Samsung Group がグループの社内食堂の給食業務を100%子会社に全量発注しているのが独禁法上、問題となっている件で、韓国公正取引委員会は6月24日、グループに過去最大規模の課徴金を賦課した。
サムスン電子・サムスンディスプレイ・サムスン電機・サムスンSDIの4社は系列企業のSamsung Welstoryに社内食堂の給食業務を全量発注し、取引条件をSamsung Welstory 側に有利に設定した疑いが持たれている。
これが問題となったため、Samsungは今年4月、大企業7社と「団体給食発注開放発表式」を行い、「系列企業や一族経営の会社に随意契約で発注していた社内食堂の団体給食に競争入札を導入し、中小企業などに門戸を開く」とした。
そのうえで、Samsungは公取委に自主的な是正策(「同意議決」)を提出した。
Welstoryが独占してきた社内食堂の運営を開放し、中小・中堅企業への発注を優先的に考慮する 。
給食、食材関連の中小企業375社に融資支援(総額1500億ウォン:149億円)、
中小給食業者1000社に衛生、安全教育、メニュー開発コンサルティングなどの費用を支援(総額50億ウォン)、
社会福祉法人、保育所など450カ所に食品安全改善支援(総額100億ウォン)などを行うことも提案した。
しかし、公取委はこれを拒否した。財界関係者は「同意議決の棄却は公取委がSamsungの主な役員を検察に告発し、巨額の課徴金を課すなどの制裁を行うという意味だ」と述べた。
2021/6/12 韓国公取委の強い姿勢
今回、 韓国公取委はサムスン電子・サムスンディスプレイ・サムスン電機・サムスンSDIとSamsung Welstoryに合計2349億ウォン(約230億円)の課徴金を賦課し、サムスン電子と崔志成 ・元サムスン未来戦略室長を検察に告発すると明らかにした。
不当支援行為事件に賦課された課徴金では過去最大規模で、このうちサムスン電子に対する1012億ウォンは国内の単一企業の課徴金で最も大きい。
サムスン側は直ちに「納得しがたい」として行政訴訟を提起する立場を明らかにした。
公取委の調査によると、サムスン電子など4社は2013年4月から社内の全給食をWelstoryに随意契約方式で集めた。
公取委はこの過程で、未来戦略室の指示に基づきサムスン系列会社がWelstoryに対し 、食材費の利益率25%を保証するなど「非常に有利な条件」で「過多な経済上の利益」を提供したとした。
また、公取委はWelstoryが不当支援で得た利益を背景に 他の取引の秩序を乱したと判断した。
「Welstoryは外部事業場の受注では営業利益率-3%を提示し、積極的に市場支配力を拡大した」とし「他の給食会社は入札機会自体を喪失したり 、不利な条件で受注競争をするしかなかった」と主張した。
「Welstoryが内部・外部経営環境の変化に関係なく毎年約1兆1000億ウォンの売上高と1000億ウォン水準の営業利益を出した」と指摘した。
不当支援期間にWelstoryが内部取引で出した営業利益は累計4859億ウォンだが、非系列会社の営業では103億ウォンの赤字を出している。
公取委はWelstoryが第一毛織とサムスン物産の合併の正当性確保に寄与したとも見なした。合併の過程でWelstoryの価値が高く評価され、合併後Welstoryの営業利益がサムスン物産に帰属し、配当資金などに充てられたというのが、公取委の分析だ。
Samsung Welstory は第一毛織の子会社であったが、第一毛織がSamusung 物産と統合した。
「今回の事件は、総帥一家の持ち株比率が高い会社に多数の系列会社が長期間にわたり利益を提供した行為」とし「総帥一家の私益詐取規制を避けながら隠密に進めた支援行為を摘発した」と述べた。
李一族が第一毛織の45.56%を保有していた。これと合併した新サムスン物産は李一族が支配し、グループの事実上の持株会社となった。
公取委によると、第一毛織子会社のWelstoryの評価を高くすることにより、合併比率を李一族に有利にした。
これに対し サムスン電子は、「役職員の福利厚生のための経営活動が不当支援と見なされて遺憾」という立場を出した。
公取委が「Welstoryがサムスン物産と第一毛織の合併の正当性を確保するのに寄与した」と述べた点について、サムスン電子は「告発決定文に含まれなかったり相異なる内容で、世論の誤解を招き、今後進行される検察の捜査と裁判所の裁判に予断が生じないか憂慮される」と明らかにした。
サムスン電子の李在鎔副会長は、朴槿恵・前大統領らへの贈賄罪で有罪となり収監されているが、これとは別に、2015年のサムスン物産と第一毛織の合併過程における背任、サムスンバイオロジクスの粉飾会計などサムスン経営権継承を巡る一連の疑惑でも裁判を受けている。
韓国のソウル中央地検は2020年9月1日、李在鎔サムスン電子副会長を株価操作などの罪で在宅起訴した。裁判は最長1年半かかり、最終的に最高裁が判断する事態となれば、決着までさらに2年を要することもあり得る。
2020/6/2 韓国検察、サムスン電子副会長を再度聴取、経営権継承巡る疑惑
サムスン電子は「不当支援の指示はなかった」と繰り返し強調し、「会社としても(役職員に)良質の食事を提供するために最善を尽くした」と釈明した。
サムスン電子は今後、公取委の全員会議議決書の内容を検討して行政訴訟を提起し、法的手続きを通じて正常な取引であることを主張する。
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普通に考えると、社員食堂の運営をどうするかは会社の判断に委ねられると思われる。また社員の福祉のために企業が費用を負担することも妥当である。
しかし、供与利益が大きすぎること、結果としてオーナーが主株主である企業を利していること、この会社の新旧親会社同士の合併でオーナーが背任で起訴されていることなど、公取委が問題視するのも理解できる。
最終的にどう決着するか、注目したい。
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