2011年2月アーカイブ

富士フイルムは228日、米Merckからバイオ医薬品の受託製造会社を買収したと発表した。

Merckの全額出資子会社、英国のMSD Biologics (UK) と米国のDiosynth RTP買収、両社を100%子会社として新たにスタートさせる。買収額は明らかにしていないが、約400億円とされる

米国MerckはドイツのMerck KGaAから分離した。
このため、米国
Merckは米国、カナダ以外の地域では「MSD」(Merck Sharp & Dohme)の名称を使用、逆にドイツのMerck KGaAは米国とカナダでは「EMD」の社名を使用している。

がんやリウマチなど、未だに有効な治療方法が確立されていないUnmet Medical Needsが高い一部の疾患領域では、有効な治療薬として、バイオ医薬品に期待が高まっている。

今回買収した両社は、バイオ医薬品の開発・製造に必要なタンパク質を、効率的に細胞や微生物を使って発現させる高度なバイオテクノロジーや、培養から抽出、精製にいたるプロセスの管理ノウハウ、経験豊かな人材、製造設備を持つバイオ医薬品受託製造のリーディングカンパニーである。

これまで、Merckは両社を生産プロセスの開発から製造までを行うMSD BioManufacturing Networkとして一体運営してきた。

MerckSchering-Ploughとの合併を機にバイオ医薬品の受託製造事業を見直し、生産設備を最適化することに伴い、富士フイルムがこれらの2社を買収した。

両社の生い立ちは複雑である。

(1) MSD Biologics (UK)(MerckAvecia BiologicsICI

微生物を用いたバイオ医薬品の開発・製造受託事業者。バイオベンチャーや製薬企業からの業務を請け負う。

旧称はAvecia Biologicsで、元々はICISpecialty Chemicals1部門であった。

ICI1993年に Biochemicals 部門をスピンオフし、Zenecaを設立した際に、Specialty Chemicalsも同時にスピンオフされ、Zeneca SpecialtiesとしてZeneca子会社となった。

1999年にZenecaがスウェーデンのAstra と合併しAstraZencaとなった時に、Zeneca SpecialtiesMBOで独立、Aveciaとなった。

その後、Aveciaは買収と売却を繰り返した。

Avecia Biologics 2010年にMerck が買収した。

なお、Avecia2006年に三井化学にImage Polymers(米、英)の持分を売却、また、Avecia Inkjet を富士フィルムに売却している。

2010/4/24  Avecia の変遷

(2) Diosynth RTP:(MerckSchering-Plough AkzoCovanceCorning

細胞や微生物を用いたバイオ医薬品の開発・製造受託事業者。バイオベンチャーや製薬企業からの業務を請け負う。

198090年代にCorning, Incorporated が多数の医薬開発会社を買収したが、同社は19971月にこれらをまとめてスピンオフし、Covance Inc.を設立した。

同社の子会社の1つがCovance Biotechnology Services Inc で、2001年にAkzo Nobel が買収し、Diosynth RTPと改称した。

Akzo Nobelの医薬事業の3本柱の一つであった。

Organon:経口避妊薬、不妊症治療薬、その他医薬品 (世界50か国で展開)
Diosynth:受託生産
Intervet :動物用医薬品 

Akzo20051月にDiosynthOrganonに吸収させたが、2007年にそのOrganonSchering-Ploughに売却した。

AkzoOrganonの売却資金でICIを買収した。

2007/8/13  Akzo ICI を買収

Merck 20093月にSchering-Plough を買収した。

2009/3/11 Merck、米Schering-Plough を買収

この結果、MSD Biologics (UK)Diosynth RTPはともにMerck100%子会社となり、MSD BioManufacturing Network として一体運営してきた。

ーーー

富士フイルムは、医療関連の事業を重要な成長分野として位置付け、「予防~診断~治療」の全領域をカバーする総合ヘルスケアカンパニーを目指した事業展開を進めている。

2008/2/19 富士フイルム、富山化学を買収、総合ヘルスケア企業を目指す

2010/2/22  富士フイルム 医薬品開発・販売に本格参入

2010/9/3  富士フイルム、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングと資本提携

 

 


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BP221日、インドの石油精製・石油化学最大手のReliance Industries と提携し、インドでの石油・ガス開発を拡大すると発表した。
両社はロンドンで枠組み協定に調印した。

BPRelianceが操業しているベンガル湾のKrishna Godavari (KG)海盆のKG D6 blockを含む23の鉱区(総面積27km2)の石油・ガス権益の30%を取得する。
また50/50JVを設立し、インド市場でのガス販売の市場調査などを実施する。
JV
はまた、インドで天然ガスの受け入れ、輸送、販売のためのインフラ作りに努力する。

     付記

両社は2011年8月30日、正式契約に調印した。
BPは対価として72億ドルを支払うが、実績に応じて追加で最高18億ドルを支払う。

BPの深海での探鉱開発技術(これら鉱区は水深 1,000~2,000mの深海にある)とRelianceのインドでのプロジェクト運営、操業の経験を統合する。
Relianceが引き続きオペレーターになる。

BPReliance23の鉱区の権益の対価として総額72億ドルを支払う。更に開発の進展に応じて最高18億ドルを支払う。
これらの支払いと今後の開発投資を合わせると
200億ドルに達する見込み。

BPはインドの将来に賭けており、海外の直接投資では最高額の一つである。

BPはメキシコ湾の原油流出事故後に、補償資金の確保のため多くの既存油田の権益売却を進めているが、その一方で、本年1月、ロシアのRosneftとの間でグローバルな戦略的提携で合意した

2011/1/17 BP、ロシアのRosneft と戦略的提携 

今回、インドの埋蔵量の多い鉱区の権益を取得し、成長著しいインドのガス市場に参入する。

ーーー

Krishna Godavari D6 blockでは2002年にDhirubhaiガス田(埋蔵量11Tcf)が、2006年にMA油田構造(埋蔵量5500万バレル)が発見された。Reliance90%、カナダのNiko Resources10%の権益を獲得、Relianceがオペレーターとなった。

これまでのインドの国産ガス供給は、ムンバイ・ハイ油田など西海岸沖合油ガス田に頼っていたため、ガス消費地は西海岸のムンバイ~デリーを結ぶメガロポリスに限定されていたが、東海岸で初めて開発されることとなる。

Reliance2008年に原油の生産を開始、20094月にDhirubhaiガス田の生産を開始した。インドで初めての深海ガス田(水深10002000m)である。

第1フェーズ生産ガス田(Dhirubhai 1,3)で生産されたガスは、対岸のKalinadaで陸揚げされ、30km離れたGadimoga処理設備で処理される。その後、Reliance子会社が操業する東西横断パイプラインを経由して、インド西部グジャラート州Bharuchに輸送される。
Relianceでは、東西横断パイプライン沿線のデカン高原、インド東部、南部の主要都市にもガス需要を創出しようとしている。

その後、Dhirubhaiガス田の周辺で多くのガス田が見つかっている。

Dhirubhaiガス田はインドの天然ガスの中で重要な位置を占める。

 資料 http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/3/3295/0906_out_m_in_d6_gas_production.pdf


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イラク北部Baiji の同国最大の製油所で2月26日、少なくとも4人のテロリストが侵入し、設備を爆破した。従業員4人が死亡した。
大火災が起こり、全プラントが停止した。

製油所全体の能力は日量29万バレルで、爆破されたNorth Refinery は日量15万バレル。
もう一つの Salahuddin Refineryは改造中で、約5割の7万バレル程度の操業をしていた。

石油省報道官は早期の操業再開を目指すとしているが、復旧に2年はかかるという説がある。

この製油所は、以前は al-Qaeda が長期間支配し、活動の資金源となっていた。

イラクには現在、北部のBaiji、バクダッド南部のDora、南部のBasra 3つの製油所があり、合計の精製能力は日量55バレル。

2010/7/14 イラク、4製油所を新設、外資導入 

2月初めにはバグダッドの北でパイプラインが爆破され、Dora製油所の操業に支障が出た。


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公正取引委員会は、合併審査の事前相談制度について定めた現行の指針を廃止し、新制度を盛り込んだ指針をあらたに定める。

審査期間が長引く一因とされる事前相談制度を廃止して、届け出後の法定審査に一本化する。
審査期間も短縮し、審査の過程での理由説明や最終的な判断理由を公表するなど、企業側の不満に対応して透明性を高める。

同時に、審査の目安となるシェアについて、国内だけでなく世界的な競争状況を考慮することを改めて明確化する。具体的な例を示した指針を公表する方針。

近くパブリックコメントを募ったうえで最終案をまとめ、7月にも新制度に移行する。

大型案件の場合は以下の通りとなる。

  現行:事前相談制度  

事前相談
(1~2年の場合も)
法定審査
(30日)
・実質的な審査
・審査は1次と2次
・追加資料要求などで長期化
・実質的な審査なし

  新制度:法定審査

一次審査
(30日以内)
二次審査
(90日以内)
  最終
①問題なし  -   合併認可
②追加資料要請
  (原則1回、理由説明)
①問題なし   合併認可
③排除措置事前通知 意見申述など 排除措置命令
③排除措置事前通知  - 意見申述など 排除措置命令

     要求に応じ、審査の論点を説明、反論の機会も
     詳細審査案件では、判断理由も公表

現在の事前相談制度は法律で決まったものではない任意の手続きだが、実際には大半の案件がこれによっている。
届け出受理前に何度も書類提出を求められ、質問の数が1千を超えるケースもあった。期間が1~2年に及ぶ例もあり、どのくらい時間がかかるか見通し難く、また、法定審査ではないため、担当者によって対応がばらつくとも批判されていた。

本年1月25日に閣議決定の「新成長戦略実現2011」に、これが挙げられている。

○企業結合規制の見直し
  ・企業結合審査の迅速性・透明性を高める観点からの見直しを2010 年度中に実施。

2月9日の事務総長定例会見で、以下の説明があった。

(問) 企業結合審査をめぐっては、手続に時間がかかる、不透明感がある、生産性が低いなどいろいろあるようですが、これらについては、どのようにお考えでしょうか。

(事務総長) 企業結合規制につきましては、今、御指摘のような時間がかかるのではないか、透明性が十分ではないのではないかなどの指摘があることを踏まえまして、公正取引委員会としても、現在、現行の企業結合規制の手続について、透明性、迅速性を一層高める観 点から、検討を進めているところでございます。

(問) やはり、不透明な部分はあるということでしょうか。

(事務総長) 不透明なところがあるというよりは、不透明だという御指摘がある点など、産業界からいろいろな 指摘もいただいていますから、そのような点を踏まえて、さらに、透明性の高い、企業にとって予測可能性の高いものにするためは、どうしたらよいかというこ とを、現在、検討しているところでございます。

(問) 今のことに関連して、検討しているということですが、目途はあるのでしょうか。

(事務総長) 今年1月25日に閣議決定されました新成長戦略実現2011におきましても、企業結合規制の見 直しが取り上げられておりまして、企業結合審査の迅速性、透明性を高める観点からの見直しを2010年度中に実施するとされておりますので、現在、その見 直し作業を進めているところでございます。

(問) 今、おっしゃったのは、2010年度中にということでよろしいのですか。つまり年度末までにという理解でよいのですか。

(事務総長) そうです。


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東洋紡は2月16日、米国の防弾ベストメーカーSecond Chance Body Armorからの損害賠償請求訴訟で和解契約を締結したと発表した。

破産した同社の破産管財人から提起されていた訴訟で、東洋紡が500万ドルを支払うことで和解する。
破産裁判所による承認が条件
となる。

ザイロンは有機系繊維の中では最高レベルの引張強度・弾性率を持つ繊維で、防弾チョッキ、コンクリート補強材、卓球ラケットなどに幅広く使用されている。DuPontのケブラーに比べ2倍の強度を持ち、弾性率、650℃高い分解温度、難燃性を持っている。

  poly(p-phenylenebenzobisoxazole

東洋紡は1998年にSecond Chance Body Armorとの間で、防弾チョッキ製造のためザイロンを供給する契約を締結した。

Second Chanceはザイロンでできた自社の防弾チョッキについて「もっとも薄く軽く、もっとも強い」と宣伝、1999年から2004年にかけて米国政府や地方の警察などに合計66千以上の防弾チョッキを販売した。

しかし、ザイロンには日光や熱、湿気にさらされると劣化する性質があった。
そうした欠陥がだんだんと分かってきたにもかかわらず、
Second Chanceは長らく米政府にそれを知らせなかった。

2003年9月に、Second Chanceが、ザイロンを使用した防弾チョッキの性能が予想より早く劣化するとして、これらの防弾チョッキの製造を中止し、販売済の製品を回収、補強、交換等の措置を取ることを発表した。

東洋紡はこれに関し、2001年7月から、強度保持性の指標として、高温、高湿下における強度保持のデータを定期的に開示してきており、一定以上の特殊な環境下でザイロン原糸の引っ張り強度が低下することは業界で広く理解されてきたと述べた。

2003年11月に、マサチューセッツ州の司法長官は、Second Chanceに対し、同社が製造・販売したザイロン使用の防弾チョッキの販売中止、交換、損害賠償等を求める訴訟を起こした。

2003年12月には、イリノイ州において、Second Chanceの防弾チョッキの購入者から、損害賠償を求める集団代表訴訟が提起された。

このほか、防弾ベストのユーザー等からオクラホマ州の地方裁判所に集団訴訟が行われた。

いずれも東洋紡も被告になっている。

東洋紡は、ザイロン繊維が欠陥ある製品であるとは考えておらず、ザイロンは防弾チョッキの一部分を構成する材料であり、いずれのケースも防弾チョッキメーカーの設計、製造、販売の問題であって、ザイロン繊維の瑕疵に起因するものではないと主張したが、いずれも和解している。

ーーー

Second Chance 2004年4月に、東洋紡に対する損害賠償請求訴訟を提起した。

Second Chance 、2004年10月に会社更生手続(Chapter 11)の申立をし、2005年11月に破産手続(Chapter 7)に移行した。
この結果、訴訟は破産管財人との間で、破産裁判所で進行した。

原告は、東洋紡がザイロン繊維に関する明示または黙示の保証に違反し、虚偽の品質情報を提供し、また契約に基づく誠実義務を履行せず、損害を生じさせたと主張した。

東洋紡は、相手方の主張が誤りで、同社に非がないことを主張し、長期間にわたって争ってきた。

今回、破産裁判所の指示による当事者間の協議の結果、訴訟を継続した場合の費用や判決の不確実性を勘案し、法的責任を認めることなく和解契約を締結することが妥当と判断し、500万ドルでの和解について合意した。

ーーー

現在、防弾ベストに関連し、米国政府との訴訟、Point Blank SolutionsやFirst Choice Armor & Equipmentとの訴訟など、東洋紡を被告とする複数の訴訟が継続している。

司法省は2005年6月、政府を代表してSecond Chance と東洋紡を訴えた。

この訴訟のもともとの原告は、Second Chance の元幹部で、訴状や証拠資料は秘密裏に司法省に送られ、財務省の監査官事務所な どが調査を開始、元幹部は内部告発者の立場で政府の調査に協力した。

米国の 不正請求防止法では、政府との取引で代金などを請求する際にウソを言った場合は、その業者は政府の損害額の3倍の金額と民事制裁金を政府に払わなければな らないと規定されている。
そうしたウソがあった事実を裏付ける証拠を持っている関係者は、政府に代位してみずから業者を相手取った訴訟の原告となることがで き、勝訴した場合は、回収額の最高3割を報奨金として受け取ることができる。
キイタム訴訟(Qui Tam Actions)と呼ばれる。
元幹部はこの制度に基づいて提訴した。

司法省は、東洋紡が欠陥を知っていながら、これを米政府に開示しなかったことを問題視した。
一方、東洋紡は、「ザイロン繊維の品質特性を何ら隠蔽していない」と反論。「ザイロンの劣化に関する各時点の最新の情報をSecond Chance に提供した」「東洋紡は政府に何らのウソもついておらず、責任はすべてSecond Chance にある」と主張して、東洋紡に対する訴えの却下を裁判所に申し立てた。

2010年2月、ワシントンDCの米連邦地裁は東洋紡の訴えを却下する決定を下し、東洋紡からの異議に対し、同年5月、結論を維持する決定を下した。

これから審理が本格化する。

Point Blank Solutions、First Choice Armor & Equipmentは、ザイロン繊維を用いて防弾ベストを製造し販売した米国の防弾ベストメーカーで、ザイロン繊維には欠陥および劣化の問題があると主張するとともに、東洋紡が当該欠陥等を知りながら隠してザイロン繊維を販売した結果、防弾ベストのリコールや販売中止のために多額の損失を被った、と主張している。

 


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リビアの情勢緊迫化を受け、世界の原油価格が急騰している。

2月23日のNY原油先物市場でWTI原油は一時、2008年10月2日以来の100.00ドルを付けた。
終値は前日比2.68ドル高の98.10ドル。

エジプトの混乱を受けて欧州の原油市場が高騰している中で、WTI原油は米国の石油在庫が多いことから値下がりしていたが、ここにきて急騰した。

ロンドンの先物取引所北海ブレント原油一時108.57ドルに上昇した。
(日本時間24日11時現在、112.95ドル)

東京市場のドバイ原油は2月22日に104.30ドルとなった。(23日は103.30ドル)

これを受け、東京市場のオープンスペックナフサも22日に925ドルを付けた。(23日は910ドル)   

付記 最新情報は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/new.htm#oil

リビアでは石油や天然ガスの生産活動に影響が広がっている。

BASF子会社のWintershallが日量10万バレルの生産を止める方針を表明、Repsol YPF、ENITotalが一部操業の停止を発表した。オーストリアの石油会社OMVも社員を大幅縮小した。

ENIはイタリア経由欧州向けの天然ガスパイプライン Greenstream を止めた。

BPは海底油田の採掘開始の準備をしていたが、最低限の要員だけを残して社員や家族を帰国させた。

2010/7/27 BP、リビア沖で深海油田掘削

リビアの石油積み出し基地は6つあるが、そのうち5つが反政府側が抑える東部にある。

リビアの石油積み出し港の操業が停止されていると報じられ、また、リビアが全ての石油製品輸出に関して不可抗力条項を発動したと伝えた。これは不可抗力の事態が発生したことを理由に、出荷を免除される条項。

 

  http://www.avianflutalk.com/forum_posts.asp?TID=27000&PID=211512から

リビアの生産量は日量155万バレルで、埋蔵量は440億バレル。

生産量の80%が輸出されており、輸出先はイタリア32%、ドイツが14%、フランスが10%、その他欧州が23%、その他11%となっている。

ーーー

野村ホールディングスは2月23日、中東・北アフリカ情勢の悪化でリビアとアルジェリアが原油生産を停止した場合に、WTI原油先物価格が現在の2倍以上高い1バレル=220ドルに達する可能性があるとする報告を発表した。

 

付記

サウジアラビアは2月25日までに原油生産量をこれまでの日量860万バレルから900万バレル超へと引き上げた。

サウジの原油生産能力は日量1200万バレル超で1月の生産量は860万バレル。リビア減少分を短期間で補える余剰能力を持つ唯一の生産国。

リビアの供給の肩代わりをし、原油高騰に歯止めをかける。

 


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協和発酵キリンは2月21日、英国のスペシャリティファーマのProStrakan Groupの全株式を現金で取得し、100%子会社化する手続きを開始すると発表した。友好的買収で、ProStrakanの取締役会は全会一致で賛成している。

買収総額は約2.92億ポンド(約394億円)で、手元資金で充当する。
ProStrakanは昨年11月に複数の企業が買収に興味を示していることを明らかにしているが、買値はその直前の株価に対し、41%のプレミアム。

2011年6月初旬に英国法の手続きを終え、買収を完了する予定。

協和発酵キリンは昨年、協和発酵ケミカル売却を決め、医療用医薬品事業に集中したが、
「がん、腎、免疫疾患を中心とした領域で、抗体技術を核にした最先端のバイオテクノロジーを駆使して、画期的な新薬を継続的に創出し、開発・販売をグローバルに展開することにより、世界の人々の健康と豊かさに貢献する、日本発のグローバル・スペシャルティファーマとなる」
ことを医薬事業ビジョンとしてきた。

Prostrakanは、米国と欧州でがん関連領域をはじめとする医療用医薬品の開発・販売体制を構築済で、同社の経営資源を獲得することでグローバル戦略を飛躍的に進展させるとしている。

買収の意義は以下の通り。

①米国と欧州における自社販売体制確立
②自社グローバル開発体制の強化
③既存パイプライン製品に関する開発・販売ノウハウの獲得
④重点領域におけるグローバル新薬開発・販売の加速・拡大

ProStrakanは抗がん剤投与に伴う吐き気抑制剤(Xomolix)を持っており、協和キリンが開発中の血液がん治療薬の販売で相乗効果も期待している。

ーーー

ProStrakan 1995年にStrakan として設立され、2004年に ProSkelia と合併し、ProStrakanとなった。
2005年にロンドン証券取引所に上場している。

スコットランドのGalashielsに本社を置き、米国と欧州でがん領域をはじめとする医療用医薬品の開発・販売を行う。
開発拠点は
Galashielsと米国Bedminster, NJで、自社販売子会社を通じて英、米、仏、独、スペイン、イタリアその他EU諸国で販売している。

2009年の売上高は79百万ポンドで、うち英国が40%、英国以外の欧州が44%、米国が9%、提携による売り上げが7%となっている。


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三菱化学と東亜合成は2月21日、両社のJV(三菱化学 85.1%、東亜合成 14.9%)のヴイテックを9月末日を目標に解散すると発表した。

9月に解散決議を行い、12月に精算を完了する予定。

ーーー

2009年4月に三菱化学が年内にもPSとPVC事業から撤退すると報じられた。

2009/4/13 三菱化学、PSとPVC事業から撤退

三菱化学は2009年5月、ヴイテックが全製造設備を2011年3月末までには停止することを決定したと発表した。
但し、
川崎の設備については、ヴイテックとしては停止するものの、その後については東亞合成が方向性を検討するとした。

四日市工場のペースト塩ビ 20千トンは2010年9月末で生産を停止した。(販売は2011年3月末で停止)

東亞合成は2010年5月、東亞合成が2011年3月にヴイテックから川崎工場のPVC設備を引取り、カネカから年間70~100千トンの製造受託を行うと発表した。東亞合成自体は塩ビ樹脂事業から撤退する。

恐らく東亞合成としては従業員を他の事業に配置転換できないため、この形で雇用を継続するのが目的と思われる。
カネカとしては関東地区の需要家への供給のため、高砂の生産を落として、製造委託するものと思われる。

  カ性ソ-ダ VCM PVC  
水島工場(三菱化学内) 180千トン  400千トン   20113月末 停止
    汎用 (110千トン) 2008年 停止済
四日市工場(三菱化学内)     汎用 80千トン 20113月末 停止
ペースト 20千トン 20109月末 先行停止
川崎工場(東亞合成内)     汎用 120千トン 20113月 東亜合成が引取
 カネカから生産受託

ーーー

三菱化学と東亜合成は1996年に塩ビ事業で業務提携を行なった。

三菱化学は1996年末にS&Bにより水島で100千トンプラントを建設した。
東亜合成はセントラル硝子、東燃化学とのJV・川崎有機で年産100千トン設備を稼働させているほか、徳島工場に同20千トン設備を持っていたが、徳島の老朽化した20千トン設備を廃棄し、川崎に三菱化学の技術で100千トン設備を新設した。(2008年増強し 120千トン)
 (その後、旧川崎有機のPVCプラントは停止した。)

その後の業績悪化を受け、両社は事業統合を決め、200041日、統合会社がスタートした。

会社名   ヴイテック㈱
資本金   60億円 
 出資比率 三菱化学 60%、東亞合成 40%
事業   電解製品(水島)の製造、VCM(水島)及びPVCの製造・販売及び研究開発
  電解製品の販売は三菱化学100%のダイアケミカルに委託
能力   電解(水島) 135千トン(苛性ソーダ97%換算) 
    VCM(水島) 300千トン 
  *セントラル化学はVCM(132千トン)生産を継続、ヴイテックに供給→その後停止
    PVC 合計 390千トン(川崎 180、四日市 110、水島 100

同社は設立以来、大幅赤字が続き、その結果、2005年3月、ヴイテックは再編を行い、出資比率を三菱化学 85.1%、東亜合成 14.9%に変更した。

2009年12月末の累積損失は235億円となっている。(資本金60億円)

日本のPVCの能力は2009年末で2,156千トンあるが、2010年の内需は1,031千トン、輸出は660千トン、出荷合計1,690千トンとなっており、能力は内需の2倍以上ある。

ーーー

 

PVC業界の推移は以下の通り。


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BHP Billitonは2月22日、Chesapeake Energyからアーカンソー州のFayetteville Shaleの権益全てとパイプラインを47.5億ドルで買収すると発表した。

同社では、これは将来の開発で量的拡大が見込める大規模・長期・低コストの資産に投資するという戦略に沿ったものであるとしている。
また、地理的、需要家、製品の多様化というゴールにも合うものとする。

買収するFayetteville shale 資産はアーカンソー州の約487千エーカーの鉱区のリースと天然ガス資産で、現在、日量4立方フィートのガスを生産しており、40年間にわたりより多くの生産が見込まれる開発オプションを含んでいる。

ーーー

Chesapeake Energyの現在の鉱区は以下の通り。

このうち、Eagle Ford Shale については中国のCNOOC60万エーカーのリース権益の33.3%を購入している。

       2010/10/18  CNOOC、テキサス州のEagle Ford Shale projectに参加   



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BP217日、中国のPTAの拡大計画を発表した。

現在、珠海BP 珠海ケミカル(BP 85%)に第1、第2系列合計で150万トンの能力を持つが、第2系列のデボトルネッキングで20万トン以上の増強を行い、合計能力を170万トンにするとともに、1系列では世界最大となる最新技術の125万トンの第3系列を新設する。

BP 珠海ケミカルは1997年にBPが85%、富華集(その後 Zhuhai Port Coと改称)が15%出資して設立された。

Zhuhai Port 1986年設立で、港湾物流、港湾開発、電力事業を行っている。

2003年に第1系列(当初35万トン)、2008年に第2系列(90万トン)の生産を開始した。

第1系列はその後、58万トンに増強し、合計能力は150万トンとなっている。

第2系列のデボトルネッキング(20万トン以上の能力増)は既に設計を完了しており、2012年1Qに生産開始の予定。

第3系列は能力125万トンで、1系列では世界最大となる。BPの最新技術を世界で初めて使用する。
2014年スタートを計画しており、中国のPTAの需要の増大に対応する。

ーーー

BPの石油化学の歴史については下記参照。

2006/8/29 BPの石油化学のオリジン

同社は20054月に石油化学の大半をInnoveneとして分離、2005年末にIneosに売却した。

2006/6/14  事業買収で急成長した化学会社」 参照

現在のBPの石油化学は、中国のエチレンJV(上海SECCO石油化工と、酢酸・パラキシレン・PTAである。

BPPTAに関しては、世界市場の15%JV能力を含めると18%)のシェアを持っている。

BPの生産基地は以下の通り。(単位:千トン)

  立地(及びJV名) PTA PX 酢酸 その他
欧州 Geel, Belgium  1,400 560   purified isophthalic acid
Hull, UK      500 acetic anhydride
米国 Decatur, AL 1,000   naphthalene dicarboxylate 2,200
Texas City, TX *1
(540)
 2,000
(MX込み)
  *1
Sterling Chemicals
PTA 540を生産委託
Cooper River, SC 1,250      
中国 重慶
 
Yangtze River Acetyls (YARACO *2)
    400 ethyl acetate and butyl acetate 80
南京
 
BP YPC Acetyls Company (Nanjing) (BYACO *3)
    500  
珠海
 
BP Zhuhai Chemical *4
580
900
    2系列増強  +200
3系列新設  1,250
Malaysia Kuantan 700      
Kerteh
 BP Petronas Acetyls *5
    540  
Indonesia Merak
 PT Amoco Mitsui *6
500      
韓国 Ulsan
 Samsung BP *7
売却   450 2006/7/26 
BPが韓国のPTA事業から撤退
Ulsan
 ASACCO *8
      VAM 160
台湾 Kaoshiung and Taichung
 China American Petrochemical Company (CAPCO)*9
2,000      
Mai Liao
 Formosa BP Corporation *10
    300  

*2 BP 51/Sinopec Sichuan Vinylon Works 44/Chongqing Energy Investment Group 5
*3
 BP 50/Sinopec 50
*4
 BP 85/Zhuhai Port Co. 15
*5
 BP 70/Petronas 30
*6
 BP 50/三井化学 45/三井物産 5
*7
 BP 51/Samsung 49
*8
 BP 34/Dow 34/Samsung 32
*9
 BP 61.43/Chinese Petroleum Company 38.57
*10 BP 50
/Formosa Chemicals and Fibre Corporation 50

 


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日・インド包括的経済連携協定が2月17日に署名された。日本にとって12件目の経済連携協定となる。

これまでの締結国については、下記に記載。
2007/8/24 
日インドネシア経済連携協定

日本とインドの貿易構造は以下の通り。

日・インド包括的経済連携協定は、2006年12月の日・インド首脳会談における決定を受けて2007年1月に交渉を開始。2010年9月、本協定の主要点について大筋合意に至り、同年10月の日・インド首脳会談において交渉完了を確認した。その後、署名に向けて条文確定作業を実施してきていた。

日本からインドに輸出する家電製品や自動車部品を含む物品の輸出額の90%、インドから日本への輸入額の97%について、今後10年かけて関税を撤廃する内容。日本が重要品目とするコメや麦などは除外される。

関税

インド側

分野 品目 現行
税率(%)
改正
自動車部品 ギアボックス 12.5 8年間で6.25%まで段階的引き下げ
ディーゼルエンジン 12.5 6年間で5%まで段階的引き下げ
マフラー 10.0 10年間で関税撤廃
自動車 完成車   関税撤廃の対象外
鉄鋼製品 合金銅 5.0 5年間で関税撤廃
亜鉛メッキ鋼板 5.0 5年で関税撤廃
電気電子製品 リチウムイオン電池 10.0 10年間で関税撤廃
DVDプレーヤー、ビデオカメラ 10.0 10年間で関税撤廃
一般機械 ブルドーザー 7.5 10年間で関税撤廃
トラクター 10.0 10年間で関税撤廃
農水産品 盆栽 5.0 5年間で関税撤廃
モモ 30.0 10年間で関税撤廃
30.0 10年間で関税撤廃
イチゴ 30.0 10年間で関税撤廃

日本側

鉱工業品. ..... ほぼすべて............... .............. 即時関税撤廃
農水産品   ドリアン 2.5 即時関税撤廃
アスパラガス 3.0 即時関税撤廃
カレー粉 3.6 10年間で撤廃
紅茶 2.5 10年間で撤廃
えび 1.0-2.0 即時関税撤廃
調理品は10年間で関税撤廃
コメ、小麦、
牛肉、豚肉
  関税撤廃の対象外

その他

・日本はインドの後発医薬品の承認審査を迅速化
・日本はインド料理の指導員やIT人材などの入国審査を迅速化

・インドの看護師、介護福祉士などの就労機会拡大は継続審議

参考 外務省資料 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j_india/pdfs/gaiyo.pdf

ーーー

日本はこれで12か国と締結したが、ASEAN以外ではアジアはインドだけで、他は、メキシコ、チリ、スイスのみ。

これに対し、韓国はASEAN、インドのほか、EU、EFTA、米国、チリ、ペルーと締結している。
(EU、米国は未発効。EU議会が2月17日に承認したため、EUについては7月1日発効は確実)


ASEANは日本、韓国、インドと中国、ANZと締結している。
台湾は中国との間で経済協力枠組み協定(ECFA)を締結した。

この結果、日本は対欧州、米国向け輸出については韓国に対して、対中国輸出ではASEANと台湾に対して、不利な立場となる。

更に、シンガポールはブルネイ、チリ、NZとTPP(環太平洋戦略的経済パートナーシップ)を結んでおり、現在、米国、豪州、ペルー、ベトナム、マレーシアが参加の交渉をしている。

213付の日本経済新聞は、
企業の輸出、ASEANを拠点に FTAで関税低く」と題して、
日本企業の間で、ASEANの現地法人から、日本がFTAを結んでいない中国や韓国、インドなどに輸出する動きが強まっていると報じている。
(インドについては今回の提携で、韓国、ASEANに並ぶこととなる。)

日本がTPPに入れない場合、シンガポール、ベトナム、マレーシアなどASEAN立地の意義はますます増加する。

 

各国の経済連携協定 ( )は締結済で未発効、△は交渉中のもの 

  ASEAN 日本 韓国 中国 インド EU EFTA USA NZ その他
日本       (○)         メキシコ、チリ、スイス
韓国       CEPA (FTA) FTA (FTA)   チリ、ペルー
中国                 チリ、パキスタン
台湾       ECFA              
ASEAN          
[TPP] ○シンガポール
○ブルネイ
△ベトナム
△マレーシア
            ○チリ
△ペルー

 


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日本政策投資銀行(DBJ)は2月8日、参天製薬との間で、「協業の取り決めに関する契約」を締結し、業務・資本提携を行うことを決定した。

 業務提携:
  DBJは参天に対し、以下の分野を中心に、企業価値向上に向けた支援を行う。
   ① 海外戦略
   ② 提携・M&A戦略
   ③ 資本戦略

   具体的には、人材補強への協力、情報提供、アドバイザリー業務など

 資本提携:
   DBJは参天の普通株式を4%程度取得
   その一環として、参天の自己株式(2.19%)を第三者割当により取得(5,641百万円)

参天は第三者割当による自己株式売却金額5,641百万円を、グローバル戦略品のR&Dに関連する医療用眼科薬の開発候補品の購入に充当する。

ーーー

参天製薬は、眼科とリウマチ領域に特化した独自性のある医薬品企業として、国内医療用眼科薬及び抗リウマチ薬市場においては、リーディングカンパニーとしての地位を確立しており、この基盤をもとに、海外事業展開を進めてきた。

米国、フィンランド、スウェーデン、ドイツ、台湾、韓国、中国

海外の医療用眼科薬市場は国内を上回る成長を続けており、特に中国をはじめとするアジアや他の新興市場において一層の市場規模の拡大が予想されており、参天はこれら海外市場への事業展開を加速することを目指している。

一方、DBJは今年度より「企業の成長戦略支援のための付加価値創造型エクイティ投資」に本格的に取り組みを開始した。

今回の参天との提携はその一環で、参天製薬の海外市場への事業展開の実現を通じた企業価値向上を目的として、成長資金を提供するとともに、海外戦略、提携・M&A戦略及び資本戦略等を中心にサポートを行う。

ーーー

DBJは2007年11月に、WISE PARTNERSの運営するファンドとの共同出資で、旭硝子から旭ファイバーグラス(ガラス短繊維事業とガラス繊維強化熱可塑樹脂などの工業材料事業)を160.5億円で買収している。

2007/9/21 旭硝子、旭ファイバーグラスの事業を譲渡

このほか、以下の「エクイティ投資」を行っている

(株)ホットマン   宮城、岩手、福島、茨城県でカー用品販売店「イエローハット」等の運営を行う、イエローハットグループの
リーダー的企業
若年者・女性の雇用増加や、東北地域における上場企業数の増加を通じた経済の活性化を期待
     
(株) 日陸   化学品の原材料などの危険品の輸送・保管業務
 高度な安全物流をより確かなものにするために、従来の防災の枠を超えた事業継続のための計画を作成
     
UDSメザニン
ファンド
  三井住友銀行と共同、企業の優先株式や劣後ローン等を引き受けるファンド

 


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産業技術総合研究所(産総研)は日本ゼオンの協力を得て、高純度単層カーボンナノチューブ(CNT)の大量生産設備の開発を進めていたが、2月14日、1日あたり600gの生産能力を実現したと発表した。

単層CNTは電気を流す性質や強度、熱伝導性などが優れるが、従来の実験室レベルでの合成装置はバッチ式で、生産量は日産1グラム程度にとどまっていた。

産総研は今後、単層CNTの基盤研究を加速し、大量試料を必要とする用途研究開発を推進する。

ーーー 

産総研は2004年に単層CNT生産技術のスーパーグロース法を開発した。

単層CNTの合成手法の一種の化学気相成長法では、触媒下でメタンやアセチレンなどのガスを500~1200℃の比較的低温で反応させて、CNTを得る。

スーパーグロース法は、水分を極微量添加することにより、通常は数秒の触媒寿命が数十分にもなり、極微量の触媒から、大量の単層CNTを合成することができる。

この方法で合成される単層CNTは、触媒粒子を含まず、不純物が従来の1/2000の高純度(炭素純度99.9%以上)である。
また、成長基板上の触媒パターンを制御することで、容易にマクロ構造体を作成できる上、合成後、容易に基板と単層カーボンナノチューブを分離することができる。

CNTの量産は、気相流動、もしくは担持触媒を用いたロータリーキルンなどで行うというのが業界の常識であったが、量産を行うため、基板の上で大量に単層CNTを成長させるという方法を考案した。

http://www.nanocarbon.jp/lab/image/071129_002.pdf

ーーー

産総研は2007年2月、日本ゼオンと共同で、スーパーグロース法を用いて、初めて大面積金属板上に直接大量の単層CNTを合成する技術を開発したと発表した。

当初、量産のパートナー企業探しに苦労した。
何社にも話を持ちかけたが、反応は良くなかった。

特に従来からCNTに取り組んでいた会社は、これまでの製造法を捨ててスーパーグロース法に鞍替えすることに躊躇した。

その中でまったくCNTの経験がないものの、情熱と事業化への真剣さが感じられた日本ゼオンを最終的に選定した。

これまでは高価なシリコン基板を用いて単層CNTを合成していたが、今回、安価なニッケル合金基板上での合成に成功した。

さらに、日本ゼオンと共同で、今回開発した技術を適用できる合成炉を設計・試作し、A4サイズの金属板の全面に均一な単層CNT構造体を合成することに成功した。これは成長面積として従来の100倍のスケールアップであり、生産量はグラム単位である。

合成された単層CNTは、金属板フォイル上で、垂直に起立した形で成長し、高さ1ミリメートルの構造体をわずか10分で形成する。
基板コストを従来の100分の1に抑えることができるもので、CNTの大面積・連続生産技術を開発する上でのキー技術であり、単層CNTの工業的量産への大きな礎となる。

ーーー

今回の大量生産装置では金属シート上に触媒層をコーティングしており、これを化学気相成長炉に送り込むことで基板上に単層CNTを連続的に成長させることができる。
種々の合成条件を最適化することで、幅50cmの金属シートの全面に単層CNTが均一かつ緻密に成長する。
成長した単層CNTは、剥離装置により自動で根元から切断することで基板から分離・回収する。

スーパーグロース法で合成される単層CNTは他の方法によるサンプルと比べはるかに高純度であるため、特に精製することなく多くのアプリケーションに供することができる。

生産能力は一日あたり600g以上であり、本格的な工業規模での生産に道を拓くことができた。

一般にCVD法で作製される材料の形状は、製造装置の規模や形状に依存するため、小規模の実験用設備と大規模な生産用設備で製造した試料の特性が必ずしも一致しない。
本装置により、製造した単層CNTの形状は、これまで研究開発設備で製造した試料とほぼ同等であり、単層 CNTの持つ優れた機能を発揮することが期待される。

数年後に年間10トンの商業生産を目指している。


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Sanofi-Aventis216日、遺伝性疾患治療薬で世界最大手の米Genzyme Corporation を現金約201億ドル(174ドル)で買収する契約を締結した。

株主は現金に加えContingent Value Right (CVR:不確定価額受領権) を受け取り、新薬Lemtradaの開発が進んだ場合、または2011年に他の2つの新薬の生産数量が一定レベルに達した場合に、追加の支払いを受ける。

合計6つの基準があり、1株当たり1ドルが2件、2ドルが1件、3ドルが2件、4ドルが1件となっている。
権利は、2020年末か、4つの基準が達成された時の、いずれか早い時期に終了する。
権利は売買可能となっている。

取引は両社の取締役会の承認を受けており、第2四半期中に完了する見込み。

既にEUと米国の独禁法当局から承認を得ている。

ーーー

Sanofi-Aventis 20108月29日、Genzymeに対する185億ドル(1株当たり69ドル)の買収提案を公表した。

Sanofi-Aventisは7月29日にGenzymeに対し非公開で買収を提案した。
しかし、協議に入れないため、
Genzymeの株主に提案を説明するため公開したとしている。

買収を完了させるために「あらゆる選択肢を検討する」としており、敵対的買収も辞さない構えを示した。

2010/9/2 Sanofi-aventis、米Genzymeへの買収提案を公表

ーーー

Genzyme は業績が悪化しており、人員削減や事業売却を行っている。

9月13日にはGenetic Testing 事業(Genzyme Genetics)を925百万ドルで Laboratory Corporation of America (LabCorp) に売却する契約を締結した。 

1118日には積水化学に対し、Genzymeが展開している検査薬事業を売却する契約を締結した。

2010/11/24  積水化学、米国Genzyme Corporation の検査薬事業を買収

同社ではこれら事業売却で得た資金での自社株買いで、買収防衛対策をとった。

ーーー

Sanofi-Aventis は10月4日、1株69ドルでGenzyme の全株のTOBを開始した。

Genzyme118Sanofi Aventisに対し、取締役会が満場一致で169ドルの提案価格が安過ぎると考えていること、株主はこれを支持していること、Genzymeの価値を評価したものなら交渉するとしたレターを出している。

Sanofi-Aventisは、TOBに期限を12月10日としていたが、不成功に終わり、2011年1月21日まで延長した。
Genzyme
TOB不成功を受け、自社の主張が正しかったと述べている。

その後、両社は話し合いを続けた。

2011年1月に入り、両社の評価額の差を解決するための手段としてContingent Value Rightを採用する可能性の検討を始めている。

131日はGenzymeSanofi-Aventisに対して、due diligenceの実施を認めた。


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WikiLeaksが発表した、米のサウジ大使館員からワシントンへの秘密公電のなかに、サウジが石油埋蔵量を大幅に水増ししているというものがあった

2月16日付の毎日新聞の「水説」では、「サウジの水増し疑惑」と題し、「日本ではあまり報道されていないようだが、大問題だと思う」としている。

英国のGuardian紙が詳細に伝えている。

2007年12月10日付の公電には以下の記載がある。

11月10日にSaudi Aramco Executive VP(開発・生産担当)Dr. Sadad al-Husseini と面談。

彼によると、
Aramcoは増産可能量を過大に発表しており、2009年までに12.5百万b/dの能力にするという公表された目標は達成できない。

peak-oil”説には同意しないが、世界の生産量は5-10年で頭打ちとなり、15年ほど続いて、その後減少に転ずる。現在の高価格は市場のゆがみではなく、世界の需要が供給に追いついた現実を表したものである、としている。

1120日の面談では、Dr. al-Husseini以下の通り述べた。

Aramcoは10以内に12百万b/dは達成できるが、2009までに目標の12.5百万b/d達成は無理である。12百万b/dも一定期間だけで、それも多額の投資が必要である。

問題は2つある。一つは埋蔵量がそれほどないこと。
12月1日のシンポジウムで現在のAramcoのSenior VPのAbdallah al-Saif
は、Aramcoの埋蔵量は7160億バレル(うち51%は採掘可能)で、20年のうちに、埋蔵量は9000億バレルとなり、技術改革で70%は採掘可能となろうとしているが、Dr. al-Husseiniはこの分析に同意せず、Aramcoの埋蔵量は3000億バレルほど過大表示されているとする。

確認埋蔵量は3600億バレルで、この半分まで採掘すると、生産量は徐々に減少する。これまでに1160億バレルが採掘されており、50%までにはあと640億バレルしかない。12百万b/dで続けると、あと14年である。その後は15年ほどはその水準でいけるが、そのあとは生産は減少する。

もう一つは技術者不足、製油所能力の不足、インフラ問題、油田管理の問題である。

7か月後の公電では、サウジは最早、原油価格を長期的に引き下げる力はないとしている。

200910月の公電では、サウジの電力需要の増大により、原油輸出は抑えられるとしている。また、計画の遅れや事故も問題としている。

ーーー

これに対し、Dr. Sadad al-Husseiniは以下の通り反論した。(同じくGuardian紙が報道)

・WikiLeaksに書かれている大使館員との面談というのは、立ち話で、不正確な話も含んでおり、報告では更に誤りが増えている。

・Saudi Aramcoの埋蔵量は根拠のある正確なものであり、これに疑問を呈したことはない。
 
Saudi Aramcoの埋蔵量は2600億バレルであり、埋蔵量が3000億バレルも過大などというのはあり得ない。

・その際、大使館員は、サウジの公表している埋蔵量は採掘不能の原油や未発見の油田を入れて3倍以上とすべきだと述べた。
 これに対して、Saudi Aramco
のやり方が正しいと主張した。

・Saudi Aramcoは多額の投資をして増産を行い、2009年末には生産能力は既に12.5百万b/dになっている。

ーーー

Dr. Sadad al-Husseiniの説明は理にかなっているようだ。
BPの発表した統計では2009年末のサウジの石油埋蔵量は2646億バレルとなっている。

サウジの銀行のアナリストは、Saudi Aramcoが埋蔵量を水増しする理由はないとする。
Aramco
は自分の金で採掘しており、外部資本を入れるために偽装する必要はない。

その場合、大使館員の報告は、単なる聞き間違いか、わざと誤りの報告をしたのか?
また、逆に大使館員の側が、埋蔵量を増やすべきだと述べたとされる。

大使館員がわざと誤りの報告をしたとすると、その意図は何なのであろうか?

米国側はWikiLeaksの発表したものについては、なんらのコメントもしていない。

 


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PetroChina210日、カナダの天然ガス最大手のEncana Corporation から天然ガスの権益の50%を54カナダドル(54.3億米ドル)で買収することで合意したと発表した。

British ColumbiaAlberta両州にまたがるCutbank Ridge事業を50/50JVとする。
Cutbank Ridgeでは2010年に400MMcf/d(日量4億立法フィート)の天然ガスの生産をしているが、新たなMontneyを加えると、約700MMcf/dとなる。
資産は
130万エーカーの土地、3,400kmのパイプライン、Hythe地下ガス貯蔵タンクを含む。

当面はJVの運営委員会の指揮下で、Encana が操業と製品販売を行う。

両社は20106に、EncanaHorn RiverGreater SierraCutbank Ridgeなどでの天然ガスのJV化の検討を行う覚書を締結し、交渉を続けていた。

Encanaはカナダと北米に以下の拠点を持っている。(緑は新開発地域)

既報の通りPetroChinaはスーダンで活動している。

PetroChinaは2010年7月にShellと共同で豪州の炭層メタン生産会社を買収した。

2010/3/12 PetroChinaShellと共同で豪州炭層メタン生産会社に買収提案

 

中国勢の北米進出状況は以下の通り。

2005/4   中国海洋石油カナダのオイルサンド開発企業・MEGエナジーの株式の16.69%を買収
2005/6   Sinopecカナダのアルバータ州のNorthern Lightsにおけるオイルサンド事業の権益の40% をSynenco Energy から買収
2009年に50%にアップ
2009/9/10   PetroChina、カナダのオイルサンド事業に参加 (Athabasca Oil Sands)
2010/4/16   Sinopec、カナダのオイルサンドに投資 (ConocoPhillipsのオイルサンド事業会社 Syncrude Canada)
2010/10/18   CNOOC、テキサス州のEagle Ford Shale projectに参加 Niobrara shaleを追加

 


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中国の国土資源部は1月に公告1、2号を出し、レアアースの国家計画鉱区および鉄鉱の国家計画鉱区のリストと範囲を初めて発表した。
これらの措置は中国のレアアース資源や鉄鉱資源の保護と合理的な利用とを強化することがねらい。
財政資金で鉱区の詳細を調査し、政府の計画に沿って採掘を進めるとしている。

当局では、レアアースの採掘は森、土壌、農地を破壊し、廃棄物も環境を害い、現在のやり方を今後も続けることは出来ないとしている。

「鉱産資源法」などの法律・法規に基づき、イオン吸着型鉱床が集中的に分布する江西省コウ州(Ganzhou) に国内初のレアアース国家計画鉱区を設定した。

レアアース国家計画鉱区は▽竜南重レアアース第一計画鉱区▽竜南重レアアース第二計画鉱区▽尋烏軽レアアース計画鉱区▽定南中レアアース計画鉱区▽コウ県(北)中レアアース計画鉱区▽コウ県(中)重レアアース計画鉱区▽コウ県(南)中レアアース計画鉱区▽ 安遠中・重レアアース計画鉱区▽信豊(北)中レアアース計画鉱区▽信豊(南)中・重レアアース計画鉱区▽全南中レアアース計画鉱区、の11カ所からなる。

11鉱区の合計の面積は 2,500km2 レアアース埋蔵量は760千トンとみられている。

また、国内初の鉄鉱国家計画鉱区を、パナジウム、チタニウム、磁鉄などの鉱物資源が集中的に分布する四川省の攀花枝に設定した。

鉄鉱国家計画鉱区は▽攀花枝パナジウム・チタニウム・磁鉄鉱物資源国家計画鉱区▽白馬パナジウム・チタニウム・磁鉄鉱物資源国家計画鉱区、の2カ所で、合計面積は460km2となっている。

付記 2月15日付人民網は以下の報告をしている。

今回指定された江西省カン州レアアース国家計画鉱区のレアアース予想埋蔵量は約76万トン(うち、中・重レアアース類埋蔵量は71万トン)で、2009年の採掘量は3444.95トン、省内のレアアースは全てここで採掘された。
全国の中・重レアアース類の生産量の約70%を占め、世界で最極めて重要な地位にある。

四川省の攀枝花・白馬の両鉱山区のバナジウムチタン磁鉄鉱の予想埋蔵量は136億トン、年産能力は1683万トンと見込まれる。全国鉄鉱資源埋蔵量の15%を占めている。
このうちバナジウムチタン磁鉄鉱は約96億トンと、全国バナジウムチタン磁鉄鉱埋蔵量全体の83%を占める。
バナジウム資源埋蔵量は1861万トン、全国総量の52%。チタン資源埋蔵量は約6億1800万トン、全国チタン鉄鉱資源埋蔵量の95%。
ここにもレアアース国家計画鉱区を設立する計画がある。

中国のレアメタルの主な産地は、
 軽希土類:内蒙古自治区、四川省
 重希土類:江西省、広東省、湖南省、福建省、広西チワン族自治区
となっている。

内蒙古のBaotou Steel Rare Earth High-Tech Co と江西省のJiangxi Copper は国際市場でのレアアースの価格支配力強化のため、軽希土類の統一価格メカニズム設定に動いている。

四川省ではJiangxi Copper が、国家発展改革委員会と四川省国土資源部の決定を受け、四川省の提携企業2社と組んで他の鉱山を取得し、軽希土類を統合することを計画している。

2010/8/16 中国、レアアース市場での支配力拡大へ

中国商務部は2011上期のレアアースの輸出許可枠を前年比で35%削減した。

2009 2010 前年比 2011 前年比
上期  25千トン  22,282トン -11% 14,446トン -35%
下期 25千トン 7,976トン -68%
年間  50,145トン 30,258トン -40%

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エステーは2月14日、アース製薬から同社保有のフマキラー株式を取得する契約を締結したと発表した。

取得は3月18日の予定で、取得株式数は 3,457千株、取得価額は 1,410百万円、1株当たり408円。

この結果、両社のフマキラー持株は以下の通りとなる。

  異動前 異動 異動
アース製薬  3,457千株
  (10.52%)
   2位
 -3,457千株    -
エステー  4,980千株
  (15.16%)
   1位
  3,457千株  8,437千株
  (25.69%)
   1位

 

2008年1月、殺虫剤最大手のアース製薬が3位のフマキラーの株式を市場で買い進め、フマキラー創業者一族の大下高明氏を超えて、筆頭株主になったことが明らかになった。

アース製薬では、経営統合を申し入れした事実はなく、株式取得はあくまでも「純投資」が目的、としたが、非公式に経営統合を打診したことを認めた。

報道では、その後、アース製薬の大塚達也社長は「フマキラー株の取得を継続する」と強調、今後10年以内に日用品業界で再編が必ず起きるとし、M&Aなどにより主導権を握りたい考えを示した。

フマキラーは2010年5月13日、消臭芳香剤大手のエステーとの資本業務提携を締結したと発表した。実際には買収防衛策とみられた。

フマキラーはエステーを引受先に第三者割当増資(約16億円)を実施、エステーはアース製薬を抜き筆頭株主になった。
(エステーは以前からフマキラー株を4.76%
取得しており、増資引受で15.16%となった。)

2008/1/23  アース製薬によるフマキラー株式購入

エステーでは、両社の事業の発展、収益性の強化など、より一層の提携関係の強化を図ることを目的として、フマキラー株式を追加取得するとしている。

今回の売却でアース製薬は事実上、フマキラーの買収を断念したことになる。

アース製薬は以下の通り述べている。

フマキラーについては、同業種で経営環境等が比較的把握しやすいこと、配当利回りが高いこと、株価の割安感などから、効率的な余剰資金の運用として長期保有を目的に投資してきた。

今回、資産の有効活用、財務体質の改善・強化などの方針から、エステーに譲渡提案を行った。 


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12月決算会社の決算

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旭硝子

営業利益・経常利益・当期純利益で過去最高益を更新。

国内の固定資産の償却方法を定率法から定額法に変更(海外は以前から定額法)、これにより、営業損益は242億円、経常損益は244億円増加となった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/12 14,443 1,540 1,098 392 12 12
2009/12   11,482 867 872 200 8 8
2010/12 12,889 2,292 2,268 1,232 12 14
前年比 1,407 1,425 1,396 1,032 4 6
(前々年比) (-1,554) (752) (1,171) (840) (0) (2)
2011/12 13,500 2,200 2,150 1,300 13 13

営業損益対比(億円) 

売価下落、原燃料価格上昇のなかで、販売数量増の影響が大きい。
(特に上半期に数量増で700億円の益)
電子・ディスプレイは日本で1,161億円、アジアで741億円の益。

  2008/12 2009/12 2010/12 前年比 うち
償却変更
ガラス 187 -350 212 562 53
電子・ディスプレイ 1,266 1,269 1,899 630 127
化学 39 -77 152 229 61
50 20 30 10 2
全社 -1 5 -1 -5  
合計   1,540  867  2,292   1,425 242
 
前年比増減
  内訳
販売増、品種構成   985
売価  -450
原燃料価格 -102
減価償却方法変更 242
コストその他 750
合計 1,425

ーーーーー

昭和電工

4年に一度の定期修理の石油化学を除き、前期比増益となった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/12   10,039 268 98 25 0 5
2009/12 6,782 -50 -223 -380 0 3
2010/12 7,972 387 305 127 0 3
前年比 1,190 437 528 507 0 0
(前々年比) (-2,067) (119) (207) (103) (0) (0)
2011/12 8,700 450 380 210 0 3

営業損益対比(億円) 

石化は4年に一度の定修で販売数量減だが価格上昇で増収になった。(数量減で減益)
電子・情報、無機材料、アルミほかは販売数量増で増収増益。

  2008/12 2009/12 2010/12 前年比  
石油化学 -13 80 49 -31 オレフィン減益(定修)、有機増益
化学品 53 4 36 32 AN増益、工業ガス増益
電子・情報 93 -98 146 244 HD、化合物半導体、特殊ガス、レアアース増益
無機材料 192 36 93 57 セラミックス、電極増益
アルミニウム他 -2 -42 93 135 圧延品、押出・機能材、アルミ缶ほか増益
全社 -55 -30 -30 0  
合計   268  -50  387   437 数量増 458、価格 -20、コストダウン 153、その他 -153

ーーー

中外製薬

一般医薬品は薬価改定分を補って増収増益となったが、タミフルが大幅減収となり、全社では減益となった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
合計 一般 タミフル 中間 期末
2008/12   3,269  3,185 84 516 573 393 15 19
2009/12 4,289 3,527 762 826 900 566 17 23
2010/12 3,795 3,613 182 662 651 414 17 23
前年比 -494 86 -580 -164 -253 -152 0 0
(前々年比) (526) (428) (98) (147) (78) (22) (2) (4)
2011/12 4,030 3,908 122 750 755 425 20 20

タミフルの出荷の多い年は営業利益も増加している。

なお、中外製薬の親会社のRocheでも、2009年にTamifluの売上高はインフルエンザの流行で32億スイスフラン(2400億円)に急増したが、2010年には8.73億スイスフラン(750億円)に激減している。


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スーダンと中国

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1月9日から15日に実施されたスーダン南部の分離独立の是非を問う住民投票で、南部が分離独立することが正式に決まり、早ければ今年7月にもアフリカ大陸54番目となる新国家が誕生する。
首都ハルツームで2月7日、投票管理委員会が発表した最終結果は、有効投票のうち独立賛成が98.83%を占めた。

付記
2011年7月9日、「南スーダン共和国:Republic of South Sudan」が分離・独立した。首都はジュバ(Juba)。
アフリカ大陸では54番目の国で、近く国連に193番目の国として加盟する。

オバマ米大統領は南スーダンを独立時には「独立主権国家として公式に承認する」と表明、クリントン国務長官はスーダンのテロ支援国家指定解除への手続きに入るとの声明を発表した。

現在、スーダンはイラン、キューバ、シリアとともに、米国によりテロ支援国家に指定されている。

過去には以下の4ヶ国が指定されていた。
 リビア (2006年指定解除、その後国交正常化)
 北朝鮮 (2008年指定解除)
 イラク (2004年指定解除)
 南イエメン (1990年指定解除)

スーダンでは南部地域と西部のダルフール地域で長く紛争が続いた。

(南部地域)

1956年にスーダン共和国が独立したが、前年の1955年の英国・エジプトからの独立運動下で、ムスリムによる北部の政府とほぼムスリムでない南部の非アラブ系諸民族連合との間で内戦が起こった。

1972年の第一次内戦終結での「アジスアベバ合意」で南部に自治権が与えられたが、1983年に第二次内戦が勃発した。

2005年1月に北部と南部との間で包括和平合意が成立し、ようやく南北内戦が集結した。
 この合意で、以下が決められた。
  南部自治政府発足、
  南部の宗教的自由(イスラム法の不適用)、
  南部スーダンの石油収入を南北間で原則均等配分、
  2011年の南部独立の住民投票 

ただし、南北の境界付近にある油田地帯アビエイ(Abyei)地区を巡る石油の利益配分などが決まっていない。

アビエイ地区は南北内戦の激戦地の一つ。2005年の包括和平合意は、同地区の帰属を決める住民投票を南部独立の住民投票と同時に実施すると規定した。しかし、南北間で境界線画定が難航、石油資源の利益配分などを巡る駆け引きが続いており、「時間切れ」となった。

もう一つの懸案のスーダンが抱える約380億ドルの対外債務の扱いについては、今回、中央政府のバシル大統領が、南部が独立しても北部が引き継ぐとの考えを示した。

(ダルフール地域)

ダルフールは多くの民族が居住している地域で、非アラブ系の諸民族(主に定住農民)と、13世紀以降にこの地域に移住してきたアラブ系(主に牧畜民)とで構成されている。
土地や水などの資源をめぐり、2つのグループに分かれて紛争が生じた。

2003年に武力衝突が起こり、紛争が本格化した。
反政府勢力の反乱(空港襲撃)を契機に、スーダン政府軍が空爆を行い、アラブ系の民兵を募集して、非アラブ系住民の大規模な虐殺や村落の破壊を行った。

2006年5月、国連安保理決議1679号により、国連部隊を派遣しようとしたが、スーダン政府が国連部隊の現地展開を拒否した。
欧米諸国による圧力や中国の説得により、2007年6月にスーダン政府がアフリカ連合と国連による共同展開受け入れを承認した。

しかし、停戦交渉はまとまらず、2009年には国際刑事裁判所がダルフール紛争での「戦争犯罪」に関してバシル大統領に対し逮捕状を出している。

2010年2月にはドーハでスーダン政府と反政府勢力の一部が停戦合意に調印するなどしており,和平実現に向けた努力が続けられている。

 

参考 外務省 スーダン政治・経済情勢
 
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/sudan/kankei.html
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol59/index.html


なお、オサマ・ビン・ラディンは1992年にサウジアラビアを抜け出しスーダンに移った。スーダンでは建設事業などを進める一方でアルカイダを強化した。(テロを続けたためスーダンの厄介者となり、1995年にアフガニスタンに拠点を移した。)

ーーー

米国政府は1993年にスーダンをテロ支援国家に指定、1997年には、ダルフール地方の人権問題を受け、経済制裁を発動している。

アメリカの経済制裁が加えられた期間に、1990年代後半から中国政府のバックアップを受けた中国系企業が多数進出した。
数万人規模の中国人労働者がスーダンに派遣され、石油プラントや石油パイプラインが建設された。

スーダンでは、1990年代から石油の開発が本格化し,1999年に南部の産油地と紅海を結ぶパイプラインの完成によって,原油の輸出が始まった。生産量は日産約50万バレルに達し、輸出の大部分を占める重要な産業となっている。

北部と南部、ダルフール地区に接するアビエイ地区は大量の炭化水素の累積が見込まれる大地溝帯であるムグラド盆地に位置し、1970年代から油田探査が始まった。
2003年までにアビエイ地区はスーダンの原油生産の4分の1以上を占めるようになった。

PetroChinaは 1996年以降、スーダンの油田の権益の40%を獲得し、開発を手掛けている。

スーダンの石油の60%が中国に輸出されている。

Greater Nile Oil Pipelineは、Unity油田、Heglig油田からアビエイ地区を通り、ハルツームを経て紅海のPort Sudanまでを結んでいる。延長は1600kmで、1999年に開通した。

PetroChinaが40%を出資し、運営を担当している。

株主
 
China National Petroleum Corporation (PetroChina)40%
 Petronas Carigali Overseas(Malaysia)30%
 ONGC Videsh (India)25%
 Sudapet (Sudan)5%

米国はアフリカ大陸で資源確保に走る中国に焦りを覚え、スーダン南部の独立を推進したとの見方もある。
逆に中国は、南スーダンの独立の可能性が強まったため、南スーダンとの今後の関係を勘案し、スーダン政府に住民投票の実施を強く要請した。

PetroChinaにとっては、アビエイ地区の帰属、アビエイ周辺の同社の油田の帰趨が大問題である。


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Merckは2009年11月3日にSchering-Plough の買収を完了した。

2009/3/11 Merck、米Schering-Plough を買収

2月3日に発表した2010年の決算では、Schering-Plough の売上高をフルに反映し、前年比で1.68倍となった。

しかし、税引後損益は前年の12,899百万ドルから、861百万ドルに激減した。

2009年には以下の特別利益107億ドルを含む。

Schering-Ploughの合併により、以前からのMerck/Schering-Plough Cholesterol Partnership の100%がMerckのものとなった。 このため、従来の持分をfair valueで評価替えした。→75億ドルの益
また、Merial Limited の50% をSanofi-aventisに40億ドルで売却→32億ドルの益

他に、無形固定資産の一時償却、退職金、停止設備の加速償却など、48億ドルの費用を落とした。

税引前で59億ドル、税引後では55億ドルの利益増となっており、これらの特別処理がなければ、74億ドルの利益となり、2008年とほぼ同じ水準であった。 

2010年では、主として合併に伴い、特別損失として11,896百万ドルを計上した。

無形固定資産一括処理、在庫評価損など  6,566百万ドル
In-process R&D 償却  2,441百万ドル
リストラ費用(退職金、停止設備の一括償却など) 1,986百万ドル
統合費用 396百万ドル
その他 507百万ドル
(合計) (11,896百万ドル)
税引き後 9,854百万ドル

この処理がない場合は税引き後損益は10,715百万ドルとなり、前年の実質ベースを45%上回ることとなる。

 

1兆円に近い額を一気に損に落として次期以降に備えられるのは、合併による収益力の急増があってのことである。


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GlaxoSmithKline23日、2010年の決算を発表した。(単位:百万ポンド)

  2008 2009 2010
売上高 24,352 28,368 28,392
 
一般営業損益 9,493 10,441 9,794
Legal charge -611 -591 -4,001
Major restructuring -1,118 -832 -1,345
本社損益ほか -623 -593 -665
営業損益合計 7,141 8,425 3,783
 
税引後損益 4,602 5,531 1,634

2010年の売上高は、2009年とほぼ同じで、通常の営業損益も若干の減少であるが、40億ポンドの法務費用を計上したため、リストラ費用と法務費用、本社費用を控除したネットの営業損益は前年の8,425百万ポンドから3,783百万ポンドに55%の減となった。この結果、税引き後損益も前年の5,531百万ポンドから1,634百万ポンドへと激減した。

同社はProduct liability、知財、税務、独禁法、販売慣行に関する米国政府の調査等、多くの法的問題を抱えている。

法務費用は2008年の611百万ポンド、2009年の591百万ポンドから、2010年は4,001百万ポンド(約5300億円)へと急増した。
2010年第4四半期に22億ポンドを引き当てた。

主たるものは、米国での販売慣行に関する米司法省コロラド支部の調査と、2型糖尿病治療薬rosiglitazone(商品名:Avandia)のproduct liabilityに関するものである。

司法省は、同社の安値販売(nominal pricing)について、Medicaid関連法に違反するかを調査している。

1990 Medicaid Drug Rebate Programでは最低価格の報告を義務付けているが、チャリティや政府施設への安値販売(nominal pricing)は除外される。
これを利用して、秘密裏に(報告なしの)安値販売をしてシェアを拡大する慣行が問題視された。

2008年にMerckは違反を認め、650百万ドルを支払った。

Avandia に関してはProduct Liability 訴訟が続出している。

2007年に医学雑誌に、Avandiaが心循環リスクを増加させるとの論文が掲載された。

欧州医薬品庁(EMA)は2010年9月、Avandiaの回収を命じた。FDAも同日、Avandiaの販売を厳しく制限する方針を発表、これを受け、グラクソは、すべての市場でAvandiaの販売促進活動を停止すると表明した。

同社は2010年10月、プエルトリコ工場での欠陥薬品製造問題で有罪を認め、7億5000万ドルを支払って和解することで米司法当局と最終合意した。

プエルトリコ・シドラ工場で2001~05年に抗うつ剤パキシルなどの欠陥品を生産したことによる。
この工場で生産されたパキシル(錠剤)は割れたり、有効成分の量が不適切だったりして、患者の命にかかわる危険性があった。同社は同工場を閉鎖した。7億5000万ド ルのうち約1億5000万ドルは罰金。

このほか、2社が同社の特許を無効として、後発薬の申請を行い、同社が訴訟を起こしている。


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BASFは2月1日、生分解性樹脂 Ecoflex の増設が完了し、生産を開始したと発表した。
Ludwigshafenのプラントを既存の
14千トンから60千トン増設し、74千トンとした。

同時に、Ecoflexとポリ乳酸のコンパウンドであるEcovioの能力も増やした。

Ecoflexは一般のポリエチレンと同じ性質を持つが、完全な生分解性を有している。
Ecoflexは、バクテリアや菌などの微生物によって、植物が分解されるのとほぼ同じ速さで、水、二酸化炭素、バイオマスに変換される。
Ecovioも同様に生分解性を有し、再生可能原料を75%まで含有する。

主な用途は、レジ袋、ごみ袋、農業用マルチフィルム、食品包装など。
最新の製品はEcovio FS Paperで、ペーパーカップや段ボール箱の表面コーティングに使う。

BASFでは生分解性樹脂の需要は現在年率20%以上で伸びているとし、2020年までに需要が大きく伸びると見ている。

Ecoflexはポリブチレンアジペート-ブチレンテレフターレート共重合体(PBAT)で、1,4-ブタンジオール、アジピン酸、テレフタル酸の共重合体である。



一般に、脂肪族ポリエステルとテレフタレートの共重合体は生分解性を持つとされている。
DuPontBioMaxはアジピン酸の代わりにコハク酸を入れたもの。

BASFEcoflex1998年に年産8千トンで生産を開始し、その後14千トンに増設した。

2005年にEcoflexにコーンからつくるポリ乳酸を45%混ぜた生分解性プラスチック Ecovioを開発した。


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エジプト国営テレビによると、2月5日、同国北部のシナイ半島のElArishで、エジプトからヨルダンとイスラエルに天然ガスを輸出するパイプライン基地で爆発があった。
テロ行為が原因としているが、事故との情報もある。

エジプト当局はヨルダン向けとイスラエル向けのガス供給を停止した。

イスラム系過激派組織はイスラエル向けの供給に反対しており、インターネット上でパイプラインへの攻撃を呼びかけていた。

ーーー

エジプトのシナイ半島のEl-Arishにはヨルダン向けとイスラエル向けのパイプライン基地がある。

ヨルダン向けはシナイ半島を南下し、アカバ湾の北岸のTabaへ、Tabaから海底パイプでAqabaへ、そこからAmmanに通じる。
ヨルダンは電力需要の8割でエジプト産ガスを燃料としている。

イスラエル向けはEl-ArishとイスラエルのAshkelonを海底パイプラインで結ぶ。
エジプトはイスラエルの天然ガスの1/3を供給している。

なお、エジプトでは1月28日以降、SuMed石油パイプラインを守るためエジプト軍が動員されている。

SuMed (Suez-Mediterranean) Pipelineは200マイルで、超大型タンカーはスエズ運河を通れないため、地中海への石油輸送に使用されている。 

原油は2009年では、スエズ運河経由で1日約100万バレル、パイプライン経由で110万バレル(2007年は230万バレル)が送られた。

スエズ運河とSuMedパイプラインが閉鎖された場合、欧州向けタンカーはアフリカ南端の喜望峰を回らなくてはならず、運航距離が1万キロ増加することになる。

(このリスクもあって、北海ブレント原油の価格は高騰している。他方、WTI原油は米国の原油・石油製品の在庫が多いことから上昇が鈍く、北海ブレントと逆転した。)

エジプトのEGPCが50%、Saudi Aramco 15%、UAEIPICが15%、カタールのQGPCが5%、クウェートの3社が5%ずつ計15%を出資するJVのArab Petroleum Pipeline Company/Sumed Companyが運営している。


イスラエル向けのパイプラインを運営する
East Mediterranean Gas Co. (EMG)2000年に設立された。

2007年11月にタイの国営PTT PLC487百万ドルで同社の株式25%Mediterranean Gas Pipeline から買収、現在の株主は以下の通り。

Mediterranean Gas Pipeline  28 %
Merhav Group (Israel) 25  
PTT Public Company Ltd. (Thailand) 25  
EMI-EGI LP 12  
Egyptian General Petroleum /Egyptian Natural Gas 10  

East Mediterranean Gas Co.  株主でもあるEgyptian General PetroleumEgyptian Natural Gas との間で、日量677百万立方フィートを15年間購入する契約を結んでいる。

天然ガスの主な需要家は Israel Electric Corporationで、15年間、日量206百万立方フィート購入の契約を締結している。

イスラエル政府が出資する石油精製会社Oil Refineries Ltd.は昨年12月、East Mediterranean Gasとの間で、同社と同社子会社のCarmel OlefinsGadiv Petrochemical Industries向けの天然ガス購入の契約を締結した。

また、PotashCorpが出資するカリのメーカーのIsrael Chemicals (ICL)、同じくカリのメーカーのDead Sea Works、ガス発電会社のOPC Rotemの各社も購入契約を締結した。

 


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林原グループの林原、林原生物化学研究所、林原商事の3社は2月2日、私的整理手続きを諦め、会社更生手続開始の申し立てを行った。(太陽殖産は資産超過の状況のため、申し立てを行っていない)

同社は同日、私的整理の一種「事業再生ADR」(Alternative Dispute Resolution:裁判外紛争解決)のための第一回の債権者会議を開催した。

2011/1/28 林原が私的整理手続き 

メインバンクの中国銀行が融資を株式に切り替えるDebt equity swapに賛成したが、他行は中国銀行が林原の行き詰まりを知ってから担保を登記したことや、粉飾決算などを理由に私的整理に反対の意向を示した。

事業再生ADRには債権者全員の同意が条件のため、休憩の後、会社更生法への切り替えが表明された。

東京地裁による会社更生手続きの開始決定は3月までになされる見通し。
保全管理人に就任した弁護士は「本業以外の事業は売却される可能性が大きい」とした。支援候補先として名乗りを上げる意向を示している企業が複数あることも明らかにした。

今後、金融機関以外の一般取引先企業への負債については全額を支払う方針。当面の運転資金は中国銀行が40億円のつなぎ融資で対応する。
同社では、取引先の商取引債権については今後も全額保護されるため、製品の安定供給に努めるとしている。

ーーー

林原の提案した事業再生ADRでの再生計画案は以下の通りであった。

2010年10月末時点での同グループの債務超過額は551億円。
議決権のない株式を発行し、金融機関に290億円の債務の株式化(
Debt equity swap)を要請
さらに金融機関に215億円の返済猶予(5年間で20回の分割返済)を求める。
林原一族が合計で24億円の私財を提供。

食品や化学品以外の非中核事業からはすべて撤退。
不動産売却345億円、有価証券など売却252億円、資産売却総額は597億円を見込む。
  京都センチュリーホテル、岡山駅前の土地などは売却
  美術館や化石調査などのメセナ事業は12年度をメドに清算または売却

    グループの人員削減(10億円を圧縮)など、一連のリストラで68億円の利益改善

    2015年10月期は経常利益82億円を目指す。

ーーー

既報の通り、「研究に関しては10年かけてもいいから独創的な研究を」というのが経営方針で、オーナーのこの意見が反映できるよう、株主の意見に左右されないよう、非上場を続けてきた。

林原健社長は慶應義塾大学在学中に父の先代社長が死去、社長に就任した。
法学部出身だが、正午前に出社、2時には退社し、後はバイオ研究に没頭、実際の経営を仕切ってきたのは弟の専務である。

林原は研究開発費の原資を借り入れで調達してきたが、総額約1400億円もの融資を受けられたのは、「圧倒的に豊かな資産の裏付けがあったから」とされる。

林原一族は今も全国の一等地に不動産を持つ。メーンバンクの中国銀行の株式の10%強(2010年9月末時点の時価は約253億円)も所有している。
安定した収益を確保するために、これを利用した不動産事業を行った。

戦後、日本一の水あめ会社として大成功した先代社長は、次々と不動産を購入した。
岡山駅前の45千m2の土地は岡山藩藩主だった池田家から買ったもので、林原美術館に展示されている美術品も池田家から購入したもの。

グループが経営する「京都センチュリーホテル」、嵐山のホテル嵐亭も先代社長が買っていた土地に建設した。

新宿歌舞伎町に歌舞伎町プロジェクトと名付けたビルを建設した。

2002年に「ザ・ハヤシバ ラシティ」構想を発表した。
岡山駅前の土地に
1,500億円をかけ、「世界の名所になるような近未来都市をつくる」というもので、自然博物館や美術館、百貨店、ホテル、高層マンションをつくるとし、自然博物館の目玉にするため、ゴビ砂漠で恐竜の化石を発掘する調査団を派遣した。

しかし、リーマン・ショック以降の地価と株価の下落で、資産は大きく目減りし、負債とのバランスが崩れてきた。

岡山駅前の土地は中国銀行が400億円の担保を設定したが、時価は200億円程度との声もある。

地価下落で担保割れを起こして資金の流れはストップし、ハヤシバラシティ構想は頓挫した。現在も駐車場のままである。

不動産事業で手を広げすぎたことが経営破綻の原因である。

さらに、1984年以降、不適切な会計処理を行なっていた。
金融機関に開示する資料などで、売掛金の架空計上を繰り返しており、架空計上額は年間2億円から50億円で総額は288億円とされる。このほか、1984年以降、支払利息を資産に計上し利益を水増しするなどのケースがあった。

同社は純資産約143億円としてきたが、実際には551億円の債務超過であった。
債権者集会で金融機関側から「粉飾の中での配当は、違法性が極めて高い」などとして、一族の責任を問う質問が出た。
「背任」の容疑が出ている。

 


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Rosneft127日、ExxonMobilとの間で黒海の海底油田開発で合意した。
スイスのDavosで開かれているWorld Economic Forumで、ロシア副首相でRosneft 会長のIgor Sechinが発表した。 

RosneftはBPとの間でSouth Kara Seaの共同開発を含むグローバルな戦略的提携で合意したばかり。

但し、BPのロシアのJVの株主が交渉取りやめの訴訟を起こし、裁判所が仲裁にかけるよう命じた。

2011/1/17 BP、ロシアのRosneft と戦略的提携

ExxonMobilはロシアではRosneftと共にサハリン1プロジェクトに参加しているが、今回はそれ以来の最大のプロジェクトとなる。

サハリン1プロジェクト
事業主体 Exxon Neftegas
 (ExxonMobil子会社、オペレーター、30%)
・サハリン石油ガス開発(株)(通称:SODECO
 (石油公団・伊藤忠・丸紅等 出資30%)
ONGC Videsh(インド、20%)
Sakhalinmorneftegaz-Shelf(ロシア、11.5%)
Rosneft-Astra(ロシア 8.5%)                
投 資 額 約120億ドル以上
開発鉱区 オドプト、チャイヴォ、アルクトン・ダギ
推定可採
埋 蔵 量
①石油    約23億バレル
②天然ガス 約4,850億立方メートル

両社は黒海の東岸のロシアの石油輸出港Tuapseの沖合にあるTuapse沈降帯(Trough)で共同開発を行う。同地域には石油換算で73億バレルの埋蔵量があると見られている。

ロシア領黒海の深海鉱区開発では、RosneftWest Chernomorsky鉱区の一部のVal Shatskogo鉱区の開発をChevronと、それより陸地に近いTuapse Troughの開発をExxonMobilと交渉してきた。

ExxonMobilは、数年前にRosneftが黒海開発に参加する外国企業を募った際に名乗りを上げた。
Total も検討していたが、 地質的リスクが高いとして断念したとされる。

JOGMEC レポート http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/3/3696/201011_069t.pdf 

共同開発の詳細(出資比率、費用分担など)は明らかにされていない。

BPとの間では、Rosneftは開発JV2/3を所有するが、開発コストの最初の20億ドルはBPが負担する。
また、
Rosneft BPの株式5%を購入、見返りにBPRosneft株式 9.5%を購入する。

ロシアの石油会社は深海での石油採掘の実績がなく、技術を資本を海外の石油会社に依存する必要性を認識しており、今後もこのような提携が行われると見られている。


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中国の2010年の輸入統計が発表になった。

合成樹脂やSM、VCMは2008年に輸入が減ったが、2009年には急増した。
総額4兆元(約57兆円)規模の緊急経済対策の効果が出た。

2010年についても、(PSを除き)、輸入は堅調であった。(製品によりバラつきあり)

日本からの輸入は、VCMは過半を占め、SMとPVCは堅調だが、それ以外は少量で推移している。

韓国と台湾からは引き続き、大量の輸入がある。
米国からの輸入も多い。
サウジアラビア、クウェート、イランからの輸入が増加している。

ーーー

LDPE 

2008 2009 2010 増減
サウジアラビア 309 449 719 270
USA 254 416 433 17
韓国 273 453 419 -34
シンガポール 348 371 364 -7
イラン 6 158 314 155
タイ 53 62 224 162
日本 116 263 185 -77
合計 2,184 3,550 3,862 313

ーーー

HDPE

2008 2009 2010 増減
韓国 645 859 711 -148
イラン 31 342 475 133
サウジアラビア 245 385 461 76
台湾 184 290 238 -52
タイ 211 238 237 -1
USA 232 496 235 -261
日本 81 184 138 -46
合計 2,312 3,859 3,496 -363

ーーー

PP

2008 2009 2010 増減
韓国 931 1,115 995 -120
サウジアラビア 208 441 686 245
台湾 528 562 521 -41
日本 179 269 235 -34
インド 65 187 227 40
シンガポール 283 190 225 36
USA 118 493 200 -293
合計 2,787 4,162 3,868 -294

ーーー

PS

2008 2009 2010 増減
台湾 288 294 296 3
香港 263 225 165 -60
韓国 203 147 122 -25
タイ 125 99 61 -38
日本 48 31 22 -9
合計 1,066 913 799 -114

ーーー

原料SM

2008 2009 2010 増減
韓国 1,181 1,212 1,173 -39
日本 754 1,006 743 -263
サウジアラビア 266 549 575 27
台湾 421 460 405 -55
シンガポール 109 152 214 62
クウェート 0 44 189 144
米国 22 153 123 -30
合計  2,811  3,646  3,687 41

ーーー

PVC

2008 2009 2010 増減
日本 340 408 439 31
米国 63 303 329 26
台湾 305 353 324 -29
韓国 51 140 58 -83
合計 861 1,715 1,297 -418

 

PVC輸出

PVCについては、中国は200510月以降、輸出が急増した。
2008年初めには、一時輸出量が輸入量を上回った月もあった。

しかしその後、インドとトルコが反ダンピング課税を行ったことや、中国政府が輸出増値税リベートを変更したことで、輸出は急激に減少した。現在はロシア向けが中心となっている。

   2007/8/27
中国からのPVC輸出激減

 

ーーー

原料VCM

2008 2009 2010 増減
日本 544 985 723 -262
台湾 194 280 246 -34
韓国 75 80 106 26
合計   814  1,377   1,079   -297

ーーー

原料エチレン

エチレンの輸入は以下の通り。

  2008 2009 2010 増減
韓国   541   476   441    -35
日本 79 362 218 -145
台湾 9 39 75 36
合計  721  975  815  -159

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京都大学は2月1日、京大のiPS 細胞技術に関する知的財産の管理活用会社 iPSアカデミアジャパンを通じて、米国のiPierian Inc.にiPS細胞関連特許のライセンスを許諾し、iPierian Inc.から同社保有のiPS細胞特許を譲り受けたと発表した。

・京大は、iPierianが保有するiPS細胞製造に関する特許(特許出願を含む)を譲受。

・京大は京大のiPS細胞製造に関する基本特許(特許出願を含む)の非独占的なライセンスをiPierianに許諾。
 iPierianは、全世界で京大有するiPS細胞関連特許に基づき、ヒト用治療薬の研究開発を行うことができる。

・山中伸弥 iPS細胞研究所長が、iPierianの科学諮問委員会委員に就任。

ーーー

バイエル薬品神戸リサーチセンターの研究チーム(桜田一洋センター長ほか)は山中伸弥京大教授らが20068月にマウスiPS細胞の作成を発表した直後から、ヒトでの研究を始めた。
山中教授らのチームより早く、ヒトの「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を作成し、バイエルは2007年6月15日付けで国内で特許を出願した。
その後、これに基づき世界各国に出願しており、2010年に英国で特許を取得した。

2008年12月25日付けで特許庁がこれ(日本国特許出願第2007-159382号)を公開した。

作り出したiPS細胞そのものを特許として出願している。
主な作製法は、(1)山中教授が使った4遺伝子、(2)がんに関連する遺伝子を除いた3遺伝子、(3) 3遺伝子と化合物で作る方法がそれぞれ記載された。

元になる細胞は、ヒトの新生児の臍帯や皮膚などから取り出した、いろいろな組織の細胞に分化していない状態の幹細胞。分化した細胞を使う山中教授らの方法と違う。


バイエル薬品は2007年に
日本シエーリングと統合したが、2007年12月に神戸リサーチセンターを閉鎖した。

Bayer Healthcare 2003年12月Berkeley (米国カリフォルニア州)で行っているバイオテクノロジー研究の組織を縮小再編し、日本のバイエル薬品中央研究所を閉鎖すると発表した。

神戸リサーチセンターはその後も存続していたが、日本シェーリングとの統合を機に閉鎖した。

バイエル薬品で開発に当たった桜田センター長は、米ベンチャー企業が2007年に設立したiPS細胞による医薬品スクリーニング会社 iZumi Bio, Inc. の最高科学責任者(CSO)に就任した。
(桜田氏はその後 iZumi Bio を退社、2008年9月より ソニーコンピュータサイエンス研究所のシニアリサーチャーとなっている。)

バイエルは2009年2月12日、特許出願中のiPSに関する権利をiZumi Bio に譲渡すると発表した。
バイエル薬品は研究所閉鎖時点でバイエルとしてiPS 細胞のビジネスはやめると判断したとしている。

京都大学は2009年4月14日、iPS細胞の研究で iZumi Bio と協力することで合意したと発表した。
研究協力は1年間(更新あり)で、互いが作成した iPS 細胞を交換し、比較したり特性を評価したりして、新薬開発や細胞治療に最適な作製法を探る。

iZumi Bioは20098Pierian, Incと統合し、iPierian, Inc.となった。

以上の通り、京大が今回譲り受けたiPierianの特許は、桜田一洋氏らがバイエル薬品の神戸リサーチセンターで行った研究に基づくものである。

ーーー

京大は2009年11月に日本で特許を取得、iPierian2010年に英国で特許を取得した。

米国では、米国特許庁がどちらが先に発明したかを選定する審判Interference)の開始を宣言する可能性が高まった。

米国では先願主義でなく、先発明主義のため、係争になると、どちらが先に発明したかの調査などに膨大な時間と多額の費用がかかる。

このため、iPierianは昨年末に、山中所長の発明を尊重し、将来想定される京大との特許係争を回避するため同社保有特許を京大に譲渡したいと申し出た。
金銭のやり取りはなく、見返りに
iPierianは、全世界で京大有するiPS細胞関連特許に基づき、ヒト用治療薬の研究開発を行うことができる。


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原油価格上昇

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東京市場のドバイ原油価格は、1月31日の94.80ドル/バレルに続き、2月1日は95.60ドルとなり、2008年9月以来、2年5か月ぶりの高値となった。 → 付記 2月2日は96.80ドル、3日は更に上昇し98.50ドル。

New York市場のWTI原油も1月31日の終値は92.19ドル、一時92.84ドルの高値を付けた。(2月1日は90.77ドルに下落)

北海ブレント先物は1月31日、金融危機が起きた2008年以降初めて1バレル100ドルを突破し、終値は101.01ドルとなった。
2月1日も続伸し、一時102ドル台まで上昇、終値は101.74ドルとなった。

エジプト情勢の混乱を受けスエズ運河の航行に対する警戒が高まっていることなどが背景となっている。
日量100万バレル以上の石油が通過するスエズ運河が通行不能になれば、湾岸産油国からの供給が途絶する恐れがある。
また、エジプトやチュニジアで起きた政治的混乱が、湾岸産油国全体に広がることも懸念される。


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BP、2010年決算を発表

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BPは2月1日、2010年の決算を発表した。

事故損失を409億ドル計上した結果、37億ドルの損失となった。但し、事故関連を除く損益は243億ドルで、前年を77億ドル上回っている。

合わせて、以下の発表を行った。

・事故を受けて停止していた配当を再開、2010年第4四半期分として1株当たり7セントの配当を行う。
 原油流出前の四半期配当額は、14セントだった。

・今後、安全を優先、改めて、今回の事故及びTexas City 製油所事故の損害賠償責任を果たすことを確認。

・米国の製油所能力の半分を処分する。Texas City Carson(カリフォルニア州)製油所を2012年末までに売却する。

・2011年末までに300億ドルの資産を処分する計画は順調で、2010年末までで220億ドルを処分した。

・一方で、ブラジル、南中国、インドネシア、アゼルバイジャン、英国で新しい鉱区を得た。2011年に入り、豪州と現在認可待ちのアンゴラも)

・1月に入り、ロシアのRosneft と提携した。JVTNK-BPも陸上油田の開発を進める。
TNK-BPのロシア株主がBPRosneftの提携交渉の停止を求めて訴えたことに関し、BPは調停にかけることを考えていると発表した)

2011年の投資は200億ドルを見込む。2009の182億ドルよりも増やす。

決算内容は以下の通り(単位:百万ドル 

  2009 2010 増減
一般 事故 合計 一般 合計
Exploration & Production 24,800 30,886    30,886 6,086 6,086
Refining & Marketing 743 5,555   5,555 4,812 4,812
Others(*) -2,322  -1,516   -1,516 806 806
事故関連      -40,858  -40,858   -40,858
調整 -717 447   447 1,164 1,164
金利・税前損益 22,504 35,372 -40,858 -5,486 12,868 -27,990
金利(net) -1,302 -1,046 -77 -1,123 256 179
税金(Replacement cost base) -7,066 -10,804 12,894 2,090 -3,738 9,156
少数株主持分 -181 -395   -395 -214 -214
Replacement cost 損益 13,955 23,127 -28,041 -4,914   9,172 -18,869
在庫損益 3,922 1,784   1,784 -2,138 -2,138
対応の税金 -1,299 -589   -589 710 710
財務損益 16,578 24,322 -28,041 -3,719 7,744 -20,297
* Others:代替エネルギー、輸送、アルミ、余剰資金運営利息、一般管理費

事故関連損失は以下の通り、引当金を積み増した。(単位:百万ドル)
今までの現金支出は17,700百万ドルとなった。

2四半期  32,192
3四半期   7,656
4四半期 1,010
合計  40,858

上記には昨年616日のオバマ大統領とBP首脳陣の会談で、BPが約束した200億ドルの基金を含んでいる。

同社は米国油濁法(Oil Pollution Act of 1990OPA 90)で決まっている損害賠償の75百万ドルの限度規定を放棄することを発表しているが、現在の判断で、この200億ドルの基金で充当可能とみている。

同社では権益保有2Anadarko Petroleum と三井石油開発子会社のMOEX Offshore 2007 LLC に対して事故損失の負担を請求している。
今回の発表で、125日現在で2社に60億ドルを請求していると述べている。

三井物産は昨年10月に、子会社の三井石油開発(の子会社MOEX)BPから請求されている費用が1,898百万ドルであることを明らかにした。
これに基づくと、Anadarko分と合わせると、求償額は6,643百万ドルとなる。

付記
三井石油開発は2月2日、昨年12月末までの事故関連費用のうち、本事故に関連して支出された、同社権益相当分費用は約1,600百万ドルと想定していると発表した。上記三井物産発表との関連は不明。

今回の事故に関する事実関係・背景について多くの調査が現在も進行中であり、現時点で支払い義務を負うことになるか否かは明らかでないため、BPが求める支払いを留保しており、今後も、これらの状況が続く間は、BPに対する支払 いを留保し続けることになろうとしている。

BPは2社は現在支払いを保留しているが、契約上、回収可能と見ている。

なお、BPの決算では、事故損失 40,858百万ドルに対して12,894百万ドルの税金減免を計算している。
即ち、全額を損金とみなし、一般の利益(及び将来の利益)の税金を減らしている。

2四半期決算で同様の処理をしていたが、これに対し米国の議員が、罰金を損金として税金を減らすのを批判した。

少なくとも、
Clean Water Actに基づく罰金(流出量400万バレルとすると、過失なしで44億ドル、過失ありで172億ドル)については問題となろう。


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INEOS Sinopecはこのたび、南京に年産40万トンのフェノール工場を建設するJVについての覚書を締結した。

INEOS Phenol Sinopec Yangzi Petrochemical (揚子石化)が南京の南京化学工業区にフェノールとアセトンのJVのフレームワークで覚書を結んだもの。

両社は200912月にJV設立を検討する覚書を締結しており、今後、JVの詳細を協議する。

2010/1/7  INEOSとシノペック、南京にフェノールJV設立を検討

JVSinopecの原料とINEOSのフェノール技術を利用する。
能力はフェノールが
40万トン、アセトンが25万トンで、中国最大のプラントとなる。
南京は中国のフェノールとアセトン双方の最大の市場。
現在のところ、
2013年末の完成を目指している。

ーーー

INEOS Phenol2001年にPhenolChemie を買収して改称した。

PhenolChemie 1952年にドイツに設立された。
 株主は
Bergwerksgesellschaft Hibernia AGScholven Chemie AGRütgerswerke AGBakelite GmbH 4社。
 前
2社は1961年にVEBA Chemie AGに統合された。

1979年にVEBAは持株(50%) Hüls AGに譲渡。

1994年にHüls AGPhenolChemie100%子会社とした。
Hüls AG1998年に Degussa AGと合併、Degussa-Hüls AGとなる。その後、Evonikと改称。)

同社の能力は以下の通り。 

立地 Phenol 原料 Cumene 副産品AMS
(
αMethyl-Styrene)
Gladbeck, Germany 650千トン
1系列で最大)
1954年スタート
(8千トン)
    60千トン
Marl, Germany     250千トン  2005年買収
(BPから)
 
Antwerp, Belgium 680千トン
(世界最大)
1993年スタート
(200千トン)
     
Mobile, Alabama 540千トン 2000年スタート
(400千トン)
     
Port Arthur, Texas     500千トン  2005年買収
Chevron Phillipsから)
 
Total 1,870千トン
(アセトン
1,150 千トン)
  750 千トン   60 千トン
南京 400千トン
(アセトン 250千トン)
       
再計 2,270千トン
(アセトン 1,400千トン)
       

ーーー

三井化学は2009年11月、シノペックとの間でフェノールの合弁事業に向け基本合意、12月に「フェノール及びアセトンの新設プロジェクトに関する覚書」を締結した。

三井化学 50%Sinopec 50%上海中石化三井化工に、上海中石化高橋分公司のフェノール125千トンを移管するとともに、250千トンのプラントを新設する。

2009/11/4  三井化学、シノペックとの合弁事業の基本合意

三井化学はこれにより、誘導品事業(ビスフェノールA、MIBK)を含めたフェノール事業で世界トップを目指すとした。

1位:Ineos Phenol (誘導品なし):187万トン
2位:三井化学:フェノール92万トン、誘導品54万トン、合計146万トン
→184万トン
3位:Solutia:フェノール86万トン、ビスフェノールA 11万トン、合計97万トン 

但し、INEOS Phenolの南京計画が完成すると、また、差がつくこととなる。

三井化学のフェノール能力は以下の通り。

   千トン  
大阪 200  
市原 190  
Mitsui Phenols Singapore 300 三井化学 95%、三井物産 5%
千葉フェノール 230 三井化学55%出光興産45%
合計 920  
上海中石化三井化工 移管 125 三井化学 50%Sinopec 50%
新設 250
合計 375
再計 1,295  


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2010年末時点の中国のエチレン能力は1523万トンとなり、2009年末の1364万トンから159万トン増加した。2008年末からは526万トンの増加である。

2010年の生産量は1422万トンで、2009年の1048万トンに比し374万トンの増となった。
日本の2010年の生産量は701万8,300トンで、中国の生産量は2倍強となった。

中国のエチレン能力(年末時点、単位:千トン) 

    2008
 能力
2009
 能力
2010
 能力
増減  2010
 生産量
PetroChina 大慶石化 黒竜江省 600 600 600 0 544
PetroChina 吉林石化 吉林省 850 850 850 0 834
華錦集団(盤錦エチレン) 遼寧省 160 620 620 0 517
PetroChina 遼陽石化 遼寧省 200 200 200 0 182
PetroChina 撫順石化 遼寧省 150 150 150 0 167
Sinopec 北京東方化工 北京市 150 150 150 0 130
Sinopec 燕山石化 北京市 710 710 710 0 842
Sinopec 天津石化 天津市 200 200 200 0 233
Sinopec 斎魯石化 山東省 840 840 840 0 856
Sinopec 揚子石化 南京市 650 650 650 0 678
Sinopec 上海石化 上海市 850 850 850 0 973
Sinopec 広州エチレン 広東省 200 200 200 0 225
Sinopec 茂名石化 広東省 1,020 1,020 1,020 0 981
Sinopec 中原石化 河南省 180 180 180 0 212
PetroChina 蘭州化学 甘粛省 690 690 690 0 695
PetroChina 新疆独山子 新疆自治区 220 1,220 1,220 0 1,193
瀋陽化工 (残渣油からのエチレン製造) 遼寧省 0 120 120 0 60
YPC-BASF 江蘇省 600 600 740 140 536
SECCO 上海市 900 1,190 1,190 0 1,294
CNOOC-Shell 広東省 800 800 950 150 844
福建連合石油化工 福建省 0 800 800 0 844
Sinopec SABIC (Tianjin) 天津市 0 1,000 1,000 0 820
Sinopec 鎮海煉油 浙江省 0 0 1,000 1,000 522
神華包頭石炭化学 (Coal-to-Olefin) 内蒙古自治区 0 0 300 300 40
合計   9,970 13,640 15,230 1,590 14,222

2009-2010年の能力増は以下の通り。

2009年(367万トン増) 
 詳細は 2010/3/1
中国の2009年末のエチレン能力 1,354万トンに

  華錦化工集団(通称盤錦エチレン):46万トン
    10月初め、遼寧省盤錦で500万トン/年の製油所と46万トン/年のエチレンの操業を開始
     
  PetroChina新彊独山子石油化学:100万トン
    9月にウイグル自治区独山子市で大規模石油・石化コンプレックスをスタートさせた。
     
  瀋陽化工:12万トン
    藍星集団の子会社瀋陽化工は、遼寧省の瀋陽で、50万トンの残渣油の熱分解プラントを稼動した。
12万トンのエチレンは全量、塩ビ用に使用され、併産するプロピレンはアクリル酸用に使用される。
     
  SECCO増強:12万トン
     
  福建連合石油化工:80万トン
    ExxonMobil とSaudi Aramco が25%ずつ、福建石油化学(シノペックと福建省政府が折半出資)が50%出資する。
     
  Sinopec SABIC (Tianjin) Petrochemical:100万トン
    コンプレックスは1000万トンの製油所と、100万トンのエチレン及び誘導品からなっている。
製油所はシノペック天津石油化工公司が運営、エチレンコンプレックスはシノペックとSABICの50/50JVのSinopec SABIC (Tianjin) Petrochemical :中沙(天津)石化が運営する。
     
2010年(159万トン増)
     
  YPC-BASF:14万トン増
     2008/3/22 BASF-YPC、増設計画の承認を申請
     
  CNOOC-Shell:15万トン増
     2006/4/7  中国のエチレン合弁会社ー2
     
  シノペック鎮海煉油化工:100万トン
     2010/3/4 シノペック鎮海煉油化工、新エチレンセンターのポリプロ工場を先行稼動
     
  神華包頭石炭化学:30万トン
    8月にのcoal-to-olefins 計画(メタノール→エチレン、プロピレン→PE、PP)がスタートした。
     2010/7/23 神華包頭石炭化学、秋に中国最初の石炭からのポリオレフィン生産をスタート
     

 


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