2021年11月アーカイブ

三菱マテリアルは11月25日、ユニバーサル製缶(三菱マテリアル80%、ホッカンホールディングス20%)と100%子会社の三菱アルミニウムを米国 の投資会社Apollo Global Managementのファンドが所有する昭和アルミニウム缶に売却すると発表した。 これに伴い、ホッカンホールディングスもユニバーサル製缶の同社持分を売却する。


三菱マテリアルは1962年にアルミ圧延品事業、72年にはアルミ缶事業に進出し、半世紀にわたってアルミ事業を展開してきた。三菱アルミニウム (圧延)とユニバーサル製缶(アルミ缶)の一貫生産体制で、アルミ缶リサイクルの分野で存在感を示している。 

三菱マテリアルでは、同社の他の事業とのシナジーが見出しにくいアルミ事業について、収益構造改善を実施しつつ、事業再編の機会を模索してきた。

その状況下、アルミを含む素材業界に関するグローバルな知見及び経営資源を持つ Apolloの下で事業の競争力強化を追求していくことが三菱マテリアルにとってもアルミ事業2社にとっても最良の選択であるとの結論に至ったもの。

今後、銅加工品などに経営資源を集中する。 「EVなどで底堅い需要が見込まれる銅加工品や航空機需要回復が期待される超硬工具、金属リサイクルに配分する」としている。 

売却額は公表していないが、負債を含めて約600億円との報道がある。三菱マテリアルでは事業再編損失して 290億円の特別損失を計上する。

なお、本件に関する三菱マテリアルの説明は下記のとおりで、非常に分かりにくい。

・・・昭和アルミニウム缶に対し、当社が保有するユニ缶社の全ての株式を譲渡すること及び吸収分割により三菱アルミ社のアルミ圧延・押出事業を承継させたうえで新会社に分離再編すること等に関する契約を締結することを決議いたしました。

同社に問い合わせたところ、「三菱アルミの営む全事業(箔も含む)を昭和アルミニウム缶に譲渡」とのこと。

昭和アルミニウム缶は元は昭和電工の事業。

昭和電工は本年6月と8月に、会社分割によりアルミ缶事業を昭和アルミニウム缶㈱に、アルミ圧延事業を昭和電工堺アルミ㈱に承継、いずれもApollo Global Managementのファンドに引き継がれた。

Apollo Global Managementグループでは、昭和アルミニウム缶とユニバーサル製缶が統合することで、東洋製罐 グループホールディングス、大和製罐と並び大手3社の一つとなる。

たアルミ板・押出製品を手掛ける三菱アルミニウムを傘下に収めることで 、アルミ圧延・加工業界では、UACJ、日本軽金属に次ぐ第3位となり、神戸製鋼所 を抜く。(現在は神戸製鋼が3位、三菱マテリアルが4位、昭和電工が5位である。)

UACJは2013年10月に古河スカイと住友軽金属工業が経営統合し、発足した。

社名のUACJは、世界市場を目指すとして「United Aluminium Company of Japan」の頭文字から採った。

Apollo Global Managementグループは昭和電工からの買収で圧延とアルミ缶を分離したが、今後、アルミ圧延事業の昭和電工堺アルミも一体化するのではないかと思われる。


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なお、三菱マテリアルは11月12日、孫会社(100%子会社の三菱電線工業の100%子会社)の菱星システム㈱を、通信事業者向けの電気・通信基盤構築を手がけているエクシオグループ㈱に譲渡すると発表している。

菱星システムは下記の事業を行っている。
① 電力送電線および配電線の建設を担う電設事業
② 有線、無線の通信工事でシステム建設を担うシステム事業
③ ロードヒーティング、電気床暖房の環境システムを建設する冷熱事業

三菱マテリアルは事業ポートフォリオの最適化を掲げ、取り組みを進めているが、エクシオグループに譲渡し、同社の下で事業を運営することが菱星社の将来的な成長に資すると判断した。



南アフリカの専門家らは11月25日、少数ながら新型コロナウイルスの新たな変異株を検出したと発表した。

11月9日に採取された検体から最初の感染が確認された。11月24日にWHOに報告された。

この変異株は「B.1.1.529」と呼ばれ、体の免疫反応を回避したり、感染力を高めたりする可能性がある「非常に珍しい」変異を持つ。

生物情報学を研究するProf de Oliveira は25日の南アでのブリーフィングで、「B.1.1.529」には異例の多くの変異が生じており、これまでの例と「極めて明確に異なっている」と指摘した。

全体で50か所の変異があり、うち、スパイクたんぱくで32の変異がある。 ワクチンはこのタンパク質を標的にしている。

変異が多すぎ、当初の武漢株とは著しく異なっている。このため、当初のウイルスを前提にしたワクチンが効かない可能性がある。

英ロンドン大学遺伝学研究所の科学者によれば、免疫不全の人の慢性感染の過程で進化したとみられ、治療を受けていないHIV感染者だった可能性がある。南アのHIV感染者は820万人と世界最多である。

WHOは11月26日「B.1.1.529」をオミクロン(Omicron)と命名、最初からVOC(Variants of Concern:懸念される変異株)に追加した。

複数の変異について「うちいくつかは懸念すべきだ」と表明した。ほかの変異ウイルスに比べ再感染する可能性が高いとみられるという。

https://www.who.int/news/item/26-11-2021-classification-of-omicron-(b.1.1.529)-sars-cov-2-variant-of-concern

VOC(Variants of Concern):懸念される変異株

感染しやすい、重症化しやすい、ワクチンや治療薬が効きにくいことなどが既に実証されている変異株

VOI(Variants of Interest):注目すべき変異株

VOCよりは警戒度は低いが、市中において複数の感染例やクラスターが確認されている変異株

日本の国立感染症研究所は11月26日、感染・伝播性、抗原性の変化等を踏まえた評価に基づき、注目すべき変異株(VOI:Variants of Interest)として位置づけ、監視体制の強化を行うと発表した。 →11月28日にVOCに引き上げた。

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医療機関からの初期情報によると、この変異株は国内最多の人口を有する南アフリカの北部ハウテン州(Gauteng Province:州都はヨハネスブルグ)で急速に感染を拡大させている。他の8州にもすでに感染が及んでいる可能性があるという。


南アで確認された症例は約100例。ボツワナ(南アの北側、ハウテン州に近い)と香港でも確認されている。研究者によると、ハウテン州の新規感染者は90%がこの変異株への感染である可能性もある。

香港に到着した旅行者2人から「B.1.1.529」が検出された。香港政府が11月25日遅くに明らかにした。

1人は南アからの帰国者だが、もう一人はカナダからの帰国者で、向かいの部屋に隔離されていた。南アからの帰国者がマスクなしでドアを開けた際に、空気感染したと見られる。2人ともワクチンを2回接種している。2つの部屋と、同じ階の廊下と共用エリアの環境から陽性の検体が採取された。

ヨーロッパでも初めてベルギーで感染者が見つかり、既に世界に広がっている可能性も出てきた。

感染したのは若い成人女性で、ワクチンを接種しておらず、体内に抗体ができる感染歴もなかった。
11月11日にエジプトからトルコ経由で戻った。南アや近隣国との直接的なつながりはないという。
イスラエルの感染者はアフリカ南部マラウイからの渡航者だった。
イスラエルの感染者はアフリカ南部マラウイからの渡航者だった。

イスラエルでも見つかった。マラウイ(モザンビークの北)からの渡航者だった。他に感染した可能性の高い人が3人いるという。 (本稿作成は11月28日朝だが、その後、各国で多数が発見されている。)


英政府は11月25日、新たな変異株に対する懸念を理由に南アなど一部のアフリカ諸国からの航空便を一時禁止すると発表した。

日本政府は11月26日、新型コロナウイルスの新たな変異株が南アフリカで発見されたことを受け、水際対策を強化 した。

強化する対象者は南アフリカやナミビア、ジンバブエ、ボツワナ、レソト、エスワティニの6カ国からの入国者や帰国者で、指定の場所で10日間の待機を義務付ける。
27日には、モザンビーク、マラウイ、ザンビアのアフリカ3カ国を水際強化の対象に追加した。

付記  岸田首相は11月29日、全世界からの外国人の新規入国を11月30日午前0時から当面の間、原則禁止すると発表した。

付記  11月28日に第三国経由で成田空港に到着したナミビア大使館の外交官からオミクロン株が検出された(11月30日)。
    同行した家族2人は陰性だった。



EUは11月26日の緊急協議で、アフリカ南部7カ国から域内への渡航を制限する方針で一致した。上記6カ国にモザンビークを加える。

WTOは緊急の会合を開き、11月30日から12月3日までスイスのジュネーブで4年ぶりに開催することにしていた閣僚会議を無期限延期すると発表した。
林外相と萩生田経産相は現地への訪問を取りやめる。

EUは11月26日、Charles Michel大統領が訪日し11月29日に岸田首相と東京で会談すると発表したが、コロナウイルスの急拡大を受け、延期した。

ワクチンが効かない可能性があるとされるが、PfizerとBioNTechはオミクロン株へのワクチンの有効性を検証中で、今後2週間でデータが得られる見通し。ワクチンの改良が必要な場合は6週間以内にワクチンの内容などを再設計し、早期の生産を目指す。

Moderna
やJohnson & Johnsonもワクチンの有効性を調べる試験などに着手しているという。

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WHOは「B.1.1.529」をオミクロンOmicronと命名し、VOC(Variants of Concern )に追加した。

ギリシャ語アルファベットでは、ミュー(mu)の次はニュー(nu)、クサイ (xi)オミクロン (omicron)だが、何故か、ニューとクサイを飛ばした。

   ネットには、尾身会長のオミから「尾身クローン」だと話題になっている。

実際は、ニューとクサイは意図的に避けられた。ニューは「new」という言葉と混同するため、クサイは「ある地域に汚名を着せないようにする」ためにそれぞれスキップされた。

クサイについては、英語ではxiと書くが、中国の習近平国家主席の英語名(Xi Jinping)と同じであることから、WHOが中国に気を遣って使用しなかったとの臆測が広がっている。


WHOのVOCとVOIは下記の通り。(2021/6/15 時点の表に加除した。)  

随時、加除されており、当初、「注意すべき」としてVOIに入れたが、その後、問題なしとして削除したものが多い。

WHO
判断
WHO label 最初に発見 変異
VOC:
Variants
of
Concern
アルファ VOC-202012/01
B.1.1.7)
2020/9
英国
従来株よりも感染しやすく(1.32倍)、
重症化しやすい可能性あり。
23箇所の変異
H 69/V70欠失、Y144欠失、N501Y、A570D、P681H等
ベータ 501Y.V2
(B.1.351)
2020/5
南ア
従来株よりも感染しやすく(1.5倍)、
免疫やワクチンの効果を低下させる可能性あり。
N501Y (easily gain access to our cells)
E484K, K417N (affect our immune system)
242-244欠失
ガンマ 501Y.V3
2020/11
ブラジル
従来株よりも感染しやすく(1.4~2.2倍)、
免疫やワクチンの効果を低下させる可能性あり。
N501Y (easily gain access to our cells)
E484K, K417N (affect our immune system)
デルタ B.1.617.2 2020/10
インド
感染力 1.95倍 L452R
オミクロン
(11/26追加)
B.1.1.529 2021/11
南ア
K417N, N440K, G446S, S477N, T478K, E484A, Q493K, G496S, Q498R, N501Y, Y505H
VOI:
Variants
of
Interest
イプシロン B.1.427およびB.1.429 2020/3
米国
従来株よりもやや感染しやすく、一部治療薬の効果を低下させる可能性あり。 L452R
ゼータ P.2
2020/4
ブラジル
   
イータ B.1.525 2020/12
多数国
   
シータ P.3系統
2021/1
フィリピン
従来株よりも感染しやすく、免疫やワクチンの効果を低下させる可能性あり。 N501Y
E484K
イオタ B.1.526 2020/11
米国
   
カッパ B.1.617.1
2020/10
インド
  L452R、E484Q、P681R
ラムダ C.37 2020/8
ペルー
感染力の強さに加え、ワクチン効果が最悪で 1/5落ちる。
南米のほか米国やドイツなど計29カ国で感染が確認
490番目のまったく違う新しいところに変異
ミュー
8/30追加
B.1.621 2021/1
コロンビア


国立感染症研究所による国内における変異株の分類(2021年10月28日時点)はWHOと異なる。 VOC、VOIのほかにVOUがある。

11月26日にオクミロンをVOIに加えた。 (これまでVOIは該当なしだった。) → 11月28日にVOCに引き上げた。

分類

定義

主な対応

該当

変異株

懸念される変異株

(VOC; Variants of Concern)

公衆衛生への影響が大きい感染・伝播性、毒力*、及び治療・ワクチン効果の変化が明らかになった変異株

対応

? 週単位で検出数を公表(IDWR)

? ゲノムサーベイランス(国内・検疫)

? 必要に応じて変異株PCR検査で監視

? 積極的疫学調査

ベータ株

ガンマ株

デルタ株

オクミロン

注目すべき変異株

(VOI; Variants of Interest)

公衆衛生への影響が見込まれる感染・伝播性、毒力、及び治療・ワクチン効果や診断に影響がある可能性がある、又は確実な変異株で、国内侵入・増加の兆候やリスクを認めるもの(以下、例)

・検疫での一定数の検知

・渡航例等と無関係な国内での検出

・国内でのクラスター連鎖

・日本との往来が多い国での急速な増加

警戒

?週単位で検出数を公表(IDWR)

?ゲノムサーベイランス(国内・検疫)で監視

?積極的疫学調査

?必要に応じて変異株PCR検査の準備

オクミロン

監視下の変異株

(VUM; Variants Under Monitoring)

公衆衛生への影響が見込まれる感染・伝播性、毒力、及び診断・治療・ワクチン効果に影響がある可能性がある変異を有する変異株

また、VOCやVOIに分類された変異株であっても、以下のような状況では、本分類に一定期間位置付ける

・世界的に検出数が著しく減少

・追加的な疫学的な影響なし

・国内・検疫等での検出が継続的に僅か

・特に懸念される形質変化なし

監視

?発生状況や基本的性状の情報収集

?ゲノムサーベイランス(国内・検疫)で監視

?(VOC/VOIからVUMに移行後国内発生が継続するものは)週単位で検出数を公表 (IDWR)

アルファ株

(旧)カッパ株

ラムダ株

ミュー株

AY.4.2
(デルタ プラス)

https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2551-cepr/10792-cepr-b11529-2.html

公正取引委員会は11月24日、下請け企業への不当なしわ寄せを防ぐための対策を改定した。

原油高で納入コストが大幅に上がったのに、発注元が一方的に単価を据え置くことは、下請法が禁じる「買いたたき」の恐れがあるとの見解を周知する。コストを価格に適切に反映できる環境を整える。

ーーー

公取委は9月8日、最低賃金の引上げ等に伴い、買いたたき、減額、支払遅延などといった中小事業者等への不当なしわ寄せが生じないよう、「中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」を策定した。

最低賃金の改定を含む労務費や原材料費等の上昇などが下請価格に適切に反映されることを促している。

今般、原油価格高騰に伴いエネルギーコストが大幅に上昇した下請事業者から単価の引上げを求められたにもかかわらず、親事業者が一方的に従来どおりに単価を据え置いて発注することについても、下請法上の「買いたたき」に該当するおそれがあることから、今般、新しく下記のQ&Aを作成した。

下請取引に対する監督体制の強化を更に進めていく。今後も引き続き、これらの成果を踏まえつつ、更なる取組を検討・実施していく。


原油価格の高騰に関する下請法Q&A

Q: 原油価格が高騰しているが、従来どおりの単価で発注することは問題ないか。

A: 原油価格の高騰に伴いエネルギーコストが大幅に上昇した下請事業者から単価の引上げを求められたにもかかわらず、親事業者が一方的に従来どおりに単価を据え置いて発注することは、買いたたきに該当するおそれがある。

下請代金支払遅延等防止法  第4 親事業者の禁止行為
 5. 買いたたき (2) 次のような方法で下請代金の額を定めることは、買いたたきに該当するおそれがある。
 ウ 原材料価格や労務費等のコストが大幅に上昇したため、下請事業者が単価引上げを求めたにもかかわらず、一方的に従来どおりに単価を据え置くこと。

〈製造委託、修理委託における違反行為事例〉
5-3 下請代金を据え置くことによる買いたたき
(1) 親事業者は、親事業者から下請事業者に対して使用することを指定した原材料の価格や燃料費、電気料金といったエネルギーコスト、労務費等のコストが高騰していることが明らかな状況において、下請事業者から従来の単価のままでは対応できないとして単価の引上げの求めがあったにもかかわらず、下請事業者と十分に協議をすることなく、一方的に、従来どおりに単価を据え置くことにより、通常の対価を大幅に下回る下請代金の額を定めた。

サムスン電子は11月24日、米国テキサス州Austin近郊のTaylor市に最先端の半導体工場を新設すると発表した。
建物、土地、工場設備などを含めた総投資額は170億ドルの見込みで、同社にとり米国最大の投資案件となる。

ホワイトハウスのSullivan大統領補佐官 (安全保障問題担当)と経済政策の取りまとめを担う国家経済会議のBrian Deese委員長は連名で 、「工場の新設はサプライチェーンの保護や製造拠点の活性化、国内の雇用創出につながる」と歓迎、「バイデン政権は二度と半導体不足に直面しないよう、製造能力の拡大をはかるため、同盟国や友好国、民間セクターに働きかけ続けてきた。中間層を支援し、長期にわたる競争力を強化するため、引き続きあらゆる手段で製造やテクノロジー分野に投資していく」と 述べた。

2022年前半に着工し、2024年後半の製造開始を目指す。2,000人以上のハイテク人材の雇用、数千人規模の間接雇用、工場建設で6,500人以上の雇用を見込む。

Samsungは「新工場では先端工程が適用される」としており、半導体性能を左右する回路線幅で3ナノ(ナノは10億分の1)メートルの次世代品を生産するとみられる。
同社が現在量産する最先端は5ナノ品で、2022年に韓国の工場で3ナノ品の生産を始める予定であるが、米国新工場でも同じ性能の半導体を量産する見通し 。

台湾のTSMCは米国アリゾナでは回路線幅が小さい最先端型の工場(5nm)を建設中で、更に3nmの工場の建設を計画している。

2021/10/18 半導体大手、台湾のTSMCが日本で工場建設 に記載

Samsungにとって半導体回路を形成する「前工程工場」の新設は2017年に稼働した韓国平沢工場以来で、6カ所目となる。新工場が稼働すれば、韓国3カ所、米国2カ所、中国1カ所の生産体制となる。

同社は本年5月の韓米首脳会談後、170億ドルを投資し、米国内の第2ファウンドリー工場を建設する方針を発表、 その後、テキサス州Austin、アリゾナ州の2カ所、New Yorkの計4カ所を候補とし検討してきた。

本年2月にテキサス州当局に提出した資料で、Austinと同市のあるトラビス郡から20年間で合計14億8000万ドルの税軽減措置を求めたことが判明した。

トラビス郡から今後20年間で100%の減税(7億1830万ドルの価値がある)を望んでおり、Austin市からの50%の減税(5年間で8720万ドル)も求めているほか、経済開発プロジェクトのための固定資産税の減税を与えることを可能にするテキサス税法の第313条の適用(推定2億5290万ドル相当)も要請しているという。

候補となっているニューヨークやアリゾナ州も不動産税の軽減措置を提供しているという。

最終的に、南西約25キロのAustin市内には1996年開設の同社半導体工場が既にあり、近接する両工場でインフラや資源を共有できる点が大きな決め手となった。

また、半導体産業の集積やインフラの充実度、地元政府の支援なども理由として挙げている。

Austin市周辺にはDell、Apple、Google、Facebookらハイテク企業が集積しており、Silicon Hillsと呼ばれている。最近ではOracleやTeslaがカリフォルニア州からAustinに本社を移転すると表明 している。

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Samsungの李在鎔副会長が11月14日、5年ぶりに北米に出張し、24日に帰国した。副会長は仮釈放中で、毎週木曜日に開かれる三星物産の合併・サムスンバイオロジックス不正会計疑惑関連の裁判に出席しているが、この時期は裁判がなく、海外出張が可能だった。新工場の発表は帰国後に行われた。

先ずModernaや世界トップの通信事業者Verizonの最高経営陣と会い、18日には米連邦議会を訪れ、半導体投資支援法案を担当する中心議員たちに会った。関連法案の可決などを巡る議会の協力を要請したという。

19日にはホワイトハウスの高官らと会い、半導体供給網問題の解決策や連邦政府レベルでの半導体企業向けインセンティブなどについて話し合った。

その後、西部に移動し、20日にMicrosoftのCEOと会って、半導体やモバイルだけでなく、仮想現実(VR)や増強現実(AR)、メタバースなど、浮上する次世代技術への協力やソフトウェア生態系の拡大について意見を交換、Amazon経営陣とは人工知能やクラウドコンピューティングなど、革新技術協力の拡大案について議論した。

韓国の財界関係者は、「特に今回の出張では、現地企業家だけでなく米国政界の中心人物たちと会って、グローバルサプライチェーン問題の解決および韓米友好増進に寄与するための民間外交官の役割を果たしたという点で、三星トップとしてさらに地位を高めた」と評価した。

米政府は半導体業界へ計520億ドルの補助金を拠出する方針。Samsung は補助金支給条件などを確認した上で、新工場建設を決定したという。

バイデン大統領は2021年3月31日、2兆米ドルを超えるインフラ投資計画 American Job Planを発表した。

そのうち、R&D、製造近代化、中小企業として5,800ドルが含まれている。
 R&D、未来の技術への投資 1,800億ドル
 製造業、中小企業活性化  3,000億ドル
 Workforce Development   1,000億ドル

大統領は、この中から、米国半導体業界の国内生産回帰の実現に向け、500億米ドルを割り当てることを明らかにした。
ホワイトハウスは、「超党派議員グループによって提唱されたCHIPS for America Act、
American Foundries Act of 2020 の要望に従い、半導体の製造および研究に資金を投入する指示も出している」と述べた。

2021/10/22 半導体供給問題:米国の場合 

但し、当初の計画は大幅に削減されており、半導体向けの分がいくら残ったのか明らかでない。

また、競合となる米Intel が外国企業への補助金支出に反対姿勢を強めており、Samsungが予定通り補助金を受け取れるか不透明な面も残る。

バイデン米政権は11月23日、日本や中国、インド、韓国、英国と協調して、今後数カ月かけて戦略石油備蓄(Strategic Petroleum Reserve)を5000万バレル放出すると発表した。

大統領は、他国と協調して備蓄を放出することで供給不足に対処し、値下がりにつながるとし、原油価格を抑える効果を訴えた。

放出量の5000万バレルは6億バレルの備蓄の約8%に相当し、国内需要の約3日分にあたる。

このうち、1800万バレルは議会が承認済みで、速やかに売却する。3200万バレルについては、将来備蓄に戻すのを 条件に今後数カ月間かけて石油会社に貸し出す。

原油価格は最近、7年ぶりの水準に急騰し、ガソリン小売価格は過去1年間で60%余り上昇している。

ここ数日の原油相場は備蓄放出の観測で下げていたが、世界需給への影響は限定的との見方が強く、買いなおす動きが出ている。WTIの24日の終値は78.39ドルとなった。

米政権は「OPECプラス」に対し、十分な原油供給量を維持するよう繰り返し求めてきた。しかし、OPECプラスは12月の原油の追加増産を見送った。

「OPECプラス」は7月18日の閣僚協議で、協調減産を8月から毎月日量40万バレルずつ縮小すると決めている。このままでいけば、2022年9月末に協調減産がほほ終了することになる。

今回の米国他の動きについて、「OPECプラス」の当局者らは、世界の石油消費国が計画する戦略備蓄の放出に対応する可能性が高いと警告した。
現在の市場の環境では備蓄放出は正当化されないとし、来週の会合で現行の生産引き上げ計画を再検討する必要があるかもしれないと述べた。

世界のエネルギー市場の主導権を巡って対立することになる恐れがある。


日本政府はバイデン政権の要請を受けて石油の国家備蓄の一部を放出する方針を決めた。

岸田首相は11月24日午前、石油の国家備蓄を初めて放出すると表明した。「米国と歩調を合わせ、現行の石油備蓄法に反しない形で国家備蓄石油の一部売却を決定した」と語った。原油価格の高騰を受けて上がるガソリンの価格を抑える狙いがある。 「原油価格の安定は経済回復を実現する上で大変重要な課題だ」とした。

萩生田経済産業相は、原油価格の高騰を抑えるために国家備蓄から放出する石油の量は、数十万キロリットルになると明らかにした。時期は精査中とした。必要なら追加も検討する。

その後、420万バレル(67万kl)と報じられた。

2日分の放出のため、国内の需給に与える影響は小さく、価格上昇を抑える効果があるとは思えない。

石油の備蓄放出としては、2011年6月にリビア情勢の悪化を受けて民間備蓄から出したのが最後で、国家備蓄からの放出は初めてとなる。

付記 過去の民間備蓄放出
    1979年 第二次オイルショック
    1991  湾岸戦争
    2005  米国ハリケーン
    2011  東日本震災、リビア情勢

石油の放出は、法律でガソリンなどの供給不足や地震など緊急時に限定されており、価格上昇の対応策としての放出は想定していない。

一方、国内の石油需要は年々減少しており、現在の備蓄量は法律で決められた量をかなり上回っている。

日本の石油備蓄は、国家備蓄、民間備蓄、産油国共同備蓄により実施している。(後記)

石油備蓄法では、国家備蓄は産油国共同備蓄の1/2と合わせ輸入量の90日分程度(IEA基準)、民間備蓄は消費量の70日分以上などと定めている。

2021年9月末現在の備蓄は、国家備蓄は1EA基準で133日分、産油国共同備蓄は6日分で、「産油国共同備蓄の1/2と合わせ輸入量の90日分程度」をはるかに超えている。
なお、民間備蓄はIEA基準で85日分となっている。

このため、政府としては余剰分であれば法律の枠組みの中で放出が可能だと判断し、余剰分を出すという異例の対応により各国と協調して取り組む。

直接の「備蓄の放出」ではなく、タンク内の古い石油を新しいものに入れ替える際に入れ替える量を減らす形をとる。入れ替える量を減らした石油は2022年3月までに入札で売り出す。


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韓国産業通商資源省の高官は11月18日、米国から石油備蓄を放出するよう要請があったことを確認したが、この時点では、「米国の要請について慎重に検討しているが、価格が上昇したからといって石油備蓄を放出することはない」と語った。韓国の現在の石油備蓄量は9700万バレルで106日分に相当すると明らかにした。

その後、放出を発表、量や時期は他国と相談するとした。量については前回のようなレベルになろうとしている。2011年のリビア危機の際には備蓄の4%、約350万バレルを放出した。

インドは500万バレルを放出する。

英国政府は、企業が自発的に150万バレルまでを放出するのを認めると発表した。  (1バレル=0.158987 kl)

中国の国家食料物資備蓄局はCNNに対し、中国政府が備蓄原油放出の作業をしていると述べた。
中国は、2017に9つの大きな備蓄基地があり、能力が3770万トンであることを明らかにしている。

付記

11月29日夜のBSフジ・プライムニュースがこれを取り上げた。

この問題はバイデン政権の矛盾の解決のため、日本などを巻き込んだものという。

米国消費者にとり、ガソリン値上がりは最大の問題で、政権としては放置できない。

産油国は、脱炭素で将来需要が減るのは必至で、儲かるときに儲ける必要があり、増産に応じない。

本来、産油国である米国が増産すればよいことである。トランプは生産者サイドに立ち、石油増産、パイプライン設置に動いたが、バイデンは脱炭素の立場で、石油・ガスの開発を規制し、パイプライン「キーストーンXL」の建設認可を取り消した。この結果、ガソリン価格上昇につながった。バイデン政策の矛盾が表面化した。

2021/1/29 Biden大統領、温暖化対策の大統領令、石油・ガスの開発規制 

結論として、今後、石油増産の投資はなくなるため、需要が大幅に減らない限り、原油価格アップは必至である。

ーーー

日本の2021年9月末の石油備蓄は以下の通り。IEA基準はLPガス分を含む。

目標

備蓄日数 同 IEA基準 製品換算 保有量
原油 製品
国家備蓄 90日* 145日 133日 4,461万kl 4,545万kl 143万kl
産油国共同 6日 6日 191万kl 201万kl
民間備蓄 70日 90日 85日 2,773万kl 1,142万kl 1,688万kl

* (国家備蓄 + 産油国共同 x 0.5 )でIEAベースで90日

国家備蓄は、国家石油備蓄基地(10基地:合計能力4000万kl)と民間タンク借り上げにより行なわれている、

産油国共同備蓄は、産油国に東アジア向け基地として貸すもので、緊急時には日本に優先的供給をする約束をしている。

現在、下記の2カ所。

 沖縄石油基地 SaudiAramco 130万kl
 JX喜入基地  ADNOC 100万kl

神戸地裁は11月22日、「関西スーパーマーケット」と阪急阪神百貨店などの運営会社エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)傘下の食品スーパー2社との経営統合の手続きを差し止める仮処分決定をした。

「関西スーパーマーケット」の臨時の株主総会で 食品スーパー2社との経営統合案が承認されたことをめぐり、首都圏のスーパー「オーケー」が賛否の集計に問題があったとして統合に向けた手続きの差し止めを求める仮処分を11月9日に裁判所に申し立てていた。

関西スーパーは同日、下記の通り発表した。

当社の主張が認められなかったことは誠に遺憾であり、当社は上記の決定に対し、保全異議の申立て等を行う予定です。


付記

最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は12月14日、統合手続きの差し止めを求めるオーケー(横浜市)の許可抗告を棄却する決定をした。オーケー側の主張を退け、臨時株主総会での経営統合の議決は有効と判断した。

「議決権行使者の意思が議案に賛成するものであることが明確であったなど、二審が認定した事実関係の下では、二審の判断は結論において是認できる」とした。

最高裁決定を受け、オーケーは同日、関西スーパーの買収を断念すると発表した。関西スーパーと食品スーパー2社(イズミヤ、阪急オアシス)は、12月15日に経営統合に向けて株式交換をする。


付記

関西スーパーマーケットは2022年1月6日、オーケーなど一部株主からの株式買い取り請求について、1株1518円で買い取ると発表した。

オーケーの提示していたTOB価格の2250円は下回る。
臨時株主総会の翌取引日から、それぞれの株主が買い取り請求権を行使した日までの株価終値の平均値(加重平均)を算出し、そのなかで最高値とした。
オーケーなど15人の株主が買い取りを請求しており、1518円で合意した場合、約74億円の資金が必要になる。


ーーー
付記

関西スーパーは11 24 日付で、神戸地裁に保全異議の申立てを行ったが、地裁は11月26日にこれを退けた。

同社は11月30日、大阪高裁に保全抗告の申立てを行った。争いの場は大阪高裁に移る。

H2Oと関西スーパーは、統合予定日を当初の12月1日から12月15日に延期した。


付記

大阪高裁は12月7日、神戸地裁の仮処分決定を取し、経営統合を認めた。

「株主の意思が投票用紙と異なっていたと明確に認められることなどから賛成票として取り扱うことも許容されるべきで、法律に違反するとも、著しく不公正であるとも言えない」とした。

「オーケー」は、最高裁判所の判断を求めたいとして、抗告を行う方針を固めた。

大阪高裁は8日、統合差し止めを求めるオーケーの最高裁への許可抗告を認める決定を出した。

ーーー

阪急阪神百貨店を傘下に持つエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングは8月31日の取締役会で、大阪や兵庫で食品スーパーを展開する「関西スーパーマーケット」を子会社にすることを決め、発表した。
H2O傘下で関西地盤の食品スーパーの「イズミヤ」「阪急オアシス」と12月に統合させる予定で、売上高は4千億円規模、約240店舗を抱える関西でトップクラスのスーパーになる。


H2Oは、関西スーパーの株式を10.66%保有する筆頭株主で、株式交換で保有比率を58%まで引き上げて子会社化する。

関西スーパーはイズミヤ、阪急オアシスを100%出資の子会社にするなどし、3社を経営統合する。関西スーパーの事業については新設する事業子会社に移し、関西スーパーは中間持ち株会社になる。一連の統合作業は来年2月の完了をめざす。

2021年3月期の売上高は、イズミヤが1330億円、阪急オアシス が1107億円。関西スーパーが1289億円。

         ↓

2021年3月末時点での関西スーパーの上位株主は、1位が取引先持株会(保有比率10.07%)、2位が伊藤忠食品(4.94%)、3位が三菱東京UFJ銀行(3.96%)とみずほ銀行(同)。首都圏地盤のオーケーも7%強を出資していた。

そのオーケーは市場を通じて約160万株を約15億9000万円で取得し、9月2日にも追加取得して合計8.04%となった。保有目的は「政策投資、営業関係強化、重要提案行為などを行うこと」としている。

オーケーは9月3日、「関西スーパーマーケット」を買収したい意向を正式発表した。
関西スーパーに対し、時価の2倍超で上場来最高値と同 1株2250円でのTOBを提案した。

以前から経営陣との協議を申し入れていたが、関西スーパーから7月に、特別委員会で検討すると連絡を受けた。その後は数回やりとりがあっただけで「実質的な協議の場」が設けられないまま、関西スーパーは8月末にH2O傘下入りを発表した 。

オーケーは、10月に予定されている関西スーパーの株主総会でH2O子会社化に反対する考えを示し、H2O傘下入りが撤回・否決された場合、TOBを実施したいとし た。

関西スーパーの最近の株価は1000円~1500円であるが、現株主は2,250円で売却できることとなり、利益は確実である。

これに対し、H2O案の場合は「新関西スーパー」(関西スーパーとイズミヤ、阪急オアシスを統合)の株式を受け取ることになるが、株価がいくらになるかは不明である。

統合による相乗効果で株価が上がるかどうか不明であり(下がることもあり得る)、上がるとしても、相乗効果がでるまで時間がかかる。

常識的にはオーケー案が有利だが、関西スーパーの株主の取引先持株会や伊藤忠食品などはH20との取引もあるため、短期の利益だけでは決められない。

ーーー

10月29日の関西スーパーの臨時株主総会(6時間)で、H2Oとの経営統合案が賛成 66.68%で可決された。可決には2/3の賛成が必要 だが、これをわずかに上回った。両方に納入する業者が多く、棄権したと見られた。

これを受け、オーケーは下記により、TOB提案を取り下げた。 オーケーの姿勢は立派である。

たとえ僅差による可決といえども、総会検査役の立会いの下で公正に議事運営された結果と考え、その結果を関西スーパー株主の判断であると真摯に受け止めた。

しかし、オーケーは11月8日、この臨時総会での集計に疑義が判明したことを明らかにした。

総会検査役報告によ ると、一旦は本経営統合にる議案が僅差否決となる集計結果確認した が、その後、関西スーパーの判断って一部「棄権」の投票の取り扱い「賛成」に変更されたことによりその結果が覆され、僅差での可決になったというもの

マークシートによる投票に際しては、当該マークシートには「賛成・反対・棄権のいずれにもご記入がない場合は、棄権として集計いたします。」と明記され、議長からも「マークのご記入のない投票用紙をご提出いただいた場合は、棄権としてお取り扱いいたします。」ということを再三にわたり説明されていた。

集計の結果は僅差の否決であったが、最終的に可決とされた。

ある株主から本来「賛成」する意図だったにもかかわらずマークシートを白紙で提出してしまったため、確認したい旨の申し出を 受けた。

(以下 関西スーパーの発表から)

直ちに、総会検査役の同席を求めたうえで、当該株主から事実確認を行いました。

その結果、以下の諸点が確認されました。

①この株主は、投票用紙に記入を行わなかったものの、投票用紙の回収の際に、本議案全てについて事前に行った賛成の意思表示のとおり議決権行使をする意思である旨を回収担当者に対して述べていたこと

この株主が当日受付に提出した職務代行通知書に本議案に全て賛成の意思表示をする旨が記載されていたこと
③この株主が事前に提出していた委任状及び議決権行使書においても本議案について全て賛成の意思表示がなされていたこと

このような確認を経て、当社は、投票用紙の回収に際して回収担当者に対して述べられた内容については、投票用紙への記載と同様に取り扱うべきであることから、会社法その他の法令に照らし、この株主様は本議案の全てに賛成の投票をされたものと判断し、当該賛成票も含めて最終集計を行ったところ、本議案の承認可決が確定いたしました。

オーケーの主張:

総会検査役による報告を確認したのち慎重を期して、外部の弁護士及び株主総会実務に詳しい専門家の意見を複数確認いたしました。かかる弁護士や専門家全員に共通する意見として、以下の指摘を頂いております。

上場企業における公正な株主総会の運営の在り方として、投票を締め切ったに特定の株主の投票内容のみを自社に有利に変更させること自体決してあってはならないこと

関西スーパーによる総会検査役に対する説明の真偽は確かめようがない上に、仮にその説明のとおりに、ある株主の方本来は「賛成」する意図を有していたにもかかわらず本来の意図となる投票を行ったものだったとしても、投票を締め切った以上議長自身が議場で説明したとおり「棄権」として取り扱われるべきであること

仮に何らかの理由により例外的に当該投票が無効であり「棄権」として扱うべきでないと考えたとしてもその議決権の行使については「賛成」として扱われるべきではなく無効不行使」として扱われるべきであること

オーケーは、11月9日午後、統合手続きの差し止めを求める仮処分を神戸地方裁判所に申し立てた。 

神戸地裁は11月22日、関西スーパーマーケットとエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)傘下の食品スーパー2社との経営統合の手続きを差し止める仮処分決定をした。統合を決めた臨時株主総会の手続きを巡り、食品スーパーのオーケー(横浜市)が示していた疑義を認めた。

裁判所の見解は次の通り。

白紙投票は「棄権」としか解することができない。

(株主の意図について)
総会に出席した株主は投票以外の方法で議決権を行使できない。投票した以上は、誤りがあっても訂正できない。

決議の方法に法令違反または著しい不公正があり、決議に基づく株式交換を差し止める。


12月1日に予定されていた株式交換は一旦差し止められる。関西スーパー側は決定に不服があれば裁判所に異議を申し立てることができる。

関西スーパーは、保全異議の申立て等を行う予定としているが、この裁判所の判断が覆ることはないだろう。

オーケーは22日、仮処分決定を受けて「司法の良識ある判断が示されたものと受け止めている」とのコメントを発表した。同社は、差し止めが認められた場合には完全子会社化を前提にTOB(株式公開買い付け)を行う方針と発表している。

RelianceとAramcoは、AramcoがRelianceのOil-to-Chemicals 部門に出資する契約に間もなく調印するのではと噂されていたが、Relianceが事業の中心をGreen energy に置くことを決めたため、検討中のOil-to-Chemical 事業への投資を再検討することで合意した。11月19日に発表した。

この結果、Oil-to-Chemical 事業をReliance 本体から分離するための会社法審判所(National Company Law Tribunal)への申請を取り下げた。

両社はインド及びサウジにおける投資での提携関係を継続する。

ーーー

Saudi AramcoとインドのReliance Industriesは2019年8月12日、AramcoがRelianceのOil-to-Chemicals 部門に出資する非拘束のLetter of Intent を結んだ。

Oil-to-Chemicals 部門は石油精製と石油化学と燃料のマーケティングの事業で、西海岸GujaratのJamnagar refining complex (精製能力 日量124万バレル)を含む。
燃料の卸事業については、BPとのJV(BPが49%)とすることを決めたため、JVの51%分が対象となる。

Oil-to-Chemicals 部門の事業価値を750億ドル(債務込み)と想定し、これの20%を取得する。150億ドルの投資となり、外国企業によるインドへの投資の最大のものの一つとなる。

2019/8/16 Saudi Aramco、インドのRelianceの石油・化学関連事業へ出資

インド政府がこれを阻止しようとして動いたが、Reliance とAramco は2021年4月、協議を再開した。

Reliance は2021年6月の株主総会で、SaudiAramco のYasir Othman Al-Rumayyan 会長を取締役に選任した。株式取引について年内完了を期待していた。

2020/1/4 インド政府、RelianceとAramcoの提携を阻止

ーーー

RelianceのMukesh Amani会長は2021年6月の株主総会で、同社がgreen energy に投資すること、Jamnagarに創業者の名前を採ったDhirubhai Ambani Green Energy Giga Complex を建設することを明らかにした。

新時代では燃料電池ギガファクトリーが内燃機関に代替し、自動車、トラック、バス、その他を動かすことになると述べた。

精油所のあるJamnagarの5000エーカーの土地に4つのギガファクトリーを建設する。

1. 太陽電池モジュール工場
2.
バッテリー工場
3.
水素の生産のための電解工場
4.
燃料電池工場



米連邦議会下院は11月19日午前、社会的セーフティーネットや気候変動対策、増税といったバイデン米大統領の経済優先施策を盛り込んだ1.75兆ドルの税制・支出法案 Build Back Better Actを賛成220、反対213で可決した。

下院の共和党トップのマッカーシー院内総務が採決を阻止しようと11月18日午後8時半すぎから19日午前5時すぎまで8時間半にわたって法案を批判し続ける異例の演説を行った。下院の歴史における最長時間を更新したと報じられている。(下院にはフィリバスター制度はない。)

  共和党 民主党 合計 欠員
賛成 220 220  
反対 212 1 213  
棄権 1 1  
合計 213 221 434 1

欠員のフロリダ州の議席は2022/1/11に決まる。

同法案は上院に送付されるが、審議の行方はなお不透明な状況だ。


付記 上院では民主党穏健派の
ウエストバージニア州選出のJoe Manchin議員が現状のままの法案賛成に強く難色を示している。

もともと総額3.5兆ドルの予算規模で民主党が単独で起案を進めていたが、Manchin議員の要請でその半分の規模の1.75兆ドルまで圧縮させられた経緯がある。

今回の法案で同議員はChild Tax Credit(児童税額控除)の扱いに反対している。

本法案は財政調整法案に基づくため上院でも過半数の賛成で可決できるが、与野党が50:50のため1議員でも反対すると可決できない。

大統領は党内調整を続ける意向で、採決は来年にずれ込む。

付記

Joe Manchin上院議員は12月19日、法案を支持しないと表明した。法案の行方が更に不透明となった。

ーーー

米下院は11月5日夜、バイデン政権の2つの看板政策のうち、5500億ドル規模の超党派インフラ投資法案を可決した。

これは1兆ドル予算とも呼ばれる。既に予算配分済みの支出を除いた新規支出は約5,500億ドルである。

上院はすでに可決しており、バイデン大統領は11月15日、インフラ投資法案に署名、成立した。

2021/11/8 米インフラ法案、下院で可決、成立へ


子育て支援などに10年で1.75兆ドルを投じる歳出・歳入法案
Build Back Better Actは党内調整になお時間がかかるため採決を先送りした。

これは「10年で3.5兆ドルの予算案」であったが、与党民主党内で意見が対立し、進展していないため、バイデン大統領が10月28日に1.75兆ドルに修正した Build Back Better Act を発表した。

2021/11/1 バイデン大統領、10年間3.5兆ドルの予算案を修正 

6人の中道派議員が、1.75兆ドルの予算法案について「議会予算局による財源の精査が終わっていない」として早期の法案採決に反対した。下院で民主党から4人が反対すれば可決できないため、ペロシ議長は「説得は困難だ」と判断した。

次善の策として、議長はインフラ投資法案を先に成立させる方針に転じたが、今度は左派が、インフラ法案を通してしまうと、大型歳出法案がそのままでは通らない可能性があるとして議決に反対した。

最終的に中道派議員が「議会予算局の精査の結果が政府の推計と矛盾しなければ、大型歳出法案に賛成する」と文書で約束したことで、左派が態度を軟化させ、インフラ投資法案を可決した。

2021/8/11 米上院、5500億ドル規模のインフラ包括法案を可決、下院採決時期は不透明

今回、中道派議員が賛成し(1議員のみ反対)、Build Back Better Act を可決した。

但し、議会予算局(CBO)が11月18日に公表した収支見通しによると、大企業などへの増税だけでは法案の財源がまかなえず、2022~31年の財政赤字が計3671億ドル増加する。ただ、この見通しには主要財源であるIRSの徴税強化の内容が含まれておらず、バイデン政権は徴税強化により収入が4000億ドル増加するとの試算を示し「法案の財源はすべて確保されており、財政赤字は増えない」と説明している。
しかしCBOは収入増が2070億ドルにとどまるとの独自の試算をまとめており、上院で穏健派の妥協を引き出せるか見通せない状況である。

上院では与野党が各50議席で、民主党から1名でも反対すれば否決される。

(賛否同票なら、上院議長を兼ねる副大統領が賛成票を投じると可決される。)


議会ではまだ、本年度(2021/10~2022/9)の予算が通らず、本年12月3日までのつなぎ予算で運営している。

2021/10/2 米、政府機関の閉鎖回避 12月までのつなぎ予算成立

下院は9月21日、連邦政府の債務上限の適用を2022年12月16日まで凍結する民主党提出の法案を可決したが、上院では審議に入れなかった。

その後、債務上限を4,800億ドル引き上げる法案を可決したが、イエレン米財務長官は11月16日、連邦政府の12月15日にも上限に達するとの見通しを議会に示した。

2021/10/12 米上院、債務上限の一時引き上げ可決 

12月3日までに更なるつなぎ予算が可決されないと政府機関の閉鎖もありうる。バイデン政権は、まだ大きな問題を抱えている。

11月18日、中国で国家反独占局(国家反垄断局)が発足した。

これまで独禁法は国家市場監督管理総局が管理していたが、国家市場監督管理総局から分離独立する形で誕生した。同じビルに入居する。

11月15日に国務院は国家市場監督管理総局の甘霖・副局長を独占禁止法担当部門の局長に任命した。この時点で独禁法担当部門の名称が「反壟断局」から「国家反壟断局」に変更されており、部門の地位が格上げされる可能性があると見られていた。

国家市場監督管理総局は今年、オンラインプラットフォーム運営企業を中心に、反競争的行為の取り締まりを強化しており、甘霖氏は大きな役割を果たしてきた。

2021/7/29 中国独禁法当局、規制強化  

ーーー

中国の反壟断法(独占禁止法)は2008年81日施行された。

2008/8/4 中国、独占禁止法施行

当初は独禁法は下記の体制で実施されてきた。
反壟断委員会(国務院直属) 独占禁止政策の調査、市場動向のモニター、執行機関間の政策の調整
実務
機関
発展改革委員会価格調査局 価格独占行為の調査・処分
商務部反独占局 事業者結合行為
国家工商行政管理総局
(工商総局)
独占協定、市場支配的地位の濫用、行政権力を濫用した競争の排除・制限(価格独占を除く)


2018年3月、中国の「構造改革」の一環として、
国家工商行政管理総局、国家品質検験検疫総局、国家食品薬品監督管理総局を統合し、国務院直属機構の国家市場監督管理総局が新設された。

これに合わせ、 これまで分割して管理されていた各省庁の独禁法関連の業務は全て、国家市場監督管理総局の反独占局に移管された。


2018/6/9 中国の独禁法執行体制変更

 

今回、国家市場監督管理総局から分離独立し、独禁法専任の国家反独占局(国家反垄断局)が生まれた。独禁法関連業務をすべて管轄する。

人民網日本語版は次のように報じている。

市場経済が発展するにつれ、公平な競争がますます重要になっている。現在、中国のマーケットエンティティの総数はすでに1億5千万を突破し、反独占の取り組みの強化と資本の無秩序な拡大の防止は、高水準の市場システム構築、質の高い発展推進、共同富裕の促進、高水準の対外開放実現への重要な意義がより一層顕在化している。

国家反独占局が発足したのは、反独占の体制・メカニズムのさらなる改善を体現している。このことは、反独占の監督管理の力を充実させ、市場における競争行為を着実に規範化し、強大な国内市場の建設を促進し、各種のマーケットエンティティの投資と事業展開、規範的で健全な発展のために、公平で透明かつ予測可能な良好な競争環境を創出するだろう。

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Royal Dutch Shellは、元は、オランダの Royal Dutch Petroleum(正式名 N.V. Koninklijke Nederlandsche Petroleum Maatschappij)と英国のThe Shell Transport & Trading Company plcという別々の会社であった。
前者は1890年に
オランダ王室からの特許状を得て、設立されたオランダ領東インド石油開発会社が元である。

Rockefeller 系のStandard Oil との競争が熾烈になったため、両社は1903年にAsiatic Petroleum CompanyというJV設立をきっかけに提携、1907年にRoyal Dutch Petroleumが60%、Shell が40%の比率で出資する持株会社を通じてグループ企業を統治するRoyal Dutch Shell Groupを形成した。この二元上場会社が100年近く続いた。

2005年5月、Royal Dutch Shell Groupは統合した。

新会社 Royal Dutch Shell plc を設立し、2つの親会社(Royal Dutch PetroleumとThe Shell Transport & Trading Company)を実質的に吸収する。

新会社は英国に設立され、本部はオランダのハーグに置き、税務上の本社はオランダに置く。

これまでの出資比率を守るため、Royal Dutch Petroleum株主には新会社の株式の60%、The Shell Transport & Trading Company株主には40%が支給される。

株主の受取配当金の税務上の扱い(源泉徴収の有無)を維持するため、新会社はA株とB株を発行する。
A株は
Royal Dutch Petroleum株主に支給され、B株は Shell Transport & Trading株主に支給される。

配当はユーロ建てで決まるが、B株の株主は英ポンドで受け取る。ADRの保有者は米ドルで受け取る。
(会社はオランダ法人で、ポンドでの配当支払いは出来ないため、形式的に、英国法人である子会社のShell Transport and Trading / BG Group から配当を受ける形をとる。)

A株はオランダ株のため、オランダの源泉徴収税 15%がとられる。B株は英国株で、源泉徴収課税はない。

ーーー

今後は税制上の拠点を英国に移し、株式の二重構造も廃止して英国に一元化する。

株主の立場はこれまでと変わりない。

新会社の株式はAmsterdamと London、ADRについてはNew York で上場される。

配当の受取方式は次のようになる。





東京電力と中部電力のJVのJERAは11月15日、米国のFreeport LNGプロジェクトを運営するFreeport LNG Development, L.P.に出資すると発表した。
インフラファンドであるGlobal Infrastructure Partnersの子会社が保有するFreeport LNG Developmentの全権益 約25.7%を約25億米ドルで取得することを定めた権益売買契約を締結した 。

これまでの情報ではGlobal Infrastructure持分は25%で、今回の25.7%との差については不明。)


Freeport LNG Developmentのパートナーは下記の通りとなる。

Michael S. Smith 会長 57.5%
大阪ガス 10% Contango Oil & Gas
JERA 25% Global Infrastructure Partners Zachry American Infrastructure ←Cheniere Energy
Dow 7.5%


大阪ガスは2008年に出資。

Dowは2013年5月にFreeport LNGのLNG輸出プロジェクトには参加しないと発表している。

このため、Michael S. Smith 会長 以外は、日本の大阪ガスとJERAが実質的な株主である。


大阪ガスとJERAは既に、第1系列の液化会社に出資している。



Freeport LNGは2005年にテキサス州FreeportのQuintana IslandにLNGを海外から輸入してガスに戻す設備を完成させたが(Dowはこの事業に参加)、米国内でガスの採掘が進んだため、天然ガスの液化設備を建設してLNGの輸出基地に替えることを決め、2010年にエネルギー省に輸出認可を申請した。


Freeport LNGの能力は公称
440万トン/年×3系列で、現状は3系列合計で約1,545トン。

商業生産開始:第1系列 2019/12/8、第2系列 2020/1/17第3系列 2020/5/5  

第4系列(500万トン)を計画中。

2012年4月にFreeport LNGは大阪ガス、中部電力(現在はJERA)との間で年220万トンずつ、合計440万トンの輸出契約を締結、同時に第一系列の液化会社に大阪ガスと中部電力が25%ずつ出資する契約を締結した。

LNG輸出のFTA非締結国向けについては
2013年5月に承認を受けた。(FTA締結国向けは 2011/2)

2013/5/20 米エネルギー省、日本へのLNG輸出を許可

今回のFreeport LNG Developmentの出資により、JERAは、 第1系列液化会社への参加に加え、既存のフリーポートLNGプロジェクト(全3系列、年間生産能力約1,545万トン)全体に関与するのみならず、同社とともに、生産能力拡張プロジェクトや第4系列の開発などの新規LNG事業を進めることとなる。 (大阪ガスは既にこの立場にある。)

第3系列からの購入を契約した東芝は2018年11月、米国産LNGに係る事業から撤退すると発表した。

中国の民間ガス大手奥生控股股份(ENN Ecological Holdings )への売却を決めたが、解除され、最終的にTotalに売却した。

2019/4/13 東芝、米国のLNG購入契約 譲渡できず 末尾に記載

Freeport LNG は2018年9月、住友商事の米国子会社との間で年間220万トン、20年間のLNG供給契約を締結したと発表した。

契約は、テキサス州Freeport の近くのQuintana Islandで建設中の第4系列LNGプラント(年産500万トン)が商業生産を開始する2023年にスタートする予定。

2018/9/12 住友商事、Freeport LNG とLNG長期購入契約締結 

しかし、この契約は最終契約が締結されないまま、2020年に終了した。第4系列はまだ着工していない。

グローバルな需給ひっ迫のなか、多くの交渉が続いているとされ、CEOは、うまくいけば2022年夏にも着工の最終決定をするだろうとしている。

連邦政府が新型コロナウイルスの感染防止策として発表した民間企業従業員へのワクチン接種義務化について、ルイジアナ州の5th U.S. Circuit Court of Appeals(連邦巡回裁判所)が一時的に実施を差し止める暫定命令を出した。

義務化の発動にはまだ1カ月程度あるが、共和党が知事を握る他の多くの州も訴訟を起こしており、今後、混乱が続くと思われる。

最終的に本件が連邦最高裁判所に持ち込まれる可能性もある。

付記

米ミズーリ州東部地区の連邦地裁は11月29日、高齢者や低所得者向けの医療保険を運営する政府機関 Centers for Medicare & Medicaid Services(CMS)による医療従事者へのワクチン接種義務化について、同機関の権限を超える可能性があるとして10州で一時差し止めを命じた。

米南部ルイジアナ州の連邦地裁は11月30日、CMSの従事者に新型コロナウイルスワクチンの接種を義務化する連邦政府の制度 を、裁判所が訴訟で判断を下すまで執行を一時停止するよう命じた。上記の10州以外の全 州に適用される。
CMSには200万人を超えるワクチン未接種の医療従事者に接種を義務付ける権限がないと指摘した。

ホワイトハウスは12月1日、司法省はワクチン義務化を推進する政府の権限を「精力的に擁護するだろう」と発表した。

付記 new

米連邦最高裁は2022年1月13日、バイデン政権が導入した、従業員100人以上の企業に対して、従業員に新型コロナウイルスのワクチン接種か週1回の検査を義務付ける措置について、施行差し止めを命じる判断を下した。

判決は、保守派判事6人が差し止めを支持、リベラル派3人は反対した。

一方で、医療従事者にワクチン接種を義務付ける措置については施行を認めた。判決は5対4で、リベラル派全員と保守派のロバーツ長官およびカバノー判事が支持した。

判決は、OSHAの規則は連邦当局の通常の権力行使には当たらず、多くの従業員の生活や健康に対する重大な侵害になると指摘。議会の明確な承認なしにOSHAの規制権限を大幅に拡大することになるとした。

イデン大統領は声明で、最高裁がワクチン接種・検査の義務化を差し止めたことに失望しているとした上で、従業員にワクチン接種という簡単で効果的な措置を行うことを義務付けるかどうかは、各州と雇用者の判断に委ねられるとした。

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バイデン政権は11月4日、従業員100人以上の民間企業などに対して従業員の新型コロナウイルスワクチン接種を義務付ける規定を導入すると発表した。

対象となるのは従業員100人以上の企業と、医療従事者や連邦政府機関の業務を請け負う業者などで、来年1月4日までに、Pfizerか、Modernaか、Johnson & Johnsonのワクチン接種を完了することを義務付ける。

大統領は声明を発表し、「ワクチンはこのパンデミックから抜け出す唯一最善の道だ。私は義務化が必要になることは望んでいなかった。だがワクチンをまだ接種していない人があまりに多い」と指摘した。そのうえで、ワクチン義務付けに起因する大量解雇や人員不足はこれまでのところ起きていないと強調、「雇用主に行動を呼びかける」と訴えた。

労働省は今回の措置導入に関して、2020年以降、新型コロナウイルスによる米国内の死亡者はおよそ75万人に達するが、その多くは職場で感染したとし、ワクチン未接種の労働者を守るために緊急措置が必要と判断した結果だとした。

ワクチン義務付け対象:

1) 従業員100人以上の大企業の従業員 8400万人

労働省の労働安全衛生局(OHSHA)が監督に当たる。

OSHAの規定では、従業員が自分の意思でワクチンを接種しないことも認めている。
その場合は週1回以上の頻度で検査の陰性証明を雇用主に提示し、職場ではマスクを着用する必要がある。

違反した場合は1回につき約14,000ドル以下の罰金などを命じることもある。順守を徹底させるため、立入検査も予定している。

2) 医療機関の医療従事者 1700万人

公的医療保障制度のMedicareおよびMedicaid(低所得者向け医療保険)を運用するCMS (Centers for Medicare & Medicaid Services)が監督に当たる。

ワクチン接種が必要で、ワクチンに代わる陰性証明の選択肢は認めていない。

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これに対し、共和党が知事を握る10州の司法長官が11月10日に各地の連邦裁判所に訴訟を起こした。

ミズーリ、ネブラスカ、アーカンソー、カンザス、アイオワ、ワイオミング、アラスカ、サウスダコタ、ノースダコタ、ニューハンプシャーの各州。

カンザス州の司法長官は「医療施設・従業員にこうした追加の義務を課せば、問題が悪化し、特に十分なサービスを受けていない地方の一部の施設が、必要な数の従業員を雇えず、閉鎖される公算が大きい」との声明を発表した。

10州は、バイデン政権が「州の規制権限」を侵害したと主張、意見公募期間を設けずに義務化を発表したのは行政手続法違反だとしている。

ルイジアナ州の5th U.S. Circuit Court of Appeals(連邦巡回裁判所)は11月6日、連邦政府が新型コロナウイルスの感染防止策として発表した民間企業従業員へのワクチン接種義務化について、 一時的に実施を差し止める暫定命令を出した。

連邦政府の措置に「法律上および憲法上の重大な問題がある」と指摘。連邦政府に対し、差し止め請求への反論を8日までに行うよう命じた。

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司法省は11月8日、裁判所に対し、命令開始には1カ月あり、一時的に実施を差し止める暫定命令は必要がないと伝えた。非接種者のマスク着用義務は12月5日以降であり、ワクチン接種義務は1月4日からである。

また、連邦法では5つ以上の州が同様の訴えをする場合、1つの州を選ぶことが必要であるとした。

その場合、「くじ引き」によって一本化する制度がある。今回の連邦高裁の差し止め命令は今後、訴訟が別の高裁に一本化されれば、その高裁によって解除される可能性もある。

原告側の主張については、命令の否定のメリットが、数千人の命を救い、数十万人の入院を防ぐ命令のメリットを上回らないとした。命令を否定すると、1日当たり数十人、数百人の死者が出るとしている。

ホワイトハウスの副報道官は、「バイデン政権には労働者を守る権限がある。接種の義務化は命を守り新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐことを目的とするものである」と述べた。

労働省の弁護士は、法律は「労働者が重大な危険にさらされており、労働者を保護するために新しい基準が必要であると当局が判断した緊急時に、迅速に行動する権限をOSHAに明示的に与えている」と述べた。

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政府の回答を受け、5th U.S. Circuit Court of Appealsは11月12日、 ワクチンの義務化を、規制が広すぎる(staggeringly overbroad)とする 判決を下した。

3人の裁判官は、バイデン大統領の義務化は「OSHAの法的権限を著しく超えている」とし、「この義務化は、繊細に扱われたメスというよりも、職場と労働者の違いをほとんど考慮していない、なんでも叩く大きなハンマー("a one-size-fits-all sledgehammer)であり、義務化が対処しようとしているとされる「重大な危険」に対する労働者の感受性の度合いの違いをみていないとした。

We next consider the necessity of the Mandate. The Mandate is staggeringly overbroad. Applying to 2 out of 3 private-sector employees in America, in workplaces as diverse as the the country itself, the Mandate fails to consider what is perhaps the most salient fact of all: the ongoing threat of COVID-19 is more dangerous to some employees than to other employees.

All else equal, a 28 year old trucker spending the bulk of his workday in the solitude of his cab is simply less vulnerable to COVID-19 than a 62 year-old prison janitor. Likewise, a naturally immune unvaccinated worker is presumably at less risk than an unvaccinated worker worker who has never had the virus.

The list goes on, but one constant remains --- the Mandate fails almost completely to address, or even respond to, much of this reality and common sense.

各判事は、義務化は企業に経済的負担を強いるものであり、憲法に違反する可能性があるとし、「義務化は、OSHAの規制スキームへの参加を代行することで企業に経済的負担を強いるものであり、遵守を拒否したり怠ったりした場合には深刻な経済的リスクに晒され、不本意な従業員に注射やテストを受けさせたり、路頭に迷わせたりすることで、労働力および事業の見通しを衰退させる恐れがある」とした。

この高裁は保守的なことで知られ、判事3人はいずれも共和党政権時に任命されている。

連邦政府は、各州の異議を申し立てを1か所の裁判所で併合して審理すべきだとし、「その裁判所が決まるまで、ワクチンの義務化を見合わせる理由はない」という立場を維持している。


General Electricは11月9日、会社全体を航空機エンジンと医療機器、電力の3事業に分割すると発表した。

2023年に医療機器部門を分割し(tax-free spin-off)、GE本体が19.9%を保有する。

2024年初頭には火力発電と再生可能エネルギー、デジタル部門を合わせて電力事業会社として分社化(tax-free spin-off) する。

本体には航空機エンジン事業を残し、ラリー・カルプ最高経営責任者(CEO)が引き続き経営を担う。

11月初旬に子会社のGEキャピタルが手掛けていた航空機リース事業の売却を完了し、金融事業から事実上撤退した。その売却代金を使い、近い将来に借入金を大幅に減らす。

GE本体に加え、分社する2社も株式上場を計画している。


Culp CEOは当初、中核として残した航空機エンジンと医療機器、電力の各事業は相乗効果が高いと主張し、分社化に消極的だったが、新型コロナ危機に伴う旅客機の需要減で稼ぎ頭の航空機エンジン事業の収益が悪化、欧州を中心に火力発電を撤廃する動きも広がり、物言う株主など投資家から分社化を求める圧力が強まっていた。

Culp CEOは「世界はいま、航空と医療、エネルギーのそれぞれの分野で課題解決に最善を尽くすことを求めている」と分社化の理由を説明。「事業分野ごとに焦点を絞り、投資配分を決めることで企業価値を高める」と強調した。

Digital 部門:
GEは2015年10月1日付で、全社横断的に点在していたデジタル関連機能を1つに集約する変革的な取組みとして、新たにGE Digital を発足すると発表した。
GE Software Center、Global IT部門、各事業のsoftware teamと、2014年に買収したWurldtechのIndustrial Security部門を1つに統合した。

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2000年のGEの売上高は金融が50%を占めたが、2016年の売り上げ構成は産業機器がほとんどを占める。

GEは2017年11月に、電力、航空、ヘルスケアの3事業を中核と位置づけ、その他の分野で200億ドルの事業売却を進めるリストラ策を発表していた。だが、その後も過去に手掛けた金融事業で1兆円近い追加損失が発生するなど業績悪化に歯止めがかからず、戦略の抜本的な見直しを迫られた。

GEは2018年6月26日に今後の事業構造を発表した。

Transportation(機関車)、HealthCare、Baker Hughesの処分を決めた。

Healthcareについては分離するとした。(実現せず)
その代わりに、2019年2月25日にGE Healthcareのバイオ医薬事業を産業機械大手のDanaher Corporation に214億ドルで売却すると発表した。


GE Capital については、引き続き縮小し、コア事業を支える方向に進めるとした。

2018/7/2 GE、今後の事業構造を発表、GE Healthcareを分離 

Jeff Immelt 会長兼CEOは2017年12月31日に会長を退任し、引退した。
GE Healthcareの社長John Flanneryが2017年8月1日付でGEのCEOになり、2018年1月1日付で会長兼CEOになった。

しかし、John Flanneryはその後の業績悪化と株価低迷の責任を取って、就任1年2か月後の2018年10月1日に退き、後任に2000年から2014年まで米産業機器大手Danaher Corporation のCEOを務めたH. Lawrence (Larry)Culp, Jr が就任した。GEのCEOに外部の人材が就くのは初めて。

GEは2021年3月10日、GE Capital の航空機リース事業 GECAS (GE Capital Aviation Services business )をアイルランドの同業大手AerCap Holdings N.V. に売却し、金融子会社のGE Capitalを解散すると発表した。

売却額は300億ドル以上で、うち240億ドルは現金、約60億ドルはGECAS統合後のAerCapの株式で、10億ドルはAerCapの手形又は現金で支払われる。
GEは株式取得でAerCapの約46%の株主となるが、取引完了の15か月後に全体を売却する権利を持つ。

GE Capitalは住宅ローン事業など過去に手掛けた金融事業の大部分から撤退したが、主力の航空機エンジン事業との関連性が高い航空機リースは継続していた。

2018年に就任した会長兼CEOのH. Lawrence Culp, Jr. はバイオ医薬関連事業など非中核事業の売却を進めてきた。リース事業の分離により、産業部門を中核とする事業再編が完了する。

CEOは「GEは焦点を絞り、よりシンプルで、より強力な事業会社に変貌する」と述べた。

2021/3/13 GE、金融事業から撤退

11月初旬に子会社のGEキャピタルが手掛けていた航空機リース事業の売却を完了し、金融事業から事実上撤退した。売却代金を使い、近い将来に借入金を大幅に減らす。

米日用品・製薬大手Johnson & Johnson(J&J)は11月12日、日用品や市販薬を含む「消費者向け部門」と、処方薬や医療機器などの「医療向け部門」の2事業に分割すると発表した。

現在は「消費者向け」と、処方薬やワクチンを含む「医薬品」、手術用医療器具などを扱う「医療機器・診断器具」の3部門を経営の柱としている。

消費者向け事業をスピンオフして、上場企業とし、本体は医療向け事業に注力する。スピンオフは18─24カ月での完了を目指すとしている。

同社のCEOは、「今後数十年にわたり価値を提供するため、事業を継続的に進化させる必要がある。消費者向けの分離は、患者や消費者、医療従事者へのサービス提供を加速させ、高い収益性と成長を促進する最善の方法だ」と述べた。

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「消費者向け」Consumer Health Company は、下記のような有名製品を持ち、世界で毎日、多くの消費者が使用する。

バンドエイド、リステリン、ボディケア用品(ニュートロジーナ、アビーノ)、赤ちゃんのスキンケア、使い捨てコンタクト(アキュビュー)、OTC医薬品(頭痛薬「タイレノール」、禁煙補助剤「ニコレット」、皮膚用薬、鼻炎用薬、鎮咳去痰薬、目薬など)

売上高10億ドル以上が4ブランド、150百万ドル以上が20ブランドに及ぶ。

2021年度の売上高見通しは150億ドル。

新しいJohnson & Johnsonはがん治療薬やワクチン、手術用機器などの「医療向け」専業となる。2021年度の売上高見通しは800億ドルで、消費者向けを大きく上回る。

医療用医薬品はJanssen Pharmaceutical が担当、「がん」、「免疫疾患」 、「精神・神経疾患(中枢神経・疼痛)」、「ワクチン」 、「代謝・循環器疾患」の5つの疾患領域を扱っている。

同社の新型コロナワクチンはFDAのEUA、WHOの承認を受けており、2021年5月に厚労省に申請した。1回接種で済む。

医療機器は、抗菌縫合糸等の創閉鎖・創傷管理関連製品、不整脈診断治療支援システム、整形外科用医療機器(骨接合材料)、脳血管内治療用医療機器、使い捨てコンタクトレンズ「アキュビュー®」など。

東芝は11月12日、事業をスピンオフし、3つの独立会社とする方針を決定した。

東芝の事業にはビジネス特性が大きく異なるものがある。(下記)

成長戦略の明確化、意思決定のスピードの向上、コスト構造の最適化により各事業の競争力を強化することが必要であるが、戦略委員会があらゆる選択肢を検討し、東芝と株主にとり最善となるスピンオフ計画を提案、取締役会が全会一致で承認した。

戦略委員会の委員は全員が社外取締役である。

東芝取締役  敬称略

 智 会長、社長CEO
Paul J. Brought 社外 元 KPMG 委員長
Ayako Weissman 社外 元 投資会社 委員
Jerry Black 社外 イオン顧問 委員
George Zage Ⅲ 社外 元 投資銀行 委員
畑澤 守 代)副社長
綿引 万里子 社外 元 裁判官
橋本 勝則 社外 元 デュポン

委員


2つの会社をスピンオフする。

1) インフラサービス Co.:カーボン・ニュートラルの目標の達成およびインフラレジリエンスの向上に貢献する会社

2023年度には2兆2,300億円となる見込み。営業利益率は同期間に5.1%から5.2%に伸長する見込み。

2) デバイス Co.:社会・ITインフラの進化を支える会社

2023年度には8,800億円となる見込み。
 注力領域であるパワー半導体は、2021年度950億円を2023年度には1,200億円に
 ニアラインHDDは、2021年度2,000億円を、2023年度2,800億円に大きな成長を見込む。
営業利益率は2021年度の7.1%から、2023年度には6.1%となる見込み。

残る東芝は、事業は営まず、キオクシアと東芝テックの株式を保有する。

キオクシア株式については、株主価値の最大化をはかりつつ、実務上可能な限り速やかに現金化し、手取り金純額についてはスピンオフの円滑な遂行を妨げない範囲で、全額株主還元に充当する。

これまでは、「将来のキオクシアホールディングスの株式売却から得られる手取金純額の過半を原則として株主還元に充当する」としていた。

ーーー

事業分割の理由:

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このスピンオフは、大規模な日本企業として初めて法人税法上のいわゆるスピンオフ税制の利用による適格組織再編を目指したもの。

スピンオフ税制(2017年税制改正)

企業の機動的な事業再編を促進するため、特定事業を切り出して独立会社とする「スピンオフ」を組織再編税制の中で位置付け、スピンオフを行う際に、譲渡損益や配当についての課税を繰り延べる。(最終的に株主が株を売却した時点で売却益に課税)

ーーー

東芝の組織の推移は下記の通り。

2017/4/25 東芝、主要事業を分社化

続き


Nord Stream 2 稼働問題

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ロシアの国営エネルギー大手Gazpromは9月10日、ロシア産天然ガスをドイツに運ぶパイプライン「Nord Stream 2」の完成を発表した。

Nord Stream -2 は全長約1200キロメートルで、サンクトペテルブルク北方のビポルクからバルト海海底約1200キロを通ってドイツ北東部グライフスバルトまでを結ぶ。輸送能力は年550億立方メートルで、ロシアの欧州へのガス輸出量の約4分の1に当たる。

2019/11/9 Nord Stream -2、年内完工へ

パイプラインは欧州のロシア産ガスへの依存を高め、ウクライナを迂回するものと批判されている。ロシアによる2014年のクリミア半島併合以降、対立関係にあるウクライナは、ロシアがパイプラインを「危険な地政学的武器」として利用する可能性があると欧州に警告してきた。

トランプ前大統領はこの計画でドイツのMerkel 首相を批判していた。バイデン大統領もNord Stream 2は欧州にとって悪い取引だと信じていると語っていた。

しかし、バイデン大統領は5月25日、Nord Stream 2 計画の完了を容認する立場を表明した。

バイデン大統領は、「私は初めからNord Stream 2に反対してきた」と述べつつ、一方で、同プロジェクトは自身が大統領に就任した際にはほぼ完成していたと指摘した。その上で、「そのため、現在さらに制裁を科し続けることは、米国の欧州との関係の観点から非生産的となり得ると考えている」と発言した。

米国とドイツは7月21日、Nord Stream 2 の建設計画をめぐる合意を発表した。米独両政府の共同声明では、ロシアが天然ガスなどのエネルギーを、敵対関係にあるウクライナなど他国を揺さぶる「武器」として使用した場合、ドイツが独自の制裁措置をとるほか、EUにも制裁を働きかけることを明記した。

2021/5/28 米、ガスパイプライン計画「Nord Stream 2」を容認 

欧州で天然ガス価格の高騰が止まらない。世界経済の回復によるエネルギー需要の高まりや風力発電の不振などが要因とみられる。

国際エネルギー機関(IEA)は9月21日、声明を出し、ガス価格上昇について解説した。  
それによると、需要の回復、技術的問題などによる供給体制の混乱、異常気象などの要因が重なっている。昨年の欧州の冬が異常に寒く、しかも長期間続き、暖房需要が増えた。加えて、ここ数週間、風が弱く、風力エネルギーをいつものように利用できないでいるという問題もあるという。


Nord Stream -2 は完成したが、稼働にはドイツの独禁当局の承認を得る必要がある。障害は2019年のEUガス指令の改正である。

次の3つが条件となるが、2019年4月に欧州議会は、このルールをNordstream-2のような、第3国からEU圏へと入ってくるガスパイプラインへも適用する内容の指令を採択した。

(1)ガスの供給とガスの輸送を分離すること
(2)ガス輸送のために第三者にその利用を解放すること
(3)料金体系のドイツ規制当局による承認

(1) はEU域内の部分のみで、ドイツの領域の海底から上陸地点を経て既存のパイプライン網に至る接続部分に限り適用されるが、Gazpromが双方を担う現在の形態は認められない。

020年5月に欧州司法裁判所が、Nord Stream とNord Stream 2の2社による提訴を棄却しているが、デュッセルドルフ上級地方裁判所は本年8月25日、Nord Stream 2 AGによる訴訟を退けた。


付記

EU司法裁判所の法務官は10月6日、事業会社はガス指令について争う立場にないとの一般裁判所の判断を覆し、ガス指令の改正はそれ以前に建設が始まっていたノルド・ストリーム2だけが対象であることが実態であることなどを指摘し、事業会社にとってガス指令は直接的な関心事項であるとして、EU司法裁判所で争う立場にあることを認めるとともに、ガス指令の条件の適用の有無という問題の実質については一般裁判所に差し戻すべきとした。


これに対し、ロシア政府は早期稼働を求め、EUに対し圧力をかけている。

一部にはロシアが価格上昇を演出しているのではとの疑惑が出ている。

Gazpromは、供給契約で定められた約束は守っていると主張、欧州の大手ガス7社はGazpromが長期契約義務を果たしていると認めた。

プーチン大統領は10月21日、「ドイツの規制当局があす供給を許可すれば、その翌日には175億立方メートルのガスの供給が始まる」と述べた。また、ガス不足と価格高騰はEUのエネルギー政策の責任だと指摘した。

Nord Stream 2の運営会社は10月18日、2本あるパイプラインの1本目について操業開始に向けテクニカルガスを充填したと発表した。2本目のラインについても稼働準備が順調に進んでいる。


付記

ドイツ連邦ネットワーク庁は11月16日、「Nordstream 2 」の認証手続きを凍結すると発表した。

運営する事業会社の「Nordstream 2 AG」はGazpromの子会社で、スイスに本拠を置くが、連邦ネットワーク庁は書類審査の結果、ドイツの法律に基づいて組織された事業会社だけが認可手続きの対象になるとの結論を出した。Nordstream 2 AGはドイツの法律に基づく子会社を設立する方針で、子会社が改めて認可を申請する。

ドイツ経済省は11月26日、「Nordstream 2 」を承認してもEUへのガス供給を脅かすことはないと発表した。EU諸国との協議の上、分析結果を当局に提出したとした。「分析の結果、承認はドイツおよびEUへのガス供給の安全性を脅かすものではないと結論付けた」と指摘している。
経済省のガス供給に関する分析は当局が承認手続きを続けるための需要な要件となっている。


韓国でディーゼル車の運行や工場の操業に必要な尿素水が不足し、大問題となっている。

尿素水は排気ガスの浄化に使われている。韓国では、2015年以降に製造されたディーゼル車は、ディーゼルエンジンの排気中の窒素酸化物(NOx)を尿素水で浄化する尿素SCRシステムを搭載する必要がある。

韓国は他国に比べてディーゼル車の占める割合が高い。国内で運行中の車両約2600万台のうち、ディーゼル車は919万台を占め、尿素水を満たしておく必要のある排気ガス低減装置を装着した車は21%の216万台に達する。

尿素水がないと、乗用車は発進できず、トラックも最大時速20キロでしか走行できない。
排気ガス低減装置(SCR)には、尿素水を定期的に入れる必要があり、尿素水が不足すると警告灯がつき、エンジンがかからないようになるソフトウェアが使われている。

トラックの運行が止まれば、ガソリンスタンドにガソリンを供給できなくなる事態も想定される。ほぼすべての産業で物流コストが上がり、日用品の値上げにつながりかねない。

工業部門も環境汚染対策の一環で尿素の利用を義務付けられており、尿素が不足すれば、生産が止まる恐れがある。

2020年に輸入された尿素 835千トンのうち、工業用は34.7%、車両用は9.8%、残りは肥料用だった。

産業用尿素水は純度が低く不純物が多い。自動車に注入すれば、排気ガスの汚染物質が十分に取り除けない恐れがある。

なお、韓国外交部は11月10日、「中国製尿素の輸入手続きを速やかに進めるため、さまざまなルートで中国側と意思疎通した結果、わが企業の契約済みの物量1万8700トンに対する輸出手続きが進められることを確認した」と明らかにした。

尿素水の尿素濃度は約30%のため、尿素水5万6100トンを生産できる量となる。
韓国で1カ月に自動車運行に使われる尿素水は2万5000トン程度。

付記

ロッテ精密化学は11月11日、グループの辛東彬(重光昭夫)会長が自身の人脈を動員し、ベトナム(8000トン)、サウジ(2000トン)、日本(1000トン)、ロシア、インドネシアから尿素計1万1700トンを単独で確保したと明らかにした。

付記

中国が10月から輸出規制を始めたことで、日本(輸入の3割を中国に依存)でも品薄感が広がった。

経産省は12月に原料の尿素の増産を国内メーカー(三井化学と日産化学)に要請した。メーカーは増産に応じており、品薄感が改善に向かう見込み。

三井化学は定修開けの12月から従来より15%増のフル生産体制に入った。日産化学は8月からフル生産体制に入っている。

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アンモニアは窒素酸化物の酸素と結合する性質があり、窒素酸化物にアンモニアを吹きかけることで化学変化を起こして窒素(N2)と水(H2O)に還元される。
「SCR」は「Selective Catalytic Reduction」(選択的触媒による還元)の略で、外部から排気ガス中にアンモニアを加えることで、窒素酸化物を浄化する。

アンモニアを車両に積むのは危険な為、尿素水をタンクに入れて搭載し、これを排気中に噴射することにより高温化で加水分解させアンモニアガスを得る。

https://opty.co.jp/?page_id=211

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韓国では、韓国肥料(現ロッテ精密化学)など、国内で尿素を生産するメーカーがあったが、2010年代初頭に尿素水の生産から撤退し、100%を輸入している。

輸入品の97%が中国産であるが、中国は先月、国内市場を優先するため、輸出を制限した。

中国は毎年500万トンの尿素を世界市場に供給しているが、10月11日、自国内の肥料供給への支障を理由として、尿素に対する輸出前検査を義務付けた。
尿素は農業用化学肥料の最重要原料だが、9月初めまでは1トン当たり2500元を下回っていた尿素価格が急騰し、10月末にはほぼ3500元になった。

冬の小麦栽培を控えて中国海関は、特に検疫や検査なしに輸出されていた尿素などの29種の肥料品目に対して、検疫を義務付けた。

韓国政府は公的部門の尿素備蓄を放出しているほか、軍の備蓄も放出する。ベトナムや豪州などから尿素水を緊急輸入すると決め、まずベトナムから200トンの尿素を確保。最大1万トンの確保に向けて他の諸国とも交渉を進めている。

中国石油化工集団(China Petroleum & Chemical Corp.:Sinopec)と米国のVenture Global LNGは11月4日、ルイジアナ州のPlaquemines LNG export facilityから年間計400万トンのLNGを供給する20年売買契約2件の調印を発表した。

また、Sinopec子会社の中国国際石油化工聯合(UNIPEC)は、Venture GlobalのCalcasieu Pass LNG export facilityから短期的に350万トンのLNGを購入することに合意した。

これは米国企業が締結したこれまで最大の単一のLNG供給取引で、中国の米国産LNG輸入は倍増する。

Venture Global LNGはエネルギー省から非FTA諸国向け輸出許可を取得 している。


Venture Global LNGはルイジアナ州の2カ所にLNG施設を持ち、それぞれで増設を検討している。

立地 能力
Venture Global Plaquemines LNG Plaquemines, Louisiana 年間2000万トン
Venture Global Calcasieu Pass LNG Cameron, Louisiana 年間1000万トン
Venture Global CP2 LNG Cameron, Louisiana 年間2000万トン
最高2400万トン
計画段階
Venture Global Delta LNG Plaquemines, Louisiana. 年間2000万トン 計画段階


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Venture Global LNGは9月2日、同社がポーランドのPGNiG(Polish Oil and Gas Company)に20年間、液化天然ガス(LNG)を年200万トン追加販売する契約に最終合意した。LNGはVenture GlobalのCalcasieu Pass LNGとPlaquemines LNGの両輸出施設から供給される。

2018年に両社が結んだ既存の売買契約を修正し、Calcasieu Pass LNGから購入するLNG量を年150万トン、Plaquemines LNGからの購入量を400万トン、合計550万トンとする。

台湾積体電路製造(TSMC)は11月9日、日本で初めてとなる工場をソニーグループと共同で熊本県に建設すると発表した。

経緯 2021/10/18 半導体大手、台湾のTSMCが日本で工場建設

TSMCとソニーセミコンダクタソリューションズは、TSMCが22/28nmプロセスを皮切りとした半導体の製造受託サービスを提供するJVの Japan Advanced Semiconductor Manufacturing を熊本県に設立し、ソニーセミコンダクタソリューションズが少数株主として参画する。

ソニーセミコンダクタソリューションズは、ソニーグループの100%子会社であり、イメージセンサーを中心に、各種LSI、レーザー、ディスプレイデバイスを含む半導体デバイス事業を展開するイメージセンサーのリーディングカンパニー。

JVには約5億米ドルを資本金として出資することにより、20%未満の株式を取得する予定。

立地はソニーが熊本県菊陽町に持つ工場の隣接地を予定している。当初の設備投資額は約70億米ドルで、2022年の建設開始を予定しており、2024年末までに生産開始を目指す。

約1,500人の先端技術に通じた人材の雇用を創出し、月間生産能力は45,000枚(300mmウェーハ)となる見込みで、当初の設備投資額は約70億米ドルとなる見込み。日本政府から強力な支援を受ける前提で検討している。

政府は数千億円の補助金を通じて、建設計画を支援する方針で、関連の改正法案が、年内にも開かれる臨時国会に提出される見込み。

TSMCは2019年に日本にデザインセンターを設立し、世界中の顧客にサービスを提供している。また、日本のパートナーと協力し、茨城県のTSMC 3DIC研究開発センターにおいて高度なパッケージング技術の研究を進めている。

BHPは化石燃料事業からの撤退の一環として、三井物産との原料炭JVのBMC(BHP Billiton Mitsui Coal)の権益80%を 豪Stanmore Resourcesに12億ドル (今後の石炭価格動向により最大1.5億ドルの追加の可能性)で売却することで合意した。
豪州の外国投資審査委員会からの承認が必要で、2022年半ばごろに売却が完了する見込み。

三井物産はBMCの20%の権益を維持する。

BMCはクイーンズランド州に操業中の2鉱山(Poitrel and South Walker Creek)を所有し、年間約1000万トンの石炭を生産している。主力炭鉱の1つであるPoitrel 炭鉱では、石炭処理・鉄道施設に関して豪の石炭生産企業 Peabody Pacificと提携している。

BMCのPoitrel 炭鉱はPeabody PacificのMillennium炭鉱と隣接している。Peabody Pacificは鉱山から採掘される石炭の処理施設や鉄道などの設備を所有しているが、BMCは2018年2月にこの権益の50%を購入、50/50JVのRed Mountain Joint Ventureとした。

BMCの権益を買収するStanmore ResourcesはシンガポールのGolden Energy and Resources が過半数権益を保有する。

Golden Energy and Resources は鉱山会社で、主にオーストラリアで原料炭・金、インドネシアでエネルギー石炭の探鉱、採鉱、販売に従事する。アジアで再生可能エネルギープロジェクトを対象にさまざまな投資も手掛ける。

Stanmore Resourcesはクイーンズランド州でIsaac Plains石炭コンプレックスを運営している。

Isaac Plains炭鉱は住友商事とVale のJVであったが、石炭価格の下落で大幅な損失を計上、2015年1月末をもって操業停止し、休山することを決定した。
両社は2015年7月、Isaac Plains炭鉱をStanmore Coal に 1 豪ドルで売却した

2014/10/1 住友商事、米国のタイトオイル開発などで大幅な損失計上

BHPは発表資料で、「今回の取引は当社の戦略に沿うものだ。世界が脱炭素化を進める中、BHPは効率性の向上と排出量の削減に向け世界の鉄鋼メーカーが求める高品質の原料炭の生産に一段と注力していく」と説明した。


BHPは三菱商事との50/50JVのBMA(
BHP Billiton Mitsubishi Alliance) を持つが、世界の鉄鋼メーカーが求め高品位炭のため今後も保有する。

2001年に三菱商事がBHP Billitonから権益を取得することによりBMAが発足した。

BMAはイーンズランド州東部に位置するオーストラリア最大の石炭埋蔵地域であるBowen Basinに7つの炭鉱(Goonyella Riverside、Broadmeadow、Daunia、Peak Downs、Saraji、Blackwater、Caval Ridge)を持つ。また、石炭を出荷するための港湾施設Hay Point の操業も行っている。

当初、9つの探鉱を運営していたが、Norwich Park炭鉱は石炭価格下落、洪水による生産減、高コストを理由に2012年5月に休止、Gregory Crinumも2012年10月に休止した。

このうち、Gregory Crinumについては、2018年5月に双日が約82億円で買収した。

2018/6/13 双日、三菱商事 / BHPBillitonから豪州の休止中の炭鉱を買収

BHPは他に、発電用石炭のMount Arthur complex についても売却方針を示し、多くの企業が関心を示している。米国のPeabody Energyが有力と見られている。


BHPグループは8月17日、石油・ガス事業を豪 Woodside Petroleumに売却すると発表した。

世界的な「脱炭素化」の流れをにらみ、本業である鉱業に経営資源を集中させる。 化石燃料から脱却し、「未来に目を向けた」商品へのシフトを目指す。

石油・ガス事業から撤退する一方、ニッケル事業を強化している。


2021/8/19 BHPが石油・ガス事業から脱却




各社の中間決算の発表が始まった。

各社とも、石化中心に大幅増益となっている。但し、下期予想については、原材料高など懸念要素が多く、多くの企業で年間予想は慎重である。

三菱ケミカルHD:中国の電力不足によるプラント稼働制限、原油や天然ガスの高騰が不安
住友化学:原料高に伴う交易条件の悪化や製品市況のピークアウトなどで上期の勢いは続かない。

化学会社の決算は右を参照 (順次更新) http://www.knak.jp/kessan/

    

信越化学

全事業が前年同期比で力強い増収増益を達成、収益伸長に特に貢献したのが北米の塩ビ事業。
同社の年間の当期損益予想は過去最高を大幅に上回る。

セグメント変更

生活環境基盤材料 塩ビ、苛性ソーダ、メタノール、クロロメタン、ポバール
電子材料 半導体シリコン、希土類磁石、半導体用封止材、フォトレジストほか
機能材料 シリコーン、セルロース誘導体、金属ケイ素ほか7
加工・商事・技術サービス



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三菱ケミカルホールディングス

MMAは18/3と19/3に価格が急騰

                                    

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住友化学

             
20/9はサウジのPetroRabighが定修で赤字であったが、当期は大幅黒字

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三井化学

基盤素材が広義の石油化学製品
 
 石化製品:エチレン、プロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等
 基礎化学品:フェノール、ビスフェノールA、高純度テレフタル酸、PET樹脂、EO/EG等
 ポリウレタン原料


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旭化成

マテリアルズは石油化学、繊維、高機能マテリアルズ(セパレータ、電子部品)を含む。

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東ソー  クロルアルカリの回復が寄与

米下院は5日夜、バイデン政権の2つの看板政策のうち、5500億ドル規模の超党派インフラ投資法案を可決した。

これは1兆ドル予算とも呼ばれる。既に予算配分済みの支出を除いた新規支出は約5,500億ドルである。

上院はすでに可決しており、バイデン大統領が署名すれば成立する。

2021/8/11 米上院、5500億ドル規模のインフラ包括法案を可決、下院採決時期は不透明

子育て支援などに10年で1.75兆ドルを投じる歳出・歳入法案は党内調整になお時間がかかるため採決を先送りした。

付記 バイデン大統領は11月15日、インフラ投資法案に署名、成立した。

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バイデン大統領は3月31日、国内のインフラの整備等に8年間で2兆2500億ドルを投入する新たな計画 American Jobs Plan を発表したが、これは、1兆ドルのインフラ包括法案と3兆5000億ドルの予算とに分かれた。

前者は上院で可決済みで、下院の決議待ちであった。
後者は、上院でのフィルバスターを避けるため、予算決議案→財政調整措置の形をとるが、予算決議案は上下両院で可決済みで、これをもとにした具体的予算案を討議中である。

肝心の民主党内で、党内の急進左派が子育て支援などの「3.5兆ドル法案」を可決するまでインフラ法案に賛成しないと主張し、逆に、財政膨張を懸念する中道派議員は3.5兆ドル法案の規模圧縮を要求し、与党内の調整がつかない状況である。

バイデン大統領は10月28日、1.75兆ドルのBuild Back Better Act を発表した。与党民主党内で意見が対立し、進展していない 「10年で3.5兆ドルの予算案」を修正し、早期の法案成立を目指すもの。

2021/11/1 バイデン大統領、10年間3.5兆ドルの予算案を修正  

ペロシ議長は2つの看板政策を同時に実現させる方針を示してきたが、難航した。

従来は共和党と民主党の争いで難航してきた。しかし、今回は共和党は静観しており、民主党内部の争いである。

民主党は11月2日投開票のバージニア州知事選で敗北、大統領の支持率が40%台前半まで落ち込み、威信が低下している。

大統領反転攻勢の切り札にしたい思惑から、11月5日の演説で、インフラ投資法案と総額1兆7500億ドルの大型歳出法案を5日中に成立させるよう呼びかけた。主要な下院議員には電話で直接協力を求めた。

しかし、6人の中道派議員が、1.75兆ドルの予算法案について「議会予算局による財源の精査が終わっていない」として早期の法案採決に反対した。下院で民主党から4人が反対すれば可決できないため、ペロシ議長は「説得は困難だ」と判断した。

次善の策として、議長はインフラ投資法案を先に成立させる方針に転じたが、今度は左派が、インフラ法案を通してしまうと、大型歳出法案がそのままでは通らない可能性があるとして議決に反対した。


最終的に中道派議員が「議会予算局の精査の結果が政府の推計と矛盾しなければ、大型歳出法案に賛成する」と文書で約束したことで、左派が態度を軟化させた。

それでも下院の議決でインフラ法案に民主党から 急進左派6名が反対した。

しかし、共和党から13名が賛成に回 り、ようやく可決された。大統領は与党民主党の反対で否決されるところを、野党共和党に救われた形となった。

  共和党 民主党 合計 欠員
賛成 13 215 228
反対 198 6 204
棄権 2 2
合計 213 221 434 1

欠員3議席のうちオハイオ州の11月2日の選挙で、2議席を民主、共和が分け合った。
欠員の残り、フロリダ州の議席は2022/1/11に決まる。

1.75兆ドル規模の大型歳出法案は議会通過のめどが立たない状況で、11月5日の下院採決が見送られた。

民主党下院指導部は11月半ばごろの可決を目指す。

Pfizerは11月5日、開発中の新型コロナウイルス向け飲み薬 PAXLOVID™の投与により入院や死亡するリスクを89%割減らせたとの臨床試験(治験)データを公表した。

緊急使用許可を得るため米食品医薬品局(FDA)に詳細なデータを提出する。

付記 Pfizerは11月16日、FDAに緊急使用許可(EUA)の承認を申請した。

付記

Pfizerは12月14日、PAXLOVIDによって、重症化しやすい患者の入院や死亡のリスクが89%減ったとする臨床試験の最終結果を公表した。
新たな変異株「オミクロン株」にも有効な可能性があるという。

岸田首相は12月17日、Pfizer のCEOとの電話会談で、同社の経口薬 200万回分の確保で基本合意したことを明らかにした


付記

EUの薬事当局「欧州医薬品庁(EMA)」は12月16日、PAXLOVIDについて緊急使用を認めるとの見解を発表した。重症化の危険性が高い成人を対象に使用できる。

発症してから5日以内の患者に投与したことで入院や死亡の可能性を軽減する結果が確認できた。
妊娠中や妊娠の可能性がある人、腎臓、肝臓の機能が著しく低下している人には使用できない。


PAXLOVID
™は、開発中の新薬候補 PF-07321332と低用量のリトナビル(ritonavir)の合剤である。

発症後3日以内の患者に投与したところ、投与していないグループに比べて入院・死亡リスクが89%減った。デルタ型など各種の変異ウイルスに対しても効果がある可能性があるという。

報道によると、1回の治療につき30錠の錠剤を5日間かけて投与する。

米政府はPfizerとの間でPAXLOVID 170万回分の新薬調達を交渉しており、さらに330万回分の追加調達枠も確保する見通し。米政府側は1回の治療分につき約700ドルの支払いを見込む。

Pfizerは途上国に対しては、国連が支援する非営利団体を通じて割引価格で供給する模様。

ーーー

Pfizer は2021年3月、PF-07321332を健康な成人を対象とした第1相試験で、治験薬の安全性、忍容性、および薬物動態を評価した。

7月には、フェーズ2/3試験に進み、リトナビルと組み合わせて、診断が確定した参加者の有効性と安全性を評価した。

Pfizerは9月27日、COVID-19治療薬を予防薬としても使うPhase2/3の開始を発表した。感染した人と同居する人を対象とする。


PF-07321332はプロテアーゼ阻害薬
で、特に経口投与するように設計されているため、患者を入院させることなく、感染の最初の兆候または曝露の最初の認識時に処方できる可能性がある。

用量のリトナビル(これも経口投与)との同時投与は、PF-07321332の代謝または分解を遅らせ、ウイルスとの闘いを助けるために高濃度で長期間、体内で活性を維持するのに役立つと期待している。

Ritonavir もプロテアーゼ阻害薬で、同じくプロテアーゼ阻害薬のLopinavirとの合剤(AbbVie Inc.が販売する商品名Kaletra)がHIV感染症のHAART療法に用いられている。

 

アンジェスは11月5日、新型コロナウイルスDNA ワクチン:第1/2 相臨床試験及び第2/3 相臨床試験の結果について発表した。

それぞれの臨床試験において、安全性を確認したが、有効性として、細胞性免疫の上昇をある程度確認できたものの、主要指標である液性免疫において、期待する効果を得ることはできなかった。

今後、より有効性を高めるための取り組みとして、既に2021 年8月に開始している高用量製剤での臨床試験に注力する。

ーーー

アンジェスは大阪大学医学部の森下竜一助教授による研究成果を基に1999年に設立され、マザーズに2002年に上場した。

2020年3月に大阪大学と共同で新型コロナウイルス対策のための予防用DNAワクチンの開発を行うことを決定した。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のゲノム配列に基づき、ウイルスのスパイク蛋白質の遺伝子を導入したプラスミドDNA(環状のDNA)を設計し、このプラスミドDNAを産生する組換え大腸菌を確立し、GLP試験に使えるDNAワクチンの原薬を製造した。

プラスミドDNAを体内に投与することで、体内で治療に必要とされる物質がつくられる。 

DNAワクチンは、危険な病原体を一切使用せず、安全かつ短期間で製造できる特徴がある。

2020年8月にワクチンの実生産(大規模生産)体制の早期構築を 図るための事業として、厚労省助成金 約94億円を得ている。

アンジェスは本ワクチンの開発・製造に当たり、体制を作り上げている。タカラバイオがその製造を担い、AGC Biologics社が中間体の分担製造、Cytivaが精製用資材の優先的な供給で、更にシオノギファーマが中間体の分担製造で協力体制に加わった。

2020/5/22  アンジェスの新型コロナウィルス向けDNA ワクチン開発

2020/6/26 アンジェスのコロナワクチン、大阪市大病院で治験へ

電気自動車(EV)購入の際の税額控除額について、1台当たり現在の7,500ドルから、最大12,500ドルまで引き上げる案を盛り込んだ。実質的に値引きになる。

1台当たりの基本控除額4,000ドルと、バッテリー容量に応じた控除額3,500ドル(注)に加え、労働組合を持つ拠点で組み立てられた車両の購入に対しては4,500ドルの控除が定められている。

2026年12月31日以前に販売される車両の場合は、バッテリー容量40キロワット時(kWh)以上、
2027年1月1日以降に販売される車両は50kWh以上が対象。

さらに、組み立て工程での構成部品の50%以上が国内生産品で、動力として搭載されるバッテリーセルの組み立てが国内で行われている場合には、500ドルが上乗せされる。

対象は、車両総重量が14,000ポンド(約6.35トン)未満の新車で、2022、2023年販売車は7kWh以上、2024年以降は10kWh以上のバッテリーを搭載し、外部充電が可能な車両となっている。
しかし、その条件として、労働組合を持つ拠点で組み立てられたEVであることなどを設けている。

今回の法案では、控除申告が可能な収入の上限が、配偶者との合算申告の場合は80万ドル、世帯主のみでは60万ドル、その他の場合(扶養家族など)は40万ドルと定められている。

さらに、車両価格にも上限が定められており、乗用車(セダン)は5万5,000ドル、バンは6万4,000ドル、スポーツ用多目的車は6万9,000ドル、ピックアップトラックは7万4,000ドルとなっている。

また、現行規定にあるメーカー販売台数20万台の控除対象上限が撤廃される。(GMとテスラは上限に達しているが、適用が再開される。)

この4,500ドルの追加控除(実質値下げ)が労働組合を持つ拠点で組み立てられた車両の購入に対してのみ認められることから、労働組合を持たない日系メーカーを中心に波紋が広がっている。

米自動車業界は「ビッグスリー」と呼ばれるGM、Ford、Stellantis Fiat Chrysler とPeugeotのJV)にだけ労組が結成されており、トヨタ、ホンダ、現代・起亜、フォルクスワーゲンなど大多数の外資系自動車工場には労組がない。Tesla にも労組がない。

事実上、「ビッグスリー」製EVの購入を奨励する「バイ・アメリカン」政策だとする批判が出ている。 日系メーカーを含む自動車メーカー12社が不服を示す書簡を提出した。

非組合メーカーの拠点があるアラバマ、ジョージア、インディアナ、ミシシッピ、サウスカロライナ、テネシー州など11州の知事(いずれも共和党)が反対を示す内容の書簡を議会に提出した。

日本を含む25カ国・地域の駐米大使は本件に関し、多くの米国人労働者を雇用する外資系自動車メーカーを不当に妨害しているとし、反対の意を示す書簡を米議会およびバイデン政権に提出した。


トヨタの意見広告は、バイデン政権と民主党が推進する労組優先主義に異を唱え るものである。

米連邦準備理事会(FRB)は11月3日、11月にテーパリング(量的緩和の縮小)を開始すると発表した。

2019年7月末で一旦、保有資産の縮小を止めたが、直後の9月からは短期金利の状況を抑えるためレポ取引などで資金供給を増やし、2020年3月にコロナウイルス対策で資産買入を再開した。

これまで毎月、国債を800億ドル、住宅ローン担保証券を400億ドル、計1200億ドルを購入している。

11月から毎月の購入額を国債を100億ドル、住宅ローン担保証券を50億ドルの合計150億ドルずつ減らしていく計画を正式に決定した。順調にいくと8カ月で購入はゼロとなり、2022年6月でテーパリングは終了する。

FRBはまた、Federal Fund金利の目標誘導レンジを 0.00% ─ 0.25%に維持することを決定した。2020/3/15 以降の利率を維持する。

労働市場の状況が委員会の最大雇用の評価に一致する水準に達し、インフレ率が2%に上昇して当面の間2%をやや超えるような軌道に乗るまで、この目標誘導レンジを維持することが適切だとした。

 
2018/3  1.50%~1.75%
2018/6  1.75%~2.00%
2018/9  2.00%~2.25%
2018/12  2.25%~2.50%
2019/7 2.00%~2.25%
2019/9  1.75%~2.00%
2019/10

1.50%~1.75%

2020/3/3

1.00%~1.25%

2020/3/15

 0.00%~0.25%


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FRBは2019年7月末で一旦、保有資産の縮小を止めたが、直後の9月からは短期金利の状況を抑えるためレポ取引などで資金供給を増やし、2020年3月にコロナウイルス対策で資産買入を再開した。


2020/3/24 米連邦準備理事会(FRB)、資金供給を急拡大


直近では約8兆5000億ドルに達している。今回の決定で残高の増え方が緩やかになり、2022年6月以降は横ばいになる。


EVメーカーの米 Tesla は10月20日の第3半期決算の発表文で、同社が、航続距離が標準的なモデルの車載用電池については、リン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池に世界的に移行する計画だと述べた。

For standard range vehicles, we are shifting to Lithium Iron Phosphate (LFP) battery chemistry globally.

TeslaのCEOは、同社のバッテリーは最終的に製品全体で鉄ベースが3分の2、ニッケルベースが3分の1になるだろうと語り 、「これは実際に好ましいことだ。世界には十分な量の鉄が存在しているから」と付け加えた。

現在、大半の自動車メーカーはニッケルやコバルトが含まれるNCM(ニッケル・コバルト・マンガン)バッテリー を採用しているが、原料価格は上昇基調にあり需給が逼迫している。

Teslaは現在、米国ではパナソニックのNCM電池を使用しているが、中国では寧徳時代新能源科技(CATL)から供給されるLFP電池を使用している。

CATLのLFP電池は正極側にリチウムや鉄、リンを使い、長寿命で、最高800℃までの耐熱性を有し、安全性と信頼性に優れていると言われる。火災や振動、衝突など様々な危険な状況を想定した300項目以上の試験で検証しているという。

70以上の特許技術を含む「CTP(cell-to-pack)」技術をもとに生産される。モジュールを組むこと無くバッテリーセルをそのままパックに入れるもの。

この特許は中国の大学や研究機関のコンソーシアムによって管理され、10年前に中国のバッテリーメーカーとの間で、LFPバッテリーが中国市場でのみ使用されることを条件にライセンス料を徴収しないことで合意した とされる。

DaimlerのCEOも10月26日、Mercedes-Benzの次世代電気自動車モデル「EQA」「EQB」に2024年からLFPバッテリーを搭載すると明らかにした。 主力の「EQS」よりも価格に敏感であるため、今後値上がりが予想されるニッケルなどの使用を避けるもの。

電池メーカーについては明らかにしていないが、既に主力の「EQS」向けにNCMバッテリーを供給しているCATLでないかと見られている。2020年のCATLとの供給契約では、Daimlerは個別の計画ごとにCATLの「CTP(cell-to-pack)」技術の採用が可能となっており、今回、CATLのCTPーLFPバッテリーではないかと思われる。


しかし、TeslaにNCMバッテリーを供給するパナソニックエナジーの只信社長は10月25日、同社製品がTeslaから「足元でも高いレベルでの出荷を求められている」とし、両社の関係に影響はないとの認識を示した。

同社はTeslaからの要請で新型電池「4680」を開発中で、「技術的な面ではほぼ完成した」としている。「円筒形は安全性が高く電池モジュール内のセル密度を高められる点で大きなメリットになる。より走行距離の長いEVを実現する上で「4680」という電池セルは重要な技術になるだろう」としている。

TeslaのEVには、パナソニック製の円筒型セルが採用されてきた。
「Roadster」や「モデルS」、「モデルX」にはノートパソコンなどに使われていた直径18mm×長さ65mmの「18650」と呼ぶセルが搭載されている。
モデル3には直径21mm×長さ70mmの「2170」と呼ぶ電気自動車向けセルが採用された。エネルギー容量は「1865」から「2170」で1.5倍になる。

これに対し、「4680]は直径46mm、長さ80mmの円筒形電池で、「2170」から電池容量を5倍に高めることができる。


パナソニックの当面の供給には影響はないとしても、Teslaは最終的に製品全体で鉄ベースが3分の2、ニッケルベースが3分の1になるだろうと しており、他社も追随すると見られるため、NCM(ニッケル・コバルト・マンガン)バッテリーのメーカーには大きな衝撃である。


国立遺伝学研究所と新潟大のチームは、10月に開かれた日本人類遺伝学会で、新型コロナウイルスの流行「第5波」の収束には、流行を引き起こしたデルタ株でゲノムの変異を修復する酵素が変化し、働きが落ちたことが影響した可能性があるとの研究結果を 発表した。

ウイルスは増殖する際にゲノムを複製するが、複製ミスが時々起きて変異が生じる。変異が積み重なるとやがて増殖できなくなる 。

1971年にManfred Eigenが『エラー・カタストロフの限界(ミスによる破局)』を予言した。

しかし、新型コロナウイルスを含むコロナウイルスの仲間は、ほかのRNAウイルスにはない複製エラーを修復するための一群の酵素を持つことがわかっている。
重要なのは「nsp(non-structural protein)14」と呼ばれる切断酵素で、これはほかのRNAウイルスに比べて約3倍も長いゲノムのコロナウイルスが、長大なゲノムに生じる複製エラーを修復するために獲得したシステムと考えられている 。

このため、これまでは変異が起きてもnsp14により複製エラーが修正され、変異が積み重なって増殖できなくなるという 事態には至らないと考えられてきた。

チームは、新型コロナウイルスの流行「第五波」の収束には、流行を引き起こしたデルタ株で このnsp14酵素が変化し、働きが落ちたことが影響した可能性があるとする。

国立感染症研究所が公開する国内で検出した新型コロナのゲノムデータを分析したところ。第5波では、nsp14に関わる遺伝子が変化したウイルス の割合が感染拡大とともに増え、ピークの前から収束までの間は、感染者のほぼ全てを占めていた。

nsp14の遺伝子が変化したウイルスでは、変異を修正する機能が落ち、ゲノムの変異が通常の10~20倍あった。

チームは、nsp14 酵素の変化の理由として、人間の体内でウイルスに変異を起こして壊す「APOBEC」という酵素がnsp14を変化させたと推測している。東アジアやオセアニアでは、この酵素の働きが特に活発な人が多いという。

APOBECは人体にも悪影響を与える。これによるゲノム変異が発がんの原因の一つであるとされる。

この推定が正しいなら、新しい別のウイルスが入ってこない限り、第6波はないことになる。逆に、収まったからといって海外からの渡航を緩めると、新しいウイルスが侵入し、再度、蔓延することが十分考えられる。

海外で再度蔓延しているのは、そのためではないか。

神経・精神疾患領域における革新的な新薬の開発と商業化を推進する新しいバイオベンチャー企業であるアキュリスファーマ(Aculys Pharma)は10月28日、SoftBank Vision Fund 2をリード投資家とするグループから総額68億円の資金調達を実施したと発表した。

その他の投資家:Catalys Pacific、HBM Healthcare Investments、Global Founders Capital、三井住友トラスト・インベストメント、ANRI 

Catalys Pacificは2019年に日本における最大規模のライフサイエンス分野への投資に特化した独立系ファンドとして誕生した。
中外製薬、エーザイ、ソフトバンクグループ、武田薬品工業、セルジーンをストラテジック・パートナーとして、日本発のアセットへの投資および開発促進に貢献する。

アキュリスファーマはまた、フランスのBioprojet Pharmaとの間で、睡眠障害分野において米国・欧州で各当局の承認を受け、既に臨床現場で使用されているヒスタミンH3受容体拮抗薬/逆作動薬 pitolisantに関する日本での独占的開発・商業化に関するライセンス契約を締結したと発表した。

今回調達した資金はpitolisantの臨床開発や上市に向けた諸活動に充てられる。

ソフトバンクグループは、「Vision Fund 2として初の日本での投資先となるアキュリスファーマが、睡眠障害に対して革新的な医薬品と、AI・デジタル技術を駆使したbeyond-the-pill solutions(薬を超える解決策)を届けられると確信している」としている。


SoftBank Vision Fund 1 は2017年5月にサウジアラビアなどと共同で10兆円規模でスタートした。

2017/5/25 ソフトバンクの「10兆円ファンド」発足

SoftBank Vision Fund 2 は2019年7月に設立が発表された。今回はサウジは入っていない。
しかし、資金が集まらず、暫く凍結された。現在、全ての資金をソフトバンクが出している。

2019/7/29 「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」設立 

SoftBank Vision Fund 2は現在、欧州や中東、アジア(中国以外)への投資を急速に増やしており、日本での次の投資も検討しているとされる。

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アキュリスファーマは、Catalys Pacificの全面的な支援を受け、神経・精神疾患領域の医療に変革をもたらすとして、2021年1月に設立された日本発のバイオベンチャー企業で、国際色豊かな取締役会メンバーの下に、大手製薬企業で長年、医薬品の開発や疾患啓発等に携わってきた経験豊かなメンバーが結集した。

共同創業者、代表取締役社長兼CEOの綱場一成氏は、2020年10月末までノバルティス ファーマの代表取締役社長 であった。

神経・精神疾患領域において革新的な医療手段への橋渡し役となり、欧米諸国から革新的で優れた医薬品を導入し、開発・販売を担い、さらに疾患を取り巻くさまざまな課題に対するソリューションを提供することを狙う。

同社は睡眠障害において新しい治療選択肢をもたらすべく新薬の臨床開発を進めている。また、神経・精神疾患領域の他の疾患についても、アンメットニーズを満たす薬剤を日々探索している。

今回、フランスのBioprojet PharmaからヒスタミンH3受容体拮抗薬/逆作動薬 pitolisantを導入した。


Bioprojet Pharmaは、pitolisant(Wakix®)等のアンメットメディカルニーズに応える革新的な医薬品の研究・開発を行なっている。自社で欧州7か国での業務展開を行うとともに、その他の地域は現地パートナーとの協業を通じて開発・販売活動を展開している。

Pitolisantは、人間の睡眠・覚醒リズムの制御において重要な役割を担っているヒスタミン含有ニューロンのシナプス前部に分布する自己受容体、ヒスタミンH3受容体へ選択的に結合する拮抗薬/逆作動薬で、欧州では2016年に欧州医薬品庁(EMA)に承認された。
また、2021年には「閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者における覚醒状態の改善及び日中の過度の眠気の減少」を追加の効能・効果として承認取得した。

米国では2019年に「ナルコレプシーに伴う日中の過度の眠気」を効能・効果として米国食品医薬品局(FDA)に承認された。

バイデン米政権は10月30日、EUから輸入する鉄鋼とアルミニウムに課す追加関税を一部免除すると表明した。EUは代わりに報復関税を取り下げる。

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トランプ前政権は2018年5月31日、安全保障上の脅威に対抗する米通商拡大法232条(国防条項)に基づき、EUや日本、中国など外国製の鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を上乗せした。

2018/6/2  米、EU・カナダ・メキシコに鉄鋼・アルミ関税発動 

欧州委員会は2018年6月6日、対抗措置として、米国からの輸入品に報復関税を課す方針を正式決定した。

EUは被害を2017年ベースで64億ユーロ(71億米ドル)としている。

  米のEUからの輸入 追加税率 追加税額
Steel 製品 59億ドル 25% 15億ドル
アルミ製品 12億ドル 10% 1億ドル
合計 71億ドル   16億ドル

EUは直ちに28億ユーロ(32億ドル)相当の製品に課税する。

残りの36億ユーロ(38億ドル)相当の製品には、3年後又はWTOでの裁定のあった時のいずれか早い時期に課税する。

EUの報復課税

時期 製品リスト 追加税率
即時課税 鉄鋼・アルミ製品、オレンジジュース、バーボン、たばこ、化粧品、シャツ、ズボン、靴、バイク、ボートなど 25%
(1品目のみ10%)
後日 10%、25%、35%、50%


2018/6/7 EU、米国の鉄鋼・アルミニウム輸入制限への報復関税、7月発動へ

残りの36億ユーロ(38億ドル)相当の製品への課税は本年6月に開始される予定であった。


バイデン米国政権と欧州委員会は本年5月17日、世界的な鉄鋼およびアルミニウムの過剰生産に対処すべく協議を開始するとの共同声明を発表した。2021年末までの合意を目指す。

米とEUは、第三国に起因する過剰生産が双方の国内産業に及ぼす影響に対する認識を共有し、また中国を名指しして、貿易歪曲的な措置を取る国に対して説明責任を負わせることで合意した。

これに伴い、EUは6月に開始される予定であった追加の報復関税措置を停止した。(12月1日まで延期)

米通商代表部(USTR)は10月12日、Katherine Tai USTR代表が訪問先のイタリアで、欧州委員会で通商を担当するDombrovskis執行副委員長と会談したと発表した。

鉄鋼とアルミニウムの世界的な過剰生産への解決に向けた対応を議論したとするが、米国が鉄鋼とアルミニウムに課している追加関税なども協議したとみられた。

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今回の合意は下記の通り。

米国は、鉄鋼とアルミにそれぞれ25%、10%上乗せしている追加関税は維持するが、一定の輸入量への関税は免除する。関税割当と呼ばれる仕組みで、具体的な数量枠は今後発表する。

報道によると、鉄鋼ではEUからの輸入の年330万トン分は関税を免除し、それを超えた分から関税を課す。

輸入制限を始める前の2017年の輸入量(英国を除く)は470万トンで、関税上乗せ後の2019年は390万トンまで減った。この場合、60万トン分だけに課税される。

アルミについては関税が免除される分は非常に少ないとされる。

輸入制限自体は形を変えて今後も続く。

また、関税が免除されるのは、完全にEU域内で生産("melted and poured")されたもので、米国への輸出前に中国やEU域外から輸入され、若干の加工を加えられたものは除外される。

見返りに、EUは米国から輸入する二輪車やウイスキーなどにかけている報復関税を撤廃する。12月1日に予定していた報復関税の拡大も取りやめる。


英国はEUを離脱したため、今回の措置の対象外で、今後も課税が続く。日本も同様である。 (米商務省は、日本とも協議すると述べた。)

韓国については、2018年3月に米韓FTAの改正・延長交渉で合意した際、鉄鋼に関しては25%の追加関税を免除する代わりに、韓国は米国向け輸出数量 2015~2017年平均輸出量383万トンの70%を限度とすることとした。

当時のホワイトハウスのNavarro通商製造業政策局長は、「鉄鋼関税が課されなかったすべての国はクォータ制に直面するだろう」と述べた。

2018/3/26 韓米FTA改正交渉妥結、鉄鋼の追加関税免除 

バイデン大統領は10月28日、Build Back Better Act を発表した。与党民主党内で意見が対立し、進展していない 「10年で3.5兆ドルの予算案」を修正し、早期の法案成立を目指すもの。

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バイデン大統領は3月31日、国内のインフラの整備等に8年間で2兆2500億ドルを投入する新たな計画 American Jobs Plan を発表した。

最終的にこれは、インフラ包括法案と3兆5000億ドルの予算とに分かれた。
前者は上院で可決済みで、下院の決議待ちである。
後者は、上院でのフィルバスターを避けるため、予算決議案→
財政調整措置の形をとるが、予算決議案は上下両院で可決済みで、これをもとにした具体的予算案を討議中である。

2021/8/26 米下院、3.5兆ドルの予算決議案を可決

米下院歳入委員会の民主党メンバーは9月13日、 これらを賄うための一連の増税案を発表した。10年間で3.5兆ドル規模の予算の財源となる。
法人税の引き上げ、所得税の引き上げ、キャピタルゲイン税の引き上げ、多国籍企業への税率の引上げである。

2021/9/16 米民主党の増税案

しかし、肝心の民主党内で、党内の急進左派が子育て支援などの「3.5兆ドル法案」を可決するまでインフラ法案に賛成しないと主張し、逆に、財政膨張を懸念する中道派議員は3.5兆ドル法案の規模圧縮を要求し、与党内の調整がつかない状況である。


バイデン大統領は民主党議員との議論を続けてきたが、政権の支持率が低迷する中、民主党内の対立を収めるため、「3.5兆ドル法案」について
大幅な譲歩案を出した。今後、議会で詰める。 大統領は、合わせてインフラ包括法案も早期に可決することを求めた。

但し、現在のところ、民主党議員が一致してこれに賛成するかどうか不明である。(上院は与野党が50:50のため、議決には全員が賛成することが必要である。)

大統領案はBuild Back Better Act の名前で、当初の「10年で3.5兆ドル」を半減し、気候変動対策や子育て支援等に1兆7500億ドルを投じるものである。

バイデン氏は大統領選挙戦中の2020年7月に、公約としてBuild back better (より良い形で立て直す)を掲げた。
国内政策としては、①新型コロナ対策、②製造業の復活、③人種平等、④クリーンエネルギーである。
今回、法案の名前にこれを使った。

法人税率などの引き上げを見送る代わり、財源として巨大企業を対象に会計上の利益に最低15%を課すことを盛った。自社株買いへの1%課税のほか、年間所得が1000万ドルを超える個人富裕層に追加税率を導入する。国際社会が合意した多国籍企業を対象に各国が15%の最低税率を定める税制改正もめざす。

内容は次の通り。  いずれも10年間 

支出: 単位:億ドル

Clean Energy and Climate Investments
5550

気候変動対策 :下記

Child Care and Preschool
4000 高品質の安価な幼児ケア
3-4歳児全員にPreschool
老人、障碍者ケアも
Child Tax & Earned Income Tax Credits 2000 Tax credit 1年延長
Home Care
1500 低所得者向け住宅建設
Affordable Care Act Credits, Including in Uncovered States  1300 医療保険控除
Medicare Hearing 350 medicareで耳の治療をカバー
Housing 1500 住宅不足解消
Higher Ed and Workforce 400 高校より上の教育補助
Equity & Other Investments 900
合計 17500
別枠  Immigration 1000 移民制度の改良

気候変動対策の内訳:     単位:億ドル

Clean Energy Tax Credits 3200 住宅関連、自動車、クリーンエネルギー生産に10年間の税額控除
Resilience Investments 1050 山火事、干害、ハリケーン、公害、Civilian Climate Corps.への支出
Clean Energy推進 1100 Clean Energy技術の開発、製造、サプライチェーン
Clean Energy procurement 200 次世代技術の購入インセンティブ:エネルギー長期貯蔵、小型モデュール炉、クリーン建設材料など
合計 5550


これらを賄うための収入は下記の通り。(億ドル) 主に大企業と金持ちに応分の負担を求める。

15% Corporate Minimum Tax on Large Corporations 3250 節税で税金を払わない大企業に財務上の利益に15%のMinimum tax
Stock Buybacks Tax 1250 自社株買いに1%のSurcharge
Corporate International Reform to Stop Rewarding Companies That Ship Jobs and Profits Overseas 3500 OECDの新規定に合わせ15%のGlobal minimum tax
ルールに従わない国にベースを置く外国企業にペナルティレートで課税
Adjusted Gross Income Surcharge on the Top 0.02% 2300 金持ちへの新しいサーチャージ
Close Medicare Tax Loophole for Wealthy 2500 自営業者による税逃れの制度(S corporations)の廃止
Limit Business Losses for the Wealthy 1700 金持ちに損失計上の制限
IRS Investments to Close the Tax Gap 4000 IRSによる税の抜け穴つぶし
Prescription Drugs: Repeal Rebate Rule 1450 Medicare の処方箋医薬品価格関連
合計 19950


このうち、脱税防ぎで4000億ドルというのには、どうやってやるのか、疑問視する向きもある。

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