2010年9月アーカイブ

PetroChinaとロシアのRosneft(ロスネフチ)は9月21日、天津の南港工業区で両社のJVの製油所の起工式を行った。

300億人民元を投じて年産1300万トンの製油所を建設するもので、両社のJVの中露東方石化(天津)〔
Chinese-Russian Eastern Petrochemical (Tianjin)〕が運営を担当する。JVは2007年10月にPetroChinaが51%、Rosneftが49%の出資で設立された。

1300万トンの常圧・減圧蒸留装置、270万トンの連続改質装置、400万トンの残油改質装置、芳香族とプロピレン製造装置(能力非開示)などの装置を含んでいる。

業界筋の情報では、製油所の完成は2015年を予定しており、ガソリン、ディーゼル油、航空機燃料、液化ガスなどの製品は主に中国市場に向けられる。

ロシア側が原油の約70%を市場価格でJVに供給し、残りの30%はアジアで手配する。

なお、天津には他に、Sinopec天津石化が年産550万トンの製油所を、Sinopec-SABIC石化が1000万トンの製油所を持っている。中露東方石化が完成すると、天津の製油所能力は2850万トンに達する。

起工式には天津で開催された第6回Russian-Chinese energy talksに出席した王岐山副首相とロシアのセチン副首相が出席した。

PetroChinaの総経理は、中露合弁の製油事業は中国の原油構造の高度化、中露エネルギー関係の促進、天津の経済発展の推進など重要な意義を備えていると述べた。

セチン副首相は、この事業のスタートはマイルストーン的意義があるとし、両国の石油川下部門の協力が始まり、両国友誼の象徴になるだろうと述べた。

中国とロシアのエネルギー協力の成果としては、他に、8月29日にはロシアと中国を結ぶ石油パイプラインのロシア側の敷設完了のセレモニーが行われ(下記)、9月9日には、ロシアから中国向けの石炭輸出拡大契約が調印された。

ーーー

中国は2009年2月、ロシアとの間で政府間協定を結んだ。中国開発銀行が
Rosneftに150億ドル、東シベリア太平洋パイプラインを運営するTransneft に100億ドルを低利で融資する見返りに、Rosneftは2011年から20年間、毎年15百万トンの原油の供給を行い、Transneft は石油パイプラインを中国に延長することとなった。

2010年8月29日、ロシアと中国を結ぶ石油パイプラインのロシア側の敷設が完了、プーチン首相出席の下、稼働セレモニーが行われ、技術テストが始まった。
胡錦濤国家主席と訪中しているロシアのメドベージェフ大統領は9月27日、ロシア・スコボロジノから中国・大慶までの約千キロの石油パイプラインの完工式に出席した。そこから既存のパイプラインで大連、北京につながる。
年内にもロシアから中国への原油供給が開始される。

当初、ロシア側はこの原油が天津のJVで使われることを希望していたが、PetroChinaでは遼寧省の製油所拡大など、中国北東部の製油所で全量を使用することを決めたため、本年7月時点では、天津のJVの原油ソースが決まっていなかった。

2009/7/22  CNPC、ロシアからの原油用に遼陽市の製油所を拡大

業界筋の情報では、これとは別に、ロシア側が年間910万トン(所要量の7割)をJVに供給することとなり、建設開始が決まった模様。

なお、胡錦濤国家主席と訪中しているロシアのメドベージェフ大統領は9月27日、石油、ガス、石炭、原子力をめぐり両国間の関係を深めるための合意文書に署名した。

石炭での協力、原子力の平和利用に関する戦略的協力、中国北方工業公司と世界最大のアルミメーカーRusalとの間の投資の覚書(2009年にRusalからのアルミ供給契約を締結している)、江蘇省の田湾原子力発電所のNo.3とNo.4をめぐる技術協力、ロシアから中国向けの天然ガスの供給拡大、中国工商銀行とVTB Bankの金融協力などが含まれる。

GazpromPetroChinaに対し、2015年から30年間、年300億m3の天然ガスを輸出する。

共同記者会見で、中ロの協力は「新たな出発点にある」と表明、さらなる関係強化を呼び掛けた。 

ーーー
Rosneftはロシアの石油会社で、ロシア政府が75.16%を所有、残りは公開されているが、国有財産管理庁に管理されており、実質的にロシアの国営企業である。
サハリン、シベリア、Timan-Pechora行政区、そしてチェチェンを含む南ロシアで石油と天然ガスを生産している。
2009年に1億800万トンの原油を産出している。

Rosneftは又、Sinopec とも提携している。

両社は2006 11 月に戦略的枠組み協定に調印し、TNK-BP Tyumen OilBPの合弁)からUdmurtneft(沿ヴォルガ地域)油田を買収、共同経営を開始した。

Sinopec Rosneft からサハリン3の一部 Veninsky oil project 25.1%の権益を取得している。(残り74.9%はRosneft
なお、
Sinopecが最近、開発がうまくいかないとして技術者を引上げたとの情報がある。

サハリンの各鉱区の最新状況は下記を参照
  2006/6/6 
「新・国家エネルギー戦略」発表


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三井物産は9月22日、医薬品中間体・原薬製造受託事業(Contract Manufacturing Organization:CMO事業)を手掛けるインドのArch Pharmalabsの第三者割当増資の引受けについて契約を締結したと発表した。
10月中を目処に、
Arch Pharmalabs株式の約5%を約12億円で取得する。

1999年設立のArch Pharmalabsは、ムンバイに本社を置く有力な医薬品中間体・原薬製造受託メーカーで、インド国内に11の製造拠点と開発拠点を保有し、欧米の大手製薬企業をはじめ、中東・東南アジア等の製薬企業に高血圧、高脂血症、抗生物質、抗がん剤等向けの中間体・原薬を供給している。

売上高は約220億円で、従業員は2,164人(2010/5/31現在)。

三井物産出資後の株主は以下の通り。

  創業者グループ   34.27%
  ファンド*   43.28%
  三井物産   5.25%
    17.20%

   *次のファンドが出資している。
     
ICICI Ventures:インドNo.2のICICI Bankのファンド
     
Swisstec Ventures:スイス連邦経済省経済事務局(SECO)のファンド
     
Infrastructure Leasing & Financial Services(IL&FS):インドの開発会社

世界の医薬品業界は、新薬開発費の増大や、いわゆる2010年問題と称される主力製品の一斉特許切れによる売上減少などの課題を抱えている。
欧米製薬企業では、既に開発及び製造コスト軽減のためにアジア、とりわけ価格競争力と高い技術力を備えたインドの製造受託メーカーの積極的な活用が進んでおり、今後は日本の製薬企業でもインドの製造受託メーカーを活用する動きが拡大すると予想されている。

三井物産では、本事業を通じて、CMO事業で「世界の工場」となりつつあるインドの競争力ある高品質な医薬品中間体・原薬を日本の製薬企業に提供し、国内製薬業界の競争力強化に貢献するとともに、今後、医薬品の需要の拡大が見込まれるアジア市場への安定的な医薬品中間体・原薬の供給にも寄与することを目指す。

ーーー

三井物産は、欧米及び日本の製薬企業との40年以上にわたる取引関係を通じ、医薬原料・中間体・原薬の供給から、製薬企業に対する製造委託の提案や製造管理・物流支援まで、製薬企業の医薬製造支援を幅広く行っている。

同社は2008年にコンシューマーサービス事業本部にメディカル・ヘルスケア事業部を新設し、これまで複数の部署で取り組んできた医療・健康関連のビジネスを集約した。

次の2つを事業の柱とする。

 「医薬バリューチェーン」

研究開発を含む製薬から流通・販売にいたるバリューチェーン全体を視野に、医薬品業界に対するソリューションプロバイダーとなることを目指す。

 「ヘルスケアサービスネットワーク」

医療、予防、介護の事業者間の相互連携を図り、国内では地域ごとに医療・予防・介護の各事業者間で連携を図る地域包括的なケアネットワークを構築、海外ではアジアを中心とするグローバルヘルスケアネットワークの構築をミッションとする。

ーーー

三井物産は2010年1月、アジアで幅広く医薬品の治験支援事業を手掛けるシンガポールのGleneagles CRC の第三者割当増資を引き受け、50%弱の株式を約4億円で取得した。

Gleneagles アジア最大の病院グループを形成するParkway GroupParkway Group Healthcare 100%子会社で、シンガポール、中国、フィリピン、タイ、オーストラリア、インドネシア、韓国で治験支援事業(治験モニタリング、データ管理、データ統計解析等)を行っている。
欧米製薬企業より、主に癌、循環器、消化器関連薬の治験支援事業を上記のアジア7カ国で受託している。

三井物産にとって、総合商社として初めてアジアでの治験支援事業への本格参入となる。

ーーー

三井物産は2009年6月、リクルートが保有する保健同人社の全株式を取得し、出資比率を33.5%から83.6% とし、子会社化した。

保健同人社は1946年に結核啓発を目的に雑誌「保健同人」を創刊してから60年以上にわたり、成人病・生活習慣病の予防と啓発、人間ドックの開発、電話健康相談、メンタルヘルス、インターネットや携帯電話による健康情報の発信等、科学的根拠に基づく、最新の医療・健康情報とサービスを提供している。

 


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ブラジルのPetrobrasは9月23日、ブラジル政府や投資家を対象に史上最大規模の株式発行を実施し、計1,204億レアル(700億ドル≒約5兆9000億円)の増資を行った。

優先株18億7000万株を@26.3レアルで、普通株24億株を@29.65レアルで、それぞれ発行した。(1$=1.72レアル)
当初の計画増資額は670億ドルであったが、これを上回った。

これまでの最高は1987年のNTTの368億ドル、次が本年初めのAgricultural Bank of China221億ドルとされている。

今回の増資は、米州で発見された油田としては埋蔵量が過去30年で最大のTupi など沖合油田の開発資金の調達や、投資適格級格付けの維持が狙い。

Petrobrasは2010-2014年の期間に2,240億ドルを投じて開発し、2014年までに産出量を倍増の日量390万バレルとし、ブラジルを世界5位の産出国、トップ10の石油輸出国にする計画をたてている。

2009-2013年の5年間で1,740億ドルの計画。
2009/1/31 
Petrobras、新油田開発で大規模投資計画を発表

実際には既存株主から570億ドル、機関投資家から300億ドルの合計870億ドルの応募があったとされる。中東やアジアの政府系ファンド、米国の投資信託からの応募も含まれる。

このため同社では30日以内に追加の18800万株の発行を行う予定。

付記  
同社は、増資により財務体質が大きく改善したため、借入などで今後5年間で600億ドルの調達を行う方針を示した。

同社は9月1日、ブラジル政府との間で、国が保有するブラジル南岸の深海鉱区の原油50億バレル相当の所有権を同社に移転することで合意した。政府は見返りに748億レアル分の新株を取得する。

水面下50007000メートル程度の深海油田でPre-Salt層(海底岩塩下層)にある。
この取引で、埋蔵原油は1バレル8.51ドルの評価となり、アナリストの予想(7.50ドル)より高い。

ブラジル政府はPetrobras株の32%を保有し、議決権の55.6%を握っていたが、これにより政府の出資比率は大きく上昇する。
政府の支配力が強まると見られ、1999年代の民営化を元に戻る動きと見る向きがある。


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欧州委員会は9月20日、自家製爆弾に使用されないよう、化学品の販売を規制する案を発表した。
現在はEU加盟国で規制が異なるが、共通の厳しい規制を設けるもの。

最近のテロリストの攻撃では、普通の人が購入できる化学品で作られており、染毛剤やトイレの洗剤に使われる過酸化水素は2005年のロンドンの地下鉄同時テロで使用され、52人が死亡した。

規制対象品は一定の濃度を超えた場合に販売を禁止される。
消費者は代替製品の使用が可能であり、またライセンスを得れば購入は可能となる。
一部の製品については、販売は可能であるが、疑わしい取引については報告が必要となる。

この案は欧州議会と加盟国政府の承認を得て、18ヶ月以内に施行される。但し、化学品の購入は施行後36ヶ月は認められる。

禁止製品(記載濃度以上のもの)

過酸化水素 (Hydrogen peroxide) 12% w/w
ニトロメタン (Nitromethane) 30 % w/w
硝酸 (Nitric acid)  3 % w/w
塩素酸カリウム (Potassium chlorate) 40 % w/w
過塩素酸カリウム (Potassium perchlorate) 40 % w/w
塩素酸ナトリウム (Sodium chlorate) 40 % w/w
過塩素酸ナトリウム (Sodium perchlorate) 40 % w/w
硝酸アンモニウム (Ammonium nitrate) 16% by weight
(硝安中の窒素の量)

要報告製品

ヘキサミン (Hexamine)
硫酸 (Sulphuric acid)
アセトン (Acetone)
硝酸カリウム (Potassium nitrate)
硝酸ナトリウム (Sodium nitrate)
硝酸カルシウム (Calcium nitrate)
アンモニウム-硝酸カルシウム (Ammonium calcium nitrate)

 

規制提案
http://ec.europa.eu/commission_2010-2014/malmstrom/archive/COMM_NATIVE_COM_2010_0473_F_EN_PROPOSITION_DE_REGLEMENT.pdf


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Foster Wheelerは98、サウジのGulf Farabi Petrochemicalから Al-JubailでのLinear Alkyl Benzene 増設のproject management consultancy (PMC) 契約を締結したと発表した。

Gulf Farabiはサウジの8人の個人投資家がつくった会社で、Al Jubailにn-paraffins 120千トン、Linear alkyl benzene (LAB)70千トンを生産、n-paraffinsのうち55千トンをLABに使用、残りを輸出している。
今回、
LAB100千トン増設する。

Al-Jubail Industrial Cityはサウジのペルシャ湾岸にある。

Gulf Farabiのホームページに同社の立地の地図が掲載されている。Al-Jubail Industrial Cityの東南端(敷地図では右下端)にある。

Al-Jubail Industrial City で稼動中の企業の概要は以下の通り。
青数字は
SABIC関連、赤数字はその他。

  社名 株主 製品
AL-Jubail Fertilizer Company
(ALBAYRONI)
SABIC 50%
Taiwan Fertilizer Company 50%
Ammonia, Urea,
2-Ethyl Hexanol,
DOP1385
National Chemical Fertilizer Company
(IBN AL-BAYTAR)
SABIC 50%
SAFCO 50%
Ammonia, Urea,
Compound Fertilizer
Saudi Arabian Fertilizer Company
(SAFCO)
SABIC 41% Ammonia, Urea, Sulphuric Acid,
Melamine
National Methanol Company
(IBN SINA)
SABIC 50%
Hoechst-Celanese Duke and Energy 50%
Chemical Grade Methanol,
MTBE
Saudi-European Petrochemical Company
(IBN ZAHR)
SABIC 80% MTBE, Polypropylene
SABIC Technology Center-Jubail
(STC-J)
SABIC 100%  direct technical support to all SABIC affiliates 
Jubail United Petrochemical Company
(UNITED)
SABIC 100% Ethylene, Polyethylene,
Ethylene Glycol,
Linear Alpha Olefins (LAO)
Saudi Methanol Company
(AR-RAZI )
SABIC 50%
日本・サウジアラビアメタノール 50%
(
三菱ガス化学主導).
Chemical Grade Methanol
National Industrial Gases Company
(GAS)
SABIC 70% Oxygen, Nitrogen,
Argon, Krypton-Xenon
Eastern Petrochemical Company
(SHARQ)
SABIC 50%
サウディ石油化学(SPDC)
LLDPE, Ethylene Glycol
2

EthyleneMEGLLDPEHDPE
Saudi Petrochemical Company
(SADAF )
SABIC 50%
Pecten (Shell) 50%
Ethylene, Crude Industrial Ethanol,
Styrene, Caustic Soda, EDC, MTBE
Saudi Iron & Steel Company
(HADEED)
SABIC 100% Steel Rebar, Wire Rod,
Steel Sections, Flat Steel
Al-Jubail Petrochemical Company
(KEMYA)
SABIC 50%
Exxon Mobile 50%
LLDPE, Ethylene Glycol
Arabian Petrochemical Company
(PETROKEMYA)
SABIC 100% Ethylene, Polystyrene,
Butene-1,
Propylene, Natural Gasoline
Butadiene, Benzene
National Plastic Company
(IBN HAYYAN )
SABIC 86.5% VCM, PVC, PVC Paste
 ー Ibn Hayyan Plastic Products Company
(TAYF )
SABIC 57.17% Plastic boards, wall covering,
artificial leather, Dioctyl Phthalate,
book binding products
       
Saudi Arabian Lubricating Oil Company
(Petrolube)
Advance Petroleum Services 100%
(←Saudi Aramco 71%
 Mobil Investments 29%)
lubricant
National Petrochemical Industrialisation Co.
(Tasnee Petrochemicals)
National Industrialisation Company 51% 2006/5/13 
サウジの民間ポリオレフィン計画
Sipchem Al-Zamil Group 11% 2010/8/12 
サウジのSipchem、酢酸エチルを事業化
Saudi Chevron Phillips Petrochemical Chevron Phillips Chemical 50%
Saudi Industrial Investment Group 50%
  
Benzene, Cyclohexane
Jubail Chevron Phillips Company  Chevron Phillips Chemical 50%
Saudi Industrial Investment Group 50%
benzene, ethylbenzene
SM, Propylene
Gasoline
Saudi Polymers Company Chevron Phillips Chemical 35%
National Petrochemical Company 65%
(建設中)
ethylene, propylene, 1-hexene
PE,
PP, PS 
Arabian Amines Company
(AMINE) 
Huntsman 50%
Al Zamil 50%
Amine
Saudi Aramco Shell Refinery Co.
(SASREF)
Aramco 50%
Shell 50%
Chemical Feed Naphtha,
Dual Purpose Kerosene,
Ultra Low Sulfur Diesel
,
Fuel Oil, LPG
Gulf Farabi Petrochemical private-sector n-paraffins
linear alkyl benzene (LAB)

 


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化学プラントが集中するタイ東部RayongMap Ta Phut工業団地で地元住民と環境保護団体が、昨年来凍結されていた事業のほとんどの再開が認められたのに抗議するため、9月30日に抗議集会を開く見通しとなった。

工業団地の封鎖を図る可能性があり、同工業団地を管轄するタイ工業団地公社は警戒態勢を最高レベルに引き上げた。

ーーー

タイ中央行政裁判所は2009年9月、同国東部のRayongMap Ta Phut地区で計画されている石油化学などの76事業について、違憲の訴えの最終判決を下すまで一時凍結するようタイ政府に命じた。

2007年の憲法改正で、従来の環境影響アセスメント(EIA)に加え、健康影響アセスメント(HIA)と公聴会が必要とされるようになったが、政府がHIAを見る独立機関を設置していないため、HIAは実施しておらず、同地区の住民と環境保護団体がPTTなどの事業が憲法の要件を満たしていないとして行政裁に建設中止を求めていた。

急激な重工業化にともない同地区と近隣一帯で、住民たちは十数年前から大気や水汚染による環境・健康被害を訴えてきた。1990年代末には悪臭騒ぎで学校が避難・休校となり(数年後に移転)、「マプタプット公害問題」が全国でも知られるようになった。

タイ政府は10月2日、凍結命令の取り消しを最高行政裁に求めたが、タイの最高行政裁判所は12月2日、76計画のうち11計画(後に更に1計画)のみ、環境上の問題がないとして建設を認めたが、残り64計画については政府指名の委員会による調査の間、凍結されることとなった。

三菱レイヨンは12月16日、この影響で、建設中のタイMMAMMAモノマー増設工事(第二系列 9万トン)を一時凍結したと発表した。

2009/12/4 タイ最高行政裁判所、マプタプットの石化計画などの凍結を継続

ーーー

政府は2010年8月31日に開いた閣議で、国家環境委員会(委員長・アピシット首相)がまとめた天然資源環境省通達を承認した。

現行憲法が定めるHIAおよびEIA、地域住民への公聴会、独立機関による審査を必要とするプロジェクトの要件を明確に定めた法令が初めて規定されることになった。
その中で、
「環境に影響を与えかねない事業」のリストを作成し、次の11事業を審査の対象とすることとした。

(1)海の埋め立て(48ヘクタール以上)
(2)鉱山
(3)工業団地、工業用地開発
(4)石油化学の上流・中流事業
(5)精錬、鍛造
(6)放射性物質の製造、廃棄
(7)廃棄物処理
(8)空港(滑走路3000メートル以上)
(9)港湾
(10)ダム、貯水池(貯水量1億立方メートル以上、もしくは面積15平方キロ以上)
(11)発電所

リスト内に各業種で環境アセスメントが必要となる事業の内容、規模などが規定されている。

中央行政裁は9月2日、一連の施策により「違憲」状態は解消されたとして、「11事業以外は再開可能」との判断を示した。

Map Ta Phut 地区で凍結されていた64件のうち、日系企業8件を含む62件が再開を認められる。

新日本製鉄や住友商事ら日本側71.5%、タイ側28.5%出資のブリキメーカー、
Siam Tinplateは9月16日、操業再開許可を受け取った。
政府は9月17日までに61の事業に続行を許可する文書を送付した。

実際には中央行政裁はこれまでに64件のうちの15件の再開を承認しており、49件が残っていた。
(中央行政裁は本年5月に、旭化成/PTT/丸紅のPTT Asahi Chemical
のアクリロニトリルとACH法MMA計画及びPTT Chemical子会社Thai Ethanolamines
の計画の再開を承認している。)

付記
宇部興産は建設を進めていたナイロン6樹脂の増設新設備(5万t/年)を本年10月より段階的に商業生産を開始すると発表した。
この設備は、行政訴訟に伴い一時停止対象となっていたが、タイ中央行政裁判所が事業再開を認めたことを受け、当初計画より1年遅れての操業開始となった。

環境に悪影響があるとして凍結が継続されるのは次の2件。
 ・
PTT Chemical の子会社TOC Glycol.EOEG
計画
 ・
Siam Cement GroupThai Plastic & Chemical VCM計画

PTT Chemical 自身のHDPE(50,000)、子会社Bangkok Polyethylene HDPE(250,000t)JVのエタノールアミン(50,000t)などは操業が認められた。
(石化事業で上記
2件のみが凍結された理由は不明)

今後、上記の2件は新たに設けられた環境面の審査に進む。

ーーー

NGOと地域住民は政府が規定した「有害産業活動11業種」に反発し、リストの見直しを要求、対応によっては工業団地への妨害活動に踏み切ると発表した。

規制業種リストは政府の作業部会が住民らと話し合って決めた段階では18業種が対象だったが、このうち7業種を政府が勝手にリストから外し、住民側が不満を強めている。

マプタプット問題の解決に取り組むアナン元首相も、「解決委員会では18業種を提案していた。どのような理由で11業種にしぼられたのか詳しい説明を求めたい」とし、「プロジェクト再開で公害問題が悪化した場合、政府は被害の全責任を負うべき」と訴えている。

大手環境団体も、「NGOや有識者の意見を聞くこともなく、公聴会も実施されずに規定されたリストには納得がいかない。住民との摩擦が悪化するばかり」とし、アピシット首相にリストの早急な見直しと差し替えを求めた。


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Evonik920日、カーボンブラック事業を売却することを決めたと発表した。
この事業を長期的に発展させるためとしている。

同社のカーボンブラック事業は、Cabotに次ぐ世界第二で、2009年の売上高は約10億ユーロ、従業員は12カ国に1,700人。

Evonik の化学部門Evonik Dugussa GmbH2009年末に新しい戦略を採用、主要成長分野に更に明確に焦点を当て、事業を整備すると発表した。
3
つのグローバルなメガトレンド、resource efficiencyhealth & nutritionglobalization of technologiesに合わせることにより、世界のスペシャルティケミカル会社のトップ企業の一つとなることを目指す。
このため、平均以上の成長の可能性のある分野に投資を絞ることとした。

カーボンブラック事業はEvonikのコア事業から外れた。
同社では本年初めから、この事業の発展のためのオプションを検討してきたが、このたび、投資銀行に売却を依頼した。

ーーー

Evonik industries AGは旧Degussaを中心とする会社で、ドイツのエネルギー会社RAG Stiftung 74.99%CVC Capital Partners 25.01%を出資する。

2003年にRAGDegussa 50.1%E.Onから買収し、最大株主となり、その後、Degussa株の買い増しを行い、2006年に全株式を取得した。

2007年RAG はグループを再編し、Degussa (化学子会社) Steag (エネルギー子会社)、RAG Immobilien (不動産子会社)を統合し、新会社をEvonik Industries に改称した。

20086CVC Capital Partners が24億ユーロでEvonikの25.01%を取得した。

2007/9/18 Degussa親会社のRAG、グループ再編・改称

現在、Evonik industries AGの下に、100%子会社を3社持つ。

  1)Evonik Dugussa GmbHスペシャリティケミカル

主要製品

Inorganic
Materials
ゴム強化材
 カーボンブラック
 湿式シリカ
 ゴム用有機シラン
Advanced & Functional Silanes
 クロロシラン
Technology & Performance Solutions Polymer, Ink & Coating Solusions
 湿式シリカ
 つや消し剤、その他
Consumer
Specialties
Care Specialty(Personal Care, Skin Care)
Household Care
Silicone Specialty (PU Foam Additives)
Super-absorber
Dow事業買収
Health &
Nutrition
飼料用総合アミノ酸(DL- メチオニン、 硫酸L- リジン、L- トレオニン、L- トリプトファン)  
受託合成ビジネスライン
エボニック レキシム(医薬品・食品グレードアミノ酸、アミノ酸誘導体、ジペプチド)
触媒ビジネスライン
金抽出、化学品・医薬品中間体、金属表面処理の製品、技術、サービス
Coatings &
Additives
エポキシ樹脂用硬化剤、脂肪族イソシアネート、粉体コーティング用硬化剤、特殊溶剤
コーティング添加剤
接着用原材料樹脂&着色剤
ハイパフォーマンスオイル粘度指数向上剤、流動点降下剤
ファーマポリマー
Performance
Polymers
Acrylic Monomers=Roehm買収
Acrylic Polymers=Roehm買収
High Performance Polymers
Industrial
Chemicals
ブタジエン、アルキルクロライド類、酸無水物、過酢酸、トリアセトンアミン
1- ブテン、DINP、アルコキシド類、塩化シアヌール、イソノナノール、過酸化水素など

  2)Evonik Steag GmbH:石炭火力発電と再生可能エネルギー

ドイツ国内で9ヶ所の石炭火力発電所と2ヶ所の石油精製発電所を運営
コロンビア、トルコ、フィリピン国内に石炭火力発電所を所有
ドイツにおける坑内ガス、バイオマス、地熱エネルギーのマーケットリーダーの一つ

  3)Evonik Immobilien GmbH:不動産事業

ドイツにおける民間住宅のリーディングカンパニーの一つ
ノルトライン・ヴェストファーレン州を中心に住宅を約
60,000軒所有
75,000以上の住宅を所有するTHS GmbHの株式の50%を保有

最近の業績は以下の通り。(百万ユーロ)

Chemicals Energy Real Estate 全社 合計
2009 2008 2009 2008 2009  2008 2009 2008 2009 2008
Sales 9,978 11,762 2,558 3,399 378 375 162 337 13,076 15,873
EBITDA 1,602 1,626 418 517 183 217 -178 -195 2,025 2,165
Operating Income 698 575 310 478 133 162 -246 -323 895 892
Net Income 240 281

2009年のChemicalsの部門別業績は以下の通り。

  Sales EBITDA
Inorganic Materials 1,803 222
Consumer Specialties 1,502 192
Health & Nutrition 1,602 602
Coatings & Additives 1,333 255
Performance Polymers 1,116 61
Industrial Chemicals 1,956 242
Others 664 28
Chemicals 合計 9,978 1,602


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ルーマニア、アゼルバイジャン、グルジアの3国は本年4月、覚書を締結、均等出資でAzerbaijan-Georgia-Romania Interconnector (AGRI)を設立し、カスピ海の天然ガスをLNGにして黒海経由でEUに送る計画のFSを行うことで合意した。

その後、ハンガリーがこれに参加することとなり、913-14日に4カ国の首脳が集まり、AGRI LNG Companyの設立を決めた。ハンガリー参加後は出資比率は25%ずつとなる。今後、トルクメニスタンなどの参加の可能性もある。

AGRI LNG Companyはルーマニア企業として設立される。
当面の出資は、
ルーマニアの国営 Romgaz、グルジア国営の Georgian Oil and Gas Corporation (GOGC)、アゼルバイジャン国営のState Oil Company of Azerbaijan Republic (SOCAR)

今後6ヵ月で事業化調査を進める。ガス供給量は年80億m3の計画で、建設には4年掛かり、建設総額は予備的に45億~120億ユーロと見込まれている。

計画内容は以下の通り。

1) アゼルバイジャンのカスピ海沿岸のシャーデニス鉱区などの天然ガスを既存のパイプラインでグルジアを経由、黒海東岸のKuleviのアゼルバイジャン所有の石油ターミナルに送付。(既存のガスパイプラインを補強、Kuleviまで短距離を延長)

Kuleviはアゼルバイジャン所有の石油輸出基地で、扱い能力は年20百万トン、鉄道やタンク、2つの桟橋を持つ。

   
2) Kuleviで天然ガスを液化。

液化能力は25m3でスタート、第二段階で80m3に上げる。
最終的には
200m3を目指す。

   
3) LNGをタンカーでルーマニアConstanta港に輸送。(小さなLNGタンカーでシャトル輸送)
   
4) Constanta港でLNGを再びガス化し、ルーマニアのパイプラインに乗せ、一部はルーマニアで消費する。
   
5) ルーマニアArad とハンガリーSzegedの短距離をパイプラインで接続してハンガリーのパイプラン網に乗せ、同国やオーストリアで消費、更にはEU諸国に輸出する。

アゼルバイジヤンなどガスピ海周辺のガス産出国はロシアが中心だった供給先を欧州に広げ、価格交渉力を高める。

アゼルバイジャンやトルクメニスタンなどカスピ海諸国はすでに欧州向けのNabucco Pipelineによるガス供給計画を検討している。これに並行してLNG輸出を進め、輸送手段を多様化する。

ーーー

Nabucco計画はカスピ海地域の天然ガスをトルコ、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー経由でオーストリアまで輸送する延長3300kmのガスパイプラインプロジェクトで、ロシアの天然ガス依存度を減らしたいEUが主導している。

2005年にオーストリアのOMV、ハンガリーのMOL、ルーマニアのTransgaz、ブルガリアのBulgargazとトルコのBotasが各16.67%出資のJVNabucco Gaspipeline International を設立した。

2011年建設開始、2014年操業開始の予定で、トルコ、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、オーストリアに年間310億m3の天然ガスを送付する。建設費は当初は50億ユーロの予定であったが、79億ユーロに上昇している。

本年6月、トルコとアゼルバイジャンがアゼルバイジャン産天然ガスの供給をトルコが受けることで覚書に署名した。
アゼルバイジャンのカスピ海沖で
のシャーデニス天然ガス田の第2期開発で生産するガスを、トルコが欧州など他国へ再輸出する権利を持つことを明記した。

シャーデニスの第2期開発は2016年に年間160億立方メートル規模のガス産出が見込まれ、ロシアは全量を買い取ると手を挙げていた。
アゼルバイジャンはロシアの影響力拡大を警戒、欧米の後押しもあってトルコへのガス供給を決めた。

ーーー

これに対し、ロシアは天然ガスをウクライナやベラルーシを通るパイプラインでEU各国に供給しているが、両国とは紛争を起こしている。

2007/1/10 ロシア・ベラルーシ 石油抗争

このため、ロシアは2つの欧州向けの天然ガスパイプラインを計画している。

一つはノルド・ストリームで、サンクトペテルブルク北方のビポルクから独北東部グライフスバルトまで、バルト海海底約1200キロを結び、年間最大550億立方メートルの天然ガスを供給する。

2005年9月、ガスプロムとドイツの電力会社E.On、及びBASFの関連会社の3社が契約文書に調印した。
Gazprom 51%
Eon 24.5%BASF子会社Wintershall 24.5%の出資で、現在建設中。

もう一つがSouth Streamで、ロシアと中央アジアの天然ガスを黒海海底パイプライン(900km)でブルガリアまで運び、複数経路でイタリア、オーストリアに輸送するもの。

2008年にGazpromとENIが均等出資でSouth Stream AGを設立した。
2015年の稼動を目指し、当初は年間310億m3、最終630億m3の輸送を計画している。
ブルガリア、ハンガリー、セルビア、ギリシャと政府間協定締結済み。

ーーー

このほか、トルコとギリシャ、イタリアを結ぶITGI Interconnector Turkey-Greece- Italy)も検討されている。
アゼルバイジャン等の天然ガスをアドリア海横断のパイプラインでイタリアまで輸送するもの。

トルコーギリシャ間はトルコのBotasとギリシャのDEPAが、ギリシャーイタリア間はイタリアのEdisonとギリシャのDEPAが契約を締結している。 

ーーー

上記のうち、ノルドストリームはシベリアの天然ガスであるが、他は全て、中央アジアの天然ガスを狙ったもので、量的にも全てが実現することはなく、計画実現に向けた競争は一段と激しさを増す。

また、天然ガス価格は低迷しており、供給過剰感も強く、事業採算に合うかどうかという問題もある。


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中国のリチウム電池、自動車メーカーで、Warren Buffettが10%出資する比亜迪(BYD)は、Tibet Mineral Development Co.から同社の子会社のTibet Xigaze Zhabuye Lithium High-Tech Co. 18%を約30百万ドルで買収する。
Oriental Morning Post 917日に報道した。

BYDはこれにより、リチウム電池の事業を強化する。

Xigazeはチベットの日喀則(シガツェ)市
ZhabuyeXigazeZhongba郡にある扎布耶(ザブイェ)塩湖

Xigaze Zhabuyeはリチウム、ボロン、ポタジウム、金を採掘する鉱山会社で、中国最大、世界3位のZhabuyeリチウム鉱山の20年間の独占採掘権を持っている。

Zhabuye塩湖の炭酸リチウム埋蔵量は240万トンと見られている。

第一期として年産5,000トンを目標に2004年9月に操業を開始したが、資金不足のため、操業を停止している。

Tibet Mineral は、今回の取引はXigaze Zhabuyeに戦略的投資家を引き込むためのものとしている。

Tibet Mineral はほかに、Tibet Jinhao InvestmentにもXigaze Zhabuye4%を売却する。
2社への売却後のTibet Mineral の持株比率は50.72%となる。

Xigaze Zhabuyeでは拡張工事を決めており、先ず、炭酸リチウムを年産8,000トンに引き上げ、拡張工事終了後には、炭酸リチウム 2万トン、酸化リチウム 5,000トン、金属リチウム 500トン、高純度リチウム 200トン、リチウム材 30トン、リチウム化合物 490トンとなるという。

ーーー

比亜迪(BYD)は王伝福が1995年にリチウムイオン電池製造販売のために設立した会社である。
社名は
Build Your Dream から付けた。
現在、リチウムイオン電池の製造で世界第3位で、携帯電話用では世界第1位のメーカーである。

同社は2003年、倒産した中小自動車メーカーの西安秦川汽車有限責任公司を2.7億元(約40億円)で買収し、自動車産業に参入した。

BYD自動車部門は小型車を中心に順調に業績を伸ばし、強みである電池との究極のシナジーをめざして電気自動車の開発に乗り出した。2008年12月、世界初のプラグインハイブリッドカー BYD F3DM を発売した。

2008年9月、米国の著名投資家であるWarren Buffettが2億3000万ドルを投じてBYDの約10%の株式を取得した。

Buffett氏は、「新エネルギーは大変重要な分野だ。すでに風力発電には参入しているが、今後はBYDとともにエコカー分野に積極的に打って出たい」としている。

フォルクスワーゲンは2009年5月、BYDとリチウムイオンバッテリーを使用したEVやハイブリッド車の開発で提携すると発表した。

BYDは2010年1月、電気自動車「e6」を年内に米国市場に投入すると発表した。5人乗り、最高時速140kmで、1回の充電で最大330km走れるという。

BYDは2010年3月、金型メーカーのオギハラから、館林工場(車体鋼板金型を製作)を買収した。

 



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BPは9月3日、問題の井戸の古い噴出防止装置(BOP)を外して、新しいBOPを据え付けた。

井戸には約1,000バレルの原油が閉じ込められていると見られ、下部をセメントで封鎖すると、圧力で上部のセメントのプラグが壊れ、原油が流出する可能性があったが、これで井戸からの原油流出の危険はなくなった。

    2010/9/6 メキシコ湾原油流出事故の状況

掘削船Development Driller III (DD3)からのリリーフ井戸(#1)の掘削は9月15日に再開され、最後の45フィートを掘削、16日午後、海面下17,977フィートの地点で本体井戸と接続した。

検査の結果、異常がないため、17日午後にannulus(岩石と井戸のケーシングの間の環帯)にセメントが注入された。

9月19日、BPはannulusとケーシングがセメントで密封され、井戸の封鎖が完了したことを確認した。

セメント作業が終わると、リリーフ井戸(#1)は封鎖され、廃棄される。

掘削船Development Driller (DD2)はリリーフ井戸(#2)から本体井戸の追加データを収集、爆発事故の時点で井戸にあったドリルパイプの所在を確認する。
この後、
リリーフ井戸(#2)も封鎖・廃棄作業に入る。

BPのCEOTony Haywardは、「メキシコ湾への脅威はなくなった。しかし、まだするべきことがある。メキシコ湾、湾岸、地域の住民へのダメージを回復するというBPの約束は変わっていない」と述べた。

9月17日までの総コスト(流出対応、井戸関連費用、各州への支払い、損害賠償等)は約95億ドルに達した。

ーーー

BPは9月8日、メキシコ湾原油流出事故の原因の報告を発表した。

2010/9/9 BP、メキシコ湾原油流出事故の原因調査報告を発表

しかし、これは最終のものではない。

米司法省は並行して刑事面と民事面の調査を行っている。
沿岸警備隊とBureau of Ocean Energy Management (内務省の鉱物資源管理局を再編したもの)は共同で事故の原因を調査している。
下院のエネルギーおよび商業対策委員会は爆発について独自の調査を行っている。
産業界の事故を扱う
Chemical Safety Boardも正式に調査を開始した。

調査の結果、BPに重大な過失があったかどうかで、各社の負担が大きく異なる。
1)米国油濁法  
2) Clean Water Act
3)
共同権益者との関係

2010/8/2  BP、油井完全封鎖へ

 

付記

ChevronConocoPhillipsExxonMobilShell4社は721日、将来のメキシコ湾の海底油田の原油流出事故に対応するため、漏れた原油の回収と油井封じ込めを迅速に行うための非営利会社 Marine Well Containment Companyを均等出資で設立すると発表した。

BPは9月19日、Marine Well Containment Companyに参加する意向を表明した。
海底井戸を封じ込める機器をメキシコ湾で操業する全ての石油・ガス会社に利用させる。

2010/7/24  原油流出事故のその後 ー上院小委員会公聴会と原油流出事故対応会社設立 


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20061230日に広西チワン族自治区欽洲市でPetroChinaが70%、Sinopecが30%出資のJVPetroChina広西石油化学」の10百万トンの製油所の鍬入れ式が行われた。

PetroChinaが欽州市に1千万トンの製油所を、Sinopecが近くの同自治区北海市に800万トンの製油所を、それぞれ計画したため、NDRCが重複投資を恐れ、共同投資を勧めたもの。

2007/1/17 PetroChina Sinopec の初の合弁製油所が着工

原料の原油はPetroChina出資しているスーダンの原油を輸入する計画のため、PetroChinaが70%出資となった。
しかし、当時から
Sinopecが独自に製油所を建設するだろうとの観測が行われていた。

実際にSinopecJVから離脱、両社が別々に製油所を建設することとなった。

ーーー

PetroChinaは9月9日、欽州市の欽州港工業区で新しい製油所をスタートさせた。

153億人民元を投じたもので、製油所能力は年産1千万トン。PetroChina広西石油化学が運営する。

原油は主に、PetroChinaが権益を有するスーダンからの輸入品を使用する。
製品はガソリン、ディーゼル、LPGなどのほか、PPとBTXを含み、中国東南部の市場に供給される。

同社は製油所の完成前に化学品のプラントを完成させた。
能力はPPが20万トン、ベンゼン10万トン、トルエン10万トン、キシレン50万トンとなっている。

ーーー

Sinopec200812月に北海市の鐵山港でPPプラントと製油所移転の建設開始の式典を行なった。

Sinopecは北海市の市内に年産60万トンの小規模製油所を持っている。
しかし、
現在の製油所が小規模であり、かつ環境問題もあるため、市内から40km離れた新立地に200万トンの接触分解設備、300万m3の原油貯蔵設備などとともに、PP 20万トンプラントを新設するというものであった。   

その後、SinopecPetroChinaとのJV計画から撤退、新立地の製油所能力を800万トンに引上げた。

これは現在建設中。2012年にスタートする予定で、この時点で北海市の市内にある既存の製油所は廃棄される。

なお、Jettyと30万トンの原油ターミナルが沖合い50kmの Weizhou Island に作られ、鉄山港の300万m3のタンクと海底パイプラインで結ばれる。

更に、北海ー南寧間の製品のパイプライン、鉄山港と広東省湛江市と結ぶ原油のパイプラインを建設する。


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最近の人民元の動き

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中国人民銀行は6月19日、「人民元相場の弾力性を強化する」との声明を発表、 2008年8月から固定していた人民元を再び管理フロート制に戻した。毎日発表する基準値に対し、±0.5%の変動を認めるもの。

7月2日には6.7711人民元/$と、6月18日比で0.83%の元高となったが、その後は横這い状態が続いた。

中国人民銀行は8月12日に基準値を実勢値に関係なく急に6.8015人民元に引き下げ、その後安値が続いた。

8月9日に6月18日比で0.87%の元高になっていたのが、9月1日終値では0.22%にまで戻った。
人民元高で輸出に影響が出るのを恐れて、中国政府が介入したと見られている。

その流れは9月8日にサマーズ国家経済会議委員長が人民大会堂で胡錦濤国家主席と会談した後、急に変わった。

更に、ガイトナー長官が9月13日の米ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで人民元の上昇幅に対し「とても小さい」としつつ「中国も認識していると思う」と指摘。中国側の対応にも期待感を示した。
16日に議会での証言が予定されている。

中国人民銀行は9日以降、基準値を引き上げ、17日には6.7172元と、6日連続で最高値を更新した。

17日の終値は6.7235元となり、5日連続で最高値を更新、中国人民銀行が市場レートと公定レートを一本化した93年末以降での最高値を付け、6月18日比で1.50%の元高となった。

但し、これは米国が期待するものとは言えない極めて緩やかなものである。
米議会は対ドルで25~40%の過小評価と主張している。

Big Mac指数では現在のレートは48%の元安となっている。

2010/8/6 人民元の現況

9月13日再開した米議会で、超党派の議員93人が人民元の過小評価分を補助金とみなして、相殺関税などをかける法案を採決するよう議会指導部に書簡で要請した。

ガイトナー財務長官は16日、上院銀行委員会で証言、人民元について「著しい過小評価で、6月19日の弾力化声明後の上昇は遅すぎ、幅も限られている」とし、中国当局に上昇の加速を促した。

なお、アルミや光沢紙のメーカーが、過小評価された人民元が中国のメーカーにとって補助金の役割を果たしており、米国の競合相手より安い価格での販売が可能になっていると主張していたが、米商務省は8月31日に、不正な輸出補助金に当たるかどうかについて、調査しない方針を仮決定した。

中国の為替政策が「調査中の企業や業界に特定されたものではない」というのが理由。

商務省は、中国政府による実際の金銭的な補助金については主張を認め、中国企業に対し最大137.65%の相殺関税を課すことを仮決定した。今年11月までに本決定する。

付記

9月21日の上海外国為替市場の人民元相場は、銀行間取引で対ドルが9営業日続伸し、6.7079元/$で終了した。一時は6.6987元まで上昇、心理的に重要な6.7000元の節目を突破した。(基準値も6.6997元)

中国市場は9月22日から26日まで休場となる。

オバマ大統領は9月23日、ニューヨークで中国の温家宝首相と会談し、「人民元の為替水準を巡る争いを解決するため、中国は今以上に行動する必要がある」と述べ、迅速で大幅な人民元相場の切り上げを求めた。
しかし、温首相は「為替制度の改革を着実に進める」と従来の見解を繰り返した。

米下院歳入委員会は9月24日、中国に対する人民元の切り上げ圧力を高める対中制裁法案を可決した。

9月29日に下院本会議で採決する見通し。

制裁法案は、為替市場への介入により自国通貨の価値を過小評価させている国に対して、米国政府が相殺関税などの対抗措置をとれるようにする。

なお上院は下院とは別の対中制裁法案を審議している。


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豊田通商と近畿大学は9月10日、クロマグロ完全養殖事業での技術協力提携を締結したと発表した。

同時に、豊田通商は、長崎県五島市に、世界初の完全養殖種苗の中間育成会社「ツナドリーム五島」を設立した。

協業の内容は:
 1.近畿大学からツナドリーム五島への完全養殖クロマグロ人工孵化種苗の提供
 2.ツナドリーム五島でのクロマグロ種苗の中間育成に関する諸技術の指導

ツナドリーム五島は、長崎県五島福江島で、中間育成用の海上イケスを設置し、近畿大学から完全養殖クロマグロの人工孵化種苗及びクロマグロ種苗育成ノウハウの提供を受け、天然ヨコワの漁獲サイズにまで育成する。

  従来型養殖

捕獲天然ヨコワ→(養殖)→出荷サイズ

 ・乱獲による天然資源減少の恐れ
 ・ヨコワ漁獲量が不安定→経営不安定

  今回の完全養殖  

近畿大学: 育成親魚→(産卵)→卵→(孵化・陸上育成)→稚魚(約6cm)
ツナドリーム五島: 稚魚→(沖出し・中間育成)→ヨコワ(約25~30cm/500~700g)
養殖業者: 養殖ヨコワ→(養殖)→出荷サイズ 

近畿大学は、1948年に和歌山県白浜町に水産研究所を開設、1970年からクロマグロの養殖に取り組んでいる。
1979年には天然稚魚から飼育した親魚が世界で初めて産卵し人工孵化・飼育に成功、2002年には人工飼育した親魚が産卵する世界初の完全養殖技術を達成した。

これまで、養殖したクロマグロの卵から人工ふ化させ、成魚まで育てることには成功していたが、卵を産むには至っていなかった。

2007年、国内の養殖業者へ人工孵化稚魚(ヨコワ)を約1,500尾出荷し、2009年にはその生産尾数を約40,000尾に拡大したが、さらに生産尾数を拡大していくには、学外のパートナーとの協力が不可欠と判断した。

豊田通商は、コア分野である自動車分野に加え、非自動車分野を強化することにより、バランスの取れた収益構造を目指している。
食料分野では、2008年には農業生産法人を立ち上げ国内農業生産事業へ参入したが、今回、クロマグロの完全養殖事業への参入を決断した。

ーーー

日本が大量に漁獲している太平洋のクロマグロは、産卵能力のある大きな魚が減るなど資源状況が悪化しているとの分析結果を三重大の勝川俊雄准教授らがまとめた。
大型の魚の乱獲が進んだ結果、3歳以下で成熟前の小さな魚や産卵前の魚が漁獲の対象になるという、悪循環が進んでいるとみられる。

日本は太平洋クロマグロの70%超を漁獲しており、うち約55%は巻き網。近年は、若い魚を漁獲していけすで育てる蓄養向けも増加傾向にある。

漁獲数でみると、0歳の魚が占める割合は、60年代は約60%だったが2000年以降は70%超に上昇、最近は0歳と1歳の魚を合わせると90%を超えていた。

ーーー

水産庁は本年5月、日本の漁獲量が7割を占める太平洋産クロマグロの資源管理指針を発表した。
ヨコワやメジマグロと呼ばれる稚魚を含め、未成魚の漁獲制限を強化し、産卵する親魚の資源量を安定させることが主な内容で、具体的な資源回復計画を2010年度中に策定、11年度からの実施を目指す。

中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の「北小委員会」が9月7日から福岡市で開かれ、日本近海を含む太平洋クロマグロの2011~12年の漁獲規制案をまとめて10日に閉幕した。

引き縄など沿岸の零細漁業を除き、3歳以下の若齢魚の規制を強化し、日本は漁獲量を2002~04年水準より3割減となる。
韓国は2割程度減らすことになるが、「国内での協議が必要」などとして勧告案を留保した。
WCPFCは12月の年次会合で採択を目指すが、韓国の動向が焦点となる。

参考 2010/3/20 ワシントン条約締約国会議、大西洋クロマグロ禁輸案を否決


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DSM915日、DSM Elastomers部門の熱可塑性エラストマー事業(商標Sarlink)を米国のコンパウンド会社のTeknor Apex に売却すると発表した。

売却条件は明らかにしていない。
Teknor Apex は引き続き、Sarlinkの商標を使用する。

DSMLife SciencesMaterials Sciences (及び中国を中心とするEmerging Business Area)を今後のCore businessにしている。

DSM Elastomers部門は、世界シェアの約16%を占めるEPDM(商標名 Keltan)とEPDMベースの熱可塑性エラストマー(商標Sarlink)から構成されるが、いずれもこれから外れている。

DSMEPDMSittard-Geleen(オランダ)とTriunfo(ブラジル)で、SarlinkGenk(ベルギー)と Leominster(米国Massachusetts州)で生産している。

DSM1989年に出光とのJVの出光DSMを設立し、千葉でEPDM 年産4万トンの生産をしていたが、2003年にオランダに8万トンのプラントを建設、2004年9月末に千葉での生産を停止し、JVを解散した。
(1999年からはDSMが販売を担当し、合弁会社はDSMの製造委託会社となっていた。)

DSMはまた2004年に、老朽化した米国ルイジアナ州Addisの工場を停止している。

DSMCore Business

同社の業績は以下の通り。(百万ユーロ)

2009 2008
Sales EBIT Net
Profit
Sales EBIT Net
Profit
Core business Nutrition 2,824 521 2,710 447
Pharma 721 32 863 89
Performance
Materials
1,823 68 2,297 175
Polymer
Intermediates
849 6 1,201 19
Others 381 -189 436 -135
subtotal 6,598 438 7,507 595
Base Chemicals
and Materials
1,134 -68 1,572 174
Total 7,732 370 337 9,079 769 577

* Base Chemicals and MaterialsにはAgroMelamineElastomersがあるが、2009年はいずれも赤字。

ーーー

同社は
Core business以外の事業の売却を進めている。

本年3月にBase Chemicals and Materialsに属するDSM Agro DSM MelamineをエジプトのOrascom Construction Industries(OCI)に売却する契約を締結、61日に売却を完了した。

DSM Agro はアンモニア、窒素肥料のメーカーで年間160万トンの肥料を製造販売している。

DSM Melamineは世界最大のメラミンのメーカーで、オランダに工場を持つとともに、中国にShanxi Fengxi Fertilizer IndustryとのJVShanxi Fenghe Melamine(出資比率49%)、インドネシアにP.T. Pupuk Kalimantan TimurP.T. Barito Pacific LumberとのJVDSM Kaltim Melamine(現在名はOCI Kaltim Melamine、出資比率60%)を持つ。

OCIはエジプト最大の企業の一つで、建設会社のOCI Construction Group と肥料会社のOCI Fertilizer Group から構成される。
OCI Fertilizer Groupはエジプトとアルジェリアに窒素肥料の工場を持ち、米国、中南米、欧州、アフリカに販売網を持つ。

DSMは本年2月、三菱化学との間で、事業の交換(ポリカーボネート事業の売却及びナイロン事業の買収)で合意している。(2010年5月31日に交換完了)

2010/3/3 三菱化学、DSMとの高機能樹脂事業における事業交換契約に合意

DSMでは、EPDMBase Chemicals and Materialsの残る製品について売却交渉を続けている。

ーーー

Teknor Apex は米国のコンパウンド会社で、1949年に事業を開始した。

同社は
200110月にシンガポールの塩ビコンパウンド会社Singapore Polymer を買収した。
200412月には英国と米国でエンジニアリング樹脂コンパウンドを販売する英国のChem Polymer を買収した。
20075月には中国の蘇州にTeknor Apex (Suzhou) Advanced Polymer Compoundsを設立、コンパウンドの生産を始めた。
これにより、
Teknor Apex は米・欧・アジア3極で汎用樹脂からエンジニアリング樹脂までのコンパウンドを供給している。

2007/5/12 米コンパウンド会社 Teknor Apex、中国進出


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Momentive Performance Materials Hexion913日、両社が合併することを決めたと発表した。
101日合併の予定で、新社名はMomentive Performance Materials となる。

両社とも投資会社のApollo Managementの子会社。

Momentive Performance Materials2006年にApollo Management38億ドルでシリコーン事業のGE Advanced Materialsを買収し、設立した。GEが10%出資した。

GEは東芝とのJVGE Toshiba SiliconesBayerとのJVGE Bayer Silicones の両社の持分を買い取ってGE 100%とした上で売却した。

2006/9/21 GE、シリコーン事業を売却

Hexion2005年にApollo Management100%子会社であったBorden Chemical(接着剤等)、Resolution Performance Products(エポキシ、バーサチック酸等)、Resolution Specialty Materials(塗料、接着剤等)と、Bordenが買収したBakelite AG(フェノール、エポキシ樹脂)を統合して設立した。

Borden Chemicalは1929年にBorden Company がミルクベースのレジンのメーカーのCasein Company of Americaを買収したのが始まり。
1930
年代に合成樹脂、接着剤の製造を始めた。

1995年に投資会社のKohlberg, Kravis, Roberts が買収したが、2004年にApollo Managementが12億ドルでこれを買収した。 

なお、塩ビ事業を行っていたBorden Chemicals and Plastics Bordenから分離独立したもの。
2001年に民事再生法を申請、3工場をそれぞれ、信越化学、
Formosa PlasticsWestlakeに売却した。

ーーー

Resolution Performance Products 当初はShell Chemicals1部門であったが、Apollo Managementが買収した。

Resolution Specialty MaterialsApollo ManagementEastman Chemicalの1部門を買収した。

ーーー

Bakelite AGは世界初のプラスチックであるフェノール樹脂ベークライトを発明したベルギー系アメリカ人のベークランド博士が1910年に、ベークライト製造のためドイツに Rutgers AG と合弁で設立した。
その後、
Rutgers AG の子会社となったが、2004年にBorden Chemicalが買収した。

2006/2/15 プラスチック100周年

Hexion2007年にHuntsman106億ドルで買収したが、2008年にキャンセルして訴訟となり、最終的に200812月にHuntsmanに解決金10億ドルを支払って契約を破棄している。

2007/7/14 Hexion、Huntsmanを106億ドルで買収
2008/9/2 Hexion によるHuntsmanの買収問題、新展開
2008/12/15 Huntsman、Hexionとの合併契約を破棄

合併により、新会社は117工場、従業員1万人以上、売上高75億ドルEBITDA(税引前利益+支払利息+減価償却費)が12.4億ドルの、世界最大級のスペシャルティケミカルメーカーとなる。

新会社の扱い製品は以下の通り。

Fluids, Silanes, Elastomers, Engineered Materials, Urethane Additives, Sealants,
Quarz, Epoxy, Versatics, Phenolics, Amino Resins, Vinyl & Acrylic Lattices,
Formaldehyde, Acrylic Monomers, Polyester Resins, UPR

 

 


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三井物産は910神華集団との包括的業務提携に合意した。

神華集団は、年産3億3,000万トンと世界最大の石炭生産グループであり、加えて発電・鉄道・港湾・石炭化学など 26の事業会社を傘下に保有している。

2009年
石炭生産:330百万トン/年
発電容量:26,800MW
総発電量:1,188億kWh/年
鉄道資産:1,370km(包頭~天津等)
港湾資産:河北省滄州市Huanghua
港、天津港専用石炭ターミナル

石炭化学については:
  2009/11/10 
ダウと神華集団、陜西省で大規模石炭化学JVの起工式 
  2010/7/23 
神華包頭石炭化学、秋に中国最初の石炭からのポリオレフィン生産をスタート

今回の業務提携の骨子は、

(1)日本向け及び中国向け石炭物流の拡大 10年以上にわたり神華集団の発電用石炭の日本向け販売を促進してきた。
(2)海外炭鉱の共同開発 モンゴルなどの海外の優良炭鉱の共同開発
(3)石炭化学事業 の共同検討 石炭を原料とする化学品素原料及び製品の製造・ 販売
(4)環境・エネルギー有効利用事業の推進 低炭素社会の実現に向けた環境プロジェクトなど

第一弾としてモンゴル南部の世界最大規模のTavan Tolgoi 炭鉱開発に共同で応札するほか、石炭火力発電所向けに日本のクリーンコール技術や石炭液化技術、環境技術などを導入する。

Tavan Tolgoi 炭鉱は、埋蔵量が65億トンと世界最大の未開拓の炭鉱。このうち約20億トンは製鋼原料となる原料炭で、地表から浅いところに石炭層があり採掘コストが安いのも特長。

モンゴル政府は炭鉱の資源を監督する国営企業を設立するが、この企業の株式30%を国内外で売却し、15億ドルの初期開発費用に充当する予定。
10月からの国会審議を経て権益や長期契約など条件を詰め、年内にも入札を行う。

 

神華エナジーが有力候補2社のうちの1社となっている。
神華エナジーはモンゴル国境まで鉄道をつなぎ、Oyu Tolgoi Tavan Tolgoi の石炭と銅を中国に運ぶ計画のコンソーシアムの中心となっている。

炭鉱開発には鉄道が必須となる。

近くのOyu Tolgoi は銅・金鉱山で、カナダのIvanhoe Minesが権益を持っているが、これに出資するRio Tintoがモンゴル政府との間で投資契約を締結した。

Ivanhoe はまた、Ovoot Tolgoi 炭鉱の開発も行っている。

2009/11/28 Rio Tinto、モンゴルの鉱山開発で中国アルミと提携か?

伊藤忠を中心に丸紅、住友商事、双日の4社連合も応札する計画で、官民一体で発電所や水事業、輸送インフラ整備など総合開発を提案している。

モンゴルの鉱物資源・エネルギー相がモンゴルへの積極的な投資を呼びかけるために7-8月に来日、伊藤忠、丸紅、双日、三井物産、三菱商事の資源担当者と会い、開発や投資について意見を交換した。

8月3日、モンゴル鉱物資源・エネルギー省と国際協力銀行は情報交換の促進による協力関係の強化を目的とする覚書を締結した。
モンゴルのエネルギー鉱物資源開発政策や、エネルギー鉱物資源開発、重工業及び電力分野における事業、同国におけるJBICのファイナンス可能性等に関する情報交換の促進により、両者間の協力体制を強化することを目的とするもの。

8月2日には、モンゴル鉱物資源・エネルギー省と石油天然ガス・金属鉱物資源機構、産業技術総合研究所は、モンゴルの地質調査と鉱物の探査で協力することで合意、互恵的協力関係の強化を図る包括的な内容の覚書を締結した。
今後、モンゴル国内のレアアースをはじめとするレアメタル資源のポテンシャルを評価するために、共同で調査を実施する。

 


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韓国の国民年金(National Pension Services)が米国の送油管会社 Colonial Pipelineの権益23.44%をChevronから買収する交渉を行っている。

Chevronは本年3月に売却の意図を明らかにしているが、8月23日には年内に決着するだろうと述べている。
Colonial Pipelineは世界的な金融危機の影響で経営が悪化している。

同社は交渉相手を明らかにしていないが、韓国紙は韓国国民年金が売却の交渉先であると報じた。
売却額は846百万ドルと伝えられている。

パイプラインはヒューストンからニューヨークまでを結ぶもので、全長5519マイルに達する。
1平均1ガロン(398百万KL)のガソリン、ケロシン、燃料油、ディーゼル油などを12州(+ワシントンDC)に送る。

買収に成功した場合、韓国は米国の中核を担う社会的間接資本の大規模な権益を得る。

韓国の関係者は「大量ののガソリンを送油するパイプラインを買収すれば、安定的な配当と資産価値上昇が期待できる」と語った。

韓国国民年金は総資産が300兆ウォン(約21兆円)と世界4大年金基金に属する。(資産規模の順で、日本、ノルウェー、オランダ、韓国)

韓国では、1988年に国民年金制度が制定され、1999年に国民皆年金になった。制定後20年弱で、加入期間が足りないため、年金支給が少なく、資産が増えている。

このため、資産の運用の多様化のため、海外資産への投資を急速に増やしている。
これまでの投資先は次の通り。(1韓国ウォン = 0.07円)

投資対象 時期 投資規模  
KDX豊洲グランスクエア
(東京・豊洲のオフィスビル)
2009/7 960億ウォン
総額 4600億ウォン
公団が49%、カーライルが51%で買収
(公団は現金で投資、
残りはカーライルの投資金と融資など)
ロンドンHSBCタワー 2009/11  15000億ウォン 銀行大手HSBCの45階建本店ビル
(HSBCは長期リースで使用継続)
HSBCは2007年にスペイン不動産会社に売却、
安値で買い戻している。
ロンドン オフィスビル2棟 2009/11 3500億ウォン  
Aurora Place
(シドニーのオフィスビル)
2010/1 7500億ウォン 44階建て、延べ床面積は4万9000平方メートル
ロンドンGatwick Airportの
運営会社株式 12%
2010/2 1800億ウォン 2009/10にクレディスイスとGEキャピタルのJVが
スペインの大手建設業フェロビアルから買収。
ソニーセンター
(独ベルリンの大型総合
文化センター)
2010/5 8500億ウォン ソニーが欧州地域の本社ビルとして建設、
2008年にモーガンスタンレーなど3社に売却。
パリ近郊 O'Parinor
shopping centre
51%
交渉中 3500億ウォン イル・ド・フランス地域圏にある2階建ての
大型ショッピングモール
合計   40760億ウォン
(2,853億円)
 

 


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三菱化学は9月8日、坂出事業所におけるリチウムイオン二次電池用負極材の製造能力増強を発表した。

現在、坂出事業所に年産3,000トンの負極材製造設備を保有、2010年12月に2,000トンの増強を行うが、一層の需要拡大に対応するため、製造能力をさらに2,000トン増強し、年産7,000トンとする。

増強工事の完了は2011年5月、投資金額は約10億円の予定。

三菱化学はリチウムイオン二次電池の主要4材料(電解液・負極材・正極材・セパレータ)すべてを取扱う世界唯一の企業。

各事業部に分散していた電解液、負極、正極、セパレータの事業と研究開発を一括運営する社長直轄プロジェクトを立ち上げ、1999年に電池機材部を新設し、2003年には電池機材事業部に昇格させて、プロジェクトを推進している。

ーーー

付記

三菱化学は9月30日、リチウムイオン電池用負極材を中国にて製造開始するため、本年10月に現地製造販売新社を設立すると発表した。

会社名:青島雅能都化成有限公司(仮称) (Qingdao Anode Kasei Co., Ltd.)
所在地:青島市(球形化黒鉛製造合弁の青島菱達化成有限公司に隣接)
出資  :三菱化学 100%
能力  :4,000トン/年
営業運転開始:2012年3月(予定)

ーーー

リチウムイオン二次電池の仕組みは以下の通り。

リチウムイオン二次電池は、非水電解質二次電池の一種で、電解質中のリチウムイオンが電気伝導を担う。

現在では、正極にリチウム金属酸化物を用い、負極にグラファイト(黒鉛)などの炭素材を用いるものが主流となっている。
三菱化学の正極は三元系
(ニッケル/コバルト/マンガン)を使用、
通常は1/3ずつ(
LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2)だが、高価なコバルトの比率を10%に落とすのに成功した。

電解液には非水溶液系電解質を使用する。
炭酸エチレンや炭酸ジエチルなどの有機溶媒 +ヘキサフルオロリン酸リチウム (LiPF6) といったリチウム塩を使う。

 

三菱化学の状況は以下の通り。

  工場 現行能力 増設計画 目標 シェア
2009→2015
 
正極材
 三元系
水島 600t 2010/10 
 
+1,600t
15,000t 5%未満→10% コバルト10%に低減
(通常 1:1:1)
負極材
 グラファイト
坂出 3,000t 2010/12 
  
+2,000t
2011/5 
  
+2,000t
 35,000t 20%→35%  
付記 中国
青島雅能都化成
  2012/3
  +4,000t
電解液
(機能分担型電解液)
四日市 8.500t 2012/2
  +5,000t
50,000t 25%→40%  
付記 英国   2011/
  
10,000
     
付記 米国   2012/
  
10,000t
     
付記 中国   2012/末
  
10,000t  
     
セパレータ
(ポリオレフィン)
三菱樹脂
 長浜
1,200
m2
2012/夏
1,500
m2  
7,200万
m2
5%未満→10%  
             
球形化黒鉛
(負極材原料)
青島菱達化成
(山東省青島市)
  2,000t     三菱化学 49%
青島泰達天潤炭材料 37%
明和産業 14%
N-メチルピロリドン
(電解液原料)
水島 15,000t 検討中      

 

 

付記

 

付記 シェア (2010/12/14 日本経済新聞)

正極材 日亜化学  25%
Umicore(ベルギー)  20%
田中化学研究所  15%
負極材 日立化成  40%
JFEケミカル  10%
三菱化学  10%
電解液 宇部興産  25%
三菱化学  20%
第一毛織(韓国)  10%
LG Chem   10%
10%セパレーター 旭化成  45%
東燃機能膜  20%
Celgard(米)  15%

 

韓国の建国大学は9月6日、唐辛子の辛い味を出す成分のCapsaicinが、癌の発生を促進させかねないという研究結果を発表した。

同大学特性化学部生命工学科の李基遠教授、ソウル大学の李炯周教授、米ミネソタ大学のAnn M. Bode教授が共同で研究を行い、Capsaicinが癌誘発タンパク質となる上皮成長因子受容体(EGFR)の活性を誘導し、炎症の誘発および癌の発生に重要なタンパク質(COX-2)を発現させることで、皮膚癌などを促進することを、マウス実験で証明した。

特に、痛みを和らげる上で重要なタンパク質TRPV1など、癌抑制物質が相対的に不足した成人の場合、Capsaicinの大量摂取が癌発生を大きく促進しかねないことも分かった。

ただ、Capsaicinだけを調理した場合は、TRPV1遺伝子が存在するマウス、不足したマウスとも癌発生を誘発しなかった。このことから、Capsaicinはそれ自体が癌誘発物質なのではなく、癌発生を促進する機能を備えているということだとしている。

李教授は、唐辛子自体が癌を誘発するものではないと強調、「唐辛子はビタミンCが多く含まれており、ポリフェノールやカロチノイドなどの体に有益に成分が多い」とした。
しかし、「辛い味に慣れている韓国人の場合、チョンヤン唐辛子(韓国産の激辛の青唐辛子)のような辛い唐辛子を長期間大量に摂取すると、正常細胞に炎症が生じ、癌になりかねない」とし、「60歳に発生する癌が40歳から現れることもありうる」と話した。

研究結果はAmerican Association for Cancer Researchの学術誌 Cancer Research の9月号に掲載された。

Cocarcinogenic Effect of Capsaicin Involves Activation of EGFR Signaling but Not TRPV1
http://cancerres.aacrjournals.org/content/70/17/6859

ーーー

これに対し、ソウル大学薬学部の呉禹宅教授は、「現在、学界には唐辛子が癌を抑制するという主張もある」と述べ、過度な拡大解釈を警戒した。

英国のNottingham大学医学部の研究チームは2007年、Capsaicinが癌細胞のミトコンドリアのタンパク質と結合し、癌細胞を殺すという研究結果を、国際学術誌に発表した。チームは人間の肺癌と膵臓癌でテストした。

Capsaicin正常細胞のミトコンドリアは攻撃せず、癌細胞のミトコンドリアだけを攻撃して癌細胞を実質的に無力化(非活性化)することができる。

チームリーダーのDr Timothy Batesは、「我々は全ての癌のアキレス腱”を発見した」と述べている。 

BBC News 2007/1/9 How spicy foods can kill cancers
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/6244715.stm

但し、Cancer Research UKでは以下の通り述べている。

この研究は、大量の唐辛子を食べても、癌を防いだり、治療に役立つということを示すものではない。
癌のリスクを減らすには、野菜や果物を多く取り、健康なバランスの取れた食事をすることだ。


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Rio Tintoと日本の鉄鋼大手は2010年10~12月期の鉄鉱石価格について、7~9月期より約13%下げることで合意した。
6
8月のインド産中国向けのスポット価格の平均値から算出した。

中国での需要減少が要因で、原料用石炭(原料炭)もBHPとの交渉で同7%の値下げで決着している。

鉄鉱石の新しい価格は1トン約127ドル、原料炭は約210ドル。

参考 2010/6/12 鉄鉱石価格、7~9月期 23%値上げ

鉄鉱石と原料炭の価格が4半期決めに変更となったのに伴い、日本の鉄鋼メーカーと自動車メーカーは、鋼材価格交渉で、これまでの年契約を見直し、半期ごとの改定で合意している。

下期の鋼材価格交渉のベースは10~12月期と2011年1~3月期の原料価格となる。
2011年1~3月期の鉄鉱石価格は、9~11月の中国向けスポット価格が基準となるが、一時120ドル台に下がった価格は足元は150ドル程度で推移しており、先行きの不透明感は強い。


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ゼリア新薬工業は9月7日、デンマークの製薬会社Biofac Esbjerg A/S(バイオファックエスビアウ)の85%の株式を32.3百万ユーロで取得する契約を締結したと発表した。

ゼリア新薬は総合健康企業として、Quality of Lifeの向上を実現すべく、医療用医薬品事業とOTC医薬品を中心としたConsumer Healthcare事業の2つを「車の両輪」としている。

2009年度連結売上高    50,745百万円    
         
 うち、医療用医薬品   30,516百万円   消化器系 70%
        その他  30%
         
 Consumer Healthcare   20,027百万円   OTC、医薬部外品 71%
        サプリメント     20%
        スキンケア化粧品  8%
        その他         1%

Consumer Healthcare事業では、コンドロイチンを1959年に医薬品として市場に送り出したが、同成分配合の関節痛内服薬市場では約6割を占めるトップブランドに成長し、2009年度売上高は約73億円と順調な伸びを見せている。

TVで石原良純のコマーシャルをやっている。

ゼリア新薬と東京薬科大学薬学部 伊東晃教授との共同研究で、コンドロイチン硫酸が変形性関節症において軟骨細胞だけでなく、滑膜の細胞に対しても軟骨の破壊を抑制する作用があることが明らかになった。

Biofac Esはそのコンドロイチン原料の専業メーカーで、豚の軟骨からコンドロイチンを抽出し、ゼリアに供給するとともに、高品質なコンドロイチン原料をアメリカを始め世界に供給している。

ゼリア新薬では、Biofac Esの子会社化により、高品質なコンドロイチン原料の安定調達を図るとともに、両社のシナジーを高め、新たなコンドロイチン事業に挑戦するとしている。

なお、創業家P.Rorvig Holding A/S (社長:Peter Rorvig)が引続きBiofac Es株式の15%を保有し、ゼリアと協働して新規取引先の開拓、既存取引先との更なる取引強化に取り組む。 

P.Rorvig Holding A/Sの子会社Biofac A/S傘下に下記の各社を持っている。 

  Biofac Esbjerg A/S  コンドロチンの製造
  Danipharm A/S  ミルクオリゴ糖Lactuloseの製造
  A/S Orthana   PepsinPeptonesMucinsの製造
  Biofac A/S Ejby  animal glands(動物の分泌腺)ベースの製品の製造
  PharmaDan A/S  Danipharm A/Sの関連会社でLactuloseベースの医薬品の製造

ーーー

ゼリア新薬は2008年10月に基礎化粧品「IONA®」で知られるイオナインターナショナルの全株式を取得、完全子会社化した。

イオナの完全子会社化で、ゼリア新薬のスキンケア製品に新たな基礎化粧品ラインが加わり、本格的な化粧品分野への参入となった。

ーーー

ゼリア新薬は2009年8月、スイスのTillotts Pharma AGの全株式を1.36億スイスフラン(約120億円)で取得する契約を締結した。

2004年1月にTillottsの炎症性腸疾患治療剤Asacolの日本国内における独占的開発、製造、販売に関する契約を締結し、2009年に潰瘍性大腸炎治療剤としての製造販売承認を取得した。

2007年1月に協和発酵(現協和発酵キリン)と締結した契約に基づき、製造をゼリアが行い、販売は両ルートで行う。

Asacolは、炎症性腸疾患治療剤の最大のマーケットであるアメリカでは約600億円を売上げ、市場の約半分を獲得し同分野でNo.1 の治療剤で、全世界においても、同分野でトップのシェアを獲得している。

Tillotts社買収により、ゼリアはアメリカ、カナダ、ドイツなど9カ国を除き、ヨーロッパならびに中東などを含む世界53カ国のAsacolの権利を取得した。さらにTillottsが進める東南アジアなどを含めた新規地域への拡大を見込む。

さらに、ゼリアの消化器系分野で開発中もしくは販売中の医療用医薬品やOTC医薬品を、Tillottsを通じてヨーロッパ・中東地域で販売することを検討している。

ーーー

ゼリアは2010年度の主要課題として、以下を挙げている。

1.本格的な海外展開の元年
    Tillottsの通期寄与により、2010年度の海外売上比率は10%以上に、
    更に第7次中計で25%以上を目指す。
    (
Biofac Esも寄与)

2.医療用医薬品事業
   
 Asacolを医薬品事業の収益の柱へ

3.Consumer Healthcare事業
    コンドロイチン売上高100億円への挑戦
    ヘパリーゼを第2のナショナルブランドへ
     * ヘパリーゼは肝機能改善作用のある2成分を配合した滋養強壮薬(ドリンク剤及び錠剤)


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BPは9月8日(日本時間午後8時)、メキシコ湾原油流出事故の原因の報告を発表した。
単一の原因ではなく、多くの当事者の一連の失敗が爆発事故を引き起こしたとしている。

Press release
Executive summary
Full investigation report
Presentation slides

BPの結論は、多数の企業のチームの決定が事故の原因で、一連の、相互に関連したメカニカルなエラー、判断、エンジニアリングデザイン、作業から起こったとしている。

50人以上の調査チームの4ヶ月にわたる調査で、以下の点が分かった。

Macondo油井の底部のWellbore annulus(岩石と井戸のケーシングの間の環帯)で使われたセメントスラリーが原油を油層にとどめることが出来ず、原油とガスがケーシングを上昇した。セメントの設計、テスト、品質保証、リスク分析に問題があった。
   
井戸がきちんと整備できていないのに、BP Transoceanが圧力テストの結果を誤って問題なしとみなした。
   
40分間以上にわたりTransoceanのリグの操業担当が炭化水素が井戸に流入しているのを見逃して対応せず、その結果、炭化水素が急速に海面まで噴出した。
   
炭化水素がリグに到達した際に、泥とガスを分離する機械に流れたため、ガスがリグの外に放出されずに、直接リグに向かった。
   
ガスがエンジンルームに入り、爆発した。
   
爆発後も海底の噴出防止装置(BOP)が自動的に井戸を閉鎖する筈が、作動しなかった。
恐らく重要部品が動かなかったと見られる。
   

CEOのTony Hayward(間もなく退任)は、「単一のミスではなく、一連の複雑な問題が原因となった。BP、HalliburtonTransoceanを含む当事者がからんでいる」と述べた。

Transoceanは掘削作業を担当、Halliburtonはセメント作業(井戸内、または井戸と鉄管との間のセメント作業)を担当している。

ーーー

BPとしては、自社が責任はないとはしないが、TransoceanHalliburtonのミスも事故の原因になったとし、損害賠償責任の一部を転嫁しようとするもの。

以前の情報には、この油井がやっかいなものだとの認識が当事者の間にあったとされており、今回の調査では、それらの点は触れられていない。(Press release の範囲では)

これはBPの調査結果であり、最終的には米国政府が、回収したBOPの分析も含め、事故原因と責任企業を決めることとなる。

ーーー

槍玉にあげられたTransoceanHalliburtonは直ちに反論した。

TransoceanBPは自身の失敗、すなわち、井戸のデザインの欠陥を取り繕っていると批判した。

同社は自ら調査を行い、いくつかの井戸のデザインの問題点を挙げている。その一つは、centralizer(偏り防止装置)を
Halliburtonがアドバイスした数の1/3以下しか使用しなかったこと。

HalliburtonBPの報告には重要な点の省略や不正確な点が多くあると述べた。
同社は
BPの指示通りに井戸の作業をしたことに自信を持っているとし、BPとの契約によれば、報告に書かれている非難からは、完全に保護されていると述べた。
更に、
BPは井戸のデザインやテストに関し、完全な責任を有しているとしている。


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政府は9月7日の閣議で、水俣病の未認定患者の救済に必要な経費として、404億円の予備費使用を決定した。

国から熊本県に支出されたあと、県債などを加えた475億円を県が財団法人水俣・芦北地域振興財団に貸し付け、財団からチッソに20年償還で貸し付けられる。

熊本県は9月9日の臨時県議会で補正予算案を提出する。

付記
熊本県議会は9日、臨時会を開き、水俣病未認定患者救済で、総額475億5200万円をチッソに貸し付け るための関連特別会計補正予算案を可決した。
県は、国の財政融資資金を引き受け手に県債を発行して71億3300万円を調達。国が本年度一般会計予備費からの支出を決めた県への補助金404億1900万円と合わせ、いったんチッソ県債償還等特別会計に入れた後、水俣・芦北地域振興財団を通じてチッソに貸し付ける。

チッソに貸し付けられる額の内訳は一時金と団体加算金の2つ。

一時金は水俣病認定基準に満たないものの手足に感覚障害などの水俣病特有の症状があると判定された人に支給される慰謝料で、一人当たり210万円のおよそ2万人分にあたるおよそ
414億円

団体加算金は水俣病被害者団体の活動経費などを補てんするもので4つの団体に合わせて
61億円が支払われる。

   水俣病不知火患者会 29億5000万円
   水俣病出水の会(鹿児島県出水市) 29億5000万円
   水俣病被害者芦北の会(熊本県津奈木町)1億6000万円
   水俣病被害者獅子島の会(鹿児島県長島町) 4000万円

2010/3/20 水俣病集団訴訟で和解案 (水俣病不知火患者会)
2010/4/16 水俣病「救済措置の方針」を閣議決定 (その他)

一時金と団体加算金合わせた475億円の85%は国からの補助金、15%は熊本県が県債を発行して資金を調達する。

小沢環境相は7日の記者会見で、「被害者が速やかに一時金を受け取れるようにしたい。県の手続き次第だが、早ければ10月から支給開始できると思う」と述べた。

さらに、「今までの(救済)申請者の数などから十分な額と考えているが、万一の場合はきちんと対応する」として、不足する場合は追加措置も検討する考えを表明した。
また「債務は返済してもらう」とも述べ、チッソに対して将来的に債務免除はしない方針も示した。


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9月7日の「人民網日本語版」はこのタイトルの記事を掲載した。内容は以下の通り。

「中東には石油があり、中国にはレアアースがある」。
これは鄧小平の1992年の言葉だが、レアアースは石油よりも貴重とされながら、中国はまだレアアースによって相応の富を得ていない。
一方、日本や米国などのレアアース使用大国は、中国からレアアースを安く購入してため込み、戦略的備蓄としている。
ある消息筋によると、日本が海底に貯蔵するレアアースは、少なく見積もっても今後20年分はあるという。

付記 この部分について、コメントをいただいた。
http://memo-no-memo.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-682c.html 

中国がレアアースの輸出制限を決定すると、日本は繰り返し中国に輸出拡大を求めた。

日本側の集中的な圧力に対して、商務部の陳徳銘部長は中日経済ハイレベル対話同対話の開催期間中、「レアアースの輸出制限は経済発展の促進、環境保護、国家の安全といったさまざまな要因を総合的に検討した結果だ。中国はレアアースの輸出を制限するだけでなく、採掘、生産、貿易など一連の流れにも制限をかけており、こうしたやり方はWTO ルールに合致している」と強調した。

中国はレアアース資源が世界で最も豊富な国であり、埋蔵量は世界の約3分の1に達する。現在は生産量が世界の生産量全体の95%を占めている。

1990年代に大規模な採掘・輸出がスタートすると、安価な採掘コスト(環境コストは考慮しない)を背景として、中国の低廉なレアアースが世界市場を席巻し、多くの国はレアアースの採掘を停止してしまった。

参考
レアアースの埋蔵量が世界第二の米国は早くから国内最大のレアアースが埋蔵するMountain Pass鉱山を封鎖、モリブデンの生産も停止し、毎年中国から大量のレアアースを輸入している。
Mountain Pass鉱山は2011年に再開する。

中国のレアアース関連企業はまだ一定の規模に達しておらず、統一的な監督管理システムも未整備で、無秩序な競争や密輸が盛んに行われている。
このため中国は世界一のレアアース大国の地位にありながら、価格決定権をもてないでいた。
1990年から2005年にかけて、輸出量は約10倍増加したが、平均輸出価格は半分に下がった。

中国がレアアースを廉価で、無制限に売り出していた時、日本をはじめとする各国は機に乗じてレアアースを大量に買い込んだ。
日本は中国から安価なレアアース原料を買い入れ、ハイテク製品に加工して売りさばき、日本は相当の経済的利益を得ている。

中国メディアは次のような見方を示した。
30年後には世界最大のレアアース産地である内蒙古自治区包頭市白雲鉱区の白雲鄂博は資源が枯渇する可能性があるが、中国から輸入するレアアースに頼って電子工業を発展させてきた日本はその時、十分なレアアース資源を貯蔵しており、生産国だった中国は現在よりも数百倍高い値段で海外からレアアースを輸入しなくてはならなくなる。

2009/4/22 中国がレアアースの輸出を制限?

2010/8/16 中国、レアアース市場での支配力拡大へ

ーーー

日本の国家備蓄制度にはレアアースは含まれていない。
経済産業省は、備蓄対象にする方向で検討している。

2009/6/10 レアメタルの国家備蓄拡充

独立行政法人物質・材料研究機構は2008年1月、「都市鉱山」(アーバン・マイニング)と呼ばれるこれまで国内に蓄積されリサイクルの対象となる金属の量を算定し、わが国の都市鉱山は世界有数の資源国に匹敵する規模になっていることを明らかにした。
リチウムの場合、年間の世界の消費量(当時)が21,100トンに対し、日本の都市鉱山の蓄積量は150,000トンとなっている。

2008/1/15 資源大国 日本

経産省は2009年6月、レアメタルを国内に安定供給するための総合戦略「レアメタル確保戦略」の原案をまとめ、4つの柱を挙げた。

①海外資源確保:鉱山周辺のインフラ整備へのODAの活用
②リサイクル:携帯電話やデジカメなどをリサイクルする仕組みの構築
③代替材料開発:
産学官の連携強化や研究開発拠点の整備など
④備蓄:
「需給動向を踏まえ、積み増し、放出を機動的に取り組むべきだ」


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DuPontSinopecは両社のJVがこのたび北京でEVA(エチレン酢酸ビニール共重合樹脂)の生産を開始したことを明らかにした。

JV名はBeijing Huamei Polymer(北京華美聚合物公司)で2007年9月に設立された。

Sinopecが55%、DuPontが45%出資し、Sinopec北京燕化石油化工(旧称 燕山石化)の構内でDuPontの最新の技術を使用して建設を進めていた。年産能力は60千トン。
当初は2008年のスタートの予定であった。

製品はDuPontが同社のElvax®の商標(日本ではエバフレックス®)で中国国内で販売する。

担当のDuPont Packaging & Industrial Polymers事業部では、様々な包装および工業用途向けに高性能樹脂およびフィルム製品を製造している。 

ーーー

なお、DuPont817日、中国化工集団公司(ChemChina)の子会社である中昊晨光化工研究院との間で、中国におけるフッ素ゴムおよびプリコンパウンドの製造と販売を行う折半出資の合弁事業設立について同意書を交わした。

上海に新しく建設するプリコンパウンド工場も含め、2011年後半から事業を開始する予定。

ーーー

DuPont1980年代央に中国に進出、現在では子会社、JV35のプラントを有し、5500名を雇用している。
現在、中国での総投資額は
7億ドルを超えている。

DuPontの中国での活動は以下の通り。

Crop Protection 農薬事業
Pioneer Hi-bred 種子事業
Nutrition Health 大豆蛋白、微生物検査
Performance Coationgs  
Titanium Technologies  
Electronics Communications Display Technologies
Chemicals Fluoroproducts  
Packaging & Industrial Polymers  
Performance Ploymers Performance Elastomers
Protection Technologies Industrial Personal Protection
Energy Solutions
Performance Materials
Medical Specialty
Graphics
Foundations
Auto Industry
Sustainable Solutions  
Building Innovatioins  
Applied BioScience  

 

 


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日揮は9月3日、スペインの Abongoa S.A.の子会社 Abengoa Solar と共同で、同国における新規太陽熱発電事業の実施を決定したと発表した。

スペイン南部Cordobaに50MWの太陽熱発電所2基 (合計100MW) を新たに建設し、同国内向けに売電する事業。
本事業により約 52,000世帯分の一般家庭用電力が賄われる。

発電所の建設および事業運営は日揮が26%、Abengoa Solarが74%を出資する新事業会社を通じて実施する。

操業は2012年からを予定し、電力買取りはスペインで法制化されている優遇買取価格制度である
Feed in Tariffが適用される。

総事業費は約5億ユーロ以上で、このうち3億5,000万ユーロは三井住友銀行等によるプロジェクト・ファイナンス融資を受ける予定で、日本貿易保険が地球環境保険枠を適用し、海外事業資金貸付保険の付保を行う予定。

本事業は日本企業による初の商業用太陽熱発電事業となる。

太陽熱発電は太陽光エネルギーを鏡で集光、オイルなどの熱媒体を集熱設備で加熱、その加熱された熱媒体で蒸気を発生させ蒸気タービンを駆動する発電方式。
太陽熱発電の利点は、日中に熱を貯め、夜間にその熱で発電することが出来るため
24時間送電が可能なこと。

参考

 2009/7/17 DESERTEC プロジェクト スタート

 2010/2/26 アラブ諸国、太陽エネルギー輸出国に?

Abongoa S.A.は1941年に設立され、太陽エネルギー、バイオエネルギー、環境、IT、インフラ分野の設計・建設という5つのビジネスユニットに分かれており、70ヵ国以上で実績を保有している。

子会社 Abengoa Solar は太陽エネルギーに関する事業・技術開発に特化した会社で、既に発電容量として193MWの太陽熱発電プラントを稼働させており、450MW分を建設中。

ーーー

日揮は設計・調達・建設 (EPC) ビジネスで培った多様な技術や知見を活かし、以下の計画に参画している。

水・発電事業(IWPP、分散型発電)
  Taweelah B IWPP Project (U.A.E. アブダビ)
       
    パートナー: アブダビ水・電力庁、丸紅、BTU(米国)、パワーテック(マレーシア)
    事業概要: アブダビ首長国タウィーラ地区で稼動中の
100万 kW火力発電設備および日量45万トンの造水設備を買収し、
さらに100万kWの複合火力発電設備および日量30万トンの造水設備を新たに建設、
総出力 200万kWの発電設備および日量75万トンの造水設備を20年間にわたって操業。
     
  Taweelah A2 IWPP Project (U.A.E. アブダビ)
       
    パートナー: アブダビ水・電力庁、アブダビ国営エネルギー会社、丸紅
    事業概要: アブダビ首長国タウィーラ地区における発電・造水事業。
710MWの発電設備及び日量約23万トンの造水設備で構成。
発電設備には高効率ガスタービンを用いたコンバインドサイクルを採用。
     
  Rabigh IWSPP Project (サウジアラビア ラービグ)
       
    パートナー: 丸紅、伊藤忠商事、ACWAパワー(サウジアラビア)   〈日揮 25%〉
    事業概要: ラービグ地区で住友化学サウジアラムコが、共同で推進する
世界最大級の石油精製と石油化学の統合コンプレックスに対し、
360MWの電力、5,580トン/時の水および1,230トン/時の蒸気を供給可能な設備を建設、
完成後25年間にわたり操業。 日揮は、本事業を運営する事業会社に出資。
     
海水淡水化事業(中国天津市)
       
    パートナー: Hyflux(シンガポール)
    JV: H.J. NewSpring Limited (50/50)
    事業概要: Hyfluxは、天津市に造水能力日量10万トンの海水淡水化プラントを建設
 (2009年7月から工業用水の生産を開始、石化コンプレックス等へ販売)
さらに日量5万トン規模の設備増設を計画
 (2011年第3四半期には生産量が日量15万トンの中国最大の海水淡水化プラント)

本事業を共同で運営。

       
バイオエタノール製造・発電事業(フィリピン ルソン島イザベラ州)
       
    パートナー: 伊藤忠商事、現地パートナー
    JV: Green Future Innovationss, Inc.
    事業概要: サトウキビ原料のバイオエタノール(54,000kl/年)の製造・販売事業
サトウキビ残渣(バガス)を燃料とする火力発電(最大19MW)による電力販売事業
       
    参考: フィリピンでは自動車用ガソリンにバイオエタノールを現行で5%混合することが義務化され、
2011年には10%を混合することが義務化される見込み。
       

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メキシコ湾原油流出事故の現場では8月3日にキャップからの掘削泥水の注入を終え、異常が見られないため、5日9時にキャップからのセメントの注入を始め、午後2時に終了した。

この時点では、8月中旬に井戸の底部にリリーフ井戸からセメントを流し込み(Bottom kill)、井戸を上下から封鎖する予定であった。

2010/8/6  メキシコ湾油井封鎖作業の状況

しかし、流出事故対策本部のアレン本部長は8月19日の会見で、Bottom kill が予定より数週間遅れ、9月上旬以降になるとの見通しを明らかにした。
圧力テストのほか、油井の上部に設置されていたが、故障して原油やガスの噴出を防げなかったBOP(噴出防止装置)を取り外して交換し、事故原因の究明に役立てる作業などを行うため。

BOPを取り外して交換する作業は荒天のため8月30日に中断した。
(BOPとそれを引上げるための1マイルのライザーは455トンもあり、揺れると危険)

9月2日、BOPの上につけたキャップを取り除き、BOPにライザーを取り付けた。
9月3日の夜
<p>HTML clipboard</p>、古いBOPを外して、新しいBOPを据え付け、4日夜、古いBOPを船上に引き上げた。

今週にもリリーフ井戸からセメントを流しこんでBottom killを行うが、新しいBOPの据付で圧力の変化に対応できる。
(井戸に約1,000バレルの原油が閉じ込められていると見られるが、下部をセメントで封鎖すると、下からの圧力で上部のセメントのプラグが壊れ、原油が流出する可能性があった。)

アレン本部長は、井戸からの原油流出の危険はなくなったと述べた。
7月15日にBOPにキャップを取り付け、ラムを閉めて原油流出を止めた以降、原油は流出していない。

引上げたBOPは重要証拠となっており、政府の調査員が分解してトラブルの原因を調べる。

ーーー

9月2日、メキシコ湾で別の石油施設の爆発事故があった。

石油施設はMariner EnergyのVermilion 380で、ルイジアナ州バーミリオン湾の南約145km、BPの爆発現場の西方約320kmに位置し、水深104メートルの油井を通じて原油を生産しているが、爆発当時は整備のため閉鎖されていた。
作業中の13人は全員無事救出され、原油流出も確認されていない。

このリグの生産量は原油が日量約1400バレル、天然ガスが約920万立方フィート。

米国の独立系石油会社Apache Corporationは本年4月にMariner Energyを約27億ドル(プラス12億ドルの負債引継ぎ)で買収すると発表している。

2010/7/22  BP、北米とエジプトの石油資産をアパッチに売却 参照

オバマ政権は500フィート(150メートル)を超える海底油田掘削を11月30日まで禁止しようとしており、現在これをめぐり訴訟が起きている。同州の知事はメキシコ湾での石油掘削再開を連邦政府に要求している。

今回の事故は規制対象外だが、事故により規制が拡大する可能性もある。

ーーー

BPは原油流出事故の補償コストをカバーする200億ドルの基金Gulf Coast Claims Facility (GCCF)を創設、当初の予定を早め、8月9日に最初の30億ドルを払い込んだ。

これまで個人や企業に対する補償支払いはBPが行っていたが、8月23日からは基金が行う。政府に対する補償支払いは従来どおりBPが行う。

BPは9月3日、原油流出事故に絡む費用負担額が約80億ドルに達したと発表した。
6月末時点での負担額は29億ドルだったが、油井の封じ込め作業などの費用がかさんだことで、負担額は2カ月間に2倍以上に膨らんだ。

負担額には、原油の回収費用や油井を封じ込めるための一連の作業費、地元州への賠償費用などが含まれる。

 


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昭和電工は8月31日インドネシア政府が65%出資するPT. Antam Tbkと共同で2011年1月よりインドネシア西カリマンタン州でケミカル用アルミナ工場の建設を開始すると発表した。

JV名はP.T. Indonesia Chemical Aluminaで、 Antam80%、昭電が20%出資する。
アルミナの原料のボーキサイトは採掘権を保有する Antamが供給し、アルミナ生産に関する技術は昭電が提供する。

完工は2013年12月、操業の開始は2014年1月の予定で、投資額は約4億5千万米ドルを見込む。

生産能力は年産30万トンで、このうち20万トンは昭電、残りの10万トンはアンタムが引き取る。
昭電は横浜事業所で年産約20万トンのアルミナを生産しているが、201
5年までに撤退を決定している。

アルミナはアルミニウム製錬の原料となるほか、中間製品である水酸化アルミニウムは浄水場における水質の浄化剤などに、またアルミナは機能性材料、エレクトロニクス製品の材料としても使用される。

新工場ではケミカル用アルミナ(アルミニウム製錬原料以外)を生産し、昭電の既存の需要家への販売に加え、新たにインドネシア国内および周辺地域における水質浄化用途向け等の需要増加に対応する。

Antam はインドネシア政府が株式65%所有する国営の資源大手で、世界最大級のニッケル生産企業。
1968年に複数の国営鉱山企業が合併して設立された。

単独ではSulawesi島でニッケル鉱山とフェロニッケル精錬所、Maluku島でニッケル鉱山、西ジャワで金鉱山と精錬所、ジャカルタで貴金属精錬所を運営している。

他に、金では同国の資源大手Bumi ResourcesやオーストラリアのNewcrest MiningなどとJV、またニッケルではフランスのErametなどとのJVにより鉱山生産及び探鉱・開発を行っている。

Antamはビンタン島のKijang鉱山で同国内のボーキサイト生産を一手に担っているが、ビンタン島でのボーキサイト資源は枯渇しつつある。

Antamの所有するボーキサイト埋蔵量の90%以上は西カリマンタン州にある。

昭和電工は2007年3月、インドネシアでのアルミナ工場建設に関して、事業性評価を行うための合弁会社を、インドネシアのPT. Antam Tbk、シンガポールのStraits Trading Amalgamated Resources および丸紅と共同で設立することで合意した。
  Antam 49%、昭和電工 30%、Straits Trading Company 15%、丸紅 6

インドネシアのWest KalimantanTayan地区で原料ボーキサイト鉱石の採掘からケミカル用アルミナ製品までの一貫生産を行なうものであった。

今回、 Antam80%、昭電が20%出資で、アルミナだけを実施、ボーキサイト採掘はAntamが行う。

ーーー

日本では昭和電工、日本軽金属、住友化学の3社が国内でアルミナを製造しているが、環境問題から2015年までにボーキサイトの国内精製から撤退する。

各社は輸入したボーキサイトを苛性ソーダで溶融し、水酸化アルミニウムとし、更にこれを焼成してアルミナを製造している。

水酸化アルミの生産時に膨大な量の赤泥ができるが、各社は海洋投棄を行なっている。

泥は産業廃棄物であり、産業廃棄物の海洋投棄は、1972年にできたロンドン条約で原則禁止されているが、日本国内法では、赤泥が「例外」に当てはまるとし、海洋投棄を「特別」に認めている。

しかし、3社は海洋汚染の影響などを考慮、自主的に撤退の方針を決めた。

 2008/3/8 アルミナメーカー、ボーキサイトの国内精製から撤退へ

ーーー

日本軽金属は2006年11月、双日、ベトナム化学公団、同公団100%子会社South Basic Chemical とともに、アジア最大規模となるケミカル用途水酸化アルミニウム工場の建設について、事業性調査開始の基本合意契約を締結した。

ベトナム南部のラムドン省で原料ボーキサイトの埋蔵量確定作業に着手するとともに、工場建設に伴う環境アセスメント調査を開始した。生産能力は年間約55万トンを予定、プロジェクトの総事業費は約400億円と見込んだ。

しかし、日本軽金属は2008年7月、撤退を決めた。

資材高などで工場建設資金が膨らむ可能性が出てきたことや世界景気の不透明感から採算確保は難しいと判断した。日軽金は子会社の新日軽の再建を優先させる方針で、浮いた資金を活用してリストラを加速させる。
 
海外メーカーから水酸化アルミを購入するか、ベトナム以外の国で新工場を建設するかを選択することになるとみられる。 

ーーー

住友化学は2009年10月、各種アルミナ製品について、海外で生産された水酸化アルミニウムを原料に、従来と同等の品質の製品が提供できることを確認し、主要な需要家の了解を得られたことから、2010 年4月を目途に、原料の全面転換を行うと発表した。


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政府はイランの核問題に関する安全保障理事会決議1929号の履行に関し、93日、追加制裁を閣議了解した。
8月3日に既に閣議了解を行っているが、これに追加した。

国連安保理は6月9日、イラン核問題に関連しイラン制裁決議、決議1929号を賛成12、反対2(ブラジル、トルコ)、棄権1(レバノン)で採択した。

過去の制裁決議、1737号(2006)、1747号(2007)、1803号(2008)の制裁に加え、新たに次のような措置を規定している。
(1)イランによる核・ミサイル関連の特定外国投資の禁止、
(2)イランへの特定通常兵器移転の禁止、
(3)イランによる核搭載ミサイル関連活動の禁止、
(4)禁制品を貨物とすると疑われる船舶の検査(発見された禁制品は捕獲・処分)、
(5)禁制品を貨物とする船舶への燃料などの供給禁止、
(6)イラン・イスラム共和国船舶ラインとイラン航空貨物局への規制、
(7)拡散のための金融の阻止、
(8)すべてのイランの会社に対する警戒、
(9)イランの銀行の支店開設など銀行業務制限、
(10)革命防衛隊の役割を制限する措置、
(11)旅行禁止など特定個人への制裁と特定団体への制裁、
(12)国連制裁監視パネルの設置

政府は8月3日の制裁では以下を決めた。

(1)安保理決議で特定されたイランの40団体及び1個人の資産の凍結等
(2)核技術等に関連するイランによる投資の禁止
(3)イランへの大型通常兵器等の供給等に関連する資金の移転の防止
 http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201008/__icsFiles/afieldfile/2010/08/03/20100803amsiryou1.pdf

決議1929号では、各国における経済活動や金融取引等がイランの核活動等に寄与していると信じる合理的な理由があると認められる場合に、不拡散、商業、金融、運輸等の分野において、然るべき措置を採ることも要請されている。

米政府は8月に日本に対し、 「EUの制裁を参考にしてほしい」と伝えた。
イランからの原油輸入禁止については強くは求めなかった。

EUの独自制裁は、
・石油精製や液化天然ガス製造に関する投資、技術移転の禁止
・軍事転用が可能な製品の禁輸対象拡大
・イラン金融機関の一部資産凍結など。

今回の追加制裁は以下の通り。

(1)不拡散分野:新たに88団体・24個人を資産凍結対象に指定
(2)金融分野:イランの銀行15行を資産凍結し、コルレス関係を停止
        資金移転防止及び金融機関の確認義務強化
(3)貿易分野:イラン向け輸出信用について、2年超については,新規の供与・引受けを行わない。
         短期についても厳格な審査
(4)運輸分野:イランShipping Lines(IRISL)本体及び関連団体を資産凍結対象に指定
(5)エネルギー分野:
    ・石油・ガス分野の新規投資に対しては、(3)の措置の実施で停止する。
    ・産業界に対して、決議第1929号の趣旨を周知し,イランとの取引について注意喚起
    ・石油・ガス分野事業者に対し、新規プロジェクトについて厳に慎重な対応を求める
 http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201009/__icsFiles/afieldfile/2010/09/03/20100903amsiryou1.pdf

イランとの取引の大半を占める原油については、エネルギー政策や経済への影響が大きいため、輸入規制を盛り込まない。

国際石油開発帝石はイランのアザデガンAzadegan 油田の開発権の10%を保有している。
  2006/10/9 
アザデガン油田の開発権引き下げでイランと合意 

直嶋経済産業相が9月3日、この油田権益に変化はないとの見通しを示した。
しかし、イラン政府系のファルス通信は、「日本の権益はイランの行動の対象となるだろう」と報復の可能性を示唆、「イランは米国の制裁に追随すれば、その国がイランに持つ権益が危うくなると警告してきた」と論評した。

日本のイランからの輸入は2009年で約92億ドルで、原油などの石油関連が98%を占める。
経済産業省によると、イランは2008年の原油の輸入先で、サウジアラビア、アラブ首長国連邦に次ぐ3位。
日本からの輸出は2009年で約16億ドル。鉄鋼、電気機械、輸送機械などが中心となっている。

イランのAraghchi 駐日大使は、日本がイランに対する独自制裁措置を閣議了解したことについて、「2国間の経済関係に大きな影響は及ぼさない」との見方を示した。

「いくつか厳しい点はあるが、国連安保理事会が6月に採択した追加制裁決議の枠内での補足的なものにすぎない。原油輸入には規制を盛り込んでおらず、他の分野でも以前と変わらない関係が続くだろう」と強調した。

一方で、「イランは国連安保理の追加制裁決議を不当なものとみなしている。日本には、強硬姿勢をとらずにバランスを保ち、米欧の圧力に屈しないよう望む」と訴えた。

ーーー

韓国はイラン追加制裁で対応に苦慮している。

韓国は近年、イランとの経済関係を緊密化しており、制裁はイランからの「報復」を招きかねない。
他方、対北朝鮮政策上、同盟国・米国の協力は不可欠である。

焦点となっているのが、イラン国営メラト銀行ソウル支店の取り扱いで、メラト銀行のアジア唯一の海外支店。
米国で先に成立した包括的対イラン経済制裁法で対象リストに盛り込まれている。

米政府は昨年来、韓国にこの支店の閉鎖を求めているが、イランはこれを牽制、ラヒミ副大統領は「韓国製品を買えないよう高い関税と税金を課すことで、韓国も適切な罰を受けなければならない」などと主張している。

2009年の韓国の対イラン貿易額は、輸入は約57億4600万ドルで日本より少ないが、輸出は約39億9200万ドルと日本の2.5倍となっている。

ーーー

参考  2010/8/27  LyondellBasell、イラン撤退を決定


ーーー

付記

韓国は9月8日、独自制裁措置を決定した。
金融、貿易、運送、エネルギーなどの分野で、EUや日本に準じた厳しい内容。

問題のメラト銀行ソウル支店については、検査で法令違反行為が判明、6ヶ月以内の営業停止措置とともに、事前許可のない金融取引を全面的に禁止する。

エネルギー分野ではガス・製油事業での新規投資や技術提供、建設契約を禁止し、貿易保険も縮小する。

韓国の建設業界はイランでの新規受注が事実上不可能となり、大きなショックを受けている。
一方、輸出中小企業は韓国国内の銀行に開設されるイラン中央銀行のウォン建て口座を通じ、代金決済が認められ、最悪の事態を回避した。

イランは韓国が経済制裁に踏み切った場合、関税引き上げなどの報復措置を取る可能性に言及しているため、企業はイランの今後の出方に注目している。


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福建省のナイロンヤーンメーカーの力恒化繊科技(Li Heng Chemical Fibre Technologies) はこのたび、ポリアミド-6の第二工場建設でLurgi と契約した。

子会社の力恆錦LiHeng (Changle) Polyamide Technology が福建省長楽市濱海工業区に建設する。
同社は2009年に
Lurgi からZimmer2段階法を導入し、日産200トン(年産70千トン)のポリアミド-6プラントを稼動させているが、今回、隣接して100千トンプラントを建設する。

Lurgi 1991年に英国のDavy-McKeeからZimmerを買収した。

建設費は約1億ドルで、2011年の第4四半期の完成を目指す。

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力恒化繊科技は2003年に長楽市金峰工業区に力源(Liyuan)工場、2005年に同市濱海工業区に力恒Liheng)工場を建設、ナイロンヤーンの製造を開始、 力源力恒のブランドで販売している。

2007年に能力は92,400トン、2008年に167,200トンとなり、この時点でポリアミド-6の建設を決定、2009年に稼動させた。

2010年にはナイロンヤーンの能力は257,000トンとなり、ポリアミド-6の第二工場の建設を決定した。

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中国商務部は本年4月に、米・EU・ロシア・台湾原産の輸入ポリアミド-6に対してダンピングを認定、ダンピング課税を行った。20094月から調査を行っていた。

ダンピング税率は米国品(BASFほか)が29.396.5%EU品が8.023.9%、ロシア品が5.923.9%、台湾品が4.023.9%となっている。

中国は米・伊・英・仏・台湾原産の輸入ポリアミド-6.6についても2009年10月にダンピングの認定をしている。

 


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富士フイルムは8月30日、国内で細胞再生医療材料事業を展開するジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)による40億円の第三者割当増資を引き受けると発表した。増資引き受け後は、同社株式の41%を保有することとなる。

再生医療は、人工臓器や移植による治療に代わり、失われた組織や臓器を再生させることが可能な、有望な治療法として注目されている。

自家細胞を用いた再生医療をさらに発展させるには三要素を最適に組み合わせながら進化させていく必要がある。
(1)分化・増殖して人の組織となる「細胞」
(2)細胞の分化・増殖を誘導する増殖因子などの「サイトカイン」(細胞から産生される蛋白質)
(3)細胞が正常に生育・増殖するために必要な「足場」(細胞外物質)

富士フイルムは、コラーゲンなどの高分子材料に関する知見やノウハウと、素材を微粒子化・多孔化する成型技術などを応用し、「足場」の素材に求められる生体適合性、生分解性、機械強度などの性能について研究を進め、遺伝子工学を応用して、生体適合性に優れるコラーゲンをモデルとしたリコンビナントペプチド(RCP)とその量産技術を開発した。

このRCPを「足場」材として、細胞と組み合わせた再生医療材料に展開を図るため、「細胞」/「サイトカイン」を用いた培養技術に秀でたJ-TECと強固な関係を結び、研究開発を加速させる目的で資本提携を行うことを決定した。

富士フイルムグループは、医療関連の事業を重要な成長分野として位置付け、「予防~診断~治療」の全領域をカバーする総合ヘルスケアカンパニーを目指した事業展開を進めている。

2010/2/22  富士フイルム 医薬品開発・販売に本格参入

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J-TECは日本における再生医療のパイオニアで、細胞培養に優れた独自の技術を保有し、自家培養表皮の製造販売承認を取得するなど、国内で細胞再生医療材料事業を実施する唯一のバイオベンチャー企業。

1999年 2月、株式会社ニデック(事業内容:眼科医療機器の開発・製造・販売、自家培養角膜の研究)が母体となり、INAX、富山化学工業ならびにセントラルキャピタル(現、三菱UFJキャピタル)と共同出資し、ティッシュ・エンジニアリングを技術ベースに再生医療を事業領域とする企業として愛知県蒲郡市に設立した。

J-TECは再生医療製品および関連製品の研究・開発、製造、販売を主要な事業目的として、薬事法の適用を受ける再生医療製品事業と、薬事法の適用を受けない研究開発支援事業を展開している。

(1)再生医療製品事業
  自家培養表皮
    正常な皮膚から増殖能力が優れた表皮細胞を取り出して人工的に培養し、皮膚のようにシート状にしたものを受傷部位に移植する培養表皮移植の技術
    * 2007年10月、自家培養表皮(販売名:ジェイス)の製造承認を取得
    * 2009年1月1日から保険適用
     
  自家培養軟骨
    軟骨組織はケガなどで一度損傷を受けると自然には治らない組織。
(軟骨組織には血管がなく、損傷を受けても、それを治すための細胞も、細胞を増やすための栄養も供給されないので、軟骨は自然治癒しない。)
軟骨細胞には増殖する能力があるため、患者の軟骨組織の一部を取り出し、軟骨細胞が増殖できるような環境を整えて作るのが自家培養軟骨。軟骨欠損に自家培養軟骨を移植することで修復が期待される。
    * 2009年8月、製造承認申請
     
  自家培養角膜上皮
    角膜のもととなる細胞は角膜輪部(瞳の周辺の部分)に存在し、ここから新しい角膜ができる。
角膜に重度の障害を受けた場合、わずかでも正常な輪部が残っていれば、その輪部組織から角膜上皮細胞を分離・培養することにより自家培養角膜上皮をつくり、これを移植する。
    * 2003年イタリアのThe Veneto Eye Bank Foundationから技術導入
 日本を含むアジア全域の国での当該ノウハウを独占的に使用し製造販売する権利
     
(2)研究開発支援事業
    J-TECでは、医療用培養表皮や培養軟骨の開発で蓄積した高度な培養技術を応用して、研究用ヒト培養組織(ヒトの細胞を用いて体外で培養し、再構築させた組織)モデルを開発し、販売している。
ヒト組織に極めて近い構造を再現できるため、動物や単純な培養細胞の代替とな る種々の実験への適用が可能で、外用医薬品や化粧品の開発、皮膚を用いた各種研究に使用することができる。
     
  LabCyte EPI-MODEL(ラボサイト エピ・モデル)
    ヒト正常表皮細胞を重層培養したヒト3次元培養表皮モデル
実験動物による皮膚刺激性試験の代替材料)
     
  メラノサイト含有ヒト3次元培養表皮 LabCyte MELANO-MODEL ラボサイト メラノ・モデル)
    ヒ ト正常表皮細胞にメラノサイト(色素細胞)を加えて3次元培養したラボサイト メラノ・モデル。
(薬剤・UVなどの各種刺激により、培養中のメラノサイト増殖やメラニン産生誘導を確認できる)
     
  ヒト3次元培養角膜上皮 LabCyte CORNEA-MODEL (ラボサイト 角膜モデル)
    ヒト正常角膜上皮細胞を重層培養したヒト3次元培養角膜上皮モデル
(化合物の眼刺激性試験に加えて、角膜上皮の分子生物学的解析に利用)
    * 2010年7月 発売開始

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メキシコ湾原油流出事故の対策のため資産を売却しているBP91日、マレーシアのエチレン、ポリエチレンJVの持分をペトロナスに売却することで合意したと発表した。

売却するのはマレーシアのKertih にある下記の両社のBPの持分。

1) Ethylene Malaysia 1995年稼動)

  出資:ペトロナス 72.5%BP 15%、出光興産 12.5%
  能力:エチレン 440千トン

2)Polyethylene Malaysia1995年稼動)

  出資:ペトロナス 40%BP 60%
  能力:HDPE/LLDPE 318千トン

なお、Ethylene Malaysia のエチレンは他に、Vinyl Chloride(M) VCM向けと、Pasir Gudangにある出光SMSM向けにも供給されている。
出光はこの
SMを使用し、独自にPSを生産している。

契約ではペトロナスはBPに現金で363百万ドルを支払う。(株主ローンを含む)
両社は
2010年末までに取引を完了させる予定。

BPはマレーシアで、KuantanPTA 600千トンと、ペトロナスとのJVBP 70%)Kertihに酢酸 560千トンのプラントを保有しており、他にPort Klangに潤滑油プラントも持っている。

BPは、この地域は同社にとり重要だが、このエチレン、ポリエチレン事業は実質的にペトロナスの事業であり、売却するとしている。

BPは2005/4/1、石油化学の大半をInnoveneとして分離、2005年末にIneosに売却した。
 2006/6/14 
 事業買収で急成長した化学会社」 参照

但し、PTAとその原料であるパラキシレン、酢酸、及び中国でのエチレンJVはその後もBPのコア事業である。
 2006/7/26 
BPが韓国のPTA事業から撤退 参照

参考 2006/8/29 BPの石油化学のオリジン

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BPの資産売却については下記参照。

2010/7/22  BP、北米とエジプトの石油資産をアパッチに売却

2010/8/5  BP、コロンビアの石油関連資産を売却 


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フランスの医薬品メーカー、Sanofi-aventis 8月29日、遺伝性疾患治療薬で世界最大手の米Genzymeに対する185億ドルの買収提案を公表した。

提案買収価格は1株当たり69ドルで、7月1日の株価に対して38%、噂の出た7月22日の前日までの1ヶ月平均に対し31%のプレミアムとなっている。2010年の同社の予想1株当たり利益の36倍になるとしている。
Sanofi-aventisでは必要な資金の手当ては出来ているとしている。

Sanofi-aventisは7月29日にGenzymeに対し非公開で買収を提案した。
しかし、協議に入れないため、
Genzymeの株主に提案を説明するため公開したとしている。

買収を完了させるために「あらゆる選択肢を検討する」としており、敵対的買収も辞さない構えを示した。

Sanofi-AventisはHoechstと Rhone Poulenc が合併してできたAventisと、フランスのSanofi-Synthelaboが2004年に合併したもの。
(2006/3/6 「世界の医薬会社の構造改革
」参照)

Sanofi-aventisは、売上高の約20%を占める製品が2013年までに特許権切れとなり、ジェネリックメーカーとの競争に直面するため、Genzyme買収に動いた。

Genzyme MassachusettsCambridgeを本拠とするバイオ医薬メーカーで、希少な遺伝病、腎臓病、整形外科関係、癌、移植、免疫疾患、遺伝子診断などを扱っている。

Sanofi-aventisでは、統合により、Genzyme の新しい治療法への投資促進、既存市場での拡販、新規市場への進出が可能になるとしている。

報道によると、Genzyme は資産査定開始の条件として少なくとも1株75ドルの提示を求めている。一部の株主は1株80ドルへの提示価格引き上げを主張しているという。

Genzyme829日に取締役会を開き、満場一致で拒否を決めた。

他方、Sanofi-aventisの取締役会は1株当たり最高70ドルの提案を支持しており、これを上回る買収価格を提示することに消極的で、ほかの標的を検討する可能性があると報じられている。

ーーー

Genzyme1981年に設立された。設立以来、いくつかの分野で、これまで治療法のなかった病気の患者に対し、多くの画期的な治療法を開発した。2009年の売上高は45億ドル

下記の幅広い分野で製品を開発している。

 遺伝病:ゴーシェ病、ファブリー病など
 心血管代謝症、
腎臓
 バイオサージェリー:
バイオテクノロジーと外科療法を融合させた新しい治療概念
 血液癌科
 遺伝子診断
 その他

ジェンザイム・ジャパンは、1987年に創立され、診断から治療までを1つのコンセプトに、バイオ医薬品、バイオサージェリー、血液領域、遺伝子診断事業の4つの事業を展開している。

  バイオ医薬品:ライソゾーム病治療薬

ライソゾーム病は、細胞のライソゾーム内に存在する酵素の活性が遺伝的に欠損または低下しているため、その酵素によって分解されるべき糖や糖脂質などが分解されずに体内に蓄積し、その結果、進行性の臓器障害や骨格障害などを呈する難治性の疾患。ライソゾーム内には数十種類の酵素が存在し、その酵素の数だけ疾患があるといわれている。

  バイオサージェリー

既存の外科的手法にバイオマテリアルや遺伝子治療、細胞治療を取り入れることにより、包括的な外科的治療を提案。

  血液領域事業部

再生不良性貧血および造血幹細胞移植の治療薬として、免疫抑制剤「サイモグロブリン点滴静注用」を発売。

  遺伝子診断

1992年に事業を発足、全国の医療機関から検査を受託している。


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財務省が30日発表した7月のナフサ通関実績によると、1kl当たり輸入単価は42,331円で、前月比4,090円安となった。
前年同月比では4,431円高となっている。

最近の東京市場のOpen-spec ナフサのスポット価格は以下の通り。

2月は下がったが、1月730ドル、3月735ドル、4月755ドルと上昇、5月に入り中旬から急落し、平均では700ドルを下回り、6月、7月は更に下がっている。

ナフサは2ヶ月後入着とされているため、7月の通関価格の下落は5月頃のスポット価格を反映しており、円高も含め、今後暫く低水準になると思われる。
(実際の輸入ナフサは油種や購入先、契約時期、契約条件などが異なるため、スポット価格平均とは合致しない。傾向が分かるだけ。)

なお、ベースとなるWTI原油の最近(2009年夏以降)の価格はほぼ景気動向の見通し(≒NYダウ平均)に合わせ上下している。


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ロシア海運最大手ソフコムフロートは8月25日、北極海を初めて横断航行している同社傘下の大型タンカーBaltika が北極海航路の難関部分の通過に成功し、ロシア東端のチュコト(チュクチ)自治管区Pevekに達したと発表、「大型船舶の運航の可能性が実証された」と表明した。

ロシアは北極圏で開発中のエネルギー資源を日本や中国など北東アジアに輸出するルートとして北極海航路に期待しており、その可能性を実証するのが狙い。

今回運航されたタンカーの積載可能重量は約117千トンだが、同社長は来年、さらに大型のタンカーで同航路を運航する計画も明らかにした。

タンカーは北欧に近いMurmanskを出港。天然ガス副産物の軽質原油コンデンセート約7万トンを積み、数隻の砕氷船を伴い、難関部分の約2,500カイリを予定より早い11日間で航行、今後の運航に役立つデータも集めた。

9月上旬に中国の浙江省寧波に到着する予定。

北極海航路は6,600マイル、スエズ運河経由では11,000マイルとなる。

地球温暖化で海氷が減りつつある同航路は将来、日本などアジアにとって重要な貿易航路になる可能性が出てきた。

ーーー

ノルウェーの海運会社Tschudi Shipping Companyは8月26日、同国北部Kirkenesから北極海経由で中国へ鉄鉱石を輸送すると発表した。(KirkenesはロシアのMurmanskの近く)

行く先は遼寧省大連と寧波で、海氷の状況にもよるが、約26日で中国に到着する。

使用船舶は耐氷貨物船Nordic Barents で、ノルウェー北部で産出した鉄鉱石約41千トンを積み、9月初旬にKirkenesを出港する。ロシアの砕氷船が同行する。

ロシア運輸省のNorthern Sea Route Administration が、外国船がロシア領海を通って外国の港から外国の港へ貨物を運ぶのを初めて認可した。

 


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