2018年5月アーカイブ


チッソは2011年1月に「事業再編計画」に記載した100%子会社
JNC㈱ を設立し、事業を譲渡した。

2011/1/12 チッソ、「事業再編計画」に基づく、新会社を設立

親会社のチッソは当面、子会社JNCの株式配当益で補償業務を担い、3年後をめどに株式を他者に全面譲渡し、譲渡益を熊本県に納付して補償業務を委ね、清算するという構想である。

なお、特措法では、「救済の終了」と「市況の好転」をJNC売却の条件としている。

水俣病の公式確認から62年を迎えた5月1日の水俣病犠牲者慰霊式の後、チッソ社長が「水俣病の救済は終わっている」と述べて批判を受け、その後、取り消した。

2018/5/2 チッソ社長、「水俣病の救済は終わっている」 付記に「お詫びと撤回」


「救済の終了」には時間がかかるが、
「市況の好転」についても、主力の液晶の利益が激減しており、2011年3月期に248億円あった経常損益は48億円に減っている。

液晶については、元の利益に戻る可能性は少なく、JNCを購入しようという相手が出てくるかどうか疑問である。

2018年3月末の未処理損失は 1,421億円である。資本金は78億円で、純資産は−1,111億円となっている。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 特別損益 当期損益   配当
中間 期末
2016/3 1,718 129 138 -39 55 0 0
2017/3 1,540 61 75 -64 -14 0 0
2018/3 1,600 29 48 -40 -33 0 0
前年比 60 -32 -28 25 -19
2019/3予 1,680 55 0 0

経常損益

液晶を中心とする機能材料は、2015年3月期には182億円の利益を計上したが、その後、128億円、83億円となり、本年は26億円に激減した。

中国パネルメーカーの増産を受けて液晶ディスプレイパネルが供給過多の状況となってきており、顧客が稼働調整した影響から、液晶材料の販売 が減少した。
有機ELパネルが増えており、今後、液晶が元に戻る可能性は少ない。

15/3 16/3 17/3 18/3 増減 19/3予想
機能材料 182 128 83 26 -56
加工品 21 16 15 18 3
化学品 -11 17 -1 21 22
商業事業 4 3 3 3 0
電力 5 1 0 1 0
その他 2 1 2 2 -0
全社 -28 -28 -27 -23 4
合計 175 138 75 48 -28 55

機能材料 液晶関連材料、電子情報材料
加工品 ポリオレフィン複合繊維、被覆肥料、高度化製肥料
化学品 高級アルコール、可塑剤(三菱ガスとのJV シージーエステル)、溶剤、PP(三菱ケミカルとのJV 日本ポリプロ)、PE(丸善ポリマーとのJV 京葉ポリエチレン)、PP特殊コンパウンド
商業事業
電力 水力発電、太陽光発電
その他 化学工業設備の設計、施工等

液晶は水俣で製造する液晶単品を五井と台湾の台南工場でブレンドし、ディスプレイ・メーカーに供給している。


特別損益には下記を含む。(億円)

14/3 15/3 16/3 17/3 18/3
水俣病補償損失 -41 -38 -37 -35 -33
被害者救済一時金 -46 -2
環境対策費 -20
災害損失 -16 -7
減損損失 -1 -5 -38 -3
固定資産圧縮損 -25


原子力規制委員会は5月23日、全国の原発などで中央制御室の空調換気系ダクトを調査した結果、一部に腐食や穴、亀裂が見つかったのは下記の島根2号機以外に7原発12基だったと明らかにした。他に未報告分がある。

http://www.nsr.go.jp/data/000232172.pdf(表では東海第二は報告待ちとなっているが、5/22に腐食ありの発表があった。)

2016年12月に中国電力島根原発2号機の中央制御室のダクトで腐食による複数の穴が見つかった 。ダクトを覆う保温材を外す点検で複数の穴が見つかり、最大で横約100センチ、縦約30センチだった。
原因は結露や外から浸入した雨水、塩分の付着と推定されている。

この問題を受け、規制委が2017年1月に各電力事業者に調査を指示していた。

東京電力柏崎刈羽3、7号機では計9カ所の穴や亀裂があり、3号機で最大の縦約13センチ、横約5センチの亀裂が見つかった。
ダクトに腐食があると事故時に中央制御室に放射性物質が流入して運転員が被ばくする恐れがある。腐食が大きい柏崎刈羽3号機は換気機能に異常がある可能性がある。

規制委の更田豊志委員長は記者会見で「腐食の程度や穴が大きい」と指摘し、東電に速やかな是正を求めた。

腐食がみつかった原発の全てが、事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型(BWR) で、規制委によると沸騰水型の場合、ダクトの外気取り込み口に水分や塩分を除去するフィルターを設置しないメーカーが多かった。
原発は全て海岸沿いにあり、水分や海水の塩分を含んだ外気をダクトから取り込み、腐食が発生したとみられる。ダクトの材質は鉄や亜鉛メッキ鋼。

加圧水型 (PWR) では外気の取り入れ口の近くにフィルターを設置するなどの対策をしており、問題なかった。

規制庁によると、稼働中の原発で同様の腐食が見つかった場合、保安規定では10日以内に補修することになっており、補修できなければ原子炉を停止する必要がある。

発電所名
運転開始 型式

能力
万KW)

廃炉 再稼働
合格
再稼働

今回調査

回答 機能・性能への影響 居住性に影響を与える範囲の腐食孔
北海道
 
① 1989/6/22  PWR 57.9 異常なし
② 1991/4/12  PWR 57.9
③ 2009/12/22 PWR 91.2
東北電
 
東通 ① 2005/12/8  BWR 110.0 異常なし
東北電  女川 ① 1984/6/1 BWR 52.4 異常なし
② 1995/7/28 BWR 82.5
③ 2002/1/30 BWR 82.5 ダクトフランジに腐食 無し 無し
東 電
 
福島
第一
① 1971/3/26  BWR 46.0 2012/4/19
② 1974/7/18 BWR 78.4
③ 1976/3/27  BWR 78.4
④ 1978/10/12 BWR 78.4
⑤ 1978/4/18 BWR 78.4 2014/1/31
異常なし
⑥ 1979/10/24 BWR 110.0 ダクトフランジに腐食 無し 無し
東電
 
福島
第二
① 1982/4/20 BWR 110.0 報告待ち
② 1984/2/3 BWR 110.0
③ 1985/6/21 BWR 110.0
④ 1987/8/25 BWR 110.0
原電
 
東海 ①1966/7/25   16.6

1998/3/31
運転終了

② 1978/11/28 BWR 110.0 ダクトに腐食 無し
東電
 
柏崎
刈羽
① 1985/9/18 BWR 110.0 報告待ち
② 1990/9/28 BWR 110.0
③ 1993/8/11 BWR 110.0 ダクトに腐食 無し 有り(5個)
④ 1994/8/11 BWR 110.0 ダクトに腐食 無し 無し
⑤ 1990/4/10 BWR 110.0 異常なし
⑥ 1996/11/7 ABWR 135.6 2017/12/27 ダクトに腐食 無し 無し
⑦ 1997/7/2 ABWR 135.6 ダクトに腐食 無し 有り(4個)
中電
 
浜岡 ①1976/3/17 BWR 54.8 2009/1/30
運転終了
②1978/11/29 84.0
③ 1987/8/28 BWR 110.0 ダクトに腐食 無し 有り(6個)
④ 1993/9/3 BWR 113.7 ダクトに腐食 無し
⑤ 2005/1/18 ABWR 138.0
北陸
 
志賀 ① 1993/7/30 BWR 54.0 ダクトに腐食 無し
② 2006/3/15 ABWR 135.8 異常なし
原電
 
敦賀 ① 1970/3/14 BWR 35.7 2015/3/17
決定
ダクトに腐食 無し
② 1987/7/25 PWR 116.0 異常なし
関電
 
美浜 ① 1970/11/28 PWR 34.0 2015/3/17
決定
異常なし
② 1972/7/25 PWR 50.0
③ 1976/3/15 PWR 82.6 2016/11/16 異常なし
関電
 
大飯 ① 1979/3/27 PWR 117.5 異常なし
② 1979/12/5 PWR 117.5
③ 1991/12/18 PWR 118.0 2017/5/24 2018/3/14
④ 1993/2/2 PWR 118.0 2018/5/9
関電
 
高浜 ① 1974/11/14 PWR 82.6 2016/6/20 異常なし
② 1975/11/14 PWR 82.6
③ 1985/1/17 PWR 87.0 2015/2/12 2016/1/29
2017/6/6
④ 1985/6/5 PWR 87.0

2016/2/26 2017/5/17

中国
 
島根 ① 1974/3/29 BWR 46.0 2015/3/18
決定
ダクトに腐食 無し 吸気 4個
外気取入 83個
② 1989/2/10 BWR 82.0 ダクトに腐食 無し
四国
 
伊方 ① 1977/9/30 PWR 56.6 2016/5/9
廃炉
異常なし
② 1982/3/19 PWR 56.6 2018/5
廃炉
③ 1994/12/15 PWR 89.0 2015/7/15 2016/9/7
九州
 
玄海 ① 1975/10/15 PWR 55.9 2015/3/18
決定
異常なし
② 1981/3/30 PWR 55.9
③ 1994/3/18 PWR 118.0 2017/1/18 2018/3/23
4/18
④ 1997/7/25 PWR 118.0 2018/6予
九州
 
川内 ① 1984/7/4 PWR 89.0 2014/9/10 2015/8/11 異常なし
② 1985/11/28 PWR 89.0 2015/10/15
もんじゅ 異常なし
六ケ所再処理 異常なし

デンカは5月28日、グループ会社のデンカ生研が、エボラウイルス迅速診断キット(クイックナビ TMシリーズ) 試作品をコンゴ民主共和国の国立生物医学研究所(INRB)へ提供した と発表した。

同社は、昨年の同地域でのエボラ出血熱流行時に、同国保険省のアドバイザーとしてJICAから派遣されている専門家からの要請で この試作品を提供し、拡大防止に貢献した。

今回、エボラウイルス病の流行発表を受け、同国保健省エボラ対策国家調整委員会検査部会が、昨年の成果を踏まえ、JICA 経由で検査キットの提供要請を行い、それを受けてデンカ生研が無償にて実施した。JICAは医療従事者の移動手段としてバイク5台、簡易検査施設の電力供給用に発電機1台を提供した。

コンゴ民主共和国保健省は5月8日,赤道州ボコロ保健圏において,2例のエボラ出血熱が発生したことを発表した。

世界保健機関(WHO)は5月14日、4/4~5/13に報告された感染例を次のとおり発表している。

確定 高い可能性 疑い
ビコロ保健圏 2 20 7
イボコ保健圏 0 3 5
ワンダカ保健圏 0 2 0
合計(うち 死亡 19) 2 25 12


この検査試作キットは、高田礼人教授(北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター)とデンカ生研が 、
ザンビアで実施中の地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)「アフリカにおけるウィルス性人獣共通感染症の調査研究プロジェクト」の研究成果を活用し、共同で開発したもので、特別な器具や装置無しに約15分で検査結果を判定でき、医療施設が十分に整っていない地域においても迅速な検査が実施できる。

デンカ生研では、インフルエンザ、ノロウイルス、RSウイルスなどの迅速診断キット製品群を有している。

同社はかねてより、北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターの高田礼人教授と共同でエボラウイルス迅速診断薬の開発を行っていたが、2015年3月にその試作品開発に成功した 。

デンカ生研が製造・販売を行う感染症迅速診断キット「クイックナビ™」シリーズのプラットフォームをベースとするもので、血清を検体とした測定を行う。

毒性の高いウイルスを扱うことの出来る米国のBSL4施設(Biosafety Level 4)において、エボラウイルスに感染したサルの血清を用いた試験を行い、約15分でエボラウイルス感染の有無が判定できることを確認した。


エボラウイルス感染の判定には、主にELISA法や RT-PCR法などの測定法が使用されているが、これらは特別な装置と長い測定時間を必要とする。

ELISA(Enzyme-linked immuno-sorbent assay)法: 抗原抗体反応を利用して、特定物質を測定する免疫学的測定法

RT-PCR (Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction)= 逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法:

RNA(リボ核酸)から逆転写酵素によってcDNA(相補的デオキシリボ核酸)を合成し、ポリメラーゼ連鎖反応を行うことで、目的の遺伝子を増幅する方法

これに対し、デンカ生研の「クイックナビ™」シリーズが採用するイムノクロマト法は、特別な器具や装置を必要としないため、簡便且つ迅速な検査が可能で、電源などが十分でない地域においても活用が期待される。

クロマト(クロマトグラフィー)は、固定相の一端から多成分試料を移動させ、各成分の固定相に対する吸着や、分配の差異による移動速度の大小によって分離する方法 で、イムノクロマト法は、この原理と抗原抗体反応を組み合わせたもの。検出方法としては、酵素抗体法と凝集法(金コロイドや着色ラテックスなど)がある 。


帝人

ヘルスケアが前年の米国在宅医療事業撤退の効果もあり、増益となった。

増収増益だが、前年の法人税に特殊要因があったため、当期損益は若干の減益となった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 特別損益 法人税 当期損益   配当
中間 期末
2016/3 7,907 671 603 -147 164 311 3.0 4.0
2017/3 7,413 565 559 -220 -175 501 5.0 30.0
(6.0)
2018/3 8,350 698 678 1 208 456 30.0
(6.0)
30.0
(6.0)
前年比 937 133 119 221 383 -46 1.0 0
2019/3予 8,800 700 710 470 30.0
(6.0)
40.0
(8.0)


2017/3の税金は、米国在宅医療事業(Braden Partners, L.P.ならびにAssociated Healthcare Systems, Inc.)からの撤退を決定したことに伴う税効果会計の適用。

営業損益

  16/3 17/3 18/3 増減 増減のうち 19/3予
マテリアル 671 312 336 24

償却費増 -75、価格差 -50
為替差益 +25、構造改革 30

365
ヘルスケア 248 359 112

米在宅医療撤退 65、先行費用 -52

340
その他 53 61 8 60
全社 -48 -59 -11 -65
合計 671 565 698 133 700


特別損益は次の通り。

2016/3 2017/3 2018/3
減損損失 - 43 - 14 - 11
事業構造改善 -55 -155 -5
固定資産除却、売却損 -29 -48 -41
固定資産売却益 3 3 56
その他 -23 -6 2
差引 -147 -220 1


ーーー

宇部興産

化学品が各分野とも好調で、増収増益となった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 特別損益 当期損益   配当
中間 期末
2016/3 6,418 414 396 -120 191 0 5.0
2017/3 6,166 350 333 -4 242 0 6.0
2018/3 6,956 503 507 -57 317 0
75.0
(7.5)
前年比 790 153 174 -53 75 0 1.5
2019/3予 7,400 440 455 305 0
75.0
(7.5)

営業損益

  16/3 17/3 18/3 増減

内訳

19/3予
価格差 数量差 固定費差 その他
化学 121 97 290 193 108 45 6 35 225
医薬 11 25 21 -4 1 12 2 -19 5
建設資材 198 163 123 -39 -38 11 -23 11 125
機械・金属成形 46 37 55 18 -2 3 -35 52 60
エネルギー・環境 39 29 24 -5 -4 7 -2 -6 25
その他 11 8 9 1 1 10
全社 -12 -7 -19 -12 -12 -10
合計 414 350 503 153 65 78 -52 62 440


化学品が200%の大増益となった。内訳は下記の通り。(億円)

ナイロン・
ラクタムチェーン
+72 ラクタムは中国の環境規制等で需給がタイト化、売価アップ
ナイロンも原料価格上昇に応じ、売価アップ
アンモニア増収
合成ゴム +59 原料ブタジエンの価格アップに応じ売価アップ
電池材料・ファイン +23 車載向け電池材料等が販売数量増
ポリイミド・機能品 +33 ポリイミドは回路基板向けに数量増




小野薬品工業とブリストル・マイヤーズスクイブは5月25日、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体「オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)」およびヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体「ヤーボイ®(一般名:イピリムマブ)」について、根治切除不能な悪性黒色腫に対する両剤の併用療法に係る国内製造販売承認承認 を取得したと発表した。

今回の承認は、国内で初めてのがん免疫療法薬2剤の併用療法の承認となる。
両社は腎細胞癌についても併用療法の承認申請を行っている。

ブリストル・マイヤーズスクイブ は4月18日、FDAにより両剤併用療法が、未治療の中及び高リスクの進行腎細胞癌治療薬として承認されたと発表した。癌免疫治療法薬の併用療法としては米国で初の承認となる。

悪性黒色腫(メラノーマ)は皮膚の色と関係が深いメラニン色素の産生能を持つ色素細胞(メラノサイト)ががん化した悪性腫瘍で、皮膚がんの中でも転移率が高く、きわめて悪性度が高いとされてい る。

オプジーボおよびヤーボイは、国内においてすでにそれぞれの単剤投与について「根治切除不能な悪性黒色腫」を対象として承認を取得している。今回の承認によって、併用療法が可能とな った。

働きの異なる2剤を併用することで治療効果が上がるといい、患者の選択肢が増える。

ーーー

癌免疫薬は免疫チェックポイント阻害薬とよばれる。
(他に、自分のリンパ球を取り出し培養したうえで、活性化したリンパ球だけ、特にナチュラル・キラー細胞を戻すNK細胞投与がある。)

癌細胞には、免疫細胞攻撃を防止する「免疫チェックポイント」という仕組みがある。

1) 癌細胞は、免疫細胞からの攻撃を逃れるために、PD-L1 というタンパク質を出し、これが免疫細胞のPD-1 に結合すると、免疫細胞の働きが抑制される。

2) 免疫細胞は、抗原提示細胞である樹状細胞から癌抗原の提示を受けると働きが活発になり、それを目印に癌細胞を攻撃するが、抗原提示を受ける際、免疫細胞のCTLA-4 に樹状細胞のB7というタンパク質が結合すると、逆に免疫細胞の働きが抑制され、癌細胞を攻撃できなくなる。


これらの「免疫チェックポイント」を阻害して、免疫細胞に癌細胞を攻撃させるのが、免疫チェックポイント阻害薬である。

現在、日本で承認済みと開発中のものは下記の通り。小野薬品とブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS) は提携している。

機能 承認 開発中
抗PD-1抗体 免疫細胞のPD-1に結合し、PD-1と癌細胞のPD-L1の結合を防止 オプジーボ(小野薬品/BMS)
キイトルーダ(米Merck)
抗PD-L1抗体 癌細胞のPD-L1に結合し、PD-1とPD-L1の結合を防止 バベンチオ(独Merck/Pfyzer
テセントリク(
Roche/中外製薬)
デュルバルマブ(AstraZeneca)
抗CTLA-4抗体 免疫細胞のCTLA-4に結合し、CTLA-4と樹状細胞のB7の結合を防止 ヤーボイ(BMS/小野薬品)


承認取得は次の通り。

オプジーボ ヤーボイ オプジーボ/
ヤーボイ併用
キイトルーダ バベンチオ テセントリク
悪性黒色腫 2014/7 2015/7 2018/5 2016/9
非小細胞肺癌 2015/2 2016/12 2018/1(二次治療)
腎細胞癌 2016/8
ホジキンリンパ腫 2016/12 2017/11
頭頚部癌 2017/3
胃癌 2017/9 2017/12
尿路上皮癌
メルケル細胞癌 2017/9

http://answers.ten-navi.com/pharmanews/7342/


なお、エーザイと米 Merck は3月8日、エーザイ創製の抗がん剤、経口チロシンキナーゼ阻害剤「レンビマ」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)を全世界で共同開発・共同販促する戦略的提携について合意したと発表した。

両社は、「レンビマ」の単剤療法、ならびにMerck の抗PD-1抗体「キイトルーダ®」(一般名:ペムブロリズマブ)との併用療法における、共同開発と共同販促を行う。

2018/3/13 エーザイと米 Merck 、エーザイの抗がん剤「レンビマ®」のがん領域における戦略的提携に合意

旭化成

ケミカル事業の営業損益が大きく増加し、増収増益となった。特別損益も黒字であった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 特別損益 当期損益   配当
中間 期末
2016/3 19,409 1,652 1,614 -150 918 10 10
2017/3 18,830 1,592 1,606 -32 1,150 10 14
2018/3 20,422 1,985 2,125 58 1,702 14 20
前年比 1,592 392 519 90 552 4 6
2019/3予 21,550 1,900 1,990 1,400

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営業損益は下記の通り。

事業部別 

  16/3 17/3 18/3 増減

内訳

19/3予
数量差 売値差 コスト差
マテリアル ケミカル 609 744 1,001 257 87 550 -379 935
繊維 139 117 121 5 27 16 -38 140
エレクトロニクス 44 25 97 72 49 -25 48 75
住宅 住宅 654 595 602 7 26 23 -42 610
建材 58 45 40 -4 15 -2 -18 45
ヘルスケア 医薬・医療 243 171 197 25 -5 6 24 175
クリティカルケア 119 148 198 50 112 13 -75 200
その他 38 20 19 -1 -1 20
全社 -253 -271 -290 -19 -19 -300
合計 1,652 1,592 1,985 392 311 581 -499 1,900


ケミカル事業は、アクリロニトリル等の交易条件差、数量差で大幅増益となった。

クリティカルケアは2012年に買収した米国の救命救急医療機器大手であるZOLL Medical Corporationだが、毎年増益となっている。
  2013/3 -37億円、2014/3 -35億円、2015/3 41億円、2016/3 119億円、2017/3 148億円、2018/3 198億円

2012/3/19 旭化成、米国ZOLL Medical Corporationを買収 


特別損益は有価証券売却益が大きく(152億円)差引黒字となった。

 

ーーー

三菱ガス化学

営業損益は前年を190億円上回り、当期損益でも126億円の増益となった。大幅増配とし、次期も更に増配する。

特別損益は投資有価証券評価損 83億円を含む。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 持分法 経常損益 特別損益 当期損益   配当
中間 期末
2016/3 5,935 340 167 454 4 341 8.0 8.0
2017/3 5,565 438 211 624 -13 480 8.0 22.0
(11.0)
2018/3 6,359 627 183 807 -73 605 24.0
(12.0)
35.0
(17.5)
前年比 794 190 -28 183 -60 126 (4.0) (6.5)
2019/3予 6,400 530 750 610 35.0
(17.5)
35.0
(17.5)


三菱ガス化学は海外メタノール事業が持分法であり、営業損益に含まれないため、部門別損益については従来からこれを含む経常損益を発表している。

2015年3月期までは経常損益に占める持分法損益の比重が非常に高かった。その後、 メタノールを主とする天然ガスの利益が減り、この3年間、利益が横ばいであるのに対し、芳香族、機能化学品の利益が急増している。

このうちの持分法

iii
16/3 17/3 18/3 増減 19/3予想
天然ガス系 139 143 149 6 180
芳香族 137 175 251 76 212
機能化学品 156 268 386 118 306
特殊機能材 39 62 63 2 63
その他 3 3 3 -1 0
全社 -19 -27 -46 -18 -11
合計 454 624 807 183 750
天然ガス系化学品 メタノール、アンモニア、アミン系製品、メタクリル酸系製品、多価アルコール類、酵素・補酵素類
芳香族化学品 キシレン異性体及びその誘導品
機能化学品 過酸化水素、電子工業用薬品類、エンジニアリングプラスチックス
特殊機能材 プリント配線板用材料、プリント配線基板、脱酸素剤「エージレスR」
その他 不動産業他

持分法損益は、 天然ガス系(メタノール)で93億円、機能化学品ではエンプラなどで79億円を、特殊機能材で3億円を計上した。

海外メタノールでは、ベネズエラのMETORの税制改正や、サウジのプラントトラブル、ブルネイメタノールの定修などで減少した。

芳香族では、高純度イソフタル酸の市況が大幅に上昇、メタキシレンの休止していた生産装置1系列を2017年3月末に再稼働し、販売数量が増加
メタキシレンジアミンも販売数量増加、販売価格上昇で増益となった。

機能化学品では、半導体向け薬液の販売数量が増加。ポリカーボネートも中国を中心に需要が好調、ビスフェノールAのスプレッドは非常に高い水準で推移。



ポルトガル電力公社 EDP(Energias de Portugal SA )は5月15日、筆頭株主である中国国有企業、中国長江三峡集団(China Three Gorges Corp.)からの最大約91億ユーロの買収提案を拒否すると発表した。

提案された買収価格が企業価値を適切に評価していないとしている。 欧州の電力会社の買収で、支配権を得る場合に一般的なプレミアムから見て低すぎるとした。


三峡集団は2011年12月にEDPの株式の21.35%を2,690百万ユーロで買収した。

公的債務危機に対応するために、2011年5月にポルトガルはEUから780億ユーロの支援を受けており、ポルトガル政府とEUとIMFが確認した合意に基づいて、ポルトガル政府が政府が保有する電力、送電、航空関連企業の株式の売却を始めたが、本件はその最初で最大のものであった。

三峡集団が提示した取得価格は市場価格に53%のプレミアムを乗せた水準だった。三峡集団はEDPに対する資金支援を強化し、債務の返済や再生エネルギープロジェクトを支援することを約束した。

ドイツの独エネルギー大手E.ON やブラジル中央電力公社 Eletrobras を抑えて落札した。

EDPは米国、スペイン、ブラジルにも拠点を持っており、三峡集団はこの買収で国外展開を加速する。

EDPはブラジルでも有数の電力会社で、複数の水力発電所を運営し200万軒以上にエネルギーを供給している。

現在は23%を保有している。

同社は5月11日に、残りの77%について、同日の終値に5%弱を上乗せした1株当たり3.26ユーロでのTOBを提案した。出資比率を最低でも 50%以上に引き上げる計画だった。

三峡集団では、買収価格の3.26ユーロはEDPの株価の過去6カ月の平均より10%以上高いとしているが、アナリストは同様のケースではプレミアムは30%程度になっているとしている。買収価格の引き上げを期待して、EDPの株価は5月14日に3.50ユーロと提示額を上回る水準に上昇した。


ポルトガル政府は介入を否定しているが、拒否の背景には、基幹インフラの運営企業を国外企業に握られることへの懸念が働いたとの見方もある。


三峡集団は、三峡ダムの建設、揚子江開発のため、国務院の承認を得て2009年9月に設立された。230億ドルをかけた三峡ダムを運営している。

現在では世界でも最大の水力発電会社で、中国最大のクリーンエネルギー会社となっている。

三峡集団傘下の三峡新能源有限公司は3月28日、天津開発区管理委員会と洋上風力発電プロジェクトに関する投資協力合意書を締結したと発表した。

計画によると、発電施設は同開発区南港工業区の海上に建設し、総設備容量1000メガワット、年間発電量約24億キロワット時、年間事業収益約20億元となる見込み。発電能力は工業区の石油化学産業の巨大な電力需要を満たす。

三峡集団は2015年11月に、ブラジルのサンパウロ電力公社が運営していたジュピア水力発電所(設備容量155万キロワット)とイーリャ・ソルテイラ水力発電所(同344万キロワット)の30年間の運営権を138億レアル(約4530億円)で落札した。

2018年3月期からIFRS方式に変更した。(下記では2017年3月期もIFRSに組み替えたもので対比した。)

住友化学の場合、シンガポールのTPCやサウジのPetroRabigh などは持分法損益で、この2年はこれが急増しており、コア営業損益の増加(特に石油化学)が大きい。


三菱ケミカルと同様、大日本住友製薬など高収益企業の少数株主帰属利益分が大きい。

単位:億円 (配当:円)
売上高 営業損益 うちコア うち
持分法
税引前
損益
法人
所得税
税引後
損益

うち

配当(円)
少数株主 株主帰属 中間 期末
2017/3 19,390 1,265 1,845 422 1,223 132 1,091 326 765 7.0 7.0
2018/3 21,905 2,509 2,627 553 2,408 627 1,782 444 1,338 10.0 12.0
前年比 2,515 1,245 781 131 1,185 494 691 118 572 3.0 5.0
2019/3 24,900 2,050 2,400 1,300 11.0 11.0


営業損益のうち、コアに含まれない非経常的損益は下記の通り。(億円)

2017/3 2018/3
事業構造改善費用 -182 -142
減損損失 -365 -89
固定資産売却益 10 68
公正価値変動 -65 61
段階取得差益 28
その他 -7 -16
合計 -581 -118

営業損益

2017/3以降はIFRS方式の「コア営業損益」で、持分法損益を含む。
それ以前の持分法損益(大部分が石油化学)は15/3 239億円、16/3 202億円

営業損益対比(億円)           
2017/3 2018/3 増減 内訳 2019/3予
価格差 コスト差 数量差等
石油化学 589 946 357 175 20 162 630
エネルギー・機能材料 60 192 132 10 20 102 200
情報電子化学 87 123 36 -125 135 26 200
健康・農業関連 474 440 -35 -120 0 85 590
医薬品 699 948 249 0 -170 419 810
その他 101 111 9 0 0 9 110
全社 -165 -132 33 - - 33 -140
1,846 2,627 781 -60 5 836 2,400

石油化学:MMAや合繊原料が交易条件改善
     シンガポールやサウジの持分法損益が大きく改善
     ライセンス収入増       

エネルギー・機能材料:アルミ市況上昇
            レゾルシンやエンプラの販売数量増

情報電子化学:偏光フィルム、タッチセンサーパネルの売価大幅減

       偏光フィルムの出荷は増、原料合理化、出荷増でコストダウン。

健康・農業関連:メチオニンの価格下落
        インドの
Excel Crop Care 新規連結

医薬品:研究費、販売費増。米国でラツーダ等の出荷増。



大日本住友製薬の業績は次の通り。  (住友化学出資比率 50.22%)

単位:億円 (配当:円)
売上高 営業損益 うちコア 税引前
損益
法人
所得税
税引後
損益
配当(円)
中間 期末
2017/3 4,084 403 644 428 115 313 9.0 11.0
2018/3 4,668 882 906 849 314 534 9.0 19.0
前年比 585 479 262 421 200 221 0.0 8.0
2019/3 4,670 530 770 550 9.0 11.0

左は従来の日本方式、右はIFRS方式(特別損益等を含む。コア損益が従来の営業損益に近い)


日本では、後発医薬品の使用促進による大幅減収で減益
北米では、「ラツーダ」や抗てんかん剤「アプティオム」の売上が拡大、円安の影響もあり、大幅な増収増益

中国財務部は5月22日、税委会公告〔2018〕3号を出し、輸入自動車及び自動車部品に対する関税を引き下げると発表した。

貿易赤字削減へ関税引き下げを求めてきたトランプ米政権に中国側が歩み寄った。

自動車については、現在税率が25%の(関税番号での)135種と現在20%のトラック4種を引き下げ、全て15%にする。

自動車部品については、現在、8%、10%、15%、20%、25%の(関税番号での)79種を引き下げ、全て6%とする。

詳細 http://gss.mof.gov.cn/zhengwuxinxi/zhengcefabu/201805/P020180522506508786661.pdf

習近平国家主席は4月10日、博鰲(ボアオ)アジアフォーラムで演説し、自動車への輸入関税を今年引き下げ、自動車合弁の外資出資規制を緩和する方針をあらためて表明した。

輸入を拡大したいと心から考えていると説明、できるだけ早く関連の政策を打ち出すように取り組むと述べた。

中国の昨年の輸入車数は122万台で、中国の自動車販売全体(2887万台)の4.2%程度を占めた。中国で外資メーカーは現地合弁工場による地産地消で多くの車種を国内生産するが、高級車の輸入が多い。

2017年に最も輸入台数が多かったブランドは独BMWの18万7千台で、2位は独ダイムラーのMercedes-Benzの18万3千台。トヨタは約14万台を日本から輸出 、日産は約2万3千台を日米英の工場から中国に輸出した。スバルは中国向けの車両を日本から全量輸出しており、2万7千台を販売した。

付記

これとは逆に、トランプ大統領は5月23日、自動車や自動車部品を対象に安保を理由に輸入制限を課せる通商拡大法232条に基づく調査を指示した。「自動車や自動車部品などの中核産業は国家としての強さに重要だ」との声明を出した。

商務省は乗用車やトラック、自動車部品を対象に調査を始めた。鉄鋼に課した輸入制限と同様に、車の輸入増が安保上の脅威になっているか調べる。
米メディアによると乗用車の関税を25%に引き上げる案が浮上している。

ーーー

中国政府は4月17日、自動車分野における外国企業の出資制限を2022年までに順次、撤廃すると発表した。
現在、中国メーカーと合弁を組むことが義務付けられ、合弁先への出資比率も50%以下に制限されている。

計画では、年内に電気自動車(EV)など新エネルギー車の生産会社で出資制限を撤廃し、2020年に商用車、2022年に乗用車に拡大する。
外国メーカー1社が設立できる合弁企業数を原則2社に制限している規制も撤廃される見通し。

ーーー

外紙は、中国通信機器大手、中興通訊(ZTE)の制裁緩和で米中が合意に近づいたと報じた。中国メディアによると、米国の制裁緩和の条件として、ZTEが経営体制の刷新に同意し、生産再開の準備を始めたという。

しかし、トランプ米大統領は5月22日、「まだ合意していない。様々な取引を話し合っている」と明らかにした。制裁を見直す場合、13億ドルの罰金や経営陣刷新が条件になるという。

中国と進める包括的な貿易交渉の進捗には「満足していない」と述べた。

2017年3月期よりIFRS方式に変更した。

損益は前期を大幅に上回った。

法人税については、米国の連邦法人税率の引き下げで繰延税金負債の取り崩しによる減少があった。

田辺三菱製薬や大陽日酸のような高収益子会社の持ち株比率が50%台に止まるため、少数株主帰属損益が大きい。

年間で12円の増配とした。

営業損益のうち、コアに含まれない非経常的損益は下記の通り。(億円)

2016/3 2017/3 2018/3
減損損失 -136 -150 -97
固定資産売却損益 21 -20 -19
関係会社株式売却 3 -10 37
過去勤務費用 -8 -50
子会社統合費用 -10 -38
特別退職金 -155 -25 -24
環境対策費 -68 -10
その他 -50 -98 -47
合計 -317 -389 -248

 
営業損益は下記の通り。2016/3からはコア営業利益で、これまで営業外損益扱いで除外されていた持分法損益等を含む。

2017年4月に三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨンを統合し、三菱ケミカルにしたのに伴い、2018年3月期のセグメントを変更した。

MMA部門の営業利益の伸びが大きい。特にモノマーの市況が上昇した。MMAのコア営業利益は1096億円となり、前年を717億円上回り、 これは全社の増益額とほぼ同じである。

MMA部門の営業利益が大き過ぎ、将来、状況が変われば、影響は大きい。
1990年の三菱油化のスチレンモノマーの利益は200億円とも300億円とも言われた。翌年にはバブルがはじけ、これがほぼゼロとなり、同社の損益悪化が三菱化成との統合に至った。

旧三菱レイヨンのMMA部門と、田辺三菱製薬、大陽日酸のコア営業利益を加えると2,481億円となり、全体の65%を占める。

IFRS コア営業損益対比(億円)    
  2017/3 2018/3 前年比 増減内訳 2019/3
予想
売買差 数量差 コスト
削減
機能部材 623 580 -43 -141 133 99 -93 625
機能化学 319 360 41 325
MMA 379 1,096 717 646 100 50 57 910
石化 209 259 50 230
炭素 38 124 86 165
産業ガス 521 575 54 -9 45 16 2 615
ヘルスケア 984 812 -172 -2 40 25 -235 730
その他 2 -1 -3 0 -8 2 3 -50
合計 3,075 3,805 730 494 310 192 -266 3,550

     その他差には、受払差・持分法投資損益差等の金額が含まれる。


田辺三菱製薬の実績は以下の通り。
2017年度よりIFRSを適用。(三菱ケミカルHDの出資比率は56.3%)

単位:億円 (配当:円)
売上高 営業損益 コア営業利益 税引前損益 株主帰属損益   配当
中間 期末
2016/3 4,258 818 1,070 833 593 22 24
2017/3 4,240 941 945 961 713 24 28
2018/3 4,339 773 785 788 580 38 28
前年比 99 -168 -160 -173 -133 14 0
2019/3 4,350 670 700 675 470 28 28

コア営業利益は、後期開発へのステージアップやNeuroDerm社の買収などによる研究開発費の増加により減益となった。

2017/7/27 田辺三菱製薬、イスラエルの医薬品企業 NeuroDermを買収


2014年下期から連結対象とした大陽日酸の業績は下記の通り。 
2017年3月期よりIFRSを適用(2016/3もこれに組換え)。(三菱ケミカルHDの出資比率は50.7%) 

単位:億円 (配当:円)

売上高 営業損益 コア営業利益 税引前損益 株主帰属損益   配当
中間 期末
2016/3 5,944 489 475 466 290 7 9
2017/3 5,816 537 547 502 347 9 11
2018/3 6,462 599 600 559 489 11 12
前年比 646 62 53 57 142 2 1
2019/3 6,700 645 640 600 400 12 12

 

2018年3月期決算がほぼまとまった。

各社の決算状況は http://www.knak.jp/kessan/ 

決算でIFRS方式を採用する企業が増えている。

下のグラフでは、斜線で示した、三菱ケミカル、日立化成、住友化学(2017/3~)、JSR(2017/3~)、住友ベークライト(2017/3~)で、これらについては、営業損益はコア営業損益、経常損益は税引前損益を表示している。当期損益は他社と同じ株主帰属損益を表示しているが、損益概念に相違点がある。

なお、上記のうち、JSRはコア損益を表示していない。(「その他の営業収益・費用」は少なく、非経常的な損益がないためと思われる)

営業損益には、下記の通り、従来の営業外損益(金融費用・損益を除く)や特別損益を含むため、それ以前との対比はできない。

このため各社が独自の判断で、新しい営業損益から非経常的な損益を除外したものをコア営業損益として発表している。

コア営業損益は従来の営業損益に近いが、持分法損益やその他の営業外損益等を含んでいる。

経理処理も、ノレンの償却がなくなるなど、一部変更されている。

主な各社について、順次掲載する。(信越化学については掲載済み 2018/5/1 要企業の2018年3月決算 ー 信越化学

全般的に好調だが、特定の業種が全体としてよいというのではなく、一部の会社の利益が大きく伸びている。
(石油化学製品については、前年度に交易条件の改善で各社とも営業利益が増えており、更なる増益は難しい。なお今後は、米国のシェールガス原料の大規模エチレン設備が相次いで完成するため、値下がりが予想され、採算は悪化すると思われる。)

信越化学は塩ビと半導体の増益が大きい。三菱ケミカルはMMAの増益分が全社の増益額とほぼ同じである。住友化学はMMAに加え、海外の石化事業が増益となっている。
東ソーはクロルアルカリの増益分が全社の増益額とほぼ同じ。旭化成はアクリロニトリルの交易条件差の貢献が大きいとみられる。
そのなかで三菱ガス化学が、一時は会社を支えた海外メタノール事業の損益が停滞しているなか、芳香族や機能化学品で増益となっているのが目立つ。

IFRS方式に切り替えた企業(住友化学など)の営業損益については、切り替え以前の年度と比較し、持分法損益が含まれた影響が大きい。

三菱ケミカルと信越化学で、経常損益(or 税引前損益)ではほぼ同じだが、当期損益で差がついているのは、連結対象子会社の少数株主帰属損益の多少による。

売上高

営業損益 ーーー IFRS採用企業(斜線)はコア営業利益

経常損益ーーー IFRS採用企業(斜線)は税引前損益

当期損益

中国商務部は5月18日、公告44号で、米国原産の輸入コーリャンの反ダンピング調査、反補助金調査を打ち切ると発表した。


商務部は2月4日に反ダンピング及び反補助金調査の実施を発表した。

4月17日には、反ダンピングでクロの仮決定を行い、一律 178.6%の保証金の徴収を開始した。

米国産の輸入が急増しており、問題であるとした。

2013 2014 2015 2016 2017/1-10
輸入量(万トン) 31.7 541.9 896.6 586.9 425.8
金額(万ドル) 9,181 151,736 247,147 126,055 84,631

反ダンピング調査の最終決定を追って行うとともに、反補助金調査を続けるとしていた。

ーーー

今回、商務部は下記の理由で、反ダンピング、反補助金調査を打ち切るとした。これまでに徴収した反補助金の保証金は返却する。

調査の過程で、多くのユーザーの声を聞いた。

輸入コーリャンへの反ダンピング措置で消費者の生活費が上がる。(コーリャンは白酒の原料、食用、飼料、エネルギー源として使われる)

家畜の飼料にも使われるが、国内の豚肉の価格は下がっており、飼料値上がりで養豚業者の生活が苦しくなる。

これは公共の利益に反する。

参考 

反ダンピング課税は、被害を受ける国内メーカーの保護のためのものであり、安値の輸入が減ると、国内価格に影響を与えるのは当たり前の話である。

国内メーカーの要請で反ダンピング課税を行いながら、消費者の声を重視して調査を打ち切るのは、おかしな話である。

反ダンピングのクロの仮決定は、米国による国有通信機器大手、中興通訊(ZTE)への制裁の翌日になされており、米制裁への報復措置とみられていた。

2018/4/19 米国が中国通信機器大手 ZTEへの製品販売を7年間禁止

中西部の農業生産地域のうち8つの農業州がトランプを大統領選で勝利に導いた重要な票田となっており、中国の輸入対応措置でこれらの地域の経済は直接影響を受け、大統領に政治的に大きなダメージを与える。


中国は、コーリャンへの追加課税を取り下げることで米国にも譲歩を迫る狙いがあるとみられる。


米中両政府は5月17、18の両日、ワシントンで「貿易戦争」回避に向けた2回目の閣僚級会合を行った。

1日遅れの共同声明で、「米国の対中貿易赤字を減らすため、中国が米国の農産品やエネルギーとサービスの輸入を大幅に増やすことで合意した」と表明した。数値目標などには触れなかった。両国の見解として「知的財産権の保護は重要だ」とも付記した。
ムニューシン米財務長官は「貿易戦争は当面保留する」と述べた。制裁関税を棚上げし、貿易不均衡是正のための具体案を詰める。

黒字圧縮と引き換えに習主席が大統領に自ら求めた通信機器大手、中興通訊(ZTE)の制裁問題には触れていない。

厚生労働省の再生医療等評価部会は5月16日、iPS細胞から作った心臓の筋肉細胞をシート状にして重症心不全患者の心臓に移植する大阪大の臨床研究計画を 、臨床研究の患者の対象を厳しくすることなどの条件付きで承認した。iPS細胞を使った心臓病の臨床研究は世界初で、年度内にも最初の患者に移植される。

澤芳樹教授(心臓血管外科)のチームが今年3月に届け出ていた。

iPS細胞を使った移植の臨床研究では、理化学研究所などのグループが目の加齢黄斑変性に対する自己iPS細胞由来の網膜色素上皮シート移植を実施しているが、移植した細胞の数 は数十万個だった。
今回の心臓病の臨床研究は約1億個と、移植する細胞数が大幅に増える。数が多いと低品質な細胞が紛れ込む恐れがある。

iPS細胞はがん化の恐れがあ るが、目の場合は異変がすぐ分かり、対処できるが、心臓の場合は簡単ではない。

承認された臨床研究計画は、虚血性心筋症(血管が詰まって 心臓の筋肉への血液供給が減ることや途絶えることによって生じる心臓の筋肉の障害)の患者が対象で、18歳以上80歳未満の3人に、他人のiPS細胞から作った2枚の心筋の円形シート(厚さ 0.05ミリ、直径数センチ)を心臓表面に張り付ける。がん化や免疫拒絶反応などに対する安全性を調べ、心機能の変化についても観察する。

iPS細胞は京都大iPS細胞研究所が備蓄するものを使用する。

シートは3カ月で細胞が死んで消失するとされ、免疫抑制剤を段階的に減らす。動物実験では消失しても心機能の改善が確認されているという。


澤教授らの研究グループは、2006年より重症心筋症患者に対して、患者自身の足の筋肉(骨格筋)から採取した筋芽細胞と言われる細胞のシートを作製し、心不全に陥った心臓表面に貼ることにより、心機能回復させる治療の研究を進めてき た。

筋芽細胞は心筋細胞になるわけではないが、生着した細胞は、血管を誘導するVEGFやFGFといったサイトカン(細胞間の情報伝達を担うタンパク質分子)を出し続け、周辺組織に血管が誘導されて、機能が回復する。

筋芽細胞を直接心筋内に注射する方法があるが、注射の際に移植細胞の95%以上が失われ、効果が十分でなく、他にいろいろな問題がある。

この技術は、2016年5月に、テルモ社によって虚血性心筋症患者への新たな治療法として製品化され 、「ハートシート」として発売された。厚生労働省が再生医療の実用化を促進するために制定した「条件及び期限付き承認」という早期承認制度が適用になった初めての製品である。

テルモは、大阪大学との共同研究を進め、先端医療開発特区「スーパー特区」の「細胞シートによる再生医療実現プロジェクト」(研究代表者:東京女子医科大学岡野光夫教授)に参加した。

しかし、より重症な虚血性心筋症患者に対して筋芽細胞では治療効果が認められないという課題があった。

そこで、澤教授らの研究グループは、細胞から作った心筋細胞に着目した。

動物実験において、虚血性心筋症によって心臓の機能が低下したブタに iPS細胞から作った心筋細胞をシート状に加工して移植する研究を実施し、心臓の機能を改善させることに成功 した。

さらに心筋細胞の作製に用いる試薬や作製方法を改良することで、ヒトに移植可能な安全性の高い心筋細胞を大量に作製することに成功し た。

今回、ヒトでの安全性を検証する臨床研究の実施することとなった。

患者自身の筋肉から培養する筋芽細胞では、拒絶反応はないが、筋肉を採取してから移植可能な細胞を作製するまでに1ヶ月以上かかり、緊急時に使用することができない。

今回の治療法では、京都大学で作製されたiPS細胞を使い、事前に心筋細胞を大量に作製・保存しておくことができるため、患者の負担も少なく、緊急の使用も可能で ある。

本治療法は、有効な治療法の存在しない重症心不全に対する新しい治療となる可能性があり、深刻なドナー不足である我が国の移植医療において、一石を投じる治療法になる。

ーーー

細胞をシート状にして幹部に貼り付ける技術は、東京女子医科大学の岡野光夫教授によって開発された。

まず、培養した細胞シートを培養皿から取り出す技術を開発した。
タンパク質分解酵素などを使用すると、重要な働きをするタンパク質が分解され、十分な機能を果たせない。
このため、温度に応答する高分子を利用する。培養皿の表面にこれを薄く敷き詰め、37℃に設定し、細胞を増殖させシートにする。温度を20℃に下げると高分子が親水性に変わり、皿と細胞の間に水が浸透するため、きれいに剥がすことができる。

シートの積層化には、細胞シート回収面にゼラチンなどの支持材を固定したスタンプ型積層機器を開発した。

シートに血管内皮細胞を少量混ぜると、細胞シート内に毛細血管網ができる。3層の細胞シートごとに血管がつながるのを待って、次の3層の細胞シートを重ねていくと30枚の細胞シートからなる厚さ約1ミリの心筋細胞が完成した。

これまでの応用例:

口腔粘膜の細胞シートを使った角膜の再生
食道上皮癌の切除の痕に口腔粘膜の細胞シートを貼り付け、狭窄を克服
歯根膜細胞シートを使った歯周組織の再生
軟骨細胞シートによる関節軟骨の再生
心筋細胞シート(澤教授)

東芝は5月15日、決算を発表した。

株主帰属損益は8040億円の黒字で、前年を1兆7697億円上回り、2月に発表した予想(5200億円)を2800億円上回った。

2019年3月期の同利益は、東芝メモリ売却益を折り込んで、1兆700億円を見込み、2期連続で過去最高益を更新する見通し。

主なポイント:

①資産・事業売却 3400億円(WEC関連債権、ランディス・ギア、映像事業など)

2018/1/19 東芝、Westinghouse関連の株式と債権を売却

2017/4/29 東芝のスイス子会社ランディス・ギアの売却 

東芝は2017年11月14日、東芝映像ソリューションの発行済株式の95%を、中国ハイセンスグループに譲渡することを決定した。
2018年2月28日 譲渡完了

② 課題の処理 -1300億円 (欧州子会社年金、固定資産減損、構造改革等)

③ 事業改善 5300億円 (メモリ事業損益 4700億円)

④ 評価損益の税金 差引 1973億円の益

メモリ事業分割の評価益への課税 -2485億円 (売却未了のため売却益は非計上で、これのみ計上)
WEC関連債権・株式売却で、評価損が実現し、税金が4458億円減少 (債権分2445億円、株式分1972億円)


株主資本は、当期の株主帰属損益 8040億円に増資6000億円を加え、1兆3361億円増加し、7831億円となり、債務超過を解消した。


2019年3月期予想には下記を含む。

 税引前損益(900億円)には、2Q以降に持分法損益になると見込むメモリ事業損益 500億円を含む。

 当期純損益(株主帰属 10,700億円)には、メモリ事業売却益 9700億円と、1Qのメモリ事業非継続事業損益 800億円を含む。

 なお、Cash Flow としては、メモリ事業の売却収入 1兆4500億円を見込んでいる。
 (売却額は2兆円、東芝出資3500億円、他に税金?)

2017/9/30 東芝メモリの株式譲渡契約締結


中国の独占禁止法当局が売却案を承認した
ことが5月17日に分かった。既に日米欧など他の全ての国の独禁法当局の承認は得ている。

6月1日付で売却する。東芝メモリの売却により、利益剰余金は予想ベースでは1兆700億円の増となり、東芝の株主資本比率は急回復する。



詳細は下記の通り。(億円)

17/3 18/3 増減 19/3予想
営業損益
 Energy System -417 -148 269
 Infra System 584 480 -104
 Retail & Printing 163 270 107
 Storage & Device 576 473 -102
 ICT 71 13 -58
 others -171 -487 -316
 全社 15 39 25
 合計

820

641 -179 700
継続事業 税引前 449 824 374 900
    税金 580 -619 -1,199

    税引後 -130 1,443 1,573
非継続事業 税引前 7,219

メモリ事業 4,657、WEC 2,562

     税金 -2,231

実効税率 30.9%

    税金補正 1,973

メモリ事業非適格 -2,485、WEC是認 4,458

 
非継続事業 税引後 -11,472 6,961 18,432

17/3 WECは-12,801、差引メモリは1,329

税引後 合計 -11,602 8,404 20,006
うち 非支配持分 -1,945 364 2,309
差引 株主帰属 -9,657 8,040 17,697 10,700
利益剰余金 -5,804 2,236 8,040

18/3 株主帰属損益 8,040億円

2017/12 増資 6,000 6,000
株主資本 -5,529 7,831 13,361

債務超過を解消

2017/3月期発表では、非継続事業はWECのみで、税引後は-12,801億円。今回、メモリ 1329億円を含め、遡及して-11,472億円としている。


損益予想の推移:

営業損益

継続事業

非継続事業
税引後損益
株主帰属
損益
税引前損益 税引後損益
2017/8/10 4,300 4,000 2,300 メモリ営業損益 3,712億円
増減 -3,400 会社分割による税額 -3,400億円
2017/11/9 4,300 4,000 -1,100
増減 6,300 WEC関係債権譲渡益2400億円、税引き後1700億円
メモリ事業分割の税額影響減少 2400億円ほか
繰延税金資産 1100億円を計上(復活)
2018/2/14 0 200 5,200 メモリ事業営業利益4400億円は非継続事業に振替
増減 641 624 2,840
最終 641 824 1,443 6,961 8,040

富士フィルムは5月14日、大正製薬から7月31日に富山化学株式34%を取得して富山化学を完全子会社化すること、放射性医薬品の富士フイルムRIファーマと富山化学を10月1日付で統合し、富士フイルム富山化学としてスタートさせることを発表した。

同社は現在、富山化学の低分子医薬品、富士フイルムRIファーマの放射性診断薬・治療薬を中核として医薬品事業を展開している。

昨今、アンメットメディカルニーズへの対応がますます求められるとともに、治療の適正化に貢献する診断の重要性が高まっている中、富山化学と富士フイルム RI ファーマを統合して、診断薬・治療薬の新薬開発のスピードアップ、さらには「診断」と「治療」の連携強化をより一層図る。

富山化学:

富士フイルム、大正製薬、富山化学工業の3社は2008年2月13日、富山化学の医療用医薬品事業の強化を中心とする戦略的資本・業務提携を行うことで基本合意したと発表した。

下記の手順により、富山化学株式の最終的な保有比率は富士フイルム 66%、大正製薬 34%となった。今回、富士フィルム100%とする。

2008/2/19 富士フイルム、富山化学を買収、総合ヘルスケア企業を目指す

富山化学は抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠200mg」(Favipiravir) を開発した。

アビガンは、ウイルスの細胞内での遺伝子複製を阻害することで増殖を防ぐRNAポリメラーゼ阻害剤である。

富士フイルムは2014年9月26日、グループの富山化学が開発した抗インフルエンザウイルス薬「アビガン® 錠200mg」が、エボラ出血熱に罹患した患者の治療のため、フランスの病院で投与されたと発表した。

2014/9/27 富士フィルム、エボラ出血熱患者に「アビガン」提供 

富士フイルムRI ファーマ:

富士フイルムRI ファーマは治療用放射性医薬品メーカーで、旧称 第一ラジオアイソトープ研究所。

1968年に第一製薬とMallinckrodt とのJVで設立、1988年に第一製薬の100%子会社となり、2006年10月に富士フィルムが買収した。

富士フイルムRI ファーマは2014年10月14日、大手製薬企業のEli Lilly and Companyとの間で、同社のPET検査用放射性医薬品「florbetapir(18F)注射液)」の日本国内における共同開発契約を締結した。

同年11月4日、脳疾患や心臓疾患、腫瘍などの各種疾病の機能診断に役立つPET(陽電子放射断層撮影)検査用の放射性医薬品市場に参入すると発表した。富士フイルムRI ファーマが約60億円を投資し、川崎と茨木に研究開発拠点を新設する。

2014/11/18 富士フイルム、PET検査用の放射性医薬品市場に参入  


富士フイルムは、写真フィルムで培った、化合物の合成力・設計力や解析技術、ナノ分散技術などの高度な技術を活かして新薬の研究などを行う。

統合会社となる富士フイルム富山化学は、富士フィルムと連携し、アンメットメディカルニーズが高い「がん」「中枢神経疾患」「感染症」領域において、新規の放射性診断薬・治療薬、独自の作用メカニズムを持った治療薬の開発を行う。

さらに、必要な量の薬物を必要な部位に必要なタイミングに送達するドラッグ・デリバリー・システム(DDS)のさらなる技術開発も推進し、下記の技術を、既存薬のみならず、次世代医薬品として期待されている核酸医薬品や遺伝子治療薬へ応用展開していく。

リポソーム製剤技術:細胞膜や生体膜の構成成分である有機物のリン脂質などをカプセル状にした微粒子 (リポソーム)の中に薬物を内包する製剤技術
マイクロニードルアレイ:100~2000 ミクロンの長さの微細な突起をシート上に配した薬剤送達部材で、皮膚表面に貼ることで、 突起部分から薬剤を皮膚に浸透させ、体内に届けることができるもの


第一期計画は次の通り。

2006/4/7 中国のエチレン合弁会社ー2


米国の物言う株主の投資会社 Elliott Managementは、2015年の Samsung Groupの第一毛織とサムスン物産の合併を巡り、米韓自由貿易協定(FTA)の「ISDS(投資家と国家の紛争解決)」条項に基づいて韓国政府に6億7000万ドルの損害賠償を要求した。

韓国法務省が5月11日、Elliott から受け取った仲裁意向書を公開した。FTAのISDS条項を根拠に企業が韓国政府に賠償を求めた初のケースになる。

付記

米国のヘッジファンドのMason Capital Management は6月8日、韓国政府に仲裁意向書を提出した。当時Samsung C&Tに2.2%出資しており、合併に反対した。175百万ドルの賠償を要求。

付記

韓国法務部は7月13日、Elliott ManagementがISDS仲裁申請書を前日に提出した、と明らかにした。韓国政府に7億7000万ドル(仲裁意向書より1億ドル増)を被害補償額として請求した。政府関係者の不当な決定でサムスン物産の株価が下落し、7億7000万ドル以上の損害が発生したと主張した。仲裁地を英国と提案した。

Elliotが問題視するのは、2015年にSamsung Groupの第一毛織とサムスン物産が合併を決めた臨時株主総会で、当時、サムスン物産株を7%強保有していた Elliottは反対したが、韓国政府傘下の国民年金公団が賛成するなどし、合併は承認された。

第一毛織とサムスン物産(Samsung C&T) の合併は2015年7月18日の臨時株主総会で承認を受け、9月1日に新しいサムスン物産(Samsung C&T) となった。

新しいSamsung C&T は李一族のSamsungグループ支配構造の事実上の持ち株会社となる。

2014/12/2 Samsung Group の持株会社 第一毛織の上場 付記参照

2017/12/26 韓国公取委、2年前のたサムスン物産と第一毛織合併での株式売却命令を遡及修正

朴槿恵前大統領とその友人の国政介入事件の裁判で、国民年金が第一毛織とサムスン物産の合併の賛成を決めたのは、サムスンから朴槿恵前大統領への賄賂の効果であると認定された。

韓国の前大統領、朴槿恵被告側への贈賄罪などに問われた国政介入事件で、ソウル中央地裁は2017年8月25日、サムスングループを事実上率いる李在鎔・サムスン電子副会長に懲役5年(求刑12年)の判決を言い渡した。贈賄や横領など問われた罪のすべてを有罪とした。

李在鎔副会長の主要容疑は賄賂供与など5つ。

特検チームはこうした支援が2015年7月に朴大統領が保健福祉部傘下の国民年金公団を通じサムスン物産と第一毛織の合併を助けたことに対する答礼だとみており、これらの資金協力が李副会長の指示もしくは了解のもと実行されたとし、副会長に崔被告側への贈賄罪が成立すると判断した。

2017/8/28 サムスン電子副会長に実刑判決、ソウル地裁

Elliotは、合併の成立は不当であり「6億7000万ドル以上の被害を受けた」として、仲裁裁判所を通じて韓国政府に賠償を求める考えを明かした。

ーーー

ISDS(Investor‐State Dispute Settlement)条項は、企業が進出先の政府から不公平な待遇を受けたり、財産を不当に収用されたりした場合に、仲裁を申し立てることができる仕組み。

韓国法務省によると、FTAを巡っては初のケースだが、同国政府が国家間の投資協定を根拠に企業から賠償請求を受けるのは5件目となる。

米国系ファンドの現代グロービスUAEのInternational Petroleum Investment Co (IPIC) のオランダ法人 Hanocal BV、イランのEntekhab Industrial Group、と他に1件(不明)。

2015/9/25 韓国にイラン企業から3番目のISD提起

ーーー

韓国の財閥は複雑な資本関係を改善するグループ改編の途上にあり、改編計画が創業家に有利な条件で立てられているとの批判がつきまとう。

Elliottは5月11日、現代自動車グループの再編について5月29日に予定する臨時株主総会で、反対票を投じる意向を表明した。
Elliott は、現代自動車と起亜自動車、現代モービスというグループ3社の株式を合わせて10億ドル余り保有していること、普通株の保有比率は3社それぞれで1.5%を超えることを明らかにしている。

現代自動車グループは未来事業の競争力を強化し、循環出資など政府の規制を解消するための出資構造の再編に乗り出した。
グループの財源と資源を効率的に配分し、各グループ社の事業力量と独立性ㆍ自律性を向上し、同時に大株主の責任経営を強化するためとしている。

現代モービスと現代グロービスの分割合併、循環出資の完全解消などで行われる。

現代モービスは、投資や重要部品の事業部門と、モジュール及びAfter Service 部品事業部門を人的分割する。
モジュール及びAS部品事業部門を現代グロービスと合併する。

これに対し、Elliottは、同グループの再編計画は一部の株主を不当に扱っており、事業上の論理的な考え方が欠けていると主張する。
現代モービスの一部事業を現代グロービスに移すのではなく、現代自動車と現代モービスを合併させ、グループ全体を統括する持ち株会社を創設するよう提案している。

グループ内の12兆ウォン(約1兆2100億円)を超える余剰資金を株主に還元し、配当を引き上げ、自社株の消却をすべきだと求めたほか、ガバナンス改善のため新たな外部取締役の起用を増やすよう各社に促した。

現代自動車と現代モービスが合併すれば、資産規模で世界7位の自動車会社になるとする。



Xeroxは5月13日、富士フィルムホールディングスによる買収契約を終了すると発表した。

買収に反対する大株主のCarl Icahn、Darwin Deason と5月1日に和解し、5月3日に撤回、5月9日に株主宛ての書簡で富士フィルムと再交渉するとしていたが、株主側と再度和解し、買収契約自体を終了させた。

2018/5/2 Xerox、富士フィルムとの統合見直し、株主のCarl Icahn、Darwin Deason と和解 

2018/5/4 Xerox、株主との和解を撤回、現取締役会メンバー全員が留任 

2018/5/11 Xerox、富士フィルムと条件面で再交渉へ

Xerox によると、現地時間 5月13日午後5時(日本時間14日午前6時)に富士フィルムに契約終了を通知した。理由としては、①富士ゼロックスの監査済決算を4月15日までに提出しなかったこと、②監査済の財務数字が契約締結前にもらっていた監査前の財務数字と著しく違っていること、③その後の事態の変化で契約の実行が難しくなったことを勘案したとしている。

1月22日、Carl IcahnとDarwin Deasonはゼロックスに関する共同声明を発表したが、そのなかで、今回の富士ゼロックスの経理スキャンダルに鑑み、JVを解消するか、ゼロックスに有利なように改定すべきであるとしていた。

富士ゼロックスの財務スキャンダルはXeroxの他の株主の間でも問題になっていた。

富士フィルムへの通知後、大株主のCarl Icahn、Darwin Deasonと新しい和解契約を結んだ。これにより、株主総会での委任状争奪戦、および、Darwin Deasonによる会社及び取締役に対する訴訟を回避する。

株主側の和解内容は次の通りで、Robert J. Keegan 会長、Jeff Jacobson CEO と取締役5名が退任し、株主側推薦の5名が次の総会後に取締役に就任する。

新しい会長にはIcahn Enterprises L.P. のCEOの Keith Cozza が就任する。
副会長兼CEOには
Giovanni ("John") Visentinが就任する。同氏はExela Technologies のSenior Advisor to the Chairman で、また Advent InternationalのOperating Partner であった。

付記 

Xeroxは5月16日、Keith Cozza 会長、John Visentin CEOの就任を発表した。(取締役就任は株主総会後)
株主総会は7月31日に決まった。

買収合意撤回についてのSECへの提出資料では、株主への特別配当を5割積み増すよう富士フィルムに求めたが、回答がなかったという。

ーーー

今回合意 5/1 合意
新取締役
(株主推薦)
5名
Keith Cozza, Nicholas Graziano,
Scott Letier、John Visentin
Jonathan Christodoro
6名
Keith Cozza, Nicholas Graziano,
Scott Letier, John Visentin
Jay Firestone, Randolph Read
退任取締役 6名
Jeff Jacobson
Robert J. Keegan, Charles Prince,
Ann N. Reese, William Curt Hunter,
Stephen H. Rusckowski
7名
Jeff Jacobson
Robert J. Keegan, Charles Prince,
Ann N. Reese, William Curt Hunter,
Stephen H. Rusckowski、
Sara Martinez Tucker
留任取締役 4名
Gregory Brown, Joseph Echevarria,
Cheryl Krongard
Sara Martinez Tucker
3名
Gregory Brown, Joseph Echevarria
Cheryl Krongard
会長 退任 Robert J. Keegan
就任 Keith Cozza
退任 Robert J. Keegan
就任 Keith Cozza
CEO 退任 Jeff Jacobson
就任 John Visentin(副会長兼務)
退任 Jeff Jacobson
就任 John Visentin
(副会長兼務)

当初、株主側は取締役全員の候補を立てるとしていたが、今回就任の5名以外は引き下げる。なお、会社側は取締役候補の推薦期限を2017年12月11日としていたが、2018年6月13日までは受け付ける。
6月13日に予定されていた株主総会はそれ以降となる。

現在の取締役会は、次の通りコメントした。

過去数週間にわたり、富士フィルムに対し、直ちに契約変更の交渉に入るよう求めてきたが、富士フィルムはこれに応じなかった。

取締役会としては、裁判所の差し止め命令、株主が現在の条件での契約を支持していないこと、富士ゼロックスの経理スキャンダルが解決していないことなどの状況下で、取引の完了が見込めないと考える。

また、委任状争奪戦で混乱し、事業にも悪影響を与えることを懸念した。富士フィルムとの間で早期に取引が完了しないことから、富士フィルムとの取引を終了し、株主二人と和解するのが会社にとってベストと考える。

和解契約のもとで、新取締役会はXeroxの株主にとっての価値を最大限にするための代替案の検討に着手する。



付記 富士ゼロックスの経理スキャンダル

富士フィルムHDは2017年6月12日、傘下の富士ゼロックスの販売子会社で起きた不適切な会計処理を受けて375億円の損失が発生し、抜本的な対策のため富士ゼロックス会長に古森重隆会長が就くと発表した。

調査報告書によると、不適切会計の主な舞台となったのは富士ゼロックスのニュージーランドの販売子会社。中堅幹部であるマネージングディレクターが中心となって、複写機などのリース契約で問題のある取引を繰り返していた。

例えば、(1)顧客との契約時におけるサービス利用想定量を過大に計上した (2)リース契約期間満了前に契約を更新し、その際に過去の売り上げを取り消さずに、新たな売り上げを計上した (3)リース契約獲得のための販促費用相当額を売り上げに加算し、同額をリース債権に計上した、といった不適切な取引を行っていたという。

第三者委員会は理由として、過大なインセンティブ報酬の存在を指摘する。現地従業員の固定給を低く抑える代わりに、売り上げ目標を達成したときの「ボーナス」を大盤振る舞いする報酬体系だったという。

2015年7月、ニュージーランド販社が不適切な取引を行っているとの内容の告発メールが、富士ゼロックスに届くが、幹部は実質的な問題先送りを指示した。

2016年9月にニュージーランドの複数の報道機関が損失発生の事実を指摘。続報で「不正な売上計上の可能性」を報じ、同国の警察省の重大不正捜査局が捜査を始めた。

不適切な会計処理を回避できなかった原因として、調査報告書は「売上プレッシャー」の存在を指摘する。複数のインタビュー対象者から、本社からの業績達成圧力が非常に強いとの証言を得たとしている。

 

韓国政府とGeneral Motors(GM)は5月10日、韓国GMの経営再建で合意した。


韓国政府は経済副首相兼企画財政部長官主宰の関係閣僚会議を開き、同社の経営再建のために
71億5000万ドルの資金を投入することを決定した。

GMが36億ドル、産業銀行が7.5億ドルを出し、ほかにGMは韓国GMへの貸付金28億ドルを優先株に転換する。

経営破たんの危機に面していた韓国GMでは、会社側と労働組合の話し合いが続いていた。

会社側が、妥結できなければ法定管理(会社更生法)申請に踏み切るとしていた4月20日も妥結できず、23日も引き続き交渉を行った。その結果、経営立て直しのため、労使が歩み寄ることで合意した。

その後、韓国産業銀行とGMは4月26日、韓国GMの経営正常化のために7兆7000億ウォン(71億5000万ドル)を投じることで合意した。


2018/4/25 韓国GMの破綻、ギリギリで回避 

今回、下記の通り決まった。

GMは2018年中に韓国GMへの貸付金28億ドルを優先株に転換する。さらに36億ドルを新規融資などで資金提供する。

韓国GMは36億ドルのうち、28億ドルを今後10年間の設備投資や研究開発にあて、8億ドルを早期希望退職に応募した従業員の退職金などに使う。
競争力のある新車2車種の生産を韓国GMに割り振る。

韓国GMの2位株主で韓国政府系の産業銀行は年内に7億5000万ドル分の優先株を取得する。

GM及び産業銀行の受け取る優先株は議決権がないため、韓国GMの出資比率は米GMが83% (うち、中国でGMと合弁を持つ中国上海汽車が6%)、 産業銀行が17%で変わらない。

産業銀行はこれまで、GMが債権を出資に転換すると、産業銀行の出資比率は現在の17%から1%未満に下がってしまうため、GMに20対1以上の差等減資を求めていた。

韓国政府は米GMが求めていた韓国GMに対する税金の減免措置を検討する。

韓国政府は、GMと産業銀行が詳細な調査を実施し、競争力を持つ新車の発売や固定費削減の努力などが行われれば、売上原価率と営業利益率が次第に改善して経営正常化と長期的な存続が可能だと判断したことから、これに基づいて経営再建策を講じたと伝えた。

韓国の副首相兼企画財政部長官は、韓国GMの経営正常化問題について「10年間、いわゆる『食い逃げ防止』は制度的に保障されている」と述べた。「構造調整問題はこれまで 、大株主の責任、大株主・債権団・労働組合など利害関係者の苦痛分担、持続可能な生存の可能性の3つの原則に基づいて、中堅造船会社とクムホタイヤで実施したが、 韓国GMも同じ原則で処理する」と説明した。

「GMが韓国国内に10年以上は残ることにし、2大株主の産業銀行の拒否権も持つようにした」とし「また、研究開発センターと新車配分を通じて10年間は韓国国内で営業することを制度的に保障した」と話した。


クアーズフィールド球場での大谷翔平の打撃練習を見て「デンバーポスト」のスポーツコラムニストが書いた記事が話題になっている。

「人生が終わりを告げる前に、中国の万里の長城を上り、アイスランドのオーロラを見ながらダンスをし、クアーズフィールドでのショウヘイ・オオタニの打撃練習を見るべきである」と述べた。

報道ではこれが繰り返されているが、この次が面白い。

「ロッキーズのオーナーが球場の右翼にバルコニー席 The Rooftop をつくった本当の理由が今になって分かった。LoDo地区一番のこの屋外バーがなかったら、大谷の打った球はワイオミング州まで飛んで行った。」

記事は下記の通り。

May 8, 2018  by Mark Kiszla (The Denver Post)

Just once before you die, you should climb the Great Wall of China, dance with the Northern Lights in Iceland and watch Shohei Ohtani take batting practice at Coors Field.

Ohtani, as you might have heard, is the 23-year-old sensation from Japan that can hit and pitch the way Beyonce can sing and dance.

We're talking freak of nature, so big and beautiful, if folks don't get out of the way, somebody could get hurt.

I now understand the real reason why Rockies owner Dick Monfort installed The Rooftop in right field. The best outdoor bar in LoDo was all that stopped the American League's new sensation from blasting a ball to Wyoming.

During batting practice, he smacked so many pitches into the upper reaches of the ballpark it should be rechristened the Shohei Party Deck.

Fans showed up with gloves, anxious to collect B.P. souvenirs from Ohtani, only to run for cover, looking more shell shocked than White Goodman in the final reel of "DodgeBall."

映画 "DodgeBall"の最後のシーンでのライバルチームのオーナー以上に、大ショックを受けたように見えた。)



The Rooftop
   大谷の打った球はここまで飛んだ。

 

 

中国は、328日 の国務院常務会議で増値税(付加価値税)制度改革を深化させる措置を決め、51日から増値税税率の軽減と小規模納税者基準の緩和が決定された。

国務院は4月25日、7つの減税措置を打ち出すことで、創業・革新及び小企業・零細企業の発展を支援することを決定した。

(1)増値税 制度改革 (5月1日実施)

製造業は17%から16%に、運輸・交通や建築は11%から10%にそれぞれ下げた。
増値税の税率は17、11、6%の3段階から16、10、3%になった。

中泰証券の試算では製造業の減税規模は1千億元超で、自動車、電機の恩恵が大きい。

課税対象

現行

改正後

製造業

貨物の販売、貨物の輸入 (下記の軽減税率適用品以外)

役務 (加工、修理整備役務)

有形動産リースサービス

17%

16%

運輸・交通・建築

特例

交通運輸、郵政、基礎電信、建設、不動産リースのサービス、不動産の販売、土地使用権の譲渡

下記の貨物の販売または輸入

穀物等農産品・食用植物由、食用塩

水道・暖房ガス・冷房ガス・熱水・石炭ガス・石油液化ガス・天然ガス・ジメチルエーテル・メタンガス・居住用石炭製品

図書・新聞・雑誌・音像製品・電子出版物

飼料・化学肥料・農薬・農機・農業用フィルム

その他

11%

10%

その他

上記以外のサービスの販売

無形資産の販売

6%

6%

輸出

貨物の輸出

0%

0%

輸出貨物に対する増値税はゼロ税率が適用される。またこのとき、仕入時にかかった増値税については還付を受ける。
輸出税金還付率も増値税 が16%のものは16%、10%のものは10%に変更される。

中小零細やベンチャー向けの増値税の優遇税率(3%)の適用対象も広げた。

増値税の一般納税者は売上税(課税販売額×税率)から仕入税(仕入金額×税率)を控除した増値税税額を納付 するが、小規模納税者には簡易税額計算が適用されており、増値税の課税販売額に徴収率3%を乗じた徴収額を納付することになっている。

今回の改正では、小規模納税者基準が緩和されてその範囲が拡大された。

現行

改正後

生産者は年間課税販売額が50万元以下

年間課税販売額が500万元以下

その他は80万元以下の納税者

なお、これまで増値税一般納税者として登記した企業と個人は、20181231日までに小規模納税者として登記変更して、その控除未定の仕入税額はコストに振替処理することができ る。

さらに、設備製造などを行う先進的な製造業や研究開発などを行う現代サービス業で条件を満たす企業および送電会社に対して、仕入れにかかった増値税額のうち未控除分について一定期間内に1度だけ還付を行うとした。


(2)ハイテク産業等向け 減税

中国国務院は4月25日、7つの減税措置を打ち出すことで、創業・革新及び小企業・零細企業の発展を支援することを決定した。
7つの新減税措置により、通年で関連企業の税負担がさらに600億元以上軽減されることになる。

①研究開発機器、設備の税前控除額の引き上げ
一部の業種において新規に購入した研究開発機器、設備が1台あたり100万元を超えない金額であれば一括税前控除が認められていたが、この限度額が500万元まで引き上げられる。
対象期間は2018年1月1日から2020年12月31日まで。
②税制優遇の対象となる小型薄利企業の所得額の引き上げ
小型薄利企業の条件に合致する場合、課税所得額の50%に対して20%の税率を適用することにより、企業所得税の実質的な税負担は10%となっている。
条件の内、課税所得額はこれまで年間50万元以下とされていたが100万元以下にまで引き上げられる。
対象期間は2018年1月1日から2020年12月31日まで。
③国外に委託する研究開発費用の加算控除制限の撤廃
これまで国外の組織や個人に委託する研究開発費用は税前加算控除の対象外とされていたが、この制限が撤廃される。
対象期間は2018年1月1日から。
④ハイテク企業と科学技術型中小企業の欠損繰越期間の延長
これまでハイテク企業と科学技術型中小企業の欠損金の繰越期間は5年までとされていたが、これが10年まで延長される。
対象期間は2018年1月1日から。

10年に延長したのは、米国から7年間の制裁を受けた中興通訊(ZTE)の救済を考えたのではないかとの報道がある。

⑤一般企業の従業員教育費用の税前控除上限がハイテク企業と統一
これまで一般企業の従業員教育費用の税前控除額の上限は、賃金給与総額の2.5%までと定められていた。
これがハイテク企業と統一され、1年度につき 8%まで控除することが認められ、超過した部分は翌年度に繰り越すことが可能。
対象期間は2018年1月1日から。
⑥印紙税の減税
これまで資金帳簿における払込資本と資本準備金の合計額に対して1万分の5の印紙税が課されていたが、これが1万分の2.5に半減する。
また、その他の営業帳簿や生産経営帳簿に対して課される印紙税は免除される。
対象期間は2018年5月1日から。
⑦スタートアップ科学技術型企業への投資の優遇政策の全国拡大
これまで8つの全面イノベーション改革試験地域と蘇州工業園区において、条件に合致するベンチャーキャピタルまたはエンジェル投資家はスタートアップ科学技術型企業への投資に際して投資額の70%を課税所得額から控除できたが、この適用地域が全国へと拡大される。
関連する企業所得税優遇政策の対象期間は2018年1月1日から、個人所得税優遇政策は2018年7月1日から。


Xeroxは5月9日、株主に宛てた書簡を公表した。

これまでの経緯を説明するとともに、今後の方針について次の通り述べた。

1) 富士フィルムによるXerox買収について、1月31日に発表したものより良い条件にするよう富士フィルムと交渉する。

2) すべての株主の声に耳を傾ける。

3) 裁判所の仮処分は誤ったものであると信じており、異議を申し立てる。

なお、これに対し富士フィルムは5月10日、「ゼロックスから買収条件の具体的な提案は受けていない」とし、「提案済みのプランがベストで、新たな提案があった場合には当社の株主にとってもメリットがあるか検証が必要だ」と説明している。

ーーー

Xerox は5月4日、裁判所が4月27日に下した買収手続きの差し止め命令に対し、異議申し立てをしたと発表した。「買収提案を認めるかどうかは裁判所ではなく、Xerox の株主が決めるものだ」と主張し、裁判所による差し止めの無効を訴えた。

富士フィルムホールディングスも同日、異議申し立てをした。

米ニューヨーク州の裁判所は、上訴の審理を9月から始めると決めた。 審理までは差し止め命令が継続される。


Xeroxによる経緯の説明は下記の通り。

2015年秋に、Xerox取締役会は事業の戦略的レビューを開始した。

この結果、2016年1月にビジネス・プロセス・アウトソーシング事業を行う Conduent Incorporated をスピンオフ(分離・独立)することを決めた。これはCarl Icahnの意見を容れたもの。

この間、Icahn と Deasonの両株主とは建設的話し合いを続けた。Icahnの指名した人を取締役に加え、Deasonとの株を巡る争いも解決した。

Conduentのスピンオフの後、株主価値を高めるための方法の検討を進めた。

その結果、Xeroxと富士ゼロックスの統合が最も魅力的であると考えるに至った。

発表後に、投資家と100回以上の会合を持ったが、その意見は、
 両社の統合は戦略的な論拠がある、
 株主の支持を得るためより良い条件を得るべきだ、
 富士ゼロックスの経理スキャンダルは考慮すべき問題だというものであった。

Icahn/Deason 両氏には意見を述べる権利はあり、我々は反論する用意はあるが、二人が全株主を代表して話したり、他の株主が意見を述べる権利を奪う権利はない。

これまで両氏の発言に一々反論していないが、Xeroxと富士ゼロックスの統合が破産のリスクを生むと述べたのには、誤りであり無責任であると指摘せずるを得なかった。

Deason氏は訴訟に訴え、Xerox株主が総会で投票する権利を奪った。裁判所は4月27日に彼に味方した。

(4/27 裁判所が買収手続きの一時停止を命じる仮処分)

この命令は、Xerox株主がこの取引が自分自身の利益になるかどうかを決める権利を奪うものであり、法を無視したもので、覆るものと信じている。

では、なぜ、2人と和解したのか?

(5/1  Xeroxと株主が和解、株主側が主体の体制へ)

それは、裁判所の命令が、富士フィルムとの条件を良くするための交渉を禁じており、株主の利益を最大限にすることができないと考えたためである。
2人と和解すれば、長く続く訴訟による不確実性や混乱を避けられ、事業を進められ、裁判所の仮処分命令にとらわれず、富士フィルムとの条件交渉が可能になると考えた。

何が変わったのか?

和解の発表後に、二人は彼らの体制で事業を進めることを公言した。すると、株価は12%以上下がり、投資家との話し合いで、多くの株主がこれに反対していることが分かった。

そして、5月3日の裁判所のヒアリングで、裁判所は、差し止め命令のもとでも、富士フィルムと代替案の交渉をすることができると明言した。

(5/2 富士フィルムが上記和解に異議申し立て)
(5/3 裁判所が関係者に意見提出を要請、決着に時間がかかる見通し)

その日の午後、2人は、Xeroxが富士フィルムとの契約を直ちに終息させなければ、和解契約を終息させ、戦争に出る("go to war")と伝えた。

取締役会は、十分に検討・分析することなしに富士との契約を終息するようにとの圧力を拒否した。

このため、和解の撤回が株主の利益になると判断した。

(5/3 Xeroxが和解の撤回を発表、以前の体制に戻す。)

今後について:

  • 事業の安定に注力する。

  • 株主の利益の最大限化のため、富士フィルムからの対価を増やすことも含め、代替案を探る。

  • 株主の声を反映できるようにする。定時株主総会での取締役候補の指名を認めるreopen the window for nominating director candidates 。株主が総会で決める権利を奪う差し止め命令には上訴して争う。

5/4  Xeroxと富士フィルムが裁判所に買収手続き差し止め命令への異議申し立て。裁判所は審理を9月に始めると決定)

ーーー

株主総会は6月にも開かれる予定であるが、裁判所の審理は9月に始まるため、今回の総会には富士フィルムとの契約は議題にあげられない。

Xeroxはこれまで、総会での取締役候補の推挙の期限の2017年12月11日であるとしてきたが、今回、推挙を認めるとした。

当然、Icahn/Deason 側は候補を出すため、委任状争奪戦になると思われる。


トランプ米大統領は5月8日、欧米など6カ国とイランが結んだ核合意から離脱すると表明した。核合意に基づく対イラン経済制裁を再開する大統領令にも署名した。

その一方で、イラン核問題の包括的解決は同盟国と協力するとし、新合意に関しイランと交渉の用意があるとした。


付記

イラン政府は7月16日、トランプ米政権がイラン核合意の離脱に伴い制裁を再開するのは国際法上違法だとして、国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)に提訴した。

訴状の中で、イランは米国に「制裁による威嚇の即時停止」を要求、制裁発動した場合は賠償請求すると主張している。

トランプ政権は5月に合意離脱を表明し、8月以降、対イラン制裁を順次再開する方針を示している。

ーーー

イランの核開発をめぐり、米・中・露・英・仏・独( P5プラス1=国連常任理事国5か国+ドイツ)とイランは2015年7月14日、「包括的共同作業計画」(Joint comprehensive Plan aof Action = JCPOA)に合意した。

イランは今後10年以上にわたり核開発を大幅に制限し、軍事施設への査察も条件付きで受け入れ 、米欧や国連は原油禁輸や金融取引制限などの制裁を解除する。

イランは下記を実施する。

Natanz濃縮施設の濃縮ウランの濃縮度低減(20%超→3.67%)、低濃縮ウラン貯蔵量削減(10t→3.67%換算300kg)、
遠心分離機の数の削減(19,000→6104)

Fordow濃縮施設の活動を停止

Arak重水炉の設計変更、兵器級プルトニウム製造の禁止

https://www.jaea.go.jp/04/iscn/archive/nptrend/nptrend_01-06.pdf


2016年1月16日、国際原子力機関(IAEA)はイランが核濃縮に必要な遠心分離器などを大幅に削減したことを確認したと発表した。

これを受けてイランと6カ国は同日、合意の履行を宣言し、米欧諸国はイランに対する経済制裁を解除する手続きに入った。

ーーー

トランプ大統領は大統領選当時から、オバマ政権時代のイラン核合意を「史上最悪の合意」と酷評し、離脱・破棄の考えを強調していた。

トランプ大統領は 2017年9月、イランが弾道ミサイルの開発を続けていること(合意には弾道ミサイル開発の制限などが含まれていない が、大統領はその点を批判している)、過去に核兵器の起爆装置の製造が試みられた疑いのある軍事施設について、イランがIAEAの査察を受け入れていない ことなどを批判、合意からの離脱にも言及した。


一方、IAEAは、濃縮ウラン総量などで規定違反がなかったと認定 している。米国が問題視する「軍事施設の査察」については、合意文書に明記されておらず、明確な合意違反といえない。

今回、トランプ大統領は、核合意は「巨大な絵空事だ」と批判した。発言要旨は次の通り。

イラン政権はテロに資金提供する主導的な国家だ。

2015年に米前政権はイランの核開発計画に関して他国と歩調を合わせて合意に至った。理論的には「イラン合意」と呼ばれるものは米国とその同盟国をイランの核爆弾の狂気から守るためのものだった。

実際には、この合意によりイランはウランの濃縮を続け、長期的には核戦争の勃発間際に至るようなことを許してしまった。
合意は経済制裁を解除し、代わりに政権の核活動に非常に弱い制限しか与えなかった。

米国が最大の影響力を持てたときに、この破滅的な合意はイラン政権に数十億ドル、その一部は現金を手渡したことになる。

今日、このイランの誓約は虚偽である確証が得られた。先週、イスラエルはイランが長い間隠匿していた諜報記録を公表し、イラン政権がこれまで核兵器を開発していた事実があると結論づけた。

イラン合意は根幹から欠陥があり、我々が行動を起こさなければテロ支援国家が世界で最も危険な兵器を手にすることになるだろう。従って米国はイランとの核合意から離脱することを表明する。

数カ月以内に、イランに対する制裁を再開するための大統領覚書に署名する。最高水準の経済制裁を制定する予定だ。イランが核兵器を取得することを支援する国も米国から厳しい制裁を受ける。

イランとの合意から脱退するにあたり、米国は同盟国と共にイランの核脅威に対する包括的で持続的な解決策に取り組んでいく。同盟国と共に取り組んでいく。これはイランの弾道ミサイルの脅威の除去、世界的テロ活動の停止、中東における威嚇的な行動の防止が含まれる。

これに対し、オバマ前政権まで米国務省でイラン核問題にかかわったトーマス・カントリーマン前国務次官代行は次の通り述べている。 (毎日新聞)

イランとの核合意の結果、イランのウラン濃縮活動は9割減となった。IAEAの監視活動により、イランの核兵器取得を恒久的に防ぐことも可能となった。合意は十分に機能している状態にある。

濃縮に使う遠心分離機の保有制限が10年間と定められているが、これを延長することができれば、効果はさらに高まる。

「10年間」の期間を利用してイランとの信頼関係を築くことで解決を図ろうとした。

合意離脱を主張するトランプ大統領や、皆が知っている過去のイランの核兵器計画をあたかも新事実のように取り上げて批判するイスラエルのネタニヤフ首相の主張は、問題解決の動きに逆行したものだ。

イランは弾道ミサイル実験を繰り返したり、テロ支援を続けたりするなど中東の不安定要因となっているが、それを不満に米国が一方的に離脱する道を選べば合意は崩れ、状況はさらに悪化してしまう。

合意が機能している現在、米国が離脱して再び制裁を科しても、同様の支持は得られないだろう。

国際原子力機関(IAEA)は5月1日、イランで2009年以降、核開発の「確たる兆候」は見られないとの従来の調査結果を確認する声明を発表した。

核合意維持を求めてきた英仏独は、マクロン仏大統領とメイ英首相、メルケル独首相が連名で、米国の核合意離脱に「遺憾の意」を表し「核合意への関与の継続を強調する」と訴えた。
3カ国首脳は「米国以外の当事者国が核合意を完全に履行するのを妨げる措置をとらないように」と米に要求。イランにも「引き続き核合意に基づく義務を果たさなければならない」と求めた。


現時点では制裁の内容は明らかでないが、米財務省によると、制裁再発動に伴い、米企業はイラン国内での新規ビジネスができなくなり、既存契約も一定期間内に終了することが求められる。

今後、イランとの原油取引や金融取引ができなくなり、イランと取引がある外国企業も米金融市場から締め出される「2次制裁」対象となる恐れがある。

ムニューシン米財務長官は5月8日、経済制裁再開の一環として、米航空機大手ボーイングと欧州大手エアバスに与えたイラン向け輸出の認可を取り消す方針を明らかにした。核合意後、両社は国営イラン航空から計約200機を受注していた。


武田薬品工業は5月8日、アイルランド製薬大手Shire plc を総額約460億ポンド(約6兆8千億円)で、完全子会社化することで合意したと発表した。

Shire 株主は株式1株当たり30.33米ドルの現金、ならびに武田新株 0.839株(又は1.678の武田ADR)を受領する権利を有する。

2018年4月23日における武田株式の終値4,923円並びに同日の為替レート 1ポンド=151.51円=1.3945ドルに基づくと、1株当たりの価値は49.01ポンドになり、総額は約460億ポンドとなる。

これは、4月24日の4回目の提案のままである。

1回目は3月29日で、1株当たり44ポンド(武田株式28ポンド + 現金16ポンド)、合計約410億ポンド(574億ドル) 
2回目は4月11日で、1株当たり45.50ポンド(武田株式28.75ポンド + 現金16.75ポンド)、合計約430億ポンド(602億ドル)  
3回目は4月13日で、1株当たり46.50ポンド(武田株式28.75ポンド + 現金17.75ポンド)、合計約440億ポンド(616億ドル) 
4回目は4月24日で、1株当たり49.01ポンド(武田株式 0.839株=27.26ポンド + 現金US$30.33 =21.75ポンド)、合計約460億ポンド(641.5億ドル

2018/4/26 武田薬品、Shire 買収で4回目の提案、詰めの協議へ 

総額約460億ポンド(約6兆8千億円)のうち、株式で3.78兆円(27.26 / 49.01 )、現金で3.02兆円となる。

武田薬品は既に、三井住友銀行と三菱UFJ銀行、JPモルガン・チェース・バンクの3行から総額308.5億ドル(約3兆3600億円)のブリッジローン契約を締結している。

付記 JPモルガン・チェースが幹事で1/2、三井住友と三菱UFJが1/4ずつ。みずほ銀行は外された。

付記

武田薬品は6月8日、JP Morgan Chase Bank、三井住友銀行、三菱UFJ銀行及びみずほ銀行を含むトップクラスのグローバル金融機関と、総借入限度額75億米国ドルの "Term Loan Credit Agreement"を締結した。資金調達の過半は、日本の金融機関からによる。5年のローンで、ブリッジクレジット契約分を減額する。

両社の取締役会によって承認されている。両社とも臨時株主総会を開き、株主の賛成を得て、2019年上期(1~6月期)に完了する予定としている。

本買収の完了により、両社の株主はそれぞれ、統合後の会社の約50%を保有することになる。

武田薬品では、本買収のハイライトとして以下を挙げている。 

  • 消化器系疾患及びニューロサイエンスにおいて相互に補完するとともに、希少疾患と血漿分画製剤においてリーディングカンパニーとしてのポジションを獲得することで、オンコロジーやワクチンにおける強みを補完
     付記 Shireは4月16日、オンコロジー(癌)事業を24億ドルでServierに売却した。
  • 日本に本社を置く、研究開発型グローバルバイオ医薬品企業のリーディングカンパニーが誕生し、今後の発展を促進する魅力的な地理的拠点と規模を確立
  • 強固かつモダリティの多様な、高度に補完的なパイプラインを創出し、画期的なイノベーションにフォーカスした研究開発体制を強化
  • 武田のキャッシュフロープロファイルが向上し、大幅な年間コストシナジーの実現や充実した株主還元実施を確信
  • 武田の変革が、Shire の統合を成功に導き、統合後の会社の価値を最大化

両社を合算すれば売上高の合計は3兆円超となり、世界の製薬業界のトップ10の一角に躍り出ることになる。

但し、武田薬品は2017年9月末時点で1兆1千億円の有利子負債を抱え、Shireも2兆円程度の負債がある。買収で3兆円程度の借り入れを行うことで、統合後に負債が6兆円程度に膨らむ。

ーーー

英国法上、上場会社を完全子会社化するには、公開買付で大部分を取得し、残り株を買い取る(Squeeze Out)方法と、Scheme of arrangement を使う方法がある。

前者の場合、TOBで90%以上を取得した場合に限り、Squeeze Outの提案ができる。TOBでは3か月以上かかるとされる。

後者の場合は、議決に参加した株主の過半数が賛成し、賛成株主が75%以上を有している場合に限り、裁判所が認可する。最短で2か月とされる。 株主総会で賛成を得られない場合、改めてTOBをすすめることができる。

今回、後者を使うとされ、Shire の株主総会では 75%以上の賛成票が必要である。

Shireの取締役会は 、賛成を得やすくするため現金の比率を増やすよう要請していたとされるが、当初案のままとなった。


問題は武田薬品の株主総会である。

今回、3兆8千億円の新株発行で、時価総額(3兆4800億円)を上回り、武田株主にとり株式が1/2 以下に希薄化する。
買収発表後、武田の株価は1000円以上 下落しており、株主の賛成を得るハードルは高いと見られる。

ーーー

AnswersNews(2018/04/27)による2017年の製薬会社売上高トップ10は下記の通り。

億ドル
1 Roche * スイス 543.65
2 Pfizer 525.46
3 Novartis スイス 491.09
4 Merck 401.22
5 Sanofi * 396.12
6 GlaxoSmithKline * 389.40
7 Johnson & Johnson 362.56
8 AbbVie 282.16
9 Gilead Sciences 261.07
10 Eli Lilly 228.71

* は2017年平均レートによる米ドル換算

武田薬品は売上高1.75兆円(2018年3月期見込み)で19位、Shireは1.70兆円(2017年12月期)で20位で、単純合算すると3.45兆円で、世界8位になる。

付記 JPモルガン・チェースが幹事で1/2、三井住友と三菱UFJが1/4ずつ。みずほ銀行は外された。

米連邦準備理事会(FRB)は5月2日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策の現状維持を決め、追加利上げを見送った。

短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は、投票メンバー8人の全員一致で年1.50~1.75%のまま据え置いた。

今回は金融引き締めの影響を見極めるため、政策変更を見送った。
しかし、「さらなる利上げが正当化される」と言及し、早ければ6月中旬の次回会合で追加利上げに踏み切る考えを示唆した。

FRBは3月31日の前回会合で、3カ月ぶりの利上げに踏み切ったばかり。

 

声明文では「雇用情勢は拡大が続き、経済活動も緩やかに上向いている」と米景気の動向に自信をのぞかせた。

第1四半期の実質経済成長率は2.3%と、巡航速度である潜在成長率を上回る水準を維持した。

雇用も好調で、失業率も17年4カ月ぶりに3%台まで下がっ た。


伸び悩んでいた物価については「2%に近づいてきた」と情勢判断を引き上げた。
FRBが重視する個人消費支出(PCE)物価指数は、3月の上昇率が1年ぶりに目標の2%に到達しており、食品・エネルギーを除く「コア指数」も1.9%に高まっている。

ーーー

米国市場で警戒されていた長期金利(10年物国債利回り)は節目とされていた3%を突破した。

一方、日本は日銀が金融緩和の一環で10年物国債利回りを0%程度に抑える政策を行っている。

日米金利差の拡大を通じて円安・ドル高になりやすく、対日貿易赤字で攻撃を続けるトランプ大統領が問題視する恐れがある。




貿易摩擦を巡る米国と中国の初の公式交渉が5月3、4日の2日間、北京釣魚台迎賓館で行われた。
米国側は
ムニューシン財務長官、ライトハイザー通商代表部(USTR)代表らが、中国側は習近平国家主席の側近で経済ブレーンの劉鶴副首相らが出席した。

米国は2020年までに対中赤字を2千億ドル削減するよう要求し、従来の1千億ドルから上積みした。中国は対中輸出制限の緩和などを求めた。

投資分野、知財分野でも応酬があった。

Made In China 2025計画などハイテク分野でも双方の主張は隔たりが大きい。新華社も「一部の問題は意見の食い違いが大きい」と認めた。

貿易戦争の回避は綱渡りで交渉は長期化の様相を呈してきた。今後、四半期ごとにレビューのための会合を持つ。

ホワイトハウスは5月4日、「米中の経済関係の調整について率直に議論した」とする声明を発表した。トランプ政権内には「(米中の問題に)即座に対処しなければいけないとの総意がある」と指摘し、報告を受けたトランプ大統領が次の行動を決断するとしている。

米国は500億ドル分の中国製品に25%の追加関税をかける制裁案を既に公表済み。

対抗して中国も、米国産の大豆やその他の農産物、自動車、化学品、飛行機など計106品目に25%の関税をかける方針を発表した。
中国は2017年に米国から約3300万トンの大豆を輸入し、米国の輸出先の6割を中国が占める。トランプ大統領の票田の農業州に揺さぶりをかける。

2018/4/5 USTR、通商法301条に基づく対中制裁関税案を発表、中国も対抗措置を発表

中国の対抗策を受け、トランプ米大統領は4月5日、新たに1000億ドル規模の中国製品を対象にした追加関税を検討する方針を表明した。

2018/4/7 米、対中制裁追加を検討
いずれも実施時期は決めていない。

米国が制裁を実施すると、貿易戦争となる。


米国の要求とそれに対する中国の反応は次の通り。

1)米国の貿易赤字問題

(米国)

対中赤字(米側統計で2017年で3757億ドル) を、2019年6月までに2018年比で1千億ドル、2020年に同 2千億ドルの削減

* 不思議なことに中国の統計では2017年の対米貿易黒字は2758億ドルで、1千億ドルの差がある。この理由を解明するのが先ではないか。

現在平均10%の関税を2020年までに 米国と同水準("noncritical sectors"で平均3.5%)に引き下げ

検疫強化や関税上げなどの報復措置を控えること。

サービス、農業分野の市場開放

(中国

ハイテク製品の対中輸出制限緩和

* 中国商務部は本年1月には、ハイテク製品の対中輸出を制限する米国の規制が米国の対中貿易赤字の原因になっているとの認識を示した。
規制を緩めれば米国の対中輸出が増え、貿易不均衡は縮小するとの見通しを示した。対中赤字が3割超減るとの試算もある。

米国による中国製航空機の安全検査で差別的な取り扱いをしないこと。

世界貿易機関(WTO)協定の「市場経済国」に認定すること。

(中国側は、輸出制限緩和などを条件に現在25%の自動車関税を引き下げる。)

2)投資分野

(米国)

外資の投資禁止項目だけ示す「ネガティブリスト」を7月までに導入すること。
米国がリストを調査して米投資家を阻む内容があれば速やかな是正を求める。

機密の(sensitive) 技術について、中国勢の投資を米国が制限しても、報復をしないこと。

(中国)

米国での投資で中国企業を差別的に取り扱わないこと。

3)知財保護

(米国)

米国でのサイバー攻撃で企業秘密を盗む行為をやめるよう、直ちに、検証可能な手段を取る。

知財保護の強化

海外からの技術移転で中国企業に有利な条例を2018年末までに廃止。

(中国)

通商法301条による知的財産侵害の調査を今後、一切しないこと。

米国による中興通訊(ZTE)の制裁緩和

4)中国のMade In China 2025計画 

(米国)

中国のMade In China 2025計画で、全ての政府補助金の廃止

中国のMade In China 2025計画からの輸入品を米国が制限するのと認めること。

Made In China 2025計画は、2025年までに世界の製造業大国となり、建国100周年の2049年までに製造強国の先頭グループになるという計画である。(後記)

巨額の補助金で自国の企業を育てるとみられ、米国のIT企業などは、半導体などの基幹部品の自給で米企業が締め出されかねないとの懸念を持つ。

米国は交渉で中国2025の補助金の即時停止を求めたが、中国には事実上の計画停止を意味し、中国商務省の関係者は「絶対に受け入れられない」と憤る。

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中国のMade In China 2025(中国製造2025)計画は、2014年から中国工業情報化部、国家発展改革委員会、科技部、財務部、中国工程院など20の政府機関が製造業振興の長期戦略プランを策定し,2015年5月19日,国務院より「中国製造2025」が式に公布された。製造強国になるという戦略目標の実現を図るもの。

2015年までに製造業規模世界第一位、世界の製造業大国になり、
ステップ1で、2025年までに、格差縮小、十点突破で製造強国の仲間入りを果たし,
ステップ2で、2035年までに工業化の実現により製造強国の中位レベルに到達する。
ステップ3で、建国100周年の2049年までにイノベーション先導で製造強国の先頭グループに入るとの目標を掲げている。

ドイツのMinistry of Economic Affairs and Energyは4月26日、中国の安泰科技(Advanced Technology & Materials:AT&M) によるCOTESA GmbHの買収を承認した。


COTESAはドイツ・ザクセン州に本社があり、宇宙航空と自動車の分野で質の高い炭素繊維複合材料部品を供給しており、顧客にはエアバスやボーイングが名前を連ねる。

安泰科技中国国有の中国鋼研科技集団(China Iron & Steel Research Institute Group:CISRI) の子会社で、新金属材料を主要業務と位置づけ、金属磁性材料、粉末冶金、溶接材料、ダイヤモンド工具、高速工具鋼、先端エネルギー材料という6つの分野で活動している。

2017年9月に、AT&MによるCOTESA買収で合意された。

手続き上は中国の明徳投資(Interity Capital Partners)と QFAT Investmentが共同運営する新素材関連ファンドがCOTESAを買収するもので、買収後にはこのファンドに投資する安泰科技(AT&M)が中国市場での製造・販売に協力することとされた。買収額は1億~2億ユーロと報じられた。

狙いは、中国の国有航空機メーカーである中国商用飛機(COMAC)に COTESA製の部品を供給することとされた。

これに対し、2017年12月にMinistry of Economic Affairs and Energyが介入した。ドイツの法律に合致するかどうかを調査するとした。

ドイツ政府は2017年、ハイテク部門での中国企業のM&A拡大に対する懸念が高まる中、中国企業による独企業の買収を阻止する為の政府権限拡大に乗り出した。

背景には、2016年に同国最大の産業ロボットメーカーであるKUKAが、中国家電メーカーの美的集団に45億ユーロで買収されたことにある。

同年8月にはドイツ政府は「買収は安全保障に危険は及ぼさない」として不介入を表明、米政府も同年12月31日に認可した。

しかし、ドイツの先進技術がアジア企業に奪われることへの懸念が一気に高まり、それ以来、類似の取引に対する調査が大幅に厳格化された。

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半導体製造装置メーカーのドイツのAixtron は 2016年5月23日、中国の福建芯片投資基金 (FGC)が同社を買収することで合意したと発表した。

Aixtron は1983年創業で、ドイツのヘルツォーゲンラートに本社を置く。買収手続き完了後も、ヘルツォーゲンラートの本社と技術拠点、および英国のケンブリッジと米国カリフォルニア州 Sunnyvale にある技術拠点を維持する。

これに関し、オバマ米大統領は12月2日、Aixtron のカリフォルニア州の子会社 Aixtron Inc の買収を禁止すると発表した。軍事利用が可能な技術が対象に含まれ、米国の安全保障の脅威になると判断した。米財務省は、今回の買収に関し「中国政府が資金調達で支援している」と指摘した。

対米外国投資委員会(CFIUS)がAixtron の技術が軍事用途に使われる可能性があると判断しており、米子会社買収が「緩和措置を講じても解決できない安全保障上のリスクをもたらす」と強調した。

ドイツ政府は9月8日に買収を承認しているが、10月21日にこの承認を取り消し、買収の審査手続きを再開すると発表した。

福建芯片投資基金は12月8日、独 Aixtron の買収取り止めを発表した。米子会社を除いた買収も検討したが、戦略拠点の米子会社が除外され、独政府の認可の行方も不透明なことから買収を断念した。

2016/12/7 米政府、中国企業による独社の米子会社買収を禁止 

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ドイツの対外貿易に関する法律は、EU域外の企業がドイツ企業の株式の25%超を取得しようとする場合、それが公の秩序や国家の安全を脅かすものなら政府が阻止できるというものだった。
主に防衛部門の取引に適用されていた。

その後2017年7月の改正で、同法の適用範囲は先端防衛技術産業に加え、電力、水道、病院、交通等の基幹インフラに携わる企業にまで拡大された。
政府が買収を調査できる期間も、改正前の2ヵ月から最大4ヵ月に拡大された。

EUの欧州委員会は2017年、国家安全保障の観点から海外企業による投資について審査を厳格化する計画を打ち出し、ドイツはこれを支持している。

今回、審査が終わり、買収は承認された。中国人投資家によるコア技術をめぐる買収案件では、2017年7月の法律改正後で初めてのケースである。


Xeroxは5月3日、株主との和解を撤回したと発表した。


Xeroxは5月1日、富士フィルムによる買収提案を見直すと発表した。4月27日の裁判所による
買収手続きの一時停止を命じる仮処分を受け、同案に反対している大株主のCarl Icahn、Darwin Deason と和解した。

Carl Icahn、Darwin Deasonが提案する6人の取締役候補を受け入れ、Robert J. Keegan会長、Jeff Jacobson CEO ら現在の取締役7人が辞任する。

新たな取締役会は直ちに、富士フィルムとの関係を終了したり、再編することを含め、株主価値を最大にする戦略的代替案の検討を開始するとしている。

2018/5/2 Xerox、富士フィルムとの統合見直し、株主のCarl Icahn、Darwin Deason と和解  


5月1日のXeroxによる株主との和解を受け、富士フイルムHDは 5月2日、Xeroxが大株主と合意した和解に対し異議を申し立てた。

これを受け、 裁判所は5月3日聴聞を開いたが、和解案の発表から時間が無く、関係者の意見が出そろっていないと指摘。関係各者に書面で改めて意見を提出するよう求めた。決着までにはなお時間がかかる見通し。

今回の発表によると、上記の和解は、裁判所が承認し、その上で株主のDarwin DeasonがXeroxを相手取った訴訟を取り下げることを条件としていたが、 裁判所が承認を保留したため、5月3日午後8時の期限までに取り下げられず、失効した。

この結果、Robert J. Keegan会長、Jeff Jacobson CEO ら現在の取締役会と経営陣は留任する。引き続き財務と事業の改善に注力するとしている。

付記

Xerox は5月4日、裁判所が4月27日に下した買収手続きの差し止め命令に対し、異議申し立てをしたと発表した。
「差し止め命令はニューヨークの法律に反する。買収提案を認めるかどうかは裁判所ではなく、Xerox の株主が決めるものだ」と主張し、裁判所による差し止めの無効を訴えた。

富士フィルムホールディングスも同日、異議申し立てをした。

付記

米ニューヨーク州の裁判所は、上訴の審理を9月から始めると決めた。
審理までは差し止め命令が継続されるため、富士フイルムはゼロックスと買収手続きを進められない。

付記

Xeroxは5月9日、株主へのレターを発表した。

これまでの経緯を説明、裁判所からは富士フィルムと代替案の交渉をすることは出来るとの説明を受けており、富士フィルムと交渉するとしている。

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Xeroxが株主との和解を取り消しても、裁判所が4月27日に出した、Xeroxに対して買収手続きの一時停止を命じる仮処分は生きている。

株主に不利益が生じるのを防ぐため、企業側の買収手続きを暫定的に差し止めるもので、Xeroxは株主が満足する買収条件に変更するか、30日以内に上訴して命令取り消しを勝ち取る必要がある。

判事はまた、Xeroxが取締役候補の指名を制限するのを止めさせることを求めた要望を承認した。IcahnとDeasonは6月と想定される次の株主総会で取締役候補を指名できる。

2018/4/30 富士フイルムの Xerox買収、NYの裁判所が差し止め仮処分 

和解を取り消したことで、大株主のCarl Icahn、Darwin Deasonとの関係は悪化する。

上訴しても、命令取り消しを勝ち取れるかどうか疑問であり、仮に命令取り消しを勝ち取ったとしても、双方の取締役候補についての取締役選任、富士フィルムによるXerox買収契約の承認を巡り、委任状争奪戦になる可能性がある。

 

SaudiAramcoの上場問題

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サウジアラビアはSaudiAramco の新規株式公開(IPO)を巡る積極姿勢を後退させている。

当面、海外での上場をやめ、サウジ証券取引所(Tadawul)のみで上場する方向で進んでいる。年内とされていたが、2019年4月になると報道されている。

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サウジアラビア政府は2018年1月1日付で、Saudi Aramcoの企業形態を株式売買が可能な Joint Stock Companyに変更させた。
これにより、サウジ政府以外の投資家がAramco の株主になることができる。

Aramco は2018年下期にも株式の5%を内外市場で公開する予定で、上場する市場(複数)については、New York、London、Tokyo、Hong Kong などが候補として挙がっていた。
その後、国外上場候補をNew York、London、Hong Kong の3か所に絞り込んだと報じられた。

2018/1/11 Saudi Aramco、上場に備え企業形態を変更 

しかし、その後、法的リスクや、海外の取引所が企業に求める情報開示の基準が厳しいことなどを懸念し、先ず自国の証券取引所に限定する方針だと報じられている。

ムハンマド皇太子は3月20日、トランプ米大統領とホワイトハウスで会談し、Aramco の上場についても協議したとみられるが、具体的な進展はなかったとされる。

エネルギー産業鉱物資源相はテレビのインタビューで、Aramco のニューヨーク上場の条件や訴訟を巡るリスクに懸念を表明した。
ニューヨーク市が、ExxonMobil やBPなどの国際石油会社に対し「気候変動の原因を招いた」として提訴したことを具体例に挙げた。

ニューヨーク市は2018年1月10日、ExxonMobil、Chevron、BP、Shell、ConocoPhillips の5社を提訴すると発表した。
5社が気候変動の一因となっており、過去及び将来ニューヨーク市に財政的負担を強いるとし、港湾保護、上下水設備の改善、気候変動緩和、公共医療活動等に費やす数十億米ドルの補償を求める。
同市はすでに、海面上昇、強大な嵐、気温上昇対策のために200億米ドル以上を費やしている。

また、米国では2016年に米同時テロに関与した疑いがある外国政府に、遺族らが損害賠償を請求する訴えを起こすことができる「テロ支援者制裁法(JASTA)」が成立、本年3月に米国の判事がサウジ政府の要求を却下してサウジ政府を被告とする裁判が開始されることとなった。

サウジ政府が最大株主になるアラムコは、資産差し押さえなどの潜在的なリスクにさらされる。

2016/10/1 米同時テロ遺族のサウジ提訴法案、大統領拒否権を覆し成立

2018/4/6 サウジ政府を被告とする9.11同時多発テロ訴訟、裁判開始へ

上場会社になると、Aramco の確認埋蔵量などのデータを公表する必要が出るが、これに対する反発も根強い。





Saudi Aramco は4月29日、新取締役5名を発表した。サウジ政府が指名した。3名が退任する。

H.E. Khalid A. Al-Falih Chairman、サウジ エネルギー大臣
H.E. Dr. Ibrahim A. Al-Assaf Vice Chairman
Mr. Amin H. Nasser President and CEO
新任 H.E. Mohammed A. Al Jadaan サウジ財務大臣
新任 H.E. Mohammed M. Al-Tuwaijri サウジ経済企画大臣
H.E. Yasir O. Al-Rumayyan 元サウジ財務大臣、サウジ PIF Managing Director
ソフトバンク取締役
Sir Mark Moody-Stuart Royal Dutch Shell 元会長、国連財団Global Compact 会長
Mr. Andrew F. J. Gould 英国BG Group 会長(元 Schlumberger会長・CEO)
新任 Mr. Peter L. Cella Chevron Philips Chemical 元社長 (2011-2017)
新任 Ms. Lynn Laverty Elsenhans Sunoco Inc 元社長・CEO (2008-2012)
新任 Mr. Andrew N. Liveris (2018/7/1 就任) DowDuPont Director を2018/7/1に退任
退任 H.E. Dr. Majid Al-Moneef サウジ王室アドバイザー
退任 H.E. Dr. Khaled S. Al-Sultan King Fahd 石油鉱物資源大学 学長
退任 Mr. Peter Woicke 元世銀理事・IFC副総裁


本年下期か2019年初めに5%の上場を準備しているSaudi Aramco は、初めて女性を取締役に選任した。

2008年から2012年まで米国のSunoco Inc.の会長兼CEOを務めたLynn Laverty Elsenhans 女史である。
それ以前は、Royal Dutch Shellに28年以上勤務し、最後はExecutive VP of global manufacturing であった。
2017年7月まで Baker Hughesの取締役であった。現在、GlaxoSmithKlineの取締役でもある。

他に、下記の人々が選任された。

・サウジの財務大臣と経済企画大臣

・2011年から2017年までChevron Philips Chemicalの社長を務めた Peter L. Cella氏

・DowDuPont のAndrew N. Liveris 氏

DowDuPontAndrew N. Liveris 会長兼CEOは2018年4月1日付で退任した。7月1日には同社の取締役からも退任する。
DowDuPont
の取締役退任の7月1日付で SaudiAramco取締役に就任する。

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サウジでは女性が大企業の取締役になっているのは極く少数であるが、最近は変わりつつある。

2004年にLubna Olayan (Olayan 財閥の一員)が Saudi Hollandi Bank(現在のAlawwal Bank )の取締役に就いた。彼女は2006年に最大の鉱山会社 Ma'aden の取締役にも選ばれている。

昨年には、サウジ証券取引所がSarah Al-Suhaimi を女性として初の会長に選任した。

ムハンマド皇太子はサウジの改革を進めている。

サウジでは世界で唯一、女性の自動車運転が禁止されていたが、2017年9月27日にサルマン国王が女性に自動車の運転を許可する勅令を出した。


米証券取引委員会(SEC)と米司法省は4月30日、パナソニックと米子会社Panasonic Avionics に対し、海外腐敗行為防止法違反などで、計280.4百万ドルの制裁金を科すと発表した。
両社は支払いに同意している。


パナソニックは、子会社の海外汚職行為防止法(Foreign Corrupt Practices Act)違反と不正会計違反で、SECに不当利益返還で143百万ドルを支払う。

Panasonic Avionics は司法省に
海外汚職行為防止法違反の罰金として137.4百万ドルを支払う。
Panasonic Avionics はDPA(deferred-prosecution agreement)を結んだ。これは、罪を認め、検察当局と合意した条件を一定期間遵守すれば、検察官は刑事訴追を見送るというもの

パナソニックは2017年2月に、米司法省とSECから調査を受けていると公表。調査に全面協力し、解決に向けた協議を続けていた。
同社は、今回の制裁金の支払いは2017年10~12月期までに引き当て済みであると発表した。

SECは次の点を指摘している。

航空機向けの娯楽システムを提供するPanasonic Avionics は、国営航空会社との7億ドル以上の2つの契約成立のため、国営航空会社の政府職員を自社のコンサルタントとして雇用した。(報道によると中東の国営航空会社)
ほとんど仕事は無しで、無関係の第三者を使って支払うことでその報酬を隠した。SECはこれを賄賂に当たると判断した。(司法省は賄賂とは認定していない。)

パナソニックは2012年第2四半期に、82百万ドル以上の収入を実際より早く計上して、税引前利益と純利益を過大に表示した。これを行うため、Panasonic Avionics は航空会社との契約を実際より早い時期に遡及し、監査法人に誤った情報を与えた。
(発表文では明確でないが、Panasonic Avionicsが航空会社との契約を実際より早い時期に遡及した結果、パナソニックの連結決算で税引前利益と純利益が過大に表示されたということかも分からない。)

パナソニックでは十分な内部監査ができておらず、
Panasonic Avionics が雇ったコンサルタントや、中東とアジアの国営航空会社などとのビジネスに使う代理店などに関する正確な帳簿をつけていない。

パナソニックは、Securities Exchange Act of 1934 の賄賂防止、不正防止、帳簿記録、内部監査、報告などの規定に違反していることを認め、不当利益返還で約143百万ドル支払というSECの命令に同意した。


司法省の発表は次の通り。

Panasonic Avionics は航空機の娯楽システムや通信サービスを設計、販売している。

同社は、不適切な目的のためのコンサルタント雇用に関し、意図的にパナソニックの帳簿や記録を胡麻化した。

コンサルタントはほとんど仕事はしないが、第三者を通して雇用され、 パナソニックやPanasonic Avionicsの誰も管理しないまま、Panasonic Avionicsのある役員が完全に管理する予算から報酬を支払われた。

そのうちの一人は、国営航空会社の社員で、Panasonic Avionics との契約改正交渉の担当であった。6年以上にわたる期間に875千ドルが支払われ、Panasonic Avionicsはそのコンサルタントが関与した契約で92百万ドル以上の利益を得た。

これらの費用はコンサルタントフィとして帳簿に計上され、パナソニックは販売費一般管理費に計上した。

Panasonic Avionicsはまた、アジア地区の社員が会社の基準に反する販売代理店を使うことを隠していたことを認めた。会社はこれらの代理店との関係を断ったが、その社員は他社の下請けとして使うことで引き続き使っていた。少なくとも13の下請けに7百万ドル以上を払い、これを隠していた。

Panasonic Avionics は海外汚職行為防止法違反で137.4百万ドルを支払うことに同意した。 調査に協力したため、この額はガイドラインから20%引きとなっている。

Panasonic Avionics はDPA(deferred-prosecution agreement)を結んだ。罪を認め、検察当局と合意した条件を一定期間遵守すれば、検察官は刑事訴追を見送るというもの

親会社のパナソニックの帳簿・記録を意図して胡麻化したことに対するもので、一環として137,403,812ドルの罰金を支払う。今後も調査に協力し、内部監査を高め、最低2年間、第三者によるコンプライアンスに関するモニタリングを受ける。さらにその後1年間、コンプライアンスに関する自主報告を司法省に対して行う。

(SECは賄賂と認定したが、司法省は賄賂とは認定せず、親会社の記録を意図的に胡麻化したことへの罰金としている。)

パナソニックは、Panasonic Avionicsの企業風土の改革に向け、幅広いコンプライアンスおよび内部統制の強化を監督する。これらの措置には、Panasonic Avionics経営陣の刷新および第三者のエージェントやコンサルタント起用の削減や管理強化が含まれているとしている。

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過去に日本企業が海外汚職行為防止法 (Foreign Corrupt Practices Act)違反で摘発された例は次の通り。

1) ブリヂストン マリーンホース国際カルテル事件

米司法省は2007年5月2日、原油の海上輸送に使うマリンホースの販売で国際的な価格カルテルに関与した疑いがあるとして日欧企業の幹部8人を逮捕したと発表した。
逮捕されたのは日本のブリヂストンの1名と英国のコンサルタント、英社の2名、仏社の2名、伊2社の各1名の
合計8名。

ブリヂストンは2008年2月12日、マリンホース事業で中南米や東南アジアなどの外国公務員に対する不適切な支払いが少なくとも1億5千万円あったと発表した。販売を仲介する海外コンサルタントに支払った手数料の上乗せ分が複数国の公務員らに賄賂として渡った可能性があるというもので、不正競争防止法違反(外国公務員への賄賂)にあたる恐れがある。

ブリヂストンは2011年9月16日、米司法省と司法取引をしたと発表した。有罪を認め、罰金2800万ドルを払うことで合意した。

司法省はブリヂストンの調査への協力を評価し、罰金を減額した。当初報道では、Sherman Act(独禁法)違反で1億ドル、Foreign Corrupt Practices Act違反で50万ドルとされていた。

2007/12/18 マリーンホース国際カルテル事件のその後

米司法省は2008年12月10日、ブリヂストン社員が有罪を認め、2年の禁固刑と8万ドルの罰金を課せられたと発表した。

カルテルへの参加のほか、ラテンアメリカその他で公務員に不適切な支払いをした連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)違反でも訴えられていた。FCPA違反は彼のみ。

2008/12/12 マリンホース国際カルテル事件で日本人に有罪判決

2) 日立製作所 南ア発電所

米証券取引委員会は2015年9月28日、発電設備の受注にからんで南アフリカの与党アフリカ民族会議側に不適切な支出をしたとして、日立製作所が民事制裁金1900万ドルを支払うと発表した。
日立は、米国の海外腐敗行為防止法に違反したとされたが、SECの主張を肯定も否定もせず和解に応じた。

SECによると、日立は2005年に現地法人を南アフリカに設立し、株式の25%をアフリカ民族会議と関係のある企業に約19万ドルで売却した。
日立はその後、火力発電所のボイラー納入で2件の契約を受注し、アフリカ民族会議側企業に配当名目で約500万ドル、コンサルタント料として成功報酬約100万ドルを払った。
2014年2月に現地法人の株を約440万ドルで買い戻しており、企業は合計で投資額の50倍を超える金額を受け取ったことになるという。

3) オリンパス 中南米医療

オリンパスは2016年2月29日、米国子会社 Olympus Corp. of Americasが米国で医師にキックバックを提供した件と、Olympus Latin Americasとブラジル子会社が中南米の当局者に賄賂を払ったとされる問題で、罰金と制裁金を支払うことで合意した。

Olympus Corp. of Americasが米国で医師にキックバックを提供した反キックバック法及び米国虚偽請求取締法違反の件で、罰金・制裁金として、612百万ドルと金利11.2百万ドル。

Olympus Latin AmericasとOlympus Optical do Brasilが中南米の当局者に賄賂を支払っていたとされる海外腐敗行為防止法違反の件で、罰金22.8百万ドル。

Xeroxは5月1日、富士フィルムによる買収提案を見直すと発表した。4月27日の裁判所による買収手続きの一時停止を命じる仮処分を受け、同案に反対している大株主のCarl Icahn、Darwin Deason と和解した。

2018/4/30 富士フイルムの Xerox買収、NYの裁判所が差し止め仮処分

Carl Icahn、Darwin Deasonが提案する6人の取締役候補を受け入れ、Robert J. Keegan会長、Jeff Jacobson CEO ら現在の取締役7人が辞任する。
Jacobson CEOを「ならず者経営者」と呼んだCheryl Krongard を含む 3人は留任する。

新任の取締役のうち、Icahn EnterprisesのCEOのKeith Cozzaが会長に、John Visentin(Senior Advisor to the Chairman of Exela Technologies )が副会長兼CEOに就任する。

新たな取締役会は直ちに、富士フィルムとの関係を終了したり、再編することを含め、株主価値を最大にする戦略的代替案の検討を開始するとしている。


富士フイルムは「Xerox旧経営陣と合意した買収計画の実行を新たな経営陣にも求めていく」とコメントした。「今回の和解を想定していなかった」としており、今後対応策を検討するとみられる。

富士フィルムは、4月27日の判決について、「意外な判決に驚いている。精査して、上訴を含め適切な手段をとっていく」と述べていたが、Xeroxが株主との和解に踏み切り、新たな取締役会がIcahn主導となったため、富士フィルムの買収案がこのまま通る可能性はなくなった。


付記

富士フイルムHDは 5月2日、Xeroxが大株主と合意した和解に対し異議を申し立てた。

米裁判所は4月27日、買収手続きの一時差し止めを命じたが、大株主とXeroxが和解したことで、Xeroxのみ一時差し止めが解除されることになり、同社は他社との交渉を進められることになる。
富士は自社だけ差し止めが続くことを不服としており、認められなければ上訴する。

裁判所は5月3日、和解案の発表から時間が無く、関係者の意見が出そろっていないと指摘。関係各者に書面で改めて意見を提出するよう求めた。決着までにはなお時間がかかる見通し。


水俣病の公式確認から62年を迎えた5月1日、水俣病犠牲者慰霊式が熊本県水俣市の「水俣病慰霊の碑」前で営まれた。

参列した原因企業チッソの後藤舜吉社長(83)が式後の取材に対し、水俣病被害者救済法(特措法)に盛り込まれた事業子会社JNCの株の売却要件の一つである「救済の終了」について「異論はあるかもしれないが、私としては救済は終わっている」と述べた。子会社JNCの売却について、「ぜひやりたいと思っています」と述べた。

熊本、鹿児島両県では計1900人近くが患者認定を申請中で、認定や損害賠償を求めた訴訟も各地で続く。

しかし後藤社長は、「救済とは特措法による救済という意味で、あたうかぎり広く救済した。いろいろ紛争がありますけども、(現在も続く訴訟の原告は)その広い範囲の救済にもかからなかった人たちですから」と答えた。

特措法に基づく救済策は2014年に対象者の判定が終わっている。後藤社長の主張によると、特措法による「救済」は終了しており、JNCの株の売却要件の一つである「救済の終了」は充足しているというもの。

後藤氏は、チッソで長く水俣病対応を担当し、社長・会長を経て最高顧問となっていたが、2017年6月の株主総会後の取締役会で社長に復帰した。

JNC売却後にはチッソ本体の清算が可能となるため、補償主体が消えるとの懸念が強い。

現在も患者認定を求める人がおり、訴訟も続いていることから患者・被害者団体からは「加害企業としてあるまじきことだ」と批判の声があがっている。 水俣病不知火患者会の事務局長は「被害者が救済を求めて裁判を続ける現実を見ていない。被害者に対する冒瀆だ」と批判した。水俣病被害者互助会の事務局長は「自分たちが水俣病で何をしたのか理解していない」と述べた。

今回の発言を受け、中川雅治環境相は「現時点で患者認定の申請が出されていて訴訟も提起されている。救済の終了とは言いがたい」との見解を示した。

付記 チッソは5月18日、下記の「お詫びと撤回」を発表した。

本年5月1日に開催された水俣病犠牲者慰霊式後の私の発言により、患者の方々、ご家族、ご遺族の方々を始め多くの方々に不安と不快の念を与えてしまいましたことに対し、誠に申し訳なく、深くお詫びを申し上げます。

当社におきましては、水俣病補償を至上の命題に掲げ、その完遂のため必死の努力を傾けて参りました。また、「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法」に基づく救済措置対象者の判定が終了した旨の発表が平成26年8月29日に環境省からあり、一時金の支払いを誠実に実施しているところでございます。このことから、一定の区切りがついていることを申し上げました。

そのような趣旨でございましたが、私の言葉足らずによりこのような事態となりましたことを深く反省し、「救済の終了」を始めとする皆様に不安と不快の念を与えてしまいました発言を撤回いたします。

生存患者の方々に対する継続補償はもとより、「公害健康被害の補償等に関する法律」の認定や訴訟に基づく新たな補償責任発生の可能性もあることも十分承知しております。これらの責任につきましてもこれまで通り真摯に対応して参る方針に変わりはなく、今後も水俣病補償完遂のため努力を傾けて参ります。

ーーー

チッソは2010年11月12日、水俣病被害者救済特別措置法(特措法)に基づき、同社を補償部門と事業部門に分社化する「事業再編計画」の認可を松本龍環境相に申請、12月15日、「事業再編計画」が認可を取得した。事業再編計画では、事業会社の株式の譲渡を進めるものではなく、いかなる場合も認定患者の補償責任完遂、被害者救済を行うとなっている。

2011年1月12日、チッソの100%出資で資本金は150百万円の新会社「JNC株式会社」(社名はJapan New Chissoから)が設立され、3月末に親会社チッソから機能材料分野、化学品分野及び加工品分野などの事業継続に必要な土地や設備などの財産譲渡を受けた。

親会社は当面、子会社の株式配当益で補償業務を担い、3年後をめどに株式を他者に全面譲渡、譲渡益を熊本県に納付して補償業務を委ね、清算するという構想である。

なお、特措法では、「救済の終了」と「市況の好転」をJNC売却の条件としている。

水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法

(事業会社の株式の譲渡)
第十二条 特定事業者は、事業会社の株式の全部又は一部を譲渡しようとするときは、あらかじめ、環境大臣の承認を得なければならない。
2 環境大臣は、前項の承認をしようとするときは、あらかじめ、総務大臣及び財務大臣に協議するとともに、第十七条第二項の指定支給法人にその旨を通知しなければならない。
3 環境大臣は、第十九条第一項の補償賦課金の確保及び公的支援に係る借入金債務の返済の確保その他債権者の保護に関する政府の方針に従って、次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、第一項の株式の譲渡に係る承認をすることができる。
一 第十九条第一項の補償賦課金を株式の譲渡により確保できること。
二 公的支援に係る借入金債務の返済に支障が生じないと見込まれること。
三 第一項の株式の譲渡の後に債権者の一般の利益が害されることがないこと。

第十三条 事業会社の株式の譲渡は、救済の終了及び市況の好転まで、暫時凍結する。

チッソはJNCを売却した後、チッソ本体の清算が可能になる。このため、補償の主体が消えるとの懸念が患者・被害者団体にある。

2010/11/15  チッソ、事業再編計画の認可申請 

2011/1/12  チッソ、「事業再編計画」に基づく、新会社「JNC株式会社」を設立

ソフトバンクグループ傘下で米携帯4位のSprintと同3位のT-Mobile US, Inc. は4月29日、経営統合することで合意したと発表した。

ソフトバンクとT-Mobileの親会社ドイツテレコムが互いに主導権を主張し交渉は難航したが 、統合会社をドイツテレコムの連結対象にすることで決着した。

統合は株式交換によって行い、Sprint 1株に対して、T-Mobile US株 0.10256株を割り当てる。
統合会社の社名は「T-Mobile」とし、T-MobileのCEO が統合会社のCEOとなる。

統合会社の持株比率はドイツテレコムが41.7%、ソフトバンクが27.4%となる。

取締役は14人で、ドイツテレコムが9人、ソフトバンクグループが4人を指名する(残り1名は中立系)。ソフトバンクグループの孫正義社長とSprintのCEOも取締役に加わる。

2019年半ばまでの取引完了を目指す。



SprintとT-Mobile USの契約者数は合わせて1億2600万人となり、1億5千万人のVerizon Communications、1億4千万人のAT&Tに迫る。

通信速度が現行の100倍の次世代通信規格「5G」の商用化は目前に迫っている。

ソフトバンクは5Gの競争を勝ち抜くためには規模の拡大が欠かせないと判断し、経営の主導権を譲って統合を優先したとみられる。両社は統合により顧客基盤を固め、3年で400億ドルを5Gなどに投資する計画という。 合併により年間60億ドルのコスト削減を見込む。

今後の焦点は米連邦通信委員会(FCC)や米司法省反トラスト局などが承認するかどうかに移る。

ソフトバンクは2013年にSprintを買収したが、米携帯電話市場は1位のVerizon Communications、2位のAT&Tの上位2社と、3位のT-Mobile US、4位の Sprintの下位2社との差が大きく、孫社長は下位2社の合併による「第3極」の必要性を訴えてきた。

ソフトバンクは2014年にT-Mobile US 買収でドイツテレコムと合意したが、 携帯会社が3社になることを懸念する米規制当局の承認を得ることが難しいことから断念した経緯がある。

今回は、 状況が変わっている。SprintのCEOは、「5Gの競争はもはや携帯大手4社によるものではない。ケーブルテレビ大手など7~8社がライバルになる」と述べた。T-MobileのCEOも、「地方などで何千人もの雇用を生み出すことができる。消費者や米国にとって良いことだ」と強調した。

また、米政権が規制緩和を主張するトランプ政権に代わった。ソフトバンクの孫社長はトランプ大統領と親しい関係にあることもあり、当局の方針が変わる可能性はある。

孫正義社長は2017年12月6日、Trump 次期米大統領とニューヨークの Trump Tower で45分間会談、孫社長は、米国のスタートアップ企業などに500億ドルを投資し、5万人の雇用を生みだすと約束した。Trump 氏は会談後、孫社長とともにTrump Tower のロビーに現れ、孫氏を「業界で最もすばらしい男の1人」とたたえた。

2016/12/7  ソフトバンク孫社長、米に500億ドル投資 

ーーー

ソフトバンクは2013年に総額約2兆円を投じ Sprint を買収した。

直後からソフトバンクはT-Mobile USの買収を目指して動き出した。

当時、ドイツテレコムは増え続ける投資負担から米国市場からの撤退を模索していた。
2011年3月には、T-Mobile US をAT&Tに390億ドルで売却することで合意した。しかし、AT&Tは競合や規制当局から独禁法違反で提訴され、2011年12月に断念した。

2014年6月、ソフトバンクとドイツテレコムがSprintとT-Mobile US の合併で合意したと報じられた。SprintがT-Mobile USの株を総額320億ドルで買収するということであった。

しかし、同年8月にSprint はT-Mobile USの買収交渉を中断した。米連邦通信委員会(FCC)や米司法省反トラスト局は大手携帯電話会社が4社から3社に減ることは競争上問題だとして難色を示していた。
日本の当局にも承認は難しいとのメッセージを送ってきていたという。

ソフトバンクは買収に向けてロビー活動を続けてきたが、当局の考えを変えることはできなかった。

その後、状況が一変した。

2014年ころまでは、T-Mobile US は親会社のドイツテレコムのお荷物だった。 その後、T-Mobile US は急成長し、稼ぎ頭になった。
ドイツテレコムは、T-Mobile US を成長産業と見るようになり、経営権を引き続き握ることと決めた。

2017年5月にソフトバンクとドイツテレコムは協議を再開した。
(米政府による周波数帯の入札に関連して、携帯通信業界の合併交渉は4月27日まで約1年間禁止されていた。)

ソフトバンクが統合会社において経営権を保有することを希望したが、 ドイツテレコムも統合会社の経営権を要求した。

ソフトバンクは統合に向け、様々なケースを模索した。ドイツテレコムに新会社の筆頭株主の座を譲っても、孫氏が会長につくなどして経営に影響を与え続ける、一度経営権を手放しても数年後に買い戻す――など。ギリギリの駆け引きの結果、2017年10月にはドイツテレコムと統合に向けて大筋合意した。

しかし、ファーストリテイリング の柳井正会長兼社長を含むソフトバンクの取締役会がこれに反対したとされる。Sprintの時価総額はT-Mobile USの時価総額の2/3程度のため、合併では新会社の持株比率はソフトバンクがドイツバンクの下になるため、「会社の規模を拡大しても米携帯市場への影響力が下がってしまえば元も子もない」と結論した。

2017年10月27日の取締役会で、Sprintについて「グループの戦略的に重要な拠点・会社であるか、それとも単なるアセットなのか」という議論を社外取締役を交えて行った結果、5年後から10年後を見据えた共通意見として、経営統合交渉の中止を決めた。世界最大の米国の携帯電話市場を「手放す訳にはいかない」とため、経営権にこだわった。

この時点で孫社長は次のように述べていた。

人間と人間をつなぐ通信ではVerizonやAT&Tが先を行っていて、これらを抜くのは難しい。しかし、IoTを考えるとグループにARM Holdingsを抱える我々はがぜん有利な立場にある。

インターネットはモバイルだけではない。

(ソフトバンクは2016年9月に、英半導体開発大手の ARM Holdings plc を、日本企業の海外買収案件としては過去最大の240億英ポンド(約3兆3千億円)で子会社化した。孫正義社長は、「今後10年でテクノロジー分野において最大級のプレーヤーになる。出資先のテクノロジー企業の発展に寄与することで、情報革命をさらに加速させていく」と述べた。)

現在では、孫社長の関心は、AIとIoTとスマートロボットの3つで、通信インフラより、それを活用するサービス分野に重点が移っている。IoTの通信基盤となる5Gの競争を勝ち抜くためには規模の拡大が欠かせないと判断し、経営権をドイツテレコムに譲っても合併を優先したとみられる。

また、統合により、連結決算対象であるSprintは対象から外れる。Sprintの有利子負債は4兆1千億円で、ソフトバンク連結全体の3割近くとなっており、支払金利は年2700億円に上る。
連結から外れることで、有利子負債が一気に減り、格下げ圧力も和らぐ。


純利益が前期比51%増の2662億円となり、10年ぶりに過去最高を更新した。

塩化ビニル樹脂や半導体シリコンウエハーなどの値上げが進み、採算性が改善した。

米国の法人税引き下げに伴い、Shintechの税金費用が一時的に約300億円減ったことも純利益を押し上げた。

Shintechが100%子会社であることから、連結損益のほとんどが株主帰属損益であり、株主帰属損益では三菱ケミカルを大きく上回る。
(三菱ケミカルHDの2月6日発表の予想では、当期損益は2660億円だが、株主帰属損益は2000億円)

単位:億円 (配当:円)

  売上高 営業損益 経常損益 株主帰属損益

配当

中間 期末
2016/3 12,798 2,085 2,200 1,488 55 55
2017/3 12,374 2,386 2,421 1,759 60 60
2018/3 14,414 3,368 3,403 2,662 65 75
前年比 2,040 982 982 903 5 15
2019/3予

未定


年間配当は20円増の140円とし、3期連続で増配する。

営業損益は下記の通り。


営業損益推移 (
単位:億円)

セグメント  16/3 17/3 18/3 増減
塩ビ・化成品 447 532 932 401 Shintechがフル操業を継続、日本と欧州も好調
世界能力 PVC 415万トン、NaOH 166万トン
米国エチレン(50万トン)は2018年末完成予定
シリコーン 415 425 520 94 全分野・用途で需要伸長
機能性化学品 182 222 257 35 セルロース誘導体は、医薬用製品、建材用製品及び塗料用製品が底堅く推移、フェロモン製品やポバール製品ほかも総じて堅調な仕上がり
半導体シリコン 469 560 930 370 旺盛な半導体デバイス需要に対応、製品価格も修正
電子・機能材料 515 552 616 64 希土類磁石、フォトレジスト製品、等々、いずれも好調
その他 56 96 115 19  
全社 1 -1 -2 -0  
合計 2,085 2,386 3,368 982  



Shintech の能力は次のとおりとなる(単位:万トン)

立地 PVC VCM カ性ソーダ エチレン
Texas州 Freeport  145   -   -  
Louisiana州 Addis   58   -   -  
Plaquemine   60   160  106  
 今回増設 32 30 20 50
合計  295  190   126 50


増設分はエチレン以外は2016年度に既に稼働している。
エチレンは2018年初めの完成予定であったが、
地盤の問題で杭工事の手直しが相当量発生し、2018年末完成予定となった。
(東洋エンジはこれによる同社のコスト増負担を266億円と発表した。)

2014/4/17 Shintech、米国でエチレン工場の建設許可を申請

2017/5/24 東洋エンジニアリングの決算 米国エチレンプロジェクトで損失

今期はShintechの業績を発表していない。

信越の塩ビ・化成品の営業損益は前年比401億円の増益としており、かなりの部分がShintechと思われる。
更に、米国の法人税引き下げに伴い、税金費用が一時的に約300億円減ったことも純利益を大きく押し上げた。

2018年度では、税金減の影響は無くなるが、エチレン自製の効果が出る。

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