2010年4月アーカイブ

国土交通省が4月30日に発表した3月の新設住宅着工戸数は65,008戸で、16カ月連続の減少となった。

これにより、2009年度の着工戸数は775,277戸となった。1964年度の764,619戸以来、45年ぶりの80万戸割れとなった。

1987年度には1,728,534戸と記録したが、1998年度から120万戸程度で推移、2007-8年度に100万戸に下がり、昨年度は遂に1987年度の半分以下となった。



この影響を大きく受けているのがPVCで、国内出荷数量は最盛期の200万トンから順次減少し、2009暦年では遂に100万トンを割り、96万トンとなった。

なお、米国の住宅着工戸数はサブプライムローン破綻の影響を受けて更に低迷しており、ピークが2005年の2068千戸であったのが、2009年は554千戸にまで下がっている。


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ConocoPhillips421日、Saudi Aramcoに対し Yanbu での新製油所計画への参加を取り止めると伝えたと発表した。

Saudi Aramco ConocoPhillips 2008516日、これまで検討してきた新製油所計画の実施を決めたと発表した。
50/50JVYanbu Industrial City に日産40万バレルの重質油完全改質製油所を新設するもので、2013年のスタート予定であった。

2008年秋からの世界不況で、Saudi Aramcoは石油開発計画を次々に延期、本計画についても同年12月に予定していた製油所建設の入札を延期した。
Saudi Aramco
ConocoPhillips も、この計画をやることには変わりはないとし、準備作業を進めた。

2008/12/10 サウジアラムコ、石油開発計画を延期

ConocoPhillipsは昨年、2年計画で100億ドルの資産を処分することを決めており、Saudi Aramcoとの関係や、再入札で投資額が大幅に下がったことなどから難しい決断だが、この計画がダウンストリーム部門を減らすという戦略に合致しないことから決めたとしている。

ーーー

これに対してSaudi Aramco ConocoPhillipsの代わりのパートナー候補にアプローチを始めた。
少なくとも
1社の中国企業が候補に含まれている。

どこも参加しない場合は
Saudi Aramco が単独でも実施するとみられている。

ーーー

ConocoPhillips200910月に2010年の投資計画を発表したが、その中で、資金問題の解決とバランスシート強化のため、2年間で100億ドルの資産を売却することを明らかにした。

売却はExploration & Production Refining & Marketingの全体にわたって行い、売却収入は借入金返済に充て、借入金比率を引き下げる。
Exploration & Production
が売却金額の6080%の計画で、売却により、2011年末には生産量で80120MBOED(原油換算日量百万バレル)、埋蔵量で400~600MBOEDの減少となる。

この一環として、同社はロシアのLUKOILの持株20%のうちの半分の売却を検討していることを明らかにした。
同社は2004年9月にLUKOIL
7.6%を購入、その後20%まで増やした。

ConocoPhillipsは 4月12日、カナダのオイルサンド事業会社 Syncrude Canada Ltd の持株 9.03%Sinopecに売却すると発表した。

2010/4/16 Sinopec、 カナダのオイルサンドに投資

このほか、コロラドからオハイオまで1679マイルの天然ガスパイプラインRockies Express Pipelineや米国(アラスカを除く)と西カナダの石油・ガス資産の10%、米国の石油販売用資産が売却対象になっている。

付記

ConocoPhillipsはUAEで40%出資で Abu Dhabi National Oil Company (ADNOC)と共同でShah Gas Field の開発を決めていたが、4月28日、これからの撤退を決めたと発表した。


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4月29日午後5時35分頃、愛媛県新居浜市大江町の住友化学愛媛工場大江地区の構内にある「エスエヌ化成」第1工場から出火、鉄骨4階建て延べ約6千平方メートルのうち、少なくとも約2千平方メートルを焼いた。

新居浜市消防本部などが消火に当たり、午後8時55分ごろ鎮圧し、午後10時55分ごろ鎮火した。
出火当時、工場内には従業員14人がいたが、逃げ出して無事だった。

エスエヌ化成はABSを製造販売する日本A&Lの子会社で、ABS樹脂に着色する作業を24時間体制で行っており、4階の製造工場から3階のタンクにパイプなどを通じて原料を移す際に、何らかの原因で火が付いたとみられる。
新居浜市消防本部や新居浜署が、火災の原因などを詳しく調べる。

ABS樹脂は自動車の内装などに使われ、国内のほぼすべての自動車メーカーにエスエヌ化成の製品が納入されている。

ーーー

日本A&Lは1999年7月に住友化学67%、三井化学33%出資で、両社のABS及びSBRラテックス事業を統合して設立された。
ABS能力は10万トンで、住友化学(愛媛:菊本地区)が7万トン、三井化学(大阪)が3万トンとなっている。

このうち住友化学のABS事業は、以下の変遷をしている。

 1963年 同社とUS Rubber(その後 Uniroyal と改称)のJVとして住友ノーガタック設立、
      
ABS・ラテックス事業開始
        今回のエスエヌ化成はこの頭文字(
S N)から取ったもの。

 1980年 Uniroyal が撤退、住友化学100%

 1988年 Dow 35%出資、ポリカーボネート事業に進出

 1992年 ポリカーボネート稼動、Dow 50%

 1996年 住友ノーガタックを住友ダウに改称。
      
ABSとラテックス事業を分離、住友化学100%の住化ABSラテックスに。

 1999年 日本A&L設立

 

ーーー

付記

住友化学は4月30日、「当社愛媛地区において度重なる事故を起こしたことにつきまして深くお詫び申し上げます。原因の詳細を徹底調査し、安全を全てに優先させるという方針のもと、グループをあげて再発防止に全力を挙げてまいる所存です」と謝罪した。

同社では2009年4月に、愛媛工場菊本地区で、定期修理を完了し操業再開準備中の電解プラントより、塩素ガスが大気に漏出する事故が発生した。

さらに翌5月には、同じ愛媛工場菊本地区で、エポキシ樹脂の原料製造プラントが停電で緊急停止し、塩素系ガスが漏れていることが判明した。
定期修理時に業者が置き忘れた金属製の棒のためショートして停電が発生、塩素を無害化する設備に中和剤のカセイソーダを送り込むポンプが停止し、中和しきれなかった塩素系ガスが漏れた。 

付記

愛媛県と新居浜市は5月7日、住友化学愛媛工場とエスエヌ化成に、原因を究明して再発防止策を策定し、報告するよう文書で指導した。

原因究明と再発防止策の実施を求めただけではなく、工場側による住民への報告が発生の約2時間後と遅れたことなどから、住友化学に住民への広報に万全の対応をするよう求めている。また、エスエヌ化成に対しては、消防計画や作業基準の見直し、従業員への教育の徹底を求めている。

今回の事故は粉じん爆発が原因である可能性が強まっており、 工場側に重大な過失はなかったとみて、市は指導にとどめた。

<p>HTML clipboard</p>

付記

住友化学は5月12日、事故の報告と今後の対応策を発表した。
   
http://www.sumitomo-chem.co.jp/japanese/gnews/news_pdf/20100512_1.pdf


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LG化学は4月26日、スウェーデンのボルボに電気自動車(EV)の基幹部品であるリチウムイオン電池を供給する契約を結んだことを明らかにした。
供給はバッテリーセルだけでなく、制御システム(BMS)などさまざまな部品で構成された全体バッテリーパック形態で行われる。

Volvoでは、2012年上市のプラグインハイブリッドに採用するとしている。

LG化学は電気車用バッテリー分野で世界1位で、これまで韓国の現代・起亜車と電気自動車メーカーのCT&T、米国のGMと自動車用部品メーカーのEaton Corporation、中国の長安汽車の5社と電気車用バッテリー供給契約を結んでいる。
ボルボはLG化学の6番目の顧客となる。

LG化学の金磐石副会長は以下のように述べている。

・ヨーロッパの名品自動車市場に進出し、改めて製品の競争力が認められることになった。
・世界3大自動車市場の米国・中国・ヨーロッパにすべてバッテリーを供給することになったという意味もある。
・世界的な自動車企業と実質的に納品契約を結び、大量生産体制を整えた会社はLG化学が唯一。
 年末までに追加で4社以上の顧客を確保し、供給先を10社以上に増やしたい。

同社は米フォードとも納入交渉を進めていると報道されている。

ーーー

LG化学は2007年12月、現代自動車が2009年下半期から量産するAVANTE HYBRIDにリチウムポリマー電池を単独供給すると発表した。忠清北道・清原郡の梧倉テクノパークでハイブリッドカー用リチウムポリマー電池の本格的な量産に入る。

ーーー

LG化学は2009年10月、韓国の電気自動車メーカーのCT&Tに2010年からリチウムイオンバッテリーを供給すると発表した。

CT&Tはゴルフ場などで使用される低速走行の近隣用電気自動車(NEV)を生産しているが、LG化学はCT&Tの既存の電気自動車や今後開発する新型車にリチウムイオン2次電池を供給する。

CT&Tは、NEVの世界的メーカーで、最高時速40マイル、航続距離80マイルの2人乗 りの低速EVe-ZONE」(日本名:TEYAN)を年間6万台生産し、中国やカナダ、アラブ首長国連邦、日本などに輸出している。
米国でも販売する予定。

ーーー

LG化学は20091月、「2010年に発売予定のGMの電気自動車シボレー・ボルト(Chevy Volt) に搭載されるリチウムイオン・ポリマー・バッテリーを供給する唯一の企業として選ばれた」と発表した。

2009/1/17 LG化学、GMに 電気自動車用バッテリー独占供給へ

同社はGMから2011年にデビューするBuick のプラグインハイブリッドカー(ガソリンと電気を動力源とし、家庭用電源からの充電が可能なハイブリッド車)用のバッテリーパック供給の指名を受けた。

LG Chem の米国子会社Compact Power は2009年8、ミシガン州Troy に車載用リチウムイオン電池工場を新設する方針を明らかにした。
3億~4億ドルを投じて電気自動車 25万台分の工場を建設、2013年稼動を目指す。
オバマ政権の
24億ドルの補助金から151百万ドルを受ける。

ーーー

LG化学は2010年1月5日、米部品メーカーEaton Corporationにハイブリッド商用車向けのリチウムイオン電池を供給する契約を結んだと発表した。今年11月から4年間にわたり供給する。

Eaton は
LG化学のリチウムイオン電池をハイブリッド商用車の駆動系システムに搭載し、米トラックメーカーのNavistar、Peterbilt、Kenworthやイタリアのトラックや鉄道車両、ディーゼルエンジンのメーカーのIvecoなどに販売する。

Eaton は1911年設立で、産業用油圧システム、トラック・自動車用部品、自動車用エンジン制御機器、車両駆動系 システム、電気制御製品、航空宇宙燃料システムなどを生産する。

ーーー

LG化学は本年2月、中国の自動車大手、長安汽車(Changan Automobile)の研究開発担当子会社、長安新エネルギー自動車とハイブリッド車および電気自動車用LiBに関する共同開発の覚書を交わした。
環境対応車用バッテリーシステムを共同開発し、長安自動車が生産するハイブリッドカーと電気自動車向けに供給する

早ければ本年下半期に上市予定の長安汽車の新型HVに採用される予定で、今後既存のHVもこれに切り替える。

長安自動車は昨年180万台の自動車を販売し、210億元(約2750億円)の売上を計上した中国3位の自動車メーカーで、昨年6月にハイブリッドバンの「CV11」を発売、本年に乗用モデルの「CV8」を発売した。
これらはすべてニッケル水素バッテリーを使用しているが、性能向上のためリチウムイオンバッテリーに変更する方針。

 


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財務省が4月 28日に発表した輸入通関速報によると、3月のナフサ輸入通関価格は45,249円、1-3月平均は45,702円となり、第1四半期の国産ナフサ基準価格は47,700円となった。 なお、2月の通関金額が修正されている。

計算根拠は以下の通り。(単位:円/kl)

  輸入平均   基準価格
2009/1Q  24,970  27,000
   2Q  31,294  33,300
3Q  39,185  41,200
4Q  40,531  42,500
2010/1 45,468    
2010/2 46,360    
2010/3 45,249    
2010/1Q 45,702 47,700

基準価格は平均輸入価格に諸掛 2,000円/kl を加算(10円の桁を四捨五入)


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BASFがドイツのSpecialty chemical のメーカーのCognisTOBをかけるとの噂が流れている。対価は30億ユーロにもなるとされている。

Cognisについては、BASFのほか、潤滑油メーカーのLubrizolも買収に意欲を持ち、交渉を始めた。

特に CognisCare Chemicals (ヘア・ボディ・オーラルケア剤、スキンケア剤、ホームケア洗剤など)は石油・ガスを直接原料とする製品に比べ景気変動に余り左右されないため、各社の関心の的となっている。

BASFによれば、高級化粧品の需要が回復に向かっており、パーソナルケア化学品市場の回復に力を与えている。
BASFはヘアケア、日除け製品、増粘剤などを開発しており、ケア関連の化学品で34億ユーロの売り上げがある。

Lubrizol Additives部門とAdvanced Materials部門を持つが、後者ではEngineered polymersに加え、Consumer Specialtiesを扱っており、ローションやシャンプーなどのパーソナルケア製品の増粘剤の最大のメーカーでもある。
同社はパーソナルケア分野での拡大を目指している。
Lubrizolの市場価値は65億ドルで、アナリストによれば、30億ドル程度の買収をしても、投資適格格付けを維持できる。

Cognisのオーナーは売り急いではいない。上場も検討している。
BASFLubrizolのほか、DuPontCroda InternationalSolvayDSM なども関心を示しているといわれている。

ーーー

Cognis はドイツのHenkel KGaA の化学部門であったが、1999年にHenkel は強力ブランドと先進技術に全面的に集中するため、化学部門の放出を決定、100%子会社のCognis を設立した。
200111月、投資会社3Permira FundsGS Capital PartnersSV Life Sciences Fundsが買収し、現在に到っている。

現在のHenkel の事業は次の3つ。
 
Laundry & Home CareCosmetics/ToiletriesAdhesive Technologies

Cognis2006年にグローバルの油脂化学事業(脂肪酸、グリセリン、油田用化学品、プラスチック添加剤)をマレーシアのGolden Hope Plantations との50/50JVCognis Oleochemicals (M) に移管した。

Golden Hope Plantations 2007年にKumpulan Guthrie及びSime Darby と合併し、Sime Darbyとなった。
ゴムのプランテーション、不動産、自動車、エネルギーなど多岐にわたる事業を行っている。

2008年11月に、CognisはCognis Oleochemicalsの持分をタイのPTT Chemical に売却、現在はCognis OleochemicalsPTTSime Darby 50/50JVEmery Oleochemicalsとなっている。

Cognisは3つの戦略的事業単位(SBU)を持つ。

(1)Care Chemicals

Hair/Body/Oral Care 
  ヘア・ボディ・オーラルケア剤、 シャンプーコンディショニング剤原料、ヘアカ ラー剤原料、口腔洗浄剤原料
Skin Care
  化粧水・乳液原料、メイク落とし原料、
UV ケア化粧品原料、リキッドファンデーション原料
Home Care
  台所用洗浄剤原料、柔軟材原料、柔軟仕上剤原料
Industrial & Institutional Cleaning
Silicates

(2)Nutrition & Health

Food & Beverages
  栄養補助食品素材
Dietary Supplements
  機能性食品素材 (機能性食品原料、栄養補助食品原料)
Pharmaceuticals & Healthcare
  医薬品原料 (一般用医薬品原料、医薬品添加物)
Food additives
  食品添加物 (色素原料・乳化剤等の食品添加物、品質改良剤)

(3)Functional Products

Coatings
Lubricants
AgroSolutions
Mining & Ion-Transfer Technology

最近の業績は以下の通り。(百万ユーロ)

売上高 Adjusted EBITDA
2009 2008 増減 2009 2008 増減
Care Chemicals 1,457 1,684 -227 212 204 8
Nutrition & Health 325 346 -21 54 65 -11
Functional Products 786 948 -162 100 88 12
Others 16 23 -7 -2 -6 4
Total 2,584 3,001 -417 364 351 13
EBIT 195 192 3
金利(net -130 -212 82
Tax -40 -29 -11
中止事業損益 - -14 14
Net Profit 25 -63 88

ーーー

Lubrizol Corporation1928年に米国オハイオ州クリーブランド市の郊外に設立された。

最初の製品Lubri-Graphは、自動車の重ね板バネのキシミ音を低減するために開発したもので大ヒット商品となった。
そのすぐ後に自動車のエンジン油も商品化し、これらの技術から添加剤の分野に特化した。
1998年はBP ケミカルからAdibis 潤滑油・燃料添加剤事業を買収している。

その後、パーソナルケア部門に進出した。
 
2003年にDow Chemical から、その子会社 Amerchol のパーソナルケア事業の一部を買収。

2004年に英Avecia から添加剤事業を買収。

  同年に米BFGoodrich Performance Materials部門が独立したNoveon 18.4億ドルで買収した。

BFGoodrich 1896年に世界初の空気入り自動車用タイヤを開発した。
1940年には合成ゴムを使用したタイヤを米国市場に初めて投入、1947年には初のチューブレスタイヤを発売している。

同社は1986年に自動車タイヤ事業をフランスの Michelinに売却した。 Michelinは現在もBFGoodrich ラベルでタイヤを販売している。

BFGoodrich 200011月、Performance Materials事業を投資家グループに14億ドルで売却すると発表した。
同事業は20012月にPMD Groupとして独立し、同年7月に Noveon Incと改称した。

BFGoodrichはこれにより航空・防衛産業企業への変身を完了した。

現在、Lubrizolは潤滑油・添加剤の Lubrizol Additives 部門と、Lubrizol Advanced Materials部門を持っている。

Lubrizol Advanced Materials部門は次の製品を扱う。

(1) Noveon Consumer Specialties
     personal carehome carepharmaceuticalpet food formulations

(2) TempRite Engineered Polymers
     Chlorinated polyvinyl chloride (CPVC) resins and compounds

(3) Estane Engineered Polymers
   熱可塑性ウレタン樹脂


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New York の破産裁判所は423日、LyondellBasellの再建案を承認した。
同社は
430日に民事再生法(Chapter 11)から離脱する。

同社はBasellによるLyondell買収で多額の債務を負ったが、資金繰りに行き詰まり、まず米国子会社が2009年1月6日に、次いで4月24日には親会社も民事再生法(Chapter 11)を申請した。

2009/4/27 LyondellBasell、親会社も米国の民事再生法対象に追加

同社は債権者団体と再建案を交渉するとともに、インドのRelianceからの買収提案を受け、並行して交渉を進めた。

Leon Blackが経営する投資会社Apollo Management、Ares Management 及びBasellの創始者Len BlavatnikのAccess Industrieなどが<p>HTML clipboard</p>債権を株式に代えるという再建案に同意、会社側は再建案の方が債権者にとり有利であるとみなしてRelianceによる145億ドルの買収提案を拒否した。

2010/3/11 LyondellBasell、Reliance の買収提案を拒否


この再建案を破産裁判所が承認したもの。

裁判所は合わせて、危険廃棄物の処理費用(55億ドル)に関するEPAとの争いの解決案も承認した。この解決が出来なければ、同社は清算せざるを得ない状況にあった。

ーーー

(以下は速報。詳細が入れば追加・修正する)

新しくオランダに持株会社LyondellBasell Industries N.V.を設立する。
この会社の株式は
New York株式市場に第3四半期に上場される予定。

再建案によれば、同社は新たに32.5億ドルの有担保債を発行し、また5億ドルの借入、28億ドルの増資を行い、既存の借入金の返済に充てる。有担保優先債権者は約180億ドルの債権を株式に転換する。

その他の債権者は以下の扱いとなる。
 
Chapter 11移行のためのDIP financing の債権者は同額の新規債を受領
 無担保債権者は債権の一部を現金と
Class A 株式で受領
 その他債権者と旧株主は受領なし

同社がChapter 11 を申請した時点では240億ドルの負債があったが、Chapter 11 離脱時には負債は72億ドル(20億ドルの現金等を控除するとネットでは52億ドル)となる。
このほか、設備や売掛債権を担保に
24億ドルの借入予約を行った。このうち約10億ドルはChapter 11離脱時に実行する。

ーーー

危険廃棄物処理費用(分かっているだけで55億ドル)については、米国中の15の汚染地のクリーンアップのために250百万ドルを出す案が承認された。うち、ミシガン州のKalamazoo River80マイルのクリーンアップに103百万ドルを支払う。

これに対して、同じ地域で除去を迫られている Weyerhaeuser Georgia Pacific が、自社の除去費用が増える恐れがあるとして反対したが、判事はこれを却下した。

汚染地域の上院議員や下院議員は、完全クリーンアップが筋であるとして不満を表している。


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サウジアラムコとダウは2007年5月、世界最大級の化学品・合成樹脂のコンプレックス(Ras Tanura総合計画)の建設・運営についての詳細覚書を締結したと発表した。

コンプレックスの立地はサウジの東海岸のAl Jubail南東のRas Tanuraで、同地にあるアラムコのRas Tanura製油所(55万バレル/日)とJu'aymah ス処理工場(いずれも世界最大)から原料ナフサ及びエタンの供給を受け、エチレン、プロピレン、芳香族の基礎原料のほか、当初にはワールドクラスのLDPEHDPEEO/EG、PO/PG、クロルアルカリ、VCM、ポリウレタン、エポキシレジン、PC、アミン、グリコールエーテルなどを生産することとしていた。エチレン能力は120万トンと噂されていた。

2007/5/15  アラムコとダウ、世界最大級の石油化学コンプレックス建設

Saudi Aramco はこのたび、この計画をRas TanuraからJubail移すことを決めた。
Ras Tanuraの土地の造成費が高いこと、同地が過密であることが理由。

Jubailには電力、水などの用役が揃っているため、移転により40%ものコスト節減が可能となる。

Saudi Aramco が計画していたRas Tanura での製油所増設(80億ドル)は取り止める。

石化コンプレックスの原料は当初のナフサとエタンからエタンのみに変更される。
エタンは
2009年に建設契約を締結したAramcoとフランスのTotal とのJVSaudi Aramco Total Refining and Petrochemical Company(SATORP) から供給を受ける。

基本設計(front-end engineering and design)は本年末に完成し、その後建設契約を締結する。

詳細の発表はないが、5つの誘導品計画が取り消されたとの情報がある。

 


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Avecia の変遷

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Merck & Co.は2009年12月、Avecia Groupから英国 Milford に本拠を置く Avecia Biologics を買収する契約を締結したと発表、本年2月1日に買収が完了した。
Avecia Biologics は微生物由来蛋白の生物製剤を専門に受託製造を行っている。現在手掛けている製品には、がん疾患や心臓疾患、脳卒中などを対象にした治療薬も含まれている。

Avecia GroupICISpecialty Chemicals 部門を起源とするが、元の親会社のICIと同様、事業を順次売却しており、今回の売却で残るのは、米マサチューセッツ州Milfordに本拠を置き、短鎖DNARNAを成分とする医薬品製造のため、逐次固相合成法によるオリゴヌクレオチド製剤のプロセス開発及び製造を行っているAvecia Oligo Medicinesのみとなった。 

ーーー

Avecia の起源はICISpecialty chemicals部門で、
 Life Science Molecules (LSM)
 Specialist Colors and Display
 Biocides
 Color additives
 Stahl leather chemicals groups
などから成っていた。

ICI1993年に Biochemicals 部門をスピンオフし、Zenecaを設立したが、Specialty chemicals部門についてもZeneca SpecialtiesとしてZeneca子会社とした。

Zeneca1999年にスウェーデンのAstra と合併し、AstraZencaとなった。

Zeneca Specialtiesのマネージメントは投資会社2社(CinvenInvestcorp)から資金援助を受け、13億ポンドで買収(MBO)を行い、同社はAveciaと改称した。

AstraZenecaは農薬部門も放出、これはNovartisの種子部門と統合してSyngentaとなった。

この後、Avecia は買収と売却を繰り返した。(途中で変遷はあったが、最終的にはLife Science Moleculesに絞った)

  買収 売却
1999 発光ポリマー(LEP)メーカーCovion Organic Semiconductorsを買収
Hoechst AGからスピンオフ)
 
DNAmolecules開発のBoston BioSystemsを買収
2000 医薬品試作、検査、研究を行うカナダのTorcan Chemicalを買収  
ICIからICI/三井化学のトナー樹脂製造JVImage Polymers (米、英)のICI 持分を買収
2001   Novacote (laminating adhesives and coatings)をイタリアの COIM Groupに売却
2002   Stahl leather chemicals (NeoResins を除く)をInvestcorp に売却
2003 Synthon Chiragenicsからchiral technologiesを取得 Mining chemicals部門をCytec Industries に売却
2004   Biocides部門をArchに売却
Color additives部門をLubrizolに売却
2005   Avecia Fine Chemicals KemFine (KemiraからMBOで独立) に売却
Avecia Pharmaceuticals (custom manufacturing)Nicholas Piramal India に売却、NPIL Pharmaceuticalsに改称
OLEDLEP事業をMerck KGaA に売却
NeoResins(coating resins) 事業をDSM に売却
*米国
Stahl Finish Co.が初めた事業で、その後合併で生まれたBeatrice 1985年にICIが買収したもの
2006   Image Polymers(米、英)持分を三井化学に売却
Avecia Inkjet を富士フィルムに売却
2010   Avecia Biologics Merck & Co.に売却

Image Polymers

三井化学(当時は三井東圧化学)は1988年に米国にICIとの50/50JVのトナー樹脂製造販売会社:Image Polymers を設立、その後、スコットランドに同じく50/50JVImage Polymers Europeを設立した。

その後2000年にAveciaICI 持株を譲り受けたが、三井化学は2006年にAveciaの持株を買収し、100%子会社とした。

三井化学は世界のコピー及びプリンタートナー用樹脂の中で最も多く使用されているスチレンアクリル系樹脂のリーディングカンパニー(世界シェア25%)で、100%子会社化により日米欧、三極でのグローバルな事業運営を行い、競争力強化及び新製品開発強化を進め、世界シェア30%超を目指すとした。

三井化学は2007年には積水化学のトナー用樹脂事業(樹脂に関する営業権および知的財産)を譲受けた。

Avecia Inkjet

富士フイルムは、インクジェットプリンタ向けインク染料の世界最大手であるAvecia Inkjetを1億5,000万ポンドで買収し、100%子会社 FUJIFILM Imaging Colorants とした。

買収により、Avecia の製品群、生産設備、販売ルートを有効活用し、また、Avecia の生産技術と合成化学技術、分散技術、素材技術を融合させ、「他の追従を許さない高い画像保存性など、優れた特徴を備えたインク染料の製品化を進める」とした。

同社は前年の2005年には産業用インクジェットプリンター用UVインクでトップシェアをもつ英国Sericol Groupを買収しているが、Avecia Inkjet 買収後に、産業用インクジェットプリンター用ヘッドのトップメーカーの米国 Dimatix, Inc.を買収している。Dimatixの持つ最先端のヘッド技術と、富士フイルムグループが有する高度なインク技術を融合させ、他の追随を許さない高品質画像出力や、様々な新素材への画像出力を実現し、産業用インクジェットビジネスの事業拡大を図る。


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経済産業省は4月19日、2030年を目標とする「資源エネルギー政策の見直しの基本方針」案(エネルギー基本計画見直しに向けて)を公表した。
  
http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004657/pubcomm100419a.pdf

2002年6月に、エネルギーの需給に関する政策に関し、「安定供給の確保」、「環境への適合」、「市場原理の活用」を基本方針として定めること等を内容とする「エネルギー政策基本法」が制定された。

これに基づき2003年10月に、エネルギーの需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るための「エネルギー基本計画」が策定された。

その後、2007年3月に
見直しが行われた。

今回の基本方針案は、これを再度見直すためのもので、今月末まで意見を公募し、6月中旬をめどに基本計画の閣議決定を目指す。

エネルギー安全保障を確保するため、原発14基以上の新設などによってエネルギー自給率を現状(18%)の2倍にすることなどが柱。

基本的視点として以下を挙げている。
 ・総合的なエネルギー安全保障の強化
 ・地球温暖化対策の強化
 ・エネルギーを基軸とした経済成長の実現
 ・安全と国民理解の確保
 ・市場機能の活用による効率性の確保
 ・エネルギー産業構造の改革

小沢鋭仁環境相は3月31日、温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で 25%削減する目標の達成に向けた具体策の展開方法を示す「ロードマップ」の試案を発表した。

2010/4/8  温暖化対策「ロードマップ」、環境相試案を発表

これについて、「温暖化ガス削減の目標達成だけを重視し、経済成長や国民・企業の負担を軽視している」との不満も出ており、今回はエネルギーを基軸とした経済成長の実現を基本的視点としている。

2030年に向けた目標

1 エネルギー供給面
  自主エネルギー比率を約70%(現状38%)とする。
     従来のエネルギー自給率(国産エネルギー+原子力:現状18%)、
 自主開発権益下の化石燃料の引取量(現状約26%)をそれぞれ倍増
     
  ゼロ・エミッション電源比率を約70%とする。(現状34%)
     一層の省エネや電力供給システムの低炭素化の徹底
     
    * 原子力の新増設(少なくとも14基以上)、設備利用率の引き上げ(約90%)
 再生可能エネルギーの最大導入
     
2 エネルギー需要面
  「暮らし」のエネルギー消費から発生するCO2を半減
     
  産業部門では世界最高のエネルギー利用効率の維持・強化
     
3 我が国のエネルギー・環境製品や技術の国際展開
  エネルギー関連の製品・システムの国際市場において、我が国企業群がトップクラスのシェアを維持・獲得
     

目標実現のための取組 

資源確保・安定供給強化への総合的戦略
  1 エネルギーの安定供給源確保
   (1) 目指すべき姿
    化石燃料の自開発資源比率は2030年に約50%以上(現状約26%)
       石油及び天然ガスを合わせた自主開発比率を40%以上、
 石炭の自主開発比率を60%以上に引き上げることを目安とする。
       
    ベースメタル(銅・亜鉛)の自給率は2030年に80%以上
       
    「戦略レアメタル」(レアアース、リチウム、タングステン等)自給率を2030年に50%以上
      「準戦略レアメタル」(ニオブ、タンタル、白金族等)は常にその動向を注視
       
    ウラン燃料については安定供給に向けた取組を強化。
       
   (2) 実現に向けた基本戦略
   





資源国との二国間関係の強化
我が国企業による上流権益獲得に向けた支援
レアメタル等鉱物資源の確保
海洋エネルギー・鉱物資源開発の強化、及びレアメタル・リサイクルや代替材料開発の推進
石炭の安定供給確保
ウラン燃料の安定供給確保
市場安定化に向けた取組
       
  2 国内における石油製品サプライチェーンの維持
      原油の重質化や需要減退等の構造的変化を踏まえ、石油事業者が行う重質油分解能力の向上、精製機能の集約強化等の抜本的な構造調整等を促進し、競争力を強化。
       
  3 緊急時対応の推進
      今後とも90日+αに相当する国家石油・石油ガス備蓄量を確保するとともに、その安全かつ効率的な維持・管理に努める。
       
自立的かつ環境調和的なエネルギー供給構造の実現
  1 原子力発電の推進
    2020年までに、9基の原子力発電所の新増設(設備利用率約85%)
(現状:54基稼働、2008年度:設備利用率約60%、1998年度:設備利用率約84%)
    2030年までに、少なくとも14基以上の原子力発電所の新増設(設備利用率約90%)
    水力等に加え、原子力を含むゼロエミッション電源比率を2020年までに50%以上、2030年までに約70%
       
  2 再生可能エネルギーの導入拡大
    固定価格買取制度の構築等により導入を図る。
 全量固定価格買取制度の構築、導入設備の設置促進、電力系統の整備、規制の適切な見直し等
    バイオ燃料について、LCAでの温室効果ガス削減効果等の持続可能性基準を導入
    ゼロ・エミッション電源比率を2020年までに50%以上、2030年までに約70%とする。
       
  3 化石燃料の高度利用
    火力発電の高度化
    石油の高度利用
      原油の重質化や国内石油製品需要の白油化等に対応しつつ、石油残渣等の高度利用の取組を推進
    クリーンコールテクノロジーの開発と海外展開支援
    電力・ガスの供給システムの強化
      世界最先端の次世代型送配電ネットワークの構築、ガスインフラネットワークの拡大、連携強化
       
低炭素型成長を可能とするエネルギー需要構造の実現
  1 世界最高の省エネ・低炭素技術の維持・強化(産業部門対策)
    産業部門:
 設備更新時には全て現在の最先端技術を導入促進、
 省エネ法の運用強化、
 革新的技術(環境調和型製鉄プロセス、革新的セメント製造プロセス等)の実用化
 高効率設備によるガスへの燃料転換、
 コジェネレーションの利用等を推進
    鉄鋼:革新的製銑プロセス(フェロコークス)や環境調和型製鉄プロセス(水素還元製鉄、高炉ガスCO2分離回収)について研究開発を推進し、2030年までの実用化
    化学:2020年までに、熱併給発電装置(CHP)の高効率化技術の普及
    セメント:革新的セメント製造プロセスの基盤技術開発を推進し、早期の実用化
    紙・パルプ:2020年に向けて、高温高圧型黒液回収ボイラによる熱利用等、高効率古紙パルプ製造技術等の導入拡。
       
  2 住宅・建築物のネット・ゼロ・エネルギー化の推進(家庭・業務部門対策)
    【住宅】
2020年までにZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を標準的な新築住宅とする。
既築住宅の省エネリフォームは現在の2倍程度まで増加。
2030年までに新築住宅の平均でZEHを実現。
    【建築物】
2020年までに新築公共建築物等でZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)を実現。
2030年までに新築建築物の平均でZEBを実現。
       
  3 次世代自動車等の環境性能に特に優れた自動車の普及(運輸部門対策)
    積極的な政策支援を前提に、乗用車の新車販売に占める次世代自動車の割合を、2020年までに最大で50%、2030年までに最大で70%とすることを目指す
    先進環境対応車(ポスト・エコカー*)について、積極的な政策支援を前提として、2020年において乗用車の新車販売に占める割合を80%とすることを目指す。
 *「次世代自動車」+「将来において、その時点の技術水準に照らして環境性能に特に優れた従来車」
       
       2010/4/20 次世代自動車戦略 2010
       
  4 高効率給湯器の普及促進(家庭・業務部門対策)
    高効率給湯器の販売台数を今後3年で2倍(200万台程度)、5年で3倍とする(300万台程度)(現状90万台)。
5年後には、高効率給湯器を標準装備とする。
    2020年までに家庭用高効率給湯器を単身世帯を除くほぼ全世帯、2030年までに全世帯の8~9割に普及。
       
  5 省エネ家電、省エネIT機器等の普及(家庭・業務部門対策)
    省エネIT機器について、2015年までに実用化し、2020年までに100%普及させる。(現状:0%)
       
  6 高効率照明(LED照明、有機EL照明)の普及促進(家庭・業務部門対策)
    高効率照明(LED照明、有機EL照明)を、2020年までにフローで100%、2030年までにストックで100%とする。
(現状:1%未満)
       
  7 モーダルシフトの促進(運輸部門対策)
    モーダルシフト化率(中長距離-300km以上-輸送における鉄道・内航海運分担率)を2020年に7割、2030年に8割を超える水準まで向上。(現状:55%)
       
  8 天然ガス利用の促進(主に産業部門対策)
    石油・石炭系のボイラー及び工業炉について天然ガスへの燃料転換を促進。
-2020年度までに燃料消費に占めるガス比率の5割以上の増加を目指す。
-2030年度までに燃料消費に占めるガス比率の倍増を目指す。
    天然ガスコジェネレーションの導入促進を図り、2020年度までに現状から5割以上の増加(計800万kW)、2030年度までに倍増(計1,100万kW)導入を目指す。
       
  9 環境配慮型建設機械の普及(産業部門対策)
    ハイブリッド建機等について、政策支援を前提として、2030年において全建機の販売に占める割合を4割とすることを目指す。(現状:0.4%)
       
  10 エネルギーの需要面の横断的対策
    都市や街区レベルでのエネルギー利用最適化
      地域冷暖房、工場・ビル等の未利用熱の利用、再生可能エネルギーの活用、交通手段の低炭素化など
       
    低炭素エネルギーや省エネルギーの経済価値化
      グリーン電力証書やグリーン熱証書など
       
次世代エネルギー・社会システムの構築
  1 次世代エネルギー・社会システムの構築
    スマートグリッド・スマートコミュニティへの移行
       
  2 スマートメーター及びこれと連携したエネルギーマネジメントシステムの推進
       
  3 水素エネルギー社会の実現に向けた取組
       
革新的なエネルギー技術の開発・普及拡大に向けた取組
       
エネルギー・環境分野における国際展開・国際協力の推進
  1 低炭素エネルギー技術・システム等の海外展開に向けた取組
  2 エネルギー国際協力の強化
       
エネルギー産業構造の改革に向けて
       
国民からの理解の促進
       

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SABICは4月1日、第四世代PP触媒を開発したと発表した。

中東での最初の開発で、サウジと欧州のSABICプラントでのテストで、現在同地で使用されている他の触媒よりも優れた素晴らしい結果を示した。生産性向上、品質向上、新製品開発に貢献するとしている。

この触媒はAl Jubail SABIC子会社 IBN ZAHR(Saudi European Petrochemical )で商業的に使用され、これまでの触媒(Unipol)よりも優れた成績をあげた。3月末時点で30千トンの生産を行い、国際市場で販売された。

IBN ZAHR 1984年にSABIC(70%)Neste Oy(10%)Eni 子会社のEcofuel (10%)Arab Petroleum Investment APICORP (10%) JVとして設立された。
2006
7月にSABICNeste Oy の持株を買収し、現在は80%の株主となっている。

第1系列 320千 トン(当初 260千 トン)と第2系列 320千トンに加え、2008年秋に1系列としては世界最大500千 トンを稼動、合計能力は1,140千 トンとなっている。いずれもDow のUNIPOL 法を採用している。
IBN ZAHR
ではPPのほか、MTBEを生産販売している。

2008/11/11 SABIC1系列で世界最大のPPプラント 生産開始

SABICは1994年にRiyadh に中東最大のSABIC Research and Technology Center を立ち上げ、大学や研究組織、公私のパートナーと連携している。 技術開発、需要家へのテクニカルサポート、製造技術改善を目的とする。
パイロットプラントや2系列の触媒生産設備を持つとされている。

SABIC2002年に22.5億ユーロでDSMの石化部門を買収しSABIC Europe とした。

2006/8/22 SABIC Europe とその前身

オランダのGeleen工場にエチレン、HDPELDPELLDPEPPプラントとSABIC Technical Center を持つ。
同センターにはThe chemistry & catalysis department
があり、新触媒の開発と、SABICの各プラントでの触媒の選択の支援を行っている。

SABICは2006Huntsmanの英国の石化子会社の株式100%を7億ドルで買収した。
英国のWiltonに865千トンのエチレンと400千トンのプロピレンのクラッカー、130万トンの芳香族のプラントを有している。
その後、400千トンのLDPEプラントを完成させた。

2006/10/3 SABIC、Huntsmanから英国の石化子会社を買収 

今回の第四世代PP触媒はオランダとサウジの両センターの協力によるものと思われる。

ーーー

SABIC200910月に米国のAlbemarle Corporation と、SABIC子会社でプラスチック製品を製造するIbn Hayyan Plastic Products Company (TAYF)との間で、ポリオレフィン等の触媒トリエチルアルミの製造の50/50JV Saudi Organometallic Chemicals Company (SOCC)を設立すると発表している。

2009/10/30  SABIC、トリエチルアルミ製造JVを設立

ーーー

SABIC420日、King Abdullah University of Science and Technology (KAUST)との間で長期の研究・イノベーション契約を締結した。

大学構内に
SABIC Research and  Innovation Center を設置し、2012年に稼動させる。
ここでは100150人の科学者を雇用し、特に触媒、コンポジット、膜の分野を中心に研究する。

完成すればSABICの上海やインドの研究所とも提携する。 

SABIC Innovative Plastics Global Application Technology Center
       
Application Development Center   Southfield, Mich, USA
Polymer Processing Development Center   Pittsfield, Mass, USA
European Processing Center   Bergen op Zoom, the Netherlands
Europe Technology Center   Munich, Germany
China Technology Center   Shanghai, China
Welch Technology Center   Bangalore, India
真岡 Technology Center   真岡, Japan

  


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広島大学大学院総合科学研究科の彦坂正道特任教授と岡田聖香博士研究員らは、科学技術振興機構の産学連携事業の一環として、鉄鋼を超える比強度を持ち、安価で水に浮く軽さで、リサイクルが可能なシート状の超高性能汎用プラスチックの創製に成功した。
科学技術振興機構と広島大学が4月19日に発表した。

融点以下に冷やした高分子の融液を引っ張って結晶化させるという極めてユニークな製法により、代表的汎用プラスチックのポリプロピレンの結晶化度をほぼ100%に高めることに成功し、引張強度をこれまでの7倍以上の230MPa(メガパスカル)に高め、比強度を鉄鋼の2~5倍にした。
しかも通常の汎用プラスチック並みに安価で成形しやすく、リサイクルが可能という大きな利点を持っている。

ーーー

高分子材料は軽量・安価・高成形性の利点を持つが、強度や耐熱性などの材料特性が金属などより著しく劣るために高度な性能要求に応えることができない。

その原因は、結晶にならない部分の比率(非晶率)の高さにある。

結晶性高分子は長いひも状分子だが、融液中で毛玉のように互いに絡み合う部分が多いために、これらが薄い板状結晶にしかなれず、結晶と非晶が層構造を成し「球晶」というゴルフボールのような結晶体になる。
球晶内には結晶にならず、固化しただけの非晶が半分以上残ってしまう。

彦坂特任教授と岡田博士研究員らは、高結晶化度と超高性能実現の方策として、「ナノ配向結晶体(NOC)」に狙いを定めた。
ひも状の高分子鎖が融液段階で毛玉状に絡まっているために非晶が発生するため、これを一定方向にきれいに並べた上で結晶化すれば、結晶化度の高いナノ配向結晶体が実現すると考えた。

発案したのは、融点以下に冷やした高分子の融液を潰す(compress)ことによって伸長するというアイデア。

融点以下に冷やした高分子の融液を潰す圧力と速度を変えながら伸長と配向の様子を観察したところ、1秒間に数百倍も伸長するような、大きな伸長歪み速度によって、同じ結晶化温度でも結晶化が一気に100万倍も速くなる「臨界伸長歪み速度」が確認された。過冷却融液中の高分子鎖が平行に並んだ完璧に近い配向融液になり、無数の核がミリ秒オーダーで生成し、融液全体の92%が結晶化することが確認された。
「ナノ配向結晶体(NOC)」の実現が確認された。

ポリプロピレンのナノ配向結晶体は以下の特徴を有している。

・引っ 張り破壊強度はこれまでの7倍以上の230MPa

・成形性がよく錆ないプラスチック本来の特性を持ちながら、
 引っ 張り破壊強度が
同重量の鉄鋼の2~5倍、アルミの6倍 

  引張破壊
強度(MPa)
比重  比強度 
(MPa)
アルミニウム 100 2.7 37
ステンレス 500 7.8 64
鉄鋼(車両用) 400-800 7.8 51-102
本研究 iPP 230 0.94 244
 比強度=引っ 張り破壊強度/比重

耐熱性は通常のポリプロピレンより50℃以上高い176℃

・光の波長より小さいナノ結晶であるがゆえに高い透明性(透過率 99%)

・折りたたんでも、力を外すと、再び元の形状に戻る

高分子融液を潰すという単純な工程が加わるだけで、通常の汎用プラスチック並みに安価

・従来の成形法を少し改良した成形法で成形できる

・何も混ぜ物を加えないので、高い収率でリサイクルができる

こうした数々の特性によって、既存のエンプラにとって代わることは十分に期待され、比強度の大きさから、鉄鋼やアルミニウムなどの金属材料に代替することで、製品の軽量化を図ることが期待される。
また、高剛性と高靱性を備え、錆ないことから、高層ビルや家屋などの建築材料にも適しており、耐水性も加味されるので、橋梁やダムなどの構造材としての利用も期待される。
しかも透過率 99%という高い透明性は、ガラスの代替材としても期待できる。

広島大学では今後、サンアロマー(高分子最適化)及びエフピコ(食品容器製品化)と共同研究を行い、実機プロトタイプの超臨界伸長成形機を開発し、実用サイズの超高性能高分子材料の成形、量産技術を確立し、製品化を図る。

 


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経済産業省は4月12日、電気自動車やハイブリッド車などの普及を目指す「次世代自動車戦略 2010」を発表した。

自動車や関連産業および社会全体の中長期的な対応のあり方に関する新たな戦略を構築すべく「次世代自動車戦略研究会」でとりまとめたもので、研究会は各自動車メーカーや電機メーカー、経産省、大学など産官学のスタッフでメンバーが構成されている。

次世代自動車をハイブリッド自動車、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、クリーンディーゼル自動車と定義、「全体戦略」「電池戦略」「資源戦略」「インフラ整備戦略」「システム戦略」「国際標準化戦略」の6つの戦略を策定している。

今年2月時点で新車販売に占める次世代車割合は9.3%に過ぎないが、戦略では、2020年に20~50%、2030年に50~70%に引き上げる目標を掲げた。

EVに必要な急速充電器を2020年に5000基、家庭用などの普通充電器を200万基設置する目標も設定。
EVに使用する蓄電池などの国際標準化で日本が主導的役割を果たすことを盛り込んだ。

新興国などで普及が進む従来型のガソリン車についても「低燃費車の開発を続けることが生命線」と明記。
環境性能が優れたガソリン車と、次世代車を合わせて「先進環境対応車」とし、2020年に新車販売の80%を目指す目標を掲げた。

ーーー

戦略策定の議論ではメーカー側から「最大限の努力をしても2020年の次世代車は全体の20%未満」との声が上がった。

戦略では「先進環境対応車」という新たな概念をこしらえ、2020年に新車販売の80%との目標も示したが、次世代車が2020年に20%としても、低燃費のガソリン車を含めて80%なら目標を達成したことになる。

急速充電器も1基設置するのに600万円程度かかるとされ、EVの購入補助やインフラ整備には積極的な財政出動が不可欠だが、目標達成に向けた財政支出は明記されなかった。

なお、3月31日発表の温暖化対策「ロードマップ」(環境相試案)では2020年までに1990年比で 25%削減する目標の達成に向けた具体策として、
  ハイブリッド自動車(普通・小型乗用車) 約50%
  電気自動車 (普通・小型乗用車) 約7%
としている。

2010/4/8  温暖化対策「ロードマップ」、環境相試案を発表 

鳩山政権は次世代車普及を6月にまとめる新成長戦略に盛り込む考えだが、政府内の調整も必要となる。

ーーー

「次世代自動車戦略 2010」の概要は以下の通り。
  
http://www.meti.go.jp/press/20100412002/20100412002-3.pdf

6つの戦略

  目標 アクション・プラン 資料
全体戦略 日本を次世代自動車
開発・生産拠点に
・普及目標(2020年・2030年)の設定
 -次世代自動車:
2020年最大50%
 -先進環境対応車:
2020年最大80%
  (次世代+環境性能に特に優れた従来車)
・燃料多様化
・部品の高付加価値化
・低炭素型産業立地促進
車種別普及目標



電池戦略 世界最先端の電池
研究開発・技術確保
・リチウムイオン電池の性能向上
・ポスト・リチウムイオン電池開発
・電気自動車普及による量産効果創出
・電池二次利用のための環境整備
電池開発目標
(2006年策定)
資源戦略 レアメタル確保+
資源循環システム構築
(上流)・戦略的資源確保
(中流)・レアメタルフリー電池・モーター確保
(下流)・電池リサイクルシステム構築
資源戦略
ロードマップ
インフラ
整備戦略
普通充電器 200万基
急速充電器 5000基
・市場準備期の計画的集中的インフラ整備
 -EV・PHVタウンを中心に
・本格普及期への道筋構築
 -EV・PHVタウンベストプラクティス集策定
 -民間(CHAdeMO協議会)との連携
インフラ整備
ロードマップ
システム戦略 車をシステム(スマート
グリッド等)で輸出
・EV・PHVタウンでの新たなビジネスモデル創出
・次世代エネルギー社会システム実証事業での
 検証
・検証結果を踏まえた国際標準化・ビジネスへの
 展開
国際標準化
ロードマップ
国際標準化
戦略
日本主導による
戦略的国際標準化
・電池性能・安全性評価手法の国際標準化
・充電コネクタ・システムの国際標準化
・官民による標準化検討体制強化
・標準化人材育成

資料

車種別普及目標
  2020年   2030年
民間努力
ケース
政府目標   民間努力
ケース
政府目標
従来車 80%以上 50~80%   60~70% 30~50%
次世代自動車 20%未満 20~50%   30~40% 50~70%
次世代内訳 ハイブリッド自動車 10~15% 20~30%   20~30% 30~40%
電気自動車 5~10% 15~20%   10~20% 20~30%
プラグイン・ハイブリッド自動車
燃料電池自動車 僅か ~1%   1% ~3%
グリーンディーゼル自動車 僅か ~1%   ~5% 5~10%

      政府目標達成には政府による積極的なインセンティブ施策が必要と注記している。

 
電池研究開発目標(2006年策定)
  2006年 改良型電池
(2010年)
先進型電池
(2015年)
革新型電池
(2030年)
電力会社用小型EV 用途限定コミューターEV
 高性能HV
一般コミューターEV
燃料電池自動車
Plug-in HV 自動車
本格的EV
性能 1 1 1.5倍 7倍
コスト 1 1/2倍 1/7倍 1/40倍
開発体制 民主導 民主導 産官学連携 大学・研究機関

(1)先進型リチウムイオン電池の開発(2007~2011年度)

 ・ハイブリッド自動車、電気自動車の動力源となるリチウムイオン蓄電池の更なる性能向上・コスト低減
  を目指す。
 ・2010年度予算 24.8億円 (2009年度予算 26.1億円)                             

(2)革新型電池(ポスト・リチウムイオン電池)の開発(2009~2015年度) 

 ・包括的な産学官共同研究により蓄電池の反応メカニズム等を解明し、ポストリチウムイオン電池開発の
  フロントランナーを目指す。
 ・2010年度予算 30億円 (2009年度予算 30億円)

 
資源戦略ロードマップ
 
インフラ整備ロードマップ
 
国際標準化ロードマップ

 


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河南煤業化工集団 (Henan Coal & Chemical Industry GroupHNCC)の子会社の安陽化学(Anyang Chemical)はこのたび、河南省安陽市で年産20万トンのMEGの起工式を行った。

安陽化学は旧称安陽化学肥料で、年産24万トンのアンモニア、42万トンの尿素、20万トンの複合肥料のプラントを持っている。

総額13.5億人民元を投じ、通遼GEM ChemicalTongliao GEM Chemical) のCoal-to-MEGプロセスを使用し、安陽化学の余剰の石炭ベース合成ガスを原料とする。
これはHNCCにとって5番目の
Coal-to-MEG計画で、合計能力は100万トンとなる。同プロセスにとっては6番目の計画となる。

通遼GEM Chemical Coal-to-MEGプロセスは中国科学院福建物質構造研究所と江蘇省の丹化グループ及び上海のGEM Chemical Technology により開発された石炭ベースのsysgas からMEGを生産する技術で、3社のJVの通遼GEM Chemical2007年8月に内蒙古の通遼経済開発地域で20万トンのプラントの建設を開始した。
その後計画を変更し、MEG 15万トンとシュウ酸(MEGを酸化して生産)10万トンとしたが、昨年末に完成した。(現在手直し中で、5月に商業生産を開始する。)

同プロセスによるプロジェクトは以下の通り。

実施者 立地 能力 建設開始
通遼GEM Chemical
中国科学院/丹化/GEM
内蒙古・通遼経済開発地域 150千トン 2007/8
(400千トン) 計画
HNCC HNCC/通遼GEM Chemical 河南省洛陽市 200千トン 2009/11
HNCC/通遼GEM Chemical 河南省商丘市 200千トン 2009/11
HNCC/通遼GEM Chemical 河南省新郷市 200千トン 2009/11
中原大化集団(HNCC子会社) 河南省濮陽市 200千トン 2010/2
安陽化学(HNCC子会社) 河南省安陽市 200千トン 2010/4
合計 1,000千トン

HNCCは2009年に通遼GEM Chemical のメンバーの陽化学(丹化)に出資、第二位の株主となった。
HNCCと
丹化は本年3月にCoal-to-MEG投資契約を締結、 今後の計画は共同で実施することを決めた。

中国のMEGの輸入は2009年は580万トンで前年比12%の増加となっている。
ASIACHEM Consultingによると、中国のMEG消費は2012年には1050万トンを超える予想で、HNCC5計画が完成すると能力は100万トンとなり、全消費の10%を占めることとなる。

HNCC200812月に5つの石炭事業会社、永城煤電(Yongcheng Coal) 、鶴壁煤業(Hebi Coal)、焦作煤業(Jiaozuo Coal) 、中原大化(Zhongyuan Dahua)、河南省煤気集団(Henan Provincial Town-Gas)が合併して設立された。石炭埋蔵量は400億トンで、年間生産量は57百万トンとなっている。

同社は石炭化学の開発に積極的である。
シノペックと河南省は本年2月に、河南省鶴壁市で年産180万トンのメタノールと60万トンのオレフィンを製造する計画の覚書を締結したが、これはシノペックとHNCCが実施するもので、石炭採掘から、メタノール合成、MTO(メタノールからオレフィン製造)、誘導品製造を統合する。
初期段階ではHNCCが石炭採掘関連、シノペックがメタノール、MTO、誘導品を担当し、河南省の関連部局が必要書類を準備する。

ーーー

ASIACHEMによると、上記のほか計画中のCoal-to-MEG計画は以下の通り。

実施者 立地 能力(千トン)
Hebi Baoma Group 河南省鶴壁 0.3 Pilot plant
Shanghai Coking, Huayi Group 上海 10 同上
Jiangsu Danhua Group 江蘇省鎮江 10 同上
Wison Group Hengyuan Chemicals 内蒙古オルドル 300
Kailuan Group 同上 200
Huawai Energy
(Towngas & Sanwei Resources jv)
同上 200
East Sea New Energy 同上 200
SES Zaozhuang New Gas 山東省棗荘 40
Hualu Hengsheng 山東省徳州 50
Shaanxi Coal and Chemical Industry 陝西省渭南 200

なお、2010年5月27-28日に、上海のGrand Metropark Jiayou Hotel で第一回Coal-to-MEG 会議が開催される。
詳細は
http://www.chinacoalchem.com/events/2010MEG/MEGChina2010.pdf

 

ーーー

20104月時点の中国のMEGメーカー大手は以下の通り。

メーカー 立地 能力
 千トン
備考
シノペック鎮海煉油化工 浙江省寧波市 650 2010/4 スタート
シノペック上海石化 上海市 610  
シノペック揚子石化 江蘇省南京市 450  
シノペック・SABIC石化 天津市 420  
中海シェル石化 広東省恵州市 320  
シノペック燕山石化 北京市 300  
BASF-YPC 江蘇省南京市 300  
ペトロチャイナ遼陽石化 遼寧省遼陽市 200  
シノペック茂名石化 広東省茂名市 200  
遼寧華錦グループ
(盤錦エチレン)
遼寧省金州市 200  
ペトロチャイナ吉林石化 吉林省吉林市 160  
通遼GEM Chemical 内蒙古自治区
 通遼市
150 Coal-to-MEGプロセス

ソース:ASIACHEM Consulting)

 


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LG ElectronicsLG DisplayLG Chemで構成される LGグループは4月11日、2020年までにエコ製品の開発と製造工程のエコ化に20兆ウォン(約1兆7000億円)を投資し、グループ売上高全体の1割を環境産業分野で上げるという「環境経営戦略-環境2020」計画をまとめたと発表した。

グループ内の事業所の温室効果ガス排出量を2020年までに4割、水の使用量は3割減らす。
温室効果ガスについては20百万トンを製造設備やgreen energy事業で減らし、30百万トンを省エネ製品で減らす。

太陽電池・次世代照明・次世代電池の使用を拡大するとともに、今よりもっと省エネのエアコン、冷蔵庫、テレビを開発する。

LG Electronics は太陽光で充電するフルタッチスクリーンの携帯電話を発表した。
ソウルの本社ビルの蛍光灯をLEDに置き換え、45%以上の省エネを図る。.

エコ新製品の開発や新事業の発掘など研究開発分野に10兆ウォン、製造工程のエコ化に10兆ウォンを投資する計画で、今年から2015年までに7兆ウォン、2016-2020年に13兆ウォンを投資する。


具本茂LG会長は社長団協議会で「単なる外部の規制や法規に対応するレベルにとどまらず、積極的な環境経営を通じて意味のある成果を出していく」とし「経営の必須要素に定着した環境分野事業を積極的に推進していく必要がある」と述べた。

韓国政府は2009年11月17日、2020年までの温室効果ガス排出量削減の中期目標を、2005年比で4%減にすると決定した。特別な措置を取らなかった場合と比べ 30%削減になり、削減義務のない途上国の中では最高水準に相当する。
また、昨年末に「低炭素環境成長基本法」が国会を通過し、4月14日に施行される。

ーーー

Samsung Electronics も、同社を2013年までにleading eco-friendly companyにするべく、グリーン研究開発とグリーン設備に 5.4 兆ウォンを投資すると発表している。

ソニーは4月7日、環境負荷ゼロを目指す環境計画「Road to Zero」を策定したと発表した。

ソニーは、持続可能な社会の実現を目指し、2050年までに 自らの事業活動および製品のライフサイクルを通して、「環境負荷ゼロ」を達成することを長期的ビジョンとして掲げている。今回策定した環境計画 「Road to Zero」においては、気候変動だけでなく、資源循環、化学物質管理、生物多様性を含んだ4つの視点をもって総合的に「環境負荷ゼロ」を実現するまでのロードマップを描いている。
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201004/10-0407/

 

 


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鳩山内閣は16日、水俣病の未認定患者を救済するための特別措置法の「救済措置の方針」を閣議決定した。

「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法」(平成21年7月15日法律第81号)は2009年7月8日の参院本会議で可決成立した。
一時金の額など具体策は今後、環境省、チッソ、被害者団体などで協議するとしていた。

2009/7/3 水俣病救済法案、衆院を通過、来週成立の見通し

別途、水俣病不知火患者会が国などに損害賠償を求め集団訴訟を行っていたが、熊本地裁は3月15日の第4回和解協議で所見を示し、年内に決着するよう要請した。

政府、チッソ、患者会はいずれも、これの受け入れを決め、3月29日の第5回和解協議で和解に基本合意した。

今回の「方針」はこれを折り込み、特措法の具体策を決めたもの。

ーーー

水俣病患者救済をめぐっては、国が1977年に設けた認定基準が「二つ以上の症状の組み合わせ」がある人のみを患者としたため、基準に満たない被害者らが国などを相手に訴訟が相次ぎ、1995年の村山内閣による政治決着で約1万人を救済した。

しかし、2004年の関西訴訟の最高裁判決が国の認定基準より幅広く水俣病と認めたため、再び水俣病被害を訴える患者が続出したため、未認定患者を救うため昨年7月に特措法が成立した。1995年の政治決着につぐ第2の大幅救済になる。

ただ、水俣病被害者互助会(水俣市)など依然として訴訟を続ける被害者団体もある。
また現時点で救済を求めている人のほかにも、自分が水俣病だと気づいていない人が相当数いるとみられる。「被害地域の全住民の健康調査で被害の全容を明らかにしなければ、最終解決にならない」との指摘がある。

ーーー

水俣病犠牲者慰霊式が行われる5月1日から熊本、鹿児島、新潟の3県で救済申請を受け付ける予定。

「方針」の内容は以下の通り。

救済対象 熊本、鹿児島県の水俣湾や、新潟県の阿賀野川の周辺地域に、
1968年12月末以前(新潟は1965年12月末以前)に1年以上居住するか、
水俣湾やその周辺(新潟は阿賀野川)の魚介類を多く食べた者

母胎を通じてメチル水銀摂取の可能性があるため、1969年11月末までに生まれた者も対象とする。
これより後に生まれても、へその緒などで水銀摂取がわかれば対象となる。

症状としては、手足の先の感覚が鈍いことや全身の感覚障害。
口周囲の触覚や痛覚障害なども考慮するとしており、1995年の政治決着より広げた。

死亡した人についても、過去の公的な診断資料などによって申請が可能となり、遺族が一時金を受 け取ることができる。

(環境省では、対象者は3万人を超える可能性があるとしている。)

救済希望者は申請後、3県が指定する公的医療機関で受診、3県に設置される判定検討会で対象となるかどうか判断する。

 特措法での救済は3県に設置される「判定検討会」がその診断書を基に対象者かどうかを審査する。
 3月の和解案による救済は原告、被告双方が推薦する医師らでつくる「第三者委員会」が判定する。

受付期限 5月1日に受付開始予定。
受け付けは2011年12月までを一区切りとするが、その時の状況により判断する。
特措法が定める救済措置の開始後3年以内には確定させる。
救済措置 一時金:210万円

療養手当月額 :
 入院療養を受けた者  月額17,700円
 通院療養を受けた日数が1日以上で、  
   70歳以上の者  月額15,900円
   70歳未満の者  月額12,900円

療養費の自己負担分

一時金
加算額
被害者団体計3団体に、活動費用や社会福祉施設の運営費などとして計31億5千万円支給
 「水俣病出水の会」(鹿児島県出水市)に29億5000万円
   同会が取り組む胎児性患者支援事業費 9億5000万円を含む。
 「水俣病被害者芦北の会」(熊本県津奈木町)に1億6000万円。
 「水俣病被害者獅子島の会」(鹿児島県長島町)に4000万円。
負担 一時金や加算金は原因企業のチッソが負担する。
但し、チッソは債務超過に陥っていることなどから、国は熊本県が出資する財団法人を通じ、資金支援をすることも閣議で了解された。

鳩山由紀夫首相は16日、記者団に対し「これまで苦しみ抜かれた方々のお気持ちを考えると大変つらい思いだが、国として改めておわびする。一定の区切りがつけられることは、よかったと思う方も多いのではないかと思う」と述べた。

小沢鋭仁環境相は閣議決定後の会見で、「水俣病公式確認から54年、多大な苦痛を強いられた被害者、引き裂かれた地域社会に思いをはせると、行政のあり方を反省し、おわびの気持ちでいっぱいである」と語った。

 

今後の問題として、チッソの分社化の問題がある。

2010/1/11 チッソ会長、「10月分社化目指す」

 


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ConocoPhillipsは4月12日、カナダのオイルサンド事業会社 Syncrude Canada Ltd の持株 9.03%Sinopecに売却すると発表した。
売却金額は
46.5億米ドルで、中国の北米投資で最大のものとなる。
市場での予想は40億ドルで、
Sinopecの買値は予想を上回った。

中国によるカナダのオイルサンドへの投資としては既にSinopecPetroChinaのものがあるが、今回のものは開発段階ではなく、既に1978年から操業をしており、日量35万バレルの生産を行っている。取引金額もはるかに大きい。

Sinopec20056月、 カナダのアルバータ州Northern Lightsにおけるオイルサンド事業の権益の40% を15千万カナダドルで買収し2009年に買い増しして50%にアップした。

PetroChina 2009831日、カナダのAthabasca Oil Sands Corp. からMacKay River 及び Dover オイルサンド計画の60%の権益を取得する契約を締結したと発表した。対価は19億カナダ ドル。

2009/9/10 PetroChina、 カナダのオイルサンド事業に参加

ConocoPhillipsにとっては2年計画での100億ドルの資産処分計画の一部で、昨年10月に売却を発表していた。
当初は
Syncrude Canadaの最大株主のCanadian Oil Sandsが買うのではないかと見られていた。

Syncrude Canadaの現在の株主は以下の通り。(%)

Canadian Oil Sands 36.74
Imperial Oil Resources 25.00
Petro-Canada Oil and Gas 12.00
Conoco-Phillips Ois Sand 9.03
Nexen Oil Sands Partnership 7.23
Murphy Oil 5.00
Mocal Energy
(
新日本石油開発 100%)
5.00
合計 100.00

このうち、新日本石油開発の100%子会社のMocal Energy 1980年代に三菱石油が資本参加していたもので、後に日本石油による三菱石油の吸収合併で、新日本石油開発の子会社となった。

 


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Reliance Industries 49日、米国のAtlas Energy, Inc.との間で米国ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエリアでのシェールガス開発でAtlasの権利の40%を取得する契約を締結したと発表した。

Relianceは、Atlasが権利を持つ合計30万エーカーの未開発鉱区のうち不可分の40%の権利を取得する。
操業は
Atlasが行うが、Relianceは将来、Atlasの主操業地区以外で操業を行うオプションを持つ。

Reliance は権利取得に339百万ドルを支払うとともに、7年半の開発期間中に自社枠の開発投資のほか、Atlas分の開発投資の75%13.6億ドルが限度)を負担する。

Marcellus Shale豊富な埋蔵量に加え、一大需要地である米国北東部に近く、また生産コスト面でも競争力が高いため、米国において、最も有望なシェールガス産出地の一つと言われている。

三井物産は本年216日、三井石油開発とのJVMitsui E&P USA を通して、Anadarko Petroleum が米国ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエリアにおいて開発・生産中のシェールガス事業に参画すると発表した。
http://knak.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-2727.html

Atlasの開発地域では3000以上の井戸を掘り、13.3 tcfe (Trillion Cubic Feet Equivalents)を得ることを想定している。(Reliance持分 5.3 tcfe)

Atlasは開発地域の拡大を計画しているが、Relianceはその40%を取得するオプションを得た。

ーーー

RelianceLyondellBasell145億ドルで買収する提案をしていたが、LyondellBasellはこれを拒否した。

2010/3/11 LyondellBasell、Reliance の買収提案を拒否

Reliance はインドの新興財閥でインド最大の私企業。 事業は多岐にわたり、ガスパイプライン、石油精製、化学繊維、アパレル等の上流から下底までの石油化学事業、通信、電力等インフラ事業を行っている。

同社はアジアを越えて欧州と北米に石油化学、合成樹脂事業などを拡大する機会を狙っており("global player になりたい")、いずれも失敗はしたが、BPの石化子会社 Innovene 買収を図り、更にGE Plasticsの買収も検討した。

2007/1/16 インドの Reliance Industries

同社はLyondellBasell買収を狙うと同時に、オイルサンドの権利を持つカナダのValue Creation Inc.買収にも関心を示し、同社の65%を取得するため20億ドルのオファーを行ったとされていた。

しかし、Value Creation315日、BP CanadaとのPartnership契約締結を発表した。
Value Creationが開発権を持つAthabasca 州のTerre de Graceオイルサンドの開発でBPが過半のシェアを持ち、運営に当たる。

Relianceとしては2つの大物、LyondellBasellValue Creation を相次いで失い、次の手としてAtlas Energyと手を組んだこととなる。


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経済産業省は4月6日、2009年末時点の我が国の主要石油化学製品生産能力調査の結果を発表した。
(単位:千トン)

若干の増減はあるが、前年末と大差はなく、相変わらずの小規模多数工場体制である。
各製品とも能力に対する内需の比率は低く、今後輸出の縮小が予想されるなか、大幅な設備廃棄が必要である。

1.エチレン  前年末と同じ

  定修年 スキップ年  
東ソー   493   527  
昭和電工   615   691  
東燃化学   491   540  
三菱化学  1,278  1,301 水島のエチレンの統合交渉中
山陽石化(旭化成) 443 504
丸善石油化学   480   525  
京葉エチレン   690   768 丸善石化 50%、三井化学 25%、住友化学 25%引取り
住友化学   380   415  
大阪石化(三井化学)   455   500  
三井化学   553   612 千葉のエチレン運営統合 「千葉ケミカル製造」
出光興産  997  1,101
新日本石油精製   404   443  
合計  7,279  8,023  

・三菱化学 鹿島火災事故で以前より能力減となっている。
 
事故前の能力は定修あり 1,301千トン、定修なし 1,422千トンであった。(定修なしで121千トンの減)

2009年のエチレン生産量は6,913千トン。
これに対して、エチレン製品のエチレン換算輸出量は2,945千トン、輸入量は407千トンで、差引き内需は4,375千トンに過ぎない。(定修年能力に対し、60%)

2.ポリエチレン 前年末と同じ

  LD専用 HD 併産 合計  
LD LL HD LL
旭化成   120       116   47        283  
宇部丸善PE 147   50       197  
チッソ     63     63  
東ソー 152 31 125     308  
丸善石油化学     111     111  
日本ポリエチレン 347 364 475     1,186  
日本ユニカー 180     10 110 300  
住友化学 172 133       305  
日本エボリュー   240       240
  当初 現状 計画
プライムポリマー  150  190  250
住友化学   50   50   50
合計 200 240 300
プライムポリマー   145 246 87 11 489  
三井化学     4     4 試験設備
三井・デュポン 170         170 下記参照
合計 1,288 963 1,141 144 121 3,657  
               
LDPE合計           2,372  
HDPE合計           1,285  

* プライムポリマーは2010年4月に高圧法LDPE事業を三井・デュポンポリケミカルに譲渡する。

2009年のLDPE出荷は、国内 1,325千トン、輸出 331千トン、合計 1,656千トン。
  (能力に対し70%、内需は56%)
HDPE出荷は、国内 819千トン、輸出 214千トン、合計 1,032千トン。
  (能力に対し80%、内需は64%)

3.PP  前年末比 162千トン増

プライムポリマー プライムポリマー  1,071  
宇部ポリプロ 90 2011年3月停止、2012年3月清算
徳山ポリプロ 200 トクヤマとのJV
サンアロマー 347  
住友化学 316  
日本ポリプロ 1,244 前年比 +162
(鹿島 +300、川崎 -138)
合計 3,268  

2009年の出荷は、国内 2,278千トン、輸出 303千トン、合計 2,580千トン。
  (能力に対し79%、内需は70%)

4.SM  前年末と同じ

太陽石油化学    335 04/1/1 三井化学から譲受け(宇部市)
日本オキシラン   412 住友化学60%/Lyondell 40%
PO/SM併産
千葉スチレンモノマー   270 電気化学 60%/住友化学40%
電気化学    240  
新日鐵化学   422 2008年3 月末に東ソーとのJVの日本スチレンモノマーを
100% 完全子会社した上で設備(232千トン)を取得。
出光興産   550  
三菱化学   371  
旭化成    678  
合計   3,278  

2009年の出荷は、国内 1,379千トン、輸出 1,650千トン、合計 3,030千トン。
  (能力に対し92%、内需は42%)

5.PS  前年末比 162千トン減

日本ポリスチレン   0 住友化学 /三井化学
2009年9末で生産停止(162千トン)→解散
DIC   131  
東洋スチ レン   278 電気化学/日鉄化学/ダイセル
PSジャパン   445 旭化成 /出光興産 (2009/10 三菱化学撤退)
合計   854  -162

2009年の出荷は、国内 687千トン、輸出 32千トン、合計 719千トン。
  (能力に対し84%、内需は80%)

6.VCM 前年末と同じ

テック   391 PVC:ヴイテック
2011年3月末までに停止
東ソー  1,454 PVC:大洋塩ビ
トクヤマ   330 PVC:新第一塩ビ
京葉モノマー   200 (旭硝子/クレハ/丸善石化)
カネカ   540 PVC:カネカ
鹿島塩ビモノマー   600 PVC:信越化学、カネカ
合計  3,515  

2009年の出荷は、国内 1,684千トン、輸出 1,027千トン、合計 2,711千トン。
国内出荷のうち、輸出PVC用は705千トン。
  (能力に対し77%、内需は48%。輸出PVC用を除く純国内用は28%)

7.PVC 前年末比 -41千トン

徳山積水   114 前年比 -1
(積水化学 70%/東ソー 30%)
テック 220 2011年3月末までに停止
  06/12 07/12 08/5
川崎 115 95 121
四日市 104 99 99
水島 115 110 0
334 304  220
大洋塩ビ   558  
東ソー    28 ペースト
新第一塩ビ   255 前年比 -4
信越化学   550  
カネカ   431 前年比 -35
合計   2,157 前年比 -41

2009年の出荷は、国内 960千トン、輸出 705千トン、合計 1,665千トン。
  (能力に対し77%、内需は45%)

8.アクリロニトリル

旭化成 419  
ダイヤニトリックス 196 三菱レイヨン65%/三菱化学35%
昭和電工 55 前年比 -4
住友化学 52  
合計 722 前年比 -4

 

9.EO

丸善石油化学 197 (2005/4に丸善ケミカルを吸収)
日本触媒 324 前年比 +70
三井化学 100 前年比 -119
2009年11月、市原工場停止
三菱化学 286  
合計 907 前年比 -49

 

10.アセトアルデヒド 前年末と同じ

協和発酵ケミカル   60
昭和電工  300
日本アルデハイド   69
合計  429

 

11.合成ゴム

  SBR   BR   IR  
旭化成   133        35 前年比 +11          
宇部興産       95          
JSR 257 前年比 -2   61 前年比 -4     39 前年比 -1  
日本エラストマー 46 前年比 +6   16 前年比 +5       旭化成 75%、
昭和電工 25%
日本ゼオン 146 前年比 -7   55     36 前年比 +3  
三菱化学 43                
合計 625 前年比 -3    262 前年比 +12     75 前年比 +2  

 

12.MMAモノマー  前年末と同じ

旭化成   100 川崎 直メタ法 70、ACH法 30
クラレ 67 中条 ACH法 67 (2005/9 共同モノマー離脱)
住友化学 72 直酸法(愛媛 40、姫路 32)
三井化学 40 直酸法(大阪:旧 共同モノマー)
三菱ガス化学 51 新潟 新ACH法
三菱レイヨン 217 大竹 直酸法 110、ACH法 107
合計 547  

 


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厚生労働省は4月13日、子会社が血液製剤の試験データを改ざんしたとして、田辺三菱製薬に対して4月17日から25日間の一部業務停止と業務改善を命じた。

データが改ざんされていたのは連結子会社のバイファ(北海道千歳市)と共同開発し、バイファが製造、田辺三菱製薬が販売している遺伝子組換え人血清アルブミン製剤「メドウェイ注5%」で、同社は昨年3月にデータ改ざんを公表して5%製剤の承認を返上するとともに、同25%製剤を含めて自主回収している。

2009/3/26 田辺三菱製薬、試験データ改竄、承認取下げ、自主回収

業務停止の対象となるのは第1種医薬品の製造販売で、販売済み医薬品の安全管理や、代替性のない一部製品の供給は対象外となる。

同社の2010年3月期売上高予想は3900億円。うち行政処分対象は約1800億円。
在庫の出荷はできるほか、医薬品卸が仕入れ済みの製品を医療機関に販売することは可能で、自社と卸を合わせ約1ヶ月分の在庫がある。

厚労省はデータ改ざんした子会社バイファにも4月14日から30日間の一部業務停止を命じた。

田辺三菱製薬が設置した第三者委員会の委員長を務めた郷原弁護士は「旧ミドリ十字の利益重視、安全性軽視の企業姿勢が直接的原因」と指摘した。

厚労省によると、医薬品承認申請に関する薬事法違反での製薬会社への業務停止命令は1975年以降で約80件。1994年には抗ウイルス剤の副作用問題で発売後に死者15人を出した日本商事が105日間の製造業務停止処分を受けたが、田辺三菱のような大手の業務停止は異例という。

ーーー

岐阜県は3月26日、後発品大手の大洋薬品工業の高山工場(岐阜県高山市)に対し、薬事法に基づく業務停止命令を出したと発表した。期間は同日から4月3日までの9日間。

調合ミスにより承認規格外の製品を製造、出荷した。
「出荷判定試験時に、他のロットのサンプルが意図的に品質部門に提出され、試験が行われていたため、逸脱が判明することなく、市場に出荷された」(岐阜県)という。自主回収を行ったが、回収できたのは16%程度にとどまった。健康被害の発生の報告は、県等に寄せられていない。


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Sinopec329日、2009年の決算を発表した。

売上高は前年比7%減となったが、営業損益は前年の赤字から一転、2006-7年を上回る黒字となった。
純損益も2006-7年を上回った。

なお、2005年以降、原油価格が上昇する中、政府が石油製品の価格を統制し、石油精製が大赤字となったため、政府が補助金を出してこれを補っていたが、2009年には石油製品の価格の決定方法が変更となり、補助金はなくなった。

連結損益 (百万RMB)
  03 04 05 06 07 08 09
Sales  429,949  597,197  799,115 1,034,888 1,173,869 1,413,203 1,315,915
Operating profit 38,883 63,069 66,814 80,632 81,010 -23,964 84,431
補助金     9,415 5,000 4,900 50,300 0
Net Profit 24,396 41,791 44,776 55,038 55,896 28,525 61,760

部門別売上高は以下の通り。
(部門間売上高を含む。但し、
Refining Marketing and distribution はほぼ重複するため、前者を除外した。)

部門別営業損益は以下の通り。Refining について、上は補助金算入前、下は参入後。
Refiningは補助金無しで2004年以来の黒字となった。原油価格値下がりでExploration の利益は減少している。

化学品の業績は以下の通り。(百万RMB)

  03 04 05 06 07 08 09
売上高 99,379 138,523 172,982 208,323 233,442 247,026 213,860
営業損益 3,543 18,721 14,296 14,458 13,416 -12,950 13,615

化学品の生産実績は以下の通り。 (千トン)

  2007 2008 2009
エチレン  6,534  6,289  6,713
合成樹脂 9,660 9,643 10,287
合成ゴム 800 834 884
合繊原料モノマー、ポリマー 9,018 7,264 7,798
合成繊維 1,417 1,260 1,302
尿素 1,565 1,649 1,752

ほとんどの製品が3月以降フル生産になった。

ーーーーーーー

PetroChinaの決算は以下の通り。

  05 06 07 08 09
売上高 552,229 688,978 836,353 1,072,604 1,019,275
営業損益 192,171 197,976 200,771 159,571 143,444
純損益 133,362 142,224 146,750 114,453 103,387
           
参考
Sinopec純損益
44,776 55,038 55,896 28,525 61,760

部門別では、本年から組替えが行われ、Chemicals はRefining 部門に統合された。

Sinopecと異なり、石油採掘部門の利益が圧倒的である。
2009年は原油価格の値下がりで、この部門の営業損益が前年の240,470から105.019百万人民元へと半分以下になった。
しかし、逆にRefining & Chemicalsが前年の大幅赤字から黒字に転換したため、全体では若干の減益でとどまった。

 

 


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丸紅は4月5日、インドでSBRの製造販売を行う合弁会社設立で合意したと発表した。
合弁相手は
インド国営石油会社のIndian Oil Corporation Limited(IOCL)と、台湾の台湾合成ゴム(TSRC Corporation)。

会社名  :Indian Synthetic Rubber Limited(予定)
所在地  :インド  ハリヤナ州パニパット
総投資額 :約2億米ドル(予定)
能力:12万トン
株主構成 :IOCL 50%、TSRC 30%、丸紅20%
稼働予定 :2012年

自動車産業の成長著しいインドでの需要拡大を狙って、インド国内初のSBR事業を行うもの。
インドの自動車販売台数は
2009年4月~2010年2月までの11カ月間で259万台と、年率10%以上のペースで伸びており、今後数年で倍増し、米国、中国、日本に次ぐ世界第4位の市場となると言われている。

タイヤメーカーではブリヂストンが約500億円を投じてインドで2工場目となる新工場を建設する。2013年に稼働し、2020年には現地生産能力を現状より約8割増やす。

IOCLはインド国内に8か所の製油所を有し、石油化学事業の拡大を進めている。
ハリアナ州パニパットのパニパット製油所(原油処理能力・年間 600万トン)の隣接地にエチレン・コンプレックスを建設中で、エチレン857千トン、プロピレン650千トンのほか、HDPE、PP、MEGを建設する。
ほかに同地で
PX 360千トンとPTA 553千トンを建設しており、またGujarat Refinery120千トンのLABを持つ。

2006/6/5 インドのエチレン計画 

ナフサクラッカーは今春に稼働予定で、このクラッカーから副産物として産出されるブタジエンを使用し、SBRを生産する。

TSRCは台湾の合成ゴムメーカーで、丸紅とは中国・タイですでに合弁事業を行っている。

中国・江蘇省南通市

会社名:Shen Hua Chemical Industrial Company (申華化学)
 出資者:Polybus Pte Limited ( 台湾TSRC 子会社)
      丸紅
      Nantong Petro-Chemical Corporation
 製品 :SBR 170千トン

タイ・ラヨン県

 会社名:Thai Synthetic Rubbers Co.
 設立  :1995/11
 出資者:宇部興産 73.1%
      丸紅 13.0%
      TSRC 13.0%ほか
 製品  :
BR 50千トン→増設後 72千トン(2006/1) 

丸紅は、ブタジエンの有効利用を模索していたIOCLと、インド進出を目論んでいたTSRCを引き合わせた。

 


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鋼鉄製橋梁談合事件を巡り、独占禁止法違反(不当な取引制限)で有罪が確定した三菱重工業の株主が、西岡喬元社長ら当時の役員7人を相手取り、指名停止措置による受注減などで被った損害35億円を同社に賠償するよう求めた株主代表訴訟は3月31日、東京地裁で和解が成立した。

株主オンブズマンのメンバーが橋梁談合の件で、三菱重工業、石川島播磨重工業、三井造船、住友重機械工業、日立造船、住友金属工業などに対し、株主代表訴訟を行ったが、これらの訴訟が相次いで和解している。

和解内容はいずれも、被告役員が会社に対して解決金を支払い、外部委員会を設置して原因調査や再発防止策を策定することを内容としたもの。

これは2009年6月に大林組の防衛施設庁談合事件、名古屋市地下鉄談合事件、和歌山県談合事件、枚方市談合事件に対する株主代表訴訟において、大阪地裁で成立した和解の内容に従うものである。

訴訟はいずれも、トップに対して、長年違法な談合行為を容認(黙認)して、談合を防止する真に実効性ある内部統制システム構築を怠ったとして、会社が被った損害を会社に対して賠償するよう求めている。

トップが独禁法違反を知っておれば当然だが、仮に知らなかったとしても、内部統制システム構築を怠ったとして、トップ個人に賠償を求めるもので(仮に会社が補填すれば更に問題となる)、独禁法違反に対する抑止力が更に高まる。
また、(後述の通り)、住友金属が使途不明金とそれへの課税を株主代表訴訟の理由として訴えられ、和解した影響は大きい。

和解月日 被告 訴訟内容 和解内容
09/12/21 日立造船
元役員4人
約9億5千万円の返還 ・4人が解決金計約2億円を支払う
・談合の原因調査や再発防止のため、社内に
 「談合防止コンプライアンス検証・提言委員会」を設置。
 3人の委員のうち1人は原告が推薦する弁護士
・解決金は委員会の運営、談合防止マニュアル整備施策に
10/2/10 神戸製鋼所
会長、社長ら6人
課徴金2億146万円
の返還
・6名は、会社に対し、連帯して解決金8800万円を支払う
・「談合防止コンプライアンス検証・提言委員会」を設置
 1年以内に、その提言内容と再発防止策を公表
 委員会のうち3名は外部委員とし、
 うち1名は原告が推薦する弁護士から選任
10/3/30 住友金属工業
現会長ら14人
76.7億円の損害賠償 ・14人が連帯して2億3千万円を会社に支払う。
・それを原資に、社外委員でつくるコンプライアンス委員会設置
10/3/31 三菱重工業
元社長ら役員7人
指名停止措置による
受注減などで被った
損害35億円
・元社長らが解決金1億6000万円を同社に支払う。
・事件の原因調査と再発防止策の策定を1年間をめどに行う
・「談合防止コンプライアンス検証・提言委員会」を設置
・和解金を委員会や談合防止施策の費用に充てる
(参考)
09/6/1 大林組
旧経営陣ら15人
12億8190万円の賠償金 ・解決金として2億円の支払い
・原因調査及び再発防止策の策定は外部委員を含む
 「談合防止コンプライアンス検証・提言委員会」を設置して行い、
 同委員会は調査結果の報告と再発防止策の提言を行う。
・委員会は外部委員を3名とし、内1名は、原告の推薦する弁護士

ーーー

橋梁談合事件とは、2005年に発覚した鋼鉄製橋梁の建設工事(公共工事)の受注に絡んで、橋梁メーカーが談合を行っていたとされる独占禁止法違反容疑の事件である。

K会、A会という2つの談合組織に属する47社は受注調整を行い、実績などを元に受注業者、入札価格をあらかじめ決め、受注予定者が受注できるようにしていた。

* K会(旧・紅葉会):17社が加盟。先発メーカー。
   横河ブリッジ・石川島播磨重工業・三菱重工業・新日本製鐵・日立造船・川崎重工業・
   JFEエンジニアリング・宮地鐵工所・東京鉄骨橋梁など

* A会(旧・東会):30社が加盟。後発メーカー。
   川田工業・栗本鐵工所・住友金属工業・高田機工・コミヤマ工業など

公正取引委員会は、国土交通省の関東地方整備局、東北地方整備局及び北陸地方整備局が発注する鋼橋上部工事並びに日本道路公団が発注する鋼橋上部工工事の入札参加業者に対し立入り調査を行い、刑事告発をするとともに、2005年9月に45社に対し勧告を行った。

2006年3月に44社に対し合計129億1048万円の課徴金納付命令が出され、審判請求した3社には2006年に、同じく三菱重工業と新日本製鉄には2009年12月に課徴金納付命令が出された。
課徴金合計は49社で141億2167万円となった。

なお、各社は刑事告発され、東京高裁で2006年11月に横河ブリッジ、川田工業(各6億4000万円)など23社に計64億8000万円、2007年9月に三菱重工業に5億6000万円、宮地鉄工所に6億円、新日本製鉄に1億6000万円の罰金を課せられた。

また、独占禁止法違反と背任の罪に問われた日本道路公団の元副総裁に対し、有罪判決が出ている。

主要企業の課徴金は以下の通り。(単位:千円、
 
株主代表訴訟 和解済み)
課徴金    株主代表訴訟の金額
横河ブリッジ   854,400
宮地鐵工所 796,260
川田工業  770,360
JFEエンジニアリング 753,970
三菱重工業 718,040  指名停止措置による受注減などで被った損害35億円
石川島播磨重工業 714,740  弁護士費用含め、786,214千円
東京鐵骨橋梁 657,090
高田機工 593,920
川崎重工業 569,690
住友重機械工業  513,480  弁護士費用含め、553,480千円
日立造船  457,090  指名停止による損害5億円を含め、9.5億円
三井造船 455,710  弁護士費用含め、501,281千円
新日本製鐵 282,700
神戸製鋼所 201,460  課徴金201,460千円
住友金属工業 135,050  ・別件受注工作のための裏金・「使途秘匿金」 34億円と、
  税金32億9460万円の合計66億9460万円
 ・冷間圧延ステンレス鋼板価格カルテル課徴金9億7716万円

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プライムポリマーは4月5日、国内需要の低迷を受けての事業の抜本的な構造改善の一環として、宇部ポリプロ有限会社のポリプロピレン製造設備を2011年3月に停止し、2012年3月を目途に同社を清算することを決定したと発表した。

宇部ポリプロの概要:
 ・設立 :1990年12月(営業運転 1993年10月)
 ・資本金 :4.75億円(プライムポリマー100%出資)
 ・工場所在地:山口県宇部市三井化学西沖工場内

 ・生産能力 :9万t/年
 ・従業員数 :56名(2010年3月末)

産構法終了後に、各樹脂の増強計画が持ち上がったが、各社単独での大規模計画は困難なため、産構法後も存続していた共販会社単位での合弁事業として実施された。

このうち、ユニオンポリマーでは、住友化学・宇部興産・トクヤマの3社が1988年にまず千葉に千葉ポリマーを設立し、60千トンプラントを建設(その後80千トンに)、第二工場として1990年に宇部ポリプロを設立して宇部に80千トンプラントを建設した(その後90千トンに)。

千葉ポリプロ:住友化学 47.5%/宇部興産 31.7%/徳山曹達 15.8%/ユニオンポリマー 5.0%
宇部ポリプロ:宇部興産 47.5%/住友化学 29.69%/徳山曹達 17.81%/ユニオンポリマー 5.0%
 * 共販体制下での行動であることから、共販会社のユニオンポリマーも資本参加した。

当時、宇部興産は宇部の西沖の山埋め立て地に宇部興産(50%)、三井東圧(25%)、日本石油化学(25%)が出資して500千トンのエチレンプラントを建設する計画を持ち、これを前提に同地に宇部ポリプロのPPプラントを建設、三井東圧が将来JV化を前提にSMプラント(三井東圧、宇部興産、鐘淵化学が固定費負担で引取り)を建設した。
その後、エチレン構想は中止となった。
SMの共同事業は解消することで合意、三井化学は操業を継続したが、その後、事業を太陽石油に譲渡、2004年1月に太陽石油化学が営業を開始した。

ユニオンポリマーの残るメンバーのチッソはこれには参加しなかったが、PP参入を狙う東ソーと組み、1988年に四日市ポリプロを設立、東ソー構内に40千トンプラントを建設した(その後 65千トン→80千トンに)。
  東ソー 47.5%/チッソ 47.5%/ユニオンポリマー 5.0%

1995年に東ソーが営業権をチッソに譲渡、2003年にチッソが吸収、同年のチッソの日本ポリプロ参加で、日本ポリプロの工場となった。

1995年の共販会社解散に当たり、住友化学と宇部興産は互いの宇部ポリプロ、千葉ポリプロの持株を交換、トクヤマは2001年に千葉ポリプロから、2003年に宇部ポリプロから撤退した。

千葉ポリプロは2001年に住化100%となり、同年10月に住化に設備を譲渡した。

トクヤマは2001年にPPの営業権を出光石化に譲渡すると同時に、トクヤマの工場内に両社JVの徳山PPを設立した。トクヤマは営業譲渡の見返りに出光のプラントを同社の工場を誘致し、製造受託をするもの。
(トクヤマはPP営業権を出光に譲渡した後も、2003年まで宇部ポリプロの株を持ち続けた。)

徳山ポリプロは出光興産のプライムポリマー参加で、プライムポリマーとトクヤマのJVとなっている。

宇部興産は1995年7月、三井石油化学50/50の出資でグランドポリマーを設立、両社のPP事業を統合して10月から営業を開始した。その後、199710月の三井石油化学と三井東圧化学の合併に先立ち、三井東圧のPP事業が新たに加わった。
宇部興産は宇部ポリプロ(当時は宇部/トクヤマのJV)の持分をグランドポリマーに譲渡した。

2000年11月に三井化学と住友化学の統合が発表されたが、宇部興産はこれを機にPP事業から撤退した。
2001年10月に宇部興産はグランドポリマーの持分を三井化学に譲渡し、2002年4月、三井化学はグランドポリマーを吸収合併した。宇部ポリプロは三井/トクヤマのJVとなった。

三井化学は2003年にトクヤマから宇部ポリプロの持分の譲渡を受け、同社を100%子会社とした。

三井化学と出光興産(当時は出光石油化学)はポリオレフィン事業を統合し、2005年4月にプライムポリマーをスタートさせた。
宇部ポリプロはプライムポリマーの100%子会社となった。

ーーー

ユニオンポリマーグループ以外のPP共同生産では、三井日石ポリマーの浮島ポリプロと、三菱のダイヤポリマーのディー・ピーピーがある。

浮島ポリプロ

日本石油化学は三井東圧とのPPのJV・泉北ポリマーに参加し、PPを販売しているが、自社での生産を 希望。

1988/4 浮島ポリプロ設立、川崎に年産8万トン建設。
(日本石油化学 30%、三井東圧 30%、三井石油化学 30%、三井日石ポリマー 10%

その後、1996年に三井東圧が撤退(泉北ポリマーと交換)、1997年の三井化学誕生で
日石化学 66.7%、三井化学 33.3%
となったが、
1999年に日石化学 100%となり、2002年に日石化学が参加するサンアロマーが譲受けた。

ディー・ピーピー

1989/11 三菱油化と三菱化成はPPプラントを東西に1ヵ所ずつ建設すると発表、新会社を設立し、鹿島に8万トン、水島に5万トンを建設した。
(三菱油化 50%/三菱化成 50%

三菱化学誕生で、三菱化学が吸収した。

ーーー

日本のPP能力は以下の通り。(千トン)

プライム
 ポリマー
出光興産・千葉    400
三井化学・千葉 223
三井化学・大阪 448
宇部ポリプロ・宇部 90
徳山ポリプロ・徳山 200
プライムポリマー合計 1,361
   
サンアロマー 347
住友化学 316
日本ポリプロ 1,082
合計 3,106

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官報で12月決算の報告がほぼ出揃った。

合成樹脂の統合会社はいずれも営業損益、経常損益、当期損益が赤字となっているが、特に日本ポリプロの赤字が大きい。

日本ポリエチレン

  出資:
日本ポリケム(三菱化学) 58%、
      日本ポリオレフィン(昭和電工/新日本石油)
42%
  能力:PE 
1,186千トン

                               (百万円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/12 178,358 400 606 123
09/12 124,131 -3,055 -3,108 -2,035
増減 -54,227 -3,455 -3,714 -2,158

日本ポリプロ

  出資:
日本ポリケム(三菱化学) 65%、
      チッソ 35%

  能力:PP 
1,244千トン

                              (百万円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/12 206,819 1,047 305 156
09/12 130,757 -13,274 -13,455 -8,478
増減 -76,062 -14,321 -13,760 -8,634

サンアロマー 

  出資:
LyondellBasell 50%、
      SDKサンライズ投資 50%(昭和電工 65%、 新日本石油 35%)
  能力:PP 
347千トン

                           (百万円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/12 69,524 1,542 2,106 1,284
09/12 40,789 -382 -358 -960
増減 -28,735 -1,924 -2,464 -2,244

ヴイテック

  出資:
三菱化学 85.1%、
      東亞合成 14.9% 

  能力:
VCM 391千トン
     
PVC  220千トン

                          (百万円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/12 45,206 -1,992 -2,365 -3,025
09/12 28,139 -1,269 -1,546 -6,526
増減 -17,067 723 819 -3,501

ヴイテックは2011年3月末までに生産停止すると発表している。

今期は特別損失として
-4,982百万円を計上している。固定資産の評価減と思われる。
資本金6,000百万円に対し、累積損失は
-23,506百万円の巨額となった。


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小沢鋭仁環境相は3月31日、温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で 25%削減する目標の達成に向けた具体策の展開方法を示す「ロードマップ」の試案を発表した。
 http://www.env.go.jp/earth/info/challenge25/r-info/attach/shian_100331-b.pdf

環境省の専門研究会「中長期ロードマップ検討会」(座長・西岡秀三国立環境研究所特別客員研究員)の検討結果をベースにまとめた。

小沢環境相は「温暖化対策は負担のみに着目するのではなく、新たな成長の柱と考えるべき」と強調。20年に45兆円の市場と125万人の雇用が新たに生まれるとの試算結果も試案に盛った。

概要は以下の通り。

【低炭素生活スタイル(エコスタイル)の提案】
   
日々の暮らしにおいて、様々な低炭素投資を実践した場合、光熱費の節約、電力の売電などによって元がとれると試算。
低炭素生活スタイル(エコスタイル)は、むしろ投資ととらえるべき。

【対策・施策の姿】

日々の暮らし(ゼロエミッション住宅・建築物)                   
<目指すべき姿>

○高効率給湯器(太陽熱温水器等)の導入
 ・住宅:最大で8割の世帯に普及
○住宅・建築物の高断熱化
 ・新築:全て最高基準,既設:一部改修
○太陽光発電の導入
 ・住宅:最大で4世帯のうち1世帯の割合で普及
 (最大で約1,300万世帯)
○省エネ家電の普及
 ・買換え時は四つ星家電以上を導入
 ・白熱灯から蛍光灯・LED 等への切替え
○省エネナビの導入
<現時点での施策例(検討中のものを含む)>

○全量買取方式の固定価格買取制度
○省エネ基準の強化・達成義務づけ
○再生可能エネルギーの導入義務付け
○高効率給湯器等への支援
○省エネ住宅の新築や省エネリフォーム、省エネ家電等への支援
○省エネナビ/BEMS への支援
○省エネ診断の利用への支援
   
 
主要な対策                  2020年の導入量                2020年の削減効果
住宅(建築物)の環境性能向上 新築の100%が次世代(H11)基準
又は改次世代(改H11基準)基準を達成
~840万t-CO2
(~2,600万t-CO2)
住宅における高効率給湯器の普及 ~4,100万台 ~1,400万t-CO2
住宅における空調の高効率化 最大COP6に向上 ~780万t-CO2
建築物における空調の高効率化 最大COP5に向上 ~1,800万t-CO2
住宅・建築物における照明の高効率化 効率が80%向上 ~1,600万t-CO2
計測・制御システム(HEMS、BEMS等) 最大約8割に普及 ~1,800万t-CO2
その他家電の効率改善 効率が35%向上 ~1,700万t-CO2
その他電気機器の効率改善 効率が45%向上 ~2,900万t-CO2
太陽光発電の設置 ~5,000万kW ~3,200万t-CO2
 
ーーー
日々の暮らし(ゼロエミッション自動車)
<目指すべき姿>
次世代自動車の普及               
  ハイブリッド自動車 (普通・小型乗用車)
 販売車 230万台中117万台(約50%)
  電気自動車 (普通・小型乗用車)
 販売車 230万台中17万台(約7%)
     
乗用車、貨物車の燃費向上
  従来型乗用車
 販売車平均11km/L→13km/L (2割向上)
     
<現時点での施策例(検討中のものを含む)>

○バイオ燃料比率向上の促進
○燃費基準の強化
○環境負荷に応じた自動車関連課税
○ハイブリッド、電気自動車等への支援

   
 
主要な対策  2020年の導入量       2020年の削減効果  
燃費改善
 乗用車(従来車、保有ベース、2005年比)

約13%向上
~2,340万t-CO2
電気自動車 年間販売台数約70万台 ~280万t-CO2
ハイブリッド自動車
 (マイクロハイブリッドを含む)
年間販売台数約120万台 ~660万t-CO2
プラグインハイブリッド自動車 年間販売台数約40万台 ~150万t-CO2
一般ドライバーのエコドライブ実施 (燃費改善効果10%) ~500万t-CO2
   
ーーー
ものづくり(産業部門)
<目指すべき姿>

○粗鋼生産の低炭素化
○工場におけるエネルギー管理の徹底
  (高性能工業炉・ボイラの導入)

<現時点での施策例(検討中のものを含む)>

○省エネ基準の強化
○研究開発支援
○ベンチャー支援
○高性能工業炉、高性能ボイラへの支援

   
 
主要な対策 2020年の導入量 2020年の削減効果
既存の温暖化対策技術の更なる導入
 鉄鋼:次世代コークス炉など
 セメント:廃熱発電など
 化学:熱併給発電の高効率化など
 紙パルプ:高性能古紙パルプ装置など

現状1基→ 2020年6基
現状77% → 2020年88%
現状0% → 2020年100%
現状17% → 2020年71%
     (業種全体の削減量)
鉄鋼業   ~470万t-CO2
セメント業  ~40万t-CO2
化学業   ~410万t-CO2
製紙業   ~150万t-CO2
業種横断的技術
 (高性能工業炉,高性能ボイラ、
  産業用ヒートポンプなど)
  業種横断的技術による削減量
        ~950万t-CO2
代替フロン等3ガス(Fガス)排出削減対策
 半導体製造におけるFガス除去装置設置率
 液晶製造におけるFガス除去装置設置率

現状24% → 2020年60%
現状63% → 2020年100%
Fガス排出削減対策による削減量
       ~2,020万t-CO2
 
ーーー
「エコ社会」地域づくり(都市・農村対策)
<目指すべき姿>

○日常生活での平均移動距離の短縮
○通勤・通学時における自転車の利用促進
○地域冷暖房の導入

<現時点での施策例(検討中のものを含む)>

○サイクリングロードの整備
○低炭素型地域づくりの支援
○廃熱利用への支援

   
 
主要な対策(都市) 2020年の導入量 2020年の削減効果
旅客1人当たり自動車走行量を削減
 DID(人口集中地区)人口密度の向上
 旅客1人当たり公共交通分担比の向上
 LRT(次世代型路面電車システム)・
  BRT(高速輸送バスシステム)の整備延長
2005年比1割削減
2030年に60~80人/ha
2005年比2倍増

2030年に1,500km
3,000万t-CO2
      の内数
自動車輸送分担率の削減 2020年に5~6割へ
低炭素街区計画の整備推進
 都市未利用熱の有効活用(地域熱供給)
2050年の対策実施面積20万ha
2050年における削減可能性700万t-CO2
~100万t-CO2
 
主要な対策(農山漁村) 2020年の導入量 2020年の削減効果
未利用バイオマスのエネルギー化 林地残材や農作物残渣、家畜排泄物等の
エネルギー利用
~350万t-CO2
土地の有効活用による再生可能エネルギー
の導入
用水路での小水力発電や未利用地3万haへの
太陽光パネルの設置(住宅除く)
~3,100万t-CO2
森林経営活動(吸収源) 年間55万ha程度の間伐等 ~3,700万t-CO2
伐採木材製品(〃) 国産木材製品の増加 ~60万t-CO2
農地管理活動(〃) 緑肥面積を9.8万haから21.6万haに拡大等 ~380万t-CO2
 
ーーー
ゼロエミッションエネルギー
<目指すべき姿>                                
   
太陽光、風力、地熱、バイオマス(バイオ燃料など)、
太陽熱などの再生可能エネルギーの大幅導入
 例:大型風車を最大で10,000基導入
スマートグリッドによりリアルタイムの需給調節
原子力発電による発電電力の一次エネルギー
供給に占める割合の向上(9基新増設、利用率80%)
<現時点での施策例(検討中を含む)>

○全量買取方式の固定価格買取制度
○系統連系ルールの見直し
○再生可能エネルギー導入への支援

   
主な対策と導入量及び削減効果
  導入量(2005) 導入量(2020) 削減効果(2020)
   (万t-CO2)
 (万kW)  (万kL)  (万kW)  (万kL)
太陽光発電 144 35 ~5,000 ~1,222 ~3,200 
風力発電 109 44 ~1,131 ~465 ~1,000 
水力発電(大規模) 2,021 1,625 ~2,156 ~1,784 ~2,000 
水力発電(中小規模) 40 35 ~600 ~744  
地熱発電 53 76 ~171 ~244 ~470 
太陽熱 61 ~178 ~240 
バイオマス発電 409 462 ~761 ~860 ~600 
バイオマス熱利用 470 ~887 ~780 
2,808 ~6,383 ~8,400 
(一次エネルギー供給比) (-) (5%) (-) (~13%) (-) 
 
ーーー
横断的施策の例
○キャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引制度
○地球温暖化対策税
○排出抑制等指針、温室効果ガス排出の見える化
○チャレンジ25キャンペーン
   

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SABICCelanese41日、サウジのJubail Industrial City National Methanol Co. (IBN SINA)で年産5万トンのポリアセタール(polyoxymethylene:POM) を建設する契約を締結したと発表した。建設費は4億ドルで、2013年稼動の予定。

IBN SINASABIC50%Celanese25%Duke Energy25%出資しているが、POM完成後はCelanese 32.5%Duke Energy17.5%となる。

IBN SINA1981年にSABIC50%CTE 50%で設立された。
CTECelanese A.G. 子会社のElwood Insurance PanEnergy子会社Texas Eastern Transmission の均等出資であったが、PanEnergyDuke Energyに吸収合併され、その後、現在の出資構成となった。
Texas EasternMTBE事業の関係で参加した。

当初、メタノール 90万トン、MTBE 70万トンを建設、1985年に生産を開始した。
現在のメタノール能力は
110万トン。

Celaneseは過去3年間でJVから配当 238百万ドルを受け取っている。

SABIC2020年にglobal leader になるという2020 Strategic Plan を持っているが、POM事業は機能性化学品でSABICの位置を高めるというStrategic Planの重要な部分であり、また、自動車や先端産業に進出する契機にもなるとしている。

SABICはGE Plasticsを買収してSabic Innovative Plastics とした。同社は変性PPE、PC、PBT、PEI (polyetherimide)、ABSやそれぞれのアロイ、及びLNP コンパウンドなどのエンジニアリングプラスチックを持つが、POMそのものは製造していない。

SABIC20095月に投資額32億ドルの誘導品計画を明らかにしたが、これをSaudi International Petrochemical Company (Sipchem) と相互協力で実施する覚書に締結している。

2009/5/11 サウジのSABICSipchem、新プロジェクトで 相互協力の覚書

SABICの計画は以下の通り。

  MMA 250千 トン } 三菱レイヨンがJVの交渉
  PMMA 30千 トン
 アクリロニトリル 200千トン  旭化成がJVの交渉
 ポリアクリロニトリル 50千トン
 ポリアセタール 50千トン
 カーボンファイバー   3千トン
 青酸ソーダ 40千トン

今回の計画はこのなかのPOM 5万トン計画で、POMの原料のメタノールをもち、Celanese(子会社Ticona POM事業を行う)が参加しているIBN SINAでの実施を決めたもの。
POM ホモポリマーは、メタノールを空気酸化してホルムアルデヒドをつくり、これを重合して生産する。Celaneseはメタノールを購入してホルムアルデヒドを製造し、Ticonaに供給している) 

なお、SABICIBN SINAのほかに、三菱ガス化学主導の日本・サウジアラビアメタノールとのJVSaudi Methanol (AR-RAZI)を持っている。

2006/3/31 サウジ・メタノール計画


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信越化学は4月5日、Shintechがルイジアナ州PlaquemineでVCMの第2工場の建設工事を開始したと発表した。
第2工場の生産能力は、VCM 80万トン、カ性ソーダ 53万トンで、投資金額は約1000億円、2011年の完成を目指している。

同地では電解~VCM~PVCの一貫生産を行なう第1工場の第1期分が2008年10月に稼動、現在第2期の増設中で、2010年後半に稼動する。

第2工場が稼動すると、VCM能力は160万トンとなり、Shintechのテキサス州の工場も含めたPVCの全生産能力264万トンの60%を自給することとなる。

立地 PVC VCM カ性ソーダ  
現状 計画 現状 計画 現状 計画
Texas州 Freeport  1,450     -     -   VCMは 隣接のDowから購入
      (825)   (550) 2007/5発表 DowのVCM代替
(今回計画に変更?)
Louisiana州 Convent   (500)   (500)    (275) 反対運動で中止
Addis   590     -     -   VCMは 隣接のDowから購入
PlaquemineⅠ   600    800    530   2期完成後(2010年後半)の能力
PlaquemineⅡ       800   530 2011年完成予定
Addis  (270)     -     -   Bordenから購入、廃棄
合計  2,640    800 800  530 530  

Shintechは1974年の操業開始以来、Dow Chemical と提携し、共存共栄体制をとってきた。

同社はルイジアナ州Convent で原料からの一貫体制を計画したが、環境問題での反対運動で中止し、AddisでPVCのみの増強を行った。

その後、2004年12月に信越化学は新計画を発表、Plaquemineで2期に分け、原料からの一貫体制を確立した。

2006/5/16 世界一の塩ビ会社 信越化学

ダウは2004年11月に、テキサス工場のEDCプラント1系列を2005年末までに停止し、VCMの生産も縮小すると発表した。
一方、Shintechは、Plaquemineでの一貫体制計画に加え、2007年5月に、テキサス州で電解工場とVCM工場(825千トン)を建設する許可申請を同州環境庁に提出した。

しかし、ダウは2008年1月に、テキサス州フリーポートでクロルアルカリ設備の建設を開始することと、30年以上の需要家であるシンテックとのVCMの長期供給契約の更新することを発表した。
ダウのCEOは、「この供給契約は新投資の操業を保証するもので、JVの形はとっていないものの、Shintechはクロルアルカリ事業での戦略的パートナーである」と述べた。

これを受け、Shintechとしては自社生産の緊急性が薄らぎ、計画の白紙撤回はしないが、稼働時期は状況に合わせて見直すとしていた。

2008/1/31 ダウ、テキサスでのクロルアルカリ設備新設、シンテックとのVCM供給契約更新を発表

今回の計画はテキサスでの計画の立地を変更したものと思われるが、信越化学では、「2008年にシンテック社はダウケミカル社と塩ビモノマーの購入契約を更新しており、今後も同社から原料の調達を継続的に受ける」としている。

しかし、ダウCEOAndrew Liverisは20102月のインタビューで、「ダウは長期的にはEDC/VCMを外販しない。信越とのパートナーシップは2011年には明らかに終了する」と述べ、今後、ダウの強みを生かして、塩素/EDC/VCMについてもAsset Light戦略を検討する意向を明らかにしている。

2010/2/4 ダウとBASF、スチレン系事業売却へ

もし、Shintech以外とのJVとなれば、ダウとShintechの長年にわたる共存共栄関係は終わることとなる。


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東京都は2008年の条例改正(2009年4月1日施行)で、都内の大規模事業所を対象に温室効果ガス排出量の「総量削減義務と排出量取引制度」を導入したが、この削減義務が4月1日から開始した。

東京都は2002年に地球温暖化対策計画書制度を導入、都の「指導、助言」や「評価・公表」等による排出量削減に取り組んできたが、自主的取り組みだけでは大幅なCO2の削減に必要な基本的なレベルを超える より踏み込んだ対策の計画化は極めて困難であることから、制度を強化した。

本制度の対象事業所は約1300で、都内事業所の1%にも満たないが、CO2排出量の合計は、都内業務・産業部門の約4割を占めている。

CO2の排出総量削減を義務付け、事業所間の排出量取引を認める「Cap and Trade」制度で、義務を守らなければ事業所名公表や50万円以下の罰金などの罰則が科せられる。

オフィスビルなどを対象に加えて総量規制するのは世界で初めてで、東京を世界有数の「低炭素型都市」に変えることを目指す。

概要は以下の通り。

対象事業所 温室効果ガスの排出量が相当程度大きい事業所
 燃料、熱及び電気の使用量が、
原油換算で年間1500kl 以上の事業所
削減義務者 対象となる事業所の所有者(原則)

テナントビルの場合、ビルオーナーを義務対象の基本としつつ、
(1)全てのテナント事業者に、オーナーの削減対策に協力する義務
(2)一定の規模以上のテナント事業者は、独自の温暖化対策計画書を作成・提出し、
  その計画に基づき対策を推進する義務
  (延床面積5,000平方メートル以上を使用しているテナント事業者、又は
   1年間の電気使用量が600万キロワット時以上の事業者)

削減計画期間 5年間
  第1計画期間:2010~2014年度
  第2計画期間:2015~2019年度
  以後、5年間ごとの期間

削減義務の開始:2010年4月

義務の内容 基準となる排出量に対して、削減計画期間中の排出量を、一定程度以上削減する義務
※毎年度、前年度の温室効果ガス排出量を知事へ報告
 (排出量の報告は、知事の登録を受けた検証機関の「検証」を受けることが必要)
基準排出量 2002-2007年度までの間のいずれか連続する3か年度の平均排出量から設定
※3か年度のうちに、排出量が標準的でないと知事が特に認める年度がある場合、
 その年度を除く2か年度とすることができる。
削減義務率
(第1計画期間
   5年間)
・オフィスビル等と地域冷暖房施設:8%
・オフィスビル等のうち、地域冷暖房を多く利用している事業所:6%
 (全エネルギー使用量に占める地域冷暖房から供給されるエネルギーの割合が20%以上

・その他(
工場、上下水施設、廃棄物処理施設等):6%

削減に向けた対策の推進の程度が特に優れた事業所:削減義務率を1/2又は3/4に軽減
(対策の推進の程度が優れた事業所として、知事が定める基準に適合した場合)

なお、第2計画期間の削減義務率は17%の見通し

削減義務
  履行手段
(1)自らで削減
    高効率なエネルギー消費施設・機器への更新など

(2)排出量取引(他者の「削減量」の取得)

 ・超過削減量:他の対象事業所が義務量を超えて削減した量
   
基準排出量削減義務率削減計画期間経過年数で算定される量を超過して削減した分
   但し、基準排出量の1/2までしか売れない

 ・中小クレジット:都内の中小規模事業所が省エネ対策の実施により削減した量
   
地球温暖化対策報告書を提出している中小規模事業所が
   都が決めた削減対策を実施して、削減を実現した分は売れる。
    例えば、高効率コジェネなどを導入

 ・都外クレジット:都外の事業所における削減量
   
都外であっても、東京都内の仕組みと同様の仕組みがあったと仮定して、
   削減量が目標以上であった場合。
   但し、削減義務量の1/3が上限。

 ・再エネクレジット:再生可能エネルギーの環境価値
  (グリーン電力証書、生グリーン電力、都の太陽エネルギーバンクなど)

   太陽光、風力、地熱、中小水力は1.5倍換算ができる。

出光興産と三菱地所は2009年12月9日、出光の「生グリーン電力」を 三菱地所の新丸ビルで受電することで合意 した。
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/2009-12-2.htm#wind

実効性の確保 削減義務未達成の場合、不足量を削減するよう措置命令
 (必要な削減量は義務違反による加算分を含み、1.3倍)

 →措置命令違反の場合、罰金(上限50万円)、氏名公表、
   知事が代わって必要量を調達(費用は違反者に求償)
    
そのときの価格は二酸化炭素1トンあたりで1.5万円を考えているとのこと

ーーー

CO2排出量上位の事業所(工場を除く)は以下の通り。 

(1)   東京大学本郷キャンパス   8.7万トン
(2)   日本空港ビル   7.7
(3)   東京ミッドタウン    6.5
(4)   サンシャインシティ   6.4
(5)   六本木ヒルズ森タワー   5.7

東京大学ではCO2削減プロジェクトを進めている。
既に樹脂製内窓を取り付ける窓のリフォームを実行した。

東大サステイナブルキャンパスプロジェクトを行っており、2008年度から2012年度の5年間のTSCP2012では、2006年度に比べ2012年度には非実験系の二酸化炭素排出量の15%削減(大学全体の二酸化炭素排出量に対する削減率13%)を目標にしている。 http://www.tscp.u-tokyo.ac.jp/about.html

ーーー

安井至先生の「市民のための環境学ガイド」で、東京都の新制度を取り上げている。
    
http://www.yasuienv.net/ETradeTokyo.htm

 


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出光興産と三井化学は4月1日、「千葉地区における生産最適化」の第1ステップとして両社のエチレンの運営統合を発表した。

4月1日付けで両社折半出資で「千葉ケミカル製造有限責任事業組合」(LLP)を設立した。

項目内容
名称千葉ケミカル製造有限責任事業組合
事業内容 ・千葉地区におけるエチレン装置の運営の統合
 ・エチレン、プロピレン、その他の留分の生産
 ・上記生産品目の出光および三井への供給
(装置能力見合い)
役割と運営 ・エチレン、プロピレンを始めとした石化原料のコストミニマムを追求
 ・生産機能を中心としたLLPで、
コストセンターとしての運営が原則

 単独では実現できな いシナジーを徹底的に追求
  原料選択・装置稼動の最適化
  留分の高付加価値化
  共同合理化投資等

出資 出資金:2億円 50/50出資)
  対等出資・メリット折半
エチレン生産能力 92万トン/年(出光 37万トン、三井 55万トン)

LLP制度は、企業間の連携や共同事業促進を目的として、我が国に2005年に導入された。
通常の株式会社と比較した、主な特徴は以下のとおり。

株式会社LLP
①法人格あり なし
②出資者責任有限責任 有限責任
③課税当該会社に課税 出資者に課税(パススルー課税)
④出資比率と
損益配分
出資比率に応じた損益配分が原則 出資比率と異なる損益配分が可能
⑤会社運営株主総会・取締役会等の機関が必要 自由(当事者自治)
⑥設立費用登録免許税は資本金の0.7% 登録免許税は6万円のみ

「千葉ケミカル製造」は、大型生産設備の運営を伴うLLPとして、我が国で初めてのケースとなる。

運営の詳細は不明だが、「コストセンターとしての運営」「装置能力見合いの製品引取り」ということから、両プラントを一体として運営し、製品をコストベースで、三井が55/92、出光が37/92の比率で引き取ることとなる。
(対等出資・メリット折半をうたうが、実質的には能力見合いでメリットを得ることとなる)

なお、事前相談制度に基づき公取委から独禁法に照らして問題はないとの回答を得ていた。

ーーー

三井化学は住友化学との経営統合計画の解消後、2004年2月に同じ千葉にコンビナートを持つ出光興産/出光石油化学と包括提携で基本合意した。
原料・留分から石化製品、また、工場基盤・業務を含めた幅広い領域にわたり、石油精製と石油化学という業種や企業の枠を超えた業務提携の検討を進め、千葉地区コンビナートの国際競争力の強化を目指すこととした。

200411月、三井化学と出光興産は包括提携の一環として、千葉地区へ輸入するナフサを大型タンカーを使い共同輸送すると発表した。

20045月、三井化学出光興産及び出光石油化学は三井化学と出光石化のポリオレフィン事業の統合を発表した。
統合会社プライムポリマーは三井化学 65%/出光興産 35%で設立され、2005年4月に営業を開始した。
(出光石油化学は2004年8月に出光興産が吸収合併した。)

両社は、2009年度のコンビナート連携石油安定供給事業として、千葉の出光興産と三井化学で使用するナフサの共同調達のための設備の設置を行っている。

2009/4/11  平成21年度 コンビナート連携石油安定供給対策事業

三井化学と出光興産は2009年5月、両社の強みを活かした「千葉地区における生産最適化」の検討開始で合意したと発表した。

2009/5/18 三井化学、事業構造改革を実施、千葉地区で出光興産と生産最適化検討

検討項目は以下の通り。
 1. 両社ナフサクラッカーを中心とした生産最適化
 2. 出光・千葉製油所のリファイナリー装置も含めた生産最適化
 3. 既に両社でJVとして運営している、ポリオレフィン・フェノール以外の両社石化誘導品の生産最適化

ポリオレフィンは上記のプライムポリマー
フェノールは出光興産内の千葉フェノール(三井 55%
/出光 45%)
  (フェノール能力 200千トン、アセトン能力 60千トン)

これにより、
1. ナフサクラッカーを中心とした最適生産体制の構築、精製・石化のインテグレーションによる国内トップクラスの競争力の実現
2. 石化誘導品におけるリファイナリー留分の更なる有効活用等による競争力の強化
を狙うとした。

今回はその第一段階で、今後、リファイナリー等への生産最適化領域の拡大を検討する。

千葉地区コンビナートには、4つの製油所(83万バレルの製油能力=国内の2割)、5つのエチレンセンター(エチレン能力 247万トン=国内の3割)がある。

リファイナリー等への生産最適化領域の拡大が完成すると、
・合計能力100万トン、売上規模2000億円の競争力のあるナフサクラッカーの一体的体制構築
・「クラッカーを中心にした石油精製~石化誘導品の生産最適化」
という国内初のビジネスモデルにより、国内最強の競争力が実現するとしている。

今はコンプレックスの存続そのものが危ぶまれている時代であり、この動きは極めて合理的なものである。

ずっと昔、住友化学の長谷川周重社長(当時・故人)は「エチレンは水」とし、基礎原料のエチレンは各社が個別に生産するのではなく、(工業用水のように)共同で手当てし、誘導品で勝負すべきだと述べた。

なお、出光興産・三井化学は住友化学と共同で、「コンビナート副生分解C4留分の活用による高効率プロピレン生産システム」の共同研究を行っており、2010年1月25日に本研究設備の実証運転を開始している。

2008/2/18 出光興産、 住友化学、三井化学の3社、プロピレン生産システムの研究設備建設着工


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公正取引委員会は3月31日、「地球温暖化対策における経済的手法を用いた施策に係る競争政策上の課題について ~国内排出量取引制度における論点~(中間報告)」を発表した。

日本は昨年9月、すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意を前提に、2020年までに1990年比で温室効果ガスの25%削減を目指すことを表明した。

地球温暖化対策の施策の1つとして、諸外国で既に導入されている国内排出量取引制度について、我が国においても制度の本格的な導入に向けた議論の進展が予想されるが、同制度は事業者間の競争に影響を与えると考えられることから、公取委は、導入が想定される同制度の内容及びそれに関する民間商取引について、競争政策上の観点から論点等の検討を行ったが、その検討結果を中間報告として取りまとめた。

報告 http://www.jftc.go.jp/pressrelease/10.march/10033102.pdf

 

報告書では、まず京都議定書の概要、各国における排出量規制による地球温暖化対策への取組、世界の排出量取引、排出量規制の仕組みなどを説明し、その後に、排出量規制に係る競争政策上の論点を述べ、排出量規制に伴う事業者等の行為のうち独占禁止法上問題となり得る行為を取りまとめている。

地球温暖化対策として排出量取引制度を導入することは、単に排出量に係る義務を課す場合に比べ、市場メカニズムを通じて、社会全体の費用を抑制しつつ確実に排出削減を達成することが期待され、また、柔軟に削減義務を達成できるようになるため、基本的に、競争政策上望ましいと考えられるとしている。

しかしながら、排出量取引制度の具体的な制度設計において、事業者間の競争に悪影響を与えることも考えられることから、その導入に当たっては、取引の活性化の観点を踏まえた制度設計とするとともに、取引の前提となる排出枠の割当て等が、できる限り、事業者間の公正かつ自由な競争に悪影響を与えないように実施されることが重要であるとし、以下の点の分析をしている。

  排出枠の割当方式が競争に与える影響
  費用緩和措置
  排出枠及び外部クレジットの取引
  その他

排出量規制に伴う事業者等の行為のうち独占禁止法上問題となり得る行為は以下の通り。

  事業者等による共同行為
     
  排出量削減の実施に伴う共同行為
    排出量規制の導入により、事業者が共同して、又は事業者団体が、これらの義務を目安として各事業者の商品・役務の供給量を決定することは、供給量に係るカルテルとして独占禁止法上問題となり得る。

また、事業者が共同して、又は事業者団体が、国による規制が無いにもかかわらず、排出枠に係る義務の達成方法を制限する場合にも、独占禁止法上問題となり得る。

     
  排出量削減に伴う費用負担の増加に対応するための共同行為
    事業者が自らの排出削減の取組のほか、他者の排出枠又は外部クレジットの購入のため、追加的なコストを継続的に負担する必要があるが、この対策として事業者が、共同して、商品・役務の価格を一定額引き上げるといった行為は、原則として独占禁止法上問題となる。
     
  排出量の削減に関する共同研究開発
    共同研究開発の実施に伴う取決めによって、参加者の事業活動を不当に拘束し、技術市場や製品市場における公正な競争を阻害するおそれのある場合も考えられる。

共同研究開発された技術が大きな排出削減効果をもたらす革新的な技術であり、その技術を用いて排出削減をしなければ他の事業者が事業活動を行うことが困難となる場合に、費用等合理的な条件による申入れにもかかわらずその技術の実施許諾を拒絶する行為は、例外的に、不公正な取引方法(共同の取引拒絶等)、私的独占等の独占禁止法上の問題となることがある。

     
  排出量の算定に関する基準等の策定
    事業者団体が主体となって排出量の算定基準等を定めることも想定されるが、事業者団体が、消費者の利便性の向上や環境保全等の社会公共的な目的で、排出量の算定に関する自主的な基準・規約等を設定することは、商品・役務の需要者の利益を不当に害さないものであって、構成事業者間において不当に差別的ではなく、その遵守を強制しないものである限り、原則として独占禁止法上問題とはならない。

ただし、事業者団体が基準・規約等を設定する際には、関係する構成事業者からの意見聴取する十分な機会が設定されるべきであるとともに、必要に応じ、対象となる商品・役務の需要者や知見のある第三者等との間で意見交換や意見聴取が行われることが望ましい。
     
  取引先等に対する行為
     
  外部クレジット制度の実施に関する行為
    大規模事業者等が、自らと既存の取引先等との間でのみ同事業を実施することを条件として取引し、これによって競争者の取引の機会が減少し、他に代わり得る取引先を容易に見いだすことができなくなるおそれがある場合には、不公正な取引方法(拘束条件付取引)として独占禁止法上問題となり得る。

また、外部クレジット制度による事業の実施においては、想定よりも排出量が削減できずにクレジットの発生量が少なくなる場合、同事業の実施に伴い想定よりも多額の費用が発生する場合等、新たな費用負担や利益の減少が発生する可能性があるが、優越的な地位にある事業者が、取引先事業者に対して、正常な商慣習に照らして不当に、この新たな費用や利益の減少を負担させることは、不公正な取引方法(優越的地位の濫用)として独占禁止法上問題となり得る。

     
  融資事業等に関する行為
    排出枠又は外部クレジットの販売を行う主体として金融機関が参加することも考えられる。
このような場合、金融機関が、事業者に対して融資を行うに当たり、自己又は自己の子会社から
排出枠又は外部クレジットを購入することを要請し、融資を受ける事業者に対してこれに従うことを事実上余儀なくさせることは、不公正な取引方法(抱き合わせ販売等)として独占禁止法上問題となり得る。

また、特に価格が低下した排出枠又は外部クレジットについて、融資関係等の継続的な取引関係を背景として優越的な地位にある金融機関等が、融資先事業者に対して、不当にこれらの購入を強制することは、不公正な取引方法(優越的地位の濫用)として独占禁止法上問題となり得る。

 


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DowとクウェートのPICとのPET合弁会社 Equipolymers はイタリアのPTAとPET工場をイタリアの電力会社とタイIndoramaのJVに売却する契約に調印した。

DowとPICはDowの石油化学事業を50/50JVのK-Dow Petrochemicals にする案が破談になった。

2008/12/29 ダウとクウェートの石油化学合 弁、一転破談に 

しかし両社は1995年に設立したクウェートの石化JVのEQUATE Petrochemical のほか、2004年設立のPETのJV Equipolymers EGのJV MEGlobalは維持している。

2009/2/3 ダウとクウェートの対立

Equipolymersは両社の50/50JVで、スイスに本社を置き、現在の能力は以下の通り。

工場 PTA PET  
Ottana, Italy  190,000  160.000  
Schkopau, Germany   335,000 No.1160,000
No.2
175,000

イタリアの工場は需要の不振で低操業を続けており、昨年の8月から12月までは技術的な問題で停止していた。本年初めに売却計画を発表した。

EquipolymersSchkopau工場は維持し、研究開発を進める。

売却相手はPET工場の立地に発電所と用役工場を運営しているOttana EnergiaとタイのPTA、PET、ポリエステルメーカーのIndoramaとのJVだが、実質的にはIndoramaが運営すると思われる。

ーーー

Indorama Group 1974年にMohan Lal Lohia ML Lohia)により設立された。
ML Lohia は事業を3人の息子に分割した。長男OP Lohiaはインド、次男 SP Lohia は インドネシア、三男 Aloke Lohia (APL) は タイを受け継いだ。
その後、インドネシアの事業とタイの事業が統合された。
インドの事業は
Indo Rama Synthetics (India) として別に運営されている。

Indoramaは世界最大のポリエステルメーカーで、世界12番目のPTAメーカー。

現在の同社の状況は以下の通り。

    PTA  PET Resin Polyester
Fiber& Filaments
Spun Yarns Fabric 石油化学
Thailand Indorama Petrochem 710,000t          
TPT Petrochemicals 520,000t          
AsiaPet (Thailand)   180,000t        
Petform (Thailand)   PET bottles
ほか
       
Indopoly (Thailand )     110,000t      
Indorama Polyester Industries     285,000t      
Indonesia PT. Indorama
Synthetics Tbk
    280,000t 191K  Spindles 56 million
 meters
 
USA AlphaPet Inc.   432,000t        
StarPet Inc.   225,000t        
Netherlands Indorama Holdings Rotterdam 350,000t          
Indorama Polymers Rotterdam   200,000t        
UK Indorama Polymers Workington   155,000t        
Lithuania UAB Orion Global Pet   198,000t        
Nigeria Eleme Petrochemicals          
Olefin
300,000
PE:: 240,000t
PP 95,000t
Turkey Indorama Iplik
Sanayi Ve Ticaret
      31K  Spindles    
Sri Lanka ISIN Lanka (Pvt) Ltd.       29K  Spindles    
Egypt Indorama Shebin
Textiles Co. S.A.E.
      196K  Spindles    

米国  StarPet Inc は買収
    
AlphaPet Incは新設 2007/4/14 タイのIndorama Polymers、北米でPET工場新設へ 

オランダ・英国:Eastman Chemical から買収(2008/3)

ナイジェリア:ナイジェリアの国有石油化学会社を買収 
           2006/5/26 
アジア企業の海外展開

 


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