2023年5月アーカイブ

現代自動車グループは2023年4月25日、韓国SK Onと合弁で電池セル生産会社を米国に設立する計画を発表した。両社は2022年11月に北米向け電気自動車(EV)用電池の供給について覚書を締結していた。

合弁会社はジョージア州Bartow Countyに電池セル工場を建設する。総投資額は50億ドルで両社折半出資。2025年の稼働開始を目指す。年間生産能力は35ギガワット時で、EV 30万台の生産をサポートできる。

今回発表した新工場で生産する予定のバッテリーは、ジョージア州南西にある現代自動車グループ傘下の起亜の工場や、アラバマ州にある現代自動車の工場など、米国内のグループ工場向けに納品する。


現代自動車、SK Onの両社はそれぞれジョージア州でのEV・バッテリー事業を急速に進めている。

(現代自動車)

現代自動車は2022年5月21日、米ジョージア州に電気自動車(EV)の専用工場を新設すると発表した。

ジョージア州Bryan Countyに2023年着工し、2025年上半期から稼動する。生産量を次第に増やし2030年に年産30万台とする。
ジョージア州政府は税制優遇などインセンティブを提供し、持続的な諸般の支援を約束した。

投資額は55億ドル、生産能力は年産30万台規模で、車載電池工場も併設する。

「バッテリーセル工場は合弁形態で設立するだろう。合弁対象は確定しておらず検討中」と説明した。SK On、LG Energy Solution、Samsung SDIの韓国企業3社のうち1社が有力とされた。

2022/5/24  現代自動車、米にEV工場

11月23日にはグループ傘下のサプライヤー現代モービスが9億2,600万ドルを投じて同地域にEV用電力システムと現代が開発した統合充電システム(ICCU)の製造工場を建設することを発表した。


(SK On)

ジョージア州北東のジャクソン郡コマース市に既に2つのEV用バッテリー工場「SKバッテリーアメリカ」を持つ。


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Hyundai Motor Group とLG Energy Solutionは5月26日、米国に5兆7000億ウォン(約43億ドル)を投じて自動車用バッテリーのJV工場を建設すると発表した。同日、ソウルのLG Energy Solution本社で契約を締結した。

現代自動車は2022年5月21日、米ジョージア州に電気自動車(EV)の専用工場と電池工場を新設すると発表したが、「バッテリーセル工場は合弁形態で設立するだろう。合弁対象は確定しておらず検討中」と説明した。SK On、LG Energy Solution、Samsung SDIの韓国企業3社のうち1社が有力とされた。

現代自動車は最終的にLG Energy Solutionを選んだもので、上記のSK OnとのJVに続き、LG Energy Solutionと合弁工場を建設し、米国内におけるEVとバッテリーの生産能力を 急拡大している。

現代自動車のEV新工場(Hyundai Motor Group Metaplant America )が建設される米ジョージア州ブライアン郡に建設する。JVは折半出資で、総投資額は5兆7000億ウォン(約43億ドル)。年間約30ギガワット時(GWh)のバッテリーセル(EV 約30万台) を生産する。

両工場を完成すれば、米国内にも合計約60万台以上のEVのバッテリー生産能力を備えることになる。

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調査会社テクノ・システム・リサーチによると、2020年の車載電池の世界シェアでSamsung SDIは9%で4位。LG Chemは23%で2位、SK Innovationは5%で7位。

LG Energy Solution (今回の現代自動車とのJVが加わる)

2023/2/24 Ford、トルコでの電池JVの相手をSKからLGに変更

SK On(今回の現代自動車とのJVが加わる)

2023/1/11 韓国SK On のトルコの電池JV計画 白紙撤回へ 

SK Innovation

SK Innovationは2018年11月に米ジョージア州Commerce市に1兆1396億ウォン(約1140億円)を投資して、電気自動車用バッテリー工場を建設することを明らかにした。
2020年6月29日、第2工場の設立のための投資協約式を交わしたと発表した。

SK Innovationは、LG Chemと同様、米国と中国と極東、そして欧州というEVマーケットのシェア9割を占める地域をカバーする。

北米でVolkswagenグループへの供給が決まっている。

Commerce工場は112万2000平方メートルの敷地に新設され、来年初めに着工して2022年に完成する予定。年間 9.8GWhの規模で建設される。

新工場が完成すれば、SK Innovationは韓国(忠清南道瑞山市)とハンガリー(Komárom )、中国(常州)を含めて「グローバルの四角生産体制」を構築することになる。

新工場は、瑞山工場(4.7GWh)の2倍を超える規模で、常州工場(7.5GWh)と、2022年に完成予定のKomárom工場(7.5GWh)を合わせれば、全体の生産能力は約30GWhに増える。

  稼働 建設
韓国(忠清南道瑞山市) 4.7GWh  
中国(常州) 7.5GWh  
ハンガリー(Komárom   7.5GWh
米国(Commerce   9.8GWh
合計 12.2GWh 17.3GWh
総計

29.5GWh

2018/12/4 SK Innovation、米に電気自動車バッテリー工場を建設、LG & Samsung も各地で増設 

日本やアメリカなどが参加するIPEF(インド太平洋経済枠組み)の閣僚級の会合が5月27日、デトロイトで開かれ、参加国が重要な物資のサプライチェーン=供給網を強化していくことで合意した。

中国の影響力が拡大しているほか、新型コロナの感染拡大などを背景として、重要物資の供給が受けられなくなるリスクが高まっていることから、半導体や重要鉱物などを念頭に、中国に依存せずに重要な物資が供給できるよう、相互に協力する仕組みを整えていく。

バイデン米大統領は2022年5月23日、新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足を表明した。日米と韓国、インドなど計13カ国を創設メンバーとし、中国に対抗してサプライチェーン(供給網)の再構築やデジタル貿易のルールづくりなどで連携する。2022年5月26日にフィジーが参加し、現在は14カ国となっている。 (メンバーは下の表を参照)

「デジタル経済のルール作りや強固で強じんなサプライチェーンの確保、エネルギーの転換など、新たな経済の課題に立ち向かうためにデザインされた21世紀の新たな枠組みだ」と説明した。

IPEFは、(1)公平で強靭性のある貿易、(2)サプライチェーンの強靭性、(3)「クリーン経済」(インフラ、脱炭素化、クリーンエネルギー)、(4)「公平な経済」(税、反腐敗)の4つの柱から構成される通商枠組み。

米国の輸入拡大につながる関税の引き下げは交渉しないとしている点が、TPPとは大きく異なる。通常の多国間協定とは違い、議会の承認は得ず、緩やかな連携を目指す。

米国は、各国が枠組みのすべてに賛同しなくても、参加したい分野だけを選んで参加できる珍しい仕組みも検討している。

2022/5/21 インド太平洋経済枠組み(IPEF:Indo-Pacific Economic Framework)

昨年から交渉官が半導体など重要物資のサプライチェーンの強化や、デジタル技術を活用した貿易の円滑化など、4つの分野で交渉を行ってきた。

事前の協議では、4つの分野のうちサプライチェーンの強化に関する分野で交渉が進展している。
その一方で、「貿易」や、「クリーン経済」、「公平な経済」は、議論を主導するアメリカと新興国などとの間で意見の隔たりが残っている。

昨年5月の発足以来、具体的な成果はこれが初めてで、アメリカや日本は今後、他の分野でも協議を加速し、今年11月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議に合わせて、「供給網」以外の分野を含めた全体的な合意を目指したい考えである。

しかし、IPEFは「関税の引き下げ」が交渉の対象になっていないため、東南アジア諸国にとっては輸出拡大などの具体的なメリットが乏しく、今後の交渉は難航が予想される。


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なお、5月25日から26日にかけて、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の貿易担当大臣会合が本年の議長国である米国のKatherine Tai 通商代表の議長のもと、デトロイトで対面形式で開催された。

APEC:

  • アジア太平洋地域の21の国と地域(エコノミー)が参加する経済協力の枠組み。(1989年に閣僚会議として開始。1993年から首脳会議も開始。事務局はシンガポールに所在。)
  • アジア太平洋地域の持続可能な成長と繁栄に向けて、貿易・投資の自由化・円滑化地域経済統合の推進、経済・技術協力等の活動を実施。
  • APECの取組は、自主的、非拘束的、かつコンセンサスに基づく協力が特徴。
  • ビジネス界と緊密に連携している点も特徴。APECビジネス諮問委員会(ABAC)が、ビジネス界の重視する課題を首脳に直接提言。

重要鉱物や半導体などのサプライチェーンの強化や、気候変動問題、食料安全保障などについて議論が行われ、自由で開かれたルールに基づく多角的な貿易システムを強化し、サプライチェーンの混乱に対処することや、世界経済が直面する食料不安や気候変動の課題にも対応していく必要性を確認した。

しかし、ウクライナ侵攻による世界経済への影響に関する文言にロシアや中国などが反発し、共同声明の採択は見送られ、議長声明が出された。
このなかで、「(
ウクライナ情勢についての)状況及び制裁について、他の見解及び異なる評価があった」としている。

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IPEFやAPEC等の参加国は下記の通り。

APEC:アジア太平洋経済協力
IPEF:インド太平洋経済枠組み

RCEP:地域的な包括的経済連携協定

TPP ASEAN APEC RCEP IPEF
参加国数 11 10 21 15 14
日本
韓国
台湾
中国
香港
ロシア

マレーシア
シンガポール
ベトナム
ブルネイ
フィリッピン
インドネシア
タイ
ミャンマー
ラオス
カンボジア
インド
スリランカ

加盟へ

豪州
NZ
米国
カナダ
メキシコ
ペルー
チリ
パプアニューギニア
フィジー


スリランカ大統領は5月25日、都内での講演で、「スリランカは高いレベルの経済自由化を目指し、東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)への加盟を申請する」と話した。





コニカミノルタの2023年3月期の業績は下記の通りとなった。 ヘルスケア部門で1035億円もの巨額の減損損失を計上した。

(単位:億円) 売上高

営業損益

親会社株主 
帰属損益
一般 減損 合計
デジタルワークプレイス 6,003 122 -29 93
プロフェッショナルプリント 2,526 175 -9 166
ヘルスケア 1,378 -87 -1,035 -1,122
インダストリー 1,375 189 -81 108
その他 21 -184 -12 -196
合計 11,304 215 -1,166 -951 -1,032


デジタルワークプレイス事業:
  
複合機及び関連消耗品の開発・製造・販売、並びに関連サービス・ソリューション、及びITサービス・ソリューションの提供

プロフェッショナルプリント事業:
  デジタル印刷システム・関連消耗品の開発・製造・販売、各種印刷サービス・ソリューションの提供

ヘルスケア事業:
  <ヘルスケア分野> 画像診断システムの開発・製造・販売・サービスの提供、
         医療のデジタル化・ネットワーク化・ソリューション・サービスの提供
  <プレシジョンメディシン分野> 遺伝子検査、プライマリケア関連サービスの提供、創薬支援

インダストリー事業:
  
<センシング分野> 計測機器等の開発・製造・販売

  <材料・コンポーネント分野>ディスプレイに使用される機能性フィルム、産業用インクジェットヘッド、
-----------------------------産業・プロ用レンズ等の開発・製造・販売
  <画像IoTソリューション分野>画像IoT及び映像関連機器の開発・製造・販売、関連ソリューション・サービスの提供

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2003年にコニカとミノルタが事業統合し、コニカミノルタとなった。

2006年3月末にデジタル一眼レフカメラシステムの一部資産をソニーへ譲渡することでソニーと合意、フィルムカメラやデジタルカメラなどのカメラ事業については2006年3月31日をもって終了し、今後は、中核事業の情報機器分野、戦略事業の光学及びディスプレイデバイス分野などへ経営資源を集中させることとした。

しかし、2010年代、世界的に紙の印刷需要が減って事務機の事業環境は厳しさを増した。このため「ポスト事務機」育成による成長を目指し、海外M&Aにより「プレシジョン・メディシン分野 」に進出した。

プレシジョン・メディシンは、個々人の細胞における遺伝子発現やたんぱく質などの特性を分子レベルで判別することで個々の患者を精密にグループ化し、最先端の技術を用いて適切な投薬、治療と予防を提供する医療。

従来の画一的な方法ではなく、患者特性に応じた集団ごとの治療法から疾病予防までを確立する事により、適切な投薬、治療が可能となる。また、個人の特性を鑑みた適切な投薬は、副作用を軽減し、患者のQOL向上に寄与する。

創薬分野においては、効果的なバイオマーカーの活用が薬理試験の効率化を促進することで創薬のイノベーションを加速する。さらに、臨床試験における正確な薬効予測を可能にし、臨床試験期間やその規模の縮小という形で、新薬開発の成功確率と効率を向上させる。

2017年7月6日、産業革新機構との共同投資によりAmbry Genetics Corporationを子会社化することを決定した。

Ambry Geneticsは、最先端の遺伝子診断技術を持ち、高度な商品開発力、多様な検査項目、高い検査処理能力、遺伝子カウンセラーチャネルでの圧倒的な強さを背景に、成長著しいがん領域を中心とした米国の遺伝子検査市場におけるリーダー的存在。

2017年9月25日、プレシジョン・メディシン事業の成長戦略の一環として、米国の創薬支援企業であるInvicro LLCの買収契約を締結した。

Invicroは、高度な数値解析技術、バイオマーカー探索技術に強みを持つ創薬支援のイメージングCRO(医薬品開発支援業務受託機関)で、PET(陽電子放出断層撮影法)イメージング技術を用いた、がん腫瘍部の検出技術やアルツハイマー病の病理画像解析技術を有し、製薬企業にとって付加価値の高い創薬支援、治験・診断支援を、バイオマーカーを軸にして⼀気通貫的に提供するビジネスモデルを推進。

Ambry Genetics Corporation (AG) Invicro LLC (IC)
本社 カリフォルニア州 マサチューセッツ州
買収額 (100%) 株式取得800百万ドル、
    他に業績連動型アーンアウト 200百万ドル
295万ドル
出資比率 60%(残り40%は産業革新機構) 95%
戦略的意義 プレシジョン・メディシン分野への本格参入
世界トップクラスの遺伝子診断技術とコニカミノルタのタンパク技術の融合
ヘルスケアにおける高収益性事業構築
患者と製薬会社双方をターゲットとするビジネスモデル
日本を含めたグローバル展開
プレシジョン・メディシン分野への本格参入
製薬会社向け創薬支援ビジネス開始
デジタルイメージング技術、タンパク質解析技術、遺伝子解析技術を融合した顧客への価値提供
ボストンで優秀な人財へアクセス
高成長・高収益事業の構築


コニカミノルタは写真化学技術を活用した,新たな高輝度蛍光体ナノ粒
子とデジタル画像処理技術を組み合わせてなる,デジタル病理技術(HSTT: High Sensitive Tissue Testing)開発した。
分子標的薬の標的となるたんぱく質の存在位置と量をヒト生体組織上でイメージング化し、正確に測定することができる。これは、従来の免疫染色技術の精度をはるかにしのぐ技術であり、早期かつ高精度の診断と疾患に対する患者の免疫反応の把握を可能にする。

2社の買収により、短期中期ではAG社の遺伝子検査サービスとIC社の画像解析サービスのコア事業強化に注力するともに、サービスを拡充させていくを目指 す。
中長期では、2社が持つ生命科学と情報科学の技術を融合することで、人体に存在する分子を総合的に解析するマルチオミックス解析を実現し、クラウド上のプラフォームで世界へサービスを展開することで、積極的に事業を拡大していく とした。

しかし、アンブリーを中核とするヘルスケア事業は4年連続で営業赤字が続いた。

減損損失を除く営業損益(億円)

2020/3 -44
2021/3 -64
2022/3 -203
2023/3 -87

同社によると、ライバルの米Invitae Corpなどが2017年頃に 採算度外視で仕掛けた検査料金の価格引き下げが、業績が悪くなった大きな要因とする。

さらに、①米国でのコロナ禍における予防的な遺伝子診断のための来院者の激減と 、②それ以降の医療スタッフの不足などにより、病院での診断や健康診断での遺伝子検査の需要成長が想定より大幅に下回っていること、③製薬会社での治験が大幅に遅延したこと、④他社との協業などの自社戦略の実行遅延などもあった。

また、直近の金利上昇により減損テストに使用する割引率が上昇したことからも回収可能価額が大幅に低下した。

その結果、不振脱却が難しいと判断し、2023年3月期に1035億円の減損損失を計上した。

大幸社長は「 「あまりにも大きく描きすぎたバラ色の期待と現実とのギャップはずっと拭えなかった」としている。

「ポスト事務機」育成による成長を目指し、次の柱を求めて計画実現性の精査が甘いまま、新規事業育成を性急に進め たのが響いた。



付記 

同社が発表した新中期計画では、「過去から決別し、戦略的新規事業の位置づけを見直し、事業の選択と集中に取り組む」とし、基本方針として、「ベスト条件だけで成立する計画策定を廃止し、達成可能な計画を着実に実行し、自信と信頼を回復」とした。

問題のプレシジョンメディシン事業については「非重点事業」に見直した。

Biden米大統領と米連邦議会のKevin McCarthy 下院議長(共和党)は5月27日、米政府債務の法定上限を引き上げることで合意した。議会で承認されれば、市場で懸念されていた米国債の債務不履行(デフォルト)は回避される。

McCarthy議長はBiden大統領と電話会談し、債務上限を引き上げる一方で、政府の支出を削減するなどの案で「基本合意に至った」と明らかにした。今後は双方のスタッフ間での法案の文言の調整を進めるほか、28日にはBiden大統領と再び会談し、正式合意に至るとの見通しも示した。

暫定合意には、2年間の債務上限引き上げ(時限措置として現行の上限である約31.4兆ドルを上回る債務残高を認める)に加え、非国防支出を今後2年間にわたりほぼ現行の水準に据え置く歳出合意が盛り込まれた。
非国防支出を2024年度は2023年度と同レベルとし、2025年度は1%だけ増やすとされる。
未使用の新型コロナウイルス資金を回収、一部のエネルギープロジェクトの許可プロセスを加速し、貧しい米国人向けの食糧援助プログラムに要件を追加する。

McCarthy議長は、「歴史的な支出削減であり、人々を貧困から引き上げて労働力にする改革であり、政府の行き過ぎを抑制する――新たな税金や政府の新たなプログラムはない」としている。

ツイッターに「先ほど、大統領と電話を終えた。彼が何カ月も時間を浪費し、交渉を拒否した後に、私たちは米国民にふさわしい大筋合意に至った」と投稿した。

I just got off the phone with the president a bit ago. After he wasted time and refused to negotiate for months, we've come to an agreement in principle that is worthy of the American people.

Biden 大統領はこの合意を重要な前進("an important step forward") と呼び、「妥協であって、全員が望むものを手に入れる訳では無い」としている。

   "The agreement represents a compromise, which means not everyone gets what they want. That's the responsibility of governing."


今後は最終的に法案として上下両院での可決にこぎ着ける必要があるが、合意には民主・共和両党の強硬派からの反対が予想される。議長は28日に法案を完成させて大統領と再び協議し、正式に合意したうえで、31日に採決を行う方針を表明した。


Yellen財務長官は、債務上限の引き上げを行わなければ6月5日にもデフォルトに陥る恐れがあると指摘している。

これまでは6月1日にも行き詰まると説明していたが、最新データに基づいて分析したところ、デフォルト(債務不履行)に陥る恐れのある期限がやや後ずれした。

2023/5/24 米債務上限協議、合意に至らず

韓国外務省は5月25日、徴用工訴訟問題で敗訴が確定した日本企業の賠償金を韓国政府傘下の財団が支払う解決策に基づき、生存中の原告3人のうち1人に対し、相当額が26日に支給されると発表した。

生存者が政府の解決策を受け入れるのは初めて。


新日鉄住金(現・日本製鉄)と三菱重工業を相手取った3件の訴訟で判決が確定している。韓国外務省によると賠償対象となる元徴用工は故人を含め15人いる。(生存者3名、故人12名)

聯合ニュースによると15人分の判決金と利子の総額は40億ウォン(約4億円)規模になる。


韓国の朴振外相は3月6日、元徴用工問題の解決策を正式に発表した。韓国最高裁が日本企業に命じた賠償金の支払いを韓国の財団が肩代わりする。

・韓国政府傘下の公益法人「日帝強制動員被害者支援財団」が原告に判決金相当の金額を支払う。

・係争中の訴訟も、原告の勝訴が確定した場合は財団から支給する。

・肩代わりの財源は民間の自発的貢献により調達  

・被告の日本企業の資金拠出は前提としていない。

・原告に判決金の受け取りに理解・同意を求める努力を継続する。

・歴史問題の真の解決に向けた研究と、未来世代に対する教育を強化

2023/3/9 韓国、元徴用工解決策を発表 

1965年の日韓請求権協定を通じ日本から経済支援を受けた韓国鉄鋼大手ポスコは3月15日、元徴用工を支援する韓国政府傘下の財団に40億ウォンを拠出すると表明した。


韓国最高裁で勝訴が確定した15人中10人の原告遺族が、韓国政府傘下の財団からの解決金の受領を4月14日までに終えた。

4月7日に原告遺族2人への支給が初めて実施され、遺族側は「判決に関連し、被告企業に代わり韓国政府側から支給を受ける」とする受領申請書を提出。さらに8人への入金が14日に行われた。聯合ニュースは遅延損害金などを含め1人あたり2億ウォン(約2千万円)~2億9千万ウォンが支払われると伝えた。

韓国外務省のアジア太平洋局長は「(同意した)遺族は問題が早く解決されることを望み、支給を受け入れた」と述べた。

生存する原告3人を含む残り5人はいずれも日本側の謝罪などを求め、財団支出金の受領を拒む意向を示した。


今回、生存者1人に支給され、残り4人(生存者2人、遺族2人)となる。韓国政府は説得を続ける方針。




米石油大手Chevron Corporationは5月22日、米シェール開発会社 PDC Energy, Inc.を買収することで同社と合意したと発表した。買収額は63億ドル(債務を含めて76億ドル)で年末までに取得する見込み。

PDCはコロラド州のDenver-Julesburg (DJ) 盆地に27万5,000エーカー(約1,113平方キロ)の権益、テキサス州とニューメキシコ州にまたがるPermian 盆地に2万5,000エーカー(約101平方キロ)の権益を保有している。いずれもChevronがNoble Energy, Inc.から買収したガス田(下記)に隣接している。

PDCの2023年第1四半期(1~3月)の石油ガス生産量は、DJ盆地で日量21万6,000バレル(原油換算相当)、パーミアン盆地で日量約2万8,000バレル(原油換算相当)。

Chevronは2020年7月20日、独立系石油ガス開発企業のNoble Energy, Inc.を買収することを発表した。Noble Energyの全株式(50億ドル相当)を株式交換方式で買い取る。Noble Energyの企業価値は負債も含めて130億ドルとされており、Chevronは負債額87億3,700万ドルを負うことになる。

この買収で、ChevronはDenver-Julesburg (DJ) 盆地とPermian 盆地の油田・ガス田を獲得する。

Chevronは更に2021年3月5日に,、Noble Energy, Inc.の子会社で石油ガスのパイプライン輸送を担うNoble Midstream Partnersを買収することで合意した。取引額の総額は13億ドル相当で、株主はChevron株式を受け取る。

Noble Midstream Partnersは、DJ盆地とパーミアン盆地で、石油ガスのパイプライン輸送サービスを実施している。

この買収により、シェブロンは石油ガスの生産・輸送を含めたガバナンス機能を簡素化し、DJ盆地とパーミアン盆地でさらなる運用の統合を図ることを狙う。

今回、Noble Energyから買収した油田と隣接するPDC Energyの油田を合わせ持つこととなり、Noble Midstream Partnersのパイプラインをともに利用できることとなる。

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U.S. Energy Information Administration (EIA) によると、DJ Basin は2020年に米国で5番目の大きさの生産盆地で、平均で日量51万バレルの石油、51億立法フィートの天然ガスを産する。

当初の開発者の1社がGreat Western Oil and Gas Companyで、同社は後に Noble Energyが買収した。(今回、ChevronがNobleを買収)

もう1社が Kerr-McGeeで、その後、Anadarko Petroleumに買収された。Anadarkoは2019年にOccidentalに買収された。

2019年4月にChevron Corp がAnadarko Petroleum を500億ドルで買収すると発表した。同月にOccidental PetroleumAnadarkoに対し570億ドルで買収することを提案した。

Occidentalは買収提案のうち現金の比率を引き上げ、さらにAnadarkoChevronとの買収契約を破棄するための違約金10億ドルを負担すること、Anadarkoがアフリカに保有する資産をTotalに売却することで合意したことを発表。

翌5月にChevronは買収条件の再提出見送りを発表、AnadarkoOccidentalに買収された。

Noble EnergyとPDCを買収したChevronと、Anadarkoを買収したOXYの2社がDJ Basinの主プレーヤーである。両社はPermian Basin でも主プレーヤーである。


グラフのPREはおそらく、Parsley Energy  

調べても分からず、ChatGPTにこのグラフの元記事のアドレスを知らせると、すぐに返事があった。




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米連邦債務の上限引き上げを巡り、バイデン米大統領と野党・共和党のマッカーシー下院議長が5月22日、会談した。事務レベルでの協議が行き詰まっており、広島市で開かれた先進7か国首脳会議(G7サミット)に出席していたバイデン大統領が、米国に戻る大統領専用機からマッカーシー議長と電話で協議し、再会談で一致したもの。

しかし、マッカーシー氏は会談後、記者団に「生産的な話し合いだったが、まだ合意はしていない。前の年度よりも支出を減らさないといけない」と述べ合意点を見い出すために事務方の交渉が「夜通し」で行われるとの見通しを示した。

議会で関連法案を可決するのに数日を要するとみられるため、デフォルトを回避できるタイミングで法案を成立させるには、週内に合意をまとめる必要があると述べた。

バイデン大統領は声明を発表し「債務不履行を防ぎ、経済の大惨事を避けるための生産的な会談だった」としたうえで「債務不履行はありえない。前に進む唯一の方法は超党派の合意に向けて誠実に取り組むことだ。合意していない分野がいくつかあるが協議を続けていく」としている。

イエレン米財務長官は、5月21日のインタビューで、債務上限の引き上げが行われなければ6月1日にも財政資金が枯渇すると改めて指摘した。「これは厳密な期限だ」と語り、早期の合意を求めた。

6月1日まで残り10日ほどとなった。継続協議で妥協案を探る。

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2023年1月19日に債務は31兆4000億ドルの上限に到達した。

下院議会は4月26日、連邦債務上限を最大1兆5,000億ドル引き上げ、連邦政府の支出を4兆5,000億ドル削減する法案を賛成217、反対215で可決した。

▽バイデン政権の看板政策である再生可能エネルギーやEV=電気自動車などに対する税額控除の廃止または修正
▽低所得者向けの医療保険制度「メディケイド」や食料支援を行う際の条件の厳格化
▽石油・天然ガス・鉱物などエネルギー資源開発プロジェクトに対して政府の許認可プロセスを迅速にすることなども盛り込んでいる。

法案は上院に送られるが、上院民主党トップの"Chuck" Schumer 院内総務は「上院に到着した直後に廃案になる」と述べており、民主党が多数の上院で可決される見込みは低い。

2023/5/2 米債務上限問題で与野党が攻防

バイデン大統領は5月9日、連邦議会下院のマッカーシー議長らと、懸案となっている債務上限問題への対応に関する協議を行った。2月に続いて2回目となる。

会合は1時間程度行われ、会合後に報道陣の取材に応じたマッカーシー議長は「新しい動きはなかった」と述べた。共和党側は4月に下院で可決した独自の歳出削減法案を基に債務上限引き上げの条件として厳しい歳出削減の確約を要求した。他方、バイデン大統領を含む民主党側は予算の修正協議には応じるものの、債務上限については従来どおり無条件での引き上げを主張した。

バイデン大統領は5月16日、ケビン・マッカーシー議長らと3回目の協議を行った。

会合後に報道陣に答えたマッカーシー議長は「両者には依然大きな隔たりはあるが、今週末までに合意に至ることは可能であり、それほど難しくはない」と述べ、 前向きな姿勢を示した。バイデン大統領も「双方が求めるもの全てを得ることが難しいことを認識すれば、超党派の予算合意に至る道は開ける」としており、両者に歩み寄りがみられた。今後、スタッフ間で協議を続け、5月19日に広島で開かれるG7サミットへのバイデン大統領の参加後に再度協議するとし た。

バイデン大統領のG7への参加に関しては、債務上限問題の協議を優先して、オンライン参加となるとの可能性も取り沙汰されていたが、当初の予定どおり対面参加 した。ただし、訪日後に予定していたオーストラリアとパプアニューギニア訪問を中止した。


バイデン大統領が日本を訪問している間も担当者レベルでの交渉は続けられ、マッカーシー下院議長は18日、「何も合意はしていないが、合意できるかもしれない。道筋は見えてきた」と述べて、話し合いが前向きに進んでいることを示唆した。しかし、19日になって事態は一転し た。

交渉を担当する共和党の議員が「交渉が生産的ではない」と述べて協議が一時、中断した。これについてホワイトハウスの報道官は、広島で行った記者会見で「双方のあいだに深刻な開きがあることは間違いない」と認め「共和党側はアメリカ経済を人質にしてはならない。経済不況を引き起こし、何百万人もの雇用が失われるおそれがある」と述べてけん制した。

マッカーシー下院議長は20日、「不幸なことだがホワイトハウスは交渉をひっくり返している。共和党はG7広島サミットからバイデン大統領が戻ってからでないと交渉には応じられない」と述べた 。

バイデン大統領はG7広島サミットが閉幕したあとの記者会見で、 野党・共和党の提案は「率直に言って受け入れがたい」と述べ、意見の食い違いが依然として大きいことを明らかにした。これまでの歳出削減と新たな歳入の組み合わせによる3兆ドル近い財政赤字の削減に加えて 、新たに1兆ドル以上の支出削減案を提案 したにもかかわらず、共和党側は富裕層などを守りながら、100万人近い人たちへの食料支援を危険にさらすような提案をしていると述べ、「共和党がその極端な立ち位置から動く番だ」と訴えた。

「例えば、昨年2000億ドルを稼いだ石油産業に対する300億ドルの減税を可能にするような内容には同意しない 。低所得層向け公的医療保険のメディケアを巡って2100万人の米国人の医療を危険にさらす一方で、(石油産業に)さらに300億ドルもの優遇措置は必要ない」と述べた。

アメリカのメディアは共和党が低所得者向けの医療保険制度や食料支援の条件を厳格にすべきだと提案していると伝えてい る。

これに対し、マッカーシー 議長は「私の立場は変わらない。子供や孫を犠牲にして、持ってもいない金を使い続けるわけにはいかない」とツイッターに投稿し、さらなる支出の削減を求めた。

ーーー

民主党上院議員団はバイデン大統領に対し、共和党との債務上限交渉が不調に終わった場合のデフォルト(債務不履行)回避に向け、合衆国憲法修正第14条の発動に備えるよう求めた。

5月18日に公表された書簡によると、民主党と会派を組む無所属の"Bernie" Sanders議員が率いる11人の議員は、上限引き上げへ超党派合意を目指すバイデン氏の努力を評価しつつ、議会共和党は「誠実に行動していない」と指摘した。

その上で、「合衆国の公的債務の効力が問われてはならない」と規定している修正第14条に言及 し、「この権限を用いれば米国は滞りなく支払いを続けることができ、世界的な大惨事を防ぐことができる」とした。

バイデン大統領は今回、議会抜きで債務上限を引き上げるために合衆国憲法修正第14条を発動する権限が自身にあるとの考えを示したが、その法的理論を検証する時間はほとんどないと述べた。「問題は、それが可能かどうか、また異議申し立てが行われず、結果的に問題の日付を過ぎても米国債がデフォルトにならないような時期に、条項を発動することができるかどうかということだ。これは未解決の問題だ」とした。

2023/5/9 米国の債務上限問題と米憲法修正第14条



米財務次官は5月15日、デフォルト回避に向けた方法として提案された「1兆ドルのプラチナコイン(法定通貨)を鋳造する」 という考えを否定した上で、実行可能な解決策は議会が連邦債務上限を引き上げることだけだと述べた。

米国の主要メディアに「米国財務省が額面1兆ドルのプラチナコイン(法定通貨)を発行することで公的債務上限を実質的に1兆ドル引き上げることが可能 」との話が流れている。

1996年に米議会で「財務省は任意の額面、大きさのプラチナコインを法定通貨として鋳造することができる」という法律が可決された。記念貨幣発行を意識した動きであった。

しかし、財務省が例えば1兆ドルの額面のプラチナ貨幣を発行して、米連邦準備理事会(FRB)に持ち込み、財務省口座に入金すれば、米国債を発行せずに、1兆ドルが調達できることになる。このプラチナ法定通貨が市中に流通すること はなく、鋳造にあたり議会の承認も必要ない。




G7出席のため訪日中の英国のRishi Sunak首相はは5月18日、東京でのレセプションの席上、日本企業が英国への約180億英ポンド(約3兆円)の投資をコミットしていると述べた。英首相官邸が発表した。

丸紅などからの英国への投資が戦略的なクリーンエネルギー産業で質の高い雇用を生むとするとともに、英国がTPPへの参加準備を進める中、Octopus Energy、Mott MacDonaldなどの英国企業が日本でのチャンスを掴もうとしているとしている。

英国は2020年1月30日にEUを正式離脱したが、2021年2月1日にTPP加盟を申請した。

日本はすでに英国に920億ポンドを投資し、英国 への第5位の投資国となっており、昨年の英国の商品とサービスの貿易額は277億ポンドに達して いる。英国がTPP貿易圏に参加すればさらに増加する可能性が高いとしている。

Sunak首相によると、日本企業の英国投資は次の通り。(概算170円/英ポンドで換算)

1.丸紅 10年間で100億ポンド(1.7兆円)

洋上風力発電、低炭素水素、その他のクリーンエネルギープロジェクト(Scotlandでの海上風力発電、Wales、Scotlandでのグリーン水素計画を含む)への資金提供  

同社は既に2001年に電力卸売・小売事業の子会社SmartestEnergy Limitedを設立、2008年からは市場で調達した電力を個別の大規模需要者へ販売する事業も開始し、今では 「ビッグ6」と呼ばれる大手電力会社に匹敵する規模にまで急成長している。

契約電力量の約83%(2019年度)が再生可能エネルギー由来となり、容量換算で大型石炭火力発電所2基分のCO2排出量削減に相当する。米国・豪州にも拠点を設立している。

2.三菱地所と三井不動産  35億ポンド(6千億円)

ロンドンに手頃な価格の住宅、高品質のオフィススペース、ライフサイエンス研究所を建設、首都圏の活性化に貢献

3.住友商事  40億ポンド(6800億円)

英国の洋上風力発電プロジェクトを拡大 (Suffolk and Norfolk 沖のプロジェクト)
2030 年までに 50GW の洋上風力発電設備を導入するという英国政府目標をバックアップ

4.住友電工  2億ポンド以上(340億円)

スコットランド高地に戦略的に重要な高電圧ケーブル製造工場を建設
英国が洋上風力発電プロジェクトなどの重要なインフラ向けに強靱なサプライチェーンを構築するのに貢献

5.東芝  

ケンブリッジ研究所での事業(高度な量子安全暗号通信ソリューションの設計と提供)を拡大 、英国の最先端産業の成長を支援 当初は30人以上の新規雇用を創出し、新技術開発に2,000万ポンドを超える投資を行っている。
     

以上の1~4の合計で177億ポンド

ーーー

英国企業の日本での活動例は下記の通り。

英国企業Octopus Energy Groupは当日、2027年までにアジア太平洋地域のエネルギー市場に15億ポンドを投資し、この地域のよりクリーンでスマートなエネルギーシステムへの移行を加速するというコミットメントを発表した。

同社は持続可能なエネルギーを専門とする英国の再生可能エネルギー グループで、ファンド管理会社オクトパスグループの支援を受けて2015年に設立された。

既存のアジア本社を倍増して、東京の技術革新とエネルギー小売拠点の拡大に3億ポンドを投じる 。

日本との防衛協力を拡大する中、Leonardo UKは川崎重工業と提携し、海上自衛隊にさらなる世界クラスの海軍ヘリコプターと中型改修キットを提供する契約を結んだ。その額は1億5,000万ポンドを超える。

Leonardo UKは、2018年に設立された英国のTeam Tempestプロジェクト(英国空軍と英国の業界パートナーが戦闘航空技術の発展を目的として共同出資したテクノロジーイニシアチブ)の創設メンバーで、第6世代戦闘機の技術開発に携わっている。三菱電機とは2018年からレーダーの共同開発に取り組んでいる。

英国のコンサルタント会社Mott MacDonaldも、英国の洋上風力発電に関する専門知識を基に、西日本で17万5000世帯以上の家庭にクリーンエネルギーで電力を供給できる最先端の洋上風力発電所の開発を支援する大型契約を獲得した。

モットマクドナルドジャパンは2009年の設立以来、日本国内においてはエネルギー分野のテクニカルアドバイザーとして、特に電力セクターにフォーカスしてきた。

ーーー

Sunak首相は次のように述べた。

これらの新しい投資は、日本の一流企業のいくつかからの、英国のダイナミックな経済への大きな信頼の表れです。政府や英国産業と協力して、私たちは全国各地で提供しているような、高品質で信頼性のある雇用と地域への変革的な投資を創出します。

また、英国の主要企業が日本での成長と協力の巨大な機会を活かしているのを見ることも素晴らしいです。

私たちが貿易関係をさらに拡大し、巨大な地域のCPTPP貿易ブロックに加わるにつれて、英国と日本の企業や起業家にとっては可能性が無限大です。

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各社の決算については下記を参照。左枠の社名をクリックしてください。

  http://www.knak.jp/kessan/


武田薬品については複雑で、分析未完。

塩野義製薬は①COVID-19 飲み薬ゾコーバが売上高と営業損益に大きく貢献、②売上高に多額のロイヤリティ収入を含む。

塩野義が出資するGSK、PfizerとのJVは、塩野義が供与した薬品について米国ギリアド・サイエンシズ の特許侵害訴訟和解で 22/3月期に一時金とロイヤリティ を受領した。ViiVの利益は配当の形で塩野義に払われるが、本年度は多額の一時金・ロイヤリティがあるため、配当が612億円の多額にのぼった。(株主帰属損益に営業損益に加え、受取配当金が加わる。)

2023/5/11 主要企業の2023年3月期決算 塩野義製薬 



住友ファーマについては、下記の住友化学決算を参照。

2023/5/17 主要企業の2023年3月期決算 住友化学


田辺三菱製薬は三菱ケミカルの100%子会社となり、決算発表なし。特記事項については下記の三菱ケミカルを参照。

2023/5/15 主要企業の2023年3月期決算 三菱ケミカルグループ㈱


売上高

コア営業損益

株主帰属損益



3月期決算の発表がほぼ終わった。

各社の決算については下記を参照。左枠の社名をクリックしてください。

  http://www.knak.jp/kessan/

下記の各社については既報のブログを参照してください。

2023/5/1 主要企業の2023年3月期決算  信越化学
2023/5/15 主要企業の2023年3月期決算 三菱ケミカルグループ㈱
2023/5/17 主要企業の2023年3月期決算 住友化学
2023/5/11 主要企業の2023年3月期決算 塩野義製薬 (本リストには医薬品メーカーは除外している)


主要各社の決算の対比を行った。


三菱ケミカルは大陽日酸の産業ガス(欧州向け)が貢献


信越化学は米国Shintechの増設で驚異的な増益  更に2023年末にはVCM、PVCの増設2期が 完成する。ブログ参照
三菱ケミカルの増益は、
ヘルスケアの過年度分(3年間)を含めロイヤリティ 1259億円を計上したため。
住友化学の大減益はサウジのPetroRabigh と住友ファーマが原因 ブログ参照
三井化学は石油化学の減益、東ソーはクロルアルカリが大減益
帝人は医薬品「フェブリク」の後発品参入や薬価改定等で減益、マテリアルが赤字化


三菱ケミカルは、英国のMMA工場閉鎖と田辺三菱のカナダのコロナワクチンメーカーの閉鎖で1439億円の減損
住友化学は住友ファーマの医薬品研究費の減損と北米事業構造改善費用などで933億円のほか、メチオニンの減損158億円など

旭化成 2023/3/10 旭化成、リチウムイオン電池のセパレーター生産の米子会社Polyporeで減損損失 1,850 億円を計上





石油化学と医薬品が大幅減益となり、住友ファーマの減損損失も大きく、株主帰属損益はほぼゼロとなった。2024年3月期もこの状態が続く。

配当は前年の24円を18円に下げた。2024年3月期は更に6円引き下げる。 

単位:億円 売上高

営業損益

税引前
損益
株主帰属
損益
配当(円)
コア うち
持分法
非コア 合計 中間 期末
2021/3 22,870 1,476 -125 -105 1,371 1,378 460 6 9
2022/3 27,653 2,348 422 -198 2,150 2,511 1,621 10 14
2023/3 28,953 928 -68 - 1,237 - 310 2 70 12 6
増減 1,300 -1,420 - 490 -1,040 -2,460 - 2,509 -1,551 2 -8
2024/3予 29,000 400 -200 200 100 6 6


コア損益

19/3 20/3 21/3 22/3 23/3 増減 24/3
エッセンシャルケミカルズ 616 145 -120 535 -342 -877 -70
エネルギー・機能材料 230 203 203 201 152 -49 130
情報電子化学 262 251 397 578 476 -102 380
健康・農業関連 197 21 315 423 573 150 620
医薬品 808 753 717 617 162 -455 -610
その他 94 88 128 158 104 -54 150
全社 -164 -134 -164 -164 -197 -33 -200
合計 2,043 1,327 1,476 2,348 928 -1,420 400


石油化学をエッセンシャルケミカルズに改称

住友化学が37.5%出資するPetroRabigh の影響が大きい。
2021年は大幅な黒字となったが、2022年は大赤字となった。
2023/1Q速報では税引後損益は-257百万ドルとなった。(2022/1Qは193百万ドルの黒字)

百万ドル 2022 2021  増減
売上高 14,921 12,170 2,750
粗利益 449 1,268 -819
営業損益 3 851 -848
税引後損益 -297 543 -840

2022/4~2023/3 ベースでは税引き後損益は-747百万ドル

同じサウジの石化のSABIC も 2022年決算で、石油化学製品の値下がりで3-4Q損益が激減、2023/1Qの純損益は1.8億ドルにとどまった。
 


医薬品は下記、住友ファーマ(旧称:大日本住友製薬)を参照。


非コア項目 住友ファーマを中心に、巨額の損失を計上した。

合計 うち 住友ファーマ
2020/3 2021/3 2022/3 2023/3 2020/3 2021/3 2022/3 2023/3
減損損失 -373 -408 -81 -1,094 -352 -357 -16 -882
条件付対価 公正価値変動 485 225 33 34 485 225 33 34
事業構造改善費用 -78 -63 -106 -220 -130
固定資産売却益 9 187 7 52 167
その他 6 -45 -51 -9 -20 -19 45
合計 49 -105 -198 -1,237 113 16 17 -933


条件付対価 公正価値変動 (2020/3 & 2021/3):

事業買収に当たり、買収額と純資産との差は「のれん」となるが、一定条件を満たした場合に追加支払いをする契約がある。
IFRS基準ではこの場合、買収時点で将来の追加予想支払額を「のれん」と負債に計上する。

大日本製薬の場合、いくつかの買収で追加支払いが不要となり、買収時に計上した負債を消し、利益に計上した。合わせて、「のれん」を評価しなおし、減損損失を計上した。
大日本製薬の売却益は既に休止している茨木工場跡地の売却益である。

減損損失:

 住友化学
 メチオニン事業の収益予測見直しで製造設備を減損 -158億円
 ポストハーベスト事業に係る有形固定資産および無形資産(米国)-32億円

   住友ファーマ
   キンモビ特許権全額   -556億円
   TP-0903
仕掛研究開発費 -206億円

  事業構造改善費用:

   住友ファーマ 北米事業構造改善費用 -127億円

ーーー

住友ファーマ(旧称 大日本住友製薬)

2005年10月1日に住友製薬と大日本製薬が合併し、大日本住友製薬となったが、2022年4月1日付で住友ファーマに改称した。

コア営業損益が大幅減となり、多額の減損損失等を計上して株主帰属損益は745億円の赤字となった。住友化学の出資比率は 50.22%で、株主帰属損益の50.22%が住友化学連結決算に反映されている。

2024年3月期予想では非コア損失は減少するが、コア営業損益は大幅赤字となる。

単位:億円 売上高

営業損益

税引前
損益
株主帰属
損益
配当(円)
コア 非コア 合計
一般 Sumitovant 中間 期末
2021/3 5,160 1,332 -636 696 16 712 779 562 14.0 14.0
2022/3 5,600 1,454 -869 585 17 602 830 564 14.0 14.0
2023/3 5,555 1,132 -968 164 -933 -770 -479 -745 14.0 7.0
増減 -45 -322 -99 -421 -951 -1,372 -1,309 -1.309 - -7.0
2024/3予 3,620 -620 -160 -780 -810 -800

無配


1)北米で儲け頭であったラツーダが20232月に独占販売期間が終了、出荷数量の減少や販売価格の低下等で減収、今後は更に大幅減収減益となる。

   北米ラツーダ売上高 2022年度1,465百万ドル→2023年度 161百万ドル

   北米市場で2022年度の売上高は3285億円で、前年比87億円の増であったが、うち為替差益が560億円の益で、
   数量の影響は473億円の減収である。2023年度にはこれが2088億円に下がる。

2)問題は、ラツーダ後継が間に合わなかったこと。いろいろの候補医薬品が登録に成功しなかった。

3)Sumitovant Biopharmaを買収したが、まだ本格販売に至らず、多額の仕掛研究開発費の償却で大きな赤字となっている。仕掛研究開発費として2,659億円を資産計上している。

大日本住友製薬は2019年10月31日、米国のRoivant Sciences との間で、戦略的提携に関する正式契約を締結し、米国に運営会社Sumitovant Biopharmaを設立した。

更に、このうちのMyovant Sciences Ltd. 約52%買収)を2022/10/23 総額17億米ドルを支払い、100%とした。 合計投資額は6000億円となった。

2019/11/4 大日本住友製薬、Roivant Sciences と戦略的提携、30億ドルを投資 


スミトバント社関連(億円)

2021/3 2022/3 2023/3
売上収益 78 357 897
販売管理費 465 903 1,395
研究開発費 246 243 337
コア営業利益 -636 -869 -968
営業利益 -636 -865 -977
当期利益 -636 -874 -1,039
株主帰属利益 -443 -716 -817


4)2023/3 非コア損益 

キンモビ特許権全額 減損損失 -556億円
TP-0903仕掛研究開発費 減損損失  -206億円
北米事業構造改善費用 -127億円
その他  -44億円
合計 -933億円


キンモビは、パーキンソン病に伴うオフ症状の治療剤として、米国で初めて発売された新規の舌下投与フィルム製剤。サノビオン社が2020年9月に米国で販売を開始。上市後2年が経過したが、売上計画を下回る状況が続いていた。

TP-0903(dubermatinib)は、急性骨髄性白血病(AML)を対象としたフェーズ1/2試験(外部研究機関主導治験)が中止となった後、開発方針検討中であったが、開発を継続しないことを決定した。

米連邦預金保険公社(FDIC)は5月11日、3月に破綻した米地銀Silicon Valley BankSignature Bankの全額預金保護でかかった費用を回収するため、銀行に特別な負担金を課す案を公表した。

地方銀行破綻で目減りした預金保険基金の補充で、113の銀行が計158億ドルを負担する。うち95%以上を資産規模500億ドルを超す大手・中堅銀行が支払う。


本年3月以降、米国の3銀行が相次いで破綻した。

Silicon Valley Bank 2023/3/10 破綻、First Citizens BancSharesが買収

Signature Bank  2023/3/12 破綻 New York Community Bancorpが買収

First Republic Bank 2023/5/1 破綻  JPMorgan Chaseが資産、負債買収 

経営不安が広がったSilicon Valley Bankでは預金保護の対象とならない非付保預金が大量に流出し、経営破綻に追い込まれた。
同行は長期財務証券に巨額の資金を投資していた。(短期の預金を長期の証券で運用するというミスマッチがあったが、金利の急速な引き上げで
債券の価格が下落し、損失が膨らんだことが大きい。一部からはFRBの急速な引き締めが金融危機を誘発していると指摘する声が上がった。)

米国では金融機関が加盟する連邦預金保険公社(FDIC) が1口座あたり25万ドルを上限に保護する仕組みがあるが、Silicon Valley Bankはスタートアップ業界を顧客としており、2022年末の預金残高約1750億ドルのうち89%に当たる約1560億ドル(約21兆円)は預金保護の対象外だった。

First Republic BankはSilicon Valley Bankと同様、非付保預金が全体に占める割合が高かった

Silicon Valley Bank破綻後に米金融当局は預金の全額保護を打ち出したが、顧客から預金保険制度の限界を見抜かれて預金の流出を止めきれなかった。 顧客は数日のうちに約1,000億ドルの預金を引き出した。

JPMorgan ChaseはFDICが実施した緊急入札で落札、First Republicの下記の資産と負債を引き受け、対価として106億ドルをFDICに支払う。

2023/5/3  全米14位のFirst Republic Bankが破綻、3月以降で3行目



Silicon Valley Bank
Signature Bankの破綻処理をめぐり、FDICなどの米当局は金融システムの混乱拡大を防ぐため、2行の預金を全額保護する特例措置を決めた。25万ドルが上限の預金保険の保護対象を広げたことで、2022年末時点で1282億ドルあった預金保険基金に損失が生じることになった。

預金保険基金からは、Silicon Valley BankSignature Bankの破綻に伴って預金全額保護措置を講じた際に158億ドルが引き出された。

さらにFDICが接収したFirst Republic BankJPMorgan Chaseが買収するに当たり、基金は130億ドルの支払いを強いられる。

連邦預金保険法は銀行からの追加の負担金徴収で損失を穴埋めするよう求めており、今回、FDICがその実行に向けた規則案をまとめたもの。

FDICはこの穴埋めとして、資産50億ドルを超える銀行(合計113行)に各保険対象預金の0.125%を「特別賦課金」として徴収する。来年6月から2年間、四半期ごとに8回に分けて徴収される予定。

資産500億ドル超の銀行が特別賦課金の95%余りを支払うことになる。
一方で資産50億ドル未満の銀行は負担の義務はない。

米銀最上位14行の支払額は推定で年間58億ドルに上る。

今後2カ月間の意見公募などを経て最終規則をまとめる。徴収額などは今後修正される可能性もある。

FDICのGruenberg総裁は声明で「今回の提案は保険対象外の預金者の保護で最も恩恵を受けた銀行に特別な負担金を課すものだ」と説明した。
Silicon Valley Bankなどに講じた預金の全額保護が安心感をもたらし、他の銀行の大口預金流出を防ぐ効果があったため、大口預金の多い大手銀行に相応の負担を求める形にした。中小銀行に過度な負担が生じないよう配慮した面もある。

FDICは預金保険の拡充策の検討も進めている。事業会社の決済口座に絞って保険でカバーする金額を大幅に引き上げる案が最有力だとした。制度変更には米議会の承認が必要で、与野党の対立が目立つ現在の政治情勢で議論が難航する可能性もある。

ーーー

米銀の破綻を契機とした金融不安がくすぶっているが、新潟で開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議は5月13日の共同声明でこの問題を取り上げた。

世界経済と経済政策:

「監督・規制当局と引き続き緊密に連携して金融セクターの動向を監視する。金融安定及びグローバルな金融システムの強靱性を維持するために適切な行動をとる用意がある。

我々の金融システムが強靱であることを再確認する。我々は銀行部門におけるデータ、監督及び規制のギャップに対処する。」

鈴木財務相コメント

金融システムは強靭であるとの認識を共有した上で、引き続き警戒心を持って動向を注視し、金融安定およびグローバルな金融システムの強靭性を維持するために適切な行動をとる用意があることに合意した。

Social Networking Serviceなどで信用不安が瞬時に広がる。主要国の金融当局でつくる金融安定理事会などで教訓をしっかりと棚卸しして、金融システム強化のために優先的に取り組む事項を検討していきたい。

植田日銀総裁コメント

リーマンショックの金融危機以降に合意された金融規制改革が徹底されていない部分について実行していく。米国の中堅銀行の場合は監督当局と銀行との対話が十分でなかった反省もあり、そういうギャップを埋めていく努力が含まれると思う。

コア営業損益は増益だが、非コア損益で多額の赤字を計上、株主帰属損益は減益となった。

なお、田辺三菱製薬が多発性硬化症治療剤「ジレニア」のNovartis Pharma へのライセンスの係争で過去3年間、ロイヤリティ収入の計上を止めていたが、仲裁で勝ち、本年度に過去分を含め1259億円を計上 した。

この過去分を除外するとコア損益も減益と思われる。

単位:億円
売上高

営業損益

税引前
損益
株主帰属
損益
配当(円)
コア 非コア 合計 中間 期末
2021/3 32,575 1,747 - 1,272 475 329 - 76 12 12
2022/3 39,769 2,723 309 3,032 2,904 1,772 15 15
2023/3 46,345 3,256 - 1,428 1,827 1,680 901 15 15
増減 6,576 532 -1,737 - 1,205 - 1,224 - 871
2024/3予 45,550 2,500 -110 2,390 2,010 970 16 16


2021/3月期と2023/3月期に多額の特別損失を計上した。いずれもMMAと田辺三菱製薬関連分が大きい。

2021/3 2023/3
MMA テキサス州工場閉鎖関連損失  -236億円 MMA  英国工場閉鎖関連損失 -687億円
田辺三菱製薬 ニューロダーム減損  -845億円 カナダの新型コロナワクチンメーカー メディカゴ 清算  -574億円
その他   -191億円 その他   -167億円
合計  -1,272億円 合計 -1,428億円


コア営業損益

 

'19/3 '20/3 '21/3 '22/3 '23/3 増減 '24/3予
(機能部材) 382 395
(機能化学) 331 218
Specialty Materials 597 787 515 -272 730
MMA 944 238 131 318 -37 -355 100
石化 87 -21 17 446 26 -420 160
炭素 249 81 10 258 103 -155 60
産業ガス 633 880 851 989 1,210 221 1,250
ヘルスケア 538 165 179 -70 1,418 1,488 200
その他/全社 -23 -8 -38 -5 20 25 0
合計 3,141 1,948 1,747 2,723 3,255 532 2,500


機能商品セグメント(Specialty Materials) :
ディスプレイ用途をはじめとして総じて需要が減退したことやインフレを背景とした費用の増加等によ減益

MMA:海外売上で為替の影響等による増加はあるもの需要の減退に伴い販売数量が減少、MMAモノマー等の市況が下落したことにより減益、赤字となった。

   MMAモノマーの価格変動は激しく、損益は極端に変動する。 ('19/3 +944億円、'23/3 赤字)

MMA、石化、炭素は前年は原料価格上昇による在庫評価益が450億円もあり、大増益となったが、当期は本来の姿に戻った。

産業ガス:国内外の需要が堅調に推移したことに加燃料価格の上昇に伴う販価格の上昇や為替影響等により増益となった。

ヘルスケア:田辺三菱製薬コア営業損益の大半がロイヤリティ収益である。

多発性硬化症治療剤「ジレニア」のNovartis Pharmaへのライセンスの係争で過去3年間、ロイヤリティ収入の計上を止めていた。 本年度に過去分を含め1259億円を計上 した。

2023/2/15 国際商業会議所の仲裁判断で田辺三菱製薬のロイヤリティ収入が復旧

ーーー

三菱ケミカルグループは、2021年12月に発表した新経営方針「Forging the future 未来を拓く」において、石化・炭素事業の2023年度のカーブアウトを打ち出した。石油化学事業について、パートナーを選定した上で、2024年度に合弁会社の設立を目指す。炭素事業は売却する。

2023/2/28 三菱ケミカルグループ、経営方針「Forging the future 未来を拓く」に関する今後の実行計画  

中国国家統計局が5月11日発表した2023年4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比 +0.1% であった。 豚肉 (価格変動が極端)など食品価格の伸びが和らいだほか、原油安を反映してガソリンなど交通燃料の値下がり幅が拡大した。

中国はエネルギーや食糧の自給率が比較的高いうえ、政府が近年これらの備蓄を強化しており、値上げ圧力を吸収しやすい面があるが、「自動車や家電など工業品の消費が弱く、輸出の伸びにも限界があり、在庫が増えた結果、価格競争が起きている」(丸紅中国)。「デフレの兆候が強くなってきた」との指摘も出てきた。

英国は3月にまだ10%を超えており、長期間デフレで悩んできた日本でも3%を超えている。欧米や日本と比較すると異常な低さである。

10月 11月 12月 23/1月 2月 3月 4月
ユーロ圏 +10.6% +10.1% +9.2% +8.6% +8.5% +6.9% +7.0%
英国 +11.1% +10.7% +10.5% +10.1% +10.4% +10.1%
中国 +2.1% +1.6% +1.8% +2.1% +1.0% +0.7% +0.1%
米国 +7.7% +7.1% +6.5% +6.4% +6.0% +5.0% +4.9%
同PCE +6.1% +5.7% +5.3% +5.4% +5.1% +4.2%
同UIG
price-only
+5.35% +4.96% +4.53% +4.19% +3.90% +3.60% 3.37%
日本 +3.7% +3.8% +4.0% +4.3% +3.3% +3.2%


2021年1月以降で3%を超えた月はなく、コアCPI(食品とエネルギーを除いた核心CPI)でみると、2020年以降でも最高は2020/1の1.5%である。2023/3は0.7%である。

CPI 食品 うち豚肉 非食品 Core CPI PPI
21/1 -0.3 1.6 -3.9 -0.8 -0.3 0.3
2 -0.2 -0.2 -14.9 -0.2 -0.3 1.7
3 0.4 -0.7 -18.4 0.7 0.3 4.4
4 0.9 -0.7 -21.4 1.3 0.7 6.8
5 1.3 0.3 -23.8 1.6 0.9 9.0
6 1.1 -1.7 -36.5 1.7 0.9 8.8
7 1.0 -3.7 -43.5 2.1 1.3 9.0
8 0.8 -4.1 -44.9 1.9 1.2 9.5
9 0.7 -5.2 -46.9 2.0 1.2 10.7
10 1.5 -2.4 -44.0 2.4 1.3 13.5
11 2.3 1.6 -32.7 2.5 1.2 12.9
12 1.5 -1.2 -36.7 2.1 1.2 10.3
22/1 0.9 -3.8 -41.6 2.0 1.2 9.1
2 0.9 -3.9 -42.5 2.1 1.1 8.8
3 1.5 -1.5 -41.4 2.2 1.1 8.3
4 2.1 1.9 -33.3 2.2 0.9 8.0
5 2.1 2.3 -21.1 2.1 0.9 6.4
6 2.5 2.9 -6.0 2.5 1.0 6.1
7 2.7 6.3 20.2 1.9 0.8 4.2
8 2.5 6.1 22.4 1.7 0.8 2.3
9 2.8 8.8 36.0 1.5 0.6 0.9
10 2.1 7.0 51.8 1.1 0.6 -1.3
11 1.6 3.7 34.4 1.1 0.6 -1.3
12 1.8 4.8 22.2 1.1 0.7 -0.7
23/1 2.1 6.2 11.8 1.2 1.0 -0.8
2 1.0 2.6 3.9 0.6 0.6 -1.4
3 0.7 2.4 9.6 0.3 0.7 -2.5
4 0.1 0.4 4.0 0.1 0.7 -3.6


生産者物価指数(PPI) は変動幅が大きいが、消費者物価指数はほとんど影響を受けていない。


2022年通年のCPI伸び率は、政府目標は 3%前後 であったが、実績は2.0%だった。

「新型コロナウイルス禍前のトレンドに比べて需要に大きなギャップが残っており、緩和するまで3-5年を要する可能性がある」との見方がある。

新型コロナウイルスの厳格な感染防止措置の解除後も、景気回復はまだら模様であることが鮮明になり、当局による追加刺激策の必要性を裏付ける内容となった。

当期は受取配当が急増し、受取ライセンス料とともに収益に貢献した。 COVID-19 飲み薬ゾコーバが売上高と営業損益に大きく貢献した。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 コア営業 税引前 株主帰属
当期損益

配当

中間 期末
2021/3 2,972 1,174 940 1,430 1,119 53 55
2022/3 3,351 1,103 1,106 1,263 1,142 55 60
2023/3 4,267 1,490 1,585 2,203 1,850 60 75
前年比 915 387 479 941 708 5 15
2024/3 4,500 1,500 1,925 1,550 75 75


売上高

 ・ 2023年3月期には、COVID-19関連売上高として1,047億円を含む。(前年度はゼロ)

新型コロナ飲み薬「ゾコーバ」で、これが前年比増収の大半となる。営業損益への貢献も 極めて大きいと思われる。

2022/7/25 塩野義コロナ飲み薬、「緊急承認」見送り → 承認

同社はワクチンも承認申請している。

2022/11/26 塩野義製薬、COVID-19ワクチンS-268019の国内における製造販売承認申請 

 ・ 塩野義の売上高には下記のロイヤリティを含み、この増加が営業損益に貢献

'17/3 '18/3 '19/3 '20/3 '21/3 22/3 23/3 24/3予
ViiV HIV治療薬 733億円 1,035億円 1,244億円 1,281億円 1,234億円 1,740億円 1,685億円 1,850億円
AstraZeneca クレストール 330億円 226億円 220億円 223億円 166億円 12億円 13億円
その他 94億円 289億円 339億円 165億円 47億円 61億円 49億円 45億円
合計 1,157億円 1,550億円 1,830億円 1,669億円 1,446億円 1,813億円 1,747億円 1,895億円

 
・塩野義が参加するViiVと米国ギリアド・サイエンシズ の特許侵害訴訟が2021年度中に和解、 22/3月期に一時金とロイヤリティ を受領した。

  塩野義は同社のHIV薬(インテグレース阻害薬dolutegravir)でViiVに参加している。

     

ViiV、GSKおよび塩野義は、Gilead SicencesのBiktarvy(bictegravirを含む3剤配合の抗HIV薬)が、塩野義が創製しViiVに権利を移転したdolutegravirならびにその関連化合物を包含する特定の特許を侵害しているとして、2018年2月以降、訴訟を提起した。このたびの和解により、米国、英国、日本をはじめとする全9ヵ国での特許侵害訴訟は中止される。また、ViiV、GSK、塩野義製薬の3社は、Gileadとの間において、ViiVが保有するdolutegravirの関連特許に係るライセンス契約を締結した。

このたびの和解ならびにライセンス契約の締結により、GileadはViiVに対して12.5億米ドルの一時を2022年1~3月期に支払う。加えてGileadは、今後の米国におけるBiktarvyの売上高(参考:2020年 60.9億米ドル)およびbictegravirを成分に含む将来の製品売上高のbictegravirに係る金額に対して、3%のロイヤリティーをViiVに支払う。

塩野義は一時金より230~250百万米ドルを受領する。

・塩野義が受け取ったロイヤリティは、上図の 22/3月期のViiV HIV治療薬に含まれる。

・ViiVが受け取った一時金・ロイヤリティは配当の形で塩野義にも配分される。IFRS方式 を採用する塩野義の決算では、受取配当は金融収益として税引前損益に含まれる。

税引前損益 に含まれる受取配当金

'17/3 '18/3 '19/3 '20/3 '21/3 '22/3 '23/3
配当金 180億円 265億円 299億円 276億円 234億円 130億円 612億円

     
22/3月期の配当は4QにおけるViiV社からの配当金受領の 翌期へのずれで減少
23/3月期 
記訴訟に伴う一時金をViiVが受領したことによる配当金の増四半期に受領予定であったViiVからの配当金が四半期に期ずれしたことによ612億円の多額となった。

米医薬品大手Ely Lillyは5月3日、同社が開発したアルツハイマー病治療薬「ドナネマブ (Donanemab) 」の後期臨床試験で、ドナネマブを投与した患者は薬効のない偽の薬(プラセボ)を投与した患者に比べて認知機能の低下が35%抑えられたとの結果を発表した。

ドナネマブは臨床試験での全ての目標を達成した。

アルツハイマー病の初期段階と診断された1182人を対象にした臨床試験で、投与を受けた人の認知機能の低下は、プラセボを投与された人と比べて35―36%遅らせることができた。効果がみられた対象患者は脳のスキャン画像でアミロイドたんぱくの脳内沈着とタウたんぱくが中間水準であることを示していた。

他にタウたんぱくが高水準だった552人の患者に実施した試験では、あまり効果がない可能性が高いことが示唆された。

これらの両方の患者を合わせたドナネマブの試験結果で、認知機能と日常生活を送るための活動を測定するためにIly Lillyが開発した基準で22%、より一般的な認知症進行の基準では29%、それぞれアルツハイマー病の進行を遅らせることが可能なことを示した。

対象者の約24%で脳の腫れ、これと重複する31.4%で脳の出血がみられ、同様の薬にみられる副作用があった。

アルツハイマー病協会の最高科学責任者は「今回のデータは、これまでのアルツハイマー病治療薬の第3相試験の結果としては最も強力だ」と評価している。


Ely Lillyは2021年6月末に、アルツハイマー病薬「Donanemab」が画期的治療薬の指定を受けたと発表した。

画期的医薬品指定制度は2012年のFDA安全・イノベーション法により規定された。同制度は、既存治療法を上回る劇的な改善を示す製品の開発の迅速化を目指すもので、具体的には、FDAは開発が順調に進むように上級幹部を早くから関与させ、指定製品の臨床試験を簡略化することを認める。

同社は2023年1月19日、「Donanemab」についてFDAが迅速承認(Fast track)を認めなかったと発表した。

迅速承認は、重篤もしくは生命を脅かすような疾患を対象として、臨床上の有用性が予測できるような代替的な評価項目に基づいて医薬品を承認する仕組みで、いわば仮免許であり、その後の検証的試験で臨床的有用性を示すことなどが必要となる。

しかし、審査ではFDAへの臨床試験データ提出で、同薬で少なくとも12か月治療した患者のデータ数が不十分とされた。 

2023/1/25 米イーライリリーのアルツハイマー薬、FDAが迅速承認を認めず


今回の治験で十分な人数分のデータが集まったとされる。

同社は米国では6月までに、日本でも年内に承認申請する。

ーーー

アルツハイマー型認知症の原因は未だ解明されていないが、進行に伴っていくつかの特有の病変が見られる。例えば、神経細胞の外側では「アミロイドβ」が蓄積して老人班を形成し、神経細胞の中では「タウタンパク」が蓄積してタンパク質が糸くず状に変化したようなもの(神経原繊維変化)が見られるようになる。

「Aβ(アミロイドβ)仮説」: 脳の神経細胞外にAβが蓄積タウ蛋白のリン酸化神経原線維変化細胞毒性が生じ、神経細胞が死滅認知症を発症

 抗Aβ抗体:Aβを除去

 抗タウ抗体:タウを除去したり、タウの凝集を阻害

 T-817MA:神経細胞保護効果や神経突起伸展促進効果のあるT-817MA投与で、リン酸化タウの減少を確認。

Ely Lilly 「ドナネマブ」  

Aβペプチドは脳内に沈着し、過剰になると互いに結合してタンパク質プラークを形成するが、ドナネマブはこのタンパク質プラークを標的とし、脳内で負担となる余分なタンパク質を除去する。
単に新しいプラークの沈着または既存のプラークの成長を防ぐのではなく、沈着したプラーク自体を標的にすることが、脳から既存のアミロイド負荷を取り除くために必要)

以前のプラーク結合抗体のいくつかは、脳に微小出血を引き起こしたために放棄されたが、これは微小出血を引き起こすことなくマウスのプラークを除去することが報告されている。

詳細は 2021/8/17 アルツハイマー病治療薬を巡る話題

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エーザイとBiogenは2013年1月7日、米国FDAアルツハイマー病の新薬の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体LECANEMAB開発コード:BAN2401、米国ブランド名:LEQEMBI™ 注射 100 mg/mL 溶液)について、アルツハイマー病の治療薬として、迅速承認したと発表した。

LECANEMAB(BAN2401)は、アルツハイマー病に対する免疫療法剤創製を目的としたヒト化モノクローナル抗体で、ベータ・アミロイド(Aβ)を分解除去する。

エーザイは1月11日、「レカネマブ」について、欧州医薬品庁(EMA)に販売承認を申請したと発表した。1月16日に、厚生労働省所管の医薬品医療機器総合機構(PMDA)に承認を申請したと発表した。

2023/1/9 エーザイのアルツハイマー治療薬、FDAから迅速承認を取得 

2023年1月19日に債務は31兆4000億ドルの上限に到達した。数カ月以内に財政危機を招く恐れがある。

下院議会は4月26日、連邦債務上限を最大1兆5,000億ドル引き上げ、連邦政府の支出を4兆5,000億ドル削減する法案を賛成217、反対215で可決した。

法案は上院に送られるが、上院民主党トップの"Chuck" Schumer 院内総務は「上院に到着した直後に廃案になる」と述べており、民主党が多数の上院で可決される見込みは低い。

米財務省は早ければ6月1日にも支払い不能になる恐れがあると警告しており、議会が債務上限を引き上げるための時間は限られつつある。

2023/5/2 米債務上限問題で与野党が攻防


付記

バイデン大統領は5月9日、債務の上限引き上げを巡り、下院共和党のマッカーシー下院議長とホワイトハウスで会談したが、上限引き上げの合意には至らなかった。5月12日に再協議する。


一部の法律専門家は、議会が行動しなかった場合、大統領は連邦政府が支払いを継続できるよう憲法修正第14条を発動して危機を回避する選択肢があると指摘する。

バイデン米大統領は5月5日、米国債のデフォルトを回避するために合衆国憲法修正第14条を発動する可能性について、「まだそこには至っていない」と述べた。

この選択肢を排除していないことを初めて示唆したが、関係者によると、ホワイトハウスや他の政権当局者はこの選択肢を検討したものの、法廷闘争を乗り切る可能性の低い最後の策として却下する意見が大勢だったという。

イエレン財務長官は5月7日、議会が債務上限を引き上げることなく「大統領が債券を発行し続けることが可能かどうかを、われわれが検討する必要が生じる段階に進むべきではない」と発言、「こうしたことは憲法上の危機を招くだろう」と語った。


2011年には財務省の特別チームが、第4節前段の適用により債務上限に関係なく財務省証券を発行し続けることが可能かを協議していることが報道された。

しかし当時のオバマ大統領は7月6日に「憲法に論点を移すことなど考えるべきでない」とこの議論を批判し、ホワイトハウスは7月27日に「憲法を引用することで突然借り入れが可能になることはない」との公式見解を示した。カーニー大統領報道官は「容易な解決策などない。トリックはなく、憲法を引用することで突然借り入れが可能になることはない」と言明し、修正第14条が問題の解決策にはならないとの考えを示した。

ーーー

憲法修正第14条は、南北戦争後に成立した3つのアメリカ合衆国憲法修正条項の1つであり、元奴隷の権利を確保することが意図されたものである。これには適正手続条項や平等保護の条項が含まれている。1866年6月13日に提案され、1868年7月9日に批准された。

修正第14条 

第1項 
合衆国内で生まれまたは合衆国に帰化し、かつ、合衆国の管轄に服する者は、合衆国の市民であり、かつ、その居住する州の市民である。いかなる州も、合衆国市民の特権または免除を制約する法律を制定し、または実施してはならない。いかなる州も、法の適正な過程によらずに、何人からもその生命、自由または財産を奪ってはならない。いかなる州も、その管轄内にある者に対し法の平等な保護を否定してはならない。 

第2項 
下院議員は、各々の州の人口に比例して各州の間に配分される。各々の州の人口は、納税義務のないインディアンを除き、すべての者を算入する。

但し、合衆国大統領および副大統領の選挙人の選出に際して、または、連邦下院議員、各州の執行部および司法部の官吏もしくは州の立法部の議員の選挙に 際して、年齢21 歳に達し、かつ、合衆国市民である州の男子住民が、反乱またはその他の犯罪に参加した こと以外の理由で、投票の権利を奪われ、またはかかる権利をなんらかの形で制約されている場合には、 その州の下院議員の基礎数は、かかる男子市民の数がその州の年齢21 歳以上の男子市民の総数に占める割合に比例して、減じられるものとする。

第3項 
連邦議会の議員、合衆国の公務員、州議会の議員、または州の執行部もしくは司法部の官職に ある者として、合衆国憲法を支持する旨の宣誓をしながら、その後合衆国に対する暴動または反乱に加わ り、または合衆国の敵に援助もしくは便宜を与えた者は、連邦議会の上院および下院の議員、大統領およ び副大統領の選挙人、文官、武官を問わず合衆国または各州の官職に就くことはできない。但し、連邦議会は、各々の院の3 分の2 の投票によって、かかる資格障害を除去することができる。

第4項 
法律により授権された合衆国の公の債務の効力
は、暴動または反乱の鎮圧のための軍務に対する恩給および賜金の支払いのために負担された債務を含めて、これを争うことはできない。
(The validity of the public debt of the United States, authorized by law, including debts incurred for payment of pensions and bounties for services in suppressing insurrection or rebellion, shall not be questioned. )
   
但し、合衆国 およびいかなる州も、合衆国に対する暴動もしくは反乱を援助するために負担された債務もしくは義務につき、または奴隷の喪失もしくは解放を理由とする請求につき、これを引き受けまたは支払いを行ってはならない。かかる債務、義務または請求は、すべて違法かつ無効とされなければならない。

第5項 連邦議会は、適切な立法により、この修正条項の規定を実施する権限を有する。



問題は第4項で、公的債務の妥当性が法律によって承認されていることを定めている。

第4条の主文の意味を「ChatGPT」に聞いたところ、下記の返答があった。

この文は、アメリカ合衆国憲法第14条の4項目であり、アメリカ合衆国の公的債務の妥当性が法律によって承認されていることを定めています。この債務には、反乱や蜂起を鎮圧するためのサービスに対する年金や賞金の支払いなどが含まれます。この条項は、アメリカの財政的安定性と信用力を維持するために重要であり、政府が債務不履行に陥ることを防止するために制定されました。つまり、アメリカ合衆国の公的債務の妥当性は、法律によって認められており、その妥当性に疑問を投げかけることはできないということです。

政権が債券発行を継続できるかを巡って憲法学者やエコノミストの間で解釈が分かれている。裁判所がこの条項を扱った例はほとんどない。




Armが米国市場上場へ

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ソフトバンクグループ傘下の英半導体開発大手Arm Limitedが4月29日、米国証券取引委員会に普通株式を対象とした米国預託株式(ADS)の新規公開計画に必要な届け出書類のドラフト版を提出した。

ソフトバンクグループは、新規株式公開の完了後もArmが引き続き連結子会社であることを想定していると発表した。

新規株式公開の規模及び価格帯はまだ決定されていないが、報道によると、80億~100億ドルの資金調達を目指しているとされる。

英政府はロンドン証券取引所で上場するよう求めており、1月の時点ではロンドン証券取引所への上場についてスーナク英首相がソフトバンクと協議を再開したと報じられていた。

しかし Arm は今回、米株式市場への単独上場が「最善の道だと判断した」としている。Armは英国内の本社は維持するとした上で「今後も英国政府とは協力していく」との見解を示した。

投資銀行業界はArmの企業価値は300億〜700億ドルとみていると報道されている。

ーーー

Armは、英国ケンブリッジに本社機能を置いた半導体メーカー。1990年に設立し、一時は英国で上場していた。

同社が設計開発した「ARM Architecture」をベースとしたCPUは、ほとんどの携帯電話メーカーに採用されている。「Nintendo Switch」や、無線LANを中心としたネットワーク機器にも採用、2023年1月にAppleの「Macbook」への搭載もスタートした。

Armは自社でCPUの製造を行わず、あくまで設計開発とライセンス提供のみを行っている。製造については最大手ファンドリー「台湾TSMC」とのパートナー関係を構築している。


ソフトバンクグループは
20169月に日本企業の海外買収案件としては過去最大の240億英ポンド(310億米ドル)Armを買収した
(このうち24.99%をソフトバンク・ビジョン・ファンドに移管した。)

ソフトバンクグループは2020年9月13日、傘下の Arm Limited の全株式を米国の半導体メーカーであるNVIDIA Corporation対して最大400億米ドルと評価した取引売却することについて最終的な契約の締結に至ったと発表した。取引は、英国、中国、EU及び米国を含む必要な規制当局の承認、その他の一般的なクロージング要件の充足を条件とし、完了までに18カ月かかる見込んだ。

Armの事業のうちIoTに関連するサービス事業のInternet-of-Things Services Group本取引の対象外で本取引の完了までにArmから分離され

2020/9/15 ソフトバンク、Arm LimitedをNVIDIA に売却

これを受け、Google、Microsoft、Qualcomm などが規制当局に苦情を申し立てた。

EUの欧州委員会は2020年10月27日、本買収について競争法(独占禁止法)に基づく本格調査に入ったと発表した。ArmがNVIDIAの傘下に入ることで価格の上昇などを招く可能性があると懸念している。

米FTCは2020年12月2日、反トラスト法に基づき、買収差し止めを求める訴訟を起こした。NVIDIAの競合企業もArmの技術に依存しており、買収を認めれば、技術支配力を利用して競合他社を弱体化させるとした。
裁判は2022年8月9日に開廷の予定であった。

英政府も安全保障の見地から調査するよう英競争・市場庁(CMA)に指示するなど規制当局からの認可取得は難航していた。 

ソフトバンクグループ(SBG)とNVIDIA Corporationは2022年2月8日、NVIDIAがSBGからArm Limitedの株式を取得する契約を解消したと発表した。
取引完了のために誠意を持って取り組んできたが、これを阻む規制上の大きな課題があったため、契約の解消に至ったとしている。孫社長は、IT業界や「各国政府の強い動きで断念した」と説明した。背景には「シリコンバレーのほとんどが直接的、間接的にArmの製品を使っているからだ」との認識を示した。

当初の契約の条項に基づき、SBGはNVIDIAが前払いした12.5億米ドルを保持し、利益計上する。NVIDIAは20年間のArmライセンスを保持する。

2022/2/9 ソフトバンク、Arm Limited のNVIDIA への売却を断念、Armの株式上場に変更

SBGは同社の株式上場の準備に入った。「ナスダックを中心に米国での上場を考えている」としていた。

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Ron DeSantis フロリダ州知事は5月2日、ESG(環境・社会・企業統治)投資の活動を制限する「反ESG法」に署名した。同法は7月1日に発効する。

知事は2月13日に法案を提案した際に、「ESGは、我が国の存立基盤である経済と個人の自由にとって脅威であり、フロリダでは即座に亡きものする」と述べた。

フロリダ州の政府や関連の年金基金が実施する投資に対し、金銭的なリターンを最優先するように求め、気候変動対策や多様性の向上といった要素を投資の評価に組み込むことを事実上禁止した。ESGの価値観を掲げる銀行を公的資金の預金先から外す方針も示した。

ESG関連の地方債を発行することも禁じた。債券全体の評価を下げるようなESGスコアを出す格付け会社とは契約そのものも禁じるとした。

法律の概要は下記の通り。

・大手銀行、信託銀行、その他の金融機関が、国境警備、銃器の所持、エネルギー独立の促進を含む、宗教的、政治的、社会的な信条によって、顧客を差別することを禁止する。

・金融機関が、銀行業務や融資業務において、フロリダ州民がローンや信用枠、銀行口座を取得できないようにすることを目的とした、いわゆる「社会的信用スコア(Social Credit Scores)」を考慮することを禁止する。

・企業アクティビズムに従事する銀行が、適格公的預託機関(Qualified Public Depository)として政府資金を保有することを禁止する。

・州および地方レベルのすべての投資決定においてESGを使用することを禁止し、ファンドマネージャーが最高収益率を最大化する財務要因のみを考慮することを保証する。

・全ての州および地方自治体、およびそれが直接支援する団体が、調達および契約プロセスの一環としてESGに関する情報を考慮、優先、または要求することを禁止する。

・国や地方公共団体が債券を発行する際にESG要素を使用することを禁止する。これには、ESG格付けが、発行体の債券格付けに悪影響を及ぼすような格付け機関に対する契約を禁止することが含まれる。

・司法長官および金融規制庁長官に対し、これらの規定を法の及ぶ限り執行するよう指示する。

米の保守州では、ESG投資はリベラル・左派の影響を強く受けすぎているとみなす傾向がある。既にインディアナ州とカンザス州が州の退職金口座が ESG 関連ファンドに投資することを禁止している。

カンザス州は4月24日、公的資金の運用や政府契約の締結を決定する際に、環境・社会・ガバナンス(ESG)要因を考慮することを制限・禁止する法を成立させた。

同法は、州の公務員退職金制度において、加入者と受益者の経済的利益のみを考慮して資金運用すべきだとし、州がESGの基準を取り入れることや個人や企業に当該基準に従うよう働きかけることを制限している。

「反ESG」の旗頭であるDeSantis 知事の動きを受けて、ほかの保守州でも同様の動きが広がる可能性がある。

知事は3月16日に、「Ron DeSantis 知事、18州の同盟を率いてBiden大統領のESG金融詐欺と闘う」という声明を発表した。下記の各州知事と提携し、米国経済とグローバルな金融システムを不安定にするバイデン大統領のESG政策を押し戻すとしている。

Alabama, Alaska, Arkansas, Georgia, Idaho, Iowa, Mississippi, Missouri, Montana, Nebraska, New Hampshire, North Dakota, Oklahoma, South Dakota, Tennessee, Utah, West Virginia, Wyoming の18州

共和党は、気候変動対策の一環で政権が進めるESG投資促進への反発を強めている。

今回、バイデン大統領はESG投資関連で就任後初の拒否権を発動した。

バイデン政権は昨年11月、退職年金基金の運用担当者が、投資先選定や議決権行使に際し、ESG投資の観点を反映させることを認める規則を決定し、今年1月末に発効した。

米議会下院は2月28日に、上院は3月1日に、この規則の無効を求める決議を、賛成多数で採択した。上院では民主党系が多数を占めるが、民主党から有力議員を含む2人が賛成に回り、50対46で可決した。
なお、上院での可決には通常60票以上の賛成が必要となるが、単純過半数で可決できるという議会審査法の仕組みが利用された。

バイデン大統領は3月20日、この決議について、大統領就任後初めてとなる拒否権を発動した。

バイデン大統領が今回拒否権を発動したことで、政権・民主党と共和党との対立構造が一層深まった。

Ron DeSantis 知事は18州と提携して、州レベルで対抗しようとしている。3月16日の声明では、下記の通り述べている。

今月初め、連邦議会はアメリカ人の退職金に政治を介入させないための法案を可決する行動に出たが、バイデン大統領は自身の進歩的なアジェンダを推進するため、この法案に拒否権を発動すると約束している。フロリダ州と18の州は、アメリカ経済の活力とアメリカ人の経済的自由を脅かすESGの動きから個人を守るために、州レベルの取り組みを主導することを約束する。例えば、「受託者の義務よりも政治を優先する」というESGモデルに従う会社からすべての州年金基金と州が管理する投資を取り除いていくことだ。

米連邦準備理事会(FRB)は5月2~3日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げ 5.00~5.25%とした。

11
2018/12 2.25%~2.50% +0.25%
2019/7

2.00%~2.25%

-0.25%
2019/9

1.75%~2.00%

-0.25%
2019/10

1.50%~1.75%

-0.25%
2020/3

1.00%~1.25%

-0.50%
2020/3

0.00%~0.25%

-1.00%
2022/3 0.25%~0.50% +0.25%
2022/5 0.75%~1.00% +0.50%
2022/6 1.50%~1.75% +0.75%
2022/7 2.25%~2.50% +0.75%
2022/9 3.00%~3.25% +0.75%
2022/11 3.75%~4.00% +0.75%
2022/12 4.25%~4.50% +0.50%
2023/2 4.50%~4.75% +0.25%
2023/3 4.75%~5.00% +0.25%
2023/5 5.00%~5.25% +0.25%


0.25%の上げ幅は2月から3会合連続。一方、声明文では、前回3月会合で明記していた「幾分かの追加利上げが適切と予想する」との文言を削った。

急ピッチの利上げで記録的なインフレが鈍化する一方、米銀の破綻が相次ぎ景気悪化懸念が強まっているため、早ければ次回6月会合で利上げを停止する可能性を示唆した。

相次いだ銀行破綻について「米国の銀行システムは健全だ」としたうえで「信用収縮が経済活動や雇用、インフレに影響を与えるだろうがその程度は不確実だ」と指摘した。

2023/5/3 全米14位のFirst Republic Bankが破綻、3月以降で3行目

パウエル議長は「我々はもはや追加利上げが適切と予想しているとは言わない。会合ごとに入手する経済データによって判断する」と述べた。一方「金融引き締めが必要となれば、より多くのことをする用意がある」と述べ、利上げ継続の可能性にも含みを残した。年内の利下げの可能性は否定した。

「インフレ率は物価目標である2%を大きく上回り、ことし3月のPCE・個人消費支出の物価指数が4.2%(コアは+4.6%)上昇した。去年の中頃からいくらか落ち着きつつあるが引き続きインフレ圧力は高く、2%の物価目標までは道のりは遠い」と述べた。

Flexible CPIは急降下しているが、「粘着インフレ」(Sticky CPI)は高止まりしており、利上げでも下がる気配はない。

2023/1/5 米国のインフレの見通し

雇用については大きな変動はない。

資産規模で全米14位のFirst Republic Bank が5月1日付で経営破綻となり、米連邦預金保険公社(FDIC)の公的管理下に置かれた。FDICはFirst Republic Bankの破綻と、JPMorgan Chaseによる買収を同時に発表した。


経営不安が広がったSilicon Valley Bankでは預金保護の対象とならない非付保預金が大量に流出し、経営破綻に追い込まれた。同行は長期財務証券に巨額の資金を投資していた。

米国では金融機関が加盟する連邦預金保険公社(FDIC)が1口座あたり25万ドルを上限に保護する仕組みがあるが、Silicon Valley Bankはスタートアップ業界を顧客としており、2022年末の預金残高約1750億ドルのうち89%に当たる約1560億ドル(約21兆円)は預金保護の対象外だった。

First Republic BankはSilicon Valley Bankと同様、非付保預金が全体に占める割合が高かった

Silicon Valley Bank破綻後に米金融当局は預金の全額保護を打ち出したが、顧客から預金保険制度の限界を見抜かれて預金の流出を止めきれなかった。 顧客は数日のうちに約1,000億ドルの預金を引き出した。

3月16日には11の大手金融機関から経営への異例の支援策として合わせて300億ドル預金を受け取った。

JPMorgan Chase、Bank of America、Citibank、Wells Fargoが各50億ドル、GoldmanとMorgan Stanleyが各25億ドル、その他5行が各10億ドルを預金した。

しかし、4月24日に発表した1Q 決算で、3月末時点の預金残高が減少したことが明らかになると、再び、経営への懸念が高まった。

First Republic Bank の預金は2022/12/31時点では2,126億ドルであったが、4/13には1,039億ドルとなっており、破綻時には920億ドルになっている。

米国の銀行の資産残高  2022/12/31時点 億ドル

資産残高
1 JPMorgan Chase 32,019 First Republic Bankの資産、負債を買収
2 Bank of America 24,185
3 Citibank 17,668
4 Wells Fargo 17,175
14 First Republic Bank 2,126 2023/5/1 破綻  JPMorgan Chaseが資産、負債買収 
16 Silicon Valley Bank 2,090 2023/3/10 破綻 First Citizens BancSharesが買収
Signature Bank 1,104 2023/3/12 破綻 New York Community Bancorpが買収



JPMorgan ChaseはFDICが実施した緊急入札で落札、First Republicの下記の資産と負債を引き受け、対価として106億ドルをFDICに支払う。

資産  融資債権(約1730億ドルを約13%の割引で)、保有証券(約300億ドル)
負債  預金(約920億ドル)、米連邦住宅貸付銀行(FHLB)制度による借入れ(約280億ドル)

さらに、JPMorgan とFDICは、First Republicの一戸建て住宅向けローンと商業用ローンの損失と回収額を分け合う。

1994年に成立させた法律では、銀行が買収などにより米国内で10%以上、州内で30%以上の預金シェアを持つことを禁じている。すでに全米シェアが10%超のJPモルガンは通常であれば銀行の買収はできないが、「破綻した銀行の買収は例外」となる。

JPMorganはこの買収によって約26億ドルの一時利益と2023年~24年で約20億ドルのリストラ費用を見込む。

FDICとJPMorganは今回の買収で、FRCから引き継ぐ住宅ローンや商業用ローンで損失が発生した場合、今後5〜7年はFDICが損失の8割を負担する契約を結んだ。
FDICはJPMorganに5年固定金利で500億ドルの融資も提供する。

米議会は2021年12月に米政府の債務上限を2兆5千億ドル引き上げ、31.4 兆ドルにする法案を可決した。

2021/12/16 米国、債務上限問題 ようやく解決

しかし、米2023年1月19日に債務は31兆4000億ドルの上限に到達した。数カ月以内に財政危機を招く恐れがある。

2023/1/17 米国、再び債務上限問題 

米議会は上院は民主党が握り、下院は野党の共和党が握るという捻じれ体制である。
が多数党)


上院  議長は副大統領(民主党)、無所属は元民主党員

共和党 民主党 民主系
無所属
無所属 合計
選挙前 50 48 2 100
選挙後 49 48 2 1 100

50

下院   議長は共和党

共和党 民主党 欠員 合計
選挙前 212 220 3 435
選挙後 222 213 0 435


バージニア州の民主党 Donald McEachin が当選後の11月28日に死去し、欠員1 となったが、補欠選挙で民主党が勝利した。

ーーー

下院議会は4月26日、連邦債務上限を最大1兆5,000億ドル引き上げ、連邦政府の支出を4兆5,000億ドル削減する法案を賛成217、反対215で可決した。

共和党 民主党 合計
賛成 217 217
反対 4 211 215
棄権 1 2 3
合計 222 213 435

与野党間で債務上限引き上げ問題が懸案となる中で、下院共和党トップのKevin McCarthy議長 ら共和党議員5人が4月19日に独自の法案を発表した。

債務上限を最大1兆5,000億ドル引き上げ るかわりに、連邦政府の支出を4兆5,000億ドル削減するもの。

社会保障や軍事関係支出などを除く裁量的支出を2022会計年度の水準に戻すとともに、その伸び率を今後10年間、毎年1%に縮小する。

これによって、インフレ削減法で盛り込まれたクリーンエネルギー生産設備などに対する税額控除支援策などは廃止されることとなる。学生ローン支払い免除・停止措置を中止する。

2022/8/24 米「インフレ抑制法案」成立

支出削減措置の見返りとして、債務上限を現行の31兆4,000億ドルから最大1兆5,000億ドル引き上げるか、2024年3月末まで債務上限を凍結するという2つの基準を設定し、いずれかの基準に到達するまでは債務の発行を認める。

法案発表後も共和党内の調整が難航し、党内一部の歳出削減強硬派の意見が取り入れられ、より厳しい歳出削減策が盛り込まれた。

例えば、低所得の子ども世帯を対象とする支援の厳格化が前倒しとなっているほか、食糧支援プログラム(SNAP)で発生する未使用金を各州が貯蓄することを禁止する内容なども盛り込まれた。

党内調整は26日未明まで続けられたにもかかわらず、投票では共和党から4人が反対に回り、1人が棄権した。


法案は上院に送られるが、上院民主党トップの"Chuck" Schumer 院内総務は「上院に到着した直後に廃案になる」と述べており、民主党が多数の上院で可決される見込みは低い。

大統領報道官は、「この法案が成立する可能性がないことを大統領は明確にしている」と指摘、「何百万人もの米国民から医療サービスを奪い、製造業雇用の国外流出につながる」とコメントした。

今夏にもデフォルト回避のための政府資金が底を突くと予想される。アナリストは、税収の伸び悩みで6月初めに早まる可能性もあるとしている。

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各セグメントともに2年続きの増収増益で、全社の営業損益が 前々年の2.54倍、前年の1.48倍の9,982億円と、1兆円にもう少しとなった。 経常損益は1兆円を超えた。

特に塩ビが中心の生活環境基盤の営業損益が5,413億円となり、前々年比で5.43倍という脅威的な伸びである。

株主帰属損益 も前年の1.42倍の7,082億円となった。年間配当は 前々年250円を前年に400円に増やしたが、本年は更に500円に増やした。

単位:億円 (配当:円)

  売上高 営業損益 経常損益 株主帰属
当期損益

配当

中間 期末
2021/3 14,969 3,922 4,051 2,937 110 140
2022/3 20,744 6,763 6,944 5,001 150 250
2023/3 28,088 9,982 10,202 7,082 225 275
前年比 7,344 3,219 3,258 2,081 75 25
2024/3

未定





営業損益

2021/3月期にセグメントを変更した。(2021/3実績は新旧セグメントで表示)
2021/3の旧セグメントでの塩ビ・化成品と、新セグメントでの生活環境基盤がほぼ同額であるため、ほぼ同じとみなせる。

2023/3では、塩ビが中心の生活環境基盤が大増益 (前年比1.7倍、前々年比では5.4倍)となったほか、他のセグメントも増益となった。

2011/3 2018/3 2019/3 2020/3 2021/3 2021/3 2022/3 2023/3 増減
塩ビ・化成品 197 932 1,065 922 970 生活環境基盤
(塩ビほか)
996 3,178 5,413 2,236
シリコーン 341 520 585 615 451 機能材料
(シリコーンほか)
707 948 1,306 358
機能性化学品 129 257 266 277 218
半導体シリコン 389 930 1,320 1,433 1,441 電子材料
(半導体シリコンほか)
2,061 2,448 3,014 566
電子・機能材料 361 616 670 685 702
その他 73 115 133 148 143 加工・商事 163 209 264 55
全社 3 -2 -3 -20 -3 -5 -19 -15 4
合計 1,492 3,368 4,037 4,060 3,922 3,922 6,763 9,982 3,219


生活環境基盤の売上高(億円)は下記の通りで、米国のShintechが増産で大増収となっている。

2022/3 2023/3
国内生産 1,280 1,392 1.09倍
海外生産 7,291 11,688 1.60倍
合計 8,571 13,080 1.53倍

Shintechでは2020年初めに初のエチレン設備が完成した。2021/3月期以降、これがフルに貢献している。

PVC増設第一期が2021年下半期に完成した。2022/3月期には一部、2023/3月期にはフルに貢献している。

更に2023年末には第二期が完成する。2024/3月期にはこれが一部貢献する。それ以降には全てがフルに貢献する

   Shintech 能力(万トン)     (赤字は発表文からの推定 )

立地 PVC VCM

NaOH

エチレン
Texas州 Freeport  145   -   -
Louisiana州 Addis   58   -   -
Plaquemine   60   160  106
2013/6 増設 32 30 20
手直し 7 3
2020年初め 完成 50
Ⅰ 2021年下期 完成 14.9億ドル 29 40 27  
Ⅱ 2023年末 完成 12.5億ドル 38 58 39
今回増設後合計 362  295   195 50

Shintechの分析については下記に記載。

2022/5/2 主要企業の2022年3月期決算  信越化学、営業利益 6,763億円

ーーー

信越化学代表取締役会長の金川 千尋氏は、2023年1月1日に肺炎のため逝去した。満96歳で現役の会長として亡くなった。

金川会長は、1947年に旧制第六高等学校を卒業、1950年に東京大学法学部を卒業し極東物産(現・三井物産)に入社。

1962年に信越化学に入社し、海外事業本部(現・国際事業本部)にて欧州、中米、南米での海外事業を次々と開拓したのち、1973年にはシンテック社(本社:米国テキサス州)を自らの企画立案により米国企業との合弁で設立。

その3年後に合弁相手の持ち分を買取ることで同社を信越化学の100%子会社とし、1978年に取締役社長に就任した。

「塩ビは社会と環境に貢献する優れた樹脂で、需要は伸び続ける」という信念のもと、塩ビの生産工場の大型の新増設を自己資金により繰り返し実施し、フル生産フル販売を継続することで、同社を世界一の塩ビメーカーに育て上げた。

(同社発表文より)

ーーー

各社の決算は発表の都度、下記にまとめています。

http://www.knak.jp/kessan/


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