2009年8月アーカイブ

公正取引委員会は8月27日、溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯の製造販売業者に対し,不当な取引制限の禁止の規定に違反する行為を行っていたとして,排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。

3社に対する課徴金合計155億円は、1事件の課徴金としては、ごみ焼却炉建設工事を巡る談合で2007年に出された約270億円(審判中でいったん失効)に次いで過去2番目で、カルテルとしては過去最高額となった。

  排除命令 課徴金(千円)
行為 A    行為 B 行為 C 行為 A 行為 B 行為 C
日鉄住金鋼板  3,763,200  1,239,550  1,338,010 6,340,760
  大洋製鋼
(日鉄住金鋼板と合併)
X 対象外 対象外 対象外 対象外
住友金属建材
(日鉄住金鋼板が承継)
X 対象外 X 対象外
日新製鋼    3,218,380 811,750 1,460,620 5,490,750
淀川製鋼所   1,644,500 1,275,610 755,560 3,675,670
JFE鋼板   X X X
  NKK鋼板
(JFE鋼板と合併)
X X X
合計 7社中3社  5社中3社  6社中3社 8,626,080 3,326,910 3,554,190 15,507,180

*日鉄住金鋼板は日鉄鋼板と住友金属建材が2006年12月に事業統合

違反行為は次の3つに分かれる。

A   GL鋼板の店売り取引
    7社は,平成14年8月下旬ころ以降,GL鋼板の店売り取引での販売価格について合意することにより,公共の利益に反して,我が国におけるGL鋼板の店売り取引の販売分野における競争を実質的に制限していた。
     
B   軽量天井下地材メーカー向けGI鋼板ひも付き取引
    5社は,平成15年8月下旬ころ以降,軽量天井下地材製造業者向けGI鋼板のひも付き取引での販売価格について合意することにより,公共の利益に反して,我が国における軽天メーカー向けGI鋼板のひも付き取引の販売分野における競争を実質的に制限していた。
     
C   建材製品製造業者向け特定カラー鋼板ひも付き取引
    6社は,平成16年1月中旬ころ以降,建材製品製造業者向け特定カラー鋼板のひも付き取引での販売価格について合意することにより,公共の利益に反して,我が国における建材製品製造業者向け特定カラー鋼板のひも付き取引の販売分野における競争を実質的に制限していた。
   

7社のうち、大洋製鋼は2002年10月に日鉄住金鋼板の製造子会社となり、2004年4月に日鉄住金鋼板と合併した。
住友金属建材は2006年12月に日鉄鋼板と合併、日鉄住金鋼板になった。
NKK鋼板は2004年4月にJFE鋼板と合併した。

このため、現在存続するのは4社で、このうち、JFE鋼板は課徴金減免制度を利用し、公取委に自主申告したため、排除命令と課徴金(全額)を免除された。

日鉄住金鋼板と淀川製鋼所も30%免除された。

ーーー

本件に関しては公取委は2008年11月11日に、日鉄住金鋼板、日新製鋼、淀川製鋼所の3社を検事総長に告発している。

更に12月8日には各社の専務、執行役員、担当部長ら(いずれも当時)6人が起訴され、東京地裁で公判中。検察側は懲役1年~10月を求刑している。

ーーー

鉄鋼業界はこの数年間に何度も独禁法違反で摘発されている。

・2005年3月11日 冷間圧延ステンレス鋼板の製造販売業者に対する課徴金納付命令

課徴金 千円  
日新製鋼  1,607,520  
新日本製鉄  1,284,690 2003/10/1付けで
新日鉄住金ステンレス
住友金属工業   977,160
日本冶金工業  1,107,590  
日本金属工業  1,035,430  
JFEスチール     764,330  
合   計  6,776,720  

・2007年12月4日 東京瓦斯、大阪瓦斯が発注するガス導管工事の入札参加業者に対する課徴金納付命令

  課徴金
東京瓦斯
高圧ガス導管
大阪瓦斯
中圧ガス導管
合計
住友金属パイプエンジ  252,000千円   20,010千円  272,010千円
新日本製鉄  156,870   89,530  246,400
JFEエンジニアリング   ー  182,830  182,830
住友金属工業   ー   37,640   37,640
合計  408,870  330,010  738,880

・2008年6月4日 鋼管杭及び鋼矢板の製造販売業者に対する排除措置命令及び課徴金納付命令

  排除措置 課徴金
特定
鋼管杭
特定
鋼矢板
特定
鋼管杭
特定
鋼矢板
合計
JFEスチール  ○  ○   710.100千円   426.680千円  1,136,780千円
新日本製鉄  ー  ー   345,540   334,830   680,370
クボタ  ○ 対象外   212,910  対象外   212,910
住友金属工業  ー  ー    ー    ー    ー
合計      1,268,550   761,510  2,030,060

改正独禁法は2006年1月から施行となった。
溶融亜鉛めっき鋼板については、その直後の同年4月ごろ、4社は小口顧客向けの亜鉛めっき鋼板を約10%値上げすることを決め、7月出荷分から実施している。

2008年11月12日付けの日本経済新聞は社説で、「目に余るカルテル、鉄鋼業界は猛省を」とし、上記の過去の例も挙げ、次のように述べている。 

違法行為に対する処分を強化した改正独禁法の施行後のカルテルであり、悪質極まりない。
消費者やユーザー企業の負担を重くし、日本の国際競争力をそいでいる事実に罪の意識はないのだろうか。カルテル・談合を早くやめるよう鉄鋼業界に猛省を求めたい。

改正法の精神を全く理解しない違反で刑事告発は当然である。

鉄鋼業界の独禁法違反は目に余る。
昔からのカルテル・談合体質を変えられないとしたら、事態は深刻である。


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中国国務院は8月26日、風力発電装置などの新産業分野での過剰能力について懸念を表し、過剰能力や不必要なプロジェクトなどの問題について行政指導を進めることを決めた。

過剰設備は鉄鋼やセメント産業で以前から問題となっているが、最近は風力発電やポリシリコンのような新産業でも不必要なプロジェクトが出てきた。

政府の4兆元の景気刺激策で新エネルギーや環境産業が重点投資分野に指定され、全国各地で投資が増えた。

特に、鉄鋼、セメント、板ガラス、石炭化学、ポリシリコン、風力発電分野で指導を強化する。

行政指導には、新規進出に対する厳密なコントロール、環境監査の強化、土地利用の制限などが含まれ、金融機関はその産業分野についての産業政策に従って融資するよう命じられた。

関係政府機関はこれら分野の能力の監視を強化し、操業度や需要、政府のポリシーのような情報を共同で発表する。

 

工業情報化部(Ministry of Industry and Information TechnologyMIIT) は813日、鉄鋼業において新規拡張計画の承認を3年間認めないと発表した。着工済の約58百万トン分の計画は続行する。

鉄鋼業は最も過剰能力の目立つ業界で、需要が470百万トンと推定されるのに対し、能力は660百万トンとなっている。

合わせて企業の統合により旧式の設備の廃棄を進める。
河北省の鉄鋼は
23年かけて現在の120百万トンから80百万トンにする。

MIITでは鉄鋼業の統合のガイドラインを作成している。

MIITはまた、セメント産業での過剰能力を減らすため、規制案を作成したと報じられた。
昨年ではセメント生産能力の2/3しか稼動していない。

またMIITでは化学や鉄鋼などの主要セクターでの省エネ、排出削減のガイドラインを出す予定。

 


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KingBoard Chemical Holdings (建滔化工集団)は1998年に香港で設立されたラミネートを製造する会社で、中国各地に工場をつくるとともに、ラミネート原料(メタノール→ホルマリン、エポキシ、その他)に遡及してきた。

メタノールについては、中国海洋石油との合弁会社 CNOOC-KBChemical (CNOOC が60%、KingBoard が40%)を設立して、 2006年9月から海南島の東方市で 60万トン/年の天然ガスベースのメタノールを生産したのを初めとして、単独で重慶ケミカルパーク(45万トン)、河北省Xingtai 市、その他で生産している。

2008/1/11  重慶ケミカルパークのメタノール事業

KingBoard Chemical は8月20日、湖南省衡陽市で第4次計画の建設開始の式典を行った。

第4次計画全体は投資額40億人民元で、イオン交換膜法ソーダ 30万トン、PVC 20万トン、エピクロルヒドリン 5万トン、ソーダ灰 30万トン、カーバイド 30万トンなどから成るが、このうち、イオン交換膜法ソーダ 10万トン、エピクロルヒドリン 5万トンの建設を開始した。

衡陽 KingBoard Chemical は、2003年にKingBoard Chemical が衡陽苛性ソーダ工場を買収して設立し、その後、増設を繰り返している。(単位:トン)

  苛性ソーダ 過酸化水素 PVC エピクロル
ヒドリン
ソーダ灰 カーバイド
第1次 2003年
 衡陽苛性ソーダ工場買収 
  30,000          
第2次 2005年   60,000   80,000        
第3次 2007年  100,000    120,000      
広東省広州(Panyu)の
ホルマリン工場から移設
    65,000        
(現状) ( 190,000) ( 145,000) ( 120,000)      
第4次-1  100,000       50,000    
    -2  200,000     200,000    300,000  300,000
(完成後 合計) ( 490,000) ( 145,000) ( 320,000) ( 50,000) ( 300,000) ( 300,000)

ーーー

同社のホームページによると、中国での活動は以下の通り。

  立地 製品
Kingboard (Hengyang) Chlor-Alkali Co., Ltd
Kingboard (Hengyang) Industrial Co., Ltd.
Hengyan, Hunan Caustic SodaHydrogen PeroxidePVC
Kingboard ( Hengyan ) Chemical Co., Ltd Hengyan, Hunan Caustic Soda Flakes, Liqudified Chlorine, Sodium Hydroxide, Chlorinated Wax, Hydrogen Peroxide
Hebei Chung Shun Chemical Co., Ltd Xingtai, Hebei ethanoic acid
Kingboard (Hebei) Cokechem Co., Ltd.
Kingboard (Hebei) Chemical Co., Ltd.
Xingtai, Hebei Coke, Coke Oil, Benzene, Ammonium Sulphate, Methanol
Shanxi Kingboard Wanxinda Chemical Ltd Linfen, Shanxi Methanol
HuiZhou ChungShun Chemical Co., Ltd Huizhou, Guangdong Phenol/acetoneBPA
Kingboard Natural Gas Chemical (Chong Qing) Limited Chongqing Methanol
CNOOC Kingboard Chemical Limited Dongfang, Hainan Methanol (JV with CNOOC)
Kingboard (Shaoguan) Chemical Co., Ltd. Shaoguan, Guangdong Formalin
Kingboard (ChangZhou) Chemical Co., Ltd ChangZhou, Jiangsu Formalin
Kingboard (Taicang) Chemical Co., Ltd. Taicang, Jiangsu Formaldehyde, Methanol
Kingboard (Fogang) Chemical Co., Ltd Qingyuan, Guangdong Formalin
Kingboard ( Panyu ) Chemical Co., Ltd. Panyu, Guangdong Formaldehyde, Hydrogen Peroxide
Kingboard (Fogang) Special Resin Co., Ltd Qingyuan, Guangdong Polyvinyl Butyral (PVB) Resin
Kingboard (Jiangsu) Chemical Co.,Ltd Jiangyin, Jiangsu Epoxy Resin
Kingboard (Panyu Nansha) Petrochemical Company Limited Guangzhou, Guangdong Epoxy Resin, Formaldehyde, Tetrabromobisphenol,
Hydrogen Peroxide
Kingboard ( Gaomi ) Chemical Co., Ltd. Gaomi, Shandong Hydrogen Peroxide


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藍星集団と同社のフランスの子会社Adisseo Groupは8月19日、メチオニン工場を南京市に建設する契約を締結した。
能力は年産7万トンで、2012年下半期に稼動の予定。

同社は2008年1月にメチオニン計画を発表しているが、その時点では立地は天津市を予定しており、第1期 7万トン、第2期 7万トンで合計14万トンの計画となっていた。
<p>HTML clipboard</p>今回の発表にはないが、恐らく第二期計画も考えていると思われる。

藍星集団では、「豊富な原料供給を満たせることが、両社が南京をメチオニン中国工場の建設地に選んだ理由だ。また、南京は恵まれた立地条件を備えており、川上・川下産業のサプライチェーン配置の合理化に有利で、同時に製品をアジア太平洋地域に輸送することにも便利な土地だ」と述べた。

藍星集団は2006年1月にCVC Capital Partners から動物用栄養製品メーカーのAdisseoを買収した。 AdisseoはCVCがAventis (現在はSanofi Aventis)の動物栄養製品部門を2002年に購入して設立した会社で、メチオニン、ビタミン、飼料用酵素を製造販売しており、年間売上高は5億ユーロ。メチオニンは年20万トンを生産し、世界シェアは29%。

同社は本年6月にフランスとスペインの工場でメチオニンを合計25千トン増強することを明らかにしている。 

ーーー

中国は世界第2位の飼料生産国として、メチオニンの需要は大きく、現在の需要は12万トン程度とされる。

しかし、中国のメチオニンの生産能力は低い。

石家荘海天精細化工、山東天一化学、Degussa Rexim(Nanning) Pharmaceutical などが生産しているが、いずれも少量の生産で、Degussaの場合で年産 350トンに過ぎない。

Degussa Rexim(Nanning)2001年にDegussaNanning Only-Time Pharmaceutical JVNanning Only-Time Rexim Pharmaceutical として設立されたが、2005年にDegussa 100%子会社となり、改称した。広西チワン族自治区南寧市にあり、アミノ酸の生産がメイン。

このため輸入に大きく依存しており、2008年の輸入数量は90,705トンとなっている。

山東天易科技、本渓化工集団精細化工など多数企業が新しいメチオニン進出の意向を示している。

ーーー

住友化学によると、世界的な人口の増加、発展途上国や新興国の経済成長による食肉文化の広がり、健康を意識した鶏肉志向の高まり、家畜排泄物の管理や規制といった環境問題への対応、中長期的な飼料用穀物の不足や高騰に対する懸念など、さまざまな理由から、メチオニンの需要はここ数年拡大を続けており、現在全世界で約700千トンといわれる市場は、今後も年率5%程度で増加していくものと見込まれる。

住友化学は6月8日、メチオニンの増強を発表した。
旺盛な需要に対応するため、愛媛工場に1系列40千トンを新たに増強し、生産能力を合計で約140千トンとする。
増強設備は2010 年第1四半期に操業を開始する予定。

住友化学は、メチオニンのグローバルサプライヤーとして、今後の需要の拡大に対応すべく、今回の愛媛工場の増強に続き、現在、中国における生産を含め、さらなる増強を検討している。


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経済産業省は825日、エチレン系・プロピレン系誘導品及び芳香族製品等の石油化学製品についての、西暦2013年までの世界の需給(需要、生産能力、生産量)の動向をとりまとめ、発表した。(例年よりかなり遅れている)

概要は、以下のとおり。
1.金融危機の影響
世界の金融危機の影響や、原油価格の乱高下など、過去に類を見ない混乱に見舞われる中、各地域とも需要の落ち込みが見られるが、2009年後半以降は、世界経済の回復と相まって需要も回復の見込み。

2.アジア(中国)における需要の伸び
その中でも、アジアでの需要は、2009年(予想値)から2013年までに、年平均でエチレン系誘導品では5.7%(エチレン換算1,037万トン)、プロピレン系誘導品では5.4%の伸び。とりわけ中国では、エチレン系誘導品7.4%(エチレン換算686万トン)、プロピレン系誘導品7.8%と、引き続き堅調に伸びると見込まれる。

3.中東等における供給能力の増強
他方、中東(2009年に、エチレン換算で726.1万トンの能力増強)、中国(2009年にエチレン換算で339.6万トンの能力増強)等を中心に、大幅な能力増強が予定されている。世界全体で見れば、計画通り運転開始に移行した場合、供給余力が生じるものと見込まれる。

世界のエチレン換算生産能力及び需要 (単位:千トン)

詳細データの発表後、地域別、製品別グラフを掲載します。

参考 2008/5/29  世界の石油化学製品の今後の需給動向

 


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8月24日の朝日新聞は「ドイツで見つかった原子番号112番の元素の存在が日本の研究などで再確認され、国際機関が公式に認めた」と報じた。

112番元素は、1996年にドイツ Darmstadt の重イオン研究所(Centre for Heavy Ion ResearchGSI)の加速器で初めて合成された。Sigurd Hofman 教授のチームは、荷電した亜鉛イオンビームを鉛原子に衝突させることで、これを生成した。

原子の核は重くなると壊れやすく、放射線を出しながら分裂などにより、より軽い原子核に変わってしまう。
このため天然にはほとんど存在せず、93番元素のネプツニウム(Np)以上の元素は原子核反応によって人工的に合成されている。

現在名前の付いている元素は1995年にドイツのGSIが見つけた111番の「Roentgenium」。

しかし、短時間しか存在できないことなどから再現実験が難しく、新元素としての認定に必要な再実験と検証が十分でなく、国際純正応用化学連合(IUPAC)はこれを仮に ununbi (ラテン語で112)と名づけた。

その後2007年に、理化学研究所の仁科加速器研究センターは、理研の重イオン線形加速器によって光速の10%にまで加速された原子番号30の亜鉛(Zn)原子核を原子番号82の鉛(Pb)の原子核に衝突させて、両原子核の完全融合反応によって合成された112番元素の観測に成功したと報告した。

これらを受けて認定機関であるIUPACが今年5月、公式に認めた文書を発行した。

IUPACではこの元素の命名権をGSIに与えた。研究チームは、ポーランドの天文学者で地動説を唱えたコペルニクスに因んだ「Copernicium」を提案している。意見募集などを経て、数カ月後にIUPACが最終決定する。

ーーー

理化学研究所は2004年9月28日、これまで確認されている元素より、さらに重い113番元素の発見に成功したと発表した。
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2004/040928_2/

中央研究所加速器基盤研究部が、世界最高のビーム強度を有する理研線形加速器を80日間連続稼働させて得られた実験結果によるもの。

113番元素は、2004年2月にロシアの研究所が、「115番新元素の原子核の初合成に成功し、その崩壊連鎖上の原子核として原子番号113の原子核も発見した」と発表した。
しかし、崩壊連鎖が既知の原子核まで到達していないため、現在はこれら115番、113番元素の命名権を獲得するに至っていない。

理研では、原子番号83のビスマスに、1秒間に2.5兆個の原子番号30の亜鉛ビームを80日間照射し続け、約100兆回の衝突を行わせ、原子番号113の原子を1原子合成し、確認することができた。
寿命は約0.0003秒で、次々にアルファ線を出し、さらに核分裂していった。

ーーー

日本では1908年に当時第一高等学校教授であった小川正孝が第43番元素を発見し、ニッポニウム Nipponium: Npと命名した。
しかし後にそれは43番元素ではなかったことが判明し、ニッポニウムは幻の元素となった。
これは原子番号75のRheniumであった。


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韓国初の宇宙ロケット「羅老(Naro)」が8月25日午後5時に打ち上げられた。

全羅南道高興郡外羅老島(ウェナロド)の羅老宇宙センターで打ち上げられた「羅老」は発射から約200秒後、第1段ロケットの分離に成功、第2段ロケットに点火、目標軌道に入った「羅老」は、5時9分に重さ100kgの科学技術衛星2号の分離に成功した。

当初は5時12分に衛星が軌道に乗ったと報じられたが、その後、教育科学技術部長官は記者会見で「羅老号が地球周回軌道への進入に失敗した。現在、韓国とロ共同調査委員会で詳しい原因を調べている」と語った。

付記
教育科学技術部は26日、ロケット先端部の衛星保護カバーの1つが分離しなかったためと発表した。結果として飛行速度が大幅に低下、衛星は墜落して大気圏で消滅したとみられる。

ーーー

羅老号は8月19日、発射に向けたカウントダウンが「7分56秒前」まで進みながら、ヘリウム貯蔵タンクの圧力を測定するソフトにトラブルが発生し、打ち上げが自動的に中止された。

「羅老」は第1段と第2段ロケットで構成され、全長33.5mで、 第1段ロケットは25.8m。
開発費用は5025億ウォン(4億ドル)。

韓国はこれで世界で10カ国目の「人工衛星打ち上げ国」となる筈であった。

順位打ち上げ年月日打上げ国衛星名称打上げロケット備考
1 1957104 ソビエト連邦 Sputnik-1 R-7 84kg
2 1958131 アメリカ合衆国 Explorer-1 Jupiter-C 13.7kg
3 19651126 フランス Aesterix-1 Diamant
4 1970211 日本 おおすみ L-4S 5号機 23.8kg
5 1970424 中国 東方紅 長征1
6 19711028 イギリス Prospero Black Arrow オーストラリアで
7 1980718 インド Rohini-1 Satellite Launch Vehicle (SLV)
8 1988919 イスラエル Ofek -1 Shavit 西向きに打上げ
9 200922 イラン Safir I Omid インド洋上に打上げ
(10) 2009年8月25日 韓国 科学技術衛星2号 羅老(KSVL-1)

しかし、羅老は完全な自前ロケットではない。

「羅老」開発事業は2002年8月に始まった。

韓国航空宇宙研究院は2004年10月にロシアのKhrunichev State Research and Production Space Center とロケットシステム協力契約を締結した。

当初は「第1段ロケットをロシアと共同開発している」と広報していたため、打ち上げが成功すれば、自前ロケットによる人工衛星打ち上げ国になるとされた。

しかし航空宇宙研究院によると、契約は「第2段固体ロケットとロシアの第1段ロケットを組み立てて全体のロケットを作るための発射体の共同開発」で、第1段ロケットについては韓国には技術移転されていない。

ーーー

朝鮮日報は8月23日の紙面で、「朝鮮はロケット先進国だった」という記事を載せている。

それによると、韓国はロシアよりもはるかに長いロケットの歴史を持っている。

韓国で初めて開発されたロケットは、高麗末期の1377年、崔武宣が作った「走火」で、このロケット兵器は、1448年に「神機箭」という兵器へと進化した。紙を巻いて作った「薬筒」に詰めた黒色火薬の力によって矢を放つ兵器である。

「小神機箭」「中神機箭」「大神機箭」「散火神機箭」の 4種類があった。
このうち、「散火神機箭」は、2段式ロケットの構造を有するもので、薬筒の上方に小型の爆弾「小発火」と、小型のロケットエンジンといえる「地火筒」を合わせたものを幾つも取り付けた。
第1段ロケットに当たる薬筒が燃え尽きた後、第2段ロケットに当たる地火筒に点火され、あちこちを飛び回った後、最後に「小発火」が爆発する仕組みという。

記録によると、1447年に平安道と咸吉道(後の咸鏡道)だけで約3万5000発の「走火」や神機箭が作られた。
当時、イタリアのレオナルド・ダビンチが火薬を用いた兵器の想像図を作成していたが、韓国ではすでにロケット兵器が実戦配備されていた。

ーーー

北朝鮮外務省の報道官は「わが国は4カ月前、人工衛星の打ち上げで、国連安保理から制裁を受けた。6カ国協議が尊重する自主権と平等権の原則が打ち壊された現在、ロケットの打ち上げを予定する韓国に対して、(6カ国協議での)平等の原則は今も存在するのだろうか」と発言、韓国の宇宙ロケット打ち上げが、国連安保理などの制裁の対象にならないことへのいら立ちを示した。


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2008年2月、アブダビ首長国で世界最初のカーボンニュートラルで廃棄物ゼロのMasdar City の起工式が行われた。

2009/3/18 アブダビのMasdar Initiative

Masdar BASF819日、Masdar City建設での戦略的パートナーシップ契約を結んだと発表した。

BASFは建設資材やシステム開発の「優先供給者」として指名された。Masdar City完成後はBASFはここに事務所を開設する。

Masdar Cityのエネルギー需要削減のため、BASFは省エネ建設のための幅広い解決策を提供する。

BASFはエネルギーや資源を節約し、同時に温室効果ガスを削減する多くの製品を上市している。

・建物の断熱のための発泡ボードに使われるポリスチレン、ポリウレタン

・相変化物質 Micronal PCMSmartBoard

ワックス(パラフィン)を特殊ポリマーでカプセルに閉じこめた白色微粉体(直径約5μ)を折り込んだ石膏ボード。

物質を加熱、冷却することで、分子・原子の配置が移動し、構造が変化する現象を「相変化」という。
温度が上るとワックスは溶けて(液化して)熱を吸収し、温度が低下すると、ワックスは固まり(固化して)、熱を放出する。
この媒体の量などの加減で、用途とする製品の希望する温度設定が可能。
BASFでは、
10,000サイクルの繰り返し実験により、蓄熱効果は30年以上保つ事を確認している。

このため、エアコンの代替となり、電力とメンテ費用の節約となる。

・屋根のコーティングの黒顔料

太陽赤外線をほとんど吸収せず、ヒートアップ防止となる。

・特殊コンクリート混和剤

CO2排出を60%以上下げる。



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デュポンは8月20日、120百万ドルを投じて、太陽電池バックシート材料のTedlar(R) ポリフッ化ビニル樹脂フィルム(PVF)の製造用のモノマーとレジンの能力を50%以上増強すると発表した。

モノマーは Louisville, Ky工場で、レジンはFayetteville, N.C工場で、それぞれ増設する。2010年央にスタートする。モノマー増設が45百万ドル、レジン増設が55百万ドルで、残り20百万ドルの用途は明らかにされていない。

デュポンでは太陽光発電の市場は今後数年にわたり急速に発展し、Tedlar(R) や他の材料の需要を押し上げるとみている。
同社では既に Tedlar® PV2100
シリーズのフィルムの能力拡大を行っており、Tedlar® PV2000 シリーズのフィルムの能力拡大の準備を行っている。これらにより、太陽光発電用の Tedlarフィルムの能力は倍増する。
同社では
2012年には太陽光産業向けの製品売り上げは10億ドルを超えると期待している。

デュポンTedlarフィルムは、太陽電池バックシート材料として25年以上の歴史を持ち、抜群の耐候性、耐紫外線性、防湿性能から、業界標準として広く認識されている。これは太陽電池モジュールの寿命を延ばすことを可能にした。
また、耐久性、耐候性に優れていることから、航空宇宙、建築・建設およびグラフィックアートといった分野での重要な用途にも使用されている。

同社ではこの投資は、クリーンで再生可能なエネルギーに対する需要増大に対応するものとしている。

DuPont は813、今後、4つの新しいトレンドに革新エンジンを集中すると発表したが、その一つが「化石燃料依存度の減少」で、これに対応して「持続可能性、および世界中の人々にクリーンで再生可能なエネルギーをもたらす製品を提供する」というのが同社の公約となっている。

 4つの新しいトレンド
 ・食糧需要増大への対応

 ・人間と環境の保護
 ・
化石燃料依存度の減少
 ・新興成長市場への投資

同社の太陽光発電材料はほかに以下がある。

・ Evaflex(R) :エチレンー酢酸ビニル共重合樹脂
        太陽電池封止材として、人工衛星から住宅用まで幅広い分野で四半世紀以上の実績がある

・ Kapton(R):超耐熱・超耐寒性ポリイミドフィルム
         この使用で、従来にはないフレキシブル性、軽量性、加工性に富んだ太陽電池基板を提供

・ SentryGlas(R):ガラス-ガラスタイプの太陽電池モジュール用封止材(アイオノプラスト樹脂)

・ Solamet(TM):太陽電池の前面または背面電極用(銀ペースト、銀アルミペースト、アルミニウムペーストなど)

・ Butacite(R) :ガラス-ガラスタイプの太陽電池モジュール用封止材(ポリビニルブチラール樹脂)

・ Rynite(R):自動車用電装部品、外装品など/剛性、高温特性に優れている

ーーー

デュポンは71日、米エネルギー省と共同で産業用および家庭用太陽電池に関する研究プログラムを立ち上げることを発表した。デュポンが600万ドル、DOEが300万ドルを出資する。

共同研究では、CIGS太陽電池(シリコンを使わない次世代の太陽電池)向け超薄型保護フィルムの早期実用化を目指している。開発する超薄型保護フィルムは、人間の毛髪の3000分の1の薄さで、湿気による発電効率の低下を防ぐなどの特徴がある。

ーーー

同社はまた、2010年までに使用する電力の少なくとも10%を再生可能エネルギーにするとしている。


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原油価格アップ

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8月21日のニューヨーク原油先物市場でWTI原油(10月限)は一時1バレル74.72ドルまで上昇し、終値も73.89ドルで年初来高値を更新した。これは昨年10月20日の74.25ドル以来の高値である。

株式市場の上昇が原油市場を押し上げている。

 

ナフサ価格も上昇している。東京市場のオープンスペックナフサ価格は8月20日に660ドル/トンを記録した。(21日終値は642ドル)

これも昨年10月初め以来の高値となった。

660ドル/トンは43,000円/kl 程度となる。(2ヵ月後入着)

5月の輸入平均価格は30,783円/kl、6月は33,544円/klであった。

 


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住友金属鉱山は8月19日、世界有数のニッケル資源国フィリピンの最大規模のニッケル鉱山会社 Nickel Asia の株式16.5%を約39 百万米ドルで取得したと発表した。

付記
2009年12月、追加出資を決定し、同社株式の8.5%を、約22百万米ドルにて取得、出資比率は25.0%となった。

付記
 
Nickel Asia は2011年10月3日、タガニート・マイニング・コープが武装勢力に襲撃されたため、生産と出荷を停止していると発表した。共産ゲリラの新人民軍(NPA)がタガニートをはじめ鉱山3カ所を襲撃、設備や施設に火をつけたという。

NPAの幹部は報道陣に対し、NPAによる襲撃だったと認め、「環境破壊を続ける日本人への懲罰だ」と語った。
住友金属鉱山の関連会社を襲撃目標としていると明言し、「住友のトップの日本人との交渉」を求めるとした。

ニッケル鉱山開発が森林を伐採するなどして環境を破壊し、住民や農民の権利を侵害していると主張。「今年4月、住友の出資する関連会社に「我々と話し合わずに、プラント建設を進めるべきではない」との手紙を送ったが、ろくな返事がなかった。だから攻撃した」と述べた。

Nickel Asia は2006 年2月に、Zamora グループ傘下のニッケル鉱山会社の資本を統合して設立された。
子会社を通じ、
Rio TubaTaganitoCagdianaoTaganaanSouth Dinagat などのニッケル鉱山を持っている。

住友金属鉱山は子会社のCoral Bay Nickel で、Rio Tuba 鉱山の低品位ニッケル酸化鉱を原料として「HPAL法」(High Pressure Acid Leach:高圧硫酸硫酸浸出法)を用いたニッケル製錬を行っており、更に Taganito鉱山でもHPAL計画のFS中である。

同社は将来にわたる重要な戦略的パートナーとしてのNickel Asia との関係を一層強化するために、資本参加を決定した。

ニッケルはレアメタルの一つとして国家備蓄の対象となっている。

HPAL法(High Pressure Acid Leach:高圧硫酸浸出法)は、これまで回収が難しいとされてきた低品位酸化鉱石からニッケル・コバルトを回収する画期的な方法。

それまでニッケル製錬は比較的品位の高い鉱石を原料としており、ニッケル分1.5%以下のラテライト鉱は原料に適さないとされてきた。
多くの場合このラテライト鉱の下に高品位の鉱石が存在するため、ラテライト鉱を掘り起こす必要があり、Rio Tuba (Palawan島)でも約20年間にわたり積み立てられたままになっていた。

住友金属鉱山のCoral Bay Nickel では2005年4月から、Rio Tuba鉱の貯蔵低品位鉱石(Ni=1.26%)を原料としてHPAL法(高圧硫酸浸出法)によりニッケル・コバルト混合硫化物 (Ni=52.7%,Co=3.9%)を生産し、新居浜製錬所で電気ニッケル、コバルトを生産している。

第一期プラントではニッケル量で約10,000トン/年、コバルト量で約700トン/年のニッケル・コバルト混合硫化物 を生産しているが、第2工場完成後はニッケル量で22,000トン/年となる。

HPAL法では大量の硫酸を消費するため、住友金属鉱山東予工場(愛媛県西条市)の銅生産能力増強に伴い生産される硫酸の安定的なユーザーでもある。

ーーー

住友金属鉱山とTaganito Mining は2007年3月、ミンダナオ島北東部タガニート地区での「HPAL法」製錬プロジェクトの共同FS契約に調印した。

同鉱山の低品位ニッケル酸化鉱を原料としてニッケル・コバルト混合硫化物からニッケル量で年産3万トンを生産するもので、操業開始は2012年、操業期間は約30年間を見込んでいる。

付記

住友金属鉱山、三井物産、Nickel Asia(NAC)は、住友が推進しているタガニート・ニッケルプロジェクト(総事業費13 億ドル)に三井とNAC が参画することで合意し、2010年9月15日に株主間契約を締結した。

住友の100%子会社Taganito HPAL Nickel Corp.が実施する第三者割当増資を引受け、引受後の出資比率を住友62.5%、NAC22.5%、三井15.0%とする。

ニッケル製錬の中間品であるニッケル・コバルト混合硫化物(Nickel/Cobalt Mixed Sulfide ニッケル品位約57%)を年間3万トン(ニッケル量換算)生産するもの。

住友金属鉱山は"非鉄メジャークラス入り"を戦略的な目標としている。
(2006年中期経営計画  
http://www.smm.co.jp/ir/management/keikaku/pdf/070220setsumeikai.pdf

1.ニッケル10万トン体制の構築
2.東予工場 銅精錬45万トン体制の確立
3.鉱源確保 自山鉱比率の向上
4.Pogo金鉱山フル生産体制へ

ニッケルでは2005年の同社の能力は56千トンで世界7位だが、上記の計画や新居浜ニッケル工場拡張などにより、2013年に10万トンとし、5位を目指す。

現在、1位はロシアのNorilsk Nickel(25万トン弱)、2位はカナダのInco(ブラジルのCVRDが買収)、3位は豪州のBHP Billiton、4位はカナダのFalconbridge(スイスの Xstrata が買収)、5位が中国の金川ニッケル集団(Jinchuan)、6がフランスのEramet となっている。

2006年6月に米国の産銅会社Phelps DodgeがカナダのIncoFalconbridgeの買収を発表した。
買収額は約400億ドルで、3社合併後の新会社Phelps Dodge Incoは ニッケル生産世界一、銅生産世界2位、モリブデン生産も世界2位となる巨大企業となる筈であった。

しかし、CVRD(リオドセ)がInco、XstrataFalconbridge の買収に乗り出し、Phelps Dodge自身がFreeport-McMoRan Copper & Gold に買収された。

Pogo金鉱山は住友金属鉱山の海外での初の主導的な開発プロジェクトで、1991年に探鉱を開始、1997年にTech Resources と提携し、探鉱及び企業化調査を進めた。
Techは本年4月にこの権益をJVパートナーの住友金属鉱山へ2億4500万米ドルで
売却した。  

1)位置:米国アラスカ州フェアバンクスの南東約145キロ
2)権益比率:住友金属鉱山アメリカ社(住友金属鉱山100%子会社) 51%→85%
        Teck Resources 40%→ 0
        SC Minerals America(住友商事100%子会社) 9%→15%
3)埋蔵金量:109t(2008年末鉱量計算結果)
4)年間生産金量:11~12t/年
5)開発投資額:約378百万ドル(出資比率で負担)

2009/7/14 中国政府系ファンドCIC、カナダの資源大手に出資


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江蘇省塩城市の塩都区人民法院(裁判所)は8月14日、塩城市で2月20日に起きた水質汚染事件で、塩城市標新化工有限公司の董事長の胡文標被告に有害物質投棄罪(投放毒害性物質罪)で懲役10年、工場長兼現場主任の丁月生被告に対し懲役6年を言い渡した。
胡被告はその他の罪と合わせて懲役11年の実刑判決となった。

一審後、胡文標の顧問弁護士は塩城市中級法院に上訴を提出した。

中国ではこれまでこういった類の汚染事件に対し、重大環境事故汚染罪として容疑者に刑事責任を追及していた。
今回初めて
、より重い有害物質投棄罪が適用されたが、中国が深刻な環境汚染事件を打撃するべく力を入れ始めたといえる。

有害物質投棄罪:
故意に有毒害性・放射性・伝染病病原体等物質を投棄し、公共の安全に危害を加える行為。
厳重な結果を引き起こさずとも、3年以上10年以下の懲役刑を課すことができ、重傷・死亡或は公私の財産に重大に損失を与えたときは、10年以上の懲役刑・無期懲役又は死刑を課す。

裁判所は、故意に汚水を排出した意図は明らかで、有毒性物質投棄罪の構成要件に符合するとした。

この事件は「塩城 2・20特大水汚染事件」と呼ばれる。

2007年11月末から2009年2月16日にかけ、塩城市標新化工有限公司が環境保護部門から排水を禁止されている企業であり、かつクロロフェノキシを生産する過程で出てくるカリウム塩廃水に有毒有害物質(フェノール化合物)が含まれると知りながら、大量のカリウム塩廃水を五支河に垂れ流した。
その汚水が塩城市の水源となる河に流れ込み、2カ所の浄水場が汚染され、今年2月20日、水源の汚染によって同市の20万人以上の住民宅で66時間40分にわたって断水となり、大きな損失がもたらされた。

同工場は地元当局に「廃水処理はきちんとしている」と嘘の報告をしていた。

同市政府は汚染問題を受け、7人の政府関係者に対し降格処分などを実施、2月分の家庭用水道料金を無料にした。工場は閉鎖された。


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世界貿易機関(WTO)の紛争処理上級委員会は18日、日本の提訴に基づきWTO協定違反と認定された米国の反ダンピング(不当廉売)税率の計算方法(ゼロイング)について、日本の主張を認めた小委員会(第1審)の判断を支持し、米国がWTOの是正勧告に従っていないと認定した。http://www.wto.org/english/tratop_e/dispu_e/322abrw_e.pdf

日本の「勝訴」が確定し、米国は計算方法の見直しが義務付けられる。

日本が問題視していたのは、米国が1999年から使っている「ゼロイング」という手法で、日本からの高値での輸出を無視し、安値での輸出だけを抽出して計算し、輸出全体をダンピングと認定する。

日本から米国に輸出するベアリングで不当な高関税をかけられており、日本は280億円の損害が出ているとみている。

例 正常価格 100、輸出価格がAが80(ダンピングマージン 20)、Bが125(同 -25)、Cが150(同 -50)の場合(いずれも同数量とする)

通常の計算 〔(20)+(-25)+(-50)〕/(80+125+150) = -15.5% → ダンピングなし
  ↓
ゼロイング  〔20+0+0〕/(80+125+150) = 5.6% → ダンピングあり

日本は2004年11月、米国のゼロイング方式自体とその実際の適用がWTO協定(アンチ・ダンピング協定等)に違反するとして、WTOに申し立てた。ダンピングは産品全体で判断すべきであり、「マイナス」の価格差を無視することはこれに反するとの立場から、定期見直し等におけるゼロイングもWTO協定違反であると主張した。

2007年1月にWTO上級委員会が日本の主張を認める報告書を発出しWTO協定違反が確定した

しかし、米国による是正勧告の履行が不十分であったことから、日本の要請に基づき2008年4月に履行確認パネルが設置された。
本年4月に日本の主張を全面的に認めるパネル報告書が発出され、これに対し、同5月米国が上級委員会に上訴していた。

今回の認定ではベアリングの損害を取り戻すことはできないが、米国が今後も是正しない場合は同規模の対抗措置を実施できる。

外務省は18日、外務大臣談話を発表した。

1.  本18日、ジュネーブにおいて、WTO協定違反が既に確定している米国のアンチ・ダンピング手続におけるゼロイングの問題に関する米国の履行状況について、WTO上級委員会が我が国の主張を認める報告書を発出したことを歓迎します。

2. 今回の上級委員会報告書は、本年4月に示された履行確認パネルの判断を踏襲し、米国がWTOの是正勧告を履行しておらず、また履行のために採られた措置はWTO協定に違反していることを認定しました。同報告書は、不当なアンチ・ダンピング税賦課による貿易の制限は容認されないことを明確にするもので あり、ルールに基づく自由貿易体制の維持・発展に寄与するものとして高く評価します。

米通商代表部(USTR)報道官は「非常に失望した」とし、今後の対応を議会と協議する方針を示した。

 


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中国鋼鉄工業協会China Iron and Steel AssociationCISA) 817日、豪州第三位のFortescue Metals Groupとの間で、712月の鉄鉱石価格について、前年比35.02%のダウンで合意したと発表した。

Fortescue Metals は下期に2000wet トンを供給する。

本年5月にRio Tinto と新日鉄の間で33%のダウンで合意、日本と韓国のメーカーはこれを呑んだが、中国鋼鉄工業協会4045%のダウンを要求、まだ決まっていない。
この間、
Rio Tinto 社員が逮捕され、中国側は鉄鉱石を本来よりも高く購入することにより、中国鉄鋼メーカーの被害額は7000億元(1000億米ドル)にのぼると指摘している。(根拠は明らかにしていない)

今回決まった価格とRioの価格は以下の通り。

価格 (単位:cent/dry metric ton unit
  Rio Tinto - 日本・韓国   FMG-中国
2008 2009 2008   2008 2009 2008
粉状鉱  144.66   97.00  -33%    144.66   94.00  -35.02%
塊状鉱  201.69  112.00  -44%    201.69  100.00  -50.42%

2009/5/27 2009年度鉄鉱石価格

Fortescue Metals Group には本年2月に中国鉄鋼大手の湖南華菱鋼鉄集団(Hunan Valin Iron and Steel )が16.48%を出資、その後5月に17.4%の株主となっている。(豪州内での反対運動を恐れ、契約には湖南華菱の出資が17.5%を超えないこととしている)。

2009/3/4 中国鉄鋼大手、豪鉄鉱石大手フォーテスキューに16%出資

中国側はRio Tinto 社員逮捕でRio Tinto を揺さぶるとともに、Fortescue Metals Rio Tinto よりも安い価格を出させ、Rio TintoBHP Billiton、ブラジルのVale との交渉に当たる。

 


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中国の検察当局は、7月5日から拘束していた Rio Tinto社員4人を8月11日に産業スパイ(刑法219条違反)と贈賄(163条違反:政府当局者以外への贈賄)の容疑で正式に逮捕した。
中国の法律では拘束は37日までとなっており、丁度37日で逮捕した。逮捕後の捜査期間は2ヶ月内だが最大5ヶ月まで可能。

2009/7/23  Rio Tinto 事件のその後

注 中国刑法では産業スパイは15から7年の
   国家機密の場合は死刑

京華時報によると、4名は国家機密窃取の疑いで拘束されたが、罪名は、「国家機密窃取」から「商業機密侵犯」に「降格」した。
弁護士の推測では、捜査担当者は今回の事件が関わった機密内容と主体を考慮した結果、商業機密侵犯容疑が比較的妥当であると判断した模様。

また北京市公安当局に拘留された首鋼国際貿易工程公司の幹部は商業機密の提供、国家業務人員収賄の容疑で既に逮捕されている。

詳細は不明だが、本件の問題点は、「産業スパイ」と「贈賄」の内容である。

Rio Tinto が得た情報には、鉄鋼メーカーの生産量や鉄鉱石消費量などが含まれているとされるが、これらの情報収集が産業スパイと認定されるのであろうか。

また、中国では食事やカラオケに誘ったり、贈り物をするのは一般的と言われている。これが贈賄となったのだろうか。
(Rio Tinto の場合、下記の例とは異なり、多額の賄賂を支払う必要性はないように思われる。)

場合によっては中国でのビジネスのやり方を見直す必要があるかも分からない。

Rio Tinto では、同社としては従業員が中国での事業活動で適切に倫理的に行動していると信じている、としている。

ーーー

これを受け、8月13日付の新華社通信と人民網日本語版は多国籍企業の中国での贈賄事件を分析している。

これまでも多くの有名企業が中国で収賄事件を起こし、欧米の司法当局に摘発されている。

米国には1977年に制定された海外不正行為防止法(Foreign Corrupt Practices Act:FCPA)があり、米国上場企業が商取引を獲得もしくは維持する目的で、金銭その他の経済的利益を外国公務員に提供することを禁止している。

ドイツの総合電機大手 Siemensが事業受注をめぐる世界各地での汚職事件に絡み、米国で8億ドル、欧州当局に8.6億ドルの制裁金を支払った。このうち、中国では次の件が問題となった。

シーメンス交通システム
2002年から2007年に亘り、香港に所在するコンサルティング会社等に2200万米ドルを支払い、これらを通じて中国当局の幹部に賄賂を贈り、総額10億米ドルにのぼる地下鉄の列車と信号設備のプロジェクトを受注。
シーメンス中国輸変電集団(Siemens PTD
2002年から2003年に亘り、2500万米ドルをドバイに所在するコンサルティング会社等に支払い、これを通じて中国当局幹部に賄賂を贈り、華南地区の総額8.38億米ドルに上る電力高圧送電線プロジェクトを受注。
シーメンス医療集団
2003年から2007年に亘り、1440万米ドルの賄賂を5つの中国国有病院に贈り、また関連の医療機構の医療関係者に豪華な旅行などを提供し2.95億米ドルの医療設備を受注。

フランスのAlcatel-Lucent の子会社 Lucent Technologies 200712月に米証券取引委員会が訴えたFCPA違反を認めた。

2000年から2003年の間に、10百万ドルを使って、中国の当局者や国営通信企業の従業員約1000名をHawaiiLas VegasGrand CanyonNiagara FallsDisney WorldUniversal StudiosNew York City などに招待した。工場見学を名目にしているが、同社はアウトソーシングしているため工場はなく、実態は観光旅行であり、賄賂と認定された。

証券取引委員会の発表では、最近では米最大のラベルメーカーであるAvery Dennison が、中国の地方官僚に賄賂、観光旅行、ギフトを贈ったとして20万ドルの罰金を課された。

今回のRio Tinto事件に関して、米証券取引委員会はFCPA違反で調査を始めている。

付記

世界中の電力、石油ガス、製紙工場などにバルブを供給する Control Components Inc. (CCI)7月31日、Foreign Corrupt Practices Act (FCPA) 等の有罪を認めた。

1998から2007まで、事業確保のため、中国、韓国、マレーシア、UAEなど、世界中の国営企業、私企業の担当者に不正な支払いをしてきた。

中国の華潤電力持株有限公司、大唐電力、定州電力、中国海洋石油総公司(CNOOC)、中国東方電気集団、PetroChina、中国石油物資装備公司、江蘇原子力発電、国華電力、韓国の韓国水力原子力、マレーシアのPetronasUAEのNational Petroleum Construction の名前が挙がっている。

ーーー

海外の大企業が賄賂に手を染めるのは、中国市場が広大で豊かであるために、上記Siemens の例のように、賄賂で支払う金額の数十倍もの見返りを得ることができるからだ。

グローバル企業が賄賂を通じてリターンを得ているケースとして、
・政府との契約
・大プロジェクトの獲得
・土地資源の低価獲得
・問題が発生した時に管理や処罰を逃れる
・政府の審査・認可の速度を速める
ーーなどが挙げられる。

外資企業の腐敗事件は多岐に及ぶが、礼金の支払いや女性のあっせんなど直接的な従来型のやり方ではなく、「商務視察」「海外実習」を名目した海外旅行への招待(上記 Lucent の例)や子女の留学援助など、間接的で聞こえのいいやり方を取るようになっている。

米国のある電信設備会社の従業員によると、米国のFCPAの規制を逃れるため、低価格で製品を取次業者に販売し、この業者が賄賂を行うという方法を取っている。
(しかし、賄賂に使われると知りながら支払われたものはFCPA違反が認定されている)


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ASEANとインドは813日、バンコクで経済閣僚会議を開き、自由貿易協定(FTA)に署名した。
約17億人の人口を抱える巨大な「自由貿易圏」が誕生する。

ASEANとインドとのFTA交渉は2004年にスタートしたが、インド側が1,414もの除外品目を要求し、交渉が長引いていた。

協定の発効は2010年1月。約5,000の貿易品目のうち、71%の品目について2013年までに関税を撤廃、 9%を2016年までに撤廃する。
16年までに関税を撤廃するのはテレビやプラスチック製品、ゴム製品、宝石・貴金属類など。

カーエアコンなどの自動車部品やセメント、オートバイなどの "Sensitive goods" 約350品目は16年までに関税を5%に引き下げる。
紅茶、コーヒー、ペッパー、天然ゴムもこれに含まれており、農民は関税引き下げがASEANからの輸入につながると懸念している。

インドが産業保護を主張した自動車、エビや魚、熱延鋼板など489品目("Very sensitive goods")は関税撤廃の対象から外した。
うち農業関連が302、繊維が81、機械・自動車関連が52、化学製品が32となっている。

ラオスやカンボジアなど後発加盟4カ国には5年間の猶予がもうけられた。

ASEAN・インド間の2008年の貿易額は474億ドルだが、ASEANでは、協定発効の効果で2016年に600億ドルに拡大すると見込んでいる。

日本企業にとっても、ASEAN地域で組み立てた家電製品などをインドに輸出するだけでなく、自動車部品などはASEAN・インドの双方の拠点で融通する体制を敷くことが可能になる。

ーーー

ASEAN と各国のFTA締結状況は以下の通り。

日本:2008年12月1日、包括的経済連携(AJCEP)協定発効
     2007/11/29 
日本とASEANの包括的経済連携協定の交渉妥結

中国:2005年7月1日、FTA発効
    2007年サービス分野発効、2008年投資分野合意

韓国:2007年6月1日、FTA発効
    2009年サービス分野発効、投資分野合意
 

豪州・ニュージーランド:2009年2月27日、ASEAN・豪州・ニュージーランド自由貿易協定(AANZFTA)に調印

ーーー

なお、インドと韓国は8月7日、包括的経済連携協定(CEPA)に正式署名し、発効後8年以内に、輸入額の8割前後の品目で互いに関税を撤廃する。

2009/8/8 韓国とインド、包括的経済連携協定を締結

 


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国際水泳連盟(FINA)理事会は7月28日、来年1月1日から導入する競泳水着の新規定案を固めた。
北京五輪後から「高速化」が進む水着の開発競争に歯止めをかけるのが目的。

素材は織物素材に限定し、透水性がないラバー製やポリウレタン製の水着は禁止する。
織物の厚さは現行の1ミリ以下から0.8ミリ以下とする。

水着が体を覆う範囲も男子選手は腰からひざまで、女子選手は肩からひざまでと従来より狭める。
体を覆う面積が多いほど、より体が浮くとされ、好記録にもつながっていた。

ーーー

英国のSpeedo 社のLZR RACER の着用選手が世界新記録を相次ぎ樹立していた。

これに対し、大阪の山本化学工業が
ネオプレン・ラバーに特殊表面加工を施したバイオラバースイムの採用を呼びかけて話題になった。

2008/5/17 競泳用水着の闘い

2008/6/11 競泳用水着の闘い ミズノの誤算

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山本化学工業は8月10日、国際水泳連盟が水着の素材を織物に限定したのに対応し、ゴム素材を一切使用しない競泳水着用の織物素材「バイオラバースイム-TX」を10月に発売すると発表した。

従来の織物系水着素材の主流が撥水素材であるのに対し、「バイオラバースイム-TX」はこれまでのゴム系バイオラバースイム素材同様に「親水素材」で、水着の表面の摩擦抵抗係数はゴム系のバイオラバースイムに限りなく近い数値となっている。

従来のバイオラバースイムはS.C.S(スーパーコンポジットスキン)素材を使用している。

S.C.S独立気泡のネオプレン・ラバーに特殊表面加工(表面に水分子を集めるミクロ単位のくぼみをつくった半球状の構造を採用)を施したもので、ラバー表面のミセル構造が、空気中では水をはじき、水中では水になじんで流水抵抗を限りなくゼロに近付ける。表面抵抗値は従来スキンの1/10以下、水中では1/100の超低抵抗になる。

今回は織物生地の表面に直径数十マイクロメートルの微細な凹凸を設ける。

又、ルール改訂で水着の身体に対する面積が非常に小さくなり、水着のみの改良では今年の世界新記録等を更新することが非常に困難となるため、同社では今後、もっと科学的な水着及びスイムキャップの開発を行う。

新提案

1 . バイオラバースイム-TXの裏側にチタン合金層を施して、水泳中にスイマーの筋肉から放熱される熱を最小限に抑制し、筋肉の硬直化を防止する。これにより、手・足を動かすエネルギーロスを軽減するとともに、筋肉内の乳酸値を低減する。
2 スイムキャップについては、ラバー素材の使用は認められている為、バイオラバースイムマークⅢを使用することで、表面摩擦抵抗係数を0.021に抑制し、水の抵抗をこれまであるどのスイムキャップよりも低減する。
キャップ内側には、チタン合金層を施すことで水中での頭からの大幅な放熱を防止する。
これにより、体全体の体温の低下を抑制し筋肉の硬直を防止する。
3 . スーパーバイオラバースイム素材を近い将来スイムキャップに使用することで、頭部及び全身の血流速度を高め、人体が帯びるマイナスの静電気量を増加させ、頭から手・足への動きを指令する電気刺激を高め、筋肉内にあるエントロピーの動きを活発にさせ人体の潛在能力を極限まで高める。

 


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シノペックとクウェートの石油精製・石油化学計画が多方面からの環境問題での反対を受け、移転することが決まった。

2009/8/4  広州のシノペックとクウェートの石油精製・石油化学計画 移転

シノペックは810日、移転先を湛江(Zhanjiang)市 東海島(Donghai Island)に決めたと発表した。
投資額は90億ドルで、1500万トンの製油所、100万トンのエチレンコンプレックスを建設する。

今週から新サイトでのFSと環境アセスメントを行い、数か月内に承認を得て、2013年完成を予定している。

シノペック側は、1250万トンの製油所(1200万トン増設の認可取得済)と100万トンのエチレンを持つ茂名市への移転を希望したが、省政府が湛江市を求めた模様。

湛江経済技術開発区は広東省の4大国家級経済開発区である。
国務院が1984年に、沿海都市14市に設立を決めた初めての国家級の経済技術開発区の一つとなった。

2006年に同開発区の拡張が決まった。現在の開発区の対岸にある東海島に新たに10平方キロメートルを開発するもので、天然の良港という地理的条件を生かし、臨海重化学工業区にする。

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なお、2008年6月に PetrochinaShellQatar Petroleum International (QPI)の3社は中国での石油精製・石油化学コンプレックス建設の予備検討開始の覚書を締結した。PetroChina 51%Shell QPI がそれぞれ24.5%出資となっている。

同年10月、浙江省台州市当局は、3社が台州市での建設を検討していると発表した。

Shell China は8月7日、質問に対して、立地はまだ決まっていないと述べた。現在FSの実施中としている。

中国誌は、PetroChinaがNDRCに計画を提出したが、まだ返事がないとしている。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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ダウは7月30日に第2四半期決算を発表した。

同社は本年4月1日にRohm and Haas を買収した。
比較のため、同社ではPro Forma として2008年1月に買収していたと想定した対比表を作成している。

特別損失を除外したEBITDA(税引前利益+支払利息+減価償却費)は、当期にはR&Hの実績が入るため、前期を上回るのは当然だが(前年同期ではそれでも下回る)、双方にR&H業績を加味した Pro Forma でも前期を大きく上回っている。

多額のリストラ損失とR&H買収に伴う一時的費用のため、純損益では赤字となった。

説明会でCEOのAndrew Liveris は以下の通り述べている。

第2四半期はダウ史上で、最高とは言わないまでも、もっとも active な四半期のひとつであった。

ダウは第2四半期に、年初に設定した戦略的ゴールの多くで著しい前進をおこなった。
・四半期で営業利益を計上
・リストラによるコストダウンと
Rohm and Haas とのシナジーを進め、双方で予定を上回った。
・増資と新借入金で永久優先株を償還
・92億ドルのつなぎ融資を50億ドル縮小
・資産売却

実績は以下の通り。

  09/2Q 09/1Q 前期比   08/2Q 前年
同期比
売上高 11,322 9,041 2,281   16,349 -5,027
EBITDA        596        649        -53        1,708    -1,112
 うち特別損失      -957  -96       -861             0      -957
 特別損失除外      1,553  745  808    1,708  -155
             
継続事業純損益 -435 24 -459   776 -1,211
中止事業純損益 103 11 92   5 98
純損益合計 -332 35 -367   781 -1,113
             
Pro Forma(当初からR&H を買収していたと想定)  
売上高 11,322 10,810 512   18,913 -7,591
EBITDA 596 766 -170   2,081 -1,485
 うち特別損失 -957 -180 -777   -1 -956
 特別損失除外 1,553 946 607   2,082 -529

 

セグメント別売上高(単位:100万ドル)
(以下は、全てPro Formaで、'08/2Q、'09/1QもRohm and Haas 合併ベース。)

  09/2Q 09/1Q 前期比   08/2Q 前年
同期比
Electronic & Specialty Materials 1,164 971 193   1,583 -419
Coatings & Infrastructure 1,242 1,038 204   1,780 -538
Health & Agriculture Sciences 1,204 1,461 -257   1,368 -164
Performance Systems 1,458 1,281 177   2,356 -898
Performance Products 2,085 2,014 71   3,562 -1,477
Basic Plastics 2,371 2,029 342   4,114 -1,743
Basic Chemicals 586 585 1   1,254 -668
Hydrocarbons and Energy 910 988 -78   2,618 -1,708
Corpotate 302 443 -141   278 24
全社 11,322 10,810 512   18,913 -7,591

セグメント別EBITDA(単位:100万ドル)
  (各セグメントは特別損失を除いたもの)

  09/2Q 09/1Q 前期比   08/2Q 前年
同期比
Electronic & Specialty Materials 301 122 179   411 -110
Coatings & Infrastructure 278 122 156   228 50
Health & Agriculture Sciences 125 363 -238   356 -231
Performance Systems 242 103 139   212 30
Performance Products 307 147 160   327 -20
Basic Plastics 406 122 284   589 -183
Basic Chemicals -32 -5 -27   108 -140
Hydrocarbons and Energy 0 0 0   0 0
Corpotate -74 -28 -46   -149 75
全社〔特別損益を除く〕 1,553 946 607   2,082 -529
特別損失 -957 -180 -777   -1 -956
全社 596 766 -170   2,081 -1,485

*Hydrocarbons and Energy は各部門へのコストベースでの原燃料供給のため、損益ゼロ

実際にはR&Hは09/2Qから合併されたが、Pro Formaでは09/1Qも合併ベースとなっている。
このため、これからダウの実績を控除すると、R&Hの買収による効果は次の通りとなり、非常に大きい。

  09/1Q
Pro Forma
09/1Q
Dow
実績
差引
R&H貢献
Electronic & Specialty Materials 122 79 43
Coatings & Infrastructure 122 21 101
Health & Agriculture Sciences 363 359 4
Performance Systems 103 102 1
Performance Products 147 219 -72
Basic Plastics 122 122 0
Basic Chemicals -5 -5 0
Hydrocarbons and Energy 0 0 0
Corpotate -28 -152 124
全社〔特別損失を除く〕 946 745 201
特別損失 -180 -96 -84
全社 766 649 117

特別損失の内訳は以下の通り。(単位:100万ドル)

  09/2Q 09/1Q 08/2Q
R&H 在庫の評価変更によるコストアップ -209    
リストラクチャー費用 -662 -19  
買収費用等 -86 -48  
Dow Corning のリストラ費用.   -29  
R&H での特別損失   -84 -1
       
合計 -957 -180 -1

 


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3月決算企業の第1四半期実績発表がほぼ終わった。

各社の営業損益対比は以下の通り。

前年同期比では各社、大幅減益で、当期が赤字の企業も多い。

このなかで営業損益が前期比でプラスとなったのはチッソだけである。

但し、
同社の売上高は前年同期比27.4%減、経常利益は同84.8%減で、水俣病補償損失等1,025 百万円を特別損失として計上した結果、当期純損失は682百万円となっている。

 


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各社とも前年第4四半期よりは好転しているが、赤字企業が多い。
石油化学、電子材料関係が悪い。

 

ダイセル化学工業

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   1,012     80     84     48
09/1Q    636     12     13     6
増減    -376    -68    -71    -41

  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前期比
増減
セルロース 18 -52 29 11
有機合成 38 -21 7 -31
合成樹脂 25 -4 -7 -32
火工品 17 -13 0 -17
その他 1 1 -0 -1
全社 -19 -17 -18 2
合計 80 -105 12 -68

セルロースが原燃料価格の低下や減価償却費負担の減少などにより増益に。

ーーー

協和発酵キリン

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   1,254    171    188     96
09/1Q    968    110    125     57
増減    -286    -60    -62    -39

  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前期比
増減
医薬 129 52 116 -13
バイオケミカル 30 9 13 -17
化学品 5 -36 -21 -26
食品 4 1      - -4
その他 3 0 2 -1
全社 1 1 1 0
合計 171 27 110 -60

2008/1Q から発足(それまでは協和発酵)
食品関連子会社はすべて持分法適用会社となり、連結対象はなくなった。

ーーー

DIC

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   2,578     88     71     53
09/1Q   1,712     21     3     2
増減    -866    -67    -68    -51

  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前期比
増減
グラフィックアーツ 61 68 10 -51
工業材料 26 -1 20 -6
機能製品 11 -4 8 -3
電子情報材料 11 -5 1 -10
その他 -4 0 -3 1
全社 -17 -14 -15 2
合計 88 44 21 -67

「グラフィックアーツ」は旧印刷材料、一部製品を「その他」から移した。
グラフィックアーツの前年比減益の大半は米州・欧州で発生。

ーーー

東レ

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q 3,874 132 125 44
09/1Q 2,787 -24 -76 -74
増減 -1,087 -156 -201 -118

  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前期比
増減
繊維 31 -23 -11 -42
プラスチック・ケミカル 35 -67 -9 -44
情報・通信機器 36 -30 15 -21
炭素繊維複合材料 33 -3 -8 -41
環境・エンジニアリング -7 29 -15 -7
ライフサイエンスその他 1 23 -3 -4
全社 3 -2 6 4
合計 132 -71 -24 -156

ーーー

三菱レイヨン

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q 913 23 (39) 35 12
09/1Q 622 -57 (-42) -63 -53
増減 -292 -80 (-82) -98 -65

( )は数理計算上の差異償却額を除く(グラフも)

  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前期比
増減
化成品・樹脂 26 -16 -6 -32
アクリル繊維・AN -7 -28 -6 1
炭素繊維・複合材料 16 -18 -28 -44
アセテート・機能膜 3 -2 -5 -8
全社 1 -0 2 2
合計 39 -64 -42 -82

ーーー

電気化学

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q    916     52     47     23
09/1Q    673  11     0     -1
増減   -243    -40    -47    -24

  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前期比
増減
有機系素材 16 -33 -11 -27
無機系素材 7 0 2 -6
電子材料 20 -6 6 -14
機能・加工製品 7 7 14 8
その他 2 1 1 -2
全社 0 -1 0 -0
合計 52 -32 11 -40

 

ーーー

クラレ

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   1,000   117   112    65
09/1Q    729    17    15    1
増減    -270   -99   -97   -64

  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前期比
増減
化成品・樹脂 128 32 52 -75
繊維 13 -16 -5 -19
機能材料・メディカル他 11 17 6 -5
全社 -35 -20 -35 0
合計 117 13 17 -99

 

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日本触媒

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q    832     37     51     33
09/1Q    552     23      28     13
増減   -280    -14     -23    -21

  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前期比
増減
基礎化学品 23 -42 10 -13
機能性化学品 10 -28 18 8
環境・触媒 9 -1 -4 -13
全社 -5 1 -1 4
合計 37 -69 23 -14


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三菱レイヨンは4月27日、ルーサイト買収に関して全ての関係各国で独禁法当局の認可取得を完了したと発表した。

2009/4/25 中国商務部、条件付で三菱レイヨンのLucite International 買収を承認

三菱レイヨンは5月29日、全ての手続きが完了したと発表した。
  買収完了日 2009年5月28日
  買収費用総額 約16億米ドル(既存外部借入金の引受けを含む)
  同社保有のルーサイト株式数 9,556千株(発行済株式総数の100%)

買収によるルーサイトのノレン代と無形固定資産等は約460億円で、20年償却で年間償却費は約23億円となる。

三菱レイヨンは8月10日、SABICとの業務提携を発表した。同日付でLetter of Intent を締結した。

50%ずつの出資でJVを設立し、ルーサイトの新エチレン法によるMMAモノマー(25万トン)、三菱レイヨン技術によるPMMA(3万トン)を建設し、2013年の稼動開始を目指す。
SABIC発表では投資額は10億ドルとなっている。

両社は今後もその他事業における業務提携の可能性を協議する。

なお、SABICによるルーサイトへの出資については何も述べていない。

三菱レイヨンは8月7日、①「ルーサイトインターナショナル説明資料」と②「中期計画見直し説明資料」を発表した。

 http://www.mrc.co.jp/ir/pdf/info_090807_02.pdf

 http://www.mrc.co.jp/ir/pdf/info_090807_04.pdf

これによると、ルーサイトを含む同社のMMA関連能力は以下の通りとなる。(単位:千トン)
同社によると全世界の
MMAモノマーの能力は3,625千トンで、同社グループのシェアは 37%に達する。

1)MMAモノマー

三菱レイヨン Lucite
社名 立地 能力 製法    社名            立地 能力 製法
日本 三菱レイヨン 大竹 107 ACH
110 直酸法
タイ Thai MMA
(三菱レイヨン 45%)
Map-Tha-Phut 90 直酸法
(90)
韓国 大山MMA
(三菱レイヨン 50%)
大山 90 直酸法
中国 恵州恵菱化
(三菱レイヨン 100%)
広東省恵州市 90 直酸法 Lucite 上海 101 ACH
台湾 Kaohsiung Monomer
(Lucite/CPDC)
高雄 104 ACH
シンガポール Lucite 120 エチレン法
〔アジア合計〕  〔487 〔アジア合計〕   〔325
USA Beaumont,TX 156 ACH
Memphis, TN 177 ACH
英国 Cassel 211 ACH
〔欧米合計〕   〔544
合計 487 合計 869
総合計
1,356
計画 サウジアラビア Jubail 250 エチレン法

Lucite 上海: 中国政府の買収承認条件として、5年間第三者に50%販売義務

2)MMAポリマー

会社名 立地 成形材料 樹脂板 コーティング
材料
加工用
樹脂
日本 三菱レイヨン 大竹 20.2 16.2 非公開
富山 27.5 30.0
Lucite 茨城 7
韓国 大山MMA
(三菱レイヨン 50%)
麗水 40
中国 南通麗陽化学
(三菱レイヨン 80%)
南通 40
三菱麗陽高分子材料(南通)
三菱レイヨン100%)
20 4.2
タイ Diapolyacrylate
三菱レイヨン 82.7%)
Map-Tha-Phut 12
Diaglas
三菱レイヨン 48.6%)
Map-Tha-Phut (20)
MRC Resins (Thailand)
(三菱レイヨン 35%)
Bangkok 7.5
Lucite Map-Tha-Phut 23
インドネシア Diachem Resins Indonesia
(三菱レイヨン 40.5%)
ジャカルタ 5.4
米国 Dianal America 
 (三菱レイヨン
100%
8
Lucite Memphis, TN 21
Parkersburg, WV 12
英国 Lucite Darwen 33 8
Newton Aycliffe 8
フランス Lucite Clairvaux 2
オランダ Lucite Rozenburg 21
計画
サウジアラビア Jubail   (30) 

付記

三菱レイヨンは8月7日、第1四半期の実績を発表したが、その中でLucite買収の影響を報告している。

Lucite 買収額は同社の借入金の引受けを含み16億ドルで、三菱レイヨンは全額、三菱東京UFJ銀行による融資で賄った。
買収額と実価との差額は452億円で、20年の定額償却とする。

                                             単位:億円
  09/6月末 09/3月末 増減 うちLucite分 備考
流動資産     2,073     1,677     396 509  
有形固定資産 2,829 1,698 1,131 1,059  
投資有価証券 535 456 79 1  
その他固定資産 717 258 459 452 ノレンほか、20年定額償却
資産合計 (6,154) (4,089) (2,065) (2,021)  
           
流動負債等 1,377 949 428 385  
借入金 3,110 1,530 1,580 1,594 買収額(16億ドル)
 借入金引受含む
負債合計 (4,487) (2,479) (2,008) (1,979)  
           
株主資本 1,533 1,591 -58 0  
評価差額等 -35 -113 78 0  
少数株主持分 169 132 37 42 Ineosが 22%出資
純資産合計 (1,667) (1,610) (57) (42)  

 

Lucite の最近の損益状況は以下の通り。
三菱レイヨンの「化成品・樹脂」(MMA関連ほか)と同様、昨年度は損益が激減している。             

  単位 05/12 06/12 07/12 08/12
Sales 百万ポンド 780 822 849 885
EBITDA 百万ポンド 112 100 114 63
営業損益(特別損益除く) 百万ポンド 64 49 67 20
 同上  億円 130 114 150 27
  (レート) (円/ポンド) (203) (233) (224) (133)
 
三菱レイヨン     07/3 08/3 09/3
 化成品・樹脂 営業損益
 (数理計算差異 除外ケース)
億円   295 236 44

 


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8月10日の日本経済新聞はトップ記事で三菱ケミカルホールディングスが三菱レイヨンを買収する方針を固め、TOBにより完全子会社化する方向で調整していると伝えた。
実現すると売上高(2009/3月期合計)は3兆2540億円となる。

付記

三菱ケミカルホールディングスの小林善光社長は8月21日の記者懇談会で、三菱レイヨン買収で同社と協議を進めていることを正式に認めた。
具体的には「現段階では何も決まっていない」としながらも、買収金額が2500億円強、時期は2010年3月末になる見通しを明らかにした。

7月18日の日本経済新聞の「トップに聞く企業戦略」で三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長は以下の通り述べている。
「(外資の傘下入りは)あり得ない選択肢だ。時価総額をみると、米ダウ・ケミカルなど海外勢との差は依然大きい。それでも日本を代表する総合化学会社として、海外勢と渡り合うという従来の考え方を曲げるつもりはない」


両社の歴史は以下の通りで、一時は合併していた。

  三菱樹脂 田辺三菱製薬 三菱化成 三菱油化   三菱レイヨン 旭硝子
1907           設立
1933         設立(新興人絹)  
1934     日本タール工業設立
(三菱鉱業/旭硝子折半出資)
    日本タールを設立
1936      日本化成工業と改称      
1942     新興人絹と合併   日本化成工業と合併  
1944     旭硝子と合併、
 三菱化成工業に
    日本化成工業と合併
1950     企業再建整備計画で分離
 日本化成工業と改称
  分離
 新光レイヨン
分離     
 旭硝子
1952      三菱化成工業と改称    三菱レイヨンと改称  
1956       設立    
1988      三菱化成と改称      
1994     合併 三菱化学と改称    
1999   医薬分社化
東京田辺と合併
 三菱東京製薬
     
2001   ウェルファーマと合併
 三菱ウェルファーマ
     
2005   株式移転により、共同持株会社、
三菱ケミカルホールディングスを設立
   
2007   田辺製薬と合併
 田辺三菱製薬
     
2008 三菱樹脂
三菱化学MKV
三菱化学
 ポリエステルフィルム
三菱化学産資
が合併、
 三菱樹脂
       
2009       Lucite を買収  
 
現状 三菱樹脂 田辺三菱製薬 三菱化学 三菱ケミカルが
買収?
 
             三菱ケミカルホールディングス

三菱レイヨンの主要製品と業績は以下の通り。

営業損益対比(億円)
  08/3 09/3 増減   上期 下期
化成品・樹脂  236   44  -192     52   -9
アクリル繊維・AN   10  -91  -101    -29  -62
炭素繊維・複合材料  113   19   -95     25   -6
アセテート・機能膜   36   10   -26     10  0
全社   0   1    1     1  0
合計  396  -17  -413    60  -77
 
化成品・樹脂事業 化成品(MMAモノマーほか)、成形材料、板、コーティング材料、機能性コポリマー、UV硬化塗料、樹脂改質用コポリマー、アクリル系フィルム、液晶用プリズムシート、プラスチック光ファイバー、プラスチックロッドレンズ
アクリル繊維・AN及び誘導品事業 アクリル繊維、アクリロニトリル及び誘導品
炭素繊維・複合材料事業 炭素繊維、複合材料加工品、航空機材
アセテート、機能膜事業その他 アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、浄水器、中空糸膜フィルター、人工炭酸泉製造装置、水処理機器システム、プラントエンジニアリング、建築関連材料

三菱化学と三菱レイヨンは2001年7月に両社のAN、アクリルアマイド、ポリアクリルアミド及び関連事業を統合し、50/50JVのダイヤニトリックスを設立した。(2006年4月に三菱レイヨン 65%/三菱化学 35%となり、三菱レイヨンの連結子会社となった)


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日本の石油会社はほとんどが在庫評価で総平均法を採用している。

このため、昨年上期や本年上期のように原油価格が上昇している場合は、前期末の安い在庫が反映されるため、大きな在庫評価益が出る。

逆に原油価格が下落する場合は、前期末の高い在庫が反映され、大きな在庫評価損となる。
新日本石油の2009年3月決算では、年間の在庫評価損が4,470億円にもなり、経常損益は前年比で 5,511
億円の減益となった。
(在庫評価分を除くと、
638億円の増益)

2009/5/9  注目会社 2009年3月決算-2 

化学会社では住友化学と三井化学が後入先出法を採用している。

しかし、後入先出法は海外では採用されていない。
日本で2010年3月期から任意の適用が開始され、2015年か2016年には強制適用の可能性が言われているIFRS(国際財務報告基準)では後入先出法は認められていない。

このため、BPShellは決算報告で別途、前期末在庫の影響を除いた損益(当期のコストによる損益)を報告している。
  
BP: Replacement cost profits
 Shell: CCS (Current cost of supplies)

  2009/2/4 
BPの損益

日本の企業会計基準委員会は2008年9月26日、後入先出法は2010年4月1日以後開始する事業年度から廃止すると発表した。
(改正企業会計基準第9号『棚卸資産の評価に関する会計基準』)

出光興産はこれまで後入先出法を採用していたが、本年度より(1年繰り上げ)総平均法に切り替えた。

第1四半期では各社とも在庫評価の影響が大きい。
これを除くと、石油製品はマージン悪化により減益となっており、石油開発も(コスモ石油を除き)減益となっている。

ーーー

新日本石油         単位:億円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   20,372   1,016   1,013    587
09/1Q   12,443    516    535    285
増減   -7,929    -501    -478   -302
 
経常損益
  08/1Q 09/1Q 増減
一般 在庫影響 合計 一般 在庫影響 合計 一般 在庫影響 合計
石油製品 -44 926 882 -222 563 341 -178 -363 -541
石油化学製品 -52   -52 52   52 104   104
石油・天然ガス開発 181   181 95   95 -86   -86
建設・その他 2   2 47   47 45   45
合計 87 926 1,013 -28 563 535 -115 -363 -478

1)棚卸資産の評価方法は総平均法

2)石油製品の損益差:マージン悪化
-312億円、自家使用燃料費ダウン 207億円ほか
  
石油化学製品の損益差:マージン向上 90億円ほか

ーーー

コスモ石油
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q    9,155    448    381    229
09/1Q    5,485    104    137    57
増減   -3,669   -344   -245   -172
 
経常損益
  08/1Q 09/1Q 増減
一般 在庫影響 合計 一般 在庫影響 合計 一般 在庫影響 合計
石油事業 -14 361 347 -139 237 98 -125 -124 -249
(うち石油化学)     (16)     (4)     (-12)
石油開発 52   52 63   63 11   11
その他 -18   -18 -27  3 -24 -9  3 -6
合計 20 361 381 -103 240 137 -123 -121 -244

1)棚卸資産の評価方法は総平均法

2)石油事業の在庫評価分を除く損益差 -125億円内訳
   マージン悪化 
-79、数量減 -114、自家消費燃料費ダウン +80、ほか

ーーー

出光興産
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   10,420     81     93   -29
09/1Q    6,741     47     -8   -32
増減   -3,679    -34   -101    -3
 
営業損益
  08/1Q 09/1Q 増減
一般 在庫影響 合計 一般 在庫影響 合計 一般 在庫影響 合計
石油製品 -157 46 -111 -143 114 -29 14 68 82
石油化学製品 16 9 25 3 26 29 -13 17 4
石油開発 158   158 20   20 -138   -138
石炭・その他 9   9 27   27 18   18
合計 26 55 81 -93 140 47 -119 85 -34

1)従来の棚卸資産の評価方法は後入先出法であったが、今期より総平均法に変更した。
  評価方法変更の影響は
80億円(益)。

2)石油開発の損益差が大きい。
   うち、原油価格要因他
-129億円、為替要因 +16億円、会計基準変更影響 -25億円

 

 


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韓国とインドは8月7日、包括的経済連携協定(CEPA:Comprehensive Economic Partnership Agreement)に正式署名した。
発効後8年以内に、輸入額の8割前後の品目で互いに関税を撤廃する。

インドと同様の交渉を進める日本に先駆けての締結になった。

インドは国内手続きを終えており、韓国国会の承認を経て来年1月の協定発効をめざす。

現在、韓国がインドに輸出している5227品目のうち85%にあたる4459品目の関税が今後廃止または削減される。
対印輸出品目1位の自動車部品は、現行の12.5%から1~5%に引き下げる。これにより、インドでシェア2位の現代自動車の市場競争力はさらに向上するとみられる。
韓国産の冷蔵庫、カラー テレビは8年内に50%削減される。

インドから韓国への輸入は品目数ベースで93%、輸入額ベースで90%の関税が即刻または段階的に撤廃あるいは削減される。
ナフサ、鉄鉱石など原資材は関税が廃止される。

農水産品については、コメ、牛肉、冷凍太刀魚、冷凍ワタリガニなど一部敏感な品目は今回の交渉対象から除外し、CEPA発効後も現行の関税率が維持される。 

また、コンピューター専門家・英語補助教師・エンジニア・経営コンサルタントなど163の専門職種における人材移動を相互開放することで合意した。
インドで学士の学位を取得し、専門分野で一定期間の経験を積んだインドの人材が韓国企業に就職すれば、就労ビザ取得への門戸が開かれる。
コンピューター専門家や英語補助教師などインドが競争力を持つIT人材の韓国への進出が拡大する可能性がある。
インドは商品市場では競争力が劣るため、FTA交渉開始当初から人材市場の開放を強く要求していた。

ーーー

韓国外交通商部は他のBRICs諸国との自由貿易協定について、以下の通り述べている。
・中国は産学官共同研究の大詰めの段階に来ている。
・ブラジルは南米共同市場4カ国(
Mercosurブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ)と共同研究に取り組んでいるため、少し時間がかかっている。
・ロシアは、世界貿易機関(WTO)加入に向けた最後の段階に来ているため、その後に話し合う予定。

韓国は世界各国・地域との自由貿易協定(FTA)締結を積極的に推進中で、米国やEUともすでに合意している。
(いずれも未発効)

2007/4/4 米韓FTA妥結 

2009/7/14  韓国・EUFTA最終合意


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各社とも前年第4四半期よりは好転しているが、赤字企業が多い。
石油化学、電子材料関係が悪い。

 

JSR

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   1,014    140    158    87
09/1Q    677    -32    -25    -46
増減    -337   -172   -183   -133

  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前年
同期比
エラストマー 30 -6 -44 -74
エマルジョン 0 -3 -5 -5
合成樹脂 6 -9 -12 -18
多角化事業 103 -20 29 -74
合計 140 -39 -32 -172

ーーー

帝人

                 単位:億円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   2,366    86    66    27
09/1Q   1,660    -15    -44   -177
増減    -706   -101   -111   -205

  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前期比
増減
合成繊維 33 -69 -40 -73
流通・リテイル 7 6 2 -5
化成品 21 -51 -19 -40
医薬医療 59 65 65 6
IT・新事業 -3 28 1 4
全社 -30 -23 -24 6
合計 86 -44 -15 -101

帝人はポリエステル事業の構造改革を発表した。
長繊維事業については国内唯一の製造拠点の松山事業所での生産を中止し、短繊維事業では徳山事業所に生産を一元化する。

ーーー

なお、当期の特別損失に、異常操業損失 -53、事業構造改善費用 -32 などがあるが、このほか、金銭信託の追加拠出による損失 -72 がある。

帝人は1999年発行の10年物社債150億円を2005年11月にオフバランスした。(バランスシートから外し、簿外処理とする)

社債の元利払いを銀行に引き受けてもらう一方で、社債と同額を信託銀行に拠出して、その信託財産を金融商品などで運用することにより元利金を確保しようとした。

「取消不能で、かつ社債の元利金の支払に充てることを目的とした他益信託等を設定し、当該元利金が保全される高い信用格付けの金融資産(例えば、償還日がおおむね同一の国債又は優良格付けの公社債)を拠出すること」がオフバランスの要件となっている。

しかし、その運用資産が米国企業を中心に約100社を参照銘柄とするクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)に連動する証券化商品だったため、大きく目減りし、穴埋めが必要となったもの。

ーーー

宇部興産

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   1,770    109    103    65
09/1Q   1,201    -12    -34   -33
増減    -569   -121   -137   -98

  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前期比
増減
化成品・樹脂 34 -97 -42 -75
機能品・ファイン 25 -9 12 -13
建設資材 23 9 4 -19
機械・金属成形 7 11 -1 -8
エネルギー・環境 19 22 12 -7
その他 2 1 2 0
全社 -2 1 -1 1
合計 109 -62 -12 -121

ーーー

トクヤマ

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   787    75    75    44
09/1Q   613    22    16     7
増減  -174   -53   -60   -37

  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前期比
増減
化学品 7 -29 13 5
特殊品 78 39 25 -53
セメント建材他 1 -37 -6 -6
全社 -11 -15 -11 0
合計 75 -42 22 -53

ーーー

カネカ

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   1,245    53    62    40
09/1Q    992    43    43    27
増減    -252   -10   -18   -13

  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前期比
増減
化成品 14 -13 5 -9
機能性樹脂 16 -7 16 0
発泡樹脂製品 -3 5 8 12
食品 7 16 22 15
ライフサイエンス 15 5 10 -5
エレクトロニクス 9 -23 -10 -19
合成繊維他 11 -8 5 -6
全社 -16 -15 -14 2
合計 53 -39 43 -10

ーーー

三菱ガス化学

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   1,339    52    127    92
09/1Q    853   -21    -33    -24
増減    -486   -73   -160   -116

  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前期比
増減
天然ガス系 -9 -46 -35 -26
芳香族 16 -56 -8 -24
機能化学品 24 -4 9 -15
特殊機能材 22 -19 12 -11
その他 1 1 1 0
全社 -2 -0 0 2
合計 52 -125 -21 -73

ーーー

住友ベークライト

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q    598     31     39     14
09/1Q    361    -15    -13    -14
増減   -237    -46    -53    -28

  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前期比
増減
半導体・表示体材料 26 -16 4 -22
回路製品 -5 -15 -8 -4
高機能プラスチック 11 -14 -2 -13
Quality of life 10 -14 2 -9
その他 0 0 -0 -0
全社 -12 -14 -10 1
合計 31 -74 -15 -46

 


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本日の日本経済新聞はトップ記事で以下の通り報じている。

SABICとのMMAモノマーJVに三菱レイヨンが50%以上を出資
投資額は500億円以上
年産能力は20万~25万トン
三菱レイヨンが買収したルーサイトのエチレン法
2013年の稼動を目指す

SABICがルーサイトに10~20%出資

付記
三菱レイヨンの中期計画見直し(8月7日発表)では、モノマー 25万トン、成形材料 4万トンとなっている。

付記
三菱レイヨンは8月10日、SABICとの業務提携を発表した。同日付でLetter of Intent を締結した。

50%ずつの出資でJVを設立し、ルーサイトの新エチレン法によるMMAモノマー(25万トン)、三菱レイヨン技術によるPMMA(3万トン)を建設し、2013年の稼動開始を目指す。
SABIC発表では投資額は10億ドルとなっている。

両社は今後もその他事業における業務提携の可能性を協議する。

なお、SABICによるルーサイトへの出資については何も述べていない。

本プロジェクトはSaudi International Petrochemical Company (Sipchem) Jubailでの第三期として計画していたもの。

エチレン100万トンのコンプレックスで、このうち、MMA 25万トンはルーサイトから、ANM 20万トンはルーサイトの株主のIneosから技術を導入することとなっていた。
Sipchemは一時、Ineos に出資を打診している。

その後、同社は2008年6月にエチレン、PE、PP計画を取り止めた。

本年5月9日、サウジのSABICSipchem は、それぞれの新計画の実施に当たり、互いに既存の余剰能力を出して協力する覚書に締結した。

当初Sipchemが第三期計画で計画していた誘導品のうち、ポリ酢酸ビニルとエチレン酢ビ以外はSABICが実施する。
MMA計画はSABICに移った。ANMについては旭化成がSABICとJVの交渉をしていると伝えられている。

SABICSipchemに割り当てられた原料エタンをSABIC子会社でエチレンにして供給する。
SipchemSABICMMA生産用の一酸化炭素を供給する。
(ルーサイト法ではエチレン、メタノール、一酸化炭素を原料とする。)

2009/5/11  サウジのSABICSipchem、新プロジェクトで相互協力の覚書

SABICのルーサイトへの出資は全く新しい情報である。


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BASFは8月3日、蔚山のSKコンプレックスにある年産32万トンのSMプラントと土地をSK Energy に売却すると発表した。売却金額などは明らかにされていない。

このプラントはアジア市場の供給過剰のため昨年10月から休止していた。
従業員34名のほとんどは早期退職を受け入れており、プラントを稼動させるのかどうかは不明。

BASFは蔚山にPS(25万トン)、EPS(8万トン)、ABS(25万トン)のプラントを持つが、原料SMは外部購入する。

BASFのSMプラント2001年にSK グループのSK Evertec (現在のSKC)から購入したもの。
SKCは同コンプレックスにSM/PO(384千トン/180千トン)併産設備を持っている。

BASF本社のスチレン系部門のトップは、「スチレン系の採算向上のためリストラを進めており、設備廃棄を含め、全てのオプションを考える」とし、スチレン系事業の売却も諦めていないとしている。

BASFは6月30日にLudwigshafen 本社工場のPSの1系列 80千トンを停止し、欧州のPS能力を540千トンとした。
需要減少によるもので、4月から休止していた。

Ludwigshafen でのPS生産は断熱材生産用とし、需要家向けの出荷はAntwerp 工場から行う。

ーーー

BASF20077月、スチレン事業一部の「戦略的な選択肢」を検討していることを発表した。

同社は20078の第2四半期の業績発表の席上、 スチレン事業の一部の売却に関して、買い手候補のある1社と極めて建設的な交渉を行っていることを明らかにした。(成立せず)

売却対象はコモディティのSMPSABSSBS(スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体)であった。

2008/8/20 BASF、スチレン系事業の売却準備 進める 

20091月付けで売却対象事業を子会社(複数)に分離した。

これまで対象外としていたスチレンコポリマー事業を分離対象に加えた。

ーーー

BASFは本年4月にスイスの特殊化学薬品メーカー Ciba を買収した。

買収によりスペシャリティケミカル分野を拡大し、主導的地位を高めるとしている。

2008/9/19  BASFがCiba買収へ

ーーー

SKグループは2007年7月に持ち株会社体制に移行した。

石油化学関係は以下の体制となった。(能力は現状、千トン)

SK Energy   エチレン 730、ベンゼン 393、パラキシレン 650、オルソキシレン 200
HDPE 190LLDPE 160PP 340
  100%子会社
 
SK Petrochemical
 
PTA 520
DMT 80
       
SKC   SM 394/PO 275PPG 90PG 75
       

SKCの歴史は以下の通り。

1980/12.   SK(旧 鮮京)が大韓石油公社を買収(民営化)
1982/7   大韓石油公社をYukong(油公)と改称
1987/9   Yukong ARCO Chemical 設立
1991/1   PO/SM 稼動
1992/10   ARCO 離脱
1997/3   SM260千トン)稼動SM合計 560千トンに
1997/10   SK Oxichemical と改称
2000/1   SK Evertec と改称
2001/7   SMプラントをBASFに売却
  
BASF Korea は蔚山PS230千トン)、ABS200千トン)プラントを保有
2001/12   SKCと改称

 


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2009年第1四半期の決算発表が始まった。

各社とも前年第4四半期よりは好転しているが、赤字企業が多い。
石油化学、電子材料関係が悪い。

住友化学、三井化学、三菱ケミカルホールディングス、旭化成、東ソーは連結当期損益は各社とも赤字となった。
営業損益は住友化学のみが辛うじて黒字となった。

信越化学も、黒字ではあるが、大幅な減益となった。

合わせて、昭和電工(12月決算)の上期決算も示した。

ーーー

住友化学

                  単位:億円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   4,963    247    253    151
09/1Q   3,408    23    32    -15
増減  -1,556   -224   -221   -166

  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前年
同期比
基礎化学 16 -77 -28 -44
石油化学 -7 -198 -56 -49
精密化学 13 -20 -1 -14
情報電子化学 72 -187 -31 -104
農業化学 58 90 58 0
医薬品 110 34 98 -12
その他 -15 -47 -20 -5
全社 -0 2 4 4
合計 247 -402 23 -224

 

ーーー

三井化学

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   4,539    207    250    152
09/1Q   2,606   -135   -140   -164
増減  -1,934   -342   -391   -317

  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前年
同期比
機能材料 56 -258 -67 -123
先端化学品 38 22 8 -30
基礎化学品 124 -327 -70 -194
その他 2 -0 2 -0
全社 -13 -12 -8 5
合計 207 -575 -135 -342

 

ーーー

三菱ケミカルホールディングス

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   7,638    346    390    131
09/1Q   5,497   -106   -172   -168
増減  -2,141   -452   -562   -299

当期のポリマーズの赤字が目立つ。
(在庫評価の影響がケミカルズは08/4Qに、ケミカルズは09/1Qに大きい)

  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前年
同期比
エレクトロ 57 -67 -9 -66
デザインド 8 -46 -8 -16
ヘルスケア 266 93 252 -15
ケミカルズ 24 -326 -29 -53
ポリマーズ 10 -43 -281 -292
その他 14 3 3 -11
全社 -35 -35 -33 1
合計 346 -422 -106 -452

ーーー

旭化成

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   3,860    194    212    135
09/1Q   2,893     -3    -18    -17
増減    -966   -197   -230   -152

  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前期比
増減
ケミカルズ 91 -185 22 -69
ホームズ -37 111 -29 8
ファーマ 90 -10 31 -59
せんい 12 -18 -15 -27
エレクトロニクス 45 -51 -6 -51
建材 3 -2 0 -3
Service & Eng. 13 15 4 -9
全社 -23 -12 -10 13
合計 194 -151 -3 -197

2009/1Qに一部事業の組み替え等があり、若干の対比差異あり。

ファーマはライセンス収入源と輸出の円高効果による減益。 

ーーー

東ソー

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   1,933    35    50    30
09/1Q   1,340   -49   -48   -34
増減    -593   -84   -99   -64

  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前年
同期比
石油化学 15 -56 -8 -22
基礎原料 -10 -40 -21 -12
機能商品 22 -39 -23 -46
サービス 8 6 3 -4
合計 35 -130 -49 -84

ーーー

信越化学

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   3,408    758    790    514
09/1Q   1,901    206    216    149
増減  -1,507   -552   -574   -365


  08/1Q 08/4Q 09/1Q 前年
同期比
有機・無機化学品 275 126 111 -164
電子材料 411 12 70 -341
機能材料その他 75 25 27 -48
全社 -2 -1 -1 2
合計 758 162 206 -552

ーーー

昭和電工  6月中間決算

                  単位:億円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/   5,108    246    180    117
09/   2,867   -229   -343   -465
増減  -2,241   -475   -524   -583

  08/6中 09/6中 増減
石油化学 60 20 -40
化学品 37 -11 -48
電子・情報 75 -157 -232
無機材料 98 3 -95
アルミニウム他 7 -68 -75
全社 -31 -16 14
合計 246 -229 -475

 


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中国石油天然気集団(CNPC)はイラン国営石油(NIOC)との間で南アザデガン油田の開発に関する覚書を締結した。

油田の70%の権益を取得し、開発費用の90%を負担する。

ーーー

2004年2月、国際石油開発インペックス)はイラン国営石油との間でアザデガン油田の評価・開発に係わる契約に調印した。
インペックスとイラン国営石油子会社NICOが、それぞれ75%と25%の参加権益で、アザデガン油田の開発を行うこととなった。

その後、イランの核問題は解決のきざしが見えず、開発に着手出来ない状況が続いた。
インペックスはイラン側が約束した油田の地雷除去を終えていないことが遅れの主因と主張したが、イラン側は地雷除去は96%終わっており、作業に問題はないと反論し、同社に与えた開発権を取り消し、イラン政府が引き取るとし、早期着工を促した。

2006年、インペックスとイラン政府は、インペックスが保有する75%の開発権のうち65%分をイランの国営石油会社に譲渡し、インペックスの開発権は10%とすることで合意した。

イランの核開発に反対する米国に配慮する一方、懸念されていた全面撤退は当面避け、同油田からの原油輸入に道を残した。

2006/10/9 アザデガン油田の開発権引き下げでイランと合意 

2008/10/31  小説 「エネルギー」

ーーー

その後、NIOCの方針で北アザデガン油田と南アザデガン油田に分けられた。

2009年1月、CNPCは北アザデガン油田開発の契約を締結した。石油埋蔵量は60億バレルとされる。

投資予想額は17.6億米ドル。新しいBuy- back 方式によるもので、開発後は油田の操業はNIOCに渡され、CNPCは投資の回収のため一定期間、石油で支払いを受ける。

開発、回収期間は12年とされている。

今回はメインの南アザデガン油田の開発で、NICO90%、インペックスが10%の権益を持つが、CNPCNICO持分のうちの70%分を買収する。買収後の権益は、CNPC 70%NICO 20%、インペックス 10%となる。埋蔵量は332億バレル。

開発費用は25億ドルと予想され、このうち90%CNPCが負担する。

第一段階で日量15万バレル、第二段階で11万バレル、合計26万バレルの石油生産を予想している。


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シノペックとクウェートの石油精製・石油化学計画が多方面からの環境問題での反対を受け、移転することが決まった。

ーーー

シノペックとクウェート国営石油会社(KNPC)の石油精製プロジェクトが2006年にNDRCの承認を受けた。
シノペック広州石油化工がKNPCとのJVを設立し、
広州市南沙経済開発区で12百万トンの石油精製を行うもの。

その後、2007年12月に年産15百万トンの石油精製と100万トンのエチレン計画のFS実施が承認された。
投資額は90億ドルとされる。

2006/8/1 クウェートの中国進出 

本計画は現在環境アセスメントを実施中で、ほとんど完了し、環境保護部の承認待ちとなっている。
その後でNDRCからの最終承認を受ける必要がある。

なお、シノペック広州石油化工は同じ広州市の黄埔地区に石油精製・石油化学基地を持っており、石油精製能力を770万トンから1200万トンに増設した。

また、エチレンを既存の20万トンから80万トンに増設する計画の認可を取得していたが、南沙の100万トン計画で、増設計画を取り消した。南沙計画完成後は現在の20万トンエチレンを廃棄する。

-

しかしながら、南沙計画に対しては環境面から反対が相次いだ。

南沙区は人口密集の珠江デルタの中心にあり、香港から37km、港珠澳大橋(香港~珠海~マカオ)から40kmしか離れていない。
香港やマカオから強い反対が起こった。
漁業やエビ養殖の盛んな
南沙区の住民は、周辺の製油所による大気汚染と臭気に悩まされており、反対している。

広東省の議員も環境問題を理由に本計画の棚上げのロビー活動を行っていた。

ーーー

シノペックは移転先については明らかにしていないが、湛江市だろうと言われている。

 

2006年11月に台湾資本のDragon Group(騰龍グループ)が福建省厦門の海滄投資区で芳香族とPTAプラントの建設を計画したが、住民の反対運動を受け、移転をやむなくされた。

2007/6/11 中国のインターネット反対運動が石化計画を止める

 


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ダウは7月30日、子会社のUnion Carbide とマレーシア国営 Petronas のJVのOptimal グループ3社の持分をPetronas に売却することで合意したと発表した。売却額は660百万ドル。

ダウとPetronas は供給契約を締結、ダウは従来アジア太平洋地区に供給していた需要家に引き続きOptimal 製品を供給する。

ーーー

ダウ は昨年7月10日、 188億ドルでRohm and Haas (R&H)を買収する契約を締結したと発表した。

しかし、クウェートのPICとの合弁会社 K-Dow Petrochemicals 設立破談で予定した売却代金が入らなくなり、四苦八苦の末、つなぎ融資の条件変更、R&H買収条件の変更、減配等々により、Rohm & Haas の買収を完了することが出来た。

2009/4/3 ダウ、Rohm & Haas の買収を完了

しかし、R&H買収のための多額の借入金が残っており、借入金返済の対策が実現しなければ、ダウが最も恐れているジャンクボンドへの格下げが避けられない。

このため、同社はこれまでいろいろの手を打ってきた。今回の売却はその一環。

  • R&H子会社のMorton Salt 売却(17億ドル、2009年下期完了)
  • 塩化カルシウム事業のOccidental Petroleumへの売却(210百万ドル)
  • Total とのJVTotal Raffinaderij Nederland N.V. Total への売却(725百万ドル、2009年下期完了)
  • 60億ドルの新規長期ローン
  • 22.5億ドルの増資
  • 30億ドルの永久優先株の回収

 Total Raffinaderij Valero Energy 売却したが、合弁相手のTotal が先買権を行使して買収、
  それをロシアの
Lukoil ConocoPhillips20%所有)に売却した。Total 55%/ Lukoil 45%JVとなる。

ダウとしてはジャンクボンドへの格下げを避けるためには、戦略事業のDow AgroSciences についても完全売却、JV、上場などのオプションの検討をしている。

2009/5/8 ダウ、16億ドルの増資、Dow AgroSciences の売却も検討

ーーー

Optimal グループは3社から成り、Petronas Union Carbide (及び Sasol )のJVとして19987月に設立された。
2001年にダウがUnion Carbide を買収し、子会社とした。)

マレーシアのケルテ(Kertih)でエチレンコンプレックスを運営している。

      出資比率  製品
PETRONAS UCC Sasol
OPTIMAL Olefins (Malaysia) SDN. BHD. 64.25% 23.75% 12% エチレン 600千トン
OPTIMAL Glycols (Malaysia) SDN. BHD. 50% 50%   EO 380、EG 385千トン
OPTIMAL Chemicals (Malaysia) SDN. BHD. 50% 50%   ブタンジオールほか

同地にはもう一つのエチレンコンプレックス Ethylene Malaysia Sdn Bhd がある。
  
PETRONAS、出光興産 12.5%BP 15%

ーーー

マレーシアの石油化学 

Titan については、2008/3/12 T.T. Chao 逝去


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6月度住宅着工件数

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国土交通省は7月31日、6月度の住宅着工件数を発表した。

6月度の着工件数は68,268戸で、本年1月以降、ほぼ横ばいの低水準の状況にある。

分譲マンションの着工件数は4,592戸(前年同月比68.2%減)で、統計を取り始めた1985年以降で最も少ない。

改正建築基準法の施行(20076月20日)により2007年7月以降の住宅着工は激減した。
その後も前年比のダウンは続き、2008年7月になって、ようやく、前年を上回った。しかし、2008年12月には再び前年比ダウンとなり、本年に入っても低水準が続いている。

現在の水準は改正基準法の施行で急落し、最低水準となった2007年8-9月の水準である。

1996暦年が1,643千戸であったのが、2006年が1,290千戸、2007年が改正基準法施行で1,081千戸に落ち込み、2008年は若干回復して1,093千戸となったが、本年上半期は年率換算で833千戸となり、1996年の約半分となっている。

これがPVCの国内出荷の下落の主因となっている。

 


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Ineos Vinyls Italia は事業売却交渉が破綻し、破産の危機に面していたが、同社の破産がイタリアの経済に波及するのを恐れたイタリア政府が介入し、2009年2月Ineos Safi Spa の間で売買契約の調印が行われた。

同社はVinyls Italia と改称した。

しかし、その後もEni への未払いエチレン、塩素代の扱いを巡って二転三転したが、4月1日、イタリアの経済開発相が入り、最終決着したとみられた。

2009/2/20  Ineos のイタリアのVCM/PVC事業、破産の危機を脱する

しかし、その後もEniと新会社Vinyls Italia の争いは続いた。Eni子会社に対するエチレン(Polimeri )、塩素(Syndial)の未払債務は80百万ユーロにまで増えた。 

Vinyls Italia 破産申請がありうると示唆していたが、5月28日、裁判所に同社を“Controlled Administration”に置くよう申請した。これにより、政府指名の委員(commissar)の管理下で最長2年間 操業を続けることとなる。

イタリアでは破産の場合、3つのオプションがある。民事再生法やChapter 11 のような制度はない。

オプション 対象 結果
破産 破産者 ・管財人が管理
・清算
Preventive agreement 事業に失敗、破産宣言はせず ・破産は回避、事業撤退
6ヶ月のうちに債権者平等の原則で、
 債権者の
2/3の賛成で 清算
Controlled administration 短期的な資金不足問題 ・管財人が管理
・最長24ヶ月支払い延期

法律によれば、Controlled administrationは200人以上を雇用し、資産の2/3以上の負債のある企業は申請が出来る。
Vinyls Italia
120百万ユーロの負債があり、そのうち80百万ユーロがEni向けとなっている。

イタリア政府は6月18日、同社を“Controlled Administration”に置くことを承認した。
経済開発相は弁護士2名とケミカルエンジニア1名をcommissar
に任命、同社の経営に当たらせ、早期に私企業に戻すよう努力させる。

政府は多方面からの圧力(この問題の早期解決の要求、イタリアの石油化学をどうするのかの議論)を受け、結論を早めた。

Vinyls Italia
のメインの工場があるPorto Marghera ではダウが2006年にTDIの生産を停止しており、PVCや電解が停まれば、地域経済に打撃を与える。

6月17日の経済開発相との会談で、Eni側は塩素事業からの撤退方針に変わりがないことを確認した。
Eniは 5~6年前にIneos Vinyls Italia に塩素事業売却の交渉を始め、本年末を塩素事業からの撤退の期限としているが、水銀法からイオン交換膜法への転換の費用負担が理由で交渉が中断した。

Eni (イタリア政府が最大の単独株主)ではVinyls Italiaに信頼できる新しいオーナーが見つかれば、同社としては約束した契約は尊重するとしている。

同社の問題はControlled administration 適用が該当する一時的な資金不足問題ではない。

現在の経済情勢のもとで、過去の未払代金を支払い、電解事業を買収してイオン交換膜法への転換を行うというのは、地域経済活性化の名目で国が資金を出さない限り、難しいであろう。


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