中国は、制裁決議で定められた輸入額の上限に近づいたためだとし、「決定は国際的な義務を果たすものだ」として、制裁を着実に履行する立場を強調した。
中国の北朝鮮からの輸入額のうち、石炭は全体の半分近くを占めており、北朝鮮の外貨稼ぎに大きな痛手になることは避けられない。
国連安全保障理事会は2016年11月30日、北朝鮮による核実験等に関する決議第2321号を全会一致で採択した。
中国商務部は2016年12月23日の公告81号で、国連決議2321に基づき、次の措置を取ると明らかにした。
1) 北朝鮮からの石炭の輸入の制限
2017年1月1日以降、毎年、各国全体の北朝鮮からの輸入を4億ドル、または750万トンのいずれか少ない方に制限する。
2) 北朝鮮からの銅、ニッケル、銀、亜鉛の輸入禁止
3) 北朝鮮からの彫刻像の輸入禁止
4) 北朝鮮へのヘリコプター、船舶の輸出禁止
石炭については、実際に北朝鮮から輸入しているのは中国のみとされる。
なお、国連決議2321では、2016年11月30日から年末までについて、石炭の輸入を100万トン又は53.5百万ドルの制限をつけている。
商務部は今回、本年分の輸入制限(4億ドルまたは750万トンの低い方)に近づいたとして輸入を停止した。
しかし、中国の1月の北朝鮮からの石炭輸入額は1億2194万ドル、輸入量は145万トンで、1月末時点では上限まで相当な余裕があることが判明した。
2016年12月分について、中国は規定量の約2倍、規定金額の約3倍を輸入したことが明らかになっている。この超過分を調整している可能性もある。
北朝鮮国営の朝鮮中央通信は2月23日、「友好的な隣国だとする周辺国が、国連安全保障理事会の制裁決議を口実にして、われわれとの貿易を完全に遮断する措置を講じた」と伝えた。
中国を名指しを避けながらも非難したもので、「制裁が市民生活に影響を与えてはだめだと言いながら、事実上われわれの体制を崩壊させようとする敵の策動と変わりはない」としてい る。
そして、「いくらかの金を絶ったからといってわれわれが核兵器や大陸間弾道ミサイルを作れないと思うのは幼稚極まりない」として核・ミサイル開発を継続する姿勢を改めて強調した。
付記
2月の石炭輸入は、123万トン、9800万ドルであった。累計では数量は270万トンで上限の36%、金額は2億2千万ドルで上限の55%にとどまった。
2月18日の公告12号では、「制裁決議で定められた輸入額の上限に近づいたため」とするが、事実ではない。
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