2020年1月アーカイブ


1月25日午後3時45分ごろ、四国電力伊方原発で3号機の定期検査中、「ほぼ全ての電源が一時的に喪失する」トラブルがあった。

電気を供給する送電線の部品の取り換え作業中に、異常な電流が流れた場合に電線を遮断する装置が作動し、停電が起きた。作動した原因は分かっていない。

廃炉作業が行われている1号機と廃炉が決まっている2号機は3秒程度後に別の電源から受電した。
定期検査中の3号機は10秒程度後に
非常用ディーゼル発電機が起動し、その後別の電源に切り替えた。

1号機は廃炉が決定していて燃料が搬出済み。2、3号機の使用済み核燃料プールの水温にも異常はなかった。


3号機は昨年12月26日に定検入りしたが、1月12日には制御棒が誤って約7時間引き抜かれた状態になった。同20日には使用済み核燃料プール内で、燃料の落下を示す信号が発信されるなど、定検中のトラブルが相次いでいる。

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山口県東部の住民3人が、伊方原発3号機の運転差し止めを求めた仮処分申請の即時抗告審が1月17日、広島高裁であり、裁判長は四国電力に運転差し止めを命じる決定を出した。

2020/1/20 広島高裁、伊方原発3号機運転差し止め 

四国電力は、伊方原発で重大なトラブルが相次いでいることを受けて、広島高裁が出した3号機の運転を認めない仮処分の決定について、異議の申し立てを当面見送る異例の対応を取ることを明らかにした。

異議の申し立てに期限はなく、四国電力は異議を申し立てる方針自体は変わらないとしているが、時期については相次ぐトラブルの原因究明や安全対策を進めていく中で検討していくとしている。

このため、伊方原発3号機は運転できない状態が長期化する可能性が出てきた。

世界貿易機関(WTO)の上級委員会が2019年12月10日、新規案件の審理を開始できない事態に陥った。


WTO紛争解決制度は、いわゆる二審制をとっており、第二審として最終的な裁定を行う上級委員会(Appellate Body)は、7名の委員で構成され、3名で一事案の審理を担当する。

委員の任期が到来する中、上級委員の任命の在り方など、WTOにおける紛争解決制度や上級委員会の在り方に不満を持ち、これらについて議論するまでは選考プロセスの開始に賛成できないとする米国と、これに反発するその他の国の間での意見の不一致が生じ、後任が選べず、空席が続いていた。

米国は、中国政府による産業補助金や知的財産権の侵害といった問題で、WYOが疑わしきは罰せずという原則に基づき中国に有利な判断を下したことを問題視している。
従前より、加盟国が紛争解決手続をコントロールすべきとする見解を主張している。
紛争解決機関の承認もなく上級委員が自ら、委員の任期延長を決定していること批判している。

2019年12月10日に、残る3名のうち2名の任期が切れて1名だけになり、委員3名で一つの紛争案件を担当する規定により、新規案件の審理が事実上不可能な状況となった。
案件を審理する小委員会(パネル)は存続するが、パネルの判断に不満がある場合に上級委員会が開けず、機能不全となる。

米国は12月9日、上級委員の選任を改めて拒否した。上級委がWTO規則を超越したり度外視した判断を下していると批判した上で、委員の新たな選任を支持しないと表明した。

これに対し、EUは緊急措置として代替の上訴制度を独自に設置することを提案し、1月24日、中国、カナダ、ブラジルなど16カ国と合意した。合意国間の通商紛争のみに適用する枠組みとなる見通し。

参加国は以下の通り。「参加を希望するWTOメンバーに開かれている」としているが、米国と日本は参加していない。

EU、ノルウェー、スイス
カナダ、メキシコ
ブラジル、チリ、コロンビア、コスタリカ、グアテマラ、パナマ、ウルグアイ
オーストラリア、ニュージーランド
中国、韓国、シンガポール

EUの通商担当のホーガン欧州委員は「我々は上級委の行き詰まりに対し、永続的な解決策を探る努力を続ける」との声明を出した。


日本が不参加の理由について、政府関係者は「今回はあくまで暫定措置。日本は恒久的な改革を重視している」とした。

どの国も恒久的改革を重視しているが、機能不全となったため、やむを得ず暫定措置をつくったもので、不参加の理由にはならない。米国だけが除け者になるのを避けるための忖度と見られても仕方ない。

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ランプ米大統領はダボス会議で1月22日、WTOについて「劇的な」行動を取ると宣言した。
WTO事務局長によると、トランプ大統領は以前からのWTOに対する不満について議論し、WTOを改革したい意志を明確にした。改革のあり方について協議するため事務局長を米ワシントンに招待しれたという。

WTOの非公式閣僚会合が1月24日、スイスのダボスで開かれた。
会合には日本を含めた35カ国・地域が出席した。紛争処理のほか、漁業補助金、投資円滑化などについて協議した。6月の閣僚会合で成果を出すため、加盟国は協議を続ける。

WTO事務局長は、暫定的な紛争処理の仕組みについて言及しなかったものの、会合で各国WTO紛争処理の改善を含む今後の改題について協議したと話した。
「選択肢はある。改善策を追求しているところだが、まだそこに至っていない」とし、「近いうちにもっと前進できると自信を持っている」と話した。





東京工業大学 科学技術創成研究院は1月23日、化学生命科学研究所の野本貴大助教と西山伸宏教授の研究グループが、液体のりの主成分であるポリビニルアルコールを中性子捕捉療法用のホウ素化合物(ボロノフェニルアラニン=BPA)に加えるだけで、その治療効果を大幅に向上できることを発見したと発表した。

さらに、京都大学研究用原子炉にて、マウスの皮下腫瘍に対するその治療効果を検討した結果、ほぼ根治することを確認した。

本研究成果は2020年1月2日に米国の「Science Advances」に掲載された。
   https://advances.sciencemag.org/content/6/4/eaaz1722

本研究の臨床応用を目指し、がん治療法に使う薬BNCTを開発しているステラファーマの協力を得て研究を進める。

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ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、ホウ素(10B)に対して熱中性子(エネルギーの低い中性子で、単独では細胞傷害性がほぼ無い)を照射することにより核反応を起こし、細胞傷害性の高いアルファ粒子とリチウム反跳核を発生させて、それによりがんを治療する方法である。

従来の方法では治療することが困難な再発性のがん、多発性のがんに対しても有効で、 「手術」、「化学療法」、「放射線治療」、「免疫療法」に続く、第5のがん治療法として大きな期待を集めている。

現在、臨床で主に使用されているホウ素化合物はボロノフェニルアラニン(BPA)という物質で、選択的にがんに集積することができる。BPAの臨床試験はステラファーマが行っている。

しかし、BPAはがんに長期的に留まることができず、その滞留性を向上させることが強く望まれていた。

がん細胞では細胞膜上にLAT1というアミノ酸を取り込むためのタンパク質がある。

LAT1は細胞外のBPAを取り込む際に細胞内のアミノ酸を排出するが、チロシンなどの細胞外のアミノ酸を取り込む際に細胞内のBPAを排出することもある。その結果、細胞外のBPA濃度が低下すると細胞内のBPAが流出してしまう現象が起きる。

野本助教と西山教授は、スライムの化学を利用してポリビニルアルコールにBPAを結合することにより、結合させた物質ががん細胞に選択的かつ積極的に取り込まれ、その滞留性を大きく向上できることを発見した。

洗濯のりとホウ砂を混ぜるとスライム(粘液)ができる。これはホウ砂から生じるホウ酸イオンが化学反応により複数のポリビニルアルコールをつなぐためで、この化学反応を応用した。

ポリビニルアルコール(PVA)は、多くのジオール基を持っており、このジオール基はホウ酸やボロン酸と呼ばれる構造と水中でボロン酸エステル結合を形成することができる。

BPAをPVAに結合させたところ、PVAに結合したBPA(PVA-BPA)は細胞に取り込まれる。従来のBPAが細胞質に蓄積するのに対し、PVA-BPAはエンドソーム・リソソーム(細胞内小器官)に局在するようになった。

その結果、がん細胞に取り込まれるホウ素量が約3倍に向上し、細胞内で高いホウ素濃度を長期的に維持することが可能となった。


最近の臨床研究においては、BNCTの普及を目指した加速器型中性子線源が主流になっている。しかし、現状の加速器型中性子線源による熱中性子の産生量では、浅い部位のがんに適応が限定されると考えられている。

治療の適応を深部まで拡げるためには、がん組織内のホウ素濃度を長期的に高く維持することが求められており、この点において本研究成果のPVA-BPAは大きく貢献できるものと期待される。

PVA-BPAは製造が容易である上に治療効果も非常に優れていることから本研究成果は極めて実用性が高いと考えられる。



イスラエル、ギリシャ、キプロスの3国は1月2日、EastMed gas pipeline 建設計画の契約に署名した。イタリアが署名をすれば有効となる。

EastMedラインは、EUのエネルギー不足を補うため、代替ガス源を提供する目的で計画されたもので、東地中海で近接するキプロスのAphroditeガス田、イスラエルのLeviathanガス田の天然ガスをヨーロッパに送る1,900キロメートルのパイプラインである。

Leviathanガス田をスタートし、キプロスのコンプレッサーステーションを経由、ギリシャのクレタ島に上陸、その後、ギリシャのペロポネス半島を経由してギリシャ西岸のThesprotiaに到着する。
その後は、計画中のPoseidon pipelineを使い、イタリアにつなぐ。能力は年間100億立方メーター。

建設コストは70億ドルで、7年かかるとされる。開発はギリシャのガス会社のDEPAとイタリアのEdisonの50/50JVのIGI Poseidon S.A. が担当する。

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イスラエル、ギリシャ、キプロスとエジプト、ヨルダン、パレスチナ、イタリアの7カ国・地域は2019年1月に「東地中海ガスフォーラム」を創設した。

本年1月16日に開いた閣僚級会議では、イスラエルとエジプトのLNG欧州輸出計画や、イスラエル沖から欧州に向けたパイプライン計画を踏まえ、さらに協力を進める方針を確認した。


既報の通り、この地域ではキプロスとトルコが争っている。

天然ガスの発見で、トルコはトルコ系住民の住む北キプロス・トルコ共和国も権利を持つとし、南北で大陸棚での探査について協定を結ぶことを要求したが、キプロスはこれを無視した。

キプロス政府はENIやExxonMobil、Shellなどに採掘権を与えた。

これに対し、トルコが排他的経済水域を設定し、探索のための掘削を始めた。

トルコは2019年5月中旬、100隻以上の軍艦を投入して、同島の近隣で大規模な海上演習を実施した。さらにエルドアン大統領は6月、「地中海東部でのトルコと北キプロスの権利を守る」と宣言。資源をめぐる対立は複雑化している。

欧州連合(EU)は2019年7月15日、度重なる警告にもかかわらずキプロス沖でガス採掘を実施しているトルコに対し、対抗措置を取ることを決めた。

2019/7/18 EU、キプロス沖でのガス採掘めぐりトルコに対抗措置

トルコは、トルコ国内経由で欧州につながるTrans-Anatolian gas pipeline(TANAP)があるため、欧州への新しいパイプラインは不要であるとしており、東地中海でトルコとトルコ系キプロスの権利を無視するどんな計画も失敗すると警告した。

トルコの排他的経済水域が支障となるが、これに加え、トルコとリビアは2019年11月に地中海の境界を決める協定を結んだ。
トルコのエルドアン大統領は演説で「トルコとリビアの承諾がないまま、両国間の海域で採掘したり、パイプラインを通したりすることは不可能になった」とけん制した。

イスラエルはトルコと話し合う考えはあるとしている。

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イスラエルは東地中海の沖合で開発した豊富な天然ガス資源を使って周辺国への輸出に乗り出し た。

エジプトとヨルダンに対してはすでにあるパイプラインを通じてイスラエル産ガスを供給し冷え込んだ関係の改善を図ろうとしてい る。

イスラエルは1月15日、沖合で採掘したガスをパイプラインでエジプトに供給し始めた。

イスラエル海域のLeviathan ガス田とTamarガス田のパートナーはエジプトのDolphinus Holdingsに約200億ドルの天然ガス供給の契約を締結した。

米国の Noble Energy とイスラエルの Delek Drilling は両ガス田の主要オーナーであるが、Egyptian East Gas Co と組んでEMEDというベンチャーを設立し、EMG海底パイプラインの権益の39%を520百万ドルで取得した。

イスラエルからエジプトへの最初の天然ガス輸出となる。

 

英上院は先週の委員会の論議を経て、1月20日と21日に本会議を開いた。


2020/1/21 英国のEU離脱関連法案、上院で審議

先ず、1月20日に3件の修正案を可決した。

1) EU離脱後に英在住のEU市民に自動的に居住権を与えるとともに、居住権を証明する物理的な証書を交付する内容で、270対229の賛成多数で可決された。

 政府の方針では、EU市民がブレグジット後に居住権を獲得するためには2021年6月までに内務省に申請手続きを行う必要があり、居住権の証明はオンラインでしか行われない。

2) 英裁判所のどの判決が欧州司法裁判所の判決より優先されるかについて、政府の決定権を排除するもの

3) 英国内のあらゆる裁判所の判決について、EUの判例に反することが可能かどうかを英最高裁判所の判断に委ねることとを可能にするもの

1月21日に問題の子供の難民の扱いに関する修正案が300対220の賛成で可決された。

親が難民の場合は子供を難民として入国を認めるが、子供が難民と認められた場合にその親を難民と認めないことが問題となった。

子供の頃ナチスから逃れて英国にきた Lord Dubs が修正案を提出した。

これに関し政府側は、そのような親子が再会できるようEUと協定を結ぶつもりだが、EU離脱法案には含めないとしている。

最後に5つ目の脱退通知をする前にスコットランドや北アイルランドの分権議会の同意も必要とするという修正案が可決された。

1998年の分権法では、分権議会の立法事項にも及ぶ立法をするときは、事前に分権議会の同意を得ることが確認され、それが以後慣行となった(Sewel conventionと呼ばれる)。

分権議会に移譲された立法権のなかにはEU法が関わるものもあり(農漁業や環境分野の立法など)、分権議会に対してEU法を遵守する義務を課している。
EU脱退となれば、1998年分権法のEU法遵守義務規定も廃止する必要がある。

下院では与党が多数を占めるため否決する予定で、法案が上院と下院を行ったり来たりする卓球戦(parliamentary ping-pong bout)となる可能性があった。


下院は1月22日、上院の修正案を否決した。

これを受け、上院は再度の修正を諦め(卓球戦をやらず)、EU離脱関連法案を原文のまま承認した。

1月23日にも女王の裁可(royal assent)を得て、正式に法律となる。

1月31日のEU離脱が確実となった。

ジョンソン首相は数日中にEU離脱協定に署名し、欧州理事会(EU首脳会議)とEUの行政執行機関、欧州委員会の首脳も1月24日にブリュッセルで署名する見通し。1月29日の欧州議会での正式承認で批准手続きが完了する。

米上院で1月16日、トランプ米大統領のウクライナ疑惑をめぐる弾劾裁判が開廷した。

既報 2020/1/13 トランプ大統領の弾劾手続き開始へ 

この日の手続きは儀礼的なもので、実際の弁論は21日から始まる。100人の上院議員全員が陪審員になって、「権力乱用」と「議会妨害」で弾劾訴追されたトランプ氏を罷免するかどうか裁く。

まず、弾劾管理人を率いるシフ下院情報委員長(民主党)が訴追決議を読み上げ、「トランプ大統領は弾劾裁判と、すべての公職資格の剝奪、そして罷免に値する」と述べた。

その後に裁判長を務めるロバーツ最高裁長官が宣誓を行い、続いて各議員が宣誓書に署名した。


ホワイトハウスの弁護団は1月18日、下院による弾劾訴追を「憲法違反」と批判し、無罪を訴える内容の準備書面を上院に提出した。 野党・民主党が主導した下院の弾劾訴追を「自由な選挙で大統領を選ぶ米国民の権利に対する危険な攻撃だ」と批判、「2016年大統領選の結果を覆そうとする違法な企てだ」と訴えた。

ウクライナへの軍事支援を凍結した背景として、ドイツなど欧州各国が公平な分担をしているかについて疑問があったとしている。
政敵のバイデン前副大統領親子の捜査をウクライナに求めたことについても、ウクライナの汚職対策への取り組みを重視していたと説明した。
いずれも違法性はなく、「権力乱用」にはあたらないと反論した。

大統領が下院の調査に協力しないよう政府職員に指示した「議会妨害」についても、行政府には秘密保持の権限があり、議会への妨害にはなりえないと主張した。

検察官役の下院代表委員7人も1月18日、上院に準備書面を提出した。

トランプ氏が軍事支援凍結などでウクライナに圧力をかけ、バイデン氏らの捜査をウクライナに求めたのは、「個人の政治的利益のために外国政府に米大統領選に介入するよう求めた」行為と断定 、「米国の民主的価値観と国家安全保障への損害を防ぐため、トランプ氏を有罪にして罷免すべきだ」と求めた。

新たな証人招致や証拠提出を認めるかなどを巡り、共和・民主両党の対立が19日も続いた。

トランプ米大統領は、ダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)に出席するため、弾劾裁判の審理が上院で始まる21日にスイス入ったが、スピーチの後、帰国した。

共和党の McConnel上院院内総務が1月20日、裁判の進め方に関する決議案を提出した 。これは単純過半数で議決される。

検察官役の下院民主党議員団とトランプ氏の弁護団は、意見陳述の機会をそれぞれ24時間 ずつを与えられる。
午後1時から始め、1日12時間で2日間としたが、これでは休憩をいれると毎日翌朝2時までやる必要があり、与党からも反対が出たため、1月21日に各3日間とするよう修正された。

双方の意見陳述のあと、質疑応答が16時間行われる。

その後、証人尋問や新しい情報を検討するかどうかについて、4時間の議論のあと採決される。

証人尋問は過半数の賛成で実施される。上院の勢力は共和党53人、民主党47人のため、証人尋問には共和党から4人の賛成が必要となる。
穏健派議員のうち少なくとも4人は証人尋問を排除しない立場を示しており、可決される可能性はある。


焦点となるのはボルトン
前米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の 証人招致である。共和党指導部は想定外の新疑惑が浮上して情勢が一変する事態を懸念する。

ボルトン氏は1月6日、「上院が証言を求める召喚状を出せば応じる」と表明した。

同氏はこれまで、議会証言に応じるかを裁判所に委ねるとしていた。下院での弾劾調査で民主党はボルトン氏に証言を要求したが、裁判所の最終判断に時間がかかるため証言を断念した。

対ロシア強硬派として知られるボルトン氏はロシアの脅威にさらされるウクライナ向け支援の継続を主張し、トランプ氏と一対一で面会して支援再開を促したとされる。
それに対する大統領の発言など、証言内容によってはトランプ氏に打撃になる可能性もある。

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なお、トランプ大統領がウクライナに政敵の捜査を進めるよう圧力をかける目的で、同国への支援を凍結させた問題で、米国の政府監査院(GAO)は1月16日、議会が承認したウクライナへの支援を留保したことが法律違反だと認定した。

GAOは、トランプ政権によるウクライナ支援の凍結について、「議会が立法した内容を大統領が自らの優先政策と置き換えることは、法の誠実な執行上、認められていない」と指摘した。

1974年制定の執行留保統制法(ICA)は、議会が決定した支援を政府が留保するのを違法としている。また、政府が支援を遅らせたり止めたりする場合は、事前に議会下院に通告しなければならないと定めている が、 トランプ政権は、この事前通告をしなかった。

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CNNテレビが1月20日に公表した世論調査(16~19日実施)では、トランプ氏の弾劾裁判について、「有罪で罷免されるべきだ」と回答した人は51%で、「無罪で罷免されるべきではない」の45%を上回った。

罷免には陪審員役を務める上院議員の3分の2の賛成が必要である。





2018年12月にカナダで逮捕された中国通信機器大手、華為技術の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)の米国への身柄引き渡しの可否を判断する審理が1月20日に始ま った。

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カナダ司法省は2018年12月1日、中国の通信機器最大手、華為技術(Huawei Technologies)の創業者 任正非(Ren Zhengfei)の娘である孟晩舟(Meng Wanzhou)副会長 兼 最高財務責任者(CFO)をバンクーバーで逮捕した。

米司法省は、イランへの輸出に対する米国の制裁にもかかわらず、華為技術が同国に製品を販売したかどうかについて捜査を始めていた。 8月22日に孟氏の逮捕状を取り、11月29日に孟氏がバンクーバーに立ち寄ることを把握し、犯罪人引渡協定に基づき、カナダに逮捕と身柄引き渡しを求めていた。

2018/12/10 華為技術(Huawei Technologies )の副会長の逮捕

孟氏の弁護団は米側の政治的な意図に基づいた不当な訴追だとして無罪を主張した。

カナダの裁判所は12月11日、同氏の保釈を認める決定を下した。

条件として1000万カナダドル(約8億5千万円)の保釈金を支払 い、GPS(全地球測位システム)付きの追跡装置を身につける。夜間の外出は禁じられ、パスポートは押収される。

米司法省は2019年1月28日、Huawei と孟晩舟 Huawei副会長を起訴した。

司法省の起訴はは2つの案件で行われたが、孟晩舟については、 イランとの取引関係における銀行詐欺と通信詐欺である。

米国の法律および規制では制裁対象国であるイランに関連した米国を通じた米ドル建て決済を含む銀行サービスを禁じており、一般的に金融機関は米国の法律や規制を遵守するために、イラン事業に関係がないことを確認する。IEEPA(International Emergency Economic Power Act :国際緊急経済権限法)により、イランは金融制裁の対象となっている。

華為技術はイランとの取引を香港のSkycom Techを通して行っていたが、米ドルの決済は米国の銀行を通して行っている。

実際にはSkycomは華為技術の子会社で、イランに事務所を有している。このため、取引は 華為技術によるイランとの取引であり、本来なら米国の銀行は取引ができない。

華為技術 および孟晩舟がイラン事業に関して米国の金融機関および米国政府を長期的に欺いたことを訴えの対象とした。

米国は孟副会長の引き渡しを正式に要請し、カナダ司法省は受理した。

2019/2/1 米司法省、Huawei を起訴 

孟被告は2019年3月1日、ブリティッシュ・コロンビア上級裁判所に提出した訴状で、カナダ政府と王立カナダ騎馬警察(RCMP)、カナダ入国管理局(CBSA)による公民権侵害を訴えた。

RCMPに逮捕される前、CBSAが不当な主張を根拠に自分を拘束し、所持品を調べ尋問した 。

当局はその場で孟副会長を逮捕し、カナダ人権憲章に基づく権利を侵害した 。

勾留は「違法」で「恣意的」なもので、当局は勾留の理由や弁護士を呼ぶ権利、黙秘権を意図的に教えなかった 。

カナダ政府は3月1日、米国への身柄引き渡しに関する審理を認めると明らかにした。

カナダと米国の犯罪人引き渡し条約に基づき検討した結果、「手続きを進めるための要件は満たされており、十分な証拠があると確信した」としている。

一般に、引渡し請求の対象となる行為は双方の国において重大犯罪とされていなければならないという「双方可罰性の原則」がある。また、基本的に他国からの引き渡し請求に応じる義務はない。

カナダの法律では同国の法律で違法とみなされない限り、身柄を他国に引き渡すことを禁じている。

カナダの前駐中国大使はイラン制裁違反に関して「カナダはイラン制裁措置に署名していない」としており、犯罪人引渡条約の対象にならない可能性がある。 しかし、カナダ当局は、カナダでも詐欺罪に該当すると主張している。


孟晩舟被告の米国への身柄引き渡しを巡る予備審理は、2019年3月、5月、9月に行われた。

Huawieは2019年5月9日、ステートメントを出した。

第1に、孟に対する嫌疑は事実に基づいていない。孟の事業活動が銀行職員もすべてを把握するなかでオープンかつ透明性を保って行われていた。

第2に、孟の公民権が繰り返し侵害された。

第3に、孟への嫌疑はカナダでは犯罪ではない。カナダはイランに関連した金融サービスについては制裁を行って おらず、引渡し請求は双方可罰性を満たしていない。

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中国政府は、孟被告が昨年12月に居逮捕されたわずか9日後、カナダ人2人を拘束した。
元外交官で独立系シンクタンク「国際危機グループ」に勤めていたMichael Kovrig と、中国を拠点とする実業家で北朝鮮旅行の手配をしていたMichael Spavor で、2019年5月に正式に逮捕された。

Michael Kovrigが非営利のシンクタンク、国際危機グループのために働きながら、スパイ活動と国家機密窃盗に関与し、中国の法律に「著しく違反」したとし、北朝鮮旅行の事業を手掛けるMichael SpavorはMichael Kovrigの主な協力者で、情報が渡されていたとする。

報道では、拘束されて1年になるが、2人は弁護士をつけることもできず、家族に面会できない状態が続いている。

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1月20日に始まる審理では、米国の起訴内容がカナダの法律上でも違法とみなされるかどうかが争点となる。

引渡し請求の対象となる行為は双方の国において重大犯罪とされていなければならないという「双方可罰性の原則」があり、カナダの法律では同国の法律で違法とみなされない限り、身柄を他国に引き渡すことを禁じている。

米国の法律および規制では制裁対象国であるイランに関連した米国を通じた米ドル建て決済を含む銀行サービスを禁じており、これの違反が問題とされた。

上記の通り、カナダの前駐中国大使はイラン制裁違反に関して「カナダはイラン制裁措置に署名していない」としており、カナダの法律では違反にはならないと見られている。

逮捕時の手続きが適切だったかどうかも焦点にな る。

カナダでは逮捕や拘束する際、逮捕の理由や弁護士を呼ぶ権利について説明を受ける権利が法律で定められている が、孟氏側はそういった説明なしに拘束され、人権が侵害されたと主張している。

報道によると、審理は23日ごろまで続き、裁判所の判断は後日示される。

双罰性が認められれば、6月に逮捕手続きの正当性の審理に移る。
双罰性が認められない場合、カナダ当局は上訴できるが、孟氏はカナダ国外に出ることが可能になる。

 

英議会下院は1月9日、英国がEUから離脱するための関連法案を賛成多数で可決、法案は上院に送付された。

2020/1/10 英下院、EU離脱法案を可決 1月末の離脱実現へ


上院では1月14~16日の3日間、委員会での審議が行われた。

特に下記の点が問題とされた。

・移行期間を11カ月とし、延長を認めないとした点

・子供が難民と認められた場合に、その親を難民と認めない点
 (親が難民の場合は子供を難民として入国を認めるが、逆は認めない)

Theresa Mayの案では認めたが、今回は認めない。EUでは親子の合流を認めない唯一の例となる。

下院では修正案が出たが、348対252で否決された。

野党は、ジョンソン首相は選挙前には労働者や難民児童の保護について妥協することを約束したが、選挙で過半数を取り、約束を破ったと批判している。

上院本会議では1月20日に委員会からの報告が行われ、必要な場合、法案の修正が行われる。
1月21日に本会議で修正案の採決が行われる。

上院には法案の否認決議はなく、修正案の決議だけである。

修正案は下院に送られる。

下院は1月22日にこれを審議するが、与党が過半数を持つため、修正案は否決されると見られ、再度上院に送られる。

どちらかが妥協するまでは修正案が上院と下院を行き来することとなる。卓球戦(parliamentary ping-pong bout)と呼ばれる。

もし決着しなければ、1月末の離脱も難しくなる。

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上院は一代貴族、世襲貴族、聖職貴族で構成される。

聖職貴族は、国教会の高位聖職者であるカンタベリー大主教、ヨーク大主教、ロンドン主教、ダラム主教、ウィンチェスター主教の5人と、そのほかの21名の教区主教をあわせた計26名。

世襲貴族は1999年のブレア政権の改革で、世襲貴族議員の互選で選ばれる90名に固定された。死亡時には世襲貴族議員の互選で後任が選ばれる。

一代貴族は首相の助言に基づく女王の勅許状によって叙爵される。首相退任時に退任する首相が次の首相に叙爵候補リストを残すケースと、総選挙時に引退を表明した庶民院議員たちを叙するケースが多い。
一代貴族が急増することが懸念されるが、今回、首相交代と総選挙で、24名の純増となり、総数が800人に近づいた。

一代
貴族
世襲
貴族
聖職
貴族
合計
聖職貴族 26 26
Conservative 198 46 244
中立派 157 30 187
Labour 176 4 180
Liberal Democrat 90 3 93
Democratic Unionist 4 4
Green 2 2
諸党 9 9
無所属 42 7 49
議長 1 1
合計 679 90 26 795

北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)実施法案が米上院で可決され、ホワイトハウスに送付された。


米議会下院は12月19日、法案を可決し、上院へ送付した。

共和党 民主党 無所属 合計
賛成 192 193 385
反対 2 38 1 41
棄権 3 2 5
合計 197 233 1 431


2019/12/13 米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の内容を一部修正、米議会で協定承認へ


上院では大統領の弾劾裁判が始まるが、これは他の上院の課題より優先されねばならない。このため、上院ではそれまでの可決を目指し、日程を繰り上げて討議された。

民主党側は下院での可決後、2019年内の採決を求める書簡を出したが、この時点では、上院で多数派を握る共和党上層部は弾劾裁判が終了するまでUSMCA実施法案を扱わないことを明言していた。

関連する7つの委員会で審議され、まず財政委員会、予算委員会、環境・公共事業委員会で可決、歳出委員会、保険・教育・労働・年金委員会(HELP Committee)、商業委員会、外交委員会で1月15日に可決された。

1月16日に上院本会議で89対10の賛成多数で可決された。

  共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 51 37 1 89
反対 1 8 1 10
棄権 1 1
合計 53 45 2 100

共和党の反対はToomey議員で、サンセット条項(加盟国全ての合意がない限り協定発効後16年目に失効する規定)に対する反対に加え、大統領貿易促進権限(TPA)法に違反することを問題視している。

TPA法は大統領に通商一括交渉権を付与する。

TPA法では、大統領は最終的な協定文書を議会に提出してから実施法案を提出するまでに30日以上の期間を設けなければならないとの規定がある。
USMCAについては、最終的に民主党主導の修正交渉の結果が反映されたテキストが2019年12月13日に公開され、同日に実施法案が下院に提出された。

トランプ大統領は直ちに署名するとみられる。

しかし、USMCAの発効には時間がかかると見られる。

メキシコはすでに法案を通しているが、米国による修正分の承認が必要である。
カナダは1月終わりに始まる下院で議決する予定

米中両国は1月15日、トランプ大統領や中国の劉鶴副首相が参加してホワイトハウスで「第一段階貿易合意」の署名を行った。


米中両政府は2019年12月13日、貿易協議の「第一段階」で正式合意したと発表した。

制裁関税での合意は以下の通り。

米国 2500億ドル分は25%の関税を維持
1200億ドル分は15%の関税を半分の7.5%に引き下げ(署名の30日後に)
12/15実施予定の1600億ドル分への15%追加課税を延期
中国 12/15実施予定の5%&10%追加関税を延期(自動車関税 25%+10% も延期


2019/12/16 米中貿易協議、第1段階で合意 

付記

米通商代表部(USTR)は1月21日、中国との貿易交渉を巡る「第1段階の合意」が2月14日に発効すると正式に明らかにした。同日付で約1200億ドル分の中国製品に対する制裁関税を現行の15%から7.5%に引き下げる。

この時点では口頭での合意で、これから文書化して署名する段階であった。双方の発表には一致していない部分もあり、2019年5月には中国が(口頭で合意した)外国企業に対する技術移転強要を是正する法整備を拒否し、トランプ大統領が「中国は約束を破った」として追加関税を課す対中制裁の強化を決めた例もあり、実際に調印されるかどうか、不安もあった。

実際に中国側には追加関税が撤廃されなかったことへの不満があると報道された。

しかし、最終的に12月の合意のままで文書化され、署名された。

米通商代表部(USTR)は合意文書Fact Sheet を公表した。

Fact Sheet によると、合意は以下の7項目。

知財(IP) 企業秘密、医薬関連知財、原産地表示、商標、模造品対策等の分野での多くの懸案事項
技術移転 中国は外国企業の中国進出や政府承認の取得等の見返りに技術移転を求める永年の慣行を止めることに同意。
技術移転、ライセンスは市場条件に基づく。
中国政府は外国の技術を取得するための海外投資支援をやめる。
農業 貿易の構造的障壁を取り除き、米国の食品、農業製品・海産物の輸出の大幅拡大をサポート
農業製品・海産物への非関税障壁を取り除く。
金融サービス 幅広い金融サービス業者に対する永年の貿易・投資バリアを取り除く。
通貨 通貨切り下げや為替レートの目標設定をやめる。透明性、説明メカニズムを推進。
貿易拡大 中国は2年間で2000億ドル以上の財・サービスの輸入(2017年比で)
輸入増は、製造製品、食料、農業・海産物、エネルギー製品、サービスを含む。
2021年以降も数年間、同じ傾向を続け、米中貿易のリバランスに。
紛争解決 合意違反なら必要な措置を取る。
両国高官は定期協議を月1回開き、USTR代表と中国副首相も定期的に会談する。
(米政府高官は「中国が合意内容を守らなければ、制裁関税を再発動する」と明言)

中国は米国からモノとサービスの輸入を2017年比で2年で2000億ドル増やすが、輸入拡大規模の内訳は下記の通り(億ドル)。

2020 2021 合計
工業品 329 448 777
農畜産品 125 195 320
LNGなど 185 339 524
サービス 128 251 379
合計 767 1,233 2,000

2017年の米国の中国向け財・サービスの輸出は合計 1,863億ドル(輸入は 5,235億ドル)

政府の購入額を協定で決めるなら分かるが、国全体の輸入増額(目標ではなく実額)を決めるのは極めて異常である。
国の輸入額は景気によっても増減するし、品質・価格などで購入元も変わる。品質や価格を保証せずに購入を強制するのはおかしい。

中国の総輸入額が増えなければ、他国からの輸入が減ることになる。

中国の劉鶴副首相は、輸入は市場原理に基づいて行われるため、今回の合意で中国に農産品を輸出する他の国に影響は及ばないとの考えを示した。
中国企業は消費者のニーズや市場の需給に基づいて米農産物を輸入するとし、「中国市場は今や国際市場の極めて需要な一部分となっている。いかなる国も好きなだけ中国に輸出できるわけではない。輸出品に競争力があることが必要となる」と述べた。

中国に本拠を置く穀物トレーダーは、「国有企業への輸入要請や割当制の導入など、ある程度の政府介入があるだろう」と述べた。

ーーー

今回は第一段階に過ぎず、米国は制裁関税第1~3弾(2500億ドル分)は25%の関税率を堅持し ている。

米国の対中制裁関税:

  当初 8/23 発表 10/11 12/13
①~③
2500億ドル
① 340億ドル  2018/7/6  25% 2019/10/1 30%予定
(→10/15に延期)
 
引き上げ延期 
(25%維持)
25%据え置き
② 160億ドル 2018/8/23  25%
③ 2000億ドル 2018/9/24   10%
→2019/5/10 25%
④ 3000億ドル 一般  1200億ドル 2019/9/1  10% 9/1  15% 7.5%に引き下げ
消費財 1600億ドル 2019/12/15 10% 12/15 15% 予定 発動見送り


中国も産業補助金の見直しなど構造改革は拒んだままである。

米国は中国の Made In China 2025(中国製造2025)計画で、全ての政府補助金の廃止を求めている。

今回の第一段階合意分は中国が既に改善を進めている項目がほとんどである。

しかし、残る項目は中国が簡単に下りれるものではない。中国製造2025計画は国の将来を左右するものである。

難航は必至である。

トランプ大統領も、「早期に第2段階の交渉を始める」と述べつつ、「合意は11月の 大統領選挙後になるかもしれない」とも話す。

T-Mobile/Sprint 合併承認を巡る裁判で、合併を認めた米政府側が裁判所に「合併は公共の利益になる」とする文書を提出したのに対し、合併反対の州側が裁判所に反論を提出した。

T-Mobile/Sprint側と州側の最終弁論は1月15日に行われ、2月末までに判決が行われる。

ーーー

ソフトバンクグループ傘下で米携帯4位のSprintと同3位でドイツテレコム傘下のT-Mobile US, Inc. は2018年4月29日、経営統合することで合意したと発表した。



2018/5/2 ソフトバンクとドイツテレコム、子会社 Sprint とT-Mobile USの統合で合意 

米司法省は2019年7月26日、ソフトバンクグループ傘下の米携帯通信4位 Sprintと、同3位T-Mobileの合併を条件付きで承認すると発表した。
新規参入をめざす衛星テレビ大手Dish Network Corp.にプリペイド式携帯事業や周波数帯を売却することを条件に合併を認めた。

Dish NetworkはSprintの子会社のプリペイドモバイル事業(Boost Mobile、Virgin Mobileなど)を約15億ドルで、800MHzの無線周波数帯を約35億ドルで取得し、合計930万人にのぼるその顧客を取得する。
Dishはこれらの資産を3年間売却できない。
Dishは携帯電話サービスを提供することになり、7年間の移行期間中はT-Mobileのネットワークを利用できる。

米連邦通信委員会(FCC)は10月16日、合併計画を3:2で承認した。連邦当局の承認を得たことで、合併の実現は下記の一部の州による差し止め訴訟の行方が焦点となる。

米ニューヨーク州など10の自治体が6月11日、携帯大手3位と4位の合併は消費者の不利につながるとして、T-Mobile と Sprintの合併を差し止めるよう米裁判所に提訴した。

訴訟はNew York、California両州が中心となり、Colorado、Connecticut、Maryland、Michigan、Mississippi、Virginia、Wisconsin、Washington DCが名を連ねた。

その後、訴訟への参加、離脱、合併賛成が相次いだ。現状は次の通り。

合併反対  13州+DC 合併賛成 9州
New York
California
Connecticut
Hawaii
Illinois
Maryland
Massachusetts
Michigan
Minnesota

Oregon
Pennsylvania
Virginia
Wisconsin
Washington, D.C.
Arkansas
Florida
Kansas
Louisiana
Mississippi
Nebraska
Ohio
Oklahoma
South Dakota


ーーー

司法省と連邦通信委員会(FCC)は裁判の当事者ではないが、2019年12月20日に裁判所に合併の承認を求め、"Statement of Interest"を提出した。

"Statement of Interest"は、米国裁判手続法第517条(28 USC §517)に基づくもので、司法長官が連邦や州の裁判所に係属中の事件において合衆国の利益 (interests of the USA)について考慮させることができる、というもの。

司法省とFCCの合併承認は、Dish Network Corp を新しくこの事業に参入させることで公共の利益になるとし、合併禁止は米国消費者にとって大きな、長期的な利益を損なうとしている。

これに対し、原告側を主導するニューヨーク州とカリフォルニア州の弁護団は1月8日、司法省とFCCはおざなりにしか見えない調査("what appears to be only a cursory examination")で承認したもので、政府の主張は無視すべきだと主張する文書を裁判所に提出した。

州側の主張は次のとおり。

合併に反対する州の人口は米国全体の43%を占め、賛成側の州の人口のほとんど2倍に達する。

州側は政府よりも厳しい調査を行った結果、T-Mobile/Sprint とDish Networkが承認根拠となる合併条件を守らないと思われる証拠が見つかった

T-Mobile/Sprint はDish Networkが全国の通信市場で競争相手にならないだろうと見ている。
例えば、ドイツテレコムのCEOなどが価格競争が減ることが合併の理由の一つだと認めている。

ーーー

1月15日の最終弁論では、主張を提出するが、それぞれ30ページに制限されている。

T-Mobile/Sprint は、"failing firm" defense(破綻企業の抗弁)は行わないが、「Sprintは将来的に重要な競争相手にはならないため、合併でSprintが抜けても競争が著しく減るということにはならない」と主張するとみられる。

「破綻企業の抗弁」は、合併を認めないと、単に対象企業が破綻するというだけでなく、対象企業の資産が市場から退出してしまって市場が非競争的になるとの主張

しかし、州側は過去にこれと異なる主張をしている。

Sprintは財政的に安定しており、National carrier としてやっていける。

現在のSprintの状況は2011年のT-Mobileの状況に似ている。T-Mobileが立ち直ったように、Sprintも立ち直れる。同社は5年間、毎年約50億ドルを投ずる計画を立てていた。

Sprintは他にも戦略的にいろいろの代替案を持つ。Sprintは2018年にDishとの合併を検討していた。

Dish Networkについても見方が異なっている。

州側は、Dishは衛星テレビ業者で通信の経験はなく、需要家もネットワークも販売店もブランドも持っておらず、同社の市場参入はSprintに代わることにはならないとする。

これに対しT-Mobile/Sprint 側は、Dish は多くの人材を持ち、今後について適切な計画を提示していると反論、古い技術を持たないためコストは安いとする。
もし合併条件を守らなければ、莫大な罰金を課されるとし、州側主張に反論している。


米財務省は1月13日公表の半期為替報告書で、中国の「為替操作国」への指定を5カ月ぶりに解除した。

https://home.treasury.gov/system/files/136/20200113-Jan-2020-FX-Report-FINAL.pdf

ーーー

2019年8月5日、人民元相場が対ドルで1ドル=7元台に下落した。中国人民銀行は6日、基準値を1ドル=6.9683元に設定したと発表した。基準値としては2008年5月以来、約11年ぶりの元安水準となる。
制裁関税の影響を緩和するために中国政府が人民元安を容認しているとの見方が広がった。


これを受け、米財務省は8月5日、中国を「為替操作国」に指定したと発表した。

2019/8/6 米、中国を為替操作国に指定

米財務省は4月と10月に連邦議会に半期為替報告書を提出するのが通例だが、2019年10月の公表を見送って中国側の出方を見定めていた。

米国と中国は2019年12月に貿易交渉の「第1段階の合意」で合意し、1月15日に調印を行う。これには人民元政策を透明にする為替条項を盛り込む。

White Houseは"Historic Phase One Trade Agreement"で合意したと誇った。

中国は、知財、技術移転、農業、金融サービス、通貨、為替レートの分野での構造改革に同意した。
効果的な実施のための強力な紛争解決制度を含んでいる。

USTRはFact Sheet を発表したが、通貨については「通貨切り下げや為替レートの目標設定をやめる。透明性、説明メカニズムを推進」としている。

2019/12/16 米中貿易協議、第1段階で合意 

1月13日の上海外国為替市場では、米中貿易協議における第1段階の合意署名を控え、1ドル=6.89元まで上昇、2019年7月末以来5カ月半ぶりの高値をつけた。


米政権は中国の通貨安誘導の懸念が和らいだと判断し、 「為替操作国」への指定を5カ月ぶりに解除した。

ーーー

米財務省は為替操作国に指定する条件として(1)対米貿易黒字の規模(2)経常黒字の規模(3)継続的な通貨売り介入――を掲げている。

従来の基準 2019/5より改正
①重大な対米貿易黒字 対米貿易黒字が200億ドル(米国GDPの約0.1%) 以上 同左
②実質的な経常黒字 経常黒字がその国のGDPの3.0%以上 GDPの2.0%以上
③外為市場に対する介入 GDPの2%以上(ネットで)の額の外貨を繰り返し購入
(12カ月のうち、8カ月
同左
(12カ月のうち、6カ月


財務省は2016年4月の報告で、3つの基準全てに当て嵌まる国はないことを確認したが、3つの基準のうち2つに該当する国を「監視リスト」に載せ、監視していくこととした。

2016/5/2 米、日本や中国などを為替操作「監視リスト」に

これまでと今回のリストは下記の通り。

  日本 中国 韓国 台湾 ドイツ スイス インド アイルランド ベトナム イタリア マレーシア シンガポール
2016/4
2016/10
2017/4
2017/10
2018/4
2018/10
2019/5
 

①②



①②



①②

①②

①②

①②

②③
2019/8 操作国
2020/1
①②


①②

①②

①②




①②

①②

②③


中国は、2016/10以降は①の1つしか基準を超えていないが、対米貿易黒字が膨大なため、次回の報告書でも自動的に指定される。今回も同様である。

台湾は2017/4に1つしか基準を超えず、その後、外れた。

韓国は2019/5に①が基準から外れたが、引き続きリストに残った。今回①②でリストに残った。

アイルランドとベトナムは前回の2項目から1項目に減った。これが続けばリストから外れる。


今回の報告のまとめ。

Saudi Aramco と米国のSempra Energyは1月6日、Aramco Services Company が Sempra LNG がテキサス州で開発中のPort Arthur LNG export projectに参加する Interim Project Participation Agreement に調印したと発表した。

両社は2019年5月に本件についての覚書を結んでいた。

AramcoがPort Arthur LNG の第1期分 年間1100万トンのうち500万トンのLNGを20年間引き取るとともに、第1期計画に25%出資する。今後、最終確定し、正式契約を結ぶ。

Aramcoは次のように述べた。

LNGは今後、需要がグローバルに拡大する。Aramcoはこの市場に大きな期待を持っている。
今回の契約は、Aramcoの長期的なガス戦略への一歩であり、グローバルなエネルギー / ケミカル統合会社となる一歩である。

Port Arthur LNGの第1期は全ての手続きを完了しており、液化設備2系列、LNGタンク3基その他からなり、年間11百万トンのLNG輸出を目指している。
本年に入り、更に2系列を増設し、輸出能力を22百万トンとするための Federal Energy Regulatory Commissionへの申請前レビューを始めた。

Sempra LNGは北米の5か所でLNGプラントを建設し、グローバルなLNG市場に年間45百万トンのLNGを輸出する目標を立てており、Port Arthur LNGはその一つである。

現在具体化しているのは、次の3つ。

1) CAMERON LNG (Hackberry, Louisiana)

第1期 3基計 1200万トンは昨年出荷を開始した。

同社は次の液化設備(2基)とLNGタンクの承認手続きを開始した。

2019/6/4 キャメロンLNG、出荷開始

2) 本件 Port Arthur LNG (Port Arthur, Texas)

第1期、第2期 各11百万トン


3)ENERGIA COSTA AZUL LNG (Ensenada, Baja California, Mexico)

Sempra LNG とメキシコ子会社 IEnova が既存の輸入LNGのガス化ターミナル(Energía Costa Azul )に液化設備の建設を計画している。

1期は1系列で年間能力 240万トン。LNGタンクやバースは既存のものを利用する。2期では液化設備2系列とタンクを新設する。

Sempraは2019年3月31日、同地での液化のため、天然ガスをメキシコに輸出する連邦政府の認可を取得したと発表した。
TransCanada所有のNorth Baja Pipelineがアリゾナ州ーカリフォルニア州を結んでおり、メキシコ国境でSempra Energyのメキシコのパイプラインに接続する。

Sempraは中国へのLNG輸出を考えている。



Sempra Energyは2019年10月28日、三井物産との間でCameron LNG の2期計画とEnergía Costa Azul LNG計画への参加についての覚書を締結したと発表した。

下院が弾劾の罪状について大陪審の役割を果たし、調査・起訴する。
弾劾訴追決議案を可決し、上院に送付(=起訴)する。

2019/12/19 米下院、トランプ大統領を弾劾訴追

次の手続きとしては、下院から弾劾決議を上院に送付し、上院で弾劾裁判が始まるが、ここで民主党と共和党の争いが生じた。

民主党は、ミック・マルヴェイニー大統領首席補佐官代行や、ジョン・ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)など複数のホワイトハウス関係者の証言を要求している。
逆に、トランプ大統領はバイデン前副大統領親子や、自分について告発した情報機関関係者の出廷を要求している。

しかし、マコネル院内総務は12月17日の上院本会議で、弾劾裁判における上院の役割は「判事および陪審員として審理を聞くことであり、事実関係の調査を一からやり直すことではない」と発言し、スピード採決につなげたい意向を示した。

上院で過半数(53/100)を占める共和党が、証人なしで裁判を短期で結審させて「無罪判決」を下す可能性もある。

証人を呼ぶためには、上院の過半数の賛成が必要で、共和党から4人の造反が必要となる。

下院のペロシ議長は 裁判の公平性確保を求めており、上院が証人招致など裁判の手続きを決めるまで、弾劾決議を上院に送付せず、弾劾裁判で検事役を務める下院議員の指名もしていなかった。

共和党は「下院民主党は政治的遅延を続けている」と批判し、民主党内でもさらなる膠着状態を懸念する声が強まっていた。

DuPontは1月9日、韓国で先端半導体製造に必要なフォトレジスト(感光材)を生産すると発表した。

同製品は日本勢が世界シェア9割超を握り、日本政府が対韓輸出管理を厳格化した3品目の一つ。

韓国産業通商資源部によると、DuPontはEUV(超紫外線)露光フォトレジスト生産工場を建設するため大韓貿易投資振興公社に2800万ドルの投資申告書を提出した。

DuPontは韓国子会社を通じ、1998年から天安にある二つの工場で半導体回路基板用の材料や部品を生産してきたが、この工場を増設する。量産技術を確立し、2021年にも量産投資に踏み切る計画という。

韓国政府や自治体が土地の取得費用を負担し、税金免除などでも優遇する。

EUVフォトレジストは半導体超微細工程に使用される核心素材で、半導体基板(ウェハー)の上にパターンを形成する工程に使われる材料で、波長が短く微細化工程に適している。
JSR、信越化学工業、東京応化工業など日本企業が世界市場の90%以上を占めている。

韓国内でもフッ化クリプトン(KrF)、フッ化アルゴン(ArF)などのフォトレジストは一部生産が可能だ が、波長がそれぞれ248nm、198nmと長く、EUV用(13.5nm)より微細工程に適していない。

韓国政府は昨年7月の日本の輸出規制以降、半導体素材・部品・装備の供給を安定化させるためDuPontと接触してきたと明らかにした。

韓国産業通商資源部の長官が1月8日にDuPont社長と面会、DuPontはこの席で投資申告書を提出した。

長官はこの席で日本との関係に言及し、「日本の輸出規制措置を解決する上で一部進展があった」と評価する一方で、根本的な解決策とは見なしがたいとし、主要な材料や部品に関する技術競争力確保と供給元の多角化に引き続き取り組んでいくと強調した。

DuPontは韓国の素材・部品・装備自立の動きをチャンスと見なし、新しい市場に参入することになった。

同社は半導体ウェハーを平坦化するのに使用されるCMPパッドも生産する予定とされる。

韓国政府は米国の投資家を対象に韓国投資誘致活動を進めている。産業通商資源部の長官は1月9日、米シリコンバレーで米国の素材・部品・装備、新産業、ベンチャーキャピタル分野の革新企業10社を招請してラウンドテーブル会議を開き、韓国投資協力案について議論した。Lam Research 、Applied Ventures、Littelfuse、Air Products、Goreなどの企業が参加した。

長官は「政府は素材・部品・装備調達先多角化を継続して推進していく」と強調した。

ーーー

日本政府は2019年7月1日、韓国への半導体材料の輸出規制を厳しくすると発表した。

7月4日より、フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の韓国向け輸出及びこれらに関連する製造技術の移転について、包括輸出許可制度の対象から外し、個別に輸出許可申請を求め、輸出審査を行う。

安全保障上の友好国である「ホワイト国」の指定も削除する。

これについて本ブログは次の通り述べている。

この措置で韓国政府が動き、元徴用工訴訟の問題が解決に向かう可能性はほとんどない。

単に韓国との関係を更に悪化させるものとなる。 

長期的には、韓国は重要原料については自製を図るだろう。その場合、日本企業は需要を失うこととなる。

2019/7/3  政府、半導体材料の対韓輸出規制を発表 


韓国産業通商資源部の通商交渉本部長(次官級)は10月2日、国会による国政監査で、日本政府が7月上旬に半導体・ディスプレー材料であるフッ化水素、フッ化ポリイミド、レジスト(感光材、フォトレジスト)の3品目の対韓輸出規制を強化して以降、これまでに7件の韓国向け輸出を許可したことを明らかにした。
報道では下記の通りで、フォトレジストの3件目は不明。

  承認 購入企業(供給元)
フッ化ポリイミド 9/30 韓国の中小企業
フォトレジスト 8/7 サムスン電子(信越化学) 8/21着
8/19 サムスン電子(JSR)
 ?
フッ化水素 気体 8/29 サムスン電子
9/末 SKハイニックス
サムスン電子
液体  無し


この時点では承認がなかった高純度液体フッ化水素について、森田化学工業が2019年12月24日付で承認を受け、1月8日に約6カ月ぶりに出荷した。

2019/10/8 韓国向け半導体材料 輸出規制の状況


英議会下院は1月9日、英国がEUから離脱するための関連法案を賛成多数で可決した。近く上院でも承認され成立する見通しで、1月末の離脱実現がほぼ確実となった。


離脱関連法案は、英政府とEUが2019年10月にまとめた新たな協定案に基づく離脱を国内法に反映して実行するためのもので、下記の手続きをとった。

一読会(First Reading 本会議で法律案の題名朗読
読会(Second Reading 本会議で法律案の基本方針審議 12/20  359 対 234 で可決
議事進行動議Programme Motion その後の法律案審議の日程表決 12/20  353 対 243で可決
委員会段階(Committee Stage 逐条審査 1/6~7
第三読会(Third Reading 本会議での法律案最終審議 1/9  330 対 231で可決

委員会審議では野党の提案を与党が多数で押し切った。

11カ月の移行期間が短すぎるとの反対が多かったが、この案を総選挙で国民が認めたとして切り捨てた。

1月9日の採決結果は賛成330、反対231だった。

賛成票330の全てが与党保守党(365人)であった。
労働党(202人)のうち167、
スコットランド国民党(47人)のうち45、自由民主党 (11人)全員が反対。
これまでの閣外与党の北アイルランドの民主統一党(8人)は本土と北アイルランド間に税関を置くことに反対し、棄権した。

英国は1月31日午後11時にEUから抜けることとなる。

ただし、EUを離脱しても2020年末までの11カ月を「移行期間」とするため、通商や規制などの面ではEU加盟国と同じ環境が維持される。

この期間中にEUとの間にFTAを締結する必要があり、通商交渉を妥結できないまま移行期間終了を迎えれば、世界貿易機関(WTO)ルールに基づいてEUなどとの貿易に関税が出現し「合意なき離脱」と同じ状況に陥る。

英・EUの離脱案では移行期間を2022年末まで延長できることになっている (6月末に判断)。ただ移行期間中は、英はEU域外とFTAを発効させることはできず、EU予算への拠出金の負担を強いられる 。

しかしジョンソン首相は今回の関連法案に、EUとのFTAの締結が間に合わない場合で本年12月末までの移行期間を延長したり、EU法の英国への適用停止日を延期したりできなくする条項を付け加えた。

ーーー

ジョンソン首相は1月8日、新任のUrsula von der Leyen 欧州委員長とロンドンで会談した。

ジョンソン英首相は会談で、英国が離脱の移行期間を来年に延長しないことは「はっきりとしている」と明確に伝えた。

財・サービスを網羅する広範な自由貿易協定およびその他の分野での協力」を望むと述べ、「自国の漁業海域と移民制度のコントロールを英国は維持する」とも表明した。

漁業については 英国の漁業海域でのEU側の漁業権が問題となっており、EU側は英国が漁業を認めなければ英国の漁業品のEUへの輸入を認めないとしている。

英国はEUとの今後の関係やカナダ型の自由貿易協定について「1月31日を過ぎれば可及的速やかに」交渉を開始する用意がある と述べた。

カナダとEUとの自由貿易協定(CETA)は、物品のほとんど全ての関税は廃止されるが、英国にとって重要な食品や化学など一部の産業や、サービス部分は十分にカバーされていない。
そのため、英国はカナダプラス型として、カナダ型にさらに重要な産業における標準の相互承認や、サービス部分の強化などを求めている。

von der Leyen 欧州委員長は、EUと英国が将来的な関係を巡り年末までに全ての課題について交渉するのは「基本的に不可能」と し、優先順位をつける必要があるとの立場を示した。

単一市場や関税同盟の全体性を守るためにEUの優先事項について妥協はできないと強調した。また、協議の進展は年央、できれば「夏前」に点検が必要だとし、協議延長の必要性にも含みを持たせた。


FTA以外にも、解決すべき問題は非常に多く存在する。

ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領は1月8日、イスタンブールで行われたTurkish Streamガスパイプライン開通式典に出席した。セルビアの大統領とブルガリアの首相も参加した。

Turkish Streamは2ライン(各157.5億立方メートル)で構成されるガスパイプラインで、1ラインはトルコへの ガス供給、もう1ラインは南・南東ヨーロッパへの供給を予定している。

ロシアは当初、黒海経由で天然ガスを欧州に送るSouth Streamパイプラインを計画した。

ロシアのGazpromとパートナーは2012年12月7日、南ロシアの黒海東岸の Anapa市でSouth Stream pipeline の着工式を行った。

South Streamはロシアと中央アジアの天然ガスを欧州に送るもので、黒海の湖底を通って対岸のブルガリアに渡り (900km)、その後、2手に分かれる。
北西ルートはブルガリア、セルビア、ハンガリーを通ってスロベニア、オーストリーに通じる。南西ルートはギリシャからイタリアに通じる。

2012/12/13 ロシア、サウスストリームパイプライン計画着工 

しかし、EUの反対でブルガリアが許可を出さず、ロシアは2014年12月1日、この計画を撤回した。

ロシアとトルコは同日、黒海経由でトルコにつながる新たなガスパイプラインの建設で合意し、Gazpromトルコの Petroleum Pipeline Corporation (BOTAŞ) との間で覚書を交わした。 

ロシアからトルコまでは黒海を通るBlue Stream Pipeline があるが、新しいパイプラインを建設する。

海底部分のうち660kmはSouth Stream用に予定されていたルート、その他に 250kmがトルコ向けの新ルートとなる。黒海南西部沿岸の都市  Kıyıköyから陸上に入り、ギリシア国境のİpsala までの180kmが敷設される。
年間輸送能力は315億m3で、うちトルコが 半分を引き取る。
トルコからブルガリア、セルビア、ハンガリーを経由して欧州へと輸送する。

2014/12/4 ロシア、South Stream 計画を取り止め

稼働でロシアは欧州へのエネルギー輸出の拡大を狙う米国をけん制する。


ロシアはバルト海経由でドイツと結ぶ「ノルドストリーム2」建設も主導する。

米国では2019年12月20日、トランプ大統領の署名で「国防権限法」が成立した。米国は、欧州のロシアへのエネルギー依存が深まることで「欧州の安全保障上の脅威」になると懸念しており、国防権限法で「ノルト・ストリーム2」への制裁を決めた。今後、明らかになるが、敷設事業に関係する企業が制裁対象になる見込み。

米国の決定を受け、敷設事業に参加するスイス拠点のAllseasは12月21日、作業の停止を発表した。

パイプラインの総延長約1200kmのうち、残りは約130kmとなっている。Allseas社の離脱で、事業を主導するガスプロムは関係企業に代行させる検討を始めた。

米国の制裁で、完成が2020年後半にずれ込む可能性も取りざたされている。ロシアのノワク・エネルギー相は、2020年内完工を目指す考えを示した。

ーーー

ロシアとウクライナは2019年12月19日、2020年1月以降もウクライナのパイプラインを経由してロシア産の天然ガスを欧州に供給することで基本合意した。

これにより2020年以降のロシアの欧州向けガス輸出は下記の通りとなる模様。

  現状 今後
ノルドストリーム 1

590億m3

 →

ノルドストリーム 2 ーーー 550億m3
ベラルーシ経由

420億m3

 →

ウクライナ経由 800億m3 650→400億m3
トルコストリーム ーーー 315億m3
ブルーストリーム 130億m3

 →

 

2019/12/27 ロシアとウクライナ、欧州向けガス輸出で合意 



京都大iPS細胞研究所のiPS細胞ストック事業で、出荷したiPS細胞の一部を目的の細胞に分化させた際、遺伝子異常や染色体異常が起きていたことが分かった。

同じ提供者から同時に作られた「株」で、分配先の研究機関や分配する容器によって異なる異常が生じたり、異常の有無が違ったりした点が問題で、iPS細胞の性質が不安定な可能性も示唆される。
ある機関で分化段階の試験結果から安全と評価されても、元の株の安全性が担保できないことになる。

この事業には2018年度までに国から約94億7000万円が投じられ、これまで7人の提供者から作製した計27株を出荷した。

臨床研究や治験では、iPS細胞や分化細胞の段階でゲノム(全遺伝情報)解析したり、マウスへの移植でがん化の有無などを確かめたりして、実施機関が使う株を判断する。

今回、2015年8月以降に出荷された27株中4株の試験結果が判明し、うち2株で異常が確認された。

この2株は2カ所の研究機関にそれぞれ複数の容器で分配、各機関で同じ種類の細胞に分化させた。

一つの株では、一方の機関では異常なしだったが、他方の機関では遺伝子異常があり、マウスへの移植では、正常な細胞では見られない組織の異常な増殖も確認された。

もう一つの株では一方の機関でがんに関連する遺伝子の異常、他方の機関で染色体の本数の異常を確認した。

見つかった遺伝子異常には、人のがんで見つかることが多く、危険性の高いものも含まれていた。

異常が発見された細胞は、患者には移植されていない。

異常のあった機関でも、違う容器では異常はなかった。




京都大iPS細胞研究所は、「出荷時には細胞に異常はなく、どんな細胞でも培養や分化の過程で異常は起こりうる。移植する前の段階で丁寧に試験をして使っていくしかない」としている。
今回の件については、「関係機関の了承が得られれば(結果を)公表していきたい」と話している。

毎日新聞によると、米スタンフォード大医学部の遺伝学部長を務めるマイケル・スナイダー教授は「臨床用の細胞でのがん関連遺伝子の変異は極めて重大だと考えられる。事実を公表し、オープンな場で評価する必要がある」と指摘した。

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この事業には2018年度までに国から約94億7000万円が投じられたが、昨年秋に、政府が、年約10億円を投じてきた予算を来年度から打ち切る可能性を京大側に伝えた。一部報道で、和泉洋人首相補佐官と大坪寛子厚生労働省大臣官房審議官(兼内閣官房健康・医療戦略室次長)が密室の場で国費投入の廃止を突如打ち出していたと報じられた。

事業の責任者を務める山中教授は「研究に専念させてほしい」と訴えるなど、打ち切り反対の論陣を展開、竹本科学技術担当相は12月6日の閣議後記者会見で「2022年度まで支援を続ける」と述べた。当初の計画通り年間十数億円が補助される見通しとなった。

2019/12/11 京大のiPS備蓄事業、2022年度まで国が支援継続へ





韓国政府が昨年6月にイランのDayyani 一族との投資家・国家間訴訟(ISD)で敗訴したことを受け、英国高等裁判所に判定の取り消しを求めていた訴訟で、韓国政府が再び敗訴した。 韓国金融委員会が12月22日 に明らかにした。(事態は後述)


これにより、韓国政府は昨年の判決に従い、2010年 に韓国資産管理公社(KAMCO)などの債権団が大宇エレクトロニクスを売却する過程でDayyani 一族から没収した契約金に利子を上乗せし、総額730億ウォン(約63百万USドル)を支払わなければならない立場となった。


問題は この支払方法である。韓国は為替取引で韓国ウォンをイラン貨幣リヤルで送金するためには「韓国ウォン→米ドル→リヤル」とドルを通じて送金しなければいけない。この過程で必ず米国の銀行や金融機関を経由する必要がある。


トランプ米大統領は2018年5月8日、欧米など6カ国とイランが結んだ核合意から離脱すると表明した。核合意に基づく対イラン経済制裁を再開する大統領令にも署名した。

2018/5/10 トランプ大統領、イラン核合意離脱表明  

米国は2018年11月5日、イランの石油や金融部門を中心に経済制裁第2弾を再開した。イランのミサイルや核開発を制限すると共に、中東地域で高まるイランの軍事・政治的影響力を抑える狙い。

米国の制裁開始に歩調を合わせ、銀行間の国際決済ネットワークを運営する「国際銀行間通信協会」(SWIFT)は11月5日、複数のイランの銀行をSWIFTの国際送金網から遮断すると発表した。核合意存続を訴える欧州はイランとの貿易にSWIFTは欠かせないとして遮断に反対したが、制裁の抜け道をふさぎたい米国はSWIFTも制裁対象になると警告し圧力をかけ 、押し切った。

イラン中央銀行および50の銀行・金融機関を制裁対象とし、外国金融機関が米国の金融機関を通じてイランと金融取引をするのを禁じた。

2018/11/8 米国、イラン経済制裁を再開 

韓国外交部は2019年12月、経済外交調整官を米国に派遣し、この件に関連して「ワンポイント」制裁免除を米国政府に要請した。また外交部は2019年5月から凍結された国内都市銀行のイラン中央銀行韓国ウォン決済口座のうち人道的支援など特定項目への制裁も免除してほしいという要請もした 。

しかし米国とイランの関係は軍事的衝突にまで拡大し、これが難しくなった。

国際仲裁裁判の決定を無制限に先延ばしすることもできない。苦肉の策として韓国はDayyani 側に韓国ウォン口座を開設し、子会社がこれを韓国内で消化する方式を提案する計画という。

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韓国の金融委員会は2015年9月22日、「イラン系家電メーカーが、大宇エレクトロニクス買収契約が不当に解除され損害を受けたとして、韓国政府を相手取り投資家対国家間訴訟(ISD)を提起した 」と明らかにした。韓国にとって米国系ファンド Lone Star、UAEのIPICのオランダ子会社 Hanocal に続く3番目のISD提起となる。


イランのEntekhab Industrial Group Dayyani 一族の会社)は売りに出ていた大宇エレクトロニクスの買収に手を挙げた。

大宇エレクトロニクスは大宇電子時代の1999年8月、ワークアウト(「企業改善作業」:政府の影響力が及ぶ金融機関債権者を通じて債務再調整を行う再生手続)に入った。
債権団は3度も売却を図ったが、交渉はまとまらなかった。

企業再生支援業務などを行う政府系金融機関の韓国資産管理公社は2010年1月に売却作業を再開し、スウェーデンのElectroluxとイランのEntekhabと交渉、同年4月にEntekhaを買収の優先入札者と認めた。

Entekhabは2010年11月に買収契約を締結した。売却代金は5777億ウォン(490百万ドル)で、大宇エレクトロニクスのすべての資産と負債を引き受ける条件。
Entekhabは、10%相当の49百万ドルを支払った。

しかし、Entekhabが買収価格を当初契約よりも1500億ウォン引き下げるよう要求したことから問題が生じた。

韓国資産管理公社は2011年5月、全額の支払期限が過ぎたとして契約を打ち切り、契約金を没収した。

Dayyani 一族は、債権団の契約破棄は違法だとして韓国の裁判所に提訴したが、主張が認められなかったため、2015年9月に国連傘下の国際商取引法委員会(UNCITRAL)の仲裁判定部にISDを起こした。49百万ドルと金利の支払を求めた。


2015/9/25 
韓国にイラン企業から3番目のISD提起 

仲裁判定部の判断は韓国の裁判所とは異なった。

2019年6月に韓国政府に対しDayyani730億ウォン(約63百万ドル)を賠償するよう求める判決を下した。
韓国政府がEntekhabの契約を破棄し、契約金を没収したのは「韓国とイランの投資者を同等に扱わなければならないとする韓国・イラン投資協定に反する」と した。


韓国政府は判決の取り消しを求める訴訟を英国高等裁判所に起こした 。しかし、昨年12月にここでも敗訴した。
韓国法曹界は韓国政府の取り消し申請が英国裁判所で受け入れられる可能性は高くないとみていた。単独審議制で運営されるISD仲裁は事実上最高裁の判決と同じとされる。


韓国政府の主張と裁判所の判断は下記の通り。

1) 契約破棄の主体は債権団なので、Dayyani が韓国政府を相手取り仲裁を申し立てるのは誤り。


債権団のうち、大宇エレクトロニクスの筆頭株主が韓国政府の統制を受ける公共機関である韓国資産管理公社(KAMCO
)であるため、最終的に韓国政府が責任を負うべき である。

2) Dayyaniはシンガポールに設立した法人を通じ、韓国に間接投資しているため、韓国・イラン投資協定上の投資者とは見なせない。(当時Dayyaniはイランに対する米国の制裁で韓国に直接投資できなかったため、う回ルートで投資を行おうとした。 )


大宇エレクトロニクス売却契約が韓国の法律の適用を受け、金融取引も韓国の口座を通じて行われており、韓国に投資したものと見なされる。

3) Dayyaniのシンガポール法人が契約金を納付したという事実だけでは投資協定上の投資行為に該当しない。


契約金納付も投資と見なされる 。

投資者紛争の専門家は「国際的な法律紛争に対する韓国政府の対応能力の不足を如実に示した完敗だ」と評した。

 

2013年1月、東部グループが大宇エレクトロニクスを270百万ドルで買収し、東部大宇電子と改称した。

2018年に、 大有(DAYOU)財閥が東部大宇電子を引き受け、大宇電子に社名変更した。大有グループは2019年にWinia Group に改称、大宇電子はWinia Daewooとなった。

富士ゼロックスはXeroxとの間でアジアで「ゼロックス」ブランドで製品を販売する契約を締結している。技術/ブランドライセンスや販売テリトリーなどを規定した「Technology Agreement」で、5年ごとに更新してきており、現契約期間は2021年3月31日に満了する。

富士ゼロックスは1月6日、この契約を現行の契約期間満了日の2021年3月31日をもって終了することを決定し、Xeroxに通知したと発表した。

2021年4月以降は、富士ゼロックスは「Xerox」ブランドを使えないが、毎年100億円強のブランド使用料などは不要となる。

両社はこれまでテリトリーを棲み分けしているが、今後は富士ゼロックスは欧米でも製品を販売できる代わりに、Xeroxもアジアでの販売が可能となる。
事務機器市場が縮小するなかで、アジア太平洋市場は成長が続いている唯一の成長市場である。

Xeroxの大株主のCarl Icahn とDeasonは2018年2月20日、Xeroxの株主に対し「競合他社との合併や身売り」や「買収ファンドへの身売り」を提案する書簡を公開したが、その中で、「契約上、Xeroxは2020年に契約を終息するプロセスを始める権利を持つ。その場合、Xeroxは世界で唯一の成長市場であるアジア太平洋市場でXerox商標で事業ができる」と述べている。

2018/2/22 ゼロックス大株主、富士フイルム以外への身売り提案

富士ゼロックスは1月6日の取締役会で商号変更の決議を行った。社名から「ゼロックス」を外すためのもの。

新商号:富士フイルム ビジネスイノベーション(FUJIFILM Business Innovation Corp.)
変更日:2021年4月1日

富士ゼロックスはXeroxから請け負っているOEMについては、「技術契約」終了後も継続する。

富士フイルムホールディングスは2019年11月5日、Xerox が保有する富士ゼロックスの株式の全てを取得する契約を締結したと発表したが、そのなかに、富士ゼロックスによる Xeroxへの5年間の製品供給の継続という項目がある。

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富士フイルムは2018年1月にXerox買収を発表した。

富士フィルムが持つ富士ゼロックスの株式(75%)を61.8億ドル(6710億円)と評価し、これを Xerox に渡す見返りにXerox株の50.1%を取得する。
Xerox株主はXeroxの株式100%の代わりに、Xeroxの49.9%と特別配当25億ドルを受け取る。

しかし、Xeroxの大株主がこの取引に反対、Xeroxが同年5月に富士フイルムと結んだ買収契約を一方的に破棄した。

その後、事態は進展せず、2019年11月に、富士フィルムは米Xeroxの買収を断念し、富士ゼロックスのXerox持分を買い取り、100%子会社とすることを決めた。

2019/11/6 富士フイルム、米 Xeroxの買収断念


事務機器市場が縮小するなかで、アジア太平洋市場は成長が続いている。

上記の通り、Carl Icahn とDeasonは「契約上、Xeroxは2020年に契約を終息するプロセスを始める権利を持つ。その場合、Xeroxは世界で唯一の成長市場であるアジア太平洋市場でXerox商標で事業ができる」と述べている

恐らく、Xerox側から契約終息を持ち出すと思われたが、先手を打って富士フィルム側から通告した。


富士フィルム側も欧米市場で販売できることになるが、これは新規進出である。

これに対し、 アジア太平洋市場では、Xeroxは既に確立されているXeroxブランドで販売することになり、逆に、富士フィルム側は新しいブランドで再出発することになる。

欧米でも、アジア太平洋市場でも、XeroxによるXeroxブランドとの対比で、富士フィルムの技術、富士フィルムの新ブランドが需要家にどう受け取られるかがキイとなる。競合企業には「ゼロックスのブランドがなければ、成長はかなり難しいだろう」とみる向きもある。

また富士フィルムは富士ゼロックスのXerox持分(25%)を22億ドルで買収したが、Xeroxブランドを放棄するなら、もっと安く買う交渉をすべきでなかったのだろうか。

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Xeroxは2019年11月、米パソコン大手HP Inc. に対して買収提案を行った。現金と株式交換の組み合わせによる買収で、買収額は330億ドルとされる。

HP Inc. は11月17日、「評価が低すぎる」として買収提案を拒否したと発表した。条件次第で交渉に含みを残している。

Xeroxは11月21日、買収提案を拒否した HP に対し、買収の前提となる資産査定を25日までに受け入れるよう求めた。応じない場合は「株主に直接持ちかける」とし、敵対的買収も辞さない構え 。

2019/11/11 Xerox、HPに買収提案

それに対し、HPの取締役会は、実質的にXeroxの財務状態は自社よりもはるかに規模の大きな企業を買収できるほど余裕のある状況ではないなどと指摘する書簡を返した。

これを受けてXeroxは、CEOが一部のHPの株主と会い、買収案の要点について説明を行っていることを明らかにした。Xeroxによれば、合併によってキャッシュフローが増加するため、負債は削減され、株主の資本収益が増加し、イノベーション投資の拡大が促されると想定されるという。

今回の富士フィルム側の決断で、世界で唯一の成長市場であるアジア太平洋市場でXerox商標で事業ができることになるが、これはXeroxにとって非常に有利な交渉材料となる。

XeroxとHPの合併(どちらが買収するかは別として)がまとまる可能性もある。

ブラジルのBraskemは2019年11月、National Mining Agencyに対し、2019年5月から停止しているAlagoas 州Maceioの岩塩杭を永久に停止すると伝えた。

日本ではクロルアルカリはメキシコなどから輸入した工業塩からつくるが、米国やブラジルでは地下にある岩塩層に蒸気を吹き込んで回収した塩水を原料とする。
米国では塩水を回収した後の穴を原油の貯蔵などに使っている。

Shintech もルイジアナ州 Plaquemin に電解工場を持つが、工場近辺の土地に岩塩の採掘権を持ち、地下1800mから塩水を回収している。


Braskemはこの岩塩杭を1975年から使っているが、ブラジル地質調査室が、周辺の土地の陥没や建物のひび割れ、2018年3月の小規模地震を岩塩層からの塩水採掘に関連づけた報告を発表したため、2019年5月に停止した。岩塩層の上部の地盤が弱く、塩水の回収で地盤沈下が起こったとみられる。

合計35の井戸のうち、15の井戸の地域の400の家屋を空け、1500人を移転する。残りの20の井戸は監視を続ける。

Braskem側は被害を受けたのは約400の建物と、住民1500人としているが、Maceio市側は建物が9600、住民が4万人と主張している。

同社は、現地の現象と塩水採掘は無関係であり、今回の措置は岩塩鉱が住宅地にあることから予防的に行なうものだと述べた。

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現地報道から

Braskemはこのたび、連邦政府と州政府との間で、被害の補償として約667百万米ドルを支払うことで合意した。1月3日付の証券取引所への届け出で明らかになった。

このうち、420百万米ドルは約17000人への補償と移転費に充てられ、247百万米ドルは岩塩井戸の閉鎖に使われる。

Braskemでは、この合意はBraskemが問題の責任を全面的に認めたものではないとしており、今後も分析を続けるとしている。

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原料の岩塩採掘停止に伴い同地にあるクロルアルカリ工場(ブラジルに2つあるプラントのうち大きい方)とEDCプラント(ブラジル唯一)も停止している。

インフラの問題で工業塩の輸入ができないため、Braskemでは苛性ソーダとEDC(VCMの原料)を主に米国から輸入している。

同社では現在、クロルアルカリとEDCプラントの再開のため、近くのRio Grande do Norteから工業塩を輸送し、2020年上半期にもプラントを再開することを検討する。

近辺地域で新しく岩塩層の開発ができないか検討するが、井戸の設置とプラントまでの塩水輸送のパイプラインも必要で、時間がかかる。


Saudi AramcoとインドのReliance Industriesは2019年8月12日、AramcoがRelianceのOil-to-Chemicals 部門に出資する非拘束のLetter of Intent を結んだ。

Oil-to-Chemicals 部門の事業価値を750億ドル(債務込み)と想定し、これの20%を取得する。150億ドルの投資となり、外国企業によるインドへの投資の最大のものの一つとなる。

2019/8/16 Saudi Aramco、インドのRelianceの石油・化学関連事業へ出資

しかしインド政府は9月にDelhi High Court にRelianceによるAramcoへの株式売却を禁止することを求めて訴えた。

インド政府は、Relianceとパートナーの
BG Exploration & Production(Shell)との間で、Panna-Mukta and Tapti 石油・ガス田の Production Sharing Contractsでの政府取り分を巡ってロンドンの国際調停裁判所で争っている。政府の主張は、Relianceは410億ドルある債務の縮減のためAramcoに事業の20%を売却しようとしており、そうなれば、政府への35億ドルの支払いができなくなるというもの。

Delhi High Court は12月20日、Relianceに対し財産額を開示するよう求めた。

これに対し、Relianceは12月22日、裁判所に反論した。Panna-Mukta and Taptiに関して政府への直接の債務はなく、調停裁判所は今のところ支払いを命じておらず、政府の請求は違反であるとしている。

調停裁判所は2016年に一定の事項について認定した。しかし賠償額は決めておらず、全ての判断をしてから決めるとした。

これに対し、RelianceとBGは英国の裁判所に訴え、裁判所はある部分についてRelianceとBGの主張を認め、調停裁判所に再検討することを指示した。(政府側は控訴し、最終判断はまだ出ていない。)

これを受け、調停裁判所は2018年12月にReliance側に有利な判断に変更した。

しかし、政府側は当初の調停裁判所の判断に基づき、一方的に賠償額を決定し、請求した。

Relianceは、2018年の判断に基づくと、賠償額は著しく減少するのに、政府はこれを無視しているとしている。

調停裁判所でペンディングとなっている事項のなかで最大のものがProduction Sharing Contractsでのコスト回収限度の増である。調停裁判所はReliance側のコスト回収限度の増の申請について本年に聴取する予定で、これが認められると、政府側の請求額は更に低減する。

Panna-Mukta and TaptiはRelinceが30%、BGが30%、ONGCが40%のJVであるが、ONGCは政府の指示で調停裁判には参加していない。但し、調停の結果に従う。

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Panna-Mukta and Tapti 石油・ガス田はMumbai沖のアラビア海の石油・ガス田で、ONGC(石油天然ガス公社:政府74%出資)が発見し、1994年にRelianceと米国のEnronに開発権が与えられた。政府を代表してONGCが参加し、Reliance 30%、Enron 30%、ONGC 40% で事業を進めた。

その後、Enronが破綻し、2003年に英国のBGがこれに代わった。BGは2016年にShellに買収された。


Panna-Mukta and Tapti 石油・ガス田の25年間のProduction Sharing Contractsは2019年12月21日に期限が到来した。

RelianceとBGは、権益を政府(ONGC)に引き渡した。

Panna-Mukta and Tapti 石油・ガス田のうち、Taptiガス田は2016年に生産を停止しており、同年にONGCに渡されている。

Panna-Mukta and Tapti 石油・ガス田は1994年12月以降、 211 MMBBLの石油と1.25 TCF の天然ガスを生産した。
2019年の生産は、
原油が ~10,000 bbls/day、天然ガスが140 mmscf/day であった。

GMとLG Chemは12月5日、オハイオ州Lordstown の近辺に23億ドルを投資してEV用バッテリー工場を建設する計画を発表した。
GMはこの計画を"Project Magellan"と呼んでいる。

折半出資の合弁会社を通じて最大で総額23億ドルを投資する。
それぞれが約9億1600万ドルを出資し、残りは合弁会社が調達する。

新設される工場は年間30GWhの生産能力を持つ世界最大級のバッテリー工場になる。

オハイオ州北東部のLordstownエリアにある工場用地にバッテリーセルの組み立て工場を開設し、これにより1,100人以上の新規雇用が見込まれる。


GMは2019年11月に、廃止した工場をバッテリー式電動トラックのスタートアップ企業メーカーであるLordstown Motors Corp に売却し ている。

GMは2018年に3つの工場の閉鎖と、ミシガン州Hamtramckの工場をEVトラックの生産に切り替えることを発表した。
その後、全米自動車労組(UAW)との協議が長引く中で長期のストライキもあったが、2019年秋に合意にこぎつけ、工場の再編計画が具体的に動き出した。

その一環として、GMはLordstownの自動車生産工場を閉鎖し、設備の一部をEVトラック専業の地元のスタートアップ企業Lordstown Motors に売却した。

バッテリー工場は生産設備を拡張できる構造になっているため、市場の変化に柔軟に対応することができる。

今回の共同事業には、両社の共同開発契約も含まれる。この契約により、バッテリー技術の分野において業界をリードする両社で、バッテリーコストを業界トップレベルまで引き下げることを目標に、先進のバッテリー技術を開発および実用化に取り組む 。

新工場は2020年半ばに着工し、約1100人を雇用して2021年から車載電池の生産を始める。GMは2021年秋に同工場の電池を採用したピックアップトラックのEVを発売する計画も明らかにした。

GMのバーラ CEOは、電気自動車の価格低下と利益率向上を目指すと表明。同工場は2023年までに20種の新たな電気自動車を投入する目標の実現に貢献するとし、「GMは地球温暖化には科学的な根拠があると信じており、オール電化の将来性も信じている」と述べた。

新会社の立地の候補の一つ:停止中の工場

付記

2020年1月、工場隣接地(上図のNorthPoint表示)に決め、売買契約を結んだ。

今回の発表により、この地域は、電気自動車の製造および技術面の重要拠点として位置づけられることとなる。



LG Chemは、2020年末までに全世界でのバッテリー生産規模を100GWhに引き上げることを目指しており、Lordstownの新工場はこの計画にも大きな影響を持つものにな る。

GMとLGの提携関係は、2009年にLG化学がGMの電気自動車シボレー・ボルト用バッテリーの単独供給メーカーに選定されたことから始まった。

2009/1/17 LG化学、GMに電気自動車用バッテリー独占供給へ

LGとGMは2011年8月25日、LGによるChevrolet Volt やOpel Ampera用のバッテリー供給での協力関係を拡大し、電気自動車を共同で開発すると発表した。

今後GMが製造する次世代電気自動車向けのバッテリーやモーター、車内冷暖房システムなど主要部品や中核ソリューションなどの開発をGMと共同で進める。

2011/8/29 韓国LG、GMと電気自動車の共同開発へ 

LG Chem 子会社の Compact Powerがミシガン州Hollandにリチウムイオン電池工場を建設した。GMのChevrolet Bolt 向けの電池を生産する。

Chevrolet Bolt の電池は、LGエレクトロニクスと共同開発した蓄電容量60kWhのリチウムイオンバッテリー。1回の充電での航続は最大383km。急速チャージャーを使えば、145km程度の走行に必要なバッテリー容量をおよそ30分で充電できる。

LG Chemのバッテリー事業は2018年から19年にかけて30%以上売り上げが伸びており、同社の収益の3割近くを占めるようになる。

SNE Researchでは2025年の能力を下記の通り予想する。


この中で、LG Chem が電池事業を本体の化学事業から分社化するのではないかという報道 がある。

急激な事業拡大に対応するため、IPOで資金を集めるというもの。

この報道に対し、LG Chemではバッテリー事業の競争力を高め、事業価値を高めるため、いろいろな戦略的手段を検討していると述べた。

 

経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)が、主力の白山工場を Appleと シャープへ売却する方向で交渉していると昨年末に報じられた。


白山工場は スマートフォン向け液晶パネルを製造する主力工場で、AppleのiPhone向けが中心だが、液晶パネルの販売不振で稼働が低迷したため、7月から生産を一時停止している。

2019年3月期の決算で、白山工場資産減損 747億円を計上。

6月12日開催の取締役会で、今後の需要の大幅回復の見込みが立たないためモバイル事業の縮小と、これに伴う白山工場の一時稼働停止 及び茂原工場後工程ラインの閉鎖を決議。

報道を受け、JDIは12月27日に以下のコメントを発表した。

白山工場の今後の取り扱いについては、あらゆる選択肢を検討しておりますが、現時点で決まったことはありません。
なお、上記選択肢を検討するにあたり、 現在、白山工場では生産設備及びインフラ設備等の状態を総点検しておりま す。

JDIは12月12日に、独立系投資顧問のいちごアセットグループからの資金調達に関する基本合意書を締結したと発表した 。

Suwaからの 出資が20191231日までに実施されなかった場合に、いちごトラストから800億円から900億円の資金調達を実施する旨の最終契約の締結に向けて協議を進めることを合意した。具体的な内容及び条件につ いては、今後両社協議の上決定する 。

付記 Suwaからの出資 は20191231日までに実施されなかった。JDIはいちごトラストとの協議を進める。

このなかで、Appleとみられる顧客企業に白山工場の設備を2億ドルで売却する案などについて、最終契約に向けた協議を進めると発表していた。

当該顧客との間で、当社によるいちごアセットグループからの400億円以上の資金調達の実施等を条件として、
当社顧客が
取引の支払条件の緩和を行う旨、及び
当社白山工場の生産装置の購入を通じて実施する可能性も含めて、当社による当社顧客からの200百万米ドルの資金調達を実施する旨の最終契約の締結に向けて協議することで合意いたしました。

2018/12/19 ジャパンディスプレイ、いちごアセットグループからの資金調達に関する基本合意書締結

この時点では白山工場の生産設備の売却であったが、Appleとシャープが工場全体を購入する話に切り替わったとみられる。

シャープはAppleのスマートフォン向けなど液晶パネルの販売が好調で、自社工場の稼働率が高まっている。

売却額は800億~900億円で交渉しているとされる。Appleとシャープの負担割合は固まっていない模様。

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JDIは2015年3月6日、石川県白山市に第6世代(1500×1850ミリメートル)液晶新工場を建設すると発表した。月産2万5000枚の能力で、投資額は1700億円。

新工場の建設はAppleからの増産依頼によるもので、投資資金の大半はAppleからの前受け金1700億円で賄った。但し、Apple専用とせず、中国スマホメーカーなど他社へも供給する予定。

問題は、JDIと Apple の契約である。この前受金の契約には下記の条項がある。

・JDIは年間2億ドルまたは売上高の4%のいずれか高い金額を四半期ごとに返済する。

・JDIの現預金残高は300億円以上を維持する。

・上記2つの条項を守れなければ、Appleは、前受け金の即時全額返済、または白山工場の差し押さえを要求できる権利を持つ。

返済原資は貸し手であるAppleからの注文次第であることが問題で、Apple側の理由で注文が減ると、たちまち返済原資に行き詰まる。
工場がApple専用であれば、それなりの条項が入れられたと思われるが、他社への供給もできるようにしたのが逆目に出る形となった。(Appleが減った分は他社に売ればよいとの言い訳ができる)

2019年のXR向け液晶の出荷量は、計画比で半減する見込みで、2月に入って主力の白山工場の稼働率は50%前後まで落ちている。これにより、2018年9月末に600億円あった現預金が1月に入って急激に減り始めたとされる。

2019/4/4 ジャパンディスプレイの動き

AppleはSuwaの中国投資家を通じて100百万ドルの出資を予定していたが、中国投資家が撤退した。

その後、上記の通り、取引の支払い条件の緩和と白山工場生産装置の購入を通じる可能性も含め、200百万ドルの供与の話を進めていた。


Appleからの前受け金は2019年9月末時点でなお約900億円残っており、返済負担がJDIの財務の重荷となっている。

仮に、Appleとシャープの連合に900億円で売却して、前受け金をAppleに返還すると、JDIには工場も現金も残らない。

結局は、Appleのためにつくった工場が、Appleからの注文が減ったため前受け金の返済ができず、Apple(とシャープ)に無償で取り上げられることとなる。

シャープは工場の買収に、Appleからの製品引取の約束を取り付けると思われる。 もし、Appleがシャープに対して製品引取を約束するのであれば、なぜJDIには約束しないのか、疑問が生じる。

JDIが最初の契約にTake or Pay 条項を入れなかったのがこの結果を生んだこととなる。


経済産業省は12月23日、東京電力福島第1原子力発電所にたまる汚染水の処理水に関する小委員会(多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会)のとりまとめ案を公表した。

https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku/committtee/takakusyu/010_haifu.html

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東京電力福島第1原子力発電所では、過去8年間、損壊した原子炉の建屋からは毎日、約200トンの放射性物質に汚染された水をポンプでくみ出している。

汚染水に含まれるほとんどの放射性同位体は、複雑な浄水システムで除去されている。しかし、放射性同位体の1つであるトリチウムは除去が不可能のため、汚染水は巨大タンクに貯水されている。

トリチウムは、質量数が3、すなわち原子核が陽子1つと中性子2つから構成される水素の放射性同位体で、半減期は約12年。通常の水とトリチウム水には化学的な差がほとんどなく分離が難しい。

2019/9/21 原発処理水問題

東電は放射性物質を取り除く専用装置で汚染水を浄化した処理水をタンクにためてきた。原発敷地内のタンク960基に約115万トンを保管しているが、2020年末までに137万トン分のタンクを確保する見通しである。(これでタンク建設用地は無くなる。)

汚染水は2018年度には1日平均約170トン発生したが、2020年中に同150トンまで減らす。仮にこれを達成できても、2022年夏~秋にはタンクが満杯になる。

処分の実施までの期間を考えると、待ったなしである。

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小委員会では5つの処分方法を検討してきたが、薄めて海に流す「海洋放出」と蒸発させて大気中に出す「水蒸気放出」という前例のある方式に絞り込んだ。


技術的成立性 規制成立性 期間 コスト
①水蒸気放出 ボイラーで蒸発させる方式はThree Mile Island -2号炉の事例あ 現状で規制・基準あり 120か月 349億円
②水素放出 処理やスケール拡大等について、技術開発が必要な可能性 現状で規制・基準あり 106カ月 1,000億円
③海洋放出 海洋放出の事例あり(下図) 現状で規制・基準あり 91か月 34億円
④地下埋設 コンクリ ートピット処分、遮断型処分場の実績あり 新たな基準の策定が必要な可能性 98か月
監視 912カ月
2,431億円
⑤地層注入 適切な地層を見つけ出すことが必要。
適切なモニタリング手法が確立されていな
処分濃度によっては、新たな規制・基準の策定が必要 104+20 x Nカ月
監視 912カ月
180+6.5 x N億円
+監視
 Nは地層調査の実施回数



1979年の爆発事故のThree Mile Island
-2号炉では汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含んだ水について、近くの川への放出が検討されたが、下流域の住民が反発した。このため1991年から93年にかけて約9000トンを蒸発させ大気中に放出処分した。

トリチウムを含む水は薄めて海に流すことが国際的に認められている。

海洋放出を問題視している韓国でも、月城原発が2016年に液体で17兆ベクレル、気体で119兆ベクレルを放出しており、古里原発も2016年に液体で36兆ベクレル、気体で16兆ベクレルを放出した。


小委員会の説明:

これまで 前例のない三つの肢(地層注入、水素放出、地下埋設)は、規制的、技術的、時間的な観点からより現実的な選択肢としては課題が多い。

地層注入:適した用地を探す必要があり、モニタリング手法も確立されていない。

水素放出:前処理やスケール拡大等について、更なる技術開発が必要となる可能性があるほか、水素爆発の可能性が残る。

地下埋設:固化による発熱があるため、水分の蒸発(トリチウムの水蒸気放出)を伴うほか、新たな規制の設定が必要となる可能。

こうした課題をクリアするために必要な期間を見通すことは難しく、時間的な制約も考慮する必要がある。


こうした中、前例のある海洋放出、水蒸気放出に焦点を絞り、海洋放出を実施するケース1、水蒸気放出を実施するケース2、海洋放出及び水蒸気放出を実施するケース3に分類して処分方法の検討を行ってはどうか

海洋放出と水蒸気放出について被ばく影響を行った結果、仮にタンクに貯蔵されているALPS処理水を1年間で処分を行ったとしても、自然放射線による影響の千分の1以下になる。

しかし、海洋放出により水産業や観光業に風評への影響が生じうることから、 処分方法について、幅広い関係者の意見を踏まえて決定すべきである。
また、 処分する際には、徹底した風評被害対策が必要となる。特に、福島県の試験操業の漁獲量は震災前と比較して2割も回復していない状況であり、特段の配慮を行うことが必要となる。

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福島第一原発の廃炉作業について3回目の調査を行っていたIAEA(国際原子力機関)の調査団は2015年2月17日、調査報告書を発表した。そのなかで、汚染水を処理したあとのトリチウムを含んだ水について、国の基準以下まで薄めて海に放出することも含め検討する必要があるという考えを示した。

調査団のJuan Carlos Lentijo団長は記者会見で、汚染水対策が直近の課題だとした上で、以下のとおり述べた。

環境への影響がほぼ無視できることが確認されれば、管理した上で(国の基準以下まで薄めて)海へ放出することは、福島第一原発の状況を大幅に改善できる有力な選択肢だ 。
海洋放出は(人や環境に)ほとんど影響しない。
濃度が国際的な基準値以下のトリチウム水を海に流すことは世界中の多くの原発で行われている。

実際の海洋放出にあたっては、漁業関係者や地元住民による受け入れや丁寧な放射能モニタリングが欠かせない。

原子力規制委員会の田中俊一委員長(当時)は2013年9月2日、日本外国特派員協会で講演し、汚染水問題への対応で、放射能濃度を許容範囲以下に薄めた水を海に放出する必要性を強調した。

2015/2/20 IAEA調査団の福島第一原発・廃炉作業の調査報告書 

今回の結論は以前から分かっていたが、風評被害を恐れ、ずるずる延ばしにしてきた。この結果、処理すべき水の量が大幅に増えた。
最終決定まで、更に時間がかかると思われる。


韓国は汚染水処理問題を国際社会で繰り返して問題視している。

これに対し、12月24日に四川省成都で開かれた日韓首脳会談で、安倍首相が文在寅大統領に、「福島をいじめるのもいいかげんにしてほしい」と話したと報じられた。

首脳会談直後、岡田直樹・官房副長官は記者会見で「福島原発の処理水に関して、今まで国際社会に情報提供をしてきており、その方針は今後も変わらない」という安倍首相の発言を紹介した。あわせて「韓国側に対応を自制するよう要請した」と明らかにした。

(韓国中央日報が読売新聞を引用して報道)

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