8月28日、ジャワ島中部 Batang で、電源開発と伊藤忠商事が参画する石炭火力発電所の起工式がJoko Widodo大統領をはじめ日本とインドネシアの政府や企業の関係者らおよそ500人が出席して行われ、ジョコ大統領が「着工」を宣言した。
ジョコ大統領は、経済成長に伴ってひっ迫している電力事情を改善するため、今後5年間で3万5000メガワット分の発電所の建設が必要だと強調したうえで、「この発電所が、ほかの投資案件のモデルケースとなることを望んでいる」と述べ、日本からのさらなる投資の拡大に期待を示した。
大統領は「私たちは投資家を安心させなければならない」と述べ、政府として計画を支援していく方針を表明した。
土地収用を近く終えるとし、「投資環境の問題解決のモデルだ」と強調、2018年の稼働開始に言及した。
しかし、住民が「農地を奪われて生活できなくなる」「環境が悪化する」などと反対し、土地収用が難航、着工が3年近く延期されているが、なお未収用の土地が多い。
Greenpeaceによると、20.7ヘクタールの土地を持つ67人の土地所有者が売却に反対している。
総事業費は40億ドル超で国際協力銀行(JBIC)が融資を主導するが、融資契約は土地収用の完了が前提 で、日本側の企業幹部は「完了するまで先のことは何もわからない」と述べた。
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計画は中部ジャワ州に合計出力200万kWの石炭火力発電所を建設し、インドネシア国有電力会社(PLN) と25年間の長期売電契約を締結するアジア最大規模のIPP事業。
2011年4月に行われた国際入札で、電源開発(Jパワー)と伊藤忠が現地の石炭企業のAdaro Energy Tbk.と組んで優先交渉権を獲得、10月に同JVが国営電力PLNと契約を結んだ。
日本政府が進めるパッケージ型インフラ輸出で、高効率石炭火力発電設備としては初の案件となる。
概要は以下の通り。
立地 :中部ジャワ州 Batang 県 Pondewareng 村 事業会社 :PT. Bhimasena Power Indonesia
建設・保有・運営・保守を担当発電所 :中部ジャワ発電所(CJPP) 発電方式 :超々臨界圧(USC:Ultra Super Critical)石炭火力発電
亜臨界圧石炭火力発電所と比べ、
使用燃料を約1割削減
容量100万kW当たり二酸化炭素排出量を年間約50万トン削減出力 :200万kW(100万kW×2)
ジャワ島の電力需要の約1割燃料 :インドネシア産低品位炭(亜瀝青炭) スキーム :BOT(Build-Operate-Transfer)方式 出資
: 電源開発(Jパワー) 34% PT Adaro Energy Tbk. 34% 伊藤忠商事 32% 電力販売先 :PLN(インドネシア国有電力会社)
インドネシア財務省が国営インフラ保証会社を通じて、PLNの契約履行を保証契約期間 :25年間 工程
(2011/10):2012/10 着工
2016/10 1号機運転開始(工期48か月)
2017/4 2号機運転開始(工期54か月)事業費 :約40億ドル 資金調達 :三井住友銀行、みずほコーポレート銀行、国際協力銀行 (JBIC)などで構成する銀行団が
30億ドル程度を協調融資
本計画の認可条件として、事業資金の融資契約を1年以内(2012年10月6日まで)に締結することとなっており、そのためにはそれまでに用地の買収を完了しておく必要があった。
用地買収、住民対応等ほとんどを事業者側が行う形になっている。
建設用地の買収は難航した。農地は年3回、コメの収穫が可能という肥沃な土壌で、田んぼを手放さないという農民と、予定地近くの漁場汚染を懸念する近隣の村の漁師、環境保護団体が猛反対した。
期限の2012年10月になっても、同計画に関する環境アセスメントや土地取得が終わっておらず、地元住民の反対運動も続いていた。
このため、インドネシア政府は資金調達契約の締結期限を1年間延長した。「再延長はなし」と決められた。
その後も土地取得は進まず、日本政府はインドネシア政府に協力を要請、2013年9月の主要20カ国・地域(G20)首脳会議の際、安倍首相が直接ユドヨノ大統領に協力を要請した。
この結果、2013年10月に再延長が認められた。
2013/10/7 日本出資の中部ジャワ石炭火力発電所計画 難航
しかし反対運動が続き、2014年10月には3度目の延長が行われた。
用地買収は9割程度とされるが、発電所の重要部分の地権者が反対している。Greenpeaceによると、20.7ヘクタールの土地を持つ67人の土地所有者が売却に反対している。
土地収用の決着がついていないにもかかわらず、2015年4月上旬からインドネシア国軍の重機による整地作業が強行された。
建設に反対する地元住民が2015年7月29日、融資を検討する国際協力銀行に環境や地域社会に与える影響を精査するよう求める異議申立書を、関係官庁に抗議書を提出した。
建設予定地の水田や畑が収用され、多数の住民が生計手段を失った。「年に3回収穫可能な水田があり、非常に豊かな土地だ。私たちの土地を守ってほしい」と訴えた。
建設予定地は海に面しており、過去に石炭火力発電所周辺で漁業被害が生じたことから、地元漁民も反対運動に加わっている。
また計画に反対する住民が、不当逮捕されたり、軍や警察などから脅迫を受けたりしたという。警察や軍、民間警備員、地元で「プレマン」と呼ばれるならず者による人権侵害に直面している。
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本計画の受注争いで敗れた丸紅のグループは、用地買収は事業者側が担当する取り決めになっていることに配慮し、地盤整備で費用がかさむが、土地を取得する際の問題は少ない別の場所を採用していたとされる。
「早い段階での企業からの説明や交流がほとんど無かった」ともされる。
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