2019年9月アーカイブ


トランプ米大統領は9月27日、米連邦政府の支出を2019年のレベルで11月21日まで手当てするつなぎ予算に署名した。9月末の期限を迎える前に暫定予算が成立したことで、政府機関の一部閉鎖は当面避けられる。

しかし、米下院がトランプ大統領の弾劾への調査に着手したため、11月21日までに予算がまとまる可能性は少ない。


10月1日から始まる2020会計年度の予算は、トランプ大統領が選挙公約に掲げる「国境の壁」の建設費などで妥協点を見いだせておらず、進展がない。

このままではまた、政府閉鎖となる。

下院は政府機関閉鎖を回避するため、11月21日までのつなぎ予算を9月19日に301対123の賛成多数で可決した。

共和党全体の約6割に相当する119議員と民主党議員3人、無所属(共和党から離党)1人が反対票を投じた。

  共和党 民主党 無所属 合計
賛成 76 225 301
反対 119 3 1 123
棄権 4 6 10
欠席 1 1
合計 199 235 1 435

参考 下院の議員に以下の異動がある。 下院議決は9月19日でDuffy議員辞職前。

  共和党 民主党 無所属 未確定 合計
2019/1 199 235 1 435

North Carolina-No.9 未確定

7/4 198 235 1 1 435

Justin Amash議員 共和党離党

9/10 199 235 1 0 435 North Carolina-No.9 共和党 Dan Bishop当選
9/23 198 235 1 1 435   共和党 Sean Duffy議員 辞職


これを受け、上院は9月26日、賛成81、反対16 (共和党)で可決した。

共和党 民主党 民主系
無所属
合計
賛成 37 43 1 81
反対 16 16
棄権 2 1 3
合計 53 45 2 100


もう一つの政府機関閉鎖の原因となる債務上限については引き上げ済みである。

トランプ大統領は7月22日、今後2年間の連邦政府の歳出と債務の上限について与野党で合意したとツイッターで発表した。

2020会計年度(2019年10月~20年9月)と21会計年度の歳出上限を計3200億ドル引き上げるほか、債務上限については、2021年7月末まで2年間棚上げする。

2019/7/25 米 歳出上限と債務上限を引き上げ 


最近の予算審議の状況は下記の通りで、最近は期限までに予算が通ったことがない。

  大統領 当初  
  Obama
(2009/1~
   2017/1)
 

オバマ政権は成立以来、予算案と債務上限問題で苦しんだ。
本予算が期限に一度も通らず、それまでの支出のペースを維持する短期の暫定予算をつないだ。

背景については 2013/3/25 米議会が暫定予算可決 

2012/10~2013/9 暫定予算 2013年3月、政府機関の閉鎖回避のための年度末(9月30日)までの暫定予算案を承認
  2013/3/25 米議会が暫定予算可決
2013/10~2014/9 暫定予算 17年ぶりとなる政府機関の一部閉鎖
  
2013/10/1 米国、予算成立せず、政府機関を一部閉鎖

2014年1月16日に、2014年9月30日までの歳出法案を可決

2014/10~2015/9 暫定予算 米上院本会議は12月13日深夜、2015年9月までの包括的歳出法案を可決した。
移民制度改革(不法移民の大量受け入れ)の所管事項が多い国土安全保障省の予算については、2015年2月までとされた。
  
2014/12/18 米国、包括的歳出法案が可決するも、問題を残す
  2015/3/6 米、国土安保省の予算可決 
2015/10~2016/9 暫定予算 米議会下院と上院は2015年12月18日、1兆1500億ドル規模の予算法案を可決した。
  2015/12/21 米議会、予算案を可決
2016/10~2017/9 暫定予算 2016/12/10 米国議会、来年4月28日までの暫定予算を可決

米議会共和党と民主党は2017年4月30日夜、2017年9月末までの資金を手当てする約1兆ドル規模の予算案について合意した。

2017/10~2018/9 Trump
(2017/1~
暫定予算 2018年3月23日の暫定予算期限が近づく中、共和・民主両党の議会トップ4人は3月21日夜、10月までの政府予算を手当てする歳出法案で合意した。
  
2018/3/23 米、暫定予算期限切れ1日前に予算案承認

その後、つなぎ予算を延長したが、2018/1/19に4度目の延長に失敗、時間切れで政府機関の閉鎖
  2018/1/20 米政府機関、閉鎖 
  
2018/1/23 米国、政府機関閉鎖解除へ 
  2018/2/10 米国政府機関、再度の閉鎖、数時間後に予算合意で解除
  2018/3/23 米、暫定予算期限切れ1日前に予算案承認

2018/10~2019/9

一部暫定予算 米連邦予算法案が9月28日にトランプ大統領が署名し、成立した。
国防省等については正式予算、メキシコとの間の壁
の建設を担当する国土安全保障省等については12月7日までの「つなぎ予算」とする異例の形となった。
  
2018/10/2 米国、10月からの政府閉鎖回避

米議会上院の与野党は12月21日午後8時30分に、新たなつなぎ予算案を可決することなく22日正午まで休会に入った。国土安全保障省、司法省、住宅都市開発省など、連邦政府の約4分の1にあたる機関では午前0時に予算が失効した。
  
2018/12/31 米政府機関の一部閉鎖、年明けまで続く

トランプ米大統領は2019年1月25日、連邦政府の一部閉鎖を2月15日まで3週間解除することで与野党と合意したと発表した。 野党・民主党に譲歩し、「国境の壁」建設費を含まないつなぎ予算を容認する。
   2019/1/26 米国、政府閉鎖を一時解除

米与野党の議会指導部は期限が迫る2月11日、「つなぎ予算」としていた国土安全保障省等について新たな予算案で基本合意した。

  2019/2/18 米国予算案 成立、大統領は同時に非常事態宣言で他予算を壁建設に流用へ
  
2019/4/8 米下院、国境の壁建設は憲法違反として提訴

民主党が主導権を握る 米下院情報特別委員会は9月26日、トランプ大統領が来年の米大統領選での再選を視野にウクライナに圧力を掛けたとされる疑惑を巡り、当局者の内部告発文を入手し、公表した。


内部告発書は、トランプ大統領がウクライナを米大統領選に介入させようとしたと指摘。「米国の国家安全保障への脅威」との懸念を表明し、「緊急を要する懸案」に当たるとした。 内部告発者の身元は明かされていない。

情報当局者は監察官に内部告発した。米連邦法は監察官が告発内容について「緊急の懸念だ」などと判断した場合には議会に対して7日以内に報告する義務がある。監察官は告発内容が議会報告に値すると判断している。

しかし、国家情報長官代行が内部告発の内容について報告を拒否した。

民主党のペロシ下院議長は報告拒否を「法律違反だ」と断じ、最終責任はTrump大統領にあるとしている。

トランプ大統領やホワイトハウスは、内部告発者は党利党略のために動く民主党支持者だと反論していたが、26日の下院情報委員会の公聴会でマグワイヤ国家情報長官代行が宣誓証言し、その中で、内部告発者は「誠実に行動」し、「正しいことをした」と述べた。

長官代行は証言で、自身のデスクに置かれた告発書が「前例のないもの」だったとし、伏せる必要のある大統領の保護された会話に関わるかどうか見極めるため、議会には送付せずホワイトハウスの法律顧問らと協議したと述べた。また、告発内容が本当に議会送付が法律上必要とされるものに当たるかどうか司法省にも助言を求め、犯罪捜査当局に送ったことも明らかにし、「誰からも指示を受けなかった」と付け加えた。


内部告発書の主な要点は以下の通り。

・ トランプ大統領が2020年の大統領選挙で外国からの介入を求めるため大統領の権限を利用しているとの情報を職務の一環として米当局者から受け取った。

In the course of my official duties, I have received information from multiple U.S. Government officials that the President of the United States is using the power of his office to solicit interference from a foreign country in the 2020 U.S. election.

・ 外国からの介入には、トランプ大統領の「国内の主要な政敵」の一人を調査するよう外国に圧力をかけることが含まれていた。

This interference includes, among other things, pressuring a foreign country to investigate one of the President's main domestic political rivals.

介入に関する報告では、トランプ大統領の顧問弁護士、ルディ・ジュリアーニ氏が中心的人物であり、バー司法長官も関与している模様。

The President' s personal lawyer, Mr. Rudolph Giuliani, is a central figure in this effort. Attorney General Barr appears to be involved as well.

・ これは深刻な問題で、違法である。このため、告発する。米国の国家安全保障への脅威となり、米国の選挙に対する外国の介入を阻止し、対抗する取り組みを損なうと懸念する。

I am deeply concerned that the actions described below constitute "a serious or flagrant problem, abuse, or violation of law or Executive Order" that "does not include differences of opinions concerning public policy matters," consistent with the definition of an"urgent concern" in 50 U.S.C. §3033(k)(5)(G). I am therefore fulfilling my duty to report this information, through proper legal channels, to the relevant authorities.

I am also concerned that these actions pose risks to U.S. national security and undermine the U.S. Government's efforts to deter and counter foreign interference in U.S. elections.

・ 7/25 の電話で大統領はウクライナ大統領にBiden前副大統領と息子の活動についての調査を進めるよう圧力をかけた。

According to the White House officials who had direct knowledge of the call, the President pressured Mr. Zelenskyy to, inter alia: initiate or continue an investigation into the activities of former Vice President Joseph Biden and his son, Hunter Biden

The Ukrainian side was the first to publicly acknowledge the phone call. On the evening of 25 July, a readout was posted on the website of the Ukrainian President that contained the following line:
"Donald Trump expressed his conviction that the new Ukrainian government will be able to quickly improve Ukraine's image and complete the investigation of corruption cases that have held back cooperation between Ukraine and the United States."

ホワイトハウスの上層部がこの電話に関する全ての記録へのアクセス制限をおこなった。重要性を認識していたものと考える。

In the days following the phone call, I learned from multiple U.S. officials that senior White House officials had intervened to "lock down" all records of the phone call, especially the official word-for-word transcript of the call that was produced -- as is customary -- by the White House Situation Room.

This set of actions underscored to me that White House officials understood the gravity of what had transpired in the call.

トランプ米大統領は9月18日、カリフォルニア州が連邦政府よりも厳しい自動車排ガス規制を独自に導入する権限を米環境保護局(EPA)が剥奪する方針を ツイッターで確認した。


The Trump Administration is revoking California's Federal Waiver on emissions in order to produce far less expensive cars for the consumer, while at the same time making the cars substantially SAFER.
This will lead to more production because of this pricing and safety advantage, and also due to the fact that older, highly polluting cars, will be replaced by new, extremely environmentally friendly cars.

There will be very little difference in emissions between the California Standard and the new U.S. Standard, but the cars will be far safer and much less expensive.
Many more cars will be produced under the new and uniform standard, meaning significantly more JOBS, JOBS, JOBS!

Automakers should seize this opportunity because without this alternative to California, you will be out of business.

トランプ政権は9月19日、カリフォルニア州が独自に自動車排ガス規制を導入し、無公害車の販売を義務付ける権限を剥奪すると発表した。 EPA長官は声明で、自動車業界に必要とされる明確な規制を全米レベルで確実にすることが目的と説明した。

新たな指針は数日中に正式に公示され、公示日から60日後に施行される。

チャオ運輸長官は、トランプ政権が数週間中に2026年までの排ガス規制基準の改正を取りまとめる見通しとし、オバマ前政権下で定められていた自動車の燃料基準は緩和され「妥当な」基準になると述べた。

ーーー

米国では、Clean Air ActによりEPAが燃費の基準を決めるが、カリフォルニア州はEPAにより適用除外(waiver)が認められており、連邦政府の燃費規制よりも厳しい基準をを決める権限を与えられている。

米国の大気浄化法(Clean Air Act)209条は、カリフォルニア州が連邦の規制より厳しい独自の規制を制定する権利(法的優先権: preemption)を認めている。

大気浄化法は、原則として、新車に係る排出ガス規制においては州法に優先する

ただし、例外として、1966330日に先立って採択された新車排出ガス規制を有する州に対しては、waiver(権利放棄)条項により独自の規制権限を認めている。
その場合、州独自の当該基準は、全体として、少なくとも連邦基準
と同程度に厳格なものでなければならない

カリフォルニア州は、1966年に全米で初めて自動車排ガス中の一酸化炭素CO及び炭化水素HCの規制を行った実績がありwaiver条項により自動車排ガスの独自規制を課す権利を認められた唯一の州である。オバマ政権下の20096月、EPAはカリフォルニア州のGHG排出基準に係るwaiver申請に対して承認を与えた (その前のブッシュ政権は申請を認めなかった。)

大気浄化法は、他の州にも一定の要件を満たした上でリフォルニア州基準を採用することを許容している

このカリフォルニア州規制には、ニューヨーク州、ペンシルバニア州など13州とワシントンD.C.が即座に追従した。


米国では、2011年1月に、2016 Model Year の Light-duty vehicleのCO2排出量を250g/mile、CAFE燃費を35.5 mpg(15.1km/L)とする規制が発効した。

オバマ政権は2012年8月28日、54.5 mpg の燃費規制を正式に発表した。

Combined Cars & Trucks 燃費 mpg

2011/1規制

2012 2013 2014 2015 2016  
30.1 31.1 32.2 33.8 35.5
 

2012/8規制

2020 2021 2022 2023 2024 2025
40.0 41.7 46.8 49.4 52.0 54.5

トランプ米政権は2018年8月2日、オバマ前政権下で定められた自動車の燃費基準を撤回すると発表した。
カリフォルニア州などが独自に定めていた燃費規制も廃止に向けた交渉を始めるとした。

2018/8/8 トランプ政権、車燃費基準を撤回


カリフォルニア州は2025年までに、同州での自動車販売に占める電気自動車(EV)や無公害車の比率を引き上げることを目指している。その他10州もカリフォルニア州の動きに追随する方針を示している。

カリフォルニア州とFord Motors、Honda、BMW、Volkswagen のメーカー4社は2019年7月、2026年まで毎年3.7%ずつ燃費改善を目指す独自の規制で合意した。2026年までに1ガロン当たり平均51マイル以上という州規制を導入する。クレジットの追加による電気自動車(EV)への置き換え支援、排ガス低下技術を導入した企業へのインセンティブ提供、電力生産における上流工程での温室効果ガス排出の要件緩和などを含む。

ホワイトハウスは今回の合意について「どこか1つの州ではなく、連邦政府が基準を定めるべきだ。われわれは全ての国民に利する連邦の基準の取りまとめを進めている」とコメントした。

司法省はこの合意が反トラスト法に違反したかどうかを判断する予備調査として、4社に書簡を送付した。

2019/9/10 米司法省、カリフォルニア州との環境自主基準巡り ホンダなど4社を調査 

ーーー

政権の動きに対し、カリフォルニア州は州政府の権限や環境問題対策などでトランプ政権に対抗する構えを鮮明にしており、大規模な法廷闘争につながる可能性がある。
政権高官は、訴訟になれば最高裁の判断に委ねられる可能性があると述べている。

政権がカリフォルニア州の権限を剥奪したことを受け、同州を含む米23州は9月20日、決定の撤回を求め提訴した。

訴訟はカリフォルニア州が主導し、ニューヨーク、ミシガン、コロラド、イリノイ、ニュージャージー、マサチューセッツなどの22州が参加している。



自動車の燃費規制が州によって異なるのは本来好ましくない。メーカーは厳しい基準に合わせる必要がある。

Clean Air Actの場合、「1966330日に先立って採択された新車排出ガス規制を有する州に対して」、その規制が全国基準より厳しい場合にはそれを採用するのを認めるのは分かる。

しかし、その後についてもその州に新たな独自の基準を認める理由はない。

現在の最高裁の裁判官構成からみると、政府決定の撤回は認めないと思われる。


安倍晋三首相とトランプ米大統領は9月25日、ニューヨークでの首脳会談に合わせ、新たな日米貿易協定の合意文書にあたる共同声明に署名した。

1 我々、安倍総理大臣とトランプ大統領は、日米貿易協定及び日米デジタル貿易協定に係る最終合意を確認し、歓迎する。我々は、今後、可能な限り速やかにこれらの協定の署名を行い、それぞれの国内手続が完了した後、早期に発効させることを共に望む。
2 日米貿易協定は、世界のGDPの約3割を占める日米両国の二国間貿易を、強力かつ安定的で互恵的な形で拡大するために、一定の農産品及び工業品の関税を撤廃又は削減する。日米デジタル貿易協定は、この分野における高い水準のルールを確立し、日米両国がデジタル貿易に関する世界的なルールづくりにおいて引き続き主導的な役割を果たすことを示している。
3 こうした早期の成果が達成されたことから、日米両国は、日米貿易協定の発効後、4か月以内に協議を終える意図であり、また、その後、互恵的で公正かつ相互的な貿易を促進するため、関税や他の貿易上の制約、サービス貿易や投資に係る障壁、その他の課題についての交渉を開始する意図である。
4 日米両国は、信頼関係に基づき、日米貿易協定及び日米デジタル貿易協定を誠実に履行する。日米両国は、これらの協定が誠実に履行されている間、両協定及び本共同声明の精神に反する行動を取らない。また、日米両国は、他の関税関連問題の早期解決に努める。
5 我々は、これらの成果を、日米関係の力強さの具体的な証左として歓迎する。

その後の双方の発表による合意内容は次の通り。

(アメリカからの輸入)

日本政府の資料によると、牛肉、豚肉、小麦、乳製品、ワインについてはTPPと同等の関税撤廃もしくは削減が実施される。
一方、コメについては無関税枠をゼロとした。脱脂粉乳やバターなど乳製品の輸入枠も設けられない。

トランプ大統領によると、日本は70億ドル相当の米農産物について市場を開放し、米産牛肉や豚肉、小麦、チーズ、トウモロコシ、ワインなどへの関税が大幅に引き下げられるか、撤廃される。
USTRによると、日本に輸出される米農産品の約90%が免税か優遇措置の対象になるという。


・ 牛肉は現在38.5%の関税が最終的に9%に引き下げられるほか、豚肉は、価格の安い肉にかけている1キロ当たり最大482円の関税が最終的に50円になる。

・ 小麦もTPP交渉時の合意内容を踏襲し、アメリカ産の小麦には最大15万トンの輸入枠を設ける。

・ コメは、TPP交渉で日本がアメリカに設定した年間7万トンの無関税の輸入枠は設けない。乳製品も、バターや脱脂粉乳などの新たな輸入枠は設けない。

牛肉は、米国からの輸入量が急増した場合にセーフガード(緊急輸入措置)を発動する基準数量を、2020年で242千トンとすることで合意した。

セーフガード数量はTPP参加国は、当初 590千トン、2027まで毎年 2%、2032まで1% up となっている。この数量は当初の米国を含む数量のままで、米国のTPP離脱後も変更されていない。

このままでは米国枠分が二重になり、低価格の輸入牛肉が急増するため、政府はTPP参加国とセーフガード基準数量を再協議する意向だが、難航するとみられる。
(現在のTPP協定は米国離脱判明後に締結したものであり、また、米国はTPPに再参加するわけでなく、日米間の協定に過ぎないため、相手が応じる可能性は少ない。 )

(アメリカへの輸出)

・ 米国は日本からの切り花、しょうゆなどのほか、工作機械、蒸気タービン、自転車などの幅広い工業機器に対する関税を撤廃または引き下げる。

・ 牛肉は、低い関税が適用される枠(年200トン)が実質的に拡大する。

・ 自動車と関連部品の関税の扱いは継続協議となる一方、協定には「さらなる交渉による関税撤廃」と書き込まれ、将来的な関税撤廃が明記された。

TPP合意では、乗用車の関税率(2.5%)は15年目から削減を始め、自動車部品(主に2.5%)は8割以上の品目で即時に撤廃することになっていた。

今回は決まらなかったが、世界貿易機関(WTO)ルールでは貿易協定は貿易額ベースで約9割の関税撤廃が必要と解釈されている。日本から米国への輸出額の約3割を占める自動車の関税について撤廃方針を盛り込む必要があった。

・ 自動車の232条追加関税や数量規制については下記の通り。

共同声明には「協定が誠実に履行されている間、協定や共同声明の精神に反する行動は取らない」と明記され、両首脳は26日の会談で、協定の履行中はアメリカが通商拡大法232条に基づく日本車への追加関税を発動しないことを確認した。

茂木外相は、「この協定に反するような対応がなければ誠実に履行されていると考えるが、その間については、追加関税が課されることはないことを首脳会談で安倍首相がトランプ大統領に確認している」と説明した。

ライトハイザーUSTR代表は、同232条に基づく日本への関税発動は米国の意図するところではなく、両国とも誠意を持って問題に取り組んでいくと述べた。

日本からの自動車の輸出を制限する数量規制については、茂木外務大臣とライトハイザー通商代表との間で、日本には発動されないことを確認した。

(デジタル貿易協定)

国から企業へのアルゴリズムなどの開示要求を禁止など

ーーー

協定の正式な署名は、両国それぞれで法的な確認作業を終えた後に行われる予定で、日本政府は、来月の臨時国会に協定の国会承認を求める議案を提出し、早期の承認・発効を目指す。

米国は、今回の協定内容について議会の承認は必要ない。

米国連邦議会はサービスや知財を含む包括的な自由貿易協定としての日米FTAでないと承認しない姿勢である。

このままでは大統領選挙までに議会承認が得られない可能性が高いため、米国側は関税率5%未満の製品の関税撤廃・削減にとどめることで、議会承認を経ずに協定を発効させる。 (貿易促進権限法:通称TPA法の特例措置)

付記

日本は10月7日、持ち回りの閣議で決定、その後、日米代表の杉山晋輔駐米大使とライトハイザー通商代表が、米ワシントンのホワイトハウスで正式に協定文に署名した。トランプ大統領が同席し、「米国の農家にとってきわめて画期的だ」と成果をアピールした。

政府は来週にも協定の承認を求める議案を国会に提出する。

2020年1月1日の発効を目指す。

付記 11月19日の衆院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、参院に送付された。



これまでの経緯については 2019/9/18 米、対日貿易協定に署名へ 議会に正式通知

Trump大統領が、2020年の大統領選挙で政敵となる可能性があるBiden 前副大統領の調査をウクライナ大統領に求めたことと、圧力をかけるため(?)同国への軍事支援を止めたことが明らかになった。

米メディアは、米情報機関当局者が8月、Trump氏が海外首脳との電話で「不適切な約束」を交わしていたとの内部告発をしていたと伝えていた。

情報当局者が監察官に内部告発した。
米連邦法は監察官が告発内容について「緊急の懸念だ」などと判断した場合には議会に対して7日以内に報告する義務がある。監察官は告発内容が議会報告に値すると判断している。

しかし、国家情報長官代行が内部告発の内容について報告を拒否した。

民主党のペロシ下院議長は報告拒否を「法律違反だ」と断じ、最終責任はTrump大統領にあるとしている。

Trump大統領は9月24日、7月に行ったウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談前に同国に対する約4億ドル規模の支援を保留するよう指示したことを確認した。
しかし、野党民主党の有力候補と目されるBiden前副大統領に打撃を与えることを目的にウクライナに圧力を掛けたとされる疑惑は否定した。

ペロシ下院議長は24日、下院が大統領の正式な弾劾調査を開始すると発表した。「トランプ大統領はこれまで、著しい憲法違反の行動をしてきた」と述べ、「下院は正式な弾劾調査を進める」と言明した。「トランプ大統領は説明責任を果たさなければならない。誰も法を免れない」とも語った。

これに対し、Trump大統領は、民主党の動きを「魔女狩りのたわ言だ」とツイッターで述べた。

Such an important day at the United Nations, so much work and so much success, and the Democrats purposely had to ruin and demean it with more breaking news Witch Hunt garbage.
So bad for our Country!

大統領は、ウクライナ大統領と行った7月25日の電話会談の全記録を公表するとツイートした。

Secretary of State Pompeo recieved permission from Ukraine Government to release the transcript of the telephone call I had with their President.
They don't know either what the big deal is.

A total Witch Hunt Scam by the Democrats!

ホワイトハウスは9月25日、電話の記録を公表した。Biden親子に言及し、捜査するよう明確に求めている。

(President)

There's a lot of talk about Biden's son, that Biden stopped the prosecution and a lot of people want to find out about that so whatever you can do with the Attorney General would be great. Biden went around bragging that he stopped the prosecution so if you can look into it... It sounds horrible to me.

大統領の弾劾手続きは以下の通り。

下院委員会が証拠があるかどうかを決める。
証拠ありの場合、下院が訴追するかどうかを過半数で決める。
上院で2/3以上の賛成で罷免 
 

共和党 民主党 無所属 未確定 合計
上院 53 45 2 100
下院 198 235 1 1 435

上院無所属は民主系、下院無所属は共和党離脱

参考 下院議員の推移

  共和党 民主党 無所属 未確定 合計
2019/1 199 235 1 435

North Carolina-No.9 未確定

7/4 198 235 1 1 435

Justin Amash議員 共和党離党

9/10 199 235 1 0 435 North Carolina-No.9 Dan Bishop当選
9/23 198 235 1 1 435 共和党 Sean Duffy議員 辞職


ーーー

米主要メディアは、Trump大統領が7月25日にウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談した際、同国への軍事支援と引き換えに、来年の米大統領選の民主党の有力候補であるBiden前副大統領の息子、Hunter Biden氏をめぐる疑惑の調査に協力するよう繰り返し要求していたと伝えた。

Trump大統領は、Biden氏が副大統領だった2016年に、息子が役員を務めるウクライナ天然ガス会社の捜査をしていたウクライナの検事総長を解任するよう同国に要請していたと主張している。要請には息子をかばう狙いがあった疑いがあるとし、この疑惑を調査しているTrump氏の顧問弁護士、ジュリアーニ元ニューヨーク市長に協力するよう要求したとされる。

事態は以下の通り。

2014年時点で、当時のBiden 副大統領は、ウクライナの民主政権がロシアの攻勢を防ぎ、不正を撲滅しようとしているのを支援する最前線にあった。

2014年2月に親ロ派のViktor Yanukovych大統領が追放され、オバマ政権はウクライナの新政権との関係を深め、Biden 副大統領はそれを主導した。

Biden 副大統領の息子のHunter Bidenが2014年4月にウクライナの天然ガス会社Burisma Holdings の取締役に就任した。 月収5万ドルもの報酬で、「米政府へのパイプ役を期待してのもの」とも指摘されている。Obama政権は、Hunter Bidenは一般市民であり、利益の相反はないとしていた。

Burisma Holdings はクリミアで天然ガスの掘削をしていたが、クリミヤはViktor Yanukovych大統領の追放後、ロシアに併合された。

Hunter Bidenの就任後、不正追及派の間で Burisma Holdings がオバマ政権の影響力を得ようとしているのではないかとの疑惑が生じた。

しかし、Hunter BidenはBurisma Holdingsのために父親の影響力を使ったことを否定し、2019年初めまで取締役を務めた。

ウクライナでは不正は続いた。本年5月にZelenskiyが新大統領に就任した。政治経験はないが、不正行為を終わらせるという大胆な約束をした。

現在、Joe Biden 前副大統領は2020年の大統領選で民主党の候補のトップを走っている。

Trump大統領は本年7月、ウクライナの大統領にBiden親子に関する不正を調査するのを支援するよう要求した。前のウクライナの検事総長がHunter Bidenを調査していたが、Biden 副大統領が彼をクビにするよう要求したと述べた。

Biden は汚職の捜査に消極的だった検事総長の解任を要求した。当時、欧米各国がこの検事総長を問題視していたとされる。

ウクライナの現在の検事総長は、Biden親子の不正の証拠はないとしている。

大統領個人の弁護士のRudy Giuliani 元ニューヨーク市長もウクライナの役人にBiden親子を調査することを公然と求めた。

8月29日になって、Trump大統領が7月にウクライナ大統領に要求する1週間前に、同国への軍事支援3億9100万ドルを保留するよう首席補佐官代行に求めていたことが明らかにされた。

米議会はウクライナがロシアの侵略行為に抵抗するための支援を承認していたが、政権高官によると、大統領や国防長官や当時のボルトン大統領補佐官らが、政府が精査する間は支援金の支払いを保留する可能性について6月頃から話し合いを始めていた。その後、7月に大統領が大統領首席補佐官代行に支払いの保留を指示したという。

9月に入り、資金はウクライナ側に渡された。

政権高官は支払い保留について、支援金が適切なものか、また同盟国も十分に貢献しているかを巡ってTrump氏が懸念を持ったことが背景にあるとした。

Trump大統領は記者団に対し、対ウクライナ支援保留の決定について「交換条件はなかった」と強調し、米国だけでなく欧州諸国も援助すべきと考えたことが理由と説明した。

一方で記者団に対し、「汚職について取り上げることは極めて重要だ」と述べ、「汚職について話し合わないのであれば、なぜ腐敗していると考えられる国に資金を差し出すだろうか?」と続けた。

別の政権当局者は、支払い保留はウクライナへの支援の広がりが他国に十分に広まっていないことや、同国の汚職問題が理由だと内輪では伝えられていたと述べた。

ウクライナ大統領らと面会した民主党の上院議員は、「彼らは、Biden一家の調査に当時乗り気ではなかったことを理由に、Trump氏がウクライナへの支援を停止していると気をもんでいた」と述べた。

ーーー

米上院外交委員会会長(民主党)は行政管理予算局局長に書簡を送り、Trump政権が対ウクライナ支援を保留していた問題の調査に乗り出すよう要求した。ウクライナに対する安全保障に絡む支援の見直しや支援を保留する理由を巡り議会は通知されていないと強調。Trump大統領がウクライナ当局に圧力を掛けていたことが「明白になりつつある」と主張した。

政敵となる可能性があるBiden氏の調査をウクライナ大統領に求めたことと、その時点で軍事支援を精査するようすでに命じていたことの関連性を巡っては、今後、米議会で激しい追及が繰り広げられるとみられる。

 

上院は9月24日、政権に対し、内部告発の内容を上下両院の情報特別委に直ちに送付するよう求める拘束力を持たない決議を全会一致で採択した。

下院のペロシ議長と民主党院内総務は、内部告発の公表を阻止しようとする政権の取り組みに議会が反対であることを明確にするとともに内部告発者を守る必要性についての決議の採決を25日に行う計画を明らかにした。


英最高裁はジョンソン首相の議会閉鎖問題について、3日間のヒアリングを終え、9月25日 判決を下した。ジョンソン首相による5週間の議会閉鎖は違法とした。

 最高裁長官の説明 https://www.bbc.com/news/uk-politics-49810680

ーーー

首相官邸は8月28日、ジョンソン首相がエリザベス女王に9月9日の週から約1カ月間の議会の一時閉会を要請したと発表した。閉会手続きには女王の許可が必要だが、女王はこれを許可し、次の再開日は10月14日となる。

2019/8/30 英ジョンソン政権、異例の議会封じ 

これに反対して、各地で訴訟が行われた。

ロンドンの裁判所は、首相が女王に議会の一時閉会を要請したのは"political"なものであり、裁判所が介入するものではないとし、却下した。裁判所が判断する法的基準はないとしている。

スコットランドの裁判所は、議会の閉会で首相は法を犯しておらず、首相の行動を判断するのは裁判所ではなく、議員と有権者であるとして却下した。

これらに対し、スコットランドの高等裁判所(Court of Session)は9月11日、議会を長期間にわたり閉鎖したジョンソン首相の措置を違法とする判断を示した。提訴した野党議員らの「非民主的だ」という主張を大筋で認めた。

3人の判事は一致して、首相は「議会を妨害する不適切な目的」で動き、女王をミスリードして議会を閉会させたとした。

「このため本裁判所は、首相の女王への助言とそれに基づく議会の閉会は違法であり、無効であると宣言する。」

今回の議会閉会は合法的な権力の使用ではなく、議会を妨害する戦術であるとして、一審の判決に同意しないと述べた。

政府は直ちに上訴する方針を表明。舞台を最高裁に移し、17日にも審理入りする見通し。

2019/9/12  英議会閉鎖は違法、スコットランド裁判所 

ーーー

最高裁の11人の判事は満場一致でスコットランドの高等裁判所の判断を支持した。ロンドンの裁判所の判決を破棄した。

これはジョンソン首相にとって大きな敗北で、女王に議会閉会を求めたのは女王に嘘をついたと結論付けた。

政府が特権を行使して、議会が法律をつくる権限を妨げるなら、議会の主権は傷つけられることになるとした。

 本件は裁判の対象か? Yes

The first question is whether the lawfulness of the Prime Minister's advice to Her Majesty is justiciable. This Court holds that it is.

It is necessary to distinguish between two different questions.
The first is whether a prerogative power exists and if so its extent.
The second is whether the exercise of that power, within its limits, is open to legal challenge.

This second question may depend upon what the power is all about: some powers are not amenable to judicial review while others are.
However, there is no doubt that the courts have jurisdiction to decide upon the existence and limits of a prerogative power. This Court has concluded that this case is about the limits of the power to advise Her Majesty to prorogue Parliament.

 政府の権限の限界は? 議会閉会は、「議会の主権」と「議会への説明責任」で制限される。

The second question, therefore, is what are the limits to that power? Two fundamental principles of our Constitution are relevant to deciding that question.

The first is Parliamentary sovereignty - that Parliament can make laws which everyone must obey: this would be undermined if the executive could, through the use of the prerogative, prevent Parliament from exercising its power to make laws for as long as it pleased.

The second fundamental principle is Parliamentary accountability: in the words of Lord Bingham, senior Law Lord, "the conduct of government by a Prime Minister and Cabinet collectively responsible and accountable to Parliament lies at the heart of Westminster democracy". The power to prorogue is limited by the constitutional principles with which it would otherwise conflict.

 本件について:正当な理由なしに議会が憲法で認められた機能を果たすのを妨げる場合、議会閉会は違法である。

For present purposes, the relevant limit on the power to prorogue is this: that a decision to prorogue (or advise the monarch to prorogue) will be unlawful if the prorogation has the effect of frustrating or preventing, without reasonable justification, the ability of Parliament to carry out its constitutional functions as a legislature and as the body responsible for the supervision of the executive. In judging any justification which might be put forward, the court must of course be sensitive to the responsibilities and experience of the Prime Minister and proceed with appropriate caution.

Brenda Hale最高裁長官は、「女王に閉会を求めたのは違法と言わざるを得ず、議会は出来るだけ早く再開すべきだ」と述べた。

「正当な理由なしに、議会が憲法で認められた機能を果たすことを妨げる効果を持つため、違法である」とした。閉会は違法、無効で、議会は閉会されるべきでないと付け加えた。

最高裁は、次にどうするかを決めるのは議会、特に下院議長と上院議長であるとした。


下院議長は、判決を支持し、議会は遅滞なく再開しなければならない」と述べ、
25日に議会を再開すると発表した。

労働党のJeremy Corbyn党首は首相の即時辞任を求めた。

国連総会出席のためニューヨーク訪問中のジョンソン首相は、「明確な判決として敬意を表するとともに司法のプロセスを尊重する」と述べた上で、「司法の判断には強く反対だと言わざるを得ない。正しいとは思わないが、先へと進む。当然のことながら議会も再開する」と言明した。辞任は拒否、離脱を強行する構え。




サウジアラビアのサルマン国王は9月7日、Khalid Al-Falih エネルギー相を解任し、後任に Mohammad皇太子の異母兄であるAbdulaziz bin Salman 王子を任命した。

サウジは8月30日に国王令で省庁再編を行い、エネルギー産業鉱物資源省をエネルギー省と産業鉱物資源省に分割した。
エネルギー相にはAl-Falihが就任したが、
1週間ちょっとでこれを解任された。

Khalid Al-Falihエネルギー相は2009年1月からSaudi AramcoのCEOを兼務しているが、これも解任された。


Al-Falih エネルギー相は1960年生まれで、1979年にSaudi Aramcoに入社し、2009年1月より社長兼CEOに就任した。
その後、2016年5月にエネルギー産業鉱物資源相にも就任した。ロシアなどOPEC非加盟国を広く巻き込んだ形での協調減産の枠組みを成立させ、世界の原油価格の下支えに大きく貢献するなど市場関係者の間で評価は極めて高かった。

解任された理由については明らかになっていないが、Mohammad皇太子が強引に進めようとするAramcoのIPOに対して、Al-Falih エネルギー相が積極的に協力しなかったからだとする説が有力とされている。

参考 2019/9/2 サウジアラムコ、東京への上場を再検討


後任のエネルギー相のAbdulaziz bin Salman王子(1960年生まれ)はエネルギー省で数十年にわたって勤務 、経験豊富で有能なテクノクラートと評価されている。2017年からエネルギー担当国務相 (Minister of state for energy affairs) をしている。

1960年にこのポストができて以来(当時は石油相)、王族が就くのは初めてである。専門分野の知見が必要だったためだが、Abdulaziz 王子はこの分野で豊富な経験を持っており、王族の中では例外である。2017年にはエネルギー担当国務相となり、OPECの会合にも常時参加しており、国際的な人脈を保っている。

1985年生まれのMohammad皇太子とは年齢がかなり離れており、親しい関係にはないとされる。 

ーーー

産業鉱物資源相には実業界の Bandar Alkhorayef が就任した。

Saudi AramcoのCEOには、Aramcoの取締役で、サウジの政府系ファンドのPublic Investment Fund (PIF) のトップのYasir Othman Al-Rumayyan氏が指名された。
Mohammad 皇太子の主要な助言役を務めている。

PIFはAramcoの100%株主である。

Aramcoは2019年3月27日、SABICの株式の70%をPublic Investment Fund から691億ドルで買い取ることで正式に合意したと発表した。

2019/3/30 Saudi Aramco、SABIC株式の70%を取得 


今回の人事をまとめると、下記の通りとなる。


中国人民銀行(中央銀行)は9月20日、事実上の政策金利である最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)の1年物をいまの4.25%から4.2%に下げると発表した。米連邦準備理事会(FRB)の利下げに追随し、下押し圧力が強まる経済を支える。


中国人民銀行は16日から預金準備率を引き下げており、1年物LPRも引き下げるとほぼ予想されていた。

一方、5年物LPRは4.85%に据え置かれた。一部のアナリストは、長期金利を引き下げれば不動産バブルを招く恐れがあるとの政策当局者の懸念を反映しているとみている。

ーーー

中国人民銀行は8月20日、銀行貸し出しの新たな指標となる最優遇貸出金利(LPR)を公表した。毎月発表する。優良企業向けの優遇金利との位置づけで、これに取引先の信用度などを加味して融資金利を設定するよう銀行に求める。

新金利は大手銀行などの報告を基に算出するため、市場の動向をより反映できると人民銀は期待する。いまの市場金利の低下が貸し出しにも波及し、企業の調達金利を下げる効果を狙う。

最優遇貸出金利(LPR)そのものは2013年から毎日公表しているが、中国国務院(政府)が市場と関係なく決める貸出基準金利と連動し、形骸化しているため、衣替えする。

政府が恣意的に決められる基準金利は市場動向を反映せず、2015年10月から4.35%で据え置きが続いていた。

LPRが基準金利にへばりつく悪弊を断つため、新LPRは基準金利をもとに報告することを認めない。代わりに人民銀行が市場調節として短期資金を大手行に融通する金利を参考にしてもらう。これに資金調達コストなどを上乗せした金利を各行に報告させる。

8月20日に発表したLPRは1年物で4.25%と基準金利より0.1%下げた。

9月20日はこれを4.2%とした。2カ月連続の小幅な利下げとなる。

ーーー

中国人民銀行(中央銀行)は預金準備率を2019年1月15日と25日にそれぞれ0.5ポイントずつ下げた。大手銀行の標準的な準備率は現在の14.5%から13.5%になった。引き下げは2018年10月以来3カ月ぶり。

中小銀行は12.5%が11.5%になる。

2019/1/5 中国、預金準備率引き下げと減税を実施へ 


中国人民銀行は5月6日、中小銀行を対象に預金準備率を引き下げると発表した。引き下げは5月15日、6月17日、7月15日の3段階に分けて行う。地方の商業銀行約1000行が対象で、預金準備率は8%と地方の中小信用組合と同水準になる。


中国人民銀行は9月16日から預金準備率を0.5ポイント下げた。大手銀行の標準的な準備率は13%になる。米国との貿易戦争の長期化に備え、景気の下支えを強める。

さらに省をまたがずに営業する都市商業銀行(日本の地銀に相当)に限って、9月16日の引き下げに加え、1015日、1115日付で、それぞれ0.5%ずつ(合計で1.5%)預金準備率を引き下げる。

これにより、約9,000億元(約13兆5,300億円)が市場に供給されることになる。

原発処理水問題

| コメント(0)
福島第一原発にたまり続けている放射性物質のトリチウムなどを含む水の処分について、原田環境大臣(当時)は9月10日、環境省の所管を外れる事柄だと前置きをしたうえで、「思い切って放出して希釈すると、こういうことも、いろいろ選択肢を考えるとほかに、あまり選択肢がないなと思う」と述べた。


記者から「水を海洋放出して希釈するということか」と確認する質問が出ると「それしか方法がないなというのが私の印象だ」と重ねて述べたうえで、「しかし、これは極めて重要な話なので、軽々にこうすべきとは言えないが、まずは安全規制や科学的な基準をしっかり説明する。風評被害の回避も含めて内外に誠意を尽くして説明することが何よりも大切だと思う。政府全体でこれから慎重な議論をすると思う」と述べた。

菅官房長官は午後の記者会見で、「原田環境大臣の発言は、政府の検討状況も踏まえて、個人的な意見として述べたものと承知している」と述べた。そのうえで、「処理水の取り扱いは、経済産業省の小委員会で風評被害など社会的な観点を含めて総合的な検討を行っており、現時点で処分方法を決定した事実はない。政府として、まずは小委員会での議論を尽くしてしっかり検討を進め、国際社会には理解をさらに深めてもらうよう透明性を持って丁寧に説明していきたい」と述べた。

後任の小泉進次郎環境大臣 兼 原子力防災担当大臣は、「経産省の小委員会でしっかり議論してもらいたいと思います 」としたが、福島県知事との面会に先立ち、地元漁業関係者らに直接謝罪したことを明らかにした。

ーーー

過去8年間、損壊した原子炉の建屋からは毎日、約200トンの放射性物質に汚染された水をポンプでくみ出している。

汚染水に含まれるほとんどの放射性同位体は、複雑な浄水システムで除去されている。しかし、放射性同位体の1つであるトリチウムは除去が不可能のため、汚染水は巨大タンクに貯水されている。

トリチウムは、質量数が3、すなわち原子核が陽子1つと中性子2つから構成される水素の放射性同位体である。半減期は約12年。通常の水とトリチウム水には化学的な差がほとんどなく分離が難しい。

日本ではこれまでは、排水の一部として海に流されていた。

2018/8/29 福島原発のトリチウムを含む低濃度汚染水を巡る問題 

この問題については、かねてから原子力規制委員会が「海洋放出しかない」と勧告している。

2016年3月の記者会見で、当時の田中委員長はこう答えている。

再処理工場なんかで、フランスとかイギリス、もうイギリスは今動いてはいませんけれども、福島のトリチウムから見るとはるかに桁違いに多いトリチウムが毎年、海に排出されているというような状況がありますので、やはりこれはトリチウムは、残念ながら希釈廃棄する以外は方法がないのだということを申しています。

田中前委員長は2014年から同じ趣旨の発言をしており、更田委員長も「希釈廃棄しかない」と明言している。それに対して福島県漁連はずっと「風評被害」を理由にして反対している 。

これに対し、東京電力は決断できず、タンクを増設して貯め続けているが、保管用タンクは既に900基を超え、2022年夏ごろに満杯になる見通し。

東京電力は2018年9月28日、福島第1原発の汚染水を浄化した後にタンクで保管している水の約8割に当たる75万トンで、トリチウム以外の放射性物質の濃度が排水の法令基準値を超過しているとの調査結果を明らかにした。今後、海洋放出など処分をする場合には、多核種除去設備(ALPS)などで再浄化するとしている。

ーーー

国際原子力機関(IAEA)の総会が9月16日、ウィーンで始まった。

韓国政府が総会の前にIAEAに書簡を送り、福島第一原発にたまり続けている水の処理について、深刻な憂慮を伝え、総会で問題を提起する構えをみせていた。

これについて、竹本科学技術担当大臣は総会で発言し、原発の事故後の日本の取り組みはIAEAから評価されていると強調したうえで、「廃炉・汚染水対策について、事実や科学的根拠に基づかない批判を受けることもあるが、日本が透明性をもって丁寧に公表している情報やIAEAの報告書の内容を踏まえ、公正かつ理性的な議論を行うよう求める」と述べた。また、「日本産食品の輸入規制についていまだに科学的根拠に基づかず規制を維持する国・地域があり被災地の復興に水を差している。科学的根拠に基づく早期の規制撤廃を呼びかける」と述べた。

これに対し、韓国の科学技術情報通信省第1次官が発言し、「福島原発の汚染水の処分について依然として明確でなく、おそれや不安が増幅されている。日本政府の高官からは、海洋放出しかないという発言もあった。海に放出されたなら、それは日本国内の問題にとどまらず、
生態系に影響を与えかねない。世界の海洋環境に関わる深刻な国際問題となる」と述べ、「IAEAは汚染水の環境への影響についても調査する必要がある」と述べた。

これに対し、日本の引原大使が反論し、「水の処理については、まだいかなる具体的な結論も出ていない。日本はIAEAに対して協力してきたし、これからも懸念に応えていく。処理水をどうするか透明性をもって検討していく」などと述べた。


韓国は2011年3月の福島第一原発の事故後、放射性物質の漏出を理由に福島や岩手など8県産の水産物の輸入を禁止、さらに水産物以外の日本産食品の検査を強化するなど段階的に規制を広げた。

世界貿易機関(WTO)は4月11日、韓国による水産物の輸入禁止は不当として日本が提訴している問題で、韓国の措置を妥当とする最終判決を下した。

2019/4/26 韓国による我国水産物輸入制限に関するWTOパネル上級委員会報告書 

東電が海洋放出した場合、韓国が日本からの水産物輸入禁止を拡大する可能性がある。

ーーー

トリチウム問題については、経産省の「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」で議論している。

2018年2月の第7回会議の配布資料「トリチウムの性質等についてで、詳細を説明している。

 ・トリチウムの基本情報

トリチウムは水素の放射性同位体。(宇宙線等により生成するため、河川・海など自然界にも存在)
トリチウム水は水と同じ性質を持つため、水から特定の生物への濃縮は確認されていない。
トリチウムはβ線を放出するが、トリチウムのβ線はエネルギーが小さいため、紙1枚で遮へいが可能。また、そのため、外部被ばくはほとんどない。

 ・トリチウムの生物への影響

1ベクレルの放射性物質を摂取した場合、トリチウムの影響はセシウム137700分の1
人の体内には、元々、100ベクレル程度のトリチウムが含まれている。
人の体内に含まれるカリウムの生物影響をトリチウムのそれに換算した場合、約140万ベクレル相当の影響がある。

 ・トリチウムに関する福島第一原子力発電所のこれまでの状況

・事故前の放出管理目標値は年間22兆ベクレル。規制濃度基準は6万ベクレル/リットル以下。
・実際の平均放出量は年間約2兆ベクレル。濃度はND~1ベクレル/リットル程度(2007年度)。

・事故後は炉心溶融により、被覆管内に存在していたトリチウムが外部に流出。
・現在、タンクに貯蔵されている処理水は、貯蔵量約100万m3、濃度約100万ベクレル/リットル。約1000兆ベクレル。


 ・世界
の原子力発電所等からのトリチウム年間排出

福島のタンクに貯蔵されている処理水は、貯蔵量約100万m3、濃度約100万ベクレル/リットル。約1000兆ベクレルである。

田中委員長は、「フランスとかイギリスで、福島のトリチウムから見るとはるかに桁違いに多いトリチウムが毎年、海に排出されているというような状況があります」としているが、英セラフィールド再処理施設では2015年に液体で約1540兆ベクレル(他に気体でも)を放出した。仏のラ・アーグ再処理施設では2015年に液体で約1京3700兆ベクレル(他に気体でも)を放出した。

量は少ないが、韓国の月城原発が2016年に液体で17兆ベクレル、気体で119兆ベクレルを放出しており、古里原発も2016年に液体で36兆ベクレル、気体で16兆ベクレルを放出した。
(IAEAで発言した韓国の当局も、当然このことを知っていたと思われる。)

仮に福島の処理水を濃度を薄めて放出するとしても、全量を一度に放出するのではなく、何年にも分けて放出するのであれば、異常というレベルではない。

東電が早く決断しなかったために問題を大きくした。

ーーー

日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は9月17日、東京電力福島第1原発で増え続ける有害放射性物質除去後の処理水に関し、「科学が風評に負けてはだめだ」と述べ、環境被害が生じないという国の確認を条件に、大阪湾での海洋放出に応じる考えを示した。「自然界レベルの基準を下回っているのであれば海洋放出すべきだ。政府、環境相が丁寧に説明し、決断すべきだ」と述べた。

維新の橋下徹元代表はその後、ツイッターで海洋放出について「大阪湾だと兵庫や和歌山からクレームが来るというなら、(大阪の)道頓堀や中之島へ」と発信した。

福島第一原発にあるトリチウム(と結合した水)は57ミリリットル。それを海に流すために100万トンの水を大阪湾までタンカーで運ぶのは、膨大な無駄である。

国や自治体がカネを出す気なら、もっと効果的な方法がある。今や障害は福島県漁連しか残っていない。彼らは福島第一原発の沖では操業していないが、今も「風評被害」を理由にして海洋放出に反対している。

彼らが(暗に)求めているのは漁業補償の上積みだが、それを誰も言い出せない。東電はすでに休業補償を出したので、2度カネを出すことができない。だから漁業補償とは違う形で、カネを出すしくみを作ればいいのだ。

簡単なのは、大阪市が福島の魚を買い上げることだ。言論アリーナで澤田さんがいっていたが、今でも福島沖で操業することは禁止されていないので、魚をとっている船(漁協の組合員)がある。8年間も魚をとっていないので、漁業資源は非常に豊かだという。(以下略)

アスベスト(石綿)関連工場で働き、肺がんを患った80代の男性3人に対し、国が支払う損害賠償で利息に当たる遅延損害金(年5%)の起算時期が争われた訴訟の判決が9月17日、神戸地裁と広島地裁であった。いずれも「肺がんの診断を医師から受けた日」などと認定。診断時より遅い「労災認定時」とする国の主張を退け、救済の道を広げた。

これは、2019年3月12日の福岡地裁小倉支部の判決に続く、2、3例目。

なお、付記の通り、福岡地裁の判決の控訴審で、福岡高裁は「がんの確定診断日」を起算日とした。

付記 

北九州市の男性が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が9月27日、福岡高裁であった。(下記)
高裁は一審の福岡地裁小倉支部の判決を一部変更し、遅延損害金の起算日を「肺がんの診断が確定した日」として、国に損害賠償の支払いを命じた。

上告期限となる10月11日、加藤厚生労働大臣は記者団に対し「判決内容を重く受け止め、ほかの損害賠償の起算の考え方などを総合的に判断した結果、今回は上告はしないことを決めた」と述べ上告しないことを表明した。

ーーー

アスベストによる健康被害を巡っては最高裁が2014年10月、大阪・泉南地域の訴訟で国の責任を認定 した。 

大阪府の泉南地域のアスベスト紡織工場の元従業員とその遺族89人が、規制の遅れで肺がんになったなどとして国に賠償を求めた2件の集団訴訟(大阪アスベスト訴訟第1陣、第2陣)で、最高裁第1小法廷は10月9日、規制権限を行使しなかった国の対応を違法とする判決を言い渡した。

1971年の粉じん排気装置の設置義務化に関し、裁判官5人全員一致の意見で、「健康被害の医学的知見が確立した1958年時点で規制すべきだった」とし、国の責任を認めた。

2014/10/10 アスベスト訴訟、最高裁 「国に責任」の判断

国は最高裁判決に基づき、1958年5月~1971年4月に石綿粉じんを吸う作業を担い、肺がんや中皮腫などの関連疾患にかかった患者側が訴訟を起こせば、和解して賠償金を支払う方針で、約1900人を対象に通知した。

アスベスト弁護団によると、発症原因が石綿と気付かずに労災申請が遅れ、認定まで時間を要するケースは多い。ある原告は2012年4月に肺がんの確定診断を受けたが、労災認定までに約3年を要した。

しかし、国側は存命中の患者との和解では「労災認定時」からの遅延損害金を提示した。深刻な病状の患者が生前の解決を望んで渋々和解する例もあり、「国は命を人質にして和解を迫っている」と反発の声が上がっていた。

ーーー

北九州市の70代男性は北九州市門司区の建材工場で1960~96年に勤務し、2008年9月に肺がんの疑いと診断され、2010年2月に労災認定を受けた。男性は労災認定を遅延損害金の起算日とする国に対し「労災認定前から闘病で苦しい思いをしてきた」として和解を選ばず、判決を求めていた。

福岡地裁小倉支部は2019年3月12日、賠償の利息にあたる遅延損害金の起算日を、請求通り肺がんの診断日とした上で、国に1265万円と遅延損害金の支払いを命じた。国側は労災認定を起算日と主張していたが、さかのぼって認定された。

弁護団によると、アスベスト国賠訴訟で遅延損害金の起算日を診断日とする司法判断は初めてで「同様の訴訟は全国で十数件あり救済に弾みがつく」と評価した。国は「判決内容を精査し、対応を検討する」とコメントした。

付記

北九州市の男性が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が9月27日、福岡高裁であった。
高裁は一審の福岡地裁小倉支部の判決を一部変更し、遅延損害金の起算日を「肺がんの診断が確定した日」として、国に損害賠償の支払いを命じた。

国が病気と診断された日ではなく、労災と認定された日を基準に金額を決めているのは不当だとして、和解に応じなかったが、1審の福岡地方裁判所小倉支部は男性の訴えを認め、病気と診断された日を基準に金額を決めるべきだとして、国に対し、1265万円の賠償金と利息にあたる遅延損害金を診断日にさかのぼって支払うよう命じ、国が控訴していた。

福岡高裁は「肺がんの確定診断を受けた日に損害が発生したとみるのが相当である」として、利息にあたる遅延損害金は病気の診断を受けた日(癌の疑い)ではなく、およそ1か月後の手術で癌が確定した日を起点とした。

9月17日午前に、アスベスト(石綿)原因で肺がんを発症した患者2人が国に損害賠償を求めた訴訟で、神戸地裁は原告の請求通り 、国に2人にあわせて約2300万円の賠償を命じる判決を言い渡した。争点だった賠償金の利息に当たる遅延損害金(年5%)の起算日について原告の訴えを認めて「肺がんと診断された日」とし、「労災認定された日」とする国の主張を退けた。

患者2人は尼崎市の「クボタ」の工場で石綿関係の仕事に従事し、肺がんを発症した。このうち、一人は1964~65年に尼崎市のクボタ神崎工場で下請け会社の従業員として3カ月間、石綿水道管の製造に従事し、2012年4月に肺がんと診断され、2015年6月に労災認定された。2017年7月、慰謝料など1265万円と遅延損害金を求めて提訴 した。判決が確定し、起算日が約3年早まることで、遅延損害金は約200万円増える見込み。

判決で裁判長は「損害の発生は、肺がんの確定診断を受けた日かその前提となった手術を受けた日とするのが相当である」などとして、2人の主張を認めた。

同日午後、アスベストを扱う大阪の工場で1960年からおよそ1年間働いたあと、肺がんを発症した広島市の84歳の男性が救済策の賠償の基準は不当だと訴えた裁判で、広島地方裁判所は男性の訴えを認めて、基準を上回る金額を支払うよう国に命じた。

判決で裁判長は「損害が発生したのは診断の確定日とするのが相当だ」として、男性の訴えを認め、1260万円あまりの賠償金と、利息に当たる遅延損害金を診断日にさかのぼって支払うよう国に命じた。


Google は9月12日、フランスで疑われていた課税逃れを巡り、9億6500万ユーロを支払うことで仏国税当局と和解した。

フランス国内における2005年から2018年にかけての事業活動が対象となるもので、支払いの内訳は罰金5億ユーロ、税金4億6500万ユーロ。

報道ではGoogleは追徴課税13億ドルの支払いが求められていた。有罪を認めることなく起訴を免れる仕組みで、Googleは長引けば企業イメージの悪化につながるとみて、和解を選んだ。「数年続いていたフランスでの見解の違いに終止符を打った」との声明を出した。

法人税率が低いアイルランドに欧州本社の機能を置くことでフランスでの課税を免れたなどとして仏当局が2015年から捜査し、2016年にはGoogleのパリ拠点を家宅捜索していた。

Google は海外事業について、法人税率が12.5%と欧州最低水準のアイルランドに欧州の本社機能を置き、権利(無形固定資産)を安い対価で移している。
さらに、この会社は法人税がゼロのバミューダで管理するため、アイルランドでは非居住者となり法人税が免除される。

アイルランド会社が事業を行い、ライセンス収入はオランダ子会社経由でアイルランドに移すことで源泉税を免れている。

ーーー

Googleは2016年1月22日、英国の税務当局(歳入関税庁)との間で、過去の税金の滞納分を追加で納税することで合意した。
2005年以降の追加分として130百万英ポンド(約220億円)を納税、同年以降も従来よりも高い税率で法人税を納める。

これまでのシステムを変更し、英国での利益について英国で税金を支払うこととした。

2016/1/26 Google、追加納税で英税務当局と合意 

ーーー

Google、アップルなど米IT企業は利益の大部分を、低税率国やタックスヘイブン(租税回避地)にとどめ、実際に利益を上げている消費者のいる国々で十分な税負担をしていないと批判されてきた。

欧州委員会はこれまでも米IT企業の課税逃れに対し、厳しい姿勢で臨んできた。

2016年には米アップルが不公正な税制優遇を受けていたとしてアイルランド政府に追徴課税するように要請 、2018年9月にアイルランド政府は、アップルが追徴課税分と利息を含め総額143億ユーロを支払ったと明かした。

2016/9/1  EU、アイルランド政府にApple への130億ユーロの追徴を命令 及び 付記

日本、中国、インド、英、仏、独など約60カ国は2017年6月7日、グローバル企業による課税逃れを防ぐための新たな多国間協定に パリのOECD本部で署名した。

2017/6/15 課税逃れ防止の多国間協定に60カ国が署名 

20カ国・地域(G20)と経済協力開発機構(OECD)はデジタル課税の導入で2020年までの合意を目指している。

欧州委員会は2018年3月21日、デジタル分野における課税に関する指令案を発表した。
2019年3月末までに加盟国でつくる閣僚理事会での合意を目指していたが、アイルランド、スウェーデン、デンマーク、フィンランドの4カ国が反対、
足並みが揃わず、digital taxの合意を見送った。

2019/3/12  EU、デジタル課税合意見送り、仏英など独自課税へ

このため、フランス上院は2019年7月11日、Digital Services Tax法案を可決し、Macron 大統領は7月24日にこれに署名、これが法律となった。

課税事業の全世界売上が750百万ユーロ以上で、フランスのユーザーからのそれが25百万ユーロ以上のデジタル企業を対象に、対象売上高の3%の課税を行うもので、2019年1月1日に遡及する。

Trump大統領は7月26日、フランス議会が米テクノロジー大手各社へ課税するDigital Services Tax 法案を可決したことを受け、同国に対し「相当な」報復措置を取ると宣言した。フランス産のワインなどに関税をかける構えを示した。

フランスのマクロン大統領は8月26日、フランスの「デジタル課税」を巡り、米国と合意を得たことを明らかにした。

マクロン大統領は主要7カ国首脳会議(G7サミット)閉幕後、トランプ米大統領と共同会見し、「二国間の取り組みとして多くの作業を行い、両国の不和解消に向け合意を得た」と述べた。

フランスのデジタル課税と経済協力開発機構(OECD)がまとめている課税制度に基づく税収の差額を仏政府が企業に払い戻す方針で暫定合意に達した。

2019/7/31 フランスのデジタル課税法案成立、米国は報復を示唆


今回の和解について専門家の間では「Googleは支払いに応じ、仏当局は米国を刺激しない程度の金額にとどめることで双方妥協した」との見方が出ている。


トランプ米政権は9月16日、日本との貿易交渉で関税障壁に関する協定で合意に達し、数週間以内に署名すると議会に正式に通知した。
日米両首脳は下旬にニューヨークで開かれる国連総会にあわせた日米首脳会談で署名する見通し。
包括的な貿易協定は今後も交渉を続けるとしている。

米政権は議会への通知文で、段階を踏んで日本と交渉する方針を改めて明記し、そのうち「関税障壁に関する初期の貿易協定」で合意したこと、デジタル貿易でも合意したことを記した。
今後も包括的な貿易協定の交渉は続ける方針を表明した。サービス貿易や非関税障壁に関する議題は「第2段階」の交渉で取り上げる。

議会の承認作業を求めておらず、米国側は政府署名のみで発効手続きを済ませる。日本が臨時国会で承認すれば年内にも発効する。

米国連邦議会はサービスや知財を含む包括的な自由貿易協定としての日米FTAでないと承認しない姿勢である。

このままでは大統領選挙までに議会承認が得られない可能性が高いため、米国側は関税率5%未満の製品の関税撤廃・削減にとどめることで、議会承認を経ずに協定を発効させる。 (貿易促進権限法:通称TPA法の特例措置)

ーーー

日米首脳会談が2018年9月26日夕(日本時間27日朝)ニューヨークで行われ、安倍首相とトランプ大統領が「日米物品貿易協定(TAG:Trade Agreement on Goods )」の交渉入りで合意した。

2018/9/27 日米、物品貿易協定交渉へ、交渉中は自動車追加関税回避

首相は記者会見で、「まさに物品貿易に関する交渉だ。これまで日本が結んできた包括的なFTAとは全く異なる」と説明した。

しかし、日米共同声明は次の通りとなっており、これはFTAそのものである。

日米物品貿易協定(TAG)について 、また、他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについても、交渉を開始する。

上記の協定の議論の完了の後に、他の貿易・投資の事項についても交渉を行うこととする。

2018/10/6 日米物品貿易協定について 

今回、米国側は今後も包括的な貿易協定の交渉は続ける方針を表明した。

ーーー

日米両政府は8月23日、3日間にわたって開かれた貿易交渉の閣僚協議を終え、茂木敏充経済再生担当相は大枠で合意したと明らかにした。

米国産牛肉や豚肉などの農産物への関税引き下げをTPP水準に抑える一方、日本が求めていた自動車関税撤廃は見送ることで一致。コメに設ける無関税枠は結論を先送りし、再協議する。

ポイント:

・ 一部農産物について、関税をTPP水準まで引き下げ。TPPよりも対象を絞る。

・ 米国産牛肉は38.5%の関税を段階的に9%に引き下げ。

・ コメに設ける無関税枠は結論を先送り、再協議する。(TPPでは米国に7万トンの無関税枠)

・ 米国産ワイン関税は引き下げや撤廃の対象にしない。

・ 日本から米国に輸出される自動車への関税撤廃は見送り。(TPPでは米国の自動車輸入関税 2.5%削減)

・ 多くの工業製品で関税を撤廃

「為替条項」については「為替の話が出ていないことだけは分かっている」(麻生財務相、8月27日閣議後会見)。


安倍首相とトランプ米大統領は8月25日、G7サミットにあわせてフランスのビアリッツで会談し、日米貿易交渉で基本合意した。トランプ氏は会談後の共同記者発表で「(9月下旬にニューヨークで開く)国連総会をメドに署名できるようにしたい」と語った。

ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、70億ドル以上の市場開放につながるとの考えを示した。

トランプ大統領は自動車の制裁関税について、「現時点ではない」としつつ、「私がやりたいと思えば、後になってやるかもしれない」とも述べた。

茂木外相は9月17日の記者会見で、通商拡大法232条に基づく日本車への追加関税は課さないことを改めて確認し、何らかの文書を作ると述べた。
2018年9月の首脳会談で交渉開始を決めた際には、交渉中は輸入規制の適用を見送ることで合意していた。


別途、安倍晋三首相は日米貿易交渉で、米国産トウモロコシの追加購入を約束した。日本が年間に輸入する飼料用トウモロコシの「3カ月分」に上る約275万トンに達する見通し。
米国の農家は中国との貿易摩擦の影響で輸出が急減しており、2020年の米大統領選で再選を目指すトランプ大統領の支援となる。

首相は理由に害虫被害(葉につく)を挙げるが、実状は異なる。

飼料用トウモロコシは、国内生産は約450万トンで、葉や茎を砕いて実とともに利用している(牛や羊などに与える粗飼料)。 これで害虫被害が52市町村で確認されている。
(但し、実が成長してから害虫がついたため、実には被害はない)
輸入はトウモロコシの実(豚や鶏用)で、約1100万トン。うち95%が米国産。今回、これを275万トン追加輸入する。

被害を受ける国内のトウモロコシは追加購入するものと種類が異なり単純に代替できない。


 

米連邦最高裁は9月11日、中米移民の難民申請資格を大幅に制限するトランプ政権の規則について、訴訟継続中は全国での実施を認める判断を示した。

政権は「最初の機会に保護申請することを拒んだ亡命希望者」を排除するために同規則が必要だと主張しており、トランプ大統領はツイッターで「最高裁における大勝利だ」と述べた。

ーーー

米政府は7月15日、メキシコを経由するエルサルバドルなど中米諸国からの移民による難民申請を事実上不可能にする新規則を発表した。

南部国境で難民申請する人はメキシコの南から陸路で移動する中米グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルの人たちが大半だが、米国にたどり着く前に通過した国(メキシコかグアテマラ)で難民認定を求めた上で拒否された経緯がなければ、米国への難民申請ができなくなる。

「多数の根拠のない難民申請が、米国の入国管理制度に異常な負荷をかけている」とし、こうした申請が「亡命の人道的目的」を損ない、密入国を悪化させていると指摘した。

トランプ政権は新政策について協力をメキシコ、グアテマラ両国に求めたが、合意できないまま発表に踏み切った。

新規則は7月16日から実施する。第三国で難民申請を却下された人や、人身売買の犠牲者などは例外としている。

バー司法長官は声明で「この規則は経済移民や米国の難民システムを悪用しようとする者を減らす」と指摘し、合法的な規制だと主張した。

民主党のペロシ下院議長は 「大統領は米国への亡命という命綱を急いで破壊しようとし、人命に大打撃を与え、われわれの価値観を侮辱し、何十年にわたる先例と法律から逸脱している。この残酷な新規則は移民社会と有色人種コミュニティーに対する現政権の蔑視と無視を完全に露呈した」と指摘した。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は声明で、新規則に「深い懸念」を表明した。
米国自由人権協会(ACLU)などの団体は、中米からの移民の大半がメキシコ国境で難民申請するのを不可能にするトランプ政権の新たな規則は国内法と国際法に違反するとして提訴した。

ーーー

ワシントンの連邦地裁は7月24日、差し止め要請を退ける判断を示した。

米カリフォルニア州邦地裁は同日、適法性に異議が唱えられている間、実施を差し止めるよう求める米国自由人権協会と移民人権団体の要請を認め、全米を対象に新たな難民申請規制を差し止めた。
その後、第9巡回区控訴裁判所が差し止め命令の対象範囲を狭める判決を下したが、同地裁は9月9日に再び全米を対象とする差し止め命令を出し、翌10日に第9巡回区控訴裁が対象を再び狭めていた。

こうした状況で司法省は最高裁に判断を求めた。

連邦最高裁は9月11日、米南部国境から入国する移民による難民申請を事実上不可能にする新規則について、合憲性を問う訴訟の判決が出るまで有効とする判断を示し 、差し止め命令は解除された。

最高裁判事9人のうち、リベラル派の Sotomayor 判事とGinsburg 判事が反対に回った。他の判事の賛否については公表されていない。

Sotomayor 判事は、「行政府はまたしても、規則を発令して迫害からの保護を求める難民に関する長年の慣行を覆そうとしている。この国は長年にわたり難民に門戸を開いてきたが、政府は国民への通知なしに規則を実施し、一般に必要とされる意見公募も行わなかった」と述べた。

ACLUの弁護士は「これは暫定的な決定で、最終的にわれわれが勝利すると強く期待している。何千世帯もの人命に影響が及ぶ」と強調した。

サウジアラビア内務省は9月14日、Saudi Aramcoの東部の石油施設2カ所が無人機の攻撃を受け、出火したと明らかにした。

攻撃を受けたのはサウジ東部のアブカイク(Abqaiq)、クライス (Khurais)にある施設2カ所。現場近くには世界最大規模の石油処理施設や、油田がある。
15日までに火災は鎮火し、Aramcoは「攻撃にともなう負傷者はなかった」としている。

アブドルアジズ・エネルギー相は、日量570万バレル分の生産が減少したと明らかにした。これは世界最大の石油輸出国であるサウジの生産量のおよそ半分で、世界の石油供給の5%以上に相当する。
天然ガスも通常の生産の約半分に影響が出ている。

英紙はサウジ・エネルギー省に近い人物が「施設を強化し最大の能力まで高めるには数週間かかる」と述べたと報じた。

付記

原油の減産で随伴ガスも減り、サウジの石油化学各社は原料が削減されたと発表した。
SABICは49%削減、Yansabは30%、Saudi Kayanは50%としている。

Petro Rabigh はエタンガスが8%、原油が12.5%カットされたと発表。(西岸のため影響は少ない)

同社は9月24日、原油供給が通常水準に戻ったと発表した。

付記

サウジのエネルギー相は9月17日夜、以下の通り述べた。

・9月末までに日量1100万バレル、11月末までに1200万バレルに回復する。
・輸出には打撃が及ばなかった。
・9月も顧客に契約分を届けられる。

付記

SABICは9月26日、原料供給が通常レベルに戻ったと発表した。当初49%削減されたが、9月18日には30%カットになっていた。

同社は原料カットで損益に影響が出ていないとしている。

付記

サウジのエネルギー相は10月3日、アラムコの生産量が攻撃前の水準に回復したと述べた。


イエメンの親イラン武装組織フーシは、無人機(ドローン)10機によってサウジへの攻撃を実施したと発表した。

ただ、ポンペオ米国務長官は「無人機がイエメンから飛来した証拠はない」と述べ、イランが直接関与した可能性も示唆した。
イラン外務省は関与を否定した。

サウジ東部では8月17日に、サウジ東部シェイバー(Shaybah) 油田に無人機(ドローン)10機で攻撃、天然ガス施設がフーシ派の攻撃を受けたばかり。この時は石油生産に影響は出ていない。

サウジは軍事介入するイエメン内戦でフーシ派の後ろ盾イランと対立、緊張が高まっている。


週明け9月16日の原油市場で、国際指標の北海ブレント原油先物は日本時間同日朝の取引で、期近11月物が一時1バレル71.95ドルと前週末より11.73ドル(19%)上昇した。
ニューヨーク市場でも15日(日本時間16日早朝)の原油先物10月物の価格は1バレル63ドル台前半と先週末の終値より15%あまり上昇した。

トランプ米大統領は9月15日、原油価格への影響を踏まえ「必要なら戦略石油備蓄を放出することを承認した」とツイッターに投稿した。

Based on the attack on Saudi Arabia, which may have an impact on oil prices, I have authorized the release of oil from the Strategic Petroleum Reserve, if needed, in a to-be-determined amount sufficient to keep the markets well-supplied.

I have also informed all appropriate agencies to expedite approvals of the oil pipelines currently in the permitting process in Texas and various other States.

また、犯人は推定できるが、確認できればやっつける準備が出来ているが、サウジからの連絡待ちとしている。

Saudi Arabia oil supply was attacked. There is reason to believe that we know the culprit, are locked and loaded depending on verification, but are waiting to hear from the Kingdom as to who they believe was the cause of this attack, and under what terms we would proceed!

国務院関税税則委員会は9月11日に対米追加関税対象商品の除外リスト第1弾、16品目を発表した 。

続いて、中国は9月14日、大豆や豚肉などの追加関税適用を除外するとともに、農産物を一定量購入することを決めた。

新華社は9月14日、下記の通り報じた。

中国国家発展改革委員会、商務部の関係者によると、中国は関連企業が市場化の原則と世界貿易機関(WTO)のルールに基づき、大豆や豚肉などの農産物を米国から一定数購入することを支持し、国務院関税税則委員会はこれらの購入に対して追加関税の適用を除外する。

米国はこのほど、10月1日から実施するとしていた中国製品への追加関税措置に対する調整を決定した。

トランプ米大統領は9月11日、2500億ドル分の中国製品に対する制裁関税の拡大を10月15日に先送りすると発表した。10月1日に税率を現在の25%から30%に引き上げる予定だった。
同日に中国が建国70周年を迎えるのにあたり、劉鶴副首相から要請を受けたという。硬軟織り交ぜて中国から譲歩を引き出す狙いとみられる。

中国の関係部門は、中国の市場規模は大きく、米国の良質な農産物の輸入の見通しは明るいと表明。米国が約束を守り、両国の農業分野の協力に有利な条件を作り出すよう望むと語った。

大豆と豚肉の対米関税は次の通り。

基本関税 追加関税 合計
2018/7  2019/4 2019/9
大豆 3% +25% +5% 33%
豚肉 12% +25% +25% +10% 72%

なお、中国では豚コレラの影響で豚肉価格が急騰しており、海外からの豚肉調達が急務になっている。

報道では、中国の国営商社などが100万トンを超える米国産大豆を買い付けた。米輸出業者と約20の船舶を使って11~12月に出荷する契約を結んだ模様。
今後も中国の大豆購入は継続する見通しで、数回に分けて計500万トン程の成約が見込まれるという。

米農務省は9月13日、中国に輸出する米国産大豆 204千トンの買い付けがあったと発表した。

中国政府は10月初旬の閣僚級貿易協議を前に、米政権に歩み寄る姿勢を示したとみられる。

トランプ大統領は9月12日に協議事項を絞り込む「暫定的な合意」を検討する可能性に言及した。ブルームバーグ通信によると、米政権内部では中国が知的財産権保護と米農産品購入を約束すれば、制裁関税の税率引き上げを再延期することなどを検討したという。


ーーー

中国は米国の追加関税に対する報復関税をかけてきた。

2018/7/6 340億ドル 25%
2018/8/23 160億ドル 25%
2018/9/24 600億ドル
5%~25%


2019/9/1 )750億ドル分 5%か10%
2019/12/5

 

中国政府は対米追加関税の適用除外制度を設けることを決めた。

国務院関税税則委員会は5月31日に、第1期の申請対象品目リストや申請事項、申請用ウェブサイトの操作マニュアルを発表した。 

中国国務院関税税則委員会は9月11日、対米追加関税の適用除外品目の第1弾(リスト1・リスト2)を公表した。


これら16品目には9月17日から2020年9月16日までの1年間、米国の通商法301条に基づく措置への対抗措置としての追加関税賦課を行わない。

リスト1の品目は、潤滑油、医療用X線機器、有機界面活性剤、小エビおよび稚エビ、アルファルファなど12品目で、すでに徴収した追加関税については還付される。

リスト2は、ホエイ(乳清)および調製ホエイ、潤滑油基礎油、離型剤、イソパラフィン溶剤の4品目で、これらについてはすでに徴収した追加関税は還付しない。 

適用除外の審査は、主に次の3つの基準で行われた。
(1)企業が代替輸入先を探すのが困難、
(2)追加関税賦課が企業に明らかな経済的悪影響を与える、
(3)追加関税賦課が関係産業にマイナスの構造的影響を与える。

また、「稚エビやアルファルファ、離型剤など、国民の生活の質や産業発展に必要な品目が含まれたことは、中国政府が国民と在中国企業に責任ある対応をすることを示す」とされた。

今回発表された16品目には、企業からの適用除外申請総数の約3分の1に当たる約300件の申請があった。

同委は今後も続けて対米追加関税対象商品の除外作業を進め、後続の除外リストを適時発表するとしている。

「イグ・ノーベル賞」の授賞式が9月12日、米ハーバード大で行われた。

5歳児の唾液の量が1日約500mlであることを明らかにした渡部茂・明海大教授らのチーム5人が化学賞を受賞した。

複雑な機器は使わず、子供が紙コップの中に吐いた唾液を量るという地道な取り組みが評価された。

渡部さんたちは5歳の子供30人に協力を求め、食べ物をかんでいる時と何もしていない時でそれぞれ5分間、紙コップに唾液を吐いてもらい、その量を調べた。
それぞれの唾液の量と、子供が1日に費やす食事の時間とそれ以外の時間などを基に、1日の唾液の量は約500 ml と割り出し、論文にまとめた。

渡部さんによると、論文を発表した1995年頃、虫歯予防に重要な役割を果たす唾液の研究は少なく、論文は今も世界中の研究者が引用しているという。

受賞者にはハイパーインフレ時代の10兆ジンバブエドルが手渡される。

2019年の受賞は以下の通り。

医学賞

Collecting evidence that pizza might protect against illness and death, if the pizza is made and eaten in Italy

ピザは病気あるいは死の予防となるが、ただしそのピザはイタリア製かつイタリアで食べた場合、という理論を裏付けるデータを導いた。

医学教育賞

Using a simple animal-training technique-- called "clicker training" --to train surgeons to perform orthopedic surgery

整形外科医の手術の訓練には簡単な動物訓練技術、クリッカートレーニングを使う。


生物学賞

Discovering that dead magnetized cockroaches behave differently than living magnetized cockroaches.

磁場に置いた死んだゴキブリは、磁場に置いた生きているゴキブリと違う動きをすることを発見

解剖学賞

Measuring scrotal temperature asymmetry in naked and clothed postmen in France

裸のときと服を着たときの、フランスの郵便配達人の陰嚢の温度の非対称性を測定

化学賞

Estimating the total saliva volume produced per day by a typical five-year-old child
 上記

工学賞

Inventing a diaper-changing machine for use on human infants

幼児向けおむつ交換器の発明
 箱、ガラス窓、座席、足ホルダー、安全ベルト、オムツ交換アーム、スプリンクラー、乾燥機で構成

経済学賞

Testing which country's paper money is best at transmitting dangerous bacteria

どの国の紙幣が危険なバクテリアを移すのに最適かのテスト

平和賞

Trying to measure the pleasurability of scratching an itch

かゆみを掻くことで得られる快感を測定

心理学賞

Discovering that holding a pen in one's mouth makes one smile, which makes one happier -- and for then discovering that it does not

最初に、ペンを口の中で吸うと人は笑顔になり、その人は幸せになるということを発見したが、後になり、そうではなかったということを発見

物理学賞

Studying how, and why, wombats make cube-shaped poo

ウォンバットはどのように四角い糞をするのか、そしてそれはなぜか

  ウォンバットの腸壁の独特な柔軟さにヒミツがあることが分かった。


過去のイグ・ノーベル賞については、下記を参照。

2006/10/13 ノーベル賞とイグ・ノーベル賞
2007/10/8 2007年イグ・ノーベル賞
2008/10/4 2008年イグ・ノーベル賞
2009/10/3 2009年イグ・ノーベル賞
2010/10/7 2010年ノーベル化学賞とイグ・ノーベル賞
2011/10/1  2011年度イグノーベル賞
2012/9/25 2012年 Ig Nobel 賞に日本人の「スピーチジャマー」
2013/9/16 2013年 Ig Nobel 賞、日本の2チームが受賞
2014/9/20 2014年イグ・ノーベル賞
2015/9/22 2015年 イグノーベル賞
2016/9/24  2016年 イグノーベル賞
2017/9/15 2017年 イグノーベル賞
2018/9/18 2018年 イグノーベル賞 

日本人の受賞は次のとおりで、2005年までに11件、2007年からは13年連続で14件(2013年は2件)で、合計25件の受賞となった。
なお、2008年の認知科学賞と、2010年の交通計画賞は、同一テーマの研究の延長で受賞している。

(敬称略)

  名前 受賞
1992 神田不二宏ほか
(資生堂研究センター)
薬学賞
足の匂いの原因となる混合物の解明
1994 気象庁 物理学賞
地震が尾を振るナマズによって引き起こされるかどうかを7年間研究した功績
1995 渡辺茂(慶應義塾大学)
坂本淳子
脇田真清(京都大学)
心理学賞
ハトの絵画弁別(ハトを訓練してピカソとモネの絵を区別できるようにした)功績
1996 岡村長之助
(岡村化石研究所)
生物学的多様性賞
岩手県の岩石から古生代石炭紀(約3億年前)の石灰岩中に超ミニ恐竜化石を
発見した功績
(小さな石を顕微鏡で見て超ミニ恐竜化石だと主張して発表)
1997 舞田あき(バンダイ)
横井昭宏(ウィズ)
経済学賞
バーチャルペット(
たまごっち)の開発によりバーチャルペットへの労働時間を
費やさせた功績
1997 柳生隆視 他
(関西医科大学)
生物学賞
様々な味のガムをかんでいる人の脳波を研究
1999 牧野武
(セーフティ探偵社)
化学賞
妻や夫の下着に適用して精液の跡を発見できる浮気検出スプレーの開発
.
2002 佐藤慶太(タカラ社社長)
鈴木松美(日本音響研究所)
小暮規夫(獣医学博士)
平和賞
コンピュータ・ベースでの犬と人間の言葉を自動翻訳するデバイス「
バウリンガル」開発
2003 広瀬幸雄 教授
(金沢大学)
化学賞
銅像に鳥が寄りつかないことをヒントに、カラスを撃退できる合金開発
2004 井上大佑 平和賞
カラオケ
を発明し、人々に互いに寛容になる新しい手段を提供
2005 中松義郎
(ドクター中松) 
栄養学賞
36年間にわたり自分が食べたすべての食事を撮影し、食べ物が頭の働きや体調に
与える影響を分析
2007 山本麻由 化学賞
牛糞からバニラの芳香成分 vanillin の抽出
2008 中垣俊之ほか 認知科学賞
真正粘菌変形体という巨大なアメーバ様生物が迷路の最短経路を探し当てる
2009 田口文章ほか 生物学賞
パンダのフンから抽出したバクテリアを使って台所の生ゴミを分解し、9割減量
2010 中垣俊之ほか 交通計画賞
粘菌が交通網を整備
2011 今井眞ほか 化学賞
わさびの臭いが火災報知器の役割を成す理想的な空気中のわさび濃度
2012 栗原一貴、塚田浩二 音響賞
迷惑を顧みず話し続ける人の話を妨害する装置「スピーチジャマー」を開発
2013 新見正則ほか 医学賞
心臓移植したマウスにオペラを聴かせると生存期間が延びた
今井真介ほか 化学賞
タマネギの催涙成分をつくる酵素
2014 馬渕清資ほか 物理学賞
「バナナの皮を踏むとなぜ滑りやすいのか」を実験で解明
2015 木俣肇 医学賞
情熱的なキスの生物医学的な利益あるいは影響を研究するための実験
2016 東山篤規、足立浩平 知覚賞
股のぞき効果
2017 吉澤和徳、上村佳孝 生物学賞
ブラジルの洞窟で見つかった新種の虫の雌が「ペニス」のような器官を持ち、
それを使って雄と交尾することを解明
2018 堀内朗 医学教育賞
座位で行う大腸内視鏡検査
2019 渡部茂 化学賞
5歳児の唾液の量

 


米司法省は9月4日、インドのHindalco Industriesの米子会社NovlisによるAlerus買収を阻止するため提訴した。自動車用のアルミシートの値上げを懸念したもの。

ーーー

Hindalco Industries は2018年7月、米国の完全子会社のNovelisが米国を拠点とするアルミニウム圧延品メーカーAlerisを25.8億ドルで買収すると発表した。

Hindalco はインドの三大財閥の一角、Aditya Birla Groupの傘下のアルミ製造会社。

Hindalcoは2007年、世界最大手だった米Novelisを60億ドルで買収し、業容を一気に拡大した。

グループ生産能力(年370万トン)の9割を占めるNovelisの売り上げ構成はアルミ缶が61%、自動車が20%、特殊製品が19%。

Alerisは米国を中心に世界に13カ所の生産拠点を持ち、生産能力は年100万トン。自動車向けで米国と欧州、航空機向けはドイツと中国に拠点を持ち、世界の航空機大手と取引する。

Aleris の買収で全体の生産能力は年470万トンと現在より約3割高まり、2位以下を大きく引き離す。

Aleris買収でHindalcoの構成は、自動車が22%に高まり、ビルやトラック向け(8%)、航空機向け(4%)が加わる。

米アルミ大手Alcoa Inc.は2016年に、ボーキサイトやアルミナ、アルミニウムを生産する上流部門と高機能アルミニウム加工製品を製造する下流部門に分社化した。
前者はAlcoaの社名を継承、後者は社名をArconicとした。

Aleris は、Appollo Managementの子会社のOaktree Capital ManagementとSankaty Advisorsが運営する投資ファンドが出資する。

Alerisは、過去数年間に自動車などの事業に約900百万ドルを投資している。中国江蘇省鎮江の工場は、電気自動車 (EV) の需要拡大が見込まれる中国の自動車市場において、アルミシートサプライヤーとしての立場を強化している。また、米ケンタッキー州Lewisport工場では自動車向け投資拡大に着手した。ベルギーDuffelにある自動車工場の技術や製造に関する専門知識を活用する。

航空分野ではAlerisの顧客には米ボーイング、欧州エアバス、カナダのボンバルディアなど大手航空機メーカーが並ぶ。「MRJ」を開発中の三菱重工業とも取引がある。

HindalcoはAlerisの買収で自動車向けを強化し、航空分野への参入も果たす。北米を中心に欧州や中国でも生産拠点を拡充し、自動車、航空分野の需要を取り込む。


Hindalco は今後9~15カ月での買収完了を目指すとした。

買収後のHindalcoの連結売上高は210億ドル、従業員は4万人。生産能力は年470万トンと現在より約3割増える。


実はAlerisは2016年8月に中国のアルミ成形最大手の中国忠旺控股(China Zhongwang Holdings Ltd.)からの23.3億ドルの買収提案を受け入れた。

しかし、これに米国の連邦議員が反対を表明し、抗議が広がった。最終的に対米外国投資委員会がこれを認めず、両社は2017年11月に買収を取り止めた。

その後、Aleris を保有する投資ファンドは販売先を探していた。

ーーー

今回の司法省による反対の理由は以下の通り。

目的は、北米市場での自動車用圧延薄板市場での競争を維持すること。

自動車メーカーはより軽く、より燃料効率のよい大型車の需要を満たすため、ますますアルミのボディシートを必要としているが、買収により北米の4社しかないメーカーの2社が統合する。

競合するサプライヤーの減少は最終的に自動車の需要家を傷つける。

Aleris は "aggressive competitor" であるが、この買収で Novelis は国内の能力の60%を握ることとなる。


Novelis は、計画通り1月21日までの取引成立を目指すことに変わりないとしている。

同社は、司法省はアルミは鉄鋼と競合しており、市場はもっと大きいことを認識していないと述べた。自動車車体シート用では鉄鋼は90%のシェアを占めると主張している。

ーーー

本件については、欧州委員会も2019年3月、競争が減り、価格が上がることに懸念を示した。

これに対し、Noverisは本年8月、欧州委員会の懸念に対応した譲歩案を提出した。

内容は明らかにされていないが、欧州委員会はこれについての需要家等の反応をみて、10月7日に結論を出す。

欧州中央銀行(ECB)は9月12日の定例理事会で、利下げや量的緩和の再開を含む包括的な追加金融緩和策の導入を決めた。

ドラギ総裁は記者会見で、米中摩擦、英国のEU離脱に懸念を示し、「ユーロ圏経済の低迷はより長期化する恐れがある」と警戒感をあらわにした。 物価上昇率も目標の2%を大きく下回り、低インフレから抜け出せなくなるとの危機感が広がっている。

1) 「中銀預入金利」

政策金利のうち市中銀行から預け入れられた余剰資金に適用する「中銀預入金利」を現在のマイナス0.4%から過去最低のマイナス0.5%に引き下げる。
ECBは同金利に2014年6月からマイナス金利を導入しているが、さらにマイナス金利の幅を拡大させる。

利下げは2016年3月以来3年半ぶり。米中貿易摩擦の激化などを背景に世界的な景気減速懸念が強まる中、7月末に約10年半ぶりの利下げを実施した米連邦準備制度理事会(FRB)に追随する。

FRBは7月31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を、年2.25~2.50%から年2.00~2.25%に引き下げた。

2019/8/1 FRB、10年半ぶり利下げ、資産縮小も終了

2) 量的緩和

昨年末で終了していた量的緩和については、11月から月200億ユーロの資産購入規模で再開する。

欧州中央銀行(ECB)は2018年12月13日、量的緩和策を2018年12月末で終了することを決めた。ユーロ圏の景気が回復を続け、物価上昇も進んでいるためで、既に利上げ局面に入っている米国に続き金融政策の正常化へかじを切った。

量的緩和で購入した資産は計2兆6000億ユーロ。2019年から新規購入はやめるが、満期を迎える保有債券の償還金は再投資に振り向ける。再投資は「長期間続ける」としている。

2018/9/22 欧州中銀、債券買い入れを年末で終了

今回、資産購入を再開する。

日通は9月1日、中国と欧州を結ぶ鉄道輸送を利用した日本発欧州向けの複合一貫輸送サービス Nex Ocean-Solution China Land Bridgeを販売開始した。


日本の主要港(東京/横浜/名古屋/大阪/神戸/門司)から中国・厦門までの海上輸送と、厦門からポーランドのMałaszewicze(マワシェビチェ)、ドイツのHamburgとDuisburgまでの鉄道輸送を組み合わせたもので、日本の主要港から欧州の各鉄道ターミナルまでのリードタイムは23~25日となる。欧州までの海上輸送の場合は約40日のため、大幅に短縮され、輸送コストは約40%削減される。

厦門発の列車は毎週水曜と土曜初の2便が定期運航されている。


 

同社では2015年11月から中国欧州間クロスボーダー鉄道輸送サービスを、航空輸送と海上輸送の中間に位置する「第3の輸送モード」として新商品の開発に取り組んでいる。

2018年5月から中国欧州鉄道を利用した2つの日本欧州間複合一貫輸送サービスを実施している。

一つは、海上輸送と鉄道輸送を組み合わせた日本欧州間の複合一貫輸送サービスEurasia Train Direct (Sea & Rail)で、もう一つは、海上輸送とと航空輸送と鉄道輸送を組み合わせたEurasia Train Direct (Air & Rail)である。

Eurasia Train Direct (Sea & Rail)は、日本の主要港(東京/横浜/名古屋/大阪/神戸)から中国・大連までの海上輸送と、大連からドイツDuisburgまでの鉄道輸送を組み合わせたもので、日本の主要港から欧州の各鉄道ターミナルまでのリードタイムは23~25日となる。欧州までの海上輸送の場合は約40日のため、大幅に短縮され、輸送コストは約40%削減される。

Eurasia Train Direct (Air & Rail)は、日本の主要空港(成田/羽田/中部/関空)から中国・重慶までの航空輸送と、重慶からドイツDuisburgまでの鉄道輸送を組み合わせたもの。

貨物量に応じてコンテナ貸切(FCL)サービス、混載輸送(LCL)サービスの利用が可能で、成田空港からDuisburg鉄道ターミナルまでのリードタイムは最短でFCLでは22日、LCLでは24日。

ーーー

主席は2013年9月7日、訪問先のカザフスタンの大学での講演会で、「シルクロード経済ベルト」と呼ぶ中央アジア諸国などとの経済協力の構想を明らかにした。

「人口30億人のシルクロード経済ベルトの市場規模と潜在力は他に例がない」と述べ、太平洋からバルト海に至る物流の大動脈の整備や、人民元と各国通貨の直接交換取引の拡大を挙げた。
中国と中央アジアのほか、ロシアやインド、パキスタンなども含めた広範な地域を想定しているとみられる。

2013/9/18  中国の習近平主席、「シルクロード経済ベルト」を提唱 

もう一つは重慶とドイツ西部の工業都市 Duisburg を結ぶ貨物鉄道「渝新欧鉄道(Yuxinou Railway)」である。

重慶から北上して西安から今回の義新欧鉄道と同じルートで Duisburgに到るもので、11,179km。
'Modern Silk Road' と呼ばれるこのルートは2012年8月に開通した。


中国と欧州を結ぶ国際貨物列車「義新欧鉄道("Yixinou Railway")」の第1号列車が2014年12月9日、スペインのマドリードに到着した。

義新欧の義は出発点の義烏、新は経由する新疆ウイグル、欧は欧州。

2014/12/13 中国と欧州を結ぶ国際貨物列車の第三路線が開通

スコットランドの高等裁判所(Court of Session)は9月11日、議会を長期間にわたり閉鎖したジョンソン首相の措置を違法とする判断を示した。提訴した野党議員らの「非民主的だ」という主張を大筋で認めた。


政府は直ちに上訴する方針を表明。舞台を最高裁に移し、17日にも審理入りする見通し。

ーーー

英国議会は7月26日から夏季休会で、9月3日に再開した。これに先立ち、ジョンソン首相は 8月28日、エリザベス女王に9月9日の週から約1カ月間の議会の一時閉会を要請した。閉会手続きには女王の許可が必要だが、女王はこれを許可した。

10月14日に議会を再開しても10月17日にはEU首脳会議があり、議会は、議決や議論を行うための時間的余裕がないことになる。

2019/8/30 英ジョンソン政権、異例の議会封じ 

これに反対して、各地で訴訟が行われた。

ロンドンの裁判所は、首相が女王に議会の一時閉会を要請したのは"political"なものであり、裁判所が介入するものではないとし、却下した。裁判所が判断する法的基準はないとしている。

スコットランドの裁判所は、議会の閉会で首相は法を犯しておらず、首相の行動を判断するのは裁判所ではなく、議員と有権者であるとして却下した。

今回はその控訴審で、スコットランドの高等裁判所の3人の判事は違法とする判断を示した。

3人の判事は一致して、首相は「議会を妨害する不適切な目的」で動き、女王をミスリードして議会を閉会させたとした。

「このため本裁判所は、首相の女王への助言とそれに基づく議会の閉会は違法であり、無効であると宣言する。」

今回の議会閉会は合法的な権力の使用ではなく、議会を妨害する戦術であるとして、一審の判決に同意しないと述べた。

3人の判事の一人は、これは公権力の一般に受け入れられた基準に明らかに合致しないひどいケースであるとした。閉会の目的は、議会の妨害無しに合意なき離脱政策を進めるためのものだと述べた。

他の判事は、政府は閉会のはっきりした理由を示していないとした。政府と首相は議会を制約したいとしていると推測されると述べた。

結論として、首相の女王への閉会の助言は、目的が議会の審議を妨害するためであれば違法であるというもの。議会による政府の審議は英国の憲法の柱であり、民主主義の原則、、法の支配から得られるものであるとしている。


世界貿易機関(WTO)の上級委員会は9月10日、韓国による日本製空気圧バルブに対する反ダンピング関税を巡り2018年4月に是正を勧告した紛争処理小委員会(パネル)の判断をおおむね支持すると発表した。

上級委の判断が最終判断となる。

世耕弘成経済産業相は、上級委が「日本の核となる主張」を認めたとの談話を発表。韓国に対し「日本企業に対する不当な措置」を停止するよう求め、韓国が勧告を履行しない場合には、日本にはWTO協定の手続きに従い対抗措置を発動する権利があると述べた 。

ーーー

韓国は2014年2月21日から日本製空気圧伝送用バルブに対するアンチダンピング課税調査を開始した。

これは、圧縮空気を利用して空圧シリンダーなどを伸縮・旋回等させるために、圧縮空気の流れ具合を制御するバルブで、半導体、自動車製造工場などの組立装置や搬送装置などに用いられる。

韓国は2015年1月20日に日本製空気圧伝送用バルブのダンピングによって韓国の国内産業が実質的な損害を受けている旨の最終決定を行い、2015年8月19日から課税を開始した。

11.66~22.77%のアンチダンピング税が賦課される。期間は5年間。
日本から韓国への輸出額は、年間約91億円(2017年)

これに対し日本政府は、損害や因果関係の認定、調査手続の瑕疵により、アンチダンピング協定に違反する可能性があると考え、2016年3月15日にWTO協定に基づく協議要請を行い、同年4月28日に韓国との協議を実施した。

2017年に紛争処理小委員会(口頭弁論)が開催され、2018年4月12日、WTOはパネル報告書を公表した。本件はアンチダンピング協定に違反すると認定し、韓国に対して措置をアンチダンピング協定に適合させるよう勧告した。

① 韓国による本件措置の決定は、ダンピング輸出による韓国国内産業への損害・因果関係の認定に瑕疵があり、アンチダンピング協定に整合しない。

② 本件措置は、手続面でも、秘密情報の取り扱いに不備があり、アンチダンピング協定に整合しない。

③ 但し、日本側が主張した調査手続きの不備などについては、日本の主張は認められないか、パネルの付託事項の範囲外であるとして、判断しなかった。

韓国政府は上訴、日本も、かかる一部の論点についてWTO上級委員会の判断を仰ぐべく、上訴の申し立てを行った。

ーーー

今回上級委は、日本製バルブは主に精度の高さが重視される半導体製造工程や自動車のエンジン製造工程で使用されているため、一般的に精度の高さが要求されない自動車の塗装工程などに使用されている韓国製バルブとは直接的に競合しないとの日本側の主張を受け入れ、韓国に対し反ダンピング関税措置をWTOの規定に適合させるよう勧告した。

調査手続きの不備の問題についても、上級審はパネルの判断回避は誤りと認定した。

① ダンピングによる損害を認定する前提として、日本製品の輸入が韓国産バルブの価格低下圧力をもたらしたのか、適切な説明がなく、アンチダンピング協定第3.1条及び第3.2条(ダンピング輸入による価格効果の立証)に違反する。

(ア)日本製バルブは韓国産より高価・高機能であり、そもそも両者の価格が比較可能かどうか、適切な説明がない。
(イ)韓国産より高価な日本製品の輸入が、元々安い韓国製品の価格にさらに低下圧力をもたらすことの説明が不十分。

② 本件措置は、秘密情報の取扱いに不備があり、アンチダンピング協定第6.5条及び第6.5.1条に整合しない。

③ 韓国が業界全体を調査せず、アンチダンピング調査を申請した2社のみのデータを「国内産業」と認定した点は、アンチダンピング協定第3.1条及び第4.1条に整合しない。

経産省は本件の意義を次のように述べている。

本件は、韓国の恣意的なアンチダンピング措置の是正を勧告したのみならず、新興国等に多く見られる保護主義的な貿易救済措置の濫用がWTO協定上容認されないことを明確にした点で意義があります。また、パネルによる一部論点の判断回避は誤りであったと明言した点も、信頼性の高い紛争解決制度の維持・改善を主張する我が国の立場に即したものです。


これに対し、
韓国政府は9月11日、「実質的な争点の大部分で協定違反と立証されなかった」との見解を表明した。そのうえで「既存の韓国の勝訴との判定は維持された」と強調している。

二審の上級委員会の判断では9つの実質的な争点のうち6つで一審での勝訴が維持されたと説明している。
日本製バルブによる韓国内の価格への影響立証に関しては韓国が協定違反と判断されたとしている。

輸入関税引き上げの是正を求められた点には触れておらず、今後の対応についても明らかにしていない。

付記

これについて、9月12日付の朝鮮日報は次の通り、分析している。

WTOの判定をめぐり、両国がいずれも勝利したと主張したのは、WTO判定の特殊性のせいだ。
WTO判定は有罪か無罪かを判断したり、両国のどちらが「正しい」と簡潔に判断したりはしない。
争点別に各国の主張を細分化し、どちらの主張が妥当なのかを検討する。

同日の判定も韓国は「WTOが13点の争点のうち10点について、韓国の立場を支持した」として、韓国の勝利と受け止めた。日本は「重要な一つの争点で勝訴し、実質的な勝利だ」との立場だ。

日本が勝利したと主張するのは、「日本製バルブがダンピングで国産バルブの価格を下落させたとする韓国側の分析に問題がある」とする日本側の主張が認められたからだ。WTOは一審で韓国を支持したが、今回は「韓国の分析方式は不適切だ」として、日本を支持した。

実際にこうした主張が認められ、関税が見直された例があるため、日本は重要な争点だと主張した。

しかし、専門家は関税を引き下げるかどうかはまだ推移を見守るべきだと主張する。韓国が論理を補強し、WTOを説得すれば、関税を見直さなくてもよいからだ。

付記

世界貿易機関(WTO)の紛争処理機関(DSB)は9月30日の会合で、日本から輸入されたバルブに韓国が課した反ダンピング関税はWTO協定違反と認めた上級委員会の判断を採択し、日本の勝訴が確定した。

日本は韓国に措置の是正を求める方針だが、韓国が応じるか不透明。

韓国は上記の通り、実質的な争点の大部分で協定違反と立証されなかったとの見解を示しており、勝訴したと主張している。9月30日のDSBの会合で日本は「建設的な対話をする用意がある」との声明を出した一方、韓国は「措置を撤廃すべきだとする日本の提案は受け入れられない」とした。


両国の合意があれば原則、最大15カ月間の猶予が与えられる。この間に是正されなかった場合は、日本は韓国製品に追加関税を課すなどの対抗措置の承認をWTOに要請できる。

本件について韓国の中央日報は以下の通り報じた。

最終報告書が採択されたことを受け、韓国は2004年日本の海苔輸入クォーター制と2006年韓国製DRAM相殺関税賦課、2013年福島周辺水産物禁輸措置など、日本と4回のWTO紛争ですべて勝訴することになった。

政府は今回の紛争解決機構の会議に参加して「上訴機構の判断を歓迎し、紛争解決機構の最終判定採択を支持する」とし「協定不合致だと判定された事案に対しては適切な方法で履行する計画」と明らかにした。

安徳根ソウル大教授は「WTOが韓国側に指摘したのは追加関税の根拠となる説明が不足しているということで、韓国側は正当な根拠を示すことができれば関税を継続できる」という。

ーーー

別途、韓国産業通商資源省は9月11日、日本の韓国に対する半導体材料の輸出管理厳格化措置は不当として、同日に世界貿易機関(WTO)に提訴すると発表した。

日本の輸出管理厳格化は「最高裁の強制徴用判決と関連した政治的動機で、わが国を狙った差別的な措置だ」と提訴理由を説明した。

エリザベス女王は9月9日、EUからの離脱延期を求める野党法案を裁可し、同法は成立した。
これにより、10月19日までにEUとの離脱協定案を議会が承認できない場合、政府はEUへの延期申請を義務付けられることになった。

首相はかねて、離脱を延期するなら「死んだほうがまし」としており、この法律に従うかどうかが注目されている。

延期法は首相がEUに送る書簡の文言まで厳密に定めているが、その書簡を書くことや署名を拒否することはあり得る。

EUに延期を申し入れる書簡を送る際に、首相が「私は延期を希望しない」との書簡を添付する案も報じられている。英の延期を認めるには、英以外のEU27カ国の同意が必要だが、EU側に「首相が望んでいない延期に応じる必要はない」と拒否してもらう策である。

奇策としては与党側から内閣不信任案を提出するというのもある。過半数で可決されると解散総選挙となる。

付記

ジョンソン英首相とユンケル欧州委員長は9月16日、ルクセンブルクで会談した。ジョンソン首相は期限の10月31日までにEUを離脱すると改めて言及し、期限の延期は考えていないとも伝えた。

英議会下院は9月10日未明、ジョンソン首相が提出した解散総選挙の2回目の動議を退けた。

英議会では同一会期中での同じ内容の提案は議長が認めないが、今回は、1回目の総選挙の動議のあとに上院が離脱延期法を承認し、女王の裁可を経て成立したという状況の変化があったため、 認めた。

英国では議会任期固定法の規定で解散には下院650人の3分の2 (434)の賛成が必要だが、今回は賛成は293にとどまった。野党議員の大半が「離脱延期が確定したら総選挙に応じる」として棄権した。

前回の9月4日の解散動議は、賛成 298、反対 56、棄権285であった。

2019/8/2 9/3 9/4 現状

10/10 解散動議

賛成 反対 棄権 不投票
保守党 311 310 289 288 279 6 3
民主統一党 10 10 10 10 10
(与党) (321) (320) (299) (298) (289) (6) (3)
労働党 247 247 247 247

23

222 2
スコットランド国民党 35 35 35 35 35
自由民主党 13 14 14 17 1

14

1 1
保守党党籍停止 21 32 3

6

31
独立党 11 11 11
The Independent Group for Change 5 5 5 3
Change UK 5 5 5 5
シンフェイン党 7 7 7 7 7
ブライドカムリ 4 4 4 4 3 1
緑の党 1 1 1 1 1
議長 1 1 1 1 1
合計 650 650 650 650 293 46 303 8

議会は9月9日、合意なき離脱となった場合の詳細な対応策について政府に公表を義務付ける動議を 311対302 の賛成多数で可決した。
この動議はまた、長期の議会休会を決定するに至ったやりとりや文書の公表も求めている。

付記

英政府は9月11日、Brexitの影響について8月2日付でまとめた文書 Operation Yellowhammer を公表した。(yellowhammer は鳥の名前で、財務省には文書にランダムに鳥の名をつける慣行がある。)

合意なしで離脱すれば、英ドーバーでの物流の遅滞、抗議活動の広がり、旅行の混乱が生じ、さらには食料や医薬品、燃料が不足する恐れもあるとする。
北アイルランドに触れた箇所は黒塗りされている。

報道では、アイルランド国境にとって合意なき離脱に伴う取り決めのない状態は持続不可能とか、英領北アイルランドの農産食品に打撃が及び、ヤミ市場が栄え、犯罪組織や反体制派が新たな価格差に乗じようとする可能性が高いなどとしている。

なお、長期の議会休会を決定するに至ったやりとりや文書は公表されていない。

ーーー

同日、John Bercow下院議長が10月31日に辞任すると表明した。 政権への抗議を示すものと見られている。

ジョンソン英首相の弟で閣外相(ビジネス・エネルギー・産業戦略省と教育省の閣外担当相)のJoe Johnson下院議員は9月5日、閣僚を辞任するとともに、次の選挙には出馬しないと述べた。 「過去数週間、家族に忠誠を誓うのか、それとも国益を選ぶかで身が引き裂かれるほど悩んだ」と述べた。2016年の国民投票では兄とは異なり、EU残留に票を投じた。

Amber Rudd 雇用・年金相は9月7日、ジョンソン政権の閣僚を辞任し、保守党も離党すると表明した。反対派の議員やEUに攻撃的なジョンソン首相の姿勢に反発した。

9月9日午後1時ごろ、市原市で「ソーラーパネルが燃えている」と119番通報があった。


県警市原署や市原市消防局によると、山倉ダムの水面に浮かべられた太陽光パネルが風に流され、折り重なるようにして、少なくとも約50枚が燃えているという。

写真・図版

同消防局では、ソーラーパネルが流され重なるなどの状況から台風の影響とみており原因を調べる。

水上型の太陽光発電設備「山倉水上メガソーラー発電所」で、太陽光パネル約5万1千枚を浮かべる日本最大の水上設置型太陽光発電所である。

山倉水上メガソーラー発電所は、東京センチュリーが81%、京セラが19%出資する京セラTCLソーラー合同会社が運営する。

千葉県水道局が管理する工業用水専用の山倉ダムの水面約18万m2に京セラ製太陽電池モジュール50,904枚を設置し、年間予想発電量は約1,617万kWh(一般家庭約4,970世帯分の年間電力消費量に相当 )。発電した電力は、全量を東京電力エナジーパートナーへ売電する。

2018年3月20日に森田健作・千葉県知事の出席のもと、竣工式を執り行った。


Ford Motors、Honda、BMW、Volkswagen の4社が2019年7月に米カリフォルニア州と合意した排出ガス削減の自主基準について独禁法に違反していないかどうか、米司法省が各社の調査に入ったことが6日、明らかになった。

司法省はこの合意が反トラスト法に違反したかどうかを判断する予備調査として、4社に書簡を送付した。

ーーー

米国では、2011年1月に、2016 Model Year の Light-duty vehicleのCO2排出量を250g/mile、CAFE燃費を35.5 mpg(15.1km/L)とする規制が発効した。

オバマ政権は2012年8月28日、54.5 mpg の燃費規制を正式に発表した。

Combined Cars & Trucks 燃費 mpg

2011/1規制

2012 2013 2014 2015 2016  
30.1 31.1 32.2 33.8 35.5
 

2012/8規制

2020 2021 2022 2023 2024 2025
40.0 41.7 46.8 49.4 52.0 54.5

なお、Clean Air ActによりEPAは米国の燃費の基準を決めるが、カリフォルニア州はEPAにより適用除外(waiver)が認められており、連邦政府の燃費規制よりも厳しい基準をを決める権限を与えられている。

また、カリフォルニア州など約10州は、販売台数の一定比率を電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)など排出ガスを出さないゼロエミッション車(ZEV)にしなければならないとする「ゼロエミッション車(ZEV)規制」を採用している。


米 EPAと米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は2018年8月2日、オバマ前政権下で定められた2021年以降の基準値を撤回し、新しい基準値を策定すると提案した。

2021~2026年型車の基準値を2020型車の目標値である37 mpgに据え置く。また、州が独自に定める燃費基準やゼロ・エミッション車(ZEV)規制の廃止も盛り込まれた。2021年モデル(20年発売)の車両から適用する。

2018/8/8 トランプ政権、車燃費基準を撤回

カリフォルニア州等は、連邦政府が州政府の独自燃費基準設定を禁止するようであれば、裁判闘争も辞さない構え。


カリフォルニア州とメーカー4社は2019年7月、2026年まで毎年3.7%ずつ燃費改善を目指す独自の規制で合意した。2026年までに1ガロン当たり平均51マイル以上という州規制を導入する。クレジットの追加による電気自動車(EV)への置き換え支援、排ガス低下技術を導入した企業へのインセンティブ提供、電力生産における上流工程での温室効果ガス排出の要件緩和などを含む。

同州が導入する厳しい独自基準と、連邦政府が提案する緩和ルールの中間に当たる基準で、全米50州での採用をめざしている。

電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などの排ガス削減効果の計算を見直し、カリフォルニアの規制より達成しやすくなるよう設計した。

カリフォルニア州大気資源局(CARB)は、全米50州での達成を条件に4社の基準を承認した。全米で基準がそろえば、一部の州で厳格な規制を課すのと同等以上の削減効果が得られると判断した。

Fiat Chrysler Automobilesは、4社の合意内容を前向きに検討中だと明らかにした。GMは燃費基準で米国全体の合意が形成されることを引き続き希望していると述べた。

ホワイトハウスは今回の合意について「どこか1つの州ではなく、連邦政府が基準を定めるべきだ。われわれは全ての国民に利する連邦の基準の取りまとめを進めている」とコメントした。


米環境保護局(EPA)と米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)が、カリフォルニア州に認めている独自の自動車燃費基準設定の権限を取り消し、州政府による独自の基準設定を阻止する案をホワイトハウスに提出する見通しであることが分かった。関係筋が9月5日に明らかにした。

EPAとNHTSAは、カリフォルニアや他の州政府への対応に関するルールをまず定めた上で、年次の燃費基準の設定を完了する。

ーーー

米司法省は、メーカー4社が独自に燃費基準を申し合わせたことがカルテル行為などに当たるかどうか調べているという。

司法省はこの合意が反トラスト法に違反したかどうかを判断する予備調査として、4社に書簡を送付した。

ホンダは「カリフォルニア州と自動車メーカーとの排出量を巡る合意に関する司法省の調査に協力する」とコメントした。

豪州のリチウム資源企業Pilbara Mineralsは9月5日、36.5百万ドルの私募発行が完了したことと、中国・寧徳時代新能源科技(Contemporary Amperex Technology :CATL)に対して55百万豪ドル(持株比率8.5%) の株式発行を行ったことを発表した。鉱山開発や設備の拡張などを急ぐ。

現在の株主は次の通り。

Ganfeng Lithium(需要家:8.2%)、Mineral Resources (鉱山サービス:6.8%)、POSCO(需要家:4.4%)、
Vanguard Group(3.5%)、長城汽車(需要家:3.0%)

Pilbara Mineralsは西豪州の Pilbara地区で同社100%で Pilgangoora リチウム・タンタルProject を行っており、世界最大のリチウム原料メーカーの一つ。

Stage 2 ではわずか2億7000万ドルの投資で、現在200万トンの生産を500万トンへ増加する。これにより、リシア輝石6%コンセントレートを年30万トンから80~85万トンに増やし、タンタルのコンセントレートを年321千ポンドから800千ポンドに増やす。

製品は、Ganfeng Lithium(贛鋒鋰業)、General Lithium(江蘇容匯通用鋰業)、長城汽車、 POSCOなどが購入する。



Pilbara Minerals は このたび、POSCOとの間で、韓国に年産4万トンのリチウムハイドレートのJVを設立する契約を締結した。Pilbaraは21%を出資する。

POSCOは2018年2月、Pilbara Mineralsから年間3万トンのリチウムを生産できる分量の毎年最大24万トンのリチウム コンセントレートの供給を受ける長期契約を締結した。

同社は同年、アルゼンチンのリチウム塩湖の権益を確保した。

2018/8/31 韓国 POSCO、アルゼンチンのリチウム湖の採掘権を取得


CATL はEV用電池の世界最大手で、Toyota、BMW、Volkswagen、Honda などと良好な関係を持つ。

福建省に本拠を置き、三元系電池(NMC:LiNixMnyCozO2) 電池(N 50%、M 30%、C 20%)を生産している。

同社は2018年7月、独の中部チューリンゲン州に初の海外工場を建設すると発表した。独フォルクスワーゲンや独ダイムラー、仏 PSAなどの欧州メーカーに供給するためで、EV用のリチウムイオン電池の生産を2021年に開始する予定で準備を進めている。

この時点での投資額は2億4千万ユーロであったが、今般、最大18億ユーロまで7倍強に引き上げた。2026年までに100GWh規模の工場を建設する。

今回のPilbara Mineralsへの出資で、EV用電池の中核素材であるリチウムの安定調達につなげ、EV市場の世界的な拡大に備える。

CATL はPilbara の増設分のリシア輝石を購入し、増設計画を支援する。

米Appleに部品を供給していた電子部品メーカーの島野製作所が、Appleに独占禁止法違反があったなどとして損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は9月4日、島野側の請求を棄却する判決を言い渡した。

付記 島野製作所は9月17日、請求を棄却した東京地裁判決を不服として東京高裁に控訴した。

ーーー

島野製作所は、電源アダプターに使われる「pogo pin」というるコネクタ部分の接触端子の専業メーカーで、2005年からApple のノートパソコン(Magsafe、Magsafe 2)に接続する電源アダプタ側の端子向けに、単独サプライヤーとして供給してきた。

島野は2012年にApple から増産要求を受け設備投資を実施したが、直後に取引を急減させられた。

島野は取引回復を求めたが、納入価格を半額以下にするよう要求され、さらに納入済みの在庫部品についての値下げ分として約159万ドルのリベート支払を求められた。

島野はいずれの要求にも従ったが、2014年8月にApple を相手に独占禁止法違反と特許権侵害で訴えた。

① 独禁法違反等  リベート支払等に関する損害賠償請求(約100億円)

② 特許権侵害   一部のアップル製品についての販売差止及び損害賠償請求(約10億5千万円)

両社の契約には、「係争をアメリカの裁判所で解決する」との規定がある。

東京地裁は2016年2月15日、「係争をアメリカの裁判所で解決することを定めていた両社の合意は、合意が成立する法的条件を満たしておらず無効」と判断、国内で審理することを決めた。

2016/2/20 島野製作所の対アップル訴訟で国際裁判管轄の企業間合意に無効判断 

このうち特許権侵害について、東京地裁は3月17日、島野製作所の請求を棄却する判決を言い渡した。

島野は控訴したが、知的財産高裁は2016年10月26日、特許権の侵害がないとした一審・東京地裁判決を支持、島野製作所の控訴を棄却した。

詳細は 2016/11/3 島野製作所、アップルの特許裁判で敗訴


特許権侵害については、島野の完敗である。 

ーーー

今回、残る独禁法違反についての判決があった。

島野側は2014年8月、Appleが発注を突然停止し、再開の条件として代金減額やリベート支払いを要求したと主張。債務不履行や独禁法違反(優越的地位の乱用)に当たるとして、東京地裁に提訴した。

裁判長は判決で、両社は基本契約で米カリフォルニア州法を準拠法と規定していたと指摘した。(2016年の東京地裁判決では、この合意は無効としたが。)

債務不履行については、州法に基づけばAppleが発注予測として示した数量を注文する義務はないと判断した。
独禁法違反については、原告側が州法に基づく主張や立証をしていないとして「不法行為の成立は認められない」と判断した。

島野製作所は「現時点でコメントは控えたい」としている。

東アフリカのLNG計画

| コメント(0)


8月31日付の日本経済新聞によると、モザンビークでは2つのプロジェクトが建設中だが、来日したマレイアーネ経済・財務相は、計画中の3つ目のプロジェクトについて「2020年1~3月にも投資決定をする」と明言した。隣国タンザニアでも開発計画がある。

モザンビークで進む3つのプロジェクトがすべて完成すれば生産能力は年約3150万トンと、18年時点で世界3位の輸出国マレーシア(約2400万トン)を抜く。


モザンビークとタンザニアの国境を流れるRovuma川の河口と沖合に世界最大規模のガス田が発見され、開発が始まった。

モザンビークの海底ガス田の開発は6区に分けて行われている。

全体図

1) モザンビークLNG

三井物産は2008年2月、米国大手独立系石油・ガス開発会社 Anadarko Petroleumがモザンビークに保有する石油・天然ガス探鉱鉱区(Area 1)の権益の一部を取得することで同社と合意した。

  現在  
Anadarko (オペレーター) 26.5% ONGCに10% 譲渡
Mitsui E&P 20%  
モザンビーク国営石油会社
ENH Rovuma Área
15%  
ONGC Videsh
Oil and Natural Gas Corp (インド)
10% Anadarkoより
 (+6%) (Beas Rovuma)
Beas Rovuma Energy Mozambique
(ONGC and state-run Oil India )
10% Videocon より
(ONGC60%、Oil India 40%)
Oil India(インド) ↑  (4%) (Beas Rovuma)
BPRL Ventures Mozambique(インド)Bharat PetroResources Limited (BPRL) 10%  
PTTEP Mozambique Area 1
PTT Exploration & Production (タイ)
8.5%  

注)Occidental Petroleumは2019年8月8日、Anadarkoの買収が完了したと発表した。債務込みで550億ドルとなる。

2019/5/2 Occidental Petroleum、Chevronに対抗し、Anadarkoに再度の買収提案 付記

この鉱区の最大の権益を持ち、オペレーターを務めるAnadarko Petroleumは2012年12月、隣接するArea 4のオペレーターのEni との間で共同開発の覚書を締結したと発表した。両グループは天然ガスの開発は連系はしつつも個別に行なうが、LNG生産設備建設は共同で行うとした。

2013/1/10 モザンビークの天然ガス開発

当初、2018年にも生産を開始する予定であったLNGプラントはその後も着工されていなかった。

このたび、Anadarkoは着工を決定した。

千代田化工建設は2019年6月6日、イタリアSaipem S.p.A.及び 米国McDermott International Inc.と共同で、モザンビーク共和国におけるLNG計画(Anadarkoが主導するエリア1 の共同事業者が計画)EPC(設計・調達・建設工事) 業務を受注したと発表した。

三井物産も6月19日に最終投資決断を行ったと発表した。天然ガスの生産・液化からLNGの輸送までを行う上中流一体型事業で、LNG事業も上記の権益比率で行う。

2024年より年間1,200万トンのLNGを生産する。

2019/6/7 モザンビークLNG 計画スタート


2) Coral FLNG(アフリカ地域初の洋上LNGプラント建設プロジェクト)

日揮は2017年6月2日、Technip FMC、サムスン重工業と共同で、Coral FLNG SAがモザンビーク共和国において計画している洋上LNGプラント(FLNG)建設プロジェクトを受注 したと発表した。

Area 4 のCoral ガス田でLNGを生産する。

概要は次の通り。

 Coral FLNG SA 

ENI 50%
CNPC 20%
ENH FLNG 10%
GALP ENERGIA ROVUMA 10%
Korea Gas 10%

 設置場所 モザンビーク共和国沖コーラルガス田(タンザニア国境沿いの沖約50km 水深2,000m)

 FLNGプラント 年産約340万トン

 契約内容 設計、機材調達、建設工事、据付および試運転役務のランプサム契約
      サムスン重工業は、FLNG船体のEPCおよびトップサイドのファブリケーションを担当


3) Rovuma LNG

2018年7月にロブマLNGプロジェクトの第1期開発計画がモザンビーク政府に提出された。

本プロジェクトは、モザンビーク沖合のエリア4鉱区に位置するMambaガス井の天然ガスの生産・液化・販売を行うもので、年産760万トンの液化プラント2基(計 1520万トン)を生産する。

最終投資決定は2019年に行い、2024年の生産開始を予定するとしていたが、今回、経済・財務相は、投資決定は「出資企業間の調整が残っており、現実的にみて2020~21年になる。早くて20年1~3月だろう」としている。

Mozambique Rovuma Venture(ExxonMobil 40%, Eni 40%, CNPC 20%)が運営を行い、他のガス田権益者の3社が10%ずつ出資する。

エリア4鉱区にはCoralガス田とMambaガス田があるが、前者で洋上処理するのがCoral FLNGで、後者を陸上で液化するのが本件である。

当初の予定通り、モザンビークLNGと同じ場所で、今回は別々に事業を行う。

付記 

ExxonMobilは日揮、TechnipFMC、Fluor Corp. の企業連合にLNG建設プロジェクトのEPCを発注した。10月8日に明らかにした。
最終投資決定は2020年に行われる。

Area 4 の権益は次のようになる。

Area 4 ガス田 Coral FLNG Rovuma LNG
Eni Mozambique Rovuma Venture 70%→25% 50% 70%
ExxonMobil 0%→25%
CNPC 0%→20% 20%
ENH (Mozambican government) 10% 10% 10%
Galp (ポルトガル) 10% 10% 10%
Kogas (韓国) 10% 10% 10%
合計 100% 100% 100%

Mozambique Rovuma Ventureの出資比率は、ExxonMobil (40%), Eni (40%), and CNPC (20%)


4) タンザニアLNG

タンザニア政府は同国のLNG計画が2022年にも建設開始することを期待している。

ノルウェーのEquinor(旧称 Statoil )が中心で計画しているもので、Shell、ExxonMobil、Ophir Energy(ロンドンに本拠を置く石油およびガスの探査および生産会社)及びPavilion Energy(シンガポールのTemasekのLNG子会社)がTanzania Petroleum Development Corporationと組んで、Lindi地区にLNGプラントの建設を計画している。

LNG能力は年産1000万トン。

韓国産業通商資源部は9月2日、英国のEU離脱期限となる10月末より前に、英国と結んだ2国間FTAの国会での批准同意手続きを終える方針 を明らかにした。


付記

韓国国会は10月28日の本会議で、英国とのFTAの批准同意案を可決した。
英国がEUを離脱した場合、自動的に発効される。

アジア諸国のうち、英国とのFTA批准を完了したのは韓国が初めて。

ーーー

韓国とEUは2010年10月6日、自由貿易協定(FTA)の締結で正式署名、2011年7月1日に発効した。

2016年6月23日英国で実施されたEU離脱の是非を問う国民投票は、大方の予想を裏切る「離脱」という結果となった。
英国のEUからの離脱交渉は2017年6月19日、ブリュッセルで始まった。

韓国は、英国がEU離脱の交渉を始める前に、早くもEU離脱後の英国との2国間FTA交渉を開始した。両国は、2017年2月に1回目の貿易作業班会議を開き、両国の新しい通商協定を英国のEU離脱と同時に発効させることを目指して協議を始めた。

英国がEUから離脱すれば、英国に輸出される韓国製品に対して適用されていた韓国とEUとのFTAに基づく特恵関税が適用されなくなることから、韓国とEUとのFTAを承継する形で、韓国と英国のFTAを早期に締結すべきと指摘する声が上がっていた。

ーーー

韓国と英国は本年6月にFTA交渉の原則的妥結を宣言し、8月22日にFTA協定文に正式署名した。韓英FTAはBrexit後も従来の韓・EUのFTAと同水準の特恵貿易関係を維持するため、韓国企業は英国のEU離脱による不確実性がなくなり、英国との貿易・投資活動をこれまで通り行える。

アジア諸国のうち英国とFTAを結んだ国は韓国が唯一で、英国が10月末に「合意なき離脱」となった場合、競合国に対する比較優位が期待される。

(英国はこれまでチリ、アイスランド、ノルウェー、スイス、カリブ海諸国、東南部アフリカ市場共同体、イスラエルなど38カ国と13件のFTAを締結しており、アジアでは韓国のみ。)


韓英FTAは出来るだけ韓・EU FTAを引き写したもので、いくつかのテクニカルな修正を加えている。

関税:韓・EU FTAと同じで、工業品は全て、農産品は98%がゼロタリフとなる。双方の輸出品の99%が免税で、自動車と部品は関税なし。

Rule of Origin:3年間に限り、EU27か国の生産品を含む英国製品は英国産として優遇される。(3年の移行期間中にサプライチェーンの修正を行う)

農産品のSafeguard:韓・EU FTAよりもSafeguard発動の数量を減らした。

今回は韓・EU FTA をコピーしたもののため、2年以内に改正協議を始める。

既報の通り、英下院は3日、議会進行主導権を政府から議会に移す動議を賛成328票、反対301票の賛成多数で可決し、野党・労働党などが提出した離脱延期法案の審議入りを可能にした。

事前の警告通り、与党保守党はこれに賛成した議員21名を党籍停止した。これにより与党は民主統一党の10名を加えても298名となり、639名(議長らとシンフェイン党の計11名を除く)の47%に減った。


下院は9月4日夜、「合意なき離脱」を阻止する離脱延期法案を賛成327票、反対299票で可決した。

党籍停止者のほか保守党の1名が賛成した。反対には与党のほかは独立党3名、労働党1名であった。

10月19日までに新たな離脱案が通らなければ、離脱日を10月末から2020年1月末に延ばす案で、「何が何でも10月末に離脱する」と主張してきたジョンソン首相にとって大きな打撃となる。

法案は上院に送られる。通常は下院で通った議案は上院でも可決されるが、強硬派が審議を妨害する可能性がある。


続いて、ジョンソン首相がEU離脱の是非を問うための解散総選挙を提案したが、賛成 298、反対 56、棄権285となり、必要な2/3以上の賛成を得られなかった。

賛成は与党の294名、労働党の1名、独立党の1名で、反対は野党の56名。野党の大半は「まず合意なき離脱を阻止する法案が上院で承認されるべきだ」として棄権した。

付記

英議会上院は9月6日、法案を承認した。法案は上下院双方の賛成を得たため、エリザベス女王の裁可を経て、週明け9日にも成立する。

首相は週明けの9日に、4日に議会で一度賛成を得られなかった解散総選挙を議会下院へ再提案する。選挙日は延期をEUに申請するか判断する期日の前の10月15日を想定している。

前回、野党は「まず合意なき離脱を阻止する法案が上院で承認されるべきだ」として棄権したが、上院で承認されたため、条件を満たした。しかし、野党はEU首脳会議(10/17-18) 以前の総選挙阻止で一致したとされる。

付記

ジョンソン英首相の弟で閣外相(ビジネス・エネルギー・産業戦略省と教育省の閣外担当相)のJoe Johnson下院議員は9月5日、閣僚 を辞任するとともに、次の選挙には出馬しないと述べた。

「過去数週間、家族に忠誠を誓うのか、それとも国益を選ぶかで身が引き裂かれるほど悩んだ」と述べた。2016年の国民投票では兄とは異なり、EU残留に票を投じた。

英国のAmber Rudd 雇用・年金相は9月7日、ジョンソン政権の閣僚を辞任し、保守党も離党すると表明した。反対派の議員やEUに攻撃的なジョンソン首相の姿勢に反発した。

付記

エリザベス女王は9月9日、EUからの離脱延期を求める野党法案を裁可し、同法は成立した。


英議会下院は9月3日、EUからの「合意なき離脱」を防ぐために離脱延期を政府に義務付ける法案の審議に入る動議を、野党などの賛成多数で可決した。

これを受け、ジョンソン首相は国民の信を問う解散総選挙の前倒しを提案した。

ーーー

ジョンソン首相は 8月28日、「合意なき離脱」の阻止を狙う英議会内の勢力を封じ込めるため、おきて破りの奇手に出た。

英国議会は7月26日から夏季休会で、次に議会が召集されるのは9月3日である。首相官邸は8月28日、ジョンソン首相がエリザベス女王に9月9日の週から約1カ月間の議会の一時閉会を要請したと発表した。閉会手続きには女王の許可が必要だが、女王はこれを許可し、次の再開日は10月14日となる。

10月14日に議会を再開しても10月17日にはEU首脳会議があり、議会は、議決や議論を行うための時間的余裕がないことになる。

2019/8/30 英ジョンソン政権、異例の議会封じ 

これに対し、労働党など野党は2日、合意なき離脱を阻止する法案をまとめた。
「10月19日までにEUと合意した離脱協定案を英議会で承認できない場合に、首相はEUに2020年1月31日までの離脱延期を求める」ことを柱に据えた。

ジョンソン首相は9月2日の声明で、10月末のEU離脱を阻もうとする「あらゆる動きを容認しない」と語った。そのうえで「ここ数週の間に、EUと離脱条件で合意できる可能性は高まっている」と強調。離脱延期を狙う野党の動きを「自ら英国の立場を弱め、さらなるEUとの交渉を不可能にする」と批判した。

EU側は一貫して、バックストップ条項が含まれる協定は再交渉しないと力説している。

ジョンソン相は8月21日、ベルリンでメルケル独首相と会談した。メルケル首相は、「バックストップ条項」について、30日以内に代替案を策定できるだろうとの見方を示したが、実現可能な計画を提案するのはイギリス次第だと釘を刺した。

これに対しジョンソン首相は、30日という「苛烈な締め切り」は「大歓迎」だと返答。計画策定の責任はイギリスにあることを受け入れた上で、新たな協定締結には「十分な余地がある」と前向きな姿勢を示した。

しかし、現時点で代替案の検討が進んでいる兆しはない。

英下院は3日、野党・労働党などが提出した離脱延期法案(10月19日までに新たな離脱案が通らなければ、離脱日を10月末から2020年1月末に延ばす)を審議入りする動議を賛成328票、反対301票の賛成多数で可決した。

英下院の総議席650のうち、投票するのは639で、与党(保守党と民主統一党)は320議席となり、僅か1票差での過半数であ ったが、9月3日、保守党の Phillip Lee 議員が自由民主党に鞍替えし、保守党は過半数を失った。

今回の動議には与党・保守党の21人が賛成に回った。

この法案は4日にも下院で採決する。ジョンソン首相は動議の成立後、同法案が下院を通過すれば国民の信を問う解散総選挙の前倒しを提案すると述べた。10月14日に選挙日を設定したと報じられた。

英国では議会任期固定法の規定で、解散には下院の3分の2の賛成が必要になる。

最大野党の労働党のコービン党首は2日の演説で「EU離脱問題の解決には総選挙が必要だ」と述べた が、2つの法案がどのように審議されるかなどは不明である。

ーーー

英下院の総議席650のうち、投票するのは639だが、与党(保守党と民主統一党)は320議席となり、僅か1票差での過半数であ った。

9月3日、保守党の Phillip Lee 議員が自由民主党に鞍替えし、保守党は過半数を失った。

議長と副議長(保守1、労働党2)は投票しない。北アイルランドのSinn Fein党(7人)は 女王に忠誠を誓うのを拒否し、議会をボイコット、歳費も受け取らない。

2019/9/3 投票なし 議決権
保守党 310 1 309
民主統一党 10 10
(与党) (320) (1) (319)
労働党 247 2 245
スコットランド国民党 35 35
自由民主党 14 14
独立党 11 11
独立グループ 5 5
シンフェイン党 7 7 0
ブライドカムリ 4 4
緑の党 1 1
社会民主労働党 0 0
アルスター統一党  0 0
Change UK 5 5
無所属 0  0
議長 1 1 0
合計 650 11 639

東芝メモリホールディングスは8月30日、台湾電子部品大手の光宝科技(Lite-On)から、記憶装置ソリッドステートドライブ(SSD)の事業を買収すると発表した。買収額は1億6500万ドルで、2020年前半までの買収完了をめざす。

SSDは、半導体メモリをディスクドライブのように扱える補助記憶装置の一種で、メモリにRAMを用いたものと、フラッシュメモリを用いたものに分類される。

東芝メモリの主力製品のNAND型フラッシュメモリーを組み込んだSSDは、データセンター建設による需要増加が見込まれており、買収で既存事業を強化する。

NAND型フラッシュメモリーは最近、市況が悪化しているが、NAND型フラッシュメモリーを組み込んだSSDはメモリー単体で売るよりも採算がよく、東芝メモリも注力分野の一つに位置づけている。

2019/8/15 東芝メモリの4~6月期、952億円の赤字


Lite-Onは発光ダイオードや半導体部品を主力製品としており、SSD事業の売却を決定した。


2018年3QのSSDの世界市場で首位は韓国サムスン電子でシェア33%、2位は
Western Digital(SanDisk / HGST) で12%、3位はIntelで11%、東芝メモリは4位で9%、Lite-onは7位で5%となっている。
(ソース:https://pc.watch.impress.co.jp/img/pcw/docs/1168/315/html/photo001_o.jpg.html

ーーー

Western Digital は東芝メモリとのJVの相手

1999/10に東芝とSanDiskがNAND型フラッシュメモリ事業に関する提携で基本合意 → JV設立
2016/5 Western Digital によるSanDisk 買収 (現東芝メモリとのJVを継承)

2011/3 日立は100%子会社である Hitachi Global Storage Technologies (現 HGST)をWestern Digitalへ売却すると発表

BPは8月27日、米アラスカ州の全事業を非公開企業のHilcorp Energy Companyに56億ドルで売却することで合意したと発表した。
60年にわたり事業を展開してきた同州から撤退する。


総額56億ドルのうち40億ドルは短期に支払われ、残り16億ドルは分割払いとなる。州や米国の当局の承認を得て、2020年に取引完了を目指す。

この取引は2019年から2020年にかけて100億ドル分を売却するというBPの計画の重要部分である。

売却対象には米国最大のプルドーベイ油田やアラスカ州のTrans Alaska Pipeline System (TAPS)のBP Pipelines (Alaska) Inc の権益が含まれる。

BPの2019年のアラスカでの原油生産量は日量74千バレルである。Prudhoe Bayでの権益は26%で、他にオペレーターではないがMilne Point とPoint Thomson、Liberty project に権益を持っている。
Trans-Alaska Pipeline の権益、その運営会社のAlyeska Pipeline Service Companyの株を所有する。

売却されるのは以下の通り。

  • Upstream oil and gas interests:
    • Prudhoe Bay, 26% (operator BP);
    • Milne Point, 50% (operator Hilcorp);
    • Point Thomson, 32% (operator ExxonMobil).
    • Liberty project, 50% (operator Hilcorp);
    • Non-operating interests in exploration leases in ANWR
  • Midstream pipeline interests:
    • Trans Alaska Pipeline System, 49%;
    • Alyeska Pipeline Service Company, 49%;
    • Point Thomson Export Pipeline, 32%;
    • Milne Point Pipeline, 50%.
  • Other:
    • Prince William Sound Oil Spill Response Corporation,

Hilcorp は2012年からアラスカで活動しており、現在、日量75千バレル以上を生産するアラスカで最大のプライベートの石油・ガス会社である。2014年にBPからAlaska North Slopeの4つの油田を買収している。

今回の売却を受け、テキサス州の資産家Jeffery Hildebrandが創業した石油会社Hilcorp は、アラスカ州の原油生産で Conoco-Phillipsに次ぐ2位となる。

同州の原油生産は1980年代後半の全盛期から減少している。

ーーー

1909年にペルシャ(イラン)で油田が発見され、Anglo Persian Oilが設立された。

1919年にイギリス政府が2/3の株式を取得、1935年に Anglo Iranian Oil に改称、1954年にThe British Petroleum Co Ltd. に改称した。

1969年にBPはアラスカのプルドー湾油田に大きなシェアを確保した。

BPはStandard Oil of Ohio(Sohio)と提携して開発することを決めた。
Sohioがアラスカ油田における権益を取得、BPはSohioの株式25%を取得した。

1987年にBPはSohioの株式100%を取得した。この時点で、イギリス政府がBP株(31.5%)を市場に放出し完全民営化した。

1999年にBPはAmocoと合併し、BP Amoco plc.となり、2000年にはARCOと合併し、社名をBP plc. に変更した。

1970年にAlyeska Pipeline Service Companyが設立され、プルドー湾からアラスカを縦断してバルディーズ港に至る1,287.2km(800miles)の石油パイプラインの建設が始まった。
1974年4月29日に着工、1977年7月20日には最初の石油がプルドー湾を出発し、7月28日にバルディーズに到着、8月1日にタンカーで積み出された。



  

 


Wall Street Journal(電子版)は8月29日、サウジアラビアの国営石油会社 Saudi Aramco が、2020年以降に実施する新規株式公開(IPO)で東京市場への上場を再検討していると報じた。


Aramco のIPOは世界の有力市場が誘致競争を繰り広げた。

当初、Aramco は2018年下期にも株式の5%を内外市場で公開する予定で、上場する市場(複数)については、New York、London、Tokyo、Hong Kong などが候補として挙がっていた。
その後、国外上場候補をNew York、London、Hong Kong の3か所に絞り込んだとされ、日本は事実上、選択から外れたとみられていた。

しかし、その後、法的リスクや、海外の取引所が企業に求める情報開示の基準が厳しいことなどを懸念し、先ず自国の証券取引所に限定する方針だと報じられた。

2018/1/11 Saudi Aramco、上場に備え企業形態を変更 

同紙によると、サウジはIPOを国内と国外での2段階で実施することを検討しており、年内にも国内で株式を公開する。2020年か21年に国外市場に上場する予定。

東京が再び候補となったのは、実施を見込んでいたロンドンはBrexitの混乱、香港市場は民衆デモが影響し、魅力が薄れたためである。

ニューヨーク市場は当初、有力上場先として検討対象となったが、米国での訴訟リスクが障壁となっている。

サウジの閣僚とAramco幹部で構成する同社の取締役会が8月の会合で、「Aramcoがいかなる法的措置からも保護される免責特権を与えられない限り」米国での上場は検討しないとの結論に達したとされる。関係筋は、Aramcoに免責特権が与えられることは「完全に不可能ではないが、当然実現し難い」と述べた。

以下の問題がある。

1) テロ支援制裁法

米国では2016年に米同時テロに関与した疑いがある外国政府に遺族らが損害賠償を請求する訴えを起こすことができる「テロ支援者制裁法(JASTA)」が成立した。

米同時テロに関与した外国政府への損害賠償請求を可能にする法案にオバマ大統領が拒否権を発動したことを受け、米上下院は2016年9月28日、上院は 97対1、下院は 348 対77 の賛成多数で再可決し、拒否権を覆して法案は成立した。

2016/10/1 米同時テロ遺族のサウジ提訴法案、大統領拒否権を覆し成立

2018年3月に米国の判事がサウジ政府の要求を却下してサウジ政府を被告とする裁判が開始されることとなった。

サウジ政府が最大株主になるAramcoは、資産差し押さえなどの潜在的なリスクにさらされる。

2018/4/6 サウジ政府を被告とする9.11同時多発テロ訴訟、裁判開始へ

2)  気候変動

ニューヨーク市は2018年1月10日、ExxonMobil、Chevron、BP、Shell、ConocoPhillips の5社を提訴すると発表した。
5社が気候変動の一因となっており、過去及び将来ニューヨーク市に財政的負担を強いるとし、港湾保護、上下水設備の改善、気候変動緩和、公共医療活動等に費やす数十億米ドルの補償を求める。

同市はすでに、海面上昇、強大な嵐、気温上昇対策のために200億米ドル以上を費やしている。

3) 石油生産輸出カルテル禁止(NOPEC)法案

米下院司法委員会は2019年2月7日、石油輸出国機構(OEC)加盟国を反トラスト法違反で提訴することを可能にする「石油生産輸出カルテル禁止(No Oil Producing and Exporting Cartels Act : NOPEC法案)」を全会一致で可決した。同様の法案が上院の財政委員会に提出された。

米国政府がOPEC加盟国をSherman Antitrust Actで訴訟できるというもの。

トランプ米政権の高官はこの時点で、米国の安全保障体制は手頃な価格で手に入るエネルギーに依存しているとした上で、米政府はカルテルを含め、市場をゆがめる慣行を支持しないと表明した。

トランプ氏は大統領就任前の2011年に出版された著書でNOPEC法案を支持する姿勢を示していたが、大統領就任後は支持を表明していない。

これに対し、サウジアラビアは、米国がこの法案を通せば、ドル以外の通貨で売却すると警告していることが分かった。サウジ政府はまた、米国のエネルギー政策を担当する高官にもこの警告を伝達したとされる。そうなると、現在のドル体制が崩れ、米国には大打撃となる。

1971年8月15日、ニクソン大統領は、ドルと金の交換を停止した。

ニクソンはキッシンジャーをサウジに派遣し、以下の交渉を行わせた。
・米はサウジを防衛する。どんな兵器も売る。サウジ王家を未来永劫に保護する。   
・見返り
①サウジの石油販売を全てドル建てにする。
      ②サウジの貿易黒字で米国財務省証券を購入する。

  
サウジはこれを受け入れ、1974年に調印された。
その後、OPECの他のメンバーもドル建て取引を採用し、ドルが世界通貨となった。

これが「ペトロダラー」システムで、これまで金との兌換が必要なため、無制限なドル印刷は出来なかったのに対し、ほぼゼロコストでドルを無制限に印刷し、輸入決済に充てることが出来るようになった。

4) このほか、上場会社になると、Aramco の確認埋蔵量などのデータを公表する必要が出るが、これに対する反発も根強い。


当初の候補であったNew York、London、Hong Kong が外れ、東京が候補として再浮上した。


最近のコメント

月別 アーカイブ