2012年1月アーカイブ

Eastman Kodakが一時、米国でBayer Aspirinを製造販売していた。

Kodakは1988年に医薬会社Sterling Drug を買収した。
Sterling は第一次世界大戦後に敗戦国のBayerから米国におけるBayerの商標を買い取り、Bayer Aspirinを製造販売してきた会社である。

筆者は1970年代に米国でBayer アスピリンを買い、箱に「製造元 Sterling Drug 」とあるのを見て驚いた経験がある。

Bayerは1994年になって、ようやくSterling Drug を買収し、1918年以来初めて、米国でBayerの社名を使い、Bayer Aspirinを販売できるようになった。

KodakがSterling Drug を売却したのは「選択と集中」の一環である。(これは有機EL事業売却などと異なり、妥当なものである)

2012/1/23 Eastman Kodak、米連邦破産法11条申請 

ーーー

Sterling Drugは1901年に Neuralgyline Co.として設立された。

第一次世界大戦後の1918年、敗戦国ドイツのBayer AGの米国資産は敵国財産接収法(Alien Property Custodian Act)により没収され、Sterling Drugが入札で531万ドルで買収した。

参考 2006/3/23   2つのMerck社

同社はイギリスとその植民地などでも商標権を獲得し、中南米、南アフリカ、インド、オーストラリアなどにもアスピリン販売網を広げた。(1921年に判事がSterlingによる"aspirin"の製品名使用を認めたため、Bayer Aspirinとして販売できるようになった。)

この結果、ラテンアメリカでは両社が同一製品名で競合することとなり、混乱を避けるため、話し合いにより1923年にSterlingは子会社Winthrop Laboratoriesの株の50%をBayerに与え、見返りに製造面の情報を受け取った。ラテンアメリカ市場は分割した。

1971年にアスピリンが何故効くのかが初めて分かり、Johnson & Johnsonは非アスピリンのTylenol を発売、その後、Bufferinなどが次々発売され、1983年にはBayer aspirinのシェアは13億ドルのアスピリン市場の10%にまで下がった。

1970年代にSterlingは医療用医薬品の開発を開始した。

1988年にEastman Kodakが51億ドルでSterling Drugを買収した。
1991年にSterlingは当時のElf Sanofi(現在のSanofi-Aventis)と戦略的提携を行った。

1994年にSanofiはSterling の処方箋医薬品事業を買収した。
Kodakは残りのOTC医薬品事業(Bayer Aspirinが中心)をSmithKline Beecham に 10億ドルで売却し、SmithKlineはこれを同額でBayerに売却した。

これにより、Bayerは米国でのBayer Aspirinを取り戻した。

ーーー

米国でのBayerの商標を失ったBayer は1954年に米国にMonsantoとのJVのMobay Chemical (ポリウレタン事業)を設立し、1970年代に100%子会社とした。(MobayはMonsanto と Bayer から取った)

1979年にMiles Laboratoriesを買収し、米国の拠点とした。
1992年に米国子会社のMobayやAgfaなどをMilesに吸収した。

1994年にBayerの商標を持つSterlingをSmithKlineから買収したのに伴い、1995年にMilesをBayer USAに改称した。

 

 

 

東燃ゼネラル石油は1月29日、ExxonMobilからエクソンモービル有限会社の持分の99%を2012年6月に取得すると発表した。
東燃ゼネラル
/エクソンモービルは今後、Exxon Mobilと一定の資本関係を維持しつつ新たな提携関係に移行し、製販一体経営を実現する。

東燃ゼネラルはExxonMobil からエクソンモービル持分の99%を3,020億円で取得する。
エクソンモービルは有限会社から合同会社に組織変更する。
エクソンモービルの事業の一部はExxonMobil に移管される。

これに際し、ExxonMobilはエクソンモービルの所有する東燃ゼネラルの株式50.5%のうち、80百万株を取得し、一部を売却する。残る200百万株はエクソンモービル所有のままとなるが、東燃ゼネラルの子会社であるため、議決権はなくなる。

この結果、東燃ゼネラルの株式関係は以下の通りとなる。

東燃ゼネラル株式           (百万株)
  現在 異動 異動後
株式合計 議決権
合計    560     560     360  
 うちエクソンモービル 283 50.5%   -83 200 36% 0
   ExxonMobil      80 80 14% 80 22%
   外部 277 49.5%  3 280 50% 280 78%

東燃ゼネラルは石油製品の精製・供給、石油製品の販売、石油化学事業(自社及び東燃化学)を行っている。

現在は、石油製品の一部は自ら「ゼネラル」ブランドで販売しているが、大半は、極東石油( エクソンモービルと三井石油とのJV)の製品とともに、エクソンモービルで「Esso」や「Mobil」のブランドで販売している。

今後は、エクソンモービルの子会社化により、製販一体経営を実現する。
石油精製・供給、燃料販売、潤滑油・スペシャルティー、石油化学の4つの事業分野において、さらに競争力を向上させるため、新たな一歩を踏み出す。 


従来の体制

今後の体制

東燃ゼネラルとExxon Mobil Corporation は新たな提携関係を定める各種の提携契約を締結する。

1)東燃ゼネラルグループによる、「Esso」「Mobil」商標の日本国内における独占的な使用
2)潤滑油事業における事業協力関係
3)石油精製事業および石油化学事業における、Exxon Mobil Corporationによる継続的な技術提供
4)原油調達におけるExxon Mobil Corporationとの協力関係の継続
5)化学品事業における製品商標の継続使用

Exxon Mobil Corporationは、東燃ゼネラルの株式80百万株を保有することを約しており、Exxon Mobil Corporationが推薦する2名を取締役候補者とする。

 

付記

日本経済新聞(1/31)によると、ExxonMobilは東燃ゼネラル以外とも交渉を進めていた。
コスモ石油が昨年前半から極秘にExxonMobilに接触し、日本事業全体の買収を打診、コスモの筆頭株主のアブダビ首長国系のファンドから買収資金を手当てしようとした。

ーーー

東燃ゼネラル石油の歴史は以下の通り。

  東燃 ゼネラル石油
1939 国策会社として設立  
1947    石油製品の販売、輸出入を目的として設立
1949 SVOC(Standard VacuumOil)と資本、技術、原油供給、販売提携  
SVOC(→Mobil)が株式の51%を取得
1952    SVOCと石油製品の供給、委託販売契約を締結
1960 東燃化学を設立  
1963 Mobilと三井物産の合弁で極東石油工業設立  
1972 キグナス石油に資本参加(出資比率50%) 南西石油(沖縄)に資本参加
1979   Esso株式の47.5%を取得、合計49%に。
1980 東燃化学が日本ユニカーに参加(三菱レイヨンから肩代わり)
 UCCとのJV
 相手は日東化学→三菱レイヨン→東燃化学
 
1984   エッソ石油と業務提携
1997   Essoが株式を追加取得し、50.2%に。
1999    昭和シェル石油、エッソ石油との3社間で、製品出荷に係る相互委託契約
ExxontとMobilが合併、ExxonMobil 発足
2000 東燃ゼネラル石油が発足
2001 キグナス石油精製(ニチモウとの50/50JV)を吸収合併
2002 エクソンモービル発足 (エッソ石油・モービル石油ほかが合併)、東燃ゼネラル石油の50.02%出資
2004 販売会社キグナス石油(ニチモウとの50/50JV)を三愛石油に売却
2008 南西石油全保有株式(87.5%)をペトロブラスに売却(住商も残り12.5%を売却)

     

ーーー

エクソンはすでに米国やオーストラリアでは給油所運営など小売りからは撤退している

2011年8月には、マレーシアで石油精製販売事業をフィリピンのSan Miguel 売却した。

一方で2010年に、米天然ガス大手XTOエナジーを410億ドルで買収した。

2010/2/18 三井物産、米国でシェールガス開発生産プロジェクトに参画 に記載

また、2011年には北極海大陸棚などの油田開発を狙い、ロスネフチと提携した。

2011/9/1  Rosneft、石油開発でExxonMobil と提携

 

 

 

枝野幸男経済産業相は1月27日の記者会見で、今夏の電力需給対策を巡って「日本の産業に大きな影響を与えることなく乗り切る検討を進めている」と話した。
その上で「いかなる状況でも制限令なしで乗り切りたい。強い意志だ」とし、電力使用を強制的に制限するような措置は回避する姿勢を強調したが、具体的な裏付けは示さなかった。

電力需給対策については原発が全く稼働しない最悪のケースも想定する一方で、原発の再稼働については安全確保を最優先して今後も取り組む考えを改めて強調した。

現在、54基の原発のうち、稼働中は北海道電力泊3号機(4月定検)、東京電力柏崎6号(4月定検)、関西電力高浜3号(2月定検)の3基のみで、4月末には全て停止する。

ストレステストは15基について提出されているが、仮に安全委員会で確認されても、政府が簡単に稼働を認めるとは考え難く、また政府が認めても、地方自治体の了承を得るのは難しい。

少なくとも本年の夏については、原発の稼働はないという前提で考える必要がある。

ーーー

1月23日付の毎日新聞は、原発なしケースでの本年夏の電力需給について、昨年時点で2つの予測があったが、政府は不足ケースのみを発表していたと報じた。

政府のエネルギー・環境会議が2011年7月にまとめた見通しが発表された。過去最高の猛暑だった2010年夏の需要と全原発停止という想定で、需要ピーク時に9.2%の供給不足になるとの試算である。

これに対し、国家戦略室に置いた総理補佐チームが菅首相(当時)の指示でまとめ、2011年8月に、首相に報告した。
結果は、電力使用制限令を発動しなくても最大6.0%の余裕があるというものだが、これは公開されなかった。

2012年夏の電力需給見通し (2011年夏時点 単位:万kW)
  政府発表 未公表
最大需要 17,954 16,822 1,232
供給 原子力 0 0 0
火力 13,200 13,784  584
水力 1,296 1,296 0
揚水 1,804 2,400 596
地熱等 47 47 0
再生可能エネルギー 0 350 350
融通等 -49 -49 0
合計 16,298 17,828 1,530
供給余力 -1,656
(-9.2%)
1,006
(+6.0%)
2,662


1)最大需要
  政府発表は、過去最高の猛暑だった2010年夏の需要

  未公表分は、各電力の見通しの積み上げで、需給調整契約を発動 
   (電力の大口消費者に対し、平常時の電気料金の割引きの見返りに、電力需給逼迫時の消費抑制を求める契約)

2)供給
  政府発表分 一部火力発電で定期検査を8月に設定、揚水発電を低めに設定、再生可能エネルギーはほぼゼロ

  未公表分 現在の法律に基づいて電力会社が調達できる再生可能エネルギー容量を折り込む

3)供給余力
  政府発表では1,656万kWの不足だが、未公表分では逆に1,006kWの余力があることとなる。

ーーー

河野太郎議員のブログ「ごまめの歯ぎしり」も2011年10月26日の「原発がなくとも電力は足りるか」で(本年冬の電力不足について)以下の通り書いている。 

原発が全て止まっても、この冬に電力が足らなくなることはなさそうだし、来年の夏も原発なしで電力が足りるかもしれない。

この冬の電力状況と政府の需給予測の問題点をISEP(環境エネルギー政策研究所 )のレポートでみてみると:

北海道電力 原発なしでも冬の需要を上回る供給力がある。

東北電力  政府は需要を過大に見積もると同時に他社受電を内容不明に低下させている。

東京電力  政府は需要を過大に見積もると同時に、冬の需要期に火力発電所を三基定期検査する想定。これをずらせば200万kW以上の供給力が出てくる。自家発電の受電を、意味なく削減している。さらに100万kW以上の火力発電の出力低下が組み込まれている。

中部電力  政府の供給予測では、火力発電が300万kW以上出力低下することになっている。火力発電所を需要期に定期検査するのか。

北陸電力  原発なしでも冬の需要を上回る供給力がある。

関西電力  政府の予測は火力発電が100万kW以上出力低下する想定になっている。自家発電の受電を夏よりも減らしている。揚水発電の供給を大幅に減らしている。中国電力からの受電余力がある。

中国電力  原発なしでも冬の需要を上回る供給力がある。政府の予測は火力発電の出力を100万kW以上減らしている。

四国電力  政府予測は火力発電の出力低下等を想定すると同時に関西電力への電力融通をそのまま残している。余力がある中国電力からの融通に切り替えれば、四国電力は供給に余裕が出る。

九州電力  政府予測は火力発電の出力を低下させている。中国電力からの融通も可能なはず。
 

ーーー

揚水発電については、これまでとは意味が異なってくる。

原子力発電は需要に応じて発電量を変えられないため、不需要時の電力で水を揚げ、ピーク時にこれで発電する。
原発が止まった今は、わざわざ燃料を使って発電して水を揚げる必要がある。

このため、ピーク時以外でも節電は必要である。

 

 

公取委は1月19日、トヨタ自動車等の自動車メーカーが発注する自動車用ワイヤーハーネス及び同関連製品の見積り合わせの参加業者らに対し、排除措置命令と課徴金納付命令を行った。

  排除
命令
課徴金額 (千円)   《 》は減免率
トヨタ
    向け
ダイハツ
     向け
ホンダ
    向け
日産
   向け
富士重工
    向け
合計
矢崎総業 5 4,979,950
《30
%
872,150
《30
%
2,763,500
《30
%
440,030
《30
%
551,500
《30
%
9,607,130
 
住友電気工業 738,610
《50
%
482,950
《50
%
880,660
《50
%
0
《100
%
2,102,220
 
フジクラ 1件 1,182,320
《30
%
1,182,320
 
古河電気工業 0
《100
%
0
《100
%
0
《100
%
0
《100
%
0
 
合計 12,891,670
 

公取委は2010年2月、米国司法省、欧州委員会などとほぼ同時期に調査を開始した。

古河電工は立ち入り検査前に最初に自主的に報告したため、課徴金を全額免れた。

矢崎総業の96億円は、1社に対する課徴金額として過去最高額。同社は下記の通り、建設・電販向けでは72.6億円、VVFケーブルでは24.6億円の課徴金支払い命令を受けている。

付記

フジクラから課徴金納付命令に係る審判請求が行われたため、公取委は4月25日、審判手続を開始することとした。

付記

2012年5月、住友電気工業の株主2人が、本件課徴金納付で損害を被ったとして、当時の役員ら47人を相手に損害賠償を求める訴訟を起こすよう会社側に請求した。
請求書の到達から60日以内に同社が訴訟を起こさない場合、株主集団訴訟に踏み切る可能性がある。

ーーー

米当局はこれら各社に立ち入り検査をした。

古河電工は2011年9月、米国司法省との間で、自動車用ワイヤーハーネス係るカルテルに関して司法取引を行った。

2011/10/4 古河電工、自動車用ワイヤーハーネス・カルテル問題で米国司法省と合意 

ーーー

電線業界はこのところ、相次いでカルテルの摘発を受けている。

公取委は2010年5月、NTT東日本などが発注した光ファイバーケーブルなどの受注をめぐり、価格カルテルを結んだとして、住友電気工業など5社に排除措置命令と課徴金納付命令を出した。
課徴金総額 16,099,430千円)

2010/5/26  光ファイバーケーブルのカルテルで過去最高の課徴金

公取委は2010年11月、建設・電販向け電線カルテルで5社に対し排除措置命令及び課徴金納付命令を出した。
課徴金総額 10,838,170千円、うち矢崎総業 7,261,700千円)

2011年7月、VVFケーブル(主に建物内のブレーカーからコンセント等までの屋内配線として使用)の製造業者及び販売業者に対し、排除措置命令及び課徴金納付命令を出した。
(課徴金総額 
6,222,860千円、うち矢崎総業 2,460,670千円

2010/11/30 公取委、建設・電販向け電線カルテルで排除措置命令及び課徴金納付命令

 

 

1月23日、ブリュッセルで外相理事会を開き、イランへの制裁措置として、同国産原油の輸入禁止と同国中央銀行の資産凍結など、下記の項目を正式決定した。

・イラン原油及び石油製品の欧州での輸送・購入・輸入の禁止、及び関連するファイナンスと保険契約の禁止
  既に締結済の契約は6月末までは認める。5月1日までに再検討する。

付記
EUは6月25日の外相理事会で、7月1日から域内保険会社がイラン産原油輸送タンカーに損害保険を販売することを禁止することを決めた。

日本では、「 特定タンカーに係る特定賠償義務履行担保契約等に関する特別措置法」が6月20日の参議院本会議で全会一致で可決・成立した。
イラン産原油を運ぶ日本のタンカーに重大な事故が起きた場合、最大で76億ドルを国が補償する。

・イランのエネルギー部門への重要技術の輸出禁止、及びイランの石油化学企業、JVへの新規投資の禁止

・EU内のイラン中央銀行資産の凍結、イラン政府と中央銀行との金・希少金属・ダイヤモンドの売買禁止

・ "Sensitive dual use" goods(軍事用にも使用できる製品)のイランへの販売禁止

原油禁輸をめぐっては、フランスなどが早期発動を主張。一方、財政危機に直面しているギリシャはイラン原油への依存度が高い上、低価格で調達しており、経済的影響を配慮して猶予期間などの調整が図られていた。

EUの決定に対し、イランはこれを強く非難し、ホルムズ海峡の封鎖を警告した。

パネッタ米国防長官は1月18日の記者会見で、イランが海峡封鎖を実行すれば、軍事行動を取る方針を改めて明言した。

中東を歴訪している中国の温家宝首相は1月19日、ホルムズ海峡の封鎖について「どのような状況でも、海峡の安全と正常な航行は保障されるべきだ」と述べ、緊張回避に向けイランに自重を求めた。

他方で、イランの核兵器開発には「断固反対」とする一方、「中国とイランの石油貿易は正常な活動で、保護されるべきだ」とイランからの原油輸入を続ける意向を示した。

ーーー

米エネルギー省によると、ホルムズ海峡を通過する原油の量は2009~10年は平均1550万~1600万バレルで、2011年には日量1700万バレルまで増え、世界の原油需要の2割近い。

ホルムズ海峡を回避するルートは以下の通りで、30%程度しかカバー出来ない。

  単位:bbl/d
能力 既使用 使用可能量 
サウジ East-west Pipeline    500万   150万 350万
サウジ Trans Arabian Pipeline 50万 5~50万
Abu Dhabi Crude Oil Pipeline 150万 150万
Iraq-Turkey Pipeline 30万 30万
合計     535~580万

 


サウジのEast-west PipelineJubail とYanbuの1170kmを結ぶもので、1982年に完成した。

Yanbuの石化コンプレックスに原料を送るNGLパイプライン(日量 555千バレル)と、ホルムズ海峡が封鎖された場合に備え紅海側に原油を送るための原油パイプライン(日量500万バレル)がある。

PetroRabighは、精製する石油はYanbuからタンカーで運び、石化原料はEast-west Pipelineから分岐したパイプで受け入れている。
PetroRabighの精製能力は日量40万バレル。

East-west Pipelineの送油量は500万バレルだが、現在の使用量は150万バレル程度とみられている。

YanbuからBab al-Mandab海峡を通って主な需要家のアジアに運ぶには、ホルムズ海峡を通るのと比べ往復5日が余分に必要なため。

Trans Arabian Pipelineはサウジからヨルダン、シリアを通り、レバノンまで原油を運ぶものだが、政情不安によるテロの脅威から送油が停止されている。実際の送油可能量は能力の1/10の5万バレル程度との説がある。

Abu Dhabi Crude Oil Pipeline2008年から建設を進めてきたもので、アブダビ南西のHabshan(Abu Dhabiの陸上原油の半分以上を集める拠点)からUAE東部のFujairah港まで370kmを結び、UAEの原油生産量の約7割に相当する日量150万バレルのMurban 原油を輸送する。

2010年12月に試運転を開始、本年6月に稼動を開始する。

2010/12/3 Abu Dhabi Crude Oil Pipeline 完成  

イラクのパイプラインは以下の通り。

Iraq-Turley Pipelineは使用可能だが、Iraq-Syria-Lebanon Pipelineは何度も爆破され、修理には新設と同額程度の費用が必要とされている。

1991年まで、イラクから165万バレルの石油をサウジの紅海沿岸までつなぐIraq-Saudi Arabia Pipelineが使われていたが、サウジのEast-west Pipelineにつながるので、容量は増えない。
 

 

 

 

東京電力は1月23日、福島第一原発で発生する高濃度汚染水から、ほぼすべての種類の放射性物質を除去できる「多核種除去設備」を今年秋ごろまでに設置すると発表した。

現在の処理設備では主にセシウムしか除去できない。

2011/12/9  福島原発、汚染水処理問題

今回導入する他核種除去設備の概要は以下の通り。

処理するのは、セシウムを除外した後の逆浸透膜濃縮水、逆浸透膜淡水、逆浸透膜入口水で、処理流量は20m3/h(約500m3/day)以上を処理する設備とする。

法令で濃度限度が定められているほぼすべての放射性物質の濃度が、濃度限度を大幅に下回るようにする。

  核種分析結果 (Bq/L)
γ 核種 β 核種
Cs-134 Cs-137 Co-60 Sb-125 Mn-54 Sr-89 Sr-90
告示濃度限度 60 90 200 800 1000 300 30
処理前(オーダー) 1,000 1,000 10,000 100,000 10,000 10,000,000
(合計)
処理後 いずれも告示濃度限度以下

但し、トリチウムだけは、水の一部となって存在するため除去が難しく、現状では、濃度限度の50倍以上が残る可能性がある。

多核種除去設備より発生する廃棄物については、専用容器に入れ脱水して保管することを検討している。
1日あたり容器 1.5本分の廃棄物が発生する見通しで、敷地内に保管場所の造成を予定している。

 

 

米エネルギー省は1月23日、Annual Energy Outlook 2012 の速報を発表した。(完成版は4月に発表)   
   http://www.eia.gov/forecasts/aeo/er/executive_summary.cfm

1)エネルギー需要

 経済は回復するが、需要面でのエネルギーの効率化により、需要の伸びはゆっくりしたものとなる。

輸送分野でのエネルギー需要は2035年までで年率0.2%の伸びを予想。
電力需要の伸びは0.8%。
1人当たりエネルギー消費は平均して0.5%の減となる。
2005年の物価換算でのGDP 1ドル当たりエネルギー消費(Btu)は2010年から2035年で42%下落する。

2)国内原油生産は増加

 国内原油生産は1986年に始まった減少がこの数年は増加に転じた。

2007年の日量510万バレルから、2010年には550万バレルとなった。
今後10年では、メキシコ湾での開発の継続とタイトオイル
(シェールオイル:Bakken Shaleなど)の開発で、2020年では1994年以来の670万バレルにまで増える。
2020年以降は減少するが、2035年まで610万バレル以上の水準を維持する。

3)エネルギー消費の効率化、国内生産の増、石油以外の液体燃料の開発などで、ネットの石油輸入は減少する。

国内原油生産 日量100万バレル増(2010-2020)
バイオ燃料    原油換算日量100万バレル以上増(2010-2024)

4)天然ガス生産は増加する

   シェールガス以外の生産は減少するが、シェールガスは大きく増加し、2035年には全体の49%を占める。(現在は23%)

 

5)米国の天然ガス生産は消費を上回る。

米国は2016年にはLNGのネット輸出国に、2025年には天然ガスのパイプライン輸出国になる。
2021年には天然ガス全体でのネット輸出国になる。

 北米以外でのLNG消費の増加、国内の天然ガスの生産増、他国と比べ安い米国の天然ガス価格を反映。
 

6)発電での再生可能エネルギーと天然ガスの使用が増加する。

  石炭と原子力は横ばい(比率は減少)で、再生可能エネルギーと天然ガスの使用が増加する。

7)エネルギー関連でのCO2排出量は、2035年まで2005年水準を下回る。

ーーー

現状は天然ガス相場は、シェールガスの増加と最近の暖冬の影響で、100万BTU(英国熱量単位)=2ドル台と、10年ぶりの安値となっている。 大手のChesapeake Energy は1月23日、減産を発表した。

米国の天然ガス価格(スポット価格)は、1999 年までは100 万BTU 当たり2~3 ドル前後で推移してきたが、2000 年に入り上昇基調となり、2000 年12 月には10 ドルを超える史上空前の高値をつけた。

その後、一時的な乖離はあるが2008年末までは原油価格に合わせ上下し、2005年末には最高16ドル近くまで上昇した。
2009年に入り、原油価格が再度上昇に転じたの対して、天然ガス価格は(シェールガスの生産増に応じ)下落を続け、1月20日の先物は 2.322ドル/100万BTUとなっている。

アジア等での天然ガス相場と大きく差が出ており、原油価格との格差も大きい。

アジアの天然ガス相場は18ドル程度。
原油価格は100ドル/bbl。
(従来は図の通り、原油100ドル/bbl
天然ガス10ドル/100万BTU)

天然ガスの輸出にはそのための設備が必要で、時間がかかる。

 

 

 

BASFは1月16日、同社の植物バイオテクノロジー(遺伝子組み換え)事業について、欧州市場を諦め、北米、南米の主市場に絞ることを決め、組織を再編すると発表した。

・BASF Plant Science本部をドイツのLimburgerhof から Raleigh, North Carolina に移転。
・欧州市場専用で開発してきた製品は全て開発を中止する。
・研究開発はRaleighと、従来からのベルリンとベルギーのGhent の3か所で行う。
 (欧州市場からは撤退するが、BerlinとGhentには近くにワールドクラスの研究所や大学が多くあるため)

同社では、「遺伝子組み換え技術は21世紀のキイとなる技術であると信じているが、欧州の多くで、消費者、農民、政治家に受け入れられない。このため、この市場のためだけの開発投資をする意味がない。北米南米市場と成長するアジア市場に集中することとした」としている。

開発を中止する欧州専用製品には、遺伝子組み換えのスターチ用ポテトなどがある。既に承認手続きを始めているものについては、今後の可能性を考え、手続きを継続する。

同社はMonsantoと組んでコーン、大豆、棉、菜種、小麦の開発を行っており、2011年末に第1号として干ばつに耐えるコーンの栽培が米国で承認された。

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BASFは2008年、欧州で遺伝子組み換え馬鈴薯(工業デンプン用専用品種) "Amflora"の販売承認が下りず、同年度の植え付けにも間に合わないことから、7月24日、欧州委員会をLuxembourg の欧州第一審裁判所に訴えた。

2008/4/23 BASF、遺伝子組み換え馬鈴薯の承認求め、訴訟も

欧州委員会は2010年3月、Amfloraの一般圃場での栽培を認めることを発表した。食用に使われることはないが、皮などの残渣が餌として家畜に提供されることは規制されていない。

BASFは2011年10月31日、疫病に抵抗性を持つ食用遺伝子組み換えジャガイモ"Fortuna"の認可をEUに申請したと発表した。

 

 

BASFは1月17日、ドイツのLudwigshafenに1系列で年産30万トンのTDIプラントを建設すると発表した。

昨年5月に、同社のAntwerpかLudwigshafenのいずれかのComplex(Verbund)に建設すると発表していた。

TDIプラントのほか、塩化水素のリサイクルプラントの新設、硫酸・塩素・合成ガスの増設や、トルエン供給のためのBTXプラントの増設も行う。

インフラも含めた投資額は約10億ユーロで、2014年末の完成を予定しており、完成後にはドイツのSchwarzheideにある年産8万トンプラントは停止する。

同社では、1系列として世界最大である規模の利益と、最大のコンプレックス(Verbund)に建設することによる原料面、製造面でのシナジー、物流などでのメリットにより、欧州での低コストメーカーの地位を確保できるとしている。

同社はAntwerpのVerbundには年産56万トンのMDIプラントを持っており、欧州にポリウレタン原料の2大基地を持つこととなる。

 

BASFは現在、TDIとMDIをそれぞれ4か所で生産している。

    TDI MDI  
ドイツ Schwarzheide  8万トン   本計画完成後、停止
ベルギー Antwerp    56万トン  
米国 Geismar 16万トン 26万トン  
韓国  麗川 14万トン 19万トン MDI 25万トンに増設の計画中
中国 上海 16万トン   Shanghai BASF Polyurethane
(上海華誼公司
SINOPEC上海高橋石化とのJV)
  24万トン Shanghai Lianheng Isocyanate
(Huntsman、上海クロルアルカリ、
上海華誼公司
SINOPEC上海高橋石化とのJV)

同社は2006年11月に、ダウと共同で30万トンのTDIとその原料プラントを建設するFSを実施すると発表したが、実現していない。

2006/11/27 BASFとダウ、欧州で共同でTDIプラント建設のFS実施         
          

 

 

BPは1月18日、2030年までのエネルギーの見通し  BP Energy Outlook 2030 を発表した。グラフは一部補正した。
http://www.bp.com/liveassets/bp_internet/globalbp/STAGING/global_assets/downloads/O/2012_2030_energy_outlook_booklet.pdf

1)エネルギー需要と供給

世界のエネルギー需要は過去10年の年2.5%の伸びから2020年までは2.0%、以降10年で1.3%の伸びと、伸び率は低下する。
OECD諸国(先進国)の需要は伸び悩みで、全体の伸びはNon-OECD諸国の需要の伸びによる。

 特に中国のエネルギー需要の伸びが異常に大きい。

 インドは2030年には人口では中国と肩を並べる。
 しかし、中国のGDPが今後、急増するのに対し、インドのGDPは増加はするが伸び率は中国より少ない。

 これが、エネルギーの需要にそのまま反映されている。

 中国の需要は以下の通り。今後も石炭の比率が圧倒的。

2)石油類(オイルサンド、バイオ燃料を含む)の需給

 石油類の供給の2010年からの増減は以下の通り。
 NGL、オイルサンド、バイオ燃料の貢献が大きい。

3)天然ガス需給

 供給面ではLNGの貢献が大きい。

 

 

4)石炭の需要

 中国の需要が大きい。

5)非化石燃料の需要

 OECD諸国では、原子力と水力は横ばい、再生可能エネルギーが増大する。
  Non-OECDでは、原子力と水力、再生可能エネルギーがそれぞれ、大きく増大する。

 

 

経営危機に陥っていたEastman Kodakは1月19日、ニューヨークの連邦地裁に米連邦破産法 Chapter 11(民事再生法)を申請したと発表した。米国以外の事業は対象外。米国でも事業は継続する。

これを受け、New York証券取引所は同日、同社株式の上場廃止を発表した。

負債総額は6,751百万ドル。つなぎ資金(debtor-in-possession credit)としてCitigroupから18か月期限で950百万ドルの融資を受けた。

同社では、Chapter 11申請は、米国内外における手元流動性の強化、非戦略的知的財産の収益化、過去の経緯にかかわる債務の整理、最も価値のある事業分野への集中を目的とするとしている。

CEOは以下の通り述べている。
「Kodakは、その変革を完了するための重要な一歩を踏み出した。我々は、デジタル事業を立ち上げたとほぼ同時期に、既に伝統的な事業からは効率的に撤退し、2003年以降、13の生産工場と130の研究所を閉鎖、47,000の人員を削減した。今は、費用構造に着目し、主力ではない知的財産の効率的な収益化によって変革を完了しなければならない。我々は、投資家の皆様と連携して効率的かつ世界クラスの、デジタル イメージングおよびマテリアル サイエンスの会社として再興することを目指している。」

「Chapter 11の適用は、我々の保有技術の中でも最も重要な2つの分野の価値を最大化する機会となる。その一つは、携帯電話やその他の消費者向け電子機器に不可欠な、2003年以来30億米ドルの収益を生み出したデジタル画像を保存する特許権で、二つ目は、成長を続ける米国コダックのデジタル事業において優位な競争力をもたらす画期的な印刷技術、および様々な材料へのイメージング技術である。」

コダックを巡っては最近、経営不安説がたびたび浮上。昨年9月に金融機関との間で設定したクレジットライン(融資枠)から1億6000万ドルを引き出すと発表したことなどをきっかけに株価が急落、昨年12月上旬以降、株価が1ドルを下回る状態が続いていた。

昨年7月以降、Chapter 11申請を避けるため、長年蓄積してきた保有特許のうち1千件以上もの売却交渉を進めてきたが、間に合わなかった。
合わせて、特許価値の維持のため、世界の各社を特許侵害で訴えている。

最近の純損益の状況は以下の通り。

2008    -442百万ドル  うち、Graphic部門のノレン減耗 -785百万ドル
2009    -210百万ドル  うち、LGへの有機EL事業売却益 100百万ドル
2010    -687百万ドル  うち、Film部門のノレン減耗 -626百万ドル 

同社は近年、デジタル製品および様々な材料へのイメージング技術開発を行い、デジタル事業が収入の約75%を生み出しているが、中途半端とみられている。
尚、2012年より Consumer とCommercail の2部門とする。

2010年 Net sales(百万ドル)
  US Others Total 比率  
Consumer Digital Imaging
(
Consumer)
1,781 958 2,739 38% Digital Capture and Devices、Consumer Inkjet Systems、Consumer Imaging Services
Graphic Communication
(
Commercial)
810 1,871 2,681 37% Prepress Solutions、Digital Printing Solutions、Business Services and Solutions
Film, Photofinishing and Entertainment
(
→分割して上記2部門に)
397 1,370 1,767 25% Entertainment Imaging(映画用フィルム)、Traditional Photofinishing、Film Capture(写真フィルム、使い捨てカメラ)
Total 2,988 4,199 7,187 100%  

付記

Kodakは2月9日、2012年上半期中にデジタルカメラ、ポケットビデオカメラ、デジタルフォトフレーム事業から撤退すると発表した。

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Eastman Kodakは1880年にGeorge Eastmanが設立、写真用乾板の商業生産を開始、1935年に35ミリカラーフィルムを発売した。
1975年には世界初のデジタルカメラの開発に成功している。(商品化せず)

しかし、高収益のフィルム事業にこだわり、急速に普及したデジタルカメラへの対応で大きく出遅れた。
1990年代にモトローラから移ったフィッシャー会長が、今後もフィルムが基本であり続けると考え、
「選択と集中」の原則に基づき、フィルム以外の事業を次々と放出した。

1994年1月に化学部門が分離され、Eastman Chemicalとなった。(Eastman ChemicalはPET樹脂では世界最大のメーカーであったが、これを売却し、石炭化学メーカーを志向している。)
Eastman Kodakが光学フィルムに参入しなかったのは、化学部門の分離で技術を失ったからとされている。

他方、富士フィルムはデジタル化を追求するとともに、液晶パネル用光学フィルム、医療用器具から医薬品、化粧品と多角化を進めている。

コニカミノルタ(ミノルタと小西六コニカが統合)もカメラや写真フィルムなどの事業を分離した。

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有機ELの権威、山形大学の城戸淳二教授はブログ「大学教授のぶっちゃけ話」(2012/1/5)で以下の通り述べている。

ご存知のとおり、有機ELの関連特許はすでに 韓国のLGに売り飛ばされ、有機EL研究者、技術者の多くはすでにこの難破船から脱出し、コダックには有機ELのカケラも残ってません。
 
思えば1987年のコダックのタンさんらの論文が有機ELの実用化に火をつけた。
なのに、この有様とは。
いったい誰がコダックの有機ELをダメにしたのか。

実は、三洋との合弁会社(三洋コダックディスプレイ、SKD)の失敗が大きい。
これは必ずしもコダックだけの責任じゃなく、当時の三洋のトップ、名前忘れたけど、あの女性が悪い。 
 
彼女が社長に就任した時、SKDでは有機ELディスプレイ量産技術がようやく完成し、これから利益を生もうとしていた。
しかし、赤字部門だったという理由で、この金のタマゴを産む鶏をむざむざと絞め殺した。
その責任はあまりにも大きくて、その結果、三洋、コダック、両社の経営に大きなダメージを与えた。

その結果、サムスンの独走を許した訳で、しかも、韓国の内製化政策により、部材や装置などの有機EL周辺企業までもが日本から韓国に事業所を移しだした。
このままだと、いづれは材料、装置、部品、その他もろもろ、すべて韓国や中国に生産拠点は移ってしまうだろう。
 
この始まりが、三洋/コダックの失敗のキッカケになっていると言っても過言じゃない。
 

有機ELの原理は1980年代にKodakで太陽電池の研究を行っていたDr. Chin. W. Tang(鄧青雲)が見つけた。

太陽電池は光エネルギーを電気エネルギーに変換するが、有機ELはこの逆で、有機物に電気を流し、電気エネルギーを光エネルギーに変えて光らすもの。

太陽電池では一般にシリコンなどの無機物を使うが、Dr. Tangは有機薄膜を積み重ねるという方法で高効率化を実現した。

Dr. Tang と Steven Van Slykeは研究を続け、有機物に効率よく電気を通せば有機物質を光らせることは可能と考え、1987年に低分子系の超薄膜の有機材料を2層にするというアイデアで非常に高い輝度で光らせることに成功した。(「コダック特許」)

 

Kodakと三洋電機は2001年12月4日、アクティブ型の有機ELディスプレイの生産を行なう合弁会社「エスケイ・ディスプレイ」の設立を発表した。

出資比率は三洋電機が66%、Kodakが34%で、低温ポリシリコン液晶で培った三洋のガラス基板上へのドライバ回路形成技術と、コダックの持つ有機ELに関する要素技術を利用した有機ELディスプレイの生産を行なうことを目的とした。

当初の生産品は携帯電話やPDA、カーナビ向けの1~7インチのアクティブ型有機ELディスプレイで、計画では、三洋岐阜工場内に有機工程を設置し、2002年2月より生産開始、2003年4月に大型ガラス基板を用いた本格生産を開始し、2005年の「フェーズ3」では、売り上げ700億円を目指した。

しかし、2006年1月、Kodakと三洋電機は同社を解散し、三洋も有機EL事業から撤退した。

小型機器向けの1~7型のディスプレイの製造から開始し、大型TV向け製品の製造も目指していたが、歩留まりの低さなどから、製品化は進まなかったとするが、城戸教授によれば、有機ELディスプレイ量産技術がようやく完成し、これから利益を生もうとしていたのに、赤字部門だったという理由で、この金のタマゴを産む鶏をむざむざと絞め殺した。

2002年にTVキャスター出身の野口ともよ氏が三洋電機の社外取締役になり、その後、会長 に就任し、直後に三洋電機の主要ビジネスの改革に着手した。
2007年3月、経営不振の責任を取り、三洋電機代表取締役会長を辞任。

 

Kodakは2009年12月、有機EL事業をLGグループに売却すると発表した。

「我々は、材料などにおいて有機EL関連の必須の特許ポートフォリオを有している。しかし、このビジネスの価値を最大化していくためには、より多くの投資が必要になると理解した」と説明している。

LGはKodakから取得した有機EL関連特許を管理するために2009年12月に米国にGlobal OLED Technology LLCを設立した。

2010年6月、出光興産は同社の株式を32.73%取得した。同社の有機EL事業に必要な特許を確保するために出資を決定したとしている。

KodakとLGはまた、特許紛争を終結することで合意した。

Kodakは2008年11月、画像取込み、圧縮、データ保存、動画のプレヴュー方法などの技術に関するデジタルカメラ関連特許が侵害されたとして、LG電子とサムスン電子の対象製品の調査と、輸入・販売差し止めを求めた。

LG電子は2009年2月に、KodakのデジタルカメラEasyShareがオートフォーカス、音声生成、画面表示等の特許を侵害しているとしてITCに訴えていた。

 

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PS 城戸淳二教授の1月19日のブログ「大学教授のぶっちゃけ話」は東大の秋入学を痛烈に批判している。

 

 

ダルビッシュ投手のTexas Rangers入りが決まった。

1月18日、交渉期限ギリギリで合意した。契約内容は、6年で総額6000万ドル。

ポスティングシステム(入札制度)によるもので、テキサス・レンジャーズの落札額 5,170万ドルは、これまでの最高のレッドソックス/松坂大輔投手の約5,111万ドルを上回った。

日本ハムは1月19日、受領する移籍金約40億円を特別利益として計上すると発表した。

Texas Rangersは、American League西地区所属で、テキサス州Arlingtonを本拠地としている。

創立は1961年で、Washington D.C. に本拠を置くWashington Senators(2代目)として発足した。

メジャーリーグは以前は16球団であったが、1961年から拡大策をとり、1998年までに30球団になった。

その1961年に、American League発足から60年間に亘ってWashington D.C.に本拠を構えていたWashington Senatorsがミネソタ州Minneapolisに移転し、Minnesota Twinsとなったが、球団拡大策に乗り、新球団が2代目のWashington Senatorsとして発足した。
1972年にテキサス州
Arlingtonに移転し、Texas Rangersと改名した。

通算5714奪三振のメジャーリーグ記録を持つ投手Nolan Ryan, Jr.が、引退後、2008年にRangers球団社長に就任、2010年には投資グループの一員として球団を買収し、共同経営者兼社長となった。

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実は信越化学のShintechが一時、Texas Rangersに出資していた。

信越化学は1973年に塩ビパイプ大手のRobintech との50/50JVとしてShintechを設立した。
テキサス州FreeportのDow Chemicalのコンビナートに隣接して年産10万トンのPVCプラントを建設した(1974年に完成)。

金川千尋会長の「私の履歴書」(日本経済新聞 2006年5月)に以下の記載がある。

米ロビンテック社のCEO(最高経営責任者)、コーベット氏(Bradford G. Corbett)は自由奔放で何かを思いつくとすぐ実行する人だった。

ある日、米大リーグのテキサス・レンジャーズを買収すると宣言し、シンテックにも出資するよう私に了解を求めてきた。ロビンテックの取引先を球場に招待できれば本業にもプラスだから、という。
シンテックは娯楽産業には無縁だが、コーベット氏は「税制上有利になるから」としきりに勧めてきた。最初は何のことか分からなかったが、出資球団が赤字の場合は損金で落とせるという。

ロビンテックは、シンテックが生産する塩化ビニール樹脂の大口得意先の一つでもあった。私は渋々同意した。

彼がレンジャーズのオーナーになると、私も試合に招待された。本拠地、アーリントン球場の特別席に入ると、電光掲示板に「ウエルカム・ミスター・チヒロ・カナガワ・フロム・ジャパン」と表示され、驚いた。試合終了後は選手全員を紹介され、サイン・ボールをもらった。

(その後、Robintechの経営が悪化、信越化学が同社保有のShintech 株を買い取り、100%子会社とした。)

1973年の第一次石油危機後、塩化ビニール樹脂の価格はうなぎ登りだったが、翌年半ばから反動で急落した。日の出の勢いだった米ロビンテックの経営も急速に悪化した。

信越化学が米ロビンテックからシンテック株50%を買い取る交渉がまとまり、契約の日取りも決まった。調印式は1976年7月8日、テキサス州のロビンテック本社で行うことになった。

実際、シンテック株の放出はロビンテックの凋落を象徴するかのようだった。拡大路線が裏目に出て坂道を転げ落ちるように経営が悪化。75年の前半まで30ドルを超えていた株価は82年には2ドル強まで下がり、84年末にはとうとう上場廃止に追い込まれた。テキサス・レンジャーズも手放した。
Corbett氏のオーナー期間はMay 29, 1974~April 29, 1980)

その後、ブッシュ米大統領が一時オーナーになっている。
George W. Bushは1989年4月にEdward W. RoseとのPartnershipでTexas Rangersの株を購入してオーナーとなり、1998年に株を売却したが、当初の80万ドルの出資で1500万ドルの利益を得ている。)

Robintechは一時立ち直るが、1980年代後半、再び苦境に陥り、Chapter 11を申請したが、再建できず、破産に追い込まれた。

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日本企業では任天堂がイチローのSeattle Marinersのオーナーとなっている。

1991年にMarinersのオーナーがMarinersをフロリダの投資家グループに売却することを検討していた。

このため、同州選出の上院議員が任天堂に買収を要請、同社の山内溥社長(当時)が投資家グループと組んで買収し、大リーグ史上初の非白人オーナーとなった。

2004年8月まで、山内氏がチームの共同所有者の一人となっていたが、現在はNintendo of Americaが山内氏の出資持ち分全てを買い取り、筆頭オーナーとなっている。

 

 

Westlake Chemical は1月13日、Georgia Gulfに対し、全株を11億ドルで買収する提案を行った。
1株30ドルでの買収提案で、これは直近30日の株価の平均に51%のプレミアムを乗せたもの。

WestlakeはGeorgia Gulfの株をすでに4.8%所有していることを明らかにした。

両社の統合で、北米でのオレフィン、塩ビ、建材の有数のメーカーの一つになるとしている。

これに対し、Georgia Gulf の取締役会はこの提案を拒否した。Westlake の提案は業界の未曽有の不況から回復しつつある同社を安く買い叩くもので、株主の利益にならないとしている。

Georgia Gulfは住宅需要の激減で、破産寸前までいった。
2009年7月に債務の92%を資本金に転換、既存株主は株数を1/25に減らした。(1-for-25 reverse stock split)

Georgia Gulfによれば、Westlakeの提案は提案前日の株価に対し23%のプレミアムに過ぎず、過去52週の最高値に対しては26%のディスカウントになっている。
提案価格は合併による大きなシナジー効果を無視しており、メリットは全てWestlake(特に69%の株主のChao一族)に帰属することとなるとしている。


付記

Westlake Chemical は2月1日、Georgia Gulf に対して修正提案を行ったと発表した。前回の1株30ドルに対し、17%アップの35ドルとするもの。しかし、Georgia Gulf はこれも拒否した。

Westlake Chemical は又、Georgia Gulf 株主が合併のシナジーを享受できるよう、対価の一部をWestlake Chemicalの株式で支払うことも考えるとしている。

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Westlake Chemicalは台湾でCGPCを設立した故 T.T. Chao 1986年に米国に進出、設立した。

2006/9/16 Westlake Chemical、20周年

2008/3/12 T.T. Chao 逝去

現在、Chao一族が株式の69%を保有している。

同社の現在の能力は以下の通り。100万lbs単位を2.2で割ると千トン能力となる)

  立地 千トン  
エチレン Lake Charles   1,140 増強検討(180~230) (*1)
Calvert City 205 BF Goodrichから買収
LDPE Lake Charles 680 Cities Serviceから買収、拡張
Eastmanから買収 LDPE   320、LLDPE 190
LLDPE 445
 
SM Lake Charles 260  
塩素
(ソーダ)
Calvert City 250
(270)
BF Goodrichから買収
Geismar   増設検討(*2) 塩素 350、ソーダ 380
VCM Calvert City 590 BF Goodrichから買収
Geismar 270 Bordenから買収(VCM 295、PVC 260)停止
その後、VCM、PVC新設(PVC 2段階)
PVC Geismar 270
Calvert City 360 BF Goodrichから買収

PVC加工製品

North American Pipe PVC Pipe
Westech Building Products Fence, Deck and Railing
Doors and Window Profiles

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(*1) エチレン増強
Westlakeは2011年4月、低コストのエタンや他の軽質原料を活用するという戦略から、
Lake Charlesでエチレンの増設を行うと発表した。2基あるクラッカーをそれぞれ増強する。

(*2) 電解増設
Westlakeは2008年8月、Geismarに電解を建設することを発表した。

2008/9/4  Westlake Chemical、ビニルチェーン強化のため、電解増設

2011年12月、能力を従来計画の25万ECUから35万ECUに増やすと発表した。
(1ECUは塩素1トン+ソーダ1.1トンの組み合わせ、35万ECUは塩素35万トンとなる)
投資額は370 ~420百万ドルと見込んでいる。

Georgia Gulf の買収が出来れば、この投資は不要となる。

ーーー

Georgia Gulf は1985年に製紙・製材業大手のGeorgia-Pacific からPVC関連とキュメン関連の事業を買収してスタートした。

Georgia-Pacific は建材事業拡大のため、1975年にPVC生産を始めたが、PVC成形品はコスト高で木製品と競合できなかった。
その後、景気悪化でPVCの販売が減少、売却した。

同社は1998年に軟質コンパウンドのメーカーのNorth American Plastics を買収した。
1999年にCondea Vistaを買収した。

2006年にはカナダに本社を置く塩ビ建材大手のRoyal Group Technologies を買収し、川下に進出した。

取得した事業は以下の通り。
 PVC:
Sarnia, Ontario のPVCプラント
 添加剤:74千トン
 窓枠・ドア材
 建材:サイディング、パイプ・継手、デッキ・フェンス、物置

Georgia Gulf は2008年12月、カナダのSarnia工場(PVC 450百万lbs)の停止を発表した。

  2008/12/17 Georgia Gulf、カナダのPVC工場閉鎖

なお、鐘化が1996年にペースト塩ビ工場を買収し、鐘化デラウエアとしたが、2003年に解散した。

現在の売上高は28億ドルで、内訳は以下の通り。
 Chlorvinyls  44%
 Aromatics    28% Acetone、α-Methylstyrene、Cumene、Phenol
 建材      28%

塩ビ関連の現在の能力は以下の通り。
 電力:250MWコジェネ
 塩素:450千トン
 ソーダ:500千トン
 VCM:1,400千トン(うち元Condea Vista 695
千トン)
 PVC:1,230千トン  (うち元Condea Vista 695千トン

 PVCコンパウンド:440千トン(うち元Condea Vista 135千トン
North American が85千トン) 

 

1月11日付け朝日新聞は、オリンパスが他社との資本・業務提携によって再建を目指す方針を固め、国内外の5社を軸に提携先の検討を進めており、2月にも提携先を決める考えだと報じた。

候補5社は下記の通り。
 ・ソニー
 ・パナソニック
 ・富士フイルムホールディングス
 ・テルモ
 ・韓国 サムスン電子

ロイターによると、オリンパスはSMBC日興証券、シティグループ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を財務アドバイザーに選定し、具体的な検討に入っている。

各社は、オリンパスとの資本・業務提携により、オリンパスの内視鏡事業を手に入れ、医療事業への参入、拡大を狙う。

富士フイルムは2011年12月15日、携帯型超音波診断装置の大手企業SonoSite, Inc.をTOBにより友好的に買収することについて合意した。
  2011/12/21 富士フイルム 超音波診断装置の大手 SonoSite, Inc.の買収合意

複数の関係者によると、SonoSiteの買収には、富士フイルムのほかにソニーやパナソニック、テルモなども参戦して いたとされる。

ソニーは新たな成長の柱を求めて医療機器関連会社の買収を積極化している。
医療事業強化のために1月1日付で、吉岡浩副社長(プロフェッショナル事業担当)に、医療関係の全レポートを集める体制に変更したとされる。

現在の扱い製品は、 メディカルモニター、メディカルレコーダー、メディカルカメラ、メディカルプリンターに止まる。

パナソニックも、ヘルスケア事業部門を中心にオリンパスの事業との相乗効果を検討している。

パナソニック ヘルスケアは下記ビジネスユニットを持つ。
 ・バイオ診断BU:独自のバイオセンシング技術を駆使し、体外診断デバイスを展開
 ・画像診断BU:超音波診断装置を中心に、画像診断技術を駆使した機器を展開
 ・補聴器BU:「オーダーメイド耳あな型」、「耳かけ型」、「ポケット型」など、豊富なラインナップ
 ・医療機器・システムBU:高性能で高品質な医療機器・システムの提供

同社はまた、デジタルカメラの光学部品の企画をオリンパスに発注し、両社でデジタル一眼カメラ「ミラーレス」機の交換レンズ仕様を共同策定しており、オリンパスを他社に取られると、デジカメ事業はとん挫しかねないとの危機感もある。

但し、パナソニックの大坪文雄社長は1月10日、米ラスベガスの家電見本市での記者会見で、「(パナソニックが)救済するとの話は推測だ。直接アプローチしたり、されたりということは一切ない」と観測を否定した。

富士フイルムは、メディカル・ライフサイエンス事業を重要な成長分野として位置付け、「予防~診断~治療」の全領域をカバーする総合ヘルスケアカンパニーを目指した事業展開を進めている。
    
2011/12/21 富士フイルム 超音波診断装置の大手 SonoSite, Inc.の買収合意

テルモの事業内容は以下の通りで、オリンパスと医療機器分野で包括的な業務・資本提携を行っており、JVも持っている。

各種使い切り医療機器、医薬品・栄養食品、血液バッグ、人工心肺システム、カテーテルシステム、腹膜透析関連、血糖測定システム、ME機器 ・ 電子体温計など医療用機器の製造・販売

韓国のサムスン電子の関係者は、サムスンはオリンパスのカメラ事業には関心がないが、他の分野での提携を検討する可能性はあるとしていたが、その後、両社の技術や製品ブランドの組み合わせによるシナジー効果が薄いと判断し、結局見送ったことを明らかにした。(ロイター) 

付記

富士フイルムは1月30日の決算会見で、同日付でオリンパスに提案書を提出したことを明らかにした。

オリンパスとの事業シナジーについて「内視鏡事業に知見がある富士フイルムと連携すれば、継続的、安定的に医師や医療施設をサポートできる。さらにオリンパスの内視鏡事業と当社のIT(情報技術)システム、エックス線画像診断装置、超音波診断装置などとの連携でシナジーが期待できる」と強調した。

「独禁法に抵触しないで、なおかつ両社のシナジーを発揮できる場があると考えている」と述べた。

付記

オリンパスは2012年6月8日、Michael C. Woodford元社長が英国労働審判所で申し立てていた労働審判に関し、同日の取締役会で和解合意が承認されたと発表した。
和解金として1000万英ポンドを支払う。

ーーー

テルモとオリンパスは2001年4月25日、医療機器分野における開発、製造、販売等に関し、包括的な業務提携基本契約を締結した。

低侵襲診断・治療機器(内視鏡やカテーテルなど、身体に対する侵襲度が低い医療機器を用いた診断・治療)に関して両社で開発を進め、当面は心臓外科、消化器科、泌尿器科の各領域で使われる先端的な治療機器から共同開発に着手、開発から販売までの関係を強化し、両社合わせ5年後には100億円以上の売上げを目指すとした。

両社は2005年8月、業務提携の強化に合意した。

日本における消化器分野の診断・治療系医療機器リーダーであるオリンパスと、循環器分野の診断・治療系医療機器リーダーであるテルモが、「低侵襲医療の実現」という両社共通の目的に向かって、それぞれのコア技術や幅広いノウハウを持ち寄ることは、両社の国際競争力を大きく強化するものとの認識で一致した。

両社はまた、この業務提携強化を経営レベルで推進するため、その裏付けとして両社間の資本提携を行うこととした。
両社の持ち株は以下の通りで、いずれも金融機関以外では最大株主となっている。

テルモ:オリンパスの6811千株  2.51%  
オリンパス:テルモの4715千株  2.20% 

更に両社は2006年12月に、共同事業に関して合意、2007年4月にオリンパス バイオマテリアルにテルモが参加し、オリンパス テルモ バイオマテリアルとしている。

オリンパスは2004年10月にオリンパス バイオマテリアルを設立した。
オリンパスの生体材料事業を承継するとともに、将来の再生医療事業に向けた研究開発に取り組んだ。

2005年9月に住友大阪セメントが製造し、住友製薬が販売する骨補填材の事業部門の譲渡を受けた。

2007年4月、テルモが参加、オリンパス テルモ バイオマテリアルに改称した。
 事業内容:セラミックス人工骨・コラーゲンなどの生体材料および再生医療に関する研究開発、製造販売
 出資比率:オリンパス66.6%、テルモ33.4%

生体の骨は、主にリン酸カルシウムとコラーゲンから出来ている。
オリンパスがリン酸カルシム、テルモがコラーゲン の製造技術・ノウハウを持つため、両社の技術を融合することで、より生体の骨に近い、新しい人工骨複合材を開発する。

 

 

米格付け会社S&Pは1月16日、欧州金融安定基金(EFSF)の長期債の格付けを最上級のAAAから1段階引き下げ、AA+にすると発表した。

「EFSFの保証提供国やEFSF債券を裏付ける証券の信用度が低下しており、これを相殺するだけの信用補完が現時点では行われていない」と指摘した。

 

2010年5月に設立されたEFSF はユーロ圏各国の政府保証を受けて4400億ユーロの債券発行が可能だが、最上級の格付けを維持するためには、そのうち格付けがAAAの6か国の2554億ユーロしか貸し出すことができなかった。

ギリシャ危機を受け、EUは2011年6月に、融資可能金額を引き上げることを目的に、EFSFの拡充を決定した。スロバキアが10月に一旦は反対を決め、その後賛成し、成立した。

ユーロ圏各国が政府保証をつける金額を7800 億ユーロに引き上げ、このうち、AAA格付け6か国の合計は4515億ユーロとなった。

2011/11/7   EU 金融危機

しかし、フランスとオーストリアがAA+に格下げされると、残りのAAA格付け4か国の合計は2714億ユーロと4割減となる。 

各国が負担する保証負担額は以下のとおり。(100万ユーロ)  

  保証負担額 拡大後 S&P決定後
オーストリア 12,241    21,639 (その他へ)
フィンランド 7,905 13,974 13,974
フランス 89,657 158,488 (その他へ)
ドイツ 119,390 211,046 211,046
ルクセンブルグ 1,101 1,947 1,947
オランダ 25,144 44,446 44,446
AAA格付 6か国
  合計

255,439

451,540
AAA 4か国    271,413
その他 184,561 328,243 508,370
合計 440,000 779,783 779,783

現在のところ、他の格付け会社のMoody'sとFitchはEFSFの格付けをAAA相当を維持しており、EFSFのレグリング最高経営責任者は、EFSFの実質融資能力を維持する方針を表明している。

しかし、他の2社が格下げをした場合、実質融資能力の維持のためには、以下の方法しかない。

1)低い格付けで債券を発行。

2)AAA格付けの4か国が保証枠を積み上げる。

S&Pでは「AAA格付けを有する保証提供国やAAAの証券により、EFSFの長期債務が完全に裏付けられているとわれわれが十分に判断できる水準までEFSFが信用を補完することができれば、EFSFの長期格付けをAAAに戻す可能性が高い」としている。

1)の場合は金利が上がり、被援助国の負担がさらに増える。
2)については、4か国が受け入れる可能性は少ない。

EFSFは1月17日に6カ月債 約15億ユーロの入札を実施したが、この日の入札はスムーズで、182日物の平均落札利回りは0.2664%。応札倍率は3.1倍と昨年12月13日の3カ月物入札時とほぼ同等だった。

 

 

Saudi AramcoとSinopecは、温家宝首相のサウジ訪問中の1月14日、サウジのYanbuでの製油所建設の合弁契約に調印した。

2010年7月にAramco 100%で設立し、建設を開始しているRed Sea Refining CompanyにSinopecが参加する形で、Yanbu Aramco Sinopec Refining Co.(YASREF)と改称し、Saudi Aramco62.5% Sinopec 37.5%を出資する。

日量400千バレルのArabian Heavy 原油を処理し、日量90千バレルのガソリン、同263千バレルの超低サルファディーゼル、同6300トンの石油コークス、同1200トンの硫黄などを生産する。2014年下半期に生産を開始する。

投資額は85~100億ドルで、ファイナンスについてはまだ決まっていない。

両社は2011年3月に覚書を締結、中国のNDRCは8月にこれを承認している。

2011/3/25  Saudi Aramco Sinopec、サウジで製油所建設

なお、本製油所は当初、Saudi Aramco ConocoPhillipsの合弁で計画されていた。

 2008年11月に金融危機の影響でAramcoの他の計画と同様に、本計画も延期された。

2008/12/10 サウジアラムコ、石油開発計画を延期

 2010年4月にConocoPhillipsが川下分野削減という戦略変更に基づき、本計画から撤退した。

Sinopecにとっては、海外で製油所を建設する初めてのケースで、Saudi AramcoとSinopecとの4つ目のJVとなる。

Fujian Refining & Petrochemical (福建聯合石油化工)
  Aramco 25%、Exxon 25%、中国側50%(Sinopec 50 / 福建省政府50)
Sinopec SenMei (Fujian) Petroleum (中石化森美(福建)石油)
  
Aramco 22.5%、Exxon 22.5%、Sinopec 55%

Sino-Saudi Gas (サウジRub' al-Khali Basinでのガス開発)
   
Sinopec 80%Aramco 20% 

付記
Sino-Saudi Gasは何年間も天然ガスの探索をしているが、発見したものも、工業ガス価格が安いため、開発していない。

しかし、本年下半期に第二フェースの採掘を始める。

記者会見で、両社とExxonMobilとの中国の合弁会社で第二の製油所(240~300千バレル)の建設を協議していることが明らかにされた。
福建省のJVの能力増(製油所のデボトルネッキング、エチレン能力の80万トンから120万トンへの増強)も検討している。

ーーー

これと同時にSABICとSinopecの間の新規事業開発に関する協力覚書も締結された。温家宝首相も式典に参加した。

この中にはすでに合意している天津でのポリカーボネート生産JVも含まれている。

2011/5/26 SABICSinopec、天津でポリカーボネート生産

 

 

 

 

中国国家統計局が1月17日発表した2011年第4四半期のGDPは、物価変動の影響を除いた実質で前年同期比8.9%増と、2年半ぶりに9%を割り込んだ。

2011年の年間は前年比9.2%増で、2年ぶりに1桁成長にとどまった。

GDP伸び率の推移は以下の通り。

 

 

 

ニプロは昨年末に医薬品でバングラデシュに進出、1月10日にはベトナムでの製造子会社の設立を発表した。

ニプロは、1954年に日本硝子商事として創業以来、アンプル用・錠剤瓶用の硝子管販売等の素材・材料関連事業に携わり、そこで培われた技術を礎に医療機器、医薬品等の事業に拡大展開を図ってきた。

1969年、富沢製作所を子会社とし医療機器の生産を開始。
1977年、商号をニッショーに変更。
1988年、菱山製薬に資本参加し医薬品分野へ進出。
2001年、ニプロを吸収合併し、商号をニプロに変更。

医薬用硝子容器事業では2011年7月に、インド、ロシア、欧米への進出を発表した。

2011/7/30 ニプロ、医薬用硝子容器事業で海外展開 

医薬品では下記各社に参加して子会社とし、ジェネリック医薬品の製造・販売と、製造受託を行っている。

ニプロファーマ(旧菱山製薬):ジェネリック医薬品、キット製品、受託製造
ニプロジェネファ(旧竹島製薬):ジェネリック医薬品
東北ニプロ製薬(旧東北中外製薬):受託製造
全星薬品工業:ジェネリック医薬品
ニプロパッチ(旧埼玉第一製薬):パッチ剤(経皮吸収製剤)

ニプロは2011年7月、Novartis generic 部門であるSandozとの間で、日本国内における後発医薬品の開発、販売、製造等の事業活動において、広く協力する旨を定めた戦略的業務提携契約を締結した。

ーーー

(バングラデシュ)

ニプロは人口が多く医療ニーズが拡大している地域を中心に医療機器の現地生産・現地販売体制の構築を進めているが、2011年3月に人口1.6億人を有するバングラデシュに血液回路等の医療機器製造販売の合弁会社を設立した。

社名:Nipro JMI Company Ltd.
出資:ニプロ 60%、JMIグループ 40%

同社は2011年12月、上記JVのパートナーのJMIグループの製薬会社JMI Pharma Ltd.の第三者割当増資を引き受ける形で出資を行い、同社を子会社とすると発表した。同社に51%を出資し、社名もNipro JMI Pharma Ltd.に改称する。

バングラデシュの製薬市場は年15%の成長を続けており、今後の市場成長が見込まれる地域である。

ニプロでは、JMI Pharma Ltd.がすでに構築した生産体制および営業基盤をベースとし、JMI グループとの協力関係を活かし、ニプロの培った医薬品製造技術も必要に応じて投入して新規品目の製造およびバングラデシュ国内での販売強化を図るとともに、ニプログループの販売ネットワークも活用して世界中の販路開拓を行うとしている。

ーーー

ベトナム)

ニプロは1月10日、ベトナムに医薬品工場を設立すると発表した。

日本国内におけるジェネリック医薬品業界は、政府の使用促進策等により急速な拡大局面を迎えているが、これに伴い国内大手先発医薬品メーカーや外資系企業の新規参入が本格化し、熾烈な市場競争に拍車がかかることが必至となっている。

同社の医薬品事業部門は、2020年度に売上高2,000億円を目標としているが、販路のグローバル化及びコスト面での競争優位の確立が急務となっているとしており、ベトナム進出を決めた。

会社名 : ニプロファーマ・ベトナム・リミテッド (仮称)
設立場所: ハイフォン市 (VSIP工業団地内)
操業予定時期: 2015年4月頃

日本を含めた先進国市場向けに良質で低価格な医薬品を供給することをミッションとする。

注射剤を中心にスタートし、将来的には、経口剤や外用剤を含めた多種製剤に対応可能な工場を目指し、ベトナム国内や他の新興国への販路開拓も進めていく。日・米・欧の3極のGMPに対応した品質保証体制を完備する。

 

 

 

国際石油開発帝石(INPEX)は1月13日、豪州のIchthys LNGプロジェクトに関する最終投資決定を行ったと発表した。
生産開始は2016年12月末の予定。

本プロジェクトは、同社がTOTALとともに推進する西豪州沖合WA-37-R鉱区ほかに位置するIchthys ガス・コンデンセート田の開発プロジェクトで、日本企業が主導する初の大型LNG(液化天然ガス)開発プロジェクト。

同社にとり、マハカム沖鉱区プロジェクト(インドネシア)、バユ・ウンダンプロジェクト(チモール海共同石油開発地域)、タングーLNGプロジェクト(インドネシア)に次ぐ4件目のLNG開発・生産プロジェクトで、このプロジェクトにおいては初めて操業主体(オペレーター)を務める。

Ichthys ガス・コンデンセート田の埋蔵量は、年間800万トン超のLNGを約20年の長期にわたり生産できる規模。
産出される天然ガスを、Darwinに建設する陸上プラントで液化し、年間840万トンのLNGと年間約160万トンのLPGとして生産・出荷する。
また、洋上貯油・出荷施設(FPSO:Floating Production, Storage and Offloading)等から日量約10万バレル(ピーク時)のコンデンセートを生産・出荷する。

権益比率はINPEXが76%、Totalが24%で、INPEXは一部を東京ガス等に譲渡予定で、豪州政府承認後は以下の通りとなる。

INPEX  72.805 %
Total  24.000  
東京ガス 1.575  
大阪ガス 1.200  
東邦ガス 0.420  

プロジェクトの総投資額は340億米ドルで、同社負担分(権益比率72.805%)は247億米ドル(約1.9兆円)を見込む。

LNGについては既に、下記の通り、2017年から15年間の長期LNG売買契約を締結しており、7割相当が日本に仕向けられる。

買主 LNG年間販売量
東京電力 105万トン
東京ガス 105万トン
関西電力 80万トン
大阪ガス 80万トン
九州電力 30万トン
中部電力 49万トン
東邦ガス 28万トン
CPC社(台) 175万トン
TOTAL社(仏) 90万トン
当社 90万トン
合計 (832万トン)

同社はIchthys周辺の開発プロジェクトに参加している。

  参加権益比率(*オペレーター)
Ichthys:
WA-37-R、WA-285-P
*同社76%、TOTAL 24%
WA-274-P 同社 20%、Chevron 50%、 *Santos 30%
WA-281-P 同社 20.00%、*Santos 47.8306%、Chevron 24.8300%、Beach 7.3394%
WA-341-P *同社 60%、TOTAL 40%
WA-343-P *同社 60%、TOTAL 40%
WA-344-P *同社 60%、TOTAL 40%
WA-410-P 同社 20%、*Santos 30%、Chevron 50%
WA-411-P 同社 26.6064%、*Santos 63.6299%、Beach 9.7637%

ーーー

2010年代後半までに予定される主なアジア向け新規LNGプロジェクトは以下の通り。(2012/1/14 日本経済新聞)

  プロジェクト 能力
万トン/年
操業主体
豪州 Gorgon 1,500 Chevron
Wheatstone 860 Chevron
Queensland Curtis  850 英BG Group
Ichthys 840 INPEX
Australia Pacific 700 ConocoPhillips
Pluto 430 豪 Woodside
インドネシア Tangguh 380 BP
Abadi 250 INPEX
Donggi-Senoro 200 三菱商事
パプアニューギニア PNG 660 ExxonMobil

 

 

 

米格付会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は1月13日、最上位である「トリプルA」のフランス、オーストリアを含むユーロ圏9カ国の国債格付けを引き下げたと発表した。

同社は昨年12月5日にギリシャとキプロスを除く15カ国を新たに格下げ方向で見直すと発表していた。

フランス、オーストリア   AAA AA+    1段階
イタリア   A BBB+   2段階
スペイン   AA- A   2段階
ポルトガル   BBB- BB   2段階 「投機的」格付けに
キプロス   BBB BB+   2段階 「投機的」格付けに
スロベニア   AA- A+   1段階
スロバキア   A+   A   1段階
マルタ   A A-   1段階


フランスは「債務の大きさと硬直的な労働市場」、オーストリアは「イタリアやハンガリー関連の取引で銀行が損失を被り、政府の支援が必要になる」ことを理由とした。

ドイツ、オランダ、フィンランド、ルクセンブルクはトリプルAを維持した。

但し、ドイツ以外の3国は「ネガティブ(弱含み)」で、2年以内で1/3の確率で格下げの可能性がある。

なお、Moody'sも昨年12月12日、2012年3月までにEU加盟国の国債の格付けを引き下げる可能性があると発表している。

ーーー

S&PとMoody'sの各国の格付けは以下の通り。

青字2011年に格下げがあったもの
赤字は2012年に格下
げがあったもの
 ( ↓) ( ↓)以前の格付け(日付は格下げ日) 
 

S&P Moody's
ユーロ ユーロ圏外 ユーロ ユーロ圏外
AAA ドイツ
(フランス
↓1/13)
(オーストリア
↓1/13)
オランダ

フィンランド
ルクセンブルグ
英国
カナダ
(米国
8/5)
Aaa ドイツ
フランス

オーストリア
オランダ

フィンランド
ルクセンブルグ
英国
カナダ

米国
AA+ フランス
オーストリア

(ベルギー
11/25)
米国 Aa1 (ベルギー12/16)
AA ベルギー (日本1/27) Aa2   (日本8/24)
AA- (スペイン↓1/13)
エストニア
(スロベニア
↓1/13)
日本
中国
Aa3 ベルギー
(スロベニア
12/22)
日本
中国
A+ (スロバキア↓1/13)
スロベニア
(中国'10/12/16) A1 スペイン
エストニア
スロバキア
スロベニア
韓 国
(中国'10/11/11)
A スペイン
スロバキア
(イタリア↓1/13)
(マルタ
↓1/13)
韓国 A2 イタリア
マルタ
A- マルタ   A3 (ギリシャ'10/6/14)  
BBB+ イタリア
アイルランド

(ギリシャ'10/4/27)
(キプロス
7/29)
Baa1 (キプロス11/4)
BBB (キプロス↓1/13)   Baa2    
BBB- (ポルトガル↓1/13) (ハンガリー12/21) Baa3 キプロス (ハンガリー11/24)
 投資適格     投機的格付
BB+ キプロス
(ギリシャ3/29)
ハンガリー Ba1 アイルランド
(ギリシャ3/7)
ハンガリー
BB ポルトガル Ba2 ポルトガル
BB- (ギリシャ5/9)   Ba3    
B+ B1 (ギリシャ6/1)
B (ギリシャ6/13)   B2    
B- B3
CCC+     Caa1 (ギリシャ7/25)  
CCC (ギリシャ7/27) Caa2
CCC-     Caa3    
CC ギリシャ Ca ギリシャ

 

 

 

BASFとシノペックは1月10日、南京のJVのBASF-YPCの2期計画の完成式典を行った。
14億ドルを投じた2期計画の内容は下記の通り。

BASF-YPCについては
 
2006/4/6 中国のエチレン合弁会社ー1

 2009/7/9  中国政府、BASF-YPCの増設計画承認

両社は2010年12月に更なる増強計画(総額約10億ドル)の推進の覚書を締結している。

 2010/12/24  BASFとSINOPEC、BASF-YPCの第二次増強を検討

BASF-YPCの能力は以下の通りとなる。(単位:千トン)

  一期計画  二期計画
$1.4 billion
増強計画
$1 billion
エチレン  600   740  
C4 Comlex Butadiene ー   130  
2-propylheptanol  80  増設
Isobutene  60  
Polyisobutene  50  
EO EO
EO purification
250

330
 150
 
EG 300     
EO Derivatives Non-ionic surfactants ー   60 (増)
Amines complex Ethanolamines
Ethyleneamines
Dimethylethanolamine
ー   130  
DMA3 (dimethylaminoethylacrylate) ー   25  
LDPE 400     
Acrylics value chain アクリル酸  160     +160
アクリル酸エステル 215     
Super-absorbent polymer (SAP) ー     60
butyl acrylate ー    新設  
C4オキソアルコール  250  305  
蟻酸 50     
プロピオン酸           30     
メチルアミン 30     
ジメチルホルムアミド(DMF) 40     
PO(HPPO) ー    (新設) 
Yangzi-BASF Styrenics Ethylbenzene 130  BASF-YPC
統合
 
Styrene monomer  120   (増)
Polystyrene  200   
EPS  52   


次期増
のうち、(  )は2010年12月の発表に含まれているが、今回の発表の「例示」には含まれていない。

 

 

 

電気化学と住友化学は1月10日、両社のスチレンモノマー製造JVの千葉スチレンモノマーを4月末に電気化学の100%子会社とすることで合意したと発表した。

千葉スチレンモノマーは1992年1月に電気化学60%、住友化学40%の出資で設立、電気化学の千葉工場内に年産27万トンのプラントを建設した。

製品の引取は出資比率見合いで、電気化学 162千トン、住友化学 108千トンとなっている。

電気化学は自社プラント(24万トン)と千葉スチレンモノマーのプラント(27万トン)を同社千葉工場に有するが、これを機に自社プラントを停止し、競争力のあるプラントでの集中生産体制を確立、スチレンチェーンの基盤強化を図る。

これにより、電気化学の能力はこれまでの402千トン(240+162)が270千トンとなる。
同社は新日鉄化学、ダイセルとのPS合弁会社東洋スチレンを持っている。

電気化学では、2015年の創立100周年に向けた経営計画、「DENKA100」と実行計画「Challenging Spirit 2013)の目標達成に取り組んでいるが、今回の措置は、その基本方針 「カーバイドチェーンやスチレンチェーンの収益を基礎として、電子材料や機能・加工製品などの高収益製品を、成長分野と成長地域で伸ばす」 に則った事業展開具体策としている。

今回、合わせて機能・加工製品事業であるウィッグ(カツラ)・ヘアピース用合成繊維「トヨカロン®」の製造工場をシンガポールに新設することを決定したことを発表した。

住友化学は日本オキシランにSM/PO併産設備(SM 412千トン)を有し、千葉スチレンモノマー品の販売を日本オキシランに委託しているが、今般の千葉スチレンモノマーの生産枠(108千トン)の放棄で、競争力が低下している輸出を縮小する。
(同社は三井化学とのJVの日本ポリスチレンを停止、解散した)

ーーー

スチレンモノマー能力推移は下記の通り。(単位:千トン)

三菱化学は2011年3月に鹿島のプラントを停止し、SM事業から撤退した。(同社はPSから撤退している)

新日鐵化学と昭電は2011年3月、新日鐵化学大分の芳香族事業(スチレンモノマーおよびベンゼン、トルエン、キシレン)を母体とする共同事業会社「NSスチレンモノマー」を設立し、両社の合弁事業として運営することで合意した。
共同化により合理化を図る。

既に、三井化学はプラントを太陽石油化学に売却して撤退、東ソーは日本スチレンモノマーから撤退している。

 

   

産構法時代

1996/12

2005/12

2011/12 2012年 〔 〕はPS合弁

処理前

処 理

処理後

旭化成

水島
川崎

330
65
(395)

:
:

(50)

:
:

(345)

409

(409)

751

(751)

678

(678)
  PSジャパン〕
 
出光興産

千葉
徳山

160

0

160

210
340
(550)

210
340
(550)

210
340
(550)
  :〔PSジャパン〕
三菱化学

鹿島
四日市

169
241
(410)

:
:

(100)

:
:

(310)

325
180
(505)

371

(371)

0

(0)
 

2011/3 停止

PSジャパン〕離脱

電気化学

千葉

160

0

160

240

240

240 0
 
2012/4 停止
〔東洋スチレン〕
千葉スチレンモノマー
(電気化学/住友化学)

千葉

270

270

270 270 2012/4 電化 100%化
     住化離脱
住友化学

千葉

100

100

0

  〔日本PS〕解散
日本オキシラン
(
住友化学/Lyondell)

千葉

225

0

225

352

412

412  

 

三井化学

大阪
宇部

90

90

0


284



  〔日本PS〕解散

太陽石油化学

宇部

294

335    
NSスチレンモノマー
(新日鉄化学/昭電)
大分 422    
新日鐵化学

大分

168

0

168

191

190

(190)
 (232)
  
  〔東洋スチレン〕
 
日本スチレンモノマー
(新日鐵化学/東ソー)

大分

232

232

    

(2008/6 解散)

東ソー

四日市

91

0

91

130

0

   

合計

1,799

340

1,459

3,163

3,310

2,907 2,667

スチレンモノマーの内需の推移は下図のとおりで、特にPSの需要の減が大きく、能力300万トン程度に対し、内需は150万トン程度に止まり、残りを輸出で補っている。

PSでは日本ポリスチレンが2009年9月末に操業停止して解散、三菱化学は2009年10月、PSジャパンから撤退した。

三菱化学はABSでも、2009年3月31日付けでJSRとの合弁事業に関する業務提携を解消し、テクノポリマーをJSRの全額出資子会社とした。(三菱化学はPS、ABSのプラントを停止)


 

近年、SMの事業環境は、欧米での需要低迷、中国・中東等での能力増強による需給緩和、円高の進行による競争力の低下など非常に厳しい状況にあり、今後、SMを輸出して安定的に収益を確保していくことは困難な情況である。

電気化学と住友化学は、これを勘案し、SM事業の縮小を決めたもの。

 

 

 

中国国家統計局は1月12日、2011年12月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比4.1%上昇したと発表した。
伸び率は7月の6.5%以降5カ月連続で鈍化している。

2011年通年のCPI上昇率は前年比5.4%で、2010年の3.3%を大幅に上回った。

12月は食品が9.1%上昇した。豚肉価格は21.3%上昇に止まり、6月の57.1%から下落を続けているが、食品価格は依然として高水準が続いている。食品以外の商品は1.9%上昇。

 

 


同時に発表した12月の工業生産者出荷価格(卸売物価)指数は1.7%上昇した。

 

 

中国税関当局は1月10日、2011年の輸出額が前年比20.3%増の1兆8986億ドル、輸入額が同24.9%増の1兆7434億ドルだったと発表した。

輸出入ともに過去最高を2年連続で更新、輸出の3年連続世界一がほぼ確実になった。

貿易黒字は1551億ドルで、2008年から毎年減っており、2005年の1020億ドル以来の低水準となった。

いつものことながら、どうしてこんなに早く実績が出るのか、不思議である。

貿易総額の内訳を国・地域ごとに見ると、ブラジルやロシアなど新興国向けは34.5%の高い増加率となった一方、欧州向けは18.3%、米国向けは15.9%の伸びにとどまった。
欧米向けの輸出の減速傾向が去年後半から強まっている。

日本からの輸入は、東日本大震災の影響で10.1%の伸びにとどまった。

ーーー

12月単月では、輸出が前年同月比13.4%増の1747億ドル、輸入が12.1%増の1582億ドルだった

輸出の前年比伸び率は8月が24.4%であったが、9月以降、4か月連続で急速に縮小しており、減速感が増している。

 

 

 

東レと三井物産は1月5日、東レが三井物産子会社の医薬会社 日本マイクロバイオファーマの株式20%を取得する契約書を締結した。

日本マイクロバイオファームは元 メルシャンの医薬・化学品事業で、メルシャンが経営資源をワイン・酒類事業に集中するため、受け皿会社 MBS社として分離した後、2011年7月1日に三井物産に譲渡した。

日本マイクロバイオファームはメルシャン時代から長年培ってきた発酵技術にバイオテクノロジーを付加した独自の製造技術により、微生物を利用した医薬品原薬、機能性化学品の製造、製造受託並びに創薬支援事業を行っている。

中国では、日本マイクロバイオファームが34%出資する関連会社の
深圳萬楽薬業を通じて、制癌剤を中心とする製品の製造・販売を展開している。

深圳萬楽薬業は1990年にメルシャンが、中国の深圳一致製薬薬業、香港の萬聯行との3社合弁で設立した。

ーーー

東レは、ライフサイエンス事業を次代の成長エンジンとして「重点育成・拡大事業」と位置付けている。
現在の事業分野は以下の通り。

  医薬品
    天然型インターフェロンベータ製剤、経口プロスタサイクリン(PGI2)誘導体製剤、
    経口プロスタサイクリン(PGI2)誘導体徐放性製剤、経口そう痒症改善剤
  医療機器
    中空糸型透析器、血液浄化器、カテーテル・ポート、バルーン拡張式弁形成術用カテーテル、
    医療用弾性ストッキング、コンタクトレンズ
  バイオツール
    DNAチップ
  アメニティ製品
    マイクロファイバークリーニングクロス(一般用、スキンケア、工業用)
    家庭用浄水器(トレビーノ)
  サービス

2011年4月からスタートさせた中期経営課題「プロジェクト AP-G 2013」では基本戦略1に「成長分野での事業拡大」を挙げているが、 ①環境・水・エネルギー、②情報・通信・エレクトロニクス、③自動車・航空機と並んで、④ライフサイエンスが入っている。

独自の先端技術を活かした研究開発のInnovationを推進することで、医薬・医療事業のさらなる拡大を目指している。

・「創薬型ビジネスモデル」の深化
・ 高付加価値医療材料の開発・上市
・ バイオとナノテクノロジーの融合による、革新的バイオツールの創出

ーーー

三井物産は消費者、医療機関、製薬企業のニーズに応えるべく、2008年にコンシューマーサービス事業本部にメディカル・ヘルスケア事業部を新設し、医療・健康関連のビジネスを集約した。

  「医薬バリューチェーン」

研究開発を含む製薬から流通・販売にいたるバリューチェーン全体を視野に、医薬品業界に対するソリューションプロバイダーとなることを目指す。

医薬品製造支援(CMO:Contract Manufacturing Organization)では40年以上にわたる事業経験を有し、医薬原料の供給等を通じ国内外の製薬企業との緊密な関係を築いている。

  「ヘルスケアサービスネットワーク」

医療、予防、介護の事業者間の相互連携を図り、国内では地域ごとに医療・予防・介護の各事業者間で連携を図る地域包括的なケアネットワークを構築、海外ではアジアを中心とするグローバルヘルスケアネットワークの構築をミッションとする。

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今回の出資参画を通じて、東レは日本マイクロバイオファームとの技術交流を深め、医薬品の新規開発や製造基盤の強化を図ると共に、同社の製品域の拡大を後押しする。

三井物産は、メディカル・ヘルスケア事業および化学品事業領域における経験とグローバルネットワークを生かし、 日本マイクロバイオファーム製品のグローバルシェアの拡大を目指す。

両社は、両社の経験・ノウハウを生かして日本マイクロバイオファームの強みをさらに引き出し、日本マイクロバイオファームでの協業を通じて、メディカル・ヘルスケア事業および化学品事業領域においてさらなる関係強化を推進する。

 

 

PetroChinaとSinopecは1月5日、財務部が石油採掘企業に対して課税する特別収益金(Windfall-tax) の課税下限を2011年11月から引き上げたことを明らかにした。

従来は石油価格が40ドル/バレル以上の場合に課税されていたが、これを55ドル/バレル以上に変更した。

原油価格高騰によりPetroChina、Sinopec、CNOOCが空前の高収益を上げているのに対して、国内産業は原料・燃料価格の高騰で収益を圧迫されていることを受け、中国政府は2006年3月26日から特別収益金(Windfall-tax) を徴収することを決めた。一般には暴利税と呼ばれた。

  特別収益金={(加重平均販売価格-40ドル)x 下記税率-下記控除額}x 販売数量

原油価格(US$/bbl) 40~45 45~50 50~55 55~60 60以上
税率  20%  25%  30%  35%  40%
控除額(US$)   0  0.25  0.75  1.50  2.50


2006/7/14 SINOPECの損益構造の変化

今回、以下の通り変更された。

特別収益金={(加重平均販売価格-55ドル)x 下記税率-控除額}x 販売数量

原油価格(US$/bbl) 55~60 60~65 65~70 70~75 75以上
税率  20%  25% 30% 35% 40%
控除額(US$) 0 0.25 0.75 1.50 2.50

  原油価格が1バレル100ドルの場合、特別収益金は15.5ドルとなる。(従来なら21.5ドル)

原油価格は2008年央から急落したが、最近は100ドルに近づいている。
PetroChinaなどは40ドルを超えれば暴利というのはおかしいとして、課税開始価格の引き上げを要請していた。 

Sinopec会長は昨年9月の国務院での会議で、1バレル50ドルでも低すぎるとし、Sinopecの国内の原油コストの平均は52ドルで、いくつかの油田のコストは70~75ドルにもなると述べた。

しかし、SinopecPetrochina2010年決算は、Refiningに関しては政府がインフレ抑圧のため値上げをしないよう強い圧力をかけているため減益となったが、開発部門は(「暴利税」を払っても)大増益となっている。

2011/4/8 SinopecPetrochina2010年決算 

今回、政府は課税の下限を37.5%引き上げたが、人民元はこの制度が導入された2006年3月以降、ドルに対して23%上昇しているため、実質的な引き上げ幅は小さい。

 

 

 

丸紅は1月9日、米独立系石油ガス開発大手Hunt Oil との間で、Hunt Oilのテキサス州 Eagle Ford シェールオイル・ガス田の開発・生産権益 約52,000エーカー の35%を取得することに合意、権益売買契約を締結したと発表した。

今後5~10年間程度に亘り数百本の井戸を順次掘削する計画で、取得対価を含む丸紅の総開発費用は約13億米ドルとなる見込み。両社はEagle Ford エリアで新規権益を共同取得していくことにも合意した。

丸紅は2011年4月、米国のMarathon Oil Corporationとの間で、コロラド州・ワイオミング州のDenver Julesburg 盆地のNiobrara shale oil の権益180千エーカーの30%を約270百万ドルで取得することに合意し、権益売買契約を締結した。
2011年10月より試験生産を開始している。

丸紅のシェールオイル権益は、今回の参画後累計で約72,000エーカーとなり、日本企業としては最大のシェールオイル権益を保有することとなる。

 

北米のシェールガス開発では、以下の各社が開発に参加している。   

三菱商事 ブリティッシュ・コロンビア州のCordova堆積盆地のシェールガス
 
Penn West Energy Trustから50%の権益

 
2010/8/26 三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画 

 2011/5/14 中部電力、東京ガス、大阪ガスとJOGMEC、カナダシェールガス開発プロジェクトに参加 

三井物産 ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエリアのシェールガス
 Anadarko Petroleum から32.5%の権益

 2010/2/18  
三井物産、米国でシェールガス開発生産プロジェクトに参画


②テキサス州Eagle Ford shale 
  SM Energyから12.5%の権益

  2011/7/4  三井物産、テキサス州のシェール開発に参加

住友商事 ①テキサス州Barnett Shale field開発
 Carrizo Oil & Gasから12.5%の権益

②ペンシルベニア州Marcellus Shale field開発
 Rex Energyから30%の権益

 2010/8/26 
三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画 
双日 テキサス州北東部Carthage onshore gas 鉱区Tightsand gas、シェールガス
 2007年7月に権益取得

 2010/10/19 伊藤忠、米国のシェールオイル開発に参加、商社の非従来型石油/ガス開発出揃う

伊藤忠 ①ワイオミング州Niobraraのシェールオイル
  Fidelity Exploration & Production(MDU Resources Group子会社)から25%の権益

 2010/10/19 伊藤忠、米国のシェールオイル開発に参加、商社の非従来型石油/ガス開発出揃う

2011/11/28 KKRと伊藤忠など、米Samsonを72億ドルで買収へ

丸紅 ①Niobrara shale oil
  2011/4/13 丸紅、米国のシェールオイル開発計画に参加


②今回 
Eagle Fordシェールオイル・ガス田
  

日揮 ①テキサス州Eagle Ford シェール
  2011/6 
TriTech I, LLCからChesapeake Energy運営の鉱区の10%の権益


国際石油開発帝石と日揮、NexenのBritish Columbia州北東部のシェールガス開発に参加

 
 

 

 

PetroChinaは1月3日、パートナーの持分を680百万カナダドルで買い取り、カナダのMacKay Riverオイルサンド権益を100%とした。

PetroChina は2009年8月、カナダのAthabasca Oil Sands Corp. との間で、Athabasca MacKay River 及び Dover オイルサンド計画の60%の権益19億カナダドルで取得する契約を締結した 。

2009/9/10  PetroChina、カナダのオイルサンド事業に参加

Athabasca Oil Sands は今回、MacKay River project の残り40%の権益を売却するオプションを行使した。

もう一つのDover oil sands projectにも同様のオプション条項があり、売却する場合の金額も13.2億カナダドルで決まっている。Athabasca はこれについても権利を行使するのではないかとみられている。

Athabascaは売却代金のうち、468百万カナダドルはPetroChinaからの借入金の返済に充て、残りを他のオイルサンドや軽質原油の開発に投じる。その一つとして自社単独のHangingstone oil sands開発を2014年に始める。

現在のところ、PetroChina が単独で事業を行うのか、他のパートナーを引き込むのかは明らかでない。これまでは進出したアジア各社は操業を現地のパートナーに任せている。

 

カナダ政府やカナダ企業は市場の拡大とより高い価格を求めて中国やアジア諸国との関係強化を図っている。

オイルサンド原油を西海岸に輸送し、アジアへの輸出することを狙った Enbridge Incの Northern Gateway pipeline計画(55億カナダドル)の公聴会が間もなく開かれる。(環境問題での反対が強く、実現には時間がかかる。)
 

  Northern Gateway は日量50万バレルの原油を輸送する計画。

アメリカのエネルギー会社Kinder Morganが運営する既存のTrans Mountain Pipelineは1953年に完成した。最初はVancouverまでで、その後、Seatle地区に伸びた。

オイルサンド原油の輸送のため、第二期計画(Edmonton--Burnaby)が計画されている。

 

ーーー

Sinopecと独立系石油会社Devon Energy は、SinopecがDevonの5つの新しいシェール鉱区の権利の1/3を22億ドルで取得する契約を締結した。1月3日に発表した。
Sinopecは他に、契約前の掘削費と、契約後の土地権益取得費用をDevonに支払う。

対象となるのは次の5つ。
  
Tuscaloosa Marine Shale 下の左図
  Niobrara 
◎印
  Mississippian:デボン紀後半~ミシシッピ紀(石炭紀)前半の地層 下の右図
  Ohio Utica Shale 
◎印
  
Michigan Basin 
◎印

Sinopecは契約発効時に現金で9億ドルを支払い、掘削費の形で16億ドルを支払う。
Sinopecは1エーカー当たり5500ドルを支払うこととなり、一般的な3000ドルよりはるかに高い。

本年中に125の井戸を掘削する予定。

Devonはオペレーターとなり、資金支出の責任を負う。またDevonは全製品を北米市場で販売する責任を負う。

ーーー

中国のPetroChina、Sinopec、中国海洋石油(CNOOC)は競って北米のシェールオイルやオイルサンド事業に参加している。

2005/4 中国海洋石油 カナダのオイルサンド開発企業・MEGエナジーの株式の16.69%を買収
2009/9/10 PetroChina、カナダのオイルサンド事業に参加 Athabasca Oil Sands
2005/6 SinopecNorthern Lightsにおけるオイルサンド事業の権益の40% をSynenco Energy から買収
2009年に50%にアップ
2010/4/16 Sinopec、カナダのオイルサンドに投資 ConocoPhillipsのオイルサンド事業会社 Syncrude Canada
2010/10/18 CNOOC、テキサス州のEagle Ford Shale projectに参加   Niobrara shaleを追加
2011/2/16 PetroChina、カナダの天然ガス権益取得
2011/7/22 中国海洋石油、カナダのオイルサンド企業を買収
今回 PetroChina、カナダのMacKay Riverオイルサンド権益を100%化
Devonは、Sinopec、Devon Energy の5つの新しいシェール鉱区の権利の1/3を取得

これには、事業参加によって技術を取得し、中国のシェール開発に役立てるという目的もある。

U.S. Energy Information Administration.によれば、中国のシェールの埋蔵量は通常の天然ガスの埋蔵量の12倍もあり、技術的に採掘可能な埋蔵量は米国のそれより50%も多い。

 

 

Totalは2011年12月30日、オハイオ州のUticaシェールを共同開発するChesapeake ExplorationとEnerVest Ltd.との間で、Uticaシェールに25%参加する契約を締結した。

同社は2011年1月にChesapeake ExplorationのBarnett Shale開発に25%参加したが(後記)、これに続くものとなる。

TotalはChesapeakeとEnerVestに対して約7億ドルの現金を支払うとともに、今後7年間、ChesapeakeとEnerVestの将来の掘削投資額の60%、16.3億ドルまでを負担する。

JVが権利を持つのは約619千エーカーで、うち542千エーカーは Chesapeakeが、77千エーカーはEnerVestが保有する。

Total は両社からそれぞれ25%、合計155千エーカーの権利を取得する。JVの操業はChesapeake が行う。

Utica shaleはliquids-rich で、Shale oil 開発が中心となる。(現在、シェールガスの生産急増でガス価格が低迷している。)

現在までに13の井戸が掘削され、優良な結果が出ている。10年後のTotalの生産持分は原油換算日量10万バレルに達すると見込まれている。

別途、3社は製品の輸出のための中間設備の建設を共同で実施することで合意している。

EnerVest は原油・ガスの開発会社で、活動地域は以下の通り。

 

ーーー

Totalは2010年1月4日、Chesapeake Energy CorpとのJVでテキサスのBarnett Shale 天然ガス開発に参加すると発表した。

Total は現金8億ドルを支払ってChesapeakeのBarnett Shale 資産の25%の権利を取得、別途、掘削・開発の費用14.5億ドルを支払う。

ChesapeakeのBarnett Shale 資産は27万エーカーで、現在、天然ガス換算で日量7億立方フィートの生産をしており、確認埋蔵量は3兆立方フィートとなっている。今後更に地域を拡大する。

細野豪志・原発担当相は1月6日、運転開始から40年が経過した原発を原則として廃炉にする「40年運転制限制」を導入すると発表した。今年4月の法改正をめざす原子炉等規制法に盛り込む。延長申請があった場合には施設の老朽化や原子力事業者の技術能力を審査して例外的に認めるという。

付記 
政府は、運転期間が40年を超えた原子力発電所を原則廃炉にする法改正案について、環境相の認可を条件に最長20年、1回に限り延長を認める例外規定を設ける方針を決めた。

既に40年経過しているのが3炉(うち1炉は廃炉決定)、本年中に40年になるのが1炉ある。
上記を含め、10年内に40年になるのが合計54炉のうち19炉ある。(廃炉決定の福島第一の4炉を含む)

敦賀市の河瀬一治市長は2011年6月1日の定例記者会見で、運転開始後40年を超えている敦賀1号機をめぐり、福島の知見で高経年化(老朽化)などの影響があったと明らかになった場合には「早く廃炉に持っていくことも選択肢の一つ」と述べ、2016年としている運転終了の前倒しもあり得るとの考えを 示していた。

発電所名
運転開始 型式 40年まで
年数
能力
(万KW)
稼働中
(定検
  時期)
停止 廃炉
決定
1次
  評価
定期
検査
トラブル 震災 政府
要請
提出 確認
北海道電力
 泊
① 1989/6/22   PWR   57.9            
② 1991/4/12   PWR   57.9            
③ 2009/12/22  PWR   91.2   4月              
東北電力
 東通
① 2005/12/8  BWR(Mark-I 改)   110.0            
東北電力
 女川
① 1984/6/1   BWR(Mark-I)   52.4              
② 1995/7/28 BWR(Mark-I 改)   82.5              
③ 2002/1/30 BWR(Mark-I 改)   82.5              
東京電力
 福島第一
① 1971/3/26  BWR(Mark-I) 0 46.0            
② 1974/7/18  BWR(Mark-I) 2 78.4            
③ 1976/3/27  BWR(Mark-I) 4 78.4            
④ 1978/10/12 BWR(Mark-I) 6 78.4            
⑤ 1978/4/18 BWR(Mark-I) 6 78.4              
⑥ 1979/10/24 BWR(Mark-Ⅱ) 7 110.0              
東京電力
 福島第二
① 1982/4/20 BWR(Mark-Ⅱ)   110.0              
② 1984/2/3 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0              
③ 1985/6/21 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0              
④ 1987/8/25 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0              
日本原子力
 東海
② 1978/11/28 BWR 6 110.0              
東京電力
 柏崎刈羽
① 1985/9/18 BWR(Mark-Ⅱ)   110.0              
② 1990/9/28 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0              
③ 1993/8/11 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0              
④ 1994/8/11 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0              
⑤ 1990/4/10 BWR(Mark-Ⅱ改)   110.0   3月              
⑥ 1996/11/7 ABWR   135.6   4月              
⑦ 1997/7/2 ABWR   135.6              
中部電力
 浜岡
③ 1987/8/28 BWR(Mark-I 改)   110.0              
④ 1993/9/3 BWR(Mark-I 改)   113.7              
⑤ 2005/1/18 ABWR   138.0              
北陸電力
 志賀
① 1993/7/30 BWR(Mark-I改)   54.0              
② 2006/3/15 ABWR   135.8              
日本原子力
 敦賀
① 1970/3/14   BWR(Mark-I) 0 35.7              
② 1987/7/25  PWR   116.0            
関西電力
 美浜
① 1970/11/28  PWR 0 34.0              
② 1972/7/25  PWR 1> 50.0              
③ 1976/3/15  PWR 4 82.6            
関西電力
 大飯
① 1979/3/27  PWR 7 117.5              
② 1979/12/5  PWR 7 117.5              
③ 1991/12/18  PWR   118.0            
④ 1993/2/2  PWR   118.0            
関西電力
 高浜
① 1974/11/14  PWR 2 82.6              
② 1975/11/14  PWR 3 82.6              
③ 1985/1/17  PWR   87.0   2月              
④ 1985/6/5  PWR   87.0              
中国電力
 島根
① 1974/3/29 BWR(Mark-I) 2 46.0              
② 1989/2/10 BWR(Mark-I改)   82.0   1月              
四国電力
 伊方
① 1977/9/30  PWR 5 56.6              
② 1982/3/19  PWR   56.6  1月              
③ 1994/12/15  PWR   89.0            
九州電力
 玄海
① 1975/10/15  PWR 3
55.9              
② 1981/3/30  PWR 9
55.9            
③ 1994/3/18  PWR   118.0              
④ 1997/7/25  PWR   118.0              
九州電力
 川内
① 1984/7/4  PWR   89.0            
② 1985/11/28  PWR   89.0            
合計       54基 6基 29 3 14 2 (4) 11 0

     PWR:加圧水型、BWR:沸騰水型、ABWR(Advanced BWR)改良型沸騰水型
     BWRのうち、
格納容器がMark-1型は問題とされている。

なお、伊方2号は1月13日に定検入りする。4月には全炉が停止する。
一次評価は2011年12月28日現在で11基が提出されているが、全てが保安院で評価中の段階。

手続きは、保安院への提出→保安院評価→安全委員会への報告→委員会の確認→3大臣(経産、原発担当、官房長官)判断となるが、3大臣が稼働を承認しても、稼働には地方自治体の了承が必要となる。

西川・福井県知事は2011年12月28日、停止している原発の再稼働について、高経年化(老朽化)対策や地震、津波に対するさらなるチェックを加えた上で「慎重かつ十分な信頼感を持った対応を県として進める必要がある」と述べた。

中部電は高さ18メートルの防波壁の建設などを柱とする約1000億円の対策工事に着手し、2012年末までに完成させる予定。

しかし、川勝平太・静岡県知事は、「福島第一原発事故で(浜岡原発と同じ)沸騰水型は危ないというのが日本人の共通認識になった」として、中部電の津波対策が完了しても再稼働を認めない方針を初めて明言した。(2012/1/1 読売新聞)

浜岡原発3、4号機が福島第一原発
と同じ沸騰水型軽水炉(BWR-5改良標準型)、5号機がその改良型(ABWR)であることを問題視し、「津波対策ができても再稼働の話にはならない。事故を繰り返さないためにはパラダイム(思考の枠組み)を変えるしかない」と述べた。

福島第一の1号機~5号機 は沸騰水型で格納容器はいずれもMark-1(フラスコ型)、6号機は沸騰水型でMark-2(円錐型)

国際原子力機関(IAEA)閣僚級会議に出席した海江田経済産業相(当時)は2011年6月20日、ウィーンで会見し、東京電力福島第1原発1~5号機に使われている米GE開発の原子炉格納容器 MarkⅠについて、安全性の観点から、廃炉を含めた検討が今後の課題になるとの考えを示した。
  2011/7/12 原発の安全性基準に関する「政府統一見解」 

MarkⅠは上表で青字表示。
沸騰水型(BWR、ABWR)が全て問題とすると、54基のうち、30基にものぼる。

 

 

参考 沸騰水型原子炉 格納容器

ソース:原子力安全研究協会編:軽水炉発電所のあらまし



 

 

南太平洋の島国サモアは2011年末に自国の標準時を日付変更線の東側から西側の時間帯に移行させた。
サモアの北にあるニュージーランド領トケラウ諸島も同時に時間帯を移した。

従来はGMT-11であったが、GMT+13とし、24時間進んだ。
12月29日の午前0:00 に切り替え、12月30日がなしで、12月31日午前0:00に変わった。(Daylight Saving Time採用)

隣の米領サモアはそのままGMT-11。(Daylight Saving Time なし)

日付変更線の東西どちらの標準時を採用するかは、各国の判断に委ねられている。
サモアは1892年に日付変更線の東側の時間帯を採用した。

当時はカリフォルニアとの貿易が盛んで、米国の貿易商が米領サモアや米国との関係を考慮して、説得した。

1899年にドイツが西サモア、米が東サモアを領有した。
西サモアは1919年 NZの国際連盟委任統治地域、1945年に国際連合信託統治地域となり、1962年に西サモアとして独立、1997年に国名をサモア独立国に変更した。
東サモアは現在も米領。

近年はオーストラリアやニュージーランドとの貿易量が拡大しているが、これらとはほぼ1日の時差があるため、商取引の可能日数が週4日と短いことが弊害になっていた。(サモアの金曜はANZの土曜のため、サモアの月~木が相互の商取引可能)

このため、2011年6月に政府は法律を制定、準備を進めた。

失われた12月30日の1日分の賃金は支払われる。
ホテルなどは12月30日の宿泊費を請求しないよう、システムの修正に追われた。

ニュージーランドには18万人、オーストラリアには1万5千人のサモア人が住んでいるが、誕生日など重要なイベントを本国の家族と同時に祝うことが出来るようになった。

 

 

韓国国会は2011年12月30日、米国とFTAの再交渉をするよう政府に求める決議を賛成多数で可決した。国会はすでにFTAの批准を与党主導で承認している。

決議は特に「ISD条項」について「主権を脅かしかねない」と指摘、破棄も含めて米国と再交渉するよう求めている。

ISD(Investor State Dispute Settlement:投資家対国家紛争仲裁制度)は、投資家が相手国政府の政策により被害を受けた際、当該政府を国際投資紛争センターに提訴できる制度。

野党などは、同センターが世界銀行のもとで設置され、米国の影響が強いなどとして「韓国には一方的に不利な条項」と批判している。

なお、本条項は2007年の最初の妥結時から入っていた。

李明博大統領は11月15日、行事以外では就任以来初めて韓国の国会を訪問した。
与野党の代表との会談で大統領は、ISD条項について、「国会が米韓FTAを批准したら、3カ月以内に米政府にこの条項の改定について米国と交渉する」と約束した。

ISD条項は日本でも問題視されているが、河野太郎ブログは以下の通り述べている。

この条項は、海外に投資している日本企業の利益を守るのに役立つので、1978年の日本エジプト投資協定以降に結ばれた25本の投資協定では、日本フィリピンEPAを除き、全てにおいて投資家対国家の紛争手続(ISDS)規定が含まれている。
現実に、日本政府が訴えられたことはなく、日本企業が外国政府を訴えたことはある。
ISDS条項は、日本がTPP交渉に参加することを妨げるものではまったくない。

決議には強制力がないため、FTA発効の障害にはならないが、4月の総選挙、12月の大統領選に向けて、野党側は「米韓FTAを含む通商政策の全面見直し」を争点にする構え。

ーーー

米国と韓国のFTA交渉は2010年12月3日に妥結した。

2010/12/4 韓米自由貿易協定(FTA)追加交渉が妥結

米上下両院は2011年10月12日、韓国とのFTAの実施法案を賛成多数で可決した。

2011/10/14 米議会、韓米自由貿易協定を可決 

韓国与党ハンナラ党は11月22日、国会で韓米FTA批准案を強行可決した。李明博大統領は11月29日に批准案に署名、関係閣僚会議で2011年1月1日の発効を目指す準備の徹底を指示した。

2011/11/25 韓国、韓米FTA批准案を強行可決 

外交通商部のFTA交渉代表は12月12日、韓米FTAについて、当初予定していた2012年1月1日の発効は困難だと発表した。
米国内の手続きが残っているほか、年末年始の休暇があるためと説明、1月中旬から下旬の発効を見込んでいると述べた。

ーーー

韓国政府は2012年1月2日、企画財政部や知識経済部、農林水産食品部の5つの関係省庁が合同で、「韓米FTA批准による追加の補完対策」を発表した。2007年以降、2度にわたって補償対策を発表したが、国会で追加された支援対策などを包括した総合的補償対策をまとめた。

韓米FTAで被害が予想される農漁民に対し、予算24兆1000億ウォン(約1兆7000億円)と、税制上の優遇策29兆8000億ウォンなど、計54兆ウォン規模の財政の投入を行う。
昨年8月の追加対策発表の時より、それぞれ財政支援は2兆ウォン、税制支援は8000億ウォンが増えた。
韓米FTAの発効による被害に対する補償に向けたこのような優遇策を、2017年まで維持する。

今回の対策で、輸入の急増で価格が下落し、被害が生じた農漁民に対する補償(被害補填直払制)を強化した。
扱う品目が平均価格の90%以下に落ちれば、その差額の90%を政府から補償される。
(従来案では価格が85%未満に落ちた場合に被害補償を受けられる。)
品目別支給限度は法人5000万ウォン、個人3500万ウォン内で大統領令で定める。

畑作農業の直払い制や水産直払い制も新たに導入され、小麦・豆・麦・トウモロコシなど19種類の作物に対し、1ヘクタール当たり年間40万ウォンを、陸地から8キロ以上離れた漁村は、1世帯当たり49万ウォンを受け取ることができる。

農家の競争力強化に向けた施設現代化資金は、昨年の2450億ウォンから2012年は4109億ウォンへと増加した。
各農家が、施設現代化を政府補助無しに融資で推進した場合、現在の3%の融資金利を1%へと引き下げる。

商工人対策として年間3200億ウォン規模の振興基金を設立する。
小商工人と中小企業のための金融支援、過密業種の構造改善、伝統市場の活性化などに使われる。

流通産業発展法の改正で、大型マートと企業型スーパーマーケットの営業時間を制限し、義務休業日を指定できるようにした。
地方自治体は大型流通施設の営業を最大で午前0時から午前8時まで制限でき、1カ月に1-2日は義務休業にできる。ただ、農水産物の販売比率が51%を超える大規模店舗は対象から除かれる。 

ーーー

韓国の李明博大統領は1月9~11日に国賓として中国を訪問する。

東亜日報によれば両国は、首脳会談で韓中FTA締結交渉の開始を発表する。交渉開始の時期は二月上旬の見込みとしている。

韓中FTAは中国側が交渉開始に積極的とされる。

 

 

 

 

2011年12月、液晶ディスプレーの販売価格で国際カルテルを結んでいたとして、米国の消費者らが起こした集団訴訟で、シャープや韓国サムスン電子など日本・韓国・台湾の主要液晶メーカー7社が、総額538百万ドルの和解金の支払いで合意した。

12月初めには8社が液晶ディスプレーの直接需要家に対し、合計388百万ドルの和解金の支払いで合意している。

2008年に最初の3社が国際カルテルを認め、罰金支払いで司法省と合意して以来、日本・韓国・台湾の8社は司法省に罰金を払うほか、役員22人が起訴された(そのうち多くが禁固刑と罰金刑を受けた)。

これに加え、直接の需要家からの集団訴訟と、最終消費者を代表する各州からの集団訴訟で二重に和解金の支払いを余儀無くされた。

シャープの場合、合計で340.5百万ドルとなる。
韓国の
Samsung ElectronicsはLeniency制度により米国とEUの独禁法に基づく罰金は免除されたが、米国での民事訴訟では322.7百万ドルの和解金を払わされることとなった。

単位:百万ドル
       米 独禁法    直接需要家
('11/12/7)
消費者
('11/12/28)
時期     罰金
Samsung Electronics   Leniencyで免責   82.7 240.0
LG Display 2008/11 400  75 合意出来ず
Chunghwa Picture Tubes
中華映管(台湾)
65 金額不明 5.3
シャープ 120  105 115.5
日立ディスプレイズ 2009/3 31 金額不明 38.9
エプソンイメージング
デバイス
2009/8 26 金額不明 2.8
Chimei Innolux(CMI)
奇美電子(台湾)
2009/12 220 78 110.3
HannStar Display
瀚宇彩晶(台湾)
2010/6 30 金額不明  25.6
合計   892 388                    538
他に役員など22人起訴   他に
      罰金    14

 

付記

台湾のAU Optronics は4月に、韓国のLG Displayは5月1日に、それぞれ消費者との間で和解した。金額は非公開。

付記

シャープは7月9日、TFT液晶事業に関し、北米・欧州において提起されている損害賠償を求める民事訴訟のうち、Dell, Inc.ほか2社からの民事訴訟について、総額198.5百万米ドルの和解金で和解することに合意したと発表した。

同社は上記の通り、多額の和解金で和解したが、「カルテルに関する欧州委員会の調査が続いているほか、民事訴訟もまだ残っている」としている。

ーーー

米司法省は2008年11月、液晶パネルの販売を巡る国際価格カルテルで、3社が罪を認め、合計585百万ドルの罰金を支払うことに同意したと発表した。

韓国のLG Display と台湾のChunghwa Picture Tubes(中華映管)は、台湾・韓国・米国でTFT-LCD パネルの価格を協定した。
シャープ は、
DellAppleMotorola 向けのTFT-LCDパネルの価格を日米の他社と協定したとされる。

米司法省は2009年3月、日立製作所子会社のHitachi Displaysが関与していたことを認め、31百万ドルの罰金を支払うことに同意したと発表した。 Dell Inc 向けのTFT-LCDパネルが対象。

2009年8月、Epson Imaging DevicesがMotorolaの携帯電話向けで26百万ドルの罰金支払いで、2009年12月には台湾のChimeiが220百万ドルの罰金支払いで同意した。

2010年6月には台湾のHannStar Display(瀚宇彩晶)が30百万ドルの罰金支払いで同意し、罰金額は7社合計で 892百万ドルとなった。

なお、韓国のSamsung ElectronicsはLeniency制度で罰金を免除された。

シャーマン法では、罰則は法人の場合には1億ドル以下の罰金、自然人の場合には100 万ドル以下の罰金若しくは10 年以下の禁錮又はこれらの併科となっている。ただし、罰金額は、違反行為によって自らが得た利得の2倍の額又は違反行為によって被害者に与えた損害の2倍の額まで引き上げることができる。

また、各社の役員など22人が起訴された。

明細は不明だが、Chunghwa Picture Tubesの3人は禁固6~9か月で罰金2万~5万ドル、LGの1人は禁固7か月で罰金2.5万ドルとなっている。(両社とも、ほかにも起訴されている)

日立ディスプレイでも一人が起訴された。(判決はないため、日本在住のままの時効中断と思われる)

ーーー

液晶パネルカルテルに関しては、日本の公正取引委員会や、韓国、EUの当局も調査した。

公取委は2008年12月18日、任天堂の「ニンテンドーDS Lite」に用いられる液晶モジュールについて、シャープと日立ディスプレイズの2社が価格を統制したとして、両社に排除措置命令、シャープに2億6,107万円の課徴金の納付命令を出した。

公正取引委員会は2009年3月、両件について審判手続を開始した。
日立ディスプレイズから2009年9月25日、審判請求の取下げがあり、同社に対する排除措置命令は確定した。

シャープについては審判手続きが継続している。

EUは2010年12月、液晶表示装置パネルで価格カルテルを結んでいたとして、韓国・台湾のLCDパネルメーカー5社に対し、総額6億4890万ユーロの制裁金を科した。

  千ユーロ Leniency reduction
Samsung 0 100%
LG Display 215,000 50% and "partial immunity" for 2006
AU Optronics
友達光電(台湾)
116,800 20%
Chimei InnoLux 300,000  
Chunghwa Picture Tubes

9,025

5%
HannStar Display 8,100  
合計 648,925  

韓国公取委は2011年10月末、下記の液晶ディスプレイメーカー6社に対し、194 billion won(1億7600万ドル)の罰金を科した。

韓国 Samsung Electronics  97.2 billion won
LG Display  65.5 billion won
台湾 AU Optronics   金額不明  
Chimei Innolux   金額不明
Chunghwa Picture Tubes   金額不明
HannStar Display   金額不明
合計    194 billion won

ーーー

これに対し、AT&T、Nokia、Dell等、LCDパネルの需要家が相次いで訴訟を起こした。
米国独禁法上は
Samsung ElectronicsはLeniency制度で罰金が免除されたが、これは民事訴訟には関係なく、同社も訴えられた。

2011年12月初め、8社が直接需要家に対し、合計388百万ドルの和解金の支払いで合意した。

ーーー

これとは別に、2010年8月、NY州のクオモ司法長官は日本、韓国、台湾などの液晶ディスプレーパネルメーカー20社を、価格カルテルを組んでいたとしてニューヨーク郡の最高裁判所に訴えを起こした。

同司法長官は、多くの消費者が不当に高い価格で購入せざるを得なかったとし「消費者が違法に多く支払わされた分を取り返すために訴えを起こした」と述べた。

これに続き、多くの州が訴えを起こした。

これについて、 2011年12月末、シャープや韓国サムスン電子など日・韓・台の主要液晶メーカー7社が、総額538百万ドルの和解金の支払いで合意した。 7社のうち5社が計14百万ドル以上の罰金を支払うことでも合意した。

和解金のうち、37百万ドルは各州政府や公的機関などに払われ、残りの501百万ドルは1999年1月~2006年12月に対象商品を買った米国の24州とコロンビア特別区の消費者に返金される。各州は返金方法を後日通知するとしている。

なお、LG Displayは和解金の金額をめぐり主張の差が埋まらず、今後は金額の確定に向けた交渉を行うことになる。

 

 

韓国のLG Displayの南京工場で2011年12月26日、従業員8000人のストライキで生産ラインが完全に停止し、関連工場にも影響が出た。生産停止の影響によって、1日あたり1億元(約12.2億円)の損失が出た。

同工場ではこの3年間、3カ月分の給与に相当する年末ボーナスが支給されていたが、今年は1カ月分だといううわさが流れ、不満が噴出していた。そこに、「本社と韓国人従業員には給与6カ月分相当のボーナスが支給される」というデマが広がり、ストが拡大した。

LG Displayは年頭に経営目標を決め、これを達成できなければボーナスを支払わず、達成できれば給与1カ月分、さら高い目標を達成できればそれを反映し追加ボーナスを支給するという原則を守っていた。

同社は2011年は約1兆ウォン(約670億円)の赤字を出しており、南京工場も経営目標を達成できなかった。
このため、従来までは月給3カ月分だった年末ボーナスの支給そのものが難しくなった。
 

3日間にわたりストライキが行われた結果、労使が給与2カ月分相当の年末ボーナスを支給することで合意、29日に通常通り稼動した。会社側は「韓国人従業員と中国人従業員との間に差別的待遇がある」とのうわさを否定した。

LGディスプレーは原則を破り、予定になかった計100億ウォン(約6億7000万円)規模のボーナスを支給することになった。

同社では、「今回の事態は、中国人従業員が成果給の意味を正しく理解しておらず、毎年当然支給されるものと考えているために発生した」と説明している。

結果的には、本社では「本社の社員が逆差別を受けている」という声まで上がっている。

同社の中国での労務費水準(ボーナスも含めた労務費の他社の労務費との比較)などにもよるが、現在の中国では一般労働者に「作業目標」ではなく、「経営目標」を基準にした成果給の適用は難しいと思われる。

 

 

 

会社更生法を申請し、長瀬産業とスポンサー契約を締結した林原は、2011年12月31日、同日付で裁判所から更生計画認可の決定を受けたと発表した。

同社は11月18日に東京地方裁判所に更生計画案を提出した。

過去の経緯については、
 2011/1/28
 林原が私的整理手続き  
 2011/2/7   林原が会社更生法申請 
  2011/8/5   会社更生法申請の林原、長瀬産業とスポンサー契約締結 

 付記 長瀬産業は2012年1月31日、本件実施の発表を行った。
     3社合併は2月1日、株式取得(150億円)は2月3日。

スポンサーの長瀬産業は、今後、林原グループの中核事業会社3社を合併して100%減資増資を実施、長瀬産業の子会社として、天然甘味料「トレハロース」などの主力事業を継続する。

林原グループの林原、林原商事、林原生物化学研究所の3社は、中核事業に関連しない資産、負債、権利関係を太陽殖産へ会社分割により承継させ、その後、3社を合併し、100%減増資を行って、長瀬産業の100%子会社として新たに再出発する。

太陽殖産は、3社から承継する資産を含む資産の処分を随時進め、3社から承継した債務の弁済を進める。

メセナ事業のうち、林原美術館、林原自然科学博物館、類人猿研究センターは、林原が支援を継続する予定で、当面の間は長瀬産業の支援の下、事業を継続していく。   

負債総額約1400億円に対し、資産売却などによる弁済原資は約1300億円で、債務弁済率は9割を超える。

弁済原資の内容:

長瀬産業から受ける700億円の出融資
岡山駅前の不動産の売却代金(約200億円)
中国銀行株式の売却代金(約200億円)
その他の不動産、有価証券、その他資産の売却代金
事業収益

 

 

イランはペルシャ湾のLavan島を、Bandar Imam KhomeiniのPetrochemical Special Economic Zone、AsaluyehのPars Special Economic Zoneに次ぐ第三の石油化学センターにする計画である。

 

National Iranian Offshore Oil Company (NIOOC)は2011年末にイランのSepehr Energy Co. との間で、次の4年半のうちにLavanガス田を開発し、Lavan島に大規模石油化学コンプレックスを建設する契約を締結した。

Sepehr Energy はイランのSaderat Bankの子会社で、イランのエネルギー関連計画の主要なコントラクターの1社。

NIOOCは12月28日、Lavanガス田に200億ドルの投資をする計画であることを発表した。

イランは当初、ポーランドのPolish Oil and Gas と組んでLavanガス田を開発し、LNGの形で販売する計画であったが、Sepehr Energyの熱意を入れ、200億ドルの石油化学センター建設を決めたとしている。
200億ドルは、ガス田の開発(3期)と石油化学計画を合わせたもの。

また、石油化学計画の実現のため、周辺のガス田(Reshadat、Belal、Resalat、Khayyamなど)のガスもこれに投入する。

Lavanガス田は2003年に発見された。
Lavanガス田は750百万立方フィートの天然ガス、11千bpd のコンデンセートの生産が期待されている。

Reshadatガス田は1969年に発見された。Lavan島の近くの7650フィートの海底にある。
Resalat ガス田はカタールのHalul island の近くで、130kmのパイプラインでLavanターミナルに接続されている。

Khayyam
 ガス田は2011年6月にAsaluyehの近くで発見された。


 

 

 

インド政府は2011年12月31日にサウジからの輸入PPに対するダンピング課税を終了させた。物品税関税中央局が12月30日に発表した。

インドは2009年2月24日にサウジとオマーン、シンガポールからの輸入PPについてアンチダンピング調査を開始、2010年11月にサウジのSABIC、National Industrialization Co.(Tasnee)、Saudi Advanced Petrochemicalの3社からの輸入PPに対し、6.5%のダンピング課税を行った。

中国商務部も2009年6月24日、サウジ、マレーシア、インドネシア、ニュージーランドの4カ国原産の輸入メタノールのダンピング調査を開始した。

これらに対し、サウジ政府は異常な程の反発を示し、両国に抗議を行った。

中国商務部は2010年10月25日、サウジについてはシロ、他の3国についてはクロの仮決定を行った。
サウジについては、政治的配慮を行ったとみられる。

3国については、12月23日にクロの最終決定を行い、ダンピング課税を発表したが、「特殊な事情により、国務院の委員会の承認を得て、追って通知するまで実施しない」との発表を行った。

2009/7/7 サウジが中国のメタノールのダンピング調査に反発

今回のインドの発表では理由は明らかにされていない。
サウジのPPメーカーのAdvanced Petrochemicalsは「12月20日に本件でインドで政府のヒアリングが予定されていたが、急遽、理由なしでキャンセルされた。上層部で事態が解決されたのは間違いない」としている。

インドの決定は、イランに対する国際的な禁輸措置がペルシャ湾岸諸国からの石油出荷を妨げるとの懸念の高まりからと見られている。
インドはこのため、サウジからの追加の石油・天然ガスの輸入を強く求めていた。

Saudi政府は昨年、本件でのインドとの交渉の担当を通商産業省から石油省に変更、副石油相のPrince Abdulaziz bin Salman Al Saudが交渉に当たってきた。

サウジが本件の担当を石油省に変更したのは、サウジ政府のメッセージと見られている。

ーーー

EUは2011年12月、SABICのPETに対するアンチダンピング調査とサウジ政府の補助金調査を取りやめた。

EUは2011年2月に、欧州のAssociation of Product Manufacturerからの要請で調査を開始したが、サウジ政府からの要請を受け入れた。EUの利益を害していないとみなした。

サウジ政府は石油化学産業を最も重要視しており、国王令を出してサウジの石油化学製品に対するアンチダンピング措置に対応するチームを編成した。石油鉱物資源省を中心に、外務省、通産省、財務省が加わる。これに経済企画省、水電力省やその他の省庁、国際コンサルタント会社などが支援し、EUと交渉した。

 

付記

トルコ政府は2010年5月、サウジ(SABIC)とクウェート、ブルガリア原産の輸入MEGに対し、ダンピング課税を行った。

サウジ政府によると、トルコ政府はEUとインドがサウジに対するダンピング課税を止めたのを受け、SABICに対する課税を見直すことに同意した。

 

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付記

サウジはアジアへの投資拡大を狙っており、インド企業とのJVを望んでいる。インド側もサウジの投資を希望している。

1月3日、サウジのTawfiq Al-Rabiah通商産業相を団長とし、有力30社のトップを含む50人の代表団がNew Delhiに到着した。3日間にわたり、投資と貿易の協力関係強化と重要セクターでのJV設立に向け協議を行う。

2011年12月30日の人民元の対米ドルレートは、基準値(6.3009人民元/$)、終値(6.2940人民元/$)ともに最高値を付けた。

中国が「人民元相場の弾力性を強化する」とし、2008年8月から固定していた人民元を再び管理フロート制に戻した2010年6月19日の前日の終値 6.8262人民元に比して 8.46%の人民元高となった。

11月末から12月15日まで連日、値幅制限の下限の0.5%ギリギリに張り付いていたが、その後、急上昇した。

新華社は「国際市場での元の信用力が高まり、一時の元安傾向は払拭された。市場では2012年は2~3%上昇するとの見方が一般的」と伝えた。

 

なお、2010年6月18日以降で日本円に対しては人民元安となっている。

ユーロに対しては当初は同様に人民元安であったが、昨年秋からはユーロ安のため、人民元高となった。

ユーロは2011年12月30日のニューヨーク外国為替市場で、一時1ユーロ=99円47銭となり、2000年12月以来、11年ぶりのユーロ安となった。

 

 

中国の国家発展改革委員会(NDRC)と商務部は2011年12月29日、外商投資産業指導目録(外資の対中投資ガイドライン)の改訂版を発表した。2012年1月30日から施行する。  

2011年版 http://www.ndrc.gov.cn/zcfb/zcfbl/2011ling/W020111229379511927834.pdf

前回は2007年11月に改定し、同年12月1日から施行した。

2007年版 http://www.ndrc.gov.cn/zcfb/zcfbl/2007ling/W020071107537750156652.pdf  

2007/11/12 中国政府、「外国企業投資産業指導目録」を改定

NDRCでは、「対外開放を進めた」としており、投資の奨励業種を増やし、禁止分や制限業種、出資制限業種を減らしたという。

新リストでは「奨励類」の項目が増え、「制限類」および「禁止類」の項目が減っている。
医療機関、金融リース企業などへの投資は、「制限類」から「認可類」に調整された、
新エネルギー発電設備などの分野における外資の持ち株比率に関する制限が撤廃され、持ち株比率を制限される項目が現行リストより11項目減った。

「奨励類」に繊維、化学工業、機械製造などの分野の新製品、新技術の項目が加わり、廃棄された電器電子製品、電気機械製品、電池の回収処理の項目が加わった。
自動車の充電ステーション、ベンチャー企業、知的財産権サービスを含むサービス産業関連の9項目が加わった。

過剰生産能力を抱える自動車製造を奨励業種から除外した。
過剰な生産能力や無計画な建設の重複を抑制するために、多結晶シリコン、石炭化学工業などの項目が「奨励類」から削除された。

NDRCによると、「このたびの改正の中で削除された一部の奨励類の項目は、中部・西部地区の産業移転受け入れ、中部・西部地区の特色ある優位な産業の発展を促進するなどの原則に基づいて、『中西部地区外資系企業投資優勢産業リスト』を改正する際に考慮する」という。

 

化学製品分野での主な変更は以下の通り。

エチレンや誘導品が奨励品目から外れた。
石油精製については、制限品目が変更になっている(細分化されている)。

 
は変更なし
赤字は除外されたもの
青字は追加されたもの
2007年改定 2011年改定
奨励品目
1 年産80万トン以上のエチレン     
2 エチレン誘導品の製造、C4-C9副産品の活用(合成ゴム用ブタジエンを除く)    
3 年産20万トン以上のエチレン法PVC    
4 次亜塩素酸ソーダ、PVC、新しい有機シリコーン加工品 1 次亜塩素酸ソーダ、PVC、新しい有機シリコーン加工品
5 ベンゼン、トルエン、キシレン、エチレングリコール等有機化学原料およびデリバティブ    
6 ビスフェノールA 過酸化水素法PO 2 過酸化水素法POグリセロールのエピクロロヒドリン、ナフタレンジメチルエステル、1,4 - シクロヘキサン2メタノールのエステル
7 合繊原料:
精密テレフタル酸
カプロラクタム、ナイロン66塩、スパンデックス 3 合繊原料:カプロラクタム、ナイロン66塩、スパンデックス、1,3- propanediol
8 合成ゴム:溶液法SBR、ブチルゴムイソプレンゴム、ポリウレタンゴムアクリルゴムエピクロルヒドリンゴムEPR、ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、他の特殊ゴム 4 合成ゴム:溶液法SBR、高シスブタジエンゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ポリウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、EPR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、他の特殊ゴム
9 エンプラ:PPO、ナイロン11・ナイロン12、ポリイミド、ポリスルホン、ポリアリレート、液晶ポリマー 5 エンプラ:年産6万トン以上のホスゲンPCPOMポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12)、EVAポリフェニレンサルファイドポリエーテルエーテルケトン、ポリイミドポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、液晶ポリマー、その他製品
 
18 大規模石炭化学製品 -  
  直径200mmシリコン単結晶、ポリッシュウェーハ 多結晶シリコン   直径200mmシリコン単結晶、ポリッシュウェーハ
制限品目
  年産800万トン以下の製油所   年産1000万トン以下の蒸留精製、
年産150万トン以下の接触分解
年産100万トン以下の連続改質(芳香族抽出を含む
年産150万トン以下の水素化分解

 

 

 

本年もよろしくお願い申し上げます。

 

1月4日から再開します。

 

 

 

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