2010年1月アーカイブ

水俣病不知火患者会(水俣市、2600人)が国と熊本県、原因企業チッソを相手取り、1人850万円の損害賠償を求めた訴訟で、熊本地裁は1月22日午前、原告と被告双方に和解を勧告した。

これを受け、原告、被告による第1回和解協議が同日午後、始まった。協議には原告団の会長や弁護士ら約20人、被告側は環境省や県の職員、チッソの代理人ら8人が臨み、双方が互いの主張を確認して終了した。

東京や関西でも相次いだ水俣病関連訴訟で、国が和解協議に応じるのは初めて。

今後は原告、被告双方の和解条件などを調整して、裁判所が「和解案」を示すことになる。
環境省は訴訟を起こしていない被害者の救済にも「和解内容と同じ条件」を適用する意向を示している。

両者の相違点は以下の通り。

患者側 国側         
チッソが被害者に支払う
一時金
関西訴訟最高裁判決の賠償額
(450万~850万円)相当
1995年の政治決着などを踏まえ
150万~260万円の幅
被害者の診断方法 患者を診てきた医師らが作り、証拠として提出した
「共通診断書」に基づいて裁判所が決定
公的医療機関での診断を基本に
第三者委員会で判定

水俣病救済法ではこれらは「別途協議」となっている。

環境省は昨年12月、水俣病特別措置法に基づく救済措置方針の土台となる案を公表した。
対象地域に居住していなかった人でも一部救済対象に加えるなど、従来の条件を緩和する一方、被害者団体などが強く求める出生年制限の撤廃は盛り込まれなかった。
一時金や療養手当の金額は検討中とし、被害者団体から意見を聞き最終調整する。

小沢環境相は「救済手続きの開始目標にしている5月1日を念頭に作業していかないといけない」と述べたが、また「裁判も同時並行で行われており、バランスを考えながらやっていきたい」と、被害者団体の受け止めを見ながら作業を進める考えを示している。

これまでの解決は以下による。

・公害健康被害補償法に基づく認定患者は、1人1600万~1880万円の一時金や医療費
 認定患者は熊本、鹿児島で2,271人(うち生存者579人)

・1995年政治決着では、認定に至らない被害者約1万人に一時金(1人 260万円)

現在の未解決の患者は、
・認定申請中 7,293人
・「新保健手帳」所持者(医療費が無料) 25,475人
・合計 32,768人
このほか、潜在患者(人数不明)

不知火患者会は、未認定患者の主要5団体のうち、「訴訟派」の最大組織で、合計2,018人が提訴している。
水俣病出水の会(鹿児島県出水市、3,700人)など3団体は既に特措法に基づく救済措置の受け入れ方針を表明している。

残る訴訟派団体の水俣病被害者互助会(水俣市、170人)は被害の全容解明など、より抜本的な解決を求めて裁判を続ける意向を表明している。

ーーー

新潟水俣病の未認定患者救済問題で、国と原因企業の昭和電工を相手に1人当たり約880万円の損害賠償などを求めた訴訟を新潟地裁で係争中の患者団体「新潟水俣病阿賀野患者会」(110人)は1月30日、新潟市内で集会を開き、4次訴訟原告(43人)の同意を得て、国と和解に向けた事前協議に入ることを正式に決定した。

新潟水俣病(第二水俣病)は昭和電工鹿瀬工場でアセトアルデヒドを生産中に生成され、未処理のまま廃液として阿賀野川に排出されたメチル水銀が、魚介類の摂取を通じて人体に蓄積された事による有機水銀中毒。

1965年に発生が確認され、昨年12月末現在で県内の認定申請者数は延べ2230人。認定患者は696名。延べ133人が棄却処分を受けており、140人が取り下げた。

新潟水俣病も「水俣病」に含まれる。

政府は1968年9月、水俣病に関する政府統一見解を発表した。

熊本で発生した水俣病は、チッソ水俣工場のアセトアルデヒド・酢酸製造工程中で副生されたメチル水銀化合物が原因と断定、また、新潟で発生した水俣病は、昭和電工鹿瀬工場のアセトアルデヒド製造工程中で副生されたメチル水銀化合物を含む排水が中毒発生の基盤として、各水俣病を公害として認定した。


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国土交通省は1月29日、昨年12月度の建築着工統計調査報告を発表した。

それによると、12月の住宅着工は69.298戸で、年間を通じて毎月、前年を大きく下回った。
2007
620日の改正建築基準法の施行で同年8月、9月は着工が大幅に減少したが、2009年はこの年をも下回った。



暦年合計では788,410戸となった。2006年までは120万戸程度、その後の2年はなんとか100万戸を維持してきたが、昨年はこれを大きく下回った。
なお、1996暦年は1,643千戸であった。昨年はこの半分以下となった。

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80万戸を下回るのは1964年(751,429戸)以来、45年ぶり。

1980年以降、住宅着工とPVCの国内出荷数量に相関関係が見られる。
(それ以前は住宅用のPVC用途が少なかったためと思われる。)

1996年のPVCの国内出荷は2,012千トンであったが、2009年は960千トンで、1996年の48%となった。

 


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財務省が1月29日に発表した輸入通関速報によると、12月のナフサ輸入価格は42,309円/kl となった。また、11月の金額も修正された。

この結果、4四半期のナフサの平均輸入価格は 40,531円/kl となり、これを基にした国産ナフサ基準価格は42,500円/kl となる。

計算根拠は以下の通り。(単位:円/kl)

  輸入平均   基準価格
4Q平均  50,047  52,000
09/1  21,500    
09/2  23,836    
09/3  28,632    
1Q平均  24,970  27,000
09/4  29,628    
09/5  30,783    
09/6  33,580    
2Q平均  31,294  33,300
09/7  37,900    
09/8  39,507    
09/10  40,162    
3Q平均  39,185  41,200
09/10  39,304    
09/11  39,854    
09/12  42,309    
4Q平均  40,531  42,500

基準価格は平均輸入価格に諸掛 2,000円/kl を加算(10円の桁を四捨五入)


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DSM Novomer Inc121日、CO2を原料とする画期的な塗料用レジンを共同で開発する契約にサインしたと発表した。
200711月にDSM子会社のDSM VenturingNovomer に出資し、協力契約を締結したのに続くもので、NovomerのユニークなCO2ポリマー化技術とDSMの技術及び営業力を結合する。

NovomerCO2とプロピレンオキサイドからポリプロピレンカーボネートをつくる技術を担当、DSMはポリマーを塗料や接着剤など用のレジンに加工する。

ポリプロピレンポリカーボネート等のポリカーボネートレジンは塗料等に使用されるが、コストが高く、製品固有の弱点もある。
今回の新しい
CO2ベースの脂肪族ポリカーボネートはこれらの弱点を解決する。

NovomerCornell UniversityDr. Geoff Coatesが開発した触媒技術を使用し、CO2とエチレンオキサイドからポリエチレンカーボネートを、CO2とプロピレンオキサイドからポリプロピレンカーボネートを作る技術を開発している。
前者は重量で
50%CO2を含み、後者は43%CO2を含んでいる。

同社はポリプロピレンカーボネートをNB-180 の商品名で販売している。

ーーー

二酸化炭素からプラスチックなどの高分子をつくる技術は東京理科大学の井上祥平教授(東大名誉教授:当時、東大助教授)と東大の鯉沼秀臣客員教授(当時、東大大学院生)が約40年前に見つけた。

井上教授 ECO JAPAN インタビュー 2007/5/29

私がこれを最初に発見したのは1968年、もう40年近く前のことです。これまで、私だけでなく、多くの研究者がこの理論をベースに、有効活用できるCO2由来の高分子を得られないかと研究を続けていますが、残念ながら実用化には至っていません。その理由はすでに多種多様なプラスチックが開発されていることに尽きますね。競合相手がたくさんいる中で選ばれるには、よほどの特徴がなければ難しいということです。

2007年に中国海洋石油の子会社の中海石油化学が生分解性プラスチック製造のため、海南島東方市の化学産業都市で年間 3,000トンのポリプロピレンカーボネートプラントの建設を開始した。
中国科学院・長春応用化学研究所が独自に開発した特許技術を使用している。
元の技術は1969年の S. Inoue の発明による)

なお、内蒙古の蒙西高分子材料有限公司が長春応用化学研究所からライセンスを受け、内蒙古のオルドスに年産 3,000トンの工場を持ち、2002年12月に販売開始している。

2007/8/20 中国のCNOOC子会社が生分解性プラスチック製造

東京大学、住友化学などの産学チームは2007年9月、二酸化炭素からプラスチックを作ることに成功し、量産技術の開発を始めると発表した。
野崎京子東大教授らが新しい触媒で耐熱性を改善し実用化のめどをつけたもので、新エネルギー・産業技術総合開発機構の支援を受けて、2012年度にも実用化する。

2007/9/14 ニュースのその後 CO2からプラスチック

 


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サウジ初の民間企業が建設する製油所として、多くの内外企業が関心を示していたJizan (Jazanの表記もある)製油所は、結局Saudi Aramcoが建設することとなった。

石油鉱物資源省は1月19日、サウジ国王の承認に基づき、Saudi Aramcoが出来るだけ早く ジザン製油所を建設するよう指示されたと発表した。

当初、製油所建設は100%民間資本で行うこととなっており、同省では入札を発表、サウジの8社と海外の45社が候補となった。

候補には以下のコンソーシアムがある。
TasneeSaudi Nama Chemicals GroupSaudi Advanced Refineries and Petrochemicals のチーム
Corral PetroleumArabian Peninsula のチーム(いずれもサウジのMohammed al-Amoudiが所有)

同省では各社の努力に感謝するが、事業規模や現在の状況により、この重要な計画をSaudi Aramcoにやらせることとしたとしている。

ーーー

アブドゥラ国王は2006年11月、総額300億ドルのジザン経済都市構想を発表した。
非石油産業の育成、十分な雇用機会、教育施設及び住宅の提供を目指した戦略の一環である。

経済都市構想の第一号事業は2005年12月に発表されたラービグ経済都市で、Petro-Rabighが建設された。

第二号事業は2006年6月にPrince Abdul Aziz bin Mousaed 経済都市(別名Hail 経済都市)で、運輸・兵站・食品関連作業に対象を絞っている。

第三号事業はMadinah経済都市(ITや医療企業を含む調査・研究を重視した知識基盤産業の誘致を目指す)。
第四号事業は
Um Al-Qura 経済都市(Makkah economic city)。

ジザンはサウジの南西端のYemenとの国境近くにある。


ジザン経済都市では、マレーシアのエネルギー・運輸コングロマリットのMMCとサウジのビン・ラディン・グループが主たる開発者となることが決定している。

新港、鉄道、高速道路、居住地区、不動産事業向けの巨額のインフラ投資が予定されており、新工業地帯に全敷地面積の2/3が割り当てられる。同工業団地には、港湾、アルミ精錬所、製鉄所、製油所、銅精錬所や漁業施設、その他アグロ産業が配置される。

近くには油田はなく、SABICが30年契約で原油を供給することとなっていた。

製油所の規模は日量25万~40万バレルで、一次FSの結果では採算面から石油化学(ナフサ原料)を含める方がよいとされている。

製油所の建設費は少なくとも100億ドルはかかると推定されている。

ーーー

サウジの製油所は以下の通り。(千バレル/日) 
      
は計画
立地 事業者 能力 完成 備考
Khafji Aramco  30
Jeddah Aramco  80
Ras Tanura Aramco 550
400 2013 Dow/Aramco 石化JV計画
Riyadh Aramco 130
Yanbu Aramco 230 2010年に330千バレル/日へ
Aramco/Mobil 400
Aramco/Conoco 400 2013
Rabigh Aramco   80 2008年にPetroRabighに移管
Al Jubail Aramco/Shell 305
Aramco/Total 400 2012
Jazan Aramco 右記  ? 能力 250400

(ソース http://www.pecj.or.jp/japanese/jpecnews/pdf/jpecnews200903.pdf )


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中国国家発展改革委員会(NDRC)は昨年12月、浙江桐昆集団(Tongkun Group) 子会社の嘉興石油化学の年産80万トンのPTA計画を承認した。

30.4億人民元を投じて浙江省嘉興市の乍浦経済開発地区に建設するもので、2012年上期のスタートを目指す。

桐昆集団は浙江省嘉興市に本拠を置く私企業で、PETチップとPET繊維を主事業としている。
同社は2009年にPETチップ 286千トン、PETフィラメント 124万トンを生産した。
このほか、不動産、金融、教育、貿易なども行っている。

ーーー

この計画には当初、韓国ロッテグループのKP Chemical が参加することで検討してきた。
しかし、
KP Chemical は同社の投資方針の変更で昨年この計画から撤退した。

KP Chemical は2001年に経営不振に陥った大手繊維と化学メーカーの高合(Kohap Corp) からスピンオフして設立され、2004年にロッテグループのホナム石化が買収した。

蔚山でパラキシレン(750千トン)、PTA(950千トン)、PET(450千トン)、PIA(高純度イソフタル酸 200千トン)を有している。

同社は石油会社から混合キシレンを購入し、パラキシレンとメタキシレンを生産、パラキシレンからPTAPET、メタキシレンからPIAを生産している。

製品の90%以上を輸出している。

同社は2009年6月、ICI Omicron からパキスタン唯一のPTAメーカーPakistan PTAの株式75%を買収した。
Pakistan PTAは能力400千トンで、2002年から生産している。

ICI OmicronICIの子会社であったが、Akzo Novel ICIを買収した際に、これも買収した。

Akzo Novel は今回の売却について、この事業はAkzoの他の事業と合わないとしている。(AkzoICI本社の買収に際し、塗料事業以外は全て売却している)

    2007/8/13  
Akzo が ICI を買収

KP Chemical は海外進出戦略として桐昆集団との合弁での中国進出を図ったが、Pakistan PTAの買収でパキスタンに方向を変更したものと思われる。

なお、韓国のPTAメーカーは以下の通り。(能力は2009/5現在、千トン)

会社名 立地 能力
KP Chemical Ulsan   950
Sam Nam Petrochemical Yeochun 1,700
Samsung Atofina Ulsan 1,100
Daesan   700
SK Chemicals Ulsan   520
Taekwang Industrial Ulsan 1,000
Hyosung Corporation Ulsan   410
Total 6,380

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2009暦年の実績が発表された。エチレン生産量は前年を若干上回る6,913千トンとなった。

年の初めは操業度が75%程度であったが、5月には90%を超え、6月以降は95%程度の操業度を維持している。

エチレン生産    
   

 

合成樹脂の販売は、国内については全製品で前年を下回った。

国内販売が高水準であった2004年と比べると、LDPEでは17%ダウン、HDPEで19%ダウン、PPで15%ダウン、PSで25%ダウン、ABSで34%ダウン、PVCで35%ダウンと、各製品とも大きく減少している。

これに対して、輸出は、PSとABSを除き、前年を大きく上回っており、これがエチレンの高操業度の理由となっている。

問題は2008年秋までとは異なり、輸出市場の競争の激化で輸出価格が低いことと円高のため、輸出採算がよくないことである。

但し、内輸合計で見ると、LDPEとHDPEを除き、2007年から08年、09年と、出荷は大きく減少している。

特に、ABSとPVCの減少が大きい。ABSは内輸ともに大きく減少した。

PVCの場合、2009年の国内出荷960千トンは、1977年の974千トン以来の低水準である。内輸合計で見ても、輸出がほとんどなかった1987年以来の低水準である。

LDPE    
 
  内需 輸出 合計
2004 1,606 209 1,814
05 1,575 198 1,773
06 1,572 228 1,800
07 1,580 236 1,816
08 1,460 204 1,664
09 1,325 331 1,656
     
HDPE    
 
  内需 輸出 合計
2004 1,005 159 1,163
05 974 112 1,086
06 971 116 1,087
07 966 122 1,088
08 884 94 979
09 819 214 1,032
PP    
 
  内需 輸出 合計
2004 2,669 298 2,967
05 2,725 323 3,047
06 2,756 321 3,077
07 2,827 367 3,194
08 2,565 217 2,782
09 2,278 303 2,580
     
PS    
 
  内需 輸出 合計
2004 918 41 959
05 865 30 894
06 876 22 897
07 863 44 906
08 768 37 806
09 687 32 719
     
ABS    
 
  内需 輸出 合計
2004 341 215 556
05 322 197 519
06 334 180 515
07 334 197 530
08 298 185 484
09 224 131 354
     
PVC    
 
  内需 輸出 合計
2004 1,469 664 2,132
05 1,404 714 2,118
06 1,364 744 2,109
07 1,279 839 2,118
08 1,174 551 1,725
09 960 705 1,665
     

なお、原料のスチレンモノマーとVCMの出荷実績とその内訳は以下の通り。

SM    
 
  国内 輸出 合計
2004 2,069 1,395 3,464
05 1,944 1,577 3,521
06 1,949 1,405 3,354
07 1,952 1,621 3,573
08 1,737 1,203 2,941
09 1,379 1,650 3,030
国内向けは2年前の70%と大きく減少したが、輸出が堅調で、合計では前年出荷を上回った。
出荷合計のうち、国内向けは46%に止まる。
     
VCM    
   
  国内  
PVC用
国内  
その他用
輸出 
PVC用
輸出 合計 能力
2004 1,479 42 664 602 2,788 3,043
05 1,427 52 714 652 2,844 3,484
06 1,373 42 744 888 3,048 3,541
07 1,314 49 839 767 2,968 3,541
08 1,216 39 551 754 2,560 3,541
09 942 37 705 1,027 2,711 3,541

* 国内PVC向け出荷のうち、実際のPVC輸出数量を輸出PVC用として先取りした。

VCMの出荷は2,711千トンと、昨年を上回った。これはPVCの輸出及びVCMの輸出が伸びたため。
PVC国内出荷が激減したため、2004年には国内PVC用はVCM能力の約半分を占めたが、2009年は27%に過ぎない。

今後PVCの輸出が減少すれば、能力の大幅削減が必要となる。


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Petrobras(ブラジル国営石油会社)とOdebrechtBraskemの主株主)124日、Petrobras 40%/UNIPAR 60%出資のQuattor Petrochemical UNIPAR持株を買収し、同社をBraskemに統合すると発表した。買収額は478百万ドル。

また、PetrobrasBraskemへの出資を増加する。
現在の
Braskemの主株主のOdebrechtは議決権の50.1%を保持するが、 Petrobras OdebrechtBraskemでの意思決定を共同で行う。
このため、両社は持株会社
BRK Investimentos Petroquimicosを設立する。

これにより、Petrobrasの石化事業とBraskemを統合して新Braskemが誕生することとなるが、同社は熱可塑性樹脂業界でアメリカ大陸最大のメーカーとなる。

ブラジルの5つの州 (Sao Paulo, Rio de Janeiro, Rio Grande do Sul, Bahia and Alagoas)26の工場を持ち、年間売上高260億ドルとなる。

なお、両社のJVとして、IpirangaCopesulPetroflexがあるが、これが新Braskemに統合されるのかどうか、現在のところ不明。

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Braskemによると、新会社の能力は以下の通りとなる。

PE  304万トン
PP  197万トン
PVC  51万トン
   

合計は551万トンで、ExxonMobil 531万トン、Dow483万トンを上回る。

ーーー

2007811日、Petrobras União de Industrias Petroquimicas (Unipar) 両社のブラジルの化学品、合成樹脂事業を統合する協議を行っていると発表した。新会社の名称は Companhia Petroquimica do Sudeste (CPS) で、Uniparが主導権を持つとされた。

2007/12/6 Petrobras、石化事業を再編

2008年6月12日に新会社が設立された。社名は変更され、Quattor Petrochemical となった。

新会社にはPetrobras40%出資、UNIPAR60%出資した。

PetrobrasRioPolSuzanoを、UNIPARPQU, Polietilenos と同社の化学部門を拠出した。
統合対象各社は新会社の子会社となった。(社名変更)

  拠出会社 新社名(子会社)
持株会社   Quattor Participacoes SA
Petrobras
40%
Rio Polímeros(RioPol) Rio Polímeros SA
Nova Petroquímica
(Suzano Petroqu
ímica)
SA Quattor Petroquímica
UNIPAR
60%
Petroquímica União (PQU) Quattor Basic Chemicals SA
Polietilenos União Polietilenos Union SA
UNIPAR's Chemicals Unit  

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Pfizer 114日、製薬会社と後発薬メーカーとの間の後発薬特許契約に関する独禁法調査で欧州委員会から質問を受けていることを明らかにし、調査に協力すると述べた。

問題となっているのは後発薬の参入を遅らせるためにリベートを支払うという 'pay-for-delay' という取引。

何年もの調査に基づき、欧州委員会は多くの製薬会社に、20087月から200912月までの間の欧州における後発薬特許契約(generics settlement agreements)に関する情報提供を求めた。

Settlement agreements は、後発薬の参入の前に、複雑な特許係争によるリスクとコストを最小にするため、製薬会社と後発薬メーカーとの間で長年結ばれていた。

しかし、この結果として、後発薬参入を遅らせるために、製薬会社が後発薬メーカーにリベートを支払うことになれば独禁法問題が生じる。これが'pay-for-delay' と呼ばれ、患者は高価なブランド薬品を必要よりも長期間、使用せざるを得なくなる。

情報提供を求められているのは、ほかに、AstraZenecaBoehringer IngelheimGlaxoSmithKlineNovartisRocheSanofi-Aventisと後発薬メーカーのイスラエルのTevaと英・アイルランドのNiche Generics

これとは別に、欧州委員会は17日、デンマークの製薬会社 H Lundbeck A/S が抗うつ剤のCitalopram の後発薬参入を遅らせた疑いで初期調査に入った。

欧州委員会は、欧州経済領域(EEA)において、後発Citalopramの参入を防止又は遅らせるための慣行を調査するとしている。

欧州委員会では今後、これらのデータを毎年集める予定。

まず資料集めだが、独禁法上で懸念のある契約については調査する。

欧州委員会では後発薬の参入遅延で2000年から2007年の間で少なくとも30億ユーロの損失となっているとみている。

欧州委員会の競争政策担当委員のNeelie Kroes女史は今月までが任期で、2月から現経済・通貨担当のスペインの政治家 Joaquín Almunia Amann 氏が横滑りする。

ーーー

米国ではFTCが米国の製薬会社のsettlement agreementsのタイプや頻度に関する年報を作成している。
FTCpay-for-delay 契約をやめるよう、しばしば求めている。

下院を通過した医療保険改革法案では、pay-for-delay 契約を禁止する条項を含んでいる。
上院の案には含まれていないが、多くの市民運動グループがこれを含めるよう上院に請願している。

113日にはFTC委員長と議会の主要メンバーがpay-for-delay 契約禁止を求める共同声明を発表した。
 http://www.ftc.gov/opa/2010/01/payfordelay.shtm

ーーー

欧州委員会は20097月に医薬業界の問題点(Antitrust: shortcomings in pharmaceutical sector require further action)という報告を発表した。

調査は20081月に開始された。新規医薬品の上市が少ないこと、後発医薬品の参入が遅れることを問題視した。

報告によると、
2000年から2007年の間で特許が切れた医薬品で、後発医薬品発売は7ヶ月以上遅れ、20%の追加支出となった。
・後発医薬品は平均
40%安い。
 製薬会社は出来るだけ長く、後発医薬品なしで販売するよう、多くの手をうっている。
・新規医薬品の発売が減っている。製薬会社の慣行も原因となっている。

・欧州共同特許と統一特許訴訟制度の設立が必要。
 (特許訴訟の
30%がいくつかの国で平行して行われている。11%が国によって判決が異なる)

欧州委員会はメンバー各国に次の要請をしている。
・後発医薬品の承認を遅らせないこと
・後発医薬品の承認手続きを早める。
・後発医薬品の品質が問題とするような誤ったキャンペーンに対応策をとる。
・新規医薬品の評価を早くする


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中国では多数の新しい石炭火力発電所が新設される状況で、これらが環境汚染の元とみなされているが、実際は農業、化学肥料の過剰使用が最大の問題だとする報告が出た。

中国人民大学の農業経済・農村発展学院の温鉄軍院長は、「多くの人が気づいていないが、農業が中国で最大の環境汚染源であり、もっと関心を持つべきだ」と述べた。

同学院とグリーンピースの研究によれば、農民(特に中国北部)は作物が必要とするよりも40%も多い化学肥料を使用しており、毎年10百万トンの肥料が川や湖に流入し、深刻な環境汚染を引き起こしている。

中国は世界の穀物の24%を生産しているが、肥料の消費は全世界の35%に達している。
1960年代以降、中国の穀物生産は8倍以上になっているが、窒素肥料の消費は55倍になった。

報告では化学肥料の使用を少なくとも50%はカットすべきだとし、政府は肥料メーカーに対する補助金を減らし、農民が家畜排せつ物を使用するのを応援するべきだとしている。

2009上半期に中国の化学肥料の生産は32.5百万トンで前年同期比9.5%増となった。
うち、窒素肥料は24.2百万トン、燐酸肥料は6.7百万トン、カリ肥料は1.5百万トンとなっている。


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中国国家統計局が1月21日発表した2009年のGDP速報値によると、物価変動を除いた実質成長率は前年比8.7%となり、中国政府が必達目標としていた「8%前後」を達成した。GDP総額は約33.54兆人民元(約459.5兆億円)となり、世界2位の日本に一段と肉薄する水準となった

名目GDPで、日本は昨年1~9月が349兆円、10~12月が昨年同期並みであれば通年で479兆円となる。
なお、1人当たりGDPでは日本の10分の1以下にとどまる。

同時に発表した第4四半期のGDPは前年同期に比べ10.7%増えた。

 * 2009年1Qと3Qの数値は速報から修正された

内訳は
 一次産業  3.55兆人民元 前年比4.2%アップ
 二次産業 15.70兆人民元     9.5%アップ
 三次産業 14.29兆人民元      8.9%アップ

国家統計局では、昨年は21世紀に入り最も厳しい年であったが、政府の策が奏功、下降が止まり、回復が始まったとしている。
回復の主因は、積極的な財政政策と金融緩和、及び政府の景気刺激策としている。

中国政府は2008年11月9日夜、国内需要拡大のため2010年末までに総額4兆元(約57兆円)規模の投資を実施する緊急経済対策を発表した。

2008/11/12 中国、緊急経済対策に57兆円

中国国務院は国内の10産業について景気刺激策を検討、2009年2月19日に軽工業と石油化学産業の景気刺激策を承認した。
既に、1月14日に自動車と鉄鋼、
25日に繊維と機械、211日に造船、218日にエレクトロニックスと情報産業について景気刺激策を発表している。

2009/2/25  中国政府、石油化学産業の景気刺激策を承認

軽工業の景気刺激策には「家電下郷」(家電を地方へ)が含まれた。これに自動車の「汽車下郷」が加えられた。

2009/4/17  「家電下郷」で中国で家電の販売急増

 

これらにより、都市部の固定資産投資は30.5%増、工業生産は11%増、小売売上高は15.5%増となった。
中国の2009年の自動車販売台数は前年比46.15%増の1364万台となり、初めて世界一となった。

2010/1/13 2009年の中国の自動車販売、世界一に 

上のブログ記載のキッシンジャー博士のコメントの通り、公的資金を長期的視点で迅速に有効に配分したのが効果を生んだといえる。

しかし、景気刺激策による固定資産投資の中には、過剰な設備投資も多い。

国務院は以下のように述べている。

過剰能力を減らすという政府の長年の目標を達成することは緊急の課題である。放置すれば、工場閉鎖、失業、銀行の不良債権が発生する。
注意すべきことは、過剰設備がありながら、まだ盲目的に拡大しているのが、鉄鋼やセメントのような昔からの産業だけではないことだ。風力発電機器やシリコンでも同様だ。

このため中国の10省庁(NDRC、工業・情報化部、財務部、環境保護部、人民銀行ほか)が昨年9月末に共同で特定分野の過剰能力を処理する提案を国務院に提出し、国務院はこの提案を承認した。

対象となるのは、鉄鋼、セメント、板ガラス、石炭化学、ポリシリコン、風力発電のほか、アルミ電解や造船、大豆油抽出などがある。NDRCは自動車についても警告している。

2009/10/19 中国政府、過剰能力是正に注力 

付記

国家統計局の馬建堂局長は経済運営の3つの懸念を挙げている。
1)経済の持続的回復をどのように維持するか
2)中小・老朽生産能力の淘汰の問題
3)資産価格の急激な上昇


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米商務省は120日、12月の住宅着工件数を発表した。

12月の季節調整済みの年率換算で557千戸で、年間合計では553.8千戸となり、1959年の統計開始以来の最低記録を更新した。


米国 住宅着工件数推移(季節調整済み年換算:千戸)

  2008 2009
1  1,083   488
2  1,100   574
3   993   521
4  1,001   479
5   971   551
6  1,078   590
7   933   593
8   849   581
9   822   586
10   763   524
11   655   580
12   556   557
年合計   905.5   553.8

注) 数値は過去2ヶ月分を常時見直している。


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IPCCデータの信憑性

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昨年11月に英国の East Anglia大学Climate Research Unit のサーバーへのハッカーの攻撃で、多数のemailデータが持ち出され、公開された。
それにより、IPCCのデータが捏造されているのではとの疑惑で生じ、
ClimateGateと呼ばれた。

2009/12/2 IPCCデータの捏造疑惑

今回、IPCCが2007年に出した第4次評価報告書で、ヒマラヤの氷河が「このまま地球温暖化が続くと、2035年までに消失する可能性が非常に高い」とした記述について科学的根拠がなかったことが判明した。

IPCC Fourth Assessment Report: Climate Change 200710.6.2 The Himalayan glaciers は以下の通り述べている。

ヒマラヤの氷河は世界の他のどこよりも速く後退しており、現在の速度が続くと、地球温暖化が現在のレートで続けば、2035年までに、多分もっと早く、消滅する可能性が強い。

ヒマラヤ氷河の後退は主に地球温暖化に起因する。氷河近辺の相対的に高い人口密度、森林伐採、土地の利用方法の変化なども影響している。

付記 IPCCは1月20日、この予測が誤りだったと発表した。

IPCCは可能性の強さを very likely”としたが、これは90%以上の確率で発生するということを意味する。

アジアの何億人もが水の供給をこの氷河に依存しているため、何度も引用され、狼狽を引き起こした。

実は、この記述は、英国の一般向け科学誌The New Scientist10年も前にインドの氷河専門学者Jawaharlal Nehru 大学のDr. Syed Hasnain への電話インタビューでのものであり、きちんとした科学的根拠がなかった。

Dr. Hasnainは現TERI (Tata Energy Research Institute) のフェローをしているが、この記事の2035年消滅というのは誤って引用されたものであると述べている。 単なる推測であり、研究の成果ではないとする。
最近の彼の研究では小さな氷河がなくなるだけだとしている。

The New Scientistの記者はインドの雑誌の記事を見て1999年にDr. Hasnainに電話をした。
記者によると、報告はレビューを受けておらず、正式に科学誌に発表されたものでもなく、正式のものではないため、そういうものとして記事にしたとしている。
記者はその後、
Dr. Hasnainから資料を受け取ったが、2035年に全部消滅するとは書かれていなかった。Dr. Hasnainは、あのコメントはヒマラヤの氷河全体ではなく、その一部のことだと明らかにしたという。

The New Scientistの記事はその後忘れられたが、2005年にWWF(世界自然保護基金)がキャンペーンの材料としてこれを使用した。

しかし、IPCC報告の氷河の部分を担当したProfessor Murari Lal のグループはWWFの記事をソースとして挙げ、更に全面消滅の可能性を "very high"とした。

ケンブリッジ大学の学者は、ヒマラヤの氷河は平均して厚みが300mはあり、仮に1年に5m 溶けても60年かかるとし、2035年はありえないとしている。

但し、各地で氷河が後退していることは事実で、チベット高原を研究している中国の氷河研究者は、「研究では2035年までに30%が、2050年までに40%が、世紀末には70%が消滅する」としている。

どうしてこんな誤りがIPCCの報告に載ったのかが問題視されている。

IPCC Pachauri議長は以前に、ヒマラヤの記事への批判を一蹴し、批判をエセ科学(voodoo science)とした。

本件が判明したのは、カナダのトレント大学のGraham Cogleyの努力による。
IPCCの報告に不審を持ち、New Scientist にたどりつき、Pearce記者にコンタクトした。記者はDr. Hasnain に再インタビューし、博士は推測であることを認めた。

担当のProfessor Murari Lal は、彼自身、氷河の専門家でなく、ヒマラヤに行ったこともなく、信頼できる資料に頼った、WWFの報告はインドの立派な学者の研究に基づいており、正しいものだと思ったと述べた。

専門家でないと認めている人が何故担当となったのか、
IPCCではコメントを拒否している。

ClimateGateに続いてこれが明らかになり、温暖化懐疑派がまた力をつけることとなる。


<p><p>HTML clipboard</p></p>

付記 中西準子さんがこれについて書いている。

 <p>HTML clipboard</p>雑感504-2010.1.25「ヒマラヤ氷河2035年消失は2350年消失の間違い?-IPCCが報告書を訂正-」

ーーー

Dr. HasnainがフェローをしているTERI の理事長でもある、IPCCのRajendra Pachauri議長に対する批判も出てきた。

英紙Daily Telegraph は、議長が、温室効果ガスの排出量取引などでもうけている銀行の顧問なども務め、その報酬は彼が理事長を務めるTERIに振り込まれていると報じている。
IPCC議長としての活動が、団体の活動拡大につながった可能
性を示唆、「利益相反」の疑いに言及している。

TERI 1974年にインドの財閥Tata Groupにより設立された。
Pachauri 1981年に理事、2001年に理事長となり、現在も理事長である。

記事によると、Pachauri IPCCの推奨するポリシーに依存して儲けている銀行、石油、エネルギー企業などに投資をし、また、地球温暖化産業で主導的な多くの組織の役員やアドバイザーをしているという。

最近、温暖化懐疑派の2人が議長に公開質問状を渡し、これを問題視した。公開状は各国代表に送られ、利益相反の理由で議長を辞めさせるよう求めた。

これに対し議長は、反対派のやけくその嘘だと批判、収入はすべてTERIに渡り、電気のない人々に太陽光電力を渡すLight a Billion Lives運動に使われていると反論した。「反対派は世界が化石燃料から離れつつあるため、必死になっている」と述べた。


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全国経済人連合会(全経連)は1月15日、ソウルの大韓商工会議所に李明博大統領を招き、「投資や雇用拡大に向けた30大グループによる懇談会」を開いた。

李大統領は先ず、「韓国企業の成績が良かったのは、企業が競争力を持って挑戦的に海外市場を開拓したことに起因する」としてねぎらった。

これに対し、30大グループは本年、投資と雇用規模を昨年より大幅に増やすことを明らかにした。
合計で過去最高の87兆ウォン(7兆円)を投資し、7万9千人を採用する計画で、投資は昨年より16.3%、採用は8.7%増えることになる。  *
1 兆ウオン≒ 800億円

李大統領は「今年最も重要な政府目標は雇用創出だ。大企業が果敢な投資と雇用に向けた意思を表明したことに感謝する。国家雇用戦略会議を毎月開く予定だ。企業にも支援となる戦略会議になるだろう」と述べた。

主な会社の計画は以下の通り。

三星グループ 投資26兆5千億ウオン、新規雇用 19千人
うち、三星電子がグループ全体投資の70%弱
 (半導体に5兆5千億ウォン以上、LCDに3兆ウォン以上を投資)

「景気状況によっては投資と雇用はさらに増やす」
現代・起亜車
グループ
投資10兆5千億ウォン(前年比12%増)、採用5千人+大学生インターン1千人
うち、エコカー開発などの研究開発に4兆6千億ウォン

「環境にやさしいグリーン成長事業に寄与するよう最善の努力を尽くす。
積極的な人材採用と投資のために力を尽くす」
LGグループ 投資15兆ウオン、採用1万人

「未来を準備するためにLGは環境にやさしい自動車関連核心技術に積極的に投資している。
この事業は現在、世界的に初期段階なので、うまくいけば韓国企業が世界市場をリードすることができるだろう」
SKグループ 投資7兆ウオン(前年比10%程度増)、採用2千人

「企業投資としてのみ雇用するのではなく、社会的企業を増やしながら雇用の創出に力を尽くすようにする」
ボスコ 投資9兆3千億ウオン、採用2500人
ロッテ 投資35千億ウオン(前年比50%増)+M&Aなど1兆ウオン、
新規採用
7500人+インターン1000

第2ロッテワールド、石油化学設備増設など
斗山 投資15千億ウオン(前年比25%増)
STX 投資1兆2千億ウオン、新規採用2千人

 

別途、韓国石油化学協会は新年の会合で、国際競争力強化のため、石化企業が今後3年間で14.4兆ウオン(11500億円)を投資することを明らかにした。

2010年には4.7兆ウオンを、来年は5.9兆ウオンを投資する。
また、本年の貿易収支を前年の
19.7兆ウオンから29.7兆ウオンに増やすとしている。

麗川NCCはエチレン増強のため2.7兆ウオンを投資する。

麗川NCCはハンファと大林産業がエチレンを統合したもので、能力は3系列合計186万トン。
エチレン増強計画は明らかにされていない。
(韓国はエチレン換算能力
6,674千トンに対し、内需は3,719千トンしかなく、韓国での増強は考え難い)

LG化学はリチウムイオン電池に1兆ウオンを投資する。
同社は昨年、中国海洋石油との合弁で広東省で
ABSを生産することを発表した。

2009/7/25 LG Chem、中国海洋石油との合弁で広東省でABSを生産

SK Energyは海外事業の拡大計画の一環として、石油化学部門の本社の上海移転を開始した。

同社はシノペックの武漢エチレン計画への参加を決めている。<p><p><p>HTML clipboard</p></p></p>

2008/6/2  韓国SK Energy、シノペックの武漢エチレン計画に出資


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米司法省は115日、農薬メーカー Monsantoを独禁法違反で正式に調査を開始した。
同社のドル箱の
Roundup Ready大豆を巡るビジネス慣行について情報を求めた。

Monsanto では、主として、第一世代のRoundup Ready大豆の特許が2014年に切れた後も、農家や種子会社はこれを使用できるとした同社の発表の確認を求められていると述べた。 

同社では、これまでと同様に調査に積極的に協力するとしている。

Roundup ReadyMonsantoが開発したRoundup除草剤耐性の農作物の総称。
開発された農作物にはダイズ、トウモロコシ、ナタネ、ワタ、テンサイなどがある。

Roundup除草剤は1970年にMonsantoが開発した除草剤グリホサート(glyphosate) の商品名で、世界中で使用されている。

Roundup ReadyRoundup除草剤を散布しても枯れず、雑草だけが除かれる。
米国の大豆の90%がこれを使っている。

このRoundup Ready大豆の特許が2014年に切れる。Monsantoでは特許が有効な第二世代のRoundup Ready種子に切り替えさせようとしている。

これに対して需要家の間で不満が広がったため、200912月、Monsantoは特許切れ後も農家が種子を使用するのを妨げないと発表した。2015年からは農家は前年収穫したものを種子として使えるし、種子会社はロイヤリティ無しで生産できるとしている。

大豆種子の価格は1996年以来、4倍に上がっており、農家やライセンスを受けた種子会社の間で不満が出ている。

ーーー

農務省と司法省は20098月、種子を含む農業事業における事業慣行を調査すると発表した。司法省はMonsantoに加え、DuPont とスイスのSyngenta にもコンタクトしている。

Monsantoではホームページで同社の立場を説明している。Innovation and the Competitive Seed Market

ーーー

Monsantoの業界での力が強いため、これまでも独禁法上で問題となっている。

同社は1998年にDelta And Pine Land Company18億ドルで買収することで合意した。

Delta And Pine Land は米国第1位の棉種子会社であり、司法省による独禁法の審査が大幅に遅れ、199912月に買収を断念した。

Monsanto20068月、Delta And Pine Land を現金15億ドルで買収することで再度合意した。

20075月、同社は司法省との間で、Delta And Pine Land買収について合意、米国の棉種子事業を含む設備の売却を条件に買収が認められた。
同社は
Stoneville® 種子事業と設備をBayer CropScience に、NexGen™ 種子事業と設備をAmericot に売却した。

なお、Delta And Pine Land はターミネーター技術(種子を死滅させる毒性タンパクを作る遺伝子を組み込み、2回目の発芽の際には種子が死滅する技術)を保有している。

最初の買収の際、ターミネータ技術に関する大きな反対が起こったため、当時のCEO Robert B. Shapiroは、同社は不妊種子技術の商業化は行わないと公に約束した。

Open Letter From Monsanto CEO Robert B. Shapiro dated October 4, 1999

I am writing to let you know that we are making a public commitment not to commercialize sterile seed technologies, such as the one dubbed "Terminator."

--- we think it is important to respond to those concerns at this time by making clear our commitment not to commercialize gene protection systems that render seed sterile.

しかし二度目の買収に際して、Monsantoの報道官は「種子を不妊とする技術を使用するつもりはなく、”食料作物に対しては不妊種子技術を商業化しない”という2005年の公約に立っている」と公約を修正、非食料作物には使用することを示唆した。

ーーー

Monsanto20095月、DuPont子会社のPioneer Hi-Bred International 2002年のライセンス契約に違反して、Roundup Ready 大豆とDuPont GAT農薬耐性大豆をセットにしているとして訴えた。 

PioneerRoundup Ready販売の権利を持つが、DuPont GATに置き換えるとしていた。
しかし、
GATだけでは問題があることを認めており、Roundup Readyとセットにして販売した。

これに対してDuPont は翌6月、両種子技術をセットにする(stacking)はライセンス契約の範囲内であると主張、更に、Monsanto特許は無効であり、Monsantoは特許を不当に使って、コーンと大豆の市場を支配しているとして訴訟を起こした。

「Monsantoの訴訟は競合製品の使用を制限する戦術の一つである。農家は多くの技術の中から最適のものを使うことを望んでおり、その権利がある。
両種子のセットは生産性や多種の雑草防止などの点で市場の他の製品よりも優れている。
Monsantoが課している非競合制限なしで、最もよい組み合わせを行うのが生産者にも消費者にも役に立つ。」

Monsanto 200910月、ライバルのDuPont が行った独禁法上の問題指摘に基づき司法省から質問を受けていることを明らかにした。

米地裁は1月16日、Monsantoによる訴えに対し判事は、両社の契約には両種子をstackingするのを禁止するという書かれていない(黙示の)条項があると認めた。この決定は紙一重のもの("narrow")であるとし、DuPont による反訴の独禁法問題や特許無効問題には影響がなく、これらは引き続き審理を行うとした。

DuPontでは、裁判は始まったばかりで、更に証拠を集め、農家に対して最も生産性の高い、最新の種子を供給する権利があることを示していくとしている。

ーーー

独禁法とは関係ないが、Roundup Readyのアルファルファ種子について、米最高裁は115日、下級審の販売禁止命令を再検討することを明らかにした。

2007年5月、サンフランシスコ連邦地裁が米国全土でRoundup Readyアルファルファの栽培を禁止した。

米国農務省(USDA)が
これが有機アルファルファや通常のアルファルファを汚染する可能性に関する適切な研究をしなかったと指摘し、商業栽培許可前には、他花受粉の可能性などを含む完全な環境影響研究を行うことを命じた。

20089月、米国第9巡回区控訴裁判所は完全な環境影響評価書が出るまでの禁止を確認した。GMアルファルファの栽培が、有機及び通常品種に対する取り返すことができないかもしれない損害、環境に対する損害、そして農業者に対する経済的損害をもたらす可能性があると裁定した。

最高裁はMonsantoの上告を受けて審議を決めた。

 


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改正臓器移植法が2010年1月17日から一部施行され、臓器提供者(ドナー)から親族に臓器を優先提供できるようになった。

臓器移植法改正案は20097月13日午後の参議院本会議で賛成多数で可決、成立、7月17日に公布された。

2009/7/13 臓器移植法改正案 成立

この法律の附則で施行期日は公布の日から起算して一年を経過した日(本年7月17日)とされたが、下記の「親族への優先提供の意思表示」については「公布の日から起算して六月を経過した日から施行する」とされた。

第六条の二 移植術に使用されるための臓器を死亡した後に提供する意思を書面により表示している者又は表示しようとする者は、その意思の表示に併せて、親族に対し当該臓器を優先的に提供する意思を書面により表示することができる。

厚生労働省は2009年12月18日、「厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会」の改正法公布後4回目となる会合を開き、改正法を運用するためのガイドライン(指針)が了承された。

レシピエント(移植希望者)登録している親族がおり、かつ、親族優先提供の意思を示している人が自殺した場合、臓器の親族への優先提供を見合わせることとした。

自殺した人からの臓器の親族優先提供をめぐっては、日本循環器学会が昨年10月に「自殺などを誘発するおそれがある」として、心臓を親族優先提供規定から除外するよう求める要望書を提出していた。

改正ガイドラインの概要は以下の通り。

(1)親族の範囲は、配偶者と親子
   事実婚は対象外
   養子も民法上の特別養子(法律上、実の親との親子関係が切られる)以外は対象外
   兄弟姉妹は対象外

   改正前は機会平等の考えから親族優先はなし。
   改正後も範囲を限定した。

(2)親族のみへという限定提供は無効

(3)個人名での指定は、個人でなく、親族への提供として扱う
(4)親族間での優先順位付けは、順位通りでなく、親族への提供として扱う
    医学的優先順位によるものとする

(5)優先提供の意思表示ができる年齢は15歳以上
(6)優先提供が受けられる年齢は特に制限なし

(7)意思表示は書面で行う。
    日本臓器移植ネットワークの臓器提供意思登録システム
    意思表示カード
    意思表示シールを張った保険証など

(8)自殺したドナーからの優先提供は認めない
    提供のための自殺を防止するため
    臓器提供そのものは可能だが、親族優先にはならない

     


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ペトロチャイナ子会社の吉林石油化学は昨年7月、製油所の増設とSM、ABSプラント増設の地鎮祭を行った。

同社は吉林省にコンプレックスを持っている。

製油所は能力700万トンで、エチレン能力は当初38万トンと15万トンの2系列合計53万トンであったが、2005年に75万トンに、2007年に85万トンに増設した。

SMは能力14万トン、ABSは能力19万トンである。

今回、製油所を1000万トンに増設、新たに32万トンのSMと、20万トンのABS 2系列を新設する。
(当初案ではABSは30万トンの増設であったが、20万トン2系列、合計40万トンとなった)

増設が完了すれば、SM能力は合計46万トン、ABS能力は59万トンとなる。

ーーー

韓国の第一毛織は昨年12月22日、吉林石化とABS樹脂工場建設と生産のための技術協力契約を締結したことを明らかにした。
この契約で第一毛織は吉林石化にABS生産技術などを供与し、技術支援費と教育訓練費として2814万ドルを受けることになる。

第一毛織はサムソン系列で、1954年に設立された。
繊維業からスタートし、紳士服のフォーマル/カジュアル部門を立ち上げて、韓国のトータルファッションのリーディングカンパニーとして成長した。
 

繊維のみならず合成樹脂などの化学素材から電子化学材料まで幅広い製品を生産している。
 
合成樹脂部門では、
PSABSPC、エンプラ、人工大理石を扱っている。 
現在の能力は
PS 14万トン、EPS 8万トン、ABS 42万トン、PC 65千トンとなっている。 

第一毛織は2005年にイラン国営石油化学の子会社 Tabriz PetrochemicalにABSSANの技術供与を行っている。

第一毛織では「イランに続き中国にABS技術を輸出することで、新しいレベルのグローバルビジネス領域を開拓した。特殊樹脂技術の開発投資を拡大し、世界的な化学企業とのパートナーシップを強化していく」と述べた。

Tabriz Petrochemical はイランの北西端にあり、2005年にABSを35千トン増設して70千トンとし、新たにSAN 41千トンを新設している。同時にHIPS 40千トンも増設し80千トンとしている。
エチレン能力は136千トン、SM能力は95千トン。

ーーー

吉林石化は1月8日、ABS原料のエチルベンゼンとスチレンモノマーの建設のため、CB&Iの子会社のLummusとの間で技術ライセンスと設計の契約を締結した。

スチレンモノマーの能力は32万トンで、2011年のスタートを予定している。

Lummusは吉林石化の既存SMの建設時にも技術供与している。

ーーー

別途、上海華誼集団公司の子会社Shanghai Huayi Polymer はこのたび、38千トンのABSプラント建設の式典を行った。
20万トン計画の第一期となる。

中国のABSメーカーについては  2009/7/25 LG Chem、中国海洋石油との合弁で広東省でABSを生産


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欧州47カ国が加盟する欧州評議会(The Council of Europe)は1月12日、世界保健機関(WHO)と新型インフルエンザのワクチンを製造する製薬会社との癒着が世界的大流行(H1N1 pandemic )を宣言したWHOの判断に影響を与えたとの疑惑について調査を開始すると発表した。

緊急調査開始の決議は欧州評議会議員会議(PACE)で承認された。 

それによると、「インフルエンザの特許医薬品とワクチンを売るため、製薬会社はWHOなどの科学者や役人に影響を与え、世界中の政府に警告させて、限られた資金を有効性に欠けるワクチンに浪費させ、必要もないのに何百人もの健康な人を十分にテストしていないワクチンの副作用の危険に曝した」としている。

PACEの保健衛生委員会の委員長でドイツの疫学者で肺の病気の専門家のDr. Wolfgang Wodarg false pandemic”であるとして動議を提起した。製薬会社は全プロセスで影響力を発揮しており、責任を取らせることが必要とする。利益の追求のため、身体に害を与えたと批判している。

Dr Wodarg によると、 false pandemic”は昨年5月にメキシコで始まった。100件ほどの通常のインフルエンザを科学的証拠がないのに新しいpandemicの始まりと主張した。WHOは製薬会社と協調して“pandemic”の定義を変更し、これまでの「非常の多くの人が感染又は死亡」から、単に「人が免疫を持たないウイルスが国境を越えて広がる」とした。

ほとんどの国の政治家は直ちに反応し、ワクチンを発注した。その結果、製薬会社はリスクなしで膨大な利益を上げたと批判する。

<p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p>

WHOの推定では2009年末までに新型インフルエンザでの死亡者は約1万3千人で、これに対し、季節性インフルエンザの死者は毎年平均して25万人~50万人に及んでいる。

2005年の鳥インフルエンザでも、150百万人が死ぬとの予想が出されたが、実際の死者は250人程度であった。この件も緊急調査の対象となる。

欧州各国では、ワクチンが大量に余り、売却や製薬会社との売買契約解除の動きが加速している。
フランスでは12.5億ドルで94百万doseのワクチンを購入したが、5百万doseしか使用されていない。

GlaxoSmithKline
1月12日、ドイツ政府が注文したワクチンのうち3割が解約になったと発表した。<p><p><p><p><p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p></p></p></p></p>

ーーー

<p><p><p>HTML clipboard</p></p></p>日本では新型インフルエンザのワクチン接種が、65歳以上についても1月13日から前倒しで始まった。
新型インフル感染による死者数は1月6日までで計
146人持病がある人や高齢者の死亡率が高い。

厚生労働省によると、昨年12月25日現在、医療機関から新型インフルエンザワクチンで1899件の副作用報告があり、入院相当以上の重篤が294件、死亡が
103件含まれていた。この間の推計接種者は1492万人。


<p><p>HTML clipboard</p></p>

付記

厚生労働省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会は1月15日、国が輸入を予定しているGlaxoSmithKlineNovartisの新型インフルエンザワクチンについて、一定の条件付きで国内での販売を認めることを了承した。

<p>HTML clipboard</p>これを受け、長妻厚相は同日、海外で安全性が証明されていれば日本の治験を省略する「特例承認」を行なった。来月中旬から健康な成人を中心に接種が始まる。

輸入するのはGlaxoSmithKline製の74百万doseとNovartis製の25百万dose。いずれも国産ワクチンで使っていない免疫補助剤が入っている。


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韓国政府は1月11日、忠清南道などを中心に建設中の行政都市「世宗(セジョン)市」への首都機能を移転する計画を白紙撤回し、代わりに大企業や大学・研究機関を誘致して「教育科学経済都市」を建設すると正式発表した。

計画見直しに対し、首都機能移転を決定した盧武鉉前政権を支えた野党・民主党や地元自治体は強く反発、与党の一部にも反対論が根強くあり、6月の統一地方選挙では見直しの是非が最大の争点に浮上すると見られている。

ーーー

新行政首都建設構想は2002年12月の大統領選挙において盧武鉉候補が公約に掲げた。
ソウル首都圏には国土の1割ほどの面積に総人口の約半分が集中しており、一極集中の是正と国土の均衡発展という大義名分であった。

建設地域を最初から忠清圏に限定して提起されたことから, 票集めを意図した政略との批判も多かった。
政権発足直後から, 忠清圏内の候補地と目される市郡やその中心都市・大田広域市では地価が急騰し不動産バブルが到来した。

2003年12月末に「行政首都建設特別措置法」が成立した。

2004年6月には公共機関地方移転計画が発表され、移転地は忠清南道公州市と燕岐郡にまたがる地区に決まった。

これに対して首都圏を中心に反対勢力の活動も活発化、ソウルの三大新聞も反対の論陣をはった。

2004年10月、憲法裁判所は行政首都建設特別措置法は違憲との決定を下した。
韓国の憲法には首都に関する条項はないが、朝鮮王朝以来ソウルが首都であることは確かな事実であって不文憲法として規範化されており、これを廃止するならば憲法改正が必要であり, 国民投票しなければならないとした。

この結果、政府は首都移転ではなく、政府行政機関の一部を移転することに方針を変換した。

2005年に建設交通部、財政経済部など16省庁を忠清南道燕岐・公州地域に移転させることを内容とする「行政中心複合都市特別法」が成立、同年10月に「中央行政機関等の移転計画」が策定された。

移転対象機関は中央行政機関18部4処18庁のうち、12部4処2庁(その後の省庁改編で13省庁)。
ソウル残留は、青瓦台、国会、最高裁判所の他、統一部、外交部、国防部、法務部など。
2007年7月に着工し、2012年から移転を開始し、2014年に移転完了。

2006年12月、行政都市名を「世宗」と決めた。

世宗は李氏朝鮮の第4代国王(在位:1418年1450年)。
ハングルの制定を行ったことで知られ、李氏朝鮮の歴代君主中もっとも優れた君主とされる。

ーーー

李大統領も2007年の大統領選で首都機能移転に賛成したが、就任後、省庁分散による行政の非効率化などを理由に計画修正の必要性を主張。昨年11月、首都機能移転計画の撤回を表明し、国民に謝罪した。

今回の新計画は三星、ハンファ、熊進、ロッテなど大企業が参加する先端グリーン産業地区、国際科学ビジネスベルトの核心施設や高麗大学、KAISTなど大学を誘致し、世宗市を国家の未来新成長動力のメッカにするという構想。

 ・当初2030年だった完成時期を10年早める
 ・企業や大学・研究所などを建設する用地を、486万m2から1508万m2に拡大
 ・投資総額を8.5兆ウォンから16.5兆ウォンに拡大
 ・目標人口を17万人から50万人に増加---などが盛り込まれた。

サムスン・グループが進出して太陽光発電、燃料電池、発光ダイオードなどの生産体制を整えるほか、ハンファ・グループはエネルギー分野、ロッテ・グループは食品研究分野で進出する。
学術部門では、高麗大学、韓国科学技術院(KAIST)が大学院などを建設するほか、先端科学研究施設建設も目指す。

サムスングループの李健熙前会長は不正資金事件で有罪が確定していたが、昨年末、特別赦免された。このため、サムスン電子の「世宗市」への進出との取引説が噂されている。

教育科学技術部は1月11日、3兆5000億ウォンを投じて世宗市に「国際科学ビジネスベルト」を建設するという計画を発表した。

世宗市内の330万m2の敷地に仮称「世宗国際科学院」を建設し、その傘下に基礎科学研究院、重イオン加速器、国際科学大学院、先端融複合センターを置く。
世宗市と近隣の大徳研究団地、忠清北道五松・梧倉先端複合団地と有機的に連結、産学研の協力で「韓国版シリコンバレー」に育成する。

基礎科学研究院は、長期的な基礎技術プロジェクトに主に取り組む。
重イオン加速器はヨーロッパ粒子物理研究所(CERN)の加速器とは違い、直線型で建設される。
国際科学大学院は定員1800人で、先端基盤施設・教育課程を備える。
先端融複合研究センターは国内の大学・研究機関の研究力を集結する。

 


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中国自動車工業協会の1月11日の発表では、中国の2009年の自動車販売台数は前年比46.15%増の1364万台となり、初めて世界一となった。うち、乗用車が1033万台(52.93%増)、商用車が331万台(28.39%増)であった。

生産は1379万台(前年比 48.30%増)で、乗用車は1038万台(54.11%増)、商用車が341万台(33.02%増)。

米国の調査会社の調べでは、米国の新車販売は1043万台で、前年比21.2%減となっている。
月次では2009年1月に初めて米国を追い抜いている。

協会の事務局長は次のように述べた。   

ここ数年来、中国のマクロ経済は持続的な急成長を遂げ、国民の生活レベルが徐々に向上している。
人口が多いため、人口あたりの自動車保有台数は少ないが、巨大な潜在的購買力が中国自動車工業の急成長を牽引するエンジンとなり、自動車工業は国民経済の重要な基幹産業となった。
今後10年間は 急成長の発展傾向を維持することが予想される。

中国の自動車販売の伸びは政府の消費刺激策によるところが大きい。

中国政府は2009年に入り、「汽車下郷」(農村部に自動車を)制度をスタートさせた。三輪自動車などを廃車とし、5万元以上の軽トラックや軽自動車に買い換える場合は5,000元を上限に、購入金額の10%を補助金として支給するという制度である。

5月には「汽車下郷」に自動車買い替えが追加され、自動車買い換えの財政補助をこれまでの10億元から50億元まで枠を拡大した。

中国政府は2009年12月9日の国務院常務会議で、消費刺激策の1年延長を決めた。

低排気量車の購入税減税や、農村部での自動車普及策の延長を決定。また「家電下郷」政策についても、対象製品の限度額を大きく引き上げることなどを打ち出した。

自動二輪車への補助金支給は、2013年1月31日までとする。
排気量1600cc以下の乗用車について、購入税の減税措置を2010年末まで延長。
(但し、低排気量車の購入税率を現在の5%から7.5%に引上げる。)
自動車の買い替え支援策に対する補助金の支給額を
、現在の3,000~6,000元から、5,000~18,000元まで引き上げる。

中国の調査会社は2010年の自動車販売台数を1513万台と予想している。

ーーー

1月10日のテレビ東京の「日高義樹のワシントン・リポート」は「2010年日本と世界に大変動か~キッシンジャー博士に聞く」であった。

米国も欧州も日本も不景気が続くのに、どうして中国だけが成功したのか、との質問に対する博士の答えは、リーダーシップであった。

米国の場合、短期的視点で延々と議論するのに対し、中国では公的資金を長期的視点で迅速に有効に配分したのがうまくいったとする。

確かに、膨大な額の景気刺激策を早期に決めたことが大きい。
潜在需要の大きい農村部に限って、家電や自動車に補助金を出すというのは、米国でも日本でも反対が出て、決められないであろう。

ただし博士は、中国のやり方では今後、問題が起こることもあろうともしている。

<p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p>同様のことを、Thomas L. Friedman "The World is Flat" に続く "Hot, Flat, and Crowded" で述べている。

温暖化対策事業で米国が先頭を切らないといけないのに、石油業界など既存勢力の反対で遅々として進まず、このままでは新成長分野を他国(中国も含め)に支配されると嘆き、"China for Day (but Not for Two)"という1章を書いている。

「2日はいやだが、1日だけなら中国になりたい」というもので、米国では何年もかかる案件、レジ袋の有料化、ガソリン無鉛化、自動車燃費規制、等々をトップダウンの命令で直ちに実施したことを取り上げ、中国のやり方を(その部分だけは)羨ましく思っている。

ーーー

2009年の乗用車生産のTOP 10は以下の通り。

上汽通用五菱汽車(SAIC-GM-Wuling )  976,808 上海Automotive Industry/GM
Shanghai Volkswagen  729,007
Shanghai GM  727,616
FAW Volkswagen  682,374 第一汽車集団/Volkswagen/Audi
Chag'an Motors  654,467 Chang'an SuzukiChang'an Ford
Beijing Hyundai  570,880
東風日産(Dongfeng Nissan  578,327 東風汽車集団/日産自動車
比亜迪 (BYD)  435,633 Warren Buffett 10%出資
FAW Toyota  435,512 中国第一汽車集団/トヨタ
奇瑞汽車(Cherry  432,962

このうち、比亜迪(BYD)は王伝福が1995年にリチウムイオン電池製造販売のために設立した会社である。
社名は
Build Your Dream から付けた。
現在、リチウムイオン電池の製造で世界第3位で、携帯電話用では世界第1位のメーカーである。

同社は2003年、倒産した中小自動車メーカーの西安秦川汽車有限責任公司を2.7億元(約40億円)で買収し、自動車産業に参入した。

BYD自動車部門は小型車を中心に順調に業績を伸ばし、強みである電池との究極のシナジーをめざして電気自動車の開発に乗り出した。2008年12月、世界初のプラグインハイブリッドカー比亞迪F3DM を発売した。

2008年9月、米国の著名投資家であるWarren Buffettが2億3000万ドルを投じてBYDの約10%の株式を取得した。

Buffett氏は、「新エネルギーは大変重要な分野だ。すでに風力発電には参入しているが、今後はBYDとともにエコカー分野に積極的に打って出たい」としている。

フォルクスワーゲンは2009年5月、BYDとリチウムイオンバッテリーを使用したEVやハイブリッド車の開発で提携すると発表した。<p><p>HTML clipboard</p></p>

付記

比亜迪(BYD)は1月12日、電気自動車「e6」を年内に米国市場に投入すると発表した。5人乗り、最高時速140kmで、1回の充電で最大330km走れるという。


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映画 The Informant

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映画 The Informant を見た。

New York TimesKurt Eichenwald が関係者から取材して書いたノンフィクション The Informant の映画化。

1992年、アメリカの穀物メジャーのArcher Daniels MidlandADM)のBioProducts Division事業部長のMark Whitacre(演じるのはMatt Damon)は飼料添加物リジンの生産がうまくいかず、上司に責められる。
競争相手のAjinomotoの社員から同社がスパイを送り込み、ウイルスを入れたとの電話があり、情報代を要求される。会社はFBIに依頼し、FBIは彼の自宅の電話に盗聴器をつける。

Mark は妻(演じるのはMelanie Lynskey)から本当のことをFBI捜査官(同 Scott Bakula)に言えと脅され、Andreas副会長主導の日米韓メーカーによるカルテルの存在を伝える。

FBIは米国での会合を秘密に撮影、Markにテープレコーダーで世界各地での会合での会話を録音させた。
Markの2年半に及ぶ 「“007”の2倍賢い諜報員 “0014”」と自賛する大活躍で、証拠が揃い、1995年に強制捜査が入る。

Mark は悪をあばいた英雄として社長になれると思ったが・・・

次々と明らかになるMarkの嘘に、FBIは右往左往。

全くの作り話のように思えるためか、Kurt Eichenwald の原作のサブタイトルはA True Story となっている。

映画でも、Archer Daniels Midland(ADM)Ajinomoto、韓国のSewon Cheil などの社名や、ADMMark Whitacre、Dwayne Andreas会長、その息子のMichael Andreas副会長、AjinomotoMr.Mimoto(有罪となっている)など、全て実名で出てくる。

ーーー

リジンカルテル事件は独禁法の歴史に残る事件である。

リジンはアミノ酸で重要な飼料添加物である。バイオテクノロジーで生産される。

1980年代後半には味の素、協和発酵、韓国のSewon3社が世界の生産の95%を占めていた。(味の素が60%
ADMは原料のdextroseの大メーカーで、1991年にリジン生産に進出し、急激にシェアを伸ばした。
同年、韓国の
Cheil Jedang(第一精糖)も生産を開始した。
Sewon はその後、Miwon Foodsと合併し、Desang Corporationとなった)

その結果、価格は大幅に下落し、コスト割れとなった。

19924月にADMは味の素、協和発酵と会い、"amino acids trade association"をつくり、その後、韓国のSewonCheil Jedang(現在のCJ)が参加、価格や生産量、販売シェアを話し合った。

ADMは映画の中でも同社のモットーを明らかにしている。
  
"The competitors are our friends, and the customers are our enemies"

ーーー

実際には、その前の1990年に日本と韓国メーカーの間でカルテルは始まっている。

カルテルの詳細な経緯は競争政策研究センター(CPRC)の報告
リーニエンシー制度の経済分析」のP.52「ケーススタディ:欧州リジン事件」に記載されている。

ーーー 

1992年11月にADMのMark Whitacre FBIInformantとなった。
19956月、ADMに強制捜査が入った。

ーーー

2000年4月、米ワシントンのホテルで、リジンカルテルの現場をFBIが隠し撮りし米司法省が編集した衝撃のビデオが公開された。

米法曹協会の定期会合の場で「カルテル行為の内情」と題した講義が追加され、ビデオが流された。字幕が付いており、どの社の誰が何を喋ったのか、すべて分かる。

ビデオを解説したテキストは、以下の言葉で締めくくられている。
「(法律家である)あなた方にこのビデオとテキストを役立ててほしい。まず顧客企業がカルテルに関わるのを思いとどまらせるために、そして、防止できなかった場合は違法行為を発見するために」。

日経BP (2000/6/21) 「FBIが隠し撮り--暴かれた味の素/協和発酵らの謀議

ーーー

1996年に、各社は罪を認めた。

ADMは司法取引で、70百万ドルの罰金を支払った。(同時に判明したクエン酸事件の30百万ドルを加え、合計100百万ドル)
Michael Andreas
副会長とMark の直接の上司のTerrance Wilson は罰金と3年の懲役となった。
また、これが契機となって、ADM
異性化糖に関する集団訴訟で400百万ドルを支払っている。

ADMの合計100百万ドルの罰金は、過去最高の7倍にもなる。

味の素と協和発酵、及びSewonは司法取引に応じて情報を提供し、各社と各社の役員各1名が罰金を払った。

ADMと味の素、協和発酵の3社は需要家からの民事訴訟で、それぞれ、25百万ドル、10百万ドル、10百万ドルの支払いに応じている。
(これについては賠償額が少なすぎるとして、その後議論となっている)

この調査で、司法当局はカルテルが考えていたよりも広く行われていることを知り、その結果、ビタミンカルテル、ファックス用紙カルテル、黒鉛電極カルテルなどの摘発につながった。<p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p>(クエン酸カルテルに関するHoffman-LaRocheなどの調査でビタミンカルテルの存在が分かった。)

日本企業はビタミンカルテルでは武田薬品、エーザイ、第一工業製薬が摘発されている。

黒鉛電極では昭和電工、東海カーボン、日本カーボン、SECカーボンに加え、UCAR International 50%出資していた三菱商事も摘発された。

主人公のWhitacre はADMの調査で900万ドルの横領がばれ、情報提供による訴追免除を失い、8半服役した。
ADMはこれを理由にカルテル事件の揉み消しを図った。原作の大きな部分がこの問題に割かれている。)

彼は現在はバイオテクノロジー企業のCypress SystemsCEOとなっている。<p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p>

付記    

Whitacreは刑期途中で特赦を申請し、FBI捜査官たちも司法省に要請した。

20011月、Clinton大統領は退任に当たり、176人に恩赦を実施した(特赦140人、減刑36人)。

この中に脱税などの容疑がかけられ逮捕直前に国外逃亡していた実業家 Marc Rich (スイスのGlencoreの設立者が含まれている(彼の元の妻が民主党に総額100万ドル以上の献金を行っている)。

しかし、Whitacreはこの特赦の対象から除外された。

Clinton大統領は退任直前に、Dwayne Andreas AMD会長を褒め称え、彼の「多くの親切」に対して感謝した。

ーーー

リジンカルテルはカナダとEUでも摘発された。

カナダではAMDが罰金1600万加ドル(リジン価格カルテル 900万、同市場分割 500万、クエン酸 200万加ドル)、味の素が罰金350万加ドル、Sewonが7万加ドルとなり、協和発酵は捜査協力で訴追免除、Cheilは販売がなく、不起訴となった。

EUでは1996年にLeniency Programが導入されたが、本事件はその適用の第1号となった。

1995年6月に米国で強制捜査が開始されたが、翌1996年7月、EU でLeniency Program が導入された直後に味の素が情報を提供し、適用を申請した。

欧州委員会は、一連の価格協定等の行為を同一の反競争的な目的を目指して共通の全体計画の文脈で行われた単一の継続的な違反とし、EC 設立条約第81条違反と認定した。

制裁金は以下の通りとなった。(千ユーロ)

味の素 ADM 協和発酵 Sewon Cheil
算定開始額*1 30,000 30,000 15,000 15,000 15,000
重大性(行為年数35 年)
10%
+40% +12,000 +30% +9,000 +40% + 6,000  +40% + 6,000  +30% + 4,500
違反主導的役割 50% +50% +21,000 +50%  +19,500
専ら受身な役割行為
    年数加算を20%
6000x
(-20%)
- 1,200
当局介入直後に違反を終了 -10% - 6,300 -10% - 5,850 -10% - 2,100 -10% - 1,980 -10% - 9,150
Leniency Program*2 -50% -28,400 -10% -5,350 -30% -5,700 -50% -8,920 -30% -5,350
合計 28,300 47,300 13,200 8,900 12,200
旧制度での想定制裁金*3 (13,500) (7,380) (2,880) (2,700) (3,060)

*1 企業規模により、味の素・ADM とそれ以外の2グループに分けた。

*2 Leniency Program 適用は以下による。

味の素(-50%):決定情報を提供したが、以下の理由で100%減額は適用されなかった。
         ・
ADM参入前のカルテルについて情報提供なし
         ・米国での捜索時に欧州や日本の書類破棄を指示
         ・カルテルで主導的役割

ADM(-10%):調査に協力せず。但し事実関係について争わないとした。

協和発酵(-30%):提出証拠は決定的なものでなく、非自発的

Sewon(-50%):十分な証拠を出したが、調査開始後で、委員会の要求に応じた協力(非自発的)

Cheil(-30%):提出証拠は決定的なものでなく、非自発的

*3 旧制度での想定制裁金は リジン年間売上高 x 3年 x 6% 


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中国の税関総署は1月10日、2009年の輸出額が前年比16.0%減の1兆2千億ドルになったと発表した。
2008年に輸出額が世界1位だったドイツも輸出がふるわず、2009年1~11月の累計ですでに中国がドイツを上回っており、通年でも中国が初の世界トップになることが確実となった。

<p>HTML clipboard</p>

2009年の輸出額は世界金融危機の影響で1983年以来26年ぶりの前年割れとなったが、12月の輸出は前年同月比17.7%増と、1年2ヶ月ぶりに増加に転じている。月間輸出額では歴代4位。

2009年の輸入額は前年比11.2%減の1兆ドルとなった。
12月は前年同月比55.9%と大きく増加した。鉄鉱石が6億3千万トン(前年比41.6%増)、原油
 2億トン(同13.9%増)、大豆 4255万トン(同13.7%)と大幅増となった。

<p><p><p>HTML clipboard</p></p></p>

<p><p>HTML clipboard</p></p>2009年の貿易収支黒字は1,961億ドルで、前年比34.2%減となった。

2009年の実績は以下の通り。

       輸出      輸入
金額(億$ 前年比(%) 金額(億$ 前年比(%)
 1 904.5 -17.5 513.4 -43.1
 2 649.0 -25.7 600.5 -24.1
 3 902.9 -17.1 717.3 -25.1
 4 919.0 -22.6 788.0 -23.0
 5 888.0 -26.4 754.0 -25.2
 6 954.1 -21.4 871.6 -13.2
 7 1,054.2 -23.0 947.9 -14.9
 8 1,037.0 -23.4 880.0 -17.0
 9 1,159.4 -15.2 1,030.1 -2.5
10 1,107.6 -13.8 867.8 -6.4
11 1,136.5 -1.2 945.6 26.7
12 1,307.2 17.7 1,122.9 55.9
年計 12,016.6 -16.0 10,056.0 -11.2


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水俣病の原因企業チッソが、水俣病被害者救済特別措置法に盛り込まれた同社の分社化について「10月1日を目標に社内の体制を整える」との方針を示したことが分かった。

後藤舜吉会長が、社内報「オールチッソ」の年頭所感で明らかにした。各紙報道によれば要旨は次の通り。

今年は待望久しい分社化元年。会社は水俣病特別措置法に従い、およそ3年で水俣病の最終解決を図ると同時に、分社化で一挙に再生を果たす方針だ。今年はその第1段階。現チッソの事業をすべて引き継ぐ100%子会社(新チッソ)の設立と営業開始を実現する。

チッソ史上、戦後の企業再建整備法に基づく新日本窒素肥料の発足(1950年)に匹敵する画期的な出来事。

環境省が立案中の救済措置方針が決定すれば、すぐ分社化の手続きに入る。営業開始は10月1日を目標に体制を整える。

新チッソは水俣病の債務は負わない。約500億円の純資産を持ち、連結経常利益の現状約200億円がほとんどそのまま最終利益となる。

* 最近の業績は以下の通り(億円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 水俣病
補償損失
公害防止
事業費
負担
08/3 2697 208 202 108 -40 -8
09/3 2492 152 103 30 -37 -8
09/9 1171 106 65 17 -18 -

そのため信用が格段に向上し、取引活性化や人材確保に役立つ。水俣病の桎梏から解放されることで経営は安定し、社員のモラールも向上すると期待する。

分社化はすべての関係者に有益。認定患者の補償金は常に最優先で確保する。今回の救済対象者も新チッソの上場による原資で、はじめて一時金受給が可能となる。地域経済の安定・向上がもたらされ、国、県にとっては公的融資の早期回収が可能となる。

3年後を見据え、収益力の最大化に取り組まねばならない。新会社上場でチッソ再生は一応果たされるが、将来の患者補償金積み立てに加え、公的負債や金融支援負債の返済まで責任を完遂しなくては真の自立・再生とは言えないからだ。自立後の新チッソは、資本市場などの新しい世界に入っていける。

必ずや関係者全員が分社化して良かったと思う日が来ると確信している。

チッソの事業部門を100%子会社化して上場・独立させ、現在のチッソは補償部門だけを担う親会社とする内容。
上場後の株式売却益で約1500億円の公的債務と約400億円の金融機関に対する債務に加え、将来も続く患者補償を担う。
親会社は当面、子会社の株式配当益で補償業務を担い、3年後をめどに株式を他者に全面譲渡、譲渡益を熊本県に納付して補償業務を委ね、清算するとしている。

ーーー

水俣病の未認定患者を救済するための特別措置法案は20097月3日の衆院本会議で、自民、公明、民主、国民新の各党の賛成多数で可決され、8日午前の参院本会議で与党や民主党などの賛成多数で可決、成立した。

最終解決に向けた取組は以下の通りとなった。

公害健康被害補償法:地域指定継続

チッソ分社化:
  
「チッソが一時金支払いに同意するまで凍結」
の条件を加え、容認
   
それまでは、環境相が分社化の前提となる事業再編計画を認可しない 

2009/7/3 水俣病救済法案、衆院を通過、来週成立の見通し

ーーー

チッソの分社化は、同社を患者補償会社(親会社)と事業会社(子会社)に分け、子会社の株式売却益を被害者の補償にあてた上で親会社は将来清算することとなっているが、同法に基づく救済策は関係者間で協議中で、まだ合意には至っていない。

法に基づく救済措置の内容が決まる前にチッソが分社化に向けた準備日程を示したことに、一斉に反発、不快感をあらわにした。

水俣病患者連合(水俣市):「犯した罪の重さを理解していない。被害者の救済策が決まっていない中、『これで無罪放免』みたいなことを言っている。あきれてものが言えない」。

水俣病被害者芦北の会(津奈木町):「チッソは加害企業として、最後まで責任を果たすべきだ」

水俣病出水の会:「せっかく救済実現に向けて進んでいるのに、チッソはもっと謙虚であるべきだ」

水俣病不知火患者会(水俣市):「加害企業なのに許せない」

チッソ総務部は以下の通り述べている。

水俣病特別措置法に基づく救済策が整った後は、分社化で企業価値を高めることが当社の大命題。
企業価値を高めることで、次の段階である株式譲渡の際に患者補償や一時金支払い、公的債務返済のための原資を確保できる。
10月1日という数字は、日程上は厳しいが、分社化の時期を先延ばしすれば、その分、企業価値が下がる。目標を早く設定し、意気込みを示したも のだ。

水俣病被害者の救済問題では、特措法に基づく救済措置方針の策定作業やチッソと国、熊本県を相手に損害賠償請求訴訟を続ける団体との和解協議へ向けた動きが大詰めを迎えている。

小沢鋭仁環境相は1月5日の年初の閣議後会見で、同省が今年取り組む重要課題として、地球温暖化対策基本法案や生物多様性条約第10回締約国会議と並び、水俣病未認定患者の救済問題を挙げた。

未認定患者救済で、同省は昨年12月、水俣病特別措置法に基づく救済措置方針の土台となる案を公表。
小沢環境相は「救済手続きの開始目標にしている5月1日を念頭に作業していかないといけない」と述べたが、また「裁判も同時並行で行われており、バランスを考えながらやっていきたい」と、被害者団体の受け止めを見ながら作業を進める考えを示した。

今回の表明内容を読んだ小沢鋭仁環境相が激怒し、後藤会長の真意をただすよう小林次官に指示した。
小林光事務次官は、「分社化ありきの印象を生み、被害者の気持ちを逆なでする」と不快感を伝えた。

後藤会長は、「水俣病の桎梏から解放される」との表現については「関係者が解決に向け努力している時期だけに、言葉には注意を払うべきだった」と陳謝した。
しかし、10月1日の分社化目標については「分社化はいいことなので、できるだけ早く進めたい。社内体制を整える意味で、考え得る最も早い時期を言っている」と実現への意欲を伝えたという。

小林次官らは後藤会長に対し「法律は救済のためにあり、分社化のためにあるのではない」と伝えた。


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コラーゲン幻想

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昨年末の河野太郎衆議院議員のブログに面白い記載があった。

アメリカの学者達とスッポンを食べているときに、それは起きた。
おっ、コラーゲン、コラーゲンなどといいながらつついていると、おもむろにそのアメリカ人が、「なぜ、日本人はcollagenなどというものを喜んで食するのか?」

「えっ、お肌にいいからだろ」。

「コラーゲンは食べても全量分解され、やがて排出されるだけである」と、曰う。
「コラーゲンを食べると関節に良いとか美容によいというのは、血液型が性格に影響を及ぼす等というのと同じ、全く非科学的な戯れ言である」。

 

スッポン鍋だけでなく、コラーゲン効果をうたったドリンク、サプルメント、化粧品などの宣伝が多い。

これについて、福岡伸一・青山学院大学教授が昨年10月に日本経済新聞夕刊のコラムに2回にわたり、書いている。

まず、「消化の意味」について。

消化は何のために行われるのでしょうか?

消化のほんとうの意味は別にある。情報を解体するため、消化は行われる。
例えばタンパク質。タンパク質はアミノ酸の連結による高分子で、アミノ酸は個々のアルファベット、タンパク質はそれによって書かれた文章にあたる。そして全ての生物は、固有の文法と文体に従って構成された文章からなる一大物語といえる。
食物とは、それが動物性のものであれ、植物性のものであれ、もともと生物体の一部であったものだ。
そこには
持ち主固有の情報が満載されている。

この情報がいきなり、私の身体の内部にやってくると、私の身体固有の情報系と衝突、干渉、混乱が生じる。
これを回避するため、消化酵素は、物語と文章を解体 し、意味を持たない音素のレベルに還元する。そのアルファベットを吸収して、私たちは自分固有の物語を構築する。実にこれが生きているということなのである。

そして、コラーゲンの幻想について、

コラーゲンはタンパク質である。細胞間のクッションとなりお肌の張りを保つ。関節の潤滑剤としても働く。

しかし、私たちが食品として摂取したコラーゲンは動物や魚由来のものであり、消化管内で分解されてアミノ酸となる。コラーゲンはもともと消化されにくいタンバク質なのでそのまま排泄されてしまう分もかなりある。
少なくともいえることは、
他者のコラーゲンがまるごと消化管を通り抜け、細胞間や関節に届いて、その場所に補給されることは全くありえないということである。

私たちの細胞は、コラーゲンが必要なときは、吸収したアミノ酸からいくらでも作りだすことができる。そしてコラーゲンの合成に必要なアミノ酸は、ごくあ りきたりなものなので、どんなタンパク質にも含まれている。
だから普通の食事をしている限り、コラーゲンが不足するなどということもありえないのである。

安井至先生の「市民のための環境学ガイド」でも、2009年3月22日の「食品リスクと思い込めば『健康』に?」で、サプリメント理解のための最低限の知識 を挙げている。

通常の薬などは、口から摂取したままの形で吸収されるが、それは、腸壁などを通ることができる小さな分子だからである。
タンパク質は、アミノ酸という小さな分子に分解されて吸収される。
でんぷんなどは、糖が数多く結合したものであるが、これは糖に分解されてから吸収される。
脂肪類は、脂肪酸に分解され吸収される。
  (以下 略)

ーーー

河野代議士の話の落ち:
    コラーゲン、効かなくても、寒いから鍋行くか。

福岡教授の話の落ち:

外見は本物とそっくりに作った偽薬を、それとは知らせずに投与すると、かなりの割合でなんらかの改善が見られる。いわゆるプラセボ(偽薬)効果である。ことほどさようにヒトは信じやすく、信じる者は救われる。

だから私は、コラーゲンの共同幻想に陥っている人たちを見ても何かを諌言するつもりはない。ただ幸いであると思う。そしてひとりごちる。それに一体いくら払ったのだろうと。


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1月7日午後5時45分ごろ、横浜市金沢区福浦の日本カーリットの工場で相次いで爆発が起き、敷地内の製造棟や倉庫など計8棟、約2200平方メートルがほぼ全焼し、午後8時15分、鎮火した。

工場の男性従業員6人が負傷したほか、近くを車で通行していた男性と別の工場の男性従業員の計2人も爆風で割れたガラスなどでけがをした。8人はいずれも軽傷。

爆発があったのは、顧客から受託して化学薬品などを合成する有機製造所。事故は液晶パネルの原料素材の製造を午後5時ごろ終えた後に起きた。高圧反応釜に窒素化合物を入れて水素ガスの圧力をかけ、アミン系の精製物をつくっていた。
事故当時は人はいなかったが、工場の敷地内に15人がいたという。

同工場は元は日本カーリットの子会社(1942年に出資)の関東高圧化学の工場で、日本カーリットが2009年4月に吸収合併し、ファインケミカル事業本部として事業を継続していた。

この工場は日本唯一の過塩素酸メーカーで、高圧水素還元(水添)をメインとした様々な有機合成を行い、受託合成も行っている。

ーーー

同工場では2008年4月7日、敷地内の実験棟で爆発事故があり、従業員2人が病院に運ばれ、うち1人が死亡した。
化学物質トリクロロシランなどの液体をオートクレーブで混ぜる際、加湿装置から蒸気が漏れ、薬品と混ざって化学反応を起こして圧力が異常に上がり、釜が爆発した。

高圧釜の定期自主検査を11年間行っていなかったため、高圧釜内部の加湿装置の劣化に気づかなかった。

工場長はオートクレーブの法定の定期自主検査について「しなくてもいいと思っていた」としている。
県警幹部によると、工場長は、同事故で死亡した研究グループ課から、「(高圧釜が)老朽化しているので取り換えてください」などと訴えられていたが、放置していたという。

本件では2009年12月16日、神奈川県警捜査1課と金沢署は、業務上過失致死傷容疑で元工場長と元副工場長を、事故で死亡した同工場研究グループ課長を容疑者死亡のまま業務上過失傷害容疑で、それぞれ横浜地検へ書類送検した。

また、県警は、市の許可なく法定貯蔵量(50kg)を超えるトリクロロシラン169kgを貯蔵したとして、同社と調達責任者だった当時の営業課長を消防法違反容疑で同地検へ書類送検した。

しかし、横浜地検は12月28日、当時の工場長ら3人について、年明けにも嫌疑不十分や被疑者死亡で不起訴とする方針を固めた。地検は「法定の検査を行っても亀裂を発見することは困難だった」と判断した。

ーーー

日本カーリットは爆薬、信号用火工品、工業薬品、電子材料、機能性材料、砥材、化学装置、ボトリング事業に関する製品の開発、製造、流通、廃棄迄を行っている。

創業者浅野総一郎は、火薬類の国内自給を目指し、1916年にスウェーデンからカーリット爆薬の技術を導入した。

カーリット爆薬 (Carlit) は、スウェーデンのO.B.Carlsonが発明した爆薬で、過塩素酸アンモニウムを酸化剤とし、ケイ素鉄と木粉を燃焼剤とする爆薬で重油を結合剤として添加する。化学的に安定で自然分解しないという特徴がある。

1919年に保土ヶ谷工場を建設し、カーリットの製造を開始、1920年に日本カーリットを設立した。
一時、浅野セメントに吸収され、再独立した。

1995年に保土ヶ谷工場を閉鎖、群馬県渋川市に赤城工場を建設し、火薬類の製造を行っている。


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2009年12月30日、中国石油天然気(ペトロチャイナ)の蘭鄭長・石油パイプライン(甘粛省蘭州―河南省鄭州―湖南省長沙)完成後の輸送開始の過程で、渭南ライン(陝西省渭南市)で漏れが発生した。
ペトロチャイナがディーゼル油の輸送量に異常を発見し、輸送停止した後、漏出がわかった。

15万リットルのディーゼル油が漏れ、そのうち10万リットルが渭南ステーションから約2.75km離れた地点で黄河支流の赤水河(Chishui)に流入、更に渭河(Wei)にも流入していた。
第三者による破壊行為の可能性が噂されたが、ペトロチャイナはこれを否定
している。 

ペトロチャイナでは油が黄河に入るのを防ぐために、川の23カ所に油ブロックベルトを設け、当局も3カ所にfloating damを造った。陝西省渭南市では700人以上が水路を掘り、黄河への流入を防ぐ努力をした。

しかし、汚染は黄河にまで広がり、河南省鄭州市にある鞏義大橋より西の流域で基準値を超える水質汚染が確認された。

河南省西部の三門峡ダムでは1月2日以降、汚染された黄河の水が流出するのを防ぐため発電を停止した。

中国当局は1月5日、飲用水の水源となっている黄河の支流、赤水河と渭河が「深刻な汚染」に見舞われており、水質の汚染がますます進んでいると発表した。

両河川の水質は、4日には中国の水質管理基準で最悪レベルのレベル5に達した。レベル5の水は、農業用水に利用できるが、飲用には適さないとされている。

黄河流域の各市は監視ステーションを設置し、毎時水質をチェックしている。

ディーゼル油が漏れた場所では1000m2の土地が10m掘られ、汚染土壌を除去、他の場所からの土で埋め戻された。

ーーー

中国では2005年11月にペトロチャイナの子会社・吉林石油化学の事故により、ベンゼンが流出して松花江の水質が汚染され、大問題となった。
 


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Ineosは2010年1月1日、シノペック揚子石油化学との間で、南京ケミカルパークでのフェノール/アセトン製造のJV設立の検討を行う覚書を締結したと発表した。

新設するのはフェノール40万トン、アセトン25万トンの中国では最大のプラントで、原料のキュメン 55万トンのプラントを含む。
2013年完成を目標とする。

INEOS Phenol はドイツ、ベルギー、米国(アラバマ州)にプラントを有し、現在の合計能力はフェノールが187万トン、アセトンが
115万トンとなっている。同社はこれで、欧州、米国、アジアにプラントを持つ唯一のグローバルカンパニーとなる。

シノペックは北京の燕山石化で8万トンと10万トンの2系列、上海中石化高橋分公司で12.5万トンのプラント(下記参照)を持ち、天津のSINOPEC SABIC Tianjin Petrochemical で35万トンプラントを建設している。

ーーー

三井化学は2009年11月、シノペックとの間でフェノールの合弁事業に向け基本合意、12月に以下の「フェノール及びアセトンの新設プロジェクトに関する覚書」を締結した。

1. 所在地   上海市・上海化学工業区
2. 出資比率50:50
3. 生産能力
   フェノール  アセトン  BPA
今回新設  25万トン  15万トン  
既設(上海中石化三井化工)      12万トン
既設(上海中石化高橋分公司)  12.5万トン   7.5万トン  
合計  37.5万トン  22.5万トン  12万トン
4. 新プラントプロセス三井化学技術
5. 営業運転開始時期2013年第2四半期

2009/11/4  三井化学、シノペックとの合弁事業の基本合意

三井化学はこれにより、誘導品事業(ビスフェノールA、MIBK)を含めたフェノール事業で世界トップを目指すとした。

1位:Ineos Phenol (誘導品なし):187万トン
2位:三井化学:フェノール92万トン、誘導品54万トン、合計146万トン
→184万トン
3位:Solutia:フェノール86万トン、ビスフェノールA 11万トン、合計97万トン

しかし、Ineos Phenol は今回の計画が加わると、フェノール227万トンでトップを維持する。


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東ソーは中国で塩ビの新工場を建設する。

日本経済新聞によると、広州市の「東曹(広州)化工」の隣接地を取得し、100億円を投じて2010年中に新工場の建設に着手する。現在の年産能力は22万トンだが、新工場は約40万トンとする計画で2012年の稼働を目指す。

ブルームバーグの報道では、東ソーは中国政府から30万トン増強するよう要請されており、東ソーとしては「いつごろ、どの程度増強するかについては中国政府と協議中」とのこと。

ただ、中国市場の需要は拡大しており、東曹(広州)化工はフル稼働の状態のため、2010年度中には増強の方向性を明確にするという。

東曹(広州)化工は2004年12月の設立で、東ソーが67%を出資、ほかに三菱商事、三井物産、丸紅が出資する。
立地は広州市南沙経済開発区。
当初は年産11万トンの計画であったが、中国政府が20万トン未満の新設を認めない方針を打ち出したため、能力を倍増した。

ーーー

2009年上期時点の中国のPVCメーカーのトップ10は以下の通り。

天津大沽化工  800千トン
新疆天業(Xinjiang Tianye)   720
シノペック齊魯  600
宜賓天原(Yibin Tianyuan)   500
上海クロルアルカリ  480
新疆中泰  480
山西楡社(Shanxi Yushe)   420
Formosa 寧波   400
内モンゴルElion (Yili) Chemical  400
ChemChina昊華宇航化工  400

 * 天津大沽化工は天津LG大沽化工(340千トン)のパートナー
 * 新疆中泰化工はウルムチの中泰産業パークでPVC 360千トンを建設中で2010年にスタートする。
  これに加え、下記の計画を持つ。

中国では相変わらず、多くの大規模計画が打ち出されている。

新疆中泰化工は2009年8月19日、新疆ウイグル自治区の阜康の中泰阜康産業パークで大規模計画の第一期の着工の式典を行った。

イオン交換膜法ソーダ年産120万トン、PVC 160万トン、カーバイドスラッグセメント320万トンを建設する。最終的には2015年に完成の予定。
今回はその第一期計画で、苛性ソーダ300千トン、PVC400千トンを建設、2011年第4四半期にスタートさせる。

ーーー

ダウと神華集団は2009年11月3日、陜西省楡林市で大規模石炭化学JVの起工式を行った。
石炭と岩塩を原料とし、石炭化学・クロルアルカリ技術を使った23のプラントが建設される。

塩ビはメタノールからつくるエチレンを原料とする。

メタノール  332万トン Coal to Methanol
オレフィン  122万トン Methanol to Olefins
クロルアルカリ   50万トン  
EDC   51万トン  
PVC   50万トン  

ーーー

安徽省淮北礦業(集団)の子会社Anhui Hwasu、安徽省Luquiao に新しく発電所、電解、カーバイド法VCMPVC(年産100万トン)を建設するが、このたび、PVCに関してArkemaの技術を導入した。
Arkema
と提携している Aker Solutionsが基礎設計を担当する。

計画は2に分かれ、第一期50万トンは2011稼動の予定。

ーーー

中国のPVCの輸入は2008年秋に急落した後、年末から急上昇したが、2009年夏に再度急落した。

また、日本品は(韓国、米国、ロシア、台湾とともに)ダンピング課税対象となっており、2009年9月に更に5年延長となった。
日本からの輸出は課税対象外のペーストと、汎用品については保税加工貿易用に限られており、将来に期待できない。

また、VCMの輸入も同じパターンを示している。
中国の新設PVCのほとんどはカーバイド法であり、輸入VCMによるものは少ない。

東ソーにとってはPVCは別として、ビニルチェーンのエチレン、電解、VCMの維持のためには、PVCを現地生産し、その原料のVCMを輸出するのが一つの手であろう。


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アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国のアブダビ国営原子力エネルギー会社(Emirates Nuclear Energy CorporationENEC)は2009年12月27日、アラブ諸国初となる原子力発電所の建設を韓国電力公社を中心とする韓国企業連合に発注することを決め、合意文書に調印した。

韓国電力のほか韓国水力原子力、現代建設、斗山重工業、サムスン物産、Westinghouse(東芝子会社)、国際プロジェクトマネジメント会社の英AMECとなどがメンバー。

UAEで認知度の高い現代建設と三星物産を入れた。
各社の参加でコンソーシアムは原発の建設から運営まで全てのことが可能であることを積極的に説得することができた。

外国企業の参加を通じ、『韓国が中心 になったグローバルなチーム』というイメージを強調することができた。

韓国では原子炉冷却材ポンプや制御計測装置などの基幹技術に関しては独自に開発できておらず、今回もこれらはWestinghouseからの技術供与で行なわれる。供与される部分は工事費全体の5%ほどとされる。

急きょUAE入りした李明博大統領が27日にハリファ大統領と会談し、General Electric/日立を中心とする日米企業連合、フランス電力公社/Areva(世界最大の原子力産業複合企業)などのフランス連合を抑えて巨額プロジェクトの受注を勝ち取った。
韓国初の外国での原子力発電所建設の契約で、現代建設の経営者出身で、経済重視の外交を展開してきた李大統領の執念が実った。

UAEはエネルギー部門を近代化し、エネルギーソースを多様化する計画を進めている。

核拡散を恐れる米国が計画に反対していたが、UAE1217日に米国との間で、ウラン濃縮を行わないこと、使用済み燃料の再処理をしないことを約束する協定に調印し、前進した。

韓国電力のグループは4基の第三世代1400MW 軽水炉原発を設計、建設し、操業支援を行う。
1基は2017年に稼動、残りも2020年までに稼動する予定。

4基の建設費だけで200億ドル、これに加え、原子炉の耐用年数の60年間にわたり、原発の操業、メンテナンス、燃料供給を行い、これを合わせると契約額は合計400億ドルとなる。

ENECと韓国電力は原発の操業のためのJVを設立するとともに、燃料供給などの他のJV設立も検討する。
最初の3年間は韓国電力が燃料を供給する。

ーーー

韓国政府100%出資の韓国電力は現在、20基の原発を運転しており、2030までに更に10基を建設する。

韓国の強みは、30年間無事故という徹底した安全管理、高い技術力、価格競争力などとされる。

韓国知識経済部によると、韓国における原発の建設費用は1キロワット当たり2300ドルで、米国の3582ドル、フランスと日本の2900ドルよりも安い。また原発建設に必要な期間は52カ月で、フランスの60カ月、ロシアの83カ月より短いという。

韓国にとっては史上初の原発プラント輸出で、米国、フランス、日本との競争に勝利しての受注となった。
世界に原発プラントを輸出する能力を持つ国はこれまで、米国、フランス、カナダ、ロシア、日本の 5カ国だけだったが、韓国は今回の受注により、世界で6番目の原発輸出国となる。

大統領府関係者は「今回の受注による新規の雇用拡大効果は、10年間の建設期間で 11万人に達すると見込まれている。建設や機器の製作、設計、技術開発、金融など、関連する効果も考慮に入れれば、国の経済全体に大きくプラスになるだろう」と述べた。

ーーー

韓国とUAEは、今回の原子力発電所建設の契約を交わすにあたって、原発の建設および運営の期間である70年にわたるパートナー関係を結ぶこととなった。

12月27日、「韓国・UAE政府間経済協力協定」を締結した。
原子力分野のほか、再生エネルギー、造船、半導体、人材養成などの分野で両国間の長期パートナー関係を構築する。
UAEが推進している
炭素排出ゼロ都市 「Masdar City」の建設プロジェクトに韓国側が参加する。
人材養成分野でも、両国が共同で協力案の細部を詰めていくとした。

また両国は包括的「軍事交流協力協定(MOU)」を締結した。
両国は、防衛産業の技術交流や軍の教育訓練協力、軍高官の交換派遣、パイロット養成支援など20項目で合意した。
韓国政府消息通は、「金長官は、韓国型原発を選定する場合、軍事関連分野でかなりのインセンティブを提供する、という意志を提示したものとみられる」と語った。

李明博大統領はこの日、UAEでハリーファ大統領と首脳会談を開いたが、その場で韓国電力の企業連合による受注が最終的に決まり、両国関係を「戦略的同伴者関係」へと引き上げることでも合意した。

李大統領とシェイク・ハリーファUAE大統領兼アブダビ首長は首脳会談直後、原発事業契約書の調印式、韓国・UAE経済協力協定の調印式に出席した。

ーーー

UAEは今回初めて国際競争入札を行った。

9月以降は事実上、韓国電力とフランスのアレバの連合に絞られたが、韓国とフランスの国同士の争いとなった。

アレバは価格面や工期など、提案書の内容では不利であったが、サルコジ大統領が中心となって逆転を狙った。

朝鮮日報によると、サルコジ大統領は「UAEの戦闘機をフランス製のミラージュから最新型のラファエロに交換する」とか、「UAEに駐屯するフランス軍を増強する」などと提案した。
さらに、ルーブル美術館の分館をUAEに建設する案や、「UAEが大使館などを持たない国では、フランス大使館を無償で使っても良い」「核の傘を提供する」などとまで持ち掛けていたという。

サルコジ大統領は5月にアブダビを訪問し、ムハマド王子に対して週に2回から3回も電話をかけることもあったという。

李大統領は7月に韓国電力がUAEに提案書を提出する際、「工期を6カ月短縮せよ」「事業費をさらに10%安くして提出せよ」などとアドバイスしたという。

大統領府の尹政策室長は外交通商部、国防部、知識経済部、教育科学技術部、韓国電力などからなるプロジェクトチームを指揮した。最終的に経済、安全保障、教育などを網羅するパッケージプログラムが、UAEに提案された。

李大統領はムハマド王子と6回電話で話をし、外交経路を通じて親書も送った。
大統領府の関係者は「何よりも李大統領は、韓国とUAEが今回の原子力発電所建設事業を通じて、“百年の知己”になるという点を強調して説得した」と語る。

 

フランスや韓国の大統領の動きを見ると、このような大規模プロジェクトで日本が敗退するのは当然である。

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韓国政府はUAE原発を受注した12月27日を「原子力の日」と制定することを検討中。

韓国電力は世界初の原子力専門大学院を設立する。12月29日、教育科学技術部から韓電国際原子力大学院大学(INGS)設立の認可を受けた。国内専門人材を養成すると同時に、韓国原子力技術に詳しい外国人材を育成し、海外原子力発電所の受注人脈として活用する。

蔚山市の古里(コリ)原発付近にキャンパスを設置し、2年間の修士課程として2012年開校する。原発の設計・建設・運転・整備専門人材を育成する。


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住友化学は2009年12月29日、豪州農薬会社 Nufarm Limited の発行済み株式の20%の取得ならびに同社と農薬事業の包括的な事業提携を行う方向で、基本的な枠組みを定めた覚書を締結したと発表した。

今後さらに協議を進め、最終的にはNufarmの株主総会での承認を経て、4月にTOBを通じ株式を取得し、筆頭株主となる。
1株14豪ドルで総額500億円程度となる。

TOB完了後、住友化学は取締役1名を派遣する。

豪州紙報道では、住友化学では既に豪州のForeign Investment Review Boardの承認を得ている。

まず販売と製品の2分野で協力する。
販売面では、住友化学が日本などアジアを中心に持つ販売拠点と、
Nufarmの中・東欧、南米など25カ国にある拠点をお互いに活用。
製品面では、住友化学が主力とする果樹や野菜に使う殺虫剤と、
Nufarmが強い除草剤を供給しあう。

住友化学は、現時点で工場の再編などは想定していないとしている。

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Nufarm Limited1957年設立の、メルボルンに本社を置く農薬会社で、豪州、ニュージーランド、アジア、欧州、南北アメリカに工場と営業拠点を持ち、従業員は 3,155 人
特許切れ農薬ではイスラエルの
Makhteshim Agan Industries に次ぐ世界第二位。

同社の決算は以下の通り。(百万豪ドル)

  09/7月期 08/7月期 増減
売上高  2,677 2,492  185
営業損益 151 309 -157
当期損益 81 138 -58

地域別実績

  09/7月期 08/7月期
売上高 営業損益 売上高 営業損益
Australasia 850 118 875 148
Europe 637 101 555 56
North America 775 8 631 84
South America 415 -41 431 59
全社   -35   -39
合計 2,677 151 2,492 309

09/7月期 品目別売上高比率

除草剤  Glyphosate  31% Monsanto Roundup
Phenoxies  21% Akzo
その他  20%  
殺虫剤  8%  
殺菌剤  7%  
その他  13% PGR(植物成長調整剤)、機能性展着剤、
種子処理、種子、散布機、その他

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Nufarmは2007年115日、中国化工集団公司 (ChemChina)Blackstone Group 及び Fox Paine Management III, LLC からの買収提案を受け入れた。買収額は30億豪ドル。

2007/11/8 ChemChina Blackstone Group など、豪州の農薬会社買収

しかしながら、コンソーシアムは交渉期限の同年1210日までに正式提案をすることが出来ないと通知し、その結果、交渉は打ち切られた。
グローバルな信用収縮により、有利な借入ができなくなったのが理由とみられている。 

2007/12/15 ChemChina 等の豪州の農薬会社Nufarm 買収交渉、破談

2009年9月27日、中国中化集団公司(Sinochem)は9月28日、113豪ドル、合計28億豪ドルでNufarmを買収する非拘束契約を締結した。

Sinochem はエネルギー、農業資材、化学品、ファイナンス、不動産をコア事業として展開する国営企業で、農業資材では肥料、農薬、種子を扱う中国最大の企業である。

この買収はこの分野での研究開発、製造、販売、サービスのチェーンのグローバル企業になるというSinochemの戦略に合うものである。

2009/10/6 Sinochem、豪州農薬会社Nufarmを買収へ

しかし、Nufarm12月21日、Sinochemが上記の非拘束契約を締結できないとし、112豪ドルでの買収を再提案したことを認めた。Nufarmの取締役会はこれを慎重に審議し、この再提案を受けるのは株主の利益にとり最善とはいえないと判断した。

判断理由は以下の通り。

 ・今回の12豪ドルは当初提案の13豪ドルと比べ非常に安い。
 ・
Sinochem提案は多くの条件付きで、いくつかは受け入れがたいもの。
 ・
Sinochem提案は中国と豪州当局の承認を要する。
 ・
Nufarm取締役会は自社の事業と今後の成長に自信を持っている。
 ・住友化学からの有利な提案がある。

Nufarm 会長は、住友の提案はNufarmの企業価値を正しく評価したものであり、同社との提携は長期的に利益を生むとしている。

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日本経済新聞によれば世界の主要農薬企業の2007年の農薬売上高は以下の通り(単位:100万米ドル)

世界の主要農薬企業の農薬売上高(100万米ドル)
BayerCropScience  7,447
Syngenta (Swiss)  7,285
BASF  4,291
Monsanto  3,753
Dow AgroScience  3,414
DuPont  2,400
Makhteshim Agan (Israel)  1,895
Nufarm  1,819
住友化学  1,248
Arysta LifeScience  1,036

このうち、NufarmとMakhteshim Agan は主として特許切れ農薬を扱う。
Syngentaは2000年にNovartis の農薬事業と(旧ICIAstraZenecaの)Zeneca Agroが合併してできた。

住友化学は原体販売が中心のため、売上高が少ない。

Arysta LifeScience はトーメンとニチメンの農業化学品事業、および医薬・動物薬関連事業を統合したもので、2001年10月に設立された。
2002年9月に、アジアで活動する米系ファンドの
Olympus Capital が出資、その後段階的に出資比率を上げ、2006年12月に(トーメンが合併した)豊田通商の持株を、2007年6月にニチメンの持株を買収し、100%株主となった。

2008年に欧州最大の買収ファンド、英Permira Olympus Capital から全株を買収した。

2007/10/26  欧州最大買収ファンドのペルミラ、農薬大手アリスタ買収


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フランスで法律の違憲性を判断する憲法評議会は2009年12月29日、仏政府が1月から導入を予定していた炭素税The taxe carbone)を無効とする裁定を発表した。政府の新年度予算や税制改革は根本から練り直しを迫られる。

フランス政府は二酸化炭素(CO2)排出量の抑制や省エネ技術開発促進のため、CO2 1トンあたり17ユーロ(24.35米ドル)の炭素税導入を中心とする税制改革法案を成立させた。

Sarkozy大統領は、税金を欧州炭素市場のCO2平均価格に合わせたとしている。

消費者に石油、ガス、石炭の使用減を促すのが目的で、暖房や自動車燃料の値上げとなる。
ガソリンでリッター 4セント、ディーゼル油で4.5セントが課せられる。

但し、負担増を相殺するため、
都市部の成年1人当たり46ユーロ(農村部は 62ユーロ)、扶養家族は1人10セントの税額控除を行う。

農村部で160m2の家に住み、自動車を使う、子ども2人の夫婦の例では試算で年に143ユーロを払うが、144ユーロの払い戻しを受ける。
都市部で60m2のアパートに住み、バスで通勤する単身者の例では31ユーロの支払いとなるが、46ユーロの払い戻しを受ける。
汚染が少ないほど、有利となる。

問題は、これが重工業や発電所などに適用されないことである。電力業界は原子力発電所が主流のため、対象外となった。

憲法評議会はこれを問題視した。
製油所など環境汚染が甚だしい1000以上の事業所や火力発電所が課税を免れ、免税対象は企業排出CO2の93%に及ぶと試算し、「温暖化対策の目標に逆行し、税の平等原則に違反する」と批判、法律を無効とした。

Francois Fillon首相は12月29日、新たな炭素税法案を1月20日の閣議に提出する方針を示した。

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アイルランド政府は2009年12月10日、40億ユーロの歳出削減を柱とする2010年度の財政方針を発表した。

削減策の柱は公務員の給与引き下げで、ほかに増税策として家庭や企業で使う石炭や石油など燃料を対象とする炭素税を導入した。排出される二酸化炭素(CO2)1トン当たり15ユーロを課税する。


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