韓国公正取引委員会は10月27日、ユニクロの韓国JVのFRL Koreaに対し、表示広告法に違反する行為の是正措置と1億5300万ウォン(約1570万円)の課徴金支払いを命じ た。
ユニクロの機能性衣料「エアリズム」と「ドライEX」がうたう抗菌防臭性能に客観的な根拠がなく、虚偽・誇大広告にあたると判断した。
FRL Koreaはユニクロを運営するファーストリテイリング(Fast Retailing) が51%、韓国のLotte Shoppingが49%を出資、韓国で「ユニクロ」ブランドでのカジュアル衣料品の販売を行なっている。
FRL Koreaは2018年12月から20年7月まで、SNSやチラシ広告、ホームページなどを通じてエアリズムとドライEXを宣伝する際に「抗菌防臭」「防臭機能で爽やかな着心地」「抗菌防臭機能を加えた高機能アイテム」といった表現を用いた。
現在の日本でのユニクロのホームページでの表記
エアリズムはシルクのようになめらかな肌ざわりで、汗をかいてもベタつきにくい着心地が魅力です。この素材が汗を素早く外に逃がし、ムレにくくしています。また接触冷感という機能があり、肌に触れるとひんやり心地よく、暑い日もエアリズムを着ることで涼しさを感じられます。汗の臭いのお悩みも抗菌防臭・消臭機能でカバーしてくれます。
次にドライEX。最大の特徴は、汗を素早く吸収して肌をサラサラに保つ"超速乾機能"があることです。汗をかきやすい脇や背面がメッシュ編みになっていたり、瞬時に汗を乾かす工夫が細部に施されています。こちらもエアリズム同様に抗菌防臭機能があり、スポーツ時や運動量の多い日など、アクティブなシーンに使いやすいアイテムが多くラインナップされています。
製品の表面上で細菌の増殖を抑制する「抗菌」の機能が認められれば、防臭効果もあると見なされる。
国際基準によると、菌に対する坑菌活性値が2.0以上(99%以上の死滅率)であれば抗菌性効果が認められる。 (製品に細菌を24時間培養した時、一般製品の生菌数が100なら抗菌剤品の生菌数は1以下)。
しかし、韓国公取委によると、FRL Koreaは黄色ブドウ球菌と肺炎 桿菌に対する抗菌性を証明することができなかった。
肺炎桿菌について抗菌性の試験を実施していなかった。黄色ブドウ球菌に関しては、製品の試験結果でなく、製品の生地の試験結果を公取委に提出した。
日本でも、JIS法ではこの2種の試験菌株が規定されているが、SEKマーク繊維製品認証基準の抗菌防臭加工の評価には黄色ぶどう球菌のみが用いられる。
2020年5~7月に公取委傘下の韓国消費者院とFRL Koreaはそれぞれ、韓国と日本の専門機関に依頼して抗菌性の試験を行ったが、 製品によって抗菌性のばらつきが大きかった上、洗濯を重ねるほど機能が低下したことが分かった。
韓国 公取委は「この件の広告は、抗菌性が一定しない製品を他社の優良製品と同等だと消費者に誤認させ、合理的な選択を妨げることで公正な取引秩序を阻害する懸念が大きい。厳重に制裁した」と説明した。
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