2014年7月アーカイブ

東レの連結子会社の韓国の東レ尖端素材(Toray Advanced Materials Korea)は、2013年11月6日、熊津ホールディングスほかとの間で熊津ケミカル(Woongjin Chemical)の株式56.2%を4,300億ウォンで取得する契約を締結し、2014年2月28日に全ての手続きを完了した。

熊津ケミカルは2014年4月にToray Chemical Korea Inc.と改称した。

2013/10/3 東レ、韓国 ウンジンケミカル買収へ


米司法省は7月9日、Toray Chemical Korea(旧称 熊津ケミカル) がDuPont の情報の窃盗事件にからみ、2,058千ドルの罰金支払いとコンプライアンス強化、調査への協力に同意したと発表した。
司法省はこの事件の情報と2年間の起訴猶予合意(deferred prosecution agreement)を裁判所に通知した。


熊津ケミカルは ポリエステルフィラメント、ポリエステルファイバー、チップ、繊維、水処理フィルター、A-PET シート(無延伸フィルム)、アラミド繊維等の製造・販売を行っている。

報告によると、熊津ケミカルは同社のメタアラミド繊維のArawin® 開発に注力し、DuPontのメタ系芳香族ポリアラミドNomex®に対抗しようとしていた。

2011年1月から11月にかけて、熊津ケミカルは Arawin の改良のため、Nomex、特に Nomex paper の製造プロセスに知識を持つDuPont退職者をコンサルタントして雇用しようとした。2人のDuPont 退職者が韓国を訪問し、その際、熊津側は強く情報開示を求めた。

Nomex paperはアラミドポリマーからフロック(短繊維)とファイブリッド(合成パルプ)を作り、これを水中に分散させて抄紙機にかけて製造される。
この後に高温・高圧でカレンダー加工を行い、高密度化をはかり内部結合力を高める。
この結果、高温下でも機械的、電気的に優れた紙が出来上がる。

日本ではデュポン帝人アドバンスドペーパーが製造している。

2人のうち1人は、現役のDuPont 従業員からフロックの長さや製造条件を聞き出そうとした。これは成功しなかったが、その後も熊津は合法・非合法にフロックのサンプルを得ようとした。

DuPont は2011年にこの動きを察知し、FBIに相談した。

その後、熊津はFBIがDuPont情報窃盗容疑で2人の元従業員を調べていることを知った。

起訴猶予合意には、Toray Chemical が政府の調査に全面的に協力し、改善策を取ったことが記されている。

DuPont とToray Chemical は民事面でも本件を解決することで合意している。

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DuPont のアラミド繊維の営業秘密を巡っては、韓国のKolon Industriesが争っている。

DuPontは2009年2月にKolon を商業秘密盗用で訴えた。
これに対し、KolonはDuPont技術の盗用を否定、自社技術で生産していると反論していた。

2014/4/8 DuPont と韓国Kolonのアラミド繊維の技術盗用裁判、差し戻し 

 

米商務省は7月25日、中国と台湾のメーカーの結晶シリコン太陽電池製品に反ダンピング関税の適用を仮決定した。
商務部は6月3日に中国製の結晶シリコン太陽電池製品に反補助金関税を課す仮決定を行っている。

商務省は2014年1月23日、中国製の結晶シリコン太陽電池製品などに対して、再度、反ダンピング・反補助金調査を実施する決定を下した。
SolarWorld Industries America Inc.からの申請を受けたもの。

米国国際貿易委員会(ITC)は2月14日、中国から米国に輸出される太陽電池が、米国の関連産業に実質的な損失をもたらしたとする仮裁定を下した。

米国は既に中国製の太陽光パネルについて反ダンピング、反補助金関税を課しているが、今回の対象製品はバッテリー、モジュール、合板、パネル、建築一体化材料などが含まれる。
中国大陸から輸入される同製品のほか、台湾製も反ダンピング調査の対象となった。

今回の反補助金、反ダンピング課税の仮決定の結果は以下の通りで、保証金が徴収される。(単位:%)
反ダンピングと反補助金はダブルため、重複分を除外して保証金が決められている。

  反補助金(CVD) 反ダンピング(AD) 合計
保証金
dumping
 margin
保証金
China Wuxi Suntech Power & affiliates 35.21 42.33 14.03 49.24
Trina Solar 18.56 26.33 10.74 29.30
Renesola/Jinko 26.89 58.87 55.49 82.38
調査協力41社 42.33 20.38 47.27
調査非協力 165.04 165.04 191.93
Taiwan Gintech - 27.59   27.59
Motech - 44.18   44.18
Others - 35.89   35.89

  
商務省発表  反補助金     反ダンピング 


2012年11月に決まった米国による中国製太陽光パネルのダンピング税率は下記の通り。

  最終決定
AD CVD 合計
Wuxi Suntech 21.19 14.78 35.97
Trina Solar 7.78 15.97 23.75
他の59社  15.42 15.24 30.66
他の全て 239.42 15.24 254.66

 

中国は太陽光パネル関連で米国及びEUと熾烈な争いを繰り広げている。

     経緯: 2014/5/5  中国、EUの太陽光パネル用ポリシリコンの反ダンピング・反補助金調査でクロの最終決定 

米国とEUは中国の太陽光パネルに反ダンピング、反補助金調査を行い、これに対し、中国は米国とEUの太陽光パネル用ポリシリコンについて反ダンピング、反補助金調査を行った。
中国はこれに加え、中国に対して強硬姿勢を示したフランスへの報復としてEU産のワインについても調査を開始した。

EUと中国は太陽光パネルとワインについて、それぞれ和解した。

米国は強硬で、太陽光パネルについて反ダンピング、反補助金を決めた後、中国が米国のポリシリコンに反ダンピング、反補助金を決めると、直後に今回の太陽電池製品の調査を開始した。

最終的には原料のポリシリコン(米国品)と中国・台湾の太陽電池製品、太陽光パネルの全てに課税され、米国の消費者は高い製品を使わざるを得ないこととなる。

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世界貿易機関(WTO)は7月14日、中国産の鉄鋼製品や太陽光パネルなどに対する米国の懲罰的輸入関税の適用は国際規則に違反するとの判断を示し、中国側の主張を一部認めた。
米国側による対応の裏づけが補助金・相殺関税に関する1964年の Marrakesh合意に沿っていないとする中国側の主張を支持した。ただし一部主張については認めなかった。

WTOはまた、インド産の一部鉄鋼製品に対する米国の相殺関税適用についても、インド側の主張を一部認めた。

今回の決定は、WTOが米国のやり方を問題視した直後に行われた。

 

 

 

DSMは7月11日、世界的なビタミンC製造メーカーのAland (Jiangsu) Nutraceutical江蘇江山製藥 )のビタミンC事業買収について、親会社のAland(HK)Holding と合意したと発表した。
今後6ヶ月から9ヶ月を目途に手続きを完了する予定だが、本買収に関する財務情報の詳細は公開していない。


DSMは既存のスコットランドのDalry工場のビタミンCプラントを維持しつつ、江山製藥にサステナビリティや環境などに配慮する経営文化と品質管理のノウハウを注入してビタミンCの供給体制を増強、DSMが手掛けるHuman Nutrition & Health(健康食品やサプリメント向け)、Animal Nutrition & Health (動物用飼料向け)、Personal Care(化粧品向け)の3部門において、ビタミンC市場でのポジショニングをより強固にすることができると期待している。

江蘇江山製藥有限公司1990年に中国・江蘇省に設立された。従業員は1,850名で、主力製品であるビタミンCの年間売上は約9000万USドル。
同社のもう一つの部門は消費者向けの栄養製品部門で、これは今回の取引に含まれない。

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DSMは欧州唯一のビタミンC製造メーカーである。

DSMは2003年にRoche のビタミン、カロテノイド、クエン酸、その他のファインケミカルのVitamins & Fine Chemicals Divisionを19.5億ユーロで買収した。
Rocheは1938年にビタミンCを初めて合成した企業である。

DSMはこの取引でスコットランドのDalry工場と米国New Jersey州のBelvidere工場を引き継いだ。
しかし、後者については2005年に閉鎖し、現在はスコットランドだけで生産している。

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欧州ではBASFがデンマークでビタミンCを生産していた。

BASFは2000年に武田薬品とビタミンバルク事業で提携した。

① 日本では両社によるビタミンバルク事業のJV BASF武田ビタミン(武田薬品 34%、BASF 66%)を新設
② 武田薬品の海外子会社(タケダ・フード・ビタミン米国、タケダ・ヨーロッパ、タケダ・フード・ビタミン・アジア)全株式をBASFに譲渡
③ 武田薬品のビタミンC、B1、B2、B6、葉酸等のビタミンバルク製造技術・特許をBASFに譲渡
④ 武田薬品は、光工場でビタミンバルクの生産を一定期間継続し、その全量をBASFへ供給

武田薬品は2006年1月、BASF武田ビタミンの全株式(34%)をBASFジャパンに譲渡した。

BASFは武田から引き継いだNorth Carolina 州 Wilmington のビタミンC合成ラインを2002年に停止した。

同社は2005年にデンマークのGrena工場でのビタミンCの生産を停止した。

BASFは1995年に東北製薬とのJV BASF Vitamins を設立し、2000年に出資を70%から98%にし、2005年に100%とした。瀋陽市に工場を持つ。

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両社が各工場を閉鎖したのは、中国勢の安値攻勢に負けた結果である。

世界のビタミンC需要の 90% を中国メーカーの江蘇江山製薬、東北製薬、石藥集團維生藥業(石家莊)、河北Welcome(维尔康) 製薬などで製造している。

今回、BASFに続き、DSMも中国に進出する。
 

 

米司法当局は2012年に中国製のビタミンCの価格カルテル調査を開始した。米国の需要家の訴えによるものである。

裁判では、被告側は価格カルテルの存在は認めたが、中国政府に強いられたと弁解した。中国商務部もこの主張を裁判で認めたが、原告は政府の命令ではなく、自発的なカルテルだと主張した。

一部は裁判に到る前に和解、一部は裁判中に和解、残りが2013年3月に3倍増の罰金を言い渡された。

江蘇江山製藥 裁判前に和解
東北製薬
香港の中国製薬集団(石薬集団)
傘下の維生薬業
22.5百万ドルで和解
華北製薬集団
傘下の河北维尔康製薬
損害認定 54百万ドル
判決 3倍増 162.3百万ドル
石藥集團維生藥業(石家莊)
(CSPC Weisheng Pharmaceutical)


河北维尔康製薬は華北製薬集団と香港の三威國際企業Triple Well International)のJVである。
英文名はHebei Welcome Pharmaceutical だが、英国のWellcome とは無関係。

 

アメリカでビタミンの価格カルテルが摘発されたのは、これが二度目である。

1999年に米、スイス、独、日、加の合計11社に総額 9億1050万ドルの罰金が課せられた。

武田薬品   72百万ドル   事業をBASFに売却
エーザイ   40百万ドル    
第一工業製薬   25百万ドル    
Roche    500百万ドル   事業をDSMに売却
BASF   225百万ドル    
Merck   14百万ドル    
Degussa-Huls   13百万ドル    
Lonza   10.5百万ドル    


各社はEUでも2001年に総額8億5522万ユーロの制裁金を課せられている。
  

 

 

 

米科学アカデミー(National Academy of Sciences)は7月24日、東京電力福島第 一原発事故に関する報告書
" Lessons Learned from the Fukushima Nuclear Accident for Improving Safety of U.S. Nuclear Plants"
を公表し、東電や当時の原子力安全・保安院が適切な津波対策を怠ったため被害が深刻化したと指摘した上で、福島の事故を教訓に米国内の避難計画の見直しを検討するよう求めた。


報告書は米国の原発の安全性を向上するため米議会がアカデミーに作成を要請したもの。

発表文 

報告 報告は有料となっているが、左枠のDownload をクリックし、登録すると全文が無料で読める。

報告書は、当時の日本では深刻な事故を想定した緊急時の対応が不十分だったとしたうえで、政府と地方自治体の意思の疎通がうまくいかなかったことや、除染が必要だとする放射線量の基準があいまいだったことなどが、政府に対する国民の不信を招いたと指摘している。

事故が深刻化した要因として、東電と当時の原子力安全・保安院が津波対策を怠っていたことなどを挙げた。
「津波に対する原子炉の設計基準が不十分であることを示す証拠が集まっていたにもかかわらず、東電と保安院は重要な安全設備を守る措置を取らなかった」と指摘。
電源喪失に適切に対応するための手続きもなかったなどと述べ、こうした一連の要因が、事故をより深刻なものにしたと結論付けた。

また、東電と保安院は「安全文化」を軽視していたと批判した。

そのうえで、想定外の事態( beyond-design-basis events)を踏まえ住民避難を含む事故対処計画を見直すよう勧告した。
電力会社や政府は深刻な事故が起きた際の周辺住民への情報の提供のしかたや、病気の人やお年寄り、子どもといった弱い立場の人を守る対策、それに長期間の避難生活の影響の評価などが十分か検証すべきだと提言している。

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報告では、福島第一の人々は勇敢に対応したが、下記の点が障害となったとする。

1)東電と原子力安全・保安院が、設計基準が津波に不十分だとの多くの証拠があるにもかかわらず、重要な機器を津波から守る対策を取らなかった。

2)全ての交流・直流電力が失われ、リアクターの熱力学パラメーター、格納容器、使用済み核燃料プールの情報をリアルタイムに得られなかった。
3)上記の結果、1~3号機が冷却できなかった。
4)多数の炉を同時管理しているため、現場の危機管理センターが混乱した。
5)現場のオペレータや危機管理センター員が電力喪失事故の手続きや訓練に欠け、水のレベルやリアクター圧力の管理、水素発生などに対応できなかった。
6)正確でタイムリーな情報発信、指示が出来なかった。
7)現場の危機管理センターのなか、及び現場と本社の役割と責任が明確でなかった。
8)多数の炉で長期間 問題が続いたため、事故管理スタッフが不足。


これを元に、米国の原発産業に以下の勧告を行った。


1)災厄についての新しい情報を求め、対応する。

2)重大事故に効果的に対応するため、プラントシステム、要員、訓練の改善

   想定外の事故(beyond-design-basis events)に効果的に対応できるよう。

3)想定外の事故のリスクの評価能力の強化
   米原子力業界と
原子力規制委員会は想定外の事故のリスクを見つけ、評価し、対応する能力を強化する必要あり。
4)原子力安全規則に最新のリスク概念を導入
5)構外の危機対応能力のチェックと改善策の実施
   構外に被害が生じる重大事故への対応
   ・広範な停電と通信・輸送・危機対応インフラへの被害
   ・放射能排出など原発事故情報がリアルタイムに伝わらない場合
   ・10マイルゾーンを超えた放射能の拡散
6)核安全カルチャーの改善
   nuclear safety cultureの維持と絶えざるモニター


報告書は「原発構外の危機管理から学んだレッスン」という章を設けている。


福島第一事故の大きな問題は、老人や入院患者などの避難計画が無かったことである。

日本の報告は、入院患者の避難の大混乱を描いている。
避難のトラウマと病気の悪化で避難途中で死んだ人も多く、持ち物も持っていけず、数ヶ月で何箇所もたらい回しされた人も多い。
放射能汚染を恐れて受入を拒否した病院もある。
健康な老人でも避難中に死んだ人が多い。

 

1)福島第一事故の際の日本の緊急管理計画は大事故を扱うには不十分なものであった。
2)現場の状態、構外への放射能の拡散、事故の進展、近隣住民の汚染についてのリアルタイムの情報が欠けたため、政府と業界の意思決定プロセスは、不十分なものとなった。
3)中央政府と地方の調整は、コミュニケーション不足でうまくいかなかった。
4)老人や病人などの避難やヨウ化カリウム配布などの保護活動は、急造でバラバラであった。
5)放射能の基準や除染基準が異なり、変更され、住民の混乱と政府への不信感を生んだ。
6)除染と帰還の時期がまだ決まっていない。
7)危機の最中に有効なコミュニケーション戦略を確立できなかったため、政府や規制官庁、原子力業界への国民の不信が生じた。

そのうえで、電力会社や政府は深刻な事故が起きた際の周辺住民への情報の提供のしかたや、病気の人やお年寄り、子どもといった弱い立場の人を守る対策、それに長期間の避難生活の影響の評価などが十分か検証すべきだと提言している。


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大飯原発差し止め訴訟の判決では、想定外事故の可能性と、事故が起こった場合に混乱と焦燥の中で適切かつ迅速にこれらの措置をとることを原発従業員に求めることはできないとし、以下の通り述べている。


「この地震大国日本において、基準値振動を超える地震が大飯原発に到来しないというのは根拠のない楽観的見通しにしかすぎない上、基準値振動に満たない地震によっても冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというのであれば、そこでの危険は、万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険と評価できる。このような施設のあり方は原子力発電所が有する前記の本質的な危険性についてあまりにも楽観的といわざるを得ない。」

 

2014/5/30 大飯原発差し止め訴訟判決 


原子力規制委員会は九州電力川内原発1、2号機について実質的に「審査合格」とした。
 

原子力規制委員会は「基準に適合しているかどうかを審査するだけで、稼働させるかどうかには関与しない」とし、田中俊一委員長は「基準への適合は審査したが、安全だとは私は言わない。これがゴールではないので、(九電は)努力していく必要がある」と述べた。

川内原発では桜島を含む鹿児島湾北部の「姶良カルデラ 」と呼ばれる火山地帯の巨大噴火が問題視されているが、九州電力は、カルデラ噴火の可能性は小さいとしたうえで、姶良カルデラなどの周辺に観測機器を新たに3か所設置し、監視を強化するとともに、噴火につながる地殻変動やマグマの上昇を細かい基準で判断するとした対策を説明し、規制委員会で了承された。


カルデラ噴火は破局噴火と呼ばれ、地下のマグマが一気に地上に噴出する壊滅的な噴火形式で、しばしば地球規模の環境変化や大量絶滅の原因となる。
姶良カルデラは2.2万年前に発生した。

カルデラ噴火が起これば、高温の火砕流が短時間で川内原発に到達する。

九電の案は、巨大噴火の兆候が出たら、原発を止め、放射性物質を冷却した上、安全な場所に移管するとする。

しかし、火山学者の間では、「巨大噴火は7300年間経験しておらず、今の火山学では巨大噴火を中長期的に予測するのは非常に困難だ」と、疑問の声が上がっている。仮に「3カ月後に巨大噴火」と予知できても、人は避難できるが、放射性物質の冷却には時間がかかり、移管できない。
 

原子力規制委員会の基準は、想定外の事故は起こらないであろうという前提に立っているようである。

 

原発から30キロメートル圏内にある姶良市議会は7月11日、「川内原発の1、2号機の再稼働に反対し廃炉を求める」意見書を可決した。

 

 

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米科学アカデミーの報告書は「原発構外の危機管理」について福島の例から問題提起をしている。

 

国際原子力機関(IAEA)は原発事故対策として「5層の防護」を定めている。3層目までが過酷事故の防止で、4層目が過酷事故対策、5層目は放射性物質が敷地外に漏れ出る場合の防災対策を求めている。
 

  運転状態 多重防護
レベル
目的 必須手段
事故発生防止/
事故影響緩和
通常運転 第1層 異常運転及び故障の防止 保守的設計及び建設・運転における高い品質
予期される運転時の事象 第2層 異常運転の制御及び故障の検出 制御、制限及び防護系、並びにその他のサーベランス特性
設計基準事故及び複合した運転時の事象 第3層 設計基準内への事故の制御 工学的安全施設及び事故時手順
シビアアクシデント 第4層 事故の進展防止及びシビアアクシデントの影響緩和 補完的手段及び格納容器の防護を含めたアクシデントマネジメント
シビアアクシデント後の状況 第5層 放射性物質の放出による放射線影響の緩和 サイト外の緊急時対応

 

米国では、第5層について、米原子力規制委員会が、原発から半径10マイル(16キロ)の緊急計画区域について州政府・自治体や事業者の緊急時計画を厳密に評価し、運転を認可する。

市民団体「原子力資料情報サービス」は、緊急計画区域を半径25マイルに拡大し、50マイル圏内でも避難ルートを設定するよう求めている。

原子力規制委員会は施策の実行可能性をチェックし、複雑に想定を変えた長期訓練の実施を義務づけている。
緊急事態が発生した際、適切な防護措置が講じられる保証がオンサイト及びオフサイト緊急事態に対する準備で示されない限り、運転認可を与えない。

米科学アカデミーは今回、電力会社や政府は深刻な事故が起きた際の周辺住民への情報の提供のしかたや、病気の人やお年寄り、子どもといった弱い立場の人を守る対策、それに長期間の避難生活の影響の評価などが十分か検証すべきだと提言し た。

しかし、日本では原子力規制委員会は「原発が基準に適合しているかどうかを審査するだけで、稼働させるかどうかには関与しない。」
第5層の防災対策は規制委の審査対象外である。

政府は福島第1原発事故後、事故に備えた重点対策区域を原発から8〜10キロ圏から30キロ圏に拡大したが、第5層の防災対策は災害対策基本法で自治体任せにされ ている。

川内原発が立地する鹿児島県の地域防災計画では、30キロ圏内の病院の入院患者や介護施設の入所者ら要援護者の避難計画は各施設が作るとなっている。
伊藤知事は「30キロ圏までの要援護者の避難計画は現実的ではない」と発言した。対象となる要援護者の数が増え、避難手段や受け入れ先の確保が難しいことが背景にある。


 

規制委員長は「安全とは、私は申し上げない」「世の中に絶対に安全だなんていうものは存在しない」と言い、政府は「安全は規制委の判断に委ね」 「個々の再稼働は事業者(電力会社)が判断する」と逃げている。

設備の基準を少々厳しくしても、事故の発生の可能性はある。「世の中に絶対に安全だなんていうものは存在しない 。」
その場合の避難対策は地域任せで、福島第一事故の前と同じでは、規制委が認めても、再稼動について地元の了解を得るのは難しいだろう。

米科学アカデミーの報告は米国政府と業界への提言だが、同時に日本への提言でもある。

第5層については政府が責任を持つべきである。
評判の悪い集団的自衛権をやめ、自衛隊をフルに使う体制を考えてはどうだろうか。

 

付記

鹿児島県の伊藤祐一郎知事は8月1日の記者会見で、九州電力川内原発について、再稼働の必要性を文書で示してほしいと経済産業省に要請したことを明らかにした。
安倍政権は再稼働について「政治判断しない」としており、最終的な責任の所在があいまいなままだが、知事は「国として意思を示す作業が必要だ」と述べた。

 

 

 

 

伊藤忠は7月24日、アジア有数の大手複合企業の一つ タイの Charoen Pokphnad Group (CP)と資本・業務提携契約を締結した。

CPグループは農業と食料品を中心に情報通信、流通、金融、医薬品等の非資源事業を手がけるアジア有数の大手複合企業の一つで、傘下にCharoen Pokphand FoodsやC.P.Pokphand等を有し、タイ、中国等を中心に国際的に事業を展開している。

アジアにおける非資源分野で提携するとともに、CPは伊藤忠の第三者割当を引き受け、4.9%(1024億円)の出資で伊藤忠の筆頭株主となる。
伊藤忠はCPの子会社に25%(870億円)出資する。

伊藤忠の大株主は信託口を除くと、みずほ銀行が2.47%、三井住友海上火災が2.38%、日本生命が2.15%となっている。

なお、伊藤忠は株式の希薄化を防ぐため、1100億円を限度とする同じ株数(7800万株)の自社株買いを行うことを発表した。

伊藤忠はアジアでの非資源分野事業の拡大を検討する中で、CPグループの有するアジアにおける強固なネットワークや知名度に着目した。
CPグループもアジアにおける食料事業を含む非資源分野事業の更なる展開を図っており、特に欧米の伊藤忠のこの分野での経営基盤に着目した。

両社は2013年11月より協議、検討を続け、今回の提携で合意した。
半年間検討するなかで、実効性を上げるために株式を持ち合おうということになったという。

提携内容は以下の通り。

業務提携
① アジアを中心とした食料、化学品、情報通信、金融等を含む非資源分野における事業拡大機会の共同開拓

② タイ、中国、ベトナムなどを中心としたアジア地域における飼料、畜産、水産関連分野での共同取組の推進、同地域への原料供給体制の整備

 
資本提携


Charoen Pokphnad Group (CP)は汕頭出身の潮州人で1921年にタイに渡航した謝易初とその後を追ってきた弟の謝少飛による園芸店 正大荘行が前身となっている。

同社は中国に大々的に進出しているが、中国語では同社はこの名前から正大集団と呼ばれる。

その後、謝易初の長男のチャラン(謝正民)が家畜飼料の販売店Charoen Pokphnad を設立した。

現在は農業と食料品を中心に情報通信、流通、金融、医薬品等の非資源事業を手がける。

アグリビジネスは種、飼料、養鶏・養殖、生産加工、貿易の5つの分野に分けられる。

タイ国内外の飼料工場では鶏、豚、エビ向けの飼料の生産がおこなわれている。

1989年には明治乳業との共同出資で CP-Meiji を設立、タイで牛乳・ヨーグルトなどの生産、販売を行っている。

1999年にはタイ初のセブンイレブンをバンコクに開店 した。現在では5,000を超える店舗がある。

2002年に上海にアジア最大規模の売り場面積をもつスーパーブランドモールの「正大広場」を開店した。

化学関係では1998年にSolvay、PTT Chemials との電解、VCM、PVCのJVのVinyThaiを設立している。

 

 

トヨタ自動車と石川県及び石川・愛知両県の9つの農業法人は7月18日、トヨタが開発した農業支援システムを導入し、収益性の高い米作りに取り組む共同事業体「米づくりカイゼンネットワーク」コンソーシアムを発足させた。

トヨタが自動車生産で培った「カイゼン」のノウハウを生産性向上に生かすもので、 同社がコメの生産農業法人向けに開発した「豊作計画」を導入、更なる効率化と品質向上に向けた実証実験を推進する。

小規模農家や地主が大規模米生産農業法人に田植えや稲刈りなどの農作業を委託するモデルが拡大している。
農家や地主ごとに広範囲に分断して存在する水田を
限られた人員と日数の中で効率的に作業を進めなければならない。

トヨタは2011年から大規模に稲作を請け負う愛知県の農業生産法人・鍋八農産とシステム開発に取り組んだ。
鍋八農産は800の農家から委託された2000枚の水田約170ヘクタールの農作業をこなしている。
これまでは書類や紙地図を使って作業割り振りを行っていたが、間違いも多く効果的な作業ができていなかった。
日本にはこのような農業法人が2万社ほどある。

トヨタは自動車事業で培った生産管理手法や工程改善ノウハウを農業分野に応用し、生産プロセスの改善を行った。

「豊作計画」はクラウドサービスとなっており、米生産農業法人はスマートフォンやタブレット端末から簡単に利用できる。
システム中では、地図上に登録された多数の水田を複数の作業者が効率的に作業できるように、日ごとの作業計画が自動的に作成される。
この作業計画は、現場へ向かう個々の作業者のスマートフォンに配信され、作業者はGPSで作業すべきエリアを確認してから向かう。
そして作業の開始、終了時にスマートフォンのボタンを押すことで、共有のデータベースに情報が集まり、広域に分散する農作業の進捗の集中管理や、作業日報や請負先へのレポートの自動作成も可能となる。

農業法人では実際に働くスタッフは30代が中心で、スマホも扱える。

農作業だけでなく、それ以降の乾燥、精米等のプロセスもカバーしており、稲品種、稲作エリア、肥料条件、天候、作業工数、乾燥条件等の作業データとそれから得られた収量、品質データを蓄積し分析することにより、より低コストで美味しい米づくりに活用できる。

2012年から鍋八農産を含む愛知の4法人で「豊作計画」を試行、今年度から石川県の5法人が参加した。

現在は米生産農業法人が主に取り扱う米、麦、大豆などに対応しているが、将来的には、技術革新を進め対応作物を広げることで、国内の農業の活性化や競争力強化に側面的に貢献したいと している。

 


ーーー

農林水産省は、2014年度より農業界と経済界が連携して行う、低コスト生産技術体系の確立、ICT(Information and Comunication Technology)を活用した効率的生産体制の構築、低コスト農業機械の開発など先端モデル農業の確立に向けた取組を支援することを目的とし、「農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業」を実施している。

事業は3年間。1年目は3000万円、2~3年目は各1500万円を上限に、費用の半分の補助を受けられる。

2014年度は公募に応じた33件から、トヨタの豊作計画を含め16件の連携プロジェクト実施主体を選定した。
   http://www.maff.go.jp/j/press/keiei/keiei/pdf/140404_1-01.pdf

このなかには、愛媛県のグドウグリーンテックと住友化学などの「サンライズ先端農業コンソーシアム」があるが、これは、パナソニックのカメレオンコード(カラーバーコード)の活用と日産自動車の生産システム の応用により業務改善に取り組み、コスト削減を図るものである。  

住友化学は、農薬、肥料、農業資材等の農業関連製品やサービスを幅広く提供しており、安全安心で効率的な農業生産を総合的に支援する「トータル・ソリューション・プロバイダー」ビジネスを展開している。

そのビジネスを実践する一つの形として、長野・大分・山形・三重・茨城の5カ所で農業法人「住化ファーム」を展開し、果物や野菜を生産しており、愛媛県西条市と愛知県豊田市では、日本経団連が推進する「未来都市モデルプロジェクト」の先進農業モデルとして「サンライズファーム西条」「サンライズファーム豊田」を設立・運営している。

2014年3月にはサンライズファーム西条に地元企業各社とのJVでサンライズ西条加工センターを設立した。



  

インドネシアの天然ガス公社 PT Perusahaan Gas Negara (Persero) Tbk (PGN) の石油・ガス開発子会社 PT Saka Energi Indonesia は7月15日、テキサスに拠点を置く Swift Energy からテキサス州のEagle Ford シェールのFasken鉱区の権益の36%を現金175百万ドルの対価で取得した。両社は本年5月に契約を締結した。

契約完了時に125百万ドルを支払い、残り50百万ドルは本年1月からの開発費の分担額として分割で支払う。 

 
PGNの社長は声明で「我々はインドネシアで今後開始されるべきシェールガス田運営の経験を積む必要がある」と述べた。
テキサスからインドネシアにシェールガスを輸入するための米国当局の許可をまだ取得していない。


ーーー

インドネシアでもシェールガス開発の動きはある。

インドネシアのエネルギー・鉱物資源省は国内に574兆立方フィートのシェールガスがあると推測している。
うち、
スマトラ島に233兆立方フィート、カリマンタン島に194兆立方フィート、パプア島には90兆立方フィートの埋蔵量があるとする。

同省は2013年5月に国内初のシェールガス開発として、国営石油・ガスのPT Pertamina北スマトラのSumbagut 鉱区の開発権を与えた。

2015年までに30件の生産分与契約(PSC)の締結を目指している。

同省は本年6月23日、2番目のシェールガス開発権を外国石油企業のコンソーシアムに与えた。

北スマトラのKisaranブロックで、コンソーシアムの構成は以下の通り。

New Zealand Oil & Gas 11.25%
Bukit Energy(カナダ) 33.75%
Pacific Oil & Gas (香港) 55.00%

 
しかし、
採掘技術や輸送インフラなどが整備されておらず、インドネシアでのシェールガスの商業化には時間がかかると見られている。

 

   

BRICS (ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の第6回首脳会議が7月15日、ブラジルのFortalezaで開かれ、新興国や途上国の社会基盤整備支援を目的としたNew Development Bank と、5カ国が金融危機の際に資金を融通しあう外貨準備基金(BRICS Contingent Reserve Arrangementの設立に合意する「Fortaleza Declaration and Action Plan」に署名した。

各国議会の承認を得て設立・実行される。

BRICSは以前から、世銀とIMFの政策に途上国の意思が公平に反映されていないと指摘し、IMFと世界銀行での発言権拡大を求めてきた。
今回合意した開発銀行と準備基金は、欧米がIMFや世界銀行で支配的地位を維持していることや、新興国にほとんど発言権が与えられないといった現状を打破することにある。

同時に、BRICS内での中国と他国の勢力争いが明らかになった。
2年にわたる交渉で、最大の懸案だったのは資金の不足ではなく、中国の存在だったとされる。
中国1カ国の経済力は、他の4カ国のそれを合わせたものより大きい。

世界第2位の経済力を誇る中国が、その政治力を拡大すべく、影響力を行使しようとするのではないかとの懸念がくすぶっている。

1)New Development Bank

本部 上海 本部を中国とするかインドとするか、ギリギリまで交渉。
インドを立てるため、ブラジルが初代総裁をインドに譲り、まとまった。
Africa Regional Center 南ア
総裁 輪番制
初代:インドから
授権資本 1000億ドル  
当初出資 500億ドル(各国100億ドルずつ) 中国は当初、他国よりも資本金を多く拠出したいと主張 。
同額拠出とするブラジルとインドの意見が採用された。
今後の増資 7年以内に1000億ドルまで

他国出資受入
BRICS出資が55%を下回らない。


中国が影響力を持つ国々に出資させ、銀行の実質的な支配権を握ろうとするのではないかとの危惧がある。
運営開始 「出来るだけ早期」
2016年目標
 

2)BRICS Contingent Reserve Arrangement

拠出額 1000億ドル
国別 中国    410億ドル
ブラジル 180億ドル
ロシア     180億ドル
インド    180億ドル
南ア     50億ドル


ーーー

IMFは2010年に、新興国の出資比率を引き上げ、理事会への登用を増やす「IMF改革」に合意した。
改革案が実現すれば、IMFへの出資比率で米国、日本に続く第3位に中国が浮上、更に上位10カ国にインド、ロシア、ブラジルが入り、新興国の発言力が増す。

IMFへの出資比率 (%)

現状   改革後
米国 17.67 米国 17.41
日本 6.56 日本 6.46
ドイツ 6.11 中国 6.39
英国 4.51 ドイツ 5.59
フランス 4.51 英国 4.23
中国 4.00 フランス 4.23
イタリア 3.31 イタリア 3.16
サウジ 2.93 インド 2.75
カナダ 2.67 ロシア 2.71
ロシア 2.50 ブラジル 2.32

大半の国はすでに批准手続きを進めているが、米国では議会の賛成が得られず、批准されていない。

G20財務相・中央銀行総裁会議は本年4月、米国に対しIMF改革案を年末までに批准するよう求め、批准できなかった場合は米国抜きでIMF改革を進めるとする共同声明を採択した。
実際には、米国の承認なしで改革を進めるのは難しい。

今回の宣言でも「2010年に採択されたIMF改革案が実行されないことに失望し、深刻な懸念を持っている。これはIMFの正当性、信用性、有効性を傷つけている」と厳しく批判した。
世銀に対しても、もっと民主的な運営を求めている。


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南米11カ国(スリナム、アルゼンチン、ボリビア、コロンビア、チリ、エクアドル、ガイアナ、パラグアイ、ペルー、ウルガイ、ベネズエラ)の首脳は7月16日、BRICS首脳とブラジリアで会談し、「選択肢が増える」と支持した。

ボリビアのモラレス大統領はIMF・世銀による貸付制度を「脅迫まがい」と非難し「それに代わる枠組みを世界は待ち望んでいた。新自由主義と新植民地主義の台頭に歯止めをきかすことができる」と力説した。
ウルグアイのムヒカ大統領も「財政難の小国にとって選択肢が増えるのは良い」と期待を寄せた。

世銀やIMFは融資の際、緊縮財政や規制緩和、国営企業の民営化などの厳しい条件を課しており、世銀・IMFを批判する声が高まっている。




   

米国で計画した風力発電所建設を中止させた米オバマ大統領の命令を不服として米国で提訴していた中国建機大手の三一重工は7月16日、「勝訴した」と発表した。
米裁判所は大統領令が正当な手続きを踏んでおらず、三一側の財産権を奪ったと判断した。

オバマ大統領は2012年9月28日、「国の安全保障に関わる」として、三一重工の役員2名が共同所有しているRalls Corp. によるオレゴン州の米海軍施設近くの風力発電企業4社の買収と所有を禁止し、2012年に取得した所有権を放棄することを求めた。
買収目的は、三一重工の子会社の Sany Electric が製造する風力発電タービンで風力発電を行うことであった。

Ralls Corp. の買収行為がアメリカの安全を脅かす可能性があると認識し、買収の阻止を命じたとしている。
近くの
米海軍施設(Naval Weapons Systems Training Facility)では遠方から自動操縦する無人飛行機と、爆撃機に同行して敵のレーダーを邪魔するelectronic warfare aircraftの訓練が行われている。

当初、米国の外国投資委員会(CFIUS)がこの取引をやめるよう命じたが、Ralls Corp.がこれを越権行為で違法であると訴えた。
このため、大統領がCFIUSの提言を基に命令した。

2012/10/4  オバマ大統領、米国内での中国企業の風力発電買収を阻止 

三一重工はこれを不服として、オバマ大統領とCFIUSを米コロンビア地区連邦地裁に提訴した。

「一枚の禁止令により、2000万ドル以上の直接的な損失が生じ(間接的な損失を含まず)、企業の対外的なイメージも損なわれる。提訴はやむなきことだった。誰も裁判を望んでおらず、当社は潔白を証明するため仕方なく訴訟措置を講じた」

「米国は何の説明もなく、中国の風力発電プロジェクトを無理やり中止させた。中国製の設備の使用を禁じた上、当社が米国人の経営する米国企業に譲渡するのを禁じ、補償すら行わなかった」


ワシントン州の米控訴審裁判所は7月16日、
地裁判決を覆し、3人の裁判官全員一致で、大統領の命令は正当な手続きなしで、Ralls Corp.の財産権を奪ったと判断した。
Ralls Corp. は政府が使用した情報にアクセスできず、政府の懸念に反論できなかったが、これは憲法の正当な手続きの権利の否定であるとした。
「正当な手続きでは少なくとも、当事者は政府が判断の基にした機密扱いでない証拠にアクセスし、それに反論する機会が与えられるべきである」としている。

この結果、Ralls Corp.は外国投資委員会が判断に使った機密扱いでない情報にアクセスでき、反論できることとなる。またその情報を公開できる。

現在のところ、政府が上告するか、裁判所に再ヒアリングを求めるのか、不明。
(米国では控訴審は再ヒアリングを行う場合がある)


外国投資委員会がこれより前に中国企業の買収阻止を命じたのは、1990年2 月に
George Bush大統領が行ったもので、China National Aero-Technology Import and Export Corp(中国宇宙航空技術輸出入公司)による航空機部品メーカーのMAMCO Manufacturing, Inc.の買収のみ。


 


経済産業省は7月16日、2013年度のエチレンセンター11社の収益状況を発表した。

エチレンセンター11社の石油化学部門の売上高は、経済政策及び金融政策を受けた円高の是正による輸出増加や内需の回復、原燃料価格の上昇を受け販売価格を是正したこと等により、5兆3052億円と前年同期に比べ 21.0%の増加となった。

経常利益については、円高の是正による為替差益の発生、市況の上昇等により、1548億円と、前年同期に比べ約2.3倍の大幅な増加となった。

損益の過去の推移は以下の通り。(億円)

年度 経常損益 営業損益
単独 単独 連結
2000 913 - 1,338
01 75 211 643
02 431 613 1,236
03 654 709 1,380
04 2,132 2,156 3,338
05 1,753 1,770 2,946
06 2,725 2,455 3,856
07 2,108 1,900 2,973
08 -1,825 -2,016 -2,034
09 -94 3 338
10 749 689 1,768
11 1,002 705 1,994
12 679 460 839
13 1,548 1,443 2,112



 

集計対象は下記の通り。大阪石油化学は三井化学子会社のため、実質10社である。

エチレンセンター 11社 単独ベース    連結ベース 10社の下記部門
旭化成ケミカルズ 旭化成 ケミカル部門
出光興産(石油化学部門) 出光興産 石油化学製品部門
昭和電工 昭和電工 石油化学部門
JX日鉱日石エネルギー(石油化学部門) JX日鉱日石エネルギー 石油化学部門
住友化学 住友化学 基礎化学部門、石油化学部門
東ソー 東ソー  石油化学部門
東燃化学 東燃ゼネラル石油 石油化学事業部門
丸善石油化学 丸善石油化学 (全社)
三井化学 三井化学 石化、基礎化学品、機能樹脂部門
大阪石油化学
三菱化学 三菱ケミカルHD ケミカル、ポリマーズ


単独ベースで、出光とJXは記載部門のみ、他は全社。
連結ベースは、連結対象会社の変更等があるので、前年度と単純な比較は出来ない。

 


  

米ジェネリック医薬品メーカーのMylan は、米医薬品大手 Abbott が保有する米国以外の先進国市場におけるBranded Generics事業を約53億ドル相当のMylan 株式で買収すると発表した。

Branded GenericsGenericsメーカーが、 長期収載品を新薬メーカーから ブランドをそのまま引き継いで生産・販売する医薬品。

Abbott はオランダで設立する新会社に欧州や日本、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの事業(フランスと日本の製造設備を含む)を移し、Mylanがこれと統合する。
Mylanはこれにより、本社を税金の安いオランダに置き、税負担を軽くする。

Mylanは買収により、消化薬のCreon®や鎮痛薬のBrufen®、インフルエンザワクチンなど、5つの分野(心血管代謝、消化器、抗感染/呼吸器疾患、 中枢神経系、女性・男性の健康)での100以上のジェネリック医薬品及びいくつかの特許で保護され成長が見込まれる製品を 借入金を含まないベースで獲得することになる。

これらの製品の売上高は約19億ドルで、Mylanの事業を更に多様化するとともに、米国以外での基盤を強化する。

欧州では、伊・英・独・仏などでの基盤を強化し、売上高をほぼ倍増する。
カナダと日本でも売上を倍増以上とし、豪州とニュージーランド、中欧、東欧でも基盤を強化する。

買収により、Mylanの売上高は100億ドル、EBITDAは約30億ドルになると見込まれる。


他方、 Abbottは新しいMylan
(Mylan NV)の株式1億500万株(現在のMylanの株価で53億ドル相当で、21%の株主となる)を受け取るが、これを比較的早期に売却してさらなる医療機器事業買収や自社株買いなどの資金に充当していく方針。

Abbott は 力強い成長が見込める新興国市場では引き続き、自社でBranded Generics事業を展開していく。オランダ、ドイツ、カナダの製造設備も維持する。
Abbottに残るBranded Generics事業の売上高は29億ドル。

Abbott は2014年5月にチリの製薬会社 CFR Pharmaceuticalsをおよそ29億ドルで買う合意締結を発表した。
急成長市場ラテンアメリカでのブランド後発医薬品売り上げや事業規模が倍以上に増えるとしている。



Mylanの前身の
Mylan Laboratoriesは2007年にドイツのMerck KGaA からgeneric部門のMerck Generic Groupを、また、インドのMatrix Laboratoriesを買収し、genericで世界第三位になった。

Mylanの事業は、ジェネリック、API(医薬品原体)、スペシャリティーの3種類に分類される。
ジェネリック事業はさらに、北米地域、欧州・中東・アフリカ地域、アジア太平洋地域と地域別に分けられている。

日本では20082月にマイラン製薬 を設立、同年5月にメルク製薬を吸収合併した。


ーーー

Mylanは買収を機の本社を税金の安いオランダに置き、税負担を軽くする が、同様の動きが広まっている。

最近の動き:

1)Medtronic

世界2位の医療機器メーカーで 心臓ペースメーカーでは世界最大のシェアを誇る米Medtronic は6月15日、アイルランドの手術関連製品メーカーのCovidienを429億ドルで買収することで合意した。
買収により、外科手術の縫合に使用するスキンステープラーや人工呼吸装置といった製品のラインアップが新たに加わり、医療機器分野で競合するJohnson & Johnson に対し優位に立つと見られる。

統合後のMedtronic Covidienの本部があるアイルランドのダブリンを本拠地とする。
Covidienは米マサチューセッツ州に本部を構えているが、2009年からはアイルランド法人として事業を展開している。

Medtronic の海外子会社がここ数年で205億ドルの非課税所得を計上しており、本社がアイルランドに移ることにより、米国の法人所得税率35%の適用を受けることなくこれらの資金にアクセスできるようになる 。
現状では米国でこれを利用しようとすれば、米国に持ち込む時点で課税されるが、アイルランド法人の場合は、米国での課税なしでフルに利用できる。

Medtronic のCEOは、米国外で得た利益をより有効に活用できることについて「米国の医療機器業界を活性化する上で重要だ。当社はこれらの資金から、向こう10年間で少なくとも100億ドルを米国内の事業に再投資する方針をすでに発表している」と述べた。

2)AbbVie Inc.

AbbVie Inc.は米国の製薬会社で、2013年初めに、米Abbott Laboratoriesからスピンオフして誕生した。

同社はアイルランドの製薬大手Shire Pharmaceuticalsに買収提案をしていたが、Shireは7月14日、AbbVieの提案を受け入れると表明、株主に受け入れるよう呼びかけた。

Shire は患者数の少ない希少疾病に強い製薬会社で、競合を避けながら4割弱の高い営業利益率を誇っている。

AbbVieは6月20日、Shireの取締役会に現金と株式を組み合わせた買収案を3度提示したと明らかにした。
3回目の案はShireの1株を46.26ポンドと評価する内容だったが、Shireの取締役会は安すぎるとして拒否した。

今回の提案はShireの1株を53.20ポンド と評価するもので、Shireの1株当たり現金24.44ポンドと新しいAbbVie株式 0.8960 株を与える。
買収が成立すれば、AbbVie株の約25%はShireの株主が保有することになる。
買収金額は従来の総額約270億ポンドから約310億ポンドに引き上げられた。

AbbVieは7月18日、Shire 買収で合意した。

AbbVieは売上高の柱となる大型薬の特許失効を控え、希少疾患に強いShire の持つ医薬品を取り込んで収益強化を図るが、買収後は、法人税率が低い英国に持ち株会社を設立し米国で上場する。

3)Pfizer

Pfizerは本年1月からAstraZenecaに買収提案を行ってきたが、5月26日、Pfizerは 買収断念を発表した。

Pfizerの経営幹部が、買収目的の一つを「効果的な租税負担を構築する」こととした。
買収後は英国に多くの利益を留保・移転し、米国の高い税を回避するというものであった。

2014/5/12   Pfizer が AstraZenecaに買収提案

 

ある国に本拠を置く多国籍企業グループが外国に法人を設立し、この外国法人がその企業グループの最終的な親会社になる組織再編は inversion と呼ばれる。

米国や欧州はこれらの動きを問題視している。

Pfizerの行動や、AppleやGoogleの「合法的脱税」が米国議会で問題となり、課税逃れ阻止の法案提出の動きも出てきた。

2013年6月に北アイルランドで開かれたG8サミットは、首脳宣言に多国籍企業の税逃れを防ぐための国際協調などを盛り込んだ。
経済協力開発機構(OECD)と連携し、「多国籍企業がどこで利益を生み、税を払っているか」を把握する仕組み作りを進めることで合意した。


欧州委員会は6月11日、Apple、Starbucks、Fiat Finance and Trade 3社の法人税に関して、それぞれアイルランド、オランダ、ルクセンブルクの各国税務当局が下した判断について、本格的な調査を開始したことを明らかにした。

企業を対象とした調査ではなく、各国の税制が問題ないかどうかの調査である。

2014/6/13 欧州委員会、Apple等の法人税を調査

 


 

韓国の農村振興庁と食品医薬品安全処は7月17日、昆虫のミールワームを食品原料として使用することを承認したと発表した。
政府が科学的な安全性を立証し、食品原料として使用可能だと認めた昆虫はこれが初めて。

食品医薬品安全処はミールワームの栄養成分を分析し、毒性をテストした結果、食品として使用する上で問題がないと説明した。

農村振興庁によると、洗浄、殺菌、凍結乾燥という工程を経て粉末化されたミールワームの幼虫はタンパク質と脂肪が80%以上を占め、食品材料として利用価値が高いことが分かった。内訳はタンパク質が45-57%、脂肪が25-34%だった。特に脂肪の75%が心血管疾患の予防に効果がある不飽和脂肪酸だった。

ミールワーム(Mealworm)はゴミムシダマシ科の甲虫の幼虫で、 小鳥や爬虫類の餌、釣り餌とするために飼育・増殖されている。
通常は チャイロコメノゴミムシダマシ(Yellow mealworm)の幼虫を指す。

 


 

韓国政府はミールワームの幼虫以外にもシラホシハナムグリ、カブトムシ、コオロギなどの食用化に向けた研究も進めている。

国連食糧農業機関(FAO)も昆虫を未来の代替食料として注目している。



  

米ミシシッピ州でエイズウイルス(HIV)に感染した母親から生まれ、その直後の治療開始により治癒したとみられていた4歳の女児が、7月初めの検査で血液に検知可能なレベルのウイルスが確認されたことが分かった。

女児に対する治療は2013年3月に公表され、新生児のHIV治療法に新たな知見を与える画期的なケースになる可能性があるとみられていた。

米国立アレルギー感染症研究所の所長は10日の記者会見で、「女児、医療スタッフ、HIV研究者らにとって、残念な結果となった」と述べた。

ーーー

後天性免疫不全症候群(AIDS : Acquired Immune Deficiency Syndrome)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が免疫細胞に感染し、免疫細胞を破壊して後天的に免疫不全を起こす免疫不全症で、完治・治癒に至ることは現在でも困難である。

抗HIV薬は様々なものが開発され、著しい発展を遂げてきているが、抗HIV薬治療は一生継続する必要がある。

抗HIV薬には、「逆転写酵素阻害薬」、「プロテアーゼ阻害薬」「インテグラーゼ阻害薬」「CCR5阻害薬」があるが、これらは、あくまでウイルスが増えるのを抑える薬であって、ウイルスを死滅させる薬ではない。このため、飲み続ける必要がある。

しかし、これまで治癒したとみられた人が2人だけいた。

一人は当時ドイツ在住の米国人男性Timothy Ray Brownで、2007年にベルリンで白血病治療のため骨髄移植を受けた
移植したのは、遺伝的にエイズへの免疫力を持つ人の幹細胞で、2%程度の人がこうした遺伝子を持っているとされる。

手術により、白血病だけでなくエイズも治癒した。あらゆる機関で血液検査や内視鏡検査を受けたが、HIVは見つからなかった。

ただし、これは極めて例外的なケースとされている。
 

もう一人が母親の胎内でHIVに感染したこの女児で、母親は出産の直前になってHIVの陽性反応が確認され、母子感染を防ぐための治療も受けていなかった。

治療に当たったミシシッピ大学医療センターのHIV専門医は、感染のリスクが高いと判断し、出生後約30時間で女児に抗ウイルス薬の投与を開始 した。

女児は数日のうちに、HIV感染が確認されたが、治療の結果、女児の血中のウイルスは減少し続け、治療開始から29日以内に、通常の血液検査では検出できないレベルに到達した。

18カ月間にわたり治療を受けた後、治療は停止された。
その後、
定期的な検査を受けているが、これまでHIVは検出されていなかった。

米国の研究チームは2013年3月、この女児が「機能的な治癒」に至ったと発表した。
機能的な治癒とは、ウイルスが通常の血液検査では検出されないレベルにまで抑制された状態を指す。
ウイルスが完全に消滅したわけではないものの、生涯にわたって治療を受け続ける必要はなくなる。

これまでの治療では、母子感染の疑いのある乳児には6週間にわたって予防薬を投与し、HIV感染が確認された時点で治療を開始するのが一般的だった 。
このケースでは、出生直後、まだHIVの陽性反応が確認されないうちから抗ウイルス薬を投与したのが重要で、新生児のHIV治療法に新たな知見を与える画期的なケースと期待されていた。

 

 

JX日鉱日石開発は7月15日、米国のJX Nippon Oil Exploration (EOR) Limitedを通じて、米国で石炭火力発電所の燃焼排ガスから二酸化炭素(CO2)を回収するプラントを建設し、回収したCO2の油田への圧入により原油の増産を図るプロジェクトを開始したと発表した。

CO2回収事業は、三菱重工業と米国の大手建設会社The Industrial Company(TIC)によるコンソーシアムが建設する。


この計画は石炭火力発電所から大気中へ排出する温暖化ガス(CO2)の低減と老朽化した油田における原油生産量の飛躍的な増加を同時に実現するもの。


本プロジェクトは、米国の
独立系発電事業者(IPP)トップNRG Energy, Inc.の子会社と JX EORとの50:50の合弁事業会社Petra Nova Parish Holdings LLCを通じて実行する。

 

この合弁事業会社が、NRGが米国テキサス州に保有する米国最大の石炭火力発電所のW. A. Parish石炭火力発電所8号機に、燃焼排ガスからCO2を回収する世界最大規模のプラントを建設し、回収したCO2を同発電所の南西約130kmのテキサス州の老朽したWest Ranch油田の地下に圧入することで、原油の増産を図る。

このスキームを通じて、これまで同石炭火力発電所から大気中に放出されていたCO2を年間約160万トン削減する。

West Ranch油田の生産量は現在の日量約500バレルから日量約12,000バレルへと飛躍的に高まり、累計増産量は約6,000万バレルとなる見込み。
JXはJV のPetra Nova Parishを通じてWest Ranch 油田の25%権益を保有している。

 


 

 

本プロジェクトのCO2回収プラントは、三菱重工業と米国の大手建設会社The Industrial Company(TIC)によるコンソーシアムが建設する。
CO2回収能力は日量4,776トン、
CO2回収率は90%で、燃焼排ガスからCO2 を回収するプラントとしては世界最大となる。

CO2回収プラントは、排ガスの前処理設備(脱硫)、CO2吸収・再生設備、CO2圧送設備、ユーティリティー設備などで構成される。
三菱重工業はCO2回収技術ライセンスを供与、CO2回収プラントとその付帯設備建設のEPC(設計・調達・建設)はTICとのコンソーシアムが請け負う。

三菱重工業のCO2回収技術は、関西電力と共同開発した高性能な吸収液KS-1™を用いるKM CDR Process®と呼ばれるプロセスで、他の方式に比べエネルギー消費量が大幅に少ないのが特徴。

2016年第4四半期からCO2回収プラントの商業運転およびウェスト・ランチ油田へのCO2の圧入を開始する予定。

 

本プロジェクトは総額約10億米ドルの投資規模を見込んでいる。

本プロジェクトの必要資金については、温室効果ガスの排出量を削減しながら米国内の膨大な化石燃料を活用するという Clean Coal Power Initiative Programのもと、米国エネルギー省から補助金(167百万米ドル)が得られるほか、国際協力銀行およびみずほ銀行との間で、プロジェクト・ファイナンス方式での融資に合意している。
みずほ銀行の融資に対しては、独立行政法人日本貿易保険による保険が付保される。

 


 

 

 

BASFとメキシコの石油化学メーカーのAlpekは7月10日、両社の50/50JVのPoliolesを下記の通り再編すると発表した。

1)AlpekはPoliolesの全てのEPS事業(Altamiraの165千トンのEPSプラントを含む)を取得する。

2)BASFはPoliolesのポリウレタン事業(Lerma工場の特定のプラントと、ポリウレタンシステム、イソシアネート、ポリオールの販売権を含む)を取得する。

3)上記を除き、Poliolesは両社のJVとして継続する。

4)これとは別に、Alpekは北米と南米のBASFのEPS事業を取得する。
  ・北米・南米のBASFのEPS販売チャネル
  ・ブラジルのGuaratinguetá とアルゼンチンのGeneral LagosのBASFのEPS製造プラント
  ・BASFのチリ子会社 Aislapol, S.A. のEPSの発泡製品事業

Alpekが取得するEPSの能力は合わせて230千トンとなる。
 
但し、従来型EPSに特殊な黒鉛粒子を練り込み、熱線反射により断熱効果を高めた Neopor® (grey EPS) は譲渡の対象外で、BASFは今後も米国、カナダ、南米で販売を継続し、メキシコではAlpekが代理店契約に基づきBASFのために販売する。

上記の取引の対価は公表しない。

ーーー

INEOSは6月30日、BASFから両社の50/50JVのStyrolutionの持分を11億ユーロで買収すると発表した。

BASFは2011年のJV設立時に、ドイツ、ベルギー、韓国、インド、メキシコのSM、PS、ABS、SBS、及びそれらのコポリマーを拠出していたが、これらはINEOSに帰属することとなる。

但し、下記の事業はJVに拠出せず、BASFが自社事業として継続している。

発泡ポリスチレン
・発泡ポリスチレン用の
Ludwigshafen SM/PS事業
・南京の
BASF-YPCSM/PS事業
  SM
 120千トン
  PS  200
  EPS
 52

2014/7/8   INEOS、BASFからスチレン系製品のJV Styrolutionの持分を買収

今回、米大陸のEPS事業からも撤退することとなる。

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POLIOLESは1965年2月に事業を開始した。

・ BASFは1969年末にJVの40%株主のWyandotte Chemicalsを買収した。
・ メキシコのコングロマリットGrupo Industrial ALFA は1974年にJVの60%を取得した。
・ BASFは1994年にALFAから10%を取得し、50/50JVとした。

Poliolesはメキシコの Altamira とLermaに工場を持ち、下記の製品を扱う。

・EPS
・Polyurethans
・Industrial Chemicals
  Ethylene Glycols、Propylene Glycols、Glycol Ethers、Brake Fluid
  PEG、PPG、Polyalkylene glycols、
非イオン界面活性剤、キレート剤、殺菌剤、ワックス、油田用ケミカル、
   電気メッキ、グリーン製品

今回、EPSとポリウレタンを分離し、工業薬品専門のメーカーとなる。

ーーー

Grupo Industrial ALFAはコングロマリットで、傘下に下記の子会社を持つ。

 Alpec:Poliolesの株主

メキシコ最大の石油化学会社。
北米のポリエステル(PTA、PET、ポリエステル繊維)のトップメーカーで、米大陸最大のEPSメーカー。
メキシコの唯一のPPとカプロラクタムのメーカー。

 NEMAC:自動車用アルミニウム製パワートレイン部品の最大のメーカー

 SIGMA:肉製品

 ALESTRA:IT

 NEWPEK:石油開発

 


 

農林水産省は7月9日、バイオ燃料生産拠点確立事業における3地区(北海道2地区、新潟県1地区)に対する支援について、平成26年度予算限りとすることを決定したと発表した。

2014年2月に設置した外部有識者からなる「バイオ燃料生産拠点確立事業検証委員会」が検証を行い、5月9日に「自立化、事業化は難しい」との報告書を取りまとめた。
 

河野太郎衆院議員の「ごまめの歯ぎしり」(2014/7/11) によると、経緯は以下の通り。


農水省は、2007年から北海道二か所、新潟一か所で行われている国産バイオエタノール製造・販売事業に支援をしてきた。

しかし、2007年度から2014年度まで218億円の補助金を投入しながら、三か所のいずれも事業化のめどが全く立たないという状況であった。

それどころか毎年、20億円を超える補助金がこれからも延々と突っ込まれかねない状況にあった。

自民党のムダボチーム
「無駄撲滅プロジェクトチーム」:河野太郎座長)は、昨年12月のヒアリングの結果、この事業の検証を農水省に命じた。

農水省は、これを受けて外部有識者による検証委員会を立ち上げて、今後の事業化の可能性を検証した。

この間、3つの事業主体に対して、検証委員会は事業の計画を作り直しを求めたり、さまざまな努力をした結果、自立化、事業化は難しいという結論を出した。

これを受けて、農水省はムダボチームに、今年度限りで事業を打ち切ることを報告し、チームも了承した。

「国策にそって取り組んできた事業だけに...」というコメントも事業主体からあったが、国策だから赤字を垂れ流してもかまわないということにはならない。


今回は、農水省が極めて前向きに、素早く対応し、検証委員会も省庁の有識者会議とはこんなものという常識を覆すような目覚ましい活動をしてくれたことを特記しておきたい。


バイオ燃料生産拠点確立事業の概要と検証委員会が指摘する問題点は以下の通り。

3地区いずれも平成29年度以降の自立化・事業化という補助目的を達成することは困難と判断される。


 

    北海道バイオエタノール オエノンホールディングス
主原料①  計画 製糖向けてん菜
(交付金対象数量64万tを上回る生産部分)
[email protected]/kg 一時的に政府所有米
最終は道産米 100%
現状 生産は64万トンをかなり下回り、余剰生産はなし [email protected]/kg 道産多収米 1%
問題点 余剰が発生するかどうか不確定なものを主原料とする構想 甘い想定価格 目論見は完全に破綻
主原料② 計画 規格外小麦 @15/kg  
現状                @27.5/kg
問題点

穀物価格は外部要因で変動するもので、価格高騰への対応策なし。

採算 楽観的ケース(エタノール価格 up、てんさい余剰4万トン等)のみ事業化可能というのは評価できない。 同左。
その場合も外部要因がわずかにマイナスに振れると赤字。

 

  新潟市(全国農業協同組合連合会)
特徴 (外部要因に左右されにくい生産及び販売体制構築)
・当初計画どおり地元産の原料(多収米)を量・価格とも安定的に調達
・自らバイオエタノール混合ガソリンを販売する体制を整備

(地域循環型エネルギーシステム構築)
多収米の生産からバイオエタノールの製造、バイオエタノール混合ガソリンの販売・利用及び発酵残渣の飼料等利用の全てのプロセスを一貫して新潟県内で。
問題点 (収支改善進まず。平成24 年度想定:304 円/L→平成24年度実績:654 円/L)
・施設規模が最大生産量1,000kL/年と小さい
・メンテナンス費用が想像以上に
・重油からもみ殻ブリケット燃料への転換の遅れ等


当初計画からバイオエタノール生産だけでは赤字が生ずることを想定しているのに、
補助事業終了後の計画がまとまっていない。
想定した取組に全て目途が立たなければ、バイオエタノール生産事業から撤退するということでは、補助事業を継続する意味がない。

 

検証委員会の指摘は当然だが、このことは計画当初から分かっている筈で、それにもかかわらず農水省が莫大な補助金を投入してきたことが問題である。

 

韓国の大宇造船は7月8日、 大宇造船海洋 (Daewoo Shipbuilding & Marine Engineering ) がカナダ、中国、日本の海運会社と17万立方メートル級ARC7 砕氷LNG船9隻に対する受注契約を締結したと発表した。

西シベリアのYamal ProjectのLNGを輸送するためのもので、 カナダのTeekay Corporationと中国の中国液化天然気合資企業(China LNG)が合弁で設立したTK &CLNGが6隻を、日本の商船三井(MOL : Mitsui O.S.K. Lines)と中国海運(集団)総公司 (China Shipping (Group) Company) が合弁で設立したMOL & CSLNGが3隻を発注した。受注総額は28億4000万ドルに上る。

Yamal LNG は合わせて16隻の砕氷LNG船を発注する方針で、大宇造船は3月にロシア国営海運会社 Sovcomflot から最初の1隻を受注し ている。同社の受注はこれで10隻となる。

Putin大統領が国産を強く主張し、大宇造船の受注が一時棚上げになった。

ARC7 は最大2.1mの厚さの氷を砕きながら運航できるLNG運搬船で、氷点下52度まで耐えられるよう、外部パイプラインを船内に配置し、船員移動通路に熱線処理をするなど防寒処理技術を適用する。

新造砕氷LNG船の概要
  主要寸法 : 全長 299m、幅 50m
  船型 : 172,000m³メンブレン型
  アイスクラス/仕様 : ロシア船級 ARC7 / 極寒地を対象とした特別仕様
  砕氷航行能力 : 船首砕氷バウ構造、船尾3軸PODプロペラ
   最大砕氷能力 氷厚2.1m (後進時)
  造船所 : Daewoo Shipbuilding & Marine Engineering Co., Ltd.

 
 

これらの船は2020年上半期までに建造され、西シベリアのヤマル半島の天然ガスを開発するYamal Project に投入される。
Yamal LNGプロジェクトは北極海に面するオビ川河口にあるが、1年のうち9カ月は氷に閉ざされる。

最大氷厚2.1mの氷海において単独砕氷航行可能な仕様となっており、ロシア・ヤマル半島サベッタ港のYamal LNG基地から、通年にわたり世界各地への輸送に従事する が、夏季には北極海航路を経由して東アジア向けに運航される。

ヤマル半島から日本までは約18日、欧州までは約11日で航海する。
北米ガルフコーストからパナマ運河を経由してLNGを輸入するのに約25日必要とされ、ヤマル半島からはこれより7日早く運べることとなる。

また、欧州 から日本までは、従来のスエズ運河経由 で約40日かかるが、北極海航路では約30日と、10日短縮できることとなる。


商船三井では、「世界で初めて砕氷LNG船を使用した本プロジェクトへの参画は、当社にとって大きなマイルストーンになる。北極海航路における過去に例のない大型プロジェクトで 、このプロジェクトへの参画を通じて、北極海航路運航のために必要なノウハウおよびリソースを蓄積して、当社事業の核である海上輸送サービスの一層の充実と拡大に取り組んでい く」としている。


Yamal LNG はYamal半島のSouth Tambey ガス田を開発する。推定埋蔵量は1兆2500億m3で、年間1650万トンのLNGの生産が可能。
LNG基地を含む投資額は200億ドルとされる。

Yamal LNG にはロシア天然ガス2位のNovateが60%を出資、フランスのTotalが20%、中国のCNPCが20%を出資する。

日揮がフランスのTechnipと共同で、このLNGプラント新設プロジェクトの有償見積りおよび詳細設計役務等を受注している。

同地に多機能海港のSabetta港の建設が進められており、LNG、石油、天然ガス・コンデンセートを輸出する拠点港になる。

2013/4/8  日揮、ロシアのヤマルLNGプラントの詳細設計役務等を受注

北極海航路が航行可能となる7月から11月は東側へ船を進め、ベーリング海峡経由で日本等に輸送する。西欧へは通年輸送する。

ロシア海運最大手ソフコムフロートは2010年8月25日、北極海を初めて横断航行している同社傘下の大型タンカーBaltika が北極海航路の難関部分の通過に成功し、ロシア東端のチュコト(チュクチ)自治管区Pevekに達したと発表、「大型船舶の運航の可能性が実証された」と表明した。

タンカーは北欧に近いMurmanskを出港。天然ガス副産物の軽質原油コンデンセート約7万トンを積み、数隻の砕氷船を伴い、難関部分の約2,500カイリを予定より早い11日間で航行、今後の運航に役立つデータも集めた。

2010/9/1  北極海横断航路で初輸送 

2012年11月7日には、GazpromがStatoilの生産したLNGをノルウェーのHammerfestでLNG船オビ・リバー号に積み込み、ベーリング海峡を通り、12月5日に北九州市戸畑区の港に到着した。原子力砕氷船を同行させた。


 


 


経済産業省が 経営コンサルタントのA.T.カーニー㈱に委託した「石油化学産業の市場構造に関する調査」の報告が公表された。

平成25年度石油産業体制等調査研究として、2013年12月に入札され、米国の経営コンサルタント A.T. Kearney の日本子会社が受注した。

2014年3月付けの報告となっている。
 全文  http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2014fy/E004116.pdf

     付記 7/16現在、アクセスできなくなっています。


報告では前段で、日本の石油化学企業と欧米の企業との収益構造の比較を行っている。

日本の石油化学企業は、欧米の企業とくらべて営業利益率が低く、特に2009年のリーマンショック以降は以前の稼働状況に戻せていないための低稼働が利益率を引き下げるなどして、直近の営業利益率は比較的低位である。


日本のエチレン・プロピレンの生産の将来見通しについては、化学品の将来の需要に影響を与えるいくつかのキーとなる要素を組み合わせてシナリオを設定し、各シナリオについて日本の内需に対する影響を検討した。

先ず、第三者機関の予測をベースにしたベースシナリオは以下の通り。

上記のベースシナリオに対し、次の5つのリスク因子を考慮した。

<需要の変動を引き起こす要素>

①日本の需要

日本の製造業の空洞化の加速で、エチレン・プロピレン・ブタジエンの国内での需要は減少する。
海外移転企業は現地にて新規の調達を行う可能性が高い。

②中国の需要の減少

多くの予測では、中国の需要は今後も大幅な減速は無く経済成長を続け、需要が増え続けることを想定している。
他方で、中国の人口構成をみると、2020年代以降に人口オーナス期に突入し、経済成長が停滞する可能性も存在する。
中国等の需要が大幅に減少するケースについても想定する必要がある。

中国の2012-2030年のGDPを低位ケースとした場合、需要はベースシナリオから20%程度下振れのリスクがある。

<供給の変動を引き起こす要素>

③北米の生産

シェール革命による北米の化学品コスト低下
いろいろなボトルネックがあり、第三者機関によるNGLの将来産出量には幅がある。
NGL産出量が上振れし、想定以上にボトルネックが解消されれば、オレフィンの生産量は一般の予測よりも上振れる。

④中国の増産

中国は石炭由来の化学品生産を大規模に進め、自給自足を目指す見込み。
どの程度の自給率に到達するか、国外輸出を目指すか、などによりアジアの市場環境は大きく変動することが想定される。

(2025~2030) エチレン プロピレン
ベースシナリオ 45百万t/年 53百万t/年
最大 62百万t/年 62百万t/年

⑤中東の増産

中東の安価な随伴ガスの生産量には限りがある。
国家政策として、原油を製品化して販売することに注力してきており、原油・ナフサ由来の化学品を大量生産する可能性も考えられる。

(2025~2030) エチレン プロピレン
ベースシナリオ 36百万t/年 11百万t/年
最大 45百万t/年 18百万t/年


日本のエチレン、プロピレンの生産量予想に当たっては、日本の需要減に中国の需要減が加わるケースと、日本の需要減に北米、中東、中国が増産するケースを考えた。

中国の需要が減少する場合は供給量はある程度調整されるために、双方のリスクが100%同時に発生することは無いという考え。
但し、中東は市場原理とは独立した判断により、下流側の産業の育成に力を注ぐと考え、日本・中国の需要減の場合も増産が行われるとした。

日本の国内生産への影響が最大となるシナリオの場合で、エチレン生産は、現状6.7百万トンのものが2020年で4.8百万トン、2030年で3.1百万トンとなり、プロピレン生産は、現状5.2百万トンのものが、2020年で3.7百万トン、2030年で3.3百万トンとなると予想している。
 

日本のエチレン、プロピレンの生産量予想 (百万トン)
シナリオ エチレン   プロピレン
現状 METI
 2018
2020 2030 現状 METI
 2018
2020 2030
日本の需要減 &
中国の需要減 &
中東増産
6.7 6.1 5.0 4.3 5.2 5.3 4.2 3.9
日本の需要減 &
北米、中東、中国の増産
4.8 3.1 3.7 3.3


いずれのシナリオも荒唐無稽なものではなく、十分在り得るものである。

ーーー

経産省は6月13日に世界の石油化学製品需給動向(2014年)を発表した。

2018年の日本のエチレン、プロピレンの予測は以下の通りで、今回の報告は これを大きく下回る。

千トン エチレン プロピレン
能力 6,438 5,848
生産 6,061 5,287
需要 5,460 4,271

 

 


METIは年初から、「石油化学産業市場構造研究会」を設置、エチレンセンター各社参加の下、石化産業の将来展望、競争力強化策の検討を重ねてきた。
近く予定されている最終報告では、今回の報告も客観的調査による需給見通しとして示される。

問題は、人員整理が難しいなか、どのような形で撤退していくかである。


 

 


Fortuneは7月7日、最新の世界企業500社番付(Fortune Global 500, 2014)を発表した。
2013年の売上高によるランクである。
    http://fortune.com/global500/wal-mart-stores-1/

世界の500社の業績は、売上高で前年比 2.5%アップ、利益では27%アップとなり、景気の回復を表している。

SinopecとCNPCが前年3位のExxonMobil に代わり3位、4位を占めた。中国企業が同ランキングのトップ3入りを果たすのは、これが初めて。

中国本土からは95社が入り、台湾・香港・マカオを加えると100社がランク入りした。

トップ30社は下記の通り。

  社名 前年
1 Wal-Mart Stores 2
2 Royal Dutch Shell 1
3 Sinopec Group 4
4 China National Petroleum (CNPC) 5
5 Exxon Mobil 3
6 BP 6
7 State Grid Corporation of China   国家電網 7
8 Volkswagen 9
9 Toyota Motor(日) 8
10 Glencore 12
11 Total 10
12 Chevron 11
13 Samsung Electronics (韓) 14
14 Berkshire Hathaway 18
15 Apple 19
16 AXA  保険会社 20
17 Gazprom(露) 21
18 E.ON 15
19 Phillips 66 16
20 Daimler 23
21 General Motors 22
22 ENI 17
23 日本郵政(日) 13
24 EXOR Group (伊) 26
25 Industrial & Commercial Bank of China(中国工商銀行) 29
26 Ford Motor 28
27 General Electric 24
28 Petrobras(ブラジル) 25
29 McKesson  米国最大規模の医療関連企業 42
30 Valero Energy 27
 

トヨタ、日本郵政以外の100位以内の日本企業は以下の通り。

45 ホンダ 45
51 JXホールディングス 44
53 NTT 32
61 日産自動車 47
78 日立 54


 

ロシアの天然ガスの価格を巡るウクライナとロシアの交渉が決裂し、ロシアはウクライナ向けの天然ガス供給を停止した。

ロシアの欧州向け天然ガスは現在、ベラルーシ経由、ウクライナ経由、バルト海経由(Nord Stream) があるが、ロシアはウクライナを迂回するSouth Streamの建設を急いでいる。
2009年初めにウクライナ向け供給を停止した際に、ウクライナが
欧州向けのガスを抜き取ったため、欧州向けの供給も停止する事態になったことがある。

South Streamはロシアと中央アジアの天然ガスを欧州に送るもので、黒海の湖底を通って対岸のブルガリアに渡り、その後、2手に分かれる。
北西ルートはブルガリア、セルビア、ハンガリーを通ってスロベニア、オーストリーに通じる。
南西ルートはギリシャからイタリアに通じる。

当初、GazpromとENIとの均等出資で計画されたが、2011年にBASF子会社のWintershallとフランスのElectricite de France SAが15%ずつ参加し、ENIの比率は20%となった。

ロシアのGazpromとパートナーは2012年12月7日、南ロシアの黒海東岸の Anapa市でSouth Stream pipeline の着工式を行った。

2012/12/13 ロシア、サウスストリームパイプライン計画着工

ロシアとブルガリア、セルビア、ハンガリー、ギリシャ、スロベニア、クロアチア、オーストリアの各国との建設契約が締結されている。

これに対し、EUは2013年12月4日、各国が締結した建設契約はEUの法に違反しており、ゼロから再交渉する必要があるとした。

ウクライナは2013年に欧州連合との政治・貿易協定の仮調印を済ませたが、ロシア寄りの姿勢を見せるヤヌコビッチ前大統領が2013年11月、EUとの関係を強化する「連合協定」の締結を見送り、ロシアとの協力関係を密にする方針に転換した。

EUがこの時になって急に問題提起をした背景にはこれがあった。

South Stream pipeline 建設契約が反しているとされるEUの規則は、2007年9月に採択された第三次電力・ガス自由化パッケージである。

これはエネルギーに関する消費者の選択、フェアな価格、クリーンエネルギー、供給の保証を目的とするもの。
再生可能エネルギーに投資するなどの小企業でもエネルギー市場に参入できるようにするもので、具体的には、エネルギーの生産と輸送ネットワークの所有を分離する。これにより電線やパイプラインの所有者が、利用を拒否したり、高い価格を要求したりして参入を妨害するのを防ぐことを狙うものである。

South Stream pipelineについては、天然ガスの生産者であるGazpromがパイプラインを所有することになるため、これに違反するという主張である。
Gazpromの天然ガスだけを送るパイプラインは認められないとした。

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ロシアのPutin大統領は6月24日、オーストリアを公式訪問し、Fischer大統領と会談した。
同日、ロシア国営ガス大手Gazpromとオーストリアのエネルギー会社OMVは、ロシア産天然ガスをオーストリアに運ぶ South Stream Pipelineの新たな建設契約に署名した。

総延長2446km のうち今回、オーストリア国内分の約50kmのパイプラインを約2億ユーロで建設する。
320億m3の天然ガスを同国に送る。

South Streamについては、EUの欧州委員会が「計画凍結」を求めているが、Putin大統領は同日の記者会見で「契約は何ら不自然ではない」と正当性を強調。「米国が欧州に自分たちのガスを売りたいのだ」と批判した。

Fischer大統領も「契約は有益なものだ」と説明した。

OMVは6月17日にEUに対し、South Streamプロジェクトの実現加速化を求めた。
「EUはSouoth Streamに関する交渉を遅らせるのではなく、逆に加速させるべきだ」と主張した。

ロシアのラブロフ外相は6月17日、セルビアのイビツァ・ダチッチ外相との会談後、セルビア政府がサウスストリームの建設工事を継続する意思を確認したことを明らかにした。

ラブロフ外相は7月7日には、ブルガリアの首都ソフィアでビゲニン外相と会談し、South Streamについて意見を交わした。

ブルガリアは先月、EUから法律違反のおそれがあるとの指摘を受けてパイプラインの工事を停止しているが、会談で両国は建設の必要性を確認した。
会談のあと、ビゲニン外相は「South Streamはブルガリアの国益にかない、建設を支持する」と話した。


オーストリアや東欧各国はロシアの天然ガスへの依存が大きく、ウクライナ経由のパイプラインに不安を持つため、South Streamへの期待が大きい。

 これら各国は2009年にウクライナ経由の輸入がカットされ、被害を受けた経験を持つ。

 

 



 

中国とアイスランド、中国とスイスのFTAが7月1日に発効した。
中国としては8番目、9番目のFTAで、欧州の国との締結はこれが初めて。

アイスランド

2013年4月15日、中国の李克強首相は、訪中したアイスランドのシグルザルドッティル首相と会談し、FTAを締結した。

中国はFTAを通じた経済協力の見返りに、アイスランドから中国が北極圏開発に発言権を持つことへの支持を取り付けた。

中国は、北極圏を通過してアジアと欧州を短距離で結ぶ北極海航路の開発など、北極海進出に意欲を示している。

北極圏開発のルールづくりを各国が話し合う北極評議会は2013年5月、中国と日本、韓国、インド、イタリア、シンガポールの6カ国を評議会の「オブザーバー」に加えることを決めた。

アイスランドの国家エネルギー機関(Orkustofnun)は2014年1月22日、中国海洋石油(CNOOC)に対し、北極圏での石油開発の認可を与えた。

2014/3/7  中国海洋石油(CNOOC)、北極圏油田開発に参加

また、中国は、地熱探査やグリーンエネルギーなどの分野での協力強化、氷河や火山、地震などの共同研究と技術協力、海洋と極地共同研究センターの構築に力を入れていきたいとしている。

2014年7月1日、中国・アイスランドFTAが発効した。

アイスランドは中国から輸入するすべての工業製品および水産品の関税をゼロにする 。
これらは中国の対アイスランド輸出総額の99.77%を占める。

中国はアイスランドから輸入する関税分類で7380種類の製品にゼロ関税を実施 する。
これらは中国のアイスランドからの輸入総額の81.56%を占め、アイスランドの主要輸出品の水産品も含まれている。

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スイス

中国とスイスのFTAは2013年7月6日に調印され、2014年7月1日に発効した。

スイスは欧州大陸および世界の経済国上位20カ国の中で、初めて中国とFTAを締結した国。

スイスは 中国の99.7%の輸出に対し、直ちにゼロ関税を実施する。
中国の工業製品に対する関税を撤廃し、農産品に対しても、ゼロ関税または関税の大幅減免を実施する。
スイスがFTAのパートナーに対して農産品市場をこれほど大幅に開放するのは初めて。

中国はスイスの84.2%の輸出に最終的にゼロ関税を実施する。
医薬製品、チョコレート、チーズ、電子機器、機械といった製品への関税も大幅に引き下げられる。
スイス製の腕時計に課す輸入税を今後10年間に60%引き下げる

中国は、スイスの先進的な時計の検査測定技術の導入を拡大し、中国の時計産業の発展レベルを引き上げる。
両国は漢方薬協力対話を展開し、漢方薬の「走出去」(中国企業の海外進出)を推進する。

政府調達、環境、労働者と就業の問題に関する協力、知的財産権、競争など、中国がこれまでのFTAの協議で直面することの少なかった規則に対し、たとえ国際基準がなくても、これを避けることなく「求同存異」(相違点は残し共通点を求める)の原則に照らし、多くの共通認識に達 した。
 

中国は、スイスにとってEU、米国に次いで3番目に大きい輸出相手国で 、2012年のスイスの中国向け輸出額は78億3000万スイスフラン、中国からの輸入額は102億9000万スイスフランだった。

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中国がこれまでに締結し、発効済みのFTAの相手国は以下の通り。 

  シンガポール   2004/11 発効
  チリ   2006/10/1 発効
  パキスタン   2007/7 発効
  ニュージーランド   2008/10/1 発効
  ASEAN   2010/1/20 発効
  ペルー   2010/3 発効
  コスタリカ   2011/8/1 発効


他に、下記の協定(地域間のFTAに相当)がある。

 香港 経済連携緊密化協定(CEPA)   2004/1/1 実施
 マカオとの経済連携緊密化協定(CEPA)   2004/1/1 実施
 台湾との海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)   2010/9/12発効
     

 
 
 

LG Chemは7月2日、ソウル市内で南京市政府とEV用バッテリー工場の建設など包括的協力に関する覚書を締結した。
韓国の梧倉工場、米
ミシガン州Holland工場、中国・南京工場を結ぶEV用バッテリーの三角生産体制を確立する。

LG Chemは南京の子会社 LG Chem (Nanjing) Information & Electronic Materials で スマートフォンなど携帯端末向けの小型バッテリーを生産している。

後述の通り、韓国勢ではサムスンSDIとSK Innovation も中国でEV用バッテリーの生産に乗り出している。

LG Chemは8月に南京市政府系の国有企業、南京紫金科技創業特別社区建設発展(Nanjing Zijin Technology Incubation Special Park Construction Development Co)、南京新工投資集団(Nanjing New Industrial Investment Group)の2社と合弁会社を設立する。
LG Chemが50%出資、残りは中国の2社が握るが両社の出資比率は未定。

年間生産能力はEV10万台分以上とし、数億ドルを投じる。
9月に起工式を行い、2015年末までの完成を目指す。

LG Chemの権暎寿社長は「南京工場が操業を開始すれば、中国国内での生産分だけで毎年1兆ウォンを超える売り上げが可能だ」と述べた。

既に上海汽車、第一汽車、長安汽車、観致汽車(Qoros)など中国の自動車メーカーをはじめ、中国に進出した海外の自動車メーカーからも年10万個を超える受注を確保した。

世界最大の自動車市場である中国は、石油消費の急増と環境問題解決に向け、EVの本格普及を目指している。

中国政府は国内のEVを2015年までに50万台、2020年までに累計で500万台普及させる計画を立てており、中国は米国を抜き、世界最大のEV市場に浮上するとみられている。

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サムスンSDIは2014年1月22日、安慶環新集団(Anqing Ring New Group)および陜西省政府と「電気自動車用電池生産拠点建設投資3者了解覚書」に調印した。
サムスンSDIは5年間に約6億ドルを段階的に投じ、安慶環新集団と省政府の西安高科集団と合同で西安ハイテク区に中国最大規模のEV用リチウムイオン電池の生産拠点を建設する。

安慶環新集団は中国最大シェアのピストンリングとシリンダーライナーの製造会社で、サムスンSDIは「安慶環新集団の自動車部品事業のノウハウとサムスンSDIのバッテリー分野の技術力で相乗効果が生まれる」と説明し ている。

本年4月に合弁会社を設立、サムスン電子が西安で建設している半導体工場の隣接地に工場を建設する。
本年下半期に着工、来年上半期には操業開始の見込み。

自動車産業は西安ハイテク区の重点産業の一つで、比亜迪汽車(BYD)、自動車部品メーカーの法士特汽車電動集団中型・ 大型バスの陜西欧舒特汽車などの企業を中心に、完成車組み立て、動力、制御システム、シャーシ、重要部品、自動車関連サービスが一体となったシステムが整っている。EV用電池生産拠点の稼働で西安ハイテク区の新エネルギー自動車産業チェーンはさらに完全なものになる。

サムスンSDIは7月1日、グループの第一毛織Cheil Industriesと合併した。

第一毛織は第一製糖とともにサムスングループの最初の製造業で、織物事業から始まり、1980年代にファッション事業、1990年代にケミカル事業(PS、ABS等)、2000年代には電子材料事業へと進出してきた。

サムスンSDIは1970年にブラウン管事業からスタートし、2002年に新規事業としてバッテリー事業を加え、2010年には小型バッテリー市場でトップに立った。

サムスンSDIは第一毛織が持つバッテリー寿命などを向上させる二次電池セパレータ技術と有機素材技術を取り込むことでバッテリー事業の競争力を強化できると説明した。
また、第一毛織の合成樹脂事業をこれまでの電子、IT中心から自動車向けへと拡大することができるとしている。

サムスンSDIの社長は「電気自動車がうまくいくためには一度の充電で持続する時間が画期的に増えなければならず、充電時間も短縮されるべきだが、いま使っている素材ではできない。新しい素材を発掘しなければならない」と述べた。

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SKイノベーションは2013年7月8日、中国の自動車大手の北京汽車集団と、国有大型電子産業グループの北京電子控股 と3社合同でEV用リチウムイオン電池を製造する合弁会社を北京市内に設立したと発表した。

合弁会社の名称は北京電控愛思開科技で、北京電控が41%、SKイノベーションが40%、北京汽車が19% を出資する。
北京経済技術開発区にEV用リチウムイオン電池工場を建設、2014年6月の稼働を予定する。

製品は北京汽車傘下でEVの研究開発を手掛ける北京汽車新能源汽車に供給する。北京汽車は2015年までにエコカーの年産能力を15万台まで拡大する予定で、このうちEVは5万台を目指している。

SK イノベーションは旧称 SK Energyで、石油事業(SK Energy) と化学事業(SK Global Chemical)を分離し、2009年設立のSK Lubricantsとともに100%子会社とした。

SKイノベーションは2013年に、自動車部品世界大手のドイツのContinental AG とリチウムイオンバッテリーシステムの共同開発、製造、供給を行う合弁会社SK Continental E-motion  をベルリンに設立している。

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参考  2014/7/5   中国商務部、トヨタの中国ニッケル水素電池生産JVの設立を承認

 

 

INEOSは6月30日、BASFから両社の50/50JVのStyrolutionの持分を11億ユーロで買収すると発表した。
2011年の設立JVにINEOSがこのオプションを持つことが含まれている。独禁法の手続きを経て、2014年第4四半期に完了する予定。


BASFは2007年7月、スチレン事業一部の「戦略的な選択肢」を検討していることを発表した。
売却対象は、SM、PS、ABS、SBS (スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体)と、それらのコポリマー。
利益率が低く、原料の動向に左右されるコモディティからの離脱を狙った。

その後、売却準備を続けてきたが、全くまとまらなかった。

2008/8/20 BASF、スチレン系事業の売却準備 進める

BASFとIneosは2010年11月30日、両社のスチレン、PS、ABS、SBC、その他スチレン系コポリマーとそのブレンドの事業を新しい50/50JVのStyrolutionに統合すると発表した。

統合に先立ち、BASFは2011年1月1日にスチレン系ポリマー事業を分社し、Styrolutionを設立した。
この時点で、将来事業を売却することを決めていた。

2011年10月1日、BASFとIneosのスチレン系事業を統合した50/50JVのStyrolutionが各国の独禁法当局の承認を得て発足した。
社名は、"Styrenics" と"Solution"を合成したもの。

新会社の製品は、SM、PS、ABS、スチレンブタジエンブロックコポリマー(SBC)、スチレン系コポリマー(SAN、AMSAN、ASA、MABS)と、それらのブレンド(ABS/PA、ASA/PA、ASA/PC)で、発泡ポリスチレン(EPS)は対象外で両社に残った。

2011/10/11 BASFとIneosのスチレン事業を統合した Styrolution がスタート 

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BASFと並ぶスチレン系の大手であったDowも、スチレン系事業のStyronを投資会社Bain Capital Partnersに売却している。

同社は2010年3月2日、Styron DivisionをBain Capital Partnersに16.3億ドルで売却する契約を締結したと発表した。ポリカーボネートや合成ゴムも含まれる。

同社は2007年にChevron PhillipsとのSM/PSの50/50JVAmericas Styrenicsを設立、米国と南米のPS工場を拠出したが、この持分も売却対象に含まれる。

2010/6/18 ダウ、スチレン系事業売却完了

Styronは2011年末に社名を Trinseo に変更した。

TrinseoはIntrinsic(「固有の」、「本質的な」、「内在する」)から取った。
同社の製品や技術が、需要家の製品にintrinsic な役割を果たし、需要家の成功に不可欠なものになるという意味。

なお、PSの商標は従来通り Styron を使用する。

 

 


田辺三菱製薬は6月30日、子会社の田辺三菱製薬工場㈱の鹿島工場を沢井製薬に譲渡する基本合意書を締結したと発表した。


田辺三菱製薬は2013年8月に、戦略課題の一つである「事業・構造改革の加速化」の一環として、国内5工場を、小野田工場と吉富工場の2拠点に集約し、足利工場はシミックに譲渡、残る鹿島工場と大阪工場は2017年までに閉鎖する方針を発表していた。

足利工場については2013年11月に田辺三菱製薬 100%出資のシミックCMO足利㈱として分離、本年4月1日にシミックホールディングスが買収した。
従業員は雇用が継続され、株式譲渡後も引き続き田辺三菱製薬の製品の製造を受託する。

今般、閉鎖する方向で検討を進めていた鹿島工場を沢井製薬に譲渡することで基本合意に至った。
譲渡は2015年4月1日の予定で、従業員は本人の同意のもと沢井製薬へ転籍する。
また、田辺三菱製薬は譲渡後も製品の製造を沢井製薬に委託する。

小野田工場 旧 田辺製薬 存続・強化
吉冨工場 旧 吉冨製薬
足利工場 旧 吉冨製薬 2014/4/1 シミックに譲渡、シミックCMO足利㈱
鹿島工場   閉鎖検討→2015/4/1予定で沢井製薬に譲渡
大阪工場 旧 田辺製薬 閉鎖方針


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田辺三菱製薬は2007年10月に、三菱ウェルファーマと田辺製薬が統合して設立された。
小野田工場と大阪工場は田辺製薬の工場である。

2007/2/8 三菱ウェルファーマと田辺製薬が合併発表


田辺三菱製薬は2013年8月に、「事業・構造改革の加速化」の一環として、将来的に必要とされる製造能力等を総合的に検討した結果、小野田工場および吉富工場の2拠点に集約し、その他の製造拠点については譲渡を含めた再編を推進する方針と した。

1)  足利工場(栃木県足利市)

 2013年8月1日 シミックホールディングスへ譲渡することで基本合意書を締結 
     11月1日  田辺三菱製薬がシミックCMO足利㈱として分離。
 2014年4月1日 シミックホールディングスが買収

シミックグループの事業は下記の通り。

・CRO(医薬品開発支援)
・CMO(医薬品製造支援)
・CSO(医薬品営業支援)
・ ヘルスケア
・IPD(知的財産開発)

CMO(医薬品製造支援)事業では、日本、韓国(CMIC CMO Korea)、米国(CMIC CMO USA)の3カ国に生産拠点を有し、医療用医薬品、OTC医薬品などを受託生産して いる。

国内の製造体制は下記の通りとなる。

 ・シミックCMO㈱ 
   静岡工場:
錠剤、カプセル剤、散・細粒剤などの固形剤を生産
   富山工場:
軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤などの半固形剤を生産

 ・シミックCMO足利㈱
:固形剤、注射剤を生産  

2012年度 生産実績
 錠 剤 21億錠
 散・顆粒 32トン
 半固形剤 269トン
 注射剤 276万本
   
2) 鹿島工場

2017年度末を目処に閉鎖する方向で検討を進めていたが、今般、2015年4月1日付で沢井製薬へ譲渡することで合意した。

沢井製薬は、千葉県茂原市の関東工場に新製剤工場を建設し、年間100億錠の生産体制の早期構築を進めている。

2013年4月の厚生労働省の「後発医薬品のさらなる使用促進のロード マップ」において、2018年3月末までにジェネリック医薬品の数量シェア60%以上にするという目標が掲げられたことから、ジェネリック医薬品の今後一層の需要増加が見込まれ るため、田辺三菱製薬の鹿島工場を譲り受けることで、安定供給力の さらなる増強を前倒しで実施することとした。

また、鹿島工場の高い技術力と高度な品質管理水準を持つ従業員を受け継ぐことで、生産増強に必要な人材の確保にも努める。

2012年度 生産実績
 錠 剤 3億錠
 散・顆粒 34トン
 注射剤 225万本
   
3) 大阪工場

2017年度末を目処に閉鎖する方向で検討を進めている。

注射剤、固形剤の少量・多品目の製造に適する機動力を有する。

2012年度 生産実績
 錠 剤 1億錠
 散・顆粒 3トン
 注射剤 210万本

 

 

 

 

 

中国商務部は2014年7月2日、公告49号で、トヨタの中国のニッケル水素電池生産JVの設立を、製品を第三者にも販売するという条件付で承認したと発表した。
2013年12月31日に申請を受け付け、独禁法に基づき審査してきた。

条件は、
  (1)公平・合理的・無差別に製品を販売する
  (2)生産開始から3年以内に製品の対外販売を始める
  (3)命令の履行状況を毎年報告する
  (4)この義務の実行計画を作成する
というもの。

トヨタと湖南科力遠新能源が合弁会社を設立し、HV向けのニッケル水素電池を生産するもので、生産されたニッケル水素電池はトヨタが2015年頃に中国市場に投入する計画のハイブリッド車(HV)に搭載される。総投資額は156億3千万円。

トヨタは技術流出懸念からハイブリッド車(HV)の現地生産に慎重だったが、諸般の事情を勘案し、技術移転を決めた。
中国では充電可能な環境自動車(エコカー)への補助金を電気自動車(EV)などに限っており、ハイブリッド車(HV)は対象外であった。
中国政府の求めるHVの現地生産を行うことで、補助金対象をHVにも広げることを狙った。
 
但し、現地生産するHVは従来のニッケル水素電池を使い、 軽量だが割高なリチウムイオン電池などの最先端技術は国内にとどめる。

合弁会社の名称は科力美汽車動力電池有限公司Corun PEVE (China) Automotive Batteryで本社は常熟市に置かれる。

出資比率は以下の通りで、日本側と中国側が50/50となっている。

プライムアースEVエナジー( Primearth EV Energy)   41%
トヨタ・モーター・チャイナ・インベストメント   5%
豊田通商     4%
湖南科力遠新能源(Hunan Corun New Energy)    40%
常熟新中源創業投資(ンチャーキャピタル )   10%

 

プライムアースEVエナジーはPEV・HEV用ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン電池、Battery Management Systemの開発・製造・販売を行っている。

1996年12月11日   パナソニックEVエナジー㈱設立(出資比率はトヨタ自動車60%、パナソニックグループ40%)
2010年4月   第三者割当増資を実施。出資比率:トヨタ自動車80.5%、パナソニックグループ19.5%
2010年6月2日   プライムアースEVエナジー ㈱」に変更

湖南科力遠新能源は2011年1月31日、パナソニックとの間で、車載用ニッケル水素電池事業を行っているパナソニックの湘南エナジーの株式の譲渡契約を締結した。特許を含む知的財産権を使用出来る契約で、全株式を4千万元(約5億円)で譲り受けた。
現在の社名は
湘南Corun Energy となっている。

ーーー

上記の①パナソニックEVエナジーからプライムアースEVエナジーへの改称、②パナソニックグループの出資比率減少、③湘南エナジーの譲渡の3件は、中国商務部がパナソニックの三洋電機買収を承認する条件の一部である。

商務部は2009年11月5日に下記条件で買収を承認した。

1) 自動車用ニッケル水素電池 (合併で中国市場で77%のシェア)

パナソニックの茅ケ崎市の湘南工場の第三者への売却

トヨタとの合弁のパナソニックEVエナジーへの出資比率を40%から19.5%に引き下げ、取締役指名権ほかの放棄、JVの社名からの「パナソニック」の除外

2) コイン型リチウム二次電池(同上 62%のシェア)

三洋電機の鳥取県岩美町の鳥取工場の第三者への売却(FDKに譲渡)

3) ニッケル水素電池(同上 46%のシェア)

三洋電機の群馬県高崎市の高崎工場の第三者への売却(FDKに譲渡)
又は、三洋電機の蘇州市の工場か、パナソニックの無錫市の工場の売却

 

 

経済産業省は2010年7月5日、通称「エネルギー供給構造高度化法」に基づき、告示を出した。

日本の重質油分解装置の装備率を2013年度までに10%から13%程度まで引き上げることを目標に基準を定め、引き上げを義務化した。

重質油分解装置の装備率=重質油分解装置の処理能力÷常圧蒸留装置(トッパー)の処理能力

処理期限の2014年3月末に各社の対策がまとまった。

東燃ゼネラル川崎が分解能力を増加した以外はすべてトッパー能力の削減による対応で、METIの狙いは達成されたといえる。

当初能力の日量4,830千バレルから3,848千バレルへ、982千バレルの減少となった。
(2014年4月の公称能力はJXグループの鹿島と水島のコンデンセートスプリッター能力 98,500バレルを加算、3,946,700バレル)

経緯と各社の状況  2014/3/14   エネルギー供給構造高度化法 処理期限

しかし、告示の目的が達成されたにもかかわらず、茂木経済産業相は6月10日の閣議後記者会見で、過剰供給構造の解消を目指す産業競争力強化法に基づき、石油業界の市場構造調査に乗り出す方針を表明した。6月末をめどに石油製品の需給動向や製油所の供給能力を調査し、公表するとした。

市場構造調査の結果を踏まえ、今後3年を期限とした製油所の設備削減計画や、他社の製油所との統合案などを盛り込んだ再編計画を提出させると報じられた。

2014/6/9  石油業界に第二の産構法?

 

経産省は6月30日、産業競争力強化法第50条に基づく調査報告「石油精製業の市場構造に関する調査報告」を発表した。

本文 http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shigen_nenryo/pdf/008_02_02.pdf
概要 http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shigen_nenryo/pdf/008_02_01.pdf

結論は以下の通り。

我が国の石油精製業は「概ね過剰供給構造にある」と認められる。
今後、現在の収益状況や精製能力が継続するとすれば、本格的な過剰供給構造に陥るおそれが大きい状況にある。

課題
1)製油所の生産性の向上
  ①過剰精製能力の解消
  ②統合運営による設備最適化
  ③設備稼働率を支える稼動信頼性(設備保全)の向上
  ④エネルギー効率の改善
  ⑤高付加価値化(残油処理能力の向上、石油化学品等の得率向上)
2)戦略的な原油調達
3)公正・透明な価格決定メカニズム等の構築
4) 国際的「総合エネルギー企業」への成長

以上の課題を解決するため、今後、石油精製業者は「資本の壁」や「地理的な壁」を超えた事業再編等に積極的に取り組むことが期待される。

経産省はこれに合わせ、総合資源エネルギー調査会の資源・燃料分科会がまとめた「平成26年度以降の3年間についての原油等の有効な利用に関する石油精製業者の判断基準(告示)案」を公表した。
    http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shigen_nenryo/pdf/008_03_01.pdf

新告示案の概要:

 目的:「残油処理装置装備率」の向上

   装備率=残油処理装置の処理能力 / 常圧蒸留装置の処理能力

残油処理装置は前回の「重質油分解装置」に、重油直接脱硫装置、流動接触分解装置(FCC)、溶剤脱れき装置(SDA:脱れき油がFCCで分解されることを前提とするもの)を加えたもの。

  改善目標

   現状(2014/3/31) 平均45%程度を50%程度まで向上

   各企業の目標改善率
      45%未満の場合   13%以上改善
      45~55%       11%以上
      55%以上        9% 以上

   上記の装置能力は前回の基準達成後の2014年4月1日現在のものとする。

   常圧蒸留装置能力は公称能力削減も認める。

前回は廃棄が条件。
例外的に、
コスモ石油が坂出の140千バレル停止でも未達のため、暫定措置として四日市を43千バレル減産(公称能力削減)で対応した。 

   各社は、計画作成において、他社との連携を含む事業再編の方針もあわせて示すこととしている。

①連携等による設備能力の融通措置を認める、②事業再編等を進める場合、必要に応じて本則に「準ずる措置」を講ずることを認めるなど、企業が連携に取り組む場合の措置を導入。
(製油所統合による能力削減の場合、削減量を按分)


  前回 今回
目的 重質油分解能力装備率」の向上 「残油処理装置装備率」の向上
装備率 重質油分解装置能力 / 常圧蒸留装置能力 残油処理装置能力 / 常圧蒸留装置能力
対象装置 残油流動接触分解装置(RFCC)
残油熱分解装置(コーカー等)
残油水素化分解装置(H-Oil)
残油流動接触分解装置(RFCC)
残油熱分解装置(コーカー等)
残油水素化分解装置(H-Oil)
   +
重油直接脱硫装置
流動接触分解装置(FCC)
溶剤脱れき装置(SDA)
  脱れき油がFCCで分解されることを前提
目標 現状の10%→13%程度 45%程度→50%程度

 

鹿島石油は鹿島製油所で2015年度中の完成を目指し、溶剤脱れき装置を建設している。

能力は18千バレル/日で、石油精製の過程で生成する重質油を溶剤脱れき装置(SDA:Solvent De-Asphalting)にて、「脱れき油」と超重質な抽出残渣(SDAピッチ)に分離し、「脱れき油」は分解して石油化学製品原料や軽油製品に、SDAピッチはボイラおよびタービン発電設備で燃焼し新電力事業用電力に変換する。

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前回の告示について、当ブログは官製カルテルと批判した。
     
2010/7/21 エネルギー供給構造高度化法は第二の産構法か?


今回は前回よりもひどい。
しかも、前回の告示の目的が達成された直後に、ほぼ同じ内容の基準をつくっており、計画性がない。

前回は「重質油分解能力装備率」の向上を表面上の目的とした。

アジアでは安い重質油を処理できる最新鋭の製油所が増えている。
経産省によれば、アジア各国の重質油分解装置の装備率は中国が35%、シンガポールが22%。アジア平均でも19%だが、日本は10%程度にとどまり大きく立ち遅れている。

重質油分解装置の新設は実際的ではなく、分母の常圧蒸留装置能力の削減によるのが大部分で、これが 本来の目的であった。

今回は「残油処理装置装備率」の向上を目的としたが、 日本の現状はそれほど他国に劣っていない。

しかも、前回は基準達成のため、重質油分解能力の増強か、常圧蒸留装置能力の廃棄を求めたが、今回は廃棄なしでの減産(公称能力削減)も認めている。

これは供給能力削減が目的であることを明示している。

現在の原油処理能力は、告示前の能力比で982千バレル減少したが、経産省は今回も各社がすべて常圧蒸留装置の能力削減で対応した場合には、更に40万バレルの削減につながると試算している。

各社は、他社との連携を含む事業再編の方針もあわせて示すこととなっており、経産省の狙いは同一地区内の製油所を統合させ、余剰設備を廃棄させることと思われる。

コスモ石油と東燃ゼネラル石油は6月18日、コスモの千葉製油所と極東石油工業(東燃ゼネラル石油子会社)の千葉製油所を統合することにより、「国際競争力を持った国内トップクラスの製油所を目指す」との認識で一致したと発表した。本年中の基本契約締結を目指す。

しかし今回は届出上の精製能力の削減も認められるため、実質的には精製する原油量を減らすだけで済み、抜本的な再編にはつながりにくいとの見方も出ている。

報道では、合理化への取り組みが著しく不十分な企業には、経産相による勧告・命令や罰金(100万円以下)を科すことも検討するとしているが、再編を強制できるであろうか。

そもそも、本来は各社が自主的にやるべきもので、経産省に介入してもらわないとやらないことがおかしい。
また、単なる「告示」で再編を強制するのも正しくない。
 


 

EUは6月27日の会議で、ウクライナの親ロ派に対し、停戦検証の仕組みや国境の実効的な管理、ウクライナ当局への国境検問所3カ所の返還、捕虜解放、ポロシェンコ大統領の和平計画履行に関する実質的な協議開始について、6月30日までに合意するよう求めた。

ウクライナのポロシェンコ大統領は、親ロシア派との停戦合意が期限切れを迎えたことを受け、停戦を7月1日に終了すると表明した。

ロシア、ウクライナ、仏、独の4カ国外相は7月2日、ウクライナ情勢をめぐり会談し、ロシアとウクライナが新たな停戦合意を目指し、5日までに親ロシア分離派を交えた3者協議を開くことで一致した。


EUは、親ロシア分離派が緊張緩和に向けた行動をとらなければ、対ロシア制裁を拡大し、資産凍結の対象となる個人や企業を広げる可能性がある。

しかし、エネルギー分野においては、欧州の企業はむしろ、ロシア企業との関係を強化している。
制裁の開始後も、Total、BP、Statoil、ExxonMobil などのトップがロシアを訪問しており、ロシアとのビジネスの重要性を示している。
  各社の状況 
2014/5/3 ウクライナ問題でのロシア制裁の影響 

BPは5月24日にRosneft との間でボルガ・ウラル地域のドマニク累層のシェール鉱区 などの開発を推進する覚書を締結したが、6月27日にはRosneft から1200万トンの精製石油製品を購入する5年契約を締結した。

BPはRosneft に19.75%を出資し、CEOのBill Dudley など2人がRosneft の取締役になっている。

2012/10/24 ロシアのRosneft、TNK-BPを買収

BPのBill Dudley CEOは今回、「Rosneftが制裁対象ではない。ロシアの事業には影響はない」と語っている。

Rosneftは企業としては制裁リストに入っていないが、同社の Igor Sechin CEO は米国からビザの停止と米国資産凍結の措置を受けている。

 Igor Sechinは「米国に資産がないので問題ない」とし、「アメリカをバイクで横断したかったが、出来なくなって残念」と述べた。

米国務省によると、米国民は一般的に制裁ブラックリストに載った人物と取引することを禁止されるが、BPのBill Dudleyは米国市民である。

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BPとRosneftは5月24日、ボルガ・ウラル地域のドマニク累層のシェール鉱区 などの開発を推進する覚書を締結した。調印式にはPutin大統領が出席した。

両社はRosneft 51%、BP 49%のJVをロシアに設立し、共同でパイロット計画を実施、成功の暁には共同開発を行う。

今回、BPはRosneft がこれまでにドマニク累層の開発に使った費用の一部を負担し、ライセンス鉱区の2箇所で実施するパイロット計画のため3億米ドルまでのファイナンスを行う。


ロシアではソ連時代からシェールオイルなどを「採掘が困難な石油」と呼んでいる。

ロシアはこのような油の採掘に必要な、技術の応用条件を整えるために、税制改革を始めた。
2013年末、バジェノフ累層、アバラク累層、ハドゥム累層、ドマニク累層の4累層の難採油の鉱床について、鉱物採掘税を10~15年免税にした。

ドマニク累層の地域は下図の通り。

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BPは6月27日にはRosneft から1200万トンの精製石油製品を購入する5年契約を締結した。

少なくとも15億米ドルの前払いとなるが、世界の主導的金融機関が融資に応じた。

両社の長期の石油製品取引をバックアップするため、世界の8つの金融機関が20億ドルの前払い与信枠を与える契約に調印した。
これにはDeutsche Bank、Bank of China、Societe Generale、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行が含まれている。

BPへの出荷は7月に始まるが、Rosneftによると、更にいくつかの銀行が関心を示しており、与信枠は更に増える可能性がある。

但し、英国政府が一部保有するLloyds Bankは英政府が政治的に困惑するのを避けるため、15~20億ドルの与信枠供与を撤回した。

 



Dow Chemical は6月30日にテキサス州 Freeport のDow Texas Operations で年産150万トンのエチレンプラントの建設を開始した。2017年上期の生産開始を目指す。

会長兼CEOのAndrew N. Liverisは、このプラントは、付加価値の高いマーケット指向の事業での成長を可能とするため低コストで有利なシェールガスを利用するというDowの戦略の基本であると述べた。

同社では既に下記の誘導品の投資を発表している。

 ・次世代メタロセンEPDM(NORDEL™ )年産20万トン

2012年10月、DowはメタロセンEPDMのプラント建設を発表した。
2016年の稼動を目指している。

 ・High Melt Index Specialty Elastomers  年産32万トン

ホットメルト接着剤用

 ・ 高機能性ポリエチレン樹脂(ELITE™)年産40万トン

Dowの INSITE™触媒技術を使った伸縮性、低温ヒートシール性、押出特性および加工性能を持つポリエチレンで、Enhanced PE (EPE) と呼んでいる。

 ・新しいスペシャルティLDPE 年産35万トン


同社は既にDow Texas Operationsでプロパン脱水素による新しいプロピレンプラント(年産75万トン)を建設中で、既に30%完成している。2015年に生産開始の予定。

 2012/3/12  Dow、ワールドスケールのプロピレン建設を決定

同社では、Freeportにおけるワールドスケールのエチレン、プロピレンプラントの建設は、コスト面で有利な原料とPerformance Plasticsなどの同社の高マージンの川下事業を結びつけるもので、フル稼働時には25億ドルのEBITDA(金利・税金・償却前利益)を上げ、磐石な基盤となるとともに、Dowの市場での競争力を更に強化するものとなるとしている。

ーーー

Dowは2006年3月に、原料高騰、値下がりにより収益性が低下していた基礎部門の強化を"Asset light" strategy により行う方針を明らかにした。

各社が原料高騰の影響を受けやすい汎用製品事業を売却するのに対し、Dowは基礎部門の新規事業を他社とのJVで実施するだけでなく、既存事業についても分離して他社とのJVにしようとするものである。

Kuwait Petroleum Corporation と50/50JVの MEGlobalを設立してダウの設備を出したのをはじめに、2010年に  スタイロン事業を売却、三井物産と折半出資でテキサス州フリーポートで 電解事業を行う合弁を設立している。

Dowは2007年12月に、クウェート国営石化会社 Petrochemical Industries Company (PIC) との間で、PE、PP、PC、エチレンアミン、エタノールアミンを製造販売する グローバルな石化JV(50/50)を設立すると発表した。

しかし、2008年末にこれは一転して 破談となった。(事業のうち、PCはスタイロン事業の一部として売却)

しかし、米国のシェール革命で同社は国内事業の方針を変換した。

Dowは2011年4月にエチレンとプロピレンの能力増強を発表した。

MarcellusやEagle Ford のシェールガスから長期契約でエタンとプロパンの供給を受けることにより、同社のPerformance Plastics、Performance Products、Advanced Materials などの事業の競争力を強化する。

具体的な計画は以下の通りで、エチレン能力の増加を230万トン、プロピレン能力の増加を90万トンとし た。

エチレン
 ・停止していたルイジアナ州St. Charles のエチレンクラッカーを2012年末までに再開
 ・ルイジアナ州Plaquemineのエチレンクラッカーのエタン原料のフレキシビリティの改善(2014年)
 ・テキサス州のエチレンクラッカーのエタン原料のフレキシビリティの改善(2016年)
 ・メキシコ湾岸に新しいワールドスケールのエチレン設備の建設(2017年)

プロピレン
 ・テキサス州に新しいワールドスケールのプロピレン製造設備の建設(2015年スタート)
 ・自社の新技術を使って、プロパンからプロピレンを製造する計画の検討(2018年製造開始)

2011/4/26 ダウ、エチレンとプロピレンの拡張計画を発表


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参考  2014/6/20 Chevron Phillips Chemical、年産50万トンのPEプラント2基の建設着工

                 2014/6/20    ExxonMobil もエチレンとポリエチレン工場の建設開始                   

 


SolvayとIneosは6月26日、欧州塩ビJVの設立契約に調印した。

両社は2013年5月7日に欧州の塩ビ事業を統合し、50/50のJVとする覚書に調印したが、独禁当局が問題視したため、両社と欧州委員会で交渉が続けられ、欧州委員会は5月8日、両社の案を一部修正した条件で、本件を承認した。

2014/5/13 SolvayとINEOSの塩ビJV、EUが条件付でようやく承認 

実際のJVの設立は、欧州委員会が条件とした5つのIneosの工場の分離が実行されてから行われる。
両社は2014年の第4四半期中の設立を目指している。

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JVの名称はINOVYN となる。

SolvayはJV設立の3年後に離脱することが決まっているが、その手続きが今回の契約で修正された。

・ Solvay は契約実行時に175百万ユーロの前払いを受ける。
・ 合わせて、JVに資産を移管する際に、年金債務や環境問題の債務など250百万ユーロの債務もJVに移管する。

・3年後の離脱の際には、目標 250百万ユーロの現金を追加で受け取る。
 これは3年間のJVの業績により調整され、最低額は75百万ユーロとなっている。

JVはロンドンに本社を置き、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリー、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、英国の14箇所に工場を持つ。
2013年ベースでは売上高は30億ユーロを超える。

Solvayの離脱までは、両社が50/50で経営に参加する。

 

 


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