2017年7月アーカイブ


経済産業省は7月31日、2016年度のエチレンセンター10社の収益状況を発表した。

昨年までは、エチレンセンターは三井化学の大阪石油化学を含めて11社、実質10社としてきた。今回は住友化学のエチレンが無くなり、大阪石油化学を含めて10社、実質9社となる。
住友化学には丸善石油化学とのJVの京葉エチレンの
エチレンと自社の誘導品が残るため、連結では従来と同じ10社である。

エチレンセンター10社の石油化学部門の売上高は、ナフサ価格の下落に伴い、石油化学製品の販売価格が低下したことにより、2兆8,912億円と前年同期に比べ26.7%の減少となった。

経常利益については、 能力減もあって
高稼働が続いたことや市況が堅調に推移したことにより、2,302億円と、前年同期に比べ23.2%の増加となった。


石油化学部門の損益の推移は以下の通り。(億円)

年度 経常損益 営業損益
単独 単独 連結
2000 913 - 1,338
01 75 211 643
02 431 613 1,236
03 654 709 1,380
04 2,132 2,156 3,338
05 1,753 1,770 2,946
06 2,725 2,455 3,856
07 2,108 1,900 2,973
08 -1,825 -2,016 -2,034
09 -94 3 338
10 749 689 1,768
11 1,002 705 1,994
12 679 460 839
13 1,548 1,443 2,112
14 213 221 1,716
15 1,868 2,022 4,266
16 2,302 2,302 5,401


連結ベースは、国内及び海外の連結対象会社の変更等があるので、前年度と単純な比較は出来ない。


今回の集計対象は下記の通り。センターは10社(実質9社)、連結では10社である。青字は名称変更。

単独ベース  連結ベース 対象部門(いずれも)
三菱ケミカル旭化成エチレン 旭化成 マテリアル部門
出光興産 出光興産 石油化学製品部門
昭和電工 昭和電工 石油化学部門
JXTGエネルギー JXTGエネルギー 石油化学部門
(住友化学 エチレン停止) 住友化学 石油化学部門、エネルギー・機能材料部門
東ソー 東ソー  石油化学部門
東燃化学 東燃ゼネラル石油 石油化学事業部門
丸善石油化学 丸善石油化学 (全社)
三井化学 三井化学 モビリティ部門、基礎素材部門
大阪石油化学
三菱ケミカル 三菱ケミカルHD ケミカルズ部門、ポリマーズ部門



なお、エチレンセンターの石化部門の経常損益の1984年からの推移は下記の通り。





Western Digitalは6月14日、同社子会社(=SanDisk 系子会社)がSan Francisco County Superior Courtに、東芝と共同で運営する3つのNAND型フラッシュメモリ合弁事業売却の予備的差し止めを求めたと発表した。ICC 国際仲裁裁判所の決定が下るまでの暫定措置として請求している。

裁判所は7月14日、この訴訟の審問を開いたが、結論を持ち越した。

2017/7/15 米裁判所、東芝メモリ売却に関し結論持ち越し

2回目の審問は7月28日に開かれたが、双方が下記の点で合意し、裁判所はこれを裁判所の決定とした。裁判所は売却の予備的差し止めの判断をしなかった。

合意は、第一回の審問で裁判所から示された「裁判所の決定を求めるよりも両者の合意に向け交渉すべきである」という提案に基づきなされた。Western Digital が予備的差し止めを求めたのは、ICC 国際仲裁裁判所の決定が下るまでに抜き打ちで売却されるのを防ぐための暫定措置であり、交渉でこれが防げればよいではないかというもの。

合意内容は下記の通り。

最終契約締結後、24時間以内に公表

売却完了(払い込みが終わる手続き)の2週間前までに通知

この合意は、2か月以内にも始まるとみられる仲裁廷が構成された後、60日が経過するまで(今から約4カ月間)有効。

東芝は進行中の売却手続きを止める必要がない一方、Western Digital 側には通告を受けて何らかの法的措置を起こす余地を残す。Western Digital 側は「2週間あれば売却への対抗措置をとるのに十分な時間を取れる」としている。 また、今回の適用期間後も、仲裁裁判所や米州裁判所に売却手続き一時停止の暫定的保全措置を申し立てることは可能。

東芝は合意について次のように述べている。

今回の合意は極めて限定された期間のみ有効なものである上、内容としても、東芝がメモリ事業売却の交渉を進めて最終契約を締結するという権利が認められた。

裁判所が言及した期間(今から約4カ月間)に事業売却が完了(払い込みが完了)することは予定していない。
(* 独禁法当局の承認を考えると、売却完了は東芝が上場廃止のための絶対条件とする来年3月末でもギリギリである。)

本合意は、SanDiskが東芝メモリの株式売却に関して同意権を持つことに当社が合意したものではない。

東芝は裁判管轄を争う旨の主張を留保しており、この限定された合意の締結及び実行以外の事項に関して、カリフォルニアの裁判所が裁判管轄を有することを認めたものでもない。
(Western Digital は、本件合意を裁判所の決定とすることで、裁判所が東芝に管轄権を持つことを認めたとしている。)

持分譲渡に関する問題を取り扱うに適切な場である国際商工会議所(ICC)の仲裁廷における対応に注力する。

Western Digital は、目的はJVの成功であり、ベストな解決策を引き続き求めるとしている。

今後、東芝とWestern Digital の争いは国際仲裁裁判所を舞台に続けられることになる。

しかし、仲裁裁判は1~2年かかるとみられている。それまでに売却が完了していても、無効とされたり、損害賠償を求められる可能性がある。
このため、優先交渉先の日米韓連合も、法的リスクが続く限り、契約締結には踏み切れないとみられる。(日米韓連合にはSKハイニックスが議決権を求めている問題もある。)

各国の独禁法当局の承認を得るには6カ月は必要とされており、Western Digital との対立が解消しない限り、来年3月末までの売却は難しい。


米連邦破産法11条の適用を申請中の Westinghouse が手がける原発建設をめぐり、親会社の東芝が発注元の米電力会社に支払う債務保証額が 計6561億円に確定した。
保証額は東芝が見積もっていた範囲内に収まり、東芝は原発工事に関して追加の損失を避けられる見込みになった。

東芝は7月27日、サウスカロライナ州で建設中のV.C. Summer 原発2号機、3号機に関する親会社保証について、South Carolina Electric & Gas 及びSantee Cooper との間で合意書を締結した。

東芝は両社に対し、2,168百万ドル(2,432億円)を2017年10月から2022年9月までの間に分割で支払う。

この支払は、2基の原発の建設、1基だけの建設、建設断念のいずれのケースでも行われる。

この額は、当初電力側が想定していた17億ドルを上回る。

東芝は6月10日に、ジョージア州で建設中のVogtle 3、4号機建設計画に関する親会社保証について、Southern電力に対し、3,680百万米ドル(4129億円)を2017年10月から2021年1月までの間に分割して支払うことで合意書を締結している。

2017/6/12 東芝、米国原発建設プロジェクトの親会社保証問題で前進 

これにより、保証債務損失は以下の通りで、引当金の範囲内のため、2016年度業績見通しに変更はない。

確定額 Vogtle 3、4号機 3,680百万ドル 4,129億円
V.C. Summer 2、3号機 2,168百万ドル 2,432億円
合計 5,848百万ドル 6,561億円
引当額 (2017/5/15 業績見通し)
 親会社保証引当金および貸倒引当金 約9800億円のうち
6,700億円
引当額 (2017/6/23 業績見通し)
 Vogtle 3、4号機の確定額折り込み
7,162億円

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Vogtle 3、4号機については、WestinghouseのChapter 11 申請後も建設を続行していたが、完成を目指すか、断念するかは未定であった。

Southern電力はこのたび、建設続行を決め、傘下のGeorgia Power がWestinghouseとの間で新しいサービス契約を締結した。

今後の建設管理をSouthern電力が行うもので、Westinghouseは、設計、購買、ライセンス支援サービスを行い、建設に必要な知的財産の使用を認める。

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V.C. Summerについては、電力側は原発の建設を続行するかどうかを決めていない。

電力側は、2基の完成には、今回の妥結額を超える費用がかかるとみている。
また、現在のWestinghouseとの建設契約は8月10日に切れるため、結論が急がれる。

米国では、新しい原発建設には税額控除が認められているが、この制度が2020年末に切れる。(2021年1月1日以前に稼働していることが条件)

米下院は6月に期限の延長を認めたが、上院はまだ承認していない。

延長のない場合、現状では2基をこれまでに完成させることは無理と見られており、1基にするか、2基にするかが重要となる。

付記

South Carolina Electric & Gasは7月31日、建設を断念すると発表した。完成を目指せば追加コストが膨らみすぎること、税額控除制度の延長が不明なこと等を勘案して決定した。

South Carolina Electric & Gas(55%出資)は事業継続も考えたが、共同事業者のSantee Cooper (45%出資)が撤退を決めたため、断念した。

既に90億ドルを投じているが、工事は40%以下しか進んでいない。2号機は2019年8月から2022年12月に、3号機は2020年8月から2024年3月にと3年以上遅れる見通しとなり、建設費も250億ドル以上と、当初の115億ドルの予想から2倍以上となる。

South Carolina Electric & Gasは、解体などにかかる費用約49億ドル (同社持ち分)を考慮しても現時点で建設中止したほうが、株主や顧客などにとってダメージは少ないと判断したという。

V.C. Summer 原発の建設断念に伴い作業員など約5000人の雇用が失われる見通しで、トランプ政権が日本政府などに何らかの注文をつけてくる可能性もある。

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今回の決定で東芝の負担が確定した訳ではない。

それぞれの電力会社は総括原価方式により追加コストを電気料金に転嫁しており、消費者が東芝を訴える恐れもある。

Southern電力は米政府の債務保証で銀行から融資を受けており、これが影響する恐れもある。 

中国国務院弁公庁は7月18日、「海外の廃棄物輸入を禁止し、固体廃棄物の輸入管理制度改革の実施推進に関する方案」を発表し、海外の廃棄物の輸入を全面的に禁止する方針を示した。

http://www.gov.cn/zhengce/content/2017-07/27/content_5213738.htm

1980年代以降、中国は原材料不足を補うため、原材料として使用できる固体廃棄物を海外から輸入してきた。同時に環境問題に対応するため、固形廃棄物の管理システムを順次採用してきた。最近では多くの地方自治体が密輸を摘発し、管理を強化している。しかし、管理の緩い地方もあり、違法な輸入を行う企業も存在する。

このため、固体廃棄物の管理制度を整備し、固体廃棄物の回収、利用管理を強化することで、循環型経済の発展に力を入れるほか、環境の質を確実に改善し、中国の生態環境の安全性や国民の健康を守る。

今後、業界・種類ごとに、固体廃棄物の輸入を禁止する時期を定め、固体廃棄物の輸入管理リストを種類ごとに段階的に調整し、法律、経済、行政の手段を総合的に活用して、輸入されるものの種類と数を大幅に減らすと同時に、中国国内の固体廃棄物の回収、利用、管理を強化し、循環型経済の発展を促進する。

2017年末までに、廃プラスチック、古紙や紡績原料の廃棄物、バナジウム・スラグなど、環境への害が大きく、国民が強く懸念する固体廃棄物の輸入を禁止する。

2019年末までに、中国国内資源で代替できる固体廃棄物の輸入を段階的に停止する。

輸入固体廃棄物管理リストを種類ごとに、段階的に調整し、輸入される固体廃棄物の種類の数を段階的に、秩序立てて減らす。

本の紹介

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本の紹介 「日本人ビジネスマン、アフリカで蚊帳を売る: なぜ、日本企業の防虫蚊帳がケニアでトップシェアをとれたのか? 」 

   浅枝 敏行 著 東洋経済新報社 (2015/7/17)   右上の本の紹介参照

住友化学のOlyset Net はピレスロイド系殺虫剤を練り込んだポリエチレンで作った長期残効型防虫蚊帳で、マラリア対策用にWHOからも使用を推奨されている。

本書は第1部でオリセットの開発とWHOなどの国際機関の援助資金による販売、第2部でレーマンショックによる援助資金減少を受けてのアフリカでの小売事業への進出を扱っている。後半が本書の中心である。

第1部 オリセットの誕生と躍進
 第1章 オリセット誕生前夜
 第2章 動き始めたオリセット・ビジネス

   第2部 小売への参入ー消費者マーケティングへの挑戦
    第3章 競争と変革への備え
    第4章 新たな事業を「始める」
    第5章 BOP市場へのマーケティング
     (
BOPとは「Bottom Of Pyramid」の略で、経済的に社会の底辺の貧困層)

筆者は外部コンサルタントだが、実質的にヘッドとなって小売事業を推進した。

日本でも小売をしていない住友化学が、アフリカで小売事業を行う。考えられないことがどうして出来たのか。

本書は、筆者以外は全て実名で、ストーリー仕立てで解説している。

ーーー

以下の話も紹介されている。

2005年1月のダボス会議で米倉弘昌社長(当時)がこの蚊帳を紹介した。
タンザニア大統領が各国にODAの増額を訴えたが、反応はあまりなかった。

ムカベ大統領やBill Gatesなどが壇上に並び、国連の貧困対策運動を率いるJeffrey Sachs 教授が話している最中に、女優のSharon Stoneが客席から突如立ち上がり、「私はシャロン・ストーンと申します。マラリアを運ぶ蚊からアフリカ人の子供を保護するために、ムカパ大統領に1万ドル寄付します。 私に賛同する人、立ってください」と叫んだ。
会場は騒然となり、5分間で100万ドルの寄付が集まった。英国のブレア首相は後日、8500万ドルを寄付することを発表した。

2007年からは JBIC(国際協力銀行)の資金提供を受け、A to Z 社と合弁で Vector Health Internationalを設立、年間670万張の生産を始めた。

2008年に当時のブッシュ大統領夫妻がA to Z社を訪問した。工場見学後にBushは、「なぜ、このような工場がアメリカの企業ではなく日本の企業に、先に成し遂げられているのか? 本音ではうらやましく感じる」と述べた。

2013/6/8 住友化学のOlyset Net


参考 2014/12/20 WHOの"World Malaria Report 2014"

    2015/8/22 「世界モスキート・デー」

    2017/7/18 BASF、マラリア対策の長期残効型の防虫処理蚊帳を開発


付記

外資系企業から途中入社し、この事業部門のトップとなった水野達男氏は現在 NPOのMalaria No More Japan の専務理事をしているが、自身の経験から

「人生の折り返し地点で、僕は少しだけ世界を変えたいと思った。――第2の人生 マラリアに挑む 」(英治出版 2016/1/22) を書いている。



昭和電工は7月24日、インドネシア西カリマンタン州タヤン地区でアルミナの製造を行うP.T. INDONESIA CHEMICAL ALUMINAから撤退すると発表した。

INDONESIA CHEMICAL ALUMINAは2007年2月に昭和電工 20%、PT. Antam Tbk 80% 出資で設立された。

西カリマンタン州タヤン地区でアルミナ及び水酸化アルミニウム を年間30万トン生産し、昭電が20万トン、Antamが10万トン引取る。
2015年2月に商業生産を開始した。

昭和電工の生産技術を導入し、Antam が操業を担ってきたが、従業員の熟練度不足などで操業が安定せず、資金繰りにも困窮していたという。

昭和電工はこれまで、
Antamと再建策の協議を進めてきたが、今回、意見の相違から出資の引き揚げを決めた。

持株全てを売却する方向で、第三者への売却も含めAntamと交渉を進めることを決定した

昭和電工として、持分法投資損失 約100 億円
、特別損失(保証債務、貸付金)約 67億円、合計 約 167億円 を計上した

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アルミナはボーキサイトを原料として生産される。アルミナを電気分解してアルミニウムを生産するが、アルミナ、水酸化アルミニウム自体も下記のような用途がある。

「電気の缶詰」と言われるアルミニウム精錬は、1978年に6社で「164万体制」であったのが、電力料の高騰で競争力を失い、1979年には「110万体制」、1982年に「70万体制」、1986年には「35万体制」となり、1988年には日本軽金属・蒲原の3.5万トンのみとなった。日本軽金属・蒲原もその後、2013年には能力を2600トンとしたが、2014年3月31日に停止した。

昭和電工、日本軽金属、住友化学の3社は、その後もアルミ電解以外の用途のため国内でアルミナを製造し続けた。

各社は輸入したボーキサイトを苛性ソーダで溶融し、水酸化アルミニウムとし、更にこれを焼成してアルミナを製造するが、水酸化アルミの生産時に膨大な量の赤泥ができる。

泥は産業廃棄物であり、産業廃棄物の海洋投棄は、1972年にできたロンドン条約で原則禁止されているが、日本国内法では、赤泥が「例外」に当てはまるとし、海洋投棄を「特別」に認めていた。

しかし、海洋汚染の影響などを考慮し、各社とも自主的に撤退の方針を決めた。

2008/3/8 アルミナメーカー、ボーキサイトの国内精製から撤退へ

日本軽金属はベトナムでの生産を検討したが、2008年7月に撤退を決めた。海外品を輸入している。

住友化学は海外で生産された水酸化アルミニウムを原料に、従来と同等の品質の製品が提供できることを確認し、2010年月に原料の全面転換を行った。

昭和電工は横浜事業所で年産約20万トンのアルミナを生産していたが、2015年までに撤退することを決定した。

2010年8月31日インドネシア政府が65%出資するPT. Antam Tbkと共同で2011年1月よりインドネシア西カリマンタン州でケミカル用アルミナ工場の建設を開始すると発表した。

2010/9/6 昭和電工、インドネシアでアルミナ工場建設 

今後は昭和電工も輸入品を販売すると思われる。

 


田辺三菱製薬は7月24日、イスラエルの医薬品企業 NeuroDerm Ltd.の買収手続き開始について合意したと発表した。

普通株式およびストックオプションを含む本買収の取得価額の総額は、約11億米ドル。

NeuroDerm は、 パーキンソン病の治療薬に関して、新たな製剤研究や、医薬品と医療器具(デバイス)とを組み合わせる優れた技術開発力を有する医薬品企業で、現在、米国および欧州でフェーズ3に移行し、2019年度に上市が見込まれるパーキンソン病治療薬「ND0612」を中心に開発を推進している。

NeuroDermの開発パイプラインは次の通り。
製品名 一般名 想定適応症 ステージ
ND0612 レボドパ/カルビドパ持続皮下注投与ポンプ/パッチ製剤 パーキンソン病(中等度/ 重症)  P3
ND0701 アポモルフィン持続皮下注投与ポンプ パーキンソン病(重症)  P2
ND0801 経皮剤 中枢神経系疾患に伴う認知障害  P2


パーキンソン病(Parkinson's disease)は、錐体外路症状を示す進行性の神経変性疾患である。中枢神経系に存在する神経伝達物質のドパミン(dopamine)が減少し、筋固縮、振戦、無動などの運動症状が起こる。

パーキンソン病の病勢の進行を止める根本治療法はないものの、薬剤による対症療法が中心に行われている。

ドパミン補充
のため、L-ドーパ含有製剤レボドパ およびレボドパ・カルビドパ水和物などのドパミン受容体刺激薬の錠剤が臨床使用されている。
中でもドパミンの前駆体であるレボドパは、脳内でドパミンに変換され、パーキンソン病症状の軽減に高い有用性を持つと評価されている。

パーキンソン病の治療では、疾患の進行に伴い、代表的な治療薬であるレボドパ の血中濃度を適切にコントロールすることが重要である。

NeuroDermの「ND0612」は、同社が有する製剤技術により、経口治療薬であるレボドパ および カルビドパの液剤化に世界で初めて成功し、それらを携帯ポンプにより24時間持続的に皮下注射する 製剤で、これによりレボドパ の血中濃度を一定にコントロールし、進行したパーキンソン病患者に問題となる運動症状の改善が期待されている。

田辺三菱製薬では、世界最大の医薬品市場である米国を中心に成長するため、自社販売による持続的成長基盤を早期に構築することを目指しており、第一歩として、2017年8月に筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬ラジカヴァの米国市場での販売開始を予定しているが、「ND0612」の獲得により、中期経営計画の目標である2020年度までの米国売上収益800億円の 達成が可能になると考えている。

ーーー

NeuroDerm のND0612は、ドパミン補充のためのレボドパ錠剤を液剤化し、携帯ポンプにより24時間持続的に皮下注射する 製剤である。

パーキンソン病治療薬には他に、ドパミン受容体に結合し刺激することにより作用を示すドパミンアゴニスト がある。

ドパミンアゴニストは長時間作用性であり、安定したドパミン受容体の刺激が図れるため、レボドパ効果の短縮に伴った症状悪化緩和にも役立つ。
しかし、単独投与の効果はレボドパに及ばず、上部消化管症状や循環器症状、幻覚の頻度も高い。

大塚製薬は2013年、パーキンソン病およびレストレスレッグス症候群の治療薬として、世界で唯一の経皮吸収型ドパミンアゴニスト製剤「ニュープロパッチ」を発売した。

レストレスレッグス症候群(Restless Legs Syndrome)は、主に脚(足の裏、ふくらはぎ、太ももなど)に不快な感覚を覚え、じっとしていられなくなる慢性疾患で、日本国内の有病率は成人の1.5%と推定され、40歳以上の中高年、特に女性に多いといわれている。

経皮吸収型の「ニュープロパッチ」は、1日1回貼付するという簡便な投与方法で、薬剤が持続的に放出され、24時間血中濃度を一定に維持し、安定した効果が期待できる。

2002年に日本国内における「ニュープロパッチ」の独占的開発・販売権をベルギーのUCB社から取得し、開発を行ってきた。海外ではNeupro®の製品名で、パーキンソン病で50カ国以上、レストレスレッグス症候群で30カ国以上の承認を得ている。




トランプ米大統領は7月21日、防衛産業の強化を目指して部品供給網などの調査を求める大統領令を発令した。

Presidential Executive Order on Assessing and Strengthening the Manufacturing and Defense Industrial Base and Supply Chain Resiliency of the United States

米国で2000年以降、米国の主要企業の 6万以上の工場が閉鎖され、約500万人の製造業の雇用が失われた。米国の製造業が国防のニーズに対応できない恐れがあり、軍需産業の健全性に懸念が生じている。これ以上、工場やサプライチェーンの要素が失われると、国防に必須の能力を創り、維持し、保護し、拡大する能力を損なうこととなる。工場が無くなると、国防に必要な熟練労働もなくなる。

力強い製造基盤、力強い防衛産業基盤、弾力的なサプライチェーンを戦略的にサポートすることは、重要な国家的優先事項である。

防衛産業に関連する製品や部材の国内供給力、問題点、サプライチェーンが切れる可能性、等々を幅広く調査し、270日以内に是正策を含めて報告するよう、国防長官に指示する。

通商政策で「強硬派」として知られるWhite House のPeter Navarro 国家通商会議委員長は、「米国の防衛産業基盤は能力面でギャップが広がっている。潜水艦のプロペラを修理できる会社は1社しかない」と述べた。

その上で、軍用の半導体や軍用機向けの液晶モニターなどの多くが外国製だとし、バランスの取れた貿易を実現し、国内調達を増やす必要があると強調した。


トランプ大統領は4月20日、大量の鉄鋼輸入が米国の安全保障を脅かしている懸念があるとして、米通商拡大法に基づいた鉄鋼輸入の実態調査を米商務省に指示した。

https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2017/04/20/presidential-memorandum-secretary-commerce

4月27日には、アルミニウムについての調査を指示する大統領令を出した。

https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2017/04/27/presidential-memorandum-secretary-commerce


今回の大統領令は232条とは別枠で、輸入制限などの措置には触れていない。ホワイトハウスは防衛産業の強化策として人材育成などを挙げている。

なお、鉄鋼については、トランプ大統領が関税引き上げと輸入割り当てを同時に課す考えを表明したが、米産業界で賛否が分かれている。

輸入鋼材の攻勢を受ける鉄鋼業界は早期の関税引き上げなどを要求しているが、石油業界はパイプラインの価格の上昇につながりかねない制裁措置には反対しており、自動車産業も反対している。

7月21日に博多港アイランドシティにあるコンテナ置き場でヒアリが発見された。ヒアリの発見は6都府県で8例になった。

ヒアリ(Red imported fire ant)は、学名 Solenopsis invicta で、南米大陸原産のハチ目(膜翅目)・アリ科・フタフシアリ亜科に属するアリ。

アメリカでは1930年ごろにヒアリの侵入が確認され、船荷に伴って持ち込まれたと考えられている。

近年、オーストラリア、ニュージーランド、マレーシア、台湾、中国南部など環太平洋諸国に急速に分布を拡大している。

ニュージーランドは世界で唯一、ヒアリの根絶に成功したとされる国とされる。

2001年にオークランドの空港の近くでヒアリの巣が発見されたものの、現場周辺で徹底したモニタリングを実施するなどの対策を講じ、2003年までに根絶宣言を出した。

その後、2004年(Napier港)と2006年(WhirinakiのPan Pac Forest Products 社)でも ヒアリの侵入が確認されたが、駆除に成功している。

Whirinakiでは3万匹のヒアリの巣を処理した後、巣から半径2kmのエリアを3年間 徹底的に調査(90万以上の餌入りの容器を回収してチェック、近寄れない場所はベイト剤を散布)し、2009年に根絶を確認した。http://b3.net.nz/gerda/refs/14.pdf

ニュージーランド第一次産業省担当者は、「早期発見が成功の主な要因だ。監視プログラムが2度目のヒアリ発見につながった」と述べている。


住友化学は7月20日、 国内関係機関によるヒアリの侵入および定着阻止の各種取り組みに役立てるために、海外で展開するヒアリ対策剤「Esteem®」を日本に導入すると発表した。

まず環境省などに無償で提供して効き目を確かめてもらい、需要が見込めれば業務用販売も検討するとしている。

「Esteem®」は、同社の100%子会社のValent U.S.A.がEPA登録を取得している製品で、米国国内で販売されてい る。

(販売元は、住友化学が包括的業務提携契約を結んでいる豪州の農薬メーカー Nefarm の米国子会社)

そのほか、ヒアリの問題が顕在化したオーストラリア、ニュージーランド、台湾のヒアリ根絶プロジェクト等、各国の行政当局でも使用されている実績を持ち、高い評価を得てい る。

オーストラリア、ニュージーランドでは「Distance®」の商標で登録、販売されている。

「Esteem®」は、Valent U.S.A.が開発した誘引ベイト剤で、主に餌剤と有効成分ピリプロキシフェン(Pyriproxyfen)から構成された顆粒剤が、ヒアリによって巣に運ばれ摂食された後、有効成分の作用によって女王アリの産卵および幼虫の成虫化を抑制する効果がある。

本剤が使用された国では、処理後3~4週間で巣が衰退し、 8週間後にはヒアリが駆除され、防除に役立つことが確認されているという。

ピリプロキシフェンは、1981年に住友化学により開発された4-フェノキシフェノキシ構造を有する殺虫剤で、昆虫体内で幼若ホルモンとして作用し、胚仔の発育阻害による殺卵作用、蛹化または成虫化を阻害することによる変態阻害作用等により作用すると考えられている。


ピリプロキシフェン はハエ、蚊、ゴキブリなどの衛生害虫に成長抑制剤として機能する。WHOの評価書 Pyriproxyfen in Drinking Water において、ジカ熱、デング熱、黄熱病等の感染症を媒介する蚊防除に有効な薬剤とされている。

農業・園芸分野では、カイガラムシ、コナジラミ、アメリカタバコガ、ヨコバイ、アブラムシ、ヨトウムシなどの駆除に使われている。


登録にあたり、哺乳動物に対する膨大な安全性試験が実施され、発がん性や催奇形性等の悪影響がないことを確認しており、また、世界保健機関(WHO)、EPA、欧州食品安全機関(EFSA)においても同様の評価が与えられて
いる。

一時、ブラジルにおける蚊幼虫駆除剤としての使用と小頭症発生の因果関係を示唆する報道があったが、ブラジル保健省は、ピリプロキシフェンと小頭症の関連を示す科学的根拠はないことを明らかにした。幼虫駆除剤を使用していない地域からも小頭症患者が確認されているとしている。

米上院共和党による医療保険制度改革(オバマケア)改廃への取り組みは、7月17日夜に新たに党内から2人の造反が出たことで頓挫した。

上院議員は現在、共和党52、民主党46、無所属(民主系)2 となっている。

共和党では既に2人の議員が反対を表明しており、与党造反が合計4人となって、賛成票は過半数に届かない。

オバマケア撤廃という共和党の7年越しの悲願は再び暗礁に乗り上げた。

ーーー

Trump大統領はオバマケアの廃止を公約としていた。

米上院は1月12日、オバマケア撤廃に向けた法案の策定を各委員会に指示する決議案を可決した。翌13日に下院も賛成多数で決議した。

大統領は1月20日の就任当日に最初の大統領令を出し、オバマケアの撤廃に向け、各省庁に現行制度による経済的負担を軽減するよう指示した。

米下院の共和党議員らは3月6日、低所得者向け医療費補助制度の拡張などを含む医療保険制度改革法(オバマケア)を廃止する法案を発表した。

民主党は、税金廃止や税額控除で富裕層が恩恵を受け、数百万人の中低所得者層から保険を奪うとして反対を表明した。

共和党保守派は代替案をオバマケアの「焼き直し」などと批判、オバマケアの完全な廃止を求めた。

超党派の議会予算局(CBO)は3月13日、法案が成立すれば保険加入者数は2018年に現行より約1400万人、2026年には約2400万人減るとの見通しを発表し、ショックを与えた。

共和党は3月24日の採決を予定したが、可決の見通しが立たず、トランプ米政権は同日、オバマケアを見直す代替法案の下院本会議での採決を見送り、法案を事実上撤回すると表明した。

2017/3/27 オバマケア代替法案撤回

その後、共和指導部は、病歴のある加入希望者に保険会社が割増保険料を請求することを認める一方、既往症のある人に保険料補助を出すなど、保守派、穏健派双方の議員に配慮して法案を修正した。 

米議会下院は5月4日の本会議で、共和党が提出した医療保険制度「オバマケア」の廃止と、これに替わる制度の創設を盛り込んだ法案(American Health Care Act )を賛成217、反対213の僅差で可決した。共和党からは20人が造反した。

2017/5/9 オバマケア代替法案 米下院が可決 (法案内容も) 


オバマケア代替法案を巡り、上院共和党では穏健派が無保険者の増加につながると懸念する一方、保守派はオバマケア廃止には不十分と主張し、見解が割れている。

上院案は下院案をおおむね引き継ぎつつも、低所得者の民間保険への加入を促すための支援策を手厚くした。

トランプ大統領は6月27日、52人の共和党上院議員全員をホワイトハウスに呼び、今後の対応について協議した。

しかし、過半数の賛成は見込めず、米共和党上院トップのマコネル院内総務は同日、党内の支持を増やすため、採決を先送りすることを決定した。

米議会予算局(CBO)は6月29日、米上院の代替法案が施行された場合、2026年までに無保険者がオバマケアに比べて2200万人増えるという試算を発表した。

2026年の無保険者は推定4900万人に達し、現行法の約2800万人に比べて大幅に増える見通し。

試算では、同法案によって財政赤字は今後10年で3210億ドル削減できるとした。(現行法ではメディケイド向け支出が今後20年にわたり年間 5.1%拡大すると試算。一方、上院の法案が施行されれば、2026年までは年間 1.9%のペースで拡大、その後の10年は年3.5%拡大する。)

共和党のマコネル上院院内総務は7月11日、上院の修正案を7月13日に発表し、審議を開始し、7月18日の週に採決すると発表した。修正案の内容は明らかにしなかった。

しかし、7月17日夜に新たに党内から2人の造反が出て、反対が4人となったことで今回も頓挫した。

トランプ大統領は同日、ツイッターへの投稿で「共和党はオバマケアを単に撤廃し、白紙の状態から新たな医療保険制度を作り出すべきだ。そうすれば民主党も参加する」と呼びかけた。

Republicans should just REPEAL failing ObamaCare now & work on a new Healthcare Plan that will start from a clean slate. Dems will join in!

病気静養中の共和党重鎮のマケイン上院議員は、声明を発表し、米国民に質が高く手の届く医療保険制度を提供するため、超党派で取り組んでいくべきだとの考えを示した。



付記

米上院は7月25日、オバマケア見直しの法案審議を開始することを承認した。脳腫瘍と診断されアリゾナ州の自宅で療養中のジョン・マケイン上院議員も出席、採決は50対50の同数だったため、上院議長であるペンス副大統領の判断で可決した。
ただ与党・共和党内の対立で法案の内容は固まっておらず、法案成立につなげられるかどうかは不透明。

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同日行われた第1弾の包括的な代替法案である通称"Trumpcare 3.0"の採決では、共和党から9人の造反が出て43対57の反対多数で早くも否決された。

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上院は7月26日、オバマケア廃止法案(2年後に廃止する、それまでに代替案を検討するという案)を採決し、45対55の反対多数で否決した。与党・共和党(52人)から、手術から復帰したばかりのマケイン上院議員を含む7人が反対した。

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上院は7月28日、与党共和党執行部が作成したオバマケアを限定的に廃止する法案を賛成49対反対51の僅差で否決した。

"Skinny(骨と皮ばかり)"と呼ばれる法案で、個人の保険加入義務や医療機器メーカーに対する課税などオバマケアの一部だけを廃止する内容。しかし、米議会予算局の試算では、今後10年間で1600万人が保険を失うとされ、共和党からマケイン上院議員と他の2人が反対した。

この法案は共和党内で「最後の妥協案」とも言われていた。

トランプ大統領はツイッターで「3人の共和党議員と48人の民主党議員がアメリカを落胆させた(3 Republicans and 48 Democrats let the American people down.)」と強い不満を示した。


2014年6月施行の改正薬事法(現 医薬品医療機器法)により、処方箋なしで購入できる市販薬(一般用医薬品)のネット販売が3年前から解禁されたが、国は医療用から市販薬に切り替わったばかりで、副作用の評価が定まっていない一部の薬については原則として3年間ネット販売を禁止した。

この規制が憲法違反だとして、ネット通販を手掛ける楽天の子会社が国に販売規制の取り消しを求めた訴訟の判決が7月18日、東京地裁であり、裁判長は規制の合理性を認め楽天子会社の請求を退けた。この規制に対する司法判断は初めて。

ーーー

2009年6月までは、一般用医薬品は薬剤師を置かないと販売できなかったが、逆に、薬剤師を置けばインターネット販売も可能であった。

2009年6月1日に改正薬事法が施行され、コンビニエンスストアなどでも、登録販売者を置けば、「一般医薬品」の販売ができるようになるなど、医薬品販売の規制緩和がなされたが、厚生労働省は、改正薬事法施行に合わせて、一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売を規制する内容の省令を公布した。

これに対し、ネット販売のケンコーコム(楽天子会社)とウエルネットは国を相手取り、医薬品ネット販売の権利確認と省令の無効確認・取消を求め、東京地裁に提訴した。

厚生労働省が改正省令が施行される2009年6月1日以降、一般用医薬品のうち、第1類医薬品、第2類医薬品の販売は、対面販売が求められることとされ、郵便等販売が禁止された。
これによりこれまで認められていた営業権を剥奪され、営業上不可償の深刻な不利益を被ることを受け、その権利救済を求める。 

地裁はこれを却下したが、東京高裁は一審判決を一部取り消し、2社に販売権を認める逆転判決を出し、最高裁も2013年1月に国の上告を棄却した。

この結果、省令以前の状態に戻り、ネット販売は従来どおり実施された。

安部首相は原則解禁の方針を表明したが、厚労省は最高裁の判断について、下記のように解釈した。

ネット販売禁止は職業選択の自由の制約になるが、賛否両論があるなか、国会の委任の範囲を超えて勝手に省令で規制するのが違法である。
従い、法改正により規制する。

政府は2013年11月6日、市販薬の99.8%の品目のインターネット販売を解禁する一方、安全性に懸念がある28品目は販売を禁止したり、制限したりする方針を発表した。
政府は11月12日、薬事法改正案を閣議決定し、国会に提出した。→ 2014年6月施行

政府の規制改革会議は2013年10月31日、一般用医薬品(市販薬)のネット販売について改めて議論、会議後、全品目のネット販売を求める追加の意見書を厚労省に提出した。

楽天の三木谷浩史社長は、「3年であれ4年であれ、科学的な議論もなく、一律に規制を行うのは違憲であり、甚だ遺憾だ。対面販売の方がインターネット販売よりも安全だという主張も話にならない」と述べ、政府の方針に強く反対する考えを示した。

そのうえで、「今回の規制は、ネットユーザーを中心に大きな波紋を呼ぶと考えているし、特定の団体の利益を守る規制については断固として反対する。基本的には、司法の場で争うことになるだろう」と述べた。

また、三木谷社長は、今回の政府の方針に反対して、政府の産業競争力会議の有識者議員を辞任する意向を固めた。

2013/11/8 一般用医薬品のネット販売規制

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2013年11月国会提出の改正薬事法では、医師の処方箋が必要な医療用医薬品もネット販売を認めず、対面販売でなければならないと明記した。
それまでも省令で禁じているが、市販薬の省令によるネット販売規制が最高裁で違法とされたため、法律で位置づけた。

楽天子会社のケンコーコムは2013年11月12日、国に対して処方箋薬郵便等販売の地位確認請求訴訟を東京地方裁判所に提起した。

処方箋薬のネット調剤の準備作業を進めてきたが、現行省令に禁止規定があるため自粛している。
しかしこの禁止規定は、一般用医薬品の郵便等販売に関する規定同様に現行薬事法に委任規定がないこと、仮に委任規定があっても、対面販売を要求し処方箋薬のネット調剤を禁止する立法事実が存在しないために無効である。

政府が資料提出を遅らせたため、2014年6月の改正薬事法(処方箋薬のネット販売禁止を明示)が間近となり、ケンコーコムは裁判長の示唆を受け、不本意ながら、本訴訟を取り下げ、下記の訴訟を行った。

ケンコーコムは2014年1月27日、まず要指導医薬品の指定処分の「差止」を求め、東京地裁に差止訴訟を提起した。

しかし、国が答弁に時間を要したこと等により裁判はほとんど進まないまま、2014年6月に要指導医薬品が指定される状況となり、差止請求は、訴訟要件(裁判所が判決を下すための前提条件)を欠くこととなった。

そのため、同社は訴えの変更を申し立てることにし、新設された要指導医薬品について、その「指定処分の取り消し」と、「インターネットで販売できる地位の確認」に変更した。
「副作用のリスクは対面販売でもネット販売でも同じだ」と主張、規制が憲法が定める職業選択の自由に反するとした。

国は従来の一般用医薬品から要指導医薬品という新しいカテゴリーを設け、インターネット販売を一律に禁止することについて、これまで合理的・科学的な根拠はまったく示していない。

また、要指導医薬品に指定された医薬品については、当社がこれまで、薬剤師による丁寧な情報提供のもとで慎重に販売することで、問題なく患者に届けてきた医薬品が含まれている。

当社に限らず、これまで要指導医薬品について、インターネット販売に起因する副作用の報告はされていない。

合理的・科学的な根拠のない要指導医薬品のインターネット販売禁止は、憲法の営業の自由を侵害するのみならず、医薬品を迅速かつ便利に入手しようとする患者の利益をも害するもの。

これに対し、国は「規制は原則3年だけで大衆薬の一部のみが対象であり、憲法違反ではない」と反論。「副作用のリスクが確かでない薬の販売には薬剤師による対面での指導や情報提供が必要だ」と規制の合理性を主張した。


今回、裁判長は、「副作用のリスクに照らせば、薬剤師の判断のもとで販売させる規制には相応の合理性がある」と対面販売の必要性を指摘し、要指導医薬品の品目数が少ないことなども踏まえ、憲法の職業活動の自由には違反しないと結論づけた。

ケンコーコムは、「判決は承服しがたい。規制の見直しに向けた働きかけを継続する」などとするコメントを出した。

厚労省によると、要指導医薬品は7月18日現在、花粉症向けの抗アレルギー用薬「クラリチンEX」、外用鎮痛消炎剤「ロキソニンSパップ」など13品目(8つの有効成分)。

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楽天の100%子会社で、ともに生活用品や日用品を取り扱うEC事業者あるケンコーコムと爽快ドラッグは7月1日合併し、Rakuten Direct ㈱となった。

楽天は楽天市場での日用品や健康関連商品の品ぞろえ強化を狙い、2015年にケンコーコムを、2016年に爽快ドラッグをそれぞれ買収。「事業形態が極めて近い両社を組織的に一体化することで、効率的な運営を図る」としていた。

日銀は7月20日の金融政策決定会合で、2%の物価上昇目標の達成時期をこれまでの「2018年度ごろ」から「2019年度ごろ」に先送りした。物価目標達成の先送りは6回目になる。

会合後に会見した黒田東彦総裁は、デフレマインド的な慣行が根強くあるとあらためて指摘。何回も先送りになるのは残念としながら「企業の賃金・価格設定スタンスがなお慎重だが、物価上昇モメンタムは維持されている」と語った。

日銀は「経済・物価情勢の展望」で、以下の通り述べている。

消費者物価(除く生鮮食品)は、企業の賃金・価格設定スタンスがなお慎重なものにとどまっていることなどを背景に、エネルギー価格上昇の影響を除くと弱めの動きとなっている。 これに伴って、中長期的な予想物価上昇率の高まりもやや後ずれしている。

もっとも、マクロ的な需給ギャップが改善を続けるもとで、企業の賃金・価格設定スタンスが次第に積極化し、中長期的な予想物価上昇率も上昇するとみられる。この結果、消費者物価の前年比は、プラス幅の拡大基調を続け、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。

ーーー

2012年12月26日に第二次安部内閣がスタートした。

アベノミクスは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の「三本の矢」を基本方針とした。

2013年3月20日に黒田東彦氏が日銀総裁に就任した。

黒田総裁は就任直後の2013年4月に大規模緩和に踏み切り「2年程度で2%の物価上昇を達成する」と宣言した。

しかし、その後の状況は下記の通り。


日銀は
物価目標達成の先送りを続け、今回は6回目になる。2014年度末には達成するとしたのが、2019年ごろとなっている。

仮にこれが達成できたとしても、早くても、黒田総裁の任期が終わって1年後となる。

しかし、そもそも、「デフレはもっぱら貨幣的現象であり、金融政策によって影響できる」との安倍、黒田理論が誤りであり、このまま金融緩和を続けてもデフレが解消できるとは思えない。

実際には、デフレは貨幣現象ではなく、需要の変化に供給が対応できないためである。

この解決には、需要のなくなった産業への保護をやめ、新しい需要に対応する産業への規制をやめて、供給構造を改変するしかない。

詳細は下記参照  

2017/1/4 アベノミクス4年

トランプ米大統領は 6月30日の米韓首脳会談で米韓自由貿易協定(FTA)の再交渉に言及したが、米通商代表部(USTR)は7月12日、FTAの改定交渉を韓国政府に正式に要求した。


Robert Lighthizer 通商代表は韓国の産業通商資源部長官に宛てて、下記の内容の書簡を送り、「米韓FTAの改定、修正を話し合う特別共同委員会の会合を30日以内にワシントンで開きたい」と要求した。協定では、米韓のいずれかが特別共同委員会は招集を要求した場合、相手国は原則的に30日以内に応じなければならないこととなっている。

韓国は重要な同盟であり、主要貿易相手国として両国関係を強化するためには自由でかつ公正で、バランスの取れた貿易が必要だ。

両国間の経済関係は強固でかつ躍動的だけでなく、公正でなければならない。米韓FTAで韓国が恩恵を受けているように、米国経済も恩恵を受けるように両国が協力するのが緊要だ.

ほとんど20年にわたり、韓国とのモノの貿易赤字が続いている。

米韓FTAの交渉時には、両国の経済がともに大きな利益を得ることが期待された。しかし締結後、米国の対韓国の貿易赤字は増加し、モノの貿易赤字は2倍になった。

バランスのとれた貿易関係が必要だ。


USTRは同時に記者発表を行った。

USTRは大統領の指示により、米国の貿易の障害を取り除き、協定の修正を検討するため、特別共同委員会の開催を要求した。

大統領は、貿易赤字を減らし、米国民のためのより良い貿易関係を交渉するという約束を守り続ける。

FTAの発効以降、韓国に対する米国のモノの貿易赤字は132億ドルから276億ドルに倍増し、米国のモノの輸出は実際に減少した。これは前政権がFTAの承認を求めた際に述べたことと全く異なる。

2010年12月4日、Obama大統領は、「関税引き下げだけで、モノの輸出を最大110億ドル増やすことが期待できる」と述べた。

2012年3月のFTA発効前の2011年通年で韓国向けのモノの輸出は435億ドルであったが、2016年のモノの輸出は423億ドルで、2.7%の下落である。

2011年から2016年で、韓国とのモノの貿易赤字は132億ドルから276億ドルに倍増した。

我々はこの状況を改善する必要があり、することが出来る。


韓国政府は書簡を受け取ったことを明らかにし、以下のとおり述べた。

先月のトップ会談で提案したように、先ず、両国の実務家レベルで、韓米FTAの効果を研究し、分析し、評価を行い、両国の貿易のアンバランスの理由を調べることが必要だ。

USTRと詳細スケジュールと議論項目を協議するため、高官を派遣する。

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米韓FTAの経緯は下記の通り。

韓米FTA交渉は2007年4月2日に妥結した。最後まで争点となった牛肉を含む農業と自動車分野でも合意した。
なお、コメについては対象外となっている。

2007/4/4 米韓FTA妥結 

しかし、自動車関連などで米国内の反対が強く、批准されないままとなっていた。

2010年7月の韓国・EUのFTA妥結を受け、争点を話し合うための通産相会議が11月に行われたが、自動車と牛肉問題で合意に達せず、決裂した。

2010/11/12 米韓FTA協議、決裂 

最終的に、米国は牛肉問題はFTAと別の問題とする韓国の主張を受け入れ、その代わり、韓国は自動車で大きな妥協を行い、2010年12月3日に交渉が妥結した。

2010/12/4 韓米自由貿易協定(FTA)追加交渉が妥結

米上下両院は2011年10月12日、韓国とのFTAの実施法案を賛成多数で可決した。

2011/10/14 米議会、韓米自由貿易協定を可決

韓国与党ハンナラ党は11月22日、国会で韓米FTA批准案を強行可決した。本会議場では、これを阻止しようとする野党の議員が催涙弾を投げるなど一時大混乱に陥った。

2011/11/25 韓国、韓米FTA批准案を強行可決 

韓国国会は2011年12月30日、米国とFTAの再交渉をするよう政府に求める決議を賛成多数で可決した。
決議は特に「ISD条項」(
投資家対国家紛争仲裁制度)について「主権を脅かしかねない」と指摘、破棄も含めて米国と再交渉するよう求めている。

2012/1/7 韓国国会、「米とのFTA再交渉」決議 

韓国外交通商部は本年2月21日、韓米FTAが3月15日午前0時に発効すると発表した。

最大の争点のISD条項に関しては、「削除は検討していない」と述べ、「FTA発効後90日以内にサービス投資委員会を開き、ISDをめぐる問題を論議するための特別班を構成する予定」とした。

2012/3/15 韓米FTA発効

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Ronald Trump は2016年10月下旬に、大統領に選ばれた場合の公約 「アメリカを再び偉大にする」ための100日間のアクションプランを発表した。

そのなかで、大統領就任の1日目に、米国の労働者保護のため、7つのアクションを行うとした。

このうち、「TPPからの撤退を宣言」については、米通商代表部(USTR)は1月30日、TPPからの離脱を参加各国に書簡で正式に伝達した。

「米・加・メキシコの北米自由貿易協定(NAFTA) の再交渉又は撤退の意思を発表」については、大統領は1月22日、メキシコ、カナダとそれぞれ開く首脳会談で北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を始めると表明した。

8月半ばにNAFTA再交渉を設定している。

2017/7/19 米通商代表部、NAFTA再交渉の協議目標を公表

なお、このなかの「財務長官に命じ、中国を為替操作国に指定」については、トランプ大統領は4月12日のWall Street Journalとの会見で、「考えを変えた。中国は現在は為替操作をしていない」と述べた。

トランプ米大統領は4月8日、中国の習近平国家主席と会談し、北朝鮮の核開発問題と米中間の貿易不均衡という2つの差し迫った課題を巡り、協力を続けることで合意した。

貿易不均衡の是正に向け、米国のMnuchin 財務長官、Ross 商務長官と中国の汪洋 副総理の3人が共同委員長となり、「100日計画」を協議することとした。

2017/5/15 米中「100日計画」第一弾発表 

7月16日、策定の期限を迎えた。両国は19日には包括経済対話を初めて開き、100日計画の合意内容を公表する。

トランプ大統領は7月12日、 「私は中国の助けがほしかったので、これまでは中国に少し甘かった」と明言、北朝鮮の核・ミサイル開発の問題で協力を取りつけるため、貿易面で配慮をしていたことを認めた。


今後は、対日本を含め、貿易面での攻勢を強めるとみられる。



米通商代表部(USTR)は7月17日、カナダ、メキシコと始める北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉に向け、貿易赤字の削減など22項目の協議目標を公表した。

Ronald Trump は2016年10月下旬に、大統領に選ばれた場合の公約 「アメリカを再び偉大にする」ための100日間のアクションプランを発表したが、そのなかで、大統領就任の1日目に、米国の労働者保護のため、7つのアクションを行うとし ており、「米・加・メキシコの北米自由貿易協定(NAFTA) の再交渉又は撤退の意思を発表」が含まれている

大統領は1月22日、メキシコ、カナダとそれぞれ開く首脳会談で北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を始めると表明した。 トランプ米政権は5月18日、米議会に再交渉に乗り出すと正式に通知した。

USTRはそれ以降、米議会などと協議をしてきたが、今回、協議目標を公表した。8月16日以降に再交渉を開始する。

米国の製品、農産品、サービスのカナダとメキシコへの市場アクセスを改善することにより、米国の貿易赤字を減らし、全ての米国民にとってフェアな、はるかに良い協定を目指すとし、次のように述べている。

USTRは初めて、NAFTA交渉の目的として貿易赤字縮小を含めた。

NAFTAは1994年に発効したが、それ以来、メキシコとの間の貿易収支は13億ドルの黒字から、2016年には640億ドルの赤字になった。

カナダとの間では、乳製品、ワイン、穀物、その他製品に関して市場アクセスの問題が生じている。貿易障壁の問題は現在の協定には含まれていない。

Digital Trade (ソフトウエア、音楽、ビデオ、e-bookなど)が新しく加わる。
現在、付帯条項となっている労働・環境義務も取り入れ、強化する。
またアンフェアな補助金、国営企業による市場を歪める慣行、知的所有権に対する重い制限などを取り除く。

トランプ米大統領は大統領選中に「メキシコ製品には35%の関税を課す」と言及したが、これは見送る一方、通貨安誘導を防止する「為替条項」を新設するよう求める。

22項目の協議目標は次の通り。

Trade in Goods カナダ・メキシコとの貿易赤字の縮減
  工業製品
  農業製品
Sanitary and Phytosanitary Measures
(衛生植物検疫措置)
Customs, Trade Facilitation &
Rules of Origin

Rules of Originでは、真に米国および北米で生産された製品がNAFTAのメリットを受けることとしている。
(現在、乗用車なら域内の部品調達率が62.5%を超えれば関税がゼロになる。)
Technical Barriers to Trade
Good Regulatory Practices 市場アクセス推進
各国間の規則の互換性
Trade in Services including Telecommunications and
Financial Services
Digital Trade in Goods and Services and Cross-Border Data Flows Digital products (e.g., software, music, video, e-books) は非関税に。

Investment 全てのセクターで米国の投資への障壁を除外、または縮小
Intellectual Property 適切かつ有効な知財保護の推進
Transparency
State-Owned and Controlled Enterprises
Competition Policy
Labor この条項を本契約に盛り込む(現在は付帯条項)
Environment この条項を本契約に盛り込む(現在は付帯条項)
Anti-Corruption
Trade Remedies 反ダンピング、反補助金、セーフガードなどの貿易法を強力に施行する米国の能力を維持

反ダンピング・反補助金措置の適用をおおむね禁じているNAFTAのメカニズムを廃止し、米国法の適用が制限されないようにする。

NAFTA19条の紛争解決メカニズム(NAFTA加盟国の当事者は裁判を2つのNAFTA加盟国の適切な5人の市民から構成される二国間の陪審団によるものにするように要求する権利がある)の廃止など
Government Procurement
Small- and Medium-Sized Enterprises
Energy
Dispute Settlement
General Provisions
Currency 適切なメカニズムを通じて、有効な為替調整を妨げたり、アンフェアな競争上の利益を得るために為替レートを操作することが出来ないようにする。


具体的な内容は不明だが、徹底的に米国に都合のよいように変更しようとしているように見える。

そもそも、米国の貿易赤字を減らすのを主な目的とするのはおかしい。輸入品の関税をあげれば、それを使う米国製品のコストは上がり、競争力がなくなる。

トランプ政権はNAFTA再交渉を今後のFTA交渉のモデルケースと位置づけている。
韓国とのFTA見直しや、今後の日米FTA交渉にも影響を与える。

付記

米国、カナダ、メキシコの3カ国は8月20日、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の第1回会合を終えた。年内の決着を目指し、政府間の協議を加速することで合意した。

初会合終了後に発表した共同声明のポイントは次の通り。

・ 3カ国は再交渉で野心的な成果を上げることで一致し、NAFTAのルールを改正する重要性を再確認した。
・ 初会合では20以上の交渉分野について協議した。
・ 第2回会合を9月1~5日にメキシコで、第3回を9月下旬にカナダで、第4回を10月に米国でそれぞれ開く。

具体的な成果は明らかにしていない。

米国は、原産地規則の厳格化や他国の通貨安誘導を封じる「為替条項」の導入を強く求めているが、カナダやメキシコの反対で協議が難航しているとみられる。

付記

9月5日、第2回会合を終えた。

メキシコの経済相によると、25項目のうち電子商取引、中小企業対策など7項目について協議が進展しており、次回会合でまとまる可能性もある。一方、原産地規則に関しては米国側から具体的な提案はなかったとしている。

第3回会合は9月23~27日にカナダのオタワで開く。

付記

第4回会合は10月17日 閉幕した。3カ国は2017年内の妥結を断念し、2018年1~3月に先送りすることで一致した。

米国は自動車の関税をゼロにする条件として、現在の域内部材の62.5%以上使用を85%以上とするとともに、米国製部材を50%以上使うよう求めたほか、5年ごとに協定を見直す条項の導入などを提案したが、カナダ、メキシコが反発した。

BASFは7月13日、WHOから農薬クロルフェナピル(Chlorfenapyr)をベースとした長期残効型防虫処理蚊帳(Interceptor® G2)の推奨を受けたと発表した。

クロルフェナピルを使ったもう一つの製品の室内残効性スプレー(Sylando® 240SC)もWHOで評価の最終段階にある。

Innovative Vector Control Consortium (IVCC) とロンドン大学衛生熱帯医学大学院の10年に及ぶ協力を得て、BASFは農薬のクロルフェナピルを蚊帳用に使用するのに成功し、WHOの公衆衛生用の厳しい基準に合格した。

IVCCは、画期的な製品の開発を通じて蚊が媒介する疾病(マラリア、デング熱、デング出血熱等)の感染を減らすことなどを目的として、2005年にBill & Melinda Gates Foundationの支援を受けて設立された非営利団体。


ロンドン
大学衛生熱帯医学大学院は、公衆衛生学研究で世界トップレベル。

マラリアは、マラリア原虫に感染した蚊に刺されることにより人に感染し、世界では、毎年約2億人がマラリアを発症し、約63万人が亡くなっていると言われている。うち、子供は2分に1人が亡くなっている。 WHOのマラリア対策は、予防、治療、およびこれらに寄与する研究を重要視しており、効果的な感染予防の手段として、長期残効型防虫処理蚊帳などとともに、室内残効性スプレーの使用が推奨されている。

WHOの推奨する蚊防除殺虫剤は4つしかなく、そのうちのピレスロイドだけが防虫処理蚊帳用に推奨されている。

住友化学のOlyset Net はポリエチレンにピレスロイド系殺虫剤を練り込んだ長期残効型防虫蚊帳で、2001年にWHOから使用を推奨された。

現在、国連児童基金(UNICEF)などの国際機関を通じて、80以上の国々に供給されている。

2013/6/8 住友化学のOlyset Net  

しかし、一部地域では、既存殺虫剤に抵抗性をもつ蚊の発生が確認されている。同一薬剤の継続使用により抵抗性を持つ蚊が現れる。

住友化学は2014年9月、「オリセットRネット」の技術を発展させ、既存の防虫剤の殺虫効果を高める薬剤を加えることにより、抵抗性を有するマラリア媒介蚊にも有効性を示す「オリセットRプラス」を開発し、バングラデシュで販売を開始した。

さらに、住友化学とIVCCは2015年の世界モスキート・デー(8月20日)に、マラリア対策向け新規殺虫成分の現地試験を開始すると発表した。開発中の新規殺虫成分は、こうした抵抗性問題の解決につながることが期待される。

2015/8/22 「世界モスキート・デー」 

BASFの行った西アフリカのベナン共和国、ブルキナファソ共和国、タンザニア、コートジボワール(象牙海岸)での別々の実験で、防虫処理蚊帳(Interceptor® G2)と室内残効性スプレー(Sylando® 240SC)は薬剤抵抗性の蚊に対し有効であることが証明された。

WHOの推奨を受け、BASFは防虫処理蚊帳(Interceptor® G2)の販売の準備に入った。各国での承認を受け、本年末にも使用される見込み。

ーーー

クロルフェナピル(Chlorfenapyr)は有機ハロゲン化合物の一種で、American Cyanamidが開発した殺虫剤。

ピロール系の構造を持ち、果樹・野菜のコナガやハダニの呼吸系を阻害し殺虫効果を現す。日本では1996年4月25日に農薬登録を受け、日本曹達から「コテツ」の商品名で発売されている。

American Cyanamidは1907年設立の米国の総合化学会社であった。設立とともに,ドイツから特許を得て空中窒素の固定,石灰窒素の生産を開始、その後、窒素,リン酸肥料分野へ進出し、合併を繰り返しながら尿素樹脂,タール製品,メラミン樹脂,医薬品分野へ進出した。

事業内容は農業部門 (肥料,殺虫剤,除草剤,飼料など) ,化学部門 (重化学品,水処理薬品,アクリロニトリル,メラミン,爆薬,製紙・鉱業用製品など) ,有機化学部門 (触媒,染料,プラスチック添加剤,合成ゴムなど) ,合繊部門 (アクリル,ポリエステル繊維) など,数千種類の製品に及んだ。

1994年にAmerican Home Products に買収されたが、2000年にBASFに買収された。

Western Digital が、ICC 国際仲裁裁判所の決定が下るまでの暫定措置として、東芝と共同で運営する3つのNAND型フラッシュメモリ合弁事業売却の予備的差し止めを求めた 裁判で、San Francisco County Superior Courtは7月14日、審問を開いたが、結論を持ち越した。次回の審問は7月28日に開く。

2017/7/15 米裁判所、東芝メモリ売却に関し結論持ち越し

両社はこれを含めて4つの仲裁・訴訟を行っている。概要を下記にまとめた。

事実関係は次のとおり。

JV契約は、東芝とSunDiskの間で締結された。米国でJV設立、のち工場を四日市に移転
合弁契約では、合弁相手の同意なしに事業の持ち分を第三者に売却できないが、
買収などによって持ち分の所有者の支配権が変わる場合は同意は不要とされているとのこと。
2016/5/12、Western Digital によるSanDisk 買収。(東芝の同意求めず)
2016/4/1 東芝、半導体事業を分社化、「東芝メモリ」を発足、東芝メモリの売却交渉開始
2017/6/3 東芝、JVを東芝メモリから東芝に戻す。

問題点は次の通り。

1) 裁判の管轄権   

東芝は日本の事業の問題なので、管轄権は日本と主張するが、JV契約には管轄権が明記されている筈。
  当初は米国でのJVであり、(修正していなければ)米国法とされている筈。

仲裁については契約でSan Franciscoで行われるとなっているとのこと。

2) 事業持分の売却 

契約の文言が実際にどうなっているか、実際の両社の主張がどうかによる。

以下は一般に言われていることの筆者の解釈。

「合弁相手の同意なしに事業の持ち分を第三者に売却できないが、買収などによって持ち分の所有者の支配権が変わる場合は同意は不要」というのが事実なら、

1) Western Digital によるSanDisk 買収は東芝の同意不要であり、東芝の同意を求めなかったことを理由に東芝メモリを同意なしで売却できるというのは成り立たない。

2)「分離した東芝メモリの買収によって持ち分の所有者の支配権が変わる場合であり、同意は不要である」との東芝の主張には無理がある。

 東芝本体が買収される場合は同意不要だが、分離したうえで売却するのは、事業の持分の売却そのものである。

JV持ち分を東芝に戻し、売却対象外とするのなら、JV契約と関係ないため自由であるが、それを前提とはしていない筈。



国際仲裁裁判所 原告 WD
時期 2017/5/14
内容 半導体事業の売却の差し止め

合弁契約の「合弁相手の同意なしに事業の持ち分を第三者に売却できない」規定に違反

・半導体事業の東芝メモリへの移管取り止め

2017/6/3 東芝、JVを東芝に戻す。
  JVの建屋、従業員は東芝メモリ
 


東芝メモリには
NAND型フラッシュメモリの権益は含まれない。
現在の売却交渉(2兆円程度)はこの権益を含んでいる。

これなしで、東芝メモリ売却は成立するのか?
売却価額は大幅ダウン?

・同意なしでの移管禁止
結果 1年後?  決定は最終
  2017/5/15 東芝の半導体事業売却、Western Digital が差し止め申し立て 
San Francisco County Superior Court 原告 WD
時期 2017/6/14
内容 合弁事業売却の予備的差し止め
国際仲裁裁判所の決定までの暫定措置
東芝、米国に管轄権なしと主張
結果 7/14 審問 →結論持ち越し
次回 7/28
   2017/7/15 米裁判所、東芝メモリ売却に関し結論持ち越し
原告 WD
時期 2017/6
内容 東芝の情報遮断(6/28) の取り消しを求める。
結果 7/12、一部やめさせる暫定的な命令
管轄権ありの前提
東芝控訴 → 

付記 

控訴裁判所は7月18日、仮制止命令の執行の一時停止を認める判断を行った。

東芝はこれに基づき、アクセス遮断を再開(遮断対象は東芝と直接的な契約を結んでいないWestern Digital 社員であり、SunDisk 社員は継続的にアクセス可能という。)

東京地裁 原告 東芝
時期 2017/6/28
内容 不正競争行為の差止めを求める仮処分命令の申立て

総額1,200億円(一部請求)の支払い等を求める損害賠償等請求訴訟

東芝メモリ売却が、合弁契約の「合弁相手の同意なしに事業の持ち分を第三者に売却できない」規定に違反するかどうかにより決まる。
結果 未定
   2017/5/15 東芝の半導体事業売却、Western Digital が差し止め申し立て の付記




Western Digitalは6月14日、同社子会社(=SanDisk系子会社)がSan Francisco County Superior Courtに、東芝と共同で運営する3つのNAND型フラッシュメモリ合弁事業売却の予備的差し止めを求めたと発表した。ICC 国際仲裁裁判所の決定が下るまでの暫定措置として請求している。


裁判所は7月14日、この訴訟の審問を開いた。

Harold Kahn判事は双方から主張を聴取したが、結論を持ち越した。次回の審問は7月28日に開く。


審問で裁判官は「東芝が売却の契約締結の2週間前にWestern Digitalに通告する」との命令案を提案した。

これに対し、東芝側は、JVが日本企業であり、取引はほとんどが日本で行われており、米裁判所には管轄権がないと主張していることから、米裁判所の命令に従うことには問題があるとした。
Western Digital 側は、東芝が管轄権を否定しているため、東芝が約束を破った場合、命令が実行できないとの懸念を表した。

裁判官は、双方で命令案を作成するよう指示し、次回の審問を7月28日に設定した。

東芝は7月28日までは事業売却ができないことになる。

「売却完了」=買収代金の払い込みが終わる手続きができないとの意味で、東芝は「当社が進めているメモリー事業売却の契約締結を妨げるものではない」との声明を出した。

命令案が正式に決まれば、東芝は進行中の売却手続きを止める必要がない一方、Western Digital 側には通告を受けて何らかの法的措置を起こす余地を残す判断になる。

Western Digital側は「2週間あれば売却への対抗措置をとるのに十分な時間を取れる」としている。



この Harold Kahn判事は7月
12日、東芝によるWestern Digital社員への情報遮断を一部やめさせる仮制止命令を下した。

東芝は6月28日、不正競争防止法違反等を理由として、Western Digital に対して、不正競争行為の差止めを求める仮処分命令の申立て及び総額1,200億円(一部請求)の支払い等を求める損害賠償等請求訴訟を東京地裁に提起したが、合弁事業及び共同開発に関する情報へのアクセスについては、同日遮断した。

Western Digital は売却差し止めを求めた訴訟とは別に情報アクセスを認める措置を求めて同裁判所に申し立てていた。

東芝によると、
Western Digitalのアクセスが認められた情報は、アクセス遮断前に発生した情報で、かつ、東芝情報を含まない情報であり、アクセスの期間も限定的な期間(数週間)である。
東芝又は東芝メモリに帰属する情報やアクセス遮断後(6月28日)に発生した情報を引き続き遮断することが認められた。

今回の命令は別の案件とはいえ、同じ合弁会社との争いについて同じ裁判官が米裁判所の管轄権を認めたことを意味する。

東芝は同日、「今回の命令については不服であり控訴する」との声明を出した。

付記

東芝は、この仮停止命令を不服として、カリフォルニア州控訴裁判所に上訴するとともに、仮制止命令の執行の一時停止を申し立てた。

控訴裁判所は7月18日、仮制止命令の執行の一時停止を認める判断を行った。

東芝はこれに基づき、アクセス遮断を再開した。(遮断対象は東芝と直接的な契約を結んでいないWestern Digital 社員であり、SunDisk 社員は継続的にアクセス可能という。)



OPECの6月生産量 増加

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OPECは7月12日発表のMonthly Oil Market Reportで、加盟14カ国の6月の生産量(外部ソースによるもの)が日量3261万バレルとなったと発表した。

1月の協調減産実施後の最高水準で、減産適用を除外されているリビアやナイジェリアの生産量が大きく回復した。

OPEC 生産枠と生産実績 (千バレル/日)

生産量では減産適用除外のナイジェリアとリビアが大幅増産となっている。2国の生産量に上限を設ける見直し論が浮上している。

イラクもイスラム国との戦闘に伴う財政難を理由に増産を行っている。

米国のシェールオイルも増産が続いており、投資銀行各社は原油相場の見通しを引き下げている。

付記

OPEC加盟国と非加盟の主要産油国は7月24日、減産合意の適用を免除されているナイジェリアの産油量に上限を設けることで合意すると共に、一部の産油国に対し減産合意の一段と厳格な順守を求めた。

ナイジェリアが産油量を現在の日量約180万バレルから増加させないこと、さらに将来的に減産を行うことで合意したことを明らかにした。ただ期限は設けず、ナイジェリアの産油状況を向こう数週間見守るとした。

リビアについては、産油量が当面は日量100万バレルを超えず、2011年の内戦勃発前の生産能力である日量140万─160万バレルを回復する公算は小さいため、産油量の制限は見送った。

ーーー

OPECは2016年11月30日にウィーンの本部で開いた総会で、8年ぶり(国別)の減産で合意した。

総会では9月28日のアルジェリアでの臨時総会で合意した日量3,250万~3,300万バレルの下限である3,250万バレルに減産することで加盟国がまとまった。
2017年1月1日から実施し、実行をチェックするためのHigh-level Monitoring Committeeの設置を決めた。

発表文では「OPEC 14カ国の生産枠を3,250万バレルとする」としているが、報道されている国別枠の合計では32,682千バレルで、 当時の現状からは1,164千バレルの減産となる。 (「現状」は新生産枠と減産量から逆算したもので、10月の外部ソースの実績とは一致しない。)

また14か国とは当時はインドネシアを含めた国数だが、インドネシアは一時離脱を決めており、減産対象外。またリビアとナイジェリアは減産の適用除外である。
新しい「生産枠」が何なのか、明確でない。
今回の生産量には、本年5月25日の総会で加盟を認めたばかりの赤道ギニアの生産量が含まれている。

当初は全加盟国に減産協力を求めるサウジと、減産の適用除外を求めるイランが対立していた。また、政情不安によって生産量が一時的に落ち込んだリビアやナイジェリアも生産量の回復を目指していた。

今回、アルジェリアの仲介で、イランへの譲歩に難色を示してきたサウジが軟化し、下記の調整をすることで合意に達した。

政情不安などで生産量を落としているナイジェリアとリビアは減産の適用を免れた。

2015年にOPECに再加盟したインドネシアは、石油の純輸入国であることから減産への参加を見送り、 加盟を一時停止した。

イランはかねて、米欧の経済制裁前の生産量である日量400万バレルへの回復を主張してきた。
今回の合意では、現状の生産量を9万バレル上回る380万バレル弱の生産量を割り当てた。

これ以外の加盟10カ国は現状から4.6%の減産となる。

2016/12/5 OPEC、8年ぶり減産合意


ーーー

OPECは2017年5月25日の総会で、減産を7月1日から9カ月延長することと、赤道ギニア(Equatorial Guinea)のOPEC即時加盟を承認した。

現在の加盟国は14か国。

    加盟 離脱 再加盟 一時停止 加盟
イラク 中東 1960    
イラン 中東 1960    
クウェート 中東 1960    
サウジアラビア 中東 1960    
ベネズエラ  南米 1960    
カタール 中東 1961    
インドネシア アジア 1962 2009 2015 2016
リビア  アフリカ 1962    
UAE 中東 1967    
アルジェリア  アフリカ 1969    
ナイジェリア アフリカ 1971    
エクアドル 南米 1973 1993 2007
ガボン アフリカ 1975 1994 2016
アンゴラ  アフリカ 2007    
赤道ギニア アフリカ 2017
加盟国 14   14 -3 +3 -1 +1

フランス電力(Électricité de France:EDF)は7月10日、同国の原子炉製造会社 Areva NPの買収に三菱重工業と地元のエンジニア大手ASSYSTEM が参加すると発表した。

三菱重工業は15%出資するが、出資比率は最大 19.5%になる可能性があるとしている。
ASSYSTEMは5%を出資する。

EDFは2016年11月15日に新しいAreva NP の51%~75%を取得する旨の契約を締結、他の投資家との間で交渉を続けた。

今回の発表によると、新しいAreva NP の買収価額は、25億ユーロと確認された。業績連動型のEarn Out 条項あり。借入金は引き継がない。

三菱重工業の出資額は3.75億ユーロ(最大で4.875億ユーロ)となる。下記の通り、Newcoにも5%(2.5億ユーロ)を出資するため、アレバに最大で1000億円弱の投資となる。

EDFは他の参加者も歓迎するとしている。今後、中国が参加する可能性がある。

核燃料再処理のNewCoへの出資については、中国の原発大手の中国核工業集団(CNNC)も交渉をしていたが破談になった。日本側より多い出資や取締役派遣を求め、フランス側が断ったとされる。安全保障の観点から米国や日本政府が強い懸念を伝えたともいわれる。

しかし、ArevaやEDFには中国の参加を求める声が強い。
今後の原発新設の大部分は中国であり、受注のために関係を良くしたい。またEDFの英国計画は中国との共同事業である。

英国のHinkley Point 原発計画には、中国広核集団(CGN) が33.5%を出資、残りをEDFが出資する。

EDFが英国のSizewell とBradwellで予定する新規原発建設計画にも中国が参画、後者については欧米で初めて中国製の原子炉を採用する。

 2015/10/28 中国、英国の原発に出資、中国製原発も導入  

手続きは年内に終える予定。 

2001年に発足したArevaはウランの採掘から原子炉の製造、核燃料の再処理まで、原発に関わる一連の分野を手掛ける総合原子力メーカーで、フランス政府が過半を出資する。

フランスの原子力政策はフランス原子力庁 (CEA) が主導し、民間企業のFramatomeが原子炉プラントの製造を、CEA子会社のCogemaが核燃料製造を担当する分業体制であった。
2001年にFramatome はプラント需要低迷に危機を迎えていたドイツ Siemensの原子力部門を買収し、 更にCogema と統合し、Areva となった。

Framatomeと Siemensは1989年から欧州加圧水型原子炉(EPR)の開発で協力していた。

福島第一原発の事故で、欧州の一部の国が脱原発を決めたほか、日本の原発の再稼働が遅れてビジネス機会が減少、更にフィンランドの新型原発の建設で費用が膨らみ、2015年12月期まで5期連続の最終赤字を計上した。2014年には48億ユーロの赤字、2015年には20億ユーロの赤字となった。

フィンランドのオルキルオト原発3号機 はArevaが建設する160万kwの欧州加圧水型原子炉(EPR)で、2005年8月に建設が始まった。当初は2009年に開業予定であったが、 まだ完成していない。
EPRの特徴である二重封じ込め構造の構築にも時間を要しているとされる。

コストは41億ドルの予想が72億ドルに上昇、契約価格は固定されているので、費用の増加分は同社の利益を圧迫する。

Arevaの救済のため、フランス政府は抜本的な同社の構造改革を決めた。2017年に実行される。

仏電力公社(EDF)が原子炉製造を担う子会社 Areva NPの過半数(51%~75%) を握る大株主になる。三菱重工業が出資を検討するとしていた。

フィンランドのオルキルオト原発3号機については、Areva SA に残し、政府が責任をもって完成させる。

燃料再処理部門を分社する(仮称 Newco)。

三菱重工業業は2017年2月3日、Newcoに5%(250百万ユーロ)を出資することで大筋合意したと発表した。
日本原燃も5%出資する。

2017/2/6 三菱重工業、仏原子力大手Arevaの新会社に出資 


ーーー

三菱重工業とArebaは、1991年に燃料サイクル分野において合弁会社を設立、2006年には原子力事業でのより広範な協調で合意した。

2007年にArevaとの折半出資による合弁会社ATMEA社を設立、両社技術を融合した電気出力110万kW級の最新鋭の加圧水型軽水炉(PWR)ATMEA 1 を開発した。

ATMEA 1 はトルコのSinop原発で110万kW 4基の採用が決まった。ロシアのRosatomが受注したAkkuyu 原発に続くもの。

2013年5月に日本・トルコ両政府は原子力協定と原子力発電所建設の細目を規定した政府間協定に調印したのに続いて2013年10月に商業契約を締結した。

事業主体の国際コンソーシアムには、三菱重工業 15%、伊藤忠商事 15%、GDF Suez(現 Engie)21%、トルコ国営電力会社(EUAS)49%が出資する。

2008年4月11日、両社は新規原子力発電プラントの開発にとどまらず、新たに原子燃料ビジネスにまで協力関係を広げていくことで合意した。

2009年4月1日、三菱重工業と三菱マテリアルの原子燃料事業を移管し、三菱原子燃料㈱が設立されたが、これにArevaが出資した。

設立時の出資比率は、三菱重工業 35%、三菱マテリアル 30%、Areva 30%、三菱商事 5%であった。

2016年3月、三菱重工業が三菱マテリアルと三菱商事の保有する全株式と、Arevaの保有する株式30%のうち25%を取得し、三菱重工業 95%、Areva 5%となった。

Newcoへの出資の際、三菱重工業は次のように述べている。

Arevaグループと原子力発電事業において長年の協力関係を有しており、1991年に燃料サイクル分野における合弁会社を設立して各種再処理関連機器を製造・販売しているほか、2007年にはArevaと当社の最新技術を融合した加圧水型(PWR)原子力発電プラントの開発に着手、電気出力110万キロワットの最新鋭PWRプラント「ATMEA 1」を開発、トルコを始め世界各地での販売活動を展開しています。

当社はNewCoの事業拡大を通じたArevaグループの今後の成長戦略の実現を支援するとともに、従来以上の事業面・技術面での協力関係構築により、2015年10月に日仏両政府間において確認された両国政府および原子力産業界の連携強化にも重要な役割を果たし、原子力事業の世界的なバリューチェーンの強化を目指します。


各国で脱原発の動きが相次ぎ、フランス本国でも原発が一部停止される。東芝は原発建設からは撤退する。

このなかで三菱重工業はフランス政府の救済を受けるAreva に多額の出資を行う。


フランスのNicolas Hulot 新エコロジー相は7月10日、仏メディアの取材に「2025年までに原発 約17基を閉鎖するつもりだ」と発言した。仏国内にある原子炉58基の約3割に当たる。

フランスの議会は2015年にオランド前政権の下、2025年までに全発電量のうち原発が占める割合を約75%から50%まで削減することを政府に義務付ける法案を可決した。

フランスには現在、58基の原発(合計63,130MWe)があり、1基(1,630MWe)が建設中。
2015年に原発の全発電量に占める割合は 76.3 % であった。

オランド氏は2012年の大統領選で原発を段階的に閉鎖する「縮原発」政策を打ち出し、原子力割合を75%から2025年に50%まで引き下げ、再生可能エネルギーを増やす公約を掲げて勝利した。

同政権は、2012年11月~2013年7月まで「全国討論会」を開催し、同7月には同討論会の結果を総括した報告書を発表した。
内容は、1)総発電電力量に占める原子力発電比率を現在の75%から2025年には50%に低減する、
2)省エネルギーでは2050年に2012年比で最終エネルギー消費量を50%削減すること、
3)温室効果ガス排出量を2030年に1990年比で40%削減し、2050年には75%削減すること等々である。

2015年7月22日に「エネルギー転換法(Energy Transition for Green Growth Act)」が成立した。

オランド前政権はドイツ国境沿いにある仏最古のFessenheim 原発を2018年に閉鎖することを決めている。

エコロジー相は7月6日の記者会見で依存度を5割まで下げるというオランド前政権が掲げた目標を維持すると表明しており、今回は詳細に踏み込んだ。

エコロジー相は、「計画を練る必要があるが、おそらく閉鎖は17基程度だ。よく調べてみないといけない」と述べた。電力消費量を減らすことや、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの生産量を高めることで実現するという。どの原発を閉鎖するかは示さなかった。 

ただ17基分の発電量を再生エネなどでどれだけまかなえるかは不明。

ーーー

欧州の2016年11月時点での稼働原発は合計186基。
うち、フランスが最多の58基である。

Country

in operation
under construction
number

net capacity MWe

number

net capacity MWe

Belarus

-

-

2

2,218

Belgium

7

5,913

-
-
Bulgaria

2

1,926

-

-
Czech Repuplic

6

3,930

-
-
Finland

4

2,752

1
1,600
France

58

63,130

1

1,630

Germany

8

10,799

-
-
Hungary

4

1,889

-
-
Netherlands

1

482

-
-
Romania

2

1,300

-

-

Russia

36

26,557

7

5,468

Slovakia

4

1,814

2

880

Slovenia

1

688

-
-
Spain

7

7,121

-
-
Sweden

10

9,651

-
-
Switzerland

5

3,333

-
-
Ukraine

15

13,107

2

1,900

United Kingdom

15

8,918

-
-
total

186

163,685

15

13,696

http://www.euronuclear.org/info/encyclopedia/n/nuclear-power-plant-europe.htm


フランスの原発は下記の通り。

日揮は7月7日、米国の Kiewit Energy Group および Black & Veatch Constructionと共同で、Jordan Cove LNG社が米国西海岸で計画するJordan Cove LNGプラント建設プロジェクトを受注したと発表した。

プロジェクトの詳細は、下記の通り。

契約先 Jordan Cove LNG LLC
建設場所

オレゴン州 Coos Bay地区

契約

最大で年産780万トン(5系列合計)の天然ガス液化設備、
ガス貯蔵設備、
LNG出荷施設
に係る設計・調達・建設工事(EPC)役務

契約形態 ランプサム契約
受注金総額 非公表

受注総額は6000億~7000億円とみられ、日揮の担当部分は2000億円弱のもよう(日経)。

日程 2024年の生産開始を目指し、2019年を目途に最終投資判断

ーーー

米エネルギー省は2014年3月24日、Jordan Cove Energy Project, L.P. に対し、オレゴン州Coos Bay のJordan Cove LNG Terminal からの非FTA締結国向けのLNG輸出を承認した。
承認数量は日量0.8Bcf (年間600万トン)で期間は20年間となっている。

2016年3月22日、東京電力と中部電力が設立した火力発電用の燃料調達会社JERAが年間150万トンの20年契約を締結した。
同年4月8日には、伊藤忠との間で 年間150万トンの20年契約を締結した。

Jordan Cove Energy Project, L.P.はカナダのCalgaryに本拠を置くエネルギー関連インフラ投資会社のVeresen Inc. (旧称 Fort Chicago Energy L.P.)が経営する。

オレゴン州Coos Bay の北方に16万m3のLNG貯蔵タンク2基と年産600万トン(将来900万トンへの拡大予定)の液化設備を建設する。

合わせて、カナダ及びRocky Mountain地区の天然ガスのハブであるオレゴン州Malin とJordan Cove LNG との間にPacific Connector Gas Pipelineを新設し、カナダからのWillimas Northwest Pipeline、TransCanada Pipeline、Rocky Mountain地区からのRuby Pipelineと接続する。

操業時はカナダ産天然ガスが70%、米国産天然ガスが30%で、最終的には比率を 65/35 とする。


今回、日揮はこの計画の建設を行うもので、契約会社の社名、LMG能力が変更されている。

ーーー

すでに稼働しているメキシコ湾のプラントからパナマ運河経由で東アジアに運ぶと20日間かかるが、西海岸からは8日しかかからない。

Jordan Coveはアジア太平洋及び南米市場のほとんどに最短で、運賃が最も安いと自負している。

日本向けLNG運賃は以下の通り。

  Jordan Cove &Kitimat   1.24 $/百万BTU 
  US Gulf Coast   2.96  
  Cove Point(東海岸)   3.07  
         
  Gorgon(豪)   1.17  
  Gladstone(豪)   1.21  
  Ichthys(豪)   1.23  
    
資料:Platts LNG Forum, Tokyo 2012/9/25
  



コニカミノルタと産業革新機構は7月6日、がんの遺伝子診断技術を持つ米国の Ambry Genetics Corporation を共同で買収する契約を締結したと発表した。

手続き完了後に8億ドルを支払う。業績連動型のアーンアウト方式 (Earn Out Deal) の採用により、同社の今後2ヶ年度の決算数値に応じて、追加代金が最大2億ドル発生する可能性があ る。

出資比率はコニカミノルタが 60%、INCJが 40%。

コニカミノルタは、売上高ベースで約8割を稼ぐ事務機事業が市場の縮小で苦戦を強いられており、ヘルスケア事業を強化する。

同社のヘルスケア事業の全売上高に占める割合は10%程度で、主力製品は病院向けに販売するX線撮影装置。
創薬支援や個別診断といった医療関連への新規参入も目指している。

買収する Ambry Geneticsは、最先端の遺伝子診断技術を持ち、高度な商品開発力、多様な検査項目、高い検査処理能力、遺伝子カウンセラーチャネルでの圧倒的な強さを背景に、成長著しいがん領域を中心とした米国の遺伝子検査市場におけるリーダー的存在となってい る。

同社は世界で初めて、診断を目的としたエクソーム解析試験 (遺伝子の中でタンパク質に翻訳される領域であるエクソン領域のみを濃縮して解析することにより、エクソン上の変異を効率的に検出する手法)を始め、遺伝性および非遺伝性の腫瘍、心臓疾患、呼吸器疾患、および神経疾患など多数の臨床分野向け遺伝子検査を提供してい る。

カリフォルニア州に所有する最先端の大規模ラボにおいて、すでに 100 万件を超える遺伝子検査の実績を持ち、500 種の遺伝子において 45,000 以上の突然変異を特定している。

 → 解析

コニカミノルタは、最先端の遺伝子診断技術、バイオインフォマティクスを駆使した高度な IT 解析技術、最新鋭で大規模な検体検査ラボ、高収益なサービス事業を取得し、がん治療などに今後大きな役割を期待されているプレシジョン・メディシン(個別化医療)推進に向けた戦略的取り組みの先駆けと する。

プレシジョン・メディシンは、個々人の細胞における遺伝子発現やタンパク質などの特性を分子レベルで判別することで個々の患者を精密にグループ化し、最先端の技術を用いて適切な投薬、治療と予防を提供する医療。

従来の画一的な方法ではなく、患者特性に応じた集団ごとの治療法から疾病予防までを確立する事により、適切な投薬、治療が可能となり、膨張する国民医療費削減の切り札として世界中で注目されている。

さらに、コニカミノルタの固有技術であるタンパク質高感度定量検出技術(HSTT:下記)と、Ambry Geneticsの遺伝子診断技術を合わせる。

コニカミノルタの山名社長は記者会見で「(買収により)世界トップクラスの遺伝子とたんぱく質の診断・解析技術をあわせ持つことになる」と述べ、「個別診断事業に本格参入し、5年後には売上高1000億円以上を目指す」と意気込みを語った。

今後、両社の技術を基に、プレシジョン・メディシンを Ambry Geneticsがリードする米国から、日本・アジアおよび欧州展開によりグローバル・リーディング・カンパニーへと 成長する。

産業革新機構は、経営上のサポート及び日本展開のサポートを行う。

ーーー

コニカミノルタは東北大学と共同で、蛍光ナノ粒子を用いてがん細胞に発現するタンパク質を正確に検出する新技術 「HSTT(High Sensitive Tissue Testing)」を開発した。がん細胞に発現する特定のタンパク質の数や位置を解析し、早期に高精度な病理診断を可能にするもの。

従来の免疫染色「DAB法」では、がん細胞に特定のタンパク質が存在しているかどうかを確認できた が、HSTTでは、特定のタンパク質の有無だけでなく、数や位置まで正確に解析することが可能になる。

HSTTでは、 一般的な蛍光色素の約1万倍の輝度で、高い耐久性を備える独自開発の蛍光ナノ粒子(Phosphor Integrated Dots)を用いる。

患者から採取した組織に2段階の抗体を介して反応させる等の工夫をして蛍光ナノ粒子を特定タンパク質(抗原)に確実に付着させ(特異吸着)、 蛍光ナノ粒子の表面処理と特殊加工剤(ブロッキング剤)により、それ以外に付着する(非特異吸着)確率を減らす。

コニカミノルタは蛍光ナノ粒子によって発光した病理組織を蛍光顕微鏡で撮影し、その画像をソフトウェアで解析する技術も開発した。


Samusung Electronics が7月7日に発表した2017年4~6月期連結決算の速報値は、営業利益が14兆ウォン(約1兆3700億円)と前年同期比72%増えた。

四半期ベースで2013年第3四半期の10兆1640億ウオンを超え、過去最高となる。売上高は18%増の60兆ウォン。

速報値は全社ベースのみの発表だが、韓国の証券アナリストの推定では、半導体部門の営業利益は7兆ウォンを超えたとの見方が多い。
Samsung は、DRAMとNSND型フラッシュという2つのメモリーで世界首位。

サムスン電子は7月5日、ソウル近郊の平沢市の新しい半導体製造ラインで量産を開始、権五鉉副会長ら約100人が出席する中、製品の出荷開始式を行った。最新の第4世代の64層、256GbのV-NANDフラッシュチップを製造する。
更に同日、半導体の生産能力拡大に向け、20兆4千億ウォン(約2兆円)の投資を行うと発表した。

2017/7/6 サムスン電子、平沢半導体団地で操業開始、2兆円の投資計画を発表

自社製スマホを主体とするIT & Mobile communications 部門の営業利益は、4月に発売した最新の旗艦機種「Galaxy S8」が寄与し、4兆ウォン程度だったとみられる。


しかし、朝鮮日報によると、Samusung社内では
慎重なムードが目立つという。

Samsung関係者は、「李在鎔副会長が拘束されており、グループを率いてきた未来戦略室の経営陣が全て退任した状況で、業績が良いと笑ってばかりはいられない。今後会社がオーナーのリーダーシップ不在という難局をどう乗り切っていくのかという不安感が少なくない」と述べた。

朴槿恵大統領が絡む疑惑と親友の崔順実被告の国政介入事件を調べている韓国の特別検察官の捜査チームは1月16日、贈賄などの容疑でグループの事実上のトップ、李在鎔サムスン電子副会長の逮捕状を請求したが、ソウル中央地裁は1月19日、特別検察官チームによる李在鎔副会長に対する贈賄や横領、偽証容疑の逮捕状の請求を棄却した。

特別検察官は2月14日、李在鎔サムスン電子副会長について贈賄などの疑いで再度、逮捕状を請求した。

ソウル中央地方裁判所は2月17日、副会長の逮捕を認めた。「新たに構成された犯罪事実と追加の証拠資料などを考え、拘束の必要性を認める」と説明した。
地裁側も、朴氏の疑惑に対する国民の関心が高く、野党が一致して李副会長の逮捕を求めていたことを考慮したとみられる。

2017/1/20 ソウル地裁、サムスン電子副会長の逮捕を認めず → 逮捕を認める(付記)

しかし、その状況でも 2兆円もの投資を発表できるというのは驚きである。

ーーー

最近の部門別営業損益は下記の通り。単位:10億ウオン≒1億円

2016 2017
1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q
Consumer Electronics 503 1,030 774 331 2,638 380
IT & Mobile communications 3,894 4,318 99 2,497 10,808 2,065 (4,000)
Device Solutions 2,327 2,787 4,397 6,340 15,851 7,592
うち Semiconductor 2,632 2,645 3,369 4,949 13,595 6,314 (7,000)
Display Panel -265 137 1,019 1,336 2,227 1,305
others -48 9 -70 53 -56 -139
Total 6,676 8,144 5,200 9,221 29,241 9,898 14,000
             2017/2Q 内訳は業界の推定


取扱製品:

Consumer Electronics TV、Monitor、Refrigerator、Washing Machine、Air Conditioner、Medical Devices、etc.
IT & Mobile communications Smart phone、Network System、Computer、etc.
Device Solutions Semiconductor DRAM、NAND Flash、Mobile application processors
Display Panel LCD panel、OLED panel、etc.


イタリア政府は7月4日、自力再建を断念した1472年設立の同国銀行3位モンテ・パスキ(Banca Monte dei Paschi di Siena)の国有化を正式に決めたと発表した。

ーーー

多額の不良債権を抱えるイタリア第3位の銀行 モンテ・パスキは2016年12月22日、増資と劣後債の株式交換などを通じて50億ユーロを調達する計画は失敗に終わったと発表した。

アンカー投資家としてカタール投資庁(QIA)との間で10億ユーロの増資引き受けを交渉したが、まとまらなかった。

このため、同行は
債務の株式交換計画も撤回した。
増資とともに不良債権の売却も計画していたが、増資が失敗に終わったことで不良債権売却も進めることができなくなった。

イタリア政府は公的資金注入による救済の検討を始めたが、EUが定めた銀行再建ルールが障碍となった。

金融危機を受け、EUでユーロを使う国々は各国でばらばらだった金融行政を一元化する「銀行同盟」を進めた。
銀行の破綻処理のルールも2016年1月から施行し、まず銀行の債券などを持つ投資家に一定の割合の損失を負わせることにし
(Bail-in 制度)、公的資金の利用を制限する仕組みにした。

しかし、イタリアでは銀行の債権者に個人投資家も多いため(個人が銀行債を預金に近い感覚で購入している)、このルールを適用すれば大問題となる。

モンテ・パスキ は12月26日、欧州中央銀行(ECB)が同行について88億ドルの資本不足を指摘したことを明らかにした。

2016/12/23 イタリア政府、モンテパスキ銀行の支援決定

その後も人員削減の規模などを巡り伊政府と欧州委の調整が進まなかった。


欧州委員会は2017年6月1日、伊政府による
モンテ・パスキ への公的支援となる「予防的な資本増強」を承認することで伊政府と大筋合意したと公表した。

伊政府は「納税者の負担を抑えつつ、EU規則に沿って、予防措置としてモンテ・パスキへ公的資金を注入できる」との声明を発表した。

EUルールでは本来、個人投資家も損失負担が必要だが、銀行債を保有する個人が多いイタリアで完全に適用すれば社会的な影響が大きい。
このため、劣後債保有者のうち、
劣後債のリスクを十分に知らされないまま購入していた個人投資家については、伊政府の出資の一部を使ってモンテパスキが損失を補填することで懸案事項を解決した。

欧州委員会は7月4日、条件付きでモンテ・パスキ に対するイタリア政府の公的支援を正式承認した。

  税金を使用するための条件

5年の再建計画
 事業モデルを個人、中小企業向けとし、効率を重視、信用リスク管理の改善
その一部として、経営トップの給与制限(従業員平均の10倍)

不良債権 261億ユーロの民間ファンドへの時価での移管

 イタリア政府の支援

資本不足 81億ユーロ
伊政府出資 54億ユーロ
株主・劣後債保有者負担 43億ユーロ 劣後債の株式転換後に減資
特定劣後債保有者保護 -15億ユーロ 劣後債のリスクを十分に知らされないまま購入していた個人投資家(条件あり)の保護
 政府出資分を基に、劣後債をシニア債に転換

 

記者会見したパドアン経済・財務相は「公的資金を取り戻すだけでなく、利益が出るとの自信がある」と語った。


ーーー

これとは別に、欧州中央銀行(ECB)は6月23日、イタリアの中小銀行2行 、ベネチア近郊の地銀ベネトバンカ(Veneto Banca SpA)と中堅銀バンカ・ポポラーレ・ディ・ビチェンツァ(Banca Popolare di Vicenza SpA)が再建不能な状態になったと発表した。

ともに民間ファンドの傘下で立て直しを目指したが経営は改善せず、ECBに提示した再建策も不十分と判定された。

欧州委員会は6月25日、イタリア政府による両行の公的支援を伴う破綻処理策を承認した。

イタリア政府は同日、2銀行の破綻処理に必要な緊急法案を閣議決定した。

2行を優良資産と不良資産に切り分け、優良資産を同国銀行2位のインテーザ・サンパオロ(Intesa Sanpaolo)が買い取る。
インテーザが自己資本比率への悪影響を避ける形で資産を買い取れるようイタリア政府がインテーザに52億ユーロを支払い、インテーザが1ユーロで取得する。

インテーザは今後、2行の従業員を3千~4千人ほど削減する。

今後の資産査定で健全な融資が不良債権に格下げされるリスクに備えるため、政府はさらに120億ユーロを保証金として準備する。

預金者とシニア債の保有者は保護される。シニア債はインテーザの債務となる。一方、株主と劣後債保有者は損失を被る。


この処理では、シニア債保有者が保護され、清算費用の大半を国庫が負担することになっており、批判の矛先は、投資家が損失を負担すべきだとするEU各国指導者の合意原則を破ったイタリア政府や、それを許した欧州委員会に向かっている。

政府と欧州委員会が、まったく異なる説明をしているのが取り上げられている。

イタリア政府は、両行が倒産するとベニス地区の経済が無秩序に倒壊するとしてシニア債保有者の保護を説明した。

これに対し、欧州委員会は、2つの銀行は非常に小さく、競争の観点からは問題ないとした。

アサヒグループホールディングスは6月30日、持ち分法適用会社で中国飲料大手、康師傅飲品の保有株全てを売却すると発表した。2019年までに約20.4%の株全てを合弁相手の中国即席麺最大手、康師傅に612百万ドルで譲渡する。

Anheuser-Busch InBevによるSABMillerの買収に際し独禁法当局の条件に基いて取得したSABMillerの西欧・東欧事業に投資を振り向ける。

2016/2/16 アサヒビール、英SABMillerの欧州事業の一部を買収

アサヒは2004年に中国の飲料事業の強化を狙って、伊藤忠とともに康師傅とのJVで茶系飲料や水飲料などを手掛ける康師傅飲品を設立した。

日本側持株会社 50%、康師傅50%。
日本側持株会社への出資比率はアサヒが80%、伊藤忠商事が20%。その後、伊藤忠は離脱。

アサヒから生産や販売のノウハウを提供し、中国清涼飲料では最大手に育っている。2015年末までのアサヒの連結業績への寄与は、累計で約1200億円超(税引き前)となっているという。

アサヒは後記の通り、2010年に康師傅の親会社の頂新の株式を取得したが、その際にアサヒが所有する康師傅飲品の株式 40%のうち8%を頂新に520百万ドル売却した。

アサヒはその後、2016年9月、欧州事業に資金を振り向けるため、当時保有していた康師傅飲品の持ち株 30.4% のうち10%を康師傅が属する頂新グループ2社に334億円で売却した。

現時点での康師傅飲品の株主は次の通りで、今回、アサヒは100%子会社エイ・アイ・ビバレッジホールディングの持つ20.4%をすべて売却する。

康師傅(BVI) 52.5% 持株会社
頂新(Cayman) 22.1% 康師傅の親会社
AIB 20.4% アサヒビール100%
康師傅 5.0%
合計 100%


アサヒの持株推移 40%→32%→30.4%→20.4%→0


なお、アサヒは康師傅を傘下に持つ中国食品大手、頂新ホールディングに出資しているが、同社グループとの連携は続けるとみられる。

頂新グループは1958年に魏和德が台湾に創設した製油会社「鼎新製油工廠」が起源で、1974年に「頂新製油公司」となった。

1992年に天津開発区に「天津頂益国際食品有限公司」(現在康師傅)を設立し、康師傅ブランドのインスタント食品などを製造した。
現在では頂新グループは中国の食品・流通最大手である。

アサヒは2010年に頂新株式の約6.54%を取得した。

同時に頂新株式の20%を持つ伊藤忠(2008年に出資)と、中国及び台湾市場における食品事業の拡大を目指し、合弁会社シーエフアイ(アサヒ 25.93%、伊藤忠 74.07%)を設立した。
頂新への出資はシーエフアイを通じて行うこととした。

その後、伊藤忠は2014年にアジア有数の大手複合企業の一つ タイのCharoen Pokphnad Group (CP)と資本・業務提携契約を締結した。

2014/7/26 伊藤忠、タイのチャロン・ポカパングループと資本・業務提携

伊藤忠とCPグループは2015年1月、中国最大の政府系企業グループ「中信集団」(CITIC Group) の3社間で戦略的な業務・資本提携を行うと発表した。

2015/1/22 伊藤忠商事、タイのCPグループと共同で中国中信集団と戦略的業務・資本提携 

伊藤忠は、中信集団と中国で食料・物流分野の市場開拓を進めていることから同業である頂新との競合を避け、円滑に協業を進めるため、経営への関与を薄める必要があると判断し、頂新ホールディングを連結対象外にすると発表した。

アサヒとの共同出資会社シーエフアイを通じて保有する頂新株の伊藤忠の持ち分をシーエフアイから買い取る。
伊藤忠が保有するシーエフアイ株全てをシーエフアイに1619億円で売却する。

この結果、シーエフアイはアサヒ100%子会社となった。頂新には約6.54%を出資する。

ーーー

アサヒは2016年10月25日、出資する中国の食品大手「頂新ホールディング」の企業価値が減少したとして、株式評価損 371億円を計上すると発表した。

中国経済の成長鈍化で頂新傘下の食品会社などの業績が悪化、株価が下落した。

欧州委員会は7月6日、キヤノンによる東芝メディカル買収、独Merck によるSigma-Aldrich の買収、GEによるデンマークの風力発電 LM Windの買収の3件について異議告知書を送付したと発表した。

キヤノンについては承認前に買収をしたこと、他の2件については十分な情報を出さなかったことが理由で、買収自体への影響はないが、今後の検討で問題だと認定した場合、罰金支払を命じる

キヤノンの場合、世界全体でのキヤノンの年間売上高の最大10%にもなる。他の2件の場合はそれぞれ、
独MerckとSigma-Aldrich の世界全体での売上高の1%、GEの世界全体での売上高の1%となる。

ベステアー欧州委員(競争政策担当)は記者会見で「企業は、われわれが適切な決定を行えるよう、十分かつ正確な情報を提供する必要がある」と指摘。「情報には経済への重要性が増す技術革新に対する影響も含まれる。将来的な戦略に関する説明責任は企業側にある」と述べた。

ーーー

東芝は2016年3月17日に下記取引で東芝メディカルを売却し、2016年3月期に売却益を計上した。

東芝メディカルを売却  
    A種類株(議決権あり)20株   MSホールディングに譲渡(対価 9万8600円)
         
    B種類株(議決権なし) 1株

キヤノンに譲渡(対価 6655億円)
    新株予約権


日本の独禁法では
新たに20%又は50%を超える場合は公取委の事前承認が必要となっているが、第10条2項の規定は、具体的には、取得後の議決権の数の割合が新たに20%又は50%を超えることとなる場合となっている。
キヤノンには議決権無しの株と新株予約権のみを譲渡しており、表面上は問題ないこととなる。

2016/3/18 キヤノン、東芝メディカル買収を発表、独禁法対策で奇手 

公取委は2016年6月30日、これを承認したが、株式取得のスキームが、事前届出制度の趣旨を逸脱し、独占禁止法第10条第2項の規定に違反する行為につながるおそれがあることから、両者に対し異例の注意を行った。

2016/7/4 公取委、キヤノンによる東芝メディカルシステムズの株式取得を承認

中国商務部は2017年1月4日、事前届け出義務違反を問題とし、キヤノン (佳能)に30万元(約500万円)の 罰金を科す「行政処罰決定書」をウェブサイトで公表した。

2017/1/6 中国、東芝メディカル買収でキヤノンに罰金の行政処分

EUは2012年8月12日に買収の通知を受け、9月19日に承認した。

しかし、EUに買収を通知し、承認を受ける前に、第三者を使った2段階の取引の第1段階で既に実質的に買収を実施しており、EUの買収規則に違反しているというのがEUの予備的な結論であり、その旨を通知した。

キヤノンの2016年12月期の連結売上高は 6.3兆円。

ーーー

他の2件の概要は次の通り。

1) Merck/Sigma-Aldrich

取引については下記参照。

 2014/9/25 独Merck KGaA、研究用試薬の米 Sigma-Aldrich を170億ドルで買収


欧州委員会は2015年4月21日に申請を受け、2015年6月15日に承認した。特定の実験用のケミカルを問題とし、Sigma-Aldrichの資産の売却を条件とした。

現在欧州委が問題とするのは、両社が本件に関しての革新的プロジェクトの情報を提出しなかったことで、この情報が提出されておれば、当然それを売却資産に加えていた。
情報提出がなかったため、売却資産は強さや競争力が損なわれたものとなっていた。

最終的にMerckは本件の技術を売却資産を買ったHoneywell にライセンスしたが、ほとんど1年遅れであり、しかも欧州員会が第三者の情報でこれを知ったためである。

2) General Electric/LM Wind

General Electricはデンマークの風力発電用のローターブレードの開発・生産者であるLM Wind Powerを買収した。欧州委員会には2017年1月11日に申請があった。欧州委員会は当時、ドイツのSiemensによるスペインの風力発電業のGamesaの買収の審査も行っていた。

現在問題とされるのは、GEの特定の製品の研究開発に関する情報を提示しなかったことで、この情報は、GEの将来の業界での地位、風力発電タービンの市場の今後の競争状況を正しく評価するのに必要なものであった。

GEは2017年2月2日に買収申請を一旦取り下げ、2月13日にこの情報を加えて、再申請した。これにより、欧州員会は市場について正しい判断を下せるようになった。

欧州委員会は、2017年3月20日にGEによるLM Windの買収を、3月13日にSiemens による Gamesa の買収をそれぞれ承認した。



公取委は6月28日、液化天然ガスの取引実態に関する調査の発表を行った。

http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/jun/170628_1.html

公取委は,特定の分野における事業活動の実態等について競争政策の観点から調査を行い,独禁法又は競争政策上問題となるおそれのある取引慣行,契約条件等がみられた場合,調査結果を公表し,事業者による自主的な改善を促すこととしている。

LNGについては、下記の環境変化があるが、LNGの余剰が発生した場合(①、②)、仕向地制限等により余剰分の再販売が妨げられる懸念がある。
  ①原発再稼動やエネルギー供給構成の多様化に伴う国内需要の緩和
  ②電力小売市場及びガス小売市場の全面自由化に伴う国内需給の見通しの不透明化
  ③アジアを始めとする世界的な需要量の増加
  ④非在来型天然ガスの開発等による世界的な供給量の増加

このため、公取委は取引実態に関する調査を実施することとしたもの。


報告の概要  http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/jun/170628_1.files/170628_2.pdf

1) 日本のLNG取引実態  船舶輸送により輸入

供給者 2016/4/1時点

供給者 契約数量
(万トン)

株主 (筆者作成)

Malaysia LNG

1,692

Petronas 州政府 三菱商事 Shell JX Diamond
Malaysia LNG 90% 5% 5%
Malaysia LNG Dua 60% 10% 15% 15%
Malaysia LNG Tiga 60% 10% 15% 10% 5%
MLNG 9 (new) 90% 10%

2016/6/7 JX、Petronas LNG 9 への資本参画

Qatargas 1,169
Qatar
Petroleum
Exxon
Mobil
Total Mitsui Marubeni Conoco
Phillips
Shell
Qatargas 1 65% 10% 10% 7.5% 7.5%
Qatargas 2 70% 30%
65% 18.3% 16.7%
Qatargas 3 68.5% 1.5% 30%
Qatargas 4 70% 30%
 https://www.qatargas.com/English/QGVentures/Pages/default.aspx
豪州North West Shelf LNG 964 BHP Billiton
BP
ChevronTexaco
Shell
Woodside Energy
Japan Australia LNG(三井物産/三菱商事)の6社が均等出資
Sakhalin Energy 547
Gazprom Shell Mitsui Mitsubishi
50% 27.5% 12.5% 10%

2007/1/9 サハリン2計画 再スタートとその背景

Abu Dhabi Gas Liquefaction 430
ADNOC Mitsui BP Total
70% 15% 10% 5%
その他 3,267
合計 8,069

購入者  2015年度(万トン)

現 JERA 東京電力 2,289
中部電力 1,251
東京ガス 1,327
関西電力 874
大阪ガス 780
その他 1,836
合計 8,357

2) 世界事情

3) LNG取引の特性

長期契約の必要性

Take or Pay 条項

引き渡し条件には、DES(仕向け港揚げ地渡し)とFOB

利益分配条項(再販売利益の一部の売主への還元)と再販売条項

価格

アジア向けのLNG取引は,基本的にJCC価格(貿易統計の輸入原油平均価格)を価格指標とする石油価格連動方式

近年は,米国のHenry Hub価格(原油価格に連動しない天然ガス価格)を指標とする市場価格連動方式も増加しつつある。

4) 競争政策上の考え方

 仕向け地制限

FOB契約 DES契約
仕向け地条項 拘束条件付取引として問題 不可欠
変更制限 同上 必要性・合理性あるのに拒否は拘束条件付取引となる恐れ

競争制限的条件は拘束条件付取引となる恐れ

 利益分配条項

事実上、再販売を間接的に制限している。
再販売の機会を喪失させる効果がある。

市場閉鎖効果が生じる場合は、拘束条件付取引となる。

FOB条件の場合、利益分配条項の規定は拘束条件付取引となる恐れが強い。

DES条件の場合は、契約条件を変更して再販売を行う代わりに再販売利益を配分するため、一概に合理性がないとは言えない。

但し、合理性が認められない分配効果がある場合、利益構造やコスト構造を開示させて再販売を妨げる効果がある場合は問題。

 Take or Pay条項

直ちに問題となるものではない。

売主の地位が優越している場合に、一方的に厳格な義務を決める場合は、優越的地位の濫用となる恐れがある。



今後、動向を注視し、違反行為には厳正に対処する。

サムスン電子は7月5日、ソウル近郊の平沢市の新しい半導体製造ラインで量産を開始、権五鉉副会長ら約100人が出席する中、製品の出荷開始式を行った。

このラインは、サムスンによる最新の第4世代の64層、256GbのV-NANDフラッシュチップを製造する。

2015年5月の着工から約2年で完工したラインは、単一生産ラインとしては世界最大規模。最大生産能力は月産でウエハー20万枚程度で、既存工場の2倍に達する。


サムスン電子は同日、半導体の生産能力拡大に向け、20兆4千億ウォン(約2兆円)の投資を行うと発表した。

平沢工場の拡張には、約14兆4千億ウォンを追加投資する。「工場は複層構造で、1階に続き、2階に大規模生産ラインを構築する」と説明した。
すでに投資された15兆6千億ウォンを含めると、2021年までの同工場への投資は30兆ウォンに達する見通し。

華城市の半導体工場にも最先端半導体ライン建設に向け6兆ウォンを投資する。

2014年に完工した中国・西安工場の半導体ライン(現在100%操業)を増設し、NAND型フラッシュメモリーの最大の需要地である中国市場に対応することを決めた。

これとは別に、韓国中部牙山市にあるサムスンディスプレーの工場にも年内に1兆ウォンを投資し、有機発光ダイオード(OLED)の新規ライン用の敷地造成を終える。


半導体事業が好況のなか、東芝がもたついているが、サムスン電子はライバルを蹴落とす好機とみて、攻めの投資を続けている。

IHS Technologyによると、NAND型フラッシュメモリーの世界シェアは次の通り。(2017/7/5 日経)

Samsung Electronics 韓国 35.2%
JV 東芝 日本 19.3%
Western Digital 米国 15.5%
Micron Technology 米国 12.0%
SK Hynix 韓国 10.1%
Intel 米国 6.9%
others 1.0%


この業界で生き残るためには東芝メモリ / Western Digital JVも積極的に投資をするしかない。

JVは利益を全額投入し、さらに追加借り入れを行って投資を続けるしかない。

産業革新機構や日本政策投資銀行は、東芝メモリを買収した場合、このような大胆な投資ができるであろうか。誰が投資を決めるのだろうか。


なお、機構は3000億円、政策投資銀行は3125億円を投資するが、これは東芝メモリの買収のため東芝に払われる。
これの回収には、東芝メモリの配当しかないが、配当を求めた場合は投資が停滞することとなる。

Bain Capitalの場合は、東芝メモリの企業価値が上がった時点で売却し、利益を得ることを考えていると思われる。
このため、当面は積極的に投資を続けることを主張するとみられる。

日本触媒は6月28日、神戸大学(大学院工学研究科サスティナブルケミストリー寄附講座)と共同で、バイオマスの新規資源化プロセスを開発したと発表した。

日本経済新聞は同日、紙おむつの高吸水性樹脂(SAP)の原料をパームヤシ殻から生産する技術を開発したと報じた。

ーーー

バイオマス利活用の技術の一つとして水熱分解(Hydrothermal Liquefaction)がある。

この方法は、高温水中でバイオマスを熱分解し、水溶性および油溶性分解物を得る方法だが、従来の方法では、水溶性分解物および油溶性分解物の収率は各々約15wt%と低いうえに、分解物中の酸素含有量 が高いため、水素添加など追加の脱酸素工程が必要である。

加えて約40wt%と大量に生成する炭化物(チャー)の処理が最大の課題でもある。

今回の方法では、リグノセルロースを 250-300℃の高温水中、金属鉄存在下で高効率で炭素数 2-6程度の水溶性化合物群に分解する。

金属鉄を共存させて酸化鉄とすることで酸素を除外し、水溶性分解物を60wt%程度の高い収率で得ることができる。

このときの水溶性分解物中の酸素含有量は、原料に比べて約2割減少しており、脱酸素により炭化水素化が進んでいることも認められた。

さらに銅やパラジウムなど水素化能をもつ金属を添加することで、分解と水素化(脱酸素)をより効率的に進めることができ、一段と炭化水素化が進んだ水溶性分解物を得ることができることも分かった。

従来から大きな問題であった副生チャーは金属鉄の再生に用いる還元剤として活用できるため、バイオマス全体の高い利用効率を実現できるというメリットもある。

得られた水溶性化合物群は、ZSM-5などの固体酸触媒を用いて、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのオレフィン系炭化水素やベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素に変換できることも確認した。

種々のグリーンケミカルズの基礎原料として有望と考えられる。

バイオマスから作ったプロピレンを既存のアクリル酸プラントに供給することができれば、再生可能資源由来のアクリル酸を製造でき、環境にやさしい高吸水性樹脂→紙おむつ へとつながる。

この成果は、ACS Sustainable Chem. Eng., 2017, 5 (4), pp 3562-3569 で発表された。

Fe-Assisted Hydrothermal Liquefaction of Lignocellulosic Biomass for Producing High-Grade Bio-Oil

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共同研究の神戸大学・大学院工学研究科サスティナブルケミストリー寄附講座は、2012年7月に日本触媒の寄付講座として開設された。

サスティナブルケミストリーによる産業創出を目指し、再生可能資源バイオマスの利活用(バイオリファイナリー)技術、再生可能エネルギー生産技術、温室効果ガスである二酸化炭素の再資源化技術等に関する革新的技術の実践的な研究を行うとともに、新産業創出を担うイノベーション創出型の人材育成も行うことを目的とする。

文部科学省「先端融合領域イノベーション創出拠点形成」プログラムの一つであり、神戸大学が中心となって推進している「バイオプロダクション次世代農工連携拠点(iBioK)」と協働して、より緊密に産学連携のネットワークを構築し、大学保有の独自性のある様々な基本技術と企業保有の実用化技術や事業形成力を融合させることで、化学品製造のために新規な先端融合的製造プロセス開発を推進 するとしている。

設置期間は2017年6月末までの5年間で、寄付金額は総額2億5500万円。

特命教授に喜多裕一・日本触媒 顧問(前 取締役専務執行役員)、特命助教に平野喜章・日本触媒 企画開発本部開発部主任部員が就任した。


付記

日本触媒は、神戸大学(大学院工学研究科(応用化学専攻)に、共同研究講座「サスティナブルケミストリー(日本触媒)」を2017年7月1日に開設した。

名称:サスティナブルケミストリー(日本触媒)

場所:神戸大学大学院工学研究科(応用化学専攻)

研究体制:教授 荻野千秋 [神戸大学大学院工学研究科教授(兼任)]
       特命准教授 平野喜章[日本触媒より出向、工学博士]

設置期間:2017年7月1日から2019年6月30日までの2年間

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別途、日本触媒は2017年4月1日、大阪大学大学院工学研究科(吹田キャンパス内)に、「日本触媒協働研究所」を開設した。

2014年4月に共同研究講座を開設し、大阪大学の最先端触媒・合成技術と日本触媒の保有技術を融合させ、革新的で競争力のある機能性化学品合成に関する基盤技術の創造に取り組んできたが、これを発展的に解消し、協働研究所を新たに開設した。

大阪大学が強みとしている医工連携分野と日本触媒の触媒、有機合成、高分子合成などの保有技術の融合を図り、他大学・企業との多面的連携を視野に入れながら、革新技術の創出、事業創出、そして研究人材の育成を目指す。

【協働研究所の基本方針】
1.既存製品の革新技術の創出
2.新規事業に育成のための革新技術の創出
3.医工領域(医学と工学の学際領域)の新規事業創出

研究体制:
所長:三浦雅博 (大阪大学大学院工学研究科 教授)
副所長:原田信幸 [大阪大学大学院工学研究科 特任教授(常勤)](日本触媒 常務執行役員)
  
設置期間: 2017年4月1日から2020年3月30日までの3年間

東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の買収で優先交渉先となった産業革新機構などの「日米韓連合」内で、韓国半導体大手 SKハイニックスが最大33.4%の議決権取得を要求していることが、分かった。

SKは協議の過程で、将来的にBain Capitalから議決権(33.4%) の一部か全部を取得できる権利などを持つことを求めたという。33.4%の議決権は重要議案への拒否権を発動できる。

SKはBain Capitalに融資する形で参画するため、東芝の綱川智社長は「SKには議決権がなく、技術流出は防げる」と指摘していた。
しかし、SKハイニックスが単に融資のためだけに参加することはあり得ず、事業への参加を狙っているのは当然のこと。

競合企業が当初計画の融資ではなく出資とみなされる形で参画すれば独占禁止法の審査が長期化し、2018年3月末までの売却は難しくなる。

加えて、Western Digital は、売却差し止めを求めて米国の裁判所に提訴しており、7月14日(日本時間15日)に審問が予定されている。Western Digital はSKへの技術流出の懸念が顕在化したとして対決姿勢を強めるのは必至である。

そもそも、半導体業界で生き残るには、年間3000億円程度の設備投資を毎年のように続けなければならない 。産業革新機構や日本政策投資銀行とBainの寄合所帯がその判断を素早くできるのかとの疑問が出されている。今回の決定前に、「烏合の衆に、大胆で迅速な決断はできない。これが、東芝メモリが地獄に陥る最悪のケースである」との声があった。

本来は、シャープを再建した鴻海が最適だと思われるが、政府の介入で外された。

その鴻海傘下のシャープの首脳は7月3日、東芝メモリの買収について、「長引くと技術のチャンスがなくなる」と述べ、交渉が長期化する場合は撤退する考えを示した。ゆさぶりをかけたもの。

東芝の上場廃止の可能性も出てきた。

ーーー

機構が議決権のある普通株を50.1%、日本政策投資銀行が16.5%をそれぞれ出資、日本勢が66.6%と3分の2を占め、技術流出につながる経営判断などを防ぐ。

Bain Capital とSKの外資勢は全体の3分の1にあたる33.4%を持ち、株主総会で合併や事業譲渡などの重要事項で拒否権を発動できるようにする。
但し、SKはBain Capitalに融資を行うもので、直接、普通株を所有せず、議決権を持たない。これにより、各国の独禁法審査を避ける。

出資2兆円のうち8500億円は議決権のない優先株などで調達し、4分の3を外資勢が、4分の1を政投銀がそれぞれ出す。
銀行団が5500億円融資する。

普通株 優先株 融資 合計
産業革新機構 50.1% 3000億円 3000億円
日本政策投資銀行 16.5% 1000億円 2125億円 3125億円
Bain Capital 33.4% 2000億円 6375億円 8375億円
SK Hynix
銀行団 5500億円 5500億円
合計 6000億円 8500億円 5500億円 2兆円

韓国紙によると、SK Hynix は3000億円を出すとのこと。

東芝は同日、不正競争防止法違反等を理由として、Western Digital に対して、不正競争行為の差止めを求める仮処分命令の申立て及び総額1,200億円(一部請求)の支払い等を求める損害賠償等請求訴訟を東京地裁に提起した。


Western Digial は東芝メモリ売却の入札手続きに対して、看過できない妨害行為を継続的に行っている。
東芝とSunDiskの合弁会社の持分を東芝メモリへ譲渡すること及び東芝メモリの株式を第三者に譲渡することについてWestern Digital の同意が必要などを流布し、信用を毀損した。

Western Digitalは6月14日、同社のSanDisk系子会社がカリフォルニア州上級裁判所に、東芝と共同で運営する3つのNAND型フラッシュメモリ合弁事業売却の予備的差し止めを求めたと発表した。ICC 国際仲裁裁判所の決定が下るまでの暫定措置として請求している。7月14日(日本時間15日)に審問が予定されている。

また、Western Digital は、合弁事業及び共同開発に関する情報へのアクセス権を有するSunDiskの従業員をWestern Digitalに転籍させること等により、機密情報を不正に取得、使用している。

これらの行為が不正競争防止法や民法上の不法行為に該当すると判断した。

合弁事業及び共同開発に関する情報へのアクセスについては、本日をもって遮断することとした。

産業革新機構は産業競争力強化法という法律に基づき設置されており、成長事業にしか投資できない。
法律でわれわれの資金は投資先の借金返済には1円も充てられないことになっている。

昨年のシャープ(鴻海に敗北)の時は、ジャパンディスプレイとシャープの液晶事業の統合や、シャープの家電事業と東芝の家電事業の統合を狙っていて、業界再編による成長戦略があった。

フラッシュメモリを買収するだけでは意味がない。成長戦略が描けず我々としても身動きができない。

どこかのフラッシュメモリ会社から「東芝と一緒になってシナジーを作りたいが資金が足りないから一緒に投資してくれ。将来的にはIPOも考えている」というシナリオを頼まれれば検討できるかもしれないが、機構1社で持つのはイグジットを考えると難しい。

この発言に対し、今回の出資をどう説明するのだろうか。

ーーー

なお、東芝は7月3日、ランディス・ギアについて、9月末までをめどにスイス証券取引所で新規株式公開(IPO)による上場を計画すると発表した。
同社の売却手続きも同時に進める。

日立製作所と英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズは価格などの条件面で折り合わず、手続きからいったん撤退したもよう。

2017/4/29 東芝のスイス子会社ランディス・ギアの売却

EUの欧州委員会は6月27日、Googleがインターネット検索で自社のサイトが有利になるようにし、EU競争法に違反したとして、2,424,495 千ユーロの制裁金を命じたと発表した。
EUが競争法違反で科す制裁金では、2009年に
半導体市場での競合企業排除で命じられた Intel の 10億6千万ユーロを抜き、過去最大となる。

Googleはネット検索市場での支配的な地位を乱用し、商品価格を比較する際に同社のサイト Google shopping を競合他社のサイトよりも目立つように表示されるようにすることで、公正な競争を阻害した。

Google が90日以内に是正しなければ、Googleの親会社Alphabet の全世界の1日当たり売上高の平均の最大5%の罰金を課す。罰金は別途定める。
更に、違法行為のあった各国での民事訴訟のリスクを負う。

欧州委の競争政策担当のMargrethe Vestager 委員は次のように述べた。

Googleは革新的な製品やサービスを提供し、世界の人々の生活を変えた。それは良いことだ。

しかし、同社の比較購入サービスの戦略は、単に消費者により良い製品を選ばせるということではなく、検索エンジンの市場支配力を利用して、自社の比較購入サービスを優先し、他社のサービスを降格している。

同社の行為はEUの独禁法に違反する。競合の機会を奪っただけでなく、最も重要なのは、欧州の消費者の選択肢を否定したことだ。

一方、Googleは、欧州委員会は Googleのサービスの意義を過小評価していると主張、決定に同意できないとし、「決定を詳細に審査し、上訴を検討する」としており、法廷闘争は長期化する見通し。

ーーー

Googleは2004年に欧州での比較ショッピング市場に進出した。最初は"Froogle"と呼び、2008年に"Google Product Search"に改称し、2013年からは"Google Shopping"と呼ぶ。

欧州経済領域 (EEA) の次の13か国でこの事業を行っている。

ドイツ、英国、フランス、イタリー、オランダ、スペイン、チェコ、オーストリー、ベルギー、デンマーク、ノルウェー、ポーランド、スウェーデン。

消費者はオンラインで製品比較、価格比較を行い、オンラインで購入できる。

Google進出時には多数の競合業者があり、社内資料ではFroogleは失敗だとしていた。

2008年から戦略を変え、比較ショッピングでの優劣で競うのでなく、同社のインターネット検索での優位を利用することとした。

EUによると、問題点は下記の通り。

消費者が商品比較のため Google検索をすると、Google shopping が先ず並び、競合するショッピングサービスは数ページ先に並ぶ。

調査によると、デスクトップパソコンで最初のページの10件が全体のクリックの約95%を占める。トップにあるものは全体のクリックの35%を占める。
2ページ目になると、全体のクリックの1%に過ぎない。
画面の小さいモバイルでは影響はもっと大きい。

4ページ目以降に置かれた他のショッピングサービスは消費者に見てもらえない。

検索エンジンの市場支配力を乱用して、自社のGoogle shopping を有利にしたのは違法であるとしている。

制裁金は2006年のガイドラインに基づき、対象13カ国での比較ショッピングサービスの売上高をベースに決めた。


EUはGoogleについて、他の2件でも調査を続けている。

1) Android operating system

2) AdSense (自分のウェブサイトに広告を掲載するだけで収益が得られる無料のサービス)

出光興産、増資発表

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出光興産は7月3日、公募増資で1385億円を調達すると発表した。

発行済み株式の3割にあたる4800万株を、国内で3360万株(970億円)、海外で1440万株(415億円)を募集する。

海外での投融資、国内での有機EL等への設備及び研究開発への投資、及び昭和シェル石油買収に伴う金融機関からの短期借入金の返済に充てるとしている。

しかし、これにより出光一族の出資は現在の33.92%から26%に低下し、株主総会で合併を拒否できる3分の1を下回る。

このため創業家の代理人は同日、「創業家の保有する議決権比率の希釈化を目的とすることは明らかで、直ちに株式発行の差し止めの仮処分を申し立てる方針だ」とのコメントを発表した。

一方、会社側は「創業家の影響力の低下を意図したものではなく、引き続き説得を続ける」としているが、出光興産の会社側と創業家側との経営をめぐる争いは法廷闘争に発展することになった。

付記

東京地裁は7月18日、差し止め請求を却下する決定をした。「新株発行の主要目的が不当とは認められない」として出光側の主張を認めた。

創業家の持ち株比率を相当程度減少させ、支配権をめぐる争いを有利にする目的があったことは認め、出光側のベトナム製油所建設などの費用というのも的確な証拠がないとしたが、昭和シェル株の取得の際の借入金返済については弁済期を数カ月後に控え、資金調達の必要性が高いと認めた。

創業家側は東京高裁に即時抗告した。

東京高裁は7月19日、「新株発行の目的が不当であると認められない」として、申し立てを退けた東京地裁決定を支持し、創業家側の即時抗告を棄却する決定をした。

但し、高裁は「増資後、直ちに株主総会が開かれ、合併が議題になることをうかがわせない」としており、総会をすぐに招集できない。合併には時間がかかる。

ーーー

東京地裁、東京高裁の判断:

支配権を維持する目的 支配権を巡る実質的な争いで経営陣が自らを有利な立場に置く目的が存在したと一応認められる。 不当
資金調達目的 戦略的投資 製油所など戦略的投資に充てるために新株発行で資金調達をする必要性、合理性があるとは認められない。 不当
借入返済 昭和シェル株の取得の際の借入金返済については弁済期を数カ月後に控え、資金調達の必要性が高い。 正当
公募増資 第三者割当増資に比べ、経営陣に反対する株主の支配権を弱める確実性は弱い。 正当
合併提案時期 増資後直ちに合併承認議案を臨時株主総会に諮る恐れが高いと認められない。 (裁判所推定)
結論 新株発行の主要な目的が、経営陣が自らを有利な立場に置くとの目的とまで断定できない 「著しく不公正」ではない


昭和シェル株の取得時に増資構想はなし。
著しい低金利時代に増資による借入金返済が妥当か?


創業家側は出光興産の議決権の33.92%を握っており、総会決議で拒否権を持つ。

日章興産 * 16.95%
出光文化福祉財団 7.75%
出光美術館 5.00%
(小計) (29.70%)
名誉会長 * 1.21%
長男 * 1.51%
次男 * 1.51%
合計 33.92%

創業家側は2016年8月8日、上記*の共同保有の届出を行った。21.18%となる。

今回の増資に伴う株式の変動は次の通り。

創業家

株数 比率
現在の発行済株数 160,000,000

54,272,000

33.92%
増資株数 48,000,000 (ゼロとして)
増資後株数 208,000,000 54,272,000 26.09%


会社側は、増資手取りの用途を次の通りとしている。
(単位:億円)

海外投融資  255

ベトナム 製油所(NSRP)  142

インドネシア 潤滑油事業(出光ルプテクノ)63 

インド 潤滑油事業(出光ルプインド)16 

台湾 水添石油樹脂事業 (台塑出光特用化学品) 25 

ベトナム 給油所 9

合計 255

電子材料(愛知製油所)112

有機EL材料関連製造装置
地熱事業地域の調査活動用機器
C8スプリッター

研究開発費 155

有機EL材料の開発・用途拡大
固体電解質の工業化実証設備等

短期借入金返済 863

昭和シェル石油買収の金融機関からの短期借入金 1,590億円の一部

合計 1,385


これまでの経緯

2015/8/3 出光興産と昭和シェル石油、経営統合で基本合意
2015/11/16 出光興産と昭和シェル、経営統合に関する基本合意書締結
2016/6/29 出光興産の創業家、昭和シェルとの合併「反対」
2016/8/5 出光創業家、合併阻止へ強攻策
2016/9/22 出光販売店の具申書
2016/9/27 出光興産と昭和シェルの合併をめぐる出光販売店と創業家の動き
2016/12/20 公取委、出光興産による昭和シェル石油の株式取得を承認
2016/12/20 出光興産、シェルから昭和シェル株式取得

METIは6月28日、2021年までの世界のエチレン系・プロピレン系誘導品及び芳香族製品の需給(需要、生産能力、生産量)の動向をとりまとめ、発表した。
http://www.meti.go.jp/press/2017/06/20170628004/20170628004.html


結論(要約):

1.中国の石炭化学の動向等

石炭化学プロジェクトは、公表済みの約50件の計画(エチレン換算で約1700万トン)のうち、稼働済みのものを含め、2017年末までに19プロジェクト(同600万トン)が実行される見込み。

しかし、CTO(Coal to Olefin)やMTO(Methanol to Olefin)のナフサに対するコスト競争力が低下し、プロジェクトの実施は後退しており、今後どの程度実行されるかは不透明な状況。

一方、エチレンの生産能力は、原料の多様化、環境問題等に対応する新規エチレンプラント構想が打ち出されるなど、ナフサクラッカーも含めた新増設計画の進展により、2200万トン(2015年)から3600万トン(2021年)まで増加する。

プロピレンについては、PDH(プロパン脱水素法)による採算が確保可能との観測から、新規プロジェクトの急速な進行が見られ、生産能力は2700万トン(2015年)から4000万トン(2021年)まで増加する。

2.米国のシェール革命の影響

シェールガス由来の新増設エチレンプロジェクトは、ナフサに対する絶対的な価格競争力は変わらない。

2017年秋までに新規エチレンプラントが稼働するのを皮切りに、今後、エチレン生産能力の増強が本格化する見込み。その結果、エチレンの生産能力は2900万トン(2015年)から4000万トン(2021年)まで増加する見込み。

3.世界の需要見通し

世界全体のエチレン系誘導品の需要量の伸び率は、堅調な中国内需とインド、ASEANの伸びに支えられ、引き続きアジアが需要の伸びを牽引し、2015年~2021年で年平均3.0%となる見通し。

プロピレン系誘導品についても同様に、世界の経済成長に応じて、引き続きアジアが需要の伸びを牽引し、2015年~2021年で年平均3.4%となる見通し。

4.需給バランスのポイント

エチレン系誘導品は、中国では生産能力が増加するが、それを上回る伸びで需要が増加し、2021年には需要超過幅が2000万トン(2015年1700万トン)に広がる。

一方、中東では主にイランでの生産能力増加の影響から、2021年には2100万トン(2015年1700万トン)の供給超過になる。

北米では輸出増を目的とした新規プロジェクトの稼働が続くと見込まれ、供給超過幅が2021年には1300万トン(2015年810万トン)に広がる。

プロピレン系誘導品の需給バランスは、中国ではPDHプロジェクト等の進展に伴い、需要超過幅は緩和し、2015年に470万トン、2018年には230万トンまで需要超過幅は縮小するが、その後は再び拡大し、2021年には430万トンになる。

いずれも、能力比では需要との差は更に大きく拡大する。


概要は以下の通り。

1.世界のエチレン系誘導品

  1)生産能力

  2)需要

3)バランス (百万トン)

世界計 アジア計 うち中国 北米計 中東計
2015 能力 168.1 66.9 27.5 32.7 29.1
生産 144.4 53.1 19.6 32.9 26.8
需要 135.8 63.0 36.8 24.8 9.4
バランス 8.6 -9.9 -17.2 8.1 17.4
2021 能力 204.0 81.6 34.6 41.4 34.5
生産 174.4 69.1 29.4 40.1 32.6
需要 161.8 80.3 49.9 27.3 11.5
バランス 12.6 -11.2 -20.4 12.8 21.2
能力比 42.2 1.3 -15.3 14.1 23.0


2.世界のプロピレン系誘導品

1)生産能力

 2)需要

3)バランス(百万トン)

世界計 アジア計 うち中国 北米計 中東計
2015 能力 121.7 65.6 37.9 17.0 12.2
生産 97.3 51.3 27.3 14.9 8.1
需要 92.9 51.2 32.0 13.3 5.2
バランス 4.4 0.2 -4.7 1.6 2.9
2021 能力 142.7 81.5 50.0 18.3 13.0
生産 118.5 67.2 39.5 16.9 10.8
需要 113.8 66.4 43.8 14.9 6.8
バランス 4.7 0.8 -4.3 2.0 4.0
能力比 28.9 15.1 6.2 3.4 6.2


3.主要製品の需給 (総能力、総生産と地域別需要)

 

製品別の、能力・需要・生産の地域別推移と、各国・地域ごとの能力・需要・生産の推移を下記のサイトでグラフ化した。

http://www.knak.jp/METI-world/meti-2017/index.html


 
原子炉に多数のひびが見つかっているベルギー南部 HuyのTihange 原発2号機などを巡り、6月25日、周辺住民ら 5万人超(主催者発表)が手をつな ぎ、Tihange 原発前から Liege、オランダのMaastricht を経てドイツ西部Aachen に至る3カ国にまたがる約90キロの「人間の鎖」をつくり「危険な原発」の即時閉鎖を訴えた。


ベルギーの原発は下記の通り。

原発 万kW 運転開始 運転停止
BR(Belgian Reactor)
Molの原子力研究所内
3  1.0 1962 1987
Doel  1 43.3 1974 2015→2025
2 43.3 1975 2015→2025
3 100.6 1982 2022
4 100.8 1985 2025
Tihange 1 96.2 1975 2015→2025
2 100.8 1982 2023
3 105.4 1985 2025


稼働中の7基はフランスのエネルギー大手GDF Suez 傘下のベルギー電力大手Electrabel が運用する。

ベルギーは2025年までに国内の原発を段階的に全廃する原則を盛り込んだ脱原発法を制定している。

Doel原発の1、2号機、Tihange1号機は建造から40年が経過しているため、2015年の閉鎖が一度確定していた。しかし、ベルギーでは代替エネルギーの確保が遅れ電力供給不安が発生していることから、2009年10月に、事業者が再生エネルギー研究・開発へ資金提供することなどを条件に10年間延長された。

エネルギー担当相は、「現在の情況を考慮すると2025年までの脱原発は現実的ではない」と語っている。

Tiha
nge 2号機はDoel 3号機と共に2012年に圧力容器に微細なひびが見つかり運転停止した。
原子炉は1年間運転停止、2013年に再稼働したが、安全性の欠陥のため何度も停止した。2号機の圧力容器外壁には9cmにも及ぶひびが2000か所見つかった。

Federal Agency for Nuclear Control は2015年11月に再稼働を認めたが、その後の定期検査中に内在有害欠陥に変化があるかどうかをモニターすることとした。

超音波検査の結果、5月5日に、ひびが広がっていないこと、新しいひびがないことが分かったと発表、再稼働を認めた。

Doel 3号機も2016年11月の定期検査中に同じ超音波検査を行い、異状がないことを確かめ、2016年12月に再稼働した。

今回、周辺住民らが「危険な原発」の即時閉鎖を訴えた。 オランダ、ドイツとの国境が近いため、両国の住民も「人間の鎖」に加わった。

ベルギーは電力の約55%を原子力発電に依存している。

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