2020年11月アーカイブ

中国核工業集団有限公司(CNNC)は2020年9月4日、建設中の福清原子力発電所5号機(115万kW)が燃料の初装荷を始めたと発表した。同月10日には177体すべての燃料集合体の装荷が完了した。
10月21日の午後3時過ぎに初めて臨界条件を達成、正式に運転可能な状態に移行、年末までの営業運転開始を目指す。

中国核工業集団有限公司(CNNC)と中国広核集団有限公司(CGN)が開発した第3世代設計のPWR型原子炉 「華龍一号」(Hualong One) で、運転開始する第1号となる。

両者の「ACP1000」と「ACPR1000+」を統合して開発され、主要技術と機器の知的財産権は中国が保有する。

「華龍一号」は、これを含め、国内で5基、パキスタンで2基を建設中で、更にパキスタンでもう1基の建設を決めている。

福建省福清原発 

 

5号機 115万kW 年内稼働
6号機 115万kW 建設中
江西省防城港原発 3号機 118万kW 建設中
4号機 118万kW 建設中
江西省漳州原発 1号機 115万kW 2019/10 着工
2号機 計画


更に4基の建設が9月に認可された。

中国国務院の常務会議は2020年9月2日、新設プロジェクト2件を認可した。

海南省の昌江原発第2期(原子炉2基)および浙江省の三澳原発第1期(同2基)で、いずれも「華龍一号」を採用する。両プロジェクトの投資額は合計700億元(約1兆872億円)を超える。

常務会議では、原発建設の積極的かつ着実な推進がエネルギー供給能力を下支えすると同時に、温室効果ガスの排出削減のために重要であるとの認識が示された。

昌江原発第2期は、国有発電大手の中国華能集団が51%、中国核工業集団が49%を出資する。

これにより、華能集団は核工業集団、中国広核集団、国家電力投資集団に続いて加圧水型軽水炉の建設資格を獲得した4番目の発電企業グループとなった。



中国はパキスタンのチャシュマでPWR原発4基を稼働させているが、カラチ原発で「華龍一号」を2基建設中である。更に、チャシュマ原発5号機の建設を決めた。

カラチ原発 1号機 Candu型加圧重水炉 13.7万kW 1972年営業運転開始
2号機 華龍一号 110万kW 2015着工、2021年商業運転予定
3号機 華龍一号 110万kW 2016着工、2022年商業運転予定
チャシュマ原発
(Chashma)
1号機 CNP-300 PWR 32.5万kW 2000年9月営業運転開始
2号機 CNP-300 PWR 32.5万kW 2011年5月営業運転開始
3号機 CNP-300 PWR 34万kW 2016年末 営業運転開始
4号機 CNP-300 PWR 34万kW 2017年6月営業運転開始
5号機 華龍一号 100万kW 2017年11月建設に関する協力協定を締結


「華龍一号」は、英国でEDFエナジー社が建設するブラッドウェルB原子力発電所(2基、合計出力220万kW)にも採用が決まっている。

中国の習近平国家主席は2015年10月21日、フランス電力公社(Électricité de France:EDF)がイングランド南西部サマセット州Hinkley Pointで進める新規原子力発電所Hinkley Point Cの建設プロジェクトに33.5%を出資することで正式に合意した。中国広核集団(CGN)が33.5%を出資、残りはEDFが出資する。(その後、大幅なコスト増に直面している。)


中国はまた、EDFがイングランド東部のサフォーク州 Sizewell とエセックス州 Bradwellで予定する新規原発建設計画にも参画することで合意した。

Sizewellの新原発(2020/5 申請)は中国から20%の出資を受け入れる。一方、Bradwell新原発は資金の2/3 を中国から受け入れるとともに、欧米で初めて中国製の原子炉を採用する。

2015/10/28 中国、英国の原発に出資、中国製原発も導入  

英国の原子力規制庁(ONR)は2020年2月13日、「華龍一号」の英国版(UK HPR1000)で実施中の包括的設計審査(GDA)で第3ステップが完了し、最終段階の第4ステップに進展することになったと発表した。これまでところ同設計への設計容認確認書(DAC)発給を阻むような安全・セキュリティ上の根本的欠陥は見受けられない」と結論付けた。

米製薬会社 MerckドイツのMerckと区分するため、米加以外での社名は MSD は11月23日、株式非公開のバイオ医薬品会社OncoImmuneを425百万ドルの現金前払いで買収すると発表した。2020年末までに買収を完了する。
OncoImmuneの株主は売上高および一定の規制関連のマイルストン達成に基づいた支払いを受け取る権利を得る。


OncoImmuneは 新型コロナ治療薬「CD24Fc」のほか、がんや自己免疫疾患の治療薬を開発する。
「CD24Fc」を除く事業は、買収完了前にスピンアウトさせ、既存株主が株主となる。Merckも50百万ドルを投じ、この会社の少数株主になる。

「CD24Fc」は重度の新型コロナ患者向けの治療薬で、臨床試験(治験)の中間分析によると、人工呼吸器を必要とする入院患者に対して呼吸不全と死亡のリスクを50%減少させる効果が確認されている。

MerckはOncoImmuneで課題となっていた製造・供給能力を強化する。自社の生産設備の一部を使って、2021年半ばまでに新型コロナ治療向けの増産体制を構築する。

Merckは5月26日にオーストリアのワクチンメーカーのThemis Bioscienceを買収すると発表した。新型コロナウイルスのワクチン開発を加速させるのが狙いで、臨床試験を年内に開始する。

ーーー

OncoImmuneの主力製品の新型コロナ治療薬「CD24Fc」は、自然免疫系を標的とするfirst-in-classの組換え融合タンパク質で 、過剰な免疫反応を抑えることで炎症を防ぎ、治療の効果を飛躍的に高めるもの。

Paulson & Kawasaki  Nat Biotechnol 2011 may 29

組織障害が起こると放出されるDAMPs(危険関連分子パターン)は、免疫細胞膜上のTLRに結合して活性化させ、NFkBを介して各種サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IL-6) 産生を起こす。

CD24抗原はDAMPsを取り込んで、TLRとの結合を減らすとともに、細胞表面蛋白質のSiglecと結合、DAMPからの活性化シグナルを抑制し、過剰な免疫反応を抑える

CD24Fc はCD24を抗体のIgG1のFc部分とfusionさせたCD24の二量体。 CD24部分が遊離DAMPsおよびSinglec10に競合的に結合することで、初期炎症反応抑制およびT細胞活性化抑制の二つの作用機序を持つ。 


同社ではCOVID-19以外にも多くの症状の治療に効果があると見ている。

治験の状況は下記の通り。

COVID-19の入院患者で人工呼吸器を必要とした重症患者の50%超に対し、呼吸器の疾患や死亡のリスクを減らしたことが実証されている。

健康なボランティアを対象とした第I相臨床試験では、CD24Fcの安全性が実証されただけでなく、複数の炎症性サイトカインの発現を抑制する生物学的活性も実証された。

造血幹細胞移植(HCT)を受けている白血病患者を対象とした第II相臨床試験では、CD24Fcの3回投与により、免疫系の過剰反応によって引き起こされる重度(グレード3〜4)の急性移植片対宿主病(GVHD)が効果的に排除された。

GVHDは、ドナー(臓器提供者)の臓器が、免疫応答によってレシピエントの臓器を攻撃することによって起こる症状の総称
ドナーの移植片が攻撃されることによる「拒絶反応」の逆)

HIV / SIV感染の前臨床モデルでは、CD24Fcが複数の炎症性サイトカインの産生を改善し、Tリンパ球の喪失と機能的なT細胞の枯渇を逆転させ、複数の臓器の白血球浸潤を減少させることを示した。

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米最高裁は11月25日、New York州がコロナ対策として宗教施設での集まりで人数制限したことについて、カトリックとユダヤ教の教会がこれを差し止めるよう求めた件で、教会側の主張を認めた。

5対4の判断で訴えを支持した。亡くなったリベラル派のGinsburg 判事の後任にトランプ大統領が保守派のBarrett判事を指名し、与党共和党が強行承認したのがたちまち効果を表した。


New York州のAndrew Cuomo知事は10月6日、コロナが蔓延する特定の地域(Brooklyn 近郊を含む)で非必須事業の閉鎖を指令し、宗教施設での集まりを、ある地域では10人、別の地域では25人に制限した。

これに対し、Roman Catholic の教区と2つの正統派ユダヤ教会派が、制限は憲法修正第一条の信仰の自由に違反するものであり、食品店などよりも厳しい制限だとして訴えた。

連邦地裁はこれを却下、控訴裁も却下した。


コロナ対策としての宗教サービスの制限については、既に連邦最高裁が2回、判断している。

カリフォルニア州による制限については5月29日、ネバダ州による制限については7月24日、最高裁は教会による訴えを却下した。

いずれも5対4の判断で、リベラルのRuth Bader Ginsburg が健在で、当時は保守派 5 対リベラル派 4 であったが、保守派のJohn Roberts 長官が合憲とみなした。

今回、Ginsburg 判事の死去、Barrett判事の指名で、保守派 6 対リベラル派 3 となり、保守派のJohn Roberts 長官は従来と同じく合憲とみなしたが、前2回と逆の判断となった。

多数派は、当該規制が過去に最高裁に持ち込まれたいかなるケースと比較しても格段に厳しい内容だったなどとし、感染拡大が深刻な地域でもここまで強力な規制は導入されていないとの見解を示した。

Neil Gorsuch 判事は、「酒屋やバイク店の再開を認めながら、教会やシナゴーグ、モスクを閉鎖するという色分けされた行政命令を合衆国憲法は許容しない」と述べた。

〇:合憲X:違憲

 性別 人種背景 就任日 判断傾向 5/29
California
7/24
Nevada
11/26
New York
Clarence Thomas 男性 アフリカ系 1991年10月23日 保守 X X X
Ruth Bader Ginsburg 女性 ユダヤ系 1993年8月10日 リベラル
Stephen Breyer 男性 ユダヤ系 1994年8月3日 リベラル
John Roberts  (Chief) 男性 白人系 2005年9月29日 保守
Samuel Alito 男性 イタリア系 2006年1月31日 保守 X X X
Sonia Sotomayor 女性 ラテン系 2009年8月8日 リベラル
Elena Kagan 女性 ユダヤ系 2010年8月7日 リベラル
Neil Gorsuch 男性 白人系 2017年4月10日 保守 X X X
Brett Kavanaugh 男性 白人系 2018年10月6日 保守 X X X
Amy Coney Barrett 女性 白人系 2020年10月26日 保守 X
結果 5 5 X 5

チッソの事業子会社JNCは11月24日、有機EL材料事業に関し、開発・販売を新設の子会社に移管するとともに、韓国のSK Materials との間で合弁会社を設立し、新設子会社をJVに移すと発表した。

子会社には製造機能は移管しないとし、製造設備はリースするとしている。製造設備を子会社にリースしたうえで、製造そのものは受託するとみられる。

JNCはSK JNC Japanを設立して有機EL材料事業を移管、この子会社の全株式と、有機EL材料の特許や商標を売却する対価として韓国の新会社SK JNCの株式を取得し、子会社は新会社の傘下に入る。

合弁相手のSK Materialsは半導体、ディスプレイ、太陽電池などの中核素材の生産、販売を主たる事業としており、韓国のパネル大手との関係が深い。

JNCは色の純度や発光効率で世界最高水準の青色発光材料(ドーパント材料、ホスト材料)や電子輸送材料などの有機EL材料を手掛ける。

同社が関西学院大学の畠山琢次教授との共同研究により開発した有機EL材料は、これまでに使用されてきた材料系とは全く異なる新しい構造を特徴とした青色発光材料で 、ホウ素原子を含むヘテロ環構造を主骨格とし、電圧をかけることによって発生する光の波長の幅が従来の材料に比べ狭いことを特徴としている。これにより、発光したエネルギーロスを抑えることが可能となり、低消費電力化を実現できる。

2018年にホウ素系青色ドーパント「DABNA」を上市し、大手ディスプレイメーカーのスマートフォンに採用された。

2018/12/14 JNC、新規有機EL材料を開発

かつての収益源であった液晶事業が赤字に転落するなかで、これに代わるものとして期待されたが、単独では難しいと判断した模様。
有機EL材料の特許や商権と日本の事業を、パネルメーカーと太いパイプを持つSK Materialsに譲渡する。SK Materialsは有機EL材料への参入を検討してきたが、JNCの高い技術力に着目した。

譲渡の対価で新設のSK JNCの49%を取得することで、JNCは引き続き事業に関与する。また、水俣製造所での有機EL材料の生産は、設備をリースしたうえで、受託の形で継続する。

ーーー

2011年1月12日、チッソの100%出資で「JNC株式会社」(社名はJapan New Chissoから)が設立され、3月末に親会社チッソから機能材料分野、化学品分野及び加工品分野などの事業継続に必要な土地や設備などの財産譲渡を受けた。

親会社は当面、子会社の株式配当益で補償業務を担い、3年後をめどに株式を他者に全面譲渡、譲渡益を熊本県に納付して補償業務を委ね、清算するという構想であった。

なお、特措法では、「救済の終了」と「市況の好転」をJNC売却の条件としている。

液晶関連材料、電子情報材料を扱う機能材料事業は液晶の好調で2015年3月期には182億円の経常利益を上げた。

しかし、液晶パネルから有機ELパネルへの切り替えが進むなか、中国液晶材料メーカーの台頭でパネルの供給過多の状況が増幅され、減益が続き、2019年3月期には赤字に転落、2020年3月期は更に悪化した。

15/3 16/3 17/3 18/3 19/3 20/3 20/9中
機能材料 182 128 83 26 -28 -31 -9
合計 175 138 75 48 -14 -13 12

2020年9月には、韓国パネルメーカーの液晶パネル事業からの撤退した。

チッソの問題は液晶に代わる収益の柱が見当たらないことで、このままでは賠償金の支払いも難しくなる。

FDA、Eli Lillyの抗体治療薬の緊急使用許可 モノクローナル抗体治療薬「Bamlanivimab」

FDA、Regeneron Pharmaceuticalsの抗体カクテル療法にEUA 「Casirivimab and Imdevimab Antibody Cocktail」

武田薬品工業は世界の9社と共同でCoVIg-19 Plasma Allianceをつくり、COVID-19の治療を目的とした高度免疫グロブリン製剤(CoVIg-19)を開発している。現在、臨床第3相試験に入っており、早ければ年内にも治験結果がまとまる。成功すれば各社がノーブランドで販売する。

免疫グロブリンは「天然の予防抗体」といわれ、新型コロナから回復した患者の血液中の抗体の集まり で、人工的に設計された ものに対し、効果が高いとされ、量産もしやすい。

ーーー

武田薬品の参加するCoVIg-19 Plasma Allianceは10月9日、共同で開発が進められるCOVID-19の治療を目的とした高度免疫グロブリン製剤(CoVIg-19) について、米国国立衛生研究所(NIH)の米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が実施する臨床第3相試験「Inpatient Treatment with Anti-Coronavirus Immunoglobulin(ITAC)」の患者が登録されたことを確認した と発表した。

武田薬品は、世界をリードする他の血漿分画製剤企業9社と共同でCoVig-19 Plasma Alliance を共同設立し、新型コロナウイルスとの世界的な闘いに向けた高度免疫グロブリン製剤の開発および製造を進めている。

2020年4月6日に CSL Behringと武田薬品がCOVID-19の治療薬となり得る血漿分画製剤の開発に関する提携契約を締結し、本提携にBiotest、BPL、LFB、Octapharmaの各社が参画した。
5月8日に4社が追加参加した。

血漿分画製剤領域で世界をリードする企業が協力し、COVID-19に対する世界的な戦いにおいて高度免疫グロブリン製剤の開発および製品化を行なう もので、
ノーブランドの抗SARS-CoV-2ポリクローナル高度免疫グロブリン製剤の臨床開発に直ちに着手した。  

このアライアンスは、米Mayo Clinicが提唱した感染回復患者から血漿を採取し治療薬を開発するイニシアチブ「The Fight Is In Us」にも参加している。

CoVIg-19 Plasma Allianceメンバー

当初
メンバー
2020/4/6
武田薬品 免疫グロブリン製剤を含む血漿分画製剤は、買収したシャイアーが強みとして抱えていた分野。
Biotest 血漿タンパクと生物学的製剤を提供する企業であり、ドイツのDreieichに本社を置く。前臨床および臨床開発から世界中での販売にまでおよぶバリューチェーンを有し、主に臨床免疫領域、血液領域および集中治療領域に特化してい る。
ヒト血漿由来の免疫グロブリン、凝固因子、アルブミンを開発、販売している。
BPL(Bio Products Laboratory) 60年以上の歴史を有するBPLは世界中の医師、患者、顧客のニーズを満たす高品質の血漿分画製剤を提供してい る。 英国に本社を置き、全米に血液収集センターを有し、免疫不全、出血性疾患、感染症の治療や救急医療用の医薬品の製造に取り組んでいる。
CSL Behring 豪の CSLの米国子会社
生物学的製剤のグローバル企業で、血液凝固疾患、原発性免疫不全症候群、遺伝性血管性浮腫、遺伝性呼吸器疾患、神経系疾患などの治療に用いられる製剤を開発、提供している。
また、心臓手術、臓器移植、やけど、新生児の溶血性疾患の予防などに使用される製剤も扱っている。
世界でも最大規模の血漿採取ネットワーク(CSL Plasma)を運営している。
LFB 重篤な希少疾患の患者の治療に用いる血漿分画製剤および遺伝子組換えタンパクを開発、製造、販売するバイオ医薬品グループ。
欧州におけるバイオ医薬品企業のリーディングカンパニーの1つで、主に病院の医療関係者に、免疫、止血、集中治療の3つの主要分野における血液由来の治療薬を届ける。
1994年にフランスで設立され、現在30カ国以上で15の製品を販売している。
Octapharma スイスに本社を置き、ヒト血漿およびヒト細胞株からヒトタンパクを開発および製造する世界最大のヒトタンパクメーカーの1つ。
血液がん領域、免疫治療領域、救命救急領域の3つの領域にわたり、118か国で販売している。
追加
メンバー
2020/5/8
ADMA Biologics 感染リスクのある免疫不全患者および特定の感染症のリスクがある患者の治療に用いる専門的な血漿由来生物学的製剤の製造、販売および開発に特化した米国のバイオ医薬品企業。
免疫不全の治療および特定の感染症予防に用いる血漿由来生物学的製剤3種類を製造・販売している。
フロリダ州の血漿分画精製施設で免疫グロブリン製品を製造している。
BioPharma Plasma 血漿分画製剤の開発・生産に注力するウクライナのバイオ医薬品企業。
ウクライナおよびその近隣諸国において、製造の最新技術を持つ唯一の工場を有している。
アルブミン、免疫グロブリン、凝固因子をウクライナおよび世界30カ国以上に供給している。ウクライナ
GC Pharma 旧社名Green Cross Corporation。タンパク質治療薬やワクチンを製造販売する韓国のバイオ医薬品企業。
世界有数の血漿タンパク製剤メーカーの一つであり、半世紀以上にわたり高品質な医療ソリューションの提供に専念。
Sanquin オランダで血液採取と血漿採取の両方を担い、Sanquin Blood Bankとその製薬法人であるSanquin Plasma Productsで構成され る。研究目的と抗COVID-19免疫グロブリン製造の両方に活用すべく、回復された患者からの血漿を収集してきた。
支援 Bill&Melinda Gates Foundation 助言支援
Microsoft テクノロジー面でのサポート(ウェブサイト、Plasmabot:ドナー募集のためのツール)


臨床第3相 ITAC試験では、COVID-19により重篤化リスクのある患者を治療できる可能性のある抗コロナウイルス高度免疫グロブリン静注製剤(H-Ig) の安全性、忍容性、有効性を評価 する。

これは国際多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験で、米国やメキシコ、その他16カ国の5大陸にわたる最大58施設において実施され る。

治験に使われる高度免疫グロブリン静注製剤は、CoVIg-19アライアンス のCSL Behring と武田薬品が提供するほか、他の2社からも提供される予定。

発症後12日以内で、生命を脅かすような臓器障害や終末臓器不全のない成人のCOVID-19入院患者500人が登録される。
標準治療としてレムデシビルが投与され、さらに高度免疫グロブリン静注製剤が投与された時の安全性と有効性が評価され る。

CoVIg-19アライアンスでは、COVID-19から回復した患者に血漿提供を呼びかけている。(日本ではやっていない)

ーーー

武田薬品はビジネス面、研究面の双方で「血漿分割製剤」をフォーカス対象にし、重視している。

米国の大統領選挙と、同時に行われた上院議員、下院議員、知事の選挙の結果がほぼ確定した(3州8人の下院議員が未確定だが票数で判断した)。

ジョージア州は11月19日、得票を再集計した結果、民主党のバイデン候補が勝利したと発表した。当初の集計でバイデン候補のリードが得票率で0.5ポイント以下だったため、州法に基づき手作業で約500万にのぼる票を再集計していた。

大統領選

選挙人は上院(100)と下院(435)の議員数にコロンビア特別区の3人を合わせ総数は538人、当選に必要な人数は270人。

下記2州を除き、最も多く得票した候補がその州の選挙人全員を獲得する。
  メインは4人のうち、上院分 2人は全体勝者とし、下院分 2人は2選挙区の勝者
  ネブラスカは5人のうち、2人は全体勝者、3人は3選挙区の勝者

Biden候補は25州とWashington DC 及びネブラスカ州の1/4を獲り、306人を確保した。
Trump候補は25州とメイン州の1/3を獲り、232人となった。

確保した投票数はBidenが79,662千票、Trumpが73,686千票で、コロナ渦のなか、いずれも過去最高の2008年のObama(69,499千票)を大きく上回った。
民主党の場合は郵便投票が大きく貢献した。(Obamaはこれが「不正投票」であるとしてクレームしている。)

今回は、Trump の問題点を取り上げる「暴露本」が相次いだ。共和党のなかから大統領のやり方に反対する政治団体「Lincoln Project」が生まれ、選挙広告を次々と繰り出し、Trump 攻撃を続けた。
その中でのTrumpのこの大得票は驚きである。

トランプ バイデン
2020

232

73,686千票

306

79,662千票

トランプ ヒラリー クリントン
2016

304

62,985千票

227

65,854千票

マケイン オバマ
2008

173

59,948千票

365

69,499千票


Trump大統領はまだ敗戦を認めていない。

もしもの場合、米大統領選挙、期限の1月6日までに確定しない可能性も


しかし、米政府機関の政府一般調達局(GSA) は11月23日、バイデン候補に「法廷闘争に関連した最近の出来事や(各州の)選挙結果の認定を踏まえ、要請に応じて連邦法が定める物資やサービスへのアクセスを認めることを決めた」と伝えた。米政府は安全保障の機密情報や移行に伴う資金を提供する。

トランプ大統領もツイッターでこれを認めた。今後の戦いで勝つと信じるが、政権以降の初期手続きをするようGSAに勧め、自分のチームにもそうするよう伝えたとしている。
(政権移行にはGSAの認定が必要だが、これまで認定せず、下院の4委員会が11月24日にGSAを呼び、説明を求めていた。)

I want to thank Emily Murphy at GSA for her steadfast dedication and loyalty to our Country. She has been harassed, threatened, and abused - and I do not want to see this happen to her, her family, or employees of GSA.
Our case STRONGLY continues, we will keep up the good fight, and I believe we will prevail!
Nevertheless, in the best interest of our Country, I am recommending that Emily and her team do what needs to be done with regard to initial protocols, and have told my team to do the same.


上院議員選

定員100名 50州x2
任期 6年 2年ごとに約1/3ずつ 改選(本年は33名が改選で、他にジョージア、アリゾナの補欠選挙2名)

ジョージア州の改選(共和 49.72%、民主 47.96%)、補選(共和2人 25.9%と19.55%、民主 32.91%)の2議席が、どの候補も過半数をとれず、1月5日に決戦となる。
民主党が2議席とも取れば、50:50となり、その場合、上院議長である副大統領(民主)が票を投じるため、支配権をもつ。

なお、非改選の共和党の2議員(上院の最高裁判事承認の討論終結に反対したメイン州のSusan Collins 議員とアラスカ州のLisa Murkowski 議員)は民主党寄りの判断をすることが多い。

共和党 民主党 民主系
無所属
未定
(決戦)
合計
改選前 53 45 2 100
非改選 30 33 2 65
改選 補選 21+2 12 0 35
結果 補選 1 1 2
改選 20 12 1 33
改選後 50 46 2 2 100

48



下院議員選

定員 435名で、全員が任期2年のため改選

民主党は当初予想の大勝は逃したが、過半数を確保した。
ルイジアナ州は1議席が12月5日に決選投票となる。

下院は全体では民主党が過半を取ったが、州別に過半をとったのは共和党が27州、民主党が20州、同数が3州となった。 下記の偶発的事態では共和党の勝利となる。

投票証明書の開封、確認を経ても、なお大統領、副大統領の当選を決定できない場合を選挙における偶発的事態(electoral contingencies)と呼ぶが、その場合、米国憲法修正第12条で下院が大統領を選出する。「この方法により大統領を選出するときは、投票は州を単位として行われ、各州の議員団が1をもつ。」(各州は、その州の下院議員の多数決で決める。) 

共和党 民主党 無所属 未定
(決戦)
合計 欠員  

2018/11改選

200 235 435

North Carolina-No.9 は2019/7に確定(共和党)

2020年改選前

197 232 1 430 5 欠員は民主2、共和3の辞任、死亡による。
無所属は共和党からの脱党者。

改選後 

211 222 0 2 435
ルイジアナ州5区 12/5決選投票で共和党Letlowが当選したが、12/29に新型コロナで死去
→2021/3/20に選挙

NY州22区 29票差のため裁判(疑惑の約2500票の判断)

付記 ルイジアナ州5区は12月5日の投票で共和党


知事選挙

共和党 民主党
改選 8 3
留任 19 * 20
合計 27 23

* ミネソタ州はミネソタ民主農民労働党


州別の結果は下記の通り。

上院は任期6年で、2年ごとに約1/3ずつ改選する。 ①2024/11選挙 ②今回選挙、③2022/11選挙  
今回、③の補選がジョージアとアリゾナの2州であった。  

大統領選挙

上院

 

下院 知事
Trump Biden

共和

民主

独立 決戦 共和 民主 決戦 共和 民主
今回

非改選

今回

非改選

非改選 今回
New England Maine 1 3 0 2
New Hampshire 4 0 2
Vermont 3 - - 0 1
Massachusetts 11 0 9
Connecticut 7 - - 0 5
Rhode Island 4 0 2
Mid-Atlantic New Jersey 14 2 10
New York 29 - - 7 19 1
Pennsylvania 20 - - 9 9
Delaware 3 - 0 1
Maryland 10 - - 1 7
Washington D.C. 3    
The South Arkansas 6 4 0

Alabama

9 6 1
West Virginia 5 3 0
Florida 29 - - 16 11
South Carolina 9 6 1
Georgia 16 8 6
Texas 38 23 13
Tennessee 11 7 2
Kentucky 8 5 1
North Carolina 15 8 5
Virginia 13 4 7
Mississippi 6 3 1
Louisiana 8 4 1 1
Great Plains Oklahoma 7 5 0
Kansas 6 3 1
South Dakota 3 1 0
North Dakota 3 - - 1 0
Nebraska 4 1 3 0
The Midwest Iowa 6 3 1
Indiana 11 - - 7 2
Illinois 20 5 13
Ohio 18 - - 12 4
Wisconsin 10 - - 5 3
Michigan 16 7 7
Missouri 10 - - 6 2
Minnesota 10 4 4
Rocky Mountains Idaho 4 2 0
Colorado 9 3 4
Montana 3 1 0
Wyoming 3 1 0
The Southwest Arizona 11 4 5
New Mexico 5 1 2
Nevada 6 - - 1 3
Uta 6 - - 4 0
Pacific Oregon 7 1 4
Washington 12 - - 3 7
California 55 - - 11 42
Alaska 3 1 0
Hawaii  4 - - 0 2
合計
232 306 20 10 20 13 21 12 2 2 211 222 2 8 19 3 20

50

48 2

538

35 + 非改選65 = 100

435

27 23

米食品医薬品局(FDA)は11月21日、Regeneron Pharmaceuticals, Inc.のCOVID-19の抗体カクテル療法「Casirivimab and Imdevimab Antibody Cocktail」(旧称 REGN-COV2)について、緊急使用許可(EUA) を与えた。

付記

RocheはRegeneron との間で、この製造および開発を共同で実施するとともに、米国での販売はRegeneron 、米国外での製造および販売をRohceが担う契約を締結している。

中外製薬は2020年12月10日、Rocheより新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するこの抗体カクテル療法「REGN-COV2」について、日本における開発および販売に関するライセンス契約を締結した。

Rocheは2021年4月12日、新型コロナウイルス感染者との家庭内における濃厚接触者を対象に、casirivimabとimdevimabの抗体カクテル療法によるCOVID-19の発症リスクと負担の軽減を評価した第III相臨床試験(REGN-COV 2069試験)の良好な結果を確認した。

中外製薬は5月10日、本抗体カクテル療法が日本において薬事承認された場合、国内での供給を目的として2021年分を日本政府が確保することで政府と合意した。

付記

中外製薬は2021年6月29日、Casirivimab と Imdevimabの抗体カクテル療法について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する製造販売承認申請を厚生労働省に行った。

COVID-19患者を対象とした海外第III相臨床試験成績、および日本人を対象とした国内第I相臨床試験成績に基づく申請で、特例承認(FDAのEUAに基づく)の適用を希望している。

FDAは声明で「COVID-19患者に対する臨床試験で抗体カクテル(casirivimab &imdevimab)を共に投与したところ、プラセボ(偽薬)投与の患者と比べて治療後28日以内に病状進行の高いリスクがある患者の入院や救急治療の減少が示された」と指摘した。

FDAによると、この抗体薬は患者が検査で陽性反応を示してからできるだけ早い段階で使われる。
EUAの対象は65歳以上や体格指数(BMI)35以上、基礎疾患のある人など高リスクのグループに限定される。
12歳未満の子どもや、新型ウイルス感染ですでに入院したり酸素吸入を受けたりしている患者は対象外。

Regeneronでは11月末までに約8万人分、2021年1月第1週までに20万人分、1月末までに30万人分の用意をする。

米当局は11月23日、この抗体治療薬の配布を24日から開始すると発表した。約3万回分を州ごとの感染者数や入院者数に基づき配分する。
注射などの費用はかかるが、薬そのものは政府負担で無料となる。


Regeneronの抗体カクテル「REGN-COV2」(旧称)は、コロナウイルスのスパイクタンパク質に対する2つのモノクローナル抗体(REGN10933+REGN10987)を組み合わせたもの。

何千ものモノクローナル抗体候補のなかから最終的にウイルスに対する強い中和抗体を産出させることができる組み合わせを見つけた。

抗体はウイルスが健康な細胞に感染するのをブロックするが、単一の抗体の場合、ウイルスの自然発生的な変異型は、抗体のブロック作用を回避する可能性がある。これらの変異体は抗体処理にもかかわらず生き残り、増殖することができ、最終的にはウイルスの優性株になる可能性がある。

REGN-COV2は重複しない別々の場所でウイルスのスパイクタンパク質に結合することにより、ウイルスが逃げるリスクを減らすことができる可能性があることを示す。

6月に新型コロナの入院患者と外来患者の両方を対象に複数の臨床試験を開始し、短期間でPhase3まで終えた。

7月には政府のワクチン開発計画 Operation Warp Speed に採用され、4.5億ドルの契約を締結した。8月には米国以外での販売についてRocheと締結した。

9月29日に発表された臨床試験1件の暫定結果では、投与した外来患者でウイルス量を減らし症状を緩和する効果が示された。

COVID-19に罹ったトランプ大統領の専属医は10月2日、新型コロナウイルス感染で入院した大統領が抗ウイルス薬Remdesivirを服用したと明らかにした。また、米Regeneron Pharmaceuticals, Inc.の治験段階にある抗体カクテル療法が使用された。更に医師団は大統領の容体の安定に向けてステロイド薬「デキサメタゾン」の使用を始めた。

Regeneron Pharmaceuticalsはトランプ大統領の主治医から人道的見地で未承認薬の使用を認める「Compassionate Use」の要請を受け、大統領向けに高用量の未承認の抗体カクテル1回分を提供した。

Regeneron Pharmaceuticalsは10月7日、この抗体カクテル療法治療薬について、緊急使用許可(EUA)を米食品医薬品局(FDA)に申請したと発表した。大統領は同日、ツイッターに投稿した動画メッセージでこの薬を称賛、緊急使用を認め、「無料にするつもりだ」と述べた。

2020/10/4 トランプ大統領にレムデシビル投与、未承認の抗体カクテル療法も 

英のAstraZenecaとOxford大学は11月23日、ワクチンAZD1222の「有効性は70%」とする最終の臨床試験の暫定結果を発表した。
1回目に通常の半分の量を、1カ月の間隔を置いて、2回目に通常の量を投与したグループ
だと90%で効果があった。

Pfizer とBioNTech のワクチンBNT162b2 は95%の予防効果が確認できた。
米 Modernaも最終治験で94.5%の効果を確認した。

今回公表されたのは英国とブラジルで行った約2万3000人分の治験結果で、日本を含む多くの国でも治験を行っている。

1回目に通常の半分の量を、1カ月の間隔を置いて、2回目に通常の量を投与したグループ(n=2,741) と90%で効果があった。
通常の量を、少なくとも1カ月の間隔を置いて、2回投与したグループ
(n=8,895) だと病気の予防効果は62%だった。

付記

AstraZenecaは11月26日、追加の臨床試験(治験)を行うことを明らかにした。投与量が想定よりも少ないケースの方が効果が高かったためで、有効性や望ましい投与方法を再確認する。

なお、90%の効果があった分は、1回目に定量を与える筈が、誤って通常の半分の量を与えてしまったものと判明した。

2種類の投与方式を合わせた分析(n=11,636) では平均70%だった。いずれの結果も統計的に有意 (p<=0.0001) だとしている。

ワクチンに関連した重症例は確認されなかった。

データは世界中の規制当局に提出 する準備を行う。低所得諸国での利用のため、WHOに緊急使用リスト掲載Emergency Use Listing)を求める。

このワクチンは2~8度という通常の冷蔵施設の温度で保管できるメリットがある。(Pfizerワクチンは-70℃ 前後で保存する必要がある)

ーーー

ワクチンはOxford UniversityのJenner Instituteが開発したAZD1222。当初名はChAdOx1で、Chimpanzee Adenovirus Oxford 1の略語である。

チンパンジーに感染する風邪のアデノウイルスが人間の体内で増殖できないように、複製能を欠損させた改変ウイルスを作る。
そこに、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)粒子の表面に存在するスパイクタンパクの遺伝子を組み込む。

2020/5/22 アストラゼネカ、新型コロナウイルスのワクチン 9月に供給へ 

ーーー

日本政府は1億2千万回分の供給を受けることで基本合意している。2021年の1~3月にまず3千万回分が供給される。
(当初1回接種とされていたが、上記の報告から2回接種となり、6000万人分となる。)

JCRファーマ(旧日本ケミカルリサーチ)での原液製造と海外からの原液輸入で、これら原液は、第一三共、第一三共バイオテック、Meiji Seikaファルマ、KMバイオロジックスで製剤化される。

2020/6/27 政府、新型コロナワクチン供給でAstraZenecaと協議





Pfizer とBioNTech は11月20日、新型コロナウイルスのmRNA ワクチン BNT162b2 について、米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可(EUA)を申請した。

FDAは治験データを入念に検査する諮問委会合を12月10日に開催する。承認されれば年内にも実用化される見通し で、最初の接種対象者は米疾病対策センター(CDC)が決めるが、まず医療関係者や高齢者に限定するとみられる。

日本や豪州、カナダ、欧州、英国その他でも申請を準備している。

第3相試験は7月27日に開始され、4万3661人が参加した。うち4万1135人が11月13日時点で2回目の接種を受け、その1週間後には170人が発症した。 そのうち、ワクチン接種組は8人で、プラセボ(偽薬)組は162人であった。重症化した10人のうちワクチン接種組は1人だけ。

BNT162b2 は95%の予防効果が確認できた。65歳以上の高齢者でも有効性は94%である。
グレード3(重症または医学的に重大だが、直ちに生命を脅かすものではない)で頻度が2%を超えたのは倦怠感3.8%と頭痛2%のみ。

接種から2カ月以上の経過観察でも重大な副作用は出ていない。

11月9日に、第3相臨床試験のデータを中間解析したところ、90%以上の有効性を示したと発表している。
11月18日に最終分析で95%の確率で有効性が示されたと発表した。

米国とベルギーの計4拠点でワクチンを製造する。BioNTechの製造分と合わせて、 2020年中に世界で50百万回分の、2021年末までに13億回分の生産を行う。(1人2回接種)

許可を得られ次第、数時間内にワクチンの供給体制を整える。

ワクチンは-70℃ 前後で保存する必要があるため、同社は専用の全地球測位システム(GPS)付き保冷容器を用意し、輸送に万全を期す。

日本政府はPfizerと1億2000万回分(6千万人分)のワクチン供給で合意している。日本への供給分は空輸される見込みで、到着後の流通方法については日本当局と今後調整する。

厚生労働省は医療機関向けに超低温冷凍庫3000台を確保し、集団接種も念頭に準備を進める。


新型コロナウイルスワクチンの臨時接種を無料とすることを盛り込んだ予防接種法などの改正案が11月19日の衆院本会議で全会一致で可決され、参院に送付された。

 ワクチン接種を国民の努力義務とする。(接種勧奨を実施 、接種を受ける努力義務)
 
有効性や安全性が十分に確認できない場合は、努力義務を適用しない規定も盛り込んだ。
  なお、「努力義務」は違反しても罰則はない。

予防接種法は、かつて「予防接種を受けなければならない」とする義務規定を設けていたが、健康被害の発生などを受け、1994年の改正により努力義務規定となった。

 新型コロナワクチンの臨時接種は市町村が実施し、国が費用を全額負担する。

 健康被害が出た場合の救済措置も整え、製薬会社に生じる損害賠償は国が肩代わりする。



新型コロナワクチンでは米 Modernaも最終治験で94.5%の効果を確認したとする暫定結果を公表した。同社も近くFDAに緊急使用許可を申請する予定。

参考 COVID-19 ワクチンの 開発状況(WHO 2020/11/12)

ーーー

英医薬品・医療製品規制庁(MHRA) は10月にPfizerのワクチン候補について「逐次審査」を開始した。逐次審査は当局がリアルタイムで治験データを評価できる仕組みで、進行中の治験や医薬品の製造工程について企業側との協議することで承認に要する時間を短縮できる。

英政府は11月21日、MHRAにワクチン承認の判断を下すよう求めた。

12月1日から国民医療サービス(NHS)の医療従事者、1月から80歳以上の高齢者から接種を開始する予定で、2021年4月末までに発症・重症化リスクの少ない若者を含め国民全員を対象にワクチンを接種する計画。ただし、Covid-19の予防接種は義務化されていないので、これから接種の必要性を国民にアピールしていく。

英国は4000万回分の供給を予約済みで、年末までに1000万回分を確保するとみられる。

欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長は、欧州でも年内にワクチンを承認できるよう迅速に対応すると述べた。

FDAは11月9日、Eli Lillyのモノクローナル抗体治療薬「Bamlanivimab」(LY-CoV555)について、軽度から中等度の新型コロナウイルス感染症の成人および小児患者向けに緊急使用許可(EUA)を付与したと発表した。入院を必要としていない軽度から中度のCOVID-19患者465名を対象とする第2相試験 (ランダム化プラセボ対照二重盲検試験)の結果に基づいている。

血漿療法やRemdesivirなど使用が認可された治療薬は重症患者向けであるが、今回の決定で医師は高リスクの患者について重症化する前に対処する選択肢が得られる。
Eli Lillyでは、「コロナ検査で陽性となった場合、できるだけ早く、症状が出始めてから10日以内に」投与すべきだと説明している。

EUAの対象は、12歳以上、体重40 kg以上で、SARS-CoV-2ウイルス陽性の軽度から中度 (mild-to-moderate)の症状で重症化するリスクそしてまたは入院が必要になる可能性が高い新型コロナウイルス感染者で、65歳以上または一定の慢性疾患を帯びてる感染者が含まれる。

一方で、COVID-19入院患者には効用を示さず、COVID-19入院患者または酸素療法を必要とするCOVID-19患者へのEUAは認められていない。
Bamlanivimabのようなモノクローナル抗体は、高濃度酸素吸入や人工呼吸器を必要としている入院患者の症状を悪化させる恐れがある。

ーーー

Eli Lillyは10月13日、COVID-19抗体治療薬の臨床試験で被験者の登録を安全性への懸念が理由で停止したことを明らかにした。米政府の支援を受けて進めている入院患者を対象に実施していた治験は独立したデータ安全性監視委員会(DSMB)から停止の勧告を受けたと述べた。

Eli Lilly はこの抗体医薬について、10月上旬にFDAに軽度から中程度の外来患者向けでの緊急使用許可を申請した。

治験結果とNIHの発表から、新型コロナウイルスが肺に深く侵入し深刻なダメージを与える前の、治療コース初期にコロナ向けモノクローナル抗体が投与された場合にのみ効果がある可能性がうかがえる。

2020/10/29 Eli LillyのCOVID-19用抗体薬に動き 

Eli LillyはEUAの取得以前に米国政府との間で、1錠 1,250ドルでの30万錠の供給契約を締結している。米国市民は無償で(注射料金は必要)治療を受けられる。

抗体治療薬は、新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質を直接攻撃して、細胞内へのウイルスの侵入を防ぐ。

Eli Lilly は6月1日、新型コロナウイルス治療のための抗体療法について、米国の入院患者を被検者として、世界初となる第1段階の臨床試験を開始したと発表した。

カナダのバイオテクノロジー企業の AbCellera と共同で開発した。AbCelleraは米国で新型コロナウイルス感染症から回復した患者の血液試料を入手し、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のワクチン研究センターと共同で有望な抗体を見つけ出した。その後、Ely Lillyが3か月でウイルスが持つスパイク状のタンパク質構造に対応した IgG1 モノクローナル抗体 LY-CoV555を開発した。

2020/6/5 Eli Lilly、新型コロナウイルスの抗体療法の治験を開始

Samsung BioLogics は11月17日、Eli Lilly が開発したコロナ治療剤を本格生産していると発表した。初期供給量の一部を生産し、10月末に引き渡した。

5月に世界の需要に対応し、COVID-19抗体治療の提供を加速するためにEli Lillyとの受託生産契約を締結している。

両社はグローバルな供給を加速する。本年に100万錠、2021年にはもっと大量に供給する。

Eli Lillyでは他の供給ソースの確保にも動いている。9月にはAmgen、10月には富士フィルムと契約した。富士フィルムは低中所得国向けの生産を受託、FUJIFILM Diosynth Biotechnologiesのデンマーク拠点で2021年4月より製造を開始する。

富士フィルムは7月28日、FUJIFILM Diosynth BiotechnologiesがCOVID-19ワクチン候補の原薬の製造受託を拡大すると発表した。

COVID-19 の治療推進プロジェクト「COVID-19 Therapeutics Accelerator」ビル&メリンダ・ゲイツ財団がウェルカム財団や Mastercard と立ち上げた COVID-19 の治療推進プロジェクト)よりCOVID-19治療薬のプロセス開発・製造を受託することを決定している。

今回、Eli Lillyと「COVID-19 Therapeutics Accelerator」の間で抗体医薬品の開発・製造支援で合意したことを受け、原薬製造を受託することが決定した。

世界での配分はEli Lillyの決める原則に基づいて行われる。



富士フィルム子会社で iPS細胞の開発・製造の世界的なリーディングカンパニーであるFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.は11月12日、GMPグレードのiPS細胞製造において世界的なリーディングカンパニーであるLonza Walkersville, Inc. (Lonza) との間で全世界を対象とする契約を締結した。

FUJIFILM Cellular Dynamicsは、Lonzaに対し、細胞治療用iPS細胞株の開発および治験薬製造を対象に、エピソーマルベクター・初期化因子といったiPS細胞作製技術に関する特許を非独占的に使用できる権利を付与する。

Lonzaは、FUJIFILM Cellular Dynamicsに対し、革新的なNucleofector®テクノロジーを拡大利用するための非独占的な権利を付与する。

Nucleofectorテクノロジーは、初代細胞や遺伝子導入の難しい細胞株を導入対象とした初の高効率非ウイルス性遺伝子導入法。

Nucleofectorは電気パルスにより細胞膜に瞬時に細孔を形成する。細胞質へはもちろん、さらに核膜を通して核内への遺伝子の導入を実現した。これにより、細胞種によっては99%という高導入効率と細胞増殖に依存しない遺伝子導入の実現が可能になった。

本契約により、医薬品開発企業が両社のヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)の製造における専門知識と技術を活用することが可能になる。

FUJIFILM Cellular Dynamics は医薬品候補物質の安全性や有効性を試験するためのiPS細胞を販売している。薬の毒性を調べるときに使うiPS細胞の外販では世界首位で、作製技術の特許を持つ。

しかし、治療用iPS細胞の販売や特許供与は資本関係のある企業に限ってきた。

今回、治療用iPS細胞の外販や特許ライセンスの供与を本格的に始める こととし、まずLonzaに治療用iPS細胞の作製に関する特許を供与する。

Lonzaの他にも「十数社から引き合いが来ている」という。治療用iPS細胞の外販も始める。

ーーー

山中教授とSir John Bertrand Gurdon がノーベル医学生理学賞を受けたが、ウィスコンシン大学のJames Thomson 教授も山中教授と同じ2007年11月に人間の受精卵を使わずに皮膚細胞からiPS細胞ができると発表している。Cellular Dynamicsは、そのJames Thomson 教授が創始者の一人である。

Cellular Dynamicsが持つ特許の範囲は、体の様々な細胞からiPS細胞を作製する技術、iPS細胞から心筋や糖尿病治療への応用が期待される膵臓のベータ細胞を作る技術など幅広いが、中でも2013年に成立したプラスミドと呼ばれる環状DNAを使ってiPS細胞を作る技術は、がんになりにくい安全なiPS細胞を得るのに不可欠とされる。

富士フイルムHDは、2015年3月30日、株式公開買付けによりCellular Dynamics を買収することで同社と合意した。
発行済普通株式の総数を約307 百万米ドルで取得し、100%子会社FUJIFILM Cellular Dynamics とした。

2015/4/14 京都大学iPS 細胞研究所、Cellular Dynamics Internationalと提携へ

FUJIFILM Cellular Dynamics は、iPS細胞技術・ノウハウを生かし、加齢黄斑変性、網膜色素変性、がん免疫などの分野におけるアンメット・メディカル・ニーズにこたえるための強固な細胞治療パイプラインの開発に取り組んでいる。

自社のiPS細胞プラットフォームを利用し、パートナー企業が臨床開発を進めるための開発・製造受託(CDMO)サービスも提供している。

また、細胞治療に加えて、iCell® 製品を含む創薬支援ツールも提供している。

FUJIFILM Cellular Dynamics は2020年3月4日、ウィスコンシン州マディソン市で治療用iPS細胞の新生産施設「Innovation Facility for Advanced Cell Therapy」を稼働させた。

今後、生産したiPS細胞を用いて自社再生医療製品の開発を加速させるとともに、本施設を活用した、iPS細胞およびiPS細胞由来分化細胞の開発・製造受託も展開していく。

同社は、加齢黄斑変性や網膜色素変性、パーキンソン病、心疾患の領域で自社再生医療製品の研究開発を進めている。またがん領域では、米国有力ベンチャーキャピタルのVersant Venturesと設立した新会社Century Therapeuticsにて、他家iPS細胞由来のCAR-T細胞を用いた次世代がん免疫治療薬の開発を行っている。



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WHOはCOVID-19 治療薬のremdesivirについて、世界各地の臨床試験を分析した結果、「死亡率の低下などにつながる重要な効果はなかった」として、 「症状の軽い重いにかかわらず、入院患者への投与は勧められない」とする指針を公表した。

死亡率の低下や人工呼吸器の必要性、それに症状の改善にかかる時間について「重要な効果はなかった」とし 、「症状の軽い重いにかかわらず、入院患者への投与は勧められない」としている。

WHOに勧告する専門家のパネル WHO Guideline Development Group が英国の専門誌 The BMJ に11月20日に発表した。詳細は後記。

これを受けメーカーのGilead Sciences は、remdesivirは米国のNational Institutes of Health and Infectious Diseases Society of Americaや日英独など多くの国家組織から入院患者の標準治療法として認められており、50か国以上で最初の、唯一の承認済み治療法として使用されているのを無視するもので、失望していると述べた。

2020/10/17 WHO、暫定結果で「Remdesivirの効果認められない」、メーカーは反発 

パネルは、ステロイド薬「デキサメタゾン」(Corticosteroids) については推奨するというコメント(強)と推奨しないというコメント(弱)を行なった。

今回の発表を受け、加藤官房長官は、指針について「レムデシビルの効果がないとまでは証明されておらず、また、レムデシビルに効果があるとする十分なエビデンスもないという説明などが記載されている」と述べた。

そのうえで「日本ではアメリカでの緊急使用許可を契機に、複数の臨床試験の結果から一定の有効性が確認できたことから、5月に特例承認を行い、現在、レムデシビルを使った治療がなされている。厚生労働省では特段、承認について見直す必要はないというのが、現時点での認識だと承知している」と述べた。

ーーー

2020/10/23 FDA、レムデシビルを正式承認 

新型コロナウイルスに罹ったトランプ米大統領は、Remdesivirと、抗体カクテル療法、ステロイド薬「デキサメタゾン」 を使用した。

2020/10/4 トランプ大統領にレムデシビル投与、未承認の抗体カクテル療法も 

ーーー

パネルの発表(図)は下記の通り。
   https://www.bmj.com/content/370/bmj.m3379

Remdesivirについては下記の各項目でいずれも差がなかったとする。

そのほか、手間がかかるとか、コストが高いという点も問題にしている。

ーーー

ステロイド薬「デキサメタゾン」(Corticosteroids)については、下記の通りで、重症者の死亡率が低いことが利点である。

但し、軽症者の死亡率が高いため、推奨しないというコメントもある。

GMは11月14日、火災発生の恐れがあるとしてLG製バッテリーを装備した電気自動車をリコールすることにした。

リコール対象は2017~2019年に生産されたChevrolet Bolt の電気自動車のうち、LG Chemの梧倉(
Ochang)工場製のバッテリーが搭載された6万8600台。このうち米国で販売されたものは5万900台ほどとみられる。

これに先立ち米道路交通安全局(NHTSA)は先月この電気自動車の後部座席下部から駐車中に火災が発生した3件について調査に着手した。NHTSAはChevrolet Bolt EVの利用者に火災関連の問題が解決されるまで車を家から離れた屋外に駐車するよう勧告した。

GMはバッテリーが完全に充電された時に火災が発生する危険があると明らかにした。正確な火災発生原因が明らかになるまでBolt EVのバッテリー充電量を90%に制限する方針で、そのソフトウエアは各代理店でアップデートされる。


BMW、Ford、現代自動車の一部電気自動車モデルも火災の危険性のためリコールが実施された。それ以前にTeslaや中国の広州汽車でも問題が発生している。

FordとBMWがリコールする車に搭載されたバッテリーはSausung SDI 製である。

ーーー

問題の発端はHyundai MotorのEV「Kona Electric」で、2018年の発売以降、国内外で14件の火災事故が発生した。

2020年10月8日に韓国国土交通部が、火災事故原因について「電池セル製造過程で正極と負極の間にある分離膜が損傷したことによって、完全充電した際に正極と負極の端子が接触してショートを引き起こし、火災が発生する可能性があると認められた」と発表した。

Hyundaiは10月16日に対象車両の回収を開始、韓国国土交通部や米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)に同車のリコールを届け出た。
対象は、2017年9月~20年3月に生産した車両で、韓国販売分が2万5564台、海外販売分(北米、欧州、中国など)が約5万1000台である。

リコール対象車両はBattery Management Systemをアップデートするほか、電池そのものについても電池セル間の過度な電圧差や急激な温度変化といった異常の兆候があれば交換するという。

しかし、国土交通部の上記の発表を受け、LG Chemは「現代自動車と共同実施した再現実験では火災が発生しなかった。火災事故の原因は、電池セルの不良とはいえない。国土交通部は正確な原因が究明されていないのに発表した」と反論し、現代自動車と協力して徹底的に原因を究明するとしている。

Kona Electricの電池モジュールの電池セルはLG Chem製だが、電池パックにしているのHL Green Power(LG ChemとHyundai MobisのJV)、Battery Management Systemの開発はHyundai Keficoで、Hyundai Mobisがこれらを組み合わせた電池モジュールの形で納品している。実際に問題がどこにあるかは現在のところ明らかでない。

問題はLG Chemのバッテリーだけではない。

Samsung SDIのバッテリーでも、BMW、フォードの一部EVモデルが火災リスクを理由にリコールを実施した。

BMWは10月に火災危険性のためプラグインハイブリッド車 2万6700台に対する販売中断とリコールに入った。「バッテリー充電時に火災の危険があり、当分は充電をしないでほしい」と顧客に勧告した。

Ford は8月に Kuga PHEVをリコールした。報道では、FordがSamsung SDIに対し、バッテリーの欠陥に関連する損害賠償を要求する計画とされる。

米Teslaは2019年6月、パナソニック製バッテリーを搭載した「モデルS」「モデルX」について、バッテリーモジュールの異常が推定されるとしてリコールを決定した。

中国の寧徳時代新能源科技(CATL)製バッテリーが搭載された中国・広州汽車の「Aion S」でも 本年5月、8月に相次いで火災が発生し、調査が進んでいる。


11月13日のタス通信によると、ロシア直接投資基金(RDIF)は、「RDIFと韓国有数のバイオテック企業のGL Rapha は、世界で初めて承認されたSputnik V ワクチン年間1億5千万回分以上を韓国で生産する協定を結んだ」と明らかにした。

12月からGL Raphaで生産に入り、来年1月に世界市場への輸出用供給を始めることで合意した。
GL Raphaは「韓国への供給用ではない。生産するワクチンは全量RDIFに送る計画だ」としている。

ロシア政府は、モスクワの国立Gamaleya疫学・微生物学研究所が国防省と開発中のSputnik Vワクチンを8月に承認した。PhaseⅡ臨床試験を終えた時点で承認し、その後にPhaseⅢの1600人への治験を並行して進めるとされた。

2020/8/4 ロシアが新型コロナワクチンの接種を10月に開始 

RDIFは11月11日、「Sputnik V の効果が92%に達した」と主張した。現在 このワクチンは4万人を対象に、フェーズ3の臨床試験を進めている。

50か国以上から12億回分以上のSputnik V ワクチンの供給要請を受けているという。韓国以外にインド、ブラジル、中国その他でも生産する計画で、現在のところ、ロシア向け以外で年間5億回分の生産が可能となっている。


なお、ロシアは
10月14日、2番目の新型コロナウイルスの国産ワクチンが承認している。シベリアのノボシビルスク州にあるVektor 国立ウイルス学・生物工学研究センターが開発した ペプチドベースのワクチンで、EpiVacCoronaと名付けられている。

2020/10/19 ロシア、2番目の新型コロナワクチン承認


ーーー

GL Raphaは輸出用医薬品を受託生産している。他社からの受託生産に加え、子会社 Hankook Korus Pharm でジェネリック医薬品も生産している。

生産品目は、抗生物質のセファロスポリン、抗がん剤、バイオ製品(エリスロポエチン:EPO、ヒト成長ホルモンhGH、インターフェロン、その他)、その他(サプルメントを含む)。

GL Raphaは2019年10月、サウジアラビアの General Investment Authority との間で320百万ドルを投資してサウジでバイオ医薬品を生産するMOUを締結した。

今後5年で30種のバイオ医薬品、5種のその他の革新的製品を生産する設備を建設する。原料から生産する。

本年5月にはCOVID-19用のヒドロキシクロロキンをサウジに輸出した。

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中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカのBRICS5か国の首脳会議 が11月17日にオンラインで開かれた。

議長国のロシアのプーチン大統領は、すでに2種類の新型コロナウイルスのワクチンを承認し、3種類目の開発を進めているとしたうえで、「われわれはインドやブラジルとワクチンの臨床試験を実施する。中国やインドの製薬会社とは第3国のためのワクチンの生産拠点を開設する協定も締結している」と述べ、各国と協力してワクチンの開発や生産を進める考えを示した。

また、習近平国家主席は中国が参加し、米国は参加していない
ワクチンの共同購入の国際的な仕組み「COVAX Facility」に言及し、「この基盤を活用し特に発展途上国に優先的にワクチンを共有していく。BRICS各国にも積極的に提供する用意がある」と 述べた。

11月21~22日に予定する20カ国・地域首脳会議(G20サミット)をにらみ結束を演出した。

九州電力は11月17日、全国で初めてテロ対策の「特定重大事故等対処施設」(特重施設)を整備した川内原発1号機の原子炉を起動させた。東京電力福島第1原発事故を受け厳格化された新規制基準の要件を満たした最初の原発となる。

川内1号機は18日午前に核分裂反応が安定的に続く「臨界」に到達、19日に発電を開始し、12月中旬に営業運転に移行する。

特重施設は航空機を衝突させるような大規模テロ攻撃を受けても、放射性物質の外部放出を抑えるのが目的。九電は、原子炉建屋から100m以上離れた場所に、遠隔操作で原子炉を冷却する緊急時制御室や注水ポンプなどを配置した。

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原子力規制委員会は2013年6月19日、福島第一原発事故の教訓を踏まえた新しい規制基準を決定した。

テロ対策などを盛り込んだ「過酷事故対策編」、既存設備の安全対策を強化する「設計基準編」、活断層調査の強化や津波防護策を定めた「地震・津波編」の三つに大別される。

基準には、最新の安全対策を義務付ける「パックフィット制度」が導入され、既設原発も対象になる。

過酷事故対策編 「特定安全施設」(事故の際、中央制御室の代替として機能) 5年間猶予
「緊急時対策所」(前線本部となる免震重要棟) 仮設も当面可能(機能を満たせば)
フィルター付きベント装置 加圧水型原発は現状でも当面容認
電源車やポンプの配備
航空機墜落などのテロ対策 法施行から5年猶予→審査終了後5年
非常用バッテリー(3つ目) 5年猶予
設計基準編 ケーブル難燃化(火災対策)
活火山、竜巻対策の強化
冷却装置、電源設備の多重化、多様化
地震津波対策編 最高の耐震性
防潮堤、水密扉
活断層の調査対象を必要に応じて「40万年前以降」までさかのぼって拡大
最高津波の高さ(「基準津波」)に応じた安全対策を実施
活断層直上に重要施設の設置を認めない 日本原子力敦賀2号を認定


原子力規制委員会は2019年4月24日の定例会合で、原発に設置が義務付けられているテロ対策施設が期限内に完成しない場合、 期限の延長を認めないことを決めた。原則として原発の運転停止を命じる。

本来の趣旨からは、これら施設が完成してから初めて、再稼働が認められるべきものである。
それを電力供給の面から、例外的に5年の猶予を認めた。更に、「法施行から5年」猶予「審査終了後5年」に延ばした。
実際には工事が大幅に遅れ、どの原発も期限までの完成は見込めなかったが、各社は(再度の延期が当然認められると考えてか?)ぎりぎりまでこれを明らかにしなかった。

2020年にテロ対策施設設置の期限がくるのに、まだ完成していない原発は4基あり、いずれも停止した。

      停止 工事完成、再稼働予定
九電 川内 1号機 2020/3/16 2020/11/26 → 11/19 
2号機 2020/5/20 2020/12/26
関電 高浜 3号機 2020/1 * 2020/12
4号機 2020/10/7 2021/1 下旬


この結果、
関西電力大飯原発4号機が11月3日、定期検査のため停止し、国内では当面、九州電力玄海原発4号機のみの稼働となった。

2020/11/5 日本で稼働の原発、一時的に九州電力玄海原発4号機 1基のみに 

大阪大学発のバイオ企業アンジェスは11月9日、ゲノム編集技術に強みを持つ米国のEmendo Biotherapeutics (EmendoBio) を2億5000万ドルと評価して買収すると発表した。
すでに同社の発行済み株式の約4割を保有しており、12月15日付で追加取得し、完全子会社化する。


買収の概要は下記の通りで、一部はEmendoの現金 (一部アンジェスが融資)で支払うが、残りはアンジェスの増資株式で支払われる。

Emendoの株式価値 295百万米ドル  企業価値 250 + 現金 45
うちアンジェス所有分 103百万米ドル
差引 買収分 192百万米ドル
うち 現金払い 59百万米ドル   オプション行使格相当額を控除
残り アンジェス株株式 129百万米ドル   ワラント行使価格相当額を控除



Emendo は、イスラエルを代表する総合的な基礎研究機関であるワイツマン科学研究所の科学者によって 2015 年12 月に設立された。研究開発は主にイスラエルにおいて行われている。
設立後、CRISPR/Cas9 システムを用いたゲノム編集技術を発展させ、既存のゲノム編集技術の課題を解決し、より安全に医療への応用を可能とする次世代のゲノム編集技術の研究開発に取り組んでいる。

Emendoの主要株主は次の通り。

アンジェス 40.04%
OrbiMed Israel Partners II, LP 22.50%
Takeda Ventures Inc. 13.72%

アンジェスは、究極の遺伝子治療技術となる可能性のあるゲノム編集の分野についても進出したいと考え、ゲノム編集技術の開発ベンチャー企業であるEmendo に総額 54 百万米ドル を投資した。更に2020年に追加で50百万ドルを出資して合計4割とし、持分法適用関連会社としている。

Emendoは2019年4月24日、 武田薬品工業とのライセンスオプション契約締結を発表した。この取引の一環としEmendoは武田ベンチャー投資から投資を受ける。

ライセンスオプション契約により、武田薬品にはEmendoの特許である2つの遺伝子を編集するヌクレアーゼ・プログラム、OMNI使用のオプションが付与される。さらにEmendo は、武田が選択した遺伝子に高特異性と活性を持たせるためにオムニ・ヌクレアーゼを最適化する新型の遺伝子編集工学プラットフォームを使用する。

アンジェスによる買収後もEmendoは武田薬品とがん治療分野で共同開発を続ける。

ーーー

アンジェスは大阪大学医学部の森下竜一助教授による研究成果を基に1999年に設立され、マザーズに2002年に上場した。

同社は2019年3月に、「標準的な薬物治療の効果が不十分で血行再建術の施行が困難な慢性動脈閉塞症(閉塞性動脈硬化症及びバージャー病)における潰瘍の改善」を効能・効果とする「コラテジェン筋注用4mg」を条件付きで承認を受けた。

プラスミド(大腸菌などの細菌や酵母の核外に存在し、細胞分裂によって娘細胞へ引き継がれるDNA分子の総称)に、血管を新生する作用を持つHGF(肝細胞増殖因子)遺伝子を組み込み、それをベクターとして虚血部位に注射することで、細胞内で遺伝子が発現、血管新生が促され血流が確保されて潰瘍を改善するとされる。

2019/2/22 厚労省部会、国内初の遺伝子治療2品目の承認を了承

アンジェスは本年3月に、上記の実績をもとに大阪大学と共同で新型コロナウイルス対策のための予防用DNAワクチンの開発を行うことを決定した。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のゲノム配列に基づき、ウイルスのスパイク蛋白質の遺伝子を導入したプラスミドDNA(環状のDNA)を設計し、このプラスミドDNAを産生する組換え大腸菌を確立し、GLP試験に使えるDNAワクチンの原薬を製造した。

2020/5/22 アンジェスの新型コロナウィルス向けDNA ワクチン開発

遺伝子治療用製品では、遺伝子を組み込んだベクターを導入して、欠損した遺伝子を補充したり、必要な遺伝子機能を増強する方法が行われてき たが、近年、特定の遺伝子を特異的に切断、編集、改変するゲノム編集技術により特定の遺伝子の機能を失わせたり、疾患の原因となっている遺伝子の異常を修正する方法が開発されてきた。

Emendo は設立後、CRISPR/Cas9 システムを用いたゲノム編集技術を発展させ、既存のゲノム編集技術の課題を解決し、より安全に医療への応用を可能とする次世代のゲノム編集技術の研究開発に取り組んで いる。

ゲノム編集は、特定の塩基配列(ターゲット配列)のみを切断することによって、標的とする遺伝子を改変するが、類似の配列を誤って切断してしまうこと(オフターゲット効果)により標的以外の遺伝子の変化を生じさせる可能性があるため、安全性上の課題となっている。

Emendoは、この方法とは別に、ターゲット配列以外ではDNA を切断することがない高精度な切断酵素の開発を行っている。これにより、安全性の高いゲノム編集が実現するのみでなく、類似した配列の制限を受けることなく、より自由に標的を選定できるようになることが期待できる。

アンジェスは、究極の遺伝子治療技術となる可能性のあるゲノム編集の分野についても進出したいと考え、ゲノム編集技術の開発ベンチャー企業であるEmendo 社に総額 54 百万米ドル を投資した。

Emendo を完全子会社とすることによって、これまで強みとしていたプラスミド製品、核酸医薬及び DNA ワクチンの3つの分野に加え、新たにゲノム編集の分野における先端技術を当社グループに加えることにより事業の第4の柱とすることができ、グループの守備範囲を大幅に拡大する。

同社は、米国及びイスラエルにも拠点を置く世界的な遺伝子治療用製品の開発企業となり、世界で初めてゲノム編集プラットフォーム技術及び治療プログラムを一体として所有する企業となり、「遺伝子医薬のグローバルリーダー」に近づいていくと考えて いる。

三井化学三井物産は11月11日、共同TOBにより本州化学工業 (東証2部上場)の普通株式を 全株取得すると発表した。

両社は現在、本州化学にそれぞれ26.99%出資しているが、TOBによる非公開後の出資比率を三井化学が51%、三井物産が49%とする。

TOB価格は1株1,830円。

11月11日の終値は 1,283円であった。

SMBC日興証券の各手法による株式価値の範囲:
 
市場株価法:1,213円~1,281
 DCF法:1,718円~2,082

付記

日本、欧州、中国、台湾及びトルコの競争法に基づく手続きが充足できたため、2021年5月17日からTOBを開始する。

本州化学は、191411月に由良浅次郎らが設立した由良精工合資会社を前身とする。欧州からの輸入が途絶えた染料を自製するため、日本で初めてアニリン及び合成フェノールの工業化に成功し、現在の和歌山市小雑賀において本格的な生産を開始した。

1953年に会社更生法の適用を受けるが、三井物産の前身の一つの第一通商の全面的な支援のもと、1956年3月に会社更生手続を終結した。
途中、
195510月に社名を現在の「本州化学工業」に改称した。

1959年に日本で初めてビスフェノールAを国産化し、1967年には世界で初めて合成クレゾールを工業化した。
1988年に主力製品であったビスフェノールA事業を三井石油化学工業に譲渡

1980年に多品目を切り替え生産できるプラントを建設し、独創的でニッチな製品へと注力分野のシフトを加速し、ファインケミカルスペシャリストを標榜する研究開発型企業へと大きく舵をきった。

2001年には、特殊ビスフェノールの生産増強を目的として、ドイツに合弁会社Hi-Bis GmbHを設立し、2014年には、第二期プラントが稼働した。

社名 Hi-Bis GmbH
事業 特殊ビスフェノールの製造販売
場所 ドイツ ザクセン・アンハルト州ビッターフェルド市
株主 本州化学 55%、三井物産 35%Bayer 10%
設立 2001/11
能力 5千トン 2014年に第二期プラント
備考 自動車部品、超高密度DVD等に用いられる特殊ポリカーボネート樹脂原料
全量バイエル向け


現在の事業:

2020/3月期実績 (億円)
売上高 営業損益
化学 ビフェノクレゾール誘導品等 97 10
機能材 電子材特殊ビスフェノール等 58 9
工業材 主にHi-Bisの特殊ビスフェノー受託品等 53 19
その他 4 0
全社 - -8



最近の業績:

単位:億円 (配当:円)

  売上高 営業損益 経常損益 株主帰属
当期損益

配当

中間 期末
2019/3 208 31 30 18 10 18
2020/3 213 30 30 17 12 20
2019/9 94 10 10 4 12
2020/9 97 18 18 11 12
2021/3予 200 25 24 14 12 20


ーーー


買収する三井化学、三井物産と本州化学との関係は下記の通り。

三井化学(三井石油化学) 三井物産(第一通商)
前身の第一通商が原料供給、製品販売
1953 会社更生法からの再建支援、出資(20.91%)
 以降、複数回の第三者割当増資、複数回の譲受、譲渡
1959 本州が三井石油化学にフェノール供給開始
 以降 アニリン、BPA等を三井グループに供給
1968 三井石油化学、本州株式7.78%を東レから取得
 以降、第三者割当増資、少数株主から譲受
1987 三井物産から本州株式譲受(→30.98%) 三井物産に本州株式譲渡(→30.98%)
1988 三井石油化学がビスフェノールA事業を譲受
三井石油化学のファインケミカル技術者を移管
現状 本州の増資により出資比率26.99% 本州の増資により出資比率 26.99%
フェノール及びメタ・パラ・クレゾールの主要販売先 原料供給、製品販売、新規事業開発支援

東アジア地域包括的経済連携(RCEPRegional Comprehensive Economic Partnership)交渉に参加する日中韓、ASEAN 10か国、豪州、NZの15カ国は11月15日、ハノイでテレビ会議形式で首脳会合 を行ない、協定に合意し、署名した。

付記

タイは2021年2月9日、国会で承認
中国は2021年3月8日、正式に承認した。

2021年4月28日 参院本会議で承認された。

付記
協定はASEAN10カ国の過半数と他の5カ国の過半数が、それぞれ国内手続きを終えてから60日後に発効する。

既に、シンガポール、ブルネイ、タイ、カンボジア、ベトナム、ラオス(6カ国)、中国、日本(2か国)が完了しているが、2021年11月に豪州とNZが国内手続き終了、2022年1月1日にRCEPが発効する

付記 韓国が2021年12月3日、批准書を寄託、60日後の2022年2月1日に発効する。日本/韓国間で初めてFTA。

当初の16か国からインドが抜けた。RCEPは発効後18カ月間、新規の加入を認めないが、インドには特例を設け 、復帰を希望すればいつでも参加を認める



発効すれば世界のGDPや貿易額の3割をカバーするアジア圏最大のFTAとなる。日本にとっては主要貿易相手である中国、韓国と初めて結ぶ貿易協定でもある。

日本から中国に輸出する自動車や自動車部品への関税が幅広く削減・撤廃になるほか、日本の清酒や焼酎などの関税も段階的に撤廃される。

10年~20年かけて減らすものが多い。

日本の農家への影響が大きいコメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の「重要5品目」は、関税の削減・撤廃の対象としない。

日本が輸入する農産品への関税の撤廃率は、対中国で全体の56%、対韓国で49%と、TPPの82%より低い水準にとどまる。

データの流通環境を含む約20分野で共通のルールをつくる。

ーーー

RCEPは2013年から日中韓のほか、東南アジア諸国連合(ASEAN)やインド、豪州、NZの16か国が交渉を進めてきた。

2017年11月の首脳会合では、経済発展の度合いごとに「特別かつ異なる待遇」を設けることや、各国の政策に配慮することとした。 「現代的・包括的で、質が高く互恵的な協定を達成する」という目標を掲げた。

一般的な自由貿易協定(FTA)に盛り込まれる章のほかには、インドが重要視する域内の自由な人の移動を保障する「人の移動章」や、日本が重視するデータの自由な流通を促す「電子商取引章」が盛り込まれた。

ASEANの一部の国は中国と歩調を合わせ、議論を関税引き下げに絞って年内妥結に導こうとしたが、日本はオーストラリアなどは、貿易・投資ルールを含め質の高い協定を目指した。

2019年11月、16カ国は目標としていた年内妥結を断念した。大部分の交渉にめどをつけたが、貿易赤字の拡大を懸念するインドが関税撤廃などで慎重姿勢を崩さなかった。
インドは会合後に「RCEPに今後参加しないと各国に伝えた」と交渉からの離脱も示唆した。

中国製品の流入急増による貿易赤字拡大が最大の懸念とされる。インドの貿易黒字は1972年が最後で、2018年は過去最大の貿易赤字(1,897億ドル)を記録した。首脳会議期間中,インド国内では反RCEP活動が全国的に拡大した。

インドは物品貿易交渉で妥協を迫られる一方,競争力があり,攻める側に立つサービス貿易に関して,特にIT人材の移動等を強く求めたのに対し,他の参加国は消極的であったことから,物品とサービスとで釣り合いが取れないことに不満を募らせた。

2020年8月の閣僚会合でも、11月に予定される首脳会議での署名を目指し、交渉が続いたが、インドは欠席した。各国はインドに対して今後も交渉に復帰するよう働きかけることを確認した。

インドを除く15カ国は11月11日にテレビ会議形式で閣僚会合を開き、詰めの協議をした。

交渉から離脱したインドがほぼ無条件で即時加入できることを規定した特別文書を採択することとした。中国の台頭をにらみ日本が主導したとされる。




JX金属は11月9日、チリのカセロネス銅鉱山(Caserones Copper Mine)の共同出資者である三井金属鉱業及び三井物産から、両社保有の全てのカセロネス銅鉱山権益(三井金属:25.87%、三井物産22.63%)を譲り受けることについて基本合意した。2020年度末を目途に 譲り受ける。

3社共同で事業運営を行ってきた。現在までに生産は安定化し、収益性が確保できる状況となったため、今後、さらなる生産量増大に向けた新たな段階に入ろうとしているが、三井金属は他事業への経営資源投入を優先することとし、三井物産は金属資源事業ポートフォリオを見直すこととしたため、今後は、JX金属がカセロネス銅鉱山の経営を担うこととし たもの。

同鉱山で採掘する銅は日本全体の輸入量の約1割で、2019年度の銅生産量は12万6千トンだった。

JX金属では、高品位でクリーンなカセロネス鉱の価値が高まっており、今後、IoTを活用した自動化の推進などの投資を進めるとともに、相当量の埋蔵鉱量が見込める同鉱山周辺領域における探鉱活動などを一層強化し、生産量の維持・拡大、山命の延長などに取り組むとしている。

なお、権益の売却に当たり、三井金属は200億円、三井物産は約70億円の減損損失を計上する。

ーーー

JX日鉱日石金属と三井金属鉱業は2000年10月、銅精鉱の購入と電気銅、硫酸、貴金属、その他銅製錬副産物の製造委託及び販売 を目的にPan Pacific Copper を設立した。(JX日鉱日石金属 66%、三井金属鉱業 34%) これは今後も存続する。

2006年5月にPan Pacific CopperがCaserones Copper Mineの権益100%を取得した。


  1. 生産期間:2013年~2040年(28年間)
  2. 生産量(見込み):
    (当初10年間平均)  
      銅:銅精鉱(銅量)約15万トン/年、電気銅約3万トン/年計約18万トン/年
      モリブデン:約3千トン/年
    (28 年平均)
      銅:銅精鉱(銅量)約11万トン/年、電気銅約 1万トン/年計約12万トン/年
      モリブデン:約3千トン/年

3. 開発投資額(概算):約20億米ドル(生産設備等初期投資額)

鉱床付近の標高は4,200m~4,600m。


2010年に三井物産がカセロネス銅鉱山事業に参加した。

運営会社のMinera Lumina Copperは、パンパシフィック・カッパー 77.37% 、三井物産 22.63%となる。

2013年3月から電気銅を、2014年5月から銅精鉱の生産を開始、2014年8月に安倍首相も出席し開所式を行なった。

その後、一部工程で操業が不安定となり生産コストが上昇 、銅価格下落もあり、2016年3月期に各社は減損損失を計上している。

JX金属は約800億円、三井金属は193億円、三井物産250億円

JX金属と三井金属は2020年4月、Pan Pacific Copperのカセロネス銅鉱山事業を新設のNippon Caserones Resources (JX金属 67.8%、三井金属鉱業 32.2%)に移管した。

カセロネス銅鉱山事業はNippon Caserones Resourcesと三井物産の共同事業となる。

今回、 カセロネス銅鉱山事業はJX金属の事業となる。

トランプ米大統領は11月12日、中国軍によって所有または支配されていると米政権がみなす中国企業 ("Communist Chinese military company" )について、米国人による投資を禁止する大統領令に署名した。

https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/executive-order-addressing-threat-securities-investments-finance-communist-chinese-military-companies/

中国軍の「発展と近代化」を支援し、米国の安全保障を「直接脅かしている」と政権がみなす中国企業31社が対象となる。

大統領令はまた、米国の投資家に対し、対象企業が発行する証券や対象企業に影響を受ける証券の保有ないし取引を禁じる。
年金基金を通じた保有や直接保有が禁じられる。投資家は2021年11月までに対象企業の証券を売却する必要がある。

大統領令は来年1月11日に発効する。

付記

国防総省は12月3日、半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)など4社を追加指定した。合計35社となった。

Semiconductor Manufacturing International Corp. 中芯国際集成電路製造(SMIC)
China National Offshore Oil Corp. 中国海洋石油集団
China Construction Technology Co. Ltd.
China International Engineering Consulting Corp.

付記

中国人民解放軍と関係の深い中国企業に対する証券投資の禁止を命じた大統領令が2021年1月11日に発効した。

指定企業と上場子会社の株式購入や、それらを組み入れた上場投資信託などへの投資が順次禁じられる。
大統領令が公表された2020年11月時点で保有していた分は、2021年11月11日夜までに処分する必要がある。

ニューヨーク証券取引所は、中国電信(China Telecom)、中国移動(China Mobile)、中国聯通(China Unicom)の3社の上場を廃止する。(文末参照)

米通信当局はChina Mobileの米国事業参入を拒否、他の2社にも事業免許の取り消しを警告している。

FCCは2019年5月、China Mobile USAが2011年に届け出た米国における国際電話サービス提供の申請を全会一致の5対0でを却下した。


"Communist Chinese military company" は国防長官が指定する。

当初20社が指定されていたが、8月28日に11社を追加、現在31社となっている。

対象企業のリストには中国通信機器大手の華為技術(Huawei)や、監視カメラの製造および供給で世界大手の杭州海康威視数字技術(Hikvision)が含まれる。
このほか中国電信(China Telecomm)と中国移動通信(ChinaMobile)など、ニューヨーク証券取引所に上場している企業もリストに含まれている。

追加分には中国中化集団(Sinochem)も含まれている。

Aviation Industry Corporation of China
Chinese Aerospace Science and Industry Corp.
China Aerospace Sciences and Industry Corp.
China Electronics Technology Group Corp.
China South Industries Group Corp.
China Shipbuilding Industry Corp.
China State Shipbulding Corp.
China North Industries Group Corp.
Hangzhou Hikvision Digital Technology (Hikvision)
Huawei
Inspur Group
Aero Engine Corp. of China
China Railway Construction Corp.
CRRC Corp.
Panda Electronics Group
Dawning Information Industry Group (Sugon)
ChinaMobile Communications Group(China Mobile)
China General Nuclear Power Corp.
China National Nuclear Corp.
China Telecommunications Corp.(China Telecom)

China Communications Construction Company
China Academy of Launch Vehicle Technology
China Sp
acesat
China United Network Communications Group(China Unicom)
China Electronics Corporation
China National Chemical Engineering Group Co.
China National Chemical Corporation
Sinochem Group Co
China State Construction Group Co.
China Three Gorges Corp
China
Nuclear Engineering & Construction Corp

付記 

ニューヨーク証券取引所は2020年12月31日、中国の通信大手3社の上場廃止手続きを始めると発表した。中国軍関連企業に対する米国からの投資を禁止する大統領令に署名したことを踏まえ、同証取は「上場に適さないとの結論に達した」と説明している。

上場廃止手続きの対象は、中国電信(China Telecom)、中国移動(China Mobile)、中国聯通(China Unicom) の3社で、2021年1月前半に取引を停止するとしている。

ニューヨーク証券取引所は2021年1月4日、これを撤回すると発表した。関係当局との追加協議を踏まえて撤回を決めたとしている。

しかし、1月6日に再度、今月11日から上場を廃止すると発表した。財務省からの追加の指示に基づくものだと説明している。

各社の中間決算が発表されつつある。

各社とも前期比減益となっている。特に石油化学関連の減益幅が大きい。

三菱ケミカルHDが株主帰属損益が赤字になったのは、三菱ケミカルの米国MMAモノマー工場停止と田辺三菱製薬子会社の研究開発費の減損処理によるもの。(11/6、11/7のブログ)

各社および他の企業の詳細は下記参照
https://www.knak.jp/kessan/




営業損益 株主帰属損益
信越化学
  

三菱ケミカルHD

住友化学

三井化学

東ソー

旭化成


デンカ

  2020/11/11 デンカ、本年度決算で新型コロナ検査キットが貢献

英下院は9月29日、EU離脱に伴って1月末に発効した国際条約「離脱協定」の主要部分を反古にする政府提出のInternal Market Bill を賛成多数で可決した。

2020/9/30 英下院、Internal Market Billを可決 

しかし、英議会上院(貴族院)は11月9日、Internal Market Billに関し、英領北アイルランドの扱いで英政府にEUとの離脱協定を部分的に違反する権限を与える規定を削除する案を433対165で可決した。

与党・保守党は上院で過半数を占めていないが、この日の投票では一部の保守党重鎮も同規定に反対する立場を取った。

ただ、閣僚らは今回削除された規定を今後の立法プロセスで復活させる構え。

国内市場法案の最終的な文言は両院で承認される必要があるが、非公選の貴族で構成する上院(貴族院)は通常、公選議員から成る下院が支持する法案を恒久的に阻止することはない。

通常は上院は政治的な修正はしないので、上院の修正は下院で賛成が得られる。

今回のような場合は、下院は上院の修正を否決し、上院に否決理由を述べて再審議を要請することになる。

それでも両院で合意できなければ、議会法に基づく処理が行なわれる。(1年後にも上院が否決した場合、上院の同意なしで女王の認可を得て法律となる)
実際には、下院が上院の修正を否決して上院に戻した時点で上院はそれに賛成して対決を避けるのが一般的。

付記

12月7日、英下院で審議が行われ(下院通過後に上院で修正され、上下両院での一本化に向けた再審議)、北アイルランドに関する離脱合意の内容で、EU側が国際条約違反に相当するとした(①北アイルランドからその他英国に物品を出荷する際にEUに輸出申告書を提出する、②北アイルランドに関連した取引についてはEUの国家補助金規則に従う)を書き換える箇所を法案から削除する上院の修正案を否決した。

ところが、1日後の12月8日、EU離脱協定を実行に移すための英国・EUの合同委員会は同協定の実施について原則合意に達したとする共同声明を発表した
共同声明では、今回の合同委員会の合意に基づいて英国が「国内市場法」案の第44(
export declarations)、45(State aid)、47項(incompatibility with international or domestic law)を撤廃することも発表された。EUは同法案に離脱協定や国際法に違反する規定が含まれるとして撤廃を強く求めていた。
  https://publications.parliament.uk/pa/ld5801/ldselect/ldeucom/147/14706.htm

噂では、政府はBrexitで合意が行われた場合、離脱法の物議を醸す部分を撤回することを決めており、議会との意思疎通がなかったという。

ーーー

上院は一代貴族、世襲貴族、聖職貴族で構成される。

聖職貴族は、国教会の高位聖職者であるカンタベリー大主教、ヨーク大主教、ロンドン主教、ダラム主教、ウィンチェスター主教の5人と、そのほかの21名の教区主教をあわせた計26名。

世襲貴族は1999年のブレア政権の改革で、世襲貴族議員の互選で選ばれる90名に固定された。死亡時には世襲貴族議員の互選で後任が選ばれる。

一代貴族は首相の助言に基づく女王の勅許状によって叙爵される。首相退任時に退任する首相が次の首相に叙爵候補リストを残すケースと、総選挙時に引退を表明した庶民院議員たちを叙するケースが多い。
一代貴族が急増することが懸念されるが、今回、首相交代と総選挙で、24名の純増となり、総数が800人に近づいた。

一代
貴族
世襲
貴族
聖職
貴族
合計
聖職貴族 26 26
Conservative 198 46 244
中立派 157 30 187
Labour 176 4 180
Liberal Democrat 90 3 93
Democratic Unionist 4 4
Green 2 2
諸党 9 9
無所属 42 7 49
議長 1 1
合計 679 90 26 795

米国大統領の任期

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次期大統領 Joe Biden、副大統領 Kamala Harrisが決まった。

Biden氏は1942年11月20日生まれで、就任時には78歳になる。

Biden大統領が2年務めた後に退任し、Harris副大統領に後を譲るとの噂がある。

1947年大統領職継承法では、大統領が執務不能に陥ったり、死亡または辞職し、もしくは免職(弾劾及びその後の有罪判決により)された場合 、大統領職の継承の順位は、副大統領(兼上院議長) 、連邦下院議長、連邦上院議長代行、連邦政府の省の長官(1順位は国務長官、以下、財務長官、国防長官、司法長官、内務長官、・・・)である。

もし、Biden大統領が2年務めた後に退任し、Harris副大統領に後を譲った場合、Harris氏は8年ではなく、10年間大統領を続ける可能性がある。

ーーー

米国憲法には大統領の任期はなかった。

ずっと2期8年でやめているが、これは初代ワシントン米大統領が2期で辞めたため、後継者が慣行として2期で辞めていただけである。

フランクリン・ルーズベルトは1933年から1945年に亡くなるまで4期大統領を務めた。2期を超えて務めた唯一の大統領である。

37代  1933/3/4- 1937/1/20
38代  1937/1/20- 1941/1/20
39代  1941/1/20- 1945/1/20
40代  1945/1/20- 1945/4/12(死亡)

ジョージ・ワシントン初代米大統領は1789年4月30日、ニューヨークで就任した。その後、議会が就任式を3月4日と定めた。
1933年に議会が憲法改正で就任式を1月20日と定めた。

ルーズベルトの死後、議会は大統領が2期を超えて選ばれることを禁じる憲法上の明文規定を作ることを望んだ。
制限が無ければ、大統領の役職は4年間ではなく終身任期となる啓蒙君主に近くなり、その権限があまりに強くなって権力分立を脅かすことを懸念した。

合衆国議会は1947年3月21日に憲法修正第22条を可決、1951年2月27日に成立した。

第1節 何人も、2回を超えて大統領の職に選出されてはならない。他の者が大統領として選出された場合、その任期内に2年以上にわたって大統領の職にあった者または大統領の職務を行った者は、何人であれ1回を超えて大統領の職に選任されてはならない。

2回を超えて大統領の職に選出」が駄目なのであり、前大統領の残る任期を継承するのは選出にならない。
但し、継承期間が2年を超える場合は、選出は1回のみとなる。

前任者の任期を引き継いだ場合の任期


トルーマン大統領はフランクリン・ルーズベルトが4期目の就任3カ月後に死亡したため、継承した。2年以上の継承期間を経て、2期目(1949/1/20~)に入ったが、その途中に憲法修正第22条が発議され、発効した。

修正第22条には、「ただし、本条の規定は、本条が連邦議会によって発議された時に大統領の職にある者に対しては適用されない」とあり、対象外になり、第3期も可能ではあるが、2期で退任した。

本人は否定しているが、トルーマンがアイゼンハワーを支持して引退することを申し出たとする説がある。

デンカは11月9日、中間決算を発表した。

減収減益となったが、年間予想ではライフイノベーション部門が大幅増益となり、営業損益は前年を上回る。

これまでの主役のエラストマー・機能樹脂部門がCOVID-19による需要減で減益になるが、COVID-19対策の検査キットの伸びが期待され、電気自動車関連が好調な電子・先端プロダクツ部門も好調を続け、増益となる。

単位:億円(配当:円)

売上高 営業損益 経常損益 当期損益

配当

中間 期末
19/3 4,131 342 328 250 12.0 12.0
20/3 3,808 316 300 227 12.0 13.0
19/9中間 1,920 153 145 109
20/9中間 1,603 121 123 100
増減 -317 -33 -22 -8
21/3予想 3,500 330 300 220 12.0 13.0


営業損益

営業損益内訳:

19/3 20/3

中間決算

21/3予想 前年比

前年比増減内訳

19/9 20/9 増減 売価差 数量差 コスト差等
エラストマー・機能樹脂 142 109 69 21 -48 30 -79 -224 -51 196
インフラ・Social Solution -3 3 3 2 -1 5 2 4 -8 7
電子・先端プロダクツ 118 124 58 66 8 130 6 -18 24 0
生活・環境プロダクツ 9 1 -2 5 7 10 9 -14 -11 34
ライフイノベーション 63 70 25 24 -1 150 80 0 98 -17
その他/全社 13 9 1 3 2 5 -4 -1 -3
合計 342 316 153 120 -32 330 14 -252 51 216


ライフイノベーション部門は下記を扱う。

ワクチン・診断薬:ワクチン、検査試薬
メディカルサイエンス:
高分子ヒアルロン酸製剤 (関節機能改善剤)

2020年9月中間期では、インフルエンザワクチンは、出荷時期が早まったことから増収となった。

8月に新型コロナウイルスの抗原迅速診断キット"クイックナビ™ -COVID19 Ag"の販売を開始した。
また、
「アビガン錠」の原料であるマロン酸ジエチルの出荷を5~7月に行った。(収益への寄与は限定的な模様)

下期は、インフルエンザワクチンの販売は通期で前年並みを見込んでいるが、新型コロナウイルス抗原迅速診断キットなど がフルに寄与し、大幅増益となる。

ーーー

デンカは、新型コロナウイルスSARS-CoV-2)の抗原迅速診断キット「クイックナビ™ -COVID19 Agの国内製造販売承認を811日に取得した。

特別な検査機器を必要とせず、一般の医療機関でも迅速かつ簡便に検査が行うことができる。
鼻咽頭ぬぐい液(鼻の奥で採取した検体)中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原の有無を約15分で診断する。10月からは鼻腔ぬぐい液(鼻孔から2cm 程度スワブを挿入して採取した検体)による検査も可能となった

インフルエンザの流行に備え一度の検体採取で新型コロナウイルスとインフルエンザのウイルス抗原を診断できるよう準備を進めている。

新潟県五泉市の五泉事業所で最大1 10 万検査分の量産体制をとり、813日から順次医療機関へ販売した。販売提携先の大塚製薬91日から販売した。

ーーー

デンカは今年、シンガポールでの事業開始から 40 周年を迎えた。

1980年9月に、マンガン乾電池や高圧ケーブル被覆材向けに用いられるアセチレンブラックの生産強化を目的とし、シンガポールへ進出した。その後アセチレンブラックに加え、スチレン系樹脂、塩ビ合成繊維まで次々に展開した。

「分断ではなく、結束をめざす大統領になる」とし、「米国の精神を取り戻し、国のバックボーンの中間階級を再構築し、世界から尊敬される国にする」とした。

重点事項として、新型コロナ対策、経済、ヘルスケア、人種差別問題、気候変動問題、民主主義を挙げ、特にコロナ対策として一流の科学者と専門家のグループを政権移行のアドバイザーとして指名し、新型コロナ対策の「バイデン・ハリス計画」を作ると述べた。


My fellow Americans --

The people of this nation have spoken. They have delivered us a clear victory. A convincing victory. A victory for "We the People."
We have won with the most votes ever cast for a presidential ticket in the history of this nation -- 74 million.

I am humbled by the trust and confidence you have placed in me.

I pledge to be a President who seeks not to divide, but to unify.
Who doesn't see Red and Blue states, but a United States.
And who will work with all my heart to win the confidence of the whole people.

For that is what America is about: The people.
And that is what our Administration will be about.

I sought this office to restore the soul of America.
To rebuild the backbone of the nation -- the middle class.

To make America respected around the world again and to unite us here at home.

It is the honor of my lifetime that so many millions of Americans have voted for this vision.

And now the work of making this vision real is the task of our time.

As I said many times before, I'm Jill's husband.
I would not be here without the love and tireless support of Jill, Hunter, Ashley, all of our grandchildren and their spouses, and all our family.
They are my heart.
Jill's a mom -- a military mom -- and an educator.
She has dedicated her life to education, but teaching isn't just what she does -- it's who she is.
For America's educators, this is a great day: You're going to have one of your own in the White House, and Jill is going to make a great First Lady.

And I will be honored to be serving with a fantastic vice president -- Kamala Harris -- who will make history as the first woman, first Black woman, first woman of South Asian descent, and first daughter of immigrants ever elected to national office in this country.
It's long overdue, and we're reminded tonight of all those who fought so hard for so many years to make this happen. But once again, America has bent the arc of the moral universe towards justice.
Kamala, Doug -- like it or not -- you're family. You've become honorary Bidens and there's no way out.

To all those who volunteered, worked the polls in the middle of this pandemic, local election officials -- you deserve a special thanks from this nation.
To my campaign team, and all the volunteers, to all those who gave so much of themselves to make this moment possible, I owe you everything.
And to all those who supported us: I am proud of the campaign we built and ran. I am proud of the coalition we put together, the broadest and most diverse in history.

Democrats, Republicans and Independents.
Progressives, moderates and conservatives.
Young and old.
Urban, suburban and rural.
Gay, straight, transgender.
White. Latino. Asian. Native American.
And especially for those moments when this campaign was at its lowest -- the African American community stood up again for me. They always have my back, and I'll have yours.
I said from the outset I wanted a campaign that represented America, and I think we did that. Now that's what I want the administration to look like.

And to those who voted for President Trump, I understand your disappointment tonight.
I've lost a couple of elections myself.

But now, let's give each other a chance.
It's time to put away the harsh rhetoric.
To lower the temperature.
To see each other again.
To listen to each other again.
To make progress, we must stop treating our opponents as our enemy.
We are not enemies. We are Americans.

The Bible tells us that to everything there is a season -- a time to build, a time to reap, a time to sow. And a time to heal.
This is the time to heal in America.

Now that the campaign is over -- what is the people's will? What is our mandate?

I believe it is this: Americans have called on us to marshal the forces of decency and the forces of fairness. To marshal the forces of science and the forces of hope in the great battles of our time.

The battle to control the virus.
The battle to build prosperity.  
The battle to secure your family's health care.  
The battle to achieve racial justice and root out systemic racism in this country. 
The battle to save the climate. 
The battle to restore decency, defend democracy, and give everybody in this country a fair shot. 

Our work begins with getting COVID under control.
We cannot repair the economy, restore our vitality, or relish life's most precious moments -- hugging a grandchild, birthdays, weddings, graduations, all the moments that matter most to us -- until we get this virus under control.
On Monday, I will name a group of leading scientists and experts as Transition Advisors to help take the Biden-Harris COVID plan and convert it into an action blueprint that starts on January 20th, 2021.
That plan will be built on a bedrock of science. It will be constructed out of compassion, empathy, and concern.
I will spare no effort -- or commitment -- to turn this pandemic around.

I ran as a proud Democrat. I will now be an American president. I will work as hard for those who didn't vote for me -- as those who did.
Let this grim era of demonization in America begin to end -- here and now.
The refusal of Democrats and Republicans to cooperate with one another is not due to some mysterious force beyond our control.
It's a decision. It's a choice we make.
And if we can decide not to cooperate, then we can decide to cooperate. And I believe that this is part of the mandate from the American people. They want us to cooperate.
That's the choice I'll make. And I call on the Congress -- Democrats and Republicans alike -- to make that choice with me.

The American story is about the slow, yet steady widening of opportunity.
Make no mistake: Too many dreams have been deferred for too long.
We must make the promise of the country real for everybody -- no matter their race, their ethnicity, their faith, their identity, or their disability.

America has always been shaped by inflection points -- by moments in time where we've made hard decisions about who we are and what we want to be.
Lincoln in 1860 -- coming to save the Union.
FDR in 1932 -- promising a beleaguered country a New Deal.
JFK in 1960 -- pledging a New Frontier.
And twelve years ago -- when Barack Obama made history -- and told us, "Yes, we can."

We stand again at an inflection point.
We have the opportunity to defeat despair and to build a nation of prosperity and purpose.
We can do it. I know we can.

I've long talked about the battle for the soul of America.
We must restore the soul of America.
Our nation is shaped by the constant battle between our better angels and our darkest impulses.
It is time for our better angels to prevail.

Tonight, the whole world is watching America. I believe at our best America is a beacon for the globe.
And we lead not by the example of our power, but by the power of our example.

I've always believed we can define America in one word: Possibilities.
That in America everyone should be given the opportunity to go as far as their dreams and God-given ability will take them.
You see, I believe in the possibility of this country.

We're always looking ahead.
Ahead to an America that's freer and more just.
Ahead to an America that creates jobs with dignity and respect.
Ahead to an America that cures disease -- like cancer and Alzheimers.
Ahead to an America that never leaves anyone behind.
Ahead to an America that never gives up, never gives in.

This is a great nation.
And we are a good people.
This is the United States of America.

And there has never been anything we haven't been able to do when we've done it together.

In the last days of the campaign, I've been thinking about a hymn that means a lot to me and to my family, particularly my deceased son Beau. It captures the faith that sustains me and which I believe sustains America.
And I hope it can provide some comfort and solace to the more than 230,000 families who have lost a loved one to this terrible virus this year. My heart goes out to each and every one of you. Hopefully this hymn gives you solace as well.

"And He will raise you up on eagle's wings,
Bear you on the breath of dawn,
Make you to shine like the sun,
And hold you in the palm of His Hand."

And now, together -- on eagle's wings -- we embark on the work that God and history have called upon us to do.
With full hearts and steady hands, with faith in America and in each other, with a love of country -- and a thirst for justice -- let us be the nation that we know we can be.

A nation united.
A nation strengthened.
A nation healed.
The United States of America.

God bless you.
And may God protect our troops.

Joe Biden November 7, 2020

米大統領選でバイデン氏の当選が確実となった。

同氏は11月7日夜デラウェア州で、「米国民が声を上げ、私たちを明確な勝利に導いてくれた」と勝利宣言を行ない、「分断ではなく、結束をめざす大統領になる」と分断の修復に取り組むと約束した。副大統領候補のカマラ・ハリス上院議員も同席した。

しかし、トランプ大統領は敗戦を受け入れておらず、今後、訴訟を多発すると見られる。

Facebookでは選挙監視が認められなかったこと、求めていない人に郵送用投票用紙が送られたことを問題視してバイデンの票 (75百万票)に疑問を表し、自分は71百万票の正当な票を得て、当選したとする。
(大統領選の得票の過去最高は2008年のオバマ大統領の6949万8516票で、トランプもこれを上回った。)

The observers were not allowed into the counting rooms.
I won the election, got 71,000,000 legal votes.
Bad things happened which our observers were not allowed to see. Never happened before.
Millions of mail-in ballots were sent to people who never asked for them!

上院選では民主党が主導権をとる可能性も出てきた。

下院選では民主党が伸びなかったが、過半数は確保した。


11月9日朝(日本時間)時点の状況は下記の通り。 (Alaskaは当選が公表されていないが現在の得票数で判断)

大統領選挙  

選挙人は上院(100)と下院(435)の議員数にコロンビア特別区の3人を合わせ総数は538人、当選に必要な人数は270人。

下記2州を除き、最も多く得票した候補がその州の選挙人全員を獲得する。
  メインは4人のうち、上院分 2人は全体勝者とし、下院分 2人は2選挙区の勝者
  ネブラスカは5人のうち、2人は全体勝者、3人は3選挙区の勝者

トランプ バイデン
確定 214 290 504
優勢 18 16 34
合計 232 306 538


郵便投票の結果、ペンシルべニア、ジョージア、ネバダ、アリゾナの4州で開票が遅れた。

激戦区では再集計の可能性もある。


上院

定員100名 50州 x2
任期 6年 2年ごとに約1/3ずつ 改選(本年は補欠選挙2名を含め35名が改選)

辞任や死亡により議員の欠員が発生した際には、選出州において補欠選挙を行い、欠けた議員の残りの任期を務める議員を選出する。

ジョージア州共和党のJohnny Isakson議員が2019年末に健康問題で引退した。知事は臨時の後任にKelly Loeffler を選んだ。
正式の後任選びの補欠選挙が同時に行われた。

共和党 民主党 民主系
無所属
未定
(決戦
合計
改選前 53 45 2 100
改選 -23 -12 0 -35
結果
優勢
19
1
13
0
  2
 
34
1
改選後
優勢
49
1
46 2
 
2 99
1


ジョージア州ではどの候補も過半数を得られない場合、上位2名の決選投票となる。

1) 通常の改選

共和党 David Perdue が49.8%、民主党 Jon Ossoff が47.9%で2021年1月に決選投票

2) 補欠選挙

多数が出馬し、臨時のKelly Loefflerは26%に止まり、一位の民主党 Raphael Warnock も32.9%しか得られず、これも2021年1月に決選投票となる。

共和党50、民主党(無所属含め)48となり、1月の補選で民主党が2名とも当選すると、50:50となる。
同数の場合は民主党の副大統領(上院議長)が投票するため、民主主導となる。



下院

定員 435名
任期 2年 全員改選

ルイジアナ州第5区では誰も過半数を得られず、12月5日に決選投票の予定

共和党 民主党 無所属 未定
(決戦)
合計 欠員  

2018/11改選

200 235 435

North Carolina-No.9 は2019/7に確定(共和党)

2020年改選前

197 232 1 430 5 欠員は民主2、共和3の辞任、死亡による。
無所属は共和党からの脱党者。
改選後 現状
優勢
195
18
(213)
214
7
(221)
0 1

(1)
410
25
ルイジアナ州 1名決選投票

ーーー

州別の結果は下記の通り。

大統領選挙

上院 下院
Trump Biden 共和 民主 決戦 共和 民主 決戦
New England Maine 1 3 0 2
New Hampshire 4 0 2
Vermont 3 - - 0 1
Massachusetts 11 0 9
Connecticut 7 - - 0 5
Rhode Island 4 0 2
Mid-Atlantic New Jersey 14 2 10
New York 29 - - 3
*6
16
*2
Pennsylvania 20 - - 9 9
Delaware 3 - 0 1
Maryland 10 - - 1 7
Washington D.C. 3 - - - -
The South Arkansas 6 4 0

Alabama

9 6 1
West Virginia 5 3 0
Florida 29 - - 16 11
South Carolina 9 6 1
Georgia (16) 2 8 6
Texas 38 22
*1
13
Tennessee 11 7 2
Kentucky 8 5 1
North Carolina (15) 8 5
Virginia 13 4 6
*1
Mississippi 6 3 1
Louisiana 8 4 1 1
Great Plains Oklahoma 7 5 0
Kansas 6 3 1
South Dakota 3 1 0
North Dakota 3 - - 1 0
Nebraska 4 1 3 0
The Midwest Iowa 6 2 1
*1
Indiana 11 - - 7 2
Illinois 20 5
*1
12
Ohio 18 - - 12 4
Wisconsin 10 - - 5 3
Michigan 16 7 7
Missouri 10 - - 6 2
Minnesota 10 4 4
Rocky Mountains Idaho 4 2 0
Colorado 9 3 4
Montana 3 1 0
Wyoming 3 1 0
The Southwest Arizona 11 4 4
*1
New Mexico 5 1 2
Nevada 6 - - 1 3
Uta 6 - - 3
*1
0
Pacific Oregon 7 1 4
Washington 12 - - 3 6
*1
California 55 - - 4
*7
41
*1
Alaska 3 1 0
Hawaii  4 - - 0 2
合計 確定
優勢
217
(15)
290
(16)
19
(1)
13 2 197
(16)
214
(7)
1

538

35

435

プロ野球のドラフト指名を拒否した選手との契約制限を12球団で申し合わせた通称「田沢ルール」について、公正取引委員会は11月5日、「独占禁止法違反の恐れがあった」との見解を公表した。

公取委は「日本プロフェッショナル野球組織」(NPB)を同法違反の疑いで調べたが、9月にルールが撤廃されたため、違反認定をせずに審査を終えた。


田沢純一投手は横浜商科大学高等学校から新日本石油に入り、大活躍した。

2008年のドラフトでは1巡目指名が確実だったが、2008年9月に記者会見でメジャーリーグ挑戦の意思を表明、同時にプロ野球12球団宛にドラフト指名を見送るよう求める文書を送付した。

NPBは、有力な新人選手が12球団を経ずに外国の球団と選手契約することが続いた場合、日本のプロ野球の魅力が低下するおそれがあるとの認識の下、2008年10月にNPBの議決機関である実行委員会において、以下の件申合せを行なった。(通称 「田沢ルール」)

新人選手が、ドラフト会議前に12球団による指名を拒否し、又はドラフト会議での交渉権を得た球団への入団を拒否し、外国球団と契約した場合、
外国球団との契約が終了してから高卒選手は3年間、大卒・社会人選手は2年間、12球団は当該選手をドラフト会議で指名しない。


NPBは2008年10月以降、本件申合せを有効なものとして維持してきていた。しかし、実際に本件申合せが適用されて12球団に契約を拒絶された例はなかった。

今季大リーグのレッズを自由契約になった田沢が今夏に独立リーグのBC埼玉に入団したことで再び注目された。


プロ野球12球団とNPBは9月7日、実行委員会を開きドラフト拒否選手との契約制限を申し合わせた通称「田沢ルール」の撤廃を決めた。日米の野球を取り巻く環境が当時と変わり、8月に選手会からも要望があったことから、撤廃を決めたとい う。

本件についての独禁法の考え方は下記の通りで、公取委は「独占禁止法違反の恐れがあった」との見解を公表した

一般に、事業者団体が、構成事業者に対し、他の事業者から役務を受けることを共同で拒絶するようにさせる場合であって、他の事業者が当該構成事業者と同等の役務提供先を見いだすことが困難なときは、当該他の事業者を当該役務の提供市場から排除する効果を生じさせ、当該役務提供市場における公正な競争を阻害するおそれがある。
独占禁止法第8条第5号〔一般指定第1項第5号(共同の取引拒絶)〕

公取委の本件審査の過程において、NPBから公正取引委員会に対し、 ① 本件申合せを廃止したこと、 ② 本件申合せを廃止したことを公表するとともに、関係団体等に周知したことの報告があり、この措置が、独占禁止法違反の疑いを解消するものと判断し、本件審査を終了した。

公取委は、なぜ12年後の今頃になって、これが独禁法違反と判断したのだろうか。

三菱ケミカルHDは2020年9月中間決算で、田辺三菱製薬子会社のューロダームが開発を進めているパーキンソン病の治療薬の仕掛研究開発費つい845億円減損損失を計上した。

同社は既報の通り、三菱ケミカルの米国子会社 Lucite Internationalテキサス州BeaumontにおけるMMAモノマーMAA生産を終了し、工場閉鎖することを決議し 、2021年3月期予想に、本工場設備の減損損失や停止関連費用として約230百万ドル織り込んでいる。

ーーー

田辺三菱製薬は2017年7月23日、イスラエルのNeuroDerm Ltd. の買収で合意し、2017年の10月18日に総額11億ドルでの買収を完了、100%子会社とした。

NeuroDermは、パーキンソン病の治療薬に関して、新たな 製剤研究や、医薬品と医療器具(デバイス)とを組み合わせる優れた技術開発力を有する医薬品企業パーキンソン病治療薬のレボドパ/カルビドパ持続皮下注製剤ND0612を中心に開発を推進している。

当時は、米国および欧州でフェーズ3に移行し、2019年度に上市が見込まれた。


パーキンソン病の患者数は世界におよそ500万人と言われている。

パーキンソン病は、中脳にある黒質のドパミン神経細胞が変性し、神経伝達物質のひとつであるドパミンが減少することで引き起こされる。

レボドパ(levodopa)は脳内に移行しドパミンへ変化して脳内のドパミン量を増やすが、脳内へ入る前に分解(代謝)されると脳内へ移行できない特徴がある。
このため、 脳内へ入る前のレボドパの代謝を抑える薬カルビドパ(
carbidopa)を配合したのがND0612である。

パーキンソン病の治療では、疾患の進行に伴い、代表的な治療薬であるレボドパ の血中濃度を適切にコントロールすることが重要だが、ND0612は、NeuroDerm が有する製剤技術により、経口治療薬であるレボドパ および カルビドパ液剤化に世界で初めて成功し、それらを携帯ポンプにより24時間持続的に皮下注射する。

これによりボドパの血中濃度を一定にコントロールし、進行したパーキンソン病患者において問題となる運動症状の改善が期待される。

田辺三菱製薬は、2019年9月のコーポレートレポート2019でND0612について下記のとおり述べている。

2022年度上市をめざす。デバイスと医薬品を組み合わせた製品であり、他社の参入障壁も高く、市場価値の持続が期待される。ピーク時売上500~800億円を目標とする。


注) 買収当時、この買収を疑問視する記事があった。 NeuroDermの企業価値は0ドルと見ている

ーーー

NeuroDerm ではND0612の治験が当初計画から遅れていたが、第3相臨床試験の治験施設の開設および患者組み入れにおいて重要な立ち上げ期間に今般の新型コロナウイルス感染症の拡大が重なるなどしたため、更に約1年半の開発計画の延長を決定した。

このため、欧米での申請は2023年度になる。

本開発計画の遅れと、複数の競合品の開発状況等から収益性が低下する見込みとなり、今回の決定となった。

同剤について広報部は「開発中止などの予定はない」としている。


田辺三菱製薬は三菱ケミカルHDの100%子会社となり、2020年2月27日に上場廃止となった。

2019/11/22 三菱ケミカルホールディングス、田辺三菱製薬に公開買付け 


同社は、技術供与先からのクレームで収益の柱であったロイヤリティ収入の激減が続いている。

2019/5/16 注目会社の決算  田辺三菱製薬

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三菱ケミカルホールディングス114執行役会議 で、三菱ケミカルの米国子会社 Lucite Internationalテキサス州BeaumontにおけるMMAモノマーMAA生産を終了し、工場閉鎖することを決議した。

事業競争力強化供給体制最適2021年228日 でBeaumont工場にお生産終了工場閉鎖決定

Beaumont工場は1992年操業開始で、生産能力は年産 13.5万トン従来の公表能力は15.6万トン)。

付記

同社は2020年12月に、新エチレン法(アルファ法)」 によるMMAモノマーのプラント建設を前提にルイジアナ州ガイスマーの土地を取得した。2022年半ばを目途に投資の最終判断を行い、2025年中に35万tのMMAモノマー生産設備の稼働を目標とする。

同社(旧 三菱レイヨン)は2008年11月11日、世界最大手のMMAメーカー、Lucite International Group Limited の発行済み株式の全てを取得し、連結子会社化するための株式売買契約を締結した。

2008/11/14 三菱レイヨン、Lucite を買収 

その後、自社及びLuciteで世界各地で新増設を行った。ACH法と直酸法(C4法)、Luciteが開発したエチレン法(α 法)の3法を持つ。

現状は下記の通り。



USA Beaumont, TX 156 ACH Lucite
Memphis, TN 177 ACH
英国   Cassel 211 ACH Lucite
日本   大竹 107 ACH 三菱レイヨン
110 C4
Singapore 120 α(エチレン法) Lucite
Saudi Arabia Al Jubail 250 α The Saudi Methacrylates Company
(三菱レイヨン 50%、SABIC 50%)
中国  上海  183 ACH Lucite
恵州 90 C4 恵州恵菱化成(三菱レイヨン100%)
韓国 大山 88 C4 大山MMA
(三菱レイヨン 50%、湖南石油化学 50% )  
麗水 100 C4
台湾 高雄 104 ACH Kaohsiung Monomer (Lucite/CPDC)
タイ Rayong 180 C4 Thai MMA
三菱レイヨン 50.01%SCGケミカルズ 46%、その他 3.99%)
合計 1,876 ACH 938 + C4 568 + α 370



同社のMMA事業は2018年3月期にモノマー価格の急騰で、1000億円を超える営業利益を稼いだ。

しかし2020年年初の国際価格(アジア地域)は1トンあたり1550ドル弱で、前年同期の2,650ドルから大幅に下落し、2020年3月期の営業損益は243億円にとどまった。現時点での2021年3月期予想は50億円である。

この状況を踏まえ、古い設備の休止に踏み切ったと見られる。

2021年3月期予想には、本工場設備の減損損失や停止関連費用として約230百万ドル織り込んだ。

大統領選挙

郵便投票分の開票が遅れ、11月5日10時時点でまだ5州の結果が出ていないが、Biden氏が優勢である。

トランプ大統領の陣営はミシガンで票の集計の停止を求めて法廷闘争に入り、ウィスコンシンでは再集計を申し立てた。

2020/10/24 米大統領選挙、期限の1月6日までに確定しない可能性も 

ーーー

選挙人は上院(100)と下院(435)の議員数にコロンビア特別区の3人を合わせ総数は538人、当選に必要な人数は270人。

下記2州を除き、最も多く得票した候補がその州の選挙人全員を獲得する。
  メインは4人のうち、上院分 2人は全体勝者とし、下院分 2人は2選挙区の勝者
  ネブラスカは5人のうち、2人は全体勝者、3人は3選挙区の勝者

現状は次の通り。

Trump Biden Trump Biden
New England Maine 1 3 The Midwest Iowa 6
New Hampshire 4 Indiana 11
Vermont 3 Illinois 20
Massachusetts 11 Ohio 18
Connecticut 7 Wisconsin 10
Rhode Island 4 Michigan 16
Mid-Atlantic New Jersey 14 Missouri 10
New York 29 Minnesota 10
Pennsylvania 20 Rocky Mountains Idaho 4
Delaware 3 Colorado 9
Maryland 10 Montana 3
Washington D.C. 3 Wyoming 3
The South Arkansas 6 The Southwest Arizona 11

Alabama

9 New Mexico 5
West Virginia 5 Nevada 6
Florida 29 Uta 6
South Carolina 9 Pacific Oregon 7
Georgia 16 Washington 12
Texas 38 California 55
Tennessee 11 Alaska  3
Kentucky 8 Hawaii  4
North Carolina 15 合計 214 264
Virginia 13 残り 60

538

Mississippi 6
Louisiana 8
Great Plains Oklahoma 7
Kansas 6
South Dakota 3
North Dakota 3
Nebraska 4 1

上院

定員100名 50州 x 2

任期 6年  2年ごとに約1/3ずつ 改選(本年は35名 が改選

辞任や死亡により議員の欠員が発生した際には、選出州において補欠選挙を行い、欠けた議員の残りの任期を務める議員を選出する。
補欠選挙の開催時期は州に任せられており、多くの州において補欠選挙は2年毎の下院議員等の選挙と併せて行われる。
また、補欠選挙までの期間に置かれる臨時の議員を指名する権限を、州議会が州政府に与えることができる。

共和党 民主党 民主系
無所属
合計
2020年改選前 53 45 2 100
改選 -23 -12 0 -35
現状 48 45→46 2 96
未定 4

下院

定員 435名

任期 2年 全員改選

下院議員に欠員が生じた場合には、補欠選挙または総選挙によってのみ補充される。

共和党 民主党 無所属 合計 欠員  
2018/11改選 200 235 435

North Carolina-No.9 は2019/7に確定(共和党)

2020年改選前 197 232 1 430 5 欠員は民主2、共和3の辞任、死亡による。
無所属は共和党からの脱党者。
現状 188→190 203→204 394
未定 41 

追って 更新

関西電力大飯原発4号機が11月3日、定期検査のため停止した。関電で稼働中の原発は約3年半ぶりにゼロになった。

国内では当面、九州電力玄海原発4号機のみの稼働となる。 但し、年末年始にかけていくつかが再稼働する予定。

再稼働が認められた原発は9基ある。(川内 2基、高浜 2基、伊方 1基、大飯 2基、玄海 2基)
他に、高浜の2基、美浜の1基は認可を受けたが、40年超運転のための工事が終わるまでは再稼働できない。


1. 原子力規制委員会は2019年4月、原発に設置が義務付けられているテロ対策施設が期限内に完成しない場合、期限の延長を認めないことを決めた。原則として原発の運転停止を命じる。

2019/4/25 テロ対策施設未完成の原発、運転停止へ 

2020年にテロ対策施設設置の期限がくるのに、まだ完成していない原発は4基あり、いずれも停止した。

停止 工事完成、再稼働予定
九電 川内 1号機 2020/3/16 2020/11/26 
2号機 2020/5/20 2020/12/26
関電 高浜 3号機 2020/1 * 2020/12
4号機 2020/10/7 2021/1 下旬

  高浜3号機は2020/1に定修入りしたが、伝熱管の損傷発見。停止中の8月3日に期限が到来した。

2. 四国電力伊方3号機

2020年1月17日 広島高裁が運転差し止めを決定した。

2020/1/20 広島高裁、伊方原発3号機運転差し止め

定期検査で停止していたが、司法判断が覆らない限り、運転を再開できない。
なお、定期検査中の1月25日に電源が一時喪失するトラブルがあった。

四国電力は2月29日に異議と仮処分の執行停止を申し立てを行なった。異議審の決定は2021年3月の予定。

3. 関西電力大飯3号

2020/7に定修入りしたが、一次系配管に損傷が見つかり、要交換となった。
規制委員会は10月2日、議論継続を決めた。終わるまで操業再開できない。

4. その他

関西電力大飯4号 11月3日定修入り

九州電力玄海3号 9月18日定修入り 11月23日稼働予定
      4号 稼働中

5.認可を受けたが、40年超運転のための工事が終わるまでは再稼働できない原発

関西電力高浜1号 工事完了・再稼働予定 2021年3月頃
    美浜3号   同        2021年1月頃

  但し、いずれも地元の同意が見通せない状況

関西電力高浜2号は未定

ーーー

    認可 テロ対策
工事期限

状況

再稼働予定
九電 川内 1号 2015/3/18 2020/3/17 停止 テロ対策工事未完 2020/3/16 停止 2020/11/26
2号 2015/5/22 2020/5/21 停止 テロ対策工事未完  2020/5/20 停止 2020/12/26
関電 高浜 3号 2015/8/4 2020/8/3 停止 2020/1 定修で停止、トラブル発生
停止中に
テロ対策期限到来
2020/12
4号 2015/10/9 2020/10/8 停止 テロ対策工事未完 2020/10/7停止 2021/1 下旬
四電 伊方 3号 2016/3/23 2021/3/22 停止 定期検査中に、
2020/1/17 広島高裁 運転差し止め決定
2021年3月に異議審の決定
2021年3月に異議審の決定
2021年3月に異議審の決定
2021年3月に異議審の決定
司法判断
関電 高浜 1号 2016/6/10 2021/6/9 未稼働 40年超工事未完 2021/3 頃
地元同意
見通せず →付記参照
2号 未稼働 40年超工事未完 未定
関電 美浜 3号 2016/10/26 2021/10/25 未稼働 40年超工事未完 2021/1 頃
地元同意
見通せず
関電 大飯 3号 2017/8/25 2022/8/24 停止 2020/7定修 1次系配管に損傷  規制委側は議論を継続
4号 停止 2020/11/3 定修入り
九電 玄海 3号 2017/8/25 2022/8/24 停止 2020/9/18 定修    2020/11/23
4号 2017/9/14 2022/9/13 稼働  稼働中


付記  関西電力高浜原発1、2号機の再稼働について、高浜町議会は11月25日、同意すると表明した。

アステラス製薬は10月15日、極小サイズの体内埋め込み型医療機器を開発する米 iota Biosciences, Inc. を買収する契約を締結した。
10月29日に買収を完了し、完全子会社とした。

iota Biosciencesは、カリフォルニア大学バークレー校の研究者のMichel MaharbizとJose Carmenaによって2017年に設立されたスタートアップ企業。

二人は2018年12月にホコリほどの大きさしかないワイヤレスセンサー「Neural Dust」を開発したと発表した。
体内に埋め込んで超音波を照射すれば、その部位にある器官のデータを外部から読み取ることができる。超音波振動でデータを取り出すため、センサーには微小な圧電性結晶 (
piezo crystal) を搭載しており、たとえばロボット義手/義足を動かすのに必要な神経の微小電流を体外へと無線伝送させるといった使い方が可能である。

従来の埋め込み型医療機器は電力を供給するバッテリーや情報通信用のケーブルおよび大きな電子回路の搭載が必要であるため、サイズの小型化が難しく、多くの場合、その埋め込みに侵襲性の高い手術を要するという課題があった。

「Neural Dust」は、電力供給および無線通信に超音波を用いることで、極小の体内埋め込み医療機器を可能にした。手術時だけでなく手術後の生活においても患者にかかる身体的な負担を軽減することが期待される。

超音波は体を透過する。

超音波がデバイスを給電し、神経や筋肉が何をしているかによってわずかに変わった状態で跳ね返ってくる。
絶えずパルスを送ることで、システムは正確なモニターデータを絶え間なく集める。これにはまったく出血を伴わない。

唯一のトランスミッションは超音波であり、何十年もの研究でその使用の安全性は証明されている。

交換なしで、生涯使い続けることができる。

図: https://news.berkeley.edu/2016/08/03/sprinkling-of-neural-dust-opens-door-to-electroceuticals/


アステラス製薬は2018年5月にiota社に一部 出資した。

同社は2019年9月に、極小の体内埋め込み型医療機器を用いた新たな生体センシングおよび治療手段の実現を目指し、iota社と共同研究開発契約を締結した。
共同で、アンメットメディカルニーズの高い複数の疾患を対象として、埋め込み型医療機器の詳細な仕様を検討し、前臨床試験を実施するとした。

提携以来、iota社の持つバイオエレクトロニクス分野の基幹技術と深い知見、アステラスの持つ生体や疾患理解における専門性や、創薬研究から上市への豊富な経験がもたらすシナジーによる共同研究開発を進めている。それらの成果を含む複数プロジェクトの臨床試験を2020年代前半に開始を予定している。

今回、アステラス製薬が保有する分を除く株式をすべて買収し、完全子会社とした。

対価として契約一時金約1億2,750万米ドルを支払う。
更に、iota社の株主(アステラス製薬を除く)は、取引完了後の一定期間内にiota社が所定のマイルストンを達成した場合に、最大で総額約1億7,650万米ドルの追加支払いを受け取る。

これまでの共同研究開発において見出したプロジェクトの開発を迅速に進めるほか、iota社独自の技術を用いた新たな疾患への適用および新規技術の開発に取り組むことで、バイオエレクトロニクス分野でイノベーションを生み出す拠点としてRx+®事業のさらなる加速を目指すとしている。

Rx+®事業とは、医療用医薬品(Rx)で培ったアステラス製薬の強みをベースに、最先端の医療技術と異分野の先端技術を融合させることで、Patient Journey(診断、予防、治療および予後管理を含む医療シーン全般)全体において患者に貢献し、単独で収益を生み出せる事業の枠を越えた新たな事業

韓国最高裁が三菱重工業に元朝鮮女子勤労挺身隊員らへの賠償を命じた訴訟で、韓国の大田(テジョン)地裁は資産差し押さえの関連書類が同社に届いたとみなす「公示送達」の手続きを取った。

公示送達は、裁判所での掲示をもって訴状などの書類が相手に届いたとみなす手続き。同地裁は10月29日付で三菱重工業が韓国内で保有する特許権6件と商標権2件の差し押さえ命令文をホームページに掲載した。

韓国大法院(最高裁判所)は2018年11月29日、三菱重工業に対し、第2次世界大戦中に同社の軍需工場で労働を強制された韓国人の元徴用工らに対する賠償支払いを命じる判決を下した。大法院は、損害賠償訴訟2件について、三菱重工業の上告を棄却し、2件の訴訟の原告に対し、1人あたり最大で1億5000万ウォン(約1500万円)の支払いを命じた。

韓国の大田地裁は2019年3月25日、同社が保有する韓国内資産の差し押さえを決定した。原告側が裁判所に強制執行を申請していたのは三菱重工業の商標権2件と 三菱重工業が韓国国内に保有中の770件余りの特許権のうち 発電技術特許などの特許権6件で、現金換算で8億400万ウォン(約7200万円) に相当する。三菱重工業は同資産の使用、売買や譲渡ができなくなる。

差押えられた商標

三菱グループのスリーダイヤは差押えの対象外

三菱重工業が資産売却に関する関連書類の受け取りを拒否しているため、大田地裁は9月7日に三菱重工側から意見を聞くための「審問」に関してウェブサイトに「公示送達」を掲載した。11月10日に同社側に内容が伝えられたとみなす効力が発生する。

今回の「公示送達」は12月30日に効力が発生するとしており、地裁は、双方の公示送達の効力が生まれる12月30日以降、現金化に向けた次の判断を下すとみられる。

付記 三菱重工業は、「公示送達」成立を受け、差し止めを求める即時抗告を行なった。

付記 

三菱重工業は、「即時抗告」を退けられ、再び手続きの差し止めを求める「再抗告」をしていたが、韓国最高裁判所は2021年9月10日付けで「再抗告」の一部を退ける決定をして、13日、決定を伝える書類が会社側に発送された。

日本政府はこの問題は日韓請求権協定で解決済みで大法院判決は国際法違反との立場を維持しており、「現金化となれば深刻な状況を招く」と警告している。

ーーー

韓国で資産が差し押さえられているのは三菱重工のほかに、日本製鉄と不二越がある。

(日本製鉄)

韓国大法院は2018年10月、日本製鉄強制徴用の被害者が出した損害賠償訴訟で被害者の勝訴を確定した。日本製鉄(旧新日鉄住金)に対し、戦時中に日本の工場に動員された4人の韓国の元労働者に1人あたり約1000万円の賠償を命じた。

原告側は2019年1月と3月の2回にわたり、日本製鉄とPOSCOのJVのPOSCO-NIPPON STEEL RHF JV の株式9億7300万ウォン(約8700万円)相当を差し押さえた。

POSCOの製鉄所にて発生する乾式ダストの有効活用を目的として、2008年1月に乾式ダストをリサイクルし還元鉄を供給するJV(新日鉄30%、ポスコ70%)を設立。

大邱地方法院浦項支院は2020年6月1日、日本製鉄に資産差し押さえ書類などを公示送達した。

日本製鉄は8月4日、資産差し押さえ命令に対して即時抗告を行ったが、大邱地裁浦項支部は8月13日付で、「理由がない」と判断し、即時抗告を認めない決定を出した。即時抗告の是非の判断は三審制で行われるため最終決定ではなく、今後は二審に相当する大邱地裁で審理される。

2020/6/6 韓国との関係:WTOへの提訴手続き再開と日本製鉄資産差し押さえ問題 



(不二越)

不二越については、当初、日本で訴訟が行われた。

一次訴訟は、1992年に元朝鮮女子勤労挺身隊員らが不二越を相手取り、未払い賃金などを求めて富山地裁に提訴した。一審、二審とも、裁判所は不二越の強制動員、強制労働の事実や賃金未払いについては判決の中で詳細に認定したが、時効を理由に原告側が敗訴した。

上告後の2000年7月11日、最高裁で和解が成立し、不二越は原告3人を含め、米国で訴訟準備中の計8人および「太平洋戦争韓国人犠牲者遺族会」に総額3500万円を支払った。
裁判所が原告らの被害事実を具体的に認定したこと、原告らが米国で別訴を提起する動きを見せていたことなどが、被告会社の和解解決選択の背景にあったと言われている。

しかし、2003年に元挺身隊員ら22人が未払いの賃金などを求めて富山地裁に提訴した二次訴訟では、一審、二審ともタダ働きとなってしまった事実を認定しながら原告敗訴の判決を下し 、最高裁も上告を退けた。裁判所は、日韓請求権協定により裁判で権利は行使できないとした。

これを受け、原告は韓国で不二越を訴えた。

ソウル中央地裁は2014年10月30日、元隊員の韓国人女性13人と死亡した元隊員の遺族18人が不二越に損害賠償の支払いを求めた訴訟で、1人につ8000万ウォン(約830万円)から1億ウォンを賠償するよう同社に命じる原告一部勝訴の判決を下した。賠償総額は15億ウォン。判決は、「賠償は仮執行できる」とし、国内に不二越の財産があれば、原告は判決を根拠に強制執行によって賠償を受けることができるとの判断も下した。

ソウル高裁は2019年1月18日、同社の控訴を棄却し、原告27人に1人当たり、最高で1億ウォン(約1千万円)の支払いを命じた。
ソウル高裁は2019年1月30日、韓国人女性5人が損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、同社の控訴を棄却し、同社に対してそれぞれ1億ウォン(約1千万円)を原告に支払うよう命じた。

韓国の蔚山地裁は2019年3月、原告のうち23人が申請した韓国内資産の差押えを認めた。韓国内の合弁企業「大成・NACHI油圧工業」の株式7万6500株で、約7億6500万ウォン(約6840万円)相当である。
判決は確定していないが、仮執行手続きが可能な状態だった。

大成・NACHI油圧工業は、1988年設立の不二越(NACHI) と韓国・大成産業とのJVで、産業機械用油圧バルブを生産している。



日本政府は、「本件は1965年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決している」としており、韓国政府も2009年に裁判所に提出した書面で、「日本に動員された被害者(未払い賃金)供託金は請求権協定を通じ、日本から無償で受け取った3億ドルに含まれているとみるべきで、日本政府に請求権を行使するのは難しい」としていた。

しかし、韓国大法院は2012年5月23日、日韓併合時の日本企業による徴用者の賠償請求を初めて認めた。

この問題の解決のため、韓国国会の文喜相議長が2019年末に解決法案を提出した。

法案は日韓の企業と個人から寄付金を募って基金を設け、裁判所や韓国政府が認めた元徴用工らに慰謝料を支給する内容で、企業や個人に寄付を強要しない方針を明記し、受給者は企業への請求権を放棄したとみなす規定を盛り込んだ。

しかし、法案は原告や市民団体の反対で審議にも至らぬまま、韓国憲法の規定により国会会期末の2020年5月29日で廃案となった。

なお、朝日新聞は10月31日に次のように報道している。

日韓両政府の関係者によると、韓国大統領府は今年に入り、日本との関係改善に向けて、大統領秘書室長を中心に徴用工問題の解決案を検討した。

大法院判決を尊重するとの文大統領の意向を踏まえ、今春に、「企業が賠償に応じれば、後に韓国政府が全額を穴埋めする」との案を非公式に日本政府に打診した。

日本政府側は「企業の支出が補填されても、判決の履行には変わりなく、応じられない」と回答した。

付記

韓国外交部の報道官は11月3日の定例会見でこの報道について聞かれ、「その事案は大法院(最高裁)判決の尊重、被害者の救済、韓日関係の3つの事項を常に軸に置き合理的な解決策を見いだそうと努力をしてきている事案」と明らかにした。「この3つの軸がすべて反映できる合理的な解決策のために努力し続けている」と強調した。

米ペンシルベニア州の連邦地裁は10月30日、米政府が11月12日に予定しているTikTokの全面的な利用禁止措置を一時差し止める判断を下した。

付記  トランプ政権は11月12日、連邦控訴裁判所に上訴した。

9月27日にはWashington DCの連邦地裁が同日午後11:59に発効する予定だったトランプ米政権による配信禁止措置の一時差し止めを命じ ている。

米カリフォルニア州北部地区の連邦地裁は9月20日、騰訊控股(Tencent Holdings )の「WeChat」の提供を禁止する大統領令の執行を一時的に差し止める命令を下した。司法省は差止め命令が不当だとして再度訴えに出たが、地裁はこの訴えを棄却した。

本件では、政府側は連敗が続く。

ーーー

米商務省は9月18日、TikTok(とWeChat)の規制を発表した。

1. 2020年9月20日付で次の取引が禁止される。

・米国のオンラインモバイルアプリケーションストアを通じて、WeChatまたはTikTokモバイルアプリケーション、構成コード、またはアプリケーションの更新を配布または維持するためのサービスの提供。

Appleのapp store やGoogleのAndroidからTikTokを除くもので、新規取得が出来なくなる。
既存の需要家はそのまま使用できるが、安全性強化などのアップデートが出来なくなる。

米商務省は9月19日、「最近の前向きの展開を受け、大統領の支持のもと」、TikTokの上記禁止を9月20日から9月27日午後11:59まで延期すると発表した。


Washington DCの連邦地裁は商務省の規制が発効する
9月27日にこれを一時差し止めた。米政府は10月8日、 これを不服として連邦高裁に上訴した。

2. TikTokについては2020年11月12日付で次の取引が禁止される。

・米国でのモバイルアプリケーションの機能(または最適化)を可能にするインターネットホスティングサービスの提供、コンテンツ配信ネットワークサービスの提供、直接契約または手配されたインターネットトランジットまたはピアリングサービス

・米国内で開発および/またはアクセス可能なソフトウェアまたはサービスの機能における、モバイルアプリケーションの構成コード、機能、またはサービスの利用。

配信禁止で、既存の需要家 も利用できなくなる。

2020/9/19 TikTokとWeChat ダウンロード禁止 

今回、ペンシルベニア州の連邦地裁はこれを一時差し止めた。

米政府はアプリを通じた個人情報の流出など安全保障上の懸念から利用禁止の必要性を主張したが、地裁は禁止することで原告の3人の利用者(TikTok creator )らに「取り返しのつかない損害」をもたらすと指摘した。

原告3人はTikTokで生計を立てていると主張した。このプラットフォームはユニークで、ほとんど知られていない者がその作品を非常に多数(それぞれが、270万人、230万人、180万人)のサブスクライバーに見てもらえるとし、TikTokが閉鎖されると、このサブスクライバーを失い、生計を絶たれると主張した。

判事はこの主張を取り上げ、TikTokのビデオは表現、情報であり、フィルム、芸術作品、写真、ニュースと同じで、国際緊急経済権限法 で保護されているとした。

§1702 大統領の権限

直接的にも間接的にも次のことを規制、禁止することは本章により大統領に 与えられた権限に含まれない。

営利目的かその他の目的であれ、伝送の方式又は媒体を問わない情報や情報資料の全ての国からの輸入やすべての国への輸出。
限定されるものではないがそれら情報、資料は出版物、フィルム、ポスター、蓄音 機のレコード、写真、マイクロフィルム、マイクロフィッシュ、テープ、コンパク トディスク、CD-ROM、芸術品、ニュースワイヤー送信を含む。

米カリフォルニア州北部地区の連邦地裁は9月20日、騰訊控股(Tencent Holdings )の「WeChat」の提供を禁止する大統領令の執行を一時的に差し止める命令を下した。司法省は差止め命令が不当だとして再度訴えに出たが、地裁は 10月26日、この訴えを棄却した。「控訴裁で判断が下されるまでの間に差し迫った取り返しのつかない損害を被る」ことを政府は実証していないとした。

司法省は控訴もしているが、高裁の判断は早くとも12月以降になる。

2020/9/21 米連邦地裁、WeChat 配信禁止を一時差し止め


なお、TikTok
を運営する北京字節跳動科技
(ByteDance)と米ソフトウエア大手Oracleなどは提携交渉を続けているが、出資比率などで隔たりが大きく、協議は難航している。

トランプ米大統領は9月19日、TikTokの米国事業売却交渉を巡り、ByteDanceと米IT大手Oracleなど米企業との提携案を「概念として(in concept)承認する」と述べた。

しかし、Trump大統領は9月21日、新会社TikTok Globalの株式の一部をByteDanceが保有するなら、提携案の承認を撤回すると述べた。「Oracleが完全な支配権を持たないのであれば、われわれは合意を認めない」

2020/9/20 トランプ大統領、TikTokとOracleの提携案を「概念として承認」

付記  

TikTokの運営会社は11月10日、米国事業の売却期限の延長を首都ワシントンの連邦控訴裁判所に申し立てた。

トランプ大統領は8月14日、TikTok 売却に90日の期限を与えた。9月20日から11月12日に延びた。

しかし、売却に関する米当局などとの交渉が長引いて期限の11月12日が迫っており、事業を継続しながら最終決着させるには裁判所の介入が必要と判断した。

トランプ政権は11月13日、売却命令の期限を27日まで15日間延長したと発表した。

11月25日、これを12月4日まで再延長することを認めた。

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