輸入バイオディーゼルに対し、反ダンピング措置を決めた。

正式決定は3月12日に行われるが、報道では6ヶ月間の暫定措置として企業により 100kg当たり 29ユーロから 41ユーロのダンピング課税を行う。

保護主義が懸念されるなか、過剰能力と低マージンに悩む業界の要請を受けて実施される。

米国のCargill Archer Daniels Midland などのバイオディーゼルは1ガロン当たり1ドルの補助金を政府から受けている。欧州への輸出は2006年の6万トンから昨年は150万トン以上に増えている。

欧州のメーカーも補助金を受けているが、欧州メーカーによると、米国メーカーは生産時に米国政府から補助金を受け、欧州での販売時には各国政府から補助金を受けている。

欧州バイオディーゼル協会によると、欧州メーカーは大々的な投資を行い、年産能力を1600万トンとしたが、操業度は40%以下にとどまっており、過去2年で少なくとも15社が破産、多数が減産している。

この批判に対し、米国側は欧州メーカーは小規模、非効率であり、立地もよくないからだと反論している。

反ダンピング措置は3月13日から適用され、4ヵ月後に5年間の延長の可否を決める。

 

付記  

EUは3月12日、米国産の輸入Biodieselに対するanti-dumping 課税とanti-subsidy 課税を発表した。

 anti-dumping duties  http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2009:067:0022:0049:EN:PDF
 anti-subsidy duties  http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2009:067:0050:0084:EN:PDF

企業別は以下の通り。 (単位:Euro/ton

  anti-
dumping
anti-
subsidy
Total
Archer Daniels Midland Co. (ADM)   23.6  237.0  260.6
Cargill    60.5  213.8  274.3
Imperium Renewables     76.5  216.8  293.3
Green Earth Fuels     70.6  213.4  284.0
World Energy Alternatives    82.7  211.2  293.9
53  122.9  219.4  342.3
Vinmar Overseas Limited  182.4  211.2  393.6
Peter Cremer North America LP  208.2  211.2  419.4
others  182.4  237.0  419.4

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中国の全国人民代表大会(国会)常務委員会は2月28日、「食の安全」確保に向けた新たな食品安全法を4日間の議論ののちに165人のうち158人の賛成で可決した。

国務院に食品安全委員会を新設し、「生産ラインから食卓まで」の食品安全管理を強化する。監視・監督を強め、安全基準を強化し、不良品のリコール、違反者の厳重な罰則を決めている。

同法は2009年6月1日に施行する。

衛生部、農業部、国家品質監督検験検疫総局、工商行政管理局が、リスク評価、安全基準の設定・実施、食品の生産流通のモニターなどを分担して責任を持つ。

食品生産にあたり、承認された添加剤以外の全ての化学品や物質の使用を禁止している。「食品生産に必要で安全と認められてモノのみが食品添加物としてリストされる」

衛生部は食品添加物の評価、承認、規制に責任を持つ。

食品生産者は使用を承認された食品添加物のみを使用し、違反した場合、法に基づき閉鎖やライセンス取り上げがなされる。

食用農産品の製造者は農薬、肥料、成長剤、動物用医薬品、飼料、飼料添加物の使用に際し、食品安全基準に従うことが義務付けられる。また、農業・飼育の記録付けが義務付けられる。

違反者には最大で販売した製品の価格の10倍までの罰金が課せられる。企業が不良食品を製造販売した場合、消費者は直接被害の補償に加え、価格の10倍までの補償を要求できる。

消費者権利の保護のため、食品安全監視組織や食品業界団体、消費者団体が食品の宣伝をすることが禁止される。
芸能人やスポーツ選手ら有名人が出演した広告の食品に問題が発生した場合、有名人も食品メーカーの経営者とともに連帯責任を負う。

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この法律は200812月に最初に常務委員会に案が提出されて以後、数回改定され、2008年4月に案として公開され、11千件以上のコメントが出された。

ーーー

温家宝首相は3月5日の全国人民代表大会の政府活動報告で、2009年を「品質安全年」と位置づけ、中国製食品への信頼回付を進める決意を示した。

「多くの人民大衆の生命や財産が失われ、そこで得た教訓は大変大きい」とし、「重点業種における安全生産の監督・管理を更に強化し、安全にかかわる重大もしくは特大級の事故発生を断固食い止める」と表明した。

ーーー

粉ミルク汚染事件を起こした三鹿集団のその後は以下の通り。   

2009年1月22日、田文華元会長に対し、終身刑の判決があった。他の3人のトップにも5年から15年の判決があった。   

石家庄市中級人民法院は212日、民事裁定を下し、同市三鹿集団株式有限公司の破産が宣告された。   

破産した三鹿集団の資産の競売が3月4日に行われ、食品大手の北京三元食品が約89億円で落札した。

 


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2007年1月に日本のバイオガソリンの動きについて述べた。

バイオエタノール・ジャパン・関西が環境省の補助を受けて建設した廃木材からエタノールを製造する世界で初めての商業プラントが竣工した。大都市でのエタノール3%混合ガソリン(E3)大規模供給実証のためのエタノール供給元となる。

他方、石油連盟は「バイオマス燃料供給有限責任事業組合」を設立、バイオエタノールを石油系ガスと合成し、バイオETBE としてガソリンに混合して利用する。

石油連盟では(1) 大気環境への悪影響、(2) 車の安全性や実用性能から、バイオエタノールをそのままガソリンに混入するのではなく、バイオETBE のガソリン混合を主張している。

2007/1/8  日本のバイオガソリンの動き

 

ここにきて、両者ともに動き出した。

1)エタノール3%混合ガソリン(E3)

日本エタノール販売とペトロブラスの50/50JVの日伯エタノール(Brazil-Japan Ethanol)は3月初めから東京でエタノール3%混合ガソリン(E3)の試験販売を開始する。

同社はこのたび、袖ヶ浦でターミナルでガソリンとエタノールの貯蔵、混合を開始した。
ペトロブラス子会社の南西石油(沖縄)からガソリン、
バイオエタノール・ジャパン・関西からバイオエタノールを受け入れた。

E3は環境省の新宿御苑のサービスステーションで供給を開始する。

日伯エタノールでは今後、この事業の拡大を計画している。

大阪府と環境省が主導したバイオエタノール・ジャパン・関西の事業は元売りが引き取りを拒否したため、中国精油がスポット物を輸入し岡山でE3にし、大阪を中心に独立系の17のサービスステーションで販売している。昨年11月からは南西石油がガソリン供給を開始した。
今後は日伯エタノールがこれを引き継ぐ。

日伯エタノールは2006年に日本アルコール販売とペトロブラスの50/50JVとして設立された。
事業目的は、ブラジルからの
サトウキビ由来のエタノールの輸入・販売(ペトロブラスの輸入総代理店)と CO2排出権取引となっている。<p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p>

日伯エタノール設立に当たり、日本エタノールの雨貝二郎社長(経産省出身)はブラジルのルーラ大統領と会談、大統領は合弁会社の設立を「両国関係の新しい時代の幕開けに繋がる」と歓迎、支援を惜しまないと明言した。

ーーー

ブラジル国営石油ペトロブラスは200711月、エクソンモービル系の南西石油買収を発表した。

2008年4月1日に引渡しが完了、新出資比率はペトロブラス87.5%、住友商事12.5%となった。

南西石油は能力が日量10万バレルと小さく、設備も老朽化しており、安価な燃料油が中心であるため、ぺトロブラスは1千億円を投じて大型設備を建設し、2010年前後に稼働させ、中国や東南アジアなどにガソリンなど石油製品の輸出を始める計画であった。

2007/11/7 ペトロブラス、南西石油を買収、最新設備新設

ペトロブラスはその後、増産に向けた設備投資計画確定のため市場調査などを進めた。
当初計画では2008年に市場調査を終了。2010年中ごろには環境調査や関係機関との協定を締結し、新しい精製ユニットの建設に着手、2012年中に操業開始の予定であった。

しかし、米国のサブプライムローン問題を発端とする世界的な金融危機の影響で、コスト面と石油価格面の双方で予想が難しいとして調査をいったん中止した。

住友商事との間では、とりあえず2010年3月まで調査を延期することとしている。
しかし、その時点で、全く投資をせず、現状のままで運営するという結論になる可能性もあるとしている。

同社の能力は日量10万バレルだが、2008年4月の生産は3.5万バレル程度であった。
同社は2008年8月ごろからブラジルやシンガポール、ベトナム、韓国、中国にガソリンや軽油を輸出した。
昨年末の生産量は能力の半分の日量5万バレル程度で、半分が
 県外、海外への出荷に振り向けられている。
2009年夏には日量7万バレルの生産を目指している。

ーーー

2)バイオETBE

石油元売り9社が共同出資するバイオマス燃料供給有限責任事業組合(JBSL)は2月26日、国内バイオエタノール製造会社が2009年度から本格生産を始める国産エタノールの購入について、基本合意に達したと発表した。

北海道内でバイオエタノールの生産事業に取り組んでいる北海道バイオエタノールとオエノンホールディングスで、フル稼働時で両社ともに年間15千kl のバイオエタノールを生産できる。

新日本石油が2009年12月を目処に新日石精製根岸製油所にETBE製造設備を建設し、年間10万kl を生産する。
根岸製油所では現在、海外から輸入したETBEを、ガソリンに7%混ぜてバイオガソリンを製造し、元売り各社を通じて首都圏などで販売している。

北海道バイオエタノールは2007年6月にJA北海道中央会などを中心に設立された。三菱商事、北海道電力、北海道瓦斯など地元企業も多数出資している。
十勝管内清水町でてん菜(交付金対象外)、規格外小麦を原料としてバイオエタノールを製造する。<p>HTML clipboard</p>

JAグループは当初、輸送費用やエネルギーの「地産地消」を理由にE3を導入する意向を示していた。しかし、石油連盟がETBEの導入を決めたため、独自の流通販売体制を確立しなければならなくなったため、方針を変更した。
しかし、わざわざ根岸まで送るのは大きなロスだ(将来は北海道にもETBE設備をつくるのだろうが)。

  

オエノンホールディングスは2003年に合同酒精が持株会社化したもので、旭化成から買収した富久娘酒造も傘下に置いている。

オエノンと北海道などは2007年5月、バイオエタノールの道内生産に向け協議会を発足した。オエノンは同年末に44億円(半分は補助金)を投じ、苫小牧市内にバイオエタノール技術実証プラントの建設を開始した。実証プラント能力は年 15千kl で、同社の醸造アルコールの生産ノウハウを応用、粉砕したコメからブドウ糖を抽出し、発酵・蒸留・脱水などの工程を経てバイオエタノールを生産する。
原料にはまず安価な輸入米を使用するが、生産者団体の協力も得て規格外米などの調達ルートを築く。

ーーー

JBSLは別途、2008年7月に米国ライオンデルケミカルとの間で、2010年度以降に調達するバイオETBEの長期購入契約を締結した。

更に、10月にはブラジルの大手バイオエタノール製造販売組合のCopersucar との間で、バイオエタノールの購入(年間200千kl)に関する長期契約を締結した。バイオエタノールは、ライオンデルケミカルの米国内の工場に搬入され、バイオETBEにする。

石油業界では2010年度には、84万kl のバイオETBEをガソリンに配合することを目標としている。これは国が定めた目標バイオエタノール36万kl に相当する。

<p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p>

ーーー

<p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p>政府(経産省、環境省)と石油業界の対立が続き、別々の方向で動いているのは問題で、普及促進のためには早急に方向をまとめる必要がある。<p><p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p></p>

両者の言い分や問題点は 2007/1/19 ニュースのその後 日本のバイオガソリンの動き  <p><p><p><p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p></p></p></p>

安井至先生は「市民のための環境学ガイド」で「2007年4月5日:バイオ燃料 市販へ」 でこれについて触れている。

C先生:この話、業界の我が侭である。
 以前、わが国でも似た化合物であるMTBEを使っていた。しかし、漏れて地下水に混じり、地下水が飲料不可になるといった環境問題が米国で起きて、日本でもMTBEの使用を止めた。
ETBEの毒性は、場合によっては、MTBEよりも高いという。<p><p>HTML clipboard</p></p>
(注 ガソリンは地中の微生物が分解するが、MTBEは分解されない)

  そもそも、毒性のある物質をガソリンのように大量に使用すること自体に賛成できない。長期的に見れば、石油業界に対するリスクは極めて高いと言えるだろう。短期的に利益を確保するためには、ETBEを使うことが必要だが、後日、石油業界も後悔することだろう(もっともエタノールにだって毒性はあるが)。
  エタノールを混ぜても、ある一定量以下ならば、通常の自動車にも悪影響が出ないことは、すでに米国・ブラジルなどで証明済みである。
  渡文明石油連盟会長が「賛同できない」理由は何か。

 

正当な理由なしに直接添加を妨げた場合、独禁法上は問題にならないのだろうか。


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豪鉄鉱石大手Fortescue Metalsは25日、中国鉄鋼大手の湖南華菱鋼鉄集団(Hunan Valin Iron and Steel )と第三者割当増資の引き受けで合意したと発表した。Fortescue の既存株主からの取得した分と合わせ湖南の出資比率は約16.48%になる。
湖南の会長はFortescue
の取締役に就任する。

湖南は225百万株の新株と引き換えにFortescue に約558百万豪ドル(約352億円)を払い込む。更に米のヘッジファンドの Harbinger Capital Partners から627百万豪ドルで275百万株を購入した。

Fortescue は当初予定していた機関投資家への5億豪ドルの新株発行をとりやめる。

Fortescue はこれを原資に豪西部での鉄鉱石生産能力を現在の年間約3500万トンから同1億2千万トンに引き上げる。
湖南への供給量を2010年に年間100万トンから同400万トンに引き上げることでも合意した。
両社はまた、鉄鉱石の処理や技術開発での協力契約を締結、将来は鉄鉱石プロジェクトを共同で開発することもあるとしている。

英豪系リオ・ティントも鉄鉱石の一部権益を中国非鉄最大手の中国アルミに譲渡することで合意しており、豪州産鉄鉱石に対する中国勢の影響力が高まるのは必至だ。
別途、中国五鉱集団が
豪州OZ Minerals 買収を決めている。

Fortescue でもこれを気にして、湖南の出資比率が17.5%を超えないという条項を契約に入れている。

本取引は中国と豪州の政府の承認を必要とする。

ーーー

Fortescue Metals は最大株主(現在同社の株の34.72%を所有)のThe Metal Group が2003年にAllied Mining & Processing を買収して改称、鉄鉱石のインフラ事業に参入した。

BHP Billiton、Rio Tintoに次ぐ鉱山から港湾までを一貫運営する第三の「鉄鉱石メーカー」として全量、中国向けに輸出している。

湖南華菱鋼鉄集団は鉄パイプ、棒、ワイア、熱間圧延鋼板や銅パイプなどを製造している。


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二階経済産業大臣は2月24日の閣議後の大臣記者会見で、太陽光発電に関する新たな買取制度の新設について次の通り述べた。

太陽光発電の導入を抜本的に強化することは、国会でも各党からも積極的な意見もたくさん聞いている。
昨日総理からの指示で、「新たな成長のシナリオ」において、これが目玉となり得るようなものを考えて欲しいということであった。
太陽光発電は、ここ3年ないし5年が価格競争力の強化を図る正念場であろうという判断をしている。
これまでの政策に加えて、新たな制度を創設して、日本独自の体系を構築することとした。

新しい制度は、電気を使っている人の太陽光発電導入が促進できるように、また、これまで努力をしてきた人にも評価をしてもらえるような、電気事業者が
10年程度にわたり、(当初は)現在の2倍程度の価格で買い取る仕組みを考えている。

国民の全員参加型の制度をつくり、負担については国民にも広く理解、協力をお願いする。

電気事業連合会の森会長に考えを伝え、新たな買い取り制度という国の施策に対し、協力するとの意見をもらった。

事務当局で電気事業業界の考え等を十分に聞き、積極的な理解、協力を得られるようにしたい。

事務方には、今国会に提出予定の「エネルギー供給構造高度化法案」の法令面での手当てを含め、具体的な制度設計に向けて、各方面との調整を開始するよう指示した。

買い取り対象は、太陽光発電設備を設置している家庭のほか、事業会社、学校などで発電しても使い切れなかった余剰分となる。

これまで電力会社がサービス扱いで、家庭用で1キロワット時あたり24円程度で買い取りにあたってきたが、これを義務化したうえで価格も2倍程度に引き上げる。買い取り期間は10年程度を想定している。 

電力会社としてはコスト増になるため、電気料金に転嫁される。(最大で月100円程度とされている)

制度の詳細はこれから検討するが、電力会社の負担分を一般の電気料金への上乗せでカバーするという点で、欧州を中心に広がっている「Feed-in TariffsFIT)」制度と基本的に同じである。

経産省では今国会中に法案を提出し2010年にも実施する方針で、さらに「少なくとも予算がついている2010年度末までは家庭向け太陽光発電システムの設置補助金制度と併用する」(経産省)としている。

ーーー

ドイツでは2000年2月に再生可能エネルギー法(EEG:Erneuerbare-Energien-Gesetz: Renewable Energy Law) が成立した。
総電力供給における再生可能エネルギーの割合を2010年までに12.5%以上、2020 年までに20%以上にすると定められている。(2004年改正)

EEGでは風力発電、太陽光発電、バイオマス発電など、再生可能エネルギーによる電力を20年間、通常の電力料金よりも高い固定価格で買い取ることを、発電業者と送電業者に義務づけている。
電力事業者は、再生可能エネルギー電力を化石燃料の電力よりも優先して買い取る義務がある。(余剰分ではなく全量)
再生可能エネルギー電力に対する固定価格買取補償は、
Feed-in-Tariffs と呼ばれる。

2004年の改正で、太陽光発電からの電力の買取価格を大幅に引き上げた。(2000年は1kWhあたり50.62ユーロ・セント)
規模別の買取価格が導入され、買取規模の上限100kWも撤廃された。(単位:ユーロ・セント/kWh)

   <30kW  30kW-100kW  100kW< 期間  
建物
高速道路防音壁
 57.4セント  54.6セント  54.0セント 20年  
ファサード  62.4セント  59.6セント  59.0セント 20年  
その他         45.7セント 20年 一定条件

ファサードは道路に面した部分(その建物の一番の「顔」となる部分であるため価格差をつけている)

なお、その他の再生可能エネルギーでの電力買取価格は次の通り。

水力 3.70~9.65セント
ゴミ処理ガス等 6.65~9.67セント
バイオマス 3.9~17.5セント
風力 5.5~9.1セント(沖合風力を優遇)
地熱 7.16~15.0セント

2004年の太陽光発電の買取価格は、当時の家庭用電力料金の3倍となっている。

EEG法の買取価格は、2002年~2008年に毎年5%、2009年からは、年8~10%で低下する。
運転を開始した年の価格で20年間、買い取られるため、早く太陽光発電を設置するほど、多くの売電収入を得ることができる。

このためドイツの太陽光発電は急速に普及した。2007年には日本の5倍以上にあたる1100MWを設置した。

EPIA(欧州太陽光発電産業協会)は、ドイツの回収年数を8~21年と推計している。
仮に回収期間が10年とすると、買取期間の残り10年は売電分がそのまま利益となる。

現在ではイタリア、ポルトガル、スペイン、フランス、ギリシャ、オーストリアなど、欧州各国がFIT制度を導入している。

ーーー

2月26日に東大サステイナビリティ学連携研究機構主催でエネルギー持続性フォーラムが開催された。

席上、産業界からは温暖化対策について、十分な情報公開を行い、企業や家計の負担についても説明し、合意を得るよう努力すべきだとの主張が行われたが、今回の買取制度の新設についても、太陽光発電を導入しない家庭が電気代の値上がりの形で負担することになることを説明し、合意を得るべきだとのコメントがなされた。

経産省には「高額な太陽光発電システムを買えるのは金持ちだけ。なぜ、われわれが負担しなければいけないのか」などの苦情が多数寄せられているという。

インターネットで調べると、中川雅治参院議員の「活動報告」にドイツの例が載っている。   

電力会社が太陽光発電を買い取ることによるコスト増は一般の電力消費者の料金に転嫁されることになっています。

この点について、我々一行はマッハニック事務次官に対して産業界、一般の国民はどのように受け止めているのか尋ねたところ、マッハニック事務次官は「産業界は短期的には価格転嫁による電力料金の上昇には反対であるが、長期的には国の方針を受け入れている。ドイツの一般国民は、再生可能エネルギー拡大の必要性を十分に理解しており、不満の声は特に出ていない。」と述べました。

別資料によると、2007年のドイツの標準世帯がEEG法のために負担する金額(太陽光発電だけでなく、風力発電、バイオマス発電、地熱発電など含める)は、1カ月 2.94ユーロで、家庭の電気料金の4.9%にあたるという。

日本のやり方で負担がどうなるのか、なぜ必要なのか、十分な説明が必要だろう。


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  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


政府は談合やカルテル行為への罰則強化などを盛り込んだ独占禁止法の改正案を2月27日に閣議決定し、今国会に提出する。

2005年の一部改正法の附則第13条において、
「政府は、この法律の施行後2年以内に、新法の施行状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、課徴金に係る制度の在り方、違反行為を排除するために必要な措置を命ずるための手続の在り方、審判手続の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」とされている。

この規定を踏まえ、政府は2008年に独占禁止法等の一部を改正する法律案を提出したが、廃案となった。

今回、若干の修正を加え、再提出する。
(株式取得、合併等の届出基準を見直し、個人の罰則強化を追加)

前回も今回も、主に問題になるのは、独禁法違反の行政処分の是非を公取委が自ら判断する審判制度である。

財界はこれに反対しており、経団連は2007年11月の「独禁法改正に向けた提言」で、行政処分に対する不服申立ては地方裁判所に対する取消訴訟の提起により行う仕組みに改めるべきであるとしている。

公取委はあくまで審判制度の維持を主張したが、反対論が強いため、昨年の改正案では付則に、審判手続に係る規定について、全面にわたって見直すものとし、平成20年度中に検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるもの」とした。

公取委は今回、審判制度の見直し案として、
・談合・カルテルは裁判所で争い、
・不当廉売などの違反行為は企業の主張を聞いたうえで処分を決める「事前審判」
を併せた制度を提案した。

これに対して、経済界は審判制度の全廃を主張、自民党の独禁法調査会でも「公取委の組織防衛」との批判が上がり、与党内でも調整が付かず、「09年度中に見直す」との付則を設け、先送りすることとなった。

民主党は審判制度の廃止を主張しており、今国会で法案が成立するかどうか不透明。

ーーー

独禁法改正案の主なポイント

〔課徴金制度〕  
   課徴金の適用範囲の拡大
 (追加)
 
排除型私的独占 他の事業者の事業活動を排除することによる私的独占<p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p>

公取委は2月27日、日本音楽著作権協会(JASRAC)に対し、他業者を排除しているとして排除措置命令を出した。

現行では課徴金制度がなく、これが最も重い処分。命令違反は50万円以下の過料。

不当廉売、差別対価、共同の取引拒絶、再販売価格の拘束
(それぞれ同一の違反行為を繰り返した場合)
正当な理由がないのに、競争者と共同して、ある事業者に対し供給を拒絶し、又は供給に係る商品若しくは役務の数量若しくは内容を制限する等の行為
不当に、地域又は相手方により差別的な対価をもって、商品又は役務を継続して供給し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの
正当な理由がないのに、商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの
正当な理由がないのに、自己の供給する商品を購入する相手方に対し、その販売する当該商品の販売価格を定めてこれを維持させること、その他相手方の当該商品の販売価格の自由な決定を拘束する条件をつけて当該商品を供給する等
優越的地位の濫用 自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、継続して取引する相手方に対し当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させる等の行為
・押し付け販売、経済上の利益を提供させる行為(協賛金・従業員派遣)、受領拒否、不当返品等
  これらに対する課徴金(違反行為に係る売上額に対する率)は以下の通り。
    製造業等 小売業  卸売業 
現行 不当な取引制限
 (中小企業)
 10%
 (4%)
 3%
(1.2%)
 2%
(1%)
支配型私的独占  10%  3%  2%
追加 (ア)排除型私的独占   6%  2%  1%
(イ) 不当廉売等
  (繰り返し)
  3%  2%  1%
(ウ)優越的地位の濫用       1%
  主導的事業者に対する課徴金 談合・カルテルの主導的役割を果たした事業者に対する課徴金の割増算定率

   対象:カルテル・入札談合等
   
課徴金:5割増(大企業・製造業等の場合10%⇒15%)

   「主導的役割を果たした事業者」:

単独で又は共同して、当該違反行為をすることを企て、かつ、他の事業者に対し当該違反行為をすること若しくはやめないことを要求し、依頼し、又は唆し、当該違反行為をさせ、又はやめさせなかった者

  課徴金減免制度の拡充
 
課徴金減免制度の拡充

・1事件の減免を3社から5グループに増やす

   現行は最大3社、改正後は最大5社(但し、調査開始後の対象は最大3社) 
     例)調査開始前2社+開始後3社(計5社)
       調査開始前1社+開始後3社(計4社)  

   減額率は①100%、②50%、③~⑤30% (但し、調査開始後は全て 30%)

・子会社を含めグループ会社を1社と数える

一定の要件を満たす場合に、同一企業グループ内の複数の事業者による共同申請を認め、すべての共同申請者に同一の順位を割り当てる。(1社として扱う)   

事業譲渡等が行われた場合 事業を承継した一定の企業に対しても課徴金納付命令
除斥期間の延長 課徴金納付命令等に係る除斥期間(時効)の延長(3年⇒5年)

(参考)

法令等 国税通則法
(過少申告、無申告、不納付)
米国・反トラスト法
(カルテル等)
EU・競争法
(カルテル等)
除斥期間 加算税:5年
重加算税:7年
刑事罰:5年 制裁金:5年
(最長10年)
〔企業合併〕  
  株式取得の事前届出制の導入 企業結合規制の見直し
(1)株式取得の事前届出制の導入等
 ・他の企業結合と同様に事前届出制とする
 ・簡素化
   現行:単体ベースで10%、25%超及び50%超の3段階
   改正:企業グループベースで20%超及び50%超の2段階に簡素化

(2)届出基準の見直し等
 ・株式取得、合併等の届出基準を見直し

  現行 改正
買収会社 会社並びにその直接の国内の親会社及び
子会社の総資産の合計額100億円超等
企業グループの国内売上高の
合計額200億円超
被買収会社 単体総資産100億円超(国内会社の場合) 会社及びその子会社の国内売
上高の合計額50億円超*
                              * 2008年改正案では 30億円超

基準以下の届け出は不要で、届け出件数は07年度の1284件から、「半数以下に減る見通し」(公取委)で、審査期間の短縮化も見込まれる。

 ・外国会社についても国内会社と同様の届出基準を適用
 ・いわゆる叔父甥会社間の合併等同一企業結合集団内の企業再編について、届出を免除

〔個人への罰則〕  
  強化 不当な取引制限等の罪に対する懲役刑の引上げ(3年から5年に引き上げ)

他の経済関係法令等での自然人に対する懲役刑等の上限

  金融商品取引法 特許法 不正競争防止法 米・反トラスト法
(カルテル等)
加・競争法
(カルテル等)
インサイダー
取引等
風説の
流布等
みなし
侵害
侵害 不正競争 営業秘密の
 詐取等
懲役等  5年  10年  5年  10年  5年  10年  10年  5年

 


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